SSブログ
イノベーション ブログトップ
前の10件 | -

GAFA(その7)(GAFAの株価が低調 「成長の限界を迎えた」といえるこれだけの理由、アップル 成長鈍化の逆風下でM2チップに透ける「深謀遠慮」とは、GAFA神話終焉のワケは「ネット広告の限界」だけじゃない!Twitter Netflixも同じ) [イノベーション]

GAFAについては、2月11日に取上げた。今日は、(その7)(GAFAの株価が低調 「成長の限界を迎えた」といえるこれだけの理由、アップル 成長鈍化の逆風下でM2チップに透ける「深謀遠慮」とは、GAFA神話終焉のワケは「ネット広告の限界」だけじゃない!Twitter Netflixも同じ)である。

先ずは、5月10日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した多摩大学特別招聘教授の真壁昭夫氏による「GAFAの株価が低調、「成長の限界を迎えた」といえるこれだけの理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/302879
・『「GAFA」の株価が下落基調にある。これまで注目されてきたビジネスモデルに、行き詰まりの兆しが見え始めているからだ。その軌跡を基本から振り返ると共に、現在のリスク要因を分析し、今後の展開を予測する』、さしもの「GAFA」にも「行き詰まりの兆し」とは興味深そうだ。
・『GAFAの成長期待が鈍化 ビジネスモデルに行き詰まりの兆し  このところ、「GAFA」(グーグル、アップル、旧フェイスブック・現メタ、アマゾン)の株価が下落基調にある。2022年1~3月期決算が出そろった後も、各社の株価は上昇していない。 最大のポイントは、各社の成長期待が鈍化していることだ。これまで注目されてきたITプラットフォーマーとしてのビジネスモデルに、行き詰まりの兆しが見え始めている。加えて、米国内の人手不足や、「ディ・グローバリズム」(グローバル化に逆行する動き)に伴うコストアップ要因がGAFA各社を直撃している。 今後の展開として、GAFAの成長期待は一段と低下することも想定される。それが現実味を帯びると、各社の株価は下落する可能性が高い。ウクライナ危機や中国のゼロコロナ政策をきっかけに、グローバル化の加速を前提としたアップルの事業運営の効率性は、低下する恐れが強くなっている。主要先進国における個人データ保護規制の強化なども、メタやグーグル、アマゾンの成長期待を低下させるだろう。 米国の連邦準備制度理事会(FRB)は、“インフレ退治”のため周囲の予想を上回るペースで金融引き締めを進めている。それはGAFAの事業運営には逆風となり、株価の下落懸念を高める要因だ』、要因には、「各社の成長期待が鈍化」、「米国内の人手不足」、「ディ・グローバリズム」「に伴うコストアップ要因」、「主要先進国における個人データ保護規制の強化」、さらには「FRB」の「金融引き締め」など構造的な性格が強いようだ。
・『これまでのビジネスモデルが神通力を失うGAFA  過去1年間のGAFAの株価の推移を確認すると、大まかな傾向として21年12月前半まで各社の株価は高値圏で推移した。しかし、その後は株価が上昇していない。それが意味することは、各社が高い成長を維持するのが難しくなっているということだ。 まず、アップルの成長期待の鈍化を考えてみよう。1990年代以降の米国経済において、アップルはグローバル化を追い風に高成長を実現した企業の象徴である。97年、同社は経営破綻寸前にまで追い込まれていたが、その状況を救ったのが創業者の一人だった故スティーブ・ジョブズだ。ジョブズは高付加価値なソフトウエアの創出に集中し、iPodやiPhoneなどのデバイスや、iTunesなどのサービスの設計と開発に注力した。 それと同時にアップルは世界各国から優れた部材や部品を集め、完成品のユニット組み立て型生産を、台湾の鴻海精密工業の中国子会社であるフォックスコンに委託した。こうした国際分業によって、製造ラインを自社保有する負担から解放され、高付加価値なソフトウエア創出に集中し、高い収益性を実現したのだ。同社がリーマンショック後の世界経済のデジタル化を加速し、米国および世界経済の成長に与えた影響は計り知れない。 しかし、近年、こうしたビジネスモデルに行き詰まりが見えている。まず、中国の生産年齢人口が減少し、労働コストが上昇したことは大きい。加えて、米中対立によって世界のサプライチェーンが混乱。さらに、新型コロナウイルスの感染再拡大やウクライナ危機など複合的な要因が重なり、供給制約は深刻化し続けている。 そうした環境の変化によって、国際分業体制の強化で高成長を実現してきたアップルが、需要を取りこぼし始めているのだ』、「アップル」の「国際分業体制」の「ビジネスモデルに行き詰まり」は確かに深刻だ。
・『SNSへの規制強化、労働組合の結成 逆風強まるITプラットフォーマー  動画や検索、SNSサービスの提供で広告収入を得てきたグーグルやメタ、ネット通販やクラウドコンピューティングなどのサービスを提供してきたアマゾンの成長期待も鈍化している。 グーグルとメタは、ユーザーである個人の検索や動画視聴、知人関係(ネットワーク)、モノやサービスの購入履歴といった膨大なデータ(ビッグデータ)を優先的に手に入れて、それを販売したり、新しいビジネスに用いたりすることによって急速に収益を増やした。 しかし、ロシアがフェイスブックを用いて2016年の米大統領選挙に介入した疑惑が浮上したことなどにより、SNSへの規制が強化されている。メタは人海戦術でフェイクニュースの摘発を強化しなければならなくなり、コストが増加した。また、公正さへの懸念から一時、フェイスブックのユーザーが減少した。 メタの22年1~3月期決算は、売上高の伸び率が上場来で最低となり、同社への懸念は高まっている。同様のことが、検索サービスの強化によって広告収入を増やしてきたグーグルにも当てはまる部分が多い。 アマゾンは世界に「物流革命」を起こした。同社は、積極的な設備投資によって世界各国で効率的な配送網を整備し、自力でラストワンマイルを構築した。さらに消費者一人ひとりの好みを突くアルゴリズムを開発して消費意欲をかき立て、クラウドサービスも提供することによって有力ITプラットフォーマーとしての地位を確立した。 しかし、物流施設での過酷な労働環境への反発から労働組合が結成されるなど、成長力には翳りが出始めている。加えて、米国をはじめ世界的な人手不足を背景に、物流センターでの人員やドライバーの確保が難しくなっているようだ。 倉庫の建設やEV新興メーカーへの投資も業績の重荷になっている。原油などエネルギー資源価格の高騰は燃料費の増加につながり、収益を圧迫している。このようにGAFA各社はこれまでの高い成長スピードを維持することが難しくなっている』、悪材料がよくもここまで出揃ったものだ。
・『中長期的なGAFA株の下落懸念 業績拡大ペースは鈍化  GAFA各社は正念場を迎えている。今後の展開として、GAFAの業績拡大ペースは鈍化し、株価が下落する可能性は高まっている。各社ともグローバル化の加速を前提にビジネスモデルを構築してきたからだ。 しかし、ウクライナ危機によって世界経済はグローバル化からブロック化に向かい始めた。世界経済の先行き見通しは悪化したため、広告主の企業はコスト削減を優先しなければならず、SNSや動画サイトでの広告出稿は減少するだろう。また、データ保護やフェイクニュースなどの取り締まりのためのコストも増える。 世界的な供給制約の長期化によって半導体の不足が長引き、スマホなどITデバイスの生産が計画を下回る可能性も高まっている。中国では経済成長の低下傾向が鮮明だ。IT機器やサービスの需要の低下に加えて、生産年齢人口の減少によって労働コストも上昇するだろう。いずれもGAFAの事業運営の効率性向上を阻害する要因だ。 加えて、米国をはじめ世界的に物価が急騰している。FRBは金融政策の正常化を急がなければならない。世界的に金利は上昇するだろう。金利上昇によって、企業が永続的に生み出すと考えられるフリー・キャッシュ・フローの「割引現在価値」(将来得られる価値を現在受け取るとしたらどの程度の価値になるかを計算したもの)は小さくなる。GAFAのように成長期待が高い企業ほど、そのインパクトは大きくなり株価の下落懸念は高まりやすい。 FRBが追加利上げやバランスシート縮小を急ぐ姿勢を一段と強める場合、米国の金利は急速に上昇し、GAFAなどIT先端企業の株価の低下傾向が一段と鮮明化する恐れがある。また、米金利の上昇によって新興国からは資金が流出し、世界経済全体で成長率は低下する展開も想定される。それはGAFAの収益減少要因になるだろう。 言い換えれば、GAFA各社がこれまでの発想にとらわれることなく新しいモノやサービスを生み出し、需要を創出することが出来るか否か、その実力が問われている』、「金利上昇によって」、「フリー・キャッシュ・フローの「割引現在価値」・・・は小さくなる。GAFAのように成長期待が高い企業ほど、そのインパクトは大きくなり株価の下落懸念は高まりやすい」、「米国の金利は急速に上昇し、GAFAなどIT先端企業の株価の低下傾向が一段と鮮明化する恐れがある」、「GAFA各社がこれまでの発想にとらわれることなく新しいモノやサービスを生み出し、需要を創出することが出来るか否か、その実力が問われている」、三番目は残念ながら期待薄だ。

次に、6月28日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した多摩大学特別招聘教授の真壁昭夫氏による「アップル、成長鈍化の逆風下でM2チップに透ける「深謀遠慮」とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/305516
・『アップルのビジネスモデルの優位性が揺らいでいる。同社の業績への懸念が高まり、米国にあるアップルの小売店舗では労働組合が結成された。アプリストアに関しても、多くの国がアップルにストアを抱え込むのではなく、外部に開放するよう求めている。各国の規制当局がアップルのシェアをそぎ落とし、データの保護や自国企業に有利に働く環境整備を強化している。一方、アップルがメタバースに対応した「眼鏡型のデバイス」を発表するとの観測が高まる中で、クックCEOは新型の「M2チップ」を発表した。アップルが描く、ウェブ3.0の大激変期を生き抜く新しいビジネスモデルとは』、興味深そうだ。
・『アップルが新型の「M2チップ」を発表 変革期におけるその狙いとは  世界のネット業界が大激変期を迎えている。主要国の規制強化に加えて、アップルなどが主導してきた「ウェブ2.0」から、次の「ウェブ3.0」へ様変わりしつつある。その変革で、私たちとデジタル空間の距離感は一気に縮まり、新しいサービスやデバイスの需要が増える。 他方、スマートフォンなどの需要が飽和し、中国のゼロコロナ政策による供給制約やウクライナ危機による資源価格高騰が深刻化したことで、アップルのビジネスモデルの優位性が揺らいでいる。同社の業績への懸念が高まり、米国にあるアップルの小売店舗では労働組合が結成された。 そうした状況下、アップルは新しいビジネスモデルの確立を急いでいる。それを示唆するのが、チップ開発の加速だ。メタバースに対応した「眼鏡型のデバイス」を発表するとの観測が高まる中で、クックCEOは新型の「M2チップ」を発表した。その狙いは、より高性能なチップ開発を加速し、より多くの人が能動的に活動できる、新しいネット空間を整備することだろう。 アップルは人々がより積極的に新しい取り組みを進めてモノやサービスを取引するバーチャルな市場を整備し、その運営を多種多様な企業と連携して進めようとするだろう。このことが半導体部材メーカーおよび製造装置メーカーの事業運営や、米中対立に与えるインパクトは大きい』、「「M2チップ」を発表した。その狙いは、より高性能なチップ開発を加速し、より多くの人が能動的に活動できる、新しいネット空間を整備することだろう。 アップルは人々がより積極的に新しい取り組みを進めてモノやサービスを取引するバーチャルな市場を整備し、その運営を多種多様な企業と連携して進めようとするだろう」、ずいぶん意欲的なようだ。
・『アップルの成長鈍化が懸念される理由 労働組合が発足した背景  2000年代に入りアップルはiPodやiPhone、iPadなど次々と新しいデバイスを生み出して高い成長を実現した。それを可能にしたビジネスモデルが、グローバル化を追い風に設計・開発と生産を分離したことだ。 人件費が高い米国で、アップルはソフトウエアの設計と開発に集中。直感的に操作可能なデバイスを生み出し、ネット上で音楽配信やアプリストアなどを運営した。 また、世界から最も優秀な部材やユニットを低価格で調達し、中国にある富士康科技集団(フォックスコン、台湾の鴻海精密工業の子会社)の工場にユニット組み立て型生産を委託。こうして生産設備を抱える負担から解放され、米国など高価格で販売できる市場に製品を迅速に供給した。 そうした結果、収益が急拡大して資本の効率性が高まり、従業員の給料も増加した。しかし今、同社で労組が結成されたことは、ビジネスモデルの優位性が揺らぎ、高い成長の維持(≒給料の増加)が難しくなるとの懸念を示す。 複数の要因によってアップルの成長は鈍化しているが、主な要因として、従来体制での国際分業が難しくなっていることが挙げられる。 中国ではゼロコロナ政策が徹底され、iPhoneの生産が停滞した。IT業界担当の株式アナリストの間では、「iPhone14シリーズの発表が遅れる」との観測も出た。アップルは中国からインドなどに生産拠点を急速にシフトし始めた。 加えて、ウクライナ危機によって世界の資源価格が高騰している。グローバル化を追い風にソフトウエアの設計・開発のスピードを高め、新しい(アップデート型の)デバイスを供給して先端分野の需要を効率的に獲得してきたアップルに対する逆風が強くなっている。 そうした影響から、米国の店舗従業員は需要の鈍化を機敏に感じ取り、物価が高騰する環境下、自分たちの生活を守るために労組の発足に踏み切ったのだろう』、「同社で労組が結成されたことは、ビジネスモデルの優位性が揺らぎ、高い成長の維持(≒給料の増加)が難しくなるとの懸念を示す」、その通りだろう。
・『アップルの寡占化が分散され競争が激化するネット業界  アップルは世界のネット業界の激変にも直面している。端的に言えば、寡占化されたネット業界が分散化され、競争が激化する。 例えば、アプリストア(アプリ市場)の運営に関して、多くの国がアップルにストアを抱え込むのではなく、外部に開放するよう求めている。アプリ購入時の決済サービスに関しても、他の企業の参入を認めるよう規制が強化されている。 また、欧州委員会は24年秋までにデバイスの充電端子をUSBタイプCに統一するよう通告した。ナイフでケーキを切り分けるかのように、各国の規制当局がアップルのシェアをそぎ落とし、データの保護や自国企業に有利に働く環境整備を強化している。 そうした状況下、アップルは新チップM2を発表した。根底には、アップルの「深謀遠慮」があるだろう。これまでネット業界は一部の大手企業がサービスを提供し、収益とビッグデータを手に入れる(しかも「無料」で)構造だった(ウェブ2.0)。 それが今、ブロックチェーンを用いたウェブ3.0にシフトしている。これに伴い、偽造された非代替性トークン(NFT)の取引など、正規ではないデジタル資産の取引が増えるだろう。それは経済活動の効率性と透明性にマイナス影響を与える。また、米中対立や台湾海峡の緊迫化などを背景に、世界全体でサイバー攻撃のリスクが高まる。 そうした環境変化に対応しつつ成長を目指すために、アップルは他社との連携を強化して新しいネット上の秩序の構築に取り組むだろう。例えば、国際的なNFT取引の市場を整備し取引をモニターする、個々人や組織が必要に応じてネット空間で専門的なスキルを持つ人を募りプロジェクトを進める、などだ。 そうした取り組みを増やことが、個々人により高い満足感を提供する下支えになるだろう。そうした新しい仕組みを可能にするために、常時安心して接続できるネット空間の創造は不可欠だ。ウェブ3.0を支えるデバイスやサービスの先駆者利益を獲得するために、アップルはチップの設計と開発により集中し、新しいエコシステムの整備に取り組むはずだ』、「アップルは他社との連携を強化して新しいネット上の秩序の構築に取り組むだろう。例えば、国際的なNFT取引の市場を整備し取引をモニターする、個々人や組織が必要に応じてネット空間で専門的なスキルを持つ人を募りプロジェクトを進める、などだ」、なるほど。
・『急拡大する新しい半導体関連需要本邦企業と日本政府の取るべき策とは  ウェブ3.0によって、新しい半導体部材や製造装置の需要が急速に高まる。メタバースに加えて、自動車の電動化やIoT機器の導入、脱炭素、ビッグデータ利用の増加などによっても、これまであまり半導体が用いられてこなかった機器に対しても、多種多様なチップが搭載されるようになる。 ファウンドリーと半導体の製造装置分野では、先端分野での取り組みが加速している。アップルが設計・開発したチップの受託生産を行う台湾積体電路製造(TSMC)は、オランダの半導体製造装置メーカーであるASMLから次世代の露光装置を調達し、顧客の技術革新に必要な回路形成を実現すると表明した。ASMLは米コネチカット州での追加投資を発表。「ナノからピコへ」というように半導体製造の革新は加速することはあれ、止まることは考えられない。 また、アップルは米中対立の先鋭化など、脱グローバル化への対応も強化しなければならない。6月15日、アップルをはじめとする米IT先端企業のトップが連名で、「中国対抗法案」を早期に成立させ半導体生産体制強化を財政面から支援するよう、ペロシ下院議長やシューマー上院院内総務らに書簡を送った。 そうした環境下、世界のサプライチェーンの再編も勢いづくだろう。半導体の性能向上と、その実現に欠かせない部材や製造装置の創出が、各国の安全保障や経済運営により大きなインパクトを与えるようになる。 1990年代以降、わが国はデジタル化に取り残された。ウェブ3.0の時代が幕を開ける中、本邦企業はしっかりとしたビジネスモデルを確立しなければならない。各企業は先端分野におけるモノづくりの力を徹底して磨く必要がある。 加えて、日本政府が半導体の部材や製造装置、さらにはマイコンやパワー半導体など本邦企業が国際競争力を維持している分野に、支援を迅速かつ他国に見劣りしない規模感で実施することも不可欠だろう』、「1990年代以降、わが国はデジタル化に取り残された。ウェブ3.0の時代が幕を開ける中、本邦企業はしっかりとしたビジネスモデルを確立しなければならない。各企業は先端分野におけるモノづくりの力を徹底して磨く必要がある。 加えて、日本政府が半導体の部材や製造装置、さらにはマイコンやパワー半導体など本邦企業が国際競争力を維持している分野に、支援を迅速かつ他国に見劣りしない規模感で実施することも不可欠だろう」、同感である。

第三に、7月29日付け東洋経済オンラインが掲載した百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏による「GAFA神話終焉のワケは「ネット広告の限界」だけじゃない!Twitter、Netflixも同じ」を紹介しよう。
・『米国IT企業の株価急落 バブルの崩壊か  コロナ禍で業績を伸ばしてきたアメリカのIT企業が、ここのところ軒並み株価を落とし始めています。GAFA神話の終焉(しゅうえん)、そしてネット広告の成長の「限界」が訪れているかにも見えますが、実際のところどうなのか。情報を整理し考察してみたいと思います。 直近のIT企業株下落の最初のきっかけは先週、写真共有アプリのスナップチャットを提供するSNAPの決算発表でした。発表された数字が「すでに引き下げられていた業績見通しさえ下回った」ということから、SNAPの株価は40%安と大幅に値を下げました。 続いて、7月22日にツイッターが第2四半期の決算を発表しました。こちらは広告収入が増えたとはいえ、わずか2%増と市場予想を下回り、純利益が赤字に転落しました。 そして、7月26日にアルファベット(Googleの親会社)が4~6月期決算を発表。純利益14%減と、市場予想を下回りました。アルファベットによれば、インフレとそれに伴う景気後退予測で企業が広告費を見直す傾向が強まっていると言います。 アルファベットの株価についてはすでに先週から下落が始まっていたこともあり、決算発表の後は夜間取引で逆に、株価が5%ほど上昇しました。投資家心理として「思っていたよりもマイルドな結果だった」ことが安堵を与えた様子です。 さらに、7月27日にメタ(旧フェイスブック)は、第2四半期の純利益が前年同期比で36%減少したと発表しました。これも市場予測を下回り、メタの株価は夜間取引で4%下落しました。 SNSのアクティブユーザーはフェイスブック、インスタグラム、WhatsAppなど合計で増加しているものの、広告の平均価格が前年比で14%下がっているといいます』、なるほど。
・『米ハイテク株成長の限界を象徴する二つの事件とは  時間軸を半年ぐらいさかのぼってみると、アメリカのハイテク株の成長の限界として二つの象徴的な事件がありました。 一つは、今年の2月3日に起きました。フェイスブックで1日当たりの利用者数が減少したことを報告したメタ社の株価が、1日で約26%減少する「メタ・ショック」が起きたことです。 もう一つは、動画配信大手のネットフリックスです。こちらも4月20日に会員数が過去10年で初めて減少に転じたことを公表して、株価が1日で35%下落しました。 これらの現象を眺めると、確かにアメリカのハイテク大手各社は、コロナ禍の巣ごもり需要を背景にわが世の春を謳歌(おうか)していました。そこから転じて、今年の春から夏にかけて成長の限界を迎え、アフターコロナと景気後退で一斉に勢いを落とし始めているように見えます。 この「アフターコロナと景気後退」は、アメリカIT大手の株価下落をもたらす要素ではあるのですが、ここで見落としてはいけない、もうひとつ重要な要素が存在します』、何なのだろう、
・『米IT大手を襲うのは成長の限界だけではない  それは、「お互いがお互いの収益源に対して手を出し始めたこと」です。それまでIT大手にとってブルーオーシャンだった自分の得意領域が、血で血を洗うレッドオーシャンに変質し始めているのです。 要素を整理してみましょう。SNAPの凋落(ちょうらく)やツイッター、フェイスブックのスローダウンの背景にあると言われるのが、中国資本のTikTokです。 各社の決算発表のコメントには、TikTokとの競争激化が収益減少要因として必ず登場します。若い世代のユーザーを中心に、新しいサービスに顧客を奪われているのです。 グーグルの親会社であるアルファベットは、減益の要因について「企業が広告費を見直す傾向が強まっている」と公式発表していました。実は、グーグル事業よりも動画配信ビジネスのYouTubeでの悪影響が響いたようです。 そしてYouTubeへの広告出稿が鈍化した背景には、ツイッターなど競合するSNSにおける動画投稿市場が広がったことが影響だとされています。SNSがYouTubeの収益を奪っているのです。 そのアルファベットですが、広告収入は減少した一方で、クラウドサービスの収入が市場予想よりも高かったことで売り上げは市場予測を上回りました。 ここも面白い点です。実は、マイクロソフトはアルファベットと同じ日に決算を発表して、売り上げ・利益ともに市場予測を上回っていました。しかし、そんなマイクロソフトが唯一市場の期待に応えられなかったのが、クラウドサービス分野です。クラウドサービスにおけるアジュールの成長が、予想よりも低かったのです。つまり、マイクロソフトの成長余地をアルファベットが奪った形です。 今度は、ネットフリックスに目を移してみましょう。実は、利用者減少の最大要因は、ウクライナ侵攻によるロシア・ウクライナでの利用者減少でも、アフターコロナによる巣ごもり需要の消失でもなく、ダイレクトな競合サービスである「ディズニー+」の躍進にあるようです。 「ディズニー+」は、古くからあるディズニーのコンテンツに加えて、買収によって権利を得たマーベルやスターウォーズといった強力なコンテンツを武器に拡大を始めています。 同じく強力なコンテンツに強みを持つネットフリックスにとっては、同じ戦い方で同じ市場を取り合う初めての強敵の出現ということになるわけです。成長の限界というよりも、顧客が奪われ始めているのです。 さらに、ネットフリックスは戦い方を変えるために安価な広告付きプランの導入を来年度にも始めようと考えています。これはもともと1000円を切る価格のサービスだったところから値上げを繰り返した末に、インフレ経済に突入し加入者の減少を迎えてしまったことへの対抗策です。確かに、広告事業への参入は有効性が高いと思われます。 一方で、このニュースの大きなポイントはネットフリックスが組んだ「相手」だと、私は思います。実は、その広告付きプランの開発で、ネットフリックスが組んだ相手はマイクロソフトだったのです。 要するに、ネットフリックスはグーグルと組むことができなかった。それは新しいネットフリックスの広告付きモデルが、グーグル陣営のYouTubeとダイレクトに競合して収益を奪うことを危惧しているからでしょう』、「その広告付きプランの開発で、ネットフリックスが組んだ相手はマイクロソフトだったのです。 要するに、ネットフリックスはグーグルと組むことができなかった。それは新しいネットフリックスの広告付きモデルが、グーグル陣営のYouTubeとダイレクトに競合して収益を奪うことを危惧しているからでしょう」、組む相手は「競合」状況に左右されるようだ。
・『米IT大手の株価下落 「レッドオーシャン化」が一要因  こうして要素を並べてみると、成長の限界とは別のもう一つの収益減少要因が見えてきます。 アメリカのIT大手各社のビジネスについて、お互いの収益を奪い合うレッドオーシャン化が始まったのです。さらに言えば、IT各社はまだこれから始まるメタバースに関しても一斉に侵攻を始めています。 冒頭でお伝えしたメタの大幅減益に関しても、メタバース関連への投資がかさんでいることが一つの要因です。序盤戦ですでに、メタバース事業は各社ともレッドオーシャンです。 もちろんレッドオーシャン化のきっかけはこれまでの事業の柱の成長の鈍化によって、各社とも自分と近しいビジネスの隣接領域へと手を伸ばそうと考えたからです。ですから、成長の限界が競争激化のきっかけを起こしていることも事実です。 とはいえ、これから起きる未来を考えると、成長の限界とレッドオーシャン化ではそこから導かれる未来が違ってきます。 後者が引き起こす未来、それは業界の再編です。つまりGAFAと呼ばれる4社の寡占構造が崩れ、業界地図が大きく変わる可能性が見えてきた。 それが、今起きているアメリカIT株の下落の一番大きな不安要因なのではないでしょうか?』、「GAFAと呼ばれる4社の寡占構造が崩れ、業界地図が大きく変わる可能性が見えてきた。 それが、今起きているアメリカIT株の下落の一番大きな不安要因なのではないでしょうか?」、面白い見方だ。
タグ:真壁昭夫氏による「GAFAの株価が低調、「成長の限界を迎えた」といえるこれだけの理由」 ダイヤモンド・オンライン (その7)(GAFAの株価が低調 「成長の限界を迎えた」といえるこれだけの理由、アップル 成長鈍化の逆風下でM2チップに透ける「深謀遠慮」とは、GAFA神話終焉のワケは「ネット広告の限界」だけじゃない!Twitter Netflixも同じ) GAFA 要因には、「各社の成長期待が鈍化」、「米国内の人手不足」、「ディ・グローバリズム」「に伴うコストアップ要因」、「主要先進国における個人データ保護規制の強化」、さらには「FRB」の「金融引き締め」など構造的な性格が強いようだ。 さしもの「GAFA」にも「行き詰まりの兆し」とは興味深そうだ。 「金利上昇によって」、「フリー・キャッシュ・フローの「割引現在価値」・・・は小さくなる。GAFAのように成長期待が高い企業ほど、そのインパクトは大きくなり株価の下落懸念は高まりやすい」、「米国の金利は急速に上昇し、GAFAなどIT先端企業の株価の低下傾向が一段と鮮明化する恐れがある」、「GAFA各社がこれまでの発想にとらわれることなく新しいモノやサービスを生み出し、需要を創出することが出来るか否か、その実力が問われている」、これは残念ながら期待薄だ。 悪材料がよくもここまで出揃ったものだ。 「アップル」の「国際分業体制」の「ビジネスモデルに行き詰まり」は確かに深刻だ。 三番目は残念ながら期待薄だ。 真壁昭夫氏による「アップル、成長鈍化の逆風下でM2チップに透ける「深謀遠慮」とは」 「「M2チップ」を発表した。その狙いは、より高性能なチップ開発を加速し、より多くの人が能動的に活動できる、新しいネット空間を整備することだろう。 アップルは人々がより積極的に新しい取り組みを進めてモノやサービスを取引するバーチャルな市場を整備し、その運営を多種多様な企業と連携して進めようとするだろう」、ずいぶん意欲的なようだ。 「同社で労組が結成されたことは、ビジネスモデルの優位性が揺らぎ、高い成長の維持(≒給料の増加)が難しくなるとの懸念を示す」、その通りだろう。 「アップルは他社との連携を強化して新しいネット上の秩序の構築に取り組むだろう。例えば、国際的なNFT取引の市場を整備し取引をモニターする、個々人や組織が必要に応じてネット空間で専門的なスキルを持つ人を募りプロジェクトを進める、などだ」、なるほど。 「1990年代以降、わが国はデジタル化に取り残された。ウェブ3.0の時代が幕を開ける中、本邦企業はしっかりとしたビジネスモデルを確立しなければならない。各企業は先端分野におけるモノづくりの力を徹底して磨く必要がある。 加えて、日本政府が半導体の部材や製造装置、さらにはマイコンやパワー半導体など本邦企業が国際競争力を維持している分野に、支援を迅速かつ他国に見劣りしない規模感で実施することも不可欠だろう」、同感である。 東洋経済オンライン 鈴木貴博氏による「GAFA神話終焉のワケは「ネット広告の限界」だけじゃない!Twitter、Netflixも同じ」 何なのだろう、 「その広告付きプランの開発で、ネットフリックスが組んだ相手はマイクロソフトだったのです。 要するに、ネットフリックスはグーグルと組むことができなかった。それは新しいネットフリックスの広告付きモデルが、グーグル陣営のYouTubeとダイレクトに競合して収益を奪うことを危惧しているからでしょう」、組む相手は「競合」状況に左右されるようだ。 「GAFAと呼ばれる4社の寡占構造が崩れ、業界地図が大きく変わる可能性が見えてきた。 それが、今起きているアメリカIT株の下落の一番大きな不安要因なのではないでしょうか?」、面白い見方だ。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

イノベーション(その4)(マッキンゼー:日本でイノベーションが生まれなくなった真因 新規事業の構築における「5つの罠」と処方箋、『両利きの経営』著者が指摘 日本企業の多くがイノベーションを勘違いしている チャールズ・オライリー教授インタビュー(前編)、NECやAGCにスタンフォードの学生が興味津々の理由 『両利きの経営』著者に聞く チャールズ・オライリー教授インタビュー(後編)) [イノベーション]

イノベーションについては、2019年1月31日に取上げた。今日は、(その4)(マッキンゼー:日本でイノベーションが生まれなくなった真因 新規事業の構築における「5つの罠」と処方箋、『両利きの経営』著者が指摘 日本企業の多くがイノベーションを勘違いしている チャールズ・オライリー教授インタビュー(前編)、NECやAGCにスタンフォードの学生が興味津々の理由 『両利きの経営』著者に聞く チャールズ・オライリー教授インタビュー(後編))である。

先ずは、2020年5月24日付け東洋経済オンラインが掲載したマッキンゼー パートナーの野崎 大輔氏と、マッキンゼー アソシエイトパートナーの 田口 弘一郎 氏による「日本でイノベーションが生まれなくなった真因 新規事業の構築における「5つの罠」と処方箋」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/346923
・『日本から生まれた新たな製品やサービスが世界を席巻する──。かつて度々耳にしたそうした輝かしい報道を聞かなくなって久しい。企業も研究機関も、そして個人も日々努力を重ねているのだが、頓挫したり空回りしたり、思ったような成果が出せないケースが多く見られる。その問題の真因はどこにあるのか。昨年、『マッキンゼー ホッケースティック戦略成長戦略の策定と実行』を監訳した野崎大輔氏と、一部翻訳を担当した田口弘一郎氏が、新規事業において日本企業が陥りがちな罠とその処方箋を解き明かす』、興味深そうだ。
・『研究開発費自体は増えている  近年、日本企業のイノベーション力が低下しているという声をよく聞くようになった。例えば中国に特許出願数や論文の被引用数で後れを取り始めたというのはその証左であろう。 リチウムイオン電池のように、革新的な技術を開発して世界を席巻するということについては強さを誇ってきた日本企業であるはずだが、今何が起きているのか。そこには、日本ならではの課題が存在しているとわれわれは考えている。 本稿では80年代からの長期にわたるデータ分析と共に、これまで数多くのクライアントをご支援してきた経験から、日本企業がイノベーションを推進するうえで陥りがちな罠と、今後必要な取り組みについて考えてみたい。 まず、日本の研究開発に対するリソースがどう推移してきたか見てみたい。 1987年から2019年までの日本企業における研究開発費売上高比率と企業研究者の人数を見ると、実は80年代後半から今に至るまで、基本的には日本企業の研究開発にかけるリソースは継続的に増加してきている。 研究開発費売上高比率では、1987年に2.8%だったものが継続的に増加し2017年では3.9%、企業における研究者も1987年に26万人だったものが2017年では50万人近くまで、年率2%程で継続的に増えてきている。) では、なぜ特許出願数などで中国に後れを取り始めているのか。単純に、中国の研究開発費や研究者の増加が日本よりも急激だからであろうか』、「研究開発費売上高比率」は上昇、「研究者数」も増加しているのに、「特許出願数などで中国に後れを取り始めている」ようだ。
・『課題は研究者1人当たりの生産性  ここで、日本とアメリカ・中国の間で研究開発の生産性の比較を行ってみたい。あくまでも一つの指標ではあるが、研究者1人当たりの研究開発費(インプット)と、研究者1人当たりの特許出願件数(アウトプット)がどのように推移してきたか、それぞれの国で見ていく。横軸に1人当たり研究開発費(インプット)、縦軸に1人当たり特許出願件数(アウトプット)をプロットして時系列で見てみると、面白いことが見えてくる。 (出所:OECD Stat, WIPO Statistics database より筆者作成) まず、中国について。2000年代前半まで1人当たり研究開発費は10万ドル未満、特許出願件数も0.1件程度であったが、2009年に1人当たり研究開発費が15万ドルを超え、特許出願数0.2件と倍増したあたりから、毎年1人当たり研究開発費と1人当たり特許出願件数がきれいに相関を持って増加し、2017年では1人当たり研究開発費は約28万ドル、特許出願件数は0.75件程度となり、インプット・アウトプットともに日本の水準を超えている。 アメリカについては、1980年代に1人当たり研究開発費は20万ドル未満で特許出願件数も約0.1件程度であったが、その後継続的にインプットもアウトプットも増加し、2016年では1人当たり研究開発費が38万ドル程度、特許出願件数が0.4件程度と増加してきている。 つまり、アメリカでも中国同様、緩やかではあるものの、基本的にはインプットが増えればアウトプットが増える、という相関が維持されている。 一方日本はどうか。1980年代前半までは1人当たり研究開発費が10万ドル未満、1人当たり特許出願件数は0.6件程度であったが、そこから2000年代前半まで、1人当たり研究開発費が継続的に増加し17万ドル程度となり、1人当たり特許出願件数もそれに伴って0.8件程度まで増加していった。 つまり2000年代前半までは、日本もインプットを増やすほどアウトプットが増えていたのである。 ところが2000年代後半からは様子が大きく変わる。2017年までに1人当たり研究開発費は27万ドル程度まで増加したが、1人当たり特許出願件数はむしろ減少し、0.7件を下回っている。1人当たり研究開発費が10万ドル増えたにもかかわらず、特許出願件数が減っている。 つまり、インプットを増やしてもアウトプットが増えない、むしろ減ってしまうという壁に突き当たってしまっているのである。) もちろん、特許出願数はイノベーション力の1つの指標にすぎず、これはあくまでも1つの可能性にすぎないが、日本のイノベーション力の低下は、人員数や資金の問題ではなく、研究者1人当たりの生産性の低下がボトルネックになっていることが可能性として考えられる。 仮にそうであった場合、なぜこういった生産性の低下が起こってしまっているのであろうか』、「1人当たり研究開発費」と「特許出願件数」は中国や米国では比例関係がみられるが、日本では「2000年代後半から」インプットを増やしてもアウトプットが増えない、むしろ減ってしまうという壁に突き当たってしまっている」、確かに不思議な「生産性の低下」だ。
・『変わらない研究領域  こういった生産性低下の原因の1つのヒントとなるのが、日本の研究開発領域の硬直性である。日本の研究開発領域は、過去20年ほとんど変わっていない。 アメリカや中国は、過去20年間で大きく研究開発分野をシフトさせてきた。例えば特許登録件数の分野別比率(8技術分野)を見ると、アメリカは2000年から2018年の間で、特許登録件数に占める情報通信分野の割合が16%から29%へほぼ倍増し、代わりに化学や機械工学といった分野の比率が大きく下がった。 一方日本は、構成比率が最も大きく増減した分野でも、輸送機械分野の7%から10%へ移行した、約3%ポイントのみである。それ以外の分野に至っては、構成比率は3%ポイント未満しか増減していないのである。19年間という期間を考えれば、むしろ驚くべき硬直性である。また、毎年総務省が行っている科学技術研究調査という研究開発に関するサーベイの結果を見ても、少なくともここ10年間、研究者の専門分野構成はほとんど変わっていないことがわかる。 これは、ある程度成熟してしまった研究領域の中でさらに深掘りをし続けているということでもあるし、世界のニーズが大きくシフトしてきている中で、新たなニーズが生まれ多くのイノベーションが求められている領域での勝負ができていないということかもしれない。 こういったところに、日本企業の研究開発における生産性低下の一因があるのではないだろうか。つまり、アウトプットとしての事業領域がシフトできていない、新たなニーズをうまくとらえた事業を展開できていないために、研究開発も既存の領域にとどまり、結果的に生産性が低下してきてしまっているのではないか。 実際、携帯電話の顔認証機能など、先に基礎技術としての研究開発で成果は出していても、結局消費者のニーズをうまく捉えて製品化・事業化したのは海外企業であった、という例も見られる。 これを解決するためには、そもそもの日本企業の事業領域シフトを加速させることが重要である。 しかし、ここに日本特有の難しさが存在している。) たとえば上場企業の新陳代謝は、アメリカに比べ日本は非常に緩やかである。2017年の日経新聞調査によれば、ニューヨーク証券取引所の上場企業における平均寿命(上場維持年数の平均値)は15年であるのに対し、日本取引所上場企業の平均寿命は89年。経営の安定性が高い一方で、新陳代謝が進みにくく、新たな産業領域の開拓は苦手な傾向にある。 こういった事業のシフトを加速すること、そして、事業上のニーズに合わせて研究開発の方向性を調整し生産性を高めていくためには、まずそのかじ取りを行うマネジメント側が変わっていく必要があるのではないか。 既存企業の中において、新たな事業構築にかかわるマネジメントの行動様式を整え、そして組織としてのスキルを獲得すること(リスキリング)で、企業の新陳代謝を高め、新たな事業領域を切り開くことができるのではないだろうか』、「アメリカや中国は、過去20年間で大きく研究開発分野をシフトさせてきた」、他方、「日本の研究開発領域は、過去20年ほとんど変わっていない」、「驚くべき硬直性である」、「アウトプットとしての事業領域がシフトできていない、新たなニーズをうまくとらえた事業を展開できていないために、研究開発も既存の領域にとどまり、結果的に生産性が低下してきてしまっているのではないか」、「上場企業の新陳代謝は、アメリカに比べ日本は非常に緩やかである。2017年の日経新聞調査によれば、ニューヨーク証券取引所の上場企業における平均寿命・・・は15年であるのに対し、日本取引所上場企業の平均寿命は89年。経営の安定性が高い一方で、新陳代謝が進みにくく、新たな産業領域の開拓は苦手な傾向にある」、「既存企業の中において、新たな事業構築にかかわるマネジメントの行動様式を整え、そして組織としてのスキルを獲得すること(リスキリング)で、企業の新陳代謝を高め、新たな事業領域を切り開くことができるのではないだろうか」、確かに「リスキリング」が鍵になるようだ。
・『日本企業の新規事業構築「5つのポイント」  特に近年、我々のクライアントに対しても、こういったリスキリングと新規事業創出の具体的支援を並行して進めるケースが増えてきている。さまざまなご支援をさせていただく中で、我々は特に日本企業のマネジメントが陥りがちな罠がいくつか存在すると考えている。 今回は、その中でも主な5つをご紹介しつつ、それぞれにどう対処すべきか考えてみたい。 (1)「製品開発」の発想で「事業開発」を推進しない  これまで既存事業を長く続けてきた日本企業は、「製品開発」と「事業開発」が根本的に異なるものであることを意識しなければならない。 例えば既存事業において、製品開発の中止は稀にしか起きない憂慮すべき事態である。新型車の開発は遅延こそ起きるが、中止されることは比較的まれである。 一方で新規事業についてはどうか。事業開発は、そのほとんどが失敗する、もしくはピボットが必要になるというのが前提である。VCの事業ポートフォリオは平均30社以上で、その内1?2社がIPOすれば成功であり、それらの事業もIPOまでに3~4回程度のピボットを経験することが普通であると言われている。それに対し、例えば自動車のような製品開発の発想だと、30の製品開発を始めて、1製品でもヒットすればいい、しかも途中で大きな設計変更が3?4回生じるというのは通常許容されないだろう。 新規事業開発は製品開発と違い、そもそも顧客のニーズが存在するのか、事業モデル・マネタイズモデルが機能するのか不明確なところからスタートするため、当然確度は低くなる。複数の案件を、そのほとんどがうまくいかない前提で、顧客ニーズの確度を検証しつつ、頻度高くポートフォリオ管理を実施していくことが求められる。 また製品開発は、ある技術やサービス単品の開発をロードマップに沿って行うことが多いが、事業開発は事業として10年後、20年後の広がりを見据えて行う。仮にロードマップ通りに製品やサービスが開発されて単体として成功しても、事業としての長期的な展開に対するビジョンがないと、散発的な新規事業の一つとして数年で成長が止まってしまうことが多い。この製品開発から事業開発への考え方の切り替えが、リスキリングの重要な一歩となる』、「製品開発から事業開発への考え方の切り替えが、リスキリングの重要な一歩となる」、その通りだろう。
・『(2)既存事業の物差しで新規事業を見ない  上記のようなものの見方の違いを頭ではわかっても、いざ同じ経営会議の俎上にのせて同じメンバーで議論をしてしまうと、必然的に同じ物差しに寄せるバイアスが働くのは人の性といえる。場合によっては新規事業が経営企画部の管掌であったり、新規事業担当役員が既存事業と兼任であったりして、どうしても既存事業のKPI(重要業績評価指標)や成功確率やスピードに引きずられてしまう。) 日本企業、特に産業の中心を担ってきた自動車などの製造業は既存事業の確度が比較的高いことが多い。もちろん、そういった業界でも不確定性は常に存在するが、生産性・効率性等オペレーショナルなKPIをきっちりとやり切ればそれなりの成果は見込める。 一方で新規事業については、ニーズそのものが不透明で、何がKPIかも決まっておらず、わずかに垣間見える顧客ニーズの一端といった定性的な要素に基づいて頻度高い経営判断を行うことが求められる。 もちろんこういったことができるように既存経営陣に対してリスキリングを進めていく必要はあるが、同じ土俵・メンバーで議論している限り、リスキリングの進みはどうしても遅くなってしまう。 新規事業については組織を分け、担当役員も完全に分離した上で、新規事業に係る意思決定は既存の経営会議と分けて実施をするのがあるべき姿といえる。そして新規事業担当役員については、社内に適任者がいない場合、外部登用も積極的に検討すべきである』、「新規事業については組織を分け、担当役員も完全に分離した上で、新規事業に係る意思決定は既存の経営会議と分けて実施をするのがあるべき姿といえる」、なるほど。
・『既存事業の物差しも必要  一方で、いつかは新規事業も既存事業の物差しで評価していくことが必要となってくる。例えばある大手電機メーカーの社内ベンチャー制度では、立ち上げた新規事業に対して社内の他部門から引き合いが来た段階で、既存事業部に事業ごと引き渡すということを行っている。 また、営業キャッシュフローが黒字になるタイミングをマイルストーンとして事業部として独立させ、それ以降は既存事業と同等の評価指標で見るといった工夫も考えられるであろう。 (3)新規事業の成功体験を持つ外部人材の活用  新興国の台頭やデジタル化の進展、CASE(自動車業界に大きな影響を与えつつある4つのトレンド:Connected, Autonomous, Shared, Electrificationの頭文字を取ったもの)など破壊的トレンドによって日本企業が本格的に新規事業に取り組み始めたのは比較的最近のことである。 その中で、まだ新規事業の創出に成功したプレーヤーは多くはない。ほとんどの企業で、新規事業の成功体験がないのである。よって、社内でリスキリングを推進できるコーチ役となる人材は通常ほぼいない。 また、その中で、概念的に見るべきKPIや組織体制など他社のベストプラクティスを模倣しても、具体的なKPIの粒度や顧客ニーズの掘り起こし方など、成功体験を持ち肌感覚でわかる人材がいなければ成功確度は当然下がってしまう。 リスキリングを加速させるためには、起業経験・VC経験を持つ社外の人材をアドバイザーとして起用したり、短期契約でも新規事業創出のプロセスを一緒にひと回ししてもらい、社内の人材に実体験を蓄積したりすることが効果的である。一部の国内メーカーでは、既に社外有識者をアイデア創出等の取り組みにおいて積極的に活用し始めている』、「起業経験・VC経験を持つ社外の人材をアドバイザーとして起用したり、短期契約でも新規事業創出のプロセスを一緒にひと回ししてもらい、社内の人材に実体験を蓄積したりすることが効果的」、なかなかいいアイデアだ。 (4)リスキリングを組織として消化する  せっかく外部人材を登用してリスキリングを推進しようとしても、実際のオペレーションや、人材の評価・育成の仕組みが既存のままだと、組織としての慣性力(イナーシャ)が働き、リスキリングは停滞するか、以前の状況に簡単に戻ってしまう。 これを避けるためには、上述のようなオペレーションや、人材の評価・育成を新規事業に即したものに変えていき、リスキリングを継続させる仕組みを組織として構築する必要がある。 このためには、上述のように新規事業組織を分けるとともに、そこに新規事業スキルを保有する人材、新たな研究開発領域の知見を持つ人材を集約し、オペレーションや人材評価・育成を既存事業と分けて実施することが重要である。) たとえばある国内の鉄道会社では、そもそも採用の時点で既存の鉄道事業部門と電子マネーなど新規事業を担当する部門を分け、人事制度も既存事業とは分けている。 このように、新規事業として独立した人事制度・採用枠を作り、必要な人材がクリティカルマスを超えるように、新卒・中途双方での採用を行うべきである。 そして、新規事業を推進できる魅力的な人材を採用できるだけの柔軟な処遇や、新規事業からのキャリアパスが描けることなど、人事制度上の工夫が必須である』、「新規事業として独立した人事制度・採用枠を作り、必要な人材がクリティカルマスを超えるように、新卒・中途双方での採用を行うべきである」、なるほど。
・『人事制度の独立が必須  このように、新規事業は新規事業として、独立した人事制度・採用枠を作り、必要な人材がクリティカルマスを超えるように、新卒・中途双方での採用をすべきである。そのためには、新規事業を推進できる魅力的な人材を採用できるだけの柔軟な処遇や、新規事業からのキャリアパスが描けることなど、人事制度の独立が必須である。 (5)新規事業=ゼロイチというバイアスの克服  これまで見てきたように、新規事業といっても、本当にゼロから事業を創出しスケールアップさせることは、確率が低く忍耐を伴い、見通しも不透明なものである。 1つの手法として、プログラマティックなM&Aを活用して新たな領域にどう入っていくかを検討することも重要な新規事業のアプローチである。 特に、対象とする事業領域の人材や組織をそのまま手に入れることが可能であるため、上記で述べたような陥りがちな罠はM&Aという手法を取ることによってある程度回避できる。 ゼロイチからの新規事業を検討する前に、どういった新規事業を目指すのか、本当にM&Aではなくゼロからの立ち上げを目指す必要があるのかを具体的に検討したうえで新規事業立ち上げの手法を選択すべきである。 そして本当にゼロから立ち上げる新規事業を目指すのであれば、経営陣として覚悟を持ち、外部役員の登用や人事制度の独立など、これまで述べてきたようなドラスティックなやり方を取ってリスキリングも並行して進めていくことが必要となる』、「本当にゼロから立ち上げる新規事業を目指すのであれば、経営陣として覚悟を持ち、外部役員の登用や人事制度の独立など、これまで述べてきたようなドラスティックなやり方を取ってリスキリングも並行して進めていくことが必要となる」、「経営陣として覚悟」が弱ければ、モラルも上がる筈もない。

