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東京オリンピック(五輪)(その10)(“全員団結”で東京五輪へ?――スポーツに政治を持ち込む自称・右派の浅ましさ 2020年の論点100、極秘「決算報告書」入手! 「森喜朗」が代表理事「嘉納治五郎財団」の五輪買収「5億円」疑惑) [社会]

東京オリンピック(五輪)については、昨年10月5日に取上げた。今日は、(その10)(“全員団結”で東京五輪へ?――スポーツに政治を持ち込む自称・右派の浅ましさ 2020年の論点100、極秘「決算報告書」入手! 「森喜朗」が代表理事「嘉納治五郎財団」の五輪買収「5億円」疑惑)である。

先ずは、ジャーナリストの鷲田 康氏が1月24日付け文春オンラインに掲載した「“全員団結”で東京五輪へ?――スポーツに政治を持ち込む自称・右派の浅ましさ 2020年の論点100」を紹介しよう。
・『昨夏の甲子園大会で準優勝に輝いた星稜・奥川恭伸投手(18)や163km右腕の大船渡・佐々木朗希投手(17)らを擁するU‐18日本代表が「U‐18ワールドカップ」参加のために渡韓したのは昨年8月28日のことだった。 この際に騒動となったのが、代表選手たちの着用したポロシャツから日の丸を外した日本高等学校野球連盟(八田英二会長)の決定である』、これは記憶に新しいところだ。
・『三原じゅん子議員「韓国への配慮とか必要なのでしょうか」  7月に日本政府が韓国への半導体製造の材料などの輸出規制の強化を行い、これに反発して韓国国内では反日運動が激化。直前には旅行中の日本人女性が、誘いを断った韓国人青年に暴行を受けた事件なども大々的に報じられ、日韓関係が戦後最悪と危惧される情勢だった。 その中で「韓国の国民感情に配慮して、日本を前面に出すのはやめようと思っている。日韓関係が悪化していることと、スポーツをすることは別なので、我々は真摯にプレーすることだと思う」(竹中雅彦事務局長・当時)と高野連が、通常は白地のポロシャツの袖につけてきた“日の丸”を外す決定を行った訳だ。 無用な刺激を避けて、選手の安全を配慮した決定だったが、これに対して「過剰な忖度」とネット論壇を中心に批判が湧き上がった。テレビのワイドショーでも、あたかも国の姿勢を示す大問題であるかのように論議されると、そこで出てきたのが一部の右派をもって任ずる政治家だったのである。 「スポーツの世界で、日の丸を背負って闘う日本代表選手たちに、韓国への配慮とか必要なのでしょうか」 こうツイッターでつぶやいたのは三原じゅん子参議院議員だった。他にも和田政宗参議院議員らが、この“日の丸外し”に疑問を呈するコメントを発した。 高野連の処置は全く政治的決定ではない。選手の安全を配慮したものなのは明らかだ。また試合をするユニフォームから日の丸を外したのでもない。戦後最悪と言われる日韓関係の中で、日の丸をつけて戦うのはグラウンドの中だけでいいということだ。ましてやスポーツとは戦う相手がいて初めて成り立つもので、だからこそ相手に対するリスペクトは不可欠である。そういう背景の中での“日の丸外し”だった訳である』、私は、「高野連」の「無用な刺激を避けて、選手の安全を配慮した決定」は当然だと思う。
・『スポーツを“政治利用”するムード  ところがそこで政治的な思惑や話題性に飛びついてすぐに口を挟む自称・右派の浅ましさ。選手の身を案じるより、勇ましさや日の丸の責任を押し付ける人びとにはスポーツを語る資格は一切ない。 東京五輪を控える中で、我々がもう一度、戒めなければならないのはこうしたスポーツに政治的なナショナリズムを持ち込もうとする論調であり、それを政治的に利用しようとする政治勢力である。特に気をつけなければならないのが、五輪のメダルとナショナリズムをリンクさせることで、スポーツを政治的に国威発揚の場に利用しようというムードではないだろうか。 オリンピックの歴史の中でスポーツと政治的ナショナリズムを連結したことで、最悪の見本と言われるのが1936年のベルリン大会である。 別名「ナチ・オリンピック」とも呼ばれるこの大会では、33年に政権をとったアドルフ・ヒトラーが国威発揚とのちのユダヤ人虐殺につながる「アーリア人の民族優勢」を示す大会として位置づけ、メダル獲得に国家的事業として取り組んだ。その結果、ドイツは89個のメダルを獲得し、2位のアメリカの56個を抑えて圧倒的な勝利を収めている。この大会の模様はレニ・リーフェンシュタール監督の指揮で「民族の祭典」と「美の祭典」として映像化され、ナチスドイツのプロパガンダとして国内外に大きな成果を収めることとなったが、その後の歴史的な惨劇は説明の必要もないはずだ。 アスリートたちの心にはもちろん勝利への強い思いがあり、その先にメダルというものがある。そして自分自身のためだけではなく家族や友人、そして生まれ故郷や国への思いが、勝利へのモチベーションとなるケースもある。ただそれはあくまで選手個々が心に秘めて戦うもので、その思いを安易に国のためと求めたり、政治的に利用すべきではないということだ。 「金メダル候補で日本が本当に期待している選手だからガッカリしている」2月に競泳の池江璃花子選手が白血病であることを発表した際に、当時の桜田義孝五輪相が語った言葉だ。 「オリンピックの神様が池江璃花子の体を使って『オリンピックとパラリンピックをもっと大きな視点で考えなさい』といってきたのかな」直後の講演でこう語った橋本聖子現五輪大臣は、スポーツ界で問題になっていたパワハラ問題やガバナンスの問題にリンクさせてこうも語っている。「そんなことで悩んでいる場合ではない。もっと前向きにやりなさいよ、と池江璃花子を使って叱咤激励してくれているのではないかとまで思った」』、「特に気をつけなければならないのが、五輪のメダルとナショナリズムをリンクさせることで、スポーツを政治的に国威発揚の場に利用しようというムードではないだろうか」、その通りだ。
・『「日の丸はスタンドにあろうとなかろうとあまり関係ない」の真意  これらの軽率な発言には当然、多くの批判が集まった。ただ何より怖いのはオリンピックに関わる政府の中心的人物の間にも、政治とスポーツを切り離すという意識が欠如していることである。 「結局は自分の中に思いがあれば、それはスタンドにあろうとなかろうとあまり関係はないと思います」2006年の第1回ワールド・ベースボール・クラシック直後にマリナーズ時代のイチローを取材した時の言葉だった。イチローもこの大会での日の丸の重みを熱く語っていたが、その一方で日の丸のフラッグが戦う上での力となったか、という質問にはこんな風に答えていた。 スポーツは自称・右派の人々が唱えるような、国威発揚の道具では決してないし、そうであってはならないはずだ。日の丸はポロシャツの袖になくても、選手の心の中にあればいいものなのである』、「何より怖いのはオリンピックに関わる政府の中心的人物の間にも、政治とスポーツを切り離すという意識が欠如していること」、大いに問題だ。マスコミも「国威発揚」ムードを煽らないでほしいところだ。

次に、2月17日付けYahooニュースがデイリー新潮記事を転載した「極秘「決算報告書」入手! 「森喜朗」が代表理事「嘉納治五郎財団」の五輪買収「5億円」疑惑」を紹介しよう。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200217-00608962-shincho-soci&p=1
・『本誌(「週刊新潮」)2月13日号でお伝えした森喜朗元首相(82)の「新財団」の設立者となるのは、嘉納治五郎(かのうじごろう)の名を冠した財団。その「嘉納財団」に、安倍政権とも近いとされる里見治(はじめ)会長(78)の「セガサミー」社が多額の寄付をしていた――。その金は、「五輪買収」のために使われたのか。疑惑を追う。 〈人間が権力にしがみつく、と言うのは、ありゃウソだよ。それは逆で、権力のほうから人間に取りついてくるんだ。だから、人間のほうがよほど邪険に権力を振り払わんと、どこまでもつきまとわれる〉関西電力初代社長の太田垣士郎氏はそう語ったと伝えられる。が、この人の場合、長きに亘って権力にとりつかれ続けたあげく、ほとんど一体化してしまったかのようである。東京五輪組織委員会の森喜朗会長。本誌2月13日号では、森会長が「一般財団法人日本スポーツレガシー・コミッション」なる新たな財団を設立し、五輪後のレガシーまで自らの影響下に置こうとしていることをお伝えした。同じタイミングで発売された月刊誌「文藝春秋」に森会長のインタビューが掲載されていたのは、無論、偶然であろう。もっとも、その中身は“生臭い”ことこの上なく、「ポスト安倍」については、〈安倍さんに続けてもらうことが、最も国益に適う〉として、“人事”にまでこう口出し。〈幹事長も官房長官も新しい人に任せ、自民党の人心一新を図るべき〉 さらに、東京五輪マラソンの札幌移転に関しては、〈もちろん私でなきゃできなかった、とは言わない。ただ、バッハやコーツ、政府や党、議会などへは電話で話ができる関係がないと、まとめることはできなかったでしょうね〉と、自画自賛。読み進めるにしたがってうんざりした気分にさせられるインタビューなのだが、雑誌発売の翌日、わざわざそれを紹介する記事を掲載したのは読売新聞だった。ちなみに本誌が先週、新たな財団に関して森会長に取材を申し込んだところ、その翌日、やはり読売に、財団について「好意的」に紹介する記事が掲載された。一体、これは偶然なのだろうか。 「新財団立ち上げのための会議は2月5日、東京・晴海の組織委の会議室で予定通りに行われました」 そう明かすのは新財団の関係者。森会長の他、遠藤利明元五輪担当相や河村建夫元官房長官など、新財団の評議員や役員に就任する人物はほとんど顔を揃えていたといい、「『週刊新潮』に掲載されていたものと同じ新財団の内部資料が出席者の手元に配られ、それを見ながら設立の趣旨などが説明されました。それだけなので全部で1時間もかかりませんでした」(同) 同日、記者から新財団について問われた東京都の小池百合子知事は、「この件については、私は承知、了承したわけでもなんでもありません」と、またしても繰り返された「小池外し」に不快感を隠さなかった。 この小池知事の「ぶら下がり」と、その翌日に行われた組織委の武藤敏郎事務総長の会見では、新財団が五輪の剰余金の受け皿になるのではないか、という見方についても記者たちから質問が飛んだ。 「武藤さんは剰余金の受け皿になることについて、“根拠がない”と妙な言い回しで否定。“現時点では”そのような予定はない、としてほとぼりが冷めるのを待つようですね」と、文科省関係者。 「また、まずはラグビーワールドカップの剰余金を新財団に移し、世論の反応を探るのではないか、という見方もあります。ラグビーワールドカップは想定以上に盛り上がったため、数十億円規模の剰余金が出る予定です」 この点、森会長に取材を申し込むと、「『日本スポーツレガシー・コミッション』は、各スポーツ大会の余剰金を扱う団体ではありません」との回答が寄せられた』、「読売新聞」は安部政権の広報機関になり下がってしまったようだ。それにしても、「森会長」が「新財団」設立とは、飽くなき利権追及の姿勢には改めて驚かされた。
・『菅官房長官からの頼み事  新財団立ち上げのための会議が組織委で行われたことは先述した通り。そのこと自体、この新財団が東京五輪と不可分の関係にある証左と言えるが、新財団と五輪を結び付ける「材料」は他にもある。それは、新財団の「母体」となる〈一般財団法人嘉納治五郎記念国際スポーツ研究・交流センター〉(以下、嘉納財団)に関するものである。 新財団の〈設立者〉であり、設立のために300万円を拠出する嘉納財団が設立されたのは2009年。 「『2016年五輪』の招致活動のために設立され、『2020東京五輪』の招致活動にも関わった」(スポーツ紙記者)というが、より具体的なエピソードがある。それは、政界のタニマチとしても知られる「セガサミーホールディングス」の里見治会長の口から発せられた。 20年のオリンピック開催地が「東京」に決定した後の13年秋頃、里見会長は東京・新橋の高級料亭にいた。 「里見会長はマスコミや政治家、広告代理店の人間を集めた会合を定期的に行っています。あの日もテレビ局や広告代理店の幹部連中が来ており、参加者は全部で十数名。大部屋を借り切り、ステージではカラオケも歌われ、賑やかな会でした」 と振り返る出席者の一人によると、その日の会合の最中、里見会長は、「東京オリンピックは俺のおかげで獲れたんだ」と自慢話を始めたという。 里見会長が語ったその話の内容は、概ね次のようなものだった。「菅義偉官房長官から話があって、『アフリカ人を買収しなくてはいけない。4億~5億円の工作資金が必要だ。何とか用意してくれないか。これだけのお金が用意できるのは会長しかいない』と頼まれた。でも、いくらなんでも額が大きすぎる。『そんな大きな額の裏金を作って渡せるようなご時世じゃないよ』と言うと、菅長官は、『嘉納治五郎財団というのがある。そこに振り込んでくれれば会長にご迷惑はかからない。この財団はブラックボックスになっているから足はつきません。国税も絶対に大丈夫です』と。それで俺は動くことにした。自分だけで5億用意するのは難しいから、知り合いの社長にお願いして、俺が3億~4億、知り合いの社長が1億円用意して財団に入れた。菅長官は、『これでアフリカ票を持ってこられます』と喜んでいたよ。こんなことが出来るのは俺だけだ。俺のオリンピックなんだ」 先の出席者が言う。「会長が語ったこの話は、会合の参加者だけではなく、お店の仲居さん4、5人も聞いています。皆楽しそうに聞いていましたよ。会長曰く、このスキームを作ったのは広告代理店だが、『原資は俺の金なんだ』と。広告代理店は『あのアフリカ人親子をターゲットにすればアフリカ票が取れる』といったことも言っていたそうです」 里見会長に取材を申し込んだところ、セガサミー広報部から回答が寄せられた。 「里見に確認したところ、“ご質問の内容からは会合を具体的に特定することができない。またある種の会合の場で質問状にあるようなコメントを発したかどうかは定かではない”と申しております」 否定はしないご様子。嘉納財団に3億~4億円を拠出したのか、という質問に対しては、 「当社よりスポーツの発展、振興を目的に一般財団法人嘉納治五郎記念国際スポーツ研究・交流センターへの寄付実績がございます。なお里見個人からの寄付行為はございません」として、財団への寄付があったことを認めた。また、拠出した金の使われ方を知っているかどうかを聞いたところ、こう答えた。 「財団ホームページに記載されているように、国内外のスポーツの発展、振興に関わる各種活動に使用されていると理解しております」』、「菅長官」が「嘉納治五郎財団・・・この財団はブラックボックスになっているから足はつきません。国税も絶対に大丈夫です」、としたのは、国税の了解済みなのだろう。「セガサミー」「会長」の口の軽さには驚かされたが、新興企業ではこんなものなのかも知れない。
・『「決算報告書」に“寄付2億円”  なお嘉納財団は資産や収支を一般には公開していないが、本誌は問題の12年から13年にかけての財団の収支が分かる決算報告書を独自に入手した。極めて興味深いのはそこに添付された〈平成25年度補正予算案〉と題する資料である。そもそも一般財団法人で補正予算を組むこと自体、異例のことだが、注目すべきは〈寄付金収入〉の欄。25年度予算案(補正前)では5千万円だったのが、25年度予算案(補正後)では、2億5千万円となっている。補正の前と後で寄付金が2億円も増額されているのだ。 「おそらくその2億円がセガサミーの里見さんが寄付したものでしょう。東京でオリンピックが開催されることが決まったのは13年9月。それまでにその2億円を使う予定があったからこそ、わざわざ補正予算を組んで急いで収入に入れ込んだ。この資料からはそんな推測が出来ます」(事情を知る関係者) 嘉納財団の基本財産は300万円だという。そのうち75万円を「出資」しているのは東京都である。2月13日、嘉納財団側は東京都の小池知事に対して奇妙な依頼をしてきた。 「財団側は東京都に対し、『出資』から手を引くよう要求しているのです。おそらく財団側は今、焦っているのでしょう。週刊新潮の報道で里見さんから多額の寄付を受けていたことが表ざたになり、今後、都が『出資者』として財団のメインバンクに寄付金の使途の公開を求めた場合、それが『五輪買収』に使われたことが証明されてしまうかもしれませんから」 財団が抱える闇の深さを物語る、実にきな臭い動きなのである』、「都が『出資者』として財団のメインバンクに寄付金の使途の公開を求めた場合、それが『五輪買収』に使われたことが証明されてしまうかもしれません」、五輪招致を手柄にしたい小池知事としては、そこまで追い詰める気はないだろう。「「決算報告書」に“寄付2億円”」と、里見会長の「俺が3億~4億、知り合いの社長が1億円用意して財団に入れた」、財団からその他に2億~4億円流出したようだ。
・『「第二の嘉納治五郎」  里見会長が会合の場で披瀝した話の中に登場する「アフリカ人親子」。それと同一かどうかは不明だが、五輪招致委員会が「アフリカ人親子」をターゲットにしたのは事実である。 その親子とは、当時、IOC委員で五輪開催地を決める投票権を有していたラミン・ディアク国際陸連会長と、その息子のパパマッサタ・ディアク。招致委はパパマッサタと関係の深いシンガポールの会社に「コンサル費用」などの名目で計2億3千万円を振り込んだが、フランスの検察当局は「賄賂」だと疑って捜査を開始。それを受け、日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長は辞任に追い込まれた。 里見会長が会合で話した内容が全て事実かどうかは定かではない。が、事実だとすると嘉納財団に寄付した金の一部が、シンガポールの会社に払った「コンサル費用」などの原資になったということなのだろうか。あるいは、全く別ルートの「買収費用」となったのか。 受け取った金の使い道などについて嘉納財団に取材を申し込んだが、期日までに回答はなかった。ちなみに、嘉納財団の代表理事は森会長その人である。 「新財団と嘉納財団の役員などは重複する予定ですから、いずれは嘉納財団を清算して一体化させる可能性もあると思います」(スポーツ団体関係者) スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏が言う。 「一貫して五輪に関わってきた森さんの胸にはおそらく嘉納治五郎の名前があったはず。『柔道の父』として知られる嘉納は、五輪招致に尽力した人物でもありました。森さんは自分の姿を嘉納に重ね、『俺は第二の嘉納治五郎だ』、そんな思いを胸に秘めているのではないでしょうか」 なるほど、その思いが強すぎて、未だ権力に「つきまとわれ」ているのか。 (週刊新潮2月20号掲載「フランス捜査当局は知っているか!? 『森喜朗』新財団が呑み込む『嘉納治五郎財団』の五輪買収『5億円』疑惑」を加筆修正)』、「嘉納財団」が「賄賂」のトンネルとして使われた可能性があるというのは、初めて知った。それにしても、「フランスの検察当局」の「賄賂」捜査はどうなったのだろう。日本政府から恥部に触れないでほしいと頼み込まれたのだろうか。「森会長」の腹黒さにも改めて驚かされた。
タグ:イチロー yahooニュース ベルリン大会 デイリー新潮 東京オリンピック(五輪) 文春オンライン (その10)(“全員団結”で東京五輪へ?――スポーツに政治を持ち込む自称・右派の浅ましさ 2020年の論点100、極秘「決算報告書」入手! 「森喜朗」が代表理事「嘉納治五郎財団」の五輪買収「5億円」疑惑) 鷲田 康 「“全員団結”で東京五輪へ?――スポーツに政治を持ち込む自称・右派の浅ましさ 2020年の論点100」 U‐18日本代表が「U‐18ワールドカップ」参加のために渡韓 代表選手たちの着用したポロシャツから日の丸を外した日本高等学校野球連盟(八田英二会長)の決定 三原じゅん子議員「韓国への配慮とか必要なのでしょうか」 スポーツを“政治利用”するムード スポーツに政治的なナショナリズムを持ち込もうとする論調 それを政治的に利用しようとする政治勢力 五輪のメダルとナショナリズムをリンクさせることで、スポーツを政治的に国威発揚の場に利用しようというムード ナチスドイツのプロパガンダとして国内外に大きな成果 「金メダル候補で日本が本当に期待している選手だからガッカリしている」2月に競泳の池江璃花子選手が白血病であることを発表した際に、当時の桜田義孝五輪相が語った言葉 「日の丸はスタンドにあろうとなかろうとあまり関係ない」の真意 何より怖いのはオリンピックに関わる政府の中心的人物の間にも、政治とスポーツを切り離すという意識が欠如していること 「極秘「決算報告書」入手! 「森喜朗」が代表理事「嘉納治五郎財団」の五輪買収「5億円」疑惑」 森喜朗元首相(82)の「新財団」 「嘉納財団」 「セガサミー」社が多額の寄付 「一般財団法人日本スポーツレガシー・コミッション」 五輪後のレガシーまで自らの影響下に置こうとしている 「文藝春秋」に森会長のインタビューが掲載 わざわざそれを紹介する記事を掲載したのは読売新聞 、新財団が五輪の剰余金の受け皿になるのではないか ラグビーワールドカップは想定以上に盛り上がったため、数十億円規模の剰余金が出る予定 菅官房長官からの頼み事 里見治会長 新橋の高級料亭 テレビ局や広告代理店の幹部連中が来ており、参加者は全部で十数名。 菅義偉官房長官から話があって、『アフリカ人を買収しなくてはいけない。4億~5億円の工作資金が必要だ。何とか用意してくれないか 『嘉納治五郎財団というのがある。そこに振り込んでくれれば会長にご迷惑はかからない。この財団はブラックボックスになっているから足はつきません。国税も絶対に大丈夫です』 俺が3億~4億、知り合いの社長が1億円用意して財団に入れた 「決算報告書」に“寄付2億円” 「財団側は東京都に対し、『出資』から手を引くよう要求しているのです。おそらく財団側は今、焦っているのでしょう 都が『出資者』として財団のメインバンクに寄付金の使途の公開を求めた場合、それが『五輪買収』に使われたことが証明されてしまうかもしれません 第二の嘉納治五郎 フランスの検察当局は「賄賂」だと疑って捜査を開始 竹田恒和会長は辞任 アフリカ人親子 いずれは嘉納財団を清算して一体化させる可能性もある
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パンデミック(感染症流行)(その2)(新型肺炎174人の集団感染「クルーズ船3700人隔離は正しかったのか」、コロナウイルス「日本政府のヤバい危機管理」を世界はこう報じている ダイヤモンド・プリンセス号は大丈夫か、【新型コロナ】クルーズ船“乗組員”の扱いを批判する米メディア 外国人対策の失敗) [社会]

パンデミック(感染症流行)については、2月9日に取上げたばかりだが、今日は、(その2)(新型肺炎174人の集団感染「クルーズ船3700人隔離は正しかったのか」、コロナウイルス「日本政府のヤバい危機管理」を世界はこう報じている ダイヤモンド・プリンセス号は大丈夫か、【新型コロナ】クルーズ船“乗組員”の扱いを批判する米メディア 外国人対策の失敗)である。

先ずは、2月13日付け文春オンラインで「新型肺炎174人の集団感染「クルーズ船3700人隔離は正しかったのか」――医師の見解は?」を紹介しよう。なお、インタビューに応じたのは、医療ガバナンス研究所理事長の上 昌広氏である。
https://bunshun.jp/articles/-/33856
・『クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の検疫が世界の注目を集めている。 ニューヨーク・タイムズは2月10日の”Evening Briefing”のトップで「少なくとも20人のアメリカ人が横浜港に停泊中のクルーズ船の中で停留されている」と報じた。 この件について、同紙は2月5日以降、4本の記事を配信している。 関心を寄せるのは米国だけではない。筆者のもとには韓国や香港のメディアから取材があった。 海外メディアが関心を寄せるのは、ダイヤモンド・プリンセス号に自国民が乗っているからだ。乗客2,666人のうち、1,385人は日本以外の55の国と地域の住民だ。韓国の記者は「14人の韓国人が乗船しており、国内の関心は高い」と言っている』、日本政府のお粗末極まる対応ぶりは、まさに世界の笑いものだ。
・『検査した492人のうち174人が感染  彼らの関心は乗船者の健康だ。2月12日現在、174人の感染が判明している。検査した492人の35%を占める。 当初、船内には2,666人の乗客と1,045人の乗務員がいた。そのうち13%しか検査できていないことになる。専門家からは全員の検査をすべきという意見が出ているが、菅義偉官房長官は、10日の記者会見で「(全員の検査をすることは)現状では厳しいものがある」とコメントしている。後述するように、検査体制の整備が遅れているためだ。 私は一連の議論を聞いて、暗澹たる気持ちになった。現在、船内では新型コロナウイルスの集団感染が拡大し、インフルエンザの感染者もでている。ところが、日本では水際対策が最優先され、乗員の健康が軽視されている。 今回の集団感染で注目すべきは、乗客の多くが年配の人であることだ。私が調べた範囲で、ダイヤモンド・プリンセス号の搭乗者の年齢は公表されていないが、クルーズ船については幾つかの先行研究が存在する。海事プレス社の「乗船客(ボイジャーアンケート)結果」によると、乗船者の86%が50歳代以上だった。19%は70歳代以上だ。この世代は多くが持病をもち、ちょっとしたストレスで体調を崩す』、確かに高齢者には要注意だろう。
・『「まるで監獄にいるようだ」  2月7日にはアメリカ国籍の83歳の女性が体調不良を訴えて、救急搬送された。持病の心不全が悪化したという。ダイヤモンド・プリンセス号が横浜港に入港し、4日目のことだ。 停留中の乗客は感染拡大予防のため、行動を制限される。2月6日の朝日新聞の記事には、76歳の男性が「ずっと部屋の中で妻とテレビを見ている。一歩も出られない」とコメントしている。 英国人デビッド・アベルさんとサリー・アベルさん夫妻は英メディアのインタビューに答え、「船室の外に出られない。マスクをした乗務員が食事を持ってきて再び回収して行く。まるで監獄にいるようだ」と話している。 船内は医療体制も脆弱だ。フォーカス台湾は2月10日の記事で、乗客の台湾人男性のインタビューを紹介している。同乗している80代の父親に咳などの呼吸器症状が出現したが、船医は発熱がないのを理由にウイルス検査を実施せず、風邪薬を与えただけだった。服用後の身体の状態に対して尋ねられることもないという。さらに、男性の父親は不眠も深刻で、睡眠薬をまもなく使い切ってしまう状況らしい。 知人の看護師である山中弓子氏は、船内の状況を報じたテレビ報道を見て、「船内の様子を見ていると、感染させるプラントみたいになってる。食事もラップをかけずにオープンワゴンに乗せてキッチンから各居室へ配られていたし」とメッセージを送ってきた。 乗務員はベストを尽くしているだろうが、感染対策の専門家ではない。看護師から見れば、危険な行為が横行しているのだろう。これでは感染拡大は防げない』、「船内の様子を見ていると、感染させるプラントみたいになってる」、こんなことは厚労省も事前に分かっていた筈だが・・・。
・『部屋にこもるストレスで「体重・血圧・血糖値・中性脂肪が上昇」  高齢者が、このような状況に置かれると容易に健康を害する。我々の経験をご紹介しよう。 我々は東日本大震災以降、福島県浜通りで診療を続け、地元住民の定期的な健康診断をサポートしている。 2011年5月21、22日に飯舘村の村民を対象に健康診断を行った。564人が前年も健診を受けていたが、前年と比較し、体重・血圧・血糖値・中性脂肪濃度は有意に上昇していた。さらに12%がPHQ-9スコアで10点以上で、大うつ病の基準を満たした。 被曝を恐れ、約2ヶ月間、自宅に籠もっていた被災者の健康状態は急速に悪化していた。この地域では、原発事故後、脳卒中や肺炎が激増している。 武漢でも新型コロナウイルス感染で亡くなったのは、持病を抱える高齢者たちだった。長期間、自宅に籠もる生活のストレスにより、持病が悪化したことが影響していると考えている。 このような状況はダイヤモンド・プリンセス号の乗船者と全く同じだ。彼らが置かれた状況が如何に危険かお分かり頂けるだろう』、「部屋にこもるストレスで「体重・血圧・血糖値・中性脂肪が上昇」、とは恐ろしいことだ。特に、窓がない船室はまさに監房だろう。
・『健康な若年者なら船内に閉じ込めてよいのか?  国際社会の批判を受けて、政府は持病がある人や高齢者などを下船させる方向で調整を進めているようだ。関係者の発言としてメディアが報じている。遅きに失した対応だし、健康な若年者なら船中に閉じ込めていいというなら、厚労省は今回の経験から何も学んでいないと言わざるを得ない。 ニューヨーク・タイムズは「(クルーズ船は)中国以外で最も感染者が多い場所」であり、停留を続けることが感染を拡大させると指摘している。今こそ、検疫の在り方をゼロベースで見直すべきだ。 検疫は検疫法に基づく行為だ。検疫法には以下のように記されている。 「検疫所長は外国で検疫法第2条1号・2号に掲げる感染症が発生し、その病原体が国内に侵入し、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときには、検疫法第2条1号・2号に掲げる感染症の病原体に感染したおそれのある者を停留し、また、検疫官に感染したおそれのある者を停留させることができる(検疫法第14条1項2号)」 検疫の目的は海外の感染症を日本に流入させるのを防ぐことで、命令を下すのは検疫所長だ。 日本で検疫が実施されるようになったのは、幕末の開国からだ。ペストやコレラなどが何度も流行した。1879年7月には「海港虎列剌病伝染予防規則」(のちに「検疫停船規則」と変更)が施行された。この規則は、戦後に検疫法に引き継がれ現在に至る(※このあたりにご興味がある方は、市川智生氏(横浜国立大学国際社会科学研究科)のレポートがお奨めだhttps://www.spf.org/opri/newsletter/172_2.html>)』、「検疫」はかつては意味があったのだろうが、もはや前時代の遺物だ。
・『「明治以来変わらない」方法は妥当なのか?  感染のおそれがあるものを水際で停留させるという検疫の方法は明治以来変わらないが、当時と現在では社会状況は大きく変わった。例えば、海外旅行をする人の数は激増した。2018年度の訪日外国人数は3,119万人、出国日本人は1,895万人だ。 訪日外国人でもっとも多いのは中国人だ。2018年は838万人が来日した。2014年の241万人から248%増加している。 多くは航空機を使う。上海から羽田・成田空港までの所要時間は3時間30分、関西国際空港までは2時間30分、福岡空港なら1時間40分だ。クルーズ船を利用した場合でも、横浜から上海には2泊3日で到着する。那覇・上海間なら約40時間だ。 感染症には潜伏期間がある。新型コロナウイルスは平均5.2日だ。最長24日間という報告もある。潜伏期間は無症状だから、検疫は素通りする。ダイヤモンド・プリンセス号のように感染者が確認されれば、乗員乗客は長期間にわたり、停留されることになるが、もしいなければ素通りだ。これでは潜伏期の患者を見落とし、何の意味もない』、「潜伏期間は無症状だから、検疫は素通りする」、「水際」作戦など全く無意味だ。
・『新型インフルでは113人の感染を見落とし、入国を許した  このことは2009年の新型インフルエンザの流行で実証されている。この時、厚労省は4月29日から検疫を開始した。メキシコからの流入を警戒したため、検疫の最前線に立ったのは成田空港だった。 成田空港では、5月末までの空港検疫で8人の感染を確認した。ところが、これは氷山の一角だった。 我々の研究グループは、東京大学医科学研究所の井元清哉教授たちと協力し、その14倍にあたる113人の感染を見落とし、入国を許したという研究結果を発表した。 飛行機だろうが、船舶だろうが、潜伏期がある以上、状況は同じだ。大航海時代なら兎も角、現代の検疫には限界がある。 社会状況が変われば、検疫の在り方も変わらねばならない。この点を知りたい方は海事代理士関家一樹氏の文章をお奨めする(http://medg.jp/mt/?p=9419)。 関家氏によると、国際社会は検疫と人権尊重・健康の維持の両立に苦心しているそうだ。2007年に発効した国際保健規則においては、32条で「参加諸国は旅行者をその尊厳、人権及び基本的自由を尊重して扱い、且つ、かかる措置に伴う不快感や苦痛を最小限に抑えなければならない」として過剰な検疫に対しての警告を示している』、「ダイヤモンド・プリンセス号」の船客・乗組員に対する措置は、「国際保健規則」に明らかに反するものだ。
・『イタリアでは「12時間後に乗客は解放されている」  今回の新型コロナウイルスの流行においては、地中海のクルーズ船「コスタ・スメラルダ」(総トン数18万5,010トン)で、乗客に発症が確認され6,000人強の乗客乗員が一時足止めされるという事件が発生している。 イタリア政府の対応は日本とは全く違った。2名の感染者について処置をした後、12時間で乗客は解放された。 なぜ、イタリアと日本はこんなに違うのだろう。私は経験の差だと思う。 検疫を意味するquarantineは、イタリア語のヴェネツィア方言quarantenaおよびquaranta giorni (40日間の意)を語源とする。 1347年の黒死病(ペスト)大流行以来、疫病がオリエントから来た船より広がることに気づいたヴェネツィア共和国が、船内に感染者がいないことを確認するため、疫病の潜伏期間に等しい40日間、疑わしい船をヴェネツィアやラグーサ港外に強制的に停泊させたことに始まるらしい。 クルーズ船は、英船舶会社P&Oが1844年にサウサンプトン発着の地中海クルーズを開始したのに始まる。大手海運会社の閑散期の経営対策として、19世紀から20世紀にかけて発達した。 アガサ・クリスティーの『海上の悲劇』は地中海クルーズ船を舞台とし、名探偵ポワロが殺人事件を解決する。 かくの如く、クルーズ船は西欧で発達した文化だ。これまでにも麻疹、レジオネラ菌、赤痢、髄膜炎菌、さらにノロウイルスなどの集団感染を繰り返し経験し、試行錯誤を繰り返してきた。特にイタリアからは複数の医学論文が発表されている。経験の蓄積において日本とは彼我の差がある』、その通りだ。
・『ダイヤモンド・プリンセス号の検疫は史上最大  関家氏が注目するのは、長い船舶検疫の歴史の中で、ダイヤモンド・プリンセス号の検疫は史上最大のものであることだ。ダイヤモンド・プリンセス号は総トン数11万5,875トン、戦艦大和(総トン数6万5000トン)の2倍だ。 総トン数が10万トンを超えるクルーズ船の登場は、2000年代以降のロイヤル・カリビアン社のカリブ海クルーズの成功を受けて始まった。巨大クルーズ船の検疫については、これまでほとんど経験がない。 そして経験に乏しい日本は、従来と同じ方法で検疫を強行してしまった。その結果が、歴史に残る集団船内感染だ。一方、イタリアは柔軟に対応し、旅行客の健康を守った。2月12日現在、イタリアでの新型コロナウイルスの流行は確認されていない』、「経験に乏しい日本は、従来と同じ方法で検疫を強行してしまった。その結果が、歴史に残る集団船内感染だ」、安部政権の責任は国際的にも重大だ。
・『新型インフル感染者1人が鉄道に乗ると、5日で700人に  今回の検疫の問題は、これだけではない。私は、そもそも必要がなかったのではないかと考えている。 それは、水際対策に意味があるのは、国内で感染が広まっていない場合に限られるからだ。もし、すでに国内で流行していたら、水際対策は意味がない。ダイヤモンド・プリンセス号船内で感染が急拡大したように、満員電車による通勤・通学が常態化している日本では、新型コロナウイルスが一気に拡がるからだ。 国立感染症研究所感染症情報センターの研究者たちは、2008年に鉄道を介した新型インフルエンザの拡散をシミュレーションしている。 首都圏の鉄道に1人の新型インフルエンザ感染者が乗れば、5日目に700人、10日目には12万人に拡大すると予想している。こうなると水際対策など何の意味もない』、「国立感染症研究所感染症情報センター」の「シミュレーション」は全く生かされなかったようだ。
・『1月に日本を旅行したタイ人夫婦が感染していた  では、日本に新型コロナウイルスは入っていたのだろうか。状況証拠は真っ黒だ。 12月の中旬には中国武漢でヒト・ヒト感染が起こっていたことが確認されている。日本で水際対策が強化されたのは1月中旬だから、約1ヶ月間、無防備な状態であったことになる。感染者が入国していた可能性は高い。 2月4日、タイ保健省は、1月下旬に日本を旅行した夫婦が新型コロナウイルスに感染していたと報告した。日本滞在中に体調が悪くなったらしい。この夫婦の存在から日本国内で新型コロナウイルスが流行していることが懸念される。極めて重要な情報だが、日本ではほとんど報じられなかった。 様々な状況を考慮すれば、日本国内で新型コロナウイルスの流行が始まっていると考えるのが妥当だ。 厚労省も流石に検疫に意味のないことはわかっているようだ。厚労省関係者は「中国に対して渡航・入国禁止等の厳しい措置をとれない政府、与党に対する批判から目をそらす役割で隔離や消毒をパフォーマンスしているようにも思われます」という。これではクルーズ船内で感染した人たちは堪らない』、「政府、与党に対する批判から目をそらす役割で隔離や消毒をパフォーマンスしているようにも思われます」、何たることだ。
・『では、厚労省がすべきこととは?  では、厚労省は何をすべきだろうか。それは中国への渡航歴や濃厚接触に関わらず、希望者すべてにウイルス検査を受ける機会を提供することだ。正確に診断することができれば、効果が期待されるエイズ治療薬などを服用することができる。 厚労省が最優先すべきは、検査体制の整備だ。既にウイルス検査のシステムは、スイスの製薬企業ロシュや米疾病予防管理センター(CDC)が確立し、海外にも導出している。その気になれば、すぐに国内に導入できる。 ところが、安倍政権は国立感染症研究所で検査体制が整備されるのを待つと表明している。 国立感染症研究所は厚生労働省が所管する研究所だ。本務は研究であり、大量の臨床サンプルを処理することではない。そもそも、国立感染症研究所にそんなキャパシティはなく、ダイヤモンド・プリンセス号の乗船者約3,000人の検査を求められた菅官房長官が「現状では厳しいものがある」と答えざるをえなかったのも当然だ』、安部政権が「国立感染症研究所」にこだわるのは何故なのだろう。
・『民間の検査会社は「毎日20万件以上の検査を受託している」  大量のサンプルを検査するのは、本来、民間の検査会社の仕事だ。国内受託検査事業の大手であるエスアールエルは、毎日20万件以上の検査を全国の医療機関から受託している。 RT-PCR法を用いたウイルスの遺伝子検査は肝炎ウイルスやHIVなどで臨床応用されており、ありふれた技術だ。厚労省が新型コロナウイルスの遺伝子検査を保険承認すれば、数日で検査の体制を立ち上げるだろう。なぜ、厚労省が民間に委託しないか理解に苦しむ。 私は厚労省と国立感染症研究所の内輪の都合が優先されていると考えている。 今回の新型コロナウイルスの流行では、検査だけでなく、治療薬やワクチンの開発も国立感染症研究所が担当するそうだ。巨額の税金が研究開発費として投じられるだろう。 長期的な視野に立つ基礎研究ならともかく、早急な臨床応用が求められる創薬や検査の開発は、メガファーマや検査会社の仕事だ。「研究所」では彼らと競争できない。なぜ、安倍政権は、民間に競争させず、国立の研究機関に独占的に業務を委託したか、「国民の命より、官僚の都合を優先した」と言われても仕方ないのではないか。 私は、新型コロナウイルス対策の迷走の責任は厚生労働省にあると考えている。多くの官僚は真面目に業務に励んでいる。ただ、その方向性が間違っており、利権も絡む』、「国民の命より、官僚の都合を優先した」のでは、政治主導は掛け声倒れだ。
・『「停留は正しかったのか」検証を  ダイヤモンド・プリンセス号に停留を命じているのは横浜検疫所長だ。現在、その任にあるのは医系技官の北澤潤氏だ。検疫所長は、感染者の人権を制限する絶大な権限を有する。権限は責任を伴う。ところが、北澤氏が停留の必要性について公に説明したことはない。 記者会見に応じるのは加藤勝信厚労大臣や厚労官僚たちだ。日本銀行の政策を財務大臣が説明するようなものだが、このことを問題視する人はいない。 こんな状況では誰もが無責任になる。ダイヤモンド・プリンセス号の検疫失敗は、医学の歴史に残る事件だ。世界に大きく報じられ、日本のイメージを悪化させた。東京五輪の開催にもマイナスの影響を与えただろう。 ダイヤモンド・プリンセス号の検疫は人類が経験したことがない大仕事だ。ところが、厚労省は、十分な情報を収集せず、大した覚悟もないまま停留を指示してしまった。今回の泥沼の事態は当然の帰結だ。今後、このような悲劇を繰り返さないためには、騒動が一段落した段階で、冷静に検証する必要がある』、「検疫所長」の責任というより、厚労省の責任だろう。第三者機関による「検証」が必要だろうが、安部政権は逃げ回るのだろう。

