SSブログ
パンデミック ブログトップ
前の10件 | -

パンデミック(経済社会的視点)(その26)(感染症統括庁が発足も“医療再崩壊”防ぐには 日本版「ナイチンゲール病院」実現を、米国 中国で複数の感染症が大流行 日本は「コロナ後」にどう備えるか コロナ インフル RSV感染症の「トリプルデミック」はなぜ起きる?) [パンデミック]

パンデミック(経済社会的視点)については、本年5月24日に取上げた。今日は、(その26)(感染症統括庁が発足も“医療再崩壊”防ぐには 日本版「ナイチンゲール病院」実現を、米国 中国で複数の感染症が大流行 日本は「コロナ後」にどう備えるか コロナ インフル RSV感染症の「トリプルデミック」はなぜ起きる?)である。

先ずは、本年9月6日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した立命館大学政策科学部教授の上久保誠人氏による「感染症統括庁が発足も“医療再崩壊”防ぐには、日本版「ナイチンゲール病院」実現を」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/328658
・『「内閣感染症危機管理統括庁」が9月1日に発足した。新型コロナ対策の反省を踏まえて、政府による感染症対策を一元的に担うという。だが筆者はこうした改革を経ても、日本における医療体制の問題が改善されるかは微妙だと考える。では医療再崩壊を防ぐに当たって、日本は今後どうすべきなのか。英国の事例を参考に、大胆な説を提案したい』、興味深そうだ。
・『日本における「専門家」は臨機応変な対応が苦手だった?  日本における今後の感染症対策を担う「内閣感染症危機管理統括庁」が9月1日に発足した。それに伴い、「新型インフルエンザ等対策推進会議」のメンバーも刷新。同会議の議長を務めてきた尾身茂氏は退任した。 さらに、推進会議の下部組織に当たる「新型コロナウイルス感染症対策分科会」「基本的対処方針分科会」は廃止された。SNSなどには「尾身先生、お疲れ様でした」と尾身氏の労をねぎらう投稿も散見される。 だが筆者はどちらかというと、尾身氏に批判的な立場である。 というのも、2020年5月の分科会で、新型コロナ重症者病床増のために1兆円程度の財政資金を投入することが提起された際、尾身氏はその提案を退けてしまったという(※)。この例のように、疑問符が付く意思決定が散見されたためだ(本連載第277回)。 ※木村盛世(2021)『新型コロナ、本当のところどれだけ問題なのか』(飛鳥新社)を参照。 もちろん、それは尾身氏個人の問題だけではない。日本の審議会・諮問会議の制度そのものに問題があるといえる。 審議会・諮問会議の委員である専門家の役割は、官僚が立案する政策案に「お墨付き」を与えることだ。故に、学会等の推薦で大きな業績を上げた重鎮の学者が起用されてきた。 前述した分科会の前身に当たる審議会・諮問会議の「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」は20年2月14日に設置された。当時の委員は全12人で、学会の重鎮が並んだ。 だが当時、新型コロナは正体不明で、その特性が世界中の研究成果から次第に明らかになる状況だった(第243回)。日本の重鎮たちも、最初から「新型コロナの専門家」だったわけではない。 そのため仕方のない面もあるが、「お墨付き」以外にも臨機応変な対応が求められた結果、さまざまな対策が後手に回ることになったのは事実だ。 特に深刻だったのは、ワクチンの開発・接種の遅れだ。当初の日本はワクチン接種の開始がG7で最も遅く、接種率は「世界最低レベル」だった(第271回)』、「「お墨付き」以外にも臨機応変な対応が求められた結果、さまざまな対策が後手に回ることになったのは事実だ。 特に深刻だったのは、ワクチンの開発・接種の遅れだ。当初の日本はワクチン接種の開始がG7で最も遅く、接種率は「世界最低レベル」だった」、その通りだ。
・『英国やイスラエルと比較すると意思決定の遅さが目立つ  また、21年8~9月の東京オリンピック・パラリンピックは全試合が無観客となった。国民へのワクチン接種が一巡し、21年6月にサッカー「EURO2020」の決勝戦を有観客で開催した英国と対照的だった(第279回)。 ワクチン接種が遅れた原因としては、「自治体任せ」の接種体制が混乱を招いたことや、国内でのワクチン開発が進まなかったことが指摘されてきた。だが、より深刻な要因は、十分な量のワクチンを製薬会社から素早く調達するための交渉が遅れたことだ。 新型コロナのワクチン開発は20年1月以降、基礎研究の蓄積をベースとする形で、各国の研究機関や製薬会社によって一挙に加速した。 英国では20年4月、ボリス・ジョンソン首相(当時)が「ワクチン開発のためにできることはなんでもする」と決断。そこから約1年間で、英財務省は135億ポンド(約2兆400億円)の巨額資金をワクチン開発につぎ込んだ(ローラ・クンスバーグ『【解説】イギリス政府はパンデミックとどう闘ったか 1年間の舞台裏』BBC NEWS)。 20年6月頃には、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相など、世界の首脳が製薬会社とワクチン確保の直接交渉を開始していた。 だが、日本の専門家会議は「ワクチン開発には数年かかる」と安倍晋三首相(当時)に進言した。20年8月の記者会見で、尾身氏がワクチンについて「分からないことばかりと言ってもいいくらいだ」と発言する場面もあった。資金確保・交渉・情報収集の全てにおいて、日本は世界に後れを取っていたのだ。 そして、安倍氏からバトンタッチした菅義偉首相(当時)は業を煮やし、21年1月下旬にファイザーとの直接交渉に乗り出した。 その後、菅氏のリーダーシップの下で「1日100万回接種」という目標を掲げ、ワクチン接種率では欧米を追い上げて世界トップ水準を実現した(詳細はダイヤモンド・オンライン『菅前首相が明かす、ワクチン接種1日100万回をぶち上げた根拠と縦割り打破』参照)。 この菅氏の施策は英断だったといえる。だが、国産ワクチンはいまだに開発途上だ。先日、第一三共製のワクチンが薬事承認されたものの、中国で初めて新型コロナの存在が確認されてから3年半以上がたち、「5類」に移行した後での承認だ。遅きに失した感は否めない。 尾身氏らがワクチンについて素早く情報を収集し、世界最先端の動向を踏まえた上で政府に進言していたら、こうした事態は防げたのではないだろうか』、「尾身氏らがワクチンについて素早く情報を収集し、世界最先端の動向を踏まえた上で政府に進言していたら、こうした事態は防げたのではないだろうか」、その通りだ。
・『感染症統括庁は新たな感染症に対応できる?  「スタートダッシュの遅れ」はワクチン関連だけではない。感染拡大の最初期は、医療体制(特に重症病床の確保)に関する議論が不十分だった印象だ。 その結果、欧米と比べて病床数自体は多く、患者数は少ないのに、常に医療崩壊の危機に直面するという日本独特の問題に直面した(第264回)。 確かに時間がたつにつれ、分科会でも医療体制の整備や病床確保について議論されるようになった。軽症者は病院ではなく自宅やホテルでの療養を推奨する形に変わった。知事の権限も強化され、22年12月には感染症法のさらなる改正が成立した。 専門家とされる人たちは、自治体や病院の現場の声を聞きながら勉強を重ね、少しずつ医療体制を構築してきたのだと思われる。それ自体は評価できるが、やはり他の先進国と比べた「対応の遅さ」はどうしても気になった。 このような新型コロナ対策の反省を踏まえて設立されたのが、冒頭で述べた統括庁だ。統括庁は今後、政府の感染症対策の政策立案や調整を一元的に担う。トップの「内閣感染症危機管理監」には栗生(くりゅう)俊一官房副長官が就いた。 当初は38人の専従職員でスタートし、有事には100人規模まで増員できるという。有事の際の行動計画づくりや、訓練を担うのが職員たちの役割だ。筆者はこの専従職員のバックグラウンドを一人ずつ詳細に把握しているわけではないが、どのような専門性を持つ人材が採用されているかが重要だ。 ポイントは「縦割り」の打破だ。かつて新型コロナ対策に関わっていたのは、厚労省・健康局結核感染症課の医系技官と、厚生科学審議会・感染症部会に招集される専門家だった(第265回)。官僚組織は、いわゆる「縦割り行政」の縛りが厳しいため、他の疾病を管轄する部署は、新型コロナ対策にはあまり関与していなかったと考えられる。これも当時、医療体制の整備が遅れた一因ではないだろうか。そこで統括庁では、幅広い専門性を持つ人材が採用されて「縦割り」が打破されるかが重要になる。 この点について、統括庁の下の「新型インフルエンザ等対策推進会議」には、新たに15人が委員に任命された。要注目なのが、行政学などを専門とする早稲田大学政治経済学術院教授の稲継裕昭氏が委員に加わったことだ。 筆者はこれまで、新型コロナの有識者会議に政治・行政学者が入らないことを批判してきた。感染症対策の最終的な意思決定は、政治によって下される。だからこそ、その専門家が必要だと考えてきたのだ(第270回)。その意味で、稲継教授が委員に入ったことは一定の評価ができる』、「統括庁の下の「新型インフルエンザ等対策推進会議」には、新たに15人が委員に任命された。要注目なのが、行政学などを専門とする早稲田大学政治経済学術院教授の稲継裕昭氏が委員に加わったことだ。 筆者はこれまで、新型コロナの有識者会議に政治・行政学者が入らないことを批判してきた。感染症対策の最終的な意思決定は、政治によって下される。だからこそ、その専門家が必要だと考えてきたのだ・・・その意味で、稲継教授が委員に入ったことは一定の評価ができる」、なるほど。
・『医療再崩壊」を防ぐ秘策は「自衛隊野戦病院」の設置だ  人選から話がそれるが、25年に設立予定の「国立健康危機管理研究機構」(日本版CDC)にも期待が持てる。この組織は、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターの合併によって創設される。 国立感染症研究所は米疾病対策センター(CDC)と、国際医療センターは英オックスフォード大学やウェルカム財団などと、それぞれ国際的なネットワークを持っている(第49回)。そうした強みを持つ両者が統合すれば、世界最先端の情報を得やすくなるだろう。もし今後、新たな感染症が広がったとしても、日本独自のワクチンや治療薬を開発可能になるかもしれない。 だが、一連の改革を経ても医療体制の問題が改善されるかは微妙なところだ。 政府の権限を強化し、平時から病院と協定を結んでいても、新たなパンデミックが発生した際は、相変わらず病床確保に時間がかかるのではないか。日本の医療体制は、英国など諸外国に比べて複雑すぎるのだ(第283回)。 では、日本は今後どうすべきなのか。 その答えの一つとして、かねて本連載では「自衛隊による大規模野戦病院」の設置を提案してきた(第283回)。自衛隊には、医官・看護官がそれぞれ約1000人ずつ在籍している。パンデミック時には彼・彼女らが出動し、感染症患者を収容する専用病院を臨時で設置するのだ。 この案は、英国軍の支援によって英国内に設置された、新型コロナ対策の野戦病院「ナイチンゲール病院」を参考にしたものだ(第282回)。英国軍は「コロナ支援部隊」を結成し、ナショナルヘルスサービス(NHS:国営の医療サービスを提供するシステム)を支援して、医療崩壊を防いだのだ。 もちろん日本でも、自衛隊中央病院がコロナ患者を受け入れたり、医官と看護官がワクチン接種に協力したりと、自衛隊による支援が行われてきた。こういった施策がさらに進歩すれば、病床が不足する事態を防げるはずだ。 医療崩壊を防ぐに当たって、既存の病院・クリニックの限られたリソースのやりくりでは限界がある。新たな強毒性の感染症に備える上では、現行の医療体制の「外側」に存在する自衛隊の医療人材・機材に頼れる仕組みを構築するのが合理的ではないか。 昨今は日英の安全保障関係が強化されており、英国の助言も受けられる状況にある。今回、改めて提案しておきたい』、「医療崩壊を防ぐに当たって、既存の病院・クリニックの限られたリソースのやりくりでは限界がある・・・自衛隊には、医官・看護官がそれぞれ約1000人ずつ在籍している。パンデミック時には彼・彼女らが出動し、感染症患者を収容する専用病院を臨時で設置するのだ。 この案は、英国軍の支援によって英国内に設置された、新型コロナ対策の野戦病院「ナイチンゲール病院」を参考にしたものだ」、いいアイデアだ。

次に、12月14日付けJBPressが転載した新潮社フォーサイト「米国、中国で複数の感染症が大流行、日本は「コロナ後」にどう備えるか コロナ、インフル、RSV感染症の「トリプルデミック」はなぜ起きる?」を紹介しよう。筆者は「医療ガバナンス研究所」理事長の上昌広氏である。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/78355
・『昨冬のアメリカでの「トリプルデミック」、現在の中国での呼吸器疾患の増加は、コロナ規制解除後の集団免疫の低下が大きく影響している。高齢化国家・日本も今冬、感染症流行の危険性があるのだが、危機意識は低い。 中国で小児を中心に呼吸器疾患が増加している。国内メディアは11月23日、世界保健機関(WHO)が中国当局に詳細な情報の提供を求めたことを報じた。28日、『東洋経済オンライン』は、「中国で急増の『呼吸器疾患』に広がる大きな懸念 情報提供を要請するも、中国には隠蔽の前歴」という『ニューヨーク・タイムズ』の記事を紹介した。この中で、「中国当局は今回、未知の病原体についての懸念を公に認めておらず、WHOの声明にも公には応じていない」と、中国政府の姿勢を批判し、未知の病原体の蔓延の可能性について言及している。 この件については、私もマスコミから数件の取材を受けたが、未知の病原体にメディア側の関心があるのは明らかだった。読者・視聴者の関心をひくと考えているのだろう。 だが、この論調はピントがずれている。もっとしっかり議論し、準備しなければ、今冬、日本では多くの命が失われかねない。コロナパンデミックの収束にあたり、我々は何に留意すべきか、本稿で論じたい』、震源地となりやすい「中国」には「隠蔽の前歴」があるというのは困ったことだ。
・『RSV感染症は乳幼児と高齢者にリスク  意外かもしれないが、現在、中国で起こっていることは、昨冬の米国でも報告されている。米国各地で、新型コロナ、インフルエンザ、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染症が流行し、病院は重症化した小児や高齢者で占拠されたのだ。このことは「トリプルデミック」と呼ばれ、米国メディアで大きく報じられた。 コロナとインフルを知らない人はいないだろう。RSVについては若干の説明を加えたい。 RSVは、コロナやインフルと同じく、上気道に感染する風邪ウイルスで、例年初冬に流行する。重症度は低く、健康な若年世代なら、感染しても軽い風邪ですむ。問題は乳幼児と高齢者だ。肺炎を起こし亡くなることもある。 乳幼児での感染については、すでに多くの臨床研究が発表されて、その実態が明らかになっている。国立感染症研究所によれば、RSVは乳幼児における肺炎の約50%、細気管支炎の50~90%を占める。69%の乳児が生後最初の1年間でRSVに罹患し、そのうちの3分の1が肺炎など下気道疾患を起こす。致死率は1~3%との報告もある。乳幼児にとって、最も怖い感染症の一つと言っていい。) RSVは何度か感染を繰り返すことで免疫を獲得し、免疫不全などの基礎疾患がなければ、現役世代で重症化することはない。だが、高齢者についてはこうした知見をあてはめられない。乳幼児と違い、この世代での感染の実態はあまりわかっていないからだ。 高齢化が進む先進国で、昨冬の米国同様、少なからぬ高齢者がRSVで命を落としているのは確実なようだ。日本については、最近、グラクソ・スミスクラインの研究チームが感染状況を推計した。この推計によれば、毎年約6万2600人の高齢者が入院し、約4500人が亡くなっているという』、「RSVは何度か感染を繰り返すことで免疫を獲得し、免疫不全などの基礎疾患がなければ、現役世代で重症化することはない。だが、高齢者についてはこうした知見をあてはめられない。乳幼児と違い、この世代での感染の実態はあまりわかっていないからだ。 高齢化が進む先進国で、昨冬の米国同様、少なからぬ高齢者がRSVで命を落としているのは確実なようだ。日本については、最近、グラクソ・スミスクラインの研究チームが感染状況を推計した。この推計によれば、毎年約6万2600人の高齢者が入院し、約4500人が亡くなっているという」、なるほど。
・『コロナ規制の解除が感染症の大流行を生む  昨冬の米国のトリプルデミックを考えるにあたって注目すべきは、コロナ流行が始まるとインフルもRSVも流行様式が一変したことだ。RSVの場合、2020年には全く流行せず、2021年には夏場に再流行した。そして、昨冬の大流行となった。 実は、この状況は日本も同じだ。2020年は流行せず、2021年は6~7月、2022年は7~8月、今年は5~6月に流行している。今冬、どうなるかはわからない。 なぜこうなったのかについては、まだ結論が出ていないが、コロナパンデミック下での感染対策の強化や市民生活の抑制が、流行に歯止めをかけたことが考えられる。ただこの間、集団免疫は低下するため、社会活動を再開した段階で、様々な感染症が大流行するのではなかろうか。 本コラムは新潮社の会員制国際情報サイト「新潮社フォーサイト」の提供記事です。フォーサイトの会員登録はこちら 現在、中国ではインフルエンザやマイコプラズマなど、複数の感染症が大流行していると報告されている。いずれも冬季に流行する呼吸器感染症だ。こうした流行の状況は、昨冬の米国に相通じるものがある。世界で最も早くコロナ規制を緩和した米国は、様々な感染症が再流行するのが早く、中国がその後を追っているのも頷ける。 このあたり、英『ネイチャー』誌は冷静だ。11月27日に配信したニュースで、以下のように報じている。 「中国の子供たちの間で肺炎などの呼吸器疾患が急増しているのは、冬によく見られる感染症の結果であり、新たな病原体によるものではない。世界保健機関は、同国で急性呼吸器感染症が典型的な『冬の急増』に見舞われていると報告している。疫学者らは、コロナパンデミックが始まって以来、中国では規制が解除されて初めての冬であることを考慮すると、この急増は予想されると述べている」』、「英『ネイチャー』誌」の「冷静な」分析通りであれば、心配すう必要はないことになる。
・『高齢化国・日本に必要な対策  昨冬の米国、今冬の中国のような事態が世界各地で起こっても不思議ではない。世界各地で対策が進んでいる。 例えば米国は5月、グラクソ・スミスクラインやファイザーが開発した高齢者向けRSVワクチンを承認した。第三相臨床試験では、両者とも肺炎など重症合併症の発症を8割以上予防したという。米国政府は今冬、コロナ、インフルに加え、RSVワクチンの接種を呼び掛けている。 日本はどうだろうか。危機意識が低いと言わざるを得ない。9月、我が国もRSVワクチンを承認したが、今冬に集団接種を始める予定はない。 日本は世界で最も高齢化が進んでいる国だ。高齢化率約30%の国がパンデミックを経験したのは人類史上初だ。 コロナ禍の日本では、これまで世界が経験しなかった様々なことが起こった。その代表が、コロナによる死亡は少なかった一方、その約5倍の高齢者が老衰や誤嚥性肺炎などで死亡したことだ。この結果、日本は、コロナ禍で最も人口減少が進んだ先進国となった。この分析は、高齢化が進んだ国では感染対策だけでなく、高齢者の持病対策や健康増進対策が必要であることを意味する。 日本の超過死亡については、昨年3月、米ワシントン大学の研究チームが、国際比較の一環として英『ランセット』誌に発表した。発表同日に『ネイチャー』誌もニュースとして報じたが、国内のマスコミはどこも報じなかったし、厚労省や周囲の専門家も、この事実に触れなかった。なぜ、最も重要な科学的事実を彼らが無視しているのだろうか。 コロナパンデミックは収束を迎えつつある。どうやら、この間に様々な感染症に対する免疫が失われて、世界が正常化するために、様々な感染症が大流行しそうだ。世界史上、最も高齢化が進んだ日本は、どうすればこの問題を克服できるのだろうか。現在、中国で起こっていることは決して人ごとではない。我々は世界から学ばねばならない』、「日本は」「コロナによる死亡は少なかった一方、その約5倍の高齢者が老衰や誤嚥性肺炎などで死亡したことだ。この結果、日本は、コロナ禍で最も人口減少が進んだ先進国となった。この分析は、高齢化が進んだ国では感染対策だけでなく、高齢者の持病対策や健康増進対策が必要であることを意味する」、同感である。
タグ:上久保誠人氏による「感染症統括庁が発足も“医療再崩壊”防ぐには、日本版「ナイチンゲール病院」実現を」 ダイヤモンド・オンライン (その26)(感染症統括庁が発足も“医療再崩壊”防ぐには 日本版「ナイチンゲール病院」実現を、米国 中国で複数の感染症が大流行 日本は「コロナ後」にどう備えるか コロナ インフル RSV感染症の「トリプルデミック」はなぜ起きる?) パンデミック(経済社会的視点) 「尾身氏らがワクチンについて素早く情報を収集し、世界最先端の動向を踏まえた上で政府に進言していたら、こうした事態は防げたのではないだろうか」、その通りだ。 「統括庁の下の「新型インフルエンザ等対策推進会議」には、新たに15人が委員に任命された。要注目なのが、行政学などを専門とする早稲田大学政治経済学術院教授の稲継裕昭氏が委員に加わったことだ。 筆者はこれまで、新型コロナの有識者会議に政治・行政学者が入らないことを批判してきた。感染症対策の最終的な意思決定は、政治によって下される。だからこそ、その専門家が必要だと考えてきたのだ ・・・その意味で、稲継教授が委員に入ったことは一定の評価ができる」、なるほど。 「医療崩壊を防ぐに当たって、既存の病院・クリニックの限られたリソースのやりくりでは限界がある・・・自衛隊には、医官・看護官がそれぞれ約1000人ずつ在籍している。パンデミック時には彼・彼女らが出動し、感染症患者を収容する専用病院を臨時で設置するのだ。 この案は、英国軍の支援によって英国内に設置された、新型コロナ対策の野戦病院「ナイチンゲール病院」を参考にしたものだ」、いいアイデアだ。 JBPRESS 新潮社フォーサイト「米国、中国で複数の感染症が大流行、日本は「コロナ後」にどう備えるか コロナ、インフル、RSV感染症の「トリプルデミック」はなぜ起きる?」 上昌広氏 震源地となりやすい「中国」には「隠蔽の前歴」があるというのは困ったことだ。 「RSVは何度か感染を繰り返すことで免疫を獲得し、免疫不全などの基礎疾患がなければ、現役世代で重症化することはない。だが、高齢者についてはこうした知見をあてはめられない。乳幼児と違い、この世代での感染の実態はあまりわかっていないからだ。 高齢化が進む先進国で、昨冬の米国同様、少なからぬ高齢者がRSVで命を落としているのは確実なようだ。日本については、最近、グラクソ・スミスクラインの研究チームが感染状況を推計した。 この推計によれば、毎年約6万2600人の高齢者が入院し、約4500人が亡くなっているという」、なるほど。 「英『ネイチャー』誌」の「冷静な」分析通りであれば、心配すう必要はないことになる。 「日本は」「コロナによる死亡は少なかった一方、その約5倍の高齢者が老衰や誤嚥性肺炎などで死亡したことだ。この結果、日本は、コロナ禍で最も人口減少が進んだ先進国となった。この分析は、高齢化が進んだ国では感染対策だけでなく、高齢者の持病対策や健康増進対策が必要であることを意味する」、同感である。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

パンデミック(経済社会的視点)(その25)(「ワクチン打て!」から突然「打たなくていい」に…WHOがヤバすぎる方針転換を決めた驚愕の背景、「2000人以上が接種後に死亡…」WHO突然の「追加接種不要」発表で問われるワクチン接種のヤバすぎる実態、マスクに感染予防効果はない? 世界的機関「コクラン」が論文公開、給食時の「黙食見直し」で学級閉鎖は増えたか 千葉県小中学校のデータを用いて影響を検証) [パンデミック]

パンデミック(経済社会的視点)については、本年2月25日に取上げた。今日は、(その25)(「ワクチン打て!」から突然「打たなくていい」に…WHOがヤバすぎる方針転換を決めた驚愕の背景、「2000人以上が接種後に死亡…」WHO突然の「追加接種不要」発表で問われるワクチン接種のヤバすぎる実態、マスクに感染予防効果はない? 世界的機関「コクラン」が論文公開、給食時の「黙食見直し」で学級閉鎖は増えたか 千葉県小中学校のデータを用いて影響を検証)である。

先ずは、本年4月10日付け現代ビジネス「「ワクチン打て!」から突然「打たなくていい」に…WHOがヤバすぎる方針転換を決めた驚愕の背景」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/108729?imp=0
・『「ワクチンを打て!」とさんざん言われてきたのに、突然「打たなくていい」と方針が変わった。WHOの方向転換の裏には、いったい何があるのか。そして日本はいつまでワクチンを打ち続けるのか』、興味深そうだ。
・『日本政府は「努力義務」として推進してきた  「今さら『子どもや若者はワクチンを打たなくてもいい』と言われても、取り返しはつきません。必要ないと分かっていたら、子どもや孫には打たせなかったのに……」 深いため息をつきながら語るのは、神奈川県に住む主婦の安藤恵子さん(75歳・仮名)だ。 「全国旅行支援を使うのに必要だったから、19歳の孫に3回目の接種を受けさせたんです。ところが接種後、下半身に痺れが出るようになった。その後も孫は坐骨神経痛を患ったままで、日常生活を送るにも苦労しています」(安藤さん) 政府は3回目以降の追加接種を「努力義務」として推進してきた。結果、一人あたりの平均接種回数でみると、日本は約3.1回で、韓国(約2.5回)やドイツ(約2.3回)、イギリス(約2.2回)を引き離して世界一となった。 ところが3月28日、WHO(世界保健機関)は、追加接種について驚きの発表をした。 WHOはこれまで、全世代でのワクチン追加接種を「推奨」してきたのだが、今回、「健康な成人」と「すべての子ども」について、3回目以降の接種を「推奨しない」と真逆のことを言い出したのだ。WHOは「公衆衛生政策の優先度や費用対効果などに基づく各国の判断に委ねる」としている』、「神奈川県に住む主婦の安藤恵子さん(75歳・仮名)だ。 「全国旅行支援を使うのに必要だったから、19歳の孫に3回目の接種を受けさせたんです。ところが接種後、下半身に痺れが出るようになった。その後も孫は坐骨神経痛を患ったままで、日常生活を送るにも苦労しています」、深刻な副反応だ。それにしても、「WHO」の突然の指示変更の理由は何なのだろう。
・『今になってWHOの「責任逃れ」?  だがこれは、いささか奇妙ではないか。WHOは新方針の中で、念押しするかのように「ワクチンは安全かつ有効」と記載している。しかし「何回打っても大丈夫」なら、わざわざ「推奨しない」と表明する必要などないはずだ。北海道の、ほんべつ循環器内科クリニック理事長、藤沢明徳氏は首を傾げる。 「WHOは、経済的な側面を理由に接種の是非を各国に丸投げしています。しかしワクチンに何の問題もなく、高い効果があるなら、こうした発表をする必要はないはず。子どもや若者への接種のリスクを分かっていて、何か起きた時の『責任逃れ』としてこんなことを言い出したのではないかと疑わざるをえません」 ワクチンに危険性があることを、WHOは当然認識しているはずだ。 '21年9月、当時FDA(米食品医薬品局)のワクチン研究・審査局長だったマリオン・グルーバー氏は、WHOに所属する科学者とともに『3回目の追加接種は必要ない』という論文を発表している。現在はワクチンの研究をする非営利組織IAVIの副社長を務めているグルーバー氏が語る。 「治療方法も確立せず、感染が拡大し続ける状況での1~2回目接種は必要でした。しかし3回目接種は効果が不十分というデータが出ており、次々にワクチンの副反応も見つかっていた。だから私たちは追加接種に異を唱えたのです。 ところが我々の意見は完全に無視され、追加接種に猛反対した私はFDAを離れることになった。今回のWHOの発表は遅すぎるくらいです」』、「'21年9月、当時FDA(米食品医薬品局)のワクチン研究・審査局長だったマリオン・グルーバー氏は、WHOに所属する科学者とともに『3回目の追加接種は必要ない』という論文を発表している。現在はワクチンの研究をする非営利組織IAVIの副社長を務めているグルーバー氏が語る。 「治療方法も確立せず、感染が拡大し続ける状況での1~2回目接種は必要でした。しかし3回目接種は効果が不十分というデータが出ており、次々にワクチンの副反応も見つかっていた。だから私たちは追加接種に異を唱えたのです。 ところが我々の意見は完全に無視され、追加接種に猛反対した私はFDAを離れることになった。今回のWHOの発表は遅すぎるくらいです」、なるほど。
・『インフルエンザワクチンでは「ありえない」発表  インフルエンザのワクチンでは、「追加接種を推奨しない」などといった発表がされることはない。安全性が確立されており、「打たなくていい」とわざわざ言う理由がないからだ。 しかし新型コロナのワクチンでは、異例の発表が行われた。その「意味」を、慎重に検討する必要があるだろう。 病院で診察をする医師は、ワクチン接種回数が増えるなかで異変を感じているという。前出の藤沢氏は語る。 「追加接種をした人ほど、副反応の症状が悪くなっていると感じています。特に2回目接種と3回目接種との間には大きなギャップがある。3回、4回と接種した人は接種後の予後が悪く、強い倦怠感に襲われたり、認知症のような状態になってしまう人も珍しくありません」 偶然、接種後に体調が変化しただけなのでは?そうした捉え方もある。しかし、実際に接種後に亡くなった人の遺族からは、「死因はワクチン以外考えられない」という声があがっている。 日本政府が3回目以降のワクチン接種を努力義務として推進してきた中、突如として行われたWHO(世界保健機関)による「追加接種不要」の発表。この発表が本当に意味するものとは、そして日本人はいつまでコロナワクチンを打たないといけないのか。 後編記事『「2000人以上が接種後に死亡…」WHO突然の「追加接種不要」発表で問われるワクチン接種のヤバすぎる実態 』で引き続き紹介する』、「追加接種をした人ほど、副反応の症状が悪くなっていると感じています。特に2回目接種と3回目接種との間には大きなギャップがある。3回、4回と接種した人は接種後の予後が悪く、強い倦怠感に襲われたり、認知症のような状態になってしまう人も珍しくありません」、WTOとしては、責任回避のための政策変更のようだ。

次に、この続きを、4月10日付け現代ビジネス「「2000人以上が接種後に死亡…」WHO突然の「追加接種不要」発表で問われるワクチン接種のヤバすぎる実態」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/108730?imp=0
・『日本政府が3回目以降のワクチン接種を努力義務として推進してきた中、突如として行われたWHO(世界保健機関)による「追加接種不要」の発表。この発表が本当に意味するものとは、そして日本人はいつまでコロナワクチンを打たないといけないのか。 前編記事『「ワクチン打て!」から突然「打たなくていい」に…WHOがヤバすぎる方針転換を決めた驚愕の背景 』に引き続き紹介する』、興味深そうだ。
・『「2000人」が接種後に死亡  高齢の両親にうつさないよう弟はワクチンを接種した。なのに、こんな結果になるなんて……」 そう声を震わせるのは、神奈川県在住の青木一志さん(50歳・仮名)だ。一志さんの弟・雄二さん(仮名)は、2回目のワクチン接種から3日後に亡くなった。死因は心不全だった。 雄二さんは47歳で、健康診断で引っかかったこともなければ既往症もなかった。それどころか休日には野球を楽しむスポーツマン。突然死するような理由は思い浮かばない。 一志さんに心当たりがあるとすれば、ワクチンだけだった。雄二さんの逝去後、家族から光が消えた。 「弟の接種を止められなかったことで母は自分を責め、心身のバランスを崩して心療内科を受診しています。弟の死後、私たちはワクチンの危険性、そして遺族の後悔を再三訴えてきましたが、接種は止まらない……それどころか国は追加接種を続けている」(一志さん) これは特殊なケースではない。ワクチン接種後に亡くなった事例はすでにおよそ2000件判明している。しかもこれは国に報告があった数にすぎず、あくまで氷山の一角である』、「ワクチン接種後に亡くなった事例はすでにおよそ2000件判明している。しかもこれは国に報告があった数にすぎず、あくまで氷山の一角である」、なるほど。
・『「ベネフィットが上回る」が建て前の「厚労省」  これまで国はワクチン接種との因果関係を頑なに否定してきた。しかし3月10日、愛知県に住む42歳の女性が昨年11月に亡くなったケースで、初めて「ワクチン4回目接種との因果関係は否定できない」と認めた。今後も調査、研究が進むなかで、ワクチン接種の本当の「リスク」が明らかになっていくとみられる。 それでも当面は、厚労省などの方針は変わらず、「ワクチンにはリスクがあるものの、ベネフィットが上回る」という建て前は続くだろう。 だが、肝心の「ベネフィット」についても、大きな疑いが生じ始めている。確かに高齢者や持病がある人にとって、ワクチンによる重症化リスクの予防は一定の効果がある(これらの人に対してはWHOもワクチン接種を推奨)。 しかし、健康な成人や若者、子どもはどうだろうか。 「感染初期の武漢型ウイルスやデルタ株は毒性が強く、ワクチンはそれなりの役割を果たしたと思っています。しかし今流行っているウイルスは弱毒化しており、健康な人や子どもが感染しても重症化することはほとんどない。 健康な人は、発熱などの副反応覚悟でワクチンを打つか、あるいは社会に集団免疫ができあがるまで感染覚悟でワクチンを打たないでいるか、自分で決めたらいい。ヨーロッパでは、ワクチンと感染による集団免疫が出来つつあるのでマスクを外すことができています」(国立病院機構仙台医療センターウイルスセンター長の西村秀一氏) 日本では大人はもちろん、子どもにも「努力義務」が課されてきた。これは「強制」ではないが、「接種を受けるように努める必要がある」という規定である。一方、集団免疫を前提にする日本以外の主要国には「努力義務」など存在しない。リスクも考慮し、個人の判断に任せられている。 ではWHOの方針転換を受けて、日本は今後の追加接種をどうしていくのか。厚労省に聞くと、以下のような回答が返ってきた』、「感染初期の武漢型ウイルスやデルタ株は毒性が強く、ワクチンはそれなりの役割を果たしたと思っています。しかし今流行っているウイルスは弱毒化しており、健康な人や子どもが感染しても重症化することはほとんどない。 健康な人は、発熱などの副反応覚悟でワクチンを打つか、あるいは社会に集団免疫ができあがるまで感染覚悟でワクチンを打たないでいるか、自分で決めたらいい」、「ワクチン」の意義が低下したようだ。
・『8.8億回分の在庫、すでに1兆円越えの支払い  「WHOの声明とも矛盾はありませんし、ワクチンの安全性についても問題ありません。今後は感染症の状況や変異、ワクチンの供給状況も見ながら専門家の意見をもとに接種していきたいと思っています。現時点で大きな懸念はありません」 5月8日には新型コロナが感染症法上の「5類」に移行し、季節性インフルエンザと同じ位置づけとなる。空港などでの法律に基づいた水際措置も終了する予定だ。 だが今後も、時期を区切って追加接種が続けられることが決まっている。高齢者や医療従事者などは、5月8日から接種が開始され、9月にも再度接種が呼びかけられる。健康な人も、9月以降の接種が実施される予定だ。多い人では'23年度中に6回目、7回目の追加接種をすることになる。 接種費用は引き続き無料。インフルエンザのワクチンは3000~5000円かかるのに、同じ5類のコロナワクチンは税金で賄われる。 WHOの方針が変わっても、接種を推奨し続ける。そこには日本政府の事情もあるようだ。 「厚労省は昨年までに、製薬会社4社とワクチン8.8億回分の供給契約を結んでいました。すでに約1兆457億円を支払ったとされており、全国民に計8回ワクチンを打たないと在庫がはけないと考えているのでしょう」(全国紙政治部記者) 世界がワクチンの安全性と「コスパ」を冷静に判断して追加接種をやめても、日本だけはバカ正直に追加接種を続けている―。後になってそれが「重大な判断ミス」だった、などということにならない保証はあるだろうか。 「週刊現代」2023年4月15・22日号より 関連記事『【遺族証言】「娘はコロナワクチンで血を噴いて死んだ!」1919人の日本人死者数が意味するもの』もぜひあわせてお読みください』、「厚労省は昨年までに、製薬会社4社とワクチン8.8億回分の供給契約を結んでいました。すでに約1兆457億円を支払ったとされており、全国民に計8回ワクチンを打たないと在庫がはけないと考えているのでしょう」・・・世界がワクチンの安全性と「コスパ」を冷静に判断して追加接種をやめても、日本だけはバカ正直に追加接種を続けている―。後になってそれが「重大な判断ミス」だった、などということにならない保証はあるだろうか」、「厚労省は昨年までに、製薬会社4社とワクチン8.8億回分の供給契約を結んでいました」、これは初めて知ったが、引き渡しは数年間を織り込んでいる筈で、キャンセルの一定のキャンセル料を払えば可能な筈だ。不必要なのに、買った分は使い切る馬鹿なマネまでは厚労省の役人でもするまいと信じる。

第三に、3月26日付け日刊ゲンダイ「マスクに感染予防効果はない? 世界的機関「コクラン」が論文公開」を紹介しよう。
https://hc.nikkan-gendai.com/articles/278865
・『厚労省は、マスクの着用に関して屋外では原則不要、屋内では原則着用を推奨してきました。しかし、令和5年3月13日から、マスクの着用は個人の判断を基本とする方針に変更されました。行政が一律にルールを策定するのではなく、個人の主体的な選択を尊重するというのが方針変更の大きな理由です。 一方で、感染リスクに対するマスクの有効性を疑問視する声も多く、加えてマスクの感染予防効果を検証した研究データも限られているのが現状でした。そんな中、質の高い医療情報の発信で世界的に定評のあるコクランという非営利団体が、ウイルス感染症に対するマスクの有効性を検討した研究論文を2023年1月30日付で公開しました。 この研究では、これまでに報告されているマスクの感染予防効果を検討した研究9件分のデータが統合解析されています。新型コロナウイルス感染症のみならず、インフルエンザ感染症など呼吸器(喉や鼻、気管支など)に感染するウイルスが検討対象となりました。) 解析の結果、ウイルス感染症の症状は、マスクを着用していた場合で1000人あたり152人、マスクを着用していない場合で1000人あたり160人と、マスクを着用していた場合で5%の低下傾向を認めましたが、統計学的に有意な差は示されませんでした。 ただし、解析に含まれた研究の中でも最大規模のデータは、マスクの直接的な感染予防効果を検証した研究ではなく、マスクの着用を推奨する教育的な取り組みの効果を検証した研究でした。たしかに、個人に対するマスクの有効性は必ずしも高いものではないように思います。しかし、この解析結果は、集団における感染拡大の抑止に対するマスクの効果を否定するものではありません』、「これまでに報告されているマスクの感染予防効果を検討した研究9件分のデータが統合解析されています。新型コロナウイルス感染症のみならず、インフルエンザ感染症など呼吸器(喉や鼻、気管支など)に感染するウイルスが検討対象となりました。) 解析の結果、ウイルス感染症の症状は、マスクを着用していた場合で1000人あたり152人、マスクを着用していない場合で1000人あたり160人と、マスクを着用していた場合で5%の低下傾向を認めましたが、統計学的に有意な差は示されませんでした」、「統計学的に有意な差は示されませんでした」のであれば、「マスクの効果はなんともいえない」とみるべきだ。「解析に含まれた研究の中でも最大規模のデータは、マスクの直接的な感染予防効果を検証した研究ではなく、マスクの着用を推奨する教育的な取り組みの効果を検証した研究でした。たしかに、個人に対するマスクの有効性は必ずしも高いものではないように思います。しかし、この解析結果は、集団における感染拡大の抑止に対するマスクの効果を否定するものではありません」、なるほど。

