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パンデミック(経済社会的視点)(その23)(中国ゼロコロナ政策)(中国のゼロコロナ固執で露呈した 「習近平国家主席は絶対正しい」の限界、習近平の「ゼロコロナ」への固執が招いた上海ロックダウン地獄絵図 コロナは個人独裁の綻びの始まり・前編、習近平コロナ失政に「無関心」で高まる李克強の存在感が意味すること コロナは個人独裁の綻びの始まり・後編) [パンデミック]

パンデミック(経済社会的視点)については、4月22日に取上げた。今日は、(その23)(中国ゼロコロナ政策)(中国のゼロコロナ固執で露呈した 「習近平国家主席は絶対正しい」の限界、習近平の「ゼロコロナ」への固執が招いた上海ロックダウン地獄絵図 コロナは個人独裁の綻びの始まり・前編、習近平コロナ失政に「無関心」で高まる李克強の存在感が意味すること コロナは個人独裁の綻びの始まり・後編)である。

先ずは、5月3日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した立命館大学政策科学部教授の上久保誠人氏による「中国のゼロコロナ固執で露呈した、「習近平国家主席は絶対正しい」の限界」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/302579
・『中国は、最初に新型コロナウイルスが感染拡大した国だ。しかし、徹底した都市封鎖と行動制限の「ゼロコロナ政策」によって感染拡大を抑え込んだ(本連載第236回)。しかし、今、その政策が限界を迎えつつある。国民からの不満も爆発しているのに「ゼロコロナ」から脱却できない。権威主義的体制の根本的な問題は何か』、中国が直面するジレンマとは興味深そうだ。
・『一歩先を進んでいたはずの中国、世界から置きざりに?   「ゼロコロナ」によって感染拡大を抑え込むことができた中国では、企業が、他国に先駆けて、生産を再開することができた。2020年、中国はG20の中で、唯一のプラス成長2.3%を達成している。中国政府は、「新型肺炎のまん延を最も包括的に、厳格に、徹底的に抑え込んだ」と自画自賛した。 欧米諸国や日本など感染封じ込めに失敗したかにみえた自由民主主義諸国と対比して、中国の権威主義的な政治体制の優位性を強く主張し、「感染が広がる他の国に支援する用意がある」とアピールした(本連載第263回)。 この成功体験から、中国政府は「『ゼロコロナ』こそが、ベストのコロナ対策」と訴え、新型コロナの徹底的な封じ込めを指示し続けた。 ところが、その後新型コロナはアルファ株やデルタ株、オミクロン株など、次々と変異を繰り返したことで、世界の対応に変化が起きる。 欧米諸国などは次々と「ゼロコロナ」の実現を放棄。新型コロナの消滅は不可能だという前提で、ワクチン開発・接種、治療薬の開発によって、ウイルスと共存・共生しながら社会を正常化していく方針に転換したのだ』、『ゼロコロナ』の「成功体験」に囚われて、「欧米諸国など」が「ウイルスと共存・共生しながら社会を正常化していく方針に転換した」のに取り残されたようだ。
・『英国は「日常へ移行」し、他国も「ウィズコロナ」を覚悟  デルタ株が猛威を振るっていた昨年7月、英国ではジョンソン首相が、集会や飲食店の制限の解除など、感染抑制のための制限措置の大半を解除し、経済・社会を正常化すると決断した。さらに、今年2月24日に新型コロナ対策のすべての法的規制を撤廃した。新型コロナ陽性者の最短5日間の自主隔離の義務などが廃止された。 ただし、ジョンソン首相は、「このウイルスはなくならない。そのため、今日は新型コロナに対する勝利宣言できる日ではない」と発言した。一方で、ジョンソン首相は「感染のピークは過ぎて感染者数は減少している」とも指摘した。英国は新型コロナ感染再拡大や新たな変異株への備えをしつつ、「日常への移行」を完了すると宣言した(BBC NEWS「英イングランド、コロナ規制を全廃へ 隔離措置は24日に廃止」)。 4月1日からは、「新型ウイルスの影響を最も受けやすい人」を除き、一般市民を対象とした無料の大規模症状検査は終了となった。 英国と同様に、他の欧米諸国や日本などは、ワクチン接種で重症化防止措置を取れば、あとは手洗い、消毒、マスク着用で感染を防止し、社会活動、経済活動を平時に戻していくという「ウィズコロナ」の方向性に向かっている。 中国でも、感染力の強いデルタ株やオミクロン株の感染を抑えることができなかった。しかし、「ゼロコロナ」を世界に誇っていた中国は、習近平国家主席の強力な指導力による「ゼロコロナ政策」を貫き通そうとした。 2022年冬の北京五輪を成功させなくてはならないという国家目標があったからだ』、「英国と同様に、他の欧米諸国や日本などは、ワクチン接種で重症化防止措置を取れば、あとは手洗い、消毒、マスク着用で感染を防止し、社会活動、経済活動を平時に戻していくという「ウィズコロナ」の方向性に向かっている」、「「ゼロコロナ」を世界に誇っていた中国は、習近平国家主席の強力な指導力による「ゼロコロナ政策」を貫き通そうとした」、思い上がった「ゼロコロナ」の罠に囚われたようだ。
・『「ゼロコロナ」に執着、プライドのため国民の不満もスルー  2021年夏の東京五輪は、無観客開催という変則的な形となったが、中国は、北京大会を完璧な形で成功することで、国家としての威信と力量を世界に示そうとした(田中信彦「『ゼロコロナ』の呪縛から逃れられるか 中国の政策に見るナショナリズムの変化」NEC Wisdom)。 だが、結局はデルタ株の感染拡大に直面して、昨年9月に海外からの観客受け入れを断念した。大会直前の今年1月には、オミクロン株の感染拡大で、チケットの一般販売を行わず、観客を限定して受け入れると変更せざるを得なくなった。 3月、中国の新型コロナ感染者数は、重症者数は英国など諸外国と比べて大きなものではなかったが、中国各地の都市でロックダウンや厳しい行動制限が実施された。 人口2400万人都市の上海でロックダウン(都市封鎖)も長期化している。吉林省長春市、陝西省西安市や河南省鄭州市など、中国の45都市で移動制限などなんらかの封鎖措置が取られているという情報もある(朝日新聞デジタル「中国『ゼロコロナ』政策 なぜ苦境 習指導部の『堅持』、リスクにも」)。 「ゼロコロナ」政策は、ある都市でわずかな感染が発生しただけでも、その全市民にPCR検査が行われ、自宅待機、厳格な外出制限を実施する。不要不急の企業活動、飲食店、商業施設、娯楽施設の営業、学校や公共交通機関の停止、幹線道路の封鎖といった都市封鎖を徹底的に行うというものだ。 だが、その厳格さにもかかわらず、感染拡大が収まる気配を見せない。市民が食料の調達に苦労し、病院をたらい回しにされる医療ひっ迫の危機にあるという。市民の不満が次第に高まり、SNS上には当局に抗議する市民の動画が流れたりしている(AERA.dot 「『物資をよこせ!』中国ゼロコロナで困窮する人たち 『私がゼロにされる』批判投稿も」)。 しかし、中国政府は、市民の不満に応えようとしない。「ゼロコロナ」政策は、中国が新型コロナ対策で世界を指導する地位にあること、中国の政治体制が自由民主主義より優れていることをアピールする政策であったので、その変更は極めて難しいのだ。 むしろ、中国政府は「ゼロコロナ」政策をより徹底的に行うことを指示している。3月以降、ゼロコロナ政策の遂行に失敗したとして、120人以上の地方政府や党の幹部が更迭などの処分を受けているという情報もある(西日本新聞「『ゼロコロナ』中国に逆風 経済打撃、市民に不満『独り負けに』」)。 だが、ゼロコロナの徹底でも、新型コロナの感染拡大は止まらず、状況は好転しない。上海市で、新規感染者の少ない区画では、段階的に外出制限を緩める方針を示していた。しかし、再び外出制限を厳格化する方針を決めた。感染の深刻な地域では、PCR検査をあらためて徹底する方針を決めざるを得なくなっている(日本経済新聞「上海市、外出制限を再び厳格化 感染増加地域で」)。 要するに、英国など欧米諸国を中心に、多くの国がウイルスとの共存・共生を目指す「ウィズコロナ」戦略に転じる中、「ゼロコロナ」政策を貫いてきた中国が、新型コロナの感染拡大に苦心惨憺しているのだ』、「「ゼロコロナ」政策は、中国が新型コロナ対策で世界を指導する地位にあること、中国の政治体制が自由民主主義より優れていることをアピールする政策であったので、その変更は極めて難しいのだ。 むしろ、中国政府は「ゼロコロナ」政策をより徹底的に行うことを指示している」、「「ゼロコロナ」政策を貫いてきた中国が、新型コロナの感染拡大に苦心惨憺している」、科学的視点より政治的視点を重視したツケだ。
・『間違いを修正できない!身動きが取れなくなった中国  この連載で主張してきた、ロシアや中国のような「権威主義的体制」の弱点を端的に示している(第220回)。権威主義的体制は、指導者は絶対に間違うことがないという「無謬(むびゅう)性」を前提としている。指導者は常に正しく、常に勝利し国民を導いていく。これが、指導者の「権威」と「権力」の基盤である。 だから、権威主義的体制では、自由民主主義体制では当たり前に行われる、国民の声を聴いて妥協し、政策を修正するということは、それ自体が権威を揺るがすことになるため絶対に認められないのだ。 そして、重要なことは、うまくいかなくなったら、うそを重ねて権威を守ろうとする。これは、「ゼロコロナ」政策に固執する、現在の中国の状況に完全に当てはまるのではないだろうか。 中国は、迅速な意思決定が可能であるとして権威主義的体制の優位性を主張してきた。だが、その主張は間違っている。実際には、政策の修正が必要な局面になると、とたんに非効率的となる。必要な決断を遅らせる、コストの高いものであることが明白だ。 権威主義的体制では、指導者の政策の間違いを正すには、政権を倒す体制変革、最悪の場合武力による革命が必要になる。重要なことは、そのとき、多くの人々の生活や生命が犠牲になってしまうことなのだ。 欧米や日本の自由民主主義体制ならば、指導者の政策の間違いを修正するのは、それほど難しいものではない。基本的に情報がオープンであることを通じて国民は指導者の間違いを知ることができるからだ。 そして、間違いは選挙を通じてやり直すことができる。それが、一見地味ではあるが、自由民主主義にあって他の政治体制にはない最大のメリットであると、何度でも強調しておきたい。 現在、ウクライナ侵攻の停戦協議が進まず泥沼化している。それは、突き詰めればロシア・プーチン大統領が「戦争遂行に失敗した」という形では、戦争を終えられないからだ。失敗を認めることは、プーチン政権の権威と正統性を失わせることになるのだ(第299回)。 中国の新型コロナ対策も、習主席の「ゼロコロナ」政策が誤っていたという形には絶対にできない。だから、「ゼロコロナ」政策が正しかったという形を作るまで、政策を転換することができない。中国は、習主席の無謬性という「権威」を守るために、政策を変えることができず、身動きが取れなくなってしまっているということなのだ』、「権威主義的体制では、指導者の政策の間違いを正すには、政権を倒す体制変革、最悪の場合武力による革命が必要になる。重要なことは、そのとき、多くの人々の生活や生命が犠牲になってしまう」、「欧米や日本の自由民主主義体制ならば、指導者の政策の間違いを修正するのは、それほど難しいものではない。基本的に情報がオープンであることを通じて国民は指導者の間違いを知ることができるからだ。 そして、間違いは選挙を通じてやり直すことができる。それが、一見地味ではあるが、自由民主主義にあって他の政治体制にはない最大のメリットであると、何度でも強調しておきたい」、完全に同感である。

次に、5月2日付け現代ビジネスが掲載した在日評論家の石 平氏による「習近平の「ゼロコロナ」への固執が招いた上海ロックダウン地獄絵図 コロナは個人独裁の綻びの始まり・前編」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/94861?imp=0
・『怒りに満ちあふれる閉鎖都市・上海  日本のメディアでも連日報じられているように、中国屈指の大経済都市・上海は3月27日からロックダウンされることとなった。当初は市中心部を東西に分けて2段階的にロックダウンを始めていたが、4月5日あたりから全面的なロックダウンが実施された。 ロックダウン期間がすでに1ヵ月ほどが経った、この原稿を書いている4月27日現在、解除される見通しはいっさい立っていない。 そしてこの1ヵ月間、都市封鎖の上海市内はまさに阿鼻叫喚の地獄と化している。物流の中断や小売店の休業などによって生活物資が決定的に不足して食糧難も起き、文字通りの飢餓の蔓延が現実に起きた。 さらに、極端な強制隔離措置が取られた中では、重病となっていても病院へ行けないケースや小さな子供が親から切り離されて隔離施設へ送られるような人道上の災難も多発した。 このような状況に対し、多くの上海市民の不満が爆発寸前となった。一部の区域では市民による局部的な騒乱や抗議活動が勃発し、封鎖された市内を視察した上海市党委員会書記が市民に面罵されるという共産党政権下ではめったにない珍光景が見られるまでになった。 こうした中で、「上海人の忍耐は極限に達している」とする憤慨のブログ文が4月初旬にネット上で流布されると2000万回以上の閲覧され、全国で大きな反響を呼んだ。 4月22日からは、市民の怒りと悲しみの肉声を拾った短編動画の「四月の声」が通信アプリの「微信」上にアップされて大量に転載、拡散された。動画は当局により直ちに削除されたが、市民らは別の通信アプリやQRコードを使うなどして拡散を続け、団結して検閲に対抗した』、「市内を視察した上海市党委員会書記が市民に面罵されるという共産党政権下ではめったにない珍光景が見られるまでになった」、確かに驚くべきことだが、市民の怒りの強さを示しているようだ。
・『効果なしの無駄政策  このように、この1ヵ月間、上海史上初めてのロックダウンによって市内が大混乱に陥り、市民には多大な犠牲と不便が強いられている。そしてその結果、市民の反発と憤りがいよいよ頂点に達しつつある。その一方、2600万人の大経済都市である上海の長引くロックダウンの、上海の経済だけでなく中国経済全体に与えるダメージの大きさは計りきれない。 コロナ感染の拡大云々というよりも、感染拡大を封じ込めるための手段であるはずのロックダウンそのものは、上海と上海市民にとっての大災難となっているのである。 問題は、それほどのコストを払って強行された上海ロックダウンは果たして、コロナ感染拡大の封じ込めという当初の目的を達成しているかである。4月27日現在の状況からすれば答えはやはり「NO」である。というよりもむしろ、ロックダウンの中で感染拡大は酷くなる一方である。 3月26日、ロックダウンされた前日の上海市内で確認された感染者数は45名で、無症状感染者数が2631名であった。しかし、ロックダウンされて約1ヵ月が経った4月25日、同じ上海市内で確認された新規感染者数が1661名、無症状感染者数が1万5319名である。 つまり、数字を見る限り、ロックダウンによって感染者数が減らされたのではなくむしろその逆である。まさに前代未聞の厳しいロックダウンの中において、実は感染者数と無症状感染者数の両方は大幅に増えているわけである。 その原因についての探求は本論考の範囲外であるが、一つ確実に言えるのは、要するにロックダウンという措置は上海市内の感染拡大の封じ込めに全く役に立っていない、ということだ。この1ヵ月のロックダウンは単に、副作用としての大災難こそを招いた効果なしの無駄策だったのである』、「ロックダウン」が成功した武漢市は、人口1180万人と、「上海」の「2600万人」より小粒で、「オミクロン変異株」のように複雑化してなかった。
・『誰の責任かはよくわかっている  ここまできたら、ロックダウンを目玉とする政府当局のコロナ対策は、もはや完全に失敗していると言わざるを得ない。そしてこの失敗はすなわち、中国の独裁者である習近平主席その人の失敗でもある。 3月25日掲載の「もはや“アリ地獄”…『ゼロコロナ政策』に固執する習近平の思考回路」で指摘したように、上海など大都市でロックダウンという厳重措置が取られたことの背後には、習主席の主導下で推し進められてきた「ゼロコロナ」政策がある。 今までは、コロナウイルスの完全撲滅を目指すこの極端な政策の貫徹こそが、中国におけるコロナの封じ込めを成功へと導いた最大の要因であったから、「ゼロコロナ」政策はいつの間にか習近平政権の一枚看板の政策となっていて、「社会主義制度の優越性」の印にさえなっているのである。 それだからこそ、習主席は今になっても「ゼロコロナ」政策の堅持に異様なほどに固執している。だが、問題は、感染力の非常に強いオミクロン変異株の出現によって、コロナの完全撲滅はすでに不可能となっていて、「ゼロコロナ」政策自体は現実性を失っていることである。 それでも習主席は、自らの看板政策を守るべく、ゼロコロナ政策の継続にあくまでも固執し、中央と各地方政府にこの政策の貫徹を強要している。 実際、上海ロックダウンの実施はまさに中央から派遣された「督査組」の強い指導下で始まったものである。政治局員・副首相の孫春蘭氏が「習主席指示の貫徹」と称して数回にわたって上海入りして陣頭指揮をとったことは周知の通りである。 つまり、中国における「ゼロコロナ」政策推進の司令塔が習主席本人であることと、上海ロックダウンを指示したのが習主席自身であることは、今の中国では周知の事実である。習主席=「ゼロコロナ」政策、ゼロコロナ政策=ロックダウンは中国国内の常識とさえなっている。 しかしその結果、この乱暴にして極端な「ゼロコロナ」政策の推進が習主席自身のイメージダウンにつながるだけでなく、その政策の失敗もまた、習主席の権威を大きく傷つけて彼の「バカ殿ぶり」を天下に晒し出しているのである』、「この乱暴にして極端な「ゼロコロナ」政策の推進が習主席自身のイメージダウンにつながるだけでなく、その政策の失敗もまた、習主席の権威を大きく傷つけて彼の「バカ殿ぶり」を天下に晒し出しているのである」、「彼の「バカ殿ぶり」を天下に晒し出している」、もう日本国籍を取得した筆者ならではの遠慮のない書きぶりだ。
・『批判押さえ込みの大キャンペーン  こうした中で、ロックダウンによって多くの苦難を強いられた上海市民の不満と憤りのその矛先の向かう先が、まさに習主席その人であるとは言うまでもない。上海市共産党委員会の書記でロックダウンの現地責任者の李強氏が、習主席の側近幹部として上海に送り込まれたことからしても、市民の憤りがもっぱら習氏に向かっていくのはなおさら当然のことであろう。 独裁者を公然と批判することはできないが、「あのバカのせいでこうなった!」と多くの上海市民が思っているのであろう。 流石の習主席も、自らの主導する「ゼロコロナ」政策に対する国内の反感・反発の強さを感じ取ったのだろうか。 4月13日、習主席は視察先の海南島でコロナ対策に言及して、「ゼロコロナ」政策の堅持を改めて強調した。そして、それに呼応するような形で、同じ4月13日からは、新華社通信、人民日報、中央テレビ局などの共産党宣伝部直轄下の中央メデイアは一斉に、「動揺せずに“ゼロコロナ”政策を堅持せよ!」、「“ゼロコロナ”政策を堅持し、動揺せず躊躇わず」と題する論説や記事を大々的に掲載して、「“ゼロコロナ”政策万々歳!」の宣伝キャンーペンを始めたのである。 中国の政治を熟知している人ならばよく分かるように、「ゼロコロナ」政策擁護の宣伝キャンーペンがこうして一斉に展開され始まったことは、まさにこの政策に対する国内の批判が高まっていることの裏返しであって、政策が失敗に終わろうとしていることの証拠である。 共産党中央宣伝部部長の黄坤明氏は、習主席の福建省・浙江省勤務時代からずっと主席に追随してきた腹心の一人でもあるから、上述のゼロコロナ政策擁護キャンペーンの展開は、習主席陣における危機感の高まりの現れでもあろう。 このままでは、ボスの習主席のさらなる権威失墜は必至だから取り巻きの人々も必死である。しかし、習主席陣営が守りに入って自分たちの政策の「防衛戦」を強いられるようなこと自体はむしろ、強固に見える習近平独裁体制がボロを出していることの証左であろう。 このことは秋の党大会に向け政治闘争に発展しかねない事態である。そして、この空前の失政を横目に党内で存在感を増している人物がいる。李克強首相である。 その静かな政治パフォーマンスのあり方と水面下での対立構造を、後編「習近平コロナ失政に『無関心』で高まる李克強の存在感の意味すること」で明らかにしていきたい』、早く続きを読みたいものだ。

第三に、この続きを、5月2日付け現代ビジネスが掲載した在日評論家の石 平氏による「習近平コロナ失政に「無関心」で高まる李克強の存在感が意味すること コロナは個人独裁の綻びの始まり・後編」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/94862?imp=0
・『李克強首相の深謀遠慮  1ヵ月前から続いている中国・上海の都市封鎖は、経済活動や住民の生活に名状しがたい混乱を与えながら、肝心のコロナ感染を全く制圧できていないという、大失策となっている。 前編「習近平の『ゼロコロナ』への固執が招いた上海ロックダウン地獄絵図」で解説したように、秋の党大会を見すえて実績作りに狂奔した習近平国家主席の失態だが、その一方、このコロナ対策における習主席の大失敗・失態を横目にして、自らの管轄する領域で存在感を発揮している指導者もいる。党内における習主席最大のライバルであって対抗勢力筆頭の李克強首相である。 上海がロックダウンされている中で、李首相はどのような動きをしているのか。それを時間順に追って見ていけば実に興味深いものがある。 まずは上海ロックダウンが始まった直後の3月29日、李首相は国務院常務会議を主宰したが、会議のテーマは特大交通事故の防止や経済上の投資拡大の促進であってコロナ対策や「上海」とは全く無関係であった。 そして4月7日、李首相は再び国務院常務会議を主宰した。今度の議題は年金政策・失業対策の調整と研究であって、やはり「コロナ」とも「上海」とも関係はない。4月9日、李首相は「経済情勢に関する専門家・企業家座談会」を主宰し、参加者たちの声に耳を傾けたが、コロナのことも上海のことも一切話題に出ていない。 そして4月11日、李首相は視察先の江西省で「一部地方政府責任者座談会」を主宰し、参加者たちと共に経済成長の維持について討議した。江西省の党委員会書記・省長がリアルで参加した以外に、遼寧省・浙江省・広東省・四川省4省の省長はオンライン参加した。 4月13日、李首相はまたもや国務院常務会議を主宰し、「消費促進」などに関し具体策を討議しそれを決定した。4月14日、李首相は来る洪水・旱魃期における「洪水対策・旱魃対策」に関して、関連中央官庁と各地方政府に「重要指示」を出した。そして4月25日、李首相は「国務院第5回廉政会議」を主宰、「清廉潔白の政治」の実現について参加者たちと討議して「重要講話」を行なったという』、コロナの話題を避けたのはまさに見事だ。
・『上海ロックダウンには一言も触れず  このように、上海ロックダウンの1ヵ月を通して、李首相は地方視察をしたり一連の会議・座談会を主宰したりして精力的に動き回っていることがわかる。これを見る限り彼の首相としての存在感は十分に示されていると思うが、その反面、この一連活動において、首相の彼が見事と言って良いほど、コロナ対策の話と上海ロックダウンの話に一切ノータッチの姿勢を貫いていることは特徴的である。 上述の一連の会議・座談会では李首相は、喫緊のコロナ感染拡大のことに一切触れず、コロナ対策についても一言も語らない。そして、上海という2600万人の大都会がロックダウンされているという国家の一大事に関しては、李首相は、ただ見て見ぬふりしているのである。 普段ではそれはあり得ない話である。李首相の立派な「職務放棄」であるとも言えよう。それでも李首相が、そんなことは百も承知の上でコロナ対策と上海のことに一切触れない姿勢を貫いたのは、彼なりの政治上の深謀遠慮があるのであろう。 彼がこのような姿勢をとった狙いの一つはやはり、国民から大きな反感を買っている「ゼロコロナ」政策を自分自身から完全に切り離して、首相としての自分はこの不人気な政策に一切関わってないことを国民に明確に示すことにあるのであろう。つまり彼は全国民に向かって、「俺がこんな馬鹿げた政策には全く無関係だぞ」と言いたかったのであろう。 それと同時に彼はまた、自分が「ゼロコロナ」政策にも上海のロックダウンにもむしろ反対していることを暗に示唆しているのである。首相として独裁者習主席の看板政策に公然と異を唱えることはできないが、「ゼロコロナ」政策に一切ノータッチする態度を徹底的に貫く彼の言動は誰から見ても、この政策に対する反対姿勢の表れでしかない』、「「ゼロコロナ」政策に一切ノータッチする態度を徹底的に貫く彼の言動は誰から見ても、この政策に対する反対姿勢の表れでしかない」、その通りだ。
・『秋の党大会に向け政治闘争の予感  その一方、李首相は、経済成長・消費拡大・失業対策などの課題で連日会議を開いて具体的対策を講じ、国民の関心に答えて国の実情に沿った政策を進める政策派・実務派首相として存在感を発揮している。 4月12日、中国銀行所属の著名経済学者の管濤氏は「毎日経済新聞」の関連記事に登場して、「専門家・企業家座談会」を主宰した李首相については、「首相は各業界の抱える問題と困難を詳しく把握しており、問題のポイントをきちんと押さえている。人々は中央上層部が当面の情勢を把握していないのではないかとの心配があったが、李首相は実情をきちんと理解しているだけでなく、具体的対策も持っているから心が強い」と語った。 党中央のメデイアで「習近平崇拝」が圧倒的な論調となっている中て、上述のような赤裸々な「李克強礼讃」が著名経済学者の口から堂々と吐かれて新聞紙にと登場するようなことは中国では滅多にない。 捉えようによっては、「実情に通じる実務派首相」の李氏に対する称賛はまさに、「実情を無視してゼロコロナ政策強行」の習主席に対する当て付けでもあるのである。 言ってみれば、習近平の失敗を横目に、李首相は自らのイメージアップ作戦に成功して株を上げているが、ひょっとしたら李首相は、今後も続く習主席のコロナ対策の失敗とそれに伴う主席自身の権威失墜を見据えて、それに取って代わる指導者としての自分自身の地歩を固めているのかもしれない。 秋の党大会に向かっての党内闘争が今後どういう展開を見せてくるのかはいまだ未知数であるが、一つ確実に言えることはすなわち、自らの主導する「ゼロコロナ」政策の失敗によって習主席の個人独裁体制はすでに綻び始めていることである』、北京でも自宅待機が要請され始めたようだ。上海に加え、北京まで「ロックダウン」とでもなれば、事態はさらに混乱の度合いを増す。一時は「習主席」は圧倒的に優位だったが、「「ゼロコロナ」政策の失敗によって習主席の個人独裁体制はすでに綻び始めている」、面白い展開になってきた。
タグ:石 平氏による「習近平の「ゼロコロナ」への固執が招いた上海ロックダウン地獄絵図 コロナは個人独裁の綻びの始まり・前編」 現代ビジネス 「権威主義的体制では、指導者の政策の間違いを正すには、政権を倒す体制変革、最悪の場合武力による革命が必要になる。重要なことは、そのとき、多くの人々の生活や生命が犠牲になってしまう」、「欧米や日本の自由民主主義体制ならば、指導者の政策の間違いを修正するのは、それほど難しいものではない。基本的に情報がオープンであることを通じて国民は指導者の間違いを知ることができるからだ。 そして、間違いは選挙を通じてやり直すことができる。それが、一見地味ではあるが、自由民主主義にあって他の政治体制にはない最大のメリットである 「「ゼロコロナ」政策は、中国が新型コロナ対策で世界を指導する地位にあること、中国の政治体制が自由民主主義より優れていることをアピールする政策であったので、その変更は極めて難しいのだ。 むしろ、中国政府は「ゼロコロナ」政策をより徹底的に行うことを指示している」、「「ゼロコロナ」政策を貫いてきた中国が、新型コロナの感染拡大に苦心惨憺している」、科学的視点より政治的視点を重視したツケだ。 「英国と同様に、他の欧米諸国や日本などは、ワクチン接種で重症化防止措置を取れば、あとは手洗い、消毒、マスク着用で感染を防止し、社会活動、経済活動を平時に戻していくという「ウィズコロナ」の方向性に向かっている」、「「ゼロコロナ」を世界に誇っていた中国は、習近平国家主席の強力な指導力による「ゼロコロナ政策」を貫き通そうとした」、思い上がった「ゼロコロナ」の罠に囚われたようだ。 『ゼロコロナ』の「成功体験」に囚われて、「欧米諸国など」が「ウイルスと共存・共生しながら社会を正常化していく方針に転換した」のに取り残されたようだ。 中国が直面するジレンマとは興味深そうだ。 「ロックダウン」が成功した武漢市は、人口1180万人と、「上海」の「2600万人」より小粒で、「オミクロン変異株」のように複雑化してなかった 「市内を視察した上海市党委員会書記が市民に面罵されるという共産党政権下ではめったにない珍光景が見られるまでになった」、確かに驚くべきことだが、市民の怒りの強さを示しているようだ。 上久保誠人氏による「中国のゼロコロナ固執で露呈した、「習近平国家主席は絶対正しい」の限界」 北京でも自宅待機が要請され始めたようだ。上海に加え、北京まで「ロックダウン」とでもなれば、事態はさらに混乱の度合いを増す。一時は「習主席」は圧倒的に優位だったが、「「ゼロコロナ」政策の失敗によって習主席の個人独裁体制はすでに綻び始めている」、面白い展開になってきた。 「この乱暴にして極端な「ゼロコロナ」政策の推進が習主席自身のイメージダウンにつながるだけでなく、その政策の失敗もまた、習主席の権威を大きく傷つけて彼の「バカ殿ぶり」を天下に晒し出しているのである」、「彼の「バカ殿ぶり」を天下に晒し出している」、もう日本国籍を取得した筆者ならではの遠慮のない書きぶりだ。 早く続きを読みたいものだ。 「「ゼロコロナ」政策に一切ノータッチする態度を徹底的に貫く彼の言動は誰から見ても、この政策に対する反対姿勢の表れでしかない」、その通りだ。 コロナの話題を避けたのはまさに見事だ。 石 平氏による「習近平コロナ失政に「無関心」で高まる李克強の存在感が意味すること コロナは個人独裁の綻びの始まり・後編」 ダイヤモンド・オンライン (その23)(中国ゼロコロナ政策)(中国のゼロコロナ固執で露呈した 「習近平国家主席は絶対正しい」の限界、習近平の「ゼロコロナ」への固執が招いた上海ロックダウン地獄絵図 コロナは個人独裁の綻びの始まり・前編、習近平コロナ失政に「無関心」で高まる李克強の存在感が意味すること コロナは個人独裁の綻びの始まり・後編) パンデミック(経済社会的視点)
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先ずは、3月24日付けJBPressが掲載したジャーナリストの福島 香織氏による「「ウィズコロナ」に転換したら何が起こるか? 中国が恐れる不都合な事態 中国はなぜゼロコロナ政策に固執するのか」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69430
・『現在、国際社会にとってウクライナ戦争が最も深刻な大事件なので、メディアはしばし新型コロナウイルス感染症やオミクロン株のことを忘れたかのようだが、実は中国では相変わらず厳しいゼロコロナ政策が採られ、吉林省長春、上海など多くの地域で都市封鎖、地域封鎖が続けられている。 3月22日に深圳の都市封鎖が解除されたかと思えば、今度は遼寧省瀋陽市全市の住宅区、農村のロックダウンが始まった。早い話が、いくらゼロコロナ政策を続けていても、オミクロン株の感染拡大は防げていない。 幸い死者数はさほど増加しておらず、中国のゼロコロナ政策は成功している、という当局の姿勢に変化はないが、経済、生活に対する悪影響は深刻で、一体いつまでこうしたゼロコロナ式都市封鎖を続けていくのか、という恨み節がそろそろ隠せなくなっている』、興味深そうだ。
・『続けていくべきか?党内専門家の間でも議論  ゼロコロナ政策とは中国語で「動態清零」と呼ばれ、感染者が見つかると、その感染者が行動した地域を丸ごと封鎖し、徹底的なPCR検査によって感染が広がっていないと確認されるまで物流や人流を凍結させるやり方だ。 中国は2020年1月に武漢で感染拡大してから、習近平が自ら指揮をとるゼロコロナ政策を、コロナ対策の基本としてきた。このやり方で、2月の北京冬季オリンピック、3月のパラリンピックも強引に成功させたのだった。 だが、実のところ冬季五輪前から感染力の極めて強いオミクロン株が中国でも拡大しており、強感染力の感染症をゼロコロナ政策で防ぐのは事実上無理ではないかという議論が党内専門家の間でずっと続いている。 3月11日の全人代閉幕時の李克強首相の記者会見では、ゼロコロナ政策についての質問に「起こり得る変化に速やかに対応しつつ、少しずつ物流や人の行き来を正常化させていく」と答え、中国もついにゼロコロナ政策を軌道修正していくというシグナルではないか、という見方もあった』、「李克強首相」がウィズコロナへの転換を示唆したとは初めて知った。
・『「最少の代償で最大の防疫効果を」と習近平  中国の2022年の経済成長目標は5.5%と国際社会の予想よりもずっと低い。中国経済が直面する状況を、非常に厳しく見積もっているからだ。2021年第1四半期は前年同期比18.3%で、他国に先駆けてコロナ禍からいち早く経済回復基調に乗ったかのように見えた。だが第3四半期は4.9%、第4四半期は4.0%と一気に減速した。その原因の1つが、ゼロコロナ政策の長期化だったと見られている。 他国に比べて新型コロナの感染が広がっていないにもかかわらずゼロコロナ政策の方針に従って大規模な地域封鎖や隔離を実施し、経済が戻りかけては、またブレーキをかけてしまう。その繰り返しが消費を冷え込ませ、需要の縮小に拍車をかけたというわけだ。 だが、中国国家衛生健康委員会副主任で国家疾病コントロール局の王賀勝局長は「ゼロコロナ政策が中国の国情に合っており、科学的にも正しく効果も上がっていることは、事実が証明している」と3月18日の会見で発表。ゼロコロナ政策が一部の社会生活や生産に悪影響を与えているとしても、この影響は短期的で範囲も限定的だとして、政策の見直しの可能性を否定した。いわく「どんな感染症対策であっても一定の代償は支払わねばならない。人民の生命の安全と身体の健康を守るために、代償を支払う価値はあった」。 中国規律監督委員会サイトによれば、習近平は3月17日に中央政治局常務委員会議を招集し、防疫工作における「ゼロコロナ政策」の社会コストについて、最小の代償で最大の防疫効果を実現し、経済社会の発展に対するマイナス影響を最小限に抑えるよう努力せよと強調した。つまり習近平には、ゼロコロナ政策を撤回する意思は全くないのと同時に、ゼロコロナ政策による経済成長低下などネガティブな影響も認識しているということである』、「習近平」は、「ゼロコロナ政策による経済成長低下などネガティブな影響も認識している」が、「ゼロコロナ政策を撤回する意思は全くない」ようだ。
・『厳しい行動管理で生活苦に  長期化するゼロコロナ政策の有効性と、経済悪化、物価上昇という代償のバランスが本当にとれているかどうかは、当局の情報統制などによって実際のところは不透明な状況だ(当局はゼロコロナリスクのネガティブ報道を禁じている)。すでに一部ネットユーザーたちがゼロコロナ政策への不満をSNSなどで語り始めているが、こうした投稿もすぐさま削除されている。 たとえば河北省郊外に住み北京で仕事をしている人々の中には、ゼロコロナ政策によって、省境を超えて移動できず、帰宅できないコロナ帰宅難民もかなりいるという。 感染者が1人でも出れば地域の全員がPCR検査を受けて陰性を証明しない限り足止めが解けないため、零下の極寒の中であろうが大雪の中であろうが、何時間、何十時間と屋外で待たねばならなかったり、施設に閉じ込められたりする。そういう不自由な目に遭う市民が、ときおり写真をSNSに投降して不満をぶつけるのだが、そうした写真ですら削除対象になっている。 3月21日の人民ネットによれば、遼寧省では新たな感染者が67人確認されており、うち瀋陽市は7人、大連市は5人、営口市は55人だった。また183人の無症状感染者も新たに確認された。感染人数としてはわずかと言えるのだが、このため3月22日から、瀋陽市の住宅街、郊外の村はロックダウン式管理が始まった。住民全員にPCR検査を行い、居民出入証を発行する。住民はその出入証に基づいて行動が管理されることになる。 住民たちは微博やSNS上で、こうした対処について、「もっと前もって言ってよ!」「防疫のやりすぎだ。病院に入院していた患者を全員追い出している」「人道があるのか。生活が苦しくなっている。金をくれ!」といった不満の書き込みを投稿していたが、これもすぐに削除されてしまうのだった。 吉林省長春市のロックダウンは3月11日から始まり、なお継続中だ。22日も新たに1979人の感染者が確認された。ある宅配便配達員がロイターの取材に対して「90%の市内のコミュニティ(小区)が封鎖されている。地元住民に呼び止められ、ただ封鎖が解かれるのを待つしかない、この街には全く希望がない、と言われた」などと語っていた。 一方で、吉林省では1万人以上の感染者が出ているにもかかわらず、死者が1月以降、3月18日までの段階で2人に抑えられていることこそが、ゼロコロナ政策の成功の証、という評価もある』、「当局はゼロコロナリスクのネガティブ報道を禁じている」、ため、断片的情報から推察するしかなさそうだ。
・『中国はなぜゼロコロナ政策に固執するのか  動態清零」ゼロコロナ政策は、台湾、香港、中国で実施されてきた。このうち、実質的にゼロコロナをほぼ成功させ、感染状況を落ち着かせたのは台湾だけである。 香港はゼロコロナ政策の完敗で、2021年末からオミクロン株の感染が拡大し、人口750万人の同地域で106万人以上の感染者を出し、死者を6000人近く出している。結局香港当局は、事実上ゼロコロナ政策の失敗を認める形で政策を転換した。4月1日以降、禁止していたアメリカやイギリスなど9つの国からの航空機乗り入れを再開し、香港到着後の強制隔離期間を14日間から7日間に短縮する。また外食産業、映画娯楽産業に対する規制も4月下旬以降緩和していくと発表している。) だが、中国は今のところゼロコロナ政策に固執しているようだ。それはなぜなのか。 中国国家衛生健康委員会・感染症対応処置工作指導チームの専門家組長、梁万年はCCTV(中国中央電視台)のインタビュー番組で、中国は多くの国家と違って現行の防疫措置政策を転換できないとし、その理由として目下のワクチン接種率を挙げた。特にブースター接種率が高くなく、老人や虚弱な体質の人々が依然として感染しやすい状況にあると説明していた。 梁万年は「もし中国でワクチン接種が強化され、科学技術研究が加速して治療薬、ワクチン開発が進めば、そしてオミクロン株がまた変異してより感染率や致死率が低くなれば、それがもっと良い(ゼロコロナ政策を転換する)機会となる」とも説明していた。 梁万年の発言はブースター接種率の問題に焦点をずらしているのだが、実は中国製ワクチンの効き目の問題ではないか、という説もある。香港当局がこの2カ月の香港内の新型コロナ肺炎による死者5100人について調べたところ、1300人がワクチン接種済で、そのうちシノバックワクチンを選択したのは87%だった。このことから、シノバックワクチンがファイザーなどのワクチンよりも予防効果が劣っていたのではないか、と言われている。 ただ、一部親中派の香港専門家は、死者の多くが長期療養中の高齢者で、高齢者はもともと体が弱く、副反応が比較的穏やかなシノバックワクチンを推奨されていたと説明し、シノバック=予防効果が低い=死亡率が高い、という図式にはならない、としている。もし、シノバックワクチンに重症化や死亡率を防ぐ効果がないのなら、中国製不活化ワクチンしか選択肢がなかった中国で死者が少なかったことの説明がつかない、とも指摘する。だが、これについては、中国の新型コロナに関する感染者数や死者数が本当に正しいかどうかを疑問視する声もある』、「香港内の新型コロナ肺炎による死者5100人について調べたところ、1300人がワクチン接種済で、そのうちシノバックワクチンを選択したのは87%だった。このことから、シノバックワクチンがファイザーなどのワクチンよりも予防効果が劣っていたのではないか、と言われている」、やはり中国製の限界だ。
・『「ウィズコロナ」に転換すると何が起きるか  ゼロコロナ政策は習近平の肝煎りの政策であり、途中で転換することは、習近平にとっては一種の敗北である。 しかも、中国製ワクチンに期待されていたほど予防効果、重症化予防効果がないならば、もしもゼロコロナ政策から欧米並みの「ウィズコロナ」(コロナと共存)政策に転換したとき、欧米以上の感染拡大や重症化が引き起こされる可能性もあるわけだ。農村部の医療保険体制の不十分さや人口に対する医療資源の少なさを考えれば、いったん感染が拡大し重症化率が高まると、2020年1月に武漢で新型コロナがアフトブレイクしたときのような阿鼻叫喚のパニックに再び陥ることは十分考えられる。 ちなみに2017年の段階で中国の1万人当たりの医者の数は22人で、これは米国の26人(2018年統計)よりもちょっと低いくらいのレベルなのだが、医師、病院は一部の都市に集中している。たとえば、中国の上位100の病院のうち半分は北京、上海、広州に集中している。ICUの数も、公式の調査は2015年以降行われていないので最近の状況はつかめないのだが、復旦大学の数名の医師による論文の中での予測数値によれば、10万人あたり4.37床で、米国の34.7床、イタリアの12.5床などよりもかなり少ない。 つまり「ウィズコロナ」に政策転換して、感染が拡大すれば、予想を超える重症者、死者が増える可能性がある。しかも中国が途上国に恩着せがましくばらまいていたワクチンが、実はほとんど役に立たないこともばれてしまい、ワクチン外交の失敗が決定づけられるリスクもあるのだ。 とはいえ、国際社会がウィズコロナで経済活動を回復させていく中で、中国がゼロコロナ政策で鎖国状態を継続し、思うように経済を回せない状況が続くと、人民の生活もじわじわ逼迫し、社会不満も募っていく。 つまり、ゼロコロナ政策を転換しても、あるいはしなくても、習近平にとっては党内アンチ習近平派からの「政策の失敗」という批判の根拠になりうるわけだ。 これが、秋の第20回党大会で習近平が狙う第3期目任期継続の野望にどう影響するのか。ウクライナ戦争と並ぶ中国政治にとっての大きな不確定要素と言えそうだ』、「農村部の医療保険体制の不十分さや人口に対する医療資源の少なさを考えれば、いったん感染が拡大し重症化率が高まると、2020年1月に武漢で新型コロナがアフトブレイクしたときのような阿鼻叫喚のパニックに再び陥ることは十分考えられる」、「ゼロコロナ政策を転換しても、あるいはしなくても、習近平にとっては党内アンチ習近平派からの「政策の失敗」という批判の根拠になりうる」、「秋の第20回党大会で習近平が狙う第3期目任期継続の野望にどう影響するのか。ウクライナ戦争と並ぶ中国政治にとっての大きな不確定要素と言えそうだ」、当面の大きな注目点だ。

