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インフラ輸出(その13)(中国にさらわれたインドネシア高速鉄道プロジェクトはいま… 予想外に膨らんだコスト 営業開始から数年で経営破綻の可能性も、日立、英新幹線受注で狙う「高速鉄道トップ」の座 アルストムやシーメンスと肩を並べる存在に?、台湾鉄道の信頼回復担う「日立製新型特急」の実力 相次ぐ事故と座席供給不足のイメージ払拭狙う) [インフラ輸出]

インフラ輸出については、昨年8月5日に取上げた。今日は、(その13)(中国にさらわれたインドネシア高速鉄道プロジェクトはいま… 予想外に膨らんだコスト 営業開始から数年で経営破綻の可能性も、日立、英新幹線受注で狙う「高速鉄道トップ」の座 アルストムやシーメンスと肩を並べる存在に?、台湾鉄道の信頼回復担う「日立製新型特急」の実力 相次ぐ事故と座席供給不足のイメージ払拭狙う)である。

先ずは、昨年9月24日付けJBPressが掲載した立命館アジア太平洋大学客員教授の塚田 俊三氏による「中国にさらわれたインドネシア高速鉄道プロジェクトはいま… 予想外に膨らんだコスト、営業開始から数年で経営破綻の可能性も」を紹介しよう。なお、文中の注記は省略
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/67048
・『インドネシアの首都ジャカルタと第三の都市バンドンとを結ぶ高速鉄道プロジェクトは、ご承知の通り、日本が先行して準備を進めいていたにも拘わらず、途中から中国が参戦し、最終的には、中国側に契約を奪われた。日本にとっては苦々しい思いが残るプロジェクトである。 2015年9月に中国に発注され、今月でちょうど6年になるそのプロジェクトは、現在どのような状態にあるのだろうか? 残念ながらそれは、中国の当初の売り込み時点での提案からかけ離れたものとなっている。当初、2019年には操業開始としていたが、プロジェクトは、操業どころか、今もなお工事中である。プロジェクトコストに至っては、その総額は大きく膨れ上がり、当初の予定価格を4割も上回るとされている。 着工当時は大きな脚光を浴びて登場したプロジェクトが、今どうしてこのような残念な状況に陥っているのであろうか? 事業者側(中国側)に非があったからなのか? あるいは、発注者側(インドネシア側)に十分なプロジェクト実施能力がなかったからなのか? 本稿においては、これまでの経緯を詳しくレヴューするとともに、その契約の裏に隠された構造を明らかにすることにより、これらの問いに答えてみたい』、「インドネシア高速鉄道プロジェクト」の現状とは興味深そうだ。
・『初めから疑問視されていたプロジェクトの経済性  上記のプロジェクトの構想は、突然浮かび上がったものではなかった。当初は、インドネシアの二大都市であるジャカルタとスラバヤとを高速鉄道で結ぶとする構想であった。だが、実際にこれら2つの都市を結ぶとなると、730kmもの鉄道路線を建設する必要があり(東京—広島間に匹敵する距離)、その投資額は巨額となり、インドネシアの当時の財政事情からみて、到底取り上げられるようなプロジェクトではなかった。 しかし、このプロジェクトに対する地元政財界の関心は高く、その推進派は、代替案として、プロジェクトを二期に分け、第一期でジャカルタとバンドンを結び、第二期でスラバヤまで延伸するという案を出してきた。一見すると現実的な案に見えるが、これは当初案以上に難しいプロジェクトであった。 というのも、ジャカルタ—バンドン間はわずか142kmしかなく、日本でいえば、東京—静岡間に当たり、高速鉄道を走らせるにはいかにも中途半端な距離であった。加えて、バンドンは標高700mの高地にあり、これを沿岸都市であるジャカルタから結ぶとなると大変な勾配を車両が駆け上らなければならない。更に、数多くのトンネル(13カ所)を建設する必要があった。また、一部経路は、人口集積地を通ることから、路線全体の4割弱は高架に、1割は地下に路線を建設する必要があり、建設コストは並外れて高いものになると予想された。 JICAが2012年に行ったフィージビリティスタディ(F/S調査)でも、建設費の半分は政府が出さなければ採算は取れないとしていた』、「JICAが2012年に行ったフィージビリティスタディ(F/S調査)でも、建設費の半分は政府が出さなければ採算は取れないとしていた」、始めから無理のある計画だったようだ。
・『日中の受注合戦  では、このように採算がとれそうもないプロジェクトが、どうして、国の最優先プロジェクトにまで伸し上がったのであろうか? それは、このプロジェクトがインフラ開発を最優先に掲げる3人の有力政治家の着目するところとなり、それ以来、このプロジェクトは、経済ベースでというよりは、むしろ政治家ベースで議論が進められるようになったからである。 1人目は日本の安倍晋三首相(当時)だ。2012年末に発足した第二次安倍政権は、海外インフラの開発をその優先課題として取り上げ、中でも、日本技術の粋ともいえる新幹線技術の輸出には格段の力を入れた。 他方、中国の習近平総書記は2013年に一帯一路構想を打ち出し、その拡大を、海外進出政策の核として推進していた。中でも、新幹線技術については、日本に劣らぬ高い技術を有することを世界に誇示したいと考えていた。彼が2人目の政治家だ。 3人目はもちろんインドネシアのジョコ・ウィドド大統領である。2014年10月に大統領に就任したジョコ氏は、就任早々、インフラ・プランを打ち出し、これを政権の最優先施策とするとした。同大統領は、当初は、ジャカルタとバンドンとを結ぶ高速鉄道プロジェクトはコストがかかりすぎるとして懐疑的に見ていたが、途中で、「日中間の競争をうまく利用すれば、有利な条件を引き出せるかもしれない」と考え、その可能性を探るべく、翌年3月に、先ず日本を訪れ、安倍総理に会い、また、その足で中国を訪れ、習近平総書記とも会い、両首脳からプロジェクトに対する支援を取り付けた。こうしてインドネシアの高速鉄道計画は、3人の政治家の思惑が激しく交錯するプロジェクトとなった。 他方、F/S調査については、日本は2012年に既に実施していたが、その内容は採算面で問題ありとするものであったこともあり、インドネシアは、中国に対してもF/S調査を実施するよう上記訪問中に求めた。これを受けて、中国側は即座にF/S調査に取り掛かり、わずか3カ月で報告書を仕上げた(環境影響調査に至ってはわずか7日間で)。JICAのF/S調査が1年弱を要したことを考えると、中国側のF/S調査はいかにも拙速との感を免れないが、いずれにせよ、報告書の内容は、JICAのそれとは際立った対照を見せた。プロジェクトの操業開始時期は、JICAが2023年とみていたのに対し、中国側は大統領選が行われる2019年には操業を開始できるとした。建設コストについても、JICAは61億ドルを要するとみていたところを、中国は55億ドルで完成できるとした。 これ以降、高速鉄道プロジェクトを巡る日中間の競争は激しさを増す。そのような中で、中国側は、2015年4月突如プロジェクト企画書をインドネシア政府に提出したが、これは、日本側から見れば、不意打ちとも映る行為であった。このように激しさを増す両国間の競争を見て、インドネシア政府は、2015年7月、日中両国の事業者に対し、それぞれ提案を出すよう求めた。その後の2カ月は、両国間の競争は、入札を巡る技術的な競争の域を超え、現地でのロビー合戦に発展した。 2015年8月、習近平主席の特使としてジャカルタを訪問した中国の徐紹史・国家発展改革員会主任らと会談するジョコ・ウィドド大統領。中国側はこの時、高速鉄道事業化に向けた報告書を提出した(写真:新華社/アフロ) 両国事業者の提案に対する審査結果は、関係者の間では、2015年9月初めに出るとみられていたところ、9月3日インドネシア政府は、突如会見を開き、その場において、高速鉄道プロジェクトはキャンセルすると発表した。同時に、仮に実施するとしても、G-Gベース(政府対政府ベース)では難しく、business-to-businessベース(企業対企業ベース)で進めるしかないとした。この背景には、インドネシア政府が、これ以上海外からの借入れ(政府の債務保証も含む)を増やせば、政府の対外債務の上限に達することが明らかになったことがある。 この予想外の発表を受けて、中国側はいち早く対応し、2015年9月半ば、改訂版入札書をインドネシア側に再提出した。そこで、プロジェクトはbusiness-to-businessベースに切り替えることを明確にするとともに、インドネシア政府からは一切の政府支出を求めないし、政府保証も不要とした。 中国側の提案はインドネシア側の要望を全面的に受け入れたものであったことから、9月下旬、インドネシア政府は、高速鉄道プロジェクトは中国に発注すると発表した。インドネシア政府のこの唐突な発表を受け、菅官房長官は即座にジョコ政権に対し遺憾の意を表明したが、時すでに遅しであった。 この発表を受けて、中国の国営企業(中国鉄道建設公社)は、インドネシアの国営企業3社(建設会社のWijaya Karyaがリーディングカンパニー)との間で、高速鉄道プロジェクトの実施に関する契約を締結し、両者の出資による特別目的会社(SPC)を設置することに合意した。総コストは、55億ドルと見積もり、建設期間は、2016年から2019年までとし、その後50年間は政府から得るコンセッションの下、高速鉄道サービスを提供し、その事業収入をもって初期投資コストを回収するとするBOT(=Build Operate Transfer。民間が施設を建設・維持管理・運営し、契約期間終了後に公共へ所有権を移転する方式)に準じた契約構造を取るとした。更に、本プロジェクトの建設に係る必要資金は、中国開発銀行を通じて提供するとし、融資比率は、総コストの75%、grace periodは10年間、融資期間は50年とした』、「インドネシア政府が、これ以上海外からの借入れ(政府の債務保証も含む)を増やせば、政府の対外債務の上限に達することが明らかになった」、「プロジェクトはbusiness-to-businessベースに切り替え・・・インドネシア政府からは一切の政府支出を求めないし、政府保証も不要」、こんな成行きになるのは始めから想像できた筈だ。「インドネシア政府が」、日中を競わせて好条件を引き出そうとするのであれば、日本が手を引いたのは当然だ。
・『遅れに遅れたプロジェクトの建設  契約当時、ジョコ大統領は日中間の競争を巧みに利用し、インドネシアに有利な条件を引き出したとして、大きな喝采を浴びた。だが、プロジェクトが実際に始まると形勢は大きく変わり、中国ぺースで事が運び、インドネシア側は、常に守勢に立たされることになった。 プロジェクトは2016年1月に開催された起工式で始まった。この起工式はジョコ大統領の列席の下華々しく開催されたが、その後は、土地収用が思うように進まず、建設工事はなかなか始まらなかった。運輸省からの「建設」許可は、直ぐには発出されず、2016年8月まで待たされた。また、路線の一部が空軍基地に掛かったことから、49haの土地は翌年3月まで明け渡されなかった。 このような土地収用の遅れに対し中国側からは再三にわたりその促進を促されていた。このため、インドネシアは、国営企業大臣を北京に派遣し、中国政府への直接説明を行ったほどであった。 中国開発銀行からも厳しい条件が提示され、土地収用が100%終了しなければ、融資は開始しないとされた。同行が資金を供給し始めたのは、起工式から2年半も経った2018年5月からであった。 このように出足は大きく遅れたが、2018年半ばからは建設工事は徐々に進み始め、2019年に入るとそのスピードは加速化し、2019年5月には、工事進捗の象徴ともいえる最初のトンネルが完成した。 一方、工事が進み始めると、逆に、周辺地域の環境への影響が増大し、地元企業、住民からの苦情が相次ぎ、2020年初めには2週間の工事中止命令が出されたほどであった。これに追い打ちをかけるように、2020年3月からは、新型コロナが蔓延し始め、このため、建設工事は一時中断された。 このように個別問題は次々と発生したものの、工事全体的としては、順調に進み始め、2021年3月時点では、70%が完了した。このまま順調に進めば、工事は2022年末までには完成するであろうとの見通しを出せるまでになった』、「工事全体的としては、順調に進み始め、2021年3月時点では、70%が完了した。このまま順調に進めば、工事は2022年末までには完成するであろうとの見通しを出せるまでになった」、なるほど。
・『膨れ上がったプロジェクトコスト  建設工事の遅れは、ここに来て漸く解決の目途が付いたが、ここで別の問題が浮上してきた。それは、コストオーバーラン問題であった。プロジェクトコストは、契約締結当時は55億ドルとされていたが、その翌年には、早くも、61億ドルに膨れ上がり、この9月1日の国会での国営建設会社の証言によれば、75~80億ドルに達するであろうとされた。 このような大幅なコストオーバーランが発生したのは、そもそも中国が拙速で準備したF/S調査のコスト見積もりが低過ぎたことに起因するが、勿論中国側が、これを認める訳はなく、このコストオーバーランは、主に、土地収用の遅れ等によるものとされた。 このように言われてしまうのは、一つには、プロジェクトは(特別目的会社が下請けに出した)インドネシアの国営建設会社によって実施されていたからである。このようなアレンジの下では、プロジェクトの遅れや費用の拡大は、工事の実施業者の責任とされがちである。 上記の国営建設会社がSPCと結んだサブコントラクトは、Engineering, Procurement and Construction契約(EPC契約)に基づくものであったが、Engineering部分は中国鉄道建設公団に委託して行われ、そこでは、資機材等は、中国の高速鉄道の規格に準じたものとすべしとされ、また、Procurementに関しては、中国開発銀行の貸付条件に従い、その資機材等はすべて中国サプライヤーから購入しなければならないとされた。通常のEPC契約であれば、これら資機材等については、幾つかのサプライヤーから見積もりを取り、それらを見比べたうえ、最も安価なものを購入するのが通常であるが、このプロジェクトにおいては、このような原則は働かず、全ての資機材、システムは、中国のサプライヤーから、しかも、その言い値で購入するしかない。このようなアレンジの下では、資機材やシステムの購入価格は、高いものにつきがちであり、今回のコストオーバーランの背景には実は、このような要因が隠されていたと推察される。 このコストオーバーランは、国営企業が負担しうる額を遥かに超えていたので、国営企業省は、この問題を政府レベルでの討議に持ち込んだ。これに対するジョコ大統領の指示は、「本件国有鉄道の運営は、ジャカルタ-バンドン間だけでは、営業距離が短く、商業的には成り立たないので、これをスラバヤまで延伸すべきであり、このためには、日本側と協議を行い、その参画の可能性を当たってみるべきだ」とするものであった。これを受け、2020年7月、インドネシア側は、日本との交渉に入った。しかし、日本側は、これまでの経緯もあり、当然のことながら後向きの回答を行った。 このような回答を受けたインドネシアは、今度は、中国側との折衝に入り、そこでSPCへの追加の資本投入を求めた(2021年1月)。その交渉結果は、“いつもの通り”明らかにされていないが、中国側からもいい返事はもらえなかったのであろうと推定される。 これら2つの打開策が受け入れられなかったことから、インドネシア政府は、自ら動かざるを得なくなり、国営企業省は、本年7月に国会に対し、国営企業への追加の資本投入を認めるよう求めた。これを受けて、下院VI委員会は、3つの国営企業に対する33兆ルピアの資本注入を認め、その一部はSPCへの追加出資に当てられることとなった。ただ、この金額だけでは、コストオーバーランをカバーするには十分ではなかったので、現在更なる追加支援策について下院VI委員会で議論されている模様である』、「通常のEPC契約であれば、これら資機材等については、幾つかのサプライヤーから見積もりを取り、それらを見比べたうえ、最も安価なものを購入するのが通常であるが、このプロジェクトにおいては、このような原則は働かず、全ての資機材、システムは、中国のサプライヤーから、しかも、その言い値で購入するしかない。このようなアレンジの下では、資機材やシステムの購入価格は、高いものにつきがちであり、今回のコストオーバーランの背景には実は、このような要因が隠されていたと推察」、こんな一方的契約では「コストオーバーラン」も当然だ。
・『政府が乗り出さざるを得なくなった理由  先にみたように、このプロジェクトは、business-to-businessベースで進めることが合意されたのであるから、インドネシア政府は、大幅なコストオーバーランが出たとしても、それは民間ベースで処理すればよいとして突き放しておけばよかったはずあるが、何故に、政府が、財政資金を使ってまで、その解決に乗り出さざるを得なくなったのであろうか? 以下、ここに至るまでの、経緯を分析することによって、この問いに答えたい。 ●中国側は、ジャカルタ-バンドン間の高速鉄道という、コスト高で、到底採算がとれそうもないプロジェクトを、コストを(人為的に)低く見積もり、その上で、これをいわゆるBOTベースで進めれば商業ベースに乗りうるとして売り込みをかけた。 ●インドネシア側は、この提案に乗り、中国側に契約を付与した。その後、プロジェクトは建設段階に入るが、その過程で、大幅なコストオーバーランが生じた。通常のBOTプロジェクトであれば、プロジェクトは、海外企業が実施するので、コストオーバーラン問題も、外国側に(中国側に)に処理させておけばよかったはずである。 ●だが、このプロジェクトは上手く仕組まれており、プロジェクトを実施するために設置された特別目的会社は、インドネシアの企業で、しかも、その資本の6割は国営企業が保有している。このような体制の下では、コストオーバーランが起きれば、インドネシアの国営企業が大半を負担しなければならなくなる。 ●ところが、これら国営企業は、既に多額の対外債務を抱えており、このような支払を行えるような財務状況にはない。このまま放置すれば、国営企業は破産に追い込まれることとなるので、このような事態を避けるため、国営企業の保有者である政府は、国営企業に対する財政支援に乗り出さざるを得なくなった。これが、本来は民間ベースで進められるべきであったプロジェクトに、政府が財政支援を行わなければならなくなった理由である』、「本来は民間ベースで進められるべきであったプロジェクトに、政府が財政支援を行わなければならなくなった理由」、こうしたシナリオは「中国側」が密かにつくったのではなかろうか。
・『今後更に起きうる、より大きな問題  上記の問題は、数年間の建設期間中の問題であるが、プロジェクトは一旦完成すれば、その後50年間事業運営されることになる。従って、この間、もしも、経営が成り立たなくなれば、それは累積し、より大きな問題となる可能性がある。特に懸念されるのが、キャッシュフローの問題である。 というのは、先に述べたように、このプロジェクトは、高速鉄道プロジェクトとしては、中途半端な距離であり、また、ジャカルタ、バンドンの二都市間には、既に既存路線が走っていることから、十分な運賃収入が見込めない。また、鉄道事業は、一種の装置産業であることから、(多額の減価償却費は勿論)高い維持管理費を払う必要がある。このような状況下では、営業段階に入ると、すぐに赤字経営に陥る可能性がある。 それでも最初の数年間は、債務の弁済は猶予されているので、何とかしのいでいけるとしても、grace periodが終わる2026年からは毎年債務支払義務が発生する。この毎年の債務の支払は、SPCの経営に重い負担となる。なんとなれば、その金額は、元本に50年間の累積金利を足し合わせたものを40年間の均等払いとして計算される。これが、例えば、ADBからの融資であれば、その金利は1%弱(今年8月段階では0.856%)と低利であり、50年間の累積金利はそれほど高くはならないが、それが中国開発銀行からの融資である場合は、その金利は6%台と高く、50年間の累積金利額も多額となる。要するに、2026年からは、この債務負担がSPCの経営に重く圧し掛かり、数年もしないうち経営破綻に陥ってしまう可能性が高い』、「中国開発銀行からの融資である場合は、その金利は6%台と高く、50年間の累積金利額も多額となる」、まるで高利貸だ。
・『インドネシア側が今後取りうる対応  このように、このプロジェクトは、一旦事業運営段階に入れば、営業赤字に陥り、その赤字額は雪だるま式に増え続けていくと予想される。ということであれば、このプロジェクトについては、早めに見切りをつけ、出来るだけ早く撤退した方がいいということになる。 だが、できるだけ早くと言っても、建設途中の今、これを投げ出し、巨大な施設を錆び付かせてしまうことは、現実的な方策とは言えない。兎にも角にも、残り3割の工事は終わらせ、鉄道プロジェクトとして一応完成させるべきであろう。プロジェクトが完成すれば、インドネシアは、専門家パネルを設置し、そこで、このプロジェクトを継続し、次の営業段階に入るべきか、あるいは、ここでプロジェクトをストップさせ、その解散に踏み切るべきかを、ファイナンスの問題を中心に検討する必要があろう。 おそらくそこで出て来るである結論は、このままプロジェクトを継続すれば、累積赤字は年々増えていくことが予想されるので、傷口を最小に抑えるためのには、営業段階に入る前にこのプロジェクトをストップさせ、早期にSPCを解散させてしまうべきだ、ということになろう。) するとSPCはdefaultを起こすことになるので、中国開発銀行は、即座に債権の回収に乗り出すであろう。その際、SPCが有する唯一の資産はプロジェクト資産、即ちジャカルタ-バンドン間の高速鉄道施設、であるから、中国開発銀行はこれを先ず差し押さえるであろう。すると、高速鉄道施設の所有権は中国側に移ることとなるが、これは必ずしもインドネシア側にとって悪いことではない。というのは、インドネシアは、この赤字を生むだけの巨大な「ホワイトエレファント」を手放すことができるようになるからである。 高速鉄道が中国の手に渡れば、中国側は、これを遊ばせておこうとはせず、直に事業運営に入ろうとするであろう。その際、鉄道サービスだけでは十分採算がとれないとして、必ずや、周辺地域での土地開発の権利の付与を求めて来ると予想される。 中国側がこの土地開発権を得たとしても、それだけでは十分ではないとみた場合は、更に要求を拡大し、(他国で行ったように)原油や他の地下資源の採掘権も併せ、要求して来る可能性がある。 そこまで、中国側の要求が拡大すれば、インドネシアとしてはこれを頑としてはねのけなければならない。というのは、中国からの借り入れ事案においては一旦債務の罠にはまってしまうと、どんどん深みにはまってしまい、ついには身動きがとれなくなる恐れがあるからである。これは、どこかで食い止める必要があり、このためには、断固とした姿勢で交渉に臨む必要がある。 ただ、中国側も、インドネシアはスリランカやタジキスタンのような小国とは異なることは十分承知しているので、両国間の関係を悪化させてまで強引な要求を持ち出すことは避けようとするかもしれず、その場合は、インドネシア側も、中国側と対等に交渉できよう』、「中国からの借り入れ事案においては一旦債務の罠にはまってしまうと、どんどん深みにはまってしまい、ついには身動きがとれなくなる恐れがある」、「これは、どこかで食い止める必要があり、このためには、断固とした姿勢で交渉に臨む必要がある」、「インドネシア」にそんな芸当が出来るだろうか。
・『おわりに  以上、本プロジェクトについてその経緯をレヴューし、その隠された構造を明らかにしてきたが、ここで冒頭で取り上げた2つの問いに戻りたい。 第一の問い〈プロジェクトの遅れやコストオーバーランは事業者の非か〉に関しては、事業者側の非というよりは、むしろそれは戦略だったといった方が適切であろう。 中国側が設定した工事の完成時期は、技術者の積み上げに拠って弾き出したものではなく、ジョコ大統領の再選時期に合わせて、政治的に設定されたものであり、初めから無理と分かっていたと言えよう。プロジェクトコストも、日本との競争に勝つために、JICAのそれよりは低めに出したというだけのことである。一旦これで受注を獲得すれば、工事の執行段階で、何かと理由をつけて、これを変えることはできるとみていたのであろう。 BOT契約においては最初に出したコミットメントはこれを守らなければならないが、請負契約の場合は、正当な事由があればこれを変更できるので、契約の運用形態も、(当初これに基づくとされていた)BOTから、徐々に請負契約的なものに替えられていったように見える。中国側はこれを意識的にやったとは言わないが、少なくともインドネシア側は、この微妙な契約の変質に気が付かなかったと言える。 第二の問い〈インドネシアは十分なプロジェクト実施能力を有していたのかどうか〉に関しては、プロジェクトの実施能力が欠けていたとまでは言わないが、事業者に最初にコミットした約束を守らせることができなかったという点で事業監督能力が不足していたと言えよう。 というのは、事業を的確に監督するためには資機材の価格を始めとするコスト関係情報を十分に把握している必要があるが、高速鉄道に関する情報は、中国側に独占的に保有されており、インドネシア側はこのような情報を持たないので、サプライヤーの言い値をそのまま受け入れるしかなく、プロジェクトコストは徐々に膨らんでいった。 要するに、このプロジェクトは、発注段階までは、インドネシアのペースで運んだが、一旦、実施段階に入ると中国ペースで進み、建築工事はいつの間にかBOTというよりは、むしろ請負契約に近い形で運用されてしまった。最後には、当初払わなくてもいいとされていた財政資金をインドネシア政府がつぎ込むこまざるを得なくなった。一方、中国側は、当初は儲からないとみられてきたプロジェクトから、その資機材等の納入を通じ、着実に利益を上げていった。 このように契約が中国ペースで運用されてしまったことの背景には、インドネシア側が(中国版)高速鉄道に関する詳細情報を持っていなかったことに由来するが、この‟情報の非対称性“の影響がより顕著な形で現れるのは、プロジェクトが運営段階に入ってからである。この段階で何か問題が起きたとしても、高速鉄道の経営に関する十分な情報を持たないインドネシア側は中国側と有効に議論できず、結局は相手方の言いなりになるしかない。このような状況下では、プロジェクトは長く持てば持つほど、不利になり、相手側に取り込まれてしまう恐れがあるので、このプロジェクトについては、先に述べたように、早めに撤退し、SPCを解散した方がより賢明な選択といえよう。 ただ、この最後の手段を取るに当たって、一点チェックしなければならないことがある。それは中国側と結んだ契約書である。中国側が途上国と結ぶ契約は、通常、対外秘とされ、国際慣習に添わない不利益条項が多々含まれている。注意を要するのは、キャンセル条項である。これまで、中国とのプロジェクトを途中で破棄したいとする途上国は幾つかあったが、その際降りかかってくるペナルティーの額があまりにも大きいので、マレーシアの例に見られるように、これを諦めた国が多い。途上国が中国と契約を締結するときは、その内容に格段の注意を払う必要があるが、今回インドネシアが中国と結んだ契約はそのような不利益条項を含んでいなかったことを希望する』、「これまで、中国とのプロジェクトを途中で破棄したいとする途上国は幾つかあったが、その際降りかかってくるペナルティーの額があまりにも大きいので、マレーシアの例に見られるように、これを諦めた国が多い」、こんな「国際慣習に添わない不利益条項が多々含まれている」、「対外秘とされ」るわけだ。「中国側」の不正な手口には怒りを覚える。

次に、本年1月12日付け東洋経済オンラインが掲載した欧州鉄道フォトライターの橋爪 智之氏による「日立、英新幹線受注で狙う「高速鉄道トップ」の座 アルストムやシーメンスと肩を並べる存在に?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/501814
・『2021年12月、日立製作所のグループ企業である日立レールがフランスのアルストムと共同で英国の高速鉄道HS2向け新型車両の製造・保守を受注したニュースは、センセーショナルに伝えられた。新型車両の設計から製造、導入後12年間の保守業務までを請け負い、その契約金額は19億7000万ポンド(約2957億円)という大型契約だ。日本の鉄道技術が世界で認められたということを誇らしく感じた方も多かっただろう。 だが気になるのは、ライバルであるはずのアルストムと共同受注という点だ。アルストムと言えばTGVで有名な会社である。なぜ同社と手を組むのか、日立とアルストムの役割分担はどうなるのか、不思議に思われるのではないだろうか』、興味深そうだ。
・『日立は当初別メーカーと共同で応札  今回の日立による受注については、まず英国の高速鉄道HS2プロジェクトの入札がどのように進んでいたかを知る必要がある。 2017年、車両納入に関する最初の入札では、アルストム、ボンバルディア、シーメンス、日立、タルゴの5社が最終候補に挙げられていた。しかしその翌年、ボンバルディアは日立と共同での応札が決まり、一方でシーメンスとアルストムは当時、合併が取り沙汰されていたため、万が一この合併が実現した場合に入札に参加するメーカーが減ることが懸念された。そのため、競争を維持するためにCAFを追加でリストアップすることになった。 入札に対し、各社はそれぞれ自社の優位性をアピールしている。 アルストムは、「従来のネットワークでも新しいHS2インフラでも同様に快適な、ワールドクラスのモダンで柔軟性のある列車」を提供すると述べた。同社はフランスのTGV、「イタロ」のブランドで知られるイタリアのNTV社に納入したAGV、アメリカのアムトラック向けに製造中のAvelia Liberty(アヴェリア・リバティ)、モロッコと韓国の高速鉄道など、数多くの高速列車を納入した実績がある。 日立は「日本が世界に誇る」新幹線への取り組み、ボンバルディアはヨーロッパと中国における世界最大の高速鉄道ネットワークでの国際的な経験を強調した。 両社は共同で、イタリアのトレニタリア社に「フレッチャロッサ1000(ミッレ)」ETR400型を納入しており、「現在ヨーロッパで最も速く、かつ最も静かな高速列車」であると述べている。ETR400型は、営業最高時速360kmで走行するように設計されているが、インフラの関係で現状は300kmで営業運転している。 シーメンスは英国と欧州大陸を結ぶ国際列車「ユーロスター」を筆頭に、ドイツ、スペイン、中国、ロシアといった国々で運用されている高速列車Velaro(ヴェラロ)の優位性をアピールした。すでに英国内でユーロスターとして運用実績のあるヴェラロを例に、「英国の鉄道事業における存在感、技術知識、グローバルな高速化の経験により、シーメンスこそ理想的なパートナー」であると述べた』、なるほど。
・『TGVやAGVの技術ではない  ところが最終決定へと至る前に、また業界内で大きな動きがあった。アルストムとシーメンスの合併話が破談となったことで、これまでどおりアルストムとシーメンスはそれぞれ独自に入札へ参加することとなったが、今度はアルストムがボンバルディアを買収するという話が持ち上がったのだ。最終的に、この合併は欧州委員会によって承認され、2021年3月をもってボンバルディアはアルストムへ吸収合併されることになった。 結局、日立とアルストムの共同受注という結果に至ったが、ここでいう「アルストム」とは、「旧来のアルストム」ではなく、「元ボンバルディアで、買収されそのまま事業を引き継いだアルストム」ということになる。 つまりアルストムと言っても、今回のHS2の受注を勝ち取ったのはTGVやAGVの技術ではなく、日立+旧ボンバルディアの技術ということになる。 日立+旧ボンバルディアと言えば、先のレポートでご紹介したZEFIRO(ゼフィロ) V300プラットフォームで、イタリアのフレッチャロッサ・ミッレでお馴染みの技術だ。その点について、日立は「HS2向けの新型車両は、ZEFIROと新幹線の技術を融合した車両になる」と説明している。車体にはアルミニウムを採用し、騒音対策としてより空力を考慮したデザインを採用するという。 新幹線車両の知的財産権はJRが保有しているので、そのままそれらの技術を用いるとは考えにくいが、これまで新幹線の製造現場で蓄積してきた経験や技術は、HS2車両の製造でも生かされるだろう。アルミニウム製車体の製造も、英国ニュートン・エイクリフ工場にはIEP(Intercity Express Programme)向け800(801/802)系車両の製造を任された段階で、日本で使用されているものと同じ摩擦攪拌接合の最新式溶接機を導入しており、日立としてはお手の物だ』、「日立+旧ボンバルディア」は確かに強力な組み合わせだ。
・『世界有数の高速列車メーカーに?  日立はほかに、運行システムと制御システムを担当するとしている。特に制御システムに関しては、同社が得意としているSiC(炭化ケイ素)を用いた低損失パワーデバイスを採用。従来のIGBTに代わるSiCインバーターに関しては、すでに国内外で多くの採用実績があるため、開発に大きな支障はないだろう。 今後、日立とアルストムは開発を進め、2025年から製造を開始する予定だ。製造を担当するのは日立のニュートン・エイクリフ工場とアルストムのダービー工場だが、このダービー工場が旧ボンバルディアの工場という点も、ボンバルディアの影響が色濃く残っていることを示しているといえるだろう。 HS2向け車両の受注は、日立が世界へ向けてより大きく踏み出す一歩となることは間違いない。このプロジェクトの成功いかんでは、アルストムやシーメンスに並ぶ世界有数の高速列車メーカーとして、確固たる地位を築くことになるはずだ』、「日立が世界へ向けてより大きく踏み出す一歩となる」、今後の展開が楽しみだ。