第四に、5月23日付け日刊ゲンダイが掲載した医療ガバナンス研究所 理事長の上昌広氏による「日本のコロナ対策が迷走した原因は「国民の健康より国家の都合」な厚労省の体質にある」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/323329
・『なぜ、我が国のコロナ対応は迷走したのか。コロナ対策の主体は厚労省だ。その前身である厚生省は昭和13年に内務省から分離独立した。今回の迷走劇を考える上で、内務省を理解することは重要だ。 内務省は、征韓論を端緒とする明治6年の政変をきっかけに設立される。初代内務卿に就任した大久保利通は、内務省を通じた治安維持の強化をもくろんだといわれている。次官、警保局長、警視総監を「内務三役」と称したことなど、その象徴だ。 明治7年、明治政府は日本初の総合的医療・衛生制度である「医制」を公布する。中心となったのは、文部省医務局長や東京医学校(現在の東京大学医学部)の校長を務めた長与専斎だ。状況が変わったのは、翌8年に「医制」の所管が、文部省から内務省に移った時だ。明治19年には衛生局が設置されるが、警保局が所管した衛生警察行政の影響を受ける。 警保局は、大逆事件を機に、明治44年、思想警察である特別高等警察(特高)を設置、大正14年に制定された治安維持法を所管した部局だ。当時、警保畑の内務官僚は、衛生警察と特高をローテーションした。これが我が国の公衆衛生のひな型となる』、「警保畑の内務官僚は、衛生警察と特高をローテーションした。これが我が国の公衆衛生のひな型となる」、「衛生警察と特高をローテーションした」とは、厚労省が高飛車な背景が理解できた。
・『現在も影響は残っている。感染症法は、患者の検査や治療を受ける権利には言及せず、国家による強制隔離を認めている。基本的な枠組みは明治以来変わらない。 問題は感染症法だけではない。旅館業法も同様だ。同法では、ホテルに宿泊する際には、氏名と住所を記さなければならないと規定されている。その目的は伝染病の蔓延を防ぐことだが、交通機関や飲食店と旅館を区別して扱う合理的理由はない。平成7年のオウム事件で、偽名で宿泊した信者が逮捕されるなど、現在でも別件逮捕の口実に使われている。 厚労省の歴史を振り返れば、国民の健康より国家の都合を優先した事例は枚挙にいとまがない。厚生省が内務省から分離したのは、陸軍省の要請を受けてのもので、筆頭局は体力局だった。国民体力法を制定し、徴兵制度を推し進めた。 コロナ禍で、厚労省の医系技官や周囲の医師は、「日本の病院を守るため」や「保健所を逼迫させないため」などの理由で、国民が検査や医療を受ける権利を制限した。これは世界的には異様だ。 患者と国家の間で軋轢が生じれば、医師は患者の味方をしなければならない。これはギリシャ・ローマ時代以来のプロフェッショナルとしての責務だ。彼らが、こんなことを言って平気だったのは、国民の権利より国家の都合を優先する内務省以来の価値観が残り、そのことを感染症法などが法的に規定しているからだ。我が国の感染症対策は、国民主権で抜本的に見直さねばならない』、「厚生省が内務省から分離したのは、陸軍省の要請を受けてのもので、筆頭局は体力局だった。国民体力法を制定し、徴兵制度を推し進めた」、「コロナ禍で、厚労省の医系技官や周囲の医師は、「日本の病院を守るため」や「保健所を逼迫させないため」などの理由で、国民が検査や医療を受ける権利を制限した。これは世界的には異様だ。 患者と国家の間で軋轢が生じれば、医師は患者の味方をしなければならない。これはギリシャ・ローマ時代以来のプロフェッショナルとしての責務だ。彼らが、こんなことを言って平気だったのは、国民の権利より国家の都合を優先する内務省以来の価値観が残り、そのことを感染症法などが法的に規定しているからだ。我が国の感染症対策は、国民主権で抜本的に見直さねばならない」、厚労省がここまで「国民の権利より国家の都合を優先する内務省以来の価値観が残」しているとは、改めて驚いた。「我が国の感染症対策は、国民主権で抜本的に見直さねばならない」、完全に同感である。 
タグ:パンデミック(経済社会的視点) (その25)(「ワクチン打て!」から突然「打たなくていい」に…WHOがヤバすぎる方針転換を決めた驚愕の背景、「2000人以上が接種後に死亡…」WHO突然の「追加接種不要」発表で問われるワクチン接種のヤバすぎる実態、マスクに感染予防効果はない? 世界的機関「コクラン」が論文公開、給食時の「黙食見直し」で学級閉鎖は増えたか 千葉県小中学校のデータを用いて影響を検証) 現代ビジネス「「ワクチン打て!」から突然「打たなくていい」に…WHOがヤバすぎる方針転換を決めた驚愕の背景」 「神奈川県に住む主婦の安藤恵子さん(75歳・仮名)だ。 「全国旅行支援を使うのに必要だったから、19歳の孫に3回目の接種を受けさせたんです。ところが接種後、下半身に痺れが出るようになった。その後も孫は坐骨神経痛を患ったままで、日常生活を送るにも苦労しています」、深刻な副反応だ。それにしても、「WHO」の突然の指示変更の理由は何なのだろう。 「'21年9月、当時FDA(米食品医薬品局)のワクチン研究・審査局長だったマリオン・グルーバー氏は、WHOに所属する科学者とともに『3回目の追加接種は必要ない』という論文を発表している。現在はワクチンの研究をする非営利組織IAVIの副社長を務めているグルーバー氏が語る。 「治療方法も確立せず、感染が拡大し続ける状況での1~2回目接種は必要でした。しかし3回目接種は効果が不十分というデータが出ており、次々にワクチンの副反応も見つかっていた。だから私たちは追加接種に異を唱えたのです。 ところが我々の意見は完全に無視され、追加接種に猛反対した私はFDAを離れることになった。今回のWHOの発表は遅すぎるくらいです」、なるほど。 「追加接種をした人ほど、副反応の症状が悪くなっていると感じています。特に2回目接種と3回目接種との間には大きなギャップがある。3回、4回と接種した人は接種後の予後が悪く、強い倦怠感に襲われたり、認知症のような状態になってしまう人も珍しくありません」、WTOとしては、責任回避のための政策変更のようだ。 現代ビジネス「「2000人以上が接種後に死亡…」WHO突然の「追加接種不要」発表で問われるワクチン接種のヤバすぎる実態」 「ワクチン接種後に亡くなった事例はすでにおよそ2000件判明している。しかもこれは国に報告があった数にすぎず、あくまで氷山の一角である」、なるほど。 「感染初期の武漢型ウイルスやデルタ株は毒性が強く、ワクチンはそれなりの役割を果たしたと思っています。しかし今流行っているウイルスは弱毒化しており、健康な人や子どもが感染しても重症化することはほとんどない。 健康な人は、発熱などの副反応覚悟でワクチンを打つか、あるいは社会に集団免疫ができあがるまで感染覚悟でワクチンを打たないでいるか、自分で決めたらいい」、「ワクチン」の意義が低下したようだ。 「厚労省は昨年までに、製薬会社4社とワクチン8.8億回分の供給契約を結んでいました。すでに約1兆457億円を支払ったとされており、全国民に計8回ワクチンを打たないと在庫がはけないと考えているのでしょう」・・・世界がワクチンの安全性と「コスパ」を冷静に判断して追加接種をやめても、日本だけはバカ正直に追加接種を続けている―。後になってそれが「重大な判断ミス」だった、などということにならない保証はあるだろうか」、 「厚労省は昨年までに、製薬会社4社とワクチン8.8億回分の供給契約を結んでいました」、これは初めて知ったが、引き渡しは数年間を織り込んでいる筈で、キャンセルの一定のキャンセル料を払えば可能な筈だ。不必要なのに、買った分は使い切る馬鹿なマネまでは厚労省の役人でもするまいと信じる。 日刊ゲンダイ「マスクに感染予防効果はない? 世界的機関「コクラン」が論文公開」 「これまでに報告されているマスクの感染予防効果を検討した研究9件分のデータが統合解析されています。新型コロナウイルス感染症のみならず、インフルエンザ感染症など呼吸器(喉や鼻、気管支など)に感染するウイルスが検討対象となりました。) 解析の結果、ウイルス感染症の症状は、マスクを着用していた場合で1000人あたり152人、マスクを着用していない場合で1000人あたり160人と、マスクを着用していた場合で5%の低下傾向を認めましたが、統計学的に有意な差は示されませんでした」、 「統計学的に有意な差は示されませんでした」のであれば、「マスクの効果はなんともいえない」とみるべきだ。「解析に含まれた研究の中でも最大規模のデータは、マスクの直接的な感染予防効果を検証した研究ではなく、マスクの着用を推奨する教育的な取り組みの効果を検証した研究でした。たしかに、個人に対するマスクの有効性は必ずしも高いものではないように思います。しかし、この解析結果は、集団における感染拡大の抑止に対するマスクの効果を否定するものではありません」、なるほど。 日刊ゲンダイ 上昌広氏による「日本のコロナ対策が迷走した原因は「国民の健康より国家の都合」な厚労省の体質にある」 「警保畑の内務官僚は、衛生警察と特高をローテーションした。これが我が国の公衆衛生のひな型となる」、「衛生警察と特高をローテーションした」とは、厚労省が高飛車な背景が理解できた。 「厚生省が内務省から分離したのは、陸軍省の要請を受けてのもので、筆頭局は体力局だった。国民体力法を制定し、徴兵制度を推し進めた」、「コロナ禍で、厚労省の医系技官や周囲の医師は、「日本の病院を守るため」や「保健所を逼迫させないため」などの理由で、国民が検査や医療を受ける権利を制限した。これは世界的には異様だ。 患者と国家の間で軋轢が生じれば、医師は患者の味方をしなければならない。これはギリシャ・ローマ時代以来のプロフェッショナルとしての責務だ。彼らが、こんなことを言って平気だったのは、国民の権利より国家の都合を優先する内務省以来の価値観が残り、そのことを感染症法などが法的に規定しているからだ。 我が国の感染症対策は、国民主権で抜本的に見直さねばならない」、厚労省がここまで「国民の権利より国家の都合を優先する内務省以来の価値観が残」しているとは、改めて驚いた。「我が国の感染症対策は、国民主権で抜本的に見直さねばならない」、完全に同感である。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

パンデミック(経済社会的視点)(その24)(「緊急事態宣言は必要なかった」ウイルス学者が語る日本に最適な感染症対策ができなかった本当の理由 「欧米でやっていること以外はダメだ」日本よりも欧米のデータを重視する病、コロナ5類「マスク要否」論争で知っておきたい事 専門家は有効性を主張するが否定的な研究もある、コロナワクチンは「すでに“大薬害”」京大名誉教授が指摘 米一流紙も「ワクチンを繰り返し接種した人は感染率が上がる」) [パンデミック]

パンデミック(経済社会的視点)については、昨年5月28日に取上げた。今日は、(その24)(「緊急事態宣言は必要なかった」ウイルス学者が語る日本に最適な感染症対策ができなかった本当の理由 「欧米でやっていること以外はダメだ」日本よりも欧米のデータを重視する病、コロナ5類「マスク要否」論争で知っておきたい事 専門家は有効性を主張するが否定的な研究もある、コロナワクチンは「すでに“大薬害”」京大名誉教授が指摘 米一流紙も「ワクチンを繰り返し接種した人は感染率が上がる」)である。

先ずは、昨年5月14日付けPRESIDENT Onlineが掲載した京都大学医生物学研究所准教授の宮沢 孝幸氏による「「緊急事態宣言は必要なかった」ウイルス学者が語る日本に最適な感染症対策ができなかった本当の理由 「欧米でやっていること以外はダメだ」日本よりも欧米のデータを重視する病」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/57359
・『政府や自治体はなぜ、全員一律の強い自粛要請を繰り返したのか。ウイルス学者の宮沢孝幸さんは「日本は、欧米の対策をそのまま取り入れようとしました。背景にあるのは欧米追従主義です」という――。 ※本稿は、宮沢孝幸『ウイルス学者の責任』(PHP新書)の一部を再編集したものです』、興味深そうだ。
・『ウイルス学者が提唱する「目玉焼きモデル」  私は、ウイルス学の知見に基づいて正しい政策決定をしてもらうために、「目玉焼きモデル」というものをつくりました。 【図表1】目玉焼きモデル(同心円モデル)出所=宮沢孝幸氏が作成 今回のウイルスの感染状況を見ていますと、感染しやすい場所で感染し、感染しにくい場所ではあまり感染しないことがわかってきました。感染する行為で感染しますが、感染する行為をしなければ、ほとんど感染は起こっていません。当たり前といえば、当たり前です。感染しやすい場所というのは、ライブハウスやカラオケ、一部の飲食店、職場の休憩室などです。 特に、密接な接客を伴うような店、大声を出すような店で感染が広がっていました。1人が何人にうつすかという実効再生産数は、日本全体を平均すると1.7くらいでしたが、繁華街ではもっと高いと見られていました。2~3、あるいはそれ以上になっていたかもしれません。1人の感染者が平均2~3人に感染させるということです。実際にクラスターを出したホストクラブでは、感染率は60%にも上っていました。一時点でのPCRの結果ですから、店舗内のほとんどの人が感染していたのかもしれません。そうなると、実効再生産数は恐ろしく高いことになります。 それに対して、一般の生活を送っている人たちは、感染しても多くの人にうつすことはありませんでした。ホストクラブなどの特殊な飲食店での接客のように、多数の人と密接に、同時に大声で話をするわけではないのです。何も感染対策をしていない場合では同居している家族や職場や大声を出す部活動の仲間や友人にうつしてしまうことはあるかもしれませんが、その他の多くの人にうつすことはほとんどないはずです。平均すれば、一般生活をしている人は、実効再生産数は、1以下だったのだと思います』、「目玉焼きモデルは合理的なように思えるが、一般にまで普及しなかったのは何故なのだろうか。
・『政府の採用モデルと「目玉焼きモデル」の決定的な違い  政府が採用したモデルは、実効再生産数を一律に考えるものでした。国全体を平均した実効再生産数が1を大きく超えていたとすると、それが1未満に下がるまでは、国民全員に一律に自粛を求める対策です。 これに対して「目玉焼きモデル」は、実効再生産数を一律に考えないことが最大の特徴です。繁華街など実効再生産数が高い場所、実効再生産数が1くらいまでの場所、巣ごもりなど実効再生産数がゼロに近い場所などに分けて、ターゲットに合った対策をとっていくものです。 「目玉焼きモデル」の真ん中の黄身の部分は、繁華街など実効再生産数が高く、その周囲の白身の部分は実効再生産数が低いところです。真ん中へ行くほど実効再生産数が高くなり、外側へ行くほど実効再生産数が低くなり、一番外側ではほぼゼロになります。実効再生産数が高い繁華街の一部の店や高齢者施設などでは、重点的な対策が必要ですが、実効再生産数がそれほど高くない一般生活圏に入っている人には、できるだけ通常の生活を続けてもらえるようにしたいと思いました。 ただし、一般の人も一定程度は警戒しなければいけませんので、目玉焼きの少し外側に行ってもらう。それが「100分の1作戦」の実践です。 政府・自治体の緊急事態宣言による対策は、全国民を目玉焼きの一番外側の「巣ごもり」にさせるような対策でした。これでは、社会経済生活が破綻してしまいます。ターゲットを絞った対策をするためのイメージが「目玉焼きモデル」です。 全国どの地域でも、繁華街などの感染拡大箇所で重点的に対処し、一般の人にはある程度の自粛をお願いすれば、感染を抑えられることが示唆されていました。緊急事態宣言によって、全員一律の強い自粛要請を行なう必要はなかったのです。 感染症モデルによる「人と人の接触機会」の削減は、数字に基づく計算であって、ウイルス学を無視したものでした。「人と人の接触機会」を減らすことは、あらゆる手を尽くした後の最後の最後の手段です。何をやってもうまくいかないから、最終的に「人と人の接触機会」を減らすというのであれば理解できますが、最初から「人と人の接触機会」を減らすのは、間違っています』、「感染症モデルによる「人と人の接触機会」の削減は、数字に基づく計算であって、ウイルス学を無視したものでした。「人と人の接触機会」を減らすことは、あらゆる手を尽くした後の最後の最後の手段です。何をやってもうまくいかないから、最終的に「人と人の接触機会」を減らすというのであれば理解できますが、最初から「人と人の接触機会」を減らすのは、間違っています」、その通りだ。
・『誤った政策をもたらす「欧米追従主義」  感染症には、地域的な特性を持つものがあります。例えば、ヘルペスのEBウイルスは、日本人にはあまりひどい症状を起こしませんが、アフリカの人たちが感染するとバーキットリンパ腫になる可能性があります。新型コロナウイルスの場合も、欧米では猛威を振るいましたが、アジア諸国では欧米ほどの状況にはなりませんでした。 ところが、日本は、欧米の対策をそのまま取り入れようとしました。背景にあるのは欧米追従主義です。日本の研究者や医師には、「欧米と同じようにやればいい」という考え方が根付いてしまっています。政策決定に関わる人たちも事なかれ主義で、責任をとりたがりません。日本独自の対策をして失敗すれば責任をとらされますので、「アメリカはこうやっている」「イギリスはこうやっている」ということを根拠にして、同じ対策をとろうとします。 その姿勢が色濃く出たのが初期の緊急事態宣言だったと思います。感染率はイギリスの26分の1、死亡率はイギリスの131分の1でしたが、イギリスと同じような対策をとろうとしました。イギリスの場合は、ロックダウンをしなければ感染者数は急激に下がらなかったのですが、イギリスでロックダウンをして下がってきたくらいの自然減(自然に感染が収まる)状態であった日本が、緊急事態宣言を出しました。前述したように、日本は、ある程度の自粛を求めるだけで、減少トレンドに入っていましたが、その点は考慮されませんでした』、「日本の研究者や医師には、「欧米と同じようにやればいい」という考え方が根付いてしまっています。政策決定に関わる人たちも事なかれ主義で、責任をとりたがりません。日本独自の対策をして失敗すれば責任をとらされますので、「アメリカはこうやっている」「イギリスはこうやっている」ということを根拠にして、同じ対策をとろうとします」、海外留学した「研究者や医師」が主導的立場にあるからだろう。「その姿勢が色濃く出たのが初期の緊急事態宣言だったと思います。感染率はイギリスの26分の1、死亡率はイギリスの131分の1でしたが、イギリスと同じような対策をとろうとしました。イギリスの場合は、ロックダウンをしなければ感染者数は急激に下がらなかったのですが、イギリスでロックダウンをして下がってきたくらいの自然減(自然に感染が収まる)状態であった日本が、緊急事態宣言を出しました」、確かに今から振り返ってみると、滑稽なぐらいのカラ騒ぎだった。
・『独自の研究は評価されない日本  そして、学問自体が欧米追従主義に陥っていることが日本の問題点だといえます。明治以降のキャッチアップ政策によって欧米に追いつくことはできましたが、その後は日本が欧米を引っ張って、新しいものをつくっていかなければなりませんでした。それをせずにずっと欧米のまねに留まっています。 特に、医学やウイルス学に関しては、ずっとその状態が続いています。日本独自の研究は、国内で高く評価されません。評価基準はすべて欧米基準で、論文が『ネイチャー』、『サイエンス』に出ることが素晴らしいという感覚が染みついています。確かに欧米基準にはよい点もありますが、欧米基準はあくまでも欧米の価値観が反映されたものです。 私の友人で、ウナギの新しいウイルスを発見した研究者がいます。ウナギが病気になって困っている人たちがいたため、ウナギを捕まえて調べたところ、未知のウイルスを発見したのです。ウイルスのデータベース上にもない、近縁種もいない、まったく新しいウイルスでした。 日本人の私から見れば、『ネイチャー』クラスの発見です。ところが、欧米ではウナギという生物にピンとこないようです。「ウナギのウイルス? なんだそれ?」という感じで、高く評価されなかったと聞きました。最終的にこの論文はウイルス学の専門誌に出ました。日本人にとっては、ウナギは重要な水産資源であり、高級品ですから、ウナギの病気を研究することは価値のあることです。しかし、欧米の人には、価値が低いと見られて、『ネイチャー』、『サイエンス』に載ることはありませんでした。 日本とは価値観が違うのに、日本の研究者たちは欧米の価値観で編集されている『ネイチャー』や『サイエンス』に論文が載ることが素晴らしいことだと信じ込んでいます』、問題は「日本とは価値観が違うのに、日本の研究者たちは欧米の価値観で編集されている『ネイチャー』や『サイエンス』に論文が載ることが素晴らしいことだと信じ込んでい」ることにある。
・『今のままでは、日本に最適の感染症対策はできない理由  世の中に新しい流れをつくっていくには、欧米の価値観に縛られるよりも、むしろ、欧米人が考えないことを研究したほうがいいと私は思っています。昔のガラパゴス携帯電話のようなものですが、研究というのは、そういうものです。 けれども、学術界においては、「欧米でやっていること以外はダメだ」という風潮が染みついてしまっています。日本の特徴といえるのかもしれませんが、欧米で出ている論文のデータを素直に信じる傾向があります。新型コロナウイルスに関しても、「欧米では、多くの若者が感染して、若者に後遺症が出ている」という情報を持ってきて、日本での若者の感染率や後遺症のデータについてはほとんど考慮しない状態でした。 日本の若者が感染して重症化した例は少なく、結果的に、後遺症になった人の割合も欧米ほど多くありません。それにもかかわらず、「若い人も後遺症が出る。若い人もワクチンを打たなければいけない」と言ってワクチン接種を若者にも促進しました。 論文には嘘は普通にころがっています。『ネイチャー』や『サイエンス』クラスのトップジャーナルであればあるほど、誇張や嘘が多い印象です。それらの論文ばかりを根拠にしているのは、間違いです。医学界がその姿勢を改めない限り、日本に最適の感染症対策はできないと思います』、感染症は「日本人」の特性に応じて欧米とは違う症状を示す以上、「日本人」の特性に応じた「感染」対策を真剣に検討すべきだろう。

次に、本年2月22日付け東洋経済オンラインが掲載した医療ガバナンス研究所理事長の上 昌広氏による「コロナ5類「マスク要否」論争で知っておきたい事 専門家は有効性を主張するが否定的な研究もある」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/654221
・『5月8日、コロナの感染症法上の位置付けが現在の「2類相当」から「5類」に変更される。入院などを強制できる危険性の高い感染症に当てはまらなくなることに伴い、政府は室内でのマスクの着用の推奨を取りやめる。これまでマスク着用をめぐっては各方面でさまざまな騒動があったが、今回の政府方針変更についても議論が巻き起こっている』、歯に衣着せぬ「上」氏の見解とは興味深そうだ。
・『専門家は慎重  マスク着用について、専門家は慎重だ。1月24日に、厚生労働省の感染症部会の議論を紹介した朝日新聞の記事は、以下のように記している。 <マスク着用の緩和については8人が言及し、慎重な意見が目立った。政府は屋内でも原則着用を求めない方向で検討中だが、「着用にはエビデンス(科学的根拠)があるが、外すことに関する情報は乏しい。着けたい人への配慮も必要」「感染対策として必要で、類型移行とは別に検討すべきだ」「緩和は時期尚早」などの声があった。> 朝日新聞は2月12日の社説で「マスク見直し拙速な転換は混乱招く」と論じており、早期の規制緩和に反対している。朝日新聞ほどでないにせよ、マスク外しには慎重に対処すべきだというのは、マスコミのコンセンサスのように見える。彼らが、このように主張する背景にあるのは、前述したように、専門家の「着用にはエビデンス(科学的根拠)がある」という話からだ。 では、そのエビデンスとはなんだろう。2月8日、西浦博・京都大学教授や尾身茂・コロナ対策分科会会長ら25人の専門家が「マスク着用の有効性に関する科学的知見」という文章を発表した。 この内容には疑問がある。それは、「マスクをつけるべきだ」という自らの主張に適合する研究を取り上げていても、この議論で外すことのできない重要な研究が引用されていないからだ。 このレポートで、専門家たちは2つのメタ解析の結果を紹介している。メタ解析とは、それまでに発表されている医学論文をまとめて分析したもので、医学的エビデンスレベルが最も高いとされている。) 1つ目は、今年2月に北京大学の研究者たちが『トランスレーショナル精神医学誌』に発表したものだ。この研究では、マスク着用により、感染リスクは16%低下し、その差は統計的に有意だった。臨床医学では、統計的に有意であることは、有効性が証明されたと同義である。 もう1つは、昨年8月に世界保健機関(WHO)などの研究者が『E臨床医学誌』で発表したものだ。「すべての研究で、マスク着用政策に関連した発生率の急速かつ大幅な減少が報告されている」と記している』、岸田首相としては、5月にG7サミットを議長国として開催することから、それまでに「日本」でも「マスク」を外せる状態にしたいのだろう。「北京大学の研究者たちが『トランスレーショナル精神医学誌』に発表したものだ。この研究では、マスク着用により、感染リスクは16%低下し、その差は統計的に有意だ」。「世界保健機関(WHO)などの研究者が『E臨床医学誌』で発表したものだ。「すべての研究で、マスク着用政策に関連した発生率の急速かつ大幅な減少が報告されている」と記している」、「有効性」を実証した例だ。
・『マスクの効用に否定的な研究も複数存在  このような研究結果を知ると、マスクの有効性は明らかで、医学的に公知であると考える読者が多いだろうが、必ずしもそうとは言い切れない。マスクの効用について、否定的な研究も存在するからだ。 昨年2月、韓国のサムスンメディカルセンターの医師たちが、マスクの効果を検証したメタ解析を『医療ウイルス学』誌に発表したが、この研究では、一般人がマスクを着用した場合、予防効果は約20%で、その差は統計的に有意ではなかった。つまり、効果は証明されていないことになる。 さらに、今年1月30日に公開されたマスクに関するコクランレビューの結果は、もっと否定的だった。マスクの感染予防効果はまったくなかった。11の大規模臨床試験をまとめたメタ解析では、マスク着用群で感染が5%減っていたが、これは統計的に有意ではなかった。 コクランレビューは、国際団体コクランが作成する医学論文の総括で、信頼度は極めて高い。 では、どうして「マスク着用の有効性に関する科学的知見」で引用されている研究と、コクランレビューの分析結果が、こんなに違うのだろうか。それは選択する論文の基準が違うからだ。「マスク着用の有効性に関する科学的知見」に引用された北京大学の研究は76の論文、WHOの研究は21の論文を分析している。前者はコロナ以外の呼吸器感染、後者はコロナ感染に限定している。) 一方、コクラン研究は、コロナ以外の呼吸器ウイルスも含め、11の臨床研究を解析している。すべて、ランダム化比較試験だ。ランダム化比較試験では、臨床試験参加者のマスクの装着を、個人ごとや地域ごとにくじ引きで決めるため、バイアスが関与する可能性は低い。 一方、北京大学やWHOの研究には、多くの観察研究が含まれている。コロナ感染の減少が、マスクの効果なのか、あるいはワクチン接種や換気対策、さらに季節性要因などの他の要因によるものか区別できない。 メタ解析では、分析の対象とする研究の数を増やすことが、必ずしも研究の質を上げることにならない』、「「マスク着用の有効性に関する科学的知見」に引用された北京大学の研究は76の論文、WHOの研究は21の論文を分析している。前者はコロナ以外の呼吸器感染、後者はコロナ感染に限定」、「マスクに関するコクランレビューの結果は、もっと否定的だった。マスクの感染予防効果はまったくなかった。11の大規模臨床試験をまとめたメタ解析では、マスク着用群で感染が5%減っていたが、これは統計的に有意ではなかった。 コクランレビューは、国際団体コクランが作成する医学論文の総括で、信頼度は極めて高い」、「「マスク着用の有効性に関する科学的知見」で引用されている研究と、コクランレビューの分析結果が、こんなに違うのだろうか。それは選択する論文の基準が違うからだ。「マスク着用の有効性に関する科学的知見」に引用された北京大学の研究は76の論文、WHOの研究は21の論文を分析している。前者はコロナ以外の呼吸器感染、後者はコロナ感染に限定している。) 一方、コクラン研究は、コロナ以外の呼吸器ウイルスも含め、11の臨床研究を解析している。すべて、ランダム化比較試験だ。ランダム化比較試験では、臨床試験参加者のマスクの装着を、個人ごとや地域ごとにくじ引きで決めるため、バイアスが関与する可能性は低い」、なるほど。
・『どこまでマスクの効用に期待するかは個人次第  なぜ、専門家25人は、「マスク着用の有効性に関する科学的知見」に、最も権威があるコクランレビューを引用しなかったのだろうか。もし、コクランレビューをフォローしていなければ、研究者としての情報収集能力に問題があるし、知っていて引用していないならば不思議な話だ。 コロナが流行する以前の2010年にフランス、2011年にタイの研究者が、それぞれ家庭内でのインフルエンザの感染を減らすため、マスク着用を推奨したが、効果はなかったと報告している。 だからこそ、海外では流行期の公共施設などを除き、マスクの装着を個人の判断に任せている。どこまで感染リスクを負い、どこまでマスクの効用に期待するかは個人次第だ。マスクの装着は、個人の価値観に基づくものであり、中央政府が一律に決定できるものではない。厚労省や専門家は、自らの価値観を国民に無理強いするのではなく、国民が自ら判断できるように、正確な情報を伝えねばならない』、「コロナが流行する以前の2010年にフランス、2011年にタイの研究者が、それぞれ家庭内でのインフルエンザの感染を減らすため、マスク着用を推奨したが、効果はなかったと報告している。 だからこそ、海外では流行期の公共施設などを除き、マスクの装着を個人の判断に任せている。どこまで感染リスクを負い、どこまでマスクの効用に期待するかは個人次第だ。マスクの装着は、個人の価値観に基づくものであり、中央政府が一律に決定できるものではない。厚労省や専門家は、自らの価値観を国民に無理強いするのではなく、国民が自ら判断できるように、正確な情報を伝えねばならない」、「海外では流行期の公共施設などを除き、マスクの装着を個人の判断に任せている。どこまで感染リスクを負い、どこまでマスクの効用に期待するかは個人次第だ。マスクの装着は、個人の価値観に基づくものであり、中央政府が一律に決定できるものではない」現在の枠組みが確立したようだ。

第三に、2月23日付けYahooニュースがデイリー新潮を転載した「コロナワクチンは「すでに“大薬害”」京大名誉教授が指摘 米一流紙も「ワクチンを繰り返し接種した人は感染率が上がる」」の無料部分を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d2d505db87f5f11b1716604bef90c4a3e7e032a3
・『新型コロナワクチンは、高齢者の死亡率を低下させるなどの福音をもたらした半面、ここにきて決して看過できない“不都合なデータ”が次々と明らかになっている。ワクチン接種後に死亡するケースが国内で2千件近く報告されており、ついに、ワクチンを緊急承認したアメリカの食品医薬品局(FDA)も「負の側面」に言及。ファイザー社製のワクチンを接種する前と後で、肺塞栓症という病気になる頻度が統計的にみて有意に高くなっていたと報告したのだ。 ここ日本でも“潮目”は変わり始めているのかもしれない。何しろ、コロナワクチン接種推進の責任者だった河野太郎デジタル大臣が責任逃れの弁明を行って炎上したのだ。そんな中、米「ウォール・ストリート・ジャーナル」が報じた「ワクチンの暗部」とは――。)(これ以降は有料)』、残念ながら無料部分だけでは、殆ど実態が分からないが、やはり「ワクチン」の副反応は事実のようだ。今後、注視したい。
タグ:PRESIDENT ONLINE (その24)(「緊急事態宣言は必要なかった」ウイルス学者が語る日本に最適な感染症対策ができなかった本当の理由 「欧米でやっていること以外はダメだ」日本よりも欧米のデータを重視する病、コロナ5類「マスク要否」論争で知っておきたい事 専門家は有効性を主張するが否定的な研究もある、コロナワクチンは「すでに“大薬害”」京大名誉教授が指摘 米一流紙も「ワクチンを繰り返し接種した人は感染率が上がる」) パンデミック(経済社会的視点) コクランレビューは、国際団体コクランが作成する医学論文の総括で、信頼度は極めて高い」、「「マスク着用の有効性に関する科学的知見」で引用されている研究と、コクランレビューの分析結果が、こんなに違うのだろうか。それは選択する論文の基準が違うからだ。「マスク着用の有効性に関する科学的知見」に引用された北京大学の研究は76の論文、WHOの研究は21の論文を分析している。前者はコロナ以外の呼吸器感染、後者はコロナ感染に限定している。) 一方、コクラン研究は、コロナ以外の呼吸器ウイルスも含め、11の臨床研究を解析して 「「マスク着用の有効性に関する科学的知見」に引用された北京大学の研究は76の論文、WHOの研究は21の論文を分析している。前者はコロナ以外の呼吸器感染、後者はコロナ感染に限定」、「マスクに関するコクランレビューの結果は、もっと否定的だった。マスクの感染予防効果はまったくなかった。11の大規模臨床試験をまとめたメタ解析では、マスク着用群で感染が5%減っていたが、これは統計的に有意ではなかった。 「世界保健機関(WHO)などの研究者が『E臨床医学誌』で発表したものだ。「すべての研究で、マスク着用政策に関連した発生率の急速かつ大幅な減少が報告されている」と記している」、「有効性」を実証した例だ。 岸田首相としては、5月にG7サミットを議長国として開催することから、それまでに「日本」でも「マスク」を外せる状態にしたいのだろう。「北京大学の研究者たちが『トランスレーショナル精神医学誌』に発表したものだ。この研究では、マスク着用により、感染リスクは16%低下し、その差は統計的に有意だ」。 歯に衣着せぬ「上」氏の見解とは興味深そうだ。 上 昌広氏による「コロナ5類「マスク要否」論争で知っておきたい事 専門家は有効性を主張するが否定的な研究もある」 東洋経済オンライン 感染症は「日本人」の特性に応じて欧米とは違う症状を示す以上、「日本人」の特性に応じた「感染」対策を真剣に検討すべきだろう。 問題は「日本とは価値観が違うのに、日本の研究者たちは欧米の価値観で編集されている『ネイチャー』や『サイエンス』に論文が載ることが素晴らしいことだと信じ込んでい」ることにある。 海外留学した「研究者や医師」が主導的立場にあるからだろう。「その姿勢が色濃く出たのが初期の緊急事態宣言だったと思います。感染率はイギリスの26分の1、死亡率はイギリスの131分の1でしたが、イギリスと同じような対策をとろうとしました。イギリスの場合は、ロックダウンをしなければ感染者数は急激に下がらなかったのですが、イギリスでロックダウンをして下がってきたくらいの自然減(自然に感染が収まる)状態であった日本が、緊急事態宣言を出しました」、確かに今から振り返ってみると、滑稽なぐらいのカラ騒ぎだった。 「日本の研究者や医師には、「欧米と同じようにやればいい」という考え方が根付いてしまっています。政策決定に関わる人たちも事なかれ主義で、責任をとりたがりません。日本独自の対策をして失敗すれば責任をとらされますので、「アメリカはこうやっている」「イギリスはこうやっている」ということを根拠にして、同じ対策をとろうとします」、 「感染症モデルによる「人と人の接触機会」の削減は、数字に基づく計算であって、ウイルス学を無視したものでした。「人と人の接触機会」を減らすことは、あらゆる手を尽くした後の最後の最後の手段です。何をやってもうまくいかないから、最終的に「人と人の接触機会」を減らすというのであれば理解できますが、最初から「人と人の接触機会」を減らすのは、間違っています」、その通りだ。 「目玉焼きモデルは合理的なように思えるが、一般にまで普及しなかったのは何故なのだろうか。 宮沢孝幸『ウイルス学者の責任』(PHP新書) 宮沢 孝幸氏による「「緊急事態宣言は必要なかった」ウイルス学者が語る日本に最適な感染症対策ができなかった本当の理由 「欧米でやっていること以外はダメだ」日本よりも欧米のデータを重視する病」 「コロナが流行する以前の2010年にフランス、2011年にタイの研究者が、それぞれ家庭内でのインフルエンザの感染を減らすため、マスク着用を推奨したが、効果はなかったと報告している。 だからこそ、海外では流行期の公共施設などを除き、マスクの装着を個人の判断に任せている。どこまで感染リスクを負い、どこまでマスクの効用に期待するかは個人次第だ。マスクの装着は、個人の価値観に基づくものであり、中央政府が一律に決定できるものではない。厚労省や専門家は、自らの価値観を国民に無理強いするのではなく、国民が自ら判断できる できるように、正確な情報を伝えねばならない」、「海外では流行期の公共施設などを除き、マスクの装着を個人の判断に任せている。どこまで感染リスクを負い、どこまでマスクの効用に期待するかは個人次第だ。マスクの装着は、個人の価値観に基づくものであり、中央政府が一律に決定できるものではない」現在の枠組みが確立したようだ。 yahooニュース デイリー新潮を転載した「コロナワクチンは「すでに“大薬害”」京大名誉教授が指摘 米一流紙も「ワクチンを繰り返し接種した人は感染率が上がる」」の無料部分 残念ながら無料部分だけでは、殆ど実態が分からないが、やはり「ワクチン」の副反応は事実のようだ。今後、注視したい。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

パンデミック(医学的視点)(その26)(コロナワクチン接種後死亡を追う6題:広島大が衝撃発表! “サイトカインストーム”発生で症例報告4例全員の体温が「異常高温」、コロナワクチン接種後死亡を追う、「原死因」ワクチン接種4事例の詳報 遺体が語る因果関係とは?、反ワクチン陰謀論と推進論の不毛…「副反応疑い」は客観的情報が不足している、ワクチン接種と副反応被害 因果関係の判断に重要な「白木3基準」、戦後最大「超過死亡」の謎…ワクチン接種との関係はあるのか?) [パンデミック]

パンデミック(医学的視点)については、昨年2月6日に取り上げた。今日は、(その26)コロナワクチン接種後死亡を追う6題:(広島大が衝撃発表! “サイトカインストーム”発生で症例報告4例全員の体温が「異常高温」、コロナワクチン接種後死亡を追う、「原死因」ワクチン接種4事例の詳報 遺体が語る因果関係とは?、反ワクチン陰謀論と推進論の不毛…「副反応疑い」は客観的情報が不足している、ワクチン接種と副反応被害 因果関係の判断に重要な「白木3基準」、戦後最大「超過死亡」の謎…ワクチン接種との関係はあるのか?)である。

先ずは、昨年11月5日付け日刊ゲンダイが掲載したノンフィクション作家の山岡淳一郎氏による「広島大が衝撃発表! “サイトカインストーム”発生で症例報告4例全員の体温が「異常高温」」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/313919
・『総じて厚生労働省と医学界は、新型コロナワクチン接種と接種後死亡の因果関係の解明には消極的なようにみえる。 そうしたなか、広島大学の法医学、病理学講座を中心とする研究グループが、「Frontiers in Immunology(免疫学の最前線)」という国際免疫学連合会(IUIS)の学術誌に画期的な(?)症例報告を発表した。論文の題は「新型コロナワクチン接種後のサイトカインストーム4例(原文は英語)」。査読を経て、今年8月15日、学術誌のサイトに掲載された。その内容は衝撃的だった。 広大研究チームは、2回目の接種後1~10日で死亡した20~50代の男性4人の遺体を解剖した。そこに前回詳述した岡本裕二さんの長男も含まれている。4人のうち3人がモデルナ製ワクチン、1人がファイザー製を接種していた。病理解剖の時点ではどの遺体からも死亡原因にかかわる情報を得られなかった。ただ、4人とも検視官が測った直腸温から死亡時の体温が、41~43度、42~46度、39~41度、43~44度と「異常高温」だったと推測される。 そこで広大チームは、死亡後、それぞれ24時間以内に採血した血液サンプルを「RNAシーケーシング」という最先端技術を使って解析。「遺伝子発現(遺伝子の遺伝情報がさまざまな生体機能をもつタンパク質の合成を通じて具体的に現れること)」の変化を突きとめる。その結果、4人ともサイトカインが過剰に放出されて暴走し、自らを攻撃するサイトカインストームが発生。全身性炎症反応症候群(SIRS)を発症して死に至ったと推認されたのだ。 20世紀初め世界的に流行し、死亡者が推定1億人を超えた「スペイン風邪(H1N1亜型インフルエンザ)」で青年層に被害が多かったのはサイトカインストームによるものといわれる。免疫力の強い若者は、免疫系が極端に反応すると全身に嵐のような混乱が生じる』、「サイトカインが過剰に放出されて暴走し、自らを攻撃するサイトカインストームが発生。全身性炎症反応症候群(SIRS)を発症して死に至ったと推認」、恐ろしいことだ。
・『副反応の高熱を甘く考えてはいけない  広大の症例報告には、こう記されている。 「死亡した4人は、最初のワクチン接種によって免疫能が感作(特定の抗原=新型コロナウイルスに対して生体が感じやすい状態に)され、2回目のワクチン接種によってSIRSが発症しやすくなったと考えられる。また、この4人はSIRSを発症しやすい生まれつきの素因を持っていた可能性がある」) ただし、今回の症例だけでワクチン接種を危険とみなすべきではない、と広大チームは説く。そして、異常なサイトカイン過剰の原因は明らかではないとしたうえで、こう警告を発する。 「解熱剤を用いても、ワクチン接種後に40度を超える異常高熱がみられた場合には、注意深い観察と対処が必要と思われる」  副反応による高熱を甘く考えてはいけないのである』、「接種後に40度を超える異常高熱がみられた場合には、注意深い観察と対処が必要と思われる」、と言われても困ってしまう。

