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小売業(一般)(その9)(「大量閉店」イトーヨーカ堂の運命を握る店の正体 時代の流れには勝てなかった総合スーパーの転機、ウエルシア「不倫問題」で社長辞任、2つの懸念 松本氏は経営統合のキーパーソンだったが…、ドンキが「ヤンキーが集まる」店づくりに回帰したワケ 新型店舗“不発”の裏で…) [産業動向]

小売業(一般)については、本年2月25日に取上げた。今日は、(その9)(「大量閉店」イトーヨーカ堂の運命を握る店の正体 時代の流れには勝てなかった総合スーパーの転機、ウエルシア「不倫問題」で社長辞任、2つの懸念 松本氏は経営統合のキーパーソンだったが…、ドンキが「ヤンキーが集まる」店づくりに回帰したワケ 新型店舗“不発”の裏で…)である。

先ずは、3月17日付け東洋経済オンラインが掲載した 流通アナリストの中井 彰人氏による「「大量閉店」イトーヨーカ堂の運命を握る店の正体 時代の流れには勝てなかった総合スーパーの転機」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/741432
・『イトーヨーカ堂が北海道、東北、信越の17店舗を閉店すると2月に明らかになったことが、地域のマスコミなどを中心に、大きな話題となった。親会社であるセブン&アイ・ホールディングスの中期経営計画で公表されていた既定路線だったが、実際に具体的な店名が明らかになったことで、ネットニュースなどでも「イトーヨーカ堂の衰退」といったキャッチーなネタとして散発的に記事が出た。 営業終了するうちの7店舗はロピアを擁するOICグループが一気に譲り受けるという。イトーヨーカ堂から今売り出し中のディスカウントスーパー、ロピアへの店舗譲渡という新旧交代は、小売業界の栄枯盛衰として象徴的な出来事だ。 セブン&アイが公表しているヨーカ堂再建策の骨子は、①首都圏特化、②食品特化、③アパレル撤退、④センター投資とその活用、の4つが柱になっている。これは、裏を返せば、①地方が不採算、②非食品売り場が不振、③特にアパレルがよくない、④生産性が低い、といった問題点があることを示している。 これまでの経緯を振り返りながら、なぜイトーヨーカ堂が苦戦しているのかみていくことにしよう』、興味深そうだ。
・『右肩下がりが続いているヨーカ堂  イトーヨーカ堂の業績停滞は今に始まったことではない。次の図で明らかなとおり、かなり前から売り上げ、収益ともに右肩下がりが続いており、少しずつ店舗閉鎖を行いながら戦線縮小してきていた。 1998年度には1兆5000億円以上だった売上高は、2022年度で1兆円(総額売上高ベース)ちょっとと3分の2に減っているし、営業利益率は4%以上からおおむね右肩下がりで低下して、直近ではほとんど利益が出ない状態にまで落ち込んでいる。) その主要因は、粗利率が高い非食品(衣料品、日用雑貨等)が売れなくなって、いわゆる「2階以上の売り場」が儲からなくなった、ということになるだろう。次の表はヨーカ堂の2008年度と2022年度の粗利構成を比べたものだが、非食品の粗利額の減り方が大きいことは一目瞭然だろう』、「非食品の粗利額の減り方が大きい」のがここまで顕著だとは、改めて驚かされた。
・『イトーヨーカ堂が失った収益源  次ページの売り上げ構成の推移をみるとわかるが、非食品の売り上げが大きく減っていて、テナントに移行している。総合スーパーが流行っていたころは、購買頻度の高い食品で来店してもらい、粗利の高い衣料品を併せて買ってもらうことで利益を稼いでいた。イトーヨーカ堂もこの収益源を失ったことで業績が低迷するようになっていった。) このデータは、食品に関しては、そこまで売り上げが減っていないということも示している。イトーヨーカ堂のみならず、総合スーパーに行くと、1階の食品売り場には大勢の来店客がいる一方で、2階から上は閑散としている、という光景を目にする機会は少なくない。 ご自分の買い物する店選びを思い出してもらえばわかると思うが、衣料品や日用雑貨類に関しては、ユニクロ、GU、しまむら、無印良品、ニトリ、100円ショップ、ホームセンター、ドラッグストア、等々、といった専門店チェーンやその集積する商業施設があるので、総合スーパーなど不要という人も多いのではないか』、「衣料品や日用雑貨類に関しては、ユニクロ、GU、しまむら、無印良品、ニトリ、100円ショップ、ホームセンター、ドラッグストア、等々、といった専門店チェーンやその集積する商業施設があるので、総合スーパーなど不要という人も多いのではないか」、その通りだ。
・『徐々にその役割を終えていった非食品売り場  専門店チェーンが本格的に全国区になったのは、2000年代以降であり、その成長に代替された総合スーパーの非食品売り場は、徐々にその役割を終えていった。結果、全盛期の1990年代、小売業ランキングの上位を占めていた総合スーパー企業は、イオンとセブン&アイを除いて、すべて再編された(屋号は残っているがM&Aされた側にまわった)。 イトーヨーカ堂が、食品特化、アパレル撤退を今、実施しているというのは、総合スーパーとして最後まで頑張って健闘したが、時代の流れには勝てなかった、と解釈すべきなのである。) なぜ、食品の売り上げが、あまり減らなかったのかと言えば、それは食品購入が生活ルーティーンの一部であり、店を選ぶときの選択基準は、近いこと、または、1カ所で揃う品揃えがあることで、「タイパ重視」となっていることによる。地域の動線の中心にある場所、つまり食品購入においては、立地が良くて十分な品揃えがあれば、それなりにお客さんに来てもらえる、ということである』、「食品購入においては、立地が良くて十分な品揃えがあれば、それなりにお客さんに来てもらえる、ということである」、その通りだろう。
・『首都圏でアドバンテージを持つヨーカ堂  この点で、東京発祥の老舗スーパーであるイトーヨーカ堂は大きなアドバンテージを持っていた。世界有数の公共交通網を誇る首都圏中心部において先行者利益を持ち、乗降客数が多い駅前をはじめとする動線の要所を押さえている。そんな優良立地に広い売り場を展開しているイトーヨーカ堂の食品売り場は、首都圏の顧客にとっても十分便利な存在であり続けたのである。 クルマ社会化した地方や郊外においては、こうはいかない。クルマが主要な移動手段となっている地域では、機動力を持っている消費者の行動範囲は首都圏の何十倍も広く、その中にあるスーパーはすべて競合になるという厳しい競争環境だ。 しかし、首都圏の勤労者世帯にとって、平日は駅(もしくは最寄りのバス停)から家への動線上に立地していることが、圧倒的に有利に働く。イオンの「まいばすけっと」という最低限の品揃えしかないミニスーパーが、東京区部から京浜間のみに展開して、2000億円企業にまで成長できたのも、こうした事情が背景にある。) イトーヨーカ堂が首都圏特化を戦略としたのも、自社の立地の強みを最大限生かそう、ということだ。さらに言えば、首都圏中心部には空き地などほとんどなく、競合が出店するにしても何らかの再開発がなければ、場所の確保は難しい。また、あたり前だが、首都圏は人口密集度も高いうえに、人口減少度も低い。ホームともいえる首都圏で再起を図る、という選択肢には議論の余地がないのである』、「イトーヨーカ堂が首都圏特化を戦略としたのも、自社の立地の強みを最大限生かそう、ということだ。さらに言えば、首都圏中心部には空き地などほとんどなく、競合が出店するにしても何らかの再開発がなければ、場所の確保は難しい。また、あたり前だが、首都圏は人口密集度も高いうえに、人口減少度も低い。ホームともいえる首都圏で再起を図る、という選択肢には議論の余地がないのである」、その通りだ。
・『今後の成長戦略のカギとなる新型店  こうした背景を鑑みると、首都圏特化、食品強化、アパレル撤退を、計画通りに実行できるならば、ほぼ確実にヨーカ堂の収益はV字回復するだろう。天下のセブン&アイが、勝算なしに中期経営計画を公表するはずがないのである。 ただ、ここまでは、実行すれば成果が見込めるものの、縮小均衡策であり、その後の成長戦略については、前述した④センター投資による生産性向上、の成否によって結果が大きく変わってくる。生鮮、惣菜の加工工程を、プロセスセンターやセントラルキッチンにスムーズに移行し、その品質が消費者に受け入れられる必要があるからだ。 このインフラが成果を出せなければ、セブン‐イレブンがイトーヨーカ堂との連携で作った新型店「SIPストア」という取り組みも成功しない。 この新しい店は、コンビニをベースとしながらも食品スーパーの機能を果たすために開発された新業態であり、店舗における生鮮や惣菜の加工機能を持たない。最新鋭のセンターから品質の高い生鮮、惣菜を供給することになるのだが、店内バックヤードで生鮮、惣菜の最終加工を行うのが一般的なこの国においては、これまでにあまり成功例がない。数少ない成功例といえば、前述の「まばすけっと」だ。 しかし、セブン&アイはこの挑戦に十分な成算があるのだろう。その背景は、全国屈指の有力食品スーパー、ヨークベニマルがグループに存在している、ということだ。ベニマルはかつてイトーヨーカ堂が三顧の礼をもってグループに迎えた、東北の優良スーパーで、品質の良さ、売場作りのすばらしさについては、業界の誰もが認めるレベルの高い企業として知られる。) また、この会社の大高善興会長は、セブン&アイのプライベートブランド「セブンプレミアム」の生みの親としても知られており、ベニマルの食品に関する知見はグループの宝なのである。 惣菜工場、プロセスセンターについても、かなり昔から戦力化に成功しているため、イトーヨーカ堂のプロセスセンター、セントラルキッチンに関しても、ベニマルからのノウハウ移転が実施されている。ヨーカ堂が食品で生きていく、と明言できるのは、この優秀なグループ企業がいるからなのだろう』、「全国屈指の有力食品スーパー、ヨークベニマルがグループに存在・・・ベニマルはかつてイトーヨーカ堂が三顧の礼をもってグループに迎えた、東北の優良スーパーで、品質の良さ、売場作りのすばらしさについては、業界の誰もが認めるレベルの高い企業として知られる。) また、この会社の大高善興会長は、セブン&アイのプライベートブランド「セブンプレミアム」の生みの親としても知られており、ベニマルの食品に関する知見はグループの宝なのである・・・惣菜工場、プロセスセンターについても、かなり昔から戦力化に成功しているため、イトーヨーカ堂のプロセスセンター、セントラルキッチンに関しても、ベニマルからのノウハウ移転が実施されている。ヨーカ堂が食品で生きていく、と明言できるのは、この優秀なグループ企業がいるからなのだろう」、「ヨークベニマル」が「品質の良さ、売場作りのすばらしさについては、業界の誰もが認めるレベルの高い企業として知られる」、とは初めて知った。
・『イトーヨーカ堂の運命を決める「SIPストア」  2月終わりに新型ミニスーパー「SIPストア」が千葉県松戸市内にオープンし、ニュースなどでも取り上げられていた。セブン‐イレブンが開発、運営しているため、生鮮の充実した大きいコンビニという紹介をされていたがが、これは機能としては明らかに小型食品スーパーだ。 セブン‐イレブンの永松文彦社長は、「SIPストアで店舗数を拡大していくつもりはなく、得られた知見やノウハウを平準店舗に共有していく」という趣旨の発言をしていた。 つまり、難易度の高い生鮮管理を伴うこの店を、フランチャイズ制を根幹とするコンビニの店舗として拡大していくのは、加盟店の意向を無視して進めることはできない、ということだと解釈する。セブン‐イレブンでもなく、ヨーカ堂でもない、セブン&アイの新たな食品スーパー業態が、始動しつつあると考えたほうがいいのかもしれない。 食品スーパーは小売業の中でも最も人件費がかかる業態であり、人手不足、人件費高騰という昨今の環境変化に大きな影響を受けている。生鮮パック詰めや惣菜製造などを店舗ごとのバックヤードで行っていることが要因だ。こうした店舗オペレーションを標準としてきたやり方はこれから維持できなくなる。 そんな時代の要請に対して、セブン&アイはヨーカ堂の危機を契機として、プロセスセンター、セントラルキッチンを活用した生産性の高い業態開発に舵を切った。いわば、なんとか時代の要請に間に合った、という段階なのだろう。 リストラによって収益を改善したヨーカ堂に、新たな時代にあわせた新型スーパーが加わるのなら、セブン&アイのスーパーストア事業としての成長戦略を描くことはできる。ヨーカ堂、という名前が残っていくかどうかは別にしても、グループを総動員すればスーパーストア事業を再成長させる経営資源がこのグループにはある、ということだ。この世にまだ1店舗しか存在してないSIPストア業態の成否が、今後のイトーヨーカ堂の運命を決めるといっても過言ではない』、「新型ミニスーパー「SIPストア」が千葉県松戸市内にオープンし、ニュースなどでも取り上げられていた。セブン‐イレブンが開発、運営しているため、生鮮の充実した大きいコンビニという紹介をされていたがが、これは機能としては明らかに小型食品スーパーだ・・・プロセスセンター、セントラルキッチンを活用した生産性の高い業態開発に舵を切った。いわば、なんとか時代の要請に間に合った、という段階なのだろう。 リストラによって収益を改善したヨーカ堂に、新たな時代にあわせた新型スーパーが加わるのなら、セブン&アイのスーパーストア事業としての成長戦略を描くことはできる・・・グループを総動員すればスーパーストア事業を再成長させる経営資源がこのグループにはある」、「新型ミニスーパー「SIPストア」・・・これは機能としては明らかに小型食品スーパーだ」、これを核に「グループを総動員すればスーパーストア事業を再成長させる経営資源がこのグループにはある」、さすが「セブン&アイ」グループだ。今後の展開を注視したい。

次に、4月22日付け東洋経済オンライン「ウエルシア「不倫問題」で社長辞任、2つの懸念 松本氏は経営統合のキーパーソンだったが…」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/749246
・『「私生活において不適正な行為があり弊社の信用を傷つけるものであると判断した」――。 4月17日、ドラッグストア首位のウエルシアホールディングス(HD)は、松本忠久氏が同日付で社長を辞任すると発表した。「週刊新潮」が報道した松本氏の不倫騒動を理由として、会社側が辞任を勧告した。 「家庭のある身でありながら不倫関係を持つことは不適正であり、何もしないわけにはいかないと判断した」(ウエルシアHD広報)。会社の金銭を不当に使った可能性も調査中だが、4月17日時点では確認できていない。 松本氏はウエルシアHDの親会社であるイオンでも執行役ヘルス&ウエルネス担当を兼任していたが、同17日に解任。4月18日以降、当面は池野隆光会長が社長を兼務するが、後任を検討し、決定次第発表するという』、「家庭のある身でありながら不倫関係を持つ」、とは上場企業経営者にあるまじき行為で、「辞任」は当然だ。
・『M&Aで業界初の1兆円企業に  ウエルシアHDはドラッグ業界首位。調剤併設型の店舗を多く展開するのが特徴だ。1990年以降は、他社と合併を進めながら規模を拡大してきた。 2002年に池野会長が創業した池野ドラッグを合併。松本氏が社長を務めていた「いいの」も2006年に合併している。 松本氏は介護事業を展開する寺島薬局の社長、ウエルシア薬局副社長などを経て、2019年にウエルシアHD社長に就任。2019年2月に1284店だった調剤店舗数を、5年後の2024年2月には2155店まで急拡大させた。 2021年には調剤薬局を展開する愛媛地盤のネオファルマーを買収するなど店舗網を広げ、2022年にはドラッグストア業界で初めて売上高1兆円を達成。 松本氏はウエルシアHDを業界トップに成長させた人物だが、今回の不倫騒動を機に、舵取り役を離れることとなった。) 自社で展開する介護事業は採算性の低さに悩まされてきたが、同業のM&Aや、イオングループ内での統合も視野に挽回すると打ち出した。ドラッグストアを軸に介護や医療のサービスも提供することで、競合と差別化するというわけだ。 さらに、2023年3月にはたばこの販売中止を発表。前期は400店舗で取り扱いを中止し、残りの店舗でも順次販売を取りやめるという。 昨年12月に実施した東洋経済のインタビューで、松本氏は「ドラッグストアはどこでも同じで、欲しいものが安ければよいというのでは不十分。健康に対するサポート、アドバイスをあらゆる面から行える存在になりたい」と語っていた』、「2022年にはドラッグストア業界で初めて売上高1兆円を達成。 松本氏はウエルシアHDを業界トップに成長させた人物だが、今回の不倫騒動を機に、舵取り役を離れることとなった」、功績は大きかったとしても、やはり「不倫騒動」はいただけない。
・『キーパーソンが退場、店作りは道半ば  オーバーストア状態が指摘される中でも、業界の出店競争は激化している。業界4位のコスモス薬品は2023年5月期に114店純増となったが、ウエルシアHDは2024年2月期に62店純増と見劣りする。 出店数に加えて、既存店の売上高伸長率も、食品の安売りを軸に客数を伸ばすコスモス薬品に軍配が上がる。競合に対抗できる店舗づくりはウエルシアHDが直面する重要課題だ。 多様な店舗戦略を進め、クリーンな企業イメージの形成にも努めてきた中、今回の不倫騒動が明るみになってしまった。競合幹部からは「1兆円企業の社長として脇が甘かったのではないか」と冷ややかな声が上がる。 理想の店づくりは道半ばだ。松本氏の辞任で会社の経営方針は揺らぎかねない。ウエルシアHDは早急に後任を決定し、経営統合や店舗改革に臨む必要がある』、「ウエルシアHDは2024年2月期に62店純増と見劣りする。 出店数に加えて、既存店の売上高伸長率も、食品の安売りを軸に客数を伸ばすコスモス薬品に軍配が上がる。競合に対抗できる店舗づくりはウエルシアHDが直面する重要課題だ。 多様な店舗戦略を進め、クリーンな企業イメージの形成にも努めてきた中、今回の不倫騒動が明るみになってしまった。競合幹部からは「1兆円企業の社長として脇が甘かったのではないか」と冷ややかな声が上がる。 理想の店づくりは道半ばだ。松本氏の辞任で会社の経営方針は揺らぎかねない。ウエルシアHDは早急に後任を決定し、経営統合や店舗改革に臨む必要がある』、「理想の店づくりは道半ばだ。松本氏の辞任で会社の経営方針は揺らぎかねない。ウエルシアHDは早急に後任を決定し、経営統合や店舗改革に臨む必要がある」、その通りだ。

第三に、4月22日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した流通ジャーナリストの森山真二氏による「ドンキが「ヤンキーが集まる」店づくりに回帰したワケ、新型店舗“不発”の裏で…」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/342456
・『ドン・キホーテが今春、昔ながらの「混沌とした店づくり」を再現した店舗を大阪にオープンした。光るカー用品やカラコンなどの「ヤンキー向け商品」を取り扱っているほか、今では珍しい深夜営業を実施している。その裏側で、東京・渋谷では、プライベートブランドを重点的に取り扱う新型店舗「ドミセ」がひっそりと閉店した。開店から1年未満での撤退である。ドンキの新型店舗が不発に終わり、原点回帰が進んでいる要因はどこにあるのか。小売・流通業界に詳しいジャーナリストが考察する』、「昔ながらの「混沌とした店づくり」を再現した店舗を大阪にオープンした。光るカー用品やカラコンなどの「ヤンキー向け商品」を取り扱っているほか、今では珍しい深夜営業を実施している。その裏側で、東京・渋谷では、プライベートブランドを重点的に取り扱う新型店舗「ドミセ」がひっそりと閉店した。開店から1年未満での撤退である」、「新型店舗が不発に終わり、原点回帰が進んでいる要因はどこにあるのか」、なるほど。
・『「大人の店」になったはずが… 「ヤンキーを呼び戻す」新店舗がオープン!?  ドン・キホーテ(以下ドンキ)が大阪にオープンした新店舗は、時代に逆行したような作りだった――。 ドンキは4月2日、大阪府貝塚市に「貝塚店」を開業した。貝塚は「だんじり祭り」で有名な岸和田市に近い街だ。この店舗のコンセプトは「ギラギラドンキ」。一昔前のドンキでおなじみだった、商品が所狭しと並ぶ「圧縮陳列」を採用している。 さらに、ドンキの成長を支えてきた「松竹梅作戦」(※)をMD(商品政策)に取り入れ、さまざまな価格帯の商品をそろえている。一般的な食品・日用品だけでなく、光るカー用品、香水、カラーコンタクトレンズ、ピアッサー、アクセサリー、キャラクターソックスなどの、いわゆる「ヤンキー」に愛されるグッズを扱っているのだ。 (※)「3つの価格帯がある場合、人間は真ん中を選びがちになる」という消費者心理を応用した戦略。松(高価)・竹(普通)・梅(安価)の商品をそろえ、売りたいモノを真ん中に集めると効果があるとされる。 そのほとんどが創業時通りに作られている貝塚店は、近年のドンキが失ったものを取り戻そうとしているかのようだ。 というのも、かつてのドンキはヤンキー客が多く、「改造車」(ヤン車)が爆音を轟かせて駐車場に出入りすることもあった。だが、今のドンキは「ヤンキーが溜まる店」ではなくなりつつある。「圧縮陳列」も少々控え目になり、「POPの洪水」というドンキのお家芸もマイルドになった。「ドンキは大人の店となり、若者から離れた」と指摘されることもある。 ドンキはそうした指摘を踏まえ、ヤンキー客を呼び戻そうとしているのか――。今回は、意外な「原点回帰」の狙いを読み解いていきたい』、「今のドンキは「ヤンキーが溜まる店」ではなくなりつつある。「圧縮陳列」も少々控え目になり、「POPの洪水」というドンキのお家芸もマイルドになった。「ドンキは大人の店となり、若者から離れた」と指摘されることもある・・・そのほとんどが創業時通りに作られている貝塚店は、近年のドンキが失ったものを取り戻そうとしているかのようだ」、なるほど。
・『“不発”に終わった東京・渋谷の新型店舗とは?  ドンキを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)の決算説明資料によると、ドンキや姉妹ブランドを含めた「ディスカウント事業」の国内店舗数は488店舗に上る(2024年6月期第2四半期の終了時点)。 かつてのドンキはディープな若者向けの店だったが、これだけ店舗数が増えると新鮮味が薄れるのも無理はない。 PPIHもそれを承知していて、ドンキの小型版「ピカソ」や、PB(プライベートブランド)に特化した新型店舗「ドミセ」をオープンするなど、あの手この手で業態の多様化を進めてきた。 その過程では、弁当を店内で調理して提供する「パワーコンビニ情熱空間」を立ち上げ、うまくいかずに閉店したこともあった(06~08年頃)。 つい最近も、「オープン前に想定していた売上に届かない期間が続いた」として、ドミセの「渋谷道玄坂通ドードー店」(東京都渋谷区)が閉店を余儀なくされた(4月7日に閉店)。オープンから1年未満での撤退である。同店舗は今後、Z世代向けの専門店「キラキラドンキ」にリニューアルするようだ。 (ドミセの閉店を告げるニュースリリース(出典:ドン・キホーテ) はリンク先参照) もちろん失敗は悪いことではなく、PPIHの業績自体は増収増益が続いている。だが、パワーコンビニやドミセの例が示すように、ドンキの要素を取り入れた新ブランド(新業態店)を出せば、必ず成功するというわけではない。 さらに言えば、ピカソ・ドミセ・MEGAドンキなどの各ブランドは、看板やコンセプトに多少の差はあれど、根底にある戦略は同じ。元祖ドンキの成功パターンを踏襲しているにすぎないのだ』、「ピカソ・ドミセ・MEGAドンキなどの各ブランドは、看板やコンセプトに多少の差はあれど、根底にある戦略は同じ。元祖ドンキの成功パターンを踏襲しているにすぎないのだ」、なるほど。
・『同一エリアへの過剰出店は顧客に飽きられる!?  いずれの業態も、店内にはうず高く商品が積み上げられており、一般消費者は「宝探し」のような感覚でお得な商品を探せる。ジャングルのような店内をブラブラ歩きながら、時間をかけて商品を買う。この「時間消費型」の店づくりは各ブランドに共通している。 ただし、こうした業態は、同一商圏に2~3店舗が密集していると特別感が損なわれてしまう。先ほどのドミセの失敗例に照らせば、東京・渋谷エリアには、大規模店舗「MEGAドンキ渋谷本店」がすでに存在する。渋谷という大商圏であれば、姉妹ブランド(ドミセ)を出しても飽きられないとPPIH側は踏んでいたのかもしれないが、そのもくろみは外れてしまった。 コンビニのように生活必需品を販売する業態ならば、同一商圏に2~3店を密集させる弊害は少ない。コンビニの来店客は、必要な商品を買えば、即座に店を後にする。店内で「宝探し」をする必要もなく、回転率が高い。店舗を増やすほど、顧客との接点が増えるメリットもある。 一方で、上記のコンビニの特性は、回転率が低い「時間消費型」のドンキには当てはまらない。渋谷のドミセの跡地にオープンする「キラキラドンキ」も成功するかどうかは不透明だ。筆者の見立てでは、「看板を変えて姉妹ブランドをドンドン出す」という戦略が、ここに来て踊り場を迎えているように思える。 ここで、冒頭の話題に立ち返る。大阪にオープンした「貝塚店」の正式名称は「ドン・キホーテ貝塚店」。姉妹ブランドではなく、元祖ドンキとしてオープンしている。しかも同店舗は「隣接する都市のドンキは閉店時間が早い」ことを理由に深夜3時まで営業している。昔の良さを取り戻しつつ、近隣店舗にはない魅力を演出しているのだ。 広い店内で長い時間を過ごしてもらい、さまざまな商品を買い上げてもらう。それによって収益を得る――。貝塚店は、そんな元祖ドンキの強みが凝縮された店舗だと言える』、「「時間消費型」の店づくりは各ブランドに共通している。 ただし、こうした業態は、同一商圏に2~3店舗が密集していると特別感が損なわれてしまう。先ほどのドミセの失敗例に照らせば、東京・渋谷エリアには、大規模店舗「MEGAドンキ渋谷本店」がすでに存在する。渋谷という大商圏であれば、姉妹ブランド(ドミセ)を出しても飽きられないとPPIH側は踏んでいたのかもしれないが、そのもくろみは外れてしまった・・・渋谷のドミセの跡地にオープンする「キラキラドンキ」も成功するかどうかは不透明だ。筆者の見立てでは、「看板を変えて姉妹ブランドをドンドン出す」という戦略が、ここに来て踊り場を迎えているように思える・・・「ドン・キホーテ貝塚店」、姉妹ブランドではなく、元祖ドンキとしてオープンしている。しかも同店舗は「隣接する都市のドンキは閉店時間が早い」ことを理由に深夜3時まで営業している。昔の良さを取り戻しつつ、近隣店舗にはない魅力を演出しているのだ。 広い店内で長い時間を過ごしてもらい、さまざまな商品を買い上げてもらう。それによって収益を得る――。貝塚店は、そんな元祖ドンキの強みが凝縮された店舗だと言える」、なるほど。
・『「ヤンキーを呼び戻す」新店舗は単なる話題作りではない!  なお、筆者は冒頭で、貝塚店は「ほとんどが創業時通りに作られている」と述べたが、厳密に言えば異なる点がある。 貝塚店に足を踏み入れると、近年の売り上げを支えている、訪日外国人を狙った菓子売り場がある。最新のPB商品も置かれている。その中に、「つけまつげコーナー」などの懐かしい売り場が配置されている。いわば、新旧の商品戦略の融合(=いいとこ取り)がなされているのだ。 ちなみに、ドンキのPB商品のパッケージには、「不漁でサバが手に入らない・・・そこで!日本近海で獲れた美味しいイワシをドバドバっと限界まで詰めました!」などと、長ったらしい宣伝文句が書かれている。これも、客に長く滞在してもらい、購買行動を楽しんでもらうための工夫の一つだ。 ドンキのPBは粗利率が50%台のものも含まれているとされ、収益性が高いのが特徴だ。だが、PBばかり並べても通用しないのは、道玄坂のドミセが証明してしまった。要は他社製品(ナショナルブランド)とのバランスや売り方が大切なのだ。 そのため運営元も、単なる遊び心や話題作りではなく、綿密な戦略に基づいて「ヤンキーを呼び戻す」店づくりを行ったのだろう。結果、貝塚店には一般客だけでなくヤンキーらしき層も来店し、若者が戻ってきているように見受けられた。 ヤンキーだけでなく、訪日外国人、若いママと子ども、中高年男女など、多様な客層で混沌としているのが本来のドンキの魅力である。それを演出できるのは、やはり元祖ドンキならではだ。 ドンキで育った世代が子どもを連れて来店し、子ども世代が孫を連れて来店する――。そんな「無限ループ」を回すことができれば、向かうところ敵なしである。 だからこそ、姉妹ブランドの横展開ではなく、既存のドンキにテコ入れして「長く楽しめる店づくり」を地道に強化することが、ドンキのさらなる飛躍のカギになるかもしれない』、「ヤンキーだけでなく、訪日外国人、若いママと子ども、中高年男女など、多様な客層で混沌としているのが本来のドンキの魅力である。それを演出できるのは、やはり元祖ドンキならではだ。 ドンキで育った世代が子どもを連れて来店し、子ども世代が孫を連れて来店する――。そんな「無限ループ」を回すことができれば、向かうところ敵なしである。 だからこそ、姉妹ブランドの横展開ではなく、既存のドンキにテコ入れして「長く楽しめる店づくり」を地道に強化することが、ドンキのさらなる飛躍のカギになるかもしれない」、さて「ドンキ」の原点回帰「元祖ドンキ」が上手くいくか、「「無限ループ」を回すことができ」るか、などを注視したい。 
タグ:「「時間消費型」の店づくりは各ブランドに共通している。 ただし、こうした業態は、同一商圏に2~3店舗が密集していると特別感が損なわれてしまう。先ほどのドミセの失敗例に照らせば、東京・渋谷エリアには、大規模店舗「MEGAドンキ渋谷本店」がすでに存在する。渋谷という大商圏であれば、姉妹ブランド(ドミセ)を出しても飽きられないとPPIH側は踏んでいたのかもしれないが、そのもくろみは外れてしまった・・・ 「2022年にはドラッグストア業界で初めて売上高1兆円を達成。 松本氏はウエルシアHDを業界トップに成長させた人物だが、今回の不倫騒動を機に、舵取り役を離れることとなった」、功績は大きかったとしても、やはり「不倫騒動」はいただけない。 東洋経済オンライン「ウエルシア「不倫問題」で社長辞任、2つの懸念 松本氏は経営統合のキーパーソンだったが…」 「新型ミニスーパー「SIPストア」が千葉県松戸市内にオープンし、ニュースなどでも取り上げられていた。セブン‐イレブンが開発、運営しているため、生鮮の充実した大きいコンビニという紹介をされていたがが、これは機能としては明らかに小型食品スーパーだ・・・プロセスセンター、セントラルキッチンを活用した生産性の高い業態開発に舵を切った。いわば、なんとか時代の要請に間に合った、という段階なのだろう。 リストラによって収益を改善したヨーカ堂に、新たな時代にあわせた新型スーパーが加わるのなら、セブン&アイのスーパーストア 渋谷のドミセの跡地にオープンする「キラキラドンキ」も成功するかどうかは不透明だ。筆者の見立てでは、「看板を変えて姉妹ブランドをドンドン出す」という戦略が、ここに来て踊り場を迎えているように思える・・・「ドン・キホーテ貝塚店」、姉妹ブランドではなく、元祖ドンキとしてオープンしている。しかも同店舗は「隣接する都市のドンキは閉店時間が早い」ことを理由に深夜3時まで営業している。昔の良さを取り戻しつつ、近隣店舗にはない魅力を演出しているのだ。 小売業(一般) 「非食品の粗利額の減り方が大きい」のがここまで顕著だとは、改めて驚かされた。 だからこそ、姉妹ブランドの横展開ではなく、既存のドンキにテコ入れして「長く楽しめる店づくり」を地道に強化することが、ドンキのさらなる飛躍のカギになるかもしれない」、さて「ドンキ」の原点回帰「元祖ドンキ」が上手くいくか、「「無限ループ」を回すことができ」るか、などを注視したい。 「ヤンキーだけでなく、訪日外国人、若いママと子ども、中高年男女など、多様な客層で混沌としているのが本来のドンキの魅力である。それを演出できるのは、やはり元祖ドンキならではだ。 ドンキで育った世代が子どもを連れて来店し、子ども世代が孫を連れて来店する――。そんな「無限ループ」を回すことができれば、向かうところ敵なしである。 広い店内で長い時間を過ごしてもらい、さまざまな商品を買い上げてもらう。それによって収益を得る――。貝塚店は、そんな元祖ドンキの強みが凝縮された店舗だと言える」、なるほど。 「ピカソ・ドミセ・MEGAドンキなどの各ブランドは、看板やコンセプトに多少の差はあれど、根底にある戦略は同じ。元祖ドンキの成功パターンを踏襲しているにすぎないのだ」、なるほど。 「今のドンキは「ヤンキーが溜まる店」ではなくなりつつある。「圧縮陳列」も少々控え目になり、「POPの洪水」というドンキのお家芸もマイルドになった。「ドンキは大人の店となり、若者から離れた」と指摘されることもある・・・そのほとんどが創業時通りに作られている貝塚店は、近年のドンキが失ったものを取り戻そうとしているかのようだ」、なるほど。 「昔ながらの「混沌とした店づくり」を再現した店舗を大阪にオープンした。光るカー用品やカラコンなどの「ヤンキー向け商品」を取り扱っているほか、今では珍しい深夜営業を実施している。その裏側で、東京・渋谷では、プライベートブランドを重点的に取り扱う新型店舗「ドミセ」がひっそりと閉店した。開店から1年未満での撤退である」、「新型店舗が不発に終わり、原点回帰が進んでいる要因はどこにあるのか」、なるほど。 森山真二氏による「ドンキが「ヤンキーが集まる」店づくりに回帰したワケ、新型店舗“不発”の裏で…」 ダイヤモンド・オンライン 「理想の店づくりは道半ばだ。松本氏の辞任で会社の経営方針は揺らぎかねない。ウエルシアHDは早急に後任を決定し、経営統合や店舗改革に臨む必要がある」、その通りだ。 「家庭のある身でありながら不倫関係を持つ」、とは上場企業経営者にあるまじき行為で、「辞任」は当然だ。 事業としての成長戦略を描くことはできる・・・グループを総動員すればスーパーストア事業を再成長させる経営資源がこのグループにはある」、「新型ミニスーパー「SIPストア」・・・これは機能としては明らかに小型食品スーパーだ」、これを核に「グループを総動員すればスーパーストア事業を再成長させる経営資源がこのグループにはある」、さすが「セブン&アイ」グループだ。今後の展開を注視したい。 惣菜工場、プロセスセンターについても、かなり昔から戦力化に成功しているため、イトーヨーカ堂のプロセスセンター、セントラルキッチンに関しても、ベニマルからのノウハウ移転が実施されている。ヨーカ堂が食品で生きていく、と明言できるのは、この優秀なグループ企業がいるからなのだろう」、「ヨークベニマル」が「品質の良さ、売場作りのすばらしさについては、業界の誰もが認めるレベルの高い企業として知られる」、とは初めて知った。 「全国屈指の有力食品スーパー、ヨークベニマルがグループに存在・・・ベニマルはかつてイトーヨーカ堂が三顧の礼をもってグループに迎えた、東北の優良スーパーで、品質の良さ、売場作りのすばらしさについては、業界の誰もが認めるレベルの高い企業として知られる。) また、この会社の大高善興会長は、セブン&アイのプライベートブランド「セブンプレミアム」の生みの親としても知られており、ベニマルの食品に関する知見はグループの宝なのである・・・ 「食品購入においては、立地が良くて十分な品揃えがあれば、それなりにお客さんに来てもらえる、ということである」、その通りだろう。 「イトーヨーカ堂が首都圏特化を戦略としたのも、自社の立地の強みを最大限生かそう、ということだ。さらに言えば、首都圏中心部には空き地などほとんどなく、競合が出店するにしても何らかの再開発がなければ、場所の確保は難しい。また、あたり前だが、首都圏は人口密集度も高いうえに、人口減少度も低い。ホームともいえる首都圏で再起を図る、という選択肢には議論の余地がないのである」、その通りだ。 「衣料品や日用雑貨類に関しては、ユニクロ、GU、しまむら、無印良品、ニトリ、100円ショップ、ホームセンター、ドラッグストア、等々、といった専門店チェーンやその集積する商業施設があるので、総合スーパーなど不要という人も多いのではないか」、その通りだ。 中井 彰人氏による「「大量閉店」イトーヨーカ堂の運命を握る店の正体 時代の流れには勝てなかった総合スーパーの転機」 東洋経済オンライン (その9)(「大量閉店」イトーヨーカ堂の運命を握る店の正体 時代の流れには勝てなかった総合スーパーの転機、ウエルシア「不倫問題」で社長辞任、2つの懸念 松本氏は経営統合のキーパーソンだったが…、ドンキが「ヤンキーが集まる」店づくりに回帰したワケ 新型店舗“不発”の裏で…)
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SNS(ソーシャルメディア)(その14)(Metaと各国政府が繰り広げる大バトルの焦点 今やニュースはSNSの客寄せパンダですらない、facebookで「詐欺広告」が放置され続ける真因 SNS企業の「責任」に関する法律が免罪符に?) [メディア]

SNS(ソーシャルメディア)については、昨年12月10日に取上げた。今日は、(その14)(Metaと各国政府が繰り広げる大バトルの焦点 今やニュースはSNSの客寄せパンダですらない、facebookで「詐欺広告」が放置され続ける真因 SNS企業の「責任」に関する法律が免罪符に?)である。

先ずは、本年3月14日付け東洋経済オンラインが掲載した東洋大学教授の薬師寺 克行氏による「Metaと各国政府が繰り広げる大バトルの焦点 今やニュースはSNSの客寄せパンダですらない」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/740262
・『ビッグテックの一つでFacebookやInstagramを運営するMeta社が、オーストラリアやカナダ政府を相手に激しいバトルを展開している。 国内メディアの衰退に歯止めをかけるために利益の一部の還元を求める政府と、毎月、世界で数十億人が利用するネットビジネスの影響力を背景に一歩も譲ろうとしないMetaとの衝突は、インターネット空間の隆盛が生み出した新たな国際問題の様相を呈している』、興味深そうだ。
・『Facebookで「ニュース取りやめ」各国が反発  2月末、Metaは突然、オーストラリアでのニュース記事の提供をやめるとともにオーストラリアのメディアに対する支払いを2024年の契約期間終了後にやめると発表した。 Metaは2023年秋に英国、フランス、ドイツでも同様の対応を決めており、各国政府相手の全面戦争となっている。 オーストラリア政府は激しく反発し、Metaとの交渉は続けるものの、Metaが応じなければ最悪の場合15億豪ドル(約1400億円)の罰金が科されるとしている。またオーストラリア国内メディアの反発も激しく、MetaのCEOであるザッカーバーグ氏に対して「テクノロジー暴君だ」などと批判が強まっている。) Metaとオーストラリア政府の対立は2021年に遡る。 国内のテレビや新聞など伝統メディアの経営悪化と相次ぐ休刊や倒産に危機感を抱いた当時の政権が「苦境に立つ報道機関には財政的支援が必要である」として、報道機関の記事を使用している巨大プラットフォーム企業に報道機関への対価の支払いを義務付ける「メディア取引法」を制定した。これは世界でも初めての試みだった。 オーストラリア政府は独自の調査を実施し、国民の約4割がGoogleやFacebook(現Meta)などのSNSを利用し、この2社が国内のデジタル広告収入の81%を占めていることが判明した。 しかし、これら2社は国内メディアの発信するニュースを活用してユーザーを獲得しているにもかかわらず、メディアに対して適正な報酬を支払っていない。この結果、国内メディアの経営が悪化し深刻な状況に陥っているというのである』、「オーストラリア政府は独自の調査を実施し、国民の約4割がGoogleやFacebook(現Meta)などのSNSを利用し、この2社が国内のデジタル広告収入の81%を占めていることが判明した。 しかし、これら2社は国内メディアの発信するニュースを活用してユーザーを獲得しているにもかかわらず、メディアに対して適正な報酬を支払っていない。この結果、国内メディアの経営が悪化し深刻な状況に陥っている」、やや牽強付会な感もあるが、「国内メディア」の苦境の一因になっているのは確かだ。
・『対抗措置で政府の災害情報も見られず  政府が打ち出した仕組みは、莫大な利益を上げているプラットフォーム企業が国内メディアから求められた場合は対価の支払いについて協議し、交渉が合意に達しない場合、政府主導で仲裁を進めるとしている。 FacebookとGoogleは巨額の資金提供を義務付けられる不利な内容であるため強く反発し、一時的にニュースの表示を停止した。その結果、災害などを知らせる政府の緊急ページも見ることができなくなった。 あまりにも傲慢な対応にはオーストラリア国内だけでなく国際社会からも批判が出たため、両社は法律が執行される前にメディア側と話し合い、合計2億豪ドル(約195億円)を支払う契約を結んだ。) オーストラリア政府の対応は決して極端な話でもない。 ニュースをはじめ多種多様なアプリやコンテンツを並べてユーザーをひきつけるプラットフォームビジネスの急激な普及で、各国の新聞やテレビなどの伝統メディアは広告収入を奪われてしまい、ニューヨーク・タイムズなどごく一部を除きほぼ例外なく厳しい経営状況に陥っている。 その結果、民主主義が定着している欧米諸国などではメディアの衰退は言論空間の衰退、さらには民主主義の崩壊につながりかねないという危機意識が強まっている。 先頭を切って法制度を作ったのがオーストラリアだったわけで、この動きが他の国を刺激した。 カナダは2023年7月にプラットフォーム企業とメディアの交渉、当局による仲裁手続きなどを定めた「オンライン・ニュース法」を定めた。EU(欧州連合)はじめ欧州、アメリカ、英国、ブラジルなどいくつかの国でも似たような動きが出ている。 複数の国家が巨大なプラットフォーム企業と対峙するという構造ができつつあるのである』、「複数の国家が巨大なプラットフォーム企業と対峙するという構造ができつつある」、なるほど。
・『穏やかなGoogle、闘うMeta  こうした動きに対しGoogleはこれまでのところ、各国メディアとの協議を進め対価を支払うという比較的穏やかな対応をしている。それに対してMetaは冒頭に紹介したオーストラリアでの支払い拒否の公表だけでなく、各国と「闘う姿勢」を鮮明にしている。 カナダの法制化に対しては、報道機関への支払いに合意したGoogleとは異なり、Metaは今も支払いを拒否するとともに、カナダ国内でのニュース配信を停止している。 例年、カナダは夏に山火事が頻発し大問題となる。2023年夏も記録的な山火事が起きた。ところが同じタイミングでFacebookがニュース配信をやめたことで、被災地の住民は火災の拡大や救助活動についての最新情報を得る手段の一つを失った。皮肉にもFacebookの空白を埋めたのが多くのフェイクニュースだった。 当然、Metaに対する批判は強まり、地方自治体の中にはMetaへの広告を停止するところも出てきている。カナダ政府はMetaとの交渉を根気強く続けているが、トルドー首相は「Metaはジャーナリズムに対する対価を支払わないまま、何十億ドルもの利益を上げている」などと厳しく批判している。) そもそもMetaやGoogleが展開するプラットフォームを基盤としたビジネスモデルは、多種多様なコンテンツで多くのユーザーをできるだけ長い時間、引き付け、広告収入を稼ぐ「アテンション・エコノミー」と呼ばれる手法の代表的なものだ。したがってニュースの提供は主たる目的ではなく、人々を集めるための手段のひとつでしかない。 プラットフォームが登場した初期には強い影響力を持っていた新聞やテレビはプラットフォームを過小評価し、ニュースコンテンツを流すことに対しては鷹揚に構えていた。 しかし、短期間で力関係は逆転してしまった』、「プラットフォームが登場した初期には強い影響力を持っていた新聞やテレビはプラットフォームを過小評価し、ニュースコンテンツを流すことに対しては鷹揚に構えていた。 しかし、短期間で力関係は逆転してしまった」、なるほど。
・『広告収入を奪われつつ、購読者確保では依存  伝統メディアはプラットフォームを経由して購読者や視聴者を確保する比率が高まってきた。つまり、新聞やテレビなどの伝統メディアは、プラットフォームによって広告収入を奪われているのだが、同時に購読者獲得などの面ではプラットフォームへの依存度を高めているのだ。 問題はこのプラットフォームビジネスを成り立たせている「アテンション・エコノミー」がジャーナリズムや民主主義とはおよそ無縁の、利潤追求至上主義であることだ。 オーストラリアやカナダ政府を相手に支払い拒否をするMetaは「ニュースへのクエリ(データベースに対する処理要求)はわずか2~3%にすぎず、多くのユーザーの関心は友人や家族とのつながり、短編の動画やインフルエンサーのコンテンツである。Facebookにニュースはもう必要ない」と反論している。 Metaにとってニュースは主要な収入源になっていないばかりか、ニュースコンテンツを扱えば、各国の政府が介入して対価支払いを義務付ける法律などで規制をしてくる厄介者になっているのである。ならばニュースから撤退したほうが都合いいと考えるだろう。) しかし、現実はそれほど単純に切り分けられない。プラットフォームの普及とともにメディアの広告収入が激減し、その結果、メディア企業が雇用するジャーナリストが減り、記事が短くなり質も下がる。最後に休刊や撤退につながっている。 つまり伝統メディアはいつの間にかプラットフォームに経済的基盤を奪われてしまったのだ。 もちろんGoogleやMetaが各国でメディアに対しニュース使用の対価を支払ったからといって、新聞やテレビの経営が改善し問題がすべて解決するわけではない』、「プラットフォームの普及とともにメディアの広告収入が激減し、その結果、メディア企業が雇用するジャーナリストが減り、記事が短くなり質も下がる。最後に休刊や撤退につながっている。 つまり伝統メディアはいつの間にかプラットフォームに経済的基盤を奪われてしまったのだ。 もちろんGoogleやMetaが各国でメディアに対しニュース使用の対価を支払ったからといって、新聞やテレビの経営が改善し問題がすべて解決するわけではない」、なるほど。
・『ジャーナリズムと民主主義が直面する劇的な変化  ジャーナリズムは権力の監視、多様な情報や意見の提供、それによって公平で公正な民主的社会の実現を目的にしており、利益の追求を目的とはしていない。そのため経済的基盤は極めて脆弱な存在である。そして新聞やテレビなどのメディアが長年、ジャーナリズムの担い手となって機能してきたことも事実だが、それが永続的なものではないことは言うまでもない。 問題は次の姿がまだ明確でないことだ。 苦境に陥ったメディアに対して、それを民主主義の危機と受け止めた一部の国家が法律という手段で救済策を講じる。国家という枠を飛び越えて世界規模での市場を手にした巨大企業はこうした動きに正面から抵抗する。10年、20年前には考えられなかったような力関係の構図の変化が進んでいる。 その先はどうなるのか。ジャーナリズムはどういう形で生き残っていくのか。 現在、ネット空間はSNSの登場に続いて、人工知能(AI)の技術開発と社会への実用化が猛スピードで進んでいる。ジャーナリズムも民主主義も劇的な変化の時代に直面しており、先の姿は予想しようもない状況にある』、「苦境に陥ったメディアに対して、それを民主主義の危機と受け止めた一部の国家が法律という手段で救済策を講じる。国家という枠を飛び越えて世界規模での市場を手にした巨大企業はこうした動きに正面から抵抗する。10年、20年前には考えられなかったような力関係の構図の変化が進んでいる。 その先はどうなるのか。ジャーナリズムはどういう形で生き残っていくのか。 現在、ネット空間はSNSの登場に続いて、人工知能(AI)の技術開発と社会への実用化が猛スピードで進んでいる。ジャーナリズムも民主主義も劇的な変化の時代に直面しており、先の姿は予想しようもない状況にある」、「先の姿」は本当にどうなるのだろう。