次に、在米ジャーナリストの飯塚 真紀子氏が2月18日付け現代ビジネスに掲載した「コロナウイルス「日本政府のヤバい危機管理」を世界はこう報じている ダイヤモンド・プリンセス号は大丈夫か」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70480
・『ダメな対応のお手本  「ダイヤモンド・プリンセス号は、今や、浮かぶミニ武漢だ」(ニューヨーク・タイムズ紙) 「クルーズ船は、世界で最も新型肺炎感染率が高い」(タイム誌) 「日本の港は、第2の感染の中心になっている」(ABCニュース) 今、アメリカのメディアは、こんな見出しで、ダイヤモンド・プリンセス号の感染の惨状を報じている。 日本政府にはいったい危機管理能力があるのだろうか? アメリカのメディアはそんな疑問を抱いているに違いない。彼らの報道からは、日本政府に対する不信感がありありと伝わってくる。 実際、彼らのいらだちに満ちた報道がアメリカの関係当局に影響を与えたのだろう、米国務省は「ダイヤモンド・プリンセス」号から米国人とその家族をチャーター機で米国に退避させた。この動きは、アメリカが日本の危機管理能力を信じていないことを証明している。なお、カナダ、香港、オーストラリア、韓国、台湾も自国民を退避させるべくチャーター機を派遣する予定だ。 日本政府の危機管理能力に対する不信感は、まずもって、政府が「説明をしない」ことに向けられている。象徴的なのは「隔離されたクルーズ船の乗客たちはたくさんの質問を抱えている。日本政府はほとんど答えていない」と題されたニューヨーク・タイムズ紙の記事だ。日本政府は乗客に多くの情報を与えていないというのだ。 この記事はまた、船内にWi-Fiはあるものの、スムーズにアクセスできるとは限らず、アクセスできても、口を固く閉ざしている日本政府の窮状がわかるだけだと皮肉っている。 「説明不足」への批判を基調としつつ、同紙は、さらに非難を展開する。ダイヤモンドプリンセス号の件に関して、日本政府の公衆衛生危機に対する対処法を「公衆衛生の危機対応で『こうしてはいけません』という教科書の見本のような対応」と痛烈に批判したのだ。 さらに同紙は、日本政府が定期的に時宜にかなった記者会見を開くことをせず、そのかわりに不可解な情報を小出しにしている状況も問題を大きくしていると述べている。問題に対処している官僚も、どう対処していいのかわからない状況だというのだ』、「ニューヨーク・タイムズ紙」が「日本政府の公衆衛生危機に対する対処法を「公衆衛生の危機対応で『こうしてはいけません』という教科書の見本のような対応」と痛烈に批判」、極めて的確な批判だ。担当していた内閣府の若手官僚が自殺したのも、板挟みになったストレスが原因なのだろう。「日本政府が定期的に時宜にかなった記者会見を開くことをせず、そのかわりに不可解な情報を小出しにしている状況も問題を大きくしている」、その通りだ。
・『なぜ検査をしないのか  2月15日、加藤勝信厚生労働相は、ようやく、乗客全員にウイルス検査を受けてもらう方針を発表したが、これも、米メディアからの大きな批判があったからだろう。日本政府の公衆衛生危機対応について、米メディアは、乗客のごく一部しか新型肺炎ウイルスの検査を受けておらず、日本政府が乗客全員に対する検査に乗り出さないことを問題視していたからだ。 例えば、ニューヨーク・タイムズ紙は、船内にいる人々の最大の疑問は「なぜ、日本政府は乗船している全員のウイルス検査をしないのか?」ということだと指摘し、「全員を検査することは実効的ではない」という日本政府の主張が、乗客たちの懐疑心を煽っていると訴えていた。 また、乗客に十分な説明をしない日本政府のコミュニケーション能力のなさが、船内に隔離する以外の対処法があるはずだという疑念を乗客の間に生み出したと分析していた。 乗客のウイルス検査という点では、同紙は、ダイヤモンド・プリンセス号と香港に入港したワールド・ドリーム号を比較している。香港当局は1月24日、広東省で下船したワールド・ドリーム号の乗客が新型ウイルスに感染していたという報告を受け、乗船していた1800人全員のウイルス検査を行っていたからだ』、「ワールド・ドリーム号」には香港当局が、「乗船していた1800人全員のウイルス検査を行っていた」、初めて知ったが、これを大きく報道しない日本のマスコミは政府を「忖度」し過ぎだ。
・『乗客から上がる声  乗客からの悲鳴も、各種のメディアで伝えられている。ニューヨーク・タイムズ紙によると、ダイヤモンド・プリンセス号の乗客の間からは、ロジスティックに問題があるなら、日本政府は海外に応援を求めるべきだという声が上がったという。オーストラリア人の乗客は「我々の国が力を貸して、全員の検査をするよう支援した方がいいよ」と主張した。 ダイヤモンド・プリンセス号の中では、SNSを通して、自国に助けを求める声も多々あがっていた。 マイクロソフトネットワークニュースによると、あるイギリス人の乗客は、フェイスブックのビデオを通して、乗船している約80名のイギリス人を助けてほしいとヴァージン・アトランティック航空オーナーのリチャード・ブランソン氏に訴えたという。 「あなたやあなたの家族が同じ状況に巻き込まれたら、どうしますか? あなたの持っている小さな飛行機に乗船しているイギリス人を乗せるのにどれだけお金がかかるでしょう? フライト・アテンダントはいりません。パッケージ食品だけあればいいから」 ワシントンポスト紙には、惨状を訴える乗客の投稿記事が掲載されている。「インシュリンを注文したが1週間経っても来ないので、フロリダ州にいる医師の友人に連絡して送ってもらった。検温も、隔離された初日には行われたが、その後検温されることがなく、5日目になってやっと体温計が配布された」) また同紙には、感染していない健康な乗客が強制隔離により感染のリスクに晒されている状況を、夏の東京オリンピックに照らし合わせている乗客の発言も紹介されている。 「誰が、混雑している日本のスタジアムで応援したり、スタジアムに選手を送ったりするリスクを取るだろうか?」』、大人しい日本人乗客と違って、外国人乗客がSNSなどで不満を発信するのは当然だろう。
・『乗組員たちの窮状  日本政府の対応にフラストレーションを感じているのは乗客だけではない。乗組員たちも苦しんでいると米メディアは伝えている。CNNでは、ムンバイ出身の乗組員の女性が窮状を訴えた。 「食欲がないし、発熱が続いています。みな感染の恐怖に怯え、ピリピリしています。乗客は隔離されていますが、乗組員は相部屋で隔離されていません。乗組員全員を検査し、感染者とは接触させないようにしてほしい。船内では誰が感染しているかわからないし、どれだけ急速に感染が拡大しているかもわからない状況です。ここは安全ではないのです」 ダイヤモンド・プリンセス号には132人のインド人乗組員が乗船しているが、彼らも、フェイスブックのビデオを通じてインド政府に助けを求めた。「ウイルスが広がる前に、船から我々を降ろして下さい」 ところで、乗組員たちに対しては、感染予防のトレーニングも十分に行われなかったようだ。彼らにはマスク、グローブ、ハンド・サニタイザー(消毒薬)や体温計が与えられ、体温を測定して、熱がある場合は報告するように言われたが、隔離が開始された後は、新たなガイダンスは与えられなかったという。 乗客のほうも、乗組員が自分の客室に来ることについて、不安を感じているという。彼らは防護服を着てはいるものの、その対策は十分ではなく、自分たちに感染させるのではないか――そんな恐れを感じているというだ』、「乗組員」たちの「不安」も相当なものだろう。
・『専門家からの批判  タイム誌は先日、3711人の乗客中6%も感染していると報じたが、2月16日時点での感染者数は355人。わずか数日の間に、感染率は9.6%に上昇したことになる。10人に1人という感染状況になるのも時間の問題。中国での感染率をはるかに凌ぐ、世界一の感染率だ。 感染率がここまで高まったのは、船が隔離され閉鎖環境にあるからだと指摘されている。専門家たちも閉鎖環境の恐ろしさを警告している。 「閉鎖環境である船は伝染病が拡大するのに完璧な場所です」(ハーバード大学免疫学教授エリック・ルビン氏) また、同じ閉鎖環境でも、船は乗船時間が長いため、飛行機や電車以上に感染が進むという。 「機内ではヒトからヒトへの感染は1回しか起きないかもしれないが、船内ではヒトヒト感染が次々に続いていく。現在も感染が起きているかもしれない」(香港大学インフルエンザ感染専門家フイリン・エン氏) つまり、日本政府が乗客を下船させない「隔離政策」を取ったことが批判されているのだ。 中国よりひどい感染地となってしまったダイヤモンド・プリンセス号。その責任は基本的に、日本政府の「対応の遅さ」にもあると論じられている傾向にある。それは、海外からのプレッシャーを受けて初めて重たい腰を上げるような、ひどい対応だ。 対応が遅くなってしまうのは、日本政府が新型肺炎対策においてバラバラな姿勢でまとまりがないからかもしれない、という指摘もなされている。ニューヨーク・タイムズ紙も「たとえ検査ができても、乗船者全員を検査すべきだという満場一致の合意に達することが日本政府にはできない」と諦観の色を滲ませていた』、「中国での感染率をはるかに凌ぐ、世界一の感染率だ」、「「閉鎖環境である船は伝染病が拡大するのに完璧な場所です」、「その責任は基本的に、日本政府の「対応の遅さ」にもあると論じられている」、どうやら「日本政府」のミスは致命的なようだ。
・『シンガポールで見たもの  ここまで海外のメディアが日本の対応をどう報じているかを見てきたが、私個人が経験したことに照らしても、日本では徹底した感染予防策が取られているとは思えない。 先週シンガポールを訪ねたのだが、同地での感染予防の徹底ぶりに驚かされた。シンガポールのある銀行で感染者が現れたのだが、それがわかった途端、そこの銀行員は全員退避を命じられ、銀行は完全に閉鎖された。日本ではタクシーの運転手や新幹線で移動したという会社員の感染が発覚したが、そのことで勤め先が閉鎖されたという話は耳にしないし、おそらく今後も閉鎖されることはないだろう。 またシンガポールでは、日本でしきりに推奨されている手洗いに加えて、1日2回体温測定することも推奨されている。この体温測定を習慣化するという考えは広く行き渡っており、筆者の友人が勤務する日本企業では、今、従業員に在宅勤務させている状態だが、自宅でも従業員に毎日2回体温測定させ、37.5度以上ある場合は会社に報告するよう促しているという。 市中のホテルやショッピングモールにも、熱がある人はスタッフに申し出るよう促す掲示板が掲げられ、観光地やレストランの入り口でも検温を行っている。スクールバスに乗り込む児童に対しても検温が開始された。シンガポールでは「37.5度以上の人々はお断り」という方針が徹底しているのである。 テレビをつければ、ニュースが、感染者の名前こそ入れないものの、感染者が勤務する企業名や居住地区まで入れて、感染者情報を詳しく報じている。感染者のプライバシーよりも健康や人命を重視していることがわかる。 ウイルスの検査件数も毎日1000件を超えていると報道されていた。日本政府は2月18日からやっと1日1000件の検査に入る予定だという。シンガポール政府なら、ダイヤモンド・プリンセス号の乗船者のウイルス検査を現時点ではすでに終えているに違いない。 徹底した感染予防策を敷いているシンガポール。しかし、そんなシンガポールでさえ感染者数は着実に増加しているのである。いわんや日本をや、である。 シンガポールは、中国とは関わりがない感染経路が不明な国内感染者が増加しているため、警戒レベルを上から2番目のオレンジに引き上げたが、日本でも感染経路が不明な感染が始まっている。船内での感染さえ食い止められなかった日本政府に、国内での感染拡大を抑える能力があるのだろうか?』、「シンガポールのある銀行で感染者が現れた」、「それがわかった途端、そこの銀行員は全員退避を命じられ、銀行は完全に閉鎖された」、との徹底ぶりには驚かされた。日本なら金融庁から休業の認可を取るなど手続き的にも簡単ではない。さすが政府の力が強い「シンガポール」だ。

第三に、2月17日付けデイリー新潮「【新型コロナ】クルーズ船“乗組員”の扱いを批判する米メディア 外国人対策の失敗」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2020/02171132/?all=1&page=1
・『内閣支持率に影響?  政府関係者が、次のように明かす。「豪華客船『ダイヤモンド・プリンセス』号の検疫問題に関し、かなりの海外メディアが『日本の対応はおかしい』と、厳しい論調で報じています。これに安倍晋三首相(65)は神経を尖らせているそうです」――。 2月17日、午前10時現在、YAHOO!ニュースのトピックスで、ダイヤモンド・プリンセス号に関する最新の状況を伝えているのは、朝日新聞デジタルの記事「クルーズ船の米国人40人が感染『帰国せず日本で入院』」だ。 記事は《16日深夜、乗船していた米国人の一部がチャーター機で帰国するため下船した》とし、《米国立衛生研究所(NIH)の幹部は、同船を「(感染の)ホットスポット」と表現、乗船していた米国人の約40人が感染していたことを明らかにした》と報じている。(註:デイリー新潮の表記法に合わせた、以下同)。 16日は日曜だったが、この日のトピックスは各国がチャーター機を日本に派遣するとの記事が目立った。 「香港政府もチャーター機派遣、クルーズ船の330人帰還へ」(読売新聞オンライン)、「カナダもチャーター機派遣、乗船の255人帰国へ…14日以上隔離」(同)、「クルーズ船のアメリカ人帰国用に自衛隊がバス用意」(テレ朝news)という具合だ。 このダイヤモンド・プリンセス号に関しては7日、産経新聞が「『浮かぶ監獄』海外メディアがクルーズ船乗客の発信を紹介」と報じている。 「監獄」という表現が強い印象に残るが、記事によると《「豪華なクルーズじゃない。まるで『浮かぶ監獄』だ」。仏国際ニュース専門テレビ局フランス24などは6日、乗客の英国人男性がSNSで発信した言葉を紹介した》ものだという。 監獄と形容されるほど苛酷な環境だとすれば、外国人観光客が相次いで“脱獄”を望むのも当然かもしれない。 そして日本政府の対応といえば、時事通信が15日に配信した「クルーズ船から米国民退避 チャーター機、16日に日本着」には、次のような記述がある。 《ドイツ・ミュンヘンを訪問中の茂木敏充外相は15日午前(日本時間同日午後)、ポンペオ米国務長官と協議し(略)米国人以外の外国人についても、各国がチャーター機などを独自に手配すれば、早期下船に協力する方針を示した》 “隔離して船内で封じ込め”から“国外退去”へと、日本政府は方針を大転換した。その原因の1つとして――「安倍首相が気にしている」という――海外メディアの報道が挙げられるようだ。欧米の報道に詳しいジャーナリストが言う。 「ニューヨーク・タイムズの電子版は2月10日、“Cruise Ship’s Coronavirus Outbreak Leaves Crew Nowhere to Hide”との記事を報じました。『コロナウイルスが大流行、船内に避難場所のない乗組員たち』という意味ですが、文中には“the Diamond Princess is now a floating, mini-version of Wuhan, China”との一文があります。直訳すれば『ダイヤモンド・プリンセス号は今や、海に浮かぶ小型版の中国・武漢市』です。かなり痛烈な表現で、安倍さんが嫌がるのも当然でしょう」』、『浮かぶ監獄』との「仏国際ニュース専門テレビ局」の表現は言い得て妙だ。外国報道を「安倍首相が気にしている」ので、「“隔離して船内で封じ込め”から“国外退去”へと、日本政府は方針を大転換」、情けないことだ。
・『米メディアの意外な着目点  記事の内容は意外にも「船、内におけるアメリカ人乗客の健康状態」といった自国民の動静ではなかった。焦点が当てられたのは「乗組員の健康状態」だったのだ。 「ニューヨーク・タイムズは乗組員の取材協力を得て、『1000人以上の乗組員は密集した空間で作業に従事。簡単なビッフェスタイルの食事を食堂で共にし、バスルームは4人でシェア』と生々しい描写で伝えました。自分たちの食事と入浴の方法や、乗客に食事を運んだりゴミを処理したりという仕事が、乗組員同士の感染リスクも高めている。彼らも危険な状況だと理解していても、いかんともし難いようなのです」(同・ジャーナリスト) この記事にはワシントン大学の教授も登場、「日本政府の検疫は外部への感染を防ぐことはできても、船内での感染は防げない」と警告した。さらに「乗組員はマスクや消毒薬を手渡されているが、専門の訓練は受けていない」という。 ライバル紙とされるワシントン・ポストは2月11日、「‘Dream job’ turns into ‘nightmare’: Virus fears grow among Diamond Princess crew(“夢の仕事”は“悪夢”に:ダイヤモンド・プリンセス号の乗組員にウイルスの不安が拡大)」との記事を掲載した。 「やはり乗組員における感染の危険について、かなり長文の記事を掲載しました。更にアメリカの国防総省が運営する星条旗新聞(「スターズ&ストライプス」)も、この記事を転載しています。それにしても、ニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストと言えば、世界的な知名度を誇るアメリカの高級紙です。両紙が共に日本政府、つまり安倍政権の隔離方針における欠陥を指摘したことは、安部首相にとっては相当なプレッシャーになったのではないでしょうか」(同・ジャーナリスト) 更にCNN(電子版)も2月13日、「Worker on board Diamond Princess says crew are at greater risk of coronavirus(ダイヤモンド・プリンセス号の乗組員は「私たちはコロナウイルスのより大きなリスクに直面」と証言)」と報じた。 「CNNはダイヤモンド・プリンセス号の乗組員と、携帯電話のテレビ電話で行ったインタビューを報じました。24歳の女性は顔を出し、実名を名乗った上で『船室を共有している同僚が、2日前から頭痛、咳、発熱を訴えたため、自分も仕事を中止し、船室で待機するよう指示された』と経緯を振り返り、『私たちは恐怖と緊張を感じています』と打ち明けました。さらに彼女は『船内で仕事に従事するのは嫌ではない』としながらも、『ただし、同僚に感染させない“安全な職場環境”を保証してくれることだけは絶対に求めたい』と訴えました」(同・ジャーナリスト) CNNは橋本岳・厚生労働副大臣[自民党・岡山4区](46)のインタビューも放送している。ちなみに橋本副大臣の父親は首相を務めた橋本龍太郎(1937~2006)だ。 「CNNの質問に対し、橋本副大臣は『乗客と異なり個室を持たない乗組員が存在し、現在も仕事に従事していることは把握しています』と説明した上で、『我々は乗組員も乗客も平等に対処するようにしています』と理解を求めました」(同・ジャーナリスト)』、「米メディア」が「焦点が当てられたのは「乗組員の健康状態」」、さすがいいジャーナリストらしい着眼点だ。
・『安倍政権が「外国人対策」を読み間違えた理由とは?  図らずも母国で“有名人”になってしまった乗客もいる。イギリスのBBCは2月16日、「Coronavirus: Couple quarantined on cruise ship criticise UK government(【コロナウイルス】クルーズ船に隔離された夫婦、イギリス政府を批判」と報じた。 「夫のデイヴィッド・アベルさんというイギリス人は、船内待機が始まった頃からSNSで発信を続け、今やちょっとした有名人です。『自分は熱心な保守党員だが、もうボリス・ジョンソン首相(55)のことは信じられない』、『ヴァージン・アトランティック航空のリチャード・ブランソン会長(69)に航空機を送ってもらいたい』といった発言はイギリス国内でも大きく報道されました」(同・ジャーナリスト) 日本人に想像しにくいのが、宗教的な問題だ。イスラエルの新聞「ザ・タイムス・オブ・イスラエル」は2月13日、「Japan refuses to release Israelis on coronavirus ship(日本政府はウイルス感染の船からイスラエル人の下船を拒否)」と報じた。 「見出しは日本に批判的ですが、実際の記事はそこまでではありませんでした。船内には15人のイスラエル人乗客が身動きの取れない状態になっており、一刻も早く下船したいと訴えているそうです。一方、イスラエル外務省は日本の立場に理解を示しているものの、乗客の医薬品と、ユダヤ教徒が食べていいとされる『コーシャ食品』を入手できるよう働きかけている、といった内容でした」(同・ジャーナリスト) 「武漢に閉じ込められた邦人を救出するため、日本政府はチャーター機を飛ばしました。帰国のニュースに、安堵した日本人も少なくないでしょう。ダイヤモンド・プリンセス号の現状は、これと逆です。日本人の乗客なら横浜港にいるという安心感を得るかもしれませんが、外国人の乗客にとっては武漢に閉じ込められている感覚と変わりません。当然ながら母国のメディアは、日本政府に批判的になります。武漢からチャーター便を飛ばした経験を持ちながら、外国人乗客の下船にまで思いが至らなかった安倍政権は、想像力が欠如していたと批判されても仕方ないでしょう」 イギリス人のアベル氏のように、ダイヤモンド・プリンセス号の乗客や乗組員の中には、SNSで積極的な発言を行う者が少なくない。これも安倍政権に悪影響を与えたようだ。 「外国人の中には今回、SNSで実名を表明し、堂々と自分の考えを主張する方も少なくありませんでした。日本人もツイッターなどに状況を投稿した人はいましたが、実名による政府批判となると皆無と言っていいでしょう。やはり国民性の違いと言わざるを得ず、ここにも安倍政権が判断を間違えた可能性があると思います」(政治担当記者) 共同通信は2月16日、「内閣支持率8ポイント急落41% 桜の会対応批判、共同調査」と報じた。安倍政権の方針転換で今後、続々と外国人乗客が日本を離れていく。とはいえ、ダイヤモンド・プリンセス号にとどまらざるを得ない乗客は今も多い。彼らに対するメディアの詳報は続く』、「武漢からチャーター便を飛ばした経験を持ちながら、外国人乗客の下船にまで思いが至らなかった安倍政権は、想像力が欠如していたと批判されても仕方ないでしょう」、その通りだ。「内閣支持率」の急落は、「桜の会対応批判」が主因なのだろうが、「クルーズ船」への余りに場当たり的な対応、も批判の1要因ではあるのだろう。
タグ:シミュレーション パンデミック 国立感染症研究所感染症情報センター 現代ビジネス デイリー新潮 文春オンライン 上 昌広 (感染症流行) (その2)(新型肺炎174人の集団感染「クルーズ船3700人隔離は正しかったのか」、コロナウイルス「日本政府のヤバい危機管理」を世界はこう報じている ダイヤモンド・プリンセス号は大丈夫か、【新型コロナ】クルーズ船“乗組員”の扱いを批判する米メディア 外国人対策の失敗) 「新型肺炎174人の集団感染「クルーズ船3700人隔離は正しかったのか」――医師の見解は?」 検査した492人のうち174人が感染 「まるで監獄にいるようだ」 船内の様子を見ていると、感染させるプラントみたいになってる 部屋にこもるストレスで「体重・血圧・血糖値・中性脂肪が上昇」 健康な若年者なら船内に閉じ込めてよいのか? (クルーズ船は)中国以外で最も感染者が多い場所 検疫の目的は海外の感染症を日本に流入させるのを防ぐこと 「明治以来変わらない」方法は妥当なのか? 潜伏期間は無症状だから、検疫は素通りする 「水際」作戦など全く無意味だ 新型インフルでは113人の感染を見落とし、入国を許した 国際保健規則 過剰な検疫に対しての警告を示している イタリアでは「12時間後に乗客は解放されている 地中海のクルーズ船「コスタ・スメラルダ」 なぜ、イタリアと日本はこんなに違うのだろう。私は経験の差だと思う 経験の蓄積において日本とは彼我の差がある ダイヤモンド・プリンセス号の検疫は史上最大 経験に乏しい日本は、従来と同じ方法で検疫を強行してしまった。その結果が、歴史に残る集団船内感染だ 新型インフル感染者1人が鉄道に乗ると、5日で700人に 1月に日本を旅行したタイ人夫婦が感染していた 政府、与党に対する批判から目をそらす役割で隔離や消毒をパフォーマンスしているようにも思われます では、厚労省がすべきこととは? 民間の検査会社は「毎日20万件以上の検査を受託している 国民の命より、官僚の都合を優先した 「停留は正しかったのか」検証を 飯塚 真紀子 「コロナウイルス「日本政府のヤバい危機管理」を世界はこう報じている ダイヤモンド・プリンセス号は大丈夫か」 ダメな対応のお手本 米国務省は「ダイヤモンド・プリンセス」号から米国人とその家族をチャーター機で米国に退避させた。この動きは、アメリカが日本の危機管理能力を信じていないことを証明 「公衆衛生の危機対応で『こうしてはいけません』という教科書の見本のような対応」 なぜ検査をしないのか ワールド・ドリーム号 乗船していた1800人全員のウイルス検査を行っていた 乗客から上がる声 乗組員たちの窮状 中国での感染率をはるかに凌ぐ、世界一の感染率だ 「閉鎖環境である船は伝染病が拡大するのに完璧な場所です」 「その責任は基本的に、日本政府の「対応の遅さ」にもあると論じられている」 「【新型コロナ】クルーズ船“乗組員”の扱いを批判する米メディア 外国人対策の失敗」 内閣支持率に影響? 「豪華なクルーズじゃない。まるで『浮かぶ監獄』だ」 安倍首相が気にしている “隔離して船内で封じ込め”から“国外退去”へと、日本政府は方針を大転換 米メディアの意外な着目点 「乗組員の健康状態」 安倍政権が「外国人対策」を読み間違えた理由とは? 外国人の乗客にとっては武漢に閉じ込められている感覚と変わりません。当然ながら母国のメディアは、日本政府に批判的になります 武漢からチャーター便を飛ばした経験を持ちながら、外国人乗客の下船にまで思いが至らなかった安倍政権は、想像力が欠如していたと批判されても仕方ない 「内閣支持率」の急落
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鉄道事故(その1)(京急事故の背景に「安全意識のマズさ」 再発防止策からも浮き彫りに、ラッシュ時に電車を遅延させた人・親族の末路 鉄道事故裁判に詳しい弁護士の佐藤健宗氏に聞く) [社会]

今日は、鉄道事故(その1)(京急事故の背景に「安全意識のマズさ」 再発防止策からも浮き彫りに、ラッシュ時に電車を遅延させた人・親族の末路 鉄道事故裁判に詳しい弁護士の佐藤健宗氏に聞く)を取上げよう。

先ずは、鉄道ジャーナリストの枝久保達也氏が昨年11月14日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「京急事故の背景に「安全意識のマズさ」、再発防止策からも浮き彫りに」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/220475
・『9月にトラックと電車が衝突した京急電鉄は12日、暫定的な再発防止策を発表した。この発表資料を読み解くと、京急の安全意識が十分なレベルでなかったことが垣間見える』、どういうことだろう。
・『再発防止策に垣間見える安全意識のマズさ  今年9月、京急電鉄神奈川新町~仲木戸間の神奈川新町第1踏切で発生したトラックとの衝突事故。京急は12日、暫定的な再発防止策として、踏切支障報知装置が支障物を検知時した際に作動する発光信号機の増設と、発光信号機を確認した際のブレーキ取り扱い基準を見直すと発表した。しかし、この発表を見てもなお筆者は、京急の安全意識に疑問符を付けざるを得ない。 鉄道に関する技術上の基準を定める省令は、踏切支障報知装置の発光信号機について、踏切の支障個所までに停止できる地点に設置することとしている(詳細は「京急踏切事故で垣間見える安全対策の問題点、他の私鉄と何が違ったか」参照)。 しかし今回の事故では、遮断機が閉まる前に支障報知装置が作動していたにもかかわらず、踏切内で立ち往生していたトラックと衝突してしまった。そうなると事故原因は「発光信号機の視認が遅れた」か「運転士のブレーキ操作が遅れた」かのどちらかということになる。 京急は事故後、筆者の取材に対して、運輸安全委員会の調査報告と神奈川県警の捜査結果を待つとして、事故原因への言及を避けたが、今回発表した暫定的な対策に「発光信号機の視認性」と「運転士のブレーキ操作」の両方の改善が含まれていたことからも、京急もこの2点が問題の核心であると考えているとみて間違いないだろう。では、京急の対策はこれで十分なのだろうか。 1つ目の論点は発光信号機の視認性だ。京急は当初、遠方発光信号機(踏切から最も遠い位置にある発光信号機)は踏切中心位置から約340mの位置に設置されており、踏切の600m手前から視認できると説明していた。ところが今回の発表では、遠方発光信号機の設置位置は約390m地点で、実際に視認可能な距離は570mであったと訂正している。 また遠方発光信号機の設置基準についても「600m手前から視認できる個所」ではなく「進路を支障する個所までに停止することができる距離(時速120キロの場合、停止距離517.5メートル)」に訂正した』、自動ブレーキ(ATS)をあえて採用しなかったのは何故だろう。
・『「余裕がなさすぎる踏切」になった理由はどこに?  事故現場の遠方発光信号機。左側の電柱の合間に少しだけ見えている赤い光がそれで、見えやすいとは言い難い 訂正後の設置基準は前述の省令に準じた内容であるが、制動距離(ブレーキをかけてから実際に停止できるまでの距離)が約520メートルであることを踏まえると、遠方発光信号機を視認できる地点が570メートル手前というのは、余りにも余裕がなさすぎる。しかも京急が公表した現地写真によれば、左カーブの左側遠方に設置されている信号機は、電柱の合間に一瞬見えるだけだ。 同社は遠方発光信号機を省令や社内基準に沿って設置し、運転関係者も実地で確認をしたと説明する。しかし、そうであればなぜ、ここまで余裕のない設計になってしまっていたのだろうか。 京急によると、この踏切に支障報知装置と発光信号機が設置されたのは1981年。以降、位置の変更や信号の増設はしていないという。設置当時は法令上に支障報知装置に関する規程はなかったが、同年の運輸省鉄道監督局(当時)の通達「踏切支障報知装置の構造基準」に定められた、停止を指示する信号機は列車が踏切までに停止できる距離以上の地点から確認できる位置に設置するという基準を満たす設備として位置づけられた。つまり、設置条件は1981年から変わっていないことになる。 ところが京急が現行の時速120キロ運転を開始したのは1995年4月のこと。1981年時点の最高速度は時速105キロであった。時速105キロの場合、減速度を時速4.5キロ毎秒、空走時間を2秒としたときの停止距離は約400メートルだ。 そうなると、遠方発光信号機が踏切の390メートル手前に設置されているのは、当時の運転速度を前提としたもので、その後のスピードアップに応じた適切な見直しがされていなかったのではないかという疑念が生じてくる。本社と現場が共にこの問題を見過ごしてしていたのだとしたら、京急社内の安全に対する認識に大きな問題があったと言わざるを得ないだろう。 もうひとつの論点がブレーキ操作である。京急は発光信号機を確認した際のブレーキ取り扱いについて、これまでは常用ブレーキを原則とし、停止位置までに停止することができない場合は非常ブレーキを使用するとの規程を定めていたが、これを10月17日から「直ちに非常ブレーキを操作」に見直したという。 常用ブレーキを基本としていた理由について、京急は「非常ブレーキで停止すると火災現場やトンネル、橋梁など避難誘導が難しい箇所に停止する可能性がある。そのリスクを避けるため」と説明するが、これは本末転倒というよりほかにない。鉄道事故の被害軽減にあたって最も重要なことは速やかに減速し、事故時に生じるエネルギーを低減することである。避難の心配はその次に考えるべきことだ』、「(遠方発光)信号機は、電柱の合間に一瞬見えるだけ」、「遠方発光信号機が踏切の390メートル手前に設置されているのは、当時の運転速度を前提としたもので、その後のスピードアップに応じた適切な見直しがされていなかったのではないかという疑念」、「常用ブレーキを基本」、安全意識が希薄な割に、「時速120キロ運転」とは恐れ入る。
・『「ダイヤ乱れ」を避けたい? 非常ブレーキを嫌った本音はどこに  また、そもそも遠方発光信号機の視認距離の前提となっている、踏切までに停止できる距離は、非常ブレーキ使用時の制動距離で算出されているのだから、これも整合しない。京急の車両は常用ブレーキの減速度が時速4.0キロ毎秒に対し、非常ブレーキは時速4.5キロ毎秒で、制動距離には50メートル以上の差が生じる。 つまり、常用ブレーキ使用を基本として定めていたのだから、京急が想定していた以上に余裕はなかったことになる。この規程を制定する際に、踏切を担当する信号通信部門と、運転部門で意思の疎通はできていたのだろうか。 実際、規程を変更して約1ヵ月、非常ブレーキを扱うことによる問題は生じていないという。そうであれば、なぜそこまで常用ブレーキ使用にこだわる必要があったのか。常用ブレーキと非常ブレーキのもうひとつの違いは、非常ブレーキは使用したら停止するまで解除することができない点にある。踏切直前横断で発光信号機が点滅するたびに、列車を非常停止させてダイヤが乱れるのを避けたいという、もうひとつの狙いがあったのではと疑われても仕方ないだろう。 事故原因の究明は、施設面の不備と運転士の運転操作の両面から進められている。2015年2月にJR山陽線で発生した踏切事故では、時刻表の確認に気を取られてブレーキが遅れたとして、電車の運転士が業務上過失傷害の疑いで書類送検されている。今回の事故でも、運転士のブレーキ操作が遅れたことで衝突に至ったとなれば、運転士が罪に問われる可能性がある。鉄道の運転士とは、それだけ責任が重大な仕事である。 しかし、遠方発光信号機の視認性の悪さや、常用ブレーキで停車するという内規の問題からみても、責任を運転士だけに帰する事故ではないことは明らかだろう。 京急は事故後、他の踏切についても発光信号機の視認性をチェックし、問題がないことを確認したと説明した。また踏切支障報知装置とATS(自動列車停止装置)との連動化も含めて、多角的に恒久的な再発防止策の検討を進めているという。だが、安全は設備とルールだけでは成り立たない。何より、本社と現場両方の社員の安全に対する感度を高めることから取り組んでもらいたい』、今回の事故は、「運転士」だけでなく、会社の安全性軽視の体質にもありそうだ。裁判ではどこまで明らかにされるのだろう。

次に、12月7日付け日経ビジネスオンライン「ラッシュ時に電車を遅延させた人・親族の末路 鉄道事故裁判に詳しい弁護士の佐藤健宗氏に聞く」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/interview/15/238739/112200273/?P=1
・『その劣悪さで世界最悪と言われる日本のラッシュアワー。ただでさえ高い通勤者のストレスを一段と高めるのが列車の遅延だ。信号の故障など鉄道会社に非があるケースもある一方で、喧嘩や飛び込み自殺など利用者が原因となって起きる遅延も少なくない。 人それぞれ事情があるのは事実。だが鉄道会社に対してはもちろん、何の落ち度もない多くの人々に迷惑をかける遅延行為が、決して褒められる行為ではないのもまた明らかだ。大事な商談や受験など重要な局面が台無しになり、人生を狂わされる人も出かねない。 そんな事態を防ぐ抑止効果になってきたと思われるのが、昔からネット上などで囁かれて来た「列車を大きく遅延させると、鉄道会社から億単位の莫大な賠償金が本人や遺族に請求される」という噂だ。あれは都市伝説なのか、それとも真実なのか。専門家に聞いた(Qは聞き手の質問)』、本当のところはどうなのだろう。
・『Q:結論からお聞きします。ラッシュの時にトラブルを起こして電車を大きく遅延させると、本人あるいは親族が鉄道会社から巨額の賠償金を請求される、というのは本当なんでしょうか。 佐藤:私も弁護士になって随分たちますが、10年ほど前までその答えを知りませんでした。都市伝説なのか真実なのか、皆さんと同じように疑問に思っていたんです。実情を知ったのは、1991年に発生した信楽高原鉄道列車衝突事故の遺族側の代理人となったことを機に、鉄道事故裁判という分野に本格的に関わるようになってからです』、弁護士でも事案を担当するまでは、「答えを知りませんでした」、そんなものなのだろう。
・『連日起きる顧客トラブル。弊社女性社員もあわや流血  Q:2005年のJR西日本福知山脱線事故の遺族側の代理人も務められています。 佐藤:鉄道事故を扱うには、まずは鉄道事故訴訟の実情を知ることが必要だという話になって、ある時、大阪の裁判所に調査に行ったんです。裁判所に行けば、どんな訴状を受理したのかや、原告や被告、事件番号などが載った一覧表が見られるんですよ。それを見ていくと、少なくとも私が確認した一定期間、地元のJR西日本が原告になった裁判は一件もありませんでした。 Q:一件も  佐藤:そう、これはとても不思議なことです。というのもJR西日本管内では少なくとも1週間に1度くらいは大きな遅延が起きているはずだからです。首都圏だったらほぼ毎日のように、遅延を伴う電車トラブルがありませんか。 Q:あると思います。先日も、弊社女性社員が千代田線の女性専用車両で、雨の日にOLと女子高生が傘のしずくが当たった当たらないで口論になり互いに傘を振り回し、その巻き添えで傘が無関係の彼女の頭部に振り下ろされる、という事案に遭遇しました。遅延までは至らなかったとのことですが、「女性専用車両は男性の目がない分、女性同士の小競り合いが想像以上に多く、なるべく乗りたくない」と申しています。 佐藤:それだけ様々な顧客トラブルが起きているにもかかわらず、関西圏で長期間、鉄道会社が原告になった裁判がないということは、鉄道会社は電車を遅延させた本人あるいは親族に対して裁判をほぼ起こしていない、ということだと私は解釈しています。私の知る限り、鉄道会社による裁判は、2016年に鉄道会社側の敗訴が確定した「JR東海認知症事故訴訟」のみです。 Q:愛知県で認知症男性が徘徊中に電車にはねられ死亡し、鉄道会社が家族に賠償請求した事件ですよね。 佐藤:後ほど触れますが、あの裁判は特殊な事例です。やはり原則として、鉄道会社は電車を遅延させた本人や遺族への裁判はやらない、と見ていいと思います。 Q:となると、言い方に語弊があるかもしれませんが、ラッシュ時に電車を遅延させても、基本的には“お咎めなし”、と? 佐藤:いえ、そうではありません。例えば、飛び込み自殺によって大幅な遅延が生じた場合、鉄道会社は大抵、遺族に接触はしているはずです。具体的には、「今回の件でこれだけの損害が発生しました。どうしましょう」と遺族側へ打診する。なぜそう言えるかと言えば、「親族が鉄道自殺し鉄道会社から話し合いたいと連絡が来たが、どうすればいいか」という相談が実際に私のところに来るからです』、「原則として、鉄道会社は電車を遅延させた本人や遺族への裁判はやらない、と見ていいと思います」、しかし、「鉄道会社は大抵、遺族に接触はしているはずです。具体的には、「今回の件でこれだけの損害が発生しました。どうしましょう」と遺族側へ打診する」、裁判こそやらないが、打診はしているらしい。
・『鉄道事故の賠償金、億単位は本当か?  Q:賠償請求額はネットで言われているように億単位? 佐藤:それはケースバイケースでばらつきがありますが、結論から言うと私が知る事例は数百万円単位。仮に増えても1000万円単位ではないかと推察されます。鉄道事故の賠償金がどのように計算されるか考えてみると、まず、①車両の修理代があります。また、特急などの場合は②遅延による払い戻し代も発生します。さらに、③現場の清掃のためのコストが掛かります。④他の鉄道会社やバス会社に払う振替輸送代も必要です。このため、合計額がいくらになるかは、遅延させた時間がラッシュか、輸送量の少ない昼かでも違ってきます。 Q:先生が担当したケースでは、いくらくらいでしたか。 佐藤:例えば、昼に発生した鉄道事故で遺族から相談を受けたことがありますが、その時は、数百万円単位でした。さきほど挙げた賠償金の内訳に照らし合わせても妥当だと思われる額で、このケースでは遺族と相談した上で全額払いました。ただ、場所が首都圏で、ラッシュ時に生じた遅延で何十万人の足が止まったなら、損害額が1000万円単位になってもおかしくないとは思います。 Q:そうなった場合、賠償金を払える経済状況でない家庭はどうなるのでしょう。 佐藤:そういう家庭からの相談も受けたことがあります。その時は、相続放棄をお勧めしました。亡くなられた方が若い方でほとんど遺産がなかったからです。鉄道会社の裁判は、電車遅延の原因を作った本人は亡くなっているので、相続人に対し、故人の遺産から賠償金を払うよう民事訴訟をすることになります。 Q:すべての相続人が相続放棄をしてしまえば、それで賠償請求に応じる義務はなくなります。 佐藤:裁判をやっても意味はありませんから、鉄道会社はここで諦めざるを得ません。相続放棄をすれば裁判所から受理証明書が出ますからそれを鉄道会社へ持って行って、全て終了でした。 となると、まず「ラッシュの時にトラブルを起こして電車を大きく遅延させると、本人あるいは親族が鉄道会社から億単位の巨額の賠償金を請求される」というのは都市伝説なんですね。 佐藤:億というのは滅多にないと思います。 Q:さらに多くの場合は、賠償請求の交渉は裁判に至る前に決着する、と。自殺の場合、交渉の段階で親族側は故人の遺産から払える額なら払えばいいし、払えなければ相続放棄をすればいい。いずれにせよ、遺族として、遺産以上の損害賠償責任を負う事はない、と。 佐藤:そういう理解でいいと思います。ただ、損害賠償の責任があることは頭に入れてほしいです』、「自殺の場合、交渉の段階で親族側は故人の遺産から払える額なら払えばいいし、払えなければ相続放棄をすればいい」、なるほど「相続放棄」されてしまえば、鉄道会社としては打つ手なしだ。
・『鉄道会社が裁判を起こそうとしない理由  Q:故人の遺産から賠償金を払えるにもかかわらず支払いを拒否したり、相続放棄をしなかったりすれば、鉄道会社は訴えるしかなくなると思いますが。 佐藤:論理的にはそうですが、実際にはそこまで行かないでしょう。まず弁護士に相談すれば、まず間違いなく、遺族は相続放棄か示談を薦められます。そもそも、列車を遅延させる行為は、民法709条の不法行為に該当し、故意または過失によって第三者の権利や利益を侵害した時は、行為者はその損害を賠償する責任があると法律には定められています。それに人身事故は運転事故ではなく、鉄道会社の方には一切の非はないんです。 Q:鉄道会社に非がない以上、普通に訴訟になれば遺族は負ける。だから、弁護士も示談か相続放棄をする戦術を取るのが一般的だ、と。 佐藤:一方、鉄道会社側も、なるべく訴訟を避けようとします。理由は簡単で、鉄道自殺の場合、仮に裁判に勝っても賠償金を取れる確率は高くないからです。というのも、鉄道に飛び込んで自殺をする人の中には、経済的に困窮している方もおられるでしょう。鉄道会社側も、賠償金を払える遺産があるのか調査するはずです。裁判をやって勝っても賠償金は取りようがないと判断すれば、無用な訴えは起こさないと思います。 Q:だとすれば、裁判をやる価値があるとすれば、故人に多額の賠償金を払えるだけの遺産があるのに遺族が応じないといったケースのみになります。 佐藤:そういう事例は極めてレアケースと言えるでしょう。 Q:とすれば、JR東海の裁判はどう取れえればよいのでしょう。 佐藤:JR東海の裁判は、電車にはねられ死亡した本人は認知症で、民法709条での責任を問えない可能性が高いと思われます。実際、裁判の争点も、認知症などで責任能力がない人が損害を与えた際、「監督義務者」がその責任を負うとする民法714条を巡るものでした。今後、高齢化社会が進展すれば、同様の事故が多発しかねません。JR東海は、賠償金目的というより、認知症者による鉄道事故の責任を誰が負うべきか社会に訴えかけるため、この裁判を起こしたとも考えられます。 Q:なるほど、よく分かりました。考えてみれば、鉄道自殺の場合、ただでさえ大切な人をなくして打ちひしがれて遺族に裁判を起こすのは、鉄道会社としても気が引けるのでしょうね。 佐藤:社会的なイメージもありますからね』、「鉄道会社」も「社会的なイメージ」を気にするのは当然だろう。
・『抑止力として都市伝説には意味がある  Q:それに、喧嘩による遅延などはどちらが本当に悪かったのか、見極めにくくはありませんか。以前、JR東海道線で車内で目が合って喧嘩を始めた2人の中年男性がホームに降り立った後、もんどりうって共に電車に接触し、両方死亡して電車が止まった事件がありました。これなど、2人とも死んでしまった後となっては責任の所在をなかなか追及しにくいです。 佐藤:ただ一方で、私は、「列車を大きく遅延させると、鉄道会社から億単位の莫大な賠償金が本人や遺族に請求される」という考えは、鉄道自殺の抑止効果という意味で、それはそれで意味があったと思うんです。鉄道事故の処理は本当に大変なんです。条件次第では何十万人に影響を与えます。ご遺体の扱いも想像を超える大変な仕事です。しかも一刻も早く運行を再開せよと言われます。 Q:実際、相当なスピードで復旧するケースもよく見かけます。 佐藤:加えて、鉄道事故は多くの人に迷惑をかける。経済に影響を与えたり、場合によってはそれによって人生が台無しになる人もいるかもしれない。ですから、社会のためにも、大切な家族のためにも、そしてご自身のためにも、安易に鉄道に飛び込んで自殺をするのは何とか思いとどまってほしい、と切に願います。その抑止力になるなら、「列車を大きく遅延させると、鉄道会社から億単位の莫大な賠償金が本人や遺族に請求される」と、世間でまことしやかに語られ続けているほうがいいと思っています』、「抑止力として都市伝説には意味がある」、確かにこれにより自殺が抑制されているのであれば、大いに意味がある。
・『では、航空機のトラブルはどうなのか?  Q:よく分かりました。今回は鉄道の遅延がテーマでしたが、最後に飛行機の遅延についても、見解を伺いたいんですが。飛行機では自殺による遅延はないものの、「酒を飲んで暴れる」「キャビンアテンダントにゴミを“爆弾”だと言って渡す」「化粧室に閉じこもりタバコを吸う」「ナッツリターン」などによる遅延や引き返しは起きています。 佐藤:トラブルを引き起こした人への基本的な対応は、鉄道事故と変わりません。れっきとした不法行為ですし、代替機材の手配や引き返した場合の燃料代、客の宿泊代などを考えると、賠償額も鉄道の遅延以上になる可能性はあります。 Q:それに、鉄道での自殺事故などと違って、航空機のトラブルは本人は健在です。場合によっては鉄道トラブル以上に深刻な結果につながりかねないわけですから、こってり絞られて然るべきだと思われますが。鉄道事故と異なり、国際線を乗り回しているような人の中には、賠償金を払う余裕のある人も多そうです。 佐藤:裁判にするかはともかく、責任はしっかり追及されているはずです』、「鉄道での自殺事故などと違って、航空機のトラブルは本人は健在です。場合によっては鉄道トラブル以上に深刻な結果につながりかねないわけですから、こってり絞られて然るべきだ」、新聞のニュースなどで見る限り、アメリカの航空会社の対応は厳しいようだ。
タグ:鉄道事故 日経ビジネスオンライン ダイヤモンド・オンライン 枝久保達也 (その1)(京急事故の背景に「安全意識のマズさ」 再発防止策からも浮き彫りに、ラッシュ時に電車を遅延させた人・親族の末路 鉄道事故裁判に詳しい弁護士の佐藤健宗氏に聞く) 「京急事故の背景に「安全意識のマズさ」、再発防止策からも浮き彫りに」 再発防止策に垣間見える安全意識のマズさ 遮断機が閉まる前に支障報知装置が作動していたにもかかわらず、踏切内で立ち往生していたトラックと衝突 「余裕がなさすぎる踏切」になった理由はどこに? 信号機は、電柱の合間に一瞬見えるだけだ この踏切に支障報知装置と発光信号機が設置されたのは1981年 現行の時速120キロ運転を開始したのは1995年4月のこと。1981年時点の最高速度は時速105キロであった これまでは常用ブレーキを原則とし、停止位置までに停止することができない場合は非常ブレーキを使用するとの規程 「ダイヤ乱れ」を避けたい? 踏切支障報知装置とATS(自動列車停止装置)との連動化も含めて、多角的に恒久的な再発防止策の検討を進めている 「ラッシュ時に電車を遅延させた人・親族の末路 鉄道事故裁判に詳しい弁護士の佐藤健宗氏に聞く」 「列車を大きく遅延させると、鉄道会社から億単位の莫大な賠償金が本人や遺族に請求される」という噂だ。あれは都市伝説なのか 連日起きる顧客トラブル。弊社女性社員もあわや流血 鉄道会社による裁判は、2016年に鉄道会社側の敗訴が確定した「JR東海認知症事故訴訟」のみ 鉄道会社は大抵、遺族に接触はしているはずです。具体的には、「今回の件でこれだけの損害が発生しました。どうしましょう」と遺族側へ打診する 原則として、鉄道会社は電車を遅延させた本人や遺族への裁判はやらない、と見ていいと思います 鉄道事故の賠償金、億単位は本当か? 故人の遺産から賠償金を払うよう民事訴訟をする すべての相続人が相続放棄をしてしまえば、それで賠償請求に応じる義務はなくなります 自殺の場合、交渉の段階で親族側は故人の遺産から払える額なら払えばいいし、払えなければ相続放棄をすればいい 鉄道会社が裁判を起こそうとしない理由 社会的なイメージ 抑止力として都市伝説には意味がある では、航空機のトラブルはどうなのか? 鉄道での自殺事故などと違って、航空機のトラブルは本人は健在です。場合によっては鉄道トラブル以上に深刻な結果につながりかねない こってり絞られて然るべき
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情報セキュリティー・サイバー犯罪(その5)(あなたのPCに勝手に侵入 政府が“違法ハッカー”になる日、ネットバンキング 崩れた安全防壁 偽サイト使い「ワンタイムパス」破られる、三菱電機に中国系?サイバー攻撃 人材情報奪取の裏に「恐るべき意図」、三菱電機 NECへのサイバー攻撃で露呈した防衛体制の「徒手空拳」) [社会]