次に、4月21日付けJBPressが掲載した近藤 大介氏による「北京のコロナ責任者が失脚、ゼロコロナ政策の不首尾で中国指導部に地殻変動 東アジア「深層取材ノート」(第134回)」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69841
・『「動態清零」(ダイナミック・ゼロコロナ)という独自のコロナ対策に固執する中国で、「コロナ政局」とも言える状況が、むくむくと蠢動している――。 4月16日午後3時、中国共産党中央紀律検査委員会・中華人民共和国国家監察委員会の合同のホームページで、漢字41文字からなる短文の「通知」が発表された。 <北京市政協副主席・于魯明は、厳重な紀律法律違反の嫌疑により、現在まさに、中央紀律検査委員会・国家監察委員会の紀律審査及び監察調査を受けている> 2200万北京市民は、このサラリと書かれた通知の「対象者」を見て、仰天した。于魯明(う・ろめい)氏は、北京市の新型コロナウイルス対策のトップ、北京市衛生健康委員会主任を務めているからだ。北京市トップの蔡奇(さい・き)北京市党委書記の右腕として、首都のコロナ対策全般を仕切っていた重要人物なのだ』、興味深そうだ。
・『権力の階段を駆け上った元精神科医  于魯明主任は、1961年12月に北京で生まれた。北京医学院を卒業し、精神科医となった。だが、医師としてよりも、医療行政や政治方面に関心を示していく。1986年に中国共産党の友好党である農工党に入党し、1992年には中国共産党にも入党した(二重党籍)。その後、北京市南部の大興区の副区長や衛生局長などを経て、北京市病院管理局長となった。 2016年10月、習近平主席の福建省、浙江省時代の側近だった蔡奇氏が、習主席の「鶴の一声」で、北京市党委副書記兼副市長となった。蔡氏は、翌2017年1月に北京市長になり、同年6月には、市トップの北京市党委書記に就任した。 さらに、同年10月の第19回中国共産党大会で、習近平総書記が満場一致で再任されると、蔡書記は党中央政治局委員(トップ25)に選出された。今年2月4日には、北京冬季オリンピック・パラリンピック組織委員会主席として、オリンピック開会式で挨拶を行っているので、日本でも記憶にある人がいるかもしれない。 そんな蔡奇北京市党委書記が、全幅の信頼を置いていたのが于主任だった。2018年11月、蔡書記が主導した北京市政府の機構改革で、医療保障局を新設すると、于氏を初代医療保障局長に据えた』、「「動態清零」(ダイナミック・ゼロコロナ)政策」が改めてお墨付きを得た形だ。
・『「習近平-蔡奇-于魯明」ライン  2020年に入って、北京も含めた中国全土が新型コロナウイルスで激震すると、同年11月に于氏を、北京市政協副主席兼北京市衛生健康委員会主任に抜擢した。衛生健康委員会は、日本で言えば厚生労働省にあたり、中国で新型コロナウイルス対策を統括している官庁だ。 于主任は、北京冬季オリンピック・パラリンピックの準備に忙しい蔡奇党委書記に代わって、習近平主席が厳命する「動態清零」(ダイナミック・ゼロコロナ)政策の旗振り役となった。つまり、日本を含めて現在、世界の主流となっている「コロナとの共存」は目指さないということだ。 昨年、習近平政権が「三人っ子政策」を打ち出すと、于主任は、今年1月に開かれた北京市の人民代表大会・政協会議の場で、「子供を養育する費用を下げて、北京市の出生率を上げていかなければならない」と力説した。于主任が最後に公の場に顔を出したのは、4月8日で、北京市政協の常務委員会会議に出席した。 「厳重な紀律法律違反の嫌疑により、紀律審査及び監察調査を受けている」と記されれば、想起されるのは汚職や腐敗だ。だが、于主任は医療分野での汚職・腐敗撲滅運動の旗振り役も務めていただけに、その理由かどうかはっきりしない。) ともあれ、首都・北京で、「習近平-蔡奇-于魯明」という「動態清零」政策のラインの一角が、崩壊してしまったのだ。このため北京では、「すわ、コロナ政局か?」という声が上がっている』、「「すわ、コロナ政局か?」という声が上がっている」、実態はどうなのだろう。
・『習近平総書記の腹心、市民から罵倒される様子がSNSに  今年は、後半に第20回中国共産党大会を開く「政治の年」である。本来なら11月で「2期10年」を勤め上げる習近平総書記は、引退しなければならない。 ところが習総書記は、異例の「3期目続投」を目論んでいる。中国共産党内には、この「習総書記3選」に反対する勢力も存在する。そのため、「世界最大規模の権力闘争」が、水面下で始まっているのだ。 そんな中、習近平体制のアキレス腱になっているのが、「動態清零」政策による中国経済の低迷と、ウラジーミル・プーチン大統領との「盟友関係」を基軸としたロシアにベッタリの外交だ。 中でも、3月28日から中国最大の経済都市・上海で行っている事実上の「封城」(ロックダウン)は、2500万上海市民の怒りを買っている。このままGWの連休に突入する可能性も出てきたことで上海市民のストレスは、いまや「爆発」寸前だ。 4月11日には、厳しい統制国家の中国ではあり得ないような映像が、SNS上で拡散した。上海市トップの李強(り・きょう)上海市党委書記が、市内のマンション群を視察中に、市民たちから罵倒されたのだ』、「上海市党委書記が、市内のマンション群を視察中に、市民たちから罵倒された」、「党委書記」が「罵倒」されるとは、よほどのことだ。
・『習近平総書記の3選阻止を阻止しようとする者たち  李強書記は、浙江省瑞安の出身で、習近平主席が浙江省党委書記(省トップ)だった後半の2004年から2007年まで、習書記の最側近の秘書長を務めた。当時を知る上海人が証言する。 「習近平浙江省党委書記はたびたび、李強秘書長を伴って、上海西郊賓館で隠居生活を送る江沢民(こう・たくみん)元総書記のもとを訪れていた。それで習総書記は、2017年10月の第19回共産党大会で権力固めを行った後、満を持して李強氏を、上海市党委書記に抜擢したのだ。 つまり李強書記は、上海における『習近平代理人』だ。加えて、来年3月に引退する李克強(り・こくきょう)首相の最有力後継者とも囁かれている。それだけに、李書記が上海市民に罵倒される映像が拡散したことは、李書記の次期首相就任を阻止する、ひいては習近平総書記の3選を阻止しようという動きとも見られるのだ」 かつて2006年にも、「ポスト胡錦濤(こきんとう)総書記」を巡って、上海を基盤とする江沢民グループと、当時北京で政権を担っていた胡錦濤グループが激しく対立した。この時は、同年9月に、江沢民グループの有力な後継候補だった陳良宇(ちん・りょうう)上海市党委書記(当時)を、胡政権が北京で拘束してしまうという「事件」が起こった(懲役18年の実刑判決)。そこから、この両グループはさらに仁義なき権力闘争に明け暮れ、その結果、漁夫の利のようにトップに立ったのが、いまの習近平総書記だ。 歴史は繰り返す。習近平総書記の3選を巡る「コロナ政局」の行方から、目が離せなくなってきた』、「習近平」氏が、「江沢民グループ」と「胡錦濤グループ」の対立の「漁夫の利」を得て「党委書記」になったことを、改めて思い出した。

第三に、4月19日付け日刊ゲンダイが掲載したジャーナリストの姫田小夏氏による「上海ロックダウン 阿鼻叫喚の舞台裏(1)混乱の元凶は上海に「ゼロコロナ」を強要した中国中央政府」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/304072
・『上海は今、崩壊寸前だ。ロックダウンは2020年に武漢市でも行われたが、そもそも人口規模が違う。 武漢市の倍の約2500万人を抱える上海市では当初、ロックダウンは危険すぎて計画されていなかった。 昨年のコロナ蔓延後も感染者は少なく、ロックダウンはおろか全住民を対象にしたPCR検査も経験したことがない上海だったが、今年3月に入りオミクロン株の感染者が急激に増えた。上海市政府は同15日の記者会見で「ロックダウンは必要ない」として住宅地ごとの封鎖にとどめていたが、突然、市の東側の浦東は28日から、西側の浦西は4月1日から全面封鎖された。 流れが変わったのは3月22日だった。この日、上海市に国務院督査組が派遣され、上海市トップの李強・党委員会書記ほか、市首脳陣と話し合いが行われた。督査組とは党中央の政策を徹底指導する組織だ』、「上海市に国務院督査組が派遣され」、「上海市」のやり方に対する「党中央」の不信感の表れだろう。
・『背景に江沢民vs習近平の政治対立も  上海はこれまで、感染症専門の張文宏氏(復旦大学付属華山医院感染科主任)の分析のもと、オミクロン株に対しては「ゼロコロナ」ではなく、「ウィズコロナ」に近いやり方が採られてきた。 張氏については「欧米や日本などの諸外国のモデルを取り入れる国際派」との評価もあり、教育水準の高い居住者が集まる上海では支持を得ていた。 ところが、中央政府から派遣されてきた、この督査組が「ゼロコロナ政策は不変だ」だとゴリ押しし、“上海式”を頭から否定した。その後、張氏の姿は公の場から消え、浦東では28日からロックダウンが始まった。 「ロックダウンは感染の封じ込めなどではなく、政治だ」と言い切る市民もいる。もとより、上海市の実力者でもある江沢民・元国家主席(上海閥)と習近平国家主席(太子党)の間には根深い政治的対立があり、今回の督査組の派遣も「コロナに乗じて上海閥を抑えつけたい習の意向だ」とささやかれている。 督査組がかけた圧力で、上海市は何の準備もないままにロックダウンに突入した。春節前に行われた武漢市のロックダウンは、長い休暇を家族や親戚と過ごすために大量の食料備蓄があったという点で大きく異なる。もっとも76日間も続いたロックダウンで、配給の食料の量や質に不満を訴える住民がいたのは武漢も同じだった。 上海市のロックダウンは「5日間で終わる」として開始されたが今なお解除されず、全面封鎖前から外出規制を受けてきた住民は、ほぼ1カ月間幽閉されていることになる。これも政治だというなら恐ろしい。「お上に盾突く上海の場合、武漢の76日では済まされないかも」という悪い冗談さえある。(つづく)』、「上海はこれまで」、「オミクロン株に対しては「ゼロコロナ」ではなく、「ウィズコロナ」に近いやり方が採られてきた」のが、「督査組が「ゼロコロナ政策は不変だ」だとゴリ押しし、“上海式”を頭から否定」、「上海市は何の準備もないままにロックダウンに突入した」、これでは市民生活は大変だ。

第四に、4月20日付け日刊ゲンダイが掲載したジャーナリストの姫田小夏氏による「上海ロックダウン 阿鼻叫喚の舞台裏(2)習主席の子飼いも市民“ガン無視”…豊かになった上海人に「自由」の目覚め」を紹介しよう。
・『4月12日、上海で公務員が自殺した。 銭文雄氏(55)の勤務先は上海市虹口区衛生健康委員会の情報センター。日本で言うなら厚生労働省の下部組織に当たり、感染状況のデータ管理にかかわるのが銭氏の仕事だった』、「感染状況のデータ管理にかかわるのが銭氏の仕事だった」、彼が自殺したとはどういう背景があるのだろう。
・『「彼の仕事量はあまりに多かった」  中国語メディアは「彼の仕事量はあまりに多かった。このまま行けば自殺者は彼だけにとどまらないだろう」と伝えた。銭氏を含め、感染症対策の専門家たちは、“上司”からの非科学的で非現実的な命令に疲れ果てているという。 非現実的な命令とはすなわち「ゼロコロナ政策」であり、その“総司令官”こそが上海市トップの李強氏(62・党上海市委員会書記)だ。市内の住宅区を視察した際、住民から「食べ物がない」「恥を知れ」などと罵詈雑言を浴びせられた張本人だが、李氏への不満は、老人など弱者を含む一般庶民に限らない。上海の某大学教授はこうこき下ろす。) 「ニンジンやダイコンでも配給しておけば、上海市民はありがたがると思っていることからして、感覚がズレている。インターネット上では富裕層から『我々はヤギやウサギじゃない』『上海人をなめてんのか』といった不満が噴出しています」 プライドの高い上海市民は中央政府に決して従順ではなく、「中央政府から送り込まれた習近平国家主席の子飼い」といわれる李氏に対しては、なおさら“ガン無視”だった。 過去を振り返れば、上海は19世紀から対外貿易の窓口として発展し、租界を通して西欧文化を受容した。国際感覚を持ち合理的に思考する上海人には、今でこそ高層マンションが建つが僻地といわれる浙江省瑞安県出身でエリート教育とは無縁だった李氏やその“親分”(北京市出身)のやることなすことが、あまりにばかばかしく映る。 「中央の要求に対して、やらなくてもいいことまでやって点数を稼ごうとするから、大混乱になる」(前出の大学教授)) 李氏は習氏の第3期続投とともに「次期首相候補の一人」と噂されている重要人物だが「早晩、親分に見捨てられるのでは」とささやかれている。 上海市の感染者数は1万9000人を超えて高止まりのまま。感染拡大に歯止めがかからず、当局と市民は各地で衝突や小競り合いを繰り返している。 衣食足り、高収入を得る上海市民は、コロナ直前まで最先端の物質的生活を謳歌していた。静安区在住の60代の中国人男性は「それが最高の生活だと思っていたが、ロックダウンで『人間の自由』に目覚めてしまった」と語る。 4月3日、上海に医療支援を名目に解放軍2000人余が派遣されてきた。上海のロックダウンの目的はコロナではなく、市民動乱の封じ込めに目的が変わってきたのか。=つづく』、「僻地といわれる浙江省瑞安県出身でエリート教育とは無縁だった李氏やその“親分”(北京市出身)のやることなすことが、あまりにばかばかしく映る」、「李氏は習氏の第3期続投とともに「次期首相候補の一人」と噂されている重要人物だが「早晩、親分に見捨てられるのでは」とささやかれている。 上海市の感染者数は1万9000人を超えて高止まりのまま。感染拡大に歯止めがかからず、当局と市民は各地で衝突や小競り合いを繰り返している」、「上海に医療支援を名目に解放軍2000人余が派遣されてきた。上海のロックダウンの目的はコロナではなく、市民動乱の封じ込めに目的が変わってきたのか」、これでは「李氏」は「次期首相候補の一人」どころか、「早晩、親分に見捨てられる」可能性が高そうだ。
タグ:パンデミック(経済社会的視点) (その22)ウィズコロナVSゼロコロナ(「ウィズコロナ」に転換したら何が起こるか? 中国が恐れる不都合な事態 中国はなぜゼロコロナ政策に固執するのか、上海ロックダウン 阿鼻叫喚の舞台裏((1)混乱の元凶は上海に「ゼロコロナ」を強要した中国中央政府、(2)習主席の子飼いも市民“ガン無視”…豊かになった上海人に「自由」の目覚め) JBPRESS 福島 香織氏による「「ウィズコロナ」に転換したら何が起こるか? 中国が恐れる不都合な事態 中国はなぜゼロコロナ政策に固執するのか」 「李克強首相」がウィズコロナへの転換を示唆したとは初めて知った。 「習近平」は、「ゼロコロナ政策による経済成長低下などネガティブな影響も認識している」が、「ゼロコロナ政策を撤回する意思は全くない」ようだ。 「当局はゼロコロナリスクのネガティブ報道を禁じている」、ため、断片的情報から推察するしかなさそうだ。 「香港内の新型コロナ肺炎による死者5100人について調べたところ、1300人がワクチン接種済で、そのうちシノバックワクチンを選択したのは87%だった。このことから、シノバックワクチンがファイザーなどのワクチンよりも予防効果が劣っていたのではないか、と言われている」、やはり中国製の限界だ。 「農村部の医療保険体制の不十分さや人口に対する医療資源の少なさを考えれば、いったん感染が拡大し重症化率が高まると、2020年1月に武漢で新型コロナがアフトブレイクしたときのような阿鼻叫喚のパニックに再び陥ることは十分考えられる」、「ゼロコロナ政策を転換しても、あるいはしなくても、習近平にとっては党内アンチ習近平派からの「政策の失敗」という批判の根拠になりうる」、「秋の第20回党大会で習近平が狙う第3期目任期継続の野望にどう影響するのか。ウクライナ戦争と並ぶ中国政治にとっての大きな不確定要素と言えそうだ」、 近藤 大介氏による「北京のコロナ責任者が失脚、ゼロコロナ政策の不首尾で中国指導部に地殻変動 東アジア「深層取材ノート」(第134回)」 「「動態清零」(ダイナミック・ゼロコロナ)政策」が改めてお墨付きを得た形だ。 「「すわ、コロナ政局か?」という声が上がっている」、実態はどうなのだろう。 「上海市党委書記が、市内のマンション群を視察中に、市民たちから罵倒された」、「党委書記」が「罵倒」されるとは、よほどのことだ。 「習近平」氏が、「江沢民グループ」と「胡錦濤グループ」の対立の「漁夫の利」を得て「党委書記」になったことを、改めて思い出した。 日刊ゲンダイ 姫田小夏氏による「上海ロックダウン 阿鼻叫喚の舞台裏(1)混乱の元凶は上海に「ゼロコロナ」を強要した中国中央政府」 「上海市に国務院督査組が派遣され」、「上海市」のやり方に対する「党中央」の不信感の表れだろう。 「上海はこれまで」、「オミクロン株に対しては「ゼロコロナ」ではなく、「ウィズコロナ」に近いやり方が採られてきた」のが、「督査組が「ゼロコロナ政策は不変だ」だとゴリ押しし、“上海式”を頭から否定」、「上海市は何の準備もないままにロックダウンに突入した」、これでは市民生活は大変だ。 姫田小夏氏による「上海ロックダウン 阿鼻叫喚の舞台裏(2)習主席の子飼いも市民“ガン無視”…豊かになった上海人に「自由」の目覚め」 「感染状況のデータ管理にかかわるのが銭氏の仕事だった」、彼が自殺したとはどういう背景があるのだろう。 「僻地といわれる浙江省瑞安県出身でエリート教育とは無縁だった李氏やその“親分”(北京市出身)のやることなすことが、あまりにばかばかしく映る」、「李氏は習氏の第3期続投とともに「次期首相候補の一人」と噂されている重要人物だが「早晩、親分に見捨てられるのでは」とささやかれている。 上海市の感染者数は1万9000人を超えて高止まりのまま。感染拡大に歯止めがかからず、当局と市民は各地で衝突や小競り合いを繰り返している」、「上海に医療支援を名目に解放軍2000人余が派遣されてきた。上海のロックダウンの目的はコロナで
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パンデミック(経済社会的視点)(その21)(コロナうつ「自殺者数の異変」に見る意外な背景 「経済活動が回復するタイミング」で増えている、新型コロナで「脳が縮む」!? 科学誌Natureが公開した驚きの論文、3回目以降の副反応が怖い人に知ってほしい現実 ワクチン接種の安全性をもっと高める必要がある、上海ロックダウン 官僚システムの迷走を暴いた「勇気ある正直者」の電話) [パンデミック]

パンデミック(経済社会的視点)については、本年1月14日に取上げた。今日は、(その21)(コロナうつ「自殺者数の異変」に見る意外な背景 「経済活動が回復するタイミング」で増えている、新型コロナで「脳が縮む」!? 科学誌Natureが公開した驚きの論文、3回目以降の副反応が怖い人に知ってほしい現実 ワクチン接種の安全性をもっと高める必要がある、上海ロックダウン 官僚システムの迷走を暴いた「勇気ある正直者」の電話)である。

先ずは、2月2日付け東洋経済オンラインが掲載したナビタスクリニック内科医師の久住 英二氏による「コロナうつ「自殺者数の異変」に見る意外な背景 「経済活動が回復するタイミング」で増えている」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/507110
・『いわゆる「コロナうつ」、つまりコロナ禍でのメンタルヘルス悪化は、日本でも懸念されてきた。OECDの報告によれば、国内のうつ病の有病率は2020年時点で17.3%と、2013年の7.9%から倍増している。 このうつ病の増加に関連して、医師としても看過できない統計データがある。警察庁が発表している国内「自殺者数」の推移とその理由だ(2020年「令和2年中における自殺の状況」)。 過去数十年にわたって自殺理由のトップは「健康問題」で、全体の約半数近くを占めてきた。その内訳として「うつ病」は例年4割近くにも及ぶ(厚生労働省「自殺対策白書」)。 それでも「健康問題」による自殺は、この10年以上、実数も割合も減少傾向を保っていた。それが2020年は、突如急増したのだ。同じく減少を続けていた自殺者数全体も、増加に転じた。 この唐突な自殺増加を招いた「健康問題」とは、状況的に「コロナうつ」と考えるのが自然だ』、「唐突な自殺増加を招いた「健康問題」とは、状況的に「コロナうつ」と考えるのが自然だ」、その通りなのだろう。
・『「経済・生活問題」の自殺は減少?  他方、「経済・生活問題」理由の自殺は2020年も減少したという。だが、これを額面通り受け取ってよいかは大いに疑問だ。 現実に目を向ければ、日本人は新型コロナ流行によって確実に厳しい経済状況に陥っている。「経済的なダメージに直面した若者は、特にうつ病リスクが高い」というアメリカの調査もある。 また、フランスや英国からは、「パンデミック中も雇用が確保された人は、失業者よりもうつ病や不安神経症のリスクが低かった」(前出OECD報告)とのエビデンスが示されているが、日本の雇用状況は厳しい。 2018年以降ずっと2.5%以下で推移してきた完全失業率は、2020年に入って上昇し、以来一度もコロナ禍以前の水準に戻っていない(労働政策研究・研修機構)。 たとえコロナ禍の「経済・生活問題」から「コロナうつ」を発症し、自殺に至った場合でも、「うつ」が介在すれば統計上は「健康問題」による自殺として扱われる。 「経済・生活問題」がメンタルヘルスに与える影響は、表面上見えづらくなっているのかもしれない。 実は、そう考えた理由はもう1つある。「月別自殺者数」のイレギュラー過ぎる推移だ。 2019年までと比べ2020~2021年は、例年なら減少傾向となる時期に自殺者が増加したり、増える時期に減ったり、ピークがまったく違う月に来たりした。 (グラフ:警察庁資料より筆者作成) やはり新型コロナの影響だろう。この間の大きな出来事と言えば、緊急事態宣言だ。 ・第1回2020年4月7日~5月25日 ・第2回2021年1月8日~3月21日 ・第3回2021年4月25日~6月20日 ・第4回2021年7月12日~9月30日 緊急事態宣言による行動制限が人々の孤独を深め、自殺の増加に直結したのならわかりやすい。だが、宣言期間と月別自殺者数のグラフを見比べると、実際にはそう単純な話でもない。 緊急事態宣言の影響を直接かつ具体的に受けるのは、個人よりも、休業要請・命令の対象となるサービス産業(飲食店やイベント業など)だ。 そこで、直近2年間の自殺者数の変動グラフに、同時期の「第3次産業活動指数」(経済産業省)をグラフにして重ねてみた。すると、興味深い結果となった。 (グラフ:経済産業省および警察庁資料より筆者作成) 「経済・生活問題」を理由とした自殺の減少や、「経済的安定がメンタルヘルスの安定につながる」とした海外の調査結果を踏まえ、「景況悪化時は自殺が増え、好況時は自殺が減る」と勝手にイメージしていたのだが、様子がかなり違う。 それどころか、2020年6月以降は緩やかに、そして2021年前半は偶然とは思えないほどに、自殺者数とサービス産業の動きがシンクロしている』、「シンクロ」の要因は何なのだろう。
・『「経済回復期」に追いつめられる人々  この現象を素直に解釈すれば、自粛生活が明けて経済・社会活動が再開し、正常化が見えてきた頃こそが、メンタルヘルスの危機であり、自殺者の増えやすいタイミングということになる。 つまり、緊急事態宣言の下、皆が等しく我慢を強いられている“非日常”では、厳しい現実から目を背けていることもできた。だが、日常が戻ってきた時、それを素直に歓迎し活動を広げる人たちの姿は、その波に乗れない、受け入れがたい状況にある人たちを追い込んでいく。 例えば第1回宣言では解除後の2020年6月以降、感染が落ち着いてサービス産業も順調に回復していた時期に、自殺者数が急増し、数カ月間そのまま高止まりした。10月には異例のタイミングで、自殺者数の年間ピークを記録している。 第2・3回の宣言でも、宣言の解除から経済活動が回復するタイミングで、自殺者数が増えた。 もちろん、第4回宣言はこの限りではない。自殺数と経済活動の厳密な相関関係を示すには、もっとずっと難しい統計学的解析が必要だ。自殺の要因には、人間関係や学校・仕事問題など、さまざまな要因が絡み合っている。 それでも、経済回復期は、複雑な人間心理がメンタルヘルスに影響を与えやすい、実は非常に繊細な局面なのだ、という認識は持っておいたほうがいい。 以上、前回の記事【医師が警鐘「ステイホームによる健康被害は深刻」】の話も併せると、行動制限に慎重であるべきなのは、単に人権や経済だけが理由ではないとおわかりいただけると思う。 解除後の経済・社会の回復期になって噴出する「からだ」と「こころ」への影響――そこまで見越して、なお制限に踏み切るのかどうかだ。 もっと言えば、おそらくポスト・コロナの数年間は、否応なく同様の「からだ」と「こころ」の健康問題に直面することとなる。さらにくっきりと明暗が分かれるだろう』、「経済回復期は、複雑な人間心理がメンタルヘルスに影響を与えやすい、実は非常に繊細な局面なのだ、という認識は持っておいたほうがいい」、確かにありそうなシナリオだ。
・『患者目線のオンライン医療整備を  新型コロナは依然、世界中で猛威を振るっている。ただ、感染性が高く毒性の低いオミクロン株の出現は、「ゼロコロナ」政策の限界を突きつけ、「withコロナ」容認を後押しした。早々に行動規制の緩和に踏み切る国が続出している。 諸外国の関心はすでに「対コロナ全集中」から「いかに日常を取り戻すか」へ、加速度的にシフトし始めているのだ。日本も判断を迫られている。 来るべきポスト・コロナ社会に向けて、医療はどう備えるべきか。まずは診療や検査のオンライン化を徹底し、患者さんにとって利用しやすいものにしておくことだ。 例えば生活習慣病は、服薬や食事・運動の適切な管理によって状態を維持・改善できるが、放置してしまえば自覚症状のないままに進行する。そのため、いかに健診・検査を受け、診療や指導を継続してもらえるかが非常に大事だ。 また、「こころ」の不調は「からだ」の不調とは違い、定期健診などの早期発見手段や、血液検査値など目に見える指標がない。そのうちに「こころ」がすっかり疲弊して「からだ」も言うことを聞かなくなり、生活が立ち行かない状況に陥ってしまう。 オンライン診療・検査なら、移動や待ち時間の制約を伴わない分、利用へのハードルが低い。体調不良や多忙の際にも受診を諦めずに済むし、潜在患者もすくい上げやすい。 現在、厚生労働省は「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」を開催し、体制の整備を進めている。安全性を担保するごく最低限の制約は必要だが、「ハードルの低さ」という大きなメリットが損なわれてしまっては本末転倒だ。 「からだ」の不調でも「こころ」の不調でも、症状が軽かったり単に不安だったりしたときでも、たとえかかりつけ医でなくとも、誰もが初診から利用しやすいオンライン医療へ。さらなる診療報酬改定や法整備等を含め、ぜひ患者さん目線で議論していただきたい。 新型コロナを機に仕事の仕方やライフスタイルが大きく変わる中、医療も転換期を迎えている。オンライン医療が、「からだ」と「こころ」の健康に悩むすべての人のセーフティーネットになれたらと思う』、「医師会」の意向を受けた厚労省は、「ハードル」をなるべく高くしようと画策しているようだ。

次に、3月12日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した産業医・内科医でPreventive Room 株式会社代表の森勇磨氏による「新型コロナで「脳が縮む」!? 科学誌Natureが公開した驚きの論文」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/298810
・『人生100年時代は、健康こそ最大の資産です。 しかし40歳を越えると、がん、糖尿病、腎臓病といった病気を避けては通れません。国立がん研究センターによれば、40~49歳のがん患者数は、30~39歳と比べると3倍以上です(2018年)。もちろん50代、60代と年齢を重ねるにつれ、がん患者数はどんどん増えていきます。 本連載は、毎日の食事から、大病を患ったあとのリハビリまで、病気の「予防」「早期発見」「再発予防」を学ぶものです。著者は、産業医×内科医の森勇磨氏。「予防医学ch/医師監修」の管理人でもあり、動画は「わかりやすい説明で参考になる」「怖いけど面白い」と評判で、チャンネル登録者は27万人を超えています。初の単著『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』を出版し、感染症医・神戸大学教授の岩田健太郎氏が「安心して読める健康の教科書」と推薦文を寄せています。本記事はそんな森氏の緊急提言です』、興味深そうだ。
・『新型コロナで「脳が縮む」!? 科学誌Natureが公開した驚きの論文 新型コロナと脳に関する論文が発表!  新型コロナウイルスが人間の脳に与える影響について、世界各地で様々な仮説が検証されています。 そして、かの有名な科学誌「Nature」に非常に興味深い論文が2022年3月7日に公開されました(※1) その研究内容としては、「UKバイオバンク」と呼ばれるイギリスの研究機関に登録された51-81歳の785名の被験者を対象に、「感染前の脳の画像と感染後の脳の画像を比較して、一体どのような変化があったのか」を調査したものです。 この研究では、感染する前の脳の画像を前もって撮影しておくことで、感染後の画像と比較することでコロナに感染した自体の影響をできるだけ浮き彫りにする事ができるのではないか、という試みです。 またこちらの論文は、「新型コロナ感染者の脳の画像に関連した縦断的研究(特定の個人や集団の経過、前後関係を追跡する研究)としてはおそらく初めてのものになる」とのことでした。 そして気になる結果としては、 ・脳の中で、人の意思決定に重要な役割を果たす「眼窩前頭皮質」という部分や、記憶を整理したり検索したりする役割のある「海馬傍回」という場所の組織の厚みが減少していた ・においを扱う「一次嗅覚皮質」という場所に機能面で関係している部分の組織が損傷していた ・そもそも脳自体のサイズが減少していた というものでした』、「新型コロナで「脳が縮む」!」とはショッキングな報告だ。
・『今、私たちがすべきこと  新型コロナウイルス感染時の合併症として「嗅覚障害」が認められるのは周知の事実ですが、このようにウイルスが脳のにおいを取り扱う組織自体に影響を与える特性から、嗅覚障害が起きている可能性があります。また、記憶や認知機能に関連した組織への影響も認知症などへの影響含め、非常に気になるところです。 そして、入院となった被験者を除いても同様の傾向が認められたとのこと。要するに軽症者に関してもこのような脳細胞への影響が引き起こされる可能性はあるわけです。 過去にも、新型コロナウイルスが脳をはじめとした「中枢神経系」に存在することが発見されたという報告はありましたが、今回紹介した論文のように、より具体的にウイルスが脳に与える影響の実態が解明されてきています。 一般的な関心事としては、こういった脳への影響が「一過性」なのか「長期的」に続くのかという話だと思われます。しかしその点に関しては、中長期視点での今後の研究が待たれますので、現段階で過度な心配は禁物です。 とはいえ、依然として新型コロナウイルスに感染することで脳に関係する様々な影響が認められる可能性は否定できません。 特に中高年にとって脳にまつわる病気で最も一般的なのが認知症です。「他者とのコミュニケーションを定期的にとる」「しっかり運動をする」といった認知症予防はより意識しておくに越したことはないでしょう。 また新型コロナウイルスは血管に影響を与える可能性(※2)も示唆されており、「脳の血管」を守るという意味でも、日々の生活習慣は整えておきたいものです。 【出典】※1 Gwenaëlle Douaud,et al. SARS-CoV-2 is associated with changes in brain structure in UK Biobank. Nature. 2022 Mar 7. ※2 Yan Xie,et al. Long-term cardiovascular outcomes of COVID-19. Nat Med. 2022 Feb 7.』、「特に中高年にとって脳にまつわる病気で最も一般的なのが認知症です。「他者とのコミュニケーションを定期的にとる」「しっかり運動をする」といった認知症予防はより意識しておく」、その通りだ。 
・『40歳からの予防医学 (森勇磨氏の略歴はリンク先参照) 総合内科医・産業医が教える「病気にならない全知識」  はじめまして。医師の森勇磨(もり・ゆうま)と申します。この度『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』を出版しました。 現代は医学情報があまりにも多すぎます。残念ながら、「正しい情報」と「でたらめな情報」がごった煮になっており、かつて私が勤務していた救急現場でも、 ・スポーツドリンクやエナジードリンクに糖分が多く含まれていることを知らずに飲みすぎて、重篤な糖尿病になった人 ・がん検診を受けず、根拠のない民間療法に頼り、「急な体重減少」や「血便」といった症状を放置して、末期がんの状態で来院される人 ・心不全の初期症状を放置した結果、肺に水がたまってしまい、すぐに人工呼吸器をつけなければ数十分で死に至ってしまう状態で救急搬送されてきた人 病院の「外」でできることをしなかったがために、人生が大きく変わってしまった人をたくさん見てきました。 「病院の外で、やるべきことがあるのではないか?」という思いから、私は現在「予防医学の実務家」と呼ばれる産業医の仕事をしながら、YouTubeなどのSNSを通じて予防医学の情報発信をしています。ありがたいことに、チャンネル登録者数は27万人を超え、「予防医学を専門とした情報発信者」としては、日本一の実績を持っています』、「予防医学の情報発信」は極めて重要だ。
・『日本が抱える「医療制度の課題」とは?  病気になってからの」病院へのアクセスのしやすさ、国民皆保険制度による医療費負担の軽減など、日本の医療制度は世界トップクラスです。 しかし、「病気になる前の」予防医学のアプローチは十分にできているといえず、課題が多いのです。残念なことに、今の日本では、個人個人を病気にさせないことで対価が発生するしくみがうまく機能していません。 そこでこの度、予防医学のエッセンス(病気の予防、早期発見、再発予防)を集約した『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』を執筆しました』、なるほど。
・『40歳を越えると、親の介護がのしかかってくる  40歳を越えると、「両親の介護」も頻繁に話題にあがってきます。親世代は65歳を越えていて、免疫機能が落ち、筋力や骨も弱くなっています。1回の感染や転倒・骨折などでQOL(生活の質)が著しく低下する年代です。 本書は「親世代(65歳以上)の健康寿命を延ばす」「介護・寝たきり状態にならないための知識」も充実させました。ぜひ親子でシェアしてください。医学的エビデンスの中での「正解」の行動がとれるよう、とにかくわかりやすさ、行動へのつなげやすさを意識しました。あなたの日々の行動に影響を与えることができれば幸いです』、興味深そうな本だ。