次に、4月26日つけ東洋経済オンラインが掲載したITジャーナリストの本田 雅一氏による「facebookで「詐欺広告」が放置され続ける真因 SNS企業の「責任」に関する法律が免罪符に?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/750379
・『メタプラットフォームズの柱である広告事業の信頼が揺らいでいる。 起業家の前澤友作氏がfacebookを運営するメタを提訴する意向を示し、大きな話題となった、著名人の画像を不正使用して投資などを呼びかける詐欺広告。連日、大手メディアなどで取り上げられているが、この問題は日本だけにとどまるものではない。 オーストラリアでは当局がメタを告発しており、著名人の写真などを勝手に利用したネット広告に関して裁判で争われている。アメリカでも訴訟をめぐる動きが出るなど、世界各地で同じような問題が起きているのだ。 無断で肖像を使われている著名人はもちろん、広告によって詐欺に遭った被害者にとっても大きな問題だが、メタ自身にも、今後の事業を考えていくうえで極めて大きな影響を与えかねない』、TVでもしばしば取り上げられ、感心が深まっている。
・『直近決算は広告収入の伸びで絶好調(メタが2月に発表した2023年12月期決算では、“ターゲット広告王”とも言える同社の復活が鮮明となった。売上高が1349億ドル(前期比15.6%増)、営業利益は467億ドル(同61.5%増)で、売上高の97%を占める広告事業が16%伸びた。 4月24日(現地時間)に公表された直近の2024年1~3月期決算でも、広告収入の拡大は続き、facebookやInstagramなど同社が提供するSNSの利用者数は32億4000万人と、前年同期と比べ7%増加している。 こうした圧倒的なユーザー基盤を武器に、EC事業者や消費財メーカー、映像配信、ゲームなど、幅広いジャンルの広告主から出稿需要が集まった。 しかし、彼らのサイト上で掲出される広告には、前述のように世界各地でクレームが相次いでいる。この状況が続くならば、将来的に優良な広告主が離脱し、質の低い広告が利用者の離脱を促す負のスパイラルに陥る可能性がある。 著名人の画像を用いたなりすまし詐欺広告問題は、以前から他国においても取り沙汰されている。 オーストラリアの著名人の画像を不正に使用した広告を掲載したとして、オーストラリアの競争・消費者委員会(ACCC)は2022年にメタを告発。訴訟の行方はまだ決定していないものの、メタにとって有利な材料は見られない。 一方で、訴訟大国であるアメリカにおいて、メタがこうした問題を放置している責任を追及されていないのはなぜだろうか。 そのヒントは、オーストラリアの億万長者、アンドリュー・フォレスト氏が、アメリカ・ワシントン州で起こそうとした裁判の経緯から透けて見える』、どういうことだろう。
・『アメリカでなぜ責任追及されないのか  フォレスト氏は、彼の肖像を用いて暗号通貨詐欺へと誘導する広告をメタが掲載したことに対する告発を行う中、オーストラリア国内では問題解決しないことからオーストラリア連邦政府に働きかけ、政府を通じてアメリカ・ワシントン州にて刑事告発していた。 しかしその事前協議の段階で、具体的な審議には進むことができず、アメリカでの裁判を断念した。 立ちはだかったのは、通信品位法の第230条にある「双方向コンピューター通信サービスのプロバイダーは、中傷的または違法なメッセージに対して責任を負わない」という規程だ。つまりアメリカでは法律上、メタのような双方向の情報交換サービス事業者は、投稿されたコンテンツに対する責任から解放されているのだ。 実際にメタ側は、2023年4月~11月の間にフォレスト氏の肖像を使った1000以上の広告がメタの広告として掲載されたことに異議は唱えず、代わりに230条を根拠として自己弁護したという。) アメリカ企業であるメタが公式に、こうした詐欺広告を掲載する業者を「共通の敵」と表現するのは、現地の法律にのっとって運営している通信プラットフォームを悪用された被害者である、という主張があるからと言える。 実は似たような事例はほかにもある。 Amazonマーケットプレイスへの不正な出品者に対し、Amazonの取り締まりが甘いとの批判が数年前に高まったのを記憶している人も多いだろう。 現在、かなりの数の不正出品者がアカウントを削除されたり、口座を凍結されたりしているが、それでもなお、偽のブランド品などを販売する事業者は根絶やしにはなっていない。 Amazonは不正アカウントの検出精度を上げるよう、自動的な審査のシステムを大幅に強化することで対応してきた。それでも根絶やしにできないのは、出品者自身やその商品の審査に関して、Amazonが主体的に関わることを避けたい意図があるからだと考えられる』、「出品者自身やその商品の審査に関して、Amazonが主体的に関わることを避けたい意図があるからだと考えられる」、何故なのだろう。
・『対策に取り組むメタの姿勢に疑問も  その根拠はメタの場合と同じだ。通信品位法第230条の恩恵を受けるために、掲載する情報に対して自らが主体的に関わるのではなく、あくまでも通信内容には関与しない立場を貫きたいためだ。 しかしながら、Amazonがマーケットプレイスの出品者の審査を厳しく行うようになったように、通信サービスとしてのブランド価値を毀損せず、ユーザーの離反を引き起こさないためには、メタも何らかの対策を取らざるをえなくなるだろう。 著名人のなりすまし、詐欺広告などは、第三者の肖像を勝手に使っている時点で、AIによる検知ツールで自動的に遮断する、あるいは有人の審査サービスにアラートを出す、といった対策を取れるはずだ。 日本だけでなくオーストラリアなどでも同様の問題が起きていることや、何度も同じ人物の肖像が繰り返し使われて詐欺が行われている様子をうかがう限り、そもそもAIを駆使して検出精度を上げているという主張すら、疑いを持たざるをえない。) AIを用いたシステムで使われる機械学習は、雑多な情報から傾向を導き出し、特定の情報を抽出することに長けた技術だ。不正広告の検出にAI技術を本気で応用しようとしているのであれば、人間による審査を併用することで大多数の問題を検出できるはずで、少なくとも同じ不正利用画像が何度も繰り返して広告に使われることはないはずだ。 ところが不思議なことに、メタに対する風当たりが強いEU圏においては、同様の不正広告をめぐる告発が見つからないのだ。これでは文句を言わない国や地域において、意図的にこの問題を放置していると言われても反論できないだろう。 これほどずさんな広告プラットフォームが放置されれば、各国政府による規制が強まる以前に、広告プラットフォームとしての価値が下がり、広告主の離反を引き起こす、あるいは業務の停止といった強い処分が下される可能性も出てくる』、「EU圏」では「メタ」が当局を忖度して厳しく対応しているのではなかろうか。
・『230条は日本での免罪符になるのか  この230条にのっとった通信サービスプラットフォーム事業者の主張は、異なる企業であっても、判で押したように同じような論理で展開される。 「詐欺に取り組むために多面的なアプローチを採用しています。新しい機械学習技術などの技術と、人間によるレビューの両方を用いて、当社のポリシーに違反するコンテンツやアカウントを特定する」 この主張は、詐欺広告問題に関してオーストラリアのガーディアン誌が質問したときにメタから得られた回答だそうだが、まったく同じ回答を筆者はAmazonマーケットプレイスに関してAmazonから得たことがある。 しかしこのアメリカにおける法律が、日本市場において責任を逃れるための免罪符となるのかは疑問が残る。たとえ罰金などの直接的なペナルティーが加わらなかったとしても、問題の放置が彼らの広告事業にマイナスの影響を与える可能性は大いにあるだろう』、今回、自民党が規制に本格的に取り組み始めたのは、良いチャンスだ。「オーストラリア」とも歩調をそろえて、「詐欺広告」に対しては、断固として「法規制」を強化すべきだ。 
タグ:SNS(ソーシャルメディア) (その14)(Metaと各国政府が繰り広げる大バトルの焦点 今やニュースはSNSの客寄せパンダですらない、facebookで「詐欺広告」が放置され続ける真因 SNS企業の「責任」に関する法律が免罪符に?) 東洋経済オンライン 薬師寺 克行氏による「Metaと各国政府が繰り広げる大バトルの焦点 今やニュースはSNSの客寄せパンダですらない」 「オーストラリア政府は独自の調査を実施し、国民の約4割がGoogleやFacebook(現Meta)などのSNSを利用し、この2社が国内のデジタル広告収入の81%を占めていることが判明した。 しかし、これら2社は国内メディアの発信するニュースを活用してユーザーを獲得しているにもかかわらず、メディアに対して適正な報酬を支払っていない。この結果、国内メディアの経営が悪化し深刻な状況に陥っている」、やや牽強付会な感もあるが、「国内メディア」の苦境の一因になっているのは確かだ。 「複数の国家が巨大なプラットフォーム企業と対峙するという構造ができつつある」、なるほど。 「プラットフォームが登場した初期には強い影響力を持っていた新聞やテレビはプラットフォームを過小評価し、ニュースコンテンツを流すことに対しては鷹揚に構えていた。 しかし、短期間で力関係は逆転してしまった」、なるほど。 「プラットフォームの普及とともにメディアの広告収入が激減し、その結果、メディア企業が雇用するジャーナリストが減り、記事が短くなり質も下がる。最後に休刊や撤退につながっている。 つまり伝統メディアはいつの間にかプラットフォームに経済的基盤を奪われてしまったのだ。 もちろんGoogleやMetaが各国でメディアに対しニュース使用の対価を支払ったからといって、新聞やテレビの経営が改善し問題がすべて解決するわけではない」、なるほど。 「苦境に陥ったメディアに対して、それを民主主義の危機と受け止めた一部の国家が法律という手段で救済策を講じる。国家という枠を飛び越えて世界規模での市場を手にした巨大企業はこうした動きに正面から抵抗する。10年、20年前には考えられなかったような力関係の構図の変化が進んでいる。 その先はどうなるのか。ジャーナリズムはどういう形で生き残っていくのか。 現在、ネット空間はSNSの登場に続いて、人工知能(AI)の技術開発と社会への実用化が猛スピードで進んでいる。ジャーナリズムも民主主義も劇的な変化の時代に直面してお り、先の姿は予想しようもない状況にある」、「先の姿」は本当にどうなるのだろう。 本田 雅一氏による「facebookで「詐欺広告」が放置され続ける真因 SNS企業の「責任」に関する法律が免罪符に?」 TVでもしばしば取り上げられ、感心が深まっている。 どういうことだろう。 「出品者自身やその商品の審査に関して、Amazonが主体的に関わることを避けたい意図があるからだと考えられる」、何故なのだろう。 「EU圏」では「メタ」が当局を忖度して厳しく対応しているのではなかろうか。 今回、自民党が規制に本格的に取り組み始めたのは、良いチャンスだ。「オーストラリア」とも歩調をそろえて、「詐欺広告」に対しては、断固として「法規制」を強化すべきだ。
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機能性表示食品制度(その5)(「製薬会社とは名ばかりの“アイデア商品屋”」「開発責任者にすら生薬の知識がない」 紅麹問題で揺れる小林製薬の“儲け重視”の企業体質、「機能性表示食品」の良し悪しをきっちり理解する…生物学者・福岡伸一さんに聞いた、これでは まるで「ザル制度」…!じつは 「科学的根拠が貧弱すぎ」の機能性表示食品 制度そのものがヤバすぎた「衝撃の真実」) [社会]

機能性表示食品制度については、本年4月1日に取上げた。今日は、(その5)(「製薬会社とは名ばかりの“アイデア商品屋”」「開発責任者にすら生薬の知識がない」 紅麹問題で揺れる小林製薬の“儲け重視”の企業体質、「機能性表示食品」の良し悪しをきっちり理解する…生物学者・福岡伸一さんに聞いた、これでは まるで「ザル制度」…!じつは 「科学的根拠が貧弱すぎ」の機能性表示食品 制度そのものがヤバすぎた「衝撃の真実」)である。

先ずは、本年4月3日付けデイリー新潮「「製薬会社とは名ばかりの“アイデア商品屋”」「開発責任者にすら生薬の知識がない」 紅麹問題で揺れる小林製薬の“儲け重視”の企業体質」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/04031131/?all=1
・『「製薬会社とは名ばかりの“アイデア商品屋”」  小林製薬が作った紅麹成分入りサプリメントを摂取した人に健康被害が相次いでおり、すでに5名もの死者が確認されている。内情を知る関係者らは、甚大な被害を生み出した背景にあるのは、“儲け重視”の企業体質だ、と指摘する。それは一体――。 小林製薬は偶然、運悪く事件を起こしてしまったわけではないのではないか。大惨事が起きた背景にある特異な企業体質について、同社関係者はこう明かす。 「そもそも、小林製薬は社名に“製薬”と銘打っていますが、処方箋が必要な医療用医薬品を取り扱っていません。商品はすべて薬局などで買える一般用医薬品か健康食品、または日用品の類です。製薬会社とは名ばかりで、本当の姿はケチさと目ざとさにかけては天下一品の小林一雅会長(84)が率いてきた、“アイデア商品屋”なのです」 1919年に設立された同社は、6代にわたって創業家の小林家が経営してきた。かつては薬品の卸売りが主力事業だったが、現代表取締役会長の一雅氏が60年代以降、アイデア商法路線に舵を切り数々の商品をヒットさせて会社を拡大し現在の礎を築いた。 「甲南大経済学部を卒業して62年に入社した一雅さんは自らのアイデアで、69年にトイレ洗浄剤のブルーレットを、75年にはトイレ芳香剤のサワデーを発売して成功させました。まだ日本のトイレの多くがくみ取り式だった64年、アメリカを旅行した時に見た水洗トイレの清潔さや芳香剤の爽やかな香りが、イメージの原点になったと」(同) 75年には、肩こりに効く鎮痛消炎剤の容器を横に曲げ、商品名をアンメルツヨコヨコとして、これもメガヒットに導いたという。76年に4代目社長に就任して以降も、冷却ジェルシートの熱さまシートや洗眼薬のアイボンなど数多くのアイデア商品を、ユニークなネーミングと共に世に送り出していった』、「処方箋が必要な医療用医薬品を取り扱っていません。商品はすべて薬局などで買える一般用医薬品か健康食品、または日用品の類です。製薬会社とは名ばかりで、本当の姿はケチさと目ざとさにかけては天下一品の小林一雅会長(84)が率いてきた、“アイデア商品屋”なのです」、本当に「製薬会社とは名ばかりで、本当の姿は・・・“アイデア商品屋”なのです」、「“アイデア商品屋”」とは言い得て妙だ。
・『「プロジェクトマネージャーですら生薬の基礎的知識を持ち合わせていなかった」  小林製薬は、儲けを重視し過ぎるあまりに疑念の目を向けられることもあった。さる製薬会社関係者は声を潜めてこう語る。 「開発部門に薬理作用の知識のある人間が少な過ぎるんです。10年ほど前は特にひどくて、脂肪を落とすナイシトールという漢方薬のシリーズがあるのですが、プロジェクトマネージャーですら生薬の基礎的知識を持ち合わせていませんでした。漢方の主な原材料は天然由来の生薬ですが、副作用などのリスクがないわけではない。ずさん過ぎる会社の体制に唖然とした記憶があります」 もちろん、開発部門がこの調子だったことでお客様相談室のスタッフも、 「最低限必要な知識すら有していませんでした。だから、顧客からの問い合わせに対して“漢方だから安全ですよ”などと誤った内容の“珍回答”を繰り返していたのです」(同)』、「プロジェクトマネージャーですら生薬の基礎的知識を持ち合わせていませんでした」、到底、製薬会社とは思えないような驚きの事実だ。
・『被験者の身長を故意に低く記録  薬に対するいい加減な姿勢は、2013年に発覚した不祥事からもうかがい知ることができる。それは小林製薬にとって市販薬とはいえ初めての治験が必要な医薬品として、肥満症改善薬を開発していた時に起きた。 「治験の現場でコーディネーターが小林製薬の要望に応じるために、被験者5人の身長を故意に低く記録したのです。データ改ざんが明らかになった後、小林製薬は治験支援を請け負った企業に損害補償を求める方針を発表するなど自らが被害者である旨を強調しましたが、傍目には無理筋でした。治験に求められるレベルがさほど高くない一般用医薬品とはいえ、初めての試みでいきなりこのような雑な過ちが露呈してしまうなんてあり得ない」(同) この治験では、実施した医療機関の職員も被験者に含まれており、実施の方法自体が医療倫理的に問題視されていたとも。かねて承認済みで治験の要らない薬ばかりを売り、研究開発費を軽視しケチってきたからこそ起きた不祥事だとはいえまいか。 4月4日発売の「週刊新潮」では、甚大な被害を生み出した企業体質、さらに今後の経営上の危機などについて4ページにわたって詳報する』、「治験の現場でコーディネーターが小林製薬の要望に応じるために、被験者5人の身長を故意に低く記録したのです・・・治験に求められるレベルがさほど高くない一般用医薬品とはいえ、初めての試みでいきなりこのような雑な過ちが露呈してしまうなんてあり得ない」(同) この治験では、実施した医療機関の職員も被験者に含まれており、実施の方法自体が医療倫理的に問題視されていたとも。かねて承認済みで治験の要らない薬ばかりを売り、研究開発費を軽視しケチってきたからこそ起きた不祥事だとはいえまいか」、やはり「小林製薬」には余りに問題が多いようだ。

次に、4月23日付け日刊ゲンダイ「「機能性表示食品」の良し悪しをきっちり理解する…生物学者・福岡伸一さんに聞いた」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/339228#goog_rewarded
・『小林製薬の紅麹サプリによる健康被害はいまだに原因が解明されていない。しかし、事件の背景に便利な機能性表示食品の氾濫と、政府の規制緩和による後押しがあったのは事実だ。市場は膨れ上がっているが、ここは立ち止まって、機能性表示食品の良し悪しをきっちり、理解しておくことが大事かもしれない。そこで生物学者の福岡伸一氏に聞いてみた。 「ハンバーガーやカップ麵ばかり食べていると、栄養が偏ってしまいます。総カロリーは足りても不足する栄養素がたくさん出てくる。それを補うために機能性食品は便利ですが、ただ錠剤で量を補えば済むという話ではありません。ビタミンにせよ、ミネラルにせよ、単一の物質として存在するのではなく、タンパク質などと結合して存在するのです。タンパクと一緒に摂取した方が体の吸収はいい。鉄を取りたいならヘモグロビンと結合している食品、レバーやカツオを食べた方が吸収は良いのです。精製して、純化させた物質を錠剤で摂取しても吸収に時間がかかります。だから、サプリの錠剤で足りないものを補うよりも食品をホールフードの形で、丸ごと摂取することをお薦めします」 福岡さんの近著、『生物学者と料理研究家が考える「理想のレシピ」』(発売:講談社/発行:日刊現代、松田美智子さんと共著) には、こうした哲学に基づいたメニューと解説が載っている。旬のものをそのまま食べる。必要な物質をただ摂取すればいいわけではなく、吸収、利用という概念をも取り入れると、やはり、自然の食べ物の方が“効率的”なのだ。そして、食べ物のもつ力が最大化するのが「旬」になる。福岡先生が「サプリより旬のホールフードを!」と本まで書かれたのは、こういう理由だが、もうひとつ、紅麹のサプリには見過ごせない問題があるという。 「長く飢餓に苦しんできた人間は飢餓に備えて自らコレステロールをつくりだすことができます。しかし、飽食の時代でコレステロール過多となり、だったら、そいういうものを取らなければいいのに、体内でコレステロールを作ることを抑制する薬の開発が進みました。きっかけは三共(現在の第一三共)の研究所の遠藤章先生が発見したスタチンという物質で、コレステロールを作る酵素の働きを阻害する。ここから様々な薬ができたのですが、紅麹菌もスタチンを作り出すのに有用なのです」』、「機能性食品は便利ですが、ただ錠剤で量を補えば済むという話ではありません。ビタミンにせよ、ミネラルにせよ、単一の物質として存在するのではなく、タンパク質などと結合して存在するのです。タンパクと一緒に摂取した方が体の吸収はいい。鉄を取りたいならヘモグロビンと結合している食品、レバーやカツオを食べた方が吸収は良いのです。精製して、純化させた物質を錠剤で摂取しても吸収に時間がかかります。だから、サプリの錠剤で足りないものを補うよりも食品をホールフードの形で、丸ごと摂取することをお薦めします」、「精製して、純化させた物質を錠剤で摂取しても吸収に時間がかかります。だから、サプリの錠剤で足りないものを補うよりも食品をホールフードの形で、丸ごと摂取することをお薦めします」、さすが「福岡伸一」氏だけあって、説得力がある。
・『売らんがための食品と抑制するサプリは「マッチポンプ」の関係  それのどこが問題なのか。 「人間の遺伝子は飢餓には備えてきたが飽食を予想していなかった。だから、飢餓をプロテクトする機能は備わっていても過剰に摂取したものにブレーキをかける機能はないのです。食べ物にもスタチン成分が多いものはあまりない。だから、紅麹が重宝されているのでしょうが、無理やりブレーキをかけるくらいならば、コレステロールを過剰に取らなければいい。それが自然な考え方です。世の中、売らんがために様々な食品が溢れている。そこで取りすぎたものを抑制するために薬やサプリがまた溢れている。これはマッチポンプの悪循環です」 これぞ、売らんがための倒錯の世界のように見える。コマーシャルズムに毒されずに、健康で過ごすにはどうしたらいいのか。その答えは意外にシンプルなのである』、「「人間の遺伝子は飢餓には備えてきたが飽食を予想していなかった。だから、飢餓をプロテクトする機能は備わっていても過剰に摂取したものにブレーキをかける機能はないのです。食べ物にもスタチン成分が多いものはあまりない。だから、紅麹が重宝されているのでしょうが、無理やりブレーキをかけるくらいならば、コレステロールを過剰に取らなければいい。それが自然な考え方です。世の中、売らんがために様々な食品が溢れている。そこで取りすぎたものを抑制するために薬やサプリがまた溢れている。これはマッチポンプの悪循環です」、「マッチポンプの悪循環」とは言い得て妙だ。
・『■「理想のレシピ」から春の旬を丸ごと味わう「極上オニオンスライス」  ちりめんじゃこ1カップとオリーブオイル大さじ3をフライパンに入れ、中火にかけてカリカリになるまで炒める。ペーパータオルにとり、余分な脂をきる。新玉ねぎを極薄に切り、氷水に1分間さらす。これを3回繰り返したらザルにあげてペーパータオルで水分をとる。皿にのせ、カリカリのじゃこをかけたら、しょうゆ大さじ1.5、米酢大さじ1を混ぜたタレをかける』、「極上オニオンスライス」は、いかにも体に良さそうなメニューだ。

第三に、4月24日付け現代ビジネスが掲載した群馬大学名誉教授の高橋 久仁子氏による「これでは、まるで「ザル制度」…!じつは、「科学的根拠が貧弱すぎ」の機能性表示食品。制度そのものがヤバすぎた「衝撃の真実」」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/126905?imp=0
・『「健康と食」への危機感が、これほどまでに高まったことがあるでしょうか。 「腸内フローラを良好にし、便通を改善する」ビフィズス菌配合サプリメント。「脂肪の吸収を抑え、排出を増加させる」トクホコーラ。「10分のジョギングと同じ消費カロリー効果がある」高濃度茶カテキン飲料。 国の制度によって「効能・効果」を大々的にアピールするトクホや機能性表示食品などの「保健機能食品」。いまや、私たちのまわりには、「健康食品」が溢れんばかりにあります。しかし最近、機能性表示食品の摂取によって、大きな健康被害が生じる事故が起こり、その安全性への信頼が揺らいでいます。 氾濫する「健康関連食品」情報 をたんねんな調査で読み解き、長年にわたって問題点を指摘してきた群馬大学名誉教授・高橋久仁子さんが、保健機能食品制度の“根拠”とされる論文を解読してわかった「驚きの実態」を克明にリポートした『「健康食品」ウソ・ホント』から、ぜひ知っておきたいトピックを厳選してお送りしましょう。 ※本記事は、『「健康食品」ウソ・ホント 「効能・効果」の科学的根拠を検証する』から、再編集・再構成の上、お届けします』、「驚きの実態」とは興味深そうだ。
・『機能性表示食品とは  私たちが口から摂取するもののほとんどが「食品」です。 食品衛生法第4条第1項には、「この法律で食品とは、全ての飲食物をいう。ただし、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に規定する医薬品、医薬部外品及び再生医療等製品は、これを含まない」とあります*。要するに、「医薬品」と「医薬部外品」以外は食品である、ということです(図「経口的に摂取する物質の区分」)。 *「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」は聞き慣れないかもしれませんが、旧・薬事法のことで2014年11月25日からこの名称となり、「旧・薬事法」「薬機法」「医薬品医療機器等法」と略称されています。 食品はさらに、機能性を表示できる「保健機能食品」と表示できない「一般食品」に区分されます。保健機能食品ではない、いわゆる「健康食品」はたくさんありますが、機能性の表示ができないという意味ではあくまでも「一般食品」です。 (【図】経口的に摂取する物質の区分経口的に摂取する物質の区分 はリンク先参照) また、「機能性食品」は必ずしも機能性表示食品ではありません。きわめて紛らわしいのですが、食品の機能性研究を行う領域の研究集団は、「機能性食品」とは「食品の三次機能を効率よく発揮するように設計・加工された新食品」であると定義しています。 この定義に基づいてつくられた食品を消費者庁に届け出てそれが受理されれば、その機能性食品は同時に、機能性表示食品でもありますが、届出受理がなされていなければ単に機能性食品ということです。 ただし、あえて機能性食品といわなくても、機能性成分を配合したいわゆる「健康食品」は市場にあふれているのが現状です。 なお、保健機能食品とひとくくりにしても、定義等に関する法律が異なるため、統一性はありません。『「健康食品」ウソ・ホント』では、それぞれの定義がどこに記述されているかを一覧表にまとめたものを掲載しました。同書をご覧いただければおわかりになるように、表向きは「国民の健康に資するため」とされていますが、トクホが一応は健康政策に基づくものである一方、機能性表示食品は経済活性化のためにつくられたものであり、成立背景がまったく異なります。 保健機能食品は「国が定めた制度」に基づいているのだから、いわゆる「健康食品」よりその機能性は確かなものに違いないーーこう期待する人が少なくありません。しかし、実際には期待するほどのものではないことを、『「健康食品」ウソ・ホント』で詳しく解説しました』、「表向きは「国民の健康に資するため」とされていますが、トクホが一応は健康政策に基づくものである一方、機能性表示食品は経済活性化のためにつくられたものであり、成立背景がまったく異なります。 保健機能食品は「国が定めた制度」に基づいているのだから、いわゆる「健康食品」よりその機能性は確かなものに違いないーーこう期待する人が少なくありません。しかし、実際には期待するほどのものではないことを、『「健康食品」ウソ・ホント』で詳しく解説しました」、なるほど。
・『きわめて小さいトクホの「効果」  トクホは消費者庁の審査を経た製品であり、許可された範囲内で保健効果を記載できます。すなわち、「トクホである」ことはヒトを対象に行った実験研究において、ある測定項目の値の差が、実験群と対照群とのあいだで「統計的に有意」であった(有意差があった)ことを意味しています。 しかし従来、この有意差が実用的に意味をもつのか否かは考慮されていませんでした。その証拠に、トクホの許可要件の一つは、制度が始まって以降、一時期を除いて「食生活の改善が図られ、健康の維持増進に寄与することが期待できるものであること」であり、決して「寄与するものであること」ではなかったのです。 たとえば、食後の血糖値の上昇を数ミリグラム抑制する保健効果をもつトクホがあった場合に、「これを食べることが将来的に糖尿病の予防につながるか否か」はまったく考慮されていませんでした。 もし、「健康の維持増進に寄与するものであること」を許可要件としたならば、許可されるトクホは存在しなくなってしまいます。 トクホは、医薬品ではなく食品です。したがって、「効果」は小さくて当然です。許可する側も、そのことは重々承知していますが、その効果の小ささが消費者に十分に伝えられていません。これが大きな問題です。許可要件として「健康の維持増進に寄与することが期待できるものであること」さえ要求されなくなった今、トクホの存在にどれほどの意義があるのかーー疑問を禁じ得ません』、「トクホは、医薬品ではなく食品です。したがって、「効果」は小さくて当然です。許可する側も、そのことは重々承知していますが、その効果の小ささが消費者に十分に伝えられていません。これが大きな問題です。許可要件として「健康の維持増進に寄与することが期待できるものであること」さえ要求されなくなった今、トクホの存在にどれほどの意義があるのかーー疑問を禁じ得ません」、確かに「存在意義」が問われているようだ。
・『機能性表示食品の「科学的根拠」は貧弱  機能性表示食品の「表示しようとする機能性」は、「目の調子を整える」「睡眠の質の向上」「疲労感の軽減」など、トクホでは認められていないものがすでにいくつも登場しています。 さらなる問題は、その「科学的根拠」が貧弱きわまりない点にあり、表現に問題のある広告もすでに散見されています。たとえば、「内臓脂肪を減らす」と機能性表示するヨーグルトの広告は、内臓脂肪面積の減少を図で示していながら、体脂肪率が増加したことには言及していません。「内臓脂肪面積は減りました。でも、体脂肪率は増えました」と書かなければ、ウソをついていることにならないでしょうか?  商品ごとに個別の審査を経て許可されたトクホでさえ、その機能性はわずかなものでしかないのです。食品とは本来そういうものであり、もしも医薬品なみの「効果」ーーすなわち機能性ーーを発揮したなら、こんどは副作用が心配になります。 食生活は私たちの健康のありように大きく影響しますが、それは「食品機能論」的にいえば一次機能、すなわち「エネルギーや栄養素を適切に摂取することが健康に良い影響を与える」という意味においてです。食品の二次機能(嗜好面でのはたらき)や三次機能にのみ注目して、一次機能を無視するような食生活を送ったのでは健康は望めません。 エネルギーや栄養素を適切に摂取することの重要性を覆(おお)い隠してしまうかのような「機能性幻想」はもつべきではありませんが、残念ながら、これとは逆に幻想をあおるかのような制度が次々につくられてしまいました』、「「食品機能論」的にいえば一次機能、すなわち「エネルギーや栄養素を適切に摂取することが健康に良い影響を与える」という意味においてです。食品の二次機能(嗜好面でのはたらき)や三次機能にのみ注目して、一次機能を無視するような食生活を送ったのでは健康は望めません。 エネルギーや栄養素を適切に摂取することの重要性を覆(おお)い隠してしまうかのような「機能性幻想」はもつべきではありませんが、残念ながら、これとは逆に幻想をあおるかのような制度が次々につくられてしまいました」、由々しいことだ。
・『「食品」なのに「用法・用量」?  「健康食品」はかつて、「おいしい/まずい」に言及することがありませんでした。そのため、「味を云々しないものを食品の範疇(はんちゅう)に入れてはいけない」と主張することができました。 ところが、最近は少し事情が変わってきていて、たとえば「おいしい」ことをアピールする商品も目につくようになりました。そこで、もう一度考え直してたどり着いた結論が、「用法・用量」的な指示を必要とする製品を「食品」の範疇に含めてはいけない、です。 保健機能食品を含む「健康食品」類は、食品中のいわゆる「機能性成分」に着目してそれを配合した商品が多く、その有益性を発現させるために(同時に、有害性を発現させないために)、摂取量や摂取方法の指示が必要となります。通常の食品であれば、摂取量や摂取方法は個人が自由に決めるものですから、これにはかなりの違和感があります。 過剰摂取の有害性が明白であるアルコール飲料や食塩でさえ、摂取量や摂取方法は個人の判断にゆだねられています。ビール容器に「飲みすぎは禁物です。一日1本までを目安に食事と一緒にお飲みください」とか、醤油容器に「醤油は食塩量が多いので使用量は一日○mLまでにしましょう」などとは書かれていません。過剰に摂取すれば肥満を招きかねないチョコレートにも、「肥満防止のために一日○gまで」と書かれることはもちろんありません。 豆乳もまた、一つの食品です。豆乳を「ヘルシー」ともてはやす風潮には首をかしげていますが、それはさておいて、トクホの豆乳も存在します。ふつうの豆乳にはもちろん、「一日摂取目安量」などどこにも書かれていませんが、トクホ豆乳には「一日あたり200mLを目安にお飲みください」とあります。 ふつうの豆乳とトクホの豆乳をともに販売する会社に、「両者の違いを教えてください」と問い合わせてみました。 「いやあ、どちらも同じですよ。トクホ豆乳は申請して許可されたからトクホマークをつけて売っているだけです」 正直にこう答えてくれました。ほとんど同じ量の大豆タンパクが含まれている豆乳なのに、一方には摂取目安量があるというのもふしぎな話です。 用法・用量的な指示を要する時点で、すでに「食品」の領域を超えてしまっているーーそう考えるのは筆者だけでしょうか。  このように多くの懸念材料や問題点を抱えたまま制度化された「機能性表示食品」をはじめとした保健機能食品。誇大な広告で消費者に実際以上の効果を信じ込ませるばかりでなく、「健康被害をもたらす有害物質」を含んでいる場合もありました。「健康食品が危ない10の理由」を検証していきます』、「トクホ豆乳には「一日あたり200mLを目安にお飲みください」とあります。 ふつうの豆乳とトクホの豆乳をともに販売する会社に、「両者の違いを教えてください」と問い合わせてみました。 「いやあ、どちらも同じですよ。トクホ豆乳は申請して許可されたからトクホマークをつけて売っているだけです」 正直にこう答えてくれました。ほとんど同じ量の大豆タンパクが含まれている豆乳なのに、一方には摂取目安量があるというのもふしぎな話です。 用法・用量的な指示を要する時点で、すでに「食品」の領域を超えてしまっているーーそう考えるのは筆者だけでしょうか・・・多くの懸念材料や問題点を抱えたまま制度化された「機能性表示食品」をはじめとした保健機能食品。誇大な広告で消費者に実際以上の効果を信じ込ませるばかりでなく、「健康被害をもたらす有害物質」を含んでいる場合もありました」、「「機能性表示食品」をはじめとした保健機能食品」は、余りにも問題が多いので、全面的な見直しが急務だ。 
タグ:機能性表示食品制度 (その5)(「製薬会社とは名ばかりの“アイデア商品屋”」「開発責任者にすら生薬の知識がない」 紅麹問題で揺れる小林製薬の“儲け重視”の企業体質、「機能性表示食品」の良し悪しをきっちり理解する…生物学者・福岡伸一さんに聞いた、これでは まるで「ザル制度」…!じつは 「科学的根拠が貧弱すぎ」の機能性表示食品 制度そのものがヤバすぎた「衝撃の真実」) デイリー新潮「「製薬会社とは名ばかりの“アイデア商品屋”」「開発責任者にすら生薬の知識がない」 紅麹問題で揺れる小林製薬の“儲け重視”の企業体質」 「処方箋が必要な医療用医薬品を取り扱っていません。商品はすべて薬局などで買える一般用医薬品か健康食品、または日用品の類です。製薬会社とは名ばかりで、本当の姿はケチさと目ざとさにかけては天下一品の小林一雅会長(84)が率いてきた、“アイデア商品屋”なのです」、本当に「製薬会社とは名ばかりで、本当の姿は・・・“アイデア商品屋”なのです」、「“アイデア商品屋”」とは言い得て妙だ。 「プロジェクトマネージャーですら生薬の基礎的知識を持ち合わせていませんでした」、到底、製薬会社とは思えないような驚きの事実だ。 「治験の現場でコーディネーターが小林製薬の要望に応じるために、被験者5人の身長を故意に低く記録したのです・・・治験に求められるレベルがさほど高くない一般用医薬品とはいえ、初めての試みでいきなりこのような雑な過ちが露呈してしまうなんてあり得ない」(同) この治験では、実施した医療機関の職員も被験者に含まれており、実施の方法自体が医療倫理的に問題視されていたとも。かねて承認済みで治験の要らない薬ばかりを売り、研究開発費を軽視しケチってきたからこそ起きた不祥事だとはいえまいか」、やはり「小林製薬」には余りに問題が多いようだ。 日刊ゲンダイ「「機能性表示食品」の良し悪しをきっちり理解する…生物学者・福岡伸一さんに聞いた」 「機能性食品は便利ですが、ただ錠剤で量を補えば済むという話ではありません。ビタミンにせよ、ミネラルにせよ、単一の物質として存在するのではなく、タンパク質などと結合して存在するのです。タンパクと一緒に摂取した方が体の吸収はいい。鉄を取りたいならヘモグロビンと結合している食品、レバーやカツオを食べた方が吸収は良いのです。精製して、純化させた物質を錠剤で摂取しても吸収に時間がかかります。だから、サプリの錠剤で足りないものを補うよりも食品をホールフードの形で、丸ごと摂取することをお薦めします」、 「精製して、純化させた物質を錠剤で摂取しても吸収に時間がかかります。だから、サプリの錠剤で足りないものを補うよりも食品をホールフードの形で、丸ごと摂取することをお薦めします」、さすが「福岡伸一」氏だけあって、説得力がある。 「「人間の遺伝子は飢餓には備えてきたが飽食を予想していなかった。だから、飢餓をプロテクトする機能は備わっていても過剰に摂取したものにブレーキをかける機能はないのです。食べ物にもスタチン成分が多いものはあまりない。だから、紅麹が重宝されているのでしょうが、無理やりブレーキをかけるくらいならば、コレステロールを過剰に取らなければいい。それが自然な考え方です。世の中、売らんがために様々な食品が溢れている。そこで取りすぎたものを抑制するために薬やサプリがまた溢れている。これはマッチポンプの悪循環です」、 「マッチポンプの悪循環」とは言い得て妙だ。 「極上オニオンスライス」は、いかにも体に良さそうなメニューだ。 現代ビジネス 高橋 久仁子氏による「これでは、まるで「ザル制度」…!じつは、「科学的根拠が貧弱すぎ」の機能性表示食品。制度そのものがヤバすぎた「衝撃の真実」」 「驚きの実態」とは興味深そうだ。 「表向きは「国民の健康に資するため」とされていますが、トクホが一応は健康政策に基づくものである一方、機能性表示食品は経済活性化のためにつくられたものであり、成立背景がまったく異なります。 保健機能食品は「国が定めた制度」に基づいているのだから、いわゆる「健康食品」よりその機能性は確かなものに違いないーーこう期待する人が少なくありません。 しかし、実際には期待するほどのものではないことを、『「健康食品」ウソ・ホント』で詳しく解説しました」、なるほど。 「トクホは、医薬品ではなく食品です。したがって、「効果」は小さくて当然です。許可する側も、そのことは重々承知していますが、その効果の小ささが消費者に十分に伝えられていません。これが大きな問題です。許可要件として「健康の維持増進に寄与することが期待できるものであること」さえ要求されなくなった今、トクホの存在にどれほどの意義があるのかーー疑問を禁じ得ません」、確かに「存在意義」が問われているようだ。 「「食品機能論」的にいえば一次機能、すなわち「エネルギーや栄養素を適切に摂取することが健康に良い影響を与える」という意味においてです。食品の二次機能(嗜好面でのはたらき)や三次機能にのみ注目して、一次機能を無視するような食生活を送ったのでは健康は望めません。 エネルギーや栄養素を適切に摂取することの重要性を覆(おお)い隠してしまうかのような「機能性幻想」はもつべきではありませんが、残念ながら、これとは逆に幻想をあおるかのような制度が次々につくられてしまいました」、由々しいことだ。 「トクホ豆乳には「一日あたり200mLを目安にお飲みください」とあります。 ふつうの豆乳とトクホの豆乳をともに販売する会社に、「両者の違いを教えてください」と問い合わせてみました。 「いやあ、どちらも同じですよ。トクホ豆乳は申請して許可されたからトクホマークをつけて売っているだけです」 正直にこう答えてくれました。ほとんど同じ量の大豆タンパクが含まれている豆乳なのに、一方には摂取目安量があるというのもふしぎな話です。 用法・用量的な指示を要する時点で、すでに「食品」の領域を超えてしまっているーーそう考えるのは筆者だけでしょうか・・・多くの懸念材料や問題点を抱えたまま制度化された「機能性表示食品」をはじめとした保健機能食品。誇大な広告で消費者に実際以上の効果を信じ込ませるばかりでなく、「健康被害をもたらす有害物質」を含んでいる場合もありました」、「「機能性表示食品」をはじめとした保健機能食品」は、余りにも問題が多いので、全面的な見直しが急務だ。
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富裕層ビジネス(プライベートバンキング(PB))(その1)(イーロン・マスク、柳井正、孫正義…資産10億ドル超の「最新長者番付」、UBSのレポートで判明した“異変”の正体、1BTC=1000万円超え!「ビットコイン長者」を生んだ暗号資産の光と影をマウントゴックス元CEOが激白、資産100億円の“不動産リッチ”が金融機関に物申す「お役所仕事は止めてくれ!」、銀行&証券の謎のエース社員「プライベートバンカー」の実態、富裕層に愛される“極意”を実名で明かす!) [金融]

富裕層ビジネス(プライベートバンキング(PB))(その1)(イーロン・マスク、柳井正、孫正義…資産10億ドル超の「最新長者番付」、UBSのレポートで判明した“異変”の正体、1BTC=1000万円超え!「ビットコイン長者」を生んだ暗号資産の光と影をマウントゴックス元CEOが激白、銀行&証券の謎のエース社員「プライベートバンカー」の実態、富裕層に愛される“極意”を実名で明かす!)を取上げよう。