情報セキュリティー・サイバー犯罪については、2018年6月3日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その5)(あなたのPCに勝手に侵入 政府が“違法ハッカー”になる日、ネットバンキング 崩れた安全防壁 偽サイト使い「ワンタイムパス」破られる、三菱電機に中国系?サイバー攻撃 人材情報奪取の裏に「恐るべき意図」、三菱電機 NECへのサイバー攻撃で露呈した防衛体制の「徒手空拳」)である。

先ずは、昨年1月29日付け日刊ゲンダイ「あなたのPCに勝手に侵入 政府が“違法ハッカー”になる日」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/246373
・『東京五輪を“言い訳”にすれば何でもやりたい放題だと勘違いしているのではないか。政府が近く、サイバー攻撃対策として、企業や家庭のパソコンやスマホといった「IoT機器」に対し、無差別に侵入する調査に乗り出すと報じられ、ネット上で「安倍政権による違法ハッカー行為」と大騒ぎになっている。 調査は、企業や家庭などにあるルーターやウェブカメラなどの「IoT機器」を無作為に選んで侵入。セキュリティー対策に問題がある機器を見つけた場合、ユーザーに注意を促す――という。政府は昨年5月に電気通信事業法を改正。2024年3月末までの5年間、総務省所管の「情報通信研究機構」が調査業務を行うことを決めた。 改正法で、機構は「認定送信型対電気通信設備サイバー攻撃対処協会」に業務委託できるとされ、今月8日に「一般社団法人ICT―ISAC」(東京)が協会認定を受けたばかり。同法人には大手携帯電話会社をはじめ、NHKや民放などがズラリと名を連ねているから、恐らく国内にある「IoT機器」はほとんどが調査対象に含まれるということだ』、大きなお世話だとの印象を拭えない。
・『セキュリティー対策を口実に不正アクセス  総務省や機構の担当者は、東京五輪対策を理由に挙げて「国民の皆さまにはご理解いただきたい」なんて言っているらしいが、どのように説明しようが、セキュリティー対策を口実にした政府の「不正アクセス行為」だろう。 アクセスの際に得られるウェブカメラの映像や保存データを政府機関がどう扱うのか、国民が不安を抱くのも当然だ。まして調査するのが、不正統計や公文書偽造を繰り返している霞が関の官庁であり、バックにいるのが、やりたい放題の安倍政権だ。盗聴や盗撮など恣意的な運用の可能性も十分あり得るのだ。昨年の国会審議で、侵入調査を「国民に対する政府機関によるハッキング」と断じていた立憲民主の小川淳也議員は、こう指摘していた。「国民の政府や政府系機関の情報管理に対する信頼度は高くありませんよ。それがどういう形で流出するのか、どういう形で悪用される恐れがあるのか。国民の政府や政府機関に対する情報管理の信頼度は極めて低い」 その通りだ。国民に平気でウソをつき、バレたら開き直って言い訳し、グウの音も出なくなっても論点をすり替える。そんなアベ政治と言いなりの行政機関を誰が信用するのか。自由に国民の懐に手を突っ込める状況を許せば、憲法で保障された「通信の秘密」もプライバシー保護もあったもんじゃない』、「国民の政府や政府機関に対する情報管理の信頼度は極めて低い」、なかででの「政府機関によるハッキング」は確かに大いに問題だ。
・『ITジャーナリストの井上トシユキ氏はこう言う。「現実の世界でいえば、玄関の扉をコンコンと叩いて『戸締まりに気を付けて』というのではなく、いきなり扉を開けて家の中に入り込み、家人に注意を促すのに等しい。調査するのであれば、どういう手順で、いつから実施し、何らかの個人情報が漏れた場合は厳罰に処す、などの罰則規定を公表するべきです。そうでなければ、国民も信用できないでしょう」 こんな重大な調査を改正法でやろうなんて、政権がコトの重要性を考えていないか、国民をなめ切っているということ。怒らない方が異常だ』、一般のマスコミが安部政権に「忖度」して、問題点を殆ど報じなかったのも残念だ。

次に、本年2月7日付け日経新聞「ネットバンキング 崩れた安全防壁 偽サイト使い「ワンタイムパス」破られる」を紹介しよう。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO55341750W0A200C2EA1000/
・『インターネットバンキングの口座から不正送金される被害が2019年秋ごろから急増している。大きな要因は、手続きのたびに使い捨ての「ワンタイムパスワード」を発行する2要素認証を破る手口が編み出されたことだ。ネットバンキングの安全性を支える防壁の一端が崩れた形で、金融機関は送金できる額を制限するなどの対策を急いでいる。 確認されている主な手口はこうだ。 銀行に預金口座を持つ利用者のスマートフォンに「カード・通帳の利用停止、再開のお手続きの設定してください」とSMS(ショートメッセージサービス)が届き、記載されたURLを押すと銀行のサイトが現れる。 指示に従ってネットバンキングのIDとパスワードを入力すると、銀行からスマホに届いたワンタイムパスワードをさらに打ち込むよう求められ、入力すると「処理完了」と表示が出る。 だが、SMSが誘導するのは銀行を装う偽サイトで、犯人は偽サイトに打ち込まれたIDとパスワードをすぐに正規のサイトに入力している。利用者にワンタイムパスワードが届き、偽サイトに打ち込まれたら、それもすぐ正規サイトに入力してログインし、預金を外部の偽名口座などに振り込んでしまう。 偽サイトでIDなどを盗み取る「フィッシング」の手口は以前からあるが「利用者が偽サイトにアクセスしている間に、並行して正規サイトにログインすることでワンタイムパスワードを破る点が新しい」と警察関係者は指摘する。 セキュリティー大手、トレンドマイクロ(東京)によると、こうした偽サイトの確認件数は19年1~8月には月間10~40件だったが、9月は94件、11月は114件と急増した。メガバンクだけでなく地方銀行や信用金庫など、標的は幅広い。 警察庁のまとめによると、19年のネットバンキングの不正送金被害は前年比4.4倍の20億3200万円に上った』、安全とされてきた「ワンタイムパスワード」を、見事に破った悪知恵には驚くほかない。本来、銀行側から「「カード・通帳の利用停止、再開のお手続きの設定してください」とSMS」を送ることは絶対ない筈だが、送られてくると、つい応じてしまう「利用者」の心の隙が突かれた形だ。
・『犯人側は不特定多数の利用者に大量のSMSを送りつけており、セキュリティー専門家は「SMSの送信から不正ログイン、不正送金までの一連の作業を自動的に処理するシステムを構築している」とみる。 トレンドマイクロが偽サイトの構造を解析したところ、特徴的な文字列が複数のサイトで共通して使われていたことから、同社の担当者は「サイトを量産するためのツールが出回っている可能性もある」としている。 認証の仕組みに詳しいIT企業、セキュアスカイ・テクノロジー(東京)の長谷川陽介CTOは「顔や指紋といった生体認証を使うサービスもあるが、スマホなどを使うワンタイムパスワードは比較的手軽で、多くのサービスで採用されている」と話す。 不正送金の急増を受け、三井住友銀行は19年10月から、被害が大きくならないようネットバンキングで振り込める上限額を1日50万円に下げた。それまでの初期設定は上限100万円だった。加えて同年11月からは、不審な振り込みをシステムなどで検知した場合に実際の入金まで数分から数十分かかるようにした。手続きを止める時間を確保しているとみられる。 三菱UFJ銀行は、スマホアプリのログイン時にスマホの所有者とアプリの利用者が対応しているかを厳重に確認する。 情報セキュリティー関連企業などでつくるフィッシング対策協議会の吉岡道明氏は「個人預金を狙うフィッシングは年々巧妙になっている。SMSに書かれたURLに直接アクセスしないことはもちろん、1回あたりの送金の上限額を定めておくなどの対策も重要だ」と話している』、「サイトを量産するためのツールが出回っている可能性もある」、とは恐ろしい話だ。大いに気を付けたい。

第三に、ノンフィクションライターの窪田順生氏が1月23日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「三菱電機に中国系?サイバー攻撃、人材情報奪取の裏に「恐るべき意図」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/226595
・『三菱電機が昨年6月に、サイバー攻撃を受けていたことを明らかにした。関与が取りざたされているのは、中国系のハッカー集団。防衛や社会インフラに関する重要機密は流出していない、と発表されたが、これで安心するのは早計。彼らが「人材」に関する情報を抜き取ったのには、重要な意図がある可能性が高いからだ』、どんな「意図」があるのだろう。
・『「防衛機密」の漏洩なしでも安心できない理由  三菱電機が昨年6月、サイバー攻撃を受けていたことを公表した。関与が取りざたされているのは、中国系ハッカー集団「Tick」だ。 同社の社内調査や、菅義偉官房長官の会見によれば、防衛装備品の情報や、電力・鉄道など社会インフラなどの重要機密情報の流出はないというが、社員や退職者約6100人分の個人情報と、採用応募者約2000人分の情報が外部に漏れた恐れがある。 マサチューセッツ工科大学でサイバーテロの研究を行い、近著「世界のスパイから喰いモノにされる日本」(講談社α新書)でも中国のサイバー攻撃の手口を紹介している、ジャーナリストの山田敏弘氏はこのように語る。 「Tickはかねてより、日本の役所や企業を狙っている政府系ハッカー集団。中国政府系のサイバー攻撃の特徴は破壊工作をせず、防衛機密か知的財産の2つを抜いていく。その際にはその国のインフラを担う企業を狙うのが定番。ターゲットになったのが三菱電機ということ、そしてこの手口からしても、中国政府の関与は間違いないでしょう」 という話を聞くと、「とりあえず防衛などの重要機密を中国に盗まれなかった不幸中の幸いだな」とホッと胸をなでおろす方も多いかもしれないが、筆者の感想はちょっと違う。 日本有数のものづくり企業で働く人々の細かな情報があちらの手に渡った、というのはかなりマズい。目下、中国が国をあげてゴリゴリ進めている「人材引き抜き戦」に利用されてしまうからだ。 昨年12月3日、韓国貿易協会が公表した「中国、人材のブラックホール-中国への人材流出分析」という報告書がある。それによれば、韓国のバッテリー、半導体、航空という分野で働く技術者たちが中国企業に高待遇をちらつかせられ、次々と引き抜かれているという。 どのような手口なのかを、この報告書を紹介した「ハンギョレ新聞」(2019年12月4日)から引用しよう。〈バッテリー業界の場合、世界1位企業の中国CATLが7月に大規模採用をする中で、部長級責任者の場合には手取り3億ウォン(約2800万円)程度の高い年俸を提示した。中国の代表的電気自動車メーカーのBYDは、2017年には年俸の他に成果給、自動車、宿舎提供などを条件として提示し、韓国のバッテリー人材を採用した。(中略)半導体業種では、福建晋華(JHICC)が今年4月、人材採用公告を出し「10年以上サムスン電子、SKハイニックスでエンジニアとして勤めた経歴者優待」を明示した〉』、日本の電機メーカーではリストラもしているので、ヘッドハントは韓国企業以上にやり易いだろう。
・『韓国や台湾の産業が中国に吸い取られている現実  「優秀な人材が国家にこだわらず、好条件のところで働くのは当然だ」という人もいるかもしれない。その点は筆者もまったく同感だが、問題はこの「ブラックホール」に吸い込まれているのが、韓国だけではないということだ。 例えば、昨年12月9日に「日本経済新聞」が報じた「中国、台湾人材3000人引き抜き 半導体強化」というニュースがわかりやすい。 今、台湾では半導体業界を中心に、中国からの人材引き抜きが加速しており、世界市場でも存在感のある台湾積体電路製造(TSMC)の経営幹部から現場の技術者に至るまでが、次々と高待遇をちらつかせられ、大陸へ渡っているという。台湾の経済誌「商業周刊」によれば、その数は3000人にも及ぶという。これだけ多くの優秀な技術者が流出すれば当然、「台湾の強み」は中国へ奪われてしまうというのは説明の必要はないだろう。 〈例えば、台湾が得意としてきた半導体メモリー。20年には中国の国策会社である長〓存儲技術(CXMT、〓の文字は金を三つ三角形に重ねる)、長江存儲科技(長江メモリー・テクノロジーズ)が相次ぎ本格量産を始める見通しで、台湾勢は間もなく中国勢にあっさりと抜き去られる恐れがある〉(日本経済新聞2019年12月9日) つまり、中国という「人材ブラックホール」によって、韓国と台湾は国内産業の競争力まで吸い込まれてしまっているというわけだ。韓国と台湾がこれだけ狙われている中で、日本だけがお目こぼしになる、と考えるのは無理がある。 ご存じのように、三菱電機は、今やすっかり世界で存在感をなくしてしまった「日の丸半導体」の中ではかなり奮闘している方で、代表的なパワー半導体であるIGBTモジュールにおいては世界シェアでトップクラスを誇っている。 サムスン、SKハイニックス、TSMCの人材が狙われている以上、三菱電機の人材も狙われる可能性は十分すぎるほどあるのだ』、「人材ブラックホール」とは言い得て妙だ。今回の「三菱電機」からの情報流出は、人材引き抜きに活用されるのは間違いないだろう。
・『習近平の肝いりで半導体市場の覇権を狙う中国  なぜそこまで中国が半導体メーカーから必死に人材を引き抜いているのかというと、「国策」のためだ。半導体市場の覇権を握るというのは、習近平肝いりの産業政策「中国製造2025」の大黒柱なのだ。 「中国製造2025」とはわかりやすくいえば、中国を世界一のものづくり国家するという野望を達成するためのロードマップだ。以下のような3つの段階に分かれている。 (1)2025年~2035年で「製造強国」への仲間入りを果たす (2)2035年までに世界の「製造強国」の中等レベルへ到達する (3)2049年(中国建国100周年)までに製造大国の地位を固め、製造強国のトップとなる この中の最初の目標を達成するために必要不可欠とされているのが、2025年までに中国国内の半導体自給率を70%にするという目標である。もちろん、半導体ビジネスはそんなに甘いものではない。海外の専門家からは「無謀」「成功は絶望的」と厳しい声が上がっているが、「国策」に逆らえない中国企業は口が裂けても「頑張ったけど無理でした」などは言えない。 つまり、今回の三菱電機へのサイバー攻撃は、あと5年で半導体自給率70%にするというミッションインポッシブルのため、日本の優秀な人材を引き抜くという作戦のもと、そこで必要になるターゲット人材の詳細なプロフィールを収拾するために行った可能性も否めないのだ。 ちなみに、三菱電機は2018年7月、「中国製造2025」の実現に向けて、中国政府直轄の機械工業儀器儀表綜合技術経済研究所と戦略的パートナーシップ契約を交している。中国にとって三菱電機は国策遂行ため必要不可欠な「外国企業」なのだ。そこの人材を自国企業で囲い込みたいというのは極めて自然な発想だ。 と聞くと、「いやいや、だったら高待遇の求人を出せばいいだけの話だ。いくら中国でもわざわざサイバー攻撃などするわけがない」と思う方もいるかもしれないが、そうせざるを得ない日本特有の事情がある。 それは「離職率の低さ」だ。 「最近の若者はすぐに辞める」と嘆く人事担当者も多いだろうが、実は日本の電機メーカーは離職率がそれほど高くない。新卒3年で辞める割合が20%という業界もある中で5%程度なのだ。この傾向はベテランも同様で、「カネがもらえるなら世界のどこへでも行きまっせ」という人はそれほど多くないのだ』、相次ぐリストラを繰り返してきた「日本の電機メーカー」の社員のローヤリティ(忠誠心)は実際には低くなっていると見るべきだろう。
・『日本企業のサイバーセキュリティーは安心できる水準ではない  そんな保守的な日本企業から人材を引き抜こうと中国政府が考えた時、高待遇の求人広告を出せばいいや、となるだろうか。「ビズリーチ」を利用すれば、「こんな待遇で!」と技術者が自分からホイホイやってくると思うだろうか。 思うわけがない。 そうなると方法は一つしかない。三菱電機で働く人、あるいはここで働きたいと採用に応募をしてきた人材にダイレクトに接触をしてスカウトするのだ。 社内の資料ならば、家族構成や年収、これまで何をしてきたのか、どんな仕事をちらつかせれば心が動くのかなどもわかる。つまり今回、三菱電機のサーバーに忍び込んで盗んだ約8100人の個人情報というのは、その「工作」の下資料なのではないか。 もちろん、背後に中国政府という国家がいると推測される以上、どこまで行っても「真相」はわからない。国防に関する機密を盗みにきたが、セキュリティが厳しくて、しかたなく個人情報だけ盗んだ。だから引き抜きだなんだというのは考えすぎだ、と楽観的に見ることもできる。 ただ、前出のジャーナリスト・山田氏によれば、中国の政府系ハッカーが日本企業から情報を抜き取っている現状は、我々が思っているよりも、はるかに深刻だという。 「三菱電機は氷山の一角ですね。ほとんどの日本企業のサイバーセキュリティは安心とは言い難く、これまでも中国から、かなりのサイバー攻撃を受けて情報を抜き取られている。しかし、ほとんどの企業は公表しません。三菱電機は近年、パワハラなどの問題が多発して内部からマスコミへのリークが多い。だから今回も内部リークを受けた『朝日新聞』が一報を報じました。たまたま今回はこのような形で明らかにされましたが、既にもう重要機密が漏れている可能性もある」 実際、山田氏が某国の諜報機関の人間から入手した情報では、「東京2020」でも重要な役割を果たす国内ハイテク企業の重要機密に、中国系ハッカーがアクセスしているという話もある。 山田氏は、近著「世界のスパイから喰いモノにされる日本」の中で、このように警鐘を鳴らしている。「選挙だろうがテロだろうが、世界的なスポーツイベントだろうが、各国はサイバー工作を駆使しながら、自分たちの利害を追求している。(中略)対外情報機関も、国境を越えて動けるサイバー部隊も持たない日本は、これからの時代に本当に世界に伍していけるのだろうか。一刻も早く、その問いについて真剣に検討し、何をすべきかと議論すべきなのである。性善説は通用しない」 本当の「脅威」は音もなく忍び寄る。日本を代表するものづくり企業がサイバー攻撃を受けたのに、「機密は流出してないようだからひと安心」なんて呑気なことを言っているこの国は、かなり危機的な状況だ。 気がつけば「中国の下請け」になっていましたーーなんて恐ろしい未来にならぬことを祈りたい』、全く同感である。

第四に、元通商審議官の荒井寿光氏が2月12日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「三菱電機、NECへのサイバー攻撃で露呈した防衛体制の「徒手空拳」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/228393
・『氷山の一角にすぎない民間企業への攻撃  三菱電機やNECなど日本の大手企業への大規模なサイバー攻撃が相次いで明るみに出た。 三菱電機では、自社の情報や8000人分の個人情報だけでなく、取引先の政府や民間企業数十社の情報が不正にアクセスされ、機密性の高い防衛関連や、電力、鉄道などの社会インフラに関する情報が流出した可能性がある。 犯人は中国系のサイバー攻撃集団「Tick」であり、三菱電機の中国子会社のシステムから、三菱電機本社の120台超のパソコンや40台超のサーバーにアクセスしたものと見られている。 NECもサイバー攻撃を受け、2万7000件のファイルに不正アクセスがあったことが明らかになった。 三菱電機とNECは、政府や民間のサイバー防衛を支援するビジネスをしている、いわばサイバー分野における「ガードマン会社」であり、また秘密管理の厳しい防衛産業の有力企業だ。 だが日本のサイバー防衛体制には“致命的な欠陥”がある。 日本のサイバー防衛分野の最先端企業が侵入されたことは、関係者にショックを与えたが、実は、これは氷山の一角だ。 外国政府が関与して日本をサイバー攻撃したものとして、2011年の三菱重工への攻撃、衆議院のコンピューターシステムへの侵入、2015年の日本年金機構からの125万件の個人情報の流出、2016年のJTBから679万人の顧客情報の流出、中国系サイバー攻撃集団「APT10」による民間企業、学術機関等に対する長期的な攻撃などが明らかになっている。 しかもその対象や手法は、年々、多様化している』、前の記事では、「三菱電機では、自社の情報や8000人分の個人情報」が流出としていたが、「取引先の政府や民間企業数十社の情報が不正にアクセスされ、機密性の高い防衛関連や、電力、鉄道などの社会インフラに関する情報が流出した可能性がある」、時間が経つにつれ被害が拡大したようだ。「三菱電機とNEC」は「サイバー分野における「ガードマン会社」であり、また秘密管理の厳しい防衛産業の有力企業」であるにも拘らず、攻撃に無力だったとは情けない限りだ。
・『多様化する攻撃対象や手段 工場停止や停電、選挙妨害まで  サイバー攻撃の最初は個人の「愉快犯」が多かった。不特定多数のコンピューターにウイルスをまき散らかすものだ。 その後、「サイバースパイ」が誕生した。 従来、産業スパイや軍事スパイ、外交スパイは人間が機密情報を盗んでいたが、インターネットの発達に伴い、2007年頃から、政府系のサイバー攻撃集団がコンピューターを使ってスパイ活動するようになった。 今回の三菱電機事件は、この一例だ。 最近は「サイバーテロ」による施設やインフラの物理的な破壊が行われている。 サイバー攻撃は、コンピューター制御システムを使っている原子力発電所や化学プラントを爆発させたり、電力や水道を止めたりして市民生活を大混乱に陥れることができる。 実際に次のようなサイバー攻撃による事例が報道されている。 2008年にはトルコのパイプラインが爆破され(ロシアが関与の可能性)、2010年にはイランの核開発施設が無力化(イスラエルと米国が関与の可能性)、2014年にはドイツの製鉄所が操業停止に陥った。 2015年と2016年にはウクライナで大規模停電が起きた(ロシアが関与の可能性)。 また、サイバー攻撃の「グローバル化」も進んでいる。 2017年には、英国各地の病院で大規模なサイバー攻撃があり、手術などの医療サービスが中断したほか、日産自動車のイギリス工場の停止を含め多くの被害が発生した。 この時、日本でもホンダの狭山工場が操業停止に追い込まれ、ロシア、フランス、英国、米国などを含む世界150カ国で被害が確認された。 これは北朝鮮が外貨獲得のため他国のコンピューターをウイルスでダウンさせ、コンピューターを回復するために仮想通貨を振り込ませて数十億ドルの外貨を稼いだといわれる。 コンピューターを「人質」にして身代金を要求した新しい手口で世界が驚いた。 最近は、自国に有利な候補者を当選させるための「選挙介入型」も頻発している。 選挙運動がツイッターやフェイスブックなどのSNSを利用するようになったので、相手国の選挙の際、フェイクニュースを流したり、自国に不利な候補者が困る機密情報を意図的に公開したりして、外国の選挙に介入することが増えている。 2016年の米国の大統領選挙の際、民主党候補を不利にするためロシアが米国民主党全国委員会に対するサイバー攻撃をしたとされる。 また2017年にはフランスの大統領選挙の際、マクロン候補の陣営に大規模なサイバー攻撃があり、大量のメールや会計文書の情報がネット上に流出したり、今年1月の台湾総統選挙の際、中国の集団が台湾独立を主張する蔡総統について、「博士号を取得していない」などのフェイクニュースを流したりしたことが報道されている』、「北朝鮮が・・・コンピューターを「人質」にして身代金を要求した新しい手口で世界が驚いた」、記憶に新しいところだが、被害企業の多くは密かに「身代金」を支払って済ませたのだろう。確かに「多様化する攻撃対象や手段」は悩ましいことだ。
・『「犯人」の特定難しく「被害」気付かず 破壊力や脅威は年々拡大  サイバー攻撃は従来の軍事行動やテロなどと違う特殊な性格を持っている。 第1に、サイバーはデジタル化されていて形がない。このため侵入されたり、コピーして情報を持ち出されたりしても気付かないことが多い。 サイバー攻撃は通常の軍事攻撃と異なり、証拠が残らず「犯行声明」を出さないため、「犯人」の特定は難しい。 第2に、インターネットは世界中でクモの巣のように張り巡らされている。このため、攻撃者がどこにいて、どこを経由して侵入してきたのかを割り出すのが難しい。 また侵入したコンピューターシステムを踏み台にして他に侵入することが多いので、自分に被害がないからと安心してはいけない。 第3に、サイバー攻撃の物理的な破壊力の脅威は年々大きくなっている。 全ての社会システムはコンピューターにより制御されている。このため、コンピューターを乗っ取り、原子力発電所を爆発させたり、新幹線を暴走させたりすることができる。 サイバー攻撃を単なる情報システムの問題と捉えていてはいけない。 第4に、サイバー攻撃の技術は年々進歩している。このためサイバー防衛も年々技術を向上させなければならない。いたちごっこは続く。 サイバー攻撃で自国にとって有益な相手国の産業技術や軍事情報を手に入れたり、社会インフラに侵入して相手国の経済や国家の機能をマヒさせ、軍事施設を破壊したりすることができるようになったため、軍隊や国家機関による大掛かりなサイバー攻撃が増えている。 このような性格のため、サイバー防衛は従来の常識を超えた取り組みが必要なのだ』、確かにその通りだろう。
・『軍が主体の「第5の戦闘領域」に 世界はサイバー戦争の時代  このため、今やサイバー空間は、軍事的に陸・海・空・宇宙と並ぶ第5の「戦闘領域」と位置付けられており、各国ともサイバー軍による攻撃や防衛の時代に入っている。 米国は、2018年にサイバー軍を国防長官直轄の統合軍に格上げし、年間約7500億円の予算を使い、約6300人体制で運用しているといわれている。 中国はサイバー戦力の建設を加速しており、サイバー戦用の「61398部隊」は英語に堪能な数百から数千人の隊員がいる。 ロシアはサイバー軍を作りサイバー攻撃活動に力を入れているとの報道がある。 北朝鮮の偵察総局には121局と180局に6000人の隊員が従事し、外国のインフラ破壊と外国要人や科学技術情報及び外貨の窃取を任務としていて、2016年にはバングラデシュ中央銀行から8100万ドル(約91億円)を盗み取ったと報道されている。 他国のこうした体制に比べると、日本は大幅に遅れている。 日本では2014年に自衛隊にサイバー防衛隊が作られたが、隊員の数はわずか220人。予算も2019年度で約223億円にすぎず、外国に比べ隊員数や予算はいかにも少ない。 しかも任務は自衛隊のシステムを守ることなので、民間企業は他国の軍からの攻撃に自力で自らのシステムを守らないといけないのが実情だ』、なるほど。
・『民間が自力で守るしかない日本 官民一体の防衛体制整備が急務  日本は2014年に「サイバーセキュリティ基本法」を制定し、内閣に「サイバーセキュリティ戦略本部」「内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)」を設置した。 内閣が基本戦略を作り、政府機関と民間が独立してそれぞれのコンピューターシステムを守る体制だ。 電力・鉄道・通信・金融などの社会の重要インフラでさえも、民間企業が持っているので、民間企業の自己防衛が基本となっている。 外国の攻撃側は軍隊や国家機関のサイバー攻撃の専門家集団だ。これに対して日本は民間企業が本来のビジネスの片手間にサイバー防衛をしている。外国の軍隊や国家機関が攻め、日本の民間企業が守るのでは、サイバー技術に関する設備や開発能力、マンパワー、相手に関する情報収集能力など、全ての面でかなわない。 しかも、日本には外国と違い、国全体のコンピューターシステムを守る国家機関がない。 自衛隊は自分のコンピューターシステムを守るだけであり、国全体のコンピューターシステムを守る任務がなく、実際に任務にないから国全体を守っていない。 だが、サイバー戦争はもはや政府と民間が一体となって防衛をしなければ被害を防げない局面になっている。 このため、第1に、自衛隊法を改正して、自衛隊に国全体のコンピューターシステムを防衛する任務を付与することが必要だ。 国民の生命・財産・社会活動・国土を守るためには、サイバー防衛を災害派遣と同じように自衛隊の任務に位置付け、隊員や予算を思い切って増やすことだ。 第2に、民間の責務を明確にする必要がある。 現在のサイバーセキュリティ基本法では、重要なインフラ事業者もサイバー事業者も、国の施策に「協力するよう努めるものとする」(法6条、7条)ことしか求められていない。攻撃を受けた時の政府への報告義務もない。 民間は自己防衛に努めることはもちろんだが、サイバー攻撃を受けたときは、直ちに内閣と自衛隊に報告することを義務付ける。そうすれば何らかの形でつながっている他のコンピューターへの被害の拡大を防ぐことができる。 第3に、積極的なサイバー防衛を実践することだ。 サイバー攻撃はスピードが速く攻撃されたらおしまいだ。 各国ともいろいろな手段でサイバー情報を収集し、疑わしい相手国のコンピューターシステムをチェックして攻撃側の意図をくじくような牽制活動をして自国への攻撃を未然に防止している。 だが日本ではこのような牽制活動は、自衛隊のサイバー防衛隊にも認められていない。 またサイバー攻撃や防衛の演習も実際にインターネット環境を利用して行うことは不正アクセス防止法により禁じられている。これではサイバー防衛能力は上がらない。 日本は外国並みに積極的なサイバー防衛活動ができるように法改正をすべきだ。 日本は「スパイ天国」「サイバー攻撃天国」といわれている。この汚名を返上するため、今回の事件を教訓として、外国並みのサイバー防衛体制を作り上げることが急務だ』、いくら「サイバー戦争の時代」とはいえ、「自衛隊法を改正して、自衛隊に国全体のコンピューターシステムを防衛する任務を付与することが必要」、自衛隊は逆立ちしてもそんなことが可能とは思えない。「国全体のコンピューターシステムを守る国家機関がない」のであれば、「NISC」を強化する方が筋なのではなかろうか。米国では、「国全体のコンピューターシステムを守る」のは国土保全省であり、サイバー軍と文民部門の協力・協働体制についても、様々な考え方があるようだ(Wikipedia:下記)。荒井氏が、サイバー防衛を自衛隊のような軍事組織に任せれば上手くいくような幻想を持っているようなのは、残念でならない。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%90%E3%83%BC%E8%BB%8D
タグ:三菱電機 北朝鮮 日経新聞 情報セキュリティー 日刊ゲンダイ サイバー犯罪 ダイヤモンド・オンライン 窪田順生 (その5)(あなたのPCに勝手に侵入 政府が“違法ハッカー”になる日、ネットバンキング 崩れた安全防壁 偽サイト使い「ワンタイムパス」破られる、三菱電機に中国系?サイバー攻撃 人材情報奪取の裏に「恐るべき意図」、三菱電機 NECへのサイバー攻撃で露呈した防衛体制の「徒手空拳」) 「あなたのPCに勝手に侵入 政府が“違法ハッカー”になる日」 政府が近く、サイバー攻撃対策として、企業や家庭のパソコンやスマホといった「IoT機器」に対し、無差別に侵入する調査に乗り出す 「安倍政権による違法ハッカー行為」 認定送信型対電気通信設備サイバー攻撃対処協会」 一般社団法人ICT―ISAC」 「IoT機器」 セキュリティー対策を口実に不正アクセス 国民の政府や政府機関に対する情報管理の信頼度は極めて低い 「通信の秘密」もプライバシー保護もあったもんじゃない 政府機関によるハッキング 何らかの個人情報が漏れた場合は厳罰に処す、などの罰則規定を公表するべき 「ネットバンキング 崩れた安全防壁 偽サイト使い「ワンタイムパス」破られる」 利用者が偽サイトにアクセスしている間に、並行して正規サイトにログインすることでワンタイムパスワードを破る点が新しい 「サイトを量産するためのツールが出回っている可能性もある」 「三菱電機に中国系?サイバー攻撃、人材情報奪取の裏に「恐るべき意図」」 「防衛機密」の漏洩なしでも安心できない理由 社員や退職者約6100人分の個人情報と、採用応募者約2000人分の情報が外部に漏れた恐れ Tick 中国が国をあげてゴリゴリ進めている「人材引き抜き戦」に利用されてしまう 韓国や台湾の産業が中国に吸い取られている現実 中国という「人材ブラックホール」によって、韓国と台湾は国内産業の競争力まで吸い込まれてしまっている 習近平の肝いりで半導体市場の覇権を狙う中国 日本企業のサイバーセキュリティーは安心できる水準ではない 三菱電機は氷山の一角 荒井寿光 「三菱電機、NECへのサイバー攻撃で露呈した防衛体制の「徒手空拳」」 氷山の一角にすぎない民間企業への攻撃 自社の情報や8000人分の個人情報だけでなく、取引先の政府や民間企業数十社の情報が不正にアクセスされ、機密性の高い防衛関連や、電力、鉄道などの社会インフラに関する情報が流出した可能性 サイバー分野における「ガードマン会社」であり、また秘密管理の厳しい防衛産業の有力企業 多様化する攻撃対象や手段 外貨獲得のため他国のコンピューターをウイルスでダウンさせ、コンピューターを回復するために仮想通貨を振り込ませて数十億ドルの外貨を稼いだ コンピューターを「人質」にして身代金を要求した新しい手口 「犯人」の特定難しく「被害」気付かず 破壊力や脅威は年々拡大 軍が主体の「第5の戦闘領域」に 世界はサイバー戦争の時代 民間が自力で守るしかない日本 官民一体の防衛体制整備が急務 「サイバーセキュリティ戦略本部」「内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)」 サイバー防衛を災害派遣と同じように自衛隊の任務に位置付け、隊員や予算を思い切って増やす 米国では、「国全体のコンピューターシステムを守る」のは国土保全省であり、サイバー軍と文民部門の協力・協働体制についても、様々な考え方があるようだ(Wikipedia 荒井氏が、サイバー防衛を自衛隊のような軍事組織に任せれば上手くいくような幻想を持っているようなのは、残念でならない
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介護(その4)(複雑化する「老老介護」と90歳認知症医師の孤独、「私の家でない」改造が裏目に認知症介護の苦悩 認知症の人ための「住宅リフォーム」を考える、89歳の要介護女性がヤマトの荷物運ぶ深い理由 「要介護者に活動の場を」大牟田市の挑戦) [社会]

介護については、昨年10月23日に取上げた。今日は、(その4)(複雑化する「老老介護」と90歳認知症医師の孤独、「私の家でない」改造が裏目に認知症介護の苦悩 認知症の人ための「住宅リフォーム」を考える、89歳の要介護女性がヤマトの荷物運ぶ深い理由 「要介護者に活動の場を」大牟田市の挑戦)である。