第三に、3月26日付け東洋経済オンラインが掲載した医療ガバナンス研究所理事長の上 昌広氏による「3回目以降の副反応が怖い人に知ってほしい現実 ワクチン接種の安全性をもっと高める必要がある」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/541542
・『コロナ感染者が増加に転じた。イギリス・オックスフォード大学が提供するデータベース”Our World in Data”によれば、世界で3月2日、アジアでは2月17日、欧州は3月2日以降、感染者が増えている。春の流行が始まったのだろう。昨春、日本では3月2日から感染者が増加し、ピークは5月14日だった。早晩、日本でも感染者が増加に転じるはずだ。 コロナ対策の肝の1つがワクチン接種だ。オミクロン株に対してもワクチンは有効だった。2月11日、アメリカ疾病対策センター(CDC)が『疫学週報』に発表した研究によると、追加接種から2カ月間、外来受診が87%、入院が91%減っていた。その後、効果は減衰し、4カ月後には、それぞれ66%、78%に低下していた』、興味深そうだ。
・『日本も4回目接種を見据えて動いている  世界では4回目接種の議論が進んでいる。イスラエルは昨年12月21日、6歳以上の全国民と医療従事者、免疫不全患者などに4回目接種をすることを決めているし、アメリカも秋以降に4回目接種を実施する方向で調整が進んでいる。3月15日、アメリカ・ファイザーは、65歳以上を対象とした4回目接種の緊急使用許可を、アメリカ食品医薬品局(FDA)に申請した。 日本政府も、4回目接種の準備に余念がない。3月16日、ファイザー製7500万回、同じくアメリカのモデルナ製7000万回分のワクチンを追加購入することで両社と合意したと発表している。接種の遅れが問題視された第6波での3回目接種とは対照的だ。今回の動きは高く評価したい。 では、このままでいいのか。私は、今こそ、ワクチンの安全性について議論を深めなければならないと考えている。ワクチンは有効だが、副反応を伴う。そして、時に致死的になる。3月22日、このことについて検証したわれわれの論文が公開された。中心になったのは山下えりかと瀧田盛仁だ。ご紹介したい。 本研究では、厚労省が公表した副反応情報、アメリカのワクチンデータベース「VAERS」、および欧州のデータベース「EudraVigilance」を用いた。いずれも公開情報である。 詳細は省くが、3つのデータベースすべてで、ワクチン接種後2日目に死亡の報告が増加していた。図1は日本のデータだ。 【図1】(外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください) ただ、これは報告バイアスの可能性がある。報告バイアスとは、ワクチン接種後、数日で亡くなった場合、本当は別の病気が原因だったのに、ワクチンとの関係を疑ってしまい、死亡例の報告が増えることをいう。コロナワクチン接種後の死亡の原因は心不全や脳卒中が多い。ワクチン接種後の死亡に特異的な死因はないため、このようなデータをいくら提示しても、結論はでない』、「報告バイアス」まであるというのは、厳格な科学的推論はやはり大変だ。
・『小柄な人には副反応が強くなる可能性がある  では、どうすればいいのか。われわれが注目したのは性差だ。ファイザー製のワクチンの投与量は、アジア諸国が参加していない国際共同第一相臨床試験に基づいて設定されている。 その結果は、アメリカ『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』に2020年10月14日に掲載されている。この試験では、参加したボランティアを10マイクログラム(1マイクロは100万分の1)、20マイクログラム、30マイクログラムの投与群に振り分け、副反応の頻度を比較しているが、副反応は用量が増えるほど増加している。 例えば、18~55歳に対する2回目接種で発熱が生じた頻度は、それぞれ0%、8%、17%だし、倦怠感は33%、58%、75%、悪寒は8%、42%、 58%である。つまり、投与量を増やすほど、副反応は強くなるのだが、世界各国が承認した投与量は、人種、性別、体重に関わらず、1回あたり30マイクログラムだった。小柄な人には副反応が強くなる可能性がある。 では、誰が危険だろうか。まず、思い浮かぶのは女性だ。日本人女性成人の平均体重は約50キログラムだ。一方、日本人男性の平均体重は約70キログラム、アメリカ人男性は約90キログラムだから、日本人女性は、日本人男性の1.4倍、米国人男性の1.8倍のワクチンが投与されていると考えることもできる。 われわれは、もし、コロナワクチンが致死的な副作用を生じるのであれば、男性よりも女性の頻度が高いと仮説を立てた。ただ、疾病などのストレスに対する抵抗力は、男性よりも女性のほうが強い。つまり、同じ条件なら、男性のほうがワクチンの副反応は強く出やすいかもしれない。男女の死亡率を単純比較しても、影響は推定できない。 注目したのは、男女の死亡率の比の経時的な推移だ。結果を図2に示す。 【図2】 予想通り、男女の死亡率の差は、接種後1週間以内は女性のほうが高く、その後、減少し、2週間以降では、男性の死亡率のほうが高くなっていた。つまり、死亡率は時間の経過とともに変化していた。この変化は統計的に有意であり、偶然の影響では説明できない。ワクチン接種後1週間以内は、相対的に女性のほうが最悪の事態に至る危険度が高まる。過剰投与による副作用が影響している可能性については議論の余地がある』、「男女の死亡率の差は、接種後1週間以内は女性のほうが高く、その後、減少し、2週間以降では、男性の死亡率のほうが高くなっていた」、なるほど。
・『安全性を高める対策が早急に必要  ちなみに、このような性差はアメリカや欧州のデータベースの解析では検出されなかった。欧米の女性は、一般的に日本人女性より大柄なため、体重あたりの投与量が少ないからだろうと私は考えている。 この研究は、コロナワクチン接種により、女性を中心に副反応で亡くなっていた可能性を示唆する。コロナワクチン接種で亡くなっていた人が多数いるのだから、問題は深刻だ。死亡例を見直し、ハイリスク群を同定し、ワクチン減量も含めて、安全性を高める対策を早急に講じなければならない。 個人レベルでの対応としては、主治医と相談することをお奨めする。感染予防のメリットと、副反応のリスクを天秤にかけて、判断してくれるはずだ。それぞれの状況に応じた柔軟な対応が必要だ』、「このような性差はアメリカや欧州のデータベースの解析では検出されなかった」、しかし「日本」では「性差」がある以上、「ワクチン減量も含めて、安全性を高める対策を早急に講じなければならない」、同感である。

第四に、4月8日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したフリーランスライターのふるまいよしこ氏による「上海ロックダウン、官僚システムの迷走を暴いた「勇気ある正直者」の電話」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/301126
・『新型コロナウイルスの感染拡大で、3月28日から段階的ロックダウンに入った上海市。政府は引き続き「コロナゼロ化」の掛け声の下、全住民のPCR検査などを強行しているが、現場はかなり混乱しているようだ。ある電話のやりとりを収めた動画がネットで拡散している』、興味深そうだ。
・『3月28日から段階的ロックダウンに入った上海 「上海市衛生健康委員会は今朝(4日)、以下の通り報告を行った。2022年4月3日0時から24時までに新型コロナウイルスに感染確定した患者425人と無症状感染者8581人が新たに記録された。患者のうち71人はこれまでに無症状からの感染確定であり、7人の感染と7920人の無症状感染者は隔離管理状態において発見され、その他はリスク関係者への検査によって発見された。海外からの新型コロナウイルス輸入感染確定は8人、無症状患者は4人で、いずれも閉鎖隔離状態で発見された。各地域別情報は以下の通り……」 3月28日から段階的ロックダウンに入った上海市内では、毎朝このような一見詳細なフォーマットで前日の新規感染者数の発表が行われている。SNSの公式アカウントからはこれに続いて、市内16区で新規感染者が出た場所の住所が具体的に付記される。毎日毎日、機械的な発表を繰り返すこともまた、上海市当局が考える「科学的、合理的」な新型コロナ感染対策の一環のようだ。 だが、そこに爆弾が投じられた』、「爆弾」とはどういうことだろう。
・『WSJのスクープ「上海最大の高齢者施設でクラスター発生」  4月1日付けの米「ウォール・ストリート・ジャーナル」(WSJ)が、浦東地区にあり、入院者数1000人を超える上海最大の高齢者施設「上海市東海老年護理医院」(以下、東海老人ケア病院)で「大量の感染者と死者が出ているようだ」と伝えたのである。記事は、職員が感染し隔離されて人手が足りなくなったため、急きょ雇用された新職員らが「病院前に6台の霊柩車が止まっているのを見た」と証言したと紹介している。 また記者は、ここに入院していた父親が亡くなったとつぶやくSNSの書き込みを紹介。書き込んだ息子の友人や、その他病院訪問者も十数人分の遺体を目にしたと伝えている』、「WSJ」であれば、中国政府への忖度など一切ないので、真実に近いのだろう。
・『上海市の発表内容では、重症者や死者の情報が分からない  ここでもう一度、前述の報告フォーマットを見直してみると、新規感染者数は事細かく述べられている一方で、重症者や軽症者の数、さらには死者については一切触れられていないことが分かる。つまりこれらの感染者の影でどれだけの人たちが深刻な状態にあるのか、亡くなった人たちは何人いるのかは「隠されて」いるのである。前述の記事に基づいて、発表された新規感染者の住所を照らし合わせてみると、同病院の住所が確認できた。 さらにWSJはその後続けて、東海老人ケア病院に続き、上海第二の規模を持つ養老病院でも、患者と職員の一部が院内施設に隔離されていることを暴露した。 中国の経済メディア「財新網」も2日、東海老人ケア病院について写真付きの記事を発表した。それによると、同病院は3月12日未明に突然封鎖され、新規患者の受け入れをストップ。一方でその時点で院内にいた入院患者1200人あまりと付添の家族及び職員らが閉じ込められたと、その後PCR検査を経て「解放された」家族の声を伝えている。 しかし、病院内ではその後も陽性患者が発見され、院内は混乱。4月1日の時点では3月25日を最後に院内でPCR検査は行われず、約100人の患者と家族が隔離状態に置かれ、わずか3人の看護師が食事や薬を運び、環境の消毒を行っているという、劣悪な環境にあるとした』、「約100人の患者と家族が隔離状態に置かれ、わずか3人の看護師が食事や薬を運び、環境の消毒を行っているという、劣悪な環境にある」、こういう時には、「看護師」の人繰りが大変だ。
・『ゴミも回収されない劣悪な環境、遺体は放置されたまま  また、WSJが触れたように人手不足で臨時職員が雇用されたものの、そのほとんどがケアサービスの経験を持たず、また多くが上海以外の地区から雇用されていて上海語が分からないため、肝心の老人たちとコミュニケーションが取れず、老人たちは十分なケアを受けることができずにいるという。 職員たちは職員たちで、防護服は身につけているものの特別な防護知識も与えられておらず、患者と同じ部屋に泊まり込む生活を続けている状態だそうだ。3月末には病院の廊下には医療ゴミが詰まったゴミ袋が収集されないままごろごろ転がり、環境の悪化を外部に訴える老人も出ている。また、霊安室に十体近い遺体が放置されているのを目にしたという証言も伝えられている。 一方で、記事ではその証言を裏付けるように浦東葬儀場が、4月1日午前に東海老人ケア医院から送り込まれた十数体の遺体を処理したと紹介していた。また、すでに入院していた父親が亡くなったと連絡を受けた家族は、父親の遺体がどこにあるのか、その死因が新型コロナと関係しているのかどうかも分からないままだと訴えていた。 香港の例を見るまでもなく、上海でも老人のワクチン接種率は一般に低いことを考えると、これらの死者の死因が新型コロナウイルスである可能性が高いことは想像に難くない。だが、上海市は死者に関する情報は一切公開していないのである。そして、「財新網」の記事も即刻削除命令が出たようで、現在同メディアのWebサイトに行ってもその記事は読めなくなっている』、「臨時職員が雇用されたものの、そのほとんどがケアサービスの経験を持たず、また多くが上海以外の地区から雇用されていて上海語が分からないため、肝心の老人たちとコミュニケーションが取れず、老人たちは十分なケアを受けることができずにいる」、中国では地方ごとの訛りの違いも大きいので大変なようだ。
・『地域によっては1カ月近く完全封鎖が続いている状態  表向きは粛々と政策に基づく措置が進められているように見えるが、上海市内では明らかに混乱が始まっている。 上海では3月28日から市内を流れる黄浦江を境に、東(浦東)と西(浦西と浦南)に分け、前者は同日から、後者は4月1日からそれぞれ地域を完全封鎖して市民の動きを止めた上で、4日間の全住民PCR検査を行うことになっていた。しかし、1日午前5時には封鎖が解かれるはずだった浦東区は解除されず、続いて残りの浦西、浦南地区も全面ロックダウンに入った。つまり、上海はほぼ現在、全面的ロックダウン状態にある。そんなロックダウン下でPCR検査だけが何度も何度も繰り返された結果、日々発表される感染者の数字は増加する一方となった。 だが、感染者数の増大に慌てた政府は3日から浦西での検査を中止、改めて4月4日に、2500万人を超える全市民に一挙にPCR検査を行うことを発表した。この日は朝早くから各地域、各団地、そして各ビルごとに住民が呼び出され、並ばされ、検査を受けさせられた。 しかし、オミクロン株の市中感染拡大が叫ばれた3月11日から始まった地区封鎖の対象地域では、ほぼ1カ月近くの封鎖が続いている。妊婦や救急医療を要する人たちから治療を受けられないという悲鳴がSNSで大きな注目を浴び続けている。さらに病院に収容された家族がいつもなら受けられる治療を受けることなく、「亡くなった」とだけ病院から報告が届けられたという叫びも流れるようになった。 そうするうちに市民の中からも「これほどの巨大なコストを払ってまで、『コロナゼロ化』を進める必要が本当にあるのか?」という声が出始めている。上海は中国で最も経済的な豊かさを味わっている都市である。そこに住む人たちは経済の重要性を知り、また自由や権利も全国に先駆けて味わってきた。彼らは中央政府が唱える「コロナゼロ化」に面と向かって反対しないまでも、「民生の需要と基本的権利を押さえつけて任務の執行を強要するような官僚的思考を是正するべきではないのか」という主張もネットでちらほら見かけるようになった』、「上海」であれば、こうした主張が出てきてもおかしくない。
・『上海疾病コントロールセンターへ怒りの電話をかけたところ……  そうこうするうち、その「官僚ぶり」を裏付けるような現実がネットを通じて人々の元に届けられた。 それは電話でのやりとりの録音だった。ある男性が怒りもあらわに、上海疾病コントロールセンターに電話するところから始まる。「上海疾病コントロールセンターですね?」「はい……」電話の向こうは、いかにも覇気のない女性の声。男性は「聞きたいのだけれども」と告げて、事情を話し始める。 彼の両親は、まず母親が骨折して入院。その際、同室の患者に陽性反応が出て、母親は濃厚接触者とみなされ、入院していた病院から政府が感染者向けに準備した野戦病院に移された。その後PCR検査の結果、陰性となり病院に戻った。だが、彼の父親はその母親の接触者(「濃厚」ではないらしい)とされて指定ホテルでの待機を命じられ、2回のPCR検査が実施された。最後の検査はこの電話の2日前で、スマホのアプリに表示される検査結果もその日の夕方に「陰性」のままだったので、自宅に戻った。 しかしその後、男性がこの電話をかけた日に、上海疾病コントロールセンターから直接父親に、「2日前の結果で陽性が出た。これから救急車が向かうので、そのまま隔離施設に向かってもらう」と連絡があったという。 録音では電話の相手はここで、「上司につなぎます」と別の女性に電話をつないだ。男性は怒りにまかせて、「一体、我々はアプリ(「健康雲」と呼ばれる)と疾病センターのどちらを信じればいいんだ?さっきの電話はニセモノじゃないと、どうすれば分かるんだ?一体、誰がどうやって陽性か陰性を判定してるんだ?僕たち市民がその正式な結果証明を手に入れることはできないのか?」と矢継ぎ早に質問した』、こんなトラブルは日常茶飯事だろう。
・『「スマホには陰性としか表示されない」正直すぎる女性の返事  すると、当初は「クレームなら○○に電話して」としか繰り返さなかった電話の相手が言った。 「そうよ、スマホアプリには『陰性』としか表示されないの。でも、私たちのところには1日数百件もの陽性結果が回ってきて、私たちはわざわざその主に電話で陽性だったことを伝えなきゃいけないの。私たちだって、そんなのヘンだって伝えたけど、誰も聞く耳を持とうとしないのよ」 さらに彼女は言った。「疾病センター、アプリ、医療機関……そのどれもが自分たちの判断で動いていて、現場はもう大混乱なのよ」 電話をかけた男性も、あまりの正直な返事に驚いたようだった。女性は続ける。 「お母さんはもうすでにご存じだろうけど、野戦病院はひどい環境で十分な治療もしてないから、行かないほうがいいわ。あなたのご両親はどっちもワクチンを3回接種したんでしょ?だったらますますその必要はないわ。風邪の延長みたいなものだから、家でゆっくり休息を取れば大丈夫よ」 じゃあ、救急車が迎えに来たらどうしたらいい?と尋ねた男性に、彼女はこう言った。 「『陽性の証明書を見せて』と言いなさい。きっと持ってないから、そのことを主張し続けるのよ」 でも、無理やり抑え込まれたら?と心配する男性に彼女は続けた。 「実際のところ、私たちだって専門的な観点から、無症状と軽症の患者を収容する必要はない、家で隔離すれば十分だって何度も言ってきたの。でも、相手にされないの」』、コントロール・センター」の担当女性も大きな組織の歯車の1つとして苦労しているようだ。
・『「この録音を公開しなさいよ」  男性は次第に、「あなたたちも大変なんですね。あなたたちも私と同じ庶民なんですよね。こういうときに庶民がバカを見る……」と相手をいたわり始め、「ぼくらはどうすればいいんでしょう?」と尋ねた。すると、電話の相手の彼女は笑い声を上げてこう言った。 「この録音を公開しなさいよ」 その直前に「これ録音中ですから」と男性に言われ、「わたしの許可もなしに?」とムッとした声を上げていたこの女性の言葉に、逆に男性が驚いた。「でも、公開するとあなたに迷惑がかかるでしょ……」 二人で意見交換を終えてから、男性はお礼を言って電話を切った。後に明らかになったところによると、彼は保険会社に勤めているらしい。男性はこの録音を公開し、そして多くの人たちがそれをシェアした。この女性職員の勇気に感動し、「彼女は守られねば」という声も上がった。 だが、その直後「政府職員は、必要以上のことを語らず、答えないこと」を徹底するようにという通知が下達された。ネットでは彼女の名前も暴露されているので、当局は当然彼女を特定できているはずだ。その後彼女がいかなる立場に置かれているかの続報は、残念ながらまだ流れてきていない』、この程度で「当局」が「彼女」を処罰するようでは、中国政府の度量の小ささを示すだけだ。また、コロナ対策でそれどころではなく、見逃される可能性もある。
タグ:パンデミック(経済社会的視点) (その21)(コロナうつ「自殺者数の異変」に見る意外な背景 「経済活動が回復するタイミング」で増えている、新型コロナで「脳が縮む」!? 科学誌Natureが公開した驚きの論文、3回目以降の副反応が怖い人に知ってほしい現実 ワクチン接種の安全性をもっと高める必要がある、上海ロックダウン 官僚システムの迷走を暴いた「勇気ある正直者」の電話) 東洋経済オンライン 久住 英二氏による「コロナうつ「自殺者数の異変」に見る意外な背景 「経済活動が回復するタイミング」で増えている」 「唐突な自殺増加を招いた「健康問題」とは、状況的に「コロナうつ」と考えるのが自然だ」、その通りなのだろう。 「シンクロ」の要因は何なのだろう。 「経済回復期は、複雑な人間心理がメンタルヘルスに影響を与えやすい、実は非常に繊細な局面なのだ、という認識は持っておいたほうがいい」、確かにありそうなシナリオだ。 「医師会」の意向を受けた厚労省は、「ハードル」をなるべく高くしようと画策しているようだ。 ダイヤモンド・オンライン 森勇磨氏による「新型コロナで「脳が縮む」!? 科学誌Natureが公開した驚きの論文」 「新型コロナで「脳が縮む」!」とはショッキングな報告だ。 「特に中高年にとって脳にまつわる病気で最も一般的なのが認知症です。「他者とのコミュニケーションを定期的にとる」「しっかり運動をする」といった認知症予防はより意識しておく」、その通りだ。 「予防医学の情報発信」は極めて重要だ。 興味深そうな本だ 上 昌広氏による「3回目以降の副反応が怖い人に知ってほしい現実 ワクチン接種の安全性をもっと高める必要がある」 「報告バイアス」まであるというのは、厳格な科学的推論はやはり大変だ。 「男女の死亡率の差は、接種後1週間以内は女性のほうが高く、その後、減少し、2週間以降では、男性の死亡率のほうが高くなっていた」、なるほど。 「このような性差はアメリカや欧州のデータベースの解析では検出されなかった」、しかし「日本」では「性差」がある以上、「ワクチン減量も含めて、安全性を高める対策を早急に講じなければならない」、同感である。 ふるまいよしこ氏による「上海ロックダウン、官僚システムの迷走を暴いた「勇気ある正直者」の電話」 「爆弾」とはどういうことだろう。 「WSJ」であれば、中国政府への忖度など一切ないので、真実に近いのだろう。 「約100人の患者と家族が隔離状態に置かれ、わずか3人の看護師が食事や薬を運び、環境の消毒を行っているという、劣悪な環境にある」、こういう時には、「看護師」の人繰りが大変だ。 「臨時職員が雇用されたものの、そのほとんどがケアサービスの経験を持たず、また多くが上海以外の地区から雇用されていて上海語が分からないため、肝心の老人たちとコミュニケーションが取れず、老人たちは十分なケアを受けることができずにいる」、中国では地方ごとの訛りの違いも大きいので大変なようだ。 「上海」であれば、こうした主張が出てきてもおかしくない。 こんなトラブルは日常茶飯事だろう。 コントロール・センター」の担当女性も大きな組織の歯車の1つとして苦労しているようだ。 この程度で「当局」が「彼女」を処罰するようでは、中国政府の度量の小ささを示すだけだ。また、コロナ対策でそれどころではなく、見逃される可能性もある。
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GoTo問題(その3)(天下の愚策「GoTo代替事業」が招く感染急増の最悪シナリオ、HIS(上)GoToトラベル不正受給のキーマンは元社長だった、HIS(下)モンゴルのハーン銀行を子会社に持つ澤田HDを売却、ネット旅行社で浮上 HIS事件との共通点も散見 相次ぐ「GoTo不正」で浮き彫りとなった深すぎる闇) [パンデミック]

GoTo問題については、一昨年12月20日に取上げたままだった。今日は、(その3)(天下の愚策「GoTo代替事業」が招く感染急増の最悪シナリオ、HIS(上)GoToトラベル不正受給のキーマンは元社長だった、HIS(下)モンゴルのハーン銀行を子会社に持つ澤田HDを売却、ネット旅行社で浮上 HIS事件との共通点も散見 相次ぐ「GoTo不正」で浮き彫りとなった深すぎる闇)を取上げよう。

先ずは、昨年3月31日付け日刊ゲンダイ「天下の愚策「GoTo代替事業」が招く感染急増の最悪シナリオ」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/287209
・『再び、天下の愚策を繰り返すのか――。全国で停止中のGoToトラベルに替わる国の支援事業が、4月1日からスタートする。新型コロナウイルスの感染再拡大が勢いを増す中、人の移動を促すアクセルを踏んだら何が起きるのか――。正気の沙汰とは思えない。 国の支援事業は、GoToトラベル再開までの間、5月末まで実施される。県境をまたがない「県内旅行」を独自に観光支援している自治体に対し、国が1人当たり最大7000円を支援する。今年度のGoToトラベル予算が、まだ約1兆2000億円も残っていて、そのうち約3000億円を充てる』、「GoToトラベル」の再開は見送られたが、代わりに地域観光事業支援がスタート。
・『4月1日スタート 全国32道県が対象  もちろん、感染が拡大している自治体には認められないが、それでも感染状況のハードルは低く、「ステージ2」(感染漸増)以下の自治体なら対象となる。厚労省の発表(26日時点)によると、32道県が病床や陽性者数など「ステージ2」の6指標をすべてクリアしている。47都道府県の7割近くがその気になれば国から観光支援を受けられるのである。これから気候がよくなることもあり、7000円の支援を受けられるなら、旅行に行こうという人も多いはずだ。もし、各地で県内旅行が盛り上がったら、どうなるのか』、現実にはそこまでの「盛り上がり」はなかった。
・『驚異の第4波…グーグル予測  宮城では2月に入り、1日の感染者数が1ケタになる日もあり、2月23日からGoToイートを再開したら、人口当たりの感染者数が全国最多となるなど感染爆発を招いた。独自の緊急事態宣言を発令する事態となり、今も深刻な状況が続いている。 GoTo代替事業を強行すれば、各地で宮城の二の舞いになりかねない。西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)が言う。 「県内に限っても旅行を後押しするのは危険です。ステージ2は感染者が少ないとはいえ、漸増です。検査を受けていない無症状の陽性者もいる。せっかく、漸増で踏んばっていたのに、人の移動が盛んになれば、ステージ3(感染急増)に向かうリスクは高い。第4波は変異株が主流になり、第3波をはるかに超える恐れもある。大きな波が押し寄せようとしている時に、自治体に“ニンジン”をぶら下げて、感染リスクの高い事業を国が支援するのは理解に苦しみます」』、なるほど。
・『1日の新規陽性者1万4000人超  各地で急激なリバウンドが広がっている。今後、第4波が第3波を上回るとの観測もある。 グーグル予測(29日時点)によると、3月27日~4月23日の28日間の全国の新規感染者数は計14万1704人。4月7日には、1日に3000人、14日には5000人を突破する。18日には8000人を超え、第3波のピーク7949人(1月8日)を上回る。23日には1万4480人まで膨れ上がると見込んでいる。足元の2000人程度から約7倍である。 このタイミングでの観光支援はどう考えても、むちゃだ。予算が余っているなら、医療支援に回せばいいのに、菅政権はGoTo予算の消化に固執しているのだから、どうかしている。 あちこちで感染爆発が起きてもおかしくない』、岸田内閣になっても、「GoToトラベル」再開は塩漬け状態だ。

次に、2月2日付け日刊ゲンダイが掲載した経済ジャーナリストの有森隆氏による「HIS(上)GoToトラベル不正受給のキーマンは元社長だった」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/300756
・『旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)は2021年12月28日、子会社2社による政府の観光支援事業「GoToトラベル」の給付金不正受給問題を受け、管理監督責任を怠ったとして創業者の澤田秀雄会長兼社長ら取締役3人の減俸を発表した。 澤田は月額報酬を3カ月間75%減額し、子会社の取締役を兼務する中森達也専務、織田正幸常務は同50%減とした。 子会社2社のうち、悪質性が高いと認定したミキ・ツーリスト(東京・港区)の檀原徹典社長は解任。ジャパンホリデートラベル(大阪市)については不正受給をしたものの故意ではなかったと判断。呉煜康社長は取締役に降格となった。 観光庁が同日に発表した調査結果によると、ミキ社とジャパン社はホテル運営会社JHAT(ジェイハット、東京・港区)と合計7億9900万円の給付を申請し、うち3億1600万円を受給していた。地域共通クーポンも3社合計で3億4200万円分の発行を受け、3億3100万円分が使われていた。 観光庁は給付金と地域共通クーポンの不正使用分の返還を求める。今後、再開される予定の「GoToトラベル」に関して3社の参加を停止した。 斉藤鉄夫国土交通相は同日の会見で、HISを厳重注意したと明らかにし、「刑事告訴を視野に入れる」とした。給付金不正受給問題は刑事事件に発展することになる。 HIS子会社のGoTo不正受給をスクープしたのはTBS「news23」の「調査報道23時」(12月9日)の一連の報道。「仕掛け人は元HIS社長でJHATの平林朗社長だ」と報じた』、驚くべき事件で、HISが舞台になった点では、「澤田会長」の責任も重大だ。
・『かつては澤田会長の側近  TBSの報道を受け、HISは顧問弁護士らでつくる調査委員会を立ち上げ、同24日、調査報告書を公表した。会見で、「かつてHIS社長だった平林朗が不正に関わっていたのか」と問われた澤田は「むかついている。なんでそんなことをしたのか」と憤りをあらわにしたと伝わっている。 平林は澤田の最側近だった人物だ。澤田は世界50カ国を旅し、その体験をもとに、帰国後、若者向けの個人旅行の格安旅行券の販売を始めた。 平林もフリーターの海外放浪者だった。旅行ガイドのアルバイトをしながら米国、中南米を放浪。帰国後の1993年9月、アルバイトとしてHISに入社。翌94年、正社員となり、インドネシア・バリ島に開設する支店を実質的に立ち上げた。 その働きぶりが澤田の目に留まり、34歳で2000人のスタッフを擁する関東営業本部長代理に就任。08年4月、40歳の若さで社長に大抜擢された。 会長だった澤田は長崎県佐世保市の大型リゾート施設、ハウステンボスの再建を引き受けハウステンボス内に定住した。 澤田は16年11月、HISの社長に復帰した。平林は代表権のない副会長にタナ上げされた。誰が見ても降格人事だった。) トップの座から引きずり降ろされた平林は、面白かろうはずがない。17年10月末、“一身上の都合”でHIS副会長を退任。同じタイミングで、取締役の高木潔も去った。高木はハウステンボスの専務取締役として、テーマパークの復活を牽引した立役者だ。 平林は18年6月、訪日観光客を対象としたホテルを運営するJHATを立ち上げる。社長は平林、副社長にはHISを同時に辞めた高木が就いた。国内外の金融・小売・旅行会社が出資した。 「MONday(マンデー)」の名称のホテルを全国展開する。東京オリンピック・パラリンピックが開催される20年までに東京都心と京都市で計8施設を開く計画だったが、新型コロナウイルスの感染拡大が平林のもくろみをご破算にした。訪日外国人旅行者向けのホテルと外国人労働者を対象としたアパートメントホテルが2本立てのビジネスモデルは成り立たなくなった。) 資金繰りに窮した揚げ句、架空の宿泊プランをデッチ上げ、GoTo不正受給に走ったとされる。 澤田は12月24日の記者会見で、平林との現在の関係について、「私がハウステンボスの社長をしていた時にHISの社長を任せたが、私がHISに戻った時に外れてもらった。それ以降、話し合いをしたことも取引も一切ない」と突き放した。「当たり前だが、今後はJHATと取引は一切しないし、関連会社にもさせない」と言い切った。 GoTo不正受給の問題だけが、澤田をこれほど苛立たせていたわけではない。=敬称略)』、「澤田は・・・私がハウステンボスの社長をしていた時にHISの社長を任せたが、私がHISに戻った時に外れてもらった。それ以降、話し合いをしたことも取引も一切ない」、社長を外して以降は、「話し合い」も「一切ない」というのは、どう考えても不自然過ぎて、苦し紛れのウソの可能性がある。

第三に、続きを、2月3日付け日刊ゲンダイが掲載した経済ジャーナリストの有森隆氏による「HIS(下)モンゴルのハーン銀行を子会社に持つ澤田HDを売却」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/300814
・『エイチ・アイ・エス(HIS)の創業者、澤田秀雄は“コロナ増資”資金を捻出するために、自分の名前を冠した上場企業を売却した。 モンゴル・ハーン銀行を子会社に持つジャスダック上場の澤田ホールディングスは21年12月14日、臨時株主総会を開き、新体制への移行を決めた。社名を22年1月1日付でHSホールディングス(HD)に変更した。 筆頭株主だった会長の澤田秀雄と社長の上原悦人ら全役員が退任し、新社長には投資会社メタキャピタル(東京・港区)が送り込んだ日本興業銀行(現・みずほ銀行)出身の原田泰成が就任した。 澤田は99年、協立証券(現・エイチ・エス証券)を買収し、金融証券事業に参入。03年、国際入札によってモンゴルのハーン銀行をわずか8億円で買収した。ハーン銀行は首都ウランバートルから遊牧民が暮らす地方まで、モンゴル全土に店舗網を広げ、個人・中小企業などのリテール分野ではモンゴル最大の銀行といわれ、澤田HDの連結売上高の85%、営業利益の90%を稼ぎ出している(21年3月期)。 勢いに乗り、12年、ロシアのソリッド銀行を持ち分法適用会社に。17年、キルギスのキルギスコメルツ銀行を子会社にした。 今回、澤田HDを買収したメタキャピタルは、元ソニー会長の出井伸之が取締役会議長、元財務省理財局次長の小手川大助らが取締役に名を連ねる投資ファンドだ。メタ社は20年2月20日、澤田HDに対しTOB(株式公開買い付け)を実施。208億円を投じ、50.1%を取得して子会社にする計画だった。 澤田と資産管理会社が持ち株会社を全て売り渡せば123億円が手に入る。これがHISの増資を引き受ける原資になるはずだった。だが、TOBは21年7月16日に不成立となるまで343日に及ぶ異例の長期戦となった。モンゴル中央銀行が支配株主の異動について事前の承認を与えない状況が続いたためだ。 ところが事態は急展開する。TOB不成立後、モンゴル中央銀行から事前承認が得られた。メタ社は澤田ら3者との相対取引で株式を取得した。 その結果、21年11月1日付で筆頭株主が異動した。メタ社(名義はウプシロン投資事業)が32.01%を保有する筆頭株主となった。一方、澤田の保有比率は26.81%から12.58%に低下し、第3位の株主に後退した。臨時総会を経て経営陣が入れ替わる素地が出来上がったわけだ。 HSHDの新たなオーナーは社外取締役に就いた服部純市。投資会社メタ社に個人で260億円を拠出している。これが澤田HD買収の“軍資金”となった。 服部純市は世界的時計ブランド・セイコーホールディングスの本家の御曹司。将来のセイコーグループの総帥と目されていた。 ところが、06年11月、グループの製造部門を担うセイコーインスツル(SII)の臨時取締役会で会長の服部純市が解任された。本家の御曹司を追放するクーデターとして話題になった。その彼がHSHDのオーナーとして株式市場のひのき舞台に返り咲いた』、「服部純市」氏も今回の登場人物の派手さに華を添えたようだ。
・『コロナ増資の資金を捻出  HISはコロナ禍で、主力の海外旅行が壊滅的な打撃を受けた。資金難に陥り、“コロナ増資”に走る。20年10月の第三者割当増資は香港のファンドが引き受け、新株予約権を澤田会長兼社長が引き受ける形で222億円を調達した。 さらに21年11月から年末にかけ3回にわけて第三者割当増資を行い、アジア系投資ファンドが資金を出し、新株予約権は澤田に割り当て、最大215億円を調達した。 21年10月期の連結決算は売上高が20年10月期比72%減の1185億円、最終損益は500億円の赤字(20年10月期は250億円の赤字)だった。最終赤字は2期連続で赤字幅は過去最大だ。新型コロナによる渡航制限や水際対策が強化されたため海外旅行の取り扱いが大幅に減った。不正受給は売上高で20億円、最終損益は3億9500万円のマイナスに作用した。 オミクロン株の第6波が襲い、海外旅行の回復のメドは立たない。子会社2社によるGoToトラベルの給付金不正受給事件が追い打ちをかける。 HISは1月18日、「子会社の役員選びにHISがより積極的に関与する」などとする6項目の再発防止策をまとめ観光庁に提出した。澤田秀雄は断崖絶壁に立たされた。=敬称略』、「澤田秀雄は断崖絶壁に立たされた」、同感である。

