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メディア(その33)(朝日新聞元エース記者が暴露する朝日新聞政治部シリーズ:(4)内閣官房長官の絶大な権力、「朝日はこうして死んだ」、泉房穂明石市長との対談:このままでは自滅して沈んでいくだけ 大マスコミと政治家・官僚はしょせん「同じ穴のムジナ」なんです) [メディア]

昨日に続いて、メディア(その33)(朝日新聞元エース記者が暴露する朝日新聞政治部シリーズ:(4)内閣官房長官の絶大な権力、「朝日はこうして死んだ」、泉房穂明石市長との対談:このままでは自滅して沈んでいくだけ 大マスコミと政治家・官僚はしょせん「同じ穴のムジナ」なんです)を取上げよう。

先ずは、5月26日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの鮫島 浩氏による「話題の書『朝日新聞政治部』先行公開第4回〜内閣官房長官の絶大な権力 朝日新聞政治部(4)」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/95522?imp=0
・『「鮫島が暴露本を出版するらしい」「俺のことも書いてあるのか?」――いま朝日新聞社内各所で、こんな会話が交わされているという。元政治部記者の鮫島浩氏が上梓する『朝日新聞政治部』(5月27日発売、現在予約受付中)​は、登場する朝日新聞幹部は全員実名、衝撃の内部告発ノンフィクションだ。 戦後、日本の左派世論をリードし続けてきた、朝日新聞政治部。そこに身を置いた鮫島氏が明かす政治取材の裏側も興味深いが、本書がもっとも衝撃的なのは、2014年に朝日新聞を揺るがした「吉田調書事件」の内幕をすべて暴露していることだ。 7日連続先行公開の第4回は、内閣官房長官が持つ権力の正体を暴き、それに迎合する番記者たちの姿を浮き彫りにする』、「内閣官房長官が持つ権力の正体」とは興味深そうだ。
・『官房長官には総理より多くの情報が集まる  小泉総理は郵政選挙に圧勝した1年後の2006年秋、安倍晋三氏を後継指名して勇退した。安倍総理は塩崎恭久官房長官ら親密な仲間で主要ポストを固め「お友達内閣」と呼ばれたが、スキャンダルが相次いで失速。2007年夏の参院選で惨敗し、過半数を失う。衆参で与野党が逆転する「ねじれ国会」に突入した。 安倍総理は政権を立て直すため、官房長官にベテランの与謝野馨氏を起用した。政治部に復帰した私は官邸クラブに配属され、与謝野氏の担当を命じられた。官房長官番だ。 官房長官は「内閣の要」と言われる。すべての政策や人事に深くかかわる。総理に上がる情報は、その前に官房長官の手で取捨選択される。官房長官には総理より早く多くの情報が集まる。 領収書不要の官房機密費を管理するのも官房長官の権限。長官室の金庫には常に数千万円の現金が保管され、政界対策や世論対策に投入されていく。官房長官が札束を持ち出した翌日には金庫に現金がすぐに補充される。 もうひとつの武器は、毎日午前と午後に官邸で開く官房長官会見だ。この場の発言が政府の公式見解となる。何をどこまで公にするのか、どういう言い回しにするかが、政局や政策の流れを決める。官房長官は記者会見で政治の主導権を握ることができるのだ。 官房長官の権限は絶大だ。ある意味で総理を上回る。霞が関のエリート官僚たちは総理よりも官房長官の顔色をうかがうことが多い。総理としては最も信頼を寄せる政治家、決して裏切らない政治家を起用したい。安倍総理が塩崎氏を起用したのは同世代で親密な仲間だからだった。しかし「お友達内閣」は参院選で惨敗し、政権立て直しのためベテランの与謝野氏を受け入れざるを得なくなったのだ。 与謝野氏は与謝野鉄幹・晶子夫妻の孫としても有名である。東大を卒業した後、日本原子力発電を経て中曽根康弘元総理の秘書となり、政界入りしたサラブレッド。財務省や経済産業省に大きな影響力を持つ経済政策通として評価される一方、ハト派・リベラル派の顔を持ち、マスコミ界との交流も深かった。 官僚でもとりわけ与謝野氏を敬愛していたのが、のちに経産事務次官になる島田隆氏である(岸田政権で事務次官経験者としては異例の首相秘書官に就任した)。島田氏は与謝野氏が通産大臣の時に信頼を獲得。与謝野氏が小泉内閣で竹中平蔵氏の後継の経済財政担当大臣になり、総務大臣に転じた竹中氏と激しい政策論争を繰り広げた時も、側近として仕えた。どんな職務にあろうとも東京・六本木の与謝野邸に早朝から通い、英字新聞を含め与謝野氏が読むべき記事を用意してから職場へ向かうスーパー官僚だった。衆目が一致する与謝野氏の右腕である。与謝野氏の官房長官就任にあわせて秘書官に就任したのは自然の流れだった』、「総理に上がる情報は、その前に官房長官の手で取捨選択される。官房長官には総理より早く多くの情報が集まる。 領収書不要の官房機密費を管理するのも官房長官の権限。長官室の金庫には常に数千万円の現金が保管され、政界対策や世論対策に投入されていく。官房長官が札束を持ち出した翌日には金庫に現金がすぐに補充される。 もうひとつの武器は、毎日午前と午後に官邸で開く官房長官会見だ。この場の発言が政府の公式見解となる」、「総理より早く多くの情報が集まる」、「官房機密費を管理」、「官房長官会見」で「政府の公式見解」、いずれも重要な役割だ。
・『「俺と竹中とどっちが魅力的か、見せてやろう」  私は官房長官番に就任するにあたり、東京・四谷にある与謝野事務所に挨拶に訪ねた。そこへ現れたのが島田氏だった。彼は「あなたのことはよく知っています」と静かに語り、立ちはだかった。与謝野氏が竹中氏と闘っている時、あなたが竹中番として寄り添っていたことを忘れていない、何をしにここへ来たのか、という含意がそこに読み取れた。私は島田氏に気圧され、しばし立ちすくんでいた。 その時である。事務所の奥から、ややしわがれた声が聞こえてきた。 「島田ちゃん、いいじゃないか。通してやれよ。俺と竹中とどっちが魅力的か、見せてやろうじゃないか」 それが与謝野氏だった。大物政治家とはこういうものだ。度量の広さを見せつけ、周囲の者を取り込んでいく。それは「お友達内閣」に最も欠けていた資質かもしれなかった。私は初対面で与謝野氏に惹かれた。きっと島田氏もそうして惹かれていったのだろう。 与謝野官房長官の記者会見の受け答えは味わいがあった。私は政治家を厳しく追及するのが好きだったが、与謝野氏は答えるべきことは答え、かわすべきことは見事にかわした。文学的、芸術的な表現を交えて受け流していく。それでも食い下がる私とのやりとりをまるで楽しんでいるようであった。自らの識見、理解力、答弁力に対する圧倒的な自信の裏返しであったのだろう。 安倍内閣の菅義偉官房長官の対応は対照的だった。何を聞いても「問題ない」「批判は当たらない」の一言ではぐらかす。各社政治部の番記者もそれを許容し、二の矢三の矢を放たない。そこへ乗り込んだ東京新聞社会部の望月衣塑子記者の厳しい追及に対し、菅氏は不快な表情をみせ、司会役の官邸広報室長は質問を妨害し、質問回数に制限を加えた。醜悪だったのは、各社政治部の官房長官番が望月記者の質問を妨害することに抗議せず、それを黙殺し、官邸側に歩調を合わせたことだった』、「与謝野事務所」の「島田氏」は来客を事前にチェックするという意味で秘書としては有能だ。そのやり取りを聞いて、「通してやれよ。俺と竹中とどっちが魅力的か、見せてやろうじゃないか」と言った「与謝野氏」はさすが「大物政治家」らしい。「与謝野氏は答えるべきことは答え、かわすべきことは見事にかわした。文学的、芸術的な表現を交えて受け流していく。それでも食い下がる私とのやりとりをまるで楽しんでいるようであった。自らの識見、理解力、答弁力に対する圧倒的な自信の裏返しであったのだろう」、これに対し、「菅義偉官房長官の対応は対照的だった。何を聞いても「問題ない」「批判は当たらない」の一言ではぐらかす」、「東京新聞社会部の望月衣塑子記者の厳しい追及に対し、・・・司会役の官邸広報室長は質問を妨害し、質問回数に制限を加えた。醜悪だったのは、各社政治部の官房長官番が望月記者の質問を妨害することに抗議せず、それを黙殺し、官邸側に歩調を合わせたことだった」、「各社政治部」の体質を如実に示している。
・『官房長官番という仕事  官房長官番はなぜこうした行動に出るのか。彼らは自民党幹事長番と並んで政治取材の中核である。官房長官と幹事長には政権の重要情報が集約される。番記者がどれだけ情報を取れるかは、各社の政治報道の「勝ち負け」に直結する。 特に官房長官番は激務だ。毎日2回の記者会見は業務の一部でしかない。官房長官には常に15~20社の番記者が張り付く。朝から晩まで政治家や官僚の面会が相次ぐタイトな日程をかいくぐり、他社を出し抜いて情報を得なければならない。官房長官に食い込んだ番記者は深夜や週末にサシで取材する機会を得る。そこで「特ダネ」をもらうこともあるが、そうした番記者はごく一握り。大半の番記者は「特ダネ」を取れなくても最低限こなさなければならない役割がある。「ウラ取り」だ。 官房長官には外交から内政まで政策全般、選挙から国会まで政局全般、さらに公安情報まで、ありとあらゆる情報が集まる。官房長官が総理の意向を踏まえつつ「OK」したものだけが「政府の意思決定」となる。新聞記事で「政府が~という方針を固めた」と表現されているものの多くは、官房長官の裏付け取材を経たものだ。官房長官が「OK」する前の情報を「政府」の主語で報じるのは禁じ手である。「財務省は~」「外務省は~」という主語にするか、「政府内で~の案が浮上した」「政府内で~の検討が進んでいる」という表現にとどめなければミスリードといっていい。 官房長官番は連日、官房長官から「裏付け」を取るようデスクやキャップからプレッシャーを受けている。「○○省の次官に○○氏が内定したと○○省担当記者が言っているから裏を取れ」「○○省が○○法改正案をまとめたというので裏を取れ」「ワシントンから日米首脳会談の日程情報が入ったので裏を取れ」といった具合だ。これを官房長官会見で聞くわけにはいかない。他社にバレてしまう。 激務の官房長官をサシでつかまえるのは難しい。朝晩に電話するしかない。携帯番号を教えてもらい、電話に出てもらえる信頼関係をつくらなければ仕事にならない。官房長官は忙しい。その合間に着信記録をみて折り返してくれる関係をつくらなければ官房長官番は「失格」の烙印を押されてしまう』、「官房長官番は連日、官房長官から「裏付け」を取るようデスクやキャップからプレッシャーを受けている」、「携帯番号を教えてもらい、電話に出てもらえる信頼関係をつくらなければ仕事にならない」、これは大変そうだ。
・『「特オチ」しても譲れなかった信念  与謝野氏のように厳しい質問を楽しむような官房長官ならよい。しかし菅氏のように厳しい質問をする記者を遠ざける官房長官なら、番記者はどうしてもたじろぐ。嫌われて電話に出てもらえなくなれば日常業務を果たせなくなり、「無能な政治記者」として飛ばされてしまう。 菅氏は政治部や番記者の事情を熟知し、「都合の良い記者」と「不都合な記者」への対応を露骨に変えることで自らへの批判を封じ、番記者全体を「防御壁」に仕立てるのが巧妙だった。番記者たちが望月記者の追及から菅氏を守った真相はそこにある。 与謝野氏は就任1ヵ月で、安倍氏が体調不良を理由に入院したまま退陣したため官房長官を退いた。現職総理が入院するという緊急事態で、与謝野氏の裁きぶりはフェアだった。連日記者会見で丁寧に病状を説明した。その間、安倍後継を決める政局とは一線を画し、次の福田康夫内閣では要職から身を引いた。小渕恵三総理が病に倒れた時に青木幹雄官房長官ら「五人組」が情報をひた隠しにして密室で森喜朗氏を後継総理に決めたことや、安倍総理が入院した際に菅官房長官が総裁選に出馬して勝利したことと比べると、与謝野氏の振る舞いは清廉だった。 私は官房長官番になるにあたり、上司にひとつお願いをした。番記者として官房長官と対等な関係をつくるには、電話で頭を下げて裏付け取材をするわけにはいかない日があることを認めてほしい、ということだった。官房長官会見で厳しく追及した夜に電話して「これを確認させてください」とお願いするようでは、対等な関係はつくれない。「特オチ」してもやせ我慢し、緊張関係を保つことが重要だ。だが、政治取材の要である官房長官番がそうした態度を貫けば、朝日新聞は「特オチ」を繰り返し、番記者だけの問題ではなくなる。政治部としてそれを許容する覚悟が必要であった。 当時の上司は私の願いを受け入れた。私は与謝野氏の後を受け継いだ町村信孝氏まで2代にわたって官房長官番を務めたが、決してへりくだらなかった。与謝野氏も町村氏もそんな私を拒まなかった。記者との緊張関係をギリギリ保っていた時代の政治家だった』、「菅氏は政治部や番記者の事情を熟知し、「都合の良い記者」と「不都合な記者」への対応を露骨に変えることで自らへの批判を封じ、番記者全体を「防御壁」に仕立てるのが巧妙だった。番記者たちが望月記者の追及から菅氏を守った真相はそこにある」、「番記者全体を「防御壁」に仕立てる」とは高度な技だ。「官房長官会見で厳しく追及した夜に電話して「これを確認させてください」とお願いするようでは、対等な関係はつくれない。「特オチ」してもやせ我慢し、緊張関係を保つことが重要だ。だが、政治取材の要である官房長官番がそうした態度を貫けば、朝日新聞は「特オチ」を繰り返し、番記者だけの問題ではなくなる。政治部としてそれを許容する覚悟が必要であった。 当時の上司は私の願いを受け入れた。私は与謝野氏の後を受け継いだ町村信孝氏まで2代にわたって官房長官番を務めたが、決してへりくだらなかった。与謝野氏も町村氏もそんな私を拒まなかった。記者との緊張関係をギリギリ保っていた時代の政治家だった」、「特オチ」を覚悟した「朝日新聞政治部」も大したものだ。「与謝野氏も町村氏もそんな私を拒まなかった。記者との緊張関係をギリギリ保っていた時代の政治家だった」、そんな政治家が少なくなっているのだろうが、寂しいことだ。

次に、6月11日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの鮫島 浩氏による「元朝日新聞エース記者が衝撃の暴露「朝日はこうして死んだ」 『朝日新聞政治部』著者が明かす」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/95754?imp=0
・『巨大組織が現場社員に全責任を押し付ける。メディアが一斉に非難を浴びせるような出来事が、あの朝日新聞で行われた。大企業が陥った「危機管理の失敗」を、エース記者が精緻な目線で内部告発する』、興味深そうだ。
・『社長も大喜びだったのに  隠蔽、忖度、追従、保身、捏造、裏切り。 メディアが政権を責め立てるとき、頻繁に使われる言葉だ。だが、権力批判の急先鋒たる朝日新聞にこそ、向けられるべき指摘だという。元朝日新聞記者の鮫島浩氏(50歳)はこう振り返る。 「'14年9月11日、木村(伊量)社長(当時)が『吉田調書』報道を取り消したことで、朝日新聞は死んだと思っています。同時に、私の会社員人生は一瞬にして奈落の底へ転落してしまいました」 5月27日に刊行された『朝日新聞政治部』が大きな話題になっている。大新聞が凋落する様子が登場人物の実名とともに生々しく描かれたノンフィクションだ。 著者で政治部出身の鮫島氏は、与謝野馨元財務相や古賀誠元自民党幹事長などの大物政治家に食い込み、数々のスクープを放ったエース記者だった。なぜ大手新聞社の中枢に身を置いた彼が「内部告発」をするのか。そして、なぜ朝日新聞は「死んだ」と言えるのか』、どういうことなのだろう。
・『原発事故報道でスクープを連発  時計の針を'12年に巻き戻そう。当時、政治部デスクだった鮫島氏は、先輩に誘われて特別報道部に異動した。 特別報道部は、'05年に朝日新聞の記者が田中康夫元長野県知事の発言を捏造した「虚偽メモ事件」をきっかけに創設されたチームだ。政治部や経済部などから記者を集めて調査報道に専従させる。'11年に起きた東日本大震災と原発事故で、調査報道の重要性が見直されていた頃だった。鮫島氏が加わった特別報道部は、原発事故の報道で輝かしい結果を残していく。 福島第一原発周辺で行われている国の除染作業をめぐり、一部の請負業者が除染で集めた土や洗浄で使った水などを、回収せずに山や川に捨てている様子を取り上げた「手抜き除染」は'13年の新聞協会賞を受賞した。 もっとも世間の注目を集めたのは、「吉田調書」報道だ。福島第一原発元所長の吉田昌郎氏が政府事故調査委員会の聴取に応じた記録を独自入手し、事故対応の問題点を報じたのだ。記事を手がけたのは、特別報道部の記者3人と担当デスクを務めた鮫島氏のチームだった』、「福島第一原発元所長の吉田昌郎氏が政府事故調査委員会の聴取に応じた記録を独自入手し、事故対応の問題点を報じた」のであれば、極めて重要性の高いものだ。
・『木村社長も大興奮、しかし……  このスクープは、'14年5月20日の朝刊1面と2面で大展開された。第一報では、「朝日新聞が吉田調書を独自入手したこと」、「吉田所長は第一原発での待機を命じていたのに、所員の9割が命令に違反し、第二原発に撤退していたこと」が主に報じられた。 報道直後から社内外では大反響が広がった。当時の朝日新聞社内の様子を著書から抜粋しよう。 〈朝日新聞社内は称賛の声に包まれた。市川誠一特別報道部長は「木村社長が大喜びしているぞ。社長賞を出す、今年の新聞協会賞も間違いないと興奮している」と声を弾ませていた〉 吉田調書報道を主導していた鮫島氏は、絶頂の真っ只中にいた。社内では多くの社員から取り囲まれて握手攻めにあい、同僚たちから祝福のメールが届いた。 特別報道部と鮫島氏が、わずか4ヵ月後に転落するとは誰も思わなかっただろう。 絶頂にあった特別報道部に対して、木村伊量社長らはまるで「手のひら返し」をするように冷淡になってゆく。そして事態は、特集記事「慰安婦問題を考える」の掲載をきっかけに急展開するのだった。特別報道部と鮫島氏を待ち受ける過酷な運命を、後編記事「なぜ朝日新聞は『読者に見捨てられる』のか? 元朝日スクープ記者が明かす」でお伝えする』、「後編記事」は見当たらないので推測する他ないが、「所員の9割が命令に違反し、第二原発に撤退していた」、となると、公式見解と矛盾するので、撤回すべきとの圧力がかかり、「木村伊量社長」が撤回させたのだろうか。

第三に、7月9日付け現代ビジネスが掲載した泉房穂明石市長と鮫島浩氏との記念対談「泉房穂×鮫島浩(2)」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/97116?imp=0
・『このままでは自滅して沈んでいくだけ 大マスコミと政治家・官僚はしょせん「同じ穴のムジナ」なんです:新刊『朝日新聞政治部』が話題の政治記者・鮫島浩氏と、市長にして全国区の人気を誇る泉房穂明石市長の対談第2回をお届けする。 テーマはズバリ、「なぜ大手マスコミはダメになってしまったのか」。 泉市長もNHK出身だけに、お互いの古巣への苦言も交えてトークがヒートアップ! すべて本音の辛口対談をお楽しみください。(この対談の動画を鮫島タイムスYouTubeで公開しています)』、「泉房穂明石市長」の存在は初めて知ったが、興味深そうだ。
・『なんでテレビは思い込みのデタラメを報じるの!?  鮫島 泉さんは毎日何度もツイッターで発信していますが、メディアの報道姿勢に対しては、かなり辛辣ですよね。つい先日(6月23日)も、独自の施策により出生率を上げた明石市を紹介した『ひるおび』(TBS系)に対して、随分お怒りでした。 泉 はい。昼のワイドショーは基本的に取材に来ないんです。適当にパネルを作って放送してしまう。それで、毎度のことなのですが、勝手に番組内で明石市が扱われて、間違った事実を流されてしまう。そんなケースばかり。 あの時も「18歳以下の医療費無料」、「1歳誕生月までおむつ無料」、「中学校の給食無料」など、明石市が進めている施策を紹介しつつ、それができているのは市の職員の給与をカットしているから、などと事実誤認だらけの内容を放送していたので、ツイッターで反論しました。 泉 我々明石市は、誰かに犠牲やしわ寄せが行かない形で、こども施策を進めようとしているのです。でもそれをマスコミは認めようとしない。 「そんなにうまくいくはずない」「どっかにしわ寄せがいってるはずだ」との想定のもと、何か問題が起きているかのように、ろくに取材もせずに進めていく。 それ、思い込みだから! 鮫島 放送の翌朝には、明石市職員の平均給与が、兵庫県内の他の市町に比べて低くないことをデータで示し、反撃されてましたね。 私は昨年、27年間勤めた朝日新聞を辞め、新たに立ち上げた自分自身のメディア「鮫島タイムス」を中心に活動しているのですが、今回の参院選で一種のチャレンジングな試みをしています。れいわ新選組に思いっきり肩入れしているんです。 大手メディアでは、まずありえませんよね。「ジャーナリストが、特定の政党に肩入れしていいのか」という抗議ももちろん来ます。 でも、欧米では大手メディアやジャーナリストが、支持政党を明確に打ち出すことは、まったく珍しいことではない。 もともとNHKにいらした泉さんは、その辺りどうお考えですか? 泉 日本がどうかしてるだけです。日本では、宗教と政治の話はタブーだとよく言われますけど、タブーとして遠ざけるだけでは、良くなるはずがない。 海外なら、CNNにしてもニューヨークタイムズにしても、メディアが自分の立場を鮮明にしますよね。スタンスをきちんと説明して、視聴者や読者に判断してもらえば、それでいいと思います』、「我々明石市は、誰かに犠牲やしわ寄せが行かない形で、こども施策を進めようとしているのです。でもそれをマスコミは認めようとしない。 「そんなにうまくいくはずない」「どっかにしわ寄せがいってるはずだ」との想定のもと、何か問題が起きているかのように、ろくに取材もせずに進めていく」、マスコミの姿勢は余りに酷い。「明石市」が反論するのは当然だ。
・『政治家も官僚も朝日新聞も「同じ穴のムジナ」  鮫島 私は新聞社にいた時から、「客観中立報道」というものに、ずっと疑問を感じていました。 泉 「中立」なんてないです、ウソですよ! 客観中立なんて、今をヌクヌクと生きている人たちの言い分です。「自分たちは現状維持を望む」と宣言してるのと同じですから。 明石市に取材に来たマスコミに「泉さんは、参院選で誰も応援しませんよね?」と聞かれました。「泉さんが、誰かを応援したら放送できません」だって。 何なの、それ。市長だって政治家の端くれですよ? 選挙で誰も応援するなって、どういうことなんですかね。 鮫島 実際、今回の選挙で泉さんは思いっきり応援してますよね。ツイッターを見ていて驚きました。「特定の政党は支持しない」と前置きしながら、応援したい議員として自見はなこさん(自民党)と矢田わか子さん(国民民主党)の名前を上げておられた。 鮫島 一緒に子供問題に取り組んでいる、この二人だけは当選してほしいと。 〈全国比例区に「国民民主党」と書こうと思っておられる方は、政党名ではなく、『矢田わか子』と個人名を書いていただきたい〉というメッセージを見て、「こんな市長いるのか」と衝撃を受けるとともに、非常に共感しました。 私がれいわ新選組に応援メッセージの動画を送ったことも、泉市長の考えと重なります。立場はそれぞれ違っても、何か実現したいことのために、リスクを背負ってでも特定の政治家を応援する。 でも、大手メディアは選挙なんて対岸の火事で、安全なところから見ているだけ。このように既存のジャーナリズムが当事者性を失ったから、多くの人から見放されているんじゃないかと。泉さんはどう思いますか? 泉 私は、誰かれ構わず噛み付くのではなく、政治家・官僚・マスコミに、特に辛口なんです。なぜかというと、彼らに期待しているからです。 彼らには力があるじゃないですか。権力がある。その力を使って、本来やるべきことが山ほどあるのに、全然やらないから、つい辛口になってしまう。 マスコミの中でも特に手厳しくなるのは、NHKと朝日新聞に対してです。 NHKは古巣ですし、朝日新聞には友達が多い。結局ね、東大とか京大とか、その辺りの出身者が多いんですよ。 政治家も官僚もNHKも朝日新聞も「同じ穴のムジナ」というのが私の持論です。ちょっと行き先が分かれただけ。「みんな裏で飲み会やってるんちゃうか」みたいな話ですよ。 朝日新聞なんて、政権にチクリとやってる風の見世物をやり続けてるでしょ。それを見ていると、「あなたたち、本気で社会をよくしたいんですか?」「社会を変える気あるんですか?」「変える気があるフリだけしてるんとちゃいますか?」と思ってしまう。 それで、「やるなら本気でやれよ」と、ついカッカしてしまうんです。 鮫島 今日、初めてお会いしましたが、ほとんど意見が同じです(笑)。 泉 フリをしてるだけだから、バレないうちはいいけど、本当に危うい局面になったら保身に走るわけです。 そしてその時に「フリをしていただけ」という正体がバレてしまう』、「泉 私は、誰かれ構わず噛み付くのではなく、政治家・官僚・マスコミに、特に辛口なんです。なぜかというと、彼らに期待しているからです。 彼らには力があるじゃないですか。権力がある。その力を使って、本来やるべきことが山ほどあるのに、全然やらないから、つい辛口になってしまう。 マスコミの中でも特に手厳しくなるのは、NHKと朝日新聞に対してです。 NHKは古巣ですし、朝日新聞には友達が多い。結局ね、東大とか京大とか、その辺りの出身者が多いんですよ。 政治家も官僚もNHKも朝日新聞も「同じ穴のムジナ」というのが私の持論です。ちょっと行き先が分かれただけ。「みんな裏で飲み会やってるんちゃうか」みたいな話ですよ。 朝日新聞なんて、政権にチクリとやってる風の見世物をやり続けてるでしょ。それを見ていると、「あなたたち、本気で社会をよくしたいんですか?」「社会を変える気あるんですか?」「変える気があるフリだけしてるんとちゃいますか?」と思ってしまう。 それで、「やるなら本気でやれよ」と、ついカッカしてしまうんです」、なるほど。
・『新聞・テレビは時代に取り残されている  鮫島 『朝日新聞政治部』に詳しく書きましたが、本当に泉さんのおっしゃる通りです。しょせんはエリートの社員たちが、安全地帯にいながら「権力批判をしているフリ」をしているだけ。いざとなったら腰砕けになって保身に走る。そういう醜い姿をたくさん見てきました。 SNSやインターネットメディアの台頭が、マスコミの「やってるフリ」を完全にバラしたと言えます。 インターネットを通じて誰もが情報を発信できるようになり、茶番が可視化されてしまった。政治家も官僚もマスコミも、完全に“あちら側”の人たちで、自分たちのことしか考えずに、既得権益を守っている。それが、明るみに出てしまった。 泉 私も実感してます。みんなが平等に発信できる、ツイッターとかフェイスブックは、本当にすごいですね。これまでは、一部の特権階級だけが情報を握っていて、民衆はそれを待っているしかなかった。 でも、皆がお互いに発信し合うと、「あ、実はそういうことだったのね」と、すぐに物事の本質にたどり着ける。 鮫島 ネット社会のスピード感は、完全に既存のマスコミを置き去りにしています。 朝日新聞のオピニオン編集部にいたことがありますが、オピニオンっていうからには、本来は最先端を行かなきゃいけない。 でも尖ってたり、批判が出るような意見は叩かれる危険性があるので、まずネット世論を見るんです。そしたら、案の定、ツイッター上ですでに殴り合いのような議論が起きていて、もう勝者が決まってたりする。 新聞やテレビは、その勝者を呼んでくるわけです。つまり、新聞・テレビに出てきた時点で、実は論争はもう終わってる。新聞・テレビは時代についていけてないんです。 泉 たしかに最近の新聞は、ネットでひと昔前に話題になったことを、堂々と報じているように見えます。 あと、新聞は社説が特に恥ずかしいね。あらゆる方面に気を使いすぎて、もはや、何も言っていない。バランスを取ろうとして、とりあえず両論併記してみたり。あれなら書かないほうがマシ。 大マスコミの建前にみんなが気付き、飽き飽きしてる。いまやメディアにも本音が求められていると思います』、「SNSやインターネットメディアの台頭が、マスコミの「やってるフリ」を完全にバラしたと言えます。 インターネットを通じて誰もが情報を発信できるようになり、茶番が可視化されてしまった。政治家も官僚もマスコミも、完全に“あちら側”の人たちで、自分たちのことしか考えずに、既得権益を守っている。それが、明るみに出てしまった」、「新聞は社説が特に恥ずかしいね。あらゆる方面に気を使いすぎて、もはや、何も言っていない。バランスを取ろうとして、とりあえず両論併記してみたり。あれなら書かないほうがマシ。 大マスコミの建前にみんなが気付き、飽き飽きしてる。いまやメディアにも本音が求められていると思います」、手厳しい批判である。
・『マスコミは自ら変わらないと沈んでいくだけ  鮫島 本当におっしゃるとおりです。結局のところ、マスコミの中に、本気で怒ったり、本気で「これはやるべきだ」と思っている人が、ほとんどいなくなってるんだと思います。 残念ながら、朝日新聞の記者の8割以上は、そもそもやりたいことがないというか、保身しか考えていなかった。 「自分が出世したい」とか、「社内の立場を守りたい」と考える人たちにとっては、抗議がくるような原稿はリスクでしかないんです。それで、リスクを回避するために、無難に「やってる感」を出すだけの記事をつくるから、両論併記だらけになるんです。 本当に訴えたいことがあればリスクを背負っても攻めるはずですが、そもそも伝えたいことがないから、リスクを負う勇気も持てない。 社会に対する不条理とか不公平に対して、怒りを感じない人は、ジャーナリストに向いていないと思います。 泉 先ほど、政治家・官僚・マスコミの人たちは「同じ穴のムジナ」と言いました。彼らの多くは、そこそこの家庭に生まれ、進学校に行って、有名大学を出ている。実は、極端に狭い世界の中で生きてきてるので、自分たち以外の世界に生きている他者を知らないんです。 そして、その他者を想像する能力もなくなってきてるように感じます。 鮫島 それはあるでしょうね。私も京都大学ですが、相当貧しい母子家庭に育ったので、「生き延びるために相手の真意を読む」という習性が子供の頃からついていた。それが政治記者として役に立ったと思います。 今の記者は、すぐに騙されるんですよ。森友事件みたいなことがあっても政府や役所の発表が事実だと信じる記者もいる。 相手は権力なのに、疑ってみるということもない。「裏を取る」というのは「役所に聞く」ことだと思っている記者すらいます。 泉 そうですよね! 私も体験しました。デタラメを書いた記者に「裏を取ったのか」と聞くと、「取りました」と言うんです。そんなバカなと思っていたけど、あれは「厚労省に確認しました」という意味だったのですね。 鮫島 当局に聞くことが裏取りだと思ってるんです。それぐらいひどい状況です。政府が言ってることを信じてしまう。 政治記者は政治家が口を開いたら「ウソじゃないか」と疑うのが基本なんです。だけどウソを見抜く力は教科書読んでも身につかないんですよね。 泉 マスコミが自問自答して、変わらなきゃいけない時代が来ている。昔の感覚でやっていけるわけがない。変わらないと沈む一方だと思います。ちょっと手厳しい言い方になりましたが、私からのエールのつもりです。 政治家と官僚とマスコミが、いい意味で緊張感のある関係でないと、この国の未来もありませんから。 次回は『いよいよ参院選投票当日!緊迫の最終回』。明日更新です』、「残念ながら、朝日新聞の記者の8割以上は、そもそもやりたいことがないというか、保身しか考えていなかった。 「自分が出世したい」とか、「社内の立場を守りたい」と考える人たちにとっては、抗議がくるような原稿はリスクでしかないんです。それで、リスクを回避するために、無難に「やってる感」を出すだけの記事をつくるから、両論併記だらけになるんです。 本当に訴えたいことがあればリスクを背負っても攻めるはずですが、そもそも伝えたいことがないから、リスクを負う勇気も持てない。 社会に対する不条理とか不公平に対して、怒りを感じない人は、ジャーナリストに向いていないと思います」、「マスコミが自問自答して、変わらなきゃいけない時代が来ている。昔の感覚でやっていけるわけがない。変わらないと沈む一方だと思います。ちょっと手厳しい言い方になりましたが、私からのエールのつもりです。 政治家と官僚とマスコミが、いい意味で緊張感のある関係でないと、この国の未来もありませんから」、全く同感である。 
タグ:現代ビジネス メディア (その33)(朝日新聞元エース記者が暴露する朝日新聞政治部シリーズ:(4)内閣官房長官の絶大な権力、「朝日はこうして死んだ」、泉房穂明石市長との対談:このままでは自滅して沈んでいくだけ 大マスコミと政治家・官僚はしょせん「同じ穴のムジナ」なんです) 鮫島 浩氏による「話題の書『朝日新聞政治部』先行公開第4回〜内閣官房長官の絶大な権力 朝日新聞政治部(4)」 「内閣官房長官が持つ権力の正体」とは興味深そうだ。 「総理に上がる情報は、その前に官房長官の手で取捨選択される。官房長官には総理より早く多くの情報が集まる。 領収書不要の官房機密費を管理するのも官房長官の権限。長官室の金庫には常に数千万円の現金が保管され、政界対策や世論対策に投入されていく。官房長官が札束を持ち出した翌日には金庫に現金がすぐに補充される。 もうひとつの武器は、毎日午前と午後に官邸で開く官房長官会見だ。この場の発言が政府の公式見解となる」、「総理より早く多くの情報が集まる」、「官房機密費を管理」、「官房長官会見」で「政府の公式見解」、いずれも 「与謝野事務所」の「島田氏」は来客を事前にチェックするという意味で秘書としては有能だ。 そのやり取りを聞いて、「通してやれよ。俺と竹中とどっちが魅力的か、見せてやろうじゃないか」と言った「与謝野氏」はさすが「大物政治家」らしい。「与謝野氏は答えるべきことは答え、かわすべきことは見事にかわした。文学的、芸術的な表現を交えて受け流していく。それでも食い下がる私とのやりとりをまるで楽しんでいるようであった。自らの識見、理解力、答弁力に対する圧倒的な自信の裏返しであったのだろう」、 これに対し、「菅義偉官房長官の対応は対照的だった。何を聞いても「問題ない」「批判は当たらない」の一言ではぐらかす」、「東京新聞社会部の望月衣塑子記者の厳しい追及に対し、・・・司会役の官邸広報室長は質問を妨害し、質問回数に制限を加えた。醜悪だったのは、各社政治部の官房長官番が望月記者の質問を妨害することに抗議せず、それを黙殺し、官邸側に歩調を合わせたことだった」、「各社政治部」の体質を如実に示している。 「官房長官番は連日、官房長官から「裏付け」を取るようデスクやキャップからプレッシャーを受けている」、「携帯番号を教えてもらい、電話に出てもらえる信頼関係をつくらなければ仕事にならない」、これは大変そうだ。 「菅氏は政治部や番記者の事情を熟知し、「都合の良い記者」と「不都合な記者」への対応を露骨に変えることで自らへの批判を封じ、番記者全体を「防御壁」に仕立てるのが巧妙だった。番記者たちが望月記者の追及から菅氏を守った真相はそこにある」、「番記者全体を「防御壁」に仕立てる」とは高度な技だ。 「官房長官会見で厳しく追及した夜に電話して「これを確認させてください」とお願いするようでは、対等な関係はつくれない。「特オチ」してもやせ我慢し、緊張関係を保つことが重要だ。だが、政治取材の要である官房長官番がそうした態度を貫けば、朝日新聞は「特オチ」を繰り返し、番記者だけの問題ではなくなる。政治部としてそれを許容する覚悟が必要であった。 当時の上司は私の願いを受け入れた。私は与謝野氏の後を受け継いだ町村信孝氏まで2代にわたって官房長官番を務めたが、決してへりくだらなかった。与謝野氏も町村氏もそんな私を拒ま 鮫島 浩氏による「元朝日新聞エース記者が衝撃の暴露「朝日はこうして死んだ」 『朝日新聞政治部』著者が明かす」 どういうことなのだろう。 「福島第一原発元所長の吉田昌郎氏が政府事故調査委員会の聴取に応じた記録を独自入手し、事故対応の問題点を報じた」のであれば、極めて重要性の高いものだ。 「後編記事」は見当たらないので推測する他ないが、「所員の9割が命令に違反し、第二原発に撤退していた」、となると、公式見解と矛盾するので、撤回すべきとの圧力がかかり、「木村伊量社長」が撤回させたのだろうか。 泉房穂明石市長と鮫島浩氏との記念対談「泉房穂×鮫島浩(2)」 「泉房穂明石市長」の存在は初めて知ったが、興味深そうだ。 「我々明石市は、誰かに犠牲やしわ寄せが行かない形で、こども施策を進めようとしているのです。でもそれをマスコミは認めようとしない。 「そんなにうまくいくはずない」「どっかにしわ寄せがいってるはずだ」との想定のもと、何か問題が起きているかのように、ろくに取材もせずに進めていく」、マスコミの姿勢は余りに酷い。「明石市」が反論するのは当然だ。 「泉 私は、誰かれ構わず噛み付くのではなく、政治家・官僚・マスコミに、特に辛口なんです。なぜかというと、彼らに期待しているからです。 彼らには力があるじゃないですか。権力がある。その力を使って、本来やるべきことが山ほどあるのに、全然やらないから、つい辛口になってしまう。 マスコミの中でも特に手厳しくなるのは、NHKと朝日新聞に対してです。 NHKは古巣ですし、朝日新聞には友達が多い。結局ね、東大とか京大とか、その辺りの出身者が多いんですよ。 政治家も官僚もNHKも朝日新聞も「同じ穴のムジナ」というのが私の 朝日新聞なんて、政権にチクリとやってる風の見世物をやり続けてるでしょ。それを見ていると、「あなたたち、本気で社会をよくしたいんですか?」「社会を変える気あるんですか?」「変える気があるフリだけしてるんとちゃいますか?」と思ってしまう。 それで、「やるなら本気でやれよ」と、ついカッカしてしまうんです」、なるほど。 「SNSやインターネットメディアの台頭が、マスコミの「やってるフリ」を完全にバラしたと言えます。 インターネットを通じて誰もが情報を発信できるようになり、茶番が可視化されてしまった。政治家も官僚もマスコミも、完全に“あちら側”の人たちで、自分たちのことしか考えずに、既得権益を守っている。それが、明るみに出てしまった」、「新聞は社説が特に恥ずかしいね。あらゆる方面に気を使いすぎて、もはや、何も言っていない。バランスを取ろうとして、とりあえず両論併記してみたり。あれなら書かないほうがマシ。 大マスコミの建前に 「残念ながら、朝日新聞の記者の8割以上は、そもそもやりたいことがないというか、保身しか考えていなかった。 「自分が出世したい」とか、「社内の立場を守りたい」と考える人たちにとっては、抗議がくるような原稿はリスクでしかないんです。それで、リスクを回避するために、無難に「やってる感」を出すだけの記事をつくるから、両論併記だらけになるんです。 本当に訴えたいことがあればリスクを背負っても攻めるはずですが、そもそも伝えたいことがないから、リスクを負う勇気も持てない。 社会に対する不条理とか不公平に対して、怒りを感 社会に対する不条理とか不公平に対して、怒りを感じない人は、ジャーナリストに向いていないと思います」、「マスコミが自問自答して、変わらなきゃいけない時代が来ている。昔の感覚でやっていけるわけがない。変わらないと沈む一方だと思います。ちょっと手厳しい言い方になりましたが、私からのエールのつもりです。 政治家と官僚とマスコミが、いい意味で緊張感のある関係でないと、この国の未来もありませんから」、全く同感である。
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メディア(その32)(朝日新聞元エース記者が暴露する朝日新聞政治部シリーズ:(1)「吉田調書事件」とは何だったのか、(2)「吉田調書事件」とは何だったのか、(3)小渕恵三首相「沈黙の10秒」) [メディア]

