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ソフトバンクの経営(その16)(「まだ1合目」 資本家・孫正義の見る未来、ソフトバンク「孫正義」の後継者選び 副社長退任のウラで起こっていた「意外なこと」、孫正義氏が米ナスダック再上場を計画する半導体大手アームは「イギリスの国宝」 戦略企業の流出危機に青ざめる英政界) [企業経営]

ソフトバンクの経営については、2000年9月21日に取上げた。久しぶりの今日は、(その16)(「まだ1合目」 資本家・孫正義の見る未来、ソフトバンク「孫正義」の後継者選び 副社長退任のウラで起こっていた「意外なこと」、孫正義氏が米ナスダック再上場を計画する半導体大手アームは「イギリスの国宝」 戦略企業の流出危機に青ざめる英政界)である。

先ずは、昨年12月24日付け日経ビジネスオンライン「「まだ1合目」 資本家・孫正義の見る未来」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00415/122300001/
・『「まだ1合目。始まったばかりだ」──。 浜離宮を見下ろすソフトバンクグループ本社ビル高層階で、孫正義会長兼社長はこう語り始めた。自ら心血を注ぐユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場企業)投資の達成度を聞かれてのことだ。 「資本家として、お金ではなく未来をつくる」。 世界にユニコーン企業とその予備軍は約3000社。このうち約400社に、ソフトバンクG傘下の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」などが出資する。2021年3月期、ソフトバンクGは日本の上場企業として史上最大の約5兆円の純利益をたたき出し、「本業」と位置づけるユニコーン投資はいよいよ軌道に乗ったかにみえた。しかし今、同社はかつてないほどの逆風の最中にある。 「実質は大赤字。一大事だ」(孫氏)。21年4~9月期決算で3636億円の純利益を確保したが、投資会社としての「成績表」であるNAV(ネット・アセット・バリュー、株式など保有資産から負債を除いた評価額)は3カ月で6兆円減った。 保有する中国・アリババ集団の株価は1年で半分に下落、6月末にニューヨーク証券取引所に上場した中国配車アプリ大手の滴滴出行(ディディ)も株価が6割下落した。米中対立の先鋭化により、高度なプログラミング技術や重要な個人情報を囲い込もうと中国当局がIT大手に規制をかけているとされ、成長性への不透明感が強まっている。 世界の分断の余波はそれだけではない。20年9月、ソフトバンクGは傘下の英半導体設計大手アームを米半導体大手エヌビディアに売却することで合意したが、米連邦取引委員会(FTC)が21年12月に入り、売却を阻止するため提訴。欧州委員会も本格調査に入っている。エヌビディアが強くなりすぎれば半導体産業全体の競争が阻害されるとの懸念からだ。売却で見込んでいた3兆~4兆円の利益の実現が遠のく』、「投資会社としての「成績表」であるNAV(ネット・アセット・バリュー、株式など保有資産から負債を除いた評価額)は3カ月で6兆円減った」、見る影もないような大逆風だ。
・『株価は半値に  21年の春先に1万円あったソフトバンクGの株価は足元で半値の5000円台に沈む。売上高のほとんどを占める通信子会社ソフトバンクや英アームの業績は堅調そのもの。それでも株価が低迷するのは、これらの実業よりも、投資こそが本業だと金融市場はみていることを示す。英アームの売却で得られるはずの資金を逃せば、次なるユニコーン投資の足かせになるとの懸念もある。 マクロ視点でみれば、インフレ退治のために米当局が進める金融緩和の正常化も逆風だ。カネ余りが縮小すれば「上場によって一段と価値が高まる」というユニコーン投資の必勝方程式が成り立たなくなる可能性も否定できない。 実際、21年12月に上場したばかりのシンガポールのスーパーアプリ「グラブ」の株価は安値圏で推移。20年度の業績拡大に寄与した韓国ネット通販大手クーパン株も21年3月の上場直後の高値から4割下落した。市場の一部には、破綻した英フィンテックのグリーンシル・キャピタルや米建設テックのカテラを念頭に、ソフトバンクGの「選別眼」の力量を疑問視する向きがなお残る。 振り返れば、孫氏、そしてソフトバンクの歴史はアップダウンの連続だ。ITバブル崩壊による株価急落、英ボーダフォンの日本法人買収による携帯通信事業への参入、米携帯通信大手スプリント買収……。 日本の産業界にとって前例のない大胆な決断は資金繰りのリスクと隣り合わせ。外野は常に、事業の継続性や危機をささやく。だが、そのたびに乗り越えてきたのも事実だ。 孫氏は自らが目指す姿を「投資家でなく資本家」と表現する。今回の逆風は米中対立という外的要因が発端とはいえ、市場環境に大きく左右される「投資会社」の宿命とも言える。この荒波を乗り越え、「300年続く会社」の基礎をどう固めようとしているのか。 次回から、ソフトバンクGおよびビジョン・ファンドの知られざる実態を、幹部の証言を基に追う』、これまで膨大な含み益を支えてきたアリババやネット企業の米国上場に対する中国政府の姿勢が厳しくなり、環境は様変わりとなった。