第四に、3月9日付け東洋経済Plus「ネット旅行社で浮上、HIS事件との共通点も散見 相次ぐ「GoTo不正」で浮き彫りとなった深すぎる闇」を紹介しよう。
・『調査報告書から不正の経緯を読み解くと、あまたの問題点が浮かび上がった。 旅行業界を揺るがす「Go Toトラベル不正問題」。その闇の深さが浮き彫りとなった。 旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)の子会社に続き、2月にGo To トラベルの不適切な申請が判明したネット専業の旅行会社・旅工房。同社は3月2日、西村あさひ法律事務所の高橋宏達弁護士を委員長とする第三者委員会の調査報告書を公表した。 旅工房は個人客に向けてパッケージ旅行を企画・販売し、航空券やホテル宿泊などの旅行商品を販売している。売り上げの大半が海外旅行で、ネットを駆使しつつも、コンシェルジュによるサービスを併用するのが特徴だ。顧客は30~40代の女性が中心となっている』、第3の記事のHIS子会社以外にも、不正事件が発生したようだ。
・『最大で4億円の損失が発生  調査委員会は焦点となった旅行商品について、不泊が多かったことなどから、給付金の対象とすることが不適切とされる可能性があると結論付けた。旅工房は今回の件で、仕入れ先に対して計上している債務が3億1370万円。地域共通クーポンについてもGo To トラベル事務局から9362万円分の返還を求められる可能性があり、最大で4億円超の損失が発生する可能性がある。 また、旅工房については積極的に不適切な催行に関与したわけではなく、Go To トラベルの仕組みから不当な利益を得ようとする取引先に利用された可能性を指摘した。調査報告書から不正の経緯を読み解くと、渦中の旅行商品を取り巻く奇妙な状況やHISグループの問題との関連性、Go To トラベル全体の課題など、あまたの問題点が浮かび上がった。 事の発端は2020年10月、ホテル運営会社JHATの社長で旅工房の社外取締役だった平林朗氏が、ゴルフの場でIT導入補助金の活用支援などを行うB社の社長を旅工房の高山泰仁会長兼社長に紹介したことだ。平林氏は2016年までHISの社長を務め、HISグループにGo Toを利用した不正な取引を持ち掛けたとされる人物でもある。 B社が旅工房に提案したのは、eラーニングでSNSの活用やECサイトの販売ノウハウなどを学ぶ、求職者向けの宿泊付き研修プラン。料金は1人1泊4万円で、2020年11月下旬から2021年1月末までの研修だ。取引をまとめたのは、旅工房の前澤弘基取締役。商品はWebシステム開発などのコンサルティングを行うA社が購入し、その窓口をB社が担当した。 B社は同時にJHAT、HISグループの旅行会社・ジャパンホリデートラベル(以下ジャパンホリデー)とも類似のスキームについて協議しており、参加者の募集も始めていた。これはHISグループの問題における、取引の1つとみられている。 旅工房に提案したプランと合わせると、旅行商品の参加者は2000人を超える。11月、旅工房の常勤取締役の会議でこの点について質問が投げかけられた。この人数を募集できるのか、応募者は実際に宿泊するのかというものだ。これに対し、B社は旅工房の商品に参加する560人のリストを送付。560人は一般人で、本人確認書類も提出する形で申し込みされており、架空ではなかった。 国内旅行の手配ノウハウに乏しい旅工房は、ホテル客室の手配をジャパンホリデーに依頼。11月20日から順次、研修がスタートした』、「560人は一般人で、本人確認書類も提出する形で申し込みされており、架空ではなかった」、その面では問題はなさそうだ。
・『提案者と購入者、研修提供者が同一か  ところが、チェックインの人数が予定よりも少ない。ジャパンホリデーは翌21日、旅工房に状況を確認するように連絡。旅工房もB社に、参加者への連絡を要請した。購入者のA社も3度にわたり参加者にチェックインを促すメールを送信したが、結局、560人中297人が宿泊せず、予定されていた全2万0240泊中1万1078泊が利用されなかった。 A社にとって今回の研修は、育成した人材の派遣・就職によって利益を得るモデル。代金はA社が全額負担し、参加者は無償だった。そのうえ、研修形態は自宅でも受講可能なeラーニングだ。当時はコロナの感染者が急増し、Go To事業への批判が集まっていたこともあり、宿泊をやめた者が多かったようだ。 観光需要を喚起するGo Toの趣旨と異なり、商品自体も研修がメインだった。旅行代金4万円の内訳は、ホテル代が3000円、研修が3万3000円、旅工房の手数料が4000円。Go Toの割引(1万4000円)を差し引くと、実質2万6000円で3万3000円の研修が受けられてしまう。 今回のスキームが呆れるほど悪質なのは、商品を提案したB社、購入したA社、研修を提供したD社が同一または一体だった可能性が高い点だ。つまり、この事業者が購入者として2万6000円を支出しつつ、研修提供者として3万3000円(ホテル代と旅工房の手数料を除く)を得る。「旅行者1人1泊につき7000円の利益を得られるように思える構造となっていた」(調査報告書)のである。 調査委員会から「積極的に関与した可能性は認められない」とされた旅工房にも問題は多い。地域共通クーポンを宿泊者ではなくホテル側に渡し、ホテルがリネン・清掃代として計上(具体的な使途は不明)されていたことがわかった。クーポンは地域の振興が目的で、利用者が宿泊した地域で使うもの。ホテルのリネン代に充てるなど前代未聞だ。これを決めたのは前澤取締役と平林氏だった。 HISグループの問題とも深く関係している。旅工房にジャパンホリデーを紹介したのはB社だ。B社は前述のように、HISグループの問題における取引を行った会社だ。観光庁・Go To トラベル事務局もHISグループの問題と旅工房の事例を1つの問題として調査している。 「共通するスキームが使われているのが事実。進捗を伝えることはできないが、捜査機関と十分に連携して調査している。できるだけ早く刑事告訴したい」(観光庁)』、「研修形態は自宅でも受講可能なeラーニング」、なのに宿泊させるのは不自然だ。「呆れるほど悪質なのは、商品を提案したB社、購入したA社、研修を提供したD社が同一または一体だった可能性が高い点だ。つまり、この事業者が購入者として2万6000円を支出しつつ、研修提供者として3万3000円(ホテル代と旅工房の手数料を除く)を得る。「旅行者1人1泊につき7000円の利益を得られるように思える構造となっていた」、酷い話だ。
・『Go To復活へ再発防止できるか  調査委員会は事業者を問わず、Go To全体の運用実態にも疑問を投げかけている。利用者が割引やクーポンを受けていながら宿泊せず、給付金の返還を請求されていない例は「むしろ多数存在していたと推測される」(調査報告書)。宿泊するつもりがなく旅行商品を購入し、今回の研修に当たる付帯サービスのみ提供を受けた例も「相当数存在したと考えられる」(同)としているのだ。 観光庁はこうした報告書の指摘に対し、「不泊が対象外というのは一貫してきた。不適切な事案を放置しているように言われるのは心外。審査は事細かくやっている」と反論している。 Go To事務局側も事業者への説明やサポートが不十分で、対象商品の明確化が遅れた側面はある。だが、観光需要の喚起という趣旨から逸脱した例が多く存在したとすれば大問題だろう。Go To再開には、全容解明と同時に再発防止策が打たれ、旅行業界に対する不信が払拭されることが必須条件だ』、「宿泊するつもりがなく旅行商品を購入し、今回の研修に当たる付帯サービスのみ提供を受けた例も「相当数存在したと考えられる」、「GoToトラベル」に伴う問題の多くは、制度設計のいい加減さがある。「GoToトラベル」を復活するには、制度の再設計が必要だが、私は「GoToトラベル」復活そのものに反対である。余った予算は大蔵省に戻すべきだ。
タグ:「560人は一般人で、本人確認書類も提出する形で申し込みされており、架空ではなかった」、その面では問題はなさそうだ。 (その3)(天下の愚策「GoTo代替事業」が招く感染急増の最悪シナリオ、HIS(上)GoToトラベル不正受給のキーマンは元社長だった、HIS(下)モンゴルのハーン銀行を子会社に持つ澤田HDを売却、ネット旅行社で浮上 HIS事件との共通点も散見 相次ぐ「GoTo不正」で浮き彫りとなった深すぎる闇) 第3の記事のHIS子会社以外にも、不正事件が発生したようだ。 GoTo問題 有森隆氏による「HIS(上)GoToトラベル不正受給のキーマンは元社長だった」 「GoToトラベル」の再開は見送られたが、代わりに地域観光事業支援がスタート。 「研修形態は自宅でも受講可能なeラーニング」、なのに宿泊させるのは不自然だ。 現実にはそこまでの「盛り上がり」はなかった。 「澤田秀雄は断崖絶壁に立たされた」、同感である。 東洋経済Plus「ネット旅行社で浮上、HIS事件との共通点も散見 相次ぐ「GoTo不正」で浮き彫りとなった深すぎる闇」 日刊ゲンダイ 岸田内閣になっても、「GoToトラベル」再開は塩漬け状態だ。 「服部純市」氏も今回の登場人物の派手さに華を添えたようだ。 有森隆氏による「HIS(下)モンゴルのハーン銀行を子会社に持つ澤田HDを売却」 「澤田は・・・私がハウステンボスの社長をしていた時にHISの社長を任せたが、私がHISに戻った時に外れてもらった。それ以降、話し合いをしたことも取引も一切ない」、社長を外して以降は、「話し合い」も「一切ない」というのは、どう考えても不自然過ぎて、苦し紛れのウソの可能性がある。 「呆れるほど悪質なのは、商品を提案したB社、購入したA社、研修を提供したD社が同一または一体だった可能性が高い点だ。つまり、この事業者が購入者として2万6000円を支出しつつ、研修提供者として3万3000円(ホテル代と旅工房の手数料を除く)を得る。「旅行者1人1泊につき7000円の利益を得られるように思える構造となっていた」、酷い話だ。 「宿泊するつもりがなく旅行商品を購入し、今回の研修に当たる付帯サービスのみ提供を受けた例も「相当数存在したと考えられる」、「GoToトラベル」に伴う問題の多くは、制度設計のいい加減さがある。「GoToトラベル」を復活するには、制度の再設計が必要だが、私は「GoToトラベル」復活そのものに反対である。余った予算は大蔵省に戻すべきだ。 驚くべき事件で、HISが舞台になった点では、「澤田会長」の責任も重大だ。 日刊ゲンダイ「天下の愚策「GoTo代替事業」が招く感染急増の最悪シナリオ」
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パンデミック(医学的視点)(その25)(「ブースター接種」はどこまで科学的に有効なのか イスラエルではすでに4回目接種も始まったが、あまり語られないオミクロン株の「後遺症問題」 重症化リスクが下がったとしても安心できない、コロナ後遺症で「脳の霧」が出る!?脳脊髄液中に確認された抗体とは?) [パンデミック]

パンデミック(医学的視点)については、1月13日に取上げた。今日は、(その25)(「ブースター接種」はどこまで科学的に有効なのか イスラエルではすでに4回目接種も始まったが、あまり語られないオミクロン株の「後遺症問題」 重症化リスクが下がったとしても安心できない、コロナ後遺症で「脳の霧」が出る!?脳脊髄液中に確認された抗体とは?)である。

先ずは、1月18日付け東洋経済オンラインが転載したThe New York Times「「ブースター接種」はどこまで科学的に有効なのか イスラエルではすでに4回目接種も始まったが」を紹介しよう。
・『1年前は、新型コロナウイルス感染症のワクチンを2回接種するだけで——あるいはジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンなら1回で——十分な予防効果が得られると考えられていた。 しかし、驚くほど感染力の強いオミクロン株が出現し、イスラエルでは重症化リスクの高い人々を対象に4回目の接種が始まっている。アメリカ疾病対策センター(CDC)はブースター接種の対象を若者にも広げ、「ワクチン接種が完了した」という表現を用いるのを避けるようになった。2回接種ではもはや十分といえなくなったためだ。 これからは、ワクチン接種状況が「最新の基準を満たしている」のかいないのか、といった表現が使われることになるだろう。そうなれば当然、次のような疑問が出てくる。新型コロナワクチンの接種に終わりはあるのか、数カ月ごとに袖をまくり上げてブースター(追加)接種を繰り返すことになるのか、という疑問だ』、日本でも「ブースター接種」することになり、医療従事者から優先的に「接種」が進んでいる。
・『効果を裏付けるデータは存在しない  科学者たちはこのウイルスに何度となく予想を裏切られ、身の程を思い知らされてきたため、今後の見通しを示すことに乗り気ではない。ただ、今回の取材では10人ほどの科学者が、ウイルスが今後どのような展開をたどろうとも、全人口を対象に数カ月ごとにブースター接種を繰り返すのは現実的ではないし、科学的でもない、と話した。 イエール大学の免疫学者、岩崎明子氏は、「ワクチンを定期的に接種する例がほかにないわけではないが、半年ごとにブースター接種を繰り返すより、もっといいやり方があるだろう」と話す。 そもそも、数カ月ごとにワクチン接種の行列に並ぶよう人々を説得できるのかといえば、その勝算はかなり低い。アメリカでは成人の約73%がワクチン接種を完了しているが、ブースター接種を受けることを選んだのは今のところ3分の1強にとどまる。 「はっきりいって、これは長期的に維持できる戦略とは思えない」と、アリゾナ大学で免疫学を研究するディープタ・バタチャリア氏は指摘する。 同じく重要な点として、現行ワクチンによる4回目接種の効果を裏受けるデータが存在しないという問題もある(ただ、免疫不全の人は話が異なり、こうした人々は4回目接種で防御効果が高まることは十分に考えられる)。 オミクロン株で感染が急速に広がったアメリカでは、できるだけ早期に3回目の接種を受けるべき、というのが専門家のコンセンサスになっている。とはいえ、追加接種による免疫のブースト効果は一時的なものにすぎず、3回目の接種からわずか数週間で抗体濃度が低下することを示す予備的研究もすでに出ている。さらに、抗体濃度がピークにあるときでさえ、3回目の接種ではオミクロン株に対し感染を一様に予防できるほどの効果は引き出せない。 オミクロン株、あるいは今後出てくる新たな変異株に対して免疫を引き上げることを目的とするのなら、最初に感染が広がったウイルス株に合わせて開発されたワクチンを繰り返し接種するのではなく、ほかの戦略を用いた方がよいというのが専門家の見解だ。 一部では「汎コロナウイルスワクチン」の開発も進められている。変異が極めて遅いか、まったく変異を起こさないウイルス部位を標的とするワクチンだ。 現行ワクチンを打った人々に、ブースターとして経鼻または経口ワクチンを用いることも考えられる。経鼻・経口ワクチンはウイルスの侵入経路となっている鼻腔などの粘膜表面に抗体をつくり出すため、感染予防にはより適している。 さらに、ワクチン接種の間隔を広げるだけで、免疫が強まる可能性もある。これは、新型コロナ以外の病原体に対する戦いで得られた科学的知見だ』、「追加接種による免疫のブースト効果は一時的なものにすぎず、3回目の接種からわずか数週間で抗体濃度が低下することを示す予備的研究もすでに出ている」、「わずか数週間で抗体濃度が低下」、とは頼りない話だ。
・『感染を完全に防ぐのは無理  ニューヨークのロックフェラー大学で免疫学を研究するミシェル・ヌッセンツヴァイク氏は、「ワクチン接種は入院率の抑制に極めて高い効果を発揮している」とした上で、感染を完全に防ぐのは無理だということがオミクロン株によってはっきりしたと話す。 ワクチンで感染の拡大を防げるのなら、定期的なブースター接種には合理性があるかもしれない。「しかしオミクロン株(がこれだけ感染を広げている現状)を踏まえると、(感染防止目的のブースター接種には)意味がない」とヌッセンツヴァイク氏は語る。「目指すべきは、入院を防ぐことだ」。 アメリカでパンデミック関連の首席医療顧問を務めるアンソニー・ファウチ氏も、本当に重要なのは入院を減らすことだと述べている。 ブースター接種で感染を防ぐには、実施のタイミングを変異株の流行にぴったりと合わせ込む必要がある。例えば、昨年秋に3回目の接種を済ませた人は多いが、オミクロン株が流行し始めたころには免疫のブースト効果がすでに低下し、感染しやすい状況になっていた。) インフルエンザの場合は一般的に、冬の流行が始まる直前にワクチン接種を受けることが推奨されている。新型コロナもインフルエンザと同様、季節的に感染を繰り返す病気となる可能性があるが、そうなれば「毎年、冬の前にブースター接種を行うシナリオも考えられる」と、ペンシルベニア大学の免疫学者、スコット・ヘンズリー氏は語る。 さらにインフルエンザの教訓としては、頻繁に接種しても効果が期待できない、というものもある。インフルエンザワクチンを1年に2回接種しても、「それに比例して効果が上がるわけではないので、そこまで頻繁に接種を行う意味はないだろう」と、香港大学で公衆衛生を研究するベン・カウリング氏は言う。「頻繁なワクチン接種で免疫を強めるのは困難だと思う」。 あまりにも頻繁なブースター接種は害をもたらしかねない、といった懸念も出ている。これには理論上、2つの可能性がある。 1つ目の可能性は、免疫システムが疲弊して「アネルジー」という状態に陥り、ワクチンに反応しなくなるシナリオだ。大半の免疫学者は、こちらの可能性については低いとみている。 可能性がより高いとみられているのは、「抗原原罪」と呼ばれる2つ目のシナリオだ。この学説によると、免疫システムの反応は最初に接したウイルス株の記憶に引きずられるため、変異株に対する反応は大幅に低下してしまう。 オミクロン株には50カ所を超える変異があり、それまでの変異株とはかなり異なる。そのため、最初に感染が広がった新型コロナウイルスに反応してできた抗体では、オミクロン株をうまく認識できない。 ハーバード大学のワクチン専門家、エイミー・シャーマン氏は「これが問題となる可能性を示唆する証拠は十分にある。短期間で(ウイルスが)進化している状況を、私たちは間違いなく目撃している」と話す』、「抗原原罪」説では、「免疫システムの反応は最初に接したウイルス株の記憶に引きずられるため、変異株に対する反応は大幅に低下」、もっともらしいシナリオだ。
・『感染防止と重症化予防のどちらを目指すのか  定期的なブースター接種であれ、別の手法であれ、何らかの戦略を採用するには、まず政府が目指す目標をはっきりさせなければならないと専門家は指摘する。例えば、感染防止を目標にするのと、重症化の防止を目標にするのとでは、求められる戦略もまったく違ってくる。 「事態は急速に変化しており、どこに向かっているのかも見えない状況にある」と、エモリー大学の生物統計学者、ナタリー・ディーン氏は言う。「今後の展開がどうあれ、何を目指すのか、とにかく目標をはっきりさせなくてはならない」』、「感染防止と重症化予防のどちらを目指すのか」、「政府が目指す目標をはっきりさせなければならない」のは確かだ。

次に、1月26日付け東洋経済オンラインが転載sたThe New York Times「あまり語られないオミクロン株の「後遺症問題」 重症化リスクが下がったとしても安心できない」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/505485
・『保健当局者の多くは、オミクロン株がそれまでの新型コロナウイルス株に比べ重症化しにくいことを示唆する初期データに勇気づけられているが、そこに別の重大な疑問が影を落としている。 ワクチン接種完了者のブレークスルー感染も含め、オミクロン株への感染が「長期コロナ感染症(Long COVID)」につながる可能性はどうなのか、という疑問だ。長期コロナ感染症というのは、いわゆる後遺症のこと。何カ月にもわたって続き、日常生活に支障を及ぼすこともある身体的、神経的、認知的な一連の症状を指す。 オミクロン株とワクチン接種、そして長期コロナ感染症をめぐる関係性はまだ科学的によくわかっていない。これまでに行われてきた研究では、決定的な手がかりが得られていないということだ。この記事では、科学的にわかっていることと、まだわかっていないことのポイントを紹介する』、興味深そうだ。
・『オミクロン株の後遺症リスクは?  オミクロン株が最初に確認されたのは昨年11月。そのため、症状がどれだけ長引く可能性があるかを見極めるには、まだしばらく時間がかかる。また、感染から回復して陰性になった後、これまでのウイルス株と同様に、頭にもやがかかったようになるブレインフォグや、激しい倦怠感といった症状につながる可能性があるのかどうかもよくわかっていない。 オミクロン株はそれまでのウイルス株ほど感染当初に重症化しないとするデータが報告されているが、基本的な症状はそれまでのウイルス株と似ているため、長期的な影響もこれまでと同じようなものになる可能性がある。 感染当初の重症化リスクが低下したとしても、それはオミクロン株が長期コロナ感染症を引き起こしにくくなったことを必ずしも意味するものではないと、複数の医師、研究者、患者団体は警告を発している。これまでの研究からは、新型コロナに感染した当初は軽症または無症状だった人々の多くが、その後、何カ月も続く長期コロナ感染症を患ったことが明らかになっている。 ワクチンで長期コロナ感染症を防げるのかどうかは、はっきりしない。 重症化や死亡を防ぐことがワクチンの本来の目的だが、これまでのウイルス株に関していえば、ワクチンによって感染リスクそのものが下がったケースもあったとみられる。長期コロナ感染症を避ける最善の方法はもちろん、最初から感染しないことだ。しかしワクチンによる感染予防効果は、オミクロン株に対してはこれまでほど強くなく、ブレークスルー感染も以前に比べはるかに一般的になっている。 ワクチン接種者と長期コロナ感染症に関する研究は、今のところデルタ株が登場する前に収集されたデータが中心になっており、しかも結果が割れている。ワクチンが長期コロナ感染症の抑制につながるとする研究がある一方で、つながらないとする研究も存在するということだ』、「ワクチン接種者と長期コロナ感染症に関する研究は、今のところデルタ株が登場する前に収集されたデータが中心になっており、しかも結果が割れている」、これでは役立たずだ。
・『ワクチンを打つと後遺症が和らぐ?  ワクチンの運用が始まったときにはまだ、感染力の強いデルタ株も、それよりさらに感染力を増したオミクロン株も出現していなかった。が、当時、長期コロナ感染症患者の中には、ワクチン接種後にブレインフォグ、関節痛、息切れ、倦怠感といった症状が改善した人たちもいた。それでも、ワクチンを打っても症状がまったく変化しないという人は多かったし、症状が悪化したと感じる人も少数ながらいた。 2021年2〜9月に症状があると答えた18〜69歳を対象としたイギリス国家統計局の調査によると、長期コロナ感染症の症状を訴える確率は1回のワクチン接種で13%低下し、2回の接種でさらに9%低下した。 長期コロナ感染症の原因は今も明らかになっておらず、専門家によると、さまざまな症状の背後には、患者によって異なる原因が存在する可能性があるという。有力な仮説としては、感染が治まって陰性になった後に残ったウイルスやその遺伝子物質の残骸が関係しているとするもの、あるいは免疫の過剰反応が止まらなくなり、それによって引き起こされた炎症もしくは血行不良と関係しているとするものがある。 イェール大学の免疫学者・岩崎明子氏は、ウイルスの残骸が原因となっている場合には、ワクチンが症状の長期的な改善につながるのではないかと話す。これは、ワクチンで生成される抗体に、そうした残骸を取り除く能力があることが前提となる。 反面、感染後に自己免疫疾患に似た反応を起こし、これが長期コロナ感染症の原因となっている場合には、ワクチンでは一時的にしか症状が改善せず、倦怠感などの問題が再発する可能性がある』、科学的な解明は徐々にしか進まないとはいえ、着実に進展しているようだ。

第三に、2月5日付けダイヤモンド・オンラインが転載したヘルスデーニュース「コロナ後遺症で「脳の霧」が出る!?脳脊髄液中に確認された抗体とは?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/295280
・『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が治癒した後の後遺症の一つとして“脳の霧”(Brain Fog)が注目されているが、その発症機序の解明の手掛かりとなり得る研究結果が、「Annals of Clinical and Translational Neurology」に1月19日掲載された。論文の上席著者である、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のJoanna Hellmuth氏によると、脳の霧の症状が現れている人の脳脊髄液中には、その症状のない人からは検出されない抗体が確認されたという。 COVID-19治癒後に生じる“脳の霧”とは、Hellmuth氏によると、最近の出来事や名前を思い出せない、物事を表現するのに適切な言葉を想起できない、集中力が途切れる、情報処理スピードが低下するといった、認知機能関連症状のことだという。最近の研究によると、このような症状はCOVID-19治癒後の人にとって珍しいものではなく、ニューヨークのクリニックからは、156人のCOVID-19後遺症患者の約67%に認められたというデータが報告されている。 このようなウイルス感染症罹患に伴う“脳の霧”はCOVID-19に限ったものではない。これまでに、COVID-19以外の重症急性呼吸器症候群(SARS)の罹患や、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、C型肝炎ウイルス(HCV)などの感染でも、認知機能関連症状を来すケースがあることが知られている。 今回の研究は、認知機能関連症状のある22人(平均年齢48歳)と、その症状のない10人(同39歳)、計32人のCOVID-19既往者を対象に行われた。COVID-19の発症から10カ月後に採血検査を行うとともに、同意の得られた17人(有症状者13人、無症状者4人)の脳脊髄液を採取して分析した。なお、研究対象者は全員が成人であり、COVID-19の治療に入院を要していなかった。 脳脊髄液検査の結果、有症状のCOVID-19既往者13人中10人に炎症の亢進や、自分の体を攻撃する可能性のある抗体が活性化した所見が認められ、無症状のCOVID-19既往者4人は全て正常と判定された(77%対0%、P=0.01)。また、有症状者で認められた異常所見の一部は、血液検査の結果にも現われていた。 両群の認知機能関連リスク因子を比較すると、無症状者はリスク因子数が平均1未満であるのに対して、有症状者は平均2.5のリスク因子が該当した(P=0.03)。評価した認知機能関連リスク因子には、脳卒中、軽度認知障害、および血管性認知症のリスクを高める可能性のある疾患として、糖尿病と高血圧が含まれていた。また、注意欠如・多動症(ADHD)、アルコール・薬物使用障害、うつ病の既往なども評価されていた。 有症状のCOVID-19既往者の脳脊髄液中に見られた抗体について、Hellmuth氏は、「それらの抗体の標的は不明」とした上で、「ウイルスによって刺激された免疫系によって、意図しない病理学的機能により出現した可能性がある」と推測している。 なお、本研究では、HIV関連神経認知障害(HAND)の診断に使用される基準と同じ手法を用いて、神経心理学者の面接による認知機能の評価が対象者全員に行われていた。その結果は、有症状者では22人中13人(59%)、無症状者では10人中7人(70%)がHAND基準を満たしており、その割合に有意差はなかった(P=0.70)。 この点についてHellmuth氏は、「既存の評価手法では、COVID-19の後遺症として現れる認知機能の低下を診断できない可能性がある。しかし、思考や記憶の問題を訴える患者に対して、医療者は疾患の診断基準を満たすか否かにとらわれるのではなく、患者の訴えを信じて対応すべきではないか」と語っている。(HealthDay News 2022年1月20日)』、「最近の出来事や名前を思い出せない、物事を表現するのに適切な言葉を想起できない、集中力が途切れる、情報処理スピードが低下するといった、認知機能関連症状」とは怖い後遺症だ。「156人のCOVID-19後遺症患者の約67%に認められた」、「評価した認知機能関連リスク因子には、脳卒中、軽度認知障害、および血管性認知症のリスクを高める可能性のある疾患として、糖尿病と高血圧が含まれていた。また、注意欠如・多動症(ADHD)、アルコール・薬物使用障害、うつ病の既往なども評価」、「ウイルスによって刺激された免疫系によって、意図しない病理学的機能により出現した可能性がある」と推測」、なるほど。
タグ:パンデミック(医学的視点) については、1月13日に取上げた。今日は、(その25)(「ブースター接種」はどこまで科学的に有効なのか イスラエルではすでに4回目接種も始まったが、あまり語られないオミクロン株の「後遺症問題」 重症化リスクが下がったとしても安心できない、コロナ後遺症で「脳の霧」が出る!?脳脊髄液中に確認された抗体とは?)である。 先ずは、1月18日付け東洋経済オンラインが転載したThe New York Times「「ブースター接種」はどこまで科学的に有効なのか イスラエルではすでに4回目接種 東洋経済オンライン The New York Times「「ブースター接種」はどこまで科学的に有効なのか イスラエルではすでに4回目接種も始まったが」 日本でも「ブースター接種」することになり、医療従事者から優先的に「接種」が進んでいる。 「追加接種による免疫のブースト効果は一時的なものにすぎず、3回目の接種からわずか数週間で抗体濃度が低下することを示す予備的研究もすでに出ている」、「わずか数週間で抗体濃度が低下」、とは頼りない話だ。 「抗原原罪」説では、「免疫システムの反応は最初に接したウイルス株の記憶に引きずられるため、変異株に対する反応は大幅に低下」、もっともらしいシナリオだ。 「感染防止と重症化予防のどちらを目指すのか」、「政府が目指す目標をはっきりさせなければならない」のは確かだ。 The New York Times「あまり語られないオミクロン株の「後遺症問題」 重症化リスクが下がったとしても安心できない」 「ワクチン接種者と長期コロナ感染症に関する研究は、今のところデルタ株が登場する前に収集されたデータが中心になっており、しかも結果が割れている」、これでは役立たずだ。 科学的な解明は徐々にしか進まないとはいえ、着実に進展しているようだ。 ダイヤモンド・オンライン ヘルスデーニュース「コロナ後遺症で「脳の霧」が出る!?脳脊髄液中に確認された抗体とは?」 「最近の出来事や名前を思い出せない、物事を表現するのに適切な言葉を想起できない、集中力が途切れる、情報処理スピードが低下するといった、認知機能関連症状」とは怖い後遺症だ。「156人のCOVID-19後遺症患者の約67%に認められた」、「評価した認知機能関連リスク因子には、脳卒中、軽度認知障害、および血管性認知症のリスクを高める可能性のある疾患として、糖尿病と高血圧が含まれていた。また、注意欠如・多動症(ADHD)、アルコール・薬物使用障害、うつ病の既往なども評価」、「ウイルスによって刺激された免疫系によっ
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パンデミック(経済社会的視点)(その20)(オミクロンに慌てふためく日本政府の致命的欠陥 時間はあったはずなのに備えが全然できていない、ポンコツ岸田政権で日本の「ワクチン敗戦」再び…3回目接種遅れは厚労省のブレーキが元凶) [パンデミック]

昨日に続き、今日はパンデミック(経済社会的視点)(その20)(オミクロンに慌てふためく日本政府の致命的欠陥 時間はあったはずなのに備えが全然できていない、ポンコツ岸田政権で日本の「ワクチン敗戦」再び…3回目接種遅れは厚労省のブレーキが元凶)を取上げよう。なお、前回 経済社会的視点を取上げたのは、昨年10月31日である。