先ずは、昨年4月15日付けダイヤモンド・オンライン「イーロン・マスク、柳井正、孫正義…資産10億ドル超の「最新長者番付」、UBSのレポートで判明した“異変”の正体」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/342038
・『保有資産額が10億ドル(約1500億円)を超える「ビリオネア」が世界的に拡大している。好景気や株高が富裕層にさらなる富をもたらし、世界一の富豪は実に35兆円もの資産を保有する。一方で彼らビリオネアに、ある「異変」が起きていることも最新レポートで判明した。特集『富裕層 億万長者の実像』の#1で、その実態を明らかにする』、興味深そうだ。
・『資産1500億円超のビリオネアは過去最多2781人、15兆円の大富豪も!  富める者はさらに富む。富裕層への富の集中は止まらない。そんな現実が浮き彫りになった。 米誌フォーブスが4月2日に発表した2024年版の世界長者番付によれば、保有資産額が10億ドル(約1500億円)を超える「ビリオネア」は、前年比で141人増えて過去最多の2781人に達した。 保有資産額が1000億ドル(約15兆円)以上の数も、過去最多の14人を数える。その14人の資産総額は2兆ドル(約300兆円)に上り、日本の国家予算規模に相当する。 一方、そんな億万長者たちの“異変”も最新レポートで明らかになってきた。利に聡い金融関係者らも、そんな異変を嗅ぎ取り、商機をつかもうとしている。 そんな億万長者は一体どのような人物たちなのか。そして、そこにどんな異変が生じているのか。次ページで明らかにする』、「億万長者たちの“異変”」とはなかでも興味深そうだ。
・『フォーブスが発表した24年版の長者番付で、2年連続で世界一の富豪と認定されたのが、仏LVMHのベルナール・アルノー最高経営責任者(CEO)だ。 LVMHは傘下に「ルイ・ヴィトン」や「ティファニー」などの高級ブランドを持つ。コロナ禍が終焉し、人々の旺盛な消費欲に支えられ、23年12月期の売上高は過去最高を記録。大株主であるアルノー氏の資産額も、前年から220億ドル増えて推定2330億ドル(約35兆3000億円)に達した。 2位は米電気自動車(EV)大手テスラCEOのイーロン・マスク氏、3位は米アマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス氏と、おなじみの顔触れだ。マスク氏はツイッター(現X)の買収や宇宙開発事業にも乗り出し、その勢いがとどまることはない。 4位以下の米メタCEOのマーク・ザッカーバーグ氏や米オラクル創業者のラリー・エリソン氏、米バークシャー・ハサウェイ会長のウォーレン・バフェット氏らも、近年の株高で自らの資産を増やした形だ。世界のビリオネアの3分の2は、前年から資産を増やしたという。(図表:米誌フォーブスの2024年世界長者番付 はリンク先参照) 日本の富豪たちの顔触れはどうか。日本人トップのファーストリテイリング会長兼社長、柳井正氏は資産428億ドルの29位、ソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義氏は327億ドルで51位だった。番付にランクインした日本人ビリオネアは、いずれも大企業のオーナーやその一族だ。 スイスの金融大手UBSグループの最新レポートによれば、日本人のビリオネアは38人で世界14位。ビリオネアが最も多いのは米国の751人、2位が中国の520人、3位がインドの153人だった。 (図表:2023年のビリオネア数ランキング はリンク先参照) 一方、UBSのレポートは興味深いデータを示している。23年4月までの1年間で「相続」によって新たに登場したビリオネアの資産額が、起業など「自ら蓄積」したビリオネアの資産額を初めて上回ったのだ。 資産の継承者は世界に53人存在し、資産額の合計は1508億ドル。これに対してビリオネアとなった起業家の数は84人で1407億ドルだ。 これは次世代への資産移転が始まっていることを意味する。UBSは今後20~30年で1000人以上のビリオネアが総額5兆2000億ドルの資産を次世代に引き継ぐと予想する。 (図表:ビリオネアの新たな資金源 はリンク先参照) この“富の大移動”は、金融機関にとって商機となる。 三井住友フィナンシャルグループで資産20億円超の顧客を担当するウェルスマネジメント統括部ブライベートウェルスグループの千崎隆史グループ長は、超富裕層には「四つの顔」があると指摘する。 経営者の顔、株主の顔、資産家の顔、そして家族の顔だ。それぞれの「顔」が金融機関に求めるニーズは異なる。 例えば経営者や株主としては、事業戦略や資本政策といった金融機関の法人ビジネスの領域となる。一方で資産家や家族としては、節税や相続など個人ビジネスの領域だ。従来、金融機関は法人部門と個人部門に分かれ、それぞれの部隊が別に動いていた。メガバンクや大手証券会社は近年、これを一体的に運用する体制整備を加速させている。千崎氏は「銀行、証券、信託といったグループの総合力がこれまで以上に問われている」と話す。 現代アートやプライベートジェットの購入、子どもの海外留学など、富裕層の関心は多岐にわたり、社会や環境へのポジティブなインパクトの創出を狙ったインパクト投資や慈善事業への関心も近年高まっているという。長者番付7位の米マイクロソフト創業者、ビル・ゲイツが数兆円規模の寄付を行っているが、そうした世界的な富豪の振る舞いも影響を及ぼしていそうだ。 一方、富の大移転が進む中、UBSの調査では創業者と子や孫との間でギャップが生じていることも明らかになった。実際に資産を承継した世代の57%は、ファミリービジネスに関わらないことを選び、創業者世代の58%が、必要な教育、経験を承継者に植え付けることを最大の課題の一つと考えているという。 実際、大塚家具や大王製紙グループ、天馬など、ファミリー内の対立が企業の分裂騒動となった例は近年多い。創業世代が引退し、継承世代との経営理念の違いが生じたり、株式の分散などで“お家騒動”は勃発しやすい。 そこでファミリーガバナンスやファミリー憲章などの確立が必要になる。ファミリー総会やファミリー評議会の運営を支援し、紛争を避けるために家族間のコミュニケーションを円滑にするサービスも、金融機関は手掛けている。 東京証券取引所の上場維持基準が厳格化されたこともあり、自社株を買い取って上場廃止を選ぶオーナー企業も増えている。コーポレートガバナンス(企業統治)改革で株主の声が強まったこともオーナーにとっては悩みの種だ。デジタル化や事業環境の変化で、オーナーが金融機関に相談する機会はこれまで以上に増えるだろう。 一方、金融機関からすれば、手数料が安いオンライン取引の普及や商品のコモディティ化により、マス層向けの対面ビジネスの収益環境は悪化の一途をたどる。ならばサービスに付加価値を付け、富裕層から手数料を取るしかない。 法人融資や証券主幹事といった“接点”は異なるが、オーナー経営者個人にいかに食い込むかというリングで銀行と証券が激突するのは必至だ。本特集でその舞台裏に迫る。 Key Visual by Noriyo Shinoda, Graphic by Kaoru Kurata)』、「23年4月までの1年間で「相続」によって新たに登場したビリオネアの資産額が、起業など「自ら蓄積」したビリオネアの資産額を初めて上回ったのだ。 資産の継承者は世界に53人存在し、資産額の合計は1508億ドル。これに対してビリオネアとなった起業家の数は84人で1407億ドルだ。 これは次世代への資産移転が始まっていることを意味する。UBSは今後20~30年で1000人以上のビリオネアが総額5兆2000億ドルの資産を次世代に引き継ぐと予想する・・・創業者世代の58%が、必要な教育、経験を承継者に植え付けることを最大の課題の一つと考えているという。 実際、大塚家具や大王製紙グループ、天馬など、ファミリー内の対立が企業の分裂騒動となった例は近年多い。創業世代が引退し、継承世代との経営理念の違いが生じたり、株式の分散などで“お家騒動”は勃発しやすい。 そこでファミリーガバナンスやファミリー憲章などの確立が必要になる。ファミリー総会やファミリー評議会の運営を支援し、紛争を避けるために家族間のコミュニケーションを円滑にするサービスも、金融機関は手掛けている・・・サービスに付加価値を付け、富裕層から手数料を取るしかない。 法人融資や証券主幹事といった“接点”は異なるが、オーナー経営者個人にいかに食い込むかというリングで銀行と証券が激突するのは必至だ。本特集でその舞台裏に迫る」、なるほど。

次に、4月17日付けダイヤモンド・オンライン「1BTC=1000万円超え!「ビットコイン長者」を生んだ暗号資産の光と影をマウントゴックス元CEOが激白 マルク・カルプレス・元マウントゴックス最高経営責任者インタビュー」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/342039
・『2014年にビットコイン消失事件を起こし、経営破綻した暗号資産取引所マウントゴックスの元最高経営責任者、マルク・カルプレス氏がダイヤモンド編集部の取材に応じた。この10年間、ビットコインは多くの人々を富裕層に変え、今年3月にはついに1ビットコイン=1000万円を突破した。そのビットコインに半生を翻弄された男は今、何を思うのか。特集『富裕層 億万長者の実像』の#2は、カルプレス氏の独占インタビューをお届けする』、「カルプレス氏」の顔を久しぶりに見たが、余り変わってなようだ。
・『イーロン・マスク氏ら世界の富豪も大量保有 人々を魅了し続けるビットコインの正体  マルク・カルプレス氏は1985年、フランス中東部のディジョンに生まれた。子どもの頃、漫画『幽☆遊☆白書』を読み、「えたいの知れない世界観」と日本の日常に憧れた。 幼少期からコンピューターにも興味を持ち、3歳からプログラミングを始めた。15歳の頃、友人やインターネットで知り合った人たちとサーバーホスティング事業を立ち上げ、18歳でゲーム会社に入社。1年半ほど就業した後、個人でエンジニアの仕事を多数請け負った。20歳で大手情報通信サービス会社に入社し、研究開発副部長として決済関連業務を担当する。 日本を観光で訪れるようになったのはその頃からだ。ゲストハウスなどに泊まって長期滞在し、「自分の思った通り、日本は良い国」と心から思った。 そして2009年、日本移住を決めた。日本でサーバーホスティング事業の会社を設立し、元の勤め先を通じてフランスから仕事を受ける形でほそぼそと生活していた。 コンピューターと日本のアニメが好きな、そんなフランス人青年の人生を一変させたのが、当時誕生したばかりの暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)だ。 08年に「サトシ・ナカモト」名で出された白書を基に開発され、初めて決済が行われた際の価値は、ピザ2枚に対して1万BTC。BTC/円レートは1BTC=約0.2円程度だった。 その後価格の乱高下を繰り返しながら、今年3月5日、史上初めて1BTC=1000万円を突破した。この値上がりで莫大な利益を手にした者は多く、米企業家のイーロン・マスク氏ら世界的な富豪も大量保有する。BTCは人々を魅了し続ける「夢と希望」の象徴だ。 11年に仮想通貨取引所マウントゴックスの運営を始めたカルプレス氏がBTC黎明期に見たのは、将来の値上がりを予想して流入した、驚愕の富裕層マネーだ。だが14年、当時のレートで230億円相当のBTCが突然消える事件を起こし、後に自身が逮捕されることになる。 仮想通貨の「光と影」を誰よりも知る男が、事件の舞台裏を明かした。カルプレス氏の証言を次ページで全公開する。
・『米国人から無料で譲り受けた取引所 運営2年で顧客が500倍に急成長  Q:大量のBTCが盗まれた14年の「マウントゴックス事件」から10年が過ぎました。この10年間、どう過ごしていたのですか。 A:この10年を説明するには、まずは破産の原因を説明した方がいいと思います。 マウントゴックスの運営を始めたのが11年。当時、BTCはほとんど知られておらず、お客さんは2000人程度でした。しかしわずか3カ月で6万人、2年後に100万人という、普通の会社ではあり得ないスピードで急成長した。 しかし14年2月、お客さんから預かっていたBTCの大部分が突然消失し、破産せざるを得ない状況になってしまいました。 当時から犯人はハッカーに違いないと思っていましたが、誰に、どうやって盗まれたのかは全く分かりませんでした。自分で調べはしたのですが、破産の手続きもあって進まず、事件の約1年半後、私は逮捕されました。 その刑事裁判が始まった17年にロシア人のハッカーが逮捕され、やはりBTCが盗まれたことをようやく証明できるようになりました。横領などの容疑は地裁で無罪判決が下され、検察もそれに対して控訴しませんでした。 私の中で最大の課題は、債権者への分配でした。事件後、20万BTCは盗まれずに残っていたのですが、その現在の価値が約1000億円となったため、債権者に全額返せる状態になったのです。10年前から続く破産手続きがようやく解決しそうな状況です。 Q:事件を振り返り、反省すべき点は何ですか。 A:やはり事業として急成長し過ぎた。お金が関わる事業なので、セキュリティー面を含めて自分1人でいろいろとやっていたんですが、成長のスピードに追い付けませんでした。急に海外送金が増え、銀行の担当者から「怖いので他の銀行に預けてくれませんか」と言われたくらいです。事業を任せられる信頼できる人がいれば、もうちょっとうまくできたと思います。 マウントゴックスを11年に買収した当時、自分の会社の売り上げはギリギリ家賃を払えるぐらいで、生活はかなりきつい状況でした。ある人物から「マウントゴックスを買収しませんか」というオファーがあったのですが、もちろん全くお金がないので「難しい」と返したら、「お金は要らない」と言われたんです。 でも契約書には「マウントゴックスの元所有者は責任を一切負わない」という趣旨のことが書かれ、負債もあった。“うまい話には裏がある”ことを学びました。 Q:誰にオファーされたのですか。 A:ジェド・マケーレブという米国人です。 Q:なぜお知り合いに。 A:当時のBTC業界はごく少数の技術者くらいしかおらず、自分もその技術に興味があり理解もできたから、開発を手伝ったりしていたんです。マウントゴックスをつくったジェドさんの手伝いもしていました。 (図表:マウントゴックス事件の経緯 はリンク先参照) Q:マウントゴックスの運営を始めた当時はどんなお客さんが多かったですか。 A:最初はやはり技術者だけだったのですが、11年4月に米「タイム」誌で初めてBTCが取り上げられ、それで一気に投資目的のお客さんが増えました。 多くが外国人で、日本人はほとんどいませんでした。破産したときのお客さんの約4割は米国人、約3割がヨーロッパの人、日本人は2%程度でした。 最初の大口のお客さんは今でも覚えています。米国人の医者です。11年に5000万円相当のBTCを一気に買った。当時は1BTCが5ドル程度です。 おそらくタイム誌の記事を読んだのでしょう。でも当時としては実態のよく分からない仮想通貨を、日本に住んでいるよく分からないフランス人から買ったんです(笑)。 これには正直、私自身が驚きました。個人から5000万円のお金が一気に入ったのは初めてだったので異常だと思い、マネーロンダリング(資金洗浄)を疑ったくらいです。でも調べてみたら、ちゃんとした医者だと分かりました。 Q:やはり富裕層は情報をキャッチし、瞬時に投資判断する能力が違うんですね。 A:そうですね。ファミリーオフィスと契約している富裕層も多いと思いますが、ファミリーオフィスではリスクの高い商品に投資する責任を取れない。本人が「ビットコインって面白そうだから買ってみよう」と思えるかどうかだったと思います。5000万円の投資が、今は1万倍以上の価値になっているわけです。 Q:「ビットコイン長者」という言葉もありますが、BTCでもうけて富裕層入りした人も多い。同じ状況が今後も続くと思いますか。 A:BTC価格はみんなの夢と希望で成り立つので、みんなが夢と希望を持っていれば価値は上がる。でもやはり値動きは激しいので、もうかる人もいれば損する人もいることを知ってほしい。これから「ビットコイン長者」になれるかは保証できません(笑)。 知人にお勧めしているのは、例えばBTC価格が購入時から3倍になったとします。そこで3分の1を売る。いったん元手を取り戻したら、後は上がっても下がっても落ち着いて判断できるでしょう。 Q:最近も米暗号資産取引所のFTXが破産しており、流出事件もたびたび起きています。資産としての安全性はどうなのでしょうか。 A:技術としてはまだまだ歴史が浅いのですが、お客さんにリスクを負わせない規制やルール作りが進んでいます。FTXの場合も日本国内の顧客に対しては、早い段階で返金された。 ただマウントゴックスの運営当時は、そうしたレギュレーションがまだなかったんです。当時、私は何度も当局とやりとりしましたが、金融庁も「ビットコインって何ですか?」という感じでした。現在のようなレギュレーションができたのは、マウントゴックスの破産のおかげともいえますね。 Q:ハッキングを防ぐことはできないですか。 A:マウントゴックスも当然、さまざまなレイヤーでセキュリティーをかけていたんですが、どうやって侵入したのか分かりませんでした。逮捕されたロシア人の裁判はこれから始まるので現時点では仮説にすぎませんが、私なりの結論はサーバーへの物理的なアクセスです。 BTCはサーバーで保管されていたんですが、当時はデータセンターを造れるほどの予算もなかったので、普通に場所を借りてサーバーを置いていた。そこに第三者がアクセスし、サーバーにあったデータを直接盗んだのではないかと考えています。 Q:第三者がどうやってアクセスできるんですか。 A:普通はできませんが、協力者がいた可能性はあるとみています。 Q:アクセスした記録は残っているのですか。 A:アクセスしようとした記録はありますが、少なくともアクセスできたという記録はない。ただ当時、ハードディスクを抜かれた記録はある。 Q:今回はロシア人が逮捕されましたが、北朝鮮関係のハッキングも多いと聞きます。 (マルク・カルプレス/1985年、フランス生まれ。20歳でTelechargement.FR(現Nexway SA)に開発者として入社。2009年に日本に移住し、株式会社TIBANNE設立。11年にマウントゴックスのビットコイン事業を譲り受け、最高経営責任者に。14年にハッキングに遭い、破綻。15年に私電磁的記録不正作出・同供用および業務上横領などの容疑で逮捕されたが、19年3月に事実上の無罪判決を勝ち取る。趣味はアップルパイ作り。日本のアニメや漫画に造詣が深く、「アニメソムリエ」の異名を持つ。) ハッキングの多くは北朝鮮関係でしょう。インターネットを通じて世界のどこからでも攻撃できる。北朝鮮の場合は基本的に中国経由で接続しているので特定もできない。北朝鮮や中国からハッキングされたら諦めざるを得ない。 今もリスクはゼロではないですね。だから取引所は保険をかけてハッキングされても補償できるように備えている。今の技術をもってしても、BTCは一度盗まれたら取り戻せません。 Q:BTCに関するビジネスはもうやらないんですか。 A:19年に新しい会社を設立しました。IT関係のリサーチや研究開発を業務とするカルプレス研究所です。 Q:個人的にBTCを持っていますか。 A:マウントゴックスに置いていたので全て持っていかれました(笑)。責任者でしたから債権もなし。残ったBTCの価値は債権総額を上回りましたが、私は1円も受け取りません。 Q:今も日本は好きですか。 A:日本は好きです。いろいろありましたが、それでも日本にいるのは日本が好きだからだと思います。 今はAI(人工知能)に関心があり、開発をやってみたい。決済や金融関係の依頼も受けていますので、そちらでも面白いことがまだまだできると思っています。 Key Visual by Noriyo Shinoda, Graphic by Kaoru Kurata)』、「破産したときのお客さんの約4割は米国人、約3割がヨーロッパの人、日本人は2%程度でした・・・インターネットを通じて世界のどこからでも攻撃できる。北朝鮮の場合は基本的に中国経由で接続しているので特定もできない。北朝鮮や中国からハッキングされたら諦めざるを得ない。 今もリスクはゼロではないですね。だから取引所は保険をかけてハッキングされても補償できるように備えている。今の技術をもってしても、BTCは一度盗まれたら取り戻せません・・・私なりの結論はサーバーへの物理的なアクセスです。 BTCはサーバーで保管されていたんですが、当時はデータセンターを造れるほどの予算もなかったので、普通に場所を借りてサーバーを置いていた。そこに第三者がアクセスし、サーバーにあったデータを直接盗んだのではないかと考えています。 Q:第三者がどうやってアクセスできるんですか。 A:普通はできませんが、協力者がいた可能性はあるとみています。 Q:アクセスした記録は残っているのですか。 A:アクセスしようとした記録はありますが、少なくともアクセスできたという記録はない。ただ当時、ハードディスクを抜かれた記録はある」、なるほど。

第三に、4月22日付けダイヤモンド・オンライン「銀行&証券の謎のエース社員「プライベートバンカー」の実態、富裕層に愛される“極意”を実名で明かす!」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/342041
・『メガバンクや大手証券には、「プライベートバンカー」と呼ばれる社員が在籍する。富裕層の資産管理やファミリーの悩みまで聞く秘匿性の高い業務を担うが故に、その実態は謎に包まれている。特集『富裕層 億万長者の実像』の#4では、メガバンクの現役プライベートバンカーに取材し、その正体に迫った』、「プライベートバンカーに取材し、その正体に迫った」、興味深そうだ。
・『「異動もなく社内で見掛けない」!? 謎多きプライベートバンカーの正体  「10年以上の長期在籍もザラで、銀行外の人脈が豊富。社内で見掛けることはほとんどないが、たまに驚くような大きなディール(取引)を持ってくる」 メガバンクで大企業を担当する法人部門の男性社員がそう語るのは、社内のプライベートバンカーについてである。金融機関は通常、法人部門やリテール部門に分かれ、企業や個人に金融サービスの提供を行っているが、プライベートバンカーはどちらにも所属していない。 一般的には2~3年で異動を繰り返す銀行員にあって、プライベートバンカーは10年を超えて異動しない者も珍しくない。メガバンクのプライベートバンカーは、資産規模がおおむね20億円を超える企業オーナーら超富裕層やその一族を担当し、1人当たり200人程度の顧客を抱えているとみられる。 プライベートバンカーは、銀行や証券会社の社員の誰もがなれるわけではない。営業で社内表彰を受けた成績優秀者らが選抜されることが多い。優秀なプライベートバンカーは、巨額の資産運用やM&A(企業の合併・買収)などの大型案件を顧客から任され、それが金融機関の収益に直結する。 だからこそ金融機関は、えりすぐりのエースをプライベートバンキング部門に送り込む。有能でなければ富裕層に愛想を尽かされ、おいしい案件にあずかれないどころか「出禁」になることもある。 富裕層ビジネスにシフトし始めた大手金融機関は今、プライベートバンカーの拡充や質の向上に注力している。では、彼らは一体どんな資質の持ち主で、どうすれば優秀なプライベートバンカーになれるのか。あるメガバンクでプライベートバンカー歴10年以上のキャリアを持つ「猛者」たちに直撃し、その正体を探った』、「金融機関は通常、法人部門やリテール部門に分かれ、企業や個人に金融サービスの提供を行っているが、プライベートバンカーはどちらにも所属していない。 一般的には2~3年で異動を繰り返す銀行員にあって、プライベートバンカーは10年を超えて異動しない者も珍しくない・・・プライベートバンカーは、銀行や証券会社の社員の誰もがなれるわけではない。営業で社内表彰を受けた成績優秀者らが選抜されることが多い。優秀なプライベートバンカーは、巨額の資産運用やM&A(企業の合併・買収)などの大型案件を顧客から任され、それが金融機関の収益に直結する。 だからこそ金融機関は、えりすぐりのエースをプライベートバンキング部門に送り込む。有能でなければ富裕層に愛想を尽かされ、おいしい案件にあずかれないどころか「出禁」になることもある」、「有能でなければ・・・「出禁」になることもある」とは厳しい世界だ。
・『富裕層の横で提案を聞く 重要な素質は「人間性」  日本の富裕層は、自社株や不動産が資産の大半を占める企業オーナーが多く、相続税や贈与税などが高いという日本独自の税制もある。1990年代以降、米国のシティバンクやメリルリンチなど外資系プライベートバンクの日本参入が相次いだが、その多くは撤退した。 「欧米型のプライベートバンキングをそのまま持ち込むのではなく、日本の富裕層に合わせたプライベートバンカーが必要。みずほ銀行はそれに気付き、運用のプロだけではなく、法人営業の経験がある人もプライベートバンキング部門に集めた。私もその一人でした」 そう語るのは、みずほ銀行ウェルスアドバイザリー部でシニア・プライベートバンカーの資格を持つ松山綾乃さんだ。同行には松山さんら約50人のプライベートバンカーが在籍している。 2007年入行の松山さんは、当初プライベートバンカーを希望していたわけではなかった。最初に配属された市ヶ谷支店(千代田区)、次の異動先の荏原支店(品川区)では、法人営業で中小企業などの決済や融資業務などを行っていた。 その中で営業先のオーナー社長が、事業についてだけでなく個人の相続や運用に関する悩みを抱えていることを知った。だが当時の松山さんには融資業務以外の経験がなく、ただ聞くだけしかできなかった。 富裕層に「時間を割く価値がある」(松山さん)と思ってもらうには、法人業務だけでなく、証券や信託に関するあらゆるスキームや法律、会計、税務といった知識も必要だ。松山さんは自ら手を挙げて関係部署での研修を受けるなどしてスキルを磨いた。 ちょうどその頃、みずほ銀行の超富裕層を担当するウェルスマーケティング部(現ウェルスアドバイザリー部)で法人営業の経験がある人材を増やしていたこともあり、松山さんは「2年間の戦略人事」として同部に配属された。そこでプライベートバンカーとなり、12年目のキャリアだ。 法人営業時代、松山さんは富裕層の顧客に運用商品やサービスを提案する際、テーブルを挟んで向かい側に座っていた。だが、今は顧客の横に座り、金融機関の提案を顧客側で聞くことが多い。提案者がみずほグループの同僚であっても、だ。 「お客さまの目線で提案を聞き、お客さまのためになるアドバイスを行う。高難度の案件について一緒にソリューションを検討できるようになり、やりがいを感じている」(松山さん)。オーナー社長から直接相談されるほど信頼関係を築き、事業承継後も世代を超えて富裕層ファミリーを担当することもあるという。 (松山綾乃さんのプロフィール 松山さんと同じくウェルスアドバイザリー部に所属する筒井博貴さんは06年、みずほ銀行FC(フィナンシャルコンサルタント)コースの第1期生として入行。八尾支店(大阪府八尾市)で中小企業オーナーの運用・承継コンサルティングを行い、成績優秀者として関西役員表彰を受賞した。  入行当時からプライベートバンカーを志望し、社内のジョブ公募制度を利用して08年にみずほ証券のプライベートバンキング部に着任。以来、企業経営者の運用・承継コンサルティングなどを行っている。 筒井さんは、プライベートバンカーをオーケストラの指揮者に例える。観客である顧客やその一族に対し、銀行、証券、信託など自社グループの機能を発揮し、心地よい音楽を奏でる。演奏者の数は多ければ多いほど良いが、タクトを振るタイミングを誤れば不協和音となり、観客に不快感を与えてしまう。 「自ら会社を創業した歴戦のオーナー社長に、金融機関の都合で軽はずみなことを言ったらすぐに見抜かれる。プライベートバンカーに重要な素質は人間性。お客さまの横に常にいられる存在でありたい」と筒井さんは言う。 (筒井博貴さんのプロフィール プライベートバンカーとして10年以上のキャリアを持つ筒井さんや松山さんが、10年前と比べて明らかに変わったと感じることがある。 それは事業の再構築や資本政策について真剣に考えるオーナー社長が増えたことだ。筒井さんは「DX(デジタルトランスフォーメーション)やサプライチェーンの再構築など外部環境の変化への対応や、新規事業の探索も欠かせない。株主対応やガバナンスも、オーナー社長にとって重要度が高まっている」と語る。 今、業界再編や経営陣による買収(MBO)などが増えている。オーナー社長がプライベートバンカーにふと漏らした一言が、それらの大型案件につながった例も多い。裏を返せば、そこにいない金融機関は案件に絡めない。 メガバンクだけでなく、野村ホールディングスや大和証券グループ本社、外資系証券が、富裕層ビジネスに注力しているのはそのためだ。野村は4月1日、「営業部門」を「ウェルス・マネジメント部門」に改称し、富裕層に対応するパートナー数を3200人から4800人に増員。大和も同日、「リテール部門」を「ウェルスマネジメント部門」に改称し、コンサルティングを軸とした資産管理型ビジネスに注力する姿勢を社内外に打ち出している。 金融取引のオンライン化が普及し、対面ビジネスのモデル転換を迫られている。証券業界ではSBI証券や楽天証券が株式売買手数料の無料化に踏み切り、マス層の取り込みを加速させている。金融商品もインデックス投資信託などコモディティ化し、差別化は難しい。 (図表:金融各社のポジション変動イメージ はリンク先参照) 対面金融が生き残るためには、顧客に応じて商品やサービスをカスタマイズし、高付加価値化していくしかない。そこに対価を支払ってくれる富裕層の心をいかにつかむかが、対面金融の生き残りの条件となる。 富裕層争奪戦は激化する。その勝負の趨勢は、戦いの最前線に立つプライベートバンカーの腕に懸かっていると言っても過言ではない。 Key Visual by Noriyo Shinoda, Graphic by Kaoru Kurata』、「富裕層に「時間を割く価値がある」(松山さん)と思ってもらうには、法人業務だけでなく、証券や信託に関するあらゆるスキームや法律、会計、税務といった知識も必要だ。松山さんは自ら手を挙げて関係部署での研修を受けるなどしてスキルを磨いた。 ちょうどその頃、みずほ銀行の超富裕層を担当するウェルスマーケティング部(現ウェルスアドバイザリー部)で法人営業の経験がある人材を増やしていたこともあり、松山さんは「2年間の戦略人事」として同部に配属された。そこでプライベートバンカーとなり、12年目のキャリアだ。 法人営業時代、松山さんは富裕層の顧客に運用商品やサービスを提案する際、テーブルを挟んで向かい側に座っていた。だが、今は顧客の横に座り、金融機関の提案を顧客側で聞くことが多い。提案者がみずほグループの同僚であっても、だ。 「お客さまの目線で提案を聞き、お客さまのためになるアドバイスを行う。高難度の案件について一緒にソリューションを検討できるようになり、やりがいを感じている」(松山さん)・・・対面金融が生き残るためには、顧客に応じて商品やサービスをカスタマイズし、高付加価値化していくしかない。そこに対価を支払ってくれる富裕層の心をいかにつかむかが、対面金融の生き残りの条件となる。 富裕層争奪戦は激化する。その勝負の趨勢は、戦いの最前線に立つプライベートバンカーの腕に懸かっていると言っても過言ではない」、確かにその通りだ。
タグ:ダイヤモンド・オンライン「イーロン・マスク、柳井正、孫正義…資産10億ドル超の「最新長者番付」、UBSのレポートで判明した“異変”の正体」 (その1)(イーロン・マスク、柳井正、孫正義…資産10億ドル超の「最新長者番付」、UBSのレポートで判明した“異変”の正体、1BTC=1000万円超え!「ビットコイン長者」を生んだ暗号資産の光と影をマウントゴックス元CEOが激白、資産100億円の“不動産リッチ”が金融機関に物申す「お役所仕事は止めてくれ!」、銀行&証券の謎のエース社員「プライベートバンカー」の実態、富裕層に愛される“極意”を実名で明かす!) を最大の課題の一つと考えているという。 実際、大塚家具や大王製紙グループ、天馬など、ファミリー内の対立が企業の分裂騒動となった例は近年多い。創業世代が引退し、継承世代との経営理念の違いが生じたり、株式の分散などで“お家騒動”は勃発しやすい。 そこでファミリーガバナンスやファミリー憲章などの確立が必要になる。ファミリー総会やファミリー評議会の運営を支援し、紛争を避けるために家族間のコミュニケーションを円滑にするサービスも、金融機関は手掛けている・・・ 「カルプレス氏」の顔を久しぶりに見たが、余り変わってなようだ。 ダイヤモンド・オンライン「1BTC=1000万円超え!「ビットコイン長者」を生んだ暗号資産の光と影をマウントゴックス元CEOが激白 マルク・カルプレス・元マウントゴックス最高経営責任者インタビュー」 サービスに付加価値を付け、富裕層から手数料を取るしかない。 法人融資や証券主幹事といった“接点”は異なるが、オーナー経営者個人にいかに食い込むかというリングで銀行と証券が激突するのは必至だ。本特集でその舞台裏に迫る」、なるほど。 私なりの結論はサーバーへの物理的なアクセスです。 BTCはサーバーで保管されていたんですが、当時はデータセンターを造れるほどの予算もなかったので、普通に場所を借りてサーバーを置いていた。そこに第三者がアクセスし、サーバーにあったデータを直接盗んだのではないかと考えています。 Q:第三者がどうやってアクセスできるんですか。 A:普通はできませんが、協力者がいた可能性はあるとみています。 「破産したときのお客さんの約4割は米国人、約3割がヨーロッパの人、日本人は2%程度でした・・・インターネットを通じて世界のどこからでも攻撃できる。北朝鮮の場合は基本的に中国経由で接続しているので特定もできない。北朝鮮や中国からハッキングされたら諦めざるを得ない。 今もリスクはゼロではないですね。だから取引所は保険をかけてハッキングされても補償できるように備えている。今の技術をもってしても、BTCは一度盗まれたら取り戻せません・・・ 「プライベートバンカーに取材し、その正体に迫った」、興味深そうだ。 ダイヤモンド・オンライン「銀行&証券の謎のエース社員「プライベートバンカー」の実態、富裕層に愛される“極意”を実名で明かす!」 Q:アクセスした記録は残っているのですか。 A:アクセスしようとした記録はありますが、少なくともアクセスできたという記録はない。ただ当時、ハードディスクを抜かれた記録はある」、なるほど。 「23年4月までの1年間で「相続」によって新たに登場したビリオネアの資産額が、起業など「自ら蓄積」したビリオネアの資産額を初めて上回ったのだ。 資産の継承者は世界に53人存在し、資産額の合計は1508億ドル。これに対してビリオネアとなった起業家の数は84人で1407億ドルだ。 これは次世代への資産移転が始まっていることを意味する。UBSは今後20~30年で1000人以上のビリオネアが総額5兆2000億ドルの資産を次世代に引き継ぐと予想する・・・創業者世代の58%が、必要な教育、経験を承継者に植え付けること 「億万長者たちの“異変”」とはなかでも興味深そうだ。 「富裕層に「時間を割く価値がある」(松山さん)と思ってもらうには、法人業務だけでなく、証券や信託に関するあらゆるスキームや法律、会計、税務といった知識も必要だ。松山さんは自ら手を挙げて関係部署での研修を受けるなどしてスキルを磨いた。 ちょうどその頃、みずほ銀行の超富裕層を担当するウェルスマーケティング部(現ウェルスアドバイザリー部)で法人営業の経験がある人材を増やしていたこともあり、松山さんは「2年間の戦略人事」として同部に配属された。そこでプライベートバンカーとなり、12年目のキャリアだ。 ってくれる富裕層の心をいかにつかむかが、対面金融の生き残りの条件となる。 富裕層争奪戦は激化する。その勝負の趨勢は、戦いの最前線に立つプライベートバンカーの腕に懸かっていると言っても過言ではない」、確かにその通りだ。 優秀なプライベートバンカーは、巨額の資産運用やM&A(企業の合併・買収)などの大型案件を顧客から任され、それが金融機関の収益に直結する。 だからこそ金融機関は、えりすぐりのエースをプライベートバンキング部門に送り込む。有能でなければ富裕層に愛想を尽かされ、おいしい案件にあずかれないどころか「出禁」になることもある」、「有能でなければ・・・「出禁」になることもある」とは厳しい世界だ。 「金融機関は通常、法人部門やリテール部門に分かれ、企業や個人に金融サービスの提供を行っているが、プライベートバンカーはどちらにも所属していない。 一般的には2~3年で異動を繰り返す銀行員にあって、プライベートバンカーは10年を超えて異動しない者も珍しくない・・・プライベートバンカーは、銀行や証券会社の社員の誰もがなれるわけではない。営業で社内表彰を受けた成績優秀者らが選抜されることが多い。 法人営業時代、松山さんは富裕層の顧客に運用商品やサービスを提案する際、テーブルを挟んで向かい側に座っていた。だが、今は顧客の横に座り、金融機関の提案を顧客側で聞くことが多い。提案者がみずほグループの同僚であっても、だ。 「お客さまの目線で提案を聞き、お客さまのためになるアドバイスを行う。高難度の案件について一緒にソリューションを検討できるようになり、やりがいを感じている」(松山さん)・・・対面金融が生き残るためには、顧客に応じて商品やサービスをカスタマイズし、高付加価値化していくしかない。そこに対価を支払 富裕層ビジネス(プライベートバンキング(PB))
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ペット(その3)(晩婚子なし夫婦が「不人気の老猫」を迎えた理由 中高年でもペットと暮らすことを諦めない方法、愛犬を夢中にさせる動画コンテンツ、“動物もの”の中で特に人気は……、「犬の飼育頭数」が日本で2040年に半減するワケ 猫はどうなる?) [生活]

ペットについては、2021年2月16日に取上げた。今日は、(その3)(晩婚子なし夫婦が「不人気の老猫」を迎えた理由 中高年でもペットと暮らすことを諦めない方法、愛犬を夢中にさせる動画コンテンツ、“動物もの”の中で特に人気は……、「犬の飼育頭数」が日本で2040年に半減するワケ 猫はどうなる?)である。

先ずは、昨年12月10日付け東洋経済オンラインが掲載したブロガー・ライター の大木奈 ハル子氏による「晩婚子なし夫婦が「不人気の老猫」を迎えた理由 中高年でもペットと暮らすことを諦めない方法」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/717244
・『ロスジェネ世代で職歴ほぼなし。29歳で交通事故にあい、晩婚した夫はスキルス性胃がん(ステージ4)で闘病中。でも、私の人生はこんなにも楽しい。なぜなら、小さく暮らすコツを知っているから。 先が見えない時代でも、毎日を機嫌よく、好きなものにだけ囲まれたコンパクトライフを送る筆者の徒然日記。大好評の連載第4回です。 大木奈ハル子47歳。都心の古くて狭いワンルームマンションで、61歳の夫と猫と預かり犬の、2人と2匹暮らし中です。居室は12畳ほどしかありませんが、無駄な荷物を削ぎ落とした、好きなものだけに囲まれた空間は、意外なほどに居心地は上々です』、興味深そうだ。
・『小さく暮らす  「チェーン店最強のモーニングを探して」の大木奈ハル子さんの短期集中連載です。連載一覧はこちら 「小さく暮らす」と題した本連載。これまで「家」や「身の回りのモノ」について、「小さな家での暮らしは、家賃も水道光熱費も安上がりでお財布に優しいよ」とか「少ないモノで暮らすと、本当に必要なモノが何かとか、自分が好きなモノが何かがわかってくるよ」というようなことを書かせていただきました。 今回のテーマはちょっと趣を変えまして、「ペットとの暮らし」について。子ナシ近所に親戚ナシの、ミドルシニア世代である私たち夫婦のペットとの向き合い方や、狭い空間でペットを飼うということについてつれづれ書いてまいります』、「子ナシ近所に親戚ナシの、ミドルシニア世代である私たち夫婦のペットとの向き合い方や、狭い空間でペットを飼うということについてつれづれ書いてまいります」、面白そうだ。
・『猫の里親になるときに、子猫を選ばなかった理由とは  この記事を書いている2023年12月現在、わが家にはモンモンモコモコ(通称モコ)という名前のおばあさん猫が暮らしています。モコは2021年の夏に、里親募集サイト経由でわが家にやってきた時点ですでに推定10歳以上でした。) 2021年の春に先代の愛猫を病気で失い、新しい子のお迎えを決めたときに、私たちはあえて子猫を選びませんでした。 その理由は私たちの年齢に起因するものでした。そのときの、私たち夫婦の会話はこんな感じ。 私「今度お迎えする猫は、大人の猫にしようと思うねん」 夫「それはなんで?」 私「猫の寿命が20年としたら、子猫をお迎えしたら20年後は私ら65歳と80歳やん? 」 夫「80歳かぁ……たしかに、最期まで面倒みられるかわからんねぇ」 私「飼うからには命に責任持たないとやん?」 夫「僕たちは子どももいないし、親戚付き合いとかもあんまないし、もしものことがあっても、引き取り手を探すのは難しそうだしねぇ……」 私「現時点ですら預かってもらえる先が浮かばんのに、10年後とか20年後に見つかるわけないもんな」 夫「猫さんに、いまわのきわに『幸せだった』って思ってもらえるようにがんばろう!」 という訳で、一緒に暮らしはじめる前に、一緒の暮らしが終わるときのイメージまで描いてから、お迎えを決めたのでした』、「一緒に暮らしはじめる前に、一緒の暮らしが終わるときのイメージまで描いてから、お迎えを決めたのでした」、責任感溢れた姿勢だ。
・『引くて数多の子猫なら、うちじゃなくても幸せになれる  また、わが家は狭いうえに、犬の預かりボランティアもしているため、飼える猫の数は1匹だけというのも、モコを選んだ理由の1つ。 子猫は人気があるので、うちの子にならなくても誰かの家で幸せになれそうな気がするし、1匹しか選べないなら、あえて子猫である必要もないかなと思ったのです。 都営住宅の自転車置き場にキャリーに詰め込まれて放置されていたモコは、保護された時点で老猫だったため、引き取り手がなかなか見つからず、長らくサイトに掲載され続けていたとのこと。 「行くとこないなら、うちくる?」っていう感じでわが家にやってきたのでした。) どうやらネグレクト(飼育放棄)されていたらしき、モコさんの爪はカタツムリのように渦巻いていました。偏食だし食も細いなと思っていたら、一緒に暮らし始めて程なくして、口内の皮膚が腐ってほっぺたに穴が開いて手術を受けることに。迎え入れた時点で、歯槽膿漏がなかなか悪くなっていたようです。 もう少し早くお迎えしてあげていれば……という気持ちもありますが、モコさんはどうにか死線をくぐり抜け、今も窓のそばで日向ぼっこしながら、ゴロゴロ平和を満喫しています』、「偏食だし食も細いなと思っていたら、一緒に暮らし始めて程なくして、口内の皮膚が腐ってほっぺたに穴が開いて手術を受けることに。迎え入れた時点で、歯槽膿漏がなかなか悪くなっていたようです」、信じ難いようなことが起きたようだ。
・『ワンルームでも聴導犬の預かりボランティアができる理由  この記事を読んでおられる方のなかにもきっと、わが家のモコのような大人猫の里親になった方はいらっしゃると思いますし、今はペットを飼っていないけれどいつか飼いたいという人なら、里親という選択肢はもちろんご存じでしょう。 でも、聴導犬のソーシャライザー(子犬預かりボランティア)という活動を知っている人は少ないのではないでしょうか? 先代の猫が存命の2020年から、日本聴導犬協会の子犬を預かるボランティア、ソーシャライザーという活動をはじめました。聴導犬は耳の不自由な人を助ける介助犬で、日本聴導犬協会で活躍している犬たちは、ほとんどの犬が保護犬出身で、小型犬・大型犬・MIX犬とさまざまな犬種が活躍しています。) ソーシャライザーは、聴導犬候補の子犬を2カ月から3カ月程度の短期間預かり、社会化訓練をするボランティアです。訓練というと難しく感じますが、とくに難しいことはありません。一緒にカフェやショッピングモールなどいろんなところにお出かけするだけでも社会化訓練になるんです。一番大切なのは子犬に「人間って信頼できる。大好き」と人を信じてもらうこと。 「人間の食べ物をあげない」「イタズラをしても叱らない」など、日本聴導犬協会の決めたルールを守って育てるだけで、特別なスキルは必要ありません。ただし責任は重大です。「わが家での暮らしの積み重ねで、この子の未来が変わるんだ」と思うと、気持ちが引き締まります。 晩婚のため子どもも持てず、(ロスジェネ世代で、不況の影響を大きく受けたとは言え)人生のほぼ大半をフリーターでろくに税金も払わず、とくに世のため人のためになるようなことをしないまま40代後半になった私にとって、子犬を通して社会貢献するということが、社会へのささやかな恩返しでもあります。 このボランティアを知ったとき、「猫がいるから無理」「わが家は狭いから無理」「マンションだから無理」と思って諦めそうになったのですが、子犬の間にさまざまな環境で暮らし、どんな場所でも順応できるようにするためのボランティアなので、「猫がいる狭いマンションで暮らす」ということが大切な社会化訓練になるそうです。 まずはスタッフと協会犬による家庭訪問があり、わが家の生活スタイル、室内や近隣の環境、わが家の猫が子犬にフレンドリーに接してくれるかなどのチェックに見事通過して、晴れてソーシャライザーとしての活動がはじまったのでした』、「まずはスタッフと協会犬による家庭訪問があり、わが家の生活スタイル、室内や近隣の環境、わが家の猫が子犬にフレンドリーに接してくれるかなどのチェックに見事通過して、晴れてソーシャライザーとしての活動がはじまったのでした」、これなら安心だ。
・『犬ごとに違う性格、それぞれが持つかわいさ  今まで10匹の犬がわが家にやってきました。短い子は1カ月、長い子は8カ月、だいたい1匹あたり3カ月ぐらいわが家で一緒に暮らしました(1匹だけ猫との相性が悪くて数日で帰った子がいます)。) 最初は子犬を中心に預かっていましたが、夫の闘病がはじまってからは、家庭犬にキャリアチェンジが決まった里親募集中の子や、元聴導犬の引退犬など、成犬を預かるようになりました。 わが家は狭いため、ほとんどの場合シーズーがやってくるのですが、どの子も性格が違い、それぞれにその子だけのかわいさがあります。べったり甘えん坊の子がかわいいのはもちろんのこと、ツンデレの子に振り回されるのも楽しいものです。 わんぱくな子犬とボール遊びや紐での引っ張りっこをするふれあいもいいものですが、おっとり静かな老犬は手がかからずそれはそれで最高なのです』、「わんぱくな子犬とボール遊びや紐での引っ張りっこをするふれあいもいいものですが、おっとり静かな老犬は手がかからずそれはそれで最高なのです」、その通りだろう。
・『預かりボランティアならではの楽しさややりがい  本音を言ってしまえば、やはり相性というものはあるので、特別にお気に入りの子というのはいますが、気に入らなかった子というのはいません。どの子も愛しく、また一緒に暮らせたらうれしいです(なかには実際に2回預かった子もいます)。 ペットとして家庭に迎え入れ、同じ子と長く暮らすのと比べると、やはり絆ではかなうべくもありませんが、たくさんの犬と暮らしたからこそ、その子の個性に気づけるということもあり、預かりボランティアならではの楽しさややりがいもあります。 よく「犬とお別れするのが悲しくないの?」という質問を受けますが、だいたいの場合が預かっていた犬と交代で新しい犬が来るので、バタバタしていて悲しんでいる暇はありません。 しかも、月に1回ソーシャライザーや聴導犬ユーザーが集まるイベントが開催され、キャリアチェンジした犬も里親さんと一緒に顔を出したりするので、永遠の別れとかではなく、はやければ翌月にはまた会うため、感慨深さなどはなく、けっこうドライにバイバイします。) ただし、預かりボランティアを休んだ月は「家が静かで仕事がはかどるぅ!」「早起きして散歩しなくていいの超ラクチン!」「夫婦でゆっくりお出かけできるの最高!」と最初は夫婦の会話に感嘆符が飛び交うほどに、犬のいない生活を満喫するものの、10日もするとすっかり寂しくなって「来月はどの子が来るんだろう」「聴導犬協会からの連絡まだかな……」と、首を長くして再び犬がやってくるのを待つのです』、「預かりボランティアを休んだ月は「家が静かで仕事がはかどるぅ!」「早起きして散歩しなくていいの超ラクチン!」「夫婦でゆっくりお出かけできるの最高!」と最初は夫婦の会話に感嘆符が飛び交うほどに、犬のいない生活を満喫するものの、10日もするとすっかり寂しくなって「来月はどの子が来るんだろう」「聴導犬協会からの連絡まだかな……」と、首を長くして再び犬がやってくるのを待つのです」、なるほど。
・『ペットとの暮らしを諦めない、年齢とライフスタイルに合った方法を探す  高齢者とペットというのは、最近社会問題にもなっていますし、私がいつも観ている、東京のローカルテレビ局の保護犬・保護猫情報コーナーは、飼い主が高齢(死去、入院、施設への入居など)のためという理由で家を無くす犬や猫が圧倒的に多いのが現状です。 「保護犬・保護猫は60歳以上には譲渡しません」という保護団体も多く、SNSでは「高齢者はペットを飼うな」という意見も多くみられます。たしかに、ペットの立場に立つと、そのとおりです。 でも、一方で、 「年齢を重ねて時間ができた今こそ、ペットと暮らしたいのに、年齢を理由に諦めなくてはならないのも、残念すぎるのではないか」 ……いざ自分が中高年の仲間入りするようになって、私はそう感じるようになりました、年齢を重ねたからこそ、命の大切さに向き合える自信もありました(中高年世代の皆様はどう思いますか?)。 今から子猫や子犬を飼うには遅すぎると判断したわが家は、ライフステージや暮らしのサイズを考慮して、老猫の里親と、聴導犬のソーシャライザーという、ペットとの関わり方を選びました。 頭ごなしに否定するのではなく、さまざまなことを考慮したうえで、ペットの命に責任を持つこと、自分たちがもし飼えなくなったときのペットのその後まで考えることで、みんなが幸せになる答えが見つかるかもしれない……。それも、「小さく暮らす」ことをモットーにしているわが家がたどり着いた、結論の1つなのでした。 (編集部より)本連載は隔週連載です。下のボタンから読者登録をすると、更新時に通知が来るのでご利用ください。大木奈さんのもうひとつの連載「チェーン店最強のモーニングを探して」も好評更新中です(こちらは毎週)』、「今から子猫や子犬を飼うには遅すぎると判断したわが家は、ライフステージや暮らしのサイズを考慮して、老猫の里親と、聴導犬のソーシャライザーという、ペットとの関わり方を選びました。 頭ごなしに否定するのではなく、さまざまなことを考慮したうえで、ペットの命に責任を持つこと、自分たちがもし飼えなくなったときのペットのその後まで考えることで、みんなが幸せになる答えが見つかるかもしれない……。それも、「小さく暮らす」ことをモットーにしているわが家がたどり着いた、結論の1つなのでした」、すごく責任感のある「ペット」の飼い方だ。

