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パンデミック(経済社会的視点)(その18)(「コロナ病床5%」旧国立・社保庁197病院への疑問 法律あっても病床確保は厚労相のお願いベース、医師・看護師はもう限界!デルタ株で高まる「自衛隊野戦病院」の必要性、西浦博教授が考える「ワクチン接種が進む日本」でこれから先に見込まれる“展開” 明るい未来を切り開くために、日本が現時点で「ワクチンパスポート」を導入することが あまりに「不合理」と言えるワケ) [パンデミック]

パンデミック(経済社会的視点)については、7月17日に取上げた。今日は、(その18)(「コロナ病床5%」旧国立・社保庁197病院への疑問 法律あっても病床確保は厚労相のお願いベース、医師・看護師はもう限界!デルタ株で高まる「自衛隊野戦病院」の必要性、西浦博教授が考える「ワクチン接種が進む日本」でこれから先に見込まれる“展開” 明るい未来を切り開くために、日本が現時点で「ワクチンパスポート」を導入することが あまりに「不合理」と言えるワケ)である。

先ずは、8月24日付け東洋経済オンラインが掲載した朝日新聞記者の松浦 新氏による「「コロナ病床5%」旧国立・社保庁197病院への疑問 法律あっても病床確保は厚労相のお願いベース」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/450095
・『国立病院機構(NHO)と地域医療機能推進機構(JCHO)をご存じだろうか。いずれも厚生労働省が所管する独立行政法人であり、旧国立病院など公的医療機関を傘下に置く。そのネットワークは国立病院機構が全国140病院で計約3万8000床、地域医療機能推進機構は全国57病院で同約1万4000床を有している。 医療に詳しい人でなければ、JCHOの存在を認識していないかもしれない。ただ、JCHOの理事長が政府対策分科会の尾身茂会長と聞けば、公的医療機関の中でも重要な位置にあると想像がつくだろう。 新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大によって、入院できずに自宅で亡くなる患者が相次ぎ、千葉県柏市では新生児が亡くなる悲劇も起きた。日本は災害同然の事態に見舞われている』、「政府対策分科会の尾身茂会長」が「理事長」をしているとは権威ある機関のようだ。
・『NHOとJCHOのコロナ病床は約5%  その中において、国立病院機構と地域医療機能推進機構はどれほどコロナ患者を受け入れているのだろうか。筆者が入手した資料によると、7月末時点で、国立病院機構の全国140病院の計約3万8000床のうち、コロナ病床は1854床(4.8%)、地域医療機能推進機構は全国57病院の同1万4000床のうち、816床(5.7%)。合わせてざっと5%程度にすぎない』、文字通り厚労省直轄の病院の割には、「コロナ病床」が「5%程度」とはどう考えても少ない。
・『国立病院機構とJCHOのコロナ病床の提供状況についてまとめた厚労省の内部文書  2機構には、それぞれよって立つ法律もある。国立病院機構法と地域医療機能推進機構法は、それぞれの21条に、「公衆衛生上重大な危害が生じ、若しくは生じるおそれがある緊急の事態に対処するため必要があると認めるときは、(厚労相が)機構に対し、必要な業務の実施を求めることができる」といった規定がある。 いま、まさに「公衆衛生上重大な危害」は目の前で進んでいる。東京都では、コロナ陽性と診断されて療養している患者約4万5000人(8月20日現在)のうち、入院できているのはわずか8.7%の3845人だ。1カ月前はこれが25.2%だった。4人に1人が入院できたのに、1カ月で10人に1人も入院できなくなった。入院やホテルなどでの療養を調整中の人は、1カ月前の1671人から、1万2000人余りに急増した。 コロナはいつ急変するかわからない。こうしている間にも、酸素吸入が必要でも入院先がみつからないコロナ難民が救急車でたらい回しにあっている。 この東京で、国立病院機構は3病院の計1541床のうち128床しかコロナ病床に提供できていない。地域医療機能推進機構も5病院の計1455床のうち158床だ。実際の入院患者は8月6日時点で計195人と、同日に都内で入院していた患者3383人の5.8%にとどまった。災害同然の危機的な状況なのに国が関与する医療機関の対応として妥当なのかと疑問に思う。 なぜ、厚生労働相は両機構に緊急の指示を出さないのか。 8月20日、記者会見でこの点を田村憲久厚労相に聞くと、次のように答えた。 「法律にのっとってというより、いまもお願いはしておりまして、病床は確保いただいております。無理やり何百床空けろと言っても、そこには患者も入っているので、転院をどうするという問題もあるので、言うには言えますが、実態はできないことを言っても仕方がない。極力迷惑をかけない中で最大限の病床を確保してまいりたい」』、「厚労相」の弁明は全く理解不能だ。
・『病床確保に強制力を持たせる法整備の議論が進む中で  要するに、あくまでもお願いベースなのだ。いま、民間病院を想定して、病床確保のために強制力を持たせる法整備をするべきだとの議論もある。すでに今年2月の感染症法改正によって、厚労相や都道府県知事が医療機関などに対して医療提供を勧告できるようになった。罰則はないが、正当な理由がなく従わない場合は施設名などを公表できる。 一方、両機構の法は、機構は「求めがあったときは、正当な理由がない限り、その求めに応じなければならない」とも定めている。にもかかわらず、「お願い」しかできないのが実情なのだ。要するに、「法整備」は立法する官僚と政治家の自己満足にすぎず、実効性はないと言っているのと同じではないか。 コロナ以外の病気やケガのために病床を確保しなければならないという大義名分はあるだろう。ただし、それは民間病院も同じことである。なぜ、未曾有の事態においても国は両機構に対して手をこまぬいているのか。そこには、「消えた年金問題」で政権交代の震源となり、売却寸前だったのに公的病院として残った「ゾンビ」のような大病院があった。 知り合いの厚労省官僚がこんなことを教えてくれた。 地域医療機能推進機構は、厚労省の外局だった旧社会保険庁が国民から保険料を集めてできた病院の寄せ集めだった。前身の「旧社会保険病院」は中小企業などが加入する「旧政府管掌健康保険(現・協会けんぽ)」の積立金から、「旧厚生年金病院」は厚生年金積立金から、「旧船員病院」は、年金部門が厚生年金に統合された「旧船員保険」の積立金でつくられた経緯がある。 こうした公的保険制度は、日本が高齢化する前の戦前から戦中にかけてできたため、多額の積立金を保有していた時期がある。 そのひとつの厚生年金積立金については『厚生年金保険制度回顧録』で、制度ができた当初の旧厚生省年金課長が積立金について次のような証言をしている。 「年金を払うのは先のことだから、今のうち、どんどん使ってしまっても構わない。使ってしまったら先行困るのではないかという声もあったけれども、そんなことは問題ではない。20年先まで大事に持っていても貨幣価値が下がってしまう。だからどんどん運用して活用したほうがいい。せっせと使ってしまえ」』、年金官僚の野放図な無駄遣いにはいまでも腹が立つ。
・『国民の年金積立金を湯水のように垂れ流した  こうしてできた施設のひとつが厚生年金病院だ。ほかにも、「年金福祉事業団」という旧厚生省の天下り先があり、リゾート施設などに採算度外視の投資をして、国民の年金積立金を湯水のように垂れ流した。まさに、元年金課長が予言したとおりのことが起きた。 こうした批判に当時の自公政権は、旧社保庁を解体し、厚生年金病院や社会保険病院などを含めた旧社保庁関連施設の民間売却も決めた。ところが、年金記録問題から社保庁解体のきっかけを作り、2009年8月に政権の座についた民主党は、1カ月もたたないうちに方向転換して、3病院の公営を維持する方針を打ち出す。 当時は、赤字の病院が多いなどの理由で引き受け手がみつかりにくいとして、このままでは地域の中核医療拠点がなくなりかねないとされた。結局、3病院は2014年に統合され、地域医療機能推進機構が生まれた。 ところが地域医療機能推進機構は赤字どころか、優良病院そのものだ。2020年度決算によると、201億円もの黒字になっている。好業績は昨年度だけではない。貸借対照表によると、総資産約5800億円に対して負債は約1051億円しかなく、自己資本比率は82%という超健全経営なのだ。 その分析は別の機会に譲るとして、いま、コロナ禍で、民間病院は経営難にあえぐところが多い。民間病院がコロナ患者を引き受けることは、ひとつ間違えば院内感染を引き起こすことにもなり、たちまち経営は傾く』、「民主党は、1カ月もたたないうちに方向転換して、3病院の公営を維持する方針を打ち出す」、きっと官公労の圧力に屈したのだろう。
・『今こそ公的医療機関としての役割を  今こそ、国が主導して民間に範を示すべき時ではないか。20日の記者会見で、田村厚労相に、コロナ専門の病院をつくるために指示を出すつもりはないかと質すと、次のように答えた。 「働いている方々が、覚悟を持って対応していただかなければならないこともありえます。つねに想定しながら、いろいろなお願いをしている。まったく考えていないわけではありませんが、いろいろな問題点がある中で、つねに検討しているということであります」 まどろっこしい言い方だが、考えていないわけではないと言いたいようだ。 取材に対する厚労省医療経営支援課からの回答。なぜこんなにコロナ病床が少ないのか、公的病院の役割を果たしていると考えるか、なども聞いたが回答はなく、都道府県の要請に応じて提供した結果であると、木で鼻をくくったような中身だった 旧社保庁系病院は、一度は民間などに売却されることが決まり、公共性があるという判断で公的医療機関として生き残った。その後に培ってきた経営体力は、今回のような危機の時にこそ活用されなければならないだろう。それができないのであれば、今度こそ、解体・売却したほうがいい。これだけ立派な黒字病院なのに、公的な役割を果たせなければ、公的な優遇措置を続ける意味がない』、「厚労相」が弱腰なのが理解できない。野党は追求しないのだろうか。

次に、8月24日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した立命館大学政策科学部教授の上久保誠人氏による「医師・看護師はもう限界!デルタ株で高まる「自衛隊野戦病院」の必要性」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/280193
・『私は、本連載で以前(連載275回)から、野戦病院を新型コロナ対策の「切り札」として提案してきた。デルタ株が猛威を振るっている今になって、野戦病院が現実的なコロナ対策案として浮上している』、興味深そうだ。
・『各界も「野戦病院」の設置を訴え始めた  尾崎治夫・東京都医師会会長や松本正義・関西経済連合会会長などが、新型コロナウイルス感染症の急拡大への対策として「野戦病院」を設置すべきだと提言している。福井県は、実際に100床の病床を持つ「野戦病院」を体育館に設置した。 ただし、これらは、現状のコロナ病床確保の方法の延長線上のものを想定しており、私が提案してきた自衛隊による「野戦病院」と、大きな違いがある。 現在、コロナ病床の確保は、自治体ごとに、都道府県知事の権限で行われている。「感染症法」が改正されて、都道府県知事らは、病院に対しコロナ患者の入院を受け入れるよう「勧告」できる。 しかし、この方式は限界を露呈している。個別の病院がコロナ患者用に転換できるのは、せいぜい数床ずつだからだ。 例えば、大学病院や大病院のがん、心臓病などの高度な治療・手術を維持する必要性を主張されたら、専門家でない知事らは言い返せない。「精神論」で粘って、病院側が病床を1床、2床と切り売りするように最小限、新型コロナ用に明け渡しているのが現状だ(第273回)。 また、医師会の中心メンバーである開業医は、コロナ患者の受け入れが病院経営を直撃するため引き受けたがらない。コロナ患者に対応するための機材、人材が十分ではないという問題もある(高久玲音『やさしい経済学:コロナが問う医療提供の課題(2)患者受け入れが病院収益に影響』)。 今の体制では、野戦病院を現在の病床確保の方法の延長線上でつくっても、同じ問題に直面することになるのではないだろうか』、病院船などのアイデアには首を傾げざるを得なかったが、「野戦病院」は地に足がついた提案だ。
・『医師や看護師の派遣、現実は厳しい? 日本のメリット・デメリット  尾崎会長はテレビ番組で、野戦病院には今までコロナ治療に関わっていないクリニックや大学病院などの医師や看護師が従事する形を想定するという旨を発言した(参照)。 しかし、その医師・看護師らが、自分の病院・クリニックの患者の治療が大事だと主張したら、説得できないだろう。結局、自治体と病院の交渉が難航し、野戦病院に派遣されるのは、最小限の人数とリソースにとどまってしまうのではないだろうか。 また、以前指摘したのだが、野戦病院への医師・看護師の派遣は、おそらく労災などの補償の問題が生じる懸念がある(第264回・p3)。例えば、スポット勤務した医師が、新型コロナに感染した場合、2週間隔離となる。本来の勤務先に出勤できなくなるので、その間の金銭的な補償の問題が発生するのだ。 このように、自治体が野戦病院を設置しようとしても、実現にはさまざまな問題があると思われる。 実際、野戦病院の設置に否定的な東京都は、その理由として現在確保しているコロナ病床が「各医療機関の努力で出してもらったギリギリの数字」だからという。そして、「都内の病院の役割分担や地域性などを考慮して、医療関係者らと現在の体制を組んできた」と説明し、「今ある医療資源を最大限使うことがまず先決」と主張する(毎日新聞『コロナ病床増やしても…東京都が「野戦病院」をつくらない理由』)。 では、無理やり今の医療体制から絞り出して、「野戦病院」を設置すべきかというと、そうとも言い切れないのではないか。現状の医療体制を無理に崩さないほうがいいという考え方もあり得ると思う。 国民皆保険制度により日常的な医療体制が整備され、基礎疾患を持つ人の症状が管理されていることが、日本の新型コロナの重症者、死亡者が欧米に比べて非常に少ない「ファクターX」の一つかもしれないと私は考えている(第262回・p5)。 例えば、英国と比較してみよう』、。
・『英国はコロナ医療にすぐシフトできたが 日常的な医療体制は日本よりも過酷?  英国では、昨年3月にロックダウンを実行したと同時に10日間程度で、国内の医療体制を新型コロナ用にシフトした。しかし、それはがんを除く不要な手術を延期し、退院可能な患者はすべて自宅療養に切り替えて実施したものだった(ピネガー由紀『日本人が知らない英国「コロナ病棟」のリアル 現地在住看護師が語る医療崩壊を防ぐ仕組み』)。 つまり、英国では、日本の何十倍も新型コロナ感染症の患者を出しながら、医療崩壊を起こさなかったことは事実なのだが、重症化する患者や死亡者が多かったことについて、日常的な基礎疾患の管理ができていないからだと思われると、筆者の知人である臨床医は指摘していた。 実際、私が英国に在住していた時に、ナショナルヘルスサービス(NHS:無料の国営医療サービスシステム)へ友人を連れていったことがある。その時は、3カ所病院をたらいまわしにされ、診察を受けられるまで、9時間かかった。 また、NHSでは、普段は風邪や季節性インフルエンザでは病院での入院はおろか、診察すらしてもらえない。NHSの受付窓口で簡単に診断されて処方箋をもらい、薬局で薬を買って自宅で休むだけだ(第277回・p2)。 つまり、英国の日常的な医療のレベルは日本と比べて高いとはいえない。それが、日本と欧米の新型コロナの重症化率、死亡率の差につながっているのではないか。ゆえに、日本の現状の医療体制を崩してコロナ対応に向けることには、慎重であるべきだと思う。 それでは、野戦病院の設置は非現実的な案と切り捨てるべきか。私はそうは思わない』、「英国では、昨年3月にロックダウンを実行したと同時に10日間程度で、国内の医療体制を新型コロナ用にシフトした」、日本では民間中心の医療体制の問題がいち早くから指摘されながら、手つかずでいるのと、「英国」の素早い対応は好対照だ。
・『合理的に考えて、自衛隊が野戦病院をつくるべき  8月12日の東京都のモニタリング会議は「現状の感染状況が続くだけでも、医療提供体制は維持できなくなる」と警鐘を鳴らしている。新しい発想の対策が必要とされているのは間違いない。 そこで、私が提案してきたのが、自衛隊による大規模野戦病院の設置である(第275回)。 まず重要なことは、「自衛隊」が野戦病院をつくることだ。自衛隊には、医官、看護官がそれぞれ約1000人ずつ在籍している。現在、ワクチンの大規模接種センターに医官約90人、看護官約200人が派遣されている。しかし、その業務は8月25日に終了する。 彼らは、いわゆる一般の病院・クリニック、そして医師会の「外側」に存在している。 医療崩壊を防ぐためには、限られた既存の病院・クリニックのリソースをやりくりするよりも、その「外側」に存在する自衛隊に出動してもらい、その人材、機材を加えるほうが、合理的なのではないだろうか。 その上、自衛隊の医官・看護官が「戦場の医師・看護師」であることも重要だ。「救命救急医療」の専門家であり、新型コロナ治療の研修期間は、一般病院・クリニックの医師・看護師が研修するよりも短期間で済む。「即戦力」となり得る存在なのだ。 さらに、自衛隊による「野戦病院」設置の意義は、「集約のメリット」を出せることにある。それは、エクモ・人工呼吸器などの機材、医師、看護師が病院ごとに配置されるよりも、病床を何百床、何千床の単位で1カ所にまとめることで、比較的少ないリソースで、多くの患者を診ることができることだ。 これは、日本以外の諸外国では当たり前のやり方だ(上昌広『「医師多数・コロナ患者少数」の日本が医療崩壊する酷い理由』)。だが、残念ながら日本の現状の医療体制では実現はほぼ不可能である。 だから、日本で、大規模なコロナ専用病院をつくれるとすれば、それは自衛隊しかない。この連載で提案してきたように、まずは東日本と西日本に1カ所ずつ、大規模野戦病院を設置するのである(第275回)』、「集約のメリット」は確かに大きそうだ。
・『大規模野戦病院の具体案…英国のナイチンゲール病院を踏まえて  場所は、東日本は朝霞駐屯地、西日本は伊丹と宇治の駐屯地とする。病床は、前回の私の提案では重症・中等症用としていたが、現在のニーズに合わせて変更したい。患者の重症化を防ぎ、死亡者を出さないことが最重要であるため、中等症用にそれぞれ2000~4000床ずつ用意する。 これは、英国の野戦病院(ナイチンゲール病院)設置を参考にしている(第282回・p2)。この病院は英国軍の支援で、最大4000床の中等症用病床を持ったロンドン・エクセルセンター国際会議場の病院など、全国各地に短期間で建設された(“In case of emergency: The Army and civil assistance” )。 病院開院後は、英国軍の軍医約600人が派遣されてNHSの医師・看護師と協力した。また、機器のメンテナンス、病院内店舗管理など、幅広い臨床支援活動を行った(Financial Times “Military medics to work in UK hospitals as Covid admissions sore”)』、「英国軍の軍医」と「NHSの医師・看護師」の協力は上手くいったのだろうか。
・『医師・看護師はもう限界!デルタ株で高まる「自衛隊野戦病院」の必要性  自衛隊の大規模野戦病院設置は、軽症者を自宅療養とする政府の新方針の実施にも適している。英国軍を事例にすると、「コロナ航空タスクフォース」を設置し、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドなどの地方や、離島から英国本土への患者の緊急搬送などを行ってきた(Covid Support Force: the MOD’s contribution to the coronavirus response)。 日本でも、自宅療養の軽症者の情報を自衛隊に集約しておき、中等症化した際には、ヘリコプター等も使用して地方から大規模野戦病院へ即座に移送できるようにするのだ。 英国は、昨年3月、新型コロナのパンデミックの初期段階で大規模野戦病院を設置し、英国軍の支援体制をとった。結局、野戦病院はほとんど使われることがなかったのだが、先回りして体制を整えていたことが重要だ。 日本では、現行の医療制度の範囲で何ができるかを必死に考えてきたが、医療崩壊の危機に直面し、ひたすら国民の行動制限を求めることしかできなかった。 デルタ株の急拡大に直面し、さらなる新しい変異株の拡大のリスクもある今、現行制度の範囲内の対応では限界がある。新しいシステムを先回りしてつくり、病院にも入れず死を迎えるような悲劇は起きないと、国民が落ち着くことができる体制を築く必要がある』、「英国」で「野戦病院はほとんど使われることがなかったのだが、先回りして体制を整えていたことが重要だ」、同感である。

第三に、8月26日付け現代ビジネスが掲載した京都大学大学院 教授の西浦 博氏による「西浦博教授が考える「ワクチン接種が進む日本」でこれから先に見込まれる“展開” 明るい未来を切り開くために」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/86584?imp=0
・『今後の未来像は  予防接種という行為は、接種者自身はもちろんのこと、それ以外の方の感染機会を減らすことに繋がる。そのため、そのような間接的な防御が人口内で積み重なり、流行自体を防ぐ効果が得られたものを集団免疫効果と呼ぶ。そして、流行排除のための閾値について、従来株の場合、予防接種率が60%超程度ではないかと過去の記事で私も言及してきた。 実際に、イスラエルではロックダウン下で2回目接種が完了した者の割合が40%を超えたところで新規感染者数が減少傾向に転じたことから、国内外含めて予防接種に大きな期待が広がったのである。 残念ながら、上記の見通しは楽観的すぎた。それはどうしてなのか。加えて、現時点までの科学的な知見から今後の未来像をどのように見込んでいるのか。簡単ではあるが、本稿で皆さんと共有したい』、興味深そうだ。
・『変異株出現とワクチン効果が見通しを変えた  既に雑誌『数学セミナー』9月号で簡単な数式いくつかを使って解説したが、2021年8月現在に日本で流行を起こしているデルタ株は以下の2つの特徴を有する。 (1)感染性が高い(再生産数が高い) (2)予防接種の効果が従来株より低い いずれの要素も集団免疫閾値に直接的に影響を与える。特に、前回の記事でお伝えした通り、(1)に関して言えば、ウイルスの感染性を表す指標の「基本再生産数」は、デルタ株では5以上の可能性が高く、それは他の感染症で言えば風疹相当くらい高いものである。 風疹相当という観点で考えれば、同室で向かい合って近距離で食事すると危ない、というどころか、同室を一定時間以上共有することで伝播が成立する可能性が十分ある。 この感染性を持つウイルスに対して、不要不急の外出や移動、イベントの自粛、リモートワークなど、主に「非特異的対策」と言われるものだけで防ごうとしている現在の困難な状況については皆さんご存知の通りである。 加えて、予防接種に関しても(1)と(2)の影響のために、少なくとも現在の希望者の予防接種で得られる集団免疫だけでは、パッタリと伝播が止むような予防を期待できない蓋然性が高いことがこれまでにわかった(ただし、後述するように、もちろん予防接種率が高くなると感染頻度は極端に低くなると期待される)。 また、デルタ株に対する予防接種効果が従来株よりも低いことに関して、そのメカニズムの仮説を含めて少しずつ理解されるようになった。 しかし、今後ずっとデルタ株だけが蔓延するわけではなく、新たな変異株が免疫から逃れる機構を獲得していく可能性は高い。また、発生確率が十分高いかは定かではないが今後も感染性がより高い株が生まれる可能性も残されている。 こういった抗原性や感染性の進化をリアルタイムで捕捉しつつ政策が練られたことは科学的にも過去に経験はなく、未だその速度は十分にわかっていない。ただ、少なくとも予防接種と非特異的対策のそれぞれで、国際協調を行うことは必要だったと強く感じさせられている。世界で流行対策に関する足並みを揃えられなかったことの帰結を肌で感じさせられているのが現状なのかも知れない』、「予防接種と非特異的対策のそれぞれで、国際協調を行うことは必要だった」、その通りだ。
・『免疫の失活が起こる  予防接種だけに頼った政策で集団免疫による流行自体の予防が簡単にはできない事実に加え、ワクチンの効果は接種後の時間とともに失活することもわかってきた。 これは主にイスラエルにおいて今年の早い時期から予防接種をしてきた高齢者が、最近になって新たに感染していることがデータとして集積され始めたことから判明した。具体的な持続期間は未だ明らかにされていないが、観察データを見て分析している限りは2回目接種後6-7カ月で感染している事例が珍しくない。 つまり、ワクチン免疫の持続期間は限られている、というものである。 他方、十分にわかっているのは発病の有無に関するものだけであり、重症化や死亡を防ぐ効果がどれくらいの間持続するのかは十分に明らかでない。今後のデータ蓄積で明らかになる見込みである。 これが意味するのは全2回の接種だけで予防接種が終わるわけではないということである。ウイルスの抗原性進化(新しい変異株の出現)に合わせることになるだろうが、免疫が失活した際には流行までの間にイスラエルや米国・英国が決断したような3回目接種が必要になる*1。 これは再接種による免疫の再活性化を期待するもので、ブースター接種と呼ばれる。ブースターは1回で済むかと言えば、おそらくそうではなく、今後の流行動態を注意深く見極めることが求められる』、「ブースターは1回で済むかと言えば、おそらくそうではなく、今後の流行動態を注意深く見極めることが求められる」、そんなに何回も接種させられるのはかなわない。
・『いま、接種をどうすればいいか  いま、集団免疫閾値による流行終息が簡単には達成困難であり、発病そのものから逃れるワクチン免疫も1年以内に失われる可能性がある。そのような中で「じゃあ、もう自身は打たない」と思ってしまう方も出るかもしれない。結論から先に書いた上で背景要因などを解説できればと思うが、私は以下を主張したい。 (1)自身の予防のために接種することをお勧めしたい (2)社会の皆で明るい出口を見つけるためにも接種をお考えいただきたい』、なるほど。
・『ご自身のリスクについて  デルタ株に対する効果が従来株よりも少し低いことやワクチン免疫が失活する可能性はあるが、現在までに日本を含むいくつかの先進国で用いられているmRNAワクチンの効果は高く、接種者のデータを見ると、デルタ株でも80%以上の確率で発病を防ぐことが知られている。 このレベルの効果は抗原性が変化し得るウイルスに対して類を見ないくらいに高く、免疫が失われるまでの間、接種者は十分に高い効果で守られていることになる。 自身の健康や近しい人のためを考えると、接種をして守られている状態が形作れると良いであろう。今後、社会活動上でも予防接種済みであることでベネフィットを見出せるアドバンテージもあるかもしれない(未接種者だとできないことが出て来る日がくるかも知れない)』、「デルタ株でも80%以上の確率で発病を防ぐ」、まずまずだ。
・『社会全体でのリスクについて  他者のために、社会のために、自身の予防接種が効いている、という考え方である。たとえ予防接種だけに頼った政策で流行を止められなくても、高い接種率の状態だと制御は人口レベルで飛躍的に容易になる。 結果として予防接種はコロナ後の明るい未来を切り開く起爆剤になり得ることは変わらざる事実である。社会構成員の一人として「接種者である」ことは社会の中でのリスクを低減することに繋がっており、そのことを誇りに思っていただきたい。 ただし、現時点においては、感染しても重症化リスクの低い若年成人を中心に、予防接種の希望者は満足な数とは言えない。 例えば、国際医療福祉大学の和田耕治教授らによる調査では20歳代男性の27%、女性の38.7%が接種について「少し様子をみたい」と述べており、50歳代でも男性の18.0%、女性の17.2%が同様の回答をした。 この数字から想像される希望者の水準は、集団でこのウイルスによる感染を防御するには十分とは言えないレベルであり、国が強い施策で流行を止められない現状においては未接種者の多くが自然感染するという帰結を迎えるリスクが極めて高い。 今後、流行や感染に対するリスクの認識が十分に高くならなければ、相当の割合の国民の接種が達成できず、その希望者内だけにとどまってしまう。そして、とても勿体ないことに日本でワクチンが一時的に余ってしまう事態が起きかねない。 ただ、個別事例によって接種困難な事情は認容することが求められ、接種をしない自由も確保されるべきである。そのため、社会全体を予防接種で守るためには、「できるだけ接種しよう」という特別に強い勧奨を行うことが求められる。 そのためには、特別な工夫も必要だろう。たとえば、予防接種後の社会の仕組みに「接種の有無」を組み込むことによって、感染リスクをより低く抑えていく戦略を練ることはできないだろうか。 一例として会社に出勤することや12歳以上の者が学校へ登校するための要件として予防接種を強く推奨することは実質的に可能と思われるし、何等かのイベント参加の要件にすることも可能かもしれない』、「予防接種後の社会の仕組みに「接種の有無」を組み込むことによって、感染リスクをより低く抑えていく戦略を練ることはできないだろうか」、賛成だ。
・『極端に変わることがない近未来  以上の議論から想像いただけるかもしれないが、本感染症のリスクに対峙し続けてきた私から言えることは、接種完了時のイスラエルなどで一時的に見られていたような「ぱっと夜が明ける」ような未来社会が、日本で希望者の予防接種が完了しただけで来ることはなさそうである、ということである。 マスクを外した暮らしができて、普段会わない方と飲食が楽しめて、元の世界に近い接触が返ってくる、というイメージを抱く方も多いと思う。しかし、そのようにリスク認識が一気に社会全体で変わり得る、というような景色をすぐ先の未来に想像することは困難である。特に、現時点で見込まれる接種希望者がほぼ接種済みになるだろう今年11月後半の日本でそのようなリスク状態になることは、残念ながらほぼ期待できない。 それどころか、その後もしばらくは大規模流行が起こり得る状態が続き、医療が逼迫し得る状況(積極的治療が出来ない方が生じたり、自宅療養者が溢れかえったりするような、これまでの逼迫状況)が起こり得ると考えている。予防接種だけでは実効再生産数の値が1を上回るからだ。 もちろん、予防接種が進むにつれ、高齢者が最初に防がれ、その次に50歳代、その次に40歳代と次第に接種で防がれていく。だから、本格的な流行拡大が起こるまでの間は、重症患者数は過去と比較して明確に増加し難くなる。 しかし、接種を希望しない者の人口サイズは未だに大規模な流行サイズを引き起こすのに十分であり、そうすると高齢者を含むハイリスク者の間で未接種のままであった者を巻き込みつつ社会全体で感染が拡大し得る状態となる。それは、現状の接種希望者の見立て程度であれば、そのような中で大規模流行が起こると季節性インフルエンザ相当では到底及ばない流行規模・被害規模になり得る状態が継続する、ということである。 もちろん、そういった流行は接種率が高ければ高いほど被害規模を極端に小さくできる。また、すぐにマスクを外して接触を許すのではなく、まだしばらくの間はマスク着用を続けて不要不急の接触を避ける行動制限が緩徐に続くことで流行リスクが下がることに繋がるだろう。 その中で医療従事者や高齢者のようなハイリスク者のブースター接種が十分に行われるのはもちろんのこと、人口内で免疫を持つ者がほとんどの状況に達することができれば、 医療が崩壊するような流行も次第に回避可能となっていく。 ただし、おそらく年単位の時間をかけてそれが起こっていくのだ。 そこに至るまでの道のりにおいても、できるだけ医療逼迫の程度がひどすぎるような状況を回避しながら進み、直接的・間接的に生じる被害者が少なく済む状況を保っていく。繰り返すが、その間、日常生活でマスクは着用しつつ、ソーシャルディスタンスは確保しながらだが、少しずつ、少しずつ、私たちの文化的な社会活動を元の活力あるものに戻していく』、「おそらく年単位の時間をかけてそれが起こっていくのだ」、想像以上に長い時間がかかりそうだ。
・『未来を切り開くために  私は、そういった流行対策を続けていけば、数年から(長くて)5年くらいの時間をかけて次第に未来が切り開かれていくものと見込んでいる。どこかで頓挫して流行が大きくなるリスクもあるかもしれない。どこかで新しい展開が生じるかもしれない。それでも、大枠は変わらないものと考えている。 その中で、ずっと「パンデミック」の状態が持続するわけではない。この感染症の流行で問題であったのは(1)感染者が出すぎると医療が逼迫してしまうこと(救える命が救えないこと)、(2)他の疾病と比較すると死亡リスクが十分に高いこと、であった。 予防接種と自然感染が進んで、一定の対策下であれば(1)の医療逼迫が起こらない状態、になり、また、ハイリスク者が十分に免疫を保持し続けるか周囲に防御されることによって(2)の死亡リスクが他の疾病と変わらない、ということになれば、パンデミックは移行期(transition phase)へと進むことになる。そうなれば世界保健機関もパンデミックが終了したことをアナウンスするはずである。 ただし、このウイルスがヒト集団から消え去ることはしばらくなさそうである。そのため、少なくとも医療従事者や高齢者を中心とした接種は続いていくのだろう。また、一部の進化生物学者は既に本感染症は数年から5年程度のタイムスパンで、子どもの病気へと変わっていくものと予測している。 このように流行対策のハードルと流行の社会的重大度を少しずつ下げていくことを「テーパリング」と呼ぶことができるだろう。日本語では「先細り」と訳されるが、医療業界では、一部の病気の患者さんの投薬量を時間をかけて少なくしていく際にこの用語が用いられている。そのテーパリングを人口レベルでどのように形作るのか、という命題は、コロナ後の明るい未来をどのように作っていくのか、というものでもある。 ご覧になっていただければわかる通り、その明るい未来は私たち社会構成員が参加しつつ切り開くものである。というのも、予防接種率が高い社会ではテーパリングをより近い未来にすることができるのである。心理学や経済学の専門的知見を動員して接種が特別に強く勧奨される仕組みを必死に考えていくべきだろう。政治が責任を持ってパンデミックのリスクと向かい合えない状態が続くのなら、皆さんと専門家で一緒にこのリスクに対峙して未来を明るく照らしていきたいと思うのだ。 *1 本稿でのブースター接種に関連し、西浦が開示すべき利益相反関係として、西浦はサノフィ社のCOVID-19ワクチンのアドバイザリーボードでブースターワクチンに関する専門家助言を行ったことがあることを申し添える』、「テーパリング」は米国の金融政策が超緩和から出口に向けて変化する意味でも使われるが、ここでまで使われているとは、驚いた。

第四に、8月25日付け現代ビジネスが掲載した経済評論家の加谷 珪一氏による「日本が現時点で「ワクチンパスポート」を導入することが、あまりに「不合理」と言えるワケ」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/86578?imp=0
・『筆者は公共性が高い事業において、従業員に接種を推奨する行為そのものに反対するわけではないが、物事には順序と段階、というものがあり、それを無視すれば、圧倒的に弊害の方が大きくなってしまう。そして、今のタイミングでのパスポート導入はその典型といってよいだろう(従業員への接種推奨や名札装着とワクチンパスポートは厳密には異なるが、ここではとりあえずパスポートとして議論する)。 現時点でワクチンパスポートを導入することの最大の問題点は、政府が十分にワクチンを確保できておらず、打ちたくても打てない人が多数存在しているという現実が無視されていることである』、私は単純に「ワクチンパスポート」に賛成していたが、考え直す必要がありそうだ。
・『肝心の現役世代の接種率は公表されない  政府は、毎日のようにワクチン接種が順調に進んでいるという発表を行っているが、政府が提示するのは高齢者の接種率と全体の接種率ばかりである。 目下、最大の懸案事項となっているのは、仕事で毎日、外出している現役世代に感染拡大が見られることであり、現役世代の接種率が感染抑制のカギを握るが、政府は直接、この数字を出さない。各種の数値から計算しないと現役世代の接種率は分からないので、当然、この数字が報道される頻度は少なくなる。 少し話がそれるが、行政当局が意図的に不十分な情報を公表し、自らの都合のよい世論を形成するというのは、日本では常套手段であり、国民はこうしたカラクリがあることを前提に情報に接しなければならない。だが多くの国民は政府の発表をそのまま受け取るので、誤った解釈が行き渡ることがザラにある。一部のネット民は特にその傾向が強く、メディアがその数字に疑義を呈すると、フェイクニュースだといって大騒ぎする始末である。 報道する側からすれば、政府が出した数字では実態が分からず、再計算する必要があると、そこでミスが発生するリスクが生じるし、確認作業にも多くの手間がかかる。もし間違った情報を出せばそれこそ鬼の首を取ったように騒がれるので、政府が出した情報をそのまま書いた方が無難と考える記者ばかりになっても不思議ではない。 結果として政府が望む情報しか出回らないことになるのだが、こうした事態に対して、「それをチェックして批判するのがメディアの仕事だろ」と安全地帯から声高に批判したところで問題が解決するわけではない。 話を元に戻すと、8月19日時点においてワクチンを2回接種した人は39.7%だが、その多くは65歳以上の高齢者である。ニュースでは全体の接種率や高齢者の接種率の数字ばかりが出てくるが、多くの現役世代が気にしているのは、当該年齢層の接種率だろう』、「行政当局が意図的に不十分な情報を公表し、自らの都合のよい世論を形成する」、困ったことだ。
・『非論理的な思考が招く致命的な事態  65歳未満で2回の接種を終えた人はわずか22.1%であり、医療従事者を含めても28.7%にしかなっていない。1回目を終えた人も36.8%なので、現役世代はまだ多くの人が1回目の接種すら終わっていない状況にある。この数字には職域接種が含まれているが、職域接種は大企業が圧倒的に有利であり、零細企業や自営業者の場合、職域接種を受けることは極めて難しい。 だが全員に公平であるはずの自治体の集団接種は多くが9月まで満杯という状況であり、現時点では予約すら入れられないところも多い。NHKの調査(8月5日)でも、東京23区における若年層の2回接種率は極めて低いとの結果が出ている(20代では3%以下というところが少なくない)。) 会社が責任を持って職域接種を行うのであれば話は別だが、自治体でのワクチン接種を求められても、出来ないというのが現実であり、そうした状況で強引に接種を推奨すれば、差別などの問題を引き起こす可能性が高くなる(ワタミは職域接種を申し出たもののワクチン不足から受理されなかったという報道もある)。 日本人は論理的に物事を考えることが不得意であると指摘されてきたが、非常事態においてこうした非論理的な思考は致命的な事態を招く危険性がある。 今のところ、ワクチンをできるだけ多くの人に接種すること以外、感染を根本的に抑制する方法は存在しない。したがって、ワクチン接種をどれだけ拡大できるのかは、すべてに優先する事項である。 ところが日本では、多くの人が1回目のワクチンすら打てない状態であるにもかかわらず、担当大臣が3回目の接種の目処に言及したり、自治体のトップが若年層の接種が進んでいないことを問題視する発言を行うなど、的外れな議論ばかりしている状況だ』、「多くの人が1回目のワクチンすら打てない状態であるにもかかわらず、担当大臣が3回目の接種の目処に言及したり、自治体のトップが若年層の接種が進んでいないことを問題視する発言を行うなど、的外れな議論ばかりしている」、マスコミがそれを問題視しないのも問題だ。
・『リスクを理解した上での議論なのか?  一部の論者は、欧米ではコロナとの共存を前提に、経済を回すフェーズに入っており、日本もそれを見習って、方針を変えるべきだという主張を行っているが、欧米と日本とでは置かれている状況がまるで異なる。欧米各国は希望者に対するワクチン接種はほぼ全て終えており、3回目の接種も始まっている。やれることはすべてやったので、後は覚悟を持って進み、経済を回していこうという趣旨である。 だが日本は、ワクチン接種という最低限のことが出来ておらず、検査態勢が脆弱であることから、十分な検査もできなくなっており、正確な感染者数の把握すら難しくなっている。 また平時から医療従事者が担当しなければならない患者数が欧米各国の3倍に達するなど、そもそも医療体制が貧弱であり、少し負荷が増えただけで簡単に医療崩壊を起こしてしまう(医療体制の拡充には時間がかかるが、政府は1年間の時間的猶予があったにもかかわらず、この作業を怠ってきた。今すぐに体制を拡充できるわけではないと考えた方がよいだろう)。 筆者は経済を専門分野にしているので、心の底から早く経済を回すフェーズに戻って欲しいと思っている。だが、ワクチン接種が進んでおらず、医療が逼迫した中でそれを行えば、演繹的に得られる結論として感染者は放置せざるを得ない。 コロナに感染した妊婦が自宅で早産に追い込まれて新生児が死亡したり、家族全員が感染して母親が自宅で死亡するなど言葉にならない事例が発生しているほか、一部の医療専門家は、コロナ感染者に無精子症など深刻な後遺症が発生していると指摘している。 ワクチン接種が不十分な中で経済優先に舵を切った場合、こうした事例が多発する可能性があることを理解した上での議論なら問題ないのだが、本当にそうだろうか』、旅行業を救うための「GoTo」キャンペーンが「感染」を酷くしたのも記憶に新しいところだ。
・『日本社会特有の「なかった事にしてしまう」症候群  日本人は演繹的に物事を考える際、都合が悪くなると、演繹の前段階における命題を「なかったことにしてしまう」傾向が顕著である。AならばB、BならばCという具合に論理を構成する際、都合が悪くなるとAが存在しなかったことにしてしまうのだ。 例えば今回のケースでいえば、「ワクチン接種以外に根本的な解決方法はない」という命題があったとしよう。この命題が存在するからこそ、「ワクチンパスポートを導入すればより経済を回しやすくなる」あるいは「3回目の接種を行えば変異株についてもある程度の抑制効果が期待できる」といった新しい命題が得られる。 この演繹プロセスにおいてワクチン接種が唯一の解決策であるという命題はすべてのスタート地点であり、もしワクチン接種が進んでいなければ前提条件が変わってしまうので当該演繹を進めることはできない。だがワクチンパスポートで経済を回す話が海外からやってくると、これにすがってしまい、ワクチン接種が進んでいないという現実を無視してパスポート導入を議論したり、3回目接種の是非ばかりに焦点が集まってしまう。 最近では、「変異株が猛威を振るっているので、ワクチン接種には意味がない」という論理まで登場している。変異株が恐ろしいウイルスならば、ワクチンを接種していなければさらに被害は拡大するはずであり、ますますワクチンが必要というのが正しい演繹だが、一部の人には真逆の論理的帰結になってしまうようである。これも演繹の前段階を無意識的に無視した思考の典型といってよいだろう。 人間は不安になると、無意識的に認知バイアスを生じさせる動物だが、最終的には理性を優先させなければ命は守れない。「現時点ではワクチン接種が唯一の解決策である」という命題は、その事実が変化しない限り、動かしてはならない』、「「現時点ではワクチン接種が唯一の解決策である」という命題は、その事実が変化しない限り、動かしてはならない」、同感である。
タグ:東洋経済オンライン パンデミック ダイヤモンド・オンライン 現代ビジネス 上久保誠人 加谷 珪一 (経済社会的視点) (その18)(「コロナ病床5%」旧国立・社保庁197病院への疑問 法律あっても病床確保は厚労相のお願いベース、医師・看護師はもう限界!デルタ株で高まる「自衛隊野戦病院」の必要性、西浦博教授が考える「ワクチン接種が進む日本」でこれから先に見込まれる“展開” 明るい未来を切り開くために、日本が現時点で「ワクチンパスポート」を導入することが あまりに「不合理」と言えるワケ) 松浦 新 「「コロナ病床5%」旧国立・社保庁197病院への疑問 法律あっても病床確保は厚労相のお願いベース」 文字通り厚労省直轄の病院の割には、「コロナ病床」が「5%程度」とはどう考えても少ない。 「厚労相」の弁明は全く理解不能だ。 年金官僚の野放図な無駄遣いにはいまでも腹が立つ。 「民主党は、1カ月もたたないうちに方向転換して、3病院の公営を維持する方針を打ち出す」、きっと官公労の圧力に屈したのだろう。 「厚労相」が弱腰なのが理解できない。野党は追求しないのだろうか。 「医師・看護師はもう限界!デルタ株で高まる「自衛隊野戦病院」の必要性」 病院船などのアイデアには首を傾げざるを得なかったが、「野戦病院」は地に足がついた提案だ。 「英国では、昨年3月にロックダウンを実行したと同時に10日間程度で、国内の医療体制を新型コロナ用にシフトした」、日本では民間中心の医療体制の問題がいち早くから指摘されながら、手つかずでいるのと、「英国」の素早い対応は好対照だ。 「集約のメリット」は確かに大きそうだ。 「英国軍の軍医」と「NHSの医師・看護師」の協力は上手くいったのだろうか。 「英国」で「野戦病院はほとんど使われることがなかったのだが、先回りして体制を整えていたことが重要だ」、同感である。 西浦 博 「西浦博教授が考える「ワクチン接種が進む日本」でこれから先に見込まれる“展開” 明るい未来を切り開くために」 「予防接種と非特異的対策のそれぞれで、国際協調を行うことは必要だった」、その通りだ。 「ブースターは1回で済むかと言えば、おそらくそうではなく、今後の流行動態を注意深く見極めることが求められる」、そんなに何回も接種させられるのはかなわない。 「デルタ株でも80%以上の確率で発病を防ぐ」、まずまずだ。 「予防接種後の社会の仕組みに「接種の有無」を組み込むことによって、感染リスクをより低く抑えていく戦略を練ることはできないだろうか」、賛成だ。 「おそらく年単位の時間をかけてそれが起こっていくのだ」、想像以上に長い時間がかかりそうだ。 「テーパリング」は米国の金融政策が超緩和から出口に向けて変化する意味でも使われるが、ここでまで使われているとは、驚いた。 「日本が現時点で「ワクチンパスポート」を導入することが、あまりに「不合理」と言えるワケ」 私は単純に「ワクチンパスポート」に賛成していたが、考え直す必要がありそうだ。 「行政当局が意図的に不十分な情報を公表し、自らの都合のよい世論を形成する」、困ったことだ。 「多くの人が1回目のワクチンすら打てない状態であるにもかかわらず、担当大臣が3回目の接種の目処に言及したり、自治体のトップが若年層の接種が進んでいないことを問題視する発言を行うなど、的外れな議論ばかりしている」、マスコミがそれを問題視しないのも問題だ。 旅行業を救うための「GoTo」キャンペーンが「感染」を酷くしたのも記憶に新しいところだ。 「「現時点ではワクチン接種が唯一の解決策である」という命題は、その事実が変化しない限り、動かしてはならない」、同感である。
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パンデミック(医学的視点)(その21)(中外製薬ロナプリーブ「コロナ第4の薬」の正体 抗体カクテル療法とは何? 有効性、コストは?、コロナワクチン接種後に感染「ブレークスルー感染」どうすれば?) [パンデミック]