第三に、1月20日付け東洋経済オンラインが掲載した東アジアライターの小井関 遼太郎氏による「台湾鉄道の信頼回復担う「日立製新型特急」の実力 相次ぐ事故と座席供給不足のイメージ払拭狙う」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/503429
・『2021年の暮れも押し迫った12月29日、日立製作所が製造した台湾鉄路管理局(台鉄)の都市間特急用新型車両「EMU3000」が、台北と東部の台東を結ぶ東部幹線の特急列車として営業運転を始めた。 台湾ではかねて、東部方面への移動需要に対して鉄道の座席数がまったく足りず、指定券を入手しづらい「一票難求」と呼ばれる状態が続いてきた。従来車両は編成が短く、全席指定のうえ立席での乗車も不可能と、どうしても利用したい人々を見捨てるような状況だった。それに加え、台鉄では近年、多数の乗客が死亡する大事故が相次いで発生しており、信頼性とイメージの回復は必須の課題となっている。 このたび運行が始まった新型特急は、こうした問題を解決するための救世主となりうるのか』、興味深そうだ。
・『真っ白なボディでイメージ一新  黒いフェイスに白のボディが特徴的なEMU3000は、2024年までに計600両(12両×50編成)が投入される予定で、台鉄史上最大規模かつ国際的にもまれに見る増備計画となる。今までの台鉄にはなかった斬新なデザインは、現地鉄道ファンの間で「ペンギン」や「くろさぎ」などといったあだ名で運行前から人目を集め、一般の人々の間でも注目されている。 台鉄は2019年から車両や駅構内のデザインをリフレッシュし、国営鉄道のイメージを一新しようと「台鉄美学復興(FUTURE—RENAISSANCE)」と銘打ち、外部デザイナーと連携しながら新たなコンセプトによる車両の開発を進めてきた。通勤型電車の「EMU900」や観光列車の一種である「鳴日号」がその例だ。EMU3000は第3弾に当たり、日立側が当初提案した「TEMU1000」(タロコ号)をベースとしたデザイン案を突き返して再検討を進めた。その結果として生まれた、シンプルかつ落ち着きのあるデザインは今までの台鉄に見られなかった意匠が感じられる。 こうした努力の結果、EMU3000は台湾の公共交通車両として初めて日本の「グッドデザイン・ベスト100」に選出されている。 EMU3000は第1陣の納入分として3編成・36両が台湾に到着しており、まずは東部幹線の特急列車3往復に投入された。当面は同線方面を走ることになる。 時刻表を見ると、今回12月29日のダイヤ改正でEMU3000へ車両を置き換えた列車は、従来と比べて所要時間が10分ほど延びている(樹林―台東間の場合)。所要時間が延びてでも新型車両に置き換えなければならない「切羽詰まった事情」とはどのようなものだろうか』、どんな「事情」なのだろう。
・『振り子式車両は輸送力不足  台湾は全体的に山がちで、西部と東部の海岸沿いに人口が密集している。とくに東部海岸エリアは険しい山や峡谷が続く。戦前の日本統治時代から建設が始まった鉄道は、2005年に東部の主要都市である花蓮までの複線化が実現したものの、線形が悪くスピードが出しにくい悪条件を伴う。 台鉄は、台北―花蓮―台東間の所要時間が高速バスより長く競争力が劣るとみて、振り子式電車の「TEMU1000」(タロコ号)や、車体傾斜式の「TEMU2000」(プユマ号)を相次いで導入し速達性の向上を図ってきた。しかし、これらの列車は8両編成と短く、さらに振り子式車両であることから高速走行時の揺れを考慮して立席をなくし、全席指定制とした。こうした事情もあって、増え続ける旅客需要に対する抜本的な改善策とはならなかった。 今回投入されたEMU3000は12両編成で、従来と比べ座席数が1.4倍となる。これにより、「一票難求(注)」問題は解決が進むことだろう。しかし、振り子式車両ではないことから、カーブでの通過速度が従来のTEMU1000よりも遅いため、スピードダウンを余儀なくされたことになる。 台北と東部各都市を結ぶ交通については、台鉄が振り子式電車を導入してスピードアップを図る一方、道路も2020年に宜蘭―花蓮間の改善工事完了で「蘇花改道路」が開通し、最大で1時間ほどの所要時間短縮が実現した。マイカーの通行量が増加したほか、高速バスも「北花線回遊号」と呼ばれるコンセントを備えた車両による新路線を開設するなど、サービスの改善が見られる。 こうした状況の中、台鉄としては高速バスに打ち勝つべく、速度面以外での付加価値を利用客に訴える必要性が高まった。そこで登場したのが、EMU3000のビジネスクラス(商務艙、定員30人)だ。台湾を初めて走った機関車の愛称から名付けられた「騰雲座艙」と呼ばれるこのシートは、横3席×10列の30席という広々とした座席配置を誇る。 フットレストがないことやリクライニングの角度が比較的浅いことなど気になる点はあるものの、ソフト面では車内限定弁当、ハーゲンダッツのアイスクリーム、もしくはパイナップルケーキなどのいずれか1つと飲み物が選択できる飲食物の無料サービスが提供される。また、主要駅を中心に専用のチケットカウンターを設け、乗車変更も無料で受け付ける。 そのサービス内容は航空会社のエグゼクティブクラスを多分に意識している。対応に当たる客室乗務員も投入に合わせて特別に募集し、チャイナエアラインによる訓練を受けたという肝いりだ。料金は距離に応じて普通車の1.4倍~2.2倍で、長距離客に対する配慮がみられる』、「線形が悪くスピードが出しにくい悪条件」、「高速バス」との競争など、大変なようだ。
(注)一票難求:一枚の切符さえ手 に入れるのが非常に難しい。
・『トイレは編成中全車両に  2列×2列の座席が並ぶ普通車の居住性も大幅に改善された。全席にUSBの充電ソケットと100Vのコンセントを備え、Wi-Fiのサービスもある。また、編成中すべての車両に大型の荷物置き場とトイレを設置している。 トイレの数は一見過多にも感じるが、台鉄は通勤車両も4両に1箇所トイレを設置しているほか、自転車搭載スペースも設けるなど、長距離利用者を考慮した設計が特徴だ。 筆者はEMU3000の運行開始直後、台北駅を平日夜6時台に出発する台東行き438次列車に宜蘭まで乗車した。土休日の帰省・行楽需要は比較的旺盛だが、平日の普通席利用率は5割に満たない。一方、新設されたビジネスクラスは満席だった。 列車が入線する際にカメラを構える人も多かった。乗客に新型車両の印象を聞くと、「荷物置き場が増設されキャリーケースを足元に置かずに済む」「客室扉がガラス製なので、開放的で圧迫感がない」といった声が聞かれた。 東部幹線の優等列車は高速鉄道(新幹線)との接続を考慮して台北近郊の副都心に停車する列車が多いが、この列車は台北を出ると、東部幹線の北部側の主要駅である宜蘭まで停まらない直達型の停車パターンとなっている。 台北駅を出るとすぐに加速し、台北近郊を高速で走行。山間部に入るとその足並みは落ちるものの、持ち前の加速力を発揮して加減速を繰り返し、雪山山脈のふもとを越える。振り子式のTEMU1000やTEMU2000に比べると騒音やカーブでの振動が気になるものの、車体の傾きによる不快感は低減された。山間区間を抜け、太平洋の海岸線を左手に臨むと列車は再び加速を重ね、宜蘭に到着した。 翌朝、台北に戻るために利用したのは411次列車のビジネスクラス。車内は満席で、発車するとすぐに専用エプロンを身に付けた客室乗務員が、事前予約していた軽食と飲料を運んできた。軽食類はカートから直接選ぶこともできる。メニューにある限定弁当は時間帯によって提供する区間が決まっており、短距離区間だと選択できない場合があるなど、ソフト面でも長距離客に対する配慮が見られる。 ビジネスクラスの座席は広々とスペースを取っており、カーブの多い山間部でもしっかりとしたホールド感を感じられる一方、フットレストやブランケットといった設備やサービスはなく、基本的に「広めの普通車シート」と表現するのが妥当そうだ。 車内のWi-FiはSSIDがビジネスクラスの6号車を示す「EMU3000-6」で、同クラスの乗客に対して優先的に提供していることがわかる。ただ、パスワードなしで隣接車両からも接続できることや走行区間による電波の障害を考えると改善の余地がありそうだ』、「普通車の居住性も大幅に改善・・・全席にUSBの充電ソケットと100Vのコンセントを備え、Wi-Fiのサービス・・・編成中すべての車両に大型の荷物置き場とトイレを設置」、なるほど。
・『安定したメンテナンスに課題  EMU3000は、日立の鉄道車両工場である笠戸事業所(山口県下松市)で完成品として組み上げられ、台湾まで船で輸送される。 台湾の鉄道ファンの間からは「まるで日本の列車に乗っているようだ」といった好感の声もある一方、「地元で組み上げられたものではないので、はたして台鉄にしっかりメンテナンスするだけの技術が備わっているのか」と疑問を投げかける声も聞こえてくる。 実際、投入初日からトイレの故障や乗降ドアの不具合が発生した。また、TEMU2000(プユマ号)についても「日本製でそんなに古くないのに、座席に相当のガタがきている」と苦情を訴える乗客もいるようだ。 車両の保守作業については、同じ日立製の英国向け車両であるクラス800シリーズの場合、日頃の運用に必要な保守点検作業も同社が長期スパンで受注し、車両の細かい点検補修ができる体制が整っている。一方、台湾の場合は部品の純国産化を目指す政府の方針もあり、保守作業は基本的に台鉄のスタッフが担うことになるという。 加えて、台湾ならではの「外交事情」が複雑に絡む一面もある。入札書類では中国本土メーカーの参加を明確に禁止しており、契約書でも主要機器については中国が加盟していない、「政府調達に関する協定(GPA)」加盟国しか供給できないように定めている。「中国製部品を使ってほしくない」と訴える台鉄側の意向もあったといわれ、設計・生産での調整には苦労の跡が忍ばれる』、「台湾の場合は部品の純国産化を目指す政府の方針もあり、保守作業は基本的に台鉄のスタッフが担うことになる」、「入札書類では中国本土メーカーの参加を明確に禁止」、などの制約のなかでやる必要があるようだ。
・『「台鉄改革」の一歩に  台鉄のスピードアップや前述の道路改良など改善が進む東部各都市への交通網だが、長期的視点ではこれだけにとどまらない。日本の国土交通大臣に当たる交通部部長の王國材氏は先ごろ、台湾全土に高速鉄道網を拡げる「高鐵環島計画」を発表し、実際に宜蘭地区への高速鉄道延伸に向けたルートの選定が進んでいる。日本の新幹線と異なり、台湾の高速鉄道は在来線を運行する台鉄とは別会社の運営で、対立関係にある。高速鉄道が完成すれば厳しい競争になることは間違いない。 台鉄の計画からは、今からそれに対抗しようとする様子が垣間見られる。発表によると、EMU3000は今後、東部幹線のみならず西部幹線に直通するルートにも投入する予定という。これによって運用が減るTEMU2000を比較的需要の少ない南回り線を経由するルートにも転用し、速達性の劣る気動車や客車列車を置き換える目論見があるようだ。また、EMU3000の契約には観光列車として使われる特別仕様車4編成の製造も含まれており、ツアー客に特化したサービスを提供する予定だ。 台鉄は目下、輸送力の確保に加え、高品質のサービスと多様なルートの提供でイメージの一新を目指している。台湾の鉄道文化研究の第一人者である台湾師範大学の洪致文教授はEMU3000導入について、「当局の徹底した乗客目線の姿勢に、利用客の反応はおおむね好評だ。これをきっかけに、今後さまざまな面で台湾鉄道が変わっていくことが期待できる」と評価する。 EMU3000は「台鉄改革」の一手として、重大事故の連続で失った信頼を取り戻す救済者となるだろうか』、「EMU3000は「台鉄改革」の一手として、重大事故の連続で失った信頼を取り戻す救済者と」なってほしいものだ。
タグ:(その13)(中国にさらわれたインドネシア高速鉄道プロジェクトはいま… 予想外に膨らんだコスト 営業開始から数年で経営破綻の可能性も、日立、英新幹線受注で狙う「高速鉄道トップ」の座 アルストムやシーメンスと肩を並べる存在に?、台湾鉄道の信頼回復担う「日立製新型特急」の実力 相次ぐ事故と座席供給不足のイメージ払拭狙う) インフラ輸出 JBPRESS 塚田 俊三氏による「中国にさらわれたインドネシア高速鉄道プロジェクトはいま… 予想外に膨らんだコスト、営業開始から数年で経営破綻の可能性も」 「インドネシア高速鉄道プロジェクト」の現状とは興味深そうだ。 「JICAが2012年に行ったフィージビリティスタディ(F/S調査)でも、建設費の半分は政府が出さなければ採算は取れないとしていた」、始めから無理のある計画だったようだ。 「インドネシア政府が、これ以上海外からの借入れ(政府の債務保証も含む)を増やせば、政府の対外債務の上限に達することが明らかになった」、「プロジェクトはbusiness-to-businessベースに切り替え・・・インドネシア政府からは一切の政府支出を求めないし、政府保証も不要」、こんな成行きになるのは始めから想像できた筈だ。「インドネシア政府が」、日中を競わせて好条件を引き出そうとするのであれば、日本が手を引いたのは当然だ。 「工事全体的としては、順調に進み始め、2021年3月時点では、70%が完了した。このまま順調に進めば、工事は2022年末までには完成するであろうとの見通しを出せるまでになった」、なるほど。 「通常のEPC契約であれば、これら資機材等については、幾つかのサプライヤーから見積もりを取り、それらを見比べたうえ、最も安価なものを購入するのが通常であるが、このプロジェクトにおいては、このような原則は働かず、全ての資機材、システムは、中国のサプライヤーから、しかも、その言い値で購入するしかない。このようなアレンジの下では、資機材やシステムの購入価格は、高いものにつきがちであり、今回のコストオーバーランの背景には実は、このような要因が隠されていたと推察」、こんな一方的契約では「コストオーバーラン」も当然だ 「本来は民間ベースで進められるべきであったプロジェクトに、政府が財政支援を行わなければならなくなった理由」、こうしたシナリオは「中国側」が密かにつくったのではなかろうか。 「中国開発銀行からの融資である場合は、その金利は6%台と高く、50年間の累積金利額も多額となる」、まるで高利貸だ。 「中国からの借り入れ事案においては一旦債務の罠にはまってしまうと、どんどん深みにはまってしまい、ついには身動きがとれなくなる恐れがある」、「これは、どこかで食い止める必要があり、このためには、断固とした姿勢で交渉に臨む必要がある」、「インドネシア」にそんな芸当が出来るだろうか。 「これまで、中国とのプロジェクトを途中で破棄したいとする途上国は幾つかあったが、その際降りかかってくるペナルティーの額があまりにも大きいので、マレーシアの例に見られるように、これを諦めた国が多い」、こんな「国際慣習に添わない不利益条項が多々含まれている」、「対外秘とされ」るわけだ。「中国側」の不正な手口には怒りを覚える。 東洋経済オンライン 橋爪 智之氏による「日立、英新幹線受注で狙う「高速鉄道トップ」の座 アルストムやシーメンスと肩を並べる存在に?」 「日立+旧ボンバルディア」は確かに強力な組み合わせだ。 「日立が世界へ向けてより大きく踏み出す一歩となる」、今後の展開が楽しみだ。 小井関 遼太郎氏による「台湾鉄道の信頼回復担う「日立製新型特急」の実力 相次ぐ事故と座席供給不足のイメージ払拭狙う」 どんな「事情」なのだろう。 「線形が悪くスピードが出しにくい悪条件」、「高速バス」との競争など、大変なようだ。 (注)一票難求:一枚の切符さえ手 に入れるのが非常に難しい。 「普通車の居住性も大幅に改善・・・全席にUSBの充電ソケットと100Vのコンセントを備え、Wi-Fiのサービス・・・編成中すべての車両に大型の荷物置き場とトイレを設置」、なるほど。 「台湾の場合は部品の純国産化を目指す政府の方針もあり、保守作業は基本的に台鉄のスタッフが担うことになる」、「入札書類では中国本土メーカーの参加を明確に禁止」、などの制約のなかでやる必要があるようだ。 「EMU3000は「台鉄改革」の一手として、重大事故の連続で失った信頼を取り戻す救済者と」なってほしいものだ。
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インフラ輸出(その12)(失注が一転「中国製」欧州向け電車 突如登場の謎 実は「秘密裏」に進んでいた中・欧の共同開発、日立製英高速列車の亀裂は800車両 応力腐食割れが原因か 日本の製造業に打撃、日立製英国車両「亀裂発生」 その後どうなった 「乗客への情報提供」当局は評価 肝心の原因は?) [インフラ輸出]

インフラ輸出については、1月25日に取上げた。今日は、(その12)(失注が一転「中国製」欧州向け電車 突如登場の謎 実は「秘密裏」に進んでいた中・欧の共同開発、日立製英高速列車の亀裂は800車両 応力腐食割れが原因か 日本の製造業に打撃、日立製英国車両「亀裂発生」 その後どうなった 「乗客への情報提供」当局は評価 肝心の原因は?)である。

先ずは、6月10日付け東洋経済オンラインが掲載した欧州鉄道フォトライターの橋爪 智之氏による「失注が一転「中国製」欧州向け電車、突如登場の謎 実は「秘密裏」に進んでいた中・欧の共同開発」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/433187
・『そのニュースは、まさに突然入ってきた。6月1日、中国メディアは世界最大の鉄道メーカー、中国中車(CRRC)の子会社である中車株州電力機車有限公司(CRRC ZELC)が、オーストリアの民間鉄道会社ウェストバーン向けの新型2階建て電車を完成させ、輸出すると報じたのだ。 ウェストバーンは現行車両の更新のため、新型車両の導入を計画していたが、CRRCと争っていたスイスのシュタドラーが、同社の2階建て電車「KISS 3」6両編成15本を、製造とメンテナンスを含む総額3億ユーロで契約を獲得、CRRCは失注していたはずだった(2020年1月25日付記事「中韓鉄道メーカー、『欧州本格展開』への高い壁」)。 だが、中国メディアのニュース映像には、すでに完成したと思われる車両が完成記念式典の会場で関係者の晴れやかな笑顔とともに映し出され、この車両が出荷目前であることをうかがわせた。記念式典はウェストバーンのゼネラルマネージャー、エーリッヒ・フォースター氏を筆頭に、駐オーストリア特命全権大使やオーストリア商工会議所の会長らもオンラインで出席するなど、大々的なものだった』、「「失注が一転「中国製」欧州向け電車、突如登場」、とは欧州鉄道関係者には衝撃のニュースだろう。
・『オーストリア側に事情を聞くと…  これには、さすがのヨーロッパ各国の鉄道系メディアも寝耳に水といった感じで驚きを隠せず、一時騒然となった。ヨーロッパ側では誰もが何も把握していなかったことから、中国側の勇み足じゃないのか、といった噂話まで飛び出した。 いったい、何が起きたのか。ウェストバーンの広報へ確認したところ、以下の回答を得た。 まずこの車両について、ウェストバーンとは2019年12月に契約を締結したとのことだ。つまり、1年半前に失注したと言われたその直後から、秘密裏にこの車両の設計・製造がスタートしていたわけで、一度は決別したかに見えた両社は、今も蜜月の関係にあることがうかがえる。 とはいえ、現時点ですでに車両が完成し出荷状態にあるというのは驚きで、CRRCはこのような顧客の意向に沿ったオーダーメイド車両であっても、18カ月以内で設計・製造することが可能だと述べている。 また、すでに契約を結んでいるシュタドラー製の6両編成15本はそのまま購入し、CRRC製車両はそれとは別に6両編成4本を追加投入という形で導入するという。 車両製造については、ウェストバーンとCRRCが共同で開発を進め、中枢となる部品をヨーロッパで調達するということに、特に細心の注意を払って設計・製造を進められたと説明している。ただ、ウェストバーンはドアと連結器に関してはヨーロッパ製であることを明言しているものの、その他のパーツ、例えば電装品や信号装置、空調設備などに関しては現時点では回答できないとの返答だった。 CRRC製2階建て電車は、両先頭車2両が動力車、中間車4両は動力のない客車となっている(2M4T)。相互運用性の技術仕様(TSI/A technical specification for interoperability)に準拠し、最高速度はウェストバーンでの営業運転速度に合わせ、時速200kmで設計されている。 興味深いのは、車体の一部にカーボンファイバー製のパーツが用いられている点で、通常の平屋構造の車体と比較して、重量は約10%の増加にとどまっている。以前、イノトランスのレポートでもご紹介した、オールカーボンファイバー製の試作車両「CETROVO」を覚えている方もいらっしゃるだろうが(2018年10月5日付記事「中国が躍進『鉄道見本市』、実車展示で存在感」)、ここで車体の一部にそのカーボンファイバー製を採用してきたことは注目に値する。ダークグレーの座席を含む内装は、既存車両に近いイメージだが、木目調となった壁面化粧板が温かみのある印象を受ける』、中国側としては、破格の条件を出して極秘に受注を獲得したのだろう。
・『スイスメーカーとの契約とは別物  DEMU2と称するこの新型車両は、本国オーストリアのほか、ドイツやハンガリー、その他5カ国での営業運転を予定している。搭載されている機器の電圧は、交流15kV 16 2/3Hzおよび交流25kV 50Hzの2種類のみであるため、ルーマニア、ブルガリアやセルビアの他、チェコ、スロヴァキアの一部地域といったあたりが考えられる。 今後は、2021年夏ごろをメドにヨーロッパへ向けて出荷され、夏の終わりからチェコのヴェリム試験センターでテスト走行を開始、2023年の夏~秋ごろに営業運転を開始する予定となっている。 今回の突然の発表には非常に驚かされたが、いくつか興味深い点がある。 まず、ウェストバーンはすでにシュタドラーから新車を購入する契約を結んでいたことで、今回のCRRCとの契約は、それとは別に存在するという点である。 もともと、同社は民間鉄道会社として旗揚げ後、同じシュタドラー製2階建て電車「KISS」を6両編成8本導入し、その後の増発時に増備された「KISS 2」4両編成9本を合わせ、計17本の「KISSシリーズ」を保有していた。) だが、この「KISS」と「KISS 2」はメンテナンス費用が少々高かったことに加え、当時は需給調整で列車本数の削減を検討していたことから、新型車へ置き換える形で売却を決断し、置き換えられた車両は順次ドイツ鉄道へ売却することも後に発表された。そこで、置き換え用の新車としてシュタドラーの進化型「KISS 3」とCRRCの車両が受注を争うことになった。 当時、ウェストバーンはCRRC製車両の導入にかなり傾いていたとされ、契約は時間の問題だとも噂されていたが、その結果は意外にもシュタドラーに軍配が上がった。2019年秋、ウェストバーンはシュタドラーと新型の「KISS 3」を導入する契約を結んだと発表したのだ。 確かに、すでに同社のKISSシリーズを使用しており、それに特段の不満がないのであれば、無理に別のメーカーへ鞍替えをする必要性は考えられない。乗務員の取り扱いを考えても、むしろ同じメーカー・車種で統一するほうが望ましい。 とはいえ、CRRCが提示した契約がかなりの好条件であったと仮定すれば、国の後ろ盾があるわけではない民間企業にとっては非常に魅力的なオファーとなるに違いない。いや、民間鉄道会社のみならず、交通インフラへ十分な投資ができない中・東欧地域の国々にとっても、魅力的なオファーがあれば飛びつきたいと考えるのが自然だ』、「CRRCが提示した契約がかなりの好条件であったと仮定すれば・・・民間企業にとっては非常に魅力的なオファーとなるに違いない」、やはり決め手は安値「オファー」だったようだ。
・『欧州では実績のない中国製  一方で、まったくの新規参入メーカーとの取引には、多少のリスクが伴うということも忘れてはならない。CRRCが鉄道メーカーにおける世界シェア1位ということは揺るぎない事実だが、売り上げの約90%は中国国内へのもので、ヨーロッパでの実績は皆無に等しい。 ヨーロッパ地域におけるCRRC製車両としては、マケドニアとセルビアに貨物用の機関車が数両ずつと、ハンガリー鉄道貨物部門向けの新型機関車「バイソン」、それにチェコ民間企業レオ・エクスプレス向けの5車体連接電車「シリウス」などがある。 ただ、前2者のうちセルビアは発電所への石炭輸送という非常に限られた使い方をされており、マケドニアは国内の限定された貨物運用に供されているだけだ。後2者については、チェコ国内にあるヴェリム試験センターから出てくる気配もない。 「シリウス」に関しては、年初めの段階で2021年前半には営業運転を開始すると高らかに宣言していたが、筆者が以前の記事で指摘した通り、テストは順調に進んでおらず、現時点では少なくとも2022年まで営業運転を開始できる見込みはない、と言われている。 このようにヨーロッパ地域内においては、まだ十分な実績を残していると言えるほど多くの車両が営業運転を行っているわけではなく、とくに認証テストの難易度が高い西・中欧地域においては、クリアするまで長期間にわたって営業開始できない可能性もある。 今回の新型2階建て電車は、2023年夏~秋ごろの営業開始を目指していると発表されたが、これは最速でという意味で、実際には進捗状況により、さらに数年先延ばしになる可能性も考えられる。わずか18カ月でどんどん車両を建造できても、走る許可が出ないのであれば意味のない話だ。 このように営業開始時期がまだ不透明な車両を導入した場合、計画が大幅に狂ってしまう可能性は否定できない。ウェストバーンの場合、従来車を他社へ譲渡する話まで決まっている以上、もし納入が遅れればその影響はほかへも波及することになる。そこで確実な方法として、現行車両の増備車を導入する、というのが一番手っ取り早い解決法となる。CRRCの新車が使い物になるかどうかを見極めるまで、しばらくは現行車両に頼らざるをえないだろう。 そしてもう一点、最も注目したい点は、このCRRC製の6両編成4本24両の車両は、ウェストバーンが購入したものではなく、CRRCが保有し、それをリースするということだ。シュタドラーと新たに契約した「KISS 3」はリースではなく、同社が購入した完全な自社保有車両なので、この違いは非常に興味深い』、「ウェストバーン」としては、CRRCからの「リース」の形を採ることで、リスクを回避しているのだろう。
・『欧州で高評価を得られるか?  おそらく、ウェストバーンは今すぐにもCRRCと手を組みたいと考えているだろうが、前述のとおり現状はリスクが非常に高い。そこで、まずはお試し期間としてCRRCとリース契約を取り付け、実際に営業で使ってみたうえで、もし気に入れば車両を買い取り、追加投入も検討する、という構図が見えてくる。 リース車両の買い取りは、このケースに限らずヨーロッパでは一般的で、リース契約満了後に鉄道会社が車両を引き続き使いたい場合、契約を継続するか、そのまま車両を買い取るかを選択できるオプションがある。不要と判断した場合、リース終了後に返却することもできる。自家用車のリースとまったく同じ方法である。 CRRC側にしても、ヨーロッパでの実績がないことは重々承知しており、とにかく今は自社製品を広く知ってもらうことに注力しなければならない。このウェストバーン向け車両だけではなく、ハンガリー鉄道貨物部門向けの機関車も同様にリース契約で、フルメンテナンスと将来的な買い取りオプションも含めている。 だが、CRRCにとってはこれからがいよいよ正念場となる。リース期間中に高評価を得て、追加発注を取り付けるができれば、徐々にヨーロッパ地域で受け入れられることになるし、逆に評価を落とせば、ヨーロッパ進出は夢に終わることになるだろう』、中国側がこんな目立たない形で、鉄道輸出に進出しようとしているのは、要注意だ。

次に、6月2日付けNewsweek日本版が掲載した木村正人氏による「日立製英高速列車の亀裂は800車両 応力腐食割れが原因か 日本の製造業に打撃」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/kimura/2021/06/800_1.php
・『<「ドル箱」の高速列車の運休で運行会社は大幅な減収必至。「鉄道の日立」は信頼を損ねたが、問題はそれだけではない> [ロンドン発]イギリスで5月8日「鉄道の日立」のフラッグシップ、高速列車800系に亀裂が見つかった問題で、車両本体下のボルスタに亀裂の入った車両は800車両にのぼることが地元の鉄道記者の証言で分かった。応力腐食割れが疑われているが、根本的な原因は依然として分かっておらず、修理にどれだけの期間がかかるのか見通しは全く立っていない。 日立レールの説明では今年4~5月、ボルスタの安定増幅装置ヨーダンパー・ブラケット接続部と車両本体を持ち上げる時に使用するリフティングポイントで亀裂が見つかった。リフティングポイントの亀裂は全編成の約50%、ヨーダンパー・ブラケット接続部の亀裂は約10%で見つかった。近郊輸送用車両385系の亀裂ははるかに少なかったという。 筆者が関係者から入手したヨーダンパー・ブラケット接続部の写真を見ると、亀裂の深さは15ミリに達していたり、長さは28.5センチに及んでいたりする。 不眠不休で車両を点検している日立の車両基地を取材した地元の鉄道記者フィリップ・ヘイ氏は筆者に「800車両で亀裂が見つかったと聞かされた。亀裂の大きさはさまざまだが、小さくても列車を走行させているうちにどんどん大きくなる」と語る。 筆者が関係者から入手したヨーダンパー・ブラケット接続部に入った亀裂 亀裂は塗装や汚れに隠れて肉眼では見えにくいため、専用の検査装置を使って亀裂があるかないかを慎重に点検しなければならない。ヘイ氏が見た写真ではリフティングポイントに入った亀裂もかなり長かったという。ヨーダンパー・ブラケット接続部とリフティングポイントの亀裂はいずれも英鉄道安全標準化委員会に「国家インシデント」として報告されている。 亀裂の原因について日立レールは「われわれは応力腐食割れと考えている。まず材料、次に天候や空気、水などの環境、三番目に金属にかかるストレスが要因として関係しているとみている。疲労亀裂ではない」と説明する。営業運転開始からわずか約3年半でこれだけ多数の車両の同じ箇所(ボルスタ)に亀裂ができた原因とメカニズムはまだ解明されていない』、「原因とメカニズムはまだ解明されていない」とは深刻だ。
・『「ボルスタには車両の蛇行動を制御するヨーダンパーと、カーブを走行する際に生じる車両の傾きを抑えるアンチロールバーから異なる力がかかる。4月にヨーダンパー・ブラケット接続部から亀裂が見っかった時は疲労亀裂(部材内に発生する単位面積当たりの応力が小さくても繰り返し生じることによって亀裂が進展する現象)が疑われたが、普段は使用しないリフティングポイントからも亀裂が見つかったことが問題を複雑にしている」 筆者にこう解説するのは鉄道雑誌モダン・レールウェイズ産業技術編集者ロジャー・フォード氏だ。今年4月、英イングランド北部で列車運行会社ノーザンが運行するスペインの鉄道車両メーカーCAF製車両でもヨーダンパー・ブラケット接続部に亀裂が走り、ヨーダンパー・ブラケットが剥落した。調査の結果、86編成のうち22編成から亀裂が見つかった。 これに続いて日立製の800系でもヨーダンパー・ブラケット接続部に亀裂が見つかり、当初は疲労亀裂が疑われた。運行中にヨーダンパー・ブラケットが剥落すれば最悪の場合、列車が脱線する恐れもある。 フォード氏は「根本的な原因が分からない限り、修理は不可能だ」とみる。日本の鉄道関係者も同じ見方を示した。英メディアは全車両を修理するのに18カ月かかると報じたが、日立レールは「われわれは18カ月と言っていない。乗客の混乱を最小限に抑えるために、修理は通常のメンテナンスサイクルに合わせている」と述べるにとどめた。 ヘイ氏によると、問題のボルスタは車両本体下に溶接されており、簡単には取り外せないという。またフォード氏は「仮に溶接して修理するとなると、高圧電流が車両の電気・電子機器を損傷する恐れがあるため、すべて取り外さなければならない。複雑な工程で時間がかかる」と話す。 日立製作所は山口県の笠戸事業所で製造した高速列車395系をイギリスに輸出し、2012年のロンドン五輪では会場アクセス用列車「オリンピックジャベリン(投げやり)」としても活躍した。日立レールは「395系はイギリスで最も信頼されている列車の一つ」と胸を張る。 その技術力を買われて都市間高速鉄道計画(IEP)を受注し、800系や385系を英ニュートン・エイクリフ工場などで生産。日立が主導する特別目的会社アジリティ・トレインズが列車を保有する形で各運行会社にリースするとともに、保守事業も一括して受注した』、「運行中にヨーダンパー・ブラケットが剥落すれば最悪の場合、列車が脱線する恐れもある。 フォード氏は「根本的な原因が分からない限り、修理は不可能だ」とみる」、やはり極めて深刻だ。
・『日立レールは亀裂が見つかった車両の製造場所について「最初は日本で製造された。それからイタリアでも製造された。最終的にイギリスで完成された」と説明する。800系の車両に使われているアルミ合金のほとんどはデータ改ざん問題で揺れた神戸製鋼所から納入されている。 日立レールは亀裂の入ったボルスタが神戸製鋼所製かどうかについて回答を保留しているが、神戸製鋼所は筆者の問い合わせに「当社はアルミ押出材を日立のイギリス車両向けに納入している。日立の車両の問題が報道されていることは承知しているが、日立から当社への調査依頼などは現時点でない。調査要請などあれば真摯に対応する。品質事案の対象材については当時の納入先といずれも安全性を確認できている」と強調した。 日立レールによると、IEPでは日立側が列車運行会社にリースする列車に基づいて支払いを受け取る仕組み。列車が利用可能になった場合にのみ支払いが発生する。列車運行会社ではなく日立が亀裂問題のリスクを負うため、政府と納税者には負担は生じないという。 しかし「ドル箱」の高速列車が計画通り運行できなければ列車運行会社は大幅な減収となり、最終的に赤字になれば税金から補填されるのは避けられないのではないだろうか。 ロンドンとマンチェスター、リーズを最高時速360キロで結ぶ高速鉄道計画ハイスピード2(HS2)でも新幹線車両で実績を誇る日立もカナダのボンバルディアと組んで車両の大型受注を目指している。しかし今回の大量亀裂で「鉄道の日立」の信頼は大きく揺らぎ、HS2の受注だけでなく「モノづくり日本」の看板にも大きな亀裂が走ったのは言うまでもない』、「800系の車両に使われているアルミ合金のほとんどはデータ改ざん問題で揺れた神戸製鋼所から納入されている」、関連がありそうだ。「HS2の受注だけでなく「モノづくり日本」の看板にも大きな亀裂が走った」、挽回は容易ではなさそうだ。

第三に、7月8日付け東洋経済オンラインが掲載した 在英ジャーナリストのさかい もとみ氏による「日立製英国車両「亀裂発生」、その後どうなった 「乗客への情報提供」当局は評価、肝心の原因は?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/439213
・『今年5月、イギリスの主要鉄道路線で「都市間高速列車(IET)」として使われている日立製作所製車両に亀裂が見つかった。一時は当該車両を使った全列車が運休し、その衝撃は日英の鉄道関係者の間に大きく広がった。 亀裂は「運行には問題ない」とされ、車両は通常運用に戻っているが、英国の鉄道安全規制当局は6月、徹底的な原因調査を実施すると発表した。トラブル発生から2カ月近くを経た今、亀裂問題の究明はどの程度進んでいるのだろうか』、興味深そうだ。
・『車体を持ち上げるための部分に亀裂  金属部品の亀裂トラブルを起こしたのは、日立が英国工場などで生産した「クラス800シリーズ」だ。同シリーズは800・801・802と複数のタイプがあり、2017年から納入が始まった5両もしくは9両編成あわせて全182編成が走っている。 これらの車両を運行しているのは現在4社。主要幹線の運行を担うグレート・ウェスタン鉄道(GWR)が計93編成と最も多く、次いでロンドン・ノースイースタン鉄道(LNER)が計65編成を運行。イングランド北部の中小都市を結ぶトランスペナイン・エクスプレスは19編成、ロンドンとイングランド北東部を結ぶハル・トレインズも5編成使用している。 問題が明るみに出るきっかけとなったのは、GWRの編成で発見された亀裂だった。日立が運営を受け持つブリストル近郊ストーク・ギフォードにある車両基地で5月8日、出場前の点検をしていたさなかに「リフティングポイント」の前面に亀裂が発見された。車両の定期点検などの際に、車体を持ち上げて台車から切り離す時に用いる部分だ。 ところが、同車両をめぐっては4月の段階で「ヨーダンパー(台車と車体をつないで揺れを抑える装置)ブラケットの取り付け部」にも亀裂が起きていたことが判明していた。 こうした背景から、鉄道安全規制当局である鉄道・道路規制庁(ORR)は6月7日、日立をはじめとする関係者と共に、「列車のジャッキプレート(リフティングポイントに当たる)とヨーダンパーブラケットの取り付け部に発生した亀裂の根本的な原因を究明する」との方針を打ち出した。 最初の亀裂発見から現在に至るまでの経緯は以下の通りだ。 【クラス800シリーズ亀裂問題の経過】 4月11日:クラス800の定期検査でヨーダンパーの亀裂を発見 5月8日:クラス800のリフティングポイントの前面に亀裂発見、他編成にも亀裂の存在を確認 *GWRなど4社が運行のクラス800シリーズ全182編成を運用から外し検査実施 *ORRの支援を受け、列車が運行を再開しても安全であることを確認 *同日中に「ハル・トレインズ」運行車両が運用に戻る 5月10日:トランスペナイン・エクスプレス(TPE)運行車両が運用に戻る 5月13日:GWRとLNER、列車本数ほぼ正常に復帰 5月20日:日立レール、ロンドン西部にある車両基地でメディア向けに説明会実施 6月7日:ORR、亀裂トラブルのレビュー実施日程を発表 6月25日:利用者向け対応に関するレビュー結果を発表 9月中(予定):亀裂原因を含むレビューの暫定結果を発表予定 (英鉄道専門誌Rail Journal他から筆者まとめ)』、「亀裂の根本的な原因を究明する」との「ORR」の方針を一刻も早く達成する必要がある。
・『他車種でも亀裂発見、当局が経過を調査  亀裂は「クラス800シリーズ」だけでなく、2018年からスコットレール(スコットランド)で走り出し  日立製の近郊電車「クラス385」にも見つかった。 そこでORRは、今回のトラブル発生から関係する全車両の運用停止、運休に伴う利用客への案内、検査後の運用復帰といった一連の動きで得た「教訓」について検討を進めることとした。 ORRはこのレビューの主な目的について「鉄道業界全体に貴重な知見を提供する」と位置付ける一方、「運行の安全性と利用客への影響」についても対象として調べを進めるとの考えを示している。 レビューでは、設計、製造、メンテナンスなどの技術分野、関係するステークホルダーによる協力、検査、メンテナンス、修理、是正措置への責任といった多方面について徹底的に調査を行い、それぞれの分野をいかに改善できるかを検討するという。 ORRのジョン・ラーキンソンCEOは今回のレビューの実施について、一義的には「再発防止に向けての重要なステップ」としたうえで、「技術、プロセス、さらに契約の問題なども含む広範な内容について、安全確保ができているかどうかにフォーカスする」「利用客に対する適切な情報の公開、補償ができていたかどうかについても検証する」と述べている。 トラブルが明るみに出た当初、同型車両を最も多く保有しているGWRのメインターミナルであるロンドン・パディントン駅で、鉄道関係者は「こうした運休がいったいどのくらいの期間続くことになるのか見当がつかない」と途方に暮れていた。 しかし、駅に来たところで運休を知って路頭に迷うといった旅行者の姿がまったく見られなかったことは大きな驚きだった。ロンドンから西方向に向かう長距離列車のほぼすべてが発着する同駅は、コロナ禍といえども一定数の旅客需要がある』、「他車種でも亀裂発見」、とはやれやれだ。
・『利用者への情報提供は「合格」  ORRは、今回の亀裂トラブルに起因するさまざまなレビューを進めており、その一環として6月25日、利用客への影響に関する調査結果を発表した。その中で、亀裂により列車運行に影響を受けた鉄道4社による旅客への情報提供については「十分にできていた」との高い評価を与えている。 評価対象となった項目は大きく分けて次の4項目からなる。 +きっぷの払い戻しに関する情報の一貫性と明確さ +代替ルートの手配に関するアドバイスや代替経路の告知 +サードパーティの小売業者(アプリによる発券)の払い戻し +ウェブサイトでの「混乱への注意喚起」の告知 ORRは、今回のような「予期せぬ事態が発生し、問題が広範囲に及ぶ場合は、情報を最新の状態に保つことが非常に難しい」と指摘し、「運行オペレーター各社が適切に対応、予約済みの利用客と迅速に連絡を取るなどのサポートの実施」について評価している。) イギリスではアプリを使ったオンライン経由の事前購入が安いため、駅に来てからきっぷを買う人は相対的に減ってきている。今回のケースでは、関連各線の運行情報を顧客向けにメールや携帯メッセージなどで直接流せたことが、駅頭での混乱を最小限に抑えられた大きな要因となった。ダイヤが混乱している中、各社は「利用客が直面するトラブルの回避」を念頭に、明確で一貫した情報を提供できていたわけだ。 今回発表したレビューについて、 ORRのステファニー・トービン消費者担当副取締役は、利用客への情報提供については適切だったとしながらも、「今後このような障害が発生した際、利用客への影響をさらに軽減するための対策を講じたい」と述べ、鉄道業界と手を取りながらさらなる改善を検討するとしている』、「オンライン経由の事前購入が安いため、駅に来てからきっぷを買う人は相対的に減ってきている」のが、結果的に「利用者への情報提供は「合格」」つながったとはラッキーだ。
・『亀裂自体の原因は引き続き「調査中」  列車の運行は、亀裂トラブルの発覚5日後の5月13日までにほぼ復旧した。ところで、肝心の亀裂に関する原因究明に向けた調査の進展はどうなっているのだろうか。 6月25日の段階では、ORRはこれまで述べたように旅客サービスに関するポイントを発表するにとどまり、車両そのものの動静については一切触れていない。 ORRは今後の方針について6月7日に発表した文書で説明しており、車両導入の経緯、トラブル発覚後の運用停止、そして営業運転再開時の状況といった3つの項目について9月を目標に報告書をまとめるとしている。その後、長期的な「是正に向けたプログラム」が確立され次第、最終報告書を発表する流れとなっている。 日立や運行各社は「リフティングポイントの亀裂は、編成や各車両の構造には影響を与えない」と説明しているものの、原因が完全に究明されていない状態で時速200kmでの営業運転を行っているのは、利用者側から見れば心許ないのも事実だ。1日も早い具体的な状況の発表が待たれる』、「原因が完全に究明されていない状態で時速200kmでの営業運転を行っているのは、利用者側から見れば心許ない」、「1日も早い具体的な状況の発表が待たれる」、同感である。
タグ:インフラ輸出 (その12)(失注が一転「中国製」欧州向け電車 突如登場の謎 実は「秘密裏」に進んでいた中・欧の共同開発、日立製英高速列車の亀裂は800車両 応力腐食割れが原因か 日本の製造業に打撃、日立製英国車両「亀裂発生」 その後どうなった 「乗客への情報提供」当局は評価 肝心の原因は?) 東洋経済オンライン 橋爪 智之 「失注が一転「中国製」欧州向け電車、突如登場の謎 実は「秘密裏」に進んでいた中・欧の共同開発」 「「失注が一転「中国製」欧州向け電車、突如登場」、とは欧州鉄道関係者には衝撃のニュースだろう。 中国側としては、破格の条件を出して極秘に受注を獲得したのだろう。 「CRRCが提示した契約がかなりの好条件であったと仮定すれば・・・民間企業にとっては非常に魅力的なオファーとなるに違いない」、やはり決め手は安値「オファー」だったようだ。 「ウェストバーン」としては、CRRCからの「リース」の形を採ることで、リスクを回避しているのだろう。 中国側がこんな目立たない形で、鉄道輸出に進出しようとしているのは、要注意だ。 Newsweek日本版 木村正人 「日立製英高速列車の亀裂は800車両 応力腐食割れが原因か 日本の製造業に打撃」 「原因とメカニズムはまだ解明されていない」とは深刻だ。 「運行中にヨーダンパー・ブラケットが剥落すれば最悪の場合、列車が脱線する恐れもある。 フォード氏は「根本的な原因が分からない限り、修理は不可能だ」とみる」、やはり極めて深刻だ。 「800系の車両に使われているアルミ合金のほとんどはデータ改ざん問題で揺れた神戸製鋼所から納入されている」、関連がありそうだ。「HS2の受注だけでなく「モノづくり日本」の看板にも大きな亀裂が走った」、挽回は容易ではなさそうだ。 さかい もとみ 「日立製英国車両「亀裂発生」、その後どうなった 「乗客への情報提供」当局は評価、肝心の原因は?」 「亀裂の根本的な原因を究明する」との「ORR」の方針を一刻も早く達成する必要がある。 「他車種でも亀裂発見」、とはやれやれだ。 「オンライン経由の事前購入が安いため、駅に来てからきっぷを買う人は相対的に減ってきている」のが、結果的に「利用者への情報提供は「合格」」つながったとはラッキーだ。 「原因が完全に究明されていない状態で時速200kmでの営業運転を行っているのは、利用者側から見れば心許ない」、「1日も早い具体的な状況の発表が待たれる」、同感である。
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インフラ輸出(その11)(国が推進「オールジャパン鉄道輸出」悲惨な実態 円借款事業でも車両は海外メーカー製導入へ、あれから6年 日本が勝ち取った「タイ新幹線計画」は幻に終わるのか?、日本協力の在来線高速化にインドネシアが中国招請 高速鉄道計画で飲まされた煮え湯 今度は在来線高速化計画でも?) [インフラ輸出]