次に、2月10日付けダイヤモンド・オンラインが転載したヘルスデーニュース「愛犬を夢中にさせる動画コンテンツ、“動物もの”の中で特に人気は……」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/338410
・『犬が興味を示す動画や映像はどんなもの?  愛犬がテレビで何を見るのが一番好きか考えてみてほしい。自然のドキュメンタリー番組だろうか、動物の映像だろうか。米ウィスコンシン大学マディソン校獣医学部教授のFreya Mowat氏らが「Applied Animal Behavior Science」1月号に発表した研究によると、犬が最も興味を示す動画や映像は、他の動物、特に犬が登場するものであるという。 この研究は、犬の視覚をチェックするためのより良い方法の開発を目的にした研究の一部として実施された。Mowat氏は、「現在、われわれが犬の視力を評価する際に使っている方法は、人間で例えるなら、対象物が見えているかいないかを単にイエスかノーで答えさせるような、非常に低レベルのものしかない。 犬の視力を評価するには、犬用の視力表(アイチャート)に相当するような、より高感度な方法が必要だ」と主張する。そして、「われわれは、動画を利用することで視覚機能の評価に必要な時間だけ犬の注意を引きつけることができると考えている。しかし、どのようなタイプのコンテンツが犬にとって最も魅力的なのかが不明だった」と研究背景を説明している。 この点を調べるためにMowat氏らは、飼い犬のテレビとの関わりに関するウェブベースの調査票を作成し、世界中の犬の飼い主に回答してもらった。調査は、家庭内のスクリーンの種類(テレビ、タブレット、パソコンのスクリーンなど)、犬の年齢や犬種などの基本情報に加え、動画や映像に対する反応や興味を示すコンテンツなどを問う41項目の質問で構成されていた。 調査では、犬、交通、パートナー(飼い主)、鳥の4本のショート動画を犬に見せることもできた。得られた回答の中から、動画や映像に対する犬の興味について不明と答えたものなどを除外し、最終的に1246件の回答を解析対象とした。 回答のほとんど(89%)は米国から寄せられたものだった。対象とされた犬の年齢中央値は4歳で、雌犬が51%、純血種の犬が54%を占めていた。全回答のうちの1077件で飼い犬が動画や映像に興味を示すこと、残りの75件は興味を示さないことが報告されていた。動画や映像に興味を示す犬は、スクリーンに近付く(78%)、首を傾げる/耳を立てる(78%)、鳴き声を出す(76%)、鼻先でスクリーンに触れる(29%)などの反応を示すことが報告されていた。) 調査結果からは、そのほかに以下のような結果が判明した。 ・動画や映像に興味を示す犬の間で最も人気があるコンテンツは、動物が登場するものだった(95%の犬が反応)。 ・動物が出てくる動画や映像の中でも、犬が出てくるものは、とりわけ犬の興味を引き付けた(93%の犬が反応)。 ・人間の出てくる動画や映像に対する犬の関心はあまり高くなく、17カテゴリー中9位だった(37%の犬が反応)。 ・年齢と視力は、犬が動画や映像に興味を示す頻度に関係するのに対し、年齢と犬種は犬が興味を示す動画や映像の内容に関係する。 ・スポーティングドッグ(鳥猟犬;ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバーなど)と牧羊犬・牧畜犬(オーストラリアンシェパード、ボーダーコリーなど)は他の犬種の犬に比べて、あらゆるタイプの動画や映像に興味を示す傾向が強かった。 ・スクリーン上の動きは犬の注意を強く引いた』、「調査は、家庭内のスクリーンの種類(テレビ、タブレット、パソコンのスクリーンなど)、犬の年齢や犬種などの基本情報に加え、動画や映像に対する反応や興味を示すコンテンツなどを問う41項目の質問で構成されていた。 調査では、犬、交通、パートナー(飼い主)、鳥の4本のショート動画を犬に見せることもできた。得られた回答の中から、動画や映像に対する犬の興味について不明と答えたものなどを除外し、最終的に1246件の回答を解析対象とした・・・回答のほとんど(89%)は米国から寄せられたものだった。対象とされた犬の年齢中央値は4歳で、雌犬が51%、純血種の犬が54%を占めていた。全回答のうちの1077件で飼い犬が動画や映像に興味を示すこと、残りの75件は興味を示さないことが報告されていた。動画や映像に興味を示す犬は、スクリーンに近付く(78%)、首を傾げる/耳を立てる(78%)、鳴き声を出す(76%)、鼻先でスクリーンに触れる(29%)などの反応を示すことが報告されていた」、「興味を示したのが「1077件」とは予想以上に多いようだ。
・『犬の視界に有害な生活環境がわかれば飼い主への影響も解明できるか  Mowat氏は、「これらの結果は、動画をベースに犬の加齢に伴う視覚的注意の変化を追跡する方法の開発に役立てることができるだろう」と話す。 そして、「犬の視力がどのように老化していくのかを理解することは、犬とともに暮らす人間にも役立つ。例えば、視覚に有害な環境要因や生活習慣の影響は、それが人間に現れる何十年も前に、人間よりもはるかに寿命の短い犬に現れる可能性がある。その意味で、犬は人間の『センチネル種』と言えるのかもしれない」と付け加えている。(HealthDay News 2024年1月23日)』、「「犬の視力がどのように老化していくのかを理解することは、犬とともに暮らす人間にも役立つ。例えば、視覚に有害な環境要因や生活習慣の影響は、それが人間に現れる何十年も前に、人間よりもはるかに寿命の短い犬に現れる可能性がある。その意味で、犬は人間の『センチネル種』と言えるのかもしれない」、とは興味深い試みだ。

第三に、4月18日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した農学博士の林 良博氏による「「犬の飼育頭数」が日本で2040年に半減するワケ、猫はどうなる?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/341140
・『大切なパートナーとして、さまざまな形で人間との絆を築いてきた犬たち。そんな大事な存在がそう遠くない未来に私たちのそばから姿を消そうとしているという。なぜ国内の犬の飼育頭数が減少しているのか?「ヒトと動物の関係学」の研究者が警鐘を鳴らす。本稿は、林 良博『日本から犬がいなくなる日』(時事通信社)の一部を抜粋・編集したものです』、興味深そうだ。
・『ファミリーブリーダーが消えるとなぜまずいのか  日本では犬の飼育頭数が減ってきており、このままだと今後も減っていき、2040年には半分ほどの数に減ってしまいます。そして、犬の数が減る遠因としては、人口減少や共働き世帯の増加が考えられます。 しかしながら、犬の飼育頭数が減る、より核心的な要因は、別にあると私は見ています。それは、「日本から、犬の交配や繁殖を担うブリーダーの人たちが姿を消していくから」にほかなりません。 ブリーダーには大きく2種類があります。よび方はさまざまありますが、この本では「商業ブリーダー」と「ファミリーブリーダー」とよぶことにします。 商業ブリーダーとは、ブリーディングによって生まれた仔犬を販売するなどして、生計を立てているブリーダーたちのことを指します。商業ブリーダーには、企業を設けたり企業に属したりして、組織的な活動をしている人が多くいます。 一方、ファミリーブリーダーとは、ブリーディングによって生計を立てることを意図せずに、犬の繁殖をおこなっているブリーダーたちのことを指します。 冒頭で、日本から、犬の交配や繁殖を担うブリーダーの人たちが姿を消していくと述べましたが、とりわけ姿を消しつつあるのが、ファミリーブリーダーの方々です。ブリーディングをやめてしまう方が多くなっているのです。 ジャパンケネルクラブは、同クラブ会員のブリーダーたちの年間飼育頭数や登録者数の状況を把握しています。2004年には、年間繁殖頭数が1頭だったブリーダーは、約2300人、2頭では約3700人、3頭では約4700人、4頭では約4600人、5頭で3500人でした。6頭以降は頭数が増えるにつれて登録ブリーダーの数は減っていきます。 では10年後の2014年はどうかというと、年間繁殖頭数が1頭だった登録ブリーダーは約600人、2頭では約800人、3頭では約900人、4頭で約700人、5頭で約500人となっています。全体的に激減してしまいました。これより多い頭数も含め、すべての年間飼育頭数においてブリーダー登録数が10年前を下回り、なかでも1頭から5頭くらいの小規模といえるブリーダーの登録数が減っているのです。年間で1頭から5頭くらいの少ない仔犬を繁殖させるのはもっぱらファミリーブリーダーですので、ファミリーブリーダーの減り方が深刻であるということができます。) なぜファミリーブリーダーの方々が、ブリーディングをやめてしまったのか。その大きな要因と考えられるのが「法律の改正」です。動物愛護管理法という法律が改正され、2006(平成18)年6月に施行されたことをきっかけに、ファミリーブリーダーたちがブリーディングをするための手続きが大変になり、ブリーディング自体をやめてしまったと考えられるのです。 具体的には、多くのファミリーブリーダーがおこなってきた犬の繁殖活動が、「業」を営む行為であるとみなされるようになり、業としておこなうために必要な登録をしなければならず、「そこまでするのは大変だから、もうブリーディングはやらない」となってしまったようです』、「なぜファミリーブリーダーの方々が、ブリーディングをやめてしまったのか。その大きな要因と考えられるのが「法律の改正」です。動物愛護管理法という法律が改正され、2006(平成18)年6月に施行されたことをきっかけに、ファミリーブリーダーたちがブリーディングをするための手続きが大変になり、ブリーディング自体をやめてしまったと考えられるのです。 具体的には、多くのファミリーブリーダーがおこなってきた犬の繁殖活動が、「業」を営む行為であるとみなされるようになり、業としておこなうために必要な登録をしなければならず、「そこまでするのは大変だから、もうブリーディングはやらない」となってしまったようです」、なるほど。
・『「丁寧な繁殖の担い手」たちが去ったあとに待ち受ける未来  動物愛護管理法の改正が、本当にファミリーブリーダーがブリーディングをしなくなった原因となっているのか、より詳しく見て見ましょう。犬猫適正飼養推進協議会は、ブリーディングのさかんな地域である愛知県三河地区で聞き込み調査をしています。石山恒会長の話によると、ペットショップや商業ブリーダーの下(もと)には、数多くのファミリーブリーダーがいたものの、法改正によりいなくなってしまったということです。 50年間にわたり商業ブリーダーとして活動を続けている方への聞き取りによると、その方は「店子」とよばれるファミリーブリーダー500人とつながっていて、ファミリーブリーダーの協力の下(もと)年間2000頭ほどの繁殖をしていたそうです。しかし、ほとんどの「店子」のみなさんがブリーディングをやめてしまい、組織が崩壊したといいます。 やめた理由の大きな一つは、2006(平成18)年の法改正により登録が義務化されたためとのことです。「年間1回のブリーディングで2、3頭しか仔犬を繁殖させないのに、書類づくりを要求されるのは億劫だ」と嘆いていたファミリーブリーダーもいたといいます。さらに、ファミリーブリーダーにはベテランの方が多く高齢化も進んでおり、2012(平成26)年の同協議会の調査では後継者の有無について聞いたところ、後継者がいると答えた方は32パーセントにとどまったとのことです。) 高齢になってからルールが変わり、登録または届出のための書類づくりをするのが大変になったため、いっそのことブリーディングをやめてしまおうという方が多くいたことが推察できます。 犬猫適正飼養推進協議会は、三河地区のブリーダーへの2018(平成30)年の調査で、犬の繁殖をやめたブリーダーに、繁殖をやめたのはいつごろかを尋ねたところ、「2013年」と答えた方が最多だったといいます。2013(平成25)年といえば、法改正で第一種と第二種ができた年です。 繁殖をやめた理由を尋ねたところ、もっとも多かったのが「登録制になり、書類等の管理が面倒だから」で、「自分が歳をとり、体力的にきつくなったから」がこれに続きました。この二つの理由が突出しています。 また、1歳未満の犬の比率が7%以上を保っていることが、飼育頭数の維持増加には必要ですが、7%を下回ったのは2007(平成19)年でした。2007年といえば、改正動物愛護管理法が施行され、動物取扱業は書類の届出が必要となった翌年です。 長年にわたり小規模ながら丁寧に犬の繁殖をおこなってきた専門家たちが、法改正にともなう書類づくりなどの煩雑さを感じ、ブリーディングをやめてしまいました。後継者も少ないため、なにかしらの対策を打たなければ、日本におけるブリーディングは尻すぼみとなり、衰退の一途をたどります』、「犬の繁殖をやめたブリーダーに、繁殖をやめたのはいつごろかを尋ねたところ、「2013年」と答えた方が最多だったといいます。2013(平成25)年といえば、法改正で第一種と第二種ができた年です。 繁殖をやめた理由を尋ねたところ、もっとも多かったのが「登録制になり、書類等の管理が面倒だから」で、「自分が歳をとり、体力的にきつくなったから」がこれに続きました。この二つの理由が突出しています・・・1歳未満の犬の比率が7%以上を保っていることが、飼育頭数の維持増加には必要ですが、7%を下回ったのは2007(平成19)年でした。2007年といえば、改正動物愛護管理法が施行され、動物取扱業は書類の届出が必要となった翌年です。 長年にわたり小規模ながら丁寧に犬の繁殖をおこなってきた専門家たちが、法改正にともなう書類づくりなどの煩雑さを感じ、ブリーディングをやめてしまいました。後継者も少ないため、なにかしらの対策を打たなければ、日本におけるブリーディングは尻すぼみとなり、衰退の一途をたどります」、なるほど。
・『猫は8割が雑種 犬は9割近くが純粋種  なお、ここまでの現状に対して、「猫のブリーダーもおなじ状況になっているのか」と考える方もおられるでしょう。動物愛護管理法の改正は、犬だけを対象としたものではありません。中型の哺乳類という点では、猫も犬とおなじ条件ではあります。しかしながら、犬と猫で大きくちがうのは、大勢を占めるのが純粋種であるか雑種であるかです。 飼育犬の9割近くが純粋種であり、純粋種であることを証明するには血統証明書が必要です。血統証明書を得るには、日本ではジャパンケネルクラブ(JKC)という団体へのブリーダーとしての登録が必要です。つまり、犬の繁殖に特徴的である純粋種を維持するには、ブリーダーの存在が重要なのです。) 一方の猫はというと逆に8割以上が雑種であり、ブリーダーを介さず、もらった、拾った、迷い込んできたといった入手経路も多くあります。そのため法改正が猫のブリーダーにあたえる影響は小さいと考えられます。 「だったら、犬も猫とおなじようにブリーダーの手をあまりかけないで済む雑種に切りかえたらよいのでは」と考える方もおられるかもしれません。これについては犬と人間の関わり合いの歴史にも関係してくるのですが、犬の血統が守られつづけ、純粋犬がいまなお多く存在していることには意味があります。犬は、人間と暮らしていくうえで、人間の手によってさまざまな犬種が編みだされ、犬種ごとにさまざまな役割を果たしてきました。 たとえば、ビーグルという犬種は嗅覚を生かしてにおいで獲物を追う役割が担わされた嗅覚ハウンドとよばれる猟犬です。またラブラドール・レトリバーはカナダのラブラドール半島で網からこぼれた魚を回収していた回収犬でしたが、現在は盲導犬としての役割のほか、介護犬としても活躍しています。役割を果たすためには、ビーグルならビーグル、ラブラドール・レトリバーならラブラドール・レトリバーといったように血統が保たれていることが基本的に大切となります。 国際畜犬連盟という世界的な団体は、355犬種を犬種として登録しています。このうち約9割は使役犬、つまり人間のためにはたらいてくれる犬種です。なんらかの目的のために育種され、特殊な機能を先鋭化させた犬種たちです。雑種犬が主流になると、そもそも犬としての能力が薄まり、犬という動物の存在意義や価値が大きく変わってしまうことになります』、「飼育犬の9割近くが純粋種であり、純粋種であることを証明するには血統証明書が必要です。血統証明書を得るには、日本ではジャパンケネルクラブ(JKC)という団体へのブリーダーとしての登録が必要です。つまり、犬の繁殖に特徴的である純粋種を維持するには、ブリーダーの存在が重要なのです。 一方の猫はというと逆に8割以上が雑種であり、ブリーダーを介さず、もらった、拾った、迷い込んできたといった入手経路も多くあります。そのため法改正が猫のブリーダーにあたえる影響は小さいと考えられます・・・犬と人間の関わり合いの歴史にも関係してくるのですが、犬の血統が守られつづけ、純粋犬がいまなお多く存在していることには意味があります。犬は、人間と暮らしていくうえで、人間の手によってさまざまな犬種が編みだされ、犬種ごとにさまざまな役割を果たしてきました。 たとえば、ビーグルという犬種は嗅覚を生かしてにおいで獲物を追う役割が担わされた嗅覚ハウンドとよばれる猟犬です。またラブラドール・レトリバーはカナダのラブラドール半島で網からこぼれた魚を回収していた回収犬でしたが、現在は盲導犬としての役割のほか、介護犬としても活躍しています。役割を果たすためには、ビーグルならビーグル、ラブラドール・レトリバーならラブラドール・レトリバーといったように血統が保たれていることが基本的に大切となります。 国際畜犬連盟という世界的な団体は、355犬種を犬種として登録しています。このうち約9割は使役犬、つまり人間のためにはたらいてくれる犬種です。なんらかの目的のために育種され、特殊な機能を先鋭化させた犬種たちです。雑種犬が主流になると、そもそも犬としての能力が薄まり、犬という動物の存在意義や価値が大きく変わってしまうことになります」、確かに「355犬種」ある「犬」の「のうち約9割は使役犬、つまり人間のためにはたらいてくれる犬種です。なんらかの目的のために育種され、特殊な機能を先鋭化させた犬種たちです。雑種犬が主流になると、そもそも犬としての能力が薄まり、犬という動物の存在意義や価値が大きく変わってしまうことになります」、確かに純粋種が少ない「猫」にくらべ、「飼育犬の9割近くが純粋種」という「犬」は「血統」の維持が「大切」だ、「ブリーダー」にも登録手続きの面倒くささなどはあるとしても、是非頑張ってもらいたいところだ。
タグ:ペット 犬と人間の関わり合いの歴史にも関係してくるのですが、犬の血統が守られつづけ、純粋犬がいまなお多く存在していることには意味があります。犬は、人間と暮らしていくうえで、人間の手によってさまざまな犬種が編みだされ、犬種ごとにさまざまな役割を果たしてきました。 たとえば、ビーグルという犬種は嗅覚を生かしてにおいで獲物を追う役割が担わされた嗅覚ハウンドとよばれる猟犬です。またラブラドール・レトリバーはカナダのラブラドール半島で網からこぼれた魚を回収していた回収犬でしたが、現在は盲導犬としての役割のほか、介護犬として 「飼育犬の9割近くが純粋種であり、純粋種であることを証明するには血統証明書が必要です。血統証明書を得るには、日本ではジャパンケネルクラブ(JKC)という団体へのブリーダーとしての登録が必要です。つまり、犬の繁殖に特徴的である純粋種を維持するには、ブリーダーの存在が重要なのです。 一方の猫はというと逆に8割以上が雑種であり、ブリーダーを介さず、もらった、拾った、迷い込んできたといった入手経路も多くあります。そのため法改正が猫のブリーダーにあたえる影響は小さいと考えられます・・・ 1歳未満の犬の比率が7%以上を保っていることが、飼育頭数の維持増加には必要ですが、7%を下回ったのは2007(平成19)年でした。2007年といえば、改正動物愛護管理法が施行され、動物取扱業は書類の届出が必要となった翌年です。 長年にわたり小規模ながら丁寧に犬の繁殖をおこなってきた専門家たちが、法改正にともなう書類づくりなどの煩雑さを感じ、ブリーディングをやめてしまいました。後継者も少ないため、なにかしらの対策を打たなければ、日本におけるブリーディングは尻すぼみとなり、衰退の一途をたどります」、なるほど。 「犬の繁殖をやめたブリーダーに、繁殖をやめたのはいつごろかを尋ねたところ、「2013年」と答えた方が最多だったといいます。2013(平成25)年といえば、法改正で第一種と第二種ができた年です。 繁殖をやめた理由を尋ねたところ、もっとも多かったのが「登録制になり、書類等の管理が面倒だから」で、「自分が歳をとり、体力的にきつくなったから」がこれに続きました。この二つの理由が突出しています・・・ 「そこまでするのは大変だから、もうブリーディングはやらない」となってしまったようです」、なるほど。 「なぜファミリーブリーダーの方々が、ブリーディングをやめてしまったのか。その大きな要因と考えられるのが「法律の改正」です。動物愛護管理法という法律が改正され、2006(平成18)年6月に施行されたことをきっかけに、ファミリーブリーダーたちがブリーディングをするための手続きが大変になり、ブリーディング自体をやめてしまったと考えられるのです。 具体的には、多くのファミリーブリーダーがおこなってきた犬の繁殖活動が、「業」を営む行為であるとみなされるようになり、業としておこなうために必要な登録をしなければならず、 (その3)(晩婚子なし夫婦が「不人気の老猫」を迎えた理由 中高年でもペットと暮らすことを諦めない方法、愛犬を夢中にさせる動画コンテンツ、“動物もの”の中で特に人気は……、「犬の飼育頭数」が日本で2040年に半減するワケ 猫はどうなる?) 東洋経済オンライン 大木奈 ハル子氏による「晩婚子なし夫婦が「不人気の老猫」を迎えた理由 中高年でもペットと暮らすことを諦めない方法」 「子ナシ近所に親戚ナシの、ミドルシニア世代である私たち夫婦のペットとの向き合い方や、狭い空間でペットを飼うということについてつれづれ書いてまいります」、面白そうだ。 「一緒に暮らしはじめる前に、一緒の暮らしが終わるときのイメージまで描いてから、お迎えを決めたのでした」、責任感溢れた姿勢だ。 「偏食だし食も細いなと思っていたら、一緒に暮らし始めて程なくして、口内の皮膚が腐ってほっぺたに穴が開いて手術を受けることに。迎え入れた時点で、歯槽膿漏がなかなか悪くなっていたようです」、信じ難いようなことが起きたようだ。 「まずはスタッフと協会犬による家庭訪問があり、わが家の生活スタイル、室内や近隣の環境、わが家の猫が子犬にフレンドリーに接してくれるかなどのチェックに見事通過して、晴れてソーシャライザーとしての活動がはじまったのでした」、これなら安心だ。 「わんぱくな子犬とボール遊びや紐での引っ張りっこをするふれあいもいいものですが、おっとり静かな老犬は手がかからずそれはそれで最高なのです」、その通りだろう。 「預かりボランティアを休んだ月は「家が静かで仕事がはかどるぅ!」「早起きして散歩しなくていいの超ラクチン!」「夫婦でゆっくりお出かけできるの最高!」と最初は夫婦の会話に感嘆符が飛び交うほどに、犬のいない生活を満喫するものの、10日もするとすっかり寂しくなって「来月はどの子が来るんだろう」「聴導犬協会からの連絡まだかな……」と、首を長くして再び犬がやってくるのを待つのです」、なるほど。 「今から子猫や子犬を飼うには遅すぎると判断したわが家は、ライフステージや暮らしのサイズを考慮して、老猫の里親と、聴導犬のソーシャライザーという、ペットとの関わり方を選びました。 頭ごなしに否定するのではなく、さまざまなことを考慮したうえで、ペットの命に責任を持つこと、自分たちがもし飼えなくなったときのペットのその後まで考えることで、みんなが幸せになる答えが見つかるかもしれない……。それも、「小さく暮らす」ことをモットーにしているわが家がたどり着いた、結論の1つなのでした」、すごく責任感のある「ペット」の飼 い方だ。 ダイヤモンド・オンライン ヘルスデーニュース「愛犬を夢中にさせる動画コンテンツ、“動物もの”の中で特に人気は……」 「調査は、家庭内のスクリーンの種類(テレビ、タブレット、パソコンのスクリーンなど)、犬の年齢や犬種などの基本情報に加え、動画や映像に対する反応や興味を示すコンテンツなどを問う41項目の質問で構成されていた。 調査では、犬、交通、パートナー(飼い主)、鳥の4本のショート動画を犬に見せることもできた。得られた回答の中から、動画や映像に対する犬の興味について不明と答えたものなどを除外し、最終的に1246件の回答を解析対象とした・・・ 回答のほとんど(89%)は米国から寄せられたものだった。対象とされた犬の年齢中央値は4歳で、雌犬が51%、純血種の犬が54%を占めていた。全回答のうちの1077件で飼い犬が動画や映像に興味を示すこと、残りの75件は興味を示さないことが報告されていた。動画や映像に興味を示す犬は、スクリーンに近付く(78%)、首を傾げる/耳を立てる(78%)、鳴き声を出す(76%)、鼻先でスクリーンに触れる(29%)などの反応を示すことが報告されていた」、「興味を示したのが「1077件」とは予想以上に多いようだ。 「「犬の視力がどのように老化していくのかを理解することは、犬とともに暮らす人間にも役立つ。例えば、視覚に有害な環境要因や生活習慣の影響は、それが人間に現れる何十年も前に、人間よりもはるかに寿命の短い犬に現れる可能性がある。その意味で、犬は人間の『センチネル種』と言えるのかもしれない」、とは興味深い試みだ。 林 良博氏による「「犬の飼育頭数」が日本で2040年に半減するワケ、猫はどうなる?」 も活躍しています。役割を果たすためには、ビーグルならビーグル、ラブラドール・レトリバーならラブラドール・レトリバーといったように血統が保たれていることが基本的に大切となります。 国際畜犬連盟という世界的な団体は、355犬種を犬種として登録しています。このうち約9割は使役犬、つまり人間のためにはたらいてくれる犬種です。なんらかの目的のために育種され、特殊な機能を先鋭化させた犬種たちです。雑種犬が主流になると、そもそも犬としての能力が薄まり、犬という動物の存在意義や価値が大きく変わってしまうことになります」、 確かに「355犬種」ある「犬」の「のうち約9割は使役犬、つまり人間のためにはたらいてくれる犬種です。なんらかの目的のために育種され、特殊な機能を先鋭化させた犬種たちです。雑種犬が主流になると、そもそも犬としての能力が薄まり、犬という動物の存在意義や価値が大きく変わってしまうことになります」、確かに純粋種が少ない「猫」にくらべ、「飼育犬の9割近くが純粋種」という「犬」は「血統」の維持が「大切」だ、「ブリーダー」にも登録手続きの面倒くささなどはあるとしても、是非頑張ってもらいたいところだ。
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小池都知事問題(その11)(小池都知事の学歴詐称問題の裏にある国際問題 第4次中東戦争とオイルショックの時代、小池都知事の学歴詐称・隠蔽に「現千代田区区長が加担」と告発状…その全内幕 説明責任を果たすべき、消える小池都知事の神通力…「学歴詐称疑惑」再燃で動員に陰り 重大選挙「2連敗」回避に躍起、小池都知事に忍び寄る「政治生命」の危機…目黒区長選で“子飼い候補”落選、公明党もソッポ) [国内政治]

小池都知事問題については、本年4月13日に取上げた。今日は、(その11)(小池都知事の学歴詐称問題の裏にある国際問題 第4次中東戦争とオイルショックの時代、小池都知事の学歴詐称・隠蔽に「現千代田区区長が加担」と告発状…その全内幕 説明責任を果たすべき、消える小池都知事の神通力…「学歴詐称疑惑」再燃で動員に陰り 重大選挙「2連敗」回避に躍起、小池都知事に忍び寄る「政治生命」の危機…目黒区長選で“子飼い候補”落選、公明党もソッポ)である。

先ずは、本年4月18日付け東洋経済オンラインが掲載した神奈川大学 名誉教授の的場 昭弘氏による「小池都知事の学歴詐称問題の裏にある国際問題 第4次中東戦争とオイルショックの時代」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/748576
・『東京都知事の小池百合子氏の学歴詐称疑惑が再燃している。2020年に一度収束していた問題が再浮上したわけだ。 学歴によって社会の能力を測る学歴社会において、学歴詐称が悪いことは当然のことだが、学歴という問題にはつねに複雑な問題がついて回ることも確かである。 筆者は2017年、スペインで開催されたEAIE(ヨーロッパ国際教育協会)に、当時勤務していた大学の国際センター所長として出席したが、そこでカイロ大学の関係者からもらったパンフレットの、いの一番に小池百合子氏の写真と名前があったことを記憶している』、興味深そうだ。
・『カイロ大学のパンフレットに小池氏の写真と名前  カイロ大学のスタッフからもらったパンフレットである。カイロ大学も卒業を認めているのかもしれない。もっとも大学への何らかの貢献によって取得した「名誉」卒業生である可能性もある。 もちろん日本でもあることだが、卒業していなくとも有名になるとその大学や学校のために卒業扱いになることもままある。大学ではなく、その途中の高校や中学の場合、みなし卒業として扱われたりもする。もちろん本当の卒業ではない。 かつての旧制高校や大学予科の場合、戦後そうした学校が存在しないことで、履歴上は大学卒になってしまうこともしばしばある。また昭和18年(1943年)の学徒動員によって、国家の命令で本来の卒業年数に届かない形で繰り上げ卒業した場合もある。 松本清張の『砂の器』の主人公のように、空襲で焼けてしまった市役所などの戸籍を偽装する場合のように、戦後のどさくさのなか勝手に大学を卒業した例も多くあった。 『東大ニセ学部―虚像と虚栄の記録』(桑原宗一郎著、講談社、1969年)という本がある。そこには、東京大学生になりすまし卒業までしてしまった例が書かれている。これはすべて実際にあった話をまとめたものだという。 気軽に女性にもてるために偽ったものから、受験失敗の苦労から勝手に学生になったものまで、そして助教授になりすました狂人までいろいろと出てくる。東大ブランドの借用だけでなく、それによって就職を得たものまでいるからおそろしい。 日本は学歴偏重社会である、もっと正確にいうと大学のブランド偏重社会である。有名大学の名前さえ出せば一生楽に暮らせる社会ともいえる。有名大学に入学した18歳の学力で、一生食っていける社会など日本以外にはないと思われる』、「大学のブランド偏重社会である。有名大学の名前さえ出せば一生楽に暮らせる社会ともいえる」、「ブランド偏重社会」はともかく、「有名大学の名前さえ出せば一生楽に暮らせる社会」とは誇張が過ぎるようだ。
・『海外では大学歴ではなく学位重視  海外で学歴の高さというのは、どの大学を出たかではなく、大学院の修士、博士といった高度な知識と学位を持っているかである。在学中に外交官試験にパスし、東京大学を中退した外交官が海外で落ち込むのは、赴任先で海外の外交官が博士号を持っていたりする場合だ。 不思議なことに、日本では東大卒で外交官になるより、中退でなったほうが優秀だとされるのだが、世界では大学院までいったほうが能力が高いとされている。 大学という世界に私も40年も暮らしてきたのだが、国によって大学がまちまちであることをずいぶん経験してきた。それは卒業ということにもいえる。 日本は、入学すればよほどのことがない限り卒業できる。だからこそ入学試験がすべてだといってもいいかもしれない。 大学入試の試験科目として全員に哲学の試験を課すフランスの入試問題は、4時間2問の論文形式である。日本人の高校生は哲学など無視するから、おそらくだれも解けまい。もっともバカロレアの合格率は80%を超えているので、答案の質のほうは疑問であるが。 バカロレアに通ればどこでも一応行けるので、医学部などは低学年でバサバサと落とす。日本では医学部に入学したというだけで優秀だということになる、フランスでは何の意味もない。) 私は大学院の博士課程の頃、政府給費留学生としてユーゴスラビアのザグレブ大学の大学院に留学したのだが、卒業などしていない。だからそのことを示す何の証明もない。日本の文部省が派遣したという証明書があるだけだ。もっともユーゴスラビアという国でさえ今では存在していない。 またその後、フランスのEHESS(国立社会科学高等研究院)にもいたが、勝手な聴講生なので証明書はない。もちろんこんなことは履歴に書かないほうがいい。博士課程に在学中であればそれだけで済むからだ。 しかし、見栄を張ってつい書いてしまうと大変なことになる。最初の就職先の一橋大学社会科学古典資料センターに正直にこの経歴を提出してしまったのだ。 国立大学のチェックは厳しく、この証明を得るため聴講していた教授に頼んで証明書を書いてもらった。自分で文面を書いて、教授にサインしてもらったのだ』、「最初の就職先の一橋大学社会科学古典資料センターに正直にこの経歴を提出してしまったのだ。 国立大学のチェックは厳しく、この証明を得るため聴講していた教授に頼んで証明書を書いてもらった。自分で文面を書いて、教授にサインしてもらったのだ」、海外の大学院などなら手間も大変だろうが、国内で済んだだけ幸運だった。
・『小池氏個人にとどまらない問題  教員になって外国人留学生の入試を担当すると、海外の高校や大学の卒業証明書を見ることが多くなる。中国などの留学生の高校卒業の証明書や、大学の卒業証明書が本当であるかどうかチェックするのだ。 これもさまざまな点で怪しいなと思うものがあるが、チェックしようがない。チェックすれば、膨大な手間と時間がかかるからだ。 さて、小池百合子氏の場合は問題が複雑である。それは彼女の卒業は、たんに個人的な問題にとどまらないからだ。日本とエジプトとの関係を考えれば、エジプト政府およびカイロ大学は卒業というだろう。 日本とエジプト、そして当時のサダト政権と田中角栄政権の複雑な関係を考える場合、卒業を問題とするよりも、どうやって卒業という事実を獲得したのかということを問題にしたほうがいいだろう。 しかし、これはとても勇気のいることかもしれない。卒業というものが国家権力と関係していた場合、真実を知ることは簡単ではないし、とても危険なことだからである。 小池氏が在学していた1972年から1976年までは、彼女と同年齢の私の学生時代とかぶる時代である。 なんといってもナセル大統領(1918~1970年)の後を継いだサダト大統領(1918~1981年)の時代であり、彼女がカイロ大学の2年に入学したとされるのは、1973年10月6日に勃発したイスラエルとの第4次中東戦争が始まった戦乱の時代だった。) 高齢者なら誰もが思い出すのは、東京・銀座からネオンが消え、主婦がトイレットペーパーを求めてさまよったことである。その理由は石油価格の高騰であり、日本は、OPEC(石油輸出国機構)の原油生産量削減にともなってアメリカの独占的メジャーの原油割り当てを下げられたからである。 小池氏の父親である小池勇二郎氏(1922~2013年)は実業家として海外との取引関係の仕事をしていた人物であり、日本の多くの黒幕とのつながりがあった人物だとされている。作家の黒木亮氏が書いた短い文章がネットで公開されている』、「小池氏の父親である小池勇二郎氏・・・は実業家として海外との取引関係の仕事をしていた人物であり、日本の多くの黒幕とのつながりがあった人物」、なるほど。
・『小池氏の父とエジプトの要人との関係  それによると、彼女の面倒をエジプトで見たのは、勇二郎氏と懇意にしていたエジプトの要人アベル・カデル・ハテムという人物だという。1913年生まれの政治家でナセルの革命に参加し、その後エジプトの要職を得て、日本とエジプトの友好協会の理事長を務めていたという。 1974年にサダト時代の副首相だったハテムは日本を訪問し、田中角栄や三木武夫にも会ったことがある。日本からの勲章旭日大綬章を授かったという。1974年といえば、石油ショックの翌年である。その勲功がこの受賞につながったのだろう。 日本は、長い間エネルギー資源の独立を探ってきた。多くの石油会社は欧米のメジャー系から割り当てられる原油を買ってきたことで燃料資源を欧米に握られていた。この独占を覆そうとしたのが出光興産だが、日本政府は石油ショックの際、困窮に陥った。 欧米の割り当てのみならず、中東諸国から敵国扱いを受けたからである。それがあの狂乱の石油ショックを生み出した。 石油不足を懸念した政府は、アラブの友人を頼って奔走した。ナイジェリアやアルジェリア、イランなどと交渉したのはそのときである。田中角栄が送った三木武夫を団長とする代表団はカイロに向かう。エジプトとの関係改善のためだ。 関西経済同友会の幹事だった小池勇二郎氏のところには当然話があったはずである。日本の中枢部と関係を持つ彼は、エジプトにも多くの知人がいたからである。その知人の一人がハテムであった。 小池百合子氏がエジプトで大学に入学したのは、まさに日本政府が派遣団を送った時期である。やがてエジプト政府は日本を敵国からはずし、日本はアメリカが提案する決議に反対することになる。) その決議は、中東諸国が提起したイスラエルの1967年の占領地域からの即時撤退という提案である。日本はなんとこれを暗に支持したのである。これはアメリカをいたく怒らせた。 やがてアメリカの国務長官だったキッシンジャーがやってきて、日本政府に苦言を呈するが、それがやがてアメリカの報復、すなわちロッキード事件となるというのはかなり知られた話である。 田中角栄の背後にいたのが、岸信介、小佐野賢治、児玉誉士夫、中曽根康弘といわれており、当然ながらハテムとサダトは、日本に対して恩を売り、日本も中東諸国の恩を返したということになる。 サダトは1981年10月の閲兵式で暗殺される。それによって政権は崩壊するが、黒木亮氏によるとサダト政権は腐敗にまみれていたという。とりわけ国内の経済悪化の改善のための日本政府からの援助を望んだのである。 こうした関係の中で、小池百合子氏の卒業は在学と無関係に認定されていったのかもしれない。サダトのナンバー2であったハテムにそれが不可能なはずはなく、政治的配慮の中でことは進んでいったのかもしれない。あくまで想像である』、「彼女の面倒をエジプトで見たのは、勇二郎氏と懇意にしていたエジプトの要人アベル・カデル・ハテムという人物だという。1913年生まれの政治家でナセルの革命に参加し、その後エジプトの要職を得て、日本とエジプトの友好協会の理事長を務めていたという・・・中東諸国が提起したイスラエルの1967年の占領地域からの即時撤退という提案である。日本はなんとこれを暗に支持したのである。これはアメリカをいたく怒らせた。 やがてアメリカの国務長官だったキッシンジャーがやってきて、日本政府に苦言を呈するが、それがやがてアメリカの報復、すなわちロッキード事件となるというのはかなり知られた話である」、自主外交の限界を示した出来事だった。
・『カイロ大学はなぜ無言なのか  もしこれが事実だとすれば、現在のエジプト政府が日本政府に対して話を蒸し返し、卒業はなかったといえるかどうか、国立大学であるカイロ大学が学問の自由のために本当のことを言う勇気があるかどうかである。 日本人にとっても話は複雑だ。小池氏の卒業だけに問題が絞られているが、当時の政治的流れの中でそうなったのだとすれば、日本政府の問題とも絡んでくる。とりわけそれは、アメリカからの石油資源の独立の問題であり、アメリカからの政治的自由の問題である。 右翼といわれている面々が、日本を守るためにそれを行ったのだとすれば、そこにメスを入れる勇気があるかどうかということだ。もしそうだとすれば、小池氏がこれを暴露することは当然できないだろうし、日本政府もアメリカとの関係にまで発展させたくないであろう。 だからこそマスコミは、小池氏の卒業詐称という個人的な問題に終始し、その当時の日本とエジプトとの関係、そして小池氏の父親にさかのぼる、日本のドンとの関係に触れたくないのである。 もちろん、この学歴詐称問題が小池氏による自作自演の詐称行為ならば、この話と関係ないことになろう。その場合、この「わらしべ王女」の野心が打ち砕かれるだけのことである。 本当にそれだけなのだろうか。話題のもう1つの中心であるカイロ大学が、正式な発表をしないのはなぜなのか。私にはそれが気になる』、「日本政府もアメリカとの関係にまで発展させたくないであろう。 だからこそマスコミは、小池氏の卒業詐称という個人的な問題に終始し、その当時の日本とエジプトとの関係、そして小池氏の父親にさかのぼる、日本のドンとの関係に触れたくないのである」、その通りだ。

