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電気自動車(EV)(その6)(トヨタが「中国電池」に頼らざるをえない理由 中国大手CATL・BYDが世界の電池市場を寡占、ダイソンがEVから撤退せざるをえなかった理由 テスラが築いた「高くて構わない」はもう飽和、ノーベル賞「吉野彰氏」が描くEV用電池の未来図 2025年までは間違いなく市場拡大していく) [技術革新]

電気自動車(EV)については、昨年8月16日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その6)(トヨタが「中国電池」に頼らざるをえない理由 中国大手CATL・BYDが世界の電池市場を寡占、ダイソンがEVから撤退せざるをえなかった理由 テスラが築いた「高くて構わない」はもう飽和、ノーベル賞「吉野彰氏」が描くEV用電池の未来図 2025年までは間違いなく市場拡大していく)である。

先ずは、みずほ銀行法人推進部 主任研究員の湯 進氏が6月15日付け東洋経済オンラインに掲載した「トヨタが「中国電池」に頼らざるをえない理由 中国大手CATL・BYDが世界の電池市場を寡占」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/286333
・『2019年6月7日、トヨタが中国リチウムイオン二次電池(LIB)大手の寧徳時代新能源科技(CATL)、比亜迪(BYD)などと協業すると発表し、複数メーカーから電池調達する方針を示した。日産、ホンダとの提携に加え、日本自動車メーカーの中国電池頼りの姿勢は鮮明となった。 今年から実施した中国のNEV(新エネルギー車)規制により、乗用車メーカーに一定台数のNEV生産の義務づけられた。仮に中国で日本勢がガソリン車500万台を生産する場合、発生する10%相当分の50万クレジットを確保するには、すべてEVの生産で対応するならばEVを10万台(航続距離の条件は350km)、全てPHVならばPHVを50万台(同5km超)生産しなければならない』、「中国のNEV規制」はさすが社会主義国ならではだ。
・『車載電池の安定調達は喫緊の課題  一方、今年1~4月のNEV生産実績では、一汽トヨタが4232台、広汽本田が906台、東風日産が900台にとどまる。各社はNEV生産を急ピッチで進める必要があり、なかでも車載電池を安定調達することが、日本勢にとって喫緊の課題だ。 LIBはソニーが1991年に世界に先駆けて実用化し、日本の「お家芸」とされてきた。2011年以降、韓国企業の台頭により、世界市場でパナソニックとLG化学、サムスンSDIの日韓企業のトップ争いが行われていた。日本では、「中国製EV電池の安全性と信頼性を保証できない」といった論調が多い。ところが中国で、日本車メーカーが相次いで“地場電池メーカー詣で”になった。 1つ目の要因は外資電池メーカーの排除政策だ。「LIB市場を制するメーカーがEV市場を制する」との認識の下、中国政府は、特定メーカーのLIBを搭載することがNEV補助金を支給する条件であると規定。2016年には認定された地場LIBメーカー57社を「ホワイトリスト」に登録した。 この規制により、サムスンSDIとLG化学の中国工場の稼働率は一時10%程度に落ち込み、SKイノベーションは北京工場を閉鎖した。パナソニックの大連工場では中国市場向けのEV電池生産が行われなかった。現在に至るまで外資系LIBメーカーが中国乗用車市場に参入することは依然として難しい状況にある。 一方、中国政府が2017年からLIB分野における外資の独資を容認し、2019年にはLIB産業を外資投資の奨励産業分類に格上げ、外資政策の転換を行った。またこれまで外資系電池メーカーの参入障壁だった「ホワイトリスト」が、NEV補助金政策の中止に伴い、2021年に事実上撤廃されることが決まった』、中国政府が地場優先から、外資系にも門戸を突如開いたのは、地場が力を付けてきたためなのだろうか。
・『中国地場メーカー、創業7年で世界トップに  ところが、LIBの大規模増産のために必要な資金は巨額であり、回収期間も長い。産業政策に翻弄される外資系LIBメーカーが生産能力とコスト面において、地場LIBメーカーに追随し難い状況となっている。今後中国におけるトヨタのLIB需要を勘案すれば、パナソニック1社で賄い切れるような量では到底ない。このような状況を鑑みて、トヨタは中国で必要なLIBを複数メーカーから調達する意向を示した。 2つ目の要因は地場電池メーカーの成長だ。中国国内の需要増が地場メーカーを世界トップに押し上げた。CATL、BYDなど地場メーカー7社が2018年のLIB出荷量世界トップ10にランクイン。創業わずか7年のCATLが、パナソニックを抜き2年連続で世界首位となった。2012年に開始した独BMWとの協業は技術力とブランド力の向上を果たし同社のターニングポイントであった。 2018年には独ダイムラーとVWへのLIBの供給が決定。また、CATLは安全・信頼性の高いLIBの設計・開発や過酷な条件での限界試験に力を入れ、品質に厳しい日本の自動車メーカーとの取引を増やしている。現在、CATLは中国自動車主要5グループとそれぞれ車載電池開発・生産の合弁会社を設立し、外資系を含む自動車メーカー30社以上に電池を供給している。 自動車メーカーとの水平分業型戦略を採用したCATLに対し、LIB世界3位のBYDは、自社ブランドのNEVにセルを供給する垂直統合型戦略を採用した。セルから電池バック、BMS、車両を内製することにより、低コスト生産を実現した。2019年、BYDはLIB事業を独立させ、生産能力(60ギガワット時)の引き上げや他社向けの販売など、LIB事業のさらなる拡大を企図している。 中国政府は2019年のNEV補助金額を前年比で大きく減額した。航続距離の長い電池を搭載すれば、多額なNEV補助金を獲得できるため、NEVメーカーの電池調達先は大手電池メーカーに集中する傾向だ。2019年1~5月の中国LIB市場シェアを見ると、1位のCATLと2位のBYDの合算シェアは75%、業界の寡占化が進んでいることがわかる』、「CATL、BYDなど地場メーカー7社が2018年のLIB出荷量世界トップ10にランクイン。創業わずか7年のCATLが、パナソニックを抜き2年連続で世界首位となった」、地場企業の優遇、多額の補助金、などがあったにせよ、短期間での成長ぶるには改めて驚かされる。
・『24時間稼働でも受注に対応しきれず  現在、CATLは生産ラインが24時間稼動しているにもかかわらず、受注に対応しきれない状況だ。筆者は51歳の曽毓群(ロビン・ツォン)会長とは数回雑談する機会があったがこれまでの成長を自慢することなく、政府補助金がなくなれば真っ正面から有力外資メーカーに向き合わざるをえなくなる危機感をもちながらも、技術力のさらなる向上を強調した。 この数年でLIB産業は製造技術の進歩に伴い、液晶パネルと同様に巨大な設備投資を求める装置産業となっている。豊富な資金を持つ中国企業が政府の支援を受け、生産能力を急拡大し、技術優位にあった日韓企業を凌駕する勢いをみせた。 現在中国には、質と量の両面を追おうとするLIBメーカーが多く、技術力が高いメーカーが限られている。今回発表されたトヨタの中国2社協業は、中国大手電池メーカーにとって、ドイツ勢に続き日本自動車ビッグスリーへの供給を果たし、グローバル競争に向けて大きな一歩を踏み出したといえよう』、「24時間稼働でも受注に対応しきれず」、当面は中国国内向けで手一杯のようだが、今後、補助金が削減されると、海外に打って出ることになるとみられ、要注意である。