パンデミック(医学的視点)については、6月21日に取上げた。今日は、(その21)(中外製薬ロナプリーブ「コロナ第4の薬」の正体 抗体カクテル療法とは何? 有効性、コストは?、コロナワクチン接種後に感染「ブレークスルー感染」どうすれば?)である。

先ずは、7月25日付け東洋経済オンラインが掲載したジャーナリストの村上 和巳氏による「中外製薬ロナプリーブ「コロナ第4の薬」の正体 抗体カクテル療法とは何? 有効性、コストは?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/442812
・『新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)に対するワクチン接種の進行状況が注目を浴びている中で、これまで思ったように進展してこなかったのが治療薬の開発である。そうした中で厚生労働省は7月19日、中外製薬の新型コロナに対する抗体カクテル療法「ロナプリーブ」を特例承認した。 この薬はすでにアメリカで2020年11月21日に緊急使用許可を取得し、同様の許可はドイツやフランスでも取得しているが、これらはいずれも正式承認前の緊急避難的措置。いわば「仮免許承認」とも言える。正式承認されたのは日本が世界初。新型コロナに対する治療として日本国内で適応を持つ薬剤は、これでようやく4種類目だが、既存の3種類がいずれも中等症以上の重症度で使用されるのに対し、ロナプリーブは条件次第で軽症に使える初の薬でもある。 また、既存の3種類の治療薬である抗ウイルス薬のレムデシビル、ステロイド薬のデキサメタゾン、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬のバリシチニブはいずれも他の病気の治療を目的に開発されたものの中から、新型コロナに対しても有効という臨床試験データが得られたために効能が追加された通称「ドラッグ・リポジショニング」で生み出されたもの。つまり最初から新型コロナの治療を目的として開発された薬剤としては国内初承認でもあり、「正真正銘の新型コロナ治療薬」とも言える』、「最初から新型コロナの治療を目的として開発された薬剤としては国内初承認」、確かに画期的だ。
・『ロナプリーブってどんな薬?  今回承認されたロナプリーブは単一成分の薬ではない。医薬品として使用するため人工的に製造した抗体は別名「抗体医薬品」と呼ばれるが、ロナプリーブはカシリビマブ、イムデビマブと呼ばれる2種類の抗体医薬品が含まれる注射薬である。複数の抗体医薬品で行う治療であることから、酒やジュースなど複数の飲料を混ぜて作られるカクテルになぞらえて、この薬を使う治療法は「抗体カクテル療法」と呼ばれる。 そもそもこの抗体はアメリカの製薬企業リジェネロン・ファーマシューティカルズ社が最初に作り出したもので、現在売上高で世界第1位の製薬企業であるスイス・ロシュ社が同社と提携して獲得。ロシュ社の子会社である中外製薬が日本国内での開発・販売ライセンスを取得していた。ちなみに中外製薬は1925年創業の日本の製薬企業だったが、2002年にロシュ社が過半数の株式を取得し、同社のグループ会社になっている。 ロナプリーブが新型コロナ患者でどのような効果を発揮するかを説明するためには、まず新型コロナウイルスがヒトの体内でどのように感染を起こしているかを知っておく必要がある』、なるほど。
・『ロナプリーブはどのような作用を示すのか?  これまでの各種報道で新型コロナウイルスの模式図を見た人は少なくないと思うが、このウイルスの構造は一言で言うと、円形のボールのようなものの表面に数多くのトゲが突き出している。このトゲがスパイクタンパク質と呼ばれるもので、ヒトの細胞の特定の部分に取り付いて、そこからウイルスの遺伝子がヒトの細胞に送り込まれる。これがまさに「感染」と呼ばれる状態である。その後は送り込まれた遺伝子がヒトの細胞を間借りし、次々と新型コロナウイルスを作り出し(増殖)していく。 この2つの抗体はそれぞれがこのスパイクタンパク質に結合する。そうすることで前述のスパイクタンパクとヒトの細胞との結合、すなわち感染の成立が阻止される。このため2つの抗体は中和抗体とも呼ばれる。 ここで「それってワクチンと似ていない?」と思った人もいるかもしれない。ある意味その通りである。現在新型コロナで使われているメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンは、前述の新型コロナのスパイクタンパク質の遺伝情報が成分である。これがヒトの体内に入りヒトの細胞を間借りしてスパイクタンパク質だけを作り出し、それを異物と認識したヒトの免疫が中和抗体を作ったり、一部の免疫細胞が異物と認識して直接攻撃する能力を獲得・記憶したりする。 ただ、ロナプリーブとワクチンの中和抗体には違いがある。ロナプリーブの中和抗体は感染判明後、静脈に点滴で注射するオンデマンド方式で、それを止めれば抗体は無くなるのに対し、ワクチンの場合はいったん基本スケジュール通りに接種が完了すればその後一定期間はウイルスの体内侵入に合わせて体内で自動的に中和抗体が製造されるオートメーション方式である点だ』、「ロナプリーブとワクチンの中和抗体には違いがある」のは理解できた。
・『新薬ロナプリーブの実力  今回のロナプリーブでの「特例承認」とは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(通称・薬機法)」の第14条の3に基づき、非常事態の際に国内未承認で海外では承認などを受けた医薬品を簡略化した手続きで特例的に承認する仕組み。簡略化とは、簡単に言えば海外で承認などを受けた医薬品に関して、海外での臨床試験データを軸に日本国内での臨床試験を最小限にして、データを迅速に審査して承認を行う制度だ。 ちなみに特例承認は、あくまで日本と同等水準の医薬品の承認制度を持っている国で承認などを受けた医薬品にのみ対象を限定している。この「同等水準の国」として現時点で認められているのはアメリカ、イギリス、カナダ、フランス、ドイツの5か国のみだ。 今回のロナプリーブの特例承認の審査では、アメリカなどで緊急使用許可の承認などを受けた際に提出された海外での臨床試験データが用いられている。この試験は「REGN-COV 2067」という名称で、入院には至っていないものの、肥満や50歳以上および高血圧を含む心血管疾患を有するなど、少なくとも1つの重症リスク因子を有している新型コロナ患者を対象に行われた。 対象患者には標準的な対症療法を行いながら、ロナプリーブ1200mg(シリビマブ、イムデビマブをそれぞれ600mg)を静脈内に1回投与するグループと偽薬(プラセボ)を静脈内に1回投与するグループを設定し、効果を比較した』、なるほど。
・『入院や死亡のリスクが70.4%も低下  これまで明らかになっている結果は、投与から約1カ月以内の新型コロナに関連する入院または新型コロナとの関連は問わず何らかの理由で死亡に至った事例の発生率は、プラセボ・グループが3.2%、ロナプリーブ・グループが1.0%で、プラセボ・グループに比べてロナプリーブ・グループは、入院や死亡のリスクが70.4%も低下していた。また症状の持続期間(中央値)は、プラセボ・グループの14日に対して、ロナプリーブ・グループは10日に短縮した。 安全性について、重篤な有害事象発現率はロナプリーブ・グループが1.1%、プラセボ・グループ4.0%。ちなみに有害事象とは、副作用とイコールではなく、薬やプラセボの投与後から一定期間中に起きた好ましくない体の変化をすべてカウントしたものである。 有害事象の中で薬との因果関係が否定できない、あるいは因果関係があると認定されたものが「副作用」と分類される。現時点でロナプリーブによる副作用と考えられているものは、注射から24時間以内に起こる発熱、悪寒、吐き気、めまいなどの急性症状である「急性輸液反応(infusion reaction)」で、その発現率は0.2%である』、「ロナプリーブ」の効果は確かに明確なようだ。
・『家族内感染対策で認められた予防効果  今回、ロナプリーブでは死亡リスクを減少させるというエビデンスが示されたが、すでに新型コロナに対する適応が日本国内で認められている薬剤の中では、デキサメタゾンについで2種類目であり、今後の新型コロナ治療にとっては明るい材料である。 一方、まだ適応として承認されたものではないが、これまでに行われた臨床試験の結果からは家族内感染での発症予防効果も認められている。これはアメリカ国立衛生研究所(NIH)傘下の国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)とロシュ社が共同で実施した臨床試験「REGN-COV 2069」で明らかにされた。 試験では4日以内に新型コロナ陽性と判定された人と同居し、新型コロナウイルスに対する抗体が体内に存在しない、あるいは新型コロナの症状がない人が対象。この対象者でプラセボ注射のグループとロナプリーブ1200mg単回皮下注射のグループで「29日目までの症状のある感染者の発生率」を比較したところ、ロナプリーブ・グループでは、プラセボ・グループに比べ、発生率が81%も減少したことが分かった。 また、症状の消失までに要した期間は、プラセボ・グループでは3週間だったのに対し、ロナプリーブ・グループでは平均1週間以内と大幅な期間短縮が認められている』、「家族内感染での発症予防効果も認められている」、現在のように医療崩壊で自宅療養を余儀なくされる場合には、耳寄りな話のように聞こえるが・・・。
・『どのような患者に使えるか?  さて実際、今回の特例承認でどのような患者に使えるかだが、添付文書では新型コロナウイルス感染症で「重症化リスク因子を有し、酸素投与を要しない患者」と定めている。 まず「酸素投与を要しない」とは、ロナプリーブの臨床試験の患者選択基準に基づくと酸素飽和度(SpO2)が93%以上ということになる。酸素飽和度は心臓から全身に運ばれる動脈血の中を流れている赤血球に含まれるヘモグロビンの何%に酸素が結合しているかという指標で正常値は96~99%。肺や心臓の機能が低下して酸素を体内に取り込む力が落ちてくると低下する。 厚生労働省が発刊している「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き」では、新型コロナの重症度を軽症、中等症Ⅰ、中等症Ⅱ、重症の4段階に定め、酸素飽和度93%以上は軽症から中等症Ⅰに当たる。ちなみに軽症とは肺炎は認められず、呼吸器症状も全くないあるいは咳だけ、中等症Ⅰは肺炎・呼吸困難はあるものの呼吸不全(呼吸がうまくできずに他の臓器の機能にも影響が及ぶ状態)には至っていない状態を指す。 もう1つの投与基準である「重症化リスク因子」だが、これも臨床試験での患者選択基準に従うと以下のような因子が指摘されている。 +50歳以上 +肥満(BMI 30kg/m2以上) +心血管疾患(高血圧を含む) +慢性肺疾患(喘息を含む) +1型または2型糖尿病 +慢性腎障害(透析患者を含む) +慢性肝疾患 +免疫抑制状態(例:悪性腫瘍治療、骨髄または臓器移植、免疫不全、コントロール不良のHIV、AIDS、鎌状赤血球貧血、サラセミア、免疫抑制剤の長期投与) ちなみに「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き」で記載のある重症化リスク因子には上記の臨床試験での基準に加え、「妊娠後期」の表記がある。通常、臨床試験で妊婦が対象者になることはなく、添付文書でも生殖への影響を調べる「生殖発生毒性試験」は行っていないと明記され、「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」と記載されている。 いずれにせよロナプリーブではこれら2つの基準を満さねばならず、新型コロナに感染したから誰でも投与を受けられるわけではない。 また、この薬は通常の薬と違い、医療機関が医薬品卸に直接発注して購入することはできない。当面は世界的にも供給量が限られることもあり、国内では中外製薬との契約に基づき全量を政府が買い上げ、必要とする医療機関の求めに応じて国が中外製薬を通じて配分する。 さらに前述の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き」では、重症化リスクのある患者は入院治療を要すると定めている。このため厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部が発出したロナプリーブに関する事務連絡通知では、供給する医療機関は、こうした患者の入院を受け入れている医療機関に限定している。感染者急増でベッドの空きがないため、重症化リスクがありながら入院ができないなどの特殊なケースなどを除けば、当面はホテルあるいは自宅での療養者は投与対象にはならない』、「当面はホテルあるいは自宅での療養者は投与対象にはならない」、過度な期待は禁物のようだ。
・『気軽に使えない理由に国の財政負担問題も  ロナプリーブが思ったように気軽に使えない理由には医学的な問題だけでなく、経済的な問題、国の財政負担の問題もあると考えられる。 現在感染症法に基づく指定感染症となっている新型コロナの治療費は全額公費で負担される。つまりロナプリーブを使われる人は一銭も薬剤費はかからない。これはこの薬に限らず、すでに新型コロナに適応のある治療薬のレムデシビル、デキサメサゾン、バリシチニブを使う場合や人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO)を使う場合などもすべて公費負担で患者本人の金銭負担はない。 とはいえ、無制限に使えば国庫に負担をかけることになる。ではロナプリーブの薬剤費がいくらになるかだが、これは今のところ不明。通常、日本国内で承認された薬は公定薬価が定められて公開されるが、ロナプリーブは中外製薬と国との契約で一括購入し、使用時は国が全額負担することもあってか公定薬価は決められていない。また、国の購入数量、総購入金額も現時点では非公開である。 ただ、一般的に抗体医薬品は高薬価である。既存の抗体医薬品はおおむね1回の注射で安くても2万~3万円、高いものでは10数万円はかかる。ロナプリーブの場合は2種類の抗体医薬品の組み合わせなので1回4万円以上は念頭に置く必要がある。これで対象患者が多くなればなるほど国の財政負担は激増する。 ちなみに前述のようにこの薬剤がウイルスの中和抗体であり、家族内感染の発症予防効果もあることから「ワクチンではなくロナプリーブを使えば良い」という意見も出てくるかもしれないので、念のためにそれについて答えておくと、医学的にも財政的にも現実的ではない。 ロナプリーブで判明している家族内感染予防効果は1回の注射で1カ月ほど。この原理に従えば確実な予防のためには、毎月注射しなければならないことになる。ワクチンが2回の接種で少なくとも半年以上、おおよそ1年程度は感染予防効果があると考えられていることからすると、医学的に見てパフォーマンスが悪い。接種する患者側の苦痛に関して言及しても、年間12回注射の針を刺されるのと、2回で済むのとどちらが良いかの答えはほぼ自明だ』、「ロナプリーブで判明している家族内感染予防効果」は「医学的に見てパフォーマンスが悪い」ようだ。
・『国民全員に予防的に使うのは割に合わない  また、コストに関してもワクチンは2回の接種で4000円程度。ロナプリープは前述のように1回で4万円以上かかることは確実。現在のワクチン接種対象者は約1億1000万人になるので仮にこれら全員に使うとしたら、ワクチンならば年間4400億円、ロナプリープならば年間53兆円の財源が必要になる。これは日本の国の年間予算(一般会計歳出)の半分に相当する。きわめて非現実的と言わざるをえない。 いずれにせよ今回登場したロナプリーブは、治療薬としてはこれまでの中でも比較的画期性は高いと言えるし、治療選択肢が増えたことは歓迎すべきことだ。 しかし、限定された投与対象、煩雑な注射薬、高額なコストがかかる抗体医薬品という現実を考えれば決定打とはいえない。また、今後の治療薬開発なのでより簡便かつ安価な経口薬が登場した場合は瞬く間に取って代わられる可能性がある』、「ロナプリーブは、治療薬としてはこれまでの中でも比較的画期性は高いと言えるし、治療選択肢が増えたことは歓迎すべきことだ。 しかし、限定された投与対象、煩雑な注射薬、高額なコストがかかる抗体医薬品という現実を考えれば決定打とはいえない」、その通りだ。

次に、8月2日付けNHK首都圏ナビ「コロナワクチン接種後に感染「ブレークスルー感染」どうすれば?」を紹介しよう。
https://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20210802c.html
・『新型コロナウイルスのワクチン接種を終えたあと、2週間以上して感染が確認されるいわゆる「ブレイクスルー感染」。国の初めての調査結果がまとまり、6月末までの3か月間に67人の感染が確認されました。 国立感染症研究所は「ワクチンの有効性を否定する結果ではないが、接種後も感染対策を続けることが重要だ」としています』、「3か月間に67人の感染が確認」、とはワクチンの効果も万全ではないようだ。
・『ワクチン接種 2回目終了は全人口の29%  ワクチンの接種は、2回目の接種を終えた人は、政府が8月2日に公表した状況によりますと国内で少なくとも新型コロナウイルスのワクチンを1回接種した人は全人口の39.61%となっています。 また2回目の接種を終えた人は全人口の29.12%となります。(全人口にはワクチン接種の対象年齢に満たない子どもも含む)』、なるほど。
・『接種後に感染「ブレークスルー感染」  ワクチンの接種後、感染が確認されるケースはどうなっているのか。国の初めての調査結果がまとまりました。 新型コロナウイルスワクチンの接種を終えてから免疫が完全につくまでには14日かかるとされます。海外では、そのあとに感染が確認される事例がまれに報告され、「ブレイクスルー感染」とも呼ばれています。 国立感染症研究所が、自治体や医療機関からの報告をもとに初めて調査を行った結果、4月1日~6月30日の3か月間に合わせて67人の感染が確認されました。 79%が20代から40代で、重症者はいなかったということです。 ウイルスの遺伝子を解析できた14例 12例:イギリスで確認された変異ウイルスの「アルファ株」 2例: インドで確認された「デルタ株」は2例  また、一部の検体からは感染力を持つウイルスも検出されたということです』、「一部の検体からは感染力を持つウイルスも検出された」、とは驚かされた。
・『国立感染研「接種後も感染対策を」  国立感染症研究所は、「接種後も感染対策を続けることが重要だ」としています。 国立感染症研究所「ワクチンの有効性の高さを否定する結果ではないが、二次感染を起こすリスクもあり、接種後も感染対策を続けることが重要だ。また、医療機関なども、症状などから感染が疑われる場合は積極的に検査を行う必要がある」』、「接種」したらもう感染しないと思っていたが、「ブレークスルー感染」を防ぐには「接種後も感染対策を続けることが重要だ」のようだ。
・『デルタ株感染拡大 米では接種後もマスク着用推奨  さらに、デルタ株の感染拡大に伴う動きも。 アメリカのCDC=疾病対策センターは新型コロナウイルスワクチンの接種を完了した人も感染が深刻な地域では屋内でのマスクの着用を推奨するという新たな指針を示しました。 アメリカでは1日に報告される感染者数の7日間平均が26日の時点で5万人を超え、前の週より50%あまり増えています。 CDCは27日、インドで確認された変異ウイルスの「デルタ株」が感染例の8割を占めると推定されるとして、ワクチンの接種を完了した人も感染者の数などが一定の水準を超えた地域では屋内でのマスクの着用を推奨するという新たな指針を発表しました。 指針は首都ワシントンやニューヨーク、ロサンゼルスなどの大都市を含む39の州や地域が対象となっています。 CDCのワレンスキー所長は、電話会見で「デルタ株はまれに接種を完了した人への感染も確認されている」と述べた上でワクチンの効果は十分高いとして接種を重ねて呼びかけました。 バイデン大統領はことし5月、接種を完了した人は原則としてマスクを着けなくてもよいとしましたが、デルタ株の急速な拡大でわずか2か月で転換を余儀なくされました』、イスラエルやアメリカでは3回目のブースター接種を目指すようだ。ただ、途上国などまだ2回目の「接種」すら済んでない国が殆どで、WHOなどはブースター接種よりも、未接種国での「接種」を優先させたいとしている。アメリカがトランプ前大統領ほどではないにしても、感染症の分野でまで自国優先路線を続けるのは困ったことだ。
タグ:東洋経済オンライン パンデミック (医学的視点) 村上 和巳 (その21)(中外製薬ロナプリーブ「コロナ第4の薬」の正体 抗体カクテル療法とは何? 有効性、コストは?、コロナワクチン接種後に感染「ブレークスルー感染」どうすれば?) 「中外製薬ロナプリーブ「コロナ第4の薬」の正体 抗体カクテル療法とは何? 有効性、コストは?」 「最初から新型コロナの治療を目的として開発された薬剤としては国内初承認」、確かに画期的だ。 「ロナプリーブとワクチンの中和抗体には違いがある」のは理解できた。 「ロナプリーブ」の効果は確かに明確なようだ。 現在のように医療崩壊で自宅療養を余儀なくされる場合には、耳寄りな話のように聞こえるが・・・。 「当面はホテルあるいは自宅での療養者は投与対象にはならない」、過度な期待は禁物のようだ。 「ロナプリーブで判明している家族内感染予防効果」は「医学的に見てパフォーマンスが悪い」ようだ。 「ロナプリーブは、治療薬としてはこれまでの中でも比較的画期性は高いと言えるし、治療選択肢が増えたことは歓迎すべきことだ。 しかし、限定された投与対象、煩雑な注射薬、高額なコストがかかる抗体医薬品という現実を考えれば決定打とはいえない」、その通りだ。 NHK首都圏ナビ 「コロナワクチン接種後に感染「ブレークスルー感染」どうすれば?」 「3か月間に67人の感染が確認」、とはワクチンの効果も万全ではないようだ。 「一部の検体からは感染力を持つウイルスも検出された」、とは驚かされた。 「接種」したらもう感染しないと思っていたが、「ブレークスルー感染」を防ぐには「接種後も感染対策を続けることが重要だ」のようだ。 イスラエルやアメリカでは3回目のブースター接種を目指すようだ。ただ、途上国などまだ2回目の「接種」すら済んでない国が殆どで、WHOなどはブースター接種よりも、未接種国での「接種」を優先させたいとしている。アメリカがトランプ前大統領ほどではないにしても、感染症の分野でまで自国優先路線を続けるのは困ったことだ。
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パンデミック(経済社会的視点)(その17)(タワマンに外車…浪費癖が仇になった経産省キャリア2人の給付金詐欺とお粗末過ぎた国会の女子トイレ盗撮、ワクチン不足・酒提供への圧力で露呈した「やりすぎる日本」という負けパターン、ジョンソン首相 若者をコロナ実験のモルモットに ワクチン接種進む英国 一気に集団免疫を狙う危うさ) [パンデミック]

パンデミック(経済社会的視点)(その17)(タワマンに外車…浪費癖が仇になった経産省キャリア2人の給付金詐欺とお粗末過ぎた国会の女子トイレ盗撮、ワクチン不足・酒提供への圧力で露呈した「やりすぎる日本」という負けパターン、ジョンソン首相 若者をコロナ実験のモルモットに ワクチン接種進む英国 一気に集団免疫を狙う危うさ)である。

先ずは、6月26日付けAERAdot「タワマンに外車…浪費癖が仇になった経産省キャリア2人の給付金詐欺とお粗末過ぎた国会の女子トイレ盗撮」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/2021062600017.html?page=1
・『経済産業省の職員3人が相次いでとんでもない事件を起こし、霞が関に激震が走っている。 警視庁に6月25日、コロナ関連の国の給付金550万円をだまし取った詐欺容疑で逮捕されたのは、経産省の経済産業政策局産業資金課の係長、桜井真容疑者(28)と、同局産業組織課の新井雄太郎容疑者(28)。 2人ともキャリア官僚だが、驚いたことに、だまし取った家賃支援給付金の管轄は経産省中小企業庁。職場で堂々と詐欺を働いたというのだ。 2人は慶応高校時代の同級生で、桜井容疑者は慶応大学からメガバンクに就職したが、退職し、経産省に2018年入省した。 新井容疑者は慶応大学から東京大学のロースクールに進学し司法試験に合格し、20年に同省に入省した。 2人は共謀して所有していたペーパーカンパニー「新桜商事」(本社東京都文京区)を使って、家賃支援給付金をだまし取ることを計画。コロナ禍で売上が減少したと虚偽の書類などを作成して、家賃支援給付金を申請した。今年1月に約550万円を会社名義の口座に入金させたという。 「桜井容疑者は高級外車2台を所有している上、1か月分の給料以上になる約50万円の家賃の千代田区一番町のタワーマンション14階に住み、派手な生活をしているという情報が警視庁に寄せられていた。贈収賄を視野に捜査が始まったが、ふたを開けたら家賃支援給付金詐欺だった」(捜査関係者) 2人は新井容疑者の東京都文京区の自宅と親族宅と桜井容疑者の神奈川県の実家の計3か所へ月々200万円の家賃を支払っているというニセの賃貸借契約書を作成し、給付金をだまし取ったという。 「申告書、添付書類などは新井容疑者が大半を作成したようだ。一方、カネを派手に使っていたのは、桜井容疑者で、高級時計や外車を購入していた」(前出の捜査関係者) ちなみに桜井容疑者の住んでいた千代田区一番町の分譲タワーマンションは、不動産業者のサイトで見ると、約90平方メートルの物件で2億円近い値段がついている』、「贈収賄を視野に捜査が始まったが、ふたを開けたら家賃支援給付金詐欺だった」、「捜査関係者」もこの結果には驚いたことだろう。
・『賃貸に出ている部屋の家賃はいずれも50万円前後と超高級だ。経産省幹部はこうため息をつく。 「会社設立、その代表者となれば当然、営業活動をして利益をあげることが目的。国家公務員という立場で会社設立すること自体、兼業禁止が前提なので法に触れかねないのに…」 問題の「新桜商事」の法人登記簿によれば、19年11月に設立されている。当初は新井容疑者が代表取締役だったが、20年3月に新井容疑者の親族に変更されていた。会社の「目的」欄には<商標権、意匠権、知的財産権の取得、譲渡、使用許諾>とある。 知的財産権はまさに経産省が所管するものだ。2人が省内の情報をもとにひと儲けを企んだ可能性もある。前出の経産省幹部は法人登記を見てこう絶句した。 「これはヤバイ。経産省の情報などをもとに、稼ごうとしていたのか?家賃支援給付金もうちですよ。国家公務員として、自分の仕事をしている経産省をネタに詐欺、商売しようとするなんて…」 逮捕された2人は、経産省の出世コースの一つとされる経済産業政策局に在籍していた。産業資金課の桜井容疑者は、企業の資金調達を担当。新井容疑者は産業組織課で不正競争の防止などの仕事をしていた。2人を知る同僚はこう話す。 「2人とも頭の回転が速くて、1を言えばすぐに10を把握できるやり手でしたよ。部下からの信頼も厚かった。桜井容疑者は羽振りがよさそうだという噂はあった。だが、高校から慶応なので家が金持ちなのかな、と思っていた。将来を嘱望されていた2人がこんなバカなことで捕まるのか。信じられない」 警視庁は現在、2人の認否を明らかにしていない。 「2人は認めるような供述をしたり、また翻したりと逮捕にかなり動揺しているようだ。家賃支援給付金は経産省の担当だが、審査に便宜を図ったなどの事実は、今のところ確認されていない」(前出の捜査関係者) 他省庁の官僚は今回の事件についてこう語る』、僅か500万円で絵に描いたようなエリートコースを棒に振ったことになるが、発覚するとは夢にも思わなかったのだろう。
・『「経産省と聞いて、やりかねない気がしました。若手はもとより全体に言えることですが、今の官僚に使命感やロイヤリティを求めるのは幻想で、モラルが崩壊しています。給付金は支給の遅れを政治家から非難され、審査プロセスがどんどん簡素化、悪く言えば、適当になっています。そうした内情を理解した上での犯行でしょう。だからこそ一層、悪質だと思います」 また衆院は25日、国会議事堂内の女子トイレで起こった盗撮事件について、経産省の男性職員が盗み撮りを認めたと発表した。警視庁麹町署が捜査中だという。 4月23日午後5時45分ごろ、衆院2階の女子トイレの個室にいた女性が盗撮に気づき、発覚したという。 「男性職員は女性トイレに忍び込んで、ドアの上からスマートフォンを差し出して、盗撮に及んだようだ。女性が声をあげて助けを求めたことから、ばれてしまった。日本で最も警備が厳しい国会内でそんなことすれば、すぐ捕まるに決まっている。とんでもない不祥事が続き、もう情けない」(前出・経産省幹部)』、「女子トイレ」「盗撮事件」はバカバカしくてコメントする気にもなれない。

次に、7月15日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの窪田順生氏による「ワクチン不足・酒提供への圧力で露呈した「やりすぎる日本」という負けパターン」を紹介しようhttps://diamond.jp/articles/-/276788
・『ワクチン接種で自治体にプレッシャー、酒提供に対する過剰な圧力  「ワクチン不足」が問題になっている。7月後半のワクチン供給は、自治体が希望する量の3分の1程度にとどまる見通しだという。 政府与党側はさまざまな釈明をしているが、つきつめていけばワクチン接種事業を、身の丈を超えて「過剰」に進めてしまったことが原因だ。 「1日100万回」「7月末までに高齢者接種完了」「10〜11月には希望者全員接種完了」という3つの目標を掲げた政府は、自治体が最も恐れる総務省から「早く接種を」とプレッシャーをかけさせたり、「打ち手」確保のために報酬を上げたりして、自治体のワクチン接種の尻を叩いた。さらに、それだけでは目標達成が不安だったのか、企業の職域接種までスタートさせた。 その甲斐あって、7月9日には会見で菅首相が、「先進国の中でも最も速いスピード」などと胸を張れるようになったワケだが、実力以上に背伸びをした結果、供給が追いつかなくなった。要は、見栄を張るために「やりすぎ」てしまったのだ。 この「やりすぎ」というのは、もうひとつ大きな問題になっている「酒提供をめぐる圧力」にも当てはまる。酒類の提供停止に協力をしない飲食店を、政府としてどうにか従わせたいという気持ちはわからんでもないが、それを法的根拠ゼロで、金融機関や酒卸業者にやらせるというのは明らかに度を越している。表現はマイルドだが、「暴力団排除」の手法とほぼ同じだからだ。 このように「やりすぎ」が招いた失敗が相次いでいるのを見ると、菅政権の先行きにかなり不安を感じてしまう。これは日本のさまざまな組織を壊滅させ、産業を衰退させてきた「負けパターン」だからだ。 身近なところで言えば、現在苦境に立たされているコンビニがわかりやすい』、「ワクチン接種」や「酒提供をめぐる圧力」では確かに「やりすぎ」たようだ。特に、「法的根拠ゼロで、金融機関や酒卸業者にやらせるというのは明らかに度を越している」。
・『「やりすぎ」がもたらす害、コンビニも三菱電機も…数えきれないほどの実例  ご存じのように、日本は世界一のコンビニ大国で、社会インフラと言ってもいいほど全国に店舗網が張り巡らされている。店舗では多種多様な商品、サービスが提供され、店員の接客も他国と比べものにならないほど丁寧である。しかし、これらの経営方針は、人口減少が急速進む日本においては「やりすぎ」として、マイナスに働いている。 店舗が多すぎるがゆえの過当競争で、コンビニ経営の厳しさが増し、「24時間営業」「弁当の値引き販売」などをめぐって、オーナーとFC本部の対立が激化している。また、店員もかつてよりやらなくてはいけない仕事が劇的に増え、もともと低賃金・長時間拘束というデメリットも相まって深刻な人手不足を起こしている。つまり、これまでは成長の原動力だった拡大路線やドミナント戦略(同じ地域に同じチェーン店舗を集中出店する戦略)が時代の変化で、「やりすぎ」となったことで、コンビニチェーンというビジネスモデルを根底から揺るがしているのだ。 また、「酒提供をめぐる圧力」と同様に、「やりすぎ」が不正を招くパターンも実は多い。 例えば、数年前から日本を代表する「ものづくり企業」で相次いで発覚し、最近も三菱電機で35年以上も続いていたことが明らかになった「検査不正」だ。 高品質をうたう日本では、それを担保するように、他国よりも厳しい品質チェツクを義務付けてきた。しかし、それは実際に現場でものをつくっている人々たちからすれば「やりすぎ」だった。だから、建前としてはルールを守りつつ、実際は自分たちが効率良く仕事ができるような「マイルール」で検査をしていたのだ。つまり、本質的なところで言えば、検査不正というのは「過剰な品質チェック」が呼び水になっている。 他にも近年で、致命的なダメージを受けた組織を思い浮かべていただきたい。 東芝、日本郵便、レオパレス21…不正内容の細かな違いはあるが、つきつめていけば、「過剰なノルマ」が影響している。事業やインフラ拡大という「やりすぎ」の尻拭いが現場に押し付けられ、不正行為を誘発しているのだ。 最近の菅政権の迷走ぶりを見ていると、このような「やりすぎ」が引き起こす「負けパターン」にどっぷりとハマってしまったように見えてしまう。 と言うと、「何をやりすぎだというのだ、むしろコロナ対策などぜんぜんやってないじゃないか」という声が飛んできそうだ。しかし、この1年、ハタから見ていて「ちょっとやりすぎじゃないですかね」と心配してしまうものがある。 それは、「過剰な医師会擁護」だ』、「検査不正というのは「過剰な品質チェック」が呼び水になっている」、「東芝、日本郵便、レオパレス21…不正内容の細かな違いはあるが、つきつめていけば、「過剰なノルマ」が影響している」、「この1年、ハタから見ていて「ちょっとやりすぎじゃないですかね」と心配してしまうものがある。 それは、「過剰な医師会擁護」だ」、同感である。
・『医療体制の改革はなぜ進まない?過剰な医師会擁護の理由  ご存じのように、世界を見渡せば、1日の新規感染者が2万人、3万人という国でも「病床のひっ迫」が叫ばれていないのに、日本では1日の新規感染者が5000人というような水準で、「医療崩壊」のアラートが鳴る。 なぜこんなおかしなことが起きるのかというと、「急性期病床」が世界一というほど多いからだ。 『「多すぎる病院」が、コロナ禍で医療現場の危機を招きかねない理由』の中で詳しく解説したが、日本は医療従事者の数は他の先進国とそれほど変わらないにもかかわらず、急な容態の悪化などで用いられる急性期の病床が「異常」というほど多い。それはつまり、医療従事者1人あたりの負担が「異常」なほど重いということだ。 だから、他の先進国のようにコロナ患者に対応できない。これが人口1300万の世界有数の巨大都市・東京で、コロナ患者が1000人出たらもうアウトという「脆弱な医療体制」の構造的な原因であり、「コロナ死を防ぐ」ため、政治が手をつけなくてはいけないところだ。 だが、政府としてはこのあたりはあまり突っ込みたくない。というか、できる限り、国民にはスルーしてもらいたい。なぜなら、これまで日本で病床が足りないと政治に働きかけてきた日本医師会は、自民党最大の支持団体だからだ。 だから、政府も自民党も、いつまで経っても解消されない「病床ひっ迫」については深く掘り下げたくない。しかし、現実問題として病床はひっ迫している。コロナ患者を受け入れている医療機関は、野戦病院のようになって、一部の医療従事者の負担はすさまじいことになった。 となると政治としては当然、この「悲劇」を引き起こしている原因と、この問題を解決するためにリーダーシップを発揮して動いていますよ、というパフォーマンスが必要になる。ストレートに言えば、「こいつらがいるからいつまでも病床がひっ迫するんですよ」というスケープゴートだ。ここまで言えばもうお分かりだろう。それが、「若者」と「飲食店」だ。 「病床がひっ迫しているのは、路上飲みをするような非常識な若者がいるから」、「医療従事者の皆さんが寝る間も惜しんで戦っているのに、居酒屋で酒を提供するなんて不謹慎だ」。そんなストーリーを定着させれば、「日本の脆弱な医療体制」から目を背けられる。 役所のリリースや会見を右から左へ流すマスコミの協力もあって、今のところこの戦略はうまくいっている。しかし、手痛い誤算もあった。国民に過剰に「病床ひっ迫」の恐ろしさを煽り続けてきたことが裏目に出て、東京オリンピック・パラリンピックが、「無観客」へ追い込まれてしまったのだ。医療体制の改革はなぜ進まない?過剰な医師会擁護の理由 ご存じのように、世界を見渡せば、1日の新規感染者が2万人、3万人という国でも「病床のひっ迫」が叫ばれていないのに、日本では1日の新規感染者が5000人というような水準で、「医療崩壊」のアラートが鳴る。 なぜこんなおかしなことが起きるのかというと、「急性期病床」が世界一というほど多いからだ。 『「多すぎる病院」が、コロナ禍で医療現場の危機を招きかねない理由』の中で詳しく解説したが、日本は医療従事者の数は他の先進国とそれほど変わらないにもかかわらず、急な容態の悪化などで用いられる急性期の病床が「異常」というほど多い。それはつまり、医療従事者1人あたりの負担が「異常」なほど重いということだ。 だから、他の先進国のようにコロナ患者に対応できない。これが人口1300万の世界有数の巨大都市・東京で、コロナ患者が1000人出たらもうアウトという「脆弱な医療体制」の構造的な原因であり、「コロナ死を防ぐ」ため、政治が手をつけなくてはいけないところだ。 だが、政府としてはこのあたりはあまり突っ込みたくない。というか、できる限り、国民にはスルーしてもらいたい。なぜなら、これまで日本で病床が足りないと政治に働きかけてきた日本医師会は、自民党最大の支持団体だからだ。 だから、政府も自民党も、いつまで経っても解消されない「病床ひっ迫」については深く掘り下げたくない。しかし、現実問題として病床はひっ迫している。コロナ患者を受け入れている医療機関は、野戦病院のようになって、一部の医療従事者の負担はすさまじいことになった。 となると政治としては当然、この「悲劇」を引き起こしている原因と、この問題を解決するためにリーダーシップを発揮して動いていますよ、というパフォーマンスが必要になる。ストレートに言えば、「こいつらがいるからいつまでも病床がひっ迫するんですよ」というスケープゴートだ。ここまで言えばもうお分かりだろう。それが、「若者」と「飲食店」だ。 「病床がひっ迫しているのは、路上飲みをするような非常識な若者がいるから」、「医療従事者の皆さんが寝る間も惜しんで戦っているのに、居酒屋で酒を提供するなんて不謹慎だ」。そんなストーリーを定着させれば、「日本の脆弱な医療体制」から目を背けられる。 役所のリリースや会見を右から左へ流すマスコミの協力もあって、今のところこの戦略はうまくいっている。しかし、手痛い誤算もあった。国民に過剰に「病床ひっ迫」の恐ろしさを煽り続けてきたことが裏目に出て、東京オリンピック・パラリンピックが、「無観客」へ追い込まれてしまったのだ』、「急性期の病床が「異常」というほど多い・・・他の先進国のようにコロナ患者に対応できない」、「日本医師会は、自民党最大の支持団体・・・政府も自民党も、いつまで経っても解消されない「病床ひっ迫」については深く掘り下げたくない」、「「こいつらがいるからいつまでも病床がひっ迫するんですよ」というスケープゴートだ・・・それが、「若者」と「飲食店」だ」、「若者」と「飲食店」が「スケープゴート」とは、言われてみれば、その通りなのかも知れない。
・『五輪か医師会か、板挟みになった結果、政府が選んだ答え  「人類がコロナに打ち勝った証に」なんて誰も望んでいないようなことを真顔で言ったことからもわかるように、日本政府は五輪を政治利用する気マンマンだった。景気浮揚、支持率アップ、選挙大勝などなどさまざまな下心があったので、通常の国際スポーツ大会と比べたら「やりすぎ」というほど肩入れをしてきた。 だから東京五輪は平常開催したかった。そもそも欧米の感覚では、今の日本の新規感染者数は「うまく抑え込んでいるなあ」というレベルなので当然だ。しかし、それをやってしまうと、「医療崩壊だ!」と危機を叫ぶ日本医師会のスタンスと矛盾してしまう。菅政権からすれば、「前門のIOC、後門の医師会」という感じで、完全に板挟み状態だった。そして最終的に日本は医師会を取った。 アスリートファーストではなく、医師会ファーストだったともいえる。 しかし、これはIOCからすればまったく納得いかないだろう。バッハ会長が無観客五輪を「理解に苦しむ」と述べたが、あれは嫌味でもなんでもなく、なぜ日本のような先進国でこんなに医療体制が弱いのか、とシンプルに意味がわからないのだ』、「「前門のIOC、後門の医師会」という感じで、完全に板挟み状態だった。そして最終的に日本は医師会を取った・・・バッハ会長が無観客五輪を「理解に苦しむ」と述べたが、あれは嫌味でもなんでもなく、なぜ日本のような先進国でこんなに医療体制が弱いのか、とシンプルに意味がわからないのだ」、確かにバッハ会長には理解不能だろう。
・『あらゆることを「過剰」に盛り上げてしまう日本人の気質  このような「やりすぎ」が引き起こす混乱は、五輪だけではなく、社会のいたるところへ広がっている。 ワクチンをめぐる情報戦も「やりすぎ」だ。かなり盛ったデマ情報が飛びかう一方で、ワクチンを嫌がる人を情報弱者扱いで蔑んだり、その逆にワクチン接種をする人々を脅したり口汚く罵るなど、コミュニケーションが「過剰」になっている。 なんでもかんでも過剰にやりすぎてしまう「やりすぎる日本」の悪い部分が、コロナ禍のギスギスした世相で、一気に噴出している印象だ。 この1年半、我々を苦しめてきたのは実はウィルスではなく、異なる価値観への憎悪など、あらゆることを「過剰」に盛り上げてしまう日本人の気質のせいのような気もする。 かつての日本では「過剰」「やりすぎ」は良いことだった。成長のきっかけであり、日本の優位性の象徴だった。 例えば、五輪でも万博でもイベントは過剰に盛り上げて、国をあげてお祭り騒ぎをすることで、景気回復や国威発揚につながるとされた。また、インフラも「やりすぎ」くらいが正解とされた。その代表が、電車や新幹線だ。ここまで秒単位で正確な電車は世界を見渡しても、類を見ない。 社会全体がこんなノリなので、労働者も過剰に働くことが「正しい」とされた。家庭を顧みずに残業や土日出社は当たり前の滅私奉公スタイルは他国から見れば明らかに「やりすぎ」だが、日本人にはそれほど違和感はない。他にも、過剰に低い賃金、過剰に長い会議、過剰に丁寧な社内文書、などなど、我々の身の回りには他国の人から見ると「過剰」に映ることが山ほどあるのだ。 これらをすべて否定するつもりはないが、菅政権への国民の反発を見てもわかるように、もはや「やりすぎ」をゴリ押しして、世の中を動かせなくなってきたのも事実なのだ。 今の日本に一番不足しているのは、何事もそれほどのめり込まず、「ほどほど」というバランス感覚なのかもしれない』、「「やりすぎる日本」という負けパターン」は、確かにパンデミックや東京五輪問題に、新たな切り口を提供してくれた。