次に、4月18日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの伊藤 博敏氏による「小池都知事の学歴詐称・隠蔽に「現千代田区区長が加担」と告発状…その全内幕 説明責任を果たすべき」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/128085
・『「爆弾告発」のウラで  「告発状といえば、こんなのも送られてきたんですが……」 旧知の千代田区議からこう声をかけられ、A4版5枚の文書を見せられたのは、昨年11月初旬のことだった。 文書は2021年1月の千代田区長選で樋口高顕氏が、小池百合子都知事の圧倒的な支援を受け、38歳の若さで初当選したカラクリを明かすもので、こう綴られていた。 <小池知事の学歴問題を隠蔽するために樋口氏が多大なる貢献をしたからです。ご承知の通り、カイロ大学は2020年6月9日、駐日エジプト大使館のFacebook上で声明を発し、小池知事の卒業を正規のものと認めただけでなく、それに疑問を呈することは大学への名誉毀損であり、エジプトの法令に基づいて対応を検討すると警告しました。(中略)実はこの声明の原案は樋口氏が作成を主導したものです> 結果として文書は、約5ヵ月後の4月10日、“日の目”を見ることになる。『文藝春秋』5月号で小島敏郎・元都民ファーストの会事務総長が、「私は学歴詐称工作に加担してしまった」とする爆弾告発を行った。 そのなかでは、元ジャーナリストのA氏が作成したという「駐日エジプト大使館のフェイスブックに上げられたカイロ大学声明文の文案」が示されており、それとほぼ同じものが千代田区議会に出回った告発文にも掲載されていた。「ほぼ」というのは、小島氏の記事にあるA氏作成の文案が日本語で、千代田区告発文が英語の違いだ。インパクトは同じである。 日付は令和4(2022)年5月24日だった。黒鉄喜久蔵(ペンネーム)と記され、続報も示唆されていたが、それはなかった。当時、千代田区では「もうひとつの告発文」が話題だった』、「もうひとつの告発文」とはどういうことなのだろう。
・『メール文章の信憑性  千代田区で公共工事に影響力を行使する自民党の嶋崎秀彦区議に関するもので、「千代田区元契約課職員有志」が差出人となり警視庁捜査2課に次のような告発文を送った。 <嶋崎秀彦区議は、歴代の契約担当の幹部職員に対し、公共施設建設に伴う管工事にかかわる部分について、入札業者名を聞き出し、その情報を自身と関係のある管工事事業者に伝え、便宜供与を行なっています> 告発状の日付は令和4(22)年8月30日。これを受けて警視庁の捜査は始まり、嶋崎区議は今年2月から3月にかけて、官製談合防止法違反罪やあっせん収賄罪で逮捕、起訴され被告となった。 筆者はこの事件取材を行い、「現代ビジネス」で<江東区長の「選挙違反」だけでなく、千代田区でも…「不正とカネ」まみれの都政に巣食う「しがらみ政治」>と題して23年11月16日に配信した。 同時に、樋口氏が加担したとされる、小池氏の学歴詐称の隠蔽工作疑惑についても取材を進めた。文書に残されたメールの履歴と当時の小池氏や樋口氏、都議会の動きを照合、当時を知る議会関係者や都庁担当記者に話を聞いたが、メールに記載された文書の信憑性は確認できなかった。 なにより記載されていたメールは印刷された文書のコピーである。メールがアドレスを含め、いくらでも改ざんできるのは、06年に発覚した「偽メール事件」で明らかであり、怪文書の存在を表にすることはできなかった。偽メール事件は告発した代議士の辞職(その後自殺)につながり、前原誠司民主党代表の引責辞任を引き起こした』、「記載されていたメールは印刷された文書のコピーである。メールがアドレスを含め、いくらでも改ざんできるのは、06年に発覚した「偽メール事件」で明らかであり、怪文書の存在を表にすることはできなかった」、なるほど。
・『小島氏の結論  だが、告発状の意味するところは大きい。小島氏が指摘しているように、A氏が書いた原案とフェイスブックに掲載された「カイロ大声明文」との違いは、小池氏が「最も気にしていた部分」である。 小島氏は、「卒業名簿にその記載がある」という部分が削られた理由として、卒業名簿に名前があるかどうかに疑念が残るからではないかと推察し、「公正な審理と手続きを経てなされた」が削除されたのは、実際には審理も手続きもしていなかったから、と読む。 また、二つ目の変更点として、A氏案の「日本、エジプト双方の法令に基づき適切な対応を検討している」から日本が削られて、「エジプト法令に則り」となっていることに関し、仮に日本で裁く場合、裁判所が小池氏に証言などの協力を依頼する可能性があるからではないか、と推察した。 小島氏の結論はこうだ。 <いずれにせよ声明文は、図らずも、私が発案して、A氏が文案を作成した。それに小池さん自身が修正を加えた>  それをもとにこう結論付けた。 <大学を卒業していない小池さんは、声明文を自ら作成し、疑惑を隠蔽しようとしたのです>』、「声明文は、図らずも、私が発案して、A氏が文案を作成した。それに小池さん自身が修正を加えた>  それをもとにこう結論付けた。 <大学を卒業していない小池さんは、声明文を自ら作成し、疑惑を隠蔽しようとしたのです」、なるほど。
・『逃げ切りはありえない  小島氏は取材依頼のあった記者を集めて、4月12日に弁護士会館で説明会を開き、17日には日本外国特派員協会で記者会見を行なって詳細に説明した。環境庁の官僚として水俣病問題に真剣に取り組んだ小島氏は、「詐称は許されず、小池氏のような都知事にして首相候補でもある有力政治家が、エジプトに弱味を握られてはならない」という強い思いで告発に及んだ。 隠蔽工作に図らずも絡んだという忸怩たる思いもあり、告発は続けるだろうし、今は匿名のAさんが表に出ることも考えられよう。 全ての責任を負うべきは小池氏だが、千代田区長という公職にある樋口氏の責任も重い。告発文が指摘するまでもなく、コロナ禍の緊急事態宣言下にも関わらず小池氏が、区長選において連日応援に駆け付けたのは異例なことだった。都議1期の実績しかない樋口氏が、自公が推薦する候補を大差で破ったのは、小池氏の応援の賜物である。 それだけに、小池氏の隠蔽工作にどう加担したのか、小池氏からどんな指示を受け、A氏とどんなやり取りをしたのかを含め、説明責任を果たす義務がある。 筆者は樋口氏のアドレスに改めて「取材依頼」のメールを送ったが返事はない。なにより樋口氏は、発売日以降、騒動を避けるように、この件に関して情報を発信していない。もちろん逃げ切りはありえない――。 筆者連載〈【実名告発】「そういうことにしちゃったの?」「うん」と…小池百合子「虚飾の履歴」を50年間秘めていた「カイロ時代の同居人」の思い〉も、合わせてお読みください』、「全ての責任を負うべきは小池氏だが、千代田区長という公職にある樋口氏の責任も重い。告発文が指摘するまでもなく、コロナ禍の緊急事態宣言下にも関わらず小池氏が、区長選において連日応援に駆け付けたのは異例なことだった。都議1期の実績しかない樋口氏が、自公が推薦する候補を大差で破ったのは、小池氏の応援の賜物である。 それだけに、小池氏の隠蔽工作にどう加担したのか、小池氏からどんな指示を受け、A氏とどんなやり取りをしたのかを含め、説明責任を果たす義務がある」。「小池氏が、区長選において連日応援に駆け付けたのは異例なことだった。都議1期の実績しかない樋口氏が、自公が推薦する候補を大差で破ったのは、小池氏の応援の賜物である。 それだけに、小池氏の隠蔽工作にどう加担したのか、小池氏からどんな指示を受け、A氏とどんなやり取りをしたのかを含め、説明責任を果たす義務がある」、その通りである。

第三に、4月20日付け日刊ゲンダイ「消える小池都知事の神通力…「学歴詐称疑惑」再燃で動員に陰り 重大選挙「2連敗」回避に躍起」を紹介しよう。
・『“女帝”の神通力もここまでか。元側近の告発で、学歴詐称疑惑が再燃している小池都知事。疑惑払拭に至らず、焦燥感を募らせている。 2020年の都知事選直前にエジプトのカイロ大学が小池氏の卒業を証明する声明文を公表したが、元側近の小島敏郎氏は声明文について「小池知事が作成に関与した」と告発。声明文の書きぶりを巡って、小池氏と側近らが相談していたメールを提示した上で、小池氏がカイロ大卒業の事実を偽装したと訴えている。 先週に続き、19日の小池都知事の定例会見でもこの問題に質問は及んだ。小池氏は「私自身が関知しているものではない」と声明文作成への関与を否定したが、側近らと相談したか否かについては触れずじまい。疑惑払拭とは程遠い内容で、当分はこの問題を引きずることになる』、「元側近の小島敏郎氏は声明文について「小池知事が作成に関与した」と告発。声明文の書きぶりを巡って、小池氏と側近らが相談していたメールを提示した上で、小池氏がカイロ大卒業の事実を偽装したと訴えている」、なるほど。
・『「命の危険を感じる」と対立候補を批判  小池氏は相変わらずのニヤケ顔だったとはいえ、内心では焦りを募らせているようだ。小池氏は28日投開票の衆院東京15区補欠選挙で作家・乙武洋匡氏を支援。情勢を聞かれると、「選挙活動の範囲を逸脱している」とし、16日の告示日に乙武陣営のすぐ隣で大音量で演説をぶった対立候補への批判を展開した。) 確かに当日は、小池氏が「選挙スタッフが命の危険を感じるような場面があった」と言うのも大袈裟ではないほどだった。ただ、そんな妨害の影響を差し引いても、乙武陣営の情勢は絶望的。全面支援する乙武氏が落選すれば、小池氏への大ダメージは必至だ。 「複数の情勢調査によると、立憲民主党の候補がリード。乙武さんは日本維新の会の候補の後塵を拝し、沈んでいます。過去の不倫スキャンダルが響いているようです。知事の学歴詐称疑惑再燃の影響も否めません」(地元関係者)』、「乙武陣営の情勢は絶望的。全面支援する乙武氏が落選すれば、小池氏への大ダメージは必至だ」、なるほど。
・『目黒区長選の応援演説でも聴衆わずか  小池氏には、もうひとつ落とせない選挙がある。21日投開票の東京・目黒区長選だ。 最終盤の情勢は、小池氏率いる「都民ファーストの会」(都ファ)推薦の元都議・伊藤悠氏と現職で無所属の青木英二氏の大接戦である。2人はもともと民主党所属で支持層がかぶる状況の中、他にも立憲推薦の元都議・西崎翔氏も出馬したことで「票が割れかねない」(区政関係者)ことが原因だという。 小池氏は19日、子飼いの伊藤氏の街宣に応援入り。14日の告示日に続き2度目だ。JR目黒駅前で「伊藤さんを押し上げてください!」と懸命に訴えたが、聴衆は300人程度で、足を止める人はごくわずか。かつては小池氏が街頭に立てば、1000人ほどの聴衆が集まったものだが、動員力はガタ落ち。疑惑再燃の影響か、神通力の凋落は明らかだった。) 伊藤氏までが当選を逃せば、小池氏の求心力は地に落ちてもおかしくない。都ファ関係者はこう言う。 「知事は、昨年末の江東区長選で都ファ推薦の候補を当選させ、年明けの八王子市長選では自公推薦の候補を支援して勝利に導き、勢いをつけた。さらに、目黒区長選、東京15区で勝ちを重ねることで、今年7月の知事3選にこぎ着ける絵を描いている。この2つの選挙は何としても勝たなければ、と思っているはずです」 疑惑がくすぶり続ける中、女帝は面目を保てるだろうか』、「目黒区長選」は現職が勝利し、「小池氏」の支持候補は落選、「女帝は面目」を潰したことになる。
 
第四に、4月23日付け日刊ゲンダイ「小池都知事に忍び寄る「政治生命」の危機…目黒区長選で“子飼い候補”落選、公明党もソッポ」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/339292
・『“子飼い”の落選に、さぞ焦っているに違いない。28日投開票の衆院3補欠選挙で、東京15区から出馬した作家・乙武洋匡候補を支援する小池都知事が窮地だ。21日に投開票された東京・目黒区長選で全面バックアップした「都民ファーストの会(都ファ)」の伊藤悠元都議が落選。小池知事自身の求心力低下は必至だ。 区長選は、無所属現職の青木英二区長が約2万5000票を獲得して当選。 伊藤氏は約2万票を得たが、次点に沈んだ。小池知事は選挙期間中に再三、伊藤氏の街宣に駆けつけ「目黒には3つの名物がある。目黒のサクラ、目黒のサンマ、伊藤悠だ」などと応援していたが、あえなく“撃沈”した格好である。 「青木、伊藤両氏はもともと民主党所属で、支持層がかぶる。そこに、立憲民主党推薦の元都議も出馬。いわゆる『民主系』支持層の票が割れた結果、伊藤氏は当選に届かなかった」(地元関係者) 敗因は他にもある。小池知事と良好な関係にある公明党が伊藤支援に動かなかったことだ。都ファ関係者は「公明票が青木陣営に流れてしまった」とこぼす。) 公明関係者はこう言う。 「定数3の都議選(目黒区選挙区)で、伊藤さんと公明候補はしのぎを削ってきた経緯があり、伊藤さんを支援する理由はない。今回は完全な自主投票だった」』、「定数3の都議選(目黒区選挙区)で、伊藤さんと公明候補はしのぎを削ってきた経緯があり、伊藤さんを支援する理由はない。今回は完全な自主投票だった」、これでは当選はおぼつかない。
・『狂った都知事3選のシナリオ  小池知事は、これまでの都政運営で公明の提案を“丸のみ”し、友好関係を築いてきた。その結果、2020年の前回知事選では支援を得るに至った。加えて、公明の支持母体・創価学会の女性部には「小池ファン」も多いとされる。それにもかかわらず、今回は公明にソッポを向かれてしまったわけだ。 「東京15区補選を巡っては、公明が毛嫌いする不倫スキャンダルを抱えた乙武さんの擁立を、小池知事が主導。一時、浮上した相乗り推薦が立ち消えになりました。さらに、小池知事自身も学歴詐称疑惑が再燃。公明が小池知事と距離を取り始めてもおかしくありません」(永田町関係者) 前出の公明関係者は「我々の支持層は小池さんへの好き嫌いで票を投じるわけではない」と言い切った。今回の一件で、小池氏の知事3選シナリオに狂いが生じかねない。) 「知事は、昨年末の江東区長選で都ファ推薦の候補を勝たせ、年明けの八王子市長選では自公推薦の候補を支援して当選に導きました。さらに、目黒区長選、東京15区で勝ちを重ねることで、今年7月の知事3選につなげる思惑があった。そう考えると、目黒区長選の負けはかなり痛い。東京15区の情勢も絶望的で、『連敗』濃厚です。さらに、公明まで離れれば、知事3選も遠のくでしょう」(都政関係者) さしもの“女帝”も政治生命の危機だ』、「東京15区補選を巡っては、公明が毛嫌いする不倫スキャンダルを抱えた乙武さんの擁立を、小池知事が主導。一時、浮上した相乗り推薦が立ち消えになりました。さらに、小池知事自身も学歴詐称疑惑が再燃。公明が小池知事と距離を取り始めてもおかしくありません・・・目黒区長選の負けはかなり痛い。東京15区の情勢も絶望的で、『連敗』濃厚です。さらに、公明まで離れれば、知事3選も遠のくでしょう」、首相の座など夢のまた夢になったようだ。いよいよ「女帝」の最後の時が近づいたようだ。
タグ:「最初の就職先の一橋大学社会科学古典資料センターに正直にこの経歴を提出してしまったのだ。 国立大学のチェックは厳しく、この証明を得るため聴講していた教授に頼んで証明書を書いてもらった。自分で文面を書いて、教授にサインしてもらったのだ」、海外の大学院などなら手間も大変だろうが、国内で済んだだけ幸運だった。 「大学のブランド偏重社会である。有名大学の名前さえ出せば一生楽に暮らせる社会ともいえる」、「ブランド偏重社会」はともかく、「有名大学の名前さえ出せば一生楽に暮らせる社会」とは誇張が過ぎるようだ。 的場 昭弘氏による「小池都知事の学歴詐称問題の裏にある国際問題 第4次中東戦争とオイルショックの時代」 東洋経済オンライン (その11)(小池都知事の学歴詐称問題の裏にある国際問題 第4次中東戦争とオイルショックの時代、小池都知事の学歴詐称・隠蔽に「現千代田区区長が加担」と告発状…その全内幕 説明責任を果たすべき、消える小池都知事の神通力…「学歴詐称疑惑」再燃で動員に陰り 重大選挙「2連敗」回避に躍起、小池都知事に忍び寄る「政治生命」の危機…目黒区長選で“子飼い候補”落選、公明党もソッポ) 小池都知事問題 「小池氏の父親である小池勇二郎氏・・・は実業家として海外との取引関係の仕事をしていた人物であり、日本の多くの黒幕とのつながりがあった人物」、なるほど。 「彼女の面倒をエジプトで見たのは、勇二郎氏と懇意にしていたエジプトの要人アベル・カデル・ハテムという人物だという。1913年生まれの政治家でナセルの革命に参加し、その後エジプトの要職を得て、日本とエジプトの友好協会の理事長を務めていたという・・・中東諸国が提起したイスラエルの1967年の占領地域からの即時撤退という提案である。 日本はなんとこれを暗に支持したのである。これはアメリカをいたく怒らせた。 やがてアメリカの国務長官だったキッシンジャーがやってきて、日本政府に苦言を呈するが、それがやがてアメリカの報復、すなわちロッキード事件となるというのはかなり知られた話である」、自主外交の限界を示した出来事だった。 「日本政府もアメリカとの関係にまで発展させたくないであろう。 だからこそマスコミは、小池氏の卒業詐称という個人的な問題に終始し、その当時の日本とエジプトとの関係、そして小池氏の父親にさかのぼる、日本のドンとの関係に触れたくないのである」、その通りだ。 現代ビジネス 伊藤 博敏氏による「小池都知事の学歴詐称・隠蔽に「現千代田区区長が加担」と告発状…その全内幕 説明責任を果たすべき」 「もうひとつの告発文」とはどういうことなのだろう。 「記載されていたメールは印刷された文書のコピーである。メールがアドレスを含め、いくらでも改ざんできるのは、06年に発覚した「偽メール事件」で明らかであり、怪文書の存在を表にすることはできなかった」、なるほど。 「声明文は、図らずも、私が発案して、A氏が文案を作成した。それに小池さん自身が修正を加えた>  それをもとにこう結論付けた。 <大学を卒業していない小池さんは、声明文を自ら作成し、疑惑を隠蔽しようとしたのです」、なるほど。 「全ての責任を負うべきは小池氏だが、千代田区長という公職にある樋口氏の責任も重い。告発文が指摘するまでもなく、コロナ禍の緊急事態宣言下にも関わらず小池氏が、区長選において連日応援に駆け付けたのは異例なことだった。都議1期の実績しかない樋口氏が、自公が推薦する候補を大差で破ったのは、小池氏の応援の賜物である。 それだけに、小池氏の隠蔽工作にどう加担したのか、小池氏からどんな指示を受け、A氏とどんなやり取りをしたのかを含め、説明責任を果たす義務がある」。 「小池氏が、区長選において連日応援に駆け付けたのは異例なことだった。都議1期の実績しかない樋口氏が、自公が推薦する候補を大差で破ったのは、小池氏の応援の賜物である。 それだけに、小池氏の隠蔽工作にどう加担したのか、小池氏からどんな指示を受け、A氏とどんなやり取りをしたのかを含め、説明責任を果たす義務がある」、その通りである。 日刊ゲンダイ「消える小池都知事の神通力…「学歴詐称疑惑」再燃で動員に陰り 重大選挙「2連敗」回避に躍起」 「元側近の小島敏郎氏は声明文について「小池知事が作成に関与した」と告発。声明文の書きぶりを巡って、小池氏と側近らが相談していたメールを提示した上で、小池氏がカイロ大卒業の事実を偽装したと訴えている」、なるほど。 「乙武陣営の情勢は絶望的。全面支援する乙武氏が落選すれば、小池氏への大ダメージは必至だ」、なるほど。 「目黒区長選」は現職が勝利し、「小池氏」の支持候補は落選、「女帝は面目」を潰したことになる。 日刊ゲンダイ「小池都知事に忍び寄る「政治生命」の危機…目黒区長選で“子飼い候補”落選、公明党もソッポ」 「定数3の都議選(目黒区選挙区)で、伊藤さんと公明候補はしのぎを削ってきた経緯があり、伊藤さんを支援する理由はない。今回は完全な自主投票だった」、これでは当選はおぼつかない。 「東京15区補選を巡っては、公明が毛嫌いする不倫スキャンダルを抱えた乙武さんの擁立を、小池知事が主導。一時、浮上した相乗り推薦が立ち消えになりました。さらに、小池知事自身も学歴詐称疑惑が再燃。公明が小池知事と距離を取り始めてもおかしくありません・・・目黒区長選の負けはかなり痛い。 東京15区の情勢も絶望的で、『連敗』濃厚です。さらに、公明まで離れれば、知事3選も遠のくでしょう」、首相の座など夢のまた夢になったようだ。いよいよ「女帝」の最後の時が近づいたようだ。
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歴史問題(その19)(満洲国を裏工作で支えた「フィクサー」がいた…アヘン王・里見甫の「数奇な生涯」、コロポックルの住居か?日本のカッパドキアか?219の穴がひしめく 埼玉「吉見百穴」の真相【内部写真あり】 各地の奇景をめぐる旅、縄文人と弥生人で分けられない「日本人のルーツ」 祖先はいつ、どうやって日本列島へやってきた?) [社会]

歴史問題については、本年1月21日に取上げた。今日は(その19)(満洲国を裏工作で支えた「フィクサー」がいた…アヘン王・里見甫の「数奇な生涯」、コロポックルの住居か?日本のカッパドキアか?219の穴がひしめく 埼玉「吉見百穴」の真相【内部写真あり】 各地の奇景をめぐる旅、縄文人と弥生人で分けられない「日本人のルーツ」 祖先はいつ、どうやって日本列島へやってきた?)である。

先ずは、本年1月23日付け現代ビジネス「満洲国を裏工作で支えた「フィクサー」がいた…アヘン王・里見甫の「数奇な生涯」」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/122826?imp=0
・『アヘン密売組織を結成し、満洲帝国を支えた  満洲事変、日中戦争、太平洋戦争と続いた昭和の戦乱下、満洲国を「裏工作」で支えたフィクサーがいた。「上海のアヘン王」と呼ばれた里見甫だ。 策謀渦巻く中国大陸で禁じられていたアヘン密売に手を染め、日本軍に資金を提供した。その収益は現在の紙幣価値で30兆円にも上るとされている。先の戦争における重要人物であるものの、里見が極端な秘密主義を貫いたこともあり、その「功罪」はあまり知られていない。謎に包まれた彼の生涯を紐解いていこう。 1896年に炭鉱医の子として生まれた里見は、福岡県・修猷館中学に通っていたときに来日中の革命家・孫文と交流した。この出会いをきっかけに、のちに「大東亜共栄圏」建設の大志を強く抱くようになる。 中学卒業後は上海にある東亜同文書院に留学し、中国語を習得。それから貿易会社を経て、在中邦人向けの新聞社に入る。この時期に蒋介石など中国要人や石原莞爾など関東軍の参謀の知遇を得た。 「里見は記者時代に取材活動で軍人や官吏、実業家のみならず裏社会の人間との繋がりを作っていました。彼の情報収集能力や人脈に目をつけたのが関東軍だったのです」(ノンフィクション作家の斎藤充功氏)』、「里見」氏の「情報収集能力や人脈に目をつけたのが関東軍」、さすが「関東軍」の目のつけどころは確かだ。
・『満州事変での里見  1931年に満洲事変が勃発すると関東軍に対満政策を担当する部署が組織され、里見は嘱託として採用された。そこでプロパガンダ活動を目的とした「満洲国通信社」を設立したことを軍部から評価され、'37年に上海で「アヘン売買」を依頼されるようになる。 軍需国策会社「昭和通商」が中東などから密輸したアヘンは、里見が実権を握る商社「宏済善堂」を通じて中国の犯罪組織「青幇」に流れ、末端のアヘン窟で売り捌かれる。この流通ネットワークは「里見機関」と呼ばれる。アヘンで生み出された裏金は関東軍の戦費に充てられ、一部は傀儡政権の汪兆銘南京政府へと流れていった。裏社会とパイプがある里見でなくては、成り立たないビジネスだったことは間違いない。 「アヘンは中毒性が高く利益率が良い。密売の利益がなかったら、関東軍の謀略工作は規模を縮小せざるを得なかったと思います」(斎藤氏) 稼いだ資金は日本軍に渡っても余るほどの巨額だったが、カネに関心のない里見は自らの私利私欲のためには使わなかったという。 一方で、無類の女好きとして知られている。酒を飲めないのに、上海の日本人租界にあるナイトクラブに出入りして、大好物のハムエッグをつつきながら女の子を口説いていた。 様々な顔を持っていたアヘン王・里見。その存在は、敗戦を機に明るみに出る』、「アヘンで生み出された裏金は関東軍の戦費に充てられ、一部は傀儡政権の汪兆銘南京政府へと流れていった。裏社会とパイプがある里見でなくては、成り立たないビジネスだったことは間違いない」、「関東軍」がこんな形で「戦費」を調達していたとは初めて知った。「稼いだ資金は日本軍に渡っても余るほどの巨額だったが、カネに関心のない里見は自らの私利私欲のためには使わなかったという」、大したものだ。
・『A級戦犯として東京裁判に現れた「アヘン王」  終戦後、着の身着のままで帰国した里見は京都や東京で潜伏生活を送っていた。だが、'46年3月に民間人初のA級戦犯として逮捕され、巣鴨プリズンに入所する。 国際検察局(IPS)から取り調べを受けるなかで、里見に連なる「上海人脈」が詳らかになった。笹川良一や児玉誉士夫、阪田誠盛など戦後を代表するフィクサーの名前を挙げたほか、岸信介や甘粕正彦といった大物とも深く関わっていたことも明かしている。 その後、東京裁判に出廷して証言を行った里見だが、不起訴となり無条件で釈放されている。 この理由について、前出の斎藤氏はこう推測する。 「里見を起訴して中国のアヘン事情を追及すれば、戦勝国の一員である国民党の蒋介石政権とアヘンの関係にまで、踏み込まざるを得ません。当時、国民党は毛沢東率いる中国共産党と内戦の真っ只中です。アメリカは国民党を支援していたため、追及を避けたように考えられます」 里見の宏済善堂から流れたアヘンは、当時日本と敵対していた国民党政権にも渡っていたのだ。彼のアヘン利権がどれほど巨大だったかが窺えるエピソードだ。 だが、波乱に満ちた戦時中とは打って代わって、戦後の里見は社会の片隅でひっそりと暮らすようになる』、「東京裁判に出廷して証言を行った里見だが、不起訴となり無条件で釈放されている」、その理由は、「里見を起訴して中国のアヘン事情を追及すれば、戦勝国の一員である国民党の蒋介石政権とアヘンの関係にまで、踏み込まざるを得ません。当時、国民党は毛沢東率いる中国共産党と内戦の真っ只中です。アメリカは国民党を支援していたため、追及を避けたように考えられます」、悪運の強さには驚かされる。
・『戦後は静謐な生き方を選んだ  「終戦直後、父は自決することを考えていたようです。国家に対する奉仕を信条として、『大東亜共栄圏の建設』という大義のために命を張ったとはいえ、戦線拡大の一翼を担ったことに責任を感じていたのではないでしょうか」 こう振り返るのは、里見が63歳のときの子である長男の泰啓氏だ。里見は自らの行いは、いかなる弁解も許されないとして、身をつつしみ余生を過ごした。 「戦中に培った人脈を使って、戦後にまで暗躍することを毛嫌いしていました。児玉誉士夫さんや笹川良一さんのことを『俺はみっともなくて、あんな風にはなれないよ』とこぼしていたそうです」(泰啓氏) 釈放後は専門商社を構え、アジア諸国とODA(政府開発援助)に関わるビジネスに精を出した。たびたび訪中し、中国要人とは繋がりを持ち続けていたという。私生活では、神楽坂の小さな一軒家に住み、泰啓氏の幼稚園の送り迎えを欠かさず行うなど息子を溺愛し続ける日々を送っていた。 「自宅には笹川さんをはじめ多くの財界人が相談に来ていました。かといって派手な暮らしをしていた訳ではありません。金銭に執着がなかったので、里見家の生活は質素でした」(泰啓氏) '65年、家族と団欒中に心臓麻痺に襲われ里見は亡くなる。中国からは周恩来や蒋介石から弔電が届いた。 千葉にある墓の墓碑銘は岸信介が揮毫したものだ。加えて、碑の撰文には以下のように書かれている。 〈凡俗に堕ちて凡俗を超え 名利を追って名利を絶つ 流れに従って波を掲げ 其の逝く処を知らず〉 上海のアヘン王は、まさに撰文通りの生涯を送った』、「里見は自らの行いは、いかなる弁解も許されないとして、身をつつしみ余生を過ごした。 「戦中に培った人脈を使って、戦後にまで暗躍することを毛嫌いしていました。児玉誉士夫さんや笹川良一さんのことを『俺はみっともなくて、あんな風にはなれないよ』とこぼしていたそうです」、いさぎよさにも驚かされた。死んだ時に、「中国からは周恩来や蒋介石から弔電が届いた」、とは大したものだ。

次に、3月14日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したフリーライターの友清 哲氏による「コロポックルの住居か?日本のカッパドキアか?219の穴がひしめく、埼玉「吉見百穴」の真相【内部写真あり】 各地の奇景をめぐる旅」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/340391
・『斜面に広がる、おびただしい数の穴。まるでトルコのカッパドキアを思わせる奇妙な風景が、埼玉県にある。江戸時代から観光名所としてにぎわったという「吉見百穴」だ。これは一体何なのか?明治時代にはまことしやかにコロポックル(アイヌの伝承に残る小型の民族)の住居跡だと指摘されていたが、果たしてその正体は――』、興味深そうだ。
・『明治20年、東大の教授が発掘調査に着手  「吉見百穴」について初めて本格的な調査が行なわれたのは、明治20(1887)年のことだ。 後に日本の人類学の先駆者として名をはせる坪井正五郎が、帝国大学(現東京大学)大学院の卒業論文の題材として発掘調査に着手したのがその端緒である。この時、周辺から人骨や土器類などが多数出土するなど、考古学的に大きな成果が得られたという。 岩壁に連なるおびただしい数の穴は古墳時代後期(6~7世紀)に掘られたもので、直径はいずれもおよそ1メートル。その数は今のところ219基とされているが、未発見の横穴が残っている可能性も指摘されている。 この吉見百穴が秀逸なのは、主だった穴が防護柵などで遮断されることなく開放されており、中に入れることである。しゃがんだ姿勢でくぐらなければならない入口のサイズと比べて内部は広く、成人男性が中腰で立てる程度の高さがあり、室内の形状は四角形や台形、円形などさまざまだ。 室内には10~20cmほどの段で囲われた、ベッドのようなスペースが1つもしくは2つ設えられていて、何やら生活感めいたものを感じさせる。 これは一体何なのか? 周辺に古代人の生活の痕跡が多数見つかっていることからすれば、当時何らかの目的をもって造られたものであるのは間違いないのだろう。しかし、住居とするにはサイズがあまりにも小さ過ぎるのだ』、「吉見百穴が秀逸なのは、主だった穴が防護柵などで遮断されることなく開放されており、中に入れることである。しゃがんだ姿勢でくぐらなければならない入口のサイズと比べて内部は広く、成人男性が中腰で立てる程度の高さがあり、室内の形状は四角形や台形、円形などさまざまだ。 室内には10~20cmほどの段で囲われた、ベッドのようなスペースが1つもしくは2つ設えられていて、何やら生活感めいたものを感じさせる。 これは一体何なのか?」、確かに何なのだろう。
・『飛び出した「コロポックル」の住居説  調査に当たった坪井正五郎の見解によれば、これは「コロポックル」の住居跡なのだという。 コロポックルとは、アイヌ民族の間で伝えられる小人のことだ。アイヌ語の発音の関係で、コロボックルともいう。その語源は“フキの下の人”を意味するアイヌ語にあり、今日では伝承上の非実在民族とされているが、昭和前期には宮本百合子や宇野浩二など、名だたる創作家たちが物語の題材に用い、寓話的な認知を得た。 しかし、時は明治の世。アイヌ以前の先住民族としてコロポックル論争が白熱する中、坪井正五郎は吉見百穴の調査を経て、日本にはもともと小型の民族が存在し、それを後からやって来たアイヌが北方へ駆逐したとの説を後押しした。 確かに、実際に穴の中に潜ってみれば、そこで小さな民族たちが暮らした様子は想像しやすい。これが無数のシングルルーム、ツインルームが集合する巨大住宅であったなら、往時はさぞにぎやかで楽しい集落だったことだろう。 しかし、このコロポックルの住居説は、時代とともに立ち消えていく。そもそも小型民族の実在が学術的に証明されることがなかったからで、近代に至る研究の中で、アイヌは縄文人の血を色濃く受け継いでいることが判明している』、「コロポックルの住居説は、時代とともに立ち消えていく。そもそも小型民族の実在が学術的に証明されることがなかったからで、近代に至る研究の中で、アイヌは縄文人の血を色濃く受け継いでいることが判明している」、なるほど。
・『真相に隠された古代人の秀逸な知恵  結論を言ってしまえば、吉見百穴の正体は、古墳時代に設けられた大規模な横穴墓群である。段で囲われたベッドのようなスペースは遺体を安置した場所で、複数の遺体を納められる構造を採っていることから、穴ごとに家族単位で埋葬された可能性も指摘されている。 ちなみに、横穴墓とは読んで字のごとし、横方向に掘った穴を墳墓とするもので、古代人の歴史的な発明の一つである。これより以前、3~4世紀に造られた墳墓は、地面を垂直に掘って遺体を安置し、埋めてふたをする縦穴式だった。しかしこの構造には、一度遺体を埋葬した後に、再び中へ立ち入ったり次の遺体を追加で埋葬したりするのが難しいというデメリットがあった。 そこで、盛られた土を横から掘って埋葬スペースを造り、扉を付けて開閉する仕様にアレンジすることで、同じ墳墓に後から他者を追葬できるよう工夫がされた。これが横穴墓である。 実際、この吉見百穴では穴の入り口部分に石のふたが立てられ、造営後の出入りを可能にする構造が確認されている。つまり吉見百穴は、墳墓の進化の変遷をたどる貴重な遺構でもあるのだ。 なお、斜面に並ぶ穴は、西から東へ行くほど整然と並んでいる。これは横穴群が西側から掘られ、次第に設計がブラッシュアップされていったことを意味している。 また、下層にある穴より上層にある穴の方が広く、穴と穴の間隔がゆったりと設計されている。これが埋葬される人物の身分の差によるものなのか、それとも単に年代や地質の都合によるものなのかは今のところ判明していない』、「盛られた土を横から掘って埋葬スペースを造り、扉を付けて開閉する仕様にアレンジすることで、同じ墳墓に後から他者を追葬できるよう工夫がされた。これが横穴墓である。 実際、この吉見百穴では穴の入り口部分に石のふたが立てられ、造営後の出入りを可能にする構造が確認されている。つまり吉見百穴は、墳墓の進化の変遷をたどる貴重な遺構でもあるのだ」、なるほど。
・『古墳王国・埼玉には3114もの埋蔵文化財 吉見百穴を超える横穴墓群も  コロポックルの住居であるとする説には一定のロマンを感じるものの、令和の視点からすれば、学術的に無理があるのは自明。それでも吉見百穴が古代の貴重な物証であることに変わりはなく、大正12(1923)年には国指定史跡に認定されている。 埼玉県は知る人ぞ知る古墳王国で、文化庁の調べによれば、今日までに3114もの埋蔵文化財が確認されている。現代人が暮らしやすい地形は古代人にとっても同様で、今も昔も多くの人々がこの近隣で生活していたわけだ。 だからおそらく、こうした横穴墓群は吉見百穴だけではないはずだ。現に、同じ吉見町内では他に、「黒岩横穴墓群」が見つかっている。まだ吉見百穴の正体が定かではなかった明治10(1877)年に、地域の有志によって発掘された横穴墓群だ。 通年、観光客でにぎわう吉見百穴とは対照的に、八丁湖という人工沼のほとりにひっそりと眠る黒岩横穴墓群は、発掘当時は16基の穴が確認されていたが、その後の調査により、これまで30基以上の横穴墓の存在が明らかになっている。 明治時代にはオーストリア公使のヘンリー・シーボルトや、大森貝塚の発見者として名高いエドワード・モースが視察にこの地を訪れるなど、歴史的価値は早くから認められ、こちらも大正14(1925)年には埼玉県の史跡に指定された。 ただ、案内板こそ一応用意されているものの、吉見百穴のように整備されておらず、訪れる人もほぼいない。そのため入り口は生い茂る雑草に覆われてしまっている。 そのせいなのか、周辺にはどうにも近寄り難い雰囲気があり、やぶの深さと相まって筆者もこちらは穴の内部までは確認できていない。 資料によれば、黒岩横穴墓群はこの一帯の百穴谷、首切り谷、地獄谷、茶臼谷、神代谷の5カ所に分布しているそうで、そのおどろおどろしい地名が何やら意味深い。地名は何らかの由来を持つものだから、吉見百穴が「陽」なら、こちらは「陰」の横穴墓群なのかもしれない。 現在までに発掘されている30基の穴は、実は黒岩横穴墓群のごく一部に過ぎず、一説によると、未発掘の穴がこの一帯に500基以上も埋没しているという。人が立ち入らないため、吉見百穴よりもはるかに良好な状態のまま保存されているそうで、本格的な調査が進めばさらに貴重な遺物が見つかるかもしれない。いつの日か、その全容が明らかにされる時を心待ちにしたい』、「現在までに発掘されている30基の穴は、実は黒岩横穴墓群のごく一部に過ぎず、一説によると、未発掘の穴がこの一帯に500基以上も埋没しているという。人が立ち入らないため、吉見百穴よりもはるかに良好な状態のまま保存されているそうで、本格的な調査が進めばさらに貴重な遺物が見つかるかもしれない。いつの日か、その全容が明らかにされる時を心待ちにしたい』、「いつの日か、その全容が明らかにされる時」、私も楽しみに「心待ちにしたい」。