次に、自動車関連情報の編集プロダクションであるグラニテ代表の池田 直渡氏が10月25日付け東洋経済オンラインに掲載した「ダイソンがEVから撤退せざるをえなかった理由 テスラが築いた「高くて構わない」はもう飽和」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/309908
・『イギリスの家電大手、ダイソンはEV(電気自動車)の開発から撤退することを発表した。 従来の内燃機関に比べれば、EVは部品点数が圧倒的に少なく、技術蓄積が必要なくなるとする見方から、「EVの時代になれば、参入障壁が下がり、既存自動車メーカーのアドバンテージが失われ、新興の異業種からの活発な事業参入が見込まれる」という説が巷間をにぎわした。コンペティターが増えることで価格競争が進み、車両価格は数分の1に下がるとする意見も根強かった。 すでに家電の世界で先行していたように、いわゆる垂直統合型から水平分業型への構造移行が進むとされていた。そしてまさに異業種からの参入の旗手と目されてきたのがダイソンであった。 創業者のジェームズ・ダイソン氏はEV開発プロジェクトで開発中の車両がすばらしいものであったことを強調するが、現実的に事業の採算見通しが立たず、事業の売却にも買い手がつかなかったという。 しかし、その話は矛盾する。すばらしい製品だが採算が合わず、かつ事業の引き受け手もいないという条件は不自然である。 おそらく、ダイソンはEVのマーケット構造変化についていけなかったものと考えられる。順を追って説明しよう』、ダイソンがどんなEVを作るのかと期待していただけに、撤退のニュースにはがっかりした。
・『そもそもEVとは何なのか?  EVの目的は温室効果ガスを削減することにある。これが第一義で圧倒的に大事。社会の使命として可能な限り早く化石燃料の使用をやめなければならないからこそのEVである。 内燃機関との比較上でのEVのメリットはいくつかあるが、上述の化石燃料廃止の手段という存在異(正しくは:意)議と、それ以外は少し階層が違う。言ってみれば嗜好性的な領域である。 例えばEVならではの運転フィールがある。モーターの特性を生かした瞬間的な加速力。かつてのアメリカ車が自慢のV8ユニットの加速力を広告で「Kicking Asphalt(キッキング・アスファルト)」とうたったように踏んだ瞬間の異次元の加速力は魅力の1つだろう。3つ目は静粛性、内燃機関と比べると圧倒的に静かで洗練されている。 社会的役務を背負い、商品として独特の魅力も備えるEVは、しかしながら今のところ、世の中の期待ほどには普及していない。 EVは2018年のグローバル販売台数実績で121万台。自動車全体におけるトータルシェアは1%少々。それが現実だ。新聞やテレビで頻繁に聞くEV新時代の話とはだいぶギャップを感じるだろう。 結局のところ、1%ちょっとのシェアという厳然たる事実がすべてなのだが、それではニュースバリューがない。なので部分に注目してトリミングして見せることになる。 例えばノルウェーだけを抜き出せば「環境先進国では3台に1台はEVだ」とも言えるし、20年前にはクルマそのものがほぼないに等しかった中国の伸び率を延長線で伸ばしていけば「●●年には内燃機関を抜く」と書くのも簡単だ。トリッキーなトピックの作り方をしないと話題にならず、やろうとすれば扱い易い特性を持つ素材でもある。要するにニュースの編み方にモラルハザードを起こしやすいのだ』、グローバルで「1%ちょっとのシェアという厳然たる事実がすべて」、「要するにニュースの編み方にモラルハザードを起こしやすい」、とは、さすが、「自動車関連情報の編集プロダクション」でメシを食っているだけある。
・『EVの実績が伸びない理由  しかし、そもそもなぜ世界の期待を集めるEVが1%少々の実績に甘んじているのか? 実は自動車の黎明期からEVは存在した。しかしほとんど見向きもされずに内燃機関の時代が続いたのである。問題の本質は当時から同じだ。エネルギー密度が低い。つまり「重量当たりのエネルギー量が少ない」。 クルマに仕立てるには航続距離が足りない。足りるようにするためには大量のバッテリーを搭載せねばならず、そうすると重いし高価になる。 「いやいや、エネルギー密度は目覚ましく改善されている」と反論する人が世の中にはいて、それは必ずしも間違ってはいない。そのあたりにかろうじてメドがついたからこそ10年ほど前から各社がEVをリリースし始めたのだ。100年前と比べれば進歩がすさまじいのは認めよう。 だが、商品として適正なバランスに達するには、まだあと100倍くらい進歩が必要だ。今の10倍ではまだ厳しい。EVは必須の技術であり、今後も継続的に開発投資が進むだろうが、2年や3年でどうにかなるレベルにはない。早くとも2030年くらいまではかかるのではないか。 2019年の今、EVのバッテリーは1台分で200万円から300万円くらいのコストと言われている。バッテリーだけでは走れないから、クルマに仕立てるとどうやっても350万円くらいにはなってしまう。 だからまじめにバランスのよいクルマを作ろうとすればするほど、お値段はお高め、航続距離は少しやせ我慢して「わりと余裕ですよ」と言えるくらい、装備は少し悲しめのEVが出来上がる。バッテリーが高いのがすべて悪い。このトラップから誰が抜け出せるかのレースが今のEVマーケットの本命だ』、「商品として適正なバランスに達するには、まだあと100倍くらい進歩が必要だ。今の10倍ではまだ厳しい。EVは必須の技術であり、今後も継続的に開発投資が進むだろうが、2年や3年でどうにかなるレベルにはない。早くとも2030年くらいまではかかるのではないか」、そんなにかかるというのには驚かされた。「まじめにバランスのよいクルマを作ろうとすればするほど、お値段はお高め、航続距離は少しやせ我慢して「わりと余裕ですよ」と言えるくらい、装備は少し悲しめのEVが出来上がる。バッテリーが高いのがすべて悪い。このトラップから誰が抜け出せるかのレースが今のEVマーケットの本命だ」、確かにその「レース」は見物だ。
・『テスラの発明  これらの状況を一点突破で見事にぶち破って見せたのがテスラで、彼らのコロンブスの卵は「高くていいじゃん」だった。それならば存分にバッテリーを搭載し、装備もガジェット好きのハートを打ち抜くようなギミックをモリモリに搭載できる。 まじめな自動車エンジニアが「環境のためのEVなのだから」と爪に火をともすようにバッテリー電力を節約するのを尻目に、EVはゼロエミッションだからどんなに電気を使ってもおとがめなしとばかりに、時速100キロまで3秒の加速でキャラクターを打ち出す。発電所が温室効果ガスを出すのは発電所の問題なので、クルマ側の問題ではない。そう割り切った。 こうやってプレミアムEVというジャンルを確立したテスラによって、EVは商品として初めて注目を集めることになったのだ。初めて客に喜んで買ってもらえるEVを製品化したという意味でテスラの功績は計り知れない。 ただし、それが環境社会の求めているEVかといえばそうではない。富裕層が求める新しモノとしての需要を喚起したにすぎない。つまりグローバル環境が求めているEVと脚光を浴びているプレミアムEVは、本当は同じものではない。そこにねじれ構造がある。 整理しよう。現在ビジネスモデルとして成立しているのはテスラのようなプレミアムEV。儲かりはしないけれど、人類の責任として未来のために必要なのが日産自動車「リーフ」のようなバランス型EV。 そしてもう1つ下に都市内交通として短距離に特化したEVがある。例えばセブン-イレブンの配達用に使われている安価な1人乗り超小型EV「コムス」。コムスは現状のバッテリーの性能を前提に考えれば、EVとして論理的に最も正しい解だと思うが、商品性はないに等しい。 ダイソンがこのうちどれをやろうとしたか?おそらくはテスラと、リーフとの間を狙っていたと思う。利益を出そうと考えればそこしかない。 しかしながら、この数年でその環境が激変した。プレミアムEVはもうレッドオーシャン化まっしぐらだ。既存の自動車メーカーが、グローバルな各種温室効果ガス規制を課せられた結果、プレミアム系の自動車ブランドは全社漏れなくそのマーケットへと転進を余儀なくされた。 テスラが見つけた正解「高くて構わない」が客に言えるブランドにしてみれば、従来よりケタ違いに速いEVスーパースポーツを作れば一定数売れるのは明らかなのだ。 すでにポルシェはタイカンを、ジャガーはI-PACEをデビューさせているし、フェラーリもアストンマーチンもロータスも、軒並み超高性能EVをリリースする。ランボルギーニはBEVは作らないそうだが、フォルクスワーゲングループの一員なのでポルシェ・タイカンのコンポーネンツはいつでも使える。PHVの計画はすでに発表済みだ。もちろんすでに先行しているベンツ、BMW、アウディもラインナップを増やしてくるだろう。 掃除機ではハイブランドのダイソンだが、これらの名門ブランドと並べて選ばれるものに仕立てるのは難しい。加えて、ポルシェやジャガーはすでにそれぞれの伝統の乗り味をEVで再現するモデルを送り出し始めており、戦いは自動車としてのブランドアイコンを持たない新参メーカーにはすでに太刀打ちできない領域に入っている』、「戦いは自動車としてのブランドアイコンを持たない新参メーカーにはすでに太刀打ちできない領域に入っている」、ダイソンが撤退せざるを得なかった事情がよく分かった。
・『すでに旧来の自動車メーカーが群雄割拠状態  プレミアムEVが無理ならと言って、リーフのクラスは体力ゲージによほど余裕がないと入っていけない。バッテリー性能が向上するまでひたすら赤字を垂れ流しつつ、マーケットに実績を作り続けるしかないが、野球に例えれば、現在守護神と目される「全固体電池」がマウンドにやってくるのはどんなに早くても2025年以降になる・・・かといって、コムスのクラスはあまりにも地味で、ビジネスの成功も難しいだけでなく、それ以前に参入のメリットが少ない。ユニコーン企業になれる雰囲気は皆無だし、出資者から見てもわくわくしないだろう。 だめ押しのようだが、バッテリーとモーターさえあればクルマが作れるわけではなく、衝突安全などにも高度なノウハウが必要なことは、「EVブームの論調に踊る人がわかってない本質」(2018年4月24日配信)でも解説したとおりだ。 そもそも内燃機関がなくなっただけで誰でもクルマが作れるということ自体幻想であり、車体設計こそノウハウの塊だ。むしろ内燃機関は完成品を売ってもらうこともできるし、技術会社に設計と生産を委託することも可能だ。 全体を俯瞰的に捉え直すと、こういうことだ。社会に最も求められる商品は、バッテリー価格が問題で商品性に難があり、じっと技術革新を待っている。 それをクリアできるのが、高価であることを許容してくれるプレミアムEVのマーケットだが、すでに旧来の自動車メーカーが群雄割拠状態にあり、新参での参入はだいぶ厳しい。いちばん現実的な都市内トランスポーターの類いは、個人ユーザーが買いたくなりそうもない。 さて、ここで突如全員を出し抜いて出てくるのがトヨタだ。テスラが「高くて良いじゃん」でプレミアムEVを発明したのと同じく、トヨタもまた1点突破を成し遂げた。「航続距離要らないじゃん」。ただしこれはもう少し複雑だ。 トヨタはこう考えたのだ。結局バッテリーが高いのが問題だ。それはそれで価格低減に向けての努力は進めていくとして「トヨタはEVに不まじめだ」という声もすでに無視できない。すぐに出せる商品がないと批判の嵐が止まない。 かと言って、今さらリーフクラスのEVを出しても、あの池には大して魚がいないことは多くのメーカーが身銭を切って証明済みで、絶望感の漂ういす取りゲームにわざわざ参入する意味はない。 結局はバッテリー価格が問題なんだったら、小型バッテリーでもOKな、航続距離のいらないユーザーに向けたクルマを作ればいいじゃないか?ビジネスニーズは航続距離を必要としない。100キロ走れば十分だ。都市内の移動なので最高速度も60キロでいい。それなら200万円もあれば十分だろう。あるいは150万円でも可能かもしれない』、「そもそも内燃機関がなくなっただけで誰でもクルマが作れるということ自体幻想であり、車体設計こそノウハウの塊だ」、誤解を見事に解いてくれた。トヨタが慎重にEV市場を見極めて、「航続距離要らないじゃん」で「1点突破を成し遂げた」、巧みな二番手戦略だ。
・『ダイソンにはなくてテスラとトヨタにあるもの  そうなるとトヨタは強い。営業が全力を挙げてEVビジネスカーの需要を探る。例えば東京電力を筆頭とする電力会社の営業車とか、官公庁の公用車、郵政や銀行や保険などの公益性の高い事業主体は、可能であればEVを採用したいと考えている。そしてこれらのビジネスユーズは安定的需要があり、定期的に必ず車両入れ替えが起きる。 ただし現在、軽自動車で足りているそれを置き換えるものとして350万円のEVでは無理だ。つまり妥当な価格ならば本当はEVにしたいというニーズがほったらかしになっていたのである。 トヨタはすでにどこの社のどの営業所に何台というレベルで台数を読んでいると思われる。考えてみればまさにトヨタ生産方式。「売れた分だけ作る」とはこのことだろう。 ダイソンは3つあるEVのクラスの1番上に商機ありと見て参入したが、そこは誰の目から見てもいちばんおいしそうに見えるマーケットゆえに一瞬にしてレッドオーシャン化した。 損切りをして撤退した判断はさすがと思うが、やはりゲームチェンジャーにはなれなかったことは大きい。プレミアムEVでテスラが、ビジネスEVでトヨタがやって見せたゲームチェンジャーの指し手をダイソンは打ち込めなかったのである』、トヨタが「ビジネスEV」を展開していく上では、その強い営業力が大いに寄与するのだろう。EVを巡る競争が分野別に整理され、理解しやすかった。

第三に、10月11日付け東洋経済オンライン「ノーベル賞「吉野彰氏」が描くEV用電池の未来図 2025年までは間違いなく市場拡大していく」を紹介しよう(Qは聞き手の質問、」Aは吉野氏の回答)。
https://toyokeizai.net/articles/-/307914
・『10月9日、スウェーデン王立科学アカデミーは今年のノーベル化学賞受賞者を発表。受賞者は旭化成の吉野彰名誉フェロー、米テキサス大学のジョン・グッドイナフ教授、米ニューヨーク州立大学のマイケル・スタンリー・ウィッティンガム卓越教授の3人で、リチウムイオン電池の開発で主導的な役割を果たしたことが評価された。『週刊東洋経済プラス』で公開している吉野氏の1万字インタビューの一部を掲載する。 Q:リチウムイオン電池は今やIT機器だけでなく自動車にも。例えば、米テスラの電気自動車(EV)には円筒型のリチウムイオン電池が何千本も入っています。 A:そうです、そうです。いわゆる「18650」というノート型パソコンに使われているものですけどね。これはもう25年ぐらい実績があって、性能も最高レベルに達していて、なおかつ値段が非常に安い。それをたくさん搭載して繋ぐというのは、1つの考え方やね。 何千本もの電池をつないできちんと機能させるためには、バッテリーマネジメントが非常に難しいんです。だから、テスラはそういう技術を持っていたということなんでしょう。 ただ、未来永劫そのやり方がメインストリームになるかどうかはわかりませんけど』、「何千本もの電池をつないできちんと機能させるためには、バッテリーマネジメントが非常に難しいんです」、なるほど、初めて知った。
・『車載用の市場は小型民生用をちょっと追い越している  Q:角型のリチウムイオン電池のほうは多くのハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)に使われています。その良さは何でしょうか。 A:これもメリット、デメリットがあるんです。 メリットは当然大きな電池を一つ作るほうが、小さな乾電池50本分ぐらいに相当するのかな。要は作るのは楽ですわね。直列、並列にはつなぐんだけども、つなぐ数が少なくて済みますから、バッテリーマネジメントが楽です。 デメリットとしてはまだ大型のリチウム電池はあまり市場の実績がないから、どうしても安全に気をつかって設計せんといかんですよね。本当はエネルギー密度を上げられるんだけど、いきなり無理して上げるわけにもいかない。そうすると、ちょっと性能的には落ちますし、値段的にも当然ね(高くなる)。これから作っていく段階だから、値段もそんなに下がっていない。ちょうど(円筒型と)裏返しの関係ですよね。 今のようなEVが本格的に世の中に出てきたのは2010年前後で。三菱自動車の「アイ・ミーブ」と日産の「リーフ」。たぶんそこがスタートなんです。そこから7、8年が経過して、2017年で小型民生用とほぼ一緒になり、ちょっと車載用が追い越したともいわれる状況なんですよね。 Q:マーケットのサイズが? A:そうです、そうです。じゃあこれから先どこまで増えるのか。まあ、当然増えていくんですけど。今のところ間違いないと言われてるのが2025年で、だいたい小型民生用の10倍ぐらい。そこまでは技術的にもこれでいけそうですね、数量的にもそのあたりは見えてますね、となっている。 じゃあ2025年以降にどうなっていくのかは、たぶんいろんな見方がある。2025年で小型民生用の10倍になる規模というのは、車全体のだいたい15%ぐらいなんですよ。もしそれが100%になったら約6倍だから、小型民生用の60倍になる。それが本当に実現できるのか、あるいは別のシナリオがあるのか。そこが今、議論の争点になってると思います。 Q:部材が足りるのかなど、いろんな論点があります。 A:だから、資源の問題も含めて、現実として2025年がある意味でギリギリのライン。 Q:足元でも、中国の企業がコバルトの採掘場を買収するなど、資源を囲い込むような動きがあります。 A:2025年まではそれほど大きな問題にはならないんだけども、とはいえどうしても投機的な問題が出てきますよね。絶対量としては問題ないんだけども、やはり資源価格が高騰していくとかね。したがって、市場規模が2025年レベルまでいくとしても、それ以降はやはり何らかのリサイクルとか、本当にそういうことが大前提になってくると思います』、「2025年で・・・小型民生用の60倍になる。それが本当に実現できるのか、あるいは別のシナリオがあるのか。そこが今、議論の争点になってると思います」、確かに何らかのブレークスルーが必要になりそうだ。
・『日産リーフの航続距離も当初から2倍に延びた  Q:価格は今後、下がっていくものでしょうか。 A:大型が作られてもうすぐ10年になるので、コストもどんどん下がってきていますし、当然、技術も向上してきています。実際に作っていくと、エネルギー密度の考え方とか、ある程度のツボがわかってくる。例えば、最初に発売された日産のリーフは1回の充電で走行距離が200キロメートルでしたが、今では2倍の400キロメートルほどになりましたよね。 Q:大型の角型電池が円筒型のコストパフォーマンスに近づいてくるのは、どんな要因が大きいのでしょうか。 A:一つは材料です。正極にしても負極にしても、これを改良することでエネルギー密度も上がるし、なおかつ値段も下げますと。どちらかというと材料メーカーの努力です。 もう一つはさきほど言った設計。実際に材料を使って電池にするときに、当初は安全サイド、安全サイドという観点で設計せざるを得なかったんでね。ただ、(生産を重ねていくうちに)ここはちょっともう少し無理がききますねとかが分かってくる。そのあたりはいわゆる電池メーカー、もしくは自動車メーカーの努力でしょうね、「コスト」削減には、「材料」と「設計」がカギになるようだ。一層のコスト削減努力に期待したい。
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人工知能(AI)(その8)(「機械に大半の仕事を奪われる」説の大きな誤解 日本人が「デジタル失業」しにくい5つの理由、「中国発AI」で、通訳も速記も もう必要ない ファーウェイやBATを超える ものすごい企業、AIが生み出す「不条理な没落」にどう対峙すべきか、養老孟司氏:AIと日本人) [技術革新]

人工知能(AI)については、昨年12月20日に取上げた。今日は、(その8)(「機械に大半の仕事を奪われる」説の大きな誤解 日本人が「デジタル失業」しにくい5つの理由、「中国発AI」で、通訳も速記も もう必要ない ファーウェイやBATを超える ものすごい企業、AIが生み出す「不条理な没落」にどう対峙すべきか、養老孟司氏:AIと日本人)である。