三に、7月13日付けJBPressが転載したFinancial Times「ジョンソン首相、若者をコロナ実験のモルモットに ワクチン接種進む英国、一気に集団免疫を狙う危うさ」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/66037
・『我々が一つ、新型コロナウイルスのパンデミックから学んでいるべきことは、全員が運命をともにしている、ということだ。 共通の取り組みだけがコロナを抑制できる。誰かのマスク着用が自分の保護になる。 だが、ボリス・ジョンソン英首相は規則にうんざりしている。集団的な行動に取って代わり、今後は「個人の責任」でやっていかなければならないと首相は言う。 ここで本当に意味するところは、疫学者が「集団免疫」と呼ぶものを一気に達成することを目指し、ウイルスを自由に蔓延させるつもりだ、ということだ。 この国の子供が図らずも実験のコマになる。 英国内の新規感染者数は現在、1日当たり2万5000人を上回っており、大半の欧州諸国より格段に多い。 そんなことはお構いなしだ。動揺と逸脱、Uターンを繰り返した1年半を経て、新たな基本計画は「不可逆」だとジョンソン氏は言う。 7月19日、社会的な交流にかけられていた事実上すべての法的制限措置が解除される。 イングランドの新たな制度(スコットランド、ウェールズ、北アイルランドはそれぞれ独自の規則を定める)では、ナイトクラブの営業再開が認められ、ソーシャルディスタンシング(対人距離の確保)を終え、競技場や音楽イベントの会場に人数制限なしで観衆が戻ることが許される。 マスクの着用は義務ではなくなり、今後は個々人がこうした「スーパースプレッダー」イベントに参加するリスクを推し量ることを強いられる』、後述のように「成人人口の3分の2がワクチン接種を2回済ませている」、とはいえ、「社会的な交流にかけられていた事実上すべての法的制限措置が解除」とは、思い切ったことをするものだ。
・『感染爆発は計算ずく  政府自身の計算でも、その結果として起きることは爆発的な感染拡大だ。 ジョンソン氏は、1日当たりの新規感染者数が7月19日までに5万人に達するかもしれないと話している。サジド・ジャビド保健相は、この数字が夏のうちに倍増するかもしれないと予想している。 その影響を受けるのは圧倒的に若者だ。 つまり、まだワクチン接種の対象ではない18歳未満と、せいぜい1回しか接種していない20代だ。そして18歳未満の層だけでも人口の約20%を占めている。 ジョンソン氏はロックダウン(都市封鎖)が好きではない。パンデミックの発生当初に事態を掌握することに失敗した後、制限策について過剰な約束をしては期待を裏切る結果しか出せなかった。 元側近のドミニク・カミングス氏によれば、首相はかつて、法的な規制を厳しくするくらいなら、遺体が路上に積み上がるに任せた方がましだと言い放った。 ジョンソン氏は、そうした言葉を使ったことを否定するが、ダウニング街(首相官邸)の関係者は、ジョンソン氏のムードをよく反映した表現だと話している。 ジョンソン氏は先月、残っている法的制限策を撤廃したいと考えていたが、デルタ株(インド型の変異ウイルス)の病原性のために延期を強いられた。 そして今、同僚たちに向かって、何があっても今度は前言を翻さないと断言している』、「首相はかつて、法的な規制を厳しくするくらいなら、遺体が路上に積み上がるに任せた方がましだと言い放った」、よほど規制が嫌いなようだ。
・『ワクチン接種が隠れ蓑  その結果は、向こう見ずな賭けだ。 それも疫学や、現在のロックダウンの慎重な費用対効果の分析に基づくものではなく、似たような考えを持った保守党議員の騒々しい要求によって拍車がかかった首相の気質が牽引するギャンブルになる。 ジョンソン氏が隠れ蓑にするのは、ワクチン接種キャンペーンの成功だ。 首相によれば、7月19日までに成人人口の3分の2がワクチン接種を2回済ませている。そしてワクチン接種の進展のおかげで、新規感染者と入院・死亡する人の数の連動が劇的に薄れた証拠がふんだんにある。 今では、新型コロナに感染した人の大半は、数日休むだけで回復する。多くの感染者は無症状だ。 首相は、物語の半分だけしか語っていない。 3分の2がワクチン接種を済ませたという数字は、3分の1がワクチンを1回しか接種していないか未接種であることを意味している。 また、「double jabbed(2回接種)」も感染を完全に防げるわけではない。 コロナに感染して自然免疫を獲得した人の存在を割り引いて考えても、感染しやすい成人がまだかなり大勢残っている。ここに子供を加えれば、新型コロナはターゲットに事欠かない。 持病のために重症化リスクが高い人や高齢者が差し迫ったリスクにさらされる。 こうした人が新規感染者全体に占める割合は低いが、感染者が現在のペースで増えていけば、小さな割合が大きな数字を生み出す。 ジョンソン氏の実験の中心に据えられた子供について言えば、当初の感染を軽くやり過ごしても、後々いわゆる「ロングCovid」に苦しむ羽目になる恐れがある』、「ジョンソン氏」のやり方が、「疫学や、現在のロックダウンの慎重な費用対効果の分析に基づくものではなく、似たような考えを持首相の気質が牽引するギャンブルになる」、困ったことだ。
・『集団免疫の本質  政府の首席医療アドバイザーを務めるイングランドのクリス・ウィッティ首席医務官は先日、ロングCovidを患う子供の増加を食い止める唯一の方法は、感染ペースを抑え、ワクチン接種を拡充することだと警告した。 だが、政府はまだ18歳未満のワクチン接種を承認しておらず、集団免疫戦略はいずれにせよ、子供の間でウイルスを蔓延させることにかかっている。 今でなければ、いつなのか――。 首相が口にするこの修辞疑問文には、簡単に答えが出る。コロナ対策の制限措置は、感染ペースが制御可能なレベルにまで下がり、ワクチン接種がもっと進んだ時になってから徐々に撤廃していくべきだ。 もちろん、我々はいずれ、コロナウイルスの存在とともに暮らしていかねばならないが、コロナ制御へ至るルートは、子供を疫学的なモルモットにするのではなく、ワクチン接種を通る道であるべきだ。 ジョンソン氏は、規制を放り込んで燃やす焚き火に気分を良くするかもしれない。また、規制が撤廃される7月19日を「フリーダム・デイ(自由の日)」に指定することに歓喜している人もいるだろう。 だが、それは幻想だ。「個人の責任」に関する首相のブラフや大言壮語によって新型コロナが倒されることはない』、「ジョンソン氏」の壮大な「ギャンブル」の結果はどうなるのだろうか。
タグ:パンデミック ダイヤモンド・オンライン JBPRESS Financial Times 窪田順生 AERAdot (経済社会的視点) (その17)(タワマンに外車…浪費癖が仇になった経産省キャリア2人の給付金詐欺とお粗末過ぎた国会の女子トイレ盗撮、ワクチン不足・酒提供への圧力で露呈した「やりすぎる日本」という負けパターン、ジョンソン首相 若者をコロナ実験のモルモットに ワクチン接種進む英国 一気に集団免疫を狙う危うさ) 「タワマンに外車…浪費癖が仇になった経産省キャリア2人の給付金詐欺とお粗末過ぎた国会の女子トイレ盗撮」 「贈収賄を視野に捜査が始まったが、ふたを開けたら家賃支援給付金詐欺だった」、「捜査関係者」もこの結果には驚いたことだろう。 僅か500万円で絵に描いたようなエリートコースを棒に振ったことになるが、発覚するとは夢にも思わなかったのだろう。 「女子トイレ」「盗撮事件」はバカバカしくてコメントする気にもなれない。 「ワクチン不足・酒提供への圧力で露呈した「やりすぎる日本」という負けパターン」 「ワクチン接種」や「酒提供をめぐる圧力」では確かに「やりすぎ」たようだ。特に、「法的根拠ゼロで、金融機関や酒卸業者にやらせるというのは明らかに度を越している 「検査不正というのは「過剰な品質チェック」が呼び水になっている」、「東芝、日本郵便、レオパレス21…不正内容の細かな違いはあるが、つきつめていけば、「過剰なノルマ」が影響している」、「この1年、ハタから見ていて「ちょっとやりすぎじゃないですかね」と心配してしまうものがある。 それは、「過剰な医師会擁護」だ」、同感である。 「急性期の病床が「異常」というほど多い・・・他の先進国のようにコロナ患者に対応できない」、「日本医師会は、自民党最大の支持団体・・・政府も自民党も、いつまで経っても解消されない「病床ひっ迫」については深く掘り下げたくない」、「「こいつらがいるからいつまでも病床がひっ迫するんですよ」というスケープゴートだ・・・それが、「若者」と「飲食店」だ」、「若者」と「飲食店」が「スケープゴート」とは、言われてみれば、その通りなのかも知れない。 「「前門のIOC、後門の医師会」という感じで、完全に板挟み状態だった。そして最終的に日本は医師会を取った・・・バッハ会長が無観客五輪を「理解に苦しむ」と述べたが、あれは嫌味でもなんでもなく、なぜ日本のような先進国でこんなに医療体制が弱いのか、とシンプルに意味がわからないのだ」、確かにバッハ会長には理解不能だろう。 「「やりすぎる日本」という負けパターン」は、確かにパンデミックや東京五輪問題に、新たな切り口を提供してくれた。 「ジョンソン首相、若者をコロナ実験のモルモットに ワクチン接種進む英国、一気に集団免疫を狙う危うさ」 後述のように「成人人口の3分の2がワクチン接種を2回済ませている」、とはいえ、「社会的な交流にかけられていた事実上すべての法的制限措置が解除」とは、思い切ったことをするものだ。 「首相はかつて、法的な規制を厳しくするくらいなら、遺体が路上に積み上がるに任せた方がましだと言い放った」、よほど規制が嫌いなようだ。 「ジョンソン氏」のやり方が、「疫学や、現在のロックダウンの慎重な費用対効果の分析に基づくものではなく、似たような考えを持首相の気質が牽引するギャンブルになる」、困ったことだ。 「ジョンソン氏」の壮大な「ギャンブル」の結果はどうなるのだろうか。
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パンデミック(経済社会的視点)(その16)(コロナとさえ戦わない絶望の国ニッポン、尾身会長を「都合よく使う」菅政権の重罪 政府が専門家の価値を暴落させる、「研究所流出説」を甦らせた素人ネット調査団 新型コロナの始祖ウイルスを「発見」!) [パンデミック]

パンデミック(経済社会的視点)については、5月10日に取上げた。今日は、(その16)(コロナとさえ戦わない絶望の国ニッポン、尾身会長を「都合よく使う」菅政権の重罪 政府が専門家の価値を暴落させる、「研究所流出説」を甦らせた素人ネット調査団 新型コロナの始祖ウイルスを「発見」!)である。

先ずは、5月3日付けNewsweek日本版が掲載した財務省出身で慶応義塾大学准教授の小幡 績氏による「コロナとさえ戦わない絶望の国ニッポン」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/obata/2021/05/post-65_1.php
・『<コロナ危機が始まって一年、既得権益との戦いも国民的な議論もなく、ただただ戦いから逃げてきた結果、日本は大変なことになっている> 私は、日本に絶望した。 第一に、コロナ危機はいまや日本だけだ。世界ではコロナ危機は過去のものとなり、いまだに苦しみ、先が見えていないのは、インドと日本だけだ。 第二に、オリンピックなどという不要不急、重要性の低いイベントに国が囚われてしまっている。物事の優先順位がつけられない国は、普通は、滅亡する。歴史においてはそうだった。 第三に、専門家も政治家も嘘ばかり付いている。意図的な嘘なのか、物事をあまりに知らなくて間違っているだけなのか、よくわからないが、いずれにせよ、当たり前のことすらまったくわかっていない。間違ったことを言い続けている』、「オリンピックなどという不要不急、重要性の低いイベントに国が囚われてしまっている。物事の優先順位がつけられない国は、普通は、滅亡する」、痛烈な批判だ。
・『誰も何もやる気がない  第一の点は、3つに分けられる。1)コロナ対策そのものが最悪だし、2)医療体制は整っているはずなのに、実効性が低く、3)コロナ危機の程度が軽いにもかかわらず、経済への悪影響は、世界最高水準。悪い、悪い、悪いの三拍子だ。 日本のコロナ危機は、ワクチンの遅れと、イギリス型変異ウイルスが理由と思われているが、そうではない。変異ウイルスは世界中で発生しており、それは警戒が必要ではあるが、どの国も同じである。第二に、韓国でもワクチン接種は欧米よりも遅れている。当たり前だ。欧米の新型コロナによる死者と東アジアでの死者の数は比較にならず、緊急性の高い欧米、イスラエルで進んだだけで、感染者が少ない日本で、ワクチンが欧米よりも遅れるのは当たり前だ。 問題は、コロナ対策が、実際にはまったく何も行われていないことにある。 スマートフォンの感染者接触アプリCOCOAもデジタル庁もどこかに消えてしまい、保健所のDX(デジタルトランスフォーメーション)も導入したが、機能していない。検査も増えない。 医療の体制も混乱の極みだ。政府そしてとりわけ知事たちはこの1年、テレビに出る以外に何をしてきたのか。 医療体制が混乱しているのは、医療システムを社会全体のために動員する仕組みもやる気も存在しないからだ。とりわけ、やる気のほうが大きい。 病院と医師たちは、一部(せいぜい半分)の良心的で献身的な人々の善意、ボランティアに依存するばかりで、過半の病院と医師たちは新型コロナと無関係である。コロナに追われて手薄になった病院や医師たちをフォローする体制もないし、一肌も脱がないし、これをチャンスとばかり儲けようとして、結果的に社会に貢献することもない。 怪しいPCR検査、簡易検査の広告が出るぐらいで、触らぬウイルスに祟りなし、といった雰囲気だ。) しかし、病院と医師が自発的に動かないと文句を言っていても仕方ないし、それこそが政府と知事たちの役割で緊急動員体制を作るのが仕事だ。政治家たちは、医師会に気兼ねして何もできず、裏取引や利益誘導をして動員する度量もリスクテイクも悪知恵も野心もない。きれいでも汚くてもどっちでもいいから仕事のできる政治家が必要だ。仕事がとにかくしたい、と言っていた総理はどこへ行ったのか。 しかし、いまさら政治を批判していても仕方がない。この20年衰退の一途だった政治にいまさら期待するほうが間違いで、人々は自衛するしかないし、それが当然のサバイバル術だ。ところが、人々は、恐怖と欲望に支配されて、政治家並みに見るも無残な有様だ。 緊急事態宣言は何の効果もないが、1回目は絶大な効果があったように見え、2回目はそれほどでもないが、多少影響があったように感じられ、3回目の今回は、誰がどう見ても効果ゼロだ。 しかし、1回目の効果に見えたのは、緊急事態宣言ではなく、自称有識者が、ロンドンとニューヨークの危機を吹聴して、ことさらに人々を脅し、専門家までが、極端な8割削減、死亡者数数十万と、こちらも煽って、人々を恐怖に陥れたからだ』、「1回目の効果に見えたのは、緊急事態宣言ではなく、自称有識者が、ロンドンとニューヨークの危機を吹聴して、ことさらに人々を脅し、専門家までが、極端な8割削減、死亡者数数十万と、こちらも煽って、人々を恐怖に陥れたからだ」、面白い見方だ。
・『恐怖で麻痺した個人消費  そして、芸能人が死亡し、人々、とりわけ高齢者は死に怯え、恐怖が彼らを支配し、日本は自粛に包まれ、街は静まり返った。一方、若者たちは、緊急事態、コロナ危機を、初めてのハロウィンのように、目新しいイベントとして受け止めた。知的な大人を自認する意識高い系の人々にとっては、自粛を推奨すること、欧米の危機を伝えることが知的な作業と感じ、手当たりしだいの情報をSNSで拡散し、自己満足し、その結果、高齢者を恐怖に陥れた。 つまり、高齢者は恐怖に支配され、若者たちは、イベント参加あるいは知的自画自賛に陶酔するという欲望に身を任せた。これが1年前であった。 2回目の緊急事態宣言は、政治がGoToなどで迷走する中、何の意味も持たなかったが、東京の新規感染確認者数が一日で2000を超えた、というその2000という数字が人々を恐怖に陥れ、再び恐怖が社会を支配し、年末年始の日本は自粛が支配した。 しかし、3回目は何も効かない。唯一効果があるのは、変異ウイルスの恐怖で、それを政府が意識的にか無意識にか利用し、多少の効果を収めた。恐怖で人々の行動を制限したのである。 この結果、経済は最悪となった。 海外輸出は好調で、企業はDXなど好景気に沸く企業も多いが、個人消費関連は、特にサービスセクターで壊滅状態である。なぜなら、実際のコロナ危機とは無関係に、また外出禁止も小売店営業停止もないにもかかわらず、日本の消費の中心である高所得者層や小金持ちの小資産家層は中高年であるため、恐怖に支配されて動けないからだ。個人消費は激減した。そして、株式投資だけが盛り上がった。) 一方、自粛というイベントに飽きた若者層は、旅行でも外食でも行きたかったが、カネがなく、GoToキャンペーンという税金補助もなくなったので、一気にカネを使わずに、路上飲みや友人宅でパーティーを行った。サービス消費経済は大きく落込んだのである。 日本経済がこれだけ危機に陥り、社会は恐怖に包まれているのに、なぜか、政府はオリンピックに躍起になり、すべてを差し置いてオリンピック優先である。GoToは世論の逆襲にあってやめたが、なぜか聖火リレーは続けられ、会食禁止、集まり禁止と言いながら、芸能人を多数起用し、ギャラなしでオリンピックを盛り上げるイベントに動員し、沿道にミーハーな人々の密を作った。 そして人々は、政府の緊急事態宣言もワクチン戦略もすべてはオリンピックのためだと解釈し、非難し、飲食店の人々はとりわけ怒りに燃えた。それにもかかわらず、もちろん感染状況次第ではオリンピックはできません、しかし、その最悪の事態にならないように全力を尽くしますと言えばいいだけなのに、オリンピックができないこともありうるというのは禁句で、何があっても触れない、という態度が、人々の政治不信を加速し、自粛要請に対する反発を高め、今後の政府の分析、説明、呼びかけ、すべての効果をさらに失わせている。 ただ一言、感染状況次第と言えばいいだけなのに、頑なに否定し、自分たちの権力の影響力を低下させることをあえてやっている。馬鹿なのか、利害関係からオリンピックをどうしてもやりたいという気持ちに正直すぎるのか、いずれにせよ、意味不明で、この些細なイベントにより、政策の優先順位がすべて混乱している』、「最悪の事態にならないように全力を尽くしますと言えばいいだけなのに、オリンピックができないこともありうるというのは禁句で、何があっても触れない、という態度が、人々の政治不信を加速し、自粛要請に対する反発を高め、今後の政府の分析、説明、呼びかけ、すべての効果をさらに失わせている」、その通りだ。
・『ワクチン接種では公平性に拘る愚  コロナワクチンの話もそうだ。とにかく、早く多くの人に打つことが重要であるにもかかわらず、隣町との公平性が重要で、市町村にどう割り振るかで揉めている、誰に打つかで揉めている、不手際はいちいち批判される、まったく行政の効率性は最低レベルである。 一方、人々も、副作用に過剰反応し、申し込みにも殺到し、感情的にしか行動できない。優先順位が間違っている。とにかく、早く大勢に打つことが重要で、自分が打とうが、周りが打とうが、効果はあるのだから、全員が打ち終わるのを早くすればよい。公平性は後だ。 しかし、最大の問題は、政治家も専門家も、間違ったことばかり1年も言い続けている。これが最大の問題だ。 まず、感染リスクについてすら、いまだに通勤電車の混雑を減らせ、テレワーク7割などと言っている。ソーシャルディスタンスや三密など、すでに間違いだったことがはっきりしたことを誰も訂正しないどころか、いまだにそれを主張し続けている。 これが人々を愚かにさせる。唾液の飛まつだけだから、しゃべらなければ移らない。スーパーのレジで並んでいると、裕福そうな初老の女性に、いきなり振り向かれて、ソーシャルディスタンスと叫ばれ、私が70センチに接近していることを殺人未遂であるかのように非難する。貴方の叫びによる飛まつが一番危ないのだが、と思い、マスク越しであっても飛まつが一切でないように、黙って肩をすくめると、鬼のような形相でどこかへ行ってしまった。 しかし、最大の嘘は、日本の法体系では、強制力を持った措置が取れない、と政治家も有識者とやらも、知ったような顔でそれを大前提として議論をしていること。それは嘘だ』、「ソーシャルディスタンスや三密など、すでに間違いだったことがはっきりしたことを誰も訂正しないどころか、いまだにそれを主張し続けている」、マスコミも政府の誤ったキャンペーンの片棒を担いでいる。
・『ロックダウンも可能だった  憲法、基本的人権において、欧米と日本の法的な制限の差はない。いわゆる欧州大陸法と英米法(コモンロー)とで、法律の書き方、裁判制度などは異なるが、基本的人権の制限に関する差はない。実際、フランスでもドイツでもイギリスと同じように行動は制限され、外出は禁止されている。 単に、日本においては、特別措置法で、その規定がない、と言うことに過ぎない。なければ、作ればよい。特措法改正をしたときに、もっといろいろできるようにすればよかっただけだ。それは、医師会や世論が怖くて、できない、面倒だからしない、それだけのことだ。 1年間、国会でも戦わず、医師会とも戦わず、世論とも戦わず、政治も政府も何もしてこなかった。それを誰も責めなかった。むしろ、行動制限には補償がセットで必要だと、訳知り顔で政府を攻撃する。そんなことはない。社会秩序、社会全体の保健衛生上の危機がある場合には、一般的な規制をすることは憲法違反にならない。個別の措置は、憲法違反になる可能性があるが、それは裁判をやって判断するだけのことだ。 百貨店だけに休業を命令するのは明らかな憲法違反だが、特定の地域の人々全員に外出を禁止するのは憲法違反でない。小売店すべてに休業命令を出すのも違反でない。飲食店すべて休業命令を出すのは、違反でないと思われるが、飲食店の側で争う余地はある。 しかし、それは議論しなければ結論は出ない。裁判所であれ、国会であれ、メディアであれ、どこでも議論を戦わせずに、戦いから逃げてきた1年間。政治もわれわれも。それが、現在の結果をもたらしている。 そして、この戦いから逃げる姿勢は現在も継続している。太平洋戦争も同じだった、ともいえるだろう。 つまり、日本は絶望的で、望みがないのではないか、と思ってしまうのである』、「日本においては、特別措置法で、その規定がない、と言うことに過ぎない。なければ、作ればよい。特措法改正をしたときに、もっといろいろできるようにすればよかっただけだ」、憲法改正する口実に憲法問題を持ち出しているとすれば、罪が深い。

次に、6月9日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員の山崎 元氏による「尾身会長を「都合よく使う」菅政権の重罪、政府が専門家の価値を暴落させる」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/273412
・『政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が、東京オリンピック・パラリンピックの開催に警鐘を鳴らしたことで大騒動が巻き起こっている。それに対する政府の対応はお粗末なもので、政治家としての能力不足を露呈した。今回の問題は、政府が尾身会長の専門性と権威を自分たちに都合のいい内容ばかりに使おうとしていることにある。尾身会長の扱い方いかんで、「政府が使う専門家」の価値が大きく動くことになるかもしれない』、興味深そうだ。
・『コロナ対策分科会の尾身茂会長が東京五輪のリスクを警告  政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の会長を務める尾身茂氏が、6月2日に東京オリンピックの開催の可否について問われて、「普通はない。このパンデミックで」と答えたことが波紋を呼んでいる。 言葉を補うと「現在のようなパンデミック(感染症の大流行)の状況下では、東京オリンピックのようなイベントを開くことは、常識的には行うべきでない」という意味に解される。これまで政府の意向に沿った情報発信を行ってきて、「御用学者」などとやゆする声も一部にあった尾身氏だが、政府がやりたがっているように見える東京オリンピックの開催に明確に反対する意見を述べたことに驚きが広がった。 尾身会長のコロナ対策は「人流を抑える」ことに要点があった。そのため、数万人単位の人間が国境を越えて動く、異次元の人流イベントである東京オリンピック開催に対して否定的な意見を持つことは、全く自然に思われる』、その通りだ。
・『「尾身発言」に応えられない菅政権 政治家として能力不足  オリンピック開催に反対の国民からは「尾身さん、よく言ってくれた。ありがとう」との声がある一方、ある「与党幹部」はこの発言に対して「越権行為だ」と不快感を表明したとの報道もある。 後者については、尾身氏は自身がオリンピック開催の可否の決定者でないことについて、十分に認識しているように思われる。彼は、「普通はない」が、それでもやる場合には、なぜやるのか理由の十分な説明が国民に対して必要だと言っている。別段の越権はない。 問題は、これに十分応えることができていない菅義偉首相以下の政府の側にある。はっきり言って、政治家として能力不足だ。職務の継続に無理があるのは尾身会長の方ではなく、菅首相の方ではないだろうか。「安全・安心なオリンピック」と呪文を唱えるだけで、「どのようにすると、なぜ、安全なのか?」が分からないので、国民は政府を信用できずにいる。各種の調査で内閣支持率が下落している大きな理由だろう。 尾身氏の発言を重視した野党は、分科会に東京オリンピックの安全性に関して諮問を求めるべきだと要求しているが、政府はこれを拒否している。東京オリンピックの開催に対して否定的な意見を分科会の答えとして受け取ってしまうと、不都合だということなのだろう。改めて言うまでもないが、諮問云々の手続きが問題なのではなく、リスクに対する専門家の判断が問題なのだから、全くばかばかしいこだわりだ』、このブログの「東京オリンピック(五輪)(その18)」でみたように、「菅首相」はどうもオリンピックが始まってしまえば、国民はオリンピックに熱狂することに賭けているようだ。無論、そんな本音は口に出す訳にはいかない。
・『政府にとっての専門家の「利用価値」  現時点で、尾身氏は、独自に情報を発信する意向だと報じられている。 感染症対策の「専門家」として、コロナ禍におけるオリンピック開催のリスクや、どうしても開催する場合に必要な対策を提示することが自らの責任だと考えておられるようだ。極めて「まとも」で「普通」の考えだと、筆者は思う。 政府に対して、時には企業や学校などの組織に対して、「専門家」は微妙な位置に立つ場合がある。 多くの場合に専門家は、政府などの組織が実行したいと考えることの正しさを専門家として裏書きして、その正当性を補強する役割を期待される。例えば、昨年の「Go Toキャンペーン」の際には、Go Toキャンペーンが感染症対策と両立できるという情報発信を専門家が行ってくれると、政府としては好都合だった。 かくして、多数の「委員会」や「有識者会議」が生まれる。 一般に、こうした会議に呼ばれる専門家には、(1)政府に認められた専門家としてステータスを得る、(2)専門的な知見を広く世間に知らせることができる、(3)自分の所属組織(例えば大学)が政府と良好な関係を持つことにメリットがある(研究費などで)、といったモチベーションがある。 なお、この3番目のメリットに関しては、学者の場合にそれなりに重要な場合があるだろう。ただ、政府との関わりが自分の所属する会社に受注をもたらすような関係性になると、不適切な場合がある。今回、名指しは避けるが、政府に関係する「会議」のメンバーにはこの点で深刻な疑義を感じさせる人物が存在する。 尾身会長は元官僚であり、地域医療機能推進機構の理事長だが、(3)に関する疑義は今のところ感じられない。また、尾身会長の分科会については存じ上げないが、この種の有識者会議の出席に関する謝礼金はごく安いのが普通で、尾身氏のような方にとってほとんど意味がない金額だ。 従って尾身会長は、これまで専門家としての使命感から「手弁当」的な感覚で協力してきたと実感しているに違いない』、その通りだろう。
・『尾身会長vs菅政権、問題の本質は「専門家を都合よく使おうとすること」  今回の政府と尾身会長の間の問題は、政府の側が、尾身会長の専門性と権威を自分たちに都合のいい内容ばかりに使おうとしていることにある。 政府の行うことが正しいと専門家が判断する限りでは、この関係性は専門家自身にとっても問題はない。 しかし、今回の東京オリンピックの感染症リスクは、尾身氏の専門家としての知見から看過できないものなのだろう。 あるいは、筆者の邪推の可能性もあるが、尾身会長は、東京オリンピックの開催は不可避と判断した上で、開催後の感染問題の深刻化の可能性を踏まえて「専門家として事前に警告した」という事跡を残しておきたいのかもしれない。 この場合、尾身氏の対社会的な保身行為だともいえる。しかし、万一そうした理由があるとしても、リスクを警告するという行為自体は国民一般に対する「専門家」の行動として適切である。リスクを知っていて何も言わずにいるよりは、いかなる形であっても情報を発信する方がずっといい。 情報の受け手である国民としては、尾身氏の発言の背景が上記のいずれであるとしても、「尾身氏の目から見て、東京オリンピック開催には深刻なリスクがある」と受け取ることができる。 オリンピックを開催したい政府としては、尾身会長に「オリンピックを安全に開催することは十分可能だ」と言ってもらえると都合がよかったのだろうが、そうはならなかった。 「それでも開催する」という判断なら、判断の責任者が国民に納得のいく説明をする必要がある。尾身氏の専門性を隠れみのにして、説明の代用にしようとすることは虫が良すぎる』、「尾身氏の専門性を隠れみのにして、説明の代用にしようとすることは虫が良すぎる」、同感である。
・『個人と組織にとっての「専門家キャピタル」  東京オリンピックの開催に深刻なリスクを認める場合、尾身会長にとって今回の発言は、専門家としての権威や評判の価値、いわば自らの「専門家キャピタル」を守るための行動だと解することができる。 政府や企業が「専門家」を使おうとする場合、個々の専門家にとって自らの価値を守る上で譲れない一線がどの辺りにあるのかを見極めることが重要だ。専門家(特に学者)は、経済的な利にさとい人や、自説にこだわらずに御用学者に徹することを役割と考える人もいるが、多くは「仲間内の評判」に敏感だ。専門家は専門家仲間によって承認され合うことによってその世界での価値を維持している。 政府はこれまで、尾身氏の「専門家キャピタル」を大いに利用してきたが、今回同じ手が利かなくなったことに対してどう対処するのだろうか。 いかにもありそうな選択肢は、(1)別の専門家を使う、(2)尾身氏に圧力を掛けて好都合な発信を強いる、の二つだが、どうなるか。 (1)は「ノーベル賞級の御用学者」が必要だが、適任者が急には見つからないかもしれない。(2)は、尾身氏に個人的な弱みがあるのか否かが問題になる。週刊誌などで、尾身氏の個人的なスキャンダルが見出しとなるような事態が今後起これば、背後で(2)のような事態が進行した可能性が大きいと推測できる。どちらにせよ、感じのいい進展ではない。 三つ目の選択肢があるとすれば、(3)警告を無視してオリンピックを強行する、だろう。知性のかけらも感じさせない強引な方法だが、時間の切迫具合から見て、こうなりそうな予感はある』、確かに(3)の可能性が高そうだ。
・『政府が選んだ専門家が信用されなくなる そんな未来が訪れかねない  政府が、専門家が有する「専門家キャピタル」を各種の「会議」や「委員」などの立て付けを使って都合よく利用する行動は、今後も続くだろう。ただし、専門家の使い方があまりに粗末だと、そもそも政府が選んだ専門家が信用されなくなるという、政府レベルでの「専門家キャピタル」の毀損が起こりかねない。 新型コロナも東京オリンピックも国民の関心の高いテーマだ。専門家としての尾身会長の扱い方いかんで、政府が使う専門家というものの価値が大きく動くことになるかもしれない。 例えば一転して、政府が尾身氏の警告に耳を傾け、東京オリンピックの開催を断念した場合、「専門家」への国民の尊敬は高まるだろうし、菅内閣の支持率は上昇するかもしれない。 政府に限らず、企業でも学校でも、「専門家」の扱い方は重要であると同時に難しい。もちろん、専門家自身の身の振り方も簡単ではない』、さすが山崎氏らしい深い考察だ。