第三に、.4月14日付け東洋経済オンラインが掲載した国立科学博物館長の篠田 謙一 氏による「縄文人と弥生人で分けられない「日本人のルーツ」 祖先はいつ、どうやって日本列島へやってきた?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/741996
・『「えっ?最初の人類はアウストラロピテクスじゃないの?」。あなたの教養は30年前の常識のままかもしれません。 2022年のノーベル医学生理学賞受賞で注目が集まっている進化人類学。急速に発展するこの分野の最新成果をまとめた『人類の起源』(中公新書)の著者、篠田謙一国立科学博物館長が監修を務め、同書のエッセンスを豊富なイラストで伝える『図解版 人類の起源』より、一部抜粋・編集してお届けします』、興味深そうだ。
・『日本人の起源はどうなのか  ゲノム研究の発展以前は、日本人の起源も発掘された人骨の形態をもとに研究され、日本列島集団には2つの大きな特徴があると考えられてきました。 1つ目は、縄文時代と弥生時代という時代が異なる人骨の間の明確に認識できる違い。2つ目は、北海道のアイヌ集団と、琉球列島集団、本州・四国・九州を中心とした本土日本人という3つの集団に姿形に区別しうる特徴があることです。 このような違いを説明する原理として、「二重構造モデル」という学説が定説とされてきました。 この学説は、旧石器時代に東南アジアなどから日本列島に進出した集団が縄文人となり、やがて列島に入らず北上した新石器時代の北東アジア人が渡来系弥生人となってやってきたという説です。 しかし、近年のゲノム分析により、二重構造モデルでは説明できない事実が明らかになっています』、「二重構造モデル」、とは「旧石器時代に東南アジアなどから日本列島に進出した集団が縄文人となり、やがて列島に入らず北上した新石器時代の北東アジア人が渡来系弥生人となってやってきたという説です。 しかし、近年のゲノム分析により、二重構造モデルでは説明できない事実が明らかになっています」、なるほど。
・『「二重構造モデル」の限界  二重構造モデル」は、旧石器時代に東南アジアなどから日本列島に進入した集団を基層集団(縄文人)とし、その後、新石器時代に北東アジアから朝鮮半島経由で渡来した集団(弥生人)が入ってきたという単一的な視点が特徴です。 縄文人と弥生人という枠(「二重構造モデル」では、東南アジア由来の旧石器人が縄文人になり、列島に入らず北上した集団は、寒冷地適応を受けて形質を変化させ、北東アジアの新石器人になったとされています。 弥生時代になり、この集団の中から北部九州に稲作をもたらす渡来系弥生人が現れ、稲作が入らなかった北海道や、北部九州から2000年遅れて稲作が始まった琉球列島では縄文人の遺伝的特徴が強く残ることになり、それが両者の見た目の類似性を生んだと考えられています。 つまり、縄文人と弥生人の違いは、集団の由来が異なることに起因するという単一的な視点で説明しているのです』、「東南アジア由来の旧石器人が縄文人になり、列島に入らず北上した集団は、寒冷地適応を受けて形質を変化させ、北東アジアの新石器人になったとされています。 弥生時代になり、この集団の中から北部九州に稲作をもたらす渡来系弥生人が現れ、稲作が入らなかった北海道や、北部九州から2000年遅れて稲作が始まった琉球列島では縄文人の遺伝的特徴が強く残ることになり、それが両者の見た目の類似性を生んだと考えられています」、なるほど。
・『地域ごとに集団形成の過程が異なる!  地域別に現代日本人のゲノムを比べると、北海道のアイヌ集団、沖縄集団、本州・四国・九州のいわゆる本土日本人の間で違いが見られます。それは、地域ごとに異なる歴史があり、集団成立にも異なるプロセスがあることを示しています。 「地域」という視点の重要性(下の図は、都道府県別の核ゲノムSNP解析を表したもので、近畿・四国などの本土日本の「へそ」の部分と、九州や東北の間に違いが見えます(※外部配信先ではイラストを閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)。 畿内(きだい)を中心とした地域では、渡来系集団の遺伝的な影響が強く、周辺域では縄文人の遺伝的な影響が強く残っており、それを敷衍(ふえん)して、北海道と琉球列島では縄文系の比率が高いはずだと考えるのが二重構造モデル。) しかし、「縄文人」や「弥生人」といった枠が先にあり、地域ごとの歴史や集団の成立過程を考える発想がありません。(核ゲノムの都道府県別SNP解析 の図はリンク先参照)』、「地域別に現代日本人のゲノムを比べると、北海道のアイヌ集団、沖縄集団、本州・四国・九州のいわゆる本土日本人の間で違いが見られます。それは、地域ごとに異なる歴史があり、集団成立にも異なるプロセスがあることを示しています」、なるほど。
・『ホモ・サピエンスはいつ日本へ?  3つの異なる文化系統(日本列島にホモ・サピエンスがやってきたのは約4万年前。 二重構造モデルでは、彼らが均一な形質の縄文人となって列島内に広がったと仮定されていますが、ゲノム解析によって、縄文人はさまざまな地域から入ってきた集団であり、地域によって遺伝的特徴が異なる集団が居住していたことがわかってきました。 下の図は、日本列島における3つの異なる文化系統です。地域が違えば、歴史も文化も異なり、集団の成立過程にも大きな違いがあるのは自然なことといえるでしょう。 (日本列島の3つの異なる文化系統の図はリンク先参照)) 日本列島にホモ・サピエンスが最初に進出したのは、約4万年前の後期旧石器時代。旧石器時代の遺跡は日本国内に1万箇所ほど知られていますが、人骨は琉球列島を除いてほとんど見つかっておらず、旧石器時代人の実像についてはあまりわかっていません』、「日本列島にホモ・サピエンスが最初に進出したのは、約4万年前の後期旧石器時代。旧石器時代の遺跡は日本国内に1万箇所ほど知られていますが、人骨は琉球列島を除いてほとんど見つかっておらず、旧石器時代人の実像についてはあまりわかっていません」、なるほど。
・『海を渡ってやってきた旧石器時代人  日本列島への流入のルートとして考えられるのは主に3つ。朝鮮半島から対馬を経由してくるルート、台湾から琉球列島を渡るルート、シベリアから北海道を通るルートです。 この時期は最終氷期に当たるため、現在より海水面が低く、本州や九州、四国、沖縄には船で渡ってきたものと考えられます。 二重構造モデルでは、縄文人は均一な集団と考えられてきましたが、ミトコンドリアDNAの解析によると、旧石器時代にさまざまな地域から入ってきた集団で形成され、遺伝的特徴が異なる集団が居住していたようです。 (3つのルートの図はリンク先参照)
 日本列島内には、旧石器時代の遺跡は1万箇所ほどありますが、人骨は琉球列島以外ではほとんど見つかっていません。沖縄本島や石垣島で発見された人骨は、ミトコンドリアDNAの分析が行われ、旧石器時代人の系統などが明らかになっています。 遺跡や沖縄の化石人骨のデータ(琉球列島の主な旧石器時代遺跡としては、「港川遺跡」「サキタリ洞遺跡」「白保竿根田原(しらほさおねたばる)洞穴遺跡」「山下町洞穴遺跡」などがあり、近年旧石器時代の人骨が続々と見つかっています。 ちなみに、現在のところ琉球列島以外の旧石器時代の人骨は静岡県の根堅(ねがた)遺跡のものだけ。 港川人以外は、まだ次世代シークエンサを使った解析は行われていませんが、ゲノム情報を得ることができれば、琉球列島の人類史の解明に新たな展開をもたらすことができるはずです。) 沖縄の旧石器人は滅んでしまった可能性も?(沖縄本島で発見された約2万年前の人骨「港川1号」は、次世代シークエンサを用いたミトコンドリアDNAの解析も行われています。この人物は現代人につながらずに消滅した系統であると考えられています。 実は、琉球列島集団の現代人を対象とした大規模なゲノム解析によって、沖縄の現代人の祖先は1万5000年前より昔にさかのぼらないという結論が導かれています。 この結果は、港川人のミトコンドリア系統が現代人につながらないとする解釈と整合性があります』、「沖縄の現代人の祖先は1万5000年前より昔にさかのぼらないという結論が導かれています」、なるほど。
・『縄文人の地域差が意味するものとは?  形態的には比較的均一だったと考えられている縄文人ですが、ミトコンドリアDNAの系統では、明瞭な東西の地域差が認められています。旧石器時代の日本列島には、進入ルートが異なるさまざまな集団が入ってきたと考えられます。 さまざまな地域から入ってきた集団(縄文人のミトコンドリアDNAの代表的なハプログループは、M7aとN9bです。西日本から琉球列島に多くなるM7aは、おそらく中国大陸の南部沿岸地域から西日本に進入したとされています。 一方、東日本から北海道の地域で多数を占めるN9bは、九州にも特殊なN9b系統が存在。そのため、N9b系統の祖先は朝鮮半島から沿海州の広い地域に散在し、それぞれ北海道経由のルートと、朝鮮半島経由のルートで日本列島に到達したと考えられます。 現代日本人に占めるそれぞれの割合は、M7aが約7.7%でN9bが約2.1%。この割合は、その後の弥生人との混合の状況に関連があると考えられます。 (縄文人の主なミトコンドリア系統 の図はリンク先参照) (現代日本人と縄文人のミトコンドリアDNAハプログループ割合の比較 の図はリンク先参照)』、「形態的には比較的均一だったと考えられている縄文人ですが、ミトコンドリアDNAの系統では、明瞭な東西の地域差が認められています。旧石器時代の日本列島には、進入ルートが異なるさまざまな集団が入ってきたと考えられます。 さまざまな地域から入ってきた集団(縄文人のミトコンドリアDNAの代表的なハプログループは、M7aとN9bです。西日本から琉球列島に多くなるM7aは、おそらく中国大陸の南部沿岸地域から西日本に進入したとされています。 一方、東日本から北海道の地域で多数を占めるN9bは、九州にも特殊なN9b系統が存在。そのため、N9b系統の祖先は朝鮮半島から沿海州の広い地域に散在し、それぞれ北海道経由のルートと、朝鮮半島経由のルートで日本列島に到達したと考えられます。 現代日本人に占めるそれぞれの割合は、M7aが約7.7%でN9bが約2.1%。この割合は、その後の弥生人との混合の状況に関連があると考えられます」、「ミトコンドリアDNA」は母性をたどることしかできないとはいえ、現状では最適な方法だ。 
タグ:「里見」氏の「情報収集能力や人脈に目をつけたのが関東軍」、さすが「関東軍」の目のつけどころは確かだ。 現代ビジネス「満洲国を裏工作で支えた「フィクサー」がいた…アヘン王・里見甫の「数奇な生涯」」 (その19)(満洲国を裏工作で支えた「フィクサー」がいた…アヘン王・里見甫の「数奇な生涯」、コロポックルの住居か?日本のカッパドキアか?219の穴がひしめく 埼玉「吉見百穴」の真相【内部写真あり】 各地の奇景をめぐる旅、縄文人と弥生人で分けられない「日本人のルーツ」 祖先はいつ、どうやって日本列島へやってきた?) 歴史問題 「アヘンで生み出された裏金は関東軍の戦費に充てられ、一部は傀儡政権の汪兆銘南京政府へと流れていった。裏社会とパイプがある里見でなくては、成り立たないビジネスだったことは間違いない」、「関東軍」がこんな形で「戦費」を調達していたとは初めて知った。「稼いだ資金は日本軍に渡っても余るほどの巨額だったが、カネに関心のない里見は自らの私利私欲のためには使わなかったという」、大したものだ。 「東京裁判に出廷して証言を行った里見だが、不起訴となり無条件で釈放されている」、その理由は、「里見を起訴して中国のアヘン事情を追及すれば、戦勝国の一員である国民党の蒋介石政権とアヘンの関係にまで、踏み込まざるを得ません。当時、国民党は毛沢東率いる中国共産党と内戦の真っ只中です。アメリカは国民党を支援していたため、追及を避けたように考えられます」、悪運の強さには驚かされる。 「里見は自らの行いは、いかなる弁解も許されないとして、身をつつしみ余生を過ごした。 「戦中に培った人脈を使って、戦後にまで暗躍することを毛嫌いしていました。児玉誉士夫さんや笹川良一さんのことを『俺はみっともなくて、あんな風にはなれないよ』とこぼしていたそうです」、いさぎよさにも驚かされた。死んだ時に、「中国からは周恩来や蒋介石から弔電が届いた」、とは大したものだ。 ダイヤモンド・オンライン 友清 哲氏による「コロポックルの住居か?日本のカッパドキアか?219の穴がひしめく、埼玉「吉見百穴」の真相【内部写真あり】 各地の奇景をめぐる旅」 「吉見百穴が秀逸なのは、主だった穴が防護柵などで遮断されることなく開放されており、中に入れることである。しゃがんだ姿勢でくぐらなければならない入口のサイズと比べて内部は広く、成人男性が中腰で立てる程度の高さがあり、室内の形状は四角形や台形、円形などさまざまだ。 室内には10~20cmほどの段で囲われた、ベッドのようなスペースが1つもしくは2つ設えられていて、何やら生活感めいたものを感じさせる。 これは一体何なのか?」、確かに何なのだろう。 「コロポックルの住居説は、時代とともに立ち消えていく。そもそも小型民族の実在が学術的に証明されることがなかったからで、近代に至る研究の中で、アイヌは縄文人の血を色濃く受け継いでいることが判明している」、なるほど。 「盛られた土を横から掘って埋葬スペースを造り、扉を付けて開閉する仕様にアレンジすることで、同じ墳墓に後から他者を追葬できるよう工夫がされた。これが横穴墓である。 実際、この吉見百穴では穴の入り口部分に石のふたが立てられ、造営後の出入りを可能にする構造が確認されている。つまり吉見百穴は、墳墓の進化の変遷をたどる貴重な遺構でもあるのだ」、なるほど。 「現在までに発掘されている30基の穴は、実は黒岩横穴墓群のごく一部に過ぎず、一説によると、未発掘の穴がこの一帯に500基以上も埋没しているという。人が立ち入らないため、吉見百穴よりもはるかに良好な状態のまま保存されているそうで、本格的な調査が進めばさらに貴重な遺物が見つかるかもしれない。いつの日か、その全容が明らかにされる時を心待ちにしたい』、「いつの日か、その全容が明らかにされる時」、私も楽しみに「心待ちにしたい」。 東洋経済オンライン 篠田 謙一 氏による「縄文人と弥生人で分けられない「日本人のルーツ」 祖先はいつ、どうやって日本列島へやってきた?」 『人類の起源』(中公新書)の著者、篠田謙一 『図解版 人類の起源』 「二重構造モデル」、とは「旧石器時代に東南アジアなどから日本列島に進出した集団が縄文人となり、やがて列島に入らず北上した新石器時代の北東アジア人が渡来系弥生人となってやってきたという説です。 しかし、近年のゲノム分析により、二重構造モデルでは説明できない事実が明らかになっています」、なるほど。 「東南アジア由来の旧石器人が縄文人になり、列島に入らず北上した集団は、寒冷地適応を受けて形質を変化させ、北東アジアの新石器人になったとされています。 弥生時代になり、この集団の中から北部九州に稲作をもたらす渡来系弥生人が現れ、稲作が入らなかった北海道や、北部九州から2000年遅れて稲作が始まった琉球列島では縄文人の遺伝的特徴が強く残ることになり、それが両者の見た目の類似性を生んだと考えられています」、なるほど。 「地域別に現代日本人のゲノムを比べると、北海道のアイヌ集団、沖縄集団、本州・四国・九州のいわゆる本土日本人の間で違いが見られます。それは、地域ごとに異なる歴史があり、集団成立にも異なるプロセスがあることを示しています」、なるほど。 「日本列島にホモ・サピエンスが最初に進出したのは、約4万年前の後期旧石器時代。旧石器時代の遺跡は日本国内に1万箇所ほど知られていますが、人骨は琉球列島を除いてほとんど見つかっておらず、旧石器時代人の実像についてはあまりわかっていません」、なるほど。 「沖縄の現代人の祖先は1万5000年前より昔にさかのぼらないという結論が導かれています」、なるほど。 「形態的には比較的均一だったと考えられている縄文人ですが、ミトコンドリアDNAの系統では、明瞭な東西の地域差が認められています。旧石器時代の日本列島には、進入ルートが異なるさまざまな集団が入ってきたと考えられます。 さまざまな地域から入ってきた集団(縄文人のミトコンドリアDNAの代表的なハプログループは、M7aとN9bです。西日本から琉球列島に多くなるM7aは、おそらく中国大陸の南部沿岸地域から西日本に進入したとされています。 一方、東日本から北海道の地域で多数を占めるN9bは、九州にも特殊なN9b系統が存在。そのため、N9b系統の祖先は朝鮮半島から沿海州の広い地域に散在し、それぞれ北海道経由のルートと、朝鮮半島経由のルートで日本列島に到達したと考えられます。 現代日本人に占めるそれぞれの割合は、M7aが約7.7%でN9bが約2.1%。この割合は、その後の弥生人との混合の状況に関連があると考えられます」、「ミトコンドリアDNA」は母性をたどることしかできないとはいえ、現状では最適な方法だ。
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イスラエル・パレスチナ(その3)(やり過ぎたイスラエル 守りきれなくなった米バイデン政権が初めて安保理停戦決議の成立許す、攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像、意外と早かったイスラエルの「報復」が意味する事 「暗黙のルール」に基づいた報復の応酬だが…) [世界情勢]

イスラエル・パレスチナについては、本年1月20日に取上げた。今日は、(その3)(やり過ぎたイスラエル 守りきれなくなった米バイデン政権が初めて安保理停戦決議の成立許す、攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像、意外と早かったイスラエルの「報復」が意味する事 「暗黙のルール」に基づいた報復の応酬だが…)である。

先ずは、本年3月26日付けNewsweek日本版「やり過ぎたイスラエル、守りきれなくなった米バイデン政権が初めて安保理停戦決議の成立許す」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2024/03/post-104081_1.php
・『<バイデン米政権は3月25日、「重要な同盟国」イスラエルのネタニヤフ首相が設定した一線をとうとう越えた。すでに3万人以上の民間人が犠牲になったガザへ、さらに地上侵攻を仕掛けようという暴挙は止められるのか> ジョー・バイデン米政権は3月25日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が設定した一線を越えた。 AP通信の報道によれば、国連安全保障理事会(以下安保理)で25日に行われた停戦決議の採択で、アメリカはイスラエルが求めていた「拒否」ではなく棄権を選択した。パレスチナ自治区ガザにおけるイスラエルとハマスの戦闘の停止、および、ハマスが拘束する人質全員の解放を要求するものだ。 米国が拒否ではなく棄権票を投じたため、停戦決議は初めて可決された。バイデンはガザ地区の人道状況を懸念しており、長らく緊密な同盟国と見なされてきた米国とイスラエルの関係は緊張感を増している。 【動画】水や電気を無目的に使い、ケチャップで血を演出...苦しむガザ住民をあざ笑うイスラエルのインフルエンサーたち ネタニヤフは25日、国連決議採択の前に、バイデン政権に最後通達を行い、もし米国が拒否権を行使しなければ、イスラエル代表団の訪米を中止すると警告した、とイスラエル紙タイムズ・オブ・イスラエルは報じている。 タイムズ・オブ・イスラエルによれば、ツァヒ・ハネグビ国家安全保障顧問とロン・デルメル戦略問題担当相はアメリカを訪問し、ガザにおける人道援助の拡大について意見を交わすことになっていた。 しかし停戦決議の採択後、ネタニヤフ政権はイスラエル代表団の訪米を中止した。そして、「開戦以来、アメリカは安保理で一貫した立場をとってきたが、(投票の棄権は)明らかな後退」であり、「国際的な圧力によって、人質を解放することなく停戦できるという希望をハマスに与える」ものだと断じた』、「国連安全保障理事会(以下安保理)で25日に行われた停戦決議の採択で、アメリカはイスラエルが求めていた「拒否」ではなく棄権を選択した・・・米国が拒否ではなく棄権票を投じたため、停戦決議は初めて可決された。バイデンはガザ地区の人道状況を懸念しており、長らく緊密な同盟国と見なされてきた米国とイスラエルの関係は緊張感を増している・・・ネタニヤフ政権はイスラエル代表団の訪米を中止した。そして、「開戦以来、アメリカは安保理で一貫した立場をとってきたが、(投票の棄権は)明らかな後退」であり、「国際的な圧力によって、人質を解放することなく停戦できるという希望をハマスに与える」ものだと断じた」、なるほど。
・『「正当防衛」を主張するイスラエル  2023年10月7日、ハマスがイスラエルに攻撃を仕掛けた結果、1200人のイスラエル人が犠牲になり、250人が人質として拘束された。現在も100人以上が拘束されている、とイスラエルは述べている。イスラエルは、ハマスの指導者たちを標的とし、人質を取り戻すという目標を掲げ、ガザ攻撃を開始。これまでに3万人以上のパレスチナ人たちが殺された。 バイデンは、イスラエルの重要な同盟国を自認しており、イスラエルには自国を守りハマスを追い詰める権利があると認める一方、ガザにおける民間人の死者数についても懸念も表明してきた。 世界のほかのリーダーに比べると、バイデンは恒久的な停戦を強く求めるまでには至っていないが、それでも、イスラエルに対しより慎重な対応を促すようになっており、ネタニヤフと食い違いが生じている。11月に大統領選挙を控えた国内でも、パレスチナの人道状況を懸念する民主党支持者からの圧力に直面している。) バイデンとネタニヤフはさらに、ガザ南端の都市ラファへの攻撃を開始すべきか否かでも意見が対立していた。エジプトとの国境に位置するラファには、開戦以来、南に避難するようイスラエルから指示された100万人以上のパレスチナ人が過密状態で暮らしている。 ロイターの報道によれば、ネタニヤフは3月18日のバイデンとの電話会談で「ラファにいるハマス戦闘員を排除すると決意しており、地上侵攻以外に方法はない」ことを「非常に明確に」伝えたという。 米国家安全保障問題担当大統領補佐官のジェイク・サリバンもこの会談後、ラファへの「大規模な地上作戦」は「間違い」とコメントしている』、「これまでに3万人以上のパレスチナ人たちが殺された」、犠牲者数は予想以上に多いようだ。「バイデンは、イスラエルの重要な同盟国を自認しており、イスラエルには自国を守りハマスを追い詰める権利があると認める一方、ガザにおける民間人の死者数についても懸念も表明してきた。 世界のほかのリーダーに比べると、バイデンは恒久的な停戦を強く求めるまでには至っていないが、それでも、イスラエルに対しより慎重な対応を促すようになっており、ネタニヤフと食い違いが生じている。11月に大統領選挙を控えた国内でも、パレスチナの人道状況を懸念する民主党支持者からの圧力に直面している。) バイデンとネタニヤフはさらに、ガザ南端の都市ラファへの攻撃を開始すべきか否かでも意見が対立している』、「ネタニヤフ」にすれば、トランプ大大統領が再登場するまでの我慢なのかも知れない。

次に、4月15日付けNewsweek日本版「攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2024/04/post-104263_1.php
・『<イランが発射した大量の無人機とミサイルを、イスラエルの防空システム「アイアンドーム」が黙らせた> 4月13日にイランはイスラエル領内に大規模攻撃を仕掛けたが、ソーシャルメディア上で共有されているライブ映像や動画は、イランのドローンやミサイルをイスラエルの防空システムが迎撃している模様を伝えている。 【動画】宇宙戦争!? イラン無人機とミサイルの大規模波状攻撃を黙らせたイスラエルの最強の盾「アイアンドーム」 イスラエル国防軍は13日、イランが自国領土内からドローンをイスラエルに向けて発射したことを本誌に対して認めた。 イスラエル国防軍によれば、ミサイル防衛システム「アイアンドーム」を含むイスラエルの防空システムは、イランの無人機による攻撃に備えていた。イランによる今回の無人機攻撃は、4月初めにイラン革命防衛隊の将官2人が殺害されたイスラエルによる空爆に対する報復だ。 CNNが放映したエルサレムからの映像では、イスラエルの防空システムがイランの無人機を迎撃しているように見える。X(旧ツイッター)に投稿された約2分間の映像では、サイレンが鳴り響くなか、イスラエルの都市上空で爆発が起き、明るい閃光が走る様子も見える。 「上空で複数の異なる方向からの迎撃が続いている」と、CNNの国際外交担当編集者ニック・ロバートソンは13日の夜に報告した。「どれが飛来するミサイルで、どれが迎撃ミサイルなのか、区別がつかない」』、「CNNが放映したエルサレムからの映像では、イスラエルの防空システムがイランの無人機を迎撃しているように見える」、やはり「防空システム」は完璧なようだ。
・『夜空で起きた戦闘  ロバートソンは、20〜30発のミサイルが迎撃されたところを目撃したと語った。 「何度も爆発音が聞こえる。これもまた迎撃ミサイルによる音のようだ」と、彼は言う。「攻撃ミサイルによる衝撃音は聞こえない」 ソーシャルメディア・ユーザーのAcynは、CNNの映像をXに投稿し、こうコメントした。「これはライブ映像だ。見えているものが何か、正確にはわからないが、空にいくつも筋が見える」 タイムズ・オブ・イスラエルの軍事特派員エマニュエル・ファビアンがXに投稿した別の動画には、エルサレム上空での爆発が映っている。 エルサレムにある神殿の丘の上空で起きたイランの攻撃のシュールな映像」と、ファビアンはコメントした。 「イスラエル国防軍は厳戒態勢を敷き、常に作戦状況を監視している」とイスラエル軍は13日、本誌に声明で答えた。「イスラエル空域で防衛任務に就いているイスラエル航空宇宙軍(IAF)戦闘機やイスラエル海軍の艦船とともに、国防軍の空中防衛システムは厳戒態勢にある。イスラエル国防軍はすべての標的を監視している。国民には、民間防衛軍司令部の指示と、この件に関するイスラエル国防軍の公式発表に従うことを求めている」) イランがイスラエルに報復を予告し、13日に実際に攻撃を行ったきっかけは、4月初めにシリアでイランの将官2人と士官5人を殺害したイスラエルの攻撃だった。 2023年10月7日に、パレスチナのイスラム組織ハマスがイスラエルに奇襲をかけ、1200人を殺害して以来、イスラエルとハマスの戦闘が始まった。以来、イスラエルとイランの緊張は高まっている。イスラエルは、ガザ地区に潜むハマスを標的に作戦を開始。地元の保健当局者によれば、パレスチナ人3万3000人以上が殺害された。 アメリカとイスラエルの両政府高官は、イランがハマスやイスラム聖戦機構だけでなく、レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派、イラクやシリアの諸勢力など、海外の民兵組織に政治的、物質的な支援を提供していると非難している』、「アメリカとイスラエルの両政府高官は、イランがハマスやイスラム聖戦機構だけでなく、レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派、イラクやシリアの諸勢力など、海外の民兵組織に政治的、物質的な支援を提供していると非難」、確かに「イラン」は中東で台風の目のような存在のようだ。

第三に、4月19日付け東洋経済オンラインが掲載したジャーナリスト・中東料理研究家の池滝 和秀氏による「意外と早かったイスラエルの「報復」が意味する事 「暗黙のルール」に基づいた報復の応酬だが…」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/749303
・『イスラエルは、イランによる初めての領内を狙った直接攻撃に対して「限定的」な報復攻撃を行った。イランのライシ大統領は、イスラエルから攻撃があれば、「大規模かつ激しい報復を行う」と宣言しており、今度はイランの対応が焦点となる。 イスラエルの攻撃やイランの被害状況の全貌は明らかではないものの、イランはドローン3機を迎撃したとして、報復に値するような攻撃だったとは認識しない可能性がある。 イスラエルの戦時内閣は、国内世論や抑止力確保の観点から報復方針を決定したが、ガザ戦争を進める中で事態をエスカレートさせて二正面作戦を強いられたり、対米関係が悪化したりするのを避けるため、苦肉の策としてメッセージ性を込めた形式的な報復攻撃を選択したもようだ』、「イスラエルの戦時内閣は、国内世論や抑止力確保の観点から報復方針を決定したが、ガザ戦争を進める中で事態をエスカレートさせて二正面作戦を強いられたり、対米関係が悪化したりするのを避けるため、苦肉の策としてメッセージ性を込めた形式的な報復攻撃を選択」、報復合戦は両国間紛争の特徴なのかも知れない。
・『双方とも領内攻撃能力を誇示  4月1日のイスラエルによる在シリア・イラン大使館でイラン精鋭部隊、革命防衛隊司令官ら7人が殺害された空爆に端を発した両国間の衝突は、報復合戦の様相を呈しているが、今のところ、慎重に制御された中で報復作戦が展開されていると見るべきだろう。 両国の対立は今に始まったものではない。イスラエルは昨年10月にイランの支援を受けるパレスチナのイスラム組織ハマスの奇襲攻撃を受け、1200人以上が殺害された。イランはハマスに武器や資金を提供しているほか、レバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラも強力に支援しており、水面下での対立が続いてきた。) 今局面で事態がエスカレートする発端になったのは在シリア・イラン大使館への空爆だった。イスラエルは、ヒズボラやハマスへの支援に関わる革命防衛隊は「テロリスト」だとして大使館攻撃を正当化したが、イランは国際法違反だとして激しく反発した。 イランは13~14日にかけてイスラエル領内に弾道ミサイルやドローンなど300発以上を撃ち込む派手な報復攻撃に出たが、報復を宣言したり周辺国に事前通告したりして、大きな被害が出ないような措置を講じていた。 さらに、イスラエルの軍事基地を狙い、民間人にも犠牲が出ないよう配慮するなど、大使館空爆の報復としてあくまでも軍事的な標的に限定された報復攻撃との姿勢を明確にした。 イスラエルの攻撃も、報復というよりもメッセージ性の強いものだったようだ。イスラエル当局者は米紙ワシントン・ポストに対し、ドローン攻撃はイスラエルがイラン領内を攻撃できるというメッセージを送るものだったと語った』、「イスラエルの攻撃も、報復というよりもメッセージ性の強いものだったようだ。イスラエル当局者は・・・ドローン攻撃はイスラエルがイラン領内を攻撃できるというメッセージを送るものだったと語った」、「イスラエルの攻撃も、報復というよりもメッセージ性の強いものだったようだ」、なるほど。
・『イランが激怒した理由  イランのアハマディネジャド大統領(当時)は「イスラエルを地図上から消し去る」と発言するなどイランはイスラエルを敵視し、両国は厳しく対立してきた。イスラエルはイラン人核技術者などを狙った暗殺作戦をイラン国内で実施したり、サイバー攻撃でイラン核施設や軍事施設などに破壊工作を仕掛けたりしてきた。 イスラエルという軍事強国に対してイランは匿名の攻撃やゲリラ戦術による「非対称戦」で応じ、イスラエル関連船舶や親イラン勢力を使ってイスラエルへ攻撃するなど対立は暗黙のルールに基づいて行われてきた。) しかし、4月1日の在シリア・イラン大使館への攻撃はイランが「国際法違反だ」と強く反発するように、イランはイスラエルがこれまでのルールを逸脱してきたと捉えた。 シリア領内でのイスラエルによるイラン関連の標的を狙った攻撃はこれまでも繰り返されてきたが、イランは無視するか、親イラン勢力による小規模な報復を実施するのにとどめてきた。 だが、在シリア・イラン大使館への攻撃は、大使館にいた革命防衛隊司令官が殺害されるなどイラン側の衝撃は大きく、イランは国内世論的にも看過できず、イスラエルを助長させないためにも報復の必要性に迫られた』、「4月1日の在シリア・イラン大使館への攻撃はイランが「国際法違反だ」と強く反発するように、イランはイスラエルがこれまでのルールを逸脱してきたと捉えた。 シリア領内でのイスラエルによるイラン関連の標的を狙った攻撃はこれまでも繰り返されてきたが、イランは無視するか、親イラン勢力による小規模な報復を実施するのにとどめてきた。 だが、在シリア・イラン大使館への攻撃は、大使館にいた革命防衛隊司令官が殺害されるなどイラン側の衝撃は大きく、イランは国内世論的にも看過できず、イスラエルを助長させないためにも報復の必要性に迫られた」、確かに緊張は質的にも一段高まったようだ。
・『アメリカとイスラエル関係悪化に便乗  イスラエルがルールを破ったと認識したイランは、倍返し的にイスラエルに大規模な攻撃を仕掛けたが、あくまでもイラン大使館空爆への報復であり、民間人に犠牲を出さないなど慎重に計算されたものだった。報復以上の意図はなく事態をエスカレートさせるつもりもないとのメッセージを送っていた。 その上でイスラエルが報復攻撃を行えば、大規模に反撃するとして事態の収拾を図っていた。イランには、イスラエルがガザ戦争でハマス掃討作戦に手こずり、強固な同盟関係にあるアメリカとイスラエルの間がぎくしゃくしてバイデン政権のイスラエルに対する不信感が強まっているとの読みもあった。 実際、バイデン大統領はイスラエルのイラン攻撃に反対する姿勢を示し、イスラエルが攻撃したとしてもアメリカは攻撃に加わらないとの方針を明確にした。) イスラエルのネタニヤフ首相は、バイデン大統領との関係が良好とは言えず、トランプ氏の大統領再選に期待しているとみられるが、バイデン大統領を完全に黙殺して同盟関係を危機に陥らせることもできないだろう。 バイデン大統領が明確にイランへの報復に反対する中、大規模な報復に出れば同盟関係に亀裂を生じかねさせず、報復しなければイランに見くびられてしまうことから、アメリカ・イスラエル関係を損なわず、さらにはイランに対しても、いつでも大規模な攻撃を仕掛けられるというメッセージ性を送るような報復にとどめたようだ』、「バイデン大統領が明確にイランへの報復に反対する中、大規模な報復に出れば同盟関係に亀裂を生じかねさせず、報復しなければイランに見くびられてしまうことから、アメリカ・イスラエル関係を損なわず、さらにはイランに対しても、いつでも大規模な攻撃を仕掛けられるというメッセージ性を送るような報復にとどめたようだ」、「報復」にも微妙な「メッセージ性」が込められているようだ。
・『これで「幕引き」とはならない可能性も  ただ、イスラエルは過去にサイバー攻撃など水面下の戦いでイランを攻撃してきたことから、今局面がこれにて幕引きとはならないことも想定しておくべきだろう。 イランの攻撃は史上初のイスラエル領内への直接攻撃であり、規模も大きかった。このため、イスラエルの報復としては不十分であり、複数回に分けるか、手法を変えるかしてイランに打撃を与えてくることも考えておく必要がある。 イランのイスラエル攻撃はルールの逸脱を許さないというメッセージであり、報復の標的も軍事関連に限られた。イスラエルも、イランの軍事関連施設を標的にしたと伝えられ、報復の応酬となっている双方の衝突は一定のルールが守られている形だ。 イランの核開発は表向きにはエネルギー開発など非軍事との位置付けで、仮にイスラエルが核関連施設を攻撃したとなると、非軍事かつ国益に関わる標的が狙われたことになり、イランとしても、新たな報復に出ざるを得ない。イランの核施設が報復攻撃の標的になったとの情報はなく、今のところは想定される枠内に対立が収まっていると言えよう。) ただ、暗殺作戦や代理戦争という両国間の「影の戦争」が、直接的に攻撃し合う形で激化していることは間違いなく、想定よりも大きな被害が偶発的に出たり、市民が巻き込まれたりすれば、制御不能な事態に陥る恐れもある。 両国の言辞が過激化の一途を辿っていることも不安材料だ。イランの核開発は核爆弾製造の意図があることがほぼ周知の事実になっているが、イラン政府の公式見解は核爆弾などの大量破壊兵器の保有はイスラム教的に禁止されているというものである。最高指導者のファトワ(宗教令)によれば、いかなる種類の大量破壊兵器の製造や使用もハラーム(禁止されるものや行為)だ。 革命防衛隊の幹部は18日、イスラエルがイランの核施設に脅威を与え続けるなら、国際原子力機関(IAEA)との協力を停止し、従来の方針を転換して核爆弾を製造するとの考えを表明した。イランは、ウラン濃縮の技術を兵器級レベルまで高めており、核爆弾の製造は数カ月で可能な段階にあるとされている。 イスラエルに対する直接攻撃では弾道ミサイルがイスラエル軍基地に着弾しており、こうしたミサイルに核弾頭が搭載されれば、国土が小さいイスラエルは存続が脅かされるほどの被害を受けることになる。 イスラエルは、イランの核兵器保有を許さないとの断固たる姿勢を示しており、過去にはイラクやシリアの原子炉を空爆して核兵器開発を阻止してきた。イランの核関連施設への空爆の危険性はますます高まり、そうした場合は全面的な戦争に発展するだろう。 両国間の対立は依然として暗黙の理解に基づく制御可能な状態にとどまっているが、わずかな計算ミスや誤解、誤算により制御不能に陥ってもおかしくない極めて危険な水準に達している』、「イスラエル」と「イラン」の「間の対立は依然として暗黙の理解に基づく制御可能な状態にとどまっているが、わずかな計算ミスや誤解、誤算により制御不能に陥ってもおかしくない極めて危険な水準に達している」微妙なバランスの上にかろうじて均衡しているようだ。
タグ:「国連安全保障理事会(以下安保理)で25日に行われた停戦決議の採択で、アメリカはイスラエルが求めていた「拒否」ではなく棄権を選択した・・・米国が拒否ではなく棄権票を投じたため、停戦決議は初めて可決された。バイデンはガザ地区の人道状況を懸念しており、長らく緊密な同盟国と見なされてきた米国とイスラエルの関係は緊張感を増している・・・ Newsweek日本版「やり過ぎたイスラエル、守りきれなくなった米バイデン政権が初めて安保理停戦決議の成立許す」 (その3)(やり過ぎたイスラエル 守りきれなくなった米バイデン政権が初めて安保理停戦決議の成立許す、攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像、意外と早かったイスラエルの「報復」が意味する事 「暗黙のルール」に基づいた報復の応酬だが…) イスラエル・パレスチナ ネタニヤフ政権はイスラエル代表団の訪米を中止した。そして、「開戦以来、アメリカは安保理で一貫した立場をとってきたが、(投票の棄権は)明らかな後退」であり、「国際的な圧力によって、人質を解放することなく停戦できるという希望をハマスに与える」ものだと断じた」、なるほど。 「これまでに3万人以上のパレスチナ人たちが殺された」、犠牲者数は予想以上に多いようだ。「バイデンは、イスラエルの重要な同盟国を自認しており、イスラエルには自国を守りハマスを追い詰める権利があると認める一方、ガザにおける民間人の死者数についても懸念も表明してきた。 世界のほかのリーダーに比べると、バイデンは恒久的な停戦を強く求めるまでには至っていないが、それでも、イスラエルに対しより慎重な対応を促すようになっており、ネタニヤフと食い違いが生じている。 11月に大統領選挙を控えた国内でも、パレスチナの人道状況を懸念する民主党支持者からの圧力に直面している。) バイデンとネタニヤフはさらに、ガザ南端の都市ラファへの攻撃を開始すべきか否かでも意見が対立している』、「ネタニヤフ」にすれば、トランプ大大統領が再登場するまでの我慢なのかも知れない。 Newsweek日本版「攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像」 「CNNが放映したエルサレムからの映像では、イスラエルの防空システムがイランの無人機を迎撃しているように見える」、やはり「防空システム」は完璧なようだ。 「アメリカとイスラエルの両政府高官は、イランがハマスやイスラム聖戦機構だけでなく、レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派、イラクやシリアの諸勢力など、海外の民兵組織に政治的、物質的な支援を提供していると非難」、確かに「イラン」は中東で台風の目のような存在のようだ。 東洋経済オンライン 池滝 和秀氏による「意外と早かったイスラエルの「報復」が意味する事 「暗黙のルール」に基づいた報復の応酬だが…」 「イスラエルの戦時内閣は、国内世論や抑止力確保の観点から報復方針を決定したが、ガザ戦争を進める中で事態をエスカレートさせて二正面作戦を強いられたり、対米関係が悪化したりするのを避けるため、苦肉の策としてメッセージ性を込めた形式的な報復攻撃を選択」、報復合戦は両国間紛争の特徴なのかも知れない。 「イスラエルの攻撃も、報復というよりもメッセージ性の強いものだったようだ。イスラエル当局者は・・・ドローン攻撃はイスラエルがイラン領内を攻撃できるというメッセージを送るものだったと語った」、「イスラエルの攻撃も、報復というよりもメッセージ性の強いものだったようだ」、なるほど。 「4月1日の在シリア・イラン大使館への攻撃はイランが「国際法違反だ」と強く反発するように、イランはイスラエルがこれまでのルールを逸脱してきたと捉えた。 シリア領内でのイスラエルによるイラン関連の標的を狙った攻撃はこれまでも繰り返されてきたが、イランは無視するか、親イラン勢力による小規模な報復を実施するのにとどめてきた。 だが、在シリア・イラン大使館への攻撃は、大使館にいた革命防衛隊司令官が殺害されるなどイラン側の衝撃は大きく、イランは国内世論的にも看過できず、イスラエルを助長させないためにも報復の必要性に 「バイデン大統領が明確にイランへの報復に反対する中、大規模な報復に出れば同盟関係に亀裂を生じかねさせず、報復しなければイランに見くびられてしまうことから、アメリカ・イスラエル関係を損なわず、さらにはイランに対しても、いつでも大規模な攻撃を仕掛けられるというメッセージ性を送るような報復にとどめたようだ」、「報復」にも微妙な「メッセージ性」が込められているようだ。 「イスラエル」と「イラン」の「間の対立は依然として暗黙の理解に基づく制御可能な状態にとどまっているが、わずかな計算ミスや誤解、誤算により制御不能に陥ってもおかしくない極めて危険な水準に達している」微妙なバランスの上にかろうじて均衡しているようだ。
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リニア新幹線(その10)(川勝知事知事6題:川勝知事がリニア問題の解決策などすべて放り投げて辞職…そのヤバすぎる「正体」、川勝知事が残した“最悪の置き土産”…意味のなかった「リニア騒動」の全貌、川勝平太知事が「リニア中央新幹線」反対姿勢を強めた2013年に何があったのか、静岡リニア「開業10年遅れ」JR東海の経営大丈夫? 突然辞任、川勝知事の「置き土産」が及ぼす影響、自民党がさらなる窮地へ…? 川勝知事の後任選挙の「驚きの実態」) [産業動向]

昨日に続いて、リニア新幹線である。今日は、(その10)(川勝知事知事6題:川勝知事がリニア問題の解決策などすべて放り投げて辞職…そのヤバすぎる「正体」、川勝知事が残した“最悪の置き土産”…意味のなかった「リニア騒動」の全貌、川勝平太知事が「リニア中央新幹線」反対姿勢を強めた2013年に何があったのか、静岡リニア「開業10年遅れ」JR東海の経営大丈夫? 突然辞任、川勝知事の「置き土産」が及ぼす影響、自民党がさらなる窮地へ…? 川勝知事の後任選挙の「驚きの実態」)である。

先ずは、本年4月12日付け現代ビジネスが掲載した小林 一哉氏による「静岡・川勝知事がリニア問題の解決策などすべて放り投げて辞職…そのヤバすぎる「正体」」を紹介しよう。
・『無責任すぎる川勝知事  静岡県の静岡県の川勝平太知事は、リニア問題の解決策など示さず、一切合切をすべて放り投げた。 もともと大井川流域の首長たちは、川勝知事にリニア問題を一任することで、リニア問題の決着とともに、東海道新幹線静岡空港新駅の設置など何らかの地域振興をもたらすことを期待していた。 それなのに、リニア南アルプストンネル静岡工区着工への手立ても示さず、また流域の期待にも何らこたえず、混乱だけを巻き起こしたまま、静岡県庁から去ることになった。 あまりに無責任な姿勢だが、これが川勝知事の「正体」である。 「あたかも、水は一部戻してやるから、ともかく工事をさせろという態度に、わたしの堪忍袋の緒が切れました」 2017年10月10日の定例会見が、川勝知事による静岡県の「リニア騒動」の始まりだった。 当時、JR東海と大井川流域の利水者11団体と静岡工区着工に向けた基本協定を結ぶ詰めの交渉が行われている最中だった。 ところが、川勝知事は「堪忍袋の緒が切れた」と怒りを露わにしたあと、「水問題に具体的な対応を示すことなく、静岡県民に誠意を示すといった姿勢がないことを心から憤っている」などとさらにヒートアップした。 そして、「勝手にトンネルを掘りなさんな」と基本協定の交渉にストップを掛ける「ちゃぶ台返し」をしてしまう。 この日の知事会見を皮切りに、川勝知事による無理難題の言いたい放題、やりたい放題が始まり、まさに「リニア騒動」と呼ばれるさまざまな混乱が続くことになった。 2018年夏から、静岡県とJR東海との『対話』が始まったが、現在まで何らの進展も見られない』、「2018年夏から、静岡県とJR東海との『対話』が始まったが、現在まで何らの進展も見られない」、そんなに長く続いているとは、改めて問題の深刻さを再認識した。
・『自分の非を自覚せず  「リニア騒動」の混乱に収拾はつかず、ことし7年目を迎えた矢先だった。 4月1日の新規採用職員の訓示で、「職業差別発言」を行ったと糾弾されると、川勝知事は突然、2日夕方に辞意を表明、3日、辞職にいたる理由などを説明する会見を行った。 当初、6月19日の県議会開会に合わせて、辞職する方向だったが、急きょ10日午前に、静岡県議会議長に辞表を提出した。 このままいけば、川勝知事は5月10日に自動的に退職することになる。 これで、川勝知事本人の引き起こした「リニア騒動」の幕がいったん、引かれるが、静岡県のリニア問題が解決したわけではない。 県議会議長への辞表提出後、川勝知事は10日午後、今後のリニア問題への対応などをテーマとした定例会見にのぞんだ。 辞意表明の翌日、3日の会見で辞職するいちばんの理由を「リニア問題の区切りがついたから」などと述べた。 このため、記者から「リニア沿線の都府県でつくる建設促進期成同盟会会長の愛知県の大村(秀章)知事から、ひと区切りというのは違うのではないかと批判の声があった」と投げ掛けられた。 川勝知事は 「リニア問題に関してこれを放り出すことはできない。どのような道筋が描けるか、これが本県にとって重要課題だ。国のリニア静岡工区モニタリング会議座長の矢野(弘典)さんを信じている。まかせられる。モニタリングは、工事の日程、事業計画と不可分であるというのが矢野さんの意見だ。ここでやっていければいい。矢野さんにバトンタッチできる」 などと何度も矢野座長の名前を挙げた。) 実際には、リニア問題の区切りがついたわけでも、道筋が描かれたのでもなく、昔から懇意の矢野座長に「リニア騒動」の混乱すべてを放り投げたに過ぎない。 誰が考えても、川勝知事が反リニアを貫き、リニア妨害を繰り返していたことを見透かされていた。 これに対して、川勝知事は「わたしどもは早期開業に対して、足を引っ張っているようなことをしたことは一度もない」と大見得を切った。 このような嘘を平気で口にするのが、川勝知事の「正体」である。 川勝知事の「正体」は、2022年夏のリニア南アルプス工事現場の視察と建設促進期成同盟会での発言を振り返れば、いちばんわかりやすい。 後編『川勝知事が残した“最悪の置き土産”…意味のなかった「リニア騒動」の全貌』で詳しく解説する』、「リニア問題に関してこれを放り出すことはできない。どのような道筋が描けるか、これが本県にとって重要課題だ。国のリニア静岡工区モニタリング会議座長の矢野(弘典)さんを信じている。まかせられる。モニタリングは、工事の日程、事業計画と不可分であるというのが矢野さんの意見だ。ここでやっていければいい。矢野さんにバトンタッチできる」 などと何度も矢野座長の名前を挙げた」、「矢野座長」の考え方はどうなのだろう。