先ずは、4月8日付け東洋経済オンライン「「機械に大半の仕事を奪われる」説の大きな誤解 日本人が「デジタル失業」しにくい5つの理由」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/275351
・『95.4%――。これは野村総合研究所が2015年に発表した、「日本におけるコンピューター化と仕事の未来」というイギリス・オックスフォード大学との共同研究における、「タクシー運転手」の今後10~20年後の「機械による代替可能性」である。同研究では、職業がAI(人工知能)やロボティクスなどの機械によってどれだけ代替されるかを検証した。 本当に95.4%という高確率でタクシー運転手という職業が機械に代替されるのか。確かに、自動運転が実用化されたら、無人タクシーは普及する可能性が高い。すでにタクシー大手の大和自動車交通は、昨年から公道や住宅地で自動運転の実証実験を開始。「限定区域内での自動運転タクシーの実現は近い」と同社の前島忻治社長は語る。 ただ、「安全・安心を今以上に担保するために、しばらくは乗務員が同乗することになる」と、前島社長は釘を刺す。公道ではどんな危険が待ち受けているかわからない。しばらくは非常時のトラブル対応が乗務員の仕事になるという。さらに、高齢者が多く利用する過疎地では、「(乗客との)コミュニケーション力が必要になる。運転スキルより、心理学や接客の心得がある人材が必要になる」(前島社長)。 加えて無人化が実現すると、タクシー会社には車内や周囲の状況を、カメラを通じて監視する仕事が生まれると予想される。その場合、一定数の運転手は、そうした新たな職業にシフトする可能性がある。それも考慮すると、タクシー運転手という職業の95.4%が機械に代替されるという予測は、現実とはギャップがあることがわかる』、確かに「AI(人工知能)やロボティクスなどの機械によってどれだけ代替されるか」というのは難しい問題のようだ。
・『「AIに仕事を奪われる」説が横行  『週刊東洋経済』は4月8日発売号で「AI時代に食える仕事食えない仕事」を特集。そこでは多くの人にとって身近な18職種の自動化の影響を、取材に基づき検証している。 野村総研の予測値は、専門家が設定した特定の職業における自動化の傾向をAIに学習させ、他の職業に当てはめることで導き出した。これは2013年、英オックスフォード大のカール・B・フレイ博士とマイケル・A・オズボーン准教授が発表した「雇用の未来」という研究論文と同様の手法を用いている。 同論文では、「アメリカでは10~20年以内に労働人口の47%が機械に代替されるリスクが高い」と発表。その反響は大きく、当時「47%」という数値と併せ、「AIに仕事を奪われる」といったセンセーショナルな報道が繰り返され、「AIによる職業消滅論」の関連書籍の発刊も相次いだ。 ただその後、専門家の間では同リポートの問題点を指摘する声が次々と上がった。経済産業研究所の岩本晃一上席研究員は、「47%という数値は特殊な前提での予測。雇用の未来の研究では、その後に研究結果を発表した独ZEW研究所のメラニー・アーンツ氏らの貢献のほうが大きい」と指摘する。 アーンツ氏らの研究結果の特徴は、オズボーン氏らのリポートが考慮していなかった「タスクベース」の変化を踏まえたもの。本来、仕事はさまざまな業務(タスク)の積み重ねである。いくら自動化が進んでも、実際には職業そのものが機械に置き換わるわけではない。その一部のタスクが置き換わっていくのだ。 OECD(経済協力開発機構)は、アーンツ氏らのそうした現実を踏まえた研究結果を基に2016年にリポートを発表。そこでは、自動化の可能性が7割を超える職業はOECD21カ国平均で「9%」という予測値が掲載された』、どんな方法論でやるか如何で、試算の数字は大きく異なるようだ。
・『「未来の仕事のデータは存在しない」  しかし、アーンツ氏らの研究結果にも加味されていない要素がある。その1つは「現実社会では新しい仕事が生まれる」ことである。前述のタクシー運転手の「カメラを通じて監視する仕事」がこれに当たる。 野村総研リポートを担当した上田恵陶奈上級コンサルタントも、「未来の仕事のデータは存在しないため、調査においては、現状の仕事が未来永劫変わらないとの前提を置いた。しかし、時代とともに仕事は変わる。定量的予測にはどうしても限界がある」と話す。それでも調査を実施した狙いについて、「将来の労働力不足を踏まえ、自動化による仕事の代替の可能性を検証しようとした」(上田氏)と振り返る。 では実際、職業の自動化による影響はどのように表れるのか――。現実社会を見据えると、上記の①「職業はタスクベースで変化する」、②「新しい仕事が生まれる」という要素以外にも、これまでの定量予測には含まれていない3つの要素がある。それは③「技術進化&コストの影響」、④「人材需給の影響」、そして⑤「社会制度や慣習の影響」である。 これまでの「AIによる職業消滅論」の多くでは、AIやロボット技術が、想定されるかぎり進化することを前提に、職業への影響を予測している。しかし、技術進化は一足飛びには進みにくい。その実現のスピードに加え、コストとの見合いで導入するメリットがあるかが、普及のカギを握る。それが③「技術進化&コストの影響」である。 ④「人材需給の影響」はどうか。今でも現実社会で、デジタル化やそれにAI技術を組み合わせた自動化は普及し始めている。だが、その中心はサービス業や建設業をはじめとする人材不足が深刻な業界。いくら自動化の技術開発が進んでも、余剰人員を抱える業界や企業ほど「まずは人にやってもらう」という動機が働きやすい。よほど低コスト化が進まない限り、自動化が進みにくい分野があるのが現実だ。 最後に⑤「社会制度や慣習の影響」も現実社会では避けて通れない。役所や金融機関のサービス、企業間契約などでは、人と対面し、捺印した書類で手続きするといったアナログなルール、慣習が多く残る。デジタル化に一気に舵を切ろうにも、デジタルデバイド(情報格差)の影響を危惧する声などが上がり、一足飛びに進めにくい分野がある』、確かに現実にはこうした定性的要素を考慮する必要がありそうだ。
・『身の回りの環境変化への想像が不可欠  専門家の間では、「こうした現実をすべて踏まえた定量的予測は不可能」というのが常識。現実社会は複雑だからこそ、ある特定の条件下に絞った形で、定量予測が行われてきた経緯がある。 すでに単純な定型業務におけるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入など、人の仕事の機械への代替は進んでいる。そうした変化によって雇用に影響が及ぶ人も広がるだろう。デジタル失業が発生しない、というわけではない。 ただ実際に起こるのは、職業そのものの消滅というより、タスクベースでの増減という変化が大半だろう。変化の様相は職業によって異なる。だからこそ職業の未来は個別に、かつタスクベースで、さらに社会変化も含めて見通すことが重要になる。 現実にどんな事態が発生するのか――。各個人が身の回りの環境変化に想像をめぐらせることが不可欠といえる』、「こうした現実をすべて踏まえた定量的予測は不可能」なので、「各個人が身の回りの環境変化に想像をめぐらせることが不可欠」という結論では、「なあーんだ」と言いたくもなるが、これが正直な見方なのだろう。

次に、5月2日付け東洋経済オンライン「「中国発AI」で、通訳も速記も、もう必要ない ファーウェイやBATを超える、ものすごい企業」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/278801
・『会議で議事録を取る必要はなし。外国企業との商談も通訳いらず――。 そんな夢のような世界を、中国屈指の音声認識AI(人工知能)企業である、アイフライテックがすでに実現している。 同社が開発した「智能会議系統(スマート会議システム)」は、会議中の発言をAIで認識し、自動で文字に変換してスクリーンに映し出す。音声認識の正確性は中国語で97%、英語で95%と、プロの速記者をも上回る高さだ。声紋を分析して話者を識別できるのはもちろんのこと、中国語と英語だけでなく日本語や韓国語にも対応し、リアルタイムでスクリーンに対訳を表示する機能を併せ持つ。中国語では、会議の要点を短くまとめた要約すら、自動で作成可能だという。 人間のような声を人工的に生み出す音声合成の技術も発達している。その名も「AIカスタマーサービスロボット」。中国火鍋チェーン大手で日本にも店舗を持つ、海底撈(ハイディラオ)などの外食企業で活用されている。予約を取るため店舗に電話してきた客と、まるで人間同然のスムーズさでやりとりができる。研究部門のトップを務める李世鵬・アイフライテック副社長は、「電話の相手が人間かロボットかを判別するのは難しい(くらいの自然さ)」と豪語する』、アイフライテックの「スマート会議システム」や「AIカスタマーサービスロボット」は、確かに凄い性能のようだ。
・『アマゾンやグーグルに次ぐ、中国トップの破壊力  元々アイフライテックは1999年設立の学生ベンチャーだった。 そのミッションは「コンピュータに聞き、話し、理解し、考えさせる」「AIでよりよい世界をつくる」ことである。音声認識と音声合成技術の高さを武器に、AI大国を目指す中国政府からの支援も受けながら急成長し、2008年に上場。2017年版の『MITテクノロジーレビュー』によると、革新的な技術と効果的なビジネスモデルを組み合わせた「スマート・カンパニー50」で、アメリカのアマゾンや、グーグルの親会社アルファベットに次ぐ、世界第6位に選ばれた。中国勢としては巨大IT企業であるBAT(バイドゥ、アリババグループ、テンセント)を抑えてトップだ。 今や1万人以上の従業員を抱えており、時価総額も1兆円を超える大企業となった。4月19日に発表された2018年度の業績は、売上高約1300億円(前期比45%増)、純利益約90億円(同24%増)ときわめて好調だ。 こうした最先端の企業を含め、『会社四季報 業界地図』(東洋経済新報社)では、自動車・商社・ITなど166業界を網羅。主要な業界プレーヤーやその関係性を図解している。トップページを飾るのはAI業界で、中国企業ではBATの3社を掲載中だ。今後はアイフライテックのような新興企業にも注目していく。 そのアイフライテックが手がけるのは、企業向けサービスだけではない。今年1月、アメリカのラスベガスで開かれた世界最大の電子機器見本市CESで発表した「AIノート」は、有望な製品の1つだ。 A5サイズで厚さは7.5mm、重さは360gと軽く、アマゾンの電子書籍リーダー「Kindle(キンドル)」を彷彿とさせる。電子書籍を読む機能もあるが、それだけではない。スマート会議システムと同様、音声を自動かつほぼ同時に文字変換し、画面上に表示できるのだ。まるでノートが速記者の代わりをしてくれるようである』、アイフライテックは、「スマート・カンパニー50」で「世界第6位」、「中国勢」トップになるだけの実力を備えているようだ。
・『専門分野のデータが次々と蓄積される  中国AIの動きには、日本の電子機器メーカーも後押しする。ワコムが供給する付属のデジタルペンで通常のノートのようにメモを取ると、自動変換されたテキストの該当部分が網掛けでハイライトされる。記録した内容は簡単にキーワード検索でき、どのメモに何を記録したか、思い出しながら探す手間を省くことが可能。持ち運びもしやすいため、活用シーンは会議だけでなく、学校の授業や取材など多様だ。中国語と英語の同時翻訳機能もリリース予定である。 「将来、オフィスで働く人は、AIノートさえ持てばよいことになる」(李副社長)。価格は約8万円で、現在は中国でのみ展開しているが、販売台数はすでに30万台を突破。海外版の発売も検討中だという。 AIノートに先駆けて市販化されたアイフライテックのポータブル音声翻訳機は、日本のアマゾンのサイトでも約6.5万円で販売されている。50種類もの言語を認識、中国語に同時吹き替えできるだけでなく、逆に中国語を外国語に吹き替えすることも可能で、英語・日本語・韓国語・ロシア語はオフラインでも中国語から変換できる。レストランのメニューや駅の標識などの文字情報を、”画像認識”して翻訳する機能も備えるという。同社は今後、医療や金融、ITなど産業翻訳の分野で蓄積したビッグデータを武器に、専門用語の翻訳機能を強化し続ける方針だ。 人間の目、耳、そして脳までも置き換えるAIの進化。産業界で浸透するアイフライテックなど中国企業の躍進を見る限り、通訳、速記者の仕事がAIに奪われる日は、近い。(リンク先には米国勢、中国勢の図あり)』、英語版や日本語版などが出てくれば、市場を席捲し、通訳、速記者の仕事は明らかに代替されるだろう。日本企業が部品供給だけに留まっているのは、残念だ。