第三に、6月4日付けNewsweek日本版が掲載したローワン・ジェイコブソン氏による「「研究所流出説」を甦らせた素人ネット調査団、新型コロナの始祖ウイルスを「発見」!」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/06/post-96453_1.php
・『<パンデミック発生後早い段階で「反中の陰謀説」とされてきた新型コロナウイルスの「研究所流出説」がここへ来て急に見直されているのは、中国の説明がおかしいと感じた世界各地のアマチュアネットユーザーがチームを組んで否定しがたい新事実を科学界と大メディアに突きつけたからだ> 新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)は中国・武漢の研究所から手違いでウイルスが流出して引き起こされた──これはつい最近までオルト・ライト(新右翼)的な陰謀論としておおむね無視されてきた主張だ。 ワシントン・ポストは2020年初め、「専門家が何度もその誤りを証明した陰謀論を、執拗に蒸し返している」として、トム・コットン上院議員を批判。CNNは「陰謀論や誤情報を信じている友人や家族を説得する方法」を伝え、ニューヨーク・タイムズも「非主流の説」扱いをし、公共放送のNPRも「研究所の事故で流出したという説は虚偽だと証明されている」と述べるなど、アメリカの他の主要メディアもおおむねこの説を否定していた。 そうした中で、本誌は例外的に2020年4月、武漢ウイルス研究所(WIV)はウイルスの病原性や感染性を強める「機能獲得型」研究を行なっており、ここから流出した可能性も否定できないと報道した。同様の報道を行なったのは、左派系雑誌のマザー・ジョーンズに加え、ビジネス・インサイダー、ニューヨーク・ポスト、FOXニュースと、ごく少数のメディアだけだ』、「研究所流出説」も当初は少数派だったようだ。
・『あるのは好奇心と根気だけ  だがこの1週間ほど、研究所流出説がにわかに注目を浴び始めた。ジョー・バイデン米大統領は情報機関に追加調査を指示。主要メディアも手のひらを返したように、流出説をあり得る仮説として扱い始めた。 雲行きが変わった理由は明らかだ。この何カ月かの間に武漢の研究所からの流出を疑わせる状況証拠が次々に明るみに出て、無視できないほどに蓄積された。 それらの証拠を探り当てたのは、ジャーナリストでもスパイでも科学者でもない。アマチュアの「探偵」たちだ。彼らの武器は好奇心、そして来る日も来る日もインターネット上の膨大な情報をかき分け、手掛かりを探す根気強さ。それだけだ。 パンデミックが始まってからというもの、その原因に関心をもった世界各地のアマチュア20数人が独自に調査を行い、埋もれた文書を掘り起こし、断片的な情報をつなぎ合わせてきた。彼らがばらばらに発信した推理が1つ、また1つとツイッター上でつながり、やがてはまとまったストーリーが紡ぎ出されてきた。 それは言ってみれば「オープンソースの自由参加型ブレインストーミング」であり、ネット調査と市民ジャーナリズムの要素が合体した、全く新しい調査方法である。彼らは自分たちをDRASTIC(Decentralized Radical Autonomous Search Team Investing COVID-19=新型コロナウイルス感染症に関する分散型の急進的な匿名の調査チームの頭文字を取った略称だ)と名乗る。 DRASTICの調査結果は長い間、ツイッター上のオタク世界の片隅に埋もれ、少数のフォロワーにしか知られていなかった。探偵たちはたびたび捜査の袋小路にぶつかったし、時には彼らの解釈に異を唱える科学者たちと論争になった。それらの数々のツイートは、ツイッターの「ファイヤーホース」サービスを介して、1つのまとまったニュースの流れを形づくった。 調査の質はしだいに向上し、事実究明に向けたその執念がより幅広いフォロワーを引きつけ、科学者やジャーナリストもその内容に注目するようになった。 DRASTICのおかげで、今ではいくつかの重要な事柄が分かっている』、「パンデミックが始まってからというもの、その原因に関心をもった世界各地のアマチュア20数人が独自に調査を行い、埋もれた文書を掘り起こし、断片的な情報をつなぎ合わせてきた。彼らがばらばらに発信した推理が1つ、また1つとツイッター上でつながり、やがてはまとまったストーリーが紡ぎ出されてきた。 それは言ってみれば「オープンソースの自由参加型ブレインストーミング」であり、ネット調査と市民ジャーナリズムの要素が合体した、全く新しい調査方法である」、素人集団がここまでやるとは素晴らしい。
・『どう見ても疑うしかない新事実  まず、武漢の研究所が長年、コウモリのいる洞窟で何種類ものコロナウイルスを収集してきたこと。その多くは2012年にSARS(重症急性呼吸器症候群)のような症状を起こして3人の鉱山労働者が死亡した銅鉱山で見つかったもので、新型コロナと最も近縁なウイルスもそこに含まれるとみられている。 また、武漢の研究所はこれらのウイルスを使ってさまざまな実験を行なっていたが、安全管理はお粗末で、曝露や流出の危険性があったことも明らかになった。研究所も中国政府もこうした活動を外部に知られないよう、ひた隠しにしていたのだ。 さらに、新型コロナの発生源とされた武漢の華南海鮮市場で最初の集団感染が起きるよりも何週間も前に、既に感染者が発生していたことも分かった。 これらのいずれも、研究所流出説を裏付ける決定的な証拠とは言えない。研究所が発生源ではない可能性も十分にある。しかしDRASTICが集めた証拠は、検察官の言う「相当な理由」にはなる。つまり、研究所から出た可能性を疑い、本格的な捜査を行うに足る理由がある、ということだ。) アメリカやその他の国々が精力的に調査を進めても、研究所流出説を裏付ける明白な証拠が得られるという保証はない。中国の全面的な協力なしには、徹底した調査はできないが、中国の協力は得られそうにない。 それでも、この雑多な背景を持つ少数のアマチュアたちがやってのけた草の根の調査報道は、21世紀の最大のスクープとなる可能性がある。 以下はその詳しい経緯だ。 DRASTICの1人、「シーカー(探索者)」と名乗る20代後半のインド人男性がメールとテキストメッセージで本誌の取材に応じてくれた。 彼はインド東部の西ベンガル州在住。地元の伝統的な舞踊に使われる仮面をツイッターのロゴにしている。仕事は建築、絵画、映像制作など。母や姉妹がよく作るインドのお粥「キチュリー」のように雑多な素材が混じり合うことで、意外性に富む作品ができるそうだ。 熱心な独学者で、グーグルが監視の目を光らせるネット上の「表通り」からは外れた「路地裏」に精通し、興味を持ったトピックについてはそこでせっせと情報収集をしてきた。その成果をレディットに頻繁に投稿し、75万カル・ポイントを獲得したという。 本誌に明かしてくれたプロフィールは以上。本名の公表は控えたいそうだ』、「この雑多な背景を持つ少数のアマチュアたちがやってのけた草の根の調査報道は、21世紀の最大のスクープとなる可能性がある」、ずいぶん面白い時代になったものだ。
・『「流出説」を揉み消した大物の正体  パンデミックが始まった当初、新型コロナ関連のニュースを追っていた人たちの例に漏れず、シーカーも武漢の海鮮市場で野生動物からヒトに感染が広がったと信じていた。3月27日付のツイートで、彼は「珍しい動物の取引で生まれたおかしなウイルスで、親や祖父母が死ぬなんて、ひどい話だ」と嘆いた。 彼がそう信じたのは、主要メディアがそう報じたからで、主要メディアがそう報じたのは何人かの科学者がそう主張したからだ。 そう主張した科学者の筆頭格がピーター・ダザック。パンデミックを起こす可能性がある自然界の病原体について大規模な国際調査を行う非営利の研究機関、エコヘルス・アライアンスの代表だ。 ダザックは、武漢ウイルス研究所に所属するコウモリのウイルス研究の第一人者、石正麗(シー・ジェンリー)と長年共同研究を行なってきた。十数本近い論文を共同執筆し、分かっているだけで60万ドルの米政府の助成金を彼女に回してきた。) 世界で最も多くコロナウイルスを収集してきた研究所のすぐそばで、未知のコロナウイルスの集団感染が発生したとなると、研究所から流出した疑いを持つのは理の当然だ。ダザックはすかさずそれに待ったをかけた。他の26人の科学者と連名で2020年2月19日、医学誌ランセットで公開書簡を発表。「新型コロナウイルス感染症が自然な発生源を持たないことを示唆する陰謀論を、私たちは断固として非難する」と宣言したのだ。 今では情報自由法の請求記録から、ダザックが研究所流出説を潰すための公開書簡の作成を主導したことが分かっている。彼は書簡の草案を作成し、仲間の科学者たちに署名させて、それが幅広い科学者の見解を示すものに見えるように画策したのだ。 ダザックは科学者たちに署名を求めるメールの中で、「この声明にはエコヘルス・アライアンスのロゴは入らないし、特定の組織や人物が作成したものだと特定されることはない」と確約していた。武漢ウイルス研究所と研究内容が重なる科学者たちは、「(署名から)研究内容を逆にたどられることがないように」署名しないことで同意した。 だが当時、ダザックが果たした役割については、それをほのめかす兆しもなかった。公開書簡が発表されたことがきっかけでメディアに頻繁に登場するようになったダザックは、研究所流出説を「不合理」「根拠に欠ける」「完全なでたらめ」と一蹴した。彼はまた、同研究所につながる証拠を発表した複数の科学者を攻撃。研究所流出説が理にかなわない理由の一部として、武漢ウイルス研究所では、新型コロナウイルスに少しでも似ているウイルスを一切培養していなかったと主張した』、「情報自由法の請求記録から、ダザックが研究所流出説を潰すための公開書簡の作成を主導したことが分かっている。彼は書簡の草案を作成し、仲間の科学者たちに署名させて、それが幅広い科学者の見解を示すものに見えるように画策した」、隠蔽工作も手がこんでいるようだ。
・『コウモリウイルスの専門家、石正麗  ダザックは長期にわたって、驚くほど大きな影響力を持ち続けた。彼のしたことが公にされれば、彼のキャリアも組織も大きな打撃を受けただろうが、メディアがそうした疑問を提起することはほとんどなかった。 皮肉にもダザックの「共犯」となったのが、ドナルド・トランプ前米大統領だった。「中国ウイルス説」を唱えるトランプ政権がエコヘルス・アライアンスへの助成金を打ち切ると、メディアはダザックを陰謀論者たちの「犠牲者」として同情的に取り上げたのだ。 シーカーは、2020年前半までにはその考え方に疑問を抱くようになっていた。そこで、通説のあら探しをしていた人々とのやり取りを始めた。 その中で見つけた重要な情報が、カナダの起業家ユーリ・デイギンによる、オンラインプラットフォーム「メディウム」への投稿だ。デイギンはこの中で、石正麗が2月3日に科学誌ネイチャーで発表したウイルス「RaTG13」を取り上げていた。石正麗は論文の中で、新型コロナウイルスについての詳細な分析結果を紹介。新型コロナウイルスと遺伝子レベルで似ているウイルスとして、「RaTG13」(コウモリコロナウイルス)を挙げていた。) 論文はRaTG13の起源については曖昧で、中国南部の雲南省に生息するコウモリから以前検出されたと述べるだけで、いつ・どこで発見されたのか具体的な言及はなかった。 デイギンはこの論文に疑念を抱いた。新型コロナウイルスは、RaTG13あるいはその関連ウイルスを調べていて、遺伝子を混ぜ合わせたり、照合したりする作業の過程で生まれた可能性があるのではないかと考えた。デイギンの投稿内容は包括的で、説得力があった。シーカーはデイギンの説をレディットに投稿。するとすぐに、彼のアカウントは永久凍結された。 この検閲の気配が、シーカーの好奇心とやる気を刺激した。ツイッター上にあるグループのアイデアをさらに読んでいくと、「この問題について活発に議論し、調査しているグループが見つかった」と、彼は本誌へのメールで述べた。 この刺激的なグループを構成していたのは、起業家やエンジニア、それにロッサーナ・セグレトという米インスブルック大学の微生物学者もいた。彼らは互いに面識はなかったが、新型コロナウイルスの起源が動物という通説に疑問をもった点が共通していた。 アジアのどこかに暮らしているという冗談好きのコーディネーターがグループの会話を管理していた。この人物はビリー・ボスティックソンという偽名を使っており、ツイッターのアイコンには、痛めつけられた研究用のサルの絵を使っている』、「「中国ウイルス説」を唱えるトランプ政権がエコヘルス・アライアンスへの助成金を打ち切ると、メディアはダザックを陰謀論者たちの「犠牲者」として同情的に取り上げたのだ」、皮肉なことだ。「刺激的なグループを構成していたのは、起業家やエンジニア、それにロッサーナ・セグレトという米インスブルック大学の微生物学者もいた。彼らは互いに面識はなかったが、新型コロナウイルスの起源が動物という通説に疑問をもった点が共通していた」、なるほど。
・『真相を明らかにする使命感  まさにシーカーにぴったりのグループだった。「彼らの手助けを得て、詳しいことを学んでいった」と彼は言う。「いつの間にか、この謎にすっかり夢中になっていた」 彼を駆り立てたのは好奇心だけではなく、ひとりの市民としての責任感でもあった。「新型コロナウイルスは、数えきれない人の命を奪い、大勢の人の生活を破壊した。多くの謎も残しているのに、その追跡調査が行なわれていない。人類には答えを知る権利がある」 シーカーをはじめとするメンバーたちは徐々に、RaTG13がその「答え」の一部を解明する上での鍵を握っているのではないかと確信するようになった。 グループのスレッドでは、6人ほどの参加者がこの謎について活発な議論を展開。彼らはヒントを求めて、インターネットや武漢ウイルス研究所の過去の論文をくまなく調べた。彼らは世界中の人々が見られる形で、リアルタイムでデータを更新し、さまざまな仮説を検証し、互いの意見を修正し合い、幾つかの重要な指摘を行った。 RaTG13の遺伝子配列が、石正麗が何年も前に発表した論文に記されていた遺伝子コードの一部と完璧に一致した、というのもその一つだ。この遺伝子コードは、武漢ウイルス研究所が雲南省のコウモリから発見したウイルスのものだった。) DRASTICチームは、2つの論文に含まれる重要な詳細情報を過去の複数の報道と結びつけて、RaTG13は雲南省の墨江ハニ族自治県にある鉱山の坑道で発見されたウイルスだと断定した。ここでは2012年に、コウモリの糞を除去していた男性6人が肺炎を発症し、そのうち3人が死亡していた。DRASTICはこれが、ヒトが新型コロナウイルスの始祖ウイルス(おそらくRaTG13かそれに類似したウイルス)に感染した初めての症例だったのではないかと考えた。 石正麗は科学誌「サイエンティフィック・アメリカン」に掲載されたプロフィールの中で、複数の鉱山労働者が死亡した墨江ハニ族自治県の鉱山について調査を行なったことを認めている。だが彼女はこの銅鉱山の一件とRaTG13を関連づけることは避けており(論文の中でも触れていない)、作業員たちは洞窟の中の「真菌(カビ)」が原因で死亡したと主張した。 DRASTICの面々は納得しなかった。鉱山労働者を死に追いやったのは真菌ではなく、SARSウイルスに似たウイルスで、研究所は何らかの理由でそれを隠そうとしているのではないかと、彼らは考えた。だが、それは直感にすぎず、証明する手立てはなかった』、「RaTG13の遺伝子配列が、石正麗が何年も前に発表した論文に記されていた遺伝子コードの一部と完璧に一致した」、こんなことが起こり得るとは謎解きも面白そうだ。
・『2012年の鉱山労働者の死因を追え  だがネット情報を探るうちに、シーカーは中国の学術誌や論文を網羅した巨大なデータベース、CNKI(中国学術文献オンラインサービス)を見つけた。ここにある膨大な学術文献の中に、鉱山労働者の死に関連した情報が埋もれているかもしれない。 彼はベッドの横のテーブルにチャイを用意し、携帯電話とノートパソコンで夜を徹して探索を続けた。問題の鉱山がある地域の名称(墨江ハニ族自治県)に思いつく限りの関連キーワードを付けて、グーグル翻訳で英語を簡体字の漢字に変換して検索をかけ、検索結果をまた英語に翻訳して目を通す。「墨江+肺炎」「墨江+武漢ウイルス研究所」「墨江+コウモリ」「墨江+SARS」という具合だ。 1回の検索で何千もの結果が出て、雑誌、本、新聞、修士論文、博士論文などのデータベースが半ダースほども表示される。シーカーは来る夜も来る夜もそれらに目を通したが、有用な情報は得られなかった。精魂尽きるとチャイを飲み、アーケードゲームで気分転換して、また作業を続ける。) その宝物に出くわしたのは、あきらめかけた時だった。昆明医科大学の院生が2013年に提出した60ページに及ぶ修士論文だ。タイトルは「未知のウイルスによる6人の重症肺炎患者の分析」。患者1人1人の症状と治療の進展を事細かく述べた上で、執筆者は疑わしい「犯人」を挙げていた。「シナキクガシラコウモリ、あるいはその他のコウモリ由来のSARSのような(症状を引き起こすコロナウイルス)」の仕業だ、と。 シーカーは淡々と、論文のタイトルとリンクをツイッターに投稿した。2020年5月18日のことだ。次に、中国疾病対策予防センターの博士研究員(ポスドク)が執筆した同じテーマの論文を調べると、内容の多くは最初の論文と一致していた。鉱山労働者のうち4人はSARSウイルスに似たウイルスの抗体検査で陽性だったこと、これらの検査結果は全て、武漢の研究所に報告されていたことも分かった(シーカーが2つの論文のリンクを貼った直後に、中国はCNKIのアクセス管理を変更し、彼が行なったような調査はできなくなった)』、「中国」の隠蔽工作は徹底しているようだ。
・『主要メディアの無関心に呆れる  2012年にSARSウイルスに似たウイルスが見つかり、その事実が隠蔽され、武漢の研究所が問題の鉱山からさらにサンプルを採取して持ち帰るためにスタッフを派遣したのだとすれば、これは一大スクープだ。欧米の主要メディアはすぐさま飛びついて派手に報道するはずと思ったが、何週間も話題にすらならなかった。イギリスではサンデー・タイムズが特集を組んだほか、少数のメディアが報道したが、米メディアは全く取り上げなかった。 「メディアは大騒ぎになると思っていた」と、シーカーは本誌に打ち明けた。「事実や因果関係に対する関心のなさに、あきれるばかりだった。潤沢なリソースを持つ主要メディアが、調査報道で(アマチュア集団に)大幅な後れを取るなんて、さっぱり理解できない」 DRASTICは数日のうちに、墨江ハニ族自治県にある鉱山の位置を突き止めたが、主要メディアがそのツイートに注目し、記者たちが我先に問題の坑口を目指し始めたのは、2020年も終わりに近づいてからだ。 ※後編はこちら:武漢研究所は長年、危険なコロナウイルスの機能獲得実験を行っていた』、「イギリスではサンデー・タイムズが特集を組んだほか、少数のメディアが報道したが、米メディアは全く取り上げなかっのた」、そんなもだろう。「潤沢なリソースを持つ主要メディアが、調査報道で(アマチュア集団に)大幅な後れを取るなんて、さっぱり理解できない」、「主要メディア」には商業主義の制約もあるのだろう。既に長くなったので、「後編」の紹介は下記リンクの紹介に留めた。いずれにしろ、「武漢研究所」の疑いが一段と深まったようだ。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/06/2-361_1.php
タグ:パンデミック 小幡 績 ダイヤモンド・オンライン Newsweek日本版 山崎 元 (経済社会的視点) (その16)(コロナとさえ戦わない絶望の国ニッポン、尾身会長を「都合よく使う」菅政権の重罪 政府が専門家の価値を暴落させる、「研究所流出説」を甦らせた素人ネット調査団 新型コロナの始祖ウイルスを「発見」!) 「コロナとさえ戦わない絶望の国ニッポン」 「オリンピックなどという不要不急、重要性の低いイベントに国が囚われてしまっている。物事の優先順位がつけられない国は、普通は、滅亡する」、痛烈な批判だ 「1回目の効果に見えたのは、緊急事態宣言ではなく、自称有識者が、ロンドンとニューヨークの危機を吹聴して、ことさらに人々を脅し、専門家までが、極端な8割削減、死亡者数数十万と、こちらも煽って、人々を恐怖に陥れたからだ」、面白い見方だ。 「最悪の事態にならないように全力を尽くしますと言えばいいだけなのに、オリンピックができないこともありうるというのは禁句で、何があっても触れない、という態度が、人々の政治不信を加速し、自粛要請に対する反発を高め、今後の政府の分析、説明、呼びかけ、すべての効果をさらに失わせている」、その通りだ。 「ソーシャルディスタンスや三密など、すでに間違いだったことがはっきりしたことを誰も訂正しないどころか、いまだにそれを主張し続けている」、マスコミも政府の誤ったキャンペーンの片棒を担いでいる 「日本においては、特別措置法で、その規定がない、と言うことに過ぎない。なければ、作ればよい。特措法改正をしたときに、もっといろいろできるようにすればよかっただけだ」、憲法改正する口実に憲法問題を持ち出しているとすれば、罪が深い。 「尾身会長を「都合よく使う」菅政権の重罪、政府が専門家の価値を暴落させる」 東京オリンピック(五輪)(その18) 「菅首相」はどうもオリンピックが始まってしまえば、国民はオリンピックに熱狂することに賭けているようだ。無論、そんな本音は口に出す訳にはいかない 尾身会長は、これまで専門家としての使命感から「手弁当」的な感覚で協力してきたと実感しているに違いない』、その通りだろう 「尾身氏の専門性を隠れみのにして、説明の代用にしようとすることは虫が良すぎる」、同感である。 確かに(3)の可能性が高そうだ。 さすが山崎氏らしい深い考察だ。 ローワン・ジェイコブソン 「「研究所流出説」を甦らせた素人ネット調査団、新型コロナの始祖ウイルスを「発見」!」 パンデミック発生後早い段階で「反中の陰謀説」とされてきた新型コロナウイルスの「研究所流出説」がここへ来て急に見直されているのは、中国の説明がおかしいと感じた世界各地のアマチュアネットユーザーがチームを組んで否定しがたい新事実を科学界と大メディアに突きつけたからだ 「研究所流出説」も当初は少数派だったようだ。 「パンデミックが始まってからというもの、その原因に関心をもった世界各地のアマチュア20数人が独自に調査を行い、埋もれた文書を掘り起こし、断片的な情報をつなぎ合わせてきた。彼らがばらばらに発信した推理が1つ、また1つとツイッター上でつながり、やがてはまとまったストーリーが紡ぎ出されてきた。 それは言ってみれば「オープンソースの自由参加型ブレインストーミング」であり、ネット調査と市民ジャーナリズムの要素が合体した、全く新しい調査方法である」、素人集団がここまでやるとは素晴らしい。 「この雑多な背景を持つ少数のアマチュアたちがやってのけた草の根の調査報道は、21世紀の最大のスクープとなる可能性がある」、ずいぶん面白い時代になったものだ。 「情報自由法の請求記録から、ダザックが研究所流出説を潰すための公開書簡の作成を主導したことが分かっている。彼は書簡の草案を作成し、仲間の科学者たちに署名させて、それが幅広い科学者の見解を示すものに見えるように画策した」、隠蔽工作も手がこんでいるようだ 「「中国ウイルス説」を唱えるトランプ政権がエコヘルス・アライアンスへの助成金を打ち切ると、メディアはダザックを陰謀論者たちの「犠牲者」として同情的に取り上げたのだ」、皮肉なことだ。「刺激的なグループを構成していたのは、起業家やエンジニア、それにロッサーナ・セグレトという米インスブルック大学の微生物学者もいた。彼らは互いに面識はなかったが、新型コロナウイルスの起源が動物という通説に疑問をもった点が共通していた」、なるほど。 「RaTG13の遺伝子配列が、石正麗が何年も前に発表した論文に記されていた遺伝子コードの一部と完璧に一致した」、こんなことが起こり得るとは謎解きも面白そうだ。 「中国」の隠蔽工作は徹底しているようだ。 「イギリスではサンデー・タイムズが特集を組んだほか、少数のメディアが報道したが、米メディアは全く取り上げなかっのた」、そんなもだろう 「潤沢なリソースを持つ主要メディアが、調査報道で(アマチュア集団に)大幅な後れを取るなんて、さっぱり理解できない」、「主要メディア」には商業主義の制約もあるのだろう。既に長くなったので、「後編」の紹介は下記リンクの紹介に留めた。いずれにしろ、「武漢研究所」の疑いが一段と深まったようだ。 https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/06/2-361_1.php
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パンデミック(医学的視点)(その20)(コロナワクチン副反応で無視できない重大事実 体の小さい日本人が米国人並み投与量でいいか、インタビュー/東京大学医科学研究所教授 石井健 ロナワクチン「国産」が出遅れた根本原因、ワクチン輸出国だった日本が、「輸入ワクチン頼み」に落ちぶれた根本原因 開発途絶を招いた「全面敗訴」の重み) [パンデミック]

パンデミック(医学的視点)については、4月22日に取上げた。今日は、(その20)(コロナワクチン副反応で無視できない重大事実 体の小さい日本人が米国人並み投与量でいいか、インタビュー/東京大学医科学研究所教授 石井健 ロナワクチン「国産」が出遅れた根本原因、ワクチン輸出国だった日本が、「輸入ワクチン頼み」に落ちぶれた根本原因 開発途絶を招いた「全面敗訴」の重み)である。

先ずは、4月30日付け東洋経済オンラインが掲載した医療ガバナンス研究所理事長の上 昌広氏による「コロナワクチン副反応で無視できない重大事実 体の小さい日本人が米国人並み投与量でいいか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/425737
・『新型コロナウイルスワクチン接種の副反応が関心を集めている。 相馬中央病院の藤岡将医師は「2回目の接種が終わったあと2日間は倦怠感が強く、仕事の空き時間は医局で寝ていました」という。藤岡医師が勤務する病院の職員の中には、接種後の発熱・倦怠感が強く、入院が必要になった人もいるという。 コロナワクチンの副反応については、私も同じイメージを抱いている。接種者の多くが、発熱や倦怠感などを訴えている。特に2回目の接種で顕著だ』、私も先週、1回目の接種をした。幸い「副反応」は出なかったが、「2回目の接種で顕著」、まだまだ安心できないようだ。
・『副反応の疑いは0.17%  ただ、このような副反応は、厚労省の調査ではカウントされていないようだ。厚労省によると、4月18日現在、医療従事者を対象に193万111件の接種が実施され、副反応疑いとして3298件が報告されている。その頻度は0.17%だ。 コロナワクチンの副反応は、492件報告されているアナフィラキシーに関心が集まるが、ワクチン接種に伴う「強い炎症反応」に対して、厚労省は関心がない。 これではいけない。私が注目するのは死者が出ていることだ。4月21日現在、10名の死者が報告されている。死因は脳出血4例、心不全・不整脈・化膿性脊髄炎・誤嚥性肺炎・溺死・不明それぞれ1例だ。 もちろん、これだけでワクチンによるものと結論づけられない。ただ、否定もできない。医薬品の臨床試験では、原因を問わず、あらゆる死亡を有害事象として扱う。一見、無関係に見える溺死も、遊泳中や入浴中に不整脈が生じた結果かもしれない。不整脈は解剖してもわからないことが多く、このようなケースを有害事象から除外すれば、そのリスクを過小評価しかねない。 今回のケースで、私が注目するのは8例が接種後10日以内、6例が4日以内に死亡していることだ。この中には接種後4日目に脳出血で死亡した26歳女性や、3日後に死因不明で亡くなった37歳男性も含まれる。2人とも特記すべき基礎疾患はない。 彼らの死亡がワクチン接種と無関係なら、死亡日がワクチン接種数日後に集中することはない。今回の医療従事者の接種は、国立病院機構などの臨床研究としても実施されており、接種後数日以内の死亡だけ報告したという「報告バイアス」の可能性も低い。以上の事実を考慮すれば、このような死亡と接種後の炎症反応が関係している可能性は否定できない。 なぜ、こうなるのだろうか。私は、日本人に対して過剰投与になっている可能性があると考えている。 ファイザー製のワクチンの場合、3週間隔で30㎍を2回接種する。これは欧米での用量を、そのまま日本人に応用したためだ。この際に、日本人と欧米人の体格の差は考慮されていない』、「私が注目するのは8例が接種後10日以内、6例が4日以内に死亡している」、「このような副反応は、厚労省の調査ではカウントされていない」、のは接種促進へのマイナスの影響を懸念したためなのだろうか。「このような死亡と接種後の炎症反応が関係している可能性は否定できない」、「私は、日本人に対して過剰投与になっている可能性があると考えている」、なるほど。
・『日本人とアメリカ人の体格差は1.3倍  日本人成人の平均体重は男性約70kg、女性は約50kgだ。一方、アメリカ人は男性約90kg、女性約75kgだ。日本人男性は米国人の1.3倍、女性は1.5倍のワクチンを投与していると考えることもできる。 では、ファイザー製のワクチンの副反応は、投与量とどのような関係があるのだろうか。これについては、アメリカの医学雑誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』に昨年10月14日に掲載された第1相臨床試験の結果が参考になる。この試験では、試験に参加したボランティアを10㎍、20㎍、30㎍に振り分け、副反応の頻度を比較した。 18~55歳に対する2回目接種で発熱が生じた頻度は、それぞれ0%、8%、17%だし、倦怠感は33%、58%、75%、悪寒は8%、42%、58%である。副反応と接種量の間には明白な用量依存性がある。 実は、コロナワクチンの副反応は、高齢者は若年者よりも軽微だ。65~85歳に対する2回目接種では、10㎍、20㎍、30㎍投与群での発熱は、それぞれ0%、0%、8%だ。倦怠感は17%、50%、42%、悪寒は17%、8%、17%である。 体重当たりに換算すれば、日本人は欧米人の3割から5割増しのワクチンを投与されていることになる。これは欧米での投与量の40~45㎍に相当する。筆者の周囲の若年の医療従事者の多くが、倦怠感や悪寒を生じたのも納得できる。 幸い、若年者は体力がある。多少副反応が出ようが、乗りこえることができる。一方、高齢者は臓器の予備力が低く、体力もない。さらに、若年成人と比べて、10%程度体重は減少する。彼らに欧米人並みのコロナワクチンを投与すれば、どのような副反応が生じるか予想できない。 これまで、私が知る限り、ワクチンが国内外で異なる用量で用いられているケースはない。おそらく、これまでのワクチンは相当に安全性が高かったのだろう。 コロナワクチンはわからない。これまで臨床応用されたことがないmRNAベースのワクチンだからだ。日本は、国際共同研究の結果を基に特例承認することなく、独自に第1相臨床試験を実施したのに、この試験では30㎍が投与されただけで、用量設定試験は実施しなかった。安全性について検証するせっかくの機会を失った』、「体重当たりに換算すれば、日本人は欧米人の3割から5割増しのワクチンを投与されていることになる」、「日本は、国際共同研究の結果を基に特例承認することなく、独自に第1相臨床試験を実施したのに、この試験では30㎍が投与されただけで、用量設定試験は実施しなかった。安全性について検証するせっかくの機会を失った」、もったいないことをしたものだ。
・『厚労省に求められる正確な説明  もちろん、厚労省にも言い分はある。安全性の観点から海外より少ない20㎍が適切な投与量となった場合、その量での有効性を再度、第3相臨床試験で検証しなければならないからだ。ファイザー社は実施しないだろう。これでは日本にワクチンが入ってこない。 重要なのは、このような苦しい事情を、国民に正確に説明することだ。そうすれば、国民が問題点のありかを認識できる。持病をもつ高齢者はかかりつけ医で接種してもらい、主治医はワクチン接種量を減量することも可能だ。また、副反応が強ければ、早期に解熱剤、鎮痛剤を投与することもできる。要は、問題を認識すれば、それぞれやりようがあるのだ。高齢者の接種でのワクチン投与量について、再考が必要だと問題提起したい』、「このような苦しい事情を、国民に正確に説明することだ。そうすれば、国民が問題点のありかを認識できる。持病をもつ高齢者はかかりつけ医で接種してもらい、主治医はワクチン接種量を減量することも可能だ。また、副反応が強ければ、早期に解熱剤、鎮痛剤を投与することもできる」、「主治医はワクチン接種量を減量することも可能」、初めて知ったが、同氏の見解には同意する。

次に、6月2日付け東洋経済Plus「インタビュー/東京大学医科学研究所教授 石井健 ロナワクチン「国産」が出遅れた根本原因」を紹介しよう。
・『新型コロナワクチンの大規模接種が始まったが、使われているのは海外メーカーの製品だ。国内メーカーはなぜ後塵を拝したのか。 ついに日本でも新型コロナワクチンの大規模接種が始まった。 だが、接種に使われているのはアメリカの製薬大手ファイザーやモデルナが製造したワクチンだ。そこに国内メーカーが開発した「純国産ワクチン」はない。複数の候補は臨床試験段階で、実用化まではまだ時間がかかりそうだ。 実は、今回のようなパンデミック(感染症の世界的大流行)を見据え、2016年からコロナウイルスの「模擬ワクチン」の開発に乗り出していた研究者がいる。東京大学医科学研究所の石井健教授だ。 石井教授は、アメリカの規制当局であるFDA(食品医薬品局)でワクチンの基礎研究や臨床試験の審査業務に携わった経験も持つ、ワクチン研究の第一人者だ。そして、模擬ワクチン開発で活用しようとしていた技術こそ、ファイザーやモデルナが活用して開発レースで他社を圧倒した「RNAワクチン」の技術だった。 なぜ日本企業は開発レースで完全に出遅れたのか。また、石井教授が日本で進めていた模擬ワクチンのプロジェクトはなぜ頓挫したのか。これまでのワクチン産業、ワクチン行政に横たわる課題について石井教授に聞いた(Qは聞き手の質問、Aは石井教授の回答)』、日本の「ワクチン」敗戦についての、第一人者による解説とは、興味深そうだ。
・『ワクチン産業が抱えるトラウマ  Q:「敗戦」とまで言われている国内のワクチン開発状況をどう見ていますか? A:アメリカが100億ドルの予算を確保して進めてきた「ワープスピード計画」と比較すれば、実用化のタイミングでは完全に敗戦した。でもそれは想定内だ。 むしろ、先に実用化されたワクチンが予想以上に良いワクチンになったので、後発組の開発が非常にやりにくくなっている。 接種が進めば感染者は出なくなるだろうし、よいワクチンがあるのに(治験薬の有効性を確認するために)偽薬を打つプラセボ試験も行いづらくなってしまった。 Q:なぜ国産ワクチンの開発が遅れているのでしょうか? A:国産ワクチンの開発体制が整っていないのは、(技術革新が進んだ)この20年にわたって続いてきた問題だ。  とくに日本で大きいのが「ワクチン禍」。最近では子宮頸がんワクチンのケースを筆頭に、副反応の大きさに焦点が当たりがちで、単純に言うと「ワクチン嫌いの人」が多くなった。 病気を治療するものではないので、接種することによるベネフィットがわかりづらい。そうしたこともあって、日本の産業界は興味を示してこなかった。 それ以上に大きいのは、2009年に新型インフルエンザのパンデミックが起こってからの一連の出来事だった。ワクチン産業にとってのトラウマになっている。 Q:トラウマとは? A:当時も、国産ワクチンは敗戦した。国内での開発が間に合わず、海外メーカーのものを緊急輸入した。幸いにも輸入してから感染が収束に向かったため、そのほとんどを廃棄することになったわけだが。 その敗戦を受けて政府内で議論が巻き起こり、「国産ワクチンを開発する体制を整備しなくては」となった。今とほとんど同じことが、当時議論されていたわけだ。 結果、国は4社のメーカーにそれぞれ200億円から300億円という巨額の助成金を出して、次の新型インフルエンザが流行するときのために、最新鋭のワクチン工場を作らせた。製造体制を5年以内に整えて、国に納入できるようにしなさい、と。 だが、そのうちの1社、阪大微研(阪大微生物病研究会)は開発を断念し辞退。工場を建設していたものの、助成金は国に全額返還させられた。別の1社である北里第一三共(現、第一三共バイオテック)も、(製造体制の整備について)時期が遅れたという理由で遅延損害金を支払うことになった。 そのため、当時手を挙げた国内のワクチンメーカー2社にとってはいい思い出がない。今回、ワクチンメーカーの動き出しが非常に鈍かったのは、10年前のことを引きずっていたということもあるだろう』、「ワクチン禍」で「ワクチン嫌いの人」が多くなったことに加え、「2009年に新型インフルエンザのパンデミックが起こってからの一連の出来事だった。ワクチン産業にとってのトラウマになっている」、ことが業界サイドの主因のようだ。
・『海外は「有事対応」でワクチンを開発  Q:今回、当時の経験や議論を生かすことはできなかったのでしょうか。 A:インフルエンザウイルス用に当時作った設備は今回使えなかった。それに、助成金であっても、今回も大規模な工場を建設してもモノにならなかったらどうするのか、ということが頭をよぎったはず。メーカーの人ははっきりそう言わないまでも、当初積極的ではなかったのは確かだ。 だからこそ、ワクチン開発にまず名乗りを上げたのは、こうしたしがらみがなかったバイオベンチャーのアンジェスや塩野義製薬だった。 Q:仮に当初から国内メーカーにやる気があったとしても、欧米メーカーとの開発競争についていけたのかという問題もあるのではないでしょうか。 A:今回、ヨーロッパ、アメリカ、中国、ロシアは当初から巨額の予算を組んで戦争と同じような有事対応をしていた。 一方で、日本は災害規模とはいえ公衆衛生上の対応にとどまった。確かに、国の危機感とサポートの規模は明らかに違っていた。 とくに、国内でRNAワクチンの開発にすぐに取りかかれなかったのは大きい。従来の開発方法に比べて圧倒的に早く、簡便だからだ。 【キーワード解説】RNAワクチン  新たなアプローチで開発されたワクチン。従来型のワクチンは、実際のウイルスに人為的な操作を加えてから体内に送り込み、抗体を作り出すことでウイルス増殖を抑える。一方、RNAワクチンはウイルスの設計図である遺伝情報のみを体内に入れ、抗体が生み出されることを狙う。 RNAワクチンの技術そのものは20年前からあって、徐々に技術が成熟してきていた。当時からワクチン技術の「地殻変動」と呼んでいたが、破壊的なイノベーションになる可能性を秘めていた。 この技術を、国内ですぐに応用できるレベルに温めてこられなかったのは誰が悪いというわけではないが、自分自身も反省している。 Q:石井教授が開発しようとしていたモックアップ(模擬)ワクチンもこの技術を使っていました。 A:いずれ来るかもしれない感染症に対して、模擬ワクチンを作っておくというプロジェクトを進めていた。そのモックアップを作っておければ、実際に感染が広がってワクチンが必要になった場合に、すぐに本番の試験に進めるからだ。 Q:当時やろうと思ったのにはどういう経緯が? A:アメリカのFDA(食品医薬品局)に所属していたときに、「9・11」の後に炭疽菌によるバイオテロがあった。なので、緊急時にはワクチンがいきなり必要になるときがあるということを、身をもって学んでいた。 RNAワクチンという技術を知ったときに、これは緊急的な感染症のワクチンに使えるな、とすぐに思った。 その後、2015年に韓国でMERS(中東呼吸器症候群)コロナウイルスのアウトブレイク(突発的発生)があった。一気に感染者が増えて、人がどんどん死んでいた。これは間違いなく日本に来ると感じた。 絶対にやらなければと思い、(日本で)RNAワクチン研究の予算をもらった。 Q:2018年度までは研究予算が6000万円ありました。しかし、開発費用がよりかかるはずの後半にはむしろ1000万円にまで減額されています。 A:当初の計画では、2020年からMERSワクチンのフェーズ1の臨床試験を行う予定だった。 サルでの実験まではうまくいき、次はヒトでの試験をしましょうと。でもヒトでの試験をするとなると、それまで数千万円で済んでいた研究費が、数億円単位で必要になる。さすがにこの予算は国からは出せない、という話になり計画が頓挫してしまった。 国としては、企業のほうに臨床試験の費用を負担してもらってくれと。企業は、公益性が高いことなので国のほうに負担してもらってくれと。この狭間でどうしようもできなかった。 Q:企業としては収益に繋がらないから、ですね。 A:MERSのアウトブレイクはもう終息していたので、試験の現実味が薄いのも確かだった。結果的に日本で感染者は出ていなかったのでビジネスにもならない。さらに、当時はRNAワクチンについてよく知られていなくて、「そんなもの危なくて人に打てるか」という雰囲気もあった。 もしもの話だが、あのときにベンチャー企業を作って治験費用を集められていれば、今回開発に成功しているモデルナやビオンテックなどと同じような状況になっていたのかな、と思うこともある。 当時、なぜ諦めてしまったのかというと、自分自身が「狼少年」になりたくなかったからかもしれない。実際、MERSは現在もアウトブレイクを起こしてはいない。仮に開発に成功したとしても、将来的に製品としては無価値になる可能性もある。 ただ、当時実際に事を動かそうとしていたのは私だけだったので、今となっては国や企業に頼らず、各方面に必要性を主張し続ければよかったと反省している』、「今回、ヨーロッパ、アメリカ、中国、ロシアは当初から巨額の予算を組んで戦争と同じような有事対応をしていた。 一方で、日本は・・・公衆衛生上の対応にとどまった。確かに、国の危機感とサポートの規模は明らかに違っていた」、「RNAワクチン研究の予算・・・2018年度までは研究予算が6000万円ありました。しかし、開発費用がよりかかるはずの後半にはむしろ1000万円にまで減額されています。 A:当初の計画では、2020年からMERSワクチンのフェーズ1の臨床試験を行う予定だった。 サルでの実験まではうまくいき、次はヒトでの試験をしましょうと。でもヒトでの試験をするとなると、それまで数千万円で済んでいた研究費が、数億円単位で必要になる。さすがにこの予算は国からは出せない、という話になり計画が頓挫」、日本の国の支援には大きな問題があったようだ。
・『感染症の研究は“オワコン”だった  Q:2009年に新型インフルエンザのパンデミックが起きる以前も、国内でのワクチン開発体制の足腰は弱かったのでしょうか? 2007年に、国から「ワクチン産業ビジョン」という方針が出されたことがある。 【キーワード解説】「ワクチン産業ビジョン」 2007年3月に厚生労働省から発表された。「世界的にも新たな病原体が出現し続けている現在、国民を感染症から防御することは国家の果たすべき重要な役割」として、政府の取り組みや産業界のめざすべき方向性、需給安定化の取り組みなど、複数のアクションプランが示された。 1980年代以降、ワクチンの副反応によって多くの訴訟が起きていた。社会的に風当たりが強く、企業としてワクチンビジネスのうまみがなくなっていた。そのため日本発の新しいワクチンの開発が行われなくなってしまっている状況をどうにかしよう、という思いが背景にあった。 ただそれ以前に、感染症の研究はもはや“オワコン”だった。 感染症研究は先端的だと思われていなくて、分野として忘れ去られていた感があった。むしろホットだったのはがんとかゲノムとか脳の研究。免疫の領域でも、格好よかったのはワクチンとは違う分野の研究だった。 感染症、しかもワクチン研究なんてしていると「お前、大丈夫か」という感じだった。 Q:研究者としては、当然、予算配分が厚い分野に行くわけですね。 A:2000年代初めから、ゲノムやがんにお金が行きすぎていたということはあるだろう。 行きすぎ、ということはなくともバランスは取れていなかった。RNAワクチンのような破壊的なイノベーションは10年、20年の基礎研究の下地があってようやく生まれてくるものだ。そこへの国のサポートは明らかに足りなかった。 Q:改めて、ワクチンはなぜ国産である必要があるのでしょうか? A:「国防」という観点から考えれば説明は必要ないだろう。 今回だって、開発したのがアメリカだからたまたま輸入できているだけかもしれない。実際に、世界中では政治的な駆け引きに使われてしまっている。 すべて輸入すればいいじゃないかというかもしれないが、将来的に国際的な立場が弱くなって優先度が低くなった場合など、国民を守るにはどうすればいいのか。また、日本だけでバイオテロが起きる可能性もある。国産ワクチンが必要ないという議論は成り立たない。 災害が起きたときにインフラを復旧する手立てが必要なのと同じように、国産ワクチンは必要だ。 Q:アメリカのFDAにいた当時、周囲の認識も同じでしたか? A:緊急対策用のワクチンがつねに必要だということは、アメリカでは常識だった。世界中に展開する軍があるので、世界中に存在する感染症はアメリカにいなくても十分脅威だ。バイオテロ対策はもちろんだが、だからこそお金が軍から出てくる。 それに、感染症研究が日本と違って“オワコン”ではなかった。HIV などを含めて、研究予算が潤沢だった。なので、むしろ日本に戻ってきた際には他の分野に比べて予算が少ないことに改めて愕然とさせられた。 Q:日本政府はワクチンの「世界トップレベルの研究開発拠点」を作る方針です。 A:この問題は司令塔がないと動かない。ワクチンの基礎研究は文部科学省、産業化するには経済産業省、厚生労働省の中でもワクチン開発、審査、予防接種事業すべてが縦割りになっていてバラバラだ。 官僚1人ひとりは真剣にやっている。でもそれが縦割りとなっていることで、組織としてはまったく機能していなかった。 今からでも、ワクチンの基礎研究から臨床試験ができて、ビジネスの論理にかかわらず重要度の高いものから開発できるような体制を整えることが理想だ。5年、10年後に同じことが起きたときに、今までの失敗体験をすべてポジティブに変えられるような組織になればいい』、「感染症研究は先端的だと思われていなくて、分野として忘れ去られていた感があった。むしろホットだったのはがんとかゲノムとか脳の研究。免疫の領域でも、格好よかったのはワクチンとは違う分野の研究だった」、まさに「“オワコン”」だ。「ワクチンの基礎研究は文部科学省、産業化するには経済産業省、厚生労働省の中でもワクチン開発、審査、予防接種事業すべてが縦割りになっていてバラバラだ」、こんなところにまで縦割りの弊害が表れているようだ。「5年、10年後に同じことが起きたときに、今までの失敗体験をすべてポジティブに変えられるような組織になればいい」、これは単なる願望のようだ。