次に、4月12日付け現代ビジネスが掲載した小林 一哉氏による「川勝知事が残した“最悪の置き土産”…意味のなかった「リニア騒動」の全貌 『知事失格』のらく印が押されたまま」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/127644
・『静岡県の川勝平太知事は、リニア問題の解決策など示さず、一切合切をすべて放り投げた。あまりに無責任な姿勢を見せた川勝知事だが、彼のこの「正体」は、2022年夏のリニア南アルプス工事現場の視察と建設促進期成同盟会での発言を振り返れば、いちばんわかりやすい。 前編『静岡・川勝知事がリニア問題の解決策などすべて放り投げて辞職…そのヤバすぎる「正体」』、興味深そうだ。
・『川勝知事に寄せる期待は「虚しい」ばかり  静岡県は2022年7月14日、リニアの早期開業を目指す沿線都府県の「建設促進期成同盟会」への加盟を許可された。 同年8月9日に初めて開かれたオンラインの総会で、川勝知事は「2027年品川―名古屋間の開業、2037年大阪までの延伸開業を目指す同盟会の立場を共有する」、「リニア整備の促進を目指してスピード感を持って課題の解決に取り組む」と同盟会加盟に際しての誓約を表明した。 沿線知事らは川勝知事の「正体」を何ら知らずに、「早期全線開業を目指す態勢が整った」と期待を寄せたのだ。 その前日の8日、川勝知事はリニア南アルプストンネル静岡工区で最大規模の残土置き場が計画される燕沢(つばくろさわ)と東京電力RPの田代ダムを視察した。 その際の発言を承知していれば、川勝知事への期待がいかに虚しいかわかったはずだった。 JR東海は同年4月、東電RPの内諾を得た上で、田代ダムの取水抑制案という、川勝知事の求める県境付近での工事中の「全量戻し」に対する解決策を発表した。 このため、大勢のメディアを引き連れての田代ダム視察を行った。 視察には、県地質構造・水資源専門部会の森下祐一部会長(静岡大学客員教授)、塩坂邦雄委員(株式会社サイエンス技師長)が同行した。 まず、大井川流域の大規模崩壊地である赤崩(あかくずれ)を車中から視察した。 塩坂委員が「畑薙山断層帯は非常に弱い地層であり、大量の突発湧水が出る恐れがある」などと警告した。 塩坂委員は、トンネル建設予定地の断層は「背斜構造となっていて力の掛かり具合が複雑であり、地下水枯渇の恐れがある」などの持論を披露して、地下トンネル建設に強い疑問を投げ掛けた。これが県専門部会委員の役割である』、「塩坂委員が「畑薙山断層帯は非常に弱い地層であり、大量の突発湧水が出る恐れがある」などと警告した。 塩坂委員は、トンネル建設予定地の断層は「背斜構造となっていて力の掛かり具合が複雑であり、地下水枯渇の恐れがある」などの持論を披露して、地下トンネル建設に強い疑問を投げ掛けた。これが県専門部会委員の役割」、なるほど。
・『川勝知事の‟置き土産‟が今後もテーマに  燕沢の視察では、森下部会長とともに川勝知事が新たな課題を突きつけた。 JR東海担当者は高さ65メートル、長さ290メートル、奥行き600メートルで、トンネル工事で発生する残土の大半、約360万㎥を盛り土するツバクロ残土置き場の計画を説明した。 この説明に対して、川勝知事は、過去に土石流が起きていることを指摘した上で、「深層崩壊について検討されておらず、残土置き場にふさわしくない。極めて不適切」と強く否定したのだ。 JR東海は、残土置き場として標高約2千メートルに予定した扇沢を山体崩壊の危険性から取りやめた経緯から、燕沢での崩壊対策などを県専門部会で詳しく説明してきた。 過去の論文等を基に燕沢周辺での深層崩壊の可能性は非常に低いことにも触れた。 ところが、川勝知事は燕沢に強い否定意見を述べたのだ。 視察時の知事の否定意見そのままに、県はことし2月5日の会見で、JR東海との新たな「対話項目」に、ツバクロ残土置き場計画について、斜面崩壊のリスク、土石流の緩衝地帯の機能低下など広域的な複合リスクを挙げている。 川勝知事の言うように、本当に「残土置き場にふさわしくない。極めて不適切」だとすれば、いまから代替地を探すのは極めて困難であり、トンネル工事そのものができなくなる。 川勝知事の‟置き土産‟が今後も県専門部会の「対話」のテーマとなるのだ。 また、川勝知事は田代ダム取水抑制案も否定した。 視察に同行した、山梨県早川町の辻一幸町長が「大井川、早川は間ノ岳が源流であり、いうなれば同じ流域だ。南アルプスのリニアトンネル建設を成功させることで地元を活性化させていくことがわたしの使命」などと述べ、田代ダム取水抑制案を強く支持する意向を述べた。 ところが、川勝知事は「濁水ではなく清流の水が戻ってくるのだから、田代ダム取水抑制案の実現に向けて県専門部会でJR東海は説明してほしい。取水抑制による大井川への放流は地域貢献であり、リニア工事中の全量戻しにはならない」と、「全量戻しの解決策ではない」と否定してしまう。) 翌日9日の定例会見で、知事の意向をあらためて確認すると、川勝知事は「全量戻しとはトンネル掘削中に出る水をちゃんと循環させて戻すということで、中間報告の中身とは違う」などあらためて田代ダム取水抑制案は全量戻しにならないと否定した。 静岡県は、いまだに「全量戻し」とは、県外流出した湧水をそのまま戻すことであり、田代ダム取水抑制案は単なる代替策であるという立場を崩していない。 川勝知事は、南アルプスの工事現場視察で、リニア問題の解決へはほど遠い発言を繰り返し、翌日の期成同盟会総会での「スピード感を持った課題解決」とは真逆の発言をしている』、「川勝知事は、南アルプスの工事現場視察で、リニア問題の解決へはほど遠い発言を繰り返し、翌日の期成同盟会総会での「スピード感を持った課題解決」とは真逆の発言をしている」、どちらが本音なのだろう。
・『「リニア騒動」は無駄な時間だった  この2日間だけを見ても、川勝知事がリニアの早期開業の足を引っ張ってきたことは明らかである。 同じ会見で、テレビ静岡の記者が「知事就任以来、13年の間に、中部横断自動車道とか新東名など、鉄道以外でもさまざまな公共工事が行われている。今後、行われる工事に対しても、(県外流出する湧水の)全量戻しを求めていくという理解でよろしいか」とただした。 これに対して、川勝知事は「リニアに関連して、あれが62万人の命の水になっている。しかも、(大井川の水の状況は)カツカツの状態になっているということだから、全量戻しというのは、掘削中に出るすべての水を戻すことだと有識者会議で言っているわけで、全量戻しは(JR東海のリニア工事という)個別具体的な話だ」と答えた。 この発言に対して、記者は「静岡経済新聞の小林氏(筆者)が本(『知事失格 リニアを遅らせた川勝平太静岡県知事「命の水」の嘘』飛鳥新社)を上梓されて、62万人というのは事実ではなくて、実際は26万人ではないかという記載があった。この本の中には、知事が嘘を述べているという記述もある。(同書を)読んだあと、事実でないということであれば知事は法的措置等を取るのか?」と尋ねた。 川勝知事は「いちいち、いちいちですね、すべてのジャーナリストが書かれたことに対処するという、いまのところはそういうスタンスを持っていない」などと否定した。 その後も、筆者はウェブ記事を中心に川勝知事のさまざまな「嘘」を紹介してきたが、川勝知事から何らかの対応を受けたことはない。 川勝知事による「リニア騒動」はいったい、何だったのか、5年余という、あまりにもムダな時間が流れた。 結局、拙著の題名通り『知事失格』のらく印が押されたまま退場することになった』、「その後も、筆者はウェブ記事を中心に川勝知事のさまざまな「嘘」を紹介してきたが、川勝知事から何らかの対応を受けたことはない。 川勝知事による「リニア騒動」はいったい、何だったのか、5年余という、あまりにもムダな時間が流れた。 結局、拙著の題名通り『知事失格』のらく印が押されたまま退場することになった」、その通りだ。

第三に、4月14日付け文春オンライン「川勝平太知事が「リニア中央新幹線」反対姿勢を強めた2013年に何があったのか「JR東海は本当にやってくれるのか」という不信の始まりは…」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/70207
・『リニア中央新幹線の構想は、全国新幹線鉄道整備法に基づき、1973年に「基本計画路線」としてリストアップされたことに始まる。起点は東京都、終点は大阪市で、主な経由地は甲府市、名古屋市、奈良市だ。  JR東海が発足する1987年よりも前のことだから、日本鉄道建設公団が建設し、国鉄が営業主体になる計画だった。しかし国鉄の赤字問題の影響で整備計画が作られないまま、構想は塩漬け状態にあった』、「JR東海が発足する1987年よりも前のことだから、日本鉄道建設公団が建設し、国鉄が営業主体になる計画だった。しかし国鉄の赤字問題の影響で整備計画が作られないまま、構想は塩漬け状態にあった」、なるほど。
・『JR東海が「自己資金でやります」と手を挙げて動き出した   国鉄が分割民営化され、JRグループが発足したあと、東北新幹線の盛岡~新青森間、北陸新幹線、九州新幹線などの計画は再開されたが、国の財源が足りないため開通まで時間がかかった。  これらの新幹線が開通しないと、次の新幹線に着手できない。だから中央新幹線はずっと待たされていた。それにしびれを切らしたJR東海が「自分でやります。自己資金でやります」と手を挙げたことで計画は動き出した。  JR東海が中央新幹線を急ぐのには2つ切実な理由があった。  1つは東海道新幹線の輸送量がパンクしかけていたこと。東名阪の移動需要が旺盛で、「のぞみ」を増発しても追いつかない。なんとか1時間にのぞみ12本を運行する「のぞみ12本ダイヤ」までたどり着いたけれど、これが増発の限界だ。「ひかり」や「こだま」も増やしたいところだが、「のぞみ」が優先されていた。  もう1つは、東海道新幹線の老朽化だ。開業から半世紀が過ぎて、トンネルや鉄橋などの構造物は抜本的な点検、改修が必要になってきた。国鉄時代にも水曜日などに半日運休を実施して若返り工事を実施していたが、昨年の災害運休の後に起きた大混雑を見れば判るように、もはや半日運休にすることすら許されない輸送量なのだ。  南海トラフ地震を視野に入れた耐震工事も含め、必要によっては鉄橋の架け替えも必要になる。そうなれば半日ではすまない。日本で最も速い鉄道を振替輸送する鉄道は存在しない。だから、新たに作らなくてはいけない』、「これらの新幹線が開通しないと、次の新幹線に着手できない。だから中央新幹線はずっと待たされていた。それにしびれを切らしたJR東海が「自分でやります。自己資金でやります」と手を挙げたことで計画は動き出した・・・2つ切実な理由があった。  1つは東海道新幹線の輸送量がパンクしかけていたこと。東名阪の移動需要が旺盛で、「のぞみ」を増発しても追いつかない。なんとか1時間にのぞみ12本を運行する「のぞみ12本ダイヤ」までたどり着いたけれど、これが増発の限界だ。「ひかり」や「こだま」も増やしたいところだが、「のぞみ」が優先されていた。  もう1つは、東海道新幹線の老朽化だ。開業から半世紀が過ぎて、トンネルや鉄橋などの構造物は抜本的な点検、改修が必要になってきた。国鉄時代にも水曜日などに半日運休を実施して若返り工事を実施していたが、昨年の災害運休の後に起きた大混雑を見れば判るように、もはや半日運休にすることすら許されない輸送量なのだ」、なるほど。
・『最初の不幸は、JR東海が建設まで引き受けたこと   リニア中央新幹線の静岡工区がここまでこじれた原因の1つは、「建設主体がJRTT鉄道・運輸機構(独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構)ではなかったから」だと思う。  中央新幹線は国の基本計画路線であり、国策である。だからJR東海が建設したとしても民間事業ではない。国が、建設主体としてJR東海を指名したという形をとる。  過去の新幹線は建設主体が鉄建公団(現・JRTT鉄道・運輸機構)で、JR各社が営業主体を担っていた。しかし中央新幹線は建設主体もJR東海が担った。じつはこれがボタンの掛け違いの始まりだ。  整備新幹線の建設は、自治体の強い要請を受けて政府が決定し、地方自治体の財源確保や並行在来線分離などの条件を満たし、環境アセスメント手続きを経てRJTT鉄道・運輸機構が着工する。  しかしリニア中央新幹線は、環境アセスメント手続きが終わったらすぐに着工だ。実際には設計を発注し、建設会社が工事に携わる。  JRTT鉄道・運輸機構の役割がJR東海に替わっただけのように見えるが、JRTT鉄道・運輸機構が持っていた新幹線建設のノウハウの中で最も大きな要素は沿線自治体とのコミュニケーションだ。  鉄道建設業界関係者からこんな話を聞いた。 トンネル建設現場から残土が出る。トラックがバンバン通る。それは困るという自治体があるわけです。そんなとき、鉄建公団(当時)は地元とよく話し合って、ダンプのすれ違い場所や警備員の配置など決めた。なるべく予算を抑え、地元も納得する形をとってきた。しかしJR東海は、では道路を拡幅しましょうと言ってすぐ実行する。スピード感があるし、地元としても広い道路が残る。結果としては良いのだけれども、お金で解決して地元を納得させるというやりかたになっている」  地元とのコミュニケーションが希薄なまま工事を進めようとする反動がもっとも大きく出た場所が静岡工区といえる。環境アセスメントが終わってから着工までには、河川や道路などについて地域の自治体から許可をもらう必要がある。鉄建公団には「地域を説得する」という地道な努力とノウハウがあったが、残念ながら新幹線建設が初めてのJR東海にはその知見がなかった。  いままでの整備新幹線が、環境アセスメントが終わればスムーズに着工できたのは、鉄建公団~JRTT鉄道・運輸機構の実績と信頼による。  残土問題や、川や地下水の水涸れ問題は今までもあったが、地元と話し合って、自治体と共同して補償もしてきた。西九州新幹線の時も渇水が起きたが、トンネルからの導水管や新たな井戸を掘って水田に放水している。その実績と信頼があった。  しかしJR東海は地元との対話が少なく、新幹線を作った実績がないので信用度も低い。静岡県の心配は「本当にやってくれるのか」という点だった』、「JR東海は、では道路を拡幅しましょうと言ってすぐ実行する。スピード感があるし、地元としても広い道路が残る。結果としては良いのだけれども、お金で解決して地元を納得させるというやりかたになっている」  地元とのコミュニケーションが希薄なまま工事を進めようとする反動がもっとも大きく出た場所が静岡工区といえる。環境アセスメントが終わってから着工までには、河川や道路などについて地域の自治体から許可をもらう必要がある。鉄建公団には「地域を説得する」という地道な努力とノウハウがあったが、残念ながら新幹線建設が初めてのJR東海にはその知見がなかった。  いままでの整備新幹線が、環境アセスメントが終わればスムーズに着工できたのは、鉄建公団~JRTT鉄道・運輸機構の実績と信頼による。  残土問題や、川や地下水の水涸れ問題は今までもあったが、地元と話し合って、自治体と共同して補償もしてきた。西九州新幹線の時も渇水が起きたが、トンネルからの導水管や新たな井戸を掘って水田に放水している。その実績と信頼があった。  しかしJR東海は地元との対話が少なく、新幹線を作った実績がないので信用度も低い。静岡県の心配は「本当にやってくれるのか」という点だった」、「JR東海」には、「鉄建公団」のような「ノウハウ」がなく、「地元との対話が少なく」、「新幹線を作った実績がないので信用度も低い。静岡県の心配は「本当にやってくれるのか」という点」、なるほど。
・『静岡県の態度が頑なになった決定的なタイミング   静岡県が頑なになったのは、JR東海が2013年の環境影響評価準備書で「トンネルの湧水により、大井川上流域の水は毎秒2立方メートル減少する」と公表してからだ。トンネルによって湧水が発生し、大井川の水が減る。民間企業のJR東海が本当に補償してくれるのか、と不安になったのだ。川勝知事は知事意見として、「静岡県内で発生した水はすべて大井川に戻すこと」と附した。  約2年後、JR東海は解決策として毎秒1.3立方メートルを導水路トンネルで戻し、残りは必要に応じてポンプアップで戻すとした。  JR東海は「水利用に影響が生じた場合にその影響の程度に応じて代替水源の確保などの環境保全措置を実施する予定です」「トンネル内湧水を汲み上げて、非常口から大井川に戻すのも一つの選択肢と考えています」と、減った水量に応じて対応する姿勢だった。  しかし川勝知事は「県民の命の水だ。全量を戻せ」と再度主張した。  しかも「一滴たりとも」と、まるで戯曲「ヴェニスの商人」のようなことを言う。それにJR東海も、売り言葉に買い言葉のように「全量戻す」と約束した。もともと環境影響評価はそうなっている。  しかし静岡県側はこれで収まらない。ポンプの数と位置を説明しろ、本当にそこに置けるのか、など根掘り葉掘り問いただした。その中には「将来、リニア中央新幹線が廃線になったらどのように埋め戻すのか」など、行きすぎた項目もあった。完全に「JR東海の言うことは信用できない」という態度だ。  ただJR東海の回答書も、お世辞にもわかりやすいものとは言えなかった。表計算ソフトのセルにびっしりと文字を並べた書類を非専門家が読み解けるかは不明だ。  もし建設主体がJRTT鉄道・運輸機構ならば、事前に手厚く説明をして、ここまでこじれてはいなかっただろう。  国が東海道新幹線の限界を把握し、もっと早く中央新幹線に着手していれば、JR東海が直接建設することはなかったし、静岡県とこじれることもなかっただろう。その意味では国にも責任がある』、「国が東海道新幹線の限界を把握し、もっと早く中央新幹線に着手していれば、JR東海が直接建設することはなかったし、静岡県とこじれることもなかっただろう。その意味では国にも責任がある」、「国にも責任がある」とは初めて知ったが、正論だ。

第四に、4月14日付け文春オンラインが掲載した杉山 淳一氏による「川勝平太知事の辞任で「静岡県vs.JR東海」の対決構図は終わるのか 反リニア新幹線で固めた「専門家会議問題」も…」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/70207
・『リニア新幹線問題を考えるうえで重要なのは、川勝平太知事のJRとの対決姿勢が一定程度静岡県民に支持されていたという事実だろう。  筆者の友人の静岡県出身者によると、静岡県民のJR東海に対する好感度は他県よりも低いようだ。「のぞみを静岡に停めてほしい」「東海道新幹線に静岡空港駅を作ってほしい」という要望をJR東海は却下していたことが理由だという』、「静岡県民のJR東海に対する好感度は他県よりも低いようだ。「のぞみを静岡に停めてほしい」「東海道新幹線に静岡空港駅を作ってほしい」という要望をJR東海は却下していたことが理由」、「川勝知事」の反対の背後には県民の支持があったとは初めて知った。
・『「静岡県vs JR東海」という構図での煽りあいが勃発   のぞみの静岡停車については、「のぞみ通行税」としても話題になった。2002年の静岡県議会で「通過するだけののぞみとひかりの乗車人数に応じて地方税を課したらどうか」という議論があり、当時の石川嘉延静岡県知事が「検討に値する」と答弁したのだ。  静岡空港駅の地下を通る東海道新幹線に駅を設置する運動も県をあげて実施し、調査予算も計上していた。  静岡県内には熱海、三島、新富士、静岡、掛川、浜松と6つの新幹線停車駅があり、沿線都府県でもっとも多い。すでに東海道新幹線に優遇された県ともいえる。しかし需要バランスも均衡しており、どれか1つを主要駅としてまとめられないという事情があり、JR東海はリニア中央新幹線の開通後は東海道新幹線の静岡県駅停車を増やすと説明している。  しかし静岡空港駅はJR東海にとって需要がない。そもそも、運営がうまくいっていない静岡空港駅を活性化するために生まれた案であり、JR東海の責任はない。  川勝知事は、静岡空港を首都圏の第三空港にしたいと発言したことがある。成田、羽田につぐ首都圏の第三空港となれば、国の支援も受けやすくなることを見越してのことだろう。そしてそのためには、東海道新幹線の駅を作って東京へのアクセスを良くしたい、ということだ。  とはいえJR東海から見れば、静岡県が首都圏第三空港になってから新幹線の駅を作るかを検討したいところだろう。そこで話は止まっていた。  静岡県民の中にうっすらとあった「JR東海が言うことを聞いてくれない」という感情を知っているからこそ、地元紙の静岡新聞は“県民の側”に立ち、専用のSNSアカウントまで作ってJR東海批判を繰り広げた。  大井川の水量問題は、静岡県の「命の水」の危機として対立を煽る報道は全国紙やテレビなどに伝播し「静岡県vs JR東海」の構図は鮮明になっていった』、「川勝知事は、静岡空港を首都圏の第三空港にしたいと発言したことがある。成田、羽田につぐ首都圏の第三空港となれば、国の支援も受けやすくなることを見越してのことだろう。そしてそのためには、東海道新幹線の駅を作って東京へのアクセスを良くしたい、ということだ。  とはいえJR東海から見れば、静岡県が首都圏第三空港になってから新幹線の駅を作るかを検討したいところだろう。そこで話は止まっていた・・・大井川の水量問題は、静岡県の「命の水」の危機として対立を煽る報道は全国紙やテレビなどに伝播し「静岡県vs JR東海」の構図は鮮明になっていった」、なるほど。
・『知事の真のゴールはリニア新幹線が「静岡県内を通らないこと」   いま思えば、川勝知事にとっての真のゴールは「静岡県内を通らないこと」だったのだろう。だからこそ「リニア中央新幹線には賛成の立場」なのだ。しかしJR東海から良い返事がなければ国土交通省へ要請し、国土交通省が要求を蹴れば環境省へ赴く。そうやって実際の工事はどんどん遅れていった。  静岡県の働きかけに応じて、国土交通省はリニア中央新幹線の「水問題」「生物環境問題」について「有識者会議」を立ち上げた。当初は国もJR東海に対して「きちんと説明するように」と指示していたが、それでは収まらないという判断だ。  2020年から13回にわたる長い議論の末、水問題に関しては「JR東海の考え方、対処によって中流下流域に影響なし」という「中間報告」を出した。ちなみに中間報告は行政用語で「議論終了」を意味する。 「生物環境問題」も有識者会議によって、22年6月8日から14回にわたり検討された。該当地域の生物環境は地下水ではなく地表から浅いところの表層水で維持されていることがわかった。  ただし、自然環境は「なにがおきるかわからない」不確実性があるため、35の沢のうちトンネルと交差する11の沢を選び、トンネル側に水が流出しないように凝固剤で固めることとした。その上で、定期的に現地調査を行う「順応的管理」を実施する。これは遠隔モニターではなく、実際に登山して調査するという。これも決着である。  最後の「トンネル掘土」の置場について、JR東海は山中の3カ所を選定した。土地所有者とも合意済みで、山奥のためダンプカーが人里を走ることもない。重金属など毒性のある成分を含む「要対策土」は遮水シールドで密封する。また、降雨時は排水をまとめて水質を検査し、基準を満たす水を川へ流す。  この対策について静岡市の難波喬司市長も「JR東海の設置方法で概ね問題ない」と表明した。難波氏は、国土交通省で港湾局災害対策室長を務めた技術官僚出身である。  川勝知事は「その場所は深層崩壊の懸念がある」と反発したが、難波市長は「盛り土はむしろ下流域への崩壊を防ぐ。大規模な土砂崩れの予測と対策は河川管理者の県の責任」でありJR東海は責任を負わないという見解を示した。そもそも鉄道の盛り土は「ただの土砂捨て場」ではない。東海道新幹線だって盛土の部分はたくさんある。盛り土は鉄道技術による「建築物」なのだ。  これで静岡県が懸念する「水問題」「環境問題」「盛り土問題」は解決したことになる』、「国土交通省はリニア中央新幹線の「水問題」「生物環境問題」について「有識者会議」を立ち上げた。当初は国もJR東海に対して「きちんと説明するように」と指示していたが、それでは収まらないという判断だ。  2020年から13回にわたる長い議論の末、水問題に関しては「JR東海の考え方、対処によって中流下流域に影響なし」という「中間報告」を出した。ちなみに中間報告は行政用語で「議論終了」を意味する・・・静岡市の難波喬司市長も「JR東海の設置方法で概ね問題ない」と表明した。難波氏は、国土交通省で港湾局災害対策室長を務めた技術官僚出身である。  川勝知事は「その場所は深層崩壊の懸念がある」と反発したが、難波市長は「盛り土はむしろ下流域への崩壊を防ぐ。大規模な土砂崩れの予測と対策は河川管理者の県の責任」でありJR東海は責任を負わないという見解を示した。そもそも鉄道の盛り土は「ただの土砂捨て場」ではない。東海道新幹線だって盛土の部分はたくさんある。盛り土は鉄道技術による「建築物」なのだ。  これで静岡県が懸念する「水問題」「環境問題」「盛り土問題」は解決したことになる」、なるほど。
・『反リニア中央新幹線で固めた専門家会議の行方は…   しかし静岡県は国の有識者会議の結論を受けて「2019年に提出したJR東海との対話を要する事項47項目のうち、30項目が終わっていない」とし、引き続き県が独自に結成した専門家会議で議論すると主張した。これでは甲子園で優勝校が決まったのに、もう一度地方予選をやらないと結果を認めないというようなものだ。あるいは、最高裁で判決が出たのに、もういちど地方裁判所に訴えるというべきか。  しかし、川勝知事の突然の辞任によって静岡県庁はハシゴを外された形になった。こんどは静岡県庁の引っ込みが付かない。反リニア中央新幹線で固めた専門家会議をどうクリアしていくかは今後の課題になる。  国の有識者会議の検討と同時期に、JR東海は大井川流域の人々に説明会を開いて事業への理解を求めていた。もっと早くやっておくべきだったとも言えるが、川勝知事が2018年に「JR東海との交渉を知事戦略室に集約する」として、JR東海と流域の直接対話を禁じていた経緯もある。説明会の後、流域の自治体は少しずつJR東海に理解を示し、「県は情報を伝えてくれなかった」「県の話とは違う」という声が出始めていた。  この頃から、川勝知事の不規則な発言が増えている。「静岡工区だけが遅れているわけではない。他の工区も遅れている」と神奈川県を批判して神奈川県知事に反論されたこともある。確かに他の工区も遅れているが、静岡工区は「着工できていない」状態だ。この差は大きい。  リニア中央新幹線の部分開業について、JR東海などは東京~名古屋間を指しているけれども、川勝氏は東京~甲府間を指し「JR東海も部分開業と言っている」と発言した。国のモニタリング会議は有識者会議の状況を確認する会議であるところ、川勝氏は「JR東海の素行をモニタリングする」ような勘違いと思われる発言もした。もはや報道する側も川勝知事の本意がつかめない様子だった。 長く鉄道取材を続けてきた人間として、静岡県はリニア中央新幹線の着工の可否という段階を終わらせて、補償の形を詰める段階に入るべきだと思う。川勝知事の後を決める選挙で、候補者にはぜひ国の有識者会議の結果を受け入れるか、反発を続けていくかを明確にして県民の意見を問うてほしいものだ。  選挙で静岡県民がどのような判断をするかはともかく、次の静岡県知事は、川勝氏より話が通じる人であってほしいと願わずにはいられない』、「JR東海は大井川流域の人々に説明会を開いて事業への理解を求めていた。もっと早くやっておくべきだったとも言えるが、川勝知事が2018年に「JR東海との交渉を知事戦略室に集約する」として、JR東海と流域の直接対話を禁じていた経緯もある。説明会の後、流域の自治体は少しずつJR東海に理解を示し、「県は情報を伝えてくれなかった」「県の話とは違う」という声が出始めていた・・・川勝知事の後を決める選挙で、候補者にはぜひ国の有識者会議の結果を受け入れるか、反発を続けていくかを明確にして県民の意見を問うてほしいものだ。  選挙で静岡県民がどのような判断をするかはともかく、次の静岡県知事は、川勝氏より話が通じる人であってほしいと願わずにはいられない」、その通りだ。

第五に、4月15日付け東洋経済オンライン「静岡リニア「開業10年遅れ」JR東海の経営大丈夫? 突然辞任、川勝知事の「置き土産」が及ぼす影響」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/747607
・『静岡県の川勝平太知事が4月10日、県議会の中沢公彦議長に辞表を提出した。1日、県庁の新入職員への訓示で職業差別と取られかねない発言をしたことが辞任の引き金となったが、3日の辞任会見や10日の定例記者会見では、「リニア中央新幹線の問題に一区切りついた」ことも辞任の理由の1つに挙げた』、興味深そうだ。
・『リニア問題「一区切り」とは?  「一区切り」とは何を指すのか。川勝知事が静岡工区の着工を認めない根拠の1つとしてきた南アルプスの生物多様性への影響などについて、県は「47項目のうち30項目で対話が終わっていない」としているので、この問題ではない。「一区切り」とは、3月29日に国土交通省で開催されたモニタリング会議でJR東海の澤田尚夫常務執行役員が「静岡工区の着工から開業まで10年程度かかる」と説明したことだ。今すぐ着工しても品川―名古屋間の開業は2034年となる。さらに、矢野弘典座長から静岡工区の工事の進め方について問われると、高速長尺先進ボーリングに3~6カ月、工事ヤードの整備に6カ月、トンネル掘削工事に10年程度、ガイドウェイ設置工事などについて2年程度かかるという見方を示した。 この発言を受け、川勝知事は3日の会見で「2027年というくびきが外れた。JR東海の事業計画は根本的に崩れた。今から工事を始めても13年弱かかり、静岡工区の完了は2037年になる」と話した。どうやら、JR東海が2027年開業という旗印を下ろしたことをもって、一区切りついたと考えているようなのだ。) ただ、本当にそれが目的であれば、JR東海は2020年6月に2027年の開業が間に合わないことを実質的に認めている。そもそもJR東海は2017年11月に静岡工区の工事契約を締結し、この時点で着工から開業まで10年という見方を示していた。その後、2020年6月に「今月中の着工が2027年開業のギリギリのタイミング」として、川勝知事にトンネル工事の前段階としてヤード整備の許可を願い出た。本来なら全体の工事は10年かかるところ、人材や機材をやりくりしてすべての工程が順調に進めば2027年に間に合う可能性があると判断したためだ。しかし、この提案は拒否され、2020年6月の時点で2027年開業は事実上不可能となった。 2023年12月、JR東海は「2027年」とされていた品川―名古屋間の開業時期を「2027年以降」に変更することを国土交通省に申請し認可を得た。開業が遅れることが「事実上」ではなく、正式に決まった。 川勝知事はこの時点で「JR東海は旗印を下ろした」と宣言してもよかった。しかし、JR東海は具体的な開業時期について明示しなかった。静岡工区がいつ着工できるかわからない以上、明示しないのは当たり前なのだが、なぜか川勝知事は「以降」と書いてあるのだから、「2027年開業の旗印を下ろしていない」と受け止めた。今回、「今から始めても10年かかる」という発言で、川勝知事はようやく「一区切りついた」と納得した』、「今回、「今から始めても10年かかる」という発言で、川勝知事はようやく「一区切りついた」と納得した」、なるほど。
・『工事「13年弱」JR東海は否定  以上のことからわかるとおり、3月29日のJR東海の発言は川勝知事が「一区切り」というほど重要なものでもない。JR東海は「今から工事を始めても10年」の根拠について、2017年時点の計画をそのまま適用しているにすぎない。2020年6月の段階では7年に短縮できる可能性があると考えていたが、長野県内や山梨県内の工事の状況から判断すると現在では短縮は難しいとしている。さらに、川勝知事がそれぞれの手順を単純に足して13年弱としていることについては「並行して進めることができる作業もあるため実際には10年程度」としており、川勝知事の13年という発言を否定している。 静岡のせいでリニア開業が遅れるという批判をかわすため、川勝知事は神奈川県駅(仮称)と山梨県駅(仮称)の間を先行開業させる構想を唱えてきた。リニア問題は一区切りついたと主張する川勝知事に対し、「部分開業させることが目的ではなかったのか」という質問が10日の会見で報道陣から出た。 川勝知事は「私が勝手に言っているわけではない」として、2010年5月に開催された国のリニア中央新幹線小委員会でJR東海が「(神奈川県駅と山梨県駅の間にある山梨リニア)実験線の延伸完成から間断なく(品川―名古屋間の工事に)着手することが重要」と説明していることを踏まえ、「延伸完成とは駅と駅がつながって営業できるようになることを指す」と述べ、部分開業はJR東海のアイデアだとした。しかし、実験線の延伸完成とは2008年に工事が始まり2013年に完成した42.8kmへの延伸工事のことである。この点でも川勝知事の発言は正しくない。 それはさておき、南アルプスの生物多様性の議論を道半ばで放り出し、矢野座長に後を任せるという。では、矢野座長が川勝知事の意に沿う形でモニタリング会議を進めるのだろうか。さすがにそれは考えにくい。NEXCO中日本の元会長として実務経験を持つ矢野座長は3月29日のモニタリング会議でも「小異を捨てて大同につくという精神で進めてほしい」と発言している。小異というのが県が協議が必要と主張する30項目であるのは明らかだ。 川勝知事の辞任に合わせるかのように、県の専門部会が12日、昨年10月以来半年ぶりに開催された。後任知事の意向次第では今後の議論の方向が着工容認に傾く可能性もある。 では、南アルプスの環境などの問題ではなく、JR東海が事業計画を変更したことをなぜ「一区切りついた」というのだろう。その理由として1つ思い当たるのが、富士山静岡空港をめぐる川勝知事とJR東海の確執だ。リニア計画決定前の2010年7月、ルートや経済効果などを検討する国の会議に川勝知事が参加し、東海道新幹線が富士山静岡空港の真下を通っていることを踏まえ、空港に隣接した新駅を設置する提案を行った。2011年5月に同会議がまとめた報告書には東海道新幹線の「新駅設置の可能性」について触れられていた。場所についての記載はないが、川勝知事はリニアが開業すれば空港の真下に新駅ができると信じた』、「南アルプスの生物多様性の議論を道半ばで放り出し、矢野座長に後を任せるという。では、矢野座長が川勝知事の意に沿う形でモニタリング会議を進めるのだろうか。さすがにそれは考えにくい。NEXCO中日本の元会長として実務経験を持つ矢野座長は3月29日のモニタリング会議でも「小異を捨てて大同につくという精神で進めてほしい」と発言している。小異というのが県が協議が必要と主張する30項目であるのは明らかだ・・・リニア計画決定前の2010年7月、ルートや経済効果などを検討する国の会議に川勝知事が参加し、東海道新幹線が富士山静岡空港の真下を通っていることを踏まえ、空港に隣接した新駅を設置する提案を行った。2011年5月に同会議がまとめた報告書には東海道新幹線の「新駅設置の可能性」について触れられていた。場所についての記載はないが、川勝知事はリニアが開業すれば空港の真下に新駅ができると信じた」、なるほど。
・『知事が示した「リニア工事の代償」  川勝知事は空港新駅設置に向け、2015年6月から有識者からなる技術検討委員会をスタートさせた。新駅完成後は県庁の一部機能を空港近くに移転する案まで飛び出した。しかし、JR東海は空港新駅構想には一貫して否定的であり、川勝知事のリニアに対する姿勢も次第に硬化。業を煮やした川勝知事は2016年9月の県議会答弁で、「リニアと既存の新幹線との関係にも念頭を置きながら、JR東海が静岡県のために何ができるか」と発言し、新駅とリニア問題をセットにしてJR東海に働きかけを行っていく意向を示した。それもうまくいかず、その結果が、2017年10月の突然の反対表明である。 2019年6月の定例会見では川勝知事は「リニア工事は静岡県にまったくメリットがなく、工事を受け入れるための“代償”が必要」と発言、具体的な代償の内容について「各県の駅建設費の平均くらいの費用が目安になる」と言い切った。2019年の時点でもまだ新駅にこだわっていたのだ。空港新駅計画をつぶされた腹いせがリニアの事業計画変更という筋書き。このように両者を結びつけるのは、やや強引だろうか。 4月4日、JR東海はリニアに関する今後の発注見通しを発表した。そこには山梨県駅の新設工事の工期が約80カ月、飯田市内に建設される高架橋の工期が約70カ月となっている記載があった。今すぐ契約を締結して工事に着手したとしても工事完了の時期は2030〜2031年ということになる。川勝知事にしてみれば「ほかの工区でも工事が遅れていることが証明された」ということになるが、これも正しい見方とはいえない。静岡工区の完成が遅れることがはっきりした以上、ほかの工区を無理して2027年に完成させる必要はないのだ。) むしろ気になるのは、リニアの開業遅れがJR東海の経営に与える影響だ。 短期的・中期的にはまったく影響ないどころか、財務面ではプラスとなる。東海道新幹線の収益力は高い。コロナ禍前の2018年度におけるJR東海の運輸セグメントの業績は売上高1兆4613億円に対して営業利益は6648億円だった。売上高営業利益率は45.4%である。ここから在来線の収支を差し引いた東海道新幹線の利益率がさらに高いことは、容易に想像できる。 コロナ禍の影響が残る2023年度の業績予想においても運輸セグメントの売上高1兆3670億円、営業利益4980億円。リニア計画を作成した時点の運輸セグメントの収支見通し(2006〜2010年度業績予想の5年平均)は売上高1兆2049円、営業利益3485億円なので、リニア開業前の収支想定を大きく上回っている。今後コロナ禍の影響が減れば収支は2018度の実績に近づいていく。収支が想定を上回っているだけでなく、リニア開業が10年遅れれば、JR東海は東海道新幹線で得た利益を内部留保する期間が10年延びる。2008年度から2018年度の10年間でJR東海の利益剰余金は2兆円以上増えた。今後もそのペースで蓄積できれば、財務面での安定性は増す』、「リニアの開業遅れがJR東海の経営に与える影響だ。 短期的・中期的にはまったく影響ないどころか、財務面ではプラスとなる。東海道新幹線の収益力は高い・・・リニア計画を作成した時点の運輸セグメントの収支見通し・・・は売上高1兆2049円、営業利益3485億円なので、リニア開業前の収支想定を大きく上回っている。今後コロナ禍の影響が減れば収支は2018度の実績に近づいていく。収支が想定を上回っているだけでなく、リニア開業が10年遅れれば、JR東海は東海道新幹線で得た利益を内部留保する期間が10年延びる。2008年度から2018年度の10年間でJR東海の利益剰余金は2兆円以上増えた。今後もそのペースで蓄積できれば、財務面での安定性は増す」、開業の遅れれば、「東海道新幹線で得た利益を内部留保する期間が10年延びる」、「JR東海」にとっては好ましい結果だ。
・『「開業10年遅れ」が生む懸念  しかし、長期的には話が違ってくる。リニアが開業すれば工事費用の減価償却が始まる。品川―名古屋間だけで約7兆円の工事費がかかる。車両や橋梁など固定資産の種類によって償却期間はさまざまだが、仮に全額をトンネルの税務上の耐用年数である60年で定額償却すれば毎年1166億円の減価償却費が発生する。そのため、リニア開業前の利益水準を下回る可能性がある。その後は名古屋開業後に連続して行われる名古屋―新大阪間の工事費用の減価償却が控えている。これらの点はリニアの事業計画に織り込み済みだが、想定外の事態としては開業が10年遅れると、総額3兆円の財政投融資の返済時期と重なってしまう。 返済期限は2055年から2056年にかけて。JR東海は「10年程度かけて返済する」としており、2046年頃から返済を始める計画だ。本来のスケジュールであれば2046年とは大阪開業から9年経ち、経営が安定している時期である。しかし、開業が10年以上遅れた場合、開業直前の資金需要が増える時期と財政投融資の返済時期が重なる可能性がある。この点についてJR東海に問い合わせると、「返済額は金融機関からの借り換えなどで対応し、健全経営と安定配当を堅持する」と回答した。 さらに怖いのは、東京―名古屋―大阪という日本の大動脈輸送の二重系化の完成が遅れることだ。リニアが完成しないことには東海道新幹線は長期間にわたる部分運休を伴う大規模な改修工事は難しいし、リニアの完成前に大規模な大災害が発生して東海道新幹線が寸断されれば、JR東海の収入は激減する。最悪の場合、それが借り換え計画に影響を及ぼす可能性するある。JR東海としては、川勝知事の「手柄」であるリニア開業10年遅れの間に巨大災害が起きないことを祈るばかりであろう』、「さらに怖いのは、東京―名古屋―大阪という日本の大動脈輸送の二重系化の完成が遅れることだ。リニアが完成しないことには東海道新幹線は長期間にわたる部分運休を伴う大規模な改修工事は難しいし、リニアの完成前に大規模な大災害が発生して東海道新幹線が寸断されれば、JR東海の収入は激減する。最悪の場合、それが借り換え計画に影響を及ぼす可能性するある。JR東海としては、川勝知事の「手柄」であるリニア開業10年遅れの間に巨大災害が起きないことを祈るばかりであろう」、その通りだ。

