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脳科学(その2)養老孟司氏2題:なぜ子どもは「theの世界」を生きるのか?、なぜ「他人が自分をどう思うか」を気に病むのか?) [科学]

脳科学については、4月9日に取上げた。今日は、(その2)養老孟司氏2題:なぜ子どもは「theの世界」を生きるのか?、なぜ「他人が自分をどう思うか」を気に病むのか?)である。

先ずは、4/28日経ビジネスオンライン「養老孟司氏、なぜ子どもは「theの世界」を生きるのか?」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00426/041800005/
・『解剖学者の養老孟司先生の「子どもが自殺するような社会でいいのか?」という問題提起からスタートした本連載。なぜ今、子どもたちは死にたくなってしまうのか。社会をどう変えていけばいいのか。課題を一つずつ、紐解いていきます。 養老先生は、子どもたちは、自然や感覚に代表される「身体の世界」に属するとおっしゃいます。それに対して大人は、都市は情報化社会に代表される「脳の世界」を生きています。とすれば、現代社会は「脳の世界」が明らかに優位になっていますから、子どもたちにとって生きづらいのは当然かもしれません。これから子どもたちが死にたくならない社会をつくるうえで、「感覚」「自然」は大事なキーワードになるでしょう。 今回は、この2つのうち、「感覚」の意味するものへの理解を深めます(Qは聞き手の質問)。 養老(孟司氏:以下、養老):子どもというのは感覚的なんです。そこが大人と違うところですが、僕のいう「感覚的」というのは、普通にいわれている意味と違うんですね。 Q:どう違うのでしょう。 養老:例えば小学校の黒板に先生が白墨で、「黒」っていう字を書くとします。そうしたら、「くろ」と読むというのが正しい教育です。しかし、その白墨で書いた「黒」という字は、何色ですか? 白いチョークで書いているのですから、色という意味では「白」です。 養老:そのとき、それを「しろ」と読む子がいたら、どうなります? Q:「黒」と書いてあるのですから、「漢字を勉強しなさい」と。 養老:でも、チョークの色は白いわけです。ならば、「しろ」と読んでいいじゃないか、と。漢字をわかっていてそう返す子どもがいれば、相当反抗的と見なされるでしょう。 Q: ああ、そうかもしれません。 養老:僕なんかそういう子でしたから。だって先生が書いているの、白いじゃんっていう。それは「感覚が優先する」ということです。言葉として読めば「黒」という字ですけど、感覚として素直に捉えれば、それは「白」です。(養老孟司氏の略歴はリンク先参照)』、「子どもたちは、自然や感覚に代表される「身体の世界」に属するとおっしゃいます。それに対して大人は、都市は情報化社会に代表される「脳の世界」を生きています」、というのは面白い比喩だ。
・『人間の感覚は「x=3」に納得できない  養老:言葉が使えるようになった途端に、感覚より言葉のほうが優位になってきます。上になるんですね。だいたい中学生くらいで逆転します。僕はアルバイトで数学の家庭教師をよくしていたんですけどね。数学では、「2x=6、ゆえにx=3」とやるでしょう。それがどうしても受け入れられない子がいるのですよ。 Q:「x=3」をですか? 養老:うん。さらに「A=B」と文字だけになったりすると、もう怒りだす。 Q:ああ、AはBじゃない。 養老:そう。「AはBじゃない。A=Bなら、明日からBっていう字は要らない。Aって書けばいいでしょう」って。これはへそ曲がりじゃないんですね。感覚的に捉えれば、AとBは違うものでしょう。だから「A=B」に納得できないのは当然なのですが、人は、納得できるようになってしまいます。AとBをイコールで結ぶことができるようになってしまうのですね。 Q: そういう教育を受けるから。 養老:先ほどのように、「x=3」に抵抗する子がいる。「x」は文字で「3」は数字でしょう。「数字と文字を一緒にしていいの?」という疑問ですね。 Q: 感覚としては、受け入れられないということですよね』、「僕はアルバイトで数学の家庭教師をよくしていた」、子どもの捉え方は大人では想像もつかないような捉え方をする子どももいるので、大変だと思う。
・『意識は「同じ」を求め、感覚は「違い」を求める  養老:感覚的に見れば、文字と数字は違っていますから。概念的にも違っていますけどね。それを意識は無理やり「イコール」にしちゃう。そこをすんなり通り抜けられる子と通り抜けられない子がいるんです。通り抜けられなかった子は、数学ができなくなります。 Q:人の意識には「イコールにする」という機能がある。逆に感覚は「イコールにする」ことができない。ご著書にもありました。 言語は「同じ」という機能の上に成立している。逆に感覚はもともと外界の「違い」を指摘する機能である。そう考えれば、感覚が究極的には言語化、つまり「同じにする」ことができないのは当然であろう。 『遺言。』(新潮新書/2017年)  Q: 先生がおっしゃる、都市や情報化社会に代表される「脳の世界」と、自然や感覚に代表される「身体の世界」において、言語は「脳の世界」に属すると。そしてそれは「イコールの世界」である。子どもが属する感覚の世界とは違っているということですね。 養老:これが、前にお話しした「自己の問題」にもつながるんです。 Q:「脳の世界」「イコールの世界」が、自己の問題になる?』、「感覚的に見れば、文字と数字は違っていますから。概念的にも違っていますけどね。それを意識は無理やり「イコール」にしちゃう。そこをすんなり通り抜けられる子と通り抜けられない子がいるんです。通り抜けられなかった子は、数学ができなくなります」、「数学ができない子」のできない1つの理由が理解できた。
・『「昨日の私」と「今日の私」は同じなのか?  養老:意識は毎晩、眠ると失われるのに、朝になったら出てくるでしょう。そして朝に出てきた意識は「記憶にある昨日の意識と同じ意識だ」と考える。その「同じ意識」に「私」という名称を当てちゃうのが間違いなんですがね。 Q:朝起きた「私」が、昨日と「同じ私」と考えるのが、そもそも間違っているというわけですか。 養老:言語がそうであるように、意識というのは「同じ」という働きそのものなんです。しかし、この世界を見まわして、同じものってあります? Q:まったく同じものですか? 養老:そんなもの、あり得ないんです。よく似たものが2つ並んでいたら、置いてある場所も違うし、違うに決まっているんです。 Q:数学はどうですか? 養老:数学は「同じの上」に成り立っています。あれはイコールのなかの世界なんですね。 Q:数学ではなく現実世界では……。確かに「まったく同じ」はないですね。 Q:この2本の赤ペンは「同じ種類のペン」ですけど、いわれてみれば「同じ」ではないです。使い始めた日も違えば、買ったお店も違いますし。インクの残り具合も違います。 養老:ほら、同じものって、ないでしょう。 Q:でも、「同じもの」だと思って生活をしています。よく考えれば「違う」はずのこの2本のペンを、「同じ」だと私たちは認識している。 養老:それを「概念」というのですよ』、「数学は「同じの上」に成り立っています。あれはイコールのなかの世界なんですね」、「現実世界では……。確かに「まったく同じ」はないですね」、意表をつく見方だ。
・『「the」とは感覚であり、「a」とは概念である  養老:リンゴが何個あっても、全部「リンゴ」にする。1個1個が本当にリンゴなのかどうか、いちいち確かめているかというと、別に確かめてはいません。 今、私が「リンゴ」といったときに、どこにもリンゴはありません。感覚的なリンゴはない。 Q:「感覚的なリンゴ」というのは、触ったり、匂いをかいだり、食べたりできるリンゴということですね。 養老:そういう感覚的なリンゴがないにもかかわらず話が通じてしまうのは、「同じもののことを考えている」という暗黙の約束があるからです。言葉でね。「リンゴ」という音が聞こえたときに「あ、リンゴの話をしているんだな」と、みんなが同じものを想起するということが、言葉が成り立つための大事な前提です。その裏にあるのは「同じ」なんです。 英語は「同じリンゴ」と「感覚的なリンゴ」を最初から区別しています。それが「an apple」と「the apple」の違いです。「the apple」のほうは、感覚から入ってきたリンゴですね。 Q:theのほうは、触ったり、においをかいだり、食べたりできる「ある特定のリンゴ」ということですね。つまり「感覚的なリンゴ」。 養老:そうです。だから「このリンゴ」「そのリンゴ」「あのリンゴ」になるんです。一方、「an apple」のほうは「どこのどれでもない一つのリンゴ」。僕が最初に英語を教わったときは、そう教わりました。でも「どこのどれでもない一つのリンゴ」ってわかります? Q:わからないです。 養老:それは別な言い方をすれば、「同じリンゴ」ということです。誰もが考えているリンゴで、「リンゴ」という音が聞こえたときに、みんなが想起するリンゴ。それが「同じリンゴ」。難しくいえば「概念」となります。 Q:概念としてのリンゴ。 養老:日本語の場合は、これを「が」と「は」で使い分けています。(次回に続く)』、「「あ、リンゴの話をしているんだな」と、みんなが同じものを想起するということが、言葉が成り立つための大事な前提です。その裏にあるのは「同じ」なんです。 英語は「同じリンゴ」と「感覚的なリンゴ」を最初から区別しています。それが「an apple」と「the apple」の違いです」、なるほど説得力ある解説だ。

次に、5月20日付け日経ビジネスオンライン「養老孟司氏、なぜ「他人が自分をどう思うか」を気に病むのか?」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00426/042800007/
・『解剖学者の養老孟司先生の「子どもが自殺するような社会でいいのか?」という問題提起からスタートした本連載。いろいろなことが関係している厄介な問題だと、養老先生はおっしゃっていましたが、これまでにうかがったお話から、いくつかの理由が浮かび上がってきました。 情報化社会において子どもが「ノイズ」として扱われていることが一つ(「なぜコロナ禍で子どもたちは死にたがるのか?」、「なぜ『本人』がいても『本人確認』するのか?」)。また、「自己」という概念を文化として持たない日本に、西洋流の「自己」が急激に持ち込まれたことによる戸惑い(「なぜ日本人は『自分で決めたくない』のか?」)。そして私たちの社会には自殺を止める思想がないこともわかりました(「人はなぜ『自分の命は自分のもの』と思い込むのか?」)。 これらの議論を踏まえて、課題解決の方策を探ります。 Q: ここまで、子どもの自殺が増えてしまった理由を考えてきました。では、どうすれば、子どもが死にたくならないような社会にできるのでしょうか。私たちはこれから、どんな社会をつくっていけばいいのでしょうか。今回は、そのヒントをうかがうことができればと。 養老孟司氏(以下、養老):私が気になっているのは、子どもたちが必要なものを与えられているか、ということです。モノの話じゃありませんよ。つまり、生きがいみたいなものです。大人は案外気がつかないんですけどね。 僕はイタリアの田舎なんかが好きでよく行くんですけど、レストランで小学生ぐらいの子がウエーターのまねごとをして、チップをもらっています。あれは今の国連の意見だと、児童労働ということで撲滅しなくちゃいけない。でも、何もさせないほうが虐待なんじゃないかという気がしています。 子どもに役割を持たせて、「承認欲求」をある程度満たしてやらなければならない。子どもは承認欲求が非常に強いんですよ。 Q: 役割を与えるということは、子どもの承認欲求を満たすことになる。それは生きがいにもなりますか? 養老:なります。自分のなかに生きがいはないんですから』、「イタリアの田舎」の「レストランで小学生ぐらいの子がウエーターのまねごとをして、チップをもらっています。あれは今の国連の意見だと、児童労働ということで撲滅しなくちゃいけない」、こんなのを「児童労働」とは官僚主義的解釈の最たるものだ。「役割を与えるということは、子どもの承認欲求を満たすことになる。それは生きがいにもなります」、子どもにも「生きがいにもな」るので抑制しようとした国連のスタンスは誤りだ。
・『自分のために生きるから、承認欲求が満たされない  養老:農作業の手伝いなんか、昔は普通だったんですけどね。そんなふうに社会がきめ細かく子どもの面倒を見ることをやめちゃったんですね。ブータンで、子どもがお父さんの手伝いをしていたら、「国連の役人が来て、児童虐待だといわれた」って、親が怒っていましたよ。国連なんかに勤める人は、要するにハイソサエティーの出身だからね。そうすると、「子どもを働かせるのは児童虐待」と頭で考える。そうじゃなくて、必要な場合もあるわけです。 だからYouTuberになりたいっていう子が増えるんですよ。 Q: 「だから」といいますと? 養老:YouTuberになりたいというのは要するに、「いいね」がたくさん欲しいということでしょ。  Q:満たされない承認欲求を満たしたくて。 養老:人の意見を気にするようになっているんです。小さいときから。 Q: YouTubeで「いいね」をもらわなくても、昔は子どもなりに働いて、親の役に立てれば、承認欲求を満たすことができた。それが生きがいにもつながっていたということですね。 養老:そういうものを全部外しちゃった子どもって何なんですかね。親孝行するにも、大人になってから、お金を稼いでするぐらいしかないでしょう。そんな先のこと、子どもが今、幸せになる動機にはなりませんよ。 だから社会をね、つくり直さなきゃいけない。 Q: 武士の時代のようにお家のためでも、戦争中のようにお国のためでもない社会。けれど、今の日本のように自分のために生きるのでもない社会。 かつての日本には家制度があって、代々家を存続させることに重きをおいていた。それには子供が必要です。それが今のように現世の社会のみを考えれば、大人社会から子供は要らなくなってしまう。『超バカの壁』(新潮新書/2006年) 養老:「世のため、人のため」という感覚でしょうね。家の手伝いというのは、その一歩になります。 Q: 今の日本がこれだけ子どもが自殺してしまうような社会になったということは、個人、自分のためという生き方が行き詰まっているということですよね。 養老:そうです。自分のためでは駄目なんですよ』、「ブータンで、子どもがお父さんの手伝いをしていたら、「国連の役人が来て、児童虐待だといわれた」って、親が怒っていましたよ」、「ブータン」でまで「児童虐待」騒動を起こすとは、国連も困ったものだ。「今の日本がこれだけ子どもが自殺してしまうような社会になったということは、個人、自分のためという生き方が行き詰まっているということ」、その通りだろう。