先ずは、健康社会学者(Ph.D.)の河合 薫氏が本年1月21日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「複雑化する「老老介護」と90歳認知症医師の孤独」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00059/?P=1
・『なんとも痛ましい事件が、また起きてしまった。 88歳の母親が寝たきり状態の70歳の娘を刃物で刺し、無理心中を図った。パーキンソン病の娘を母親が介護する「逆・老老介護」。88歳の母親は、70歳の娘の車いすを押し、おむつ替えや着替えなどの身の回りの世話をしていた。 親子は「サービス付き高齢者向け住宅」で暮らし、母親は周囲に「このまま介護を続けていくにはどうしたらいいのか。お金も大丈夫かしら」と、事件の1カ月ほど前から、漏らすようになったと報じられている。 親子が暮らしていたサービス付き高齢者向け住宅は、「自立して生活できる高齢者」が安心して暮らせることを目的に、「地域包括ケアシステム」拡充の施策として2011年に創設された。立地場所や、サービス内容によって家賃は大きく異なり5万~30万円超。安否確認や生活相談はあるけど、介護サービスを受けるには外部の在宅介護サービスを利用する必要がある。 ただ、24時間介護してくれる公共の特別養護老人ホームが、常に満員で入れない状況があるため、手厚い介護が必要な高齢者が、低家賃のサービス付き高齢者向け住宅に入居する場合がある。 88歳の親子がどういった経緯で高齢者向け住宅に住んでいたかは不明だが、サービス付き高齢者向け住宅では2015年1月から1年半の間に、死亡や骨折など少なくとも3000件以上の事故が報告されている』、この母娘が「サービス付き高齢者向け住宅」に入居せざるを得なかったところから、無理があったようだ。
・『超高齢化社会が進み複雑化する介護問題  また、「逆・老老介護」という言葉について、介護関係者に聞いたところ「ここ最近使うことが増えた」とのこと。引きこもり状態にある50代が80代の親とともに暮らす「8050問題」が注目されているが、「引きこもりの子供が病気がちだったり、体が弱かったりすることが少なくない。80歳を超えた親が、50歳の子供の身の回りの世話をしているケースはある」と話してくれた。 「逆・老老介護」を夫婦間の介護について使う場合もあり、「90歳を過ぎた高齢者が80歳前後の配偶者を介護する例はこの数年で急激に増えた」(介護関係者)。 厚生労働省の国民生活基礎調査でも、同居の主な介護者が80歳以上というケースは、2001年の6%から20016年は16%に増加している。2018年に公開されて話題となったドキュメンタリー映画「ぼけますから、よろしくお願いします。」でも、認知症の90歳の妻を介護するのは、98歳の夫だった。 寿命が延び、90歳を過ぎても元気な高齢者が珍しくない一方で、パーキンソン病は50歳過ぎ、アルツハイマー病では65歳を過ぎると発症する人が増える。超高齢化社会では介護問題は喫緊の課題なのに、問題解決する間もなく新たな問題が生まれ、状況はさらに複雑になっている。 88歳の母親の日々を想像するだけで、胸が詰まる……。介護は元気な中年でも精神的にも、肉体的にも負担が大きいし、はたからはどんなに元気で、しっかりしているように見える人でも、年齢には勝てない。老いには個人差があるが、誰もが例外なく老いる。それは「昨日までできていたことができなくなる」というリアルだ。 これまでも介護問題については、さまざまな角度から取り上げてきたけれど、「老いる」ということへの理解の乏しさを痛感させられる出来事が増えた。 つい先日も、スーパーでおばあさんが支払いに時間がかかっていると、後ろの男性が「チッ、早くしろよ!」と声を荒らげていた。こういった光景は以前からあったので、私はレジに並ぶときは高齢者の後ろに並ぶようにしていたのだが、声を荒らげたのは私の後ろにいた人。ついにらんでしまったら、男性はバツが悪そうに貧乏ゆすりをし……、ちょっと怖かった。 デパートや駅のエスカレーターでは、いまだに左側に寄ってないことにいら立つ人がいる。「そんなに急いでいるなら階段を使え!!」と思うのだが、エスカレーターに乗っている人に接触する勢いで駆け下りていくのは本当に危険だ。 間違えて子供用の切符を買ってしまったおばあさんに、ひたすら「手数料がかかるけどいいですか?」と迫る駅員を見たときには怒りすら覚えた。 おばあさんと駅員の会話によれば、孫を連れていたおばあさんは間違えて子ども用のボタンで2枚分買ってしまったらしい。 で、それを「大人用に変えてほしい」とおばあさんが言っているのに対し、駅員さんは「一度買った切符は変えられない。手数料がかかる」の一点張り。 おばあさんはちょっと押し間違えただけなので、なぜ、手数料がかかるのかが理解できない。おばあさんに分かるように、ゆっくり丁寧に言えばいいのに、駅員はどんどんと高圧的になり、おばあさんは「ごめんなさい。押し間違えちゃって」と謝り続けた。 見かねた通りすがりの男性が、「押し間違えただけなのに、手数料がかかるんですか?」と駅員に尋ねると「はい。規則なんで」。その態度は悲しくなるほど機械的で。「なんでこんなに高齢者に冷たいんだ」と私の脳内のサルは大騒ぎだった』、「同居の主な介護者が80歳以上というケースは、2001年の6%から20016年は16%に増加」、「逆・老老介護」がここまで増えているとは改めて考えさせられた。「駅員」の「機械的」対応は、自動化が進んだ鉄道会社の問題だ。
・『認知機能低下は老いれば普通のこと  老いる──。年を取っていく親と日常頻繁に接していると、「年を取るって、大変なことなんだなぁ」とつくづく思う。 視力一つ取ってみても、視野が狭くなる、色の識別が難しくなる、明るいところから暗いところに入ると見えなくなるといった自然な老いに加え、緑内障になると視野の一部が欠けるため、足元が見えづらくなったりもする。 聴力の低下というと、単純に「耳が聞こえない」状態をイメージするかもしれないけれど、通常の聴力がある高齢者でも「初めて話す人」の話や、外出して緊張していると聞こえづらくなる。「転ばないようにしなきゃ!」と歩くことに集中するあまり、車の音さえ耳に入らなくなる。 どんなに気持ちが元気な高齢者でも、体力と認知機能の低下から逃れるのはムリ。ちょっとでも疲れると、ますます認知機能は低下するし、高齢になると思い込みも激しくなる。周りがせかすと焦り、余計にできなくなったりすることもある。 つまるところ、「見えづらい、聞こえづらい、忘れやすい、勘違いしやすい、覚えられない、思い込みが激しくなる」という現実の繰り返しが老いることだ。 ところが、高齢者のこういった言動は、すぐ「認知症」に直結させられてしまう。この短絡的な解釈が、どれだけ高齢者やその家族を生きづらくしていることか。高齢の親と接する機会が多い人には、私が何を言いわんとしているかが分かると思う。 そもそも「認知症=病気」ではない。「認知症=何もできない」わけでもない。 認知症とは、「物忘れや認知機能の低下が起こり、日常生活に支障をきたしている状態」である。 例えば、頭痛がさまざまな病気で引き起こされるように、認知機能の低下にも多種多様の原因がある。アルツハイマー病やレビー小体症などが認知症につながるとされているけど、その原因はすべて数えると70種類以上にもなる。原因が特定できない場合もある。さらに障害の種類や重さ、症状は個人差があり千差万別だ。 しかも、たとえ認知症につながる病気になっても、症状の進行度合いは人によって違うし、生活に支障がない範囲であれば「認知症」とは診断されないのだ。 2019年、認知症対策を強化するための「数値目標」なるものが、政府の有識者会議で提示され、物議をかもしたのを覚えているだろうか。批判がやまなかったことから最終的に取り下げられたが、当初は「6年間で6%減」という数値目標を掲げていた。 70代の発症を10年間で1歳遅らせると、70代の認知症の人の割合を約1割減少させることができるという試算に基づき、2025年までの6年間で70代人口に占める認知症の人の割合を6%減らすとしていたのである』、「そもそも「認知症=病気」ではない・・・認知機能の低下にも多種多様の原因がある・・・その原因はすべて数えると70種類以上にもなる。原因が特定できない場合もある。さらに障害の種類や重さ、症状は個人差があり千差万別だ」、「認知症」の奥の深さを再認識させられた。
・『「老い」に絶対的な予防法はない  数値目標が掲げられた背景には、超高齢化社会で増え続ける社会保障費の問題があるわけだが、認知症は生活習慣病のように生活習慣を改めれば改善できるものでもなければ、ましてや、科学的根拠のある治療法や予防法が確立されているものでもない。 もちろん「運動習慣のある人の方がなりづらい」「健康的な食生活をしている人の方がなりづらい」「浴槽につかる習慣のある人の方がなりづらい」「おしゃべりな人の方がなりづらい」といった調査結果はある。 しかしながら、あくまでも「確率」の問題であり、絶対的な予防法ではない。「これをやっていれば大丈夫!」というわけでもない。 誤解のないように断っておくが、予防に努めるのはとても有意義だし、大切なこと。国が積極的に取り組むことで、多くの自治体が高齢者に無料で体操教室を開催したり、食事教育を行ったり、多くの高齢者が楽しむ「場」が増えたりすることには大賛成だ。 私の母も近くの高齢者交流館に、「それ体操教室だ!」「それコーラスだ!」と毎日楽しそうに通っているし、それは家族にとっても本当に有り難いことだ。 しかしながら、「認知症」という言葉をまるで病名のように使い、「予防すれば認知症にならない」というイメージを助長するような取り組みは、高齢者を逆に追い詰める。 「迷惑をかけてしまって申し訳ない」「なんでこんなバカになってしまったのか」「一生懸命努力しているんだけどね……」「こんなになってしまって恥ずかしい」「認知症になって子に恥をかかせたくない」etc.etc. これらは年を取り、「今までできていたことができなくなった」高齢者が、こぼす言葉だ。 しかも、たとえどんなに予防に積極的に取り組んでいても、「喪失体験」がつきまとう高齢者の日常では、ある出来事をきっかけに認知症になってしまうことがある。 配偶者が亡くなったり、病気になり入院生活を余儀なくされたり。あるいは子供と同居するために引っ越しをするなど、生活環境が変化するだけでも認知機能は著しく低下する』、「「認知症」という言葉をまるで病名のように使い、「予防すれば認知症にならない」というイメージを助長するような取り組みは、高齢者を逆に追い詰める」、健常者が大いに気を付けるべきことだろう。
・『老いの表れ方は一様ではない  繰り返すが認知症は「物忘れや認知機能の低下が起こり、日常生活に支障をきたしている状態」であって病気ではない。であるからして、生活環境の変化に起因する「認知症」は、時間の経過や、また、笑いや喜びのある生活によって、おしゃべりできる友人ができたり、一緒に楽しめるコミュニティができたりすると、治る。そう、治る場合があるのだ。 ただし、「老いている」ことに変わりはないので、「ん?」と思う言動がなくなるわけじゃない。 つまり、それが「老いる」ということ。中年期でも調子のいい時と悪い時、さえている時とさえない時があるのと同じだ。その度合いが高齢期になると強まり、環境の影響も大きくなり、個人差も目立つというだけだ。 認知症の判断基準になっている「長谷川式認知症スケール」を作成し、2018年に自らも認知症であることを告白した精神科医の長谷川和夫先生(90歳)は、「認知症にならないのは1割しかいない。超エリートなんだよ」と常々話していた。 ご自身が嗜銀顆粒性(しぎんかりゅうせい)認知症になってからは、「認知症になって人が変わるわけではない。『いつもの自分だ。大丈夫だ』と思えるときがある。認知症になっても、すべてなくなるわけじゃない。認知症は変動する。これほどまでにいい時があるとは、自分がなるまで分からなかった」とおっしゃっていた。 医師として、患者として、経験を一人でも多くの人に伝えたいという思いから、今も講演活動を続けている。その様子を、先日NHKがドキュメンタリーで報じていたが、私は娘さんの気持ちが自分とクロスして、涙が止まらなかった。 私も高齢者向けのプログラムを開発したり、講演をしたりすることがあるが、研究者の端くれとして「どんな雨も自分が降られてみないと、その雨の冷たさは分からない」のだなぁと痛感させられた。 認知症が、徐々に、そして確実に進行する長谷川先生のケアをする、81歳の奥さんの負担は日に日に増し、長谷川先生は奥さんの負担軽減のためにトライアル的にグループホームに宿泊することを決意。予定では2泊3日だった。ところが1泊で帰ってきてしまったのだ』、「生活環境の変化に起因する「認知症」は、時間の経過や、また、笑いや喜びのある生活によって、おしゃべりできる友人ができたり、一緒に楽しめるコミュニティができたりすると、治る。そう、治る場合がある」、なるほど。「長谷川先生」の「NHKドキュメンタリー」は私も観たが、いい番組で、特にケアをしている娘さんには感心した。
・『「老い」は一人ひとり違う  「何をしたいのか?と聞いてほしかった。あそこにいくと自分は孤独だった」──。 こう話す長谷川先生は、自分が考案したグループホームで全く楽しめなかった。 グループホームは長谷川先生が認知症の研究をする中で、「認知症になった高齢者がみんなと楽しく笑えるように」という思いから、1980年代にスタートしたものだった。 にもかかわらず、実際に自分が認知症になり参加したグループホームで長谷川先生は「孤独」だった。カメラに映し出される長谷川先生のまなざしは、悲しくて、つまらなくて、さみしそうで。みんなで歌ったり、輪投げをしたりするときの表情は気の毒なほどだった。 1日早く帰宅し、まっしぐらに自分の書斎に向かった長谷川先生。書斎は何十年も、認知症になってからも、毎日、自分がそこで学び、仕事をした場所だ。私の父も、最後の最後まで自分の書斎にいる時間を、何もしない、何もできない状況になっても「手放さなかった」。 私たちがそうであるように、年をとっても認知症になっても、誰もが「私」でいたい。「高齢者」とか「認知症」とか、ひとくくりにされたくない。「人」として向き合って欲しいのだ。 「君が認知症になって、初めて君の認知症研究は完結する」と長谷川先生は、先輩の医師に言われたそうだが、まさにその通りだったのである。 先の政府の指針には「尊厳を守り共生する」ことが掲げられている。……実に美しい言葉だ。 「共生」とは、スタンダードを変えること。階段の手すり、大きな文字、大きなスイッチ、見分けやすい色などのハード面に加え、私たちのマインド、つまりソフト面のスタンダードも高齢化社会に合わせることだ。 以前、日経ビジネス電子版で取り上げられていた記事「認知症対策、イオン、ヨーカ堂が育てた『大規模サポーター』の効果」のような取り組みをする企業や社会が当たり前になればいいなと心から思う。できれば「認知症サポーター」ではなく、「高齢者サポーター」にしていただきたいけど』、「「君が認知症になって、初めて君の認知症研究は完結する」と長谷川先生は、先輩の医師に言われた」、「先輩の医師」の洞察力の深さには、頭が下がるほかない。

次に、ノンフィクション作家の奥野 修司氏が2月10日付け東洋経済オンラインに掲載した「「私の家でない」改造が裏目に認知症介護の苦悩 認知症の人ための「住宅リフォーム」を考える」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/327632
・『高齢化がますます進み、近い将来、5人に1人が認知症になる時代がやってくる。家族の将来を考えてバリアフリー化などリフォームを考える人は多いが、実は間違ったリフォームはかえって症状を悪くする可能性がある。例えば、あらゆる段差をなくし、ケガをしないように「バリア」のない住居にする。一見、いいことに思えるが、自宅のバリアフリー化は元気なうちから先回りしすぎると逆効果になるという。日常的に接するバリアが身体を鍛え、健康を維持するのに役立つという側面があるからだ。またリフォームの内容やタイミングによっては、慣れ親しんだ家が自宅に思えなくなる可能性もあるという。 ノンフィクション作家の奥野修司氏は、これまで多くの認知症当事者や家族を取材することで、リアルな実情、そして問題点を見つめてきた。家族がよかれと思ってした選択が、結果的に当事者や家族を不幸にしてしまう例もある。今回は、リフォームの問題点について、最新の著書『なぜか笑顔になれる認知症介護』より抜粋して紹介する。当然のことながら個別の事情や症状によっても異なるのであくまで一例として参考にしていただきたい』、「日常的に接するバリアが身体を鍛え、健康を維持するのに役立つという側面がある」、「慣れ親しんだ家が自宅に思えなくなる可能性もある」、言われてみればその通りで、ハウスメーカーやリフォーム業者が宣伝する「バリアフリー化」の落とし穴に気づかせてくれた。
・『リフォームは当事者の目線で!  「認知症の母の将来を考えてリフォームしたのに、なぜか『家に帰りたい、家に帰りたい』とばかり言う。こんなことならリフォームなんてしなければよかった」「せっかくバリアフリーにしたのに、認知症の父は歩きにくそう。どうして?」 リフォームに関してこんな悩みを聞くことがある。間違ったリフォームのためにかえって症状を悪くする場合があるというが、どういった点に気をつければいいのだろうか。認知症当事者の平みきさんと、デイサービス「DAYS BLG!」を運営する前田隆行さんに伺ってみた。 一口にリフォームといっても、内容以前に時期も重要な要素である。例えば、(1)認知症ではない時期 (2)軽度の認知症と診断された時期 (3)症状が進行し始めた時期 などが考えられるが、(3)は冒頭で紹介した「家に帰りたい」ケースで、「ある程度早い段階でリフォームするのはいいが、認知機能が落ちてからリフォームすると、症状がさらに進みます。やるべきではない」と平さんは言う。 都会に住んでいた娘が、認知症になった母親を引き取ったら、逆に認知機能が下がってしまったというケースもある。また、親が認知症になったのでリフォームしたら、「ここは俺の家ではない」と言い張るので困っているという方もいた。リフォームなどで環境が大きく変わると、住環境の連続性が断たれてしまう。よかれと思ってしたことが、裏目に出ることもあるのだ。 考えられるのは(1)認知症ではない時期と(2)軽度の認知症と診断された時期だが、まだ元気なうちにリフォームするにはどこに気をつけたらいいのか、平さんに尋ねてみた。 「リフォームのポイントはいくつかありますが、まず玄関は車いすが入れられる広さにし、廊下も広めに取ることです。手すりは両側に取り付けたほうが楽です。トイレ、風呂、脱衣所も介助者が一緒に入れる広さがあったほうが使い勝手がいい。脱衣所は狭いとだめです。風呂場は内開きのドアより、引き戸のほうが移動は楽です。毎日使うところはできるだけ動線を広く取ること。階段はなるべく直線ではなく、曲がってもいいから傾斜を緩やかにしてください」』、「都会に住んでいた娘が、認知症になった母親を引き取ったら、逆に認知機能が下がってしまった」、田舎の人付き合いが切れてしまったのも原因かも知れない。
・『全自動トイレはNG?  もし4LDKの一軒家があったとすると、3LDKにして風呂、トイレ、廊下は広くしたほうがいいという。 「最近はトイレも全自動になっていますが、これはやめたほうがいいです。トイレっていろんな種類があるんです。トイレによっては水を流す位置も違うし、機能も違います。全自動で全部流すことが習慣になると、認知症になったときに外でトイレを使っても流さなくなることが多いんです」 実際に全自動のトイレで生活していた女性が認知症になった際に、旅館のトイレで大便をしたままお尻も拭かずに出てきたことがあった。トイレを使う手続き記憶(経験の繰り返しによって獲得された記憶)から、お尻を拭いて流すという記憶が欠落してしまったからだろう。こんな失敗が続くと、本人も家族も外出を敬遠する。日常生活の楽しみである外出がなくなると、ストレスが溜まる一方だろう。やがて爆発しないとも限らない。 平さんは、バリアフリーも考えものだという。 「完全なバリアフリーは、足を上げるという機能をなくしてしまいます。段差があるという認識がなくなり、ちょっとした段差でもつまずいてしまうんです。相当に症状が進んだ人でなければ、普段から足を上げることを認識させれば、バリアフリーにしなくても大丈夫です。不安なら、階段のところに白いテープを貼って『段差だよ』と教えてあげればいいのです。そうすれば段差とわかるし、絶対に学習します。転んだら痛いですから」 症状が軽い段階なら、段差でつまずかないように足を鍛えればいい。人に頼らない生活を望むなら、本人も努力するしかないのだ。 前田さんが運営するBLGの建物も典型的な非バリアフリーで段差だらけだ。それでも段差につまずいて倒れた利用者はいないという。 「バリアフリーにすると安全だと思うでしょう?実は転ぶんです。段差があるほうが転ばないんです。視空間認識に障害が出た人は、床板の継ぎ目の黒い線でも段差に見えることがあります。普段、家の中に段差がない生活をしていると、急に段差があらわれたら足が動かず、バランスを崩して転びます。普段から段差がある生活だと、段差が見えてもさっと跨ぐなりして体をうまく動かせるんです」 視空間認識に障害があると、暗い部分が落ち込み、明るい部分との境目が段差に見える。市松模様や縞模様がデコボコに見え、慌ててバランスを崩すことも。完全なバリアフリーより、段差に見えない工夫のほうが先決かもしれない。 前田さんは、元気なときのリフォームは別として、認知症になったら大幅なリフォームはしないほうがいいと言う。 「段差が危ないからバリアフリーにするというのは、家族の考えなんです。何十年もその家で生活してきた人には頭の中に地図があって、それに基づいて体が動くから、段差があっても体は動きます。それが前に記憶していた部屋と違うと、体がついていけないこともあるんです。 認知症の症状はその人によってさまざまです。途中で変わることもあるのに、先に先にとリフォームすると、体がついていきません。そのうえ、玄関が移動したり、部屋が変わったりしたとき、 前に記憶していた部屋と違うと認識すれば、自分の居場所じゃないと感じることもあります」』、「全自動のトイレ」は私でも途中で水が流れ、腹が立つことがあり、嫌いだ。「何十年もその家で生活してきた人には頭の中に地図があって、それに基づいて体が動くから、段差があっても体は動きます。それが前に記憶していた部屋と違うと、体がついていけないこともあるんです」、慣れとはずいぶん体に染みついているもののようだ。
・『介護用ベッドを借りる人が多いが……  認知症になって介護保険サービスが受けられると、介護用ベッドを借りるケースが多いが、これも本人の状態に応じて借りるべきだという。 「今まで畳で寝起きしていた人が介護保険を利用すると、ケアマネは介護用ベッドを勧めます。すると起き上がる力が奪われ、夜間にトイレで目が覚めたとき、逆に転んでしまうことがあります。畳で寝起きしていたのなら、何もベッドに替えなくても畳で寝起きしたらいいんです。介護用具を勧めるのは、認知症の人に利用してもらえばもらうほど、ケアマネと福祉業者が儲かるからです」 認知症と診断されたらリフォームと考えるのは、認知症に対する誤解があるからではないか。前田さんは言う。 「将来を考えて、最新型の設備を備えたい気持ちはわからなくもありませんが、本人が描くイメージに合わせて環境を変えるなら、頭も体もついていきますが、家族が勝手に先手を打ってリフォームすると、本人はついていけません。部分的なリフォームは症状が現れてから考えればいいのです」 そのときはもちろん間取りなどは変えないこと。ドアが壁と一体化して見えにくいなら、リフォームしなくても、ドアの周囲に白いテープを張っただけでドアだと認識できる。大柄の模様が入ったカーテンは誤認される可能性があって避けるべきだとされるが、誤認しない人も結構いる。 前田さんが「リフォームは、家族が先手を打ってやると必ず失敗します」というのは、家族の目線ではなく、認知症になった本人の目線で考えろということだ。これは平さんも同じ意見だろう。個別の事情や症状によっても変わってくるが、健康なときならいざ知らず、認知症と診断されてからのリフォームは、最小限にとどめたほうがいいのかもしれない』、「介護用具を勧めるのは、認知症の人に利用してもらえばもらうほど、ケアマネと福祉業者が儲かるからです」、介護保険の仕組みにもこんな落とし穴があったとは、驚かされた。

第三に、フリーライター・エディターの佐々木 恵美氏が昨年12月10日付け東洋経済オンラインに掲載した「89歳の要介護女性がヤマトの荷物運ぶ深い理由 「要介護者に活動の場を」大牟田市の挑戦」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/318162
・『11月のよく晴れた昼下がり、福岡県大牟田市の介護施設「てつお」を訪れると、ヤマト運輸のゼッケンを着てリビングで談笑する内田アケ子さん(89歳)の姿があった。 「てつお」施設管理者の浦幸寛さんが「内田さん、行きましょうか」と声をかけると、ほかの利用者やスタッフから「行ってらっしゃい」「頑張って」と励まされ、うれしそうに玄関へ。1時間ほどかけて、近所の病院や個人宅などに荷物を届けてまわる。 「メール便はポストに入れればいいけど、内田さんの顔を知ってもらうためにできるだけ手渡しするようにしています」と浦さん。 内田さんは元気に歩きながら、「次はどこかな」「あのお宅は最近行ってないね」などと浦さんに話しかける。道では多くの人から「お疲れさま」「頑張ってますね」と声をかけられ、笑顔で応じる内田さん。 「外を歩くと風景が変わって、人にも会えるから楽しいですよ。ずっと続けていきたい」と満面の笑みで語る』、こんな「高齢者」活用があるとは、初めて知って驚かされた。ただ、付き添う「施設管理者」には負担だろう。
・『ヤマト運輸のDMを高齢者が配達し手当を支給  ヤマト運輸(東京都)と大牟田市の介護施設「てつお」は業務委託契約を結び、2019年2月から施設の利用者がダイレクトメールの配達を始めた。施設に週1回通う内田さんは、長く美容師をしていたが、高次脳機能障害で認知機能が低下しており、自宅から外出して何度か行方不明になったこともある。 「内田さんはいつも笑顔で明るく外出が好きなので、配達にピッタリだと思い声をかけました」と浦さん。約20通のダイレクトメールを職員と一緒に歩いて近所に届ける。 1通当たりの単価が設定されており、月1000~2000円の手当はすべて内田さんに入る仕組みだ。 人手不足のヤマト運輸にとっては貴重な働き手で、住宅街を歩いて届けてもらうことで車事故の心配がなく環境にも優しい。 福祉事業者としては、利用者の自立支援につながり、認知症の方を地域で知ってもらう機会になる。 浦さんはこう話す。「配達がリハビリになり、内田さんのやりがいにもなっています。地域の人と顔見知りになれば、内田さんが一人で外出したときも見守ってもらえます。 内田さんに触発されたのか、ほかの利用者さんが施設にエプロンを持ってきて手伝ってくれたり、自宅で家事を始めて『家にいてもらうと助かる』と家族に喜ばれたり、要介護度が下がった人もいるんですよ。 介護されるようになっても、人の役に立つことは心身に大きな効果があるのだと思います。利用者さん一人ひとりがやりたいことを一緒に見つけていきたい」 荷物の配達だけでなく、大牟田市では要介護の高齢者が市内の企業や事業所で働くという取り組みが広がっている。業務内容は、カーディーラーでの洗車、コインランドリーの清掃、農家の手伝いなどさまざまだ』、「介護されるようになっても、人の役に立つことは心身に大きな効果がある」、その通りだろう。「大牟田市」の意欲的な取り組みは、大したものだ。他の自治体も見習ってほしい。
・『企業と介護施設連携の仕掛け人  企業と介護施設の連携を実現すべく、奮闘する人がいる。社会福祉士・介護支援専門員の猿渡進平さん(38歳)。大牟田市で生まれ育ち、患者の平均年齢86歳の白川病院で地域連携室長を務めつつ、大牟田市のよろず相談員という顔も持つ。 猿渡さんは、誰もが地域で暮らし続けられるように、さまざまな組織の設立や運営などに尽力。要介護高齢者が働くことに賛同してくれる介護事業者と企業を探すために60件以上を訪問してきた。 「前例がない」「フォローする人手が足りない」などの理由で断られても、「誰かが突破しなければ」と粘り強く探してきた。ヤマト運輸にとって介護事業者との連携は初の試みだったが、今では市内いくつかの事業者に広がっている。 ホンダカーズ大牟田北手鎌店では、デイサービスの利用者が展示車の洗車を担当する。「親の介護を経験した社長が賛同してくれて、主に車好きな高齢者が働いています。60代の男性は、妻に迷惑をかけてきたからと洗車の賃金でジャムパンを買って帰ったところ、『私がジャムパンを好きって覚えててくれたの?ありがとう』と感激されたそうです。働くことは、賃金以上の価値を生みますよね」と猿渡さん。 断られ続けても、猿渡さんが精力的に行動する原動力は何だろう。 「僕が高校生のとき、同居の祖母が認知症になり、必死に介護していた母が体調を崩して入院したため、祖母は施設に入りました。施設に行くと、高齢者がみんな何もせずボーッと過ごしていて、強い違和感があった。祖母はいつも『帰りたい』と嘆き、僕も帰ってきてほしかったけれど、自宅では介護できないので、祖母は施設で最期を迎えました。本当は自宅で生活させてあげたかった……その思いがずっと心の奥にあります」 かつて炭鉱の町として栄えた大牟田市。 1960年には約21万人が暮らしていたが、現在11万人まで減少。そのうち高齢者は5万人弱で、全世帯のうち高齢者のいる世帯が54.1%、高齢者の一人暮らし世帯が25.8%に上る。 「高齢化が進む日本の20年先の姿」とされる大牟田市は、認知症に関する取り組みにいち早く着手。 2002年に市を事務局とする官民共同の「認知症ケアコミュニティ推進事業」を始め、「地域全体で認知症の理解を深め、認知症になっても誰もが安心して暮らし続けられるまちをつくろう」と多様な活動を進めてきた』、「大牟田市」の活動には、推進した「猿渡さん」というスーパーマンに支えられた部分が大きそうだ。「原動力」は、高校生時代の「同居の祖母が認知症」とはさすがだ。
・『高齢者が増える日本がどんな社会であってほしいのか  2004年から毎年続けている「認知症SOSネットワーク模擬訓練」は認知症の人が行方不明になったという設定のもと、住民と行政、警察などが連携して探し保護する訓練で、近年は3000人以上が参加している。もともと「徘徊SOS~」だった名称を変更したのは「本人にとっては徘徊ではなく、目的があって出かけているから」という。 模擬訓練は小学校区ごとに行われ、校区の実情や課題に応じた取り組みへと発展。白川校区ではNPO法人「しらかわの会」を設立し、買い物運送バスやサロンの運営、外国人への日本語教室、障害児の登下校支援など、誰でも安心して住めるまちづくりを進めている。 人は誰しもいつか高齢者になり、自身や家族が認知症になるかもしれない。認知症は決してひとごとではないのだ。そんなとき、どんな社会であってほしいのか。大牟田市は理想のモデルを模索し挑戦を続けている』、「猿渡さん」に支えられているとはいえ、「大牟田市」の取り組みを今後も注目したい。
タグ:介護 東洋経済オンライン 日経ビジネスオンライン 原動力 長谷川式認知症スケール 河合 薫 サービス付き高齢者向け住宅 長谷川和夫先生 (その4)(複雑化する「老老介護」と90歳認知症医師の孤独、「私の家でない」改造が裏目に認知症介護の苦悩 認知症の人ための「住宅リフォーム」を考える、89歳の要介護女性がヤマトの荷物運ぶ深い理由 「要介護者に活動の場を」大牟田市の挑戦) 「複雑化する「老老介護」と90歳認知症医師の孤独」 88歳の母親が寝たきり状態の70歳の娘を刃物で刺し、無理心中を図った。パーキンソン病の娘を母親が介護する「逆・老老介護」 超高齢化社会が進み複雑化する介護問題 同居の主な介護者が80歳以上というケースは、2001年の6%から20016年は16%に増加 認知機能低下は老いれば普通のこと そもそも「認知症=病気」ではない 認知症とは、「物忘れや認知機能の低下が起こり、日常生活に支障をきたしている状態」 認知機能の低下にも多種多様の原因 その原因はすべて数えると70種類以上 原因が特定できない場合もある さらに障害の種類や重さ、症状は個人差があり千差万別だ 「老い」に絶対的な予防法はない 認知症は生活習慣病のように生活習慣を改めれば改善できるものでもなければ、ましてや、科学的根拠のある治療法や予防法が確立されているものでもない 予防すれば認知症にならない」というイメージを助長するような取り組みは、高齢者を逆に追い詰める 老いの表れ方は一様ではない 「認知症にならないのは1割しかいない。超エリートなんだよ」 NHKがドキュメンタリー 生活環境の変化に起因する「認知症」は、時間の経過や、また、笑いや喜びのある生活によって、おしゃべりできる友人ができたり、一緒に楽しめるコミュニティができたりすると、治る。そう、治る場合がある 「老い」は一人ひとり違う グループホームで長谷川先生は「孤独」だった 「君が認知症になって、初めて君の認知症研究は完結する」と長谷川先生は、先輩の医師に言われた 奥野 修司 「「私の家でない」改造が裏目に認知症介護の苦悩 認知症の人ための「住宅リフォーム」を考える」 間違ったリフォームはかえって症状を悪くする可能性 自宅のバリアフリー化は元気なうちから先回りしすぎると逆効果に 日常的に接するバリアが身体を鍛え、健康を維持するのに役立つという側面があるからだ 慣れ親しんだ家が自宅に思えなくなる可能性もある なぜか笑顔になれる認知症介護』 リフォームは当事者の目線で! 認知症ではない時期 軽度の認知症と診断された時期 症状が進行し始めた時期 よかれと思ってしたことが、裏目に出ることもあるのだ 都会に住んでいた娘が、認知症になった母親を引き取ったら、逆に認知機能が下がってしまった 全自動トイレはNG? 介護用ベッドを借りる人が多いが…… 介護用具を勧めるのは、認知症の人に利用してもらえばもらうほど、ケアマネと福祉業者が儲かるからです 佐々木 恵美 「89歳の要介護女性がヤマトの荷物運ぶ深い理由 「要介護者に活動の場を」大牟田市の挑戦」 ヤマト運輸のDMを高齢者が配達し手当を支給 ヤマト運輸(東京都)と大牟田市の介護施設「てつお」は業務委託契約 施設の利用者がダイレクトメールの配達 職員と一緒に歩いて近所に届ける 月1000~2000円の手当 介護されるようになっても、人の役に立つことは心身に大きな効果がある 大牟田市では要介護の高齢者が市内の企業や事業所で働くという取り組みが広がっている。業務内容は、カーディーラーでの洗車、コインランドリーの清掃、農家の手伝いなどさまざまだ 企業と介護施設連携の仕掛け人 社会福祉士・介護支援専門員の猿渡進平さん 要介護高齢者が働くことに賛同してくれる介護事業者と企業を探すために60件以上を訪問 僕が高校生のとき、同居の祖母が認知症になり、必死に介護していた母が体調を崩して入院したため、祖母は施設に入りました。施設に行くと、高齢者がみんな何もせずボーッと過ごしていて、強い違和感があった 「認知症ケアコミュニティ推進事業」 高齢者が増える日本がどんな社会であってほしいのか 大牟田市は理想のモデルを模索し挑戦を続けている
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薬物(その2)(芸能人の逮捕、続々…ゼロからわかる「薬物依存症」超入門、芸能人「10年以上前から薬物」報道…一体どれくらいの依存度なのか ゼロからわかる「薬物依存症」(後編)、合法的な薬物依存「デパス」の何とも複雑な事情 ズルズルと飲み続ける患者を生んでしまった、「魔法のような薬」デパスの減薬に立ち塞がる壁 一筋縄ではいかない常用量依存に苦しむ患者) [社会]

薬物については、昨年3月19日に取上げた。今日は、(その2)(芸能人の逮捕、続々…ゼロからわかる「薬物依存症」超入門、芸能人「10年以上前から薬物」報道…一体どれくらいの依存度なのか ゼロからわかる「薬物依存症」(後編)、合法的な薬物依存「デパス」の何とも複雑な事情 ズルズルと飲み続ける患者を生んでしまった、「魔法のような薬」デパスの減薬に立ち塞がる壁 一筋縄ではいかない常用量依存に苦しむ患者)である。

まずは、筑波大学教授の原田 隆之氏が昨年12月1日付け現代ビジネスに掲載した「芸能人の逮捕、続々…ゼロからわかる「薬物依存症」超入門 違法薬物とは何か、なぜ依存するのか」を紹介しよう。なお、脚注は省略した。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68820
・『薬物問題とわれわれの社会  このところ、次々と芸能人の薬物問題が起き、世間は大騒ぎとなっている。しかし、一昔前の「ダメ絶対!」一辺倒だった頃と違って、最近では「治療も大事」「バッシングして排除するのは良くない」などという論調も目立つようになってきた。 大前提として、違法薬物使用は法律違反であり、犯罪である。しかし、依存性薬物の恐ろしいところは、厳罰を与えればそれに懲りてやめられるという単純なものではないということだ。 また、薬物使用者を排除し、孤立させてしまうことは、問題をさらに深めるだけで、解決にはならない。これらは、単に人道的な見地からのみ述べているのではなく、科学的エビデンスに基づいた事実である。 したがって、単なる末端の使用者に対しては、できるだけ治療や福祉などのヒューマンサービスを優先し、警察や麻薬取締当局は、薬物の密輸や密売を行っている者の摘発に力を傾けることが、世界的な潮流であり、薬物に関する社会的コストを最低限に抑えることができる方法である。 その一方で、われわれは社会とわれわれ自身を守るために、薬物問題について正しい知識を持っておくことが大事である。 「自分には関係ないから」と思い込み、あやふやな知識しか持っていないと、「大麻には害がない」「MDMAくらいなら大丈夫」などという誘惑に惑わされてしまったり、逆にいたずらに害や不安を煽って薬物使用者をバッシングしたり、医療目的などの適切な使用さえ手控えてしまうことにつながりかねない』、一般的なマスコミ情報では、断片的な知識だけなので、体系的に整理してくれるとは有り難い。
・『違法薬物とは  現在、さまざまな薬物が条約や法律で規制されている。一時「危険ドラッグ」のブームがあったように、その種類は増えるばかりである。違法薬物のなかには、かつては合法的に使用されていたものもあるし、合法な薬物でも違法薬物に優るとも劣らない害があるものもある。 どの薬物が違法で合法化を決めるのは、もちろん法律である。そしてその法律の根拠となるのが薬物に関する2つの国際条約であり、いずれも国連条約である。 1つは、「麻薬に関する単一条約」である。これは、それまで乱立していた薬物に関する条約を一本化したもので、主に植物由来の「伝統的な」薬物を規制するものである。ケシの樹液から作られるアヘン、それを精製したり化学的に合成したモルヒネやヘロイン、麻の一種である大麻(葉や蕾を乾燥させたものはマリファナ、樹脂はハシシと呼ばれる)、南米アンデス地方にしか生えないコカという木からつくられるコカインなどが代表的なものである。 もう1つは、「向精神薬に関する条約」で、これは化学的に合成された比較的新しい薬物を規制するものであり、覚せい剤、LSD、MDMAなどが含まれる。覚せい剤には、主にアンフェタミンとメタンフェタミンがあり、後者は日本人薬学者が世界で初めて合成したものである。 世界で最も多く乱用されている薬物は大麻であるが、それは世界中に自生しているし、栽培が容易であるから、入手しやすいことが大きな原因である。国連の報告を見ると、世界で約1億9千万人が乱用しているとされている。 2番目に乱用が多いのは、かつてはヘロインであったが、近年覚せい剤が2番目となっている。乱用人口は3,400万人と推計されている。これは、やはり比較的入手しやすい化学物質から容易に密造できるという理由が大きい。 90年代以前は、ほぼ日本でしか乱用されていなかったものが、アジア、オセアニア、西ヨーロッパ、アメリカなどに一気に乱用が広がってしまった』、「植物由来の「伝統的な」薬物を規制する」「麻薬に関する単一条約」と、「化学的に合成された比較的新しい薬物を規制する」「向精神薬に関する条約」の2つがあるとは初めて知った。
・『薬物の作用  これらの薬物は、その作用の違いによって大きく2つに分けることができる。1つは中枢抑制作用であり、もう1つは刺激作用である。俗に「ダウナー」「アッパー」などと呼ぶこともあるが、脳や神経系の働きを抑制するのが「ダウナー」であり、刺激するのが「アッパー」である。 抑制系の薬物を摂取すると、覚醒レベルが下がり、陶酔感を抱き、最後は眠りに落ちる。代表的なものが、ヘロインや大麻である。違法薬物ではないが、アルコールにも抑制作用がある。 刺激系の薬物は、覚醒作用を有し、気持ちがシャッキリとし、ハイな気分になる。文字通り覚せい剤はこのような作用を有する。コカインや少量のアルコール、タバコ(ニコチン)、カフェインも中枢刺激剤である。 また、幻覚作用が前面に出やすい薬物もあり、LSD、大麻、MDMAなどが含まれる。 これらの薬物に共通するのは、快感や多幸感をもたらし、依存性があるということである。薬物の摂取によって、ドーパミンという神経伝達物質が多量に分泌され、それが快感を生みだす。それが作用する脳の部位は、大脳辺縁系という「古い脳」にある側坐核を中心とした「報酬系」と呼ばれる神経回路である。 ドーパミンは、薬物を摂取したときだけでなく、われわれが快感を抱いたときは、必ず分泌されている。逆に言うと、ドーパミンが分泌されたから、われわれは主観的体験として快感を抱くのである。たとえば、うれしいことや楽しいことがあったとき、食事、スポーツ、セックスなどの際には、ドーパミンが分泌されている。 しかし、違法薬物、たとえば覚せい剤を摂取したときは、これら自然なドーパミン分泌量と比べると、何十倍から百倍近い量が一気に分泌される。したがって、強烈な快感を抱くが、その後ドーパミンが枯渇してしまうため、大きな不安、抑うつ、焦燥感、イライラ、疲労感などに苛まれることがある。いわゆる禁断症状(離脱症状)である。 このような快と不快の繰り返しによって、脳は不快を避け、快を求めるようになり、薬物使用が反復され、依存症が進行していく。 さらに、同じ薬物を使っても、依存症になりやすい人となりにくい人がいる。たとえば、ちょっとしたことで落ち込んだり不安になったり、ストレスを感じたりしやすい人は、アルコールや薬物の力を借りてそうした不快感情を紛らわせようとしやすい。 さらに、そうした状況にあって、対処スキル(たとえば、友達に相談する、体を動かす、趣味の活動をする)が欠乏している人も、薬物の力にすがろうとして、依存症になりやすいと言われている。遺伝的な基盤があるという知見も報告されている。(つづく)』、「脳や神経系の働きを抑制するのが「ダウナー」であり、刺激するのが「アッパー」である」、「違法薬物、たとえば覚せい剤を摂取したときは、これら自然なドーパミン分泌量と比べると、何十倍から百倍近い量が一気に分泌される。したがって、強烈な快感を抱くが、その後ドーパミンが枯渇してしまうため、大きな不安、抑うつ、焦燥感、イライラ、疲労感などに苛まれることがある。いわゆる禁断症状(離脱症状)である」、「違法薬物」の恐ろしさが幾分、理解できた気がする。

次に、この続き、12月2日付け現代ビジネス「芸能人「10年以上前から薬物」報道…一体どれくらいの依存度なのか ゼロからわかる「薬物依存症」(後編)」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68825
・・・『依存症の診断  一般に、強い依存性のある物質を、大量に長い期間使用していればいるほど、依存症は重症になると考えられるし、多種多様の薬物を乱用しているほど、心身への害は大きくなる。 実際、芸能人の薬物報道などでは、「10年以上もの期間、大麻、コカイン、MDMAなどを用いていたから、依存症が深刻だ」などと報道されることもあるし、裁判でもそのように判定されることがある。 とはいえ、事はそう単純ではない。人によって依存症になりやすい脆弱性は異なるし、長い期間乱用していたといっても、使用の方法(注射か、吸引かなど)や頻度によっても違ってくる。 したがって、依存症の程度を正確に判定するには、国際的な診断基準に則って専門医が正しく診断する必要がある。 診断基準には、使用頻度や量の増加、耐性の存在(昔の量では効果がなくなり量が増えること)、渇望や離脱症状があること、やめようとする努力が失敗に終わっていること、社会生活や職業生活に害が出ていること、そしてそれでもやめられないことなどが含まれている。 さらに、重症度の判定には、科学的に妥当性が検証されたツールを用いることが必要である。世界中で最も広く用いられているのが、嗜癖重症度指標(Addiction Severity Index: ASI)という包括的質問紙である。 しかし、これは項目数が多く、網羅的かつ専門的なので、より簡便な質問紙もいくつか開発されている。こうした専門的なツールで、使用薬物の種類、量や頻度、使用方法、社会的な機能の障害などを判定する必要がある』、なるほど。
・『薬物の依存性と害の大きさ  薬物の依存性の強さや害の大きさを比較することは難しい。それは、これらの薬物はみな作用も性質も違うからである。しかし、研究者はさまざまな方法を工夫して、それらを比較しようとしている。 たとえば、イギリスのナットらは、合法・違法含めて20種類の薬物の依存性の強度と害の大きさを数値化している。これは世界で最も権威がある医学雑誌ランセットに発表された論文である。 図-1は、縦軸に依存性の強度、横軸に害の大きさを表したものである。どちらも最も大きいのがヘロインであり、ヘロインは最悪の薬物であると言える。依存性がきわめて強いうえ、致死量が小さいので、欧米では過剰摂取による死亡が絶えない。 ヘロインの依存性は、最大の3.00である。それに次ぐのがコカインの2.39、そして第3位はタバコの2.21である。アルコールは1.91、覚せい剤は1.67である。タバコやアルコールの依存性が、他の違法薬物に引けをとらないどころか、大きく凌いでいることに驚かされる。 害については、同じくナットを中心とする研究者のグループが、より細かく分析している(図-2)。これもランセットに発表されたものであるが、自分に対する害と社会に対する害を分けて数値化したものである。 20種類の代表的な薬物のうち、最も害が大きいのは、何とアルコールであり、数値は72ポイントとなっている。これは、アルコールが合法であり、入手しやすいこと、広く用いられていることが大きく影響している。 2番目以下は、ヘロイン(55ポイント)、クラックコカイン(54ポイント)、メタンフェタミン(覚せい剤)(54ポイント)、コカイン(27ポイント)、タバコ(26ポイント)、アンフェタミン(覚せい剤)(23ポイント)、大麻(20ポイント)と続く。 大麻は害がないなどという根拠のない噂が広がっているが、20種類の薬物のなかで、8番目に害が大きいし、使用頻度や期間などによっては一層害が大きくなる。 ナットは、論文のなかで、「スコアが小さいからといって、それは害が小さいという意味ではない。これらのドラッグは、状況によってはすべて害のあるものだ」と警告している。 害の種類を細かく分けてみると、アルコールは、外傷、犯罪、家族への害、経済的損失が大きく抜きんでている。一方、致死性の害が最も大きいのがヘロインとタバコである。たとえば、わが国のタバコ関連死は、年間20万人と見積もられている。 覚せい剤は、精神的な害が大きく、幻覚妄想状態などを引き起こしやすく、これは覚せい剤精神病と呼ばれる。また、大麻はどの種類の害も平均的に大きい(死亡、精神異常、犯罪、家族、経済的損失など)』、「タバコやアルコールの依存性が、他の違法薬物に引けをとらないどころか、大きく凌いでいる」、「20種類の代表的な薬物のうち、最も害が大きいのは、何とアルコール」、「致死性の害が最も大きいのがヘロインとタバコ」、とはショッキングだ。
・『有効な薬物依存対策  このように、依存性のある薬物は、合法、違法問わず、使用者本人と社会に大きな害をもたらすものである。アルコールとタバコは合法であるが、これは歴史上早くから使用されていた薬物であり、近代社会になる前にすでに広く蔓延していたからにすぎない。合法か違法かの線引きに、科学的で合理的な根拠があるわけではない。 したがって、これ以上他の薬物を合法化することは、賢明な選択ではないし、本人や社会への害を減らすためには、現在合法であるものも含めて、できる限り使用を減らしていくべきである。 ナットは、結論として「公衆衛生の問題として対処すること」の重要性を強調している。つまり、繰り返しになるが、使用者への処罰や社会的排除では解決とはならず、予防、治療、教育などのヒューマンサービスこそが有効な対処だということだ。 有名人が逮捕されるたびに、その個人をいくらバッシングしても、懲らしめても、何の問題の解決にならないのは明らかである。われわれ社会全体の問題として、科学的エビデンスに基づいた医療や公衆衛生の力を総動員し、効果のある対策を取る必要がある』、説得力に溢れた主張で、その通りだろう。「アルコールとタバコは合法であるが、これは歴史上早くから使用されていた薬物であり、近代社会になる前にすでに広く蔓延していたからにすぎない。合法か違法かの線引きに、科学的で合理的な根拠があるわけではない」、なるほどと納得した。