インフラ輸出については、昨年1月18日に取上げた。今日は、(その11)(国が推進「オールジャパン鉄道輸出」悲惨な実態 円借款事業でも車両は海外メーカー製導入へ、あれから6年 日本が勝ち取った「タイ新幹線計画」は幻に終わるのか?、日本協力の在来線高速化にインドネシアが中国招請 高速鉄道計画で飲まされた煮え湯 今度は在来線高速化計画でも?)である。

先ずは、昨年9月18日付け東洋経済オンラインが掲載したアジアン鉄道ライターの高木 聡氏による「国が推進「オールジャパン鉄道輸出」悲惨な実態 円借款事業でも車両は海外メーカー製導入へ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/375911
・『案の定というほかない。9月9日、ミャンマーの現地紙ミャンマータイムズは、ミャンマー国鉄(MR)幹部の話として、日本が円借款事業として進める「ヤンゴン・マンダレー鉄道整備事業(フェーズⅡ)」向けの電気式気動車180両をスペインの鉄道車両メーカー、CAFと三菱商事から調達する計画であると報じた。 現地の鉄道関係者によると、CAFの受注はほぼ確定しているという。この通り進めば、日本企業の受注を前提とした「本邦技術活用条件(STEP)適用案件」(日本企業からの調達が求められる)にて、日本の車両メーカーの応札なしという事態が再び発生したことになる。 これまでも筆者はミャンマーにおける鉄道整備事業を追跡し、その危うさを指摘してきたが、最悪の方向に進みつつある。政府が推し進める「オールジャパンの鉄道輸出」の悲惨な実態をレポートする』、「「本邦技術活用条件(STEP)適用案件・・・にて、日本の車両メーカーの応札なしという事態」、どういうことだろう。
・『「日本製」24両で打ち止めか  ヤンゴン・マンダレー鉄道整備事業は、ミャンマー第1の都市ヤンゴンと第2の都市マンダレーの間、約620kmの老朽化した設備を改修・近代化する事業である。新型車両の導入により、所要時間は現行の約14時間から8時間に短縮される予定だ。さらに、これと並行して、ヤンゴンの「環状線改良事業」も進んでいる。 車両関係でいえば合計270両という大量受注のチャンスが車両メーカーにはあった。しかし、5月16日付記事「再び中古車両頼み?日本の鉄道輸出『前途多難』」でお伝えした通り、環状線改良事業においても入札不調から調達期限を遵守できず、苦肉の策として中古車両を無償譲渡し、なんとか日本側の面目を保っている状況である。フェーズⅡ向け車両をCAFが受注すれば、実際に日本から輸出されるのは「フェーズⅠ」と呼ばれる先行整備区間向けの24両のみという結果に終わることになる。 折しも、フェーズⅠ向けのうち最初の6両がメーカーの新潟トランシスから出荷され、9月5日にミャンマーに上陸したところだった。ちなみに、同国はコロナ禍で外国人入国禁止措置が続いているが、車両立ち上げに関わる関係者はチャーター便にて現地入りしている。) 車両については、今後の246両も新潟トランシスが同一設計の車両(環状線向けは通勤仕様)を導入するだろうというのが一般的な見方だった。ただでさえ製造コストのかさむ電気式気動車であり、同社にとっては初の製造である。量産に移行してようやくペイできるかどうかといったところだろう。それでも、続いての入札には参加しなかったのだ。 筆者の個人的感覚で大変恐縮であるが、この新型車両が公の場に現れたとき、「これはないな……」というのが第一印象であった。良く言えばノスタルジックな車両、悪く言えば時代遅れなのである。 もちろん、日本の最新技術が搭載されていることは百も承知である。筆者がいうのはそのデザインである。そこからは、予算を限界まで削ったのであろうことが伝わってくる。新生MRのフラッグシップとなる車両である。これが発注者たるMRが要望した姿なのだろうかと。この時に悪い予感はあった。だから、案の定なのである』、「デザイン」はともかく、「電気式気動車」の「続いての入札には参加しなかった」理由は何なのだろう。
・『国内メーカーの製造能力に課題  それからもう一つ、JICAが公開している「ミャンマー国ヤンゴン・マンダレー鉄道整備事業フェーズⅡ準備調査ファイナルレポート」には車両の調達計画について気になる記述がある。 「現地組立を行わないことが決まったのち、特急列車用車両の調達についての検討が行われ、最終的に 180 両を調達することが決まった。複数の日本の車両製造業者に本プロジェクト期間中の製造能力を確認した結果、第一編成の引き渡しが着手から 36 か月、第二編成以降の引渡しは 1ヶ月/編成(6 両)の間隔が必要と判明したことから、平成 25 年(※)5月までに調達が可能と判断し MR に提案した。しかしながら、最終段階にて MR 側は 2024 年 12 月までにすべての調達が終了するよう強く要請し、結果として、日本側は調達のスケジュールの前倒しをすることでその要請を受け入れることとしたが、詳細設計において、メーカーの製造能力とスケジュールに関する詳細な調査が必要である」(原文ママ)(※平成25年は2025年の誤記であると思われる) なお、このレポートには同時に、前提条件として、「フェーズⅠの車両と共通して運用するために同じ仕様とすることが求められる」とも書かれていることを付け加えておく。 前述のミャンマータイムズの報道には、フェーズⅠ向けの新潟トランシス製車両の今後の到着予定も記されており、それによれば今年12月、そして2021年2月、4月の計3回に分けて残りの18両が現地に搬入されるという。これが正しければ、新潟トランシスでは現状、生産可能なのは2カ月に1編成(6両)ということになる。 さて、CAFと三菱商事という組み合わせを聞いて、思い当たる節がある方もいるのではないかと思う。フィリピンのマニラ首都圏大量旅客輸送システム拡張事業(マニラLRT1号線の延伸計画)である。 「本邦技術活用条件(STEP)適用案件」ながら、2016年に応札者なしで初回入札が不調に終わり、その後も応じる国内メーカーはなく、2017年に三菱商事とCAFのコンソーシアムが受注した。 この入札不調の後、国土交通省は「鉄道産業の抱える課題及び対応の方向性」を発表(2016年8月22日付記事「鉄道『オールジャパン」のちぐはぐな実態』」参照)したわけであるが、状況は何も変わらなかったのだ。 今回もマニラと同じスキームだとすれば、車両製造はCAFが実施することになるものの、電気式気動車の主回路装置部分については三菱電機が納入することになるだろう。新潟トランシス製車両も同社製の電装品を採用している。 ミャンマータイムズの記事によると、金額は180両で4億900万米ドルといい、1両あたり日本円にしておよそ2億4000万円だ。新潟トランシス製車両よりもやや安い』、「2016年に応札者なしで初回入札が不調に終わり、その後も応じる国内メーカーはなく、2017年に三菱商事とCAFのコンソーシアムが受注した」、「入札が不調に終わ」った理由は何だったのだろう。
・『日本の「鉄道輸出」の未来は?  現地報道によれば、環状線向け車両66両についてもCAF製車両が導入されるようだ。こうなってくると、今後の日本には2つの未来が待ち構えているといえそうだ。 まず1つ目は、日本の重電メーカー+海外車両メーカーという組み合わせが鉄道海外輸出の主流になるという未来である。日本製よりも安く、デザインなどもより柔軟に対応できる。しかも核心部は日本製であるため信頼が持てる。 日本政府の言う「官民一体」に当たらないだけで、現にこのような組み合わせの車両輸出は多い。円借款案件でもデリーメトロや北京地下鉄、武漢都市鉄道、マニラLRT2号線などがそうだ。当時「本邦技術活用条件(STEP)適用案件」という枠組みがなく、政府間契約において日本メーカーが全く海外メーカーに太刀打ちできなかったというのが正しいわけだが、これらの反省から、近年の鉄道案件は基本的に日本タイドとなった。 それが、いつの間にやら安倍政権の下「オールジャパン」などと掲げられるようになった。 ミャンマー向け車両受注では、すでにJR東日本・JR北海道向けに、類似した仕様の電気式気動車を量産している川崎重工が大本命と関係者の誰しもが予想していた。しかし同社は応札しなかった。 ほかに電気式気動車を製造する可能性があるメーカーとしては日本車輛製造、日立製作所なども挙げられるが、前者はアメリカ、そしてインドネシア案件で大幅な損失を出しており、当分海外案件には手を出さないだろうというのがもっぱらの噂である。車両輸出に積極的な後者は、タイのバンコクレッドライン、ベトナムのホーチミンメトロと円借款案件を抱えており手いっぱいだ。 その結果、海外案件から最も遠いと思われていた新潟トランシスが受注したわけであるが、フェーズⅡには繋がらなかった。 このような状況を反映してか、2018年には「円借款・本邦技術活用条件(STEP)の制度改善」が実施されており、入札不調の場合などの「原産地ルール」がやや緩和されている。日本製品が使用されていれば、どこで組み立てられようが構わないのである。つまり、「オールジャパンの鉄道輸出」など、実態の伴わない幻影になってゆく可能性が高い』、「近年の鉄道案件は基本的に日本タイドとなった。 それが、いつの間にやら安倍政権の下「オールジャパン」などと掲げられるようになった」、実際には「日本タイド」にはなっていないようだ。
・『日本への信頼失墜を招く恐れも?  そして2点目は、CAF製車両がミャンマーの環境に適さず、走行が困難になった場合、ミャンマー政府からの日本への信頼が失墜するという未来である。 これは最悪のシナリオだ。日本製機器が採用されても、その他の装置や仕様は完全にヨーロッパタイプの車両となる模様だ。ただでさえ車両メンテナンスに苦慮しているMRで2種類の新型車両が入ることになる。それだけではなく、すでに日本側は「鉄道車両維持管理・サービス向上プロジェクト」などを通じて、日本製の気動車車両の導入を前提とした教育を行っている。そこにヨーロッパタイプの車両が入ったとき、MRが対応できるかどうかは未知数である。 また、安く車両を売ってメンテナンスで稼ぐ(消耗品も含め純正品以外使えない)というヨーロッパ式のシステムに資金力のないMRが対応できないことが予想される。故障したら最後、スペアパーツが購入できず、車両は車庫で朽ち果てることにもなりかねない。 故障で使えないということになれば、メーカーがどこであれ日本が入れた車両であることに変わりはなく、言い逃れはできないだろう。最終的に日本が無償援助などでリハビリをすることになれば、結局高くつくのである。中国、韓国・インド、それにドイツがミャンマーへの鉄道支援を着々と進めている中で、これは大きな足かせにもなるだろう。 そもそもMRは当初、より安価でメンテナンスが容易な機関車+客車編成の導入を求めていた。とくに特急用車両ならば、費用対効果で見れば圧倒的に有利な方式である。しかし、今や日本では大型ディーゼル機関車も客車もほとんど生産していない。だから、日本側は電気式気動車の導入を半ば強引に提案した。しかし、それすらも導入できなかったのである。あまりにもだらしない話である。 簡単に言えば、日本は海外に鉄道車両を輸出できるほどの力がないのである。それを政府が認めないから歪が出るのだ。いっそのこと、「鉄道設備・信号輸出」にでも名前を変えたらどうだろうか。車両輸出に比べれば、まだ健闘している。すべてを「オールジャパン」でやるというのは非現実的だ』、「日本は海外に鉄道車両を輸出できるほどの力がないのである。それを政府が認めないから歪が出るのだ」、政府が「インフラ輸出」の旗を振り続けているのは、余りに無責任だ。
・『日本は「身の丈」を考えよ  筆者は日本の車両メーカーに技術がないと言っているのではない。電気式気動車にしても国内需要の少なさでコストダウンは難しく、従来の液体式気動車もメンテナンス技術が失われつつある。大型ディーゼル機関車も然りだ。海外輸出を満たせるほどの国内需要がないのが最大の要因だと言いたいのだ。 現状、日本が海外向けに生産できるのは通勤電車と新幹線だけというのは業界の人間ならば誰しもが認めることだ。しかし、世界に日本の高性能な通勤電車、そして新幹線を必要とする国がどれほどあるのだろうか。 政府は世界に日本の技術を広めるなどという崇高な理想を語る前に、国内の疲弊しきった鉄道システムを再興させることのほうが先決ではないか。利益至上主義で長距離・夜行列車は消え、台風が来るたびに被災したローカル線が復活することなく消えていく世の中だ。これは途上国以下のレベルである。 「官民一体となった鉄道インフラ輸出」など、言わば「人口が減ったから外国人を呼べばいい」と同じ安直な発想だ。身の丈も考えずに「オールジャパン」「鉄道海外輸出」と振りかざす日本政府、国交省ならびに関係者は猛省すべきである。そして、JICAは国民の血税をつぎ込んだ揚げ句、誰も得をしない開発援助案件など実行すべきでない』、全く同感である。

次に、1月18日付けYahooニュースが転載したGLOBE「あれから6年 日本が勝ち取った「タイ新幹線計画」は幻に終わるのか?」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/69d69b0185612363662dcbe1ff782fe69ef9691d
・『タイの首都バンコクと北部チェンマイを結ぶ高速鉄道(672キロ)の建設が、ぴくりとも動かない。日本とタイの政府の間で、新幹線の投入に合意してからまもなく6年。日本のインフラ輸出の目玉の一つと期待された事業は、まぼろしと消えゆくのか』、「6年」経っても「ぴくりとも動かない」とはただ事ではない。
・『6年越し1ミリも進まず その舞台裏は  バンコクから北へ約700キロ。観光客にも人気の古都チェンマイとの間には、飛行機や長距離バスが頻繁に往来している。格安航空なら片道数千円だ。チェンマイ中心部の人口は13万人程度。在来線で14時間かかるところが、高速鉄道で3時間半に短縮されたとしても、集客力には疑問符がつきまとう。 日本とタイの両国政府がバンコク―チェンマイに新幹線を整備する協力(正しくは「定」?)に合意したのは、2015年のこと。いまも実現に向けて調査が続いている。関係者の間では「永遠の調査路線」とも呼ばれ、タイの地元紙もときおり、「廃案検討」(英字紙バンコクポスト)と伝える。 鉄道ビジネスにかかわる日本企業の幹部は、あっさりと言う。「進まないのはなぜかって? 採算に合わない。それに尽きる」。事業費は、総額5000億バーツ(約1兆7千億円)近くと試算されている。一期工事として、バンコクから約380キロほど先にある都市ピッサヌロークまでに区切って建設するとしても、2700億バーツ、日本円にして1兆円近くかかるという。 日本政府はタイ政府に円借款を供与し、日本製の車両や信号など新幹線システムを売ったり沿線開発にかかわったりすることで、日本企業が潤うともくろんだ。この区間が赤字になったとしても日本には関係なく、タイ政府が公共交通を支えるだろう、と。 だが、タイ側は「新幹線」の運営会社を両国で設立し、日本企業も沿線でのビジネスだけでなく鉄道事業の経営を担ってほしい、と期待した。赤字になれば、ともに責任を負う仕組みだ。 日本企業はそっぽを向いてしまった。「中国の国有企業じゃあるまいし、民間企業がそんなリスクをとれるわけがない。日本政府の出資はさらにありえないでしょう。非現実的な計画を、両国の政治家がアドバルーンとして打ち上げた」。この幹部は解説する。 そんな計画が、どうして生まれ落ちたのだろう。 時計の針を、2014年まで巻き戻してみよう。 14年5月。タイで軍事クーデターによって成立した政権が発足した。元陸軍司令官のプラユット暫定首相が、軍事政権発足後に初めて来日したのは15年2月のこと。安倍晋三首相(当時)と会談し、いくつかの経済協力に合意した。「新幹線」は含まれていなかったが、日本はその呼び水として在来線の複線化工事などを約束した。翌3月。第3回国連防災世界会議に出席するため再び来日したプラユット氏に対し、安倍氏は新幹線を念頭に「鉄道協力」を持ちかけた。一行には、2月は東海道新幹線を東京から新大阪まで、3月は東北新幹線を東京から仙台まで試乗してもらった。 二つの来日の受け入れにかかわった日本政府高官は当時、私の取材に対して、こう話していた。「タイ側の反応はとても良かった。ほっとした。タイは中国とも話を進めており、全路線をとられてしまうわけにはいかない。新幹線をなんとしても走らせたい」 日本政府は焦っているように見えた。理由がある。これに先立つ14年12月。プラユット氏は中国を訪問していた。習近平国家主席、李克強首相と会談した。高速鉄道の北京―天津間を夫人とともに試乗し、高速鉄道の整備に向けた協力に合意した。ラオスに近い東北部ノンカイからバンコクを通りタイ湾に抜けるルート(約734キロ)など2区間である。「鉄道を中国から買い、タイからはコメやゴムを売る」という物々交換のような約束も、話題になった。 中国の動きが日本を刺激した。巻き返すべく、日本政府はプラユット氏の2度の来日をとらえて攻勢をかけたのだった。15年5月には、和泉洋人首相補佐官をバンコクに派遣した。安倍政権、菅義偉政権を通じて首相補佐官を務める和泉氏は、国土交通省(旧建設省)出身。国際協力銀行(JBIC)の前田匡史総裁(当時専務)とともに、日本のインフラ輸出の旗振り役である。その和泉氏が、タイ政府との間で高速鉄道の整備を協力する約束をとりつけた。この月末にタイのプラジン運輸相(当時)が来日し、閣僚間で正式に合意する。和泉氏も立ち合った。 日本の国土交通省の発表によれば、覚書には「バンコク~チェンマイ間高速鉄道に関し、日本の高速鉄道技術(新幹線)の導入を前提として詳細な事業性調査や事業スキーム等を日タイ間で協議」することが書き込まれている。 プラジン氏はタイメディアに対して「(タイ政府が)12年から調査をしており、日本側が納得できるデータが集まっている」と語り、翌16年にも着工できるとの考えを示した。今から思えば、あまりに甘い見通しである。 もっとも百戦錬磨の和泉氏らが、その見通しを真に受けていたとは思えない。タイの鉄道建設は時間がかかる。高速鉄道にしても、1990年代から計画はあったが、通貨危機や政変もあって立案されては消えていった。日本は中国と競い合いながら10年ほど前から強い関心を寄せてきた。日本の政治家や官僚は、タイ側の甘いささやきにのってみせることで、新幹線輸出を勝ち取った絵を描きたかったのだろう。 このとき合意を受けて、朝日新聞も「タイ、新幹線を採用 日本と合意」(15年5月28日朝刊)と報じた。「JR東日本、日立製作所、三菱重工業が連合を組み、事業への参加を検討している。インフラ輸出を成長戦略の柱の一つに掲げる安倍政権は、新幹線のトップセールスに力を入れている」。1兆円を超す総事業費の調達を課題としながらも、実現すれば「2007年の台湾に続く2例目の新幹線輸出」と期待が記されていた』、「タイの鉄道建設は時間がかかる。高速鉄道にしても、1990年代から計画はあったが、通貨危機や政変もあって立案されては消えていった。日本は中国と競い合いながら10年ほど前から強い関心を寄せてきた。日本の政治家や官僚は、タイ側の甘いささやきにのってみせることで、新幹線輸出を勝ち取った絵を描きたかったのだろう」、客観的にみれば、どう考えても日本側は中国よりも不利だ。
・『しかし、いや、案の定というべきか。プラジン氏がささやいた16年の着工はありえなかった。採算が疑問視されるなかで、日・タイ両政府は16年、バンコクからピッサヌロークまでを優先して建設することで合意した。全線の整備に踏み出すには、あまりにも採算が見通せなかったからだ。黒字化には一日あたり5万人以上の乗客が必要だが、1万人程度にとどまるとみられていた。 翌17年12月、日本政府は建設に向けた調査報告書をまとめ、タイ政府に渡した。ピッサヌロークまでの事業費は2700億バーツ(1兆円弱)、開業目標は2025年。タイの交通当局は当時「沿線開発によって長期的には黒字になる」と日本の国土交通省から説明を受けたと語っている。調査費は約7億円を使った。今も調査が続いているが、問題なのは巨額の円借款を用いることを前提とする事業にもかかわらず、結果の詳細は今も公表されていないことだ。日本政府は「政府間で協議中で事業費なども調整中のため公表の予定はない」(国土交通省鉄道局)と説明する。 タイに先行にして進むインドへの新幹線輸出にしても、工期の大幅な遅れと事業費の膨張が予想されている。こうした現況について、日本政府は想定とのずれや今後の見通しについて、きちんと情報開示すべきだ。 習政権の対外戦略「一帯一路」に沿って雲南省からラオスを抜けてタイまで高速鉄道を延ばしたい中国。安倍政権(当時)のもとでインフラ輸出を経済政策アベノミクスの一つの目玉とする日本。日中両国を競わせて、インフラ整備をよりお得に進めたいタイ。そんな3カ国の思惑が交錯しながら、タイを舞台にする高速鉄道の計画は動いてきた。 興味深い事実がある。タイを舞台にした日中の高速鉄道輸出の競いあいは、国際入札ではない。日中とも軍政の指名によって事業を獲得している。米国のオバマ政権(当時)が軍政に距離をおく傍らで進んだ。 オバマ氏は退任までプラユット氏をホワイトハウスには入れなかった。「早期の民政復帰」や「人権の尊重」を求めて高官の交流も止めていた。 それに比べれば、日本政府は中国政府同様、タイが軍事政権であるということは気にかけなかった。タイは日本企業にとって5千社以上が進出する東南アジアの拠点である。政治体制を問わぬよう日本の経済界の日本政府への要望が強かったからだ。日本の政府や企業には「日本が引くと中国に攻め込まれる」という危機感もあった。軍政時代のミャンマーに対して、日本が欧米に歩調をあわせて距離をとったことは、中国に商機を奪われた失敗として記憶に刻まれていた。 タイ軍政と米国との首脳会談が成立したのは、人権問題で中国以外の国に対してはオバマ政権ほどに注文をつけなかったトランプ政権になってからだ。台頭する中国を牽制する意味もあって、オバマ氏がやはり距離を置いていたフィリピンの強権的なドゥテルテ政権とも関係を修復した。 人権や民主主義をより重視するバイデン次期政権は、非民主的な国々に対してどんな対応をとるのか。価値観をどのような形でビジネスに持ち込むか。2019年に軍政から総選挙を通じて民政へ移管したタイではあるが、野党つぶしなどを受けて、親軍政勢力が政権を維持している。王室を含む権威主義的な体制に対して若者が批判を強めて街に出ている。タイなどの政治情勢とバイデン次期政権の動きしだいでは、日本はアジアで鉄道を含む経済協力のあり方を問われることになるかもしれない さて、タイの高速鉄道は、中国が協力する路線の歩みものろい。バンコク―ノンカイ線(約606キロ)は着工から3年で、建設できたのは3・5キロだけ。中国メディアに「かたつむり」と揶揄されるほどだ。 中国人技術者の滞在ビザの問題や建設資金の調達方法でもめた。タイ政府も世論も中国主導の建設を警戒した。中国の政府系銀行による高い金利を嫌って自ら調達することに切り替えた。車両など高速鉄道システムや技術は買っても、土木工事は自国の企業中心に持ち込んだ。ようやく工事が始まったのは2017年のこと。車両などの納入契約がまとまったのは20年末になってからだ。現在も環境アセスメントを終えられず、着工できない区間もある。第一区間とするナコンラチャシマ(約250キロ)までの開業目標は、23年から25年へ先送りされている』、「バンコクからピッサヌロークまでを優先して建設することで合意」、最終目的地である空港が入らなくて、採算がとれるのだろうか。「問題なのは巨額の円借款を用いることを前提とする事業にもかかわらず、結果の詳細は今も公表されていないことだ。日本政府は「政府間で協議中で事業費なども調整中のため公表の予定はない」(国土交通省鉄道局)と説明する」、少なくとも「協議」終了後は公開すべきだろう。
・『『王国の鉄路』や『タイ鉄道と日本軍』の著者で、タイの鉄道に詳しい横浜市立大学教授の柿崎一郎氏は指摘する。「中国だけでやっていれば今ごろ開業していたかもしれない。タイ政府は自らの利益や合法性を損なわないように中国主導を認めなかった。かたつむりかもしれないが、タイのペースで進めている。中国とラオスの鉄路は2021年末につながるが、中国からタイまでが一本の鉄路で結ばれるまでにはまだ10年かかるかもしれない」 1950年代の東西冷戦時代、ラオスがまだ「西側」だったころのこと。共産ドミノを回避したい米国は、ラオスへの生命線となるタイ東北部の鉄路を、国道とあわせて無償援助で敷いた。同じルートでいま、中国の技術を用いた鉄道が作られつつある。「国際情勢の変化を映している。米国にとって東南アジアの戦略的重要性が減った。その隙をついて、中国は権威主義的な政権との距離を縮めている」と柿崎氏。 タイ政府がもっとも力を入れる高速鉄道も視界不良だ。首都圏の3空港をつなぎ、日本企業も進出する東部経済回廊(EEC)を走る路線である。タイ最大の財閥チャロンポカパン(CP)グループが中国企業との協力で整備する。21年に着工し、26年の開業を目指すが、用地の引き渡しが遅れ、関係する企業の動きは鈍い。 中学時代をタイで過ごした柿崎氏がバンコク―チェンマイ間の寝台列車に初めて乗ったのは、1980年代半ば。日本製の車両だった。大学生からタイ鉄道研究を始め、約4000キロに及ぶタイの鉄路を乗り尽くしている。「もっとも必要なのはバンコク首都圏の渋滞を解消する都市鉄道の新設と、1割ほどしか進んでいない在来線の複線化でしょう」 バンコク北部で、壮大な新しい駅の建設が佳境を迎えている。バンスー中央駅。この駅とともに2021年11月にレッドライン(約26キロ)と呼ばれる都市交通も開業する予定だ。合計で2700億円規模の円借款が投じられ、三菱重工業や住友商事など日本企業が参画している。赤いつややかな車両は、日立製作所が笠戸事業所(山口県)で製造したものだ。電化がほとんど進んでいないタイでは珍しい電車で、最高時速120キロで走る。 プラットホームは24を数え、東南アジア最大だという。ホームの4本はレッドライン、8本は在来線、残る12本は高速鉄道用に残しておくそうだ。日本の新幹線や中国の高速鉄道が立派なホームに滑りこむ日は、いつか来るのだろうか』、「タイ政府は自らの利益や合法性を損なわないように中国主導を認めなかった」、「タイ政府は」意外に賢明なやり方をしているようだ。「タイ」で「もっとも必要なのはバンコク首都圏の渋滞を解消する都市鉄道の新設と、1割ほどしか進んでいない在来線の複線化でしょう」、新幹線計画よりは現実的だ。今後の「タイ政府」の舵取りを注目したい。

第三に、1月22日付けJBPressが掲載したフリーランス記者の大塚 智彦氏による「日本協力の在来線高速化にインドネシアが中国招請 高速鉄道計画で飲まされた煮え湯、今度は在来線高速化計画でも?」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/63758
・『王毅外相に直接要請  地元報道によると、1月12日にインドネシア訪問中の中国・王毅外相とルフト・パンジャイタン調整相(海事・投資担当)が会談。その中で、ジャカルタ―バンドン間の「高速鉄道計画」を、バンドンからさらに延伸してジャカルタ―スラバヤを結ぶ「高速化計画」につなげ、途中から一体化する構想への財政面での参加・支援をインドネシア側から中国に求めたのだという。 報道によれば、このインドネシア側の意向は、ジョコ・ウィドド大統領から習近平国家主席にもすでに伝えられていたという。 中国側はインドネシア側の要請を受けて「計画を調査する」との姿勢を見せ、今後専門家チームをインドネシアに派遣する予定だ。インドネシアの大規模インフラ整備計画への参画は、中国が世界的に進める「一帯一路」構想にもかなっており、前向きに検討する可能性が極めて高いとみられる』、「インドネシア側」が「中国」にすり寄っているのであれば、突き放してみるのも一考に値する。
・『日本の消極姿勢で中国参加要請か  ジャカルタ―バンドンの「高速鉄道計画」をさらに延伸し、ジャカルタ―スラバヤの「高速化計画」と一体化させるという案は、昨年6月にアイルランガ調整相(経済担当)がジョコ・ウィドド大統領の意向として突如表明。このときジョコ大統領は「日本に再度参加してもらおう」との考えを持っていることも伝えられた。 しかしバンドンまでの「高速鉄道計画」で建設中の線路と、スラバヤまでの「高速化計画」で改良予定の在来線の線路とではゲージ(軌間・線路の幅)が異なるため、技術的には極めて困難だ。そのため日本側は報道を通じて知ったジョコ大統領の意向に困惑、消極的な姿勢に終始せざるを得なかった。 ところがこうした日本の姿勢を、インドネシア側は「インドネシアと中国の共同事業体への参加を日本が拒否した」と受け止めていた模様だ。 中国が受注したバンドンまでの「高速鉄道計画」は2016年に着工したものの、当初の完工予定である2019年という目標は土地収用などが難航したことなどから、2021年に延期されていた。 さらに2020年には折からのコロナ禍により建設は実質的に中断に追い込まれ、工期の見直しが再度行われ、完工は2022年9月まで再び延期されている。 共同事業体であるインドネシア・中国高速鉄道(KCIC)は、土地収用はほぼ終わり2020年末までに建設工事全体の進捗率を70%とすることを目標にするとしていた』、「ゲージ(軌間・線路の幅)が異なるため、技術的には極めて困難だ。そのため日本側は報道を通じて知ったジョコ大統領の意向に困惑、消極的な姿勢に終始せざるを得なかった。 ところがこうした日本の姿勢を、インドネシア側は「インドネシアと中国の共同事業体への参加を日本が拒否した」と受け止めていた模様だ」、日本も遠慮せず、もっとハッキリ主張すべきだ。
・『中国以外からの投資も歓迎  2015年9月に日中が争っていた「高速鉄道計画」が中国に受注されることになった際、当時の菅義偉官房長官は「(日本が入札から外された)経緯については理解できない。全く遺憾である」と厳しい姿勢を見せ、受注過程の不透明さに対する不満を露わにした。 そこに日本がFS中の「高速化計画」にまで「中国の参加要請」したことに関して、日本はこれまでのところ静観しているが、今後のインドネシア側の説明次第では態度を硬化させる可能性もあるだろう。 インドネシア側は「高速化計画に関しては、中国にだけ投資面での参画を求めているわけではなく、国際社会に広く募っている」として理解と支持を求めている。「もちろん日本の参加も待っている」としているが、日本以外の有力な投資参加国として韓国の名前も取りざたされており、状況は不透明になってきている』、フィージビリティ・スタディ(FS)をする際には、予め条件を明確にしてからやらないと、またまたタダ働きさせられてしまうことになる。
・『日本は中国の出方に要警戒  インドネシアの「高速鉄道計画」では煮え湯を飲まされた日本ではあるが、これまでのように「安全や技術、運用といった面での優位性」だけでは、海外のインフラ投資において「とにかく財政面で有利な条件を提示する」中国に太刀打ちできない可能性が高まっている。 協力するにしても民間企業が主体となる日本としては採算性を度外視するわけにはいかず、かつ鉄道運行に関わる安全性確保も図らねばならないというのが原則的な考え方である。 これに対し中国は「金は出す、労働者も派遣し突貫工事で短期に完成させる」という、国家総動員での中国方式を使い、インドネシアのみならずアフリカや東南アジアでのインフラ整備計画などに臨んでいる。 インドネシアが、「高速化計画」の財政面で再び中国に依存する事態になれば、高速化事業そのものへの中国の発言力や介入が強まる懸念も出てくる。 中国主導で進捗が遅れている「高速鉄道計画」と、日本が協力する「高速化計画」とをドッキングさせ、中国の財政力と日本の技術力とを引き出し、2つの鉄道計画をうまく成就させようという腹積もりなのかも知れないが、インドネシア政府の思惑に従ってしまうと、中国への技術流出の懸念なども高まる。かといって中国を目の前にして、海外でのインフラ事業展開のチャンスから手を引いてしまうのは、日本のインフラ産業の将来を閉ざすことににもなりかねない。果たして日本はどう対応するのか。中国の出方を見守りながら、難しい判断を求められることになる』、日本は「インドネシア」から手を引いて、勝手にやれと突き放すのも一案とは思うが、少なくとも、面子を捨てて、「インフラ輸出」の旗を下して、自然体で、損しないよう上手く立ち回るべきなのではなかろうか。
タグ:東洋経済オンライン 高木 聡 インフラ輸出(その11)(国が推進「オールジャパン鉄道輸出」悲惨な実態 円借款事業でも車両は海外メーカー製導入へ、あれから6年 日本が勝ち取った「タイ新幹線計画」は幻に終わるのか?、日本協力の在来線高速化にインドネシアが中国招請 高速鉄道計画で飲まされた煮え湯 今度は在来線高速化計画でも?) 「国が推進「オールジャパン鉄道輸出」悲惨な実態 円借款事業でも車両は海外メーカー製導入へ」 日本が円借款事業として進める「ヤンゴン・マンダレー鉄道整備事業(フェーズⅡ)」向けの電気式気動車180両をスペインの鉄道車両メーカー、CAFと三菱商事から調達する計画であると報じた 「本邦技術活用条件(STEP)適用案件 にて、日本の車両メーカーの応札なしという事態 「日本製」24両で打ち止めか 「デザイン」はともかく、「電気式気動車」の「続いての入札には参加しなかった」理由は何なのだろう 国内メーカーの製造能力に課題 「2016年に応札者なしで初回入札が不調に終わり、その後も応じる国内メーカーはなく、2017年に三菱商事とCAFのコンソーシアムが受注した」、「入札が不調に終わ」った理由は何だったのだろう 日本の「鉄道輸出」の未来は? 近年の鉄道案件は基本的に日本タイドとなった。 それが、いつの間にやら安倍政権の下「オールジャパン」などと掲げられるようになった」、実際には「日本タイド」にはなっていないようだ。 日本への信頼失墜を招く恐れも? 日本は海外に鉄道車両を輸出できるほどの力がないのである。それを政府が認めないから歪が出るのだ」、政府が「インフラ輸出」の旗を振り続けているのは、余りに無責任だ 日本は「身の丈」を考えよ 身の丈も考えずに「オールジャパン」「鉄道海外輸出」と振りかざす日本政府、国交省ならびに関係者は猛省すべきである。そして、JICAは国民の血税をつぎ込んだ揚げ句、誰も得をしない開発援助案件など実行すべきでない yahooニュース globe 「あれから6年 日本が勝ち取った「タイ新幹線計画」は幻に終わるのか?」 タイの首都バンコクと北部チェンマイを結ぶ高速鉄道(672キロ)の建設が、ぴくりとも動かない 6年越し1ミリも進まず その舞台裏は タイの鉄道建設は時間がかかる。高速鉄道にしても、1990年代から計画はあったが、通貨危機や政変もあって立案されては消えていった。日本は中国と競い合いながら10年ほど前から強い関心を寄せてきた。日本の政治家や官僚は、タイ側の甘いささやきにのってみせることで、新幹線輸出を勝ち取った絵を描きたかったのだろう」、客観的にみれば、どう考えても日本側は中国よりも不利だ 「バンコクからピッサヌロークまでを優先して建設することで合意」、最終目的地である空港が入らなくて、採算がとれるのだろうか 「問題なのは巨額の円借款を用いることを前提とする事業にもかかわらず、結果の詳細は今も公表されていないことだ。日本政府は「政府間で協議中で事業費なども調整中のため公表の予定はない」(国土交通省鉄道局)と説明する」、少なくとも「協議」終了後は公開すべきだろう タイ政府は自らの利益や合法性を損なわないように中国主導を認めなかった」、「タイ政府は」意外に賢明なやり方をしているようだ 「タイ」で「もっとも必要なのはバンコク首都圏の渋滞を解消する都市鉄道の新設と、1割ほどしか進んでいない在来線の複線化でしょう」、新幹線計画よりは現実的だ。今後の「タイ政府」の舵取りを注目したい JBPRESS 大塚 智彦 「日本協力の在来線高速化にインドネシアが中国招請 高速鉄道計画で飲まされた煮え湯、今度は在来線高速化計画でも?」 王毅外相に直接要請 日本の消極姿勢で中国参加要請か ゲージ(軌間・線路の幅)が異なるため、技術的には極めて困難だ。そのため日本側は報道を通じて知ったジョコ大統領の意向に困惑、消極的な姿勢に終始せざるを得なかった。 ところがこうした日本の姿勢を、インドネシア側は「インドネシアと中国の共同事業体への参加を日本が拒否した」と受け止めていた模様だ」、日本も遠慮せず、もっとハッキリ主張すべきだ 中国以外からの投資も歓迎 フィージビリティ・スタディ(FS)をする際には、予め条件を明確にしてからやらないと、またまたタダ働きさせられてしまうことになる 日本は中国の出方に要警戒 日本は「インドネシア」から手を引いて、勝手にやれと突き放すのも一案とは思うが、少なくとも、面子を捨てて、「インフラ輸出」の旗を下して、自然体で、損しないよう上手く立ち回るべきなのではなかろうか。
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インフラ輸出(その10)(台湾脱線車両「設計ミス」、海外で相次ぐ失態 鉄道メーカー大手各社 揺らぐ安全神話、リニア新幹線製造の日本車輌 脱線事故で配線ミス発覚…JR東海と東京メトロにも車両納入、日本が関与「インドネシア石炭火力」に重大事態 チレボン2号機案件で「贈収賄疑惑」が浮上) [インフラ輸出]

インフラ輸出については、昨年3月2日に取上げた。今日は、(その10)(台湾脱線車両「設計ミス」、海外で相次ぐ失態 鉄道メーカー大手各社 揺らぐ安全神話、リニア新幹線製造の日本車輌 脱線事故で配線ミス発覚…JR東海と東京メトロにも車両納入、日本が関与「インドネシア石炭火力」に重大事態 チレボン2号機案件で「贈収賄疑惑」が浮上)である。