メディアについては、5月29日に取上げた。今日は、(その32)(朝日新聞元エース記者が暴露する朝日新聞政治部シリーズ:(1)「吉田調書事件」とは何だったのか、(2)「吉田調書事件」とは何だったのか、(3)小渕恵三首相「沈黙の10秒」)である。

先ずは、5月23日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの鮫島 浩氏による「元エース記者が暴露する「朝日新聞の内部崩壊」〜「吉田調書事件」とは何だったのか(1)朝日新聞政治部(1)」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/95386?imp=0
・『「鮫島が暴露本を出版するらしい」「俺のことも書いてあるのか?」――いま朝日新聞社内各所で、こんな会話が交わされているという。元政治部記者の鮫島浩氏が上梓した​『朝日新聞政治部』は、登場する朝日新聞幹部は全員実名、衝撃の内部告発ノンフィクションだ。 戦後、日本の左派世論をリードし続けてきた、朝日新聞政治部。そこに身を置いた鮫島氏が明かす政治取材の裏側も興味深いが、本書がもっとも衝撃的なのは、2014年に朝日新聞を揺るがした「吉田調書事件」の内幕をすべて暴露していることだ。 今日から7回連続で、本書の内容を抜粋して紹介していく』、興味深そうだ。
・『夕刊紙に踊る「朝日エリート誤報記者」の見出し  2014年秋、私は久しぶりに横浜の中華街へ妻と向かった。息苦しい都心からとにかく逃れたかった。 朝日新聞の特別報道部デスクを解任され、編集局付という如何にも何かをやらかしたような肩書を付与され、事情聴取に呼び出される時だけ東京・築地の本社へ出向き、会社が下す沙汰を待つ日々だった。蟄居謹慎(ちっきょきんしん)とはこういう暮らしを言うのだろう。駅売りの夕刊紙には「朝日エリート誤報記者」の見出しが躍っていた。私のことだった。 ランチタイムを過ぎ、ディナーにはまだ早い。ふらりと入った中華料理店はがらんとしていた。私たちは円卓に案内された。注文を終えると、二胡を抱えたチャイナドレスの女性が私たちの前に腰掛け、演奏を始めた。私は紹興酒を片手に何気なく聴き入っていたが、ふと気づくと涙が溢れている。 「なぜ泣いているの?」 二胡の音色をさえぎる妻の声で私はふと我に返った。人前で涙を流したことなんていつ以来だろう。ちょっと思い出せないな。これからの私の人生はどうなるのだろう。 朝日新聞社は危機に瀕していた。私が特別報道部デスクとして出稿した福島原発事故を巡る「吉田調書」のスクープは、安倍政権やその支持勢力から「誤報」「捏造」と攻撃されていた。政治部出身の木村伊量社長は、過去の慰安婦報道を誤報と認めたことや、その対応が遅すぎたと批判する池上彰氏のコラム掲載を社長自ら拒否した問題で、社内外から激しい批判を浴びていた。 「吉田調書」「慰安婦」「池上コラム」の三点セットで朝日新聞社は創業以来最大の危機に直面していたのである。特にインターネット上で朝日バッシングは燃え盛っていた。 木村社長は驚くべき対応に出た。2014年9月11日に緊急記者会見し、自らが矢面に立つ「慰安婦」「池上コラム」ではなく、自らは直接関与していない「吉田調書」を理由にいきなり辞任を表明したのである。さらにその場で「吉田調書」のスクープを誤報と断定して取り消し、関係者を処罰すると宣告したのだ。 寝耳に水だった。 その後の社内の事情聴取は苛烈を極めた。会社上層部はデスクの私と記者2人の取材チームに全責任を転嫁しようとしていた。5月に「吉田調書」のスクープを報じた後、木村社長は「社長賞だ、今年の新聞協会賞だ」と絶賛し、7月には新聞協会賞に申請した。ところが9月に入って自らが「慰安婦」「池上コラム」で窮地に追い込まれると、手のひらを返したように態度を一変させたのである』、「木村社長は「社長賞だ、今年の新聞協会賞だ」と絶賛し、7月には新聞協会賞に申請」、それを手の平を返して「辞任を表明」とは、全く節操がない人物だ。
・『私がどんな「罪」に問われていたか  巨大組織が社員個人に全責任を押し付けようと上から襲いかかってくる恐怖は、体験した者でないとわからないかもしれない。それまで笑みを浮かべて私に近づいていた数多くの社員は蜘蛛の子を散らすように遠ざかっていった。 私は27歳で政治部に着任し、菅直人、竹中平蔵、古賀誠、与謝野馨、町村信孝ら与野党政治家の番記者を務めた。39歳で政治部デスクになった時は「異例の抜擢」と社内で見られた。その後、調査報道に専従する特別報道部のデスクに転じ、2013年には現場記者たちの努力で福島原発事故後の除染作業の不正を暴いた。この「手抜き除染」キャンペーンの取材班代表として新聞協会賞を受賞した。 朝日新聞の実権を握ってきたのは政治部だ。特別報道部は政治部出身の経営陣が主導して立ち上げた金看板だった。私は政治部の威光を後ろ盾に特別報道部デスクとして編集局内で遠慮なく意見を言える立場となり、紙面だけではなく人事にまで影響力を持っていた。それが一瞬にして奈落の底へ転落したのである。 ああ、会社員とはこういうものか――。そんな思いにふけっているところへ、妻の声が再び切り込んできた。二胡の妖艶な演奏は続いている。 「なぜ泣いているの?」 「なんでだろう……。たぶん厳しい処分が降りるだろう。懲戒解雇になると言ってくる人もいる。すべてを失うなあ……。いろんな人に世話になったなあと思うと、つい……」 妻はしばらく黙っていたが、「それ、ウソ」と言った。続く言葉は強烈だった。 「あなたはこれから自分が何の罪に問われるか、わかってる? 私は吉田調書報道が正しいのか間違っているのか、そんなことはわからない。でも、それはおそらく本質的なことじゃないのよ。あなたはね、会社という閉ざされた世界で『王国』を築いていたの。誰もあなたに文句を言わなかったけど、内心は面白くなかったの。あなたはそれに気づかずに威張っていた。あなたがこれから問われる罪、それは『傲慢罪』よ!」 紹興酒の酔いは一気に覚めた。妻はたたみかけてくる。 「あなたは過去の自分の栄光に浸っているだけでしょ。中国の皇帝は王国が崩壊した後、どうなるか、わかる? 紹興酒を手に、妖艶な演奏に身を浸して、我が身をあわれんで涙を流すのよ。そこへ宦官がやってきて『あなたのおこなってきたことは決して間違っておりません。後世必ずや評価されることでしょう』と言いつつ、料理に毒を盛るのよ!」 中国の皇帝とは、仰々しいたとえである。だが、妻の目に私はそのくらい尊大に映っていたのだろう。そして会社の同僚たちも社内を大手を振って歩く私を快く思っていなかったに違いない。私はそれにまったく気づかなかった。 「裸の王様」がついに転落し、我が身をあわれんで涙を流す姿ほど惨めなものはない。そのような者に誰が同情を寄せるだろうか。 私は、自分がこれから問われる「傲慢罪」やその後に盛られる「毒」を想像して背筋が凍る思いがした。泣いているどころではなかった。独裁国家でこのような立場に追い込まれれば、理屈抜きに生命そのものを絶たれるに違いない。今日の日本社会で私の生命が奪われることはなかろう。奈落の底にどんな人生が待ち受けているかわからないが、生きているだけで幸運かもしれない。 そんな思いがよぎった後、改めて「傲慢罪」という言葉を噛み締めた。「吉田調書」報道に向けられた数々の批判のなかで私の胸にストンと落ちるものはなかった。しかし「傲慢罪」という判決は実にしっくりくる。そうか、私は「傲慢」だったのだ! 政治記者として多くの政治家に食い込んできた。ペコペコすり寄ったつもりはない。権力者の内実を熟知することが権力監視に不可欠だと信じ、朝日新聞政治部がその先頭に立つことを目指してきた。調査報道記者として権力の不正を暴くことにも力を尽くした。朝日新聞に強力な調査報道チームをつくることを夢見て、特別報道部の活躍でそれが現実となりつつあった。それらを成し遂げるには、会社内における「権力」が必要だった――。 しかし、である。自分の発言力や影響力が大きくなるにつれ、知らず知らずのうちに私たちの原点である「一人一人の読者と向き合うこと」から遠ざかり、朝日新聞という組織を守ること、さらには自分自身の社内での栄達を優先するようになっていたのではないか。 私はいまからその罪を問われようとしている。そう思うと奈落の底に落ちた自分の境遇をはじめて受け入れることができた。 そして「傲慢罪」に問われるのは、私だけではないと思った。新聞界のリーダーを気取ってきた朝日新聞もまた「傲慢罪」に問われているのだ』、奥さんに指摘された「あなたはね、会社という閉ざされた世界で『王国』を築いていたの。誰もあなたに文句を言わなかったけど、内心は面白くなかったの。あなたはそれに気づかずに威張っていた。あなたがこれから問われる罪、それは『傲慢罪』よ!」は、実に本質を突いた至言だ。
・『日本社会がオールドメディアに下した判決  誰もが自由に発信できるデジタル時代が到来して情報発信を独占するマスコミの優位が崩れ、既存メディアへの不満が一気に噴き出した。2014年秋に朝日新聞を襲ったインターネット上の強烈なバッシングは、日本社会がオールドメディアに下した「傲慢罪」の判決だったといえる。木村社長はそれに追われる形で社長から引きずり下ろされたのだ。 「吉田調書」報道の取り消し後、朝日新聞社内には一転して、安倍政権の追及に萎縮する空気が充満する。他のメディアにも飛び火し、報道界全体が国家権力からの反撃に怯え、権力批判を手控える風潮がはびこった。安倍政権は数々の権力私物化疑惑をものともせず、憲政史上最長の7年8ヵ月続く。 マスコミの権力監視機能の劣化は隠しようがなかった。民主党政権下の2010年に11位だった日本の世界報道自由度ランキングは急落し、2022年には71位まで転げ落ちた。新聞が国家権力に同調する姿はコロナ禍でより顕著になった。 木村社長が「吉田調書」報道を取り消した2014年9月11日は「新聞が死んだ日」である。日本の新聞界が権力に屈服した日としてメディア史に刻まれるに違いない。 私は2014年末、朝日新聞から停職2週間の処分を受け、記者職を解かれた。6年半の歳月を経て2021年2月に退職届を提出し、たった一人でウェブメディア「SAMEJIMA TIMES」を創刊した。 私と朝日新聞に突きつけられた「傲慢罪」を反省し、読者一人一人と向き合うことを大切にしようと決意した小さなメディアである。自らの新聞記者人生を見つめ直し、どこで道を踏み外したのかをじっくり考えた。本書はいわば「失敗談」の集大成である。 世の中には新聞批判が溢れている。その多くに私は同意する。新聞がデジタル化に対応できず時代に取り残されたのも事実だ。一方で、取材現場の肌感覚とかけ離れた新聞批判もある。新聞の歩みのすべてを否定する必要はない。そこから価値のあるものを抽出して新しいジャーナリズムを構築する材料とするのは、凋落する新聞界に身を置いた者の責務ではないかと思い、筆を執った。 この記事は大手新聞社の中枢に身を置き、その内情を知り尽くした立場からの「内部告発」でもある。 次回は「新人時代のサツ回りが新聞記者をダメにする」​です』、「木村社長が「吉田調書」報道を取り消した」、どんな事情があったのだろう。

次に、この続きを、5月24日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの鮫島 浩氏による「元エース記者が暴露する「朝日新聞の内部崩壊」〜「吉田調書事件」とは何だったのか(2) 朝日新聞政治部(2)」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/95464?imp=0
・『「鮫島が暴露本を出版するらしい」「俺のことも書いてあるのか?」――いま朝日新聞社内各所で、こんな会話が交わされているという。元政治部記者の鮫島浩氏が上梓する『朝日新聞政治部』(5月27日発売、現在予約受付中)​は、登場する朝日新聞幹部は全員実名、衝撃の内部告発ノンフィクションだ。 戦後、日本の左派世論をリードし続けてきた、朝日新聞政治部。そこに身を置いた鮫島氏が明かす政治取材の裏側も興味深いが、本書がもっとも衝撃的なのは、2014年に朝日新聞を揺るがした「吉田調書事件」の内幕をすべて暴露していることだ。 同書の内容を抜粋して紹介する。7日連続公開の第2回は、新聞記者が新人時代に必ず通る「地方支局でのサツ(警察)回り」の実態だ』、興味深そうだ。
・『キャリア官僚の話に興味が持てない  私は1994年に京都大学法学部を卒業し、朝日新聞に入社した。バブル経済は崩壊していたものの、その余韻が残る時代だった。数年後にやってくる就職氷河期の「失われた世代」や現在の「コロナ禍世代」と比べれば、気楽な就職活動の時代であった。 当時の京大生のご多分に漏れず、学業に熱心とは言い難い生活だった。就活中の1993年は自民党が衆院選に敗北して下野し、細川連立内閣が発足した戦後政治史の重要な年である。京大キャンパスのある衆院京都1区(当時は中選挙区制)からは、のちに民主党代表となる前原誠司氏が日本新党から出馬して初当選した。だが、私にはこの衆院選の投票に行った記憶がない。 新聞も購読していなかった。母子家庭で仕送りがなく、奨学金とアルバイト代で辛うじて学生生活を送っていたというのは言い訳である。 トイレも風呂も洗面所もない「離れ」に下宿した入学当初はたしかに厳しい暮らしだったが、3~4年生になると塾講師のアルバイトで稼いで自分の車まで所有していた。単に「学び」に不熱心だったというほかない。国立大学なら奨学金とアルバイトで何とか下宿し、通学し、それなりに遊び、卒業して就職できる幸運な時代だった。 朝日新聞の採用試験を受けたのも、当時交際していた同じ年の女性が新聞社志望で、募集要項をもらってきたのがきっかけだった。今となってはそこに何を書き込んだのかも覚えていない。朝日新聞といえばリベラルというくらいの印象しかなかった。ただ、これを境にそろそろ就職活動をしないといけないとにわかに焦り始めたことを覚えている。 親しい友人たちが国家公務員一種試験(法律職)を目指して勉強していたので、遅ればせながらその輪に入れてもらった。2~3ヵ月、過去問をひたすら解いて挑んだ筆記試験に合格し、友人たちに驚かれた。要領は良かったのだろう。その後、キャリア官僚と「面接」を重ねたが、自慢話を聞かされるばかりで興味を持てなかった。そこで、様々な業種から名前を知っている大企業をひとつずつ選んで訪問することにした。銀行、生保、メーカー……。朝日新聞はそのひとつに過ぎなかった。世間知らずの学生だった。 面接は得意だった。当意即妙の受け答えには割と自信があった(政治記者になった後も記者会見やインタビューで二の矢三の矢を放つのが好きだった)。それが功を奏したのか、朝日新聞を含め、いくつか内定をいただいた。 朝日新聞の東京本社や京都支局にうかがって現役の新聞記者にも会ったが、興味のわく人はいなかった。キャリア官僚と同じ匂いがした。 私は朝日新聞の内定を断った。代わりに選んだのが新日鉄(現・日本製鉄)である。この会社は会う人会う人が魅力的だった。私は新日鉄にのめり込んでいった。各地の製鉄所も見学させてもらった。「鉄は国家なり」と熱く語る人、ヒッタイト以来の鉄の歴史を研究して披露する人、鉄鋼労働者が暮らす四畳半の宿舎を案内し「君がこの会社で最初にする仕事はこの部屋が煙草の不始末で火事にならないようにすることだ」と説く人。みんな思いが詰まっていて、キャリア官僚や新聞記者より輝いて見えた。 なかでも私を気に入ってくれたのが、Sさんだった。私は京都から大阪・梅田の高層ビルに入る高級店に何度となく呼び出され、「君と一緒に仕事をしたい」と口説かれた。Sさんはパリッとしたスーツに身を固め、紳士的で、格好良かった。キャリア官僚や新聞記者とはまるで違った。私は新日鉄へ入社する決意をSさんに告げた』、「梅田の高層ビルに入る高級店に何度となく呼び出され」、「新日鉄」も優秀な大学生にはかなり手をかけたようだ。
・『「新聞記者は主役になれない」  迷走はここから始まる。私は世の中をあまりに知らなかった。自分がいざ「鉄鋼マン」になると思うと、「鉄は国家なり」と熱く語る人やヒッタイトの歴史を熟知する人のように鉄に人生を捧げる覚悟が湧いてこなかった。「鉄」に限らずビジネスの世界で生きる将来の自画像がまったく浮かんでこなかったのだ。 一度決断しないと本心に気づかないのは困ったものである。就活の季節はとっくに過ぎ去っていた。内定を断った会社に今一度問い合わせてみた。 そのなかで唯一「今からでも来ていいよ」と答えてくれたのが朝日新聞社だった。当時の採用担当者から「君は新聞のことを知らなすぎる。新聞記者としてうまくいくかわからないけれど、来たいのなら来てもいいよ」と言われ、負けん気に火がついたのである。 私は大阪・梅田で新日鉄のSさんに会い、内定をお断りした。「どこにいくのか」と聞かれ、「新聞記者になります」と答えた。Sさんは引かなかった。「なぜ新聞記者なのか」と繰り返し迫った。私はとっさに「いろんな人の人生を書きたいからです」と魅力を欠く返答をした。彼は決して譲らず、熱く語った。 「新聞記者は人の人生を書く。所詮は人の人生だ。主役にはなれない。我々は自分自身が人生の主役になる。新日鉄に入って一緒に主役になろう」 熱かった。心が揺れた。私はこののち多くの政治家や官僚を取材することになるが、このときのSさんほど誠実で心に迫る言葉に出会ったことがない。いわんや、朝日新聞の上司からこれほど心を揺さぶられる説得を受けたことはない。 しかし、Sさんの熱い言葉は、彼の思いを超えて、私に新たな「気づき」を与えたのだった。ビジネスの世界に身を投じることへの抵抗感が自らの心の奥底に強く横たわっていることを、私はこのときSさんの熱い言葉に追い詰められて初めて自覚したのである。 「なぜ新聞記者なのか」と繰り返すSさんに、私がとっさに吐いた言葉は「ビジネスではなく、政治に関心があるからです」だった。政治家になろうと考えたことはなかった。政治に詳しくもなかった。なぜ「政治に関心がある」という言葉が出てきたのか、自分でもわからない。 いま振り返ると、一介の学生が働き盛りの鉄鋼マンに「なぜ新聞記者なのか」と迫られ、「ビジネス」への対抗軸として絞り出した答えが「政治」だったのだろう。多くの書物を読んで勉学を重ねた学生なら「学問」「文化」「芸術」などという、もう少し気の利いた言葉が浮かんだのかもしれないが、当時の私はあまりにも無知で無学で野暮だった。「政治」という言葉しか持ち合わせていなかったのだ。 ところが、「政治」という言葉を耳にして、Sさんはついに黙った。ほどなくして「残念だ」とだけ言った。Sさんとの別れだった。彼にとって「政治」とは、どんな意味を持つ言葉だったのか。当時の私には想像すらできなかった。 Sさんに投げかけられた「なぜ新聞記者なのか」という問いを、私はその後の新聞記者人生で絶えず自問自答してきた。客観中立を口実に政治家の言い分を垂れ流す政治記事を見るたびに、「新聞記者は主役になれない」と言い切ったSさんの姿を思い出した。いつしかSさんに胸を張って「主役になりましたよ」と言える日が来ることを志し、27年間、新聞記者を続けてきた。山あり谷あり波乱万丈の記者人生だったが、Sさんと再会して「君は主役になったな」と認めてもらえる自信はない。「所詮は新聞という小さな世界の内輪の話だよ」と言われてしまう気もする。 鉄も新聞も斜陽と呼ばれて久しい業界だ。学生時代の私が進路を決めるにあたり鉄と新聞で揺れたのは、果たして偶然だったのだろうか。私がSさんにとっさに吐いた言葉の後を追うように「政治記者」となり、多くの政治家とかかわるようになったのは運命だったのだろうか。 いずれにせよ、私は「新聞記者は主役になれない」という言葉を背負って朝日新聞に入社した。そこには新聞記者を志し、とりわけ朝日新聞に憧れて難関を突破してきた大勢の同期がいた。朝日新聞記者の初任給は当時、日本企業でトップクラスだった。日本の新聞の発行部数はまだ伸びていた。1994年春である。 太平洋の向こう側、アメリカ西海岸ではIT革命が幕を開けようとしていた』、当初は新日鉄入社を考えていたが、「鉄に人生を捧げる覚悟が湧いてこなかった」、「「新聞記者は主役になれない」という言葉を背負って朝日新聞に入社した」、なるほど。
・『記者人生を決める「サツ回り」  新聞記者人生は大概、地方の県庁所在地から始まる。新人記者は県警本部の記者クラブに配属され、警察官を取材する「サツ回り」で同僚や他社の記者と競わされる。支局には入社1~5年目の記者がひしめく。同世代はみんなライバルだ。 私は違った。初任地は茨城県のつくば支局。大学と科学の街である。県庁所在地ではなく県警本部はない。他社に新人記者は一人もいなかった。大半は科学記者だ。朝日新聞つくば支局は科学部出身の支局長、科学部兼務の記者、新人の私の3人。畑が点在する住宅街にある赤煉瓦の一軒家に支局長が居住し、その一角が私たちのオフィスになっていた。 同期たちからは「まあ、気を落とすなよ」と言われた。彼らには私が会社員人生の初っぱなから「コースを外れた」と映ったようだ。すでに出世競争は始まっていた。サツ回りで評価された記者が政治部や社会部に進む新聞社の常識を、私は知らなかった。 1994年4月、私は水戸支局に赴任する同期のY記者と特急スーパーひたちに乗り込んだ。茨城県全域を統括する水戸支局長に着任の挨拶をするためだ。支局長は社会部の警視庁記者クラブで活躍した特ダネ記者という評判だった。 水戸支局は水戸城跡のお堀に面した通りにある。いちばん奥のソファに、彼は仰向けに寝そべっていた。黒いサングラスをかけ、白いエナメルの靴を履いた足を投げ出している。その姿勢を維持したまま、彼は少し頬を緩めボソボソと口を開いた。 「世の中の幸せの量は決まっている。Yの幸せはサメの不幸、サメの幸せはYの不幸」 訓示はそれで終わった。何が言いたいんだ、競争心を煽っているのか、とんでもないところに来てしまった、これが新聞社なのか……。 この水戸支局長、野秋碩志(のあきひろし)さんが私の最初の上司である。 Y記者は早速、3人チームのサツ回りに投入された。入社3年目の県警キャップと2年目のサブキャップのもとで徹底的にこき使われるのだ。昼間は県警記者クラブで交通事故や火災などの発表を短行記事にする。殺人事件や災害が起きれば現場へ向かい、関係者の話を聞いたり写真を撮ったりする。朝と夜は警察官の自宅を訪問して捜査情報を聞き出す。いわゆる「夜討ち朝駆け」だ。 当時携行させられていたのはポケベルだった。休日深夜を問わず鳴り続ける。警察官宅で酔いつぶれたキャップから車で迎えに来るように呼びつけられることもある。 県警発表を記事にするだけでは評価されない。未発表の捜査情報――「明日逮捕へ」とか「容疑者が~と供述」とか――を、他社を出し抜いて書く。これら特ダネは、警察官と仲良くなって正式発表前に特別に教えてもらうリーク型がほとんどだ。不都合な事実を暴く正真正銘の特ダネとは違う。 新聞というムラ社会の中だけで評価される特ダネを積み重ねることが「優秀な新聞記者」への第一歩となる。逆に他社に特ダネを書かれることを「抜かれ」といい、他の全社が報じているのに一社だけ記事にできずに取り残されることを「特オチ」という。それらが続くと「記者失格」の烙印を押される。サツ回りで特ダネを重ねた記者が支局長やデスクに昇進し、自らの「成功体験」を若手に吹聴して歪んだ記者文化が踏襲されていく。 駆け出し記者は特ダネをもらうのに必死だ。あの手この手で警察官にすり寄る。会食を重ねゴルフや麻雀に興じる。風俗店に一緒に行って秘密を共有する。警察官が不在時に手土産を持って自宅を訪れ、奥さんや子どもの相談相手となる。無償で家庭教師を買って出る……。休日も費やす。とにかく一体化する。こうして警察官と「癒着」を極めた記者が特ダネにありつける。 警察は記者同士の競争意識につけ込み、警察に批判的な記者には特ダネを与えない。他の記者全員にリークし、批判的な記者だけ「特オチ」させることもある。記者たちはそれに怯え、従順になる。こうした環境で警察の不祥事や不作為を追及する記事が出ることは奇跡に近い』、「警察官と「癒着」を極めた記者が特ダネにありつける。 警察は記者同士の競争意識につけ込み、警察に批判的な記者には特ダネを与えない。他の記者全員にリークし、批判的な記者だけ「特オチ」させることもある。記者たちはそれに怯え、従順になる。こうした環境で警察の不祥事や不作為を追及する記事が出ることは奇跡に近い」、「警察」のマスコミ・コントロールは容易なようだ。
・『競わされる相手がいなかった  日本の新聞記者の大多数はこうしたサツ回りの洗礼を受け、そこで勝ち上がった記者が本社の政治部や社会部へ栄転していく。敗れた記者たちもサツ回り時代に埋め込まれた「特ダネへの欲求」や「抜かれの恐怖」のDNAをいつまでも抱え続ける。 純朴で真面目なY記者は日々、明らかに憔悴していった。 私は違った。つくばには他社を含め新人記者は私しかいない。警察本部もない。つくば中央警察署(現・つくば警察署)に取材に訪れる記者は私だけだった。競わされる相手がいなかったのだ。末端の警察官まで私を歓迎してくれた。 しかもメインの取材先は警察ではなかった。私は科学以外のすべてを一人で担う立場にあった。つくば市など茨城県南部の読者に向けて地域に密着した話題(いわゆる「街ダネ」)を県版に毎日写真入りで伝えることを期待された。カメラをぶら下げ、市井の人々と会い、日常のこぼれ話を来る日も来る日も記事にした。 27年間の新聞記者人生でこの時ほど原稿を書いた日々はない。当時はフィルム時代だった。つくば支局にはカラー現像機がなかった。私は毎日、白黒フィルムで撮影し、暗室にこもって写真を焼いた。 この記者生活は楽しかった。私は新人にして野放しだった。夜討ち朝駆けはほとんどしなかった。毎朝目覚めると「今日はどこへ行こうか」「誰と会おうか」「何を書こうか」と考えた。私は自由だった。毎日が新鮮だった。 この野放図な新人時代は、私の新聞記者像に絶大な影響を与えることになる。 次回は「政治取材の裏側〜小渕恵三首相の沈黙の10秒」​​。「野放図な新人時代は、私の新聞記者像に絶大な影響を与えることになる」、幸運だったようだ。

第三に、この続きを、5月25日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの鮫島 浩氏による「話題の書『朝日新聞政治部』先行公開第3回〜小渕恵三首相「沈黙の10秒」 朝日新聞政治部(3)」を紹介しよう。
・『・・・戦後、日本の左派世論をリードし続けてきた、朝日新聞政治部。そこに身を置いた鮫島氏が明かす政治取材の裏側も興味深いが、本書がもっとも衝撃的なのは、2014年に朝日新聞を揺るがした「吉田調書事件」の内幕をすべて暴露していることだ。 7日連続先行公開の第3回は、初めて政治部に着任した鮫島氏が小渕恵三総理と向き合う緊迫の場面を紹介する』、興味深そうだ。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/95521?imp=0
・『政治記者は「権力と付き合え」  1999年春、私は政治部へ着任した。時は小渕恵三政権である。自民、自由、公明の連立政権が動き始めていた。小泉純一郎政権から安倍晋三政権へ至る清和会支配が幕を開ける前夜、竹下登元首相が最大派閥・平成研究会(小渕派)を通じて隠然たる影響力を残していた時代である。 私は新聞記者6年目の27歳。政治や経済は無知であった。そればかりか初めての東京暮らしで右も左もわからなかった。政治部の恒例で着任初日は政治部長に挨拶し昼食をともにする。駆け出し政治記者が政治部長と直接話をすることなどこの時くらいである。 政治部長は若宮啓文さんだった。朝日新聞を代表するハト派・リベラル派論客で、のちに社説の責任者である論説主幹や主筆となる。韓国紙に連載するなど国際派でもあった。父親は朝日新聞政治部記者から鳩山一郎内閣の総理秘書官に転じた若宮小太郎氏。その子息の若宮さんは「政治記者として血統の良いサラブレット」という印象が強かった。朝日新聞をライバル視する読売新聞の渡辺恒雄氏とも昵懇で、政治家では河野洋平氏と密接な関係を築いていた。 その若宮さんが私たち駆け出し政治記者に投げかけた訓示が衝撃的だった。私はつくば、水戸、浦和で過ごした新聞記者5年間とは別世界に来たと思った。若宮さんは眼光鋭い目を見開きながら、静かにこう語ったのだった。 「君たちね、せっかく政治部に来たのだから、権力としっかり付き合いなさい」 新聞の役割は権力を監視することだと思ってきた。「権力としっかり付き合いなさい」という言葉は意外だった。私は当時、世間知らずで怖いもの知らずだった。日本の新聞界を代表する政治記者であり、朝日新聞を代表する論客であり、初対面である自分の上司に、やや挑発めいた口調でとっさに質問したのである』、「新聞の役割は権力を監視することだと思ってきた。「権力としっかり付き合いなさい」という言葉は意外だった」、確かにドサ回りとは全く違う環境のようだ。
・『日本という国家の「権力」  「権力って、誰ですか?」 若宮さんはしばし黙っていた。ほどなく、静かに簡潔に語った。 「経世会、宏池会、大蔵省、外務省、そして、アメリカと中国だよ」 経世会とは、田中角栄や竹下登の流れを汲み、当時は小渕首相が受け継いでいた自民党最大派閥・平成研究会のことである。永田町ではかつての名称「経世会」の名で呼ばれることも多い。数の力で長く日本政界に君臨し、たたき上げの党人派が多く「武闘派」と恐れられた。小沢一郎氏が竹下氏の後継争いで小渕氏に敗れ自民党を飛び出した「経世会の分裂」が、1990年代の政治改革(小選挙区制導入による二大政党政治への転換)の発端だ。 宏池会は、池田勇人、大平正芳、宮澤喜一ら大蔵省(現・財務省)出身の首相を輩出し、戦後日本の保守本流を自任してきた。経済・平和重視のハト派・リベラル派で、政策通の官僚出身が多い一方、権力闘争は不得手で「お公家集団」と揶揄される。経世会の威を借りて戦後の政策立案を担ってきた。 大蔵省と外務省は、言わずと知れた「官庁中の官庁」。自民党が選挙対策や国会対策に奔走する一方、内政は大蔵省、外交は外務省が主導するのが戦後日本の統治システムだった。とくに大蔵省は予算編成権を武器に政財界に強い影響力を行使し、通産省(現・経済産業省)や警察庁など霞が関の他官庁は頭が上がらなかった。この大蔵省・財務省支配は2012年末の第二次安倍内閣発足まで続く。 そしてアメリカと中国。日米同盟を基軸としつつ対中関係も重視するのが経世会や宏池会が牛耳る戦後日本外交の根幹だった。政治家やキャリア官僚は日頃から在京のアメリカ大使館や中国大使館の要人と接触し独自ルートを築く。政治記者を煙に巻いても米中の外交官には情報を明かすことがある。政治記者ならアメリカや中国にも人脈を築いてそこから情報を得るという「離れ業」も必要だ。国際情勢に対する識見を身につけたうえで、米中の外交官が欲する国内政局に精通し、明快に解説できないようでは見向きもされない。 若宮さんの訓示は、この6者(経世会、宏池会、大蔵省、外務省、アメリカ、中国)こそが日本という国家の「権力」であり、政治記者はこの6者としっかり付き合わなければならないということだった。戦後日本政治史の実態を端的に表現したといえるだろう。 私は当時、その意味を理解する知識も経験も持ち合わせていなかったが、政治記者として20年以上、日本の政治を眺めてきた今となっては、若輩記者の直撃に対して明快な答えを即座に返した若宮さんの慧眼と瞬発力に感動すら覚える』、確かに「若輩記者の直撃に対して明快な答えを即座に返した若宮さんの慧眼と瞬発力に感動すら覚える」、その通りだ。
・『小渕恵三首相の「沈黙の10秒」  小渕恵三という総理は、口下手だった。途中で言葉が詰まり上手に話せないこともしばしばあった。しかし、総理番の取材に丁寧に応じようとしていることはよく伝わってきた。短い時間に、歩きながら、必死に言葉を絞り出していた。 私も何度もぶらさがって小渕総理に厳しい質問をしたが、どんなに慌ただしい政局の中でも何とか言葉を探して一言は答えてくれたものだ。無視されることはなかった。 小渕総理は風貌は地味で、流暢に話せず、「冷めたピザ」と揶揄されたが、若手記者の取材に真摯に応じる姿勢に惹かれた総理番は少なくなかった。「人柄の小渕」がマスコミを通して世間にじわじわ浸透したのか、当初低迷していた内閣支持率は徐々に上向いた。時間がたつにつれ支持率が下がることの多い日本の政権にしては珍しいパターンだった。 私は2000年春に総理番を卒業することになった。最終日、4月1日は日本政治史に残る重大な日となる。当時の関係者が何年もたった後に私に打ち明けた話によると、自自公連立を組む自由党の小沢一郎氏はこの時、連立離脱をちらつかせながら小渕総理と水面下で接触し、自民党と自由党をともに解党して合流するという大胆な政界再編を秘密裏に迫っていたというのだ。この日は夕刻に官邸を訪れ、小渕総理と最後の直談判に及んだのだった。私たち総理番は執務室の前で待った。小沢氏が硬い表情で退出した後、ほどなくして小渕総理が現れ、総理番に取り囲まれた。 私は小渕総理の目の前にいた。小渕総理は何か語ろうとしたが、うまく声を発することができずに10秒ほど押し黙った。ようやく口を開いて「信頼関係を維持することは困難と判断した」と述べ、会談が決裂したことを告げた。 小渕総理はそのまま総理番たちに背中を向け、総理公邸へ向かう廊下を進んだ。最後にちらっと私たちのほうを振り向いた。 これが小渕総理との別れだった。小渕総理は公邸に戻り、大好きな司馬遼太郎の「街道をゆく」のビデオを観ながら倒れたという。あとで先輩から「お前はあの時、小渕さんの目の前にいながら、10秒も押し黙ったのに、体調に異変が生じていることに気づかなかったのか」と叱られた。まったくその通りである。 しかし当時の政局は緊迫していた。小沢氏と決裂して連立解消が決まった直後、小渕総理の口調がこわばっていても不思議ではない。しかも小渕総理は日頃から能弁ではなく、言葉に詰まることが珍しくなかった。とはいえ体調の異変に気づかなかったのは、毎日密着している総理番としては観察力に欠けていたと言われても仕方がない。 その夜、政治記者たちは連立解消の取材に遅くまで追われた。朝刊の締め切りが過ぎた4月2日未明、私は他社の総理番らに国会近くの飲み屋で「総理番卒業」の送別会を開いてもらった(4月2日は日曜だった)。私は外務省担当になることが決まっていた。「小渕政権の最後まで総理番として見届けたかった」と他社の総理番たちにほろ酔いで話していたまさにその頃、小渕総理は病魔に襲われ、密かに順天堂大学附属順天堂医院へ運び出されていたのである』、「小渕恵三首相の「沈黙の10秒」」に立ち会ったが、「体調の異変に気づかなかった」、とは「小渕」氏であれば、やむを得ないだろう。
・『権力は重大な事を隠す  当時の青木幹雄官房長官や野中広務幹事長代理ら「五人組」は小渕総理が倒れた事実を伏せ、後継総理――それは森喜朗氏だった――を密室協議で決めた。 権力は重大な事を隠す。小渕総理の入院が公表された時にはすでに森政権へ移行する流れは出来上がっていた。小渕総理が身をもって教えてくれた政治の冷徹な現実である。 小渕官邸の「総理番」で学んだことは多かった。もちろん、官邸と官邸記者クラブの「癒着」は当時からあった。いちばん驚いたのは官房機密費の使い方だ。さすがに「餞別」などの理由で現金が政治記者に配られることはなかったと思う。しかし政務担当の総理秘書官は連夜、総理番を集め高級店で会食していた。その多くの費用は官房機密費から出ていると政治部記者はみんな察していた。 当時、地方支局ではオンブズマンが情報公開制度を利用して官官接待を追及しており、行政と記者の癒着にも厳しい目が向けられていた。「取材相手との会食は割り勘」は常識だったし、記者懇談会で提供される弁当にも手を付けるなという指示が出るほどだった。それなのに永田町の政治取材の現場では官房機密費がばらまかれていた。官房機密費の使用には領収書が不要で、情報公開で決して表に出ることはないと政治家も官僚も記者も確信しているからだった。 私は政務の総理秘書官を担当しておらず会食に出席したことはなかったが、上司に「あれはおかしいのではないか」と言ったことがある。上司は「それはそうだが、あの会食に出ないと、総理日程などの情報が取れない」と説明した。それに抗って異論を唱え続ける胆力は新米政治記者の私にはなかった。 当時に比べると、今の取材現場では「割り勘」が浸透し、悪弊は解消されつつある。ただし、そのスピードは極めて遅い。そればかりか、安倍晋三、菅義偉、岸田文雄各総理の記者会見をみると、官邸と官邸記者クラブの緊張関係はまったく伝わってこない。 小渕総理と政治記者のぶらさがり取材には緊張関係があった。小渕総理が政治記者という職業に敬意を払っていたからだろう。当時は新聞の影響力が大きく無視できないという政治家としての現実的な判断もあっただろう。 政治取材は長らく、権力者側の「善意」や「誠意」に支えられる側面が大きかった。新聞の影響力低下に伴って政治記者が軽んじられるようになり、一方的に権力者にこびへつらうようになったのが今の官邸取材の実態である。権力者側の「善意」や「誠意」には期待できないことを前提に、新たな政治取材のあり方を構築しなければ、政治報道への信頼はますます失われていくだろう。 次回は「内閣官房長官の絶大な権力」​​。明日更新です』、「新聞の影響力低下に伴って政治記者が軽んじられるようになり、一方的に権力者にこびへつらうようになったのが今の官邸取材の実態である。権力者側の「善意」や「誠意」には期待できないことを前提に、新たな政治取材のあり方を構築しなければ、政治報道への信頼はますます失われていくだろう」、その通りだ。 「吉田調書事件」については、何も触れられてないのは、残念だ。
タグ:(その32)(朝日新聞元エース記者が暴露する朝日新聞政治部シリーズ:(1)「吉田調書事件」とは何だったのか、(2)「吉田調書事件」とは何だったのか、(3)小渕恵三首相「沈黙の10秒」) メディア 現代ビジネス 鮫島 浩氏による「元エース記者が暴露する「朝日新聞の内部崩壊」〜「吉田調書事件」とは何だったのか(1)朝日新聞政治部(1)」 「木村社長は「社長賞だ、今年の新聞協会賞だ」と絶賛し、7月には新聞協会賞に申請」、それを手の平を返して「辞任を表明」とは、全く節操がない人物だ。 奥さんに指摘された「あなたはね、会社という閉ざされた世界で『王国』を築いていたの。誰もあなたに文句を言わなかったけど、内心は面白くなかったの。あなたはそれに気づかずに威張っていた。あなたがこれから問われる罪、それは『傲慢罪』よ!」は、実に本質を突いた至言だ。 「木村社長が「吉田調書」報道を取り消した」、どんな事情があったのだろう。 鮫島 浩氏による「元エース記者が暴露する「朝日新聞の内部崩壊」〜「吉田調書事件」とは何だったのか(2) 朝日新聞政治部(2)」 「梅田の高層ビルに入る高級店に何度となく呼び出され」、「新日鉄」も優秀な大学生にはかなり手をかけたようだ。 当初は新日鉄入社を考えていたが、「鉄に人生を捧げる覚悟が湧いてこなかった」、「「新聞記者は主役になれない」という言葉を背負って朝日新聞に入社した」、なるほど。 「警察官と「癒着」を極めた記者が特ダネにありつける。 警察は記者同士の競争意識につけ込み、警察に批判的な記者には特ダネを与えない。他の記者全員にリークし、批判的な記者だけ「特オチ」させることもある。記者たちはそれに怯え、従順になる。こうした環境で警察の不祥事や不作為を追及する記事が出ることは奇跡に近い」、「警察」のマスコミ・コントロールは容易なようだ。 「野放図な新人時代は、私の新聞記者像に絶大な影響を与えることになる」、幸運だったようだ。 鮫島 浩氏による「話題の書『朝日新聞政治部』先行公開第3回〜小渕恵三首相「沈黙の10秒」 朝日新聞政治部(3)」 「新聞の役割は権力を監視することだと思ってきた。「権力としっかり付き合いなさい」という言葉は意外だった」、確かにドサ回りとは全く違う環境のようだ。 確かに「若輩記者の直撃に対して明快な答えを即座に返した若宮さんの慧眼と瞬発力に感動すら覚える」、その通りだ。 「小渕恵三首相の「沈黙の10秒」」に立ち会ったが、「体調の異変に気づかなかった」、とは「小渕」氏であれば、やむを得ないだろう。 「新聞の影響力低下に伴って政治記者が軽んじられるようになり、一方的に権力者にこびへつらうようになったのが今の官邸取材の実態である。権力者側の「善意」や「誠意」には期待できないことを前提に、新たな政治取材のあり方を構築しなければ、政治報道への信頼はますます失われていくだろう」、その通りだ。 「吉田調書事件」については、何も触れられてないのは、残念だ。
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SNS(ソーシャルメディア)(その11)(承認欲求のお葬式、SNSで自分の意見は多数派と思う人が陥る怖い罠 精査したと思っている情報がすでに偏っている、「なぜデマ情報が急増?」米SNS研究が明らかにした衝撃の事実) [メディア]