次に、続きで、11月8日付け日刊ゲンダイが掲載したノンフィクション作家の山岡淳一郎氏による「コロナワクチン接種後死亡を追う」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/314031
・『大阪医薬大法医学教室の解剖…ワクチン2回目接種後に異変、60代男性は肺動脈の断面に血栓びっしり:大阪府高槻市、大阪医科薬科大学法医学教室では鈴木廣一名誉教授ともう一人の教授で、年間160~200体、犯罪や事故、または自宅や路上などで突然死した人の遺体を解剖している。昨年8月上旬、60代男性の遺体が運び込まれてきた。 男性は、中肉中背、毎朝1時間のウオーキングを欠かさず、健康を保っていたが、ファイザー製の新型コロナワクチン2回目接種後から異変が生じた。 家族の話では、男性は胸の違和感を訴え、「息切れがする」と日課のウオーキングをやめている。男性は、接種5日後、あまりの苦しさに診療所に電話をし、受診に向かおうとした。自転車に乗ってこぎ出したところで「やっぱりしんどい」と止まり、そのまま倒れた。見送りの妻が周りに助けを求め、男性は救命救急センターに搬送されたが、すでに心肺停止状態。間もなく死亡が確認された。救命センターの担当医は、法律に従って警察に連絡し、遺体は解剖による死体検案のために大阪医薬大に送られてきたのだった。 解剖台に遺体がのる。鈴木氏は、深々と一礼し、「始めます」と介助の技術職員らに声をかけた。外表検査から始め、胸部にメスを当てて開き、内景の所見に移る。解剖は血液循環の動力源、心臓に及んだ。静脈血を肺に送る肺動脈を切断し、断面を確認する。鈴木氏は思わず、目を見張った。血の塊=血栓が、びっしり血管内に詰まり、血流を塞栓(遮断)していた。) 「これでは血液中の酸素濃度が急激に低下して、呼吸困難や心停止を起こす。おそらく即死に近かっただろう」と直感した。 では、血栓はどこから来たのか? 往々にして血栓は下肢の深部静脈で生じる。鈴木氏は左脚の膝の奥の膝窩静脈にメスを入れた。血栓らしきものはない。続けて右脚の膝窩静脈を開くと黒い血栓がひしめいていた。これだ! 鈴木氏は、解剖を振り返って、こう語った。 「左脚に血栓がなかったのは、そこにあった小血栓が亡くなる直前に自転車をこぐ運動で剥がれて血流で運ばれたから。小血栓は心臓から肺に入り、まず末梢の血管で詰まる。次々と血栓が押し寄せ、塞栓が幹の肺動脈に達したと考えられます。原理的にはエコノミー症候群と同じです。だけど毎朝、ウオーキングをしていた人がいきなり血栓塞栓症を発症するなんて、通常、ありえません。ワクチン接種後、胸の苦しさが続き、診療を受けに行く途中で倒れている。こうなればワクチン接種と死亡の因果関係あり、と捉えるのが医学的見方です」』、「中肉中背、毎朝1時間のウオーキングを欠かさず、健康を保っていたが、ファイザー製の新型コロナワクチン2回目接種後から異変が生じた」、全くの健康体だったのに、「ワクチン接種後」、「血栓塞栓症」になったとは恐ろしい副反応だ。 
・『遺体は因果関係を語りかける  だが、厚生労働省は、このケースも因果関係を評価不能としている。実は、大阪医薬大法医学教室は男性の他に解剖した3人の事例で、死因をワクチン接種と推認している。遺体は因果関係を語りかける。もう少し耳を傾けてみよう。=つづく』、「厚生労働省」は「このケースも因果関係を評価不能としている」、もっと誠実に原因を追究してほしいものだ。

第三に、この続きを、11月9日付け日刊ゲンダイが掲載したノンフィクション作家の山岡淳一郎氏による「「原死因」ワクチン接種4事例の詳報 遺体が語る因果関係とは?」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/314084
・『大阪医科薬科大学法医学教室は、昨春から今春にかけて警察から依頼された法医解剖例のうち少なくとも「4件」で、「原死因(死亡を引き起こした一連の事象の起因となった疾病または損傷)」は「新型コロナウイルスワクチン接種」と報告している。その4例を記そう。 ①前回、詳述した60代男性のケース。ファイザー製ワクチン2回目接種の5日後、胸が苦しくて診療所へ受診に行こうとして、路上で倒れ、亡くなった。解剖の結果、血の塊=血栓が血管に詰まった「肺動脈血栓塞栓症」と確認される。血栓症を起こした大もとの原死因はワクチン接種と死体検案書に書かれた。 ②高度肥満の70代女性が、ファイザー製ワクチン2回目接種の3日後、「足の甲が痛い。手と口が震える」と訴えて倒れた。呼吸が荒くなり、救急搬送されたが死亡。肺の病理組織検査で肺動脈の血栓が見つかる。心臓の血管内に炎症細胞の異常増多も認められた。直接死因は「急性肺動脈血栓症および急性心筋炎」だが、原死因はワクチン接種と考えられる。 ③70代女性は、ファイザー製ワクチン初回接種2日後、胸が痛いと言い、嘔吐した。しばらく横になっていたが、4時間後に親族が異変に気づき、救急搬送。蘇生しなかった。解剖で「頭皮下溢血点、臓器うっ血」などが認められ、病理組織検査で軽度の心筋炎が確認される。直接死因は「致死性不整脈の疑い」。原死因がワクチン接種とされる。) ④70代男性のタクシー運転手が、昨年2月、客を降ろし、空車で帰る途中、下り坂で蛇行運転をして中央分離帯にぶつかり、反動でガードレールに激突。運転手は救急搬送された病院で死亡した。直接死因は「肝臓挫傷による出血性ショック」など。運転中に突発的な脳血管障害が生じた形跡はなく、当初は原死因を特定できなかった。後日、大阪医薬大名誉教授の鈴木廣一氏が報告書作成のために事故の資料を精読して重要な事実に気づく。運転手の妻が「事故の12時間前に夫は3回目のワクチン接種をしました」と述べていたのだ。しかも救急搬送された病院で運転手の体温は40.1度と記録されていた。鈴木氏が語る。 「救急搬送された時点で運転手さんは生きていた。ふつう40度もの熱が出る病状の方が、タクシー勤務には出られません。勤務開始時は体調に問題なく、だんだん反応が起きて発熱した。運転中に脳梗塞や心筋梗塞は発症しておらず、肺動脈の血栓塞栓症もない。つまりワクチン接種の副反応の高体温による意識障害が原死因として推認されます」 厚労省は「評価不能」の烙印  これら4例も厚生労働省は接種と死亡の因果関係に評価不能の烙印を押している。調べ直すには遺族の方々が健康被害救済制度に沿って、病理的な資料を取り寄せなくてはならない。(つづく)』、「ワクチン接種の副反応の高体温による意識障害が原死因として推認」、にも拘らず、厚労省は引き続き「「評価不能」の「烙印」、さらに調べようとはしていない。不当な無視だ。

第四に、続きを11月10日付け日刊ゲンダイが掲載したノンフィクション作家の山岡淳一郎氏による「反ワクチン陰謀論と推進論の不毛…「副反応疑い」は客観的情報が不足している」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/314156
・『新型コロナワクチンの副反応疑い死について語ろうとすると、とても窮屈な空気につつまれる。遺族は強い衝撃を受けている。なぜ、どうして、ああすればよかった、こうすればよかった、と悩み苦しむ。 そうした事実をもとに語ろうとしても、友人でさえ「危険さをあおって、反ワクチン団体の陰謀論に加わるの? 接種は国や専門家が推奨しているよ」と色眼鏡で見る。反ワクチン派は「それみろ、接種は悪だ。絶対に打たせるな」と全否定していきり立つ。 接種の判断は、小児はともかく、成人は本人の意思にかかっている。利益とリスクを勘案して本人が決めれば、他人がとやかく言う問題ではない。利益とリスクを見極めるために副反応の客観的な情報が必要なのだ。が、反ワクチン団体のなかには接種イコール悪と決めつけ、接種会場に乗り込み、妨害する集団まで現れた。主宰者は警視庁公安部に逮捕されている。暴論は排除されるだけだ。 ただ、副反応疑いについては、客観的情報が不足している。だから現実に被害を受け、肉親を失った遺族が孤立する。そもそも副反応疑い死を減らすにはどうしたらいいかという本質的な科学論議も起きてこない』、「副反応疑いについては、客観的情報が不足」、「副反応疑い死を減らすにはどうしたらいいかという本質的な科学論議も起きてこない」、これは不思議だ。
・『死亡例を「無過失予防接種事故」と呼んで放置した過去  1994年に予防接種法が改正され、接種が国民の「努力義務」に変わる以前の「義務」だった時代、副反応被害に国は冷淡だった。接種後に子どもが亡くなっても「特異体質」のひと言でおしまい。死亡例を「無過失予防接種事故」と呼んで放置した。 そうした状態で子どもを亡くした親や、子どもに重い障害が残った親たちが団結して立ち上がり、国を相手に集団訴訟を起こす。その過程で「健康被害救済制度」ができた。集団訴訟が被害者側の勝利で終わるまで26年もの歳月を要したが、健康被害救済制度という救いの綱は残された。今回の副反応被害でも、まずはこの制度を活用するのが先決だろう。 手続きはこうだ。被害者や遺族は、市区町村の窓口の健康被害調査委員会に書類や資料をそろえて補償を申請する。自治体の委員会は、予防接種と健康被害の状況を医学的立場から判断する資料を迅速・正確に収集し、必要な検査などの助言も行う。書類と資料が整えば都道府県を経由して厚生労働省に進達。一件ずつ審査会で認否が審議される。 審査会で「認定しない」「一時金等を支給しない」と決まっても、不服であれば、行政の処分に対する「審査請求」を出して再度、救済への道を探れる。審査請求も認められなければ、「不支給の取り消し」などを目的とした「行政訴訟」を起こすこともできる。過去には行政訴訟で、健康被害救済を勝ち取った被害者たちもいる。 そこで重要になるのは接種と死亡の因果関係を法的に判断する「白木3基準」という考え方だ。(つづく)』、「死亡例を「無過失予防接種事故」と呼んで放置した過去  1994年に予防接種法が改正され、接種が国民の「努力義務」に変わる以前の「義務」だった時代、副反応被害に国は冷淡だった。接種後に子どもが亡くなっても「特異体質」のひと言でおしまい。死亡例を「無過失予防接種事故」と呼んで放置」、そんな歴史的経緯は初めて知った。

第五に、続きを、11月11日付け日刊ゲンダイが掲載したノンフィクション作家の山岡淳一郎氏による「ワクチン接種と副反応被害 因果関係の判断に重要な「白木3基準」」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/314218
・『新型コロナワクチン接種の副反応疑いで重篤な被害を受けた人や遺族は、「予防接種健康被害救済制度」に基づいて医療費や、障害年金、死亡一時金などの補償を申請できる。民法の損害賠償請求では事実と結果(接種と死亡の因果関係)に「高度の蓋然性(確からしさ)」が求められるが、「迅速に幅広く」救済するためのこの制度では「高度の蓋然性」までは求めないと、次のように解釈されている』、「「迅速に幅広く」救済するため」であればやむを得ない。
・『予防接種の健康被害救済は「迅速に幅広く」  「因果関係の判定は、特定の事実が特定の結果を予測し得る蓋然性を証明することによって足りることとする」(1976年3月22日伝染病予防調査会答申) しかしながら、実際に救済制度が運用されるにつれて被害者が補償請求の申請をしたにもかかわらず、認められないケースも出てくる。納得できない被害者は、医療費や障害年金、死亡一時金などの不支給の取り消しを求めて行政訴訟を起こす。その裁判過程で東京大学医学部長だった白木博次教授が示した3要素が因果関係を判断する重要な基準となる。 ①当該症状がワクチンの副反応として起こりうることについて医学的合理性がある。 ②当該症状がワクチンの接種から一定の合理的時期に発症している。 ③他原因によるものであると考えることが合理的な場合に当たらない。 裁判所は、この3基準を重視して因果関係を判断している。 たとえば、三種混合ワクチンの接種後、4歳の女の子が「急性脳症」で重度の障害を負ったケースでは、当初、補償申請が認められなかった。1992年、両親は納得がいかないと裁判所に訴えた。国は3基準について、ことごとく反論してくる。とくに③の他原因については「ヘルペスウイルスによるヘルペス脳炎を来した可能性が相当高い」とワクチン接種との因果関係を真っ向から否定した。  これに対し、原告側は女の子を治療した東京女子医科大学病院の医師らを証人に立て、一つ一つエビデンスを示して論破する。 ヘルペス脳炎についても、「診断に必要な血清、髄液検査、頭部CTスキャン画像検査、脳波検査等の各種検査を精力的に施行したが、いずれの検査においてもウイルス性脳炎感染を支持する陽性所見は得られず」と裁判官は国の主張を退ける。最終的にこう判決を下した。 「本件においては、因果関係が存在することを認定する要因である三つの基準を満たしており、厚生大臣が原告の本件症状と本件予防接種との因果関係の存在を認定しなかったことは、因果関係についての判断を誤ったものというべきであり、その誤った判断に基づいてされた本件各処分は違法であって、取り消しを免れない」 白木3基準には、もっと注目したほうがいいだろう。=つづく』、「白木3基準」はさすがに合理的だ。「4歳の女の子が「急性脳症」で重度の障害を負ったケース」で、「③の他原因については「ヘルペスウイルスによるヘルペス脳炎を来した可能性が相当高い」とワクチン接種との因果関係を真っ向から否定した」、「「ヘルペスウイルス」説にはどんな根拠があったのだろう。単に責任回避のためのこじつけといった印象も受けた。

第六に、続きを、11月12日付け日刊ゲンダイが掲載したノンフィクション作家の山岡淳一郎氏による「戦後最大「超過死亡」の謎…ワクチン接種との関係はあるのか?」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/314296
・『新型コロナ感染症のパンデミックをめぐる謎の一つに「超過死亡」がある。超過死亡とは、死亡者の数が例年の水準にもとづく予測値に比べてどれだけ上回っているかを示す指標。対前年比の死亡者数が一つの目安になる。 2021年の国内全死亡者数は、20年よりも「6万7101人」も増え、増加数は東日本大震災の11年(約5万5000人)を上回り、戦後最大を記録した。21年の新型コロナ感染症による死亡者数は「1万6766人」なので、それとは別の理由で5万人以上が亡くなっていることになる。 推計・分析をした国立感染症研究所の鈴木基感染症疫学センター長は、22年2月18日に厚生労働省の審議会の副反応部会に招かれた。巷では医学者の間からも新型コロナワクチン接種が超過死亡に影響を与えているのではないか、という意見が出ており、見解を求められたのである。鈴木氏は、大阪府、兵庫県、全国の時系列での「ワクチン接種数」「超過死亡の発生」のグラフを示し、次のように断言した。 「(21年春~初夏の)第4波の超過死亡は、ワクチン接種数の増加よりも先に発生し、そしてピークを迎えたということ。(略)ワクチン接種の増加が超過死亡の増加につながったという説明は成り立たない」「学術的な検証を経た科学的根拠は他の国からも報告はない」。そのうえで第4波の爆発的な感染拡大で「医療システムが逼迫し、非感染者における救急医療や一般医療、他病院サービスにも影響を与えた」可能性に言及した。要するに医療崩壊による死亡者増に触れている』、「第4波の爆発的な感染拡大で「医療システムが逼迫し、非感染者における救急医療や一般医療、他病院サービスにも影響を与えた」可能性に言及」、なるほど。
・『名古屋大学名誉教授の小島勢二氏は鈴木氏の見方を否定  他方、名古屋大学名誉教授の小島勢二氏は、22年2~4月ごろの「ワクチン3回目接種回数の推移」と「ワクチン3回目接種後に見られた超過死亡」のデータを突き合わせ、「3回目コロナワクチン接種のピークと超過死亡は同時期に観察され、接種回数と超過死亡には、相関係数0.99と極めて強い正の相関がある」として鈴木氏の見方を否定する。) また、副反応疑い死亡症例を網羅的に分析し、「ワクチン接種後の死因で最も多いのは状態悪化であるが、死亡診断書には老衰と記載されている例も多いと想像される」と指摘。循環器系、呼吸器系疾患、老衰での死亡には、コロナ感染やワクチン接種に関わる死亡が含まれていると思考している。 さらに22年2~3月には医療逼迫が起きていなかった鳥取県、島根県でも191人、131人の超過死亡が観察されたと述べ、コロナの流行拡大の影響を受けていない要因があると説く。それが、副反応による状態悪化なのだろうか……。 私たちの社会には、まだ見えていない副反応疑い死が埋もれているのかもしれない。(おわり)』、「私たちの社会には、まだ見えていない副反応疑い死が埋もれているのかもしれない」、やはり謙虚な姿勢も大切なようだ。
タグ:山岡淳一郎氏による「広島大が衝撃発表! “サイトカインストーム”発生で症例報告4例全員の体温が「異常高温」」 「サイトカインが過剰に放出されて暴走し、自らを攻撃するサイトカインストームが発生。全身性炎症反応症候群(SIRS)を発症して死に至ったと推認」、恐ろしいことだ。 日刊ゲンダイ (コロナワクチン接種後死亡を追う6題:広島大が衝撃発表! “サイトカインストーム”発生で症例報告4例全員の体温が「異常高温」、コロナワクチン接種後死亡を追う、「原死因」ワクチン接種4事例の詳報 遺体が語る因果関係とは?、反ワクチン陰謀論と推進論の不毛…「副反応疑い」は客観的情報が不足している、ワクチン接種と副反応被害 因果関係の判断に重要な「白木3基準」、戦後最大「超過死亡」の謎…ワクチン接種との関係はあるのか?) パンデミック(医学的視点)(その26) 「接種後に40度を超える異常高熱がみられた場合には、注意深い観察と対処が必要と思われる」、と言われても困ってしまう。 山岡淳一郎氏による「コロナワクチン接種後死亡を追う」 「中肉中背、毎朝1時間のウオーキングを欠かさず、健康を保っていたが、ファイザー製の新型コロナワクチン2回目接種後から異変が生じた」、全くの健康体だったのに、「ワクチン接種後」、「血栓塞栓症」になったとは恐ろしい副反応だ。 「厚生労働省」は「このケースも因果関係を評価不能としている」、もっと誠実に原因を追究してほしいものだ。 山岡淳一郎氏による「「原死因」ワクチン接種4事例の詳報 遺体が語る因果関係とは?」 「ワクチン接種の副反応の高体温による意識障害が原死因として推認」、にも拘らず、厚労省は引き続き「「評価不能」の「烙印」、さらに調べようとはしていない。不当な無視だ。 山岡淳一郎氏による「反ワクチン陰謀論と推進論の不毛…「副反応疑い」は客観的情報が不足している」 「副反応疑いについては、客観的情報が不足」、「副反応疑い死を減らすにはどうしたらいいかという本質的な科学論議も起きてこない」、これは不思議だ。 「死亡例を「無過失予防接種事故」と呼んで放置した過去  1994年に予防接種法が改正され、接種が国民の「努力義務」に変わる以前の「義務」だった時代、副反応被害に国は冷淡だった。接種後に子どもが亡くなっても「特異体質」のひと言でおしまい。死亡例を「無過失予防接種事故」と呼んで放置」、そんな歴史的経緯は初めて知った。 山岡淳一郎氏による「ワクチン接種と副反応被害 因果関係の判断に重要な「白木3基準」」 「「迅速に幅広く」救済するため」であればやむを得ない。 「白木3基準」はさすがに合理的だ。「4歳の女の子が「急性脳症」で重度の障害を負ったケース」で、「③の他原因については「ヘルペスウイルスによるヘルペス脳炎を来した可能性が相当高い」とワクチン接種との因果関係を真っ向から否定した」、「「ヘルペスウイルス」説にはどんな根拠があったのだろう。単に責任回避のためのこじつけといった印象も受けた。 山岡淳一郎氏による「戦後最大「超過死亡」の謎…ワクチン接種との関係はあるのか?」 「第4波の爆発的な感染拡大で「医療システムが逼迫し、非感染者における救急医療や一般医療、他病院サービスにも影響を与えた」可能性に言及」、なるほど。 「私たちの社会には、まだ見えていない副反応疑い死が埋もれているのかもしれない」、やはり謙虚な姿勢も大切なようだ。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

パンデミック(経済社会的視点)(その25)(日本のコロナ対策が迷走ばかりで的を射ない原因 感染症法にとらわれる非科学で非謙虚な政策の数々、「世界のベスト観光都市」で上位3位を独占…日本を愛する外国人観光客を拒否する「水際対策」の無意味さ むしろ「感染者数は世界一」の国なのに…、コロナ自粛による高齢者の健康被害で見えた「長寿大国日本」の隠れた要因、コロナ経験者は肌寒い朝「脳梗塞の発作」に要注意 「血管の内壁」にダメージを与えるという事実) [パンデミック]

パンデミック(経済社会的視点)については、8月24日に取上げた。今日は、(その25)(日本のコロナ対策が迷走ばかりで的を射ない原因 感染症法にとらわれる非科学で非謙虚な政策の数々、「世界のベスト観光都市」で上位3位を独占…日本を愛する外国人観光客を拒否する「水際対策」の無意味さ むしろ「感染者数は世界一」の国なのに…、コロナ自粛による高齢者の健康被害で見えた「長寿大国日本」の隠れた要因、コロナ経験者は肌寒い朝「脳梗塞の発作」に要注意 「血管の内壁」にダメージを与えるという事実)である。

先ずは、8月30日付け東洋経済オンラインが掲載した医療ガバナンス研究所理事長の上 昌広氏による「日本のコロナ対策が迷走ばかりで的を射ない原因 感染症法にとらわれる非科学で非謙虚な政策の数々」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/614403
・『「コロナは普通の風邪だと思いますが、どうして、ここまで大騒ぎするのですか」 私の外来に通っている患者から質問された。患者は80代の男性で、胃がんで2回手術し、昨年、房室ブロックという不整脈のため、ペースメーカー挿入手術を受けた。高齢で持病を有するため、コロナに感染すれば重症化しやすい。ワクチンは4回の接種を済ませていた。 今夏、この患者が妻とともにコロナに感染した。アメリカのメルクが販売するコロナ治療薬モルヌピラビルを内服したものの、症状は軽く、自宅療養で治癒した。これが冒頭への発言へとつながる。 患者はダンスの愛好家だ。休日には夫婦そろって、同世代の友人たちとダンスを楽しむ。ダンス仲間にも、コロナに罹った人がいるが、皆、問題なく治癒している。コロナ感染のリスクをあおる専門家やメディアに不信感を抱いている。 患者は元銀行員で、海外勤務が長い。現在も海外メディアをフォローしており、「コロナ感染のリスクをあおる専門家やメディアに不信感を抱いている」、「日本の対応は異様」と感じている。元金融マンだけに、世界経済には明るく、「このままでは、世界から日本が落伍していく」と日本の将来を憂えている』、「患者は元銀行員で、海外勤務が長い。現在も海外メディアをフォロー」しているのであれば、「このままでは、世界から日本が落伍していく」との危惧も理解できる。
・『日本の超過死亡はコロナ死者の6倍  私は、この患者の意見に賛成だ。マスク装着から水際対策まで、日本のコロナ対策は異様だ。マスクの感染予防率はせいぜい2割程度だし、国内でコロナが蔓延している中、水際対策を強化しても意味がない。分けても問題なのは、漫然と自粛を要請した結果、多数の「自粛関連死」が起こっていることだ。 3月10日、アメリカ・ワシントン大学の研究チームが、イギリス『ランセット』誌に発表した論文は興味深い。彼らは74カ国と地域を対象に、2020年1月から2021年12月までの超過死亡を推定した。 超過死亡とは、過去の死亡統計や高齢化の進行から予想される死亡者数と、実際の死亡者数を比較した数字だ。この研究で、日本の超過死亡数は11万1000人と推定され、確認されたコロナによる死者1万8400人の6.0倍だった。 この数字は、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中で最高だった。わが国で、重症者のコロナ感染の見落としは考えにくく、長期にわたる自粛や高血圧や糖尿病などの持病を悪化させた高齢者が脳卒中や心筋梗塞を起こし亡くなっているのだろう。) 7月29日、厚労省は「簡易生命表」を発表し、2021年の日本人の平均寿命は女性87.57歳、男性81.47歳で、いずれも過去最高だった前年を下回ったことを明かした。平均寿命が前年割れするのは、東日本大震災があった2011年以来だ。この事実も、ワシントン大学の研究結果と一致する。これでは何のための自粛かわからない。わが国のコロナ対策は早急に見直さねばならない。 8月24日、岸田文雄首相が重い腰を上げた。私は、どのように方向転換するか、岸田総理のリーダーシップに期待していた。 ところが、その期待は裏切られた。岸田総理が表明したのは、コロナ感染者数の全数把握を見直すなど、行政や医療機関の負担を減らすものばかりで、国民生活とは関係がなかった。 政府は来たる臨時国会で、2類相当の見直しを議論する予定で、マスコミにはさまざまな専門家が登場し、侃侃諤諤(かんかんがくがく)の議論を展開中だが、これもピントボケだ。見直しを求める人は、保健所への届け出など医療機関の負担が大きいことを問題視し、慎重派は、5類にすると感染者の全数把握が不可能となり、さらに医療費の自己負担が生じるなどを問題とするが、後述する理由から2類・5類問題は議論の余地がないし、国民にとって優先順位は低い』、「日本の超過死亡数は11万1000人と推定され、確認されたコロナによる死者1万8400人の6.0倍だった。 この数字は、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中で最高」、「長期にわたる自粛や高血圧や糖尿病などの持病を悪化させた高齢者が脳卒中や心筋梗塞を起こし亡くなっているのだろう」、「2021年の日本人の平均寿命は・・・いずれも過去最高だった前年を下回った・・・平均寿命が前年割れするのは、東日本大震災があった2011年以来」、「これでは何のための自粛かわからない。わが国のコロナ対策は早急に見直さねばならない」、「岸田総理が表明したのは、コロナ感染者数の全数把握を見直すなど、行政や医療機関の負担を減らすものばかりで、国民生活とは関係がなかった」、なるほど。
・『2類感染症と「共存」などありえない  冒頭にご紹介した患者のように、オミクロン株は感染しても軽症で治癒するケースが大部分を占める。コロナ後遺症など、十分に解明されていないものの、国民の多くがワクチン接種や実際に感染することで、一定レベルの免疫を獲得した現在、オミクロン株は過度に恐れる病原体ではないと私が考えている。個別対応することなく、感染者や濃厚接触者を一律に長期にわたり、自宅などで隔離するのはやりすぎだ。 わが国のコロナ対策が、このようなやり方をするのは感染症法という法的根拠があるからだ。感染症法は感染者を隔離することで、社会を感染から守ろうとするもので、感染者の人権を侵害する。 現に、ハンセン病や結核などへの対応で差別を生み出してきた。このような反省から、感染症法では「まん延を防止するために必要な最小限度」の規制しか認められていないのだから、コロナは即刻、2類感染症からは外したほうがいいだろう。日本政府は「ウィズ・コロナ」を推進している。2類感染症と「共存」などありえない。 もし、慎重派が指摘するように、5類に下げても、全数把握が必要なら、医療機関は感染者数だけ保健所に届ければいい。現在、感染経路からワクチン接種日まで、膨大な情報を報告しなければならないが、こうすれば政府が全数を把握しながら、医療機関の手間は大幅に削減されるはずだ。) さらに、感染者の医療費負担が問題なら、自己負担分を予算措置すればいい。いまでも、感染症法の枠組みで公費を支出しているのだから、新たな財源措置は不要だ。岸田政権が本気になれば、すぐにやれることだ。 コロナ対策では、こんな些末な問題よりも、議論すべき重要なことがある。それは感染症法のあり方だ。わが国の感染症法対策は、この法律に基づいて実施されており、これを変えなければ、いつまでも迷走を繰り返す。 この法律の問題は、国家による国民の統制が主体で、国民の権利への配慮がないことだ。この基本姿勢が、わが国のコロナ対策を非科学的なものにして、進歩を阻んだ』、「オミクロン株は過度に恐れる病原体ではないと私が考えている。個別対応することなく、感染者や濃厚接触者を一律に長期にわたり、自宅などで隔離するのはやりすぎだ。 わが国のコロナ対策が、このようなやり方をするのは感染症法という法的根拠があるからだ。感染症法は感染者を隔離することで、社会を感染から守ろうとするもので、感染者の人権を侵害する」、「コロナ対策では・・・議論すべき重要なこと・・・感染症法のあり方だ。わが国の感染症法対策は、この法律に基づいて実施されており、これを変えなければ、いつまでも迷走を繰り返す。 この法律の問題は、国家による国民の統制が主体で、国民の権利への配慮がないことだ。この基本姿勢が、わが国のコロナ対策を非科学的なものにして、進歩を阻んだ」、確かに大きな問題だ。
・『技術で克服した欧米、強制隔離した日本  このことを議論するうえで注目すべきは、わが国の感染症対策の歴史だ。わが国で感染症が激増したのは幕末だ。鎖国をやめ、海外から伝染病が一気に流入した。江戸幕府を引き継いだ明治政府は、感染症対策に苦慮した。当時、抗生物質も検査もなく、国家を感染から守るため、感染者・家族・近隣住民を強制隔離するしかなかった。 もちろん、感染症が問題となったのは、日本だけではなかった。産業革命で都市への人口流入が加速したイギリスでもコレラの蔓延が社会問題となった。当時のイギリスが日本と違ったのは、十分な資本の蓄積があったことだ。民間の資本家が中心となって上下水道を整備し、コレラの蔓延を抑制した。テクノロジーが感染症を克服したのだ。 私は、このような成功体験は、現在も欧米の人々の間で引き継がれていると感じている。コロナ克服に最も貢献したのは、mRNAワクチンを開発したファイザーやモデルナだ。欧米の市民は、チャレンジ精神あふれる企業を応援した。そして、このような企業は政府に依存しなかった。 残念なことに、明治の日本には、そのような資本も技術力もなかった。彼らが頼ったのは感染者の強制隔離だ。そして、その実務を担ったのは、内務省衛生警察と伝染病研究所だった。昭和に入り、結核対策を強化するため、内務省は各都道府県に保健所を設置し、感染症対策の実行部隊となる。 戦後、衛生警察は厚生省(現厚労省)、伝染病研究所は東京大学医科学研究所と国立感染症研究所に引き継がれ、現在も基本的な枠組みは変わらない。明治時代に成立した伝染病予防法は感染症法に名前を変えたが、いまだに強制隔離が中心だ。コロナ対策でも、積極的疫学調査、濃厚接触者探しが強調された。) この間、科学的な議論は二の次だった。厚労省や国立感染症研究所が、今春まで、コロナの空気感染を認めなかったことなど、その典型だ。昨春には、権威あるイギリス『ランセット』誌やイギリスの医師会誌が、この問題を社説などで取り上げ、昨年8月にはアメリカ『サイエンス』誌が、「呼吸器ウイルス感染症の空気感染」という総説を掲載し、世界的コンセンサスとなった。日本の専門家が方針転換したのは、1年以上遅れたことになる。 もちろん、彼らが、このような論文を知らなかった訳ではないだろう。私は利権を守ろうとしたと考えている。もし、空気感染が感染拡大の主因であれば、全国の保健所をフル動員した積極的疫学調査による濃厚接触者探しは無意味だ。臨時国会で議論される感染症法改正では、積極的疫学調査の規模は大幅に縮小したほうがいいだろう』、「当時のイギリスが日本と違ったのは、十分な資本の蓄積があったことだ。民間の資本家が中心となって上下水道を整備し、コレラの蔓延を抑制した。テクノロジーが感染症を克服したのだ」、「明治の日本には、そのような資本も技術力もなかった。彼らが頼ったのは感染者の強制隔離だ。そして、その実務を担ったのは、内務省衛生警察と伝染病研究所だった。昭和に入り、結核対策を強化するため、内務省は各都道府県に保健所を設置し、感染症対策の実行部隊となる。 戦後、衛生警察は厚生省(現厚労省)、伝染病研究所は東京大学医科学研究所と国立感染症研究所に引き継がれ、現在も基本的な枠組みは変わらない。明治時代に成立した伝染病予防法は感染症法に名前を変えたが、いまだに強制隔離が中心だ。コロナ対策でも、積極的疫学調査、濃厚接触者探しが強調された」、「科学的な議論は二の次だった。厚労省や国立感染症研究所が、今春まで、コロナの空気感染を認めなかったことなど、その典型だ」、「いまだに強制隔離が中心」とかつてからの方法そのままであることに、驚かされた。「空気感染が感染拡大の主因であれば、全国の保健所をフル動員した積極的疫学調査による濃厚接触者探しは無意味だ。臨時国会で議論される感染症法改正では、積極的疫学調査の規模は大幅に縮小したほうがいいだろう」、厚労省の主流のやり方は時代遅れのようだ。
・『日本型モデルなど不要  しかしながら、それは厚労省の担当部署、国立感染症研究所や保健所、そして地方衛生研究所の権限とポストの削減につながる。尾身茂コロナ対策分科会会長をはじめ、政府の専門家の多くは、このような組織の関係者だ。彼らにとっては有り難くない話なのだろう。 科学的なエビデンスに反してまでも、飛沫感染を重視し、飲食店などでの感染リスクをあおることは、国民にとっては迷惑以外の何物でもないが、彼らの利益を守るという点では合理的だった。今後も、同様の詭弁を弄し続けるだろう。今回の2類・5類論争が、まさにそうだ。 残念ながら、現在、コロナで世界をリードするのは圧倒的にアメリカだ。mRNAワクチンや治療薬を開発したのが、ファイザー、モデルナ、メルクなどのアメリカの製薬企業であるのは、その象徴だ。 安全保障を重視するイスラエルですら、ワクチンや治療薬を独自に開発していない。同国に、そんな実力がないことがわかっているからだ。国産ワクチンや治療薬にこだわり、巨額の血税を投入した政府のあり方は、空気感染を無視し続けた専門家と同じくらい罪深い。 コロナ対策は、世界の叡智が結集し、試行錯誤を繰り返す。その研究成果は、『ネイチャー』や『ランセット』などの英文の医学誌で発表される。われわれは、もっと世界から学ばなければならない。 「日本型モデル」などは不要だ。もし、画期的な研究成果なら、「日本型モデル」などと自画自賛しなくとも、一流の医学誌や科学誌が論文を掲載し、世界中が関心を抱くはずだ。現に、河岡義裕・東京大学医科学研究所特任教授らの研究が、『ネイチャー』や『ニューイングランド医学誌』などに掲載され、世界のコロナ対策に影響を与えている。) 政府の役割は、コロナ研究をリードし、国民を統制することではなく、国民をサポートすることだ。そのためには、医療や検査を受ける権利、隔離される権利などを感染症法で保障するのがいい。現在の感染症法では、このような権利は明文化されておらず、多くの施策は政府の恩寵的財政措置にすぎない。検査キットなどが不足すると、厚労省は都道府県などに補助金を出すが、財源がなくなると同時に終了となる。 政府は、もっと国民の声に耳を傾けなければならない。流行当初、感染を恐れた世界中の人々は、「病院に行きたくない。他人と会いたくない」と望んだ。このとき、世界と日本の対応は違った。日本は医療機関に補助金を支払い、発熱外来を設置し、医療機関の受診を37.5度4日以上の発熱が続く人に限定した。厚労省や専門家は、「日本の医療を崩壊させないために必要な措置」と繰り返した。 一方、世界は自宅で検査、さらに医療が受けられるように工夫した。例えば、アメリカは、2020年3月に医療機関でのコロナ感染の拡大を防ぐため、すでに承認した心電図やパルスオキシメーター、電子聴診器などの非侵襲的な医療機器とそのソフトウェアを遠隔診療に用いることを緊急承認した。 自宅で利用できる検査は続々と開発され、昨年1月にアマゾンは、FDAが承認した検査キットの販売を始めている。このような検査結果を用いて、感染者は自宅にいながら、医師の遠隔診療を受けることができるようになった』、「世界と日本の対応は違った。日本は医療機関に補助金を支払い、発熱外来を設置し、医療機関の受診を37.5度4日以上の発熱が続く人に限定した。厚労省や専門家は、「日本の医療を崩壊させないために必要な措置」と繰り返した。 一方、世界は自宅で検査、さらに医療が受けられるように工夫した。例えば、アメリカは、2020年3月に医療機関でのコロナ感染の拡大を防ぐため、すでに承認した心電図やパルスオキシメーター、電子聴診器などの非侵襲的な医療機器とそのソフトウェアを遠隔診療に用いることを緊急承認した。 自宅で利用できる検査は続々と開発され、昨年1月にアマゾンは、FDAが承認した検査キットの販売を始めている。このような検査結果を用いて、感染者は自宅にいながら、医師の遠隔診療を受けることができるようになった」、日本は医師会や薬剤師会などへの遠慮もあるのだろう。 
・『アメリカは国民のニーズに真面目に対応している  一方、遠隔診療に対する厚労省の対応は異様だった。検査の精度管理の難しさを強調し、抗原検査キットの販売に際して、薬剤師の対面での指導を義務づけた。ネットでの販売が解禁されたのは、今月になってからで、8月24日にロシュ・ダイアグノスティックスが販売する一般向けの抗原検査キットが承認された。アメリカからは周回遅れだ。 この遅れは、わが国にとって致命的だ。その影響はコロナに限らない。アメリカでは、コロナ流行をきっかけに遠隔医療が急速に発展した。 昨年11月、アメリカのジョンソン・エンド・ジョンソンは、糖尿病治療薬カナグリフロジンの第3相臨床試験を、被験者が医療機関に通院することなく、すべてバーチャルでやり遂げた。さらに、ユナイテッドヘルスケア社などが、遠隔診療に限定したプライマリケアを提供する保険の販売を開始した。この枠組みは、医師不足に悩む僻地医療問題の解決にも貢献するはずだ。 アメリカは、コロナ対応を通じて、リモート診療、そしてリモート勤務を支える社会システムを構築した。私は、このようなシステムが、ポスト・コロナのプラットフォームへと成長すると考えている。なぜ、彼らは、このようなシステムを生み出せるのか。それは国民のニーズに真面目に対応しているからだ。地道に試行錯誤を繰り返すアメリカの社会から、われわれはもっと学ばなければならない』、「アメリカは、コロナ対応を通じて、リモート診療、そしてリモート勤務を支える社会システムを構築した。私は、このようなシステムが、ポスト・コロナのプラットフォームへと成長すると考えている。なぜ、彼らは、このようなシステムを生み出せるのか。それは国民のニーズに真面目に対応しているからだ。地道に試行錯誤を繰り返すアメリカの社会から、われわれはもっと学ばなければならない」、同感である。