先ずは、2018年11月3日付け東洋経済オンライン「台湾脱線車両「設計ミス」、海外で相次ぐ失態 鉄道メーカー大手各社、揺らぐ安全神話」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/247133
・『愛知県豊橋市内にある日本車輌製造(日車)豊川製作所。今から5年前、N700系新幹線や東京メトロ銀座線、名古屋市営地下鉄鶴舞線といった国内向け車両に混じって、見慣れない先頭形状の車両が製造されていた。白地に赤く彩られた車両は台湾鉄路管理局(台鉄)向けの特急列車「プユマ号」に使われるTEMU2000型。豊川製作所は2012年から2015年にかけて152両を製造した。 作業員がほぼ完成したTEMU2000型の運転席をくまなくチェックしている。車両の上には「品質こそ生命、一作業・一清掃の徹底」という看板が掲げられていた。 そのスローガンはかけ声倒れだったーー』、インフラ輸出の安倍政権の掛け声だけは勇ましいが、それを支える日本のものづくりの劣化は想像以上に進んでいるようだ。
・『「台鉄がチェックしているはず」  10月21日に台湾で起きたプユマ号の脱線事故は18人が命を落とす大惨事となった。運転士によるスピードの出し過ぎが事故の原因とみられているが、車両の安全装置「自動列車防護装置(ATP)」に設計ミスがあったことを11月1日、日車が発表した。 ATPには指示された速度を超えた場合に列車を停止させる機能がある。運転士がATPを切ると、その情報は自動的に運行指令所に伝えられる。日車は「ATP自体には問題がない」としながらも、「設計ミスで配線の接続が仕様書と一部異なり、指令所に情報を伝える機能が働かなかった」と説明する。 通常は車両が完成してから鉄道会社に納入するまでに、車両が仕様書どおり造られているかどうか入念なチェックが行われる。しかし日車によれば、TEMU2000型は、ATPを切った際に指令所に情報が伝えられるかどうかのチェックは行われなかったという。 「台鉄の指令所に情報が伝えられるかどうかのチェックは日本ではできない。このチェックは納車後、台鉄が行っているものと考えていた」と日車の担当者は語る。 作業手順のミスではなく、設計ミスであるため、日車製TEMU2000型の全編成について今後再整備が必要になる。この点について、日車は「台鉄と相談しながら進めたい」としている。 報道によると、21日の脱線事故では、運転士は指令所の同意を得て事故が起きる30分前にATPを切ったと証言しているが、台鉄は「報告は受けていない」として、食い違いが見られる。 今回の設計ミスが事故の直接的な原因という可能性は低そうだが、もしATPを切った情報が指令所に伝えられていれば、速度超過に対してより早い対応が取れていたかもしれない』、「今回の設計ミスが事故の直接的な原因という可能性は低そうだ」、とはいえ、台鉄は日本側に賠償請求してくるリスクがあり、それは次の記事で見てみよう。「台鉄の指令所に情報が伝えられるかどうかのチェックは日本ではできない。このチェックは納車後、台鉄が行っているものと考えていた」、との言い分も無責任極まる。本来は、台鉄への引き渡し時に念押しすべき事項だ。
・『最近になって、車両製造時の不備による車両トラブルが頻発している。2017年12月11日に起きた新幹線「のぞみ34号」の台車亀裂トラブルは、車両を製造した川崎重工業の製造ミスが原因だった。 日立製作所は今年10月16日夜、イギリス向け高速列車「クラス802」が現地での試験走行時に架線を引っかけて切断し、翌日の運行ダイヤが大混乱をきたした。くしくも昨年の同じ10月16日にはやはり日立製の高速車両が、運転初日の一番列車で空調トラブルにより天井から水が流れ落ちるという失態を招いている。 国内では新規開業路線がほとんどなく、車両製造は更新需要くらいしか期待できない。どの車両メーカーも、今後の成長市場として海外に目を向けている。 しかし、「海外向けの車両製造はリスクが大きくて割に合わない」と、ある鉄道メーカーの幹部は指摘する。日本とは安全基準が異なるため車両開発費がかさむ。日本向け車両の知見が役に立たず当初見込みよりも作業工程が増える可能性がある。 現地生産の場合は鉄道技術に精通した作業員が不足している、そして為替リスクも忘れてはいけない。計画どおり完成すれば利益を得られるが、少しでもリスクが露呈するとすぐに赤字案件になるという』、「日本とは安全基準が異なるため車両開発費がかさむ。日本向け車両の知見が役に立たず当初見込みよりも作業工程が増える可能性がある」、「日本向け車両」をそのまま輸出するという訳にはいかないようだ。「どの車両メーカーも、今後の成長市場として海外に目を向けている」、一方で「海外向けの車両製造はリスクが大きくて割に合わない」、車両メーカーは本当はどうしたいのだろう。
・『川重は最終赤字に転落  川崎重工業は10月30日に発表した2018年第2四半期の決算で最終赤字に転落した。2019年3月期の連結純利益業績見通しも当初予想を160億円下回る310億円となった。その原因は川重が得意とするはずの北米向けの鉄道車両。ワシントンDCの地下鉄車両では配線の施工不良が発生し、改修費用などで当初計画から営業利益が50億円悪化。ロングアイランド鉄道向け車両では資材費の増加などで同じく営業利益が85億円悪化している。 同社では社長をトップとする「車両事業再建委員会」を設置して再建に取り組むが、事業撤退も視野に入れているという。 日車は2016年に総額3.5億ドルというアメリカ向け大型鉄道案件が車両強度テストをクリアできず、期限までに車両を納めることができなかった。このため多額の違約金を支払うとともに、鳴り物入りで開設したイリノイ州の工場が閉鎖に追い込まれている。 川重も日車も海外展開の歴史は古い。最近になってトラブルが頻発している理由について、「以前とは違う車両製造にチャレンジしたことが、結果的にはこうした結果を招いた」(日車)としている。 これ以上、トラブルが続けば日本製車両の「安全神話」が揺らぎかねない』、ここに挙げられた事例は、いずれも目を覆いたくなるようなものばかりだ。「日車」はリニアの車体を製造するが、大丈夫なのだろうか。

次に、2019年7月22日付けBusiness Journal「リニア新幹線製造の日本車輌、脱線事故で配線ミス発覚…JR東海と東京メトロにも車両納入」を紹介しよう。
https://biz-journal.jp/2019/07/post_110369.html
・『台湾で2018年10月、特急列車「プユマ号」が脱線し18人が死亡した事故で、列車を運行する台湾鉄路管理局(台鉄)は4月末、車両製造に瑕疵(かし)があったとして、主契約企業の住友商事に賠償を請求する文書を送った。住商を通じ、製造元の日本車輌製造の責任を問い、賠償請求額について日本側と協議する。 行政院(内閣)の事故調査チームは事故の直接の原因について「運転士が制限速度を上回るスピードで現場の急カーブに突入。曲がり切れずに脱線した」と認定した。運転士は当時、コンプレッサー(空気圧縮機)の故障による動力不足を解消しようとして、速度管制装置を切っていた。 台鉄は日本車輌が製造した車両のコンプレッサーなどに不具合があったと主張。速度をオーバーした際に自動的に減速する「列車自動制御保護システム」(ATP)の配線が完全に接続されていなかったことや、整備不良によるコンプレッサーの不具合で列車の運行に支障を来したことが「事故の遠因になった」とし、製造責任を追及している。ATPを運転士が勝手に切った際、運転指令にこれを知らせる機能が作動しなかったと発表。図面で確認したところ、情報を伝える配線が接続されないまま出荷されていた、とした。 台鉄は11年、プユマ号用車両136両を約300億円で発注。14年には16両を約33億円で追加発注した。台鉄は日本企業連合から納付された契約保証金約4億2000万台湾元(約15億1300万円)が手元にある。賠償金額から、これを差し引く方針。賠償請求額がいくらかなど、具体的な情報は開示されていない。 18年10月21日、台湾東部の在来線で大規模な脱線事故が発生した。特急列車「プユマ号」(8両編成)の全車両が脱線、このうち5両が横転した。乗客366人のうち18人が死亡、187人がけが(うち10人が重傷)という大惨事となった。 脱線した「プユマ号」は、日本製の特急型電車TEMU2000型である。台鉄が東部路線の輸送力強化のために導入。日本車両と住友商事が受注した。 TEMU2000型は、車体を傾けることで乗り心地を維持したままカーブを比較的速く回れる装置を搭載しているのが特徴だ。 台湾当局は、事故は列車の速度超過が原因としている。運転士は事故前に運転指令に無線でATPを切ったと報告していた。そのため、日本車輌は「通知機能が働かなかったことと、事故とに因果関係はなく、制御機能自体にも問題はない」としている。それでも「設計当事者の確認不足だった」ことは認め、再発防止に努めるという。 日本車輌は台鉄に計152両19編成分を納入。ATPは1編成につき両側の先頭車両に付いており、そのすべてに配線ミスがあった』、事故の主原因ではないとはいえ、賠償請求額は契約保証金を大きく上回る懸念があろう。
・『日本車輌はJR東海の系列入り  鉄道車両製造業界は日立製作所、川崎重工業、日本車輌、近畿車輌と非上場の総合車両製作所(旧・東急車輌製造)の5社で構成されている。鉄道車両専業3社はJRとの結び付きを強めることによって、生き残りを図る。 日本車輌は1896年に名古屋市で創業した老舗である。輸送用機器、鉄構、建設機械等、多角化を進めてきたが、鉄道車両の売り上げが全体の40%強を占める。 08年8月、東海旅客鉄道(JR東海)と資本・業務提携した。JR東海がTOB(株式公開買い付け)を実施。1株300円、総額262億円を投じ株式の50.1%を取得。JR東海の連結子会社に組み入れた。 JR東海にとって、日本車輌は新幹線や在来線の車両の主要な供給元。連結子会社とすることで、超伝導リニアモーターカー用の車両の技術力を高める狙いがある。 近畿車輌は近鉄グループ(出資比率は14%)で、JR西日本が出資(同4.9%)している。総合車両製作所はJR東日本のグループだ。 新幹線車両は色分けがはっきりしている。JR東日本は日立と川崎重工の2強。JR西日本は川崎重工が主力だ。JR東海は日本車輌が圧倒的に強い。日本車輌はJR東海が建設を進めているリニア中央新幹線の車両を供給することになっている。 日本車輌の19年3月期の連結決算は、最終損益が91億円の黒字(18年3月期は82億円の赤字)だった。黒字は5年ぶり。エンジニアリング事業の採算が改善したほか、前期に計上した米国の大型鉄道車両の受注に絡む特別損失がなくなったことが寄与した。売上高は前期比4%減の911億円。 20年3月期の売上高は19年同期比5%減の870億円、最終利益は73%減の25億円と大きく落ち込む。東京五輪関連工事の需要が減り建設機械が落ち込むほか、輸送用機器、鉄構事業も官公庁向けが減る。 台湾の特急電車の脱線事故の損害賠償がどうなるかは見通せない。20年3月期は東京メトロ丸の内線への車両の納入もあるが、台湾の事故の決着のつけ方次第で、減益幅はさらに拡大するかもしれない』、「日本車輌」は。「JR東海の連結子会社」であれば、賠償には応じられるだろうが、日本製の安全神話を壊した罪は深そうだ。

第三に、本年1月16日付け東洋経済オンライン「日本が関与「インドネシア石炭火力」に重大事」態 チレボン2号機案件で「贈収賄疑惑」が浮上」を紹介しよう。なお、記事中の追記は省略した。
https://toyokeizai.net/articles/-/324640
・『日本の大手商社や電力会社、金融機関が関与して進められているインドネシアの石炭火力発電所に関する許認可をめぐり、贈収賄疑惑が持ち上がっている。 インドネシアの捜査機関である「汚職撲滅委員会」は2019年11月、インドネシア・西ジャワ州のチレボン石炭火力発電所2号機(出力100万キロワット)の建設工事を請け負っている韓国・現代建設の幹部を贈賄の疑いのある容疑者として発表した。容疑者として発表されたのは、同発電所に絡み、2019年10月に収賄やマネーロンダリングの疑いで容疑者とされたチレボン県の前知事に続いて2人目となる』、途上国ではこうした「贈収賄疑惑」が発生しやすいのも要注意点だ。
・『贈収賄疑惑は日本企業にも降りかかる  現地メディアによる1月11日付の複数の報道によれば、汚職撲滅委員会は現代建設から前知事側への資金の流れについて捜査を続けている。資金の仲介役を果たした企業の幹部も捜査の対象となっており、架空の作業指示書を作り上げたうえで、あたかも火力発電所の作業に関する発電事業会社へのコンサルティングサービスであるかのように見せかけていたと報じられている。 前知事は別の汚職事件で2019年5月に懲役5年および罰金2億ルピア(約160万円)の判決を受けており、すでに服役している。その犯罪捜査の過程で、チレボン2号機の許認可関連と見られる不透明な資金の流れの一部が判明。前知事の判決文の中にその実態が記されたことで、贈収賄疑惑が拡大した。 チレボン2号機の建設計画には日本の大手企業も名を連ねており、贈収賄疑惑の火の粉は日本企業にも降り始めている。 チレボン2号機の発電事業会社「チレボン・エナジー・プラサラナ社」(CEPR社)には、東京電力と中部電力グループの火力発電事業会社JERAや大手商社の丸紅がインドネシアの大手石炭採掘会社や韓国の電力会社などとともに出資している。丸紅の出資割合は出資企業のうちで最多の35%、JERAは10%となっている』、「現代建設」と「CEPR社」の係りは不明だが、「贈収賄疑惑の火の粉は日本企業にも降り始めている」、大変なことだ。もともと、日本の「石炭火力発電」への注力には環境問題の視点から国際的批判が強かったが、そこに「贈収賄疑惑」とあっては恥の上塗りだ。
・『金融機関も、国際協力銀行(JBIC)や三菱UFJ、みずほ、三井住友の3メガ銀行がCEPR社に協調融資をしており、同融資には政府系の日本貿易保険(NEXI)が保険を供与している。さらに、三菱日立パワーシステムズがボイラーや排煙脱硫装置を、東芝が蒸気タービン発電機を納入する契約を結んでいる。 なお、チレボン2号機が発電した電力は、25年にわたってインドネシア国有電力会社(PLN)が購入する。 このように、チレボン2号機は日本の官民が進めている「インフラ輸出戦略」の象徴的な案件であり、総事業費は20億ドルを上回る大規模プロジェクトだ。1月15日時点でCEPR社関係者の逮捕者は出ていないが、CEPR社のインドネシア人の元社長ら元幹部2人に対し、捜査のためインドネシア国外への渡航禁止措置が取られている』、これでは「逮捕」も時間の問題なのかも知れない。「メガ銀行」もいまやESG(社会的責任投資)ブームで、機関投資家が石炭火力発電に厳しい姿勢を示していることから、今後は融資をためらうだろう。「チレボン2号機は日本の官民が進めている「インフラ輸出戦略」の象徴的な案件」、でこのような不祥事が発覚したのは大問題だが、一般のマスコミは黙殺しているようだ。
・『贈収賄行為は確認されていないというが・・・  JBICがホームページで開示している「汚職防止への取り組み」によれば、「輸出企業が不正競争防止法の贈賄に関する規定に違反した疑いがあるとして起訴された場合等には、通常よりも厳格なデューデリジェンスを実施するなどの適切な措置を取る」と書かれている。贈賄への関与が判明した場合は、貸し出し停止や融資実行残高の取り消しなど適切に対応するとしている。 JBICの汚職防止への取り組みの記載は輸出金融に関するもので、CEPR社のようなプロジェクトファイナンスの対象先についての取り扱いの記載はない。ただし、事の重大性に鑑みても何らかの対応が必要になる可能性もある。 JBICや3メガ銀行は「個別取引の内容にかかわる質問については、回答を差し控える」などと回答。不正の有無の調査について、JBICでは「インドネシア当局による捜査の状況を注視しつつ、適切に対応してまいりたい」としている。 丸紅やJERAは一連の贈収賄疑惑に関して「報道の内容は承知している」としつつ、「事業会社において外部弁護士を起用して調査を進めているが、現時点で贈賄不正行為の事実は確認されていない」(丸紅)と回答。JERAも「現時点で不正の事実は認められていないとの報告を受けている」と答えている。 CEPR社では元社長を含む経営幹部が交代しているが、疑惑が持ち上がっていることとは「関係ない」(丸紅)という。そのうえで、丸紅は「現時点で事業計画を変更するつもりはない」としている。 しかし、前出の判決文で、チレボン2号機に関連して不透明な資金が前知事側に渡っていると記述された事実は重い。建設工事はその後も続けられており、事業によって立ち退きを迫られた住民や支援する市民団体などが抗議の声をあげている。2019年12月にスペインで開催されたCOP25(国連気候変動枠組条約第25回締約国会議)の会場でも、チレボンなどの石炭火力発電事業はNGOなどから温室効果ガスを大量に排出する存在だとして批判を浴びている。 そもそも、チレボン2号機の建設計画の進め方には無理があった。2017年4月19日、バンドン地方裁判所は、発電所の開発予定地域が2つの郡にまたがっているにもかかわらず、土地利用計画に1つの郡しか記載されていないことを踏まえて環境アセスメントなどに基づく許認可を無効とした。 ところが、JBICや3メガ銀行などの金融機関は、判決前日の4月18日に融資契約を調印。同年7月17日、開発地域の範囲の問題が解決していないにもかかわらず、西ジャワ州の局長から新たな環境に関する許認可が出された。 同年4月に制定されたインドネシア政府の政令により、「既存の空間計画に規定されていない場合でも、国家戦略上の価値がある事業については、空間利用許可の発行を可能とする」とされたことを踏まえてのものだ。チレボン2号機の計画は、国家的に重要な事業とお墨付きを得て強引に進められてきた。そうした経緯がある中で、不透明な資金の実態が明るみに出た』、「チレボン2号機の計画」は「インドネシア政府」も「国家的に重要な事業とお墨付きを得て強引に進められてきた」、ようだ。
・『環境破壊や住民の生業を失わせたとの批判も  3メガ銀行は常日頃から、大規模開発プロジェクトへの融資に関する国際規範である「赤道原則」の採択などを通じ、環境や社会課題に配慮をしていると強調してきた。 金融機関による環境・社会への配慮の外部評価を目的として日本国内の環境NGOが結成した「Fair Finance Guide Japan」は、個別事例としてチレボン2号機の建設計画を検証した報告書を公表。2号機計画では、赤道原則やOECD(経済協力開発機構)の多国籍企業行動指針など、国際CSR規範の66項目が遵守されていないとの分析結果を明らかにしている。 2019年12月に来日した、現地の反対住民を支援する環境NGOの幹部や差止訴訟弁護団の弁護士は、既存の1号機の建設以降、環境破壊や住民の生業喪失などさまざまな問題が発生していると指摘した。 石炭火力発電に対する世界規模での風圧が強まる中、オールジャパンで進められているインフラ事業のあり方が問われている』、「日本国内の環境NGOが結成した「Fair Finance Guide Japan」は、個別事例としてチレボン2号機の建設計画を検証した報告書を公表。2号機計画では、赤道原則やOECD(経済協力開発機構)の多国籍企業行動指針など、国際CSR規範の66項目が遵守されていないとの分析結果を明らかにしている」、「差止訴訟弁護団の弁護士は、既存の1号機の建設以降、環境破壊や住民の生業喪失などさまざまな問題が発生していると指摘」、などを考慮すれば、インドネシア側の捜査の結果を待たずに、日本側から取り止めにすべきではなかろうか。
タグ:インフラ輸出 (その10)(台湾脱線車両「設計ミス」、海外で相次ぐ失態 鉄道メーカー大手各社 揺らぐ安全神話、リニア新幹線製造の日本車輌 脱線事故で配線ミス発覚…JR東海と東京メトロにも車両納入、日本が関与「インドネシア石炭火力」に重大事態 チレボン2号機案件で「贈収賄疑惑」が浮上) 東洋経済オンライン 「台湾脱線車両「設計ミス」、海外で相次ぐ失態 鉄道メーカー大手各社、揺らぐ安全神話」 日本車輌 台鉄 特急列車「プユマ号」 152両を製造 「台鉄がチェックしているはず」 脱線事故は18人が命を落とす大惨事 運転士によるスピードの出し過ぎが事故の原因 車両の安全装置「自動列車防護装置(ATP)」に設計ミス 作業手順のミスではなく、設計ミスであるため、日車製TEMU2000型の全編成について今後再整備が必要になる 台鉄は日本側に賠償請求してくるリスク 最近になって、車両製造時の不備による車両トラブルが頻発 「のぞみ34号」の台車亀裂トラブル 川崎重工業の製造ミスが原因 日立製作所 イギリス向け高速列車「クラス802」が現地での試験走行時に架線を引っかけて切断し、翌日の運行ダイヤが大混乱 運転初日の一番列車で空調トラブルにより天井から水が流れ落ちるという失態 今後の成長市場として海外に目を向けている 「海外向けの車両製造はリスクが大きくて割に合わない」 日本とは安全基準が異なるため車両開発費がかさむ。日本向け車両の知見が役に立たず当初見込みよりも作業工程が増える可能性 川重は最終赤字に転落 ワシントンDCの地下鉄車両では配線の施工不良が発生し、改修費用などで当初計画から営業利益が50億円悪化。ロングアイランド鉄道向け車両では資材費の増加などで同じく営業利益が85億円悪化 日車は2016年に総額3.5億ドルというアメリカ向け大型鉄道案件が車両強度テストをクリアできず、期限までに車両を納めることができなかった。このため多額の違約金を支払うとともに、鳴り物入りで開設したイリノイ州の工場が閉鎖に追い込まれている これ以上、トラブルが続けば日本製車両の「安全神話」が揺らぎかねない Business Journal 「リニア新幹線製造の日本車輌、脱線事故で配線ミス発覚…JR東海と東京メトロにも車両納入」 台湾鉄路管理局(台鉄)は4月末、車両製造に瑕疵(かし)があったとして、主契約企業の住友商事に賠償を請求する文書を送った 事故調査チームは事故の直接の原因について「運転士が制限速度を上回るスピードで現場の急カーブに突入。曲がり切れずに脱線した」と認定 「列車自動制御保護システム」(ATP)の配線が完全に接続されていなかったことや、整備不良によるコンプレッサーの不具合で列車の運行に支障を来したことが「事故の遠因になった」とし、製造責任を追及 契約保証金約4億2000万台湾元(約15億1300万円) 日本車輌はJR東海の系列入り JR東海の連結子会社に 「日本が関与「インドネシア石炭火力」に重大事」態 チレボン2号機案件で「贈収賄疑惑」が浮上」 インドネシアの石炭火力発電所 許認可をめぐり、贈収賄疑惑が持ち上がっている 韓国・現代建設の幹部を贈賄の疑いのある容疑者として発表 贈収賄疑惑は日本企業にも降りかかる 「チレボン・エナジー・プラサラナ社」(CEPR社) 東京電力と中部電力グループの火力発電事業会社JERAや大手商社の丸紅がインドネシアの大手石炭採掘会社や韓国の電力会社などとともに出資 チレボン2号機は日本の官民が進めている「インフラ輸出戦略」の象徴的な案件 贈収賄行為は確認されていないというが・・・ 判決文で、チレボン2号機に関連して不透明な資金が前知事側に渡っていると記述された事実は重い COP25 チレボンなどの石炭火力発電事業はNGOなどから温室効果ガスを大量に排出する存在だとして批判を浴びている チレボン2号機の計画は、国家的に重要な事業とお墨付きを得て強引に進められてきた 環境破壊や住民の生業を失わせたとの批判も 日本国内の環境NGOが結成した「Fair Finance Guide Japan」は、個別事例としてチレボン2号機の建設計画を検証した報告書を公表。2号機計画では、赤道原則やOECD(経済協力開発機構)の多国籍企業行動指針など、国際CSR規範の66項目が遵守されていないとの分析結果 差止訴訟弁護団の弁護士は、既存の1号機の建設以降、環境破壊や住民の生業喪失などさまざまな問題が発生していると指摘
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インフラ輸出(その9)(高速鉄道めぐる日本とインドの「同床異夢」、台湾新幹線、的中した「開業前の不安要素」、日立の英国事業に暗雲 原発断念に加え鉄道事業にも火種、円借款検討の石炭火力、反対住民が次々投獄 インドネシアで人権問題) [インフラ輸出]

インフラ輸出については、1月4日に取上げた。今日は、(その9)(高速鉄道めぐる日本とインドの「同床異夢」、台湾新幹線、的中した「開業前の不安要素」、日立の英国事業に暗雲 原発断念に加え鉄道事業にも火種、円借款検討の石炭火力、反対住民が次々投獄 インドネシアで人権問題)である。

先ずは、やや古いが、昨年11月19日付け東洋経済オンライン「高速鉄道めぐる日本とインドの「同床異夢」 輸出と現地生産、どちらがベストシナリオ?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/249854
・『「本社の食堂でカレーライスを食べていると、『君、インドに興味あるの?だったらインドで仕事をしませんか』と、声をかけられるんですよ」。JR東日本(東日本旅客鉄道)の関係者が苦笑交じりにこんな話を披露してくれた。 インドでは、日本の新幹線方式による同国初の高速鉄道プロジェクトとして、ムンバイ―アーメダバード間505kmを約2時間で結ぶ計画が進んでいる。2015年12月に実施された日印首脳会談で覚書が交わされ、2017年9月には安倍晋三首相も出席して起工式が行われた。2023年の全線開業を目指す。総工費は約9800億ルピー(約1.5兆円)。そのうち8割は円借款で賄われる予定だ。 JR東日本の子会社・日本コンサルタンツ(JIC)が高速鉄道の技術基準の作成や設計、入札業務に関するコンサルティング業務を受託している。JR東日本も総力を挙げてサポートしている。 ただ、目下の悩みは人手不足。JR東日本はグループ全体で100人を超えるスタッフを投入しているが、まったく足りていない。冒頭の話は、こうした状況を端的に示している』、安倍首相はおおいばりだったようだが、問題も多そうだ。
・『インド高速鉄道のキーマンが大勢来日  JICはオールジャパン態勢による鉄道インフラ輸出の尖兵となるべく、2011年に設立された。筆頭株主はJR東日本で、JR西日本、JR九州、東京メトロなども出資する。JR東海は出資こそしていないが、数名の人材をJICに送り込み、インド案件に協力している。 11月初旬、インド高速鉄道のキーパーソンたちが大挙して日本にやって来た。11月6日に都内で運輸総合研究所主催による「高速鉄道セミナー」、11月8日には福岡市内で高速鉄道国際会議(IHRA)主催による「IHRA国際フォーラム」という国際的なセミナーが相次いで開催されたためだ。 どちらのセミナーにもインドの高速鉄道プロジェクトが主要テーマとして盛り込まれており、インド側の要人がプロジェクトの現状や今後について講演した。また、IHRA国際フォーラムの翌9日には九州新幹線長崎ルートの建設現場や熊本市内にあるJR九州の新幹線車両基地などの視察も行われた。インド側関係者にとっても新幹線の実情を知る貴重な機会になった。 「メイク・イン・インディア(インドで作ろう)をぜひ実現したい」。IHRA国際フォーラムにおいてインド鉄道省・鉄道委員会で車両担当委員を務めるラジェシュ・アグラワル氏が壇上から訴えた。インドのモディ政権は外国資本を誘致し、国内の製造業を発展させるメイク・イン・インディアというスローガンを掲げている。日本政府もジェトロ(日本貿易振興機構)を活用した中小企業のインド進出支援など、さまざまな協力を約束している。 新幹線方式による高速鉄道プロジェクトもその1つに位置づけられる。インドは鉄道総延長6万3000kmという世界有数の鉄道大国。鉄道関連産業の存在感も強く、アグラワル氏は「インドには鉄道車両を製造できるメーカーが6社あり、全国各地に多数存在する製造拠点の従業員を合計すれば15万人に達する」と胸を張る。 ムンバイ―アーメダバード間を走る高速鉄道車両は、東北新幹線「E5系」をベースに高温対策など現地仕様を施したものとなる。高速鉄道セミナーで講演したインド高速鉄道公社のブリジェシュ・ディグジット部長は、「設計は最終段階にある」という。 開業時に投入されるのは1編成につき10両を24編成で240両。その後、利用者の拡大に合わせ、順次車両を投入する。30年後には1編成につき16両を71編成、つまり1136両の車両が投入される計画だ。仮に1両当たりの製造価格を3億円とすれば、車両だけで3000億円を超える大きなビジネスとなる』、「インドには鉄道車両を製造できるメーカーが6社あり、全国各地に多数存在する製造拠点の従業員を合計すれば15万人」とインド側は誇っており、「メイク・イン・インディアというスローガン」を掲げ、後述のように安倍首相もこれにコミットしたようだ。しかし、その口約束を実際に果たしていく上で、技術水準の格差の大きさをどう克服するのだろうか。
・『高速鉄道車両の輸出を狙うインド  今回の路線運営が軌道に乗った後は、デリーやコルカタなど主要都市を結ぶ複数の路線において事業化がスタートする。日本以外の国が受注する可能性もあるが、ディグジット部長は、「フランスやドイツがやることになったとしても、車両はE5系の技術を使って開発したい」と言い切る。 また、アグラワル氏は「日本の技術は割高と言われているが、インドで製造すれば中国よりも安くできる。また、インド製は中国製よりも信頼できると考えている国が、中東やアジアに多い」と言い、将来の高速鉄道車両の輸出を見据えている。 安倍首相は起工式の場で「日本はメイク・イン・インディアにコミットしている。日本の高い技術とインドの優れた人材が協力すれば、インドは世界の工場になる」と発言。このため、日本側の関係者は一様に「メイク・イン・インディアは守る」と口をそろえる。 ところが新幹線をインドで造るという構想は、今のところ絵に描いた餅だ。「技術の蓄積がないと新幹線の車両は造れない」と、JR東日本の西野史尚副社長は説明する。同社は「少なくとも当初、導入される車両については、日本で製造したものが持ち込まれる予定だ」としている。 日印間の協議では、日系企業の進出や合弁企業による生産もメイク・イン・インディアとみなされる。E5系を開発したのは川崎重工業と日立製作所の2社。川重は将来の合弁事業による現地生産を視野に入れ、2017年にインド最大手の重電メーカー・BHEL社と高速鉄道車両の製造における協業で合意した。日立も鉄道部門における日本アジアパシフィック事業の責任者を務める光冨眞哉常務執行役は「工場を造るのか、現地でパートナーを見つけるのかなど、どう進めていくかを現在検討中」と述べている。 世界の鉄道メーカー大手のシーメンスやアルストムはインドに鉄道の製造拠点を持つ。日立も鉄道信号を手掛ける子会社のアンサルドSTS社が同国内にエンジニアリング拠点を有しており、「数百人規模の優れたエンジニアが働いている」(光冨常務)。この会社が将来、現地で車両製造を行う際の足がかりになる可能性もある。 日本の新幹線システムを採用している台湾の高速鉄道では、2004~2005年に30編成、2012~2015年に追加の4編成が導入された。この34編成はすべて日本からの輸出だ。インドでは追加導入のタイミングで現地生産に切り替えられることになるだろうが、メイク・イン・インディアの時間軸がインドと日本では隔たりがあるようだ』、「高速鉄道車両の輸出を狙うインド」とは、インド側はかなり気が早いようだ。「シーメンスやアルストムはインドに鉄道の製造拠点を持つ」のに比べ、日本企業の進出は出遅れ気味だ。日本からの輸出を現地生産に切り替えていくといっても、「メイク・イン・インディアの時間軸がインドと日本では隔たりがあるようだ」であれば、今後もインド側の要求に悩まされることだろう。
・『現地製造の高いハードル  また、メイク・イン・インディアが約束されているとはいえ、いざ現地生産に踏み切るとなると、設備投資から人材の確保までさまざまな課題が発生する。とりわけ気になるのは従業員の教育面だ。1カ月に何万台も生産される自動車と違い、鉄道車両の製造は手作業に負う部分が多く、月産数両程度しか造れない。熟練工の養成は不可欠だ。 昨年12月に日本で起きた新幹線の台車亀裂トラブルは、製造指示書に従わなかった現場の作業員による台車枠の削りすぎが原因だった。この事例は論外としても、設計書で指示されていない細部の作業を現場の判断でこなす「匠の技」も一歩間違えると、賞賛どころかトラブルの原因になりかねない。在来線以上に安全性が重視される高速鉄道車両の製造は高度な技術と品質管理が求められる。現地生産は一朝一夕にはいかないだろう。 車両だけでなく、電気関係製品や線路なども日本から持ち込まれる予定となっている。「当初はインド側からレールや分岐器についてはインド製を使ってほしいという要望があったが、技術レベルが日本の水準に満たなかった」と、ある現地関係者が明かす。 IHRA国際フォーラムで、インド鉄道省のアグラワル氏とともにパネリストを務めたJR東日本の冨田哲郎会長は壇上で次のように述べた。「新幹線の発展の歴史をインドに伝えたい。安全性確保のためには設備の高度化や人材育成が重要。教育、訓練に加え、ルールを守ることも伝えていきたい。そして、マネジメントは見えないリスクに対して謙虚な気持ちを持つべきだ」。日本の鉄道関係者にとってはごく当たり前の内容であり、聞き流してしまうかもしれない。だが、インドで鉄道車両を製造するという困難な課題を前にすると、極めて重要な意味を帯びてくる』、インド側の熱を冷まさないよう表現を遠慮したようだが、もっとハッキリ言って、誤解を生じさせないことの方が重要なのではなかろうか。

次に、1月15日付け東洋経済オンライン「台湾新幹線、的中した「開業前の不安要素」 キーマンが明かす「日欧混在システム」の限界」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/259811
・『2007年に開業した台湾の高速鉄道が新幹線の海外展開事例であることはよく知られている。白地にオレンジの線がまばゆい車両「700T」は、東海道・山陽新幹線「700系」をベースに開発されたものだ。 しかし、完成に至るまでの道のりは平坦ではなかった。日本勢と独仏連合が入札で競合、1997年にいったんは独仏連合が受注を獲得したものの、その後1999年に日本が逆転受注を果たした。ただ、土木構造物などのインフラ部分はすでに欧州仕様で工事が発注されており、日本の受注は車両や電気、信号システムなどにとどまった。その意味において、完全な新幹線システムとは言いがたい側面もある。一方、台湾側は「世界の鉄道技術の良いところを集めた“ベストミックス”である」としている。 日本が独仏連合に敗れた後に、敗者復活戦に参戦したJR東海の田中宏昌氏(当時副社長、現在は顧問)は、日本が逆転受注を果たした立役者の1人である。一度は受注に成功した独仏連合をなぜ退けることができたのか、完全な新幹線システムでないことによりどのような問題が生じているのか。今後の新幹線の海外展開にどのような教訓を残したのか。すべてを知り尽くす田中氏に聞いた(Qは聞き手の質問、Aは田中氏の回答)。
・『ドイツ高速鉄道の事故が転換点  Q:当初受注した独仏連合から新幹線の採用に至るまでのプロセスにおいて、最大の転換点は何ですか。 A:1998年にドイツで起きた高速鉄道の脱線事故だ。100人を超える死者が出た。この事故を契機に独仏の技術がミックスされた「ユーロトレイン」の安全性が疑問視され、技術の再評価が行われることになった。 事故の原因は新しく開発した車輪が割損したことによるもの。この車輪は、本体の車輪を薄いゴムクッションで巻いて、さらにその外側に鋼製のタイヤをはめ込んだ多重構造になっていた。その鋼製タイヤが金属疲労を起こした。それを見逃した検査体制にも問題があった。 もし事故が起きていなかったら、新幹線の採用はありえず、当初の計画どおりユーロトレインが導入されていただろう。 新幹線の生みの親である島秀雄さんは、「新幹線は新しい技術を使うのではなく、今ある技術を最大限に生かして使うのだ」とおっしゃっていた。ドイツの事故の場合も、新しい技術を実用化するなら、その前に実験を十分に行う必要があったのだが、それを十分にしないまま実用化してしまったのだろう。 Q:トルコでも昨年12月に高速鉄道の事故がありました。 A:トルコの場合は別の原因によるものだ。営業時間帯に保守作業が行われており、運行管理システムがきちんと機能していなかった。日本では、新幹線は営業時間帯と保守時間帯をきちんと分けており、コントロールセンターから指令が発せられることで営業時間帯と保守時間帯がきちんと切り替わる。したがって、営業時間帯に保守作業が行われることはない。 Q:台湾の高速鉄道は、車両は新幹線ですが、インフラは欧州のものが使われています。どう評価しますか。 A:システムを構築するためには、単独の部品が優秀というだけでは不十分。数多くの部品が組み合わされて1つのシステムになる。高速鉄道であれば、橋梁、バラスト、レールといった土木構造物から、電気を供給する変電設備や架線構造が一体となったシステムとして安全に機能しなくてはいけない。この点は台湾で何度も繰り返して説明したが、なかなか理解を得ることができなかった。 Q:日本のシステムを丸ごと採用するのではなく独自のシステムを作るという台湾の「ベストミックス」という考え方にも一理あるのでは? A:彼らのシステムをまったく無視するつもりはない。だが、信頼性と安全性が担保できるまで十分に検証を行う必要がある。その時間がたっぷりあるならよいが、開業時期が決まっていて、そこに向けてスケジュールを組むとなると限界がある』、確かに「ベストミックス」も時間に制約があるなかでは、「絵に描いた餅」だ。
・ドイツ製採用を強行した結果は…  Q:台湾が採用したドイツ製の分岐器はトラブルが頻発しているそうですね。 A:ドイツ製の分岐器は規模が大きく構造が複雑で、また、地域環境特性という面でもドイツと台湾は大きく違う。われわれはシンプルで小さな新幹線仕様の分岐器のほうが台湾に向いており、建設コストの削減にもつながると提案したのだが、台湾側は採用を強行した。もし十分な時間があるならドイツ製の分岐器を日本の分岐器と同じ条件で敷設して耐久性や信頼性をチェックしたうえで、改良することもできただろうが、そんなことをしていたらいつ開業できるかわからない。台湾側としては時間的な余裕がなかったのだろう。 結局、ドイツ製の分岐器は走行試験開始の時からたびたびトラブルを起こし、開業後も改善していない。この問題は立法院(国会)でも取り上げられ、集中審議が行われたが、すべての分岐器を取り替えるとなると1年程度運休しないといけない。だましだまし使っていくしかないという結論に落ち着いた』、「分岐器」が事故原因なのだろうか。原因とされるのは、確か運転手のスピードの出し過ぎと、ATSが切られていたことだと記憶しているが・・・。
・『客室内では窓のそばにハンマーが設置してあり、緊急時は乗客がガラスを割って脱出するという仕組みも日本と違います。 A:欧州の基準では列車が脱線転覆したときに窓ガラスを割って逃げるということになっている。車体がひっくり返っていないならドアを開けて脱出すればいい。また、車体が横になっていたら天井に窓があるので、ガラスを割ったら危ないし、そこからどうやって逃げるのか。「あまり意味がない」と申し上げたが「欧州から来ているコンサルタントの要望で」ということで採用された。この点でわれわれが強く主張したら、それが開業の遅れにつながるおそれもあり、OKした。 台湾の高速鉄道には、無駄なものや重複しているものが結構ある。システムとして考えずに、個別のものとして考えているからこういうことが起きる。 Q:日本側の努力が報われてよかったと感じたことは? A:新幹線の教育を1年半かけてやってきて、それが随所に生かされていることは本当によかった。日本式の指差し喚呼も行われている。こうした教育の成果が見られると救われた気分になる』、運転手のスピードの出し過ぎと「教育の成果」の関係をハッキリさせる必要があろう。
・『新幹線とは「7割同じ」  Q:台湾の高速鉄道は、新幹線ファミリーの1つとして位置づけていいのでしょうか。 A:誤解を招くかもしれないが、わかりやすく言えば、新幹線との技術的な違いは3割くらい。逆に言えば7割は新幹線と同じで、ATC(自動列車制御装置)のような重要な部分は譲っていない。だから、新幹線とDNAは同じという言い方をすることもある。 今では1日当たりの平均乗客数も17万人まで増え、庶民の足として定着した。紆余曲折はあったが、トータルとして見れば、成功したといえるのではないか。 Q:アメリカ・テキサス州の高速鉄道計画では新幹線の導入が前提ですが、台湾を教訓にするとベストミックスでなく、完全な新幹線システムのほうがいいのでしょうか。 A:アメリカには連邦政府やテキサス州の法律がある。その技術基準と照らし合わせて改正できる可能性があるものについては努力していきたい。折衝しても、どうしてもダメだという事柄については、現地のルールに従わざるをえないと思う』、台湾新幹線の事故原因はまだ調査中のようだが、どのような結論になるのだろうか。日本側の責任が問われることはないだろうが、インフラ輸出のリスクを思い知らされた一件だった。