・『生きることの意味は、自分のなかにはない  養老:今の若い人はボランティアが好きでしょう。「世のため、人のため」だと喜んで動くんですよ。 Q: NPO(非営利団体)に就職したり、ソーシャルベンチャーを立ち上げたりした若い人の話もよく聞きます。もともと子どもはみんな、「人の役に立ちたい」という気持ちを持っているということですね。だからきっと、大人が「世のため、人のため」という部分を大切にすると、子どもも生きやすい社会になる。 養老:戦後、僕がずっと生きてきた時代は、それをばかにしてきましたから。社会貢献する仕事というものの価値を、全部下げてきましたから。学校の先生が偉くなくなったでしょう。 Q: 確かにそうですね。 養老:お医者さんも偉くなくなった。政治家が最初に落っこちましたね。 Q: 政治家ですか。そういわれてみれば、政治家というのは、社会のために働く人でしたね。 養老:僕は、「汚れ仕事をやってくれてありがとうございます」って、ときどきいうんですよ。 Q:そういえば政治家になりたいという子どもは見かけませんね。子どもの小学校で卒業記念のフォトブックを作ったのですが、「将来の夢」の欄に「先生」や「お医者さん」はあっても、「政治家」はありませんでした。人の役に立ちたいという子どもたちにとって、政治家は夢の職業ではなくなっているんですね。 養老:政治家は、国民のために働いているんですよ。今はそんなこと思ってないでしょうけどね、政治家本人たちも。 Q: 確かに私たちの親の世代、私たちの世代が生きてきたのは、社会への貢献より、個人としての成功を第一にする社会だった気がします。 養老:子どもたちは今、「自分の生きる意味は自分のなかにある」と、暗黙のうちに思わされているんです。そう教育されているんですね。それが常識だろうと、親が多分そう思っているわけです。 Q: そう思っていました。正直にいえば、それ以外の考え方があると思っていませんでした。 養老:親がそうであれば、自然に子どもの考え方もそうなってしまう。でも、極めて根拠がないんですよ。「自分の生きる意味は自分のなかにある」という考え方は。 それはヴィクトール・E・フランクルというウィーンの精神科の医者が、本に書いています。人生の意義は自分のなかにはないと。ナチスドイツの強制収容所から生きて出てきたユダヤ人です。 Q: 『夜と霧』ですね。 養老:「わたしたちが生きることからなにを期待するかではなく、むしろひたすら、生きることがわたしたちからなにを期待しているかが問題なのだ(*)」。人生の意義は、自分のなかにはなく、むしろ自分の外にあるということです(*)。 *『夜と霧』(ヴィクトール・E・フランクル/みすず書房):「生きる意味を問う」より  Q: 先生も書かれていましたね。 「自己実現」などといいますが、自分が何かを実現する場は外部にしか存在しない。より噛み砕いていえば、人生の意味は自分だけで完結するものではなく、常に周囲の人、社会との関係から生まれる、ということです。とすれば、日常生活において、意味を見出せる場は、まさに共同体でしかない。『バカの壁』(新潮新書/2003年)』、「人生の意味は自分だけで完結するものではなく、常に周囲の人、社会との関係から生まれる、ということです。とすれば、日常生活において、意味を見出せる場は、まさに共同体でしかない」、日本人は考え違いを正す必要がある。
・『「人からどう見られるか」は、意外に重たい  養老:これは20年ほど前から言っているのですが、「参勤交代」をしたらどうかと。都市で生活している人たちが、1年のなかの一時期、田舎暮らしをしたらどうかという提案です。やむを得ずでも一定の時間、自然と付き合うような形の生き方にしたほうがいいんじゃないの、と。田舎では本来、何でも自分でやらなきゃならない。不便なんですね。この不便というのが非常に大事なんです。  Q:不便さというのが、今の子どもの生きづらさを解消する一助になるということでしょうか? 養老:不便なら身体を使いますから。すると、考え方が変わりますよ、ひとりでにね』、「都市で生活している人たちが、1年のなかの一時期、田舎暮らしをしたらどうかという提案です」、「田舎では本来、何でも自分でやらなきゃならない。不便なんですね。この不便というのが非常に大事なんです」、「不便なら身体を使いますから。すると、考え方が変わりますよ」、興味深い提案だ。
・『 身体を使うことで、子どもの考え方が変わる?  養老:大人も変わるでしょうね。体を使って自然に接する時間をつくると、必ずしも人に合わせる必要がなくなるからです。人の顔色を見る必要がないんですね、田舎では。 Q: 身体を使って自然に接すると、人の顔色を見る必要がない……。 養老:作業しているとね。 Q: 作業ですか。田舎で作業する……。例えば、芋掘り体験をしたときのことなど思い出してみると、確かに芋と土のことしか頭になくて、誰にどう見られているかなんて、あまり気にしていなかった気がします。 養老:そう、それが大事。人にどう見られているかっていうのは、意外に重たいんですね。でも、五感をフルに働かせると、意識のほうが遠慮しますから。そうやって感覚を多少、優位に持っていく。 Q: 具体的に、何かを見るとか聞くとか触るとか。 養老:そうですね。僕の子どものころを思い出すと、いつも川で魚を捕っていましたけど、水に入ると冷たいし、風が吹いてくるし、カワセミは飛んでいるし。ああ、きれいだなって。自然のなかにいると、さまざまな感覚の働きに気を取られて、考えることが減っていきますね。「なぜ死んではいけないのか」なんて、そんなことは考えない。 Q: それが「意識のほうが遠慮する」ということ』、「体を使って自然に接する時間をつくると、必ずしも人に合わせる必要がなくなるからです」、「自然のなかにいると、さまざまな感覚の働きに気を取られて、考えることが減っていきますね」、なるほど。
・『人間の相手ばかりしているから、死にたくなる  Q: 先生は、都市や情報化社会に代表される「脳の世界」と、自然や感覚に代表される「身体の世界」を比較して論じていらっしゃいますが、私たちにとって今、大事なのは「身体の世界」にいる時間を確保することなのですね。子どもが本来、「身体の世界」に属するものだとすると、五感をフルに働かせ、身体を使って何かをすることは、子どもの自殺を防ぐうえで助けになる気がします。 養老:僕らの頃は小学校だともう、1週間の半分ぐらいは川で遊んでましたよ、魚を捕って。それが高学年で虫捕りになっただけで。つまり、人の相手じゃなくて自然を相手にして、十分遊んでいられたんです。今はそれがなくなって、子どもの世界が半分になっちゃった。子どもたちの相手をするのが、先生とか親とか友達とか、人間ばかりになっちゃったんです。若い人にとって、「みんなで何かをする」ことは喜びではあるのですが、それにしても人といる時間が多すぎるんですよ。 なぜならそれが、自殺にも関連してくるからです。坂口恭平さんという人がいて、「いのっちの電話」というのをやっているんです。自分の携帯電話の番号を公開して、死にたい人であれば誰でもかけられるようにしています。『苦しい時は電話して』(講談社現代新書)という自分の本にも、自分の携帯電話の番号を載せている。電話がかかってきたら話して、電話に出られなかったときはかけ直している。そうやって2万人くらいの死にたい人の話を聞いてきた坂口さんは、人の苦労というのはすべて他人との関わり合いのなかにあるとしています。 だからね、子どもの時代からそういう苦労を負わせる必要、僕はないと思う。 Q: 今の子どもは、人間の相手ばかりをしているから、「他人が自分をどう思うか」を気にする時間が長い。常に他人の評価、特に大人の評価にさらされっぱなしということになるんですね。 養老:人生の半分ぐらいは、人以外のものと付き合ったらいいんじゃないのかと思います。 Q: 先生が解剖学に向かわれたのも、そのためですか? 養老:そうです。解剖もそうだし、虫もそうです。 Q: 解剖の検体は「ものいう人」ではないですもんね。虫もそうでしたか。 養老:人以外のものと付き合う時間を増やしていくことが大切なんです。 Q: 都会に住んでいるなら、親が積極的に自然に触れる機会をつくっていかないといけないですね。 養老:そうですね。ただ都会の人はわりと意識的なんです。近ごろは田舎が便利になっちゃったから、むしろ今ではそのほうが問題になっています。文部科学省の統計を調べれば、田舎の子のほうが太っている。 Q: 車での移動が多いから。 養老:だから、都会と田舎を行き来したほうがいいんですよ。(次回に続く)』、「子どもの世界が半分になっちゃった。子どもたちの相手をするのが、先生とか親とか友達とか、人間ばかりになっちゃったんです。若い人にとって、「みんなで何かをする」ことは喜びではあるのですが、それにしても人といる時間が多すぎるんですよ。 なぜならそれが、自殺にも関連してくるからです」、「人以外のものと付き合う時間を増やしていくことが大切」、「都会と田舎を行き来したほうがいい」、今さら、「田舎」生活を半分というのは、夢のまた夢だとは思うが、子どもが自然に接する時間が長くなれば、自殺は減る可能性がありそうだ。
タグ:脳科学 (その2)養老孟司氏2題:なぜ子どもは「theの世界」を生きるのか?、なぜ「他人が自分をどう思うか」を気に病むのか?) 日経ビジネスオンライン「養老孟司氏、なぜ子どもは「theの世界」を生きるのか?」 「子どもたちは、自然や感覚に代表される「身体の世界」に属するとおっしゃいます。それに対して大人は、都市は情報化社会に代表される「脳の世界」を生きています」、というのは面白い比喩だ。 僕はアルバイトで数学の家庭教師をよくしていた」、子どもの捉え方は大人では想像もつかないような捉え方をする子どももいるので、大変だと思う。 「感覚的に見れば、文字と数字は違っていますから。概念的にも違っていますけどね。それを意識は無理やり「イコール」にしちゃう。そこをすんなり通り抜けられる子と通り抜けられない子がいるんです。通り抜けられなかった子は、数学ができなくなります」、「数学ができない子」のできない1つの理由が理解できた。 「数学は「同じの上」に成り立っています。あれはイコールのなかの世界なんですね」、「現実世界では……。確かに「まったく同じ」はないですね」、意表をつく見方だ。 「「あ、リンゴの話をしているんだな」と、みんなが同じものを想起するということが、言葉が成り立つための大事な前提です。その裏にあるのは「同じ」なんです。 英語は「同じリンゴ」と「感覚的なリンゴ」を最初から区別しています。それが「an apple」と「the apple」の違いです」、なるほど説得力ある解説だ。 日経ビジネスオンライン「養老孟司氏、なぜ「他人が自分をどう思うか」を気に病むのか?」 「イタリアの田舎」の「レストランで小学生ぐらいの子がウエーターのまねごとをして、チップをもらっています。あれは今の国連の意見だと、児童労働ということで撲滅しなくちゃいけない」、こんなのを「児童労働」とは官僚主義的解釈の最たるものだ。「役割を与えるということは、子どもの承認欲求を満たすことになる。それは生きがいにもなります」、子どもにも「生きがいにもな」るので抑制しようとした国連のスタンスは誤りだ。 「ブータンで、子どもがお父さんの手伝いをしていたら、「国連の役人が来て、児童虐待だといわれた」って、親が怒っていましたよ」、「ブータン」でまで「児童虐待」騒動を起こすとは、国連も困ったものだ。「今の日本がこれだけ子どもが自殺してしまうような社会になったということは、個人、自分のためという生き方が行き詰まっているということ」、その通りだろう。 「人生の意味は自分だけで完結するものではなく、常に周囲の人、社会との関係から生まれる、ということです。とすれば、日常生活において、意味を見出せる場は、まさに共同体でしかない」、日本人は考え違いを正す必要がある。 「都市で生活している人たちが、1年のなかの一時期、田舎暮らしをしたらどうかという提案です」、「田舎では本来、何でも自分でやらなきゃならない。不便なんですね。この不便というのが非常に大事なんです」、「不便なら身体を使いますから。すると、考え方が変わりますよ」、興味深い提案だ。 「体を使って自然に接する時間をつくると、必ずしも人に合わせる必要がなくなるからです」、「自然のなかにいると、さまざまな感覚の働きに気を取られて、考えることが減っていきますね」、なるほど。 「子どもの世界が半分になっちゃった。子どもたちの相手をするのが、先生とか親とか友達とか、人間ばかりになっちゃったんです。若い人にとって、「みんなで何かをする」ことは喜びではあるのですが、それにしても人といる時間が多すぎるんですよ。 なぜならそれが、自殺にも関連してくるからです」、「人以外のものと付き合う時間を増やしていくことが大切」、「都会と田舎を行き来したほうがいい」、今さら、「田舎」生活を半分というのは、夢のまた夢だとは思うが、子どもが自然に接する時間が長くなれば、自殺は減る可能性がありそうだ。
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脳科学(その1)(人は1日に23回逆境を経験する!?脳では何か起きているのか、能率が上がるのは朝か 夜か?仕事の成否を左右する「体内時計」の仕組み、誰でも「いま」より頭がよくなれる…脳科学者・中野信子と精神科医・和田秀樹が語る「脳トレ」の真実 「頭のよさ」には知能面もあれば 感情面もある) [科学]

今日は、脳科学(その1)(人は1日に23回逆境を経験する!?脳では何か起きているのか、能率が上がるのは朝か 夜か?仕事の成否を左右する「体内時計」の仕組み、誰でも「いま」より頭がよくなれる…脳科学者・中野信子と精神科医・和田秀樹が語る「脳トレ」の真実 「頭のよさ」には知能面もあれば 感情面もある)を取上げよう。