次に、8月31日付けPRESIDENT Onlineが掲載したフリーライター・翻訳者の青葉 やまと氏による「「世界のベスト観光都市」で上位3位を独占…日本を愛する外国人観光客を拒否する「水際対策」の無意味さ むしろ「感染者数は世界一」の国なのに…」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/61009
・『「行きたくても行けない」日本を夢見る外国人観光客  新型コロナの水際対策で、日本政府は外国人観光客の受け入れ制限を続けている。今年6月に約2年ぶりに観光目的の入国ができるようになったが、主要7カ国(G7)で最も厳しいとされる条件が足を引っ張り、6月が252人、7月が7903人にとどまった。 それでも日本を訪れることを夢見る海外客は非常に多いようだ。海外メディアでは「日本へ旅行に行きたい」という人々の声がしばしば紹介されている。 豪フィナンシャル・レビュー紙は、「すでにクリスマス休暇向けに日本のゲレンデ周辺のホテルを予約した幾多のオーストラリア人たちが、個人旅行客の受け入れがいつ再開するかについて岸田政権からいまだ何の表明もないことに不安を募らせている」と報じている。 南半球にあるオーストラリアの人々にとって、日本は、手軽に真逆の季節を楽しめる旅行先として人気が高い。サラサラとしたパウダースノーを楽しめる白馬やニセコなどの雪質は、ジャパンとパウダーを掛け合わせた「Japow」の名で親しまれ、海外スキーヤーたちに好評だ。オーストラリアの人たちは、早くも今年のスキーシーズンをにらみ、日本への個人旅行が解禁されるか気を揉んでいるようだ。 記事は、往来再開の遅れは日本の観光地にとっても打撃だと指摘している。長野や北海道の観光業関係者たちも危機感を募らせていると報じた。政府が早期に受け入れ再開時期を明示しなければ、海外客は予約をキャンセルし、他国への旅行に切り替えるおそれがあるからだ』、「オーストラリアの人たちは、早くも今年のスキーシーズンをにらみ、日本への個人旅行が解禁されるか気を揉んでいるようだ」、「政府が早期に受け入れ再開時期を明示しなければ、海外客は予約をキャンセルし、他国への旅行に切り替えるおそれがあるからだ」、政府は9月26日付けで、個人旅行の解禁など水際対策の緩和を決定した。
・『「訪れたい世界の都市」で首位になった東京  スキーリゾートの例に限らず、日本は海外旅行先として世界から高い需要がある。そのプレゼンスを維持するためにも、個人旅行客の受け入れの早期再開が望まれる。 米著名旅行誌『コンデ・ナスト・トラベラー』は毎年、旅行で訪れたい「世界のベスト都市」ランキングを読者投票により決定している。最新の2021年版では東京が1位に選出された。同誌は日本の東京を「まばゆいネオン、居心地のよい路地裏、そして歴史的な寺社の街」だと紹介している。 日本からランクインしたのは東京だけではない。2位には「近代建築とナイトライフ、たっぷりのストリートフードで知られる」大阪、3位に「日本で最もクリエイティブな街」だと評された京都がランクインし、上位3位を日本が独占した。 東京から箱根・飛騨高山・京都を経て大阪へ抜けるいわゆる「ゴールデンルート」が海外客の人気を集めているが、その魅力が如実に反映されたランキングになっている。 ちなみに4位以下は順に、都市国家シンガポール、カラフルな街並みが美しいメキシコのサン・ミゲル・デ・アジェンデの街、東西文化が混じりあうトルコのイスタンブールとなった』、「旅行で訪れたい「世界のベスト都市」ランキング」、では「最新の2021年版では東京が1位」、「2位には大阪」、「3位に」、「京都」が「選出」、「上位3位を日本が独占」、大したものだ。
・『渡航禁止にもかかわらず、日本がトップに  都市別のみならず、日本という国全体の観光魅力度も高く評価されている。スイスに拠点を構える国際機関の世界経済フォーラムが発表する「旅行&観光開発指数2021」では、世界117の国と地域中、日本が1位となっている。 平たくいえばこのランキングは、旅行先や観光地としての競争力と、その持続可能性を数値化したものだ。観光を取り巻く社会環境、政策、インフラ、観光資源、そしてその持続可能性を評価し、総合点を算出している。 ニュージーランドのニュースサイト「スタッフ」は、「渡航禁止にもかかわらず、日本が観光ランキングでトップに」と報じている。航空をはじめとする交通インフラの整備や、豊かな文化などでスコアを上げたと記事は分析している。 2位以下の国には、アメリカ、スペイン、フランス、ドイツなど欧米諸国が続く。アジアからのランクインは首位日本と9位のシンガポールのみとなっており、この2カ国がまたも強い存在感を示している』、「世界経済フォーラムが発表する「旅行&観光開発指数2021」では、世界117の国と地域中、日本が1位」、「ニュージーランドのニュースサイト「スタッフ」は、「渡航禁止にもかかわらず、日本が観光ランキングでトップに」と報じている」、日本は評判がいいようだ。
・『雪をみたい、桜をみたい…シンガポールの若者  そのシンガポールにおいても、行きたい旅行先(複数回答)に国民の半数近くが日本を挙げている。CNBCが8月に公開した記事によると、英調査会社のYouGov社が行った調査において、シンガポールの49%の人々が次の海外の休暇先として日本を挙げたという。 16歳から24歳の若い層に限ると、この数字は実に68%にまで跳ね上がる。シンガポールの若者の3人に2人が日本への旅行に興味を示していることになる。 東京に拠点を構えるシンガポール旅行会社の社長はCNBCに対し、常夏のシンガポールに住む人々にとって、とくに季節の変化が魅力になっていると説明している。雪景色の冬、そして桜の咲き誇る春がとくに人気だという』、「常夏のシンガポールに住む人々にとって、とくに季節の変化が魅力になっている・・・雪景色の冬、そして桜の咲き誇る春がとくに人気」、それはそうだろう。
・『安心して過ごせる治安のよい国という評判  日本といえば、安心して過ごせる治安のよい国という評判を国際的に得ている。コロナ禍においてはさらに、病気リスクを含めた広義の安全性という意味で、日本を含むアジアの国々が評判を上げているようだ。米CNBCは米旅行保険会社がまとめた2022年版「国別安全度」ランキングにおいて、日本が4位に選ばれたと報じている。 ランキングはアメリカ人への意識調査を集計したものだ。犯罪、テロ、性犯罪、人種差別など各面での安全性を尋ね、総合点によりランクづけしている。2018年調査で10位だった日本は、今回までに順位を6つ上げた。 調査を実施した保険会社によると、全体の傾向としてこれまで旅行者たちは、テロと暴力事件に巻き込まれることを主に懸念してきたという。 だが2022年調査では、「自由に移動できること」「病気の心配がないこと」を重視する傾向がみられたようだ。アジアの国々が軒並み躍進しており、一方、イギリスなど感染爆発が報じられた国が人気を落とした』、「米旅行保険会社がまとめた2022年版「国別安全度」ランキングにおいて、日本が4位に」、安全度は最も高くてしかるべきなのに、「4位」とは意外だ。「安全」の意味がより広いのかも知れない。
・『「ツアー客のみ入国可能」は国境閉鎖と変わらない  「日本に行きたい」という外国人は多いが、日本側の受け入れ体制は整っていない。政府は6月から観光目的の外国人の入国受け入れを再開したが、すべての入国者にビザの取得を義務づけているほか、添乗員付きのツアーに限定している。 この「添乗員付きのツアーに限定」というのが、集客の足を引っ張っているようだ。観光庁の発表によると、観光目的で入国した外国人は6月が252人、7月が7903人にとどまった。 このため一部の海外メディアは「実質的には国境閉鎖と変わらない」と報じている。ブルームバーグは同社コラムニストの記事で、日本の旅行代理店経由でのツアー客のみを受け入れる日本の制度が「大いに嘲笑の的となっている」との手厳しい見解を掲載した。海外のソーシャルメディアでは、ガイドツアーで外貨を稼ぐ北朝鮮を思わせるとの指摘さえ出ているという。 また、「パッケージツアーに限定」との表現が誤解の種となり、海外では誤った理解が広まっているようだ。CNBCの記事は、30人前後がバスに相乗りするスタイルが想起されがちであり、これが日本への旅行意欲を下げている一因だ、と指摘している。実際には、添乗員付きであれば最小1人(と添乗員)からのツアーが認められている。 ただし、費用面での問題は残る。添乗員分の旅行・宿泊費用が旅行費用に上乗せされるため、ただでさえ航空券が高騰している現在、ツアー客の負担は大きい。) 日本で20年以上暮らすニュージーランド人大学講師のルイーズ・ジョージ・キタカ氏は、アジア・メディアセンターに日本への旅行の現状について寄稿した。それによると、添乗員付きツアーの料金は現在、パンデミック前の通常の旅行費用と比較して「3倍から4倍」に跳ね上がっているという。慎重にコロナ対策を実施する日本は旅行先として安心できるが、コスト面で手が届かない存在になっているわけだ』、「「添乗員付きのツアーに限定」というのが、集客の足を引っ張っているようだ」、「添乗員付きツアーの料金は現在、パンデミック前の通常の旅行費用と比較して「3倍から4倍」に跳ね上がっているという。慎重にコロナ対策を実施する日本は旅行先として安心できるが、コスト面で手が届かない存在になっているわけだ」、なるほど。
・『「歴史的な円安」という集客の好機を逃している  国境閉鎖レベルの厳格な水際対策は、コロナの感染事例が海外を中心に発生していたパンデミックの初期には有効であった。その後も、変異株の病原性が高いとされた時分には、強力な株の入境を防ぐという意味で一定の効果があったといえるだろう。 しかし現在では、オミクロン株の亜種であるBA.5が主流となり、感染力の高さが指摘される一方で弱毒化が進んでいるとされる。欧米を中心に多くの国が経済の正常化へ舵を切っており、ニュージーランドは8月1日から国境を完全に開放した。入国者は引き続きワクチン接種の要件を満たしている必要があるが、隔離は必要ない。 アメリカも6月から入国時の陰性証明を不要とし、イギリスは3月から入国後検査を廃止するなど規制緩和の動きが進んでいる。 一方の日本では、6月からツアー客のみの受け入れという独自の基準が設けられた。結果として、歴史的な円安という集客の好機を逃している。 また、現在では新規感染者数が世界1位となっており、この状況で海外からの流入を主な感染源と考えることには無理がある。 米ジョンズ・ホプキンズ大学が発表する28日間移動合計(8月30日時点)で、日本の感染者数は約582万人となり、2位韓国の320万人、3位アメリカの283万人を大きく引き離している。世界の一部の国では全数把握を廃止しているため、完全に対等な比較とはならないものの、日本が世界的にみて高い水準にあることは明らかだ。 この状況で国内旅行を制限せず、海外からの流入を絞ることに意味はあるのだろうか。 岸田首相は24日の会見で、日本人を含むすべての入国者に求めている陰性証明書の提出について、3回目のワクチン接種を条件に免除する方針を示した。さらに外国人観光客の入国をツアー客に限定するという制限を緩和し、9月からは個人旅行も認める方針と読売新聞やNHKで報じられている。 「日本に行きたい」という外国人観光客のニーズは、これまでになく高まっている。年末年始の旅行に間に合わせるには、このタイミングがギリギリだろう。日本経済の再生のためにも、より迅速な対応が望まれる』、前述の政府の規制緩和で「外国人観光客」の来日が本格化しつつあるようだ。

第三に、9月29日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの窪田順生氏による「コロナ自粛による高齢者の健康被害で見えた「長寿大国日本」の隠れた要因」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/310452
・『「自粛」がもたらした不健康な生活 高齢者への影響は深刻  9月26日に新型コロナウィルス感染者の「全数把握」の見直しがなされるなど、日本もゆっくりではあるが「日常」を取り戻しつつある。 だが、これで終わりというわけではない。新しいウイルスがまたいつ流行して「医療がひっ迫するからステイホームせよ」という事態に逆戻りになるかわからないからだ。 そこで、今あらためて検証をしなくてはいけないのが、「自粛がもたらす健康被害」だ。 ご存じの方も多いだろうが、コロナ禍での自粛生活で運動量や人とのかかわりが大幅に減ったことで、免疫機能などが活性化せずに体や心の不調をもたらすという「健康二次被害」が指摘されている。 この問題を啓発するために、医師や自治体、民間企業などの有志が立ち上げた「健康二次被害防止コンソーシアム」によれば、自粛によって免疫力が低下したことでコロナに感染しやすく、重症化リスクも高くなってしまう、という本末転倒な事態も起きているという。つまり、我々国民としては、次のパンデミックに備えて「自粛のリスクと効果」をよく理解しておく必要があるのだ。 そんな「コロナ健康二次被害」を考えるうえで、注目すべきは高齢者だ。 実は、これらの年代の人々はコロナ重症化のリスクが高い一方で、過度なステイホームや活動自粛をすると心身を壊すケースが多く報告されている』、「自粛によって免疫力が低下したことでコロナに感染しやすく、重症化リスクも高くなってしまう、という本末転倒な事態も起きている」、当然予想されることなのに、それを考慮しなかった厚労省の責任は重い。
・『高齢者の心と体をむしばむ「自粛」 長寿大国に危険信号  現在、政府が推進している国民健康づくり運動「健康日本21」(第二次)を検討する委員も務めている、千葉大学予防医学センターの近藤克則教授はこう述べる。 「コロナ禍での自粛で、多くの高齢者が友人・知人と会ったり趣味などへの社会参加の頻度を減らしました。しかし、そのような高齢者は社会参加を減らさなかった高齢者に比べて、“うつ”や“要支援・要介護”リスクが高くなっていることが調査で明らかになりました」 近藤教授らが、11自治体の65歳以上の高齢者1万7179人を対象におこなった調査によれば、コロナ禍で「外出」を減らした高齢者は、減らさなかった高齢者に比べて、要支援・要介護リスクが1.95倍だった。「学習・教養サークル」を減らした高齢者に関しては1.68倍。さらに見ていくと、「通いの場」(1.57倍)、「スポーツの会」(1.46倍)、「友人・知人と対面」(1.45倍)となっている。「厳格すぎるステイホーム」は、高齢者の健康に悪影響を及ぼしていることがうかがえる。 また、自粛は「心」にも良くない。同じくコロナ禍で「自宅内の趣味」を減らした高齢者は、減らさなかった高齢者に比べて、「うつ」のリスクが1.49倍、「スポーツ」や「趣味」の会への参加を減らした高齢者はそれぞれ1.37倍、1.34倍となるなど、要支援・要介護のリスクと同じような傾向が読み取れる。 では、なぜ「自粛」はここまで顕著に、高齢者の心と体をむしばんでしまうのか。運動量が落ちることや、免疫機能が落ちるという説明が一般的だが、実はもうひとつ忘れていけない大きな要因がある、と近藤教授は言う。 「それは社会です。人と人とのつながりや、社会全体のまとまりの良さなどが高齢者の健康長寿に大きな影響を与えていることがわかっています」(近藤教授)』、「コロナ禍で「外出」を減らした高齢者は、減らさなかった高齢者に比べて、要支援・要介護リスクが1.95倍だった。「学習・教養サークル」を減らした高齢者に関しては1.68倍。さらに見ていくと、「通いの場」(1.57倍)、「スポーツの会」(1.46倍)、「友人・知人と対面」(1.45倍)となっている。「厳格すぎるステイホーム」は、高齢者の健康に悪影響を及ぼしていることがうかがえる」、「人と人とのつながりや、社会全体のまとまりの良さなどが高齢者の健康長寿に大きな影響を与えている」、予想以上に顕著な結果だ。今後の自粛指導のあり方を見直す必要がある。
・『食生活や運動だけじゃない 「社会」も長寿のワケだったのに…  個人の健康と社会――。一見すると、まったく無関係のように感じるこの2つに、なぜ深い結びつきがあるのか。それは「なぜ日本の高齢者は長生きなのか」ということを考えていくと理解できるという。 日本が「長寿大国」ということに異論は挟む人はいないだろう。実際、WHO(世界保険機関)が発表した2022年版の世界保健統計(World Health Statistics)によれば、平均寿命が最も長い国は日本で84.3歳だった。 この理由について、まず思い浮かべるのは「食生活」だろう。日本人が長生きなのは米を主食としているからだとか、生魚をよく食べているからだというような情報は、テレビの健康番組などでも頻繁に耳にする。近藤教授も食事がひとつの要因であることは間違いないという。 「日本が先進国で最も肥満が少ない国だというのは紛れもない事実で、それは食生活と運動が大きいと言われています。特に在宅勤務の増加で“コロナ太り”が問題になったように、日本人の場合、通勤で電車を何本も乗り換えるなど、たくさん歩かざるをえないという人もたくさんいます」(近藤教授) ただ、その一方で、日本人の長寿を食事や運動だけで説明してしまうのは「やや視野が狭い」と付け加える。 海外の研究者たちの間では、「なぜ日本人は喫煙率が高いのに長生きなのか」というのは長く議論の対象だったが、近年は「日本の社会のあり方が長寿の秘訣」だという考え方が広まっている。なぜかというと、国内外から、健康長寿に「社会」が大きな役割を果たしているという研究結果が続々と集まってきているからだ。 「イギリスのある学者は、日本人が長寿なのは、日本社会が不安なく暮らせるからだと考えています。確かに、日本は国民皆保険があるので、もし何か病気になってもアメリカのように1日で100万円など高額な医療費を請求されることがありません。また、日本のように、女性が夜一人で安心して出歩けるような国は多くありません。治安が悪い地域では歩いているだけでも、不安やストレスを感じます。日本にはそういう悩みが少ないということです」(近藤教授) 「日本の治安の良さ」についてよく言われるのは、「財布を落としても戻ってくる」というものだ。近藤教授によれば、あるアメリカの研究者も、来日した際にタクシーにスマホを忘れたのだが、それが手元に戻ってきたことに大変感動をして、この治安の良い信頼社会も、日本人を長生きにしている理由のひとつだと確信したという。 日本人を長生きにしている「日本社会」という要因について理解できると、「コロナ健康二次被害」の正体も見えてくる』、「日本人を長生きにしている「日本社会」という要因について理解できると、「コロナ健康二次被害」の正体も見えてくる」、その通りだろう。
・『人との接触が健康を高めてきたのに「自粛」は健康を阻害する  未知のウィルスがまん延したことで、多くの高齢者は命を守るために自宅に引きこもらざるをえなくなった。本来は、国民皆保険で誰もが気軽に医療を受けられるが、病院に行くと感染リスクもあるということで、それも控えざるをえなくなった。 また、日本は治安がいいので、高齢者でも安心して出かけて好きな人と会うことができたが、コロナ禍でそれもできなくなった。どこで感染してしまうかという不安を抱えながら、スーパーに行くだけでもマスクをしてウィルスにおびえながら出かけないといけなくなった。これはかなりのストレスだ。 つまり、「コロナ健康二次被害」は、日本人を長生きにさせてきた「治安のいい日本社会」の良いところが、コロナ禍によってかなり制限されてしまったことで引き起こされている側面もあるのだ。 これを踏まえると、次のパンデミックで「自粛」をする際に我々が注意しなくてはいけないことが見えてくる。 「また自粛を余儀なくされるような事態になっても“人と人のつながり”を完全に絶たないことが重要です。実際に、一人でやってもできることを、誰かと一緒にグループでやった場合と一人でする場合でどういう差があるのかを比較をしたところ、グループでやった時の方が、健康保護効果があるという研究が相次いで出ています」(近藤教授) 東北大学大学院歯学研究科の竹内研時氏らが、高齢者1万2571人を約6年間追跡したところ、「一人でいるときのみ笑う」という人に比べて「友人と笑う」という人は要介護認定リスクが約30%低いことがわかっている。 「笑うだけではなく、誰かと一緒に運動や食事をしている方が“うつ”や死亡率が低いという分析結果もあります。食事の場合、一人で食べる人は食事を抜いてしまったり、野菜や果物の摂取頻度が低くなったりすることがわかっています。 あと、男性の場合は“役割”をもって社会と関わると健康に良いことがわかっています。自分の健康のためにウォーキングをしようと思わない男性も用事があるとたくさん歩く。町内会の行事や祭りなどの役員になると、たくさん歩きますよね」(近藤教授)』、「次のパンデミックで「自粛」をする際に我々が注意しなくてはいけないことが見えてくる。 「また自粛を余儀なくされるような事態になっても“人と人のつながり”を完全に絶たないことが重要です」、「男性の場合は“役割”をもって社会と関わると健康に良いことがわかっています。自分の健康のためにウォーキングをしようと思わない男性も用事があるとたくさん歩く。町内会の行事や祭りなどの役員になると、たくさん歩きますよね」、その通りだ。
・『 “顔を見る”意味 「ビデオオフ」も心をむしばむ?  このように「人と人とのつながり」が健康や長寿に極めて大事だということがわかると、一人暮らしの方などは「もしまたステイホームになったらどうしよう」と不安になってしまうことだろう。しかし、そんな時に助けとなるのが「ネット利用」だという。 先ほどの近藤教授らの調査で、インターネットを用いたコミュニケーションの利用を増やした高齢者と、増やさなかった高齢者の「うつ」のリスクを調べたところ、「ビデオ通話」でコミュニケーションを増やした高齢者は増やさなかった高齢者に比べて45%減だった。同様に「ソーシャルメディア」は35%減、メール・チャットも25%減という結果が出たという。 「この調査でわかったのは、モニター越しでも人と人が“顔”を合わせることの大切さです。メールを増やした高齢者では、顔が見えるビデオ通話を増やした高齢者ほど“うつ”は減っていませんでした。ただ、声が聞ければいいのではなく、やはり“顔を見る”ことに力があるのです。ですから、コロナ禍で流行したリモート飲み会なども、心の健康に関してはそれなりに効果があったと思われます」(近藤教授) そう聞くと、気になるのは、コロナ禍で増えたオンライン会議における「ビデオオフ」ではないだろうか。 ネット接続環境が不安定だからとか、メイクをしていないから、などさまざまな理由で、オンライン会議で自分のカメラをオフにする人が少なくない。ビジネスマナー的によろしくないという意見もあるが、実はこれは「健康」という点でも避けるべきことかもしれない。 「やはり話をしている相手の顔が見えないと、ちゃんとコミュニケーションが取れているのかなと不安になりますよね。オンライン会議で、ビデオオフの参加者に声をかけたら返事がなかったりして“ちゃんと聞いているのか?”と心配になりますから」(近藤教授) 考えたくはないが、もし再びコロナ禍のようなステイホームの時代になった時、オンライン会議やリモート飲み会がまた日常になってしまうだろう。 その時、よほどの事情がない限りビデオは必ずオンにしておくことを心がけよう。馬鹿にするなかれ、このような小さなことの積み重ねが、我々の心と体を守って、長寿につながっているかもしれないのだ』、「インターネットを用いたコミュニケーションの利用を増やした高齢者と、増やさなかった高齢者の「うつ」のリスクを調べたところ、「ビデオ通話」でコミュニケーションを増やした高齢者は増やさなかった高齢者に比べて45%減だった。同様に「ソーシャルメディア」は35%減、メール・チャットも25%減という結果が出たという。 「この調査でわかったのは、モニター越しでも人と人が“顔”を合わせることの大切さです。メールを増やした高齢者では、顔が見えるビデオ通話を増やした高齢者ほど“うつ”は減っていませんでした。ただ、声が聞ければいいのではなく、やはり“顔を見る”ことに力があるのです。ですから、コロナ禍で流行したリモート飲み会なども、心の健康に関してはそれなりに効果があったと思われます」」、「再びコロナ禍のようなステイホームの時代になった時、オンライン会議やリモート飲み会がまた日常になってしまうだろう。 その時、よほどの事情がない限りビデオは必ずオンにしておくことを心がけよう」、同感である。

第四に、10月15日付け東洋経済オンラインが掲載したナビタスクリニック内科医師の久住 英二氏による「コロナ経験者は肌寒い朝「脳梗塞の発作」に要注意 「血管の内壁」にダメージを与えるという事実」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/625305
・『朝の気温がぐんと下がり、過ごしやすくなってきた。だが新型コロナ経験者は、これからの寒い季節、脳梗塞の発作が増えてくる可能性がある』、興味深そうだ。
・『新型コロナ経験者「1年後」も脳出血2.2倍  「Nature」の最新報告は、感染から1年経っても脳卒中(脳出血および脳梗塞)のリスクが高いことを示している。 新型コロナによる神経系統への1年後の後遺症を調べるための、アメリカ退役軍人の全米医療データベースを使った、桁違いの大規模調査だ。 ① 2019年にデータベースに参加し、2020年3月から2021年1月までに新型コロナに感染した約15万人 ② 感染経験者と同じ2019年にデータベースに参加し、感染しなかった約56万人 ③ それ以前、2017年からデータベースに参加し、感染しなかった約59万人  脳卒中の発症が増えたかどうか、それがコロナによる影響であるかどうかを確かにするため①と②だけでなく①と③を比較し、考慮している。 その結果、新型コロナ経験者は脳出血リスクが約2.2倍、脳梗塞リスクが1.5倍となっていた。 1年後の脳卒中リスクは、集中治療室での治療を受けた人で最も高く、次いで入院を要する重症者となり、脳出血はその傾向が顕著だった。ただ、脳出血も脳梗塞も、軽症者であっても1年後のリスクは有意に(統計上意味のあるだけ十分に)増加していた。 こうしてみると、2019年末のパンデミック勃発当初こそ重い肺炎ばかりが恐れられていた新型コロナだが、もはや単なる「呼吸器感染症」としてくくることはできない。 そのこと自体は、多くの人が早い段階で気づいていた。血栓症などさまざまな器官・臓器の重い合併症や後遺症が、数カ月のうちに次々と報告されたからだ』、「新型コロナ経験者は脳出血リスクが約2.2倍、脳梗塞リスクが1.5倍となっていた。 1年後の脳卒中リスクは、集中治療室での治療を受けた人で最も高く、次いで入院を要する重症者となり、脳出血はその傾向が顕著だった」、「もはや単なる「呼吸器感染症」としてくくることはできない」、その通りなのだろう。
・『新型コロナは「血管の内壁」を傷つける  新型コロナ感染症の特徴の1つは、血管に直接的・間接的ダメージを与える、ということだ。 厚生労働省の挙げる新型コロナによる重症化リスク疾患の上位を見ても明らかだ。 ●慢性の呼吸器の病気 ●慢性の心臓病(高血圧を含む) ●慢性の腎臓病 ●慢性の肝臓病(肝硬変等) ●インスリンや飲み薬で治療中の糖尿病、他の病気を併発している糖尿病  上記はいずれも「血管や血流にこれ以上問題が生じると、命に関わる病気」と言い換えることができる。肺や腎臓、肝臓は毛細血管の集まりだし、糖尿病も毛細血管がボロボロになる。心臓病や高血圧は説明するまでもないだろう。 いったい新型コロナウイルスは、私たちの血管のどこにどうやって悪さをするのか。数多くの研究を網羅的にまとめたレビュー論文が今年1月に発表されている。 新型コロナウイルスはまず、「内皮」と呼ばれる血管の内側の壁の細胞に感染し、炎症を引き起こしたり機能を損なわせたりして、血管に直接的にダメージを与える。 血管の内皮は、普段からさまざまな物質を出し入れして、多くの役割を担っている。血管を拡張・収縮させ、炎症や免疫を調節し、さらには内皮そのものの修復まで自分でやってのける。 しかし、そうした機能が妨げられると、過剰な免疫反応や炎症物質が生じ、血管に間接的にダメージが積み重なっていく。せっかくの修復作用も損なわれ、悪循環に陥ってしまう。 血管は私たちの体のどこにでも張り巡らされているから、感染による内皮の障害は、あらゆる臓器のあらゆる組織に生じうる。だからコロナの合併症や後遺症は、全身のさまざまな臓器・器官に起きてしまうのだ。 では、今になってなぜ、脳卒中をわざわざ警戒するのか。一つには今年、オミクロン株の出現によって新型コロナの感染者が激増したことが挙げられる。 厚労省のデータによれば、2020年1月20日に国内初感染が確認されてから今年1月20日までの2年間で、国内の感染者数は累積でも約200万人に抑えられていた。だがオミクロンの猛威が始まると、わずか7カ月で約1900万人が上乗せされ、計2100万人超となった。 自覚のないまま脳卒中リスクの高い状態に置かれた人が、昨年末時点と比べてざっくり10倍に増えている計算だ。 そしてもう一つ、よく知られている通り、冬は脳卒中シーズンでもある。 脳卒中には、大きく分けて脳出血と脳梗塞がある。脳出血は、高血圧などが原因で、脳の血管が破れて脳細胞がダメージを受けるものだ。脳梗塞は、脳の血管に血栓が詰まるなどして血流が妨げられ、脳細胞がダメージを受ける。 これからの時期、朝の冷え込みが厳しくなってくる。特に、朝の血圧が高くなる早朝高血圧は危険だ。冷たい空気に触れると交感神経がいっそう刺激され、血管が収縮し、血圧を急上昇させる。 また、脳梗塞は汗をかいて脱水しやすい夏に比較的多いが、そのほかに不整脈を原因とするタイプもある(心原性脳塞栓症)。不整脈の発作も、血圧が高くなりがちな冬に向かって増えてくる。 血管の内皮をダメージから回復させることはできないのだろうか?実は、誰にでもできる方法がある』、「血管は私たちの体のどこにでも張り巡らされているから、感染による内皮の障害は、あらゆる臓器のあらゆる組織に生じうる。だからコロナの合併症や後遺症は、全身のさまざまな臓器・器官に起きてしまうのだ」、「自覚のないまま脳卒中リスクの高い状態に置かれた人が、昨年末時点と比べてざっくり10倍に増えている計算だ」、「冬は脳卒中シーズンでもある。 脳卒中には、大きく分けて脳出血と脳梗塞がある。脳出血は、高血圧などが原因で、脳の血管が破れて脳細胞がダメージを受けるものだ。脳梗塞は、脳の血管に血栓が詰まるなどして血流が妨げられ、脳細胞がダメージを受ける」、恐ろしいことだ。
・『血管ダメージ回復にはまず「運動」  結論から言えば、今日から運動を始めよう。有酸素運動とスクワット、その継続だ。 内皮を守り、回復させるには、先ほど触れた内皮の自己修復機能をうまく引き出してやればいい。重要なのは、血管内皮細胞から放出される「一酸化窒素」(NO)という物質だ。NOは、 ・血管をしなやかにし、拡張させる⇒血流が良くなる ・血管の炎症や酸化を抑える⇒老化予防 ・血管のプラークの発生を抑える⇒動脈硬化・脳出血の予防 ・血栓を出来にくくする⇒脳梗塞の予防 といった働きがある。) 運動はNOの産生を促すことが、多くの研究でわかっている。 ウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳、ダンスや球技などの有酸素運動を行うと、文字通り体はより多くの酸素を必要とする。そこで内皮細胞からNOが分泌され、血管を拡張させて血流が増える。血栓予防や炎症抑制などの効果も同時に得られる。 特に、脚を中心とした下半身の運動が効果的だ。 太ももやふくらはぎは、重力に逆らって血液を心臓に送り返すポンプとして、太い筋肉がたくさん集まっている。それらを動かすことで、効率よくNOが産生される。スクワットなどの筋トレを組み合わせて筋肉を増やせば、より高い効果を得られるようになる。 ただし、数週間から数カ月以上は続けることが大事だ。短時間の運動でもNO産生は行われるが、やめてしまえばそれまでのこと。長期的な運動習慣とすることで、NOの産生効率が上がり、血管修復と体質改善につながる』、「血管ダメージ回復にはまず「運動」」、「ウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳、ダンスや球技などの有酸素運動を行うと、文字通り体はより多くの酸素を必要とする。そこで内皮細胞からNO(「一酸化窒素」)が分泌され、血管を拡張させて血流が増える。血栓予防や炎症抑制などの効果も同時に得られる。 特に、脚を中心とした下半身の運動が効果的だ。 太ももやふくらはぎは、重力に逆らって血液を心臓に送り返すポンプとして、太い筋肉がたくさん集まっている。それらを動かすことで、効率よくNOが産生される。スクワットなどの筋トレを組み合わせて筋肉を増やせば、より高い効果を得られるようになる。 ただし、数週間から数カ月以上は続けることが大事だ」、なるほど。
・『血管を守る食事、摂りたい「3つのもの」  血管を守り、強くする食事としては、3つのことを心がけたい。十分なタンパク質(特に魚)、良質の油脂類、色とりどりの野菜の摂取だ。 タンパク質は血管の材料に他ならない。日本人の食事摂取基準では、タンパク質の1日当たりの推奨量は、18~64歳男性は65g、65歳以上男性は60g、18歳以上女性は50gとなっている。 文部科学省の「食品成分データベース」で確認すると、例えば生姜焼きなどで食べる豚肉(ロース)だと、生肉100gに19.3gのタンパク質が含まれる。マグロの刺身100gにもおよそ20g程度含まれる。卵1個だと7~8g、絹ごし豆腐100gで5.3gだ。 3食しっかりと肉や魚などを食べないと、推奨量には届かない。動脈硬化を進展させるLDLコレステロール値を下げ、抗炎症作用も期待できる「オメガ3脂肪酸」(DHA、EPA)を多く含む点で、青魚を積極的に摂りたい。 油脂類は、サラダ油(キャノーラ油、紅花油、大豆油等)や、コーン油、ゴマ油に注意が必要だ。) 植物油なのでコレステロールの心配はないが、「オメガ6脂肪酸」(リノール酸)を多く含む。オメガ6は体内で作れない必須脂肪酸には違いないのだが、摂りすぎると、体内で炎症を起こしやすい物質(アラキドン酸)に変化する。 また、色とりどりの野菜を摂るべき理由は、抗酸化作用だ。色の違う野菜には、種類の違うポリフェノール類やビタミンCなどが含まれる。これらの物質は、体内で発生する「活性酸素」が細胞を酸化・損傷するのを防ぎ、血管をダメージから守る作用が期待できる』、「血管を守り、強くする食事としては、3つのことを心がけたい。十分なタンパク質(特に魚)、良質の油脂類、色とりどりの野菜の摂取だ」、なるほど。
・『脳卒中発作を防ぐために今からできること  もちろん、脳卒中の予防には、基礎疾患の適切なコントロールが大前提だ。高血圧や糖尿病(高血糖)、脂質異常症などの診断を受けている人は、計測や服薬を欠かさないでいただきたい。 そのうえでできる、日常生活の中でのちょっとした工夫もある。 例えば、早朝高血圧なら、起床後1~2時間のリスクが高い。朝、目が覚めても急に起き上がらず、布団の中で10分ほどのんびりしてゆっくり起きられるようにしたい。トイレや洗面所などが寒い場合は、必ず何か羽織ったり、ルームシューズを履くなどして、血圧の急上昇を避けよう。 また、脳梗塞の予防には、知らないうちに「脱水」に陥らないようにすること。冬は汗を多くかかないこともあって、高齢や糖尿病の方では特に、自分で喉の渇きに気付きにくくなっている。 料理など食べ物からの摂取以外に、1日で1.5リットル程度は必要とされている。思っている以上に多いので、感覚に頼るのでなく、水分を摂ることを習慣にするのがおススメだ。 例えば3度の食事の際にはコップ1杯200cc、それ以外に150cc程度の飲み物(カフェインの入っていない麦茶など)を2時間おきくらいの決まった時刻に飲む習慣をつけるのが望ましい。 最後に、インフルエンザと新型コロナの予防接種だ。インフルエンザでも、心筋梗塞など心血管疾患のリスクが上がることが研究からわかっている。インフルもコロナも、かからないのが一番だ。ワクチン接種が血管を守ることになる、と覚えておいていただきたい』、「脳卒中の予防には、基礎疾患の適切なコントロールが大前提だ」、「脳梗塞の予防には、知らないうちに「脱水」に陥らないようにすること。冬は汗を多くかかないこともあって、高齢や糖尿病の方では特に、自分で喉の渇きに気付きにくくなっている。 料理など食べ物からの摂取以外に、1日で1.5リットル程度は必要とされている。思っている以上に多いので、感覚に頼るのでなく、水分を摂ることを習慣にするのがおススメだ。 例えば3度の食事の際にはコップ1杯200cc、それ以外に150cc程度の飲み物(カフェインの入っていない麦茶など)を2時間おきくらいの決まった時刻に飲む習慣をつけるのが望ましい」、冬の水分摂取は確かに意識的に取り組む必要がありそうだ。
タグ:「日本のコロナ対策が迷走ばかりで的を射ない原因 感染症法にとらわれる非科学で非謙虚な政策の数々」 上 昌広 東洋経済オンライン パンデミック(経済社会的視点) (その25)(日本のコロナ対策が迷走ばかりで的を射ない原因 感染症法にとらわれる非科学で非謙虚な政策の数々、「世界のベスト観光都市」で上位3位を独占…日本を愛する外国人観光客を拒否する「水際対策」の無意味さ むしろ「感染者数は世界一」の国なのに…、コロナ自粛による高齢者の健康被害で見えた「長寿大国日本」の隠れた要因、コロナ経験者は肌寒い朝「脳梗塞の発作」に要注意 「血管の内壁」にダメージを与えるという事実) 「患者は元銀行員で、海外勤務が長い。現在も海外メディアをフォロー」しているのであれば、「このままでは、世界から日本が落伍していく」との危惧も理解できる。 「日本の超過死亡数は11万1000人と推定され、確認されたコロナによる死者1万8400人の6.0倍だった。 この数字は、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中で最高」、「長期にわたる自粛や高血圧や糖尿病などの持病を悪化させた高齢者が脳卒中や心筋梗塞を起こし亡くなっているのだろう」、 「2021年の日本人の平均寿命は・・・いずれも過去最高だった前年を下回った・・・平均寿命が前年割れするのは、東日本大震災があった2011年以来」、「これでは何のための自粛かわからない。わが国のコロナ対策は早急に見直さねばならない」、「岸田総理が表明したのは、コロナ感染者数の全数把握を見直すなど、行政や医療機関の負担を減らすものばかりで、国民生活とは関係がなかった」、なるほど。 「オミクロン株は過度に恐れる病原体ではないと私が考えている。個別対応することなく、感染者や濃厚接触者を一律に長期にわたり、自宅などで隔離するのはやりすぎだ。 わが国のコロナ対策が、このようなやり方をするのは感染症法という法的根拠があるからだ。感染症法は感染者を隔離することで、社会を感染から守ろうとするもので、感染者の人権を侵害する」、 「コロナ対策では・・・議論すべき重要なこと・・・感染症法のあり方だ。わが国の感染症法対策は、この法律に基づいて実施されており、これを変えなければ、いつまでも迷走を繰り返す。 この法律の問題は、国家による国民の統制が主体で、国民の権利への配慮がないことだ。この基本姿勢が、わが国のコロナ対策を非科学的なものにして、進歩を阻んだ」、確かに大きな問題だ。 「当時のイギリスが日本と違ったのは、十分な資本の蓄積があったことだ。民間の資本家が中心となって上下水道を整備し、コレラの蔓延を抑制した。テクノロジーが感染症を克服したのだ」、「明治の日本には、そのような資本も技術力もなかった。彼らが頼ったのは感染者の強制隔離だ。そして、その実務を担ったのは、内務省衛生警察と伝染病研究所だった。昭和に入り、結核対策を強化するため、内務省は各都道府県に保健所を設置し、感染症対策の実行部隊となる。 戦後、衛生警察は厚生省(現厚労省)、伝染病研究所は東京大学医科学研究所と国立感染症研究所に引き継がれ、現在も基本的な枠組みは変わらない。明治時代に成立した伝染病予防法は感染症法に名前を変えたが、いまだに強制隔離が中心だ。コロナ対策でも、積極的疫学調査、濃厚接触者探しが強調された」、「科学的な議論は二の次だった。厚労省や国立感染症研究所が、今春まで、コロナの空気感染を認めなかったことなど、その典型だ」、「いまだに強制隔離が中心」とかつてからの方法そのままであることに、驚かされた。「空気感染が感染拡大の主因で あれば、全国の保健所をフル動員した積極的疫学調査による濃厚接触者探しは無意味だ。臨時国会で議論される感染症法改正では、積極的疫学調査の規模は大幅に縮小したほうがいいだろう」、厚労省の主流のやり方は時代遅れのようだ。 「世界と日本の対応は違った。日本は医療機関に補助金を支払い、発熱外来を設置し、医療機関の受診を37.5度4日以上の発熱が続く人に限定した。厚労省や専門家は、「日本の医療を崩壊させないために必要な措置」と繰り返した。 一方、世界は自宅で検査、さらに医療が受けられるように工夫した。例えば、アメリカは、2020年3月に医療機関でのコロナ感染の拡大を防ぐため、すでに承認した心電図やパルスオキシメーター、電子聴診器などの非侵襲的な医療機器とそのソフトウェアを遠隔診療に用いることを緊急承認した。 自宅で利用できる検査は続々と開発され、昨年1月にアマゾンは、FDAが承認した検査キットの販売を始めている。このような検査結果を用いて、感染者は自宅にいながら、医師の遠隔診療を受けることができるようになった」、日本は医師会や薬剤師会などへの遠慮もあるのだろう。 「アメリカは、コロナ対応を通じて、リモート診療、そしてリモート勤務を支える社会システムを構築した。私は、このようなシステムが、ポスト・コロナのプラットフォームへと成長すると考えている。なぜ、彼らは、このようなシステムを生み出せるのか。それは国民のニーズに真面目に対応しているからだ。地道に試行錯誤を繰り返すアメリカの社会から、われわれはもっと学ばなければならない」、同感である。 PRESIDENT ONLINE 青葉 やまと氏による「「世界のベスト観光都市」で上位3位を独占…日本を愛する外国人観光客を拒否する「水際対策」の無意味さ むしろ「感染者数は世界一」の国なのに…」 「オーストラリアの人たちは、早くも今年のスキーシーズンをにらみ、日本への個人旅行が解禁されるか気を揉んでいるようだ」、「政府が早期に受け入れ再開時期を明示しなければ、海外客は予約をキャンセルし、他国への旅行に切り替えるおそれがあるからだ」、政府は9月26日付けで、個人旅行の解禁など水際対策の緩和を決定した。 「旅行で訪れたい「世界のベスト都市」ランキング」、では「最新の2021年版では東京が1位」、「2位には大阪」、「3位に」、「京都」が「選出」、「上位3位を日本が独占」、大したものだ。 「世界経済フォーラムが発表する「旅行&観光開発指数2021」では、世界117の国と地域中、日本が1位」、「ニュージーランドのニュースサイト「スタッフ」は、「渡航禁止にもかかわらず、日本が観光ランキングでトップに」と報じている」、日本は評判がいいようだ。 「常夏のシンガポールに住む人々にとって、とくに季節の変化が魅力になっている・・・雪景色の冬、そして桜の咲き誇る春がとくに人気」、それはそうだろう。 「米旅行保険会社がまとめた2022年版「国別安全度」ランキングにおいて、日本が4位に」、安全度は最も高くてしかるべきなのに、「4位」とは意外だ。 「安全」の意味がより広いのかも知れない。 「「添乗員付きのツアーに限定」というのが、集客の足を引っ張っているようだ」、「添乗員付きツアーの料金は現在、パンデミック前の通常の旅行費用と比較して「3倍から4倍」に跳ね上がっているという。慎重にコロナ対策を実施する日本は旅行先として安心できるが、コスト面で手が届かない存在になっているわけだ」、なるほど。 前述の政府の規制緩和で「外国人観光客」の来日が本格化しつつあるようだ。 ダイヤモンド・オンライン 窪田順生氏による「コロナ自粛による高齢者の健康被害で見えた「長寿大国日本」の隠れた要因」 「自粛によって免疫力が低下したことでコロナに感染しやすく、重症化リスクも高くなってしまう、という本末転倒な事態も起きている」、当然予想されることなのに、それを考慮しなかった厚労省の責任は重い。 「コロナ禍で「外出」を減らした高齢者は、減らさなかった高齢者に比べて、要支援・要介護リスクが1.95倍だった。「学習・教養サークル」を減らした高齢者に関しては1.68倍。さらに見ていくと、「通いの場」(1.57倍)、「スポーツの会」(1.46倍)、「友人・知人と対面」(1.45倍)となっている。「厳格すぎるステイホーム」は、高齢者の健康に悪影響を及ぼしていることがうかがえる」、 「人と人とのつながりや、社会全体のまとまりの良さなどが高齢者の健康長寿に大きな影響を与えている」、予想以上に顕著な結果だ。今後の自粛指導のあり方を見直す必要がある。 「日本人を長生きにしている「日本社会」という要因について理解できると、「コロナ健康二次被害」の正体も見えてくる」、その通りだろう。 「次のパンデミックで「自粛」をする際に我々が注意しなくてはいけないことが見えてくる。 「また自粛を余儀なくされるような事態になっても“人と人のつながり”を完全に絶たないことが重要です」、「男性の場合は“役割”をもって社会と関わると健康に良いことがわかっています。自分の健康のためにウォーキングをしようと思わない男性も用事があるとたくさん歩く。町内会の行事や祭りなどの役員になると、たくさん歩きますよね」、その通りだ。 「インターネットを用いたコミュニケーションの利用を増やした高齢者と、増やさなかった高齢者の「うつ」のリスクを調べたところ、「ビデオ通話」でコミュニケーションを増やした高齢者は増やさなかった高齢者に比べて45%減だった。同様に「ソーシャルメディア」は35%減、メール・チャットも25%減という結果が出たという。 「この調査でわかったのは、モニター越しでも人と人が“顔”を合わせることの大切さです。 メールを増やした高齢者では、顔が見えるビデオ通話を増やした高齢者ほど“うつ”は減っていませんでした。ただ、声が聞ければいいのではなく、やはり“顔を見る”ことに力があるのです。ですから、コロナ禍で流行したリモート飲み会なども、心の健康に関してはそれなりに効果があったと思われます」」、「再びコロナ禍のようなステイホームの時代になった時、オンライン会議やリモート飲み会がまた日常になってしまうだろう。 その時、よほどの事情がない限りビデオは必ずオンにしておくことを心がけよう」、同感である。 久住 英二氏による「コロナ経験者は肌寒い朝「脳梗塞の発作」に要注意 「血管の内壁」にダメージを与えるという事実」 「新型コロナ経験者は脳出血リスクが約2.2倍、脳梗塞リスクが1.5倍となっていた。 1年後の脳卒中リスクは、集中治療室での治療を受けた人で最も高く、次いで入院を要する重症者となり、脳出血はその傾向が顕著だった」、「もはや単なる「呼吸器感染症」としてくくることはできない」、その通りなのだろう。 「血管は私たちの体のどこにでも張り巡らされているから、感染による内皮の障害は、あらゆる臓器のあらゆる組織に生じうる。だからコロナの合併症や後遺症は、全身のさまざまな臓器・器官に起きてしまうのだ」、「自覚のないまま脳卒中リスクの高い状態に置かれた人が、昨年末時点と比べてざっくり10倍に増えている計算だ」、「冬は脳卒中シーズンでもある。 脳卒中には、大きく分けて脳出血と脳梗塞がある。脳出血は、高血圧などが原因で、脳の血管が破れて脳細胞がダメージを受けるものだ。脳梗塞は、脳の血管に血栓が詰まるなどして血流が妨げ られ、脳細胞がダメージを受ける」、恐ろしいことだ。 「血管ダメージ回復にはまず「運動」」、「ウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳、ダンスや球技などの有酸素運動を行うと、文字通り体はより多くの酸素を必要とする。そこで内皮細胞からNO(「一酸化窒素」)が分泌され、血管を拡張させて血流が増える。血栓予防や炎症抑制などの効果も同時に得られる。 特に、脚を中心とした下半身の運動が効果的だ。 太ももやふくらはぎは、重力に逆らって血液を心臓に送り返すポンプとして、太い筋肉がたくさん集まっている。それらを動かすことで、効率よくNOが産生される。スクワットなどの筋トレを組み合わせて筋肉を増やせば、より高い効果を得られるようになる。 ただし、数週間から数カ月以上は続けることが大事だ」、なるほど。 「血管を守り、強くする食事としては、3つのことを心がけたい。十分なタンパク質(特に魚)、良質の油脂類、色とりどりの野菜の摂取だ」、なるほど。 「脳卒中の予防には、基礎疾患の適切なコントロールが大前提だ」、「脳梗塞の予防には、知らないうちに「脱水」に陥らないようにすること。冬は汗を多くかかないこともあって、高齢や糖尿病の方では特に、自分で喉の渇きに気付きにくくなっている。 料理など食べ物からの摂取以外に、1日で1.5リットル程度は必要とされている。思っている以上に多いので、感覚に頼るのでなく、水分を摂ることを習慣にするのがおススメだ。 例えば3度の食事の際にはコップ1杯200cc、それ以外に150cc程度の飲み物(カフェインの入っていない麦茶など)を2時間おきくらいの決まった時刻に飲む習慣をつけるのが望ましい」、冬の水分摂取は確かに意識的に取り組む必要がありそうだ。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

