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クールジャパン戦略(その9)(ブラックホール会見でNHK記者が「日本の貢献は?」質問し世界が失笑!科学に“日本スゴイ”持ち込む愚、クールジャパン機構 :見えない黒字化への道筋 新体制の下 国内外企業にハイペースで投資、この1年で何が変わった? 昨年就任した北川CEOと加藤COOを直撃した)  [国内政治]

クールジャパン戦略については、3月12日に取上げた。今日は、(その9)(ブラックホール会見でNHK記者が「日本の貢献は?」質問し世界が失笑!科学に“日本スゴイ”持ち込む愚、クールジャパン機構:見えない黒字化への道筋 新体制の下 国内外企業にハイペースで投資、この1年で何が変わった? 昨年就任した北川CEOと加藤COOを直撃した)である。

先ずは、4月18日付けLITERA「ブラックホール会見でNHK記者が「日本の貢献は?」質問し世界が失笑!科学に“日本スゴイ”持ち込む愚」を紹介しよう。
https://lite-ra.com/2019/04/post-4666.html
・『世界13か国、200人以上の研究者からなる国際プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ」が人類史上初めてブラックホールの撮影に成功した。 このプロジェクトには日本の研究者たちも参加しているのだが、国境を越えて構成されたチームが成し遂げた偉業を、日本のメディアはまたもや「日本スゴイ」の文脈で消費。それが世界の嘲笑を買うという、なんともお恥ずかしい展開となっている。 事が起きたのは、アメリカ政府の国立科学財団の会見だった。会見のなかで記者からブラックホール撮影に関する科学的な質問が飛ぶなか、NHKの記者はパネラーに対してこんな質問を投げたのだ。 「私は国際共同研究に関して質問があります。今回の成果が突出した共同研究であることは理解しております。それぞれの国、特に日本がどんな貢献をしたのかについてお聞かせください」 NHK記者の質問の最後の言葉「especially Japan」の言葉が場内に響いた瞬間、場内のあちこちから他国の記者の笑い声が漏れた。 それに対し会見出席者は、「日本は多くの国々と同様に非常に重要な役割を果たしました」「それぞれの国、それぞれの地域、それぞれのグループ、それぞれの研究所が専門知識をもち寄り、それぞれの仕事を果たしました」と半笑いで答え、日本の記者の愚問は一蹴されたかたちとなっている。 このNHK記者の1人前には高校生の女性が「今回のことは、科学界の国境を越えた協力による大きな功績だと思いますが、今後こうした共同作業は科学界においてひとつのモデルとなるでしょうか。なるとすれば、どういう課題があり、私たちには何ができるでしょうか」といった質問をして、パネラーから「That’s a great question」との言葉をもらっていただけに、余計に日本メディアのお粗末さが強調されていた。 この恥ずかしい一幕はニュースにもなっている。たとえば、「Japan Today」は4月12日に「NHK reporter laughed at for asking black hole team for more on Japan’s contributions(NHKの記者はブラックホール研究チームに対して日本の貢献について質問をしたことで物笑いの種になった)」と見出しをつけたニュースを配信。そのなかでは、「NHK記者の質問にある『とにかく、日本はどうですか?』という側面は、国際舞台で日本のアスリートの業績を自慢するのを愛する日本メディアのやり方を思い起こさせる」と皮肉られている。 人類史上初となる画期的な業績すらも「お国自慢」として消費しようとしてしまう日本のメディアのどうしようもなさは今日に始まったことではないが、こうして国際的に嘲笑の的になることで、いかにそれがおかしいことなのかが改めて浮き彫りになった』、直前の「高校生の女性」の質問が、「パネラーから「That’s a great question」との言葉をもらっていた」だけに、「NHKの記者」はよくぞ恥ずかしげもなく、国威発揚丸出しの質問をしたものだ。最近は安倍政権の御用機関化が著しいが、海外駐在記者にまで影響が及んでいるとは、恐ろしく、かつ恥ずかしいことだ。