先ずは、本年1月28日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した医学博士の川崎康彦氏による「人は1日に23回逆境を経験する!?脳では何か起きているのか」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/294601
・『コロナ禍で生活様式が変わり、次々と起こる生活環境の変化にもかかわらず、自分を見失わずに生きていくには、自分で逆境と感じることから逃げずに、向き合う姿勢が必要です。しかし、これは簡単なようで、なかなか難しいのも事実。実際、逆境と向き合うといわれても……という人も少なくないでしょう。ご自身もさまざまな逆境を経験された医学博士の川崎康彦さんは、逆境に「脳科学」という観点からアプローチすることによって、誰もが直面する逆境への対処法を、新たな視点で捉え直しました。逆境に直面したとき、脳の中では一体何が起きているのか、どうすれば、前を向いて一歩踏み出すことができるのか――。そこで今回は川崎さんの新刊『ハーバードで学んだ 逆境の脳科学』(青春出版社)から、逆境において鍵を握る、脳の中の「逆境トライアングル」について抜粋紹介します』、「脳の中の「逆境トライアングル」」とは興味深そうだ。
・『脳は想定外のことを嫌がる  まず、「逆境」とは何か定義しておきたいと思います。 一番かんたんな定義としては「脳の予測がはずれること」。すなわち、脳が当たり前と思っていることと、現実とのギャップです。 逆境指数を提唱したストルツ博士によれば、人は一日に平均23回の逆境を経験するそう。そんなに多いのか?と首をかしげるかもしれませんが、たとえば、こんな事象も逆境にあたるのです。) SNSの「いいね」が思ったより少ない。かけたはずのアラームが鳴らなかった。通勤途中で足をくじいた。上司がなぜか不機嫌でダメ出しばかりする。 こうした日常的な出来事や、仕事上の小さなミス、事件・事故、自然災害に至るまで、ありとあらゆる「予測していなかったこと」が逆境にあてはまるのです。 脳は、物事が予測通りに進んでいる状態を好みます。生きものとして、そのほうが安全、快適だし、楽だからです。いつも通りに物事が運んでいれば、僕たちはいちいち考えて決断する必要もなく、ほぼ自動的に行動できます。 自動的に進んでいくはずの物事の中で、想定外のことや、どことなく違和感があることに出会うと、脳が嫌悪のサインを送ってきます。困惑、恐れ、イライラ、怒り、不安……こうしたネガティブな感情は、脳の想定と現実とのギャップを知らせる「逆境のサイン」でもあります。 逆境のサインが出ると人により、状況により反応は様々ですが、例えばこんな反応があるでしょう。 天敵に襲われた野生動物のように全身に力が入り、手のひらは汗ばみ、心臓の鼓動や脈拍は早くなる過興奮状態。または頭が真っ白になる、唖然となるといったフリーズ状態。 こうした全身レベルの反応だけでなく、脳が認識したギャップに対して、意味不明、理解不能として否定、無視または拒絶して片づけてしまうことも、よく起きます。一般的にいえばめんどうくさいと感じる時がこれに当たります』、「人は一日に平均23回の逆境を経験する」、「逆境」の定義が幅広いとはいえ、結構多いのに驚かされた。「脳は、物事が予測通りに進んでいる状態を好みます。生きものとして、そのほうが安全、快適だし、楽だからです。いつも通りに物事が運んでいれば、僕たちはいちいち考えて決断する必要もなく、ほぼ自動的に行動できます。 自動的に進んでいくはずの物事の中で、想定外のことや、どことなく違和感があることに出会うと、脳が嫌悪のサインを送ってきます」、「脳が認識したギャップに対して、意味不明、理解不能として否定、無視または拒絶して片づけてしまうことも、よく起きます。一般的にいえばめんどうくさいと感じる時がこれに当たります」、「めんどうくさい」まで脳の反応だったとは再認識させられた。
・『逆境こそチャンス、ジャンプ・インを  こうして逆境から遠ざかることはあまりにも、もったいないことです。 逆境のサインをどのように扱い、味わい、自分なりに消化していくのか。それによって、僕たちの生き方はずいぶん違ってくるように思います。 ギャップには、じつはさまざまな可能性、いいかえれば新しい気づきや変化のきっかけが眠っており、チャンスの兆しともなるのです。) そのスタートは、自身の脳について知り、脳内環境を変えていくことにあります。 僕が皆さんに提案したいのは、逆境をうまく切り抜けるためのノウハウではありません。もちろん、逆境の中でじっと耐え忍ぶ力でもない。 むしろ逆境こそ変化のチャンスととらえて、時にはその只中にジャンプ・インするようなやり方を、選択肢の一つとして提案したいのです。 逆境に対して、小手先の対処をしたり、傲慢にねじ伏せるばかりの解決法をとっていると、必ずと言ってよいほど似たような問題に繰り返し襲われます。 必要なのは、自分の中の恐れがどこからくるのか、その恐れが何を引き起こしているのか、勇気をもって向き合うこと。すると、恐れは、ブレーキとして作用するのではなく、あなたの一部となり、次へのステップアップを促すアクセルとして機能しだします。 自分の外側で出会った逆境を、自分の内面の気づきとして落とし込んで、「これにはどんな意味があるのか」と考えられること。変えていく勇気を出すこと。 それができたら、あなたにとって逆境はむしろダイヤモンドのような輝きを放つギフトになっていくのです』、「必要なのは、自分の中の恐れがどこからくるのか、その恐れが何を引き起こしているのか、勇気をもって向き合うこと。すると、恐れは、ブレーキとして作用するのではなく、あなたの一部となり、次へのステップアップを促すアクセルとして機能しだします」、確かに説明されると納得するが、こんなに上手くいくのかとの疑問も残る。
・『脳の秘境「逆境トライアングル」とは  さて、逆境に対面した際には様々な反応が脳内で起きるのですが、逆境という視点から脳を見ていくと、重要な箇所が三つあります。 扁桃体、海馬、前頭前野です。この三箇所を「逆境トライアングル」と呼ぶことにし、それぞれの役目をざっと説明しておきましょう。 「扁桃体」は、恐れ、嫌悪、怒りなどからなるネガティブ感情の中枢です。ギャップが生じた時にこうした感情が逆境の信号として出されるのです。先ほどの体の反応は扁桃体が作動した結果として引き起こされると捉えてもらうとわかりやすいでしょう。 「海馬」は記憶の中枢で、ファイリング作業を行っています。数々の短期記憶の中から、長期記憶として保存しておくべきことを選別して、たとえて言うなら「ショッキングなできごと」「うれしかったこと」といったラベルをつけて参照しやすくします。いわゆる仕分けの場所です。脳の中でもとりわけストレスなどで傷つきやすい器官でもあります。 「前頭前野」は思考の中枢で、高度な情報処理を行う場所です。扁桃体の信号や海馬の行った作業をもとに、前頭前野がいわば「逆境」認定を行います。「戦うか・逃げるか」などのいわば本能的な反応に「待った!」をかけるのも、前頭前野の働きです。この場所は常に私たちの行動の選択に関与します。 ところで、「脳の可塑性」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 可塑性とは簡単にいえば、「変わりやすい」という意味で、僕たちが生まれてから成長するに従って、脳は効率的に働くために変化していくのです。 思春期までの間によけいなシナプスを刈り込む「プルーニング」が行われることはよく知られていますね。 反対に感動したことや奇跡的な体験をしたこと、新しい体験で心に響いたことは、神経ネットワークのシナプス結合をより強固にしていきます。これをシナプスの「チューニング」と呼びます。 プルーニングは脳が行う断捨離、チューニングは脳で行われる学習(または新しいシナプスの建設とイメージしてもいいでしょう)として覚えておいてください。そしてこのプルーニングとチューニングを司るデザイナーが皆さん自身であり、そこに成長があり、ユニークさ、自分らしさが形成されていくのです。 このプルーニングとチューニングは一生続きます。たとえ脳の一部が損傷を受けるようなことがあっても、代替する機能を発達させるというように、脳は一生変化・進化を続けるのです。 つまり、逆境トライアングルのネットワークを、輝かせるのも、錆びつかせるのも、僕たち次第というわけです』、「プルーニングは脳が行う断捨離、チューニングは脳で行われる学習」、「このプルーニングとチューニングは一生続きます」、「脳は一生変化・進化を続けるのです。 つまり、逆境トライアングルのネットワークを、輝かせるのも、錆びつかせるのも、僕たち次第というわけです」、自己責任の世界のようだ。
・『「恐怖」で止まらない、使いこなす  逆境に出会った時、恐怖で行動にブレーキをかける代わりに、「恐怖を使いこなす」ことを考えてみましょう。それにはたとえば次のような方法があります。 ・恐れや不安を、具体的な言葉にする ・さまざまな恐れを、ジャンル分けしてみる(人間関係、時間、環境、お金、未来の不安、過去の失敗、今の状況など) ・記憶の中に、同じような恐れを感じた場面を探してみる(本質の発見) ・その恐れがなくなった自分(なりたい自分)をイメージする ・イメージを文章化し、恐れと向き合うことを宣言する ・勇気と強い意志を持って思いきった行動をトライしてみる ・方法を変えて繰り返してみる 以上が、実践の基本です。 恐れを紐解くとそこから、あなたが本当にやりたいこと、やめたいことが明らかになってきます。すなわち、あなたにとって大切なもの、人生の意味が明確になってくるわけです。あなたがこれから行動していくことがより具体的になっていくわけです。 最後が「繰り返してみる」となっているのは、一度でうまくいくことはほとんどないからです。うまくいくまで、何度でもトライしてみる。とはいっても完璧な成功を目指す必要はなく、ちょっとした変化や手応え、自分にとっての学びでもよいのです。 ……それでも、できれば失敗したくない、と思う人は多いでしょう。 プロスポーツ界では、三割の成功率なら成績優秀とされています。トップ選手の証が三割なのですから、僕たちだって10回のチャレンジで3回成功すれば立派なものです。つまり7回失敗しても当然なのです。 ところで失敗には二種類あることをご存じですか?リスクなしでいつも通り行動した際の失敗と、リスクをとって行動した際の失敗です。 前者はルーティン作業などで起きたミスで、注意していれば防げた失敗かもしれません。後者の失敗は、未経験のことに対して全力を出し切った末の失敗です。 勇気を持って行動しただけで、成長の一歩は確実に踏み出しており、目標へのプロセス上にしっかりと立っているということです。決して結果という瞬間に左右されないでください。失敗というプロセスを踏んだ方がドラマチックでハラハラドキドキな経験となり得ますし人に感動をもたらします。この経験は、自分をさらに深く知ってより魅力的な人間になる上で、そして未来をプランニングする上で、大切な情報をもたらしてくれます。 別のどんな方法が考えられるか。(あるいは、別のタイミングを狙ったほうがよいのか。 誤った思い込みに邪魔されていないか。 失敗に見えても、実は達成できている部分があるのではないか。 今後、どんな助けが必要か。 こうやって、さまざまなことを分析し、検証していくことで、普段の生活では見えにくいチャンスを掴んでください。 ◆本コラムの作者・川崎康彦氏の新刊が発売中! あなたは逆境の中で“脳のブレーキ”を外せるか―。 どうしても苦しい状況の中では「やめよう」「もっと楽な道を」と考えてしまうのが普通だが、同じ苦しい中でも「これはチャンスだ」と考えて失敗を恐れずに動ける人もいる。 一体それは何が違うのか。 じつはその違いには脳の環境によるものが大きい。逆境に強い人と弱い人、チャンスをつかめる人とチャンスから逃げてしまう人は“脳のブレーキ”を外せるかどうかにかかっていた。全世界的な逆境の中で、自分はどのように一歩を踏み出していけばよいのか。ハーバード研究員時代に学んだ脳科学的にみた逆境の乗り越え方のヒントが、ここにある』、「どうしても苦しい状況の中では「やめよう」「もっと楽な道を」と考えてしまうのが普通だが、同じ苦しい中でも「これはチャンスだ」と考えて失敗を恐れずに動ける人もいる」、いつも前者を選択すれば、負け犬となるが、後者を選択するのは勇気と覚悟が必要だ。

次に、1月28日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したフリーライターの鈴木 舞氏による「能率が上がるのは朝か、夜か?仕事の成否を左右する「体内時計」の仕組み」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/294567
・『スポーツが趣味のビジネスパーソンにとって、日々のトレーニングは欠かせない。朝のランニング、仕事終わりのフィットネスやゴルフの打ちっぱなしは充実した時間になる。趣味とはいえ、自己記録更新や大会を目指して努力する人も多いはず。仕事と運動の両立には、時間の使い方に工夫が必要だ。ただし、時間当たりの成果を最適化するためには、トレーニングの内容だけでなく、どの時間帯にトレーニングをするかも重要となる。キーワードとなるのは「サーカディアン・リズム」。書籍『シリコンバレー式超ライフハック』(デイヴ・アスプリー著、ダイヤモンド社)を参考に、サーカディアン・リズムが導く傾向を紐解いていこう』、興味深そうだ。
・『サーカディアン・リズムと4つのクロノタイプとは  サーカディアン・リズムは「概日リズム」とも呼ばれており、地球の自転によって24時間周期で刻まれる体内時計を指す。サーカディアン・リズムは人間だけではなく、地球上の生物が持っている機能だ。哺乳類の体内時計は、脳の視床下部にある視交叉上核に存在することがわかっている。人間のサーカディアン・リズムは24時間でなく、1時間多い25時間であることも解明された。 書籍『シリコンバレー式超ライフハック』(デイヴ・アスプリー著、ダイヤモンド社)では、アメリカでスリーブドクターとして活躍するマイケル・ブルース博士による説を紹介。ブルース博士は、多くの不眠症患者に対応してきた臨床心理士だ。 1998年、ある研究結果が「mPer3遺伝子」(哺乳類時計遺伝子)の発現段階で、サーカディアン・リズムを刻んでいることを発見した。ブルース博士はこの研究とこれまで診てきた不眠症患者の症状を通じ、人間のサーカディアン・リズムは1種類ではないと考えた。人間には生まれつきのサーカディアン・リズムの傾向があり、4つの「クロノタイプ」に分類できると提唱したのだ』、「人間」の「体内時計」が「分類」できる4つの「タイプ」とはどんなものなのだろう。