GoTo問題(その4)(岸田首相の唐突な「GoTo再開」発言のウラに霞が関の予算消化と公明党への配慮、GoToトラベルの再開で期待できる経済効果は、【最新】全国旅行支援 再開に向け準備 県民割とGoToトラベルとの違いとは) [パンデミック]

GoTo問題については、3月13日に取上げた。今日は、(その4)(岸田首相の唐突な「GoTo再開」発言のウラに霞が関の予算消化と公明党への配慮、GoToトラベルの再開で期待できる経済効果は、【最新】全国旅行支援 再開に向け準備 県民割とGoToトラベルとの違いとは)である。

先ずは、3月13日付け日刊ゲンダイ「岸田首相の唐突な「GoTo再開」発言のウラに霞が関の予算消化と公明党への配慮」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/302482
・『岸田首相が政府の観光支援策「Go To トラベル」事業について12日、「適切な時期が来たら迅速に再開できるよう準備を進めたい」と表明した。同事業は2020年末から中断しており、コロナ禍で疲弊しているホテルなど宿泊業や観光地にとって励みになることは間違いない。 しかし、SNSなどでは〈旅行や飲食を推奨するのはいいとは思うが、特定の業者だけに税金を投入するのはやめた方がいい〉〈それよりガソリン価格の高騰をなんとかして欲しい。消費税減税や医療従事者の支援に税金を回した方がいい〉といった声も上がっている。 11日に東日本大震災から11周年を迎え、被災地の復興支援のために「Go To トラベル」事業を再開するというならまだしも、今回の“首相の決断”には政治的な思惑が見え隠れする。支出済みを含めて「Go To トラベル」の事業予算は計2兆6400億円。21年度に繰り越された残予算1兆5500億円のうち7200億円は3月末に消化期限を迎える。「せっかく確保した予算は全部使い切りたい」という霞ヶ関の論理に岸田首相が振り回されている印象は否めない』、3月11日には新規感染者数の週間平均は9101人と、6次ピークの2月2日の18194人から半減していただけに、首相としても「Go To トラベル」「再開」のアドバルーンを上げたのだろう。
https://www.google.com/search?q=%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E6%84%9F%E6%9F%93%E8%80%85%E6%95%B0&rlz=1C2TKQJ_jaJP987JP987&sxsrf=ALiCzsZbLJW-1Ql8PxpLFWBvzQE93Fz5Gw%3A1662366424639&source=hp&ei=2LIVY7PLJOGYr7wP9tyZuAI&iflsig=AJiK0e8AAAAAYxXA6NR8rNQvaUc9niP1nwmU4LNftn47&oq=%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E6%84%9F%E6%9F%93&gs_lcp=Cgdnd3Mtd2l6EAEYATILCAAQgAQQsQMQsQMyCwgAEIAEELEDELEDMgsIABCABBCxAxCDATILCAAQgAQQsQMQsQMyEQgAEIAEELEDEIMBELEDEIMBMggIABCABBCxAzIFCAAQgAQyBQgAEIAEMgUIABCABDIICAAQsQMQgwFQAFgAYMkRaABwAHgAgAFSiAFSkgEBMZgBAKABAqABAQ&sclient=gws-wiz
・『自公の間に吹いていたすきま風  もう一つは公明党の存在だ。夏の参院選での選挙協力をめぐり、すきま風が吹きつつあった自民党と公明党は11日、相互推薦することで合意。自民党は比例代表でも公明党を支援することを決めた。 「自民党から距離を置き始めた公明党に自民党が慌てて歩み寄った格好です。その公明党が昨年の衆院選前から子育て支援の『10万円給付』と並行して重点政策として掲げていたのが『新・Go To キャンペーン』。岸田首相が『Go To トラベル』事業再開を唐突にぶち上げた背景には、公明党への配慮もあります」(与党関係者) 新型コロナウイルスの感染第6波はいまだ収束せず、10日時点でワクチン3回目接種も総人口の3割にとどまっている。しかもウクライナがロシアに攻め込まれているこの時期に、岸田首相の「さあ税金を使って旅行に行きましょう」という発言にどれだけの国民が賛同するだろうか』、新規感染者数の週間平均は9月4日で12622人とピークの8月1日の32108人よりは減ったとはいえ、高水準だ。

次に、4月4日付けエコノミストOnlineが掲載した大和総研エコノミストの鈴木雄大郎氏による「GoToトラベルの再開で期待できる経済効果は」を紹介しよう。
・『2021年の年の観光業は、20年に続き新型コロナウイルスに翻弄された1年だった。「GoToトラベルキャンペーン」は再開のめどが立たず、結果的に旅行需要はコロナショック前を大幅に下回る状況が続いた。 22年はオミクロン株の急拡大によって厳しい滑り出しになった。当初は1月ないしは2月からGoToトラベルの再開が検討されていたが、斉藤鉄夫国土交通相は1月7日の記者会見で1月中の再開を見送る方針を明らかにした。 足元ではオミクロン株の新規感染者数がピークアウトし、3月12日には岸田文雄首相がGoToトラベルについて「適切な時期が来れば迅速に再開できるよう、準備は進めていきたい」と発言した。そして、まん延防止等重点措置は3月22日に全面解除され、居住する都道府県内の旅行(都道府県単位)を助成対象としていた「県民割」は、4月から関東や近畿など地方ブロック単位に拡大された。こうした動きからも、全国を対象とするGoToトラベル再開の機運が高まっている。 はじめにコロナショックが観光需要に与えた影響を確認しておこう。20年以降の観光関連業種の動向を、経済産業省発表の「第3次産業活動指数」で見たものが図1である。いずれの業種も1回目の緊急事態宣言が全国に発出された20年4~5月にかつてないほど落ち込んだ。 その後は緊急事態宣言の全面解除やGoToトラベルの開始によって需要は回復に向かった。「旅館」や旅行代理店が含まれる「国内旅行」の指数は20年11月におおむね感染拡大前の水準まで回復した。 他方、「ホテル」はピーク時でもショック前の7割程度までしか戻らなかった。インバウンド需要の消失や、テレワークなどの普及による出張需要の回復が鈍かったことが要因として考えられる。「鉄道」や「国内航空」の需要も回復が鈍く、それぞれ感染拡大前の7割、5割程度で低迷した。こちらは感染を警戒し、公共交通機関を利用した長距離の移動を伴う旅行が避けられたことなどが背景にある。 21年前半はいずれの業種も低迷したが、感染状況が落ち着いた21年10月以降は急速に持ち直した。しかし、22年1月にはオミクロン株の急速な拡大やまん延防止等重点措置の適用を受け急落した。 観光庁の「旅行・観光消費動向調査」で旅行者の行動の変化を見ると、観光・レクリエーション目的の旅行で主に利用する交通機関(最長交通機関)が新幹線である割合は19年下期の9・8%から6・9%へ、航空は6・4%から3・7%へと低下した。一方で自家用車は54・3%から68・9%へと大幅に上昇した。また、レンタカーの需要は20年11月に感染拡大前まで回復した。 宿泊日数も短くなった。19年下期で全体の58・0%を占めていた1泊の旅行は20年下期に70・5%へと上昇した。さらに、パック・団体旅行の割合が低下し、個人旅行の割合が上昇した。このように、キャンペーン期間中の需要回復の中心は小規模・短期型の旅行であったことが統計から見て取れる』、「キャンペーン期間中の需要回復の中心は小規模・短期型の旅行であった」、なるほど。
・『平日利用を優遇  観光庁によると、キャンペーン期間中に少なくとも延べ8781万人分の宿泊利用があったという。予算の利用額は約5400億円に上り、これを基に大和総研で試算すると経済効果は1兆5000億円程度であったとみられる。 キャンペーンが再開された場合、前回の問題点を踏まえて制度が一部見直される予定だ。観光庁は21年11月19日に制度概要を公表したが、これをまとめたものが表である。本稿執筆の3月25日時点では実施期間についての発表はされていないものの、期間ごとに割引率などが段階的に引き下げられる見込みだ。21年11月時点では開始後からゴールデンウイークまでとゴールデンウイーク明けから夏休み前までの期間で分けられていたが、再開が遅れたため、当社ではそれぞれ、ゴールデンウイーク明けから夏休み前まで(前半期間)と夏休み明けから11月まで(後半期間)に後ろ倒しされると予想している。 前半期間は前回と比べ、割引額の上限は1泊当たり1万4000円だったのが、交通機関とのセットは1万円、宿泊のみは7000円、日帰りの場合は7000円が3000円にそれぞれ引き下げられ、割引率も旅行代金の35%だったのが30%に引き下げられる。地域共通クーポンも旅行代金の15%から平日は1泊当たり3000円、休日は同1000円に変更される。 観光庁によると、割引額の上限や割引率の引き下げ、地域共通クーポンの定額化は中小事業者に配慮したという。このうち、地域共通クーポンの定額化は低価格帯の需要回復に一定の効果があるとみられる。 例えば宿泊料が1万円のホテルに泊まる場合、休日に関しては、前回と付与額は大きく変わらないものの、平日の場合は実質的な割引率が高まることになる。価格が低い所に泊まるほど、消費者にとってお得感が強い制度であるため、平日の低価格帯で需要が増えることが予想される。 GoToトラベルが再開された場合、その経済効果はどれくらいあるのだろうか。内閣府の資料によると、事業関連予算総額のうち、未執行分は21年11月時点で約1兆3000億円に上る。この全額が旅行代金の助成に充てられた場合、GDP(国内総生産)ベースの経済効果は直接効果(キャンペーンの利用額と利用者の自己負担分の合計)が3兆2000億円、波及効果も含めると4兆円という試算結果が得られた(図2)。 この試算は19年の国内旅行者の平均消費額を前提に作成した。後半期間は割引率の上限が引き下げられる予定だが、ここでは割引率が30%のケースで計算している。 ただし、ここで示した試算結果は予算額に対してどの程度の経済効果がもたらされるのかを示したものであり、キャンペーンがなくても行われていただろう旅行支出の代替分が含まれている。そのため実際の個人消費の純粋な押し上げ効果は試算結果よりも小さくなる可能性がある点には留意が必要である。 前回の利用状況を踏まえると、再開後は延べ2・2億人分の宿泊需要の創出が見込まれる。東京発着の旅行が助成対象に加わり、地域共通クーポンも開始された20年10~11月と同様のペースで予算(約1兆3000億円)を消化すると想定すると、9・4カ月間キャンペーンを継続することができる。約5カ月実施された前回と比べ予算は2倍以上残っており、再開することができれば前回以上に旅行需要の回復を後押ししよう。 20年のGoToトラベル実施期間中の旅行需要を都道府県別に確認すると、茨城、栃木、群馬、山梨、奈良、佐賀など大都市近郊で明確に回復が見られた。 他方、空路が大都市からの主要な訪問手段である北海道や沖縄に加え、大都市から長距離の移動を伴う地域である青森、岩手、秋田、鳥取、四国4県、鹿児島などは県外からの宿泊客の戻りが鈍い傾向にあった。マイカーなどを利用した旅行に需要がシフトしたことで、需要回復に地域差が生じた。 先行きについて、感染リスクが高止まりしている間はこうした近場の旅行の方が相対的に需要が回復しやすいだろう。一方、旅行者のマインドが改善すれば、幅広い地域で需要が回復する可能性もある。むしろ、20~21年に長距離の移動を伴う地域への旅行を避けていた人々が「リベンジ消費」として、こうした地域を旅行先として選択することも考えられよう』、「感染リスクが高止まりしている間はこうした近場の旅行の方が相対的に需要が回復しやすいだろう」、なるほど。
・『どうする停止基準  GoToトラベルの再開に当たっては以下の視点が求められよう。まず、前回の経験を生かし、感染再拡大時に一時停止する際の基準をあらかじめ設けるべきだ。20年9月に有識者会議が、感染状況が「ステージ3」相当となった地域はキャンペーンを停止することを提言したものの、政府はこれに応じずに現場が混乱した。観光庁は「専門家の意見を踏まえて詳細を決定する」としているが、本稿執筆時点では明らかになっていない。 次に、制度の終了に向けてソフトランディングを図ることが必要だ。キャンペーンは経済効果が大きい分、制度終了後に需要が急減することが懸念される。後半期間は同キャンペーンを国ではなく都道府県による事業とし、上限はそれぞれの地域で設定する。需要の平準化を図るためにも各地域には、その時の需要動向を見極めたうえで、柔軟に割引率などを設定することなどが求められよう。 観光業は成長戦略の柱であり、地方創生の切り札として期待されてきた。人口減少が加速する地域において、地域や地域の人々と多様に関わる者を示す「関係人口」を増加させるきっかけにもなってきた。観光需要は宿泊施設や土産物屋のみならず、飲食関連、交通関連などその地域の経済にさまざまな好循環をもたらした。GoToトラベルを契機として観光業界が再び盛り上がることを期待したい。そしてキャンペーンを一時的な観光ブームとすることなく、持続的な需要につなげていくことも各地域に求められるだろう』、「後半期間は同キャンペーンを国ではなく都道府県による事業とし、上限はそれぞれの地域で設定する。需要の平準化を図るためにも各地域には、その時の需要動向を見極めたうえで、柔軟に割引率などを設定することなどが求められよう」、その通りだ。

第三に、旅行サイトのAirstairの9月5日付け「【最新】全国旅行支援、再開に向け準備 県民割とGoToトラベルとの違いとは」を紹介しよう。
https://airstair.jp/goto-new/
・『斉藤国土交通大臣は 8 月 15 日、開始を延期していた「全国旅行支援」について、感染状況が改善次第、速やかに実施する意向を示すとともに「準備はきちんと進めている」と述べました。 当初 7 月前半から開始を予定していた「全国旅行支援」は、開催を延期。代わりに「県民割」を 9 月末まで延長して開催しています。直近では新規感染者数は減少に転じており、10 月以降の動向に注目が集まっています。 「全国旅行支援」は、新幹線やフライト等とセットになった旅行で 1 人 1 泊最大 8 千円を上限に旅行代金が 40% 割引になるキャンペーンで、さらに飲食店等で利用できるクーポン券を 1 人 1 泊最大 3 千円分配布します。 今回は 7 月前半から開始されることが発表された「全国旅行支援」の割引率や開催日、申込方法、宿泊対象期間、割引対象などの詳細を解説します。 新型コロナウイルスの感染拡大が続いていましたが、直近では、前週同曜日を大幅に下回る日が続いており、ピークアウトしています。 斉藤国土交通大臣は 8 月 25 日の記者会見で、全国旅行支援の開催時期について「感染状況の改善が確認できれば速やかに実施する」と方針を明らかにしています。 現在は、県民割を 9 月末まで延長して開催していますが、このまま新規感染者が減少一途をたどれば、「全国旅行支援」の 10 月開始は現実味を帯びると言えるでしょう』、このテーマでは情報が日々更新されているので、あえて旅行サイトを情報源とした。
・『「全国旅行支援」と観光支援策まとめ  旅行代金が最大 7 千円お得になる「県民割」は、4 月から全国を関東・近畿といった 6 つに分けたブロック内の居住者であれば、割引を利用できる「地域ブロック割」に拡大して開催しています。 旅行代金が最大 11,000 円お得になる「全国旅行支援」は、当初 7 月前半から開始する予定でしたが、新規感染者の全国的な増加を受けて、開催延期が発表されました。 「全国旅行支援」の開始は延期となる一方で、旅行代金が最大 7 千円お得になる「県民割」は、 8 月末期限を改め、9 月末まで延長して開催します』、「「県民割」は、4 月から全国を関東・近畿といった 6 つに分けたブロック内の居住者であれば、割引を利用できる「地域ブロック割」に拡大して開催」、なるほど。
・『図解「全国旅行支援」とは  「全国旅行支援」は、1 人 1 泊最大 8 千円を上限に旅行代金が 40% 割引になるキャンペーンで、さらに飲食店等で利用できるクーポン券を 1 人 1 泊最大 3 千円分配布します。 旅行割引では、交通付(鉄道、バス、フライト付き)プランか宿泊プランかで割引上限額が異なり、交通付プランは上限 1 万円、宿泊プランは上限 7 千円です。交通付プランのほうが割引額が高く設定されてます。 また、旅行需要の平日分散化の観点から、クーポン配布額が平日と休日で異なり、平日の場合は、1 人 1 泊あたり 3 千円分、休日の場合は 1 人 1 泊あたり 1 千円分が配布されます。平日のほうがよりお得になります』、「平日のほうがよりお得に」したのは賢明だ。
・『「全国旅行支援」実施期間(新型コロナウイルスの感染拡大のため、開催延期を発表。開始は早くて 10 月以降となります。 「全国旅行支援」対象者(全国民) 「全国旅行支援」利用条件 利用者は、ワクチン 3 回接種証明書、または PCR検査・抗原定量検査(検体採取日+ 3 日)・抗原定性検査(検体再採取日+ 1 日)の陰性証明書が条件です。 「全国旅行支援」概要(リンク先参照) 「全国旅行支援」のクーポン券  「全国旅行支援」では、割引利用者に対して、平日の場合は、1 人 1 泊あたり一律 3 千円分、休日の場合は 1 人 1 泊あたり一律 1 千円分が配布されます。平日のほうが補助率が高いというのが特徴です。 クーポン券は、旅行当日にホテルでチェックイン時に配布される他、旅行代理店で予約時に配布されます。 平日と休日の定義  正式な発表はまだありませんが、奈良県で開始されている「いまなら。キャンペーン」では以下のような定義でキャンペーンが開催されています。 平日:宿泊日とその翌日のいずれかが平日(月~金)に該当する場合 休日:宿泊日とその翌日の双方が休日(土・日・祝)に該当する場合)  クーポン券の利用期間  クーポン券は、旅行期間中のみです。宿泊旅行の場合は、チェックインからチェックアウトまでの期間利用できます。 クーポン券の利用可能店舗(クーポン券は、登録された旅行先の土産物店、小売店、飲食店、交通事業者等、様々な店舗・施設等で利用できます。 「全国旅行支援」と「県民割」の主な変更点  旅行代金が最大 11,000 円お得になる「全国旅行支援」は、7 月前半から開始予定でしたが、開催延期を発表しました。代わりに 7 月 15 日を期限としていた「県民割」を 8 月末まで延長します。 割引率では、上限 50% から 40% へ引き下げる一方、鉄道、バス、フライト等とセットになったツアーで割引額上限を現在の 1 人 1 泊 5 千円から 8 千円に引き上げます。 さらに、割引利用者に配布されるクーポンについても、従来の県民割では1 人 1 泊あたり最大 2 千円の配布でしたが、「全国旅行支援」では、平日 3,000 円、休日 1,000 円と変更します。 また、補助額についても、1 人 1 泊あたり 7 千円( 5 千円割引& 2 千円クーポン)だった県民割に対して、「全国旅行支援」では、特に補助額が大きい平日であれば、 1 人 1 泊あたり 11,000 円( 8 千円割引& 3 千円クーポン)となります。 割引上限額の引き上げ  旅行代金が 50% 割引となった県民割に対して、「全国旅行支援」では、割引率は 40% に引き下げとなっています。その一方、鉄道、バス、フライト等とセットになった交通付プランでは上限額を 1 人 1 泊 5 千円から 8 千円に引き上げます。 「交通付プラン」がよりお得!  県民割では、対象の宿泊プランであれば割引額が変わることはありませんでしたが、「全国旅行支援」では、予約する旅行プランによって割引上限額が変わります。 鉄道、バス、フライト等の交通付プランの場合、割引上限額は 1 人 1 泊あたり 8,000 円、たんに宿泊だけのプランの場合は、1 人 1 泊あたり 5,000 円となるため、交通付プランのほうがお得となります。 平日利用でクーポン3千円分  平日と休日で割引額に差を設けなかったことで、利用が休日に集中したという反省点を踏まえ、平日分散化という観点から、飲食店などで利用できるクーポンの配布額が、利用日によって大きく変わります。 県民割では、平日でも休日でも変わらず最大 2 千円分のクーポンが配布されていましたが、「全国旅行支援」では、平日 3,000 円分、休日は 1,000 円分のクーポンが配布されます』、「利用が休日に集中したという反省点を踏まえ、平日分散化という観点から、飲食店などで利用できるクーポンの配布額が、利用日によって大きく変わります」、反省を踏まて合理的な仕組みになったようだ。
・『「全国旅行支援」と「GoToトラベル」の違い  「新GoToトラベル」と「全国旅行支援」を比較すると、大きな差がないことがわかります。 「新GoToトラベル」は見送りとなりましたが、「新GoToトラベル」とほとんど近い観光支援策が開始されるということで、グッドニュースなのではないでしょうか』、なるほど。
・『「全国旅行支援」開始までは、県民割の利用を推奨  県民割は、旅行代金が宿泊割引とクーポン配布で最大 7 千円お得になる旅行割引キャンペーンです。現在は、地域ブロック単位で旅行割引を利用できるようになっています。 長らく割引がなかった東京都についても、6 月 10 日から東京都民を対象とした独自の旅行需要喚起策「もっとTokyo」が 7 月末までトライアル的に開催されています。 「全国旅行支援」は延期となったため、8 月 31 日までは「県民割」の利用がオススメです。7 月 15 日以降の予約受付は、まだ開始されていないオンライン予約サイトも多く、参加が遅れてしまった方でも再度予約のチャンスがあります』、幸いコロナの新規感染者数は減少傾向にある。「もっとTokyo」は9月30日までに完了する旅行商品が対象のようだ。どの程度の利用になるのだろう。
タグ:幸いコロナの新規感染者数は減少傾向にある。「もっとTokyo」は9月30日までに完了する旅行商品が対象のようだ。どの程度の利用になるのだろう。 「利用が休日に集中したという反省点を踏まえ、平日分散化という観点から、飲食店などで利用できるクーポンの配布額が、利用日によって大きく変わります」、反省を踏まて合理的な仕組みになったようだ。 「平日のほうがよりお得に」したのは賢明だ。 「「県民割」は、4 月から全国を関東・近畿といった 6 つに分けたブロック内の居住者であれば、割引を利用できる「地域ブロック割」に拡大して開催」、なるほど。 このテーマでは情報が日々更新されているので、あえて旅行サイトを情報源とした。 「【最新】全国旅行支援、再開に向け準備 県民割とGoToトラベルとの違いとは」 Airstair 「後半期間は同キャンペーンを国ではなく都道府県による事業とし、上限はそれぞれの地域で設定する。需要の平準化を図るためにも各地域には、その時の需要動向を見極めたうえで、柔軟に割引率などを設定することなどが求められよう」、その通りだ。 「感染リスクが高止まりしている間はこうした近場の旅行の方が相対的に需要が回復しやすいだろう」、なるほど。 「キャンペーン期間中の需要回復の中心は小規模・短期型の旅行であった」、なるほど。 鈴木雄大郎氏による「GoToトラベルの再開で期待できる経済効果は」 エコノミストOnline 新規感染者数の週間平均は9月4日で12622人とピークの8月1日の32108人よりは減ったとはいえ、高水準だ。 https://www.google.com/search?q=%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E6%84%9F%E6%9F%93%E8%80%85%E6%95%B0&rlz=1C2TKQJ_jaJP987JP987&sxsrf=ALiCzsZbLJW-1Ql8PxpLFWBvzQE93Fz5Gw%3A1662366424639&source=hp&ei=2LIVY7PLJO 3月11日には新規感染者数の週間平均は9101人と、6次ピークの2月2日の18194人から半減していただけに、首相としても「Go To トラベル」「再開」のアドバルーンを上げたのだろう。 日刊ゲンダイ「岸田首相の唐突な「GoTo再開」発言のウラに霞が関の予算消化と公明党への配慮」 (その4)(岸田首相の唐突な「GoTo再開」発言のウラに霞が関の予算消化と公明党への配慮、GoToトラベルの再開で期待できる経済効果は、【最新】全国旅行支援 再開に向け準備 県民割とGoToトラベルとの違いとは) GoTo問題
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

パンデミック(経済社会的視点)(その24)(重症患者の7割にせん妄が出ている…新型コロナの「脳感染」が引き起こす肺炎より恐ろしい症状 肺炎が重症化していなくても呼吸不全を起こす場合がある、尾身会長がNHKで“職務放棄”の仰天発言!コロナ対策は自助で、犠牲は国民の「許容度」の問題、コロナ感染の若者を見放す制度の不備にモノ申す 大学の定期試験や国家資格試験の機会損失大きい) [パンデミック]

パンデミック(経済社会的視点)については、5月28日に取上げた。今日は、(その24)(重症患者の7割にせん妄が出ている…新型コロナの「脳感染」が引き起こす肺炎より恐ろしい症状 肺炎が重症化していなくても呼吸不全を起こす場合がある、尾身会長がNHKで“職務放棄”の仰天発言!コロナ対策は自助で、犠牲は国民の「許容度」の問題、コロナ感染の若者を見放す制度の不備にモノ申す 大学の定期試験や国家資格試験の機会損失大きい)である。

先ずは、7月23日付けPRESIDENT Onlineが掲載した複十字病院 認知症疾患医療センター長の飯塚 友道氏による「重症患者の7割にせん妄が出ている…新型コロナの「脳感染」が引き起こす肺炎より恐ろしい症状 肺炎が重症化していなくても呼吸不全を起こす場合がある」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/59630
・『新型コロナウイルスが脳に感染した場合、致命的な影響を与えることが最新の研究でわかってきた。複十字病院認知症疾患医療センター長の飯塚友道さんは「新型コロナウイルスは嗅覚神経や血管を通じて脳に感染することがある。急死したケースでは、肺炎ではなく脳感染によって中枢神経がダメージを受けていた可能性がある」という――。(第2回) ※本稿は、飯塚友道『認知症パンデミック』(ちくま新書)の一部を再編集したものです。なお、脚注はリンク先参照』、「脳に感染」、「急死」とは恐ろしい話だ。
・感染者に致命的な影響を与える“脳感染”  本稿では、新型コロナウイルスの感染が直接脳に与える影響について考えていきたいと思います。恐ろしいことに、このウイルスが思いのほか脳に感染して様々な症状を引き起こし、ときに致命的な影響を与えることがわかってきました。 新型コロナウイルス感染により神経症状が出現するという現象については、2019年に中国・武漢で最初に報告されました(*1)。2020年1月16日から同年2月19日までのデータでは、平均年齢53歳の214人の患者のうち78人の患者(36%)で神経症状がみられました。 重症の感染者ではより頻度が高く、46%です。ほとんどの神経症状は病気の初期に起こりました。神経症状は実に多様で、中枢神経系の症状(めまい、頭痛、意識障害、急性脳血管疾患、運動失調)、末梢まっしょう神経系の症状(味覚障害、嗅覚障害、視力障害および神経痛)、骨格筋損傷がみられました。重症の感染者の神経症状は急性脳血管疾患、意識障害、骨格筋損傷などでした。 この武漢の中枢神経障害のデータは、その後の各国からの報告よりは比較的低い頻度でした。当初は重症化する肺炎に注目が集まっていたのが一因かもしれませんが、それ以降は脳障害に関する報告が増加します。感染と神経症状との関連については、アンギオテンシン変換酵素2(ACE2)という細胞膜に存在するタンパク質が新型コロナウイルスの受容体として同定されました。 ウイルスの感染には細胞表面に存在する受容体との結合が必要です。ACE2は神経系および骨格筋などに存在しますので、この受容体の神経症状における役割は大きいと考えられます。その後も神経症状には注目が集まり、米国ワシントン州の病院からの2020年2月20日から同年5月4日の入院患者404人の神経学的症状の報告があります(*2)』、「神経症状は実に多様で、中枢神経系の症状(めまい、頭痛、意識障害、急性脳血管疾患、運動失調)、末梢まっしょう神経系の症状(味覚障害、嗅覚障害、視力障害および神経痛)、骨格筋損傷がみられました。重症の感染者の神経症状は急性脳血管疾患、意識障害、骨格筋損傷などでした。 この武漢の中枢神経障害のデータは、その後の各国からの報告よりは比較的低い頻度でした」、「重症の感染者の神経症状」はやはり恐ろしいものだ。
・『中枢神経に関連する症状が多数報告されている  この病院は米国で新型コロナウイルス患者の死亡例を報告した最初の病院で、神経学的所見は295人でみられ73%にのぼりました。そのうち中枢神経症状は204人(52%)でみられ、多い順に精神症状、頭痛、めまいでした。 米国ミシガン州からの報告もあり、こちらは2020年3月1日から同年5月31日の間に集中治療室に入院した比較的重度の148人の患者を対象としています(*3)。せん妄は平均年齢58歳の73%の患者で認められ、その持続期間は4~17日で中央値は10日でした。 さらに、入院中にせん妄を発症していた患者の中で退院後の調査をしたところ、24%は自宅に退院した後にもせん妄が出現しました。また、23%は認知症を疑わせる持続した認知機能障害がみられ、12%は退院後2カ月以内にうつ状態と診断されています。せん妄は70歳以上の高齢者で出現しやすいことは知られていますが、平均年齢58歳の中高年でもせん妄を起こし、それが退院後も遷延するという現象が注目されました。 そして、スペインからの報告ですが、2020年3月に入院した新型コロナウイルス感染と診断されたすべての患者を体系的に見直しました(*4)。平均年齢66歳の841人の患者のうち、57%が何らかの神経症状を発症しました。 たとえば、筋肉痛、頭痛、めまいなどの非特異的症状のほとんどが、感染初期段階で存在していました。嗅覚障害と味覚障害は早期に発症しやすく(最初の臨床症状として60%)、軽症例で頻度が高い傾向がありました。意識障害やせん妄は、主として高齢患者や重度例で発症しました』、「米国ミシガン州からの報告」では、「集中治療室に入院した比較的重度の148人の患者を対象」、「せん妄は平均年齢58歳の73%の患者で認められ、その持続期間は4~17日で中央値は10日でした。 さらに、入院中にせん妄を発症していた患者の中で退院後の調査をしたところ、24%は自宅に退院した後にもせん妄が出現しました。また、23%は認知症を疑わせる持続した認知機能障害がみられ、12%は退院後2カ月以内にうつ状態と診断されています。せん妄は70歳以上の高齢者で出現しやすいことは知られていますが、平均年齢58歳の中高年でもせん妄を起こし、それが退院後も遷延するという現象が注目」、「せん妄は平均年齢58歳の73%の患者で認められ」、かなり高い割合だ。「12%は退院後2カ月以内にうつ状態と診断」、本当に影響は深刻だ。
・『重症患者の約7割にせん妄が出ることが判明した  急性期にはコロナ感染症例の約20~70%が何らかの中枢神経障害を起こしており、脳血管障害、頭痛、意識障害、せん妄、めまいなどを引き起こしています。 特に集中治療室の重症患者の約70%にせん妄が出現することも判明しました。これに関しては感染予防のため、患者の日用品を院内に持ち込むことができなかったり、家族の面会が制限されたりしたことの影響もあったでしょう。 医療スタッフ側としては防護服の不足などの理由で、せん妄防止のためのプロトコルがあっても普段のようには実行できなかったという事情があり、それがせん妄が多く見られた要因とも考えられます。それから退院後も続く症状があり、そこではせん妄や認知機能障害があります。 米国のメイヨー・クリニックでは感染症で入院中の患者について、神経損傷の生物学的指標であるバイオマーカーを調べています(*5)。ここでは血液中の神経線維フィラメント軽鎖(NfL)というタンパク質を分析しました。このNfLは神経軸索にしかないタンパク質ですので、これが血中に漏れ出ていることは神経軸索が損傷していることを意味します。 142人の入院患者から採取した血清ではNfLは正常値よりも上昇していました。さらに、血清NfLの検出量は疾患の程度と関係していて、レムデシビルで治療された患者100人においては血清NfLが減少する傾向も見られました。このように重症度、治療の有無と神経損傷には関係があり、感染すると神経系に損傷を与えることの間接的な証拠になります。逆にNfLが低ければ、レムデシビルの治療が有効であることが実証できます』、「142人の入院患者から採取した血清ではNfLは正常値よりも上昇していました。さらに、血清NfLの検出量は疾患の程度と関係していて、レムデシビルで治療された患者100人においては血清NfLが減少する傾向も見られました。このように重症度、治療の有無と神経損傷には関係があり、感染すると神経系に損傷を与えることの間接的な証拠になります」、なるほど。
・『ウイルスはどのようにして脳に感染するのか 新型コロナウイルスの脳への感染ルートですが、まず鼻粘膜上皮にはこのウイルスの受容体であるACE2が存在し、そこにウイルスが到達するとACE2と結合して嗅覚神経細胞内に侵入し、嗅覚障害を起こすと想定されています。 実際、症状が出現した人の85%で嗅覚障害がみられています(*6)。その約半数では防御機構が感染を抑えて早期に嗅覚が回復しますが、残りの患者ではウイルスが嗅覚神経から脳内に侵入し、最終的には脳幹に達し、重度の呼吸不全を引き起こします。その場合の多くは呼吸困難の自覚がありません。 また、このウイルスは血管内皮細胞に存在するACE2受容体にも結合し、血管内皮で炎症を引き起こします。感染治療中に発症する脳卒中は、この血管内皮炎によって生じる血栓が原因であると考えられます。ACE2受容体の同定からさらに、ニューロピリン-1(NRP1)というタンパク質も新型コロナウイルスの受容体であることがわかりました(*7)。 NRP1は呼吸器系、鼻粘膜上皮、神経系に豊富に存在します。ウイルスの細胞内侵入を媒介するACE2の役割に加えて、NRP1はウイルスの感染性を高める作用をしていて、同じウイルスの受容体でも役割は異なるようです。 感染した脳のどこに新型コロナウイルスが多く存在するかを調べるために、脳でのこのウイルスのRNA量を測定した報告もあります(*8)』、「ウイルスの受容体であるACE2が存在し、そこにウイルスが到達するとACE2と結合して嗅覚神経細胞内に侵入し、嗅覚障害を起こすと想定されています。 実際、症状が出現した人の85%で嗅覚障害がみられています(*6)。その約半数では防御機構が感染を抑えて早期に嗅覚が回復しますが、残りの患者ではウイルスが嗅覚神経から脳内に侵入し、最終的には脳幹に達し、重度の呼吸不全を引き起こします」、「嗅覚障害」程度ならまだしも、「最終的には脳幹に達し、重度の呼吸不全を引き起こします」、恐ろしいことだ。
・『中枢神経への感染が強ければ、死亡リスクが高まる  新型コロナウイルス感染で亡くなった33人の脳でRT-PCR(DNAではなくRNAを検出するPCR検査)によりウイルスRNA量を評価したところ、11人から中枢神経、特に嗅覚神経と脳幹でウイルスRNAが多く検出されました。 ここで注目すべきは、中枢神経におけるウイルスRNAの量は亡くなるまでの罹病りびょう期間と逆相関していたことです。罹病時間の短さは高いRNA量と関連し、罹病期間の長さは低いRNA量と関連していました。つまり、中枢神経への感染が強いことは死亡リスクを高めることになります。新型コロナウイルス感染は肺炎で死亡するイメージがありましたが中枢神経、特に脳幹への感染は致命的と考えられます。 このように、新型コロナウイルスによる脳感染の実態が徐々にわかってきました。ここで新型コロナウイルス感染患者における呼吸症状と脳病変との関連についての総説を紹介します(*9)。 2021年2月までの新型コロナウイルス感染患者の脳に関する27の報告によると、神経病理学的変化は134人の患者のうち78人の脳幹で観察されました。実に亡くなった方の半数以上で脳幹病変が存在したことになります。 新型コロナウイルスについては、脳幹の血管障害または低酸素病変をもつ患者と比較して、脳幹にグリア細胞浸潤(グリオーシス)とリンパ球浸潤を示した患者のほうがはるかに高く検出されました。これは重要な所見です。 新型コロナウイルス感染症の脳幹病変は重症肺炎に伴う低酸素による非特異的かつ間接的な所見との見解もありますが、脳幹病変を示した患者でウイルス検出が多かったことは、感染の脳幹への直接的な影響を示唆しています』、「脳幹病変を示した患者でウイルス検出が多かったことは、感染の脳幹への直接的な影響を示唆しています」、なるほど。
・『肺炎ではなく脳感染が急死の原因だった可能性がある  これらの報告から現在のところ、神経系への新型コロナウイルスの侵入経路として次の二つが考えられます。まず神経経路ですが、一般的にウイルスは末梢神経に沿って逆行性に神経組織に入ることができます。 新型コロナウイルスの場合、嗅覚神経からのルートで脳に侵入する可能性が最も有力ですが、他の脳神経である、視神経や三叉神経などを介して脳に侵入することも想定されます。脳幹の心呼吸中枢にウイルス感染が起こると肺炎の重症度にかかわらず、呼吸不全を引き起こす可能性があるとも指摘されています。 次に血液循環経路ですが、ウイルスは血行性で中枢神経系に入る可能性もあり、その場合はまず、脳室にある脈絡叢における血液脳脊髄液関門の上皮細胞に感染します。脈絡叢は脳脊髄液を産生する部位ですが、血管が豊富な部位でもあります。そこから神経細胞やグリア細胞に感染していくのです。新型コロナウイルスに脳が直接感染してダメージを与え、それには炎症だけでなく血管障害も関わっているようです。 脳への侵襲、特に脳幹にある呼吸や心拍・血圧を制御する生命中枢へのダメージは発生する割合としては少ないのですが、致命的で恐ろしいものです。病院に向かっている途中に急変し、到着時には心肺停止に陥るという報道もありました。 いくら肺炎が急速に進行したとしても、肺炎が原因で数十分単位で死に至ることは通常は考えられないことです。数分から数十分で死に至る可能性のある疾患のほとんどは、脳出血や心筋梗塞など脳あるいは心臓の急性病変に由来するものです。 したがって新型コロナウイルス感染での急死には、脳幹の生命中枢への直接的ダメージが関与していたと考えると納得がいくのです』、「新型コロナウイルス感染での急死には、脳幹の生命中枢への直接的ダメージが関与していたと考えると納得がいくのです」、「新型コロナウイルス感染」の恐ろしさを再認識させられた。