・『「科学研究」と「おらが村の自慢」は何の関係もないし、むしろ結びつけてはいけないというのは国際的な常識だ。科学の発展は人類全体の共有の財産であり、どこか特定の国や政府だけのものではないからだ。 しかし、日本のメディアはそのことがまったくわかっていない。たとえば、こんなこともあった。 2012年にノーベル医学生理学賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授は記者会見で「日本、日の丸の支援がなければ、こんなに素晴らしい賞を受賞できなかった。まさに日本が受賞した賞」と発言した。この発言は日本国内では特に問題とならなかったが、これに対してノーベル賞委員会は激怒。「あんな発言は絶対にしてはいけない」と異例の警告を発した(共同通信ロンドン支局取材班・編『ノーベル賞の舞台裏』筑摩書房)』、山中伸弥教授までが「日本よいしょ」発言をして、注意されるとは、日本全体がクールジャパンに毒されて正常な判断力を失ってしまったとすれば、恐ろしいことだ。
・『ノーベル賞受賞の益川敏英教授は国家による科学の軍事利用に警鐘  しかも科学技術の研究とナショナリズムを結びつけることは大きな危険性を孕んでいる。その技術は人を殺す道具にもなるからだ。 2008年にノーベル物理学賞を受賞した京都大学名誉教授の益川敏英氏は『科学者は戦争で何をしたか』(集英社新書)のなかでこのように綴っている。 〈ノーベル物理学賞や化学賞は、将来的に人類の発展に著しく貢献するであろうと評価された科学技術、そしてその開発に寄与した科学者に与えられるものですが、一方でその技術が戦争で使われる大量破壊兵器の開発に利用されてきたのも事実です。(中略)ノーベル賞を授与された研究は、人類の発展のためにも殺人兵器にも使用可能という諸刃の技術と言ってもいいでしょう〉 益川氏は、ノーベル賞受賞記念の講演でも自身の戦争体験にふれ、さらに「安全保障関連法に反対する学者の会」にも参加し、安倍政権の暴走に警鐘を鳴らしてきた人物だ。 そんな益川氏がここで科学技術の「危険性」を強調するのは、安倍政権が学術研究を軍事産業に利用しようとする動きを進めているからだ。 安倍政権は2015年から「安全保障技術研究推進制度」という制度を始めている。これは、防衛装備庁が設定したテーマに基づいて大学や企業などから研究を公募、採択されれば研究費が支給されるというもので、同年は3億円を予算として計上。この予算は激増を続けていて、17年度予算では110億にまで増えた。 これに対し、京都大学や名古屋大学などは「軍事研究は行わない」という方針を明確にする一方、日本学術会議が183の国公私立大学や研究機関を対象に行ったアンケート(2018年4月3日付朝日新聞記事より)によれば、そのうち30カ所が「安全保障技術研究推進制度」への「応募を認めたことがある」と回答したという』、益川氏が正常な判断力を保持され続けているのは喜ばしいことだ。防衛装備庁による「安全保障技術研究推進制度」へ、30の「国公私立大学や研究機関」は応募したとは、カネの魅力には抗し難いということのようだ。
・『メディアが「日本スゴイ、日本スゴイ」と煽る裏で進行する厳しい現実  厳しい経営を余儀なくされて背に腹を変えられない大学や研究者の頬を札束で叩き、カネで釣ろうとする施策は着実に成果を残しつつある。 「Japan Today」をはじめ、海外で皮肉られた「とにかく、日本はどうですか?」「日本スゴイ」ばかり煽る傾向は、あらゆる物事に対して「国家への貢献」を求める風潮と裏表の関係にある。そしてそれは、なんら前向きな影響をおよぼさない。 「日本スゴイ、日本スゴイ」と自己暗示をかけるばかりで、外ではなにが起きているかをメディアが伝えず、受け手も見ようとしなくなった結果、家電メーカーは凋落。液晶テレビやスマートフォンなどの分野で日本企業のプレゼンスはほとんどなくなってしまった。 それは科学技術の分野だけでなく文化・芸術でもそうだ。K-POPが世界中で確かな地位を占めつつあるなか(4月5日付ビルボードチャートでBLACKPINKはシングル・アルバムともに総合チャートに入り、次週のチャートではBTSの新作が首位をとる可能性が非常に高いと言われている)、ハリウッド映画のプロモーションで世界中をまわるスターが韓国までは来ても日本には来ないでそのまま帰っていく光景ももはや見慣れたものとなった。 「日本スゴイ、日本スゴイ」と殻の中に閉じこもっていい気持ちになっているのは勝手だが、それによってもたらされるのは「凋落」だけだということに、いい加減気づくべきだろう』、「「日本スゴイ、日本スゴイ」と自己暗示をかけるばかりで、外ではなにが起きているかをメディアが伝えず、受け手も見ようとしなくなった結果、家電メーカーは凋落。液晶テレビやスマートフォンなどの分野で日本企業のプレゼンスはほとんどなくなってしまった」、との批判は説得力があり、その通りだろう。