第三に、5月15日付け日経ビジネスオンラインが掲載した山本龍彦=慶応義塾大学法科大学院教授へのインタビュー「AIが生み出す「不条理な没落」にどう対峙すべきか」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/051400009/?P=1
・『あらゆる分野でAI(人工知能)の活用が広がっている。特にFinTech(金融と技術の融合)分野では、与信領域で活用が進みつつある。中国では個人の与信を点数化して表示するスコアリングサービスが広がっており、日本でもこうした動きが少しずつ広がりつつある。だが、そこに落とし穴はないのだろうか。AIから受ける恩恵の側面だけに光を当てていないだろうか。憲法学を専門とする慶應義塾大学法科大学院の山本龍彦教授に聞いた』、法的側面からの見解は貴重だ。
・『憲法はプライバシーの権利を保障している。一方、AI(人工知能)やビッグデータの世界では情報を集めることが重要になる。プライバシーの考え方とデータがけん引する社会の間には、そもそも一定の矛盾が存在している。大学院の修士課程で研究していた「遺伝情報の保護」を例に取ろう。 遺伝情報は生まれつきのものだ。疾病は本来、遺伝情報と環境要因が影響しあって発現するものだが、遺伝情報から読み取れるリスクだけでその後の人生が決定されるような風潮がある。 遺伝情報の解析とAIは確率的な予測をするという点で非常に相性がいいが、遺伝情報は本人の努力によって変えられるものではない。AIの予測精度を高めるためにこうした情報を広く集め始めると、「生まれによる差別」が間違った形で復活する可能性も出てきてしまう。 例えば、FinTech業界で起きている変化を見てみよう。中国のアリババグループが運営する「芝麻信用」は個人の信用をスコア付けする仕組みだ。スコアの高い人は恩恵を受け、スコアの低い人は制限を受ける。 本来、FinTechが「Financial Inclusion(金融包摂)」を目的として生まれたものであれば、このスコアリングの仕組みは貨幣ではない価値がけん引するという点で、従来はチャンスを与えられなかった人に恩恵をもたらす側面がある。伝統的な信用情報を持ち得ていない人でも、「線」でその人の行動を捉えることによって包摂されていくためだ』、「プライバシーの考え方とデータがけん引する社会の間には、そもそも一定の矛盾が存在している」というのは、鋭い指摘だ。
・『オーウェルからカフカの世界へ  だが、問題もある。一つは監視という問題だ。「線」で捉えるというのは、極端に言えば「ずっと見ている」ということを意味する。従来は社会的な評価の対象にならなかった領域、例えば私的な領域が評価対象になる可能性もある。 極めてプライベートな空間である自宅でごろごろ寝ている行為ですら、センシング技術や手に持ったスマートフォンで把握される恐れがある。そうなると、リラックスできる安息地がこの世界から無くなってしまうかもしれない。 スコアの高い人も低い人も、常に緊張にさらされる問題もある。仮に公的な機関がスコアを管理すると、多くの人が現状の政権を批判するような活動を控えるようになるだろう。行動に萎縮が生まれ、「自由」の意味が変わってしまう。 法治国家は事前に罰せられるルールを明確化している。予測可能性が立つことで自由が生まれる。これが法による支配のメリットでもある。 ところがアルゴリズムの世界では事前に不利益を予知しにくい。そのため予測可能性が立たず、自身のどのような行動がマイナス要因になるのかが分からず、萎縮効果が生まれる。こうした支配状況はアルゴリズムとデモクラシーを掛け合わせた「algocracy(アルゴクラシー)」とも呼ばれる。 アルゴリズムによって規律される社会では、ブラックボックスが生まれてしまう。個人にとっての自由の意味が変わり、社会的に見れば民主主義にも影響を与えることになる』、「アルゴクラシー」とは恐ろしいような話だ。
・『さらに私が「バーチャルスラム」と呼ぶ問題が出てくる。スコアが社会的なインフラと結びつくと、スコアの低い人が排除される社会になる。社会生活で不利益を被ることになり、差別を受け始めるのだ。なぜスコアが低くなったのかが分かれば改善の余地もあるが、ブラックボックスであれば手の施しようがない。 英国のSF作家、ジョージ・オーウェルは小説『1984』で監視社会の暴走を描いた。一方、チェコの作家、フランツ・カフカは小説『審判』で、理由も分からず逮捕され、理由も述べられないまま裁判にかけられ処刑される主人公の不条理を描いた。 D.ソロブという情報法学者は、データ社会がブラックボックスを放置したまま発展を続けていくと、「オーウェルの世界」から「カフカの世界」へと移行すると指摘する。不条理な没落によってスコアが低い人が二度とはい上がれず、権力主体が誰なのかは分からない。こうした人たちがバーチャル空間のなかで吹きだまりを作り、バーチャルスラムを形成してしまう。 政府や民間企業は当然、こうした問題を把握している。例えば内閣府がまとめている「人間中心のAI社会原則(案)」では、「公平性、説明責任及び透明性の原則」を掲げている。EU(欧州連合)のGDPR(一般データ保護規則)でも「Automated individual decision ­making(個人に関する自動化された意思決定)」を行う場合の説明義務に触れている。 民間でも「Explainable AI(説明可能なAI)」に取り組み始めた企業が出ている。ロジックを残し、説明可能にしておくことで、AIをホワイトボックス化する取り組みだ』、「AIをホワイトボックス化する取り組み」は大いに推進してほしいところだ。
・『「主義」や「憲法」による差異  共産主義は基本的な考え方として私有財産制度を否定している。これに対し、資本主義は財を囲い込む。データを財として見れば分かりやすいが、共産主義国家は財を私有せずに皆で共有するのに対し、資本主義国家は横串にさせない。このように国家としての「主義」の違いは、データの取り扱いという点に深く影響を及ぼす。 憲法文化も大きな差異を生む。「自由(liberty)」をベースにプライバシーを考える米国では「表現の自由」が強い。マーケティングにおいても、データ収集・プロファイリング・データの販売は表現の自由として憲法上、保護されている。そのためにGAFAのような巨大企業が育っていく。 一方、「尊厳(dignity)」をベースにプライバシーを考えるEUは、人をツール化(道具化)することに対して否定的だ。そのため、スコアリングやターゲティングといった人をモノとして見る行為を良しとせず、国民のデータベースを作ることにも抵抗感がある。 だが、米国では選挙コンサルティング会社のケンブリッジ・アナリティカによる米Facebookのデータ不正収集事件で潮目が変わりつつある。米GoogleやFacebookと異なり、広告収入に依存しない米Microsoftや米Appleが盛んにプライバシーの尊重をうたい始めていることからも、その変化は見て取れる。誇りに思っていた表現の自由がデータの乱用によって侵されたという事態に国民が憤りを感じているためだ。 では、どのような対処が望ましいのだろうか。 一つは、スコアなどの情報を金融の世界だけにとどめておくことだ。利用範囲を限定し、社会生活のインフラと結び付けないようにすれば、差別を生まない環境を作れる。もう一つはスコアを多元化しておくことだ。複数の事業者が手掛ける形にすれば一元化を避けられ、国民に選択肢を与えることができる。 政府が厳しい規制をかける段階にはまだ来ていない。民間企業が今後どのような動きを見せるのかは分からない。自由な活動を政府が規制するタイミングではないだろう』、米国でも「米Microsoftや米Appleが盛んにプライバシーの尊重をうたい始めている」というのは好ましい変化だ。「スコアなどの情報を金融の世界だけにとどめておく」、「スコアを多元化しておく」という提言には大賛成である。

第四に、解剖学者の養老孟司氏が文芸春秋3月号に寄稿した「AIと日本人~AIが人間を情報化する新たな「脳化社会」を生き抜く処方箋とは」のポイントを紹介しよう。
・『チンパンジーとの違い  人間とは「意識=理性」によって「同じ」という概念を獲得した生き物。「等価交換」が出来るようになったり、言葉やお金、民主主義を生み出した』、「「同じ」という概念を獲得した」ことは、確かに大きな進歩をもたらしたようだ。
・『本人がノイズに  現代は脳の時代で「脳化社会」と定義。あらゆる人工物は、脳機能の表出。30年間のデジタル化により、社会の「脳化」はますます鮮明に。世界が究極的な理性主義になっている。「理性」を突き詰めたのがコンピュータ、その先にあるAI。現代社会における「本人」は「ノイズ」でしかない(例えば本人確認では書類の方が大事)。「相模原障害者施設の19人殺し」の背景には、帰納的に使えるか否かのイチかゼロかの発想で、全てのものには意味がなければならないという心理がある。さらにその意味が「自分にわかる筈だ」という暗黙の了解もある。後段が問題で、「私にはそういうものの存在意義がわからないから、意味がないと勝手に決めてしまっている』、「現代社会における「本人」は「ノイズ」でしかない」というのは面白い比喩だ。「相模原障害者施設の19人殺し」の背景の分析も興味深い。
・『人間の悪いクセ  アメリカで人間の能力を上げるヒューマン・エンハンスメントを真面目に考えている。この問題が孕む優生思想の危険性』、「ヒューマン・エンハンスメント」が「優生思想の危険性」を孕んでいるというのも、言われてみればその通りなのだろう。
・『「わかる」ことの落とし穴  東大などの国公立大学に進学する生徒は読解力があるが、その帰結として、空気を読み「忖度する」官僚のような負の側面。世の中には理屈のないもの、感覚的なものが存在するのだから、子供たちの”差異”を大切にする感覚を日常生活において持ち続けることが、非常に大事。テクロノジーやAIの発展を止めることは出来ない。戦前の軍隊と同じように、一度、お金と労力を投資してシステム化してしまうと、慣性が大きくなってしまい、後戻り出来ないからです。だからこそ、世界には「同一性」と「差異」が併存。それが、AIが生み出す新たな脳化社会への処方箋になるかもしれません』、「子供たちの”差異”を大切にする感覚を日常生活において持ち続けることが、非常に大事」というのは、その通りだ。そうすることで、企業でも、性別や人種の違いに限らず、年齢、性格、学歴、価値観などの多様性を受け入れ、広く人材を活用することで生産性を高めようとするダイバーシティを広く認めることにもつながっていくだろう。  
タグ:養老孟司 人工知能 東洋経済オンライン AI ジョージ・オーウェル 日経ビジネスオンライン RPA FinTech (その8)(「機械に大半の仕事を奪われる」説の大きな誤解 日本人が「デジタル失業」しにくい5つの理由、「中国発AI」で、通訳も速記も もう必要ない ファーウェイやBATを超える ものすごい企業、AIが生み出す「不条理な没落」にどう対峙すべきか、養老孟司氏:AIと日本人) 「「機械に大半の仕事を奪われる」説の大きな誤解 日本人が「デジタル失業」しにくい5つの理由」 「タクシー運転手」の今後10~20年後の「機械による代替可能性」 95.4% 「AIに仕事を奪われる」説が横行 カール・B・フレイ博士とマイケル・A・オズボーン准教授が発表した「雇用の未来」という研究論文と同様の手法 「アメリカでは10~20年以内に労働人口の47%が機械に代替されるリスクが高い」 専門家の間では同リポートの問題点を指摘する声が次々と上がった 独ZEW研究所のメラニー・アーンツ氏らの貢献 「タスクベース」の変化 OECD(経済協力開発機構)は、アーンツ氏らのそうした現実を踏まえた研究結果を基に2016年にリポートを発表。そこでは、自動化の可能性が7割を超える職業はOECD21カ国平均で「9%」という予測値が掲載 「未来の仕事のデータは存在しない」 時代とともに仕事は変わる。定量的予測にはどうしても限界がある」 ①「職業はタスクベースで変化する」 ②「新しい仕事が生まれる」 ③「技術進化&コストの影響」 ④「人材需給の影響」 ⑤「社会制度や慣習の影響」 身の回りの環境変化への想像が不可欠 「こうした現実をすべて踏まえた定量的予測は不可能」 人の仕事の機械への代替は進んでいる 各個人が身の回りの環境変化に想像をめぐらせることが不可欠といえる 「「中国発AI」で、通訳も速記も、もう必要ない ファーウェイやBATを超える、ものすごい企業」 アイフライテック スマート会議システム 会議中の発言をAIで認識し、自動で文字に変換してスクリーンに映し出す。音声認識の正確性は中国語で97%、英語で95%と、プロの速記者をも上回る高さだ 中国語では、会議の要点を短くまとめた要約すら、自動で作成可能 AIカスタマーサービスロボット アマゾンやグーグルに次ぐ、中国トップの破壊力 スマート・カンパニー50 世界第6位に選ばれた。中国勢としては巨大IT企業であるBAT(バイドゥ、アリババグループ、テンセント)を抑えてトップ AIノート 電子書籍を読む機能もあるが、それだけではない。スマート会議システムと同様、音声を自動かつほぼ同時に文字変換し、画面上に表示できる 専門分野のデータが次々と蓄積される 山本龍彦=慶応義塾大学法科大学院教授 「AIが生み出す「不条理な没落」にどう対峙すべきか」 プライバシーの考え方とデータがけん引する社会の間には、そもそも一定の矛盾が存在 伝情報は本人の努力によって変えられるものではない。AIの予測精度を高めるためにこうした情報を広く集め始めると、「生まれによる差別」が間違った形で復活する可能性も出てきてしまう Financial Inclusion オーウェルからカフカの世界へ 一つは監視という問題 私的な領域が評価対象になる可能性も リラックスできる安息地がこの世界から無くなってしまうかもしれない 公的な機関がスコアを管理すると、多くの人が現状の政権を批判するような活動を控えるようになるだろう 法治国家は事前に罰せられるルールを明確化している。予測可能性が立つことで自由が生まれる。これが法による支配のメリットでもある アルゴリズムの世界では事前に不利益を予知しにくい。そのため予測可能性が立たず、自身のどのような行動がマイナス要因になるのかが分からず、萎縮効果が生まれる algocracy(アルゴクラシー) アルゴリズムによって規律される社会では、ブラックボックスが生まれてしまう。個人にとっての自由の意味が変わり、社会的に見れば民主主義にも影響を与えることになる 私が「バーチャルスラム」と呼ぶ問題が出てくる スコアが社会的なインフラと結びつくと、スコアの低い人が排除される社会になる。社会生活で不利益を被ることになり、差別を受け始めるのだ 『1984』で監視社会の暴走を描いた フランツ・カフカは小説『審判』で、理由も分からず逮捕され、理由も述べられないまま裁判にかけられ処刑される主人公の不条理を描いた D.ソロブという情報法学者は、データ社会がブラックボックスを放置したまま発展を続けていくと、「オーウェルの世界」から「カフカの世界」へと移行すると指摘 不条理な没落によってスコアが低い人が二度とはい上がれず、権力主体が誰なのかは分からない。こうした人たちがバーチャル空間のなかで吹きだまりを作り、バーチャルスラムを形成してしまう ロジックを残し、説明可能にしておくことで、AIをホワイトボックス化する取り組みだ 「主義」や「憲法」による差異 「自由(liberty)」をベースにプライバシーを考える米国では「表現の自由」が強い 「尊厳(dignity)」をベースにプライバシーを考えるEUは、人をツール化(道具化)することに対して否定的 米国では選挙コンサルティング会社のケンブリッジ・アナリティカによる米Facebookのデータ不正収集事件で潮目が変わりつつある Microsoftや米Appleが盛んにプライバシーの尊重をうたい始めている スコアなどの情報を金融の世界だけにとどめておくこと もう一つはスコアを多元化しておくこと 文芸春秋3月号 「AIと日本人~AIが人間を情報化する新たな「脳化社会」を生き抜く処方箋とは」 チンパンジーとの違い 「同じ」という概念を獲得 「等価交換」が出来るようになったり、言葉やお金、民主主義を生み出した 本人がノイズに 本人確認では書類の方が大事 「相模原障害者施設の19人殺し」の背景 「私にはそういうものの存在意義がわからないから、意味がないと勝手に決めてしまっている アメリカで人間の能力を上げるヒューマン・エンハンスメントを真面目に考えている。この問題が孕む優生思想の危険性 「わかる」ことの落とし穴 世の中には理屈のないもの、感覚的なものが存在する 子供たちの”差異”を大切にする感覚を日常生活において持ち続けることが、非常に大事 世界には「同一性」と「差異」が併存。それが、AIが生み出す新たな脳化社会への処方箋になるかもしれません
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ベンチャー(その4)(バイオベンチャー「そーせい」が迎えた大試練 実験サルにがんが発生 治験中断の誤算、「起業家うつ」増加の実態 メンタルヘルスを損なう6つの事情、「起業家が育たない日本」はまともな社会だ 「ジョブズとトランプの価値観」が実は同じ理由) [技術革新]