第三に、1月21日付けダイヤモンド・オンライン「日立の英国事業に暗雲、原発断念に加え鉄道事業にも火種」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/191363
・『日立製作所がグローバル化の拠点と位置付けてきた英国での事業に暗雲が垂れ込めている。英政府と進めてきた原発建設計画の続行を断念する他、昨年は鉄道車両事業でも政府の大型案件を逃した。良好だった英政府との関係が冷え込んでいると言わざるを得ない状況だ。 「英政府は間違いなく原発建設をやりたがっていた。しかし(原発で発電した電力を優遇価格で買い取る)価格が92ポンドならやれていた」。日立幹部は英政府との難交渉にほとほと疲れた様子でこう語った。 それでも、原発計画から撤退するという経営判断は投資家から歓迎された。 事業を中断すれば約3000億円もの損失が発生するというのに、撤退観測が報道された1月11日、日立株価は前日比8.6%上昇した。 英政府は、原発計画を実現させるため総事業費3兆円のうち2兆円を融資する支援策を示していたが、国民からの反発を招きかねない高値での電力の買い取りには慎重だった。 冒頭の日立幹部発言にある「92ポンド」とは、フランスや中国の企業が主体となる英国の原発計画で設定された1メガワット時当たりの買取価格だ。これが電力の市場価格の2倍の水準だったために英国内で政治問題化していた。 ただでさえ政権基盤がぜい弱なメイ英政権が、原発計画で日立に譲歩できる余地は限られていた』、「フランスや中国の企業が主体となる英国の原発計画」では1メガワット時当たり92ポンドが設定されていたが、「政治問題化していた」ため、日立には適用されなかったというのは、確かに「政権基盤がぜい弱なメイ英政権」には無理だったのだろう。日立もツイてない。
・『鉄道では入札巡り政府に敗訴も  今回の原発計画の断念により懸念されているのが、英政府との関係悪化だ。 日立にとって英国は、原発新設の唯一の予定地であっただけではなく、社内で海外展開の模範事例となっている鉄道事業のグローバル本社や工場がある重要な国だ。原発も鉄道も英政府の理解なくして事業展開は困難なビジネスである。 日立の東原敏昭社長は英原発計画の継続断念を発表した会見で「民間の経済合理性には合致しない(から日立が原発計画を中断する)と現時点では英政府にご理解いただいている」と述べた。だが、原発計画の中断で国の根幹であるエネルギー政策にほころびが生じた英政府が心穏やかであるはずがない。 実は、日立と英政府の間には18年から隙間風が吹いていた。 ことの発端は、日立が6月にロンドン市交通局の鉄道車両の大型案件(2000億円規模)の受注を独シーメンスにさらわれたことだ。勝利を確信していた日立は結果に納得できず、ロンドン市交通局を提訴し、日立が落札できなかった理由の説明を求めた。 しかし、裁判所に不服を申し立てる作戦はあえなく失敗に終わった。11月には敗訴が決まり、シーメンスが正式に車両の設計に着手した。 受注失敗の代償は大きかった。英国の鉄道車両工場の稼働率維持が危ぶまれる状態になったのだ。日立関係者によれば「19年までは受注残があるが、それ以降の英国工場の仕事は今後の受注次第だ」という。 受注残がなくなれば、工場の従業員1300人の雇用問題にも発展しかねない。 日立と英政府との間の火種はこれだけではない。 日立はかねて英国の欧州連合(EU)離脱に影響を受ける「Brexit銘柄」とされてきた。仮にBrexitで英国とEUの貿易に関税が課されるようになれば、英国からの鉄道輸出にも支障をきたす。 原発と鉄道の事業で世界に打って出るための橋頭堡だった英国で日立は苦境に立っている。英政府との関係悪化で堡塁が崩れれば、日立の成長戦略が頓挫することにもなりかねない』、「英国の鉄道車両工場の稼働率維持が危ぶまれる」とは深刻だ。Brexitで「英国からの鉄道輸出にも支障」とは、踏んだり蹴ったりだ。

第四に、2月27日付け東洋経済オンライン「円借款検討の石炭火力、反対住民が次々投獄 インドネシアで人権問題、外務省の対応は?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/268065
・『外務省と国際協力機構(JICA)が政府開発援助(円借款)の供与を検討しているインドネシアの石炭火力発電所の建設計画に関して、反対する住民が相次いで逮捕・投獄され、実刑判決を受けている。 舞台となっているのが、インドネシア・ジャワ島にあるインドラマユ石炭火力発電所。インドネシア国有電力会社(PLN)が主体となり、100万キロワットの石炭火力発電設備2基の設置という、大型の拡張工事が計画されている。そのうちの1基について、外務省、JICAが円借款を検討している。 国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルは2018年10月3日、「発電所反対で投獄なのか」と題した声明を発表。拡張計画に反対して投獄された3人の農民のうち2人の農民について、市民として当然の権利を行使しただけで拘留されている「良心の囚人」として、即時かつ無条件の釈放を求める国際的な救援活動を呼びかけた。 今年2月21日、2人は刑期を終えて釈放されたが、反対住民1人が現在も刑務所に収監されたままだ』、インドネシアでの反対運動弾圧は初耳だ。日本のマスコミも遠慮せずに伝えて欲しいところだ。日本政府が力を入れている石炭火力発電所は、二酸化炭素の排出などで悪名が高く、国内でも中止が相次いでいる。
・『逮捕の狙いは反対運動の弾圧?  投獄された3人の罪名は、国旗を逆さまに掲げたとの理由による「国旗侮辱罪」。2017年12月17日の深夜1時頃、地元の警察が自宅に踏み込んできて3人を逮捕した。同日23時に3人は保釈されたが、2018年9月に3人は再逮捕・未決勾留され、同12月27日に2人に5カ月、1人に6カ月の実刑判決が出された。 支援者の1人で現地の事情に詳しい国際環境NGO・FoE Japanの波多江秀枝氏は、「本人たちは罪を否定しており、国旗が正しく掲揚されていたのを見た住民もいる。国旗を逆さまに掲げたというのは事実に反した言いがかりだ。本当の狙いは発電所建設への反対運動に対する弾圧に他ならない」と強く批判する。 この逮捕・投獄事件では、外務省、JICAが検討している政府開発援助(ODA)に関して、検証対象となる人権への配慮がきちんとされているかに注目が集まっている。 JICAが策定した「環境社会配慮ガイドライン」では、協力事業の実施に際して、「人権状況を把握し、意思決定に反映する」と明記。政府が閣議決定した「開発協力大綱」でも、「当該国における民主化、法の支配及び基本的人権の保障をめぐる状況に十分注意を払う」とのくだりがある』、インドネシアでの反対派へのデッチ上げの有罪判決とは、酷い話だ。野党はこういった問題も国会で取上げるべきだろう。
・『しかし、JICAは「現時点で(人権状況に問題があるか否かの)確認をしておらず、判断は差し控える」(壽楽正浩・JICA東南アジア第1課主任調査役)とする。外務省は「人権状況について価値判断はしていない」(担当者)という。 JICAは現在、出力100万キロワットの大型石炭火力発電所建設の前段階に当たる設計業務について、「エンジニアリング・サービス(ES)借款」を、PLNに供与している。しかも、追加貸し付けが実施されたのは、3人が再逮捕された後の2018年9月27日だ。 ただ、環境社会配慮ガイドラインには「プロジェクト本体に対する円借款の供与にかかる環境レビューにおいて、環境社会配慮上の要件を満たすことを確認することを可とする」との条項がある。そのためJICAは、現時点で調査は必要ないとの認識だ。 その考え方について壽楽氏は次のように説明する。 「ES借款はプロジェクト自体が経済性を含めてフィージブルか否かを確認する作業でもある。発電所本体への円借款供与を検討する際に、環境社会配慮も含めて確認するのが効率的であり、審査のステップとしても適当だとの判断がある」 壽楽氏は「現時点でインドネシア側から、発電所本体の建設に関しての円借款の要請は受けていない」としたうえで、「反対住民やNGOから指摘されている問題については、PLNに確認を求めている」と説明を続ける』、なんと腰の引けた対応だろう。これでは、「環境社会配慮ガイドライン」など有名無実だ。
・『すでに周辺工事が進捗  しかし、次々と人権問題が持ち上がっている中で、「発電所本体の建設に際して、インドネシア側から円借款の要請が来たら、その時に検証すればいい」というやり方は妥当なのか。ES借款供与時に人権状況を調査・検証してはならないとの規定はない。 前出の波多江氏は「反対の声をあげただけで住民が逮捕・有罪になるような現状は、そもそも政府開発援助を適正に実施できる条件を満たしていない」と指摘する。 現在、発電所本体の工事こそ行われていないものの、PLNはアクセス道路の建設や送変電設備に関する土地造成工事を着々と進めており、反対する住民をいつでも閉め出せるようにあちこちにゲートが設けられている。 インドネシアでは、石炭火力発電所の増設そのものにも疑問が出ている。 硫黄酸化物やばいじんなど有害物質の排出量の多さが、周辺住民から強い反発を招いている。また2017年9月には、インドネシアの財務相がPLNの事業計画の見直しを求める書簡をエネルギー鉱物資源相に送付していたことが現地の報道によって判明している。国際環境保護団体グリーンピース・インドネシアのユユン・インドラディ氏は、「ジャワ島およびバリ島エリアでは電力供給の予備率が40%もあり、電力設備の過剰が問題となっている。新たな石炭火力発電所の建設は必要ない」と指摘する。 そうした中で、「大統領選の前に、発電所本体の建設に関する円借款の要請が出されるのではないか」(波多江氏)とも危惧されている。 問題山積のプロジェクトに外務省やJICAがどう判断を下すのか、注視を怠れない』、「電力供給の予備率が40%もあり、電力設備の過剰が問題となっている」なかで、建設を強行するとは、きっとリベートなどの利権が大きいからなのだろう。インフラ輸出の号令がかかると、裏面を隠して、突っ走ることを続けていけば、現地住民からの恨みを買い、国際親善どころではなくなる筈だ。
タグ:インドは鉄道総延長6万3000kmという世界有数の鉄道大国 ダイヤモンド・オンライン ドイツ製の分岐器はトラブルが頻発 (その9)(高速鉄道めぐる日本とインドの「同床異夢」、台湾新幹線、的中した「開業前の不安要素」、日立の英国事業に暗雲 原発断念に加え鉄道事業にも火種、円借款検討の石炭火力、反対住民が次々投獄 インドネシアで人権問題) インフラ輸出 「高速鉄道めぐる日本とインドの「同床異夢」 輸出と現地生産、どちらがベストシナリオ?」 東洋経済オンライン 日印首脳会談で覚書 ムンバイ―アーメダバード間505kmを約2時間で結ぶ計画 JR東日本 総工費は約9800億ルピー(約1.5兆円)。そのうち8割は円借款 メイク・イン・インディア グループ全体で100人を超えるスタッフを投入 高速鉄道セミナー インドには鉄道車両を製造できるメーカーが6社あり、全国各地に多数存在する製造拠点の従業員を合計すれば15万人に達する 高速鉄道車両の輸出を狙うインド 安倍首相は起工式の場で「日本はメイク・イン・インディアにコミットしている 現地製造の高いハードル 少なくとも当初、導入される車両については、日本で製造したものが持ち込まれる予定 のシーメンスやアルストムはインドに鉄道の製造拠点を持つ 台湾の高速鉄道が新幹線の海外展開事例 「台湾新幹線、的中した「開業前の不安要素」 キーマンが明かす「日欧混在システム」の限界」 ドイツ高速鉄道の事故が転換点 台湾側は「世界の鉄道技術の良いところを集めた“ベストミックス”である」 インフラ部分はすでに欧州仕様で工事が発注 新幹線とは「7割同じ」 「円借款検討の石炭火力、反対住民が次々投獄 インドネシアで人権問題、外務省の対応は?」 インドラマユ石炭火力発電所 英国の鉄道車両工場の稼働率維持が危ぶまれる状態に 「日立の英国事業に暗雲、原発断念に加え鉄道事業にも火種」 ロンドン市交通局の鉄道車両の大型案件(2000億円規模)の受注を独シーメンスにさらわれた 原発計画の中断 Brexitで英国とEUの貿易に関税が課されるようになれば、英国からの鉄道輸出にも支障をきたす 受注残がなくなれば、工場の従業員1300人の雇用問題にも発展しかねない 100万キロワットの石炭火力発電設備2基の設置という、大型の拡張工事が計画 そのうちの1基について、外務省、JICAが円借款を検討 逮捕の狙いは反対運動の弾圧? 「発電所反対で投獄なのか」 アムネスティ・インターナショナル 「良心の囚人」として、即時かつ無条件の釈放を求める国際的な救援活動を呼びかけた 環境社会配慮ガイドライン ジャワ島およびバリ島エリアでは電力供給の予備率が40%もあり、電力設備の過剰が問題となっている すでに周辺工事が進捗 新たな石炭火力発電所の建設は必要ない
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インフラ輸出(その8)(鹿島に1000億円請求  アルジェリア高速道めぐるJV内バトルの裏側、JR東日本 英国で鉄道運行「1年間の通信簿」 日本が誇る「鉄道力」はどこまで浸透したのか、幻に終わった「日中鉄道協力」 タイ高速鉄道計画に日本企業がそっぽを向いた理由) [インフラ輸出]

インフラ輸出は安倍政権が成長の柱の1つとして旗を振っている。これについては、昨年11月19日に取上げた。今日は、(その8)(鹿島に1000億円請求  アルジェリア高速道めぐるJV内バトルの裏側、JR東日本 英国で鉄道運行「1年間の通信簿」 日本が誇る「鉄道力」はどこまで浸透したのか、幻に終わった「日中鉄道協力」 タイ高速鉄道計画に日本企業がそっぽを向いた理由)である。

先ずは、12月4日付けダイヤモンド・オンライン「鹿島に1000億円請求、アルジェリア高速道めぐるJV内バトルの裏側」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/187344
・『鹿島を代表とする共同企業体(JV)が2006年に受注した総工費5400億円のアルジェリア高速道路工事は、代金の未払いをめぐって同国政府と対立し、16年に和解、決着したかに見えた。ところがこの11月、JVに参加した大成建設など3社が鹿島に賠償金約1000億円を請求。JV内バトルが始まった。 1000億円に上る“授業料”をめぐる決着はまだついていなかった。ゼネコン大手の大成建設と準大手の西松建設、安藤ハザマは11月、アルジェリア高速道路工事における損害賠償金1062億円相当の支払いを、大手の鹿島に求める仲裁を一般社団法人日本商事仲裁協会(JCAA)に申し立てた。 鹿島と仲裁申立人の3社、伊藤忠商事から成る共同企業体(JV)「COJAAL」は2006年、アフリカでアルジェリア公共事業・交通省高速道路公団(ANA)から大型工事を受注。東西約2000キロメートルを横断する道路のうち、東工区(約400キロメートル)を総工費5400億円で受注した。その規模は日系ゼネコンの受注としては過去最大級の海外案件だった。 工事は06年に着工し、10年2月に完成する予定だったが、治安の悪化や、資材調達の遅滞に加え、トンネル崩落事故も発生。設計変更に伴う追加工事代金の回収もできないまま、約8割まで完成した状態で工事がストップした。 COJAALはANAと交渉を続けたが進展が見られず、14年6月に工事済み部分の代金の支払いを求めてフランスの国際仲裁裁判所に仲裁の申し立てを起こした。その結果、16年7月に和解契約を結び、未払い金の一部を受け取るとともに残り約2割の工事は解約することで合意。受注から10年を経て“大出血”を止めたが、代償に約800億円もの損失を抱えた。 損失分はすでに出資比率に合わせてJVに参加した各社が補填。ゼネコン各社は、17年度までに損失の会計処理を完了した。 鹿島、大成建設の17年度業績は好調な国内需要に引っ張られて最高益を更新。海外で被った損失が埋められて問題は一件落着したかに思われたが、仲裁申し立てにより第2ラウンドのゴングが鳴った。 「アルジェリアの案件はその実、鹿島の現場だった。大成建設など3社は社員を貸し出す立場だった」とゼネコン業界幹部。一般に、スポンサーが出資金額の差配や発注者との契約の交渉を担い、協力会社を選ぶ権利までを持つことが多い。入札時に「準備委員会」、工事進捗の区切りで「JV委員会」が複数回開催されるなど、民主主義的な仕組みはあるが、申し立て側はスポンサーに出資比率以上の損害負担を求めたのである。 第2ラウンドは、JV内の対立だ。JVの代表者である鹿島における「代表者(スポンサー)としての義務違反」が争点である。 対する鹿島の押味至一社長は、「仲裁の申し立てに対応するのみ」と多くを語らないが、鹿島側は「16年の和解はJVの総意」であるとし、出資比率に合わせて各社で損失を補填するのが筋と譲らない。申し立て側の主張が通れば、損失が上乗せされてしまう』、なにやらかつても銀行界での、協調融資が不良債権化した際に、メインバンクとその他銀行での責任の押し付け合いに似ている。現在のような貸手責任が明確化されたシンジケート・ローンと異なり、貸出額に応じて損失を負担するのか、メインバンクなどの負担を大きくするのかで大いにもめたことがある。今回の場合、国際仲裁裁判所で和解し、各社も損失処理を済ませたのに、第2ラウンドは始まったというのには違和感がある。
・『JV内バトルは株主へのポーズとの見立てあり  もっとも、鹿島が損害賠償を要求されたと公表した11月19日の翌日以降の同社株価に大きな影響はなかった。業界関係者の中には「(申し立て側は賠償金を)取れないと分かっているが、自社株主へのポーズとして仲裁を申し立てているのではないか」という“出来レース”の見立てがあるのだ。 大成建設の首脳、西松建設、安藤ハザマは株主対策と賠償金の内訳について「係争中のためコメントは控える」と回答している。仲裁の過程は非公開だが、効力は裁判と同じ。控訴の仕組みはなく、一発勝負となる。1年以内には決着すると想定される。 仮に18年度内に決着し、鹿島が賠償金を一部でも支払うことになれば、鹿島の19年度の株主配当金の原資に影響しよう。長引いて19年度に決着すれば20年度の配当に響く。鹿島側が仲裁によって巨額の損失を被れば、今度は同社の株主が黙っていないだろう。まさに“泥仕合”となる。 幕引きがなお長引くほどに高い“授業料”となった原因の一つに、国内ゼネコンの海外での経験値不足がある。 過去の海外大型案件は、戦後賠償の一環やODA(政府開発援助)が多くを占めてきた。長期的には国内の新築案件の先細りが確実視される中でODAに頼らない独自受注を海外に求める流れが生まれるも、それをこなし切れる経験が足りなかったのである。 海外売上高比率を見ると、大手エンジニアリング会社に比べてゼネコン大手の数字は軒並み低い(下図参照)。エンジ関係者は「海外では分厚い契約書を作り、リスク管理を徹底するのが常識。ゼネコンは失敗のたびに担当者が飛ばされ、経験が引き継がれない」とゼネコンの甘さを指摘する。 損害負担をめぐる争いが出来レースなのか泥仕合なのか以上に重要なのは、高い“授業料”をただの失敗による損失で終わらせないことである』、「JV内バトルは株主へのポーズとの見立てあり」、「ゼネコンは失敗のたびに担当者が飛ばされ、経験が引き継がれない」などというのは、グローバル化の時代にお粗末の一言に尽きる。

次に、12月25日付け東洋経済オンライン「JR東日本、英国で鉄道運行「1年間の通信簿」 日本が誇る「鉄道力」はどこまで浸透したのか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/256867
・『EU(欧州連合)離脱問題に揺れる英国だが、ロンドンやバーミンガムのターミナル駅は通勤客、観光客、さらにクリスマスの買い物客でごった返す。構内を見渡すと、「より多くの座席、より多くの運行本数」「“運行会社オブザイヤー”に選ばれましたが、うぬぼれません」「200万ポンド(2.8億円)かけて当駅の券売機を改修しました」といった鉄道会社の広告であふれている。 こういった鉄道広告は日本でも珍しくないが、英国の鉄道システムには日本との大きな違いがある。鉄道会社間の競争が日本とは比べものにならないほど厳しいという点だ。2017年12月、JR東日本(東日本旅客鉄道)は三井物産、オランダ国鉄系の鉄道会社アベリオと共同で英国の鉄道運行事業に参入、競争に自ら身を投じた。 JR東日本はインドネシア・ジャカルタやタイ・バンコクで車両メンテナンスや乗務員教育に関する技術支援を行ってきたが、今回のように現地に人材を投入する形での運行事業への本格参入事例は初めてだ』、鉄道システムの違いは極めて大きいが、共同で参入したオランダ国鉄系の鉄道会社アベリオに当面は教えてもらうしかないだろう。
・『1つの路線で複数の鉄道会社が運行  日本同様、国鉄を分割民営化した英国では、かつて国鉄が運営していた路線の線路や架線などのインフラ管理を「ネットワークレール」という国営会社が一手に引き受けている。旅客列車の運行はエリア別に分割され、入札によって選ばれた運行会社が運行権を獲得する。需要の少ない路線には政府が補助金を出すので、閑散路線にもうま味はある。 入札制にすることで、各社の提案を競わせ、補助金の削減や旅客輸送サービスの改善が図られるという利点がある。需要の多い区間は5~6社が乗り入れることもある。 運行会社は英国、フランスなど欧州の交通事業者の出資により設立されていることが多い。音楽や航空で知られるヴァージングループや香港の鉄道会社・香港鉄路(MTR)も運行会社に出資する主要プレーヤーに名を連ねる。 運行権は期限付きであり、期限が到来すれば改めて入札で運行会社を募る。期限が切れた後は別の鉄道会社にすげ替えられるかもしれないため、緊張感を持った経営が必要となる』、「運行権は期限付き」とはなかなかいい仕組みだが、運行会社にとっては大変だろう。
・『JR東日本、三井物産、アベリオの3社連合が運行権を得たのは、ロンドンと英国第2の都市、バーミンガムを結ぶ「ロンドン・ノースウェスタン路線」と、バーミンガム近郊の路線網「ウェストミッドランズ路線」の2路線。バーミンガム・スノウヒル駅の管理業務なども含まれる。10年間にわたって両路線の運行を担ってきた、英仏大手交通事業者系のゴヴィア社から運行権を引き継ぎ、2026年3月まで運行を行う。 この2つの路線の総延長は約900kmに及び、2016年度に3.38億ポンド(約480億円)の運賃収入をもたらしている。2路線を比較すると長距離利用者の多いノースウェスタン路線のほうが運賃収入は多いが、利用者数ではウェストミッドランズ路線のほうが多いようだ。 実際の運行事業を担うのは3社が共同で設立したウェストミッドランズトレインズ(WM)社。出資比率はアベリオ70%、JR東日本と三井物産が各15%という構成だ。 WMが運行会社に選ばれた理由は非公表だが、アベリオはスコットランドやドイツでも鉄道運行を行っており、親会社のオランダ国鉄も含め、鉄道経験は豊富という事情がまず考えられる。さらに、運行会社に出資する企業の顔ぶれが固定化してマンネリ化をおそれた行政サイドが、競争原理を維持すべく新規企業の参入を歓迎するという事情もあったようだ。JR東日本が参入できる余地は大いにあったわけだ。 実際、WMが運行権を獲得したことを伝えるプレスリリースでも、JR東日本は東京において世界一混雑している駅を運営していると紹介している。その運行ノウハウの活用は現地でも期待されていた』、日本側は2社合わせて30%とは「小手調べ」には丁度よさそうだ。JR東日本も改めて運行ノウハウの活用がどこまで可能なのかを、冷静に見直してみるべきだろう。
・『日本流は導入されたのか  それから1年。JR東日本の参入によって英国の旅客鉄道事業に何らかの変化はあったのだろうか。 現在のところ、公約としている総額7億ポンド(994億円)の新車導入や既存車両の改修は手をつけた段階。これまでのところ、駅や列車に掲示されるロゴが変更された程度だ。運行会社が変わったことで、それまでの運行スタイルがガラリと変わったわけではない。 JR東日本の国際事業を担当する最明仁常務は、「きちんと機能している現地のやり方を、すぐに日本流に変えるつもりはない」と説明する。確かに、運営会社が変わったといっても、経営陣が変わっただけで、2500人を超える従業員はほぼそのままだ。役員を別にすれば、JR東日本は本社部門に1名を送り込んでいるにすぎない。 頭ごなしに日本流を押し付けても反発を買うだけだ。なぜ日本流にすべきなのか、現場で丁寧に説明して、根本思想から理解してもらう必要がある。それが定着するには長い時間を要するだろうが、まずは最初の一歩として、運行管理、車両メンテナンスなどの分野で日本流を導入できるか検討中という。 日本の鉄道輸送システムの安全性と正確性は、世界的にも定評がある。ただ、その安全で正確な運行がどのようにもたらされているかまでは、しっかり認知されているとはいえない。たとえば、日本ではおなじみの信号や標識の状態を声に出し、指で指して確認する「指差喚呼」は、単なる目視による確認と比べ安全性は格段に高まるが、世界の鉄道業界ではほとんど普及していない。最明常務は「指差喚呼をぜひとも英国で浸透させたい」と語る。 混雑の解消も日本の知見が期待されている課題の1つだ。ロンドンからミルトン・ケインズ(ロンドンから約80km離れたベッドタウン)に至る区間は4つの運行会社が競合するが、とりわけWMが運行する列車は夕刻時に混雑率187%に達し、2018年夏に運輸省が作成した混雑率ランキングで第5位にランクされた。 「今後、新車両投入、増発、車内レイアウトの工夫などによる輸送力向上で解決していきたい」と、JR東日本・英国フランチャイズグループリーダーの小島泰威氏は話す。2019年5月のダイヤ改正を皮切りに、2020年、2021年と段階的に輸送量を高めていく構えだ。 英国の通勤列車の座席は日本のように横に長いロングシートではなく、向かい合って座るクロスシートが採用されていることが多い。通路が狭いからかもしれないが、混雑区間に実際に乗車してみると、ドア付近に多くの乗客が固まっていることに気づく。細かく車内アナウンスをして、奥に詰めてもらえれば、多少なりとも車内は快適になる。こういうちょっとしたことでも、今後、JR東日本のノウハウが役立つかもしれない』、「指差喚呼」はプライドが高い英国人からは抵抗を受けるかも知れない。「正確性」は多くの要素から成り立っているので、時間がかかるのではなかろうか。
・『目指すはJR東日本が主導する運行  アベリオ、JR東日本、三井物産の3社は、「サウスイースタン路線」の運行権獲得にも名乗りを上げている。ロンドンとアシュフォードを結ぶ、日立製作所が製造した高速列車が走っていることで日本でも知られている路線だ。利用者数も運賃収入もウェストミッドランズを大きく上回る。 首尾よく運行権獲得に成功し、ここでも実績を重ねれば、JR東日本はもはや新参者ではない。現在は15%出資にとどまるが、将来、別の案件が出てくれば、今度は主導的な立場で英国の鉄道運行に携わる可能性があるかもしれない。 そのためには「日本とは仕組みがまったく違う国で交渉できる力を身に付ける必要がある」と小島氏は話す。運行会社は運輸省、ネットワークレール、車両リース会社、車両保守会社などさまざまな立場の当事者と折衝を行い、ベストの解決策を探っていく。「欧州で豊富な経験を持つアベリオの仕事のやり方は、見ていてたいへん参考になる」(同)。 活躍の場は英国だけとは限らない。外国企業にも運行業務の門戸を開いている国は世界中にある。MTRは英国の運営会社に出資しているほか、スウェーデンの都市間鉄道やメルボルンの都市鉄道の運行も行うなど、世界中で鉄道事業を行っている。規模でMTRを上回るJR東日本が同様に海外展開できないはずはない。 「HITACHI」ブランドで英国を走る高速列車、アメリカ・ニューヨーク市の地下鉄車両でシェア首位の川崎重工業のように、日本の鉄道産業における海外展開例の多くは車両メーカーだった。鉄道会社ではJR東海(東海旅客鉄道)による台湾高速鉄道への技術コンサルティング、東京メトロ(東京地下鉄)によるベトナム・ホーチミンの都市鉄道プロジェクトへの運営支援、JR西日本によるブラジルの都市鉄道事業への出資などがにとどまる。日本の鉄道力を支える鉄道会社が世界における運行事業に乗り出さないのは、あまりにももったいない』、ずいぶん前のめりだが。台湾高速鉄道では、事故原因は未確定ではあるが、何らかの責任を問われる懸念もある。鉄道事業はリスクがある以上、政府のスローガンに惑わされることなく、一歩一歩、着実に前進してもらいたいものだ。