第三に、6月1日付けPRESIDENT Online「ワクチン輸出国だった日本が、「輸入ワクチン頼み」に落ちぶれた根本原因 開発途絶を招いた「全面敗訴」の重み」を紹介しよう。
・『ようやく「国産ワクチン」の開発に踏み切るが…  一向に収束する気配が見えない新型コロナウイルス。ようやく日本が「国産ワクチン」の開発に踏み切る。6月2日の「COVAX(コバックス)ワクチンサミット」で菅義偉首相は、国産ワクチンの研究開発拠点の整備構想を表明、官民あげてのワクチン開発が動き出す。 コバックス・サミットは日本政府と国際機関の共催だ。ワクチンの接種が遅れる日本は米国から「渡航中止勧告」を出されるなど、世界から孤立しつつある。このため、米国や欧州の主要国など30の国・地域の参加を要請。各国を巻き込んで「ワクチン後進国」の汚名返上をアピールしたい考えだ。 日本は米国のファイザーやモデルナなど3社のワクチンが薬事承認され、供給体制が整いつつある。東京や大阪など大都市を中心に65歳以上の接種が始まった。しかし、海外産のワクチンに頼る状況には変わりない。変異株がまたぞろ出てくれば、それに対応したワクチンの開発が必要になり、日本への供給は後回しになる。「コロナ優等生」と言われた台湾でも変異株が蔓延。ワクチンの接種が遅れる蔡英文総統は一転して苦しい立場に置かれている』、「コバックス・サミット」で「「ワクチン後進国」の汚名返上をアピールしたい考え」、そんなことでは「汚名返上」など及びもつかない筈だ。
・『日本は1980年代までは「ワクチン先進国」だった  日本と同様、台湾や韓国は国産ワクチンの開発に後れを取った。ワクチン接種の遅れが「経済回復の遅れ」を招く中で、日韓台の焦りの色は日に日に濃くなるばかりだ。 起死回生を目指す日本はコバックスサミットで、資金や体制面での支援のほか、実用化までの国の制度の再構築を掲げる。世界トップレベルの研究開発拠点を設けて、治験や新薬の承認などの面で規制を緩和し、大学や製薬会社が共同研究に取り組む体制を構築する。製薬会社の資金面での懸念を払しょくするために開発したワクチンを政府が買い上げる仕組みや基金設立に向けても検討する。 今や、他国のワクチンに頼る日本だが、1980年代までは「ワクチン先進国」だった。水痘、日本脳炎、百日ぜきなどのワクチンを世界に先駆けて開発、米国などに技術供与していたほどだ。 では、なぜ、ワクチンの開発が途絶するまで衰退したのか。その大きな要因の一つが訴訟だ』、「日本」が「1980年代までは「ワクチン先進国」だった」、はいいとしても、「衰退したのか。その大きな要因の一つが訴訟だ」というのは。本当だろうか。
・『副作用を恐れる保護者の判断などで接種率は一気に低下  70年ごろから、天然痘ワクチンやはしかや風疹、おたふくかぜなど予防接種や子宮頸がんワクチンでの健康被害が社会問題化し、国は相次いで起訴された。その様子をみた企業も需要が安定した予防接種用の既存ワクチンの製造だけを担う「護送船団方式」で細々と続け、新規開発に及び腰になった。 決定的だったのが92年の東京高裁での国の全面敗訴だ。世論に押される形で国は上告を断念した。94年には予防接種法が改正されて接種は「努力義務」となり、副作用を恐れる保護者の判断などで接種率は一気に下がり、それと同時に日本の製薬会社はワクチン開発から身を引き始めた。 そして薬害エイズ事件がとどめを刺した。この事件で当時の厚生省の担当課長が業務上過失致死罪で有罪判決を受けた。ワクチン接種を許可する行政も一気に腰が引けた。 ※編集部註:血液製剤についての説明が間違っていました。当該部分を削除します。(6月3日9時55分追記)』、「天然痘ワクチンやはしかや風疹、おたふくかぜなど予防接種や子宮頸がんワクチンでの健康被害が社会問題化し、国は相次いで起訴」、「92年の東京高裁での国の全面敗訴・・・94年には予防接種法が改正されて接種は「努力義務」となり、副作用を恐れる保護者の判断などで接種率は一気に下がり」、「薬害エイズ事件がとどめを刺した」、確かにこれだけ重なれば「製薬会社はワクチン開発から身を引」くのもやむを得ない。
・『米国はワクチン開発と供給に約2兆円を投資  一方、海外は事情が異なる。2000年ごろから重症急性呼吸器症候群(SARS)やエボラ出血熱、中東呼吸器症候群(MERS)など、致死率の高いウイルス感染症が次々と流行。それへの対応策として、ワクチン開発が急速に進んだ。新型コロナワクチンとして注目を集めるmRNAワクチンはもともとがんの治療手段として研究されていたが、新型コロナに応用された。 米国は01年の炭疽たんそ菌事件を契機に、感染症に対する制度や体制を抜本的に見直した。有事には保健福祉省(HHS)が司令塔になって、製薬会社や研究機関などと連携。ワクチン開発資金の支援や臨床試験(治験)、緊急使用許可といった取り組みが一気通貫で進む。 中国の隣国である台湾で、新型コロナウイルスの感染初期に感染者の爆発を防げたのはSARSでの手痛い経験があったからだ。 米国はトランプ政権時にワクチン開発と供給の計画を立ち上げ、およそ2兆円を投資した。バイデン政権は国防生産法に基づいてワクチン製造支援に企業を注力させる方針を打ち出した。中国も政府主導でワクチンを開発し、海外で供給する「ワクチン外交」に乗り出している』、「mRNAワクチンはもともとがんの治療手段として研究されていたが、新型コロナに応用された」、初めて知った。
・『画期的技術をもっていたUMNファーマは債務超過に  現在、日本では主に5社が開発に取り組み、うち4社が臨床試験中だが、年内に供給できる見通しは立っていない。寒々とした状況だが、一回消えかけたワクチン開発が盛り上がる機運はあった。09年から10年にかけて蔓延した新型インフルエンザの世界的流行だ。日本でも推定で2000万人が感染、200人を超える死者を出した。 この際、政府は約1000億円の補助金を出して国内3社に新型インフルエンザワクチンの製造工場を整備させた。しかし、インフルエンザの収束であえなく計画は立ち消えとなる。有事にしか使わないワクチンの製造設備を民間企業が維持するのは過大な負担となるからだ。 さらに14年には、鶏卵で培養する従来方法ではなく、遺伝子組み換え技術を用いて開発した同ワクチンを厚労省所管の「医薬品医療機器総合機構」に新規メーカーのUMNファーマが承認申請した。鶏卵培養だとワクチン製造に約半年かかるところ、この方法なら1~2カ月に短縮できる画期的技術だ。 当時、UMNファーマは最大8000万人分のワクチン生産能力を有する工場をもち、同社の季節性インフルエンザワクチンの原液はその後、仏サノフィの米子会社にも提供された。米国では承認されていたためだ。しかし、同機構は明確な理由を示さないまま、UMNファーマの申請を3年間放置し、同社は2017年に取り下げを余儀なくされた。その後、UMNファーマは債務超過になり、今は塩野義製薬の傘下に入っている』、「医薬品医療機器総合機構」が「明確な理由を示さないまま、UMNファーマの申請を3年間放置」、「UMNファーマは債務超過になり、今は塩野義製薬の傘下に入っている」、放置した理由などは何だったのだろう。
・『日本の「mRNAワクチン開発」は予算カットで18年に凍結済み  2010年には政府の有識者会議もワクチン製造会社の支援や開発の推進などの提言をしていたが、結局、この提言が日の目を見ることはなかった。 新型コロナワクチンの開発に道を開いたとされるmRNAワクチンでも国立研究開発法人である医薬基盤・健康・栄養研究所が開発を進めていたが、臨床試験の予算がカットされ、18年には計画が凍結された。 米バイオのモデルナが13年に47億円、16年に135億円の支援を国防省や保健社会福祉省からそれぞれ受けていたのとは対照的だ。平時での備えがあったからこそ、新型コロナの世界的感染から1年余りで同社が新型ワクチンの開発ができたのだ』、「2010年には政府の有識者会議もワクチン製造会社の支援や開発の推進などの提言をしていたが、結局、この提言が日の目を見ることはなかった」、「「mRNAワクチン開発」は予算カットで18年に凍結済み」、もっと一貫して支援策が必要だ。
・『責任をすべて行政に押し付けるのは得策ではない  米国や中国のワクチン開発は安全保障との絡みで語られることが多い。しかし、日本がいつまでもワクチンの輸入に頼るようなことにとどまれば、変異を繰り返すコロナの猛威が起きるたびに、新たなワクチンの供与を要請する事態が繰り返されることになる。財政支出で「買い占める」ことをすれば、諸外国から集中非難を受けることにもなりかねない。 ワクチン開発には巨額な資金がかかる一方で、実際に感染が起こらなければワクチンが使われることもない。研究施設や製造設備の維持にかかる負担を企業だけに課すことは難しい。 英国では製薬会社に毎年一定額を支払い、必要な時に必要な量を優先的に受け取れる「サブスクリプション(定額制)」方式の新薬の調達契約を導入している。同方式であれば、製薬会社も資金回収への懸念を抱えることなく設備を維持できる。 新型コロナ以外の感染症は今後も続く可能性はある。副作用が起こるかもしれない新型ワクチンの認可に厚労省の役人が慎重になる心情は理解できる。責任をすべて行政に押し付けるのは得策ではない。これまでの失敗を生かし、ワクチンを含めた新たな薬や治療法の開発を進められる仕組みを作らなければ、日本の感染症対策はいつまでたっても世界に劣後することになる』、「英国」での「「サブスクリプション・・・」方式の新薬の調達契約を導入」、はなかなかよさそうな方式だ。様々な工夫をして「ワクチンを含めた新たな薬や治療法の開発」を支援すべきだ。
タグ:東洋経済オンライン パンデミック PRESIDENT ONLINE 上 昌広 (医学的視点) 東洋経済Plus (その20)(コロナワクチン副反応で無視できない重大事実 体の小さい日本人が米国人並み投与量でいいか、インタビュー/東京大学医科学研究所教授 石井健 ロナワクチン「国産」が出遅れた根本原因、ワクチン輸出国だった日本が、「輸入ワクチン頼み」に落ちぶれた根本原因 開発途絶を招いた「全面敗訴」の重み) 「コロナワクチン副反応で無視できない重大事実 体の小さい日本人が米国人並み投与量でいいか」 私も先週、1回目の接種をした。幸い「副反応」は出なかったが、「2回目の接種で顕著」、まだまだ安心できないようだ。 「私が注目するのは8例が接種後10日以内、6例が4日以内に死亡している」、「このような副反応は、厚労省の調査ではカウントされていない」、のは接種促進へのマイナスの影響を懸念したためなのだろうか。 「このような死亡と接種後の炎症反応が関係している可能性は否定できない」、「私は、日本人に対して過剰投与になっている可能性があると考えている」、なるほど。 「体重当たりに換算すれば、日本人は欧米人の3割から5割増しのワクチンを投与されていることになる」、「日本は、国際共同研究の結果を基に特例承認することなく、独自に第1相臨床試験を実施したのに、この試験では30㎍が投与されただけで、用量設定試験は実施しなかった。安全性について検証するせっかくの機会を失った」、もったいないことをしたものだ。 「このような苦しい事情を、国民に正確に説明することだ。そうすれば、国民が問題点のありかを認識できる。持病をもつ高齢者はかかりつけ医で接種してもらい、主治医はワクチン接種量を減量することも可能だ。また、副反応が強ければ、早期に解熱剤、鎮痛剤を投与することもできる」、「主治医はワクチン接種量を減量することも可能」、初めて知ったが、同氏の見解には同意する 「インタビュー/東京大学医科学研究所教授 石井健 ロナワクチン「国産」が出遅れた根本原因」 日本の「ワクチン」敗戦についての、第一人者による解説とは、興味深そうだ。 「ワクチン禍」で「ワクチン嫌いの人」が多くなったことに加え、「2009年に新型インフルエンザのパンデミックが起こってからの一連の出来事だった。ワクチン産業にとってのトラウマになっている」、ことが業界サイドの主因のようだ 今回、ヨーロッパ、アメリカ、中国、ロシアは当初から巨額の予算を組んで戦争と同じような有事対応をしていた。 一方で、日本は・・・公衆衛生上の対応にとどまった。確かに、国の危機感とサポートの規模は明らかに違っていた」 「RNAワクチン研究の予算・・・2018年度までは研究予算が6000万円ありました。しかし、開発費用がよりかかるはずの後半にはむしろ1000万円にまで減額されています。 A:当初の計画では、2020年からMERSワクチンのフェーズ1の臨床試験を行う予定だった。 サルでの実験まではうまくいき、次はヒトでの試験をしましょうと。でもヒトでの試験をするとなると、それまで数千万円で済んでいた研究費が、数億円単位で必要になる。さすがにこの予算は国からは出せない、という話になり計画が頓挫」、日本の国の支援には大きな問題 「感染症研究は先端的だと思われていなくて、分野として忘れ去られていた感があった。むしろホットだったのはがんとかゲノムとか脳の研究。免疫の領域でも、格好よかったのはワクチンとは違う分野の研究だった」、まさに「“オワコン”」だ。 「ワクチンの基礎研究は文部科学省、産業化するには経済産業省、厚生労働省の中でもワクチン開発、審査、予防接種事業すべてが縦割りになっていてバラバラだ」、こんなところにまで縦割りの弊害が表れているようだ。「5年、10年後に同じことが起きたときに、今までの失敗体験をすべてポジティブに変えられるような組織になればいい」、これは単なる願望のようだ。 「ワクチン輸出国だった日本が、「輸入ワクチン頼み」に落ちぶれた根本原因 開発途絶を招いた「全面敗訴」の重み」 「コバックス・サミット」で「「ワクチン後進国」の汚名返上をアピールしたい考え」、そんなことでは「汚名返上」など及びもつかない筈だ。 「日本」が「1980年代までは「ワクチン先進国」だった」、はいいとしても、「衰退したのか。その大きな要因の一つが訴訟だ」というのは。本当だろうか。 「天然痘ワクチンやはしかや風疹、おたふくかぜなど予防接種や子宮頸がんワクチンでの健康被害が社会問題化し、国は相次いで起訴」、「92年の東京高裁での国の全面敗訴・・・94年には予防接種法が改正されて接種は「努力義務」となり、副作用を恐れる保護者の判断などで接種率は一気に下がり」、「薬害エイズ事件がとどめを刺した」、確かにこれだけ重なれば「製薬会社はワクチン開発から身を引」くのもやむを得ない。 「mRNAワクチンはもともとがんの治療手段として研究されていたが、新型コロナに応用された」、初めて知った 「医薬品医療機器総合機構」が「明確な理由を示さないまま、UMNファーマの申請を3年間放置」、「UMNファーマは債務超過になり、今は塩野義製薬の傘下に入っている」、放置した理由などは何だったのだろう 「2010年には政府の有識者会議もワクチン製造会社の支援や開発の推進などの提言をしていたが、結局、この提言が日の目を見ることはなかった」、「「mRNAワクチン開発」は予算カットで18年に凍結済み」、もっと一貫して支援策が必要だ。 「英国」での「「サブスクリプション・・・」方式の新薬の調達契約を導入」、はなかなかよさそうな方式だ。様々な工夫をして「ワクチンを含めた新たな薬や治療法の開発」を支援すべきだ。
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パンデミック(経済社会的視点)(その15)支える側の実態4題(支援現場の医師が訴える医療者の窮状 クラスター施設職員「2~3割がうつ症状」の悲惨、医療従事者のメンタル悪化が「放置」される複雑背景 うつに不眠、「心の異変」相次ぐ医療現場の深刻実態、クラスター施設では行政の支援が待ったなし 暗中模索の医療機関、コロナで不足する「職員ケア」) [パンデミック]

パンデミック(経済社会的視点)については、3月26日に取上げた。今日は、(その15)支える側の実態3題(支援現場の医師が訴える医療者の窮状 クラスター施設職員「2~3割がうつ症状」の悲惨、医療従事者のメンタル悪化が「放置」される複雑背景 うつに不眠、「心の異変」相次ぐ医療現場の深刻実態、クラスター施設では行政の支援が待ったなし 暗中模索の医療機関、コロナで不足する「職員ケア」)を紹介しよう。

先ずは、5月2日付け東洋経済Plus「支援現場の医師が訴える医療者の窮状 クラスター施設職員「2~3割がうつ症状」の悲惨」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/26864
・『コロナ禍で医療従事者や自治体職員の心の問題が顕在化している。患者や住民を「支える立場」にある人たちへの支援が急務だ。 医療従事者や自治体職員のメンタルヘルスが悪化している。コロナ対応に追われて過重労働が常態化し、うつ症状などに悩む人が増えている。 福島県立医科大学・災害こころの医学講座の主任教授を務める前田正治氏は、クラスター(集団感染)が発生した医療・介護施設の職員のメンタルヘルス・ケアを行う。前田教授に、医療従事者らのメンタル危機を防ぐための支援のあり方などについて話を聞いた(Qは聞き手の質問、Aは前田氏の回答)。 Q:コロナ禍で、医療従事者にどのような心のストレスがかかっていますか。 A:医療従事者のうつ症状が強くなる原因は、過重労働による疲弊と、強く自分を責める感情にある。医療従事者は自分が感染する不安より、「(家族や友人などの)誰かに感染させてしまうのではないか」と自分を責める感情のほうが強い。身の周りの人が陽性者や濃厚接触者になった場合には、いっそう自分を責める感情が強くなる。 感染のリスクをゼロにはできない。だが、医療従事者は自分が感染すると社会的な制裁を受けるのではないかという不安も大きい。ある感染症病棟の看護師は、「記者会見で謝罪している自分の姿をよく思い浮かべます」と話していた。(他者に感染させるリスクへの不安から)誰にも会わなくなるなど、職場以外でも萎縮してしまう。 直接コロナ患者に接するスタッフはそれほど増やすことができず、一部の職員に負担がのしかかってしまいがちだ。現場のスタッフからは「まず何より休息がほしい」という声を聞くが、スタッフに十分な休息を与えるシフトを組むことが難しい。 こうした過重労働やストレスが、睡眠不足をもたらすこともある。コロナに対応するスタッフに最も多い訴えの一つが睡眠障害だ』、「医療従事者のうつ症状が強くなる原因は、過重労働による疲弊と、強く自分を責める感情にある」、確かに大変そうだ。
・『「火をつける」との脅しも  Q:クラスターが発生した施設では、具体的に職員の間でどんなメンタルの不調が見受けられるのでしょうか? A:次々に職員が陽性になると、残った職員に負担が集中する。家族にも話すことができず、孤立しがちだ。クラスターが発生した施設の職員に対してストレスチェックを行うと、職員の2~3割に強いうつ症状が出ている。 私が支援に入ったクラスター発生施設の職員は、(周辺の)住民から「家に火をつける」と脅されるなどの嫌がらせを受け、深刻なうつ状態に陥ってしまった。感染症病棟で働く医療スタッフの不足や、医療機関がコロナ対応を避ける状況の背景には、社会的な偏見にさらされる不安や恐怖があるのではないか。 あるコロナ重症者を受け入れている病院では、クラスターが発生して機能が完全にストップした。こうした機能不全も、自然災害ならば職員も「自分たちが災害を被った結果」だと感じるが、コロナの場合は「(感染を予防できなかった)自分たちが悪かった結果」だと感じて深く傷つきがちだ。心の傷が深いほど、職場復帰が難しくなるし、離職につながりかねない。 クラスター発生施設では施設の内外で感染ルートの疫学調査が行われるが、やり方によっては「犯人捜し」のようになる。疫学調査は犯人捜しにならないように、慎重に行うべきだ。 Q:医療従事者と同じく、保健所などの自治体職員の過重労働も問題になっています。 A:保健所も余力がまったくないほど、業務がパンクしている。休暇を取れず、うつ病で休職する職員もいる。ここで辞めれば一生の悔いが残るという気持ちから、辞めることもできない。仕事と家庭のどちらを優先させるかという葛藤に苦しんでいる。 行政に対する住民からのバッシングも起こりやすい。自然災害は一目で被災の状況がわかる。それに対して今回のコロナ禍では(影響度合いが見えづらく)さまざまな公的補償の対象が恣意的な線引きで決まり、不公平感が生まれやすい。その線引きに住民の不満が向かっている。その構図は、原発被災者にとても似ている。 連合の地方組織「連合福島」と福島県立医科大が共同で行った調査(調査期間2020年10月1日~11月23日)では、回答した連合の組合員の50.4%に強いうつ・不安症状が認められた。コロナ禍の前年(2019年)の福島県民のデータ(31.5%)と比べても著しく高かった。 (広く県民の間でも)コロナの影響は感染不安ばかりではなく、情報不安やコミュニケーションの減少など生活全般に及んでいることがうかがえる。総じて女性や医療介護職のストレスが高い結果だった。 Q:医療従事者らにどのような支援が必要なのでしょうか。 A:専門職である医療従事者へのメンタルケアが必要なのかと問われることがある。だが、福島県内で私たちが支援する病院職員らは「震災時以上に大変だ」と口をそろえる。 都道府県にはメンタルヘルスの相談窓口が設置されているが、相談を待っているだけではほとんど利用されない。顔が見られる関係でなければ相談はできないからだ。 コロナ感染症対応病棟のスタッフからは、「不安よりも不満」という言葉をよく聞く。クラスターが発生すると、時にスタッフの怒りが噴出して、病院内の管理体制では組織のコントロールができなくなることがある。 スタッフの不満が最も高まるのがクラスターの収束後、病院再開のときだ。再開の時期をめぐって、地域医療や経営を考える管理者と、過酷な状況にいる現場の看護師の間に亀裂が深まりやすい。クラスターの発生が、そのまま組織の存続危機をまねきかねない』、「クラスターが発生した施設の職員に対してストレスチェックを行うと、職員の2~3割に強いうつ症状が出ている」、「「連合福島」と福島県立医科大が共同で行った調査・・・では、回答した連合の組合員の50.4%に強いうつ・不安症状が認められた。コロナ禍の前年(2019年)の福島県民のデータ(31.5%)と比べても著しく高かった」、「クラスターが発生すると、時にスタッフの怒りが噴出して、病院内の管理体制では組織のコントロールができなくなることがある」、やはり「クラスター」は可能な限り抑え込む必要がありそうだ。
・『外部の支援が足りない  そこで必要なのが、外部の支援チームだ。福島県では県の新型コロナウイルス感染症対策本部のもとで感染症防御の専門家チームと災害派遣医療チーム(DMAT)が協働し、福島県立医科大・災害こころの医学講座の医師、臨床心理士で作る「こころのケア・チーム」がクラスター発生施設を支援している。私たちのチームでは、病院再開後1カ月間は職員のメンタルケアの支援を続けている。復興期こそ心のケアは重要だ。 なかでも必須となるのが、遠隔支援だ。私たちは事前に職員へのアンケートでうつ病などの症状を確認し、その後、ズームや電話で面談をしている。治療が必要な場合や希死念慮(自殺願望)があるような重篤なケースは、対面での面談も行っている。 施設や職員からのメンタルヘルス支援のニーズはあるものの、外部のチームによる積極的な支援はまだ一部の自治体に限られている。 通常の災害では被災地には、(病院や大学などから派遣された)こころのケア・チームの支援が入る。それがコロナ禍では感染リスクなどから、クラスター発生施設に(支援チームを)派遣することに、派遣する側の組織が消極的だ。しかし、訪問が難しい場合でもオンラインを使って支援する方法はあるので、それらを活用すべきだ』、「クラスター発生施設に(支援チームを)派遣する」、「訪問が難しい場合でもオンラインを使って支援」、その通りだ。

次に、この続き、5月2日付け東洋経済Plus「医療従事者のメンタル悪化が「放置」される複雑背景 うつに不眠、「心の異変」相次ぐ医療現場の深刻実態」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/26879
・『コロナ禍で医療従事者や自治体職員の心の問題が顕在化している。患者や住民を「支える立場」にある人たちへの支援が急務だ。 2020年12月、長野県のある公立病院では近隣の2カ所の介護施設で新型コロナウイルスのクラスター(集団感染)が発生し、多数の感染患者を受け入れた。それまで最低限の人員で回していたコロナ病棟には、新たにほかの病棟から看護師が投入された。 「準備期間がなく、ぶっつけ本番に近い状態でコロナ病棟に入った。感染防護具を着るのも初めてで、感染の恐怖は大きかった」。コロナ病棟に回された看護師は、こう振り返る。この病院では看護師5人が院内感染しているという。 コロナ患者を受け入れる別の病院で働く理学療法士の男性は、昨年11月下旬にうつ症状が現れ、通院するまでになった。症状が出る前、男性が働く病院ではクラスターが発生。自宅には生まれたばかりの子どもがいたため、家族への感染リスクを懸念し、ホテルで寝泊まりする日々が続いていた』、「理学療法士の男性は・・・うつ症状が現れ、通院する」、「家族への感染リスクを懸念し、ホテルで寝泊まりする日々が続いていた」、という厳しい勤務環境からは同情する他ない。
・『自分が"感染源"になる恐怖  地方自治体職員の労働組合の自治労(全日本自治団体労働組合)が昨年、公立病院で働く医療者に行った調査によると、コロナ患者と直接かかわる職員の約2割にうつ症状の自覚があった。 コロナの感染拡大から1年以上。足元では第4波も広まり、病院職員の間で長期戦によるメンタルの悪化が深刻さを増している。 日本赤十字社医療センター(渋谷区)が2020年4~5月に全職員に行った調査でも、うつ症状があった職員は27.9%に上った。同年11~12月に調査を再び実施したが、うつ症状の職員は25.6%と、なお高い割合だ。同センターで職員支援に当たるメンタルヘルス科の臨床心理士の秋山恵子さんは、「慢性的な疲労やストレスが蓄積しており、依然として油断できない状況だ」と危惧する。 医療者たちが共通して抱くのは、自らが感染源になる恐怖だ。札幌市内の民間病院で働く看護師の女性は、「体調を自己管理するのは限界」と悲鳴を上げる。女性が働く病院は、呼吸器専門の内科だ。 「(病院全体の)入院患者の8割が呼吸器系の重症患者だ。職員はコロナの検査をしてもらえないため、熱を測って自分で体調管理するしかない。自分がウイルスを持ち込んで患者に感染させたらと思うと不安でたまらない」 感染リスクを恐れて、家族や友人とも接触を控える生活が続く日々。そのうえ、「いつもなら同僚と愚痴を言って励まし合っていたが、病院の休憩室で話すことすら禁じられている」(複数の看護師)。 コロナ患者の対応に当たる医師や看護師の睡眠不足も深刻だ。複数の医療機関の職員の電話相談を受けている臨床心理士は、次のように現場の実情を明かす。 「医療者は自分が休むことが患者の命と関係すると考えてしまう。病棟の夢を見る、人工呼吸器のアラーム音が耳から離れないなど、睡眠に影響が出ている人が多い。本人が自覚をしていなくても、眠れているかと質問すると、平均して2~3時間しか眠れていない」』、「職員はコロナの検査をしてもらえないため、熱を測って自分で体調管理するしかない。自分がウイルスを持ち込んで患者に感染させたらと思うと不安でたまらない」、病院は「クラスター」発生を予防するためにも、自らの職員にも検査を徹底すべきだ。
・『根底にある長時間労働とパワハラ  コロナ禍以前から、医療現場は過酷な労働環境が問題視されてきた。 厚労省の「医師の働き方改革の推進に関する検討会」では、一部医師の時間外労働時間の上限を「年間1860時間」(月平均155時間相当)まで認める方針をおおむね固めている。これは、過労死ラインとされる「月80時間」の約2倍。同検討会の資料によると、約1割の医師が年間1860 時間を超えて働いている。 コロナ対応で現場が逼迫する中、経験の浅い医師にも負荷が押し寄せている。 千葉県の民間病院で働く研修医は、「若手医師の当直回数が増えている」と吐露する。「地方ではもともと医師が足りず、ベテラン医師には当直を頼みにくいため、若手に集中しがち」という。通常の研修がおろそかにされ、コロナ診療に回される研修医も多い。 研修医や、専門医の取得を目指す"専攻医"は、「上司に逆らえないうえ、自分を責めやすい」と、勤務医らで作る全国医師ユニオンの代表を務める植山直人医師は話す。 「メンタルを病んでつぶれた医師はたくさんいる。根底にあるのは、当たり前のように横行する長時間労働と、それとセットのパワハラだ。上司に長時間労働の改善を求められないし、言ったとしても相手にされない。メンタル不調に陥ると、本人の闘う気力も失われる」(植山医師) 長時間労働を背景とした医師のメンタル不調は、数字にも表れている。筑波大学医学医療系・客員准教授の石川雅俊医師が行った専攻医への調査(調査期間は2020年10月10日~23日)では、中等度の抗うつ症状があった医師は18.6%。勤務時間が長いほど、その割合が高くなることもわかった』、「厚労省の「医師の働き方改革の推進に関する検討会」では、一部医師の時間外労働時間の上限を「年間1860時間」(月平均155時間相当)まで認める方針をおおむね固めている。これは、過労死ラインとされる「月80時間」の約2倍。同検討会の資料によると、約1割の医師が年間1860 時間を超えて働いている」、「医師」の「長時間労働」はやはり酷いようだ。「メンタルを病んでつぶれた医師はたくさんいる。根底にあるのは、当たり前のように横行する長時間労働と、それとセットのパワハラだ」、「中等度の抗うつ症状があった医師は18.6%。勤務時間が長いほど、その割合が高くなることもわかった」、なるほど。 
・『"弱さを見せない"特殊な文化  過度なストレスがかかりやすい職場であるにもかかわらず、従来から医療者の心の問題は放置されやすい傾向が強い。 横浜労災病院の勤労者メンタルヘルスセンターでは、業種を問わず労働者の心の悩みのメール相談を受けている。2020年のメール相談件数は、前年の約1.6倍の1万5223件。メール相談を開始した2000年以降で過去最多となった。 だが、メール相談に応じる山本晴義センター長は、「最もストレスを感じているはずの医療者からの相談は、思っているよりも少なかった」と言う。 「医療者には『弱さを見せない』という特有の文化がある。そのため、身体に症状が出るまで我慢してしまうことが多い」。医療事故問題に詳しい早稲田大学法学学術院の和田仁孝教授は、こう分析する。 和田教授が理事を務める一般社団法人「Heals」では、医療事故を体験した医療者からの相談を受ける活動をしている。設立した理由は、医療者が事故を起こしたときに安心して相談できる場が少なかったからだ。 「医療機関は、組織の中に専門知識を持つ医師や看護師がいるため、職員へのケアは誰でもできると思われがちだ。そのため医療者への精神的なケアは、エアポケット(空白)になりやすかった」(和田教授)』、「医療者には『弱さを見せない』という特有の文化がある。そのため、身体に症状が出るまで我慢してしまうことが多い」、周囲はそれを見込んで対応する必要がありそうだ。
・『院内の窓口には「相談できない」  一定の職員数を超える医療機関は通常、職員向けの専用相談窓口を設置している。だが、その利用率は低い。自治労の調査によると、勤務している施設内にメンタルヘルス相談窓口があると答えた職員は41%だった。ただし、相談したことがあるという職員は6.5%にとどまる。 利用されにくい事情として、「相談窓口があるが、元看護部長がやっているので組織内の不満を言えない」「相談しても組織が改善されない」(複数の医療者)といった声が上がる。 前出の病院職員の電話相談を受ける臨床心理士も、「元看護部長が相談に乗っているケースは多い。経験があるだけに、『もう少しがんばってみて』と、あと一歩無理をさせてしまう」と指摘する。 「Heals」では現在、医療従事者らを対象にコロナに関する電話相談も受けている。相談内容で目立つのが、組織内部での葛藤だ。「感染リスクの高い仕事ばかりやらされる」といった不公平感や、管理職の指示などに対する不満を持つ職員からの相談が多いという。 特殊な職場環境の下、最前線でコロナ対応に当たる医療従事者のメンタルの悪化は表面化しにくい。それゆえに深刻だ。彼らの自助努力を求める体制はすでに限界を迎えている』、「勤務している施設内にメンタルヘルス相談窓口があると答えた職員は41%だった。ただし、相談したことがあるという職員は6.5%にとどまる」、やはり職場では相談し難いケースもあるだろうから、外部に設ける必要があるのだろう。

第三に、この続き、5月2日付け東洋経済Plus「クラスター施設では行政の支援が待ったなし 暗中模索の医療機関、コロナで不足する「職員ケア」」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/26880
・『コロナ禍で医療従事者や自治体職員の心の問題が顕在化している。患者や住民を「支える立場」にある人たちへの支援が急務だ。 長期化する新型コロナウイルス感染拡大への対応に追われ、うつ症状や不眠など、メンタルの悪化に苦しむ医療従事者が増えている。 医師や看護師が多数在籍する医療機関では、職員のメンタルヘルスの相談対応も、外部の専門家に任せず組織内の人間でまかなうことが多い。そのため院内に相談窓口があったところで、「(同僚や上司に)組織内部の不満を言えない」(複数の医療従事者)といった理由から、広くは利用されていないのが実態だ。 「自分たちが言ったことが組織に反映されると思われなければ、職員に面談の意味も理解されない。個別の励ましや労いの言葉より、拾い上げた声を組織づくりに生かす方が、ずっと大きな心理的サポートになる」 こう話すのは、日本赤十字社医療センター(渋谷区)・メンタルヘルス科の臨床心理士、秋山恵子さんだ。同センターではコロナの感染拡大が本格化した2020年4月、院内に職員支援の専門チーム「スタッフサポートチーム」を作り、職員のメンタルケアを開始した』、なるほど。
・『メンバーが各部署に出向く  日赤医療センターには、災害時に被災者への心理的支援などに当たる職員が「こころのケア要員」として在籍している。こうしたメンバーが中心となり、総勢31人で全職員のメンタルケアに取り組む。 職員へのメンタル支援に必要なのは、ただ話を聞くだけでなく、相談内容を組織改革などへつなげることだ。同センターの支援チームでは、これまでに延べ209人の個人面談を実施。相談者から許可を得られた意見は、各部署の上司や管理職にも報告する。 他方で前述のように、医療機関では相談窓口があっても、利用されないケースも多い。 窓口の利用を促すため、チームではまず、職員自身がストレスに気づくように啓発ポスターを院内に掲示。さらに支援を必要とする職員の声を拾い上げるため、メンバーが定期的に各部署に出向いている。職員との雑談の中で困り事はないかなどを聞き、助言を行うほか、必要に応じて個人面談を促す。 埼玉医科大学病院(埼玉県毛呂山町)も、2020年4月から精神科のメンバーが中心となり、職員からの相談を受ける「こころのケアチーム」を発足。チームの中核を担う神経精神科・心療内科の松岡孝裕医長は、「コロナ病棟で働く職員だけでなく、間接的に関わる職員のストレスも大きい」と話す。 「相談依頼は直接コロナ対応に関わる職員に加え、周辺の職員からも少なからず届く。救急外来の職員やレントゲンを撮影する検査技師、食事を運搬する職員、窓口職員など、全職種への支援が必要だ」(松岡医師) ただ、現状こうした専門チームを作れる病院は、院内に精神的ケアの専門知識を有する人材を豊富に抱える病院に限られている』、「総勢31人で全職員のメンタルケアに取り組む。 職員へのメンタル支援に必要なのは、ただ話を聞くだけでなく、相談内容を組織改革などへつなげることだ。同センターの支援チームでは、これまでに延べ209人の個人面談を実施。相談者から許可を得られた意見は、各部署の上司や管理職にも報告する」、「支援を必要とする職員の声を拾い上げるため、メンバーが定期的に各部署に出向いている。職員との雑談の中で困り事はないかなどを聞き、助言を行うほか、必要に応じて個人面談を促す」、さすが「日赤医療センター」だけあって、取り組みは本格的だ。
・『電話相談を外部に委託  コロナ禍での職員のケアを強化するため、相談窓口の運営を組織内ではなく、外部機関に委託する事例もある。 大手民間病院グループの徳洲会は2020年4月から、職員向けにメンタルヘルス相談の電話窓口を設置している。相談窓口は、企業の従業員のメンタル支援を受託する民間会社のスノーム(名古屋市)が担う。同社は医療従事者向けの相談実績もある。相談内容は相談者の許可が得られた場合にのみ、病院側にフィードバックされる。 窓口導入のきっかけは、同グループの葉山ハートセンター(神奈川県葉山町)でダイヤモンド・プリンセス号の感染患者を受け入れたことだった。 「同調圧力によって、コロナ患者への対応に不安があっても言い出せない職員がいるのではないか」。 そう考えた同グループの医療安全・質管理部の野口幸洋課長補佐は、臨時的な電話相談窓口を設置し、職員へ周知した。「まずは病院側が、職員をフォローしているというメッセージを明確に示すことが重要だった」(野口氏)。 職員支援の必要性を即座に考えた背景には、災害支援での経験があった。 徳洲会では、災害時に医師や看護師で作るチームを被災地に派遣する仕組みがある。被災地に派遣された職員には、派遣直後と3カ月後にメンタルチェックを必ず行う。実際、水害支援に入った職員が被災地を思い出し、フラッシュバックを起こしたケースもあったという』、「徳洲会」の「葉山ハートセンター・・・でダイヤモンド・プリンセス号の感染患者を受け入れたことだった。 「同調圧力によって、コロナ患者への対応に不安があっても言い出せない職員がいるのではないか」。 そう考えた同グループの医療安全・質管理部の野口幸洋課長補佐は、臨時的な電話相談窓口を設置し、職員へ周知した。「まずは病院側が、職員をフォローしているというメッセージを明確に示すことが重要だった」(野口氏)。 職員支援の必要性を即座に考えた背景には、災害支援での経験があった」、早手回しに「職員支援」の体制を整えたというのはさすがだ。
・『休職者も出るクラスター施設  一方、医療機関の中でも突出して職員のメンタル支援の必要性が高まっているのが、クラスター(集団感染)が発生した施設だ。 厚生労働省によると、全国でクラスターが発生した医療機関と福祉施設は4648施設に上る(4月26日時点)。ひとたびクラスターが発生すると、別の業務に当たっていた職員も突然、コロナ対応の最前線に立たされる。職員が次々に陽性になると、残った職員に業務の負荷が集中する。 「クラスターが発生した施設では職員のメンタルケアが後回しになり、休職者が出るほど(メンタルの悪化が)深刻になる」 沖縄県立総合精神保健福祉センターの宮川治所長は、こう警鐘を鳴らす。沖縄県では2020年8月から同センターが中心となり、クラスターが発生した医療・介護施設の職員に対してメンタル支援を行ってきた。 同県では、コロナ対策本部の中に災害派遣精神医療チーム(DPAT)の調整本部を設置。DPATとは、災害時に被災者のメンタルケアや精神科病院の運営支援を行う専門チーム。地域の医療機関などから集められた医師や看護師で構成される。宮川所長が調整役となり、DPATや沖縄県公認心理師協会が、クラスター発生施設の職員のストレスチェックやカウンセリングに当たっている。 県のコロナ対策本部の中に、職員支援の調整機能を位置づけた意味は大きい。支援の存在が医療機関や介護施設側に周知され、クラスター発生の初期段階からのケアが可能となった。2021年3月末までに沖縄県では16施設に支援を実施した。 クラスター発生時には、経営存続を考える管理者側と過酷な環境で働く現場職員の間に溝が生まれやすい。「管理者からの情報不足により、職員の不満はたまる。職員支援では、両者のコミュニケーションの潤滑油となり、両者間の溝を埋める役割になる」(宮川所長)』、「沖縄県」では「コロナ対策本部の中に災害派遣精神医療チーム(DPAT)の調整本部を設置。DPATとは、災害時に被災者のメンタルケアや精神科病院の運営支援を行う専門チーム」、「DPATや沖縄県公認心理師協会が、クラスター発生施設の職員のストレスチェックやカウンセリングに当たっている」、「クラスター発生時には、経営存続を考える管理者側と過酷な環境で働く現場職員の間に溝が生まれやすい。「管理者」と「職員」の「コミュニケーションの潤滑油となり、両者間の溝を埋める役割になる」、なかなかいい仕組みだ。
・『自治体で取り組みに温度差  もっともクラスター発生施設の職員への積極的なメンタル支援は、一部の自治体に限られる。 累計のコロナ陽性者数が最も多い東京都では、沖縄県のようなDPATの仕組みはまだ活用されていない。都内にある3つの精神保健福祉センターでは、クラスター発生施設から要請を受けた場合に職員支援を行う仕組みがある。各センターへの取材によると、東京都立精神保健センター(台東区)では、6施設への支援を実施したが、他の2センターでの実施はなかった。 2021年3月末、厚労省は「新型コロナウイルス感染症感染制御等における体制整備等に係る DPAT の活用等について」という依頼を各自治体に通知し、DPATの活用を促した。ただ、同省の地域医療計画課の担当者は「DPATの派遣状況は把握していない」と言う。 国はコロナに対応できる医療機関の拡充を進めている。だが、代わりの効かない医療者の多くがメンタル不調に陥れば、病院の存続自体が危うくなる。医療機関独自の取り組みだけでなく、行政主導で実効力のある職員支援の拡充が急がれる』、「DPATの活用を促した」のに、「同省の地域医療計画課の担当者は「DPATの派遣状況は把握していない」、無責任だ。把握すべきだろう。「医療機関独自の取り組みだけでなく、行政主導で実効力のある職員支援の拡充が急がれる」、同感である。
なお、この他のパンデミックについては、後日、改めて取上げるつもりである。
タグ:パンデミック (経済社会的視点) 東洋経済Plus (その15)支える側の実態4題(支援現場の医師が訴える医療者の窮状 クラスター施設職員「2~3割がうつ症状」の悲惨、医療従事者のメンタル悪化が「放置」される複雑背景 うつに不眠、「心の異変」相次ぐ医療現場の深刻実態、クラスター施設では行政の支援が待ったなし 暗中模索の医療機関、コロナで不足する「職員ケア」) 「支援現場の医師が訴える医療者の窮状 クラスター施設職員「2~3割がうつ症状」の悲惨」 「医療従事者のうつ症状が強くなる原因は、過重労働による疲弊と、強く自分を責める感情にある」、確かに大変そうだ。 「クラスターが発生した施設の職員に対してストレスチェックを行うと、職員の2~3割に強いうつ症状が出ている」、「「連合福島」と福島県立医科大が共同で行った調査・・・では、回答した連合の組合員の50.4%に強いうつ・不安症状が認められた。コロナ禍の前年(2019年)の福島県民のデータ(31.5%)と比べても著しく高かった」、「クラスターが発生すると、時にスタッフの怒りが噴出して、病院内の管理体制では組織のコントロールができなくなることがある」、やはり「クラスター」は可能な限り抑え込む必要がありそうだ。 「クラスター発生施設に(支援チームを)派遣する」、「訪問が難しい場合でもオンラインを使って支援」、その通りだ。 「医療従事者のメンタル悪化が「放置」される複雑背景 うつに不眠、「心の異変」相次ぐ医療現場の深刻実態」 「理学療法士の男性は・・・うつ症状が現れ、通院する」、「家族への感染リスクを懸念し、ホテルで寝泊まりする日々が続いていた」、という厳しい勤務環境からは同情する他ない 「職員はコロナの検査をしてもらえないため、熱を測って自分で体調管理するしかない。自分がウイルスを持ち込んで患者に感染させたらと思うと不安でたまらない」、病院は「クラスター」発生を予防するためにも、自らの職員にも検査を徹底すべきだ。 「厚労省の「医師の働き方改革の推進に関する検討会」では、一部医師の時間外労働時間の上限を「年間1860時間」(月平均155時間相当)まで認める方針をおおむね固めている。これは、過労死ラインとされる「月80時間」の約2倍。同検討会の資料によると、約1割の医師が年間1860 時間を超えて働いている」、「医師」の「長時間労働」はやはり酷いようだ。「メンタルを病んでつぶれた医師はたくさんいる。根底にあるのは、当たり前のように横行する長時間労働と、それとセットのパワハラだ」、「中等度の抗うつ症状があった医師は18. 「医療者には『弱さを見せない』という特有の文化がある。そのため、身体に症状が出るまで我慢してしまうことが多い」、周囲はそれを見込んで対応する必要がありそうだ。 「勤務している施設内にメンタルヘルス相談窓口があると答えた職員は41%だった。ただし、相談したことがあるという職員は6.5%にとどまる」、やはり職場では相談し難いケースもあるだろうから、外部に設ける必要があるのだろう。 「クラスター施設では行政の支援が待ったなし 暗中模索の医療機関、コロナで不足する「職員ケア」」 「総勢31人で全職員のメンタルケアに取り組む。 職員へのメンタル支援に必要なのは、ただ話を聞くだけでなく、相談内容を組織改革などへつなげることだ。同センターの支援チームでは、これまでに延べ209人の個人面談を実施。相談者から許可を得られた意見は、各部署の上司や管理職にも報告する」、「支援を必要とする職員の声を拾い上げるため、メンバーが定期的に各部署に出向いている。職員との雑談の中で困り事はないかなどを聞き、助言を行うほか、必要に応じて個人面談を促す」、さすが「日赤医療センター」だけあって、取り組みは本格的 「徳洲会」の「葉山ハートセンター・・・でダイヤモンド・プリンセス号の感染患者を受け入れたことだった。 「同調圧力によって、コロナ患者への対応に不安があっても言い出せない職員がいるのではないか」。 そう考えた同グループの医療安全・質管理部の野口幸洋課長補佐は、臨時的な電話相談窓口を設置し、職員へ周知した。「まずは病院側が、職員をフォローしているというメッセージを明確に示すことが重要だった」(野口氏)。 職員支援の必要性を即座に考えた背景には、災害支援での経験があった」、早手回しに「職員支援」の体制を整えたと 「沖縄県」では「コロナ対策本部の中に災害派遣精神医療チーム(DPAT)の調整本部を設置。DPATとは、災害時に被災者のメンタルケアや精神科病院の運営支援を行う専門チーム」、「DPATや沖縄県公認心理師協会が、クラスター発生施設の職員のストレスチェックやカウンセリングに当たっている」、「クラスター発生時には、経営存続を考える管理者側と過酷な環境で働く現場職員の間に溝が生まれやすい。「管理者」と「職員」の「コミュニケーションの潤滑油となり、両者間の溝を埋める役割になる」、なかなかいい仕組みだ 「DPATの活用を促した」のに、「同省の地域医療計画課の担当者は「DPATの派遣状況は把握していない」、無責任だ。把握すべきだろう。「医療機関独自の取り組みだけでなく、行政主導で実効力のある職員支援の拡充が急がれる」、同感である。 なお、この他のパンデミックについては、後日、改めて取上げるつもりである。
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パンデミック(医学的視点)(その19)(PCR宗教戦争がコロナ第3波で再び 「国民全員検査」で本当に感染拡大は止まるのか、イベルメクチンに超期待する人が知らない真実 コロナ治療薬?「過熱報道と臨床現場の温度差」、政府が決して言わない、進化生物学的に見て危険な「日本のワクチン接種計画」の"あるリスク" 変異とワクチンのイタチごっこ…) [パンデミック]

パンデミック(医学的視点)については、1月28日に取上げた。今日は、(その19)(PCR宗教戦争がコロナ第3波で再び 「国民全員検査」で本当に感染拡大は止まるのか、イベルメクチンに超期待する人が知らない真実 コロナ治療薬?「過熱報道と臨床現場の温度差」、政府が決して言わない、進化生物学的に見て危険な「日本のワクチン接種計画」の"あるリスク" 変異とワクチンのイタチごっこ…)である。