昨日に続いて、ベンチャー(その4)(バイオベンチャー「そーせい」が迎えた大試練 実験サルにがんが発生 治験中断の誤算、「起業家うつ」増加の実態 メンタルヘルスを損なう6つの事情、「起業家が育たない日本」はまともな社会だ 「ジョブズとトランプの価値観」が実は同じ理由)を取上げよう。

先ずは、昨年9月26日付け東洋経済オンライン「バイオベンチャー「そーせい」が迎えた大試練 実験サルにがんが発生、治験中断の誤算」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/239264
・『日本を代表するバイオベンチャーが岐路に立たされている。そーせいグループは9月18日、アルツハイマー病(AD)やレビー小体型認知症(DLB)などの治療候補薬で行っていた臨床試験(治験)を自主的に中断すると公表した。 アメリカでは提携先の製薬大手アラガン(本社・アイルランド)が2017年からAD向け適応の治験第1相を開始、日本国内ではグループの中核子会社ヘプタレス・セラピューテックが、DLB向け適応の治験第2相を開始したばかりだった』、こうしたことは、バイオベンチャーではありがちだ。
・『最大3600億円の超大型提携  そーせいにとって、この薬は極めて重要だ。そーせいは2016年4月、ほかの創薬候補を含めて中枢神経系疾患分野でアラガンと大型提携を結んでいる。いずれも同年2月に買収したヘプタレスの技術を活用したものだった。 その内容は、アラガンにグローバルでの開発・販売権を与える代わりに、契約一時金137億円、化合物のタイプ別に開発進捗に応じたマイルストン収入最大730億円、さらに販売目標の達成に応じたマイルストン収入として最大で2743億円(発表時の換算レートでの計算値)が入るというもの。 想定収益合計は最大3600億円に達し、ほかに売上高に応じた最大2ケタの段階的ロイヤルティの受領権もある。日本のバイオベンチャーとしては破格だった。契約一時金はすでに計上済みで、2017年3月期のそーせいの収益を一気に膨らませた。この契約によりバイオベンチャー銘柄としての同社の注目は一気に高まって、株価は一時、6500円を超えた。 今回の創薬候補は、アラガンにライセンスアウトした3つの化合物タイプの1つにすぎないが、日米欧で治験(欧州は現在治験後期第1相を完了)段階に進んでいて、アラガンと提携した開発プロジェクトの先陣を切っていた。 これまでアラガン関連の開発は順調に進捗しているとみられていた。それが突然の自主中断。なぜ中断せざるをえなくなったのか。 その“犯人”はカニクイザルだった。 人に対する治験と並行して、そーせいは重篤な副作用がないかなどの安全性を確認するため、動物を使った長期毒性試験を実施していた。ラットなどの試験では重篤な有害事象が起きなかったが、今回、カニクイザルに毒性所見が見つかり、希少な腫瘍(がんや肉腫)が発生した』、ラットなどでは大丈夫でも、サルでは毒性だ出たというのは、ありそうな話ではある。それにしても、アラガンとの契約で、「段階的ロイヤルティの受領権」とはいかにも製薬業界らしい手法だ。
・『不十分な説明内容  そーせいはただちに原因究明に入るとともに、人向けの治験を中断。リリース発表当日に、緊急でこの事案に関する投資家向けオンライン説明会を実施した。 当然と言えば当然だが、人の安全性の確保を第一優先にしたこと、動揺する市場や投資家への説明を急いだことは評価されるべきだろう。ただ、その説明の内容が極めて不十分だった。 がんが発生した複数のサル向けの毒性試験での投与期間は9カ月。治験での人への投与期間より長い。薬の用量も人に対するものよりも多かった。 会社側は「9カ月という投与期間の終わりに近い時期になって毒性が見つかった」とも説明している。こうした説明からは、投与期間の長さや用量の多さががんを引き起こしたのではないか、という疑問が起きる。 これに対し、そーせいは「原因究明に向けアラガンなどと調査を開始した」と語るのみで、有毒事案の中身など詳細な説明は避けている。いつからどのくらいの期間、どれだけの用量を欧米などの治験で人に投与したのかといった極めて基本的な情報も含めて、「アラガンとの契約上の守秘義務」を理由にそーせいは口をふさぐ。 これまでの治験では人に重篤な有害事象は出ていないと会社は強調しているが、単に薬の投与期間が短いから出ていないだけなのかもしれない。長期に薬を使い続ける必要性がある認知症治療薬の現実を考えれば、現時点では少なくともその懸念は持たざるをえない。 「ほかの薬の開発やプロジェクトへの影響はどうか」。説明会では、今回の事件がほかの開発薬に広がるのではないかという懸念を持つ投資家からの質問が相次いだ。「いつになったらよいニュースが聞けるのか」など、会社へのいらだちを素直に表す意見も飛び出した。 「1つの薬だけでなく、当社にはたくさんのプロジェクト、多くの有望なポートフォリオがある」。ピーター・ベインズ社長CEOは懸命に投資家の懸念払拭に努める』、問題をいち早く公表した姿勢は評価できるが、契約先との守秘義務を口実に十分な説明が出来ないというのは問題だ。必要であれば、契約先と交渉して守秘の一部を解除してもらうことも可能な筈だが、契約先が最大のスポンサーとあっては遠慮したのかも知れない。
・『治験再開には最低6カ月かかる  確かに同社は日本のバイオベンチャーには珍しく豊富な開発候補品を持つ。今回の説明会資料によれば、治験段階の候補品が6つ、その一歩手前の前臨床の薬が6つ、さらにその手前の探索段階の薬が5つという具合。昨年末に海外で約210億円を調達しており、開発資金も当分は十分にある。 ただ、前述のとおり、今回の開発薬がアラガンとの大型提携の中で最先行していただけに、その治験中断の影響は小さくない。ベインズCEOは「6~12カ月以内に治験を再開したい」と語ったが、今後、原因究明を本格化する段階であり、現時点では治験再開のメドは立っていない。最悪の場合、「治験が再開できない可能性もある」(ベインズCEO)。 今回の治験中断が、関連する資産やのれんの減損に自動的につながるわけではないが、治験中止となれば、そーせいの財務に大きな影響を及ぼす可能性もある。 発表を受けて株価は大きく調整した。現在では1200円前後と、ピーク時の2割程度にすぎない。かつてバイオベンチャーの中で断トツだった時価総額は、ペプチドリームやサンバイオに大きく水を空けられており、投資家の目も厳しくなりつつある。 「こういうことはこの業界では日常茶飯事。会社が強靭になるためのよいチャンス」。説明会の最後に創業者の田村真一会長はそう語った。その言葉どおり、雨降って地固まるとなるのか。悲願である世界的バイオ会社に脱皮できるか、大きな正念場にそーせいは差し掛かっている』、なんとか踏ん張って欲しいところだ。