SNS(ソーシャルメディア)については、昨年10月21日に取上げた。今日は、(その11)(承認欲求のお葬式、SNSで自分の意見は多数派と思う人が陥る怖い罠 精査したと思っている情報がすでに偏っている、「なぜデマ情報が急増?」米SNS研究が明らかにした衝撃の事実)である。

先ずは、本年3月23日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したフリーランスライターの川代紗生氏による「承認欲求のお葬式」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/299791
・『SNSが誕生した時期に思春期を迎え、SNSの隆盛とともに青春時代を過ごし、そして就職して大人になった、いわゆる「ゆとり世代」。彼らにとって、ネット上で誰かから常に見られている、常に評価されているということは「常識」である。それ故、この世代にとって、「承認欲求」というのは極めて厄介な大問題であるという。それは日本だけの現象ではない。海外でもやはり、フェイスブックやインスタグラムで飾った自分を表現することに明け暮れ、そのプレッシャーから病んでしまっている若者が増殖しているという。初の著書である『私の居場所が見つからない。』(ダイヤモンド社)で承認欲求との8年に及ぶ闘いを描いた川代紗生さんもその一人だ。「承認欲求」とは果たして何なのか? 現代社会に蠢く新たな病について考察する』、「承認欲求との8年に及ぶ闘いを描いた」とは興味深そうだ。
・『感情の「お葬式」  「さようなら。今までありがとう」 私は人生の節目節目で、「感情のお葬式」というものをすることがある。なんてことはない。別に実際に参列するわけではない。一種の妄想だ。頭の中で、今までお世話になってきた感情に対してお辞儀をする。ありがとう、とお礼を言う。そして目を開ける。そうすると、なんだか過去の自分から解放されて、新しい自分になれるような気がする。思い込みかもしれないけれど。 頻繁にあるわけではない。ふと思い立ったとき、私はお葬式をする。さようなら、恋。さようなら、親への執着。さようなら、学生としての甘え。本当にその感情が自分の中からいなくなるとは限らないけれど、それでも、ひとつ自分の中で線を引いたような気分になるのだ。 これまでの人生の中で、「あ、今が転機かもしれない」と思う瞬間があって、そのときどきで必要に応じてお葬式をやってきた。いろいろな感情を弔ってきたし、その分、新しい感情が生まれてくることもあった。けれども私の中で、どうしてもさようならを言えない感情があった。 承認欲求。 他人から認められたいと思う気持ち。 周りと自分を比べてしまう気持ち。 社会からの評価に振り回されてしまう。とにかく、「世間の目」が気になって仕方がない、気持ち。 承認欲求に悩んでいる、いなくなっちゃえばいいのに、という声は頻繁に耳にする。とくに同世代で。就活生の頃からだったろうか。SNSが発達し、他人から「評価される」という機会が多い現代の社会で、私たちゆとり世代は日々、他人からの評価・期待と、自分本来の限界値との間でゆれ、劣等感に悩み続けている。 私は大学生の頃からブログを書いているが、「承認欲求」について考えることが、とても多かった。メインテーマは「女子と承認欲求」だった。 男子ももちろん大変だろうが、女子の中ではとくに、承認欲求について悩みを持つ人が多いように思う。女子は、ロールモデルが多く、多すぎるあまりに、「こんな人生が幸せ」というサンプルを得にくいからだ。仕事を頑張ってトップになったら絶対に幸せになれるというわけではない。数多くの男たちから告白されたら幸せになれるというわけでもない。結婚して子どもを産めば終わりというわけでもない。 ナイトプールに行っている子だってバリバリ海外で働いているキャリアウーマンを見ると焦りを感じるし、東京でクリエイティブな活動をしているエディターだって、地方の田舎でパン屋さんをやっている主婦の丁寧な暮らしぶりに嫉妬するのだ。女の人生は、なかなか難しい。 そんなことをあれこれ書いていた。書いていると、気がつくことがあった。私が悩んでいるのと同じようなことで、みんなも悩んでいるということだった。 たとえば、私は周りからこれほど「認められたい」と強く思っているのは私だけかと思っていた。承認欲求がこんなに強い人間は珍しいほうだと。 そう思いながらも、恥をさらすつもりで自分の感情をブログに曝け出したら、思わぬ反響があった。みんな同じだというのだ。私と同じように、承認欲求に、嫉妬に、劣等感に苦しんでいる。なかなか口には出せないけれど。 「ありがとう」と、感謝されることが多くなった。文章を書くことによって。 勇気を出して書いてよかった、と思うと同時にむくむくと、別の感情が湧き上がってくるのがわかった。不思議な恍惚というか、何かに興奮しているような、そんな感じ。けれども、その感情を何と定義するべきなのか、すぐにはわからなかった。 それからというもの、私はどんどん書くことにのめりこんでいった。書けば書くほど、共感してくれる仲間が増えていくのが面白くて仕方なかった。 「どうして、書くことを仕事にしたいと思うの? 」 将来書いて食べていけるようになりたい、と私が言うと、こんな風に聞かれることがあった。何がきっかけだったの? 転機みたいなものはあった? 決定打は?  「わからないけど、ただ、文章を書くようになって、最初にいろんな人に読んでもらって、『共感した』って言ってもらえたときの、あの感動が忘れられなくて」 私はとっさにそう答えた。事実だった。やりたいことなんて、合理的に決めるものじゃないんだなと思った。ビビッとくる、というのか、「これがやりたい!」という直感に突き動かされて、決まるものなのだな、と』、「これまでの人生の中で、「あ、今が転機かもしれない」と思う瞬間があって、そのときどきで必要に応じてお葬式をやってきた。いろいろな感情を弔ってきたし、その分、新しい感情が生まれてくることもあった。けれども私の中で、どうしてもさようならを言えない感情があった。 承認欲求」、「感情の「お葬式」」とはユニークで面白い。
・『私は承認欲求の奴隷だった  けれども、そこまで考えたとき、私はあることに気がついた。 もしかして、私がこうして文章を書き続けているその原動力こそ、承認欲求そのものなのでは? 私は、認めてもらうために、承認欲求を満たすために、文章を書いているのでは? もっと別の言い方をすると、私にとっては、承認欲求を満たす最も簡単な方法が、書くことだった。それだけだったのでは?  一見、矛盾しているようだが、事実だった。私は、「認めてもらう」という大目的を達成するために、「承認欲求から解放されたい」というネタをコンテンツにし続けていたのだ。 承認欲求をなくしたい。他人からの評価軸で生きるのをやめたいと思っているのは事実で、その苦しみから逃れるために記事を書いていた。けれども、周りが共感してくれるのは、「承認欲求から解放された私」ではなく「承認欲求に苦しんでいる私」という内容。 つまり、私が承認欲求から本当に解放されてしまったら、誰も私の文章を読んでくれなくなるんじゃないか? ものすごい恐怖を覚えた。 今、周りから必要とされているのは、「ポジティブに生きる、幸せな私」ではなく、「承認欲求に苦しんでいる私」なのだ。 ドロドロとしたマイナスの感情から逃れたいのは事実なのに、解放されない方が結果的にはおいしいという、とんでもない矛盾を抱えていたのだ。 私の中から承認欲求が消えたら、必要とされなくなるという、恐怖。 「共感してもらえる」という強烈な満足感を知ってしまったばかりに、「認められたい」の負のスパイラルに陥っていた。 いなく、ならないでくれ。 自分が嫌いだと思っていた感情に対して、そんな風に思ったのは、そのときがはじめてだった。 もはや私にとって、承認欲求はただの感情ではなくなっていた。 ひとつの、武器とすら言ってもいい。 承認欲求というツールを使って、私は不特定多数の、同じ苦しみを抱き、同じ痛みを抱えている人たちと繋がることができた。他者の持つ、「欠損」というものは、どうしてこうも魅力的に見えるのだろうか。そして、「欠損」によって繋がった人間関係というのは、どうしてポジティブな理由で繋がった人間関係よりもずっと、奥深くでしっかりと絆を紡いでいられるような気がしてしまうのだろう。 恐ろしかった。自分のことが。 このままでいいのだろうか、と思うことさえあった。 「書く」という作業をしていると、色々なことをネタにしようという視点が身についてくる。 辛いことがあったり、苦しいことがあっても、「書くネタができた」と思えば、プラスに転換できる。世の中を見る目が、前向きになってくる。 けれども私の場合は、それが歪んだ方向に進んでしまっていたのかもしれなかった。 書くために、辛いことがありますようにと願った。 書くために、承認欲求が消えませんようにと願った。 どんどんと、負のスパイラルは進んでいく。ぐるぐると下に向かう。 あ、これはもうだめだな、と思ったのは、知人が亡くなったときだった。 よく知る、自分と年の近い人間が死ぬというのは、思いのほか衝撃的で、私はしばらくその事実についてぐるぐると頭を巡らせていた。 そしてしばらくボーッと考えたすえに、ふと浮かんだのは。 「これ、ネタになるな」 その瞬間、ハッとした。 今、私、なんて思った? 何を考えた?  こともあろうに、私は、人の死をネタにしようとしてしまっていたのだ。よく知る人間の死。辛い。その感情を描けば、きっと。 きっと、みんなから認めてもらえる?  どこまでも、私は承認欲求の奴隷だった。 人から認めてもらいたい、その感情と向き合うために文章を書き始めたのに、結果的に、承認欲求がないと困る人間になってしまっていた。 こんなやつで居続けて、いいのだろうか。 そんな疑問が、ここしばらくずっと、いや、もしかしたらここ数年ずっとかもしれないが、私の頭の中にあった。結論が出ないまま、時は過ぎた』、「辛いことがあったり、苦しいことがあっても、「書くネタができた」と思えば、プラスに転換できる。世の中を見る目が、前向きになってくる。 けれども私の場合は、それが歪んだ方向に進んでしまっていたのかもしれなかった。 書くために、辛いことがありますようにと願った。 書くために、承認欲求が消えませんようにと願った。 どんどんと、負のスパイラルは進んでいく。ぐるぐると下に向かう」、「私は承認欲求の奴隷だった。 人から認めてもらいたい、その感情と向き合うために文章を書き始めたのに、結果的に、承認欲求がないと困る人間になってしまっていた。 こんなやつで居続けて、いいのだろうか」、確かに深刻なジレンマだ。
・『私は居場所が欲しかっただけなのかもしれない  そうして、大学生の頃とは違い、働くようになった。この数年がむしゃらに働き、苦しいことばかりだったが、最近になってようやく、働くことの面白さみたいなものが、わかりかけているように思う。 ありがたいことに、店長や書く仕事、編集作業やイベントの企画など、幅広い仕事を任せてもらえるようになった。失敗することもまだまだあるが、これからも続けていきたいという、熱中できる仕事に出会えたことで、私の人生は変わりつつある。 結論から言えば、今の私は、承認欲求に頼って生きる必要がなくなってしまった。 きっかけとなったのは、福岡店のリニューアルを担当したことだった。2018年の5月のことだ。 私は子どもの頃からチームで動くということがとても苦手で、一人でいる方が好きなタイプだった。リーダーとして周りをひっぱっていく才能もないし、部活の先輩後輩の上下関係の中で要領よく立ち回るのも苦手だった。 けれども、福岡店のリニューアルをするためには、チームで動かざるをえなかった。目標を達成するためには私一人の力ではどうにもできない。店舗というのはスタッフ一人一人が動き、そして、お客様に感動を与えられるようにみんなで工夫していかなければならない。 どうしたらお客様に「来てよかった」と言ってもらえるのかと、そればかりをずっと考えていた。 そして思いつく限りのことはやった。スタッフからあげられたアイデアはすぐに取り入れ、実行した。うまくいくこともうまくいかないこともあった。けれども失敗と成功を繰り返して、リニューアルは徐々に進んでいった。お客様に「ありがとう」と言っていただけることが増えた。 ふと、顔を上げると、私は「認められたい」という衝動によって動いていることが圧倒的に少なくなっていることに気がついた。 たしかに、「みんなにこう思ってほしい」という感情はあった。けれどもそれは、認められたいという承認欲求とはまた別の感情のような気がした。私がこうなりたいとかじゃなくて、みんなに、楽しんでほしいとか、笑っていてほしいとか、居心地がいいと感じてほしい、とか。 口にするのは照れ臭いけれど、それは、承認欲求ではなくて、愛情なんじゃないかと、私は思う。そう思いたい。 自分ではない誰かのために動く面白さは、周りから認めてもらえたときの興奮とは、また違った震え方をした。優しく穏やかに、じんわりと広がっていくような。 今、冷静になって思う。 あるいは私は、居場所がほしかっただけなのかもしれない。 「認められたい」という感情は、言い換えれば「あなたはここに居ていい」と許してもらいたいという欲求なのだ。自分にはどこにも居場所がない。そんな不安を掻き立てられると、必要とされたいと思う。認めてほしいと思う。「あなたは価値のある人間だよ」と言ってほしいと、願う。 だから、「承認欲求」というネタも、ある種私の居場所づくりのために必要だったのだ。承認欲求について語っているときは、私は「ここに居ていい人間」になれる。そんな風に。 仕事をして、仕事が好きになって、人のために動く面白さみたいなものが、徐々にわかりかけている今、私は自分の居場所を「承認欲求」コンテンツ以外のところに、もう見つけてしまったような気がする』、「熱中できる仕事に出会えたことで、私の人生は変わりつつある・・・承認欲求に頼って生きる必要がなくなってしまった」、「仕事をして、仕事が好きになって、人のために動く面白さみたいなものが、徐々にわかりかけている今、私は自分の居場所を「承認欲求」コンテンツ以外のところに、もう見つけてしまったような気がする」、「自分の居場所を「承認欲求」コンテンツ以外のところに、もう見つけてしまった」、おめでとう。
・『承認欲求にさようならをする日  だから、ようやく。 ずいぶん時間はかかったけれど、承認欲求にさようならをする日が、来たのかもしれない。 感情のお葬式。 これまで、様々な感情を弔ってきた。お別れしてきた。 執着心。 焦り。 嫉妬。 劣等感。 これらは私の中で抹消されたわけではないけれど、ぴっと一本、線を引いたことで、ずっと遠くの物に感じられる。 けれどもずっと、離れられない感情があった。 承認欲求。認められたいと思う気持ち。 なぜなら、私は承認欲求に依存し、承認欲求というコンテンツによって、甘い汁を吸い続けてきたからだ。 いなくなってほしい相手であり、いなくなったら困る相手でもあった。 けれどもうそろそろ、お別れしてもいいのかもしれない。 認められたいと思わなくなるわけじゃない。 世間の目が気にならなくなるわけじゃない。 だけどでも、「さようなら」と一言、言ってもいいような気がする。 もう、あなたの役目は終わりと、お辞儀をして、お別れをしてもいいように思うのだ。 だって私は、幸せになるために生きてるんだから。 不幸の数を数えて、不幸自慢をして、辛いことや悲しいことをネタに共感してもらって、それで仲間を増やすために生きているわけじゃ、ない。 面白いことや楽しいことをやって、「居心地がいいな」と思う人と一緒にいて、そして、幸せになるためにここにいる。生きている。 欠損を分かち合うことで繋がり合えることもたしかにある。 けれども、最高に面白い瞬間を共にすることで繋がり合える絆の強さも、私は知ることができた。 子どもの頃からずっと、心のどこかで居場所を探していた。 家族といても、学校にいても、恋人といても、どこか、ぽっかり穴が空いたような気がすることがあった。 私には居場所がないような気がした。 求められていないような気がした。 社会に必要とされていない気がした。 でも私には今、居るべき場所がある。 必要としてくれる人がいて、大切にしてくれる人がいる。大切にしたい場所もある。大切にしたい人も、たくさんいる。 あるいは、そんな風に思う今の私は、必要とされないかもしれないけれど、それでも、いい。承認欲求はもはや、朽ちかけているコンテンツに過ぎないのだ。 ありがとう。 私は今まで、あなたのおかげで色々と楽しむことができた。味方が増えた。仲間ができた。居場所ができた。 おそらく承認欲求と気がすむまで向き合い続けた期間があったから、私は今前を向けているんだろうと思う。 そろそろ、さようならを言おう。 ずっとずっとお別れを言えなかったけど、あなたを弔うことにする。 次のステージに、私は進む。 不幸集めをして満足する人生は、もう終わりにしよう。 心が、震える。 静かに震える。 何かが変わりゆくときの、振動だ。 ほんの少しの寂しさと、不安と。 未来への期待で、震えているのだ。 さようなら。 承認欲求のお葬式 川代紗生(かわしろ・さき)1992年、東京都生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。2014年からWEB天狼院書店で書き始めたブログ「川代ノート」が人気を得る。 「福岡天狼院」店長時代にレシピを考案したカフェメニュー「元彼が好きだったバターチキンカレー」がヒットし、天狼院書店の看板メニューに。 メニュー告知用に書いた記事がバズを起こし、2021年2月、テレビ朝日系『激レアさんを連れてきた。』に取り上げられた。 現在はフリーランスライターとしても活動中。 『私の居場所が見つからない。』(ダイヤモンド社)がデビュー作。(5頁目の本のPRはリンク先参照)』、「承認欲求と気がすむまで向き合い続けた期間があったから、私は今前を向けているんだろうと思う。 そろそろ、さようならを言おう。 ずっとずっとお別れを言えなかったけど、あなたを弔うことにする。 次のステージに、私は進む。 不幸集めをして満足する人生は、もう終わりにしよう・・・さようなら。 承認欲求のお葬式」、歯切れのいい文章で、SNSでの「承認欲求」を取上げた出色のコラムである。通常は、略歴は紹介しないが、今回は例外的に紹介した。『私の居場所が見つからない。』も時間が出来たら読んでみたい。

次に、6月3日付け東洋経済オンラインが掲載した取材記者グループFrontline Pressによる「SNSで自分の意見は多数派と思う人が陥る怖い罠 精査したと思っている情報がすでに偏っている」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/593828
・『閉鎖的なコミュニティ内で偏った意見や情報が増幅され、ほかの異なる意見や情報がかき消される「エコーチェンバー現象」。自分の関心に近い領域の情報に囲まれている状況下で起きるこの現象は、SNSの普及で加速度的に広がってきたとされる。 SNSは閲覧履歴などから利用者個人の好みの情報を推測し、自動表示していく。SNSの隆盛に比例してその危険性は指摘されてきたが、利用者はどう対応すればいいのか。エコーチェンバーの専門家である東京大学大学院工学系研究科の鳥海不二夫教授(計算社会科学)に尋ねた。 鳥海教授は2021年9月、自らが開発したアプリ「エコーチェンバー可視化システムβ版」を公開した。 あるアカウントのTwitter(ツイッター)タイムラインに表示される内容がどの程度偏っているかを客観的にチェックできるシステムだ。タイムラインの内容やフォローなどを分析し、ツイッター全体に流れる情報と比較することで、偏りの度合いを「エコーチェンバー度」として表示する。 このシステムでは、自分のツイッターアカウントと連携させると、まずは本人のタイムラインがどの程度特定のコミュニティに占められているかを「タイムラインのエコーチェンバー度」として表示する。 さらに、フォロー先のユーザーは「こんなことに関心がある人たち」として、「フォロー関係のエコーチェンバー度」が表示され、フォロー先の関心領域も文字の大小などで表現される。ほかにも、リツイートがどの程度特定のコミュニティーに偏っているかの「リツイートのエコーチェンバー度」などを表示し、アカウント所有者の党派性もデータで示してくれる。 このシステムの公開当初は予想を上回るアクセスがあり、サイトがパンクしたという。 「エコーチェンバー可視化システムβ版」。筆者(板垣)のツイッターアカウントを使って、エコーチェンバー度を出してみた(Qは聞き手の質問、Aは鳥海教授の回答』、「エコーチェンバー可視化システムβ版」はなかなかよく出来ているようだ。
・『「自分の考え=世界の考え」という図式に陥りやすい  Q:システムを作った背景をお聞かせください。 A:エコーチェンバーという言葉は昔からあります。選挙を想像してみてください。よく、負けた側の人が「なんで負けたのか」という顔をしていますよね。「みんな自分に投票してくれるって言った」のに、蓋を開けると、負けてしまったと。よくある話です。 当人は「自分に投票してくれると言った人が大多数」と思っているんですが、実は自分の見えている範囲は、そんな広くないのです。自分の周りで起きている100%な事実は、世の中全体の0.1%の意見にしかすぎなかったりする。こんなことはつねにあるわけですよね。 そうした現実はSNSによって加速しています。SNSでは、個人の趣味や嗜好に合わせた関係性を構築していくため自分と似た感性の投稿・広告が表示されやすく、「自分の考え=世界の考え」という図式に陥りやすくなっているのです。 これは仕方ないことです。そもそもSNSなんて、みんな楽しいもののために使っているわけですから、自分があまり見たくない情報を遮断する仕組みはその点で理にかなっており、必然です。 だからこそ、SNSの利用に際しては、極端な意見しか増幅されない可能性があること、そして自分と異なる意見が必ずあるという気づきが必要となります。その発見のために「エコーチェンバー度」を開発しました。 誤解されると困るのですが、SNS上の言論が危険な状態だからその警鐘を鳴らすために作ったわけではありません。 一般には、あまり受け入れられていない意見も、世の中には当然存在しています。その意見自体が悪いわけではないですが、そういった意見に関連して自分で何か意見を言い、周りからも「そうだね」という答えが返ってきてしまうと、自分が間違っているということに気づけないんですよね。井の中の蛙、大海を知らず、というところでしょうか。(鳥海 氏の略歴はリンク先参照)』、「SNSでは、個人の趣味や嗜好に合わせた関係性を構築していくため自分と似た感性の投稿・広告が表示されやすく、「自分の考え=世界の考え」という図式に陥りやすくなっているのです。 これは仕方ないことです」、「SNSの利用に際しては、極端な意見しか増幅されない可能性があること、そして自分と異なる意見が必ずあるという気づきが必要」、その通りだ。
・『間違った情報に接していることを見抜くのは困難  Q:「見たい情報だけを見る」というSNSの選択的接触は、大きな問題として認知され始めています。2020年のアメリカ大統領選挙では、SNS上で「陰謀論」が流布され、トランプ氏の敗北を事実として受け入れない人々が大勢出現しました。1000人を超えるトランプ氏の過激な支持者たちが2021年1月6日、大統領選の不正を訴え、首都ワシントンで連邦議会議事堂を襲撃しました。今も記憶に新しい、衝撃的な出来事でした。 A:陰謀論による政治活動「Qアノン」や連邦議会への襲撃を見て、「もしかしたら自分は当事者になっていたかもしれない」と思う人は、そうそういないでしょう。しかし、ある側面ではすでに彼らと同じような状況になっていてもわれわれは自分では気づけないんですよね。エコーチェンバーの問題はそこにあります。 そもそも、人間がまんべんなくすべての情報を仕入れてくることは事実上できないのですから、自分が少数派なのか間違った情報に接しているのかを見抜くことは極めて困難です。 むしろ偏った情報を信じている人たちのほうが「自分は情報をきちんと調べて精査して結論に至っている」と考えていることが多いようです。そのときに精査した情報がすでに偏っている可能性になかなか気づけません。 Q:先生はどんな研究を経て、エコーチェンバーの研究にたどり着いたのでしょうか。 A:普段は、ソーシャルメディアやニュース閲覧行動の分析、AI(人工知能)の社会応用などの研究をしています。直近ですと、2021年10月に豊橋技術科学大学と香港城市大学と共同で「保守の声はリベラルの声よりも中間層に届きやすい」という研究結果を公表しました。これは、安倍政権時代の安倍元首相に関する1億2000万件以上のツイートを解析した結果です。 この研究では、2019年2月10日から10月7日までにツイッターへ投稿された「安倍」または「アベ」を含むツイート(約1億2000万件)を収集しました。そこから、好意的または批判的なツイート群を抽出し、それぞれのツイート群を計10回以上ツイートしたアカウントを保守かリベラルに分けました。 その結果、保守派のツイートは23.23%が中間層に拡散されているのに対して、リベラル派のツイートは6.46%しか中間層に拡散されていませんでした。保守派のツイートを中間層が拡散する割合は、リベラル派より約3.6倍多かったのです。 政治に強い関心を持つ人でツイッターなどのSNSで政治について話をする人は諸外国と比べると、日本では少ないです。それもあって、リベラルの声はリベラル界隈内でとどまり、数の多い中間層に届かない実態が生まれているわけです。これは、いまの政治環境でリベラル派が苦境に立たされている要因の1つと考えてよいのではないでしょうか。 このような研究から、実は多くの人たち、とくに主義主張のある人たちは自分たちの周りに同じような主義主張の人たちが多いことから、多数派であると思っているようなケースがデータ分析をしているうちに多く見つかりました。エコーチェンバーはその分析の中で見られる普遍的な社会現象でしたので、これを分析することは社会を理解するうえで重要なことかと思い、研究を行っています』、「保守派のツイートは23.23%が中間層に拡散されているのに対して、リベラル派のツイートは6.46%しか中間層に拡散されていませんでした。保守派のツイートを中間層が拡散する割合は、リベラル派より約3.6倍多かったのです」、「リベラルの声はリベラル界隈内でとどまり、数の多い中間層に届かない実態が生まれているわけです。これは、いまの政治環境でリベラル派が苦境に立たされている要因の1つと考えてよいのではないでしょうか」、こんなことまで分析できるとは、「エコーチェンバー」は有力なツールのようだ。
・『デマや誤情報は「勘違い」で流されることがほとんど  Q:研究対象にSNSを選んだのはなぜでしょうか。 A:SNSは社会現象を分析するうえでデータを取りやすいツールだったからです。その転換期は、2011年の東日本大震災でした。当時、SNSでは「給油タンクの火災で酸性雨が降る」「うがい薬を飲むと放射線に効く」といったデマが広がりました。 デマや誤情報なんて、最初から「人をだましてやろう」といったものはほぼ存在していません。比率で言えば、勘違いで流されることがほとんどです。ほかにも「面白いから」で誤った情報が拡散されることがあります。 一方では、「正しい情報を発信しなければ」と、社会正義感にかられて熱心に情報を拡散する人もいます。社会貢献をしたつもりになった人たちの暴走ですね。2020年のコロナ禍初期にあったトイレットペーパーの買い占め運動も、社会貢献をしたつもりになっている熱心な人による拡散が原因と考えられます。 Q:フェイクニュースが発生し、社会の分断がSNS上で起きるなかで、プラットフォーム側が負うべき責任はあるのではないでしょうか。 A:プラットフォームに限らず、責任は各所にあります。ユーザーがSNSで必要な十分な情報を得るには個々人の努力では限界があります。 情報環境の体質改善に向けて、デジタル・プラットフォーム(DPF)事業者、ユーザー、マスメディア、政府などさまざまなステークホルダーが取り組むべき施策を2022年1月に、憲法学者の山本龍彦・慶應義塾大学大学院教授と共同で提言しました。 「健全な言論プラットフォームに向けて――デジタル・ダイエット宣言」というもので、ポイントは5つです。 ①幅広い情報にユーザーが触れることができる情報的健康(インフォメーション・ヘルス)を実現すること ②食品の成分表示のように、コンテンツの種目やどんなバランスで表示と配信をしているのかを「情報のカロリー表示」として明らかにし、ユーザーの判断材料とすること ③ユーザーが情報的健康を確認するための健康診断「情報ドック」の機会を定期的に提供すること ④「情報ドック」により、ユーザーが情報的健康に問題があるとなった場合には、希望する者にはバランスのとれた情報摂取ができるよう調整できるデジタル・ダイエット機能を備えること ⑤ユーザーの興味関心で成り立っている経済構造を変えること』、「健全な言論プラットフォームに向けて――デジタル・ダイエット宣言」初めて知ったが、なかなかいいポイントを突いているようだ。
・『情報的健康の達成は、社会的に大きな意義がある  このうち、⑤で提言した新しい経済構造の姿は現時点では明らかではありません。 ただ、ユーザーの趣味嗜好に合わせて広告を打ち出すネット広告の配信事業者のほか、その広告主やマスメディアも「アテンション・エコノミー」の渦に巻き込まれ、PV数といった単純な指標で動き、情報的な健康を阻害しています。そうではなく、その質などによってコンテンツを評価していくシステムの構築が急がれるでしょう。 このような情報的健康の達成は、社会的に大きな意義があります。まず、「エコーチェンバーの内部にいる方が快適な情報空間である」という現状認識を変えていくことは、ユーザー個人から始められる第一歩といえるのではないでしょうか』、「情報的健康の達成は、社会的に大きな意義があります」、その通りだ。「エコーチェンバー」にもっと関心を持ってみてゆきたい。