次に、6月27日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した作家/コンサルタントの佐藤智恵氏による「『両利きの経営』著者が指摘、日本企業の多くがイノベーションを勘違いしている チャールズ・オライリー教授インタビュー(前編)」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/305262
・『日本でベストセラーとなったビジネス書『両利きの経営―「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く』の増幅改訂版が6月24日に発売された。著者の一人であるスタンフォード大学経営大学院のチャールズ・オライリー教授は日本での同書のヒットをどう見ているのか。また改訂版で新たにAGC(旧・旭硝子)の事例を加筆した理由とは』、興味深そうだ。
・『なぜ「両利きの経営」は日本でベストセラーになったのか  佐藤智恵 『両利きの経営―「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く』(以下、「両利きの経営」)が、日本で10万部を超えるベストセラーとなっています。なぜ日本でこれほどのヒットを記録したと思いますか。 チャールズ・オライリー 「両利きの経営」に対しては世界中から反響がありましたが、日本からの反響が際立って大きいのは確かです。その理由は、おそらく日本の経営者がどの国の経営者よりも強く変革の必要性を感じているからではないでしょうか。 戦後、多くの日本企業は右肩上がりで成長を続けてきましたが、近年は中国企業や韓国企業など新興勢力がどんどん台頭し、激しい価格競争にさらされています。こうした中、日本企業の経営者は「これまでうまくいっていたやり方はもはや通用しないのだから、何か別のことをやらなくてはならない」「会社も、経営者としての自分も変わらなければならない」と痛感しているように見受けられます。 私たちが「両利きの経営」で示したのは、大企業がイノベーションを創出するための具体的な手法です。これが結果的に日本企業の経営者が今知りたいことにダイレクトに答えることとなり、多くの読者に支持されたのではないでしょうか。 また、私たちは本書で「大企業は長期的な視点でイノベーションを創出することが大切だ」と提唱していますが、日本企業の経営者は一般的に長期的な利益を重視しますから、こうした視点にも共感していただいたのかもしれません。 佐藤 「両利きの経営」の出版以来、オライリー教授の提唱する「既存事業の深化と新規事業の探索を同時に行う経営手法」は多くの日本企業に取り入れられ、経営のスタンダードになりつつあります。新型コロナウイルスの感染拡大は、こうした企業における「両利きの経営」の推進にどのような影響を与えたと思いますか。 オライリー パンデミックは、明らかに企業に変革やイノベーションを加速させるきっかけをもたらしたと思います。大企業の中には、これを機に「両利きの経営」をさらに加速させている企業もあります。自社はもう変われないと思っていたが、必要に迫られるとこれほど自社は変われるのかと実感し、変革に前向きになった経営者や社員がたくさん出てきたからです。 もちろんパンデミック下で業績が悪化した企業も数多くありますが、これらの企業が「両利きの経営」の実践を完全にストップさせたかといえば、そうでもないのです。大規模な投資は控えても、新規ビジネス創出への投資はやめていません』、「「両利きの経営」の出版以来、オライリー教授の提唱する「既存事業の深化と新規事業の探索を同時に行う経営手法」は多くの日本企業に取り入れられ、経営のスタンダードになりつつあります」、「自社はもう変われないと思っていたが、必要に迫られるとこれほど自社は変われるのかと実感し、変革に前向きになった経営者や社員がたくさん出てきた」、なるほど。
・『イノベーションが「着想」で終わっている  佐藤 日本では2022年6月24日に「両利きの経営」(増補改訂版)が新たに出版されました。今回、増補改訂版を出版しようと思った動機は何ですか。 オライリー 16年に「両利きの経営」を出版した後、日本とヨーロッパでさらに研究を進めたところ二つの重要な発見があり、これらをぜひとも書き加えたいと思ったからです。 まず一つめの発見は、何をどこまで実現すれば本当にイノベーションを創出したといえるのかを、多くの経営者や管理職が明確に理解していない点です。彼らが「イノベーション」という言葉を使うとき、それはほとんどの場合「アイデアを着想すること」を意味します。 つまり、「社内からイノベーションを起こすには、とにかく社員に新しいアイデアをたくさん提案してもらわなくてはならない」「新規ビジネスのアイデアがたくさん出てくれば、革新的な会社になれる」と思い込んでいるのです。 例えば、18年にある日本の大企業を調査したときのことです。この会社は「デザイン・シンキング」に多くのリソースを割いていて、新規事業開発部門の担当者は「このプロジェクトから新規ビジネスや新製品のアイデアが400以上も生まれたんですよ」と誇らしげに語ってくれました。 ところが実際、アイデアを思いつくだけでは、イノベーションは生まれません。私たちの理論によれば、イノベーションには「着想」(アイディエーション)→「育成」(インキュベーション)→「規模の拡大」(スケーリング)の三つのフェーズがあり、この三つ全てを実現して初めてイノベーションを創出したことになるのです。 私が担当者に、「ではその400のうち、いくつ市場に出し、いくつ事業化したのですか」と聞くと、口ごもってしまいました。つまりこの会社のイノベーションは、三つのフェーズのうちの「着想」で終わっていて、「育成」「規模の拡大」までたどりついていなかったのです。 二つめの発見は、これまで会社を成長させてきた既存事業の企業文化が「両利きの経営」推進の障害にもなり得ることです。なぜなら既存の企業文化は、新規事業部門が必要とする起業家的な文化とは相反することが多いからです。 「両利きの経営」を実現するためには、経営者が意識して「既存事業部門の伝統的な文化」と、「新規事業部門の起業家的な文化」を併存させていかなければなりません。ところが、全く異なる文化を両輪で回すのは容易ではありません。 経営者が相当な覚悟を持って二つの企業文化を管理しなければ、いくら新規事業開発用の新しい組織をつくったとしても、結果的に多くの社員が長いものに巻かれ、保守化してしまう結果となります。 こうした二つの発見をもとに私たちはさらに研究を進め、増補改訂版では、イノベーションの三つの規律(「着想」→「育成」→「規模の拡大」)と「両利きの経営」における組織文化の役割について大幅に加筆しています』、「この会社のイノベーションは、三つのフェーズのうちの「着想」で終わっていて、「育成」「規模の拡大」までたどりついていなかったのです」、「これまで会社を成長させてきた既存事業の企業文化が「両利きの経営」推進の障害にもなり得る」、あり得る話だ。
・『AGCと富士フイルム、2社の変革手法の違いとは  佐藤 「両利きの経営」(増補改訂版)では日本企業のAGC(旧・旭硝子)の事例についても加筆しています。その理由は何ですか。 オライリー 「両利きの経営」ではすでに富士フイルムの事例を取り上げていますが、増補改訂版では新しい日本企業の事例を追加したいと思いました。いくつかの候補の中からAGCを選んだのは、「伝統的な日本企業も変わろうと思えば変われるのだ」という事実を如実に示してくれた事例だったからです。 ご存じのとおりAGCは110年以上もの歴史を持つ長寿企業です。優れたテクノロジーも製造能力もある。ところが、近年は日本の他の製造業と同じようにコモディティー化の問題に直面していました。主力のガラス事業は市場競争にさらされ、伸び悩み、さらに他の既存事業も大きく成長する余地はなさそうな状況でした。 私たちが注目したのは15年に社長に就任した島村琢哉氏(現・AGC取締役兼会長)が、実際にどのように「両利きの経営」を実践していったかです。特に、富士フイルムとの比較で興味深かったのは、変革の手法です。 富士フイルムの古森重隆氏(現・富士フイルムホールディングス最高顧問)がトップダウンで一気に改革を断行していったのに対し、島村氏はトップダウンとボトムアップを併用した手法で時間をかけて改革を進めていった印象があります。このリーダーシップスタイルの違いも面白いと思いました。) 佐藤 トップダウンとボトムアップを併用した手法とは、具体的にはどういうことですか。 オライリー 島村氏が実行した改革の中でも非常に効果的だったと私が評価しているのが、組織文化改革です。島村氏は次の二つを特に意識して実行したと思います。 まず一つめが、「既存事業部門のものづくり文化」と「新規事業部門の起業家的な文化」を両輪で回すことです。全く異なる企業文化の管理はトップにしかできません。 既存事業部門の社員には、AGCの伝統であるものづくり文化を大切にしつつ、生産性の向上とグローバル展開に注力することを奨励し、新規事業部門の社員には、起業家のようなマインドで仕事をしてイノベーションを創出することを奨励しました。 二つめが、最初から中間管理職を企業変革に巻き込むことです。島村氏は中間管理職から会社の戦略について直接、意見を聞くセッションをいくつも設けました。 例えば「2025年のありたい姿」を策定した際には、早い段階から中間管理職が議論に参画し、自社がどの分野に進出すべきかについて意見を述べたと聞きます。自分の意見を社長に直接聞いてもらい、全社戦略に反映されれば、当然のことながら社員のやる気は高まるでしょう』、「「既存事業部門のものづくり文化」と「新規事業部門の起業家的な文化」を両輪で回すことです。全く異なる企業文化の管理はトップにしかできません。 既存事業部門の社員には、AGCの伝統であるものづくり文化を大切にしつつ、生産性の向上とグローバル展開に注力することを奨励し、新規事業部門の社員には、起業家のようなマインドで仕事をしてイノベーションを創出することを奨励しました」、「AGC」の「トップ」は「全く異なる企業文化の管理」をしたとは大したものだ。
・『社名変更が社員にもたらす影響とは  佐藤 AGCは18年に「旭硝子」から社名変更しましたが、社名変更は企業文化の変革にどのような影響をもたらしたと思いますか。 オライリー もちろん社名を変えたからといって、急に会社が変わるわけではありません。しかし社名変更には、社員に「これから私たちの会社は変わります」という強いメッセージを伝える効果があります。 例えば21年、フェイスブックが「メタ・プラットフォームズ」に社名変更しましたが、その主な目的は「これからこの会社はフェイスブック以外のプラットフォーム事業にも注力していく」というメッセージを社員に象徴的に伝えることだと思います。経営陣が新規事業に前向きなことが分かれば、社員は既存のフェイスブック事業の枠組みを超えた新規事業を安心して提案することができます。 経営陣が社員に変革を奨励する手法はいくつもあり、社名の変更は数ある手法の一つにすぎませんが、起業家精神にあふれた社員の能力を生かすために一定の効果があるのは間違いありません。社内で起業したい、新規事業を起こしたいと思っていた社員はますますやる気になるでしょうから。 その意味でもAGCの事例は興味あるものだと思います。私自身は、社名を変え、組織を変え、文化を変えたAGCが今後どのように変わっていくのか、注目しています。この事例は自社を変革したいと考える全てのリーダーにとって興味深いものですので、ぜひ多くの読者に読んでいただきたいです。(チャールズ・オライリー氏の略歴、佐藤智恵氏の略歴はリンク先参照)』、確かに「社名を変え、組織を変え、文化を変えたAGCが今後どのように変わっていくのか、注目」、同感である。

第三に、この続きを、6月28日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した作家/コンサルタントの佐藤智恵氏による「NECやAGCにスタンフォードの学生が興味津々の理由、『両利きの経営』著者に聞く チャールズ・オライリー教授インタビュー(後編)」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/282522
・『日本でベストセラーとなったビジネス書『両利きの経営―「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く』の増幅改訂版が6月24日に発売された。著者の一人であるスタンフォード大学経営大学院のチャールズ・オライリー教授は、同校の授業でNECやAGCの事例を教えている。スタンフォードの学生たちは日本の長寿企業の改革をどう見ているのか。また、「両利きの経営」を実践する上で欠かせない、経営者必見の五つのポイントについて解説してもらった』、興味深そうだ。
・『「両利きの経営」著者がNECの変革に注目した訳  佐藤智恵 オライリー教授は、スタンフォード大学経営大学院で選択科目「既存組織における起業家的リーダーシップ」を担当しています。授業では、どのような日本企業の事例を取り上げていますか。 チャールズ・オライリー この授業の主題は、「大企業の経営者や管理職は、どうすれば大組織の中で起業家のようなリーダーシップを発揮できるのか」。授業ではNECとAGCの事例を教えています。 NECは日本企業の中でも積極的に「両利きの経営」を実践している会社で、私にとっても非常に興味深い研究対象です。 先ほど、日本の製造業企業が主力製品のコモディティー化の問題に直面していること(前編「『両利きの経営』著者が指摘、日本企業の多くがイノベーションを勘違いしている」参照)をお伝えしましたが、NECも同様の問題を抱え、近年、同社の成長は伸び悩んでいました。 素晴らしい組織能力、技術を持っている。世界市場へ参入していくための諸条件も整っている。顧客インサイトも蓄積されている。ところが、こうした自社の潜在能力をイノベーション創出に生かしきれない状況が続いていたのです。 そこでNECは、既存事業部門とは別に新規事業開発部門を設立し、その部門を核に新たなイノベーションを創出することにしました。2013年には「ビジネスイノベーション統括ユニット」(現・グローバルイノベーションユニット)、18年にはアメリカのシリコンバレーに新会社「NEC X」を立ち上げ、既存事業部門ではできないことに挑戦しようとしてきました。 現在、NECは森田隆之社長のもと、さらに「両利きの経営」を推進しようとしていますが、授業では「あなたがNECの社長だったら、コア事業部門と新規事業部門をどのように併存させていくか」「NECのケイパビリティーをどのように新規事業に生かすか」といったテーマで議論していきます。 佐藤 グローバルイノベーションユニットやNEC Xの存在は、一般社員や中間管理職にどのような影響を与えていると思いますか。 オライリー NECの中間管理職の中には、「私はNECで20年間、この仕事に携わってきた。私は今の仕事が好きだし得意なので、このままこの仕事を続けたい」という人もいるでしょう。私は、それはそれで構わないと思います。 NECにとっては、新規事業を創出することと同じくらい、既存事業を深化させていくことも大切なのです。例えば「三井住友銀行の勘定系システムを構築する」といった仕事がこれからも重要であることに変わりはありませんし、既存事業の仕事が得意な人は既存事業部門で活躍すればよいと思います。 ところがNECの中には、「新規事業の探索をしたい」「新しい事業を立ち上げたい」という社員もたくさんいます。問題は、既存事業部門ではこうした起業家精神にあふれた社員の熱意や能力を受け止めきれないことです。彼らの能力を生かすには、別個の組織が必要なのです。 その意味で私は、グローバルイノベーションユニットやNEC Xはいずれも若い社員ややる気のある社員に活躍の場を与える組織として、重要な役割を果たしていると思います』、「既存事業部門ではこうした起業家精神にあふれた社員の熱意や能力を受け止めきれないことです」、「グローバルイノベーションユニットやNEC Xはいずれも若い社員ややる気のある社員に活躍の場を与える組織として、重要な役割を果たしている」、なるほど。
・『スタンフォードで学んだ起業家精神は大企業で生かされている  佐藤 AGCのケースについては、どのような点に注目して議論するのですか。 オライリー 私がAGCのケースをもとに特に注力して教えているのが、いかに島村琢哉氏(現・AGC取締役兼会長)がボトムアップで組織文化を変革していったかです。 これまでの授業では度々、島村氏をゲストスピーカーとして招聘(しょうへい)しましたが、学生からは「どのようにして社員に変革の必要性を納得してもらったのですか」「日本企業で『両利きの経営』を実践できた秘訣(ひけつ)は何でしょうか」といった質問が相次ぎました。というのも、スタンフォードの学生は一般的に「日本企業は変革するのが難しい」「日本企業の経営者は決断も実行も遅い」という思い込みを持っているからです。 確かにAGCの変革は一朝一夕では実現できません。同社は創業110年以上の歴史の長い企業です。このような企業を変革するのは、並大抵のことではありません。私の見立てでは、少なくとも10年はかかるはずです。 AGCの「両利き戦略」は15年に島村氏が社長に就任したときに本格的に始まり、現在は平井良典社長に引き継がれていますが、この変革の成果は未知数です。つまり、AGCの「両利きの経営」はまだ発展途上なのです。しかし、同社がこれまでやってきたこと、やろうとしていることは理論的にも正しいことは確かです。 授業ではAGCが島村氏や平井氏のもと、どのように変わっていったかをつぶさに見ていきますが、毎回、学生は「このような伝統的な日本企業でも変われるのだ」という事実を知り、感銘を受けています。 佐藤 スタンフォードのデジタル・ネイティブ世代の学生が、NECやAGCといった日本の長寿企業の事例に関心を持っているのは意外な感じがします。どのような理由から興味を持つのだと思いますか。 オライリー スタンフォード大学の卒業生には著名な起業家がたくさんいることから、「スタンフォード大学の学生は皆、起業家志向だ」と思われがちですが、実際は多くの学生が大企業に就職しています。つまり、スタンフォードで学んだ起業家精神は大企業の中で生かされているのです。そのため、「両利きの経営」について学ぶ選択科目は、スタンフォード大学経営大学院の中で最も人気のある講座の一つになっています。 実際のところ、「両利きの経営」は世界中の大企業にとってますます重要になってきています。特に、アメリカでは経営者が自らの報酬を最大化するために短期利益を追求し、場当たり的な戦略を実施した結果、失敗してしまう事例が後を絶ちません。 ヒューレット・パッカード(HP)は、その典型的な事例でしょう。かつては革新的な企業の代名詞であった同社は、度重なるトップの交代と分社化で、今苦境に立たされています。HPの迷走の要因が、長期的な視点で両利きの経営を実践してこなかったことであることは明らかです。 NECやAGCなど日本企業の事例は、HPのような歴史の長い大企業に就職する学生にとって直接、役立つものなのです』、「AGCの変革は一朝一夕では実現できません。同社は創業110年以上の歴史の長い企業です。このような企業を変革するのは、並大抵のことではありません。私の見立てでは、少なくとも10年はかかるはずです」、やはり「歴史の長い企業」には時間がかかるようだ。「「両利きの経営」は世界中の大企業にとってますます重要になってきています。特に、アメリカでは経営者が自らの報酬を最大化するために短期利益を追求し、場当たり的な戦略を実施した結果、失敗してしまう事例が後を絶ちません。 ヒューレット・パッカード(HP)は、その典型的な事例でしょう。かつては革新的な企業の代名詞であった同社は、度重なるトップの交代と分社化で、今苦境に立たされています」、なるほど。
・『「両利きの経営」を成功させるために必要不可欠な五つの条件  佐藤 「両利きの経営」を実践しようとする日本企業の中には、「新規事業部門や新規ビジネスを立ち上げただけで終わってしまう」「経営者が人事にまで踏み込んで改革しなかったため、結局、新規事業部門が保守化してしまった」といった失敗事例も見受けられます。日本企業の経営者にどのようなアドバイスをしますか。 オライリー おっしゃる通り、「両利きの経営」は「言うはやすく行うは難し」で、頭では理解していても、正しく実践するのは難しいものです。なぜなら、経営者に相当な勇気と覚悟が必要だからです。 しかしながら、決して実現不可能なものではありません。私が「両利きの経営」を実践している大企業の経営者に助言しているのは、次の5点です』、「「両利きの経営」を成功させるために必要不可欠な五つの条件」とはどんなものなのだろうか。
・『(1)「両利きの経営」を経営陣が一丸となって推進する  「一丸となって」というところが肝です。例えば、「この専務は新規ビジネス推進派だけれど、この専務は反対派だ」というような状況を社員が察すれば、どうなるでしょうか。「どちらかにつくと今後の自分のキャリアに影響が出るから、ここは黙って、何もしないでおこう」となるでしょう。 いくら社長が「両利きをやる」といっても、自分の経営チームがまとまっていなければ、失敗してしまうのです。あなたが社長であれば、自分の経営チームは全員「両利き」賛成派にしなければなりません。 (2)二つの異なる企業文化を同時に管理する  ここで重要なのは、新規事業部門の起業家的な文化と既存事業部門の伝統的な文化を別々に管理し、間違っても、新規事業部門に伝統的文化が侵食しないようにすることです。さらにはこの二つの部門は、それぞれ文化は違っても、同じ経営理念を共有しなければなりません。つまり一つの経営理念のもと、二つの異なる企業文化を同時に管理していくことが重要なのです』、(1)は当然だろうが、(2)は結構、難しそうだ。
・『(3)新規事業部門は既存事業部門とは別に設立する  新規事業部門の役割は新しい事業の開拓(explore)であり、既存事業部門の役割は現事業の深化(exploit)です。両者は必要なリソースもプロセスも違います。そのため新規事業部門は、既存事業部門とは切り離して設立する必要があるのです。 (4)規模の拡大のためにリソースを投入する  新規ビジネスが軌道に乗り始めたら、拡大のためのリソースを十分に投入することが必要です。既存事業でもうけたお金をリスクの高い新規事業に投入するのは、簡単なようで難しいものです。なぜなら、会社全体の利益も経営者自らの報酬も減ってしまうリスクがあるからです。経営者が勇気をもって投入しなければ、「小さなビジネスがたくさん立ち上がっただけ」で終わってしまいます。 (5)最低5年は「両利き」を続ける  ベンチャー投資家がスタートアップ企業に投資する際、黒字化まで5~7年かかることを前提で投資しますが、大企業が社内事業に投資する際も同じことが言えます。「2年で黒字化しなければ撤退」と言われれば、社員は萎縮してしまい、破壊的なビジネスに挑戦できなくなります。 「両利きの経営」を成功させるための魔法はありません。この5点を実践する勇気が必要なのです』、(3)も当然だろうが、(4)はやはり難しそうで、「経営者」の覚悟が必要なようだ。(5)は果たして「5年」も我慢できるのかと心配になる。
・『トップが保守的だと感じても中間管理職には挑戦をやめないでほしい  佐藤 「両利きの経営」の読者の多くは、中間管理職です。読者の中には、「私が勤めている会社の経営陣は皆、保守的で、どうも両利きの経営を実践してくれそうにない。このままでは会社が傾いてしまうかもしれない」と不安に思っている人もいます。こうした中間管理職の人たちに、どのように助言しますか。 オライリー 「両利きの経営」を成功させるために、最も肝要なのが経営陣のリーダーシップであることは間違いありません。新規事業部門を設立し、必要な資金や人材を投入する決断をするのは経営者です。中間管理職がどれだけ素晴らしい提案をしても、実現するためのリソースや組織がなければ、事業化できません。 そうはいっても、中間管理職の皆さんには挑戦をやめないでほしいのです。中間管理職が「自社では新規事業はできない」と不満を述べている場合、経営者の保守化を言い訳にしているケースが多々見られます。「こんな新規事業をやってみたい」「こんな製品をつくってみたい」と思うなら、まずは下から上にどんどん提案することです。それが上を動かすことにもつながります。 佐藤 今後、研究してみたい日本企業はありますか。 オライリー NEC、AGCのほかにも、パナソニック、ソニー、トヨタ自動車、ホンダ、ANAなど、多くの日本の大企業が今、「両利きの経営」を実践していると聞いています。こうした日本企業の事例はどれも研究対象として興味深いものです。 私もスタンフォードの学生も、日本企業からまだまだ学ぶべきことがたくさんあると実感しています。私は、日本企業の未来については楽観的に見ています。日本企業の強みである製造能力、テクノロジーなどを生かし、長期的な視点でイノベーションを創出していけば、仮に今は成長が停滞していても、必ずまた成長していくと思います。 日本企業は変われないとよく聞きますが、私は、日本企業は「両利きの経営」を成功させることができるし、自力で変わることができると信じています。(チャールズ・オライリー氏の略歴、佐藤智恵氏の略歴はリンク先参照)』、「日本企業の強みである製造能力、テクノロジーなどを生かし、長期的な視点でイノベーションを創出していけば、仮に今は成長が停滞していても、必ずまた成長していくと思います。 日本企業は変われないとよく聞きますが、私は、日本企業は「両利きの経営」を成功させることができるし、自力で変わることができると信じています」、「オライリー氏」の予言が実現してほしいものだ。
タグ:(その4)(マッキンゼー:日本でイノベーションが生まれなくなった真因 新規事業の構築における「5つの罠」と処方箋、『両利きの経営』著者が指摘 日本企業の多くがイノベーションを勘違いしている チャールズ・オライリー教授インタビュー(前編)、NECやAGCにスタンフォードの学生が興味津々の理由 『両利きの経営』著者に聞く チャールズ・オライリー教授インタビュー(後編)) イノベーション 東洋経済オンライン 野崎 大輔 田口 弘一郎 「日本でイノベーションが生まれなくなった真因 新規事業の構築における「5つの罠」と処方箋」 「研究開発費売上高比率」は上昇、「研究者数」も増加しているのに、「特許出願数などで中国に後れを取り始めている」ようだ。 「1人当たり研究開発費」と「特許出願件数」は中国や米国では比例関係がみられるが、日本では「2000年代後半から」インプットを増やしてもアウトプットが増えない、むしろ減ってしまうという壁に突き当たってしまっている」、確かに不思議な「生産性の低下」だ。 「アメリカや中国は、過去20年間で大きく研究開発分野をシフトさせてきた」、他方、「日本の研究開発領域は、過去20年ほとんど変わっていない」、「驚くべき硬直性である」、「アウトプットとしての事業領域がシフトできていない、新たなニーズをうまくとらえた事業を展開できていないために、研究開発も既存の領域にとどまり、結果的に生産性が低下してきてしまっているのではないか」、 「上場企業の新陳代謝は、アメリカに比べ日本は非常に緩やかである。2017年の日経新聞調査によれば、ニューヨーク証券取引所の上場企業における平均寿命・・・は15年であるのに対し、日本取引所上場企業の平均寿命は89年。経営の安定性が高い一方で、新陳代謝が進みにくく、新たな産業領域の開拓は苦手な傾向にある」、「既存企業の中において、新たな事業構築にかかわるマネジメントの行動様式を整え、そして組織としてのスキルを獲得すること(リスキリング)で、企業の新陳代謝を高め、新たな事業領域を切り開くことができるのではないだ 日本企業の新規事業構築「5つのポイント」 (1)「製品開発」の発想で「事業開発」を推進しない 「製品開発から事業開発への考え方の切り替えが、リスキリングの重要な一歩となる」、その通りだろう。 (2)既存事業の物差しで新規事業を見ない 「新規事業については組織を分け、担当役員も完全に分離した上で、新規事業に係る意思決定は既存の経営会議と分けて実施をするのがあるべき姿といえる」、なるほど。 3)新規事業の成功体験を持つ外部人材の活用 「起業経験・VC経験を持つ社外の人材をアドバイザーとして起用したり、短期契約でも新規事業創出のプロセスを一緒にひと回ししてもらい、社内の人材に実体験を蓄積したりすることが効果的」、なかなかいいアイデアだ。 (4)リスキリングを組織として消化する 「新規事業として独立した人事制度・採用枠を作り、必要な人材がクリティカルマスを超えるように、新卒・中途双方での採用を行うべきである」、なるほど。 (5)新規事業=ゼロイチというバイアスの克服 「本当にゼロから立ち上げる新規事業を目指すのであれば、経営陣として覚悟を持ち、外部役員の登用や人事制度の独立など、これまで述べてきたようなドラスティックなやり方を取ってリスキリングも並行して進めていくことが必要となる」、「経営陣として覚悟」が弱ければ、モラルも上がる筈もない。 ダイヤモンド・オンライン 佐藤智恵氏による「『両利きの経営』著者が指摘、日本企業の多くがイノベーションを勘違いしている チャールズ・オライリー教授インタビュー(前編)」 『両利きの経営―「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く』の増幅改訂版 「「両利きの経営」の出版以来、オライリー教授の提唱する「既存事業の深化と新規事業の探索を同時に行う経営手法」は多くの日本企業に取り入れられ、経営のスタンダードになりつつあります」、「自社はもう変われないと思っていたが、必要に迫られるとこれほど自社は変われるのかと実感し、変革に前向きになった経営者や社員がたくさん出てきた」、なるほど。 「この会社のイノベーションは、三つのフェーズのうちの「着想」で終わっていて、「育成」「規模の拡大」までたどりついていなかったのです」、「これまで会社を成長させてきた既存事業の企業文化が「両利きの経営」推進の障害にもなり得る」、あり得る話だ。 「「既存事業部門のものづくり文化」と「新規事業部門の起業家的な文化」を両輪で回すことです。全く異なる企業文化の管理はトップにしかできません。 既存事業部門の社員には、AGCの伝統であるものづくり文化を大切にしつつ、生産性の向上とグローバル展開に注力することを奨励し、新規事業部門の社員には、起業家のようなマインドで仕事をしてイノベーションを創出することを奨励しました」、「AGC」の「トップ」は「全く異なる企業文化の管理」をしたとは大したものだ。 、確かに「社名を変え、組織を変え、文化を変えたAGCが今後どのように変わっていくのか、注目」、同感である。 佐藤智恵氏による「NECやAGCにスタンフォードの学生が興味津々の理由、『両利きの経営』著者に聞く チャールズ・オライリー教授インタビュー(後編)」 「既存事業部門ではこうした起業家精神にあふれた社員の熱意や能力を受け止めきれないことです」、「グローバルイノベーションユニットやNEC Xはいずれも若い社員ややる気のある社員に活躍の場を与える組織として、重要な役割を果たしている」、なるほど。 「AGCの変革は一朝一夕では実現できません。同社は創業110年以上の歴史の長い企業です。このような企業を変革するのは、並大抵のことではありません。私の見立てでは、少なくとも10年はかかるはずです」、やはり「歴史の長い企業」には時間がかかるようだ。「「両利きの経営」は世界中の大企業にとってますます重要になってきています。特に、アメリカでは経営者が自らの報酬を最大化するために短期利益を追求し、場当たり的な戦略を実施した結果、失敗してしまう事例が後を絶ちません。 ヒューレット・パッカード(HP)は、その典型的な 「両利きの経営」を成功させるために必要不可欠な五つの条件 (1)「両利きの経営」を経営陣が一丸となって推進する (2)二つの異なる企業文化を同時に管理する (1)は当然だろうが、(2)は結構、難しそうだ。 (3)新規事業部門は既存事業部門とは別に設立する (4)規模の拡大のためにリソースを投入する (5)最低5年は「両利き」を続ける (3)も当然だろうが、(4)はやはり難しそうで、「経営者」の覚悟が必要なようだ。(5)は果たして「5年」も我慢できるのかと心配になる。 「日本企業の強みである製造能力、テクノロジーなどを生かし、長期的な視点でイノベーションを創出していけば、仮に今は成長が停滞していても、必ずまた成長していくと思います。 日本企業は変われないとよく聞きますが、私は、日本企業は「両利きの経営」を成功させることができるし、自力で変わることができると信じています」、「オライリー氏」の予言が実現してほしいものだ。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

ネットビジネス(その13)(Netflix失速の裏に「意外なライバル」の出現、サブスクの限界到来?、日本最大級Q&Aサイト「オウケイウェイヴ」大揺れ!巨額資金流出で創業者と役員が訴えられた、〈食べログに3840万円賠償命令〉“点数急落”韓国料理チェーン店が勝訴の裏に「異例の意見書」、評価操作で敗訴「食べログ」離れに追い打ちをかける「グーグルマップ」の脅威) [イノベーション]

ネットビジネスについては、3月6日に取上げた。今日は、(その13)(Netflix失速の裏に「意外なライバル」の出現、サブスクの限界到来?、日本最大級Q&Aサイト「オウケイウェイヴ」大揺れ!巨額資金流出で創業者と役員が訴えられた、〈食べログに3840万円賠償命令〉“点数急落”韓国料理チェーン店が勝訴の裏に「異例の意見書」、評価操作で敗訴「食べログ」離れに追い打ちをかける「グーグルマップ」の脅威)である。

先ずは、5月6日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏による「Netflix失速の裏に「意外なライバル」の出現、サブスクの限界到来?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/302594
・『Netflixの失速はサブスク飽和の予兆なのか?  Netflix(ネットフリックス)の株価が急落したことが話題になっています。この1~3月期で、過去10年間で初めて加入者数が減少したというニュースに加えて、次の四半期では大幅に会員数が減るという発表があったからです。 コロナ禍でも世界中で加入者数を順調に増やし、昨年11月には株価が700ドルを超えるところまで来ていたのが、直近では200ドルを割り込んでしまいました。わずか半年足らずで、Netflixの株価は70%も下落したことになります。 オンラインサービスのサブスクリプション(売り切りではない定額課金)型のビジネスモデルは世界的な潮流で、この数年日本でも急拡大しています。しかし、今回のNetflixの失速は、このビジネスモデルにもどこかのタイミングで「限界」が来ることを示唆しています。 サブスクの限界はいつ、どのような要因でやってくるのでしょうか。今回はそのメカニズムについて、考えてみたいと思います。 まず、どれくらいサブスクを使っているのか、私の話から始めます。私の場合、パソコンにインストールしている「Microsoft 365」とセキュリティーソフトは、どちらもサブスク制です。仕事にからむサービスではもう一つ、留守番電話が音声ファイルに変換されてメールで届くという月額330円のサービスを使っています。 主としてプライベートに分類されるサービスでは、雑誌サブスクの「dマガジン」が440円、『少年ジャンプ』の定期購読が980円、そして「Netflix」のスタンダードプランが1490円。これらをすべて合わせると、月額5000円ほどサブスクで契約していることになります。 実はここで開示したサブスクの契約は、かなり数を減らした後のものです。ここ数年で何度か「あまり使わないサブスクはリストラしよう」と断捨離をしました。私のリスト以外にも、iCloudのようなクラウド、Apple Musicのような音楽、Amazon Unlimitedのような読書、そしてオンラインゲームや有料アプリも、月額いくらのサブスクで利用している方も多いのではないでしょうか』、「ここ数年で何度か「あまり使わないサブスクはリストラしよう」と断捨離をしました」、「断捨離」がこんな部分にまで広がっているとは驚かされた。
・『サブスクの急拡大には理由がある  このサブスクサービスは便利です。しかし、最大の落とし穴は「解約しないまま使わなくなって少額の費用を払い続けるサービスがどうしても出てきてしまう」という点です。特に忘れてしまうのが、月額300円~500円ぐらいの少額のサブスクです。 実は、ここにものすごい落とし穴があります。月額300円という価格を見て安いと思うと大間違いで、実はこの300円が税込みで330円だったりすると、年間で約4000円も使ってもいないサービスにお金を取られていることになります。普段は3900円のTシャツを買わずに、「SALE」で990円になったものを買っているのに、サブスクだとついつい節約心がスルーされてしまう。ここが事業者側の目の付けどころです。 これはどうも心理学的な要因らしいのですが、売り切りで販売するよりもサブスクにしたほうが、ついついお金にだらしなくなってしまう。そんなことから、マイクロソフトもアップルも、ソニーもキヤノンもトヨタも、サブスクビジネスを拡大しようと動いています。企業がこぞってサブスクに参入するのには、理由があるのです。 個人が落とし穴にハマらないためには、半年に1度ぐらいクレジットカードと携帯電話の請求書明細をチェックする必要があります。私の場合は半年ごとに3~4個ぐらいの使っていないサービスが見つかって即座に解約しますが、これをやらないと、いつの間にかお金がなくなってしまいます』、「サブスクだとついつい節約心がスルーされてしまう。ここが事業者側の目の付けどころです。 これはどうも心理学的な要因らしいのですが、売り切りで販売するよりもサブスクにしたほうが、ついついお金にだらしなくなってしまう。そんなことから、マイクロソフトもアップルも、ソニーもキヤノンもトヨタも、サブスクビジネスを拡大しようと動いています」、「半年ごとに3~4個ぐらいの使っていないサービスが見つかって即座に解約します」、さきほどの「断捨離」のようだ。
・『Netflixには意外なライバルが存在した  さて、ここまでの話を前提に、冒頭で問題提起をした「サブスクの限界」について分析してみたいと思います。なぜNetflixが失速したのか、その競争のライバルが意外なところに存在していることが分かってくるという話です。 ふたたび私の話に戻ります。クレジットカードの明細を見ると他にもサブスクやサブスク的な支払いがあることが分かります。毎月お金が引き落とされるサービスの中で金額が一番大きいのが電気・ガス代で、次に水道代。菅前総理のおかげでかなり低くなったのが、携帯電話代。そしてまったく使わなくなったのにいまだに払っているのが、固定電話代です。固定電話はそろそろ解約してもいいかもしれません。 さらには年に一回払いだけれども、定期的に出ていくものがあります。NHKは月額換算すれば約2000円、これはサブスクとしては高額ですが法律で減らせないですね。固定資産税は月額1万円台。年金や健康保険も、結構な支払いになります。要するに、定期的に預金通帳から引かれていく支出がたくさんあるわけです。 その中でNetflixのライバルとなったのは、どうやらガソリン代や電気代のようです。意外なライバルですが、なぜそう言えるのでしょうか』、「Netflixのライバルとなったのは、どうやらガソリン代や電気代のようです。意外なライバルです」、「なぜそう言えるのでしょうか」。
・『Netflixのライバルは「ガソリン代や電気代」である理由  Netflixの株価が暴落する最大の要因は、これから4~6月期にかけて全世界で200万人の会員流出を見込むという発表があったその中身です。ロシアの事業停止で会員が70万人減るのは仕方ないとしても、それ以外の地域、特に北米と南米で大きく加入者数が減る見込みなのです。そして、解約の理由はインフレなのです。 Netflixはこれまでも値上げを繰り返していて、私が加入した当初はスタンダードプランという自宅とスマホ2端末で見られるプランが月額990円でした。それが現在では1490円と、約1.5倍に値上がりしています。1490円になったときは私もさすがに「高いな」と思ったものですが、実際にこの値上げで北米では64万人、南米で34万人分契約が減少したそうです。 あくまで推測ではありますが、アメリカ国民でNetflixを解約した人たちは次の順序で「今、本当にお金をかけるべきもの」に気づいてしまったのでしょう。 最初に、原油高が起きて毎月払うガソリン代が増えていることに気づいた。ここから話が始まります。やがて電気代も上がり、物価もアメリカの場合、8.5%も上がってしまいます。 そこで、「何かを節約しなきゃやっていけないのだけど、何を減らしたらいいだろう?」と思って、銀行口座の明細を眺めてみた。すると、1月からNetflixの会費も上がっていた。「節約すべきは、これじゃないか?」と気づいた人が、アメリカ大陸で約100万人規模に上ったということでしょう』、「解約の理由はインフレなのです」、確かにその通りだろう。
・『サブスク経済の最大の怖さは飽和とインフレ到来時の置き換え  私は、サブスク経済の最大の怖さはここにあると思います。 サブスクに使える財布の中身は、どの家庭でも一定の限度があります。そこにインフレ経済がやってくると、財布の中身のチェックが横比較で入ります。至る所で「選定と置き換え」が行われるのです。そこで各サービスは、思わぬ競合相手と戦うことになるのです。 Netflixがガソリン代や電気代との戦いに敗れて危機を迎えているという話ですが、ひょっとすると他にも競争相手がいたかもしれません。「映画は安価なAmazonのPrime Videoに変更してもいいけれど、ピザとポテトチップスは譲れない」と考えた人もいたでしょう。その場合も、Netflixの真の競争相手はAmazonではなく、ポテチという意外な敵だったはずです。 日本でもサブスクが飽和する将来においては、セキュリティーソフトにトヨタが敗れたり、サントリーの健康食品のために任天堂を節約する家庭が現れたり、といった経済現象が当たり前になるかもしれません。 たしかにサブスクというビジネスモデルは便利です。一方で、サブスク飽和時代になると業績の変動要因がより複雑化するという欠点を、今回のNetflixの株価急落事件は示唆しているように感じます。 「本当は、映画のように1作品を見たら1500円という売り切りモデルに世界は回帰すべきなのかな」とビジネスモデルの原点回帰を想起させる出来事でした』、「サブスク飽和時代になると業績の変動要因がより複雑化するという欠点を、今回のNetflixの株価急落事件は示唆しているように感じます」、その通りなのだろう。