次に、株式会社cotree 代表取締役の櫻本真理氏が1月18日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「「起業家うつ」増加の実態、メンタルヘルスを損なう6つの事情」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/191198
・『古くからの友人と、カフェで偶然出会った。2年は連絡をとっていなかったと思う。1年ほど前、彼は長く勤めた大企業を辞めて自分の会社とサービスを立ち上げた。当時はいくつものメディアに取り上げられ、注目を浴びているのをSNSで見かけていた。それがこのところ、SNSでも友人の集まりの場でも、姿を見かけないな、と思っていたところだった。 向かいの席に座った彼は「久しぶりだねー」と笑顔をつくったが、口元がひきつっているのが分かった。カップを握る手も震えていた。もともと明るくて気さくな彼の、落ち着かない様子に違和感を持ち、少し心配になった。 「大丈夫?調子悪そう」と聞くと、ぎこちなく笑いながら「会う人みんなにそう言われる」と答えた。 「最近寝ても寝た気がしなくて、それに頭が全然働かない」と彼は話し始めた。 聞くと、彼の事業はスタート当初こそ注目されたものの、思ったように収益化は進まなかったという。追加の資金調達のめどがつかないまま、資金は底をつきそうになっていた。運転資金を稼ぐために日銭稼ぎのための業務を請け負うが、それが彼の体力と睡眠時間を奪っていた。ミスが増え、顧客からのクレームも増え、仕事を楽しいとは思えない。うつむいて絞り出すように話す様子からも、精神的に限界にきているのだとすぐに分かった。 「いったんゆっくり休んでみるという選択肢はないの?病院にも行ってみたほうが」と言う私に、彼はこう返してきた。 「できることなら休みたいし…もうやめたい、とすら思ってしまう。でも今休んだら会社は立ち行かなくなる。そうしたら失敗者としての烙印を押されてしまって、きっともう夢をかなえることはできなくなる。もう一度立ち上がれる自信がない」 彼はその数ヵ月後、事業をたたみ、実家に帰ったと聞いた。 このエピソードは、個人が特定されないように複数の事例をもとに改変を加えたものである。だが、起業家うつの、典型的な事例のひとつといっていいだろう』、「運転資金を稼ぐために日銭稼ぎのための業務を請け負うが、それが彼の体力と睡眠時間を奪っていた」とは、ありそうな落とし穴だ。
・『増える起業家、知られざる苦悩  起業がブームだ。東京都は、現在5%程度の都内開業率を2024年に10%台にまで引き上げるべく、起業家支援のための予算を割いている。キャッシュリッチな大企業も相次いでアクセラレーション(起業家育成)のプログラムやCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)の組成を通じてベンチャー投資や支援の動きを加速させており、起業家支援のためのエコシステムは広がり続けている。 有望なベンチャーに投資したいという資金はあふれ、投資家同士が獲得競争をしている。そんな中、むしろ投資家が投資したいがために「起業させる」ようなケースもあると聞く。 既存産業の成長の鈍化、イノベーションの必要性、テクノロジーの進歩、働き方の多様化。「起業家を増やす」ことは社会が向かいうる当然の方向性である』、確かに最近のベンチャーブームはバブル的色彩すら帯びてきたようだ。
・『そんな中、このようなデータがある。 「起業家の37%が、気分障害・不安障害の基準を満たしている(一般人の7倍)」「起業家の49%が、生涯に一度はメンタルの問題を抱える」 筆者が運営する会社(株式会社cotree)では、従来からオンラインで臨床心理士等の専門家との相談を行えるオンラインカウンセリングサービスを運営しており、起業家からの相談も多く受けてきた。その中で見えてきたことは、言い古されてきたかもしれない「経営者の孤独」とメンタルヘルスの現実だ。起業家はメンタルヘルスの問題を抱えやすく、その問題を持続させやすい。そこには単純ではない、起業家特有のいくつかの要因が関係している』、起業家のメンタルヘルスの問題はこれまで殆ど取り上げられることがなかったが、確かに重要な問題のようだ。
・『【要因1】経営者という責任と不確実性の大きさ  起業家が抱える外的ストレス要因は大きい。利害関係者が増えれば増えるほど、精神的な重圧は増える。顧客はもちろんのこと、雇用をしていれば従業員、投資を受けていれば投資家に対して、負うべき責任は拡大していく。事業成長の鈍化、資金不足、組織内のいざこざ、製品へのクレーム、想像もしないトラブルなど、あらゆる「ハードシングス」が起こる。 そしてそれだけのハードシングスを乗り越えたとして「成功する確約」はどこにもないことも多い。来月どうなるか分からないという不確実性もまた、精神的負荷を高めることになる』、その通りだろう。
・『【要因2】裏切りからの孤独、他者への不信  経営を続ける中で、信頼していた役員や従業員への期待が裏切られたり、同じ船に乗る仲間だと考えていたメンバーが冷たく立ち去ったりといった場面と出合うことは多い。そうした経験から傷つきを重ね「だんだん他人に期待をしなくなった」と経営者が話すのを聞くことがある。 他人に依存しない姿勢は経営者の「強さ」のようにも見えるが、仲間を巻き込みながらも「本当に信頼できるのは自分だけ」という孤独感と裏腹でもある』、経営が上手くいかなくなると、手の平を返したように去っていくというのも、人間社会の縮図だろう。
・『【要因3】夫婦・家族関係の不和で孤独感が加速  弊社が運営するオンラインカウンセリングサービスにおける経営者からの相談の中で、最も多く見られる相談内容は「夫婦関係、家族関係」であった。経営者、特に立ち上げ初期の起業家にとっては、仕事に割く心身のエネルギーが大きいために、家庭の優先順位が必然的に下がってしまうことは多い。また、経営者によく見られる自由への志向性や合理的思考を前提としたときに、不自由で親密な関係性を維持することが難しくなってしまう場合もある。 夫婦・家族関係が不和であるということは、すなわち「家に帰っても癒される場所がなく、孤独である」ということだ。これが職場における孤独感に拍車をかけることがある』、「「家に帰っても癒される場所がなく」というのは悲惨だ。
・『【要因4】起業家のADHD生涯罹患率は約3割  「起業」というリスクとハードシングスを伴う環境に自ら飛び込もうとする人たちには、それを可能にする「起業家ならではの性格特性」がある。フットワークの軽さや創造性、柔軟性などの性格特性は、環境に適応していれば起業家の強みとして事業の拡大を支える。 だが、それが生かせる環境や他者との関係性がなければ、それはむしろ社会的不適応となり、精神的不安定さや周囲とのあつれきとなる。起業家的な特性とメンタルの疾患は、紙一重のところにあるのだ。 UC Berkeleyの調査によれば、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の生涯罹患率は起業家で29%、一方の対照群で5%。躁状態とうつ状態を繰り返す双極性障害は起業家で11%、対照群で1%。薬物やアルコールなどへの依存は、起業家で12%、対照群で4%。いずれの精神疾患においても、起業家の罹患率は著しく高い(グラフ参照)。 昨今国内外のメディアで目にすることもある「起業家の自殺」は、支援者にとっては最も触れたくないであろう出来事であろう。だが、起業家に多いとされる双極性障害は、精神疾患の中でも最も自殺のリスクが高い。もともとそうした気質を持った起業家が、高いストレスにさらされた結果発症し、薬物・アルコールへの依存や衝動性などと相まって自殺既遂に至ってしまうことは、必然的に想定しうる不幸なのだ』、「起業家的な特性とメンタルの疾患は、紙一重のところにある」、UC Berkeleyの衝撃的な調査結果が如実に物語っているようだ。
・『【要因5】休む、転職という「逃げ道」がない  精神的負荷が高まって「もうだめだ、苦しい」となってしまったとき、一般の従業員であれば「休む」「転職する」という選択肢もある。だが、起業家は安易に「休む」「逃げる」という選択をするには、仕事が人生と結びつき過ぎていることが多い。会社の経営が起業家のカリスマ性や能力に依存している場合にはなおさらである。 だからこそ、限界まで苦しみ、逃げることができずに抱え込んでしまうことになる。経営者自身が不調や心の揺れを抑圧していることもあり、自覚したときにはもう手遅れ(病理の状態)になっているケースもある』、確かにその通りだろう。
・『【要因6】「起業家は強くなくてはならぬ」という社会の目  メンタルヘルスの問題に対する社会の目は、10年前と比べると格段に改善したとはいえ、依然として優しいとはいえない。それが「自己責任でリスクをとっている」と考えられがちな起業家のメンタルヘルスとなるとなおさらである。「メンタルが弱い起業家になんて投資しないから、起業家のメンタルヘルス問題には興味がない」と話すキャピタリストと出会ったこともある。 こうした言説がまかり通る社会で、起業家にとって自身の不安感や揺らぎを堂々と表明できる場所はほとんどない。IPOやバイアウトなどの形でEXIT(事業売却)に成功し大金持ちになる起業家の世界は華々しいが、その光の世界にたどり着く起業家はごく一部だ。その道すがら、弱さをさらけ出すことができずに「姿を見かけなくなる」起業家は多い。「失敗者の烙印」を恐れて社会に戻れなくなる者もいる』、やはり何でも相談出来る親しい友人が必要なようだ。
・『失敗や弱さを許容する社会へ  「経営の神様」と呼ばれる松下幸之助氏の有名な言葉がある。「成功とは、成功するまでやり続けること」 今の社会には、失敗を許容し、成功するまでやり続けられる空気があると言えるだろうか? 起業家にとってメンタルの不調は、自身の不調だけの問題では済まない。事業成長の鈍化や組織への悪影響という形で、さらなる状態の悪化を招くこともある。それが起こる前に早期に自覚して対処することが、負のスパイラルを止めることにつながるはずである。だが、起業家特有の精神的孤立や、「弱さをみせたら成功は遠のく」「失敗したら次はない」という社会の空気感が、起業家の抱える心の問題の発見を遅らせ、再起を難しくしているのである。 メンタルヘルスの問題やリスクに対する適切な理解、対処、支え合える関係性を築いていく上で、まずは支援者、そして社会全体が起業家の失敗やメンタルのリスクを受容する姿勢が必要とされている。 2018年11月に弊社が立ち上げた起業家向けメンタルサポートサービス「escort」では、その運営にVC(ベンチャーキャピタル)をはじめとする起業家支援に関わる20社以上による協賛金が充てられ、起業家は無料でメンタルサポートを利用できるようになった。これは、支援者の立場からもこの問題を真摯に受け止め、解決に向けて取り組んでいくことへの意思表示であるともいえよう。 多様で自由な生き方が許容されるはずの時代において、「起業家としての成功」はごく一部の人たちに許されるスポットライトではなく、広く社会を照らす希望の光になるべきである。最初から成功可能性の高い「安牌」にのみコミットするのではなく、「起業」のあり方が多様化する中で起業家の失敗を受容し、不調な時期を乗り越えられるように支えることこそが、支援者ひいては社会としてのあるべき姿なのではないだろうか』、説得力ある主張で、その通りだ。筆者が立ち上げたメンタルサポートサービスに、VCなど「20社以上による協賛金」とは、世間の見方も変わりつつあることを示唆しているのかも知れない。