・『クマ、ライオン、オオカミ、イルカ あなたはどの動物タイプ?  ブルース博士が提唱したクロノタイプは、「クマ」「ライオン」「オオカミ」「イルカ」の4種類。それぞれの特徴を簡単にまとめると以下のようになる。 ●クロノタイプ「クマ」 人類の50%を占めるというクマタイプは、基本的に入眠と覚醒が太陽に従って行われる。午前中が最も活動に適した時間帯で、午後の中ごろはややエネルギーの低下を感じる。 ●クロノタイプ「ライオン」 ライオンはいわゆる朝型タイプで、朝に活動するのが向いている。反対に夕方から夜にかけてエネルギーが低下し、就寝時間も早い。人口の15%を占めている。 ●クロノタイプ「オオカミ」 クロノタイプの中で最も夜型なのがオオカミで、人口の15%を占める。夜型というと深夜に活発になるように思えるが、生産性のピークが2つあるのが特徴的だ。深夜のほか、正午から午後2時ごろにかけてピークを迎える。 ●クロノタイプ「イルカ」 睡眠に困難を抱えやすいのがイルカタイプだ。ブルース博士によると、不眠症患者として分類される。高い知性を持つ人や完璧主義者の傾向があり、夜中の長時間を思考に費やしがち。午前の半ばから午後の早い時間までが活動に適している。 この4つのクロノタイプに当てはまるものは、あっただろうか。クロノタイプを参考にするならば、ハイ・パフォーマンスを出すためには最適な時間帯が決まっている。朝型のライオンタイプは夜間にトレーニングをしても、集中力が続かない恐れがある。反対に、夜型のオオカミタイプは朝から運動をしても、体に力が入らないかもしれない。 ブルース博士はさらに、クロノタイプの分類を基に生産性の観察を試みた。24時間のホルモンレベルや身体の生物学的状態を検査し、勤務時間などスケジュールを変えた結果、生産性の上昇が見られたという。つまり、サーカディアン・リズムに従ってトレーニングの時間帯を見直してみると、モチベーションアップや効率性アップが期待できるというわけだ』、「クロノタイプ「イルカ」」の「人口」比は書かれてないが、逆算すると20%となる。「サーカディアン・リズムに従ってトレーニングの時間帯を見直してみると、モチベーションアップや効率性アップが期待できる」、「オオカミ」以外は午前中がほぼ共通するようだ。
・『パフォーマンスをダウンさせる「概日性リズム障害」への対処法  確かにサーカディアン・リズムが乱れると、心身にはさまざまな不調が現れる。「概日性リズム障害」という言葉を聞いたことがある人は多いだろう。 人間の体内時計は25時間であるため、地球の24時間周期とは1時間のずれがある。このずれを修正できずに、睡眠と覚醒のリズムに乱れが生じた状態を「概日性リズム障害」と呼ぶ。日中の眠気、集中力低下、だるさ、頭痛や吐き気、イライラなど心身の不調が主な症状。 概日性リズム障害は、海外旅行や海外出張のための時差ぼけ、シフト制の交代勤務のような昼夜逆転生活を原因として発生することが多い。概日性リズム障害によって眠気や頭痛などの症状が現れていると、ベッドで横になりたくなったり、家で安静にしたくなったりするのも無理はない。 しかし症状改善のためには、朝のうちからカーテンを開けて日光を浴びたり、太陽の下で散歩やウォーキング、軽めのジョギングをしたりするのが効果的だ。なぜならば、サーカディアン・リズムの乱れは日光を浴びるとリセットできることが、研究で解明されているからだ。 「自分は夜型だ」という人でも、サーカディアン・リズムが乱れていれば、夜でも生産性がダウンするものだ。夜型だからと日光を避けた生活を続けていては、サーカディアン・リズムは乱れるばかり。ついには心身の不調を招きかねないだろう。日中の活動に苦手意識がある場合でも、日光浴が健康維持につながることを覚えていてほしい。 リモートワークが浸透し、働き方がますます多様化する中、時間の使い方への意識も高まっている。効率性や生産性を上げるためには、時間帯を見直してみるのもひとつの方法だ。活動の時間帯を変えるだけで、パフォーマンスがアップする可能性がある。ただし哺乳類として生まれたからには、日光を浴びてサーカディアン・リズムの乱れをリセットすることも忘れずに』、「サーカディアン・リズムの乱れは日光を浴びるとリセットできる」、「夜型だからと日光を避けた生活を続けていては、サーカディアン・リズムは乱れるばかり。ついには心身の不調を招きかねないだろう。日中の活動に苦手意識がある場合でも、日光浴が健康維持につながることを覚えていてほしい」、「日光浴」はやはり重要なようだ。

第三に、4月7日付けPRESIDENT BOOKSが掲載した脳科学者・医学博士・認知科学者の中野 信子氏と精神科医・国際医療福祉大学赤坂心理学科教授の和田 秀樹の対談「誰でも「いま」より頭がよくなれる…脳科学者・中野信子と精神科医・和田秀樹が語る「脳トレ」の真実 「頭のよさ」には知能面もあれば、感情面もある」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/56216?page=1
・『脳科学者・中野信子さんと精神科医・和田秀樹さんが共著『頭のよさとは何か』(プレジデント社)を出した。なぜ日本に「バカ」がはびこるのか。「本物の頭のよさ」とはなんなのか。2人の白熱対論の一部を特別公開する──。(第1回/全2回) ※本稿は、中野信子×和田秀樹『頭のよさとは何か』(プレジデント社)の一部を再編集したものです』、第一人者どうしの対談とは興味深そうだ。
・『脳は前頭葉から「老化」する 【和田】僕はこれまで、精神科医として多くの高齢者を見てきました。 ふつうはみなさん、歳をとったら自分も記憶障害や知能障害が起きるのではと不安に感じているものでしょう。でも、臨床的な観察から言うと、これがずいぶん違う。記憶障害や知能障害が起こるはるか以前に、まず脳の前頭葉機能が衰えてしまうんです。 【中野】ということは……。 【和田】意欲だとか新しいことへの対応能力だとか、クリエイティビティとか、そういった能力から先に「老化」してしまうんですね。 それでよく聞かれるのが、「じゃあどうやったら前頭葉を鍛えられるの?」ということ。流行の「脳トレ」だと、「単純計算を繰り返したり、声を出したりするのがいい」なんて言いますよね』、「記憶障害や知能障害が起こるはるか以前に、まず脳の前頭葉機能が衰えてしまうんです」、「意欲だとか新しいことへの対応能力だとか、クリエイティビティとか、そういった能力から先に「老化」してしまう」、そうした能力は確かにいかにも「老化」には耐えられそうもない。
・『「脳トレ」に意味はあるか?  【中野】ご家庭で日常的にできる脳のトレーニングといった類のものって、15年くらい前からある気がしますが、いわゆる「脳トレ」を本当にやっている人は、実際どれだけいるんでしょうか? 【和田】「脳トレ」自体はかなり眉唾まゆつばなところがあるけれど、続けることで脳の血流が増えることは悪いことではないし、前頭葉を使うことになるのは間違いないと思うんだよね。 【中野】血流と神経新生(*)やシナプスの形成に相関があると仮定すれば、血流の増加によって、いわば脳は本当に鍛えられると考えてよいということですか? *神経幹細胞が分裂、分化して、新たな神経細胞が生まれること。 【和田】歳をとっても、日頃から筋肉を使っている人のほうが、使わない人よりも筋肉は落ちにくいですよね。それと同じで、たとえば日本人の高齢者は新聞をよく読むから、意外に側頭葉機能は落ちないと思うんです。前頭葉機能というのも、使っているほうが落ちにくいんじゃないかと、高齢者をずっと見てきた僕としては感じています。 【中野】なるほど』、「「脳トレ」自体はかなり眉唾まゆつばなところがあるけれど、続けることで脳の血流が増えることは悪いことではないし、前頭葉を使うことになるのは間違いないと思う」、「たとえば日本人の高齢者は新聞をよく読むから、意外に側頭葉機能は落ちないと思うんです。前頭葉機能というのも、使っているほうが落ちにくいんじゃないかと、高齢者をずっと見てきた僕としては感じています」、「新聞」の思わぬ効用だ。
・『前頭葉を使わない日本人  【和田】ところが問題があって、日本人というのはなかなか前頭葉を使わないんです。 企業活動もそうですし、政府や自治体の新型コロナ対応などもそうでしたが、日本は前例踏襲型です。そんな環境で長年暮らしていると、ふだんの生活で前頭葉をあまり使わなくなる。そのため、高齢になればなるほど「面白くない老人」が多くなってしまう。 昔は「お年寄りの知恵」というものがありましたよね。いま80代の高齢者の方が20代の頃は、コレラや結核で死ぬ人がたくさんいました。そういう実態を知っていれば、「昔の感染症の怖さはこんなもんじゃなかったよ」「感染症対策はこうすればいいんだ」なんて言ってもよさそうなもの。 ところがいまでは、高齢者のほうがテレビ情報に振り回されて新型コロナウイルス感染症を必要以上に怖がったりしていますから。前頭葉を鍛えていないと意欲が落ちて、脳の老化が早まるだけでなく、危機対応能力とかクリエイティビティに関しても早く落ちてしまうように思えてなりません。 【中野】そうなんですね。SPM(*)の開発者のカール・フリストンが、「自由エネルギー原理」を唱えていますが、これは、脳ができるだけ予測可能性を上げるという原理に従って、認知のみならず行動も変容するという仮説です。 *統計的パラメトリックマッピング。収得された脳機能画像に記録された脳の活動の変化を可視化するための統計的手法。または、その分析を実行するためのソフトウェアの名称。 いわば、能動的推論とでもいうべきものですが、前例に従うというのはある意味、この真逆で、受動的推論といってもいいものかもしれませんね。かえって顕在化しないストレスがたまり、脳機能は衰えそうです。意欲などが落ちるというのは、そのためかもしれません。』、「日本は前例踏襲型です。そんな環境で長年暮らしていると、ふだんの生活で前頭葉をあまり使わなくなる。そのため、高齢になればなるほど「面白くない老人」が多くなってしまう」、「いまでは、高齢者のほうがテレビ情報に振り回されて新型コロナウイルス感染症を必要以上に怖がったりしていますから。前頭葉を鍛えていないと意欲が落ちて、脳の老化が早まるだけでなく、危機対応能力とかクリエイティビティに関しても早く落ちてしまうように思えてなりません」、困ったことだ。
・『AI時代は「頭の使い方」が変わる  【和田】ただ、人間のクリエイティビティが落ちてしまう分は、AI(人工知能)で補うという方法もあるんです。AIとIT(Information Technology)の本質的な違いは何かというと、ITは人間がやり方を覚えないといけません。ところがAIは、人間ができなかったときに、そのニーズをつかんで勝手に動いてくれる代用頭脳だといえます。 【中野】冷蔵庫に足りないものを把握して、勝手に買ってきてくれたり、という技術もまもなく実用化されそうな勢いですしね。 【和田】そうそう。そういうことが可能なのがAIで、これからの「AI時代」は、別に高齢者が機械の使い方を覚えなくても、AIのほうでどんどんやってくれるようになっていくと思います。 自動車の運転がいい例でしょう。あと数年で、完全自動運転が可能な「レベル5」の自動運転が実用化されるともいわれます。それなのに、高齢者が1件大きな自動車事故を起こすと、「高齢者全員から免許を取り上げろ」といった主張が出てきます。はっきり言ってめちゃくちゃだと思います。 一事が万事で、どうも日本人は前頭葉機能がうまく使えない。前頭葉機能というのは、新規のことに対応する能力です。そんな状態だから、AI新時代に対応できない。高齢者だけでなく、日本社会全体が』、「どうも日本人は前頭葉機能がうまく使えない。前頭葉機能というのは、新規のことに対応する能力です。そんな状態だから、AI新時代に対応できない。高齢者だけでなく、日本社会全体が」、その通りだ。
・『注視すべきは「EQ」  【和田】ところで中野先生に聞きたいのですが、「右脳理論」「左脳理論」というものがあるでしょう。僕らが高校生のとき、「受験勉強ばかりしていても左脳しか鍛えられなくて、右脳が鍛えられない」と散々聞かされていました。その理論って、本当のところどうなんでしょう? 【中野】すでに否定する見解が出されていますよね。私も、左右の機能分化はあるものの、左脳が論理で右脳が芸術(?)という理論にエビデンスが乏しく、信用できないと考えています。 【和田】実は、僕もまったく信用してないんです。 僕は、右脳というより、前頭葉の機能とそのトレーニングにむしろ注目しています。前頭葉機能と知能との関係で注視すべきは「EQ(*)」だと思っています。 *Emotional Intelligence Quotientの略。「心の知能指数」と訳される。感情を上手に管理、コントロールする能力を指す。IQが知能の発達を示すのに対し、EQは感情面から仕事に取り組む姿勢や人間関係への関心などを評価する』、「左右の機能分化はあるものの、左脳が論理で右脳が芸術(?)という理論にエビデンスが乏しく、信用できないと考えています」、「右脳というより、前頭葉の機能とそのトレーニングにむしろ注目しています。前頭葉機能と知能との関係で注視すべきは「EQ(*)」だと思っています」、なるほど。
・『前頭葉を損傷して人生が暗転したエリート弁護士  【和田】EQに関して、アイオワ大学のアントニオ・ダマシオ神経学部長の興味深い研究があります。 ダマシオが診察したエリオット(*)という30代の患者は、弁護士として成功した人でしたが、彼は若くして脳腫瘍におかされ、前頭葉が損傷を受けたため、仕事が続けられず廃人同様の生活をしていました。そして脳外科医によって手術が行われ、腫瘍は脳から完全に摘出されました。 *研究では、身元の特定を避けるため職業が改変されている。本当は弁護士ではなく、エリート商社マンだったという説がある。 そこまではいいのですが、なんと彼は、術後に人がまるっきり変わってしまったんです。仕事を途中で投げ出したり、どうでもいいことに妙にこだわるようになったり。 そこでダマシオが、人格が変わってしまったエリオットを改めて検査したところ、前頭葉の表面は無事だったけど、内側がかなり損傷していることがわかったのです。 ダマシオの検査によれば、知能テストではまったく「異常なし」。でも、感情のコントロールが悪くなるわ、弁護士時代は非常に共感能力が高かった人なのに、まったくダメになってしまうわと、恐ろしい結果になってしまったんです』、「若くして脳腫瘍におかされ」、「脳外科医によって手術が行われ、腫瘍は脳から完全に摘出」、「彼は、術後に人がまるっきり変わってしまったんです。仕事を途中で投げ出したり、どうでもいいことに妙にこだわるようになったり」、「知能テストではまったく「異常なし」。でも、感情のコントロールが悪くなるわ、弁護士時代は非常に共感能力が高かった人なのに、まったくダメになってしまうわと、恐ろしい結果になってしまったんです」、「脳腫瘍」の手術はやはり予想外の副作用が出るリスクがあるようだ。