第三に、6月7日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した科学者・起業家・投資家のシナン・アラル氏による「「なぜデマ情報が急増?」米SNS研究が明らかにした衝撃の事実」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/304311
・『「なぜデマは真実よりも速く、広く、力強く伝わるのか?」SNSに潜むウソ拡散のメカニズムを、世界規模のリサーチと科学的研究によって解き明かした全米話題の1冊『デマの影響力──なぜデマは真実よりも速く、広く、力強く伝わるのか?』がついに日本に上陸した。ジョナ・バーガー(ペンシルベニア大学ウォートン校教授)「スパイ小説のようでもあり、サイエンス・スリラーのようでもある」、マリア・レッサ(ニュースサイト「ラップラー」共同創業者、2021年ノーベル平和賞受賞)「ソーシャル・メディアの背後にある経済原理、テクノロジー、行動心理が見事に解き明かされるので、読んでいて息を呑む思いがする」と絶賛された本書から一部を抜粋して紹介する』、「デマは真実よりも速く、広く、力強く伝わる」、初耳だが、興味深そうだ。
・『フェイクニュース拡散についての大規模調査を実施  ではここで、少し回り道にはなるが、私自身が具体的にどのようにしてクリミア、ウクライナでの出来事を理解していったのか、という話をしてみよう。これはいわば、小説のなかで登場人物がもう一つの小説を書くようなものかもしれない。 クリミア併合から2年後の2016年、私はマサチューセッツ州ケンブリッジのMITの自分の研究室にいた。私はそこで同僚のソルーシュ・ヴォソウギ、デブ・ロイとともに、ある重要な研究プロジェクトに取り組んでいた。 ツイッター社と直接連携し、オンラインでのフェイク・ニュースの拡散に関して[1]、これまでで最大の長期的研究をしていたのである。 サービスの始まった2006年から2017年までの10年以上のあいだに、ツイッター上で広まった事実確認済みのすべての噂の真偽を確認し、それぞれの拡散の仕方を調べた』、「10年以上のあいだに、ツイッター上で広まった事実確認済みのすべての噂の真偽を確認し、それぞれの拡散の仕方を調べた」、膨大な作業のようだ。
・『嘘が地球を半周する頃、真実はまだ靴も履き終わっていない  研究の結果は、2018年3月、『サイエンス』誌のカバーストーリーとして発表された。オンラインでのフェイク・ニュース拡散についての初めての大規模調査の結果がこの時に明らかにされたわけだ。 この調査の過程で、私は科学者として、それまで知ったことのなかでも最も恐ろしい事実を知ることになった。今にいたるまでこれほど恐ろしい事実に出合ったことはない。 それは、フェイク・ニュースが、種類を問わず、真実のニュースよりもはるかに速く、遠くまで広がり、多くの人の心に深く浸透するという事実だ。場合によっては、拡散の速さ、範囲の広さは、10倍以上にもなる。 「嘘が地球を半周する頃、真実はまだ靴も履き終わっていない」と言った人がいるが、この言葉は正しい。 ソーシャル・メディアでは、嘘は光の速さで広がっていくが、真実は糖蜜が流れるくらいの速度でしか広がらない。しかも、ソーシャル・メディアを流れるあいだに情報は歪曲されていくことになる』、「ソーシャル・メディアでは、嘘は光の速さで広がっていくが、真実は糖蜜が流れるくらいの速度でしか広がらない。しかも、ソーシャル・メディアを流れるあいだに情報は歪曲されていく」、恐ろしいことだ。
・『大統領選挙に呼応してフェイクニュースが増加  しかし、調査で明らかになったのは、こうした明白な事実ばかりではない。一見したところではすぐにはわからない事実も明らかになった。その一つは、クリミア危機に直接関係する事実だ。 ツイッターでの真実と嘘の拡散に関してまだ精緻なモデルが構築できていなかった頃、私たちは、分析の一環として簡単なグラフを作ったことがあった。 このグラフには、政治、ビジネス、テロ、戦争など様々な分野の真実のニュース、嘘のニュースのカスケード(あるニュースについてのツイート、リツイートの連なりのことをこう呼んでいる)の数が時間の経過とともにどう変化していったかが示されている[図1─1]。 [図1-1] 2009年から2017年までのあいだにツイッター上に流れたニュースに関するカスケード数の推移。 [図1-1] 2009年から2017年までのあいだにツイッター上に流れたニュースに関するカスケード数の推移。ファクトチェックされた真実(明るいグレー)、嘘(ダーク・グレー)、真偽混合の情報(部分的には真実で、部分的には嘘/黒)。「ファクトチェックされた真実」とは、私たちの調査の過程で、6つのそれぞれに独立した組織によってファクトチェックされた情報を指す。ツイッターのユーザーによりツイート、リツイートされて広まっていった様子を示している。 このグラフを見ると、嘘のニュースについてのカスケードの数は、2013年末、2015年、2016年末などにピークに達していることがわかる。 2016年末のピークは、前回のアメリカ大統領選挙に呼応したものだろう。2012年、2016年と、アメリカ大統領選挙のあった年には、明らかに嘘のニュースが他の年より多く拡散されている。 政治とフェイク・ニュースの関わりがいかに深いかがこれでよくわかる』、「嘘のニュースについてのカスケードの数」を見ると、「アメリカ大統領選挙のあった年には、明らかに嘘のニュースが他の年より多く拡散されている」、なるほど。
・『クリミア併合で「部分的には真実で、部分的には嘘」が急増  だが、私たちの興味を引いたのはそれだけではなかった。わかりにくいが、データにはもっと興味深い傾向が見られたのだ。 2006年から2017年までの10年あまりのあいだに、「部分的には真実で、部分的には嘘」というニュースの数が急増したのはたった一回だけだ。私たちはこの種の噂を「混合ニュース」と呼んだ。 [図1─1]のグラフを見ても、そのピークの存在はわかりにくい。ところが[図1─2]の、政治関連のニュースだけについてのグラフを見ると、黒で示された「混合ニュース」の拡散が急増しているタイミングがあることが明確にわかる。 [図1-2] 2009年から2017年までのあいだにツイッター上に流れた政治ニュースに関するカスケード数の推移。 [図1-2] 2009年から2017年までのあいだにツイッター上に流れた政治ニュースに関するカスケード数の推移。ニュースには、ファクトチェックされた真実(明るいグレー)、嘘(ダーク・グレー)、真偽混合の情報(部分的には真実で、部分的には嘘/黒)がある。 それは、2014年の2月から3月にかけての2ヵ月間だ。ちょうどクリミア併合が起きたタイミングということになる。クリミアでの出来事に直接、呼応して混合ニュースが増えたわけだ。 これは驚くべきことだった。私たちの調べたかぎり、歴史上、ツイッター上にこれほど混合ニュースが急増したケースは一度もなかったからだ(カスケード数が、2番目に急増したケースの実に4倍になっていた)。 しかも、急増したあと、すぐに急減している。クリミアの併合が完了すると、ほぼなくなってしまったのだ。 さらに詳しく調べると、この急増は、親ロシア勢力が組織的にソーシャル・メディアを活用した結果であることがわかった。この時、親ロシア勢力は、ハイプ・マシンを積極的に活用して、クリミアの出来事についてのウクライナの世論、国際世論を操作しようとしたのである。 クリミアの併合は、クリミア市民自身の意思に沿うものであるという認識が広まるよう仕向けたわけだ。 【参考文献】 (省略)(本記事は『デマの影響力──なぜデマは真実よりも速く、広く、力強く伝わるのか?』を抜粋、編集して掲載しています』、「クリミアでの出来事に直接、呼応して混合ニュースが増えたわけだ」、「急増したあと、すぐに急減している。クリミアの併合が完了すると、ほぼなくなってしまったのだ」、「この急増は、親ロシア勢力が組織的にソーシャル・メディアを活用した結果であることがわかった。この時、親ロシア勢力は、ハイプ・マシンを積極的に活用して、クリミアの出来事についてのウクライナの世論、国際世論を操作しようとしたのである。 クリミアの併合は、クリミア市民自身の意思に沿うものであるという認識が広まるよう仕向けたわけだ」、「クリミアの併合」時に「ウクライナの世論、国際世論を操作しようとした」、今回の「ウクライナ」侵攻でも悪用されたのだろうか。
・『全米震撼のベストセラーが日本上陸!  本書では、私が過去20年のあいだに、実際にソーシャル・メディアを立ち上げ、また研究対象、投資対象、ビジネス・パートナーとしてソーシャル・メディアと関わることで知り得たことを述べていきたいと思う。 20年の道のりは決して楽ではなかった。信じがたい発見も多くしたし、ソーシャル・メディアが民主主義を蝕む酷いスキャンダルに直面もした。 有用な情報も多く伝えてくれるが、明らかな嘘が瞬時に拡散されていくのを何度も見た。抑圧と闘う道具にも使えるが、同時に抑圧を促進する道具としても使えることを知った。 言論の自由を守ることの重要性と、それがヘイト・スピーチの蔓延につながりやすいこともよくわかった。 そして何よりも重要なのは、ソーシャル・メディアのなかの仕組みがわかったことだ。私たち人間の脳がソーシャル・メディアに引きつけられやすい性質を持っていることや、感情、社会、経済、様々な要因が私たちをソーシャル・メディアに結びつけていることも知った。 本書を読めば、ソーシャル・メディアの背後にあるビジネス戦略がわかるだけでなく、ソーシャル・メディアのデザインを変えれば社会がどれほど大きく変わり得るか、ということもわかるはずだ』、「私たち人間の脳がソーシャル・メディアに引きつけられやすい性質を持っていることや、感情、社会、経済、様々な要因が私たちをソーシャル・メディアに結びつけている」、我々もこうした危険性を踏まえた上で、利用してゆく必要がある。
タグ:Frontline Pressによる「SNSで自分の意見は多数派と思う人が陥る怖い罠 精査したと思っている情報がすでに偏っている」 東洋経済オンライン SNS(ソーシャルメディア) (その11)(承認欲求のお葬式、SNSで自分の意見は多数派と思う人が陥る怖い罠 精査したと思っている情報がすでに偏っている、「なぜデマ情報が急増?」米SNS研究が明らかにした衝撃の事実) ダイヤモンド・オンライン 川代紗生氏による「承認欲求のお葬式」 「承認欲求との8年に及ぶ闘いを描いた」とは興味深そうだ。 「これまでの人生の中で、「あ、今が転機かもしれない」と思う瞬間があって、そのときどきで必要に応じてお葬式をやってきた。いろいろな感情を弔ってきたし、その分、新しい感情が生まれてくることもあった。けれども私の中で、どうしてもさようならを言えない感情があった。 承認欲求」、「感情の「お葬式」」とはユニークで面白い。 「辛いことがあったり、苦しいことがあっても、「書くネタができた」と思えば、プラスに転換できる。世の中を見る目が、前向きになってくる。 けれども私の場合は、それが歪んだ方向に進んでしまっていたのかもしれなかった。 書くために、辛いことがありますようにと願った。 書くために、承認欲求が消えませんようにと願った。 どんどんと、負のスパイラルは進んでいく。ぐるぐると下に向かう」、「私は承認欲求の奴隷だった。 人から認めてもらいたい、その感情と向き合うために文章を書き始めたのに、結果的に、承認欲求がないと困る人間に 「熱中できる仕事に出会えたことで、私の人生は変わりつつある・・・承認欲求に頼って生きる必要がなくなってしまった」、「仕事をして、仕事が好きになって、人のために動く面白さみたいなものが、徐々にわかりかけている今、私は自分の居場所を「承認欲求」コンテンツ以外のところに、もう見つけてしまったような気がする」、「自分の居場所を「承認欲求」コンテンツ以外のところに、もう見つけてしまった」、おめでとう。 「承認欲求と気がすむまで向き合い続けた期間があったから、私は今前を向けているんだろうと思う。 そろそろ、さようならを言おう。 ずっとずっとお別れを言えなかったけど、あなたを弔うことにする。 次のステージに、私は進む。 不幸集めをして満足する人生は、もう終わりにしよう・・・さようなら。 承認欲求のお葬式」、歯切れのいい文章で、SNSでの「承認欲求」を取上げた出色のコラムである。通常は、略歴は紹介しないが、今回は例外的に紹介した。『私の居場所が見つからない。』も時間が出来たら読んでみたい。 「エコーチェンバー可視化システムβ版」はなかなかよく出来ているようだ。 「SNSでは、個人の趣味や嗜好に合わせた関係性を構築していくため自分と似た感性の投稿・広告が表示されやすく、「自分の考え=世界の考え」という図式に陥りやすくなっているのです。 これは仕方ないことです」、「SNSの利用に際しては、極端な意見しか増幅されない可能性があること、そして自分と異なる意見が必ずあるという気づきが必要」、その通りだ。 「保守派のツイートは23.23%が中間層に拡散されているのに対して、リベラル派のツイートは6.46%しか中間層に拡散されていませんでした。保守派のツイートを中間層が拡散する割合は、リベラル派より約3.6倍多かったのです」、「リベラルの声はリベラル界隈内でとどまり、数の多い中間層に届かない実態が生まれているわけです。これは、いまの政治環境でリベラル派が苦境に立たされている要因の1つと考えてよいのではないでしょうか」、こんなことまで分析できるとは、「エコーチェンバー」は有力なツールのようだ。 「健全な言論プラットフォームに向けて――デジタル・ダイエット宣言」初めて知ったが、なかなかいいポイントを突いているようだ。 「情報的健康の達成は、社会的に大きな意義があります」、その通りだ。「エコーチェンバー」にもっと関心を持ってみてゆきたい。 シナン・アラル氏による「「なぜデマ情報が急増?」米SNS研究が明らかにした衝撃の事実」 「デマは真実よりも速く、広く、力強く伝わる」、初耳だが、興味深そうだ。 「10年以上のあいだに、ツイッター上で広まった事実確認済みのすべての噂の真偽を確認し、それぞれの拡散の仕方を調べた」、膨大な作業のようだ。 「ソーシャル・メディアでは、嘘は光の速さで広がっていくが、真実は糖蜜が流れるくらいの速度でしか広がらない。しかも、ソーシャル・メディアを流れるあいだに情報は歪曲されていく」、恐ろしいことだ。 「嘘のニュースについてのカスケードの数」を見ると、「アメリカ大統領選挙のあった年には、明らかに嘘のニュースが他の年より多く拡散されている」、なるほど。 「クリミアでの出来事に直接、呼応して混合ニュースが増えたわけだ」、「急増したあと、すぐに急減している。クリミアの併合が完了すると、ほぼなくなってしまったのだ」、「この急増は、親ロシア勢力が組織的にソーシャル・メディアを活用した結果であることがわかった。この時、親ロシア勢力は、ハイプ・マシンを積極的に活用して、クリミアの出来事についてのウクライナの世論、国際世論を操作しようとしたのである。 クリミアの併合は、クリミア市民自身の意思に沿うものであるという認識が広まるよう仕向けたわけだ」、「クリミアの併合」時に 「私たち人間の脳がソーシャル・メディアに引きつけられやすい性質を持っていることや、感情、社会、経済、様々な要因が私たちをソーシャル・メディアに結びつけている」、我々もこうした危険性を踏まえた上で、利用してゆく必要がある。
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メディア(その31)(新聞社をダメにした「外を知らない経営者」の過ち 「個人が輝く職場」に戻さなければ復権は難しい、朝日新聞編集委員が安倍晋三氏インタビュー記事介入で処分 OBたちの嘆き、スクープ!日経「テレ東天下り」に物言う株主がNO 株主提案には「日経が最も恐れる男」の名前も) [メディア]

メディアについては、3月20日に取上げた。今日は、(その31)(新聞社をダメにした「外を知らない経営者」の過ち 「個人が輝く職場」に戻さなければ復権は難しい、朝日新聞編集委員が安倍晋三氏インタビュー記事介入で処分 OBたちの嘆き、スクープ!日経「テレ東天下り」に物言う株主がNO 株主提案には「日経が最も恐れる男」の名前も)である。

先ずは、4月14日付け東洋経済オンライン「新聞社をダメにした「外を知らない経営者」の過ち 「個人が輝く職場」に戻さなければ復権は難しい」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/581186
・『人材流出が加速する新聞業界。元日経の論客・磯山友幸氏は、管理強化で「きちんとした会社」になった新聞社の問題点を指摘する。 朝日新聞社は4月6日、他社媒体の編集権に”介入”したとして、峯村健司記者に懲戒処分を下した。他方、日本経済新聞に関しては若手記者の退職が相次いでいるという厳しい内情が報道されるなど、目下、新聞業界が何かと騒がしい。 個々の事件にはそれぞれの経緯や原因があるものの、底流には新聞社という組織ジャーナリズムの担い手の構造問題も存在していそうだ。新聞社は今、どんな課題を抱えているのか。部数減が止まらない中、どうすれば報道機関として復権できるのか。 業界内外の論客に聞くインタビューシリーズの第一回は、フリージャーナリストの磯山友幸氏。2011年に日本経済新聞社を辞め、現在はネットメディアやテレビのコメンテーターとして活躍している。新聞社を辞めた理由について「個人で仕事ができる時代になったから」と語る磯山氏の目に、今の新聞社はどう映るのか(Qは聞き手の質問、Aは磯山氏の回答)』、「朝日新聞社」の問題は、第二の記事で取上げる。「日本経済新聞に関しては若手記者の退職が相次いでいる」、とは困ったことだ。
・『「他流試合」で成長していたのに  Q:日本経済新聞社では記者の退職が相次いでいるようです。 A:退職理由として編集局長のパワハラなんかが報道されているが、それは「最後の一押し」的な要素であって、本質的なものではないと思う。新聞記者をとりまく環境の変化が背景にあるのではないか。 この20年ほどで日経記者の自由度は著しく下がった。象徴的な例を挙げると、記者が雑誌など自社以外の媒体でアルバイト原稿を書くことが認められにくくなっている。 1990年代、日経の記者たちは自由にバイト原稿を書いていた。私がバイトを始めたきっかけも当時の部長が外でやっていたバイトを「代わりにやれ」と頼まれたことだった。その部長は、「おまえ、外の締め切りは絶対に守れよ。遅れたら信用を失うぞ」と。社内の原稿について言われないようなことまで言う(笑)。 Q:それくらい自由だったということですね。 A:上司は部下に「他流試合をしろ」と積極的にけしかけていた。稼ぐためというより、記者として成長するため。新聞は一本の原稿で書ける文字量がせいぜい1000字。雑誌なら1本3000~4000字になり、論理の組み立て方などを書き手が自分で考えなければならない。編集者からの注文も多い。 だから記者はおのずと鍛えられる。私自身、原稿が下手な後輩記者には「もっと外で書け」と、知り合いの雑誌編集者を紹介したりしていた。しばらく他流試合をやらせていると、原稿はみるみる上達した。 新聞社は記者個人の力量に大きく依存している。人脈も知識も、会社というよりは記者個人につながっているものだ。記者が輝かないと新聞社は輝かない。だから会社は記者のバイトを黙認してきたし、外で鍛えられた記者がいい仕事をすることが会社の利益につながっていた。記者と会社がウィンウィンの関係を築けていたわけだ。 Q:状況が変わってきたのは、なぜでしょうか。 A:新聞社が記者を遊ばせておけなくなったからだ。新聞の発行部数は1997年を境に減少し、2007年にアップルがiPhoneを発売すると、紙の新聞を読んでいた人々がスマートフォンで情報を得るようになった。このあたりから新聞の発行部数はつるべ落としとなり、業績は悪化の一途をたどる。 貧すれば鈍す。私が日経を退職した2011年の前後になるとすっかり文化が変わり、社内でそれまで黙認されてきた記者のバイトに対し「けしからん」という空気が充満するようになった。どの記者が外で書いているのかを調べようとする動きも出てきた。 そうこうしているうち外で活躍したことのない人が上に立つようになった。外の世界を知らない人が上に立つと、記者の「枠外」の行動を許さなくなる。組織の体質もコンプライアンス重視へと変わっていく。 この傾向は1990年代以降の日本企業全体にもいえる。外の営業などでバリバリ稼いでいた人がコンプラ違反で次々失脚した。外で勝負していた人はたいてい、スネに傷の1つや2つを持っているからだ。 結果的に傷のない、外の世界を知らない人が管理職に登りつめた。やれることはコストカットくらいで、成長に向けた勝負ができない。これこそ日本企業がハマったワナだ。時代の要請がある中で、仕方ない面はあるが、これによって失われたものも多いだろう』、「しばらく他流試合をやらせていると、原稿はみるみる上達した」、「記者が輝かないと新聞社は輝かない。だから会社は記者のバイトを黙認してきたし、外で鍛えられた記者がいい仕事をすることが会社の利益につながっていた」、「2011年の前後になるとすっかり文化が変わり、社内でそれまで黙認されてきた記者のバイトに対し「けしからん」という空気が充満するようになった」、「外で活躍したことのない人が上に立つようになった。外の世界を知らない人が上に立つと、記者の「枠外」の行動を許さなくなる。組織の体質もコンプライアンス重視へと変わっていく」、「これによって失われたものも多いだろう」、なるほど。
・『「きちんとした会社」になった功罪  Q:新聞社も例外ではなかったと。 A:僕が日経を辞める時、「日経の看板がなくなってどうやって仕事をするんだ」と忠告してくれる上司がいた。引き留めようとしてくれたのかもしれないが、迷いはなかった。インターネットやスマホの普及で、新聞社には500年ぶり大変革期がきていると確信していたから。 Q:どういう意味でしょう? A:現存する世界最古の新聞「レラツィオン」が発刊されたのは1605年。大量に印刷して短時間で読者に届けられる技術の確立が新聞発行を可能にしたわけだが、背景にはルネサンス以降の「個」の確立もあった。個々人が互いの情報に価値を見いだす社会に変わろうとしていた。 だから新聞という情報媒体の信頼の基礎も「個人」にあった。読み手が重視したのは会社組織ではなく、伝達者がどのような人物か、だった。 新聞がその性質を大きく変えたのは19世紀以降のこと。近代国家が成立する過程で電信が発達し近代郵便制度が整ったことで、情報の信頼の基盤は「個人」から「朝日新聞社」や「中外物価新報(日本経済新聞の前身)」といった「組織」に変わり始めた。 日本の新聞社が組織として隆盛したのは1970年代以降、高度経済成長期に入り、自宅で新聞を購読する人が急増してから。記者に対し、世間の相場より高い給料を払う、「きちんとした会社」になったのはこのころだ。 Q:「~新聞」の記者という職業が高いステータスになったと。 A:そうだ。ただ前述のとおり、記者個人の力量こそが本来的な価値であるこの業界に、そもそもそういった組織形態はなじまない。1970年代以降の高度経済成長期にはフィットしたのかもしれないが、あくまで一時的な姿だったと考えるのがいいのではないか。 今、ネットとSNSの普及で、情報の発信者は組織から個人へと戻り始めている。新聞の「原点回帰」と言っていい。私が日経を辞めたのも「個人」として活躍できる時代が来たと踏んだからだ。今はさらに、そのハードルは下がっているのではないか。 Q:新聞社は今後どうなるでしょう? A:個人が輝く職場へと戻さなければならないのに、管理強化の流れは変わっていない。輪転機が激しく回っていた時代の分業体制を引きずっていて、個々人をいかに生かすかより、いかに組織を回すかに重心が置かれている。記者の多様な働き方を認めていかないと、記者が新聞社を離れる流れは止められないだろう』、「日本の新聞社が組織として隆盛したのは1970年代以降、高度経済成長期に入り、自宅で新聞を購読する人が急増してから。記者に対し、世間の相場より高い給料を払う、「きちんとした会社」になったのはこのころだ」、「新聞社が組織として隆盛したのは1970年代以降」、そんな最近だったとは初めて知った。「個人が輝く職場へと戻さなければならないのに、管理強化の流れは変わっていない。輪転機が激しく回っていた時代の分業体制を引きずっていて、個々人をいかに生かすかより、いかに組織を回すかに重心が置かれている。記者の多様な働き方を認めていかないと、記者が新聞社を離れる流れは止められないだろう」、なるほど。
・『「権力監視」の機能をどう維持する?  Q:新聞社をはじめ、マスコミは中央官庁や自治体にネットワークを張りめぐらせ、行政や議会をチェックする機能も担っています。 (磯山氏の略歴はリンク先参照) その機能を今後どう維持していくか。これも非常に重要な問題だ。政府の発表を検証する記者がいなくなれば、国民は政府が発表する公式見解を鵜呑みにしてしまうかもしれない。新聞社が縮小していくことの最大のマイナスポイントはここだ。 人を張り付けて「面」で押さえるメディアは、社会的な機能として必要だ。1社だけで維持できないなら、各社が共同出資して1つか2つの会社に機能を集約するなど、何からの手は打たないといけない。 権力者にとって、いちばんやっかいな相手がメディアであるはずだ。もともと記者クラブができたのも強い権力者に対して結束して立ち向かうためだった。それが近年は権力者側にコントロールされる記者が増えている。組織ジャーナリズムの悪い側面が目立ちはじめている。 新聞社の経営問題とは別に、社会的な機能としてのメディアをどう維持していくか。真剣に考えなければならない局面に来ている』、「「権力監視」の機能を含めて、社会的な機能としてのメディアをどう維持していくか。真剣に考えなければならない局面に来ている」、全く同感である。

次に、4月18日付けNEWSポストセブン「朝日新聞編集委員が安倍晋三氏インタビュー記事介入で処分 OBたちの嘆き」を紹介しよう。
https://www.news-postseven.com/archives/20220419_1745629.html?DETAIL
・『新聞・メディア業界に大きな衝撃を与えたのが朝日新聞の峯村健司・編集委員(外交、米国・中国担当)による、『週刊ダイヤモンド』の安倍晋三・元首相インタビュー記事への介入問題だ。 峯村氏は中国の安全保障政策に関する報道で「ボーン・上田記念国際記者賞」、昨年は無料通信アプリLINEが日本の利用者の個人情報に中国人技術者がアクセスできる状態にしていたことをスクープして新聞協会賞を受賞した朝日のエース記者。その峯村氏が今年3月、『週刊ダイヤモンド』が行なった安倍氏へのインタビューについて同誌の副編集長に電話を入れ、「安倍(元)総理がインタビューの中身を心配されている。私が全ての顧問を引き受けている」と発言し、「とりあえず、ゲラ(*校正用の記事の試し刷り)を見せてください」「ゴーサインは私が決める」などと要求した。 週刊ダイヤモンド編集部は要求を拒否し、朝日新聞に対して「編集権の侵害」と抗議。朝日は調査を経て、「政治家と一体化して他メディアの編集活動に介入したと受け取られ、記者の独立性や中立性に疑問を持たれる行動だった」とダイヤモンド側に謝罪。4月7日付朝刊社会面で峯村記者の行為は「報道倫理に反する」と編集委員を解任し、停職1か月の処分を下したことを大きく記事化した。 なぜ、朝日の編集委員が“安倍氏の代理人”を務めたのか。安倍氏は首相退陣後も新聞・テレビに積極的に登場し、ロシアのウクライナ侵攻後は、特に核共有についての議論提起に力を入れている。 首相を辞めてもなお、メディアにそれだけの発信力があるのは、連続在任7年8か月の長期政権下で大メディアを取り込んできたからだ。 安倍氏のメディア戦略は自ら新聞・テレビの最高幹部と会食を重ねて“懐柔”をはかる一方で、「中立・公平」を口実に報道内容に細かく注文をつけて“圧力”をかけるアメとムチの手法で行なわれた。 巧妙だったのはNHKの岩田明子氏、TBS時代の山口敬之氏、テレビコメンテーターでは政治評論家の田崎史郎氏など、主要なメディアに“安倍応援団”の記者をつくり、巧みに官邸寄りの情報を発信させたことだ。 2013年10月に放送されたNHKスペシャル『ドキュメント消費税増税 安倍政権 2か月の攻防』では、安倍氏がどんな覚悟と勇気をふるって消費税増税を決断したかが描かれ、岩田氏が総理執務室で安倍氏を独占インタビューする。まさにNHKが首相の宣伝番組の制作プロダクションになったかのようだった。) そうして大新聞・テレビが次第に権力に刃向かう牙を抜かれ、安倍政権の“宣伝機関”へと傾斜を強めていくなかで、批判的な姿勢を保ってきたのが朝日だった。「森友学園」の国有地売却問題や加計学園の獣医学部新設問題を追及し、財務省の公文書改竄をスクープして安倍氏を追い詰めた。 しかし、今回の報道介入問題で、朝日内部の“安倍応援団”の存在が浮かび上がった。元朝日新聞ソウル特派員の前川惠司氏が語る。 「NHK政治部の岩田記者は安倍首相の懐刀なんて言われていたが、話すことは結局、安倍さんの宣伝と受け取られかねない面があった。峯村さんも“オレは安倍さんに安全保障についてレクしている、安倍さんに食い込んでいる”と社内にアピールしたかったのかもしれないが、記者が向き合う相手は読者以外いないはずだ」 朝日の峯村氏への処分もおかしいと続けた。 「朝日の綱領のひとつに『不偏不党の地に立って言論の自由を貫き、民主国家の完成と世界平和の確立に寄与す』とあるが、朝日新聞の読者は中道から左派の人が多い。政府に批判的な読者が多く、安倍さんは保守の右派で再軍備を主張しているから朝日の立場とは違う。 朝日にはかつて社会党の土井たか子さんの事務所内に自分が主導する市民団体を設置するほどの記者もいたのに、処分などされなかった。なぜ峯村さんだけ処分するのか。安倍さんとつながっていたからなら、不偏不党の処分とは言えないのでは」 峯村氏の行為は「反安倍」という朝日の看板がすでに朽ちかけていることを示している。だからこそ、朝日は慌てて処分に踏み切ったのではないか。そんな内情を思わせる指摘だ』、「峯村さんも“オレは安倍さんに安全保障についてレクしている、安倍さんに食い込んでいる”と社内にアピールしたかったのかもしれないが、記者が向き合う相手は読者以外いないはずだ」、その通りなのだろう。それにしても、超一流の新聞記者、「峯村氏」がこんな罠にはまるとは解らないものだ。

第三に、4月16日付け東洋経済オンライン「スクープ!日経「テレ東天下り」に物言う株主がNO 株主提案には「日経が最も恐れる男」の名前も」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/581882
・『日経グループを想定外の激震が襲っている。 4月14日、民放キー局のテレビ東京ホールディングス(HD、東証プライム市場上場)が、アクティビスト(物言う株主)から6月の定時株主総会に向けた株主提案を受けていたことが東洋経済の取材でわかった。仕掛けたのは、香港の投資会社であるリム・アドバイザーズだ。 リムが行った提案の中で最大のポイントは、筆頭株主である日本経済新聞社(日経)から経営陣がテレ東HDに「天下り」する慣行を廃止すること。その実行を担保するための社外取締役候補として「日経が最も恐れる男」の起用を提案している。リムは日経とテレ東という経済報道の巨人に挑戦状をたたきつけた格好だ』、「テレ東という経済報道の巨人に挑戦状をたたきつけた格好だ」、これは興味深そうだ。
・『歴代のテレ東社長は日経の出身者  まず、「天下り」の実態を見ておこう。日経はテレ東HDに32.0%を出資する筆頭株主。現在の同社経営陣のトップ3はいずれも日経本体の取締役経験者だ。1973年就任の佐藤良邦氏以来、テレ東HD(2010年から持株会社体制へ移行)社長は40年近く日経出身者が占め続けてきた。 また、テレ東HDで特別顧問の職にある高橋雄一氏は日経からテレ東社長に転じ、2020年にテレ東HD会長を退任した人物だ。今回、リムは報酬つきの顧問制度を撤廃することも求めている。 日本の放送法では民放キー局などを傘下に抱える持ち株会社に、特定株主が3分の1以上出資できないと定めている。日経はほぼその上限の株式を保有している。「日経幹部にとってテレ東は最も格の高い天下り先」(日経元記者)という。) 近年、TBSホールディングス、テレビ朝日ホールディングス、フジ・メディア・ホールディングスなどの民放大手は続々とアクティビストの標的になってきた。 これらの企業はいずれもPBR(株価純資産倍率)が1倍を下回る。一方で、現預金、持ち合い株、不動産といったノンコアの資産を豊富に抱えている。アクティビストから見れば、株主提案など経営陣への圧力により増配といった果実を得やすい、実においしい状態なのだろう。 (外部配信先では図を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください) 石川一郎社長が就任(2020年6月)してからの株価推移をみると、テレ東HDは一人負け状態だ。 2021年12月末時点でテレ東HDの純資産は900億円に及ぶが、足元の時価総額は約550億円。PBRは0.6倍に過ぎず、345億円ものキャッシュを抱えるテレ東HDもアクティビストからすれば格好の獲物のはず。だが、長らく同社は太平無事だった。「日経は企業に圧倒的な影響力を持つ『ご意見番』。テレ東を突き上げて彼らを敵に回すのは、アクティビストにとっても怖いこと」(投資ファンド関係者)だからだともいえる』、「「日経は企業に圧倒的な影響力を持つ『ご意見番』。テレ東を突き上げて彼らを敵に回すのは、アクティビストにとっても怖いこと」、今回はこうした制約が弱くなったのかも知れない。
・『上場企業の「天下り」を問題視  そうした中、あえて株主提案を突きつけたリムは、日本企業の「天下り」体質を目の敵にしているファンドだ。 2021年には平和不動産、2022年には鳥居薬品に、取引先や親会社からの天下りの禁止を求める株主提案を行っている。両社への提案書では、利益相反や、トップに迎える人材の適格性を問うている。 リムはすでに1%余りのテレ東HD株を保有しているもようだ。その圧力が作用したのか、テレ東HDは2022年2月に増配と自社株買い、さらに人事諮問委員会、報酬諮問委員会の設置を五月雨で発表している。リムはそれでも不十分と見て、今回の株主提案を放ったのだろう。 関係者を驚かせたのは、リムが社外取締役の候補として思いも寄らない人物を挙げたことだ。 テレ東HDには現在、5人の社外取締役がいる。日経の岡田直敏会長のほかには、大橋洋治・ANAホールディングス相談役、岩沙弘道・三井不動産会長、澤部肇・TDK元会長、奥正之・三井住友フィナンシャルグループ名誉顧問と、財界の重鎮が並ぶ。 そうした人たちではガバナンス強化に不十分とみて、リムが社外取締役の候補として挙げたのは阿部重夫氏。1973年に日経記者となり、欧州総局ロンドン駐在編集委員や『日経ベンチャー』編集長などを務めて1998年に退社した。 彼の名前は日経グループのガバナンスを語るときには欠かせない。2003年に当時の鶴田卓彦社長による支配を崩壊させた立役者の一人だからだ。同年1月には、日経新聞のベンチャー市場部長(当時)だった大塚将司氏が社員株主として鶴田氏の解任動議を提出した。子会社での融通手形操作によって巨額の損失が出ていたことと、会社の接待費を不適切に使用した疑惑がその理由だった。 内外の批判を受けて、鶴田氏は会長、さらに相談役に退いたが、この過程で大きなインパクトを与えたのが、阿部氏が編集長を務めていた月刊誌『選択』での報道だ。鶴田体制の実態を暴露した連載では、赤坂のクラブの密室でのやりとりまで生々しく再現。日経社内を震撼させた』、「阿部氏が編集長を務めていた月刊誌『選択』での報道」、『選択』はスクープものを売り物にしており、「阿部氏」がその「編集長」になっていたとは、まさに本件の最適任者だ。
・『「リベンジではなく、リデンプション」  現在ウェブメディア「ストイカ・オンライン」の編集代表を務める阿部氏には、日経社内に今でも多くの“信奉者”がいる。現役のメディア人、かつグループの内部情報を豊富に持つ阿部氏は日経経営陣にとって最も恐ろしい人物のはずだ。 株主提案の取締役候補を引き受けた理由を阿部氏に質問すると、「これはリベンジではなく、リデンプションです」という短い回答があった。リデンプションとは「義務の履行」を意味する言葉。そこには、日経グループという“古巣”の改革に向けた静かな意気込みが見てとれる。 東洋経済の取材に対し、テレ東HDは「当社は、LIM JAPAN EVENT MASTER FUND(リム)から2022年6月に開催予定の第12回定時株主総会における株主提案書を受領しました。内容については精査中です」と回答した。一方のリムは「個別の投資先に関してはお答えできない」とする。 今後の注目点は、6月16日に予定されるテレ東HDの株主総会に向けてリムの提案にどれだけの支持が集まるかだ。 リムの平和不動産への株主提案は2021年6月の総会で否決されたものの、2022年に入って同社は指名委員会等設置会社への移行を決めた。鳥居薬品の2022年3月の総会に当たり、議決権行使助言会社のISS社は天下り廃止の議案への賛成を推奨していた。「天下り批判」は機関投資家の支持を得やすく、そこがリムの狙い目だろう。 【2022年4月16日9時35分追記】初出時の総会の記述を修正しました。 テレ東HDに対する株主提案には、企業が純粋な投資目的でなく、取引先との関係維持などのために持っている政策保有株の放出も盛り込まれている。同社は100億円を超える政策保有株を持っており、その中には、住友不動産株のように2020年度に新たに買い増した例もある。また、リムはテレ東HDに対し、過剰資本解消のため2021年度の純利益をすべて配当に回すよう求めている。 上場企業のガバナンスの透明性確保は、日経グループのメディアが繰り返し訴えてきたことだ。リムの株主提案はその言論の一貫性を問うたものだけに、真剣に対応せざるをえない。5月半ばまでになされるだろうテレ東HDの取締役会意見の表明が待たれる』、5月12日付けで「テレ東HDの取締役会」が出した声明、株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ では、株主提案にはいずれも反対している。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/9413/tdnet/2119630/00.pdf
さて、6月16日に株主総会ではどうなるだろうか。
タグ:「朝日新聞社」の問題は、第二の記事で取上げる。「日本経済新聞に関しては若手記者の退職が相次いでいる」、とは困ったことだ。 東洋経済オンライン「新聞社をダメにした「外を知らない経営者」の過ち 「個人が輝く職場」に戻さなければ復権は難しい」 メディア (その31)(新聞社をダメにした「外を知らない経営者」の過ち 「個人が輝く職場」に戻さなければ復権は難しい、朝日新聞編集委員が安倍晋三氏インタビュー記事介入で処分 OBたちの嘆き、スクープ!日経「テレ東天下り」に物言う株主がNO 株主提案には「日経が最も恐れる男」の名前も) 「しばらく他流試合をやらせていると、原稿はみるみる上達した」、「記者が輝かないと新聞社は輝かない。だから会社は記者のバイトを黙認してきたし、外で鍛えられた記者がいい仕事をすることが会社の利益につながっていた」、「2011年の前後になるとすっかり文化が変わり、社内でそれまで黙認されてきた記者のバイトに対し「けしからん」という空気が充満するようになった」、「外で活躍したことのない人が上に立つようになった。外の世界を知らない人が上に立つと、記者の「枠外」の行動を許さなくなる。組織の体質もコンプライアンス重視へと 「日本の新聞社が組織として隆盛したのは1970年代以降、高度経済成長期に入り、自宅で新聞を購読する人が急増してから。記者に対し、世間の相場より高い給料を払う、「きちんとした会社」になったのはこのころだ」、「新聞社が組織として隆盛したのは1970年代以降」、そんな最近だったとは初めて知った。「個人が輝く職場へと戻さなければならないのに、管理強化の流れは変わっていない。輪転機が激しく回っていた時代の分業体制を引きずっていて、個々人をいかに生かすかより、いかに組織を回すかに重心が置かれている。記者の多様な働き方 「「権力監視」の機能を含めて、社会的な機能としてのメディアをどう維持していくか。真剣に考えなければならない局面に来ている」、全く同感である。 NEWSポストセブン「朝日新聞編集委員が安倍晋三氏インタビュー記事介入で処分 OBたちの嘆き」 日新聞の峯村健司・編集委員 「峯村さんも“オレは安倍さんに安全保障についてレクしている、安倍さんに食い込んでいる”と社内にアピールしたかったのかもしれないが、記者が向き合う相手は読者以外いないはずだ」、その通りなのだろう。それにしても、超一流の新聞記者、「峯村氏」がこんな罠にはまるとは解らないものだ。 東洋経済オンライン「スクープ!日経「テレ東天下り」に物言う株主がNO 株主提案には「日経が最も恐れる男」の名前も」 「テレ東という経済報道の巨人に挑戦状をたたきつけた格好だ」、これは興味深そうだ。 「「日経は企業に圧倒的な影響力を持つ『ご意見番』。テレ東を突き上げて彼らを敵に回すのは、アクティビストにとっても怖いこと」、今回はこうした制約が弱くなったのかも知れない。 「阿部氏が編集長を務めていた月刊誌『選択』での報道」、『選択』はスクープものを売り物にしており、「阿部氏」がその「編集長」になっていたとは、まさに本件の最適任者だ。 5月12日付けで「テレ東HDの取締役会」が出した声明、株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ では、株主提案にはいずれも反対している。 https://ssl4.eir-parts.net/doc/9413/tdnet/2119630/00.pdf。 さて、6月16日に株主総会ではどうなるだろうか。
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政府のマスコミへのコントロール(その19)(武田真一氏が『クロ現』降板。「やり残したことがある気もします」無念さ滲ませる【動画】、NHK有馬キャスターが起こした退任の挨拶事件 6月人事は国際部長として処遇か、自民党がBPO使ったメディア介入に虎視眈々 報道規制の発想はプーチン大統領と変わらず) [メディア]

政府のマスコミへのコントロールについては、昨年3月9日に取上げた。今日は、(その19)(武田真一氏が『クロ現』降板。「やり残したことがある気もします」無念さ滲ませる【動画】、NHK有馬キャスターが起こした退任の挨拶事件 6月人事は国際部長として処遇か、自民党がBPO使ったメディア介入に虎視眈々 報道規制の発想はプーチン大統領と変わらず)である。

先ずは、昨年3月19日付けHUFFPOST「武田真一氏が『クロ現』降板。「やり残したことがある気もします」無念さ滲ませる【動画】」を紹介しよう。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/takeda_jp_6053fa57c5b66a80f4e6a07e
・『自民党の二階俊博幹事長へのインタビューで「菅政権の怒りを買った」のが原因と見る週刊誌報道も。NHK放送総局長は「誰かに何か言われたからということは一切ない」と圧力の影響を否定している。 2017年から4年間、NHKの報道番組『クローズアップ現代+ 』の司会を務めてきた武田真一(たけた・しんいち)アナウンサーが、3月18日の放送で降板した。同日、番組の公式Twitterに掲載されたメッセージ動画の中で武田アナは「やり残したことがある気もしますが、あとは若いキャスターに引き継いでいきたいと思います」と無念さをにじませた。 放送の最後でも武田アナは同様のあいさつをしたが、「やり残したことがある気もしますが」という台詞は入っていなかった。 武田アナの降板をめぐっては、自民党の二階俊博幹事長へのインタビューで不興を買ったのが原因とする週刊誌報道が出ていた』、「インタビューで不興を買った」、とは何があったのだろう。
・『二階幹事長が不快感をあらわにしたことも  指摘されている放送は1月19日の『クローズアップ現代+』。武田アナは二階氏に新型コロナ対策について聞いた。「政府の対策は十分なのか。さらに手を打つことがあるとすれば何が必要か」と質問すると、二階氏は「いちいちそんなケチをつけるもんじゃないですよ」と不快感をあらわするシーンがあった。 武田アナのNHK大阪放送局への異動が発表されたのは、その1カ月後の2月10日。『週刊文春』2月25日号では、二階幹事長へのインタビューが「菅政権の怒りを買った」のが理由とみる局内の声を報じている。 一方、NHKの正籬聡放送総局長は「公共メディアとして自主自律は生命線。誰かに何か言われたからということは一切ない」と圧力の影響を否定した。 武田アナは、4月2日からスタートする全国放送の新番組「ニュース きん5時」(金曜午後4時50分)でキャスターを務める予定だ』、「新型コロナ対策について・・・「政府の対策は十分なのか。さらに手を打つことがあるとすれば何が必要か」と質問すると、二階氏は「いちいちそんなケチをつけるもんじゃないですよ」と不快感をあらわするシーンがあった」、「武田アナのNHK大阪放送局への異動が発表されたのは、その1カ月後の2月10日」、これはどうみても自民党からの圧力があったとみるのが自然だ。
・『武田真一キャスターの動画メッセージ全文  4年間、本当に有り難うございました。この4年、私の心に刻み込まれたのは、社会の中で懸命に生きている皆さまの声です。それは決して希望に満ちた声ばかりではありませんでした。 大切な人を亡くした。明日の暮らしが見えない。災害や新型コロナで思いがけず人生を狂わされた。私たちの周りには多くの課題があることを思い知らされてきました。私に何ができるんだろうか?ずっと自問してきました。 せめて皆さまの声を私の心に深く浸して、分かろうと努力しよう。皆さんの声を私の心と共振させて、さらに大きな波紋にして社会に伝えよう。それが何かの糸口になるのではないか。 そう考えてきましたが、いかがだったでしたでしょうか。やり残したことがある気もしますが、あとは若いキャスターに引き継いでいきたいと思います。現代の断面をクローズアップし、よりよい未来の材料を見つけてプラス。「クローズアップ現代+」はこれからもひるまずに伝え続けていきます。新年度は3月30日からのスタートです。是非ご覧ください。 ■武田アナの直筆メッセージ(『クローズアップ現代+』の公式Twitterでは武田アナから番組視聴者に向けた直筆メッセージも掲載している(リンク先参照)』、それにしても、露骨な報道への介入だ。