先ずは、2月15日付けダイヤモンド・オンライン「PCR宗教戦争がコロナ第3波で再び、「国民全員検査」で本当に感染拡大は止まるのか」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/262508
・『止まらぬコロナ感染拡大に2度目の緊急事態宣言を余儀なくされた日本。有症状者や濃厚接触者(感染対策なしに、検査陽性者と接触した者)に限って検査を行ってきた政府の戦略に、再び批判の目が向けられている。特集『免疫力の嘘』(全13回)の#1では、第1波からくすぶってきた「国民全員PCR検査」で感染拡大を食い止めることはできるのかを検証する』、私は「国民全員に検査」との立場をとってきたが、その妥当性が批判されているようだ。
・『無症状者が多く感染者の可視化が困難 全員検査で隔離すれば「ゼロコロナ」にできる?  新型コロナウイルス第3波を迎え、昨年の第1波以来、「PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)論争」が再び勃発している。「国民全員に検査」VS「有症状、濃厚接触者など必要な人を対象とすべき」といった構図である。 日本がコロナ対策としてクラスター(感染者集団)追跡に検査のリソースを絞る方針を採ったこと、そして第1波では、症状があったり濃厚接触者であったりしても、大都市圏を中心に検査を受けるまでに数日かかってしまう事例が続出したことで不安が広がり、それがメディアやSNSで盛んに取り上げられるようになったからだ。 確かに、国民全員にPCR検査をして陽性になった人を他人に感染させなくなるまで隔離すれば、他の人はこれまでと同じ生活を送れるし、隔離施設の中でコロナウイルスも撲滅できて一石二鳥のように思える。 しかも、感染すると症状が現れる確率の高いインフルエンザと異なり、コロナは無症状の感染者が多く、コミュニティーの中で感染者を可視化しにくい厄介な性質を持っている。だから無症状者も含め、広く検査をしようというのは単純明快で分かりやすいロジックだ。 「簡単に受けられない」となれば「何としても受けたい」と思うのが人情。検査を受けたいというニーズともマッチして、世論も一時期は「国民全員PCR検査」に大きく傾いた。とはいえ、その後は行政の検査のキャパシティーも充足し始め、PCR論争は下火となっていった。 そこへ、第3波。各地で連日過去最高の新規感染者数を更新する事態となり、再び検査のリソースが逼迫している。ここで「全員にPCR検査をすれば感染拡大を防げた」という論調が息を吹き返してきた。しかし東京大学公共政策大学院の鎌江伊三夫特任教授は「国民全員PCR論は、大規模検査の“わな”を見落としている」と指摘する。そのわなとは何だろうか』、興味深そうだ。
・『まずは、この数字を見てほしい。下のような三つの集団があるとしよう。 
(1)1000人中500人が真の感染者(有病率50%)
(2)1000人中100人が真の感染者(有病率10%)
(3)1000人中10人が真の感染者(有病率1%)
実は、この集団に対して、PCR検査を行うと、このようなバラツキのある結果となる。
(1)陽性適中率=98.59%、陰性適中率=76.74%
(2)陽性適中率=88.61%、陰性適中率=96.74%
(3)陽性適中率=41.42%、陰性適中率=99.69%
つまり、(3)では「本当は陽性ではないのに陽性の結果となる人が60%近くもいる」のだ。なぜ、このような事態になるのか、説明していこう。 大前提として、100%正しい結果を出せる、つまりは検査結果と実際の感染が100%一致する検査は、現状この世に存在しない。 感染してからの日数で検出できる体内の細菌やウイルス量が異なっていたり、検査の標的とは異なる物質に試薬などが反応してしまう場合があるためである。「技術的な問題なら改善すればいい」といっても仕方がない。 100%の正しい結果を出せない、ということは「陽性ではないのに陽性という結果になる偽陽性」と「陰性ではないのに陰性という結果になる偽陰性」が生じるということでもある。今、ちまたに溢れているPCR検査の論争は、この「偽陽性&偽陰性」が起こす「人道的観点&経済性」の問題を無視したものがほとんどだ。 検査能力を表す指標に「感度」「特異度」の二つがある。感度は、全員が特定の病気にかかっている集団を検査した場合、どのくらいの割合を陽性と判定できるかという能力を表したものである。特異度は、逆に全員が特定の病気にかかっていない集団に検査をした場合、どのくらいの割合を正しく陰性と判定できるか、だ。 コロナのPCR検査の能力はまだはっきりとした結論は出ていないが、各種論文によれば感度70%、特異度99%というのがある程度のコンセンサスになっている。) その条件を当てはめたものが、前述の三つの集団への検査結果だ。下図の式で求めることができる。 図表:偽陽性、偽陰性、陽性的中率、陰性的中率の求め方(リンク先参照) 感度70%、特異度99%のコロナPCR検査で、(1)1000人中500人が真の感染者(有病率50%)(2)1000人中100人が真の感染者(有病率10%)(3)1000人中10人が真の感染者(有病率1%)、それぞれの集団に検査をした場合の陽性適中率と陰性適中率を求めると(小数第3位以下四捨五入)
(1)陽性適中率=98.59%、陰性適中率=76.74% 
(2)陽性適中率=88.61%、陰性適中率=96.74% 
(3)陽性適中率=41.42%、陰性適中率=99.69%。 
となる。陽性適中率は検査で陽性と判定された人のうち本当に感染していた人の割合、「陰性適中率」はその逆である。繰り返すが、(3)では陽性の結果でも、陽性ではなかった人がおよそ58.58%で、人数で言えばおよそ10人(9.9人)も含まれるのだ』、確かに(3)の「陽性適中率」の低さは問題だ。
・『大規模検査は逆に感染拡大のリスク大 多くの“ぬれぎぬ”者を出す人道的問題もはらむ  つまり、検査を行う人の中にどのくらいの割合で真の感染者がいるか(有病率)によって、同じ検査でもその値が変わってしまうわけだが、ここでPCR論争における両派が、検査のターゲットにすべきだと主張する集団を振り返ってみよう。 まず「有症状もしくは無症状なら濃厚接触者など必要な人を対象とすべき」派は、感染している恐れがある、つまり有病率がある程度高いであろう層をターゲットに絞って検査をすべきだと解釈できる。 一方「国民全員PCR」派が想定するターゲットは、有症状や濃厚接触者の集団と比較すると、はるかに低い有病率であることは容易に想像できる。日本で最も感染がまん延している東京都でも、12月に実施されたコロナの抗体検査(陽性なら過去の感染を意味する)で陽性は0.9%だった。 つまり、先ほど求めた数字なら(3)に近いわけで、陽性適中率は有病率が低いほど下がり、陰性適中率は逆に上がる。実はこの数字から「国民全員PCR」派が主張する大規模検査の重大な欠陥をあぶり出すことができる。 まずは、陰性適中率。(3)の陰性適中率は99.69%だから、「本当は感染ありなのに陰性と判定された人(偽陰性)」は、わずか0.3%ほどで、問題がないように思える。しかし、なにしろ「国民全員PCR」なのである。感染拡大を防ぐ上では、陰性適中“率”よりも絶対数の方がはるかに重要になるのだ。 ここでは計算式は省くが、(3)の条件(1%の有病率)では偽陰性は200人の集団なら1人出るか出ないかだ。ところが、100万人が対象では、偽陰性が3000人程度も出てしまう計算になる。 (3)は三つの条件の中で、最も偽陰性率が低いのに、その結果なわけだから、有病率の高低にかかわらず、まず大規模検査自体が本当は感染しているのに“陰性”のお墨付きを得た人を大量に街に放出するリスクが非常に高いのだ。その上、「検査で陰性なら」と、マスクなどの感染対策をしないで他人と接する可能性も十分考えられる。 現在の検査の能力では、大規模検査が逆に感染を拡大させてしまう恐れがあることは、PCR検査を論じる上で、まず知っておく必要がある』、「大規模検査自体が本当は感染しているのに“陰性”のお墨付きを得た人を大量に街に放出するリスクが非常に高いのだ。その上、「検査で陰性なら」と、マスクなどの感染対策をしないで他人と接する可能性も十分考えられる」、確かにその通りだ。
・『もう一つ、感染拡大の観点以外でも「国民全員PCR」派が見落としている大規模検査の重大な欠陥がある。 陽性適中率は、検査対象集団の有病率が低くなるほど急激に下がっていくことを先ほど示したが、これは、有病率の低い集団に大規模検査を行った場合、本当は感染していないのに陽性と判定される(偽陽性)、つまりぬれぎぬを着せてしまう人を大量に出すことを意味するのだ。 例えばある集団の中で陽性者が出て、濃厚接触者50人に検査をするとしよう。この場合の有病率を10%と仮定(日本におけるPCR検査の陽性率を参考に設定した)すると、偽陽性者は1人出るか出ないか。一方で、1%の有病率である100万人を対象とした場合、偽陽性者は9900人となる。 国民全員PCR派は、偽陽性者も見越して複数回の検査を行うとしているが、1回目の検査でぬれぎぬを着せられた9900人は次の検査までいったん隔離せざるを得ない。彼らは、「全員が検査を受けることで、国民の不安が解消される」と主張しているが、これだけ多くの偽陽性者が隔離対象となることについて、人道的観点とコストの面からどのように考えているのだろうか。 数百万、数千万人に何度も検査したり隔離のために生じる莫大なコストを考えれば実現性にも乏しい』、「1回目の検査でぬれぎぬを着せられた9900人は次の検査までいったん隔離せざるを得ない」、その通りだ。
・『コストに対する解決策としては、一人一人の検体を個別に検査する従来の方式ではなく、複数人の検体を交ぜて検査し、陽性となれば個別に検査をするという「プール検査」という方式も登場してはいる。 これなら大規模検査も可能だと、国民全員PCR派は言うが、鎌江特任教授によれば、このプール検査は、有病率が低くなるにつれ、陽性適中率が個別検査よりさらに低くなり、偽陽性者もより多く出てしまう(下図)。 図表:PCR検査能力の方式別の比較と有病率による変化(リンク先参照) 「本来、PCR検査は、病院など感染リスクが高く有病率も高いと推定される環境で、治療を前提とした診断の確定を目的として行われるべきもの。さらに集団に行うのであれば、陰性適中率の低さを改善するために複数回の繰り返し検査が必要となる」(鎌江特任教授)。いくらコストが抑えられるといっても、検査の正確性が格段に落ちるようでは費用対効果の面でも疑問は残る。) 最後に、海外の事例についても触れておこう。というのも、PCR検査に関する議論では外国では「検査が多数行われている」と引き合いに出す論者が多いからだ。しかし、実際に、各国の人口当たりのPCR検査数と感染者数に相関は全く見られない。(下図) 最後に、海外の事例についても触れておこう。というのも、PCR検査に関する議論では外国では「検査が多数行われている」と引き合いに出す論者が多いからだ。しかし、実際に、各国の人口当たりのPCR検査数と感染者数に相関は全く見られない。(下図) 図表:各国・地域人口当たりのコロナ検査数と感染者数の比較(リンク先参照)  しかも、PCR検査数上位20の国の中で、感染者数上位20にもランクインしている国が七つもあることから、検査数の多さが感染拡大予防に寄与しないことは明白なのである。 従って、大規模検査は感染拡大にも寄与しないし、費用対効果も疑問と言わざるを得ない。 大規模検査を主張する有識者には医師も多いが、「医師など医療関係者には、検査の科学的根拠に基づく論議を望みたい」(鎌江特任教授)。 中には、PCR検査をマネタイズしたいという思惑が見え隠れする医師もいる。もし、メディアで大規模検査の有用性を主張する医師がいれば、周囲でPCR検査のビジネスをやっていないか確認してみるとよいだろう』、「PCR検査をマネタイズしたいという思惑が見え隠れする医師もいる」、とんでもない話だ。
・『日本人にとって検査は好きなときに受けられるもの 自費PCR検査産業が生まれるのは必然だった  日本人にとって「検査」は身近だ。病院や診療所を受診して疑わしき症状があれば、医者も「では検査しましょう」と気軽に勧めてくる。「希望すれば検査を受けられる」。それがこれまでの日本の当たり前だった。それがコロナで症状が出ているのに検査を受けられない事態になれば、パニックになるのは必然だ。 人々の不安につけ込んだ新たな市場が生まれるのは世の常である。都市部では激安PCR検査センターが雨後のたけのこのように現れ、薬局でキットも販売されるようになっている。そこに群がる者を生み出したのは、不安をあおったメディアの罪も大きいが、国が検査戦略の科学的根拠について分かりやすい説明をしなかったという誹りも免れない。 自費PCR検査産業の誕生は、このようなパンデミック(世界的大流行)において、行政と市民のコミュ二ケーションエラーが招いた産物であるということは、教訓として残していかなければならないだろう。 鎌江伊三夫(かまえ・いさお)/東京大学公共政策大学院特任教授、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。1977年京都大学工学部、85年神戸大学医学部卒業。95年米ハーバード大学公衆衛生学博士取得。93年より島根医科大学、神戸大学、慶應義塾大学大学院、明治大学などで教鞭を執り、現職。』、「不安をあおったメディアの罪も大きいが、国が検査戦略の科学的根拠について分かりやすい説明をしなかったという誹りも免れない」、確かに国の説明責任を果たしていないのも問題だ、

次に、3月13日付け東洋経済オンラインが掲載したジャーナリストの岩澤 倫彦氏による「イベルメクチンに超期待する人が知らない真実 コロナ治療薬?「過熱報道と臨床現場の温度差」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/416242
・『首都圏の緊急事態宣言は3月21日まで再延長された。新型コロナウイルスの新規感染者数は、大きく減少しているが、まだ次のステップに進む道筋は見えない。 こうした中、「イベルメクチン」という薬が注目を集めている。海外で新型コロナの予防や治療に高い効果を示したとして、「奇跡の薬」「コロナ特効薬」と一部メディアが称賛。早期承認を求める声が高まり、個人輸入でイベルメクチンを服用する人も急増しているようだ。 盛り上がる「イベルメクチン現象」に対して、新型コロナの治療にあたる医師や医薬品の専門家は危機感を募らせている。それはいったいなぜか? コロナ治療薬をめぐって、錯綜する情報と診療現場の現実を追った──』、興味深そうだ。
・『コロナ軽症者の孤独と死の恐怖  「PCR検査の結果は陽性でした。すぐ保健所から連絡がありますので、指示に従ってください」 新型コロナウイルスの感染は電話で告げられた。翌日、筆者は民間の救急車で療養施設のビジネスホテルに運ばれ、隔離生活が始まった。 「コロナはただの風邪」という声をよく聞く。 感染しても大半が無症状で済むからだろう。しかし、私は違っていた。 激しい頭痛と、焼けるような咽頭痛。せきの発作が起きるたび、肺の内側を針で刺されたような痛みが走る。熟睡できない日々が続き、体力と気力が奪われていく。重症化する予感が頭から離れない。 オンライン診療で(といっても電話)医師に症状を伝えると、処方薬がホテルに届いた。それは葛根湯やせき止めなどの一般的な風邪の治療薬。世界的な脅威のコロナに感染しても、そんなものかと唖然とした。 自宅やホテル療養になると、それなりに症状があっても医師の診察は受けられない。朝夕2回、体温と酸素飽和度を看護師に電話で申告するだけ。ほぼ、医療からも隔離された状態になる。 呼吸が苦しいなどの異常を感じたときは、「コロナ119番」に自分で連絡して、助けを呼ぶように保健所から指示された。でも、本当に苦しいときに、電話などできないだろう。この時期、自宅やホテル療養中の人が死亡するケースが続出したが、誰がそうなっても不思議ではない。私は1週間を過ぎると症状が一気に鎮まって、9日間の療養生活で退所した』、「処方薬がホテルに届いた。それは葛根湯やせき止めなどの一般的な風邪の治療薬」、当初は軽症者への治療法は確立してなかったので、そんなものなのかも知れない。
・『埼玉医科大学総合医療センターで、新型コロナ対応の指揮をとる感染症専門医の岡秀昭教授。当初、世界中が手探りだった新型コロナの治療が、この1年間で劇的に変化したと話す。 「新型コロナの肺炎は、ウイルスを排除する免疫が暴走してしまうサイトカインストームによって、肺に炎症を起こし、呼吸が苦しくなることがわかってきました。そこでデキサメタゾン(ステロイド)を入れて炎症を鎮める。炎症が起きると血液が凝固してしまうので、ヘパリンという血液をサラサラにする薬で凝固を食い止める。酸素吸入が必要な患者には、これが最も効果的でスタンダードな治療法になっています」 「当初、理論的にはステロイドは使わないほうがいい、と言われていました。ステロイドには炎症を鎮める効果だけでなく、免疫をつかさどる白血球の動きを止めてしまう働きがあるからです。かえってコロナウイルスが元気になってしまうだろうと考えられていたんですね」 「ステロイドの治療がスタンダードになったのは、イギリスで多くの患者を対象にした、質の高いRCT(Randomized Controlled Trial)と呼ばれる『ランダム化比較試験』で、死亡率を下げることが証明されたからです」 「注意したいのは、軽症患者にステロイドを使うと免疫が下がり、かえって感染症を悪化させて逆効果になる可能性です。それにステロイドの副作用で全身状態を悪化させてしまう場合がありますので、ステロイドは軽症者に使いません」 岡教授によると、残された課題は軽症者を重症化させない薬だという。コロナの場合、すでにある薬を使う「リポジショニング」が圧倒的に多いが、前評判の高い薬が臨床試験で否定されるケースが続いている』、「イギリスで多くの患者を対象にした、質の高いRCT」、日本で目先の治療に手一杯で、RCTなど行われてないのではなかろうか。
・『イベルメクチンも明確な有効性は証明されていない  「例えば、ヒドロキシクロロキンという、アメリカのトランプ前大統領が服用した抗マラリア薬は、臨床試験で有効性がないと判定されました。注目を集めたアビガンも有力な候補ですが、まだ有効性は証明されていません。 話題のイベルメクチンも質の高い大規模な臨床試験で有効性が証明されておらず、ガイドラインでも推奨されていません。未承認の薬なので、現場で患者を実際に診ている私たち医師は研究目的以外には処方していないのです」 一般社会に広まる情報と診療現場にはギャップがある、と話す岡教授。 だが最近になって一部メディアが「奇跡の薬」「コロナの特効薬」として、イベルメクチンを取り上げるようになっている。 1974年、北里研究所の室長だった大村智博士は、静岡県のゴルフ場の土壌から新種の放線菌を発見。これをアメリカ・メルク社との共同研究を経て誕生したのが、抗寄生虫薬・イベルメクチンである。 アフリカや中南米などに蔓延するオンコセルカ症は、失明に至る恐ろしい病だが、メルク社と北里研究所はイベルメクチンを無償で配布した。これによって中南米のオンコセルカ症は、根絶された。イベルメクチンによる寄生虫治療が評価され、大村博士は2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。 イベルメクチン(商品名:ストロメクトール)は、日本で寄生虫や疥癬(かいせん)の治療薬として承認されたが、新型コロナの治療薬としては未承認だ。 北里大学では、「COVID-19対策北里プロジェクト」を寄付金で立ち上げ、イベルメクチンの医師主導治験(臨床試験)は公的研究費で行われている。 同プロジェクトの司令塔を務める花木秀明教授は、イベルメクチンの新型コロナの予防と重症化を防ぐ、2つの効果が海外で報告されたと話す。 「南米のペルーでは、去年の新型コロナ第1波が来たとき、60歳以上の住民に、イベルメクチンを8つの州で予防薬として無料配布しました。すると新規感染者数と死亡者数が、一気に減少したのです(グラフの青色部分)。 第2波が来ても、下げ止まりしたままでした。 一方、首都のあるリマ州は、3?4カ月遅れでイベルメクチンを配布したので、新規感染者数と死亡者数も配布と同時に減少していることがわかります(グラフの赤色部分)」 (外部配信先ではグラフを全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください) 花木教授によると、イベルメクチンの治療効果に関しては、バングラデシュ、エジプト、トルコ、インドなど世界27カ国、86件の臨床試験(RCTを含む)や観察研究が行われているという。また、17件のRCTを対象にしたメタアナリシス(複数の論文を解析する研究)で、「初期治療で71%の改善」「後期治療で50%の改善」「予防投与で91%改善」という結果が出たという(「COVID-19 early treatment:real-time analysis of 319 studies」の研究結果。これは医学誌に掲載された論文ではない)』、なるほど。
・『第3波の影響で臨床試験は事実上ストップ  現在、北里大がイベルメクチンの第2相臨床試験を行いながら、コロナ治療としての承認を得ようとしている。だが第3波の影響で、遅れが出ていることを花木教授は明らかにした。 「患者が急増して、イベルメクチンの臨床試験は事実上ストップになりました。治療が優先だからです。東京都医師会や都立病院が臨床試験に参加してくれることになりましたが、空白期間を巻き返せるかわかりません。 イベルメクチンは30年以上、年間約3億人が服用して、大きな副作用もなく、価格も安い。海外で有効性が報告されているので、第2相臨床試験の結果をもって特別な承認も検討してもらいたい」 (筆者注:医薬品の承認は通常は第3相臨床試験まで必要)) イベルメクチンがコロナ治療薬として承認されるのを待ちきれず、「実力行使」に出る人たちも現れている。個人輸入で海外のイベルメクチンを購入する方法だ。ツイッターには、その体験談があふれている。 「わが家では家族そろって2回目を飲み終えました」 「ワンシートが12ミリグラムだと勘違いして2粒24ミリグラム飲んでしまいました。とくに体調に変化なし」 「早速1錠服用したが、とくに副作用もなし。いろいろみて医療従事者ではないからまた2週間後という独自判断」このように個人輸入した人たちの大半が医師や薬剤師に相談もせず、ネットの情報や経験者のアドバイスを参考にして服用している。また海外で行われている臨床試験の用法用量などを勝手に解釈し、ツイッターに掲載している個人輸入の業者もいる。このような服用は極めて危険だ。 イベルメクチンは臨床試験によって、プロトコール(治験実施計画)が違う。1回のみの服用もあれば、連続5日間服用の研究もある。1回の服用量もさまざま。しかも海外のイベルメクチンは1錠当たりの量が違うのだ。 「イベルメクチンは安全な薬」とされるが、それは承認された効能効果のために、定められた用法用量が前提である。新型コロナの予防や治療としての有効性と安全性が担保された用法用量は、まだ確立されていない。 加えて、海外の医薬品は偽物のリスクが避けられない。すでにメキシコでは、「偽イベルメクチン」が出回っていることが報道されている』、「第3波の影響で臨床試験は事実上ストップ」、やむを得ないとはいえ、残念だ。ただ、そうなると、「イベルメクチンがコロナ治療薬として承認されるのを待ちきれず、「実力行使」に出る」ケースが増えてしまうのも困ったことだ。
・『「過剰摂取すると死亡する可能性」とFDAが警告  一般の人が自己判断でイベルメクチンをコロナ治療薬として服用する問題は、世界各地でも起きている。 今月5日、アメリカの食品医薬品局(FDA)は、「新型コロナの予防や治療にイベルメクチンを服用すべきではない理由」とする注意喚起を行った。 「コロナ治療薬としてのイベルメクチンは、まだ初期研究の段階だ。未承認の段階で、イベルメクチンを服用するのは非常に危険である。『イベルメクチンを大量に服用しても大丈夫』という情報は間違い。イベルメクチンの過剰摂取は、嘔吐、下痢、アレルギー反応、めまい、発作、昏睡、そして死を引き起こす可能性がある」(※一部抜粋・要約)) 3月4日、信頼性の高いアメリカ医師会の医学誌『JAMA』に、コロンビアで行われたイベルメクチンの研究論文が公表された。新型コロナの軽症患者400人をランダムに2つのグループに分け、5日間連続でイベルメクチンを投与したグループ、プラセボ(偽薬)を投与したグループを比較したRCTである。この結果、コロナの症状が解消するまでの期間に2つのグループに統計的な有意差はなかった。 北里大・花木教授は、この研究について次のように指摘する。 「この論文は、悪化率がイベルメクチン投与群で2.2%(6人/275人)、プラセボ群で3.0%(6人/198人)でした。通常、感染者の20%が悪化するので、本治験は信じられないほど低い数字です。97%以上が自然治癒する母集団になります。この母集団ではイベルメクチンが効いても効かなくても有意差はつきません。 このRCTの本来の目的はイベルメクチンの悪化率抑制ですが、悪化する患者がいないので目的を達成できず、そのために目的を変更しています。通常、治験の根幹となる目的変更を行ったRCTの信頼度はとても低くなります。ほかにもプラセボが準備されていないのに試験を開始するとか、プラセボ群の75人にイベルメクチンを投与するとか、95%以上が在宅患者など、どうやって治験をコントロールしているのか不思議な治験だと思います」 一方、医薬品の臨床試験に長く関わっている、日本医科大学の勝俣範之教授(腫瘍内科)は、別の見解を示した』、「RCTの本来の目的はイベルメクチンの悪化率抑制ですが、悪化する患者がいないので目的を達成できず、そのために目的を変更しています。通常、治験の根幹となる目的変更を行ったRCTの信頼度はとても低くなります」、「悪化する患者がいない」のであれば、「目的変更」もやむを得ない。
・『コロナ軽症患者に大きな有効性は認められない?  「イベルメクチンの研究は、後ろ向き研究や小規模の前向き研究(※)など、信頼性の乏しいものばかりでした。今回の研究はイベルメクチンの有効性を検証した、初めての質の高い大規模臨床試験の結果です。評価を悪化率から完全寛解率に変更したり、一部のプラセボ群にイベルメクチンが投与されるプロトコール違反があったりするなど、問題点も見受けられました。 ただし、その問題点を考慮して、完全寛解率75%と計算、誤って有意差が出なくするエラーを20%に保つようにして、プロトコール違反があった症例を除いて解析するなどしています。さらに複数の方法で念入りに解析した結果、イベルメクチン投与群とプラセボ投与群に有意差はみられませんでした。少なくとも、コロナ軽症患者に、イベルメクチンは大きな有効性は認められないと判断してよいでしょう」 (※後ろ向き研究は、治療が終了した患者を対象に、仮説を立てて過去にさかのぼって原因と結果を研究する手法。研究側の選択バイアスがかかりやすい。治療開始から追跡する前向き研究のほうが、質が高い)) 実は、コロナ軽症患者を対象にした治療薬の候補として、イベルメクチン以外にも複数の薬が存在している。その1つが痛風治療薬のコルヒチン。カナダ、アメリカなど6カ国が参加したCOLCORONA試験では、重症化リスクのある軽症患者4488例が対象。コルヒチン投与群は、30日後の死亡および入院リスクが、プラセボ群より21%抑制された(公表データは査読前論文)。 日本でコルヒチンの医師主導治験を進めている、琉球大学の植田真一郎教授(臨床薬理学講座)に研究の意義を聞いた。 「コロナウイルスの変異株が出ているので、ワクチンだけでコロナを解決できるかどうかわかりません。少なくとも軽症患者が重症化しない治療薬があれば、病床逼迫も回避できるはずです』、「病床逼迫も回避」のためにも「軽症患者が重症化しない治療薬」も重要だ。
・『日本でコルヒチンがまったく評判になっていない理由ですか?  それは治験中に期待を持たせすぎると、患者の誘導になるので、私たちが積極的にアピールしていないからでしょう。有効性があるか否か、わからないから治験を行うのです。それなのにコロナに効くというイメージを、患者に与えるのは倫理的に問題です」(琉球大・植田教授) 国のコロナ対策や専門家に対して不信感が深まり、SNSでは個人の思い込みや根拠に乏しい情報が飛び交うようになった。一例として、「アビガンが承認されていないのは陰謀」という説が一部で信じられている。 医薬品の承認を受ける際のRCTは、「治験薬」か「プラセボ(偽薬)」か、患者にはわからないようにするのが大原則。アビガンの場合、それが不完全だったというのが真実だ。現在、アビガンは再審査に向けて臨床試験の準備が進められている』、「アビガン」は安部前首相が入れあげていたが、審査で忖度なしに不合格にした厚労省は立派だった。
・『イベルメクチンを特効薬とする報道は論外  医薬品の承認審査に詳しい東京大学薬学部の小野俊介准教授は、イベルメクチンをめぐる騒動についてこう述べた。 「ちょっと頭を冷やして、と言いたいですね。コロナ禍という非常事態であっても、イベルメクチンを特効薬とする報道は論外です。現時点では、イベルメクチンは効くかもしれないし、効かないかもしれない。 RCTにも、研究によって信頼性に差があるので、海外のデータが日本で同じ結果になるとは限らない。薬の審査は、そんなに単純なものではありません。質の高い数千人、数万人の大規模臨床試験を行わない限り、当面の有効性はわからないのです」 軽症患者の治療薬があれば、新型コロナも「ただの風邪」として、恐れる必要はなくなるかもしれない。いま日本を含めた世界各地で、さまざまなコロナ治療薬の臨床試験が進んでいる。その結果は、そう遠くない時期に判明するはずだから、一部メディアの情報に惑わされず、もうしばらく冷静に見守りたい』、薬事審査は雑音に煩わされずに済々と進めてほしいものだ。

第三に、4月18日付けPRESIDENT Onlineが掲載した岡山大学学術研究院 環境生命科学学域 教授の 宮竹 貴久氏による「政府が決して言わない、進化生物学的に見て危険な「日本のワクチン接種計画」の"あるリスク" 変異とワクチンのイタチごっこ…」を紹介しよう。
・『なぜこんなに変異型が増えるのか?  イギリス型、ブラジル型、南アフリカ型と新型ウイルス(SARS-CoV-2)の変異体が世界的に増えている。巷ちまたでは「なぜこんなに変異型が増えるのか?」という声をよく耳にするようになった。 なぜなのか? それは変異することが生物の基本だからである。 私たちの顔つきや、体格、性格がみんな違うように、すべての種類の生物に変異は見られる。その変異は次の世代に受け継がれ、つまりコピーされ、また世代をつないだ変異だけが生き残れる。進化生物学的に考えると、ウイルスに変異体が現れるのは当たり前だ』、「ウイルス」についてじっくり考えてみる価値もありそうだ。
・『変異と薬剤開発の繰り返し…  「農薬抵抗性」という言葉をご存じと思う。これも生物の変異がもたらす結果である。 私の専門は昆虫学なので、害虫防除の過程で生じた話に少しお付き合いいただきたい。夏になると害虫が増える。増える勢いがすさまじいと、人は農薬の散布に頼らざるを得ない。すると必ず問題になるのが、農薬に抵抗性を持った害虫のタイプ、つまり変異体が現れて農薬が効かなくなることだ。これが農薬抵抗性である。 抵抗性を持った害虫が蔓延まんえんすると、農薬会社は新しい農薬の開発に資本を投資する。やっと開発された農薬もまた撒まき続けると、その農薬に抵抗性を持った変異体が現れ、多くのケースで害虫の抵抗性獲得と新たな農薬開発の「鼬いたちごっこ」が始まる。 薬剤に対する抵抗性と、薬の開発との「鼬ごっこ」は、農業害虫の話だけではない。世間でよく知られているように、病院の中で抗生物質に抵抗性を持つ病原菌が出現し、新たな抗生剤を投与しなくてはならなくなる院内感染菌もまた、製薬会社による新薬の開発と病菌による抵抗性獲得の「鼬ごっこ」を繰り広げているのだ』、生物(ウィルスを含む)にとって「変異体」は生き残り戦略のようだ。
・『害虫駆除の「不妊化」という方法)  害虫の駆除法に話を戻そう。 環境に優しい害虫防除法が最近ではつぎつぎと開発されている。その1つに、虫のオスを大量に増やして不妊にし、野外に放す「不妊化法」と呼ばれる駆逐法が流行はやっている。 ブラジルや中国では、伝染性の病気を媒介する蚊を根絶するために、不妊化した蚊を大量に野に放つプロジェクトが展開されている(*1)。 不妊化したオスは野生のメスと交尾するが、不妊オスと交尾したメスは子供を残せない。毎世代、たくさんの不妊オスを放つと、ついには根絶に至るという害虫の根絶方法で、その原理は1950年代にアメリカで生まれた(*2)』、「不妊化法」「の原理は1950年代にアメリカで生まれた」、さすが「アメリカ」だ。
・『世界初の大規模成功例は「日本」  主に海外で展開されているこの不妊化法であるが、世界で初めて大規模スケールで害虫の根絶に成功したのは、実は日本である。 みなさんは、沖縄産のゴーヤー(ニガウリ)やマンゴーを食べたことがあるだろう。こうした沖縄産の野菜や果物を、東京や大阪で食べることができるようになったのは、比較的最近で1993年以後である。1993年は野菜と熱帯果樹の大害虫であるウリミバエが、不妊化法によって南西諸島から根絶された年となる。 この根絶プロジェクトは、農林水産省と沖縄と鹿児島の両県が莫大な予算を投じて害虫であるウリミバエを増やし、コバルト60を照射して不妊にしたオスを野に放ったもので、野に放たれたオスは野生メスをひたすら探し出して交尾をせんとする。 不妊オスと交尾できた野生メスは卵を産むが、不妊オスの異常精子を授精しても卵は孵かえらず、子を残せない。圧倒的な数の不妊オスを撒き散らすと、野生メスは数世代で野生のオスと出会う機会がなくなり、その種は根絶にいたる。南西諸島でヘリコプターから地上に撒き散らかされた不妊オスの数は、毎週1億匹であり、根絶までにはのべ530億匹の不妊オスが放たれた(*3)。 この巨大プロジェクトの成功によって、1993年には南西諸島のすべてからウリミバエは一匹残らず駆逐された(*3)。そして、沖縄や奄美で栽培された野菜や果物は日本全国に流通するようになった』、「世界初の大規模成功例」は「ウリミバエが、不妊化法によって南西諸島から根絶」とは初めて知った。「沖縄や奄美で栽培された野菜や果物は日本全国に流通するようになった」、ご利益あらたかだ。
・『抵抗性を持ったメスが登場  ウリミバエの根絶は薬剤抵抗性のような駆除する側と駆除されるものとの果てしない戦いである「鼬ごっこ」が生じない完璧な駆逐法だと、誰もが考えた。そして不妊化法は、環境にやさしい害虫防除法として、一躍有名になり、世界中に広まった。 しかし、その華やかな表舞台の裏で、不妊オスに対する抵抗性をもった野生メスが進化していたことを示唆しさするデータがあることはほとんど知られていない。不妊オス抵抗性をもったメスの出現である。 不妊化されたオスと野生オスを見分けることのできる野生メスが出現したことを当時のデータは示している(*4)。先述したとおり、あらゆる生物には変異がある。オスを見分けるメスの能力にだって、個体による差があるのは当然だ』、「不妊化されたオスと野生オスを見分けることのできる野生メスが出現した」、とは驚かされた。
・『時間を与えず一気に殲滅せよ  不妊オスとの交尾を避けるメスが、野外で進化した──。 この事実は関係者を震撼しんかんさせた。そして対策がとられた。不妊オス抵抗性が進化したとされる沖縄本島、中部の勝連半島に、大量の不妊オスを追加で放したのである。この地域には石油コンビナートの基地があり、ヘリコプターを飛ばせず、空中散布することができなかったことも、この地域でウリミバエを完全に根絶できなかった大きな要因であった。 沖縄県のウリミバエ対策本部がとった手段は、人海戦術だった。来る日も来る日も、大量の不妊蛹を衣装ケースに詰めて車に乗せ、現地に運び人の手で不妊オスを撒き続けた。 当時、担当部署で働いていた私は、毎朝、ウリミバエの生産工場に行き、仲間とともに大量の不妊蛹を衣装ケースに詰めては車に乗せ、現場に出向いて野山に撒き続けた。大量の不妊オスでその地域が満たされれば、不妊オスを見分ける能力を持ったメスとて、選ぶための野生オスに出会えないという論理である。 この作戦は見事に功こうを奏そうし、1990年にはウリミバエを沖縄本島から駆逐できたのだった。 このことから関係者が学んだ大切なことがひとつある。敵を駆逐するには、「大量の不妊オスで、一気に野生メスを囲い込み、即時に1匹残らず駆逐してしまわなければならない」ということだ。野生メスに不妊オスを選ばせる時間的なゆとりを与えては、抵抗性の反撃にあって作戦は壊滅するのだ』、「ヘリコプターを飛ばせず」、「私は、毎朝、ウリミバエの生産工場に行き、仲間とともに大量の不妊蛹を衣装ケースに詰めては車に乗せ、現場に出向いて野山に撒き続けた」、ご苦労なことだ。
・『ワクチン接種の「先送り」は進化生物学的に正しくない  新型のコロナウイルスもハエと同じ生物である。そのため、常に変異し続けている。ウリミバエが卵から親になって子を産むまでは1カ月はかかるが、ウイルスは半日から1日程度で世代交代が起きる(*5)。つまり、変異体の現れるスピードが圧倒的に早いわけだ。 新型コロナウイルスが中国・武漢に出現してわずか2カ月の間に世界で3つのタイプの変異型が生じたことは2020年の同じ時期に寄稿した(参考記事はこちら)。 変異したウイルスのほとんどは、ワクチンによって感染できなくなるだろう。しかし、わずかでもワクチンによる防御を見破る仕組みを持ったウイルスが現れると、その変異ウイルスはワクチン接種が速攻で進まない地域においては、ウイルスの大半を占めるように進化してしまうと予測される。 インフルエンザウイルスに複数のタイプがあり、そのタイプによってワクチンによる対処法が異なるのはお馴染なじみだ。 いったん、ワクチンの防御システムを破る変異体が出てくれば、感染源のある地域では、その変異体が一気に蔓延する可能性がある。ワクチンは、その地域にある感染源に一気にできる限り多くの人に接種して、感染源をなくすことが、進化生物学的に考えると大切なのである。 この件に関して「先送り」は生物学的に正しくない』、「ウイルスは半日から1日程度で世代交代が起きる・・・つまり、変異体の現れるスピードが圧倒的に早いわけだ」、「わずかでもワクチンによる防御を見破る仕組みを持ったウイルスが現れると、その変異ウイルスはワクチン接種が速攻で進まない地域においては、ウイルスの大半を占めるように進化してしまうと予測される」、恐ろしいことだ。
・『「ワクチン後」の世界に起こること  これまで新型コロナウイルスは、ワクチンの存在しない世界で感染を爆発的に拡大させてきた。ここで立ち止まって、少し考えてみてほしい。 ワクチンのない「これまで」と、ワクチンの存在する「これから」では、ウイルスの変異の仕方はどう変わるだろうか。 これまではウイルスに生じたほぼすべての変異が生き残ることができたに違いない。イギリス型のように感染力のより強い変異体は、より生き残りに長けていたので、あっと言う間に従来のものと置き換わってしまった。さて、ワクチン接種が始まったあとでは、どのような変異体が生き残りやすいだろうか。 ワクチンによって人が獲得した免疫に防御される変異体は、今後は容易には生き残れない。 ウイルスは常に変異し続けている。無数の変異のなかに1個でも免疫をかいくぐる仕組みを持った変異体は、ワクチンの抵抗性を獲得したウイルスとして、あっと言う間に地域にそして全国に拡散するだろう。大事なことは、ウイルスにそのような変異を起こす時間的なゆとりを与えるのは、限りなく危険な行為だということだ。 たとえば小さな離島のように、ある地域で一気に全員にワクチンを接種できるのは、進化生物学的に考えると理想である。ウイルスの感染源が消滅するため、ウイルスも消滅するしかない。しかし、地域の一部の人たちにワクチンを接種して、徐々にその地域の人間集団全体に接種を広げていく手法が、とても時間のかかるものであった場合……その結末は想像に難くない。 ハエやヒアリの根絶でも同じなのだが、被害(感染)の激しいところを集中的に叩きつつ(「封じ込め」)、そこへの「移動規制」をどう徹底していくかが肝要なのだ』、その通りだろう。
・『反撃を許す時間を与えることは、変異を許す時間を与えること  突然変異はランダムに、しかも非常に早い速度で黙々とウイルスに生じている。 たいていの変異は、抵抗性とは関係のない小さな変異であるのは確かだろう。けれども、ランダムに生じるのだから、ワクチン抵抗性に関連した部位に変異が生じる可能性も否定できない。 進化の目はその突然変異を見逃すはずがなく、そして瞬またたく間に抵抗性を持った変異体が蔓延する恐れがある。敵に反撃を許す時間を与えることは、抵抗性の変異を許す時間を与えることになる。 2021年3月8日、南アフリカ型の変異体の性質が従来のワクチンによる予防効果を脅おびやかすという研究結果がNature誌に公表された(*6)。この結果は別の研究チームによっても支持されている(*7)。 ウイルスは絶えず変異している。進化生物学的に考えると、ワクチン抵抗性を持ったウイルスはいつ現れてもおかしくない。 いったんそれが現れると、ワクチン接種というウイルスに対しての選択圧から逃れたその変異体は、一気に世に蔓延するだろう。そして製薬会社と抵抗性ウイルスとの「鼬ごっこ」が始まり、私たちはまた一からすべてのことをやり直さなくてはならない』、後手に回って、「「鼬ごっこ」が始まる」事態は何としても避けたいものだ。
タグ:東洋経済オンライン パンデミック ダイヤモンド・オンライン PRESIDENT ONLINE (医学的視点) 岩澤 倫彦 (その19)(PCR宗教戦争がコロナ第3波で再び 「国民全員検査」で本当に感染拡大は止まるのか、イベルメクチンに超期待する人が知らない真実 コロナ治療薬?「過熱報道と臨床現場の温度差」、政府が決して言わない、進化生物学的に見て危険な「日本のワクチン接種計画」の"あるリスク" 変異とワクチンのイタチごっこ…) 「PCR宗教戦争がコロナ第3波で再び、「国民全員検査」で本当に感染拡大は止まるのか」 国民全員PCR論は、大規模検査の“わな”を見落としている 確かに(3)の「陽性適中率」の低さは問題だ。 「大規模検査自体が本当は感染しているのに“陰性”のお墨付きを得た人を大量に街に放出するリスクが非常に高いのだ。その上、「検査で陰性なら」と、マスクなどの感染対策をしないで他人と接する可能性も十分考えられる」、確かにその通りだ 「1回目の検査でぬれぎぬを着せられた9900人は次の検査までいったん隔離せざるを得ない」、その通りだ 「PCR検査をマネタイズしたいという思惑が見え隠れする医師もいる」、とんでもない話だ。 「不安をあおったメディアの罪も大きいが、国が検査戦略の科学的根拠について分かりやすい説明をしなかったという誹りも免れない」、確かに国の説明責任を果たしていないのも問題だ 「イベルメクチンに超期待する人が知らない真実 コロナ治療薬?「過熱報道と臨床現場の温度差」」 「処方薬がホテルに届いた。それは葛根湯やせき止めなどの一般的な風邪の治療薬」、当初は軽症者への治療法は確立してなかったので、そんなものなのかも知れない。 「イギリスで多くの患者を対象にした、質の高いRCT」、日本で目先の治療に手一杯で、RCTなど行われてないのではなかろうか 「第3波の影響で臨床試験は事実上ストップ」、やむを得ないとはいえ、残念だ。ただ、そうなると、「イベルメクチンがコロナ治療薬として承認されるのを待ちきれず、「実力行使」に出る」ケースが増えてしまうのも困ったことだ 「RCTの本来の目的はイベルメクチンの悪化率抑制ですが、悪化する患者がいないので目的を達成できず、そのために目的を変更しています。通常、治験の根幹となる目的変更を行ったRCTの信頼度はとても低くなります」、「悪化する患者がいない」のであれば、「目的変更」もやむを得ない 「アビガン」は安部前首相が入れあげていたが、審査で忖度なしに不合格にした厚労省は立派だった。 薬事審査は雑音に煩わされずに済々と進めてほしいものだ。 宮竹 貴久 「政府が決して言わない、進化生物学的に見て危険な「日本のワクチン接種計画」の"あるリスク" 変異とワクチンのイタチごっこ…」 生物(ウィルスを含む)にとって「変異体」は生き残り戦略のようだ 「不妊化法」「の原理は1950年代にアメリカで生まれた」、さすが「アメリカ」だ。 「世界初の大規模成功例」は「ウリミバエが、不妊化法によって南西諸島から根絶」とは初めて知った。「沖縄や奄美で栽培された野菜や果物は日本全国に流通するようになった」、ご利益あらたかだ。 「不妊化されたオスと野生オスを見分けることのできる野生メスが出現した」、とは驚かされた。 「ヘリコプターを飛ばせず」、「私は、毎朝、ウリミバエの生産工場に行き、仲間とともに大量の不妊蛹を衣装ケースに詰めては車に乗せ、現場に出向いて野山に撒き続けた」、ご苦労なことだ。 「ウイルスは半日から1日程度で世代交代が起きる つまり、変異体の現れるスピードが圧倒的に早いわけだ」 「わずかでもワクチンによる防御を見破る仕組みを持ったウイルスが現れると、その変異ウイルスはワクチン接種が速攻で進まない地域においては、ウイルスの大半を占めるように進化してしまうと予測される」、恐ろしいことだ 後手に回って、「「鼬ごっこ」が始まる」事態は何としても避けたいものだ。
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パンデミック(経済社会的視点)(その14)(緊急時に司令塔があいまいな菅政権…分科会メンバーが指摘する “第3波で痛感した日本型組織の弱点”、ワクチン確保計画は破綻寸前!? 河野ワクチン担当大臣周辺や各省庁の不協和音、小田嶋氏:宣言解除に神風は吹くのだろうか) [パンデミック]

パンデミック(経済社会的視点)については、1月29日に取上げた。今日は、(その14)(緊急時に司令塔があいまいな菅政権…分科会メンバーが指摘する “第3波で痛感した日本型組織の弱点”、ワクチン確保計画は破綻寸前!? 河野ワクチン担当大臣周辺や各省庁の不協和音、小田嶋氏:宣言解除に神風は吹くのだろうか)である。