第三に、評論家の中野 剛志氏が2月9日付け東洋経済オンラインに寄稿しつぁ「「起業家が育たない日本」はまともな社会だ 「ジョブズとトランプの価値観」が実は同じ理由」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/264149
・『アメリカという国家の価値観がどのように出来上がってきたのか。500年の歴史からひもといた『ファンタジーランド狂気と幻想のアメリカ500年史』がこのほど刊行された。アメリカを支えてきた価値観はどこから来て、どこへ行くのか。『[新版]〈起業〉という幻想アメリカン・ドリームの現実』の共訳者でもある筆者が読み解いていく』、意外性があり面白そうだ。
・『現実と幻想の区別がつかない国民性  そうだろうなと薄々感じていたことなのに、それを明快に論証されると、かえって驚くようなことがある。 『ファンタジーランド』とは、まさにそういう本だ。 本書のテーマは、次のように要約される。 「トランプ政権の『ポスト真実』『もう一つの事実』は、一般的には、不可解で常軌を逸したアメリカの『新たな』現象だと考えられている。だがこれは、アメリカ史全体を通じて(実際にはアメリカ史が始まる前から)受け継がれてきた意識や傾向から当然導き出される結果なのである」(『ファンタジーランド 上』、p17) トランプ政権を生み出したのは、アメリカ人の国民性である。その国民性とは、現実と幻想の区別がつかないということだ。 驚くなかれ、アメリカとは、次のような世論調査の結果が出る国なのだ。 3分の2が、「天使や悪魔がこの世で活躍している」と信じている。 3分の1以上が、地球温暖化は、科学者や政府やマスコミの共謀による作り話だと信じている。 3分の1が「政府は製薬会社と結託し、がんが自然治癒する証拠を隠蔽している」「地球外生物が最近、地球を訪れた」と信じている。4分の1が「ワクチンを接種すると自閉症になる」「魔女は存在する」と信じている。 聖書は主に伝説と寓話であると思っている人は、5人に1人しかいない。 著者のカート・アンダーセンは、この現実と幻想の区別ができないアメリカ人気質を、建国以前のプロテスタントの入植までさかのぼっている』、「現実と幻想の区別ができないアメリカ人気質」は、実にユニークな指摘で、言われてみれば頷ける部分もある。
・『「ポスト真実」の根源は1960~1970年代の若者文化  もっとも、この気質が本格的に花開いたのは、1960年代から1970年代である。 リベラル派(左派)は、この時代の若者文化を理想視し、いまだにその反体制的な価値観を信じている。そして、保守派(右派)のトランプ政権が振りまく「ポスト真実」に怒りの声を上げている。 しかし、1960~1970年代の若者文化の価値観とトランプ政権の「ポスト真実」とは、同根であることをアンダーセンは暴いていく。 (1960年代の平等の拡大によって)一人ひとり誰もが自由に、自分の好きなことを信じ、好きなものになれるようになった。こうした考え方を突き詰めていけば、競合するあらゆる考えを否定することになる。もちろん個人主義は、アメリカが生まれ、幸福の追求や自由が解き放たれたときから存在する。以前から、『夢を信じろ』『権威を疑え』『好きなことをしろ』『自分だけの真実を見つけろ』と言われてきた。だがアメリカでは1960年代以降、法律が一人ひとりを同一に扱うだけでなく、一人ひとりが信じていることはどれも一様に正しいというところまで、平等の意味が拡大された。絶対的な個人の自由を容認するのがわが国の文化の原則となり、国民の心理として内面化された。自分が信じていることは正しいと思っているのであれば、それは正しい。こうして個人主義は、自己中心主義となって蔓延した」(『ファンタジーランド 上』、p314~315) 権威を疑い、体制に逆らい、自由と平等を絶対視した結果、リベラル派は「一人ひとりが信じていることはどれも一様に正しい」という相対主義に行きついた。 しかし、リベラル派の「権威を疑え」「自分だけの真実を見つけろ」という相対主義を徹底すれば、客観と主観、あるいは現実と幻想の区別がなくなっていくのも当然であろう。リベラル派はトランプ政権を批判するが、「ポスト真実」「もう一つの事実」といった相対主義を振りまいてきたのは、本をただせば、リベラル派なのである』、「960~1970年代の若者文化の価値観とトランプ政権の「ポスト真実」とは、同根である」との指摘には、心底驚いた。
・『自由放任主義と「みんな子ども」症候群  さらに、リベラル派の相対主義は、次の2つのアメリカ的な気質にもつながっている。 その1つは、極端な所得格差や巨大企業の市場独占を許容する「自由放任主義(新自由主義)」である。 「自分だけの真実がある」という相対主義は、「自分の好きなことをしていい」という自己中心的な個人主義を正当化する。それは、自己表現にふけったりマリファナを吸ったりする自由だけでなく、資本家が規制や税から逃れたり、従業員の400倍の所得を得る自由も許容する。自由放任主義は、リベラル派の相対主義と個人主義の帰結なのだ。 もう1つは、アンダーセンの言う「『みんな子ども』症候群」である。 相対主義を徹底すると現実と幻想の区別がなくなるが、現実と幻想の区別をしないということは、幼稚化するということでもある。幼児は現実と幻想をごっちゃにするが、大人になるにつれ、その分別ができるようになる。ところが、リベラル派の相対主義は、現実と幻想の未分化を是とする。要するに、いつまでも子どものままでいることを称揚するのだ。 1960~1970年代のリベラル派の価値観が育てた個人主義、自由放任主義そして「みんな子ども」症候群。 このアメリカというファンタジーランドを象徴する現象が、日本人が憧れてやまないシリコンバレーの起業家である。 そもそも、アメリカの起業家のイメージは、多くの「幻想」によって構成されている。日本人、そしてほかならぬアメリカ人自身が信じている起業家の「幻想」は、こんな感じだろう。 シリコンバレーでは、才能にあふれた若者が途方もない夢を抱き、その夢を実現するために、1人あるいは数名で起業する。アメリカでは、そうしたスタートアップ企業が続々と登場し、それがアメリカ経済のダイナミズムを生んでいる。とくに、1990年代のIT革命は、そうした若者が起業して夢を実現するチャンスを大きく拡大した。 このような起業家のイメージを象徴する存在が、例えばスティーブ・ジョブズである。 しかし、アメリカの起業家の「現実」は、こうである(『真説企業論』)。
 + アメリカの開業率は下落し続けており、この30年間で半減している(「日本経済『長期停滞』の本当の原因」図1)。
 + 1990年代は、IT革命にもかかわらず、30歳以下の起業家の比率は低下ないしは停滞しており、特に2010年以降は激減している(「ウォールストリート・ジャーナル」記事)。
 + 一般的に、先進国よりも開発途上国のほうが起業家の比率が高い傾向にある。例えば、生産年齢人口に占める起業家の比率は、ペルー、ウガンダ、エクアドル、ベネズエラはアメリカの2倍以上である。
 + アメリカの典型的なスタートアップ企業は、イノベーティブなハイテク企業ではなく、パフォーマンスも良くない。起業家に多いのは若者よりも、中年男性である(『[新版]〈起業〉という幻想』)。
 +1990年代後半から2000年代前半(IT革命の前後)、シリコンバレーにおけるハイテク産業の開業率は全米平均をやや下回り、シリコンバレーを除いたカリフォルニア州の開業率の3分の2程度である(CESifoサイト)』、リベラル派の相対主義が「自由放任主義と「みんな子ども」症候群」を生んだとの指摘もユニークで参考になる。「アメリカの起業家の「現実」」は、我々日本人のイメージとは大きくかけ離れたものだ。
・『GAFAを生み出した「ファンタジーランド」  こうした「現実」にもかかわらず、なぜ起業家という「幻想」は消えないのか。それは、アメリカ人が、現実と幻想の区別ができないし、したくもないという気質をもつからである。 「シリコンバレーで、有能かつ幸運な一握りの人間がまれに巨万の富を得て、それに刺激を受けたほかの人たちが信じ願い続ける。個人の起業家が大成功を収める可能性はとてつもなく小さい。宝くじと同じだ。それに、テクノロジーで大当たりする可能性も低い。だが、1980年代と90年代に驚異的に大金持ちになった第一世代のデジタル起業家、ゲイツ、ジョブズ、ベゾスは、中年でも比較的若いうちに億万長者になった。今世紀、バブルがはじけて暴落が起きる前夜に成功した若きデジタル起業家は、30歳(グーグルのラリー・ペイジ)、25歳(スナップチャットのエヴァン・シュピーゲル)、23歳(フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ)で億万長者になった。これが夢をさらに大きくした。金銭的に大成功を収めるテクノロジー関係のスタートアップを指す新しい用語は何か?『ユニコーン』だ。子どもだけが信じる想像上の生き物である」(『ファンタジーランド 下』、p337~338) 大企業組織に立ち向かう個人の起業家は、反体制的な個人主義の理想に合致する。 各国の規制や税から逃れる寡占的な巨大IT企業(いわゆるGAFA)は、「自分の好きなことをしていい」という自由放任主義の産物だ。 そのGAFAが提供するのは、現実と幻想の区分をあいまいにするデジタル技術であり、「自分だけの真実」が見つかるSNSである。 成功する起業家の若さが強調されるのは、「みんな子ども」症候群の症例だろう。次の症例も同じである(最近、日本でも、同じような症例を見せる痛々しい企業が増えてきているが) 「現代的でクールなオフィスでは(カリフォルニアでは特に)、管理職も従業員も子どものような服装をしているだけではない。職場に、スリンキーやミスター・ポテトヘッドなどのおもちゃ、テーブルサッカーや『HALO(ヘイロー)』などのゲームが完備されている。1990年代になると、職場でよく『楽しいかい?』と尋ねられるようになった。それが、仕事に満足しているかどうかを尋ねる標準的な言葉となったのである」(『ファンタジーランド 下』、 p29) ここでも、スティーブ・ジョブズは象徴的である。 若き日のジョブズは、1960~70年代の若者文化(ヒッピー文化)の影響を強く受け、薬物を使用してハイになり、幻覚を見ていた。晩年、膵臓がんを患ったジョブズは、すぐに外科手術を受けていれば治癒する可能性があったにもかかわらず、フルーツジュース、鍼、薬草療法、インターネットで見つけた治療法、霊能者に頼っていたという(『ファンタジーランド下』、p136~137)。 このように、起業家のイメージは、徹頭徹尾、アメリカ的=ファンタジーランド的なのである。だから、アメリカ人たちは、起業家という「幻想」から離れられないのである。 そもそも、「アメリカは山師、起業家、あらゆる種類のペテン師によって作られた」(『ファンタジーランド 下』、p373)国なのだ。ジョブズを生んだファンタジーランドで、トランプ大統領が誕生したのは、必然だったのではないか。 「日本では、起業家がなかなか育たない」などと嘆く声が絶えないが、それも当然である。ファンタジーランドの幻想をいくら追いかけたところで、現実にはならないのだ』、「こうした「現実」にもかかわらず、なぜ起業家という「幻想」は消えないのか。それは、アメリカ人が、現実と幻想の区別ができないし、したくもないという気質をもつからである」、「GAFAが提供するのは、現実と幻想の区分をあいまいにするデジタル技術であり、「自分だけの真実」が見つかるSNSである。 成功する起業家の若さが強調されるのは、「みんな子ども」症候群の症例だろう」、「起業家のイメージは、徹頭徹尾、アメリカ的=ファンタジーランド的なのである。だから、アメリカ人たちは、起業家という「幻想」から離れられないのである」、「ジョブズを生んだファンタジーランドで、トランプ大統領が誕生したのは、必然だったのではないか」、などの指摘は、極めてユニークで、大いに考えさせられる。日本がベンチャー育成で、アメリカの真似をしようとするのは、馬鹿げたことなのかも知れない。やはり、日本には日本に合ったやち方があるのだろう。
タグ:ベンチャー 東洋経済オンライン ダイヤモンド・オンライン そーせいグループ 中野 剛志 (その4)(バイオベンチャー「そーせい」が迎えた大試練 実験サルにがんが発生 治験中断の誤算、「起業家うつ」増加の実態 メンタルヘルスを損なう6つの事情、「起業家が育たない日本」はまともな社会だ 「ジョブズとトランプの価値観」が実は同じ理由) 「バイオベンチャー「そーせい」が迎えた大試練 実験サルにがんが発生、治験中断の誤算」 アルツハイマー病(AD)やレビー小体型認知症(DLB)などの治療候補薬で行っていた臨床試験(治験)を自主的に中断すると公表 提携先の製薬大手アラガン 最大3600億円の超大型提携 想定収益合計は最大3600億円 ほかに売上高に応じた最大2ケタの段階的ロイヤルティの受領権もある 株価は一時、6500円を超えた 動物を使った長期毒性試験 ラットなどの試験では重篤な有害事象が起きなかったが、今回、カニクイザルに毒性所見が見つかり、希少な腫瘍(がんや肉腫)が発生 不十分な説明内容 アラガンとの契約上の守秘義務 治験再開には最低6カ月かかる 株価は大きく調整した。現在では1200円前後 櫻本真理 「「起業家うつ」増加の実態、メンタルヘルスを損なう6つの事情」 運転資金を稼ぐために日銭稼ぎのための業務を請け負うが、それが彼の体力と睡眠時間を奪っていた 増える起業家、知られざる苦悩 起業家の37%が、気分障害・不安障害の基準を満たしている(一般人の7倍) 起業家の49%が、生涯に一度はメンタルの問題を抱える 起業家のメンタルヘルスの問題 【要因1】経営者という責任と不確実性の大きさ 【要因2】裏切りからの孤独、他者への不信 【要因3】夫婦・家族関係の不和で孤独感が加速 【要因4】起業家のADHD生涯罹患率は約3割 要因5】休む、転職という「逃げ道」がない 【要因6】「起業家は強くなくてはならぬ」という社会の目 失敗や弱さを許容する社会へ 「「起業家が育たない日本」はまともな社会だ 「ジョブズとトランプの価値観」が実は同じ理由」 『ファンタジーランド狂気と幻想のアメリカ500年史』 『[新版]〈起業〉という幻想アメリカン・ドリームの現実』 現実と幻想の区別がつかない国民性 トランプ政権を生み出したのは、アメリカ人の国民性である。その国民性とは、現実と幻想の区別がつかないということだ 3分の2が、「天使や悪魔がこの世で活躍している」と信じている 3分の1以上が、地球温暖化は、科学者や政府やマスコミの共謀による作り話だと信じている 3分の1が「政府は製薬会社と結託し、がんが自然治癒する証拠を隠蔽している」「地球外生物が最近、地球を訪れた」と信じている 「ポスト真実」の根源は1960~1970年代の若者文化 1960~1970年代の若者文化の価値観とトランプ政権の「ポスト真実」とは、同根である 個人主義は、自己中心主義となって蔓延 リベラル派の「権威を疑え」「自分だけの真実を見つけろ」という相対主義を徹底すれば、客観と主観、あるいは現実と幻想の区別がなくなっていくのも当然 「ポスト真実」「もう一つの事実」といった相対主義を振りまいてきたのは、本をただせば、リベラル派なのである 自由放任主義と「みんな子ども」症候群 1960~1970年代のリベラル派の価値観が育てた個人主義、自由放任主義そして「みんな子ども」症候群 アメリカの起業家の「現実」 アメリカの開業率は下落し続けており、この30年間で半減 1990年代は、IT革命にもかかわらず、30歳以下の起業家の比率は低下ないしは停滞しており、特に2010年以降は激減 アメリカの典型的なスタートアップ企業は、イノベーティブなハイテク企業ではなく、パフォーマンスも良くない。起業家に多いのは若者よりも、中年男性である GAFAを生み出した「ファンタジーランド」 そのGAFAが提供するのは、現実と幻想の区分をあいまいにするデジタル技術であり、「自分だけの真実」が見つかるSNSである 起業家のイメージは、徹頭徹尾、アメリカ的=ファンタジーランド的なのである だから、アメリカ人たちは、起業家という「幻想」から離れられないのである
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ベンチャー(その3)(日本人がシリコンバレーで通用しない理由、ベンツが注目!3つの単語で表す「住所」革命 世界を57兆個に分割 英国ベンチャーの威力) [技術革新]

ベンチャーについては、昨年1月19日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その3)(日本人がシリコンバレーで通用しない理由、ベンツが注目!3つの単語で表す「住所」革命 世界を57兆個に分割 英国ベンチャーの威力)である。

先ずは、日本マイクロソフト 業務執行役員、マイクロソフトテクノロジーセンター センター長の澤 円氏が昨年6月28日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「日本人がシリコンバレーで通用しない理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/173461
・『皆さんこんにちは、澤です。 皆さんは、シリコンバレーに対してどんな印象を持っていますか?超最先端企業が集まる場所?イノベーションの聖地?天才たちがしのぎを削る場所?といった印象でしょうか。 確かに、世界的に有名なテクノロジー企業の本社が数多く存在し、イノベーティブな世界が広がっているのは間違いないでしょう。私自身、そんな刺激的なシリコンバレーでがんばっている親しい友人が何人もおり、先日、その中の1人で、私が心から尊敬する堀江愛利さんと日本で対談する機会に恵まれました。 堀江さんはカリフォルニア大学を卒業後、IBMでキャリアをスタートさせ、その後さまざまなテクノロジー関連企業でマーケティングの仕事をしていました。そして、2013年に「Women’s Startup Lab」を創業し、女性の起業家向けのアクセラレーション(短期養成所)を立ち上げています。 多くのメディアに取り上げられたり、大規模なITイベントのキーノートスピーカーを務めたりと、非常に華々しい活躍が目立っていますが、実際の堀江さんは極めて人間くさく、そして包容力のある優しい女性です。今回は、そんな堀江さんとの対談の中で気づいた、シリコンバレーで活躍する人にあって、ほとんどの日本人に足りない力についてお話ししたいと思います』、シリコンバレー事情を日本人向けに語る上では、ピッタリだ。
・『シリコンバレーは「オープン」な場所だけれど、決して「イージー」な場所ではない  シリコンバレーとは、ご存じの通り、サンフランシスコ・ベイエリアの南にあるサンタクララバレーとその周辺地域一帯のことです。ITの巨大企業の多くがここで生まれ、今でもイノベーションの聖地として全世界から多くの人を引きつけています。 シリコンバレーのカルチャーは一言でいえば「オープン」。とにかく、どんな人に対しても門戸は開かれています。ただし、チャレンジしようとする人だけに活動が許されています。そうでない人たちに、居場所が与えられることはありません。 実のところ日本人には、「勉強するためにシリコンバレーに行く」というモードの人が少なくありません。これが一番迷惑がられる。何かを生み出すつもりがなければ、シリコンバレーでは足手まといにしかなりません。 また、シリコンバレーでは「考える」よりも「行動する」人が尊重されます。そして、「巻き込む力」も大事です。シリコンバレーで活躍しようとする人たちはとにかく「ピッチ」をたくさんするそうです。 「ピッチ」というのは「プレゼンテーション」のことで、シリコンバレー独特の表現だといいます。投資家などへのプレゼンのことを「ピッチ」と呼ぶことが多く、会議室やシアターなどで行う構えたプレゼンなどではなく、もっとカジュアルに行うイメージだそうです。 シリコンバレーで新しいビジネスを立ち上げようとしている起業家は、UberやLyftの運転手になっていろいろな人を乗せ、運転しながら乗客に片端からピッチを行ったりするとのこと。シリコンバレーでUberやLyftを利用する人の中には、数多くのベンチャーキャピタリストがいるので、チャンスをつかむ手段と生活費を稼ぐ手段の両方になるわけです。 こうやって人を巻き込んでいくことが、シリコンバレーで生き残るために必要なアクションになります。 そして、「オープンであるけれどもイージーではない」というのもシリコンバレーの特徴です。チャレンジする人はもちろん歓迎されますが、成功が約束されているわけでは、もちろんありません。 また、「一生懸命やっている」のは当たり前の話であって、そのこと自体が評価されることはありません。大事なのは、そのアイデアがどのように世の中を変え、実行するのがなぜ自分であるべきなのかを言語化できているかどうかです。それが言語化できていれば、シリコンバレーの人々が味方になってくれます。 誰もが思い付きそうなアイデアや、誰でも身につけられるスキルを武器にできるほど、イージーな世界ではありません。自分でなくてはならない「何か」を持っていることが、シリコンバレーでは求められるのです』、「日本人には、「勉強するためにシリコンバレーに行く」というモードの人が少なくありません。これが一番迷惑がられる」、というのは納得できる。起業家が「UberやLyftの運転手になっていろいろな人を乗せ、運転しながら乗客に片端からピッチを行ったりする」という超積極姿勢には、驚かされた。
・『実は「男性社会」のシリコンバレー  今回、私が堀江さんから聞いた話で非常に驚いたのが、シリコンバレーがかなりの「男性社会」だということです。ダイバーシティーの最先端という印象だったのですが、94%のベンチャーキャピタルからの投資は、男性CEOのスタートアップ企業に渡るのだそうです。そして、「女性の意見は成熟度が足りない」と言われることも少なくないそうで、だからこそ愛利さんは「Women’s Startup Lab」を立ち上げ、男性を巻き込んでいけるような女性の起業家を育てようと奮闘しています。 ただし、「なんだ、日本と同じなんだ」と思うことなかれ。シリコンバレーでは圧倒的に「チャレンジしている人たち」の数が多く、その中でライフイベントに左右されずにチャレンジし続けている男性が成功をつかんでいるだけの話です。結婚や出産によって、チャレンジが途切れがちなのは日本もアメリカも一緒ですが、チャレンジをしている人数にはやはり比較できないくらい差があります。 まず日本は、チャレンジをしようと思える土壌を作るところから始めなくてはなりません。以前から何度もこの連載でお話ししましたが、日本人は「正解は何か」を考えようとしてしまう癖があります。しかし、正解探しをしている間はチャレンジとは呼べません。チャレンジするとは、「自分でまだ解決されていない課題を見つけ、さらにその正解となるものを作る」ことだからです。そのためには、やはり「行動」が最も大事ですン』、「チャレンジするとは、「自分でまだ解決されていない課題を見つけ、さらにその正解となるものを作る」とは、言い得て妙だ。
・『プランを立てる前に実行するシリコンバレーの人々 失敗を恐れてチャレンジをしない日本人  シリコンバレーでは「ビジネスプランを持ってくるやつが現れたら逃げろ」と言われているそうです。プランを立てている間に、そのアイデアは古くなる、プランを立てるくらいならまず手を動かすなり誰かと行動を起こすなりしろ、ということだそうです。 実際、最新のシステム開発では、プランから実装までを順番に行うウォーターフォールと呼ばれる手法から、アジャイル開発とかDevOpsと呼ばれる手法にシフトしてきています。これは、早めに失敗してすぐに修正するということを可能にするアプローチです。早く失敗すれば、修正も小さくて済みます。そのためには、なるべく多くのフィードバックを多面的に得られるように、早くマーケットに出したり、ユーザーに使ってもらったりする必要があります。 今までなら「こんな出来でよくリリースしたな」というアプリケーションが、スマートフォンのストアに出ていたりするのは、まさにこういったアプローチの表れでもあります。 日本人は失敗をなるべく避けようとします。もちろん、シリコンバレーでも失敗をしたくてするわけではないでしょうけれど、失敗はチャレンジにつきものだ、という合意があるそうです。 まだまだ日本人には「石橋を叩いて渡る」という精神を持つ人が多く、たくさん時間が浪費されてしまう傾向があります。そんな日本人にもどうやって早めに失敗をさせて、それを克服して成長してもらうか、その道筋をどう作っていくか。これが今の私に必要なチャレンジなのではないか、と気づかせてもらえた素敵な対談でした』、「プランを立てる前に実行するシリコンバレーの人々 失敗を恐れてチャレンジをしない日本人」という指摘は、大いにありそうな話だ。さすがである。