次に、4月8日付けデイリー新潮「NHK有馬キャスターが起こした退任の挨拶事件 6月人事は国際部長として処遇か」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2021/04081100/?all=1
・『ウォッチ9のキャスターを4年(3月いっぱいでNHKニュースウオッチ9のキャスターを交代した有馬嘉男氏(55)。菅義偉首相へのインタビューがその神経を逆なでし、官邸からクレームがNHKに来て、その圧力に屈した結果の降板劇とも報じられたが、6月内示の人事では意外にも国際部長として処遇される見込みだという(注)。そして先日、有馬氏が報道局の幹部が集まる会議で退任の挨拶を求められた際に、「無言の抵抗」をしていたとの話も。 NHKのある幹部局員によると、 「1990年入局の有馬さんはウオッチ9のキャスターを4年務めました。注目度の高かった大越(健介)さんでも5年でしたから、かなり長い方だと思います。有馬さんはお茶の間の人気者というわけではなかったですが、安定感があって特段変える必要もなく、そうこうしているうちに番組の編集責任者の面々は年下ばかりになってしまった」 昨年春にも、交代の話が出ていたが、 「桑子(真帆)アナと和久田(麻由子)アナを朝と夜の間でシャッフルするというアクロバティックなことをやったせいで、有馬さんまで一気に変えられないと、ポジションにとどまることになりました」 余人をもって代えがたかったのかその辺りは判然としないが、その後もキャスター職にとどまり、菅義偉首相が就任直後には番組でインタビューも行った。 その内容に官邸がクレームを付けてきたと報じられ、NHKはその圧力に屈した結果、有馬氏を降板させた、というようなニュースも流れた』、私は偉ぶった「大越」よりも気さくな「有馬」の方が好きだった。(注)有馬氏はヨーロッパ副総局長(Wikipedia)になったようだ。
・『忖度したとは捉えられたくない  「基本的に、新年度以降のキャスターをどうするかについては、前年の秋以降に委員会が開かれ、そこで決まります。官邸からの圧力が報じられた時期とタイミングが多少重なってはいますが、それとは無関係に有馬さんの降板は事実上決まっていたと思います。報道局長が近く交代するので、有馬さんの異動の件もまだ流動的ではありますが……」 少し話はそれるが、新しく報道局長に就く予定の山下毅氏は籾井会長時代に政治部長を務めていたが、たった1年で熊本放送局長に異動させられており、左遷ではないかとみられていた。 「政治部長を1年だけというのは異例ですね。熊本に左遷されるきっかけになったのは、山下さんとあまり相性のよくなかった岩田明子さん(政治部記者兼解説委員)がなんらかの動きを見せたからだと指摘する声がありました。しかし、今回の復権で岩田さんの力もなくなったと言われています。安倍さん(前首相)や今井さん(前秘書官兼補佐官)との蜜月ぶりから、他を圧倒する独自報道を連発してきた岩田さんですが、菅さんとの関係はうまく行っていないんですよね。希望していたワシントン支局行きや日曜討論の司会は却下されたようです。ウチは去年1月に新会長を迎え、人事面で大きな変革が始まっているということも、岩田さんの件に関係していると思います」 話を有馬氏に戻そう。 「ウチとしてはそういう官邸圧力報道は気にしていて、官邸に忖度したとは捉えられたくないし、その結果、懲罰で降板という見方を打ち消したいということで、きちんと有馬さんを処遇する姿勢を見せたいということなのでしょう」 囁かれている国際部長のポジションは、それなりの処遇だ、というのが内部の見方ではある。が、それに有馬氏が満足しているかは不明だ。 4月1日、報道局幹部が集まる会議で、こんな事件が起こった』、実際には、栄転の「国際部長」ではなく、前述の通り、ヨーロッパ副総局長だ。
・『政治部出身の人間が  「通常なら有馬さんが呼ばれる席ではなく、編集主幹や編集責任者が出席して当日の放送の流れを確認する場です。今回は退任の挨拶のために呼ばれたようですが、順番が回ってきて口にしたのは、“ありがとうございました。これからもよろしくお願いします”のみ」と、別の幹部。 「有馬さんによる無言の抗議などと言われています。その後に同じ経済部出身の報道局長がねぎらいの言葉をかけなければ、ずいぶん気まずい感じになっていたことでしょう」 有馬さんの本音を斟酌してもらうと、 「そういう会議の場でそれなりの挨拶をしても無意味だという、諦めの気持ちがあったのかもしれません。また、可能ならもう少しキャスターをやりたかったというのもあったでしょうし、それ以上に、経済部出身の有馬さんとしては、政治部出身の人間が経営を仕切っていて、それがNHKを歪んだ方向にもっていっているという思いが強く、これまでも厳しい口調で批判することもあったようです」 かねて有馬氏は「安倍官邸」に批判的だったという。 「有馬さんのスタンスがリベラルなんで、安倍官邸のやり方にはフラストレーションが溜まっていたみたいですね。会社の近くの居酒屋でそういったことをよく話していたと言います。酒場での有馬発言を聞きつけた人たちが、今回の降板騒動に絡めて、経費がどうのとか女性関係がこうだとか、真偽のほどはよくわからない話が出回っていたことは事実です」 有馬氏自身が思いのたけをぶちまける日が来たら、それはそれで面白いが――』、新ポストは前述の通り、国際局長ではなく、ヨーロッパ副総局長だ。「有馬」氏のために新設したようで、到底、栄転とはほど遠いポストで、官邸の顔も立てたようだ。

第三に、3月16日付け日刊ゲンダイ「自民党がBPO使ったメディア介入に虎視眈々 報道規制の発想はプーチン大統領と変わらず」を紹介しよう。
・『ウクライナに侵攻したロシアの国内では、リベラル系メディアの解散や放送休止など、厳しい報道規制が敷かれている。報道の自由擁護を掲げる国際非営利団体「ジャーナリスト保護委員会」などがプーチン大統領を非難する声明を発表したが、日本だって他人事ではない。自民党は、メディアへの介入を強めようと虎視眈々だ。 自民党の「情報通信戦略調査会」は9日、民放連とNHKの専務理事を呼んでBPO(放送倫理・番組向上機構)やテレビ各局の番組審議会の活動状況について質疑を行った。 日本テレビなどの報道によれば、出席議員からは「不祥事を起こした政治家が不快な表情をする映像が流れていることに対しBPOは注意しないのか」といった質問が出たという。それは不祥事を追及されて嫌な顔をする側の問題であって、放送倫理上の問題ではない。自分たちに不都合なことを報道するなというのは、プーチン大統領と変わらない発想だ。 しかも、佐藤勉調査会長は会議後、「BPO委員の人選に国会が関われないか提起したい」なんて言っていた。ただでさえ、大メディアがロクに政権批判をしない現状なのに、さらに統制を強めようというのか。第2次安倍政権で息のかかった人物をNHKの経営委員会に送り込み、支配下に置いただけでは飽き足らず、民放にも手を突っ込もうというのである』、「出席議員からは「不祥事を起こした政治家が不快な表情をする映像が流れていることに対しBPOは注意しないのか」といった質問が出た」、のには心底驚かされた。厚かましいにもほどがある。確かに「BPO」を通じて「民放にも手を突っ込」むことを狙っているのだろう。 
・『「不勉強」「稚拙」と猛抗議  これにはさすがに、普段はおとなしい民放も抗議の声を上げ<放送法について、一から学びなおすべきでしょう> <民主主義社会の基盤となる言論・表現の自由を脅かすような論議が政権与党内で行われていることに対して、私たちは放送で働く者として、強く抗議します> 主張はごもっとも。だが、自民党をここまで増長させたのは、政権に忖度して口をつぐんできた大メディアの責任でもある。そこは忘れないで欲しい。た。14日、日本民間放送労働組合連合会(民放労連)が声明を発表。情報通信戦略調査会の議論について、珍しく厳しい言葉で糾弾したのだ。 <今回明らかになった議論では、政治家の映像の使用に関わる意見など、自らの都合のいいように放送番組を左右しようという稚拙な発想もうかがえます>』、「普段はおとなしい民放も抗議の声を上げ」たのは当然だ。「自民党の「情報通信戦略調査会」」のメンバーは「情報通信」のプロであるにも拘らず、このようなお粗末な認識で議論しているとは、恥ずかしい限りだ。一般のマスコミももっと批判的に紹介すべきだろう。   
タグ:政府のマスコミへのコントロール (その19)(武田真一氏が『クロ現』降板。「やり残したことがある気もします」無念さ滲ませる【動画】、NHK有馬キャスターが起こした退任の挨拶事件 6月人事は国際部長として処遇か、自民党がBPO使ったメディア介入に虎視眈々 報道規制の発想はプーチン大統領と変わらず) HUFFPOST「武田真一氏が『クロ現』降板。「やり残したことがある気もします」無念さ滲ませる【動画】」 「インタビューで不興を買った」、とは何があったのだろう。 「新型コロナ対策について・・・「政府の対策は十分なのか。さらに手を打つことがあるとすれば何が必要か」と質問すると、二階氏は「いちいちそんなケチをつけるもんじゃないですよ」と不快感をあらわするシーンがあった」、「武田アナのNHK大阪放送局への異動が発表されたのは、その1カ月後の2月10日」、これはどうみても自民党からの圧力があったとみるのが自然だ。 それにしても、露骨な報道への介入だ。 デイリー新潮「NHK有馬キャスターが起こした退任の挨拶事件 6月人事は国際部長として処遇か」 私は偉ぶった「大越」よりも気さくな「有馬」の方が好きだった。(注)有馬氏はヨーロッパ副総局長(Wikipedia)になったようだ。 実際には、栄転の「国際部長」ではなく、前述の通り、ヨーロッパ副総局長だ。 新ポストは前述の通り、国際局長ではなく、ヨーロッパ副総局長だ。「有馬」氏のために新設したようで、到底、栄転とはほど遠いポストで、官邸の顔も立てたようだ。 日刊ゲンダイ「自民党がBPO使ったメディア介入に虎視眈々 報道規制の発想はプーチン大統領と変わらず」 「出席議員からは「不祥事を起こした政治家が不快な表情をする映像が流れていることに対しBPOは注意しないのか」といった質問が出た」、のには心底驚かされた。厚かましいにもほどがある。確かに「BPO」を通じて「民放にも手を突っ込」むことを狙っているのだろう。 「普段はおとなしい民放も抗議の声を上げ」たのは当然だ。「自民党の「情報通信戦略調査会」」のメンバーは「情報通信」のプロであるにも拘らず、このようなお粗末な認識で議論しているとは、恥ずかしい限りだ。一般のマスコミももっと批判的に紹介すべきだろう。
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テスラ(その4)(マスク氏とツイッター 買収案で合意 総額約5・6兆円、マスク氏に買収されツイッターは変わるのか) [メディア]

テスラについては、2月22日に取上げた。今日は、(その4)(マスク氏とツイッター 買収案で合意 総額約5・6兆円、マスク氏に買収されツイッターは変わるのか)である。なお、ツイッターの買収は、テスラは無関係で、マスク氏個人の行為だが、とりあえず、テスラで取上げた。

先ずは、4月26日付けBBC NEWS「マスク氏とツイッター、買収案で合意 総額約5・6兆円」を紹介しよう。
https://www.bbc.com/japanese/61213605
・『米ツイッターの取締役会は25日、大富豪イーロン・マスク氏による買収提案を受け入れることで合意したと発表した。買収総額は440億ドル(約5.6兆円)となる見込み。 ツイッターは今後、買収案について株主の承認を求める。買収手続きは年内に完了する見通し。同社は上場廃止となり、非公開企業になる。 ツイッターのブレット・テイラー取締役会議長は、マスク氏の買収案が「ツイッターの株主にとって前へ進むための最善の道だ」と述べた。 電気自動車「テスラ」や宇宙開発「スペースX」などの創業者マスク氏は、買収合意の発表で、「言論の自由は機能する民主主義の礎石で、ツイッターは人類の未来に不可欠な事柄が議論されるデジタルの町の広場だ」と表明。「新しい機能でツイッターを強化し、かつてないほど改良するほか、信頼性を高めるためにアルゴリズムをオープンソースにして、スパム・ボットを駆逐し、すべての人間を認証したい」と意欲を示した。 「ツイッターにはとてつもない可能性がある。その可能性のカギを開けるため、私はツイッターや利用者のコミュニティーと協力するのを楽しみにしている」と、マスク氏は述べた。 マスク氏は4月初めにツイッターの筆頭株主となった後、14日に430億ドル(約5兆4000億円)の買収を提案。ツイッターの取締役会はこれに対して15日、「ポイズンピル(毒薬)」と呼ばれる防衛策を取ると発表していた。 しかし、マスク氏が買収のための資金調達にめどがついたことや、他の株主から株式を直接買い取る「株式公開買い付け」も検討しているなど、買収方法をより詳しく説明したことで、取締役会は姿勢を軟化。協議が急速に進み、スピード合意に至った。 発表資料によると、マスク氏は借り入れなどで255億ドルを確保しており、エクイティファイナンス210億ドルを提供する。 マスク氏はツイッターに投稿できる内容の制限緩和や、偽のアカウント対策など幅広い変更を求めている。長文投稿や投稿後の編集機能追加も提案している。 米誌フォーブスによると、マスク氏の総資産は推定2736億ドル(約35兆円)で世界一の富豪とされる。最高経営者を務めるテスラの保有株が資産の大部分を占める。 今回の買収に先立ち、ツイッターは利用者による投稿内容について政治家や規制当局から、プラットフォームとしての管理体制について圧力をかけられていた。掲載される偽情報に関する判断や対応については、政治的左派からも右派からも批判されている。 中でも特に話題になったのが、2021年1月の米議会襲撃事件の後、ドナルド・トランプ米大統領(当時)のアカウントを永久凍結したことだった。トランプ氏はそれまでツイッターを精力的に利用していたが、ツイッター社は「暴力行為をさらに扇動する恐れがある」としてトランプ氏の個人アカウントを凍結した。 これについてマスク氏は当時、「西海岸のハイテク企業が、言論の自由の事実上の裁定者になったことを、ものすごく不満に思う人が大勢いるだろう」と反応していた。 マスク氏によるツイッター買収を、アメリカの右派は歓迎している。一方、トランプ氏は米FOXニュースに対して、ツイッターに戻るつもりはないと話した。 米政府はこの件についてコメントを控えているものの、ホワイトハウスのジェン・サキ大統領報道官は記者団に、「ツイッターを誰が所有し経営するにしても、大統領は以前から、大きいソーシャルメディア・プラットフォームが持つ力を気にしてきた」と述べた。 英下院デジタル・文化・メディア・スポーツ委員会のジュリアン・ナイト委員長は、買収合意について「ソーシャルメディアの世界において、驚くべき展開だ」とツイート。「(言論の自由に対する絶対主義者が経営する)非公開企業となったツイッターが、世界的な規制の動きにどう反応するのか、興味深いことになる」とも書いた』、「マスク氏によるツイッター買収を、アメリカの右派は歓迎している。一方、トランプ氏は米FOXニュースに対して、ツイッターに戻るつもりはないと話した」、なるほど。「(言論の自由に対する絶対主義者が経営する)非公開企業となったツイッターが、世界的な規制の動きにどう反応するのか、興味深いことになる」、同感である。
・『マスク氏はこれまでツイッターで何を  ツイッターでは8000万人以上が、マスク氏のアカウントをフォローしている。そのマスク氏のツイートは時に、物議をかもしてきた。 2018年には米証券取引委員会(SEC)が、マスク氏は自分のツイートを通じてテスラに出資する投資家に誤解を与えたと指摘。総額400億ドルをSECに支払い決着したが、マスク氏はSECの指摘を否定し続けている。 2019年には、タイの洞窟(どうくつ)に閉じ込められた少年たちの救出に参加したイギリス人ダイバーを「小児性愛のやつ」とツイートしたことから、名誉棄損で訴えられたものの、米ロサンゼルスの連邦裁判所は原告の訴えを退けた。 マスク氏はこれまでツイッター上でたびたび、ジャーナリストと衝突したり、自分に批判的な相手をブロックしたりしてきた。25日には、ツイッターは議論の場所だと考えていると述べた。 合意成立発表の数時間前、マスク氏は「自分を最も手厳しく批判する人たちにも、ツイッターに残ってもらいたい。言論の自由とはそういうものだからだ」とツイートしていた』、「マスク氏」の言動は振れが大きいだけに、要警戒だ。
・『マスク氏はツイッターを回復させられるのか  買収手続きの完了後、ツイッターは上場廃止となり、非公開企業になる。 マスク氏はこれによって、自分が考える事業改善を実施する自由が得られるとしている。 合意成立が明らかになると、ツイッター株は5.7%高の51.70ドルで25日の取引を終えた。しかし、マスク氏が提示した1株54.20ドルの買取価格よりは低く、米市場関係者が、マスク氏の提示額が実際の企業価値を上回っていると見ているのがうかがえる。 マスク氏は今回の買収について、「経済性はどうでもいい」と発言している。しかし、ツイッターはその影響力とは裏腹に、利益を出したことはほとんどなく、利用者数の伸びも特にアメリカでは鈍化するなど、財務的には不安定な状態が続いている。 2004年に創業した同社の2021年売上高は50億ドルで、デイリー・アクティブ・ユーザー(1日に1回以上活動する利用者)は2億1700万人。フェイスブックなど他のソーシャルメディア大手と比較すると、きわめて少ない。 買収後は誰がツイッターを率いていくのか、明らかになっていない。共同創業者のジャック・ドーシー氏は昨年12月に最高経営者を退任し、現在はその後任をパラグ・アグラワル氏が務めている。 しかし、マスク氏は買収提案書の中でツイッターの取締役会に、「自分は経営陣を信頼していない」と述べていた。 アグラワル氏は25日、社員に対してツイッターの未来は不透明だと発言。ロイター通信によると、「合意が成立すれば、このプラットフォームがどの方向へ向かうのかわからない」と、アグラワル氏は述べた』、「マスク氏は買収提案書の中でツイッターの取締役会に、「自分は経営陣を信頼していない」と述べていた」、「経営陣」を入れ替えるのだろう。
・『<解説> ツイッターの新しい王様――ジェイムズ・クレイトンBBC北米テクノロジー担当記者 あまりにあっという間の買収劇に、シリコンバレーでは大勢がくらくらしている。 イーロン・マスク氏はいきなりやってきて、ツイッターの絶対君主となった。 本人はこの買収で大事なのは経済的に見合うかどうかではなく、これは権力と影響力の問題なのだと認めている。 株式を非公開にすることで、マスク氏はツイッターに対する決定権を独占する。この会社を好きにできる権限を手にするわけで、具体的には、投稿内容のモデレーション(管理・監督)は今よりはるかに緩やかになるだろう。 より大勢がツイッターの仕組みを理解できるよう、アルゴリズムも公開すると言っている。 この買収によって、トランプ氏のツイッター復帰への扉が開かれる。しかし、本人は今のところは自分が持つプラットフォーム「トルース・ソーシャル」を使う方がいいと言っているそうだ。 保守派は長年にわたり、ツイッターは自分たちを冷遇している、偏向していると主張してきた。今回の買収の知らせに、アメリカの共和党関係者は大喜びしている。 一方で、強力なモデレーションのないツイッターがどのような場所になるのか、将来を悲観する人も大勢いる。 陰謀論を展開するQアノン系のグループや、2020年米大統領選は不正だったと主張するグループを放置したとして、フェイスブックがどれだけ批判されているかを思えば、今後マスク氏がどれだけ批判されることになるか、想像に難くない。 ソーシャルメディア上の言論の自由は、あっという間に、実に醜いものになり得る。今やツイッターはそうした危険に直面している』、「保守派は長年にわたり、ツイッターは自分たちを冷遇している、偏向していると主張してきた。今回の買収の知らせに、アメリカの共和党関係者は大喜びしている」、「強力なモデレーションのないツイッターがどのような場所になるのか、将来を悲観する人も大勢いる」、私も同感である。

次に、4月26日付けBBC NEWS「マスク氏に買収されツイッターは変わるのか」を紹介しよう。
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-61227037
・『大富豪イーロン・マスク氏は、買収総額440億ドル(約5.6兆円)で米ツイッターを買収することになった。投稿内容の制限を減らすと約束するマスク氏が、「デジタル版・町の広場」にどう影響するのか、疑問や懸念の声が上がっている。 買収合意成立が発表されると、「言論の自由絶対主義者」を自称するマスク氏が手にする権限について、複数の人権団体が懸念を表明した。投稿内容へのモデレーション(監督・管理)がなくなれば、ヘイトスピーチ(憎悪表現)が増えるのではないかという心配も出ている。 マスク氏はかねて、ツイッターによる投稿内容の制限を声高に批判し、ツイッターは真の言論の自由を可能にするプラットフォームにならなくてはならないと主張してきた。買収合意の発表でも、「言論の自由は機能する民主主義の礎石で、ツイッターは人類の未来に不可欠な事柄が議論されるデジタルの町の広場だ」と表明した。 国際人権団体アムネスティー・インターナショナルは、「有害なツイッター(Toxic Twitter)」などとツイートを連投し、「利用者を守るために設計された利用規約や仕組みの徹底を損なう方向へ、ツイッターが進むのではないかと懸念している」と書いた。 「利用者に対する暴力的で加害的な言論を、意図的に見ないふりをするようなツイッターは何より困る。とりわけ、女性やノンバイナリー(性自認が男性だけでも女性だけでもない人)を含め、過度に影響を受ける人たちへのそうした言論は」と、アムネスティー・インターナショナルは問題視した。 BBCはツイッターにこうした懸念について取材したが、まだ回答は得られていない』、「「利用者に対する暴力的で加害的な言論を、意図的に見ないふりをするようなツイッターは何より困る。とりわけ、女性やノンバイナリー・・・を含め、過度に影響を受ける人たちへのそうした言論は」と、アムネスティー・インターナショナルは問題視」、妥当な懸念だ。
・『トランプ氏は戻るのか  マスク氏が所有するツイッターでは、たとえばドナルド・トランプ前米大統領をはじめ、これまでアカウントを凍結・削除された人たちの復帰が許されるのだろうかという疑問も、複数の利用者から出ている。 トランプ氏は長年ツイッターを精力的に利用していたが、2021年1月の米議会襲撃事件の後、ツイッターは「暴力行為をさらに扇動する恐れがある」としてトランプ氏の個人アカウントを永久凍結した。 これについてマスク氏は当時、「西海岸のハイテク企業が、言論の自由の事実上の裁定者になったことを、ものすごく不満に思う人が大勢いるだろう」と反応していた。 しかし、たとえツイッターが凍結を解除したとしても、トランプ氏はツイッターに戻るつもりはない、自分が持つプラットフォーム「トルース・ソーシャル」を使うという姿勢だ。 「ツイッターにはいかない。トルースに残る」と、トランプ氏は米FOXニュースに話した。 トランプ氏はさらに、マスク氏を「良い男」と呼び、ツイッターを「改善」するはずだと述べた。 香港天風国際証券のアナリスト、ミンチ・クオ氏はBBCに対して、もし2024年米大統領選にトランプ氏が出馬するなら、ツイッターに戻るかもしれないと話した。 「ツイッターがアカウントを復活させるなら、トランプ氏にとっては依然として、より良い発言の場所だ。ツイッター以上に影響力のあるプラットフォームを次の大統領選の前までに作るのは、大変だ」』、「トランプ氏」は「マスク氏を「良い男」と呼び、ツイッターを「改善」するはずだと述べた」、「「ツイッターにはいかない。トルースに残る」としているが、「2024年米大統領選にトランプ氏が出馬するなら、ツイッターに戻るかもしれない」、確かに選挙ともなれば、集客力のある「ツイッター」の影響力は無視できない。
・『利用者は離れるのか  合意成立発表の数時間前、マスク氏は「自分を最も手厳しく批判する人たちにも、ツイッターに残ってもらいたい。言論の自由とはそういうものだからだ」とツイートしていた。 しかし、ツイッターを使うのをやめると言う人もいるし、すでにアカウントを閉じた人たちもいる。 英俳優ジャミーラ・ジャミル氏は、100万人のフォロワーに対して、「これを自分の最後のツイートにしたい」として、ツイッターが「今まで以上に無法で、憎悪だらけの、人種差別と偏見にあふれた、女性嫌悪の空間」になるだろうと書いた。 一方で、45万人以上のフォロワーがいる米メリーランド大学の研究者キャロライン・オール・ブエノ博士は、まだしばらくは残るつもりだとしている。 「イーロン・マスク率いるツイッターがどういう場所になるのか、まだまったく分からないので」とブエノ氏は書き、さらに「分かっていることがある。まともな人が全員いなくなってしまうと、まともな人たちが残るよりも早く、ここはひどい場所になってしまう」と指摘した。 米投資会社ウエドブッシュ・セキュリティーズのアナリスト、ダン・アイヴスさんはBBCに対して、ほとんどの利用者は「様子見」をするだろうと話した。 「ツイッターにとって今大事なのは、新規ユーザーを勧誘すると同時に、離脱者をくいとめることだ」』、「まともな人が全員いなくなってしまうと、まともな人たちが残るよりも早く、ここはひどい場所になってしまう」、SNSの恐ろしさだ。「マスク氏は「自分を最も手厳しく批判する人たちにも、ツイッターに残ってもらいたい。言論の自由とはそういうものだからだ」とツイート」、こうした恐ろしさをどこまで理解しているのだろうか。
・『ドーシー氏はツイート連投  ツイッター取締役会の11人は全会一致で、マスク氏の買収提案を受け入れた。 ツイッターの共同創設者で取締役のジャック・ドーシー前最高経営責任者(CEO)は、「原理原則的には、誰か1人がツイッターを所有するべきでも、経営すべきでもない」と書く一方で、ツイッターが引き続き「世間の会話のために機能する」のはうれしいことだと歓迎した。 ドーシー氏は「自分はツイッターを愛している。世界的意識のようなものに一番近いのがツイッターだ」とツイート。「自分にとって大事なのは、(ツイッターの)概念とサービスだけで、その両方を守るためなら何でもする。企業としてのツイッターは常に、自分にとって唯一の問題で最大の後悔だった。ウォール街と広告モデルに所有されてきた。ウォール街から取り戻すことが、正しい第一歩だ」と書いた。 ドーシー氏はさらに、ツイッターは「企業ではなく、プロトコルのレベルで公共財になろうとしてきたが、企業としての問題を解決するには、イーロンこそ僕が信用する解だ。意識の光を広げようとする彼のミッションを、僕は信用している」と書いた。また、「『最大限に信用され、幅広く包摂(ほうせつ)』するプラットフォームを作るというイーロンの目標は正しい」として、「どうにもならない状況からこの会社を脱出させてくれた」マスク氏と、現CEOのパラグ・アグラワル氏に感謝した上で、「これが正しい道だ……心の底からそう信じている」と期待を示した。 一方、アグラワルCEOは25日、社員に対してツイッターの未来は不透明だと発言。ロイター通信によると、「合意が成立すれば、このプラットフォームがどの方向へ向かうのかわからない」と述べていた』、「ドーシー前CEO」の発言は「株主」として悪く言わないようにしている可能性がある。「現CEO」の発言の方が正直だ。
・『政治家の反応  米政府はこの件についてコメントを控えているものの、ホワイトハウスのジェン・サキ大統領報道官は記者団に、「ツイッターを誰が所有し経営するにしても、大統領は以前から、大きいソーシャルメディア・プラットフォームが持つ力を気にしてきた」と述べた。 米与党・民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員は、この買収は「この国の民主主義にとって危険」だとして、「巨大テクノロジー企業の社会的責任を問うための強力なルール」や、IT企業などで巨万の富を得る大富豪たちへの富裕税の実現が必要だと強調した』、「ウォーレン上院議員」の発言には同意できる。
・『なぜアメリカの富豪が納める税金はあなたより少ないのか  他方、米野党・共和党のマーシャ・ブラックバーン上院議員は、「言論の自由にとって喜ばしい日」だと、マスク氏によるツイッター買収を歓迎した』、「共和党」「議員」らしい主張だ。「マスク氏」の影響で「ツイッター」がSNSとしての中立性を守れるのか、守れずに人気が離散するのか、大いに注目したい。
タグ:(その4)(マスク氏とツイッター 買収案で合意 総額約5・6兆円、マスク氏に買収されツイッターは変わるのか) テスラ 「「利用者に対する暴力的で加害的な言論を、意図的に見ないふりをするようなツイッターは何より困る。とりわけ、女性やノンバイナリー・・・を含め、過度に影響を受ける人たちへのそうした言論は」と、アムネスティー・インターナショナルは問題視」、妥当な懸念だ。 BBC NEWS「マスク氏に買収されツイッターは変わるのか」 「保守派は長年にわたり、ツイッターは自分たちを冷遇している、偏向していると主張してきた。今回の買収の知らせに、アメリカの共和党関係者は大喜びしている」、「強力なモデレーションのないツイッターがどのような場所になるのか、将来を悲観する人も大勢いる」、私も同感である。 「マスク氏は買収提案書の中でツイッターの取締役会に、「自分は経営陣を信頼していない」と述べていた」、「経営陣」を入れ替えるのだろう。 「マスク氏」の言動は振れが大きいだけに、要警戒だ。 「マスク氏によるツイッター買収を、アメリカの右派は歓迎している。一方、トランプ氏は米FOXニュースに対して、ツイッターに戻るつもりはないと話した」、なるほど。「(言論の自由に対する絶対主義者が経営する)非公開企業となったツイッターが、世界的な規制の動きにどう反応するのか、興味深いことになる」、同感である。 BBC NEWS「マスク氏とツイッター、買収案で合意 総額約5・6兆円」 「トランプ氏」は「マスク氏を「良い男」と呼び、ツイッターを「改善」するはずだと述べた」、「「ツイッターにはいかない。トルースに残る」としているが、「2024年米大統領選にトランプ氏が出馬するなら、ツイッターに戻るかもしれない」、確かに選挙ともなれば、集客力のある「ツイッター」の影響力は無視できない。 「まともな人が全員いなくなってしまうと、まともな人たちが残るよりも早く、ここはひどい場所になってしまう」、SNSの恐ろしさだ。「マスク氏は「自分を最も手厳しく批判する人たちにも、ツイッターに残ってもらいたい。言論の自由とはそういうものだからだ」とツイート」、こうした恐ろしさをどこまで理解しているのだろうか。 「ドーシー前CEO」の発言は「株主」として悪く言わないようにしている可能性がある。「現CEO」の発言の方が正直だ。 「ウォーレン上院議員」の発言には同意できる。 「共和党」「議員」らしい主張だ。「マスク氏」の影響で「ツイッター」がSNSとしての中立性を守れるのか、守れずに人気が離散するのか、大いに注目したい。
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メディア(その30)(大阪府と包括協定を結んだ「読売新聞」ナベツネの特権論、テレビ朝日社長の電撃辞任 現場介入を嫌ったスポーツ局の「クーデター」だった、創業以来最大の赤字:朝日新聞社で今、何が起きているのか) [メディア]

メディアについては、本年1月11日に取上げた。今日は、(その30)(大阪府と包括協定を結んだ「読売新聞」ナベツネの特権論、テレビ朝日社長の電撃辞任 現場介入を嫌ったスポーツ局の「クーデター」だった、創業以来最大の赤字:朝日新聞社で今、何が起きているのか)である。

先ずは、1月31日付け日刊ゲンダイが掲載した評論家の佐高信氏による「大阪府と包括協定を結んだ「読売新聞」ナベツネの特権論」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/300611
・『大阪府と連携して、いよいよ新聞であることをやめた読売新聞が同じく権力べったりの産経新聞を買収するのではないかという噂が流れているらしい。読売に身売りするわけだが、すでに政権に身を売っているのだから、驚くには及ばないのだろう。身を売った者同士の”結婚”である。 「新聞は昭和26年の日刊新聞紙法や、独禁法の特例としての再販制度や、公選法その他いくつかの法規で、その特権が守られています。それは、この国の民主主義を支える原(注:正しくは「言」)論の自由と独立を守るために与えられた特権であって、新聞は特定の人物の私有物であってはなりません。公私混同は許されません。そのことは、現在経営陣にいるわれわれも、鉄則として守られねばならないことです」 これは、何と、読売のドンのナベツネこと渡邉恒雄が2002年の販売店の総会で主張した特権論である。同年7月の『読売新聞社社報』に載っているが、あくまでも新聞であった場合の特権である。しかし、20年経った現在でも渡邉は読売が自分という「特定の人物の私有物」になっているとは考えられないだろう』、大阪府との連携協定については、下記の社告にあるように、「協定が読売新聞の取材活動や報道に影響を及ぼすことは一切なく」、としてはいるが、取材対象との連携協定締結には違和感がある。
https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20211228-OYO1T50000/
「渡邉恒雄が2002年の販売店の総会で主張した特権論」は極めてまともな主張である。
・『内部から反乱を起こした清武英利と私の編著『メディアの破壊者 読売新聞』(七つ森書館)で清武はブラックジョークのようなこ渡邉発言を紹介しつつ、読売の現状を「情けない」と嘆いている。 一番おかしいのは、巨人軍の過去の契約金をめぐる内幕を暴露した2021年3月15日付『朝日新聞』の記事のネタ元が清武であると断定して訴えたことで、何と東京地裁はそれを認めてガサ入れまでおこなわれた。 これはまさに新聞として自殺行為だと言わなければならない。逆に『読売新聞』の記事について情報源を明らかにせよと言われたら、明らかにするということだからである。 大体、新聞は訴えられる側であっても、訴える側ではないだろう。言論で勝負できないから司法権力に助けを求める読売は、その時点で、もう新聞ではなかった。 読売は清武と関わりのあった社員を、清武叩きの尖兵に使って、彼の身辺を調査させた。 これでは定款に興信業とかを加えなければならない』、「巨人軍の過去の契約金をめぐる内幕を暴露した2021年3月15日付『朝日新聞』の記事のネタ元が清武であると断定して訴えたことで、何と東京地裁はそれを認めてガサ入れまでおこなわれた。 これはまさに新聞として自殺行為」、ここまで「読売」がやるとは心底驚かされた。
・『老害のナベツネの顔色をうかがっている意気地のない幹部や記者の背筋は、ドンが退場しても伸びることはない。ドンに抵抗できなかった者たちの背骨は曲がったままになってしまうからだ。 作家の志賀直哉が「老いらくの恋」と騒がれた川田順をモデルに書いた戯曲についての川田への手紙の中に痛烈な読売新聞評がある。 「私は半年程前から読売には一切書かぬといふ宣言をしてゐるので此度読売はあの作品で問題を作り上げようとするだろうと考へ、若しさういふ場合は読売或は読売の一部の記者に対し宣戦してもいいと考へてゐましたが、貴方のよく分った御返事で面倒な事もなく済み、ありがたく思ひました」 そして読売には「平地に波乱を起したがる赤新聞的下等さが濃厚にあります」と酷評している』、「志賀直哉」から「読売には「平地に波乱を起したがる赤新聞的下等さが濃厚にあります」と酷評」された体質は変わってないようだ。

次に、2月11日付けデイリー新潮「テレビ朝日社長の電撃辞任 現場介入を嫌ったスポーツ局の「クーデター」だった」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2022/02111131/?all=1&page=1
・『2月10日夕方に流れたテレビ朝日・亀山慶二社長(63)辞任の一報に、業界は騒然となった。同社は、亀山氏による「会社経費の私的流用」が社内調査で発覚したため、亀山氏自ら辞任を申し出たと文書で発表したが、背景には「亀山氏とスポーツ局との抜き差しならないない対立があった」とテレ朝関係者が明かす』、興味深そうだ。
・『側近中の側近  1週間くらい前から社員たちの間では、“社長がカネの私的流用で吊るし上げられている”と噂になっていたという。一方、「スポーツ局内で亀山社長に対する不満が沸点に達していた」(テレ朝関係者)。 いったい社内で何が起きていたのか。話の核心に入る前に、まずはテレビ朝日の権力構造について確認しておきたい。社員の多くが「うちは天皇制みたいなものです」と自虐的に語る。彼らが言う天皇とは、14年から会長の座にいる早河洋氏(78)のことだ。 「早河会長の権力は今なお絶大で、改編も人事もすべて牛耳っています。例えば、『報道ステーション』の大越健介キャスターの起用なども、早河会長が頷かない限り絶対に実現しません」(同) つまりは、今回の亀山社長更迭も、早河会長のご意向そのものなのである。一方、早河氏と亀山氏は「切っても切れない関係」と言われるくらいの間柄だった。 「営業・編成畑を歩んできた亀山さんは、うちがテレビ東京と同じくらい民放下位に沈んでいた頃、世界水泳やサッカーW杯などのスポーツ関係の独占放映権を次々と獲得して、視聴率向上に大きく貢献した功労者。その頃、役員として亀山さんの仕事をバックアップしていたのが早河さんです。それまで朝日新聞からの天下りポストだった社長職に早河さんが初めて生え抜きとして就任できたのも、亀山さんのおかげと言われています」(同)』、「朝日新聞からの天下りポストだった社長職に早河さんが初めて生え抜きとして就任できたのも、亀山さんのおかげと言われています、「亀山氏」の功績はよほど大きかったようだ。
・『泣いて馬謖を斬った  そんな信頼の置ける腹心を、なぜ早河氏は切らねばならなかったのだろうか。 「泣いて馬謖(ばしょく)を斬ったのでしょう。カネの問題というより、そのくらいスポーツ局の反乱が抑えきれなかったのです」(同) 亀山氏とスポーツ局の対立については、今回テレ朝が公表した文書の中でも触れられている。亀山氏は社長就任後もスポーツ局統括として、毎週、局内の幹部を招集して報告会を開いていたが、「合理的な理由もなくスポーツ局長をこの報告会に参加させないだけでなく、スポーツ局長との日常的な意思疎通も十分に行っていなかったため、スポーツ局内の指揮命令系統の混乱を招き、職場環境を悪化させた」とある。 「要は現場への介入が激しすぎたのです。スポーツ局が苛立っていたのは亀山さんだけでなく、亀山さん子飼いの編成部長。二人でスポーツ局長を飛ばして、キャスティングから演出までいちいち高圧的に口出ししてきたというのです。亀山さんたちからすれば、放映権は自分たちが広告代理店と組んで獲得してきたものという考えなんですが、現場からすれば、彼らは番組作りなど一切経験がないど素人。にもかかわらず細かい演出内容まで指示してきたので、現場側は“やっていられない”と不満が募るばかりでした」(同)』、どうみても「亀山」氏の分が悪そうだ。
・『ブーメラン  より両者の対立を深めたのが、昨年続いたスポーツ局員らによる不祥事だった。五輪閉会式後に、スポーツ局所属の社員らが、打ち上げパーティを行い、一人が大怪我を負った騒動から始まり、翌9月には、非売品の「ドラえもんピンバッジ」を同局所属の2人の社員が親族を通してメルカリで転売していたことも発覚。しまいに12月には、スポーツ局幹部と部下の不倫までもが文春砲によって暴かれた。 「局内の不倫までもが文春へ通報された背景には、局内ガバナンスがめちゃくちゃで、末端の不満が限界に達していたことがあるのです。にもかかわらず、一連の不祥事に亀山さんは、かなり強い姿勢でスポーツ局に徹底調査しろと迫った。それが、ブーメランのように自分の経費不正利用発覚につながってしまったのです。今回明かされた亀山さんの不正利用は、すべてスポーツイベント絡み。クーデターを目論むスポーツ局が、頑張って亀山さんの粗を探したのではないか。番組制作への介入についても、“パワハラ”だとスポーツ局員たく訴えかけたそうです」(同) 発表文によれば、亀山氏はスポーツイベントへの出席・営業活動のためと偽り、会社の費用で国内各地に出張し、業務との関連が認められない会食やゴルフの費用を会社経費として精算していたという。金額は約60万円。 「営業をバリバリやってきた亀山さんからすれば、60万円の私的流用と指摘されても、受け入れ難かったとは思います。ただ、早河さんとしては、もはや亀山さんを切らなければ収拾がつかないと判断したのでしょう」(同) かくして失脚した“天皇”の側近中の側近。今回の人事は、テレ朝の権力構造にどのような影響を及ぼすのだろうか』、「亀山氏はスポーツイベントへの出席・営業活動のためと偽り、会社の費用で国内各地に出張し、業務との関連が認められない会食やゴルフの費用を会社経費として精算していたという。金額は約60万円」、社長の不正支出という割には小粒で、本来は「業務」と見做されるものも混入している可能性もあるのではなかろうか。