先ずは、2月13日付け文春オンラインが掲載した東京財団政策研究所研究主幹の小林慶一郎氏による「緊急時に司令塔があいまいな菅政権…分科会メンバーが指摘する “第3波で痛感した日本型組織の弱点”」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/43451
・『「文藝春秋」3月号に寄稿した「 コロナ第3波『失敗の本質』 」では、コロナ対策に深くかかわるメインプレイヤーとして、菅義偉首相、分科会、厚生労働省、都道府県知事、世論(国民)の5者を挙げ、緊急事態宣言の再発出に至るコロナ対策の意思決定について、何が失敗だったのか、今後の対策においてどのような点に注意すべきか、問題提起をしています。 分科会メンバーの一人である私がなぜこのような記事を書いたのか。それはコロナ対策の政策決定に関わる問題点を広く一般国民に知ってもらうべきだと考えたからです。コロナ対策の中心は「国民の行動変容」ですが、それは、全国民の協力がなければできません。国民一人一人の納得と協力を得る上で、コロナ対策の政策決定のプロセスがどうなっているのか、意思決定システムの問題点は何か、広く知ってもらうことは極めて重要だと考えました』、「分科会メンバーの」「小林氏」の主張とは興味深そうだ。
・『コロナ禍でも“平時の仕組み”を変えられなかった  第3波を経験する中で、何より痛感したのは、コロナ禍という、政治家のトップダウンが必要な有事において、平時のボトムアップの意思決定の仕組みを変えられなかったことが問題の本質なのではないかということです。感染拡大の危機に直面しても、なかなか政策転換できなかった理由の一つは、政策決定する政治家と、彼らに進言する役人や学者の関係が平時と変わらなかったためと思われます。コロナ禍においては、専門家の意見は参考にしつつも、それに依存せず、国家国民の視点で即断即決する政治が必要とされているのです。 この記事ではいくつか問題点を指摘しましたが、その後、さまざまな動きが起きています。緊急事態宣言は3月7日まで延長されることになりました。記事では、「分科会は医療行政や医療界への遠慮があるためか、医療提供体制について意見を言わない」と書きましたが、宣言延長が決まった2月2日の分科会提言には、医療提供体制の拡充について多くの内容が盛り込まれました。同日、政府から水際対策の強化も発表されました。 変異種の侵入を少しでも減らすためには水際対策をさらに強化するべきだと思い、原稿でもその問題点を指摘しましたが、一歩前進ではあります。一方、接触確認アプリCOCOAがアンドロイドのスマホでは9月から機能していなかった、という政府の本気度に首を傾げたくなる事案も発覚しました』、「政治家のトップダウンが必要な有事において、平時のボトムアップの意思決定の仕組みを変えられなかったことが問題の本質」、とはさすが的確な指摘だ。
・『拙速な緊急事態宣言解除は危ない  記事の目的は、菅首相や厚生労働省など特定の個人や組織を貶めることではありません。長丁場が予想されるコロナ対策をどのような体制で進めて行ったらいいのか。今後、意思決定の見直しが重要です。 たとえば、分科会には医療施設の管理や災害時の医療体制についての専門家が入るべきかもしれません。また、変異種に対する水際対策などに関しては、今のところ感染症専門家が主導していますが、国内に侵入する前に感染拡大を水際で止めるためには、安全保障や危機管理の専門家が主導すべきかもしれません。 ワクチンについても、いま重要な意思決定の問題があります。ジョンソン・エンド・ジョンソンが開発したワクチンは、接種は1回だけでよく、何か月も通常の冷蔵庫で保存できます。運搬や管理が圧倒的に楽で「プロジェクトX」のような困難なしに接種ができるはずですが、このワクチンの採用を日本政府は積極的に検討しているように見えません。スムーズなワクチン接種がもたらす大きな経済社会的利益を考えるならば、政治がリーダーシップを発揮して、このワクチンの確保を検討すべきではないでしょうか。 コロナとの戦いが始まってから1年がたちました。第3波の山は少しずつ収まりつつありますが、拙速に緊急事態宣言を解除すれば再び感染が拡大して3度目の緊急事態宣言を発出することになりかねません。 いまは行動制限で感染拡大を抑えこみ、その後は高齢者施設や繁華街で頻繁なPCR検査を行ってリバウンドを防ぎ、最終的にはワクチンの普及でコロナを収束させる……これが政府の目論見ですが、今後も未知の事態に襲われることも十分あり得ますし、コロナとの戦いに収束の目途が立ったとは言えません。今回の私の寄稿が、今後の戦いに少しでも役立つことを心から願っています。 ◆ ◆ ◆ 司令塔があいまいな日本政府、危機が高まるほど「村社会」化する各組織、現場からの情報を汲み取らなかった厚労省、時間のコストを軽視した菅首相……新型コロナウイルス感染症対策分科会のメンバーである小林氏(東京財団政策研究所研究主幹)の寄稿「 コロナ第3波『失敗の本質』 」(「文藝春秋」3月号および「文藝春秋digital」)には、過去の歴史でも繰り返された日本的な失敗についてくわしい分析がなされている。日本型組織の研究としても読まれるべき論考だ』、「PCR検査」についてはあれほど重要性が指摘されていながら、いまだに実施数が本格化しないのは、厚労省のサボタージュのような気がする。

次に、2月19日付けAERAdot「ワクチン確保計画は破綻寸前!? 河野ワクチン担当大臣周辺や各省庁の不協和音〈週刊朝日〉」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/wa/2021021600057.html?page=1
・『コロナ対策の「切り札」とされるワクチン。海外から第1便の約20万人分が届き、ようやく希望が見えたかと思いきや、実は、6月末までに全国民に必要な数量のワクチンを確保するという政府の目標の達成が見通せなくなっているという、衝撃的な情報が飛び込んできた。日本が結んだ契約に、政府が目標とする「6月末まで」の記載がないというのだ。省庁間の連携も滞り、確保計画は「破綻寸前」との指摘も。 なぜこんな事態になっているのか。背景には各国がしのぎを削るワクチン争奪戦がある。欧州連合(EU)は1月末、域外へのワクチンの輸出規制を導入。出荷のたびに加盟国政府やEU当局の承認が必要とされるようになった。米国でもバイデン大統領が、国外への輸出を禁じるトランプ政権の方針を支持している。 こうした状況下で、日本政府の交渉も難航している。政府が昨年7月に米ファイザー社とワクチン供給について基本合意した際は「21年6月末までに1億2千万回分(6千万人分)」という条件だった。ところが、1月20日にファイザーと最終合意して結んだ契約は、「年内に1億4400万回分(7200万人分)」と、数は増えたが時期が半年も後ろ倒しされてしまった。厚労省の関係者は内情をこう語る。 「契約時期が変わったのはファイザーから『厳しい』と言われたから。それでも必死で交渉し、なんとか『年内』という言葉を入れた。イスラエルのように相場より高く買ったり患者のデータを提供したりと交渉の余地はあったはずだが、承認手続きや薬害、副反応のリスクを考えてどうしてもおよび腰になり、最終判断が遅れた。ファイザーはなかなか決断できない日本を横目に、他国にワクチンを回すようになってしまった」 ワクチンを思うように確保できない状況にしびれを切らした菅義偉首相は1月、官邸主導で打開しようと、河野太郎行政改革相をワクチン担当大臣に指名。河野氏の「突破力」に期待した形だが、就任早々ひと悶着があった。 1月21日に坂井学官房副長官が会見でワクチンについて「6月までに接種対象となる全ての国民に必要な数量の確保は見込んでいる」と語ったが、河野氏が翌22日、「修正させて頂く」「まだ供給スケジュールは決まっていない」などと噛みついた。両者は結局、「6月に確保することを目指す」という表現で着地したが、この騒動も契約内容の解釈を巡って勃発したという』、「承認手続きや薬害、副反応のリスクを考えてどうしてもおよび腰になり、最終判断が遅れた。ファイザーはなかなか決断できない日本を横目に、他国にワクチンを回すようになってしまった」、ワクチン入手では手痛い失敗である。
・『内情に詳しい政府関係者は、ワクチン契約をめぐる情報が行政内部でも十分に共有されていないと指摘する。 「河野氏は「『情報管理』や『機密保持』を徹底するあまり、製薬会社との交渉を担う厚労省や、輸出規制を導入したEUとの窓口になる外務省にさえ情報を伝えていない。中でもワクチンの供給契約の詳しい情報は『最高機密』で、一部の人間しか知らない。交渉にも支障が出ており、省庁間の関係もぎくしゃくしています」 自民党新型コロナウイルスに関するワクチン対策プロジェクトチームの役員会でも「契約の詳細がわからないのでEUと交渉ができない」という外務省の不満も取り上げられた。メンバーの佐藤正久参院議員が振り返る。 「厚労省の説明では、外務省の交渉担当者とは情報を共有していると言っていましたが、一部の担当者に限られるようです。相手方(製薬会社)との関係もありますし、(情報を共有する職員は)非常に限定されているのでしょう」 情報共有が十分でないことからくる不協和音は、いまや関係する各省庁に広がっている。 河野氏が担当大臣となる以前、ワクチン確保を所管していたのは和泉洋人首相補佐官や、和泉氏と「コネクティングルーム不倫疑惑」が報じられたこともある厚労省の大坪寛子審議官らを中心としたチーム。コロナ対策を担当する西村康稔経済再生担当相や田村憲久厚労相も関わり、外務省や総務省の存在も大きい。 だが、こうした厚労省を中心とした体制での契約交渉が順調だったとは言い難く、事態を打開するために河野氏が送りこまれた経緯がある。 「河野氏はこれまでワクチン確保の中心となってきた和泉氏、厚労省に代わって主導権を握り、自身に情報を一手に集めている。しかし、専門のブレーンがいないのに、外交ルートを有する外務省や製薬会社とパイプのある厚労省を遠ざけて、うまくいくのか危惧されている。いまやワクチン確保のための体制は破綻寸前の状態です」(前出の政府関係者) 各自治体が実施するワクチン接種をとりまとめる総務省の担当者も困惑しているという。) 「自治体ではいま、厚労省が示したスケジュールに間に合わせるため、医師や看護師の手配や会場の確保に追われています。各自治体の担当者から『ワクチンがどれだけ確保できるかがわからなければ準備を進められない』と突き上げられています。我々も最新データを知りたいと厚労省に再三伝えているのですが、『国内の承認を得られるまでは教えられない』の一点張り。少しの情報でもいいから提供してほしい」(地域政策課) 国際医療福祉大学医学部(公衆衛生学)の和田耕治教授は、こうした状況にこう警鐘を鳴らす。 「ワクチンの接種で重要なのは、ワクチンの『供給速度』です。世界的な争奪戦の中、いつ、どのくらいの数量を確保できるかが大事。ワクチンの必要量と供給量にギャップができれば、混乱が生じます。例えば、同じ医療従事者といっても、国内で感染者が多い地域もあれば、少ない地域もあり、優先順位を考える必要が出てくる。供給速度がわからなければ、こうした優先づけを行うのも難しく、接種のための人員や場所の用意も進められません。政府と国民の信頼関係にも響きます」 どこかの段階で、ワクチン供給のスケジュールが大幅に遅れることが判明すれば、国民は大きな衝撃や失望を受けることになる。 「現状では、国民の不安や怒りを噴出させないという意味において情報コントロールが成功してしまっているのかもしれません。ただ、ワクチンにかける期待感が失速した瞬間に、政権が国民に期待感のみを抱かせ、実体が伴っていなかったことに気付かされるでしょう」(前出の政府関係者) 河野氏にワクチンの供給契約の詳しい内容や確保の見通し、情報開示が消極的な理由などを尋ねたが、期限内の回答は「時間を取る余裕がない」とのことだった。厚労省も「契約の内容はお答えできない」と言うのみだった。 河野氏は2月16日の会見で、「政府の基本的な対処方針は令和3年前半までに国民に必要な数量のワクチンの確保を目指すということで変わっていない」とした。一方、「確保を目指すと語っているわけで、接種の時期について申し上げたわけではありません」とも語った。 また、東京五輪の開催前までに国民への接種が間に合わなかった場合について問われると、「五輪については橋本(聖子)大臣にお尋ねをいただきたいと思います」。希望する全国民が接種を追える時期については「現時点では定かではありません」とした』、「ワクチン確保を所管していたのは和泉洋人首相補佐官や、和泉氏と「コネクティングルーム不倫疑惑」が報じられたこともある厚労省の大坪寛子審議官らを中心としたチーム」、「不倫」騒動でワクチン入手交渉が放置されたとまでは思わないが、政府の無責任ぶりを如実に示している。「河野大臣」の守秘と情報公開のバランスをなどの手際の悪さには、失望した。

第三に、3月19日付け日経ビジネスオンラインが掲載したコラムニストの小田嶋 隆氏による「宣言解除に神風は吹くのだろうか」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00116/00112/
・『東京でも桜が咲き始めた。 毎年、この時期はせわしない気持ちになる。 ただ、今年は少し風向きが違う。首都圏の1都3県に、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言が発令されているからだ。 とはいえ、時期が来れば桜は咲く。 そして、花が一斉に咲き始めると、私たちは、必ずや落ち着きを失うことになっている。 今回は、日本人の季節感を振り返りつつ、そのわれわれの季節感の特別さと新型コロナウイルス対策の関係について、いささか勝手な見立てをご紹介するつもりでいる。 菅義偉首相は、17日の夜、記者団に向けて、首都圏の1都3県に出されている緊急事態宣言を、再延長後の期限通り、3月21日限りで解除する方針を明らかにした。 むずかしい政治判断であったことは想像がつく。 首都圏の飲食店や観光業者は、先の見えない営業自粛に食い扶持を召し上げられている格好だ。こんな状態をいつまでものんべんだらりと続けていて良いはずはない。政府の首脳が、どこかの時点で見切りをつけるべきだと考えたことは、十分に理解できる。 しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大は収束していない。 むしろこの10日ほどは、緊急事態宣言の期間を延長しているにもかかわらず、感染者数は微増のトレンドで推移している。 してみると、いまここで宣言を解除してしまうことは、相応のリスクを伴う決断になる。政府はこの時期にあえて宣言を解除する理由を、どんな言葉で説明しているのだろうか。 報道をチェックすると 《閣僚の一人は16日、「宣言の効果が薄れている。解除で一度、仕切り直さないといけない」と述べた。》《「感染者数や病床の使用率といった数字が解除の方向に入っているということだ」(菅総理)》《また、政府関係者は、「みな、疲弊しており、このままでは次の波が来た時に頑張れない」と述べ、これ以上宣言を延長しても、自粛疲れなどで十分な効果が見込めないという認識を示しました。》 と、談話レベルの話は伝わってくるものの、然るべきチャンネルを通じて、決定的な理由が明らかにされているわけではない。 というよりも、メディアを介して伝えられている情報を総合すると 「あきらめた」「投げ出した」というニュアンスすら感じ取れる。 これはこの種の施策を告知するやり方として、とてもよろしくないと思う。 少なくとも私は「成績の上がらない中学生が勉強をやめる時の言い草そのものじゃないか」と、思った。 仮に宣言を解除して、これまでとは違う、新たな感染防止対策を打ち出すことになるのだとしても、国民に向けたアナウンスの仕方は、もっと工夫しないといけないはずだ。 「効果が上がらなくなった」(←これまでの施策は無意味だった)「自粛疲れが出ている」(←もう無理だよね)「ゆるみが出ている」(←国民の努力不足にばかり責任を求めてもねえ) みたいな言い方は、ストレートな自己否定に聞こえる点でよろしくない。 政府の側にそういう意図が無いのだとしても、上からの発表を 「われわれは、これまで無駄な我慢をしていました」という告白として受け止める国民は、必ずや一定数あらわれる』、「この時期にあえて宣言を解除」した「決定的な理由が明らかにされているわけではない」、いつもの説明責任を放棄した政府のやり方だ。
・『特に「コロナなんてただの風邪だ」「あんなウイルスは雑魚キャラだ」などと、早い時期から利いたふうなマッチョなご意見を開陳しつつ引っ込みがつかなくなっていた冷徹業界のみなさんは、わが意を得たりとばかりに 「ほら、オレが前から言っていた通りじゃないか」「自粛なんて、しょせん過剰反応だったってことだよ」てなことを言い始めるはずだ。 私はその種のバカな反動が再び力を得る近未来の到来を憂慮している。 なぜというに、この種の事情通ぶった逆張りの言説は、これまでにわれわれが積み上げてきた地道なコロナ対策の努力と成果を、土台の部分から無効化してしまう「呪い」だからだ。 私個人は、緊急事態宣言が効果を発揮していなかったとは思っていない。この10日ほど、リバウンドの兆候があらわれていたのは、宣言が「無駄」(あるいは「効果ゼロ」)だったからではなくて、「効力を発揮しにくくなってきた」からだと考えるのが普通だろう。 だとすれば、何が足りなかったのかを検討して、その分の対策をあらためて追加するのが正しい話の筋道であるはずだ。 ここで、ヤケを起こして 「宣言は無駄だった」「自粛一辺倒の対策は経済を殺しただけだった」 みたいな極論に走ってしまったら、これまで、宣言下で押し下げられていた感染拡大のカーブを、いよいよ破滅的なパンデミックに向けて再上昇させる結果を招く。 ある程度勉強をしたことのある人なら誰でも知っていることだが、努力と成果は必ずしも正比例しない。 平たく言えば、「勉強したからといってすぐに成績が上がるわけではない」ということだ。 実際、スポーツでも同じことだが、コツコツ練習しているのに記録が伸び悩む時期というのは必ずやってくる。 そこで、成績が上がらないからという理由で、トレーニングをやめてしまったら、その時点で間違いなく実力は停滞する。 だからこそ、目先の結果に一喜一憂せず、近視眼的な結果にまどわされることなく、その時点で積み重ねることのできる努力を続けることが重要なのだ。 なんだか意識の低い中学生に向かって説教を垂れているみたいな話で、自分ながら居心地が良くないのだが、現実問題として、政府が出来の悪い中学生みたいな態度をキメてきているのだから仕方がない。ここは国民の側が説教をしてあげないとダメだ。 宣言解除の可能性が噂にのぼり始めた3月14日の午後、私は、ツイッターに以下のツイートを連投した。 《3月21日をもって緊急事態宣言を解除する理由は下記のうちから選べ 1.GOTOの予算費消期限から逆算 2.五輪開催へのGOサインから逆算 3.今年こそ卒業式、入学式を開催したい学校関係者からの突き上げ 4.歓送迎会での売り上げを見込んだ飲食店関係者によるロビイング 5.自棄を起こしました 午後5:13 - 2021年3月14日》』、「政府が出来の悪い中学生みたいな態度をキメてきているのだから仕方がない。ここは国民の側が説教をしてあげないとダメだ」、面白い見方でその通りだ。
・『《6.花見の宴会を切望する酔漢に媚びました 7.国民に自己責任を思い知らせる良い機会だと思いました 8.小池知事にまたしてもおいしいところを持っていかれるのが不快なので 9.河野太郎ワクチン担当相を早めに失脚させたいと思っているので 午後5:17 - 2021年3月14日》 無論、これらは底意地の悪い冗談以上のものではない。ただ、私自身は、ここに並べた解答案のうちのいくつかは、そんなにハズれてもいないだろうと考えている。 というのも、政府は、感染爆発の可能性を含みおいた上で、それでも何らかの「期限切れ」を意識して、その「期限」に追われるようにして、宣言解除に踏み切ったはずだからだ。 もうひとつ見逃せないのは、政府の人々が、何かを「空頼み」している可能性だ。 これは、昔からわが国のリーダーが窮地に陥ると非常に高い確率で陥るトラップで、なんというのか、われわれは 「超自然的な僥倖」や「神風」を期待して、そこに賭けてしまいがちな人々なのである。 あるいはこれは、日本人に限った話ではないのかもしれない。 世界中どこの国でも、特定の民族の中に含まれている一定数の愚かな人々は、誰もが同じように、最後には 「神なる偶然」だったり 「海が割れる奇跡」だったりする超自然の力にすがるようになるものなのかもしれない。 ここで、話は冒頭に戻るわけなのだが、「桜」だ。 私は、今回の宣言解除は、桜の開花と無縁ではないと考えている。 なぜというに、桜の花が咲いているこの限られた一時期、われら日本人の多くは、なぜなのか、平常心を保てなくなるからだ。 しかも、われわれは、桜の花に誘われて酔狂な振る舞いに及ぶことを、恥だと考えない。むしろ、落花狼藉の狂態を誇ってさえいる。 このあたりの機微については、もう少しくわしい説明が必要だろう。 というのも、桜を愛でる日本人の感覚がいかに異常であるのかについて常日頃私が考えている内容は、普通の日本人から見れば「偏見」以外のナニモノでもないはずだからだ。それゆえ、私自身、自分のこの「偏見」については、どれほど丁寧に説明を試みたところで、2割程度の人にしかわかってもらえないだろうと、あらかじめあきらめてもいる』、「政府の人々が、何かを「空頼み」している可能性だ。 これは、昔からわが国のリーダーが窮地に陥ると非常に高い確率で陥るトラップで、なんというのか、われわれは 「超自然的な僥倖」や「神風」を期待して、そこに賭けてしまいがちな人々なのである」、情けない話だ。「桜を愛でる日本人の感覚がいかに異常であるのかについて常日頃私が考えている内容は、普通の日本人から見れば「偏見」以外のナニモノでもないはずだからだ」、どういうことだろう。
・『以下、一応説明をするだけしてみる。 私が桜に強い印象を抱くようになったきっかけは、20代の頃にアルバイトをしていたラジオ局でいくつか話を聞かされたからだ。 その話というのは、「上野で花見をしている人たちはどうかしている」という、ごく当たり前のエピソードだった。 普通なら 「知ってました」と答えてそれでおしまいになる話だ。 しかし、話はそこで終わらなかった。 「でもなオダジマ。おまえはわかってないぞ」と、その私より3歳ほど年長の、ベテランのキャスタードライバーだった女性は強い調子で断言した。 「上野で花見をしている男たちが、どれほどアタマがおかしいのかは、その場でその狂った人間たちに囲まれた女じゃないとわからないんだよ」と彼女は言った。 大柄で、ふだんはこわいものなどひとつもなさそうに見える彼女が、「本当にこわかった」と振り返った現場は、後にも先にも上野の花見中継以外に存在しない。 彼女以外にも、ラジオのナマ放送で花見の現場中継をこなしたことのある女性リポーターは異口同音に花見客の異常さを訴えたものだった。 「地獄だよ。あそこは」と。 1週間も前から新入社員に場所取りのための野宿をさせることで上野の一等地に花見の宴の席を確保するタイプのオフィスには、やはりそれなりに狂った社員さんたちが集まるものらしく、彼らの飲みっぷりと暴れっぷりとセクハラっぷりは、およそ言語を絶するものだったというのだ。 もちろん、令和の時代の花見風俗は、1980年代前半の上野の花見ほどの狂態ではないのだろう。 でも、基本は変わっていない。 桜は、われら日本人を「花は桜木男は◯◯」式の、集団主義的な花びらの一片に変えてしまうことのできる植物だ。であるから、桜が咲いている時期、われわれは、忙しく散っていく花びらに思いをはせながら、極めて刹那的な人生観の中で暮らすことになる。 だからこそ、桜は、「宴会」や「同期の桜」や「散らばもろともえいままよ」式の、自棄っぱちなフレーズを召喚しつつ、その枝の下で酒を飲む男たちを同期の桜という極めて刹那的な絆で紐帯してやまないのである。 以前、何かの(たぶんテレビ番組の)アンケートで視聴者に 「日本が好きな理由」を尋ねたところ 「四季があるから」という回答が、かなり高い順位(たぶん2位か3位)だったことに驚かされたことがある』、「桜が咲いている時期、われわれは、忙しく散っていく花びらに思いをはせながら、極めて刹那的な人生観の中で暮らすことになる。 だからこそ、桜は、「宴会」や「同期の桜」や「散らばもろともえいままよ」式の、自棄っぱちなフレーズを召喚しつつ、その枝の下で酒を飲む男たちを同期の桜という極めて刹那的な絆で紐帯してやまないのである」、確かに「桜」には特別な意味があるのかも知れない。
・『私は、第一感で 「四季ならどこにだってあるだろ」「4つに分けるのかどうかはともかく、地球上で人間が居住している地域であれば、当然、固有の季節的な気候変動はあるよな」と思ったものなのだが、落ち着いて考えてみれば、この回答のキモは、 「日本に四季があること」そのものや「日本の四季が美しいこと」にあるのではない。 むしろ、人々が日本を愛する理由として「四季があること」を挙げたのは、彼らが、「四季の変化を繊細に感じ取るわたくしども日本人の感覚の特別さ」を強く意識していることの反映と考えるべきだ。 つまり、桜や紅葉や四季折々の風物の話をする時、われら日本人は、自分たちを世界に類を見ない繊細な感覚の持ち主として特別視するモードの中にいるわけなのである。 それゆえ、あるタイプの文芸愛好家は歳時記を暗記することで、自分の感覚がいよいよ研ぎ澄まされると思い込んでいたりするわけなのだが、それはそれとして、「季節」は、日本人に、「特権意識」を醸成せずにおかない。 どういうことなのかというと、「季節感」は私たちの中に 「これほどまでに季節の変化に敏感で繊細で上品でセンスの良い特別な私たちであれば、諸外国の野蛮な人たちとは別次元の何かを達成できるはずだ」 という夜郎自大を育てるのである。 昨年の6月、わが国の新型コロナウイルス感染による死亡者が、国際水準から見て異例に低い水準にあった当時、麻生太郎副総理がその理由について 「国民の民度のレベルが違う」と発言したことがあった。 さらに、麻生副総理は、この時に「民度」発言を批判されたことを根に持っていたらしく11月に再び同じ言葉を持ち出して日本人の「民度」を誇っている。 個人的には、一国の政治家が「民度」という言葉を使うこと自体、不見識極まりない態度だと思う。ついでに言えば、メディアは「民度」なる概念の差別性について、きちんとした見解を示すべきだとも考えている。 とはいえ、麻生副総理による二度にわたる「民度発言」が、それほど大きな問題にならず、結果としてスルーされたことは、やはり軽視できない。 どうして、スルーされたのだろうか。 答えは簡単。 スルーされた理由は、麻生さんがあらわにした他民族へのあからさまな偏見が、国民の間に広く共有されている国民的偏見だったからだ。 私はそう思っている。 どんなにひどい偏見であっても、国民の多数派が同じ偏見を抱いているのであれば、それは「偏見」として扱われない。 けしからぬ「偏見」として血祭りに上げられるのは、少数派の人間が抱いている少数の「偏見」だけなのだ。 つまり、麻生さんが思っている(そして口に出して言ってしまってもいる) 「日本人は民度が高い」という偏見(←これは、諸外国の国民は民度が低いという偏見とセットになっている)は、われら日本人の共通認識なのである。 そして、その日本人の民度の高さを証拠立てるひとつの傍証が、 「日本人の季節感の繊細さ」「桜を愛でる日本人の心根の潔さ」だったりするのだね』、「「日本人は民度が高い」という偏見・・・は、われら日本人の共通認識なのである」、私は「日本人は民度が高い」とは思わない少数派のようだ。
・『今回のコロナ禍についても、少なからぬ日本人が 「日本人なら大丈夫じゃないかな」という思い込みを抱いている。 しかもその思い込みを支えているのは 「繊細で賢明で上品な日本人なら、適切に感染を防ぎつつなおかつ経済も回すみたいな微妙な舵取りもできるのではなかろうか」「お上があえて明示的な指示を出さなくても、一人ひとりが高い意識を持っている民度の高いわれら日本人なら、きっとコロナを克服できるだろう」 といったあたりの無根拠な妄想だったりする。 事態は、非常にマズい段階に到達している。 国民の大多数がこういう思い込みを抱くにいたっているということは、われわれがそれだけ追い詰められているということだ。 私は、先の大戦の経過の中で、「神風」という言葉が使われ始めたのが、いつ頃からのことだったのかを、よく知らないのだが、現時点で多くの人々がそれを待望していることは、肌で感じている。 ついでに言っておくと、私は神風は吹かないと思っている』、「現時点で多くの人々が」「神風」「を待望している」、のが真実であれば、恐ろしいことだが、私はそこまでは至ってないと思う。
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パンデミック(経済社会的視点)(その13)(厚労省「PCR拡充にいまだ消極姿勢」にモノ申す あの中国が国内感染を抑え込んだ本質は何か、菅首相は逃げの一手 “8割おじさん”西浦氏の予算委出席拒否、パワハラ調査に揺れる旭川医大「病院長電撃解任」の深層、感染症法改正 「罰金」でも“逮捕”は十分可能 罰則軽減で妥協すべきではない) [パンデミック]

パンデミック(経済社会的視点)については、1月11日に取上げた。今日は、(その13)(厚労省「PCR拡充にいまだ消極姿勢」にモノ申す あの中国が国内感染を抑え込んだ本質は何か、菅首相は逃げの一手 “8割おじさん”西浦氏の予算委出席拒否、パワハラ調査に揺れる旭川医大「病院長電撃解任」の深層、感染症法改正 「罰金」でも“逮捕”は十分可能 罰則軽減で妥協すべきではない)である。

先ずは、1月14日付け東洋経済オンラインが掲載した医療ガバナンス研究所理事長の上 昌広氏による「厚労省「PCR拡充にいまだ消極姿勢」にモノ申す あの中国が国内感染を抑え込んだ本質は何か」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/403436
・『1月7日、菅義偉首相は1都3県に2回目となる緊急事態宣言を発令した。飲食店を中心とした営業規制に批判が集中している。一連の議論で抜け落ちていることがある。それはPCR検査体制の強化だ。 日本では、PCR論争が続いている。日本が世界で例を見ないレベルでPCR検査を抑制してきたことは広く知られている。(外部配信先では図表やグラフを全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください) PCR検査の議論は聞き飽きたと言われる方もおられることだろう。一体、どういうことだろうか。実は、第3波以降、世界ではPCR検査の見直しが進んでいる。本稿でご紹介したい』、安部前首相も検査拡大努力を約束したのに、何故増えないのだろう。
・『なぜ日本でPCR検査が増えないのか  まずは日本の状況だ。なぜ、日本でPCR検査が増えないかといえば、厚生労働省で医療政策を担う医系技官と周囲の専門家たちがPCR検査を増やす必要がないと考えているからだ。この姿勢は流行当初から一貫している。 例えば、政府の新型コロナウイルス(以下、コロナ)感染症対策分科会のメンバーである押谷仁・東北大学大学院教授は、2020年3月22日に放映されたNHKスペシャル『”パンデミック”との闘い~感染拡大は封じ込められるか~』に出演し、「すべての感染者を見つけなければいけないというウイルスではないんですね。クラスターさえ見つけていれば、ある程度の制御ができる」、「PCRの検査を抑えているということが、日本がこういう状態で踏みとどまっている」と述べている。 今となっては、間違っていたことは明白なのだが、この姿勢は現在も変わらない。11月25日の衆議院予算委員会で枝野幸男・立憲民主党代表から、PCR検査が増えない理由を質問された田村憲久厚生労働大臣は、「『ランセット』に掲載されている論文だが、(感染の)蓋然性が高いところで定期的に検査をやると、当該集団から感染を29~33%減らすことができるが、一般の集団に広く検査をした場合には、接触者調査とこれに基づく隔離以上に感染を減らす可能性は低い」と答弁している。 さらに、そのことを支持する事実として、「アメリカは1億800万回検査しているが、毎日十数万人が感染拡大している」ことを挙げている。 この説明は適切でない。田村大臣が紹介したのは、6月16日に『ランセット感染症版』が掲載した「CMMID COVID-19ワーキンググループ」のモデル研究だ(「Early dynamics of transmission and control of COVID-19: a mathematical modelling study」2020年5月1日)。確かに、この中で、彼らは、一般集団を広く検査しても感染は5%しか減らせないが、発症者を見つけ、家族とともに隔離し、さらに接触者をトレースすれば、感染を64%も減らすことができると推定している。 ただ、その後の研究で、多くの無症状感染者がいることが判明し、彼らは態度を変えた。「CMMID COVID-19ワーキンググループ」は、11月10日に「コロナ感染を検出するためのさまざまな頻度での無症状感染者へのPCR検査の有効性の推定」という論文を発表し、無症状の人へのPCR検査が有効で、積極的に検査を活用すべきと結論している。この論文はイギリスでは大いに話題になったようだが、田村厚労大臣は触れなかった』、海外の事例も日々新たなものが出てくるので、参考にするにはきちんとフォローすべきだ。
・『実は欧米は検査数が足りていない  では、PCR検査を「闇雲」にやっても流行が抑制できない欧米の現状はどう考えればいいのだろう。実は、欧米は検査数が足りていないのだ。表をご覧いただきたい。主要先進国と東アジアにおけるPCR検査と感染状況を示している。 注目すべきはPCR検査数を感染者で除した数字だ。1人の感染者を見つけるために、どの程度のPCR検査を実施したかを示している。中国が1808.7回と突出し、韓国66.6回、カナダ24.3回、イギリス22.2回、ドイツ21.0回、日本19.5回と続く。最下位はアメリカの12.7回だ。中国の142分の1である。 実は、コロナ対策を考えるうえで、中国のように「闇雲」にPCR検査をやることは合理的だった。コロナの特徴は感染しても無症状の人が多いことだ。無症状の人が巷にあふれれば、偶然、症状が出た発症者と濃厚接触者をしらみつぶしに探すだけでは、大部分の無症状感染者を見過ごすことになる。 無症状感染者は、どこにいるかわからないから、彼らを「隔離」(自宅を含む)しようとすれば、網羅的に検査するしかない。仮に住民の0.1%が無症状感染だとすると、1人の感染者を見つけるためには、1000人の検査が必要になる。まさに、中国が採った戦略だ。 1月5日、北京近郊の石家荘で54人の感染者が確認されると、1100万人の検査を実施することを決めたのも、このような戦略に従っただけだ。) コロナ対策が成功した国として、中国以外にはニュージーランド、台湾、ベトナムなどが存在する。このような国と中国は違う。それは、このような国は水際作戦が成功し、国内へのコロナの侵入を食い止めているのに対し、中国はいったん国内で感染が蔓延したのを抑制し、現在にいたるまで、その状態を保っているからだ。 日本では武漢に対して、中国政府が命じた厳しい都市封鎖にばかり関心が集まっているが、注目すべきは再燃を許さなかったことだ。PCR検査を徹底して、感染が小規模なうちに封じ込んだのである。これぞ、合理的なコロナ対策といっていい。世界は、PCR検査数を増やすのに懸命だ。 前述したように、欧米先進国は感染者数に比して、検査数が足りない。多くの無症状感染者を見落とし、彼らが市中で感染を拡大している。中国とは政治体制が異なる欧米先進国は、中国とは異なる方法で検査数を増やそうとしている。注目すべきはアメリカだ。産官学が協同で検査体制を急ピッチで整備している』、「中国のように「闇雲」にPCR検査をやることは合理的だった」、「無症状感染者は、どこにいるかわからないから、彼らを「隔離」(自宅を含む)しようとすれば、網羅的に検査するしかない」、「日本では武漢に対して、中国政府が命じた厳しい都市封鎖にばかり関心が集まっているが、注目すべきは再燃を許さなかったことだ。PCR検査を徹底して、感染が小規模なうちに封じ込んだのである。これぞ、合理的なコロナ対策といっていい」、ズバリ本質を突いた指摘だ。
・『アメリカでは自宅でできる検査キットが広がる  例えば、カリフォルニア大学サンディエゴ校は1月に入り、11台のPCR検査自動販売機をセットした。今後、1~2週間でさらに9台を追加する。同大学の学生はIDカードをスワイプするだけで、無料で検査できる。これまでの2週間に1回から、毎週1回検査を受けるように推奨されるという。 アメリカでは各地で無料あるいは定額で検査が受けられるが、多忙な現役世代はわざわざ検査を受けに行けない。このような人たちへの商品開発も進んでいる。 11月17日に、自宅で利用できる検査キット(Lucira COVID-19 All-In-One Test Kit)に緊急使用許可が与えられた。30分程度で結果が出る。ただ、このキットを入手するには医師の処方箋が必要だ。12月15日には処方箋不要の抗原検査(Ellume COVID-19 Home Test)に対して緊急使用許可が与えられた。そして、1月6日には、アマゾンがデクステリティ社の検査キットのオンライン販売を開始した。1パック約1万1300円だ。 企業も検査体制強化に協力している。ネットフリックスやゴールドマンサックスなどの一部の企業は、無症状の感染者を判別するために、企業が費用を負担し、検査を提供しはじめている。グーグルは9万人の社員に対して、毎週検査を実施する。) アメリカが本気になると、体制整備は一気に進む。このことを象徴するのが複数の検査をまとめられる「プール検査」の確立だ。昨年11月、デューク大学の医師たちが、プール検査の研究成果を発表した。この研究では、5つのサンプルをまとめて検査し、もし、陽性が出た場合に、個別に検査するという方法を用いても、感度は損なわれず、80%試薬を節約でき、さらに再検査の場合でも18~30時間程度の遅れで済んだ。 この研究成果は、アメリカの疾病対策センター(CDC)が発行する週報「MMWR」が掲載し、『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』を発行するマサチューセッツ医師会も、この論文を『ジャーナル・ウォッチ』というニュース・レターの中で紹介した。そして、「プール検査の有効性は明白」と評している。一気にコンセンサスを確立したことになる。 プール検査の有効性については、昨年10月にルワンダの研究者が『ネイチャー』に報告しており、遅きに失した感があるが、アメリカが巻き返しに必死なのがわかる』、「アメリカ」では検査キットなどの開発競争が本格化してきたようだ。
・『日本は本気でPCR検査を増やすつもりがない?  日本は対照的だ。11月20日の衆議院経済産業委員会で、佐原康之・厚労省危機管理医療技術総括審議官は「現在、国立感染症研究所において、その検査性能および再検査を含む総コスト、時間等について研究を実施している」「非常に手間がかかるなど、実用化に向けても課題がある」と答弁し、いまだに臨床応用されていない。本気でPCR検査を増やすつもりがないことがわかる。 厚労省は流行当初から、PCR検査を懸命に抑制してきた。シンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ」(船橋洋一理事長)の調査により、政府中枢に対して「PCR検査は誤判定がある。検査しすぎると陰性なのに入院する人が増え、医療が崩壊する」と説明に回っていたことがわかっているし、7月16日には、コロナ感染症対策分科会は「無症状の人を公費で検査しない」と取りまとめている。 これは翌日に、塩崎恭久・元厚労大臣などが主導して、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」を閣議決定することへの対応だ。この中にPCRの拡大、感染症法の改正などが入っていた。 結局、日本におけるPCR検査の増加は、民間の動きを待つしかなかった。その嚆矢は12月4日に新橋駅前で操業を開始した「新型コロナPCR検査センター」だ。ウェブで予約すれば、検査センターを訪問して唾液を採取するだけで、翌日にはメールで結果が届く。1回の費用は3190円だ。同様の検査センターは続々と立ち上がっている。どこも希望者が殺到している。 ところが、このような動きを厚労省は快く思っていない。12月16日、朝日新聞は『民間PCR施設、都心に続々ばらつく精度、陽性なのに「陰性」も厚労省が注意喚起』という見出しの記事を掲載している。 私は、この記事を読んで、どのような根拠に基づき精度に問題があると主張しているのかわからなかった。根拠を示さなければ、単なる営業妨害だ。厚労省も、その意向をそのまま報じるメディアもいただけない。国家をあげて検査体制を強化しようとする世界とは対照的だ』、「アジア・パシフィック・イニシアティブ」の提言は厚労省の意向を踏まえたものの可能性がある。「理事長」の「船橋洋一」氏もとんだ食わせ者のようだ。
・『厚労省が方針転換しなければ迷走は続く  最近、政府は不特定多数の無症状者を対象とした無料のPCR検査を、都市部の繁華街や空港など多くの人が集まるところではじめる方針を打ち出した。 ただ、これは期待できないだろう。私はアリバイ作りと考えている。なぜなら、このような検査施設を立ち上げるのは3月とされているからだ。政府が本気でPCR検査を増やしたければ、民間検査センターを支援すればいい。検査サービスは多様化し、アメリカのように大学などさまざまな場所で検査を提供するようになるだろう。薬局で検査キットを販売し、通信販売を認めれば、さらに検査数が増える。 このような体制をとることは、厚労省が自らの過ちを認めることになる。これまでの彼らのやり方をみていると、そんなことは期待できない。現在、日本が適切な対応をとれない最大の障壁は厚労省医系技官と周辺の専門家の存在にあると私は思っている。彼らが責任を認め、人事を一新しなければ、このまま迷走が続くのは避けられない。菅首相のリーダーシップが問われている』、「現在、日本が適切な対応をとれない最大の障壁は厚労省医系技官と周辺の専門家の存在にある」、ここにメスを入れるには「菅首相のリーダーシップ」は頼りなさそうだ。

次に、1月26日付け日刊ゲンダイ「菅首相は逃げの一手 “8割おじさん”西浦氏の予算委出席拒否」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/284372
・『25日開かれた衆院予算委員会で、立憲民主党の長妻昭議員が、菅首相と自民党に対して抗議する場面があった。政府の新型コロナウイルス対策をめぐって、予算委に京都大教授の西浦博氏(理論疫学)の出席を求めたのに、自民党が「ブロック」したというのだ。 「民間人は呼ばない」というのが理由。しかし、コロナ第1波の際に人との接触を8割減らすことを求め、「8割おじさん」として名を馳せた西浦氏は現在も厚労省のアドバイザリーボードの指名委員を務めている。純粋な「民間人」にはあたらず、拒否の理由は通らない。 長妻議員は「都合の悪い方は呼ばないというのはあってはならない」「科学的に議論する姿勢が感じられない」と非難していたが、一体、どういう事情なのか。長妻議員にあらためて聞いた。 「西浦氏が今月13日のアドバイザリーボードに提出した資料について、予算委で議論しようと思っていました。緊急事態宣言の解除基準について、西村大臣は『東京で新規感染者が1日に500人を下回ることが目安になる』としましたが、西浦氏は『(2月に)500人で解除したら、4月14日には感染が元のレベルに戻ってしまう』と試算しています。資料は厚労省からもらったものなのに、なぜ拒否するのか」) 昨年春の緊急事態宣言時には、安倍前首相が「専門家の試算では、人と人との接触機会を『最低7割、極力8割』削減することができれば、2週間後には感染者を減少に転じさせることができる」と幾度も訴え、西浦氏の試算に乗っかっていた。だが、いまや菅政権にとって西浦氏は“煙たい存在”らしい』、「西浦氏の試算」は「緊急事態宣言の解除基準」に関わるので「予算委」の「出席」を「ブロック」されたのだろう。
・『実際、西浦氏は週刊文春(1月14日号)で、<緊急事態宣言の判断が遅かった><(変異種対策について)ビジネス往来を継続したのは生ぬるい>と批判。<安倍政権の頃と比較しても、感染症対策に関する専門家の意見が総理へと簡単には通らなくなっているかも知れません>ともこぼしている。前出の長妻議員が言う。 「普通なら西浦氏を拒否しませんよ。呼ばなければ、あること、ないこと言われますから。スキャンダルでもないのに。今の自民党には、そういう判断すらできる人がいないのでしょうか」 26日の予算委にも野党議員が西浦氏を呼ぼうとしたが、自民党が拒否したという。内閣支持率下落が止まらない菅政権には、逃げの一手しかないのか』、自民党の言論統制もここまで来たか、と溜め息しか出ない。