第三に、12月30日付けのYahoo!ニュースがThe Asahi Shimbun Globe記事を転載した「幻に終わった「日中鉄道協力」 タイ高速鉄道計画に日本企業がそっぽを向いた理由、現地で見えた」を紹介しよう。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181230-00010000-globeplus-int&p=1
・『タイと中国が建設へ  タイの新たな高速鉄道計画が動き始めた。大詰めを迎えた国際入札は、地元大手財閥と中国国有企業を中心とした企業連合の落札が濃厚だ。日本政府は中国との外交関係の改善の象徴として、日中両国の企業が協力して参画する案にこだわっていたが、幻に終わった。その背景を、新線の区間とほぼ重なる在来線に揺られながら考えた』、興味深い内容のようだ。
・『高速鉄道始動 一日一往復から乗客激増を期待  この高速鉄道は、バンコク首都圏のスワンナプーム、ドンムアン、ウタパオの3空港をつなぐ。総延長は約220キロ。名古屋―新神戸間とほぼ同じ距離だ。最高時速は250キロを予定し、約1時間で結ぶ。プラユット暫定首相が率いる軍事政権が、経済振興策の目玉とする「東部経済回廊(EEC)開発構想」のひとつで、日本企業が多く進出する地域を走り抜ける。費用は2471億ドル(約8000億円)とされる。 12月21日に明らかにされた国際入札の結果によると、地元の最大財閥チャロン・ポカパン(CP)グループと中国国有の鉄道建設会社である中国鉄建(CRCC)が出資する企業連合が優先交渉権を獲得した。問題がなければ、年明け1月中に正式に決まる。 新線の沿線にエビ養殖の土地などを持つCPは早くから意欲を示してきた。タイの高架鉄道を運営するBTSグループが主導する企業連合も入札には参加したものの、当初からCPが本命視されていた。軍事クーデターで2014年に生まれた現政権は、初めての総選挙を2月に予定している。その直前に確定させるのは、大型の利権を有力財閥に分配すると同時に、経済的な成果として有権者にアピールする狙いもあるはずだ』、なるほど。
・『この路線、どんなところを走るのだろう。新線とほぼ重なる在来線に乗ってみることにした。 地図を見ると、海岸線に沿ってひたすら南下する。ビーチリゾートで有名なパタヤを通る。海の景色が楽しめるかもしれない。終点はバーンプルータールアンという聞き慣れない地名だ。よほどお客が少ないのか、1日1往復しか走っていない。平日はエアコンなしの3等車、土日はエアコンつきの2等車だ。しかも、今春まで週末は運行していなかったそうだ。 師走の日曜日、23日早朝。バンコクの中央駅にあたるフアランポーン駅へと急いだ。ほとんどの路線が乗り入れるタイ鉄道網の中心だ。東京駅と上野駅を足したような存在とも言える。私の列車「997番」も、この駅が始発だ。 クリーム色のドーム形の駅舎は、ドイツのフランクフルト駅をモデルに1916年に造られた。100年余りの歴史がある。プラットホームへの出入り口には、ラーマ5世(チュラロンコーン、1853~1910年)の肖像画がどーんと掲げられている。タイの近代化を進めた名君として誉れ高く、鉄道の父とも言われる存在である。 駅に改札はない。切符を買っていなくてもプラットホームに自由に入れる。駅の気配が恋しくなるとき、列車に乗る予定がなくても足が向く。この日は切符を携えて、久しぶりのタイ列車旅だ。 つややかな青に赤と白のラインが施された車両が、8番ホームで待っていた。3両しかない。6時45分に出発し、終点には9時50分に着く。200キロ弱の道のりを約3時間かけて走る。料金は170バーツ、約600円である。 車体にスプリンターと英語でも書いてある。これだったか。90年代に飛行機に対抗する切り札として投入されたと聞くディーゼル機関車だ。100キロ台の最高時速を考えると、いくらなんでも無理があるが、エース級の位置づけを思わせる物語である。 以前、北部の最大都市チェンマイへ行ったときは2時間以上も発車が遅れた。心配していたが、定刻より1分半、早く出発した。この差を気にしていたのは、私だけかもしれないが…。 1車両72人乗りにもかかわらず、お客は私を含めて6人だけ。なぜか制服姿の職員が数人車両に乗っている。ほどなく茶色の制服の車掌さんが検札にやってきた。食堂車も車内販売もないことが分かった。がっかりしたが、3時間余りなら仕方ない。「コップクンクラップ(タイ語でありがとう)」。にこやかに去っていった』、在来線ではあるが、「1車両72人乗りにもかかわらず、お客は私を含めて6人だ」というのではまるでローカル鉄道だ。目論見通りに、高速化で客が激増するのだろうか。
・『列車よりバス、飛行機のお国柄  グウーン、グウーンとディーゼルエンジンの音が響く。7時15分ごろ、オレンジの太陽がのぼった。しばらくバンコクの市街地を走る。高層ビルとトタン屋根のバラックがごちゃまぜに目に入る。線路に迫る距離で、Tシャツなど衣類を売る屋台が店開きしている。 平日は通勤通学で使うお客がいる区間だ。スワンナプーム空港へ向かうエアポートレールリンクや地下鉄と乗り換えできるマッカサン駅も通る。この駅周辺は、高速鉄道とセットで開発される。鉄道で赤字が出ても、不動産や商業施設から利益を上げられるとして、タイ政府は事業の運営者となる企業連合への財政補助を渋ってきた。 ビュン。対向車両とすれ違った。このあたりは複線だ。 出発して1時間もたたないうち、外の景色は緑になってきた。水を張った田んぼも見える。気がつくと単線になっている。うとうとしているうち、シーラチャ駅に着いた。ビルが見える。この地域は、タイ政府が開発に力を入れる東部経済回廊(EEC)の中核でもある。自動車関連など日本企業も多く工場を構えている。十年前にはタイでは二つめの日本人学校も開校した。 パタヤ駅に着いた。国王の大きな写真を飾っている。海岸線からは離れているらしく、道中、海はまったく見えなかった。残念だ。 9時40分。終点のバーンプルータールアン駅に着いた。予定より10分ほど早い。私の車両は、もっとも多いときで地元のお客さんを中心に30人ぐらい。半分も埋まっていなかった。タイの鉄道で常に目に入る世界中からやって来るバックパッカーが、ほとんどいなかったことには驚いた。 ホームに降りて、見渡すと向かいの草むらに朽ちかけた古い車両が転がっている。トイレやホームは清潔に手入れされていたが、小さな駅には食堂もない。戻りの列車は、15時50分発…。駅でバナナチップスや総菜を売っていた女性が、パタヤまでミニバスで行って、バスでバンコクに戻れると教えてくれた。合計168バーツ。列車の運賃とほぼ同じである。バスは20分おきに往来している。空港へも直行便がある。家や職場などが駅に近いか、よほどの愛好家でないと鉄道は利用しないだろう。バックパッカーの目線でいえば、リゾート地や工場地帯を走る路線は刺激に乏しい。 だから、1日1往復なんだな。 終点の駅の近くにウタパオ空港がある。60年代から75年まで続いたベトナム戦争中は、米軍が東南アジアの重要な基地とした空港である。B52爆撃機が飛び立っていった。終点の駅から近いサタヒップ港にも米艦隊が寄港した。タイは見返りに巨額の援助を受け取った。そもそもパタヤは米軍兵士の休暇のために両国合意のもとに開発された。歓楽街は米兵でにぎわった。この付近は当時、米国の後方基地だったのだ。 ミニバスが、タイ海軍の広い基地を囲む塀のわきを通り過ぎた。ウタパオ空港はその後、中国やアジアから民間機も乗り入れる軍民共用の空港になった。タイ政府はさらなる開発を目指して、高速鉄道を延伸させる構えだ。 タイの鉄道の歴史をさらにひもとくと、開業は1890年代。主に英独の企業が建設に関わった。当初は標準軌(1435ミリ)だったが、その後、基本的に狭軌(メーターゲージ、1000ミリ)で整備された。現在の営業距離は4000キロを上回る。 ただ、バンコクの知人たちは、市街地を走る高架鉄道と地下鉄を除けば、ほとんど列車を使わないと言う。パタヤに行くにもバスやマイカー、もっと離れた場所なら飛行機。近年は格安航空会社が国内もぶんぶん飛んでいる。鉄道は、安いが便数が限られ、遅れもめずらしくない。とりわけ長距離になると、世界のバックパッカーや鉄道ファンから愛されるほどには頼りにされていないようにみえる。 タイ政府は、高速鉄道の開通で乗客の激増を期待する。確かに、1時間といえば通勤圏にもなりうる。とはいえ、高速鉄道は高くつく。公共輸送として運賃の設定は制限される。そもそもバスなどと競争できない値段では、お客にそっぽを向かれる。民間が経営したところで、採算という関門はつきまとう。 着工から5年後の完成が目標とされる。私が見た風景は、どんなふうに変わっていくのだろうか』、不便な鉄道から離れた人々が、高速鉄道の開通で戻ってくるのかは1つの社会実験だ。
・『「政熱経冷」政治と現実の距離  高速鉄道計画のなかでも、現政権がもっとも力を入れる路線の建設を、地元最大の財閥であるCPグループを核とした企業連合がてがける方向で進んでいることは想定通りの展開とも言える。 だが、途中、ひと波乱あった。 日本政府が、日中両国の企業が協力してタイで高速鉄道の建設に取り組む案に熱をあげたのだ。世界各地で受注に火花を散らしてきた日中の協力は、外交関係の改善の象徴になると考えたからだ。中国政府も、のった。米国のトランプ政権との衝突が強まるなかで、隣国日本との関係強化を示すには好都合な案件だった。 タイ政府も最終的には歓迎した。タイのお家芸は、安全保障を含めて競い合う日中を両てんびんにかけて、自国の利益を最大化しながら八方美人的にバランスをとること。地図にもあるバンコクから北へ向かう高速鉄道の場合、東は中国、西は日本へ委ねてバランスをとった。今回の路線も、本音では日中が張りあって良い条件を出してくることを期待していたかもしれない。だが、80年代から浮いては消えてきた大事業だ。日中そろえば、事業の具体化をより裏打ちできると踏んだ。 日本政府は、安倍晋三首相の10月の訪中時にあわせて「第三国での日中協力」の目玉として合意を発表できるように、日本企業の背中をおしていた。6月の時点では伊藤忠商事や日立製作所、フジタなどが入札に参加する条件となる資料を購入した。とりわけ、伊藤忠商事はCPグループ、中国国有の巨大企業集団である中国中信集団(CITIC)と提携関係にあるだけに、この案件にも参加が期待されていた。だが、日本勢は結局、動かなかった。 なぜか。 タイ政府は財政負担を嫌い、土地の収用や既存の鉄道施設の修繕にかかる費用以外は、補助しないと譲らなかった。一等地の駅前開発を抱き合わせるのだから、民間でうまくやってくれ、という理屈だ。巨額の投資が必要となる公共事業にもかかわらず、タイ政府が利益の保証をしないため、日本企業は消極的な姿勢を変えなかった。 「大赤字になりうるリスクを抱える路線に、政治の要請とはいえ、民間企業がのれるわけがない。誰も手をあげないと思う」。日本の大手商社の幹部は早くから断言していた。「新幹線」の輸出に必要なJR各社は当初から関心を示さなかった。インドで受注した高速鉄道の建設で手いっぱいでもある。日立製作所はイタリアの子会社で製造した車両の販売には関心を示しても、事業のリスクを背負う出資者になるつもりはなかった。 あちこちで頓挫している原発輸出と同様に、政治と経済の現実にはしばしば乖離(かいり)が生じるものだ。日本の民間企業は、国家との関係も利益構造も中国の国有企業とは異なる。当然の選択といえよう。 政熱経冷―。日中協力は幻に終わった』、鉄道だけでは採算が取れないので、駅前開発を抱き合わせるというのでは、日本企業が乗れないのは当然だろう。安倍政権も肝心の日本企業がついてこないとは、とんだ恥をさらしたものだ。
・『バンコクでは高速鉄道だけではなく、レッドラインと呼ばれる高架鉄道をはじめ、数々の新線が計画されている。中央駅の役割を担っているフアランポーン駅は老朽化しているうえ、都心にあるため、対応ができないという。そこで、バンスー駅のそばに、新しい巨大な駅舎を建設している。 東南アジア最大の駅舎とうたわれる新駅は、レッドラインの開業にあわせて2020年にもオープンする予定だ。巨大なアーチ状の屋根が特徴で、24のホームが設けられる。 フアランポーン駅は基本的に、旅客の輸送の拠点としての使命を終えるが、駅舎を保存して博物館にする計画が公表されている。ただ、ホテルやショッピングモールなど商業施設も併設する構想が語られており、具体的な内容は固まっていないようだ。 現在の駅にも小さい「鉄道博物館」がある。古い切符やプレート、信号やタイプライターなどを展示している。ただ、お土産品や関係ない置物といっしょくたにして並べてあり、日本人が思い浮かべる「鉄博」には遠い。車両の展示ができるスペースもない。 博物館構想にかかわるタイ国鉄のシリッポン・プルチパンさんは「議論の途中ではあるが、伝統のある建物を保存し、うまく活用したい」と話す。かつてバンコクには、民間の鉄道ファンがつくった鉄道博物館が中心部の公園にあったが、訪れる客が減って12年末に閉館してしまったそうだ。 興味深い話をきいた。駐タイ台北経済文化事務所が6月、台湾で鉄道文化の保存に携わる専門家をバンコクに呼んでセミナーを開くなど、協力する意向を示しているそうだ。日本も、「文化的な側面から、機会があればかかわっていきたい」と国際交流基金バンコク日本文化センター所長の吉岡憲彦さんは話す。 フアランポーン駅は通称で、正式にはクルンテープ駅、あるいはバンコク駅と言う。タイ語で「天使の都」を意味するクルンテープは、まさに「バンコク」のことだ。列車が去ったあと、タイ鉄道の歴史をとどめる博物館が生まれることを願っている』、安倍政権の掲げる「インフラ輸出」は、英国の鉄道を除き難航気味だ。原発輸出も難航しており、経産省が描いたシナリオは馬脚を現しつつある。
タグ:インフラ輸出 (その8)(鹿島に1000億円請求  アルジェリア高速道めぐるJV内バトルの裏側、JR東日本 英国で鉄道運行「1年間の通信簿」 日本が誇る「鉄道力」はどこまで浸透したのか、幻に終わった「日中鉄道協力」 タイ高速鉄道計画に日本企業がそっぽを向いた理由) ダイヤモンド・オンライン 「鹿島に1000億円請求、アルジェリア高速道めぐるJV内バトルの裏側」 鹿島を代表とする共同企業体(JV)が2006年に受注した総工費5400億円のアルジェリア高速道路工事 JVに参加した大成建設など3社が鹿島に賠償金約1000億円を請求。JV内バトルが始まった 代金の未払いをめぐって同国政府と対立し、16年に和解、決着したかに見えた 東工区(約400キロメートル)を総工費5400億円で受注した。その規模は日系ゼネコンの受注としては過去最大級の海外案件 治安の悪化や、資材調達の遅滞に加え、トンネル崩落事故も発生。設計変更に伴う追加工事代金の回収もできないまま、約8割まで完成した状態で工事がストップ フランスの国際仲裁裁判所に仲裁の申し立て 和解契約を結び、未払い金の一部を受け取るとともに残り約2割の工事は解約することで合意 代償に約800億円もの損失 17年度までに損失の会計処理を完了 アルジェリアの案件はその実、鹿島の現場だった。大成建設など3社は社員を貸し出す立場だった 申し立て側はスポンサーに出資比率以上の損害負担を求めた 第2ラウンドは、JV内の対立 JV内バトルは株主へのポーズとの見立てあり 東洋経済オンライン 「JR東日本、英国で鉄道運行「1年間の通信簿」 日本が誇る「鉄道力」はどこまで浸透したのか」 JR東日本(東日本旅客鉄道)は三井物産、オランダ国鉄系の鉄道会社アベリオと共同で英国の鉄道運行事業に参入 1つの路線で複数の鉄道会社が運行 運行権は期限付きであり、期限が到来すれば改めて入札で運行会社を募る 2つの路線の総延長は約900kmに及び、2016年度に3.38億ポンド(約480億円)の運賃収入 出資比率はアベリオ70%、JR東日本と三井物産が各15% 運行ノウハウの活用 日本流は導入されたのか なぜ日本流にすべきなのか、現場で丁寧に説明して、根本思想から理解してもらう必要がある 日本の鉄道輸送システムの安全性と正確性 指差喚呼 目指すはJR東日本が主導する運行 Yahoo!ニュース The Asahi Shimbun Globe 「幻に終わった「日中鉄道協力」 タイ高速鉄道計画に日本企業がそっぽを向いた理由、現地で見えた」 タイの新たな高速鉄道計画 国際入札は、地元大手財閥と中国国有企業を中心とした企業連合の落札が濃厚 日本政府は中国との外交関係の改善の象徴として、日中両国の企業が協力して参画する案にこだわっていたが、幻に終わった 高速鉄道始動 一日一往復から乗客激増を期待 地元の最大財閥チャロン・ポカパン(CP)グループ 中国鉄建(CRCC)が出資する企業連合が優先交渉権を獲得 列車よりバス、飛行機のお国柄 「政熱経冷」政治と現実の距離 日本政府が、日中両国の企業が協力してタイで高速鉄道の建設に取り組む案に熱をあげた 中国政府も、のった 巨額の投資が必要となる公共事業にもかかわらず、タイ政府が利益の保証をしないため、日本企業は消極的な姿勢を変えなかった 一等地の駅前開発を抱き合わせるのだから、民間でうまくやってくれ 安倍政権の掲げる「インフラ輸出」 難航気味
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インフラ輸出(その7)(ジャカルタ都市鉄道計画「寒すぎる」内部事情 日本側コンサルの調整機能に問題はないのか、ついに着工「インドネシア高速鉄道」最新事情 沿線に立ち並ぶ中国語の旗、日立「鉄道快進撃」がイギリスで直面した難敵 電化の遅れ、運行会社撤退、旧式信号…) [インフラ輸出]

インフラ輸出については、2月13日に取上げた。今日は、(その7)(ジャカルタ都市鉄道計画「寒すぎる」内部事情 日本側コンサルの調整機能に問題はないのか、ついに着工「インドネシア高速鉄道」最新事情 沿線に立ち並ぶ中国語の旗、日立「鉄道快進撃」がイギリスで直面した難敵 電化の遅れ、運行会社撤退、旧式信号…)である。

先ずは、アジアン鉄道ライターの高木 聡氏が6月3日付け東洋経済オンラインに寄稿した「ジャカルタ都市鉄道計画「寒すぎる」内部事情 日本側コンサルの調整機能に問題はないのか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/222698
・『ジャカルタ地下鉄公社(MRTJ)南北線は、インドネシア初の地下鉄・都市高速鉄道(MRT)として開業予定の路線である。日本車輌製造・豊川工場を出発した車両の第1号が4月4日、ジャカルタ州にあるタンジュンプリオク港に到着した。その後到着した車両12両は、12日早朝までにルバックブルス車両基地へ陸送され、同日朝にはアニス・バスウェダン、ジャカルタ州知事の立ち合いのもと、公式報道公開が実施された。 かつて日本滞在経験のあるアニス知事は式典で、「高い日本の技術が活用された新しい公共交通機関というだけではなく、新たな市民文化を根付かせるものになってもらいたい」と、MRTJ南北線の開業に向けた思いを述べた。土木工事から車両調達、電気、信号、運行管理、そして開業後のメンテナンス支援までを包括したパッケージ型インフラ輸出として初の鉄道がいよいよ来年開業する』、初のパッケージ型インフラ輸出とは意義深い。
・『意外に冷めている現地の人々の反応  だが、現地の人々の反応は、意外に冷めている。というのも、MRTという名前ばかりが先行し、はたしてMRTとは何なのか、生活がどのように変わるのかというのがイメージできていないからである。 すでに既存の国鉄線を活用した通勤鉄道(KCI)はあるものの、各駅におけるほかの公共交通機関、また近隣施設との結節力は極めて低く、日本でいうところの都市鉄道とは似て非なるものであり、街づくりと一体化した鉄道整備という認識は皆無である。加えて、工事期間中は主要道路の渋滞を助長させており、それによるマイナスイメージも大きい。 地下区間、高架区間ともに線路敷設工事はほぼ完了した。残る工事は高架駅部分などに限られており、こうなってくると車両は到着したのに、まだ開業しないのかというクレームすら出てくるのである。 MRTJの後を追うように、4月14日には「LRTジャカルタ」向けに、現代ロテムと宇進産電という韓国の車両メーカー2社が製造する車両の第1号もジャカルタ入りしている。 LRTジャカルタは東ジャカルタの繁華街クラパガディン地区と今年8月18日開催のアジア競技大会に向けに建設が進む自転車競技場が隣接するフェロドローム間5.8kmを結ぶ高架式軽量軌道線である。 ジャカルタ州内におけるLRT建設計画は、議会で反対論も根強かったが、第18回アジア競技大会のインドネシア開催が決定されたことを受け、アホック前ジャカルタ州知事(初の華人首長、その後のコーラン侮辱発言により失脚)任期中の2015年に着工が決定し、今年8月13日の開業を目指している。 全額がジャカルタ特別州予算によって賄われ、州営、国営の建設会社によって土木工事が行われているものの、イギリス系コンサルタントおよび韓国鉄道建設会社が、設計や運行管理支援を行っており、事実上韓国主導のプロジェクトと言える。わずか半年ほどで事業化調査と予備調査を終え、2016年6月に建設着工にこぎ着けた。 区間が5.8kmと短いとはいえ、アジア競技大会開幕に間に合わせるには、かなり無理のあるスケジュールである。車両については現代ロテムが受注からわずか1年3カ月で納入したことから、当局は短期間での調達をアピール材料にしているが、実は同じく今年度開業予定とされる韓国金浦空港と市内を結ぶ軽量鉄道とほぼ同設計の車両を納品したにすぎない』、韓国は単距離とはいえLRTジャカルタだけでなく、既に空港と市内を結ぶ軽量鉄道も受注していたようだ。それぞれの工事費総額が記事にないのは残念だ。
・『本当に8月に開業するのか  5月下旬現在、車両は導入予定8編成のうち、1編成だけ到着したものの、肝心の車庫がない。州営住宅と一体に整備している都合上、完工していないのだ。車両はクラパガディン駅近くの高架線にポツンと留置されている。集電システムは第三軌条式であるため、架線は設置されないのだが、まだ通電しておらず、試験走行開始は6月下旬と言われている。 それでも各駅部は目下工事中であり、来年開業のMRTJの駅と比べても、それと同等か、それより遅れているという印象で、本当に8月に開業するのかと疑わしくなってくる。 とはいえ、現政権が掲げる目玉政策であったジャカルタ―バンドン間高速鉄道の2019年開業は不可能とする政府の公式見解が発表された今、来年の大統領選挙を控えるジョコウィ大統領にとってアジア大会の成功は喫緊の課題である。現在の世論調査では、ジョコウィ大統領の再選がほぼ確定と見られているが、隣国マレーシアでは、先日の総選挙で大方の予想を反し、政権交代が実現、ナジブ首相は退陣に追い込まれた。 同じく華人経済圏で起きたこの政権交代劇は、インドネシアにとっても決して対岸の火事ではない。国民はおおよそにして口にしないが、中国資本、そして中国人労働者の大流入に対する不満は積もりつつある。 ちなみに、ジャカルタとアジア競技大会の共同開催都市であるパレンバンにおいても、空港と市内を経由して競技場を結ぶLRTが大会までの開業を目指している。こちらは国家予算で賄われ、運営は国営企業の1つであるインドネシア鉄道(KAI)が行う。 高速道路、港湾施設、空港などのインフラ整備も道半ばである中で、国民の注目を一身に集めるアジア競技大会と国内初のLRT開業は、4年目に突入したにもかかわらず目立った施策を打ち出せていないでいるジョコウィ政権にとって、現政権の功績をアピールする最後で最大のチャンスであるのだ』、アジア大会を無事終了したということは、LRTジャカルタの完成も間に合ったのだろう。それにしても、ジョコウィ政権がこうした鉄道建設しかアピールする功績がないというのも寂しい限りだ。
・『8月13日に電車は走るが、本開業ではない  では、LRTジャカルタは本当に開業できるのか、関係者に話を聞いてみたところ、予想どおりの答えが返ってきた。2017年12月16日付記事「信号未完成「空港線」はぶっつけ本番で走った」と同様に、8月13日に電車は走るが、本開業ではないということだ。 他線区と接続しない完全独立路線でかつ短距離であり、複線の線路上に1編成ずつ(車両2本を併結し、1編成4両になる模様)車両を置き、単線並列として往復させるという非常に原始的なシステムであり、安全性は保障されている。 実は同様の扱いをジャカルタ、スカルノハッタ国際空港内のターミナル間APM(全自動無人運転車両システム)でも行っており、これも韓国の宇進産電が車両やシステムを収めたが、整備が追いついておらず、無人と称しながら単線並列の有人運転を行い、保安装置もないため、時速30km以下での走行を余儀なくされている。 ただ、このLRTジャカルタを笑い飛ばすのは時期尚早である。ひるがえって、オールジャパンの総力を結集したとされるMRTJの現状を見るに、それはひとごとではないのではないかとさえ感じる。MRTJの車両は車庫にこそ留置されているが、4月に到着した車両はこの2カ月間、まったく動いていない。LRTジャカルタと同じく架線への通電が始まっていないためだ。しかも、到着した2編成分のみ車庫は完成しているが、ほかのスペースはまだ工事中だ。 荷重測定も車両限界測定も行っていないにもかかわらず、LRTジャカルタがいきなり高架上に車両を載線したということ自体が問題だ。では、MRTJはというと、報道公開時の社長スピーチなどから推測するに、こちらも6月下旬、レバラン休暇明けごろから、いよいよ走行試験が始まるものと思われる。だが、現時点においてMRTJ線路上に軌道検測車両を走らせたという報道もない。どうやって走行試験を開始するつもりなのだろうか。 そして今度は、走行試験を開始すれば、8月までには客を乗せられるなんていう声も出るのであろう。日本の面目を保つために、もしそんな声が日本側から出たとしたら、あまりにも恥ずかしいことだ。 政治的感情はこの際捨て去るべきだ。線路と電気、そしてATO(自動列車運転装置)のシステムを入れれば、自動で電車は動くと考えている人がいるようだが、そんな甘いものではない。日本における東京メトロ副都心線開業時の混乱ぶりを見れば、いかにATOの調整が大変かということがわかる。しかも、MRTJには地上区間、地下区間が存在するわけで、荒天時の設定は困難を極めるだろう。 そして、それが完了してからの習熟訓練が実際のダイヤを用いて実施される。車両が到着してから開業までに1年を要するのである。それだけではない。列車の運行管理やホームドアなどを含めた安全管理システムのような列車を動かすための仕組みに加え、券売機や自動改札機、情報案内装置といった乗客対応のために必要となる設備の準備など、これからやるべきことは山積している。そして、何一つとして設置後トラブルなく動く設備などない。そう見てくると、まだMRTJには1年あるというものの、それですらかなり無理のあるスケジュールと言わざるをえない』、プロジェクトのスケジュール管理などなきに等しいようだ。日本側も面目に囚われず、安全第一で臨んでほしいところだ。
・『必要な説明ができているのか  MRTJもLRTジャカルタも今後の延伸計画がある以上、工期の長さは争点となる。そうなったときに、日本側に、どうしてそのプロセスが必要で、それをすることで何が起こるのかという説明ができる人間がはたしているのだろうか。 各分野のプロフェッショナルがジャカルタに集結し、日々プロジェクトを推進しているということは紛れもない事実である。しかしながら、各業者間、そして日本・インドネシア間を調整する部分において、力量不足が露呈していないだろうか。JICAコンサルの能力の低さが、現場実務者へのシワ寄せとなり、工程遅れに至っているのではないか。 MRTJは日本の鉄道新線をそのまま輸出するという初の事例であるが、本来それを監督する鉄道会社が不在のままで、新線を建設したらどうなるか。新線建設の監督を行うのがMRTJ社であるが、KAIからの転籍者も少なく、鉄道運営に関するノウハウは極めて低い。 MRTJは州営会社であり、国営会社のKAIと協力関係をあえて築かなかったのだが、事ここに至っては協力関係もやむなしということなのか、5月に入り、突如MRTJ社はKAIとの人材育成に関する協力合意を結んだ。それだけではない。車両取り扱いに関する研修は基本的にマレーシアで実施されていたが、5月下旬になり、急遽日本で受け入れる事態になっている。 本来、もっと早い段階で、日本側が提案してしかるべき案件だが、誰もそんな発想を持ち得なかったようだ。もう一度、全体のスキームを総点検し、世界に比類のない日本標準のMRTを、ここジャカルタに送り出してもらいたいと願うばかりだ』、パッケージ型インフラ輸出ではJICAコンサルには、形式的なコンサルティングではなく、真に現地事情を踏まえた実効性あるコンサルティングを期待したいところだ。

次に、上記と同じ高木 聡氏が10月25日付け東洋経済オンラインに寄稿した「ついに着工「インドネシア高速鉄道」最新事情 沿線に立ち並ぶ中国語の旗、開業は2024年?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/244872
・『ジャカルタ―バンドン間高速鉄道、中国に発注――。日本とインドネシアの関係に激震をもたらした衝撃的な決定から、早くも3年が経過した。当初の開業予定年度である2019年までは長く見積もってもあと1年弱。しかし、これまで一向に工事の進捗は見られなかった。当初予定どおりの開業が不可能であることは、誰が見ても明らかである。 だが、これを中国に事業を託したインドネシアの手落ちと断じるのは時期尚早だ。2018年も半ばになり、ようやく本格的な着工の兆しが見えてきた。最近の政府高官発言では、2024年開業という新たなスケジュールが出るなど、目が離せない動きが増えている』、どういうことだろう。。
・『いよいよ建設が始まった  筆者は月に数回、平日朝に高速道路でジャカルタ東方のチカンペック方面からジャカルタに向かうが、その渋滞がここ数カ月、以前にも増して悪化しており、途中のカラワン料金所からまったく進まないことがある。高速鉄道の事業主体であるインドネシア中国高速鉄道(KCIC)の発表によると、東ジャカルタ(ポンドックグデ)―カラワン付近は、ほぼ高速道路脇の緩衝地帯に高架を建設するという。これは工事がいよいよ開始したのではないかと車窓に目をやると、これまで囲いだけがあった高速鉄道用地に一部重機などが搬入され、工事車両も出入りしていた。 そこで、2016年1月に起工式が開かれ、唯一進捗が見られていたワリニ駅付近を訪れた。国鉄(KAI)線の最寄り駅であるマスワティ駅からバイクタクシーで山道を駆け上がると、そこには第8国営農園会社の立て看板があり「農園会社保有地・高速鉄道ワリニ駅開発予定地」との文言がある。さらに進むと、高速鉄道会社が設置した同様の看板もあったほか、中国語による道路標識が目に留まった。 高速鉄道の建設現場はちょっとした盆地のようになっており、トンネルとトンネルの間に駅が建設されるようだ。この盆地に面した斜面は赤土がむき出しになっているか荒れ地になっており、農園会社の保有地が高速鉄道用地だけでなく、駅を中心とした一体開発に転用されることがうかがえた。 工事現場入り口にはKCICの展示ホールがあり、その裏手には作業員用宿舎が並ぶ。30人ほどの中国人が寝泊まりし、作業監督をしているとのことだ。現場の様子を見に来ていた地元住民グループに聞くと、工事はちょうど4カ月ほど前から始まったそうだ。作業員は地元在住の農業や自営業からの転職が多いようで、警備員によると約800人ほどのインドネシア人作業者が従事しているという。現在、トンネルは100mほど掘り進んでいる模様だ。 現場はいかにも僻地のようだが、意外にも交通アクセスは良い。高速道路も通っており、バスに乗ればジャカルタまでは3時間弱。高速鉄道開業後はわずか30分でジャカルタと結ばれる。世界有数の過密都市ジャカルタの住宅事情を考えれば、緑に囲まれたゆとりある生活空間と新幹線通勤は、意外と簡単に受け入れられるであろう。成功すれば、土地保有者である第8国営農園会社に落ちる利潤も計り知れない。 9月下旬にジャカルタで開催された「インドネシア交通エキスポ」でKCICブースの大半を占めていたのは、このワリニ駅周辺開発予想図のジオラマとその解説であった。担当者曰く、これが公になるのは今回が初という。一方で「ジャカルタ―バンドン35分」というこれまでの宣伝文句はどこか控えめだった。 担当者は公共交通指向型都市開発(TOD)の一環であると胸を張るが、近年インドネシアでもてはやされているTODという言葉自体が、高速鉄道プロジェクトと共に持ち込まれた単語であることを忘れてはならない。 日系コンサルが関わってきたジャカルタ首都圏の交通政策において、公共交通中心の街づくりは遅々として進まなかった。駅などの交通結節点の強化ばかりが謳われ、土地を媒介として利益を生み出す仕組みがあまり議論されてこなかったからではないだろうか。 ところが、近年一気に議論が進んだTODは、基本的に駅周辺のKAIが保有する遊休地に国営建設会社がモール併設のアパートを建設し、駅周辺で生活が完結するようにデザインされている。日本人が考える公共交通中心の街づくりとは異なるものだ。高速鉄道の場合も考え方は同じで、ワリニ駅周辺では国営企業が保有する用地を開発する。不動産デベロッパーも高速鉄道開業を見越した大規模開発をすでに始めており、大手財閥リッポーグループが手掛けるメイカルタもその1つだ。今さら高速鉄道事業が凍結されては困るというのが実情だろう』、日系コンサルは建築・土木系の技術者が中心だったためなのではなかろうか。「土地を媒介として利益を生み出す仕組み」を見落としていたとは技術者の限界だろう。
・『鉄道だけでは成り立たない実情  つまり、これは単純なジャカルタ―バンドン間の輸送需要だけでは、巨額の建設費を回収できないということを意味している。沿線に都市を開発し、さらにそこから生まれる通勤需要を生み出す、これが建前上は民間会社であるKCICの描く青写真である。 インドネシアの高速鉄道というと、日本では中国の案件横取りとインドネシアの不誠実な対応がやり玉に上がり、非難される節がある。だが、仮に日本が受注していたとしても、果たして円借款による建設で順調に進んだのかどうかの検証も必要であろう。オールジャパンによるインフラ輸出という旗印ばかりが先行し、民間企業との温度差を指摘する声もある。 仮に日本が受注していた場合でも、土地収用や収益性という面で、日本企業にとって茨の道となった可能性もあると関係者は語る。高速鉄道単体ではうまみがないにもかかわらず、鉄道一辺倒で売り込みを行った日本側にも落ち度はあるのだ。事業化ありきで実現可能性調査を進めると、このような不幸も起こりえるということは認識しておくべきだ』、日本側は安倍政権に尻を叩かれて、「高速鉄道単体ではうまみがないにもかかわらず、鉄道一辺倒で売り込みを行った」というのは情けない話だ。現地の実情に通じた人間はいなかったのだろうか。
・『では、このタイミングでの着工、そして2024年開業予定というスケジュールは何を意味するのか。まずは着工に至るまでの紆余曲折の流れを振り返ってみよう。 高速鉄道計画はユドヨノ前大統領の政権下から、日本の手により事業化調査が進められ土地てきた。ところが、2014年7月の大統領選挙で、ジョコ・ウィドド(ジョコウィ)氏が当選したことで事態は一転。ジャワ島外のインフラ開発重視を掲げるジョコウィ大統領は就任後、もはや着工直前と見られていた高速鉄道計画を凍結した。 同氏はかつてジャカルタ州知事就任時にも、日本の円借款により進められていたジャカルタMRT南北線事業をいったん棚上げにしている。このため、高速鉄道計画の凍結も一種の政策パフォーマンスかのように見えたが、現実には違った。その裏で中国と高速鉄道建設に関わる覚書を結んでいたのだ。2015年3月のことである。この時点で日本は梯子を外されていたわけだ。ただ、そのまま中国と契約を結ぶわけにはいかず、国際入札という形で日本と中国の一騎打ちとなった。 だが、その先も不可解な動きが多々あった。入札結果の公示は延期が続き、遅くとも8月17日の独立記念日(折しも独立70周年であった)には発表かと思われたが、それにも間に合わなかった。そして最後に導き出された答えは、事業計画の白紙撤回であった。 実はこの直前にゴーベル商業相(現・日本担当特命大使、日本インドネシア友好協会理事長)が来日し、日本の新幹線導入に向け関係各所を訪問していたが、帰国後に大臣から外されている』、大臣から外されたのが帰国後、どれだけ日数があったのかは不明だが、こうした事情を掴んでいなかった日本政府の対応はお粗末だ。インドネシアであれば、日本政府がコントロールできると驕っていたのであれば、問題だ。
・『白紙撤回が一転、中国受注  もともとの事業計画から見ると、入札額は日本のほうがわずかに下回っていたと思われる。一方の中国案は工期の短さと費用負担の面で有利であった。あくまで筆者の推測に過ぎないが、インドネシア側は金額・工期・費用負担等すべてにおいて中国案が優位になると踏んでいたものの、日本側もわずかに優位な条件を出してきたことから政府内で答えが導き出せず、妥協案としての白紙撤回に至ったのではないだろうか。 結局、インドネシア側はお茶を濁すかの如く、規格を「中速鉄道」に切り替えた。だが、高速鉄道の白紙撤回からわずか1カ月、リニ国営企業相の訪中を経て9月末には中国による受注が確定した。中国企業とインドネシア企業の合弁で設立された会社はKereta Cepat Indonesia China(KCIC)、すなわち「インドネシア中国高速鉄道」。中速鉄道ではなく、最高時速350kmでジャカルタ―バンドンを結ぶ、れっきとした高速鉄道が建設されることになった。 だが、起工式のあとも順風満帆ではなかった。提出書類の不備などを理由にジョーナン運輸相(当時)が建設許可を与えなかったからである。だが、ジョーナン氏はその後2016年7月末の内閣改造で政府を去ることとなり、事実上の更迭となった。 同氏は先述のゴーベル氏と共に親日派で知られる人物で、中国による高速鉄道を推進するリニ国営企業相との確執が要因といわれる。この際、兄弟に元日本留学生がおり、日本に縁の深いアニス教育文化相(現ジャカルタ州知事)も閣僚から外されている。そして2016年8月、建設許可が後継の運輸相から交付された。つまり、インドネシア政府内においても、日本案・中国案に揺れ動いていたことがうかがえる。 この背景には、インドネシア初となる、軍人でも世襲でもない「平民宰相」のジョコウィ大統領が内閣をコントロールできていない状況があると政府に近い関係者は言う。つまり、一部閣僚の私利私欲と権力争いの中で、中国案が採用された可能性が極めて高いのだ。それゆえ内閣改造を行ったとしても、高速鉄道推進派と懐疑派の攻防は続くことになった。今年の初めには、ジャカルタ―バンドン間の建設では十分な需要が見込めないとして、設計そのものの見直しすら迫られる事態となった。 もっとも、仮に順調に着工に漕ぎつけたとしても、2019年開業は間に合わないという見方が、当初から多数を占めている』、どうもインドネシア政府は、「一部閣僚の私利私欲と権力争いの中で」、ジョコウィ大統領のリーダシップには余り期待できないようだ。
・『大統領任期中の開業目指す  なぜ中国はあえて2019年開業を推し続けたのか。それは、ジョコウィ大統領の2期目がかかる政治的理由に因むものである。任期満了に伴う次の大統領選挙は2019年4月。インドネシア国民特有の大統領信仰のもと、大統領は英雄であり続けなければならない。しかし、ジョコウィ氏は盤石な政治基盤も手腕も持たない。だからこそ、インフラ開発などの目に見える成果にすがる傾向がある。これが2019年開業を打ち出した理由なのだ。 では、どうしてこのタイミングでの着工なのか。まず1つは時間的問題だ。インドネシアの大統領任期は5年。今着工して順調に工事が進めば、ジョコウィ大統領の2期目在任中に開業が可能だ。逆に、次の任期中に開業できなければ史上最低の大統領のレッテルを貼られる可能性がある。待ったなしの時期なのである。次いで、物理的な問題が解決したことだ。これは今夏にインドネシアで開催されたアジア大会に向けての道路・鉄道建設ラッシュが一段落し、技術者や現場作業者が確保できた点である。 中国からの資金調達はどうか。これまでは土地収用の遅れを理由として融資が滞る場面もあったが、難航していたジャカルタ側始発駅周辺の空軍用地がこの7月に高速鉄道会社側に引き渡された。残る未取得用地は主にバンドン近郊区間だが、インドネシア交通エキスポのKCICブース担当者は、今年中の用地取得完了を目指し、年末までに約11億ドル相当の融資を受けると語った。その後も進捗状況に応じて融資は実施されるため、土地と資金に関する問題は解決しているという。 中国の掲げる「一帯一路」政策において、高速鉄道輸出は必ずしも目論見どおりに進んでいないのが実情だ。そんな中、ジャカルタ―バンドン間が開業すれば東南アジア初の高速鉄道となり、中国にとって対外的なアピールにもつながるわけで、今さらインドネシア側の不備を理由に融資を中止にするとは考えづらい。 注目すべきは来年の大統領選挙の行方である。ジョコウィ氏の対抗馬となる野党のプラボウォ氏は、特に中国からの投資額急増を政権批判の材料にしており、国が外国に乗っ取られるとイスラム保守派層に訴える。無神論を基本とする中国共産党と、唯一神への信仰を国家原則とするインドネシアは、本来相容れない存在である。もし次の選挙で政権交代が実現した場合、高速鉄道事業が再び白紙撤回になる可能性も大いにある。 ただ、そうなったとしても、日本に分が回ってくるという意味ではないということは付け加えておく。外国排除の風潮の中では、日本も中国も同じ立場だ。そして、高速鉄道プロジェクトには超低金利の借款ですら受け入れないという姿勢に変わりはない。官民パートナーシップの名のもとに表向きは国費を投入しないのだ。「表向き」というのは、KCICに出資するコンソーシアムに含まれるインドネシア企業はいずれも国営企業省の管轄下にあり、万一の場合は間接的に国費を投入できるという意味合いである。 もっとも、在来線でも3時間、高速化を図れば2時間半程度で結べると思われるジャカルタ―バンドン間に、新たに巨費を投じて高速鉄道を建設するのはあまりにも不経済であり、国費を投じるくらいなら凍結する公算が高い。逆に言えば、政府保証なしという条件を突きつけ、とりあえず中国にやらせてみるという手法は、ある意味で理にかなっていた』、「在来線でも3時間、高速化を図れば」30分短縮というのでは、余り意味はなさそうだ。「とりあえず中国にやらせてみる」、日本側はそれを見守ればいいのだろう。
・『非難だけでは何も変わらない  インドネシア政府が急転直下、かつ正当なプロセスを踏まずに中国案を採用したのは不誠実の極みであり、糾弾されるべきものである。だが、非難だけして目を背けていては、それこそ中国の思うつぼだ。 インドネシアに初めて来る出張者が空港に着いてまず驚くのは、道路を埋め尽くす圧倒的多数の日本車である。数十万カ所にも及ぶモスク(イスラム祈祷所)のスピーカーや各家庭の給水ポンプも大半が日本製品であり、日本ブランドの浸透度は世界有数である。それは、戦後いち早くインドネシアを戦略的パートナーとして認め、技術移転、現地生産を進めた先人たちの先見の明によるもので、世界でも稀に見る良好な関係を築いてきたと言われる。 高速鉄道事業が両国関係に暗い影を落としたのは事実であるが、このような事案はどこにでも起こりえるものであり、これを教訓として、来たるプロジェクトに備えなければならない。高速鉄道計画で両国政府が対等な関係に立てていなかったのは事実である。相手国を見下すような言動は言語道断だ。そして、身の丈に合ったプロジェクトを策定できなかった点については反省しなければならないであろう。 今年は日本とインドネシアの国交樹立60周年という記念すべき年である。もう一度両国関係を振り返り、現代的な国際協力のあるべき姿に思いを巡らせれば、意外なヒントが見つかるかもしれない』、その通りなのだろう。