第三に、メディカルジャーナリズム勉強会が11月29日付け東洋経済オンラインに掲載した「合法的な薬物依存「デパス」の何とも複雑な事情 ズルズルと飲み続ける患者を生んでしまった」を紹介しよう(訂正についての記述は省略)。
https://toyokeizai.net/articles/-/316514
・『「合法薬依存」と聞いたときに、どんな状況をイメージするだろうか?一時期大きな話題となった、いわゆる「脱法ドラッグ」のことではない。医療機関やドラッグストアで普通に手に入る、完全に合法な医薬品――それによって、薬物依存に陥り、生活に大きな問題を抱えてしまう。そんなケースが少なくないのだ。 メディア関係者と医療者の有志で構成するメディカルジャーナリズム勉強会がスローニュース社の支援のもとに立ち上げた「調査報道チーム」が、全5回にわたる連載でこの合法薬依存の深い闇に斬り込む。 タレントの田代まさしの覚せい剤取締法違反、同じく沢尻エリカの合成麻薬MDMA所持による麻薬及び向精神薬取締法違反など芸能人の違法薬物問題が昨今、世間をにぎわせている。とりわけ田代まさしの覚せい剤取締法違反による逮捕は4度目で違法薬物からの離脱の難しさがクローズアップされている。 もっとも薬物依存と呼ばれるものの中で、覚せい剤、大麻、コカイン、ヘロインなどに代表される違法薬物は、田代まさしのようなケースはあるにしても比較的使用者が離脱しやすいとの指摘も少なくない。こうした違法薬物は使用そのものだけではなく、製造、所持、輸出入、譲渡、譲受のすべてが違法であるため、この一連の流通ルートがつねに取り締まりで脆弱化される恐れが高いからだ。 ここで厚生労働省の厚生労働科学研究費補助金による「全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査(研究分担者:松本俊彦・国立精神神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部部長)」という研究報告書を例示する。これは全国の入院機能を持つ精神科の医療施設を対象に薬物を乱用して急性中毒や依存、精神障害などの治療を受けた患者の実態をまとめたものである。 1987年から隔年で行われてきた同調査の最新版である2018年版は246施設から2609例の実態を集計したものだ。この薬物関連の精神疾患の原因となった薬物をグラフにまとめると下図のようになる』、「合法薬依存」とは初耳だが、何故、発生してしまうのだろう。
・『「逮捕されない薬物乱用」が4分の1  やはり最も多いのは過半数を占める覚せい剤だ。そして2番手は「睡眠薬・抗不安薬」である。これは医療機関で処方されている医療用医薬品で基本的には合法のもの。3番手がいわばシンナーなどの「揮発性溶剤」、4番手が風邪薬や頭痛薬などの「市販薬」となる。 概説すれば、この報告において医療機関での処方や市販薬など非合法でない薬物は約4分の1を占める。この報告にカウントされた睡眠薬・抗不安薬、市販薬などは定められた用法・用量を超える量を服用する「乱用」により関連精神疾患となった状態を指す。違法薬物の場合は入手、所持自体が摘発されるが、これら合法薬物は「逮捕されない薬物乱用」ともいえる。 この「睡眠薬・抗不安薬」にはどんな薬が含まれているのか?報告書では内訳が明らかにされている(下表)。 不眠や精神疾患によって医療機関で薬を処方された経験がある人ならば名前を聞いたことがある薬もあるだろう。この中では精神安定薬の成分名(一般名)で「エチゾラム」という薬の乱用が多いことが目立つ。この「エチゾラム」の乱用は報告書に集計された全症例の9.3%。実に乱用で問題がある人の約10人に1人はこの薬が原因なのだ。 しかし、そもそも医師の適切な診察のもと処方されているはずの薬で、なぜ依存や乱用が引き起こされているのか?この問いに対する答えを探すのは、実は非常に難しい。患者、医師、そして製薬企業それぞれの事情などが複雑に絡み合っているからだ。 今回、わたしたちはスローニュース社の支援のもと、この「合法的に処方・販売されている薬」によって依存症が引き起こされる背景を探った。国が公開しているデータや依存・乱用の実態を示す報告書を調べ、そして患者・医師・薬剤師などさまざまなステークホルダーたちから証言を得た。 見えてきたのは、医療現場において、依存のリスクを軽視した「気軽な」処方が行われたケースがあること。そしてひとたび依存症となった当事者に対しては「違法ではない」がゆえに支援の手が差し伸べられにくい、という皮肉な事態が起きていることも見えてきた。 「薬物はダメ、ゼッタイ」という単純なロジックでは捉えきれない複雑な事情。その闇の中を丁寧にのぞき込むことで、『合法薬物依存』が起きる背景に光を当ててみたい』、「闇の中を丁寧にのぞき込む」とは興味深そうだ。
・『発売から35年、成分名は「エチゾラム」  エチゾラムは1984年3月の当時の吉富製薬(現・田辺三菱製薬)が「デパス」という商品名で発売した歴史のある薬だ。医薬品の場合は、発売された新薬が一定期間を経ると特許が切れ、これと同一成分でより安価な薬、いわゆるジェネリック医薬品が発売されることはよく知られている。発売から35年を経たデパスもすでに1990年代前半からジェネリック医薬品が登場し、現在10社を超える製薬企業がジェネリック医薬品を発売している。 ちなみに本来複数の製薬企業から同一成分の薬が発売されている際の表記では、成分名のエチゾラムを使うのが一般的である。しかし、服用患者も含め世間一般では簡単に覚えやすい「デパス」でその名が広く知られていることが多い薬である。このため以後はエチゾラムではなく「デパス(エチゾラム)」と表記することをあらかじめお断りしておく。 デパス(エチゾラム)は薬学的にはベンゾジアゼピン受容体作動薬と称されるグループに属する。国内で厚生労働省が承認しているベンゾジアゼピン受容体作動薬はデパス(エチゾラム)を含め実に30種類を超える。 このベンゾジアゼピン受容体作動薬は、ヒトの神経細胞の間で情報伝達を行う神経伝達物質で興奮状態を抑えるγ-アミノ酪酸、通称GABA(ギャバ)の働きを強めることで、神経を鎮静化し、不安や緊張を取り除くという作用を示す薬だ。また、この作用の一環としてベンゾジアゼピン受容体作動薬では、脳内を鎮静化させて眠りを導く「催眠作用」、筋肉の緊張をほぐす「筋弛緩作用」、けいれんを抑える「抗けいれん作用」などがある。 現在、デパス(エチゾラム)が保険診療で認められている適応は次のとおりだ。 +神経症における不安・緊張・抑うつ・神経衰弱症状・睡眠障害 +うつ病における不安・緊張・睡眠障害 +心身症(高血圧症, 胃・十二指腸潰瘍)における身体症候ならびに不安・緊張・抑うつ・睡眠障害 +統合失調症における睡眠障害 +頸椎症、腰痛症、筋収縮性頭痛での不安・緊張・抑うつ) ざっと見ればわかるとおり、不安、緊張、抑うつ、睡眠障害がキーワードになるが、ベンゾジアゼピン受容体作動薬の中でもデパス(エチゾラム)は筋弛緩作用が比較的強いと言われるためか、保険適応にもあるとおり頸椎症、腰痛症、筋収縮性頭痛などにも効果があるとされる。処方される診療科としては、精神科、神経内科、心療内科にとどまらず、整形外科、脳神経外科でも比較的よく使われる。 また、デパス(エチゾラム)のように睡眠障害に保険適応を持つ薬は、精神科系診療科だけでなく、市中の一般内科でもよく処方される。これは不眠を感じる患者はまずそれだけで精神科などを受診しない傾向が強く、さらには糖尿病、高血圧などの生活習慣病などの診療を受けている患者が「最近よく眠れない」などと訴える時などに処方されがちだからだ。 このため睡眠障害に使われる薬は、業界関係者の間では主な病気で受診中についでに訴えると処方されることを揶揄して「ついでの薬」と呼ばれることがある。 ところでなぜデパス(エチゾラム)での乱用・依存がとりわけ目立つのか?それについてはいくつかの理由が考えられる』、「デパス」がずいぶん広範な症状に処方されているのには、驚かされる。余程よく「効く」薬なのだろう。
・『服用後の効果出現が早く明確だが時間は短い  一般に乱用・依存を来しやすい薬物は、服用後の効果出現が早く明確で、かつ効果持続時間が短いという特徴があると言われる。この種の薬は服用者にとって効果が感じられやすい分、効果切れも実感できてしまう。だから再び薬に手を伸ばす。次第に服用者は薬に依存し、それが極端になると規定の用法・用量を超えた乱用に至ってしまう。 下表は国内で発売されている主なベンゾジアゼピン受容体作動薬の作用時間の長短を示したものだ。デパス(エチゾラム)はまさに作用時間が短い短時間作用型と分類される。ちなみに前述の内訳表で示した乱用原因となっている睡眠薬・抗不安薬の中で、ハルシオンは超短時間作用型、マイスリーはデパス(エチゾラム)と同じく短時間作用型である。 ちなみにデパス(エチゾラム)に次いで乱用が多いサイレースは中間作用型で、効果持続時間が長い点ではやや異なるが、効果が強いことで知られ、また違法薬物であるヘロインやコカインと併用することでいわば「トリップ」作用を強めるという使用や、覚せい剤の使用でハイになってしまい眠れなくなったときの不眠解消などを目的に乱用されることが従来から国内外で知られている。 それでも同じ作用時間が短いハルシオンやマイスリーに比べ、デパス(エチゾラム)の乱用が突出して目立つ理由を簡単に言うならば、服用している患者が多いからである。 こうした抗不安薬など合法的な薬での乱用は、「治療で服用⇒常用量依存⇒乱用」というルートをたどる。ちなみに常用量依存とはおおむね定められた用法・用量の範囲で使用している中で、薬が必要な症状がもはやないにもかかわらず、薬を止めることができないケースである。 前述の流れに沿うならば、同程度の依存性を持つ薬ならば、乱用の分母ともいえる治療で服用している人の数が多ければ多いほど、最終的な乱用患者も多くなる可能性が高い。 この点で考えるとハルシオンは保険適応が不眠と麻酔前投薬、マイスリーは不眠のみであり、前述のように5種類の適応を持ち幅広い診療科で使われるデパス(エチゾラム)は必然的に処方される患者数が多くなる。 加えて法的規制の問題もあった。国内では麻薬や向精神薬の乱用防止、中毒者への必要な医療提供、生産や流通の規制を目的に「麻薬及び向精神薬取締法」という法律がある。 同法では合法的な精神疾患の薬なども別途政令で具体的な薬剤名を挙げて指定し、この指定を受けた薬は厚生労働大臣あるいは都道府県知事から免許を受けた者しか取り扱いできず、厳格な保管や在庫記録の管理などが求められ、医療機関同士や保険薬局同士でも一部を除き譲渡・譲受はできない。ある薬が同法に基づく政令での指定を受けていることについては医療現場でいくつかの意味をもつ。 まず、指定を受けた薬剤は処方日数の上限が定められる。これは効果や副作用などの安全性の確認や患者が正しく使えているかなどを定期的にチェックすることが必要になるからだ。一般に向精神薬の指定を受けたものの多くは処方日数上限が30日となる。これにより患者の乱用へのハードルは高くなる。 また、この指定を受けることは医師に対する「警告」的な効果も大きいとされる。指定を受けると、とくに精神科などの専門医以外の医師にとっては「注意が必要な薬だ」というイメージが定着し、専門医以外は処方を躊躇しやすい、つまり安易な処方は防げる可能性が高まるというものだ。 デパス(エチゾラム)も2016年9月に指定を受けている。しかし、その指定は発売から実に30年以上と、医療従事者の間でもいぶかしげに思う人が少なくないほど、発売から指定までの期間が空いている。 つまるところ依存を生みやすい薬剤特性がありながら、幅広い診療科で処方され、服用者の裾野が広く、なおかつ法的な規制が緩かったというのがデパス(エチゾラム)が乱用されやすい原因と考えられる』、「抗不安薬など合法的な薬での乱用は、「治療で服用⇒常用量依存⇒乱用」というルートをたどる」、大いにありそうなことだ。にも拘わらず、「デパス」の「向精神薬の指定」が、「発売から実に30年以上」、その遅さには確かに首を傾げざるを得ない。
・『高齢になればなるほど処方量は増加  このデパス(エチゾラム)の国内での処方実態の一端をうかがわせるデータがある。厚生労働省は、医療機関が保険診療に際して市町村や健康保険組合に対して患者負担分以外の医療費の支払いを求める明細書(通称・レセプト)の集計結果を2015年分からNDB(ナショナル・データベース)オープンデータという名称で公開している。 NDBオープンデータでは医療に関わる各種技術料や薬剤を項目別に全国集計し、都道府県、年齢階層別でデータが公開されている。 このデータからデパス(エチゾラム)の処方量を人口統計の各年齢層の人口で割り算し、1000人当たりの平均処方量をまとめたものが下図になる。一見するとわかるが、高齢になればなるほど処方量は増加し、最も多いのは80代である。 繰り返しになるが精神神経系の薬の乱用の場合、そこに至るルートは、「治療のための服用⇒常用量依存⇒乱用」のことが多い。となればデパス(エチゾラム)の乱用も高齢者が多くてしかるべきだ。前述の全国調査では各原因薬物内での年齢データは存在しない。しかし、全国調査で報告された全症例における年齢階層別で70代以上は3.3%しかいない。 どういうことか?実はデパス(エチゾラム)をはじめとするベンゾジアゼピン受容体作動薬では、前述の全国実態調査には出てこないまさに一歩手前の「常用量依存」の患者が多いのではないかという指摘は医療従事者の中ではかなり多い。 前述の全国調査の研究分担者でもある精神科医で国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部部長の松本俊彦氏は、次のように語る。 「まず断っておくと、継続服用患者=常用量依存者ではありません。問題は、長期服用者のデータはあっても、常用量依存の実態に関するデータは存在しない、ということです。常用量依存の定義は、治療すべき症状が改善してもその治療薬をやめることができない状態。だから常用量依存を確認するためには、とにかく一定期間、薬をやめても、それで症状がぶり返さないことを確認しなければなりません。 ところが実際の臨床現場でそれができないし、患者さんたちも嫌がります。だからずるずる飲み続けて、常用量依存かもしれないし、不眠とかあるいは治療を要する水準の不安が持続しているのかの区別がつかないのです。これでは、常用量依存の実態はわかりません」 では「常用量依存は薬物依存症なのか」?松本氏の考えは違うという。 「いろいろ論議はありますが、私の答えは『薬物依存症ではない』というものです。精神科医が依存症と判断する際に重視するのは、身体依存(身体が薬に慣れてしまい、急な中断で離脱症状が出現する状態)ではなく、精神依存(渇望、なりふり構わない薬物探索行動)の存在です。 本来の自分の価値観をかなぐり捨ててでもその薬を欲しくなり、正直者で有名だった人が『薬なくしちゃいました。もう1回処方して下さい』とうそを言う、並行して複数の医療機関からお薬をもらってくる、医者にすごくごねたり恫喝したりとかして処方を要求したりとかする人たち、あるいは、大切な家族を裏切り、仕事を犠牲にしても薬物を使い続ける人たち、それが私たちが日々、依存症専門外来で診ているベンゾジアゼピン受容体作動薬の依存症なんです。 常用量依存の人には、身体依存はありますが、精神依存はありません。医者から言われたとおりきちんと病院に行って薬を飲んでいるものの、本人は薬をやめたいと思っている。でも、いざやめようとするとやめられない。その理由が、病気の症状がまだ改善していないからなのか、身体依存が生じてしまっているのかがわからない。だから、本当にその人が常用量依存に陥っているのかどうかがわからないのです。 しかし、誤解しないでいただきたいのですが、私は、常用量依存は薬物依存症ではないから大した問題ではないなどとは考えていません。やはり漫然と飲んでいて高齢になると、若いときには出なかった副作用が急に出てくるものなのです。ですから、とくにデパスのような即効性のあるベンゾジアゼピン受容体作動薬を漫然と処方し続けることは、到底推奨できるものではありません」』、「デパスのような即効性のあるベンゾジアゼピン受容体作動薬を漫然と処方し続ける」、こうした医師の無責任さは大いに問題だ。
・『事故につながりかねない副作用はある  デパス(エチゾラム)の場合、発生頻度はいずれも5%にも満たないが、主な副作用として眠気、ふらつき、倦怠感、脱力感などが報告されている。これらはいずれもぱっと見はそれほど重大なものには思えないかもしれない。 しかし、もし眠気が自動車の運転中や大きな作業中に起これば、人の命が失われる重大な事故につながる可能性もある。また、高齢者ではふらつき、倦怠感、脱力感は転倒による骨折などにもつながる。高齢者の場合、転倒による骨折はその後の寝たきりやその結果に伴う認知症の進行や日常活動の低下などに行き着くこともある。 実際、高齢者医療の専門医が集まる日本老年医学会では、薬による副作用が出やすい高齢者での治療の際に注意すべきことなどをまとめた医師向けの「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」を作成し、この中で副作用の危険性から75歳以上の高齢者や75歳未満でもフレイルと呼ばれる身体が虚弱な状態、あるいは要介護状態の人に対して「特に慎重な投与を要する薬物リスト」を公表している。この中にはデパス(エチゾラム)をはじめとするベンゾジアゼピン受容体作動薬すべてが含まれている。 乱用にまで至らなくとも、事故などにつながる可能性をもつ常用量依存。しかしその実態は把握されず、もしふらつきによる転倒が起きたとしても、それが薬のせいなのかそうでないのかは見分けがつきにくい。それを許容すべきなのかは議論の余地が残ると言えるだろう』、「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」は、「高齢者医療の専門医が集まる日本老年医学会」が作成したのはいいが、「デパス」を使う他の科目の医師にも周知徹底するべく、もっと広い学会でも取上げるべきだろう。

第三に、この続きである本年1月17日付け東洋経済オンライン「「魔法のような薬」デパスの減薬に立ち塞がる壁 一筋縄ではいかない常用量依存に苦しむ患者」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/324565
・『メディア関係者と医療者の有志で構成するメディカルジャーナリズム勉強会がスローニュース社の支援のもとに立ち上げた「調査報道チーム」が、全6回にわたる連載で追っている「合法薬物依存」。最終回となる第7回は、一筋縄ではいかないデパス(エチゾラム)の減薬・中止について、現役の医師や薬剤師に話を聞いた。 第1回:合法的な薬物依存「デパス」の何とも複雑な事情(2019年11月29日配信) 第2回:20年間「デパス」を飲み続ける彼女の切実な事情(2019年12月3日配信) 第3回:薬剤師が見たデパス「気軽な処方」が招いた実態(2019年12月6日配信) 第4回:「デパス」に患者も医者も頼りまくる皮肉な実態(2019年12月10日配信) 第5回:田辺三菱製薬「デパス」製造者の知られざる歩み(2019年12月27日配信) 第6回:デパスの取り締まりが「遅すぎた」と言われる訳(2019年12月31日配信) ※本来複数の製薬企業から同一成分の薬が発売されている際の表記では、成分名のエチゾラムを使うのが一般的である。しかし、服用患者も含め世間一般では簡単に覚えやすい「デパス」でその名が広く知られていることが多い。このため以後はエチゾラムではなく「デパス(エチゾラム)」と表記することをあらかじめお断りしておく。 「一度、デパス(エチゾラム)依存になってしまうと離脱はかなり困難になる」精神科医の多くが口をそろえて言う言葉だ。もっとも、デパス(エチゾラム)を含むベンゾジアゼピン受容体作動薬の依存性については、以前と比べ医療従事者への注意喚起も盛んに行われていることもあり、最近では精神科医以外でも新規処方は避けたがる傾向が強いと関係者は口にする。 また、高齢者では数多くの薬を服用する多剤併用により副作用のリスクが高まるという研究報告も多くなり、ベンゾジアゼピン受容体作動薬も含め、漫然と投与が続いている薬は減薬・中止のターゲットになりやすい。ただ、デパス(エチゾラム)の場合、それが一筋縄ではいかないことが多いという。ある若手医師は次のように語る』、「減薬・中止」が「一筋縄ではいかない」とはどういうことなのだろう。
・『医師や薬剤師も苦労するデパス(エチゾラム)の減薬  「多剤併用問題がメディアで報じられることが増えたせいか、高齢の患者さんに減薬を提案すると、多くの場合、基本的には同意してくれます。ところが減薬に同意したはずの患者さんでも、デパス(エチゾラム)を服用している場合にその減薬を提案すると、一気に険しい表情になって『いや、先生、この薬だけは……』となることが多いのが現実です。それまでの和やかな雰囲気が一変して緊迫することすらあります。ああ、これが常用量依存なのだ、と実感する瞬間です。このためデパス(エチゾラム)の減薬・中止は、日常診療で十分な関係が構築されてからでないと提案すらできません」 また、高齢者が入所する介護施設に医師と同行して服薬指導に従事する薬剤師からもデパス(エチゾラム)の減薬・中止には苦労するという声を耳にする。 「デパス(エチゾラム)の減薬・中止を提案すると、ご家族の方から『この薬だけは続けさせてください』と哀願されることもあります。よくよくお話を聞くと、そのご家族がデパス(エチゾラム)を長年服用している半ば常用量依存だったということもあります」(都内の薬局勤務の薬剤師)) 本連載第4回での証言のように高齢者の一部では、あえてデパス(エチゾラム)を減薬・中止はしない現実もある。ただ、デパス(エチゾラム)を含むベンゾジアゼピン受容体作動薬は、長年服用している高齢者では副作用とみられる症状の原因として有力視される種類の薬でもある。 2016年に大阪薬科大学教授の恩田光子氏らが在宅医療に取り組む薬局1890件での約5500人の患者で薬の副作用の状況を調査した結果、副作用の原因として疑われた薬の筆頭は、やはりベンゾジアゼピン受容体作動薬の多くが含まれる睡眠導入薬・抗不安薬の17.9%だった。 また、2005年にイギリス医師会雑誌に掲載された研究では、平均年齢60歳以上の高齢者で不眠症状に対してベンゾジアゼピン受容体作動薬を服用した人とプラセボ(薬効がない偽薬)を服用した人を比較した複数の臨床試験を分析し、プラセボの人に比べ、ベンゾジアゼピン受容体作動薬を服用している人では転倒の危険性が2.6倍、日中の疲れ(倦怠感)を感じることが3.8倍高いとわかった。さらに認知機能障害の危険性が4.6倍も高いとも報告された。 このようなことを鑑みれば、高齢者でも可能ならば、デパス(エチゾラム)のようなベンゾジアゼピン受容体作動薬の減薬・中止に取り組む意義は少なくないだろう。実際、高齢者施設の往診に同行して服薬指導や処方提案を行っている「みんなの薬局東中野駅前店」に勤務する薬剤師の杉本進悟氏は、デパス(エチゾラム)の減薬について次のように語る。 「デパス(エチゾラム)は適応症が多い薬なので、手始めは服用し始めた経緯を確認し、肩こりや腰痛などで服用し始めた場合は痛みの状態、不眠の場合は夜間の睡眠状態などをチェックします。服用開始に至った症状が落ち着いていれば、転倒などのリスクがあることを説明したうえで医師に中止を提案し、同意が得られればそのまま患者さんにも医師あるいは薬剤師から減薬・中止を提案します」』、「2005年にイギリス医師会雑誌に掲載された研究」では、副作用としての「危険性」の高さが顕著だ。厚労省ももっと積極的に動くべきだろう。
・『慎重に減薬を進める介護施設の事情  ただ、介護施設に居住する高齢者でのデパス(エチゾラム)の服用中止を提案する場合はそこで働くスタッフの事情などにも考慮が必要だと杉本氏は語る。 「例えば認知症が進行している高齢者で、睡眠導入薬としてデパス(エチゾラム)を服用している場合、もしその方が減薬で眠れなくなってしまうと、ほかの入所高齢者へのケアができない状況になってしまうこともあります。その場合は、減薬・中止の相談はしにくくなります。 ただ、そのような場合でも長期的に患者さんの様子を見ていくと、『最近は夜間眠れている』、『傾眠(薬の副作用である昼間のうたた寝)傾向がみられる」という状況変化が報告されることはしばしばあります。こうした報告があったときには、すかさず減量・頓服への変更・中止を提案するようにしています」 デパス(エチゾラム)の服用原因となった症状が落ち着いていて、患者の同意が得られた際の減薬・中止手順は、痛みや不安症状で朝昼夕の毎食後に合計1日3回服用している場合は、まずは朝夕の食後のみに減量し、その後は朝の食後のみ、最終的に中止と徐々に行うことが多いという。 また、就寝前の睡眠導入薬として頓服となっていてなおかつ睡眠状態に問題ない場合は、患者本人が不眠症の自覚を持って服用しているかどうかで対応を変える。 「認知症などで何を服用しているか本人がよくわかっていないような状況では単純に中止することもあります。睡眠導入薬服用の自覚があり、睡眠状態も良好ならば、転倒などの危険性など話して減薬を提案しますが、患者さんが同意しない場合もあります。 この場合は医師、看護師、施設スタッフの了解のもと、転倒リスクなどを評価したうえで形状が似たプラセボに変更します。プラセボの場合は副作用は起きないことが前提なので、患者さんのご家族への連絡は事後報告になることが多いですね。 これで問題がなければ、そのままプラセボを服用してもらいながらその中止を目指しますが、実際にはプラセボのまま服用が続くケースは少なくありません。プラセボ変更後に不眠症状が表れてしまう場合は頓服として戻すか、筋弛緩作用の弱いほかの睡眠導入薬に変更するなどの対応をするようにしています」 ちなみに杉本氏によると、プラセボを服用していた患者に対して後に「あれはプラセボでした」と明らかにすることはないという。薬の服用を必要とする症状がないのにデパス(エチゾラム)をやめられない常用量依存について、医師や薬剤師はよく「患者さんにとっては薬が『お守り』状態になっている」と表現する。気づかない間に中身のないプラセボに変更されても服用を続ける人が存在する現実は、まさにこの問題の深刻さを物語っているともいえるだろう。 今回の取材で当事者からはさまざまな声が飛び交った。 「実態がわからない薬物依存症とは必ずしも言いがたい常用量依存」「依存しつつもこの薬で命をつないでいる」「患者はなんでも薬で解決しようとする」「『必要悪』のような薬」 ここでいう「当事者」とは、不眠や痛みを早く改善したい患者だけを指すのではない。症状に苦しむ患者を何とか早く改善してあげたいと考える医療従事者、薬効の高い薬を世に出してブランド力を高めたい製薬企業、発売後に本格化した法規制を担った厚生労働省。 これらステークホルダーたちが、みな課題を解決したいという「善意」を持ちながらも、それぞれに抱える「事情」との兼ね合いの中でどうしても埋められない「空隙」が生まれていた。その空隙を、魔法のように埋めてくれるように見えたのがデパス(エチゾラム)という薬だったのではないか。しかし埋められたように見えたのはうわべだけで、実は、空隙はより深くなってしまっているのかもしれない。 まさに「地獄への道は善意で舗装されている」かのごときだ。この構図の中には、絶対的にも相対的にも正義の味方も悪の化身もいるようには見えない』、「デパス」を黙って「プラセボ」に替えるというのはなかなかいい手のようだ。「地獄への道は善意で舗装されている」とは言い得て妙だ。
・『松本俊彦医師との一問一答  そこで最後にこの問題に長く向き合ってきた国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部長の松本俊彦氏との一問一答で本稿を締めくくりたい(Qは聞き手の質問、Aは松本医師の回答)。 Q:正直、これだけ問題があるデパス(エチゾラム)がなぜ1980年代に発売されてから最近まで30年間も向精神薬の指定を受けずに放置されてきたのかは不思議に思います。 A:やっぱり発売当初は「いいお薬だ」とみんなが思っていたと思います。医師でも飲んでる人が多かった、「夢の薬」でした。頭がぼーっとしないし、肩こりが取れてスッキリして、切れ味がいい薬として重用されていました。筋肉を弛緩させてくれるから、頭痛の中で多い筋緊張性頭痛とか、ある種の腰痛症とか、肩こりとかの症状も和らげてくれます。精神科だけではなく整形外科や内科などいろいろな診療科で処方したいというニーズがありました。 薬を出すと患者さんからも喜ばれる。「あの先生が出してくれた薬はよかった」と、いいお医者さんと見られます。ある意味で医療機関として安定した顧客を得ることができるというところもあったと思います。 「デパス(エチゾラム)まずいよね」というコンセンサスが出始めたのは1990年代の終わりから2000年くらい。一部の医者は内心でそう思ってなんとなく使用を避けていました。公式にデパス(エチゾラム)のことをまずいよねって言い始めたのは多分、私たちが調査データを公表した2010年くらいだと思います。そしてようやく向精神薬指定を受けたということだと思います。 Q:このデパス(エチゾラム)問題は具体的にどのように対処していけばよいのでしょう? A:私は一般内科の医師の研修会などでデパス(エチゾラム)の危険性について話すときに「新規処方はやめましょう」と言いますが、「デパス(エチゾラム)をすでに飲んでる人に処方するな」とは言わなくなっています。これまで診察が5分で終わっていた患者さんが、薬をやめる話をすると1時間も長引いて、結局、薬を出してくれる優しいお医者さんのところに行ってしまう。何も問題が解決しないのです。だから新規に処方しないことしかないかなと思うことがあります。) Q:では現在高齢で服用し続けている常用量依存の可能性のある人についてはどう考えるべきなのでしょう? A:年齢を重ねてさまざまな弊害が出てくる可能性が高まることも事実ですが、デパス(エチゾラム)を服用しながら何のトラブルもなく人生を普通に送っている人もいます。それを若い医師が頑張って薬をやめさせようとしたら、これまでできたことができなくなったとかの事態も生じているのです。 今後は新規に出さないけれども、今飲んでトラブルが出てない人に関しては、もうとやかく言うのはやめようと、私自身は思い始めています。何か問題が生じたときにしっかり関わろうと思っています。実際、この薬は本当に止めづらいのです。 Q:どの程度止めづらいものなのでしょう? A:薬物依存の治療の中で覚せい剤の治療はほとんど入院せずに外来診療できます。しかし、デパス(エチゾラム)のようなベンゾジアゼピン受容体作動薬依存の人は1~2カ月間の入院が必要になります。根気よく薬の量を少しずつ減らし、退院後も外来での治療を継続していきます。 高齢でデパス(エチゾラム)の常用量依存が疑われる人の場合ならば、何か大きな病気をして入院したり手術を受けたりのときはチャンスなんですよ。「ちょっといろいろあるし、麻酔もかけるからお薬整理しようね」と話してデパス(エチゾラム)を整理していくのです。 中には元気になって「また前の薬」って言う人もいますが、「もう歳もとったし実際飲まないで何日間もやれたじゃないですか」など話をして止めるという手法を使っている医師は少なくないと思います』、「「夢の薬」でした。頭がぼーっとしないし、肩こりが取れてスッキリして、切れ味がいい薬として重用されていました。筋肉を弛緩させてくれるから、頭痛の中で多い筋緊張性頭痛とか、ある種の腰痛症とか、肩こりとかの症状も和らげてくれます。精神科だけではなく整形外科や内科などいろいろな診療科で処方したいというニーズがありました。 薬を出すと患者さんからも喜ばれる。「あの先生が出してくれた薬はよかった」と、いいお医者さんと見られます。ある意味で医療機関として安定した顧客を得ることができるというところもあった」、しかし、依存症を治療するには、「デパス(エチゾラム)のようなベンゾジアゼピン受容体作動薬依存の人は1~2カ月間の入院が必要になります。根気よく薬の量を少しずつ減らし、退院後も外来での治療を継続していきます」、恐ろしい魔法の薬のようだ。
・『「治療を短期的な成果だけで考えてはいけない」  Q:そのほかにデパス(エチゾラム)を減らすアプローチは何かありますか? A:実は内科などでデパス(エチゾラム)を出している医師の多くは、より効果が早い薬で症状を改善してあげたいという患者さん思いの優しい先生で、近所でも評判だったりすると思います。その意味ではデパス(エチゾラム)を服用している患者さんの話をもっと丁寧に聞いてあげるとか、本人が困っている問題に関心を持って毎回触れてあげて「頑張ってるね」とねぎらってあげるとかしたらどうでしょう。 患者全員が精神科の認知行動療法を必要としているわけではないのですが、患者さんはちゃんとわかってほしい、認められたいと思っていて、そういう場があれば、薬は減らせると私は思っているのです。ただ、そうなると診察時間が長くなります。たくさんの人が関わっていろんな形で多職種がアプローチすると本当に薬は減りますよ。 Q:私たち患者になりうる立場の人たちも薬への向き合い方が問われるのでしょうか? A:私は新規の患者さんにデパス(エチゾラム)を処方することはありません。その理由はデパス(エチゾラム)がいい薬すぎるから。切れ味がよくて、患者さんの満足度が高い薬なのです。しかし、薬でこんなに楽になる体験をするのは、罪深い気がするのです。薬はいい部分もあるけど悪い部分もたくさんあります。 だから魔法のような薬で夢を見させてしまって、患者さんが薬に幻想を持つようにならないほうが、「しょせん薬はこんなもんですよ」という諦めを持ってもらったほうがいい気がします。同時に私たちは治療を短期的な成果だけで考えてはいけないのだろうと思います。薬を出してこの人はどのようにこの薬から卒業していくんだろうかというイメージを持って薬を出さなければいけない時代になってきていると思います』、常習性のある薬とは、本当に恐ろしいものだ。安易に薬を出す医師には気をつけたいものだ。
タグ:東洋経済オンライン デパス 薬物 現代ビジネス 原田 隆之 (その2)(芸能人の逮捕、続々…ゼロからわかる「薬物依存症」超入門、芸能人「10年以上前から薬物」報道…一体どれくらいの依存度なのか ゼロからわかる「薬物依存症」(後編)、合法的な薬物依存「デパス」の何とも複雑な事情 ズルズルと飲み続ける患者を生んでしまった、「魔法のような薬」デパスの減薬に立ち塞がる壁 一筋縄ではいかない常用量依存に苦しむ患者) 「芸能人の逮捕、続々…ゼロからわかる「薬物依存症」超入門 違法薬物とは何か、なぜ依存するのか」 薬物問題とわれわれの社会 単なる末端の使用者に対しては、できるだけ治療や福祉などのヒューマンサービスを優先し、警察や麻薬取締当局は、薬物の密輸や密売を行っている者の摘発に力を傾けることが、世界的な潮流であり、薬物に関する社会的コストを最低限に抑えることができる方法 違法薬物とは 「麻薬に関する単一条約」 主に植物由来の「伝統的な」薬物を規制するもの 「向精神薬に関する条約」 化学的に合成された比較的新しい薬物を規制するもの 薬物の作用 脳や神経系の働きを抑制するのが「ダウナー」 刺激するのが「アッパー」 違法薬物、たとえば覚せい剤を摂取したときは、これら自然なドーパミン分泌量と比べると、何十倍から百倍近い量が一気に分泌される その後ドーパミンが枯渇してしまうため、大きな不安、抑うつ、焦燥感、イライラ、疲労感などに苛まれることがある。いわゆる禁断症状(離脱症状) 「芸能人「10年以上前から薬物」報道…一体どれくらいの依存度なのか ゼロからわかる「薬物依存症」(後編)」 依存症の診断 国際的な診断基準 依存症の程度を正確に判定するには 嗜癖重症度指標(Addiction Severity Index: ASI)という包括的質問紙 より簡便な質問紙もいくつか開発 薬物の依存性と害の大きさ ヘロインの依存性は、最大の3.00である。それに次ぐのがコカインの2.39、そして第3位はタバコの2.21である。アルコールは1.91、覚せい剤は1.67 20種類の代表的な薬物のうち、最も害が大きいのは、何とアルコールであり、数値は72ポイントとなっている。これは、アルコールが合法であり、入手しやすいこと、広く用いられていることが大きく影響し アルコールは、外傷、犯罪、家族への害、経済的損失が大きく抜きんでている。一方、致死性の害が最も大きいのがヘロインとタバコ 有効な薬物依存対策 有名人が逮捕されるたびに、その個人をいくらバッシングしても、懲らしめても、何の問題の解決にならないのは明らかである。われわれ社会全体の問題として、科学的エビデンスに基づいた医療や公衆衛生の力を総動員し、効果のある対策を取る必要がある メディカルジャーナリズム勉強会 「合法的な薬物依存「デパス」の何とも複雑な事情 ズルズルと飲み続ける患者を生んでしまった」 「合法薬依存」 「全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査 「逮捕されない薬物乱用」が4分の1 発売から35年、成分名は「エチゾラム」 神経を鎮静化し、不安や緊張を取り除くという作用を示す薬だ。また、この作用の一環としてベンゾジアゼピン受容体作動薬では、脳内を鎮静化させて眠りを導く「催眠作用」、筋肉の緊張をほぐす「筋弛緩作用」、けいれんを抑える「抗けいれん作用」などがある 精神科、神経内科、心療内科にとどまらず、整形外科、脳神経外科でも比較的よく使われる 服用後の効果出現が早く明確だが時間は短い 高齢になればなるほど処方量は増加 事故につながりかねない副作用はある 「「魔法のような薬」デパスの減薬に立ち塞がる壁 一筋縄ではいかない常用量依存に苦しむ患者」 一度、デパス(エチゾラム)依存になってしまうと離脱はかなり困難になる 高齢者では数多くの薬を服用する多剤併用により副作用のリスクが高まる 減薬・中止 一筋縄ではいかない 医師や薬剤師も苦労するデパス(エチゾラム)の減薬 慎重に減薬を進める介護施設の事情 松本俊彦医師との一問一答 「夢の薬」でした。頭がぼーっとしないし、肩こりが取れてスッキリして、切れ味がいい薬として重用されていました。筋肉を弛緩させてくれるから、頭痛の中で多い筋緊張性頭痛とか、ある種の腰痛症とか、肩こりとかの症状も和らげてくれます。精神科だけではなく整形外科や内科などいろいろな診療科で処方したいというニーズがありました。 薬を出すと患者さんからも喜ばれる。「あの先生が出してくれた薬はよかった」と、いいお医者さんと見られます。ある意味で医療機関として安定した顧客を得ることができるというところもあった 依存症を治療するには、「デパス(エチゾラム)のようなベンゾジアゼピン受容体作動薬依存の人は1~2カ月間の入院が必要になります。根気よく薬の量を少しずつ減らし、退院後も外来での治療を継続していきます」 「治療を短期的な成果だけで考えてはいけない」 薬を出してこの人はどのようにこの薬から卒業していくんだろうかというイメージを持って薬を出さなければいけない時代になってきている
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自殺(その1)(絶望の国 日本は世界一「若者自殺者」を量産している、若者に自殺を考えさせる多くの原因は「いじめ」 「不登校」経験も強く関連 そのとき相談する相手は誰?、若者の死因1位が「自殺」の日本 なぜそんなに生きるのが「辛い」のか) [社会]

今日は、自殺(その1)(絶望の国 日本は世界一「若者自殺者」を量産している、若者に自殺を考えさせる多くの原因は「いじめ」 「不登校」経験も強く関連 そのとき相談する相手は誰?、若者の死因1位が「自殺」の日本 なぜそんなに生きるのが「辛い」のか)を取上げよう。

先ずは、やや古いが、全貌を分かり易く解説したものとして、教育社会学者の舞田 敏彦氏が2016年1月12日付けPRESIDENT Onlineに掲載した「絶望の国 日本は世界一「若者自殺者」を量産している」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/17058
・『「失われた20年」で若者の自殺が増加  年明け早々物騒な話ですが、日本は自殺大国といわれます。2012年の自殺率(人口10万人あたりの自殺者数)は23.1で、172カ国で9位です。社会的な統制が強い旧共産圏の国々ほどではないにせよ、先進国の中ではダントツです。 私は、社会病理学を専攻しています。 簡単にいうと、社会の健全度(逆にいうと病気度)を診断しようという学問です。人間の場合、病気かどうかを判断する指標として体温や血糖値などがありますが、社会の健康診断の指標としては、犯罪率や自殺率などがよく使われます。 犯罪率は警察の取り締まりの姿勢によって大きく左右されますので、私は、後者の自殺率がよいと考えています。自殺の原因は個々人で多様ですが、国民のうち自殺者がどれほどいるかという「自殺率」は、まぎれもなく社会の問題を反映しています。 エミール・デュルケムが名著『自殺論』において、自殺率を指標として、19世紀のヨーロッパ社会の病理をえぐり出したことはよく知られています。 さて日本の自殺率ですが、冒頭で述べたように国際的に高い水準にあります。しかし時系列でみると、2003年の25.5をピークとして減少傾向にあり、2014年では19.5まで下がっています(厚労省『人口動態統計』)。近年の自殺防止施策の効果もあるでしょう。 このように国民全体の自殺率は低下しているのですが、年齢層別にみると、これとは反対に上昇しているグループがあります。 それは若年層です。 15~24歳の自殺率は、90年代以降ずっと上がり続けています。しかもそれは、日本の特徴のようです。図1をご覧ください。 日本の若者の自殺率は、この20年間でトップにのしあがっています。欧米諸国は減少傾向にあるのに対し、日本はその逆だからです。お隣の韓国も、似たような傾向を呈しています。「失われた20年」の困難は、若年層に凝縮されてきたといってもよいでしょう』、少子化に悩む日本で「若者の自殺率」の高さは確かに深刻な大問題だ。
・『50代の自殺者は景気回復の影響で減少  大学生の就職失敗自殺、雇用の非正規化、果ては若者を使いつぶすブラック企業の増殖など、上記のデータを解釈する材料は数多くあります。 ちなみに2014年の20代の自殺原因上位3位は、うつ病、統合失調症、仕事疲れ、となっています(警察庁『2014年中における自殺の状況』)。いずれも、将来展望閉塞や過重労働の蔓延といった社会状況と無関係ではないと思われます。 それは多かれ少なかれ他の年齢層も同じですが、今世紀になって自殺率が上がっているのは若年層だけです。この点を可視化してみましょう。図2は、各年齢の自殺率を折れ線でつないだ、自殺率の年齢曲線です。1999年と2014年のカーブが描かれています。 前世紀の末では、50代の自殺率がべらぼうに高い水準にありました。 97年から98年にかけてわが国の経済状況は急激に悪化し(98年問題)、年間の自殺者が3万人に達したのですが、その多くがリストラの憂き目に遭った中高年男性でした。近年では景気回復もあってか、この山が低くなっています。高齢者の自殺率が減少しているのは、この層に重点を置いた自殺防止施策の効果だと思います。 しかし、現在は若者の自殺だけは増えています。 今後は、自殺防止対策の重点を若年層にシフトする必要があります。雇用機会の拡充をはじめとした自立支援がメインとなるでしょうが、若者の場合、それとは違った視点も求められます。 想像がつくと思いますが、自殺率は失業率と非常に強く相関しています。過去半世紀の時系列データでみると、40~50代男性の自殺率は、失業率と+0.9を超える相関関係にあります。 ところが若年層では、「これから先、生活が悪くなっていく」という意識の割合(希望閉塞率)のほうが、自殺率と強く関連しているのです(拙稿「性別・年齢層別にみた自殺率と生活不安指標の関連」『武蔵野大学政治経済学部紀要』2009年)』、「若者」では「希望閉塞率」が「自殺率と強く関連」、とは興味深い指摘だ。
・『「希望」がなければ、自殺はもっと増える  若者は先行きを展望して生きる存在ですが、それが開けていないことは、大きな苦悩の源泉となるでしょう。このような事実を踏まえるなら、彼らが希望を持てる社会を構築することが重要となります。 凍てつく冬の時期ですが、あと3カ月もすれば桜が咲き、各地で入社式が行われます。そこに出席する新入社員は、さぞ希望に満ち溢れることでしょう。 しかし、そうでない若者もいます(不幸にして就職活動に失敗した者、既卒の非正規雇用者など)。まさに「希望格差」です。自殺に傾きやすいのは、後者であることは言うまでもありません。この層が「やり直し」を図れるようにするのも、重要なことです。 少子高齢化による人材不足もあり、新卒だけでなく第二新卒にも目を向ける企業が増えていると聞きます。新卒だろうが、既卒だろうが、われわれのようなロスジェネだろうが、同じ人間。何も違うところはありません。22歳で全てが決まる「新卒至上主義」のような慣行は、まずもって是正していただきたいものです。 今後、自殺防止対策を打ち出すに際しては、「希望」がキーワードとなるでしょう。2016年が始まりましたが、若者にとって展望が開けた年になることを願います』、「新卒至上主義」は薄らいだようだが、「若者」の自殺は減ってはいないようだ。