次に、8月22日付け東洋経済オンライン「クールジャパン機構、見えない黒字化への道筋 新体制の下、国内外企業にハイペースで投資」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/297595
・『官民ファンドの1つであるクールジャパン機構(海外需要開拓支援機構)が、ここにきて矢継ぎ早に投資を加速させている。 「寄付を寄せてくれた世界中のアニメファンに感謝を伝えたい」 8月にクールジャパン機構が投資を決めたアメリカの日本製アニメ配信・販売会社「Sentai」のジョン・レッドフォードCEOは、こう言って犠牲者に哀悼の意を表した。 機構が投資を決める直前の7月、京都アニメーションの放火事件が発生し、35人が死亡した。レッドフォード氏はニッチ市場向け日本製アニメのライセンス事業を手がけるSentaiを2008年に設立。京アニを支援するクラウドファンディングサイトを立ち上げて寄付を呼びかけていた』、「ここにきて矢継ぎ早に投資を加速させている」、というが大丈夫なのだろうか。
・『「過去の反省を現在に生かしている」  2013年に設立されたクールジャパン機構の経営陣が一新されてから、ちょうど1年が経過した。 三菱商事出身でサンケイビル社長の飯島一暢会長、イッセイミヤケ社長や松屋常務執行役員などを務めた太田伸之社長に代わり、2018年6月に社長に就任したのがソニー・ミュージックエンタテインメント出身の北川直樹氏だ。北川氏を支えるCOO兼CIOには、投資ファンドのペルミラ・アドバイザーズ社長を務めていた加藤有治氏が就いた。 この2人が引っ張る形で、昨年10月以降、Sentaiを含む国内外の企業9社への投資を決定するなど、ハイペースで投資を実行している。 北川社長は「(旧経営陣が)5年間、何もないところから、相当苦労して案件を立ち上げた。その反省も含めて、現在に生かしている」と振り返る。 旧体制との違いは、「キャッシュフロー投資重視」「現地パートナー重視」「グローバルシナジー追求」など5つの投資ルールを掲げ、投資領域としてメディア・コンテンツ、ファッション・ライフスタイル、食・サービス、インバウンドの4分野を掲げたことだ。 加藤氏は「政策性という観点からは以前とまったく同じものを追求しているが、(収益性の観点では)事業基盤がすでに確立したもの、しかも海外で確立しているものを比較的重視している」と話す』、「事業基盤がすでに確立したもの、しかも海外で確立しているものを比較的重視している」、というのであれば、リスクは比較的小さそうだ。
・『「決別」を印象づけた動画コンテンツ企業への出資  中でも旧体制との“決別”を印象づけたのが、新体制として第1号案件となる、アメリカの動画コンテンツ制作・配信企業「Tastemade」(テイストメイド)への投資だ。ゴールドマン・サックスやアマゾンなど、著名な大手投資家を割当先とする3500万ドルの増資の一角に食い込むという「幸運」も重なった。 クールジャパン機構は約14億円を投じるが、その後三井物産がテイストメイドへの追加出資を決めるなど、クールジャパン機構が理想とする“呼び水効果”も発揮している。 新体制以降の9件の投資内訳は、メディアが5件に対し、インバウンドの投資はまだ0件。国内企業が4件、海外企業5件と海外企業への投資が目立ち、後述するEMW社のように、マジョリティ(過半数)出資の案件も登場した。 ビジネスを一から立ち上げる「ラフアンドピースマザー」と人工糸開発を行うベンチャー企業「Spiber」を除き、事業基盤が固まってキャッシュフローが出ている、手堅い企業への投資が増えている印象だ。 今年6月と7月には、日本酒関連のビジネスに立て続けに投資した。 「ワインと日本酒は消費者のプロファイルがよく似ている。クールジャパン機構とは共通のビジョンを持っており、お互いの強みを持ち寄って販売プラットフォームを強化していく」 中国・香港のワイン卸売「EMW」のエドワード・デュヴァル氏は、クールジャパン機構から約22億円の出資(実際の出資先はEMW社の持株会社であるTrio社)を受け入れた理由についてそう語った』、「EMW」への出資をテコに、日本酒販売への無理な圧力をかけるなどということは無しにしてほしいものだ。