第三に、在英ジャーナリストのさかい もとみ氏が9月20日付け東洋経済オンラインに寄稿した「日立「鉄道快進撃」がイギリスで直面した難敵 電化の遅れ、運行会社撤退、旧式信号…」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/238255
・『英国の鉄道界はこの数年、新たな転機というべきトピックが目白押しだ。政府主導で旧型の優等列車を日立製新型車両へ置き換えるプロジェクトが進んでいるのをはじめ、ロンドン周辺の通勤ルートなど大都市近郊で積極的に車両更新が進んだことで、鉄道がより快適な乗り物として再認識されるようになってきた。 「英国鉄道界の大変革」を語るうえで、都市交通部門のトップに掲げるべきトピックはやはりロンドン横断鉄道「クロスレール(エリザベス線)」の開業だろう。市内中心部を東西に走り、地下鉄利用ではアクセスに時間がかかるヒースロー空港へも直結。全長118㎞からなる新たなロンドンの大動脈の建設は「欧州最大のエンジニアリングプロジェクト」と関係者が胸を張る世紀の大事業だ。 だが、もともとは今年末に営業運転開始の予定だったものの、「安全性確保のために最終確認作業にまだ時間が必要」として、開業は少なくとも来年秋まで延期となった。人々の大きな期待を浴びていただけに延期の決定は残念だ』、全長118㎞とは「欧州最大のエンジニアリングプロジェクト」と呼ばれるのもうなずける。
・『開業や車両更新の延期が次々と  クロスレールのように大規模かつ新しい鉄道路線の開業スケジュールはもとより、従来からの路線での車両更新もさまざまな事情で遅延が起こる。 英国は鉄道発祥の国だ。初の鉄道が開業してから、かれこれ200年近くが経つ。「21世紀に入ってだいぶ経つのだから、鉄道インフラはきっと近代化されているはずだ」と思うのは大間違いで、実際にはいまだ大英帝国華やかなりし頃のインフラを基礎に使っている駅や線路がそこかしこにあるのだ。インフラがあまりに古く、新型車両のテストを始めてみると想定外のトラブルが続出、導入がどんどん遅れることも決して珍しくない。 すでに日本へもさまざまな形で伝えられているように、英国では日立製の車両があちこちで走り出している。日本国内では新幹線車両をはじめとする各種の車両を送り出している日立だが、こと英国で走らせようとすると「信頼性の高いニッポンの電車」でも全く予想外のトラブルに見舞われるから驚きだ。 日立の英国での動きについて、ここ数年の状況を改めて整理してみよう。 英国政府は、主要幹線鉄道を走る老朽化の著しい優等列車用車両の更新について、都市間高速鉄道計画(インターシティ・エクスプレス・プログラム=IEP)の名の下で計画を推し進めてきた。 日立は2012年7月、英運輸省からIEP向け車両を受注した。同社製の高速列車は日本で製造した「クラス395」がロンドンとイングランド南東部を結ぶ高速鉄道「ハイスピード1(HS1)」で導入されているが、「雪にも強く信頼性が高い」との同形式の評判がIEP向け車両受注の決め手のひとつになったことは疑いないだろう。2017年秋には、受注した122編成(計866両)のうち、グレート・ウェスタン鉄道(GWR)向けの「クラス800」が走り出した。 この新型車両にはパンタグラフが付いており、見た目は「電車」だが、ディーゼルエンジンで発電することで非電化区間も走行できる「バイモード」となっている。バイモード車両は、IEPが英国の鉄道界にもたらした「大きな技術的革新」と言っても過言ではない。電化路線の先にある非電化区間にもそのまま乗り入れられるのが特徴で、エリザベス女王2世が2017年6月、「同車両初の乗客」として試乗した際もその新しいテクノロジーに大いに興味を持ったという・・・バイモード車両は、線路沿いに架線を立てるといった環境負荷への改善が見込まれるのが大きなアドバンテージだ。導入にメドがついたことで、景観保護が優先される観光ルートなどでは電化工事そのものを見送ったところさえもある』、「インフラがあまりに古く、新型車両のテストを始めてみると想定外のトラブルが続出」、というのはさもありなんだ。こうしたことで揉まれるのも日立にはいい経験だろう。
・『スコットランド向け車両は難産に  前述のGWR向け「クラス800」は、投入時の初列車が思わぬトラブルに見舞われた・・・が、納入時期そのものは当初予定どおり実現できたほか、その後も量産車両が次々と投入され、大きなトラブルも起こっていない。 一方、スコットランドの2大都市であるエディンバラとグラスゴーを結ぶ新型近郊電車のお目見えは難産となった。 日立は2015年、同地方の列車を運行するスコットレール向けに「クラス385(AT-200)」70編成(計234両)と10年間の車両メンテナンス事業を受注した。当初は2017年中の運転開始を目指したが、実際に営業運転にこぎつけられたのは今年の7月となってしまった。 日立レールヨーロッパのカレン・ボズウェル社長はお披露目運転の直後の会見で「車両納入までの道のりはとても複雑で、かつさまざまな困難を伴うものだった」と述懐したように、想像以上の問題があれこれと発生した。 最も大きな問題は、この新型電車が走る区間はもともと非電化で、その工事が遅れたことが挙げられる。鉄道の線路や信号システムなどインフラを管理するネットワーク・レール・スコットランドが同区間の電化を受け持ったが、「電化工事の完了がずいぶん遅れたため、電車を本線上で試運転したくてもできなかった(日立の関係者)」という。 「クラス385」はチェコ共和国のヴェリム試験センターにある13㎞あまりのテストサーキットで十分な走り込みを行ってきたものの、電化がようやく完了したスコットランドの線路で実際に走らせてみるとさらなる問題が発見された。試運転を担当した運転士たちが、運転席の曲面ガラスを通して見る信号機の光が「二重に映る」と訴えたのだ。 これが判明したのは営業運転が始まるわずか半年前の今年1月のことで、その後急いで曲面ガラスの取り替えに着手する事態となった。困ったことに、日立製車両の営業運転開始の遅れは政治問題化する動きにまで発展。地元メディアは「スコットランド自治政府の閣僚らが、遅れについて日立の責任を問うべきだ、という声を上げている」とさえ報じた』、こうしたプロジェクトでは遅れはつきものだが、個々の要因別にどちらの責任なのかをその都度、明確にしておく必要もありそうだ。
・『「あずま」は無事走り出せるか?  日立のIEP向け車両「クラス800」は、今年中には東海岸本線(イースト・コースト線)にも投入される予定だ。新型車両の愛称は東海岸の「東」を取って「あずま」と定められた。 命名された時には列車運行オペレーターがヴァージン・トレインズ・イースト・コースト(VTEC)だったこともあり、ヴァージングループの総帥として知られるリチャード・ブランソン氏自身がお披露目式に現れるという力の入れようだったが、同社はその後資金繰りが厳しくなり、今年6月からイースト・コースト線の優等列車は政府が運営するロンドン・ノース・イースタン鉄道(LNER)が運行を引き継いでいる。 ただ、LNERは「あずま」の車両も愛称も引き継ぐことを決めており、幸いにも宙に浮くことはなさそうだ。 だが、これでやれやれと思ってはいけない。「あずま」の車両を本線上で試運転したところ、設置後30年にもなる旧式信号機やポイントへの電磁干渉が判明。このままでは「電化区間でもディーゼルモードで走らすしかない」(BBC報道)とも伝えられており、別の意味でバイモード車両の利点が生きるのではないかという異常な見方まで語られている。筆者が調べたところ、本稿の執筆時点でこの問題は解決していないもようだ』、「旧式信号機やポイントへの電磁干渉」とは思いがけない問題も起こるものだ。
・『次の焦点は「HS2」車両  今後の英国鉄道界で最も大きなトピックといえば、やはり高速鉄道「ハイスピード2(HS2)」の建設着手だろう。英国は鉄道発祥の地とはいえ、高速鉄道についてはフランス、ドイツはもとよりイタリアやスペインよりも整備が遅れている。目下のところ、ロンドン・セントパンクラス駅と英仏海峡(ドーバー海峡)をくぐる「ユーロトンネル」の入り口を結ぶ全長109㎞の「HS1」があるにとどまる。 HS2は1期工事でロンドン・ユーストン駅とイングランド中央部のバーミンガムの間2026年までに結ぶことを目指している。現在、英運輸省による車両発注先の選定手続きが進められており、正式入札を行った会社は、日立がボンバルディア(カナダ)と共同で名乗り出ているほか、独シーメンス、スペインCAF、同タルゴ、そして中国中車(CRRC)も手を挙げている。 入札仕様によると「概ね54編成、1編成の定員が1000人以上、最高時速は360㎞」などとなっており、契約額は27億5000万ポンド(およそ4000億円)に達する。日立がIEP車両で総額1兆円規模もの車両を受注したが、果たしてこの実績が評価される格好となるだろうか。 今まで述べたように、日立は英国で新たな市場開拓を確実な形で発展させてきている。残念なことに、今年6月にはロンドン地下鉄ピカデリー線向け新型冷房車両の入札では、同社がボンバルディアとコンソーシアムを組んで参加し、落札が期待大とされていたにもかかわらず、「工場を英国に建てる」と明言したシーメンスに取られる格好となってしまった。 しかし英国では引き続き、HS2はもとより在来線各線で新型車両への更新が進んでいる。日本の信頼度の高い近郊車両が英国でさらなる活用範囲を広げて行くのだろうか。今後の展開を期待したい』、「工場を英国に建てる」とのシーメンスのやり方は確かに強力だろう。頑張れ! 日立!
タグ:インフラ輸出 (その7)(ジャカルタ都市鉄道計画「寒すぎる」内部事情 日本側コンサルの調整機能に問題はないのか、ついに着工「インドネシア高速鉄道」最新事情 沿線に立ち並ぶ中国語の旗、日立「鉄道快進撃」がイギリスで直面した難敵 電化の遅れ、運行会社撤退、旧式信号…) 高木 聡 東洋経済オンライン 「ジャカルタ都市鉄道計画「寒すぎる」内部事情 日本側コンサルの調整機能に問題はないのか」 ジャカルタ地下鉄公社(MRTJ)南北線 インドネシア初の地下鉄・都市高速鉄道(MRT) 日本車輌製造 パッケージ型インフラ輸出として初の 意外に冷めている現地の人々の反応 工事期間中は主要道路の渋滞を助長させており、それによるマイナスイメージも大きい LRTジャカルタ 韓国の車両メーカー2社が製造する車両 5.8kmを結ぶ高架式軽量軌道線 今年度開業予定とされる韓国金浦空港と市内を結ぶ軽量鉄道とほぼ同設計の車両を納品 中国資本、そして中国人労働者の大流入に対する不満は積もりつつある 4年目に突入したにもかかわらず目立った施策を打ち出せていないでいるジョコウィ政権にとって、現政権の功績をアピールする最後で最大のチャンス 走行試験を開始すれば、8月までには客を乗せられるなんていう声も出るのであろう。日本の面目を保つために、もしそんな声が日本側から出たとしたら、あまりにも恥ずかしいことだ まだMRTJには1年あるというものの、それですらかなり無理のあるスケジュールと言わざるをえない JICAコンサルの能力の低さが、現場実務者へのシワ寄せとなり、工程遅れに至っているのではないか 「ついに着工「インドネシア高速鉄道」最新事情 沿線に立ち並ぶ中国語の旗、開業は2024年?」 ジャカルタ―バンドン間高速鉄道、中国に発注 工事はちょうど4カ月ほど前から始まったそうだ 成功すれば、土地保有者である第8国営農園会社に落ちる利潤も計り知れない 公共交通指向型都市開発(TOD) 日系コンサルが関わってきたジャカルタ首都圏の交通政策において、公共交通中心の街づくりは遅々として進まなかった 駅などの交通結節点の強化ばかりが謳われ、土地を媒介として利益を生み出す仕組みがあまり議論されてこなかったからではないだろうか 駅周辺のKAIが保有する遊休地に国営建設会社がモール併設のアパートを建設し、駅周辺で生活が完結するようにデザイン 土地を媒介として利益を生み出す仕組み 鉄道だけでは成り立たない実情 オールジャパンによるインフラ輸出という旗印ばかりが先行し、民間企業との温度差を指摘する声も 白紙撤回が一転、中国受注 インドネシア政府内においても、日本案・中国案に揺れ動いていたことがうかがえる 一部閣僚の私利私欲と権力争いの中で、中国案が採用された可能性が極めて高いのだ 大統領任期中の開業目指す 在来線でも3時間、高速化を図れば2時間半程度で結べると思われるジャカルタ―バンドン間に、新たに巨費を投じて高速鉄道を建設するのはあまりにも不経済 さかい もとみ 「日立「鉄道快進撃」がイギリスで直面した難敵 電化の遅れ、運行会社撤退、旧式信号…」 政府主導で旧型の優等列車を日立製新型車両へ置き換えるプロジェクトが進んでいるのをはじめ、ロンドン周辺の通勤ルートなど大都市近郊で積極的に車両更新が進んだことで、鉄道がより快適な乗り物として再認識 クロスレール(エリザベス線) 全長118㎞ 「欧州最大のエンジニアリングプロジェクト」 開業や車両更新の延期が次々と インフラがあまりに古く、新型車両のテストを始めてみると想定外のトラブルが続出、導入がどんどん遅れることも決して珍しくない ハイスピード1(HS1) インターシティ・エクスプレス・プログラム=IEP 見た目は「電車」だが、ディーゼルエンジンで発電することで非電化区間も走行できる「バイモード」 スコットランド向け車両は難産に エディンバラとグラスゴーを結ぶ新型近郊電車 電化工事の完了がずいぶん遅れた 電車を本線上で試運転したくてもできなかった 運転席の曲面ガラス 運転席の曲面ガラスを通して見る信号機の光が「二重に映る」と訴えた 「あずま」は無事走り出せるか? EP向け車両「クラス800」 「あずま」の車両を本線上で試運転したところ、設置後30年にもなる旧式信号機やポイントへの電磁干渉が判明 次の焦点は「HS2」車両 「工場を英国に建てる」と明言したシーメンスに取られる格好となってしまった
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インフラ輸出(その6)(JR東日本が英国で「遅延」を解消できない理由、日本がジャカルタに作った通勤新線の悲運、ありえない問題続く「サウジ砂漠鉄道」の悪夢、「マレーシア新幹線」日本の受注が難しい理由) [インフラ輸出]

インフラ輸出については、昨年12月19日に取上げた。今日は、(その6)(JR東日本が英国で「遅延」を解消できない理由、日本がジャカルタに作った通勤新線の悲運、ありえない問題続く「サウジ砂漠鉄道」の悪夢、「マレーシア新幹線」日本の受注が難しい理由)である。 先ずは、 欧州鉄道フォトライターの橋爪 智之氏が1月12日付け東洋経済オンラインに寄稿した「JR東日本が英国で「遅延」を解消できない理由 日本でのノウハウがすぐ生きるとは限らない」を紹介しよう(▽は小見出し)。 ・2017年8月17日付記事「JR東日本が英国で鉄道運行する『本当の狙い』」で既報の通り、JR東日本と三井物産の2社は、オランダ鉄道旅客輸送部門アベリオの英子会社、アベリオUKとともに英国ウェストミッドランド路線のフランチャイズ(営業権)を獲得、同年12月10日より列車の運行を開始した。 ・3社合弁による新生「ウェストミッドランズ・トレインズ」社は、同日よりバーミンガム周辺のローカル輸送を担う「ウェストミッドランド・レイルウェイ」と、ロンドンからリバプールの近郊輸送を担う「ロンドン・ノースウェスタン・レイルウェイ」の2つのブランドで列車の運行を行っている。 ▽日本の技術と経験は生かせるか ・運行開始を記念して、翌11日には英国中部の都市バーミンガムで記念式典も開催され、JR東日本の小縣方樹副会長らが出席、運行開始を祝った。JR東日本は、今後も海外展開を積極的に進めたいとしており、日本ならではの安全やサービス、定時性などをアピールしていくことを強調した。JR東日本の名前を広く知ってもらうことが同社にとっての最大の目的であるとしても、同社が持つ経験や技術が生かせる場面も多いだろうという期待の声も大きい。 ・とはいえ、JR東日本が参入したことで、英国の鉄道会社が即、日本のようにサービスや定時性、安全性に優れた鉄道システムに生まれ変わるかと言えば、それはちょっと違う。もちろん、日本の鉄道会社が持つ運行のノウハウには、他国でも活用できそうなものは多々あることだろう。だが、日本とは鉄道システムに大きな違いがある英国やその他の欧州諸国において、日本のノウハウをそのまま持ち込んですぐに活用するのは容易ではないし、そもそも求められている内容が異なる場合もある。 ・たとえば運行に関わる部分では、定時性を確保できる無理のないダイヤを組むことが重要だ。英国の場合、特に朝ラッシュ時はどの列車もあまり余裕時間を取っていないように見受けられる。時間に余裕のないダイヤは、ちょっとした遅延が引き金となって、どんどん遅延が拡大していく恐れがある。 ・ラッシュのピーク時に観察していると、ある一本の列車が遅延して駅での乗降に時間がかかると、その次に到着する列車が遅れ、さらにその次も……と連鎖反応のように遅延が拡大していく。これは日本の鉄道にも言えることではあるが、英国や欧州では日本のような競合他社による熾烈な争いがほとんどないため、少なくとも所要時間短縮のために時間を切り詰める必要性はほとんどない。 ・また、乗務員の健康管理や、十分な交代要員の確保なども重要となってくる。英国では運休や遅延の原因として、乗務員が少ない、あるいは乗務員がいないといった、日本ではにわかに信じがたい理由が説明されることがある。日本であれば、乗務員の当日の突然の体調不良や遅刻、寝坊に備え、代わりの乗務員が待機しているのが普通であるが、英国の場合はそれがないようで、もし乗務員が列車の発車時刻に間に合わなければ、列車は運休となるか、乗務員が駅に到着するまで待たなければならない。 ・以前、発車時刻になっても列車が発車せず不思議に思っていたら、しばらくしてから「運転士の到着が遅れており、現在、運転室へ向かっている」という車内放送があり、プラットホームを走っている運転士の姿を見かけたことがあった。もうこうなると笑い話で、慌てて走る運転士の姿を見た乗客からは失笑がもれた。待機要員にもコストは発生するので、そこへ十分な予算を取るべきかどうかの判断は難しい部分ではあるが、乗務員不在による遅延や運休が相次いではお話にならない。 ▽上下分離方式が生む問題 ・しかし一番の問題は、英国を含む欧州各国の鉄道が、列車運行とインフラ管理を別々とした上下分離方式となっている点にあると考えられる。日本のJRは、列車の運行からインフラ管理まで基本的にJR各社が一体で管理を行っているため、ダイヤ作成上支障があったり、遅延の温床となったりするような平面交差や信号システムは、基本的には各社が独自に改良を進めることが可能だ。 ・だが欧州の場合、もともとは旧国鉄の所有だったインフラを政府が保有し、列車運行は別の会社が行う例が多い。英国も例外ではなく、現在は100%政府出資のネットワーク・レイル社がインフラを管理しており、各鉄道会社はこの線路上で列車を運行し、そこで得た収入で線路使用料を支払っている。 つまり、鉄道会社が線路改良を望んでも、自社で行うような迅速な対応で線路や信号の改良が進められるわけではない。英国内の鉄道インフラは日々改良が加えられているものの、その優先順位は政府が決定することで、鉄道会社は既存のシステムの中で最善を尽くしていくしかない。 ・実際のところ鉄道インフラ老朽化や、複雑で無駄の多い線路配線などラッシュ時の遅延の原因となっている部分は英国内各所に散見される。ラッシュ時の定時運行率は、鉄道側が示している数字よりも低いという調査記事もある。 英紙ガーディアンの記者は、通勤途中の地元の駅に掲示されていた定時運行率82.5%という数字を見て、明らかにそれはおかしいと感じ、2016年より通勤時に利用した列車の状況を記録した。すると驚いたことに、1月から4月半ばまでの4カ月間で、予定通りの時刻に到着しなかった遅延時分の積み重ねが24時間にも達したのだ。定時運行率の計測で「定刻」とみなされる5分以内の遅れで運行した列車は、この記者の調査では37%だった。 ▽細かな改良を積み重ねて ・では、ポスターに描かれた82.5%という定時運行率は真実ではないのかというと、これは1日あるいは1週間のトータルにおける数値で、遅延が少ない夜間や週末などもすべて含めた数字だった。ポスターの内容はうそでも間違いでもないものの、通勤時間帯にほぼ連日のように発生する遅延を巧みに隠していたことになる。数値以上に多くの人々が遅延に対する不満を感じていたはずで、この記者が実際に体験していた連日の遅れは真実だったのだ。 ・これは今回JR東日本が関わるウェストミッドランズ・トレインズ社とは別の鉄道会社の話ではあるが、決して他人事として無視することはできない。 もしJR東日本が、列車運行に関する同社の経験や知識を英国で生かすのであれば、遅延や運休を最小限に食い止められるように細かい改良を少しずつ進めていくことが、重要な課題の一つとなるであろう。前述した乗務員の交代要員配置など、自社で行うことができる対策はもちろん、場合によっては英国政府へ働きかけてインフラの整備改良を進めることも必要となってくるかもしれない。 ・日本の鉄道会社=緻密で正確な運行という図式が頭を巡り、私たち日本人はついつい、そういった面における改善を簡単に期待してしまうものだ。だが、実際にはこれからフランチャイズ契約満了の2026年までの間にコツコツと改良を重ね、同社が2026年以降の次期フランチャイズを再契約できるように持っていくことが重要になるだろう。 http://toyokeizai.net/articles/-/203965 次に、アジアン鉄道ライターの高木 聡氏が1月14日付け東洋経済オンラインに寄稿した「乗客が「駅ホーム下」で雨宿りする複雑な事情 日本がジャカルタに作った通勤新線の悲運」を紹介しよう(▽は小見出し)。 ・インドネシアの現地紙が、2017年10月8日に延伸開業したばかりのインドネシア通勤鉄道(KCI)ブカシ線・タンブン駅で起きた珍事を紹介している。タンブン駅で多くの客が電車待ちをしていたところ、突然のスコール。乗客はあわててプラットホームの下にもぐり大雨をやり過ごしたというのである。 ・この延伸は我が国の円借款を活用した政府開発援助(ODA)によるもの。延伸でタンブンなどの4駅がKCIの営業駅として加わった。真新しいはずの駅なのになぜ屋根がないのか、と思われるかもしれないが、これには理由がある。 ・そもそも、この延伸計画は「ジャワ幹線鉄道 電化・複々線化事業」の一角をなすもので、2001年に約410億円を上限とする円借款契約が結ばれた。調達条件は日本タイドで、具体的にはブカシ線・マンガライ―ブカシ間の複々線化、ブカシ―チカラン間の電化、マンガライ駅の立体化(ボゴール線との平面交差解消)、信号設備等関連設備更新およびコンサルタントサービスがパッケージに含まれていた。複々線化工事に係る土地収用はインドネシア政府が行い、路盤整備、一部構造物の建設(コンクリート製橋梁等)が、日本企業による本体工事に先行して実施された。 ▽日本が行ったのは「必要最低限」のみ ・しかし、一部区間で用地買収が難航し、さらに、先行工事においてインドネシア側の設計ミスもあったといわれている。そこで、日本側は早期に着工できる一部パッケージのみを継続することにした。それが今回完成したブカシ線のチカラン延伸である。 ・2012年に住友商事が約210憶円で落札した「パッケージB1」と呼ばれるもので、マンガライ駅の架線柱取り替え(2016年5月完成)、マンガライ―チカラン間信号設備更新(2017年9月、一部区間を除く)、ブカシ-チカラン間電化工事及び新駅設置などが含まれた。要するに、今回のブカシ-チカラン間の延伸にかかわる最低限のプログラムである。もともとあったタンブン駅でいうと、単に架線を張るだけなのだ。 ・そして残りの部分については、すでに円借款供与の期限を超過したため、ODA事業としての継続が不可能になり、インドネシア予算・企業による事業に切り替わり、工事が進められることになった。ただし、いまだに用地買収が済んでいない箇所もあり、全プログラムの完成時期には不透明な部分がある。 ・そのため、タンブン駅では既存の客車用の低床ホームに、KCIが独自に仮設のステップを設置して対応している。また、改札口も暫定的にプレハブ小屋を建てている。よって、ホーム上に屋根がないのである。 そして相変わらず、線路を横断してホームに出る仕組みで、乗客はプレハブ小屋の屋根の下で電車を待ち、到着が近づくとホームに出るスタイルである。小屋の屋根の下に入れる人数も限られており、炎天下で待たされることもしばしばである。 ・雨期真っ盛りのジャカルタなら、ちょうどそこにスコールが降ることもあろう。雨だけでない、ホームの幅は狭く、乗降客で溢れているときに、上りホームでは頻繁に通過列車が通るため、かなり怖い思いをする。都心から30km圏内にある通勤新線の駅でありながら、駅施設は基本的に停車列車が1日6往復時代のローカル駅から変わっていない。 ▽とても正式開業とはいえない ・「華々しく開業した通勤新線」と報じた日系の報道機関も多いブカシ線延伸開業ではあるが、とても正式開業とはいえない状況で、まったくの見切り発車だ。少なくともチカラン駅が完成してからといわれていたが、インドネシア政府からすると、「線路・架線・電車もあるのになぜ走らせないのか」という批判が出るからだ。まるで乗客の安全とか利便性はどうでもいいかのごとく、先の空港線と同じで、開業予定日までに1本でも電車が走ることに意義があるとされてしまう(『信号未完成「空港線」はぶっつけ本番で走った』を参照)。それが政府関係者にとっての手柄になるからにほかならない。 ・KCIの親会社、インドネシア鉄道(KAI)は長距離都市間輸送こそが使命であるとして、都市近郊の通勤輸送を二の次にしているという事実がある。これは、わが国の旧国鉄にも通じるものであるが、日本の場合、国鉄を補完する私鉄網が発展していたからこそ、旧国鉄は長距離輸送に専念することができた。その私鉄に相当するものがインドネシアの都市部には存在しなかったわけで、2000年代初頭に至るまで鉄道による通勤輸送という概念が、そもそもインドネシアにはなかったのである。いくら海外からの支援で鉄道施設の近代化がなされても、有効に活用されなかったのは、このためである。 ・また、都市近郊の普通列車はエコノミー列車扱いで、低所得者層救済策として、異常なまでに運賃が低廉に抑えられてきたことも、KAIが近郊輸送に関心がない要因として挙げられる。つまり、走らせれば走らせるほど赤字が出る近郊列車をKAIは走らせたくないのである。最終的に自治体の拠出する補助金頼みで、その額により、本数が増減するのだ。 ・ブカシ線がまさにそれに当てはまった。西ジャワ州からの補助金が限られていたので、電化されていないブカシ以東の普通列車の本数が従来、極端に少なかったのである。並行する高速道路はマイカー、バス、トラックで終日大渋滞している。かつて、普通列車は屋根まで鈴なりの乗客が乗っていた。それでもKAIは知らん顔。近年ではKAIが外からの目を気にして、屋根上乗車を禁止し、さらに座席定員制にあらためたため、チカラン界隈で、切符を確保できなかった乗客によるデモまで発生していた。 ・そういう意味では2008年にKAIから独立したKCJ(現KCI)が設立され、ジャカルタ都市圏向けに適正な予算付けが可能になり、独自に電車ダイヤを設定できるようになったのは、非常に意義のあることであり、KCIが残した功績はあまりにも大きい。 ・そして、それが今回チカランまで延長した。もちろん、用地不足によりチカラン駅が未完成なことに加え、ブカシ線は全線で長距離特急・急行列車と線路を共用しており、これ以上通勤電車の本数を増やすことができない状況ではある。日中でも朝ラッシュ時並みの混雑で電車がやってくるときには閉口させられるが、KCIも親会社の意向には逆らえず、ブカシ線内で長距離列車と通勤電車で平行ダイヤを組ませ、本数を増やすというのは、どうやら難しそうだ。インドネシアの手による複々線化、そしてマンガライ駅立体化が待ち望まれる。 ▽本当に必要なのは「保安装置」 ・とはいえ、ジャカルタ首都圏の既存鉄道を活用した通勤路線網は、1980年代から思い描いていた形にはなった。以後、ここまで大規模なインフラ整備は予定されていない。今後はMRTなどの新線建設にシフトしてゆくことになるだろう。 ・今や、都心部中央線の朝の電車は約5分毎の運転になった。加えて、そこには長距離特急列車が割り込んでくる。さらに、複雑な運行形態の下、マンガライ駅・ジャティネガラ駅では平面交差の連続である。それを大きな遅れなく、人海戦術のみを頼りにさばいている点は称賛に値するが、「いつ大事故が起きてもおかしくない状況」と専門家は口をそろえる。にもかかわらず、保安装置の設置も一向に具体化しない。信号や保安装置こそ、資金的にも技術的にもODA案件として進めるべき事象であるが、大衆の目に触れない部分になると、インドネシアが極端に後ろ向きになる。だから誰の目にもわかる、高速鉄道という短絡的な話になってしまうのだ。 ・これは日本側にも同じことがいえるのではないか。日の丸を掲げるためのハコモノ整備偏重型のODAがいまだにまかり通っている。こんなものは鉄道インフラパッケージ輸出など呼ぶには程遠い。KCIの1日利用者数である約100万人の命と、誰のためかもわからない鉄道高速化のどちらが重要なのか。ジャカルタの通勤鉄道網は、今あるものの磨き上げに入らねばならない段階に突入した。わが国による支援も、人を通じた国際協力の原点に立ち返り、冷静に考えていただきたいところだ。 http://toyokeizai.net/articles/-/202390 第三に、貿易コンサルタントの白石 和幸氏が1月26日付け東洋経済オンラインに寄稿した「ありえない問題続く「サウジ砂漠鉄道」の悪夢 安価で受注したスペイン連合の悲哀」を紹介しよう(▽は小見出し)。 ・サウジアラビアで建設中の、メッカとメディナの二聖都を結ぶスペイン製の「ハラマイン高速鉄道」が、2017年12月31日に全行程450kmを2時間52分で完走した。完走できたのは今回が初めてで、時速300kmを超えた区間もあったという。工事着工から5年かけてようやく全行程走行にこぎ着けたわけだが、ここまでの道のりはありえないほど厳しかった。しかも、足元では新たな問題も浮上している。 ・通称「砂漠のスペイン高速鉄道(AVE)」。聞こえはいいが、スペインにとっては悪夢のようなプロジェクトに違いない。この問題だらけのプロジェクトを、サウジ2社、スペイン12社からなるコンソーシアムがサウジ鉄道公社から請け負ったのは2011年のこと。当初は、サルコジ元大統領(当時)がフランスの高速列車(TGV)を積極的に売り込んでおり、同国が受注する可能性が高いとみられていた。これに対して、スペインは当時国王だったファン・カルロス1世に応援を依頼し、リヤドまで赴いてアブドラ国王(当時)を説得することに努めてもらった。 ・ファン・カルロス国王は愛人を同伴していたことが後になって判明したが、サウジ王家とスペイン王家は歴史的なつながりから仲が良い。その効果もあってか、結果スペインが受注。しかし、スペインが受注した本当の理由は、TGVよりもAVEの見積もりが20%安価であったということが決定打だったことが今になってわかっている。 ▽最初からつまずいた ・工事は2012年に開始。総工費は67億3600万ユーロ(7400億円)で、完成予定は2017年1月とされた。 ところが、ここからが大変だった。まず、線路を敷くための土台の完成が大幅に遅れた。これはスペイン・コンソーシアムが受注する以前に、中国の企業とサウジの企業によるジョイントベンチャーが請け負っていた工事で、これが完了しないことにはスペイン・コンソーシアムでは線路を敷くことができないという事態に陥っていた。 ・ようやくこの工事を終えて次に困ったのが、砂漠の砂が線路にたまる問題。特に、メディナから117km地点から227km地点までの区間が砂の堆積が激しく、砂嵐が起きると線路が見えないくらいに砂がたまってしまうほど。そこで解決策として考案されたのが、線路に枕木と砂利を使うのではなく、あたかも舗装道路の上に線路を敷くような形に変えたのである。 ・しかも、舗装面をいくらか傾斜させて、砂のたまり具合を少なくさせるように。そして、一定の区間ごとにセンサーを設置し、列車が通過したときに発信する音で砂のたまり具合をチェックするというプランも検討されたほか、線路の側面に防禦壁を建設する案も出た。しかし、試験的に試してみたが、どれも効果がないという結論に。線路に沿って砂漠で生存できる木を植林するという案も出たが、この場合は効果を発揮するには時間がかかるということで採用にはならなかった。 ・この問題で、工事の遅れは深刻なものになっていた。サウジの担当相からは、これ以上の遅れが出るのであれば契約を打ち切る、というお達しがきていた。 しかも、この頃コンソーシアム内でも問題が発生していた。もともと、コンソーシアム12社のうち、10社はスペイン企業だったが、公営、半官半民、民間と3つの異なった組織体が名を連ねており、足並みがまるでそろっていなかったのである。スペイン人は「2人集まれば、3つの意見が生まれる」という気質。リーダー不在の中、コンソーシアムは空中分解寸前の状態にあったようだ。 ▽次は運転手の問題が浮上 ・しかも、工事の遅れでペナルティ料金まで発生。プロジェクトを受注するために、いろいろ安く見積もったのが災いして損出を覚悟せねばならない工事になっていた。結局、サウジ側が事情を理解してくれて、開通は当初2017年1月の予定から2018年3月に延期するということで相互に合意した。それでも、スペイン側は2017年12月31日までに列車は全行程を運行できる状態にするとサウジ鉄道公社に約束していた。 ・砂の問題の解決を見ないままに、コンソーシアムが出した結論は線路に積もった砂の量によって通過する速度を時速120km、50km、5kmという3段階に分けて、スピードを制限して走行することだった。5kmとは歩行速度に近いスピードである。しかも、積もった砂の量は運転士が肉眼で判断する、というやや無理のありそうなやり方に決まった。 ・しかし、問題はこれだけにとどまらなかった。つぎに浮上したのは、運転士の問題だ。コンソーシアムでは、高速列車に熟知したスペイン人の運転士を採用することにしていた。ところが、聖地に向かう列車だと運転士もムスリムである必要があるという要請がサウジ鉄道公社のほうより出されたのである。 そこで、スペインの高速列車の指導員はサウジ人を採用して指導することにした。ところが、彼らの報告によると「サウジの人は注意力散漫、集中力そして活力の面で高速列車の運転には適さない」という結論が出されたというのだ。そこで、同じムスリムでスンニ派のパキスタン人を採用することになった。 ・12月31日に全行程を試運転する前に、2017年6月にはジェッダとメディナ間を関係当局の官僚を招待して最高時速300kmで試運転を行った。11月には招待客を呼んで同じ区間を走行。そして、最終的に残りのジェッダからメッカをつなぐ78kmを加えて450kmの全行程を走行したというわけである。 ・今回の試運転にはナビル・アル・アムディ運輸相をはじめ、関係当局の高官らも乗車。企業側からはサウジ国営鉄道の社長やスペイン側のコンソーシアムの社長らも同席した。さらに、スペイン政府代表として在サウジのアルバロ・イランソ大使が同行した。 ▽鉄道は走れるのに、駅舎ができていない! ・今回のパキスタン人運転士による試運転では駅での停車は行われなかったが、最終的に営業開始の暁には所要時間2時間11分を目標にしているという。まだ、信号機など安全保安装置(ERTMS)の配備が残されているが、営業開始は今年3月15日となっていた。 ・ところが、またもや問題が発生したのである。サウジの大手ゼネコン2社「サウディ・オジェール」と「ビン・ラディン」が受注した駅舎の完成が遅れており、少なくともあと1年の歳月が必要だというのである。スペイン側は公約を果たしているのに今度はサウジのゼネコンが遅れの要因をつくってしまった。 ・ジェッダ駅と空港をつなぐ駅を加えて全部で5つの駅(メッカ、ジェッダ、空港、アブドラ前国王、メディナ)の建設が計画された。メディナ駅が最初に完成する予定だという。 サウディ・オジェール社はジェッダ駅とアブドラ前国王に因んだKAEC駅の建設を請け負い、一方のビン・ラディン社はメッカ駅とメディナ駅をそれぞれサウジ鉄道公社から受注していた。メディナ駅とKAEC駅は建設が順調に進んでいるというが、ジェッダ駅とメッカ駅で工事に遅れが出ており、完成までに少なくともあと1年は必要だとしている。 ・背景にあるのは資金難だ。ビン・ラディン社は結局8万人を解雇するという事態に陥り、現在工事はトルコとサウジのジョイントベンチャー企業にバトンタッチされている。ちなみに、ビン・ラディン社の創業者ムハンマド・ビン・ラディンの息子のひとりが、あのテロリストのオサマ・ビン・ラディンであった。 ・一方、サウディ・オジェール社は、レバノンの元首相で、2005年に暗殺されたラフィーク・ハリリがレバノンで建設事業を始めた後に、フランスのオジェール社と合弁で、サウジで建設事業を展開させたのが始まりである。その後、ハリリはオジェール社を買収してサウジでゼネコンの大手企業として発展させた。ちなみに、ハリリの息子、サード・ハリリが後継者で、同氏は現在、レバノンの首相を務めている。 ・サウジ高速列車は現在、金曜日と土曜日は広報の目的も兼ねて、乗客を招待し、試乗を行っている。というのも、開通した暁にはより多くの乗客を集めたいと考えているからだ。 ▽利用者数は当初予想の3分の1に… ・そもそも、このプロジェクトをスペインのコンソーシアムが受注した時には、年間の利用客は6000万人以上になると見込まれていた。しかも、新幹線並みの4分間隔の発車が計画されていたほどである(余談ながら、このような超過密ダイヤを仕切れるのは日本しかない。スペインでも高速列車はほぼ30分間隔である)。 ・しかし、世界的な不況やテロ懸念、サウジとカタールとの断交などもあって、今では年間の利用客は2000万人くらいが見込まれているという。当初から見て3分の1にまで減少しているのだ。 コンソーシアムの中で、利用客の減少の影響を最も受けるのはスペイン国営鉄道(Renfe)である。同社は営業開始から7年間売り上げの一部を報酬として受け取ることになっており、その後も5年の契約延長も認められている。売り上げが伸びなければ、報酬は期待できなくなる。 ・また、原油価格の下落に伴ってサウジの財政事情が悪化し、コンソーシアムへの支払いも遅延ぎみになっていた。現時点ではこれまでの未払い金は完済しているというが、コンソーシアム側は受注するために当初工事を安く見積もって応札しており、最終的には当初の見積もりを15億ユーロ(1950億円)ほど上回る金額になる見込みだ。 サウジ鉄道公社では約束どおり昨年末までに列車を走行させたことへの報酬として、コンソーシアムに1億5000ユーロ(195億円)のボーナスと、予想外の出費を補填する意味で2億ユーロ(260億円)を提供することになっている。しかし、それでもこの難工事の赤字を補填するには至らなそうである。こうした事情から、今回の受注はコンソーシアムにとって採算の取れないプロジェクトだったという結論に終わりそうだ。 http://toyokeizai.net/articles/-/205786 第四に、 アジアン鉄道ライターの高木 聡氏が2月1日付け東洋経済オンラインに寄稿した「「マレーシア新幹線」日本の受注が難しい理由 オール日本は機能不全、中国は在来線で圧勝」を紹介しよう(▽は小見出し)。 ・マレーシアのラジオ番組で1月2日に放送された宮川眞喜雄・在マレーシア大使の発言が鉄道業界の関係者の一部で波紋を呼んでいる。新幹線の安全性を強調した上で、マレーシアとシンガポールを結ぶ高速鉄道事業に、「現地の人材育成や現地負担の少ないファイナンスも含め、ベストの提案を行う」として、受注獲得に自信を示したのである。 ・包括的な、車両からメンテナンスに至るまでのハード、ソフト両面をトータルに輸出する、パッケージ型鉄道インフラの売り込み。このスキーム自体は、もはや新鮮味も感じないくらい世の中に浸透していると思われるが、筆者は違和感を抱かざるを得なかった。パッケージ型の鉄道輸出に対して政府と鉄道業界の間で温度差があるからだ。2016年8月22日付記事『鉄道「オールジャパン」のちぐはぐな実態』でその状況は伝えられているが、それから1年半近くが経過しても、改善された様子はない。 ▽シンガポールとマレーシアは世界最大級の華人経済圏 ・マレーシア―シンガポール間の高速鉄道事業は、運営主体であるSG HSR(シンガポール高速鉄道)とMY HSR(マレーシア高速鉄道会社)が入札を実施する。すでに一部の入札が実施されており、事前調査や土木関係のコンサル業務は、地元業者のほか、中国、欧州勢からの応札があったようだ。わが国の本命は、6月にも入札締め切りと言われている、車両、信号、オペレーション、メンテナンス等の実際の運行を司るパッケージである。どのような仕様が求められているのかは明らかになっていないが、その入札説明会が1月下旬に開催され、日本企業コンソーシアムも参加した模様である。大使の発言は、この入札を踏まえてのものと思われる。 ・不思議でならないのは、日本の提案内容は中国よりも優れているからマレーシア―シンガポール案件は確実に受注できるという声をしばしば耳にすることである。これは大いなる誤解と言わざるを得ない。華人比率において、東南アジアで1位、2位を占めるのがシンガポールとマレーシアである。人口の3割弱が中華系と言われるマレーシア、そしてシンガポールに至っては歴史的背景から、その比率は7割を超える。これが、直接中国企業に有利に働くと断言することはできないが、世界最大級とも言える華人経済圏において、日系企業連合の受注は、簡単なものではない。 ・今回の案件は日本が得意とする円借款による政府開発援助案件ではなく、完全にB to Bの案件である。加えて、わが国が大型案件として抱えるインド高速鉄道プロジェクトに多くの人材を割かれており、物理的に2つの大型パッケージ型鉄道インフラ輸出案件を同時並行的に進めることが、そもそも可能なのかという問題もはらんでいる。 ・まして、高速鉄道のオペレーションなど、本当に人材が限られてくる。ある下請け業者は言う。「シンガポール―マレーシア間の高速鉄道は中国でほぼ決まりと見込んでいたのに、公式見解としてこのように言われると、嫌でも手を上げざるを得ないのではないか・・・」と。 ・マレーシア、ナジブ政権の動向も危惧される。マレーシアといえば、日本人に学べという「ルックイースト政策」で知られているが、もはやこれは過去の話である。マレーシアではマレー語、英語、中国語が必修科目とされていることもあり、2009年に就任したナジブ・ラザク首相は、東南アジアの首脳クラスとしては珍しいマンダリン(中国語)話者でもある。事実、習近平国家主席との巧みな交渉術で、中国から多額の経済援助を引き出すことに成功している。 ・2016年には中国の借款で、クアラルンプールからマレー半島を東西に横断し、ナジブ首相の故郷、パハン州を経由し、東海岸へ抜け、最終的にタイ国境近くへ至るイーストコーストレールリンクの建設が決定し、2017年に中国交通建設により着工したというのも記憶に新しいところだ。従来、南北を縦断する鉄道しか存在しなかったマレー半島において、最高時速160㎞、1435mm標準軌、貨客両用という大陸標準の準高速鉄道は、新たなムーブメントになり得る。 ▽在来線でも中国製が幅を利かせる ・在来線においても、近年、露骨とも言えるほど、中国勢が幅を利かせている。 マレーシア国鉄(KTM)が運行するクアラルンプール近郊の通勤電車、KTMコミューターでは開業以来、オーストリア製、南アフリカ製、韓国製車両が入り乱れて使用されてきたが、2010年から中国中車製の新型車両が大量に投入され、既存車両をほぼ一掃した。この車両はマレーシア運輸省が中国中車と契約し、KTMに使用させており、政治的意思の介入を暗示させる。 ・しかも、メンテナンスまでもカバーする包括契約で、KTMスレンバン工場は今や中国中車のマレーシア工場と化している。50人以上の中国人技術者が駐在し、電車メンテナンスを引き受けている。車両故障はかなり発生しているようだが、本国の技術と取り寄せたパーツですぐに改修されているようだ。 ・在来線高速化(設計最高時速160㎞、営業最高時速140km)においても、当初は日系商社主導で韓国ヒュンダイロテム製(電装品は三菱製)の車両が導入されたものの、上記の流れから2015年からは中国中車製に切り替わっている。高速鉄道と並行することになるが、在来線高速化も引き続き実施され、将来的には東海岸全線が電化・高速化される。すでに、増発と延伸用の増備車両も中国中車で決定しており、今年度10本を導入予定である。 ・「これは随意契約によるもので、価格優位性もなく、中車製車両を購入するメリットはない。ナジブ政権の功罪だ」とマレーシア運輸省に近い関係者は漏らす。しかし、来年度以降の車両増備も中車製でほぼ決定だという。完全に足場を中国に固められており、どんなに小さいパーツ等を含めて、日系企業が入る余地はほぼ消滅した。クアラルンプールの都市鉄道では、路線毎にボンバルディア、中国中車、シーメンスと引き続き各国製の車両が使われているが、残念ながら日本製車両の導入実績はない。 ・もちろんわが国が各国のプロジェクトに関心を持つのはいっこうに構わない。昨年10月に経済産業省が、国土交通省と合同で、インフラ輸出戦略に基づき、鉄道分野における海外展開戦略を発表したが、その中に「注視すべき主要プロジェクト」として、マレーシア―シンガポール間高速鉄道計画も盛り込まれている。日本の鉄道システムを売り込むのは、むしろ当然の流れであり、歓迎すべきことである。しかし、中国勢が幅をきかせている両国で本当にわが国が受注できるのか、首をかしげたくなる。市場の実態を把握した上での計画なのだろうか。 ▽利にさとい企業は独自に動く ・「オールジャパン体制で鉄道インフラを輸出する」の掛け声が、逆にマイナスに働いている。ハードからソフトまですべてをパッケージにする案件では、車両メーカーに仕切るノウハウが乏しいので、大手商社が音頭を取り、その下に企業コンソーシアムを組むのが通例であるが、日系商社がヒュンダイロテムと組んだ先ほどの例の通り、日本の商社は「オールジャパン」よりも、利益を得られるかどうかを重視する。昨年11月に三菱商事が受注を獲得したと発表されたフィリピンのマニラ1号線にしても、供給する車両はスペイン製だ。 ・逆に、仮に海外勢が落札したとしても、その中の一部機器を日本の電気機器メーカーが供給するという事例もある。最近では中国商社主導のコンソーシアムにおいて、リオデジャネイロの近郊用車両の電機品を東芝が納めている。日本政府がお膳立てしなくても、民間企業は採算が見込めれば自分で海外プロジェクトに参入するし、逆に勝機なしと判断すれば、はなから手を上げない。真剣に、冷静に市場を見極めている。それだけの話である。 ・日の丸の下に集えと言わんばかりのやり方で、企業を無理やり集めたところでうまくいくはずがないのは目に見えている。勝てない市場でオールジャパンのコンソーシアムを組成するのは、時間と人の浪費だ。日本政府は鉄道業界ともっと対話をして、より実りある策を講じるべきだ。 http://toyokeizai.net/articles/-/206720 第一の記事で、 『日本の鉄道会社=緻密で正確な運行という図式が頭を巡り、私たち日本人はついつい、そういった面における改善を簡単に期待してしまうものだ』、英国では日本流が通用しない部分も大きいので、 『細かな改良を積み重ねて』、というのはその通りだろう。 第二の記事で、 『信号や保安装置こそ、資金的にも技術的にもODA案件として進めるべき事象であるが、大衆の目に触れない部分になると、インドネシアが極端に後ろ向きになる。だから誰の目にもわかる、高速鉄道という短絡的な話になってしまうのだ』、とはいうものの、インドネシア側の無責任な対応からみる限り、日本が関与した路線でひとたび事故が起きれば、責任が日本側に押し付けられるのは明らかだ。ここは無理をせず、号や保安装置などの重要性を地道に説得していくべきと思う。 第三の記事で、 『「砂漠のスペイン高速鉄道(AVE)」。聞こえはいいが、スペインにとっては悪夢のようなプロジェクトに違いない』、というのは、スペインには同情するが、もともとプロジェクト獲得を焦るの余り、甘い条件交渉で受注したツケを払わされているのだろう。 第四の記事で、 『不思議でならないのは、日本の提案内容は中国よりも優れているからマレーシア―シンガポール案件は確実に受注できるという声をしばしば耳にすることである。これは大いなる誤解と言わざるを得ない』、こうしたとんでもない楽観論を流しているのは、日系企業の尻を叩くため日本政府関係者がやっている可能性もあろう。 『日本政府がお膳立てしなくても、民間企業は採算が見込めれば自分で海外プロジェクトに参入するし、逆に勝機なしと判断すれば、はなから手を上げない。真剣に、冷静に市場を見極めている。それだけの話である』、というクールな判断こそが求められている、のではなかろうか。
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インフラ輸出(その5)(日立「英国高速車両」はトラブル続出だった、日本企業が入札できない?鉄道輸出の矛盾点 インドネシア案件 調査は日本の担当だが…、台湾新幹線 「たった4編成」国際入札のナゼ) [インフラ輸出]