先ずは、1月10日付け東洋経済オンラインが掲載した医療ガバナンス研究所理事長の上 昌広氏による「オミクロンに慌てふためく日本政府の致命的欠陥 時間はあったはずなのに備えが全然できていない」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/501812
・『オミクロン株の感染が拡大している。政府は沖縄、広島、山口県に対し、1月9日から31日まで特措法に基づくまん延防止等重点措置を適用。東京都も11日から動物園や水族館などの都立施設を休館し、会食を4人以内に制限した。 マスコミは、「病床逼迫リスク再び東京、空床の即時把握できぬまま」(日本経済新聞1月5日)、「沖縄、一般診療に制限一部病院担い手不足」(読売新聞1月8日)など、オミクロン株のリスクを強調する。 私は、このような論調に賛同できない。現時点でまん延防止措置や緊急事態宣言を発出することは愚の骨頂だ。図1をご覧いただきたい。経済協力開発機構(OECD)加盟国における1月7日の人口100万人あたりの感染者数を示す。日本はニュージーランドに次いで少ない。この感染者数で「第6波が来た」と大騒ぎする国は日本以外にはない。(図1OECD加盟国における1月7日の人口100万人あたりの感染者数はリンク先参照) (外部配信先では図表や画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)』、確かに、「図1」の通り「この感染者数で「第6波が来た」と大騒ぎする国は日本以外にはない」。 
・『アメリカやイギリスは学校や経済を止めていない  感染拡大が続く海外の対応は違う。12月27日、アメリカ・バイデン大統領は「備えはできている。学校と経済は動かし続ける」、1月4日、イギリス・ジョンソン首相は「学校と企業活動を継続させ、コロナとともに生きていく方法を見いだす」と発言している。なぜ、彼らは規制を強化しないのか。いくつかの理由がある。ところが、このことはあまり日本では論じられない。 まずは、オミクロン株の毒性が低いことだ。オミクロン株は感染者数ほど、医療体制に負荷をかけていない。昨年12月1日と比べ、1月1日の感染者はアメリカで4.6倍、イギリスは3.6倍増加したが、死者数は1.3倍、1.1倍しか増えていない。コロナ対策で重視すべきは、感染者数ではなく、重症者や死者を減らすことが世界的コンセンサスだ。オミクロン株の感染者は、重症度に関わらず、全員入院させる日本のやり方は異様だ。 なぜ、こんなことになるのか。それは日本でのコロナ対応が、医師と患者が相談して方針を決定する医療ではなく、感染症法に基づいた国家の防疫措置だからだ。感染症法で規定された病原体に感染すれば、たとえ無症状であっても、「病院」に強制隔離されることが感染症法に規定されている。判断するのは保健所長で、医師は介在しないし、本人の同意も不要だ。 沖縄で医療従事者の感染が相次ぎ、医療体制が弱体化していることが問題となっているが、これは感染力が強く、かつワクチン接種者にも感染しうるオミクロン株感染者を、隔離目的で入院させたからだろう。コロナは空気感染するから、院内感染が拡大する。人災と言わざるをえない。病床を確保したいなら、医学的に入院を必要としない感染者を入院させるべきでない。こんなことをしていれば、いくら病床数を増やしても、院内感染で使えなくなる』、「病床を確保したいなら、医学的に入院を必要としない感染者を入院させるべきでない」、その通りだ。
・『海外のコロナ対応は防疫でなく医療が基本  コロナが世界的にまん延した現在、海外のコロナ対応は、防疫でなく医療が基本だ。日本で言えばインフルエンザ感染の扱いだ。患者と医師が相談して、治療法を決める。医師が入院の必要はないと判断すれば、自宅で「自主隔離」となる。高額な支払いを求められる病院を隔離施設として利用したりはしない。 私は馬鹿げていると思っている。繰り返すが、厚生労働省がこのようなことをするのは、感染症法に規定されているからだ。感染症の雛形は、明治時代の伝染病予防法である。内務省が所管し、その基本方針は警察を使った国家権力による強制隔離だ。感染症の流行は国家を不安定化する。国家権力にとって、感染者は犯罪者同様、隔離すべき対象だったのだろう。 この基本思想は今も同じだ。コロナ対策でも、積極的疫学調査、クラスター対策、病床確保など、感染者の同定と隔離には力をいれるが、検査拡充やワクチンによる感染予防、感染者への早期治療についてはおざなりだ。感染者が治療を受ける権利、家族にうつさないための隔離される権利などは保障されていない。 中国で自宅での隔離のルールを守らず外出した人が、ドアを溶接され閉じ込められたことが日本でも話題となっているが、国民の意向とは無関係に、感染者を国家が強制的に隔離する日本も人権軽視という点では中国と大差ない。) 欧米が経済活動を続けられるのは、ウィズ・コロナを実現するため、感染予防や治療体制を強化してきたからだ。この点で日本は大きく見劣りする。 オミクロン株はワクチン接種者へのブレイクスルー感染が問題となっている。これに対しては、追加接種が有効だ。昨年12月11日、イスラエルのシェバ・メディカルセンターと同国保健省の中央ウイルス学研究所は、追加接種により、オミクロン株への中和活性が100倍高まったと報告している。 世界各国は追加接種に懸命だ。ところが、日本は遅々として進まない。図2をご覧いただきたい。OCED加盟38カ国中、36カ国が追加接種の進行状況を公表しているが、日本はその中で断トツの最下位だ(図2)。(図2OCED加盟38カ国中36カ国の追加接種進行状況はリンク先参照)』、「コロナ対策でも、積極的疫学調査、クラスター対策、病床確保など、感染者の同定と隔離には力をいれるが、検査拡充やワクチンによる感染予防、感染者への早期治療についてはおざなりだ。感染者が治療を受ける権利、家族にうつさないための隔離される権利などは保障されていない」、やはり「感染症法」の桎梏から脱する必要がありそうだ。「世界各国は追加接種に懸命だ。ところが、日本は遅々として進まない」、これは重大な政策ミスだ。 
・『早期治療には早期検査と投薬が必要  治療薬の入手も遅れている。アメリカ・メルク社のモルヌピラビル、アメリカ・ファイザー社のパクスロビドなどの経口治療薬は、感染早期に投与することで、重症化や死亡のリスクを、それぞれ3割、9割減らすことが証明されている。世界各国は治療薬確保に奔走している。 アメリカ政府は1月4日、ファイザー社のパクスロビドの供給を、昨年11月に契約した1000万回分から2000万回分に倍増させたと発表した。1月末までに400万回分が納入される。日本が確保したのはモルヌピラビル160万回分、パクスロビド200万回分で、十分量とは言いがたい。1月7日、日本経済新聞は、調剤薬局クオールで「4日時点で全店の1割にあたる約90店に届いたが、この店には1箱、患者1人分のみ」という状況を紹介している。 図3OECD加盟国での人口1000人あたりの検査数 治療体制の問題は、治療薬の確保だけではない。早期投与のためには、早期に検査しなければならない。そのためには、検査体制の強化が必須だ。図3は、1月7日時点でのOECD加盟国での人口1000人あたりの検査数だ。日本の検査数は0.41件で、メキシコについで少ない。英国(20.6)や米国(4.99)のそれぞれ50分の1、12分の1だ。) このような状況を知れば、日本は追加接種を進めず、治療薬を確保せず、検査体制を強化せず、国民への規制だけを強めているのがおわかりいただけるだろう。日本以外の先進国が医療体制を充実させながら、ウィズコロナへと向かっているのとは対照的だ。コロナのパンデミック(世界的流行)が始まってから間もなく2年である。時間は十分にあったはずなのに、ウィズ・コロナへの備えができていなかったとしか言えない。 では、なぜ、海外はそこまでして規制を嫌がるのだろうか。それは過度な規制が人権侵害や経済的なダメージだけでなく、規制が国民の健康を蝕むからだ。 あまり議論されることはないが、規制強化の悪影響は日本で最も深刻だ。それは、日本が先進国でもっとも高齢化が進んでいるからだ。実は、コロナ流行下で日本での死亡数は増加している。 医療ガバナンス研究所の山下えりかの調査によれば、2017~19年の死亡数と比較し、2020、21年の5月は、1.25倍、1.37倍、8月は1.29倍、1.35倍、さらに2021年の1月には1.19倍死亡者数が増えていた。コロナが流行するたびに死亡が増加していることがわかる。この増加は自然変動では説明がつかず、国立感染症研究所は「超過死亡」を認定している』、「日本は追加接種を進めず、治療薬を確保せず、検査体制を強化せず、国民への規制だけを強めている」、「コロナ流行下で日本での死亡数は増加」。 医療ガバナンス研究所の山下えりかの調査によれば、2017~19年の死亡数と比較し、2020、21年の5月は、1.25倍、1.37倍、8月は1.29倍、1.35倍、さらに2021年の1月には1.19倍死亡者数が増えていた。コロナが流行するたびに死亡が増加」、確かに「規制強化の悪影響は日本で最も深刻」なようだ。
・『コロナの規制強化で高齢者の健康が害されている  「超過死亡」はコロナ感染による死亡が増えたためではない。2021年1月には過去3年間と比べて、2万4748人死者が増えているが、この時期にコロナによる死亡が認定されたのは、2261人に過ぎない。コロナの流行時期に合わせて、多数のコロナ関連死が生じていたと考えるのが妥当だ。 全く同じことがコロナ流行下で起こってもおかしくない。12月24日、スポーツ庁は全国の小学5年生と中学2年生を対象とした2021年度の全国体力テストで、男女とも全8種目の合計点の平均値が調査開始以来最低であったと発表した。小中学生の体力がこれだけ落ちるのだから、高齢者の健康が害されるのも、むべなるかなだ。今回のオミクロン株での規制強化でも、多くの高齢者の命が失われてもおかしくないのだ。 オミクロン株対策は合理的でなければならず、海外の経験からもっと学ばなければならない。オミクロン株の流行は、南アフリカだけでなく、イギリス、カナダ、ギリシャ、イタリア、フィンランドなどでもピークアウトしている。感染拡大から1カ月程度で収束に転じたことになる。日本も同様の展開を辿るだろう。ちなみに昨年の冬の流行のピークは1月11日だった。日本でのオミクロン株の流行が欧米レベルまで拡大する可能性は低い。大騒ぎせず、冷静に科学的に議論すべきである』、「冷静に科学的に議論すべきである」、確かにその通りだ。

次に、1月11日付け日刊ゲンダイ「ポンコツ岸田政権で日本の「ワクチン敗戦」再び…3回目接種遅れは厚労省のブレーキが元凶」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/299753
・『新型コロナウイルスはオミクロン株の猛威で感染者が倍々ゲームで拡大中。欧米の状況から「オミクロンは軽症」という認識が広がっているが、欧米と日本には大きな差があることを忘れちゃならない。抗体量が25倍や37倍に増えるとされる3回目接種が、日本は圧倒的に遅れているのだ。厚労省が立てた接種計画すらクリアできていない。 2回目接種から8カ月後を前提にした厚労省の計画では、昨年12月には104万人の3回目接種が完了しているはずだった。さらに、岸田首相は医療従事者や高齢者施設の入所者らを対象に2カ月の前倒し接種を指示、12月中に接種できる人は約880万人になっていた。 ところが、首相官邸の発表によれば、今月7日時点の3回目接種完了者は75万2799人。対象者のわずか8%にすぎず、当初計画の104万人にすら達していないのだ』、「当初計画の104万人にすら達していない」、厚労省の明白なサボタージュだ。
・『後藤厚労相は、接種券が届く前に接種し、集計システムに登録されていない人がいるとして、「公表の接種実績が実際より少ない可能性はある」と苦しい言い訳だったが、ワクチン自体の供給不足もあるからか、どうも3回目の加速への本気度が見えない。 今月に入り、オミクロンの急激な拡大で高齢者施設でのクラスターも発生し、自治体によっては一般高齢者の3回目接種を早める動きも出てきた。そのひとつ、7日から接種を始めた東京・世田谷区の保坂展人区長に話を聞くと、3回目接種が遅れている理由についてこう言った。 世田谷区長「厚労省がブレーキをかけ1カ月を無駄にした」 「高齢者を守るため、世田谷区では昨年11月5日に『3回目前倒し接種』を厚労省に働きかけました。その後、いったん前倒しが進む状況になるかと思われましたが、11月16日に厚労大臣が、自治体間の競争を避けるとして『勝手な前倒しはできない』とブレーキをかけてしまったのです。本来なら12月から前倒しを加速させられたのに、1カ月、時間を無駄にし、それが今の遅れにつながっています」 オミクロンの足音に慌てたのか、12月末になって厚労省が「高齢者施設の先行接種完了の見通しが立てば、一般高齢者の1月中の前倒しを認める」と方針転換したため、今月になって前倒しを表明する自治体が相次いでいるというわけだ。 岸田首相がファイザーCEOとワクチン供給を早める交渉をしたが失敗。堀内ワクチン担当相はポンコツのうえ存在感ゼロ。10日は祝日にもかかわらず政府分科会の尾身会長らが首相公邸で岸田首相と面会し、「高齢者への3回目接種を最優先で推進」するよう要請した。 安倍・菅政権のワクチン確保の遅れに続き、岸田政権も「ワクチン敗戦、再び」である』、「11月16日に厚労大臣が、自治体間の競争を避けるとして『勝手な前倒しはできない』とブレーキをかけてしまったのです。本来なら12月から前倒しを加速させられたのに、1カ月、時間を無駄にし、それが今の遅れにつながっています」、「12月末になって厚労省が「高齢者施設の先行接種完了の見通しが立てば、一般高齢者の1月中の前倒しを認める」と方針転換したため、今月になって前倒しを表明する自治体が相次いでいる」、いかにも厚労省がやりそうなことだが、こんな調子では、「岸田政権も「ワクチン敗戦、再び」である」、となるのは確かだ。
タグ:確かに、「図1」の通り「この感染者数で「第6波が来た」と大騒ぎする国は日本以外にはない」 「ポンコツ岸田政権で日本の「ワクチン敗戦」再び…3回目接種遅れは厚労省のブレーキが元凶」 日刊ゲンダイ 「冷静に科学的に議論すべきである」、確かにその通りだ。 「11月16日に厚労大臣が、自治体間の競争を避けるとして『勝手な前倒しはできない』とブレーキをかけてしまったのです。本来なら12月から前倒しを加速させられたのに、1カ月、時間を無駄にし、それが今の遅れにつながっています」、「12月末になって厚労省が「高齢者施設の先行接種完了の見通しが立てば、一般高齢者の1月中の前倒しを認める」と方針転換したため、今月になって前倒しを表明する自治体が相次いでいる」、いかにも厚労省がやりそうなことだが、こんな調子では、「岸田政権も「ワクチン敗戦、再び」である」、となるのは確か 「日本は追加接種を進めず、治療薬を確保せず、検査体制を強化せず、国民への規制だけを強めている」、「コロナ流行下で日本での死亡数は増加」。 医療ガバナンス研究所の山下えりかの調査によれば、2017~19年の死亡数と比較し、2020、21年の5月は、1.25倍、1.37倍、8月は1.29倍、1.35倍、さらに2021年の1月には1.19倍死亡者数が増えていた。コロナが流行するたびに死亡が増加」、確かに「規制強化の悪影響は日本で最も深刻」なようだ。 「コロナ対策でも、積極的疫学調査、クラスター対策、病床確保など、感染者の同定と隔離には力をいれるが、検査拡充やワクチンによる感染予防、感染者への早期治療についてはおざなりだ。感染者が治療を受ける権利、家族にうつさないための隔離される権利などは保障されていない」、やはり「感染症法」の桎梏から脱する必要がありそうだ。「世界各国は追加接種に懸命だ。ところが、日本は遅々として進まない」、これは重大な政策ミスだ。 「オミクロンに慌てふためく日本政府の致命的欠陥 時間はあったはずなのに備えが全然できていない」 「当初計画の104万人にすら達していない」、厚労省の明白なサボタージュだ。 「病床を確保したいなら、医学的に入院を必要としない感染者を入院させるべきでない」、その通りだ。 上 昌広 東洋経済オンライン (その20)(オミクロンに慌てふためく日本政府の致命的欠陥 時間はあったはずなのに備えが全然できていない、ポンコツ岸田政権で日本の「ワクチン敗戦」再び…3回目接種遅れは厚労省のブレーキが元凶) パンデミック(経済社会的視点)
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パンデミック(医学的視点)(その24)(アングル:新型コロナ 国ごと異なる「エンデミック」化の道筋、ゼロからわかる変異株の大物「オミクロン」の正体 感染症未来疫学センターの水谷哲也教授に聞く、オミクロン株が心配な人に知ってほしい最新事情 欧米で先行 日本国内での流行に備えは十分か、ブースター接種繰り返し 疫系に悪影響の恐れ EU当局が警告 寒い季節の到来に合わせるべきと) [パンデミック]

パンデミック(医学的視点)については、昨年10月30日に取上げた。今日は、(その24)(アングル:新型コロナ 国ごと異なる「エンデミック」化の道筋、ゼロからわかる変異株の大物「オミクロン」の正体 感染症未来疫学センターの水谷哲也教授に聞く、オミクロン株が心配な人に知ってほしい最新事情 欧米で先行 日本国内での流行に備えは十分か、ブースター接種繰り返し 疫系に悪影響の恐れ EU当局が警告 寒い季節の到来に合わせるべきと)である。

先ずは、11月7日付けロイター「アングル:新型コロナ、国ごと異なる「エンデミック」化の道筋」を紹介しよう。
https://jp.reuters.com/article/covid-endemic-idJPKBN2HP0MD
・『新型コロナウイルスの「パンデミック(世界的大流行)」が来年以降のいつ、どこで「エンデミック(一定地域で普段から継続的に発生する状態)」に移行するのか――。感染力の強いデルタ株の拡大が多くの地域で一服するとともに、世界中の科学者がこうした予測に乗り出している。ロイターが十数人の有力専門家を取材して分かった。 専門家の見立てでは、パンデミックから最初に脱却する国は、高いワクチン接種率と感染者が獲得した自然免疫の効果が組み合わさっているはずで、米国、英国、ポルトガル、インドなどが該当しそうだ。もっとも専門家らは、新型コロナは依然として予測不能なウイルスであり、ワクチン未接種の人々に広がる過程で変異を続けると警告する。 ウイルスがようやく獲得した免疫をすり抜ける形に進化してしまう、いわゆる「ドゥームズデー(終末)シナリオ」を完全に否定する向きも見当たらない。ただ、多くの国が向こう1年間にパンデミックの最悪局面を抜け出せるとの自信は、専門家の間で深まりつつある。 世界保健機関(WHO)で新型コロナ対応を主導している疫学研究者、マリア・バンケルコフ氏は「今から来年末までの期間に、われわれはこのウイルスを制御し、重症者と死者を大幅に減らせると想定している」とロイターに語った。 そうしたWHOの考えは、今後18カ月のパンデミックがたどる最も蓋然(がいぜん)性が高い経路を専門家と検討した結果に基づいている。来年末までにWHOが目指すのは、ワクチン接種率を世界の全人口の7割に高めること。バンケルコフ氏は「この段階に達すれば、疫学的に(今とは)非常に異なる状況になるだろう」とみる。 WHOが10月26日に公表した報告書によると、世界のほぼ全ての地域で8月以降、新型コロナウイルスの感染者と死者は減少が続く。例外は欧州で、ロシアやルーマニアといったワクチン接種率が低い国や、マスク着用義務を解除した国・地域をデルタ株の新たな感染の波が襲った。デルタ株は、ワクチン接種率こそ高いが、極めて厳格なロックダウンを実施したため自然免疫がほとんど得られなかった中国やシンガポールなどでも感染者が増えている。 ハーバードT・H・チャン公衆衛生大学院の疫学研究者、マーク・リプシッチ氏は「(エンデミックへの)移行は各地域で違ってくる。なぜならそれは自然感染による免疫を獲得した人の数と、当然ながら国ごとにとてもばらつきがあるワクチン配分量に左右されるからだ」と述べた。 複数の専門家は、米国のデルタ株感染の波は今月で峠を越え、これが最後の大規模な感染急増局面になると見込む。米食品医薬品局(FDA)元長官のスコット・ゴットリーブ氏は「われわれはパンデミックの局面からエンデミック、つまりこのウイルスが米国で持続的な単なる1つの病気となる段階へと移ろうとしている」と説明した。 ワシントン大学の疾病予測分野の有力な専門家の1人、クリス・マレー氏も、米国のデルタ株感染急増は今月で終わり、新たに大きな存在となるような変異株が出現しなければ、来年4月にはコロナ感染症の収束が始まるとみている。 パンデミック局面の規制撤廃に伴って足元で感染者が急増している英国などでも、ワクチンのおかげで入院患者は増えていないもよう。インペリアル・カレッジ・ロンドンの疫学研究者、ニール・ファーガソン氏は、緊急事態としてのパンデミックは大方が過去の話になったと言明した』、「「われわれはパンデミックの局面からエンデミック、つまり・・・持続的な単なる1つの病気となる段階へと移ろうとしている」、楽観的過ぎる印象も受けるが、「WHO」の前提は「ワクチン接種率を世界の全人口の7割に高める」、前提も楽観的過ぎるのかも知れない。
・『<緩やかに改善>  新型コロナウイルスはこれから何年も、マラリアのような他の風土病と同じく、人々に病気や死をもたらす大きな要因となり続けるだろう。WHOのバンケルコフ氏は「エンデミックは(ウイルスが)無害になるという意味ではない」とくぎを刺した。 一部の専門家は、新型コロナウイルスがいずれ、ワクチン接種率の低い地域で感染が急増するはしかのような存在になると話す。インフルエンザのように、より季節性がある呼吸器疾患となりつつあるとの声も聞かれる。また別の専門家によると、新型コロナウイルスは次第に致死率が低下し、主に子どもが感染する方向に進んでいく可能性があるが、そうなるまでに何十年もかかる可能性があるという。 インペリアル・カレッジのファーガソン氏は、英国では新型コロナウイルスのために呼吸器疾患の死者が長期平均を超える状況があと2─5年続く半面、それで医療提供体制がひっ迫したり、社会的距離を確保する措置が再び求められたりする公算は小さいとの見方を示した。 同氏は「進化は緩やかに進んでいく。われわれは新型コロナウイルスをより永続的なウイルスとして扱うことになる」と述べた。 新型コロナウイルスの動向を追ってきたフレッド・ハッチンソンがん研究センターの計算ウイルス学者、トレバー・ベッドフォード氏は、米国で新型コロナウイルスは来年から2023年の間にエンデミックに移行すると想定。年間死者数は5万─10万人と、インフルエンザの3万人より多いと試算した。 その上で、新型コロナウイルスは変異を続けそうなので、最新の流行株に狙いを定めたワクチンを毎年接種しなければならなくなるとの見通しを示した』、「米国で新型コロナウイルスは来年から2023年の間にエンデミックに移行すると想定。年間死者数は5万─10万人と、インフルエンザの3万人より多いと試算」、「エンデミック」に移行しても、死者数が高水準なのに驚かされた。

次に、12月4日付け東洋経済オンライン「ゼロからわかる変異株の大物「オミクロン」の正体 感染症未来疫学センターの水谷哲也教授に聞く」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/473053
・『新型コロナウイルスの変異ウイルスである「オミクロン株」に対する警戒感が日増しに高まっている。日本政府は11月30日から全世界を対象に外国人の入国を禁止すると発表した。 11月24日に南アフリカが初めてWHO(世界保健機関)に報告したオミクロン株に対し、VOC(懸念すべき変異株)としてWHOが指定したのは11月26日。 全世界で猛威を振るったデルタ株ですら、インドで確認されてからVOCに指定されるまで6カ月間の期間があった。報告から2日というオミクロン株の指定は、ほかの変異株も含めて最速である。 異例の速さで“マーク”されたオミクロン株はどういう特徴を持っているのか。コロナウイルスを専門に研究している、東京農工大学農学部附属感染症未来疫学研究センターの哲也教授に話を聞いた(Qは聞き手の質問、Aは水谷氏の回答)』、興味深そうだ。
・『悪いところを“総取り”  Q:オミクロン株はなぜこんなにも警戒されているのでしょうか? A:デルタ株以降、“大物”の変異株はあまり出てこなかった。WHOがデルタ株をVOC(懸念すべき変異株)として指定したのは2021年4月。その後ラムダ株が6月、ミュー株が8月にVOCの前段階である「注目すべき変異株」に指定されたが、どちらもデルタ株の流行に入る隙間がなくて消えてしまった。 オミクロン株はデルタ株に代わって拡大している地域もあるようなので、久しぶりの“大物”になるかもしれない、ということだ。 その可能性の根拠として考えられているのは、ヒトの細胞に感染するときの足がかりになる「スパイクタンパク質」に起きている変異が、従来とは比べものにならないほど多いことだ。 スパイクタンパク質は、いくつものアミノ酸が連なって構成されている。ラムダ株であれば、その内7カ所のアミノ酸が別のものに変わる変異が起きている。一方のオミクロン株では30カ所以上のアミノ酸が変異しており、これまでVOCに指定されたどの変異株と比べても明らかに数が多い。 単に変異の数が多いだけではない。イギリスや南アフリカで最初に確認されたアルファ株やベータ株、インドで確認されたデルタ株など、これまで感染が拡大した変異株の悪いところを総取りしたような特徴がある。 Q:総取り、ですか? 重要なのは、感染の足がかりになるスパイクタンパク質の中でもその一部、「受容体結合領域」と呼ばれる場所で起きている変異だ。ヒトの細胞に侵入する際、直接細胞と接する領域で、ここに変異が起きていると感染のしやすさなどに変化が起こりやすい。 オミクロン株の受容体結合領域の変異を一つ一つ見ると、実験室レベルではヒト細胞とウイルスとの融合を促進することがわかっているもの、中和抗体から逃れる可能性があるもの、それからすでに感染性を高めることがわかっているものなどがある。 さらに、受容体結合領域の外側ではあるものの、領域の構造に影響を与えて感染性を高める変異も起きている。 オミクロン株の変異の特徴は、(イギリス、南アフリカ、ブラジルで最初に確認された)アルファ・ベータ・ガンマ株に近い。そこにインド由来のデルタ株の変異も一部が入ってきたようなイメージだ。 感染しやすくなるなどの特徴がすでにわかっている変異が、これまでの変異株には2?3つだったところ、オミクロン株には少なくとも4つは入っている』、「オミクロン株」には「これまで感染が拡大した変異株の悪いところを総取りしたような特徴がある」、「悪いところを総取り」とはいかにも恐ろしそうだ。
・『かなり厄介な存在の可能性も  Q:ほかにも懸念すべき点はありますか? A:新型コロナが細胞に侵入するとき、「フーリン」と呼ばれるタンパク質分解酵素がスパイクタンパク質を切断するプロセスがある。気になるのは、オミクロン株では初めて、フーリンによって切断される部位の近くにも変異が起こっていることだ。 同じコロナウイルスであるSARSやMERSコロナウイルスは、フーリンによって切断されるこの部位そのものを持っていない。新型コロナウイルスは、この切断部位を持ったことで感染効率が上がり、SARSやMERSコロナウイルスよりも感染が広がったといわれている。 そのため、もしこれがより切断されやすくなるような類いの変異なのであれば、明らかに感染しやすくなっていることになる。変異が起きている場所(フーリンによって切断される部位の近く)だけを見ると、オミクロン株はこれまでの変異株に比べてかなり厄介な感じに見えるのは確かだ。 Q:その一方で、現在主流のデルタ株に比べてどれだけ感染しやすくなっているのかや、重症化しやすくなっているのかなど、まだ詳しいことはわかっていない状況です。) たくさんの変異があるからといって、本当にそれが全体としてウイルスにとって有利な変異になっているのかはわからない。確かに、オミクロン株に起きているこうした変異を1つひとつ見れば、より感染しやすくなっているように見える。 だが大事なのは、スパイクタンパク質全体の「構造」がどう変わっているかだ。変異が起きている部分を個別に見て、感染しやすさや重症化のしやすさを判断することはできない。 フーリンによる切断部位に入った変異も、そこに変異が入ることによって結果的にさらに切断されやすくなって感染性が増すのか、逆に切断されにくくなっているのか、どちらの可能性もありうるため、実際のところはまだわからない。これから出てくる研究成果を見なければいけない。 Q:改めて、ウイルスにとって変異とはどんな意味を持つのでしょうか? A:そもそも一般的には、変異をすること自体ウイルスにとっては不利なことだ。変異前には一定の感染性があったのに、ランダムに変異が入ることでウイルスとして駄目になってしまうことのほうが多いはずだからだ』、「一般的には、変異をすること自体ウイルスにとっては不利なことだ。変異前には一定の感染性があったのに、ランダムに変異が入ることでウイルスとして駄目になってしまうことのほうが多いはず」、なるほど。
・『変異株の大半は人知れず消える  Q:つまり「変異ウイルス=人間にとって危険」というわけではないのですね。(水谷氏の略歴はリンク先参照) A:感染しにくくなるような変異が起きればもちろんその株は流行しないし、逆に感染者の致死率が高くなるような変異が起きてもウイルスは広まることができない。こういう変異は数多く起きているはずだが、ほとんどの変異株は人知れず消えていってしまう。 だからわれわれは、結果的に今回のように感染が広がって生き残った後の変異株しか確認できない。疫学的にも調べないと結論は出ないが、本当にこのままオミクロン株がデルタ株に代わって感染の主流になっていくのであれば、感染しやすくなるような変異が起きた、と考えるのが自然だ。 Q:オミクロン株ではワクチンなどによる中和抗体の効き目の低下が懸念されていますね。 A:中和抗体からどのようにウイルスが逃れているのかは、実際に中和抗体を持った人の血清を使うなどして研究する必要があるので、効果の有無を確認するのには時間がかかる。 とはいえ、中和抗体がまったく効かなくなるということはないだろう。中和抗体は、スパイクタンパク質上にある複数のアミノ酸を認識して結合している。そのため、いくつかのアミノ酸が変異したとしても、中和抗体はほかの部分でウイルスを認識して感染を抑えられる。程度はわからないが、くっつき方が悪くなるようなイメージだ。 Q:今後、主流になったデルタ株に代わって世界中に広まっていくのでしょうか? A:繰り返しになるが、本当に感染しやすくなっているかどうかは起きている変異を一つ一つ見るだけではわからないので、結論が出るのは時間がかかる。 ラムダ株やミュー株も、変異している場所を見て厄介なウイルスなのではないかと思ってはいた。それでも、先んじて流行していたデルタ株に代わる主流にならなかった』、「変異株の大半は人知れず消える」ので、「われわれは、結果的に今回のように感染が広がって生き残った後の変異株しか確認できない」、言われてみればその通りだ。
・『かなりの警戒が必要  変異によってズバ抜けて感染しやすくなるとか、より効率的に体内でウイルスを複製できるようになるとか、そういうことがない限り簡単には世界中で感染の主流になることはない。 だが実際にデルタ株の感染が減る一方でオミクロン株が増えていくのであれば、未知な部分が多いだけにかなりの警戒が必要だ。 デルタ株の流行が続いているアメリカではデルタ株とオミクロン株のせめぎ合いが起きる。一方、今、日本にはほとんど感染者がいない。そこにポンッと入ってくれば、一気にオミクロン株が主流になって広がる可能性もある』、「日本」でも既に「オミクロン株が主流」になりつつあるようだ。

第三に、12月23日付け東洋経済オンラインが掲載した医療ガバナンス研究所理事長の上 昌広 氏による「オミクロン株が心配な人に知ってほしい最新事情 欧米で先行、日本国内での流行に備えは十分か」を紹介しよう。
・『オミクロン株の感染が世界中で拡大している。筆者が考えるオミクロン株の主要な論点について議論したい』、興味深そうだ。
・『オミクロン株はアジアで流行するか  私の最大の関心事だ。11月に南アフリカでオミクロン株が検出された時、筆者はこの変異株が北半球で流行するか否か懐疑的だった。ベータ株(南アフリカ株)、ガンマ株(ブラジル株)、ラムダ株(ペルー株)など、南半球由来の変異株が北半球で流行しなかったからだ。 一方、日本で大流行したアルファ株(イギリス株)、デルタ株(インド株)などの変異株は、いずれもユーラシア大陸由来だ。その本当の発生地は兎も角、最初の流行がユーラシア大陸で確認されている。 私は、この事実を知ると、1997年にアメリカ・カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のジャレド・ダイアモンド教授が表した名著『銃・病原菌・鉄』を思い出した。この本の中で、ダイアモンド教授は、東西に同緯度の陸地が広がる北半球では疾病は拡散しやすく、南北に細長い南半球では、気候帯が異なるため、感染症は広がりにくいと論じていた。私は、全く同じ事が新型コロナウイルス(以下、コロナ)にも通用するかもしれないと考えていた。 ただ、この考えはほどなく否定された。イギリス、そしてアメリカでオミクロン株の流行が拡大したからだ。12月18日、イギリスでは1日あたりのオミクロン株の新規感染者数が、前日の3倍以上となる1万59人となり、翌19日も1万2133人に増加した。状況はアメリカも同じだ。12月20日、アメリカ疾病対策センター(CDC)は、12月18日までの1週間で確認されたコロナの73%がオミクロン株だったと発表した。 では、オミクロン株はアジアでも流行するのか?アルファ株がそうだったように、英米で大流行すれば、常識的にはアジアでも流行するだろう。果たして、本当にそうだろうか。私がひっかかるのは、今冬に限っては、アジアと欧米の流行状況が全く違うことだ。 欧米でデルタ株、およびオミクロン株が大流行している中、アジアで感染が拡大しているのは韓国、ベトナム、ラオスくらいだ(図)。この3カ国で流行しているといっても、その規模は欧米と比較して小さい。12月19日の1日あたりの感染者数(人口100万人あたり、1週間平均)は、イギリス1138人、アメリカ392人であるのに対し、ベトナム185人、ラオス179人、韓国132人だ。(外部配信先では図表や画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください) コロナは流行当初から、欧米と比べ、アジアでの感染は小規模だった。ただ、今冬ほど、その差が極端だったことはない。今夏、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム、そして日本の流行は欧米とほぼ同レベルだった。なぜ、今夏、このような国で大流行したデルタ株が、流行の本番である真冬に抑制されているのか、ワクチン接種(追加接種)や既感染による免疫では説明がつかない』、確かに不思議だ。
・『沖縄米軍基地でクラスターが発生したものの・・・  オミクロン株についても、英米との交流が多いシンガポール、インド、フィリピンなどで感染は拡大していない。また、日本でも沖縄米軍基地の職員の間で150人以上のクラスターが発生しているが(米軍は、このクラスターがオミクロン株によるとは認めていないが、基地に出入りする日本人からオミクロン株が検出されているため、オミクロン株が原因と考えていいだろう)、基地外に感染が拡大したという話は聞かない(12月19日現在)。 オミクロン株は強い感染力を有する。12月17日、イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者は、オミクロン株の再感染リスクはデルタ株の5.4倍というモデル研究の結果を発表した。私の知人でイギリス在住の医師も「オミクロン株の感染力は麻疹なみ」という感想を伝えてきた。その理由についても、香港大学の研究者が、デルタ株と比べて、オミクロン株は気管で増殖しやすいために、周囲に広まりやすく、逆に肺で増殖しにくいため、肺炎にならずに重症化しにくいなど、幾つかの仮説を提唱している。欧米で急速にオミクロン株の流行が拡大したのも納得できる。) ただ、欧米の研究でわかったことはアジアでも通用するのか、現時点ではわからないということだ。デルタ株の流行が抑制されているアジアで、オミクロン株が流行するのか、現状では何とも言えない。データに基づいた冷静な議論が必要だ』、「クラスター」は「沖縄米軍基地」の他にも、「岩国」、「横須賀」などのの米軍基地」でも発生(人数はそれぞれ、574人、529人、213人(1月7日付けしんぶん赤旗)。
・『水際対策と同時に国内大規模検査を  では、わが国は何を最優先すべきか。もちろん、オミクロン株が日本でも流行しうるという前提にたって対策を講じることだ。優先すべきは、水際対策と国内でのスクリーニングだ。水際対策の重要性は改めて言うまでもない。 問題は国内スクリーニングだ。日本は、水際対策が成功していると主張してきたため、国内でのオミクロン株の大規模検査を実施してこなかった。12月15日現在の国民1000人あたりの検査数は0.36件で、主要先進7カ国(G7)で最も多い英国(18.0件)の50分の1だ。デルタ株の流行が抑制されているという点では日本と変わらないインド(0.84件)の半分以下である。 クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号で、厳格な船内検疫を実施していたころに、すでに国内感染が拡大していたし、オミクロン株の流行でも、オランダでは、外国との渡航を禁止することを決めた1週間以上前に国内に入っていた。検査数が少ない日本では、オミクロン株が国内に流入していたとしても、検出できていない可能性が否定できない。 日本を含むアジアがオミクロン株に抵抗力があるのでなく、何らかの幸運で、日本国内に流入するのが遅れているだけなら、国内の検査を怠ることで、蔓延を許してしまう。 こうならないためには、国内での検査体制の強化が喫緊の課題であるが、前途は多難だ。それは、厚生労働省が、安倍晋三・元首相の頃から一貫してPCR検査を抑制しているからだ。この状況は現在も変わらない。 岸田文雄首相は自民党総裁選出馬にあたり、9月2日に「岸田4本柱」を発表し、その中に「検査の無料化・拡充」を盛り込んだ。ところが、11月12日、新型コロナ感染症対策本部が発表した「次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像」では、無料検査の対象を「感染拡大の傾向が見られる場合、都道府県の判断により」実施するか、あるいは「健康上の理由等によりワクチン接種を受けられない者」に限定した。「感染拡大の傾向」が確認されてから検査をしても手遅れだ。 この状況について、岸田首相には既視感があるはずだ。今年1月、岸田首相のおひざ元である広島県が、広島市の中心に位置する4区の住民約80万人を対象とした無料PCR検査の実施を計画し、県議会は10億3800万円の予算を可決したが、最終的に8000人規模に縮小された。 これは、「医系技官の意向を反映したもの(厚労省関係者)」だ。広島県が計画を発表後、政府は広島市を「緊急事態宣言に準じた措置」の対象地域に該当しないという見解を示し、休業補償などで広島県を冷遇したからだ。広島県は厚労省の意向に従わざるをえなかった。岸田首相はこのあたりの状況について、地元の支援者から聞いているはずだ。 現在、内閣官房で、コロナ感染症対策推進室長を務める迫井正深氏は、広島大学附属高校から東京大学医学部に進んだ医系技官だ。このまま医系技官たちの抵抗を許すのか、あるいは、彼らを方向転換させるのか、岸田首相の手腕が問われている』、「医系技官」が「PCR検査」件数を抑制しようととするのは、迫井氏の前任者からの伝統だ。
・『ワクチン追加接種の必要性は?  検査体制の強化と並ぶ、もう1つのオミクロン株対策の肝は、ワクチン追加接種の促進だ。オミクロン株に限らず、コロナ対策での追加接種の重要性については、「善戦で始まった岸田政権のコロナ対策に映る不安」(12月1配信)でも述べた。 日本が迷走する中、世界は追加接種を進めた。12月18日現在の主要先進国の追加接種完了率はイギリス40%、ドイツ30%、フランス24%、イタリア24%、アメリカ18%、カナダ11%だ。冬場の本格的流行が始まる前に、高齢者や医療従事者の接種を終えていることになる。12月1日から、医療従事者向けに追加接種を開始した日本は、先進国では異例の存在だ。 南アフリカの研究者たちは、デルタ株と比べて、オミクロン株の毒性は低いと報告しているが、感染者の多くが若年者である南アフリカの経験を、そのまま日本にあてはめることはできない。12月16日にインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームが発表した報告によると、イギリスではオミクロン株の重症度はデルタ株と変わらない。) では、オミクロン株に追加接種は有効なのか。オミクロン株は、コロナワクチンが標的とするスパイク(S)蛋白質に30カ所以上の変異があるため、ワクチンが効きにくい。追加接種しても駄目だろうとお考えの読者も多いだろう。確かに、12月10日にアメリカ疾病管理センターは、オミクロン株感染者43人中、14人は追加接種を終えていたと報告している。 ただ、その後に発表された研究によれば、悲観する必要はなさそうだ。12月9日、アメリカ・ファイザー社は、同社製のワクチンを追加接種することで、オミクロン株の阻止効果は25倍増強されると報告している。さらに、12月13日、イスラエルのシェバ・メディカルセンターの研究チーム、12月20日にはアメリカ・モデルナ社からも同様の報告がなされている。 12月15日にはアメリカ・バイデン政権の首席医療顧問であるアンソニー・ファウチ医師が、オミクロン株に特化したワクチンの追加接種は不要という見解を表明している。つまり、追加接種は完全ではないが、オミクロン株の感染リスクを相当レベル低下させるというのが、現時点での世界のコンセンサスだ。このような状況を知れば、日本は一刻も早く追加接種を進めなければならないことがわかる。2回目接種から6カ月とか8カ月とかの議論をしている場合ではない』、「追加接種は完全ではないが、オミクロン株の感染リスクを相当レベル低下させるというのが、現時点での世界のコンセンサスだ」、「日本は一刻も早く追加接種を進めなければならない」、その通りだ。
・『エビデンスに基づいた議論を  以上が、私が考えているオミクロン株の論点だ。アメリカ国立医学図書館データベース(PubMed)によると、「オミクロン」という単語をタイトルに含むコロナ関係の論文は、すでに63報が発表されているが、日本からは金沢大学呼吸器内科の研究チームが『呼吸器医学』誌に発表した一報だけだ。 ワクチン、治療薬については、「国産」の重要性を声高に主張する政府や有識者たちも、臨床研究による現状把握を求める人は少ない。これが、わが国のコロナ対策が迷走する理由だ。データに基づいた合理的な議論が必要である』、「臨床研究による現状把握」を含めて「データに基づいた合理的な議論が必要」、強く同意する。