・『EQは前頭葉の働きを示す  【中野】フィニアス・ゲージ(*)のEQ版っていう感じですね。彼も鉄道工事に従事していたときの事故で脳が損傷し、性格がまったく変わってしまったんですよね。 *19世紀アメリカの鉄道作業員。鉄道工事の事故で、大きな鉄の棒が彼の脳を完全に突き抜けて前頭葉に大きな損傷を受けた。にもかかわらず命に別状はなかったのだが、事故後は人格と行動が完全に変わったといわれる。 【和田】そうそう、まさに。ダマシオは、こういった異常を起こす病変の患者がほかにもいることに気づいたんです。 この話が、ダニエル・ゴールマン(*)のEQ解説書で紹介されてから、多くの研究者は、「EQは前頭葉の働きを示すもの」と考えるようになりました。逆に捉えれば、前頭葉の働きをよくできれば、EQは向上させることができる、ということでもある。 *心理学者・科学ジャーナリスト。EQに関する書籍を執筆。『EQ こころの知能指数』など邦訳されている作品も多い』、「19世紀アメリカの鉄道作業員。鉄道工事の事故で、大きな鉄の棒が彼の脳を完全に突き抜けて前頭葉に大きな損傷を受けた。にもかかわらず命に別状はなかったのだが、事故後は人格と行動が完全に変わったといわれる」、先の「ダマシオ」の例と似た事例だ。これで、「「EQは前頭葉の働きを示すもの」と考えるようになりました」、なるほど。
・『頭のよさには知能面、感情面がある  【中野】前頭葉にフォーカスして対談を進めていくのはいい考えですね。 今回、和田先生と私が本を作るということで、どういうテーマがいいかずっと考えていたんです。せっかくですから、「“頭がいい”とはどういうことか」というテーマがいいんじゃないか。いまの話を受ければ、「頭のよさ」には、知能面もあれば、感情面もありますよね。 【和田】なるほど。 【中野】そんなふうに考えたのには、実は個人的な理由もあるんです。 いまの東大と昔の東大は雲泥の差があるとはいえ、まだまだ世間的に関心を持たれている大学ですよね。毎年、東大理IIIにはそれなりの数の人が受かりますが、和田先生はその中でも際立つ存在でした。私は、学生時代に和田先生の本(*)を読んで、「この人の切れ味はすごいな」と驚いたことがあったんです、生意気にも。 *和田氏は1986年に『試験に強い子がひきつる本──偏差値40でも東大に入れる驚異の和田式受験法88』を上梓。その後、多くの受験関連本を刊行している。中野氏は東大受験を目指しているときに和田氏の本を読み、複雑な課題が一本の補助線を引くことで一気に整理されるような爽快感に打たれた、という』、「中野」氏が「学生時代に和田先生の本を読んで、「この人の切れ味はすごいな」と驚いたことがあったんです」、すごい巡り合わせだ。
・『和田秀樹は「システムハック」している  【中野】和田先生の受験本ひとつとっても、「お勉強して、こういうふうに大学に受かりました」というただのノウハウを書いているわけじゃない。“システムハック”をしているな、と思ったんです。 目先の問題解決をするために単純に「やり方」を暗記して使う能力と、たいていの人が無批判に受け入れてしまっている現実の不条理を整理し、問題点を洗いだして、それを解決するために数ある手段から適切な方法を導きだす。いわば、システムハックができる能力。この2つはまったく別物です。 後者が本当の知性というべきものと私は考えていますが、それがないがしろにされているために、多くの問題が起きていると感じます。 「本当の知性」を強化しないとヤバい。これから来る不確実性の時代に生き残っていくことが難しくなります』、「目先の問題解決をするために単純に「やり方」を暗記して使う能力と、たいていの人が無批判に受け入れてしまっている現実の不条理を整理し、問題点を洗いだして、それを解決するために数ある手段から適切な方法を導きだす。いわば、システムハックができる能力。この2つはまったく別物です。 後者が本当の知性というべきものと私は考えています」、「「本当の知性」を強化しないとヤバい。これから来る不確実性の時代に生き残っていくことが難しくなります」、その通りだろう。
・『誰でも「いま」より頭がよくなれる  【中野】「頭がいいとは、いったいどういうことだろう?」という問いは、多くの人に、自分の可能性を揺さぶり起こすためのトリガーとして作用するでしょう。和田先生の思考の鋭さをより多くの人に知っていただけるとも思います。 【和田】こんなことを言うとなんですが……中野先生も僕も、たまたま学歴が東大卒だから、2人で「頭がよくなる」なんて話をすると、読者の方は「とても真似ができない」と思ってしまうかもしれません。 でも、実は僕が目指しているのは、普通の人でも誰でも、いまより必ず頭がよくなることはできる、ということなんです。その意味では、中野先生のおっしゃったことって、まさに僕がこれまでたくさん本を書いて伝えようとしてきたことでもあります。 今回こういう機会を改めて持つことができたのは嬉しいですね。『頭のよさとは何か』を手に取ってくださった読者のみなさんと、「本当の頭のよさ」について一緒に考えていけたらと思います』、「実は僕が目指しているのは、普通の人でも誰でも、いまより必ず頭がよくなることはできる、ということなんです」、嬉しい励ましだ。
タグ:「「本当の知性」を強化しないとヤバい。これから来る不確実性の時代に生き残っていくことが難しくなります」、その通りだろう。 (その1)(人は1日に23回逆境を経験する!?脳では何か起きているのか、能率が上がるのは朝か 夜か?仕事の成否を左右する「体内時計」の仕組み、誰でも「いま」より頭がよくなれる…脳科学者・中野信子と精神科医・和田秀樹が語る「脳トレ」の真実 「頭のよさ」には知能面もあれば 感情面もある) 脳科学 「中野」氏が「学生時代に和田先生の本を読んで、「この人の切れ味はすごいな」と驚いたことがあったんです」、すごい巡り合わせだ。 「19世紀アメリカの鉄道作業員。鉄道工事の事故で、大きな鉄の棒が彼の脳を完全に突き抜けて前頭葉に大きな損傷を受けた。にもかかわらず命に別状はなかったのだが、事故後は人格と行動が完全に変わったといわれる」、先の「ダマシオ」の例と似た事例だ。これで、「「EQは前頭葉の働きを示すもの」と考えるようになりました」、なるほど。 「若くして脳腫瘍におかされ」、「脳外科医によって手術が行われ、腫瘍は脳から完全に摘出」、「彼は、術後に人がまるっきり変わってしまったんです。仕事を途中で投げ出したり、どうでもいいことに妙にこだわるようになったり」、「知能テストではまったく「異常なし」。でも、感情のコントロールが悪くなるわ、弁護士時代は非常に共感能力が高かった人なのに、まったくダメになってしまうわと、恐ろしい結果になってしまったんです」、「脳腫瘍」の手術はやはり予想外の副作用が出るリスクがあるようだ。 「左右の機能分化はあるものの、左脳が論理で右脳が芸術(?)という理論にエビデンスが乏しく、信用できないと考えています」、「右脳というより、前頭葉の機能とそのトレーニングにむしろ注目しています。前頭葉機能と知能との関係で注視すべきは「EQ(*)」だと思っています」、なるほど。 「どうも日本人は前頭葉機能がうまく使えない。前頭葉機能というのは、新規のことに対応する能力です。そんな状態だから、AI新時代に対応できない。高齢者だけでなく、日本社会全体が」、その通りだ。 「日本は前例踏襲型です。そんな環境で長年暮らしていると、ふだんの生活で前頭葉をあまり使わなくなる。そのため、高齢になればなるほど「面白くない老人」が多くなってしまう」、「いまでは、高齢者のほうがテレビ情報に振り回されて新型コロナウイルス感染症を必要以上に怖がったりしていますから。前頭葉を鍛えていないと意欲が落ちて、脳の老化が早まるだけでなく、危機対応能力とかクリエイティビティに関しても早く落ちてしまうように思えてなりません」、困ったことだ。 「「脳トレ」自体はかなり眉唾まゆつばなところがあるけれど、続けることで脳の血流が増えることは悪いことではないし、前頭葉を使うことになるのは間違いないと思う」、「たとえば日本人の高齢者は新聞をよく読むから、意外に側頭葉機能は落ちないと思うんです。前頭葉機能というのも、使っているほうが落ちにくいんじゃないかと、高齢者をずっと見てきた僕としては感じています」、「新聞」の思わぬ効用だ。 「記憶障害や知能障害が起こるはるか以前に、まず脳の前頭葉機能が衰えてしまうんです」、「意欲だとか新しいことへの対応能力だとか、クリエイティビティとか、そういった能力から先に「老化」してしまう」、そうした能力は確かにいかにも「老化」には耐えられそうもない。 第一人者どうしの対談とは興味深そうだ。 中野信子×和田秀樹『頭のよさとは何か』(プレジデント社)の一部を再編集 対談「誰でも「いま」より頭がよくなれる…脳科学者・中野信子と精神科医・和田秀樹が語る「脳トレ」の真実 「頭のよさ」には知能面もあれば、感情面もある」 和田 秀樹 中野 信子 PRESIDENT BOOKS 「サーカディアン・リズムの乱れは日光を浴びるとリセットできる」、「夜型だからと日光を避けた生活を続けていては、サーカディアン・リズムは乱れるばかり。ついには心身の不調を招きかねないだろう。日中の活動に苦手意識がある場合でも、日光浴が健康維持につながることを覚えていてほしい」、「日光浴」はやはり重要なようだ。 「クロノタイプ「イルカ」」の「人口」比は書かれてないが、逆算すると20%となる。「サーカディアン・リズムに従ってトレーニングの時間帯を見直してみると、モチベーションアップや効率性アップが期待できる」、「オオカミ」以外は午前中がほぼ共通するようだ。 「人間」の「体内時計」が「分類」できる4つの「タイプ」とはどんなものなのだろう。 書籍『シリコンバレー式超ライフハック』(デイヴ・アスプリー著、ダイヤモンド社) 鈴木 舞氏による「能率が上がるのは朝か、夜か?仕事の成否を左右する「体内時計」の仕組み」 「どうしても苦しい状況の中では「やめよう」「もっと楽な道を」と考えてしまうのが普通だが、同じ苦しい中でも「これはチャンスだ」と考えて失敗を恐れずに動ける人もいる」、いつも前者を選択すれば、負け犬となるが、後者を選択するのは勇気と覚悟が必要だ。 「プルーニングは脳が行う断捨離、チューニングは脳で行われる学習」、「このプルーニングとチューニングは一生続きます」、「脳は一生変化・進化を続けるのです。 つまり、逆境トライアングルのネットワークを、輝かせるのも、錆びつかせるのも、僕たち次第というわけです」、自己責任の世界のようだ。 「必要なのは、自分の中の恐れがどこからくるのか、その恐れが何を引き起こしているのか、勇気をもって向き合うこと。すると、恐れは、ブレーキとして作用するのではなく、あなたの一部となり、次へのステップアップを促すアクセルとして機能しだします」、確かに説明されると納得するが、こんなに上手くいくのかとの疑問も残る。 「人は一日に平均23回の逆境を経験する」、「逆境」の定義が幅広いとはいえ、結構多いのに驚かされた。「脳は、物事が予測通りに進んでいる状態を好みます。生きものとして、そのほうが安全、快適だし、楽だからです。いつも通りに物事が運んでいれば、僕たちはいちいち考えて決断する必要もなく、ほぼ自動的に行動できます。 自動的に進んでいくはずの物事の中で、想定外のことや、どことなく違和感があることに出会うと、脳が嫌悪のサインを送ってきます」、「脳が認識したギャップに対して、意味不明、理解不能として否定、無視または拒絶して 「脳の中の「逆境トライアングル」」とは興味深そうだ。 川崎康彦氏による「人は1日に23回逆境を経験する!?脳では何か起きているのか」 ダイヤモンド・オンライン 「実は僕が目指しているのは、普通の人でも誰でも、いまより必ず頭がよくなることはできる、ということなんです」、嬉しい励ましだ。
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生命科学(その2)(15億年前 私たちの細胞に起こった「運命のいたずら」…その驚くべき事実、生まれつき決まっている脳細胞の数が「難易度の高い運動」で増える?) [科学]

生命科学については、一昨年4月15日に取上げた。今日は、(その2)(15億年前 私たちの細胞に起こった「運命のいたずら」…その驚くべき事実、生まれつき決まっている脳細胞の数が「難易度の高い運動」で増える?)である。

先ずは、昨年4月7日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した生物学者のポール・ナース氏と理学博士でサイエンス作家の 竹内薫氏による「15億年前、私たちの細胞に起こった「運命のいたずら」…その驚くべき事実」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/267653
・『ノーベル生理学・医学賞を受賞した生物学者ポール・ナースの初の著書『WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か』が世界各国で話題沸騰となっており、いよいよ3月9日に日本でも発刊された。 ポール・ナースが、生物学について真剣に考え始めたきっかけは一羽の蝶だった。12歳か13歳のある春の日、ひらひらと庭の垣根を飛び越えた黄色い蝶の、複雑で、完璧に作られた姿を見て、著者は思った。生きているっていったいどういうことだろう? 生命って、なんなのだろう? 著者は旺盛な好奇心から生物の世界にのめり込み、生物学分野の最前線に立った。本書ではその経験をもとに、生物学の5つの重要な考え方をとりあげながら、生命の仕組みについての、はっきりとした見通しを、語りかけるようなやさしい文章で提示する。 養老孟司氏「生命とは何か。この疑問はだれでも一度は感じたことがあろう。本書は現代生物学の知見を十分に踏まえたうえで、その疑問に答えようとする。現代生物学の入門書、教科書としても使えると思う。」、池谷裕二氏「著名なノーベル賞学者が初めて著した本。それだけで瞠目すべきだが、初心者から専門家まで読者の間口が広く、期待をはるかに超える充実度だ。誠実にして大胆な生物学譚は、この歴史の中核を担った当事者にしか書けまい。」、更科功氏「近代科学四百年の集大成、時代の向こう側まで色褪せない新しい生命論だ。」、さらには、ブライアン・コックス(素粒子物理学者 マンチェスター大学教授)、シッダールタ・ムカジー(ピュリッツァー賞受賞の医学者 がん研究者 コロンビア大学准教授)、アリス・ロバーツ(人類学者 バーミンガム大学教授)など、世界の第一人者から絶賛されている。発売たちまち5万部を突破した本書の発刊を記念して、内容の一部を特別に公開する』、「12歳か13歳」の頃に抱いた疑問を解き明かすとは大したものだ。