次に、5月23日付け日刊ゲンダイ「日本最大級Q&Aサイト「オウケイウェイヴ」大揺れ!巨額資金流出で創業者と役員が訴えられた」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/305508
・『日本最大級のQ&Aサイトで知られる「オウケイウェイヴ(以下、オ社)」(名証セントレックス上場)に激震が走っている。オ社が投じた巨額資金の回収見込みが立たず、焦げつく可能性が高いためだ。 一連の出来事が明るみになったのは、オ社が4月19日に出した「債権の取立不能または取立遅延のおそれに関するお知らせ」というリリースが発端だった。 これによると、2021年4~6月に、オ社は自己資金34億2900万円の運用を在日インド人が代表を務めるA社に委託。しかし、A社が法的整理(破産手続き開始の申し立て)の実施を通知してきため、元本の34億2900万円と得られるはずの運用益15億300万円の計49億3300万円が取立不能に陥っている(数字はリリースの通り)と、オ社は公表したのだった。 オ社のリリースに従えば、オ社はA社に騙された被害者のように映る。 だが、4月27日、28日には、A社から、オ社創業者で元社長のB氏と、社外取締役のC氏に対して、不正に流出した金銭の返還を求める裁判が提訴されている(不正流出額はそれぞれ2200万円、約15億5000万円と主張されている)。 オ社は1999年にB氏が前身の会社を設立。06年1月に現社名に変更し、同年8月には名証セントレックスへの上場を果たした。Q&Aサイトのほか、近年は暗号通貨などのフィンテック事業にも進出(現在は撤退)。 B氏はいじめや難病、ホームレス生活の末に起業し成功を収めたことで、自らの体験をさまざまな媒体のインタビューで語り、数冊の書籍を出版するなど、有名起業家として知られている』、「A社」が「オ社創業者で元社長のB氏と、社外取締役のC氏に対して、不正に流出した金銭の返還を求める裁判が提訴」、「不正流出額はそれぞれ2200万円、約15億5000万円と主張」、「オ社」が「A社」に「運用委託」した「運用益15億300万円」を含む「49億3300万円が取立不能」、分かり難い関係だ。
・『35億円近くを運用実態のない会社に突っ込む  オ社の状況が一変したのは昨年のこと。6月、主力のソリューション事業をAI(人工知能)関連の上場企業に売却。これにより、オ社は21年6月期におよそ64億円の特別利益を計上していた。 今回オ社が巨額投資をしたのは、主力事業を売却した時期とほぼ重なっていたことがわかる。 <これまで当社が当該取引先(本紙注・A社)にて運用した資金について、当社が当該取引先との間の契約で定めた投資運用は行われておらず、当該取引先が、入金された資金を他の投資者への支払いに充てていたことが判明し、当該取引先に対する債権の取立不能または取立遅延のおそれが生じております>(4月19日 オ社「債権の取立不能または取立遅延のおそれに関するお知らせ」) オ社の資金運用を委託されていたA社とその関連会社には、株式指数先物・オプション取引を除き、運用の実態がないこと。さらに、投資ファンドに必要な金融商品取引業の登録がされていなかったことが判明している。 また、A社は大手証券会社から値上がりが期待できるIPO(新規株式公開)の特別枠を割り当てられていると投資家に説明。それを口実に投資家を勧誘してきたが、実際はそうした事実はなく、IPO株投資が実行された形跡は確認されていない。 つまり、運用の際に高利回りを約束し、投資家への利払いや解約金の支払いを、新たに勧誘した投資家の資金によって賄う詐欺的手法「ポンジスキーム」であった疑いが強い』、「「ポンジスキーム」であった疑いが強い」、とは重大な法令違反だ。
・『社外取締役C氏は関与を否認  ではなぜ、この件で、巨額資金の出し手であるオ社の創業者B氏と社外取締役C氏が返還請求の裁判を提訴されたのか。 訴状によると、C氏は多くの投資家をA社に勧誘。C氏が社外取締役を務めるオ社も勧誘されたうちの1社と記されている。 さらに、創業者B氏が社長を務める会社に2200万円、C氏個人とC氏が社長を務める会社、そしてA社代表の知人D氏個人とD氏が社長を務める会社に、営業支援や紹介料の名目で複数回にわたり計15億5084万円以上のカネがA社から不正に送金されたためとしている。 だが、オ社は5月16日付のリリースで、A社への投資はオ社現社長の福田道夫氏の知人の紹介によるもので、社外取締役C氏からの勧誘ではない上に、A社からカネを受け取った事実はないとC氏は話しているという(ただし、このリリースはオ社の監査役の了承を得ずに出されたものであるとのこと)。 <当該取締役(本紙注・C氏)は当社の当該取引先(本紙注・A社)に対する資金運用委託に関して手数料その他の名目での金員を受け取った事実はないと否認しております。 当該取締役は取締役会等の中でもたびたびガバナンスについての知見のあるアドバイスを行っており、本件も当社の利益に寄与する観点で、その内容を確認したうえで前向きに進めてきており、当社としては当該取締役が当該取引先の一員として当社へ勧誘を行っていた認識はありませんでした。当該取引先の取引の更なる事実関係については現在調査中です>(5月16日付のリリース) ところが、関係者によると、オ社がA社に初めて投資を委託した際の取締役会では、取締役1名と監査役1名がA社への投資に反対し、現在、その2名ともオ社の役職を退任しているという』、「オ社がA社に初めて投資を委託した際の取締役会では、取締役1名と監査役1名がA社への投資に反対し、現在、その2名ともオ社の役職を退任」、反対の理由が不明だが、「A社」への投資には初めから問題があったようだ。
・『大手企業の有名経営者も被害か  創業者B氏は現在、オ社のすべての役職から降りており、昨年末時点で保有株式も3%程度とオ社への影響力は以前ほどない状況にある。そもそも、上場企業が主力事業を売却した資金を元手にあやしげな運用に手を染めていたこと自体が不可解極まりないだろう。 自社の巨額資金の流出について、オ社はこう答える。 「(創業者B氏、社外取締役C氏への)訴訟については認識しておりますが、訴状がこちらに送られていないため、内容までは確認できておりません。現在、調査委員会を立ち上げ事実関係を調査している最中で、A社への訴訟や(今回の投資に関与している)当社関係者の責任の所在追及に関しては調査結果で詳細が明らかになった後、対応していく予定です」(オ社広報担当者) 現在、A社の法的整理を進めている「狛・小野グローカル法律事務所」の山中眞人弁護士によると、A社の銀行口座にはオ社をはじめとする投資家から募った資金はほぼ残されていないとのこと。 被害総額はオ社の出資金34億2900万円を含め総額数十億円以上にのぼり、大手上場企業の有名経営者も被害に遭っているといわれているが、実体は明らかになっていない。上場企業を舞台とした巨額資金流出に、警視庁は関心を示しているという』、「上場企業を舞台とした巨額資金流出」、是非、実態を解明し、責任を追及してほしいものだ。

第三に、6月16日付け文春オンライン「〈食べログに3840万円賠償命令〉“点数急落”韓国料理チェーン店が勝訴の裏に「異例の意見書」」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/55264
・『「食べログ」が、チェーン店であることを理由に不当に評価を下げ、売上に影響を及ぼしたとして、韓国料理チェーン「KollaBo」の運営会社・韓流村が食べログの運営会社・カカクコムを訴えた裁判。東京地裁は6月16日、原告側の主張を認め、カカクコムに3840万円の賠償を命じた。 食べログの評点方法を「ブラックボックスだ」と批判した原告側。一体何が起きていたのか。公正取引委員会の“異例の意見書”の存在をスクープした「週刊文春」の記事を再公開する。(初出:「週刊文春」 2021年10月28日号 年齢・肩書き等は公開時のまま) 「食べログにおいてアルゴリズムの変更で評点が急落したのは、飲食店の公正な競争に悪影響を及ぼし、独占禁止法に違反する」として、韓国料理チェーン「KollaBo」の運営会社・韓流村が食べログの運営会社・カカクコムを訴えている裁判で、公正取引委員会が異例の意見書を出していたことが「週刊文春」の取材でわかった。 食べログの点数が急落したのは2019年5月21日のこと。韓流村の任和彬(イムファビン)社長が言う。 (「食べログ」公式HPより)』、興味深そうだ。
・『カカクコムはアルゴリズムを変更したことを認める  「悪い口コミが増えたわけでもないのに、当社の店舗では、平均で0・2点、最大で0・45点も急に点数が下がったのです。他にも焼肉トラジ、一蘭、天一なども下がっていました。共通するのはみなチェーン店だということです。点数が下がったことで、当社の売上は月平均で約2500万円も落ち込みました」 そこで任社長は2020年5月、点数を下げる“チェーン店ディスカウント”で損害を負ったとして、訴訟に踏み切った。任社長が語る。 「カカクコム側はアルゴリズムを変更したことは認めたものの、『公平公正にやっている』と言うばかり。また、ぐるなびなどの競合他社も存在するから優越的地位にないと主張。最大の争点である点数については、『非会員など食べログと取引をしていない店舗にも用いられる指標で、韓流村との取引には当たらない』、だから不公正な取引方法を行った事業者を処罰する独禁法違反にはならないと、言い続けたのです』、なるほど。
・『食べログ側が優越的地位にあるかどうかも考慮要素  だが2021年6月、裁判体が独禁法などの訴訟を中心に扱う民事第8部に変更になると、裁判官が公取に見解を求める。そして9月19日、公取から「公審第650号」と題された意見書が出されたのだ。 そこでは、カカクコム側の「取引には当たらない」との主張に対して、「点数」表示のサービスは〈「取引の条件又は実施」に当たると考えられる〉と否定。さらに今後の裁判において、食べログが優越的地位にあるかどうか、そしてアルゴリズムの設定・運営が恣意的になされたか否かについても、裁判の〈考慮要素となる〉と述べているのである。 独禁法に詳しい平山賢太郎弁護士は、「裁判所が公取に独禁法解釈の意見を聞くこと自体、異例のことです」と驚く』、「カカクコム側の「取引には当たらない」との主張に対して、「点数」表示のサービスは〈「取引の条件又は実施」に当たると考えられる〉と否定」、「カカクコム側」は、どうも甘く考えていたようだ。
・『意見書に関する見解を尋ねると…  「この意見書は、争点である点数について『取引』だと認めたことに意義があります。また、食べログ側が優越的地位にあるかどうかも考慮要素とされました。今後、明確な道筋に沿って、審議は進んでいくでしょう」 カカクコムに意見書に関する見解を尋ねると、広報担当者は「係属中の訴訟に関する内容のためコメントは控えさせて頂きます」と答えた。 一体なぜチェーン店の点数が下がったのか、食べログの会員になるとどのような特典があるのか、裁判の流れを変えた元公取の大物の意見書の中身、公取の意見書が出された後の裁判でのカカクコム側の反応など、詳しくは「週刊文春 電子版」が報じている』、「カカクコム側」はもっと本格的な反論が求められているようだ。

第四に、6月19日付け日刊ゲンダイ「評価操作で敗訴「食べログ」離れに追い打ちをかける「グーグルマップ」の脅威」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/306939
・『大手グルメサイト「食べログ」の評価操作問題で、約3840万円の賠償を命じられた運営会社「カカクコム」。16日、判決が伝わると、カカクコムの株価は急落し年初来安値を更新した。 2019年5月、焼き肉チェーン「韓流村」(東京・港区)が運営する21店舗の評価(5点満点中)が下落し、食べログ経由の来店が月に5000人ほど、売り上げは約2500万円減少。そのため、韓流村はカカクコムに対して、約6億4000万円の損害賠償を請求していた。 「韓流村のようなチェーン店に不利な評価になるようにアルゴリズムが変更されていたことがわかりましたが、そもそも食べログは影響力のないレビュアーの評価がそのまま反映されなかったり、評価の計算方法などがブラックボックスになっていました。そのため、飲食店のヘビーユーザーほど食べログへの信頼を失っている印象がありました」(ITジャーナリスト)』、「そもそも食べログは影響力のないレビュアーの評価がそのまま反映されなかったり、評価の計算方法などがブラックボックスになっていました」、こうした評価制度への不信が背景にあるようだ。
・『過去にはステマ問題も  今から10年ほど前にも、食べログ不信に陥る出来事があった) 「いわるゆステマ問題です。店側が意図的に高評価のレビューを得ようと、業者に費用を支払ってやらせ投稿をさせていたことが発覚しています。ほかにも、影響力を持つ有名レビュアーが過剰接待を受けて、特定の店に高評価をつけていました。やらせを含むこうした問題に利用者は不信感を持っていて、近年は口コミサイトの勢力地図が変わりつつあります」(前出・ITジャーナリスト) 食べログの一強状態を切り崩そうとしているのが、「グーグルマップ」だという。 「飲食店を探すときはブラウザ検索ではなく、地図検索をするようにしています。店の場所だけでなく、料理の写真やメニューも見られます。そのままサイトにも飛べますし、オンライン予約こそできませんが(食べログに紐づけられている店舗では可能)、表示の電話番号をクリックすれば予約もできます。利用者が書き込んだ評価やレビューも、いたずらに評価が操作しているグルメサイトより信頼できると思います」(30代会社員の女性) 口コミサイトをはじめとするプラットフォーム離れは、食べログだけに起こっているわけではないという。) 「評価方法の一方的なアルゴリズム変更は欧州では規制されていますが、今回、独占禁止法違反に当たると認められた判決は、多くのプラットフォームの運営に影響を与えそうです。また飲食店だけでなく乗り換えや宿泊検索など、他の用途でも専用サイトやアプリではなく、グーグルマップを利用するケースが増えています(宿泊の空室状況・価格はプラットフォームのものを表示)」(前出・ITジャーナリスト) カカクコム側はこの判決を不当として即日控訴した。この事態に、食べログを利用してきた飲食店、消費者に行動の変化は起こるのか』、「グーグルマップ」では「オンライン予約こそできませんが・・・、表示の電話番号をクリックすれば予約もできます。利用者が書き込んだ評価やレビューも、いたずらに評価が操作しているグルメサイトより信頼できると思います」、がもっと成長してくれば、「食べログ」には「優越的地位」が成立しなくなるのだろうが、現状ではやはり成立してしまうのだろう。いずれにしても、思い上がった「食べログ」の姿勢が正常化してほしいものだ。
タグ:鈴木貴博氏による「Netflix失速の裏に「意外なライバル」の出現、サブスクの限界到来?」 ネットビジネス ダイヤモンド・オンライン (その13)(Netflix失速の裏に「意外なライバル」の出現、サブスクの限界到来?、日本最大級Q&Aサイト「オウケイウェイヴ」大揺れ!巨額資金流出で創業者と役員が訴えられた、〈食べログに3840万円賠償命令〉“点数急落”韓国料理チェーン店が勝訴の裏に「異例の意見書」、評価操作で敗訴「食べログ」離れに追い打ちをかける「グーグルマップ」の脅威) 「ここ数年で何度か「あまり使わないサブスクはリストラしよう」と断捨離をしました」、「断捨離」がこんな部分にまで広がっているとは驚かされた。 「サブスクだとついつい節約心がスルーされてしまう。ここが事業者側の目の付けどころです。 これはどうも心理学的な要因らしいのですが、売り切りで販売するよりもサブスクにしたほうが、ついついお金にだらしなくなってしまう。そんなことから、マイクロソフトもアップルも、ソニーもキヤノンもトヨタも、サブスクビジネスを拡大しようと動いています」、「半年ごとに3~4個ぐらいの使っていないサービスが見つかって即座に解約します」、さきほどの「断捨離」のようだ。 「Netflixのライバルとなったのは、どうやらガソリン代や電気代のようです。意外なライバルです」、「なぜそう言えるのでしょうか」。 「解約の理由はインフレなのです」、確かにその通りだろう。 「サブスク飽和時代になると業績の変動要因がより複雑化するという欠点を、今回のNetflixの株価急落事件は示唆しているように感じます」、その通りなのだろう。 日刊ゲンダイ「日本最大級Q&Aサイト「オウケイウェイヴ」大揺れ!巨額資金流出で創業者と役員が訴えられた」 「A社」が「オ社創業者で元社長のB氏と、社外取締役のC氏に対して、不正に流出した金銭の返還を求める裁判が提訴」、「不正流出額はそれぞれ2200万円、約15億5000万円と主張」、「オ社」が「A社」に「運用委託」した「運用益15億300万円」を含む「49億3300万円が取立不能」、分かり難い関係だ。 「「ポンジスキーム」であった疑いが強い」、とは重大な法令違反だ。 「オ社がA社に初めて投資を委託した際の取締役会では、取締役1名と監査役1名がA社への投資に反対し、現在、その2名ともオ社の役職を退任」、反対の理由が不明だが、「A社」への投資には初めから問題があったようだ。 「上場企業を舞台とした巨額資金流出」、是非、実態を解明し、責任を追及してほしいものだ。 文春オンライン「〈食べログに3840万円賠償命令〉“点数急落”韓国料理チェーン店が勝訴の裏に「異例の意見書」」 「カカクコム側の「取引には当たらない」との主張に対して、「点数」表示のサービスは〈「取引の条件又は実施」に当たると考えられる〉と否定」、「カカクコム側」は、どうも甘く考えていたようだ。 「カカクコム側」はもっと本格的な反論が求められているようだ。 日刊ゲンダイ「評価操作で敗訴「食べログ」離れに追い打ちをかける「グーグルマップ」の脅威」 「そもそも食べログは影響力のないレビュアーの評価がそのまま反映されなかったり、評価の計算方法などがブラックボックスになっていました」、こうした評価制度への不信が背景にあるようだ。 「グーグルマップ」では「オンライン予約こそできませんが・・・、表示の電話番号をクリックすれば予約もできます。利用者が書き込んだ評価やレビューも、いたずらに評価が操作しているグルメサイトより信頼できると思います」、がもっと成長してくれば、「食べログ」には「優越的地位」が成立しなくなるのだろうが、現状ではやはり成立してしまうのだろう。いずれにしても、思い上がった「食べログ」の姿勢が正常化してほしいものだ。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

ブロックチェーン(その2)(世界に挑む「国産ブロックチェーン」起業家の素顔 「ウェブ3.0は若者に非常に有利な領域だ」、「Web3.0・NFT」って何?「NBAのカードが100万ドルで売買」される理由) [イノベーション]

ブロックチェーンについては、本年1月15日に取上げた。今日は、(その2)(世界に挑む「国産ブロックチェーン」起業家の素顔 「ウェブ3.0は若者に非常に有利な領域だ」、「Web3.0・NFT」って何?「NBAのカードが100万ドルで売買」される理由)である。

先ずは、4月25日付け東洋経済オンライン「世界に挑む「国産ブロックチェーン」起業家の素顔 「ウェブ3.0は若者に非常に有利な領域だ」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/584073
・『ウェブ3.0の分野で起業する日本の若者が続々と出てきている。日本発のブロックチェーンを標榜するステイク・テクノロジーズの渡辺創太CEO(26)もその1人だ。 インターネットの秩序を大きく変えようとしている「ウェブ3.0」。ブロックチェーン技術を基盤として、特定の管理者が存在せず、ユーザーがデータの所有権を持てる世界だ。 2019年1月にステイク・テクノロジーズを創業し、独自のブロックチェーン「アスター・ネットワーク」を開発した渡辺創太CEO(26)。世界中の暗号資産関連の投資家から資金調達を行うなど、業界内でも日本を代表する起業家として注目を集めている。 起業のきっかけやウェブ3.0における勝ち目について聞いた(Qは聞き手の質問、Aは渡辺氏の回答)』、興味深そうだ。
・『最初から「波に乗れる」と思った  Q:なぜブロックチェーン領域での起業を決めたのですか。 A:テクノロジーには波があると思っていて、一番最初の大波がインターネットの誕生だったと思う。このときは僕らの世代は生まれていなかった。その次の波がモバイルで、アップルのスティーブ・ジョブズがiPhoneを発表したときは、中学生くらいだった。 そして今ブロックチェーンやウェブ3.0の波が起きている。歴史的なテクノロジーの大波の中で、今26歳の自分が最初からそれに乗れるのがこの波だった。ビットコインが生まれてからはまだ13年ほど。既存の常識にとらわれず、体力もある。若者に非常に有利な領域だと思う。 学生時代にインドや中国でボランティア活動に携わり、貧困や格差を解決したいと思ったということもある。ブロックチェーンは搾取されてきた人たちに権力を分配できる技術だ。いわゆる「GAFAM」はネットビジネスで勝ち抜いた。今後20年は、それがウェブ3.0になる。最初から世界を見据えて起業した。 Q:ブロックチェーンが「権力を分配できる」とは? A:ウェブ3.0は「Less trust, More truth(信頼に代わる真実を)」という世界。これまではあらゆる経済活動に、人々に「信頼」された中間的な業者が入っていた。 例えば今ウクライナに寄付をするにも、銀行や赤十字社が間に入る。そのため、現地にお金が届いているのか、「真実」はわかりにくい。あらゆるビジネスはすべて、信頼の上に成り立っているゆえに、間の人たちが実際に何をしているのかは見えない状態だった。 ブロックチェーンはユーザー同士を直接つなぎ、透明性や検証性の高い経済活動を実現する。中抜き構造が変わるのは大きなインパクトになる。 Q:現在開発する「アスター・ネットワーク」というブロックチェーンは、どのような役割を担うのでしょうか。 A:世界には今ビットコインやイーサリアムなど主要なブロックチェーンが20個ほどあるが、相互につながっていない。アスターはこれらをつなげるプラットフォームになる。 アスターは(イーサリアムの共同創設者である)ギャビン・ウッド氏が開発した「ポルカドット」というブロックチェーンに接続する、パラレルチェーンという部分を担っている。これが意味するのは、ポルカドットに接続されたほかのチェーンと相互に通信ができるということ。 ポルカドットに接続するチェーンはすべて同じ開発ツールで作られている。ただイーサリアムやソラナといったほかのチェーンは違う。それらのチェーンとポルカドットをつなぐ存在が必要で、僕らがその役割を担いたいと考えている。 Q:そもそもなぜブロックチェーン同士をつなぐ必要があると?) 今はユーザーがそれぞれのブロックチェーンのことを理解しなければ、アプリケーションが使いづらい。一般にブロックチェーンが普及するには、一つひとつのチェーンを意識せずに、さまざまなアプリケーションが使えることが重要だ。 例えばビットコインでイーサリアム上のNFT(非代替性トークン)を買える、といった世界観。それができなければ、ブロックチェーンがもたらすインクルージョン(包摂)が実現できない。 Q:今年1月にはアスター・ネットワークのトークンを発行し、時価総額は1000億円規模になりました。 A:たくさんのアプリ開発者が入ってきてくれていることが大きい。今後伸びるプラットフォームだと思ってくれていて、そこに早くから参入したいと思う人が入ってくれている。 開発者に対するインセンティブを用意していることも(特徴として)ある。ほかのチェーンではアプリを実装すると、開発者が高額な手数料を支払う必要がある。一方で、われわれのチェーンでは取引数や接続されたウォレットの数など貢献の度合いに応じて、開発者に報酬としてトークンを付与している。 既存のチェーンではコストがかかる構造になっており、開発インセンティブの設計として正しくない。ビットコインではマイニング(ブロックチェーン上の取引の承認に必要なコンピューターの演算作業)をした人に報酬が支払われているが、アスターではマイナー(マイニングをする人)だけでなく、開発者にも報酬を分配している』、「今ブロックチェーンやウェブ3.0の波が起きている。歴史的なテクノロジーの大波の中で、今26歳の自分が最初からそれに乗れるのがこの波だった。ビットコインが生まれてからはまだ13年ほど。既存の常識にとらわれず、体力もある。若者に非常に有利な領域だと思う」、「ウェブ3.0は「Less trust, More truth(信頼に代わる真実を)」という世界。これまではあらゆる経済活動に、人々に「信頼」された中間的な業者が入っていた」、「あらゆるビジネスはすべて、信頼の上に成り立っているゆえに、間の人たちが実際に何をしているのかは見えない状態だった。 ブロックチェーンはユーザー同士を直接つなぎ、透明性や検証性の高い経済活動を実現する。中抜き構造が変わるのは大きなインパクトになる」、「アスターではマイナー(マイニングをする人)だけでなく、開発者にも報酬を分配している」、なかなかよく出来た仕組みのようだ。
・『ブロックチェーン業界で重視されるのは「TVL」  Q:アスターのチェーン上ではどんなアプリが実際に使われているんでしょうか。 A:「DeFi(Decentralized Finance、ディーファイ/分散型金融)」の取引が盛んだ。アスター上のDEX(デックス、分散型交換所=余剰の暗号資産を持つ人と、手持ちの暗号資産を別の暗号資産に交換したい人をつなげる場)やレンディング(暗号資産の貸し出し)などが増えており、チェーン上の預かり資産額(Total Value Locked、TVL)はグローバルでトップ10に入った。 Q:DeFiで稼ぐ人が増えるということは、渡辺さんが目指しているインクルージョン(包摂)の世界と乖離してしまうのでは? A:それはその通りで、ブロックチェーンの利用者はまだアーリーアダプターが大半。交換所で暗号資産を買って、暗号資産用のウォレットをインストールして、イーサリアムからアスターにトークンを移したりしないといけない。ウェブ3.0の世界はまだ敷居が高い。だからお金が稼げるという動機があり、自分で学んで体験してみたいという人が多いのは事実だ。 ただそういった人たちだけにサービスを提供すればよいわけではなくて、インターフェースや体験、技術的な制約を解決して、一般に普及させなきゃいけない。これは業界の皆が考えていることだ。 自分が日本人で良かったと思うのは、日本がマンガやアニメなどの強いIP(知的財産、キャラクター)の大国であること。それを活用したNFTが国産ブロックチェーンに乗って世界を席巻する将来像を描きたい。それによって日本での普及も進むと思っている。 Q:アメリカのコインベースやシンガポールのCrypto.com、中国のバイナンスといった大手暗号資産交換所の投資部門や、海外のさまざまな暗号資産ファンドから資金調達をしています。ウェブ3.0における世界のプレイヤーから注目されている背景は何でしょうか。 A:Day 1(創業初日)からグローバルを意識しているというところが前提にあると思う。すでに世界で一定の認知度と技術の先端を走っているということが認められている。 あとはコミュニティの大きさ。チェーン上の取引数やアプリの盛り上がりなど、実際にコミュニティが大きくなっている。今後アプリが増えれば、トークンの時価総額も上がるという評価をしてもらっている。中国とアメリカのトップ投資家に支援してもらえたのは大きい。 Q:日本のベンチャーキャピタル(VC)などから資金を調達するという選択肢はなかったのですか。 A:ウェブ3.0はこれまでの株式だとか売上高だとかの世界観とはかなり違うので、既存のVCはアンラーン(学び直し)する必要がある。この領域はすごく盛り上がっているので、売り手市場になっており資金調達自体は難しくない。 日本のVCがついてこれないというのは仕方ない部分もあって、日本のLPS法(投資事業有限責任組合契約に関する法律)で、(投資事業有限責任組合である)VCの投資対象が株式などに限られており、暗号資産で投資ができない。やりたくてもできないのが現状だと思う』、「Day 1・・・からグローバルを意識しているというところが前提にあると思う。すでに世界で一定の認知度と技術の先端を走っているということが認められている」、大したものだ。「日本のLPS法」は「VCの投資対象が株式などに限られており、暗号資産で投資ができない」、見直しが必要だろう。
・『日本のウェブ3.0起業家は皆、海外へ出ていく  Q:2019年に日本で創業して、2020年にはシンガポールに拠点を移しました。法人が保有するトークンの含み益への期末課税の問題が大きかったようですね。 A:これは本当に深刻で暗号資産を持っているだけで課税されてしまう。 特にわれわれのようにトークンを発行する会社への影響は大きい。トークンを発行して時価総額が1000億円になったとき、この1000億円の含み益に対して課税されてしまう。仮に会社側が発行済みトークンの50%を持っているとすると、500億円の含み益に対して30%課税される。もし日本で事業をしていれば、150億円を納税しなければいけない。 ただ納税のために150億円分のトークンを換金すれば、売り圧力が強すぎてマーケットが崩れてしまう。しかも、このトークンは「ガバナンストークン」といって議決権の役割もあるので、売ってしまうと運営不可能になる。だから今ウェブ3.0の領域で起業する人たちは皆、海外に出てしまっている。 Q:渡辺さんはこうした日本における規制の問題を指摘し続けています。ただ、グローバルでの成功を目指すのであれば、もはや場所は関係なくなってくるようにも思います。 A:個人としても会社としても税金の問題はセンシティブなので、発言するメリットはまったくない。 ただ、やはり1人の日本人として母国が沈んでいくのは悔しいじゃないですか。ウェブ2.0でも結局アメリカや中国のサービスを皆が使っている。データも日本ではなくて海外で管理されている。日本はすでに“デジタル植民地”になっていると思っている。 新しいウェブ3.0の波がある中で、日本人、そして日本の企業として、どれだけウェブ2.0の反省を生かして世界で戦えるか。それが国益にも繋がる。(起業家が海外へ出るという)由々しき事態が一刻も早く解決されることを望んでいる』、「法人が保有するトークンの含み益への期末課税の問題が大きかった」、「ウェブ2.0でも結局アメリカや中国のサービスを皆が使っている。データも日本ではなくて海外で管理されている。日本はすでに“デジタル植民地”になっている」、困ったことだ。

次に、4月26日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した多摩大学特別招聘教授の真壁昭夫氏による「「Web3.0・NFT」って何?「NBAのカードが100万ドルで売買」される理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/302308
・『「ウェブ3.0(スリー)」が注目され、「非代替性トークン」(NFT)の発行が急増している。象徴的な企業が、米国のダッパー・ラボだ。2020年10月、同社はNBAの名プレーシーンをNFTとして集めるゲーム、「NBA Top Shot」を始めた。希少性を担保する仕組みと、レアなカードを集めたいファンの欲求が重なった結果、NBA Top ShotのNFT価格が高騰。ロサンゼルス・レイカーズに所属しているレブロン・ジェームズ選手のNFTが、100万ドルで売りに出されている』、興味深そうだ。
・『世界的に注目されるウェブ3.0  最近、世界的に「ウェブ3.0(スリー)」が注目を集めている。ウェブ3.0により、プライベート型のブロックチェーン技術を用いて、個人が公正なデータの管理などのメリットを享受できる。 そうした取り組みを加速させる企業の一つに、米国のDapper Labs(ダッパー・ラボ)がある。同社は処理能力の高いブロックチェーンを開発し、「非代替性トークン」(Non-Fungible Token、NFT、電子的な証明書)の発行と流通を可能にした。それを用いた、米NBAのスーパープレー動画を記録したNFT取引が、過熱している。国内でも大手芸能事務所などがNFTビジネスに参入している。 ただ、短期間に、GAFAM (Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)を頂点とした世界のIT業界の構図が崩れ、ウェブ3.0に移行するとは想定しづらい。今後、IT先端分野での競争は激化するだろう。その中で、ブロックチェーンなど新しいデジタル技術の利用が増え、分散型と中央集権型のシステム運営が並走する状況が続く可能性が高い。  その中で、より効率的かつ持続的に付加価値を生み出す技術が評価されるはずだ。言い換えれば、IT先端分野の環境変化のスピードは加速し、淘汰される企業が増える。行政を中心にデジタル化の遅れが深刻なわが国の、デジタル・ディバイド(情報格差)が鮮明化することが懸念される』、「IT先端分野での競争は激化するだろう。その中で、ブロックチェーンなど新しいデジタル技術の利用が増え、分散型と中央集権型のシステム運営が並走する状況が続く可能性が高い」、なるほど。
・『ウェブ3.0は金融にも変革をもたらす  1990年代から2000年9月の米ITバブル崩壊まで、米国から世界へITサービスが広がった。その一つに、ヤフーは検索機能や電子メールのサービスを提供し、経済運営の効率性が高まった。この時代を「ウェブ1.0(ワン)」と呼ぶ。 次に03年ごろ、世界はウェブ2.0(ツー)に移行したと考えられる。当時、広告シェアにおいてグーグルがヤフーを超えた。グーグルは広告収入を増やし、クラウドサービス事業などに資金を再配分してプラットフォーマーとしての地位を固めた。その後、アマゾンドットコムなどの急成長によってデジタル化は加速し、IT業界は寡占化した。その結果、個人のデータが、一部の大手企業に集中した。 今度は、ウェブ3.0が、そうした中央集権的なネット業界の構造を変えると期待されている。分散型のネットワークテクノロジーであるブロックチェーンによって、特定の組織の影響力が低下するのが特徴だ。 ブロックチェーンは、所有権など個人のデータを記録し、参加者の相互承認によってその取引を行う。理論上、改竄(かいざん)は不可能だ。取引の一例が、仮想通貨のビットコインである。  ビットコインを入手したい人は、一種の数学のクイズを解く。解答が正当か否かを全参加者が確認し、承認する。承認された解答者はビットコインを手に入れる。そうして、この取引のデータ(ブロック)が、過去から鎖のように連なるデータに付け加えられる。 一連の作業は、特定の監視者ではなく、システムが自律的に行う。誰がどれだけのビットコインを保有しているかは、企業ではなく分散型のネットワークシステムが管理する。この技術を用いたウェブ3.0の世界では、個人が自らのデータをよりよく管理し、その利用から利得を手にすることができると期待されている。 ウェブ3.0は金融にも変革をもたらす。銀行が預金を集めて信用審査を行い、信用を供与するのではなく、ブロックチェーン上で資産価額が評価され、融資が行われる。これにより金融ビジネスは、「分散型金融」(Decentralized Finance、DeFi、ディファイ)に向かうとみられている。システム上で資産の所有権や価値の評価などが行われるため、店舗運営などのコストが低下し、効率性が向上することが注目点だ』、「ウェブ3.0の世界では、個人が自らのデータをよりよく管理し、その利用から利得を手にすることができると期待されている。 ウェブ3.0は金融にも変革をもたらす。銀行が預金を集めて信用審査を行い、信用を供与するのではなく、ブロックチェーン上で資産価額が評価され、融資が行われる。これにより金融ビジネスは、「分散型金融」(Decentralized Finance、DeFi、ディファイ)に向かうとみられている。システム上で資産の所有権や価値の評価などが行われるため、店舗運営などのコストが低下し、効率性が向上することが注目点だ」、「分散型金融」が普及すれば、「金融」の世界に革命的変化をもたらす。
・『「NBA Top Shot」では、NFTが100万ドルに  ウェブ3.0を考える上で、NFTの発行が急増していることは見逃せない。その象徴的な企業が、米国のダッパー・ラボだ。2020年10月、同社はNBAの名プレーシーンをNFTとして集めるゲーム、「NBA Top Shot」を始めた。 NBAトップ・ショットは、ダッパー・ラボが開発・運営する「Flow」と名付けられたブロックチェーンが管理する。もともとダッパー・ラボは、他社のブロックチェーンを利用していたが、処理速度が遅いという問題があった。そのため、新しいブロックチェーンのFlowを自社開発し、より円滑な取引環境を利用者に提供している。 取引の仕方はこうだ。まず、NBA Top Shotの公式サイトにアクセスして、デジタル化されたトレーディングカードのパックを購入する。これは、有価証券の発行市場になぞらえることができる。 カードと呼ばれてはいるが、実際に購入するのは短い動画だ。パッケージには、ふつう(Common)、珍しい(Rare)、レジェンド(Legendary)の三つの区分があり、右に行くほど希少性が増し、価格も高くなる。イメージとしては、かつて子供に人気だったプロ野球選手のカード付きスナック菓子を買うことに似ている。 また、公式サイトのマーケットプレイス(流通市場)にアクセスし、他の保有者からデジタルカードを購入したり、売却したりすることもできる。決済はイーサリアムやビットコインといった仮想通貨、クレジットカードなどで行い、ダッパー・ラボは決済の手数料を獲得する。その他、カードを獲得できるイベントも開催されている。 ブロックチェーンが管理するNFTは、その一つ一つが唯一無二のデジタル資産だ。偽造はできない。デジタルであるため劣化もしない。そのため、NBAファンは、いつでもお気に入りの名選手の名プレーを、自分だけのものとして楽しむことができる。 そうした希少性を担保する仕組みと、希少なカードを集めたい欲求が重なった結果、NBA Top ShotのNFT価格が高騰した。一例として、マーケットプレイスでは、ロサンゼルス・レイカーズに所属しているレブロン・ジェームズ選手のNFTが、100万ドル(約1億2800万円)で売りに出されている(4月19日アクセス時点)』、これは「金融取引」というより、マニア向け動画ビジネスのようだ。
・『IT業界の競争激化とわが国への影響  世界経済はウェブ2.0から3.0への移行期にあると考えられる。とはいえ、ブロックチェーンの利用が増えたとしても、中央集権的な仕組みはなくならないだろう。 米FRB(連邦準備制度理事会)や日本銀行などは、「中央銀行デジタル通貨」(CBDC)に関する研究を進めている。パブリック型のブロックチェーンの利用が進むことによって、中央集権的な経済や社会の運営は続く。また、GAFAMのような大手IT企業が、ウェブ3.0企業を買収するなどして、中央集権的なネット運営が続くことも考えられる。 その一方で、ダッパー・ラボのように処理速度の速いブロックチェーン技術を開発し、人々の新しい取り組みや欲求を刺激できる企業は、競争に生き残る可能性がある。 また、現在のウェブ3.0への期待には、「行き過ぎ」の部分がある。筆者がそう考える理由の一つに、世界で金融政策の正常化および引き締めが進んでいることが挙げられる。 物価の高騰によって、米国をはじめ世界の主要中央銀行は利上げやバランスシートの縮小を急ぎ始めた。世界的に金利上昇圧力は高まり、米国のナスダック上場銘柄など、期待先行で上昇した株は売られるだろう。 それに伴って、ウェブ3.0への期待を集めたスタートアップ企業は不安定化し、ビジネスの継続に行き詰まる展開も予想される。2000年のITバブル崩壊の時のような状況が、再来する可能性は排除できない。NFT関連の規制も強化されるだろう。 今後、ウェブ2.0を牽引(けんいん)した企業と、ブロックチェーン開発を進めてNFT取引の拡大を目指す新興企業の競争が激化するはずだ。ひるがえって、わが国には米国や中国の有力プラットフォーマーに匹敵する企業が見当たらない。ダッパー・ラボのように新しく社会の関心と期待をさらうような企業も少ない。 ウクライナ危機をきっかけに、世界経済の分断は深まり、各国の経済運営の効率性も低下するだろう。それは、外需依存度が高まるわが国にマイナス影響をもたらす。ウェブ2.0からウェブ3.0へ、世界が加速度的にシフトする中、わが国のデジタル・ディバイドぶりは一段と鮮明化する恐れがある』、「わが国には米国や中国の有力プラットフォーマーに匹敵する企業が見当たらない。ダッパー・ラボのように新しく社会の関心と期待をさらうような企業も少ない」、「ウェブ2.0からウェブ3.0へ、世界が加速度的にシフトする中、わが国のデジタル・ディバイドぶりは一段と鮮明化する恐れがある」、その通りだ。
・『IT業界の競争激化とわが国への影響  世界経済はウェブ2.0から3.0への移行期にあると考えられる。とはいえ、ブロックチェーンの利用が増えたとしても、中央集権的な仕組みはなくならないだろう。 米FRB(連邦準備制度理事会)や日本銀行などは、「中央銀行デジタル通貨」(CBDC)に関する研究を進めている。パブリック型のブロックチェーンの利用が進むことによって、中央集権的な経済や社会の運営は続く。また、GAFAMのような大手IT企業が、ウェブ3.0企業を買収するなどして、中央集権的なネット運営が続くことも考えられる。 その一方で、ダッパー・ラボのように処理速度の速いブロックチェーン技術を開発し、人々の新しい取り組みや欲求を刺激できる企業は、競争に生き残る可能性がある。 また、現在のウェブ3.0への期待には、「行き過ぎ」の部分がある。筆者がそう考える理由の一つに、世界で金融政策の正常化および引き締めが進んでいることが挙げられる。 物価の高騰によって、米国をはじめ世界の主要中央銀行は利上げやバランスシートの縮小を急ぎ始めた。世界的に金利上昇圧力は高まり、米国のナスダック上場銘柄など、期待先行で上昇した株は売られるだろう。 それに伴って、ウェブ3.0への期待を集めたスタートアップ企業は不安定化し、ビジネスの継続に行き詰まる展開も予想される。2000年のITバブル崩壊の時のような状況が、再来する可能性は排除できない。NFT関連の規制も強化されるだろう。 今後、ウェブ2.0を牽引(けんいん)した企業と、ブロックチェーン開発を進めてNFT取引の拡大を目指す新興企業の競争が激化するはずだ。ひるがえって、わが国には米国や中国の有力プラットフォーマーに匹敵する企業が見当たらない。ダッパー・ラボのように新しく社会の関心と期待をさらうような企業も少ない。 ウクライナ危機をきっかけに、世界経済の分断は深まり、各国の経済運営の効率性も低下するだろう。それは、外需依存度が高まるわが国にマイナス影響をもたらす。ウェブ2.0からウェブ3.0へ、世界が加速度的にシフトする中、わが国のデジタル・ディバイドぶりは一段と鮮明化する恐れがある』、「わが国のデジタル・ディバイドぶりは一段と鮮明化する恐れがある」、寂しい限りだが、今さらどうにもならない。ダメージを最小限に止めることがせいぜいだろう。
タグ:ブロックチェーン (その2)(世界に挑む「国産ブロックチェーン」起業家の素顔 「ウェブ3.0は若者に非常に有利な領域だ」、「Web3.0・NFT」って何?「NBAのカードが100万ドルで売買」される理由) 東洋経済オンライン「世界に挑む「国産ブロックチェーン」起業家の素顔 「ウェブ3.0は若者に非常に有利な領域だ」」 独自のブロックチェーン「アスター・ネットワーク」を開発した渡辺創太CEO 「今ブロックチェーンやウェブ3.0の波が起きている。歴史的なテクノロジーの大波の中で、今26歳の自分が最初からそれに乗れるのがこの波だった。ビットコインが生まれてからはまだ13年ほど。既存の常識にとらわれず、体力もある。若者に非常に有利な領域だと思う」、「ウェブ3.0は「Less trust, More truth(信頼に代わる真実を)」という世界。これまではあらゆる経済活動に、人々に「信頼」された中間的な業者が入っていた」、「あらゆるビジネスはすべて、信頼の上に成り立っているゆえに、間の人たちが実際に何 「アスターではマイナー(マイニングをする人)だけでなく、開発者にも報酬を分配している」、なかなかよく出来た仕組みのようだ。 「Day 1・・・からグローバルを意識しているというところが前提にあると思う。すでに世界で一定の認知度と技術の先端を走っているということが認められている」、大したものだ。「日本のLPS法」は「VCの投資対象が株式などに限られており、暗号資産で投資ができない」、見直しが必要だろう。 「法人が保有するトークンの含み益への期末課税の問題が大きかった」、「ウェブ2.0でも結局アメリカや中国のサービスを皆が使っている。データも日本ではなくて海外で管理されている。日本はすでに“デジタル植民地”になっている」、困ったことだ。 ダイヤモンド・オンライン 真壁昭夫氏による「「Web3.0・NFT」って何?「NBAのカードが100万ドルで売買」される理由」 「ウェブ3.0(スリー)」が注目され、「非代替性トークン」(NFT)の発行が急増 「IT先端分野での競争は激化するだろう。その中で、ブロックチェーンなど新しいデジタル技術の利用が増え、分散型と中央集権型のシステム運営が並走する状況が続く可能性が高い」、なるほど。 「ウェブ3.0の世界では、個人が自らのデータをよりよく管理し、その利用から利得を手にすることができると期待されている。 ウェブ3.0は金融にも変革をもたらす。銀行が預金を集めて信用審査を行い、信用を供与するのではなく、ブロックチェーン上で資産価額が評価され、融資が行われる。これにより金融ビジネスは、「分散型金融」(Decentralized Finance、DeFi、ディファイ)に向かうとみられている。システム上で資産の所有権や価値の評価などが行われるため、店舗運営などのコストが低下し、効率性が向上するこ これは「金融取引」というより、マニア向け動画ビジネスのようだ。 「わが国には米国や中国の有力プラットフォーマーに匹敵する企業が見当たらない。ダッパー・ラボのように新しく社会の関心と期待をさらうような企業も少ない」、「ウェブ2.0からウェブ3.0へ、世界が加速度的にシフトする中、わが国のデジタル・ディバイドぶりは一段と鮮明化する恐れがある」、その通りだ。 「わが国のデジタル・ディバイドぶりは一段と鮮明化する恐れがある」、寂しい限りだが、今さらどうにもならない。ダメージを最小限に止めることがせいぜいだろう。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