次に、7月25日付け日刊ゲンダイ「尾身会長がNHKで“職務放棄”の仰天発言!コロナ対策は自助で、犠牲は国民の「許容度」の問題」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/308759
・『第7波の感染拡大が止まらない。24日の新型コロナウイルスの新規感染者数は17万人を超え、日曜日として過去最多を更新した。感染拡大は、8月中旬まで続く可能性が高い。不安を強めている国民も多いはずだ。ところが、新型コロナ政府分科会の尾身茂会長から、専門家とは思えない驚きの発言が飛び出した。 耳を疑った視聴者もいたのではないか──。24日のNHK日曜討論で尾身氏は「従来までは国、自治体が国民にお願いし、国民が従うというフェーズだった。今は、いろんなことを学んできたので一般市民が主体的に自分で判断していろいろと工夫するフェーズに入った」と強調した。 「一般市民が自分で判断」とは聞こえがいいが、要するに「自助で何とかしろ」ということだ。コロナ禍の2年半、コロナ対策は的外れなものが多く、後手対応も目立った。政府に従った国民は多大な犠牲を強いられた。その張本人である政府分科会の責任者が、今度は「一般市民が主体的に」とは、視聴者が呆気に取られても不思議はない』、従来から「尾身会長」の発言は、無責任で評判が良くなかったが、今回のは最悪だ。
・『第7波は“お手上げ”ということなのか  さらに、驚きの発言は続く。「このまま放っておくと、体力が悪い、体の脆弱な高齢者の死亡者数は第6波を超える可能性がある」と危機感を示した。第6波では高齢者を中心に1万2000人超の死者を出した。第7波では、それを超える犠牲者数になる可能性があると明言したのだ。 なのに、肝心の「感染対策」については、こう続けた。 「重症者数、感染者数、一般医療の制限をどこまで我々が許容するか、国民的なコンセンサスが必要だ」 感染に伴うさまざまな「犠牲」は、国民の「許容度」の問題だというのである。無責任な発言は、もはや第7波は“お手上げ”ということなのか。 「世論に委ねるかのような尾身氏の発言は、もはや科学ではありません。たとえ、一定の犠牲に対し、国民が許容していたとしても、それを“よし”とはせず、科学的に最善の感染対策を考えるのが専門家の仕事です。これまでの6度の波に対して政府分科会は有効な対策を打ち出せませんでした。過去をはるかに上回る第7波がやって来て、職務放棄したようにしか見えません。尾身氏は会長職を退くべきだと思います」(西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏=感染症学) 科学を忘れた尾身氏が居座れば、第7波はとんでもない事態になりかねない』、「たとえ、一定の犠牲に対し、国民が許容していたとしても、それを“よし”とはせず、科学的に最善の感染対策を考えるのが専門家の仕事です」、「過去をはるかに上回る第7波がやって来て、職務放棄したようにしか見えません。尾身氏は会長職を退くべきだと思います」、その通りだ。

第三に、7月31日付け東洋経済オンラインが掲載した医療ガバナンス研究所理事長の上 昌広氏による「コロナ感染の若者を見放す制度の不備にモノ申す 大学の定期試験や国家資格試験の機会損失大きい」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/604781
・『新型コロナウイルスの第7波が猛威を振るっている。若年者を対象としたオミクロン株対策を論じたい。 まず、強調したいのは、オミクロン株の流行の中心が若年層であることだ。東京都によれば、7月27日、2万9012人の感染が確認されたが、このうち1万6764人(58%)は30歳代以下だった』、興味深そうだ。
・『隔離期間の長さが若者の機会損失を生む  ただ、若年者はコロナに罹っても重症化することは少ない。「感染しても大丈夫」とお考えの人も多いだろう。ところが、話はそう簡単ではない。コロナに罹ると若年者は機会損失を被る。機会損失とは、感染により活動を停止せざるをえなくなることだ。 コロナが特殊なのは、感染症法により、感染者は、入院、施設、あるいは自宅での療養が義務化されていることだ。その期間も法定されており、症状があれば発症から10日間、無症状なら陽性確認から1週間だ。この期間は、人前に出ることはできない。 すでに数多くの機会損失が出ている。例えば、東京大学教養学部は、今年度の前期試験から感染者・濃厚接触者の救済措置を中止した。この結果、コロナに罹患したため、授業や試験を欠席せざるをえなくなり、留年を余儀なくされた学生もいるという。 6月13日、東京大学教養学部学生自治会は、大学に対して「新型コロナウイルスへの感染が疑われる場合等の代替措置に関する要望書」を提出したが、同月30日の回答では、「実質的に学生からの申し出のみによる審査・決定となり、審査の信頼性が担保できない状況となった」と、学生の訴えを却下した。これは、学生の言い分が信頼できないと言っているのと同じであろう。 この対応は、いくつかのメディアで報じられた。7月28日、東洋経済オンラインは「東大『期末試験はコロナ救済なし』で陥るジレンマ 陽性・濃厚接触者は登校自粛なのに…学生が猛反発」という記事を掲載した。この中で、東京大学は、2年生の前期試験までの成績で、進級する学部/学科が決まる進学振り分け制度を採用しているため、「コロナ以外の病気や事故で欠席した学生との公平性を担保する必要がある」と、学生自治会への回答とは異なる内容の説明をしている。 さらに、同日、学生に対して、「教養学部前期課程における定期試験代替措置とその廃止について」という通知を出し、「進学選択実施における学生間の成績の公平性がきわめて強く求められます」と述べている。進学振り分けでの平等性を担保したいなら、欠席した学生には、補講・追試で単位を認定するも、その科目の点数を、進学時の平均点の算定から除外するなど、やりようはあるはずだ。 現に、東京大学は今年3月の入学試験の合格判定で、コロナ感染により2次試験を受験できなかった13人は共通テストの成績や高校が作成した調査票などで合否判定し、共通テストを受験できなかった4人は2次試験の成績、および調査票などを用いて評価し、救済している。今回の東京大学の説明は、額面通りには受け取れない』、「東京大学教養学部は、今年度の前期試験から感染者・濃厚接触者の救済措置を中止した。この結果、コロナに罹患したため、授業や試験を欠席せざるをえなくなり、留年を余儀なくされた学生もいるという」、ウィズコロナとは全く逆行する施策だ。「入学試験」では「救済措置」があるのとも整合的でない。
・『東大と京大の対応は対照的  京都大学の対応は違う。4月1日に発表した『感染予防マニュアル令和4年度前期授業等の実施における配慮について(第8版)』に、感染した学生に対して「部局長及び授業等の担当教員の判断により、履修上の配慮を行うこと」「孤立しないよう連絡を取る」「担当教員と学生との双方向の連絡体制を確保する」とある。東京大学と京都大学への学生への対応は対照的で興味深い。 実は、東京大学の対応には、感染症法の主旨を無視している疑いがある。それは、コロナ感染で入院や自宅療養が求められるのは、感染症法に基づく法的措置だからだ。その目的は、感染を拡大させないための防疫だ。だからこそ、軽症や無症状者にも適応される。社会の防疫のために、国民に犠牲を強いるのだから、機会損失を被った人を救済する義務があるだろう。 では、政府は、どのように対応しているのだろう。もちろん、政府も、問題は認識している。文部科学省は、「学生1人ひとりの立場に立って、きめ細かな対応」「不安の中にある学生に寄り添った対応」、「判断の理由や根拠も含めて学生1人ひとりに伝え、学生の理解を得るよう努めること」を求める通知を各大学に出しているが、説得力がない。 それは、文科省自体が「学生1人ひとりの立場に立って、きめ細かな対応」を放棄しているからだ。例えば、教員職員免許法に基づいて文科省が実施する教員資格認定試験の令和4年度の受験要項には、発熱や倦怠感などのコロナ感染を示唆する症状、および濃厚接触者、自宅待機者を挙げ、「以下に該当する場合は、受験を見合わせてください。これらを理由とした欠席者向けの再試験は実施しません」と記されている。 この状況は、感染症法を所管する厚生労働省も変わらない。同省は医師国家試験など22の国家資格試験を実施しているが、入院中、宿泊または自宅療養中、一部の濃厚接触者の受験は認めず、再試験も実施していない。 厚労省は、その理由として、NHKの取材に対し、「短期間で追試の問題を作成するのは困難だ。広く機会を与える観点から柔軟な形で行われている大学入試などとは異なり、(医療関係職種の国家試験では)従来から心身の不調を理由とした追試は実施していない」(NHK NEWSWEB/追試はないの? コロナ禍の国家試験/2022年2月7日配信)と説明している。コロナと「心身の不調」を一緒に、議論していることには呆れざるをえない。要は面倒臭いことはしたくないと言っているだけだ。こんな無責任なことはない』、「京都大学」は「履修上の配慮」を行うようだが、「東大」の官僚主義的対応は、「文科省」、「厚労省」と同じで、情けない。
・『感染症2類相当から5類への変更は行われず  無責任なのは、官邸も同様だ。岸田首相は「ウィズコロナでも経済引き上げる」(7月25日、経済財政諮問会議)など、ウィズコロナを強調する。ところが、松野官房長官は7月13日の記者会見で「(コロナを5類に変更することを)現実的でない」と発言している。 2類感染症とはポリオ、重症急性呼吸器症候群(SARS)、鳥インフルエンザなど、感染した場合、重症化・死亡するリスクが高い病原菌だ。だからこそ、隔離が必要だ。こんな感染症とは、「ウィズ」の状態を維持できるはずがない。コロナを感染症法2類相当から5類に変更すれば、多くの問題は解決するが、政府は臨時国会まで動くつもりはなさそうだ) わが身は自分で守るしかない。どうすればいいのか。私は、ワクチン接種をお奨めしたい。ところが、若年世代のワクチン接種率は低い。7月25日現在、70歳代以上の3回目接種率は90%を超えるのに対し、12~19歳は33%だ。 6月16日、福島県相馬市が発表した調査結果が興味深い。相馬市はワクチン接種が全国で最も迅速に進んでいる自治体の1つだ。6月15日現在、中高生1834人中1066人(58.1%)が3回目接種を終えている。全国平均より27.1%高い。 相馬市によれば、4月1日から6月15日のオミクロン株流行期間に中高生65人が感染しているが、3回目接種完了者、未完了者の感染率は0.67%、7.16%だった(表)。相馬市では、3回目接種により、中高生の感染を91%予防したことになる。 (外部配信先では表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)』、政府が「若年世代のワクチン接種率」を低いままにしているのは、おかしい。「相馬市」に倣って接種率向上に努めるべきだ。
・『コロナに対しては徐々に免疫が形成される  この結果は、医学的にも納得がいく。コロナはインフルエンザのように、1回のワクチンで完全な免疫はできない。何度も感染し、何度もワクチンを打つことで、徐々に免疫が形成される。人生経験が短い若年世代は、新型コロナ流行前から存在した、従来型コロナに感染した経験が少なく、免疫をもっていなかったのだろう。ただ、高齢者と比べて、ワクチンへの反応性は高いから、ワクチンを追加接種することで、免疫力が急速に向上する。 以上、これから夏本番を迎える若者に伝えたい情報だ。科学的に合理的な対応を採りながら、夏を満喫していただきたい』、同感である。
タグ:同感である。 政府が「若年世代のワクチン接種率」を低いままにしているのは、おかしい。「相馬市」に倣って接種率向上に努めるべきだ。 「京都大学」は「履修上の配慮」を行うようだが、「東大」の官僚主義的対応は、「文科省」、「厚労省」と同じで、情けない。 「東京大学教養学部は、今年度の前期試験から感染者・濃厚接触者の救済措置を中止した。この結果、コロナに罹患したため、授業や試験を欠席せざるをえなくなり、留年を余儀なくされた学生もいるという」、ウィズコロナとは全く逆行する施策だ。「入学試験」では「救済措置」があるのとも整合的でない。 「脳に感染」、「急死」とは恐ろしい話だ。 飯塚 友道氏による「重症患者の7割にせん妄が出ている…新型コロナの「脳感染」が引き起こす肺炎より恐ろしい症状 肺炎が重症化していなくても呼吸不全を起こす場合がある」 PRESIDENT ONLINE 上 昌広氏による「コロナ感染の若者を見放す制度の不備にモノ申す 大学の定期試験や国家資格試験の機会損失大きい」 東洋経済オンライン 「たとえ、一定の犠牲に対し、国民が許容していたとしても、それを“よし”とはせず、科学的に最善の感染対策を考えるのが専門家の仕事です」、「過去をはるかに上回る第7波がやって来て、職務放棄したようにしか見えません。尾身氏は会長職を退くべきだと思います」、その通りだ。 従来から「尾身会長」の発言は、無責任で評判が良くなかったが、今回のは最悪だ。 日刊ゲンダイ「尾身会長がNHKで“職務放棄”の仰天発言!コロナ対策は自助で、犠牲は国民の「許容度」の問題」 「新型コロナウイルス感染での急死には、脳幹の生命中枢への直接的ダメージが関与していたと考えると納得がいくのです」、「新型コロナウイルス感染」の恐ろしさを再認識させられた。 「脳幹病変を示した患者でウイルス検出が多かったことは、感染の脳幹への直接的な影響を示唆しています」、なるほど。 「ウイルスの受容体であるACE2が存在し、そこにウイルスが到達するとACE2と結合して嗅覚神経細胞内に侵入し、嗅覚障害を起こすと想定されています。 実際、症状が出現した人の85%で嗅覚障害がみられています(*6)。その約半数では防御機構が感染を抑えて早期に嗅覚が回復しますが、残りの患者ではウイルスが嗅覚神経から脳内に侵入し、最終的には脳幹に達し、重度の呼吸不全を引き起こします」、「嗅覚障害」程度ならまだしも、「最終的には脳幹に達し、重度の呼吸不全を引き起こします」、恐ろしいことだ。 「142人の入院患者から採取した血清ではNfLは正常値よりも上昇していました。さらに、血清NfLの検出量は疾患の程度と関係していて、レムデシビルで治療された患者100人においては血清NfLが減少する傾向も見られました。このように重症度、治療の有無と神経損傷には関係があり、感染すると神経系に損傷を与えることの間接的な証拠になります」、なるほど。 「せん妄は平均年齢58歳の73%の患者で認められ」、かなり高い割合だ。「12%は退院後2カ月以内にうつ状態と診断」、本当に影響は深刻だ。 「米国ミシガン州からの報告」では、「集中治療室に入院した比較的重度の148人の患者を対象」、「せん妄は平均年齢58歳の73%の患者で認められ、その持続期間は4~17日で中央値は10日でした。 さらに、入院中にせん妄を発症していた患者の中で退院後の調査をしたところ、24%は自宅に退院した後にもせん妄が出現しました。また、23%は認知症を疑わせる持続した認知機能障害がみられ、12%は退院後2カ月以内にうつ状態と診断されています。せん妄は70歳以上の高齢者で出現しやすいことは知られていますが、平均年齢58歳の中 「神経症状は実に多様で、中枢神経系の症状(めまい、頭痛、意識障害、急性脳血管疾患、運動失調)、末梢まっしょう神経系の症状(味覚障害、嗅覚障害、視力障害および神経痛)、骨格筋損傷がみられました。重症の感染者の神経症状は急性脳血管疾患、意識障害、骨格筋損傷などでした。 この武漢の中枢神経障害のデータは、その後の各国からの報告よりは比較的低い頻度でした」、「重症の感染者の神経症状」はやはり恐ろしいものだ。 (その24)(重症患者の7割にせん妄が出ている…新型コロナの「脳感染」が引き起こす肺炎より恐ろしい症状 肺炎が重症化していなくても呼吸不全を起こす場合がある、尾身会長がNHKで“職務放棄”の仰天発言!コロナ対策は自助で、犠牲は国民の「許容度」の問題、コロナ感染の若者を見放す制度の不備にモノ申す 大学の定期試験や国家資格試験の機会損失大きい) パンデミック(経済社会的視点)
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

パンデミック(経済社会的視点)(その23)(中国ゼロコロナ政策)(中国のゼロコロナ固執で露呈した 「習近平国家主席は絶対正しい」の限界、習近平の「ゼロコロナ」への固執が招いた上海ロックダウン地獄絵図 コロナは個人独裁の綻びの始まり・前編、習近平コロナ失政に「無関心」で高まる李克強の存在感が意味すること コロナは個人独裁の綻びの始まり・後編) [パンデミック]

パンデミック(経済社会的視点)については、4月22日に取上げた。今日は、(その23)(中国ゼロコロナ政策)(中国のゼロコロナ固執で露呈した 「習近平国家主席は絶対正しい」の限界、習近平の「ゼロコロナ」への固執が招いた上海ロックダウン地獄絵図 コロナは個人独裁の綻びの始まり・前編、習近平コロナ失政に「無関心」で高まる李克強の存在感が意味すること コロナは個人独裁の綻びの始まり・後編)である。

先ずは、5月3日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した立命館大学政策科学部教授の上久保誠人氏による「中国のゼロコロナ固執で露呈した、「習近平国家主席は絶対正しい」の限界」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/302579
・『中国は、最初に新型コロナウイルスが感染拡大した国だ。しかし、徹底した都市封鎖と行動制限の「ゼロコロナ政策」によって感染拡大を抑え込んだ(本連載第236回)。しかし、今、その政策が限界を迎えつつある。国民からの不満も爆発しているのに「ゼロコロナ」から脱却できない。権威主義的体制の根本的な問題は何か』、中国が直面するジレンマとは興味深そうだ。
・『一歩先を進んでいたはずの中国、世界から置きざりに?   「ゼロコロナ」によって感染拡大を抑え込むことができた中国では、企業が、他国に先駆けて、生産を再開することができた。2020年、中国はG20の中で、唯一のプラス成長2.3%を達成している。中国政府は、「新型肺炎のまん延を最も包括的に、厳格に、徹底的に抑え込んだ」と自画自賛した。 欧米諸国や日本など感染封じ込めに失敗したかにみえた自由民主主義諸国と対比して、中国の権威主義的な政治体制の優位性を強く主張し、「感染が広がる他の国に支援する用意がある」とアピールした(本連載第263回)。 この成功体験から、中国政府は「『ゼロコロナ』こそが、ベストのコロナ対策」と訴え、新型コロナの徹底的な封じ込めを指示し続けた。 ところが、その後新型コロナはアルファ株やデルタ株、オミクロン株など、次々と変異を繰り返したことで、世界の対応に変化が起きる。 欧米諸国などは次々と「ゼロコロナ」の実現を放棄。新型コロナの消滅は不可能だという前提で、ワクチン開発・接種、治療薬の開発によって、ウイルスと共存・共生しながら社会を正常化していく方針に転換したのだ』、『ゼロコロナ』の「成功体験」に囚われて、「欧米諸国など」が「ウイルスと共存・共生しながら社会を正常化していく方針に転換した」のに取り残されたようだ。
・『英国は「日常へ移行」し、他国も「ウィズコロナ」を覚悟  デルタ株が猛威を振るっていた昨年7月、英国ではジョンソン首相が、集会や飲食店の制限の解除など、感染抑制のための制限措置の大半を解除し、経済・社会を正常化すると決断した。さらに、今年2月24日に新型コロナ対策のすべての法的規制を撤廃した。新型コロナ陽性者の最短5日間の自主隔離の義務などが廃止された。 ただし、ジョンソン首相は、「このウイルスはなくならない。そのため、今日は新型コロナに対する勝利宣言できる日ではない」と発言した。一方で、ジョンソン首相は「感染のピークは過ぎて感染者数は減少している」とも指摘した。英国は新型コロナ感染再拡大や新たな変異株への備えをしつつ、「日常への移行」を完了すると宣言した(BBC NEWS「英イングランド、コロナ規制を全廃へ 隔離措置は24日に廃止」)。 4月1日からは、「新型ウイルスの影響を最も受けやすい人」を除き、一般市民を対象とした無料の大規模症状検査は終了となった。 英国と同様に、他の欧米諸国や日本などは、ワクチン接種で重症化防止措置を取れば、あとは手洗い、消毒、マスク着用で感染を防止し、社会活動、経済活動を平時に戻していくという「ウィズコロナ」の方向性に向かっている。 中国でも、感染力の強いデルタ株やオミクロン株の感染を抑えることができなかった。しかし、「ゼロコロナ」を世界に誇っていた中国は、習近平国家主席の強力な指導力による「ゼロコロナ政策」を貫き通そうとした。 2022年冬の北京五輪を成功させなくてはならないという国家目標があったからだ』、「英国と同様に、他の欧米諸国や日本などは、ワクチン接種で重症化防止措置を取れば、あとは手洗い、消毒、マスク着用で感染を防止し、社会活動、経済活動を平時に戻していくという「ウィズコロナ」の方向性に向かっている」、「「ゼロコロナ」を世界に誇っていた中国は、習近平国家主席の強力な指導力による「ゼロコロナ政策」を貫き通そうとした」、思い上がった「ゼロコロナ」の罠に囚われたようだ。
・『「ゼロコロナ」に執着、プライドのため国民の不満もスルー  2021年夏の東京五輪は、無観客開催という変則的な形となったが、中国は、北京大会を完璧な形で成功することで、国家としての威信と力量を世界に示そうとした(田中信彦「『ゼロコロナ』の呪縛から逃れられるか 中国の政策に見るナショナリズムの変化」NEC Wisdom)。 だが、結局はデルタ株の感染拡大に直面して、昨年9月に海外からの観客受け入れを断念した。大会直前の今年1月には、オミクロン株の感染拡大で、チケットの一般販売を行わず、観客を限定して受け入れると変更せざるを得なくなった。 3月、中国の新型コロナ感染者数は、重症者数は英国など諸外国と比べて大きなものではなかったが、中国各地の都市でロックダウンや厳しい行動制限が実施された。 人口2400万人都市の上海でロックダウン(都市封鎖)も長期化している。吉林省長春市、陝西省西安市や河南省鄭州市など、中国の45都市で移動制限などなんらかの封鎖措置が取られているという情報もある(朝日新聞デジタル「中国『ゼロコロナ』政策 なぜ苦境 習指導部の『堅持』、リスクにも」)。 「ゼロコロナ」政策は、ある都市でわずかな感染が発生しただけでも、その全市民にPCR検査が行われ、自宅待機、厳格な外出制限を実施する。不要不急の企業活動、飲食店、商業施設、娯楽施設の営業、学校や公共交通機関の停止、幹線道路の封鎖といった都市封鎖を徹底的に行うというものだ。 だが、その厳格さにもかかわらず、感染拡大が収まる気配を見せない。市民が食料の調達に苦労し、病院をたらい回しにされる医療ひっ迫の危機にあるという。市民の不満が次第に高まり、SNS上には当局に抗議する市民の動画が流れたりしている(AERA.dot 「『物資をよこせ!』中国ゼロコロナで困窮する人たち 『私がゼロにされる』批判投稿も」)。 しかし、中国政府は、市民の不満に応えようとしない。「ゼロコロナ」政策は、中国が新型コロナ対策で世界を指導する地位にあること、中国の政治体制が自由民主主義より優れていることをアピールする政策であったので、その変更は極めて難しいのだ。 むしろ、中国政府は「ゼロコロナ」政策をより徹底的に行うことを指示している。3月以降、ゼロコロナ政策の遂行に失敗したとして、120人以上の地方政府や党の幹部が更迭などの処分を受けているという情報もある(西日本新聞「『ゼロコロナ』中国に逆風 経済打撃、市民に不満『独り負けに』」)。 だが、ゼロコロナの徹底でも、新型コロナの感染拡大は止まらず、状況は好転しない。上海市で、新規感染者の少ない区画では、段階的に外出制限を緩める方針を示していた。しかし、再び外出制限を厳格化する方針を決めた。感染の深刻な地域では、PCR検査をあらためて徹底する方針を決めざるを得なくなっている(日本経済新聞「上海市、外出制限を再び厳格化 感染増加地域で」)。 要するに、英国など欧米諸国を中心に、多くの国がウイルスとの共存・共生を目指す「ウィズコロナ」戦略に転じる中、「ゼロコロナ」政策を貫いてきた中国が、新型コロナの感染拡大に苦心惨憺しているのだ』、「「ゼロコロナ」政策は、中国が新型コロナ対策で世界を指導する地位にあること、中国の政治体制が自由民主主義より優れていることをアピールする政策であったので、その変更は極めて難しいのだ。 むしろ、中国政府は「ゼロコロナ」政策をより徹底的に行うことを指示している」、「「ゼロコロナ」政策を貫いてきた中国が、新型コロナの感染拡大に苦心惨憺している」、科学的視点より政治的視点を重視したツケだ。
・『間違いを修正できない!身動きが取れなくなった中国  この連載で主張してきた、ロシアや中国のような「権威主義的体制」の弱点を端的に示している(第220回)。権威主義的体制は、指導者は絶対に間違うことがないという「無謬(むびゅう)性」を前提としている。指導者は常に正しく、常に勝利し国民を導いていく。これが、指導者の「権威」と「権力」の基盤である。 だから、権威主義的体制では、自由民主主義体制では当たり前に行われる、国民の声を聴いて妥協し、政策を修正するということは、それ自体が権威を揺るがすことになるため絶対に認められないのだ。 そして、重要なことは、うまくいかなくなったら、うそを重ねて権威を守ろうとする。これは、「ゼロコロナ」政策に固執する、現在の中国の状況に完全に当てはまるのではないだろうか。 中国は、迅速な意思決定が可能であるとして権威主義的体制の優位性を主張してきた。だが、その主張は間違っている。実際には、政策の修正が必要な局面になると、とたんに非効率的となる。必要な決断を遅らせる、コストの高いものであることが明白だ。 権威主義的体制では、指導者の政策の間違いを正すには、政権を倒す体制変革、最悪の場合武力による革命が必要になる。重要なことは、そのとき、多くの人々の生活や生命が犠牲になってしまうことなのだ。 欧米や日本の自由民主主義体制ならば、指導者の政策の間違いを修正するのは、それほど難しいものではない。基本的に情報がオープンであることを通じて国民は指導者の間違いを知ることができるからだ。 そして、間違いは選挙を通じてやり直すことができる。それが、一見地味ではあるが、自由民主主義にあって他の政治体制にはない最大のメリットであると、何度でも強調しておきたい。 現在、ウクライナ侵攻の停戦協議が進まず泥沼化している。それは、突き詰めればロシア・プーチン大統領が「戦争遂行に失敗した」という形では、戦争を終えられないからだ。失敗を認めることは、プーチン政権の権威と正統性を失わせることになるのだ(第299回)。 中国の新型コロナ対策も、習主席の「ゼロコロナ」政策が誤っていたという形には絶対にできない。だから、「ゼロコロナ」政策が正しかったという形を作るまで、政策を転換することができない。中国は、習主席の無謬性という「権威」を守るために、政策を変えることができず、身動きが取れなくなってしまっているということなのだ』、「権威主義的体制では、指導者の政策の間違いを正すには、政権を倒す体制変革、最悪の場合武力による革命が必要になる。重要なことは、そのとき、多くの人々の生活や生命が犠牲になってしまう」、「欧米や日本の自由民主主義体制ならば、指導者の政策の間違いを修正するのは、それほど難しいものではない。基本的に情報がオープンであることを通じて国民は指導者の間違いを知ることができるからだ。 そして、間違いは選挙を通じてやり直すことができる。それが、一見地味ではあるが、自由民主主義にあって他の政治体制にはない最大のメリットであると、何度でも強調しておきたい」、完全に同感である。

次に、5月2日付け現代ビジネスが掲載した在日評論家の石 平氏による「習近平の「ゼロコロナ」への固執が招いた上海ロックダウン地獄絵図 コロナは個人独裁の綻びの始まり・前編」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/94861?imp=0
・『怒りに満ちあふれる閉鎖都市・上海  日本のメディアでも連日報じられているように、中国屈指の大経済都市・上海は3月27日からロックダウンされることとなった。当初は市中心部を東西に分けて2段階的にロックダウンを始めていたが、4月5日あたりから全面的なロックダウンが実施された。 ロックダウン期間がすでに1ヵ月ほどが経った、この原稿を書いている4月27日現在、解除される見通しはいっさい立っていない。 そしてこの1ヵ月間、都市封鎖の上海市内はまさに阿鼻叫喚の地獄と化している。物流の中断や小売店の休業などによって生活物資が決定的に不足して食糧難も起き、文字通りの飢餓の蔓延が現実に起きた。 さらに、極端な強制隔離措置が取られた中では、重病となっていても病院へ行けないケースや小さな子供が親から切り離されて隔離施設へ送られるような人道上の災難も多発した。 このような状況に対し、多くの上海市民の不満が爆発寸前となった。一部の区域では市民による局部的な騒乱や抗議活動が勃発し、封鎖された市内を視察した上海市党委員会書記が市民に面罵されるという共産党政権下ではめったにない珍光景が見られるまでになった。 こうした中で、「上海人の忍耐は極限に達している」とする憤慨のブログ文が4月初旬にネット上で流布されると2000万回以上の閲覧され、全国で大きな反響を呼んだ。 4月22日からは、市民の怒りと悲しみの肉声を拾った短編動画の「四月の声」が通信アプリの「微信」上にアップされて大量に転載、拡散された。動画は当局により直ちに削除されたが、市民らは別の通信アプリやQRコードを使うなどして拡散を続け、団結して検閲に対抗した』、「市内を視察した上海市党委員会書記が市民に面罵されるという共産党政権下ではめったにない珍光景が見られるまでになった」、確かに驚くべきことだが、市民の怒りの強さを示しているようだ。
・『効果なしの無駄政策  このように、この1ヵ月間、上海史上初めてのロックダウンによって市内が大混乱に陥り、市民には多大な犠牲と不便が強いられている。そしてその結果、市民の反発と憤りがいよいよ頂点に達しつつある。その一方、2600万人の大経済都市である上海の長引くロックダウンの、上海の経済だけでなく中国経済全体に与えるダメージの大きさは計りきれない。 コロナ感染の拡大云々というよりも、感染拡大を封じ込めるための手段であるはずのロックダウンそのものは、上海と上海市民にとっての大災難となっているのである。 問題は、それほどのコストを払って強行された上海ロックダウンは果たして、コロナ感染拡大の封じ込めという当初の目的を達成しているかである。4月27日現在の状況からすれば答えはやはり「NO」である。というよりもむしろ、ロックダウンの中で感染拡大は酷くなる一方である。 3月26日、ロックダウンされた前日の上海市内で確認された感染者数は45名で、無症状感染者数が2631名であった。しかし、ロックダウンされて約1ヵ月が経った4月25日、同じ上海市内で確認された新規感染者数が1661名、無症状感染者数が1万5319名である。 つまり、数字を見る限り、ロックダウンによって感染者数が減らされたのではなくむしろその逆である。まさに前代未聞の厳しいロックダウンの中において、実は感染者数と無症状感染者数の両方は大幅に増えているわけである。 その原因についての探求は本論考の範囲外であるが、一つ確実に言えるのは、要するにロックダウンという措置は上海市内の感染拡大の封じ込めに全く役に立っていない、ということだ。この1ヵ月のロックダウンは単に、副作用としての大災難こそを招いた効果なしの無駄策だったのである』、「ロックダウン」が成功した武漢市は、人口1180万人と、「上海」の「2600万人」より小粒で、「オミクロン変異株」のように複雑化してなかった。
・『誰の責任かはよくわかっている  ここまできたら、ロックダウンを目玉とする政府当局のコロナ対策は、もはや完全に失敗していると言わざるを得ない。そしてこの失敗はすなわち、中国の独裁者である習近平主席その人の失敗でもある。 3月25日掲載の「もはや“アリ地獄”…『ゼロコロナ政策』に固執する習近平の思考回路」で指摘したように、上海など大都市でロックダウンという厳重措置が取られたことの背後には、習主席の主導下で推し進められてきた「ゼロコロナ」政策がある。 今までは、コロナウイルスの完全撲滅を目指すこの極端な政策の貫徹こそが、中国におけるコロナの封じ込めを成功へと導いた最大の要因であったから、「ゼロコロナ」政策はいつの間にか習近平政権の一枚看板の政策となっていて、「社会主義制度の優越性」の印にさえなっているのである。 それだからこそ、習主席は今になっても「ゼロコロナ」政策の堅持に異様なほどに固執している。だが、問題は、感染力の非常に強いオミクロン変異株の出現によって、コロナの完全撲滅はすでに不可能となっていて、「ゼロコロナ」政策自体は現実性を失っていることである。 それでも習主席は、自らの看板政策を守るべく、ゼロコロナ政策の継続にあくまでも固執し、中央と各地方政府にこの政策の貫徹を強要している。 実際、上海ロックダウンの実施はまさに中央から派遣された「督査組」の強い指導下で始まったものである。政治局員・副首相の孫春蘭氏が「習主席指示の貫徹」と称して数回にわたって上海入りして陣頭指揮をとったことは周知の通りである。 つまり、中国における「ゼロコロナ」政策推進の司令塔が習主席本人であることと、上海ロックダウンを指示したのが習主席自身であることは、今の中国では周知の事実である。習主席=「ゼロコロナ」政策、ゼロコロナ政策=ロックダウンは中国国内の常識とさえなっている。 しかしその結果、この乱暴にして極端な「ゼロコロナ」政策の推進が習主席自身のイメージダウンにつながるだけでなく、その政策の失敗もまた、習主席の権威を大きく傷つけて彼の「バカ殿ぶり」を天下に晒し出しているのである』、「この乱暴にして極端な「ゼロコロナ」政策の推進が習主席自身のイメージダウンにつながるだけでなく、その政策の失敗もまた、習主席の権威を大きく傷つけて彼の「バカ殿ぶり」を天下に晒し出しているのである」、「彼の「バカ殿ぶり」を天下に晒し出している」、もう日本国籍を取得した筆者ならではの遠慮のない書きぶりだ。
・『批判押さえ込みの大キャンペーン  こうした中で、ロックダウンによって多くの苦難を強いられた上海市民の不満と憤りのその矛先の向かう先が、まさに習主席その人であるとは言うまでもない。上海市共産党委員会の書記でロックダウンの現地責任者の李強氏が、習主席の側近幹部として上海に送り込まれたことからしても、市民の憤りがもっぱら習氏に向かっていくのはなおさら当然のことであろう。 独裁者を公然と批判することはできないが、「あのバカのせいでこうなった!」と多くの上海市民が思っているのであろう。 流石の習主席も、自らの主導する「ゼロコロナ」政策に対する国内の反感・反発の強さを感じ取ったのだろうか。 4月13日、習主席は視察先の海南島でコロナ対策に言及して、「ゼロコロナ」政策の堅持を改めて強調した。そして、それに呼応するような形で、同じ4月13日からは、新華社通信、人民日報、中央テレビ局などの共産党宣伝部直轄下の中央メデイアは一斉に、「動揺せずに“ゼロコロナ”政策を堅持せよ!」、「“ゼロコロナ”政策を堅持し、動揺せず躊躇わず」と題する論説や記事を大々的に掲載して、「“ゼロコロナ”政策万々歳!」の宣伝キャンーペンを始めたのである。 中国の政治を熟知している人ならばよく分かるように、「ゼロコロナ」政策擁護の宣伝キャンーペンがこうして一斉に展開され始まったことは、まさにこの政策に対する国内の批判が高まっていることの裏返しであって、政策が失敗に終わろうとしていることの証拠である。 共産党中央宣伝部部長の黄坤明氏は、習主席の福建省・浙江省勤務時代からずっと主席に追随してきた腹心の一人でもあるから、上述のゼロコロナ政策擁護キャンペーンの展開は、習主席陣における危機感の高まりの現れでもあろう。 このままでは、ボスの習主席のさらなる権威失墜は必至だから取り巻きの人々も必死である。しかし、習主席陣営が守りに入って自分たちの政策の「防衛戦」を強いられるようなこと自体はむしろ、強固に見える習近平独裁体制がボロを出していることの証左であろう。 このことは秋の党大会に向け政治闘争に発展しかねない事態である。そして、この空前の失政を横目に党内で存在感を増している人物がいる。李克強首相である。 その静かな政治パフォーマンスのあり方と水面下での対立構造を、後編「習近平コロナ失政に『無関心』で高まる李克強の存在感の意味すること」で明らかにしていきたい』、早く続きを読みたいものだ。