・『アメリカのミレニアル世代に日本酒を売り込む  2003年設立の同社は上海や北京などの主要都市に6拠点を展開。機構としては、同社の販売ネットワークを生かし、2018年現在で220億円程度にとどまっている日本酒の輸出を大きく伸ばしていくことを狙っている。 7月に11億円の投資を決めたアメリカの「Winc」への出資も、現地における日本酒ブランドの確立を狙ったものだ。 日本酒輸出のうち、アメリカ向けは約3割。同社が販売するワインのメインターゲットは、1ボトル当たり15~20ドルを支払うジェネレーションXないしはミレニアル世代で、そうした人たちに高品質な日本酒を売り込んでいくという。 同社のジェフ・マクファーレン氏は「今年末か来年初めに複数商品を用意し、3~4年かけて500万ドルの売り上げを目指していく」と期待する。 加藤氏ら企業投資の「プロ」が参画し、投資手法は洗練されてきたものの、クールジャパン機構を取り巻く周囲の視線は厳しい。 「今後新たな産投(産業投資)出資を行う場合には、産業投資と産投機関との間で、あらかじめ出資時に、明確な出資条件を定めることが必要である」 財務省の財政制度等審議会は今年6月、官民ファンドの運営資金の原資を供給している産業投資特別会計に関連し、こんな提言を行った』、財政制度等審議会から注文が付いたのは当然だ。
・『「収益性に課題が生じたファンド」  クールジャパン機構や農林漁業成長産業化支援機構(通称A-FIVE)などの4つの官民ファンドは、「収益性に課題が生じたファンド」と位置付けられ、今年4月には収支計画を提出。今後も今年秋と2020年度、2021年度にそれぞれ計画と実績が検証されることになっている。 財務省理財局の山本大輔・財政投融資企画官は「官民ファンドの解散・清算時に出資元本と資本コスト以上を回収するというゴールが危ういようであれば、改善計画をつくってもらうことになる。解散までゴールを達成できるかどうかわからないのでは困るので、今後も定期的、かつ継続的に早め早めの手を打っていくことが求められる」と語る。 投資ファンドはそのビジネスの性格上、最初に赤字が膨らみ、徐々に利益に転じていく「Jカーブ」と呼ばれる収益曲線を描く。たしかにクールジャパン機構は設立してまだ6年弱で、収益化の途上にあるとも言える。しかし問題は、2033年に解散する機構の清算時に、本当に黒字で閉じることができるのか、その道筋が今のところ見えていないことだ。 官民ファンドは安倍政権が発足した2013年から2015年にかけて、相次いで設立された比較的新しい政策ツールだ。政策的必要性が高く、民間だけでは十分に資金が供給されない分野への資金供給はこれまで、日本政策投資銀行や国際協力銀行などの政府系金融機関が担っていたが、2019年3月末現在で5兆6968億円の産業投資残高のうち、官民ファンドは13%を占めるまで存在感を増している。 しかし、日本政策投資銀行など向けの出資は融資業務のリスクバッファーとして使われるのに対し、官民ファンド向け資金は投資の直接の原資となるなど、リスクが大きい。それなのに、新しい政策ツールということもあって、監視の目が十分行き届いていないという問題があった』、所管官庁や官民ファンドにとっては、「政策実現のための便利な入れ物」となっていたのは確かだ。
・『これまでの収支決算は179億円の繰越損失  クールジャパン機構がこうした外部の厳しい目を払拭するには、何よりも収益をあげるしかないだろう。 棒グラフが投資額、折れ線グラフが累積損益を表す。クールジャパン機構の見通しでは、2033年度までに累積損益が黒字になるとしている(クールジャパン機構の資料から引用) 機構は2013年の設立以降、合計38件の投資を行い、業績不振が批判されたマレーシアの商業施設など、3件のイグジット(投資回収)を果たした。その2019年3月末時点での収支決算は179億円の繰越損失だ。 この繰越損失は、約100億円の経費、約80億円の減損損失と引き当て処理からなる。これまで実現した3件のエグジットの収支は「トントン」で、肝心の投資に伴う利益を実現できていない。 カギを握るのは、主に旧体制下で進めた26件(29件投資し、3件は売却)のゆくえだが、エグジットのイメージはまだ見えない。 例えば、110億円を上限に出資するという中国・寧波での大規模商業施設「ジャパンモール事業」(2014年9月決定、110億円を上限に出資)は当初予定を延期し、2019年秋に開業予定という。機構の北川社長は「少なからずの額を投資しているものの、われわれが直接インボルブして(関わって)いないということが、初期案件での1つの形だった」と話す。 今年4月に公表された、クールジャパン機構の2033年度までの投資計画によると、単年度赤字は2023年度まで続き、累積損益が黒字化するのは2031年度。2028年度まで毎年181億円を投資する計画だ。 これだけの投資をこなすには投資に精通した人材を増やしていく必要がある。民間の投資ファンドと比べて決して待遇面で厚遇と言えない機構にどれだけ有為な人材を集められるか』、「ジャパンモール事業」など旧体制下で進めた案件でも、徹底的に見直すべきだろう。