第四に、1月13日付け東洋経済オンラインがブルームバーグを転載した「ブースター接種繰り返し、免疫系に悪影響の恐れ EU当局が警告、寒い季節の到来に合わせるべきと」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/502217
・『欧州連合(EU)の医薬品規制当局は11日、新型コロナウイルスワクチンのブースター(追加免疫)接種を頻繁に行うと免疫系に悪影響を及ぼす恐れがあると警告した。 欧州医薬品庁(EMA)は、4カ月ごとのブースター接種を繰り返すと最終的に免疫力が低下する可能性があると指摘。各国はブースター接種の間隔をより空け、インフルエンザ予防接種戦略で示された青写真のように寒い季節の到来に合わせるべきだとの見解を示した』、「接種を頻繁に行うと免疫系に悪影響を及ぼす恐れ」とは穏やかではない、どういうことなのだろう。
・『オミクロン変異株、数週間で欧州人口の半数以上が感染も-WHO  オミクロン感染が急速に広がる中、一部の国は2回目のブースター接種を行う可能性を検討している。イスラエルは今月に入り、60歳以上を対象に4回目のワクチン接種(2回目のブースター)を開始。英国は現時点では2回目のブースターは必要ないが、必要に応じてデータを見直すとしている。 ブースター接種についてEMAでワクチン戦略などの責任者を務めるマルコ・カバレリ氏は「一度や二度ならともかく、何度も繰り返すべきと考えるものではない」と指摘。「現在のパンデミック(世界的大流行)の状況から、よりエンデミック(地域的流行)の状況にどう移れるかを考える必要がある」と記者会見で語った』、確かに「接種を頻繁に行うと免疫系に悪影響を及ぼす恐れ」とは、あり得る問題だ。有効な「免疫」が期待できる上限回数はどの程度なのだろう。
タグ:(その24)(アングル:新型コロナ 国ごと異なる「エンデミック」化の道筋、ゼロからわかる変異株の大物「オミクロン」の正体 感染症未来疫学センターの水谷哲也教授に聞く、オミクロン株が心配な人に知ってほしい最新事情 欧米で先行 日本国内での流行に備えは十分か、ブースター接種繰り返し 疫系に悪影響の恐れ EU当局が警告 寒い季節の到来に合わせるべきと) パンデミック(医学的視点) ロイター 「アングル:新型コロナ、国ごと異なる「エンデミック」化の道筋」 「「われわれはパンデミックの局面からエンデミック、つまり・・・持続的な単なる1つの病気となる段階へと移ろうとしている」、楽観的過ぎる印象も受けるが、「WHO」の前提は「ワクチン接種率を世界の全人口の7割に高める」、前提も楽観的過ぎるのかも知れない。 「米国で新型コロナウイルスは来年から2023年の間にエンデミックに移行すると想定。年間死者数は5万─10万人と、インフルエンザの3万人より多いと試算」、「エンデミック」に移行しても、死者数が高水準なのに驚かされた 東洋経済オンライン 「ゼロからわかる変異株の大物「オミクロン」の正体 感染症未来疫学センターの水谷哲也教授に聞く」 「オミクロン株」には「これまで感染が拡大した変異株の悪いところを総取りしたような特徴がある」、「悪いところを総取り」とはいかにも恐ろしそうだ。 「一般的には、変異をすること自体ウイルスにとっては不利なことだ。変異前には一定の感染性があったのに、ランダムに変異が入ることでウイルスとして駄目になってしまうことのほうが多いはず」、なるほど。 「変異株の大半は人知れず消える」ので、「われわれは、結果的に今回のように感染が広がって生き残った後の変異株しか確認できない」、言われてみればその通りだ。 「日本」でも既に「オミクロン株が主流」になりつつあるようだ。 上 昌広 「オミクロン株が心配な人に知ってほしい最新事情 欧米で先行、日本国内での流行に備えは十分か」 「クラスター」は「沖縄米軍基地」の他にも、「岩国」、「横須賀」などのの米軍基地」でも発生(人数はそれぞれ、574人、529人、213人(1月7日付けしんぶん赤旗) 「医系技官」が「PCR検査」件数を抑制しようととするのは、迫井氏の前任者からの伝統だ。 「追加接種は完全ではないが、オミクロン株の感染リスクを相当レベル低下させるというのが、現時点での世界のコンセンサスだ」、「日本は一刻も早く追加接種を進めなければならない」、その通りだ 「臨床研究による現状把握」を含めて「データに基づいた合理的な議論が必要」、強く同意する。 ブルームバーグ 「ブースター接種繰り返し、免疫系に悪影響の恐れ EU当局が警告、寒い季節の到来に合わせるべきと」 「接種を頻繁に行うと免疫系に悪影響を及ぼす恐れ」とは穏やかではない、どういうことなのだろう。 確かに「接種を頻繁に行うと免疫系に悪影響を及ぼす恐れ」とは、あり得る問題だ。有効な「免疫」が期待
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パンデミック(経済社会的視点)(その19)(コロナ死者を追悼もしない日本に漂う強烈な不信 私たちはなぶり殺し同然にされるのを恐れている、なぜPCR検査数は増えないのか? 背景に「衛生の歴史」と「官僚の利権意識」、ワクチンじゃない?謎のコロナ急減解く3つの鍵 ロックダウンなど強い行動制限なしでも急減した) [パンデミック]

パンデミックについては、(医学的視点)を昨日取上げ、(経済社会的視点)は8月30日に取上げた。今日は、(その19)(コロナ死者を追悼もしない日本に漂う強烈な不信 私たちはなぶり殺し同然にされるのを恐れている、なぜPCR検査数は増えないのか? 背景に「衛生の歴史」と「官僚の利権意識」、ワクチンじゃない?謎のコロナ急減解く3つの鍵 ロックダウンなど強い行動制限なしでも急減した)である。第一の記事は、政府のコロナ対策に対する批判のなかでも、私がこれまで読んだなかでも最大限に手厳しいもので、必読である。

先ずは、9月5日付け東洋経済オンラインが掲載した評論家・著述家の真鍋 厚氏による「コロナ死者を追悼もしない日本に漂う強烈な不信 私たちはなぶり殺し同然にされるのを恐れている」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/452729
・『新型コロナウイルスに感染し、肺炎を起こして入院した女優・綾瀬はるかさんに対して、ネット上では「上級国民だから優先的に入院できた」といった批判が沸き起こった。中等症だから入院できるのは当然との反論もあったが、ご承知の通り東京都内では、中等症で救急車を呼んでも入院先が見つからず、自宅療養を余儀なくされるケースが相次いでおり、最悪の場合そのまま死亡してしまうことも珍しくない。つまり、医療提供体制がまともに機能していないのである。 もちろん上級国民は幻想だ。しかしそのような特権階級がいるかのように思わせる社会的な不公平性がすでに顕在化しているからこそ、「たまたま入院できた」という出来事の真相を解き明かす上級国民というパワーワードが一定のリアリティを持ってしまうのである』、「中等症で救急車を呼んでも入院先が見つからず、自宅療養を余儀なくされるケースが相次いでおり、最悪の場合そのまま死亡してしまうことも珍しくない。つまり、医療提供体制がまともに機能していないのである」、「そのような特権階級がいるかのように思わせる社会的な不公平性がすでに顕在化しているからこそ、「たまたま入院できた」という出来事の真相を解き明かす上級国民というパワーワードが一定のリアリティを持ってしまうのである」、コロナ対策の欠陥を突いた手厳しい批判である。
・『人命軽視としか評しようのない政府のコロナ対策  それらの疑心暗鬼を作り出す心理的な背景となっているのは、現在進行している人命軽視としか評しようのない政府のコロナ対策だ。自宅療養、自宅待機という名の医療提供の放棄が横行し、事実上の無政府状態が出現していることへの国民の不安といら立ちが、デルタ株の感染爆発という新しい段階において急速に膨れ上がっている。菅義偉首相は9月3日に辞任を表明したが、それだけで事態が好転するワケではない。 第5波の真っただ中にある東京では、病床の逼迫が深刻化し、自宅療養中の死亡が続出している。入院患者は4000人を超え、自宅療養者はおよそ2万人に上っている(9月1日現在)。 東京都の新型コロナウイルス感染症モニタリング会議における「医療提供体制は深刻な機能不全に陥って」「救える命が救えない事態となる」「自分の身はまず自分で守ることが必要である」という言葉には、「生物としての人間」を維持するために不可欠なロジスティクス(兵站)を軽んじた代償を現場の指揮官や兵士、軍属や民間人に押し付けた戦時中の無責任体制を髣髴(ほうふつ)とさせるものがある。 これはかつて第2次世界大戦で従軍し戦後評論家として活躍した山本七平が語っていたことで、セクショナリズムが国益を食い潰す文化が絡んでいる。しかも今回は、感染爆発に備えるだけの十分な時間があり、人員や病床の確保や、地域医療を含めた支援体制の構築等々オールジャパンで取り組める素地がないわけではなかった。けれども、為政者はパン(=GoToキャンペーン)とサーカス(=東京五輪)ばかりに貴重な資源を費やし、せっかくのチャンスを台無しにした。 元厚生労働省医系技官で医師の木村盛世氏は、既存の病床をICUとして使用できるといった法整備、人工呼吸器を扱える医師やスタッフをかき集めるのに十分な時間があったはずなのに、厚労省も日本医師会もこのような取り組みをいっさいしてこなかったと批判。「その結果として、欧米に比して極めて少ない感染者数と死亡者数でいとも簡単に医療が逼迫してしまった」と述べ、「現在の医療の逼迫は、実際には新型コロナウイルスの登場から1年以上がたったにもかかわらず、重症化対応に関して、なんの努力もしなかった厚労省と日本医師会の責任」と強調した(『新型コロナ、本当のところどれだけ問題なのか』飛鳥新社)。 さらに付け加えれば、いまだに重症化を防ぐための早期診断、早期治療を施す基本的な診療体制すら構築されていない。まさにコロナ戦争において戦時医療体制の構築を怠り、「救える命が救えない事態」を作り出してしまったのは、大戦中と同じく政治決定における重大な過ちに基づくものと言わざるをえない』、「自宅療養、自宅待機という名の医療提供の放棄が横行し、事実上の無政府状態が出現していることへの国民の不安といら立ち」、「「医療提供体制は深刻な機能不全に陥って」・・・という言葉には、「生物としての人間」を維持するために不可欠なロジスティクス(兵站)を軽んじた代償を現場の指揮官や兵士、軍属や民間人に押し付けた戦時中の無責任体制を髣髴(ほうふつ)とさせるものがある」、「感染爆発に備えるだけの十分な時間があり、人員や病床の確保や、地域医療を含めた支援体制の構築等々オールジャパンで取り組める素地がないわけではなかった。けれども、為政者はパン・・・とサーカス・・・ばかりに貴重な資源を費やし、せっかくのチャンスを台無しにした」、「既存の病床をICUとして使用できるといった法整備、人工呼吸器を扱える医師やスタッフをかき集めるのに十分な時間があったはずなのに、厚労省も日本医師会もこのような取り組みをいっさいしてこなかったと批判。「その結果として、欧米に比して極めて少ない感染者数と死亡者数でいとも簡単に医療が逼迫してしまった」と述べ、「現在の医療の逼迫は、実際には新型コロナウイルスの登場から1年以上がたったにもかかわらず、重症化対応に関して、なんの努力もしなかった厚労省と日本医師会の責任」と強調」、ここまで手厳しい批判は初めて読んだ。
・『権力や権益のほうが重要で国民の生命は二の次に  政治決定において自らの権力の延命や自組織の権益の保全のほうが重要な場合、国民の生命や財産を守ることは二の次となる。コロナ禍でどれだけ犠牲者が生じても関心には上らなくなる。死者や遺族に対する認識にそれが如実に表れている。 ドイツ政府は今年4月、新型コロナウイルス感染症によって亡くなった8万人近い死者を追悼する式典を執り行なった。フランクワルター・シュタインマイヤー大統領は、「あらゆる数字の裏に人の運命があり、人々の存在があるということを、われわれ社会が自覚できていないような印象がある」と述べ、コロナ禍の孤独の中で亡くなった人々に思いをはせるよう訴えた(ドイツ政府、式典でコロナ死者追悼 国民に団結求める/2021年4月19日/AFP)。 同様の死者追悼は、イギリスではロックダウンのちょうど1年後に当たる今年3月に、アメリカでは同2月に実施している。犠牲者数が多いからという見方もできるが、中国では昨年4月に先祖の墓参りの時期に死者追悼を執り行っている。 日本でこのような国民の心情に配慮した死者追悼を寡聞にして知らない。ここにこそ為政者のメッセージが刻印されているといえる。つまり、たとえ「人災」の側面があったとしても、悪いのは人流を抑制できない国民であり、協力的でない民間の医療機関であり、犠牲者のことなどどうでもいいのである。 わたしたちは、かなり前からこのことに気付いていたはずだ。経済学者のジャック・アタリが言っていたように、「指導者は、自分たちを守るためになすべきことをしかるべき時期に実行しなかったのではないか」という疑念はすぐに確信に変わったのではないだろうか(『命の経済パンデミック後、新しい世界が始まる』林昌宏・坪子理美訳、プレジデント社)』、国家による「死者追悼」が「日本」で行われないのは、「悪いのは人流を抑制できない国民であり、協力的でない民間の医療機関であり、犠牲者のことなどどうでもいいのである」、「日本政府」は「自分たちを守るためになすべきことをしかるべき時期に実行しなかった」のは確かだ。
・『シワ寄せを受けるのは社会的に不利な立場の人々  これら一連のコロナ対策のシワ寄せを受けるのは、とりわけ感染しやすい就業環境で働いていたり、重症化の因子となる基礎疾患を持っていたり、いまだワクチン接種を受けられなかったり、さまざまな理由によって社会的に不利な立場にいる人々である。 そこで、いっそのこと日本が崩壊してしまえば、そこから新しい世界が立ち上がるなどといった願望とも予言ともつかない観測にすがる傾向が出てくるが、これはあまりにもおめでたい希望的観測だろう。個人化した快適な生活というバブルに閉じてしまったわたしたちは、真に何が重要な事柄なのかを見定める以前に、自分の運のよさを日々のニュースを一瞥することで確かめ、同情と憂いのため息をついてみせるのが関の山であり、具体的なアクションを起こすには至らないからだ。 そういう意味において東京五輪で注目された「バブル方式」という概念は、すでに人々の間に定着していた、数多の階層や、健康状態、情報環境などによって囲い込まれ、泡(バブル)の膜で外部を遮断する処世を、目に見えるグロテスクな形で再現した模倣にすぎなかったといえる。 要するに、その真意とは、どれだけ社会が悪化しようともバブルの中にいる人々は痛くもかゆくもなく、パニック映画のようなわかりやすい破局はついに訪れず、統計的に犠牲者だけが緩慢なペースで増えてはいくものの、それは別のバブルで発生した避けられない悲劇のように受容され、総体として社会は問題なく継続していく極めて不愉快なものなのである。 哲学者のスラヴォイ・ジジェクは、現在のような事態は、これまでハリウッド映画が描いてきたいずれのディストピアとも異なると主張し、「COVID?19パンデミックに関する真に奇妙な点」は「その〝非終末的な〟性質」であり、「世界の完全な破滅という通常の意味での終末でもなく、ましてや、これまで隠されていた真実の暴露という本来の意味での終末もない」と注意を促した。 そう、我々の世界はバラバラに崩れようとしているが、この崩壊のプロセスはダラダラと続いて終わりが見えないのだ。感染者と死亡者の数字が増えているときにも、メディアはピークがいつ来るかの憶測ばかり。すでに今がピークじゃないかとか、あと一、二週間はどうかとか。皆がパンデミックのピークが来るのを見守り心待ちにしていて、まるでその後は徐々に平常を取り戻せるかのように思っている。が、危機はいつまでも続くのだ。おそらく、たとえCOVID?19のワクチンが開発されたとしても、今後も感染発生や環境変動に脅かされ続ける〝ヴァイラルワールド〟から逃れられないーーということを受け入れる勇気を持つべきだろう。(『パンデミック2COVID-19と失われた時』岡崎龍監修、中林敦子訳、Pヴァイン)。 決定的な終末はやって来ない。「感染爆発による日本の崩壊」もありえない。崩壊するのは個々の現場の医療、個々の現場の家族であり、ずさんな支援体制の下、最前線で職務に当たっている医師や看護師、保健所の職員などが疲弊し、健康リスクの高い人々とその家族が重症化と死の恐怖に怯え、改善できたはずの構造的欠陥の犠牲者としてカウントされていくのである。このような終わりなき悪夢がいつまでも繰り返され、わたしたちは自分の身に降り掛かってから初めて、その悪夢の実相に触れて驚愕することになるのだろう』、「危機はいつまでも続くのだ。おそらく、たとえCOVID?19のワクチンが開発されたとしても、今後も感染発生や環境変動に脅かされ続ける〝ヴァイラル(注)ワールド〟から逃れられないーーということを受け入れる勇気を持つべきだろう」、不吉な予告だ。
(注)ヴァイラル:「情報が口コミで徐々に拡散していく」さま(IT用語辞典)
・『全力で異議を唱えなければ危機の片棒を担ぐのと同じ  私たちが本当に恐れているのは、コロナという新興感染症がもたらす災厄ではない。世界的な危機において、欧米諸国に比べて相当恵まれた状況にありながら、信じられないほど無能で、想像を上回るほど役立たずで、国民の命を屁とも思わないように見える国家、恥知らずな為政者の不作為によって、結果的に通常の医療さえ受けられず、なぶり殺し同然になることを心底恐れているのである。 これに全力で異義を唱えないことは、コロナ禍以後に起こりうる次なる危機においても、まったく同じ目詰まりによって危機が助長され、より熾烈化する〝ヴァイラルワールド〟の片棒を担ぐことに等しい。 わたしたちは進んでバブルの外に出なければならない』、「欧米諸国に比べて相当恵まれた状況にありながら、信じられないほど無能で、想像を上回るほど役立たずで、国民の命を屁とも思わないように見える国家、恥知らずな為政者の不作為によって、結果的に通常の医療さえ受けられず、なぶり殺し同然になることを心底恐れているのである。 これに全力で異義を唱えないことは、コロナ禍以後に起こりうる次なる危機においても、まったく同じ目詰まりによって危機が助長され、より熾烈化する〝ヴァイラルワールド〟の片棒を担ぐことに等しい。 わたしたちは進んでバブルの外に出なければならない』、全く同感である。

次に、昨年8月11日付けAERAdot「なぜPCR検査数は増えないのか? 背景に「衛生の歴史」と「官僚の利権意識」」を紹介しよう。昨年の記事でやや古いが参考になるので取上げた次第。
https://dot.asahi.com/aera/2020081700036.html?page=1
・『感染が不安だ。だが希望してもPCR検査を受けられない。そんな状況が今も続く。背景には戦前か続く「医療」と「衛生」の分断や、官僚の利権意識がある。AERA 2020年8月24日号で掲載された記事から。 「自治体の現場を知る者として申し上げたいのは、(PCR検査は)絶対に増えない構造になっています」 8月4日に日本記者クラブで記者会見した東京都世田谷区の保坂展人区長は、新型コロナウイルスのPCR検査の拡充の難しさについてこう述べた。 同区の人口は都内最大の約92万人。7月末までに約1千人の区民が感染した。最近では家庭内、職場内での感染も広がっているという。保坂区長は、検査の拡充が難しいとは認めつつ、それでも拡充しなければいけないという考えだ。 「これだけ市中感染が広がると、PCR検査のハードルをぐっと低くする、もしくはなくしていく(ことが必要だ)。ニューヨークでやっているような『いつでも、どこでも、何度でも』ということを最終的に目指していく」 同区では、東京大学の児玉龍彦名誉教授の提案を元に、検査数の桁違いの拡充や医療や介護の現場で働く人たちへの検査体制の確立に向けて動き出した。「うまくいった例を参考にして、ということになると、PCR検査を制限するという話にはならない」(保坂区長) 安倍晋三首相が4月に1日2万件を目指すと表明した国内のPCR検査数は、7月30日現在で1日あたりの能力で3万5664件。感染が急激に広がっているさなかの7月19~30日の12日間の実際の検査数をみると、6712~2万2302件。2万件を超えたのは2日しかなく、1万件を切った日は3日ある。安定的に目標を達成している状況ではない。 ウェブサイト「worldometer」では5日現在、人口比の検査人数で、日本は世界215の国と地域の中で155位だ』、最新の「人口比の検査人数」は、下記のように100万人当たり210千件、ランキングは分からぬが、低水準であることは確かだ。
https://www.worldometers.info/coronavirus/
・『医師で、医療ガバナンス研究所(東京)の上昌広理事長は、検査が増えない理由について、日本の公衆衛生が成り立ちの経緯から医療の現場と“距離感”があることを指摘する。 「国内の感染症対策は、感染研(国立感染症研究所)と保健所が感染者を隔離してその周囲の人たちを検査するという仕組みになっています。これは、戦前は衛生警察と言われる警察の業務だった経緯もあり、現在の医療システムとは切り離されているとも言えます。感染研や保健所にはキャパシティーがないため、大量の検査をこなすことはそもそもできません」 英キングス・カレッジ・ロンドンの渋谷健司教授(公衆衛生学)もこんな指摘をする。 「一つはPCR検査を行政検査という枠にはめたことです。外国ならいわゆる上気道感染の識別診断という形で通常の医療の中で行われますが、日本は感染症法に基づく行政検査にすることで、医師の判断で通常の検査ができませんでした」 厚生労働省の組織と利権の問題だと指摘する声もある。厚労相時代に新型インフルエンザの流行を経験した舛添要一氏は、安倍首相が目指したほど検査数が十分に増えていないことについて、「加藤(勝信)厚労相に直言できるブレーンがいないのでは」との見方を示す。 「民主党から自民党に政権が戻ったとき、厚労省でも能力のある人たちが『お前ら民主党に協力したな』とずいぶんパージされました。長期政権になって、大臣にモノが言える役人がいなくなったようです」(舛添氏) しかし、そもそも「増やせ」という総理の意向があるのに、なぜ大臣に言えないのか。 「今は状況が違います。コロナ対応の失敗が続く中で『安倍は終わり』と思っている官僚は多い。検査を大幅に増やすということは、感染研の情報独占体制を脅かしかねないので、厚労省の官僚たちは、安倍首相を守るより、自分たちの利権を守るべきだと考えたはずです」(舛添氏) 前出の上理事長も、少ない検査数に対する国民の批判と“公衆衛生ムラ”の情報独占のバランスを取る苦肉の策としてできたのが、民間医療機関への検査の業務委託だとみる。 ここまでの3氏はいずれもPCR検査の拡充を訴えているが、別の考え方もある』、「感染研・・・と保健所が感染者を隔離してその周囲の人たちを検査するという仕組みになっています。これは、戦前は衛生警察と言われる警察の業務だった経緯もあり、現在の医療システムとは切り離されている」、「PCR検査を行政検査という枠にはめたことです。外国ならいわゆる上気道感染の識別診断という形で通常の医療の中で行われますが、日本は感染症法に基づく行政検査にすることで、医師の判断で通常の検査ができませんでした」、「少ない検査数に対する国民の批判と“公衆衛生ムラ”の情報独占のバランスを取る苦肉の策としてできたのが、民間医療機関への検査の業務委託」、なるほど、歴史的経緯もあるようだが、政府が増やせと命じたのに、さほど増えないのは官僚のサボタージュだろう。
・『2009年の新型インフルエンザ流行時、厚労相だった舛添氏の私的アドバイザーを務めた山形大医学部附属病院検査部の森兼啓太部長はこう話す。 「当初は東京都など検査のキャパシティーが明らかに足りないところがあり、準備不足という点で確かに問題はありました。ただ、今は民間も含めて随分キャパシティーは大きくなっています。『山ほど増やせ』という意見もありますが、現状で適正な規模だと考えられますし、そもそもロジスティクス(工程)的に難しいのではないでしょうか」 厚労省結核感染症課の医系技官、加藤拓馬さんも、そもそも感染者数が違うので外国との比較をしたうえで「増やせ」という議論には意味がないという考えだ。「感染予防の観点から必要な検査だけをやればよいのです」と話す』、厚労省やその息のかかった専門家は厚労省の肩を持つのは当然だが、その意見は割り引いてみる必要がある。

第三に、10月27日付け東洋経済オンラインが掲載した東京大学大学院経済学研究科 准教授 の仲田 泰祐氏による「ワクチンじゃない?謎のコロナ急減解く3つの鍵 ロックダウンなど強い行動制限なしでも急減した」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/464336
・『東京都では7月後半から新型コロナウイルスの感染が急拡大した。8月前半には多くの人々が、人流を大幅に削減しなければ感染は減少しないと主張した。ロックダウンを求める声もあった。 現実には8月中旬から多くの人流データは増加に転じた、もしくは下げ止まったにもかかわらず、感染は急速に減少した。東京都での1日新規感染者数(7日間平均)は8月19日には4774人であったが、その1カ月後の9月19日には815人、2カ月後の10月19日には52人である。この記事を書いている現在もまだ減少は続いている。 この急速な感染減少の要因に関してさまざまな推測・仮説が提示されているが、それらの定量的重要性を探った分析はあまり提示されていない。今後さまざまな分析が提示されてくると推測するが、現時点では、10月19日に発表された名古屋工業大学の平田研究室(平田晃正教授)の分析「7〜9月における新規陽性者数の増加と減少について」とわれわれが今回公表した分析の2つである。 この論考では、われわれのレポートの要旨を読者の皆様にお届けしたい(別府その他〈2021〉「東京での感染減少の要因:定量分析」』、大きな謎を解き明かしてくれそうで、興味深そうだ。
・『ワクチンだけが感染急減の要因にならない  重要ポイントは、以下の4つである。 1.ワクチン接種は7月後半から感染を抑制させる大きな力を継続的に働かせているが、それだけでは8月後半からの感染減少のタイミングと急速さは説明しにくい。 2. 基本再生産数の過大評価・医療逼迫に伴う人々のリスク回避行動・120日周期の存在は、その1つひとつが感染減少の多くを説明することが可能である(だからと言ってこれらが正しい仮説とは必ずしも言えないことには留意)。 3. 仮説によっては、今後の見通しは大きく改善する。 4. どの仮説が正しいかにかかわらず、「追加的な人流抑制をしなくても感染が急速に減少することもある」ことが判明したことは、今後の政策に大きな含意がある。 この分析の出発点は「感染減少が始まる直前の8月中旬に人流データを重要視していたら提示したであろう仮想の感染見通し」である。過去のデータから推定されたわれわれのモデルの接触率パラメーターと人流データにはある程度の相関関係がある。) 人流データの8月後半以降の実現値を仮に当時知っていて、過去の人流と感染の相関関係を利用していたら提示していた仮想の見通しが図1の青い線である。 この見通しによると、8月後半以降も感染拡大が続き10月第1週には1日新規感染者数約7000人となっている。この仮想見通しは、後ほど言及する当時の藤井仲田チームが提示していたものとは違うことは留意していただきたい。 (「図1:8月中旬の仮想基本見通し」はリンク先参照) (外部配信先では図を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください) この仮想見通しをベースとして「感染減少要因として挙げられている要素を考慮していたら見通しはどのくらい減少したであろうか?」というシミュレーションをすることで、それぞれの要因の定量的重要性を探っていく』、なるほど。
・『ワクチン接種が遅くても感染減少は起こっていた  1つひとつの要因を眺める前に強調しておきたいポイントは、上記の仮想見通しはその後に観察されたワクチン接種率向上を考慮していることである。ワクチン接種率向上をきちんと考慮してもここで提示した見通しは感染減少を予見できていない。程度の違いはあれ、この特徴は8月中旬に提示されていたさまざまな研究チームによる見通しに共通している。 (「図2:ワクチンの感染拡大抑制効果」はリンク先参照) ワクチン接種率向上が8月後半からの急速な感染減少の説明としては成り立ちにくいことは、ワクチン接種がこれまで感染抑制に貢献していないということではない。図2では、仮にワクチン接種ペースが遅かった場合の感染の推移を計算しているが、7月後半からワクチンが感染拡大を大きく抑制してきたことが読み取れる。それと同時に、感染推移の輪郭はワクチン接種の有無には強く影響されないことも読み取れる。 ワクチン接種ペースはこれまで連続的に推移しているので、ワクチン接種の影響だけで感染がある時期に急速に増減することは起こりにくい。8月後半からの感染減少のタイミングと急速さを説明するためには、ワクチン以外の要因も必要そうだと言える。 ワクチン接種が8月後半からの急速な感染減少を説明しにくいのであれば、どのような要素が説明できるのであろうか?』、「ワクチン接種の影響だけで感染がある時期に急速に増減することは起こりにくい」、確かにその通りだが、では要因は何なのだろう。
・『感染減少に貢献したかもしれない3つの要素  ここでは3つの要素を定量分析する。紙面の都合上、感染減少に大きな貢献をしたとは言えなさそうないくつかの仮説には触れることはできないが、そちらにも興味のある方々は元のレポートをご覧になっていただきたい。また、資源的・時間的制約から、世の中に提示されている興味深い仮説をすべて定量化することはできなかったことは理解していただきたい。 1.当時の想定よりも低いデルタ株の感染力(われわれは、7月最終週の感染急拡大を観察した直後に「デルタ株の感染力は想定以上に高い」と判断し、デルタ株のアルファ株に対する相対的感染力の設定を1.3倍から1.5倍に変更した。 しかしながら、デルタ株割合が増加し始めた6月下旬からの実効再生産数の推移を見てみると、7月最終週に大きな値を記録した以外はそれほど高くないレベルで推移している。7月最終週の値を、デルタ株の感染力の高さのシグナルとして捉えるのではなくほかの特別要因によるものとして捉えたほうがよかったのかもしれない。 8月中旬にデルタ株の感染力をアルファ株の1.5倍ではなく例えば1.2倍と評価していたら、感染見通しは10月第1週で約3500人減少する(図3の水色の線)。 (「図3:想定よりも低い基本再生産数」はリンク先参照) この仮説はより広く、標準的なモデルに考慮されていない集団免疫獲得の閾値を下げるさまざまな要素の定量的重要性を捉えていると解釈してもいい。そういった要素の例としては、個人間での免疫力の異質性・細分化されたコミュニティーの存在等などがある。 どんなに複雑なモデルも現実を単純化しており、単純化のされ方によって集団免疫獲得の閾値を過大評価してしまう可能性がある。運用しているモデルを変更せずにそういった影響を修正する1つの方法は、基本再生産数を低く設定することである。もし、モデルと現実の乖離が理由で基本再生産数が想定よりも低いと判断するのならば、図3の水色の線で示した以上に低い基本再生産数設定も正当化しうる。 この仮説が正しいとすると、今後の見通しは改善する。低い基本再生産数は、集団免疫獲得までに必要な感染者数を減少させるからだ。 2.医療逼迫による人々のリスク回避(われわれが分析を始めた昨年から重視している感染増減メカニズムの1つが「医療逼迫による人々のリスク回避・個人レベルでの感染症対策の徹底」である。このメカニズムはさまざまな研究者がコロナ危機発生直後から重要視しており、それをサポートする実証研究も存在する。 肌感覚としてこの仮説に納得感を持つ人も少なくないと考える。個人的な話で恐縮だが、8月前半に東京都で深刻な医療逼迫を理由に外出も控えた人々はわれわれの周りに少なからずいる。SNSで同様の行動変容をした人々を探せばいくらでも見つかる。もちろんまったく医療逼迫に動揺しなかった人々もたくさんいると推測するが、このような行動変容をした人々が一定数いた可能性がまったくなかったとは断言しにくい。) 既存のデータだけではわからないことも多い中では、こういった事例証拠(Anecdotal Evidence)も積極活用するのが自然である。中央銀行は、データだけからは経済・金融の全体像がつかめないこともあることを長年の経験で理解しているので、事例証拠を政策判断の一部として積極的に活用している。もちろん事例証拠に頼りすぎたり、自分と似たような価値観の人々だけと意見交換をしたりしていると、判断を誤るので要注意であるが』、「深刻な医療逼迫を理由に外出も控えた人々はわれわれの周りに少なからずいる・・・このような行動変容をした人々が一定数いた可能性」、「既存のデータだけではわからないことも多い中では、こういった事例証拠・・・も積極活用するのが自然」、その通りだろう。
・『追加的な人流抑制なしでも感染は急減する  このメカニズムを根拠に、われわれは7月後半・8月前半には「自主的な行動変容による感染拡大抑制シナリオ」というものを提示していた。このシナリオでの見通しは定量的には現実との乖離もあるが、「追加的な人流抑制なしでも感染は急速に減少する」というパターンを大体捉えている。 図4では、この仮説の定量的重要性を捉えるために、過去の接触率パラメーターと新規感染者数、重症病床使用率の過去の相関関係を取り入れていたら、仮想見通しはどのように変化したかを示している。過去のデータによると、新規感染者数・重症病床使用率の増加はその後の実効再生産数の減少を予測する力がある。 結果としては、図に示されているように、この仮説は8月後半からの感染者減少をある程度説明することが可能である。 (「図4:医療逼迫によるリスク回避」はリンク先参照) この仮説の弱点は、新規感染者数が減少して重症病床使用率が下がった10月以降でも、感染減少が続いていることを説明しにくいことである。われわれは、この仮説は8月後半・9月前半の感染減少にある一定の貢献をしたが、それ以降の感染減少の説明には他の要因が必要であると判断している。 3.自然の周期(ウイルスの流行・変異には自然の周期というものがあり人間の行動とは関係なしに増加したり減少したりするという主張も聞かれる。季節性インフルエンザが人流抑制とはまったく関係なしに毎年冬に訪れることを考えると、ウイルス学を専門としないわれわれには十分に検討に値する仮説に思える。 (「図5:120日周期」はリンク先参照) 実際に、図5に示されているように、120日のサイクルと過去の接触率パラメーターとの相関関係を考慮した見通しを立てていたら、8月後半以降の感染減少をある程度捉えることができる。この仮説が正しいならば、感染症対策と社会経済活動の両立という視点からの最適な政策というものは根本的に見直す必要があるかもしれない。 この要素の今後の見通しへの影響は、周期がなぜ生まれるかに依存する。冬に拡大・4カ月後にアルファ株が蔓延・その4カ月後にデルタ株が蔓延したことで外生的に120日周期が発生してきたとする。そうすると、冬にまた拡大すると考えることもできれば、デルタ株よりも強い変異株が出てこない限り、拡大はもう起こらないと考えることもできる。もしこのような周期が上記したような人々の自主的なリスク回避行動によって内生的に発生するのであれば、それは再度波が来る可能性を示唆する』、「このような周期が上記したような人々の自主的なリスク回避行動によって内生的に発生するのであれば、それは再度波が来る可能性を示唆する」、要警戒だ。
・『急速な感染減少の政策含意  今回のレポートでは、急速な感染減少に関するいくつかの仮説の定量的重要性を分析した。こういった分析の結果は分析手法によって大きく変わる。したがって、われわれの分析結果を真実として受け止めるのではなく、今後出てくるであろう数ある分析結果の1つとして受け止めていただきたい。また、われわれもこの分析を最終地点として位置付けているわけではなく、今後も分析を続ける。分析でわかりにくい点・物足りない点等があれば、気軽に連絡していただけるとありがたい。 分析によって上記した3つの仮説が有力に見えてきたが、これら3つの仮説のすべてがある程度正しいのか、1つが正しくてほかの2つはまったく間違っているのか、等はまったくわからない。しかしながら、どの要素がどのくらい感染減少に貢献したかにかかわらず今回の感染減少からはっきりとしたことがある。それは「ロックダウン等の強い追加的行動制限なしでも感染は急速に減少することがある」という事実である。 この事実は、今後感染症対策と社会経済の両立を考えていくうえで示唆がある。もし周期性や医療逼迫によるリスク回避説にある程度の正当性があるのならば、感染拡大時において休校・時短要請・イベントでの人数制限等の追加的な人流削減政策を打たなくても、感染はある時点で減少に向かうと考えられる。政府は人々に正しい情報を提供することに徹することが重要であると言えるかもしれない。 上記の事実は、行動制限政策が無力であることを必ずしも意味しない。柔軟性があるとは言いがたい医療体制、保健所や一部のコロナ患者受け入れ病院の疲労、高齢者の重症化率や致死率の高さ等を考慮すると、行動制限政策が効果的な局面もあるかもしれない。 だが、そういった政策は社会・経済・文化・教育へ多大な負の影響をもたらす。飲食・宿泊業に従事されている方々をはじめ、これまで多くの方々がさまざまな生活の犠牲を払ってきた。自殺者もコロナ禍で若い世代を中心に増加しており、子ども達への発育・教育への長期的な負の影響も懸念されている。 今回の経験を記憶に刻み、「感染のリスク評価」と「感染症対策のリスク評価」の両方に配慮しながら意見形成・政策判断をしていただけたらと願う』、分科会メンバーに統計学の専門家が加わって、「行動制限政策」がどこまで有効だったのか、検証がさらに進み、科学的根拠に基づいて政策が展開されてほしいものだ。
タグ:「自宅療養、自宅待機という名の医療提供の放棄が横行し、事実上の無政府状態が出現していることへの国民の不安といら立ち」、「「医療提供体制は深刻な機能不全に陥って」・・・という言葉には、「生物としての人間」を維持するために不可欠なロジスティクス(兵站)を軽んじた代償を現場の指揮官や兵士、軍属や民間人に押し付けた戦時中の無責任体制を髣髴(ほうふつ)とさせるものがある」、「感染爆発に備えるだけの十分な時間があり、人員や病床の確保や、地域医療を含めた支援体制の構築等々オールジャパンで取り組める素地がないわけではなか AERAdot 「ワクチン接種の影響だけで感染がある時期に急速に増減することは起こりにくい」、確かにその通りだが、では要因は何なのだろう。 大きな謎を解き明かしてくれそうで、興味深そうだ。 「感染研・・・と保健所が感染者を隔離してその周囲の人たちを検査するという仕組みになっています。これは、戦前は衛生警察と言われる警察の業務だった経緯もあり、現在の医療システムとは切り離されている」、「PCR検査を行政検査という枠にはめたことです。外国ならいわゆる上気道感染の識別診断という形で通常の医療の中で行われますが、日本は感染症法に基づく行政検査にすることで、医師の判断で通常の検査ができませんでした」、「少ない検査数に対する国民の批判と“公衆衛生ムラ”の情報独占のバランスを取る苦肉の策としてできたのが、 仲田 泰祐 「コロナ死者を追悼もしない日本に漂う強烈な不信 私たちはなぶり殺し同然にされるのを恐れている」 「欧米諸国に比べて相当恵まれた状況にありながら、信じられないほど無能で、想像を上回るほど役立たずで、国民の命を屁とも思わないように見える国家、恥知らずな為政者の不作為によって、結果的に通常の医療さえ受けられず、なぶり殺し同然になることを心底恐れているのである。 これに全力で異義を唱えないことは、コロナ禍以後に起こりうる次なる危機においても、まったく同じ目詰まりによって危機が助長され、より熾烈化する〝ヴァイラルワールド〟の片棒を担ぐことに等しい。 わたしたちは進んでバブルの外に出なければならない』、全く同感 (経済社会的視点)(その19)(コロナ死者を追悼もしない日本に漂う強烈な不信 私たちはなぶり殺し同然にされるのを恐れている、なぜPCR検査数は増えないのか? 背景に「衛生の歴史」と「官僚の利権意識」、ワクチンじゃない?謎のコロナ急減解く3つの鍵 ロックダウンなど強い行動制限なしでも急減した) 東洋経済オンライン 「なぜPCR検査数は増えないのか? 背景に「衛生の歴史」と「官僚の利権意識」」 「危機はいつまでも続くのだ。おそらく、たとえCOVID?19のワクチンが開発されたとしても、今後も感染発生や環境変動に脅かされ続ける〝ヴァイラル(注)ワールド〟から逃れられないーーということを受け入れる勇気を持つべきだろう」、不吉な予告だ。 (注)ヴァイラル:「情報が口コミで徐々に拡散していく」さま(IT用語辞典) パンデミック 真鍋 厚 「このような周期が上記したような人々の自主的なリスク回避行動によって内生的に発生するのであれば、それは再度波が来る可能性を示唆する」、要警戒だ。 国家による「死者追悼」が「日本」で行われないのは、「悪いのは人流を抑制できない国民であり、協力的でない民間の医療機関であり、犠牲者のことなどどうでもいいのである」、「日本政府」は「自分たちを守るためになすべきことをしかるべき時期に実行しなかった」のは確かだ。 「中等症で救急車を呼んでも入院先が見つからず、自宅療養を余儀なくされるケースが相次いでおり、最悪の場合そのまま死亡してしまうことも珍しくない。つまり、医療提供体制がまともに機能していないのである」、「そのような特権階級がいるかのように思わせる社会的な不公平性がすでに顕在化しているからこそ、「たまたま入院できた」という出来事の真相を解き明かす上級国民というパワーワードが一定のリアリティを持ってしまうのである」、コロナ対策の欠陥を突いた手厳しい批判である。 最新の「人口比の検査人数」は、下記のように100万人当たり210千件、ランキングは分からぬが、低水準であることは確かだ。 https://www.worldometers.info/coronavirus/ 「深刻な医療逼迫を理由に外出も控えた人々はわれわれの周りに少なからずいる・・・このような行動変容をした人々が一定数いた可能性」、「既存のデータだけではわからないことも多い中では、こういった事例証拠・・・も積極活用するのが自然」、その通りだろう。 「既存の病床をICUとして使用できるといった法整備、人工呼吸器を扱える医師やスタッフをかき集めるのに十分な時間があったはずなのに、厚労省も日本医師会もこのような取り組みをいっさいしてこなかったと批判。「その結果として、欧米に比して極めて少ない感染者数と死亡者数でいとも簡単に医療が逼迫してしまった」と述べ、「現在の医療の逼迫は、実際には新型コロナウイルスの登場から1年以上がたったにもかかわらず、重症化対応に関して、なんの努力もしなかった厚労省と日本医師会の責任」と強調」、ここまで手厳しい批判は初めて読んだ。 厚労省やその息のかかった専門家は厚労省の肩を持つのは当然だが、その意見は割り引いてみる必要がある。 「ワクチンじゃない?謎のコロナ急減解く3つの鍵 ロックダウンなど強い行動制限なしでも急減した」 分科会メンバーに統計学の専門家が加わって、「行動制限政策」がどこまで有効だったのか、検証がさらに進み、科学的根拠に基づいて政策が展開されてほしいものだ。
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パンデミック(医学的視点)(その23)(3回接種が進んだイスラエルで感染爆発 4回目を準備 データ提供という「偉大な貢献」、政府の説明ではさっぱり分からない「なぜ第5波は終息したのか」 感染者データを用いたコロナ感染者予測モデルから分かること、感染急減の日本が油断大敵になってはいけない訳 ワクチン効果は徐々に薄れ 追加接種が不可欠、ワクチン3回目接種 2回終えた“全員対象”の方針 厚労省分科会) [パンデミック]