第三に、この続きを、5月2日付け現代ビジネスが掲載した在日評論家の石 平氏による「習近平コロナ失政に「無関心」で高まる李克強の存在感が意味すること コロナは個人独裁の綻びの始まり・後編」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/94862?imp=0
・『李克強首相の深謀遠慮  1ヵ月前から続いている中国・上海の都市封鎖は、経済活動や住民の生活に名状しがたい混乱を与えながら、肝心のコロナ感染を全く制圧できていないという、大失策となっている。 前編「習近平の『ゼロコロナ』への固執が招いた上海ロックダウン地獄絵図」で解説したように、秋の党大会を見すえて実績作りに狂奔した習近平国家主席の失態だが、その一方、このコロナ対策における習主席の大失敗・失態を横目にして、自らの管轄する領域で存在感を発揮している指導者もいる。党内における習主席最大のライバルであって対抗勢力筆頭の李克強首相である。 上海がロックダウンされている中で、李首相はどのような動きをしているのか。それを時間順に追って見ていけば実に興味深いものがある。 まずは上海ロックダウンが始まった直後の3月29日、李首相は国務院常務会議を主宰したが、会議のテーマは特大交通事故の防止や経済上の投資拡大の促進であってコロナ対策や「上海」とは全く無関係であった。 そして4月7日、李首相は再び国務院常務会議を主宰した。今度の議題は年金政策・失業対策の調整と研究であって、やはり「コロナ」とも「上海」とも関係はない。4月9日、李首相は「経済情勢に関する専門家・企業家座談会」を主宰し、参加者たちの声に耳を傾けたが、コロナのことも上海のことも一切話題に出ていない。 そして4月11日、李首相は視察先の江西省で「一部地方政府責任者座談会」を主宰し、参加者たちと共に経済成長の維持について討議した。江西省の党委員会書記・省長がリアルで参加した以外に、遼寧省・浙江省・広東省・四川省4省の省長はオンライン参加した。 4月13日、李首相はまたもや国務院常務会議を主宰し、「消費促進」などに関し具体策を討議しそれを決定した。4月14日、李首相は来る洪水・旱魃期における「洪水対策・旱魃対策」に関して、関連中央官庁と各地方政府に「重要指示」を出した。そして4月25日、李首相は「国務院第5回廉政会議」を主宰、「清廉潔白の政治」の実現について参加者たちと討議して「重要講話」を行なったという』、コロナの話題を避けたのはまさに見事だ。
・『上海ロックダウンには一言も触れず  このように、上海ロックダウンの1ヵ月を通して、李首相は地方視察をしたり一連の会議・座談会を主宰したりして精力的に動き回っていることがわかる。これを見る限り彼の首相としての存在感は十分に示されていると思うが、その反面、この一連活動において、首相の彼が見事と言って良いほど、コロナ対策の話と上海ロックダウンの話に一切ノータッチの姿勢を貫いていることは特徴的である。 上述の一連の会議・座談会では李首相は、喫緊のコロナ感染拡大のことに一切触れず、コロナ対策についても一言も語らない。そして、上海という2600万人の大都会がロックダウンされているという国家の一大事に関しては、李首相は、ただ見て見ぬふりしているのである。 普段ではそれはあり得ない話である。李首相の立派な「職務放棄」であるとも言えよう。それでも李首相が、そんなことは百も承知の上でコロナ対策と上海のことに一切触れない姿勢を貫いたのは、彼なりの政治上の深謀遠慮があるのであろう。 彼がこのような姿勢をとった狙いの一つはやはり、国民から大きな反感を買っている「ゼロコロナ」政策を自分自身から完全に切り離して、首相としての自分はこの不人気な政策に一切関わってないことを国民に明確に示すことにあるのであろう。つまり彼は全国民に向かって、「俺がこんな馬鹿げた政策には全く無関係だぞ」と言いたかったのであろう。 それと同時に彼はまた、自分が「ゼロコロナ」政策にも上海のロックダウンにもむしろ反対していることを暗に示唆しているのである。首相として独裁者習主席の看板政策に公然と異を唱えることはできないが、「ゼロコロナ」政策に一切ノータッチする態度を徹底的に貫く彼の言動は誰から見ても、この政策に対する反対姿勢の表れでしかない』、「「ゼロコロナ」政策に一切ノータッチする態度を徹底的に貫く彼の言動は誰から見ても、この政策に対する反対姿勢の表れでしかない」、その通りだ。
・『秋の党大会に向け政治闘争の予感  その一方、李首相は、経済成長・消費拡大・失業対策などの課題で連日会議を開いて具体的対策を講じ、国民の関心に答えて国の実情に沿った政策を進める政策派・実務派首相として存在感を発揮している。 4月12日、中国銀行所属の著名経済学者の管濤氏は「毎日経済新聞」の関連記事に登場して、「専門家・企業家座談会」を主宰した李首相については、「首相は各業界の抱える問題と困難を詳しく把握しており、問題のポイントをきちんと押さえている。人々は中央上層部が当面の情勢を把握していないのではないかとの心配があったが、李首相は実情をきちんと理解しているだけでなく、具体的対策も持っているから心が強い」と語った。 党中央のメデイアで「習近平崇拝」が圧倒的な論調となっている中て、上述のような赤裸々な「李克強礼讃」が著名経済学者の口から堂々と吐かれて新聞紙にと登場するようなことは中国では滅多にない。 捉えようによっては、「実情に通じる実務派首相」の李氏に対する称賛はまさに、「実情を無視してゼロコロナ政策強行」の習主席に対する当て付けでもあるのである。 言ってみれば、習近平の失敗を横目に、李首相は自らのイメージアップ作戦に成功して株を上げているが、ひょっとしたら李首相は、今後も続く習主席のコロナ対策の失敗とそれに伴う主席自身の権威失墜を見据えて、それに取って代わる指導者としての自分自身の地歩を固めているのかもしれない。 秋の党大会に向かっての党内闘争が今後どういう展開を見せてくるのかはいまだ未知数であるが、一つ確実に言えることはすなわち、自らの主導する「ゼロコロナ」政策の失敗によって習主席の個人独裁体制はすでに綻び始めていることである』、北京でも自宅待機が要請され始めたようだ。上海に加え、北京まで「ロックダウン」とでもなれば、事態はさらに混乱の度合いを増す。一時は「習主席」は圧倒的に優位だったが、「「ゼロコロナ」政策の失敗によって習主席の個人独裁体制はすでに綻び始めている」、面白い展開になってきた。
タグ:石 平氏による「習近平の「ゼロコロナ」への固執が招いた上海ロックダウン地獄絵図 コロナは個人独裁の綻びの始まり・前編」 現代ビジネス 「権威主義的体制では、指導者の政策の間違いを正すには、政権を倒す体制変革、最悪の場合武力による革命が必要になる。重要なことは、そのとき、多くの人々の生活や生命が犠牲になってしまう」、「欧米や日本の自由民主主義体制ならば、指導者の政策の間違いを修正するのは、それほど難しいものではない。基本的に情報がオープンであることを通じて国民は指導者の間違いを知ることができるからだ。 そして、間違いは選挙を通じてやり直すことができる。それが、一見地味ではあるが、自由民主主義にあって他の政治体制にはない最大のメリットである 「「ゼロコロナ」政策は、中国が新型コロナ対策で世界を指導する地位にあること、中国の政治体制が自由民主主義より優れていることをアピールする政策であったので、その変更は極めて難しいのだ。 むしろ、中国政府は「ゼロコロナ」政策をより徹底的に行うことを指示している」、「「ゼロコロナ」政策を貫いてきた中国が、新型コロナの感染拡大に苦心惨憺している」、科学的視点より政治的視点を重視したツケだ。 「英国と同様に、他の欧米諸国や日本などは、ワクチン接種で重症化防止措置を取れば、あとは手洗い、消毒、マスク着用で感染を防止し、社会活動、経済活動を平時に戻していくという「ウィズコロナ」の方向性に向かっている」、「「ゼロコロナ」を世界に誇っていた中国は、習近平国家主席の強力な指導力による「ゼロコロナ政策」を貫き通そうとした」、思い上がった「ゼロコロナ」の罠に囚われたようだ。 『ゼロコロナ』の「成功体験」に囚われて、「欧米諸国など」が「ウイルスと共存・共生しながら社会を正常化していく方針に転換した」のに取り残されたようだ。 中国が直面するジレンマとは興味深そうだ。 「ロックダウン」が成功した武漢市は、人口1180万人と、「上海」の「2600万人」より小粒で、「オミクロン変異株」のように複雑化してなかった 「市内を視察した上海市党委員会書記が市民に面罵されるという共産党政権下ではめったにない珍光景が見られるまでになった」、確かに驚くべきことだが、市民の怒りの強さを示しているようだ。 上久保誠人氏による「中国のゼロコロナ固執で露呈した、「習近平国家主席は絶対正しい」の限界」 北京でも自宅待機が要請され始めたようだ。上海に加え、北京まで「ロックダウン」とでもなれば、事態はさらに混乱の度合いを増す。一時は「習主席」は圧倒的に優位だったが、「「ゼロコロナ」政策の失敗によって習主席の個人独裁体制はすでに綻び始めている」、面白い展開になってきた。 「この乱暴にして極端な「ゼロコロナ」政策の推進が習主席自身のイメージダウンにつながるだけでなく、その政策の失敗もまた、習主席の権威を大きく傷つけて彼の「バカ殿ぶり」を天下に晒し出しているのである」、「彼の「バカ殿ぶり」を天下に晒し出している」、もう日本国籍を取得した筆者ならではの遠慮のない書きぶりだ。 早く続きを読みたいものだ。 「「ゼロコロナ」政策に一切ノータッチする態度を徹底的に貫く彼の言動は誰から見ても、この政策に対する反対姿勢の表れでしかない」、その通りだ。 コロナの話題を避けたのはまさに見事だ。 石 平氏による「習近平コロナ失政に「無関心」で高まる李克強の存在感が意味すること コロナは個人独裁の綻びの始まり・後編」 ダイヤモンド・オンライン (その23)(中国ゼロコロナ政策)(中国のゼロコロナ固執で露呈した 「習近平国家主席は絶対正しい」の限界、習近平の「ゼロコロナ」への固執が招いた上海ロックダウン地獄絵図 コロナは個人独裁の綻びの始まり・前編、習近平コロナ失政に「無関心」で高まる李克強の存在感が意味すること コロナは個人独裁の綻びの始まり・後編) パンデミック(経済社会的視点)
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

パンデミック(経済社会的視点)(その22)ウィズコロナVSゼロコロナ(「ウィズコロナ」に転換したら何が起こるか? 中国が恐れる不都合な事態 中国はなぜゼロコロナ政策に固執するのか、上海ロックダウン 阿鼻叫喚の舞台裏((1)混乱の元凶は上海に「ゼロコロナ」を強要した中国中央政府、(2)習主席の子飼いも市民“ガン無視”…豊かになった上海人に「自由」の目覚め) [パンデミック]

パンデミック(経済社会的視点)については、4月10日に取上げたばかりだが、今日は、(その22)ウィズコロナVSゼロコロナ(「ウィズコロナ」に転換したら何が起こるか? 中国が恐れる不都合な事態 中国はなぜゼロコロナ政策に固執するのか、上海ロックダウン 阿鼻叫喚の舞台裏((1)混乱の元凶は上海に「ゼロコロナ」を強要した中国中央政府、(2)習主席の子飼いも市民“ガン無視”…豊かになった上海人に「自由」の目覚め)である。

先ずは、3月24日付けJBPressが掲載したジャーナリストの福島 香織氏による「「ウィズコロナ」に転換したら何が起こるか? 中国が恐れる不都合な事態 中国はなぜゼロコロナ政策に固執するのか」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69430
・『現在、国際社会にとってウクライナ戦争が最も深刻な大事件なので、メディアはしばし新型コロナウイルス感染症やオミクロン株のことを忘れたかのようだが、実は中国では相変わらず厳しいゼロコロナ政策が採られ、吉林省長春、上海など多くの地域で都市封鎖、地域封鎖が続けられている。 3月22日に深圳の都市封鎖が解除されたかと思えば、今度は遼寧省瀋陽市全市の住宅区、農村のロックダウンが始まった。早い話が、いくらゼロコロナ政策を続けていても、オミクロン株の感染拡大は防げていない。 幸い死者数はさほど増加しておらず、中国のゼロコロナ政策は成功している、という当局の姿勢に変化はないが、経済、生活に対する悪影響は深刻で、一体いつまでこうしたゼロコロナ式都市封鎖を続けていくのか、という恨み節がそろそろ隠せなくなっている』、興味深そうだ。
・『続けていくべきか?党内専門家の間でも議論  ゼロコロナ政策とは中国語で「動態清零」と呼ばれ、感染者が見つかると、その感染者が行動した地域を丸ごと封鎖し、徹底的なPCR検査によって感染が広がっていないと確認されるまで物流や人流を凍結させるやり方だ。 中国は2020年1月に武漢で感染拡大してから、習近平が自ら指揮をとるゼロコロナ政策を、コロナ対策の基本としてきた。このやり方で、2月の北京冬季オリンピック、3月のパラリンピックも強引に成功させたのだった。 だが、実のところ冬季五輪前から感染力の極めて強いオミクロン株が中国でも拡大しており、強感染力の感染症をゼロコロナ政策で防ぐのは事実上無理ではないかという議論が党内専門家の間でずっと続いている。 3月11日の全人代閉幕時の李克強首相の記者会見では、ゼロコロナ政策についての質問に「起こり得る変化に速やかに対応しつつ、少しずつ物流や人の行き来を正常化させていく」と答え、中国もついにゼロコロナ政策を軌道修正していくというシグナルではないか、という見方もあった』、「李克強首相」がウィズコロナへの転換を示唆したとは初めて知った。
・『「最少の代償で最大の防疫効果を」と習近平  中国の2022年の経済成長目標は5.5%と国際社会の予想よりもずっと低い。中国経済が直面する状況を、非常に厳しく見積もっているからだ。2021年第1四半期は前年同期比18.3%で、他国に先駆けてコロナ禍からいち早く経済回復基調に乗ったかのように見えた。だが第3四半期は4.9%、第4四半期は4.0%と一気に減速した。その原因の1つが、ゼロコロナ政策の長期化だったと見られている。 他国に比べて新型コロナの感染が広がっていないにもかかわらずゼロコロナ政策の方針に従って大規模な地域封鎖や隔離を実施し、経済が戻りかけては、またブレーキをかけてしまう。その繰り返しが消費を冷え込ませ、需要の縮小に拍車をかけたというわけだ。 だが、中国国家衛生健康委員会副主任で国家疾病コントロール局の王賀勝局長は「ゼロコロナ政策が中国の国情に合っており、科学的にも正しく効果も上がっていることは、事実が証明している」と3月18日の会見で発表。ゼロコロナ政策が一部の社会生活や生産に悪影響を与えているとしても、この影響は短期的で範囲も限定的だとして、政策の見直しの可能性を否定した。いわく「どんな感染症対策であっても一定の代償は支払わねばならない。人民の生命の安全と身体の健康を守るために、代償を支払う価値はあった」。 中国規律監督委員会サイトによれば、習近平は3月17日に中央政治局常務委員会議を招集し、防疫工作における「ゼロコロナ政策」の社会コストについて、最小の代償で最大の防疫効果を実現し、経済社会の発展に対するマイナス影響を最小限に抑えるよう努力せよと強調した。つまり習近平には、ゼロコロナ政策を撤回する意思は全くないのと同時に、ゼロコロナ政策による経済成長低下などネガティブな影響も認識しているということである』、「習近平」は、「ゼロコロナ政策による経済成長低下などネガティブな影響も認識している」が、「ゼロコロナ政策を撤回する意思は全くない」ようだ。
・『厳しい行動管理で生活苦に  長期化するゼロコロナ政策の有効性と、経済悪化、物価上昇という代償のバランスが本当にとれているかどうかは、当局の情報統制などによって実際のところは不透明な状況だ(当局はゼロコロナリスクのネガティブ報道を禁じている)。すでに一部ネットユーザーたちがゼロコロナ政策への不満をSNSなどで語り始めているが、こうした投稿もすぐさま削除されている。 たとえば河北省郊外に住み北京で仕事をしている人々の中には、ゼロコロナ政策によって、省境を超えて移動できず、帰宅できないコロナ帰宅難民もかなりいるという。 感染者が1人でも出れば地域の全員がPCR検査を受けて陰性を証明しない限り足止めが解けないため、零下の極寒の中であろうが大雪の中であろうが、何時間、何十時間と屋外で待たねばならなかったり、施設に閉じ込められたりする。そういう不自由な目に遭う市民が、ときおり写真をSNSに投降して不満をぶつけるのだが、そうした写真ですら削除対象になっている。 3月21日の人民ネットによれば、遼寧省では新たな感染者が67人確認されており、うち瀋陽市は7人、大連市は5人、営口市は55人だった。また183人の無症状感染者も新たに確認された。感染人数としてはわずかと言えるのだが、このため3月22日から、瀋陽市の住宅街、郊外の村はロックダウン式管理が始まった。住民全員にPCR検査を行い、居民出入証を発行する。住民はその出入証に基づいて行動が管理されることになる。 住民たちは微博やSNS上で、こうした対処について、「もっと前もって言ってよ!」「防疫のやりすぎだ。病院に入院していた患者を全員追い出している」「人道があるのか。生活が苦しくなっている。金をくれ!」といった不満の書き込みを投稿していたが、これもすぐに削除されてしまうのだった。 吉林省長春市のロックダウンは3月11日から始まり、なお継続中だ。22日も新たに1979人の感染者が確認された。ある宅配便配達員がロイターの取材に対して「90%の市内のコミュニティ(小区)が封鎖されている。地元住民に呼び止められ、ただ封鎖が解かれるのを待つしかない、この街には全く希望がない、と言われた」などと語っていた。 一方で、吉林省では1万人以上の感染者が出ているにもかかわらず、死者が1月以降、3月18日までの段階で2人に抑えられていることこそが、ゼロコロナ政策の成功の証、という評価もある』、「当局はゼロコロナリスクのネガティブ報道を禁じている」、ため、断片的情報から推察するしかなさそうだ。
・『中国はなぜゼロコロナ政策に固執するのか  動態清零」ゼロコロナ政策は、台湾、香港、中国で実施されてきた。このうち、実質的にゼロコロナをほぼ成功させ、感染状況を落ち着かせたのは台湾だけである。 香港はゼロコロナ政策の完敗で、2021年末からオミクロン株の感染が拡大し、人口750万人の同地域で106万人以上の感染者を出し、死者を6000人近く出している。結局香港当局は、事実上ゼロコロナ政策の失敗を認める形で政策を転換した。4月1日以降、禁止していたアメリカやイギリスなど9つの国からの航空機乗り入れを再開し、香港到着後の強制隔離期間を14日間から7日間に短縮する。また外食産業、映画娯楽産業に対する規制も4月下旬以降緩和していくと発表している。) だが、中国は今のところゼロコロナ政策に固執しているようだ。それはなぜなのか。 中国国家衛生健康委員会・感染症対応処置工作指導チームの専門家組長、梁万年はCCTV(中国中央電視台)のインタビュー番組で、中国は多くの国家と違って現行の防疫措置政策を転換できないとし、その理由として目下のワクチン接種率を挙げた。特にブースター接種率が高くなく、老人や虚弱な体質の人々が依然として感染しやすい状況にあると説明していた。 梁万年は「もし中国でワクチン接種が強化され、科学技術研究が加速して治療薬、ワクチン開発が進めば、そしてオミクロン株がまた変異してより感染率や致死率が低くなれば、それがもっと良い(ゼロコロナ政策を転換する)機会となる」とも説明していた。 梁万年の発言はブースター接種率の問題に焦点をずらしているのだが、実は中国製ワクチンの効き目の問題ではないか、という説もある。香港当局がこの2カ月の香港内の新型コロナ肺炎による死者5100人について調べたところ、1300人がワクチン接種済で、そのうちシノバックワクチンを選択したのは87%だった。このことから、シノバックワクチンがファイザーなどのワクチンよりも予防効果が劣っていたのではないか、と言われている。 ただ、一部親中派の香港専門家は、死者の多くが長期療養中の高齢者で、高齢者はもともと体が弱く、副反応が比較的穏やかなシノバックワクチンを推奨されていたと説明し、シノバック=予防効果が低い=死亡率が高い、という図式にはならない、としている。もし、シノバックワクチンに重症化や死亡率を防ぐ効果がないのなら、中国製不活化ワクチンしか選択肢がなかった中国で死者が少なかったことの説明がつかない、とも指摘する。だが、これについては、中国の新型コロナに関する感染者数や死者数が本当に正しいかどうかを疑問視する声もある』、「香港内の新型コロナ肺炎による死者5100人について調べたところ、1300人がワクチン接種済で、そのうちシノバックワクチンを選択したのは87%だった。このことから、シノバックワクチンがファイザーなどのワクチンよりも予防効果が劣っていたのではないか、と言われている」、やはり中国製の限界だ。
・『「ウィズコロナ」に転換すると何が起きるか  ゼロコロナ政策は習近平の肝煎りの政策であり、途中で転換することは、習近平にとっては一種の敗北である。 しかも、中国製ワクチンに期待されていたほど予防効果、重症化予防効果がないならば、もしもゼロコロナ政策から欧米並みの「ウィズコロナ」(コロナと共存)政策に転換したとき、欧米以上の感染拡大や重症化が引き起こされる可能性もあるわけだ。農村部の医療保険体制の不十分さや人口に対する医療資源の少なさを考えれば、いったん感染が拡大し重症化率が高まると、2020年1月に武漢で新型コロナがアフトブレイクしたときのような阿鼻叫喚のパニックに再び陥ることは十分考えられる。 ちなみに2017年の段階で中国の1万人当たりの医者の数は22人で、これは米国の26人(2018年統計)よりもちょっと低いくらいのレベルなのだが、医師、病院は一部の都市に集中している。たとえば、中国の上位100の病院のうち半分は北京、上海、広州に集中している。ICUの数も、公式の調査は2015年以降行われていないので最近の状況はつかめないのだが、復旦大学の数名の医師による論文の中での予測数値によれば、10万人あたり4.37床で、米国の34.7床、イタリアの12.5床などよりもかなり少ない。 つまり「ウィズコロナ」に政策転換して、感染が拡大すれば、予想を超える重症者、死者が増える可能性がある。しかも中国が途上国に恩着せがましくばらまいていたワクチンが、実はほとんど役に立たないこともばれてしまい、ワクチン外交の失敗が決定づけられるリスクもあるのだ。 とはいえ、国際社会がウィズコロナで経済活動を回復させていく中で、中国がゼロコロナ政策で鎖国状態を継続し、思うように経済を回せない状況が続くと、人民の生活もじわじわ逼迫し、社会不満も募っていく。 つまり、ゼロコロナ政策を転換しても、あるいはしなくても、習近平にとっては党内アンチ習近平派からの「政策の失敗」という批判の根拠になりうるわけだ。 これが、秋の第20回党大会で習近平が狙う第3期目任期継続の野望にどう影響するのか。ウクライナ戦争と並ぶ中国政治にとっての大きな不確定要素と言えそうだ』、「農村部の医療保険体制の不十分さや人口に対する医療資源の少なさを考えれば、いったん感染が拡大し重症化率が高まると、2020年1月に武漢で新型コロナがアフトブレイクしたときのような阿鼻叫喚のパニックに再び陥ることは十分考えられる」、「ゼロコロナ政策を転換しても、あるいはしなくても、習近平にとっては党内アンチ習近平派からの「政策の失敗」という批判の根拠になりうる」、「秋の第20回党大会で習近平が狙う第3期目任期継続の野望にどう影響するのか。ウクライナ戦争と並ぶ中国政治にとっての大きな不確定要素と言えそうだ」、当面の大きな注目点だ。

次に、4月21日付けJBPressが掲載した近藤 大介氏による「北京のコロナ責任者が失脚、ゼロコロナ政策の不首尾で中国指導部に地殻変動 東アジア「深層取材ノート」(第134回)」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69841
・『「動態清零」(ダイナミック・ゼロコロナ)という独自のコロナ対策に固執する中国で、「コロナ政局」とも言える状況が、むくむくと蠢動している――。 4月16日午後3時、中国共産党中央紀律検査委員会・中華人民共和国国家監察委員会の合同のホームページで、漢字41文字からなる短文の「通知」が発表された。 <北京市政協副主席・于魯明は、厳重な紀律法律違反の嫌疑により、現在まさに、中央紀律検査委員会・国家監察委員会の紀律審査及び監察調査を受けている> 2200万北京市民は、このサラリと書かれた通知の「対象者」を見て、仰天した。于魯明(う・ろめい)氏は、北京市の新型コロナウイルス対策のトップ、北京市衛生健康委員会主任を務めているからだ。北京市トップの蔡奇(さい・き)北京市党委書記の右腕として、首都のコロナ対策全般を仕切っていた重要人物なのだ』、興味深そうだ。
・『権力の階段を駆け上った元精神科医  于魯明主任は、1961年12月に北京で生まれた。北京医学院を卒業し、精神科医となった。だが、医師としてよりも、医療行政や政治方面に関心を示していく。1986年に中国共産党の友好党である農工党に入党し、1992年には中国共産党にも入党した(二重党籍)。その後、北京市南部の大興区の副区長や衛生局長などを経て、北京市病院管理局長となった。 2016年10月、習近平主席の福建省、浙江省時代の側近だった蔡奇氏が、習主席の「鶴の一声」で、北京市党委副書記兼副市長となった。蔡氏は、翌2017年1月に北京市長になり、同年6月には、市トップの北京市党委書記に就任した。 さらに、同年10月の第19回中国共産党大会で、習近平総書記が満場一致で再任されると、蔡書記は党中央政治局委員(トップ25)に選出された。今年2月4日には、北京冬季オリンピック・パラリンピック組織委員会主席として、オリンピック開会式で挨拶を行っているので、日本でも記憶にある人がいるかもしれない。 そんな蔡奇北京市党委書記が、全幅の信頼を置いていたのが于主任だった。2018年11月、蔡書記が主導した北京市政府の機構改革で、医療保障局を新設すると、于氏を初代医療保障局長に据えた』、「「動態清零」(ダイナミック・ゼロコロナ)政策」が改めてお墨付きを得た形だ。
・『「習近平-蔡奇-于魯明」ライン  2020年に入って、北京も含めた中国全土が新型コロナウイルスで激震すると、同年11月に于氏を、北京市政協副主席兼北京市衛生健康委員会主任に抜擢した。衛生健康委員会は、日本で言えば厚生労働省にあたり、中国で新型コロナウイルス対策を統括している官庁だ。 于主任は、北京冬季オリンピック・パラリンピックの準備に忙しい蔡奇党委書記に代わって、習近平主席が厳命する「動態清零」(ダイナミック・ゼロコロナ)政策の旗振り役となった。つまり、日本を含めて現在、世界の主流となっている「コロナとの共存」は目指さないということだ。 昨年、習近平政権が「三人っ子政策」を打ち出すと、于主任は、今年1月に開かれた北京市の人民代表大会・政協会議の場で、「子供を養育する費用を下げて、北京市の出生率を上げていかなければならない」と力説した。于主任が最後に公の場に顔を出したのは、4月8日で、北京市政協の常務委員会会議に出席した。 「厳重な紀律法律違反の嫌疑により、紀律審査及び監察調査を受けている」と記されれば、想起されるのは汚職や腐敗だ。だが、于主任は医療分野での汚職・腐敗撲滅運動の旗振り役も務めていただけに、その理由かどうかはっきりしない。) ともあれ、首都・北京で、「習近平-蔡奇-于魯明」という「動態清零」政策のラインの一角が、崩壊してしまったのだ。このため北京では、「すわ、コロナ政局か?」という声が上がっている』、「「すわ、コロナ政局か?」という声が上がっている」、実態はどうなのだろう。
・『習近平総書記の腹心、市民から罵倒される様子がSNSに  今年は、後半に第20回中国共産党大会を開く「政治の年」である。本来なら11月で「2期10年」を勤め上げる習近平総書記は、引退しなければならない。 ところが習総書記は、異例の「3期目続投」を目論んでいる。中国共産党内には、この「習総書記3選」に反対する勢力も存在する。そのため、「世界最大規模の権力闘争」が、水面下で始まっているのだ。 そんな中、習近平体制のアキレス腱になっているのが、「動態清零」政策による中国経済の低迷と、ウラジーミル・プーチン大統領との「盟友関係」を基軸としたロシアにベッタリの外交だ。 中でも、3月28日から中国最大の経済都市・上海で行っている事実上の「封城」(ロックダウン)は、2500万上海市民の怒りを買っている。このままGWの連休に突入する可能性も出てきたことで上海市民のストレスは、いまや「爆発」寸前だ。 4月11日には、厳しい統制国家の中国ではあり得ないような映像が、SNS上で拡散した。上海市トップの李強(り・きょう)上海市党委書記が、市内のマンション群を視察中に、市民たちから罵倒されたのだ』、「上海市党委書記が、市内のマンション群を視察中に、市民たちから罵倒された」、「党委書記」が「罵倒」されるとは、よほどのことだ。
・『習近平総書記の3選阻止を阻止しようとする者たち  李強書記は、浙江省瑞安の出身で、習近平主席が浙江省党委書記(省トップ)だった後半の2004年から2007年まで、習書記の最側近の秘書長を務めた。当時を知る上海人が証言する。 「習近平浙江省党委書記はたびたび、李強秘書長を伴って、上海西郊賓館で隠居生活を送る江沢民(こう・たくみん)元総書記のもとを訪れていた。それで習総書記は、2017年10月の第19回共産党大会で権力固めを行った後、満を持して李強氏を、上海市党委書記に抜擢したのだ。 つまり李強書記は、上海における『習近平代理人』だ。加えて、来年3月に引退する李克強(り・こくきょう)首相の最有力後継者とも囁かれている。それだけに、李書記が上海市民に罵倒される映像が拡散したことは、李書記の次期首相就任を阻止する、ひいては習近平総書記の3選を阻止しようという動きとも見られるのだ」 かつて2006年にも、「ポスト胡錦濤(こきんとう)総書記」を巡って、上海を基盤とする江沢民グループと、当時北京で政権を担っていた胡錦濤グループが激しく対立した。この時は、同年9月に、江沢民グループの有力な後継候補だった陳良宇(ちん・りょうう)上海市党委書記(当時)を、胡政権が北京で拘束してしまうという「事件」が起こった(懲役18年の実刑判決)。そこから、この両グループはさらに仁義なき権力闘争に明け暮れ、その結果、漁夫の利のようにトップに立ったのが、いまの習近平総書記だ。 歴史は繰り返す。習近平総書記の3選を巡る「コロナ政局」の行方から、目が離せなくなってきた』、「習近平」氏が、「江沢民グループ」と「胡錦濤グループ」の対立の「漁夫の利」を得て「党委書記」になったことを、改めて思い出した。

第三に、4月19日付け日刊ゲンダイが掲載したジャーナリストの姫田小夏氏による「上海ロックダウン 阿鼻叫喚の舞台裏(1)混乱の元凶は上海に「ゼロコロナ」を強要した中国中央政府」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/304072
・『上海は今、崩壊寸前だ。ロックダウンは2020年に武漢市でも行われたが、そもそも人口規模が違う。 武漢市の倍の約2500万人を抱える上海市では当初、ロックダウンは危険すぎて計画されていなかった。 昨年のコロナ蔓延後も感染者は少なく、ロックダウンはおろか全住民を対象にしたPCR検査も経験したことがない上海だったが、今年3月に入りオミクロン株の感染者が急激に増えた。上海市政府は同15日の記者会見で「ロックダウンは必要ない」として住宅地ごとの封鎖にとどめていたが、突然、市の東側の浦東は28日から、西側の浦西は4月1日から全面封鎖された。 流れが変わったのは3月22日だった。この日、上海市に国務院督査組が派遣され、上海市トップの李強・党委員会書記ほか、市首脳陣と話し合いが行われた。督査組とは党中央の政策を徹底指導する組織だ』、「上海市に国務院督査組が派遣され」、「上海市」のやり方に対する「党中央」の不信感の表れだろう。
・『背景に江沢民vs習近平の政治対立も  上海はこれまで、感染症専門の張文宏氏(復旦大学付属華山医院感染科主任)の分析のもと、オミクロン株に対しては「ゼロコロナ」ではなく、「ウィズコロナ」に近いやり方が採られてきた。 張氏については「欧米や日本などの諸外国のモデルを取り入れる国際派」との評価もあり、教育水準の高い居住者が集まる上海では支持を得ていた。 ところが、中央政府から派遣されてきた、この督査組が「ゼロコロナ政策は不変だ」だとゴリ押しし、“上海式”を頭から否定した。その後、張氏の姿は公の場から消え、浦東では28日からロックダウンが始まった。 「ロックダウンは感染の封じ込めなどではなく、政治だ」と言い切る市民もいる。もとより、上海市の実力者でもある江沢民・元国家主席(上海閥)と習近平国家主席(太子党)の間には根深い政治的対立があり、今回の督査組の派遣も「コロナに乗じて上海閥を抑えつけたい習の意向だ」とささやかれている。 督査組がかけた圧力で、上海市は何の準備もないままにロックダウンに突入した。春節前に行われた武漢市のロックダウンは、長い休暇を家族や親戚と過ごすために大量の食料備蓄があったという点で大きく異なる。もっとも76日間も続いたロックダウンで、配給の食料の量や質に不満を訴える住民がいたのは武漢も同じだった。 上海市のロックダウンは「5日間で終わる」として開始されたが今なお解除されず、全面封鎖前から外出規制を受けてきた住民は、ほぼ1カ月間幽閉されていることになる。これも政治だというなら恐ろしい。「お上に盾突く上海の場合、武漢の76日では済まされないかも」という悪い冗談さえある。(つづく)』、「上海はこれまで」、「オミクロン株に対しては「ゼロコロナ」ではなく、「ウィズコロナ」に近いやり方が採られてきた」のが、「督査組が「ゼロコロナ政策は不変だ」だとゴリ押しし、“上海式”を頭から否定」、「上海市は何の準備もないままにロックダウンに突入した」、これでは市民生活は大変だ。

第四に、4月20日付け日刊ゲンダイが掲載したジャーナリストの姫田小夏氏による「上海ロックダウン 阿鼻叫喚の舞台裏(2)習主席の子飼いも市民“ガン無視”…豊かになった上海人に「自由」の目覚め」を紹介しよう。
・『4月12日、上海で公務員が自殺した。 銭文雄氏(55)の勤務先は上海市虹口区衛生健康委員会の情報センター。日本で言うなら厚生労働省の下部組織に当たり、感染状況のデータ管理にかかわるのが銭氏の仕事だった』、「感染状況のデータ管理にかかわるのが銭氏の仕事だった」、彼が自殺したとはどういう背景があるのだろう。
・『「彼の仕事量はあまりに多かった」  中国語メディアは「彼の仕事量はあまりに多かった。このまま行けば自殺者は彼だけにとどまらないだろう」と伝えた。銭氏を含め、感染症対策の専門家たちは、“上司”からの非科学的で非現実的な命令に疲れ果てているという。 非現実的な命令とはすなわち「ゼロコロナ政策」であり、その“総司令官”こそが上海市トップの李強氏(62・党上海市委員会書記)だ。市内の住宅区を視察した際、住民から「食べ物がない」「恥を知れ」などと罵詈雑言を浴びせられた張本人だが、李氏への不満は、老人など弱者を含む一般庶民に限らない。上海の某大学教授はこうこき下ろす。) 「ニンジンやダイコンでも配給しておけば、上海市民はありがたがると思っていることからして、感覚がズレている。インターネット上では富裕層から『我々はヤギやウサギじゃない』『上海人をなめてんのか』といった不満が噴出しています」 プライドの高い上海市民は中央政府に決して従順ではなく、「中央政府から送り込まれた習近平国家主席の子飼い」といわれる李氏に対しては、なおさら“ガン無視”だった。 過去を振り返れば、上海は19世紀から対外貿易の窓口として発展し、租界を通して西欧文化を受容した。国際感覚を持ち合理的に思考する上海人には、今でこそ高層マンションが建つが僻地といわれる浙江省瑞安県出身でエリート教育とは無縁だった李氏やその“親分”(北京市出身)のやることなすことが、あまりにばかばかしく映る。 「中央の要求に対して、やらなくてもいいことまでやって点数を稼ごうとするから、大混乱になる」(前出の大学教授)) 李氏は習氏の第3期続投とともに「次期首相候補の一人」と噂されている重要人物だが「早晩、親分に見捨てられるのでは」とささやかれている。 上海市の感染者数は1万9000人を超えて高止まりのまま。感染拡大に歯止めがかからず、当局と市民は各地で衝突や小競り合いを繰り返している。 衣食足り、高収入を得る上海市民は、コロナ直前まで最先端の物質的生活を謳歌していた。静安区在住の60代の中国人男性は「それが最高の生活だと思っていたが、ロックダウンで『人間の自由』に目覚めてしまった」と語る。 4月3日、上海に医療支援を名目に解放軍2000人余が派遣されてきた。上海のロックダウンの目的はコロナではなく、市民動乱の封じ込めに目的が変わってきたのか。=つづく』、「僻地といわれる浙江省瑞安県出身でエリート教育とは無縁だった李氏やその“親分”(北京市出身)のやることなすことが、あまりにばかばかしく映る」、「李氏は習氏の第3期続投とともに「次期首相候補の一人」と噂されている重要人物だが「早晩、親分に見捨てられるのでは」とささやかれている。 上海市の感染者数は1万9000人を超えて高止まりのまま。感染拡大に歯止めがかからず、当局と市民は各地で衝突や小競り合いを繰り返している」、「上海に医療支援を名目に解放軍2000人余が派遣されてきた。上海のロックダウンの目的はコロナではなく、市民動乱の封じ込めに目的が変わってきたのか」、これでは「李氏」は「次期首相候補の一人」どころか、「早晩、親分に見捨てられる」可能性が高そうだ。
タグ:パンデミック(経済社会的視点) (その22)ウィズコロナVSゼロコロナ(「ウィズコロナ」に転換したら何が起こるか? 中国が恐れる不都合な事態 中国はなぜゼロコロナ政策に固執するのか、上海ロックダウン 阿鼻叫喚の舞台裏((1)混乱の元凶は上海に「ゼロコロナ」を強要した中国中央政府、(2)習主席の子飼いも市民“ガン無視”…豊かになった上海人に「自由」の目覚め) JBPRESS 福島 香織氏による「「ウィズコロナ」に転換したら何が起こるか? 中国が恐れる不都合な事態 中国はなぜゼロコロナ政策に固執するのか」 「李克強首相」がウィズコロナへの転換を示唆したとは初めて知った。 「習近平」は、「ゼロコロナ政策による経済成長低下などネガティブな影響も認識している」が、「ゼロコロナ政策を撤回する意思は全くない」ようだ。 「当局はゼロコロナリスクのネガティブ報道を禁じている」、ため、断片的情報から推察するしかなさそうだ。 「香港内の新型コロナ肺炎による死者5100人について調べたところ、1300人がワクチン接種済で、そのうちシノバックワクチンを選択したのは87%だった。このことから、シノバックワクチンがファイザーなどのワクチンよりも予防効果が劣っていたのではないか、と言われている」、やはり中国製の限界だ。 「農村部の医療保険体制の不十分さや人口に対する医療資源の少なさを考えれば、いったん感染が拡大し重症化率が高まると、2020年1月に武漢で新型コロナがアフトブレイクしたときのような阿鼻叫喚のパニックに再び陥ることは十分考えられる」、「ゼロコロナ政策を転換しても、あるいはしなくても、習近平にとっては党内アンチ習近平派からの「政策の失敗」という批判の根拠になりうる」、「秋の第20回党大会で習近平が狙う第3期目任期継続の野望にどう影響するのか。ウクライナ戦争と並ぶ中国政治にとっての大きな不確定要素と言えそうだ」、 近藤 大介氏による「北京のコロナ責任者が失脚、ゼロコロナ政策の不首尾で中国指導部に地殻変動 東アジア「深層取材ノート」(第134回)」 「「動態清零」(ダイナミック・ゼロコロナ)政策」が改めてお墨付きを得た形だ。 「「すわ、コロナ政局か?」という声が上がっている」、実態はどうなのだろう。 「上海市党委書記が、市内のマンション群を視察中に、市民たちから罵倒された」、「党委書記」が「罵倒」されるとは、よほどのことだ。 「習近平」氏が、「江沢民グループ」と「胡錦濤グループ」の対立の「漁夫の利」を得て「党委書記」になったことを、改めて思い出した。 日刊ゲンダイ 姫田小夏氏による「上海ロックダウン 阿鼻叫喚の舞台裏(1)混乱の元凶は上海に「ゼロコロナ」を強要した中国中央政府」 「上海市に国務院督査組が派遣され」、「上海市」のやり方に対する「党中央」の不信感の表れだろう。 「上海はこれまで」、「オミクロン株に対しては「ゼロコロナ」ではなく、「ウィズコロナ」に近いやり方が採られてきた」のが、「督査組が「ゼロコロナ政策は不変だ」だとゴリ押しし、“上海式”を頭から否定」、「上海市は何の準備もないままにロックダウンに突入した」、これでは市民生活は大変だ。 姫田小夏氏による「上海ロックダウン 阿鼻叫喚の舞台裏(2)習主席の子飼いも市民“ガン無視”…豊かになった上海人に「自由」の目覚め」 「感染状況のデータ管理にかかわるのが銭氏の仕事だった」、彼が自殺したとはどういう背景があるのだろう。 「僻地といわれる浙江省瑞安県出身でエリート教育とは無縁だった李氏やその“親分”(北京市出身)のやることなすことが、あまりにばかばかしく映る」、「李氏は習氏の第3期続投とともに「次期首相候補の一人」と噂されている重要人物だが「早晩、親分に見捨てられるのでは」とささやかれている。 上海市の感染者数は1万9000人を超えて高止まりのまま。感染拡大に歯止めがかからず、当局と市民は各地で衝突や小競り合いを繰り返している」、「上海に医療支援を名目に解放軍2000人余が派遣されてきた。上海のロックダウンの目的はコロナで
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