スタートアップ(その7)(「会社辞め 起業したい人」に学んでほしい7大失敗 事業を失敗に導く人の姿勢には共通点がある、ユニコーン不足の日本 なくせるか「起業家に不利な金融契約」、日本経済が世界から遅れる原因作った「真犯人」 なぜこんなにも新興企業が少ないのか) [イノベーション]

スタートアップについては、2020年4月29日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その7)(「会社辞め 起業したい人」に学んでほしい7大失敗 事業を失敗に導く人の姿勢には共通点がある、ユニコーン不足の日本 なくせるか「起業家に不利な金融契約」、日本経済が世界から遅れる原因作った「真犯人」 なぜこんなにも新興企業が少ないのか)である。なお、タイトルを「ベンチャー」から「スタートアップ」に変更した。

先ずは、昨年5月6日付け東洋経済オンラインが掲載した新規事業家の守屋 実氏による「「会社辞め、起業したい人」に学んでほしい7大失敗 事業を失敗に導く人の姿勢には共通点がある」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/464429
・『コロナ禍で独立や副業を考える人が少なくありません。ただ、「あらかたの起業は失敗する。その中で、粘り強く頑張っていくのには意志が不可欠だ」と語るのが、52の事業をおこしてきた新規事業家の守屋実氏です。『起業は意思が10割』の著者である守屋氏が自らの経験を基に、独立起業の成功例とよくある失敗例を解説します』、「52の事業をおこしてきた」とは興味深そうだ。
・『社会がどんどん変わる中で求められる人材も変わる  人生100年時代の中で何歳まで働くかは、すべての人において大きな課題といえるでしょう。そこで知っておいてほしいことは、日本の企業の平均寿命は30年もたないということです。東京商工リサーチの調査によると、2020年に倒産した企業の平均寿命は23.3年でした。 一般的によく言われている企業の平均寿命30年説をベースに考えると、20代で就職し、30年勤め上げて、50代くらいで会社がなくなるということを意味します。何の準備もしていないでその時点で放り出されることを考えると怖さも感じます。 また、「大企業だから安泰」ということでもありません。先日、長年JRに勤務してきた方が、「50代の私もこのままいけるとは思えない。40代、30代はましてそうだ」と語っていました。コロナ禍となり、大企業の安定はいっそう揺らいでいるといえるのです。 企業が何を考えているかは、自分(社員)ではなく、企業を主語に考えるとわかりやすいです。僕は、「企業の帽子をかぶって考えてみよう」という表現をよく使います。 社会がどんどん変わる中で、事業の転換も求められるようになります。それに合わせて、求められる人材も変わっていきます。この道20年、30年と染まりきった人を変えるよりは、何物にも染まってない20代の若手を採用したほうがてっとり早いと、企業が考えてもおかしくはないでしょう。 高度経済成長期には、年齢とともに役職も給料も上がっていきました。こうした時代は、1社で勤め上げる幸せもあったでしょう。しかし、現在は上の役職が詰まり、10年働いてもその組織で自分が一番下ということがありえます。また、管理職になったものの、部下はいないというケースもありえます。 現在は「昭和96年」ではなく、平成も終わり、令和の時代になっています。環境が大きく変わる中、昭和と同じ働き方を続けるよりは、もっと自分に合った働き方をしたほうが個人にとっても幸せではないでしょうか。 今は、SNSでは簡単に誰とでもつながれますし、隙間時間にリモートで仕事をすることもできます。組織の中にいると、「自分なりの課題意識を持って動く」という習慣がつきにくい。むしろ、そうした行動が抑制される力が働きがちです。 しかし、考えて行動し、従来の仕事の概念から飛び出したほうが、結果的に会社にとっても個人にとってもプラスのことが多いのではないかと僕は考えています』、「2020年に倒産した企業の平均寿命は23.3年」、一般的企業の「平均寿命」はもっと長いと思われる。「考えて行動し、従来の仕事の概念から飛び出したほうが、結果的に会社にとっても個人にとってもプラスのことが多いのではないか」、同感である。
・『重要なのは「会社のプロ」から「仕事のプロ」への展開  これからの時代に重要なことは、「会社のプロ」から「仕事のプロ」に転換することです。「仕事のプロ」とは、1つの仕事を極めて何社からも依頼がくる存在のことです。弁護士や医師などはわかりやすい例でしょう。ちなみに、僕は「起業(新規事業)のプロ」です。「会社のプロ」は1社の名刺で(社内で)たくさんの仕事をしますが、今後は複数の名刺で1つの仕事をすることが求められます。 自分の好きや得意を生かすという視点に立つと、「仕事のプロ」へのヒントが見つかるかもしれません。よく「自分には特別なことは何もない」とおっしゃる方がいますが、「20年間自動車メーカーで働いている」「10年間経理部にいる」といった経歴があれば、十分にその道のプロであるはずです。 「仕事のプロ」のほうが自分を生かすことができ、純粋に楽しいですし、さらに1社でうまくいかなくても複数社と関係性を構築しているという意味でリスクも少ないと思います。 こうした「仕事のプロ」になるために踏まえておいたほうがよいことは、大きく3つあると考えています。 1つ目は、「人は考えたようにはならず、行ったようになる」ということです。起業に向けて勉強することは大切です。しかし、セミナーに行くことや本を読むことをずっと続けていれば、「セミナーに行き本を読む人」になります。「仕事のプロ」になろうと思うのであれば、小さなところから動いてみることです。 副業が許されているならば、どんどんやってみればいい。許されていないのであれば、無報酬でNPOに参画したり、起業した人の手伝いをしてみたりしてもよいでしょう。「行ったように人はなる」ので、自分がやりたいことに直結する動きをすることが重要です。 2つ目は、「特定の領域において想定しうるすべての失敗を経験した人をプロという」ということです。挑戦には失敗がつきものなので、「失敗しないようにしたい」と思っているとプロにはなれません。大事なことは、失敗しても挑戦をやめないことです。失敗をしながらも継続していくことで量稽古を積んでいくと、「初見でも既視感」という域に達することができます。これは、複利の恩恵ともいえるでしょう。 3つ目は、「意志ある先に道は拓ける」ということです。簡単にいうと、「仕事のプロ」になるという意志を持ち続けるということです。) 私は「起業のプロ」ですが、起業が簡単なことだとは思いません。それどころか、あらかたの起業は失敗します。その失敗の中で、粘り強く頑張っていくのには意志が不可欠です。ときどき、「強い意志を持つほどの原体験がありません」という方がいます。 しかし、僕はどんなものでも原体験にはなりうると思うんです。例えば、「顧客からこんなことを言われた」「家族と話していたらこんな話題になった」といったことが事業につながることもある。意志の資源となるものは、意識をすればいくらでも転がっているのです。 実際に、意志を持って会社から独立した方のエピソードをご紹介します。障害のある方に特化したBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)プラットフォーム「NEXT HERO」を運営しているVALT JAPAN(ヴァルトジャパン)の事例です。 2014年に創業したヴァルトジャパンは、データ入力や清掃、部品の検品などの仕事を企業や自治体から受注し、全国の就労継続支援事業所に発注する仕組みを作っています』、「「会社のプロ」から「仕事のプロ」に転換することです。「仕事のプロ」とは、1つの仕事を極めて何社からも依頼がくる存在のことです」、これは「会社」で「仕事」をしている人にはすぐには難しい。
・『精神疾患の患者会で受けた衝撃  代表の小野貴也さんは、もともと製薬会社でMRをしていました。ある時、小野さんは精神疾患の方々の患者会に参加します。そこで、小野さんは衝撃を受けます。多くの方が「仕事の成功体験がなくてつらい」という話をしていたからです。 それまで小野さんは、効果の高い薬を使ってもらうことで、患者の方のQOLを上げられると考えていました。しかし、大事なことは薬を使ってもらうことではなく、仕事における成功体験を積んでもらうことなのではないか、と思うようになったのです。 調べると、病気から復活し再就職しても仕事を軌道に乗せられず、ふたたび病気を繰り返している方が多いことや、就労継続支援事業所の平均月給が1万円台(B型事業所)であるということなどがわかってきました。さらには、少なくない企業が障害者法定雇用率2.3%を達成できず、納付金を支払っている現状も見えてきました。つまり、障害のある方が仕事で充実感を得る場が極端に少ないことがわかったのです。 そこで小野さんはヴァルトジャパンを立ち上げます。「誰かに喜んでもらいたい」「もっと社会に貢献したい」という障害者の方の純粋な気持ちを、「仕事」を通じて叶えたいという意志が起業の根底にはありました。 ヴァルトジャパンは、就労継続支援事業所が自ら営業をしにくいという課題を解決したり、間に入り民間企業の求める発注に安定的に応えられるよう品質管理をしたりといった責任を負いました。これにより、企業と事業所の双方が安心して受発注を行うことができるようになりました。) とはいえ、小野さんの事業は最初から順風満帆にいったわけではありません。初めのうちは全国の就労支援事業所に電話やFAXをして登録を促し、民間企業にも説明を続けました。その中では、無下に断られることも1度や2度ではありませんでした。 また、当初は納品する商品の質にムラがあることもしばしばあり、小野さん自身が手を動かし埋め合わせることもありました。他にも、資金調達の際には銀行やVC(ベンチャーキャピタル)に、「事業としてスケールするイメージが持てない」という理由で断られることが続きました。 しかし創業して7年が経った現在では、ヴァルトジャパンは1000件の事業所が利用し、ワーカーは1万2000人にも及んでいます。 受託案件も1500件を超えました。平均月給も、国は10年間で約1万2000円から約1万6000円まで引き上げるのが精一杯だったのに対し、ヴァルトジャパンは3カ月で約4万5000円にまで向上させることができました。加えて、直近では2億円の調達にも成功したのです』、「ヴァルトジャパン」は「創業して7年が経った現在では・・・1000件の事業所が利用し、ワーカーは1万2000人」、「受託案件も1500件を超えました」、はいいとしても、「平均月給」は低過ぎる印象だ。
・『意思ある先に道が拓けることを実感  僕は小野さんの奮闘を横でサポートしていて、意志ある先に道が拓けるということを改めて痛感したのでした。 独立起業の成功例としてヴァルトジャパンをお伝えしましたが、続いて、よくある失敗例を紹介しましょう。僕は、事業を失敗に導く姿勢やマインドを、「7つの大罪」と呼んでいます。 【事業を失敗へ導く7つの大罪】 第1の大罪 意志なき起業→意志がなければ、挑戦もできず、たくさんの失敗を乗り越えることもできない。 第2の大罪 経験なき理屈→自分で経験せずに手軽に理屈で学ぼうとすると、つまずく。大事なのは行動し、体験から学ぶこと。 第3の大罪 顧客なき事業→顧客に価値を生む視点がなければ、モノあふれの時代ではうまくいかない。 第4の大罪 熱狂なき業務→「目の前の業務をこなす」という感覚では、顧客に熱は届かない。 第5の大罪 挑戦なき失敗→挑戦して失敗するどころか、挑戦もしないケースが多い。100%安全な起業や新規事業はありえない。 第6の大罪 利他なき利己→自分を守ろうとする保身やことなかれ主義からは、新たな価値は生まれない。起業で必要なのは利他の視点。 第7の大罪 自問なき他答→大切なのは誰かに答えをもらうことではない。重要なのは、他人の答えに頼らずに、自ら問い、考え、行動をすること。  中でも、最も多い失敗は、「挑戦なき失敗」ではないかと思います。例えば、ヴァルトジャパンの小野さんの成功の陰には、無数の挑戦なき失敗者がいます。多くの人が「こんなサービスあったらいいのにな」「この状況、なんとかならないかな」と感じますが、自分で解決しようと行動を起こす人は1%もいないのではないかと思います。 さらに、ほとんどの人が度重なる苦戦に「やっぱり難しいな」と諦めてしまい、小野さんのように失敗しながらも7年間頑張り続ける人はやはり1%ほど。「1%×1%」、つまり計算上では1万分の1の確率になる、ということです。まさに「挑戦なき失敗」です。この事例から、挑戦の継続が重要であることがおわかりいただけたのではないでしょうか』、「挑戦の継続が重要」、その通りだ。
・『顧客が何を求めているかを知ることが大事  また、さまざまな方から事業計画の説明を受けている中で「顧客なき事業」の失敗も散見されます。モノ不足の時代には、大量に色々なものを提供すれば顧客がつきました。 しかし今は、商品・サービスが腐る程ある時代です。「ただ作れば売れる」という時代ではありません。こうした社会で大事なことは、顧客が何を求めているかを知ることです。それは、ネットで情報を集めたり企画書を綿密に書いたりするだけでは不十分です。 大事なのは、顧客のところに何度話を聞きにいったかであり、実際に何度価値提供を試みることができたかです。顧客の役に立たないことがわかったら、ピボット(方向転換)することも視野に入れなければいけません。 これからもっと起業する人は増えていくでしょう。その際には、ぜひこの「7つの大罪」を踏まえて歩み出してください。コロナ禍で多くの課題が顕在化した今こそ、多くの起業が求められています。とはいえ、すぐに大きなリスクを背負って独立しろとはいいません。 まずは、「仕事のプロ」となるべく、意志を持って、自身をどう社会に生かしていくかを考えていってはいかがでしょうか』、「まずは、「仕事のプロ」となるべく、意志を持って、自身をどう社会に生かしていくかを考えていってはいかがでしょうか」、同感である。

次に、4月25日付け日経ビジネスオンライン「ユニコーン不足の日本、なくせるか「起業家に不利な金融契約」」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/042200360/
・『経済産業省はこのほど「スタートアップの成長に向けたファイナンスに関するガイダンス」を公表した。新興企業への国内投資額は2021年に7801億円と、過去5年で3.1倍に拡大。年間1兆円の大台が視野に入ってきたが、米国の42兆円、中国の13兆円と比べてまだ小規模だ。日本企業の新陳代謝が遅れ、国際競争に負けるという危機感がある。 経産省のガイダンスではスタートアップ企業が資金調達の際に投資家へ説明すべき事項、適正に企業価値を算定できない場合の影響、ベンチャーキャピタル(VC)や経営者の持ち分比率についての考え方など、創業前からのステージごとに注意点を列挙した。3月に公正取引委員会と示した指針と併せ、円滑なマネー供給を促す狙いだ。 未上場で企業価値が10億ドルを超える「ユニコーン」は米国で520社、中国で167社なのに対し、日本は6社しかない(それぞれ2月時点の集計)。電子決済やデータ活用などIT(情報技術)系で米中やインドのユニコーンが拡大した一方、日本は国際的に活躍する新興企業が限られている。 (図:主要国のユニコーン企業) 2022年2月時点 (出所:経団連資料から作成) 経産省の動きに合わせて経団連は3月、2027年までに日本のスタートアップ企業数を現在の10倍の約10万社、スタートアップへの年間投資額は約10倍の10兆円規模にする目標を掲げた。この達成へと突破すべき壁として、経産省と同様にファイナンス問題に目を向けている。運転資金や設備投資が必要なのは言うまでもないが、出資者による経営への関わり方が成長を大きく左右するためだ。「日本の若者は保守的」と決めつけるのでなく、そもそも日本だと萎縮しやすい制度になっていないか今こそ検証と改革が求められる。(図:年間1兆円の大台が視野に) 国内スタートアップへの投資額 (出所:ユーザベース,「2021年 Japan Startup Finance」) 経団連の副会長であるディー・エヌ・エーの南場智子会長は「日本の企業価値トップ10社を見ると、創業時にVCが支援してからこの規模に成長したケースが1件も入っていない」と、記者会見で嘆いた。世界だと企業価値トップ10社のうち、米アップルやマイクロソフトを含む8社は上場前にVCが支援していた。「日本のVCも頑張ってゼロからここまで成長してきたが、『もっと大きな成功を収めよう』と誘っていけるキャピタリストはどれほどいるのか」(南場氏)』、「未上場で企業価値が10億ドルを超える「ユニコーン」は米国で520社、中国で167社なのに対し、日本は6社しかない」、確かに致命的な格差だ。
・起業家の金融リスク  多くの新興企業はブランド力や豊富な独自資金などがない状態で立ち上がるので、どうしても金融機関のほうが「優越的な地位」にはなりがちだ。経産省の指針では投資契約を結ぶとき、起業家にとって「不利な条項が少ない形で締結することが重要」と指摘した。そもそも不利なことが複数あるという前提なのだが、できるだけ抑制することを目指している。特に、起業家が個人として抱えるリスクの大きさが課題という。 例えば、ミドリムシからバイオ燃料や健康食品を作っているユーグレナ。出雲充社長に創業時の話を聞くと「オフィスに置くコピー機のリースでさえ、私の個人保証だった」と振り返る。ただ、こうしたリース債務や借入金のような明らかな負債だけが責任の対象となるのではない。出雲氏は「エクイティファイナンス(株式発行による資金調達)も、日本のスタートアップ資金調達だと真のエクイティとは言えない」と苦言を呈する。 業績が悪くなったりVCにとって不都合が生じたりした場合、スタートアップ側が株式を買い戻すように求められるからだ。創業から間もない会社は、最悪の場合に売却して現金化できる設備が少なく、累積赤字が拡大している場合もある。実質的に起業家の個人保証となっており、第三者割当増資や株主割当増資であっても、エクイティのはずがデットファイナンス(借り入れ)に近い性格といえる。 公正取引委員会と経産省はこれを問題視している。経営状態が良好でも、出資者が「起業家への買い取り請求権」をちらつかせて搾取することもあるという。例えばある企業は出資者と定めた計画どおりに事業を進めていたが、知的財産権を出資者に無償譲渡するよう求められた。これに応じなければ、出資者から企業側が株式を買い戻すよう迫られる状況だったため、やむなく知財を譲渡した。ここまでくると独占禁止法上の「優越的地位の濫用(らんよう)」に当たるおそれがあるというが、他にも不透明な理由で買い取り請求権が行使される例は散見されるという。 VCなどからスタートアップが出資を受けるとき「もし将来の契約違反があれば、その時に損害賠償請求すれば十分ではないか」と交渉することもできる。ただ、何らかの経営判断と業績の因果関係を立証し、損害額を算定するのは手間がかかる。このためVCが手っ取り早く起業家の行動をコントロールする手段として、買い取り請求権を設定しておくことが多いという。創業期の企業だと法務チームがなく、「弁護士等の専門家に相談する余裕もない状況で契約する」(経団連の分析)という状況も課題だ。 スタートアップでは起業家が過半の株式を保有した状態で、取締役会で大きな影響を及ぼすことも多い。ただ、起業家とその会社を一体とみなして連帯責任を求める出資契約の条項については、「グローバルな観点からはあまり例が無い」(公取委と経産省の指針)。過度に責任を求めると起業を増やせないため、VCなどによる買い取り請求権の対象は会社そのものに限定し、経営者個人には設定しないよう求めている』、「VCなどからスタートアップが出資を受けるとき「もし将来の契約違反があれば、その時に損害賠償請求すれば十分ではないか」と交渉することもできる。ただ、何らかの経営判断と業績の因果関係を立証し、損害額を算定するのは手間がかかる。このためVCが手っ取り早く起業家の行動をコントロールする手段として、買い取り請求権を設定しておくことが多いという」、株式なのに「買い取り請求権を設定」する理由が理解できた。
・『大企業も課題  複数の政府関係者は「既存の大企業も、スタートアップ育成に向けた課題が多い」と語る。実は産業界に対し、新興企業への支援策をさらに具体的に打ち出すよう求める声も政府内にあった。ただ、積極的にリスクを取ることに慎重な大企業も多い。なかなか一枚岩にはできなかったという。 ここ数年、大企業がスタートアップに投資する社内組織としてコーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)を活用する例も増えてきた。しかし、1件あたりの投資額はまだ限定的で、買い取り請求権についても起業家にとって不利なケースがあるという。経産省は「CVCが急速に増加する中でスタートアップの成長について理解が不足したまま、自社の優位性を確保する商慣行が生じていたりする」と指摘する。 そもそも事業会社は金融機関ではないので、他社に大規模に出資してハンズオンで関わっていくような専門人材は多くない。南場氏は「大企業がマイノリティー出資をするというより、事業会社として自社内に取り込むM&A(合併・買収)を積極化して、スタートアップのエコシステムに貢献してほしい」と提言する。 日本のVCにとってイグジットの選択肢が少ないことは、前々から課題として指摘されてきた。大企業への株式譲渡が盛んではないため、国際的には小粒の状態でも投資先を新規上場(IPO)させて利益を確定する。起業家もVCも「世界的な大勝ち」を狙いにくく、出資時にせせこましい契約条件を付ける背景にもなっている。スタートアップへのくびきを少なくしつつ資金を循環させるには、大企業の取り組みも欠かせない』、「事業会社として自社内に取り込むM&A・・・を積極化」してゆけば、確かに「スタートアップ」への「資金を循環」が円滑化する可能性がある。

第三に、5月26日付け東洋経済オンラインが掲載した東洋経済 特約記者(在ニューヨーク)のリチャード・カッツ氏による「日本経済が世界から遅れる原因作った「真犯人」 なぜこんなにも新興企業が少ないのか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/591483
・『世界の「SONY」や「HONDA」を生んだ時代のように、日本を再びスタートアップの国にするという目標は、岸田文雄首相が5月5日に行われたロンドンでの講演で発表した4つの目標のうちの1つであった。 「ですから、日本に再び創業ブームを起こすことが、私の切なる願いです」。賞賛に値する目標である。しかし、歴代の首相も高い目標を掲げてはきたが、残念ながら実現に必要な施策を打つことはできなかった。岸田首相はそうならないことを期待したいが……』、興味深そうだ。
・『スタートアップが必要なワケ  より多くのスタートアップを生み出すための提案について論じる前に、なぜスタートアップが重要なのか、そしてなぜ日本は遅れを取っているのかを確認したい。 「スタートアップ」や「アントレプレナー」という言葉を聞くと、ベンチャーキャピタル(VC)の資金を投入されたシリコンバレーにあるハイテク企業を思い浮かべる人が多いだろう。しかし、シリコンバレーにあるハイテク企業の数はわずか2000社である。 一方、OECDの統計によると、アメリカには毎年5万社以上の高成長企業(従業員10人以上で、3年連続で年率20%以上の成長を遂げた企業)が存在する。韓国は1万6000社、イギリスは1万3000社、フランスは1万社である。このうちハイテク企業はごく一部で、VC資金を得ている企業は極めて少ない。日本ではこのような企業の数を測定していないため、日本のスタートアップ政策は盲目的に行われている。 国民の生活水準を向上させるためには、成長性の高い中小企業を継続的に創出していくことが不可欠だ。1980年代から1990年代にかけてのアメリカでは、設立5年未満の企業の参入と、効率の悪い老舗企業の閉鎖によって、就業者当たりの製造業生産高の成長率60%という驚くべき結果がもたらされた。 一方、1980年以降、アメリカの新興企業の起業数が鈍化したときに何が起きたかを考えてみていただきたい。2015年までに、就業者1人当たりの生産高は1980年の起業数であったときと比較して3%低くなり、平均家計所得は1600ドル低下した。長年にわたる所得喪失の総額は何倍にも膨らんだ』、「日本では」「高成長企業(従業員10人以上で、3年連続で年率20%以上の成長を遂げた企業)」「のような企業の数を測定していないため、日本のスタートアップ政策は盲目的に行われている」、政策的に重要になったにも拘らず、統計が存在しないとはお粗末極まる。恐らく、官庁間の利権争いが背景にあるのだろう。
・『設立後最初の10年間の成長が低調  残念ながら、日本では高成長している中小企業の数があまりにも少ない。それが、実質世帯所得(価格調整済み)が1995年以降低迷を続けている理由の1つである。日本には数多くの中小企業があるのは確かだが、創立後最初の10年間の成長はOECD諸国の中で最も低調で、老舗中小企業の数がOECD諸国の中で最も多い。 おそらく最大のハードルは、意欲的な若い企業が事業拡大に必要な融資を受けられないことだろう。また、岸田首相が挙げた技術や人的資本という2つの問題も、中小企業の成長を妨げている。 しかし残念ながら、岸田首相もスタートアップを語るとき、VC出資企業の魅力に魅了されすぎているようだ。例えば、岸田首相のプランを推進するため自民党内に結成されたスタートアップ議連は、2027年までにVC投資額を10倍の10兆円(770億ドル)にすることを目標としている。このようなVC投資は魅力的だが、VCから投資を受けた企業だけが注目されるべきではない。 3月には経団連がほぼ同じ内容の提言を出しているが、その内容はシリコンバレー型ベンチャーに終始している。しかもスタートアップ議連の提言では、スタートアップの企業数を10倍に増やすとしている。 しかしこれでは、1社当たりの投資額は現状と変わらず、諸外国と比較してかなり少額になってしまう。そのため、スタートアップ議連の中心人物である平井卓也・前デジタル化担当相がPensions & Investmentsに対して語った、日本は「エンジェル」投資家に対する減税措置も必要であるとの発言は心強い。 エンジェル投資家とは、ベンチャー・キャピタルの資金を必要としない、あるいは資金を得られない革新的な企業に「種銭」を出資する投資家である。平井氏は、具体的なことは何も語らなかった。関係者によると、平井氏のさまざまな提案は、少なくとも部分的には、岸田首相のプログラム作成に携わった政府関係者との議論を反映している可能性が高いという』、「日本は「エンジェル」投資家に対する減税措置も必要であるとの発言は心強い」、しかし財務省が抵抗している筈だ。
・『「華やか」なことが重要なわけではない  岸田首相は、技術に関しても華やかさを追い求めている可能性がある。首相は5つの分野における「国家戦略」を提案したが、その1つ目として挙げられたのが人工知能(AI)だ。これは、超伝導技術やナノテクノロジーを成長の特効薬と考えた過去の戦略と似ている。日本企業は既存の技術すらうまく使いこなせていないのだから、この優先順位は見当違いのように思える。 国の成長を最も後押しするのは、デジタル機器を製造する少数の企業ではない。たとえデジタル技術やソフトウェアが輸入品であったとしても、デジタルを活用して自社を向上させることができる他多数の企業である。 新興企業は老舗企業よりも、新技術を活用して経済全体の成長を促進する手段を開発する可能性が高い。例えば、ネット印刷を手がけるラクスルはネットを利用した宅配便のオークションシステムを構築した。 これによって、配達員の1キロ走行あたりの配達荷物数を大幅に増やすことができた。配達員の収入アップと顧客のコストダウンを達成しただけではなく、地球温暖化防止にも貢献している。このような企業が何万社も生まれたとき、日本は復活を果たすだろう。 日本と諸外国、そして日本の大企業と中小企業の間に存在するデジタル・デバイドは、もはや深い溝と化している。IMD(国際経営開発研究所)は、日本のデジタル競争力を64カ国中62位と評価した。 日本の高校生は数学、科学、共同問題解決能力において80カ国中トップクラスに位置する一方で、デジタルに関する教師の知識、デジタルを教える能力、そして教師を支援するリソースにおいては最下位に位置していることが、この低い順位の1つの要因だ』、「IMD・・・は、日本のデジタル競争力を64カ国中62位と評価」、「日本の高校生は数学、科学、共同問題解決能力において80カ国中トップクラスに位置する一方で、デジタルに関する教師の知識、デジタルを教える能力、そして教師を支援するリソースにおいては最下位に位置していることが、この低い順位の1つの要因だ」、主に「教育面」の立ち遅れが主因とは情けない限りだ。
・『デジタルスキルの教育がない残念さ  政府の教育アドバイザーである鈴木寛氏は、アメリカに拠点を置くジャパン・ズーミナーにおいて、この低迷の理由はデジタルスキルが大学入試に含まれていないことであると説明した。このため、学校の教師はデジタルスキルを教える必要がないと考えているのだ。 2025年からは情報が入試科目に加わるが、教師に対しては誰が教えるのだろうか。岸田首相が 「人的資本への投資は成長戦略の中核」と言うのであれば、このような問題を優先して解決すべきだ。 政治家になる前は銀行員だった岸田首相は、日本の銀行がいかに若い企業、特に女性創業者に対する融資に抵抗を持っているかを理解している。しかも銀行が融資を行う場合、信用スコアの低い創業後50年の企業より、創業後10年の健全な企業に対して高い金利を課す。これは、「ゾンビ」企業を生かし続けようとする政治的圧力が生んだ結果である。 このような状況を政治的に是正するのは難しいが、ここで提案する措置は、政治的・予算的なコストを抑えながら高い経済的利益を得られるというアドバンテージがある。もし岸田首相がこれらの措置を講じられないのであれば、再分配と成長を両立させる「新しい資本主義」の達成に向けた、より難しい解決策に望みはあるのだろうか。) 新興企業は、顧客探しに苦労している。平井氏が指摘するように、GDPの16%を財やサービスの購入に充てている国・地方自治体に対して売り込みができれば新興企業は助かるだろう。 日本では長い間、政府調達において中小企業を優遇するための「別予算」を用意していたが、そのほとんどが老舗企業に割り当てられていた。政府はようやく2015年、創業10年未満の中小企業に対する「別予算」を設けた。 しかし、その額はごくわずかだ。2021年の調達額は770億円にすぎず、国の調達額全体の0.8%と微々たる割合である。もし、政府が新興企業からの調達を拡大すれば、振興企業の収益が増えるだけでなく、銀行融資を受けやすくなり、民間企業に対する売り上げも拡大するだろう』、「銀行が融資を行う場合、信用スコアの低い創業後50年の企業より、創業後10年の健全な企業に対して高い金利を課す。これは、「ゾンビ」企業を生かし続けようとする政治的圧力が生んだ結果である」、これは根拠のない誤解に過ぎない。「創業10年未満の中小企業に対する「別予算」・・・その額はごくわずかだ。2021年の調達額は770億円にすぎず、国の調達額全体の0.8%と微々たる割合」、これを引き上げれば、大企業の既得権を奪うことにはなるが、やむを得ないだろう。
・『エンジェル投資家に対する減税措置  エンジェル投資家に対する減税措置は、高成長の新興企業を大きく後押しすることになる。エンジェル投資家の多くは元起業家で、新興企業に対する資金提供だけではなく指導も行う。2019年、アメリカのエンジェル投資家は6万4000社に対して1社あたり平均37万6000ドルの合計240億ドルを投資した。これはVCから資金を得たスーパースター企業の20倍にあたる。 諸外国では、巧みに設計された税制優遇措置がエンジェル投資ブームを生み出してきた。しかし、税制優遇措置が微々たるものである日本では、ブームは起きなかった。現在、投資対象企業が設立3年未満の場合、所得金額から控除されるのは年間最大でたったの800万円である。その他、設立3年から10年未満の企業に対する投資に対しては、株式等譲渡益からの控除を受けることができる。 アメリカでは、投資先1社につき40万ドルが控除の上限となっている。経済産業省は何年もこの上限を引き上げようと試みているが、財務省がこれを拒否してきた。エンジェル投資家の出資により起業が増えれば税収も増加するのだから、この考えは近視眼的と言える。岸田首相は、財務省の抵抗に打ち勝つ必要がある。 あらゆる富裕国は研究開発に対して補助金を支出しているが、日本では従業員250人未満の企業に対する補助金の割合は全体の8%にすぎない。これはOECD加盟国の中で最も低い。日本における補助はすべて税額控除で行われているため、税額控除はすでに利益を得ている企業しか利用できないというのがこの理由だ。 スタートアップ企業が利益を得るには数年を要する。諸外国ではこのジレンマを解決するために、「繰越」制度を導入している。つまり、税額控除を受けたがまだ利益を出していない企業は、数年後に利益が出た時にその控除を使うことができるのである。 イギリスでは、この繰越期間は無期限とされており、アメリカとカナダでは、繰越期間は20年間と定められている。日本では、安倍政権下で廃止されるまでは、1年間しか使えなかった。この点でも同様に、岸田首相が財務省に打ち勝つことが前進の条件となる』、財務大臣を経験した「岸田首相」がその気になれば、財務省の抵抗に「打ち勝つ」ことも可能な筈だ。
・『二重課税されない仕組みが必要  合同会社という企業形態が生まれたことで、多くの国で起業が盛んに行われるようになった。1988年にアメリカでLLC(リミテッド・ライアビリティー・カンパニー)が認可されると、高成長を遂げる革新的な企業が続々と誕生した。 LLCの強みは、「二重課税」を回避できることだ。従来の株式会社では、まず企業の利益に対して税金を課され、次に利益分配の段階でオーナー・株主個人に対して税金を課される。 LLCの場合、利益に対して一度だけ課税されるため、外部からの出資をより多く呼び込むことができる。2006年、経済産業省の石井芳明氏が合同会社制度の導入を推進した際、石井氏は二重課税の排除も提案した。しかし、このときも財務省が減税に対して拒否権を発動した。 日本では銀行が中小企業の経営者に対し、企業が債務不履行に陥った場合に備えるための「個人保証」を要求するケースが他国と比較してはるかに多い。つまり、企業経営者は自宅や生活資金などを失う可能性があるのだ。そのようなリスクを取る人が少ないのは当然である。 2014年、金融庁はついに銀行に対し、個人保証の利用を減らすよう申し入れした。これを受けて、個人保証を必要とした中小企業向け新規融資の割合(金額ではなく件数)は、2015年の88%から2021年の70%へと徐々に減少している。 ただし、金融庁の新規融資のデータには、既存顧客に対する融資のロールオーバーと新規顧客に対する融資の両方が含まれている。ありうることだが、多くが前者であったとすれば、新興企業にはほとんど役に立たなかったということになる』、「2006年、経済産業省の石井芳明氏が合同会社制度の導入を推進した際、石井氏は二重課税の排除も提案した。しかし、このときも財務省が減税に対して拒否権を発動」、岸田首相が自ら財務省を説得して導入させるべきだ。
・『GPIFが果たせる重要な役割  岸田内閣は、巨大な年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に対して、VCファンドへの投資を拡大することを求めている。GPIF単独での投資ではなく、国内外の独立したVCファンドを通じて投資するかぎり、GPIFの投資は大いに新興企業に貢献するだろう。 なお、コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)は、新興企業ではなく親会社の利益を図るものであるため、GPIFはCVC経由の投資を行うべきではない。 創業ブームを起こすためのソリューションを考えるのは難しいことではない。難しいのは、政治的、官僚的な抵抗に打ち勝つことだ。これまで日本の政策立案者は、「どうしても10キロ痩せたいのに、必要な手段を取らない人」のような行動を繰り返してきた。岸田首相の提案内容の詳細が明らかになれば、首相にその意志と実行力があるかどうかが明らかになるだろう』、「岸田首相」はよく聞くだけでなく、「財務省」を積極的に指導する強力は姿勢も示すべきだろう。
タグ:スタートアップ (その7)(「会社辞め 起業したい人」に学んでほしい7大失敗 事業を失敗に導く人の姿勢には共通点がある、ユニコーン不足の日本 なくせるか「起業家に不利な金融契約」、日本経済が世界から遅れる原因作った「真犯人」 なぜこんなにも新興企業が少ないのか) 東洋経済オンライン 守屋 実氏による「「会社辞め、起業したい人」に学んでほしい7大失敗 事業を失敗に導く人の姿勢には共通点がある」 「52の事業をおこしてきた」とは興味深そうだ。 「2020年に倒産した企業の平均寿命は23.3年」、一般的企業の「平均寿命」はもっと長いと思われる。「考えて行動し、従来の仕事の概念から飛び出したほうが、結果的に会社にとっても個人にとってもプラスのことが多いのではないか」、同感である。 「「会社のプロ」から「仕事のプロ」に転換することです。「仕事のプロ」とは、1つの仕事を極めて何社からも依頼がくる存在のことです」、これは「会社」で「仕事」をしている人にはすぐには難しい。 「ヴァルトジャパン」は「創業して7年が経った現在では・・・1000件の事業所が利用し、ワーカーは1万2000人」、「受託案件も1500件を超えました」、はいいとしても、「平均月給」は低過ぎる印象だ。 「挑戦の継続が重要」、その通りだ。 「まずは、「仕事のプロ」となるべく、意志を持って、自身をどう社会に生かしていくかを考えていってはいかがでしょうか」、同感である。 日経ビジネスオンライン「ユニコーン不足の日本、なくせるか「起業家に不利な金融契約」」 「未上場で企業価値が10億ドルを超える「ユニコーン」は米国で520社、中国で167社なのに対し、日本は6社しかない」、確かに致命的な格差だ。 「VCなどからスタートアップが出資を受けるとき「もし将来の契約違反があれば、その時に損害賠償請求すれば十分ではないか」と交渉することもできる。ただ、何らかの経営判断と業績の因果関係を立証し、損害額を算定するのは手間がかかる。このためVCが手っ取り早く起業家の行動をコントロールする手段として、買い取り請求権を設定しておくことが多いという」、株式なのに「買い取り請求権を設定」する理由が理解できた。 「事業会社として自社内に取り込むM&A・・・を積極化」してゆけば、確かに「スタートアップ」への「資金を循環」が円滑化する可能性がある。 リチャード・カッツ氏による「日本経済が世界から遅れる原因作った「真犯人」 なぜこんなにも新興企業が少ないのか」 「日本では」「高成長企業(従業員10人以上で、3年連続で年率20%以上の成長を遂げた企業)」「のような企業の数を測定していないため、日本のスタートアップ政策は盲目的に行われている」、政策的に重要になったにも拘らず、統計が存在しないとはお粗末極まる。恐らく、官庁間の利権争いが背景にあるのだろう。 「日本は「エンジェル」投資家に対する減税措置も必要であるとの発言は心強い」、しかし財務省が抵抗している筈だ。 「IMD・・・は、日本のデジタル競争力を64カ国中62位と評価」、「日本の高校生は数学、科学、共同問題解決能力において80カ国中トップクラスに位置する一方で、デジタルに関する教師の知識、デジタルを教える能力、そして教師を支援するリソースにおいては最下位に位置していることが、この低い順位の1つの要因だ」、主に「教育面」の立ち遅れが主因とは情けない限りだ。 「銀行が融資を行う場合、信用スコアの低い創業後50年の企業より、創業後10年の健全な企業に対して高い金利を課す。これは、「ゾンビ」企業を生かし続けようとする政治的圧力が生んだ結果である」、これは根拠のない誤解に過ぎない。「創業10年未満の中小企業に対する「別予算」・・・その額はごくわずかだ。2021年の調達額は770億円にすぎず、国の調達額全体の0.8%と微々たる割合」、これを引き上げれば、大企業の既得権を奪うことにはなるが、やむを得ないだろう。 財務大臣を経験した「岸田首相」がその気になれば、財務省の抵抗に「打ち勝つ」ことも可能な筈だ。 「2006年、経済産業省の石井芳明氏が合同会社制度の導入を推進した際、石井氏は二重課税の排除も提案した。しかし、このときも財務省が減税に対して拒否権を発動」、岸田首相が自ら財務省を説得して導入させるべきだ。 「岸田首相」はよく聞くだけでなく、「財務省」を積極的に指導する強力は姿勢も示すべきだろう。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