・『30兆個の細胞  他の生き物に完全に依存しているため、ウイルスが本当に生きているとは言えないと、結論づける生物学者もいる。だが、よくよく考えてみれば、われわれも含め、生命のほぼすべての形態が、他の生物に依存しているではないか。 あなたの慣れ親しんだ身体も、人と人以外の細胞が混ざりあってできた、一つの生態系だ。われわれのおよそ三〇兆個の細胞など、この生態系に占める数量からすれば微々たるものだ。われわれに依存したり、われわれの内側で生きている、多様な細菌、古細菌、真菌、単細胞真核生物などの共同構成員の数は天井知らずなのだから。 人によっては、いろいろな回虫や、皮膚の上に生息して毛包に卵を生む八本脚のダニなど、わりと大きな動物まで抱えている。こうした人間でない親密な仲間たちは、われわれの細胞と身体に大きく依存しているが、われわれの方も彼らに依存していることがある。 たとえば、ことも、忘れてはならない。私が研究している酵母のような、微生物の多くは、他の生き物が作った分子に完全に依存している。たとえば、炭素と窒素を含む巨大分子を作るために必要なグルコースやアンモニアなどだ。 植物は、はるかに自立しているように見える。空気から二酸化炭素を、土からは水を吸い込み、太陽のエネルギーを利用して、炭素ポリマーなど、自分に必要な複雑な分子の多くを合成する。それでも、植物は、根やその周辺に存在している、大気中から窒素を捉える細菌に依存しているのだ。 こうした細菌抜きでは、生命を支える巨大分子を作ることはできない。事実、それは、われわれが知る限り、真核生物が単独でできることではない』、「腸内細菌は、細胞が自分では作れない、特定のアミノ酸やビタミンを生成してくれる。 さらに、われわれが食べる一口ごとの食べ物は、他の生き物によって作り出されている」、など「他の生き物」に依存しているようだ。
・『最も独立した生命体  つまり、完全にゼロから、自らの細胞の化学的構造を作り出すことができる動物や植物や菌類は、一つもいないのである。おそらく、本当の意味で最も独立した生命体、つまり完全に独立して「自由気ままな生活をしている」と断言できるのは、一見するともっと原始的な感じのものだろう。 たとえば、藍藻(シアノバクテリア)。シアノバクテリアは、光合成をして窒素を捕らえる。海底深くにある活火山の熱水噴出孔から、すべてのエネルギーと化学原料を得ている古細菌も同類だ。驚くべきことに、こうした比較的単純な生き物は、われわれよりも長期にわたって生き延びてきただけでなく、われわれより自立している。 異なる生命体同士の相互依存は、われわれの細胞の根本的な組成にも反映されている。われわれの身体が必要とするエネルギーを作り出すミトコンドリアは、かつてはまったく別個の細菌で、ATP(アデノシン三リン酸)を作る能力を持っていた。 一五億年ほど前に起きた運命のいたずらで、このような細菌のいくつかが、別の種類の細胞の内側に仮住まいを始めた。時がたつにつれ、主である細胞は、「お客さん」の細菌が作ってくれるATPなしでは生きてゆけなくなり、ミトコンドリアは定住することになった。 ウィン・ウィンの関係だったと思われるが、これにより、真核生物の全種族の幕開けとなった。エネルギー供給が安定し、真核生物の細胞は、より大きく、複雑になることができた。このことが、次に、今日の動物や植物や菌類の豊富な多様性へとつながる進化を引き起こした。 (本原稿は、ポール・ナース著『WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か』〈竹内薫訳〉からの抜粋です) ☆好評連載、関連記事 地球上の生命の始まりは「たった1回」だけという驚くべき結論 20億年前、ほとんどの生物が絶滅…「酸素の大惨事」の真相) (ポール・ナース氏の略歴はリンク先参照) (訳者:竹内 薫氏の略歴はリンク先参照)』、「一五億年ほど前に起きた運命のいたずらで、このような細菌のいくつかが、別の種類の細胞の内側に仮住まいを始めた。時がたつにつれ、主である細胞は、「お客さん」の細菌が作ってくれるATPなしでは生きてゆけなくなり、ミトコンドリアは定住することになった」、「主客転倒」も起きるようだ。
・『これだけ心を打たれた本は、初めてだ――訳者より  ポール・ナースは生物学の世界における巨人である。二〇〇一年にノーベル生理学・医学賞も受賞している。 本書を翻訳していて感じたことを書きたいと思う。 驚いたのは、この本がポール・ナースにとって初めての「本」の出版だということ。これだけ科学的な実績があり、二〇〇一年にノーベル賞を受賞しているのだから、何冊も本を書いていても不思議ではないが、ロックフェラー大学学長、王立協会(ロイヤル・ソサエティ)会長といった要職で忙しく、一般向けの本を書く暇がなかったのかもしれない。 これは私の推論にすぎないが、ポール・ナースは、次の世代のため、人類が悲惨な状態に陥らないために、生涯で一冊の一般向け科学書を書いたのではないか。この本はまさに、細胞周期の司会進行役を務めるタンパク質キナーゼと同様、新たな世代への橋渡しの役割を担っている。 私は数々の科学書を翻訳してきたが、これだけ心を打たれた本は、初めてだ。それほど、ポール・ナースという科学者の家族、友人、先輩、同僚、部下、人類、そして生き物への愛情を感じた』、「ノーベル賞を受賞」にも拘らず、「この本がポール・ナースにとって初めての「本」の出版」、「要職で忙しく、一般向けの本を書く暇がなかったのかもしれない」、「この本は・・・新たな世代への橋渡しの役割を担っている」、なるほど。

次に、12月28日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したフリーライターの鈴木 舞氏による「生まれつき決まっている脳細胞の数が「難易度の高い運動」で増える?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/291971
・『企業による新規事業創出や個人によるクラウドファンディングなど、新たなチャレンジングが近年、活発だ。不安が少なく安定した「コンフォートゾーン」から抜け出し、新しいステージに飛び出すのは勇気がいることだろうが、やり慣れた仕事、居心地のいい環境では得ることのできない“成果”を掴み取ることも可能だ。コンフォートゾーンから抜け出すと新たな成長段階へと進むことができるのは、ビジネスだけではなくスポーツでも同様らしい。書籍『Life Kinetik(R) 脳が活性化する世界最先端の方法』(ホルスト・ルッツ著/ダイヤモンド社)を参考に、チャレンジに伴う脳の活性化について紐解く』、「チャレンジに伴う脳の活性化」とは興味深そうだ。
・『コンフォートゾーンから脱け出し自分を成長させるには  「スポーツなどの身体活動でより難しい課題に挑戦するほど、脳細胞の数が増えたり、増えた数を維持できる可能性が高くなったりすると報告している」(『Life Kinetik(R) 脳が活性化する世界最先端の方法』より) これはあくまでマウスの実験による報告結果だが、人間の脳でもこうした変化が起きることが期待されている。脳細胞の数が増えるメリットは、身体が知覚した情報の処理能力が向上することだ。記憶力や思考力、判断力が高まるため、新しい物事に関する学習・吸収がはかどることが推測される。 従来は、脳細胞の数は生まれたときに決定され、以降は増えることがないと考えられていた。しかし研究が進むにつれ、後天的に脳細胞が増えることも解明されてきている。その条件のひとつが、難しい課題へのチャレンジではないかと研究では考えられているというわけだ。 難しい課題とは、ランニングのフルマラソンサブ3達成であったり、ゴルフのスコア100切りであったりするだろう。もちろん、個人の能力によって課題の難易度は様々だ。長年続けてきたスポーツであれば、安定したルーティンが確立されていることも多いはず。そういった慣れ親しんだコンフォートゾーンの外に目を向け、ワンステップ上の目標を設定してみると、脳が活性化する可能性がある』、「慣れ親しんだコンフォートゾーンの外に目を向け、ワンステップ上の目標を設定してみると、脳が活性化する可能性がある」、「脳が活性化する可能性がある」とは嬉しいことだ。
・『短期記憶を司るワーキングメモリのメリット  ワンステップ上の目標を掲げたら、次は実際に学習やトレーニングに取りかかる段階だ。このとき、「ワーキングメモリ」と呼ばれる能力が効率よく成果を上げるためのキーワードとなる。ワーキングメモリは「作業記憶」とも呼ばれ、作業や一連の動作を遂行する上で必要な情報を一時的に記憶し、処理する能力だ。 脳の記憶は大きく分けて長期記憶と短期記憶があるが、ワーキングメモリは短期記憶に分類される。迅速な対応、必要な情報と不要な情報の取捨選択、的確な判断は、ワーキングメモリの働きによるものだ。 「脳科学の分野では、人間はワーキングメモリを使って5〜9個の情報を同時に処理することができると考えられています。そうすると、9個の情報を同時に処理できる人は、5個の情報しか処理できない人と比べて80%も高い成果を上げられるということになります」(『Life Kinetik(R) 脳が活性化する世界最先端の方法』より) ワーキングメモリが高い人は、テンポよくスピード感をもって物事を進めることが可能だ。新しいこと、不慣れなことへのチャレンジには、挫折というリスクが伴う。しかしワーキングメモリが発揮されることで、学習やトレーニングをスムーズに進められ、挫折を回避できる可能性が高くなるだろう。) そんなワーキングメモリを鍛える方法のひとつが、有酸素運動だ。ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの有酸素運動は、ワーキングメモリの強化に適していると考えられている』、「有酸素運動は、ワーキングメモリの強化に適している」、聖徳太子もきっと「ワーキングメモリ」の使い方が上手かったのだろう。
・『着実に成長を辿るには長期記憶も欠かせない  ワーキングメモリは、効率的に成果を得るために必要な能力のひとつだ。ただし、人間にとっては長期記憶も重要である。新しい目標にチャレンジするとき、それまで積み重ねてきたトレーニングや習慣が無駄になるわけではない。むしろ長期記憶の蓄積があるからこそ、チャレンジが成功することも多い。 脳内のネットワークをスムーズに構築するには、長期記憶を司る海馬の働きが欠かせない。一度習得した運動でも時間が経つと忘れてしまい、再現するのは簡単ではないからだ。習得した運動を正しく再現するには、海馬の働きが鍵となる。 「海馬は、情報の内容を保存し、その記憶を固定化するために重要な役割を果たしています。海馬がどの情報を長期記憶に送るか、どの情報が不要なのかを決めているのです」(『Life Kinetik(R) 脳が活性化する世界最先端の方法』より) たとえば、ランニング中に疲れやすくなった場合、無自覚のうちにフォームが崩れていることが多い。久しぶりのゴルフで思うように飛距離が伸びないのも、間違ったグリップやスイングが原因のことがある。つまり、脳が正しい方法を再現できなくなくなり、運動機能にも影響を及ぼしているのだ。ワンステップ上の課題にチャレンジしたくても、基本の部分が崩れてしまっては、成長は見込めない。これに深く関わるのが海馬である。 さらに同書によると、「海馬の真の特技は、適切な刺激を受けると新しい細胞をつくることです」とある。海馬は脳の活性化を支える器官とも考えられている、重要な器官なのだ』、「海馬」がそんなに重要な役割を果たしていたとは初めて知った。
・『「脱・コンフォートゾーン」で脳が変化に対して柔軟になる  新しいことや環境にチャレンジするとき、メンタルの負担が増えがちだ。成果を得られるか不安を感じたり、慣れない環境に拒否反応を起こしたりすることは少なくない。一方で、人間の脳はさまざまな刺激に対応する柔軟性を持っている。 「認知に関連する脳領域には、記憶をつかさどる領域があります。その中でもとくに、短期記憶の一部であるワーキングメモリに関連する領域と長期記憶をつかさどる領域は、神経可塑性を発揮します」(『Life Kinetik(R) 脳が活性化する世界最先端の方法』より) 神経可塑性とは、脳の神経が身体の動作や外的刺激に反応し、その入力の強さに応じて常に変化する性質のこと。神経可塑性のお陰で、脳は膨大な量の情報を正確に処理・伝達し、脳内の他の領域とネットワークを構築していく。 この神経可塑性については、国内外の様々な研究によって、繰り返し行われる学習やトレーニングが神経のシナプス結合に影響を与え、成果に導くことを報告されている。 コンフォートゾーンを抜け出すと、未知の情報や状況が多く待ち構えているだろう。直面する課題は困難なものかもしれないが、チャレンジを続けるのが重要だ。ワーキングメモリや海馬が機能しながら、脳は変化に柔軟に対応し、成長へと導かれる。 こうした脳の働きは、人間はチャレンジすることで何歳になっても成長できることを物語っているようだ。この成長を得るためにも、ワンステップ上の課題を設定し、努力を続けてみてはいかがだろう』、「人間はチャレンジすることで何歳になっても成長できることを物語っている」、「この成長を得るためにも、ワンステップ上の課題を設定し、努力を続けてみてはいかがだろう」、もう歳だからを禁句にして、いつまでも「ワンステップ上の課題を設定し、努力を続け」ることが必要なようだ。