第三に、1月25日付けYahooニュースが転載したFRIDAY「パワハラ調査に揺れる旭川医大「病院長電撃解任」の深層」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0a7066f58970241f9404ed015d171231aee19bde
・『1月25日付で、旭川医科大学病院の病院長が電撃解任された。昨年来問題が指摘されてきた「学長」が、ではない。学長から「(コロナ患者を)受け入れるなら、代わりにお前が辞めろ」と言われた「病院長」の古川博之氏が解任されたのだ。 「こんな暴挙がまかり通るとは…学内は驚き、呆れています」(旭川医科大病院の職員のひとり)』、コロナ禍の乗り切りで皆、必死なのに、お家騒動とは。
・『突然の、一方的な「説明会」の果てに  昨年12月に発売された「週刊文春」(12月24日号)で「学長の暴言」が報じられたことが発端となった「旭川医大パワハラ疑惑」問題。簡単に経緯を説明すると、旭川市内の民間病院・吉田病院から新型コロナの患者受け入れ要請を受けた旭川医科大病院長の古川氏が、吉田晃敏学長に受け入れを提案したところ「(吉田病院が)コロナをぐじゅぐじゅと撒き散らして」と問題発言したうえに、患者を受け入れるなら「代わりにお前が辞めろ」と暴言を吐かれた。 吉田学長の一連の言動に対して、文部科学省が「パワハラの疑いがある」として、異例の調査に入ってた。その騒動の渦中での「解任」であるから、普通は、調査の対象となっている吉田学長が解任されたと思うところ。 しかし、実際に解任されたのは、「被害者」の立場にある病院長。驚きが広がるのも当然だ。 関係者によると、1月25日昼前、学内一斉メールで「一連の報道に関する、職員への説明の会」を開催するという連絡があったという。なにごとかとかけつけたおよそ400人の医師や職員の前で、大学役員会のメンバーからあった「説明」は「学内の情報を外部に流し、病院を混乱させた古川病院長を解任する」というものだった。 「役員会からは、吉田学長が病院長に『辞めろ』と言ったのは『その時点でコロナ受け入れの体制が整っておらず、職員を守るための選択だった』という旨の説明がありました。だから『パワハラにはあたらない、と役員会議が判断した』と。 こんな説明で納得できるわけがありません。問題のすり替えだし、ハラスメントかどうかは、受けた側が判断することでしょう」(病院関係者)』、「文部科学省が「パワハラの疑いがある」として、異例の調査に入ってた。その騒動の渦中での「解任」、よほど図太い神経のようだ。
・『いくらなんでも…  説明会では「院長解任」の発表に、驚きと同時に諦めの空気もあったという。そんななか、ひとりの教授が質問に手をあげた。 「『この解任は納得できません。決定の経緯が不透明すぎるのでは』という質問でした。みんなが諦めかけていた中で、この質問をするのは勇気がいったと思います」(出席者) この問いに対し、役員会は「4時間にわたって話し合った、その結果である」とあっさり返答。しかし、「病院長の解任という重大事案について、たった4時間の会合で決めること自体おかしい」という声も聞こえてくる。 病院長「だった」古川氏は、昨年からの新型コロナ対策の先頭に立ち、スタッフの信頼も厚かった。年頭の挨拶で、 「我々は地域の病院として、患者さんたちを守っていかなきゃならない。ここまで職員みなさんほんとうに頑張ってきた。あと一歩、頑張りましょう」 と話し、これを聞いた職員は「涙が出た」という。 現場のスタッフは「古川先生の働きを知っています。土日も出てきて、病院を支えてました。古川先生だから、私たちも踏ん張ってこられたんです」と悔しさをにじませながら語った。別の医師は、 「今は病院にとってだけでなく、旭川、北海道にとって『有事』のときです。こんな内部事情で混乱している場合じゃない。これまでもこの組織でやりづらさを感じていましたが、今回は本当に『辞めたい』と思いました」と本音を明かしたうえで、 「目の前に患者さんがいる。だから、手を抜くことも辞めることもできないんです。私たち医療者はそうやって仕事をしています。組織としてダメだからといって、質を落としたり量を落としたりすることはできませんから…。 役員会はさまざまな『理由』をつけて説明をしている。しかし、医療は、ルールの前に倫理。なんだったら、仮にルールにそえなくても、倫理を優先する。それが私たちの仕事なんです」と苦悩を漏らした。 説明会では「当事者なので今回の決定には関与していない」と繰り返しアナウンスされ、壇上に座っていた吉田学長。しかし、最後にはマイクをもって「職員を守る。みなさんはファミリーですから」と発言したという。 「今、この切迫した時期にこんなことをして…そのうえで『家族』と言われてぞっとしました」(出席した関係者) 同大学は26日に記者会見を開き、解任に至る経緯を外部に向けても説明。古川氏が内部の情報を外部に漏らしたと結論づけたことや、マスコミの取材を受け学内を混乱させたことなどを解任の理由として挙げた。 旭川医科大病院は、日本最北の医療の砦といわれる。今日も、多くの患者がここを頼り、命をつないでいる。そんな旭川医科大病院の院長室は今、無人になっている。混乱が収束し、大学と病院が正常に機能し続けることを願うばかりだ』、「役員会」は「学長」の支配下にあるようだ。文科省の調査はどうなるのだろう。一刻も古川氏の復職を含め早く正常化してもらいたいものだ。

第四に、1月27日付けYahooニュースが掲載した郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士の郷原信郎氏による「感染症法改正、「罰金」でも“逮捕”は十分可能、罰則軽減で妥協すべきではない」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/byline/goharanobuo/20210127-00219612/
・『22日に閣議決定された感染症法改正案で、入院拒否や入院先から逃亡した場合に「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」とする罰則導入の規定が設けられていることに対して、野党やマスコミから批判が高まり、日弁連、保健師協会、ハンセン病患者団体等側も反対を表明していることを受けて、26日に与野党の修正協議が開かれ、入院拒否に対する「懲役刑の削除」罰金の「100万円以下」から「50万円以下」への引き下げが検討されていると報じられている(【感染者の入院拒否に懲役、削除へ調整 野党の反対受け】)。 しかし、この感染症法改正による罰則導入については、罰則を導入することで、検査や感染報告を躊躇させることになり、かえって感染拡大につながりかねないという実質的面からの指摘がある。 それに加え、【感染症法改正「入院拒否罰則導入」への重大な疑問】でも述べたように、現行法で、「入院勧告」に従わない場合に、本人の意思によらない「強制的な入院措置」をとることを認めているのに、「入院拒否」に対する罰則を適用することの意味がわからないという問題がある(厚労省は、「入院措置」は、本人の意思にかかわりなく入院させることができる「即時強制」と説明しているが、実際には使われていない)。 罰則導入自体をやめるべきであり、懲役刑の削除とか罰金刑の引下げ等による「妥協」は行うべきではない。 懲役刑を削除し、罰金刑を「50万円以下」に引き下げても、実際に罰則が適用される場合の「刑罰による人権侵害」は質的に変わるものではなく、決して小さなものとはいえない。 当然のことだが、罰金も刑罰であり、その執行の手続きは、基本的に懲役刑と変わらない。 もし、罰則が導入され実際に、「入院拒否」「入院者逃亡」に対して罰則が適用されるのはどのような場面であろうか。 所定の期日までに入院をせず、或いは入院先から逃亡して、別の場所に所在しているということであり、入院を強く拒んでいるからこそ刑罰が適用されるのであり、その執行の手段は「逮捕」しかない。感染防護措置をとった警察官が逮捕状により逮捕した上、釈放して、入院させることになるだろう。 「罰金50万円以下の罪で逮捕などされるのか」と疑問に思う人もいるだろう。 しかし、罰金は、科料とは異なり、財産刑としては最も重い刑罰であり、逮捕、勾留については、懲役刑と基本的に変わるところはない。 被疑者の逮捕の要件を定める刑訴法199条は、「軽微な犯罪」については、「住居不定か出頭拒否の場合」に限って逮捕を認めている。この「軽微な犯罪」の範囲は、刑法犯、暴力行為処罰法などでは「30万円以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪」とされ、それ以外の特別法犯については、「罰金2万円以下」とされている。 つまり、特別法犯である感染症法違反の犯罪については、「罰金50万円以下」でも逮捕が可能なのである。 実際に、「郵便不正事件」では、2009年4月、障害者団体向け郵便料金割引制度を悪用したとされる郵便法違反事件で、大阪地検特捜部が、ダイレクトメール(DM)の不正送付に関与したとして、障害者団体、大手家電量販店会社、広告代理店、大手通販・印刷会社などの10名の関係者を逮捕した。これは、「不法に郵便に関する料金を免れ、又は他人にこれを免れさせた者は、これを三十万円以下の罰金に処する。」という郵便法84条の規定に違反したというもので、「罰金30万円以下」の法定刑の罪だった。 この事件の背景には、郵政民営化には凡そ似つかわしくない古色蒼然たる規定が並ぶ「郵便法」の中に、「第三種郵便」について法律の体系の矛盾を抱えたまま、「郵便料金を不正に免れさせる行為」に対して罰金30万円以下の罰則が残っていたということがあった。そこに目を付けた大阪地検特捜部が、政界、官界をめぐる事件の摘発を狙って、多数の関係者の逮捕を行い、それが、後に、村木厚子氏の逮捕・起訴が無罪判決、証拠改ざんの発覚という、検察の大不祥事に発展した。その根本にあったのが、体系に問題がある法律に「罰金だけの罰則」が残されていたことだった。 今回の感染症法改正では、「入院勧告」「入院措置」の関係すら明確ではないという法律の体系的な不備があるのに、それに目を背けたまま、政府の感染症対策の失敗の連続を糊塗する目的で、入院拒否等への罰則の導入が行われようとしている。「罰金だけの罰則」であっても、絶対に許してはならない。 今、行うべきことは、実質的な必要性もなく、法律上も重大な問題がある罰則導入ではない。現行の感染法は、精神障害者を強制的に精神科の病院に入院させる「措置入院」と同様の規定で、感染者に対する「入院措置」を認めている。それを、感染症法の前文に書かれている「過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすこと」「感染症の患者等の人権を尊重し」という理念に沿うよう、実施の手続・判断基準等を明確化し、「感染者の人権への最大限の配慮」と「感染防止対策の実効性の確保」の両立を図ることが、国会での議論の対象とされるべきである』、「罰則導入自体をやめるべきであり、懲役刑の削除とか罰金刑の引下げ等による「妥協」は行うべきではない」、「今回の感染症法改正では、「入院勧告」「入院措置」の関係すら明確ではないという法律の体系的な不備があるのに、それに目を背けたまま、政府の感染症対策の失敗の連続を糊塗する目的で、入院拒否等への罰則の導入が行われようとしている。「罰金だけの罰則」であっても、絶対に許してはならない」、「感染症法の前文に書かれている「過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすこと」「感染症の患者等の人権を尊重し」という理念に沿うよう、実施の手続・判断基準等を明確化し、「感染者の人権への最大限の配慮」と「感染防止対策の実効性の確保」の両立を図ることが、国会での議論の対象とされるべきである」、なるほど、やはり今回のドタバタの法律改正には、かない無理があるようだ。
タグ:東洋経済オンライン パンデミック yahooニュース FRIDAY 日刊ゲンダイ 郷原信郎 いくらなんでも 上 昌広 (経済社会的視点) (その13)(厚労省「PCR拡充にいまだ消極姿勢」にモノ申す あの中国が国内感染を抑え込んだ本質は何か、菅首相は逃げの一手 “8割おじさん”西浦氏の予算委出席拒否、パワハラ調査に揺れる旭川医大「病院長電撃解任」の深層、感染症法改正 「罰金」でも“逮捕”は十分可能 罰則軽減で妥協すべきではない) 「厚労省「PCR拡充にいまだ消極姿勢」にモノ申す あの中国が国内感染を抑え込んだ本質は何か」 安部前首相も検査拡大努力を約束したのに、何故増えないのだろう なぜ日本でPCR検査が増えないのか 海外の事例も日々新たなものが出てくるので、参考にするにはきちんとフォローすべきだ 実は欧米は検査数が足りていない 中国のように「闇雲」にPCR検査をやることは合理的だった」、「無症状感染者は、どこにいるかわからないから、彼らを「隔離」(自宅を含む)しようとすれば、網羅的に検査するしかない」 日本では武漢に対して、中国政府が命じた厳しい都市封鎖にばかり関心が集まっているが、注目すべきは再燃を許さなかったことだ。PCR検査を徹底して、感染が小規模なうちに封じ込んだのである。これぞ、合理的なコロナ対策といっていい」、ズバリ本質を突いた指摘だ アメリカでは自宅でできる検査キットが広がる 日本は本気でPCR検査を増やすつもりがない? 「アジア・パシフィック・イニシアティブ」の提言は厚労省の意向を踏まえたものの可能性がある 厚労省が方針転換しなければ迷走は続く 現在、日本が適切な対応をとれない最大の障壁は厚労省医系技官と周辺の専門家の存在にある」、ここにメスを入れるには「菅首相のリーダーシップ」は頼りなさそうだ 「菅首相は逃げの一手 “8割おじさん”西浦氏の予算委出席拒否」 「西浦氏の試算」は「緊急事態宣言の解除基準」に関わるので「予算委」の「出席」を「ブロック」されたのだろう。 26日の予算委にも野党議員が西浦氏を呼ぼうとしたが、自民党が拒否したという。内閣支持率下落が止まらない菅政権には、逃げの一手しかないのか』、自民党の言論統制もここまで来たか、と溜め息しか出ない 「パワハラ調査に揺れる旭川医大「病院長電撃解任」の深層」 旭川医科大学病院の病院長が電撃解任 「文部科学省が「パワハラの疑いがある」として、異例の調査に入ってた。その騒動の渦中での「解任」、よほど図太い神経のようだ 「役員会」は「学長」の支配下にあるようだ。文科省の調査はどうなるのだろう。一刻も早く正常化してもらいたいものだ 「感染症法改正、「罰金」でも“逮捕”は十分可能、罰則軽減で妥協すべきではない」 罰則導入自体をやめるべきであり、懲役刑の削除とか罰金刑の引下げ等による「妥協」は行うべきではない 今回の感染症法改正では、「入院勧告」「入院措置」の関係すら明確ではないという法律の体系的な不備があるのに、それに目を背けたまま、政府の感染症対策の失敗の連続を糊塗する目的で、入院拒否等への罰則の導入が行われようとしている。「罰金だけの罰則」であっても、絶対に許してはならない 感染症法の前文に書かれている「過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすこと 「感染者の人権への最大限の配慮」と「感染防止対策の実効性の確保」の両立を図ることが、国会での議論の対象とされるべきである
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パンデミック(医学的視点)(その18)(新型コロナ 「ワクチンを打てば感染対策は不要」が間違いな理由、感染力高い変異種の病原性「弱いはずがない訳」 インフル研究の第一人者が見るコロナの先行き、いまだに「マスクに基準がない」という大問題 アメリカではようやく規格づくりが進んでいる) [パンデミック]

パンデミック(医学的視点)については、昨年12月14日に取上げた。今日は、(その18)(新型コロナ 「ワクチンを打てば感染対策は不要」が間違いな理由、感染力高い変異種の病原性「弱いはずがない訳」 インフル研究の第一人者が見るコロナの先行き、いまだに「マスクに基準がない」という大問題 アメリカではようやく規格づくりが進んでいる)である。

先ずは、本年1月10日付けダイヤモンド・オンラインが転載したヘルスデーニュース「新型コロナ、「ワクチンを打てば感染対策は不要」が間違いな理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/259387
・『ワクチンを打てばCOVID-19対策は不要?  新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチンの接種が一部の国で開始され、国内でも今春の接種開始が見込まれている。1年にわたり、外出自粛やマスク着用などの物理的な手段に限られていた感染予防対策だが、ようやく医学的な手段でウイルスに対抗できることになる。感染後の重症化リスクの高い基礎疾患のある人は、優先的にワクチン接種を受けられる可能性があり、糖尿病患者の期待も大きい。 ワクチン接種さえ受ければ以前の日常を取り戻せると、期待を膨らませている人もいるだろう。しかし、感染症の専門家は、既に供給が開始されているファイザー社やモデルナ社のワクチン、あるいは現在開発中のワクチンのいずれであっても、接種したからといって感染予防策が不要になるわけではなく、引き続きマスクを着用し、社会的距離を維持する必要があると警告している。 専門家によると、これらのワクチンの安全性と有効性を検証した臨床試験では、主にCOVID-19の重症化や死亡を防ぐことができるかどうかに焦点が当てられているという。よって、ワクチン接種を受けた人が感染した場合は無症状で経過することが多いと考えられるものの、その人から周囲の人にウイルスが伝播してしまう可能性の有無は、まだ分かっていない。 米ヴァンダービルト大学医療センターのWilliam Schaffner氏は、「ワクチンを接種していても感染する可能性があり、かつ他者に感染させる可能性もある。COVID-19のワクチン接種後にそのようなことが起きた事例はまだ確認されていないが、それが起きないと否定できる根拠もない」と述べている。 この意見には他の専門家も同意している。米ジョンズ・ホプキンス大学健康安全保障センターのAmesh Adalja氏もその一人だ。「ワクチン接種を受けた後に症状のない状態が続いていたとしても、ウイルスを保持しておらず他者に感染させることはないとの保証はできず、引き続き注意が必要だ」と同氏は語っている。そして、ワクチン接種後にもマスクを着用し社会的距離を保つことで、自分が無症候性の保因者になるリスクを下げられるとしている』、「接種したからといって感染予防策が不要になるわけではなく、引き続きマスクを着用し、社会的距離を維持する必要があると警告」、「ワクチンを接種していても感染する可能性があり、かつ他者に感染させる可能性もある」、期待が大きかっただけに、いささか失望した。
・『同氏はまた、「ワクチン接種後に、もし糖尿病患者や60歳以上などのハイリスクの人をハグしたりすると、その人たちに感染させてしまうかもしれない」と警告を発している。 一方、ワクチンの有効性が十分でないと指摘する声も聞かれる。接種により罹患リスクが低下するが、それでもわずかながらリスクは存在するという。米マウントサイナイ医科大学のWaleed Javaid氏は、「ワクチンの有効性は95%だ。つまり、5%のリスクが残されているということだ」と指摘する。 ワクチンが広く行き渡るまでの期間も問題だ。米フィラデルフィア小児病院のPaul Offit氏は、「米国内のすべてのハイリスク者を守るために必要な、推定3億回分のワクチンを生産するには、2021年の秋までかかる可能性が高い」と述べている。これに関連し、前出のJavaid氏は「今は忍耐の時期だ」と語る。同氏は、「現在われわれは効果的なワクチンを手にし、その供給が急速に広がっている。ワクチン接種者の増加とともに、このパンデミックは終息していくだろう」と、展望を示している。(HealthDay News 2020年12月16日)』、「「ワクチンの有効性は95%だ。つまり、5%のリスクが残されているということだ」と摘する」、言われてみれば、その通りだ。「米国内のすべてのハイリスク者を守るために必要な、推定3億回分のワクチンを生産するには、2021年の秋までかかる可能性が高い」、しばらくは「忍耐の時期」のようだ。

次に、1月28日付け東洋経済オンラインが掲載したノンフィクション作家の辰濃 哲郎氏による「感染力高い変異種の病原性「弱いはずがない訳」 インフル研究の第一人者が見るコロナの先行き」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/407734
・『イギリスなどで蔓延している新型コロナウイルスの変異株(変異種)が日本にも上陸しているが、どう対処したらよいのだろう。インフルエンザ研究の第一人者で、1968年の香港かぜの伝播経路を突き止めた北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターの喜田宏特別招聘教授に話を聞いた。ウイルスが蔓延すれば、人に適合した変異株が必ず優勢になるのは自然のなりゆきだという。こういったウイルスは人の体内で増殖力が高く、つまりは病原性が高くなるとも指摘する(Qは聞き手の質問、Aは喜田氏の回答)。 Q:イギリスなどで新型コロナウイルスの変異株が出現し、世界中が警戒をしています。 A:大騒ぎになっているけど、これは当たり前のこと。人の間で感染を繰り返すうちに、体内で増殖しやすいウイルスが選ばれ、生き残った結果なんです。ウイルスは変異株の集団で、なかには増えやすい変異ウイルスもいる。その増えやすいウイルスが優勢になって感染を繰り返すと考えたらいい。 コロナウイルスの遺伝子RNAは、4種類の塩基が約3万個並んでいる。その配列に塩基が新たに挿入されたり、欠失したり、置換されたりして配列が変わることを遺伝子変異と呼んでいる。人の体内で細胞への侵入効率が高くなるなど、増殖しやすいウイルスが優勢になるわけです。それはイギリスや南アフリカ、ブラジルなど報告のあった国々だけでなく、日本でもまったく新しい変異ウイルスがいつ見つかるかわからない。すでに増殖しやすい変異ウイルスが生まれている可能性もある』、「ウイルスは変異株の集団で、なかには増えやすい変異ウイルスもいる。その増えやすいウイルスが優勢になって感染を繰り返すと考えたらいい」、なるほど。
・『増殖力の高いウイルスは要注意  Q:イギリスの変異株は感染性が70%高まったそうですが、一層の注意が必要になりますか。 A:70%というのが確実に証明されているわけではないが、感染性が高いということは、病原性が高いとみていい。人の体内でどんどん増えたら、重症化するのは当然でしょう。上気道や肺の細胞で増えるウイルスも、もしかしたら別の臓器、あるいは全身で増えるようなウイルスが優勢になるかもしれない。 昨年の春先に、あなた(聞き手の辰濃のこと)に「今のうちにかかったほうが得かも」って冗談で話したけど、人獣共通感染ウイルスが動物から人に感染してすぐは、さほど増殖効率がよくないはず。人から人に感染を繰り返すうちに、人に順応して体内でより増殖する、すなわち病原性の高い変異ウイルスが出てくることを警告したかった。 例えば、2009年の新型インフルエンザウイルス(H1N1)のパンデミックのとき、そのシーズンでの死者は国内で約200人でしたね。世界的にも15カ月で2万人足らずしか亡くなっていない。でも、その子孫ウイルスが起こす季節性インフルエンザでは、死者は何十倍にも膨れ上がっている。ウイルスが人に適合して、増殖する変異ウイルスが優勢になったから。 1918年にパンデミックを起こしたスペインかぜでも、第1波より、その子孫ウイルスが起こした第2波、第3波、すなわち季節性インフルエンザのほうが重症者も死者も多かった。感染性と病原性はリンクしていることを知っておいたほうがいい』、「人獣共通感染ウイルスが動物から人に感染してすぐは、さほど増殖効率がよくないはず。人から人に感染を繰り返すうちに、人に順応して体内でより増殖する、すなわち病原性の高い変異ウイルスが出てくる」、困ったことだ。
・『ウイルスを擬人化して議論するのは間違いのもと  Q:宿主を殺してしまうとウイルスが生存できないから、弱毒化すると話す専門家もいますが。 A:ウイルスを擬人化して進化論や適者生存、選択淘汰の議論をするのは、間違いのもと。ウイルスは賢いとか、ウイルスの戦略など「たとえ話」の範疇からはみ出している言葉が使われるのは嘆かわしい。何万年もかけて自然宿主との共生関係ができるのは、選択圧力(変異を促す要素)がなくなってから、の話です。いまの新型コロナウイルスには、当てはまらない。 第1に、毒性とか強毒化とか弱毒化とか言っている時点でおかしい。ウイルスは毒素ではないから正しくは「病原性」です。ウイルスの体内増殖に対する人の免疫応答が病気なのですから。 Q:先生は専門のインフルエンザウイルスの観点から、コロナウイルスを見ています。 A:新型コロナウイルスの正体を探るためには、インフルエンザウイルスを参考にするとわかりやすいかもしれません。インフルエンザウイルスの自然宿主はカモで、大腸で増殖して糞とともに排出されます。夏場はシベリアの営巣湖沼にいるが、秋になると南方へカモと一緒に飛来する。でも、病原性がないのでカモも死なないし、人に感染することもない。 でも、ウイルスが渡った先で他の鳥や動物に感染すると、新しい宿主で感染を繰り返すうちに、増殖する変異ウイルスが選ばれて感染が拡大する。それが鶏の間で受け継がれているうちに、養鶏場の鶏の全身で増殖する高病原性鳥インフルエンザウイルスが生まれるわけです。100%の致死率です。これは鶏の間で何百、何千代もの継代を経てやっと生まれる。新型コロナウイルスが人の間でどんどん感染を繰り返すうちに、増殖しやすいウイルスが優勢になるのと同じこと。 加えて、人の新型インフルエンザウイルスは、鳥のウイルスから直接、人に感染したものではない。 カギを握るのはブタです。ブタは人と鳥の両方のインフルエンザウイルスに感染するレセプターを持っている。レセプターとは、ウイルスの持つ鍵に合致する受容体のこと。 つまり、人と鳥の両方のインフルエンザウイルスの鍵穴を持っているブタに、両方のウイルスが同時感染し、体内で交雑してブタで受け継がれた結果、人に感染できるウイルスが生まれることがある。人類が経験したことのない型だと、これが新型インフルエンザウイルスとしてパンデミックを起こすことになる』、「人と鳥の両方のインフルエンザウイルスの鍵穴を持っているブタに、両方のウイルスが同時感染し、体内で交雑してブタで受け継がれた結果、人に感染できるウイルスが生まれることがある」、「ブタ」がパンデミックの仲介役になっているとはやれやれだ。
・『ウイルスの起源と伝播経路は未解明  Q:1968年の香港かぜの伝播経路を突き止めましたね。 A:カモ由来のウイルスがアヒルなどの家きんを経由してブタに感染し、同時に人のアジアかぜウイルス(H2N2)に感染したブタの体内で、この両方のウイルスが交雑して生まれたのが、H3N2の香港かぜであることを実証しました。2009年の新型インフルエンザウイルスも、メキシコかアメリカ南部のブタを介して生まれたことがわかっています。 全世界でブタの感染を注視しておくことが、新型インフルエンザウイルスの出現予測につながります。だから伝播経路の解明は大切なんです。重症急性呼吸器症候群(SARS)もコウモリが自然宿主だというのは確かかもしれないが、中間宿主が分かっていない。 新型コロナウイルスの伝播経路を解明するためにWHOの調査団が中国に入っているが、中国がどこまで調査に協力してくれるかにかかっている。そう簡単ではない。いずれにせよ、このウイルスの宿主と考えられるコウモリから直接、人に感染したとは思えない。必ず中間宿主がいるはず。 気になるのは、動物から人に感染を始めたばかりの新型コロナウイルスが、いきなりこれほど人に適合して中国・武漢で見られたような効率のいい感染爆発を起こすとは思えない。どこかで小規模の流行があって、インフルエンザと勘違いして見逃していた可能性もある。少なくとも、武漢の海鮮市場で人への感染が始まったという情報には疑問がある。 Q:変異株対策として、国境封鎖は有効ですか。 A:感染症に国境なんてありません。国境の封鎖がまったくダメだとは言わないが、いずれ入ってくるわけだし、日本だけで解決しようとしても意味はない。それに日本で増殖しやすい別種の変異株が生まれている可能性だってあります。全世界が連帯して対策を練らないといけないし、すべきことは、いまと同じです。マスクに消毒、それに3密をさけるなどの基本的な対策の徹底だ。) 実は、鳥インフルエンザウイルスの場合は、水を介して鳥に感染するのが主だが、感染した鳥を食べたカラスやアザラシが全身感染して死んでいるケースを何回も目撃した。個人的な感触だが、飛沫感染より胃に入ったほうが重症化するような気がする。だから、ウイルスの付いた手で食事をしないよう手洗いは重要だと、知人には伝えている。 とにかくいまは、感染拡大を止めることに力を注ぐべき。重要なのは経済か感染防御かで、あやふやな対策を講じないこと。そもそも両立させるのは無理です。優先順位を決めて失敗を恐れずにやること。命を最優先するためにはどうしたらよいかを考えるべきだと思います』、「いまは、感染拡大を止めることに力を注ぐべき。重要なのは経済か感染防御かで、あやふやな対策を講じないこと。そもそも両立させるのは無理です」、その通りだ。
・『ワクチンは感染を防がない  Q:ワクチンが間もなく日本でも接種される予定ですが。 A:変異株に対するワクチンの有効性は、塩基配列が少しくらい変わったとしても、抗体を誘導する抗原を決める部分に大きな変異がない限り大丈夫だとは思う。世界中の人に免疫ができた後、選択圧力が加わって、その部分に変異が起きる可能性はゼロではないが。流通し始めたメッセンジャーRNA(mRNA)のワクチンは、人類史上初めての試みで、効き目と副反応の程度については未知数です。 これまでのワクチンは不活化ワクチンが主流で、有効性に疑問符が付けられていた。今回のmRNAワクチンは90%とか95%とか言われる有効性だけど、そもそも感染を完全に防ぐことはできない。気をつけなければならないのは、ワクチンを打っても症状を抑えるが、無症候や軽症だとしても少量ながらウイルスは排出する。ウイルスを撲滅できるわけではない。 中国では、鳥インフルエンザのワクチン製造を国策として進めている。そのために鳥インフルエンザウイルスがなかなか消えないのと同じ理屈です。ワクチンは発症を抑えるが、感染しても、それに気づかない。結果的にウイルスが広がってしまっている。昨年から今年にかけて日本でも相次いでいるH5N8鳥インフルエンザウイルスによる養鶏場の被害も、このため。 新型コロナウイルスも、ウイルスの特性をよく解析したうえで対策を立てないと、間違った方向に進んでしまうと思いますよ』、「ワクチンを打っても症状を抑えるが、無症候や軽症だとしても少量ながらウイルスは排出する。ウイルスを撲滅できるわけではない」、「ワクチンは発症を抑えるが、感染しても、それに気づかない。結果的にウイルスが広がってしまっている」、大いに留意すべきだ。

第三に、1月17日付け東洋経済オンラインが転載したThe New York Times「いまだに「マスクに基準がない」という大問題 アメリカではようやく規格づくりが進んでいる」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/404218
・『現在、10万以上の種類のフェイスマスクが売られている。絹製のもの、綿製のもの、合成繊維のものがあり、フィルター付きのものとないものがある。またオーバーヘッドバンド式のものと耳に掛けるものがある。キラキラがついたもの、ひまわり柄のもの、友好的なあいさつや侮辱する言葉がついたもの、漫画のキャラクター柄がついたものがある。 こうしたマスクに欠けているのが、どの程度感染粒子を防ぐことができるかを示す表示であり、この欠如はコロナ禍にあって公衆衛生当局者をいらだたせている。専門家の多くは、デザインによってその効果に大きな幅があると指摘しており、中にはほとんど粒子を除去しないものもあるとしている』、日本では大学入試の共通試験で、鼻出しマスクをした受験生が監督者の注意に従わず、受験が無効化される問題が起きたばかりだ。「マスク」を軽視していたアメリカで「マスクに基準がない」のは当然だろう。
・『安全なマスクを身につけているかわからない  「もっとも根本的で、基本的な疑問はどれが最も安全なマスクなのか、そうしたマスクを自分や、自分の家族、子どもたちが持っているか、ということだ」と、昨年8月にアメリカ・メリーランド州の副書記官としての職を辞したフラン・フィリップス氏は語る。「われわれがいまだにそうした情報を持っていないというのは驚くべきことだ」。 それももうすぐ変わるかもしれない。疾病対策センター(CDC)は最低限度のフィルター効果基準を策定し、どの製品がそうした基準を満たすのかを示す表示を作ろうとしている。というのも、マスクやフェイスカバーの市場は巨大化していると同時に混乱しているからだ。 CDCの一部門であり、「NIOSH」として知られる国立労働安全衛生研究所は、ASTMインターナショナル(かつてのアメリカ材料試験協会)とともに粛々とガイドラインを書き続けてきた。それらは近々に公表されることが予想されている。 「基準を設けることによって、出回っているマスク製品を評価する首尾一貫した見方を得ることができ、どの程度の予防効果を期待できるのか知ることができる」と、NIOSHの国立個人用保護具技術研究所の所長マリアン・ダレッサンドロ氏は話す。 パンデミックが始まって以来、マスクやフェイスカバーに対するアメリカ政府の監督はほとんどなされてこなかった。食品医薬品局(FDA)とCDCそれぞれが産業を監督する権限を持っている。入手可能なうち最も予防力のあるN95マスクについてはFDAとNIOSHがそれぞれ監督権限を持っているが、多くのアメリカ人が身につけている布切れのようなマスクはいかなる規制当局も監督権限を持っていない。 昨年4月、FDAが緊急措置を公表したときはちょうど医療施設が防護服などを確保しようと躍起になっており、マスクの売り上げも急激に伸びた。この時の発表を見ると、マスクを販売する会社に対してFDAが規制等を講じることはない、と部分的には読み取れる』、「疾病対策センター(CDC)は最低限度のフィルター効果基準を策定し、どの製品がそうした基準を満たすのかを示す表示を作ろうとしている」、「国立労働安全衛生研究所は、ASTMインターナショナル・・・とともに粛々とガイドラインを書き続けてきた。それらは近々に公表されることが予想」、どんなものになるのだろう。日本の当局も直ぐ追随するのだろう。
・『「マスクの効果は0%〜80%」  一方、FDAは同時にこうしたマスクは「液体防御性やろ過効率の基準を満たすかもしれないし、満たさないかもしれない」とも述べていた。もっともこうした警告が市場を弱めることはなく、多くの効果が鈍い製品が売られているのはFDAの責任だと非難する専門家もいる。 「FDAには状況改善に向けてできることがたくさんあった。とくにどのマスクが有効で、どのマスクがそうでないのか、という研究が世に知れ始めた頃だったのだから」と、非営利の健康政策団体である国立健康研究センターの所長ダイアナ・ズッカーマン氏は話す。 「FDAはマスクをぴったり着用すること、少なくとも二層の布でできており、伸縮性の素材で作られていないことといったガイドラインを発表することだってできたはずだ。かわりに会社間の自由競争になってしまった」 マスクの効果は「素材の構成、層の数、層の接着の仕方によって0%から80%」の幅が生じることがある、と防護装備コンサルティングサービスの会長デール・フリーム氏は語る。同氏はまた、マスクのガイドライン作成に関わる基準策定作業部会のメンバーでもある。 マスクの絶対的な基準はN95である。このマスクはぴったり肌に密着し、とても小さな粒子でも少なくとも95%を除去することができる。だがN95マスクは一般的に医療従事者に用意されたものであり、感染爆発が起こって以来品薄になっている。一部の病院はN95を確保するために、闇市場で手に入れようとしていた。 こうした品不足分を補うためにFDAは昨春、KN95の販売を認可した。アメリカのN95に相当する中国産のものだ。しかしFDAはただちに不正かつ偽造の製品を見つけ、許容できるKN95の輸入範囲を狭くした。それでもいまだに不正品が横行しており、無数の会社がFDAの基準に満たないマスクに「KN95」の表示をつけている。 予防の観点でN95より一段劣るものが、FDAが認可した外科手術用マスクであり、特定の基準を満たさなければならない。外科手術用マスクもまた、多くの企業によってコピーされ、予防レベルが同等ではない模造品が出回るようになった。 そしてもちろん荒ぶる西部のスタイルがある。あらゆる使用可能な生地から作り上げた何百万とあるマスクのことだ。中にはバンダナやゲートルといったものもある。バンダナとゲートルは首の周りに巻き付けた生地をループ状にして1つにつなげたもので、伸ばして顔の下半分を覆うことができる』、「荒ぶる西部のスタイルがある]、いかにもアメリカらしい。,
・『国主導のマスク認可プログラムが必要  まったくマスクをしないよりは、どんなマスクでも付けたほうがいいと公衆衛生の専門家たちは言う。CDCはマスクに関する自らのガイダンスを何度となく改定し、密に編み込まれた多層構造の生地のほうが一層の生地もしくは緩いニットから作られたマスクよりも予防効果が高いとしている。これは装着している人だけでなく、その人が接触する人たちにとってもそうだとしている。 ただし、CDCのウェブサイトはフィルター付きのマスクがフィルターのないマスクよりも予防効果があるかどうかについて明らかにしていないし、合成繊維が綿やそのほかの素材と比較してどうなのかについても明らかにしていない。 「マスクをテストして認定する国主導の機関が必要だし、一般の人々にマスクの使い方や手入れ方法などを伝える必要性もある」と、バージニア工科大学で土木環境工学の教授を務めるリンゼイ・マー氏は語る。同氏は空気中の浮遊ウイルスに関する専門家でもある。 アメリカ政府と産業界の代表者で構成される作業部会は、製造業者が最高ろ過率と最低ろ過率を製品表示に入れられるようにした。最低の基準は20%で、最高は50%だ。 一見低いように見えるが、予防効果は低くない。ろ過効率とは0.3ミクロン大の粒子をろ過する場合の製品効率に基づく。0.3ミクロンは一般に最も貫通力のある粒子としてNIOSHのテストで基準とされている。 「0.3ミクロンで20%の効率ということは、1から2ミクロンの粒子では50%の効率ということになり、粒子をブロックする効率が80%の場合は、4から5ミクロンもしくはそれ以上の粒子ということになる」とマー氏は言う。「この数値のマスクであれば有用だと言える」。 マー氏によると、コロナウイルス自体は0.1ミクロンではあるが、だいたい0.5ミクロン以上のエアロゾルに包まれて運ばれる』、「アメリカ政府と産業界の代表者で構成される作業部会は、製造業者が最高ろ過率と最低ろ過率を製品表示に入れられるようにした」、やはりこうした標準は必要だろう。
・『信頼できる研究所での製品テストが必要  基準策定の助手を務めているジェフリー・スタル氏が語るには、作業部会は「呼吸しやすさ」の点でもマスクとフェイスカバーを評価していくという。基準策定プロジェクトは長期にわたる仕事だった、と彼は話す。 ASTMの規格を満たしていると表示するには生産業者はまず、自社製品を信用のある研究所で製品テストをしてもらう必要がある。また、マスクが国民の多くに十分にフィットすることも示さなければいけない。これをクリアできた場合、製品あるいはパッケージにASTMの規格を満たしていると表示することができる。ただし、表示は強制されるものではない。 ハーバード大学の政治学教授、ダニエル・カーペンター氏はNIOSHの基準を策定する仕事を「規制における起業化精神」と呼んだ。 「『たとえ正式な規制の道具を持っていないにしても、今持っている道具を使おう』と言っているようなものだ」とカーペンター氏は話す。「これは従来とは違う規制のあり方で、これによって極めて重要な規制効果を得ることができる。なぜならもし基準を満たしていなければ、承認の印を得ることができないのだから」 フリーム氏もこの基準が広まることを期待している。「今回できた基準は非常にいいものだ」と同氏は話す。「製造業者はこれに合わせて製品をデザインするだろうし、市場に出荷する製品とパッケージにも規格を満たしているか表示するだろう。消費者もその商品を信頼することができる」。 「ショッピングサイトで売り出されている多く、そして、隣人の車庫で作られているような製品の多くはこの規格を満たすことはできないだろう」 』、「ASTMの規格を満たしていると表示することができる」ためには、「自社製品を信用のある研究所で製品テストをしてもらう必要がある。また、マスクが国民の多くに十分にフィットすることも示さなければいけない」、などの努力も求められるようだ。日本でもマスクの規格づくりを検討すべきだ。
タグ:東洋経済オンライン The New York Times パンデミック ダイヤモンド・オンライン (医学的視点) ヘルスデーニュース (その18)(新型コロナ 「ワクチンを打てば感染対策は不要」が間違いな理由、感染力高い変異種の病原性「弱いはずがない訳」 インフル研究の第一人者が見るコロナの先行き、いまだに「マスクに基準がない」という大問題 アメリカではようやく規格づくりが進んでいる) 「新型コロナ、「ワクチンを打てば感染対策は不要」が間違いな理由」 ワクチンを打てばCOVID-19対策は不要? 接種したからといって感染予防策が不要になるわけではなく、引き続きマスクを着用し、社会的距離を維持する必要があると警告 「ワクチンを接種していても感染する可能性があり、かつ他者に感染させる可能性もある」、期待が大きかっただけに、いささか失望した 「「ワクチンの有効性は95%だ。つまり、5%のリスクが残されているということだ」と摘する」、言われてみれば、その通りだ 「米国内のすべてのハイリスク者を守るために必要な、推定3億回分のワクチンを生産するには、2021年の秋までかかる可能性が高い」、しばらくは「忍耐の時期」のようだ 辰濃 哲郎 「感染力高い変異種の病原性「弱いはずがない訳」 インフル研究の第一人者が見るコロナの先行き」 「ウイルスは変異株の集団で、なかには増えやすい変異ウイルスもいる。その増えやすいウイルスが優勢になって感染を繰り返すと考えたらいい」 増殖力の高いウイルスは要注意 「人獣共通感染ウイルスが動物から人に感染してすぐは、さほど増殖効率がよくないはず。人から人に感染を繰り返すうちに、人に順応して体内でより増殖する、すなわち病原性の高い変異ウイルスが出てくる」 ウイルスを擬人化して議論するのは間違いのもと 「人と鳥の両方のインフルエンザウイルスの鍵穴を持っているブタに、両方のウイルスが同時感染し、体内で交雑してブタで受け継がれた結果、人に感染できるウイルスが生まれることがある」、「ブタ」がパンデミックの仲介役になっているとはやれやれだ ウイルスの起源と伝播経路は未解明 「いまは、感染拡大を止めることに力を注ぐべき。重要なのは経済か感染防御かで、あやふやな対策を講じないこと。そもそも両立させるのは無理です」 ワクチンは感染を防がない ワクチンを打っても症状を抑えるが、無症候や軽症だとしても少量ながらウイルスは排出する。ウイルスを撲滅できるわけではない ワクチンは発症を抑えるが、感染しても、それに気づかない。結果的にウイルスが広がってしまっている 「いまだに「マスクに基準がない」という大問題 アメリカではようやく規格づくりが進んでいる」 鼻出しマスクをした受験生が監督者の注意に従わず、受験が無効化される問題が起きたばかりだ 安全なマスクを身につけているかわからない 「マスク」を軽視していたアメリカで「マスクに基準がない」のは当然だろう 疾病対策センター(CDC)は最低限度のフィルター効果基準を策定し、どの製品がそうした基準を満たすのかを示す表示を作ろうとしている 「国立労働安全衛生研究所は、ASTMインターナショナル・・・とともに粛々とガイドラインを書き続けてきた。それらは近々に公表されることが予想」 どんなものになるのだろう。日本の当局も直ぐ追随するのだろう 「マスクの効果は0%〜80%」 「荒ぶる西部のスタイルがある]、いかにもアメリカらしい 国主導のマスク認可プログラムが必要 「アメリカ政府と産業界の代表者で構成される作業部会は、製造業者が最高ろ過率と最低ろ過率を製品表示に入れられるようにした」、やはりこうした標準は必要だろう 信頼できる研究所での製品テストが必要 「ASTMの規格を満たしていると表示することができる」ためには、 「自社製品を信用のある研究所で製品テストをしてもらう必要がある。また、マスクが国民の多くに十分にフィットすることも示さなければいけない」 などの努力も求められるようだ
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