第三に、2月16日付けnippon.com「創業以来最大の赤字:朝日新聞社で今、何が起きているのか」を紹介しよう。
・『インターネットの普及で紙媒体の衰退が著しい。中でも新聞業界の苦境は深刻だ。業界の雄として長年君臨してきた朝日新聞社とて例外ではない。2020年度決算では創業以来最大となる大赤字を記録、早期退職者の応募には数多くの社員が応じるなど、かつてない激震が築地本社を襲っている。一体、朝日新聞社の中で何が起きているのか。同社OBがその内幕を明かす』、興味深そうだ。
・『デジタル化の波に乗り遅れた朝日  朝日新聞社に「エー・ダッシュ(A’)」という社内報がある。季刊で発行される60ページほどの冊子だ。新規事業の説明や職場の話題などが紹介されている。2021年の夏号は、新聞の電子版など同社が力を入れるデジタル事業の特集を組んでいるが、時代の波に翻弄(ほんろう)される大手プリントメディアの苦悩や窮状が紙背からじわりとにじみ出す内容になっている。 社内報の冒頭は、新社長が21年6月の株主総会に報告した20年度決算や個別の事業報告についての詳報。同決算は、創業以来最大の458億8700万円の大赤字を出して業界の注目を浴びた。だが総会は議案をすべて可決し無事終了したとある。続いて、「紙の新聞発行だけに頼らない持続可能な会社」に生まれ変わるため、デジタル事業部門をどのように強化するのか、各セクションの担当者が詳しく解説する特集へとつながっていく。 デジタル化の波に乗り遅れた朝日新聞が巻き返しに躍起なのは、社員なら誰もが知っている。それよりも多くの社員の目を引いたのは、社内報の末尾に載っている退職者のひと言コーナーだろう。ふだんは2ページほどなのに、この号は8ページもある。退職した社員たちの顔写真と短いコメントがずらりと並ぶ。数えてみると79人もいた。各人が在職時の思い出や後輩へのメッセージなどを短く書き寄せているが、退職理由は全員「選択定年」。異様なほどのその人数の多さが、まさに社内で進行しつつある危機の大きさを如実に物語る。 社内報の発刊以来、志半ばで社を去る人たちがこれだけたくさん一度にあいさつ文を寄せることはなかった。「大赤字、デジタル化、大量退職」。同じ社内報に収容された3つの話題は、今の朝日新聞が直面する厳しい現実をくっきりと浮き彫りにしている。 実は筆者もこの79人のうちの1人に入っている。長期的な発行部数の低落と大赤字で苦境に陥った朝日新聞は、21年1月、選択定年という名目で希望退職者の募集を始めた。期限は2カ月後の同年3月半ばまで。45歳以上の社員が対象で、目標は「100人以上」と経営部門は説明していた。約4000人の社員のうち、23年度末までに300人以上を削減する予定という。経営部門の幹部は社内向けに何度かオンラインで説明会を開き、具体的な退職金の上積みや退職後の再就職先の斡旋(あっせん)などの条件を提示しつつ、繰り返し早期退職を促した』、「デジタル化の波に乗約4000人の社員のうち、23年度末までに300人以上を削減する予定り遅れ」、「20年度決算」「は、創業以来最大の458億8700万円の大赤字」、というのであれば、「約4000人の社員のうち、23年度末までに300人以上を削減する予定」、というのもやむを得ないだろう。
・『早期退職を選択した社員は100人近い?  筆者が早期退職したのは21年5月末。記者を38年続けた末に、体を壊して激務に耐える自信がなくなったことが主な理由だ。第1回目となるこのたびの早期退職募集に、どのくらい社員が応募したのか。気になっていた矢先だったので、社内報で知った顔ぶれに軽いショックを受けた。79人の多くは編集部門。かつて一緒に仕事をした論説委員が何人かおり、紙面を署名記事で飾ってきたベテラン記者も大勢いた。社内報への寄稿を避けた社員も含めると、辞めたのは100人近いかもしれない。経営が傾かなければ、みんな定年まで勤め上げて円満退職したのではと考えるとやりきれない。 なぜ社員を減らさなければならないのか? 経営部門がオンライン説明会で強調していたのは、おおむね次のような理由だった。≪発行部数の低減とそれに連動する広告収入の落ち込みに歯止めがかからない。新聞社としての経営を維持できず、人事給与制度改革などの構造改革は一刻の猶予もない。何とか聞き入れてほしい≫  ボーナスの4割カット、給与の1割削減、各種手当の廃止、福利厚生の縮小……。経営トップが次々と繰り出す厳しい通告に労働組合は抵抗したものの、ストライキを打つこともなく押し切られた。職場では、特ダネ競争に欠かせない「夜討ち朝駆け」のためのハイヤー使用が一部例外を除いて禁じられ、編集作業を手伝ってくれた多数のアルバイト学生が社内から消えた。出張手当が大幅に削られ、文房具の使用にまで注文が付くようになった。そうした変化の末にやってきたのが、早期退職者の大量募集だ。 とりわけ緊縮経営の打撃が大きいのが、全国紙たるゆえんである、きめ細かい地方取材網が大幅に縮小されたことだ。朝日新聞は47都道府県に漏れなく総局をおき、それぞれ地方版と呼ぶ紙面を作っている。ところが、昨年春から総局の下にある各地の支局を廃止したり、地方記者を削減したりして、47あった総局機能を18のブロックへと集約した。たとえば東北地方であれば青森、岩手、秋田を同じブロックに統合するといった具合に。新人記者の採用数も減り、地方記者の高齢化が進み、1人あたりの業務や負担は格段に増したという。 日ごろからコンテンツ力やブランド力の高さを内外に誇ってきた新聞社だからこそ、本来なら、本体の新聞発行事業を立て直し、さらに読まれる新聞をめざすべきではないか。ところが、そんな理想論が通用しないほど事態は深刻だった。創刊142年目にして朝日は新聞社の屋台骨とも言える「ひと」のリストラに踏み切り、経営失敗の責任を取って前任の社長が退いた』、「「ひと」のリストラに踏み切り」、のが余りに遅すぎたようだ。
・『凋落著しい新聞業界  確かに数字で見る新聞業界の凋落(ちょうらく)ぶりは目を覆いたくなるほどだ。日本新聞協会によると、新聞(一般紙)全体の発行部数は1990年代半ばの約5300万部をピークに年々下がり、21年末には約3000万部にまで落ち込んだ。20年ちょっとで、およそ2000万部が減った計算になる。筆者が途中入社で朝日新聞に入った1990年、同社は公称800万部以上と喧伝していた。 潮流は大きく変わった。朝日新聞の部数は2015年に700万部近くに、18年には600万部を割り込んだ。下落ペースは対前年比で、中堅地方紙の総発行部数に匹敵する40万部前後にも及ぶ。その後もつるべ落としのように、21年9月には500万部を割って468万部となった。 こうした急速な読者離れに伴って、朝日の業績もすさまじい勢いで悪化した。ここ10年間の売上高の推移を有価証券報告書で見てみた。最も高かったのは12年3月期の4762億円(年度決算ベース、連結売上高)。ところが10年後の21年3月期は2938億円と、およそ4割も減っている。連結売上高が4000億円台を維持していたのは16年まで。20年3月期の3536億円から翌21年3月期には2938億円へと、1年で一気に600億円も売上高が激減した。この急激な落ち込みは、おそらく長期的な読者離れに加え、コロナ禍の拡大が災いしたのではと推測できるが、こうした数字の激変ぶりを見て、ようやく筆者は勤め先の深刻な困窮が理解できるようになった。 むろん、じり貧は朝日だけの問題ではない。他の全国紙も地方紙も等しく同じ問題を抱えて苦しんでいる。規模は違えども、どの新聞社でも賃下げや早期退職が横行している。電波媒体のテレビ各局も似たような試練にさらされている。なぜ既存メディアは時代の変化に適応できなかったのか。指摘されている要因は、スマホの普及と既存メディアのネット環境への乗り遅れだ』、「スマホの普及」は時代の流れだとしても、「既存メディアのネット環境への乗り遅れ」は大きな問題だ。
・『スマホの普及と軌を一にする部数減  筆者は2010年代に入ってスマホが若者を中心に普及し始めると、通勤電車内で新聞を読む乗客の姿がみるみると減っていったのを鮮明に覚えている。総務省の統計によると、16年には20代、30代の若者の90%がスマホを持っていたと報告されている。朝日新聞が「asahi.com(アサヒ・コム)《現・デジタル朝日》」を開設し、インターネットでニュース速報などを流し始めたのは1995年。以来、自前のウェブサイトを通じて無料でニュースを配信してきた。 ところが購読者数が減少するのと反対に、ウェブのページビューは急増することに。それを知ってようやくニュースの有料サービスを並行して始めたものの、ネット利用者の間にはすでに「ニュースはタダ」という先入観が根付いてしまっていた。かくしてスマホで「タダのニュース」を見る読者が爆発的に拡大し、新聞離れに拍車をかける要因になった。 加えて、新聞各社はそれぞれ自前のネットサイトだけでニュースを配信し、新聞業界が一体となって独自のポータルサイトを創設することができなかった。あるいは試みたものの失敗した。これも敗因の一つに挙げられよう。その結果、記事にひもづく広告を巨大ニュースプラットホームの「Yahoo!ニュース」などのニュースポータルに奪われてしまい、ネットニュースの配信からほとんど収益を得ることができなくなって現在に至る。このあたりの事情や経緯は、ノンフィクション作家下山進氏の著書『2050年のメディア』(文藝春秋)に詳しい。 日本の紙媒体がデジタルシフトを始めたのは1990年代後半。まず日経新聞が有料の電子新聞に取り組み始め、それを朝日新聞など他紙が追った。しかしダントツで成功しているニューヨークタイムズなど米国メディアに比べると出遅れ感が強く、コンテンツも見劣りすると専門家らは指摘する。デジタル化を収益の向上につなげるためには、やはり読者がお金を払ってでも読みたいと思う優れたコンテンツを作る仕組みが必要になる。少なくとも日経電子版は収益化に成功しているが、他社は多くの資源を投資している割に成功していないのが実情だ』、「ニューヨークタイムズなど米国メディアに比べると出遅れ感が強く、コンテンツも見劣りすると専門家らは指摘」、もう少し具体的な分析が欲しいところだ。
・『窮余の一策は購読料の値上げ  かくして朝日新聞は窮余の一策として21年7月、27年ぶりに購読料の値上げに踏み切った。1カ月前の同6月に紙面に載った社告では、インターネットの普及で新聞事業が圧迫を受けていること、製作コストが増していることなどを挙げ、「ネット上にフェイクニュースが飛び交う今、新聞の役割は増している」と理解を求めた。しかし景気低迷のさなかの唐突な値上げを読者がどうとらえたかは、いずれ購読者数の変化で明らかになるだろう。 値上げによって、収益の下落は一時的に収まった。21年11月末に発表した21年度9月中間連結決算は、売上高が前年同期比で下がったものの、営業利益は値上げのおかげもあって31億円の黒字に転じた(前年同期は約93億の赤字)。しかし、社内では「現在の減紙率でいけば黒字が続くのは長くて2、3年」とささやかれている。いずれにせよ大胆な経営改革を敢行することなしにこの難局を乗り切ることはできない。 ▽デジタルシフトの成否(朝日新聞は目下、デジタルシフトに起死回生の望みを託し業績回復に躍起になっている。モデルは、デジタル版の飛躍的な伸びで成功を収めたニューヨークタイムズ(NYT)など米国の先行組のメディアだ。実はリーマンショックのあおりで、10年前のNYTは事業継続が危ぶまれるほどの苦境にあった。最初に取った対応は社員のリストラだった。2009年から12年にかけて編集部門の100人以上が希望退職で職場を去った。人件費が占める割合の大きなメディア経営ではやむを得ない選択だったのかもしれない。 だが根本的に窮地を救ったのは、最高経営責任者(CEO)による大胆な変革だった。英国BBC放送会長から同紙CEOに転じたマーク・トンプソン氏は、徹底したデジタル化の陣頭指揮を取りデジタル部門に多額の経営資源を集中させた。トランプ政権やコロナ危機、セクハラ問題など社会の関心が高いテーマを、優秀な記者たちが次々と調査報道の手法で掘り下げ、読み応えのあるコンテンツに仕立てて発信。着実に購読者を増やし、有料版の読者数は昨年、1000万を突破し業績のV字回復へとつながった。 朝日は同じ道をたどれるか。今のところ、人減らしに加え、デジタル化も順調とは言えないようだ。社内にはバーティカルメディアと呼ばれる領域を絞った無料ニュースが乱立し、肝心の有料コンテンツが埋没しているように見える。 「質の高い報道」と「安定した経営」は互いに矛盾するものではない。米国でも日本でも、プリントメディアが生き残るカギが「有料デジタル版をどうしたらとってもらえるか」(下山進著『2050年のジャーナリスト』毎日新聞出版)にあるのは間違いない。有料であっても読者が飛び付きたくなるような報道とは何か。とことん考え抜いて結論を出せるかどうかに朝日新聞社の再生はかかっている』、デジタル化で成功したニューヨークタイムズなどの事例を徹底的に研究することから始めるべきだろう。
タグ:デイリー新潮「テレビ朝日社長の電撃辞任 現場介入を嫌ったスポーツ局の「クーデター」だった」 「志賀直哉」から「読売には「平地に波乱を起したがる赤新聞的下等さが濃厚にあります」と酷評」された体質は変わってないようだ。 「巨人軍の過去の契約金をめぐる内幕を暴露した2021年3月15日付『朝日新聞』の記事のネタ元が清武であると断定して訴えたことで、何と東京地裁はそれを認めてガサ入れまでおこなわれた。 これはまさに新聞として自殺行為」、ここまで「読売」がやるとは心底驚かされた。 「渡邉恒雄が2002年の販売店の総会で主張した特権論」は極めてまともな主張である。 大阪府との連携協定については、下記の社告にあるように、「協定が読売新聞の取材活動や報道に影響を及ぼすことは一切なく」、としてはいるが、取材対象との連携協定締結には違和感がある。 https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20211228-OYO1T50000/ 佐高信氏による「大阪府と包括協定を結んだ「読売新聞」ナベツネの特権論」 日刊ゲンダイ メディア (その30)(大阪府と包括協定を結んだ「読売新聞」ナベツネの特権論、テレビ朝日社長の電撃辞任 現場介入を嫌ったスポーツ局の「クーデター」だった、創業以来最大の赤字:朝日新聞社で今、何が起きているのか) 「朝日新聞からの天下りポストだった社長職に早河さんが初めて生え抜きとして就任できたのも、亀山さんのおかげと言われています、「亀山氏」の功績はよほど大きかったようだ。 どうみても「亀山」氏の分が悪そうだ。 「亀山氏はスポーツイベントへの出席・営業活動のためと偽り、会社の費用で国内各地に出張し、業務との関連が認められない会食やゴルフの費用を会社経費として精算していたという。金額は約60万円」、社長の不正支出という割には小粒で、本来は「業務」と見做されるものも混入している可能性もあるのではなかろうか。 nippon.com「創業以来最大の赤字:朝日新聞社で今、何が起きているのか」 「デジタル化の波に乗約4000人の社員のうち、23年度末までに300人以上を削減する予定り遅れ」、「20年度決算」「は、創業以来最大の458億8700万円の大赤字」、というのであれば、「約4000人の社員のうち、23年度末までに300人以上を削減する予定」、というのもやむを得ないだろう。 「「ひと」のリストラに踏み切り」、のが余りに遅すぎたようだ。 「スマホの普及」は時代の流れだとしても、「既存メディアのネット環境への乗り遅れ」は大きな問題だ 「ニューヨークタイムズなど米国メディアに比べると出遅れ感が強く、コンテンツも見劣りすると専門家らは指摘」、もう少し具体的な分析が欲しいところだ。 デジタル化で成功したニューヨークタイムズなどの事例を徹底的に研究することから始めるべきだろう。
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フェイスブック問題(その4)(内部報告書が語る若年層でのFBの人気低下の加速 ティーンエージャーが費やす時間は前年比16%減、「フェイスブック改めメタ」が目指すVRの世界 ゴーグルで体験するバーチャルな空間とは?、内部告発で暴露されたフェイスブックの管理と責任能力の欠如) [メディア]

フェイスブック問題については、2000年6月13日に取上げた。久しぶりの今日は、(その4)(内部報告書が語る若年層でのFBの人気低下の加速 ティーンエージャーが費やす時間は前年比16%減、「フェイスブック改めメタ」が目指すVRの世界 ゴーグルで体験するバーチャルな空間とは?、内部告発で暴露されたフェイスブックの管理と責任能力の欠如)である。

先ずは、昨年10月27日付け東洋経済オンラインが転載したブルームバーグ「内部報告書が語る若年層でのFBの人気低下の加速 ティーンエージャーが費やす時間は前年比16%減」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/464618
・『米フェイスブックの社内調査グループは3月、クリス・コックス最高製品責任者(CPO)向けに報告書をまとめた。掲載された一連のチャートやデータは、ティーンエージャーとヤングアダルト層でフェイスブックの人気が低下しているという厄介で加速しつつあるような傾向を浮き彫りにしていた。 1つのカラフルなチャートを見ると、米国のティーンエージャーがフェイスブックに費やす時間は前年比で16%減少し、ヤングアダルトでは5%減った。ティーンの新規加入件数も減少傾向にあるが、最も懸念されるのは若者がユーザー登録する時期がこれまでより後ずれしていることがスライドで示されたことだった。2000年以前に生まれた人の大半が19、20歳までにアカウントを開設したのに対し、その後の世代では24、25歳になるまで加入しないと見込まれる。 この報告書はフェイスブックを10月上旬に公の場で告発した元社員フランシス・ホーゲン氏が集めた数百件の内部資料の一部。こうした資料は米証券取引委員会(SEC)に開示されるなどした』、「公の場で告発した元社員フランシス・ホーゲン氏が集めた数百件の内部資料の一部」が、「SECに開示されるなどした」、さすが情報公開の国だけある。
・『フェイスブックはユーザー保護より自社の利益を優先-内部告発者  内部資料によると、詳細な調査にもかかわず、同社社員はこうしたトレンドがなぜ起きているかや、商品見直しでこうした傾向をなぜ反転できていないかについて完全には把握できていない。フェイスブックは若者の利用が低下していることを以前から調査してきたが、幹部は広告事業を脅かすこうした懸念の表明に明らかに積極的ではなかった。同社の素晴らしい事業の成功が若者を巡る根強い問題を覆い隠してきた。同社は年齢層別のユーザー数を公表していない。 フェイスブックの広報担当ジョー・オズボーン氏は「当社の商品はティーンに幅広く利用されているが、スナップチャットやTikTok(ティックトック)との激しい競争に直面している」とした上で「全てのソーシャルメディア企業はティーンによるサービス利用を望んでいるが、われわれも例外ではない」とコメントした』、「フェイスブックは若者の利用が低下していることを以前から調査してきたが、幹部は広告事業を脅かすこうした懸念の表明に明らかに積極的ではなかった」、利用低下は「広告料」に反映するので、同社としては認めたくない不都合な事実なのだろう。

次に、11月5日付け東洋経済オンラインが掲載した フリーライターの武者 良太氏による「「フェイスブック改めメタ」が目指すVRの世界 ゴーグルで体験するバーチャルな空間とは?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/466305
・『10月28日、カンファレンスイベント「Facebook Connect 2021」においてフェイスブックが社名を変更したことが発表された。 新たな名前は「Meta」(メタ)。最高経営責任者であるマーク・ザッカーバーグ氏は「私たちは人々をつなぐ技術を構築する企業だ」という。そしてインターネットの新たな姿となるであろうメタバースを構築する企業となるべく、メタバースのメタからとった社名となった。 気になるのが、メタバースとは何を指す言葉なのか、だ』、「ザッカーバーグ氏」の度重なる議会喚問などで、「フェイスブック」の企業イメージも悪化していたので、改名はいいチャンスだ。
・『メタバースとは?  一般に言われるメタバースとは変化、高次、超越といった意味を持つメタ(meta)と、宇宙を意味するユニバース(universe)を組み合わせた造語であり、原典であるSF小説「スノウ・クラッシュ」(ニール・スティーヴンスン著)では、ゴーグルをかぶって見ることができる仮想空間を示す言葉として使われていた。 ザッカーバーグ氏が目指す未来も、VR(仮想現実)ヘッドセットをかぶりバーチャルな3D空間に構築された仮想空間で現実離れした体験ができるという、スノウ・クラッシュに近い軸線上にあるようだ。遠く離れている友人と仮想空間内で待ち合わせ、一瞬で海外へ旅立ち観光を楽しみ、ライブに参加してバーチャル上では密でも実際はお互いに自宅にいるから安全な状態で盛り上がれる。 ザッカーバーグ氏は、仮想空間内の自分自身となるアバターで仮想空間にアクセスでき、仮想空間作りも楽しめる「Horizon Worlds」や、遠隔地にいる同僚と一緒に話せる仮想会議室の「Horizon Workrooms」もアピールしていた。これらのサービスはすでに提供済みで、メタが販売中のVRヘッドセット「Quest 2」で利用できる。 このメタの発表は、賛否両論をもって迎えられたが、筆者の観測範囲では否定的な意見のほうが多かった。 幕張メッセで10月27~29日、VR・AR・MR(VRとARの要素を両立させた複合現実)の技術・サービスの展示会「第1回XR総合展秋」が開催されていたが、展示企業や参加者からは「メタバース=VRヘッドセットありきの世界ではない」という言葉が多く聞かれた。 確かに現時点におけるメタバースの定義は、インターネットを使ってコミュニケーションできる仮想現実そのものを指すケースが多い。2003年にはじまったセカンドライフしかり、2013年にはじまったファイナルファンタジーXIVしかり。2017年にリリースされたフォートナイトは戦うためのゲームと見られがちだが、全世界で3億5000万人(2021年6月時点)ものユーザーが集っており、ライブパーティで音楽を楽しんだり、他のユーザーが作り上げたミニゲームを楽しむユーザーも多い。若い世代に圧倒的な人気があることから、フォートナイトを新しいSNSだという声もある。 これらのサービスに共通した特徴は、VRヘッドセットを使わなくてもいいということ。PCやスマートフォンの画面越しに、3D空間に構築された仮想空間でコミュニケーションできる』、確かに「メタバース=VRヘッドセットありきの世界ではない」にも拘らず、「ザッカーバーグ氏が目指す未来も、VR(仮想現実)ヘッドセットをかぶりバーチャルな3D空間に構築された仮想空間で現実離れした体験ができるという・・・」、「ザッカーバーグ氏」自ら誤解を招くようなことをしたのは何故なのだろう。
・『「VRヘッドセット」というハードル  10月16~31日まで開催された「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス 2021」も、スマートフォン単体でバーチャル空間内の渋谷駅前に入ることができたメタバースな催しだった。KDDIの発表によれば、期間中の参加人数はのべ55万人だという。利用デバイスの割合は発表されなかったが、この参加人数の多さはスマートフォン対応イベントだからと言っていいだろう。 ビジネス利用においても、スマートフォンで見ることができるメタバースサービスに注目が集まっていた。日本では緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置が終了したとはいえ、いまだ新型コロナの危機は残っている。移動を必要とせずに商談や会議をしたいという目の前の課題を解決するために、新たなデバイスを用意しなくてはならないというのはハードルが高い。 事実、VRヘッドセットは一般に普及しているデバイスとはいえない。数年前までは高価で扱いにくい存在だったQuest 2は税込み3万7180円とゲーム機として考えると魅力的な存在となったが、誰もが手に取るデバイスとなるにはまだ大きく、約500グラムと重く、バッテリーの持ちも悪い。 しかし、だ。そのことをメタが、ザッカーバーグ氏が意識していないなんてことがあるのだろうか。 フェイスブックは2004年に、学生向けのコミュニケーションサービスとして生まれた。2006年に一般公開され大きなユーザーが集まるSNSへと成長したが、iPhoneをはじめとしたスマートフォンの存在が成長を助けたことに異論を差し挟む人はいないだろう。誰もがコンピューターをポケットに入れて持ち運べる時代が、場所を問わずにコミュニケーションできるSNSを支えてきた。 メタはほかにもワッツアップ(音声、動画メッセージが送れるサービスで4G回線とともに普及)、インスタグラム(スマホカメラの性能向上とともに普及)といったサービスを持っている。フェイスブックを含めてハードウェアの進化やインフラの普及が、インターネットを活用するユーザーの行動形態を変えていくことを知り尽くしている企業体だと言っていい。 ザッカーバーグ氏は、インターネット上のプラットフォームの主軸が文字から画像、動画へと移り変わり、今後はVRとARが後を引き継ぐものになると信じていると話す。 メタが目指すメタバースが、スマートフォンを手に持たずとも多くの情報を摂取できるハンズフリーなデジタル情報社会を作り上げようとする意思であり、宣言だとするならば、VRヘッドセットのメーカーでもある彼らは、より扱いやすいスマートグラスを開発し、誰もが手軽に携帯できる未来を作ろうとしていると考えられる。そう、スマートフォンを置き換えるデバイスの創造だ。2007年にiPhoneが発売されたことで、世界中の情報流通の形も消費の形も変貌したあの衝撃をメガネ型デバイスで起こそうとしているのではないか』、「より扱いやすいスマートグラスを開発し、誰もが手軽に携帯できる未来を作ろうとしていると考えられる。そう、スマートフォンを置き換えるデバイスの創造だ」、なるほど。
・『2022年発売の新型VRヘッドセット  10月28日の発表では、来年に発売されると噂されている新型VRヘッドセットの情報も少しだけ明らかになった。 従来機は主に上半身の動きを検知することができたが、新型機はよりリッチな体験ができるハイエンドモデルとして、足などの下半身、指先や、眼球、表情の動きまでも捉えることが可能になるようだ。VRヘッドセットに表示されたキーボードを叩けば文字が入力できるし、エアギターで本当に音を奏でられるようにもなる。 言葉では伝えきれない喜怒哀楽の感情をアバターに反映させ、現実世界で会って話しているときと同じ感覚でのコミュニケーションができることを予告していた。また周囲の現実を、カラー表示で透かして見ることができる機能も搭載されるようだ。 この段階では、まだメタの理想とする世界にはたどり着けないだろう。しかしコミュニケーション用途において十分な機能を持ったモデルになると想像できる。あとは軽量化や小型化といった課題をどうクリアするか。素材技術や製造技術の進化スピードにもよるが、筆者は、彼らが5カ年計画でデバイスを進化させて、ポストスマートフォンになりえるデバイスが生まれるのではと予想している』、「ポストスマートフォンになりえるデバイスが生まれるのではと予想」、今後の展開は目が離せそうもない。

第三に、1月14日付けNewsweek日本版が掲載したカナダ在住の作家、一田和樹氏による「内部告発で暴露されたフェイスブックの管理と責任能力の欠如」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/ichida/2022/01/post-33_1.php
・『<META社を始めとするビッグテックはそのパワーに応じた責任を放棄している無責任の帝国と言える>
・『META社(旧フェイスブック社)とはなにか  『アンチソーシャルメディア』(シヴァ・ヴァイディアナサン著)によればMETA社(旧フェイスブック社)のCEOマーク・ザッカーバーグは善意に満ちているという。しかし、その善意が間違った方向へと進んでいる。シヴァ・ヴァイディアナサンの言葉を借りれば、「思い上がった善意」で世界中の民主主義と知的文化の劣化を招いたという。 そうなってしまった理由はひとえにMETA社が大きくなりすぎたためだ。企業規模の管理ではとても間に合わなくなり、いたるところで予期しない問題を引き起こし、対処に失敗し続けている。かつてはアラブの春など肯定的な面が評価されたこともあったが、じょじょにそれが制御不能の混乱を引き起こす力なのだということがわかってきた。だから2021年1月に起きたような暴徒の議事堂乱入のような事件にもなり得る。 そのパワーは留まることを知らない。2017年の段階でMETA社の無償インターネット・サービスFree Basicsがネットサービスをほぼ独占した国は60カ国におよび、多くの人々はMETA社とスポンサーのサービスだけを利用しており(それ以外は有償となる)、ニュースもそこで表示されるものを読んでいる。META社が60カ国のメディア・エコシステムを支配しているに等しい。前掲書『アンチソーシャルメディア』には、「フェイスブックの設計やアルゴリズムのわずかな変更ですら、国全体の政治的命運を変えかねないのだ」と書かれているくらいだ。 2017年10月にはカンボジア、スリランカ、ボリビア、グアテマラ、セルビアにおいてMETA社がニュース表示を変更する実験を行ったせいで、独立系ニュースサイトへのアクセスが激減し、その結果言論統制が強化される事態を起こした(The New York Times)。シヴァ・ヴァイディアナサンの言葉がおおげさではないことがわかる。その影響力はもはや1ネットサービスあるいはメディアの枠をはるかに超えている。 2018年に刊行した拙著『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』(角川新書)でフェイスブックはすでに国家であると指摘したが、じょじょに同様の認識が世界に広がっている。ユーラシア・グループ代表のイアン・ブレマーは2022年の10大脅威の2番目に「テクノポーラー」な世界をあげた。端的に言えばビッグテックが地政学上のアクターとなったことを指している。これがリスクにあげられているのは、そのパワーに比較して、統治能力に欠けているためだ。META社を始めとするビッグテックはそのパワーに応じた責任を放棄している無責任の帝国と言える。 そして昨年には管理統治能力の欠如とそもそもそうした責任を負う気がないことが、内部告発=フェイスブック・ペーパーで白日の下にさらされた』、
・『フェイスブック・ペーパーが暴露した管理と責任能力の欠如  昨年、17社以上の報道機関が共同でフェイスブック内部資料をもとに同社の実態を暴露した。主たる内容は以前の記事にも書いたコンテンツモデレーションを始めとする不適切な管理に関するものだった。 The Washington Postは一連の報道をまとめて記事を掲載した。問題となる3つの事実とは、「アメリカ大統領後に安全対策を解除した(議事堂への暴徒乱入を招いた可能性)」、「レコメンデーションが有害なコンテンツに誘導していることを知りながら放置してした」、「ヘイトスピーチや偽情報の問題は発展途上国でより悪化している」である。 The Wall Street Journalのフェイスブック・ペーパーの特集ページには17の記事が掲載されているが、優先すべき利用者に対してコンテンツのルールの適用外としてヘイトなどを放置していたことや、発展途上国で麻薬や人身売買の投稿を充分に規制できずにそれらの温床となっていること、他のSNSよりも利用者に悪影響があることを知りながら対処していないこと、そして、家族や友人との交流を優先するアルゴリズムによってこれらの傾向をさらに助長したことなどがあげられている。 また、フェイスブック・ペーパーとは別にThe MarkupではCitizen Browserというプロジェクトでフェイスブックのコンテンツ管理の実態を暴いている。このプロジェクトはアメリカの人口構成に合わせて割り振ったパネルにCitizen Browserを利用してもらい、その利用状況を自動的に収集し、分析するものだ。あらかじめパネルの属性を把握しているため、突っ込んだ分析も行いやすくなっている。くわしい内容については、別途拙ブログにまとめた。 さまざまなフェイスブックの実態が明らかになっている。性別、世代、バイデン支持かトランプ支持かなど属性の違いによって表示されるニュースが大きく異なっており、2021年1月の暴動後にバイデン支持者とトランプ支持者にそれぞれの主張に合うようなニュースのみを表示していた。いわゆるフィルターバブルである。 特定の政治団体を勧めていないというMETA社の主張にもかかわらず、政治団体に誘導していた。同社では透明性を高めるためにアクセスの多いコンテンツを公開しているが、アクセスの頻度は考慮されず1回のアクセスも千回のアクセスも1とカウントしていた(いわゆるリーチ)。そのため大手メディアが上位に来やすくなっていた。Citizen Browserの統計を元に閲覧回数(インプレッション)でランキング取ってみると、複数の右派メディアが上位に食い込んでおり、これを隠すためにインプレッションを使わなかったのではないかと指摘している。 コンテンツ以外には、広告主に対して、不適切なカテゴリーでの広告出稿を可能としていた。閲覧履歴やいいね!やフォロー関係などから、特定の病気を気にしている利用者利用者を狙って広告を表示できるようになっていた。同様の問題は、以前にも指摘されており、エセ科学に興味を示している7,800万人以上を広告ターゲットとしてカテゴリー化していたこともある。それ以外に、陰謀論、ケムトレイル陰謀論、ワクチン疑惑、ユダヤ人差別者、ユダヤ人陰謀論なども広告のカテゴリーになっていたことを以前の記事でご紹介した』、「Citizen Browserの統計を元に閲覧回数(インプレッション)でランキング取ってみると、複数の右派メディアが上位に食い込んでおり、これを隠すためにインプレッションを使わなかったのではないかと指摘している」、悪質だ。
・『国家以外の地政学上のアクターが跋扈する新しい時代  こうした一連のMETA社の問題は、すでに書いたようにその影響力に比較して管理統治能力が欠落していることに起因しており、それはそのパワーに見合ったビジョンを持っていないことに由来している。企業としての理念はあるかもしれないが(それもまともに機能していないようだが)、地政学上のパワーに釣り合うビジョンはない。そもそも地政学上のアクターになるつもりもなかったし、なりたいとも思っていなかった。そしてなってしまった今でも、できるだけそれを認めたくないと考えている。このような状態では責任ある対応は望むべくもない。 こうした一連の問題が露見した後でMETA社がやったことと言えば社名の変更と、メタバース事業の展開の宣言だ。あとは、国会での追求を逃れるための工作くらいだ。The Wall Street JournalがMETA社の政治工作を記事にしている。 企業としては問題ないかもしれないが、現在持っているパワーと負っている責任にはそぐわない。META社がフェイスブックのアルゴリズムを変えるだけでその国のメディアは滅び、差別が悪化し、暴動が起きる。それを止めるものがなにもないことは、昨年1月のアメリカ議事堂の暴動や、グローバル・サウス諸国での既存メディアのビジネスの破壊、ミャンマー、カンボジア、インド、フィリピンのような専制政治の支援(META社は各国にサポート要員を送っていた)と結果としての民主主義体制の毀損、ヘイトや犯罪(麻薬、人身売買など)の拡大でわかっている。起きてから批判することはできても、起きることは止められていない。 地政学的脅威には地政学的対処でなければ効果がない、と言われる。その通りだとすれば、対症療法であるファクトチェックやリテラシーなどではなく、地政学的対処が必要となる。META社に対して考えられるのは強力な規制や分割などだが、これについてもイアン・ブレマーはその効果は限定的と分析している。現在、META社などのビッグテックに対する効果的な地政学的対処方法は見つかっていないのだ。それがない限りは、混乱はますます広がり、政情は不安定化する一方になるだろう。そして、これまでの傾向を見る限り、保守あるいは右派のグループが優遇され、ヘイトや陰謀論が増殖することになる。 日本でもフェイクニュースについて取り上げられることが増えてきたが、ほとんどは現象としての個々のフェイクニュースを取り上げるものが多い。しかし、メディアのエコシステムやビッグテックの地政学的位置づけを考えなければ全体像を把握できない。ミャンマー、カンボジア、インド、フィリピンで起こったことは他人事ではない。日本でも特定の政治勢力とビッグテックが結びついてメディアのエコシステムを支配する事態が起きないとは言えない。こうした視点とそれに基づく対策がなければ、混乱は収まることがなく悪化するばかりだろう』、「META社がフェイスブックのアルゴリズムを変えるだけでその国のメディアは滅び、差別が悪化し、暴動が起きる。それを止めるものがなにもないことは、昨年1月のアメリカ議事堂の暴動や、グローバル・サウス諸国での既存メディアのビジネスの破壊、ミャンマー、カンボジア、インド、フィリピンのような専制政治の支援・・・と結果としての民主主義体制の毀損、ヘイトや犯罪・・・の拡大でわかっている」、「専制政治の支援」として、「META社は各国にサポート要員を送っていた」、サポート要員とは技術的支援ではなく、政治的支援だとすれば、由々しい問題だ。「META社に対して考えられるのは強力な規制や分割などだが、これについてもイアン・ブレマーはその効果は限定的と分析」、「強力な規制や分割」に「イアン・ブレマー氏」が消極的なのには失望した。
タグ:フェイスブック問題 東洋経済オンライン 一田和樹 「「フェイスブック改めメタ」が目指すVRの世界 ゴーグルで体験するバーチャルな空間とは?」 武者 良太 「より扱いやすいスマートグラスを開発し、誰もが手軽に携帯できる未来を作ろうとしていると考えられる。そう、スマートフォンを置き換えるデバイスの創造だ」、なるほど。 (その4)(内部報告書が語る若年層でのFBの人気低下の加速 ティーンエージャーが費やす時間は前年比16%減、「フェイスブック改めメタ」が目指すVRの世界 ゴーグルで体験するバーチャルな空間とは?、内部告発で暴露されたフェイスブックの管理と責任能力の欠如) 「ポストスマートフォンになりえるデバイスが生まれるのではと予想」、今後の展開は目が離せそうもない。 Newsweek日本版 確かに「メタバース=VRヘッドセットありきの世界ではない」にも拘らず、「ザッカーバーグ氏が目指す未来も、VR(仮想現実)ヘッドセットをかぶりバーチャルな3D空間に構築された仮想空間で現実離れした体験ができるという・・・」、「ザッカーバーグ氏」自ら誤解を招くようなことをしたのは何故なのだろう。 ブルームバーグ「内部報告書が語る若年層でのFBの人気低下の加速 ティーンエージャーが費やす時間は前年比16%減」 「公の場で告発した元社員フランシス・ホーゲン氏が集めた数百件の内部資料の一部」が、「SECに開示されるなどした」、さすが情報公開の国だけある。 「フェイスブックは若者の利用が低下していることを以前から調査してきたが、幹部は広告事業を脅かすこうした懸念の表明に明らかに積極的ではなかった」、利用低下は「広告料」に反映するので、同社としては認めたくない不都合な事実なのだろう。 「ザッカーバーグ氏」の度重なる議会喚問などで、「フェイスブック」の企業イメージも悪化していたので、改名はいいチャンスだ。 「内部告発で暴露されたフェイスブックの管理と責任能力の欠如」 「META社を始めとするビッグテックはそのパワーに応じた責任を放棄している無責任の帝国と言える。 そして昨年には管理統治能力の欠如とそもそもそうした責任を負う気がないことが、内部告発=フェイスブック・ペーパーで白日の下にさらされた」、深刻な問題だ。 「Citizen Browserの統計を元に閲覧回数(インプレッション)でランキング取ってみると、複数の右派メディアが上位に食い込んでおり、これを隠すためにインプレッションを使わなかったのではないかと指摘している」、悪質だ。 「META社がフェイスブックのアルゴリズムを変えるだけでその国のメディアは滅び、差別が悪化し、暴動が起きる。それを止めるものがなにもないことは、昨年1月のアメリカ議事堂の暴動や、グローバル・サウス諸国での既存メディアのビジネスの破壊、ミャンマー、カンボジア、インド、フィリピンのような専制政治の支援・・・と結果としての民主主義体制の毀損、ヘイトや犯罪・・・の拡大でわかっている」、「専制政治の支援」として、「META社は各国にサポート要員を送っていた」、サポート要員とは技術的支援ではなく、政治的支援だとすれば
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メディア(その29)(インタビュー【経営編】/朝日新聞社社長 中村史郎 朝日新聞の新社長、「赤字400億円」への痛切な反省、立憲民主が自民批判メディアに1000万円提供?「ブーメラン」が繰り返される理由、昨年も180万部減 全然止まらぬ「新聞」衰退の末路 「毎日」「産経」規模の部数が毎年消失している) [メディア]