パンデミック(医学的視点)については、9月24日に取上げた。今日は、(その23)(3回接種が進んだイスラエルで感染爆発 4回目を準備 データ提供という「偉大な貢献」、政府の説明ではさっぱり分からない「なぜ第5波は終息したのか」 感染者データを用いたコロナ感染者予測モデルから分かること、感染急減の日本が油断大敵になってはいけない訳 ワクチン効果は徐々に薄れ 追加接種が不可欠、ワクチン3回目接種 2回終えた“全員対象”の方針 厚労省分科会)である。

先ずは、10月4日付けPRESIDENT Onlineが転載した「ニューズウィーク日本版」「3回接種が進んだイスラエルで感染爆発、4回目を準備 データ提供という「偉大な貢献」」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/50503
・『<ブースター接種が1回で不十分だとすれば、いったい何回打てば感染を防げるのか、ワクチンは万能薬ではないのか、世界も近く問題に直面する:サマンサ・ロック>  新型コロナウイルスのワクチン接種で世界の先陣を切ったイスラエルは、ワクチンの効果を持続させるブースター接種(3回目の接種)にもいち早く着手した。それにもかかわらず今、感染者が急増している。 9月14日には新たな感染者数が1万730人、直近7日間の平均は1万1027人だ。 「これまでの波では存在しなかった記録だ」イスラエル保健省の新型コロナ対策を率いるナフマン・アッシュは9月14日に議会の委員会にオンラインでそう語ったと、地元メディアが伝えた。 今年6月には1日の感染者数を10数人前後まで抑え込めていたが、今は過去のピークを上回る第4波の真っ只中にある。 「1週間前には明らかな減少傾向が見られたが、ここに来て下げ止まり、Rの数字が(再び)1を上回った」と、アッシュは警告した。Rとは1人の感染者が何人に感染させるかを示す実効再生産数(Rt)のこと。1を下回れば感染は収束に向かうが、上回れば拡大を続ける。「今後より顕著に減少すると思いたいが、現時点ではその兆しは見えない」』、せっかく「ブースター接種」に「着手」しても、「感染者が急増」しているようだ。
・『学生フェスや巡礼で密集  イスラエル政府のコロナ対策の最高責任者サルマン・ザルカによると、9月13日の新規感染者1万556人の半数は未成年者だ。 ザルカによれば、保健省は政府に対し、大規模な集会を規制し、サッカーの試合など大観衆が集まるイベントを禁止するよう要請してきた。だが当局の警告にもかかわらず、9月初めには港湾都市エイラートで恒例の学生フェスが実施され、全土から集まった若者たちがどんちゃん騒ぎを繰り広げた。高名なラビ(ユダヤ教の聖職者)の墓があるウクライナ中部のウマニへの巡礼も、昨年は見送られたが今年は再開され、ワクチン接種を拒む超正統派のユダヤ教徒が大挙して参加した。 今後もこうした大規模イベントが次々に実施されると見られる。 今月に入りザルカは4回目のワクチン接種に向けて準備を進める考えを示した。 「ウイルスが存在し、今後も存在し続ける以上、4回目の接種にも備える必要がある」と、ザルカは9月4日、公共ラジオの取材に応えて語ったが、実施時期は明らかにしなかった。 ザルカによれば、4回目の接種では、感染力が強いデルタ株など新たな変異株に対応した改変型のワクチンを使う予定だ。今後も新たな変異株が次々に出現し、感染拡大の「波が繰り返される」と見られるため、定期的なブースター接種が「ニューノーマルになる」と、ザルカは予告する。イスラエル保健省は、今の第4波を乗り越えても、第5波は必ず起きるとの前提で準備を進めているという。 イスラエルは昨年12月に他国に先駆けてワクチン接種を開始し、今年3月初めには国民の半数以上が2回目の接種を済ませていた。 その後保健当局は、新たなデータで時間の経過と共にワクチンの効果が低下することがわかったと発表。7月末には高齢者を対象にいち早くブースター接種を開始した。 当初は、重症化のリスクが高い60歳以上を対象に、ファイザー製ワクチンの3回目接種を行なっていたが、8月には対象年齢が40歳以上に拡大された』、「4回目のワクチン接種に向けて準備を進める」、ずいぶん手回しがいいようだ。「高名なラビ・・・の墓があるウクライナ中部のウマニへの巡礼も、昨年は見送られたが今年は再開され、ワクチン接種を拒む超正統派のユダヤ教徒が大挙して参加した」、「ワクチン接種を拒む超正統派のユダヤ教徒」とは困ったものだ。
・『米政府も追加接種を目指すが  イスラエルのナフタリ・ベネット首相は先月フェイスブックの公式アカウントで、わが国は世界に先駆けてブースター接種を実施することで、グローバルなコロナとの戦いに、データ提供という「偉大な貢献」をしていると述べた。 「イスラエルはグローバルな知識に偉大な貢献をもたらそうとしている。われわれなしでは、世界はブースター接種の正確な有効性も、打つべきタイミングも、感染状況への影響も、重症化への影響も分からないだろう」 イスラエルでは早期にワクチン接種を受けた人たちの抗体レベルの低下を示すデータがあると、公衆衛生当局の責任者シャロン・アルロイプライスは述べているが、追加接種が進む今も、全土で感染者が増え続けている状況を見ると、ワクチンだけでは感染拡大は止められそうもない。 アメリカでも近々、ブースター接種が始まる。米食品医薬品局(FDA)は9月12日、臓器移植を受けた人など免疫力が低い人に限り、ファイザー製とモデルナ製ワクチンの3回目の接種を認める方針を発表した。 バイデン政権は9月末から医療従事者や高齢者を対象にブースター接種を進めたい考えだが、FDAも米疾病対策センター(CDC)も今のところ一般の人たちは2回の接種で十分に守られているとして、追加の接種は必要ないとの見解を変えていない』、「イスラエルはグローバルな知識に偉大な貢献をもたらそうとしている。われわれなしでは、世界はブースター接種の正確な有効性も、打つべきタイミングも、感染状況への影響も、重症化への影響も分からないだろう」、その通りだ。「追加接種が進む今も、全土で感染者が増え続けている状況を見ると、ワクチンだけでは感染拡大は止められそうもない」。

次に、10月8日付けJBPressが掲載したスタイルアクト(株)代表取締役・不動産コンサルタントの沖 有人氏による「政府の説明ではさっぱり分からない「なぜ第5波は終息したのか」 感染者データを用いたコロナ感染者予測モデルから分かること」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/67233
・『コロナ第5波は終息したが、なぜ終息したかは明らかではなく、何をすれば感染減に繋がるのかという点も曖昧なまま。感染に関わる膨大なデータが日々発表されるにもかかわらず、新型コロナウイルス感染症対策分科会は科学的とは言えない説明に終始している。来たるべき第6波に備えるため、われわれは何を指標とすべきなのか──。統計解析のスペシャリスト、スタイルアクトの沖有人氏が分析する。 新型コロナの第5波が終息した理由は何だったのだろうか。 第5波のピークだった8月20日前後は全国で毎日2万5000人が感染する状況だったが、その後、急速に感染者は減少し、9月末には1000人台となっている。結果、緊急事態宣言は解除されたが、流行と抑え込みのメカニズムはいまだに分かっておらず、第6波の到来を前に、私たちはただおびえるしかない。 この謎を科学的に解くにはどうすればいいのだろうか。私は統計分析を生業としており、主に不動産や人口予測の分野でマーケティングのための様々な予測モデルを構築してきた。その知見を生かして、どういう条件で新規感染者や死亡者が増加するか、予測モデルを作成した。そこで分かったことを、ここでみなさんにお伝えしようと思う。 9月末の緊急事態宣言解除の記者会見では、当時の菅首相だけでなく、新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身会長が5つの要因を提示した。しかし、ここで挙げられた要因は、残念ながら統計的にはほぼ説明できないことばかりだった』、「尾身会長が5つの要因を提示」したが、「ここで挙げられた要因は、残念ながら統計的にはほぼ説明できないことばかりだった」、非科学的なやり方にはガッカリする。
・『感染の減少と因果関係が見えない尾身会長の説明  (1)一般市民の感染対策強化(第5波の山は高く、急降下している。この山と谷を説明するには極端な変化を伴う変数が必要だが、公開されているデータを分析する限り、そういった変数は見当たらない。自分の日常やメディアの報道を通してという限定的な範囲だが、このピークの前後で国民の日常生活が劇的に変わったという事実は見当たらない。国民の努力に対するリップサービスなのかもしれないが、因果関係は全く把握できない。 (2)人流、特に夜間の滞留人口減少(公開情報を分析したところ、人流の減少は多く見ても、直近ピーク時の2割程度というところだ。 例えば、お盆の時期の移動は東海道新幹線の乗車率の推移で分かる。それを見ると、8月の乗車率は7月以下で、お盆に例年のような大移動は起きていない。また、政府は人流を重視するが、ただの外出で感染した人がどれぐらいいるのだろうか。人流で感染拡大するのであれば、毎日、山手線でクラスターが発生していてもおかしくない。 飛沫感染が主な理由と言われていることを考えれば、外出の制限に意味があるという統計的な説明はできない。 なお、夜間の滞留人口を夜10~12時に外出している人だと定義すれば、いわゆる夜の店に行っている人が中心だろう。それは「うつるべくしてうつった人」であり、一般的な人流とは異なるのではないだろうか』、このように要因をきちんと切り分けることも重要だ。
・『ワクチン接種率40%でピークアウトと説明するには無理がある  (3)ワクチン接種率の向上(第5波の山がピークアウトしたのは、2回目のワクチン接種率が40%程度の時だ。ワクチン接種率は月間で10%程度上昇しているので、ワクチン接種率が30%の頃に生まれた大きな波が40%でピークアウトすると説明するのは無理がある。 また、ワクチンに絶大な効果があるのであれば第5波の上昇を抑えられたはずだが、山はこれまで以上に高かった。ワクチンに新型コロナを抑え込む効果が一定程度あることは統計を用いて後述するが、決定的な要因にはなっていない。 (4)医療機関・高齢者施設での感染者の減少(日本国民の中で、病院や高齢者施設にいる人は1%もいない。そこでの数が倍増しようが、全体の感染者の数値に影響を与えることはない。そうした施設の話をわざわざ持ち出したのは、コロナの最前線で戦った医療機関や高齢者施設に対するリップサービスなのだろうか。少なくとも公共の電波で伝えるような要因とは思えない。 (5)気象の要因(夏が終わりに近づき、気温が下がったら感染者が減るという指摘には、全く因果関係がない。ここまで来ると、もはや滑稽な話でしかない。 ここまで、尾身会長の説明に統計的な説得力がないということを説明してきた。次に、統計的に今後の感染者数がどうなっていくのかという点について見ていこう』、なるほど。
・『日々の感染者数で1週間後は予測可能  毎日ニュースとして耳にする感染者数は、過去の推移から短期的な将来を予測することができる。 予測対象は、陽性者数→入院治療等を要する者→重症者数→死亡者数の順で相関関係が明らかに出る。つまり、陽性者が増えれば入院患者が増え、重症者が増え、死亡者が増えるという関係だ。 それゆえに、明日の陽性者数は今日の陽性者数と昨日から今日の数の変化でほぼ説明できる。昨日100人、今日110人なら、増加数10人なので、今日の110人と増加数10人の影響を受けて明日は123人──という具合に決まるような話だ。 例えば、入院治療等を要する者はその前日水準と陽性者数(過去2週間)とワクチン2回目接種率の3つの変数で説明でき、並べた順で影響力が強い。私の分析では、ワクチン接種率が10%上がると、入院等を要する者が1750人減少する。 同様に、重症者数は入院治療等を要する者(1週間前)とワクチン2回目接種率(接種率10%上がると、重症者数は70人減少)の2つの変数で説明できる。 死亡者数は、その前日水準と重症者数(1週間前)とワクチン2回目済率(10%上がると、死亡者数は10人減少)で説明できる。この2か月でワクチン接種率は20%ほど上昇したので、毎日20人の命が救われていることになる。ただ、死亡者の場合、最も効く変数は重症者数であり、ワクチン接種率ではない。 これらのモデルから分かることは、(1)毎日の動きが予測の最大の根拠となる (2)ワクチンの効果は一定程度あるが、補助的であり決定的ではない (3)このモデルでは1週間先はほぼ予測できる』、確かに「1週間先はほぼ予測できる」ようだ。
・『節目の変わるタイミングでは何が起きているか?  なお、波が来ることも、ピークアウトすることも、前日との差(前週の同じ曜日と比較しての差)で予測可能だ。具体的に言えば、連続して4日同じ方向に動いた時にトレンドが転換する。つまり、4日連続で新規感染者数が増加に転じたら、第6波がやってくると考えた方がいい。 ただ、その山の高さ(感染者数の多さ)は予見することができない。実行再生産数を用いることもできるが、これは単なる仮定に過ぎず、実行再生産数自体を予測することはできない。 このように、現状では毎日変化するグラフの傾きに応じて1週間程度先を予測することくらいしかできないが、それでも1週間後に向けて事前に対処できるということに意味はあるはずだ。 第5波の教訓として語られるべきことは、山の高さをもたらした要因を正確に把握することだ。これが分かれば、第6波に備えられる。 第5波である7月、8月の感染者を見ると、20代以下が5月より+8%、6月より+4%と大幅に増えている。この年代の人々からすれば、ワクチン接種は先の話になりそうで、たとえ感染しても死亡する確率は極めて低い。そうした状況から気を緩めてしまった人によって、山が高くなったというのは明らかな傾向としてある。 この層は夜間の滞留人口と同様で、「うつるべくしてうつった人」なのかもしれない。「かもしれない」と語尾を緩めたが、データがないだけで、これは調べることができる。感染者の感染経路を全件調査し、感染パターンを類型化し、何%を占めるかを明確にすればいいのだ。 感染経路は現在4割程度しか判明していないが、この結果が有効な行動制限を確定させる決め手となる。 例えば、「マスクをせず飲み会に参加した」「カラオケでマイクの消毒をせず歌い続けた」「感染者らしき人に出くわした後に手洗いを忘れた」といった感染理由が浮上したとして、その感染パターンとは関係ないことを気をつけても仕方がない。恐らく、外出を控えても効果がないことはここから分かるだろう。自粛という形を取る以上、具体的な行動を自粛対象として告知することが端的に効果を出す何よりの方法だ』、「感染経路は現在4割程度しか判明していないが、この結果が有効な行動制限を確定させる決め手となる」、でも判明率を上げるのは困難だろう。
・『科学的とは言えない分科会メンバー  第6波が来るとしたら、10月の下旬以降になりそうだ。冬場で大流行する可能性もあり備える必要があるが、「何をすべきかが分からない」という事態は避けなければならない。そのためには、日本の科学の英知を結集することが必要だ。 2020年4月の第1回の緊急事態宣言の際は、専門家の委員会は感染病の専門家と医療関係者だけだった。その後、経済学者が入り、経済を動かす必要性を提言することになった。 現在の分科会メンバーについては、偏っていて科学的でないという印象を受ける。科学的とは、分からないことを数多く明らかにし、分からないことは分からないと明示することだ。予測モデルで因数分解したように、各要因の因果関係と影響度は統計で処理できる。これほど毎日の数字が克明に出るのに、定性的なぼんやりとした話を繰り返すのは数字を扱い、判断する能力がないと考えた方がいい。 その意味で、統計学者は委員に1人必要だろう。また、具体的な感染パターンの把握と自粛行動へのアナウンスも、人間心理に長けた心理学者が欲しいところだ。その人の役目は、人心を把握し、効果を最大化する説得力ある発信をすることにある。 まだ、コロナとの闘いは終わってはいない。菅首相が退陣を余儀なくされたように、ただ一生懸命に取り組むだけでは評価されない。リーダーたるもの、効果を見せながら、「この人の言うことは守らなければ」と思われるようにならなければならない。そこには、事実に基づいた実行性のある見識が必要である』、「分科会メンバー」には「経済学者が入り」、経済学者であれば、統計のことも分かっている筈だ。ただ、専門的な「統計学者」や「人間心理に長けた心理学者」がいる方が望ましい。彼らの助言を得て、「首相」には「事実に基づいた実行性のある見識」を示してほしいものだ。

第三に、10月26日付け東洋経済オンラインが掲載した医療ガバナンス研究所理事長の上 昌広氏による「感染急減の日本が油断大敵になってはいけない訳 ワクチン効果は徐々に薄れ、追加接種が不可欠」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/464390
・『冬の足音が聞こえてきた。多くの欧州諸国では、感染者の増加が顕著だ(図1)。日本のメディアは「規制撤廃の英国新型コロナ200人超え」(テレビ朝日10月20日)のように、感染者増を規制緩和に伴う人流増に求める論調が強いが、それは的外れだ。欧州の感染増を知れば、季節性変化の影響が大きいと考えるのが合理的だ。 図1(Daily new confirmed COVID-19 Ccases per million peopleの図はリンク先参照)』、上氏は独自の視点から筋論を展開するとして、私が注目している医者だ。「欧州の感染増を知れば、季節性変化の影響が大きいと考えるのが合理的だ」、なるほど。
・『第6波で未曾有の感染爆発が起こる可能性は残る 日本でも早晩、感染者は増加し、冬場の大流行を迎える。イギリス・オックスフォード大学が提供するデータベース「Our World in Data」によれば、昨秋、日本は10月22日の感染者数4.23人(人口100万人あたり、7日間平均)を底に、感染者数は増加の一途を辿った。ピークは1月11日の同51.14人だった。今年も、似たような推移をたどるだろうと私は予想している。 今年、注目すべきは変異株の存在だ。昨冬の流行の中心は変異がない従来株だった。今冬はデルタ株、あるいはイギリスで感染が確認されているデルタ・プラス株のような新たな変異株かもしれない。日本の足元の感染状況は1年数カ月ぶりの低水準まで収まっているが、その理由もはっきりしないだけに、今後、第6波で未曾有の感染爆発が起こる可能性も十分以上に残されていると考えたほうがいい。 では、どうすればいいのか。最優先はワクチンの追加接種だ。コロナに限らず、ワクチン接種は感染症対策の中核となる。コロナ対策でも、昨年12月にイギリスでの接種開始を振り出しに、世界各国はワクチン接種を促進してきた。接種開始が今年2月となった日本だが、その後、急速に追い上げた。10月21日現在の接種完了率は69%で、カナダ(73%)、イタリア(71%)に次いで、主要先進7カ国(G7)で第3位だ。すでにフランス(68%)、イギリス(67%)、ドイツ(66%)、アメリカ(57%)を抜いている。 ところが、それでも楽観視できない。それは、コロナワクチンは接種から時間が経てば、その効果が低減するからだ。このあたり、ワクチン接種を済ませば、ほぼ一生にわたって効果が続く麻疹ワクチンとは違い、有効期間が5カ月と言われているインフルエンザワクチンに近い。アメリカのファイザーは、デルタ株の場合、2回接種から4カ月目には感染予防効果は53%まで低下すると報告していし、アメリカ・モデルナも、ワクチン接種後約5カ月で、感染予防効果が36%低下したと報告している。 すでに日本からも同様の調査結果が報告されている。10月13日、福島県相馬市は、コロナワクチン接種を終えた相馬市民500人から採血し、中和活性を測定した結果を発表した。この研究では、中和活性は、2回目接種から30日未満で2024 AU/mL、30~90日で753 AU/mL、90日以上で106 AU/mLと急速に低下していた。10月22日には、同じく福島県南相馬市からも同様の調査結果が報告された。一連の研究をリードしたのは、坪倉正治・福島県立医科大学教授を中心とした研究チームだ』、「日本」でも「コロナワクチン接種」後の効果が日数経過と共に低下してくる研究があるというのは、初めて知った。
・『イスラエルで今夏大流行が起こったワケ  ワクチンの効果が切れた段階で、コロナが流行すればどうなるのか? 参考になるのはイスラエルの経験だ。イスラエルは、世界で最も早くワクチン接種を進めた国だ。1月30日には国民の20%、2月16日には30%、5月2日には40%、そして5月17日には50%がワクチン接種を済ませている。 (図2) 日本同様、イスラエルでも6月下旬からデルタ株による感染者が増加した。夏の流行のピークは9月14日で、新規感染者数は1254人(人口100万人あたり)で、同国の冬のピーク(981.2人)を大きく上回った。日本の今夏のピークの6.8倍に当たる。今夏、イスラエルの感染者数は、G7諸国よりはるかに多かったが(図2:Daily new confirmed COVID-19 Ccases per million peopleの図はリンク先参照))、これはワクチンの効果が切れた時期に、デルタ波の流行が重なったためだろう。ワクチンの感染予防効果は、接種からの時間とともに減衰することを、認識しなければならない。  問題は感染予防だけではない。これまで、ワクチン接種を済ませておけば、たとえデルタ株であろうが、感染しても重症化しないと考えられてきた。わが国では、今夏、デルタ株が大流行したのに、第3波、第4波ほど死者数は増えなかったのもワクチン接種の恩恵と考えられている(図3)。そうなると、ワクチン接種による、このような重症化予防効果がいつまで続くかが大きなポイントになる。 (図3:Daily new confirmed COVID-19 deaths per million peopleの図はリンク先参照))) イスラエルの経験は、重症化予防効果も、意外に早く低下する可能性があることを示唆している。図4はイスラエルと日本のコロナ感染者の致死率の推移を示したものだ。イスラエルでは、今年3月から7月にかけて致死率が上昇している。特に5、6月の致死率は5%以上を維持し、5月23日には9.5%、6月14日には9.4%に達した。 (図4:Moving average case fatality rate of COVID-19の図はリンク先参照) この時期、決して死者の総数が増えた訳ではない。イスラエルの夏の流行で、死者数が増えるのは8月以降だ。以上の事実は、重症患者が増えて、病床が逼迫したため、致死率が高まった訳ではないことを意味する。なぜ、こんなことが起こるのだろうか』、何故だろう。
・『ワクチン接種を終えて4カ月後に起きた変化  私は、基礎疾患を抱える高齢者でワクチンの効果が切れ始めたためと考えている。イスラエルは2020年12月19日から、高齢者・持病を抱える人・医療従事者を対象にワクチン接種を開始した。2021年1月末の接種完了率は21%。イスラエルの高齢化率は12%だから、1月中には高齢者の接種を終えたことになる。致死率が急上昇した5月は、ワクチン接種を終えて4カ月となる。 イスラエル政府は、この致死率急上昇に焦った。7月11日には免疫力の低い人を対象に追加接種を始める方針を明かしている。注目したいのは、7月11日の人口100万人あたりの感染者数は51.4人だったことだ。その1週間前の7月4日の33.8人からはやや増加したが、イスラエルで感染者が本格的に増え始めるのは7月後半で、同月末には237.6人に達している。 イスラエル政府は、ワクチン接種を済ませた人に感染するブレイクスルー感染が増え始めて、追加接種を検討したのではない。私は、コロナワクチンの効果の持続性に当初から疑問を抱き、春以降致死率が高まってきたことを考慮したからではないかと考えている。 追加接種は著効した。6月14日の致死率9.4%から、8月15日には0.60%、9月24日には0.15%に低下している。10月7日、イスラエルの研究チームはアメリカの『ニューイングランド医学誌』に、追加接種の有効性について、追加接種から12日が経過した段階で、非接種群と比べ、追加接種群の感染率は11.3分の1、重症化率は19.5分の1まで低下したと発表している。 その後、イスラエル政府は、追加接種の対象を拡大し、12歳以上とした。そして、世界のどの国よりも速く追加接種を進めている。10月22日現在の追加接種完了率は44%で、9月12日には、イスラエル保健省高官が、4回目の追加接種に必要なワクチンの確保を進める方針を明かしている』、「4回目の追加接種に必要なワクチンの確保」とは早手回しだ。
・『高齢者や免疫抑制患者に追加接種は不可欠  イスラエルの経験は貴重だ。多くの先進国が追加接種を加速させている。10月16日現在、追加接種の完了率はアメリカ3.6%、フランス3.5%、ドイツ1.8%、イタリア1.6%だ。中国でも、すでに追加接種は始まっている。10月13日、アメリカのニューヨーク・タイムズは、武漢を含む湖北省で4万人以上が追加接種を受けたことを報じている。 高齢者や免疫抑制患者に追加接種が必要なことは、いまや世界的コンセンサスだ。9月22日、米食品医薬品局(FDA)は、ファイザー社製ワクチンの65歳以上の高齢者と重症化リスクが高い人に対する追加接種を承認し、10月20日には、米モデルナとジョンソン・エンド・ジョンソン社製ワクチンについても承認した。 FDAは、ファイザー製については、40歳以上に承認対象を拡大する予定だ。欧州でも、10月4日、イスラエル、イギリスに続き、欧州医薬品庁(EMA)がファイザー製ワクチンの18歳以上に対する追加接種を承認した。さらに、途上国でのワクチン接種を推進するため、当初、追加接種に否定的だった世界保健機関(WHO)も、10月11日、感染を防ぐ抗体が十分にできなかった人に限って推奨すると声明を発表している』、主要国は「追加接種」へと動いているようだ。
・『追加接種については、さまざまな臨床研究が進んでいる。懸念される副反応については、9月28日、米疾病対策センター(CDC)は、2回目接種後と同程度という研究成果を報告している。 効果については、イスラエルからの研究は前述のとおりだ。他には、9月30日、アメリカ・アリゾナ大学の研究チームが、固形癌で抗がん剤治療中の患者53人を対象に、追加接種の有効性を検証した論文をイギリス『ネイチャー・メディスン』に発表している。この研究によれば、追加接種により抗体価は上昇するが、細胞性免疫の活性化は軽微だった。研究者たちは、それでも免疫学的に有益である可能性が高いという結論を出している。かくのごとく、追加接種の臨床研究は急速に進んでいる』、なるほど。
・『日本はワクチンが余っているのに  日本はどうだろうか。厚生労働省は、12月から追加接種を始める方針を明かしている。これでは遅すぎる。日本で、高齢者のワクチン接種が本格化したのは5月だ。早い時期にワクチンを打った人は、接種後半年以上が経過する。免疫は低下していると考えていい。今冬、コロナに罹患すれば、重症化あるいは死亡する可能性が高まってしまう。可及的速やかに追加接種を始めたほうがいいだろう。 何がボトルネックか。日本にワクチンが足りない訳ではない。日本経済新聞は10月7日、1面トップに「先進国でワクチン余剰」という記事を掲載した。この記事では、日本の状況について、「11月ごろまでに希望者への接種がほぼ一巡し、その後は在庫が膨らむ見通し」と説明している。さらに、自治体が設置するワクチン接種会場はガラガラだ。その気になれば、いますぐにでも追加接種を始めることができる。 日本で追加接種が進まないのは、「厚労省の手続きなどの準備が間に合わない(厚労省関係者)」からだ。具体的には薬事承認、審議会での審議などだ。菅義偉・前首相のリーダーシップで、約2カ月のワクチン接種の遅れは挽回した。ところが、追加接種の準備を怠った厚労省の不作為で、また、3カ月以上の遅れができてしまった。昨年末のワクチン導入の失敗と同じことを繰り返したことになる。厚労省の奮起、岸田文雄首相のリーダーシップに期待したい』、「日本で追加接種が進まないのは、「厚労省の手続きなどの準備が間に合わない(厚労省関係者)」からだ」、「菅義偉・前首相のリーダーシップで、約2カ月のワクチン接種の遅れは挽回した。ところが、追加接種の準備を怠った厚労省の不作為で、また、3カ月以上の遅れができてしまった。昨年末のワクチン導入の失敗と同じことを繰り返したことになる」、「岸田文雄首相」は総選挙応援終了後は、直ちに取り組むべきだ。

第四に、10月28日付けNHK NEWS WEB「ワクチン3回目接種 2回終えた“全員対象”の方針 厚労省分科会」を紹介しよう。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211028/k10013326011000.html
・『新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種について、厚生労働省の専門家の分科会は28日、2回目の接種を終えた人全員を対象とする方針で一致しました。これを受け厚生労働省は、ことし12月に医療従事者から順次、3回目の接種を始める方針です。 厚生労働省は28日、専門家でつくる分科会を開いて、新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種の対象者について議論しました』、やはり「2月に医療従事者から順次、3回目の接種を始める方針」と悠長なことを言っているようだ。
・『感染予防の効果 2回目接種の5か月後以降には「低下」  分科会では、ファイザーのワクチンの感染を予防する効果が、2回目の接種から5か月後以降にどう変化したかが報告されました。 アメリカの研究結果として、 ▼16歳から44歳では89%が39%に、 ▼45歳から64歳では87%が50%に、 ▼65歳以上では80%が43%に それぞれ低下したとするデータが示されました」、なるほど。
・『入院予防の効果については 目立った低下は見られず  厚生労働省によりますと、入院を予防する効果については、アメリカの研究では、2回目の接種から5か月後以降にはそれぞれ次のようになり、目立った低下は見られなかったということです。 ▼16歳から44歳で88%が90%に ▼45歳から64歳で91%が90%に ▼65歳以上で84%が83%に』、「入院予防の効果については 目立った低下は見られず」、とは結構なことだ。
・『3回目接種 分かれる海外の対応  日本は「全員対象に」  続いて分科会では、海外の対応を確認したうえで、日本での対応を検討しました。 この中では、アメリカは高齢者や18歳以上の特定の疾患がある人などとしている一方、イスラエルは接種が認められている12歳以上の全員とするなど、各国で対応が分かれていることが説明されました。 これに対し、分科会の委員からは「希望する人全員に接種機会を提供すべきだ」とか「自治体の実務上、全員に打てるようにすることが現実的だ」などといった意見が出て、分科会として2回目の接種を終えた人全員を対象にする方針で一致しました。 また、高齢者など重症化を予防する効果が低下しやすい人などには、できるだけ3回目の接種を受けるよう呼びかけることも厚生労働省に求めました』、事務的には「全員対象に」が、混乱を少なくする方法だ。
・『3回目接種後の副反応は“2回目までと同程度”  分科会では、3回目の接種後の副反応についても、アメリカのデータが示されました。 それによりますと、ファイザーやモデルナのワクチンでは、報告された副反応が2回目までと同じ程度だったということです。 厚生労働省は、来月にも改めて分科会を開き、正式に方針を決めたうえで、12月に医療従事者から順次、3回目の接種を始めることにしています』、「副反応は“2回目までと同程度”」、一安心した。
・『海外の3回目接種 各国の対象者の範囲は?  海外でも新型コロナウイルスワクチンの追加接種が始まっていますが、対象者の範囲は異なっています。 厚生労働省によりますと、 +アメリカでは65歳以上の高齢者や、18歳から64歳で特定の疾患がある人や仕事などでウイルスにさらされるリスクが高い人などが追加接種の対象となります。 +イギリスでは50歳以上の人や、16歳から49歳で重症化のリスクを高める疾患がある人、介護施設の居住者や職員、それに医療従事者などです。 +カナダでは長期療養施設などに入っている高齢者です。 +フランスでは自宅で生活する65歳以上の高齢者や高齢者施設などの居住者、重症化リスクが非常に高い人、基礎疾患がある人、それに医療従事者や救急隊員などです。 +イスラエルは、当初、追加接種の対象を60歳以上としていましたが、対象を段階的に拡大し、現在は12歳以上としています』、本来であれば、第三の上氏の主張のように、主要国に遅れないようもっと早目に取り組むべきだろう。
タグ:パンデミック (医学的視点)(その23)(3回接種が進んだイスラエルで感染爆発 4回目を準備 データ提供という「偉大な貢献」、政府の説明ではさっぱり分からない「なぜ第5波は終息したのか」 感染者データを用いたコロナ感染者予測モデルから分かること、感染急減の日本が油断大敵になってはいけない訳 ワクチン効果は徐々に薄れ 追加接種が不可欠、ワクチン3回目接種 2回終えた“全員対象”の方針 厚労省分科会) PRESIDENT ONLINE ニューズウィーク日本版 「3回接種が進んだイスラエルで感染爆発、4回目を準備 データ提供という「偉大な貢献」」 せっかく「ブースター接種」に「着手」しても、「感染者が急増」しているようだ。 「4回目のワクチン接種に向けて準備を進める」、ずいぶん手回しがいいようだ。「高名なラビ・・・の墓があるウクライナ中部のウマニへの巡礼も、昨年は見送られたが今年は再開され、ワクチン接種を拒む超正統派のユダヤ教徒が大挙して参加した」、「ワクチン接種を拒む超正統派のユダヤ教徒」とは困ったものだ。 「イスラエルはグローバルな知識に偉大な貢献をもたらそうとしている。われわれなしでは、世界はブースター接種の正確な有効性も、打つべきタイミングも、感染状況への影響も、重症化への影響も分からないだろう」、その通りだ。「追加接種が進む今も、全土で感染者が増え続けている状況を見ると、ワクチンだけでは感染拡大は止められそうもない」。 JBPRESS 沖 有人 「政府の説明ではさっぱり分からない「なぜ第5波は終息したのか」 感染者データを用いたコロナ感染者予測モデルから分かること」 「尾身会長が5つの要因を提示」したが、「ここで挙げられた要因は、残念ながら統計的にはほぼ説明できないことばかりだった」、非科学的なやり方にはガッカリする。 このように要因をきちんと切り分けることも重要だ。 確かに「1週間先はほぼ予測できる」ようだ。 「感染経路は現在4割程度しか判明していないが、この結果が有効な行動制限を確定させる決め手となる」、でも判明率を上げるのは困難だろう。 「分科会メンバー」には「経済学者が入り」、経済学者であれば、統計のことも分かっている筈だ。ただ、専門的な「統計学者」や「人間心理に長けた心理学者」がいる方が望ましい。彼らの助言を得て、「首相」には「事実に基づいた実行性のある見識」を示してほしいものだ。 東洋経済オンライン 上 昌広 「感染急減の日本が油断大敵になってはいけない訳 ワクチン効果は徐々に薄れ、追加接種が不可欠」 上氏は独自の視点から筋論を展開するとして、私が注目している医者だ。「欧州の感染増を知れば、季節性変化の影響が大きいと考えるのが合理的だ」、なるほど。 「日本」でも「コロナワクチン接種」後の効果が日数経過と共に低下してくる研究があるというのは、初めて知った。 「4回目の追加接種に必要なワクチンの確保」とは早手回しだ。 主要国は「追加接種」へと動いているようだ。 「日本で追加接種が進まないのは、「厚労省の手続きなどの準備が間に合わない(厚労省関係者)」からだ」、「菅義偉・前首相のリーダーシップで、約2カ月のワクチン接種の遅れは挽回した。ところが、追加接種の準備を怠った厚労省の不作為で、また、3カ月以上の遅れができてしまった。昨年末のワクチン導入の失敗と同じことを繰り返したことになる」、「岸田文雄首相」は総選挙応援終了後は、直ちに取り組むべきだ。 NHK NEWS WEB 「ワクチン3回目接種 2回終えた“全員対象”の方針 厚労省分科会」 やはり「2月に医療従事者から順次、3回目の接種を始める方針」と悠長なことを言っているようだ。 「入院予防の効果については 目立った低下は見られず」、とは結構なことだ。 事務的には「全員対象に」が、混乱を少なくする方法だ。 「副反応は“2回目までと同程度”」、一安心した。 本来であれば、第三の上氏の主張のように、主要国に遅れないようもっと早目に取り組むべきだろう。
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パンデミック(医学的視点)(その22)(ラムダにミューも 新型コロナの変異株 知っておきたい10のこと、なぜ「ワクチン接種で死亡」の原因究明が進まないのか 法医学者に聞く、イスラエルの調査で判明「ブースタ接種」の難題 感染予防の底上げ効果は高齢者で数週間) [パンデミック]