ネットビジネス(その12)(「不快なネット広告」が増加する理由 コンプレックスを刺激、怪しい効果…、若者の「食べログ離れ」が止まらない…信用をどんどん失いつつある"口コミビジネス"の正念場 4人に1人は「信用していない」、若者の「食べログ離れ」が止まらない…信用をどんどん失いつつある"口コミビジネス"の正念場 4人に1人は「信用していない」、前澤氏が去った後 激動の中で組織は変わった ZOZOが「最悪期」を這い上がった知られざる変貌) [イノベーション]

ネットビジネスについては、昨年10月29日に取上げた。今日は、(その12)(「不快なネット広告」が増加する理由 コンプレックスを刺激、怪しい効果…、若者の「食べログ離れ」が止まらない…信用をどんどん失いつつある"口コミビジネス"の正念場 4人に1人は「信用していない」、若者の「食べログ離れ」が止まらない…信用をどんどん失いつつある"口コミビジネス"の正念場 4人に1人は「信用していない」、前澤氏が去った後 激動の中で組織は変わった ZOZOが「最悪期」を這い上がった知られざる変貌)である。

先ずは、昨年11月3日付けダイヤモンド・オンライン「「不快なネット広告」が増加する理由、コンプレックスを刺激、怪しい効果…」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/284701
・『YouTubeを見ていれば多くの人が目にする広告。しかし、なかには真偽不明の効果をうたう商品や執拗(しつよう)に脱毛をせまる広告、陰謀論とおぼしき怪しいサイトの広告なども散見される。なぜプラットフォーム側はこのような不快かつ悪質な広告を取り締まれないのか。ITジャーナリストの三上洋氏に聞いた』、興味深そうだ。
・『企業の広告費の低下で怪しい広告が増加  「毛穴の汚れゴッソリ」というキャッチフレーズとともに添えられる気持ちの悪い画像、「デブだからモテない……」と早口なナレーションでコンプレックスを刺激する漫画など、誰しもが一度はこのような不快なネット広告を見たことがあるだろう。 不快さだけではなく、真偽不明の痩せ薬、育毛剤や「世界の真実」などと書かれた怪しげな広告も目に余る。 サイバー・コミュニケーションズ(CCI)、D2C、電通、電通デジタルの4社が発表した『2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析』によれば、コロナ禍でもネット広告費は成長を続け、2兆2290億円を記録。これはテレビ、新聞、雑誌、ラジオを含めた「マスコミ四媒体広告費」の2兆2536億円に匹敵し、いまやネット広告は日本の広告費全体の36.2%を占めている。 このようにネット広告は一大市場となっているのだが、冒頭のような代物があふれ、質が低く品格のない広告も増加している。特にコロナ禍に入ってから、その傾向が目立ち始めたという声も多く、コンプレックスを刺激する広告をやめるよう請願する署名活動も行われた。コロナ禍で、このような露悪な広告が目立つようになった理由を三上氏は次のように話す。 「YouTubeも含め、ネット広告は基本的にオークション形式で配信されます。自動的に最も値段が高い広告を配信する仕組みとなっているため、当然予算規模が大きい企業が有利です。しかし、コロナによって各企業が広告費をカットもしくは広告自体を減少させていきました。となると、入札する企業の数や相場が下がり、今まで目立たなかった怪しい商品を扱う広告が安い単価で表示されやすくなったと思われます。このような広告は景品表示法、薬機法、消費者安全法、特商法に触れるものが少なくありません」 不快広告は急に現れたわけではない。古くはスパムメールから始まり、Webサイトを量産してSEO、SNSでのアフィリエイト投稿などを経て、現在のディスプレー広告へと主戦場を変えてきたのだ』、「コロナによって各企業が広告費をカットもしくは広告自体を減少させていきました。となると、入札する企業の数や相場が下がり、今まで目立たなかった怪しい商品を扱う広告が安い単価で表示されやすくなった」、困ったことだ。
・『多くの事業者が関わるネット広告配信の仕組み  三上氏によれば、無法状態の一因はアフィリエーターや広告代理店にあるという。 アフィリエーターは商品やサービスを紹介して、購入されたり会員登録が行われたりするとお金がもらえます。彼らの多くは個人や零細企業なので、一部ではガバナンスも効かないし、法律無視のやり方をして稼ぐ。売り上げを上げるために誇大な効果をうたい、痩せ薬などの記事広告をWebサイトに出していくのです。また広告代理店もクリック数を稼ぐために露骨な表現やインパクトのある画像を使った広告をそのまま配信する。悲しいことにそのような表現の方が人の目に留まるので、クリックされやすい側面もあるのです」) かつてスパムメールに書かれていた「1億円をもらってください」「火星人です」などという文言に不覚にも気を留めてしまった経験が筆者にもあるが、現在でも同じようなユーザー心理を利用しているのだ。そして、クリックされるほど、そのような広告が配信される仕組みになっている。 「クリックを誘発しやすい広告が最適化アルゴリズムによって掲載されやすいことも悪質広告がはびこる原因。そのような広告でもクリックされれば自動的に配信されやすくなり、どんどん目に留まっていきます」 どんなに興味をそそられても、このような悪質な広告は出来心でクリックしてはならないのである。 昨今はコンプライアンスなど企業倫理が求められているが、媒体やプラットフォーマーはなんでもあり状態の広告を垂れ流している。この状況に疑問を持つ人も多いだろう。しかし、三上氏は「媒体は事前にどんな広告が配信されるかはわからない」と話す。 「自動で広告が表示されていく仕組みなので、媒体側が内容を事前にチェックすることはほぼできません。そもそもネット広告配信は多数の事業者が介入しています。広告主から始まり、媒体までは広告枠の買い付けを行う事業者、広告枠の仕入れ販売を行う事業者、広告枠の仕入れ販売と買い付けの需給を調整する事業者など国内外のプレーヤーが複雑に存在する。彼らによって自動的に広告は表示されていくので、責任の所在が特定しにくいのです」 新聞やテレビであれば、媒体、広告代理店、広告主という3社程度で構成されるが、ネット広告はその比ではないほど複雑怪奇な仕組みなのである』、「媒体は事前にどんな広告が配信されるかはわからない」、「自動で広告が表示されていく仕組みなので、媒体側が内容を事前にチェックすることはほぼできません。そもそもネット広告配信は多数の事業者が介入しています。広告主から始まり、媒体までは広告枠の買い付けを行う事業者、広告枠の仕入れ販売を行う事業者、広告枠の仕入れ販売と買い付けの需給を調整する事業者など国内外のプレーヤーが複雑に存在する。彼らによって自動的に広告は表示されていくので、責任の所在が特定しにくいのです」、なるほど。 
・『報告ボタンで迷惑広告排除を  このような構造、かつ広告の量も膨大であるため媒体側が事前におかしな広告をストップさせるのは非常に困難だ。 こう聞くと対策は皆無のように思えるが、三上氏は地道な手法を進める。) 「我々の対策としては、不快で怪しい広告を見たら報告ボタンをガンガン押していくことです。媒体側は、事前審査は無理にしろ、せめて報告がされた広告は事後審査の徹底をすべき。悪質な広告を排除しなければ、媒体の信用度も落ちますし、結果的に収益低下にもつながりますから」 このような状況に政府も黙ってはいない。今年3月には、消費者庁が消費者安全法に基づき化粧品に関する虚偽・誇大アフィリエイト広告に初めて注意喚起を行い、同様の育毛剤広告には景品表示法に基づく措置命令も出した。6月からは同庁で「アフィリエイト広告等に関する検討会」が定期的に開かれ、不当表示の未然防止等のための取り組みを議論しているという。 「正直、消費者庁の検討会は実質的なプレーヤーが参加していないので、抜本的な解決につなげることは難しいでしょう。ただ、国も悪質な広告の規制にようやく乗り出したということです。コロナ禍が終わり、真っ当な企業の広告費が増えれば悪質広告が目立たなくなるかもしれません。しかし、完全になくなるわけではないので、ユーザーによる報告とプラットフォーム側の審査で地道に排除していくしかないのが現状です」 ユーザーにもリテラシーが求められる。安易にクリックしてはならない』、私もせめて「不快で怪しい広告を見たら報告ボタンをガンガン押してい」る。「消費者庁の検討会は実質的なプレーヤーが参加していないので、抜本的な解決につなげることは難しいでしょう」、とはいえ、「規制」に乗り出したのは好ましい。

次に、本年2月1日付けPRESIDENT Onlineが掲載した成蹊大学客員教授の高橋 暁子氏による「若者の「食べログ離れ」が止まらない…信用をどんどん失いつつある"口コミビジネス"の正念場 4人に1人は「信用していない」」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/54218
・『ネットでの「飲食店の探し方」が変わりつつある。成蹊大学客員教授の高橋暁子さんは「食べログなどのグルメサイトは利用者が多い一方、点数やランキングを疑う声も多い。とくに若者は、Google MapやInstagramを使った検索に移りつつある」という――』、興味深そうだ。
・『若者にとってグルメサイトの優先順位は低い  ネットでの「飲食店の探し方」が変わってきている。 ある50代男性は「新入社員がGoogle Mapで店を探していた」と驚いていた。 「先日、部署のみんなで食事に行ったんです。新入社員に店探しをお願いしたら、Google Mapで会社の近くの店を調べて、評判がいいところをさらにグルメサイトで調べていた。『点数が操作されてるって聞いたことがあるし、両方使うと便利なんで』というので驚きました」 筆者が講義を行う大学の受講生もこう話す。 「飲食店を選ぶときにはいつもInstagramで検索して、おいしそうなところを選ぶことが多い。それから店名で検索して評判を確認する。Google Mapも見るけど、最初にグルメサイトを見ることはない」 こうした大学生は、Instagramで「吉祥寺」「梅田」などの駅名、町名などで検索し、出てきたハッシュタグ(「#吉祥寺グルメ」「#梅田カフェ」)で検索している。投稿された写真の中からおいしそうなもの、食べたいものを探すというわけだ。 なぜ、このような“グルメサイト離れ”が起きているのだろうか』、何故だろう。
・『独禁法違反で食べログ運営会社が訴えられる  グルメサイトの点数やランキングは操作されているといううわさは根深い。 2020年5月、首都圏を中心に焼肉・韓国料理チェーンを運営する「韓流村」が、「食べログ」運営会社であるカカクコムを相手に訴訟を起こした。食べログが評価点を算出する方式「アルゴリズム」を変更した結果、直後からチェーン店の点数評価が軒並み3.50より下になり、1カ月の売上高が2500万円ほど急減。チェーン店を不当差別する独禁法違反行為として、損害賠償とアルゴリズム差し止めなどを求めたのだ。 食べログの点数・ランキングは、各ユーザーの影響度によって重み付けされた点数や評価をベースとして算出されている。点数は毎月第1火曜日と第3火曜日の月2回更新を行って算定するなど、随時変動する。4.00点以上は全体のトップ500前後、3.50点以上4.00点未満は全体のトップ約3%とされ、直接集客力につながるため、飲食店にとっては死活問題となる。 今年1月には、この裁判の過程でカカクコム側がアルゴリズムをチェーン側に初めて開示したことが判明し、話題となった。しかし、営業の秘密に当たるとして一般には公開されておらず、アルゴリズムは依然ベールに包まれている。 その強い影響力を重視し、食べログなど複数のグルメサイトについて実態調査を行ったのが公正取引委員会だ。運営事業者が優越的な地位を利用して参加店舗に対して割引を強要したり、他のグルメサイトとの契約を制限したりしていないか、グルメサイトと飲食店にアンケートと聞き取りを行った。 2020年3月発表の調査結果では、表示される順位や店舗の評価を決める重要な要素について「飲食店及び消費者に対して、可能な限り明らかにし、透明性を確保すること」を求めている』、確かに「食べログなど複数のグルメサイト」が、「優越的な地位を利用して参加店舗に対して割引を強要したり、他のグルメサイトとの契約を制限」、などの「独禁法違反」をしている可能性を否定できない。
・『26%が「グルメサイトを信頼していない」と回答  グルメサイトに対する信頼性の低下は、数字にも表れている。 全国の利用者と飲食店従業員を対象としたTableCheckの「グルメサイトに関するユーザー&飲食店意識調査」(2020年1月)によると、「グルメサイトでの点数・ランキング表示の信頼度」に対して、「あまり信頼していない」(21%)、「信頼していない」(5%)と、全体のなんと4分の1が信頼していないという結果になった。 続いて、飲食店を検索する際に頻繁に利用する手段について聞いたところ、最多は「グルメサイト(食べログ、ホットペッパーなど)」(78.9%)だったが、「Google検索」(48.3%)、「地図サービス(Google Map、Apple Mapなど」(30.2%)、「SNS(Facebook、Instagramなど)」(23.6%)が上位となった。 最も利用頻度の高いグルメサイトは「食べログ」と答えた人が約半数を占めた(48%)。食べログは、2020年3月には予約人数が累計1億人を超え、2022年1月時点の掲載店舗数は約81万件、口コミ投稿数は約4420万件に上る。業界最大手だけに、利用者からの批判のやり玉に挙がることが多い』、「Google検索」、「地図サービス(Google Map、Apple Mapなど」、「SNS(Facebook、Instagramなど)」などが健闘しているのに驚かされた。
・『たびたび浮上する疑惑を否定する運営会社  2012年には、食べログにおける「ステマ問題」が話題になった。しかし、あくまで「好意的な口コミを書いて点数を上げる」と持ちかける不正業者と、それに乗った飲食店が問題なだけであり、食べログは利用されただけだ。 しかしそれからも、「食べログから年会費を払えば店の評価を上げるという営業電話がかかってきた」という店舗関係者の話は何度も話題に上り、そのたびに非難を集め、時には炎上につながってきた。カカクコム側はこの疑惑を否定している(※)。 ※「食べログ、『年会費を払うと評価が上がる』疑惑 運営元は否定」 「食べログ『年会費を払えば店の評価が上がる』疑惑の真相…揺らぐ“評価の公平性”」 結論から言うと、点数やランキングはおそらく操作されていないとみられる。運営会社のカカクコムは上場しており、コンプライアンスやガバナンスの観点から、わざわざ操作するのは考えにくい。しかし、このような声はあまりに多く上がっており、「営業電話」がまったく存在しないとも考えにくい。 食べログの営業をかたる業者や、売り上げを上げたい代理店などがこのような電話をかけた可能性はあるだろう。しかし、カカクコム側の見解を見てもこの点はいつも真実が明らかにならないままであり、疑念が完全に払拭ふっしょくされない原因ともなっている』、「食べログの営業をかたる業者や、売り上げを上げたい代理店など」が暗躍する裏には、順位決定方式に関する不透明性があるのだろう。
・『口コミサイトなのに対象から広告料を取るビジネス  食べログの店舗会員向けページには、有料の食べログPRサービスに加入すると、食べログの検索結果(標準検索)で優先的に表示されること、アクセスと予約数が多いゴールデンタイムの検索結果(標準検索)で上位表示されることが明記されている。 売り上げに直結するこのような操作は楽天市場やAmazonなどでも行われていることだが、問題は食べログが口コミサイトという点だ。口コミサイトが対象から広告料を取れば、口コミ自体の信頼性が下がるのは自明の理だ。 先ほど紹介したTableCheckの調査結果では、飲食店がグルメサイトと有料契約するメリットとして「認知度向上による新規顧客の獲得」「店舗情報の掲載」「予約受付」が挙がったが、逆に契約しない理由は「月額の広告掲載料が高い」「掲載情報が信用できない」が上位を占めた』、「口コミサイトが対象から広告料を取れば、口コミ自体の信頼性が下がるのは自明の理だ」、利益相反行為の典型だ。
・『勝手に掲載・評価され、削除できない不条理  さらに食べログでは、店舗側が拒否していても店舗情報は掲載されるようになっている。不快な口コミを書き込まれても、基本的には削除してもらえない。無理やり掲載され、勝手に評価・ランキングされ、しかも有料サービスに加入しないと評価が下げられるうわさまであることで、飲食店側が不審を抱いても仕方がないだろう。 他方で、食べログ側は規約やガイドラインにのっとり、一定の条件を満たしていない口コミや表現に問題のある口コミは投稿者に修正を依頼するほか、内容や表現に問題が多い場合は削除などを行っていることは認めている。こうした対応の一貫性のなさが、一般ユーザーからの信頼性の低下にもつながっている。 食べログのPRサービスは「ライト」から「プレミアム10」までの4種類あり、月額固定で1万~10万円だが、標準検索優先表示などの露出を増やすためには月額2万5000円の「ベーシック」以上のプランに加入しなければならない。ネット予約サービスを利用する場合は、ランチで一人当たり100円、ディナーで一人当たり200円の従量課金制となる仕組みだ』、「食べログのPRサービス」の価格は決して安くなく、外食店にとっては負担が大きい。
・『有料サービスがコロナ禍の飲食店にのしかかっている  食べログ以外のグルメサイトでも、有料サービスに加入しないといけないプレッシャーが飲食店にかかっている。 たとえばぐるなびでは、店舗情報の掲載に、「スタートプラン」から「ベーシックプラン」まで3種類のプランが用意されている。スタートプランでのネット予約手数料は、ランチで一人当たり40円、ディナーで一人当たり200円などの従量課金制だ。さらにぐるなびでの露出を増やしたいと思えば「ライトプラン」以上の利用が必要となり、月額固定の基本加盟料は1万1000円~3万3000円かかってくる。 しかし、コロナ禍で続く外出自粛で飲食店が経営難となり、家賃と合わせて、このようなグルメサイトの手数料が重荷になっている。その結果、日経ビジネスによると、飲食店が食べログやぐるなびなどのグルメサイトに有料会員の解除や手数料の減額を求めているという。グルメサイト側も一時的に無料などの措置を取ったものの、会員数は減少し続けている(※)。 ※「新型コロナで加速するグルメサイト離れ、今こそ外食支援を」』、「グルメサイトの手数料が重荷になっている。・・・飲食店が食べログやぐるなびなどのグルメサイトに有料会員の解除や手数料の減額を求めている」、当然だ。
・『「もうGoogle MapとSNSだけでいいでのは」  ある飲食店経営者は「無料のGoogle Map経由での来店客が増えている。もうこれとSNSをやるだけでもいいのではと思って、食べログの有料サービス登録を解除した。こちらはコロナ禍で生き残れるかどうかの瀬戸際。固定料がかかるグルメサイトは厳しい」と話す。 Google Mapで検索した場合、自分のいる場所の近くにある店が見つけられ、そのままルート検索もできる点が特徴だ。口コミなども充実しており、混雑具合が確認できるのも便利だろう。 写真投稿に特化したInstagramでも、地名やジャンルをハッシュタグで検索すると飲食店が調べやすい。検索画面右上の地図アイコンをタップすると、地図上には付近の店舗が表示され、店舗公式アカウントや来店したユーザーが投稿した料理や店舗の写真を見ることもできる。 もちろん、食べログアプリでも現在地付近の店舗を調べることができる。店舗情報を調べたり予算などの条件を指定しての検索がしやすくなっており、利便性で劣るわけではない』、無料の「Google Map」や「Instagram」が有力な対抗馬になったようだ。
・『サービスの根幹部分で信頼を失っているのが問題  食べログなどのグルメサイトは、決して使われなくなっているわけではない。しかし、グーグルやInstagramなどの台頭を考えると、信頼性がこれ以上低下した場合、形勢が逆転する可能性さえある。 これまで述べてきたように、グルメサイトにとって課題は山積みだ。しかし中でも一番問題なのは、サービスの根幹を成す点数やランキング、口コミなどの信頼性が損なわれていることだ。今こそ、これまで浮上した数々の疑惑を完全に否定し、ランキングや点数などの透明性を高くしていく必要があるのではないのか。同時に、コロナ禍で困窮する飲食店に寄り添ったり、競合サービスの良いところを取り入れるなどの工夫も必要だろう。 消費者としては信頼できる使い勝手が良いサービスを利用していくだけのこと。コロナ禍もまだ終わりそうにない。グルメサイトは、これからが正念場なのだ』、「グルメサイト」が課題にどう対応してゆくのかに注目したい。

第三に、本年2月22日付け東洋経済Plus「前澤氏が去った後、激動の中で組織は変わった ZOZOが「最悪期」を這い上がった知られざる変貌」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/29856
・『出店ブランドも市場関係者も疑心暗鬼だったカリスマ創業者からの世代交代。復活の裏側でどんな紆余曲折があったのか。 「1000万人というのはうれしいが、これを目標にしてきたわけではない」 1月末に開かれたZOZOの2021年度第3四半期決算会見。澤田宏太郎社長は、アナリストからの質問にそう静かに語った。 2021年12月、ZOZOが運営する国内最大のファッションEC(ネット通販)サイト「ゾゾタウン」の年間購入者数が1000万人に初めて到達した。過去1年以内に買い物をした会員とゲスト(会員未登録者)購入件数の合計は約1010万と、1年前から10.5%伸びた』、「前澤氏」が放り出した「ZOZO」をよくぞ立て直したものだ。
・『前澤時代より「今のほうが怖い」  大台を超えた心境を問われても冷静だったトップとは対照的に、最古参役員でもある栁澤孝旨副社長兼CFO(最高財務責任者)は「1つの目安だった数字を達成できたことは感慨深い」と胸の内を明かす。 「商品取扱高5000億円」――。創業者で前社長の前澤友作氏の下、ZOZOが約10年前に掲げた中長期ビジョンだ。会員の年間平均購入金額が5万円近くあった当時、社内では「1000万人に買ってもらえば達成できる」と話していた。2021年度の商品取扱高は4728億円を見込み、到達間近となった。 前澤氏が電撃退任したおよそ2年半前、ZOZOは新事業の失敗などにより収益力が大きく落ち込んだ。「前澤さんのときより、正攻法を着々と打つ今のほうが正直怖い」。あるECプラットフォーマーの幹部は、様変わりしたライバルをそう評する。実際、ZOZOは今期過去最高益を更新する見通しだ。 カリスマなきZOZOは、戦い方をどう変えたのか。 社長交代が行われた2019年は、ZOZOにとって辛抱の1年だった。「ゾゾスーツ」での自動採寸を基に、最適なサイズの商品を届けると打ち出した前澤氏肝いりのPB(プライベートブランド)事業が想定を下回り、巨額赤字を計上。会社設立以来、初の営業減益に陥った。 出店ブランドとの間でも“ゾゾ離れ”が生じて不協和音が高まった。直接のきっかけは、2018年末に開始した有料会員向けのサービス。一定の会費を支払うと、ゾゾタウンでの購入が常時10%割引される。割引分はZOZOが負担し、出店ブランドに直接の影響はないという内容だった。 しかし、あからさまな割引価格表示などによるブランド価値の毀損を懸念した一部のアパレル企業がゾゾタウン撤退を決め、サービスは5カ月で終了。当時はブランドが自社ECを強化し、Amazonや楽天もファッション領域の開拓に本腰を入れ始めた時期だった。拙速なサービス導入の裏には、集客の起爆剤にともくろんだPBが頓挫し、成長鈍化に対する焦りもあったとみられる』、「社長交代が行われた2019年は」、・・・、「前澤氏肝いりのPB・・・事業が想定を下回り、巨額赤字を計上。会社設立以来、初の営業減益に陥った」、よくぞ立て直したものだ。
・『ブランドも不安視した体制転換  苦境のさなかの2019年9月、前澤氏が社長を突如退任。前澤氏と親交のあった孫正義氏率いるソフトバンクグループ傘下のZホールディングス(当時ヤフー)がZOZOの子会社化を発表した。 後任に就いたのが、コンサル出身で2013年からZOZO取締役を務める澤田氏だ。就任後の決算会見では「トップダウンから組織型に変える」と意気込んだが、当時は業績も株価も低迷していた。プレッシャーは半端ではなく、栁澤副社長も「引き継いですぐは辛かった」と振り返る。 出店ブランドも新体制に懐疑的だった。退任直前の前澤氏の経営に批判はあったものの、世間を驚かせるようなサービスでサイトの認知を高め、ファッション業界のEC化をリードしてきたのは事実。多くの業界関係者は前澤氏が去ったZOZOを「つまらない会社になる」と危惧した。 実際、退任の前後は集客力の衰えに加えて現場の混乱も目立った。長年ゾゾタウンに出店する大手アパレルの幹部は「とくに前澤さんが辞めた直後は、以前のようなファッション好きのイメージが遠のき、売り上げばかり追うような社員が打合せに来ることもあった」と明かす。 だがそんな懸念はここに来て、過去のものとなりつつある。 コロナ禍でのEC需要の高まりを契機に、ゾゾタウンの集客力は徐々に回復。その波に乗るように2021年3月には大規模リニューアルを実施、新たなサービスも相次ぎ打ち出している。市場関係者の間では「通常だと創業社長からの世代交代は難しいが、うまく体制の転換ができた」との声が上がる。 「新しいものはすべて前澤さんがやっていた(世間の)イメージがあるが、実はそうでもない。『ゾゾグラス』や手指用の計測マットは今の体制下で情報共有しながら進め、着実に成果を出している」。ZOZOの山田貴康・計測プロジェクト本部長はそう手応えを語る。 ゾゾグラスとは、スマホを使って肌の色を自動測定し、自分に似合うファンデーションやリップなどを確認できるメガネ型のデバイス。2021年3月のリニューアルでは、ゾゾタウン内に化粧品専門モールを立ち上げた。同時にこのゾゾグラスを無料配布して、ECでの購買がアパレルほど浸透していない化粧品の販売拡大に一役買っている』、「コロナ禍でのEC需要の高まりを契機に、ゾゾタウンの集客力は徐々に回復。その波に乗るように・・・新たなサービスも相次ぎ打ち出している」、「コロナ禍でのEC需要の高まり」という神風が吹いたのもあるが、「新たなサービスも相次ぎ打ち出している」のは大したものだ。
・『プロジェクト管理をオープンに  山田本部長によれば、「いいことも悪いこともすべて共有しながら進めている点が、以前と大きく変わった」という。前澤氏のアイデアが企画化されることが多々あった時代、各プロジェクトの進行は限られたメンバーで内密に行われる傾向が強かった。 澤田体制では、そうした情報共有のあり方を抜本的に見直した。代表例が、およそ2週に1回開催しているプロジェクト進捗会議。進行中の各プロジェクトの担当社員や部長、全役員を含めた数十人がオンラインで集まり、約2時間にわたり進捗や課題を話し合う。 部署横断で情報連携する場を増やした結果、1つひとつの企画の精度が高まり、スケジュール管理の統率をとれるようになった。ゾゾスーツを筆頭に、過去にたびたび生じた新サービスの遅延は現在ほとんど起きていない。 2021年11月には、ゾゾタウンと出店ブランドの実店舗をつなぐサービス「ZOZOMO」を始動させた。ブランドの店舗別の在庫状況をゾゾタウン上で表示する機能で、ユナイテッドアローズやシップスなどが導入済みだ。プロジェクトを担った風間昭男・ブランドソリューション本部長は「コロナ禍でブランドのためにプラットフォーマーとしてできることは何かを考え、企画から1年弱で開発した」と話す。 2020年に入社した風間本部長も、この2年での社内の変化を体感している。「以前は『この打ち合わせは何のためなのか』とモヤモヤしたまま集まることもあった。それが今は会議の精度が上がり、話す内容が高度になっている」。 澤田体制では、サイトへのアクセス数や購入率など、KPIによる定量評価を精緻化させた。足元の変化を日々細かく追えば、社員がより自分の担当領域について課題認識を明確に持つようになる。 組織経営への移行に当たってZOZOが掲げた言葉は「社員が主役」だ。先述の進捗会議では、現場社員も役員の前で説明する機会がある。社員のアイデアを募るビジネスコンテストなどを定期的に行い、現場の責任感と発案力を引き上げている』、「会議の精度が上がり、話す内容が高度になっている」、組織的に仕事をする体制になったようだ。
・『熱狂が消えた市場の評価  前澤氏が得意とした派手なパフォーマンスは消えた。しかしプラットフォーマーとして必要とされる機能、サービスの増強を絶えず着実に行い、ブランドや顧客との関係性を強固にする。「今のZOZOのほうが怖い」と思われる理由がここにある。 もっとも、市場の評価にかつてのような熱狂はない。ZOZOの株価はPBのスーツ発売を大々的に発表した2018年の4875円をピークに、足元では3000円前後を推移する。 JPモルガン証券の村田大郎アナリストは「鈍化する局面にあった商品取扱高を(ヤフーが運営し、ゾゾタウンが2019年秋から出店する)ペイペイモールも加わり伸ばすことができ、いいタイミングでの交代だった」と分析。一方で「新規事業が今後の成長にどう寄与するのか、具体的なプランがまだ見えない」と指摘する。 東洋経済の推計では、国内のアパレルEC市場におけるZOZOのシェアは2019年度に微減へと転じた。その後はゾゾタウンの伸びやペイペイモールでの販売が加わったことにより、微増となっている。 機能や集客力で他のECモールと差別化できているとはいえ、各ブランドが自社ECを強化する流れは変わらない。コロナ禍での巣ごもり特需が消えた後も、市場シェアを上げ続けるハードルは高い。 ZOZOは単に商品取扱高を伸ばすのでなく、ZOZOMOなどを通じたサイトのトラフィック(消費者による訪問回数)の増加や、計測技術のライセンス販売などにより、収益源を多角化させる目標を打ち出す。ただ今は方針の提示にとどまり、これら新事業が目に見えた収益貢献にはつながっていない。 嵐の中で出航した新体制は、ようやく舵取りが板についてきた。さらに荒波が来ても巡航速度を保てるか。ZOZOの真価はここから問われることとなる』、地道に組織的に経営するようになったとはいえ、「収益源を多角化」などが本当に可能なのか、大いに注目される。
タグ:ネットビジネス (その12)(「不快なネット広告」が増加する理由 コンプレックスを刺激、怪しい効果…、若者の「食べログ離れ」が止まらない…信用をどんどん失いつつある"口コミビジネス"の正念場 4人に1人は「信用していない」、若者の「食べログ離れ」が止まらない…信用をどんどん失いつつある"口コミビジネス"の正念場 4人に1人は「信用していない」、前澤氏が去った後 激動の中で組織は変わった ZOZOが「最悪期」を這い上がった知られざる変貌) ダイヤモンド・オンライン「「不快なネット広告」が増加する理由、コンプレックスを刺激、怪しい効果…」 「コロナによって各企業が広告費をカットもしくは広告自体を減少させていきました。となると、入札する企業の数や相場が下がり、今まで目立たなかった怪しい商品を扱う広告が安い単価で表示されやすくなった」、困ったことだ。 「媒体は事前にどんな広告が配信されるかはわからない」、「自動で広告が表示されていく仕組みなので、媒体側が内容を事前にチェックすることはほぼできません。そもそもネット広告配信は多数の事業者が介入しています。広告主から始まり、媒体までは広告枠の買い付けを行う事業者、広告枠の仕入れ販売を行う事業者、広告枠の仕入れ販売と買い付けの需給を調整する事業者など国内外のプレーヤーが複雑に存在する。彼らによって自動的に広告は表示されていくので、責任の所在が特定しにくいのです」、なるほど。 私もせめて「不快で怪しい広告を見たら報告ボタンをガンガン押してい」る。「消費者庁の検討会は実質的なプレーヤーが参加していないので、抜本的な解決につなげることは難しいでしょう」、とはいえ、「規制」に乗り出したのは好ましい。 PRESIDENT ONLINE 高橋暁子さんは「食べログなどのグルメサイトは利用者が多い一方、点数やランキングを疑う声も多い。とくに若者は、Google MapやInstagramを使った検索に移りつつある」という――』 確かに「食べログなど複数のグルメサイト」が、「優越的な地位を利用して参加店舗に対して割引を強要したり、他のグルメサイトとの契約を制限」、などの「独禁法違反」をしている可能性がある。 可能性を否定できない。 「Google検索」、「地図サービス(Google Map、Apple Mapなど」、「SNS(Facebook、Instagramなど)」などが健闘しているのに驚かされた。 「食べログの営業をかたる業者や、売り上げを上げたい代理店など」が暗躍する裏には、順位決定方式に関する不透明性があるのだろう。 「口コミサイトが対象から広告料を取れば、口コミ自体の信頼性が下がるのは自明の理だ」、利益相反行為の典型だ。 「食べログのPRサービス」の価格は決して安くなく、外食店にとっては負担が大きい。 「グルメサイトの手数料が重荷になっている。・・・飲食店が食べログやぐるなびなどのグルメサイトに有料会員の解除や手数料の減額を求めている」、当然だ。 無料の「Google Map」や「Instagram」が有力な対抗馬になったようだ。 「グルメサイト」が課題にどう対応してゆくのかに注目したい。 東洋経済Plus「前澤氏が去った後、激動の中で組織は変わった ZOZOが「最悪期」を這い上がった知られざる変貌」 「前澤氏」が放り出した「ZOZO」をよくぞ立て直したものだ。 「社長交代が行われた2019年は」、・・・、「前澤氏肝いりのPB・・・事業が想定を下回り、巨額赤字を計上。会社設立以来、初の営業減益に陥った」、よくぞ立て直したものだ。 「コロナ禍でのEC需要の高まりを契機に、ゾゾタウンの集客力は徐々に回復。その波に乗るように・・・新たなサービスも相次ぎ打ち出している」、「コロナ禍でのEC需要の高まり」という神風が吹いたのもあるが、「新たなサービスも相次ぎ打ち出している」のは大したものだ。 「会議の精度が上がり、話す内容が高度になっている」、組織的に仕事をする体制になったようだ。 地道に組織的に経営するようになったとはいえ、「収益源を多角化」などが本当に可能なのか、大いに注目される。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

GAFA(その6)(日本人が「次のGAFA候補を知らない」悲しい理由 投資家が教える「日本は後回し」の破壊的企業、米マイクロソフトの巨大買収にみる、ザッカーバーグの「やられた感」、「巨大テック企業を取り締まる」が世界のコンセンサスになる日、グーグル日本元社長「日本からGAFAは生まれない」 「GAFAはインフラ 警戒しながらうまく使え」) [イノベーション]

GAFAについては、昨年9月11日に取上げた。今日は、(その6)(日本人が「次のGAFA候補を知らない」悲しい理由 投資家が教える「日本は後回し」の破壊的企業、米マイクロソフトの巨大買収にみる、ザッカーバーグの「やられた感」、「巨大テック企業を取り締まる」が世界のコンセンサスになる日、グーグル日本元社長「日本からGAFAは生まれない」 「GAFAはインフラ 警戒しながらうまく使え」)である。

先ずは、本年1月6日付け東洋経済オンラインが掲載した京都大学大学院特任准教授の山本 康正氏による「日本人が「次のGAFA候補を知らない」悲しい理由 投資家が教える「日本は後回し」の破壊的企業」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/478994
・『GAFAの強さの秘密を明かし、その危険性を警告した書籍『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』は日本だけで15万部のベストセラーになり、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2019 総合第1位」「ビジネス書大賞2019 読者賞」の2冠を達成、日本にGAFAという言葉を定着させた。 その著者スコット・ギャロウェイ教授の最新作『GAFA next stage四騎士+Xの次なる支配戦略』がついに刊行され、発売3日で6万部のベストセラーになっている。本書では、コロナ禍でますます肥大化したGAFAと、この4社に匹敵する権威を持つようになる「+X」の巨大テック企業が再び、世界をどのように創り変えていくかを予言している。 本書を「コロナで起きた変化を再点検し、何をすべきか考える本として意味がある」と語るのが、日米のスタートアップに投資をし、京都大学大学院で教鞭をとる山本康正氏だ。「日本はビッグテックに『後回し』にされている」という危機感とともに、解説してもらった』、「日本にGAFAという言葉を定着させた。その著者」の新刊とは興味深そうだ。
・『日本は「後回し」にされている  『GAFA next stage』は、今のタイミングに出版されるからこそ意味があります。今後、コロナが収束した後、「元にもどるから安全だ」と考えるのではなく、この2年間で何が起きたのかを再点検し、それに対して何をすべきかを考えておかなければなりません。 本書には、パンデミックによって2カ月でeコマースの10年分の成長が起きたと書かれています。eコマースに限らず、似たような激変がさまざまな分野で起こっています。しかし日本の普通の大企業に勤めていると、怖いほど、この変化に気づくことができません。 それでも、その変化がソフトウェアの分野なら、すぐに日本にもやってきます。例えば時価総額20兆円超えと報道されるバイトダンスが運営する「TikTok」は、日本の10代の間ではフェイスブックよりも人気です。 同じように「Clubhouse」も、アメリカで流行して、少し低迷したもののドイツで火がつき、その2週間後には日本で大流行していました。海外との時差はほとんどありません。 しかしソフトフェア以外の分野では、日本への波及には時間がかかります。それはつまり、気づいたら海外から取り残されてしまうことを意味します。 かつては、国際市場では「日本を狙え」と言われていましたが、悲しいことに、日本はいま後回しです。それよりも、中国で売ったほうがいいということで、テスラも中国に工場を持っています。日本で購入すれば、おそらく中国の工場から運ばれてくるでしょう。日本は、優先的な市場ではなくなっているのです。 その理由の1つに、日本の規制があります。たとえばテスラの自動運転の機能などは、日本国内での認可については制限されているようです。あえて遅らせて、日本に入りづらくしているわけです』、「パンデミックによって2カ月でeコマースの10年分の成長が起きた」、そんなことが起きていたとは驚かされた。
・『やがて日本にもディスラプションの波はやってくる  しかし、これはただ参入が遅くなるというだけで、いずれ必ず日本にも進出してきます。そのときになって慌てるのではなく、いまから海外の情勢を見極め、先手を打っておiPhoneを思い出してください。初代の機種は2Gでした。あのときは、各国の2Gの仕様が統一されておらず、規格の合っている地域では、一気に初代機種が発売されていました。日本はその年には出ませんでしたが、3Gで世界共通化されたことで1年のタイムラグを経てやってきたわけです。 ただ、当初は「おサイフケータイ」などの機能がなく、充電も長持ちしないなど制約があり、ヒットにはなりましたが、爆発的に売れたのは3GSになって以降です。 要するに、規格の問題で参入タイミングが左右されています。向こうもそれがわかっていますから、「日本にはこのタイミングでこれを出そう」という計画をしています。 iPhone以前は、ガラケーが世界最先端でしたが、わずか3年でひっくり返されました。車については、買い替え年数が長く、スマートフォンより時間はかかりますが、それでも一巡したとき、それが本当に良いものであれば、一気に取って変わられます。 アメリカ自動車大手GMや日本のホンダが資本参加した自動運転ベンチャーのクルーズは実際、2021年11月の初めから、一部の従業員向けに自動運転での送迎を開始しています。法律上、運賃を徴収してロボットタクシーを走らせるということはできていません。従業員を無料で乗せて、サンフランシスコの街を走っているわけです。 つまり、自動運転は、できる、できないではなく、もうできている。あとは、浸透速度をどうするか、そして、法律など規制の問題です。GMクルーズは、2030年までに100万台を投入すると宣言しています。 アメリカでは今、そういったディスラプター(改革を目指す破壊的企業)が続々と生まれています。自分の業界もいずれ食われるかもしれないという危機感は持ったほうがいいでしょう。 保守的な規制が多いために、逆に損をして、危機に気がつけない。これは非常に怖いことです。「まだ来ないから大丈夫」と思っていたのでは、相手の思うツボでしょう。) では、具体的にどんな業界にディスラプションの波が押し寄せるのでしょうか。 『GAFA next stage』では、勃興するディスラプターとして、エアビーアンドビー、レモネード、ネットフリックス、ロビンフッド、スポティファイ、テスラ、ウーバーなどが紹介されています。 単純に投資のリターンを考えれば、そこまで大きくはない企業も出てきます。例えば、スポティファイはアップルミュージックなどの競合との競争激化から、株価の伸びでも顕著とは言えません。著者のスコット・ギャロウェイさんご本人が、ニューヨーク大学のマーケティング畑の方ですから、ブランドストーリーがしっかりとしていて、マーケティングに関して際立つ企業を並べたのかもしれません。 ここからは、私が投資家の視点で注目しているディスラプターをご紹介しましょう。いま盛り上がりを見せているのは、決済・フィンテックです。 私が注目している企業として、金融ディスラプターのストライプがあります。すごい勢いで成長している、とんでもない化け物企業です。ほかに、後払い決済のアファーム、バイナウペイレーターなども急激に伸びています。 これらのディスラプターによって、VISAやMASTERがやられるかもしれないという状況が見えてきていますから、「既存の巨人を倒す」という意味において、注目してよいでしょう』、「私が注目している企業として、金融ディスラプターのストライプがあります。すごい勢いで成長している、とんでもない化け物企業です。ほかに、後払い決済のアファーム、バイナウペイレーターなども急激に伸びています。 これらのディスラプターによって、VISAやMASTERがやられるかもしれないという状況が見えてきていますから、「既存の巨人を倒す」という意味において、注目してよいでしょう」、なるほど。
・『ハイブリッドでは無理、世界はEVへ  ほかにホットなテーマと言えば、エネルギーですね。 最近は、EVのリビアンの話題が大きくなっています。リビアンは、アマゾンが支援するアメリカで人気のピックアップトラックのEVメーカーとして、2021年11月に上場しました。いきなり時価総額8兆円、一時期は10兆円を超えて話題になりました。 トヨタが30兆円、ホンダで7兆円ほどですから、それに匹敵するものがいきなり登場するという、とんでもないことが起きたわけです。リビアンには、日本企業からは住友商事が投資していて先見性を窺うことができます。一方で、ある意味、バブルではないかと言われるほどの過熱を見せています。 脱炭素に関する話は、世界でも頻繁に語られていて、もはや「ハイブリッドでは無理だ」というのが海外におけるコンセンサスです。日本国内では、基幹産業への配慮をしなければならず、言えないところがあるようですが、海外では真っ向からEVです。 電動トラックはリビアンが出していますし、テスラも、2022~23年にはサイバートラックを出すようです。次のモビリティがどうなるのかという点は、いま最大テーマです。 モビリティとエネルギーについては、パイが大きいために期待も膨らんでいます。それもあって、テスラの時価総額は一時100兆円を超えました。 本書では、資本主義の過熱が起きていると指摘されていますが、これは実際に起きていると言えます。スタートアップ業界は、IPOラッシュですが、必ずしも投資リターンに厳しくない事業会社が上場直前のステージで投資をすることによって時価総額を上げており、本来ならば、まだ上場を待ったほうがいい段階でも上場してしまい、上場後に株価が低迷してしまうこともあります。 海外マーケットで頑張る日本企業としては、次世代型電動車椅子のウィルが挙げられます。 ただの車椅子と思いがちですが、例えば、メガネは「目が悪い人がかける」というものから、今は「かけてカッコよくなる、頭が良さそうに見せる」というイメージに変化しましたよね。この発想を狙ったものなのです。 日本よりも海外のほうが売り上げが大きいと推測されるため、時価総額ランキングなどのメディアにはあまり出てきませんが、まだまだ骨があると思います。あまり余計なマーケティングはせずに、プロダクトで勝負しており、彼らの車椅子は、アップルの発表会などにシレッと登場します。 本書にも、プロダクトがしっかりしていればマーケティングはいらないと書かれていますが、その路線です。 実は、それを一番やっているのは、テスラです。彼らは、広告費ゼロ。テスラ車が街を走っていることそのものが広告であり、販売代理店を外して、直営で販売する。ビジネスモデルとしては、いわゆるD2C(ダイレクトトゥーコンシューマー)というもので、利益率が増加します。 ほかに、海外で頑張っている日本企業と言えば、スマートニュースです。海外では今のところ、積極的に攻めている日本企業の1つです。 他社にタダ乗りして、いろんな情報を吸い取るサービスはたくさんありますが、スマートニュースは、スローニュースという別のサービスも通じて本当に中立な情報や必要なもの、ジャーナリズムとは何かをきちんと考えています。いわゆる、パーパス経営をしているわけです。自分たちは何者であるのかを考えながらサービスを提供しているところに、まだまだこれからも伸びしろがあると感じます』、「プロダクトがしっかりしていればマーケティングはいらない・・・実は、それを一番やっているのは、テスラです。彼らは、広告費ゼロ。テスラ車が街を走っていることそのものが広告であり、販売代理店を外して、直営で販売する。ビジネスモデルとしては、いわゆるD2C(ダイレクトトゥーコンシューマー)というもので、利益率が増加」、「次世代型電動車椅子のウィル」、「スマートニュースは、スローニュースという別のサービスも通じて本当に中立な情報や必要なもの、ジャーナリズムとは何かをきちんと考えています」、この2社も注目だ。
・『今後の世界を考えるための一冊  日本企業にいると、どうしても変化や危機に気づかなくなってしまいます。本書は、今の資本主義、現行制度について考え直したり、「こんなことがあった」と復習し、今後の社会の反応を考えるきっかけにするにはいい本だと思います。 ただ、ギャロウェイさんは投資家ではないので、本書を見てそのとおりに株を取引したら、大やけどを負うでしょう。 たとえば本書ではテスラについて非常に厳しい見方をしていますが、原著刊行後の2021年11月までに急激に株価が伸びました。もしも原著を信じて株をショート(売り持ち)していたら、大変なことになっていたはずです(笑)。技術の解説もあまり触れられないので、あくまで技術や投資ではなくマーケティングの人として言葉を聞かなければなりません。 この世代や、非技術畑の人はそう思い込みやすい、そういったストーリーが耳に心地よさそうなのだなという参考になります。その点には注意して読むことをおすすめします』、「本書は、今の資本主義、現行制度について考え直したり、「こんなことがあった」と復習し、今後の社会の反応を考えるきっかけにするにはいい本だと思います。 ただ、ギャロウェイさんは投資家ではないので、本書を見てそのとおりに株を取引したら、大やけどを負うでしょう」、欠点も正直に指摘しているので、安心して読めそうだ。