・『「政策性」と「収益性」の二兎を追う難しさ  最大の問題は、クールジャパン政策の推進という「政策性」と、機構解散時に純資産がゼロを上回らなければならないという「収益性」の二兎を追う難しさだ。 クールジャパン機構を所管する経済産業省クールジャパン政策課の三牧純一郎課長は「機構ができる以前のクールジャパン政策は、補助金をつけてPRやプロモーションを行う情報発信系イベントが中心だった。ビジネス的な観点は強くなかったが、機構ができてビジネスにつなげるようになった。その差は大きい」と振り返る。 もちろん、何でも「クールジャパン」に仕立て上げればいいというものではないが、本当に政策性が重要なら、補助金という形式で、投じた公金が返ってくることを期待せずに、政策性をひたすら追求すればいい。しかし、官民ファンドでは収益性という「タガ」がわざわざはめられている。 それは、ビジネスとしてゴーイングコンサーンでないと、安定的に政策性を追求できないからだ。これまでの機構はその収益性さえクリアできなかったため、従来の補助金行政との違いを示せなかった。 なぜ公的資金を元手に日本企業ではなく、海外企業に出資して、日本酒や日本製アニメを売ってもらうのか。従来の公的資金の使い方と何が違うのか。まだ十分に理解されているとは言えない「官民ファンド」という新しい政策ツールの意義とリスクを、しっかりと説明していくことが求められている』、説明責任はしっかり果たして欲しいところだ。なお、クールジャパン機構については、このブログの6月28日「機構資本主義」、8月16日「闇営業」でも取上げているので、参考にされたい。

第三に、上記の続き、8月23日付け東洋経済オンライン「クールジャパン機構、この1年で何が変わった? 昨年就任した北川CEOと加藤COOを直撃した」を紹介しよう(Qは聞き手の質問)。
https://toyokeizai.net/articles/-/297340
・『官民ファンドの1つである、クールジャパン機構(海外需要開拓支援機構)が厳しい批判にさらされている。 2013年に設立された同機構は、中国での大規模商業施設事業や日本のアニメやドラマの海外放送事業など、これまでに合計38件の投資を行い、うち3件をすでに売却した。2019年3月末現在で179億円の累積損失を抱え、財務省の財政制度等審議会が今年6月にまとめたリポートでは、「投資実績の低調等により、累積損失が生じている状況にある」と指摘された。 だが、昨年6月に就任したソニー・ミュージックエンタテインメント出身の北川直樹社長CEOと、投資ファンドのペルミラ・アドバイザーズ出身でCOO兼CIOを務める加藤有治氏によって、投資手法や投資先の選定、投資後の企業価値向上の方法が変化していることも事実だ。 クールジャパン政策を推し進めていくうえで、クールジャパン機構の果たす役割は何か。また、官民ファンドとしての運営上の課題は何か。2人に聞いた』、トップ2人へのインタビューとは興味深い。
・『「5つの投資方針」をはっきりさせた  Q:社長、COOにそれぞれ就任されて1年が経過しました。「旧体制」と何がいちばん違うのでしょうか。 北川:日本の魅力を世界に届けるための「5つの投資方針」をはっきりと決めて、スタートさせた。ただ、1つ言えるのは、(前会長の)飯島(一暢)さんや(前社長の)太田(伸之)さんらは、何もないところから相当苦労して5年間、案件をやってきた。その大変さの中にヒントはいっぱいある。僕らなりに、事業の精選のされ方など、反省も含めて現在に生かしている。 Q:新体制下でこれまで9件の投資を決定しました。その中に2人が理想とする投資案件はあったのでしょうか。 北川:カテゴリーは似ているかもしれないが、9件すべてタイプが違う。インバウンドがこれだけ取り上げられるようになったように、来年、再来年とやっていくうちに「クールジャパン」のあり方やポジションも変わっていくだろう。そういう状況の変化にどう対応していくかが重要だ。 Q:9件の中身をみると、吉本興業とNTTと組んで出資した国産プラットフォーム事業「ラフアンドピースマザー」と慶応義塾大発ベンチャーの「スパイバー」を除き、ビジネス基盤の固まった、キャッシュフローの出ている企業への、手堅い投資が目立つ印象です。 加藤:政策性という観点からいうと、従来とまったく同じものを追求しているが、(新体制では)より事業基盤が確立したものに投資している。しかも、海外で基盤が確立しているものという点を重視している。 9件の内訳は、グリーンフィールドが1件、グロースが6件、マジョリティー出資案件が2件。投資手法の多様化も図るし、分野もバランスをとっていく。