パンデミック(医学的視点)については、8月24日に取上げた。今日は、(その22)(ラムダにミューも 新型コロナの変異株 知っておきたい10のこと、なぜ「ワクチン接種で死亡」の原因究明が進まないのか 法医学者に聞く、イスラエルの調査で判明「ブースタ接種」の難題 感染予防の底上げ効果は高齢者で数週間)である。

先ずは、9月10日付け日経ビジネスオンライン「ラムダにミューも 新型コロナの変異株、知っておきたい10のこと」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00210/090900021/
・『日本でも猛威を振るう新型コロナウイルスの変異株。「デルタ株」の感染が急拡大しており、「ミュー株」などの新たな変異株も国内での感染が確認された。そもそも変異株とはどのようなもので、それぞれどんな特徴があるのか。世界で次々と発見されている新型コロナウイルスの変異株について、知っておきたい10項目を整理した。 1:新型コロナウイルスの変異株とは何? 2:変異が起きる仕組みは? 3:現在確認されている主な変異株の種類は? 4:なぜ株の名前はギリシャ文字で表記される? 5:変異株にはどんな特徴がある? 6:報道で目にする「N501Y」や「L452R」はどういう意味? 7:変異株にはワクチンが効きにくい? 8:日本国内で感染が確認されている変異株は? 9:変異株の感染予防のための対策は? 10:今後、変異株はどうなっていきそう? 
(各項目を詳しくみると)1:新型コロナウイルスの変異株とは何?  生物やウイルスの遺伝情報が変化することを「変異」と呼ぶ。一般的にウイルスは増殖や感染を繰り返す中で、その遺伝情報は少しずつ変化していく。幾つかの遺伝情報の変異により、従来のウイルスとは異なる性質を持つようになったものを変異株といい、世界保健機関(WHO)はそのリスクの評価に基づいて、注目すべき変異株(VOI)と懸念される変異株(VOC)とを定義し、「アルファ株」「ベータ株」などの命名を行っている。 日本でも国立感染症研究所が、主に感染性や重篤度が増す・ワクチン効果を弱めるなど性質が変化した可能性のある株をVOC、主に感染性や重篤度・ワクチン効果などに影響を与える可能性が示唆される株をVOIとして分類している)。 2:変異が起きる仕組みは?  ウイルスは自己増殖できないため、生物の細胞のなかで複製が行われる。例えば、新型コロナウイルスがヒトの細胞内に侵入すると、RNAの情報からウイルスを形成するためのたんぱく質がつくられる。それと同時にRNA自体も大量に複製されるが、その時にコピーミスが起こることで少しずつ変異する。ウイルスの性質に関わる遺伝情報のコピーミスが起こると、性質も変化する)。 3:現在確認されている主な変異株の種類は?     VOI(注目すべき変異株)とVOC(懸念される変異株)に該当する変異株に対して、WHOはギリシャ文字による命名を行っている。現在はアルファ(α)~ミュー(μ)までの変異株に分類されている。 VOC、VOIに当てはまる変異株は以下の通り。 VOC(懸念される変異株) アルファ株(2020年9月に英国で発見) ベータ株(2020年5月に南アフリカで発見) ガンマ株(2020年11月にブラジルで発見) デルタ株(2020年10月にインドで発見) VOI(注目すべき変異株) イータ株(2020年12月に複数の国で発見) イオタ株(2020年11月に米国で発見) カッパ株(2020年10月にインドで発見) ラムダ株(2020年12月にペルーで発見) ミュー株(2021年1月にコロンビアで発見) 4:なぜ株の名前はギリシャ文字で表記される?  WHOは2021年5月末に新型コロナの変異株をギリシャ文字で表記すると発表した。その理由は、人々がしばしば変異株を発見された場所の名前で呼び、それが差別などにつながる懸念があるからだという。ギリシャ文字はアルファ(α)からオメガ(ω)まで全24種類あり、現在は12番目のミュー(μ)まで使われている。 新型コロナウイルス自体は現在「SARS-CoV-2」、新型コロナウイルス感染症という疾患は「COVID-19」と称されているが、これも地名などは使われていない。流行当初は日本でも疾患に対して武漢肺炎などの表現が使われていた。また、ドナルド・トランプ米大統領(当時)はTwitterでウイルスを「the Chinese Virus」などと表記していた。テドロス・アダノムWHO事務局長は「(COVID-19などの)名前を付けることで、不正確な名前や汚名を着せるような名前の使用を防ぐことが重要だ」と発言している』、インドも「インド株」でイメージダウンになると主張していたのも記憶に新しいところだ。
・『5:変異株にはどんな特徴がある?  VOIは、主に感染性や重篤度・ワクチン効果などに影響を与える可能性が示唆される株である。VOCは、主に感染性や重篤度が増す・ワクチン効果を弱めるなど性質が変化した可能性のある株で、VOIのうち感染性や重篤度、ワクチン効果などと関連していることが実証されるとVOCとされる。 6:報道で目にする「N501Y」や「L452R」はどのような意味?   N501Yはアルファ株、ベータ株、ガンマ株に共通する変異であり、ウイルスが細胞にくっつく際に必要な「スパイク」と呼ばれる突起のたんぱく質を構成するアミノ酸の変異を示す。スパイクたんぱく質のうち、501番目にあるアミノ酸がN(アスパラギン)からY(チロシン)に変わっているという意味だ。L452Rも同様で、スパイクたんぱく質を構成しているアミノ酸のうち、452番目がL(ロイシン)からR(アルギニン)に変異したということだ。これらの変異により、従来のウイルスとは性質が変化したと考えられている。 7:変異株にはワクチンが効きにくい?  アルファ株については発症や感染に関してワクチンの効果は変わらないとされている。一方で、ベータ株とデルタ株については、重症化に対するワクチンの効果は変わらないものの、発症に対する効果は弱まる可能性があるとの指摘がある。ガンマ株に対するワクチンの効果の変化は明らかになっていない。 8:日本国内で感染が確認されている変異株は?  VOC、VOIに分類される変異株は全て日本で検出されている。東京都健康安全研究センターが行ったスクリーニング検査によると、都内で発生した変異株の割合は、アルファ株やベータ株の「N501Y」の変異を持つウイルスが5月時点で6~7割程度だったが、8月23日~29日の期間では1.7%に減少している。代わりに猛威を振るっているのがL452Rという変異を持つデルタ株で、同期間では82.8%を占めている。 8月末には、N501Sの変異を持つ新たなデルタ株が国内で確認されたと東京医科歯科大学が発表した。この変異はアルファ型などのN501Y変異と類似したものと見られている』、「VOC、VOIに分類される変異株は全て日本で検出されている」のであれば、日本の水際対策の実効性も大したことなさそうだ。
・『9:変異株の感染予防のためにできる対策は?  新型コロナウイルス感染症対策分科会は6月に「変異株が出現した今、求められる行動様式に関する提言」を出している。そこでは、フィルター性能の高い不織布マスクの着用や換気への留意などが示されている。感染力が強く、重症になりやすい変異株が目立つ中で、高性能なマスクを使うことに加えて、3密を避け、外出を控えるといった、基本的な対策を一層徹底することが求められている。 10:今後、変異株はどうなっていきそう?  ウイルスの変異は複製時に一定の確率で起こるため、今後も変異株は現れ続けるとの意見が専門家の間では多い。海外では感染力の強い変異株を念頭に、ワクチンの追加接種(ブースター接種)を進める動きがある。追加接種により変異株の感染をどの程度防げるかは今後の研究が待たれる』、「ブースター接種」については、3番目の記事で紹介する。

次に、9月21日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した医療ジャーナリストの木原洋美氏による「なぜ「ワクチン接種で死亡」の原因究明が進まないのか、法医学者に聞く」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/282431
・『新型コロナウイルスワクチンの接種が進む一方で、重篤な副反応や健康被害については慎重な調査が必要となる。中でも接種後の死亡については、その死因究明が詳細に正しく行われることが重要だ。しかしながら、ワクチン接種後の死亡例については、そのほとんどがワクチン接種によるものなのかきちんと判定されていないままだという。ワクチンの安全な接種にも重要な、死因究明の課題とは何か。法医学者で国際医療福祉大学医学部講師の本村あゆみ氏に話を聞いた』、「ほとんどがワクチン接種によるものなのかきちんと判定されていないまま」、私も疑問に思っていたので、興味深い。
・『ワクチン接種後の死亡 ほぼ100%「因果関係」不明  9月13日政府が公表した集計によると、日本における新型コロナワクチン接種率は1回目が63%、2回目は50.9%に達している。河野太郎規制改革担当相は今月4日、ワクチン接種について、「希望する全国民に対して11月上旬に完了する」との見通しを示しているが、ワクチンに関しては接種率を上げる以前に注力してほしい課題がある。 それは、接種後の死亡と報告された事例の死因究明だ。例えばファイザー製のワクチンについては、2021年2月17日から8月8日までに報告された991の死亡事例中、「ワクチンと死亡との因果関係が否定できないもの」は0件、「ワクチンと死亡との因果関係が認められないもの」5件、「情報不足等によりワクチンと死亡との因果関係が評価できないもの」986件で、大部分の死因はワクチン接種によるものかどうかちゃんとした判定はされていない(厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会が8月25日に公表した調査より)。 国や専門家は、「健康被害のリスクを踏まえてもメリットが圧倒的に上回る」とワクチン接種を推奨し、「健康被害が予防接種によるものであると厚生労働大臣が認定したときは、予防接種法に基づく救済(医療費・障害年金等の給付)が受けられます」と安心を強調してきたが、最悪の健康被害である死亡例については、ほとんど解明されていないのが現状だ。救済は予防接種との因果関係が認定されなければ受けられないことを考えると、8月20日までにワクチン接種後1093人(米ファイザー社製ワクチン1077例、米モデルナ社製ワクチン16例)もの人が亡くなっているのに、救済された人は1人もいないことになる。 死因究明は、亡くなる人を減らすためにも欠かせない。その人の体内で何が起きて死に至ったのか、またそれがワクチン接種によるものなのかどうかが分かれば、重篤な事態が生じないよう先手を打つこともできるからだ。 そういう意味では、死因究明は生きている人のための医学でもある。 そこで今回は、「法医学は、亡くなられた方の死因を究明した結果を、生きている人や社会に還元していく医学です」と語る法医学者で国際医療福祉大学医学部講師の本村あゆみ氏に話を聞いた(Qは聞き手の質問、Aは本村氏の回答)』、「救済は予防接種との因果関係が認定されなければ受けられないことを考えると、8月20日までにワクチン接種後1093人・・・もの人が亡くなっているのに、救済された人は1人もいないことになる」、いくら忙しいにしても、酷い職務放棄だ。
・『「心不全」「心肺停止」は 状態であって死因ではない  Q:厚生科学審議会が公表している死因を一つ一つ見ていくと、「心不全」「心肺停止」といった、死因とするには疑問符が付くものが何度も登場してきます。専門家は、このような死因を「死因」と呼ぶのでしょうか? A:厚生科学審議会の調査で死因を判断しているのは各医療機関の報告医なので、診療時の血液検査や画像検査などを踏まえて、死因を推定しているものと思われます。いわゆる通常の臨床医の死因判断です。なので、傷病名ではない「心肺停止」という文言での報告が散見されるのだと思います。 これらの報告を踏まえて、専門家がワクチン接種との関連性の有無を判断されているようですが、やはり元になる死因について解剖を含めた詳細な調査はなされていないことがほとんどで、これでは判断しようがないと言わざるを得ません。 Q:中には、「情報不足で判断できない」というものもかなり多くあります。行政はワクチン接種後に亡くなった人の死因究明に積極的ではないように感じるのですが、先生はどう思いますか? A:ワクチン関連にかかわらず、行政においては死因究明の必要性が理解されていないのではないでしょうか。CTその他検査で、医者が見れば死因は分かるものと思っているのかもしれません。 Q:では、死因究明はそんな単純なものではない? A:即時型のアナフィラキシーショックはまだしも、接種後に起きる可能性が指摘されている心筋炎や血栓症は、もし病院で十分な検査を受ける間もなく亡くなってしまった場合には、外表の所見のみで診断することは不可能です。 そもそも、個別の死因のみをもって接種と死亡の因果関係を問うことは困難です。正確な情報の集積、統計を行い、平時や非接種者との比較によって、接種後の影響を判定する必要があります。しかしながら現状では、土台となるべき死因診断が正確でない可能性があり、また情報そのものが少なすぎて、「因果関係が不明」とせざるを得ないのがほとんどという状況になっています。 例えば厚生科学審議会の資料だと、接種後の「心肺停止」が多いということになるのですが、そもそも死亡とは心肺停止の状態。その事例を検討しているわけですから、心肺停止が多いのは当たり前ですよね。検討するには、その原因を探らないといけません。 急性心不全が死因などとされているものも、中には心筋炎が含まれるかもしれない。せっかく一部の事例では病理解剖まで行って、詳細な検討の結果として例えば凝固因子欠乏※を指摘されていても、他にも同様の病態を示す事例が確認されなければ、この方だけの特異な症状ということになり、一般的なワクチンによる副反応には計上されないままでしょう。※血液が凝固するために必要なタンパク質が著しく減少することで血が止まりにくい症状 これでは接種の安全性は十分に担保されませんし、副反応で亡くなってしまった方も因果関係不明とされたままでは、遺族にも十分な補償が行き届かないということになります。 Q:パンデミック下だから仕方ない」という意見もあります。 A:いいえ。平時から、解剖を含めた死因調査は重要ですが、このようなパンデミック下での緊急事態の時こそ、より正確な情報収集が重要であることは明らかですし、接種後の死因調査として特別に予算や施設、情報管理システムなどの整備をするといった対応が必要です』、「厚生科学審議会の資料だと、接種後の「心肺停止」が多い」、これでは接種と死亡の関係を見られないので、本来は詳細な死因を記入させるべくだ。「より正確な情報収集が重要であることは明らかですし、接種後の死因調査として特別に予算や施設、情報管理システムなどの整備をするといった対応が必要です」、同感である。
・『日本の法医解剖率は1.6%程度 十分な死因究明が行われない理由  Q:ワクチン接種と死亡例の因果関係、死因をきちんと調べるには、どのようなことが必要なのでしょうか? A:やはり解剖を含めた詳細な死因調査が議論の基礎として必要です。死因が分からない、あるいは誤解されたままでは、情報が少ないとして因果関係不明と結論付けられてしまうのも仕方ありません。 コロナではありませんが、千葉県では交通事故死亡事例について、県内の医療機関が集まってPTD(preventable trauma death:避けられた外傷死)ではなかったかどうか、専門家による調査・検討を行っています。救急隊や医療機関からの情報を基に、病院の選定は妥当であったか、診療内容は適切であったかなどを検討するのですが、やはり情報が十分でないと判断が難しくなります。 また、ごく一部では解剖検査が行われ、その結果とも照合して検討するのですが、既往症や生活状況など初療時には分からなかった情報が警察を通じて得られていますし、中には損傷の見落としによって、当初判断された死因が正確でないことが判明するケースもあり、評価の土台としての解剖結果の重要性を実感しています。 Q:コロナに限らず、日本では法医解剖率の低さが以前から問題になっています。現状として、警察取り扱い死体における法医解剖率は11.5%(2019年)、全死亡中では1.6%程度と、日本では十分な死因究明が行われていません。 そうですね。現在の日本では解剖を含めた死因調査自体が十全に行われているとはいえません。法律を制定するなどして解剖を増やす努力は行政、司法、法医学各方面で続けられているところではありますが、予算も限られており、解剖率は諸外国にいまだ到底及びません。 特に、新型コロナウイルスやワクチンに関連した死亡のように犯罪による死亡が疑われない場合、ほとんどの自治体では、警察が取り扱う死体の死因調査として行われる司法解剖や死因身元調査法解剖の対象としてそぐわないことが考えられます。東京23区や大阪市など監察医制度のある地域では行政解剖を行うことができますが……。 例えば千葉県では準行政解剖として知事の権限で行う承諾解剖の制度がありますが、これは年間10件程度の予算しかないため、運用には高いハードルがあります。さらに、通常の解剖に比べて抗原検査やPCR検査、詳細な組織検査など追加の特殊な検査が多く必要となりますので、費用もかさんでしまいます。 いかなる死亡であっても、死因を正しく判断することは死者、遺族の権利であり、その情報に基づいて健康に関する施策を享受することは国民の権利です。国はそのことをよくご理解いただき、このような新しい感染症の脅威、これに対する予防、治療の安全性、有効性をきちんと評価するためにも、改めて予算を組んで既存の行政解剖や承諾解剖を充実させる必要があります』、「通常の解剖に比べて抗原検査やPCR検査、詳細な組織検査など追加の特殊な検査が多く必要となりますので、費用もかさんでしまいます」、しかし、「いかなる死亡であっても、死因を正しく判断することは死者、遺族の権利であり、その情報に基づいて健康に関する施策を享受することは国民の権利です」、「国は」、「新しい感染症の脅威、これに対する予防、治療の安全性、有効性をきちんと評価するためにも、改めて予算を組んで既存の行政解剖や承諾解剖を充実させる必要があります」、その通りだ。無論、対象を全件でなく、サンプルにすることで費用圧縮を図るのは当然だろう。
・『情報連携や費用に課題 解剖を増やすことはできるのか  Q:解剖を増やすのは難しいことなのでしょうか? クリアすべき課題はいくつかあります。一つはお金の問題。人員や物品の確保、諸検査に必要な経費など、国で予算を検討していただく必要があります。特に接種後の死亡についてはさまざまな要因が考えられ、アナフィラキシー、血栓症、心筋炎など、解剖でも肉眼的に直ちに診断するのは難しい病態が多く想定されます。検査も多岐にわたると考えられ、通常の解剖経費では賄いきれません。 またシステムの問題もあります。解剖の体制が整備されたとしても、情報が個々の施設や各都道府県などで保管されたままでは意味がありません。ワクチン接種後の死亡例については厚生労働省に報告を行い、審議会での検討の俎上に乗せなくてはならないということを広く周知する必要があります。 そもそも前提として、ワクチン接種後の死亡なのかどうかが解剖時に分からないことも問題です。接種が始まった頃、(本村氏も解剖する際に)接種と死亡の関連も考えなければと思い、解剖に搬入されたご遺体について警察官に「この方、ワクチンの接種は終わっていますか?」と聞きましたが、はっきりした返答はほとんど返ってきませんでした。 「(ご遺体発見時)部屋に接種券はなかった」程度の把握しかされておらず、行政と警察との連携、公益的な情報の共有についても整備が必要だと考えられます。 Q:海外では、ワクチン接種後の予期せぬ死について、どのような検証がなされているのでしょうか? A:アメリカではVAERS(Vaccine Adverse Event Reporting System)、イギリスではMDRA(Medicines & Healthcare products Regulatory Agency)へのYellow Cardなど、各国で接種後の有害事象について報告するシステムがあり(日本でも厚生労働省に報告するところは同じ)、報告された事例について、臨床症状や検査結果、死亡例では死因を含めた検討が行われています。調べた限りでは、コロナ禍において特別に解剖を増やして行うという報告は見られませんでしたが、死因の検討としてもちろん解剖結果は反映されています。 また、日本の監察医業務を含むメディカルエグザミナーの連合体であるNational Association of Medical Examiners(NAME)のサイトには、新型コロナウイルスワクチン接種後死亡を取り扱う際のガイドラインが出ており、「なるべく解剖してアナフィラキシーなど確認すべし」とされています。 ちなみに日本の監察医務院(東京都)、監察医事務所(大阪府)、監察医務室(兵庫県)からは特にこのような案内はありません。法医学会からも特に提言などはありません(感染者の解剖について案内あり)。会員として申し訳ない気持ちです。 そもそも日本は解剖率が低いので、どうしても死因の裏付けという点で根拠が乏しいのが問題になるかと思います。 海外のワクチン摂取後死亡の解剖例に関する論文報告では、血栓症や心筋炎が死因となった事例が提示されています。いずれも副反応による可能性は示唆されるものの、現時点での確定は難しいようですが、これらの事例の集積、統計により今後副反応としての死因に計上されてくる可能性はあるかもしれません。ですから、やはり詳細な死因を調査し、エビデンスとして残しておくことは非常に重要なのです。 2019年6月6日に死因究明等推進基本法が成立し、翌年4月1日より施行されてはいるが、「死因究明ならびに法医をめぐる状況は、肌感覚としては全く変わりないです」と本村氏。潜在しているであろうワクチン接種関連死を掘り起こし、新たな犠牲者の防止に生かすことは、結果として、ワクチン接種率向上につながる。コロナ禍を機に、日本は死因究明後進国からの脱却をはかるべきなのではないだろうか。 (筆者略歴はリンク先参照)』、「行政と警察との連携、公益的な情報の共有についても整備が必要」、「コロナ禍を機に、日本は死因究明後進国からの脱却をはかるべき」、同感である。

第三に、9月23日付け東洋経済オンラインが転載したThe New York Times「イスラエルの調査で判明「ブースタ接種」の難題 感染予防の底上げ効果は高齢者で数週間」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/457343
・『新型コロナワクチンの追加接種(ブースター接種)の是非をめぐる意見対立が激しくなる中、イスラエルの研究者は9月15日、60歳以上に関してはファイザー製ワクチンの3回目接種で感染と重症化の両方を少なくとも12日間防ぐことができるという調査結果を発表した。 世界には未接種者がたくさんいるため、健康な成人にブースター接種を行うことについては厳しい異論が出ている。ジョー・バイデン政権も広く一般にブースター接種を行う計画だったが、医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」で発表された今回の研究で、ブースター接種をめぐる意見対立はさらに深まった』、「3回目接種で感染と重症化の両方を少なくとも12日間防ぐことができる」、効果が小さいことに驚かされた。
・『高齢者でさえ必要ないかもしれない  これまでに累積されたデータを見る限り、ブースター接種が必要なのは高齢者だけで、高齢者ですらブースター接種は必要ないかもしれない、と複数の独立した科学者は語った。 専門家によると、これまでに発表されたすべての研究において、ワクチンは重症化と入院の予防に関しては、今も圧倒的大多数の人々に対して高い有効性を維持している。ただ感染の予防については、とくに感染力の強いデルタ株にさらされた場合には、すべての年齢層で効果が下がってきているように見えるという。 今回、イスラエルのデータで明らかになったのは、ブースター接種を行えば高齢者の予防効果を数週間引き上げられる可能性がある、ということだ。専門家によれば、想定内の結果であり、ブースター接種の長期的なメリットが示されたわけではない。 シアトルにあるワシントン大学の免疫学者マリオン・ペッパー氏は「免疫反応はブースター接種で高まるだろうが、その後、再び低下することが予想される」と話す。「しかし、3〜4カ月(の効果底上げ)というのは、私たちが目指しているものなのだろうか」。 バイデン大統領のパンデミック対策で首席医療顧問を務めるアンソニー・ファウチ氏をはじめとする連邦保健当局の高官は、ワクチン接種の効果が時間の経過とともに低下することを示唆するイスラエルのデータなどを根拠に、ブースター接種計画を正当化してきた。 そのためアメリカ国民には、正式に認可される前から、ブースター接種を受けようと先を争う動きが一部で見られる。しかしブースター接種計画に対しては、政府の科学者からも懐疑的な見方や怒りが向けられるようになっている』、「ブースター接種計画に対しては、政府の科学者からも懐疑的な見方や怒りが向けられるように」、どういうことなのだろう。
・『「予防可能な死」を防ぐことが先決  アメリカ食品医薬品局(FDA)でワクチン部門を率いていた2人の科学者がこの秋に退任すると発表した理由の1つは、連邦政府の研究者によるエビデンス(科学的証拠)の精査を待たずしてブースター接種を推し進めようとする政権への不満だという。 13日には、退任するFDA高官を含む国際的な科学者グループが、ブースター接種の推進を強く非難した。同グループは医学誌「ランセット」で論文を発表し、数十の研究を分析した結果、ワクチンは数十億人の未接種者を守るのに使ったほうが世界のためになると結論づけた。 「今回のパンデミックにおける私たちの第1目標は、まず予防可能な死をすべて回避し、終わらせることにあった」と、世界保健機関(WHO)のチーフサイエンティストで、ランセットの論文の共著者でもあるスミヤ・スワミナサン氏は述べた。「私たちはそのための非常に効果的な手段を手にしているのだから、世界中で(予防可能な)死を防ぐのに使うべきだ」。 ウイルスがデルタ株よりもさらに危険な形態に変異し、免疫を完全に回避する変異株が出現するのを防ぐため、ブースター接種よりも未接種者を減らすほうが課題としては緊急性が高いと専門家らは言う。 ブースター接種の効果に関するイスラエルの今回の研究は、60歳以上の住民110万人以上の健康記録に基づくもので、ブースター接種から少なくとも12日後の感染率は2回しか接種していない人に対し11分の1、重症化率は20分の1近くにまで下がっていたことが確認された。 ただ、研究者は結果が暫定的なものであることを認めている。エルサレム・ヘブライ大学のミハ・マンデル教授(統計学・データサイエンス)は「長期的にどうなるかは、現時点ではわからない」と語った。 ブースター接種が科学的に難しい問題となっているのは、1つには「感染予防」と「重症化や死亡の予防」という目標の間に極めて大きな違いがあるためだ。 体内の最前線で感染を防ぐのが抗体だが、科学者によると、長期にわたる感染予防効果をワクチンで確実に得られる可能性は低い。というのは、ワクチンが人体を刺激することで産生される抗体は時間の経過による減少が避けられないからだ。 ただしワクチンによって作られた細胞性免疫は、重症化や死亡を防ぐのに極めて強力な武器となる。細胞性免疫に書き込まれた「免疫記憶」は、効果が表れるまでに数日を要するものの、しっかりとした効果が何カ月にもわたって維持される』、「(FDA)でワクチン部門を率いていた2人の科学者がこの秋に退任すると発表した理由の1つは、連邦政府の研究者によるエビデンス・・・の精査を待たずしてブースター接種を推し進めようとする政権への不満」、対立は予想以上に深刻なようだ。「ウイルスがデルタ株よりもさらに危険な形態に変異し、免疫を完全に回避する変異株が出現するのを防ぐため、ブースター接種よりも未接種者を減らすほうが課題としては緊急性が高い」、「長期にわたる感染予防効果をワクチンで確実に得られる可能性は低い」、その通りなのかも知れない。
・『終わりなきワクチン接種から抜け出せなくなる  この点にこそブースター接種の問題がある、と一部の科学者は指摘する。入院や死亡を防ぐ道具なら、すでに手元にある。しかし感染予防を目指すとなれば、その国はブースター接種の終わりなきサイクルから抜け出せなくなる。 「本当に感染予防を目標にするなら、半年ごとのブースター接種が必要になるだろうが、非現実的だし達成も不可能だ」と、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の感染症専門家ピーター・チンホン氏は話す。 自身がこれまでに病院で実際に目にしたワクチン接種済みの患者たちは、免疫機能が弱っている人か、持病のある70歳以上の高齢者ばかりだった、とチンホン氏は付け加えた。 ブースター接種が必要な理由として、ファウチ氏をはじめとする保健当局者は、あらゆる年齢層で接種者が重症化するケースが増えているというイスラエルのデータを引き合いに出していた。ただ、すべての年齢層をひとまとめにすると、統計上、重症化率が膨らんで見えることがある。 実際、イスラエルの統計を年齢別に分解してみると、重症化の予防に対するワクチンの有効性の低下がはっきりと見られたのは60歳以上だけだった、とニューヨークのベルビュー・ホスピタル・センターの感染症専門家で、バイデン政権の顧問だったこともあるセリーヌ・ガウンダー氏は指摘する。 「高齢者ではワクチンによる免疫反応が比較的弱くなることは、以前から知られていた」とガウンダー氏は言う。「高齢者に追加のワクチン接種を勧めることは物議を醸すような問題にはならない」。 アメリカのこれまでの研究も、ワクチンの重症化予防効果が弱まるのは高齢者だけだと示唆する結果になっている。アメリカ疾病対策センター(CDC)が9月上旬に公開した3つの研究によれば、75歳以上を除くと、ワクチンによる入院予防効果はデルタ株が登場した後でさえ、ほとんど変化しなかった。 科学者の中には、高齢者で感染予防効果が弱まるということは、ブースター接種の必要性を裏付ける強い論拠になる、と主張する向きもある。 ニューヨークにあるロックフェラー大学の免疫学者ミシェル・ヌーセンツワイグ氏は自らもブースター接種を受けたいと話す一方で(同氏は66歳だ)、感染の連鎖を防ぐため広く一般にもブースター接種を行うことを支持していると語った。 若い層の免疫はまだ弱まっているわけではないが、追加接種で感染防止効果を上げれば、周囲のワクチン未接種者に感染させるのを抑えられる、という理屈だ。「それが結果的にほかの人の入院を防ぐことにつながり、ひいてはアメリカの今後にもプラスになる」と言う』、なるほど。
・『追加接種を繰り返すと免疫が疲労する  一方で別の専門家たちは、ブースター接種を正当化できるほど明白な2次感染の抑制効果を示すデータは存在しないとして、上述のような前提には疑問を呈している。 若い人々を対象にブースター接種を行う場合、当局は3回目の接種で得られる限定的なメリットと、血栓や心臓障害といった副反応のリスクとの間でバランスを取らなければならない、と専門家らは言う。さらに前出のペッパー氏によれば、体内の防御機構に繰り返し刺激を与えると「免疫疲労」と呼ばれる現象を引き起こすおそれもある。 「何度も免疫反応を増加させようとすることには、明らかに何らかのリスクが存在する」とペッパー氏は話す。「仮に6カ月ごとに追加接種するサイクルに入り込めば、私たちにマイナスに作用する可能性がある」』、「体内の防御機構に繰り返し刺激を与えると「免疫疲労」と呼ばれる現象を引き起こすおそれもある。「何度も免疫反応を増加させようとすることには、明らかに何らかのリスクが存在する」、そうであれば、「ブースター接種」はするべきではないようだ。日本も年末あたりから、「ブースター接種」に踏み切るとの見方もあるが、慎重に考えた方がよさそうだ。
タグ:パンデミック (医学的視点) (その22)(ラムダにミューも 新型コロナの変異株 知っておきたい10のこと、なぜ「ワクチン接種で死亡」の原因究明が進まないのか 法医学者に聞く、イスラエルの調査で判明「ブースタ接種」の難題 感染予防の底上げ効果は高齢者で数週間) 日経ビジネスオンライン: 「ラムダにミューも 新型コロナの変異株、知っておきたい10のこと」 インドも「インド株」でイメージダウンになると主張していたのも記憶に新しいところだ。 「VOC、VOIに分類される変異株は全て日本で検出されている」のであれば、日本の水際対策の実効性も大したことなさそうだ。 「ブースター接種」については、3番目の記事で紹介する。 ダイヤモンド・オンライン 木原洋美 「なぜ「ワクチン接種で死亡」の原因究明が進まないのか、法医学者に聞く」 「ほとんどがワクチン接種によるものなのかきちんと判定されていないまま」、私も疑問に思っていたので、興味深い。 「救済は予防接種との因果関係が認定されなければ受けられないことを考えると、8月20日までにワクチン接種後1093人・・・もの人が亡くなっているのに、救済された人は1人もいないことになる」、いくら忙しいにしても、酷い職務放棄だ。 「厚生科学審議会の資料だと、接種後の「心肺停止」が多い」、これでは接種と死亡の関係を見られないので、本来は詳細な死因を記入させるべくだ。「より正確な情報収集が重要であることは明らかですし、接種後の死因調査として特別に予算や施設、情報管理システムなどの整備をするといった対応が必要です」、同感である。 「通常の解剖に比べて抗原検査やPCR検査、詳細な組織検査など追加の特殊な検査が多く必要となりますので、費用もかさんでしまいます」、しかし、「いかなる死亡であっても、死因を正しく判断することは死者、遺族の権利であり、その情報に基づいて健康に関する施策を享受することは国民の権利です」、「国は」、「新しい感染症の脅威、これに対する予防、治療の安全性、有効性をきちんと評価するためにも、改めて予算を組んで既存の行政解剖や承諾解剖を充実させる必要があります」、その通りだ。無論、対象を全件でなく、サンプルにすることで費 「行政と警察との連携、公益的な情報の共有についても整備が必要」、「コロナ禍を機に、日本は死因究明後進国からの脱却をはかるべき」、同感である。 東洋経済オンライン The New York Times 「イスラエルの調査で判明「ブースタ接種」の難題 感染予防の底上げ効果は高齢者で数週間」 「3回目接種で感染と重症化の両方を少なくとも12日間防ぐことができる」、効果が小さいことに驚かされた。 「ブースター接種計画に対しては、政府の科学者からも懐疑的な見方や怒りが向けられるように」、どういうことなのだろう。 「(FDA)でワクチン部門を率いていた2人の科学者がこの秋に退任すると発表した理由の1つは、連邦政府の研究者によるエビデンス・・・の精査を待たずしてブースター接種を推し進めようとする政権への不満」、対立は予想以上に深刻なようだ。 「ウイルスがデルタ株よりもさらに危険な形態に変異し、免疫を完全に回避する変異株が出現するのを防ぐため、ブースター接種よりも未接種者を減らすほうが課題としては緊急性が高い」、「長期にわたる感染予防効果をワクチンで確実に得られる可能性は低い」、その通りなのかも知れない。 「体内の防御機構に繰り返し刺激を与えると「免疫疲労」と呼ばれる現象を引き起こすおそれもある。「何度も免疫反応を増加させようとすることには、明らかに何らかのリスクが存在する」、そうであれば、「ブースター接種」はするべきではないようだ。日本も年末あたりから、「ブースター接種」に踏み切るとの見方もあるが、慎重に考えた方がよさそうだ。
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