パンデミック(経済社会的視点)(その21)(コロナうつ「自殺者数の異変」に見る意外な背景 「経済活動が回復するタイミング」で増えている、新型コロナで「脳が縮む」!? 科学誌Natureが公開した驚きの論文、3回目以降の副反応が怖い人に知ってほしい現実 ワクチン接種の安全性をもっと高める必要がある、上海ロックダウン 官僚システムの迷走を暴いた「勇気ある正直者」の電話) [パンデミック]

パンデミック(経済社会的視点)については、本年1月14日に取上げた。今日は、(その21)(コロナうつ「自殺者数の異変」に見る意外な背景 「経済活動が回復するタイミング」で増えている、新型コロナで「脳が縮む」!? 科学誌Natureが公開した驚きの論文、3回目以降の副反応が怖い人に知ってほしい現実 ワクチン接種の安全性をもっと高める必要がある、上海ロックダウン 官僚システムの迷走を暴いた「勇気ある正直者」の電話)である。

先ずは、2月2日付け東洋経済オンラインが掲載したナビタスクリニック内科医師の久住 英二氏による「コロナうつ「自殺者数の異変」に見る意外な背景 「経済活動が回復するタイミング」で増えている」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/507110
・『いわゆる「コロナうつ」、つまりコロナ禍でのメンタルヘルス悪化は、日本でも懸念されてきた。OECDの報告によれば、国内のうつ病の有病率は2020年時点で17.3%と、2013年の7.9%から倍増している。 このうつ病の増加に関連して、医師としても看過できない統計データがある。警察庁が発表している国内「自殺者数」の推移とその理由だ(2020年「令和2年中における自殺の状況」)。 過去数十年にわたって自殺理由のトップは「健康問題」で、全体の約半数近くを占めてきた。その内訳として「うつ病」は例年4割近くにも及ぶ(厚生労働省「自殺対策白書」)。 それでも「健康問題」による自殺は、この10年以上、実数も割合も減少傾向を保っていた。それが2020年は、突如急増したのだ。同じく減少を続けていた自殺者数全体も、増加に転じた。 この唐突な自殺増加を招いた「健康問題」とは、状況的に「コロナうつ」と考えるのが自然だ』、「唐突な自殺増加を招いた「健康問題」とは、状況的に「コロナうつ」と考えるのが自然だ」、その通りなのだろう。
・『「経済・生活問題」の自殺は減少?  他方、「経済・生活問題」理由の自殺は2020年も減少したという。だが、これを額面通り受け取ってよいかは大いに疑問だ。 現実に目を向ければ、日本人は新型コロナ流行によって確実に厳しい経済状況に陥っている。「経済的なダメージに直面した若者は、特にうつ病リスクが高い」というアメリカの調査もある。 また、フランスや英国からは、「パンデミック中も雇用が確保された人は、失業者よりもうつ病や不安神経症のリスクが低かった」(前出OECD報告)とのエビデンスが示されているが、日本の雇用状況は厳しい。 2018年以降ずっと2.5%以下で推移してきた完全失業率は、2020年に入って上昇し、以来一度もコロナ禍以前の水準に戻っていない(労働政策研究・研修機構)。 たとえコロナ禍の「経済・生活問題」から「コロナうつ」を発症し、自殺に至った場合でも、「うつ」が介在すれば統計上は「健康問題」による自殺として扱われる。 「経済・生活問題」がメンタルヘルスに与える影響は、表面上見えづらくなっているのかもしれない。 実は、そう考えた理由はもう1つある。「月別自殺者数」のイレギュラー過ぎる推移だ。 2019年までと比べ2020~2021年は、例年なら減少傾向となる時期に自殺者が増加したり、増える時期に減ったり、ピークがまったく違う月に来たりした。 (グラフ:警察庁資料より筆者作成) やはり新型コロナの影響だろう。この間の大きな出来事と言えば、緊急事態宣言だ。 ・第1回2020年4月7日~5月25日 ・第2回2021年1月8日~3月21日 ・第3回2021年4月25日~6月20日 ・第4回2021年7月12日~9月30日 緊急事態宣言による行動制限が人々の孤独を深め、自殺の増加に直結したのならわかりやすい。だが、宣言期間と月別自殺者数のグラフを見比べると、実際にはそう単純な話でもない。 緊急事態宣言の影響を直接かつ具体的に受けるのは、個人よりも、休業要請・命令の対象となるサービス産業(飲食店やイベント業など)だ。 そこで、直近2年間の自殺者数の変動グラフに、同時期の「第3次産業活動指数」(経済産業省)をグラフにして重ねてみた。すると、興味深い結果となった。 (グラフ:経済産業省および警察庁資料より筆者作成) 「経済・生活問題」を理由とした自殺の減少や、「経済的安定がメンタルヘルスの安定につながる」とした海外の調査結果を踏まえ、「景況悪化時は自殺が増え、好況時は自殺が減る」と勝手にイメージしていたのだが、様子がかなり違う。 それどころか、2020年6月以降は緩やかに、そして2021年前半は偶然とは思えないほどに、自殺者数とサービス産業の動きがシンクロしている』、「シンクロ」の要因は何なのだろう。
・『「経済回復期」に追いつめられる人々  この現象を素直に解釈すれば、自粛生活が明けて経済・社会活動が再開し、正常化が見えてきた頃こそが、メンタルヘルスの危機であり、自殺者の増えやすいタイミングということになる。 つまり、緊急事態宣言の下、皆が等しく我慢を強いられている“非日常”では、厳しい現実から目を背けていることもできた。だが、日常が戻ってきた時、それを素直に歓迎し活動を広げる人たちの姿は、その波に乗れない、受け入れがたい状況にある人たちを追い込んでいく。 例えば第1回宣言では解除後の2020年6月以降、感染が落ち着いてサービス産業も順調に回復していた時期に、自殺者数が急増し、数カ月間そのまま高止まりした。10月には異例のタイミングで、自殺者数の年間ピークを記録している。 第2・3回の宣言でも、宣言の解除から経済活動が回復するタイミングで、自殺者数が増えた。 もちろん、第4回宣言はこの限りではない。自殺数と経済活動の厳密な相関関係を示すには、もっとずっと難しい統計学的解析が必要だ。自殺の要因には、人間関係や学校・仕事問題など、さまざまな要因が絡み合っている。 それでも、経済回復期は、複雑な人間心理がメンタルヘルスに影響を与えやすい、実は非常に繊細な局面なのだ、という認識は持っておいたほうがいい。 以上、前回の記事【医師が警鐘「ステイホームによる健康被害は深刻」】の話も併せると、行動制限に慎重であるべきなのは、単に人権や経済だけが理由ではないとおわかりいただけると思う。 解除後の経済・社会の回復期になって噴出する「からだ」と「こころ」への影響――そこまで見越して、なお制限に踏み切るのかどうかだ。 もっと言えば、おそらくポスト・コロナの数年間は、否応なく同様の「からだ」と「こころ」の健康問題に直面することとなる。さらにくっきりと明暗が分かれるだろう』、「経済回復期は、複雑な人間心理がメンタルヘルスに影響を与えやすい、実は非常に繊細な局面なのだ、という認識は持っておいたほうがいい」、確かにありそうなシナリオだ。
・『患者目線のオンライン医療整備を  新型コロナは依然、世界中で猛威を振るっている。ただ、感染性が高く毒性の低いオミクロン株の出現は、「ゼロコロナ」政策の限界を突きつけ、「withコロナ」容認を後押しした。早々に行動規制の緩和に踏み切る国が続出している。 諸外国の関心はすでに「対コロナ全集中」から「いかに日常を取り戻すか」へ、加速度的にシフトし始めているのだ。日本も判断を迫られている。 来るべきポスト・コロナ社会に向けて、医療はどう備えるべきか。まずは診療や検査のオンライン化を徹底し、患者さんにとって利用しやすいものにしておくことだ。 例えば生活習慣病は、服薬や食事・運動の適切な管理によって状態を維持・改善できるが、放置してしまえば自覚症状のないままに進行する。そのため、いかに健診・検査を受け、診療や指導を継続してもらえるかが非常に大事だ。 また、「こころ」の不調は「からだ」の不調とは違い、定期健診などの早期発見手段や、血液検査値など目に見える指標がない。そのうちに「こころ」がすっかり疲弊して「からだ」も言うことを聞かなくなり、生活が立ち行かない状況に陥ってしまう。 オンライン診療・検査なら、移動や待ち時間の制約を伴わない分、利用へのハードルが低い。体調不良や多忙の際にも受診を諦めずに済むし、潜在患者もすくい上げやすい。 現在、厚生労働省は「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」を開催し、体制の整備を進めている。安全性を担保するごく最低限の制約は必要だが、「ハードルの低さ」という大きなメリットが損なわれてしまっては本末転倒だ。 「からだ」の不調でも「こころ」の不調でも、症状が軽かったり単に不安だったりしたときでも、たとえかかりつけ医でなくとも、誰もが初診から利用しやすいオンライン医療へ。さらなる診療報酬改定や法整備等を含め、ぜひ患者さん目線で議論していただきたい。 新型コロナを機に仕事の仕方やライフスタイルが大きく変わる中、医療も転換期を迎えている。オンライン医療が、「からだ」と「こころ」の健康に悩むすべての人のセーフティーネットになれたらと思う』、「医師会」の意向を受けた厚労省は、「ハードル」をなるべく高くしようと画策しているようだ。

次に、3月12日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した産業医・内科医でPreventive Room 株式会社代表の森勇磨氏による「新型コロナで「脳が縮む」!? 科学誌Natureが公開した驚きの論文」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/298810
・『人生100年時代は、健康こそ最大の資産です。 しかし40歳を越えると、がん、糖尿病、腎臓病といった病気を避けては通れません。国立がん研究センターによれば、40~49歳のがん患者数は、30~39歳と比べると3倍以上です(2018年)。もちろん50代、60代と年齢を重ねるにつれ、がん患者数はどんどん増えていきます。 本連載は、毎日の食事から、大病を患ったあとのリハビリまで、病気の「予防」「早期発見」「再発予防」を学ぶものです。著者は、産業医×内科医の森勇磨氏。「予防医学ch/医師監修」の管理人でもあり、動画は「わかりやすい説明で参考になる」「怖いけど面白い」と評判で、チャンネル登録者は27万人を超えています。初の単著『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』を出版し、感染症医・神戸大学教授の岩田健太郎氏が「安心して読める健康の教科書」と推薦文を寄せています。本記事はそんな森氏の緊急提言です』、興味深そうだ。
・『新型コロナで「脳が縮む」!? 科学誌Natureが公開した驚きの論文 新型コロナと脳に関する論文が発表!  新型コロナウイルスが人間の脳に与える影響について、世界各地で様々な仮説が検証されています。 そして、かの有名な科学誌「Nature」に非常に興味深い論文が2022年3月7日に公開されました(※1) その研究内容としては、「UKバイオバンク」と呼ばれるイギリスの研究機関に登録された51-81歳の785名の被験者を対象に、「感染前の脳の画像と感染後の脳の画像を比較して、一体どのような変化があったのか」を調査したものです。 この研究では、感染する前の脳の画像を前もって撮影しておくことで、感染後の画像と比較することでコロナに感染した自体の影響をできるだけ浮き彫りにする事ができるのではないか、という試みです。 またこちらの論文は、「新型コロナ感染者の脳の画像に関連した縦断的研究(特定の個人や集団の経過、前後関係を追跡する研究)としてはおそらく初めてのものになる」とのことでした。 そして気になる結果としては、 ・脳の中で、人の意思決定に重要な役割を果たす「眼窩前頭皮質」という部分や、記憶を整理したり検索したりする役割のある「海馬傍回」という場所の組織の厚みが減少していた ・においを扱う「一次嗅覚皮質」という場所に機能面で関係している部分の組織が損傷していた ・そもそも脳自体のサイズが減少していた というものでした』、「新型コロナで「脳が縮む」!」とはショッキングな報告だ。
・『今、私たちがすべきこと  新型コロナウイルス感染時の合併症として「嗅覚障害」が認められるのは周知の事実ですが、このようにウイルスが脳のにおいを取り扱う組織自体に影響を与える特性から、嗅覚障害が起きている可能性があります。また、記憶や認知機能に関連した組織への影響も認知症などへの影響含め、非常に気になるところです。 そして、入院となった被験者を除いても同様の傾向が認められたとのこと。要するに軽症者に関してもこのような脳細胞への影響が引き起こされる可能性はあるわけです。 過去にも、新型コロナウイルスが脳をはじめとした「中枢神経系」に存在することが発見されたという報告はありましたが、今回紹介した論文のように、より具体的にウイルスが脳に与える影響の実態が解明されてきています。 一般的な関心事としては、こういった脳への影響が「一過性」なのか「長期的」に続くのかという話だと思われます。しかしその点に関しては、中長期視点での今後の研究が待たれますので、現段階で過度な心配は禁物です。 とはいえ、依然として新型コロナウイルスに感染することで脳に関係する様々な影響が認められる可能性は否定できません。 特に中高年にとって脳にまつわる病気で最も一般的なのが認知症です。「他者とのコミュニケーションを定期的にとる」「しっかり運動をする」といった認知症予防はより意識しておくに越したことはないでしょう。 また新型コロナウイルスは血管に影響を与える可能性(※2)も示唆されており、「脳の血管」を守るという意味でも、日々の生活習慣は整えておきたいものです。 【出典】※1 Gwenaëlle Douaud,et al. SARS-CoV-2 is associated with changes in brain structure in UK Biobank. Nature. 2022 Mar 7. ※2 Yan Xie,et al. Long-term cardiovascular outcomes of COVID-19. Nat Med. 2022 Feb 7.』、「特に中高年にとって脳にまつわる病気で最も一般的なのが認知症です。「他者とのコミュニケーションを定期的にとる」「しっかり運動をする」といった認知症予防はより意識しておく」、その通りだ。 
・『40歳からの予防医学 (森勇磨氏の略歴はリンク先参照) 総合内科医・産業医が教える「病気にならない全知識」  はじめまして。医師の森勇磨(もり・ゆうま)と申します。この度『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』を出版しました。 現代は医学情報があまりにも多すぎます。残念ながら、「正しい情報」と「でたらめな情報」がごった煮になっており、かつて私が勤務していた救急現場でも、 ・スポーツドリンクやエナジードリンクに糖分が多く含まれていることを知らずに飲みすぎて、重篤な糖尿病になった人 ・がん検診を受けず、根拠のない民間療法に頼り、「急な体重減少」や「血便」といった症状を放置して、末期がんの状態で来院される人 ・心不全の初期症状を放置した結果、肺に水がたまってしまい、すぐに人工呼吸器をつけなければ数十分で死に至ってしまう状態で救急搬送されてきた人 病院の「外」でできることをしなかったがために、人生が大きく変わってしまった人をたくさん見てきました。 「病院の外で、やるべきことがあるのではないか?」という思いから、私は現在「予防医学の実務家」と呼ばれる産業医の仕事をしながら、YouTubeなどのSNSを通じて予防医学の情報発信をしています。ありがたいことに、チャンネル登録者数は27万人を超え、「予防医学を専門とした情報発信者」としては、日本一の実績を持っています』、「予防医学の情報発信」は極めて重要だ。
・『日本が抱える「医療制度の課題」とは?  病気になってからの」病院へのアクセスのしやすさ、国民皆保険制度による医療費負担の軽減など、日本の医療制度は世界トップクラスです。 しかし、「病気になる前の」予防医学のアプローチは十分にできているといえず、課題が多いのです。残念なことに、今の日本では、個人個人を病気にさせないことで対価が発生するしくみがうまく機能していません。 そこでこの度、予防医学のエッセンス(病気の予防、早期発見、再発予防)を集約した『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』を執筆しました』、なるほど。
・『40歳を越えると、親の介護がのしかかってくる  40歳を越えると、「両親の介護」も頻繁に話題にあがってきます。親世代は65歳を越えていて、免疫機能が落ち、筋力や骨も弱くなっています。1回の感染や転倒・骨折などでQOL(生活の質)が著しく低下する年代です。 本書は「親世代(65歳以上)の健康寿命を延ばす」「介護・寝たきり状態にならないための知識」も充実させました。ぜひ親子でシェアしてください。医学的エビデンスの中での「正解」の行動がとれるよう、とにかくわかりやすさ、行動へのつなげやすさを意識しました。あなたの日々の行動に影響を与えることができれば幸いです』、興味深そうな本だ。

第三に、3月26日付け東洋経済オンラインが掲載した医療ガバナンス研究所理事長の上 昌広氏による「3回目以降の副反応が怖い人に知ってほしい現実 ワクチン接種の安全性をもっと高める必要がある」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/541542
・『コロナ感染者が増加に転じた。イギリス・オックスフォード大学が提供するデータベース”Our World in Data”によれば、世界で3月2日、アジアでは2月17日、欧州は3月2日以降、感染者が増えている。春の流行が始まったのだろう。昨春、日本では3月2日から感染者が増加し、ピークは5月14日だった。早晩、日本でも感染者が増加に転じるはずだ。 コロナ対策の肝の1つがワクチン接種だ。オミクロン株に対してもワクチンは有効だった。2月11日、アメリカ疾病対策センター(CDC)が『疫学週報』に発表した研究によると、追加接種から2カ月間、外来受診が87%、入院が91%減っていた。その後、効果は減衰し、4カ月後には、それぞれ66%、78%に低下していた』、興味深そうだ。
・『日本も4回目接種を見据えて動いている  世界では4回目接種の議論が進んでいる。イスラエルは昨年12月21日、6歳以上の全国民と医療従事者、免疫不全患者などに4回目接種をすることを決めているし、アメリカも秋以降に4回目接種を実施する方向で調整が進んでいる。3月15日、アメリカ・ファイザーは、65歳以上を対象とした4回目接種の緊急使用許可を、アメリカ食品医薬品局(FDA)に申請した。 日本政府も、4回目接種の準備に余念がない。3月16日、ファイザー製7500万回、同じくアメリカのモデルナ製7000万回分のワクチンを追加購入することで両社と合意したと発表している。接種の遅れが問題視された第6波での3回目接種とは対照的だ。今回の動きは高く評価したい。 では、このままでいいのか。私は、今こそ、ワクチンの安全性について議論を深めなければならないと考えている。ワクチンは有効だが、副反応を伴う。そして、時に致死的になる。3月22日、このことについて検証したわれわれの論文が公開された。中心になったのは山下えりかと瀧田盛仁だ。ご紹介したい。 本研究では、厚労省が公表した副反応情報、アメリカのワクチンデータベース「VAERS」、および欧州のデータベース「EudraVigilance」を用いた。いずれも公開情報である。 詳細は省くが、3つのデータベースすべてで、ワクチン接種後2日目に死亡の報告が増加していた。図1は日本のデータだ。 【図1】(外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください) ただ、これは報告バイアスの可能性がある。報告バイアスとは、ワクチン接種後、数日で亡くなった場合、本当は別の病気が原因だったのに、ワクチンとの関係を疑ってしまい、死亡例の報告が増えることをいう。コロナワクチン接種後の死亡の原因は心不全や脳卒中が多い。ワクチン接種後の死亡に特異的な死因はないため、このようなデータをいくら提示しても、結論はでない』、「報告バイアス」まであるというのは、厳格な科学的推論はやはり大変だ。
・『小柄な人には副反応が強くなる可能性がある  では、どうすればいいのか。われわれが注目したのは性差だ。ファイザー製のワクチンの投与量は、アジア諸国が参加していない国際共同第一相臨床試験に基づいて設定されている。 その結果は、アメリカ『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』に2020年10月14日に掲載されている。この試験では、参加したボランティアを10マイクログラム(1マイクロは100万分の1)、20マイクログラム、30マイクログラムの投与群に振り分け、副反応の頻度を比較しているが、副反応は用量が増えるほど増加している。 例えば、18~55歳に対する2回目接種で発熱が生じた頻度は、それぞれ0%、8%、17%だし、倦怠感は33%、58%、75%、悪寒は8%、42%、 58%である。つまり、投与量を増やすほど、副反応は強くなるのだが、世界各国が承認した投与量は、人種、性別、体重に関わらず、1回あたり30マイクログラムだった。小柄な人には副反応が強くなる可能性がある。 では、誰が危険だろうか。まず、思い浮かぶのは女性だ。日本人女性成人の平均体重は約50キログラムだ。一方、日本人男性の平均体重は約70キログラム、アメリカ人男性は約90キログラムだから、日本人女性は、日本人男性の1.4倍、米国人男性の1.8倍のワクチンが投与されていると考えることもできる。 われわれは、もし、コロナワクチンが致死的な副作用を生じるのであれば、男性よりも女性の頻度が高いと仮説を立てた。ただ、疾病などのストレスに対する抵抗力は、男性よりも女性のほうが強い。つまり、同じ条件なら、男性のほうがワクチンの副反応は強く出やすいかもしれない。男女の死亡率を単純比較しても、影響は推定できない。 注目したのは、男女の死亡率の比の経時的な推移だ。結果を図2に示す。 【図2】 予想通り、男女の死亡率の差は、接種後1週間以内は女性のほうが高く、その後、減少し、2週間以降では、男性の死亡率のほうが高くなっていた。つまり、死亡率は時間の経過とともに変化していた。この変化は統計的に有意であり、偶然の影響では説明できない。ワクチン接種後1週間以内は、相対的に女性のほうが最悪の事態に至る危険度が高まる。過剰投与による副作用が影響している可能性については議論の余地がある』、「男女の死亡率の差は、接種後1週間以内は女性のほうが高く、その後、減少し、2週間以降では、男性の死亡率のほうが高くなっていた」、なるほど。
・『安全性を高める対策が早急に必要  ちなみに、このような性差はアメリカや欧州のデータベースの解析では検出されなかった。欧米の女性は、一般的に日本人女性より大柄なため、体重あたりの投与量が少ないからだろうと私は考えている。 この研究は、コロナワクチン接種により、女性を中心に副反応で亡くなっていた可能性を示唆する。コロナワクチン接種で亡くなっていた人が多数いるのだから、問題は深刻だ。死亡例を見直し、ハイリスク群を同定し、ワクチン減量も含めて、安全性を高める対策を早急に講じなければならない。 個人レベルでの対応としては、主治医と相談することをお奨めする。感染予防のメリットと、副反応のリスクを天秤にかけて、判断してくれるはずだ。それぞれの状況に応じた柔軟な対応が必要だ』、「このような性差はアメリカや欧州のデータベースの解析では検出されなかった」、しかし「日本」では「性差」がある以上、「ワクチン減量も含めて、安全性を高める対策を早急に講じなければならない」、同感である。

第四に、4月8日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したフリーランスライターのふるまいよしこ氏による「上海ロックダウン、官僚システムの迷走を暴いた「勇気ある正直者」の電話」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/301126
・『新型コロナウイルスの感染拡大で、3月28日から段階的ロックダウンに入った上海市。政府は引き続き「コロナゼロ化」の掛け声の下、全住民のPCR検査などを強行しているが、現場はかなり混乱しているようだ。ある電話のやりとりを収めた動画がネットで拡散している』、興味深そうだ。
・『3月28日から段階的ロックダウンに入った上海 「上海市衛生健康委員会は今朝(4日)、以下の通り報告を行った。2022年4月3日0時から24時までに新型コロナウイルスに感染確定した患者425人と無症状感染者8581人が新たに記録された。患者のうち71人はこれまでに無症状からの感染確定であり、7人の感染と7920人の無症状感染者は隔離管理状態において発見され、その他はリスク関係者への検査によって発見された。海外からの新型コロナウイルス輸入感染確定は8人、無症状患者は4人で、いずれも閉鎖隔離状態で発見された。各地域別情報は以下の通り……」 3月28日から段階的ロックダウンに入った上海市内では、毎朝このような一見詳細なフォーマットで前日の新規感染者数の発表が行われている。SNSの公式アカウントからはこれに続いて、市内16区で新規感染者が出た場所の住所が具体的に付記される。毎日毎日、機械的な発表を繰り返すこともまた、上海市当局が考える「科学的、合理的」な新型コロナ感染対策の一環のようだ。 だが、そこに爆弾が投じられた』、「爆弾」とはどういうことだろう。
・『WSJのスクープ「上海最大の高齢者施設でクラスター発生」  4月1日付けの米「ウォール・ストリート・ジャーナル」(WSJ)が、浦東地区にあり、入院者数1000人を超える上海最大の高齢者施設「上海市東海老年護理医院」(以下、東海老人ケア病院)で「大量の感染者と死者が出ているようだ」と伝えたのである。記事は、職員が感染し隔離されて人手が足りなくなったため、急きょ雇用された新職員らが「病院前に6台の霊柩車が止まっているのを見た」と証言したと紹介している。 また記者は、ここに入院していた父親が亡くなったとつぶやくSNSの書き込みを紹介。書き込んだ息子の友人や、その他病院訪問者も十数人分の遺体を目にしたと伝えている』、「WSJ」であれば、中国政府への忖度など一切ないので、真実に近いのだろう。
・『上海市の発表内容では、重症者や死者の情報が分からない  ここでもう一度、前述の報告フォーマットを見直してみると、新規感染者数は事細かく述べられている一方で、重症者や軽症者の数、さらには死者については一切触れられていないことが分かる。つまりこれらの感染者の影でどれだけの人たちが深刻な状態にあるのか、亡くなった人たちは何人いるのかは「隠されて」いるのである。前述の記事に基づいて、発表された新規感染者の住所を照らし合わせてみると、同病院の住所が確認できた。 さらにWSJはその後続けて、東海老人ケア病院に続き、上海第二の規模を持つ養老病院でも、患者と職員の一部が院内施設に隔離されていることを暴露した。 中国の経済メディア「財新網」も2日、東海老人ケア病院について写真付きの記事を発表した。それによると、同病院は3月12日未明に突然封鎖され、新規患者の受け入れをストップ。一方でその時点で院内にいた入院患者1200人あまりと付添の家族及び職員らが閉じ込められたと、その後PCR検査を経て「解放された」家族の声を伝えている。 しかし、病院内ではその後も陽性患者が発見され、院内は混乱。4月1日の時点では3月25日を最後に院内でPCR検査は行われず、約100人の患者と家族が隔離状態に置かれ、わずか3人の看護師が食事や薬を運び、環境の消毒を行っているという、劣悪な環境にあるとした』、「約100人の患者と家族が隔離状態に置かれ、わずか3人の看護師が食事や薬を運び、環境の消毒を行っているという、劣悪な環境にある」、こういう時には、「看護師」の人繰りが大変だ。
・『ゴミも回収されない劣悪な環境、遺体は放置されたまま  また、WSJが触れたように人手不足で臨時職員が雇用されたものの、そのほとんどがケアサービスの経験を持たず、また多くが上海以外の地区から雇用されていて上海語が分からないため、肝心の老人たちとコミュニケーションが取れず、老人たちは十分なケアを受けることができずにいるという。 職員たちは職員たちで、防護服は身につけているものの特別な防護知識も与えられておらず、患者と同じ部屋に泊まり込む生活を続けている状態だそうだ。3月末には病院の廊下には医療ゴミが詰まったゴミ袋が収集されないままごろごろ転がり、環境の悪化を外部に訴える老人も出ている。また、霊安室に十体近い遺体が放置されているのを目にしたという証言も伝えられている。 一方で、記事ではその証言を裏付けるように浦東葬儀場が、4月1日午前に東海老人ケア医院から送り込まれた十数体の遺体を処理したと紹介していた。また、すでに入院していた父親が亡くなったと連絡を受けた家族は、父親の遺体がどこにあるのか、その死因が新型コロナと関係しているのかどうかも分からないままだと訴えていた。 香港の例を見るまでもなく、上海でも老人のワクチン接種率は一般に低いことを考えると、これらの死者の死因が新型コロナウイルスである可能性が高いことは想像に難くない。だが、上海市は死者に関する情報は一切公開していないのである。そして、「財新網」の記事も即刻削除命令が出たようで、現在同メディアのWebサイトに行ってもその記事は読めなくなっている』、「臨時職員が雇用されたものの、そのほとんどがケアサービスの経験を持たず、また多くが上海以外の地区から雇用されていて上海語が分からないため、肝心の老人たちとコミュニケーションが取れず、老人たちは十分なケアを受けることができずにいる」、中国では地方ごとの訛りの違いも大きいので大変なようだ。
・『地域によっては1カ月近く完全封鎖が続いている状態  表向きは粛々と政策に基づく措置が進められているように見えるが、上海市内では明らかに混乱が始まっている。 上海では3月28日から市内を流れる黄浦江を境に、東(浦東)と西(浦西と浦南)に分け、前者は同日から、後者は4月1日からそれぞれ地域を完全封鎖して市民の動きを止めた上で、4日間の全住民PCR検査を行うことになっていた。しかし、1日午前5時には封鎖が解かれるはずだった浦東区は解除されず、続いて残りの浦西、浦南地区も全面ロックダウンに入った。つまり、上海はほぼ現在、全面的ロックダウン状態にある。そんなロックダウン下でPCR検査だけが何度も何度も繰り返された結果、日々発表される感染者の数字は増加する一方となった。 だが、感染者数の増大に慌てた政府は3日から浦西での検査を中止、改めて4月4日に、2500万人を超える全市民に一挙にPCR検査を行うことを発表した。この日は朝早くから各地域、各団地、そして各ビルごとに住民が呼び出され、並ばされ、検査を受けさせられた。 しかし、オミクロン株の市中感染拡大が叫ばれた3月11日から始まった地区封鎖の対象地域では、ほぼ1カ月近くの封鎖が続いている。妊婦や救急医療を要する人たちから治療を受けられないという悲鳴がSNSで大きな注目を浴び続けている。さらに病院に収容された家族がいつもなら受けられる治療を受けることなく、「亡くなった」とだけ病院から報告が届けられたという叫びも流れるようになった。 そうするうちに市民の中からも「これほどの巨大なコストを払ってまで、『コロナゼロ化』を進める必要が本当にあるのか?」という声が出始めている。上海は中国で最も経済的な豊かさを味わっている都市である。そこに住む人たちは経済の重要性を知り、また自由や権利も全国に先駆けて味わってきた。彼らは中央政府が唱える「コロナゼロ化」に面と向かって反対しないまでも、「民生の需要と基本的権利を押さえつけて任務の執行を強要するような官僚的思考を是正するべきではないのか」という主張もネットでちらほら見かけるようになった』、「上海」であれば、こうした主張が出てきてもおかしくない。
・『上海疾病コントロールセンターへ怒りの電話をかけたところ……  そうこうするうち、その「官僚ぶり」を裏付けるような現実がネットを通じて人々の元に届けられた。 それは電話でのやりとりの録音だった。ある男性が怒りもあらわに、上海疾病コントロールセンターに電話するところから始まる。「上海疾病コントロールセンターですね?」「はい……」電話の向こうは、いかにも覇気のない女性の声。男性は「聞きたいのだけれども」と告げて、事情を話し始める。 彼の両親は、まず母親が骨折して入院。その際、同室の患者に陽性反応が出て、母親は濃厚接触者とみなされ、入院していた病院から政府が感染者向けに準備した野戦病院に移された。その後PCR検査の結果、陰性となり病院に戻った。だが、彼の父親はその母親の接触者(「濃厚」ではないらしい)とされて指定ホテルでの待機を命じられ、2回のPCR検査が実施された。最後の検査はこの電話の2日前で、スマホのアプリに表示される検査結果もその日の夕方に「陰性」のままだったので、自宅に戻った。 しかしその後、男性がこの電話をかけた日に、上海疾病コントロールセンターから直接父親に、「2日前の結果で陽性が出た。これから救急車が向かうので、そのまま隔離施設に向かってもらう」と連絡があったという。 録音では電話の相手はここで、「上司につなぎます」と別の女性に電話をつないだ。男性は怒りにまかせて、「一体、我々はアプリ(「健康雲」と呼ばれる)と疾病センターのどちらを信じればいいんだ?さっきの電話はニセモノじゃないと、どうすれば分かるんだ?一体、誰がどうやって陽性か陰性を判定してるんだ?僕たち市民がその正式な結果証明を手に入れることはできないのか?」と矢継ぎ早に質問した』、こんなトラブルは日常茶飯事だろう。
・『「スマホには陰性としか表示されない」正直すぎる女性の返事  すると、当初は「クレームなら○○に電話して」としか繰り返さなかった電話の相手が言った。 「そうよ、スマホアプリには『陰性』としか表示されないの。でも、私たちのところには1日数百件もの陽性結果が回ってきて、私たちはわざわざその主に電話で陽性だったことを伝えなきゃいけないの。私たちだって、そんなのヘンだって伝えたけど、誰も聞く耳を持とうとしないのよ」 さらに彼女は言った。「疾病センター、アプリ、医療機関……そのどれもが自分たちの判断で動いていて、現場はもう大混乱なのよ」 電話をかけた男性も、あまりの正直な返事に驚いたようだった。女性は続ける。 「お母さんはもうすでにご存じだろうけど、野戦病院はひどい環境で十分な治療もしてないから、行かないほうがいいわ。あなたのご両親はどっちもワクチンを3回接種したんでしょ?だったらますますその必要はないわ。風邪の延長みたいなものだから、家でゆっくり休息を取れば大丈夫よ」 じゃあ、救急車が迎えに来たらどうしたらいい?と尋ねた男性に、彼女はこう言った。 「『陽性の証明書を見せて』と言いなさい。きっと持ってないから、そのことを主張し続けるのよ」 でも、無理やり抑え込まれたら?と心配する男性に彼女は続けた。 「実際のところ、私たちだって専門的な観点から、無症状と軽症の患者を収容する必要はない、家で隔離すれば十分だって何度も言ってきたの。でも、相手にされないの」』、コントロール・センター」の担当女性も大きな組織の歯車の1つとして苦労しているようだ。
・『「この録音を公開しなさいよ」  男性は次第に、「あなたたちも大変なんですね。あなたたちも私と同じ庶民なんですよね。こういうときに庶民がバカを見る……」と相手をいたわり始め、「ぼくらはどうすればいいんでしょう?」と尋ねた。すると、電話の相手の彼女は笑い声を上げてこう言った。 「この録音を公開しなさいよ」 その直前に「これ録音中ですから」と男性に言われ、「わたしの許可もなしに?」とムッとした声を上げていたこの女性の言葉に、逆に男性が驚いた。「でも、公開するとあなたに迷惑がかかるでしょ……」 二人で意見交換を終えてから、男性はお礼を言って電話を切った。後に明らかになったところによると、彼は保険会社に勤めているらしい。男性はこの録音を公開し、そして多くの人たちがそれをシェアした。この女性職員の勇気に感動し、「彼女は守られねば」という声も上がった。 だが、その直後「政府職員は、必要以上のことを語らず、答えないこと」を徹底するようにという通知が下達された。ネットでは彼女の名前も暴露されているので、当局は当然彼女を特定できているはずだ。その後彼女がいかなる立場に置かれているかの続報は、残念ながらまだ流れてきていない』、この程度で「当局」が「彼女」を処罰するようでは、中国政府の度量の小ささを示すだけだ。また、コロナ対策でそれどころではなく、見逃される可能性もある。
タグ:パンデミック(経済社会的視点) (その21)(コロナうつ「自殺者数の異変」に見る意外な背景 「経済活動が回復するタイミング」で増えている、新型コロナで「脳が縮む」!? 科学誌Natureが公開した驚きの論文、3回目以降の副反応が怖い人に知ってほしい現実 ワクチン接種の安全性をもっと高める必要がある、上海ロックダウン 官僚システムの迷走を暴いた「勇気ある正直者」の電話) 東洋経済オンライン 久住 英二氏による「コロナうつ「自殺者数の異変」に見る意外な背景 「経済活動が回復するタイミング」で増えている」 「唐突な自殺増加を招いた「健康問題」とは、状況的に「コロナうつ」と考えるのが自然だ」、その通りなのだろう。 「シンクロ」の要因は何なのだろう。 「経済回復期は、複雑な人間心理がメンタルヘルスに影響を与えやすい、実は非常に繊細な局面なのだ、という認識は持っておいたほうがいい」、確かにありそうなシナリオだ。 「医師会」の意向を受けた厚労省は、「ハードル」をなるべく高くしようと画策しているようだ。 ダイヤモンド・オンライン 森勇磨氏による「新型コロナで「脳が縮む」!? 科学誌Natureが公開した驚きの論文」 「新型コロナで「脳が縮む」!」とはショッキングな報告だ。 「特に中高年にとって脳にまつわる病気で最も一般的なのが認知症です。「他者とのコミュニケーションを定期的にとる」「しっかり運動をする」といった認知症予防はより意識しておく」、その通りだ。 「予防医学の情報発信」は極めて重要だ。 興味深そうな本だ 上 昌広氏による「3回目以降の副反応が怖い人に知ってほしい現実 ワクチン接種の安全性をもっと高める必要がある」 「報告バイアス」まであるというのは、厳格な科学的推論はやはり大変だ。 「男女の死亡率の差は、接種後1週間以内は女性のほうが高く、その後、減少し、2週間以降では、男性の死亡率のほうが高くなっていた」、なるほど。 「このような性差はアメリカや欧州のデータベースの解析では検出されなかった」、しかし「日本」では「性差」がある以上、「ワクチン減量も含めて、安全性を高める対策を早急に講じなければならない」、同感である。 ふるまいよしこ氏による「上海ロックダウン、官僚システムの迷走を暴いた「勇気ある正直者」の電話」 「爆弾」とはどういうことだろう。 「WSJ」であれば、中国政府への忖度など一切ないので、真実に近いのだろう。 「約100人の患者と家族が隔離状態に置かれ、わずか3人の看護師が食事や薬を運び、環境の消毒を行っているという、劣悪な環境にある」、こういう時には、「看護師」の人繰りが大変だ。 「臨時職員が雇用されたものの、そのほとんどがケアサービスの経験を持たず、また多くが上海以外の地区から雇用されていて上海語が分からないため、肝心の老人たちとコミュニケーションが取れず、老人たちは十分なケアを受けることができずにいる」、中国では地方ごとの訛りの違いも大きいので大変なようだ。 「上海」であれば、こうした主張が出てきてもおかしくない。 こんなトラブルは日常茶飯事だろう。 コントロール・センター」の担当女性も大きな組織の歯車の1つとして苦労しているようだ。 この程度で「当局」が「彼女」を処罰するようでは、中国政府の度量の小ささを示すだけだ。また、コロナ対策でそれどころではなく、見逃される可能性もある。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感
前の10件 | - パンデミック ブログトップ