メディア(その29)については、7月2日に取上げた。今日は、(インタビュー【経営編】/朝日新聞社社長 中村史郎 朝日新聞の新社長、「赤字400億円」への痛切な反省、立憲民主が自民批判メディアに1000万円提供?「ブーメラン」が繰り返される理由、昨年も180万部減 全然止まらぬ「新聞」衰退の末路 「毎日」「産経」規模の部数が毎年消失している)である。

先ずは、昨年7月14日付け東洋経済Plus「インタビュー【経営編】/朝日新聞社社長 中村史郎 朝日新聞の新社長、「赤字400億円」への痛切な反省」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/27517?utm_campaign=EDtkprem_2107&utm_content=440794&utm_medium=article&utm_source=edTKO#contd
・『日本のジャーナリズムの先駆者である朝日新聞社はいかにして経営を立て直すのか。また、メディアへの信頼が薄らぐいま、報道機関としての役割をどのように担っていくのか。 11年ぶりの営業赤字に転落した朝日新聞社。2021年4月から新社長に就任し、経営の立て直しを任された中村史郎氏が東洋経済の取材に応じた。 「使命は経営の立て直しだ」――。2021年4月1日に朝日新聞社の社長に就任した中村史郎氏は、東洋経済のインタビューに対し力強く語った。 朝日新聞社は新型コロナの影響も受け、2021年3月期決算の売上高は2937億円(前年比16.9%減)、営業損益は70億円の赤字(前年は23億円の黒字)と2010年3月期以来の営業赤字に転落した。繰延税金資産を取り崩した結果、純損益では創業以来最大となる441億円の巨額赤字を計上している。 新聞販売部数の減少に歯止めがかからない中、日本のジャーナリズムの先駆者である朝日新聞社 中村新社長はどのように経営を立て直していくのか(Qは利き手の質問、Aは中村社長の回答)』、「繰延税金資産を取り崩した結果、純損益では創業以来最大となる441億円の巨額赤字を計上」、とは本当に厳しい決算だ。
・『スローガンは「朝日新聞を創り直す」  Q:「社長になってほしい」という話があったとき、どう受け止めましたか。また、いまの朝日新聞社をどう見ていますか。 A:この難局が自分に務まるか、と相当に逡巡した。そもそも副社長(編集部注:2020年6月に就任)を打診されたときに、自分はこの先どうなるんだろうか、と。私自身の使命は経営の立て直しだ。社内では「朝日新聞を創り直す」とスローガンを掲げている。 いつの時代でも、どんな組織でも、変えるべきものと変えるべきでないものがある。朝日新聞社もまさに、その葛藤のど真ん中にいる。戦時中の弾圧や軍部への迎合、敗戦など、創業142年の歴史の中でも、いまは相当厳しい葛藤の時期だ。ただ朝日新聞社が「報道機関・言論機関」であることを変えてはいけない。 社長就任以前から言っていたが、プリントメディア(新聞紙)のみに依拠した事業構造は変えなければならない。これまでは「1本の大樹」(新聞紙)の下でみんなが暮らせていたが、その木が年をとってきた。今後はいろいろな木を植え、森のようにして、その中で暮らせる事業構造に転換していく。 Q:しかし、新聞からの転換という話は10年以上前からあった話です。いまだに対応できていないのは、それに真摯に向き合っていなかったのでは。 A:厳しい指摘だが、紙からデジタルへの構造改革のスピード感が遅かったのは、大きな反省だ。いまはどこの新聞メディアよりも、そこを早くやり遂げて新しい新聞社のビジネスモデルを示せるような存在になりたい。 新聞のみではいけないという意識は、早くからあった。私が入社した1986年、当時社長の一柳東一郎は単一商品依存から脱却し、総合情報産業になるという長期ビジョンを発表している。 ただ、紙の新聞が右肩下がりになる中、いまにして思えば、先行きを確信できなかった時期があった。新聞という同一商品を紙とデジタルでお届けするので、最初は「喰い合う」警戒感が私たち自身にあった。そういった葛藤の2010年代だった。 いまは「紙の新聞をデジタルで読める」ではなく、紙にはない見せ方、動画や音声など(コンテンツが)独自の進化を遂げている。2018年の秋には、人的にも資金的にも明確にデジタルシフトを進めると経営判断した』、「デジタルシフト」については、「最初は「喰い合う」警戒感が私たち自身にあった」が、いまは「紙にはない見せ方、動画や音声など(コンテンツが)独自の進化を遂げている」、気づくのが遅きに失したきらいがある。
・『値上げの理由は「そろそろ我慢の限界」  Q:7月に27年ぶりに朝日新聞の購読料を値上げしました。背景には苦しい経営事情があるように窺えますが、理由は何でしょうか。また、これによって確保した資金をどのように活用しますか。 A:今回の価格改定は27年半ぶりだが、そのころは新聞部数も800万部以上あった。いまは500万部を切っている。この間に、いろいろなコストが相当にかかってくるようになった。 さらに、新型コロナの影響が直撃し、お客様には申し訳ないが、そろそろ我慢の限界なので上げさせてほしいということが値上げの理由だ。プリントメディアは高コスト体質になっており、輸送費や原材料費、人件費をできるだけ効率化しなければいけない。ただ自社の努力だけでは限界だ。 実際、読売新聞も2019年1月に値上げをしている。この間、朝日新聞は戦略もあって我慢してきたが、スポーツ紙も含めると70社近い新聞社が値上げをしてきた。いわば、私たちが最後のグループだった。値上げをせざるをえないというのは各社共通の問題意識になっていた。 (中村氏の略歴はリンク先参照) 27年前の値上げの際には、新聞部数がまだまだ伸びるだろう、あるいは維持できると思っていたが、いまはダウントレンドにある。この中での値上げは各社経験のないことだ。今回の値上げによって得られる増収分は事業構造を転換するために投資をしていくが、(部数が減少することで)段々目減りしていく。この間に、事業構造の転換を急がなければいけない。 Q:社長就任が決まった際に、約2億円の経費削減を目的に、社員への朝日新聞購読補助の廃止を掲げました。その後、これは撤回されましたが、社員とはどのようにコミュニケーションしていたのですか。 新聞購読料の補助廃止は、(新型コロナによる広告収入減など)2020年の急速な経営悪化の中で、支出構造を変えないといけない、いろんなところになたを振るう必要がある中で出した1つの提案だった。それは組合との交渉や社員の意見を聞く中でここは無理できないと思い、提案を引っ込めた。これ以上の説明はない。 2021年3月期は繰延税金資産を取り崩した影響もあり、朝日新聞社としてはかつてない巨額赤字を計上した。営業損益でもリーマンショックを上回る規模の赤字を出した。ここで私たちが事業転換、構造改革に発想を変えなければ、「影響力のあるメディアとして生き残れませんよ」と。それがこの時期に社長を交代した理由でもある。 そうしたことはしっかり社員にも都度伝えている。就任前の2021年春から、社員向けのコミュニケーションは前社長時と比べると格段に強化している。対外的な発信と同時に、インナー(社内)コミュニケーションを改革しなければ社員一丸になれないこともあり、私もいろいろな場所で話をしたり、社内ブログなどを始めたりしている』、「新聞購読料の補助廃止」を「ここは無理できないと思い、提案を引っ込めた」、弱腰だ。
・『元BuzzFeed Japan編集長を招いたわけ  Q:2021年から3カ年の中期経営計画では「営業損益の2021年度黒字化」や「メディア・コンテンツ事業の収支均衡」「2023年度に朝日ID(朝日新聞が運営するサービスの共通ID)750万件」を掲げています。 新聞紙が売り上げの半分を占める屋台骨だが、高コスト体質で効率化しなければ会社として黒字にならない。販売、生産、輸送などいろいろな面で他社と協働する取り組みを加速させている。 収入面ではデジタル、不動産、イベントを強化の3本柱に掲げている。デジタルでは、朝日新聞デジタルはもちろん、バーティカルメディア(特定分野に特化したメディア)など30以上の無料・有料メディアがある。権力を監視するといった伝統的なジャーナリズムを守りつつ、それ以外の暮らしに役立つ情報や生活情報などの専門サイトも拡充したい。 強みの1つである不動産では、全国に優良な物件を抱えている。イベントでは従来型の展覧会などに加え、記者サロンやコロナ禍で広がってきたオンラインイベントなどに力を入れる。こうしたグループ全体の商品・サービスをつなげるのが朝日IDだ。新聞がいらないとすれば、他の商品、サービスはどうですか、と。客単価を上げるためにも、お客様とのつながりを強化して、朝日IDをいまの規模の1.5倍にまで3年で増加させたい。 Q:強化分野の1つである朝日新聞デジタルの有料会員数は、2015年に23万人、2020年に約30万人と報じられています。この5年で10万人弱の会員獲得です。これは成功だったのでしょうか、失敗だったのでしょうか。 A:言い方が微妙になるが、伸びてはいる。課金の売り上げはここ3年で140%になっている。伸びてはいるが、もっと伸びてほしい。失敗だったとは思わないが、まだ勢いが足りない。 勢いをつけるために朝日新聞デジタルの編集長に外部から(元BuzzFeed Japanオリジナル編集長の)伊藤大地くんに来てもらった。また、今年から順次リニューアルも開始して、有識者に参加してもらうコメント欄を新設した。記者が記事を書くだけではなく、音声メディアのポッドキャストや記者イベントでニュース解説をするなど、読者への届け方を工夫している』、「朝日新聞デジタルの編集長に外部から」、とは思い切った人事だ。これを機に「朝日新聞」が「デジタル」を中心に持ち直してほしいものだ。

次に、本年1月6日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの窪田順生氏による「立憲民主が自民批判メディアに1000万円提供?「ブーメラン」が繰り返される理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/292445
・『立憲民主党が「公共メディア」にお金注ぎ込みネガキャン?  またしても特大ブーメランがきれいな放物線を描いて後頭部に突き刺さってしまった。ここまでくるともはや「お家芸」と言っていい。 テレビの報道番組や映画、ドキュメンタリーを制作している有志の方たちが運営しているネットメディア「Choose Life Project」に、1000万円以上の「番組制作費」を突っ込んでいた疑惑が持ち上がっている立憲民主党のことだ。これは、同メディアに出演していた、ジャーナリストの津田大介氏、望月衣塑子氏、エッセイストの小島慶子氏などが連名で公開した「Choose Life Projectのあり方に対する抗議」で明らかになった。 このメディアはホームページで、「自由で公正な社会のために」というスローガンを掲げて、「公共のメディア」を名乗っているのだが、そこでは自民党を厳しく追及するような、クセの強いコンテンツも少なくない。例えば、こんな調子である。 ●「桜を見る会」疑惑。安倍前総理、どう責任をとる?(20年12月22日) ●7年8ヶ月 戦後最長政権の終焉 安倍政権とはなんだったのか(20年8月28日) ●これは、憲法違反である。#日本学術会議への人事介入に抗議する(20年12月4日) 津田氏らの調査では、1000万円以上の制作費は20年春から半年にわたって提供されたという。そのため、これらの自民批判コンテンツも立憲民主マネーで仕掛けられたものではないか、と見る向きもあるのだ。 と聞くと、「ん? そんな話ちょっと前にもなかったっけ?」と感じる人も多いだろう。そう、実はこれとほぼ同じ構図の疑惑が自民党にも持ち上がっており、立憲民主党は厳しく追及をしている真っ只中なのである。 立憲民主党の議員らを誹謗中傷していたTwitterアカウント「Dappi」に、自民党マネーが流れていたのではないか、といういわゆる「Dappiゲート」である』、「自民党」に続いて、「立憲民主党が「公共メディア」にお金注ぎ込みネガキャン」、とはいい加減にしてほしい。
・『「Dappi」の批判をしていた立憲民主に華麗なブーメランか  ご存じのない方のために、「Dappiゲート」を簡単に説明をすると、フォロワー数17.9万人という影響力を誇る「Dappi」はプロフィールに「日本が大好きです。偏向報道をするマスコミは嫌いです。国会中継を見てます」とあるように、愛国心あふれる方たちの溜飲を下げる野党攻撃を繰り返していた。 そこで小西洋之・参議院議員と杉尾秀哉・参議院議員が名誉毀損で訴えたところ、驚くような事実が明らかになった。発信元回線契約をしていたWEB制作会社が、自民党と取引があることがわかったのである。 「しんぶん赤旗 日曜版」や「Buzz Feed Japan」などの取材によれば、この会社は自民党東京都連、小渕優子議員の資金管理団体、自民党本部が出資して設立した集金代行会社「システム収納センター」などと取引があった。しかも社長は、自民党本部の事務方トップである元宿仁事務総長と親族関係という報道もある。 かくして、野党やマスコミは昨年10月から、「自民党が金を出してネトウヨに野党批判をさせていた」という批判を展開していた。ちなみに、「Choose Life Project」でも、小西議員と杉尾議員の記者会見を取り上げている。 ●「Dappiは、民間人でなく、完全に国政を理解した組織的な行為」小西洋之・杉尾秀哉参院議員(20年12月10日) こんな調子で、自民党のネット工作を批判しておきながら、自分たちも「公共のメディア」に1000万もカネを突っ込んでネガキャンを仕掛けていたとしたら――。一体どの口が言うのか、というほど華麗な特大ブーメランではないか。 また、「ブーメラン」で済む話ではないという厳しい意見もある。明らかに特定のイデオロギーに傾倒している「ネトウヨ的アカウント」を利用するより、「公正」「報道」をうたう「公共のメディア」を利用しているという意味では、より悪質で卑劣だという批判もあるのだ。 もちろん、抗議を受けた「Choose Life Project」の説明はこれからなので、津田氏らの調査が間違っているという可能性もゼロではない。抗議文によれば、1000万円は広告会社や制作会社を経由していた、というので運営側も立憲民主マネーだと気付かずに、受け取っていたということもある。 ただ、現時点の状況を見ている限りは残念ながら、「Dappi」と同じ穴のムジナのような気がしてしまう。なぜかというと、「Dappiゲート」の扱い方から、「後ろめたさ」を感じるからだ』、「現時点の状況を見ている限りは残念ながら、「Dappi」と同じ穴のムジナのような気がしてしまう」、なるほど。
・『「Choose Life Project」は「Dappi」をほぼ取り上げなかった  「Dappi」をめぐる疑惑というのは昨年、野党やマスコミ、ネットメディアではそれなりに注目されていた。例えば、「朝日新聞デジタル」で「Dappi」を検索すると記事が15件出てくる。「Buzz Feed」では記事は10件ヒットした(22年1月5日現在)。 しかし、「Choose Life Project」でこのネタは先ほど紹介した昨年12月10日のコンテンツが1件しか出てこない。 2件とそれなりにある。五輪の問題や政府のコロナ対策などはもっと多く扱っている。その時々の注目される政治ネタをちゃんと押さえているのだ。 にもかかわらず、「Dappi」は1件だけ。これはかなり不自然だ。 今回、抗議文を出した津田氏や望月氏は、さまざまなメディアで「Dappiゲート」を追及していた。他にも「Choose Life Project」に出演していた政治家、有識者で「Dappi」を問題視していた人は多い。彼らに声をかければ、他のマスコミやメディアと同じような「Dappi」の疑惑を追及するコンテンツはできたはずだ。しかし、そうしなかった。ということは、そうせざるを得ない「オトナの事情」があったということではないだろうか。 もし津田氏らが指摘しているように、「Choose Life Project」に立憲民主党からの1000万円以上の番組制作費が渡っていたとしたら、このメディアで働く人々が積極的に「自民党ネット工作」をテーマにしたコンテンツをつくれるだろうか。 つくれるわけがない。偉そうなことを言って批判すればするほど、それは大きなブーメランになって自分たちのもとに返ってくる恐れがある。 つまり、「Choose Life Project」で「Dappi」関連コンテンツが1本しかないという事実が、津田氏らが指摘する、「立憲民主党から1000万円以上の番組制作費をもらった」という話に、妙に説得力を持たせてしまっているのだ』、「「Choose Life Project」で「Dappi」関連コンテンツが1本しかないという事実が、津田氏らが指摘する、「立憲民主党から1000万円以上の番組制作費をもらった」という話に、妙に説得力を持たせてしまっているのだ」、その通りなのかも知れない。
・『立憲民主党が「ブーメラン」を繰り返す本質的な原因  さて、このような話を聞いていると次に皆さんが不思議に感じるのは、なぜ立憲民主党は「ブーメラン」を繰り返すのか、ということではないだろうか。 国会で自民党や政府を厳しく批判する。フリップやパネルを駆使して、「こんなひどい話があるなんて信じられません!説明してください!」と舌鋒鋭く追及をする。しかし、ほどなくして自分たちの身内にも同じような問題があることが発覚する、なんてことが民主党、民進党時代から幾度となく繰り返されている。 この「ブーメラン芸」が筆者は個人的に大好物である。かねてからウォッチしていたので、僭越ながら以下のようにその原因を分析させていただいてきた。 ●民進党に特大ブーメラン再び!加計学園を応援した過去(2017年5月25日) ●「ブーメランの女王」辻元清美氏の戦略はどこが間違っているのか(2017年3月30日) 分析して見えてきたのは、「他人を批判してばかりいるから自滅する」ということだけでは説明できない、立憲民主党が抱える本質的な問題だ。 それは、自民党所属の議員とイデオロギーがちょっと異なるだけで、本質的なところでは「同じ穴のムジナ」ということである。 自民も立憲も国会議員は、政党からの金銭的・人的サポートがないと立候補できないし、地方議員と支持団体の世話にならないと当選できない。つまり、基本的に同じシステムでつくられる政治家なので、「政治とカネ」の問題も共通するし、「既得権益」に弱いところも同じなのだ。 「国家観や安全保障に関する考えが天と地ほど違うだろ!」というが、そこまで極端なのは一部で、多くはプロレスのように支持者のため「政府批判」というヒール役を演じている人も多い。かつて民主党のホープと言われた、細野豪志議員がちゃっかり自民党二階派にフィットしているように、立憲民主党の中には、自民党内リベラル、宏池会に入っていてもおかしくない議員が山ほどいる。 嘘だと思うなら、「枝野ビジョン 支え合う日本」(文春新書)と「岸田ビジョン 分断から協調へ」(講談社+α新書)を読み比べてみればいい。表現が異なるだけで、言っている内容はそれほど大きな違いはない。 自民党支持者からは「ふざけるな、このサヨク!」と罵られ、立憲民主党支持者からは「テキトーなことを言うな、このネトウヨめ!」とお叱りを受けるだろうが、自民と立憲民主の議員が本質的に「同じ穴のムジナ」だという証拠は他にもある。 それは、文書通信交通滞在費(文通費)だ』、「自民と立憲民主の議員が本質的に「同じ穴のムジナ」」、確かに言われてみれば、そうなのかも知れない。
・『「政治とカネ」の問題は立憲民主党にも不都合?   ちょっと前に話題になったので覚えている方も多いだろうが、これは議員歳費(給料)とは別に毎月100万円、年間1200万円手渡される非課税の「第二給料」と言われている。 なぜかというと、この1200万円をどう使ったのか国会議員は国民に知らせなくていいからだ。極端な話、銀座で飲み歩いてもいいし、子どもの留学費用にあててもわからない。 つまり、子育て世帯への「20万円給付」であれほど大騒ぎをしていたが、なんのことはない、国会議員には平時から毎年1200万円のバラマキ給付金があるのだ。 旧ソ連などならいざ知らず、先進国でこんな前近代的な議員特権を放置しているケースは珍しい。当然、十数年前から1200万円もらったらその使い道をしっかりと公表すべきだという声が上がり、日本維新の会や国民民主党など一部の野党が徐々に使途公開へと踏み切っている。 しかし、全国会議員ではなかなか実現しない。自民党が反対しているということもあるが、いつもことごとく自民と逆をやる立憲民主党も公開に踏み切らないからだ。 普通に考えれば、自民や公明の「政治とカネ」の問題がこれだけ出ている中で、立憲民主党が日本維新の会のように使途公開すれば、力いっぱい自民批判ができる。しかし、西村智奈美幹事長は12月28日の記者会見で「全議員が同じルールの下で公開することによって初めて意味を持ってくる」と述べるなど、思いっきり腰が引けている。 なぜか。自民党が、議員に配られる1200万円の内訳を白日の元にさらされると、いろいろと都合の悪いのと同じように、立憲民主党にも都合の悪いことがあるからとしか思えない。 少し前、自民の国会議員が選挙時に、「県議会のドン」と呼ばれる県議から裏金を要求されたと告発したことがあったように、日本の政治は、いまだに「現金」で票固めをしているような人々もいる世界だ。文通費もその原資となっているという指摘もある。 いずれにせよ、いつも互いに批判し合っている自民党と立憲民主党だが、議員定数の削減や文通費など「自分たちの特権を守る」という話になると、まるで同じ党なのかと錯覚するほど意見が合っている。本質的なところで守りたいもの、変えたくないことは一緒なのだ。 この「自民と立憲民主は同じ穴のムジナ」という問題が解消されない限り、立憲民主党には「ブーメラン」が刺さり続けるのではないか』、「文書通信交通滞在費」について、「日本維新の会や国民民主党など一部の野党が徐々に使途公開へと踏み切っている」にも拘らず、「立憲民主党」の腰が重いとは残念至極だ。「立憲民主党」の猛省を促したい。

第三に、本年1月10日付け東洋経済オンラインが掲載した取材記者グループのFrontline Pressによる「昨年も180万部減、全然止まらぬ「新聞」衰退の末路 「毎日」「産経」規模の部数が毎年消失している」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/500413
・『2021年末に公表された日本新聞協会の最新データで、一般紙の総発行部数が3000万部割れ寸前まで落ち込んだことが明らかになった。 日本の新聞は高度経済成長期の1966年に3000万部台に乗り、その後は1990年代末の5000万部超まで拡大した。しかし、その後は下降を続け、部数減が止まる気配はまったくない。このまま進めば、本年中に一般紙は3000万部台を割り込むことが確実。高度経済成長以前の水準にまで落ち込むのも時間の問題になってきた』、「本年中に一般紙は3000万部台を割り込むことが確実」とはずいぶん減ったものだ。
・『新聞離れに一定の歯止め?  日本新聞協会が2021年12月下旬に公表した同年10月時点のデータによれば、スポーツ紙を除く一般の日刊紙97紙の総発行部数は、前年比5.5%(179万7643部)減の3065万7153部だった。20年前の2001年には4700万部、10年前の2011年には4400万部を数えたものの、今や3000万部割れが目前である。 新聞協会のデータを公表前に見た全国紙の経営幹部は、「思ったほど減少率が大きくなかった。減り方は鈍化したと言える。コロナ禍で人々が正確な情報を欲し、それが新聞離れに一定の歯止めになったのではないか」と推察した。 この幹部が言うように、前年2020年10月時点のデータと比べると、減少の速度はやや緩やかになった。スポーツ紙も含めた1年前の発行部数は3509万1944部。2019年との比較では7.2%減で、その減少幅は過去最大だった。これまでに例のない落ち込みというインパクトは強烈だったから、「7.2%減」が「5.9%減」になったことに少しでも安堵したいという気持ちはよくわかる。 しかし、読者の「紙離れ」に、もうそんな気休めが入り込む余地はない。 次の表を見てほしい(※外部配信先では図をすべて閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)。 右端の欄が対前年の減少部数を示したものだ。数字の「赤い文字」は対前年でマイナス、「黒い文字」はプラスである。「黒い文字」も2回を数えるが、ほとんど真っ赤だ。しかも、直近になるにつれ、マイナス部数が急増していることがわかる。 特に2017年以降は厳しい。毎年、対前年で100万部以上の減少が続き、2017~2021年の5年間では合計916万部余りが消し飛んだ。読売新聞は日本一の700万部以上を有するとされるが、それと同じ規模の部数が5年足らずで丸々消えてしまった勘定だ。1年単位で考えても毎日新聞(約200万部)や産経新聞(約120万部)クラスの新聞が1つ2つなくなっている』、「1年単位で考えても毎日新聞(約200万部)や産経新聞(約120万部)クラスの新聞が1つ2つなくなっている」、確かに「新聞離れ」は想像以上に進んでいるようだ。
・『コスト負担に耐えかねて夕刊廃止も止まらず  2021年のデータで発行形態別の数字を見てみよう。それによると、朝夕刊セット部数の合計は648万4982部(10.6%減)となった。これに対し、朝刊単独の部数は2591万4024部(4.2%減)で、夕刊単独は62万8129部(19.0%減)。夕刊離れが特に著しいことがわかる。 かつて、紙で新聞を読む人の大半は、同じブランドの新聞を朝刊も夕刊も読んでいた。そうした「セット」購読層は今後、稀有な存在になっていくだろう。読者が夕刊の購読をやめる前に、コスト負担に耐えかねて「休刊」という名の夕刊廃止に踏み切った新聞社も少なくない。 特に地方紙でそれが目立つ。広告がほとんど入らないため、広告スペースを自社関連の出版物や催しの案内で埋めざるをえなかった新聞も多い。これに配達員不足が加わり、多くの新聞社で夕刊はお荷物でしかなくなったのだ。 主な夕刊廃止の動きをざっとまとめておこう。◎は地方紙よりも発行エリアの狭い「地域紙」であり、かつ、もともと夕刊しか発行してない。 【2021年】 ◎根室新聞(北海道)、◎千歳民報(同)、◎両毛新聞(栃木県)、◎近江同盟新聞(滋賀県)、熊本日日新聞 【2020年】東奥日報(青森県)、山陽新聞(岡山県)、徳島新聞、高知新聞、大分合同新聞 【2010~2019年】岩手日報、秋田魁新報、岐阜新聞、◎岡山日日新聞、中国新聞(広島県)、沖縄タイムス(沖縄県)、琉球新報(同) 2009年以前には、早々と北日本新聞(富山県)や南日本新聞(鹿児島県)などが夕刊から撤退し、夕刊紙の名古屋タイムスは廃刊した。また、朝刊だけの発行だった茨城県の常陽新聞は2017年に廃刊した。こうした動きはさらに強まっており、新聞界に影響力を持つ有力新聞が夕刊発行の停止に踏み切るとの話もくすぶっている』、「夕刊」は読む価値が小さくなり、「廃止」されても読者は困らないだろう。
・『あと5~6年で最終局面を迎える  ここ数年、日本では「新聞社はあと5~6年で最終局面を迎える」「淘汰と合従連衡が本格化し、新聞のないエリアが生まれ、そこがニュース砂漠になる」といった議論が絶えない。 ニュース砂漠とは、経営破綻によって新聞が存在しなくなるという「ニュースの空白地域」だけを指す言葉ではない。地域の議会や行政に対して恒常的に目を向ける存在がなくなることによって、社会に対する住民の関心が薄れ、政治・行政の不正や不作為などが進行する状態を意味する。 「ニュース砂漠」については、アメリカのノースカロライナ州立大学がまとめた「ニュース砂漠とゴースト新聞地方ニュースは生き残れるか?」に詳しい。それによると、アメリカのニュース砂漠は次のような状況だ。 【消えゆく新聞社】過去15年間で、アメリカでは2100の新聞が失われた。その結果、2004年に新聞のあった少なくとも1800の地域が、2020年初めに新聞がない状態になる。消えゆくのは経済的に苦しい地域の週刊新聞紙がほとんどだ。 ただ、この1年でオハイオ州ヤングスタウンの日刊紙The Vindicatorと、ワシントンDC郊外のメリーランド州の週刊紙The Sentinelの2紙が閉鎖されたことは特に注目すべきだ。オハイオ州ヤングスタウンは、現存する唯一の日刊紙を失った全米初の都市となった。また、The Sentinelの廃刊はメリーランド州モンゴメリー郡の経済的に豊かな住民100万人から地元紙を奪うという、これまでには考えられない事態を招いた。 【消えゆく読者とジャーナリスト】 新聞の読者とジャーナリストの半数も、この15年間で姿を消した。現存する6700紙の多くは、新聞社も読者も激減し、かつての面影はなく、「幽霊新聞」と化した。こうした実態は地方紙の影響力低下を物語っており、デジタル時代の地方紙が長期的に経営を継続できるのかという疑問を突きつけた。 東北の有力地方紙・河北新報(本社仙台市)は2022年の年明け、アメリカ取材も踏まえた企画記事「メディア激動米・地方紙の模索」を掲載した。 その中では、ノースカロライナ大学の調査などを引用しながら、次のように実情を紹介した。 「2004年には8891紙が発行されていたが、4分の1の2155紙が廃刊した。新聞広告の売り上げは2005年の494億ドルから、2020年には88億ドルと8割減った。業界の縮小にもかかわらず、投資ファンドが買収を繰り返した。ガネット、アルデン・グローバル・キャピタル、リー・エンタープライゼズの上位3グループだけで、全日刊紙の3割超を傘下に収める。過酷なリストラなどの経費削減で利益を生み出すファンドの方針を背景に、新聞社編集局の人員は7万1640人(2004年)から、3万820人(2020年)と半分以下に落ち込んだ」 「全3143郡のうち、新聞がないか、週刊の新聞が1紙しかない地域は1753郡で半数を超えた。ニュース砂漠の住民は選挙で投票しない傾向にあるほか、高貧困率、低い教育水準などと関連するとのデータがある」 日本では戦後、大都市圏で地域密着の新聞が育たなかった。「東京」の名を冠した東京新聞でさえ、都政はともかく、東京23区や都下の各自治体については行政や議会をくまなく継続的にウォッチしているとは言いがたい。大阪も似たような状況だ。 冒頭で紹介した日本新聞協会の2021年10月のデータを全国12の地区別でみると、対前年比の減少率は大阪(8.0%減)、東京(7.3%減)、近畿(6.5%減)の順に大きい。新聞メディアの崩壊はもう避けられないが、日本の場合、ニュース砂漠の影響は大都市圏から現れる――いや、実際にすでに現れているのかもしれない』、「日本」では「あと5~6年で最終局面を迎える」。いまのところ「新聞」を対象にした「ファンド」はまだない筈だが、「ニュース砂漠」化の進展につれ、「リストラ」を主導する主体として、「ファンド」が出現するのかも知れない。
タグ:メディア (その29)(インタビュー【経営編】/朝日新聞社社長 中村史郎 朝日新聞の新社長、「赤字400億円」への痛切な反省、立憲民主が自民批判メディアに1000万円提供?「ブーメラン」が繰り返される理由、昨年も180万部減 全然止まらぬ「新聞」衰退の末路 「毎日」「産経」規模の部数が毎年消失している) 東洋経済Plus 「インタビュー【経営編】/朝日新聞社社長 中村史郎 朝日新聞の新社長、「赤字400億円」への痛切な反省」 「繰延税金資産を取り崩した結果、純損益では創業以来最大となる441億円の巨額赤字を計上」、とは本当に厳しい決算だ 「デジタルシフト」については、「最初は「喰い合う」警戒感が私たち自身にあった」が、いまは「紙にはない見せ方、動画や音声など(コンテンツが)独自の進化を遂げている」、気づくのが遅きに失したきらいがある。 「新聞購読料の補助廃止」を「ここは無理できないと思い、提案を引っ込めた」、弱腰だ。 「朝日新聞デジタルの編集長に外部から」、とは思い切った人事だ。これを機に「朝日新聞」が「デジタル」を中心に持ち直してほしいものだ。 ダイヤモンド・オンライン 窪田順生 「立憲民主が自民批判メディアに1000万円提供?「ブーメラン」が繰り返される理由」 「自民党」に続いて、「立憲民主党が「公共メディア」にお金注ぎ込みネガキャン」、とはいい加減にしてほしい。 「現時点の状況を見ている限りは残念ながら、「Dappi」と同じ穴のムジナのような気がしてしまう」、なるほど。 「「Choose Life Project」で「Dappi」関連コンテンツが1本しかないという事実が、津田氏らが指摘する、「立憲民主党から1000万円以上の番組制作費をもらった」という話に、妙に説得力を持たせてしまっているのだ」、その通りなのかも知れない。 「自民と立憲民主の議員が本質的に「同じ穴のムジナ」」、確かに言われてみれば、そうなのかも知れない。 「文書通信交通滞在費」について、「日本維新の会や国民民主党など一部の野党が徐々に使途公開へと踏み切っている」にも拘らず、「立憲民主党」の腰が重いとは残念至極だ。「立憲民主党」の猛省を促したい。 東洋経済オンライン Frontline Press 「昨年も180万部減、全然止まらぬ「新聞」衰退の末路 「毎日」「産経」規模の部数が毎年消失している」 「本年中に一般紙は3000万部台を割り込むことが確実」とはずいぶん減ったものだ。 「1年単位で考えても毎日新聞(約200万部)や産経新聞(約120万部)クラスの新聞が1つ2つなくなっている」、確かに「新聞離れ」は想像以上に進んでいるようだ。 「夕刊」は読む価値が小さくなり、「廃止」されても読者は困らないだろう。 「日本」では「あと5~6年で最終局面を迎える」。いまのところ「新聞」を対象にした「ファンド」はまだない筈だが、「ニュース砂漠」化の進展につれ、「リストラ」を主導する主体として、「ファンド」が出現するのかも知れない。
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SNS(ソーシャルメディア)(その10)(「クラブハウス」の狂乱が日本に残したもの、クラブハウスが下火になっても「音声メディア」の可能性が広がり続ける必然~『ボイステック革命』(緒方憲太郎 著)を読む、SNSがアメリカと日本にもたらした「真逆の現象」 どちらもコミュニケーション不全状態に) [メディア]

SNS(ソーシャルメディア)については、4月12日に取上げた。今日は、(その10)(「クラブハウス」の狂乱が日本に残したもの、クラブハウスが下火になっても「音声メディア」の可能性が広がり続ける必然~『ボイステック革命』(緒方憲太郎 著)を読む、SNSがアメリカと日本にもたらした「真逆の現象」 どちらもコミュニケーション不全状態に)である。