次に、1月21日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏による「米マイクロソフトの巨大買収にみる、ザッカーバーグの「やられた感」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/293912
・『マイクロソフトの巨大買収は世界一に返り咲くための戦略  めちゃくちゃ大きな経済ニュースが飛び込んできました。この記事を読み終えていただければ分かると思いますが「グーグルがYouTubeを買収して動画配信時代が来た」とか「アマゾンがホールフーズを買収してリアルな小売業に進出した」ぐらいのレベルの事件です。 米マイクロソフトが18日、米ゲーム大手のアクティビジョン・ブリザードを687億ドル(約7兆8700億円)で買収すると発表しました。 数字をまるめて日本のメディアでは「8兆円買収」と呼ばれているとおり、マイクロソフトにとって過去最大のM&A(合併・買収)です。もし買収が成立すればマイクロソフトのゲーム事業売上高は中国のテンセント(騰訊)、日本のソニーグループに次いで第3位になります。 しかし、「とはいえ」なのです。アクティビジョン・ブリザード社がいかにゲーム大手とはいえ売上高は約91億ドル(約1兆4000億円、直近12カ月、以下同じ)、純利益26億ドル(約3000億円)の企業を買収して、マイクロソフトが業界第三位(!)になることが、「なぜそれほどの大ニュースになるのか?」と疑問が湧くかもしれません。 実はこのニュースは、マイクロソフトが業界3位になるという視点ではなく、「マイクロソフトがGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)や中国のBATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)をはるか下に見る、圧倒的世界一位に返り咲くための戦略が始まった」という視点でこそ捉えるべき話なのです』、「「マイクロソフトがGAFA・・・や中国のBATH・・・をはるか下に見る、圧倒的世界一位に返り咲くための戦略が始まった」、どういうことだろう。
・『米マイクロソフトが巨大買収で手に入れるものとザッカーバーグの「やられた感」  たぶん今回のニュースを目にして一番頭を抱えているのは、メタ(フェイスブック)のCEOのマーク・ザッカーバーグでしょう。アクティビジョン・ブリザードの買収でマイクロソフトが手に入れる三つのもののリストを眺めればザッカーバーグのやられた感が伝わってきます。 (1)「コール オブ デューティ」「オーバーウォッチ」をはじめとするアクティビジョン・ブリザードの人気ゲームタイトル
(2)月間4億人といわれる同社のオンラインゲームユーザー (3)エンジニアを中心とした約1万人のオンラインゲーム開発人材 この三つのアセット(資産)が手に入ることでマイクロソフトの未来に向けたロードマップの先に開けるものが何かというと、それがメタバースです。 フェイスブックが正式社名をメタ・プラットフォームズに変更した戦略意図も同じで、「これからはSNSではなくメタバースにIT企業の主戦場が変わる」ということを意識してのことです。 そして、フェイスブック以外のGAFAもBATHもそのことについては強く意識はしている。しかし今回のニュースで分かったことは、その中でマイクロソフトだけは意識しているだけではなく、メタバースに向けて強烈な一手を打ってきたということです。 さて、ここまでお読みいただいて、「分からない。正直もう無理」とお感じの方、悪いことは言わないので嫌いな野菜を食べるつもりでもう少し先まで読んでみてください。 今回の記事では世界経済がこれからどう動くのか、一番基本的な部分についてできるだけ分かりやすく説明させていただきます』、なるほど。
・『そもそも「メタバース」とは? 概要をざっくり説明  メタバースというのは現実世界とは別の生活を送ることができる仮想空間のことです。アニメが好きな方は細田守監督が『サマーウォーズ』や『竜とそばかすの姫』などの映画作品でメタバースを題材にしているので、それを思い出せばある程度、未来についてのイメージが湧くかもしれません。 自分とは違う人格やキャラとして、この世界とはまるで違う空想世界で暮らし、そこで友人がたくさんでき、おそらく敵もたくさんいて、現実世界よりもずっとエキサイティングな日々を送ることができる仮想空間です。 メタバースでは鎌倉のシェアハウスで海を見ながら、新しい仲間たちと共同生活を始めるような別の生活が楽しめるでしょう。それだけでなく、イベントではジャニーズやK-POPアイドルのコンサートのステージに一緒に上がってダンスしながらライブを楽しめるかもしれません。ビジネスでは、副業でまったく異業種の企業の商品開発会議に出席して、アイデアを提供する仕事につくようになるかもしれない。 「現実社会ではもう自分のこれからの人生の先々が見えてしまった」という残念な感覚と比較すれば、仮想世界にもう一つの人生を期待する莫大なユーザーニーズが存在することは間違いありませんし、それがイベント、旅行、リアルなビジネスなどさまざまなエリアで経済圏を拡大する未来が予想されています。 概念的には1980年代から提唱されてきたそのメタバースが今、バズワードになっている理由は、技術が追い付いてきたことに加えて、現実にメタバースができはじめていることです。 日本で一番有名な(?)メタバースが何かご存じですか?定義にもよると思いますが、読者のみなさんに一番ポピュラーな存在は任天堂の「あつまれ どうぶつの森」でしょう。これまでの累計販売本数は3000万本を超え、結構な数のユーザーが「あつまれ どうぶつの森」の世界で生活をしています。 「あつまれ どうぶつの森」が発展したことで、実はいろいろな社会問題が起きるようになります。たとえばリアルマネートレードといってゲーム内で手に入れたレアアイテム、ないしはアカウントまるごとを現実の金銭で売買するケースが問題視されるようになりました。 アメリカの大統領選挙では、バイデン候補が「あつまれ どうぶつの森」の中に選挙本部を開設しました。そこまではOKだったのですが、政治家の石破茂さんが「じみん島」で政治活動を始めようとしたところ任天堂からNGが出されました。日本の任天堂の規約では政治活動は禁止されていたのです。 任天堂の現在の規約ではリアルマネートレードも禁止されているのですが、ここはメタバース経済の未来のビジネスモデルにあたって、大きな論点となるでしょう。 参加者の持つ土地やキャラ、アイテムは成功したメタバース経済では億単位の経済価値を持つようになります。そしてそのようなマネーの魅力が、メタバースを広げるための誘因になることも間違いありません。 つまり、ゲームだと考えれば禁止される行為も、メタバースだと考えたら将来的には逆のルールができていくのではないかと私は思います』、「日本で一番有名な・・・メタバース」は「任天堂の「あつまれ どうぶつの森」、なんだ。「政治家の石破茂さんが「じみん島」で政治活動を始めようとしたところ任天堂からNGが出されました。日本の任天堂の規約では政治活動は禁止されていたのです」、さすが「石破茂」、目のつけどころがいい。
・『ゲーム業界で「一大M&A時代」が始まる  いずれにしても、オンラインゲームが現時点で一番有力なメタバースになっています。そして、今回のマイクロソフトによる買収劇は、そのメタバースとしてのオンラインゲームの経営資産を一気に手に入れるという打ち手だったことになります。 さて、そうだとしたら、「ひょっとすると日本のゲーム会社は、これから続々と数兆円単位で買収されていくんじゃないの?」と思われるかもしれません。 確かに19日の株式市場でカプコンの株価が+4.6%、スクウェア・エニックスの株価が+3.7%も値上がりしたのは、この類推からではないかと思われます。しかし、この話はそう簡単ではないのです。 日本人がメタバースとしてイメージするのはソニーのプレイステーション5上で展開される高画質なコンピューターグラフィックの世界ではないでしょうか。 カプコンのモンスターハンターのように「仲間を募ってモンスターを狩りに出かける」、ないしはスクウェア・エニックスのファイナルファンタジーのように「パーティーで冒険を繰り広げる」というのはまさに仮想現実であり、もう一つの新しい人生体験と言えるかもしれません。 しかし、問題はユーザー数であり、ハードウエアの普及台数です。ミリオンセラーとして知られるモンハン(モンスターハンター)の最新作の販売本数は世界で800万本を突破。ファイナルファンタジーは、シリーズによっては世界1000万本を超えています。それはそれですごいのですが、これらの日本製のゲームは「億ゲー」ではないのも事実です。 「億ゲー」とは月間のユーザー数が全世界で1億人を超えるオンラインゲームタイトルで、現時点で世界では10本のソフトが億ゲーを達成したとされています。 そして、今回マイクロソフトが手に入れることになる「コール・オブ・デューティ」はその億ゲーの一角を占めている。ここが今回の8兆円買収の最大の根拠だと私は考えます。 そして興味深いのは今回買収される側のアクティビジョン・ブリザード社のコティックCEOが「われわれの野望を実現するにはパートナーが必要だと気付いた」と言っているという事実です。 億ゲーを達成し、一時的に世界最大級のメタバースを所有することになった会社のCEOが、ここから先はもっと巨大な企業と組まないとメタバースのトップにはなれないと考えているのです。 今、ゲーム機のインフラとして最大なのは、任天堂スイッチでもソニーのPS5でもなく、スマートフォンです。そしてスマートフォンの世界ではアップルとグーグルの2大プラットフォームが流通を抑え、さらにはさまざまな規約でゲーム会社の行動やビジネスモデルアイデアに網をかけています。 フェイスブックのザッカーバーグCEOですら、アップルとグーグルの度重なるルール変更に疲弊して、自社のビジネスモデルがプラットフォーム企業に依存していることに落胆したぐらいです。フェイスブックが社名変更で新しい会社名をメタ・プラットフォームズとしたのは、「メタバースの時代には今度こそプラットフォームの立場を手に入れる」という意気込みが込められているといいます。 期せずしてアクティビジョン・ブリザードも同じ壁にぶち当たり、同じくその解決策を模索した。その解が、メタバースの時代にプラットフォームになりうる怪物企業としてのマイクロソフトの中に収まることだったわけです。 今はスマホが有力なプラットフォームだとしても、将来的にVRゴーグル、ウェアラブルツールや大画面モニター、タブレット端末を統合するような新しいプラットフォームが登場するでしょう。そのOSに相当する部分がアンドロイドやiOSから新しい何かに変わるはず。そこを握りにいくためにアクティビジョン・ブリザードはマイクロソフトという船に乗ることを決断したのです。 日本企業でいえば任天堂にはラブコールが殺到するでしょう。もし距離の近いグーグルと何らかの共同声明など出されれば、メタのザッカーバーグは頭をかかえてもだえ苦しむかもしれません。ないしはそれを超える買収にむけて突っ走ることでしょう。 現在、メタバースをめぐっては100を超える新興ベンチャー企業がしのぎを削って市場開拓を進めています。メタバースの未来という視点でいえば、「これから先はGAFAとBATH、そしてマイクロソフトがそれら100社を奪い合う、一大M&A時代が始まった」、そう考えるべきです。そしてその時代の号砲となったのが今回のニュースだったというわけなのです』、「メタバースをめぐっては100を超える新興ベンチャー企業がしのぎを削って市場開拓を進めています」、「これから先はGAFAとBATH、そしてマイクロソフトがそれら100社を奪い合う、一大M&A時代が始まった」、なにか大変な時代に突入したことは確かなようだ。

第三に、1月20日付けNewsweek日本版が掲載したコロンビア大学法科大学院教授のアヌ・ブラッドフォード氏による「「巨大テック企業を取り締まる」が世界のコンセンサスになる日」を紹介しよう。
・『<EU、アメリカ、そして中国──反トラスト法などを武器に、テック企業への本格規制に乗り出す各国政府のアプローチと課題とは> 今日の地政学的環境では、世界の政治リーダーたちの足並みがそろうことはほとんどない。しかし、巨大テクノロジー企業に対する規制を強化すべきだという点では、ほぼ意見が一致し始めている。 その背景には、テクノロジー企業が大きくなりすぎたという現実がある。巨大テクノロジー企業は、自社のオンラインマーケットで自社製品・サービスを優遇しているとか、消費者データを不適切に利用して競争を有利に進めているとか、脅威になりそうな会社をことごとく買収することで競争を阻害しているといった批判を浴びてきた。 このような行為は、実質的に消費者の選択肢を奪うものに等しい。今日の消費者は、一握りのテクノロジー企業の製品やサービスに大きく依存しているからだ。 巨大テクノロジー企業への規制強化の動きで先頭を走るのはEUだ。この10年間に、EUは反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いでグーグルに100億ドル近くの制裁金を科している。 EUの行政執行機関である欧州委員会は現在、グーグルの広告テクノロジーとデータ収集の手法、アップルのアップストアとモバイル決済システム、フェイスブックのデータ収集とデジタル広告モデル、アマゾンのオンラインマーケット運営の在り方について捜査を進めている。 欧州委員会は欧州議会と加盟国政府に対して、「デジタル市場法」という新しい法律の制定を提案している。これは、巨大テクノロジー企業に対する規制の権限を強化することを目的とするものだ。 新しい法律が実施されれば、影響は世界中に及ぶだろう。巨大多国籍企業はしばしば、EUの規制に対処する措置を全世界の事業活動に拡大してきたからだ。この現象は「ブリュッセル効果」と呼ばれる(ベルギーの首都ブリュッセルはEU本部の所在地)。 アメリカは比較的最近まで、EUが反トラスト法を駆使してアメリカのテクノロジー企業への締め付けを強めるのを傍観していた。しかし、風向きが変わり始めた。米議会の下院は、巨大テクノロジー企業の幹部たちをたびたび公聴会に呼び出している。近年、司法省はグーグルを、連邦取引委員会(FTC)はフェイスブックを反トラスト法違反で提訴している』、「EUは反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いでグーグルに100億ドル近くの制裁金」、「欧州委員会は現在、グーグルの広告テクノロジーとデータ収集の手法、アップルのアップストアとモバイル決済システム、フェイスブックのデータ収集とデジタル広告モデル、アマゾンのオンラインマーケット運営の在り方について捜査を進めている」、「欧州委員会は・・・「デジタル市場法」という新しい法律の制定を提案」、「アメリカは比較的最近まで、EUが反トラスト法を駆使してアメリカのテクノロジー企業への締め付けを強めるのを傍観」、「しかし、風向きが変わり始めた。米議会の下院は、巨大テクノロジー企業の幹部たちをたびたび公聴会に呼び出している。近年、司法省はグーグルを、連邦取引委員会(FTC)はフェイスブックを反トラスト法違反で提訴」、日本は残念ながら話題にもならないようだ。
・『中国政府も脱放任主義へ  バイデン政権も、こうした政策転換を強く支持している。テクノロジー企業への厳しい姿勢で知られる人物を相次いで要職に指名しているのはその表れだ。2021年7月には「米経済の競争促進」を目指す野心的な大統領令に署名。巨大テクノロジー企業などの独占的行為に厳しく対処する姿勢を鮮明にした。) ここにきて中国も巨大テクノロジー企業への姿勢を転換させ始めている。中国共産党は長年、国内のテクノロジー企業を厳しく規制することを避けてきた。自国のテクノロジー産業を成長させ、国際的優位を確立するためだった。中国のテクノロジー産業は、それと引き換えに、ネット検閲への協力など、共産党の求めに応じてきた。 しかし、中国政府は最近、国内の格差を問題視し、自国のテクノロジー企業が国家よりも強大な存在に成長しつつあるのではないかという懸念も強めている。こうした新しい状況の下、中国指導部は、テクノロジー企業に厳しい姿勢で臨むようになっている。 中国当局は21年4月、競争を阻害するビジネス慣行を理由に、電子商取引大手のアリババに28億ドル相当の制裁金を科した。当局は、インターネットサービス大手のテンセント(騰訊)にも制裁金を科し、世界の有力音楽レーベルとの契約により獲得していた独占的な権利を手放すよう命じ、子会社である2つのゲーム動画配信会社を合併させる計画に待ったをかけた。 今後の展開が最も予想しやすいのはEUだ。デジタル市場法が実施されれば、欧州委員会は数々の反トラスト法関連の捜査を進めやすくなる。 不透明なのはアメリカの動向だ。最近の動向を見ると、アメリカの保守的な裁判所は、フェイスブック(現メタ)やアマゾンが独占企業だという主張を簡単に受け入れるつもりはなさそうだ。それに、党派対立の激しい米議会が意見を擦り合わせて有意義な法律を作れるかも分からない。 皮肉なことに、中国政府の規制強化がアメリカでの規制強化に道を開く可能性がある。中国で規制が強化されれば、アメリカの規制強化がアメリカのテクノロジー企業の国際競争力を奪うという主張が論拠を失うからだ。 中国政府がテクノロジー企業への締め付けを強めることは間違いない。問題は、どれくらい規制が強化されるかだ。中国が世界のテクノロジー超大国になるためには、自国のテクノロジー産業を力強く繁栄させる必要がある。しかし、中国政府はそれ以上に、社会の調和も実現したい。 この2つの要素のバランスをどのように取るかは、今後長きにわたって中国当局の重要な課題になるだろう。 いずれにせよ間違いないのは、テクノロジー企業への規制強化の動きが世界の新しいコンセンサスになりつつあることだ。EU、アメリカ、中国だけでなく、オーストラリア、インド、日本、ロシア、韓国、イギリスといった有力国も相次いで規制強化に向かって動いている。 巨大テクノロジー企業と政府の戦いは、長く続きそうだ。そして、その戦いの帰趨は全ての国に影響を及ぼす。 (筆者の専門は、国際・比較法学。EU法、国際通商法、反トラスト法に詳しい。著書に『The Brussels Effect 』〔未訳〕がある)』、「テクノロジー企業への」「主要国の」「規制強化の動き」を今後も注目したい。

第四に、2月10日付け東洋経済オンラインが掲載したアレックス社長/グーグル日本法人元社長の辻野 晃一郎氏による「グーグル日本元社長「日本からGAFAは生まれない」 「GAFAはインフラ、警戒しながらうまく使え」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/508797
・『GAFAの強さの秘密を明かし、その危険性を警告した書籍『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』は日本だけで15万部のベストセラーになり、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2019 総合第1位」「ビジネス書大賞2019 読者賞」の2冠を達成、日本にGAFAという言葉を定着させた。 その著者スコット・ギャロウェイ教授の最新作『GAFA next stage四騎士+Xの次なる支配戦略』が刊行され、発売3日で6万部のベストセラーになっている。本書では、コロナ禍でますます肥大化したGAFAとこの4社に匹敵する権威を持つようになる「+X」の巨大テック企業が再び、世界をどのように創り変えていくかを予言している。 本稿ではグーグル日本法人元社長の辻野晃一郎氏に、「なぜ日本からGAFA+Xが生まれないのか」を聞いた』、「日本からGAFA+Xが生まれない」のは寂しい限りだが、その理由は何なのだろう。
・『不可逆的変化の時代  民主主義や資本主義など、比較的良い仕組みであろうと考えられ、世界の発展のベースにもなってきたものが、いま瓦解しつつあるという危機意識が、世界共通の認識として高まっています。 スコット・ギャロウェイ氏は、『GAFA next stage』の中で、巨大プラットフォーマーや一部の超富裕層の存在が、政治や世の中をどう歪めているのかという点にフォーカスを当て、コロナとも絡めて、現状を整理し、かなり網羅的に書いています。 内容はアメリカの話ですが、日本も似た状況と言えます。特に、政治に対する信頼は地に堕ちています。長期政権の結果、官邸の独断で縁故主義に基づいた悪しきルールブレイクが行われ、森友問題をはじめ、多くの未解決事件が棚上げになっています。コロナ対策も後手後手の対応が目立ちます。 ところが、日本人は、政治に対してなんとなくの現状維持派が多いのか、あきらめているのか、それとも無関心な人が多いのか、先の衆院選の投票率は、史上3番目の低さでした。アメリカ人は、社会問題や政治問題を自分事として考える人が多いのですが、日本人は、どこか他人事で受け身、あまり深く掘り下げて考えようとしません。 今は、不可逆的な変化が続いている時代です。インターネット以前なら10年かけて起きていた変化が1年で起きるようになりました。ギャロウェイ氏も、コロナ禍で変化のスピードがさらに加速して、数年かかる変化が数日~数カ月で起きたとも書いていますが、実際そのとおりです。 変化する世界の最先端にいるのがGAFAです。彼らの力があまりにも強大になり、社会のいろいろな仕組みにひずみが発生し、結果的に格差や分断を助長しているのは否めません。 本来そのひずみを解消していくのが政治の役割なのですが、今は逆に政治もひずみを大きくする方向で機能してしまっています。こういった危機に、もっと多くの人が気づき、行動を起こさなければならないのですが、日本人は、その意識が低いために、問題がより深刻であると感じます』、「変化する世界の最先端にいるのがGAFAです。彼らの力があまりにも強大になり、社会のいろいろな仕組みにひずみが発生し、結果的に格差や分断を助長しているのは否めません。 本来そのひずみを解消していくのが政治の役割なのですが、今は逆に政治もひずみを大きくする方向で機能してしまっています。こういった危機に、もっと多くの人が気づき、行動を起こさなければならないのですが、日本人は、その意識が低いために、問題がより深刻であると感じます」、同感である。
・『日本から「GAFA+X」が出ない理由  ソニーがEVへの参入を、トヨタがスマートシティや車載OSの開発を発表しています。しかし、日本から本書の言う「GAFA+X」が生まれるのかというと、このままではそれは考えにくいと私は思います。 GAFAの時価総額は、4社でおよそ800兆円、マイクロソフトも300兆円規模、テスラは100兆円規模です。一方、ソニーは十数兆円、トヨタでもピークで40兆円程度です。GAFAやマイクロソフト、テスラなどはすべてクラウドとの連携が得意な企業で、基盤とするユーザーベースが桁違いであるとともに、未来へのストーリーを明確に描いています。 イーロン・マスクは、現時点では、すべてがチャレンジの途中で、まだ真に成功させたといえる事業はありません。しかし、世界中から巨大なマネーを引き付ける魅力があります。彼に匹敵する集金力を持つ人物がそうそういるわけではありませんが、ソニーやトヨタにも時価総額を大きく上げるような夢やビジョンを発信してほしいものです。その昔、ソニーはスティーブ・ジョブズがあこがれた企業でもあったわけですから。 私は、グーグルに入る前はソニーにいました。私が知るソニーは、人がやらないことをやる企業でした。トランジスタが発明されて間もないころ、いち早く個人用のトランジスタラジオを発売し、世間をあっと言わせました。今では、スマホで音楽を聴きながら歩くことは当たり前ですが、そのようなライフスタイルは、ソニーの「ウォークマン」から始まりました。一般ユーザーが気づきもしないような潜在ニーズを掘り起こし、他人がこれまで作ったこともないようなものをゼロから作ってきたのがソニーなのです。 ところが、EVは、すでにみんながやっています。自動走行、コネクテッドカー、クリーンエネルギーなどで自動車産業は大変革期を迎えています。アップルも参入するといわれていますし、今後は、中国勢なども圧倒的な存在になっていくでしょう。その中で、ソニーがどこに勝機を見出そうとしているのかは、今のところ私にはわかりません。 発表を見たところ、「車内をエンターテインメント空間にする」という話です。しかし、車のような移動手段にとって最も重要なことは、人を目的地にできるだけ迅速かつ安全に届ける、ということです。車内を本格的なエンターテインメント空間にするのであれば、完全自動運転も前提になるでしょう。 人の命を預かる工業製品を手掛けるということは、もとよりそれだけの覚悟が求められるということでもありますし、もともとソニーが強みとしてきた領域以外のところに多くのチャレンジがあることは間違いありません。) 日本勢は、「いいデバイスを作れば勝てる」という発想に流れがちです。しかし、もうそこは勝負どころではありません。すべてがつながるデジタルの時代は、車だけを見ていてもダメなのです。もはや車も、スマホやパソコンと同じで、クラウドとつながり、他の車とも交信し、ソフトウェアをバージョンアップしながら進化する工業製品へと変化していきます。 車単体でどんなにイケてる斬新な車を作っても、事故を起こしたり渋滞にハマったりでは進歩がありません。デジタル社会全体を大きく俯瞰して、事故や渋滞から解放されたデジタル交通システムの中の1つの構成要素として車を位置づけていくような発想が必要です。そういう意味では、トヨタがスマートシティをやりはじめたことは、間違ってはいないと思います。 現在、地球上にはまだインターネットにつながっていない人々が半分ぐらいいますが、今後、インターネットにつながることは人権のひとつと解釈されるようになるでしょう。 イーロン・マスクやジェフ・ベゾスは、そのような時代を先読みしているかのごとく、宇宙に何千・何万もの小型通信衛星を打ち上げて、全地球をカバーする通信網を作ろうとしています。 一方、日本では、政治が介入して各携帯会社に値下げ合戦を強要しました。国内で携帯料金の値下げによるユーザー獲得合戦をやったところで、携帯大手4社で均等割りしてせいぜい3000万ユーザーです。地球上の79億人を全員インターネットにつなげようとしているイーロン・マスクやジェフ・ベゾスのスケール感とは比べようもありません』、「日本では、政治が介入して各携帯会社に値下げ合戦を強要しました。国内で携帯料金の値下げによるユーザー獲得合戦をやったところで、携帯大手4社で均等割りしてせいぜい3000万ユーザーです。地球上の79億人を全員インターネットにつなげようとしているイーロン・マスクやジェフ・ベゾスのスケール感とは比べようもありません」、同感である。
・『GAFAは競合ではなく「インフラ的存在」と割り切る  日本企業がGAFAやイーロン・マスクとまともに勝負しても、とても勝ち目はありません。GAFAは公共インフラとでも捉えて、彼らの裏の顔に警戒しつつもうまく使い倒すのが、今を生き抜いていくためには大切なことでしょう。 現状、GAFAが強くなりすぎて、彼らを脅かすスタートアップが生まれにくいという問題も起きています。投資家も「GAFAに対抗するなんて無理だ」と考え、GAFA対抗のようなベンチャーには投資しなくなっていますからね。 これまで、GAFAは、自分たちでイノベーションに積極投資してきました。私がいた頃のグーグルもそうでした。GAFAはイノベーションの巣窟であり、世界を変えてきたわけです。 しかし、ギャロウェイ氏が指摘するように、あまりにも強大になりすぎると、その力を維持することのほうにエネルギーを使うようになります。守りに入るわけですね。しかしそれは衰退への道です。 今後、政治的な圧力で、グーグルとユーチューブを分割するなどの動きが起きれば、競争が促進されることはあるでしょう。現在のバランスが崩れたとき、GAFAの寝首を?く企業が現れるかもしれません。ただ、それが日本から出るかというと、やはり難しいように思います。) 日本から世界を変えるイノベーションを起こそうとするのなら、国家としての構想が必要です。短期的なことばかり考える、今の政府のやり方ではダメです。「国家百年の計」と言いますが、どんな国にしていくのか、何で飯を食う国にするのか、広く国民を巻き込んで長期ビジョンを打ち立てて、未来を真剣に考えなければなりません。 いうまでもなく、もっと科学技術に力を入れねばなりません。今は、人工知能も含めたDXや、クリーンエネルギーの分野が特にフォーカスされていますが、それ以外にも医療や防災産業など、さまざまなアイデアがあるでしょう。 民間のムードも盛り上がらねばなりません。しかし、日本人は、小さい頃から受け身体質が染みついてしまっており、周囲を気にして、あまり自分の意見を言いたがりません。為政者にとってはとても御しやすい国民だと思いますね。 教育から変えて、もっとアグレッシブで、能動的な人材を多く育てなければなりません』、「教育から変えて、もっとアグレッシブで、能動的な人材を多く育てなければなりません」、百年河清を待つようなものだ。アメリカには「国家百年の計」などなくても、個々の企業が「国家」とは離れて独自にやっている。国頼みからは脱却すべきだ。
・『「日本から”次のGAFA”が出るべき」という常識を疑う  「日本もGAFAのような企業を生み出さなければならない」という考え方そのものが正しいのかどうか、という視点もあります。GAFAは、アメリカから出てきたものなのですから、日本は、それをうまく利用させてもらう立場でいればよいとも言えるのです。 アメリカや中国のやり方に追従するのでなく、じゃあ日本はどうしようか、と考えることが大切です。例えば、日本には社歴の長い中小企業が多いですが、「売上1兆円規模の企業を作る」ための政策よりも「100億円企業を100社育てる」ための政策のほうが、無理がないかもしれません。 日本人には根深い劣等感があります。日本の近代史には、2つの断層があります。1つは明治維新です。黒船ショックというか、江戸時代までは遅れていた国だと自らをみなし、欧米にならって早く「一等国」にならねばならないと考えるようになりました。 しかし、日本には、日本独特の歴史があり、決して江戸時代がすべての面で劣っていたわけでもありません。なにより平和が300年近くも続いた時代ですし、精神性や文化の面で、欧米よりも優れたものをたくさん育んでいた時代ともいえます。ところが、それらの過去を全否定してしまいました。 もう1つが太平洋戦争です。敗戦でボロボロになって、そこから這い上がり、再び「一等国」になったわけですが、高度経済成長を遂げた後、ずっと沈滞しています。 日本が、アメリカやフランスとは異なる歴史を持ち、2つの歴史の断層を経て今があるということをどう捉えるかです。日本は、アメリカなど新興国にはない、長い歴史が背景にある国です。その時代のつながりの中で育まれてきた日本人の末裔として、歴史への考察を深めたうえで未来を考えることが大切でしょう。 災害大国であることによる学びから世界に貢献することもできるでしょうし、長寿先進国としてもできることがあるでしょう。また、アフガンで殺害されてしまった中村哲さんのように、半生を途上国に捧げ、現地の人々から非常に感謝されている日本人も多くいます。日本人が、グローバルに通用する才能や資質を持っていないわけではないのです。 自分たちの資質や才能をしっかりと棚卸しして、それをどう伸ばし、どの方向を向いて、世界をより良い場にしていくのか。それを考え抜くことが重要です』、「自分たちの資質や才能をしっかりと棚卸しして、それをどう伸ばし、どの方向を向いて、世界をより良い場にしていくのか。それを考え抜くことが重要です」、総論としては賛成だが、各論になれば、甲論乙駁になるだろう。
タグ:(その6)(日本人が「次のGAFA候補を知らない」悲しい理由 投資家が教える「日本は後回し」の破壊的企業、米マイクロソフトの巨大買収にみる、ザッカーバーグの「やられた感」、「巨大テック企業を取り締まる」が世界のコンセンサスになる日、グーグル日本元社長「日本からGAFAは生まれない」 「GAFAはインフラ 警戒しながらうまく使え」) GAFA 東洋経済オンライン 山本 康正氏による「日本人が「次のGAFA候補を知らない」悲しい理由 投資家が教える「日本は後回し」の破壊的企業」 「日本にGAFAという言葉を定着させた。その著者」の新刊とは興味深そうだ。 「パンデミックによって2カ月でeコマースの10年分の成長が起きた」、そんなことが起きていたとは驚かされた。 「私が注目している企業として、金融ディスラプターのストライプがあります。すごい勢いで成長している、とんでもない化け物企業です。ほかに、後払い決済のアファーム、バイナウペイレーターなども急激に伸びています。 これらのディスラプターによって、VISAやMASTERがやられるかもしれないという状況が見えてきていますから、「既存の巨人を倒す」という意味において、注目してよいでしょう」、なるほど。 「プロダクトがしっかりしていればマーケティングはいらない・・・実は、それを一番やっているのは、テスラです。彼らは、広告費ゼロ。テスラ車が街を走っていることそのものが広告であり、販売代理店を外して、直営で販売する。ビジネスモデルとしては、いわゆるD2C(ダイレクトトゥーコンシューマー)というもので、利益率が増加」、「次世代型電動車椅子のウィル」、「スマートニュースは、スローニュースという別のサービスも通じて本当に中立な情報や必要なもの、ジャーナリズムとは何かをきちんと考えています」、この2社も注目だ。 「本書は、今の資本主義、現行制度について考え直したり、「こんなことがあった」と復習し、今後の社会の反応を考えるきっかけにするにはいい本だと思います。 ただ、ギャロウェイさんは投資家ではないので、本書を見てそのとおりに株を取引したら、大やけどを負うでしょう」、欠点も正直に指摘しているので、安心して読めそうだ。 ダイヤモンド・オンライン 鈴木貴博氏による「米マイクロソフトの巨大買収にみる、ザッカーバーグの「やられた感」」 「「マイクロソフトがGAFA・・・や中国のBATH・・・をはるか下に見る、圧倒的世界一位に返り咲くための戦略が始まった」、どういうことだろう。 「日本で一番有名な・・・メタバース」は「任天堂の「あつまれ どうぶつの森」、なんだ。「政治家の石破茂さんが「じみん島」で政治活動を始めようとしたところ任天堂からNGが出されました。日本の任天堂の規約では政治活動は禁止されていたのです」、さすが「石破茂」、目のつけどころがいい。 「メタバースをめぐっては100を超える新興ベンチャー企業がしのぎを削って市場開拓を進めています」、「これから先はGAFAとBATH、そしてマイクロソフトがそれら100社を奪い合う、一大M&A時代が始まった」、なにか大変な時代に突入したことは確かなようだ。 Newsweek日本版 アヌ・ブラッドフォード氏による「「巨大テック企業を取り締まる」が世界のコンセンサスになる日」 「EUは反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いでグーグルに100億ドル近くの制裁金」、「欧州委員会は現在、グーグルの広告テクノロジーとデータ収集の手法、アップルのアップストアとモバイル決済システム、フェイスブックのデータ収集とデジタル広告モデル、アマゾンのオンラインマーケット運営の在り方について捜査を進めている」、「欧州委員会は・・・「デジタル市場法」という新しい法律の制定を提案」、「アメリカは比較的最近まで、EUが反トラスト法を駆使してアメリカのテクノロジー企業への締め付けを強めるのを傍観」、 「しかし、風向きが変わり始めた。米議会の下院は、巨大テクノロジー企業の幹部たちをたびたび公聴会に呼び出している。近年、司法省はグーグルを、連邦取引委員会(FTC)はフェイスブックを反トラスト法違反で提訴」、日本は残念ながら話題にもならないようだ。 「テクノロジー企業への」「主要国の」「規制強化の動き」を今後も注目したい。 辻野 晃一郎氏による「グーグル日本元社長「日本からGAFAは生まれない」 「GAFAはインフラ、警戒しながらうまく使え」」 「日本からGAFA+Xが生まれない」のは寂しい限りだが、その理由は何なのだろう。 「変化する世界の最先端にいるのがGAFAです。彼らの力があまりにも強大になり、社会のいろいろな仕組みにひずみが発生し、結果的に格差や分断を助長しているのは否めません。 本来そのひずみを解消していくのが政治の役割なのですが、今は逆に政治もひずみを大きくする方向で機能してしまっています。こういった危機に、もっと多くの人が気づき、行動を起こさなければならないのですが、日本人は、その意識が低いために、問題がより深刻であると感じます」、同感である。 「日本では、政治が介入して各携帯会社に値下げ合戦を強要しました。国内で携帯料金の値下げによるユーザー獲得合戦をやったところで、携帯大手4社で均等割りしてせいぜい3000万ユーザーです。地球上の79億人を全員インターネットにつなげようとしているイーロン・マスクやジェフ・ベゾスのスケール感とは比べようもありません」、同感である。 「教育から変えて、もっとアグレッシブで、能動的な人材を多く育てなければなりません」、百年河清を待つようなものだ。アメリカには「国家百年の計」などなくても、個々の企業が「国家」とは離れて独自にやっている。国頼みからは脱却すべきだ。 「自分たちの資質や才能をしっかりと棚卸しして、それをどう伸ばし、どの方向を向いて、世界をより良い場にしていくのか。それを考え抜くことが重要です」、総論としては賛成だが、各論になれば、甲論乙駁になるだろう
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

メタバース(仮想空間)(その1)(メタバースが「デジタル創作物」のマーケットを作りだそうとしている NFT=非代替性トークンの威力とは、「セカンドライフ」の二の舞は避けられるのか メタバース沸騰が「過去のブーム」とまるで違う点、先駆者clusterが普及に自信を抱く合理的根拠 和製メタバースで「暮らす」「稼ぐ」人と企業の全容) [イノベーション]

今日は、メタバース(仮想空間)(その1)(メタバースが「デジタル創作物」のマーケットを作りだそうとしている NFT=非代替性トークンの威力とは、「セカンドライフ」の二の舞は避けられるのか メタバース沸騰が「過去のブーム」とまるで違う点、先駆者clusterが普及に自信を抱く合理的根拠 和製メタバースで「暮らす」「稼ぐ」人と企業の全容)を取上げよう。