グリーンフィールドはこういう政策をやりたいということに対して、テーラーメイドで作れるという利点はあるが、立ち上げのリスクがある。ただ、よいバランスの投資ができているのかな、と思う。 Q:今年4月に示された投資計画によると、今後10年間で毎年181億円ずつ、合計1800億円超の投資を計画しています。相当な投資件数と金額になると思いますが、今の機構の人材で十分なのでしょうか。また、投資対象は十分存在しますか。 北川:これから直面するのはそこだと思う。この11月で7期目となるが、このチームとなって投資件数は結構増えた。このペースでいくと、以前は想定していなかったことを想定し始めないといけない。 エグジットはこれから増えてくる。大きく人を増やすものでもなく、2人増えるだけでも助かる、という世界。加藤COOを中心に、チームを新たに編成し直すなど対応をしている。 加藤:ご指摘の通り、もしこのペースで投資を続けるなら、人員は増やさざるをえないかもしれない。一方、ファンドのサイズを上げることで投資効率を上げる方法もある。 ただ、政策性の観点からいうと、大きければいいというものでない。サイズ、政策性、収益性のバランスをうまくとりながら、効率よくチームを編成し、手厚くやるべきところは手厚く、案件サイズも工夫していく。 投資先も、簡単に見つかるということではないが、われわれのスタッフが正しい戦略に基づいて正しい努力をすれば、十分なパイプラインは積み上がる。投資対象に挙げている4分野の裾野は広く、投資対象はたくさんあるが、いい投資対象がたくさんあるかというと、そうでもない』、「(新体制では)より事業基盤が確立したものに投資している。しかも、海外で基盤が確立しているものという点を重視している」、というのは手堅いやり方だ。現在はベンチャーファンドも乱立気味で、資金はあり余っているようなので、「毎年181億円ずつ」に拘らず、弾力的に投資すべきだろう。
・『エグジットには2年以上、長い期間がかかる  Q:エグジット(投資案件の売却)に至った案件は今のところ3件で、共同投資先への売却や投資先による買い戻しが中心です。今後エグジットが本格化すると思われますが、IPOなど具体的なイメージがあるのでしょうか。 加藤:一般論でいうと、ファンドなので(IPOなどのエグジットを)当然積極的に検討する。検討を進めるにあたって、まず政策的な目的を一定程度達成できているか。それが第一義なので、満足する結果を生んでいるのなら、次のオーナーへ引き渡していく。 とはいえ、現実には投資して2年間やって、すぐエグジットするかというと、2年では満足いく政策目的を達成できないケースがほとんどだと思う。技術的にはそれよりも長い期間でエグジットしていくことになる。 Q:例えば、今年6月から7月にかけて、日本酒関連の投資が2件ありました。これらのビジネスがどういう状態になると、おっしゃるような「政策目的」が達成されたことになるのでしょうか。 加藤:案件ごとに政策KPI(重要業績評価指標)が決まっており、目標の70%を達成すると、一定程度達成できているということになる。そのハードルを越えてきたところでIPOなり、戦略的な買い手にバトンタッチしていくことになる。 Q:KPIの詳細は未公表のようですが、そのKPIの達成度は、最初の目標をいくらに設定するか次第で達成度が左右されるのではないですか。最初の目標の設定は適切なのでしょうか。 北川:正直に申し上げて(目標は)結構高い。僕らは高めの目標を先方(投資先)にプレゼンし、先方がこれくらいでどうですか、というケースが多い。新しいマーケットをお互いに開拓しようとしているので、多い少ないという議論はあると思う。先方の事情もあり、マーケットをまったく無視してやるわけにはいかない。 Q:例えば、日本酒の高い政策目標はどこから出てくるものですか。 北川:彼らが扱っているのはワインやシャンパンで、向こう(中国やアメリカ)のマーケットで日本酒の需要があるかが1つの目安になる。 加藤:付け加えると、量だけではなく質も大事。われわれの発想として、なるべくたくさん輸出してビジネスにしたいという話をするが、現場でやっている人たちの意見でいくと、いきなり何でもいいからたくさん売れ、というのは得なのか、となる。 今回の日本酒の案件では、日本のお酒というもののストーリーをきちんと語ってブランドを作ろうと。日本ブランドはいいものだ。クオリティーの背景にストーリーがあって、これなら高い金を払って買ってもいいよね、というのにふさわしいものを売ろうと。質、量両面を考えながらKPIを設定している』、「日本のお酒というもののストーリーをきちんと語ってブランドを作ろう」、というのはもっともだが、数多い日本酒の「ストーリーをきちんと」描き分けて、ブランドを作るというのは、なま易しくはないだろう。