次に、昨年3月29日付けで日本財団が掲載した「若者に自殺を考えさせる多くの原因は「いじめ」、「不登校」経験も強く関連。そのとき相談する相手は誰?」を紹介しよう。
https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2019/28707
・『この記事のPOINT!  +日本の若者の4人に1人が自殺念慮を抱え、10人に1人が自殺未遂を経験したことがある +自殺念慮や自殺未遂の原因の多くは「いじめ」、また「不登校」経験も強く関連 +困難に直面した若者に必要なのは、彼らの声にじっくり耳を傾ける姿勢  日本に暮らす18〜22歳の若者のうち、4人に1人が自殺を本気で考えたことがあり、10人に1人が自殺未遂を経験したことがある。そして、その原因の半数が学校問題を占め、さらにその半数は「いじめ」が原因であることが日本財団の調査により判明した。 未来を担う若者たちによる悲しい決断を止めるため、私たちにできることは何だろうか。調査結果をもとに現状をひもとき、解決の糸口を探りたい』、「4人に1人が自殺を本気で考えたことがあり、10人に1人が自殺未遂を経験したことがある。そして、その原因の半数が学校問題を占め、さらにその半数は「いじめ」が原因」、やはり「いじめ」は深刻な問題のようだ。
・『回答した30%の若者が本気で自殺を考えたことがある  日本における若者の死因で最も多いのが自殺ということをご存じだろうか。2018年には1年間で2万598人、1日にすると平均56人が自ら命を絶っている。これは、先進7カ国の中で突出して高く、若者の死因の1位が自殺であるのは日本のみ。この現状を受け、国は2016年に自殺対策基本法を大きく改正し、47都道府県と各市区町村による「自殺対策計画づくり」が義務化された。 そうした背景から、日本財団は長野県および東京都江戸川区と協力し、2016年より「日本財団いのちを支える自殺対策プロジェクト」を開始。自殺に追い込まれてしまう人を減らすための「自殺対策実践モデル」を構築し、実施している。今回は、このプロジェクトの一環として行っている「自殺意識調査」の2018年度における結果を「若者」の回答に絞ってご紹介したい。 まずは18〜22歳の若年層における「自殺念慮(本気で自殺したいと考えたことがあること)」と「自殺未遂(自殺未遂経験があること)」の状況から見ていこう。 男女平均で30%の人が「自殺念慮」を持ったことがあり、11%が「自殺未遂」の経験があると答えている。ただし男女別で結果を見ると、いずれも女性の方が多い。 彼ら、彼女らはなぜ、自殺念慮を持つに至ったのだろうか。その原因を複数回答および自由記述で回答してもらった結果、最も多かったのが「学校問題(48%)」と約半数近くの人が答えた。他には「家庭問題(33%)」「健康問題(24%)」が多く見受けられる。また男女別で結果を見ると、女性の方が12%多く「家庭問題」を原因として挙げている。 自殺未遂の原因を探ると、上位3つは自殺念慮と同様であった。ただし、女性に絞った場合は「家庭問題」が「学校問題」をわずかに上回った。 48%の若者が苦しんでいる「学校問題」とは、具体的に何を指しているのだろうか。自由記述で回答してもらったところ、49%が「いじめ」における他者からの身体的・精神的被害を原因としていた。自殺念慮を持ち、自殺未遂を経験している4人に1人が答えていることから、若者にとって「いじめ」問題は非常に深刻と言える。 続いて32%の若者が挙げる「家庭問題」においては、配偶者や両親、子ども、親戚などの親族や元親族など、 家庭に関わる人間関係の不和が原因であると65%が感じていた。若年層の5人に1人に対し自殺念慮や自殺未遂の影響を与えている。 若者にとって深刻な「いじめ」や「家庭不和」が、それだけの理由で自殺念慮や自殺未遂の原因となり得るのかを調べるため、複数の問題を挙げていた人を対象に「いじめ」「家庭不和」と他の問題との複合率を調査した。すると、「いじめ」に関しては複合率よりも単体率が高く22%となった。「いじめ」が若者に大きな影響を与えることが分かる。一方で「家庭不和」の単体率は7%にとどまり、「いじめ」との複合率が12%と最も高かったことも見逃せない。家族や親族との問題を抱えた若者は、学校での「いじめ」問題も同時に抱えているケースが多いと考えられる。) ▽自殺念慮・自殺未遂に強く関連しているのは「不登校経験」(若者にとって学校問題が自殺念慮や自殺未遂の原因の多くにつながることが分かった。そこで今度は、学校関連の出来事と自殺念慮や自殺未遂の関連性を掘り下げてみたい。 1年以内に限らず自殺念慮経験と、学校関連の出来事の関係を見てみよう。前述の通り、自殺念慮経験者は男女平均で30%だった。しかし「学業不振者」に絞れば49%、「学校での人間関係の不和経験者」においては51%と、それぞれ約半数もの若者が自殺念慮を持った経験がある。 さらに「いじめ経験者」の場合は58%、「不登校経験者」にいたっては68%もの若者が自殺を本気で考えたことがあるという。直近の経験のみならず、過去の学校関連のネガティブな経験が自殺念慮と深く結びついていることが分かる。 また自殺未遂の経験も、同様に学校関連のネガティブな経験との関連性が見受けられる。全体の数字で見れば自殺未遂経験者は11%にとどまっているが、「学業不振者」や「人間関係の不和経験者」に絞るとおよそ2倍の22%が自殺未遂を経験している。「いじめ経験者」は24%、「不登校経験者」は31%と、学校問題によってその数字は格段に上がる。 次に1年以上前に起きた学校関連のネガティブな経験と、同じく1年以上前に経験した自殺念慮や自殺未遂の関連性を確認する。すると、「不登校」の経験が自殺念慮、自殺未遂に多大な影響を及ぼすことが分かった。 「不登校」経験者は、経験したことがない若者に比べ、3.3倍の若者が本気で自殺を考えたことがあり、同様に2.5倍の若者が自殺未遂を経験している。 また、未経験者に比べて「いじめ」は2.2倍、「人間関係の不和」は1.5倍の若者が自殺念慮を抱え、自殺未遂に関しては「いじめ」が1.6倍、「人間関係不和」が1.9倍の若者が経験している。 以上のことから、学校関連のネガティブな経験と自殺念慮、自殺未遂の関連性は高く、中でも「不登校」による影響が大きく関係する。ただ、「不登校」そのものが必ずしも原因とは言い切れない。不登校になる背景には「いじめ」や「人間関係の不和」があることも考えられる。 とはいえ、不登校状態や不登校経験が、自殺念慮や未遂に対し高いリスクを背負っていることが分かった。そのような状況にある若者に対して適切な見守りや配慮を行うことで、最悪の結果を回避できる可能性も見えた。 また「転校」をした場合の自殺念慮、自殺未遂のリスクが低減していることにも注目したい。不登校状態の場合は無理に1つの学校に通わせるのではなく、別の学校もしくはそれに代わる居場所を提供するといった解決方法も有効と言えるだろう』、「不登校状態や不登校経験が、自殺念慮や未遂に対し高いリスクを背負っている」、「不登校状態の場合は無理に1つの学校に通わせるのではなく、別の学校もしくはそれに代わる居場所を提供するといった解決方法も有効」、その通りだろう。
・『追いつめられた若者が頼りたいのは、身近で大切な人たち  では実際に困難に直面した際、若者たちは誰に相談しているのだろう。男性は「両親や祖父母」、「学校(時代)の友人」、「恋人」、「カウンセラー・相談員」、「学校(時代)の先生」と続き、女性は「両親や祖父母」、「学校(時代)の友人」、「恋人」、「カウンセラー・相談員」、「学校以外の友人」と続いた。 「不特定多数がみれるサイト」と「会員制サイト」については、「不特定多数がみられるサイト」の相談率の方が高く、なおかつ10 代・20 代、特に女性の特徴的な相談先と言える。しかし、相談率自体は0〜4%であり、「学校(時代)の友人」、「恋人」、「学校(時代)の先生」、「カウンセラー・相談員」に比べるとかなり低かった』、「「不特定多数がみられるサイト」の相談率の方が高く、なおかつ10 代・20 代、特に女性の特徴的な相談先」、相談ではなく自殺を幇助する悪質なSNSの毒牙に若い女性がかかる事件も相次いでいる。
・『今後、若者の自殺対策に必要な取り組みとは?  これらの現状を踏まえ、日本財団では官民連携での協力体制を作り、若者を主とする自殺対策を検討している。その内容について、日本財団国内事業開発チームの児玉渚(こだま・なぎさ)さんにお話を伺った。 「東京都江戸川区では、『SOSの出し方教育』に力を入れています。恥ずかしいことじゃないから、辛くなったら誰かに相談してほしいと、子どもたちに伝える取り組みです」 具体的には、区立小中学校全校の子どもたちにはお守り型の「相談先一覧表」を配布。手渡す際に「相談先に迷ったら私に言ってね」と配布者が声を掛けることで、子どもたちが困難に直面した際に相談しやすい地域づくりに注力している。 また、長野県では県内の市町村長を対象に、自殺対策の必要性をアピールするキャラバンを開催した。 「自殺は鬱(うつ)が原因といったイメージが強いことが理由で、福祉分野が対応すべきだと思われることも多いんです。けれど自殺は、貧困や家庭環境のトラブルなど、社会全体で取り組むべき課題が要因にあることも多々あります」 自殺問題は、当事者意識を持って包括的に解決しなくてはならない。それを県のリーダーに理解してもらうことで、県全体で取り組みやすい環境をつくることが狙いであったと言う。 そんな活動を手掛ける児玉さんに、今後若者の自殺対策に必要な取り組みについて聞いたところ、「自殺未遂に関して言えば、まず傷ついた心身の治療を継続的に行える仕組みです。これまでの調査で分かったことの1つが、若年層に限らず、一度自殺未遂を経験している方はそれを繰り返している場合が多いということです。例えば薬物の過剰摂取で病院へ搬送されたとします。その際治療は施しても、自殺の原因までは対処されないため、自殺未遂を繰り返してしまうのです」と言う。 自殺まで追い込まれてしまう人のほとんどが、複数の原因を抱えているという。仕事に疲れて転職した先がブラック企業で、さらに借金を抱えてしまい…というように、さまざまな事柄が重なり、人は追い込まれるそうだ。 「そこで必要なのが、心身のサポートのノウハウを持ち合わせている訪問看護師などといった支援職の協力です。自殺未遂者の元へ通いながら、身体的なケアに加え、自殺を考える原因への対応を続けることで、自殺未遂の再発は防止できるかもしれません」 また調査の結果、自殺念慮のある若者が考える相談相手の大半が、身近な人物であったことも対策のヒントになったそうだ。 「友人や家族、恋人に『リストカットしてしまった』と相談された時、どのように接すれば良いのか分からない方も多いと思います。そこで、電話やチャットを活用して『相談を受ける側』へノウハウを伝授するサポート体制を構築できたらと思っています。学校問題に悩む若年層から相談を受けることの多い、先生などの支援職の方にも役立つはずです」 さらに「いじめ」や「不登校」を経験した若者がやり直せる社会をつくることも重要だと児玉さんは語る。 「学校へ行くことが苦痛になった子どもたちに、別の方法で社会と関われるセカンドチャンスを提供する。そんな居場所があれば、きっと多くの子どもの支えになると思うんです」 とは言え、最も必要なのはやはり周りにいる大人たちのサポートだ。 「悩みを相談されたら、とにかく共感して話を聞いてあげてください。一般常識を押し付けたり、助言をしたりするのではなく、じっくり声に耳を傾けること。自殺を考えるほど追い込まれている若者にとって、自分を分かってくれる存在がいると思えること、それが大きな支えになるのです」〈日本財団第3回自殺意識調査概要〉は紹介省略)』、「『相談を受ける側』へノウハウを伝授するサポート体制を構築できたらと思っています」、確かに重要なカギとなりそうだ。様々な自殺防止の試みが、広がることを期待したい。

第三に、ドイツ在住フリーライターの雨宮 紫苑氏が8月10日付け現代ビジネスに掲載した「若者の死因1位が「自殺」の日本、なぜそんなに生きるのが「辛い」のか ドイツからその「辛い」について考えてみた」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/66433
・『日本では10歳~39歳までの死因1位は「自殺」(厚生労働省自殺白書H30年度版)であり、世界で比較してももロシア・韓国とともに「若者の死因自殺率」が高い(厚生労働省「諸外国における自殺の現状」)。 日本ではそんなに生きるのが「つらい」と感じてしまうのだろうか。それはなぜだろうか。 22歳まで日本に生まれ育ち、ドイツにわたった雨宮紫苑さんが自身の体験を踏まえて検証する』、興味深そうだ。
・『なんでそんなに「つらい」のか  ここ最近のトレンドなんだろうか。どうにも、「生きづらい」という言葉を見かけることが多い。「生きづらさを感じる人にエールを贈る」「生きづらい人のサポートをしたい」「生きづらさに負けずにがんばろう」……。 いたるところで気軽に使われている「生きづらい」という言葉は、改めて考えるとなかなか衝撃的だ。仕事がつらいとか人間関係がつらいとかそういうレベルを通り越して、「生きる」のが「辛い」のだから。 実際のデータでも、悲しいことに「生きづらさ」を抱える人の多さがうかがえる。たとえば厚生労働省の統計によると、15~39歳の各年代の死因第1位が自殺だ。 内閣府の『我が国と諸外国の若者の意識に関する調査』では、自分の将来のことについて心配している日本人は78.1%で、心配していない人は21.8%。ちなみにドイツは56.1%と43.9%、アメリカは63.4%と36.6%、スウェーデンは49.1%と50.9%。 『世界幸福度ランキング』では、156か国中日本は58番目。また、以前書いた記事でも紹介したとおり、自分の容姿への満足度は22ヵ国中最下位だ。 こういう統計を見ると、国民性もあるとはいえ、たしかに「人生楽しくてしょうがない!」「充実してる!」「自分が好き!」と迷わず言える人はかぎられているのだろうと思う。 では、いったいなにがそんなに日本人を生きづらくしているんだろう? それはたぶん、「こうすべき」という固定概念だ』、どういうことだろう。
・『日本に生まれ育った私が初めてドイツへ  大学2年生の夏休み、わたしははじめてドイツを訪れた。現地の大学が提供する1ヶ月のサマーコースに参加するためだ。 それまでわたしは、日本人両親のもとに生まれ、日本で育ち、日本語を母語とする日本人としか関わったことがなかった。わたし自身も日本生まれ日本育ちだ。そんなわたしが、ドイツ滞在の1ヵ月間で、世界中からやってきたいろいろな人と出会うこととなる。 就職回避のために片っ端から奨学金を申し込んで各国を留学ハシゴしているオーストラリア人。 5ヵ国語話せる中国人。 留学はカモフラージュで将来の出稼ぎ準備で来たルーマニア人。 留学中でも週末は実家に帰って恋人と会うフランス人。 家賃と生活費が安いドイツに留学するかたちをとって、大好きなスイス旅行に行きまくり授業にまったく来ないアメリカ人 テストに遅刻するのがイヤだから、大学の駐車場で車内泊をしたというチェコ人もいた。出身国を紹介する授業で「チェコのお酒をもってきました」と振舞ったお酒のアルコール度数は、なんと40%! 何気なく飲んだわたしは酔っ払って早退することに……。 そうそう、日本語がとても上手なブルガリア人女性とも仲良くなった。舌ピアス、葉巻を咥え、腕にはがっつりタトゥー。日本だったら絶対に関わらなかったであろうタイプだけど、なぜか気があったのだ。ブルガリアでは誕生日の人がまわりの人にプレゼントをする文化らしく、彼女の誕生日に手作りクッキーをもらった』、「ブルガリアでは誕生日の人がまわりの人にプレゼントをする」、面白い習慣の国もあったものだ。
・『世界は広かった!  年齢も、母語も、文化も、宗教観も、なにもかもがちがう人たち。そんな人たちと出会ったことで、わたしのなかの「こうあるべき」は、たった1ヵ月でことごとく崩れ去った。 なーんだ、大卒でそのまま就職しなくても死にはしないじゃん。海外でも住んでみりゃどうにかなるじゃん。年齢や偏差値なんて日本を出たらだれも気にしないじゃん。いろんな人がいて当然! そう思うようになったのだ。 サマーコースに参加する前のわたしは、「高校を卒業していい大学に行き、大手企業に就職し、結婚して子どもを産む」という未来を漠然と思い描いていた。 でも、世界は広い。そういう生き方だっていいけど、そうじゃない生き方だっていい。どうやって生きていくかは、自分で選ぶもの。大学2年生のわたしは、そんなことすら知らなかった。 日本にはわりと明確な人生の規定路線があって、気がづいたら「多数派」という流れるプールのなかでみんなと一緒に流されていくことが多い。 受験生なら塾に行って勉強しましょう。大学生は早いうちから就活をしましょう。新卒入社したらできるだけ3年は勤めましょう。わたしのようなアラサーの女性は、「結婚」「出産」という使命を果たすことを期待されることも少なくない。 そうやって「当然」を刷り込まれていくうちに、いつのまにかそれ以外の選択肢を削り取られてしまうのだ。まるで、ほかの選択肢なんて存在していないかのように』、殆どの日本の若者は、「「当然」を刷り込まれていくうちに、いつのまにかそれ以外の選択肢を削り取られてしまうのだ」、その通りなのだろう。
・『押し付けるの、やめませんか  日本は年功序列がいまだ根強く、学校生活から年齢による上下関係を叩き込まれる。そんななかでは、「一度勤めて大学に入りなおす」「40歳で転職、ゼロからキャリアをスタート」ということはむずかしい。 でも問題は、そういった制度的なことだけでなく、自分のなかの「こうあったほうがいい」を他人に対して「こうすべき」と押し付ける人が多いことだと思う。 たとえば学校の黒髪強制。「30代なのにミニスカートを履くなんてみっともない」と他人のファッションに口を出したり、「結婚したなら旦那さんにおいしい料理つくらないとかわいそうでしょ」と首を突っ込んだりするのもそうだ。 自分は多数派に所属するごくふつうの人間だから、自分の価値観は正しい。そう信じて疑わず、平気な顔で他人に「こうすべき」と言ってくる人が多すぎる! 「多様な価値観を認めます」というスタンスの人も、このご時勢だいぶ増えてきてはいる。でも、自分のなかの規格から外れた人をどう扱っていいかわからず持て余すことはあるだろう。 「60歳で東大合格」という見出しを見ればみんな「すごい!」と誉めそやすが、実際同じゼミにいる60歳の学生に声をかける人は少数ではないだろうか。小学生不登校youtuberを応援したとしても、採用面接で「ずっと不登校で動画を上げていました」と言われたら採用をしぶる人が大半じゃないだろうか。現実なんてそんなものだ。 「こうあるべき」論が強いから、そこからはみ出た人は異物として扱われ、浮いてしまう。だから少数派は、いつだって生きづらさを抱えることになる』、これは日本社会の強い同調圧力と言い換えることも出来、その通りだと思う。
・『「異端者」は「裏切者」じゃない  じゃあ多数派に所属すれば万々歳かというと、そうでもないのもまた問題だ。多数派に所属しているからって、仲間と手を繋いで仲良しこよし、というわけではない。「この場で自分は異物じゃないか?」と常に不安が付きまとう。 お互いを牽制しあって「異端者はいないか?」と目を光らせていることも結構ある。多数派という枠から飛び出すときは、よっぽどうまくやらないと「裏切り者」かのように言われがちだ。 だから、多数派からこぼれてしまわないよう、できるだけ目立たず平凡に生きようと、自分の自由を自分で縛らざるをえない。 というのも、ドイツで暮らすようになってから、「こうだったらいいのになぁ」と口だけで言う日本人がとても多いことに気がついたのだ。「もう少し若ければ」「お金があったら」「家事を手伝う夫と結婚していれば」「5キロやせていれば」「いい大学を出ていれば」……。 ドイツに移住後、「いいなー。わたしも海外住みたい!」となんどもなんども言われた。でも、「住めば?」というと「わたしには無理だよ」と言う。「フリーランスとして働けば楽しいだろうなぁ」と言う人に「じゃあ独立すれば?」と言えば、これまた「現実的には無理だけどね」と返される。 その気になれば実現しそうな理想ですら、「いやいや無理だよ~」「そこまで本気じゃないし(笑)」と諦めて、笑いながら「いいなぁ」と言い続ける。多数派への忖度に慣れすぎていて、自分の可能性を信じられない思考回路になっているみたいだ。 諦めることがあまりにも当然だから、「なんであいつは能天気に夢を追いかけているんだ」「そんなの失敗するに決まってるからやめておけ」と他人の可能性も奪いたくなるのかもしれない。自分だって諦めたんだから、お前も諦めろ、と。 だから多数派も少数派も、みんな息苦しい』、「息苦し」さをここまで具体的に掘り下げたのは、さすがだ。
・『他人と比較して「つらい」なんてナンセンス  ありきたりな着地点ではあるけど、やっぱり「こうあるべき」を減らすことが大切だと思う。というか、「こうありたい」ならともかく、「こうあるべき」なんてだいたいの場合が個人の好みや希望、気のせいでしかない。 世の中には、大学を中退して起業した人、20代半ばから大学に入り直した人、40歳で単身海外移住に挑戦した人がいる。もっと広い世界を見てみれば、自分の固定概念が幻想だとも気づけるのだ。 もちろん法律やら公衆道徳やらは気にしなければならないし、生まれ育った環境によって選択肢も変わるだろう。それでも未来はもっと柔軟に選べるものだと思うし、そうであってほしい。 青臭いかもしれないけど、20歳までまともに海外に行ったことがなく、出版社やメディア関係で働いたこともないわたしが、ドイツで文章を書いて生活できているのだ。ちょっと外に目を向ければ、自由に楽しくやってる人だって案外いるし、テレビで取り上げられるような「オモシロイ人生を送っている人」にあなたがなっちゃえばいい。 「生きづらい」が出発点の社会なんてまっぴらごめんだ。「こうすべき」とお互いの首を絞めてないで、「こういうのもありだよね」「こうなりたいな」という気持ちが尊重されるようになってほしいと思う』、強く同意したい。
タグ:自殺 日本財団 PRESIDENT ONLINE 現代ビジネス 雨宮 紫苑 (その1)(絶望の国 日本は世界一「若者自殺者」を量産している、若者に自殺を考えさせる多くの原因は「いじめ」 「不登校」経験も強く関連 そのとき相談する相手は誰?、若者の死因1位が「自殺」の日本 なぜそんなに生きるのが「辛い」のか) 舞田 敏彦 「絶望の国 日本は世界一「若者自殺者」を量産している」 「失われた20年」で若者の自殺が増加 国民全体の自殺率は低下 15~24歳の自殺率は、90年代以降ずっと上がり続けています 若者の自殺率は、この20年間でトップにのしあがっています。欧米諸国は減少傾向 50代の自殺者は景気回復の影響で減少 希望閉塞率 「希望」がなければ、自殺はもっと増える 「若者に自殺を考えさせる多くの原因は「いじめ」、「不登校」経験も強く関連。そのとき相談する相手は誰?」 日本の若者の4人に1人が自殺念慮を抱え、10人に1人が自殺未遂を経験したことがある 自殺念慮や自殺未遂の原因の多くは「いじめ」、また「不登校」経験も強く関連 困難に直面した若者に必要なのは、彼らの声にじっくり耳を傾ける姿勢 日本に暮らす18〜22歳の若者のうち、4人に1人が自殺を本気で考えたことがあり、10人に1人が自殺未遂を経験 その原因の半数が学校問題を占め、さらにその半数は「いじめ」が原因 回答した30%の若者が本気で自殺を考えたことがある 日本における若者の死因で最も多いのが自殺 先進7カ国の中で突出して高く、若者の死因の1位が自殺であるのは日本のみ 不登校状態や不登校経験が、自殺念慮や未遂に対し高いリスクを背負っている 不登校状態の場合は無理に1つの学校に通わせるのではなく、別の学校もしくはそれに代わる居場所を提供するといった解決方法も有効 追いつめられた若者が頼りたいのは、身近で大切な人たち 今後、若者の自殺対策に必要な取り組みとは? 『相談を受ける側』へノウハウを伝授するサポート体制を構築できたらと思っています 「若者の死因1位が「自殺」の日本、なぜそんなに生きるのが「辛い」のか ドイツからその「辛い」について考えてみた」 なんでそんなに「つらい」のか 日本に生まれ育った私が初めてドイツへ 世界は広かった! 「当然」を刷り込まれていくうちに、いつのまにかそれ以外の選択肢を削り取られてしまうのだ。まるで、ほかの選択肢なんて存在していないかのように 押し付けるの、やめませんか 日本は年功序列がいまだ根強く、学校生活から年齢による上下関係を叩き込まれる 自分のなかの「こうあったほうがいい」を他人に対して「こうすべき」と押し付ける人が多い 学校の黒髪強制 「こうあるべき」論が強いから、そこからはみ出た人は異物として扱われ、浮いてしまう。だから少数派は、いつだって生きづらさを抱えることになる 日本社会の強い同調圧力 「異端者」は「裏切者」じゃない 多数派も少数派も、みんな息苦しい 他人と比較して「つらい」なんてナンセンス 「こうすべき」とお互いの首を絞めてないで、「こういうのもありだよね」「こうなりたいな」という気持ちが尊重されるようになってほしい
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パンデミック(感染症流行)(その1)(「お友達内閣の脆弱さ明らかに」新型肺炎で舛添氏、武漢肺炎「元凶は中国がカナダから盗んだコロナウイルス」説を追う 実験施設からの流出か、「新型肺炎対策」が中国で大きく出遅れた事情 習近平総書記の責任論押さえ込みに躍起) [社会]

今日は、パンデミック(感染症流行)(その1)(「お友達内閣の脆弱さ明らかに」新型肺炎で舛添氏、武漢肺炎「元凶は中国がカナダから盗んだコロナウイルス」説を追う 実験施設からの流出か、「新型肺炎対策」が中国で大きく出遅れた事情 習近平総書記の責任論押さえ込みに躍起)を取上げよう。特に、第二の記事は日本の新聞には出ないような驚くべき内容である。

先ずは、1月31日付け日刊スポーツ「「お友達内閣の脆弱さ明らかに」新型肺炎で舛添氏」を紹介しよう。
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202001310000193.html
・『舛添要一前東京都知事(71)が、新型コロナウイルス拡大にともなう日本政府の対応を厳しく批判し、「お友達内閣の脆弱さを明らかにした」と私見を述べた。 舛添氏は30日、中国・武漢から29日にチャーター機の第1便で帰国した日本人のうち、2人がウイルス検査を拒んだ件についてツイッターで言及し、「ウイルス検査を拒否した乗客に法的には強制できないという安倍首相の答弁は間違っている。『公共の福祉』という憲法の規定がある。法律より憲法のほうが上だ。政府の新型肺炎対応は甘すぎ、感染症の危機管理としては失格だ。厚労相がもっと全体を指揮すべきで、危機管理の素人に任せたらカオスになる」と指摘した。 31日には、「日本が生き残るために、検査を受けないなどという不届き者を許さない政府の姿勢が必要だ。検査を法的に強制できないという安倍答弁を書いた役人は罷免ものだ」と、政府の対応を非難。「新型肺炎は、お友達内閣の脆弱さを明らかにした。嫌いでも能力があれば登用するという才覚があれば、今のような杜撰な対応はなかったはずだ。ゴマすり大臣ばかりでは駄目である。大臣以下、厚労省には危機感がなさすぎる。統一もできない非力な野党に代わって、天が安倍政権に反省を迫っているようだ」とつづった』、憲法の『公共の福祉』を持ち出して、「安倍首相の答弁は間違っている」、さすがだ。マスコミもこうした観点を指摘できなかったのは、情けない。自民党の一部には、緊急事態条項を盛り込むためにも憲法改正を、などと悪乗りする向きもあるようだが、現行憲法の規定も活かせずによくぞ勝手なことを言うものだと、呆れ果てるほかない。

次に、中国鑑測家・中央大学政策文化総合研究所客員研究員の北村 豊氏が2月4日付け現代ビジネスに掲載した「武漢肺炎「元凶は中国がカナダから盗んだコロナウイルス」説を追う 実験施設からの流出か」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70210
・『武漢にはもともとコロナウイルスがあった  武漢市は湖北省の東部に位置し、長江とその最大支流である漢江の合流点にあり、漢口、漢陽、武昌の三鎮(3つの町)から構成されていることから、かつては武漢三鎮と総称されていた。 武漢市統計によれば、2018年末時点における武漢市の常住人口は1108万人で、そのうちの都市部人口は890万人に上り、都市化率は80.3%に達している。常住人口1108万人は全国都市別人口の第8位で、第7位の深?市(1303万人)に次ぐ地位を占めている。 さて、その1108万人もの人口を擁する武漢市の市街区から直線距離でわずか15キロ程の地に、エボラ出血熱のウイルスを含む自然免疫原性ウイルスや、その他新たに発見されたウイルスの研究を行う、中国科学院の「武漢国家生物安全実験室(National Biosafety Laboratory, Wuhan)」(以下「武漢NBL」)が存在するのである。 武漢NBLは、武漢市江夏区に所在する中国科学院病毒(ウイルス)研究所鄭店園区内にあり、西を野湖と青菱湖に、北を黄家湖に、東を湯遜湖に、南を小高い山によって囲まれた場所にあるが、その周囲には多数の村落が存在している。 こうした危険なウイルスを扱う研究施設を人口1000万人超の大都市近郊に建設するということは通常では考えられないことだが、これがまかり通るのが中国という国の現実なのである。 今や武漢市では新型コロナウイルスに起因すると言われる肺炎、通称「武漢肺炎」が蔓延しており、中国政府は人口1108万人の武漢市を封鎖して、武漢肺炎の国内外への感染拡大を抑制しようと懸命な戦いを繰り広げている。 本稿を執筆している2020年1月31日時点における中国政府の公式発表では、中国国内の感染者は9782人、死亡者は213人となっているが、その隠蔽体質から考えて実際の感染者が10万人規模に達している可能性は否定できない。なお、中国国外では25の国・地域において153人の感染者が判明しているが、幸いにも未だに死亡者は発生していない。 ところで、武漢肺炎を引き起こした新型コロナウイルスが発生した場所として疑われているのは、武漢市江漢区にある武漢華南海鮮卸売市場(以下「華南海鮮市場」)で、ここで水産物と並んで販売されていた“野味(野鳥や野獣を使った料理)”の食材である“タケネズミ(竹鼠)”、アナグマや蛇などが新型コロナウイルスを媒介して人に感染させたものと考えられている。 しかし、この華南海鮮市場は上述した武漢NBLの所在地から直線距離で25キロメートル未満の場所にあり、武漢NBL内において、誤って新型コロナウイルスと接触したことで感染した職員が、華南海鮮市場を訪れたことも考えられる。 これはあくまで可能性の話だが、新型コロナウイルスに感染した武漢NBLの職員が華南海鮮市場を訪れて同市場関係者に接触したことにより、市場関係者が新型コロナウイルスに感染し、その人物を介在する形で新型コロナウイルスが人から人へと感染を拡大していったのではないか、という疑いが世界中でもたれている』、「武漢市の市街区から直線距離でわずか15キロ程の地」に「武漢NBL」を建設したというのは、さすが情報統制が行き届いた中国らしい。
・『前例もある  この事は確たる証拠がなく、飽くまで推測の域を出ない話である。しかし、その疑いをもたれるだけの前例が中国にはある。 2002年11月に中国で発生した「重症急性呼吸器症候群(SARS: severe acute respiratory syndrome)」は、当時の新型コロナウイルスによって発症し、2003年7月に終結宣言が出されるまでの約9か月間にわたって、有効なワクチンも治療法もない感染症として世界中を恐怖に陥れた。 2004年4月には、北京市や安徽省でSARSに類似した症状の患者が複数回発生したことがあったという。その詳細は公表されていないが、中国政府「衛生部」は2004年7月に「学生の規則違反によりSARSウイルスが実験室から流出したことが原因だった」との調査結果を発表している。 2003年7月にSARSの終結宣言が出された前後に、当時の武漢市長であった李憲生と中国科学院副院長の陳竺が、細菌やウイルスなどの微生物・病原体などを取り扱う実験室や施設の最高レベルであるバイオセーフティレベル4(BSL-4: biosafety level-4)(以下「BSL-4」)の「生物安全実験室」を建設する計画にゴーサインを出し、中国初のBSL-4実験室を持つウイルス研究施設を武漢市に建設することが決定された。 2004年10月に訪中したフランスのシラク大統領は武漢NBLと命名されたBSL-4ウイルス研究施設の建設を支援する協議書に調印したが、フランスでは、中国がフランスの提供する技術を使って生物兵器を作るのではないかとの反対意見が出されたし、国家情報部門も政府に対して警告を行ったのだった。 この武漢NBLの建設は種々の要因によって先延ばしされたが、フランスと中国が設計を共同で行い、技術と設備をフランスから導入し、建設を中国が担当する形で、2015年1月31日に武漢NBLは竣工した。 2017年2月23日には武漢市を訪問したフランス首相のベルナール・カズヌーヴ(Bernard Cazeneuve)が武漢NBLの開所式に出席してテープカットを行い、2018年1月5日に国家認証を取得したことによって武漢NBLは運営を開始した。 2017年2月23日付の英科学誌「ネイチャー(Nature)」は開所式を控えた武漢NBLについて報じた記事を掲載し、先に述べたSARSウイルスの流出事故や、中国の官僚主義的な隠蔽体質を理由として、武漢NBLが運用開始後に何らかの人的ミスにより毒性を持つウイルスがBSL-4実験室から流出して中国社会にウイルス感染が蔓延し、大規模な混乱が引き起こされる可能性を懸念していたのだ。 現在の武漢肺炎がパンデミックの状況にあることを考えると、この3年前の予測は的中したということになる』、「英科学誌「ネイチャー」」の警告が現実化するとは・・・。
・『コロナウイルスと武漢をつなぐ線  さて、ここで登場するのはカナダ在住のウイルス学者で中国国籍の邱香果である。中国で1964年に生れた邱香果は現在55歳である。学業成績が極めて優秀であった邱香果は1980年に飛び級により16歳で河北医科大学に入学した。1985年に河北医科大学を卒業して医学学士となった彼女は、天津医科大学の大学院へ進み、1990年に同大学院の免疫学修士号を取得した。 1996年に訪問学者として米国へ留学した邱香果は、テキサス州ヒューストンにあるテキサス大学附属MDアンダーソンがんセンターで研究に従事したが、その翌年の1997年にはカナダのマニトバ州へ移動し、マニトバがん治療センターの研究助士になった。 その後、彼女はカナダの国立微生物研究所(National Microbiology Laboratory<略称:NML>)で特殊病原体計画のワクチン開発と抗ウイルス治療部門の責任者になり、これと同時期にマニトバ大学医学・微生物学部の教授を兼任することになった。 こうしてウイルス学者として20年程をNMLで過ごした邱香果は、2018年にNMLの同僚であるゲイリー・コビンジャー(Dr. Gary Kobinger)と共同でエボラ出血熱の治療薬であるZMappを開発し、カナダ総督技術革新賞(GGIA)を受賞した。こうした輝かしい経歴を持つ邱香果はウイルス学者としては世界的に名を知られた存在であるということができる。 ところで、2020年1月末時点では、バイオセーフティレベル4(BSL-4: biosafety level-4)の生物安全実験室は世界24ヵ国・地域に59ヵ所以上が存在しているというが、中国には上述した武漢NBLと中国農業科学院ハルビン獣医研究所の2カ所がある。 BSL-4実験室の運用開始時期は、前者が2018年1月であるのに対して、後者は2018年8月となっている。ちなみに、日本には国立感染症研究所(東京都武蔵村山市)、理化学研究所筑波研究所(茨城県つくば市)の2カ所があり、3カ所目の長崎大学感染症共同研究拠点(長崎県長崎市)は建設中で2021年7月末の竣工予定となっている。 邱香果が所属するNMLは、マニトバ州ウィニペグ市に所在するカナダで唯一のBSL-4の生物安全実験室で、世界的にも知られた権威ある研究所であり、エボラウイルスやエイズウイルス、炭疽菌などを含む人類や動物にとって極めて致命的は(注:正しくは「な」)ウイルスを保管・研究している。 コロナウイルスについても世界的な研究センターである。2012年6月にサウジアラビアの男性(60歳)が発熱、咳(せき)、痰(たん)、呼吸が荒くなるなどの症状を示して、ジェッダ市内の医院で診察を受けた。同医院では病気を特定できなかったが、エジプトのウイルス学者であるアリ・モハメッド・ザキ(Ali Mohamed Zaki)が患者の肺から摘出したサンプルを検査した結果、今まで見たことのないコロナウイルスであることが判明した。 ザキ氏はこのウイルスをオランダのエラスムス大学医学部付属医療センターのウイルス学者であるロン・フーチェ(Ron Fouchier)に提供して見解を求めたが、フーチェ氏は当該ウイルスをカナダのNMLに回して分析を依頼した。これはNMLが長年にわたってコロナウイルスの検査サービスを展開していたからであった』、「邱香果」は確かに世界的な「ウイルス学者」のようだ。
・『昨年起きたウイルス・スパイ密輸事件  2019年7月14日、カナダのメディアは「7月5日に中国出身の著名なウイルス学者である邱香果(Dr. Xiangguo Qiu)とその夫で研究者の成克定(Keding Chang)および中国人留学生1名が王立カナダ騎馬警察(カナダの国家警察)によって、規約違反(policy breach)の疑いでNMLから連行された」と報じた。 2018年12月1日に中国企業「華為技術(ファーウェイ)」の副会長で最高財務責任者(CFO)の孟晩舟は対イラン経済制裁違反の容疑で、米国の要請を受けたカナダ当局によって逮捕されたが、孟晩舟に続く邱香果の逮捕はカナダと中国の外交関係に影響を及ぼす可能性が否定できないとメディアは大きく報じた。 本件に関してカナダのメディアが報じた内容を整理すると、以下の通りになる。 (a) 2019年3月31日、NMLの科学者がカナダ航空会社「エア・カナダ(Air Canada)」の航空機でエボラウイルス、ヘニパウイルス(注:コウモリ由来のウイルスで人に感染する)などが入った貨物を秘密裏に中国・北京市宛に送付した。 (b)2019年5月24日、カナダ政府「保健省」から上記貨物に関する通報を受けたマニトバ州警察当局が、邱香果と夫の成克定に対し捜査を開始した。 (c)上述した7月5日の連行劇を踏まえて、王立カナダ騎馬警察はNMLの職員に対して、「邱香果夫婦はNMLを一定期間離れて休暇を取る」と通告し、同僚たちに彼らと連絡を取らないように警告を与えた。一方、匿名のNML職員によれば、NMLは邱香果夫婦と中国人留学生1名に対し、BSL-4実験室への通行証を取り消した。これより早く、NMLのコンピューター技術者が邱香果の事務室へ入り、彼女のコンピューターを交換した。また、邱香果は定期的に訪問していた中国への旅行日程を取り消した。 (d)この後、NBLは邱香果夫婦を解雇した模様だが、邱香果夫婦および中国人留学生1名が「連行」後にどうなったのかは何も報道がない。「逮捕」というのも一部のメディアが報じたものであり、実際に逮捕されているのか、取調べを受けているのか不明である。なお、定期的に訪中していた際に、邱香果が度々武漢NBLを訪問していたことは間違いのない事実である。 王立カナダ騎馬警察が邱香果夫婦と中国人留学生1名をNMLから連行した表向きの容疑は「規約違反」となっているが、実際は感染力が強く、致死率の高いウイルスや病原体などを中国へ密輸した容疑であり、彼ら3人は中国のためにスパイ行為を働いていたと考えられる。なお、上述したサウジアラビアの男子から採取されて、オランダ経由でNMLに送られて来たコロナウイルスも、邱香果夫婦によって中国へ密輸されたウイルス類の中に含まれた可能性は否定できない』、中国側の狙いは、生物兵器の開発にあるのかも知れないが、それにしても、何故、「邱香果」ともあろう超一流の学者が、密輸に関わったとは不思議だ。
・『人災としてのパンデミック  それではカナダから中国・北京市宛てに航空便で送付された危険な貨物はどこへ行ったのか。カナダ当局は危険な貨物の宛名を把握しているはずだが、この点については無言を貫いている。ただし、受領した貨物の危険性を考えれば、貨物の受領者は速やかに貨物を安全な場所へ送るはずである。 中国国内でこうした感染力が強く、致死率が高いウイルスや病原体などを収容する場所として考えられるのは、上述した武漢NBLと中国農業科学院ハルビン獣医研究所の2カ所しかないが、優先的に考えられるのは中国科学院傘下の武漢NBLであろう。 こう考えると、邱香果夫婦によってカナダNMLから盗まれた危険なウイルスや病原菌などは、北京市から武漢NBLへ送られ、厳重に保管すると同時に研究されていたものと思われる。 それが武漢NBL職員による何らかのミスによりコロナウイルスの一部が外部へ流出し、人から人への感染によって急速に拡大して武漢市全体をパニックに陥れ、武漢市を起点として中国の国内外へ感染を拡大していると考えれば何となく辻褄が合うように思える。 2002年11月から始まったSARS騒動の際も、ウイルスの元凶は広東人が“野味”の食材とするハクビシンだという説が流れ、相当多数のハクビシンが殺処分された。しかし、その後の調査でハクビシンの元凶説は否定され、ハクビシンの「潔白」が証明された。 今回の武漢肺炎でもタケネズミ、アナグマ、蛇などが元凶の容疑をかけられているが、”野味“料理は中国で古くから伝統的に食べられて来たもので、彼らが武漢肺炎を引き起こしたコロナウイルスの元凶とは思えないのである。 上述した仮説が正しいかどうかは永遠に解明されないと思うが、もしも人為的なミスにより新型コロナウイルスが武漢NBLのBSL-4実験室から外部へ流出したというのであれば、全世界の人々に大きな犠牲を払わせる極めて悲しい出来事ということができよう。 それにしても、中国政府の顔色をうかがい、新型コロナウイルスの感染拡大に対する「緊急事態」宣言を1月30日まで先送りした世界保健機構(WHO)の責任は重い。その最大の責任者は元エチオピア保健相のテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長だが、出身国のエチオピアに対する中国の巨額援助がWHO事務局長としての判断を狂わせ、武漢肺炎の蔓延を助長するのであれば、早々に自ら事務局長の職を辞任すべきではないだろうか』、「出身国のエチオピアに対する中国の巨額援助がWHO事務局長としての判断を狂わせ」、「WHO事務局長」が中国に遠慮した理由が理解できた。中国政府の面子にかけて秘密を守らせるので、「上述した仮説が正しいかどうかは永遠に解明されないと思う」、というのは残念ながらその通りだろう。