タグ:生命科学 (その2)(15億年前 私たちの細胞に起こった「運命のいたずら」…その驚くべき事実、生まれつき決まっている脳細胞の数が「難易度の高い運動」で増える?) ダイヤモンド・オンライン ポール・ナース 竹内薫 「15億年前、私たちの細胞に起こった「運命のいたずら」…その驚くべき事実」 『WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か』 「12歳か13歳」の頃に抱いた疑問を解き明かすとは大したものだ。 「腸内細菌は、細胞が自分では作れない、特定のアミノ酸やビタミンを生成してくれる。 さらに、われわれが食べる一口ごとの食べ物は、他の生き物によって作り出されている」、など「他の生き物」に依存しているようだ。 「一五億年ほど前に起きた運命のいたずらで、このような細菌のいくつかが、別の種類の細胞の内側に仮住まいを始めた。時がたつにつれ、主である細胞は、「お客さん」の細菌が作ってくれるATPなしでは生きてゆけなくなり、ミトコンドリアは定住することになった」、「主客転倒」も起きるようだ。 「ノーベル賞を受賞」にも拘らず、「この本がポール・ナースにとって初めての「本」の出版」、「要職で忙しく、一般向けの本を書く暇がなかったのかもしれない」、「この本は・・・新たな世代への橋渡しの役割を担っている」、なるほど。 鈴木 舞 「生まれつき決まっている脳細胞の数が「難易度の高い運動」で増える?」 「チャレンジに伴う脳の活性化」とは興味深そうだ。 「慣れ親しんだコンフォートゾーンの外に目を向け、ワンステップ上の目標を設定してみると、脳が活性化する可能性がある」、「脳が活性化する可能性がある」とは嬉しいことだ。 「有酸素運動は、ワーキングメモリの強化に適している」、聖徳太子もきっと「ワーキングメモリ」の使い方が上手かったのだろう。 「海馬」がそんなに重要な役割を果たしていたとは初めて知った。 「人間はチャレンジすることで何歳になっても成長できることを物語っている」、「この成長を得るためにも、ワンステップ上の課題を設定し、努力を続けてみてはいかがだろう」、もう歳だからを禁句にして、いつまでも「ワンステップ上の課題を設定し、努力を続け」ることが必要なようだ。
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生物(その1)(「あえて怠け者を許す」働きアリの不思議な生態 人間が軽視する「働かないアリ」の生存理由、人間と同じ?「働きアリは早死にする」衝撃事実 アリの社会でも経済学の理論が見出せる) [科学]

今日は、生物(その1)(「あえて怠け者を許す」働きアリの不思議な生態 人間が軽視する「働かないアリ」の生存理由、人間と同じ?「働きアリは早死にする」衝撃事実 アリの社会でも経済学の理論が見出せる)を取上げよう。

先ずは、昨年12月9日付け東洋経済オンラインが掲載した生物学者の五箇 公一氏による「「あえて怠け者を許す」働きアリの不思議な生態 人間が軽視する「働かないアリ」の生存理由」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/374615
・『働きアリの世界では、なぜか働かない「怠け者」のアリが存在する。なぜ彼らのような一見、無駄飯食いに見える存在を生かしているのか? 『NHKクローズアップ現代+』の解説を務める一方で、『全力!脱力タイムズ』などさまざまなメディアに出演する異色の生物学者・五箇公一氏による『これからの時代を生き抜くための生物学入門』より一部抜粋・再構成してお届けする。 生物の進化を語るうえで外せない巨人・ダーウィン。彼に触れずして、これから先も話ができないので、ここでダーウィンの進化論についてまとめて話しておきましょう。 ダーウィンの進化論はまさに現在の生物学の礎になっている重要な理論ですが、進化論という響きに難解さを感じる人は少なくないはずです。実際に、生物学や生態学の専門書、あるいはネットの解説なんかを読んでもやたらと硬く難しく語っているものが多くて、いっそう理解を遠ざけている節があります。だいたい学者や専門家という人種は、物事を難しく語ることはできても、簡単にわかりやすく伝えることが苦手な人は多いし、なかにはわざと難しく伝えたがる人も少なくありませんから(笑)』、「わざと難しく伝えたがる人」は、「わざと難しく伝え」ることで、権威付けになると勘違いしているが、かなり多数いることも事実だ。
・『「進化論」とはどんな理論か?  ダーウィンの進化論とは、ざっくりいえば、生物は「変化」を続けており、変化の結果、生き残ってたくさんの子どもを残す上で有利な形質を持つ個体が、不利な形質を持つ個体を押しのけて世の中のメジャーとなり、最終的に不利な形質を持つ個体が滅ぶ、という理論です。 つまり生物の世界は個体間で生存と繁殖(自分の遺伝子を残す)のための厳しい競争が繰り広げられており、ある環境下で「生存率」と「繁殖率」の高いほうの個体が生き残り、その個体の形質が集団中に広がって固定する。こうしてそれぞれの生息環境に特化した形質を持つ生物集団が作り出される。これこそがさまざまな形を持つ種が生み出される「原動力」であるとする理論です。 だからダーウィンの進化論を記述した本のタイトルは「種の起源」とされています(原題:自然選択、あるいは生存闘争における有利な種の保存による、種の起源論)。 ダーウィン自身はこの理論を、自らの探検旅行での観察データから思いついたとされます。彼は1800年代にビーグル号という軍艦に乗ってイギリスから世界中の海洋を5年かけて旅して、その間、大陸や島の多種の生物を観察し、あるいは化石を発掘し、集めてきました。そんな調査の結果から、彼は、なぜこの地球にはさまざまな種が存在し、種ごとに決まった地域に住んでいるのか、そして、なぜ化石でしか見られない生物種たちは滅んでしまったのか、といった生物の時間的・空間的な多様性を作り出しているメカニズムに関心を抱き、その原理として「生物はつねに変化を続ける」という理論を打ち出したのでした。 難しく感じる進化論の理論自体は、実にシンプルで、当たり前のことをいっているだけなのです。 進化論以前は、「生物種は神が創られた」とするキリスト教の創造論が主流とされていましたから、ダーウィンのこの新理論は当時の生物学の概念を根底から揺るがすものであり、生物学のその後の進歩を支える革命的なものでした』、「世界中の海洋を5年かけて旅して、その間、大陸や島の多種の生物を観察し、あるいは化石を発掘し、集めてきました。そんな調査の結果から、彼は、なぜこの地球にはさまざまな種が存在し、種ごとに決まった地域に住んでいるのか、そして、なぜ化石でしか見られない生物種たちは滅んでしまったのか、といった生物の時間的・空間的な多様性を作り出しているメカニズムに関心を抱き、その原理として「生物はつねに変化を続ける」という理論を打ち出した」、やはり超人的だ。
・『今も昔も誤解されやすい進化論  一方で、ダーウィンの進化論は誤った解釈をされやすい理論でもありました。 ダーウィンの進化論では、さまざまな形質を持つ個体間で生存競争が繰り広げられ、生息環境において相対的に有利な性質を持つ個体がより多く生き残り、より多くの子孫を残すことができるとされます。 つまり自然環境が適応力の強い生物だけをすくい取り、弱い生物を振り落とすふるいの役割を果たしており、この自然環境による生物の選別を「自然選択」といいます。 この自然選択はつねに動的であり、環境が変われば「ふるい」の形も変わり、すくわれる形質も変わってきます。生物の持つ形質の有利・不利はいってみれば時代とともに変遷し、逆転も起こりえます。つまり生物の形や性質には完成形というものはない、という点を見落としてしまう人が多いのです。 こうした見落としをしてしまう人は、自然界は弱肉強食・適者生存で成り立っており、弱い個体や、役に立たない形質は、すべて淘汰され、「洗練された」生物だけが生き残ると進化論を解釈してしまうことがあります。 そしてこうした解釈をする人たちにとって自然界や、あるいは人間社会において、一見無駄と思える形質を持つ個体や、ほかよりも弱そうな個体、あるいは「普通とは違う」と判断される人物は「不完全」「不適格」「できそこない」といった無用ともいえる存在に見えることも多々あるようです。 進化の本当の意味は、生物の「試行錯誤」の繰り返しであり、その試行=形や性質の変化が「正解」か「誤り」かを決めるのはそのときそのときの自然環境にすぎず、当然人間が決めることではありません。 そして生物は、たとえ今自分が持っている形質が「正解」だったとしても「いつまた環境が変化するかもしれない」という不確実性に備えて、つねに「新しい変化」=「遺伝子の変異」を生み出し続けます。そして、生物の世界では、人間から見て「無駄じゃね?」と思える形質が意外と生き残っていることがあり、そうした「一見無駄と思われる形質」にも実は存在意義がちゃんとあったりするのです』、「自然界は弱肉強食・適者生存で成り立っており、弱い個体や、役に立たない形質は、すべて淘汰され、「洗練された」生物だけが生き残ると進化論を解釈してしまうことがあります」、ナチスも誤った解釈で有名だ。「「一見無駄と思われる形質」にも実は存在意義がちゃんとあったりするのです」、なるほど。
・『とっても不思議な「働きアリ」の生態  この事例を実証されたのが日本で私が注目している昆虫学者のひとり、北海道大学の長谷川英祐先生です。生態学の分野では無双のベストセラー『働かないアリに意義がある』(メディアファクトリー新書)の著者です。この著書のタイトルのとおり、長谷川先生はアリの巣の中で働きもせずにゴロゴロしているだけの働きアリの存在意義を明らかにされました。 アリという昆虫は、その遺伝的構造が特殊で、基本はすべての個体がメスでオスは交尾の時期にだけ生産されます。そして女王とその娘たちである働きアリから成る「家族単位」で生活しています。働きアリは自分たちの巣を守るためだけに、エサの採集、女王が産む子どもたちの育児、そして敵の襲来に対する防御などを行います。自分に与えられた使命を、生涯をかけて果たすように遺伝子によってプログラミングされているのです。 働きアリにとってはそうした生き方こそが自分の遺伝子を共有する姉妹たちの生存率を上げることになり、ひいては働きアリの持つ遺伝子が次の世代に残る確率を最大化することにつながるようにできているのです。こうしたアリの徹底した社会システムを「真社会性」といいます。 ダーウィンの「自然選択説」に基づけば、真社会性昆虫の巣では、全員が否が応でも働き者になるはずです。もし、少しでも「怠け者」が出てくれば、ほかの巣とエサや住処をめぐる競争で負けてしまいます。だから「怠け者」の存在する余地なんて「理論上は」寸分もないことになります。 しかし、事実は理論より奇なり。実際にアリの巣を観察していると、ほかの働きアリがせっせと働いているのを尻目に、1日中、なにもしないで巣穴でゴロゴロして過ごす「怠け者」が存在することがわかったのです。怠け者といえどエサは必要ですから、彼らもちゃんとエサだけは食べます。まさに無駄飯食いです。こんな働きアリが巣に居候されたのでは、全個体が働き者という巣が別に存在したら、その巣に競争で負けてしまい、子孫を残すことが難しくなります。なので「怠け者」を作り出す遺伝子は自然界からは淘汰されて消滅してしまうはずです。 ところが怠け者にもちゃんと存在意義があったのです。この怠け者がいる巣から、働き者のアリを除去してみると、今まで怠けていたアリたちが働き者に変化して、せっせと働き出すことがわかったのです。 どうやらこの「怠け者」たちは、労働量が不足する事態が発生したときに巣全体の労働量を補填するための予備軍らしいということがわかりました。もし、予備軍がなく、巣全体で100%の労働パフォーマンスを発揮し続けていたら、不測の事態が生じたときにパンクしてしまうことになるでしょう。 アリの巣は最初からこの不測の事態を織り込み済みで、つねに怠け者が生じるように遺伝的にプログラミングされているのです。 怠け者を「予備軍」と読み替えるだけで、皆さんの中でも、その存在に対する印象がガラリと変わると思います。結局「怠け者」というレッテルは人間の先入観がもたらしたものにすぎず、実際には彼らは働かずにじっと力を蓄えて待機する、という「仕事」をしているのです』、「この「怠け者」たちは、労働量が不足する事態が発生したときに巣全体の労働量を補填するための予備軍らしいということがわかりました」、「結局「怠け者」というレッテルは人間の先入観がもたらしたものにすぎず、実際には彼らは働かずにじっと力を蓄えて待機する、という「仕事」をしているのです」、なるほど。
・『すべてをアリ任せにするアリノスササラダニ  このほかにも自然界では一見、無駄と思える形質が観察されます。例えば、自分の専門のダニの世界にも変なのがいます。アリノスササラダニというダニは、カドフシアリというアリの巣の中に居候していて、移動するのも、脱皮をするのも、エサを食べるのも、産卵するのも、すべてアリ任せで、まるで介護老人のような生活をしています。 アリのほうはとにかくせっせとダニの世話をして、巣を引っ越すときも大事にダニを抱えて持っていきます。 これもダーウィン流自然選択説から見たら、ありえない生き方になります。このダニは明らかにアリにとっては遺伝的なつながりが皆無の別種であり、そんなものの世話をする暇があるなら、自分たちの巣の幼虫の世話に集中すべきです。 ところがこのアリの巣を観察していると、アリたちはエサ不足になると、このダニを食べてしまうことがわかったのです。つまりこの居候のダニは、いざというときのための「非常食」だったわけです。 一方のダニのほうはなぜ食べられるかもしれないリスクを無視してアリの世話になる生き方をしているのか?おそらく、ダニがアリの巣の外で単独で生きていくとなれば、天敵に襲われる可能性が高いからです。 そうであれば、たまに食べられるかもしれないとしてもアリの巣の中で世話してもらう生活のほうが、自分の子孫を残せる確率が「相対的に」高いと考えられます。こうしてアリとダニ双方がいつ訪れるかわからない食料不足という不確実性によって共生関係を進化させてきたと考えられるのです』、「アリとダニ双方がいつ訪れるかわからない食料不足という不確実性によって共生関係を進化させてきたと考えられる」、こんな「共生関係」があるとは驚かされた。