先ずは、7月5日付け日経ビジネスオンライン「「クラブハウス」の狂乱が日本に残したもの」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00324/070100003/
・『米中と比べ、「聴く文化」は日本にはまだ浸透していない。米調査会社のリポートを見ても、日本で少なくとも月に1回ポッドキャストを開く人口は米中の3分の1にすぎない。 この状況を一変させたのが2021年初頭に日本で巻き起こった音声SNS「Clubhouse(クラブハウス)」ブームだ。招待制も相まって熱狂の渦を巻き起こした。数カ月で騒ぎは沈静化したものの、「聴く習慣」を日本にもたらした効果は大きい。 コロナ禍で働き方が多様化し、リモートワークが一気に普及した点も音声市場にとって追い風となっている。長時間にわたるオンライン会議やデスクワークで、「目の疲れ」が慢性化しているためだ。 日本に「聴く習慣」が根付き、「聴く文化」へと昇華していくためには良質なコンテンツは欠かせない。音声メディア「Voicy(ボイシー)」を運営するVoicy代表取締役最高経営責任者の緒方憲太郎氏による著書『ボイステック革命 ~GAFAも狙う新市場争奪戦~』から一部抜粋・再編集して掲載する。 今、世界で音声市場が成熟しつつあるのは、アメリカと中国だ。米調査会社のMAGNA(マグナ)による「The Podcasting Report(2019年7月)」によると、「少なくとも月に1回はポッドキャストを開く人口」(インターネットの普及率に応じて補正した値)はアメリカが26%、中国が29%と大きく、日本は8%にとどまっている。これを「日本はすっかり出遅れている」としか見ないか、「日本の伸びしろはすさまじく大きい」と考えるか。 まずはそれぞれの市場を簡単に見ていこう。 アメリカについては、既にスマートスピーカーやポッドキャストに焦点を当てて説明したが、もう少し音声市場拡大の背景にある特徴について紹介したい。 アメリカはもともと、スマートスピーカーやワイヤレスイヤホンなどのデバイスが普及する随分前から、「聴く」文化が定着していた。国土が広く、車社会のため、通勤や移動するとき、運転しながら音声を楽しむ人が多い。 ラジオも発達しており、英語、スペイン語、ロシア語などのさまざまな言語、ニュース、スポーツ、カントリーやR&Bなどのさまざまなジャンルの音楽などで細分化された専門ラジオ局があり、その数は全米で1万5000以上といわれている。 車の中で本を「聴く」ことも当たり前になっていて、早いうちからカセットテープやCDによる「オーディオブック」市場が形成されていた。そしてスマホの普及で、これらがそのままポッドキャストやスマホで聞くオーディオブックなどに置き換わってきた。アメリカのオーディオ出版社協会(APA)によると、2019年のアメリカのオーディオブックの売り上げは、前年比16%増の12億ドル(約1300億円)に上り、8年連続の2ケタ成長を続けている』、「「少なくとも月に1回はポッドキャストを開く人口」・・・はアメリカが26%、中国が29%と大きく、日本は8%にとどまっている」、これは大きな開きだ。ただ、「中国」が多い理由は何故なのだろう。
・『世界で巻き起こるVoiceTech革命  GAFAと呼ばれる米IT大手が音声への投資を続けている。米グーグルや米アマゾン・ドット・コム、米…  こうした背景からも、スマートスピーカーへの抵抗感は低かったことが考えられる。スマートスピーカーは、今や「1家に1台」から「1部屋に1台」の時代になっているともいわれ、アメリカ人が音声コンテンツに触れる時間はどんどん長くなっている。 ポッドキャストコンテンツの成長ぶりも前述の通りだ。大手IT各社が競い合うようにポッドキャストに投資しているほか、大手新聞社やテレビ局、ラジオ局などの既存マスメディアも、質の高いポッドキャスト専用番組を制作している。 例えば、実録クライム(犯罪)系の連続シリーズとして制作された「Dirty John(ダーティ・ジョン)」は、リリースから6週間で1000万回以上、累計5200万回以上ダウンロードされた。ニューヨーク・タイムズのニュース番組「The Daily(ザ・デイリー)」は1日で200万人が聴く人気コンテンツになっている』、「スマートスピーカーは、今や「1家に1台」から「1部屋に1台」の時代になっているともいわれ、アメリカ人が音声コンテンツに触れる時間はどんどん長くなっている」、日本とはずいぶん違うものだ。
・『ポッドキャストに目をつけたスポティファイ  注目すべきは、スポティファイが2019年に、ポッドキャストコンテンツの制作スタジオGimlet Media(ギムレット・メディア)とParcast(パーキャスト)の2社を買収し、オリジナル番組で差別化の勝負に出たことだ。さらに配信サービスのAnchor(アンカー)、広告プラットフォームを展開するMegaphone(メガフォン)、スポーツやポップカルチャーの番組を得意とするThe Ringer(ザ・リンガー)などを次々と買収している。 また、オバマ元大統領夫妻、世界1位のポッドキャスト番組を運営するコメディアンのジョー・ローガン、イギリスのヘンリー王子とメーガン妃らと相次いでポッドキャストの独占契約を結んでいる。スポティファイの担当者は、音楽よりも(ポッドキャストのような)音声コンテンツの方が課金につながりやすいという趣旨の発言をしている。同社が、「音楽の次」のコンテンツとして、ポッドキャスティングをターゲットとしているのは明白だ。 前述の通り、アメリカのポッドキャスト市場は急速に成長しており、今やアメリカの12歳以上の人口の37%がポッドキャストを聴いているとの試算もある。ポッドキャストの広告市場も急拡大しており、2021年は10億ドルを超えて、3年前の3倍近くになると予測されている。良質な音声コンテンツがリスナーを増やし、さらなる投資を生むという好循環が起こっていると言えそうだ』、「同社が、「音楽の次」のコンテンツとして、ポッドキャスティングをターゲットとしているのは明白」、「今やアメリカの12歳以上の人口の37%がポッドキャストを聴いているとの試算も」、日米でこれほど違いがあるのも珍しい。
・『広告よりも有料課金が大きい中国  もともと中国では、文字入力の煩雑さなどから音声入力のニーズが高く、音声認識の技術も進んでいた。そして現在の中国のポッドキャスト市場は、有料コンテンツのユーザーの多さが一つの特徴となっており、その規模は70億ドルと、アメリカの音声市場(130億ドル)の半分以上にも達する。広告市場よりも、有料課金コンテンツ市場の方が圧倒的に大きい。 中国では人口の29%がインターネットアクセスを持つとされているが、そのうちの53%が月に最低1回はポッドキャストを聴いていると推計されている。多くのユーザーが、ビジネスやプレゼンテーションスキルなどの学習コンテンツを有料で購入している。 主なプレーヤーを見てみよう。 中国の音声配信サービスでトップシェアを占めるのが、日本版の名称としては「himalaya(ヒマラヤ)」で知られる「シマラヤFM」だ。中国では6億以上のアプリダウンロード、月間1億1000万のアクティブユーザーを持つ。配信者は約600万人で、主にプロのクリエイターが配信するPGC(Professionally Generated Contents:プロ生成コンテンツ)が中心だ。 ヒマラヤは、版権を取得して音声化した作品を提供することで、優良な音声コンテンツを提供してきた。ユーザーは、音声コンテンツのリスナーとなるだけでなく、ヒマラヤが版権を持つコンテンツを音声化する配信者としても参加できる仕組みだ。例えば、人気の小説投稿サイトとヒマラヤが提携し、権利を取得した小説をヒマラヤ内で公開。ユーザーはその小説を音声化して配信する。ユーザー投票によって選ばれた配信者には報酬が支払われる。 さまざまな課金システムがあり、コンテンツの単品販売、月額料金によるサブスクリプション、投げ銭(ギフティング)などがある。ユーザーと配信者がコミュニケーションを取ることもできる。 チンティンFM(QingTing FM、以下チンティン)も、ヒマラヤと同様にPGCが中心。スマートスピーカーやインターネットテレビ、5G搭載の自動車などのハードウエア製品と提携してユーザーを伸ばしているのが特徴だ。アクティブユーザー数は月間1億3000万。ヒマラヤはスマホアプリが中心だが、チンティンはこうした多様なハードウエアを介した戦略を取っている。チンティンもヒマラヤと同様、配信者に報酬を支払ってコンテンツの充実を図っている。2019年には1年間で1000万元(約1億5000万円)を売り上げた作品が登場したり、プロではない配信者の作品が3カ月で100万元(1500万円)を売り上げたりしている。 ライチFM(Lizhi FM)は、ヒマラヤやチンティンとは異なり、素人のオリジナル作品を中心とした音声配信サービスだ。ユーザー層は若者が多く、1990~2000年代生まれの若者がユーザーの約60%を占めている。約590万人のアクティブ配信者による1億7000万本以上のコンテンツが公開されており、アクティブユーザーは月間5100万人に上る。中国最大のUGC(User Generated Contents:ユーザー生成コンテンツ)音声コミュニティーだ。 インタラクティブ性が強く、配信者とユーザー間のコミュニティーとなっている面があり、インスタグラムやユーチューブに近い特性を持っていると言える。ライブ配信では投げ銭課金の売り上げが伸びている。2020年1月には音声配信サービスで中国初のナスダック上場を果たしている。) 中国では、「ナレッジシェア(知識の共有)」としてテキストや動画、音声などにお金を払う文化が浸透しているといわれており、ヒマラヤやチンティンはその文脈に沿って成長してきた。その一方で、プロコンテンツを作るための作品の著作権使用料が負担になっているとされる。このため近年は、ヒマラヤも広告ビジネスに力を入れ始めている。2018年には米スターバックスの中国法人とコラボし、音声コンテンツ番組へのリンクを印字したカップ飲料を300万杯限定で販売。コンドームの英デュレックスは、恋愛や性の悩みについて語るチャンネルを立ち上げた。 また、米ケンタッキー・フライド・チキンの店内に公式ラジオ局を作り24時間生配信をした番組は、1842万回再生・最大同時聴取数6万5000人を記録している。音声コンテンツのマネタイズ手法が多様化してきていると言えるだろう』、「もともと中国では、文字入力の煩雑さなどから音声入力のニーズが高く、音声認識の技術も進んでいた。そして現在の中国のポッドキャスト市場は、有料コンテンツのユーザーの多さが一つの特徴となっており、その規模は70億ドルと、アメリカの音声市場(130億ドル)の半分以上にも達する」、なるほど、同じ漢字を使っているとはいえ、日中の違いも大きいようだ。
・『なぜ日本の音声コンテンツは未成熟だったのか  急拡大しているアメリカや中国に比べると、日本の音声市場はようやく成長し始めたところだ。 市場の規模もそうだが、聴かれているコンテンツの内容についても、アメリカ・中国などの成長市場とは異なる。じっくり聴くタイプのポッドキャストやオーディオブックなどは、日本ではまだそれほど多く聴かれていない。音楽や、BGM的にさらっと聴き流すタイプのコンテンツが中心である。 音声の聴取は、大きく分けて2パターンある。一つは、例えば事務作業などの仕事をしているときや、勉強をしているときなど、視覚を使い、思考しているときに聴くものだ。聴くものは、思考の邪魔にならないような音楽などが中心となる。日本のラジオは比較的こちらに入るものが多いだろう。 もう一つは、体を使い、思考はそれほどしていないときに聴くものだ。家事や運動、何かの袋詰めや畑仕事など、反復作業をしているときをイメージしてもらうとよいだろう。こうした場合は、BGM的なものでなくても、思考や集中力が必要な学習コンテンツ、オーディオブックなどもマッチする。 日本の音声コンテンツは、前者のBGM的なものは多くあるが、後者の、集中して聴き思考を要するものは諸外国に比較して少ない。情報欲求や学びの欲求が高まる中、思考や学びにつながる音声コンテンツの需要はもっと広がるはずだ。 これはあくまでも私個人の印象なのだが、アメリカや中国などに比べて、日本ではこれまで、「視覚で楽しむ」傾向が強かったように感じられる。ユーチューブですら音を消して見る人が多いし、テレビ番組も、特にバラエティーや情報番組などでは字幕を多用し、視覚情報で楽しむ傾向が強い。このためか、これまでなかなか良質な「面白い」音声コンテンツが生まれる土壌がなかった』、「日本の音声コンテンツは、前者のBGM的なものは多くあるが、後者の、集中して聴き思考を要するものは諸外国に比較して少ない。情報欲求や学びの欲求が高まる中、思考や学びにつながる音声コンテンツの需要はもっと広がるはずだ」、後半部分は本当だろうかと疑問に思う。
・『「聴く習慣」の広がり  聴く習慣がないから良質な音声コンテンツが生まれないのか、良質な音声コンテンツがないから聴く習慣が生まれないのか。おそらくそのどちらでもあるのだろう。私がボイシーのサービスを立ち上げたときも、一番苦労したのは「聴く習慣」を広げることだった。 海外でポッドキャストが急成長している一方、日本でポッドキャストに注目が集まるようになってきたのはつい最近のこと。日本ではまだ、ポッドキャスト専門の制作スタジオや配信サービスは少なく、これまでは、ラジオ局が電波で流している番組をそのままポッドキャストに仕立てたものが多かった。「ポッドキャストといえば、英語学習者が海外の英語コンテンツを聴くためのもの」といったイメージもあったのではないだろうか。 世界的な広告代理店インター・パブリック・グループ・オブ・カンパニーズ(IPG)傘下のマーケティング調査会社であるマグナグローバル(MAGNA)は、日本でこれまでポッドキャストがなかなか伸びなかった理由として、日本ではもともと、海外に比べてデジタルで音声を聴く習慣がないことを挙げている。一例として、「スポティファイが上陸した2016年時点で、音楽市場の8割をCDが占めており、歴史的に、レコードレーベルは楽曲をストリーミングサービスに提供することに抵抗感を持っていた」ことを挙げている。 インターネットを介してアプリなどで聴ける音声コンテンツの老舗といえば、2010年にサービスを開始した「radiko(ラジコ)」がある。ラジオの電波が届かないところを補完する目的で始まり、当初は関東や関西の一部のエリアのみが対象だったが、徐々に対象地域やラジオ局が広がり、現在では民放ラジオ全99局の番組を聴くことができる。スマホのアプリで聴くことができるため、今では「ラジオは聴かないけどラジコは聴く」という若者も多い。 そして2010年代後半から、ほかにもさまざまな音声配信サービスが生まれ始めた。2016年にボイシーがサービスを開始しているほか、2017年には中国発のヒマラヤ、エキサイトの社内ベンチャーとして生まれた「Radiotalk」が始まった。 2018年には韓国の「Spoon(スプーン)」が上陸、ライブ配信やコミュニティー機能を持つ「stand.fm」も開始した。2020年になると、HIKAKINなどの人気ユーチューバーを抱えるUUUMが、「REC.」を立ち上げている。そして2021年に入り、音声SNSのクラブハウスブームが巻き起こったことで、「音声」にようやく注目が集まり始めた。 ただ実は、それよりも前の2020年12月の時点で、「1カ月に1回以上ポッドキャストを聴く人の割合」は14.2%、人口の推定で1123万人にまで増えていたことが、デジタル音声広告を手掛けるオトナルと朝日新聞の共同調査で分かっている。この調査では、ポッドキャストを聴いている人のうちの47.1%は、聴き始めたのが1年以内と回答。そのきっかけとして22.5%が、「スポティファイやAmazon Musicでポッドキャストが聴けるようになったから」と答えている。海外でのポッドキャストブームが、日本にも波及し始めていると言えるだろう。 日本でも「機は熟した」と言えそうだ。私自身も今年に入ってから、音声ビジネスに関する取材が急激に増え、他業界の人からも「ちょっと話を聞きたい」と声を掛けられることが多くなった。 その背景としては、グローバルの動きと同様、音声認識などのテクノロジーの進化と、スマートスピーカーやワイヤレスイヤホンなどのデバイスの普及などがあるだろう。 デバイスの進化が進んでいたところに世界中を襲ったのが、新型コロナウイルスの感染拡大だった。感染拡大を抑えるために、各国でロックダウンや外出自粛が行われ、リモートワークが推進されるようになった。オンライン会議が増え、イヤホンをしながら仕事をする習慣が広がると同時に、いわゆる「Zoom疲れ」「パソコンやスマホの画面疲れ」も引き起こした。そうした人たちが、音声に目を(耳を)向け始めたのは、ある意味自然なことだっただろう』、「海外でのポッドキャストブームが、日本にも波及し始めていると言えるだろう。 日本でも「機は熟した」と言えそうだ」、なるほど。
・『クラブハウスの上陸による「気付き」  そのタイミングで上陸したのが音声SNSのクラブハウスだ。Zoomと違って画面がないので、着替えたり身だしなみを整えたりする必要がなく、何かをしながらでも気軽に参加できる。招待制、iPhoneのみの対応といったハードルにもかかわらず、人と自由に会えない生活が続き、気軽な雑談さえできない寂しさを埋めるのにちょうどいい場として、日本でも爆発的に参加者が増え、ちょっとした「クラブハウスブーム」が起きた。 アメリカのアプリ調査会社センサータワーによると、クラブハウスのユーザーは2020年の5月には数千人程度だったが、2021年2月19日にはアプリのダウンロード数が1000万を超えた。このうち700万は1月25日以降で、日本は約150万を占める。 ポッドキャストの場合、15分から30分程度のものも多いが、1時間程度の番組もあったりと、聴くのに比較的まとまった時間がかかる。一方クラブハウスは、より雑談を聴くのに近く、さまざまな会話が行われているルームを少しずつのぞき見(のぞき聴き)する感覚なので、時間の長さよりもタイミングが勝負。細切れの時間でも十分楽しめる。今まで、わざわざラジオやポッドキャストを聴いたりしなかったような、隙間時間にも入り込んできた。クラブハウスのおかげで「聴く習慣」がついた人も多いはずだ。 上陸から2、3カ月がたつと、当初のブームは沈静化したものの、多くの人が音声の可能性に目を向けるきっかけになった。クラブハウスで話してみて、これまでのテキストや動画での発信と、音声による発信の違いに気付いた人も多いだろう。 また、誰もが目の疲れを感じていたのではないだろうか。一日中パソコンやスマホの画面を凝視し続ける生活には限界がある。特にコロナ下のリモートワークでは、「Zoom疲れ」という言葉が聞かれたように、映像コミュニケーションを負担に感じたり、パソコン画面を見続けることに疲れたりして、画面から離れ目を休ませたいというニーズも増えたようだ。 当初は、「クラブハウスが出てきたせいで、日本の音声サービスは危ないんじゃないか」「海外サービスに蹂躙(じゅうりん)されるんじゃないか」といった意見をよく見かけたが、たくさんの人がクラブハウスを使い、特性について理解を進めるにつれ、そうした意見は聞かれなくなってきた。むしろ、クラブハウスによって日本の音声業界は活性化したし、私もそうしたメッセージを意識的に伝えてきた。 ボイシーについても、当初は「クラブハウスは競合になるのではないか」という見方をしていた人が多かったが、私自身は相乗効果を得られる相手だということを実感している。それはデータにも表れており、ボイシーのユーザー数はクラブハウス上陸前に比べて、3カ月で2.5倍になった。また、リスナーが増えただけでなく、「ボイシーでしゃべりたい」という人も増えた。 それは数字にもはっきり表れている。クラブハウスは、「誰かとしゃべりたい。人の声が聴きたい」という欲求は満たしてくれるが、やはり発信者にしてみると物足りなさが残る。話したことが残らないと、自分の世界観を表現し、維持したいという欲求は満たされないからだ。 ボイシーはおそらく、「自分の声を残しておきたい」「自分の場所をつくりたい」「フォロワーの反応も知りたい」といった欲求を持った発信者や、「クラブハウスで話すことの楽しさを知り、もっとやってみたくなった」という人たちの、受け皿になったのだと思う。 クラブハウスブームの数カ月前までは、1カ月に5人くらいしか新しいパーソナリティーを増やしていなかったが、2021年2月には一気に50人ほど増えた。パーソナリティーへの応募数自体が増え(パーソナリティーは応募者の中からボイシーが選考している)、かつそのレベルも上がったからだ』、「クラブハウスは、「誰かとしゃべりたい。人の声が聴きたい」という欲求は満たしてくれるが、やはり発信者にしてみると物足りなさが残る。話したことが残らないと、自分の世界観を表現し、維持したいという欲求は満たされないからだ。「ボイシーはおそらく、「自分の声を残しておきたい」「自分の場所をつくりたい」「フォロワーの反応も知りたい」といった欲求を持った発信者や、「クラブハウスで話すことの楽しさを知り、もっとやってみたくなった」という人たちの、受け皿になったのだと思う」、さて「クラブハウス」や「ボイシー」は今後、どうなってゆくのだろう。

次に、9月30日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した情報工場チーフ・エディターの吉川清史氏による「クラブハウスが下火になっても「音声メディア」の可能性が広がり続ける必然~『ボイステック革命』(緒方憲太郎 著)を読む」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/282749
・『視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のチーフ・エディターである吉川清史が豊富な読書量と取材経験などからレビューします』、興味深そうだ。
・『「クラブハウス」ブームが示した「声」の可能性  2021年初頭のインターネット界隈で話題をさらったものといえば、「クラブハウス」が筆頭に挙がるのではないだろうか。これは周知の通り、米国発の「音声」に特化したSNSだ。本国でサービスがローンチされたのは2020年4月だが、2021年1月に本格的に日本上陸を果たす。すると、何人もの有名人が発信を始めたこともあり、またたく間に利用者が拡大、一大ブームとなった。 だが、3月に入る頃には、早くも人気が沈静化。もちろん使用が習慣化しているユーザーも少なくないのだろうが、今では話題に上ることも少なくなった。 人気が衰えた理由については、さまざまなメディアで考察されているが、おそらく、参加が「招待制」だったことが大きいのではないか。7月に「ベータ版」終了とともに自由に参加できるようになったが、当初は既存ユーザーから招待されなければ入会できず、しかも招待枠が1人2枠しか与えられていなかった。 また、5月にAndroid版アプリが配布されるまで、iPhoneでしか使えず、アプリの使い勝手も決して良いとはいえなかった。さらに、発信された音声は録音不可で、リツイートのように拡散できない仕様になっていた。クローズドなサービスのまま人気が爆発したために、ユーザー拡大のチャンスを逸したのだろう。 しかし、クラブハウスが示した「音声メディア」の可能性はついえたわけではない。フェイスブックは今年4月に、音声特化型SNSサービスの新設を発表、6月に米国で「Live Audio Rooms」という名でスタートした。ツイッターも、昨年12月からテストを行っていた音声チャットサービス「Space」を、今年5月からフォロワー数600人以上のユーザー限定で正式スタートしている。 アップルやアマゾン、スポティファイなどで配信されているポッドキャストの人気も高い。今年7月期放送の深夜ドラマ「お耳に合いましたら。」(テレビ東京系)は、元乃木坂46の伊藤万理華さん扮する主人公がポッドキャスト番組を始めるストーリーで、スポティファイのポッドキャスト番組との連動も注目された。 本書『ボイステック革命』では、国内の音声メディアVoicy(ボイシー)の創業者でCEOを務める緒方憲太郎氏が、クラブハウス人気で弾みがついた「ボイステック(音声関連のテクノロジー)」市場の現状と可能性について詳細に解説している。 緒方氏が主宰するボイシーは2016年に創業。現在、ビジネスのプロや芸能人などの「声のブログ」、4大マスメディアの記事が声で聴ける「メディアチャンネル」、企業が発信する「声の社外報」「声のオウンドメディア」など500以上のチャンネルが楽しめる音声プラットフォームとなっている。昨今の「音声ブーム」や、コロナ禍の「巣ごもり需要」もあり、昨年末時点で約100万人だった月間ユーザー数は、今年3月には約250万人と、急激に増加している』、ずいぶん急速に「月間ユーザー数」が増えたものだ。
・『「ながら聴き」と手軽な発信が音声メディアのメリット  緒方氏によると、音声メディアの最大のメリットは「ながら聴き」ができることだ。昔ながらのラジオも同様だが、流しておけば、家事や仕事、食事など何か別のことをしながら楽しめる。この点で音声は、テキストや動画に比べ、圧倒的に有利だ。 さらに、ながら聴きを容易にしているのが、Amazon Echo、Google Homeといったスマートスピーカーや、アップルのAirPodsをはじめとするワイヤレスイヤホンの普及だ。私の知人にも、仕事から帰宅してから寝るまで、ほぼワイヤレスイヤホンを付けっ放しという人がいる。 音声コンテンツを「発信」する側の手軽さもメリットだ。ポッドキャストの場合、スマホの録音ボタンをタッチしてしゃべるだけで、コンテンツができ上がる。10分のコンテンツを作るのに(録り直しをしなければ)10分しかかからない。テキストや動画の場合、こうはいかないだろう。動画は編集の手間と時間がかかるし、文章を書くにはそれなりの時間がかかる。 これまで多忙で、SNSなどに投稿する時間がなかった人たちでも、音声メディアならば気軽に発信側にもなれる。忙しくてスマホの画面チェックもままならなかった人でも「ながら聴き」で情報収集の幅を広げられる。このようにして音声メディアは、ネットコミュニティーへの参加者を格段に増やす働きをする可能性があるのだ。 そもそも、インターネット上の情報発信やコミュニケーションは、当初は技術的な制約からテキストベースで始まった。その後、日進月歩の技術進化により大きな画像や動画もストレスなく送信、閲覧できるようになったものの、利用者数の多いツイッターやLINEのコミュニケーションは、テキストによるものが主流だ。 テキストで伝えられる情報量は、リアルな対面に比べ圧倒的に少ない。画像や動画、さらにはVR(仮想現実)などが使えるのであれば、より多くの情報が伝えられ、コミュニケーションを深められるはずだ。それなのに、VRはさほど普及せずに、現状、多くの人がテキストのコミュニケーションで満足している。 おそらく現代のネットユーザーの多くは、「深いコミュニケーション」をネットに求めていないのだろう。それよりも、手軽さを優先させる。浅いコミュケーションや情報交換を、多く行う。ジャーナリストの佐々木俊尚氏は、著書『広く弱くつながって生きる』(幻冬舎新書)の中で、「浅く、広く、弱い」つながりこそが、これからの時代の人間関係のあり方と述べている。 おそらく、これからもテキストによるコミュニケーションは主流であり続けると思われる。そして、それに次ぐネットでのコミュニケーション手段として「音声」が台頭してくるのではないだろうか』、「これからもテキストによるコミュニケーションは主流であり続けると思われる。そして、それに次ぐネットでのコミュニケーション手段として「音声」が台頭してくるのではないだろうか」、なるほど。
・『声はうそをつかない その人の全てが表れる  緒方氏は、音声の「本人性」の高さも強調する。テキストは、たとえ署名があったとしても、本当に本人が書いたかどうかわからない。手書きならば筆跡でわかるかもしれないが、画面上の文字で判断するのは難しい。画像や動画も、いわゆる「盛っている」ことがままあり、アップした本人の本当の姿であることは、むしろまれだ。その点、音声は、声質や話し方に個性や「人となり」が表れやすい。 音楽・音声ジャーナリストの山﨑広子氏が著した『声のサイエンス―ーあの人の声は、なぜ心を揺さぶるのか』(NHK出版新書)によると、人が声を出す時には、口だけでなく、体のさまざまな器官を総動員しており、そのため声には、身長、体格、顔の骨格、性格、生育歴、体調から心理状態まで、その人の全てが表れる。言葉でうそはつけても、声はうそをつかないのだという。 緒方氏は、「ボイステック」の事例として、2012年に設立された医療系ボイステックベンチャー企業PSTによる、「声」をAI分析して、うつ病や認知症、パーキンソン病などの診断に役立てる試みを紹介している。 また山﨑氏は、私たちのほとんどは普段「作り声」を出しているが、「本物の声」を出すことで、心身を健全に保つとともに、人の心を動かせるのだと述べている。 ボイシーでは、人気を集めるパーソナリティー(メディアで話をする人)は、豊かな人生を生きる、人間として魅力のある人が多いのだそうだ。彼らはおそらく「本物の声」で話しているのだろう。そのために、話の内容だけでなく、その人の生き方が声を通して伝わり、ファンになるリスナーが後を絶たないとのことだ。 コロナ禍は、テクノロジーでは補強しきれない、生身の「人間」の弱さを改めて認識させることになった。GAFAをはじめとするテック企業が今、音声に注目するのは、もしかしたら生身の人間が持つ力を取り戻そうとする動きなのかもしれない』、「コロナ禍は、テクノロジーでは補強しきれない、生身の「人間」の弱さを改めて認識させることになった。GAFAをはじめとするテック企業が今、音声に注目するのは、もしかしたら生身の人間が持つ力を取り戻そうとする動きなのかもしれない」、「生身の人間が持つ力を取り戻そうとする動き」であればいいのだが・・・。

第三に、10月15日付け東洋経済オンラインが掲載した作家・元外務省主任分析官の佐藤 優氏による「SNSがアメリカと日本にもたらした「真逆の現象」 どちらもコミュニケーション不全状態に」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/462069
・『いまの社会は、SNSの発達などによりコミュニケーションツールは非常に充実しています。しかし、本当にそれによって私たちはコミュニケーションをうまく行えているでしょうか?ちょっと考えてみても、じつに怪しく心もとない感じがします。私は、SNSがじつは人間関係を結びつけるどころか、むしろ分断するツールになると思っています。その理由を拙著『読解力の強化書』をもとに解説します』、「SNSがじつは・・・人間関係を・・・分断するツールになる」、とは思い切った仮設だ。
・『ある現象によって分断されるアメリカ  SNSが私たちを分断するツールになる──。そんな危険性が巷に知られるようになったのは、2008年、バラク・オバマがマケインを破り大統領に就任した際の、選挙戦にさかのぼります。 当時、民主党のオバマ陣営はSNSを駆使してライバルに大きな差をつけて勝利しました。陣営と支持者たちの間で、SNSを通じてさまざまなやり取りが行われました。それが集票につながった、最初の大統領選挙だと言われています。 その後、あるリサーチャーによる調査によって、面白い現象が明らかになりました。民主党と共和党のそれぞれのブログコミュニティーのつながりを解析したのです。すると、それぞれのつながりの中で完結し、両党の間でのコミュニケーションがほとんど行われていなかったのです。 このことによって、SNSは同質性の高い集団の中においてはコミュニケーションを活性化させる働きが強い一方、立場や意見が違う者同士を排除する閉鎖性が強いツールであることが指摘されるようになりました。 その後、共和党のドナルド・トランプが登場し、民主党のヒラリー・クリントン候補を破った大統領選挙では、この傾向にますます拍車が掛かりました。この頃から言われるようになったのが、「エコーチェンバー現象」と言われるものです。 エコーチェンバー現象とは、ある人物の意見や主張が、肯定され評価されながら、集団内のメンバーによって繰り返される現象を言います。それはあたかもこだまが鳴り響くかのように反響し、共鳴して、集団内で一層大きく強力なものになっていきます』、「SNSは同質性の高い集団の中においてはコミュニケーションを活性化させる働きが強い一方、立場や意見が違う者同士を排除する閉鎖性が強いツールであることが指摘されるように」、「エコーチェンバー現象」によって、「こだまが鳴り響くかのように反響し、共鳴して、集団内で一層大きく強力なものになっていきます」、SNSの危険性を的確に指摘している。
・『主義主張の違うもの同士の対立を煽った  トランプの過激なツイッターの投稿が、支持者たちの間でリツイートされながら、エコーチェンバー現象によって大きな力になっていった。それによって巷の予想を裏切り、多くの支持を集めたトランプは大統領に就任します。 彼は大統領就任後もSNSの力を最大限利用し、ときに相手をおとしめ誹謗するかのようなツイートを上げながら、自らの支持者をより熱狂的なトランプ教の信者に仕立て上げます。彼が行ったことは、民主主義の下での国民同士の対話ではなく、主義主張の違う者同士の対立と敵対感情を煽り、結果的にアメリカを分断することでした。 その結末が、2021年1月6日、1000名近いトランプ支持者が、選挙の不正を訴え、バイデンの大統領就任を阻止するべく、連邦議会を襲撃した事件です。そして彼らの多くが、トランプこそがさまざまな陰謀からアメリカや国民を救う救世主であり、バイデンなどの民主党やその支持者は、自らの利権と権力をほしいままにするために真実を歪め不正を働く、悪の集団だと信じていました。 この事件によって、ここ数年の間でアメリカに深刻な社会的な分断が起きていることが明らかになりました。同質性の高い内輪のコミュニケーションだけで完結し、異質なものを排除する。エコーチェンバー現象によって自己正当化が行われ、対立や分断が深まる。その結果が、この事件だと言えるでしょう。 他者の存在を意識し、認識するところから始まる、本来の民主主義の理念はすでにそこにはありません。 代わってはびこったのが、自分たちと立場を異にする者に対する敵愾心や恐れでしょう。そして誰かが自分たちの立場や利益を脅かそうと目論んでいるに違いない、という被害妄想、被害者意識が生まれてくる。それによって自己保身的に他者を排除したり、攻撃したりする排外主義が大手を振って台頭しているのです。 言葉を換えて言うならば、アメリカ人が対象を理解しようとする「読解力」を決定的に失ってしまった、ということに他なりません』、「はびこったのが、自分たちと立場を異にする者に対する敵愾心や恐れでしょう。そして誰かが自分たちの立場や利益を脅かそうと目論んでいるに違いない、という被害妄想、被害者意識が生まれてくる。それによって自己保身的に他者を排除したり、攻撃したりする排外主義が大手を振って台頭しているのです」、ツイッター社やフェイスブック社が、「トランプ」のフェイクニュースなどを阻止したのも、SNSのマイナス面を意識した行動なのだろう。
・『「異質な意見」が入りにくくなりがちに  翻って日本はどうでしょうか?アメリカほど深刻な分断が起きているわけではありません。しかしながら、日本の場合は、社会全体が一つのコンセンサスに基づいて一元化しがちです。アメリカのように分断、分裂化するほどの社会的なダイナミズムがあるわけではありませんが、同調圧力が高く、エコーチェンバー現象が起きやすい文化的な土壌があるように思います。 その上にネットやSNSツールの持つ閉鎖性が重なることで、同じ考え方や価値観を持った、同質性の高い者同士でネットワークが完結し、異質な意見が入り込みにくくなりがちです。自分たちの考えや意見が、あたかも多数派のように錯覚してしまうのです。 自分にとって心地よく都合の良い情報ばかりに囲まれ、いつしかそれが当たり前になってしまう。しかもSNSでやり取りするのは、皆自分と同じ意見の人たちばかり……。それが続くとどうなるか? 自分の意見や価値観が大多数の意見だと錯覚し、自分にとって異質な情報、都合の悪い情報を受け入れる許容力がなくなってしまうでしょう。コミュニケーションツールはたくさんあり、その中でのやり取りは膨大ですが、その内容は非常に貧困でワンパターンなものばかりです。 一見コミュニケーションがたくさんあるようで、じつはコミュニケーション不全の状態といってよいでしょう。そこでは決定的に「読解力」が失われていくことになるのです。 その流れの中で起きているのが、ときに過剰に思える日本礼賛ムードだと思います。テレビの番組でも、相変わらず日本の伝統文化や科学技術などを外国人に紹介し、彼らが驚き、賞賛する様子を映すという、日本礼賛番組がゴールデンタイムに流されます。 このような日本礼賛ものは、最近はとくにYouTubeなどに比重が移ってきているように感じます。「中国人が日本のラーメンのおいしさに絶句!」「日本の街の美しさに驚く欧米人」といったタイトルの動画が目立ちます。 あたかも、日本人が他国民に比べて文化度が高く、手先が器用で繊細で、創造的なセンスにあふれた国民であるような気持ちになる。 ですが、ちょっと目を転じれば、多くの国々にもモノづくりの確固とした歴史や伝統があり、古くからの地場産業が栄え、世界的なブランドが出ている地域がたくさんあります。それらに目を向けようとせず、十分な比較や検証もなく、自分たちの文化が優れている、特殊だと考えるのは単なる思い込みで、自己満足的な妄想に近いのです』、「日本礼賛ムード」のなかでも特にいやらしいのは、政府が旗を振るクール・ジャパン運動や、NHKの番組だ。これについては、このブログの2019年8月26日にも取り上げた。
・『ワイプで人の表情を抜く目的は?  テレビの話が出たついでにもう1つ。ワイドショーなどで、出演者たちの表情をワイプ(注)で抜くことがいまや当たり前になっています。悲惨なニュースには悲しい出演者の顔を映し出し、楽しい話の時には笑顔が映る。30年ほど前にはなかった映像手法だと思います。果たしてそのような映像が必要かと私などは思いますが、ワイプで誰かの表情を確かめないと安心できないということなのでしょうか。 1つの出来事に対する反応や判断は人それぞれですから、いろんな反応、表情があったっていい。ところがワイプに出て来る表情は、皆同じです。もし、心和むような話の時に苦虫をかみつぶしたような表情をしていたら?きっとツイッターなどでさんざんに叩かれるでしょう。 ある出来事に対して、誰もが同じ感覚、同じ感情を持たなければいけない。そんな同調圧力のようなものを感じるのは、私だけではないと思います。 皆が笑っている時につまらなそうにしていたり、皆が悲しんでいる時に平然としていたりするのを許さない。いまの日本の社会の同調圧力、異質なものを認めないという傾向が表れているようにも思えます。つまり、異質なものに対する耐性が弱いということでしょう。自分と異質なものに対する恐怖心が、かなり強くなっているのではないでしょうか』、「いまの日本の社会の同調圧力、異質なものを認めないという傾向が表れているようにも思えます。つまり、異質なものに対する耐性が弱いということでしょう。自分と異質なものに対する恐怖心が、かなり強くなっているのではないでしょうか」、強く同感する。
(注)ワイプ:画面Aが紙芝居のように横に引き抜かれて、次の画面Bに替わること(Wikipedia)
タグ:SNS ソーシャルメディア (その10)(「クラブハウス」の狂乱が日本に残したもの、クラブハウスが下火になっても「音声メディア」の可能性が広がり続ける必然~『ボイステック革命』(緒方憲太郎 著)を読む、SNSがアメリカと日本にもたらした「真逆の現象」 どちらもコミュニケーション不全状態に) 日経ビジネスオンライン 「「クラブハウス」の狂乱が日本に残したもの」 緒方憲太郎氏による著書『ボイステック革命 ~GAFAも狙う新市場争奪戦~』 「「少なくとも月に1回はポッドキャストを開く人口」・・・はアメリカが26%、中国が29%と大きく、日本は8%にとどまっている」、これは大きな開きだ。ただ、「中国」が多い理由は何故なのだろう。 「スマートスピーカーは、今や「1家に1台」から「1部屋に1台」の時代になっているともいわれ、アメリカ人が音声コンテンツに触れる時間はどんどん長くなっている」、日本とはずいぶん違うものだ。 「同社が、「音楽の次」のコンテンツとして、ポッドキャスティングをターゲットとしているのは明白」、「今やアメリカの12歳以上の人口の37%がポッドキャストを聴いているとの試算も」、日米でこれほど違いがあるのも珍しい。 「もともと中国では、文字入力の煩雑さなどから音声入力のニーズが高く、音声認識の技術も進んでいた。そして現在の中国のポッドキャスト市場は、有料コンテンツのユーザーの多さが一つの特徴となっており、その規模は70億ドルと、アメリカの音声市場(130億ドル)の半分以上にも達する」、なるほど、同じ漢字を使っているとはいえ、日中の違いも大きいようだ。 「日本の音声コンテンツは、前者のBGM的なものは多くあるが、後者の、集中して聴き思考を要するものは諸外国に比較して少ない。情報欲求や学びの欲求が高まる中、思考や学びにつながる音声コンテンツの需要はもっと広がるはずだ」、後半部分は本当だろうかと疑問に思う。 「海外でのポッドキャストブームが、日本にも波及し始めていると言えるだろう。 日本でも「機は熟した」と言えそうだ」、なるほど。 「クラブハウスは、「誰かとしゃべりたい。人の声が聴きたい」という欲求は満たしてくれるが、やはり発信者にしてみると物足りなさが残る。話したことが残らないと、自分の世界観を表現し、維持したいという欲求は満たされないからだ。「ボイシーはおそらく、「自分の声を残しておきたい」「自分の場所をつくりたい」「フォロワーの反応も知りたい」といった欲求を持った発信者や、「クラブハウスで話すことの楽しさを知り、もっとやってみたくなった」という人たちの、受け皿になったのだと思う」、さて「クラブハウス」や「ボイシー」は今後、どう ダイヤモンド・オンライン 吉川清史 「クラブハウスが下火になっても「音声メディア」の可能性が広がり続ける必然~『ボイステック革命』(緒方憲太郎 著)を読む」 ずいぶん急速に「月間ユーザー数」が増えたものだ。 「これからもテキストによるコミュニケーションは主流であり続けると思われる。そして、それに次ぐネットでのコミュニケーション手段として「音声」が台頭してくるのではないだろうか」、なるほど。 「コロナ禍は、テクノロジーでは補強しきれない、生身の「人間」の弱さを改めて認識させることになった。GAFAをはじめとするテック企業が今、音声に注目するのは、もしかしたら生身の人間が持つ力を取り戻そうとする動きなのかもしれない」、「生身の人間が持つ力を取り戻そうとする動き」であればいいのだが・・・。 東洋経済オンライン 佐藤 優 「SNSがアメリカと日本にもたらした「真逆の現象」 どちらもコミュニケーション不全状態に」 「SNSがじつは・・・人間関係を・・・分断するツールになる」、とは思い切った仮設だ。 「SNSは同質性の高い集団の中においてはコミュニケーションを活性化させる働きが強い一方、立場や意見が違う者同士を排除する閉鎖性が強いツールであることが指摘されるように」、「エコーチェンバー現象」によって、「こだまが鳴り響くかのように反響し、共鳴して、集団内で一層大きく強力なものになっていきます」、SNSの危険性を的確に指摘している。 「はびこったのが、自分たちと立場を異にする者に対する敵愾心や恐れでしょう。そして誰かが自分たちの立場や利益を脅かそうと目論んでいるに違いない、という被害妄想、被害者意識が生まれてくる。それによって自己保身的に他者を排除したり、攻撃したりする排外主義が大手を振って台頭しているのです」、ツイッター社やフェイスブック社が、「トランプ」のフェイクニュースなどを阻止したのも、SNSのマイナス面を意識した行動なのだろう。 「日本礼賛ムード」のなかでも特にいやらしいのは、政府が旗を振るクール・ジャパン運動や、NHKの番組だ。これについては、このブログの2019年8月26日にも取り上げた。 「いまの日本の社会の同調圧力、異質なものを認めないという傾向が表れているようにも思えます。つまり、異質なものに対する耐性が弱いということでしょう。自分と異質なものに対する恐怖心が、かなり強くなっているのではないでしょうか」、強く同感する。 (注)ワイプ:画面Aが紙芝居のように横に引き抜かれて、次の画面Bに替わること(Wikipedia)
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