第三に、2月6日付け東洋経済オンライン「「新型肺炎対策」が中国で大きく出遅れた事情 習近平総書記の責任論押さえ込みに躍起」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/328894
・『新型肺炎の震源地である湖北省武漢市が封鎖されてから10日後の2月2日。春節(旧正月)の長期休暇明けを待っていたかのように、浙江省温州市が新たに封鎖された。 「温州みかん」由来の土地とあって日本人にもなじみが深い。武漢と温州は900キロ近く離れているが、その街を封鎖せねばならないほど感染が広がっており、深刻な段階にあることがうかがえる。 武漢市当局が速やかに人から人への感染を認め、対策をとっていれば、ここまで感染は拡大しなかったという批判が中国の内外で高まっている』、「900キロ近く離れている」「温州市が新たに封鎖された」とは事態は深刻だ。
・『武漢市トップがテレビで「公開謝罪」  1月31日には国営中央テレビ(CCTV)に出演した武漢市のナンバーワン、共産党委員会書記である馬国強氏が、名物キャスターである白岩松氏の追及にさらされた。 マスクをつけて現れた馬氏は「もう少し早く厳しい措置をとっていれば、全国各地への影響も小さかったし、党中央や国務院(内閣)にここまで心配をかけずにすんだ」とひたすら謝罪。「習近平総書記、党中央が武漢の人民を忘れず、いつも心にかけ、愛してくださることこそ何にも勝る慰めだ」と結んだ。 地方政府が不手際をしでかした場合、行政のトップ(武漢市の場合は市長)が責任をとらされ、その上に立つ党書記は表に出てこないことが一般的だ。中国のすべてを指導する党は「全能無謬」の存在で、失敗はあってはならないからだろう。 馬氏は2018年に、世界2位の製鉄企業である宝武鋼鉄集団のトップから武漢市書記に転じた大物である。湖北省の党副書記も兼任している。彼が公開謝罪に追い込まれたのは、武漢市長による「問題発言」の影響が大きかったからと思われる。 武漢市の周先旺市長は1月27日、CCTVのインタビューで辞職する意向を示した。同時に「感染症に関する情報は法律上の手続きを経ないと公表できなかった」と述べたが、この言葉が、対策の遅れには中央政府の責任もあるという不満をこめたものだと受け止められたのだ。火の粉を党中央、すなわち習氏に飛ばすわけにはいかないので上司である馬氏が詰め腹を切らされたのだろう。 武漢市の隣に位置する黄岡市も同様に封鎖されているが、同市では予防対策に手抜かりがあったとして党幹部337人が処分を受けた。封鎖されている中で代わりの幹部がいるのだろうかと不安になるが、「現地の幹部に責任をとらせる」という中央の意思の表れとみられる』、「武漢市長による「問題発言」」、恐らく当初、市長が「中央政府」に相談しても、親身に相談に乗らなかった不満があったのだろう。
・『習氏との関係がすべてに優先する  武漢では、党書記がビジネス界出身の馬氏でなく、前任の陳一新氏であったら結果は違ったのではないかとの声があがっている。現在は司法・公安関係を統括する中央政法委員会の秘書長(事務局長)である陳氏は、習氏が浙江省書記であったときに政策ブレーンとして仕えた。 今も習側近の1人として知られ、彼の人脈があれば、中央との情報共有や政策の調整がずっとスムーズだったろうというのだ。これには、習氏とのつながりがすべてに優先する現在の中国の状況を映し出している。 2012年に共産党総書記になってから、習氏はあらゆる重要政策を自分が所管するようになった。重要政策を仕切るためのタスクフォース(領導小組)の組長は、前任の胡錦濤時代は複数の最高幹部に分散していたが、習氏は自ら主要なポストを独占した。 これが改革のスピードを上げると期待されたが、反面で習氏の判断を待たないと何も動かないシステムが出来上がってしまった。習氏との個人的パイプがある場合はスムーズに動くが、そうでないと何も動かない。武漢市で新型肺炎対策が遅れたのは、後者のケースだったとみられる。 では中央での新型肺炎対策が習氏の主導で進んでいるのかというと、少し様子が違う。全体の指揮をとるための「中央新型肺炎対策領導小組」が1月25日に成立したものの、組長はあらゆる権力を集中させてきた習氏でなく、なぜか李克強首相。武漢に現地視察に行ったのも李首相だった。 「新型肺炎対策領導小組」組長の李首相以下、メンバーは9人いる。そのうち3人が習氏の側近として知られる人物だ。丁薛祥・党総書記弁公室主任(習氏の上海市党書記時代の部下)、黄坤明・中央宣伝部長(同じく浙江省党書記時代の部下)、蔡奇・北京市党書記(同)である。 組長の李首相と、副組長の王滬寧氏の2人は共産党の最高指導部の一員である中央政治局常務委員。残りの7人も副首相クラスかそれ以上の高官という重量級の編成だ。メディア・言論統制の最高責任者である王氏がにらみをきかせ、公安部門のトップも加わる一方で、感染症の専門家や発生源である湖北省と関わりのある人物がいない。感染症封じ込めよりも、世論工作や治安の確保を優先している印象がぬぐえない』、「新型肺炎対策領導小組」に「感染症の専門家や発生源である湖北省と関わりのある人物がいない」、こんな段階になっても、政治を優先するとは救いがなさそうだ。
・『習氏は新型肺炎対策に不退転の決意  これはSARS(重症急性呼吸器症候群)が猛威を振るっていた2003年4月に、胡錦濤政権が編成したSARS対策チームのメンバーと比べるとはっきりわかる。このチームが発足する直前には情報隠蔽の責任をとらされて北京市長や衛生部長(大臣)が更迭された。新たに衛生部長を兼任した呉儀副首相を組長とし、残りの13人はそれ以下のランクのテクノクラートだった。その後のSARS退治で評価されたこのチームは極めて実務的なメンバー構成だったのだ。 中国批判の論調が鮮明な香港のアップルデイリー紙は、「習氏が自分で組長にならない、責任の所在があいまいなチームに地方政府の官僚を管理できるのか?呉儀氏が率いたチームにとても及ばないだろう」という識者のコメントを引用している。中国国内からも習氏の責任を問う声があがるが、徹底的に押さえ込まれている。 習氏は2月3日に党常務委員会を開き、これまでの対策の遅れに言及しつつ新型肺炎対策に不退転の決意を示した。一部では「初動対策の遅れを認めた」と報じられているが、中央の責任を明確に認めた言葉はなく、地方政府を引き締めるためのメッセージという印象が強い。これを報じた4日付の人民日報の1面は、新型肺炎との「人民戦争」を国民に呼びかける論説をセットで掲げている。 習氏は2022年に国家主席としての2期目の任期を終える。2018年の憲法改正によって国家主席の任期を撤廃した習氏には「3期目」もありうる。しかし、経済が減速しているなかで新型肺炎の流行を許したことで、必ずしも権力基盤が磐石ではなくなってきた。一極体制が機能不全に陥るリスクがある。 中国の世界経済における存在感は2003年と現在では比較にならない。統治機能の不全から新型肺炎対策が遅れるようなことがあれば、それは中国のみならず世界にとっても不幸としか言いようがない』、こんな有様では、「新型肺炎の流行」抑制は当面、期待できそうにない。日本はとりわけ大きな影響を被るにも拘らず、安倍政権の対応が付け焼刃的なのは残念でならない。
タグ:東洋経済オンライン SARS 日刊スポーツ パンデミック 現代ビジネス 感染症流行 (その1)(「お友達内閣の脆弱さ明らかに」新型肺炎で舛添氏、武漢肺炎「元凶は中国がカナダから盗んだコロナウイルス」説を追う 実験施設からの流出か、「新型肺炎対策」が中国で大きく出遅れた事情 習近平総書記の責任論押さえ込みに躍起) 「「お友達内閣の脆弱さ明らかに」新型肺炎で舛添氏」 日本人のうち、2人がウイルス検査を拒んだ件 ウイルス検査を拒否した乗客に法的には強制できないという安倍首相の答弁は間違っている。 『公共の福祉』という憲法の規定がある。法律より憲法のほうが上だ。政府の新型肺炎対応は甘すぎ、感染症の危機管理としては失格だ。厚労相がもっと全体を指揮すべきで、危機管理の素人に任せたらカオスになる 検査を法的に強制できないという安倍答弁を書いた役人は罷免ものだ 自民党の一部には、緊急事態条項を盛り込むためにも憲法改正を、などと悪乗りする向き 現行憲法の規定も活かせずによくぞ勝手なことを言うものだ 北村 豊 「武漢肺炎「元凶は中国がカナダから盗んだコロナウイルス」説を追う 実験施設からの流出か」 武漢にはもともとコロナウイルスがあった 中国科学院の「武漢国家生物安全実験室(National Biosafety Laboratory, Wuhan)」(以下「武漢NBL」) 武漢市の市街区から直線距離でわずか15キロ程の地 武漢NBL内において、誤って新型コロナウイルスと接触したことで感染した職員が、華南海鮮市場を訪れたことも考えられる 前例もある 学生の規則違反によりSARSウイルスが実験室から流出したことが原因だった」との調査結果を発表 技術と設備をフランスから導入し、建設を中国が担当する形で、2015年1月31日に武漢NBLは竣工 英科学誌「ネイチャー(Nature)」 ARSウイルスの流出事故や、中国の官僚主義的な隠蔽体質を理由として、武漢NBLが運用開始後に何らかの人的ミスにより毒性を持つウイルスがBSL-4実験室から流出して中国社会にウイルス感染が蔓延し、大規模な混乱が引き起こされる可能性を懸念 コロナウイルスと武漢をつなぐ線 カナダ在住のウイルス学者で中国国籍の邱香果 ウイルス学者としては世界的に名を知られた存在 2012年6月にサウジアラビアの男性(60歳)が発熱、咳(せき)、痰(たん)、呼吸が荒くなるなどの症状 今まで見たことのないコロナウイルスであることが判明 昨年起きたウイルス・スパイ密輸事件 邱香果 とその夫で研究者の成克定 および中国人留学生1名が王立カナダ騎馬警察(カナダの国家警察)によって、規約違反(policy breach)の疑いでNMLから連行 容疑は「規約違反」となっているが、実際は感染力が強く、致死率の高いウイルスや病原体などを中国へ密輸した容疑であり、彼ら3人は中国のためにスパイ行為を働いていたと考えられる 人災としてのパンデミック 邱香果夫婦によってカナダNMLから盗まれた危険なウイルスや病原菌などは、北京市から武漢NBLへ送られ、厳重に保管すると同時に研究されていた ”野味“料理は中国で古くから伝統的に食べられて来たもので、彼らが武漢肺炎を引き起こしたコロナウイルスの元凶とは思えない 「緊急事態」宣言を1月30日まで先送りした世界保健機構(WHO)の責任は重い 最大の責任者は元エチオピア保健相のテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長だが、出身国のエチオピアに対する中国の巨額援助がWHO事務局長としての判断を狂わせ、武漢肺炎の蔓延を助長するのであれば、早々に自ら事務局長の職を辞任すべき 上述した仮説が正しいかどうかは永遠に解明されないと思う 「「新型肺炎対策」が中国で大きく出遅れた事情 習近平総書記の責任論押さえ込みに躍起」 浙江省温州市が新たに封鎖 武漢と温州は900キロ近く離れている 武漢市トップがテレビで「公開謝罪」 武漢市長による「問題発言」 対策の遅れには中央政府の責任もあるという不満をこめたものだと受け止められた 習氏との関係がすべてに優先する 「新型肺炎対策領導小組」組長の李首相以下、メンバーは9人いる 感染症の専門家や発生源である湖北省と関わりのある人物がいない 習氏は新型肺炎対策に不退転の決意 安倍政権の対応が付け焼刃的
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高齢化社会(その14)(50代は使えないの嘘 言葉にできない暗黙知を生かせ、高齢化率50%「横浜のニュータウン」に変化の波 大和ハウスが「再生」に乗り出す背景事情、少子超高齢化した日本を襲う「2022年危機」そのヤバすぎる現実 団塊の世代がついに75歳を超え始める) [社会]

高齢化社会については、昨年8月6日に取上げた。今日は、(その14)(50代は使えないの嘘 言葉にできない暗黙知を生かせ、高齢化率50%「横浜のニュータウン」に変化の波 大和ハウスが「再生」に乗り出す背景事情、少子超高齢化した日本を襲う「2022年危機」そのヤバすぎる現実 団塊の世代がついに75歳を超え始める)である。

まずは、健康社会学者(Ph.D.)の河合 薫氏が昨年9月24日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「50代は使えないの嘘、言葉にできない暗黙知を生かせ」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00041/?P=1
・『「うちの息子がね、やたらと50代の文句を言うんですよ」こう話すのはある企業の社長さん、62歳である。 これまで50代の社員への不平不満は耳にたこができるほど聞いてきたけど(すみません)、息子と父親とのやりとりが「情報源」になるのは今回が初めて。しかも、社長さん=父親のリアクションが実に興味深かったので取り上げようと思う。 まずは、“父親”の独白からお聞きください。 「こないだ息子と久々に飲んだんです。やつも忙しくしてるので、本当、久しぶりでした。最初のうちは息子の仕事の悩みを聞いてやって。うちの会社でも若手が簡単に辞めちゃうんでね。息子の悩みは結構、参考になりました。 それでだんだんとお酒が回ってきたら、息子が上司の文句を言い始めた。 言われたことだけやればいいっていうから言われたことだけやったら、『なんで言われたことしかできないんだ!』って怒られるだの、『自分で考えろ!』って言うから、自分で考えてやったら『余計なことするな!』と怒られただの言うんです。 まぁ、確かに上司はそう言いがちだし、自分もやってるかもしれんなぁって笑いながら聞いていました」』、「久しぶり」とはいえ、「息子と久々に飲んだ」、とはうらやましい。
・『若手が抱く50代シニア社員へのアレルギー  「ところがね、息子が50代以上の社員の文句を言い始めましてね。はい、上司じゃなく、同じ職場にいるシニア社員です。 『エクセルがまともに使えない、コミュニケーション能力が低い、役職定年になって会社にいる意味があるのか』と不平不満を言い、揚げ句の果てに、シニア社員が異動してくると、みんなの迷惑だから辞めてほしいとか言うわけですよ。 シニア社員の生かし方は、うちの会社でも課題になっているので、息子の言い分が分からないでもない。でも、30そこそこの若造が、シニア社員をまるで給料泥棒のろくでなしのように言っているのを目の当たりにしたら、頭にきちゃってね。 ついカッとなって、『若手にはない力がシニア社員にはあるんだぞ』って言い返したんです。 そしたら今度は『自分の成功体験ばかり言って現場の邪魔をするか、会社で死んだふりしていて一言も話をしようとしないかどちらか。そんな人に、どんな力があるのか? 50歳以上はそもそも人間関係が狭過ぎる。会社の中にしか人間関係がないから視野が狭い』って反論してきた。 なので、会社は使い物にならないやつを置いておくほど、ばかじゃないって言ってやったんです」 「そしたら今度はなんて言ったと思います? 『今の50代は英語もまともにできないのに大企業に入った人がたくさんいる。50代は甘やかされ過ぎだ』って。 いやぁ、参りましたよ。なんだか自分のこと言われてる気がしてきちゃって、情けなくてね。 会社では私も、安心だけを求めるやつは要らないって50代以上の社員に活を入れてるんですけど、面と向かって悪く言われると、なんかね……。50代以上の社員への若手社員のアレルギーがここまでひどいとは驚きました。 実際のところ、50歳以上の社員ってどうなんですか? 息子を納得させることができなかった自分も悔しくて。本当、どうなんですか?」』、「自分の成功体験ばかり言って現場の邪魔をするか、会社で死んだふりしていて一言も話をしようとしないかどちらか」、とは手厳しいが、一面の真実でもある。
・『シニア社員の“見えざる底力”とは?  会社ではシニア社員に活を入れている「社長さん」が、息子との応酬に悪戦苦闘している姿を想像するだけで失笑してしまう。そのやりとりはどう見ても息子さんの圧勝である。 とはいえ「お父さん」が言う通り、「若手にはない力がシニア」にはある。断言してもよい。 というわけで、今回は改めて「50代の底力」について具体的に考えてみようと思った次第だ。 実はこの数カ月、50代以上の社員を集中的にインタビューしているのだが、今年に入ってから「空気」が変わってきたように感じている。これがこう変わりましたと明言できるほどの目立った変化ではないが、1年前に比べると明らかに“死んだふり”をして会社にしがみつく人が減り、前向きに頑張っている人が確実に増えているのだ。 役職定年などで給料を減額され、部下が上司になり、一旦はやる気を失うものの、そこから再起。部下たちに迷惑をかけないように、生き延びようと踏ん張っている。) ただ、残念なことに、彼らの頑張りは外からは見えにくい。彼らに注がれる世間の冷ややかで厳しいまなざしが、彼らの頑張りが表に出づらい状況を作っているように思う。 「若手の邪魔はしたくない」という気持ちと、「周りから期待されないこと」へのやるせなさが、微妙かつ複雑に絡み合い、会社での不安定な立ち位置に悶々として空回りしているのである。 その殻を破ることさえできれば、若手から「役立たず」と揶揄(やゆ)されることはなくなるのに、それができない。彼らの話を聞いていると「そんなに頑張っているなら、もっと自信を持てばいいのに」と思う。しかし、そこで過去の「立場」が邪魔をしてしまうのだ。 繰り返すが、50歳以上のシニアにはどんなに若手が頑張ったところでかなわない力がある。特にバブル世代も含めたこの世代は、若いときに現場の末端を経験させられ、上司のパワハラにも耐えた「たたき上げ世代」だ。 このときの経験こそが、未来を見通せない、過去の法則が一切役に立たない今の日本社会を打開する切り札になると私は確信している』、全く同感である。
・体を通じて蓄積した「暗黙知」が生きる時代  ここでの「経験」とは、専門用語でいうところの「暗黙知(tacit knowledge)」だ。人間が習得する知識は、大きく2つに分けることができる。 1つ目は、視覚または聴覚を通じて習得する知識。2つ目が自分の感覚を通じ実際に体験して習得する知識だ。前者は「情報知」と呼ばれ、後者は「経験知」または「身体知」と呼ばれている。 例えばラジオ、テレビ、新聞、SNSなどのメディア、あるいは人から聞いた情報として知り得た知識は「情報知」。情報過多社会に生きる若い世代に、シニア世代は情報知で勝つことができない。彼らの情報網は実に多彩で、常に情報をアップデートし、中には歩く「yahoo!ニュース」のような若者もいる。 一方、経験知(身体知)は、実際に個人が体感したことで「言葉にされていない知識」として身に付くもの。音の聞き分け方や顔の見分け方、味の違いなども経験知だし、自転車の乗り方を練習し自分で乗れるようになって体が覚えた感覚なども「経験知」である。 このような「経験知(身体知)」の中に「暗黙知」があり、暗黙知が豊かなほど想定外の出来事にうまく対処することが可能なのだ。 どんなに詳細なルールやマニュアルを作ったところで、そこに「人」がいる限り、網の目からこぼれ落ちる事態や事件が起こる。そんなときに、現場の対応次第で、小さな事件がとてつもなく大きな問題になってしまったり、大問題になりそうな事件が意外にもすんなりと過ぎていってしまったりもする。 つまり、「現場の力」。それを左右するのが「暗黙知」というわけ。 ついつい私たちは言葉にできる知識こそが「真の知識」だと考えがちだが、実際には暗黙知のような言葉にならない知識の方が、物事を遂行し、諸問題の解決するのに役立つ。危機を乗り越えるには必要なのだ。 かなり前になるけど、「これぞ暗黙知だ!」という場面に出合ったことがある。 マンション横の一方通行の道で、大きな荷物を持った年配の女性が私の車の前を走っていたタクシーを止めたのだが、女性がなかなか乗り込むことができず、ちょっとした渋滞となった。 タクシーの運転手さんは車から降りることもなく、歩くおばあさんを待つばかりで、そのうち後ろの車が「プッ、プッ」と小さくクラクションを鳴らし始めた。 それは明らかに「おばあさん」に向けられたものではなかった。私自身も「まったくも~。なんで運転手さん降りてきて、おばあさんの荷物を持ってあげないんだろう。なんなら私が行くか!」と動かない運転手に少しばかりイラついてしまったので、クラクションを鳴らした人も「おい!降りて手伝ってやれよ!」とサインを送ったのだと思う』、「情報知」は形式知とも呼ばれる。
・『現場の解決力は暗黙知が支えている  すると私の後ろに並んだ車の列の中に同じタクシー会社の方がいたようで、年配の運転手が突然走ってきて私たちに深々と頭を下げた。そして、おばあさんの荷物を持ち上げて手を取り、優しくドアを開けておばあさんを乗せたのだ。 慌てて20代後半くらいの若い運転手さんもタクシーを降り、ベテランの運転手さんに促されるように私たちの方に頭を下げた。 まさに危機一髪。 ベテラン運転手が出てこなければ、クラクションをさらに激しく鳴らす人たちが出てきて、おばあさんは悲しい気持ちになっただろうし、クラクションを鳴らす運転手に怒りを覚える人も出てきたに違いない。 このときのベテランの運転手さんの行動力こそが「暗黙知」がなせる業。即座に脳と体が状況を処理し、「今、何をすべきか?」を順序だって判断する。 暗黙知はさまざまな不測の事態や、「もう無理!」という状況を繰り返し経験することで高まるため、年齢とともに上昇し、ピークは70歳と断言する研究者もいるほどである。「おばあさんの知恵袋」などはまさに暗黙知なのだ。 話を戻すと、50代以上の社員ほど、どんどんと現場から遠ざけられがちだが、蓄積した「暗黙知」を活用するならまったく逆だ。天敵の来襲や不測の事件が起きる確率の高い現場の最前線にこそ、シニア社員に任せた方が合理的。 とはいえ、不機嫌で、ITにも弱いシニアをそんな目立つところに置いてどうする? と首をひねる人も多いことだろう。それ以前にシニア社員自身が「なんでそんな仕事をやらなきゃならないんだ!」とふてくされる可能性は高い。 彼らは彼らなりに頑張っている半面、「俺はまだまだやれる。やる気もあるし、やるべきこともある。なのになんで50をすぎた途端、部下が上司になり、給料減らされるんだよ!」という不満を抱いているため、彼らが自主的に「これをやりたい」と動くように仕向ける必要がある』、確かにその通りだが、「仕向ける」のも容易ではない筈だ。
・『「必要とされたい」思いは働かないおじさんも同じ  なんだかとってもめんどくさいのだが、使う側の論理だけでやることは、必ずしも生産性の向上にならない。むしろ多少手がかかろうとも、自分から取り組み、やった仕事に達成感を持ち「自分はちゃんと貢献している」という自信を持たせた方が、周りのパフォーマンスも向上する。 私は15年近くいろんな人の声に耳を傾けてきたが、口に出す出さないは別として、働く人たちには例外なく「人に必要とされたい」という願いがあった。 同様の願いは、彼ら=働かないおじさんにもある。 であるからして、シニアの「底力」を引き出すことに成功すれば、間違いなく50代を責める若手は減り、働かないおじさんはネガティブスパイラルから脱し「1+1=3、4、5…」とチーム力が高まり、長期的に生産性が向上する。 では、空回りしがちな50代以上の社員が殻を破るために必要なものとは何か? 「緩いつながりの構築」である。 「強いつながり」とは、接触回数が多い、一緒にいる時間が長い、情報交換の頻度が多い、心理的に近いといったような関係を指し、社内の人間関係や仕事で繋がる人たちは強いつながりの人脈だと考えていい。 で、その逆が「弱いつながり」となる。 くしくも件の息子が「50歳以上はそもそも人間関係が狭過ぎる」と言っていた通り、1つの組織で長年過ごしてきたシニア社員は、似たような人とばかりつながっているため、アウェーで自分からアクションを起こすのが壊滅的に下手。それを打開する最良の手段が「緩いつながりの構築」である。 役職定年で一旦腐った状態から脱し、今なお「仕事が楽しい」と笑う人たちは例外なく、「外の人たちと接する機会」の中で、殻を破るきっかけを得ていたのだ』、「緩いつながりの構築」、とは有力な打開策になりそうだ。
・『外に出れば恵まれていた自分が見える  ある人は若い人たちの「朝活」で、ある人は資格取得の研修で、また、ある人は地域のボランティアで、彼らは自分の「立場」を俯瞰することに成功していた。 役職定年があるような大企業に勤めている自分、役職定年になる役職まで務めあげた自分、会社に行けば自分の椅子と机がある自分、といった当たり前が、外へ出てみれば決して当たり前ではなかった、と。そして、それがいかに恵まれているかを痛感した、と。 強いつながりの中では見つけられなかった、価値観や言葉に触れることで、それまでの不満が思い過ごしだったことに気づいていたのである。 しかも、緩いつながりの中では、自分から話しかけないと誰も相手にしてくれない。自分から動かないと、仲間になれない。つまり、自分がいることで何かが回ることを経験し、アウェーで生きていくコツをつかむ。緩いつながりを持つことで、会社にも居場所を作れるようになる。緩いつながりの中に身を置く経験をするだけで、彼らの暗黙知が刺激されるのだ。 世間では「会社の外に居場所を作れ!」がシニア社員の定説だが、「会社の中で居場所を作れ!」。そのために緩いつながりを作る。ますます50代のおじさん社員が増えていく職場で、会社にも、社員にも、まだまだできることはあるように思います』、「緩いつながりを作る」ようにするためには、40歳台からそれに備えた準備も必要なのではなかろうか。

次に、住生活ジャーナリストの田中 直輝氏が12月14日付け東洋経済オンラインに掲載した「高齢化率50%「横浜のニュータウン」に変化の波 大和ハウスが「再生」に乗り出す背景事情」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/317979
・『少子高齢化により、空き家の増加や地域の過疎化が社会問題化している。その象徴といえるのが郊外型住宅団地「ニュータウン」だ。経済成長期に庶民のマイホームの夢をかなえる場として、戸建て型・集合住宅型を含め全国で開発されてきたが、その多くが今、往時の活気を失い、高齢化や人口減少など「オールドタウン」と称したほうがよい状況になりつつある。 そのため、そこに立地する住宅や土地は、「負動産」など称され一般的には魅力がないように思われがちだ。だが、見方を変えれば、ニュータウンは学校や公園など居住インフラがすでに整備された理想的な住環境といえる。 若い世代を呼び込めればにぎわいが生まれ、地域活性化につながる。ニュータウン再生が可能なら、今後の地域社会の形成にあたってよい影響が期待されるからだ。 本稿では、かつてニュータウン開発を行った事業者がその再生に取り組む事例を紹介し、その成果と今後どのような成果が期待されるかについて紹介する』、「オールドタウン」化しつつあるところは多そうだ。
・『超高齢化で街の維持が困難に  神奈川県横浜市栄区に「上郷ネオポリス」というニュータウンがある。1970年に大和ハウス工業が開発を始めた戸建て団地だ。鎌倉市との境にあり、大変緑豊かな立地である。現在は868戸に約2000人(2019年9月現在、上郷ネオポリス自治会調べ)が居住している。 注目すべきは約50%(2017年9月現在、横浜市政策局統計情報課調べ)という高齢化率だ。全国の高齢化率は平均27.7%、横浜市では平均24.0%(いずれも2017年)であることを考えると、上郷ネオポリスは超高齢地域といっていい。 高齢化は現地にさまざまな問題を生み出している。ネオポリス内にあった商店の閉店により買い物の利便性が著しく低下しているほか、同時進行した少子化により小学校(旧横浜市立野七里小学校)が廃校している。要するに、街の維持が難しい状況となっているのだ。 さて、その一画に10月29日、「野七里(のしちり)テラス」という施設がオープンした。「サチテラス」と呼ばれるコンビニ(ローソン上郷野七里テラス店)、路線バスの待合所の機能も有するコミュニティー拠点「イマテラス」が入っている。) 施設は地域住民から募集されたボランティアにより運営され、ローソンの店長・従業員も地域の方々が雇用されている。ボランティアには80歳代の方もいるという。ここを拠点とした移動販売も行われている。 建物内外に40以上の席が設けられており、日中はご高齢の方々が主に集い、夕方からは小学生を含む若い住民の方の姿も見られ、その様子から野七里テラスが幅広い世代の集いの場になっていることがうかがい知れた。 そもそもの始まりは、大和ハウス工業が2014年から開始した住民との意見交換にある。以降、「まちづくり協定」の締結、大学(東京大学、明治大学)や高齢者住宅協会も加わった「まちづくり協議会」の発足などを通じて、施設の実現にこぎ着けたものだ。 2017年には全住民を対象とした「全戸住民意向調査」を実施。その中で「買い物・交通の不便」や「高齢者の見守りや支え合い」など、街のあり方の問題点や要望が浮き彫りになり、それが野七里テラスに反映されている』、実験的なパイロット・プロジェクトなのだろうが、面白い取り組みだ。
・『さらに幅広い再生策を模索  「当初はお茶をするだけの簡単なものを考えていたが、予想以上に立派なものができた。そのおかげで、従来は閉じこもりがちだった人たちに動きが生まれた。街が変わった、盛り上げていこうという雰囲気になってきた」と、住民は話す。 ただ、再生の取り組みは始まったばかり。現地の再生に当初から関わる大和ハウス工業の瓜坂和昭氏(営業本部ヒューマン・ケア事業推進部部長)は、「もっと幅広い再生策が展開できるはずだ」と言う。 上郷ネオポリスはインフラ施設が充実したニュータウンだ。横浜市の埋蔵文化財センターなどとして活用されている旧小学校の建物は、耐震工事が実施済みである。老人福祉センター「翠風荘」「栄プール」(2020年3月末に廃止予定)などもある。 一方で、大和ハウス工業は新築・リフォームをはじめとした住宅事業だけでなく、医療・介護、フィットネス、商業店舗など幅広い事業領域を有する。そして、それぞれの事業に高度な専門知識や事業スキルを有する専門部隊も抱えている。 そうした強みを生かし施設を再活用し、より時代に即し地域ニーズにも合致した施設としてリフォーム・リノベーションなどによる用途転換することで、高齢の住民の暮らしを改善し、さらに若い世代を呼び込むことができる環境づくりができ、周辺地域も含めた地域活性化につなげられるとみているのだ。 施設の再利用ではないが、前述した野七里テラスは、同社の持つ強みが発揮され実現できたものだ。コンビニの誘致にあたっては、子会社の大和リビングがローソンとフランチャイズ契約を結び、大和リビングが店長や従業員の募集や雇用を行っている。 また、移動販売にあたってはネオポリス内だけでなく、周辺にある高齢者向け施設などの顧客先も開拓している。このような仕組みを導入することで、野七里テラスをビジネスとして採算性あるものにしているわけだ』、「ビジネスとして採算性あるものにしている」、とは、設備費の償却も含むのかは不明だが、含むとすれば大したものだ。
・『地元自治会が主体となっての実現は難しい  採算面を含むニュータウン再生を地元の自治会が主体となって実現するのは、相当な大変さが伴うと考えられる。そもそも、まちづくり協議会の設置をはじめ、ネオポリス内の意見の調整さえ難しかったからだ。 前述の住民の方は「大和ハウス工業が意見交換を申し出る前もネオポリスの再生を推進しようとしていたが、とにかく人、お金、時間、そしてアイデアもなく、足踏みが続いていた」と振り返っていた。 もっとも、旧小学校などはいずれも横浜市の所有であり、自治会やまちづくり協議会、大和ハウス工業でどうこうできるものではない。「そのため、現在、横浜市と上郷ネオポリスのまちづくりに関する包括協定を結ぶべく活動している」(瓜坂氏)と話していた。 いずれにせよ、注目すべきは上郷ネオポリスの再生が、大和ハウス工業が住民と企業や自治体との間を取り持ち、協力を得る一方で、実践的なアイデアや取り組みを行う「タウンマネジメント」を展開することで進展しているという点だ。 では、なぜ大和ハウス工業はこのようなニュータウン再生の取り組みを今、進めようとしているのか。同社では、1962年から全国61カ所、延べ7万区画(約30k㎡)でネオポリスを開発してきた。 その中には、開発から40年以上経過した、上郷ネオポリスと同様の課題を抱えている団地もある。このため、上郷でのニュータウン再生、タウンマネジメントの手法がうまくいけば、ほかのネオポリスの再生にもノウハウを生かすことができると考えているわけだ。 さらには他社開発のニュータウンにも拡大でき、その中からリフォーム・リノベーション、ストック(中古)売買、住宅医療・介護施設などといった需要が生まれれば収益も生まれ、今後も持続的な企業の成長が期待できる。 売上高4兆円規模にまで成長する中で多岐にわたる事業領域の確立、それによるノウハウの充実といった、ニュータウン再生に向けた体制づくりにある程度のメドがついたことが、本腰を入れ始めた第1の理由といえる。 第2の理由は、過去に開発したニュータウンをこのまま放置しておくことが、今後の企業成長の足かせになる可能性があるからだ。 時代は、環境・社会・ガバナンスへの取り組みが適切に行われているかを重視する「ESG」など、持続可能な社会の実現へ向かおうとしている。 そうした時代の変化の中で、ニュータウン再生問題は事業リスクになり、社会的責任を問われる状況になることも考えられるのである』、「ニュータウン再生問題は事業リスクになり、社会的責任を問われる状況になることも考えられる」、こうした点を覚悟した上で、「大和ハウス工業」は取り組んだのだろう。
・『不信感をどう払拭するかも課題  といっても、道のりは険しい。上郷ネオポリスの住民の方からは、「大和ハウスは、開発終了後は売りっぱなしだった。意見交換会が始まった頃は半信半疑だった」という、厳しい本音も聞かれた。 このような不信感を取り除くことから始まるわけで、ましてや事業を採算ベースに乗せるためには相当の時間がかかる。ただ、それはどのニュータウン再生、あるいはストック住宅の流通活性化、空き家問題の解決であっても同じことで、チャレンジする姿勢は評価できる。 過去に開発したニュータウンに舞い戻り、その再生に取り組むという事例は、少なくとも筆者には記憶がない。そうした観点からも、今回紹介させていただいた。冒頭にも書いたが、再生の必要があるニュータウンは多く、これに続く動きが出てくることに強く期待したい。 なお、大和ハウス工業は2018年1月から、ストック住宅の売買仲介、買取再販、リノベーション・リフォームなどの既存住宅事業を強化するため、グループ統一の新ブランド「Livness(リブネス)」を立ち上げている。 2022年3月期には売上高3000億円規模をもくろんでいるという。この中でネオポリスの再生事業は、「リブネスタウンプロジェクト」と称され、兵庫県三木市にある「緑が丘ネオポリス」でも取り組みが行われている』、確かに、「売りっぱなし」モデルからの転換は時間がかかりそうだが、今後の展開を注目したい。