・『生物の多様性とは「希望」である  「働かないアリにも意味がある」ことを発見された長谷川先生は、以下のようにも指摘しています。「生物の進化の背景には、短期的・瞬間的な適応力の最大化という自然選択だけでなく、持続性という長期的な適応力も重要な要素として存在する」。 自然選択説を単純な「不要物排除論」として捉えるのは人間の主観にすぎず、自然界で繰り広げられる進化のメカニズムとプロセスは、人間の想像をはるかに超える複雑さと奇想天外さに満ちているのです。 生物は変化を続けます。それは遺伝子が変異をし続けるからです。適応力が極端に弱い変異はすぐに淘汰されて自然界から消滅することでしょう。適応力は弱いけど、自然界の中で微妙なバランスでマイノリティーとして残る変異もあります。あるいは箸にも棒にもかからないどうでもいい変異が自然界でぶらぶらとほっつき歩くこともあります。 自然界にはさまざまな遺伝子の変異が蓄積され、いろいろな遺伝子からいろいろな種が生み出され、とてつもなく多くの種が豊かな生態系を作り、この地球には生物が織りなす多様な世界が展開されるようになりました。これが皆さんもたまに耳にする「生物多様性」の正体です。 遺伝子、種、そして生態系というそれぞれのレベルでの多様性は過去から現在までの進化のたまものであるとともに、生物たちの未来に対する「備え」=「希望」でもあるのです』、「生物多様性」の理解がより深まったようだ。

次に、12月19日付け東洋経済オンラインが掲載した取材記者グループのFrontline Pressによる「人間と同じ?「働きアリは早死にする」衝撃事実 アリの社会でも経済学の理論が見出せる」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/394734
・『虫眼鏡で小さなアリを覗いてみると、そこでは人間社会と同じことが繰り広げられていた――。30年以上、アリの生態や行動を研究してきた琉球大学農学部の辻和希(つじ・かずき)教授の研究はそんな意外なことを教えてくれる。辻氏は「最も基礎的な研究が最も応用に役立つ」を信念として、アリを観察し続けてきた。その目に、私たちが織りなす人間社会はどう映っているのか。 夢の実現や社会の改革に向けて地道な努力を重ねる研究者たちを紹介する「ニッポンのすごい研究者」。第3回のテーマは「アリと人間」について聞く(Qは聞き手の質問、Aは辻氏の回答)』、興味深そうだ。
・『アリも協力したり、反発したりする  Q:研究のきっかけは何だったのでしょうか。 A:子どものころから昆虫が好きでした。春休み、夏休み、冬休み。そういう中で「スキーができるから私は冬休みが好き」という子どももたくさんいたと思うんですけど、私は断然、昆虫でした。昆虫がたくさんいる夏休みが好きでしてね。夏休みに家族で旅行に行くと、私だけ放っておかれて、ずっと昆虫採集している。そういう生活を送っていました。 普通の虫好きの子どもと同じようにチョウチョやトンボ、カブトムシを追いかけ回していたんですが、母が言うには、物心つくかつかないかの1歳ぐらいのときに、よく軒先でアリの行列をじっと眺めていたらしい。 本格的にアリを研究対象にするのは修士課程に入ってからなんです。でも、本当は1歳のときからすでに魅せられていたのかもしれません。アリを研究対象に選んだのは、実はそこまで深い熱意があったからではないんです。指導教官の勧めでした。「女王アリがいないアリがいるらしい。面白いから、その生態を研究してみたら」と。 それで、アミメアリ(東南アジアから東アジアに広く生息する小型のアリ)を研究対象に選びました。いざ研究を始めてみると、その面白さにのめり込んでしまって……。 アリと人間は当然違いますけど、社会を構成するという点は共通しています。人と人の間で集団の力学が働くのと同じように、アリも協力したり、反発し合ったりと集団の力学が働いている。それが研究でわかるんです。 生物が集団でいるとどういうことが起こるのか。それを知ることができる点に引き込まれました。 Q:アリの集団の中で起きている興味深い事例があるそうですね。 A:2013年に「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」(オンライン版)に掲載された論文にまとめました。その内容は「働かないアリは働きアリよりも長生き」というものです。 (つじ・かずき氏の略歴はリンク先参照) アミメアリを使って実験したところ、働きアリの労働に「ただ乗り」して、労働せずに産卵ばかりするアリが交じっていることを発見しました。 観察していると、働きアリは働かないアリの分まで労働するため早死にする。働かないアリは多くの子を産みますが、産まれてきたアリも遺伝的に働かないので、働かないアリのコロニーは次世代の個体を残せなくなるんです。 行動経済学で言われてきた「力を合わせれば大きな成果が得られるが、他者の働きに期待して怠ける者がいれば協力が成り立たなくなる」という「公共財ゲーム」のジレンマを、アリ社会の中にも見出せました』、「働きアリは働かないアリの分まで労働するため早死にする。働かないアリは多くの子を産みますが、産まれてきたアリも遺伝的に働かないので、働かないアリのコロニーは次世代の個体を残せなくなる」、「働かないアリ」が少数派の間は大丈夫だが、多数派になると「次世代の個体を残せなくなる」、なるほど。
・『裏切り者がいないかを監視し、厳しく罰する  ほかにも「裏切り者がいないか監視し、見つけたら厳しく罰する」という習性も見つかっています。一般に、幼虫を育てたり、エサを捕ったりするのが働きアリの仕事で、産卵を担当するのは女王アリです。こうした役割分担を守らずに、産卵する働きアリもいます。 アリ社会では「産卵=働かないこと」を意味するので、産卵する働きアリが出現すると、他の働きアリが産卵を妨害したり、卵を破壊したりします。どうです?人間社会を彷彿とさせるでしょう? しかも、その「取り締まり」の度合いが集団の成熟度によって異なるということも突き止めました。働きアリの数が100匹未満の若い集団の場合、ほとんどの卵が壊されます。 ところが200匹以上の成熟した集団になると、破壊された卵は20%程度でした。つまり集団がまだ非力な時には規律が優先され「強い取り締まり」が働きますが、集団が成長すると「取り締まり」が緩んで働きアリの利己的行動もそこそこ許容されるのです。 これは「集団vs.集団」と「個体vs.個体」という2つのレベルの競争が同時に働く中で、種全体とかもっと大きなメタ集団のなかでどんな遺伝子の戦略が生き残っていくかを研究した理論で予測したのですが、私たちの実験はその理論を裏付けて実証したわけです。 これらの研究成果は観察だけでは達成できません。「動的ゲーム理論」という複雑な数式を使う数理モデルで分析して、結論を導き出しています』、「働きアリの数が100匹未満の若い集団の場合、ほとんどの卵が壊されます。 ところが200匹以上の成熟した集団になると、破壊された卵は20%程度でした。つまり集団がまだ非力な時には規律が優先され「強い取り締まり」が働きますが、集団が成長すると「取り締まり」が緩んで働きアリの利己的行動もそこそこ許容されるのです」、「これらの研究成果は観察だけでは達成できません。「動的ゲーム理論」という複雑な数式を使う数理モデルで分析して、結論を導き出しています」、ずいぶん先進的なのに驚かされた。
・『アリの社会でも「国際分業論」が成り立つ?  Q:今はどんな研究をされているのですか。 A:現代の人間社会で一般的になった「グローバル経済」がアリの社会でも起きているのではないか。今はそれをテーマに研究しています。国際分業によって生産性を最大化させる、国際経済学の「国際分業論」。それが成り立つかどうか、アリの巣を使って検証しているんです。 経済学はマクロになればなるほど、そのモデルが正しいか否かについて、実際の社会で実験して確かめることができません。 国際分業する国と分業しない国を、条件や背景を一定にしながら、何年も両方の国の経済状況を観察することは難しいですよね? でも、アリならできるんです。経済学モデルの通りにアリに行動させたときに、効用が高まるか、つまりアリの個体数が増えるかということを観察していくことで、そのモデルが正しいかがわかります。 もしモデルと違う結果が出たら、モデルの仮定が間違っていたのではないかということも指摘できる。 実は、ヒアリやアルゼンチンアリの世界では、巣同士で分業が強く働いているであろうされています。彼らには侵略性もある。こうしたメカニズムを解き明かすことにつながるのではないかと考えています。) Q:近年はそのヒアリやアルゼンチンアリなどが人体に影響を与えたり、在来種を駆逐したりしています。外来アリにどう対応したらいいのでしょうか。アリの専門家としてできることは何ですか。 A:ヒアリやアルゼンチンアリのように、人の生命や生態系に影響を及ぼす恐れがある特定外来生物に指定されているアリに関しては、日本に定着した場合の影響力が大きいので、殺虫剤を使って防除するというのは一つの手だと思います。もちろん、それで十分なはずはありません。 先ほど説明した分業モデルの実証を通して「なぜ在来アリを駆逐するほど侵略性が高いのか」の基礎研究を深めていくつもりです。外来アリは日本でも社会問題になってきたので、頑張って社会貢献したいと思います。 でも同時に、「これまでないがしろにされてきた基礎的な研究を継続していたからこそ、こういった対策が取れるんですよ」という点も示せたら、と思っています。 社会に対する寄与をあえて意識せず、研究者それぞれがそれぞれのテーマを掘り下げていく。その掘り下げた研究成果が結果的に社会への寄与につながっていくんじゃないか。私はそう信じています』、「国際分業論」を検証するには、経済学モデルの通りにアリに行動させたときに、効用が高まるか、つまりアリの個体数が増えるかということを観察していくことで、そのモデルが正しいかがわかります。 もしモデルと違う結果が出たら、モデルの仮定が間違っていたのではないかということも指摘できる。ただ、比較優位などを、「アリ」の「行動」にどのように結びつけてゆくのだろう。
・『人間とアリと微生物の共通点  基礎的研究を通して、アリの集団には「働かないアリ」「裏切り者」がいることがわかりました。「裏切り者」が進化することで、社会の共同を破壊する現象が起こっていることも明らかにすることができました。 こういう「ペイオフ構造」を有するゲームが自然界で成り立っているのは、既知の生物では人間とアリと微生物だけなんです。 ただ、裏切り者が進化していく裏側では、共同するアリが集団の中にすごくたくさんいるのもまた事実です。局所的には裏切り者のアリが共同するアリの働きを食い物にしていますけど、おおむね集団の秩序は維持されているわけです。 人間の社会も同じだと思います。いつの時代も利己的な振る舞いをする人や団体がいて、利己的な行動は広がりやすいという特徴を持っている。それでも私たちの社会の共同性は維持されている。それがなぜかということを知りたくて、私はアリの研究を続けているわけなんです』、「アリの研究」を通じて「人間の社会」を研究するとは、なかなか面白そうだ。
タグ:(その1)(「あえて怠け者を許す」働きアリの不思議な生態 人間が軽視する「働かないアリ」の生存理由、人間と同じ?「働きアリは早死にする」衝撃事実 アリの社会でも経済学の理論が見出せる) 生物 東洋経済オンライン 五箇 公一 「「あえて怠け者を許す」働きアリの不思議な生態 人間が軽視する「働かないアリ」の生存理由」 「わざと難しく伝えたがる人」は、「わざと難しく伝え」ることで、権威付けになると勘違いしているが、かなり多数いることも事実だ。 「世界中の海洋を5年かけて旅して、その間、大陸や島の多種の生物を観察し、あるいは化石を発掘し、集めてきました。そんな調査の結果から、彼は、なぜこの地球にはさまざまな種が存在し、種ごとに決まった地域に住んでいるのか、そして、なぜ化石でしか見られない生物種たちは滅んでしまったのか、といった生物の時間的・空間的な多様性を作り出しているメカニズムに関心を抱き、その原理として「生物はつねに変化を続ける」という理論を打ち出した」、やはり超人的だ 「自然界は弱肉強食・適者生存で成り立っており、弱い個体や、役に立たない形質は、すべて淘汰され、「洗練された」生物だけが生き残ると進化論を解釈してしまうことがあります」、ナチスも誤った解釈で有名だ。 「「一見無駄と思われる形質」にも実は存在意義がちゃんとあったりするのです」、なるほど。 「この「怠け者」たちは、労働量が不足する事態が発生したときに巣全体の労働量を補填するための予備軍らしいということがわかりました」、「結局「怠け者」というレッテルは人間の先入観がもたらしたものにすぎず、実際には彼らは働かずにじっと力を蓄えて待機する、という「仕事」をしているのです」、なるほど アリとダニ双方がいつ訪れるかわからない食料不足という不確実性によって共生関係を進化させてきたと考えられる」、こんな「共生関係」があるとは驚かされた。 「生物多様性」の理解がより深まったようだ。 Frontline Press 「人間と同じ?「働きアリは早死にする」衝撃事実 アリの社会でも経済学の理論が見出せる」 「働きアリは働かないアリの分まで労働するため早死にする。働かないアリは多くの子を産みますが、産まれてきたアリも遺伝的に働かないので、働かないアリのコロニーは次世代の個体を残せなくなる」、「働かないアリ」が少数派の間は大丈夫だが、多数派になると「次世代の個体を残せなくなる」、なるほど。 「働きアリの数が100匹未満の若い集団の場合、ほとんどの卵が壊されます。 ところが200匹以上の成熟した集団になると、破壊された卵は20%程度でした。つまり集団がまだ非力な時には規律が優先され「強い取り締まり」が働きますが、集団が成長すると「取り締まり」が緩んで働きアリの利己的行動もそこそこ許容されるのです」、「これらの研究成果は観察だけでは達成できません。「動的ゲーム理論」という複雑な数式を使う数理モデルで分析して、結論を導き出しています」、ずいぶん先進的なのに驚かされた。 「国際分業論」を検証するには、経済学モデルの通りにアリに行動させたときに、効用が高まるか、つまりアリの個体数が増えるかということを観察していくことで、そのモデルが正しいかがわかります。 もしモデルと違う結果が出たら、モデルの仮定が間違っていたのではないかということも指摘できる。ただ、比較優位などを、「アリ」の「行動」にどのように結びつけてゆくのだろう。 「アリの研究」を通じて「人間の社会」を研究するとは、なかなか面白そうだ。
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