・『政策性と収益性の両立は簡単ではない  Q:日本酒の輸出を伸ばしたり、日本酒のブランドをつくっていくという目的を達成する手段としては、補助金を出すなり、マーケティングするなどの方法もあると思います。機構のように企業に出資するやり方は、目的達成の手段として適切なのでしょうか。 北川:機構は今(2013年の設立から)6年目で、これは1つのトライアルだと思う。当然、補助金というやり方もある。効果的だと思うし、今いろんなやり方の中で、どれがいちばんいいのか。われわれがまさに証明していくことだと思っている。 正直言って、政策性と収益性、この2つをやっていくのはそんなに簡単なことではない。それは重々認識している。財政投融資の観点からは、政策性も収益性もちゃんとやってくれと。さらに、計画を立てて、投資を現実にやっていくことがすごく重要だ。 加藤:われわれとしては、バリュークリエーションチームを作り、企業投資の世界で確立されたバリュークリエーション手法をしっかり導入している。投資先の30数社全部に担当を貼り付けるわけにいかないが、例えば、マジョリティー(株式の過半数)をとっている先や(ビジネスをゼロから立ち上げる)グリーンフィールド案件、案件サイズの大きい先など、ハンズオンが必要な先にチームをきちんとつけている。 われわれは産業投資のお金を使って株主になっている。投資自体で価値は生まれないので、産業投資のお金にしっかり働いてもらうために、継続的に投資先の会社と協力し合い、株主としての役割をしっかり果たしていく。 Q:政策性と収益性の「二兎」を追うのは結構しんどいと思います。いっそのこと、目標をどちらか1つに絞ってはどうでしょうか。 北川:当事者として(二兎を追うことに)僕は違和感がない。会社というのはいつも2つを追っている。人を減らして売り上げを倍にしろとか。僕もそうやってきたので、目標が1つだけだなんてとんでもない。 Q:機構に課せられた収益性といっても、民間ファンドのように20%とか30%とかのリターンを求められているわけではない。投資元本が返ってくればいい、という建て付けです。 加藤:難易度は高いと思う。民間は、利益に向かって全力疾走でいい。しかし、クールジャパン機構は目標が2つある。全力疾走でなく、バランスでやるというところが難しい。振り切っていいならバンと押せばいいが、てんびんにかけてやらないと。 チームとよく話しているのは、政策目的と収益がトレードオフでなくなる瞬間もたまにある、ということだ。例えば、中国の日本酒案件は、KPI設定がすごく簡単にいった。 経営陣は次の成長の柱は日本酒だと言った。しかも日本酒は彼らのインフラにそのまま乗っかる。ストーリーも歴史もあって、ワインと同じようなカテゴリーで成長の柱にできる。こういうケースを見つけると、仕事のやりがいをすごく感じる』、ワインと日本酒では違いもありそうだが、プロがそう信じているのであれば、そうなのだろう。
・『吉本案件に変更はない  Q:既存の投資先の進捗状況を聞かせてください。最大110億円を投じる中国・寧波のジャパンモールの開業時期は、延期されて今年秋になる予定です。 北川:ブランド戦略がきちんとできて、成功させたいという阪急さんの思いがあるので、そのへんが見えるまで(開業時期が)なかなか決まってこなかったという事情があると思う。僕らは(相応の出資金)額を出しているが、中国のパートナーやテナントの問題はどうしてもH2Oリテイリングにある程度頼らざるをえない。 Q:沖縄の吉本興業との共同投資案件に世間の批判が集まっています。 北川:(社外取締役でつくり、投資案件を審議する)海外需要開拓委員会の議論も通過してきている案件だ。政策性と収益性をみて、反社かどうかも当然チェックしてスタートしている。 (吉本案件は)何度も聞かれるが、かなり厳しいチェックを(ほかの案件と)同じようにやっている。「(吉本案件を)どうするんですか」と聞かれても、別に何か決定自体が誤っていたわけではないし、「(投資方針の変更などは)ないですよ」と申し上げている。 Q:投資ファンドのビジネスモデル上、費用が先行する「Jカーブ」を描くのは理解できます。問題は、クールジャパン機構の存続期間である2033年までに本当にカーブが持ち上がっていくのか。相当未来の話なので、よくわからない。 北川:累損を単純に見ている人もいるので、そうではないんだと。懸念をもたれているポイントは違いますよ、というのをぜひご理解いただきたい。 加藤:いま(投資先の)ポートフォリオが30社を超えてきており、バリュークリエーションや投資先との連携の努力をきっちりやっていく。そして、これまで通りにパイプラインをしっかり積み上げ、政策的にも、経済的にもいいエントリーをする。 もう1つ、やはりミッションを忘れないということが重要だ。われわれのミッションは海外事業開拓支援。そのミッションのために適切な投資とは何なのか。それをつねに問い続けていく』、吉本案件は「海外需要開拓委員会の議論も通過してきている案件」として突っ張っているようだが、吉本興業自体が「闇営業」問題で揺れているだけに、環境の変化に柔軟に対応してゆくべきだろう。 