インフラ輸出については、4月29日に取上げた。今日は、(その5)(日立「英国高速車両」はトラブル続出だった、日本企業が入札できない?鉄道輸出の矛盾点 インドネシア案件 調査は日本の担当だが…、台湾新幹線 「たった4編成」国際入札のナゼ)である。

先ずは、10月19日付け東洋経済オンライン「日立「英国高速車両」は、トラブル続出だった 天井から水が流れ落ち、列車は大幅遅延」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・「このたびのトラブルの件では、乗客の皆さまに大変なご迷惑をおかけした。申し訳なく思っている」。日立製作所の執行役常務で鉄道ビジネスユニットCOO(最高執行責任者)を務める正井健太郎氏が沈痛の面持ちで口を開いた。 10月16日、日立製作所が手がける英国向け高速車両が営業運転を開始した。地元の人々の期待を一身に受け華々しく登場したが、ロンドン行きの一番列車にトラブルが続出。そのデビューは苦々しいものとなってしまった。
・英国では、主要幹線を走る長距離用車両の老朽化が著しく、順次新車へと更新する都市間高速鉄道計画(IEP)が進められているが、今回の日立製新車の導入はその先駆けとなる。
▽ロンドンの起点はパディントン駅
・この日、営業運転が始まったのは「クラス800」と呼ばれる車両だ。日立は英国からIEPで更新される車両866両の納入および、現在から27年半にわたるメンテナンス事業を一括受注している。うち、最初の12編成は山口県下松市の同社笠戸事業所で生産され、現地に船で運ばれたが、残りの110編成は同社が2015年9月に運営を開始したイングランド北東部のニュートンエイクリフ工場で造られる。
・新型車両は、この日からクラス800を導入した鉄道運行会社グレートウェスタン鉄道(GWR)に369両、ロンドンからスコットランド方面に延びる東海岸本線を運営するヴァージントレインズに497両、それぞれ納入されることが決まっている。
・GWRのクラス800は「くまのパディントン」で日本でも広く知られるロンドンのパディントン駅を発着する。ロンドン発の一番列車は朝6時半過ぎ、多数のメディア関係者が見守る中、パディントン駅3番線へと現れた。出発を控えたプラットホームで、正井COOは「長い歳月を経て、このIEPの営業運転にこぎつけられたことは、われわれ鉄道に携わる者として誇りに思う。長期にわたる仕事の努力が報われ感無量」としたうえで、さらなる英国での受注に意欲を示した。
・ロンドン・パディントン駅は、ロンドンとウェールズ南部、イングランド西部とをそれぞれ結ぶGWRの拠点駅となっている。GWRの路線はブリストルで2手に分かれるが、新型車両はそのうちのロンドンーウェールズ南部を結ぶ区間に使われる。 
・これまで使われてきた車両は、1976年に導入が始まった「インターシティ125」と呼ばれるものだ。125とは「時速125マイル(201km)で走れる」という特徴から名付けられたもので、非電化区間を走る列車では当時最高速を誇った。しかし今では、地盤が悪いのか、台車の作りの問題なのか、横揺れや縦揺れがひどく、車内で本を読んだり、パソコンのキーボードを叩いたりするのはとてもつらい。そのうえ、ドアの開閉はすべて手動で、停車駅を示すデジタル掲示板などの備え付けがない。一方で、鉄道会社にとっても、発車前に係員が車両を歩いて席が指定済みであることを示す短冊を座席の頭に付けて回る作業が強いられる。さらに行き先表示も「印刷された紙を毎回両面テープで貼る」仕組みとなっている。
▽速度は新幹線ほど速くない
・今回の新型車両導入はあくまで「既存車両の更新」であって、スピードアップを図る目的で製造されたものではない。最高運転速度は時速201kmにとどまる。 それでも、乗り心地など車内設備はインターシティ125と比べ格段に向上している。1編成当たりの乗客定員が約25%増加、ラッシュ時の輸送力を増強するほか、座席のシートピッチの拡大、荷物や自転車などが置けるラックの増加、一目で空席状況がわかるデジタル表示などが施された。
・クラス800は、電化区間だけでなくディーゼル発電機の搭載で非電化区間への乗り入れもできる「バイモード」が最大の特徴だ。正井COOは「ディーゼルで走る従来車と比べ、加速性能が高い。今後電化区間が延伸すれば現在よりも所要時間が短縮する」と期待を寄せる。 ロンドンからの下り一番列車は予定どおり午前7時にパディントン駅を発車、順調にブリストルに向け走行を続けた。英国で交通アナリストとして活躍するサイモン・カルダー氏は乗り心地について「英国ではこれまでになかった素晴らしいもの。日本で新幹線に乗ったときのスムーズさを思い出す」とその性能に太鼓判を押した。
・ところが、早朝6時にブリストルを出発した上りの一番列車では、発車時刻の遅れ、天井から水が流れ落ちる、バイモードの故障など、いくつものトラブルが発生していた。 クリス・グレイリング運輸相をはじめとする政府関係者などVIPのほか、地元のメディア、さらに多くの鉄道ファンらが乗り合わせたこの列車でのトラブルについて、正井COOは翌17日に実施されたイタリア・ピストイア工場でのメディア向け見学会の席上、「大きく分けて3つの問題が起きた」とあらためて説明を行った。
・まず、ブリストル出発時に発車が20分ほど遅れたトラブルについてである。これは正井COOによれば、「トレインマネジメントシステムにかかわるもの」で、システムの立ち上げ時の設定に異なっている部分があったという。「問題は特定できたが復旧まで時間がかかってしまった」としている。
・続いて、走行途中には、クーラーパネルから「滝のように」水が流れ落ちるトラブルが発生。英紙デイリーメール(電子版)は、乗客のラップトップがずぶ濡れになったと報じている。これについて正井COOは「空調の水冷に使う水の排水管の先端に逆流防止弁があるが、それがうまく働かなく、たまりすぎてあふれてしまったため」と説明する。【10月23日12時50分追記】正井COOのコメント冒頭に「空調の水冷に使う水」とありますが、その後の取材で正しくは「空調の除湿で出る水」であることがわかりましたので、追記いたします。
・ただでさえ遅延を起こしていた一番列車に第3のトラブルが襲う。クラス800最大の武器ともいえるバイモード機能の「切り替わり」がうまく作動しなかったのだ。 非電化区間から電化区間への進入の際、走行中に無停車で「モードの切り替え」ができるはずが、パンタグラフが上がらず立ち往生してしまう事態となった。正井COOは、「バイモードの設定が間違っていたため、自動でモードが切り替わらなかった」と説明している。
・以上のようなトラブルが重なった新型車両の一番列車は、最終的にパディントン駅に定刻の約40分遅れで到着。その影響で後続列車に大幅な遅れが出て、ダイヤが大混乱しただけでなく、先に起こっていた「水の落下」のため、一部車両では空調が停止しており、新型車両での快適な通勤を楽しみにしていた人々に対し、文字どおり「水を差す」結果となってしまった。
・影響はさらに広がった。クラス800のウェールズへのお輿入れが延期となったのだ。ブリストルからの車両が折り返し、ウェールズの中心都市・カーディフに向かうはずの列車が一連のトラブルを受け、急遽キャンセル。ウェールズの鉄道ファンの間で失望が広がった。 GWRは30分以上の遅延に対し、支払い済み運賃の全額を返す補償サービスを行っている。この日、遅延や取り消しに巻き込まれた乗客は賠償請求ができるものの、新型車両の初乗りを楽しみにしていた人々にとっては「お金を返されても全然うれしくない」ことになってしまった。
・今回のトラブルを巡っては、車両メーカーである日立が自ら、運行オペレーターおよび利用者に対し、事情説明と陳謝を行った。これは、GWRとの契約で車両のメンテナンスを日立が受け持っているという事情による。GWRはツイッターで「メーカーである日立の素早い対応に感謝する」という声明を発表している。なお、その後当該車両は運行に復帰し、営業運転2日目の17日は無事に終えることができた。
▽事業トップが動画でお詫び
・上り一番列車のトラブルを受け、日立レールヨーロッパのカレン・ボズウェル社長は「計画どおりの運行とならず、オペレーターのGWR、利用客の皆さまには大変なご迷惑をお掛けした」と動画と文書で謝罪する事態となった。 日立はこの先英国で、スコットランド向け車両「AT200」に加え、イングランド西部などに投入される長距離車両「AT300(クラス802)」の納入を控えている。さらに「暑くて狭い」と不評なロンドン地下鉄の更新用車両への入札も行っている。同社によれば、営業運転までに行った5000マイル(約8000km)に及ぶ試験をトラブルなしで実施できていたという。にもかかわらず、トラブルは起きた。今回の一件を教訓に、安全・安定運行のために万全を期すことが、今後の日立の鉄道戦略にとって最優先の課題となる。
http://toyokeizai.net/articles/-/193477

次に、11月30日付け東洋経済オンライン「日本企業が入札できない?鉄道輸出の矛盾点 インドネシア案件、調査は日本の担当だが…」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・インドネシアの首都ジャカルタと第二の都市スラバヤを結ぶジャワ北本線は、日本の円借款プロジェクトにて、架橋修繕・線形改良・路盤改良などが進められ、2014年9月に全線の複線化が完成した。これに合わせ、インドネシア鉄道会社(PT KAI)はCC206型ディーゼル機関車100両を新規発注し、ジャカルタ―スラバヤ間の旅客列車のスピードアップ、そして貨物列車の輸送力増強が図られた。全線複線化の効果は絶大で、基本的に定刻での運行が定着している。ほぼ全区間で100km/hでの高速走行が可能なまでに線路はすでに改良されているのである。
・それを今回、さらに高速化改良を行い、最高速度を140km/h~160km/hに引き上げ、ジャカルタ―スラバヤ間を5時間程度で結ばせる。現在、JICA(国際協力機構)によるF/S(フィジビリティ・スタディ:実現可能性)調査が鋭意進行中であり、まもなく中間報告がなされるのではないかと思われる。
▽住民が勝手に作った踏切が多数存在
・その全容はまだつかめないが、現状の線形を考慮すれば140㎞/h程度への速度向上は難しくない。しかし、これまでの議論を見ていると、カーブの多い既存線改良と踏切問題がやたらと主張されているようだ。すでに日本の手により北本線の線形改良は終わっているにもかかわらずだ。
・さすがに踏切は、対策待ったなしであるが、住民が作った勝手踏切(PT KAIは黙認している)が多数設置されており、その数は把握されていない。現実的には踏切を撤去するのではなく、線路脇に横断者が出ないようにさくを設置し、歩道橋を架けることになろう。
・本来ならば、ここに信号設備の話題も上がらねばならないのだが、どうもインドネシアでは信号保安に対する認識が極めて低いようで、議題に上がっているようには見受けられない。現在、当地鉄道信号は三灯式で、停止・注意・進行の現示しか出せない。少なくとも制限現示や高速進行現示を表示可能にせねばならないのだが、インドネシア側から不要と却下されそうで、笑うに笑えない。
・となると、今回ははたして日本の出る幕はあるのか。北本線高速化案が出た時点では、他国の援助は受けず、運輸省予算で対応できるとの試算が出ていた。現在でも、地上設備側の改良だけなら、信号はさておき、資金的にも技術的にもインドネシア側での対応は十分可能である。 今回のジャワ北本線高速化事業は、インドネシアの希望により円借款ではなく、官民パートナーシップ(PPP)により推進される見込みである。土木工事は純粋なインドネシア企業と資金で実施される可能性は高い。
・となると、残るは高速運転用の車両調達である。これも予算を抑えたいインドネシア側は、当初CC206型機関車の改良を検討していたようだが、本来貨物機である特性上、低速での牽引力を重視して、中高速域での加速性能が低く設定されているため、CC206の高速対応というのは、あまりにも現実離れしている。新車両の投入は、誰が見ても避けられない状況である。
・だが、ここにも問題が立ちはだかる。現在日本で140㎞/h走行以上の性能を持つ、ディーゼル車両は開発されていないのだ。最もそれに近いスペックを持っていたのが、JR北海道が開発していたものの、断念してしまったキハ285である。しかも最新の発表によると北本線では160km/h運転が有力視されている。いずれにせよ、開発費が相当かさむことは避けられず、国際入札にかけられた場合、日本が受注できる可能性は低い。
▽いい加減な予算では日本メーカーは入札しない
・かつ、F/S調査の結果はじき出されたいい加減な予算では、先のフィリピンの例のように日本の車両メーカーが入札を拒む可能性が極めて高い。これこそが、日本の鉄道インフラ輸出が進まない最大の要因であるのだが、もし本当に鉄道を世界に売り込むなら、綿密な予算の策定は絶対条件だ。さらに、メーカーへのなんらかの資金援助がなければ、国際入札で勝つことはできない。中国中車、そしてシーメンスやアルストムが世界で勝てるのは、バックに国の手厚い支援が存在するからだ。
・では日本がなすべきことは何なのか。その答えを導く前に、ジャカルタ―スラバヤ間約751kmは東京―岡山間に匹敵する、というレトリックから解放されなければならない。これにだまされてはいけない。あくまでも距離の比喩にはなっているが、インドネシア第二の都市スラバヤは、東京と大阪のようにジャカルタに並び立つものではなく、単なる地方都市にすぎないのだ。時刻表を見れば一目瞭然だが、北本線はジャカルタを起点とした先細りダイヤである。だから、東京―新大阪間のようなビジネス需要などない。
・また、北本線には単にジャカルタ―スラバヤ間を結ぶ列車以外に、バンドン方面、ジョグジャカルタ方面への直通列車も多数設定されている。バンドン方面は、ジャカルタ―バンドン間の高速鉄道が完成すると在来線特急は廃止となろうが、ジョグジャカルタ方面の需要は、スマラン、スラバヤ方面への需要よりも圧倒的に高い。
・さらに、貨物列車の存在も厄介だ。ジャカルタ―スラバヤ間だけを見ると、当然ながら旅客列車よりも多く設定されており、全線通しで運転されるものだけでも、コンテナ貨物9往復、急行荷物1往復、セメント貨物2往復がある。さらに区間運転のものも含めれば、倍近い本数となる。しかも、貨物列車の最高速度は75km/h(ただし急行荷物列車は旅客列車と同じ)である。
・つまり、ジャカルタ―スラバヤ間の全列車が高速運転になるのではなく、多数の一般列車と線路を供用するのである。しかも、ジャカルタ都市部のブカシ―チカラン間は通勤電車とも線路を共用する。つまり、ジャワ北本線を日本の路線にたとえるなら、東海道新幹線というよりもかつての東北本線なのだ。
・このように、北本線には雑多な行先、種別、速度の列車が入り乱れて走ることになるのだ。すべてが高速化されると思ったら大間違いである。もちろん、このあたりもF/S調査で詳細にリポートされることと信じているが、くれぐれも貨物切り捨て、他線区への乗り入れ廃止という、“短絡的”な解決が図られることのないことを願うばかりである。
▽JICAだけでなく、日本の鉄道会社の出番だ
・ジャワ島内のPT KAI収益構造から推測すると、北本線の鉄道収入のうち、25%~30%が貨物からの収益と思われる。またインドネシア人的心情からして、荷物を持っての途中駅での乗り換えは受け入れられるものではない。だからこそ、日本がなすべきことは、この複雑な運行形態のオペレーション支援なのではないか。
・そして、前述のとおりこのプロジェクトはおそらく官民パートナーシップにより実行に移される。これはJICA鉄道専門家の派遣程度で収拾のつく案件ではない。だからこそ、鉄道会社の出番ではないか。そして、この壮大なプロジェクトに対応できる鉄道会社は、おそらく日本に1社しかない。 ジャカルタ―バンドン間の高速鉄道のようにF/S調査だけやらされて、他国にいいように使われるのはもう御免である。今度こそは日本の官民が本当の意味で一体になって、北本線高速化を日本の手で実現されることを強く願いたい。
・追伸11月下旬、JICAはインドネシア運輸省に対し、高速列車の速度低下対策として、路線を3線化する案を提示したという報道が出た。用地買収に伴う予算拡大、工期延長を嫌い、別線(複々線)方式を採用せず、あくまでも既存線の改良を求めるインドネシア政府への妥協案と思われる。3線中、1線は上下線が共用して各駅で交換待ちをすることになる。しかし、結局線路を増やす方向に導くならば、そうした妥協ではなく複々線化をインドネシア側と交渉すべきだ。このままでは中途半端な高速化に終わる。わざわざコンサルを派遣して足して2で割るような解答しか出せないなら、全部インドネシア側にやらせれば良いのではないかと筆者は感じている。
http://toyokeizai.net/articles/-/198593

第三に、12月18日付け東洋経済オンライン「台湾新幹線、「たった4編成」国際入札のナゼ 新型N700Sの登場を待てず日本を見限ったか」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・台湾を南北に貫く高速鉄道「台湾新幹線」は日本の新幹線技術を導入して運行している。その運営会社・台湾高速鉄路から、高速鉄道車両4編成を国際入札方式で調達するという話が今年7月に飛び出した。 台湾高鉄の担当者は「入札スケジュールは未定」としながらも、入札の前段階として「世界中の大手車両メーカーに対し、EOI(関心表明書)の提出を打診しようとしている」と、国際入札に向け着々と準備を進めている。
・台湾の高速鉄道車両は34編成すべてが日本製。日本にとっては、新幹線の海外展開の成功例という位置づけだ。台湾高鉄が4編成を新たに調達するといううわさはかねてからあり、新幹線製造で実績のある川崎重工業が受注することが当然視されていた。そこへまさかの国際入札。はたして、台湾高鉄は日本を見限ったのか。
▽川崎重工が追加製造オプションを持っていたが…
・台湾の高速鉄道は2007年に台北―左営(高雄)間が開業。もともとこの計画は、商社やメーカーで構成される日本連合と、ドイツやフランスのメーカーを中心とする欧州連合との間で争われ、1997年に入札額の低い欧州連合が優先交渉権を得た。しかし、1998年にドイツで高速鉄道ICEの脱線事故が発生したこと、そして1999年に台湾で大地震が発生し地震リスクが懸念されたことで、形勢が逆転。新幹線の安全性がクローズアップされ、最終的には、日本連合が車両や運行管理システムなど根幹部分の受注に成功した。
・高速鉄道車両「700T」は東海道・山陽新幹線「700系」をベースに開発された。川崎重工業、日本車輌製造、日立製作所の3社が2005年までに30編成を製造。その後、台北―南港間約10kmの延伸が決定し、2016年の延伸開業時には車両数が不足することから、川重が2012~2015年にかけて4編成の700Tを追加製造した。その際、台湾高鉄は将来さらに利用者が増えた際に生じる車両不足に備え、川重に700Tをさらに4編成追加製造するオプションを与えていた。
・こうした状況で突如浮上した国際入札。自然に考えれば、台湾高鉄は手続きの煩雑な国際入札ではなく、オプション契約を持つ川重に発注するのが利にかなう。しかし、「オプションは消滅してしまった」と川重の担当者は話す。
・たったの4編成。台湾高鉄がそれを川重への発注から国際入札に切り替えるのはなぜだろう。まず考えられるのは、同社が2015年に「実質国有化」されたことの影響だ。台湾高鉄は新幹線開業の遅れや運賃収入が当初計画を下回ったことから累積赤字が膨らみ、経営破綻の危機に陥っていた。そのため2015年経営再建を図ろうと、政府の出資を受け入れた。国の関与が強まったことから、従来の随意契約ではなく、透明性の高い国際入札が求められているという理屈は筋が通る。
・「日本メーカーの車両価格が高いので、国際入札に切り替えた」という見方も現地で出ている。台湾高鉄が2012~2015年に川重から調達した4編成の購入価格は66億台湾ドルとされる。当時の為替レートで1編成当たり45億円。東海道新幹線700系は1編成当たり約40億円で、確かに割高感はある。1編成当たりの車両数も700Tが12両、700系が16両で、台湾のほうが少ないことを考えれば、割高感はさらに強まる。
▽部品が調達できず、車両が造れない
・しかし、34編成がすべて日本製の同一車両なのに、追加の4編成だけをわざわざ国際入札で調達すると、車両の仕様が変わって運行管理やメンテナンスを煩雑にするだけだ。現行車両で統一しておくほうが格段に楽だということは誰にでもわかる。そもそも、経営破綻の危機から国有化された台湾高鉄であれば、新型車両を導入することで発生する余計な支出も避けたいはずだ。
・そんな中、事情をよく知る関係者が真相を明かしてくれた。「台湾高鉄は700Tを望んでいたが、必要な部品が調達できず700Tが製造できなくなったことが、国際入札に切り替わった理由だ」。 700Tのベースとなった700系は、N700系が登場するまで東海道・山陽新幹線の主力車両として活躍。約90編成が製造されたが、2006年に製造が終了。すでにN700系への置き換えが始まっており、2019年度までに700系は東海道新幹線から姿を消す予定だ。つまり700系自体が古いため、必要な部品がすでに存在しないというのはありうる話だ。そうはいっても、部品が足りないならまた造ればよいのではないかという気もする。だが、「造れない」ということで決着した。
・実は、造らないほうが得策という理由が日本側にはある。東海道新幹線で700系が新製から十数年で引退していることを考えれば、700Tも2020年代半ばまでに引退時期を迎える。そして、700Tに代わる新たな車両は、JR東海が現在開発中で2020年に営業運転を行う「N700S」をベースに開発されるというのが、最も有力なシナリオである。
・新幹線は車両ごとにコンバータや変圧器などの異なる床下機器が搭載されている。そのため東海道新幹線の標準である16両編成の列車から12両編成である台湾新幹線700Tを開発するためには、床下機器の再配置という開発工程が必要だった。
・N700Sは床下機器の小型・軽量化により、車両のバリエーションを大幅に削減。16両だけでなく、8両、12両といったさまざまな編成に対応できる(「JR東海・東日本、『新型』新幹線はこう変わる」)。つまり、N700Sをベースにすれば、700Tの開発で必要だった12両編成に対応させる改造工程が不要になり、車両の製造コストを下げられる。
・日本側のベストシナリオは4編成を新造せず、現行車両をフル稼働させることで当面は乗り切り、2020年以降にN700Sをベースとした新型車両を一気に受注するというものだ。しかし、台湾高鉄はそんな日本の思惑をくみ取ってくれなかった。
▽油断禁物、欧州勢が入札参加か
・現在の状況はどうなっているか。台湾高鉄は「各メーカーに意向を確認している段階で、まだ入札開始の予定は立っていない」としている。台湾高鉄の提案を受け独シーメンス、仏アルストム、あるいは中国中車といった世界のメーカーが採算性などの観点から入札すべきかどうか検討を行っているのだろう。日本が入札するとしたら、現行のN700系をベースに開発した車両ということになるだろう。では、その場合、日本に勝ち目はあるのだろうか。
・「心配はしていない。おそらく日本勢が選ばれるはず」と、前述の関係者は自信満々だ。欧州の技術は信用されていないからだというのだ。台湾の高速鉄道は、車両など根幹部分は日本製だが、欧州システムが採用されている部分もある。しかしドイツ製の分岐システムでトラブルが多発するなど、現場で欧州製のシステムに手を焼いているのは事実だ。仮に入札不調に終わったら、2020年以降に一気にN700Sベースを導入というベストシナリオが待っている。
・しかし、油断は禁物だ。前回、日本製に逆転受注を許した欧州勢にとって、今回の国際入札は雪辱戦である。わずか4編成だけを考えれば、うまみの少ない案件だが、これを落札すれば、将来の700Tの置き換えというビッグプロジェクトで、再び日本から主導権を奪い返す可能性があるからだ。価格が決め手になるのであれば、中国勢参入の可能性もゼロではない。
・アジアでは高速鉄道の導入を検討する国が多い。小型案件でも、他国に先駆け新幹線を導入した台湾の動向は、アジア諸国の高速鉄道戦略に大きな影響を与える可能性がある。日本にとっては気の抜けない戦いが続く。
http://toyokeizai.net/articles/-/201394

第一の記事で、 『早朝6時にブリストルを出発した上りの一番列車では、発車時刻の遅れ、天井から水が流れ落ちる、バイモードの故障など、いくつものトラブルが発生していた』、というのは締まらない話だ。幸い、『GWRはツイッターで「メーカーである日立の素早い対応に感謝する」という声明を発表している』、というのhがせめてもの救いだ。
第二の記事で、 『住民が作った勝手踏切(PT KAIは黙認している)が多数設置されており、その数は把握されていない。現実的には踏切を撤去するのではなく、線路脇に横断者が出ないようにさくを設置し、歩道橋を架けることになろう』、『どうもインドネシアでは信号保安に対する認識が極めて低いようで、議題に上がっているようには見受けられない。現在、当地鉄道信号は三灯式で、停止・注意・進行の現示しか出せない。少なくとも制限現示や高速進行現示を表示可能にせねばならないのだが、インドネシア側から不要と却下されそうで、笑うに笑えない』、『北本線には雑多な行先、種別、速度の列車が入り乱れて走ることになるのだ。すべてが高速化されると思ったら大間違いである』、『いい加減な予算では日本メーカーは入札しない』、安全に対するインドネシア側の意欲は低いようだが、それを前提に、いいかげんな工事を行い、事故を起こした場合には、日本側が免責される訳ではなく、非難の矢面に立たされこととなろう。安全性を十分に確認した上で、受注すべきだ。結果的に、安い中国などに受注をさらわれても、それでよしとすべきだ。
第三の記事で、『34編成がすべて日本製の同一車両なのに、追加の4編成だけをわざわざ国際入札で調達すると、車両の仕様が変わって運行管理やメンテナンスを煩雑にするだけだ。現行車両で統一しておくほうが格段に楽だということは誰にでもわかる。そもそも、経営破綻の危機から国有化された台湾高鉄であれば、新型車両を導入することで発生する余計な支出も避けたいはずだ』、というのは日本側の楽観的観測に過ぎない。『「台湾高鉄は700Tを望んでいたが、必要な部品が調達できず700Tが製造できなくなったことが、国際入札に切り替わった理由だ」。700Tのベースとなった700系は、N700系が登場するまで東海道・山陽新幹線の主力車両として活躍。約90編成が製造されたが、2006年に製造が終了。すでにN700系への置き換えが始まっており、2019年度までに700系は東海道新幹線から姿を消す予定だ。つまり700系自体が古いため、必要な部品がすでに存在しないというのはありうる話だ。そうはいっても、部品が足りないならまた造ればよいのではないかという気もする。だが、「造れない」ということで決着した』、のであれば、これも無理をせず、自然体で臨むべきではなかろうか。
タグ:部品が足りないならまた造ればよいのではないかという気もする。だが、「造れない」ということで決着し 同社が2015年に「実質国有化」されたことの影響 台湾高鉄は700Tを望んでいたが、必要な部品が調達できず700Tが製造できなくなったことが、国際入札に切り替わった理由だ 34編成がすべて日本製の同一車両なのに、追加の4編成だけをわざわざ国際入札で調達すると、車両の仕様が変わって運行管理やメンテナンスを煩雑にするだけだ 369両 都市間高速鉄道計画(IEP) 日立製作所 「クラス800」と呼ばれる車両 鉄道運行会社グレートウェスタン鉄道(GWR) 東海岸本線を運営するヴァージントレインズに497両 パディントン駅 ディーゼル発電機の搭載で非電化区間への乗り入れもできる「バイモード」が最大の特徴 今回の新型車両導入はあくまで「既存車両の更新」であって、スピードアップを図る目的で製造されたものではない 「日立「英国高速車両」は、トラブル続出だった 天井から水が流れ落ち、列車は大幅遅延」 (その5)(日立「英国高速車両」はトラブル続出だった、日本企業が入札できない?鉄道輸出の矛盾点 インドネシア案件 調査は日本の担当だが…、台湾新幹線 「たった4編成」国際入札のナゼ) 東洋経済オンライン トレインマネジメントシステムにかかわるもの インターシティ125 「台湾新幹線、「たった4編成」国際入札のナゼ 新型N700Sの登場を待てず日本を見限ったか」 北本線には雑多な行先、種別、速度の列車が入り乱れて走ることになるのだ 貨物列車の存在も厄介 全部インドネシア側にやらせれば良いのではないかと筆者は感じている 北本線はジャカルタを起点とした先細りダイヤである。だから、東京―新大阪間のようなビジネス需要などない いい加減な予算では日本メーカーは入札しない インドネシアの希望により円借款ではなく、官民パートナーシップ(PPP)により推進される見込み インドネシアでは信号保安に対する認識が極めて低いようで、議題に上がっているようには見受けられない 住民が作った勝手踏切(PT KAIは黙認している)が多数設置されており、その数は把握されていない。現実的には踏切を撤去するのではなく、線路脇に横断者が出ないようにさくを設置し、歩道橋を架けることになろう スラバヤ ジャカルタ 日本の円借款プロジェクトにて、架橋修繕・線形改良・路盤改良などが進められ、2014年9月に全線の複線化が完成 ジャワ北本線 自然に考えれば、台湾高鉄は手続きの煩雑な国際入札ではなく、オプション契約を持つ川重に発注するのが利にかなう。しかし、「オプションは消滅してしまった」と川重の担当者は話す 台湾の高速鉄道車両は34編成すべてが日本製。日本にとっては、新幹線の海外展開の成功例という位置づけだ 運営会社・台湾高速鉄路から、高速鉄道車両4編成を国際入札方式で調達するという話が今年7月に飛び出した 日本の新幹線技術を導入して運行 台湾新幹線 「日本企業が入札できない?鉄道輸出の矛盾点 インドネシア案件、調査は日本の担当だが…」 バイモード機能の「切り替わり」がうまく作動しなかった GWRはツイッターで「メーカーである日立の素早い対応に感謝する」という声明を発表している 空調の水冷に使う水の排水管の先端に逆流防止弁があるが、それがうまく働かなく、たまりすぎてあふれてしまったため 3つの問題が起きた 早朝6時にブリストルを出発した上りの一番列車では、発車時刻の遅れ、天井から水が流れ落ちる、バイモードの故障など、いくつものトラブルが発生していた インフラ輸出
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