先ずは、昨年12月26日付け現代ビジネスが掲載した大蔵省出身で一橋大学名誉教授の野口 悠紀雄氏による「メタバースが「デジタル創作物」のマーケットを作りだそうとしている NFT=非代替性トークンの威力とは」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/90424?imp=0
・『世界のさまざまな企業が、メタバース構築に向けて走り出した。NFT(非代替性トークン)というブロックチェーンの新しい技術を用いると、メタバース内のデジタル創作物を売買することができる』、興味深そうだ。
・『世界の企業がつぎつぎにメタバース計画に参入  フェイスブックは、2021年8月、仮想空間サービス「Horizon Workrooms」を始めた。利用者が自分のアバターを作り、「メタバース」と呼ばれる仮想空間のなかで人々と交流したり、会議をしたり、買い物をしたりする。 同社は、社名をメタと変え、メタバースの企業になると宣言した。そして、このプロジェクトに100億ドル(約1兆1400億円)という巨額の資金を投入する。開発を加速させるため、今後5年間でIT人材を1万人採用するとしている。 メタバース計画を進めているのは、メタだけではない。 マイクロソフトは「チームズ」に仮想空間で会議などができる機能を加えるとしている。 ドイツのシーメンス・エナジーやスウェーデンのエリクソンは、GPU(画像処理半導体)のトップメーカーである米エヌビディアとメタバースを構築している。 移動体通信技術と半導体の設計・開発を行なうクアルコムは、スナップドラゴン・スペイシーズというAR(拡張現実)開発のプラットフォームを提供し、次世代のヘッドセットやゲーム端末に向けたARアプリの開発をサポートする。 ウォルト・ディズニー、ナイキなども参入の計画だ。 日本では、KDDIが「渋谷区公認バーチャル渋谷」という仮想空間を作っている。20年5月に公開され、これまでクリスマスやハロウィーンの催しが行なわれた。ユーザーが物販やイベントをできる。 このように、多くの人や企業が、メタバースに向けて走り出している。 カナダの調査会社エマージェン・リサーチは、メタバース関連の世界市場は、20年の477億ドル(約5兆5千億円)から年平均43%で伸び、28年には8290億ドル(約95兆円)になると予測している。 メタバースは、昔からあった。2003年にスタートした「セカンドライフ」がそれだ。2007年頃が人気のピークだった。リンデンドルという仮想通貨も発行され、仮想世界の中で使われた。しかし、その後ユーザー数が減少し、いまは忘れられた存在になっている。 任天堂から2020年に発売された『あつまれ どうぶつの森』も、メタバースの一種だとされることがある』、「メタバース計画に参入」は確かにすごいブームだ。
・『75億円の取引例-NFTでデジタルアーツが売買可能に  多くの企業がメタバースに関心を寄せる大きな理由は、仮想空間で経済取引が可能になるだろうという期待だ。 これは、NFT(Non Fungible Token:非代替性トークン)というブロックチェーン技術を活用するものだ。 ブロックチェーンに取引情報を改竄不可能な形で記録していくことによって、インターネットを通じて経済的な価値を送ることができる。この技術は、すでにビットコインなどの仮想通貨で実証されている。 ところで、仮想通貨の場合には、Aさんの持っている仮想通貨とBさんの持っている通貨は同じものだ(これをFungibleという)。それに対して、NFTでは、一つ一つの個別的な対象を区別して、取引を記録していく。これは、物流管理についてすでに提供されているブロックチェーンサービスだ。 ダイヤモンドについては、2015年に設立されたエバーレッジャー社によって、サービスが提供されている。現在では、食料品などのサプライチェーンにも用いられている。 NFTは、デジタル創作物に、この技術を応用するものだ。売買する時、データと持ち主を、第三者に頼らずに検証できる。これによって、メタバースの仮想空間に作られたデジタル創作物(建物や衣装など)の売買が可能になると期待されている。 NFTを用いたデジタル創作物の取引は、現実の世界ですでに行なわれている。 デジタルアート作家「Beeple(ビープル)」ことマイク・ウィンケルマン氏のデジタル作品「Everydays - The First 5000 Days」が約75億3000万円で落札された。 また、Twitterの共同創業者ジャック・ドーシー氏の初めてのツイートが約3億1600万円で落札された。 日本でも、小学3年生が夏休みの自由研究として作ったドット絵が約80万円で取引された』、「NFTを用いたデジタル創作物の取引は、現実の世界ですでに行なわれている」、「ブロックチェーン技術を活用」することで、多重譲渡を防止する歯止めになるのだろうか。
・『コピーができるのに「唯一のオリジナル」とは?  ところで、ブロックチェーンに記入してあるのは取り引きの情報だ。デジタルな作品自体は、ブロックチェーンの外に保管されている。そして、NFTにはその作品のコピーを防止する機能はない。だから、簡単にコピーできる。 実際、上で述べた作品もウェブで簡単に見ることができる。「初めてのツイート」に至っては、単なる文章に過ぎないので、誰でも簡単に複製できる。 しばしば、「NFTは、デジタル作品が唯一のオリジナルなものであることを証明する仕組みだ」と解説される。しかし、「唯一」とか「オリジナル」ということの意味については、注意が必要だ。 リアルな絵画であれば、オリジナルな作品とその模写とは、詳細に調べれば、違いを見いだすことができるだろう。しかし、デジタルな作品の場合は、オリジナルとコピーに違いは何もない。違いは、創作者が認めた正当な取引を通じて手に入れたというだけのことである。 今後は、コンテンツ自体の複製を不可能にするための方法が開発されるかもしれない。しかし、そうしたことがない現状であっても、上記のように巨額の取引が行なわれているのだ』、「デジタルな作品の場合は、オリジナルとコピーに違いは何もない。違いは、創作者が認めた正当な取引を通じて手に入れたというだけのこと」、見分けは確かに困難だ。
・『ではなぜデジタル作品を買うのか?  デジタル絵画を見て楽しむだけなら、ウエブでタダでできる。それなのに、なぜ75億円もの巨額な支払いをするのか? 2つの理由が考えられる。 第1は、創作者からの正しい手続きを経て権利を獲得したという自覚を持てることだ。それは、「虚栄心を満足させているに過ぎない」といってもよい。 第2は、購入価格よりさらに高値で転売できる可能性があるという期待だ。その意味では、デジタルアーツの価格はバブルであると言える。 現在はもの珍しさで多くの人が参加しているが、そのうちに飽きてしまって、転売が不可能になり、価値がゼロになってしまう可能性も否定できない』、「デジタルアーツの価格はバブルであると言える」、やはりそうかというのが正直な感想だ。
・『新しい法規制を探る  経済産業省は、2021年7月、企業などがメタバース事業に参入する際の法的論点をまとめたリポート「仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業」を公表した。 仮想空間内での商取引などを巡る法律やルールの整備が課題になるとしている。異なる国の利用者間でトラブルが起きた場合の解決法、詐欺への対応、セキュリティー対策などを含む「メタバース新法」が必要だとしている。 仮想空間における取引が盛んになるのは、望ましいことだろう。しかし、人々が仮想空間で過ごせる時間には限りがある。 そしてわれわれは、リアルの世界から逃げ出すことはできない。人間は、仮想空間だけで生活できるわけではない。 現実の世界を住みよく快適で安全なものにするのは、もっと重要なことだ。そのことを忘れてはならないと思う』、まだ発展途上の技術に対しては、法規制の適用は慎重であるべきだ。

次に、1月13日付け東洋経済Plus「「セカンドライフ」の二の舞は避けられるのか メタバース沸騰が「過去のブーム」とまるで違う点」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/29433
・『あっという間に衰退してしまったセカンドライフの時代と現在とでは、いったい何が違うのか。技術や価値観など、さまざまな面から考察した。 にわかに沸騰するメタバース市場。VRデバイスやスマートフォンを通じ、人々が気軽に交流できるようになった仮想世界で今、世界中の種々雑多な企業が新規事業立ち上げや巨額投資に勤しんでいる(詳細は前回記事:熱狂メタバースに突き進む企業それぞれの皮算用)。 もっとも、メタバースブームは今回が初めてではない。 過去のブームの象徴的な存在が、アメリカのリンデンラボが2003年から運営する「セカンドライフ」だ。日本でも一般の個人はもちろん、サントリー、ソフトバンクモバイル(当時)、電通、三越などの大手企業が続々参画。セカンドライフ内に仮想店舗を出したり、マーケティング活動を行ったりと、2000年代初頭から一大ブームとなった。 リンデンラボは自社サービスを指すものとして、当時から「メタバース」という言葉も用いている。さらに空間内ではリンデンドル(空間内の通貨)での取引や、リンデンスクリプト(空間内で創造物を作るための簡易プログラミング言語)を使ったクリエーターの呼び込み・空間の拡張も行っていた。 ところが2007年をピークに、アクティブユーザー数は減少に転じる。セカンドライフ自体は現在も稼働しているものの、企業は相次いで撤退。あっという間に”オワコン”と化した。 今回のメタバースブームも、一時的なものにすぎないのではないか。セカンドライフの時代と現在とでは、何が違うのか。取材を重ねる中で見えてきたのは、当時から大きく事情が変化した3つの点だ』、興味深そうだ。
・『デバイスの発展で「大衆化」  1つ目は、デバイスやネットワークの劇的な進化だ。当時はまだ初代iPhone(2007年発売)の普及前で、メタバースに参加できたのはハイスペックなパソコンなどを所有する一部の消費者のみだった。その状況が、スマホやそれに対応するアプリの普及で一変。若年層も含め、誰もが簡単にメタバースにアクセスできるようになった。 さらに、2020年10月にメタ(当時の社名はフェイスブック)が発売したヘッドセット型のVRデバイス「オキュラス・クエスト2」も、市場拡大の下地をつくるのに一役買っていそうだ。販売実数は公表していないが、「売れ行きも非常に好調」(フェイスブックジャパンの味澤将宏代表)だという。 先代機に比べ処理速度・操作性を改良した一方、価格は下げた(先代機は4万9800円~、新型機は3万3800円~)。「メタバースは没入感のある仮想世界を実際に体験してもらわないと(面白さや利便性が)わからない。オキュラス・クエスト2はそのミッションの達成に向けて、非常にいいスタートを切れている」(味澤氏)。 2つ目の変化は、スマホの普及にも後押しされる形で醸成されたデジタル文化だ。SNSが一般化したことで、人々がリアルと必ずしも同一でないバーチャルのアイデンティティを持つことが当たり前化した。 「女子高生にインタビューすると、学歴よりもインスタグラムのフォロワーがほしいという声をよく聞く。彼女たちにとっては、デジタル世界のアイデンティティがリアル世界のそれより勝るということ。この価値観はアバター(自身の分身となるキャラクター)を介して仮想空間で他人と交流するメタバースと非常に相性がいい」 ブロックチェーン技術を用いたコミュニティサービスなどを展開するベンチャー・ガウディの石川裕也CEOはそう分析する。 「技術やサービスがより洗練されていくことで、あくまでリアルが主でバーチャルが従だったこれまでの価値観が薄れ、バーチャル上の個性や生活が主という時代が来るかもしれない」 そう展望するのは、VRゲームを皮切りにメタバース事業の拡大を志向するベンチャー・サードバースのCEOで、業界を長年眺めてきたgumi創業者の國光宏尚氏。このような価値観の変化も、メタバースの発展に影響しそうだ』、「あくまでリアルが主でバーチャルが従だったこれまでの価値観が薄れ、バーチャル上の個性や生活が主という時代が来るかもしれない」、「バーチャル上の個性や生活が主」というのは私には想像もつかない。
・『個人が「稼げる」新しい仕組み  3点目で最も大きい変化が、ユーザーや企業が「稼げる」機会の拡大だ。セカンドライフの時代には、インターネット上で決済すること自体がまだ一般消費者層まで定着していなかった。が、EC(ネット通販)やサブスクリプションサービスの普及で、スマホやPCでデジタルにお金を払うことは日常化した。 加えて、メタバースを取り巻く経済圏をさらに強力にするのがNFT(Non-Fungible Token=非代替性トークン)だ。これまでは”コピー上等”だったネットの世界に、「本物・偽物」「所有」「資産化」といった、フィジカルなものの価値を保証するのと同じ概念が根付き始めている。 【キーワード解説】NFT Non-Fungible Token(非代替性トークン)の略。「電子証明書」のようなもので、改ざんが難しいブロックチェーン技術を用いて、アートやゲームアイテムなどのデジタルデータに作者の情報などを記載。その作品が唯一無二のものであることを証明する。第三者への転売も可能で、売買金額の一定割合を原作者に還元するプログラムを書き込むこともできる。 実際、世界中の企業がメタバース上でのNFTビジネスに動き始めている。 アメリカのナイキはブロックチェーン技術を用いるバーチャルスニーカー販売の企業を2021年12月に買収。またアメリカでメキシコ料理チェーンを展開するチポトレは、メタバースプラットフォーム「ロブロックス」内に出店。リアル店舗でブリトーと引き換えられる限定コードを配布するなど、リアル・バーチャル横断の取り組みを行っている。 デジタル上の資産を個人でスムーズに売買できるシステムも整い始めた。例えば世界最大のNFTマーケットプレイス「オープンシー」では、ブロックチェーンゲームのアイテムやデジタルアートが、イーサリアムなどの暗号資産を用いて取引されている。 ブロックチェーンを使ったゲームなら、ゲーム内で創造した成果物などに金銭的価値をつけられる。「数年内にはメタバース内で家などを建ててNFTとして販売し、親より稼ぐようになる子どもが続出するだろう。人々はメタバースを通じて、学歴や資格などで決まってきたリアル世界のヒエラルキーから解放されるかもしれない」(サードバースの國光氏)。 リアル世界と遜色ないような稼ぎ口が発展すれば、そこで活躍したいと考える個人や企業がよりメタバースに集まりやすくなるだろう』、「「数年内にはメタバース内で家などを建ててNFTとして販売し、親より稼ぐようになる子どもが続出するだろう」、とあるが、「メタバース内で家など」を購入することにどういう意味があるのだろう。全く理解できない。
・『参入各社の「同床異夢」  セカンドライフ時代との技術や価値観の違いは、確かにありそうだ。ただ、メタバースがマスに定着するかを占ううえでは、拭えない懸念もある。 その1つは、デバイスやVR制作の技術が、かつてより進化したとはいえ未熟だという点だ。またそれらを使う側の企業も、技術の特性や現時点での限界を深く理解しないまま踏み込んでいるケースが少なくない。 法人向けにメタバース関連のコンサルティングや制作支援を行うSynamon(シナモン)の武井勇樹COO(最高執行責任者)は、「顧客企業のアイデアの中には、そのまま実装するとユーザーがVR内で酔ってしまうようなものもある」と話す。 「そういう場合には軌道修正を提案している。細かな調整を怠ると、せっかく時間とお金をかけて行ったイベントなのにユーザー離れを起こしてしまったり、VRそのものに”がっかり感”を持たれてしまう危険もある」(武井氏) もう1つの懸念は、業界内が決して”一枚岩”ではないという点だ。2021年12月には技術・サービスの普及などを目指す業界団体・日本メタバース協会が設立されたが、暗号資産系企業4社が音頭を取る組織構成に対し、業界内外から「当事者不在では」と疑問の声が上がった。 「メタバース=NFTではない。声の大きい人が『これがメタバースの定義だ』と言うと、(一般の理解が)その通りになってしまう。それは業界の健全な発展にとっていいことなのか」(メタバース関連企業幹部) 参入企業が急増しているだけに、メタバースで成し遂げたいビジネスがバラバラになるのはある程度仕方がない。互いの差異に折り合いをつけつつ協力関係を築けるかが、今後の業界発展のカギになるかもしれない』、技術革新が速い業界では、「業界内が決して”一枚岩”ではない」のはやむを得ないとしても、「一般」が理解できない対立は避けてほしいものだ。

第三に、1月18日付け東洋経済Plus「先駆者clusterが普及に自信を抱く合理的根拠 和製メタバースで「暮らす」「稼ぐ」人と企業の全容」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/29476
・『コロナ禍が収束してもなお、メタバースの熱狂は収まらないのか。「バーチャル渋谷」で55万人の集客実績を持つベンチャーのCEOを直撃した。 2017年にリリースされたメタバースプラットフォーム「cluster(クラスター)」。スマートフォンやパソコン、ヘッドセット型のVRデバイスを通じ、バーチャル上で音楽ライブなどのイベントに参加したり、ユーザー自ら制作した空間で友人と遊んだりできる。運営主体はサービスと同名の国内ベンチャー、クラスターだ。 イベントや空間活用の支援を行う法人向け事業も展開し、コロナ禍のハロウィーンイベントに数日間で55万人を集めた渋谷区公認の「バーチャル渋谷」など実績は豊富だ。直近で公開している2020年のイベント数は1500件超と、前年の4.5倍だ。2021年はこれをさらに上回った。 クラスター内に「”住み着いている”人もいる」と表現する加藤直人CEO。ユーザーや企業は、クラスターをどう活用しているのか。急速に熱を帯びるメタバース市場で、どんな成長を描くのか。本人にじっくり聞いた(Qは聞き手の質問、Aは加藤氏の回答)』、興味深そうだ。
・『非リアルでもライブチケットは6000円  Q:2017年からサービスを展開する中で、メタバースに興味を持ったり、クラスターに案件を依頼してくる企業の数や属性に変化はありますか? A:最初はやはりエンタメ、とくに音楽ライブで使われることが多かった。 2018年ごろからバーチャルユーチューバーが流行し、彼らの活用法を見たリアルのアーティストもこの市場にやってくるようになった。ライブ需要は今も大きく、お客さんの側も、5000~6000円とか、リアルのライブと遜色ない価格のチケットを買って参加してくれている。 2020年からはコロナ禍に突入し、現実世界ではイベントと名のつくものが全部できなくなった。それらがクラスターに全部入ってきて、ピーク時は半年で1000件以上問い合わせがあった。2021年もイベント数はさらに増え、売り上げは2020年の倍になっている。 最近の傾向としては、エンタメとは別の需要が勃興している。企業が顧客向けに行うカンファレンスや全社会議、内定者研修など、厳かな雰囲気のイベントだ。 Q:こうした法人需要は、コロナ禍の収束後も残るでしょうか。 A:そう思う。なぜなら、リアル開催より圧倒的にコストが安いから。店舗や支店を多く持つ大企業だと、全社会議を行うのに膨大な交通費や宿泊費、会場費がかかる。ビデオ会議を使うケースも多いが、参加者が50~100人を超えてくると、どうしても虚空に向かって話している感じが否めず一体感が出ない。 バーチャル空間で開催すると、お互いのアバターが見えるし、反応も見えるし、集まっている感じがある。空間内で、小さいグループになってしゃべることもできる。こうした利便性から、導入企業の中にはリピーターも多い。 (加藤氏の略歴はリンク先参照) これらの利点はエンタメ系のイベントにも通じる。なんのためにイベントをやるかというと、IP(キャラクターなどの知的財産)の価値向上、つまりもっとファンになってもらうため。公式サイトでの情報発信などで足りない部分を、これまではリアルイベントが担っていた。 でもそれはそれで、運営などのコストが大きい。にもかかわらず、開催地の近郊の人しか来られない。バーチャルなら全国、全世界から人を集めて熱量の高いイベントを行えるし、物理的には実現しにくいギミック(仕掛け)を入れ込むこともできる』、「最近の傾向としては、エンタメとは別の需要が勃興している。企業が顧客向けに行うカンファレンスや全社会議、内定者研修など、厳かな雰囲気のイベントだ」、「大企業だと、全社会議を行うのに膨大な交通費や宿泊費、会場費がかかる。ビデオ会議を使うケースも多いが、参加者が50~100人を超えてくると、どうしても虚空に向かって話している感じが否めず一体感が出ない。 バーチャル空間で開催すると、お互いのアバターが見えるし、反応も見えるし、集まっている感じがある。空間内で、小さいグループになってしゃべることもできる。こうした利便性から、導入企業の中にはリピーターも多い」、なるほど。
・『空間が民主化されてこそメタバース  Q:急激に勃興してきただけに、「メタバース」そのものの定義はまだあやふやな面もあります。加藤さんはどう考えますか。 A:最も重要な要素は、個人のクリエーターが空間作りに参加していること。1社が全部デザインして作った世界じゃなくて、そこにやってきたクリエーターたちの創造物で構成されている世界だ。 われわれも3DCG(コンピューターグラフィックス)を作れるキットを提供していて、開始から約1年で5000以上の創造物がアップロードされた。ユーザーはカフェを作って”飲み会”を開催したり、競馬場を作ってゲームに興じたりしている。1日10時間以上滞在するなど、ここに”住み着いている”人々もいる。 今までだって3D空間で遊ぶオンラインゲームはあったけど、空間が民主化されていて、クリエーターによって提供事業者側とは全然発想の違う物がばんばん出てくる、そういうものこそがメタバースだと思っている。 Q:2000年代にも「セカンドライフ」登場によるメタバースブームがありましたが、あっという間に廃れました。今回は何が違うのでしょうか。 まず、一般消費者の参加ハードルがめちゃくちゃ下がった。当時はそこそこ優秀なパソコンを持っていないと入れなかったので、大衆化へのキャズム(溝)を超えられなかった。それが今は、スマホで3Dがぐりぐり動くようになった。クラスターにもパソコンなんて持っていないような女子高生や小学生が、自分のスマホや親のタブレット端末で遊びに来ている。 クリエイティブツールのハードルが下がったのも大きい。当時はアバターや空間を作るツールがこなれていなかった。ほかにも通信容量やチップの性能など、当時と大きく変わった部分はさまざまある。 もう一つ重要なのが、メタバース上での消費が生まれるようになったこと。以前のブームも(バーチャル店舗を出す、マーケティングに活用するなどの形で)企業のお金は飛び交っていたけど、消費者のお金は流れ込んでいなかった』、「1日10時間以上滞在するなど、ここに”住み着いている”人々もいる」、比喩としても驚かされた。
・『エピックゲームズはもはやアパレル大手?  Q:確かに、デジタル上でお金を払うことは今や当たり前になりました。 A:EC(ネット通販)やデジタルコンテンツ課金の普及で、技術的にも心理的にもハードルが下がった。(メタバースの代表格でもある)エピックゲームズのフォートナイトでは、「スキン」(アバターのコスチューム)が年間30億~40億ドル売れていると言われている。ある意味、世界で最もたくさん服を売っているアパレル企業でもあるわけだ。 加えて、今後はプロが作った物だけでなく、個人クリエーターや、そういう自覚がないような一般の人の作品も消費の対象として台頭してくるだろう。動画の世界で、テレビ番組や映画だけでなくユーチューバーの作品が人気を集めるようになったのと同じだ。 クラスターはまだ、作ったゲームアイテムを売れるような仕組みを備えていないので、このあたりは今後増強していく。世界的にもそこが焦点になるかなと思う。一部のメタバースプラットフォームにはそういう機能が実装されているが、より簡単で便利なサービスを作れるかの勝負はこれからだ。 Q:メタバース上での消費拡大について展望するとき、NFT(Non-Fungible Token=非代替性トークン)とセットで語られることが多いですね。 A:NFTはまた別で成長している概念で、メタバースの発展に必要不可欠かというとそうではない。もちろん絡む部分はある。ただ今のところ、NFT界隈の人々とバーチャル世界に”暮らす”人々、それぞれにコミュニティがあって、まだクロスしていない印象だ。 まずは今あるデジタル課金の仕組みで、メタバース上の消費が十分盛り上がっていくのではないか。フォートナイトでのスキンのバカ売れもこの文脈だ。 「NFTあってのメタバースだ!」と主張するのは、事業上、NFTを売りたい人たちなんだろう。かといって「メタバースにNFTは絶対必要ない!」という主張も、あまりに原理主義的だなと感じる。クラスターにもNFTとして購入したアバターで入ってくる人が増えた。メタバース×NFTの面白い体験が、今後いっぱい出てくるはずだ』、私には理解不能な世界だが、「NFT界隈の人々とバーチャル世界に”暮らす”人々」、とも「まだクロスしていない印象だ」。「今あるデジタル課金の仕組みで、メタバース上の消費が十分盛り上がっていくのではないか」、なるほど。
タグ:「デジタルな作品の場合は、オリジナルとコピーに違いは何もない。違いは、創作者が認めた正当な取引を通じて手に入れたというだけのこと」、見分けは確かに困難だ。 「NFTを用いたデジタル創作物の取引は、現実の世界ですでに行なわれている」、「ブロックチェーン技術を活用」することで、多重譲渡を防止する歯止めになるのだろうか。 「メタバース計画に参入」は確かにすごいブームだ。 野口 悠紀雄氏による「メタバースが「デジタル創作物」のマーケットを作りだそうとしている NFT=非代替性トークンの威力とは」 (その1)(メタバースが「デジタル創作物」のマーケットを作りだそうとしている NFT=非代替性トークンの威力とは、「セカンドライフ」の二の舞は避けられるのか メタバース沸騰が「過去のブーム」とまるで違う点、先駆者clusterが普及に自信を抱く合理的根拠 和製メタバースで「暮らす」「稼ぐ」人と企業の全容) メタバース(仮想空間) 「デジタルアーツの価格はバブルであると言える」、やはりそうかというのが正直な感想だ。 まだ発展途上の技術に対しては、法規制の適用は慎重であるべきだ。 現代ビジネス 東洋経済Plus「「セカンドライフ」の二の舞は避けられるのか メタバース沸騰が「過去のブーム」とまるで違う点」 「あくまでリアルが主でバーチャルが従だったこれまでの価値観が薄れ、バーチャル上の個性や生活が主という時代が来るかもしれない」、「バーチャル上の個性や生活が主」というのは私には想像もつかない。 「「数年内にはメタバース内で家などを建ててNFTとして販売し、親より稼ぐようになる子どもが続出するだろう」、とあるが、「メタバース内で家など」を購入することにどういう意味があるのだろう。全く理解できない。 技術革新が速い業界では、「業界内が決して”一枚岩”ではない」のはやむを得ないとしても、「一般」が理解できない対立は避けてほしいものだ。 東洋経済Plus「先駆者clusterが普及に自信を抱く合理的根拠 和製メタバースで「暮らす」「稼ぐ」人と企業の全容」 「最近の傾向としては、エンタメとは別の需要が勃興している。企業が顧客向けに行うカンファレンスや全社会議、内定者研修など、厳かな雰囲気のイベントだ」、「大企業だと、全社会議を行うのに膨大な交通費や宿泊費、会場費がかかる。ビデオ会議を使うケースも多いが、参加者が50~100人を超えてくると、どうしても虚空に向かって話している感じが否めず一体感が出ない。 バーチャル空間で開催すると、お互いのアバターが見えるし、反応も見えるし、集まっている感じがある。空間内で、小さいグループになってしゃべることもできる。こうした 「1日10時間以上滞在するなど、ここに”住み着いている”人々もいる」、比喩としても驚かされた。 私には理解不能な世界だが、「NFT界隈の人々とバーチャル世界に”暮らす”人々」、とも「まだクロスしていない印象だ」。「今あるデジタル課金の仕組みで、メタバース上の消費が十分盛り上がっていくのではないか」、なるほど。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

ブロックチェーン(その1)(「分散型金融・DeFi」は金融の世界を一変させるか…? 始まったブロックチェーン金融の可能性、The Economist:分散型金融 法規制で安定を、大手からベンチャーまでが魅せられる新経済圏 熱狂メタバースに突き進む「あの企業」の皮算用) [イノベーション]

今日は、仮想通貨などで使われる基盤技術として注目される「ブロックチェーン(その1)(「分散型金融・DeFi」は金融の世界を一変させるか…? 始まったブロックチェーン金融の可能性、The Economist:分散型金融 法規制で安定を、大手からベンチャーまでが魅せられる新経済圏 熱狂メタバースに突き進む「あの企業」の皮算用)を取上げよう。

先ずは、昨年7月7日付け現代ビジネスが掲載した大蔵省出身で一橋大学名誉教授の野口 悠紀雄氏による「「分散型金融・DeFi」は金融の世界を一変させるか…? 始まったブロックチェーン金融の可能性」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/84704?imp=0
・『DeFi(Decentralized Finance:分散型金融:ディーファイ)は、ブロックチェーンを用いて、金融機関を介さず、無人で金融取引を行なう仕組みだ。仮想通貨の取引所や、融資を仲介するサービスが提供されている。DeFiは、信用履歴審査や本人確認なしに、誰でも使えるサービスだ。 まったく新しい金融の仕組みを作る可能性があるが、現在では、これに投資するのは極めてリスクが高い。値上がり期待だけでなく、新しいDeFiサービスを作る動きが日本にも出てくることを望みたい』、興味深そうだ。
・『DeFiは、無人の金融取引  新しい金融の仕組み、DeFiが注目を集めている。これは、ブロックチェーンを用いて、決済、融資、証券、保険、デリバティブなどの金融取引を行なう仕組みだ。 「スマートコントラクト」というプログラムを用いて無人で運用される。したがって、銀行などの中央集権的な管理者が必要ない。安い手数料で迅速な取引が可能だ。 2020年には多くのDeFiサービスが開発され、成長した。2021年6月時点で提供されている分散金融のサービスは、240種類を超えている。 5月には、ビットコインなどの仮想通貨の価格が急落した。しかし、DeFiサービスの利用者は増え続け、前月比3割増の270万人となった。 DeFiに流入した資産総額は、2020年初めには7億ドル弱だったが、2021年5月には約860億ドルになった。その後、仮想通貨価格の下落で価値が減少したが、それでも600億ドル程度だ』、「DeFiに流入した資産総額は」、「600億ドル程度」とはかなりの規模だ。
・『DEX:分散型取引所  DeFiには、いくつかのサービスがある。その1つが、取引の仲介だ。 仮想通貨を売買する場合、現在では、仮想通貨交換業者が管理する取引所を使う。取引所は中央集権型の組織であり、手数料が高い。この問題を、DEX(分散型取引所)が解決した。 DEXの代表が、Uniswapだ。ある仮想通貨を他の仮想通貨に交換したい場合、Uniswapに一定量の仮想通貨を拠出すると、アルゴリズムで計算された量の他の仮想通貨を得ることができる。 Uniswapの場合、5月の取引額は約9兆円だ。これは、日本の大手交換所であるビットフライヤーの1兆8000億円を大きく上回る。 DEXは、以前から画期的なシステムとして注目されていたが、流動性が低いという問題を抱えていた。これに対処するため、プールという仕組みが採用された。 流動性の供給者になりたい人は、誰でも任意の量の仮想通貨をプールに預ける。プールしておくだけで収益を得ることができる。この仕組みによってDEXの資金量が増加し、流動性の問題や取り扱い銘柄が少ないという問題が解決された。 主要なDEXとしては、Uniswapの他に、MDEX、PancakeSwapなどがある』、「プールに預け」た「仮想通貨」が戻ってこないリスクはあるのだろうか。
・『レンディングプラットフォーム  DeFiのもう一つの主要なサービスは、レンディングプラットフォームだ。これは、仮想通貨の融資を仲介するサービスだ。 これを始めたのは、Compoundだ。Compoundでは、ユーザーがウォレットを経由して、自分が保有している仮想通貨を預け入れたり、仮想通貨を借り入れたりすることができる。借りる場合には、借り入れ額の150%を担保にしなければならない。 利率は通貨ごとに異なる。また、需給バランスに応じて変動する。年利6%以上を提供している通貨もある。場合によっては年利が20%になる。このように、通常の金融商品に比べて収益性が高い。 Compoundでもプールの仕組みが使われる。すなわち、貸し手と借り手を直接マッチングさせるのではなく、プールに資金をため込む。この資金は、Compoundが預かるのではなく、ブロックチェーン上にロックされる。ロックされた仮想通貨は、ブロックチェーン上のプログラムで管理される。借りたい人はそこから借りていく。これによって流動性不足の問題が解消された。 Compoundのプールに資金を供給すると、対価として「cToken」というものが付与される。これは、「債権トークン」とも呼ばれる。cTokenには、一定の利率が付与され、引き出すときには、利子が上乗せされて戻ってくる。cTokenを取引所で売却することもできる 。2021年5月時点でCompoundにロックされている資金は約81.5億ドルだ。 DeFiのレンディングプラットフォームには、この他に、Aave(アーベ)などがある。大手3サービスのローン残高は約160億ドル(約1兆8000億円)であり、年初から4.5倍に増えた。 ただし、これを日本の金融機関と比べると、三菱UFJ銀行の貸出金残高が107兆円だから、問題にならないほど少ない』、「大手3サービスのローン残高は約160億ドル(約1兆8000億円)であり、年初から4.5倍に増えた」、順調に増加しているようだ。
・『「誰でも使える」ことの意味は大きい  DeFiは、始まったばかりの新しいサービスなので、「一部のITマニアにしか使えないもの」と見られることが多い。しかし、事実は全く逆だ。 DeFi の利用にあたって、国籍は関係ない。スマートフォンとインターネットさえあれば、金融機能が十分でない国や地域でも、利用できる。 世界には、銀行口座を持ていない人が大勢おり、融資などの金融サービスを受けられないでいる。それに対して、DeFiでは、信用履歴の審査もなく、氏名などの個人情報も求められない。 従来は金融サービスを受けられなかった人々が金融サービスにアクセスできるようになることを、「金融包摂」(Financial Inclusion)」と言う。DeFiはまさにそれを実現するのだ』、マネーロンダリングに使われる懸念を別にすれば、「金融包摂」は望ましいことだ。
・『仮想通貨の原点に戻る動きと解釈できる  ビットコインて、秘密鍵の取得に際して、本人確認は行なわれない。その後、中央集権的組織である取引所が登場して、仕組みが大きく変わった。 DeFiにおけるDEXは、仮想通貨のもともとの仕組みへの「先祖帰り」だと考えることができる。 ところが、ビットコインなどの仮想通貨のシステムでは、送金だけが可能であり、融資などのサービスはなかった。 一方、スマートコントラクトを用いることによって契約の自動化が可能であることは、広く認識されており、これを用いて無人の事業者運営ができると考えられていた。DeFiは、それを実現しつつあると言える。 DeFiによってさまざまなサービスが提供されることになれば、仮想通貨だけですべての金融取引を行なう世界を作ることが可能だ。その意味で、大きな可能性を持つものだ。 ただし、現在のところ、利用者が増えたとはいえ270万人では、社会のごく一部といわざるをえない。相手がこのシステムを受け入れないと決済はできないから、利用価値は少ない。 これが、今後拡大するのか、あるいは一部の人々のものに終わってしまうのか、現在では何とも分からない』、「仮想通貨だけですべての金融取引を行なう世界を作ることが可能だ」、本当に可能なのかは別としても、今後の展開を注視したい。
・『DeFiの可能性と危険性  DeFiでは本人確認が行われないため、マネーロンダリング、不正蓄積資金やテロ資金の取引などの問題がついてまわる。 また 詐欺的なものも出始めているが、利用者保護の仕組みは不十分だ。 金融安定理事会(FSB)は、2019年に分散化金融技術に関する報告書を公表し、「金融システムの分散化は競争の拡大と多様性をもらたす可能性がある」と指摘する一方で、「法的責任の曖昧さや消費者保護に関する不確実性」に言及した。 日本でも、一部でDeFiが注目されているが、それは高い収益性を狙うことができるからだ。ウエブにあるDeFi関連の記事は、「DeFiでどう稼ぐか」といったものが多い。 上で述べたように、DeFiが新しい世界を作る可能性はあるものの、現時点でDeFi が提供するサービスは、DeFi の世界にとどまっており、現実の経済活動とリンクしていない。だから、現在、DeFiへの投資で高い収益率を挙げられるのは、資金が流入し続けているからだ。その意味ではバブルと言うことができる。 そうした条件下でDeFi取引に参加するのは、リスクが非常に大きいことに留意すべきだ。 私が残念に思うのは、日本発のDeFiプロジェクトがほとんどないことだ。上で述べたように、DeFiは将来の金融として大きな可能性を持っている。 それを、投機の対象としてしか見ないのでは、将来の可能性を捨て去ることになる。日本でも、建設的な動きが生じないものだろうか?』、「現在、DeFiへの投資で高い収益率を挙げられるのは、資金が流入し続けているからだ。その意味ではバブルと言うことができる」、「私が残念に思うのは、日本発のDeFiプロジェクトがほとんどないことだ。上で述べたように、DeFiは将来の金融として大きな可能性を持っている。 それを、投機の対象としてしか見ないのでは、将来の可能性を捨て去ることになる。日本でも、建設的な動きが生じないものだろうか?」、確かに「日本発のDeFiプロジェクト」が出てきてほしいものだ。

次に、9月21日付け日経新聞が転載したThe Economist「分散型金融、法規制で安定を」を紹介しよう。「分散型金融、法規制で安定を」を紹介しよう。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM190FU0Z10C21A9000000/
・『懐疑派にとって、批判材料は尽きない。最初の暗号資産(仮想通貨)ビットコインは初期の段階で違法ドラッグの支払いに使われた。最近のハッカーは身代金を仮想通貨で支払うよう要求する。今年、別の仮想通貨イーサのコードにバグを見つけたハッカー集団は数億ドルを盗んだ。世界中の「信者」が一獲千金を狙って取引する仮想通貨の時価総額は2兆2000億ドル(約240兆円)にのぼる。 15年に誕生したブロックチェーンネットワーク「イーサリアム」の利用が急速に広がっている。分散型金融の仕組みが従来の金融システムを大きく変える可能性がある=ロイター なかには狂信的な者もいる。エルサルバドルがビットコインを法定通貨にする取り組みに関わった起業家は、6月の発表の際に壇上で泣きながら、この国を救う決断だと主張した。 犯罪者、愚者、信仰の押しつけとなれば不快感は禁じ得ない。だが、分散型金融(DeFi、ディーファイ)と呼ばれる金融サービスの台頭は熟慮に値する。期待と危険を伴いつつも、金融システムの仕組みを再構築する力を秘めている。分散型金融のイノベーション(技術革新)の急速な拡大には、ウェブの発明初期の熱気に通じるものがある。人の生活のオンライン化がかつてなく進む中で、この暗号革命はデジタル経済の構造を抜本的に変える可能性すらある。 DeFiは金融に創造的破壊をもたらしている3つのテックトレンドの一つだ。巨大テック企業に代表される「プラットフォーマー」は決済分野や銀行業界に割って入り、各国は中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)に着手している。DeFiは権限を集中させるのではなく、分散する新たな道を切り開く。 その仕組みを理解するにはまず、ブロックチェーンを知る必要がある。コンピューターの巨大なネットワークが、改ざんできない記録を保持して共有する仕組みだ。中央機関はなく、そのデータは自動的に更新される』、「人の生活のオンライン化がかつてなく進む中で、この暗号革命はデジタル経済の構造を抜本的に変える可能性すらある」、その通りだ。
・『イーサリアム、透明性と低コストで急速に普及  2009年に登場した初の大規模なブロックチェーンであるビットコインは話題に事欠かない。だが、今最も注目すべきは15年に誕生したブロックチェーンネットワーク「イーサリアム」だ。一気に普及が進む段階に達しつつある。分散型金融のアプリケーションの大半がイーサリアム上に構築されており、イーサリアムの開発者は金融分野を大きな収益機会をもたらすターゲットとみている。 旧来の銀行は清算機関、コンプライアンス(法令順守)、資本規制、訴訟など、見知らぬ人の間で信用を維持するために巨大なインフラを必要とする。コストが高く、それが内部の者に握られている。クレジットカードの手数料や、大金融機関の幹部が所有するクルーザーを思い浮かべればわかるだろう。それに比べて、ブロックチェーン上の取引は少なくとも理論上は信頼性や透明性が高く、低コストで迅速だ。 使われる専門用語には近寄りがたい感はある。手数料は「ガス」、その通貨は「イーサ」、デジタル資産の権利証書は「非代替性トークン(NFT)」などと呼ばれる。だが、分散型金融の世界での基本的な活動は身近なことだ。例えば、交換所での取引、融資の実行、契約を自動的に実行する「スマートコントラクト」による預金の受け入れなどだ。 活動の目印となる担保として使われているデジタル商品の価値は18年初めはゼロに等しかったが、今では900億ドルに達する。21年4~6月期にイーサリアムが承認した取引の額は2兆5000億ドルに上った。これは米カード決済大手ビザの決済処理額に匹敵し、米ナスダック市場の取引高の6分の1にあたる。 分散型で摩擦の少ない金融システムを構築するという夢はまだ始まったばかりだ。DeFiはさらに挑戦的な分野に広がっている。仮想通貨のウォレット(電子財布)「メタマスク」は、1000万人にのぼる利用者のデジタルIDとして機能している。分散型の仮想空間「メタバース」に入り、メタマスクの利用者が営む店を利用するためには、自分の分身であるアバターに電子財布をリンクさせる。 消費のオンラインシフトが進むなかで、こうしたデジタル世界の覇権争いは激しさを増すだろう。巨大テックがこの世界に重税を課す可能性もある。アップストアで米アップルが取り立てる手数料や米フェイスブックがアバターの個人情報を売ったりする状況を想像してみてほしい。分散型金融なら利用者同士が互いに運営し合うかたちで必要な機能を提供でき、より優れているといえるかもしれない。決済サービスや財産権を提供することもできる。 仮想通貨マニアはここに理想郷を見いだすだろう。だが分散型金融が米銀大手JPモルガン・チェースや米決済大手ペイパルのような信頼を得る道のりは遠い。問題のなかには単純なものもある。ブロックチェーンのプラットフォームは機能の拡張が難しく、コンピューターの使用で大量の電力を浪費しているとしばしば批判される。だが、イーサリアムには自己改善の仕組みがある。需要が高まれば承認作業の手数料が上がり、開発者に利用を抑えるよう促す。イーサリアムは近く改善版がリリースされる予定だが、いずれは他のより優れたブロックチェーンが取って代わる可能性もある』、「イーサリアムは近く改善版がリリースされる予定」、使い勝手はどんなによくなるのだろうか。
・『仮想経済にも現実世界とのつながりが不可欠  分散型金融については、独自の基準を持つ仮想経済が現実の世界とどう関わっていくかが問題になる。懸念の一つは価値を支える外部の後ろ盾がない点だ。仮想通貨は、人々がその有用性に共通の期待を抱くことに依拠しているという点では、米ドルと変わりはない。 だが、従来の通貨は権力を独占する国家と、最後の貸し手である中央銀行の支えがある。分散型にはこうした後ろ盾がないため、パニックに弱い。仮想世界の外での契約の実行にも懸念が残る。ブロックチェーンの契約で家の所有権があるといっても、立ち退きを執行するには警察が必要になる。 DeFiのガバナンスと説明責任は発展途上だ。コードを書くうえでのミスが避けられないため、取り消しがきかず人の手で上書きできない大型取引の連鎖には危険が伴う。イーサリアムと金融システムの境界のグレーゾーンでは統治が行き届かず、マネーロンダリング(資金洗浄)が横行している。分散型とうたいつつも、大きな影響力を握るプログラマーやアプリ所有者もいる。悪意を持つ者がブロックチェーンを運営するコンピューターの大半を乗っ取る事態が起きる危険もある。 デジタル自由主義者はDeFiの自治体制を維持することを望むだろう。不完全でも、純粋だからだ。だが分散型金融が成功するためには、従来の金融システムや法制度との統合が不可欠だ。仮想通貨に詳しい米証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長が指摘したように、DeFiのアプリケーションの多くは、分散型の組織に運営され、ルールを決められている。こうした組織を法規制の対象にしなくてはならない。各国の中銀が参加する国際決済銀行(BIS)は、仕組みに安定性を持たせるために、DeFiアプリで国が発行するデジタル通貨を使えるようにすることも提案している。 金融は大テックプラットフォーム、大きな政府、そして分散型金融の3者の革新性と欠陥を伴ったビジョンが競いつつ融合する新たな時代に入った。それぞれに技術体系があり、経済運営のあり方について独自のビジョンを具現化している。1990年代のインターネット勃興期と同様に、この変化の行方は誰にもわからない。だが、この動きは通貨の機能を変える可能性があると同時に、デジタル世界全体を変える力も秘めている』、「金融は大テックプラットフォーム、大きな政府、そして分散型金融の3者の革新性と欠陥を伴ったビジョンが競いつつ融合する新たな時代に入った」、「この動きは通貨の機能を変える可能性があると同時に、デジタル世界全体を変える力も秘めている」、今後の展開は要注目だ。