第三に、10月12日付け現代ビジネス「少子超高齢化した日本を襲う「2022年危機」そのヤバすぎる現実 団塊の世代がついに75歳を超え始める」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/67765
・『誰も経験したことがない歪んだ人口構造に打つ手なし!現役世代は、稼いだカネの半分を税金と社会保障に持っていかれる。高齢者の持つ資産は行く当てを失い、塩漬けに。土地は値下がり、老朽化したインフラは放置するしかない。出口を失った時代にあなたはどう備えるのか。 〈2022年危機に向けた健保連の提案〉今年9月9日、社会保障に関する提言をまとめたこんなタイトルのレポートが公表され、話題を呼んでいる。作成したのは「健康保険組合連合会」。全国約1400の企業健保組合からなる連合組織で、加入者は全国民のおよそ4分の1に当たる約3000万人。 日本の医療制度を支えてきた巨大組織が「このままでは従来の健康保険の仕組みは維持できない」と悲鳴を上げたのだ。 レポートの内容を要約すると、次のようになる。 〈急激な高齢化と現役世代人口の減少により、医療保険制度における現役世代の負担はますます大きくなり、医療、介護、年金を合わせると、社会保険料率が間もなく30%を超えることになる。 これを避けるためには、後期高齢者の医療費負担を原則2割とするなど、世代間の負担のアンバランスを是正する改革を進めるべきだ。〉 提言の中身そのものは目新しいものではないが、注目すべきは、なぜこのレポートが「2022年危機」と名付けられているか、だ。 実はこの年から、推定800万人といわれる団塊の世代(1947年~'49年生まれ)が75歳になり、総人口(1億2400万人)に対する75歳以上の人口が約1900万人と2割近くに迫るのだ。 健保連はその危機を迎える前に、一刻も早く対策をとるべきだと声を上げたわけだが、75歳以上の人口急増は、具体的に社会や経済にどんな影響を与えるのだろうか。 ニッセイ基礎研究所・生活研究部の天野馨南子准主任研究員が社会保障費の観点から解説する。「男性の健康寿命は75歳と言われていて、この歳を越えると、ほとんどの人が日常的な医療支援や介護が必要な状態になります。そして、一人当たりにかかる医療費や介護費が跳ね上がります。 厚労省によると、一人当たりの年間医療費は65歳未満で平均18万円なのに対し、75歳以上では91万円に急増します。介護費も同様です。75歳以上の人口が急増するということは、日本社会全体にのしかかる負担も急増することを意味するのです」』、「健保連の提案」については、このブログの1月26日付けで医薬品(製薬業)(その3)でも紹介した。
・『世界史に残るほどの危機  続けて法政大学経済学部の小黒一正教授は、日本全体の負担がどこまで膨れ上がるかについて、具体的に数字を挙げた。 「昨年5月に政府が発表した『社会保障の将来』という資料によると、'18年度の社会保障給付費の総額は、年金が約57兆円、医療費が約39兆円、介護費が約11兆円で、そのほか諸々を含めて約121兆円。 これが'25年度には年金が約60兆円、医療費が約48兆円、介護費が約15兆円で、社会保障費は約140兆円にまで膨らみます。さらに'40年度には社会保障費は190兆円を超えると試算されています。 東京五輪以降、日本はいやが上にも『社会保障費の膨張』という問題に向き合わねばなりません。 年金支給額を抑制したり医療負担を上げたりするか、あるいは働く世代から税金などをより多く徴収する、消費税をさらに上げる、といった選択をせざるを得なくなります」 大和総研の試算によると、このまま社会保障費が伸び続ければ、'40年には就業者一人当たりの医療・介護保険料の支払額は現在の25万円程度から43万円に増加する見込みだという。 そこに、重い所得税や消費税がのしかかる。現在所得税の最高税率は45%だが、今後、さらなる引き上げが行われることは確実だ。税金と社会保険料などで所得の半分近くを持っていかれる現役世代も現れるだろう。 ちなみに、国民全体の所得に占める税金と社会保障の負担割合を示す「国民負担率」は、現在約43%。'25年には50%を超えることは間違いないと言われている。 「政府はこれまで、こうした改革の議論を先送りしたり、都合の悪い数字や実態をなるべく見せないようにしてきましたが、これまでは予測として語られてきたものが、ついに現実味を帯びて、目の前に危機として迫ってくる。その境目が、2022年と言えるでしょう」(小黒氏) あと2年と少しで、人類史上はじまって以来の「超高齢化国家」となる日本。元ゴールドマン・サックス金融調査室長で、『国運の分岐点』などの著書があるデービッド・アトキンソン氏は、 「今後日本は、明治維新のときの何倍も何十倍も大きな困難に直面する」として、こう続ける。 「いま日本が迎えているのは、後世の日本史だけでなく、世界史にも残るであろう国家の変化です。なぜなら、これほどの高齢化と少子化、そして人口減少が進んだ国は、歴史的に見てもほとんどないからです。 つまり、これから日本が直面する問題に対して、従来の学問では答えを出すことができないということです。 少子高齢化と人口減少が社会に及ぼす影響は、医療や社会保障に限りません。どんな問題が起こるかを予測し、それを真摯に受け止め、死にもの狂いで答えを出さなければならないのです」 アトキンソン氏が言うように、日本が直面する問題は健康保険や年金だけにとどまらない。 前出の天野氏は、団塊の世代はもちろん、「団塊ジュニア」と呼ばれるその子供世代の問題もこれからの日本では顕在化してくると語る。 「40代を中心とする中年層の未婚化と、彼らの老後リスクという問題が現れるでしょう。50歳時点で結婚歴のない男性が約24%、女性が約15%もいます。 また、'15年の国勢調査を分析した結果、40代未婚男性の6割、同じく女性の7割が親と同居していることが判明しました。 彼らのなかで親の年金や住居などを頼りに生活をしている人たちが、親が亡くなった後にどう生活するのか。高齢者の医療・介護問題とは別に、生活が立ち行かなくなった40代という、もうひとつの難問にも、社会が向き合わなければならなくなります」) 少子超高齢化・人口減少社会が抱えるもうひとつの大きな問題が「労働者不足」だ。 いま、企業の採用の現場でも「2022年危機」が叫ばれている。 「新卒」と呼ばれる22歳の人口はこれまで120万人台で推移してきたが、'22年を境に減少に向かうことが分かっており、その減少幅は毎年1万人単位。1年で5万人減る年もある。 2000年代はじめより急速な「少子化」が進んだが、その影響が新卒採用の現場に出始めるのだ』、「これまでは予測として語られてきたものが、ついに現実味を帯びて、目の前に危機として迫ってくる。その境目が、2022年と言えるでしょう」、「いま日本が迎えているのは、後世の日本史だけでなく、世界史にも残るであろう国家の変化です。なぜなら、これほどの高齢化と少子化、そして人口減少が進んだ国は、歴史的に見てもほとんどないからです」、これまで政府が覆い隠してきた厳しい現実がいよいよ表れてくるようだ。
・『カネの流れが止まる  新卒に限ったことではない。'22年から'30年代にかけて、日本では若年人口の減少と定年退職者の増加により、約800万人の労働力が不足する可能性がある。 「25歳から34歳の若年労働者の数だけをみても、この10年で2割弱減りました。今後はさらに減ることになり、大企業は言うに及ばず、飲食店やコンビニのバイトも不足するようになるでしょう」 こう指摘するのは、経済評論家の加谷珪一氏。加谷氏は、労働者不足によって今後「人手不足倒産」に見舞われる企業が続出することを危惧する。 「仕事はあるのにそれを受けるのに十分な働き手がおらず、新規の仕事を断らざるを得ない企業がすでに続出しています。 結果、倒産を余儀なくされた会社が増えていて、'18年度の人手不足倒産企業数は前年比44%増の153件。今後働き手の数が少なくなるなかで、ますます倒産企業が増えていく可能性が高い」 働き盛りの若年労働者の確保に苦しむ企業に対し、国は少しでも年金や社会保障費の負担を軽減しようと、「定年の延長」「再雇用」を要求する。活躍の場をうまく見つけられればいいが、なかなかそうもいかない。 「定年延長や再雇用で働く高齢労働者に、企業が最適な仕事を渡せるかというと、なかなか難しい。企業にとっては負担が増えるというのが現実です。また、社員の高齢化が進むことで企業が負担する社会保障費も増大します。 そうなると、若い人の採用活動や新規事業に投資したくても、そこに回すおカネがなくなってしまう。そうして成長の機を逃して、沈んでいってしまう企業が、'22年以降は続々と出てくるはずです」(加谷氏) 「おカネがうまく回らない」のは企業だけでない。実は、日本全体でカネの循環が滞ることを示唆する、ある調査結果が存在する。 みずほ総合研究所の'18年1月の金融資産に関する調査によると、'20年ごろから、日本のすべての金融資産のうち70歳以上が保有する割合が急増し、'35年には日本の全金融資産の4割を70歳以上の高齢者が持つことになるという。 また、第一生命経済研究所のレポートによると、'30年には全資産の1割にあたる200兆円を認知症患者が保有することになる。 預貯金や株を持つ高齢者が増えること自体は仕方がないとしても、認知症患者の資産は「塩漬け」になる可能性が高い。国家予算の2倍ほどの資産が眠ったままでは、日本経済は完全に停滞する。人の流れもカネの流れも、急速に鈍くなっていくだろう。 '22年以降、日本社会はいわば血液がうまく循環しない「病人」のような状態に陥ってしまうのだ』、「人手不足倒産」については、生産性が低い企業が淘汰されることなので、日本全体の生産性は上がってゆく筈だ。「認知症患者の資産は「塩漬け」になる可能性が高い」、成年後見制度も出来たが、後見人による不正事件が相次いでおり、まだまだ制度としては未熟なようだ。
・『日本全土が「負動産」に  東京オリンピックを前に活況を呈している不動産も、五輪という祭りが終われば一気に暗転する。 東京・中央区の「晴海フラッグ」。'23年から居住開始となる地上14~50階建てこのタワーマンションの販売が7月から始まったが、最上階の部屋こそ一瞬で完売したものの、一部の住戸では「応募ゼロ」のものがあった。 「都心部のタワマンは、売りに出されれば間違いなく完売する」というタワマン神話は、すでに崩れつつあるのだ。 東京を暗い雲が覆い始めたが、不動産コンサルタントの長嶋修氏が予測する'22年以降の日本の不動産市場は、さらに暗い。 「日本全国で見たときには、東京五輪以降、地価や不動産価格は下がっていくしかありません。結局不動産の価格は需要と供給のバランスで決まります。 新しい住まいを必要としない高齢者が増え、消費意欲旺盛な若い世代が減っていく日本では、需要がどんどん下がっていくので、当然価格も下がるわけです。 今後、日本の不動産は3極化していくと思われます。価値の落ちない都市部の不動産が全体の15%、都市部や主要駅から少し離れていて、価値が徐々に下落していく不動産が70%、そして都市部や駅からも遠く離れていて、ほとんど価値のなくなる不動産が15%。人口減少の速度が激しいところほど、価格の下落も激しくなります」 「ほとんど価値のない不動産」は、現在進行形で増えている。「不動産の100均」と呼ばれるサイトが登場し、不動産業界で波紋を呼んでいることをご存じだろうか。 「YADOKARI」と「あきやカンパニー」という不動産企業が運営するこのサイトでは、日本中の使われなくなった空き家を「100円物件」として紹介。 所有希望者を募り、その活用の仕方の相談に乗ったり、仲介を行っている。紹介物件数はまだまだ少ないが、軽井沢の空き家や島根の海水浴場近くの家も掲載されている。 一昔前なら、軽井沢の家が100円で売り出されることなど考えられなかっただろう。だが、「日本はすでに不動産がタダで手に入る国になっているのです」と指摘するのは、経済アナリストの米山秀隆氏だ。 「100円という値段がついているだけでも、いまはまだマシかもしれません。10年後には100円でも買い手がつかない不動産が相当範囲に広がっていて、どうしても手放したいときには、引き取り手におカネを払わなければならないような時代がくるでしょう。 今後、日本には『誰も欲しがらない不動産』が増えていくわけですが、そういった土地や建物は、結局国や自治体が税金を使って管理せざるを得なくなる。もちろん、そのコストは税金として国民が負担することになります。 いま、土地を購入するときに、あらかじめ処分にかかるコストを徴収すべきだという議論があります。 実際にそんな制度が導入されれば、ますます土地や不動産を買うインセンティブが下がり、さらに地価が下落するという負のサイクルが加速することになります」 日本のほとんどの不動産が「負動産」に変わる日は、すぐそこまで来ている。前出の長嶋氏は、空き家が急増することによる日本社会の治安の悪化を懸念する。 「築50年を超えていて、駅から遠い郊外の物件は今後、次々空き家となっていきます。一戸建てだけでなく、廃墟のようなマンションが出てくる可能性もある。そうした空き家に不法に住む人たちが現れると、周囲の治安は悪化するでしょう」』、「「不動産の100均」と呼ばれるサイトが登場」、初耳だが、そこまで「ほとんど価値のない不動産」が増えているのかと、再認識させられた。「空き家が急増することによる日本社会の治安の悪化を懸念」、嫌なことではあるが、覚悟しておくべきだろう。
・『もうひとつ、'22年以降に起こる問題として認識しておかなければならないのが、「インフラの老朽化」だ。 9月上旬に発生し、日本に未曽有の被害をもたらした台風15号。千葉では2000本以上の電柱が倒壊・破損し、60万軒以上で停電が発生したが、これほど多くの電柱が倒れたのは、老朽化も要因のひとつだった。 災害や事故が起こるまで気づかないが、この国のインフラの老朽化は見えないところで進行しているのだ。 「道路や橋、水道といったインフラは、建設・設置から大体50年が経つと事故や破損、不具合などが生じる可能性が高くなります。 日本のインフラは、高度経済成長期以降の1970年代に全国に一斉に整備されていきました。つまり'20年代から、日本全国のインフラの老朽化が急速に進むことになるのです」 こう話すのは、東洋大学経済学部の根本祐二教授だ。国交省の調査によると、'22年には日本全国の2m以上の橋のうち約40%、トンネルで約31%、国が管理する水門などの河川施設の約40%が、建設から50年以上経過するという。さらにその10年後の'32年になると、それぞれ65%、47%、62%にまで急伸する』、不要になるインフラも増えてくる筈なので、それらを大胆に廃棄する政治的な勇気も必要だろう。
・『崩落・陥没事故が多発  日本全土でインフラの老朽化が進むとどのようなことが起こるのか。根本教授が説明する。 「たとえば'12年には山梨県の笹子トンネルで天井板崩落事故が起こり、9人の方が亡くなりましたが、あれは天井板を支える金属ボルトの老朽化によって起こりました。 大きな台風のあとに橋が流されたというニュースをご覧になることがあると思いますが、老朽化によって橋が洪水に耐えられなくなったことが原因の場合もあります。 その他にも水道管が老朽化すると破裂して断水につながります。また、地面の中の下水道管が老朽化して破損し、そこに土砂が吸い込まれて空洞ができると道路が陥没する。 先日、千葉市でも道路の陥没事故が起こりました。こうした事故が'20年代以降は日本各地で頻発するようになります」 根本教授によれば、老朽化したインフラの新設・整備・補修に必要な額は今後50年で450兆円。年間9兆円ほど必要になるというが、社会保障費の増大に苦しむ国が、そんな巨費を捻出できるわけもなく、放置され続ける。 さらに不動産アナリストの石澤卓志氏は、インフラ補修を行う技術者の不足も問題になるだろうと警鐘を鳴らす。 「修繕技術を持った人たちが、今後続々と退職します。少子高齢化が進むなか、新しい技術者の確保・育成も困難になるので、土木技術者の不足も大きな問題となってくるでしょう。 そうしたことを踏まえて、国土交通省が主催するインフラ設備の課題や問題点を協議する『社会資本整備審議会』では、ある日突然橋が落ち、犠牲者が発生する事態がいつ起こっても不思議ではないという懸念を表明しています。 残酷な話ではありますが、今後は老朽化したインフラを修理も点検もせず使い続けることになります。それはすなわち、日常的に命に関わるような危機と隣り合わせで生活をしなければならない、ということなのです」) 社会保障費が膨張する一方で、「社会補修費」不足に悩み、命の危険におびえながら生活する。これが2022年からの日本の姿なのだ。経営コンサルタントの鈴木貴博氏は、こんな未来を予測する。 「社会保障とインフラの維持に多額のコストがかかるようになると、当然、利用者である国民にその負担がのしかかります。昨年より水道の民営化が認められるようになりましたが、自治体によっては10年後には水道代が月に1万円程度になっていても不思議ではない。 そこに高い税金、光熱費、通信費がのしかかる。それらを支払ったら残るのは食費だけ……という人が国民の大半になる状況も否定できないのです。 今後は、『年収が200万円の世代が、なぜ年金収入がそれ以上ある高齢者を支えなければならないんだ!』『自分たちが働いて稼いだおカネが、高齢者を支えるためだけに使われている。それはおかしい!』と訴えるような政治家が現れて、広く支持を集め、世代間の分断が進むことも考えられます。 分断が進めば、社会の一体感が失われ、様々な階層で対立が起こることになるでしょう。『和を以って尊しとなす』という日本の美徳とされてきた価値観が忘れ去られてしまうかもしれない。 人口減少・少子高齢化は、そうした意味でも国の根幹を変えてしまう可能性があるのです」』、確かに「分断が進めば、社会の一体感が失われ、様々な階層で対立が起こることになる」、息子や孫の世代に大きな重荷を残してゆくのは、心苦しい限りだ。
・『個人でできることは何か  社会の「老朽化」から生じる危機の数々。知れば知るほどめまいがする。この危機を突破する方法はあるのだろうか。 『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を著したエズラ・ヴォーゲル氏の息子で、カリフォルニア大学バークレー校のスティーヴン・ヴォーゲル教授は、こう言う。 「確かに、このままいけば日本は奈落の底に落ちるでしょう。しかし、救われる道はあります。シンプルな提言のひとつとして、教育への投資があります。 日本の教育レベルは高いですが、ITなどソフトエンジニアリングの教育は世界と比べると遅れているように見えます。労働力の不足を補うためにも、IT活用は必須です。それを駆使できる人材を育てるため、教育への投資を進めるべきなのです。 このような、考え得る限りの改革をいち早く進めること。いまはまだ、日本の人口も年齢構造も安定した状態にありますが、これが崩れるまでに改革を進めなければ、地獄のような状況が待っています」 国や社会がやるべきこととは別に、個人が生活を守るためにできることはあるのだろうか。経済評論家の森永卓郎氏は、ひとつの選択肢として、「都市部に住むことをあきらめること」を提案する。 「いまの年金制度を考えると、今後、受け取る年金額が減少することは避けられません。月十数万円程度に減額された年金で暮らすにはどうするかを考えるしかないわけです。 具体的な選択肢のひとつが、地方に移り住むこと。不動産価格が急落するということは、住居にかかる費用も下がるということです。 東京から50km圏内の郊外の中古物件であれば、いまでも200万円ぐらいで購入できる。物価も都心の3割ぐらい安くなるので、生活コストを下げることができます。 『そんなことでなんとかなるのか』あるいは『そんなことができるか』と思われるかもしれませんが、ここまで問題が深刻化してしまったいま、個人でできることは『そんなことぐらいしか残されていない』と現実を直視して、行動に移すことが大切なのです」 いまから2000年以上前、共和政ローマ期の政治家にして文筆家のカエサルは「多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない」という言葉を残した。はたして現代の日本人は、この数々の危機を直視し、奈落を避けることができるのだろうか』、「スティーヴン・ヴォーゲル教授」の「教育への投資」は、解決策の1つに過ぎないだろうし、既に遅すぎるような気もする。カエサルの指摘にもあるように、日本人はハーメルンの笛吹き男に踊らされて、死の洞窟へと向かっているような気がする。今回は、なにやら暗いまとめになってしまったことをお許し頂きたい。
タグ:大和ハウス工業 東洋経済オンライン 高齢化社会 日経ビジネスオンライン 現代ビジネス 河合 薫 人手不足倒産 (その14)(50代は使えないの嘘 言葉にできない暗黙知を生かせ、高齢化率50%「横浜のニュータウン」に変化の波 大和ハウスが「再生」に乗り出す背景事情、少子超高齢化した日本を襲う「2022年危機」そのヤバすぎる現実 団塊の世代がついに75歳を超え始める) 「50代は使えないの嘘、言葉にできない暗黙知を生かせ」 若手が抱く50代シニア社員へのアレルギー エクセルがまともに使えない、コミュニケーション能力が低い、役職定年になって会社にいる意味があるのか』と不平不満を言い、揚げ句の果てに、シニア社員が異動してくると、みんなの迷惑だから辞めてほしい 自分の成功体験ばかり言って現場の邪魔をするか、会社で死んだふりしていて一言も話をしようとしないかどちらか。そんな人に、どんな力があるのか? シニア社員の“見えざる底力”とは? 体を通じて蓄積した「暗黙知」が生きる時代 「情報知」 暗黙知が豊かなほど想定外の出来事にうまく対処することが可能 「現場の力」。それを左右するのが「暗黙知」 現場の解決力は暗黙知が支えている 「必要とされたい」思いは働かないおじさんも同じ 緩いつながりの構築 外に出れば恵まれていた自分が見える 田中 直輝 「高齢化率50%「横浜のニュータウン」に変化の波 大和ハウスが「再生」に乗り出す背景事情」 往時の活気を失い、高齢化や人口減少など「オールドタウン」と称したほうがよい状況になりつつある 超高齢化で街の維持が困難に 横浜市栄区に「上郷ネオポリス」 「野七里(のしちり)テラス」 さらに幅広い再生策を模索 大和ハウス工業は新築・リフォームをはじめとした住宅事業だけでなく、医療・介護、フィットネス、商業店舗など幅広い事業領域を有する 野七里テラスをビジネスとして採算性あるものにしている 地元自治会が主体となっての実現は難しい 不信感をどう払拭するかも課題 開発終了後は売りっぱなし 「少子超高齢化した日本を襲う「2022年危機」そのヤバすぎる現実 団塊の世代がついに75歳を超え始める」 2022年危機に向けた健保連の提案 急激な高齢化と現役世代人口の減少により、医療保険制度における現役世代の負担はますます大きくなり、医療、介護、年金を合わせると、社会保険料率が間もなく30%を超えることになる。 これを避けるためには、後期高齢者の医療費負担を原則2割とするなど、世代間の負担のアンバランスを是正する改革を進めるべきだ 一人当たりの年間医療費は65歳未満で平均18万円なのに対し、75歳以上では91万円に急増します。介護費も同様です 75歳以上の人口が急増するということは、日本社会全体にのしかかる負担も急増することを意味 世界史に残るほどの危機 社会保障の将来 '18年度の社会保障給付費の総額は、年金が約57兆円、医療費が約39兆円、介護費が約11兆円で、そのほか諸々を含めて約121兆円。 これが'25年度には年金が約60兆円、医療費が約48兆円、介護費が約15兆円で、社会保障費は約140兆円にまで膨らみます。さらに'40年度には社会保障費は190兆円を超えると試算 政府はこれまで、こうした改革の議論を先送りしたり、都合の悪い数字や実態をなるべく見せないようにしてきましたが、これまでは予測として語られてきたものが、ついに現実味を帯びて、目の前に危機として迫ってくる。その境目が、2022年と言えるでしょう いま日本が迎えているのは、後世の日本史だけでなく、世界史にも残るであろう国家の変化です 40代未婚男性の6割、同じく女性の7割が親と同居 彼らのなかで親の年金や住居などを頼りに生活をしている人たちが、親が亡くなった後にどう生活するのか。高齢者の医療・介護問題とは別に、生活が立ち行かなくなった40代という、もうひとつの難問にも、社会が向き合わなければならなくなります カネの流れが止まる 金融資産のうち70歳以上が保有する割合が急増し、'35年には日本の全金融資産の4割を70歳以上の高齢者が持つことになる 30年には全資産の1割にあたる200兆円を認知症患者が保有することに 不動産の100均」と呼ばれるサイトが登場 日本のほとんどの不動産が「負動産」に変わる日は、すぐそこまで来ている 空き家が急増することによる日本社会の治安の悪化を懸念 インフラの老朽化」 崩落・陥没事故が多発 分断が進めば、社会の一体感が失われ、様々な階層で対立が起こることになる 個人でできることは何か スティーヴン・ヴォーゲル教授 教育への投資 カエサルは「多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない」
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”ひきこもり”問題(その8)(「引きこもり」支援者に根強い“引き出せばいい”という錯覚の罪、氷河期40万人「ひきこもり」支援の切実な現場 実社会との「溝」を埋めれば活躍の場はある、「不登校は学校に責任がある」前川喜平が桐野夏生と考える教育問題〈週刊朝日〉) [社会]

”ひきこもり”問題については、昨年12月15日に取上げた。今日は、(その8)(「引きこもり」支援者に根強い“引き出せばいい”という錯覚の罪、氷河期40万人「ひきこもり」支援の切実な現場 実社会との「溝」を埋めれば活躍の場はある、「不登校は学校に責任がある」前川喜平が桐野夏生と考える教育問題〈週刊朝日〉)である。

先ずは、ジャーナリストの池上正樹氏が本年1月9日付けダイヤモンド・オンラインに掲載した「「引きこもり」支援者に根強い“引き出せばいい”という錯覚の罪」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/225361
・『「そのままでいいんだよ」で本当にいいのか  「引きこもりは家から外に引き出すべき」 いまだに親や支援者の間には、そんな錯覚が根強く残る。 昨年12月22日、東京大学で開かれたシンポジウム「発達障害とひきこもり」の場でも、象徴的なシーンがあった。 「家の中は“安心”だから“そのままでいいんだよ”という環境づくりで、本当にいいのでしょうか?」 筆者ら登壇者たちの話に対し、都内の若者就労の支援者とみられる人からそう質問された。 「社会で傷つけられて恐怖を感じている当事者は、自宅以外に“居場所”がないという現実の中で外に連れ出されたら、いったいどこに行けばいいのでしょうか?本人の不安が取り除かれるまで、親として安心の場を保障してあげることは大事です」 そんな趣旨の話をしたら、「実践的に、部屋に食事を届けるとか、ゲームをずっとやっていてもOKなのか?」「当事者のやりたいようにやらせておいていいのか?」と、しつこく聞いてきた。 もちろん、この支援者の言うように介入は必要だ。しかし、その矛先が違う。生きるだけで精いっぱいの子の意識を変えようとするのではなく、憔悴した家族を支えて行かなければいけない。 多くの親は相談に来ると、最初のころ「私ではなく、子どものほうを支援してほしい」「引きこもる子を外に出してほしい」などとよく言ってくる。しかし、当事者の中には、しんどさを紛らわすためにゲームで現実逃避せざるを得ない人もいる。それぞれの置かれた状況を受け止め、本人の目線に立って理解しなければならない。 従来の「ひきこもり支援」施策が失敗続きだったのは、こうした親の意向を鵜呑みにし、本人の意思を無視して外に出し、意識が変わるまで自己分析を迫る洗脳的手法など、トレーニングの対象にしてきた支援者が多かったことにある。親には「事件になるぞ」と脅したり、本人を嘘で騙したりして外に連れ出すことが目的の“引き出し屋”と呼ばれるビジネスも、その延長戦上にある。 「働きかけるタイミングとか、あると思うんですが…」 実践論の答えを求めて、そう食い下がる支援者に、登壇者の1人で精神科医の斎藤環氏は遮るように、こう言い返した。 「“やりたい放題やってるじゃないか”と親が思ってるということ自体、子どもと対話ができていない。親が対話をしていれば、子が苦しくてゲームしていることも理解できるはず。言えるのは、対話をしてくださいということだけです」』、「従来の「ひきこもり支援」施策が失敗続きだったのは、こうした親の意向を鵜呑みにし、本人の意思を無視して外に出し、意識が変わるまで自己分析を迫る洗脳的手法など、トレーニングの対象にしてきた支援者が多かったことにある」、確かに「“引き出せばいい”」というのは錯覚なのだろう。「“引き出し屋”と呼ばれるビジネス」、悪どいビジネスもあったものだ。
・『水面下で生きる当事者たちの声にどう耳を澄ませるか  「ひきこもり支援」における支援のトレンドは、最近、間違いなく変わってきた。 支援者が「引きこもることのできない家庭にしましょう!」などと親に呼びかけたら、社会に本人の思いを受け止める受け皿がまったくない中で、命のリスクにもつながる。親のニーズがどんなにあっても、本人の意向を無視したやり方は、“成果”が出ないし、見合わない。 引きこもる背景や苦しみは、精神疾患や発達障害といった一面ではなく、見過ごされてきた多様性がある。その見えなかった多様さは、当事者たち自身が声を出して発信し始めたことにより、生み出されたうねりだ。支援者に求められているのは、こうして見えにくい水面下で生きている当事者たちの声に、どう耳を澄ませるのかではないのか。 引きこもり支援歴40年以上で、いわば引きこもり支援のレジェンドともいえる、一般社団法人「OSDよりそいネットワーク」共同代表で、一般社団法人「SCSカウンセリング研究所」代表の池田佳世さんは、「介入すべきは親に対して」だとして、親の学習会に力を入れてきた。) 「親は自分の意見を一切言わず、子の話をよく聞き、安心オーラを与えると、最初はひどいことも言うかもしれないし、長い道のりだけど、子は自然に話してくれるようになる。子がやりたいと言っていることが一番正しい。これから自分が歩いていく道しるべなんですね」』、「介入すべきは親に対して」、その通りなのかも知れないが、「子がやりたいと言っていることが一番正しい」、との絶対視には違和感を感じる。「子がやりたいと言っていること」も変化する筈なのではなかろうか。
・『介入は嘘で騙したり脅したりすることではない  池田さんは「親の価値観は、もはや時代遅れ」だと指摘する。 「子どもは言葉を失っていることが多い。言葉を出してあげられるのは、家庭でしかできない。ご両親がわかってあげてほしいと、ご両親に一生懸命申し上げている」 親が自分の枠を広げられれば、子も成長できる。一時、危ういことがあったとしても、外からいろんなことを言われても、親がしっかり支えてあげることが、子にとってはいちばんの土台になると、池田さんはいう。 介入するうえで大事なのは、親の側に立つことではなく、子の味方になることだ。 その目的は、嘘で騙したり、脅したりして、本人を外に連れ出すことではない。 この記事や引きこもり問題に関する情報や感想をお持ちの方、また、「こういうきっかけが欲しい」「こういう情報を知りたい」「こんなことを取材してほしい」といったリクエストがあれば、下記までお寄せください。 Otonahiki@gmail.com(送信の際は「@」を半角の「@」に変換してお送りください)・・・』、ひきこもり問題は、親子関係、特に親に問題がある場合が多そうだ。

次に、1月20日付け東洋経済オンライン「氷河期40万人「ひきこもり」支援の切実な現場 実社会との「溝」を埋めれば活躍の場はある」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/325349
・『とっぷりと日が暮れた頃、部屋には続々と「ゲーム好き」が集まってきた。淡々とゲームに興じる人、自分の順番がくるのを静かに待つ人、ゲームはしないのにいつもいる人――。 長野県上田市にある若者サポートステーション・シナノ(以後、サポステ・シナノ)が毎月第3土曜日に実施しているRPG(ロール・プレイング・ゲーム)ナイト。10代から30代のゲーム愛好家たちが集まる「定例会」とも言うべき月1回の集まりだ。 「不登校やひきこもりは自室に籠もってゲームばかりしている」「他者とのコミュニケーションが苦手だから、1人の世界に閉じこもっている」――。そう言われ続けてきた彼らが、どうしたら社会との接点をつくれるか。サポステ・シナノが考え出したのがRPGナイトだ』、逆転の発想のようだ。
・『いっそのこと思う存分ゲームを  ゲーム以外の経験値が極端に少ない彼らをゲームから引き離すことは当人も周りも心身面の負担が大きい。「いっそのこと、みんな集めて思う存分ゲームを楽しんでもらう場を作ってはどうか」。きっかけは、半ば冗談のようなスタッフの一言だった。 2時間のうち1時間はゲームの紹介、残り1時間は実際にゲームで遊ぶというのが決まり事。「こういうゲームなんです」と口頭で紹介する人もいれば、ウィキペディアで用語解説しながら説明する人、パワーポイントを使って解説する人までいる。普段、自分の話を聞いてもらえる機会がない彼らにとって、RPGナイトは注目を浴びる場でもある。 参加者の中には、ゲームはやらないのに毎回参加してくる人がいる。ゲームを紹介する人の話をただ聴き、誰かがゲームで遊ぶのを黙って観ているだけ。毎月欠かさず参加しているその人に、サポステ・シナノの藤井雄一郎さんがある時「ゲームやらなくても楽しいの?」と聞いた。すると「楽しいですよ」と返ってきた。藤井さんはそれ以上何も聞かなかった。 不登校経験者やひきこもりの人が多いRPGナイト。普段は人と接する機会が少ない人々の集まりだが、ここには会話がなくとも確実に「他者」がいる。お菓子や飲み物、コントローラーを隣の人に回すありきたりな場面にも何気ない気遣い、声掛けが生まれている。 「ひきこもりのゲーム好きというと、世間からは『周囲と接点を持たず、自分の世界にだけ籠もっている人』と見られてしまいがち。だけど彼らは体験や感動を共有したいと思っているのではないか。ゲームをしにきているという名目の下で、実は彼らは周囲とコミュニケーションを取りたがっているのだと思う」(藤井さん)』、「普段、自分の話を聞いてもらえる機会がない彼らにとって、RPGナイトは注目を浴びる場でもある」、「ここには会話がなくとも確実に「他者」がいる」、確かにいい取り組みのようだ。
・『1本1000円の動画編集からスタート  ひきこもり支援というと、多くのビジネスパーソンが送っているような日常の「型」に、当人をどう近づけるかが課題とされてきた。朝起きて、満員電車に乗って出勤し、日中は働き、帰宅して夜には寝るというもの。だが、あらゆる職域でIT化が進み、それに応じた働き方改革も進んでいる現代では、従来の型に当てはめるだけが解決策ではなくなっている。 不登校やひきこもりを経験した東京都内在住の女性Aさん(23歳)は今、自宅で動画の編集をしながら収入を得ている。クライアントから依頼された動画にテロップや効果音、BGMを入れる編集作業を1本こなすごとに1000円の収入を得る。 「もともと周囲のペースについていけないところがあったんです。今、自分がやるべきことの意味を理解し、どう動けばいいのかを判断して実際に動き出すまで周りの人より多くの時間を要していました。高校3年になって周囲が受験モードに突入していくと、ついに学校に行けなくなってしまいました」(Aさん) Aさんには、精神的に追い詰められると眠ってしまうという体質があった。緊張するとあくびが出る人は一定数いるが、Aさんの場合はストンと眠りに落ちてしまう。授業についていけず眠ってしまうAさんの姿は、教師や周囲の目に「緊張感がない」「真剣に考えていない」と映ってしまっていた。実際はその逆であるにもかかわらず、理解されなかった。 「家を出て最寄り駅までは歩いていけても電車に乗れない。駅のホームにあるトイレに入っていき、授業が終わる時間まで籠もっていたこともありました」(Aさん)。 高校3年の春以降、不登校になったAさんは通信制の高校に転学。卒業後はひきこもり支援をするNPO法人で寮生活を送る。寮生活中、探していたのは「自宅でできる仕事」だった。2年後、認定NPO法人・育て上げネットの就労支援プログラム「ジョブトレIT」にたどりつく。2019年4月から4カ月間の講義を受け、動画編集の仕事につなげた。 「税金関係の仕事をしている両親からは、雇われない働き方は社会保険料などの負担が重くて大変だと強く諭されました。でも、私にとっては自分のペースで生きることの方が大事だった」(同) 現在請け負っている動画の編集は月に40本請け負ったとしても月収は4万円で、生活していくには少ない。だが、この4万円がベースにあれば、もう1つの仕事を持とうとする際に多少は収入が落ちても心身への負担が小さい仕事を選べるかもしれない。育て上げネットの「就職支援」ならぬ「就労支援」の意義は、そこにある』、「精神的に追い詰められると眠ってしまうという体質」、確かに周囲には誤解を与える体質だ。医者に診断してもらって、本人や両親が学校に説明して誤解を解いてもらう他なかろう。「クライアントから依頼された動画にテロップや効果音、BGMを入れる編集作業を1本こなすごとに1000円の収入を得る」、1000円とは安すぎる気もするが、「就労支援」で仕事が見つかっただけでもよかったのだろう。
・『就労支援に共鳴する企業も  育て上げネットの就労支援に共鳴するIT企業がある。東京都中央区のディースタンダードだ。育て上げネットからのインターンを受け入れ始めたのは10年ほど前で、現在30人の「卒業生」が従業員として働いている。 仕事の主な内容はパソコンの初期設定であるキッティングだ。手順書に沿って作業を進めていくため、基本は1人で黙々と作業を進めることができる。が、なかには年下に指示をされることを嫌がったり、他人と比較して「自分にはできない」と悲鳴をあげ、インターン2日目から出て来られなくなったりする人もいる。そんな時、取締役の池田千尋さんは自宅まで迎えに行った。場合によっては育て上げネットと連携をとった。 「〇〇さん、今日、会社で叱られてしまい、もしかしたら明日は出社できないかもしれない。こちらには言いにくい本人の悩みもあるだろうから、そちらで話を聞いてやってほしい」。そうした連絡だ。池田さんは「大切にしているのは情報の共有。本人が働き続けられるように周囲が情報を共有し、連携しながらサポートしていく体制を作ってきた」と言う。 課題は新しい環境に慣れる力、そして続ける力だ。「ひきこもりを経験した人は、新しい環境に慣れるのにエネルギーがいる。ただ、最初のハードルさえ乗り越えることができれば、後はまっすぐに成長していける人が多い。自分が苦労してきた分だけ他人にやさしくできるし、孤立してきた分だけ会社への帰属意識や所属意識が強い。だから最初のハードルを越えられるよう支えていくことが大切なんです」(池田さん)。 働き続けることができればスキルが上がっていく。キッティングからスタートし、ワンランク難しいネットワークの保守点検、さらに難易度が高いサーバー構築やアプリ開発までこなせるようになった人が、同社では活躍している』、「ディースタンダードだ。育て上げネットからのインターンを受け入れ始めたのは10年ほど前で、現在30人の「卒業生」が従業員として働いている」、なかなかいい取り組みだ。
・『やり遂げたという経験  法人向けIT人材派遣会社に勤務しているBさん(33歳)。2011年に教育系大学を卒業し、しばらく就職活動を続けていたが、家庭環境の悪化がきっかけで家にひきこもるようになる。生き甲斐だったバンド活動も休止し、メンタルクリニックにも通い始めた。道が拓けたのは、育て上げネットの「ジョブトレIT」を受講したことだった。 育て上げネットで、ビル清掃やチラシの折り込み作業など実社会で働くためのトレーニングを積んだが、大きな経験になったのはチームで1つのプログラム開発を成し遂げたことだった。プログラミングの基礎を学べたというだけでなく「自分たちで何かをやりとげたという経験が大きな糧になった」(Bさん)という。 インターン行きを決意するまでには「数カ月かかった」と苦笑いする。背中を押してくれたのは育て上げネットスタッフの平松あす実さんの一言だった。「もし上手くいかなかったら、またチャレンジすればいい」。 インターン訪問した企業で働き始めて3年が過ぎた。今では後輩たちの悩みの「聞き役」になることも多い。適切な対応ができる支援団体や企業のサポート、そして本人の意思。ひきこもり経験者が実社会に出ていくには様々の人々の助けが必要だ。うまくいけば、ひきこもりを経験してきた人ならではの存在感を発揮しうるだろう』、「支援団体や企業のサポート」がさらに広がってゆくことを期待したい。

第三に、1月11日付けAERAdot「「不登校は学校に責任がある」前川喜平が桐野夏生と考える教育問題〈週刊朝日〉」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/wa/2020010900012.html?page=1
・『リアルな心理描写で社会の闇を浮き彫りにしてきた作家の桐野夏生さん。長年、教育行政に携わってきた前川喜平・元文部科学事務次官。ふたりは昨今の若者が抱える問題に危機感を募らせる。子どもの教育、不登校、貧困問題などをどう見るのか』、興味深そうな対談だ。
・『桐野:ひきこもりの人たちは、どんなきっかけがあれば出てこられるとお考えですか。 前川:私はいま自主夜間中学のボランティアスタッフなんですが、ここには40代の男性で、十数年ひきこもりだった人がいます。ひきこもりを脱した直接的なきっかけはわからないですが、自主夜間中学があるということを聞いて、行ってみよう、という気になったみたいで。それで学校に来始めたら楽しくて、ずっと通い続けているんですよね。夜間中学には叱る人もいないし、変に介入する人もいないし、ありのまま素のままでいられるから、居心地がいいらしい。 こういう場所が、社会に一本立ちして出ていけるきっかけになるんじゃないか、と思うんです』、前川氏が「自主夜間中学のボランティアスタッフ」をやっているとは感心した。
・『桐野:中学までの義務教育を十分受けられなかった人が世の中にたくさんいる、ということですね。 前川:ええ、理由として多いのは、貧困、虐待、不登校。貧困は年配の方に多いです。戦後、新制中学に通えなかったという人ですね。私がこの2年の間に友達になった人で、「セーラー服の歌人 鳥居」という人がいます。文学賞も取った素晴らしい歌人なんですけど、公式の場ではセーラー服を着ているんです。 私はペンネームの鳥居という名前しか知りませんが、この人は母子家庭で育って、小学校のときにお母さんが自殺して、児童養護施設で虐待を受けた。ホームレスだったこともある。そういった事情で中学へはほとんど行けなかったそうです。 彼女がなぜセーラー服を着ているかというと、中学校に行きたかった、今からでも行きたいんだ、という気持ちを表している。しかも、それは自分のことだけではなくて、中学校に行きたかったけど行けなかった人が世の中にたくさんいることを知ってほしいという』、「中学へはほとんど行けなかった」が、「文学賞も取った素晴らしい歌人」とは大したものだ。
・『桐野:学校に行きたくても行けなかった人がいる一方で、不登校も増えている。 前川:不登校に関しては、私は学校のほうに責任があると思うんです。今、学校がものすごく居心地の悪い場所になっている。例えば道徳が「特別の教科」として格上げになりました。教育勅語も安倍政権のもとで閣議決定まで行われていて、学校の教材として使っていい、ということになっている。さすがに公立学校で教育勅語を教材に使ったというケースは聞いていませんが、これから出てくる恐れはあります。森友学園の幼稚園では暗唱させていましたね。 とにかく上から抑えつけるような“押し付け道徳”が復活してきていて、全体のために自分を捨てることがいいことなんだという滅私奉公みたいな考え方が復活してきている。 桐野:軍隊や企業とか、組織に従順であれ、という教育ですよね。それが家父長制の家族に結びついて、全く今の状況と合わないのに、なんでそんなアナクロニズムなことをするんでしょう。 前川:私はやはり今の政権を担っている一人ひとりが、自己肯定感を持ってないからじゃないか、と思う。自分に自信がない人っていうのはより大きなものにすがろうとしますから、強い権力や大きな権威というものと一体化することによって、実態のない安心感を得ているんじゃないかと。 桐野:大きなものというのは、つまり日本人であることですとか、日本国であるというナショナリズムに結びつくわけですね。 前川:だからヘイト的になったりするんじゃないかと。 桐野:「企業の一兵士として、企業のために働け」という発想が今なお残っていることが、大人の自己承認欲求が満たされないことにつながっていると思います。だから家で威張るようになる。すごく問題を生んでいます。 子どもの貧困の対策は、どうなっているんでしょう。最近無償化されたのは、幼児教育ですか? 前川:幼児教育については昨年10月から始まり、今春から大学の一部でも始まります。ただね、この安倍内閣の幼稚園と大学の無償化については非常に問題があると思っています。幼児教育を無償にするお金があるんだったら、まずは保育士と幼稚園教諭の待遇を良くしないと、あの人たちも結婚して子どもを産むことができません』、「不登校に関しては、私は学校のほうに責任があると思うんです。今、学校がものすごく居心地の悪い場所になっている」、との前川氏の指摘はその通りなのだろう。「教育勅語も安倍政権のもとで閣議決定まで行われていて、学校の教材として使っていい、ということになっている」、要注意だ。「安倍内閣の幼稚園と大学の無償化については非常に問題があると思っています。幼児教育を無償にするお金があるんだったら、まずは保育士と幼稚園教諭の待遇を良くしないと、あの人たちも結婚して子どもを産むことができません」、これもその通りだ。
・『桐野:順番が違いますね。 前川:しかも貧困家庭の場合には、もともと保育料全額免除制度があったから、無償化でメリットが増えるわけじゃない。それに無償というのは全員タダになるわけですから、大金持ちの人もタダになる。つまり貧困層には恩恵がなくて、富裕層には恩恵があるわけですから、むしろ格差を広げているんですよ。 桐野:今の状況が少しでも良くなればいい、と思うのですが、物書きはただ見て、そこに生きている人を書こう、と思うだけです。それにしても、暗いテーマしか思いつかないですね。 前川:それでも、ぜひ書いていただきたい。時代を直視する、ということは大事なことだと思います。政治家が見ている世界は、まだ「標準家庭」が残っているごく一部の世界だと思う。 もっと実態を知らないと、社会を良くすることはできません。多くの人たちが見えない部分を見えるようにしてあげるということは大事だと思う。そういう意味でも、桐野さんの本を読んでもらわなくちゃいけない。安倍さんにも読んでもらいたいですよ。 桐野:ありがとうございます。私は書くことしかできないので、これからも書き続けます。若い男性の荒廃をテーマにした小説を、まもなくこの週刊朝日誌上で始めます。 前川さんの2020年の目標は何ですか? 前川:「アベと共に去りぬ」。今、各地の講演に呼ばれて“フーテンの寅さん”みたいな生活をしているんですが、私の話を聞きたい、という人には、今の政権が好きじゃない人たちが多い。安倍さんが退陣すれば、もう私を呼ぶ必要もなくなりますから(笑)』、「前川さんの2020年の目標・・・「アベと共に去りぬ」」、ユーモアも一流だ。
タグ:東洋経済オンライン ダイヤモンド・オンライン 池上正樹 AERAdot ”ひきこもり”問題 (その8)(「引きこもり」支援者に根強い“引き出せばいい”という錯覚の罪、氷河期40万人「ひきこもり」支援の切実な現場 実社会との「溝」を埋めれば活躍の場はある、「不登校は学校に責任がある」前川喜平が桐野夏生と考える教育問題〈週刊朝日〉) 「「引きこもり」支援者に根強い“引き出せばいい”という錯覚の罪」 「そのままでいいんだよ」で本当にいいのか 社会で傷つけられて恐怖を感じている当事者は、自宅以外に“居場所”がないという現実の中で外に連れ出されたら、いったいどこに行けばいいのでしょうか?本人の不安が取り除かれるまで、親として安心の場を保障してあげることは大事です 親には「事件になるぞ」と脅したり、本人を嘘で騙したりして外に連れ出すことが目的の“引き出し屋”と呼ばれるビジネスも、その延長戦上 水面下で生きる当事者たちの声にどう耳を澄ませるか 「介入すべきは親に対して」だ 介入は嘘で騙したり脅したりすることではない 「氷河期40万人「ひきこもり」支援の切実な現場 実社会との「溝」を埋めれば活躍の場はある」 サポートステーション・シナノ 毎月第3土曜日に実施しているRPG(ロール・プレイング・ゲーム)ナイト いっそのこと思う存分ゲームを 普段、自分の話を聞いてもらえる機会がない彼らにとって、RPGナイトは注目を浴びる場でもある ここには会話がなくとも確実に「他者」がいる 1本1000円の動画編集からスタート 就労支援に共鳴する企業も ディースタンダードだ。育て上げネットからのインターンを受け入れ始めたのは10年ほど前で、現在30人の「卒業生」が従業員として働いている やり遂げたという経験 育て上げネット 「ジョブトレIT」を受講 支援団体や企業のサポート 「「不登校は学校に責任がある」前川喜平が桐野夏生と考える教育問題〈週刊朝日〉」 自主夜間中学のボランティアスタッフ 理由として多いのは、貧困、虐待、不登校。貧困は年配の方に多いです セーラー服の歌人 鳥居 文学賞も取った素晴らしい歌人 不登校に関しては、私は学校のほうに責任があると思うんです。今、学校がものすごく居心地の悪い場所になっている 教育勅語も安倍政権のもとで閣議決定まで行われていて、学校の教材として使っていい、ということになっている 今の政権を担っている一人ひとりが、自己肯定感を持ってないからじゃないか、と思う。自分に自信がない人っていうのはより大きなものにすがろうとしますから、強い権力や大きな権威というものと一体化することによって、実態のない安心感を得ているんじゃないかと 安倍内閣の幼稚園と大学の無償化については非常に問題がある 幼児教育を無償にするお金があるんだったら、まずは保育士と幼稚園教諭の待遇を良くしないと、あの人たちも結婚して子どもを産むことができません 前川さんの2020年の目標 「アベと共に去りぬ」
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