次に、7月31日付け東洋経済オンライン「ベンツが注目!3つの単語で表す「住所」革命 世界を57兆個に分割、英国ベンチャーの威力」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/231492
・『過去何世紀にもわたって世界中で人々の生活の基盤となってきた“住所”の概念に、英国発のベンチャーが革命を起こそうとしている。 2013年に創業した英国ロンドンに拠点を置く「what3words(ワット3ワーズ)」は、世界中を3メートル四方の空間に分け、たった3つの単語で位置情報を表わすシステムを開発した。57兆個の空間に4万の単語を割り当てている。日本語に対応したスマートフォンアプリも今年5月に配信が始まった。 夏の休日、都内にある広大な代々木公園でピクニックをしている友人たちに合流しようとする。「池の近く」「大きな木の近く」などと言われても、わかりにくい。電話をしながらやっとの思いで会えた、という経験がある人も少なくないだろう。そんなときに、what3wordsの3単語の位置情報がわかれば、簡単に合流できる。代々木公園にある池のほとりのある場所は「あつがり・はじめ・よろしく」だ』、これは驚くほど画期的なアイデアだ。覚え易い単語3つで表すとは、心憎いばかりだ。
・『住所の仕組みは100年前で止まっていた  「スマホや車で位置情報を扱い、米アマゾンのアレクサ(のような音声アシスタント)やスマートスピーカーが普及し始めているのに、住所システムは100年前と同じ。これは変でしょう」。what3wordsのクレア・ジョーンズCCO(チーフ・コマーシャル・オフィサー)は、そう疑問を投げかける。たとえばロンドンには「チャーチロード」という道が14個あり、メキシコシティには「フアレスストリート」という道が632個もある。 住所システムのない世界の途上国には、40億人が暮らしている。2016年にいち早く提携したのが、モンゴル政府だ。遊牧民国家だったモンゴルは、多くの人々がつねに移動を繰り返すため、住所という概念がなかった。主に郵便局がwhat3wordsを活用し、郵便物の正確な配達が可能になった。物流分野ではほかにも、中東の物流最大手であるサウジアラビアのアラメックス社にシステムを提供。旧来の住所の仕組みが都市の発展に追いついていなかったという。 この革新的なアイデアに、世界的大企業も注目した。高級車ブランド「メルセデス・ベンツ」を展開する独ダイムラーである。同社は今年1月、what3wordsの資金調達に参画し、約10%の株式を取得したことを発表。今春から、ベンツの小型車「Aクラス」の新たなカーナビシステムにwhat3wordsが組み込まれている。長々とした住所を入力しなくても、3つの単語を言うだけで目的地を指定できる。 「創業当初から、われわれは“音声”を前提にシステムを設計した」と、ジョーンズ氏は明かす。what3wordsの創業メンバーたちは、人間と機械のコミュニケーションにおいて音声が主役になると見越して、3つの単語による位置情報の表現を編み出したのである。 来る自動運転時代に、ドライバーがいない“ロボットタクシー”に乗ることを考えてみる。目的地が近づいた際、交差点を左、次の信号を右、といった指示を出すことは容易ではない。始めからスマホアプリや車内のマイクなどに3単語で目的地を吹き込んで3メートル四方の正確な地点を指定しておけば、迷うことはない』、「音声が主役になると見越して、3つの単語による位置情報の表現を編み出した」というのも凄いことだ。
・『音声認識に適した単語の組み合わせ  3つの単語の組み合わせも、音声認識に適したものが考えられている。たとえば比較的近隣の場所に、似たような発音の単語の組み合わせは割り当てていない。誤って別の場所を指定してしまう事態を避けるためだ。類似する単語や発音の組み合わせは、互いに遠くの場所が設定されている。たとえば、「lemon.banana.apple」はオーストラリアの砂漠地帯で、「melon.banana.apple」は米国ニューメキシコ州だ。 自動車や物流だけでなく、what3wordsと相性がいいのが「インスタグラム」をはじめとするSNSだ。旅行先で見つけた感動的な風景など、自分が見つけた位置情報タグのないスポットを簡単に共有することができる。「#what3words」というハッシュタグで検索すると、世界でさまざまな位置情報が投稿されているのがわかる。 英語や日本語だけでなく、現時点で26言語に対応している。新たな言語に対応する際は、単に英語版を翻訳するのではなく、それぞれの言語でまったく新しい3つの単語を割り振っている。ロンドン本社の言語担当の部署が世界中で数百人のフリーランスの言語学者と契約し、各言語で単語リストをつくる。数百の言語で研究を進めており、1言語ごとに6カ月の開発期間を設けている。 単語リストの基準は、①なじみのある言葉かどうか、②短い言葉であるかどうか、という2点だ。日本語の場合は2万5000語のリストが存在し、数学を用いたアルゴリズムによって、57兆とおりの3単語の組み合わせを自動で割り当てる。 さらに注目すべきは、これがネットにつながっていないオフライン状態でも作動することだ。一度振り分けられた3単語は、永遠に変わることがなく、言語リストの組み合わせは単なる文字データなので、全世界でもたったの12メガバイト分のデータにしかならない。住所のように膨大なデータベースを必要としないため、海外旅行や災害時でも使える』、「世界中で数百人のフリーランスの言語学者と契約し、各言語で単語リストをつくる。数百の言語で研究を進めており、1言語ごとに6カ月の開発期間を設けている」』、「音声認識に適した単語の組み合わせ」などは、「実装」にもかなりの工夫を凝らしているようだ。
・『ではどのように収益化しているのか。先述のダイムラーやモンゴル政府、アラメックス社といったB to Bの顧客から得るシステムのライセンス料が収益源だ。消費者向けのアプリは無料で使えるが、大規模な利用には料金が発生する仕組みだ。 創業者のクリス・シェルドリックCEOは、もともと音楽業界で働いていた。シェルドリック氏が企画したライブの会場を、参加するミュージシャンや機材の業者らが見つけられず迷うことが多かった。ライブハウスだけでなく、広大な公園や緑地で行われる音楽フェスティバルなどでも、人と待ち合わせたり、ステージを見つけたりするのに苦労することがある。 そんな悩みを抱えたシェルドリック氏はある夜、母校であるケンブリッジ大学の数学者の友人と夕食を食べながら、愚痴をこぼした。「位置情報の正確性や利便性を高めるには、どうしたらいいだろう」。緯度や経度を示すGPS座標の16ケタの数字はあるが、覚えられるものではなく、誰も使っていない。「じゃあ、単語の組み合わせにすればいいじゃないか」。 この数学者がシェルドリック氏の創業パートナーで、現在what3wordsの研究開発を率いるモーハン・ガネサリンガム氏だ。2人はすぐさま土台となるアルゴリズムのコードを書き始めた。これが現在では80人を抱えるベンチャー企業となった』、音楽プロデューサーと友人の数学者の夕食時の会話からアイデアが生まれたとは、驚いたが、そんなものなのかも知れない。
・『日本でも大企業との提携が生まれるか  what3wordsはここ日本でもビジネスの拡大を狙っている。今年6月にはカーナビ大手のアルパインが出資したことを発表。さらに、米シリコンバレーを拠点とするスタートアップ支援機関の「プラグアンドプレイ」も支援している。同社は世界26拠点で数百社のスタートアップと大企業をつなげてきた。what3wordsとダイムラーをつないだのもプラグアンドプレイの独ストゥットガルト拠点だった。 昨年設立されたプラグアンドプレイの日本法人がこの6月に始めた支援プログラムに、what3wordsも参画している。大企業パートナーには日産自動車やデンソーなどの自動車関連メーカーや、日本通運といった物流企業も名を連ねる。「プログラムが終わる頃には、発表できることがあると思う」とジョーンズ氏は話す。こうした企業との提携に発展するかどうかが注目される。 住所という古くて新しい課題を、3つの単語で解決しようとするwhat3words。シンプルだがクリエイティブな仕組みを、世界に定着させることができるか』、恐らく定着するのだろうが、日本でもこうした本格的なベンチャ-が出現してほしいものだ。
タグ:ベンチャー 東洋経済オンライン 日産自動車 日本通運 デンソー ダイムラー ダイヤモンド・オンライン (その3)(日本人がシリコンバレーで通用しない理由、ベンツが注目!3つの単語で表す「住所」革命 世界を57兆個に分割 英国ベンチャーの威力) 澤 円 「日本人がシリコンバレーで通用しない理由」 「Women’s Startup Lab」 堀江愛利 シリコンバレーは「オープン」な場所だけれど、決して「イージー」な場所ではない 日本人には、「勉強するためにシリコンバレーに行く」というモードの人が少なくありません。これが一番迷惑がられる 起業家は、UberやLyftの運転手になっていろいろな人を乗せ、運転しながら乗客に片端からピッチを行ったりする チャンスをつかむ手段と生活費を稼ぐ手段の両方になる 実は「男性社会」のシリコンバレー ライフイベントに左右されずにチャレンジし続けている男性が成功をつかんでいるだけの話 プランを立てる前に実行するシリコンバレーの人々 失敗を恐れてチャレンジをしない日本人 プランを立てている間に、そのアイデアは古くなる、プランを立てるくらいならまず手を動かすなり誰かと行動を起こすなりしろ 日本人には「石橋を叩いて渡る」という精神を持つ人が多く、たくさん時間が浪費されてしまう傾向があります 「ベンツが注目!3つの単語で表す「住所」革命 世界を57兆個に分割、英国ベンチャーの威力」 what3words 国ロンドンに拠点 世界中を3メートル四方の空間に分け、たった3つの単語で位置情報を表わすシステムを開発した。57兆個の空間に4万の単語を割り当てている 住所の仕組みは100年前で止まっていた what3wordsの資金調達に参画し、約10%の株式を取得 ベンツの小型車「Aクラス」の新たなカーナビシステムにwhat3wordsが組み込まれている 音声が主役になると見越して、3つの単語による位置情報の表現を編み出した 音声認識に適した単語の組み合わせ 現時点で26言語に対応 世界中で数百人のフリーランスの言語学者と契約し、各言語で単語リストをつくる。数百の言語で研究を進めており、1言語ごとに6カ月の開発期間を設けている 日本語の場合は2万5000語のリストが存在し、数学を用いたアルゴリズムによって、57兆とおりの3単語の組み合わせを自動で割り当てる 言語リストの組み合わせは単なる文字データなので、全世界でもたったの12メガバイト分のデータにしかならない ダイムラーやモンゴル政府、アラメックス社といったB to Bの顧客から得るシステムのライセンス料が収益源だ 消費者向けのアプリは無料で使えるが、大規模な利用には料金が発生する仕組みだ 創業者のクリス・シェルドリックCEOは、もともと音楽業界で働いていた 企画したライブの会場を、参加するミュージシャンや機材の業者らが見つけられず迷うことが多かった 母校であるケンブリッジ大学の数学者の友人と夕食を食べながら、愚痴をこぼした 緯度や経度を示すGPS座標の16ケタの数字はあるが、覚えられるものではなく、誰も使っていない じゃあ、単語の組み合わせにすればいいじゃないか 日本でも大企業との提携が生まれるか
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