第六に、4月21日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの宮原 健太氏による「自民党がさらなる窮地へ…? 川勝知事の後任選挙の「驚きの実態」 明らかになってきた調査結果」を紹介しよう。
・『与野党対決の選挙  「野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノを作ったりとは違って、皆様方は頭脳、知性の高い方たちです」 新年度早々、静岡県庁の新入職員に対する訓示で、とんでもない職業差別的な発言をして電撃辞職することとなった川勝平太知事。 5月9日告示、26日投開票と短期決戦で行われる知事選を巡っては、4月18日に自民党が元副知事の大村慎一氏を、立憲民主党と国民民主党が元浜松市長の鈴木康友氏を推薦する方針を固め、与野党対決の構図が決まった。 永田町では自民と立憲が知事選に向けて実施した情勢調査の内容が出回っている。 自民党が実施した調査によると鈴木氏が39.9ポイントを獲得し、大村氏の29.3ポイントから10ポイント以上リード。 立憲が実施した調査でも鈴木氏が28.2ポイントを獲得し、大村氏の20.9ポイントに対して差をつけている。 調査結果を見て永田町関係者は「もともと衆議院議員や浜松市長を歴任してきた鈴木氏が知名度で優っている分、数字が良く出ているのだろう」と分析した。 一般的に短期決戦で行われる選挙では、すでに地域に浸透している知名度の高い候補が有利となる。 今回の発言があった当初、川勝氏は6月議会冒頭で辞職する意向を示していたが、「県政の空白を短くする」として辞表提出を4月10日に前倒し。 その背景には、知事選の投開票までの期間を短くすることで、鈴木氏が有利になるよう取り計らったという事情もあったという。) こうした舞台作りのために働きかけたとされているのが、浜松市に本社を置くスズキの相談役、鈴木修氏だ。 「鈴木修氏は川勝氏や鈴木康友氏を支援してきており、自身の意中の人物が次の知事となるように調整したのだろう」と永田町関係者は語る。 それに対して自民は大村氏側に付き、非自民として活動してきた川勝氏なきあとの知事の座奪還を目指す。 自民県連の増田享大幹事長は4月18日、大村氏を支援する理由について「全県的な視点で課題を捉えている」と話したが、浜松市の地域色がついている鈴木氏よりも、大村氏のほうが県内全域からの支持が得やすいと踏み、形勢逆転を目指していく戦略のようだ。 もし自民が「全敗」したら… 急転直下の辞任劇から、5月投開票という短期決戦となった静岡県知事選。 与野党対決となったことを受けて、4月28日投開票の衆院3補選に続いて、岸田政権の求心力や、与野党の力関係を測るバロメーターとしても機能することになりそうだ。 もし、自民党が3補選で全敗を喫し、静岡県知事選でも敗れることとなれば、岸田政権にとっては大きな痛手となり、国政運営や解散戦略、今年9月の自民党総裁選にも影響が生じ得るだろう。 奇しくも静岡県は、自民党を揺るがす裏金問題において、安倍派座長として離党勧告を受けた塩谷立衆院議員のお膝元でもある。 地域の課題に加えて、国政の問題も様々問われる中で、静岡県民はどちらの候補を選ぶか判断を迫られることとなる。 さらに【つづき】「自民党がいよいよ窮地へ…ナンバー2・茂木幹事長がついに口にした「驚愕のひと言」」の記事では、自民党がいま迎えている大きな危機について報じている』、「自民党が元副知事の大村慎一氏を、立憲民主党と国民民主党が元浜松市長の鈴木康友氏を推薦する方針を固め、与野党対決の構図が決まった・・・自民党が実施した調査によると鈴木氏が39.9ポイントを獲得し、大村氏の29.3ポイントから10ポイント以上リード。 立憲が実施した調査でも鈴木氏が28.2ポイントを獲得し、大村氏の20.9ポイントに対して差をつけている」、「鈴木康友氏」のリニア問題への姿勢はまだ不明だが、「スズキの相談役、鈴木修氏」がバックにいるようなので、少なくとも中立だろう。「JR東海」としては一安心だろう。
タグ:(その10)(川勝知事知事6題:川勝知事がリニア問題の解決策などすべて放り投げて辞職…そのヤバすぎる「正体」、川勝知事が残した“最悪の置き土産”…意味のなかった「リニア騒動」の全貌、川勝平太知事が「リニア中央新幹線」反対姿勢を強めた2013年に何があったのか、静岡リニア「開業10年遅れ」JR東海の経営大丈夫? 突然辞任、川勝知事の「置き土産」が及ぼす影響、自民党がさらなる窮地へ…? 川勝知事の後任選挙の「驚きの実態」) 小林 一哉氏による「静岡・川勝知事がリニア問題の解決策などすべて放り投げて辞職…そのヤバすぎる「正体」」 リニア新幹線 現代ビジネス 「2018年夏から、静岡県とJR東海との『対話』が始まったが、現在まで何らの進展も見られない」、そんなに長く続いているとは、改めて問題の深刻さを再認識した。 「リニア問題に関してこれを放り出すことはできない。どのような道筋が描けるか、これが本県にとって重要課題だ。国のリニア静岡工区モニタリング会議座長の矢野(弘典)さんを信じている。まかせられる。モニタリングは、工事の日程、事業計画と不可分であるというのが矢野さんの意見だ。ここでやっていければいい。矢野さんにバトンタッチできる」 などと何度も矢野座長の名前を挙げた」、「矢野座長」の考え方はどうなのだろう。 小林 一哉氏による「川勝知事が残した“最悪の置き土産”…意味のなかった「リニア騒動」の全貌 『知事失格』のらく印が押されたまま」 「塩坂委員が「畑薙山断層帯は非常に弱い地層であり、大量の突発湧水が出る恐れがある」などと警告した。 塩坂委員は、トンネル建設予定地の断層は「背斜構造となっていて力の掛かり具合が複雑であり、地下水枯渇の恐れがある」などの持論を披露して、地下トンネル建設に強い疑問を投げ掛けた。これが県専門部会委員の役割」、なるほど。 「川勝知事は、南アルプスの工事現場視察で、リニア問題の解決へはほど遠い発言を繰り返し、翌日の期成同盟会総会での「スピード感を持った課題解決」とは真逆の発言をしている」、どちらが本音なのだろう。 「その後も、筆者はウェブ記事を中心に川勝知事のさまざまな「嘘」を紹介してきたが、川勝知事から何らかの対応を受けたことはない。 川勝知事による「リニア騒動」はいったい、何だったのか、5年余という、あまりにもムダな時間が流れた。 結局、拙著の題名通り『知事失格』のらく印が押されたまま退場することになった」、その通りだ。 文春オンライン「川勝平太知事が「リニア中央新幹線」反対姿勢を強めた2013年に何があったのか「JR東海は本当にやってくれるのか」という不信の始まりは…」 「JR東海が発足する1987年よりも前のことだから、日本鉄道建設公団が建設し、国鉄が営業主体になる計画だった。しかし国鉄の赤字問題の影響で整備計画が作られないまま、構想は塩漬け状態にあった」、なるほど。 「これらの新幹線が開通しないと、次の新幹線に着手できない。だから中央新幹線はずっと待たされていた。それにしびれを切らしたJR東海が「自分でやります。自己資金でやります」と手を挙げたことで計画は動き出した・・・2つ切実な理由があった。  1つは東海道新幹線の輸送量がパンクしかけていたこと。東名阪の移動需要が旺盛で、「のぞみ」を増発しても追いつかない。なんとか1時間にのぞみ12本を運行する「のぞみ12本ダイヤ」までたどり着いたけれど、これが増発の限界だ。「ひかり」や「こだま」も増やしたいところだが、「のぞみ」 を増発しても追いつかない。なんとか1時間にのぞみ12本を運行する「のぞみ12本ダイヤ」までたどり着いたけれど、これが増発の限界だ。「ひかり」や「こだま」も増やしたいところだが、「のぞみ」が優先されていた。  もう1つは、東海道新幹線の老朽化だ。開業から半世紀が過ぎて、トンネルや鉄橋などの構造物は抜本的な点検、改修が必要になってきた。国鉄時代にも水曜日などに半日運休を実施して若返り工事を実施していたが、昨年の災害運休の後に起きた大混雑を見れば判るように、もはや半日運休にすることすら許されない輸送量なのだ」、 なるほど。 「JR東海は、では道路を拡幅しましょうと言ってすぐ実行する。スピード感があるし、地元としても広い道路が残る。結果としては良いのだけれども、お金で解決して地元を納得させるというやりかたになっている」  地元とのコミュニケーションが希薄なまま工事を進めようとする反動がもっとも大きく出た場所が静岡工区といえる。環境アセスメントが終わってから着工までには、河川や道路などについて地域の自治体から許可をもらう必要がある。鉄建公団には「地域を説得する」という地道な努力とノウハウがあったが、残念ながら新幹線建設が初めての JR東海にはその知見がなかった。  いままでの整備新幹線が、環境アセスメントが終わればスムーズに着工できたのは、鉄建公団~JRTT鉄道・運輸機構の実績と信頼による。  残土問題や、川や地下水の水涸れ問題は今までもあったが、地元と話し合って、自治体と共同して補償もしてきた。西九州新幹線の時も渇水が起きたが、トンネルからの導水管や新たな井戸を掘って水田に放水している。その実績と信頼があった。 しかしJR東海は地元との対話が少なく、新幹線を作った実績がないので信用度も低い。静岡県の心配は「本当にやってくれるのか」という点だった」、「JR東海」には、「鉄建公団」のような「ノウハウ」がなく、「地元との対話が少なく」、「新幹線を作った実績がないので信用度も低い。静岡県の心配は「本当にやってくれるのか」という点」、なるほど。 「国が東海道新幹線の限界を把握し、もっと早く中央新幹線に着手していれば、JR東海が直接建設することはなかったし、静岡県とこじれることもなかっただろう。その意味では国にも責任がある」、「国にも責任がある」とは初めて知ったが、正論だ。 文春オンライン 杉山 淳一氏による「川勝平太知事の辞任で「静岡県vs.JR東海」の対決構図は終わるのか 反リニア新幹線で固めた「専門家会議問題」も…」 「静岡県民のJR東海に対する好感度は他県よりも低いようだ。「のぞみを静岡に停めてほしい」「東海道新幹線に静岡空港駅を作ってほしい」という要望をJR東海は却下していたことが理由」、「川勝知事」の反対の背後には県民の支持があったとは初めて知った。 「川勝知事は、静岡空港を首都圏の第三空港にしたいと発言したことがある。成田、羽田につぐ首都圏の第三空港となれば、国の支援も受けやすくなることを見越してのことだろう。そしてそのためには、東海道新幹線の駅を作って東京へのアクセスを良くしたい、ということだ。  とはいえJR東海から見れば、静岡県が首都圏第三空港になってから新幹線の駅を作るかを検討したいところだろう。そこで話は止まっていた・・・大井川の水量問題は、静岡県の「命の水」の危機として対立を煽る報道は全国紙やテレビなどに伝播し「静岡県vs JR東海」の構 図は鮮明になっていった」、なるほど。 「国土交通省はリニア中央新幹線の「水問題」「生物環境問題」について「有識者会議」を立ち上げた。当初は国もJR東海に対して「きちんと説明するように」と指示していたが、それでは収まらないという判断だ。  2020年から13回にわたる長い議論の末、水問題に関しては「JR東海の考え方、対処によって中流下流域に影響なし」という「中間報告」を出した。ちなみに中間報告は行政用語で「議論終了」を意味する・・・ 静岡市の難波喬司市長も「JR東海の設置方法で概ね問題ない」と表明した。難波氏は、国土交通省で港湾局災害対策室長を務めた技術官僚出身である。  川勝知事は「その場所は深層崩壊の懸念がある」と反発したが、難波市長は「盛り土はむしろ下流域への崩壊を防ぐ。大規模な土砂崩れの予測と対策は河川管理者の県の責任」でありJR東海は責任を負わないという見解を示した。そもそも鉄道の盛り土は「ただの土砂捨て場」ではない。東海道新幹線だって盛土の部分はたくさんある。盛り土は鉄道技術による「建築物」なのだ。  これで静岡県が懸念す る「水問題」「環境問題」「盛り土問題」は解決したことになる」、なるほど。 「JR東海は大井川流域の人々に説明会を開いて事業への理解を求めていた。もっと早くやっておくべきだったとも言えるが、川勝知事が2018年に「JR東海との交渉を知事戦略室に集約する」として、JR東海と流域の直接対話を禁じていた経緯もある。説明会の後、流域の自治体は少しずつJR東海に理解を示し、「県は情報を伝えてくれなかった」「県の話とは違う」という声が出始めていた・・・川勝知事の後を決める選挙で、候補者にはぜひ国の有識者会議の結果を受け入れるか、反発を続けていくかを明確にして県民の意見を問うてほしいものだ。 選挙で静岡県民がどのような判断をするかはともかく、次の静岡県知事は、川勝氏より話が通じる人であってほしいと願わずにはいられない」、その通りだ。 東洋経済オンライン「静岡リニア「開業10年遅れ」JR東海の経営大丈夫? 突然辞任、川勝知事の「置き土産」が及ぼす影響」 「今回、「今から始めても10年かかる」という発言で、川勝知事はようやく「一区切りついた」と納得した」、なるほど。 「南アルプスの生物多様性の議論を道半ばで放り出し、矢野座長に後を任せるという。では、矢野座長が川勝知事の意に沿う形でモニタリング会議を進めるのだろうか。さすがにそれは考えにくい。NEXCO中日本の元会長として実務経験を持つ矢野座長は3月29日のモニタリング会議でも「小異を捨てて大同につくという精神で進めてほしい」と発言している。小異というのが県が協議が必要と主張する30項目であるのは明らかだ・・・ リニア計画決定前の2010年7月、ルートや経済効果などを検討する国の会議に川勝知事が参加し、東海道新幹線が富士山静岡空港の真下を通っていることを踏まえ、空港に隣接した新駅を設置する提案を行った。2011年5月に同会議がまとめた報告書には東海道新幹線の「新駅設置の可能性」について触れられていた。場所についての記載はないが、川勝知事はリニアが開業すれば空港の真下に新駅ができると信じた」、なるほど。 「リニアの開業遅れがJR東海の経営に与える影響だ。 短期的・中期的にはまったく影響ないどころか、財務面ではプラスとなる。東海道新幹線の収益力は高い・・・リニア計画を作成した時点の運輸セグメントの収支見通し・・・は売上高1兆2049円、営業利益3485億円なので、リニア開業前の収支想定を大きく上回っている。今後コロナ禍の影響が減れば収支は2018度の実績に近づいていく。収支が想定を上回っているだけでなく、リニア開業が10年遅れれば、JR東海は東海道新幹線で得た利益を内部留保する期間が10年延びる。 2008年度から2018年度の10年間でJR東海の利益剰余金は2兆円以上増えた。今後もそのペースで蓄積できれば、財務面での安定性は増す」、開業の遅れれば、「東海道新幹線で得た利益を内部留保する期間が10年延びる」、「JR東海」にとっては好ましい結果だ。 「さらに怖いのは、東京―名古屋―大阪という日本の大動脈輸送の二重系化の完成が遅れることだ。リニアが完成しないことには東海道新幹線は長期間にわたる部分運休を伴う大規模な改修工事は難しいし、リニアの完成前に大規模な大災害が発生して東海道新幹線が寸断されれば、JR東海の収入は激減する。最悪の場合、それが借り換え計画に影響を及ぼす可能性するある。JR東海としては、川勝知事の「手柄」であるリニア開業10年遅れの間に巨大災害が起きないことを祈るばかりであろう」、その通りだ。 宮原 健太氏による「自民党がさらなる窮地へ…? 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リニア新幹線(その9)(「知性格差」5題:早稲田を出てオックスフォード大学で博士号を取得…静岡・川勝知事「職業差別」発言に隠された日本の「知性格差」という問題、「江戸時代の日本人の識字率は世界イチ」という説は「嘘」だった…!882人調査から読み解く、日本の「知性格差」、日本人の「2人に1人」は自分の名前さえ書けなかった…!?明治期時代の日本の「知的格差」驚きの実態、「日本人の識字率は極めて高かった」という「神話」はなぜ生まれたのか…1948年 GHQが命じた「大規模調査」の結果を再検証、多くの日本人は「確 [産業動向]

リニア新幹線については、本年1月4日に取上げた。今日は、(その9)(「知性格差」5題:早稲田を出てオックスフォード大学で博士号を取得…静岡・川勝知事「職業差別」発言に隠された日本の「知性格差」という問題、「江戸時代の日本人の識字率は世界イチ」という説は「嘘」だった…!882人調査から読み解く、日本の「知性格差」、日本人の「2人に1人」は自分の名前さえ書けなかった…!?明治期時代の日本の「知的格差」驚きの実態、「日本人の識字率は極めて高かった」という「神話」はなぜ生まれたのか…1948年 GHQが命じた「大規模調査」の結果を再検証、多くの日本人は「確率」という概念を正しく理解できない…日本社会にひそむ「教育水準の格差」の現実)である。明日は、川勝知事に関連したテーマを取上げる予定である。

先ずは、4月12日付け現代ビジネスが掲載した佐藤 喬氏による「早稲田を出てオックスフォード大学で博士号を取得…静岡・川勝知事「職業差別」発言に隠された日本の「知性格差」という問題」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/127652?imp=0
・『「差別発言」の内容を分解してみると…  静岡県の川勝平太知事が新規採用職員に向けて述べた訓示に、特定の職業を指して「知性が低い」などとする差別的発言が含まれていたとして広く批判された。川勝は、当初は新聞報道の「切り取り」のせいだなどと述べて頑張ったが、まもなく辞職を表明した。 訓示の全文を確認すると、「知性」のくだりで川勝が言いたかったらしいことは、大きく次の三点に要約できそうだ。 1(県庁勤務者は)勉強して知性を磨くべきである 2 知性の程度には個人差がある(「自分の知性がこの人に及ばないなと思っても……」) 3 第一・二次産業従事者は知性が低い(「野菜を売ったり、あるいは牛の世話をしたりとか、あるいはモノを作ったりとかということと違って、基本的に皆様方は頭脳・知性の高い方たちです」) 問題になったのは3の発言で、批判されるのは当然である。だが、1と2についてはどうだろうか。 1について批判する者はいないだろう。知性に価値があることや勉強の必要性は常識とされ、すべての学校では勉強が推奨されている。2は公の場での発言としては微妙だが、内心でこう考えている人間は多そうだ。3の発言がなく、1と2だけだったら、おそらく辞任は免れたのではないか』、「3の発言がなく、1と2だけだったら、おそらく辞任は免れたのではないか」、なるほど。
・『そもそも「知性」とは何か  朝日新聞は4月5日の社説で川勝発言を批判したが、1の点はもちろん、2についても批判することを慎重に避けた印象を受ける。そして「社会の一員としてそれぞれの日々を懸命に生きる他者の知性のあり方に、敬意を持って欲しい。」と書いているが、この一文はむしろ、知性の質や量に個人差があることを匂わせている。 だが、もしそうだとしても、「他者の知性のあり方」とは具体的にどのようなものか。 川勝はもともとは経済学者で、学部と修士課程では早稲田大学で学び、その後オックスフォード大学で博士号を得ている。いかにも「知性」の高そうな経歴だが、そもそも知性とはなんだろうか。 知性に大きな価値があり、さらにもし知性に個人差があるなら、我々の中にも川勝と同じ、知性によって他者を差別する気分が潜んでいたりはしないか? あいまいであるにも関わらず、現代社会で圧倒的な価値を持ってしまった「知性」の実態に、客観的な資料から迫ってみよう。 たとえば、知的な能力の基盤ともいえる読み書き能力については、少しだけデータが残されているようだ。 『「江戸時代の日本人の識字率は世界イチ」という説は「嘘」だった…!882人調査から読み解く、日本の「知性格差」』に続く』、「あいまいであるにも関わらず、現代社会で圧倒的な価値を持ってしまった「知性」の実態に、客観的な資料から迫ってみよう」、なるほど… 

次に、4月12日付け現代ビジネスが掲載した佐藤 喬氏による「「江戸時代の日本人の識字率は世界イチ」という説は「嘘」だった…!882人調査から読み解く、日本の「知性格差」」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/127653?imp=0
・『江戸の庶民は文字が読めた?  まるで人間のような自然な作文をするAIが話題になった2023年、いくつかの新聞が、「読み書き」を巡る目立たないニュースを報じた。それは、国立国語研究所(東京)が、1948年以来実に75年ぶりに、全国的な識字率の調査を試みているというものだ。 誰もが読み書きできるはずのこの日本で、どうしてわざわざ識字率などを調べるのか。そう感じる日本人は多いと思われる。記事のひとつで国立国語研究所准教授の野山広が言うように、日本では「読み書きができない人はほぼいないと長く信じられてきた」からだ。 だが、野山も言うように、それは「共同幻想」である。 「日本人なら誰でも読み書きができるはず」という幻想は、極めて根強い。どのくらい根強いかというと、時間を遡り、歴史上の事実をも塗り替えたほどだ。 江戸時代や明治時代の日本人の識字率は高かったとか、大半が読み書きできたとか、大胆なものでは識字率が世界一だったとかいう言説をよく目にする。たとえば「江戸文化歴史研究家」を名乗る作家の瀧島有はこう書いている。 「江戸後期、日本は『江戸の町の人口』の他に、もう一つ、世界トップクラスを誇ったものがあります。それは『庶民』の識字率。全国平均では約60%以上、江戸の町では約70%以上でした。江戸の町の『実際』は、おそらく約80%以上だろうと言われています」 こういった認識は半ば常識になっているが、結論を先に書けば、誤りである、もしくは著しく誇張されていることが研究によって明らかになっている。こういった俗論は主に1970年代以降、ロナルド・ドーアらによる寺子屋教育の過大評価などによって広まったらしいが、実はドーア本人は後にその見解を訂正している(『日本人のリテラシー』リチャード・ルビンジャー、柏書房など)』、「世界トップクラスを誇ったものがあります。それは『庶民』の識字率。全国平均では約60%以上、江戸の町では約70%以上でした。江戸の町の『実際』は、おそらく約80%以上だろうと言われています」 こういった認識は半ば常識になっているが、結論を先に書けば、誤りである、もしくは著しく誇張されていることが研究によって明らかになっている」、なるほど。
・『「新聞」を読めたのはたったの1.7%  では、当時の日本人の読み書き能力はどのようなものだったのか。 江戸時代末期の日本人の8割以上は農民だったため、「普通の日本人」の識字能力を知るためには、農民についてのデータが欠かせない。だが、多くの研究者も認めるように、江戸時代はもちろん明治時代に入っても、農民の識字率に関する資料は極めて少ない。 しかし、過去の日本人の識字能力に関心がある者の間では有名な、極めて貴重な資料が一つ残されている。それは、1881年(明治14年)に長野県の北安曇郡常盤村(現・大町市)で、15歳以上の「男子」882人を対象に行われた調査である。 村民の読み書き能力を八段階に分けたこの調査によると、自分の名前や村名さえ読み書きできない者が35.4%存在したらしい。彼らには識字能力がないことになるが、では残りの65%の男子が読み書きできたかというと、まったくそうではない。 生活上の必要があっただろう出納帳を書けるものはなんとか14.5%いたが、「普通ノ書簡」および「証書類」を自分で書けるものはわずか4.4%、社会の動きを知るために必要な「公布達」や「新聞論説」を読めるものに至っては、882人中15名、1.7%しかいない(「近代日本のリテラシー研究序説」島村直己など)。 しかも忘れてはならないのは、この調査は女性を対象外としていた点である。明治時代の識字率には地域によりかなりのばらつきがあるが、女性の識字能力が男性よりも大幅に劣っていた点は全国に共通している。したがって、当時の常盤村の住民全体の読み書き能力は、上の数値よりもかなり落ちる可能性が高い。女性を含めると、村で新聞を読めた人間は1%程度しかいなかったのではないだろうか。 日本人の「2人に1人」は自分の名前さえ書けなかった…!?明治期時代の日本の「知的格差」驚きの実態』に続く…』、「極めて貴重な資料が一つ残されている。それは、1881年(明治14年)に長野県の北安曇郡常盤村(現・大町市)で、15歳以上の「男子」882人を対象に行われた調査である。 村民の読み書き能力を八段階に分けたこの調査によると、自分の名前や村名さえ読み書きできない者が35.4%存在したらしい。彼らには識字能力がないことになるが、では残りの65%の男子が読み書きできたかというと、まったくそうではない。 生活上の必要があっただろう出納帳を書けるものはなんとか14.5%いたが、「普通ノ書簡」および「証書類」を自分で書けるものはわずか4.4%、社会の動きを知るために必要な「公布達」や「新聞論説」を読めるものに至っては、882人中15名、1.7%しかいない』、「自分の名前や村名さえ読み書きできない者が35.4%存在・・・必要な「公布達」や「新聞論説」を読めるものに至っては・・・1.7%しかいない」、一般的に信じられている姿は全く信頼性に欠けるようだ。

第三に、4月12日付け現代ビジネスが掲載した佐藤 喬氏による「日本人の「2人に1人」は自分の名前さえ書けなかった…!?明治期時代の日本の「知的格差」驚きの実態」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/127654?imp=0
・『「江戸時代の日本人の識字率は高かった」「大半が読み書きできた」さらには「日本は識字率が世界一」……こういった言説はネットだけでなく、書籍でも散見される。しかし、本当にそうだったのか。たとえば1881年(明治14年)、長野県の北安曇郡常盤村(現・大町市)にて15歳以上の男子882人を対象に行われた調査では、「証書類」を自分で書けるものはわずか4.4%、社会の動きを知るために必要な「公布達」や「新聞論説」を読めるものに至っては1.7%しかいなかった。引き続き、日本人の「知性格差」についてみていこう。 『「江戸時代の日本人の識字率は世界イチ」という説は「嘘」だった…!882人調査から読み解く、日本の「知性格差」』より続く…』、やはり伝承とは当てにならないものだ。
・『識字率が最も低かった鹿児島県  長野県の北安曇郡常盤村の調査の結果は、決して例外的ではない。当時の他の資料と照らし合わせると、常盤村の住人の読み書き能力は全国的には高い方だった可能性さえある。 常盤村の調査が貴重なのは、読み書き能力を細かく段階に分けた点にあるが、同時期の1890年前後に、当時の文部省が全国の数県で「自署率」、すなわち自分の名前を書けるかどうかの調査を行っている。この調査によると、近江商人の本拠地であり、調査の対象となった県でもっとも識字率が高い滋賀県の男性では90%近くが自分の名前を書けたが、女性では50%前後しかない。 逆に最も識字率が低い鹿児島県では、男子でも40%前後は自分の名前が書けず、女子に至っては、自分の名前が書けた者は4~8%前後しかいない(「近代日本のリテラシー研究序説」島村直己、「識字能力・識字率の歴史的推移――日本の経験」斉藤泰雄など)。また、読み書きができるものの割合は、士族階層や農村部の指導層など社会の上層ほど高く、農村内部にもかなりの格差があった可能性が高い(『日本人のリテラシー』リチャード・ルビンジャー、柏書房など)。 このように識字率にはかなりの階層差・地域差・男女差があったが、ある研究者は、識字レベルが滋賀県と鹿児島県のおよそ中間だった岡山県の数値(男子の50~60%、女子の30%前後が自分の名前を書けた)が全国平均に近かったのではないかと推測している(「識字能力・識字率の歴史的推移――日本の経験」斉藤泰雄)。先の長野県常盤村では男子の約65%が自分の名前を書けたので、常盤村の識字レベルは平均的か、むしろやや上回っていたかもしれない』、「調査の対象となった県でもっとも識字率が高い滋賀県の男性では90%近くが自分の名前を書けたが、女性では50%前後しかない。 逆に最も識字率が低い鹿児島県では、男子でも40%前後は自分の名前が書けず、女子に至っては、自分の名前が書けた者は4~8%前後しかいない・・・先の長野県常盤村では男子の約65%が自分の名前を書けたので、常盤村の識字レベルは平均的か、むしろやや上回っていたかもしれない」、なるほど。
・『読み書き能力を持つのは、社会の上層のごく一部  忘れてはならないのは、この調査の数字はあくまで自分の名前を書ける者の割合であって、「自由に読み書きできる者」の割合はずっと低くなる点だ。「識字率」の定義は実は難しいが、少なくとも今の一般的な文脈では、かろうじて自分の名前を書けるだけで、日常的な文章も新聞も読めないようでは「識字」に含まれないだろう。 明治期の識字について多くの研究がある東北大学の八鍬友広は、自署能力に加えて文通する能力についても調べた明治初期の和歌山県の調査の例をひき、そこでは文通可能なリテラシーを持っていた男子は自署できた者の1/4以下の約10%だったと述べている(「明治期滋賀県における自署率調査」八鍬友広)。 この割合は、自署できた男子の1割強だけが普通の書簡を読めたとする先の常盤村のデータよりもかなり高いが、当時の調査の正確さに限界がある以上、詳細な議論はあまり意味がないだろう。いずれにしても、自由に読み書きができた者は、自分の名前だけが読み書きできる者よりずっと少なかったと考えるのは自然ではある。 ということは、女性を含めると(日本人のリテラシーを考えるときに女性を排除する理由はない)半数前後が自分の名前さえ書けなかったと思われる明治初期の日本では、圧倒的多数は自由な読み書きができなかったことになる。特に、常盤村の調査からも分かるように、社会の動きを知る手段である新聞等を読めた人間の割合は、人口の数%に過ぎなかったのではないか。 読み書き能力は、知的な能力の基礎であると言わざるを得ない。だが、明治時代の初期でさえ、読み書き能力を持つのは、社会の上層のごく一部の人間に限られていた。 本や新聞を読む/書くなどの知的な活動に参加する機会や能力には、前出のルビンジャーが繰り返し強調するように、社会階層・地域・性によって著しい格差があったのである。それはつまり、豊かさや身分に格差があったように、知的能力にも、本人の力ではどうしようもない格差があった可能性を示唆している。 では、その格差は、今日では解消されているのだろうか? 次回『「日本人の識字率は極めて高かった」という「神話」はなぜ生まれたのか…1948年、GHQが命じた「大規模調査」の結果を再検証』に続く』、「明治時代の初期でさえ、読み書き能力を持つのは、社会の上層のごく一部の人間に限られていた。 本や新聞を読む/書くなどの知的な活動に参加する機会や能力には、前出のルビンジャーが繰り返し強調するように、社会階層・地域・性によって著しい格差があったのである。それはつまり、豊かさや身分に格差があったように、知的能力にも、本人の力ではどうしようもない格差があった可能性を示唆している」、なるほど。

第四に、4月12日付け現代ビジネスが掲載した佐藤 喬氏による「「日本人の識字率は極めて高かった」という「神話」はなぜ生まれたのか…1948年、GHQが命じた「大規模調査」の結果を再検証」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/128138?imp=0
・『連載第1回『「江戸時代の日本人の識字率は世界イチ」という説は「嘘」だった…!882人調査から読み解く、日本の「知性格差」』  日本語が読めない大学生たち  前回、日本人の大半は明治時代初期、つまりほんの数世代前までは読み書きができなかったことを資料によって確認した。読み書きの力や知的なものに触れる機会・能力はまったく平等ではなく、著しい格差があったのである。 しかし、それは明治時代の、しかも初頭の話ではある。戦後や現代ではどうだろうか? たしかに、近年は社会的な格差がよく話題になる。だが、そこで語られる「格差」の内容はほとんどが経済・金銭的なもので、文化的・知的な格差は見て見ぬふりをされている。 しかし、文化格差について研究を続けてきた社会学者が「日本社会は文化的には平等だ」という主張を「文化的平等神話」と切り捨てるように(※1)、経済以外でも重大な格差があることは、少なくとも専門家の間では知られているらしい。 知的格差がすっかり忘れ去られた2011年、全国の大学生を対象に数学能力の調査を行った数学研究者である新井紀子は、結果を見て愕然とした。数学の能力以前に、簡単な日本語で書かれた問題文を理解できなかったり、初歩的な論理展開もできない学生があまりにも多かったのである。そして、その力は大学の偏差値が低いほど低かった。 驚いた新井は全国の中高生を対象に読解力の調査を実施したが、結果は、上記の調査を後押しするものだった。「中学校を卒業する段階で、約3割が(内容理解を伴わない)表層的な読解もできない」「学力中位の高校でも、半数以上が内容理解を要する読解はできない」などの惨憺たる実態が明らかになったのである』、「新井は全国の中高生を対象に読解力の調査を実施したが、結果は、上記の調査を後押しするものだった。「中学校を卒業する段階で、約3割が(内容理解を伴わない)表層的な読解もできない」「学力中位の高校でも、半数以上が内容理解を要する読解はできない」などの惨憺たる実態が明らかになった」、「数学の能力以前に、簡単な日本語で書かれた問題文を理解できなかったり、初歩的な論理展開もできない学生があまりにも多かった」というのは驚くべきことだ。
・『「字が読めない日本人は1.7%だけ」のウソ  この調査では、中学生のうちは歳とともに読解力が伸びる傾向があるのに、高校では伸びが止まることも確認された。それはつまり、かなりの成人も読解力に問題を抱えていることを示唆している。 また、読解力はやはり学校の偏差値と「極めて強い」正の相関があり、家庭の経済力と負の相関があった。つまり読解能力や論理的思考力には著しい社会的格差があることが判明したのだった。 新井は「(基礎的読解力調査は)これまで世界中で誰もやっていません」とも記しているが、少なくとも、前回書いたように読解力の調査は明治時代初頭にもあり、そこでも著しい格差が示されている。 明治と平成の日本社会には知的格差があるらしい。では、その間に位置する昭和ではどうか。 1948年に、GHQの指示によって15歳から64歳までの16,820名を対象にした大規模な読み書き能力の調査が全国で行われた(「日本人の読み書き能力調査」)。規模の大きさや科学的な手法を取り入れている点で、この調査の信頼性は高い。読み書き能力を広く扱う問題は全90問で、1問1点の90点満点だった。 結論を先に記すと、得点がゼロ点の者は1.7%しかいなかった。この結果はその後独り歩きし、「敗戦直後でも100%近い日本人が読み書きできた」とか「日本人の識字率の高さにGHQが驚愕した」といった神話となって今も生き残っているが、実は近年、その解釈が正しくなく、実態はむしろ逆だったことが専門家によって指摘されている。 まず、たしかに98.3%の日本人は一問以上正解できたわけだが、たとえば一問だけ正解して他はすべて不正解だった者を「識字能力がある」とすることには無理がある。さらに、全90問のうち65問は四択ないし五択の選択問題で、適当に回答しても一定の点数が得られてしまうため、ゼロ点をとることが極めて難しかったことがわかっている。この点に着目したある研究によると、この調査で得点がゼロになる確率は0.000015%しかないという。 したがってゼロ点だった1.7%は、はじめから回答しようとしなかった可能性が高い(※3)』、「GHQの指示によって15歳から64歳までの16,820名を対象にした大規模な読み書き能力の調査が全国で行われた(・・・)。規模の大きさや科学的な手法を取り入れている点で、この調査の信頼性は高い。読み書き能力を広く扱う問題は全90問で、1問1点の90点満点だった。 結論を先に記すと、得点がゼロ点の者は1.7%しかいなかった・・・98.3%の日本人は一問以上正解できたわけだが、たとえば一問だけ正解して他はすべて不正解だった者を「識字能力がある」とすることには無理がある。さらに、全90問のうち65問は四択ないし五択の選択問題で、適当に回答しても一定の点数が得られてしまうため、ゼロ点をとることが極めて難しかったことがわかっている」、なるほど。
・『日本人の半数は新聞が読めなかった!  また、言語政策を研究する角知行は調査対象者に送られた案内状が難解な漢字を含む文章で書かれていたため読み書き能力が低いものはその段階で脱落した疑いがあることや、心身にハンディキャップを持つ人々を排除していたことなども指摘している(※4)。さらに付け加えるなら、若い世代より識字能力が低かっただろう65歳以上の者も調査対象から外されている。 要するに、当時の日本人の本当の読み書き能力は、この調査から受ける印象よりかなり低い可能性が高い。 では、実態はどのようなものだったのか。識字能力は「ある/ない」と白黒つけられるものではなく程度問題なので定量化は難しいが、角は先の論文で、新聞の文章についての問いの正答率から、調査対象者の半数弱は新聞の読解にも困難を抱えていただろうと推測している。加えて先ほどの対象者の偏りを考慮すると、1948年の日本人の実に半数前後は、新聞をまともに読めなかった可能性が否定できない。 新聞を読めるものは人口の一割もいなかったと推測できる明治初期に比べると、約半世紀の教育の普及によって、日本人の読み書き能力がかなり向上したことがわかる。しかし、それでもなお、読み書きに不自由しない日本人はせいぜい2人に1人程度だったのである。 ちなみに、この調査は「日本人の識字率の高さを示したことでGHQが推進しようとしていた日本語のローマ字化を防いだ」という文脈で取り上げられることも多いが、先の論文の執筆者の一人である横山詔一によると、その主張の根拠は弱いという。 横山は、実態とはかなり異なる伝説が広まった理由として、敗戦後の行き場を失ったナショナリズムを挙げている。「みんなで戦後の復興を頑張ろうとしていた当時、日本人がある意味で自信を持てる内容だったのだろうと思う。『自分たちには能力があるんだ』『頑張れば発展できるんだ』という発信は、国民の胸にストンと落ちる部分があったのではないか」(※5)。 後編『多くの日本人は「確率」という概念を正しく理解できない…日本社会にひそむ「教育水準の格差」の現実』に続く』、「1948年の日本人の実に半数前後は、新聞をまともに読めなかった可能性が否定できない。 新聞を読めるものは人口の一割もいなかったと推測できる明治初期に比べると、約半世紀の教育の普及によって、日本人の読み書き能力がかなり向上したことがわかる。しかし、それでもなお、読み書きに不自由しない日本人はせいぜい2人に1人程度だったのである・・・敗戦後の行き場を失ったナショナリズムを挙げている。「みんなで戦後の復興を頑張ろうとしていた当時、日本人がある意味で自信を持てる内容だったのだろうと思う。『自分たちには能力があるんだ』『頑張れば発展できるんだ』という発信は、国民の胸にストンと落ちる部分があったのではないか」、そんな時代背景も影響するとは奥が深いようだ。

第五に、4月12日付け現代ビジネスが掲載した佐藤 喬氏による「多くの日本人は「確率」という概念を正しく理解できない…日本社会にひそむ「教育水準の格差」の現実」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/128137?imp=0
・『「日本人の識字率は極めて高い」「経済格差はあっても、文化的には平等」といった言説は、ネットはもちろん書籍でもよく見られるものだ。こうした主張の根拠とされがちなのは1948年に16,820名を対象に実施された「日本人の読み書き能力調査」で、「完全文盲が1.7%」という結果が出ている。だが近年、この結果を再検証した研究によって、当時の日本人の識字率はもっと低い可能性があることがわかってきた。 『「日本人の識字率は極めて高かった」という「神話」はなぜ生まれたのか…1948年、GHQが命じた「大規模調査」の結果を再検証』より続く』、興味深そうだ。…
・『知的格差から逃れられない日本社会  小熊英二は日本人の読み書き能力についてのこの調査結果を「都市と農村、上層と下層の知的階層格差」の表れだとしている(※1)が、たしかに成績には世代差以外にも、地域や学歴による差があった(※2)。 要するに、明治にも、昭和にも、そして2010年代にも日本社会には読み書き能力の格差があり、したがっておそらく、今もあるということだ。新井紀子は読解力の格差をはじめて見つけたのではなく、戦後長らく忘れられていた知的格差を、ようやく再発見したというべきかもしれない。 ここまで見てきたのは主に読み書きや言葉を扱う能力の格差だが、読み書き能力は広く知的な力の基盤だし、そもそも日本社会では教育水準にも格差があるため、日本社会での知的能力の格差が読解力だけに留まると考えることは難しい。たとえば最終学歴が高校の人間と、大学院で博士号を取った人間の知的パフォーマンスになにも差が出なかったら、むしろおかしい。 東日本大震災後の福島県を中心に、原発事故の影響について130回以上の講演をした被ばく医療の専門家である神谷研二は、住民との知的なコミュニケーションの難しさを感じたと振り返っている。 「(放射線の発がんリスクについて伝えるためには)確率の話になるわけですが、住民の側からすると理解が難しい。一般に危険か危険でないか、日常的には『あるかないか』で考えるわけですから、確率的に考えるということが今までの習慣の中にないんですよね」』、「原発事故の影響について130回以上の講演をした被ばく医療の専門家である神谷研二は、住民との知的なコミュニケーションの難しさを感じたと振り返っている。 「(放射線の発がんリスクについて伝えるためには)確率の話になるわけですが、住民の側からすると理解が難しい。一般に危険か危険でないか、日常的には『あるかないか』で考えるわけですから、確率的に考えるということが今までの習慣の中にないんですよね」、「住民の側からすると理解が難しい。一般に危険か危険でないか、日常的には『あるかないか』で考えるわけですから、確率的に考えるということが今までの習慣の中にないんですよね」、確かに「確率的に考える」のには慣れていない人は殆どだろう。
・『日本社会にひそむ教育格差  神谷はもちろん、難関大学(広島大学医学部)を出て、博士号も取得している。研究者としては標準的な学歴かも知れないが、日本社会では例外的な高学歴だと言っていい。 一方で、日本人の過半数は大学を出ていない。2023年の大学進学率こそ過去最高の57・7%を記録しているが、これは若年層の数値である。日本の大学進学率は徐々に上昇してきたので、全日本人を対象にすると大卒率ははるかに低くなる。たとえば、社会学者の吉川徹は2019年時点では「日本人の7割近くが非大卒」と推定している。 さらには地方ほど非大卒層の割合は増える傾向があるため、神谷の講演を聞きに来た住人の相当数は大学を出ていなかっただろうし、ましてや博士号持ちなどほとんどいなかっただろう。 両者の間に教育水準の大きな差があったことと、「確率」という概念が住民に伝わらなかったこと。この二つの事実の間に、何らかの関係はないだろうか。 そのヒントは、日本社会にひそむ教育格差にあるかもしれない。次回に続く… 』、「社会学者の吉川徹は2019年時点では「日本人の7割近くが非大卒」と推定している。 さらには地方ほど非大卒層の割合は増える傾向があるため、神谷の講演を聞きに来た住人の相当数は大学を出ていなかっただろうし、ましてや博士号持ちなどほとんどいなかっただろう。 両者の間に教育水準の大きな差があったことと、「確率」という概念が住民に伝わらなかったこと。この二つの事実の間に、何らかの関係はないだろうか。 そのヒントは、日本社会にひそむ教育格差にあるかもしれない」、「次回に続く」とあるので、探したがまだ出版されてないようだ。このシリーズは「教育格差」を取上げ、本題の「リニア」とは関係がないので、ここでお許し頂きたい。ただ、次回は「リニア」と密接に関係しているので、大いにご期待を! 
タグ:リニア新幹線 (その9)(「知性格差」5題:早稲田を出てオックスフォード大学で博士号を取得…静岡・川勝知事「職業差別」発言に隠された日本の「知性格差」という問題、「江戸時代の日本人の識字率は世界イチ」という説は「嘘」だった…!882人調査から読み解く、日本の「知性格差」、日本人の「2人に1人」は自分の名前さえ書けなかった…!?明治期時代の日本の「知的格差」驚きの実態、「日本人の識字率は極めて高かった」という「神話」はなぜ生まれたのか…1948年 GHQが命じた「大規模調査」の結果を再検証、多くの日本人は「確 現代ビジネス 佐藤 喬氏による「早稲田を出てオックスフォード大学で博士号を取得…静岡・川勝知事「職業差別」発言に隠された日本の「知性格差」という問題」 「3の発言がなく、1と2だけだったら、おそらく辞任は免れたのではないか」、なるほど。 「あいまいであるにも関わらず、現代社会で圧倒的な価値を持ってしまった「知性」の実態に、客観的な資料から迫ってみよう」、なるほど… 佐藤 喬氏による「「江戸時代の日本人の識字率は世界イチ」という説は「嘘」だった…!882人調査から読み解く、日本の「知性格差」」 「世界トップクラスを誇ったものがあります。それは『庶民』の識字率。全国平均では約60%以上、江戸の町では約70%以上でした。江戸の町の『実際』は、おそらく約80%以上だろうと言われています」 こういった認識は半ば常識になっているが、結論を先に書けば、誤りである、もしくは著しく誇張されていることが研究によって明らかになっている」、なるほど。 「極めて貴重な資料が一つ残されている。それは、1881年(明治14年)に長野県の北安曇郡常盤村(現・大町市)で、15歳以上の「男子」882人を対象に行われた調査である。 村民の読み書き能力を八段階に分けたこの調査によると、自分の名前や村名さえ読み書きできない者が35.4%存在したらしい。彼らには識字能力がないことになるが、では残りの65%の男子が読み書きできたかというと、まったくそうではない。 生活上の必要があっただろう出納帳を書けるものはなんとか14.5%いたが、「普通ノ書簡」および「証書類」を自分で書けるものはわずか4.4%、社会の動きを知るために必要な「公布達」や「新聞論説」を読めるものに至っては、882人中15名、1.7%しかいない』、「自分の名前や村名さえ読み書きできない者が35.4%存在・・・必要な「公布達」や「新聞論説」を読めるものに至っては・・・1.7%しかいない」、一般的に信じられている姿は全く信頼性に欠けるようだ。 佐藤 喬氏による「日本人の「2人に1人」は自分の名前さえ書けなかった…!?明治期時代の日本の「知的格差」驚きの実態」 やはり伝承とは当てにならないものだ。 「調査の対象となった県でもっとも識字率が高い滋賀県の男性では90%近くが自分の名前を書けたが、女性では50%前後しかない。 逆に最も識字率が低い鹿児島県では、男子でも40%前後は自分の名前が書けず、女子に至っては、自分の名前が書けた者は4~8%前後しかいない・・・先の長野県常盤村では男子の約65%が自分の名前を書けたので、常盤村の識字レベルは平均的か、むしろやや上回っていたかもしれない」、なるほど。 「明治時代の初期でさえ、読み書き能力を持つのは、社会の上層のごく一部の人間に限られていた。 本や新聞を読む/書くなどの知的な活動に参加する機会や能力には、前出のルビンジャーが繰り返し強調するように、社会階層・地域・性によって著しい格差があったのである。それはつまり、豊かさや身分に格差があったように、知的能力にも、本人の力ではどうしようもない格差があった可能性を示唆している」、なるほど。 佐藤 喬氏による「「日本人の識字率は極めて高かった」という「神話」はなぜ生まれたのか…1948年、GHQが命じた「大規模調査」の結果を再検証」 「新井は全国の中高生を対象に読解力の調査を実施したが、結果は、上記の調査を後押しするものだった。「中学校を卒業する段階で、約3割が(内容理解を伴わない)表層的な読解もできない」「学力中位の高校でも、半数以上が内容理解を要する読解はできない」などの惨憺たる実態が明らかになった」、「数学の能力以前に、簡単な日本語で書かれた問題文を理解できなかったり、初歩的な論理展開もできない学生があまりにも多かった」というのは驚くべきことだ。 「GHQの指示によって15歳から64歳までの16,820名を対象にした大規模な読み書き能力の調査が全国で行われた(・・・)。規模の大きさや科学的な手法を取り入れている点で、この調査の信頼性は高い。読み書き能力を広く扱う問題は全90問で、1問1点の90点満点だった。 結論を先に記すと、得点がゼロ点の者は1.7%しかいなかった・・・ 98.3%の日本人は一問以上正解できたわけだが、たとえば一問だけ正解して他はすべて不正解だった者を「識字能力がある」とすることには無理がある。さらに、全90問のうち65問は四択ないし五択の選択問題で、適当に回答しても一定の点数が得られてしまうため、ゼロ点をとることが極めて難しかったことがわかっている」、なるほど。 「1948年の日本人の実に半数前後は、新聞をまともに読めなかった可能性が否定できない。 新聞を読めるものは人口の一割もいなかったと推測できる明治初期に比べると、約半世紀の教育の普及によって、日本人の読み書き能力がかなり向上したことがわかる。しかし、それでもなお、読み書きに不自由しない日本人はせいぜい2人に1人程度だったのである・・・敗戦後の行き場を失ったナショナリズムを挙げている。 「みんなで戦後の復興を頑張ろうとしていた当時、日本人がある意味で自信を持てる内容だったのだろうと思う。『自分たちには能力があるんだ』『頑張れば発展できるんだ』という発信は、国民の胸にストンと落ちる部分があったのではないか」、そんな時代背景も影響するとは奥が深いようだ。 佐藤 喬氏による「多くの日本人は「確率」という概念を正しく理解できない…日本社会にひそむ「教育水準の格差」の現実」 「原発事故の影響について130回以上の講演をした被ばく医療の専門家である神谷研二は、住民との知的なコミュニケーションの難しさを感じたと振り返っている。 「(放射線の発がんリスクについて伝えるためには)確率の話になるわけですが、住民の側からすると理解が難しい。一般に危険か危険でないか、日常的には『あるかないか』で考えるわけですから、確率的に考えるということが今までの習慣の中にないんですよね」、 「住民の側からすると理解が難しい。一般に危険か危険でないか、日常的には『あるかないか』で考えるわけですから、確率的に考えるということが今までの習慣の中にないんですよね」、確かに「確率的に考える」のには慣れていない人は殆どだろう。 「社会学者の吉川徹は2019年時点では「日本人の7割近くが非大卒」と推定している。 さらには地方ほど非大卒層の割合は増える傾向があるため、神谷の講演を聞きに来た住人の相当数は大学を出ていなかっただろうし、ましてや博士号持ちなどほとんどいなかっただろう。 両者の間に教育水準の大きな差があったことと、「確率」という概念が住民に伝わらなかったこと。この二つの事実の間に、何らかの関係はないだろうか。 そのヒントは、日本社会にひそむ教育格差にあるかもしれない」、 「次回に続く」とあるので、探したがまだ出版されてないようだ。このシリーズは「教育格差」を取上げ、本題の「リニア」とは関係がないので、ここでお許し頂きたい。ただ、次回は「リニア」と密接に関係しているので、大いにご期待を!
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