タグ:東洋経済オンライン litera クールジャパン戦略(その9)(ブラックホール会見でNHK記者が「日本の貢献は?」質問し世界が失笑!科学に“日本スゴイ”持ち込む愚、クールジャパン機構 :見えない黒字化への道筋 新体制の下 国内外企業にハイペースで投資、この1年で何が変わった? 昨年就任した北川CEOと加藤COOを直撃した) 「ブラックホール会見でNHK記者が「日本の貢献は?」質問し世界が失笑!科学に“日本スゴイ”持ち込む愚」 国際プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ」が人類史上初めてブラックホールの撮影に成功 アメリカ政府の国立科学財団の会見 NHKの記者はパネラーに対してこんな質問を投げたのだ。 「私は国際共同研究に関して質問があります。今回の成果が突出した共同研究であることは理解しております。それぞれの国、特に日本がどんな貢献をしたのかについてお聞かせください」 場内のあちこちから他国の記者の笑い声が漏れた NHK記者の1人前には高校生の女性が「今回のことは、科学界の国境を越えた協力による大きな功績だと思いますが、今後こうした共同作業は科学界においてひとつのモデルとなるでしょうか。なるとすれば、どういう課題があり、私たちには何ができるでしょうか」といった質問をして、パネラーから「That’s a great question」との言葉をもらっていた Japan Today NHKの記者はブラックホール研究チームに対して日本の貢献について質問をしたことで物笑いの種になった 「科学研究」と「おらが村の自慢」は何の関係もないし、むしろ結びつけてはいけないというのは国際的な常識だ 山中伸弥教授は記者会見で「日本、日の丸の支援がなければ、こんなに素晴らしい賞を受賞できなかった。まさに日本が受賞した賞」と発言 ノーベル賞委員会は激怒。「あんな発言は絶対にしてはいけない」と異例の警告を発した ノーベル賞受賞の益川敏英教授は国家による科学の軍事利用に警鐘 安倍政権は2015年から「安全保障技術研究推進制度」という制度を始めている 京都大学や名古屋大学などは「軍事研究は行わない」という方針を明確にする一方、日本学術会議が183の国公私立大学や研究機関を対象に行ったアンケート(2018年4月3日付朝日新聞記事より)によれば、そのうち30カ所が「安全保障技術研究推進制度」への「応募を認めたことがある」と回答 メディアが「日本スゴイ、日本スゴイ」と煽る裏で進行する厳しい現実 「日本スゴイ、日本スゴイ」と自己暗示をかけるばかりで、外ではなにが起きているかをメディアが伝えず、受け手も見ようとしなくなった結果、家電メーカーは凋落。液晶テレビやスマートフォンなどの分野で日本企業のプレゼンスはほとんどなくなってしまった 「クールジャパン機構、見えない黒字化への道筋 新体制の下、国内外企業にハイペースで投資」 「過去の反省を現在に生かしている」 クールジャパン機構の経営陣が一新されてから、ちょうど1年が経過 旧体制との違いは、「キャッシュフロー投資重視」「現地パートナー重視」「グローバルシナジー追求」など5つの投資ルールを掲げ、投資領域としてメディア・コンテンツ、ファッション・ライフスタイル、食・サービス、インバウンドの4分野を掲げたことだ 「決別」を印象づけた動画コンテンツ企業への出資 アメリカのミレニアル世代に日本酒を売り込む 「収益性に課題が生じたファンド」 4つの官民ファンドは、「収益性に課題が生じたファンド」と位置付けられ、今年4月には収支計画を提出。今後も今年秋と2020年度、2021年度にそれぞれ計画と実績が検証される これまでの収支決算は179億円の繰越損失 「政策性」と「収益性」の二兎を追う難しさ 「クールジャパン機構、この1年で何が変わった? 昨年就任した北川CEOと加藤COOを直撃した」 「5つの投資方針」をはっきりさせた エグジットには2年以上、長い期間がかかる 政策性と収益性の両立は簡単ではない 吉本案件に変更はない
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