第三に、1月13日付け東洋経済Plus「大手からベンチャーまでが魅せられる新経済圏 熱狂メタバースに突き進む「あの企業」の皮算用」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/29432/?utm_campaign=EDtkprem_2201&utm_source=edTKO&utm_medium=article&utm_content=502434&login=Y&_ga=2.65615598.1595207122.1641535678-441898887.1641535678#tkol-cont
・『IT・ネットにエンタメ・ゲーム、製造業まで、参入企業の顔ぶれは多種多様だ。何が彼らをメタバースに駆り立てるのか。 雷門から仲見世通りを抜けると、浅草寺の本堂が見えてくる。脇にそびえる五重塔を上れば、眼下の景色を見下ろすこともできる――。 仮想空間上で独自の世界を作ったり、散策したりできるアメリカ発のメタバースサービス「ザ・サンドボックス」。ここに「MetaAsakusa(メタアサクサ)」を構築中なのが、普段はカメラマンとして活動する武藤裕也さんだ。 コンピューターグラフィックス(CG)制作についてはまったくの素人。メタバースやブロックチェーン技術には以前から興味があり、仮想世界に浅草寺周辺の風景を再現するプロジェクトを発足しツイッターなどで呼びかけたところ、多くの個人クリエーターの協力を得ることができた。 「協力者の皆さんの熱量がものすごく、メタバースという新しい市場の可能性を感じる」(武藤さん)。メタアサクサには今後、お賽銭ができる機能や、NFT(Non-Fungible Token=非代替性トークン)を用いたアート作品の展示・販売を行える仕組みなども実装していきたい考えだ。 【キーワード解説】NFT Non-Fungible Token(非代替性トークン)の略。「電子証明書」のようなもので、改ざんが難しいブロックチェーン技術を用いて、アートやゲームアイテムなどのデジタルデータに作者の情報などを記載。その作品が唯一無二のものであることを証明する。第三者への転売も可能で、売買金額の一定割合を原作者に還元するプログラムを書き込むこともできる』、「メタアサクサには今後、お賽銭ができる機能や、NFT(Non-Fungible Token=非代替性トークン)を用いたアート作品の展示・販売を行える仕組みなども実装していきたい考えだ」、ずいぶん使い勝手がよくなるようだ。
・『”住み着いている”ユーザーも  メタバースとは、インターネット上の仮想空間のこと。アメリカのSF作家、ニール・スティーヴンスンが著書の中で仮想世界の名称として使用し、近年、IT・ネット業界でこの言葉がさかんに飛び交うようになった。 ユーザーは自身のアバター(分身となるキャラクター)を介し、メタバース上で行動したり、ほかの人々と交流したりする。ヘッドセット型のVR(仮想現実)デバイスのほか、パソコンやスマートフォンの画面で楽しめるものも多い。新型コロナウイルスの感染拡大でリアル空間に大人数で集まることが困難になり、その代替としても熱狂度を高めている。 冒頭のメタアサクサのように、企業が提供するプラットフォーム上でユーザーが自由に空間や過ごし方を発展させられるのもメタバースの醍醐味だ。 2017年からメタバースサービスを提供するクラスターでも、ユーザーは同社のCG制作キットを用い、カフェを作って”飲み会”を開催したり、競馬場を作ってゲームに興じたりしている。「1日10時間以上滞在するなど、ここに”住み着いている”ユーザーもいる」。クラスターの加藤直人CEOはそう話す。 仮想空間でお金を稼ぐ人々も出現している。先述のサンドボックスの仮想空間には広大な土地があり、運営会社が定期的に土地をNFTとして売り出すが、毎回ものの数秒で売り切れる人気ぶりだ。アディダスなどの有名企業や著名アーティストも土地を所有しており、その隣接地などのNFTは「オープンシー」といった取引所で高値で売買されている。 昨年の夏頃にサンドボックスの土地を購入したAさんは、IT企業勤務の30代男性。ほかの類似のゲームも合わせると、数千万円の含み益が出ているという。「サンドボックスは著名人とコラボした土地の販売で話題を集めるのがうまい。用途がまだ不透明な中で、これだけ(売買が)盛り上がっているのには驚く」とAさんは話す』、「ユーザーは同社のCG制作キットを用い、カフェを作って”飲み会”を開催したり、競馬場を作ってゲームに興じたりしている。「1日10時間以上滞在するなど、ここに”住み着いている”ユーザーもいる」」、セミプロのような人物も出てきているようだ。
・『猛攻のメタ、グリーも巨額投資  急過熱するメタバース市場に、世界の名だたる企業も次々と参戦している。 号砲を鳴らしたのが、フェイスブックから社名を改めたメタだ。2021年10月に行った発表会では社名変更のほか、メタバース関連事業の開発などにあたる人材を今後1万人雇用することを発表。すでにメタバース領域に年間約1兆円を投じている。 同12月にはメタバースアプリ「ホライズン・ワールド」をアメリカとカナダで一般公開した。ユーザーはメタが開発するVRデバイス「オキュラス・クエスト 2」を用い、会議などを行える仮想オフィス空間「ホライズン・ワークルームズ」や、外部企業が開発したVRゲームなどを利用できる。 「イマ―シブル(没入感)とインターオペラビリティ(相互運用性)を追求すれば、(友人や同僚など)人と人との距離感をより近くできる。これは当社が既存のサービスを通じても目指してきたことだ。現実世界と仮想世界を行き来できるようなメタバースを目指していく」。フェイスブックジャパンの味澤将宏代表はそう話す。 メタバースの可能性を世に知らしめたのは、アメリカのエピックゲームズが2017年に開始した「フォートナイト」だ。数十~100人単位が同時にプレーできる対戦型オンラインゲームとして誕生し、現在世界中で数億人のユーザーを抱える。ゲームのほか、仮想空間内で音楽ライブなどを開催できるパーティーロイヤルモード、ユーザー自らが作った建物などで遊べるクリエイティブモードも備えるのが特徴だ。 とくに音楽ライブとは相性がいい。会場の収容人数という制約がないうえ、コロナ禍でリアルの開催が難しいことも相まって、1度に1200万人以上を動員するケースも出ている。2020年には米津玄師が、2021年には星野源などがフォートナイト内でバーチャルライブを開催するなど、日本のアーティストによる活用も進む。 日本勢でも猛攻を仕掛ける企業はある。その1つがグリーだ。 2021年8月にメタバースへの参入を発表。子会社のリアリティが運営する2次元バーチャル配信アプリを発展させる形での事業拡大を狙う。現在、同社の利益の大半を稼ぐのはスマホゲームだが、ヒット作の有無に左右されやすい。今後2、3年でメタバースに約100億円を投じ、成長を牽引する次の柱に育成したい考えだ。 直近ではバンダイナムコやセガなど、強力なIP(ゲームキャラクターなどの知的財産)を持つ企業も関連市場へ踏み出している。ゲームやキャラクターの持つ世界観を仮想空間で表現しファンを呼び込むことで新たな商機をつかもうとする動きは活発で、アメリカのディズニーも2021年11月の決算発表時に名乗りを上げた。 漫画のIPを保有する出版社を顧客に抱える国内印刷大手の大日本印刷(DNP)も、独自のメタバース構想を発表している。これまでも街頭サイネージ、商品パッケージを活用したキャンペーンなど、リアルとデジタルを横断する取り組みを多く手がけており、それらのノウハウを生かす。 「メタバースが普及しても、リアルな場所やグッズへの需要が消えるわけではない。両者をつなぐようなビジネスでは、当社にしかできない役割があると思う」(DNPのコンテンツコミュニケーション本部XRコミュニケーション事業開発部企画・開発課の上田哲也課長) 足元では企画展・物販などを行う渋谷の自社拠点「東京アニメセンターin DNP PLAZA SHIBUYA」を活用し、リアル・バーチャルの両軸で開催するファンイベントなどを展開している』、「急過熱するメタバース市場に」、内外の「名だたる企業も次々と参戦している」。
・『「手取り足取りの支援」に商機  メタバースを活用したい企業の支援で稼ぐベンチャーも台頭している。 前出のクラスターは個人向けサービスの傍ら、法人向けにメタバースの企画制作や開発を行う。かつてはエンタメ企業の依頼が多かったが、2020年以降は社内外のカンファレンスに使いたいといった要望が増えたという。不特定多数のユーザーが自由に参加できるメタバースとは、また違った用途だ。 「店舗や支店を多く持つ大企業だと、全社会議を行うのに膨大な交通費や宿泊費がかかる。ビデオ会議を使うケースも多いが、大人数だと虚空に向かって話している感じが否めず一体感が出ない。メタバースを使う利点はコロナ後も残り続けるだろう」(クラスターの加藤CEO)。配信当日のディレクションも含めトータルに支援することで、不慣れな企業からの需要を取り込んでいる。 一方、法人向け支援に特化するSynamon(シナモン)は小規模なイベントや会合の作り込みを売りにする。例えば、三井住友海上向けには事故車を精査する人員の研修用の仮想空間を提供。以前は研修所に出向いてもらい実物を前に行っていたものを、大幅に簡便化できた。 空間内では仮想の事故車をあらゆる角度から観察したり、メジャーを使ってきずのサイズを測ったりと、現地研修と同様のリアルな体験ができる。 シナモンはこれ以外にも、小売り企業向けのVRショールームなどさまざまな案件を手がける。「(メタバース活用に)興味はあるが、アイデアや技術がないという会社は多い。初期段階のコンサルティングから一気通貫で担い、目的に合った活用になるよう支援している」(シナモンの武井勇樹COO〈最高執行責任者〉)。 大手企業もこれらのベンチャーに目をつける。とくに熱心なのは通信各社だ。 NTTドコモは2021年11月、世界最大級のVRイベント「バーチャルマーケット」を運営する日本のベンチャー・ヒッキーに65億円を出資。発表のリリースで「XR(VR・AR〈拡張現実〉などの総称)が“ポストスマホ”として日常・非日常を問わず利用される世界を実現する」と意気込みを表明している。KDDIも前出のクラスター、シナモンにそれぞれ出資している。 まさに「ネコもしゃくしも」状態に突入したメタバース。市場全体は今後ますます拡大するとみられるが、この領域の事業で飛躍できる企業は限られるだろう。ブームに埋もれず成功をつかめるか、各社の腕が試される』、「まさに「ネコもしゃくしも」状態に突入したメタバース」、「ブームに埋もれず成功をつかめるか、各社の腕が試される」、今後の展開が見ものだ。
タグ:(その1)(「分散型金融・DeFi」は金融の世界を一変させるか…? 始まったブロックチェーン金融の可能性、The Economist:分散型金融 法規制で安定を、大手からベンチャーまでが魅せられる新経済圏 熱狂メタバースに突き進む「あの企業」の皮算用) 「「分散型金融・DeFi」は金融の世界を一変させるか…? 始まったブロックチェーン金融の可能性」 「メタアサクサには今後、お賽銭ができる機能や、NFT(Non-Fungible Token=非代替性トークン)を用いたアート作品の展示・販売を行える仕組みなども実装していきたい考えだ」、ずいぶん使い勝手がよくなるようだ。 「まさに「ネコもしゃくしも」状態に突入したメタバース」、「ブームに埋もれず成功をつかめるか、各社の腕が試される」、今後の展開が見ものだ。 The Economist 「大手3サービスのローン残高は約160億ドル(約1兆8000億円)であり、年初から4.5倍に増えた」、順調に増加しているようだ 「金融は大テックプラットフォーム、大きな政府、そして分散型金融の3者の革新性と欠陥を伴ったビジョンが競いつつ融合する新たな時代に入った」、「この動きは通貨の機能を変える可能性があると同時に、デジタル世界全体を変える力も秘めている」、今後の展開は要注目だ。 東洋経済Plus 「急過熱するメタバース市場に」、内外の「名だたる企業も次々と参戦している」。 本当に可能なのかは別としても、今後の展開を注視したい。 「ユーザーは同社のCG制作キットを用い、カフェを作って”飲み会”を開催したり、競馬場を作ってゲームに興じたりしている。「1日10時間以上滞在するなど、ここに”住み着いている”ユーザーもいる」」、セミプロのような人物も出てきているようだ。 日経新聞 「分散型金融、法規制で安定を」 ブロックチェーン 「人の生活のオンライン化がかつてなく進む中で、この暗号革命はデジタル経済の構造を抜本的に変える可能性すらある」、その通りだ。 「プールに預け」た「仮想通貨」が戻ってこないリスクはあるのだろうか。 現代ビジネス 野口 悠紀雄 「イーサリアムは近く改善版がリリースされる予定」、使い勝手はどんなによくなるのだろうか。 「現在、DeFiへの投資で高い収益率を挙げられるのは、資金が流入し続けているからだ。その意味ではバブルと言うことができる」、「私が残念に思うのは、日本発のDeFiプロジェクトがほとんどないことだ。上で述べたように、DeFiは将来の金融として大きな可能性を持っている。 それを、投機の対象としてしか見ないのでは、将来の可能性を捨て去ることになる。日本でも、建設的な動きが生じないものだろうか?」、確かに「日本発のDeFiプロジェクト」が出てきてほしいものだ。 「DeFiに流入した資産総額は」、「600億ドル程度」とはかなりの規模だ。 マネーロンダリングに使われる懸念を別にすれば、「金融包摂」は望ましいことだ。 「大手からベンチャーまでが魅せられる新経済圏 熱狂メタバースに突き進む「あの企業」の皮算用」を
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

電気自動車(EV)(その11)(EV電池の中国CATLを見て 日本の自動車産業の将来に危機感 沸騰・欧州EV(15)、課題山積でも「日本でEV普及が急加速できる」根拠電 力不足や充電渋滞は工夫すれば回避できる、いすゞのEVトラックが自動車産業と日本経済に与える 侮れないインパクト) [イノベーション]

電気自動車(EV)については、8月18日に取上げた。今日は(その11)(EV電池の中国CATLを見て 日本の自動車産業の将来に危機感 沸騰・欧州EV(15)、課題山積でも「日本でEV普及が急加速できる」根拠電 力不足や充電渋滞は工夫すれば回避できる、いすゞのEVトラックが自動車産業と日本経済に与える 侮れないインパクト)である。

先ずは、9月15日付け日経ビジネスオンライン「EV電池の中国CATLを見て、日本の自動車産業の将来に危機感 沸騰・欧州EV(15)」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00122/091400093/
・『欧州委員会が電池産業の育成を明確にし、欧州各社が巨大な電池工場の建設計画を打ち出しています。官民一体で自動車の電動化に突き進む欧州の動向をどのように捉えるべきでしょうか。日経ビジネスは、専門家が解説する日経ビジネスLIVE(オンラインセミナー)「電気自動車で日本は勝てるのか~欧州の野望を読み解く」を9月15日(水)16:00~17:00に開催します(事前登録制、日経ビジネス電子版有料読者は受講料無料です)。詳細についてはこちらをご覧ください。今回は登壇するZFジャパン社長の多田直純氏のインタビューの一部をお届けします(Qは聞き手の質問)。 多田さんはドイツのボッシュや中国の寧徳時代新能源科技(CATL)でマネジメント経験があり、現在はZFジャパン社長として自動車サプライヤーに精通しています。Q:今のEV市場の状況をどのように見ていますか。 ZFジャパン社長の多田直純氏(以下、多田氏):中国では、今年から来年にかけて電池の生産量が急激に伸びていきそうな勢いです。それから考えると市場にEVが出始めるのが、2022年や23年ぐらいになりそうです。おそらく3〜4年前の17年や18年ぐらいに生産設備への投資計画を考え始めたと思います。 その頃の17年に私はCATLに入りました。そのときは欧州や日本の自動車メーカーが、CATLに何度も足を運んでいたときです。CATLの本社がある寧徳(ニンドゥ)にあるワンダプラザホテルにいつも泊まっていたんですけど、そこには欧州の自動車メーカーの人たちが毎日いましたね。 Q:そのときには実際、自動車メーカーとCATLはどのような交渉をしていたのですか。 多田氏:日本の自動車メーカーは、電池の供給量の約束をしてほしかった。生産量の確保のために動いていましたね。当時、日本の自動車メーカーは日本の電池メーカーと距離を取り始めていました。 (多田 直純氏の略歴はリンク先参照」 Q:その頃には技術面や品質面の課題はクリアになっていたのですか。 多田氏:当時、日本の自動車メーカーは自分たちの基準を製品に反映しようとしていました。プラットホーム(車台)の開発に5年以上かかるような話を持ってくるのに対し、中国は非常に短い開発期間で対応するという話をしました。逆にCATLの方に日本の自動車メーカーの品質の高さやノウハウを植え付けるような話をしながら、ウイン・ウインの関係を築くようにしました。 Q:欧州勢と日本勢のアプローチの仕方は違ったのですか。 多田氏:違いますね。欧州の顧客たちは切り替えが早かったです。というのは、欧州顧客の最初の新エネルギー車(NEV)は、中国限定だったのですよ。スペックも中国限定とし、そのときに欧州の顧客が開発プロセスや品質プロセスをCATLに教えて、CATLはそれを勉強していきました。その後、中国のスペックからグローバルのスペックに持っていく過程には時間をかけていました』、「欧州顧客の最初の新エネルギー車(NEV)は、中国限定だったのですよ。スペックも中国限定とし、そのときに欧州の顧客が開発プロセスや品質プロセスをCATLに教えて、CATLはそれを勉強」、「その後、中国のスペックからグローバルのスペックに持っていく過程には時間をかけていました」、「中国限定」でやるとは急いでやるのは上手いやり方だ。
・『日本と欧州の自動車メーカーで2年ぐらいのギャップがあった  ドイツ勢はいち早くEVを商品化することを目的とし、CATLと付き合っていたのでしょうか。 多田氏:日本の顧客は、中国における電池の開発能力の高さや開発者の質、開発スピードの速さなどを見て、CATLと組まないと自分たちは中国で成功しないということに気付いたんだと思います。欧州の自動車メーカーは、もっと早いうちにそれが分かっていたのかもしれません。欧州の自動車メーカーと日本の自動車メーカーでは電池の使いこなしという点で、当時は2年ぐらいのギャップがあったように感じていました。 Q:そもそも多田さんはどのような経緯で、CATLの日本法人トップになったのですか。 多田氏:前の会社を辞めた後にヘッドハンターから電話がかかってきて、それで「来いひんか」という話があり、何回かCATLの幹部の人と電話でやりとりした後に本社に行きました。 今はCATL本社としてすごい立派なビルがあるんですけど、それもできていない頃です。小さなオフィスを借りてみんなが頑張ってやってはったときだったんですよ。まあ、こんなにみんな一生懸命やってエネルギーに満ちた会社を久しぶりに見たなと思って。 ロビンという創業者兼CEO(最高経営責任者)とも話をしたら、本当にどうやって日本のお客さんと仕事ができるやろう、どうやって教えてもらえるやろうとか言ってくれて、エネルギーに満ちた会社と幹部の人たちの気持ちとか熱意とかに感動して、入社を決めました。 Q:それがCATLの成長の原動力だったのですね。 多田氏:そうです。僕は中国の若いエンジニアたちのすごいエネルギーと向上心、まじめな勤務態度とか、それから多大な資本というのを見たときに、日本は負けると思いました。だからCATLにいたとき頭の中にずっとあったのは、このCATLと日本の自動車メーカーをつながないと、将来日本の自動車メーカーはえらいことになるんじゃないかということなんですよ』、「中国の若いエンジニアたちのすごいエネルギーと向上心、まじめな勤務態度とか、それから多大な資本というのを見たときに、日本は負けると思いました。だからCATLにいたとき頭の中にずっとあったのは、このCATLと日本の自動車メーカーをつながないと、将来日本の自動車メーカーはえらいことになるんじゃないかということなんですよ」、なるほど。
・『欧州と中国は似ている面がある  欧州はムービングゴールポストというか、勝手にゴールポストをつくるとか、ルールづくりで勝つ意識が強いように感じます。多田さんは欧州のルールづくりの在り方とか目標設定をどう受け止めていますか。 多田氏:あまり僕も詳しいことは分からないんですけど、最近の報道なんかを見ていたり、読んだりしていると、以前の中国と似ているなと思いました。以前、中国では自動車に関していろいろな規制を発表したり、優遇措置を出したりなど、本当に1週間ごとぐらいに新しいニュースが入ってくるような時期がありました。今は欧州がそんな感じがしますよね。ですので、印象としては欧州も中国と同じようになってきたというイメージを持っています。 欧州と中国は人権意識などで大きな違いがある一方で、意外に共通点があると感じます。米国はどちらかというと民間がイノベーションの主体になりますが、欧州はむしろ規制ベースで枠をはめてイノベーションを起こすという仕組みがあるように感じます。 多田氏:まさにそんな感じですね。あるいは逆に中国の市場を見据えた欧州自動車メーカーの電動化への動きということから考えると、欧州の政府と自動車メーカーは一緒に考えている印象も受けます。独ミュンヘン国際自動車ショーでもメルケル独首相が、ZFのブースを訪問し、弊社CEOのシャイダーと次世代のモビリティのソリューションについて議論されていました。(続きは、9月15日の日経ビジネスLIVE「電気自動車で日本は勝てるのか〜欧州の野望を読み解く」をご視聴ください)』、「電気自動車で日本は勝てるのか〜欧州の野望を読み解く」は、セミナーのPRなので紹介は省略。「欧州はむしろ規制ベースで枠をはめてイノベーションを起こすという仕組みがあるように感じます」、というのは「中国」のやり方に近い。このままでは、「CATL」と日本の自動車メーカーの格差は開く一方だ。

次に、10月10日付け東洋経済オンライン「課題山積でも「日本でEV普及が急加速できる」根拠電 力不足や充電渋滞は工夫すれば回避できる」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/461216
・『2050年のカーボンニュートラル  二酸化炭素排出量の実質ゼロ)に向けて、自動車業界も対応を迫られている。その主役と目されるのはEV(電気自動車)だが、普及に向けた課題もある。『週刊東洋経済』10月9日号は「EV産業革命」を特集。欧州を震源に巻き起こるカーボンニュートラルの動きに、トヨタ自動車を筆頭とした日本の自動車産業はどう対応していくのか。EMS(電子機器の受託製造サービス会社)世界最大手の台湾・鴻海精密工業や中国・ファーウェイといった異業種の参入により、車づくりはどう変わっていくのか。激動の自動車産業に迫る。 EVの価格の高さや品ぞろえの少なさ、充電インフラの不足などから日本でのEV普及は遅れている。また、日本は7割を火力発電に依存しているため、EVによるCO2削減効果への疑問やEV普及によって増える電力量を心配する声もある。こうしたEVに対する疑問や、普及に伴うさまざまな課題をどう解消していけばよいのだろうか。 脱炭素化を研究する櫻井啓一郎氏に聞いた(Qは聞き手の質問、Aは櫻井氏の回答)』、興味深そうだ。
・『電力不足に対応する時間は十分にある  Q:EVが普及すれば、電力不足になると心配する声があります。日本自動車工業会の会見で、豊田章男会長(トヨタ自動車社長)が「国内の乗用車がすべてEV化したら、夏の電力使用のピーク時に電力不足になる。解消には発電能力を10~15%増強しないといけない。これは原子力発電で10基、火力発電なら20基に相当する」と述べています。 A:国内の乗用車総保有台数約6200万台が全部EVに置き換わったとして、1年間に必要な電力を試算すると現在の日本の年間総発電量の約1割となる。 だが、問題はEVの普及によって増える電力量よりも、充電するタイミングが重なることだ。豊田会長の試算は、それを念頭に置いているのではないかと思う。 Q:約1割増える電力はまかなうことができる、と。 A:今すぐに新車販売をすべてEVに切り替えたとしても、約6200万台の乗用車をすべてEVに置き換えるのに15年かかる。その前に新車販売をすべてEVにするにも何年もかかる。対処する時間は十分にあるはずだ。 Q:そもそも日本は電力の約7割が火力発電由来です。EVに切り替えてCO2排出量は減るのでしょうか。 A:今の日本の電力構成を前提に見積もると、送電と充電のロスを考慮しても、EVのライフサイクル(製造時から廃棄時まで)全体でのCO2排出量はハイブリッド車(HV)と同程度になる。 ただ、日本が今後(再生エネルギーの比率を増やすなど)電力の(CO2の)低排出化を進めていけば、販売済みのEVのCO2排出量も減少していく。欧州やアメリカのカリフォルニアのようにすでに電力の低排出化が進んでいる地域では、現時点でもHVよりEVのほうが何割も低排出になっている。) Q:再エネは太陽光にしろ、風力にしろ、稼働が不安定という問題があります。 櫻井氏の略歴はリンク先参照) A:EVの蓄電能力を利用することで太陽光や風力を有効に活用できる。現時点でも太陽光による電力が余ることがある。今はその余った電力を捨てている。 一方、EVは大容量の電池を積んでいるが、どの時間帯でも約9割の車両は駐車されている。電力が余る時間帯に安くEVを充電し、電力需要が高いときにEVにためておいた電気を使うことで、捨てられるはずだった再エネ電力を有効活用できる。 そうすれば再エネ事業者の採算性が改善して需要ピーク時の電力コストを抑えられるため、EVを持たないユーザーにとってもプラスになる。何より国全体で再エネ電力を増やし、カーボンニュートラルへと近づくことができる。 EVと家とで電力を融通し合うV2H(ビークル・トゥー・ホーム)や、EVを電力系統全体で有効活用するV2G(ビークル・トゥー・グリッド)と呼ばれるシステムも期待できる。現在は高価だが、EV用の車載インバーター(モーターの回転速度を制御する装置)の活用で安価にできる余地がある』、「どの時間帯でも約9割の車両は駐車されている。電力が余る時間帯に安くEVを充電し、電力需要が高いときにEVにためておいた電気を使うことで、捨てられるはずだった再エネ電力を有効活用できる」、「国全体で再エネ電力を増やし、カーボンニュートラルへと近づくことができる」、なるほど。
・『カギは充電タイミングの分散  Q:充電のタイミングが集中する問題に対応できますか。電力逼迫時に一斉にEVが充電をすれば、停電が起きる懸念もあります。 A:ユーザーがEVを充電するタイミングについて何も対策をしないと、電力需要のピーク時に充電も集中し、必要な発電容量が増えてしまう。だが、EVの機能をフルに活用すれば、ピーク時の電力需要を下げることが可能だ。 例えば、夕方帰宅してすぐに自宅でEVを充電しようとすれば、住宅での電力需要が増えるタイミングと重なるのでよくない。帰宅してEVをコンセントにつないでもすぐに充電が開始されるのではなく、夜中に電力需要が下がってから自動的に充電を始められるようにしなくてはいけない。 実は、EVの多くには充電のタイミングをコントロールする機能が搭載されている。朝の7時に充電を終えるようにセットしておけば、残量から逆算して(電力需要の少ない)夜中に自動で充電を開始してくれる。こうした機能があることは、EVの保有者にもあまり知られていない。販売時点でこの機能をオンにしておくようにすると、充電の需要が集中するリスクの回避に有効だろう。 Q:消費者がEVの購入に消極的な理由として、充電インフラの不足もあります。 A:自宅での基礎充電と外出先での急速充電――この2つのインフラを整えなくてはいけない。ただし国全体の電力需給の観点からは、日常では基礎充電を使うようにして急速充電の利用は遠出をする際に絞るなど、補完的な位置づけにすべきだ。 基礎充電は先ほど述べたV2Hでメリットを出していく。職場には充電できる環境がまだ少ないので、その整備も必要になる。) Q:急速充電は補完的な位置づけだとしても、国内の急速充電器はまだ少なく、ガソリンの給油に比べると時間がかかります。EVが普及すれば、充電待ちの行列ができるのではないでしょうか。 A:海外では150~400キロワットと高出力な充電器を多数設置するインフラ整備が進められており、休憩時間中に充電するだけで遠出が可能になりつつある。対して、日本の高速道路には出力が最大90キロワットまでの充電器しか設置されていない。基数も少なく、充電待ちも長くなりがちだ。 ただ、EVの充電はガソリン車の給油よりも便利な点がある。EVならコンセントにつないでから、その場を離れて用事を済ませることができる。トイレに行ってもいいし、食事をしてもいい。タバコだって吸える。夏場ならエアコンをかけて車内で待っていてもいい。ガソリン車は給油中に車を離れにくいので、用事を済ませてから給油しないといけない。 また、急速充電器そのものが進化しているため充電時間は短くなっている。ガソリンなら給油にかかるのが約3分としても、代金を払ったりしていればトータルでは5分くらいはかかるものだ。EVの充電なら充電の終了と同時に支払いまで自動でできる。さらに急速充電が進化すれば、充電時間の長さはそこまで気にならなくなるのではないか。 業務用の車両などでは無線充電の利用も考えられており、すでに規格化も済んでいる。) Q:こうしたインフラ整備には多額のコストがかかり、一方で収入は限られます。民間企業がきちんとしたビジネスモデルを描けるのでしょうか。 A:EVは猛烈な勢いで価格低下が進んでいるため、車単体で儲けるのは難しくなるかもしれない。安くなったEVを活用してどんなビジネスを展開するかが重要になるのではないか。 EVと自動運転を組み合わせた運送業、家の電力とEVを組み合わせたV2Hのサービスなど、EVを活用して業界の垣根を超えたサービスを考えていくことになる。 急速充電器はこうした新しいビジネス候補の1つになるだろう。実際、テスラは自前で急速充電器「スーパーチャージャー」を整備して顧客サービスの強みにしている。最近は他メーカーに充電網を開放するという話もあるが、その場合はテスラに巨額の収入をもたらすとも言われている』、「EVの多くには充電のタイミングをコントロールする機能が搭載されている。朝の7時に充電を終えるようにセットしておけば、残量から逆算して(電力需要の少ない)夜中に自動で充電を開始してくれる」、便利になったものだ。「海外では150~400キロワットと高出力な充電器を多数設置するインフラ整備が進められており、休憩時間中に充電するだけで遠出が可能になりつつある。対して、日本の高速道路には出力が最大90キロワットまでの充電器しか設置」、日本でも「高出力な充電器」を設置すべきだ。
・『欧州は充電網に対する民間投資を呼び込めている  欧州では先を争うように事業者が急速充電器を整備している。ユーザーは契約している事業者なら安く充電できるが、契約外の事業者だと高い。事業者は携帯電話のローミングにも似たこの商売で競っており、よい充電器の設置場所は取り合いになっている。充電網に対する民間投資を呼び込めているといえる。 EVの電力が余っているときに系統につないで電力会社に売るといった商売もあるかもしれない。周辺サービスを含めて今から取り組んでいくことが大事ではないか。 Q:EVシフトが進むと、雇用への打撃は避けられません。 A:今後EVの価格が安くなって充電環境も整うと、EVがメジャーになると見られている。すでに、ノルウェーなどの国では実証されていることだ。 ただ、EVは部品点数が少ないうえに車両価格も下がっていくため、生産台数あたりの雇用も減ると見られている。 しかも、各国が巨額の支援を行い、コスト・規模・技術のすべてにおいて激しく競い合っている。欧州は中国などへの対抗を念頭に、域内での生産・雇用を確保するように動いている。アメリカも同じ。EVをあきらめることは、自動車産業をあきらめると同義だと捉えられている。 EVが普及すると、どのみち産業構造も変わらざるをえず、その変化の規模も大きくなるはずだ。それが日本も含め、各国の自動車業界が政府への支援を求める理由になっている。国全体でこの課題を認識しておく必要があるのではないか』、「政府の支援」は何らかの形で必要なのだろうが、「支援」は最小限に留めるべきだろう。
・『課題を解決することがビジネスチャンスになる  Q:急速充電が進化すれば、短時間に大量の電力が必要です。電力システムへの負荷が大きく、対応するには多額の設備投資が必要になります。 A:そのとおり。例えば、東名高速道路の海老名サービスエリアには現在、上り下りのそれぞれにガソリンの給油機が9台ある。そこで1時間に給油する台数や給油量と同じだけEVを急速充電しようとすれば、おそらく鉄塔を使うような送電線を追加しないといけない。高速道路事業者がそこまで投資をするのは難しいだろう。 サービスエリアでも電力需給が逼迫する時間、急速充電が混雑する時間などで充電料金を高くすることが考えられる。ただ、サービスエリアに太陽光発電や蓄電池を設置すれば、送電線の容量を減らすことができる。投資額は増えるが非常用の電源にもなり、災害対策としても意味がある。いずれにしろ課題があれば、それを解決することがビジネスチャンスになる』、「東名高速道路の海老名サービスエリアには現在、上り下りのそれぞれにガソリンの給油機が9台ある。そこで1時間に給油する台数や給油量と同じだけEVを急速充電しようとすれば、おそらく鉄塔を使うような送電線を追加しないといけない」、「太陽光発電や蓄電池を設置すれば、送電線の容量を減らすことができる」、充電ネットワークの設計も重要なようだ。

第三に、11月23日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した法政大学大学院教授の真壁昭夫氏による「いすゞのEVトラックが自動車産業と日本経済に与える、侮れないインパクト」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/288400
・『いす電動ゞが化関連技術の開発に加え、販売戦略を強化して、よりスピーディーに電気自動車(EV)トラックの創出に取り組むことを期待したい。口で言うほど容易なことではないが、いすゞが進めるEVトラック戦略がわが国の自動車産業と経済に与える潜在的なインパクトは大きいはずだ』、「EVトラック」とは興味深そうだ。
・『いすゞのEVトラックが自動車産業の巻き返しにつながる  現在、トラック・バスメーカーのいすゞ自動車は、電気自動車(EV)のトラックの量産を目指している。いすゞは、航続距離の短さというEVトラックの課題を克服する技術的なブレークスルーの実現にめどをつけたようだ。それは、ハイブリッド車(HV)技術を重視し、結果としてEVシフトへの対応が遅れたわが国自動車産業の巻き返しにつながる可能性を秘めている。 わが国にとって、自動車産業は経済成長を支える最重要の産業だ。言い換えれば、日本経済の自動車依存度は高い。今夏に東南アジアで新型コロナウイルス感染が再拡大したことで、車載半導体の生産が減少した。その結果、9~10月にかけてわが国の自動車生産と販売は大きく減少した。それは7~9月期のわが国GDP(国内総生産)がマイナス成長に陥った主たる要因だ。 世界全体で今後、商用車と乗用車の両分野でEV化は加速するだろう。わが国の自動車産業は、EVシフトの加速という世界経済の環境変化に、より高い集中力を持って対応しなければならない。EVトラック分野でのいすゞの新しい取り組みは、わが国自動車産業、さらに経済の成長を支える重要な要素といえる』、その通りだ。
・『EVトラック製造技術のブレークスルーへの期待  2022年からいすゞはEVトラックの量産を開始する模様だ。背景には、航続距離や積載量を向上させる技術的なブレークスルーを実現したことがあるはずだ。 EVトラックには、航続距離が短いという致命的な欠点がある。今年に入って物流業界では、国内のスタートアップ企業が設計と開発を行い、中国のEVメーカーが受託生産を行う小型トラックの導入が発表された。それらは1回の充電で200~300キロメートル走行する。積載量も小さい。 つまり、物流の集配拠点から最終配達先までの「ラストワンマイル」を埋めるための、近距離移動を念頭に開発されている。逆に言えば、EVトラック分野で低価格と、航続距離や積載量を引き上げる「両立」が難しい。 EVトラックの課題を克服するために、各国自動車メーカーは事業運営体制の強化を一段と重視し始めた。独ダイムラーはトラック部門(ダイムラー・トラック)を分離して上場させる予定だ。ダイムラー・トラックは経営体力を強化して、より効率的にEVトラック関連技術の開発と向上に集中する意向だ。 米国では11月10日、EVピックアップトラックを生産するリヴィアンが米ナスダック市場に上場し、当日の終値ベースの時価総額はGMと肩を並べた。 競争が激化する中でいすゞは2~3トンクラスのEVトラック量産を目指す。物流に加えて引っ越しでの利用も想定しているという。 引っ越しは短距離移動ばかりとは限らない。詳細は今後の展開を確認する必要があるが、いすゞは中国メーカーが手掛ける低価格、近距離での利用目的とは異なり、ある程度の長い距離を相応の量のモノを積んで走ることのできるEVトラック技術の実用化にめどをつけた可能性が高い。 さらに、報道によると、1500種類の用途に対応できるプラットフォーム(車体)も開発された。かなりのスピード感を持って、いすゞはこれまでになかったEVトラックの量産体制を確立しつつあるとみてよいだろう』、「ある程度の長い距離を相応の量のモノを積んで走ることのできるEVトラック技術の実用化にめどをつけた可能性が高い・・・1500種類の用途に対応できるプラットフォーム(車体)も開発」、かなり本格的な「トラック」のようだ。
・『EVで後塵を拝す状況が続けば自動車産業の国際競争力は低下  いすゞのEVトラック生産は、わが国経済にとって重要だ。産業構造面から見た場合、わが国の経済は「自動車一本足打法」とやゆされるほど自動車に依存している。 1990年代初頭の資産バブル崩壊後、わが国経済は長期停滞に陥った。その中で経済を下支えしたのが自動車産業だった。特に、ハイブリッド自動車(HV)のイノベーションはわが国自動車産業を世界トップの地位に押し上げる原動力だった。 しかし、HVに続く新しい商品が創出できなかった。自動車産業への経済的依存度は高まった。2021年7~9月期、米国とユーロ圏の実質GDP成長率がプラスだったのに対して、わが国の成長率は前期比年率で3.0%のマイナスだった。国内の感染再拡大に加え、東南アジアでの感染再拡大が自動車部品の供給を制約し、自動車生産と販売が減少した影響は大きい。 また、わが国自動車産業のEVシフトへの対応は遅れている。企業が本拠地を置く国ごとにEV販売シェアを見ると、ドイツが28%、中国が27%、米国が20%程度であるのに対して、わが国は約5%にとどまる。企業別に見ると、EV販売トップはテスラであり、わが国の自動車メーカーはトップ10にランクインしていない。本邦自動車メーカーのHV重視姿勢は強い。 中長期で考えると、EVで後塵を拝す状況が続けば自動車産業の国際競争力は低下し、経済にも打撃だ。わが国自動車メーカーが高いシェアを維持してきたインドネシアなどの東南アジア新興国地域では、脱炭素と経済成長の加速のために国策としてEV生産の強化が重視され、韓国、台湾、中国、ドイツなどの企業が直接投資を増やしている。東南アジアの自動車市場で日系自動車メーカーのシェアが低下する可能性は軽視できない。 わが国では自動車に続く移動手段として、国を挙げて取り組んだ旅客航空機の開発も凍結された。米国などでは航空機技術と自動車技術を結合して新しいモビリティーの創造を目指している。いすゞのEVトラック技術は、わが国経済の成長力強化に欠かせない』、「EV販売シェアを見ると、ドイツが28%、中国が27%、米国が20%程度であるのに対して、わが国は約5%にとどまる」、確かに「日本」の低さが目立つ。
・『潜在的なインパクトは大きい! いすゞ、フロントランナーへの期待  今後、いすゞには世界のEVトラック、バス市場のフロントランナーになってもらいたい。いすゞが競合相手に先駆けてより航続距離の長いEVトラック、バスなどの製造技術を創出することは、わが国自動車産業がEV分野での出遅れを取り戻すために不可欠な要素だ。 いすゞはトヨタを中心とする商用車のコンソーシアムに加わっている。その中で、よりオープンな姿勢でいすゞが新しい取り組みを増やすことは、わが国自動車産業全体の成長に寄与するだろう。 例えば、いすゞのEVトラック技術がコンソーシアム内の企業が持つ技術と新たに結合して、より航続距離の長いEV開発につながる可能性がある。航続距離の長いEVトラックやトレーラーの開発が加速すれば、商用車分野での自動運転技術などCASEへの取り組みも加速するはずだ。 それは自動車メーカーとITや高速通信、半導体など成長期待の先端分野の企業との連携の強化、それによる新しい需要創出につながる可能性を秘める。他方で、世界経済全体で脱炭素への取り組みは加速し、EVの生産工程で排出される温室効果ガスの削減や部品の再利用を支える技術の重要性も格段に高まる。 このように中長期的な展開を考えると、EVシフトが世界経済にもたらす波及需要創出への期待は高い。いすゞのEVトラック量産は、そうした需要をわが国の自動車産業が取り込む重要なステップになり得る。自動車という完成品レベルでの新しい取り組みは、わが国の素材や機械産業などにも新しい製造技術の実現をより強く促す。それは経済全体での新陳代謝の向上に欠かせない。 それくらいの展望を描きつつ、いすゞが電動化関連技術の開発に加え、販売戦略を強化して、よりスピーディーに新しいトラックの創出に取り組むことを期待したい。口で言うほど容易なことではないが、いすゞが進めるEVトラック戦略がわが国の自動車産業と経済に与える潜在的なインパクトは大きいはずだ』、私も「いすず」の「EVトラック戦略」に大いに期待したい。
タグ:電気自動車(EV) (その11)(EV電池の中国CATLを見て 日本の自動車産業の将来に危機感 沸騰・欧州EV(15)、課題山積でも「日本でEV普及が急加速できる」根拠電 力不足や充電渋滞は工夫すれば回避できる、いすゞのEVトラックが自動車産業と日本経済に与える 侮れないインパクト) 日経ビジネスオンライン 「EV電池の中国CATLを見て、日本の自動車産業の将来に危機感 沸騰・欧州EV(15)」 「欧州顧客の最初の新エネルギー車(NEV)は、中国限定だったのですよ。スペックも中国限定とし、そのときに欧州の顧客が開発プロセスや品質プロセスをCATLに教えて、CATLはそれを勉強」、「その後、中国のスペックからグローバルのスペックに持っていく過程には時間をかけていました」、「中国限定」でやるとは急いでやるのは上手いやり方だ。 「中国の若いエンジニアたちのすごいエネルギーと向上心、まじめな勤務態度とか、それから多大な資本というのを見たときに、日本は負けると思いました。だからCATLにいたとき頭の中にずっとあったのは、このCATLと日本の自動車メーカーをつながないと、将来日本の自動車メーカーはえらいことになるんじゃないかということなんですよ」、なるほど。 「電気自動車で日本は勝てるのか〜欧州の野望を読み解く」は、セミナーのPRなので紹介は省略。「欧州はむしろ規制ベースで枠をはめてイノベーションを起こすという仕組みがあるように感じます」、というのは「中国」のやり方に近い。このままでは、「CATL」と日本の自動車メーカーの格差は開く一方だ。 東洋経済オンライン「課題山積でも「日本でEV普及が急加速できる」根拠電 力不足や充電渋滞は工夫すれば回避できる」 「どの時間帯でも約9割の車両は駐車されている。電力が余る時間帯に安くEVを充電し、電力需要が高いときにEVにためておいた電気を使うことで、捨てられるはずだった再エネ電力を有効活用できる」、「国全体で再エネ電力を増やし、カーボンニュートラルへと近づくことができる」、なるほど。 「EVの多くには充電のタイミングをコントロールする機能が搭載されている。朝の7時に充電を終えるようにセットしておけば、残量から逆算して(電力需要の少ない)夜中に自動で充電を開始してくれる」、便利になったものだ。「海外では150~400キロワットと高出力な充電器を多数設置するインフラ整備が進められており、休憩時間中に充電するだけで遠出が可能になりつつある。対して、日本の高速道路には出力が最大90キロワットまでの充電器しか設置」、日本でも「高出力な充電器」を設置すべきだ。 「政府の支援」は何らかの形で必要なのだろうが、「支援」は最小限に留めるべきだろう。 「東名高速道路の海老名サービスエリアには現在、上り下りのそれぞれにガソリンの給油機が9台ある。そこで1時間に給油する台数や給油量と同じだけEVを急速充電しようとすれば、おそらく鉄塔を使うような送電線を追加しないといけない」、「太陽光発電や蓄電池を設置すれば、送電線の容量を減らすことができる」、充電ネットワークの設計も重要なようだ。 ダイヤモンド・オンライン 真壁昭夫 「いすゞのEVトラックが自動車産業と日本経済に与える、侮れないインパクト」 「EVトラック」とは興味深そうだ。 「ある程度の長い距離を相応の量のモノを積んで走ることのできるEVトラック技術の実用化にめどをつけた可能性が高い・・・1500種類の用途に対応できるプラットフォーム(車体)も開発」、かなり本格的な「トラック」のようだ。 「EV販売シェアを見ると、ドイツが28%、中国が27%、米国が20%程度であるのに対して、わが国は約5%にとどまる」、確かに「日本」の低さが目立つ。 私も「いすず」の「EVトラック戦略」に大いに期待したい。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感
前の10件 | - イノベーション ブログトップ