次に、本年2月7日付け現代ビジネス「ソフトバンク「孫正義」の後継者選び、副社長退任のウラで起こっていた「意外なこと」」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/92068
・『「副社長」が去るのは、3人目  1月28日にソフトバンクグループがマルセロ・クラウレ副社長(51歳)の退任を発表した。 「同氏は、ソフトバンクが買収した米通信大手・スプリントのCEOに就任し、経営を軌道に載せた。その手腕に対する孫正義会長兼社長(64歳)の信頼は非常に篤く、後継者レースの『最有力』と見る向きもあっただけに衝撃が大きい」(全国紙経済部記者) 孫氏は「69歳までに後継者に経営を引き継ぐ」とたびたび語ってきた。 だが、後継候補の「副社長」が社を去るのは、これで3人目だ。 「次期社長含みで三顧の礼をもって迎え入れたニケシュ・アローラ氏は'16年に電撃退社し、投資事業の最高責任者として招聘した佐護勝紀氏も昨春、静かに会社を去った。2人は投資の方向性をめぐって孫氏と対立したことが、退任の理由と見られます」(同・経済部記者) 今回のクラウレ氏の退任は、報酬面での決裂が原因と囁かれるが、同グループの関係者は違った見方を示す。 「クラウレ氏は残る最後の副社長、ラジーブ・ミスラ氏との折り合いが非常に悪い。孫さんが鳴り物入りで立ち上げた『ソフトバンク・ビジョン・ファンド』の主導権争いでミスラ氏に敗れたクラウレ氏は傍流のファンドの責任者に追いやられ、意気消沈していた。ただ、残るミスラ氏はファンド運営のプロという側面が強く、おそらく次期社長とは目されていない」 後継者選びはすっかり暗礁に乗り上げたように見える。だが、かつて孫氏の下で社長室長を務めた嶋聡氏は「本当のところ、孫さんは後継の育成に本気になってはいないのではないか」と語る。 「現在急ピッチで進めている投資事業は、これまでの孫さんの経験がすべて役立つ非常にエキサイティングなもの。彼が簡単に誰かに譲るとは思えない。結局、ウォーレン・バフェット氏と同じように90代までやるんじゃないでしょうか」(嶋氏) 孫氏にとっては「孤独」なほうが都合が良いに』、「バフェット氏と同じように90代までやるんじゃないでしょうか」との見方の方があり得そうだ。

第三に、2月10日付けNewsweek日本版が掲載した在英ジャーナリストの木村正人氏による「孫正義氏が米ナスダック再上場を計画する半導体大手アームは「イギリスの国宝」、戦略企業の流出危機に青ざめる英政界」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/kimura/2022/02/post-136.php
・『<世界に誇る科学力をテコに多くのユニコーンやデカコーン企業を生み出しながら、資本力に勝るアメリカ市場に奪われ、果てはGAFAMに吸収されてしまうイギリスの悪夢再び> [ロンドン発]投資株式会社化を目指すソフトバンクグループ(SBG)は2月8日、英半導体設計大手アームの売却を断念すると発表した。2016年、SBGは320億ドルでアームを買収。20年、米半導体大手エヌビディアに約400億ドル相当で売却する契約を結んだものの、独禁当局との交渉が難航し、断念に追い込まれた。 22年度中に米ナスダック市場での再上場を目指す孫正義会長兼社長に英政界から恨み節が聞こえてくる。アームはもともとロンドン市場とナスダック市場に上場していたが、SBGによる買収で非上場の完全小会社となった。イギリスが国民投票で欧州連合(EU)離脱を選択した直後でテリーザ・メイ英首相(当時)は孫氏に電話で「イギリスへの信頼の証しだ」と祝福した。 孫氏は8日の記者会見で「米当局の独禁法による訴訟が明確になってきた。イギリス、EUなど各国当局が非常に強い懸念を表明している。エヌビディアが提案した解決策で規制当局も納得すると信じていたが、全く相手にしてもらえなかった。エヌビディア側からこれ以上は難しいだろうと契約解消の話があった」と背景を説明した。 アームの再上場先について「アームの取引先は大半が米シリコンバレーの会社。投資家もアームに非常に高い関心を持っている。ハイテクの中心であるアメリカのナスダックが一番適している。他に若干可能性があるのがニューヨーク市場。おそらくナスダックになるだろうと現時点では考えているが、まだ決まったわけではない」との見通しを示した』、「アームの再上場先について「アームの取引先は大半が米シリコンバレーの会社。投資家もアームに非常に高い関心を持っている。ハイテクの中心であるアメリカのナスダックが一番適している。他に若干可能性があるのがニューヨーク市場」、それが最も合理的だ。
・『イギリスの「国宝」が米市場に流出する  英ケンブリッジに拠点を置くアームは性能が増しても回路の複雑さを増やさない独自の設計で消費電力を抑え、スマホの普及とともにシェアを拡大。クラウド、電気自動車(EV)の需要のほか、スパコンにも進出、計算能力を競うランキングで4期連続の世界一となった理化学研究所の「富岳」にはアームの設計を採用した富士通のプロセッサーが使われている。 「国宝」のようなテクノロジー企業が日本に買収され、ロンドン市場からナスダック市場に持って行かれてはたまったものではない。英紙タイムズは「アームは地球上のほぼすべてのスマホを動かすプロセッサーを製造している。アップル、クアルコム、サムスン電子も利用している」と紹介した上で英政界の苦悩を伝えた。 「アームのロンドンでの上場は不可欠だ。戦略的に重要な企業や主要な雇用主の保有は重要で、われわれは歴史的にあまりに無頓着だった」(保守党のアンソニー・ブラウン下院議員)。「わが国は戦略的資産を国内にとどめ、雇用を守る具体的な政策が必要だ」(労働党のデービッド・ザイクナー下院議員)。2人とも地元ケンブリッジ選出の下院議員である。 ボリス・ジョンソン英首相の報道官は「昨年、ロンドンでは記録的なIPO(新規公開株)と民間投資が行われた。企業がロンドンに上場して成長することを支援し、奨励するために懸命に取り組んでいる」と語った。しかしブレグジットで対EU貿易が激減する中、世界的な英テクノロジー企業が米市場に流出という事態になれば衝撃は大きい』、一般的に英国の政治家は「戦略的に重要な企業や主要な雇用主の保有は重要で、われわれは歴史的にあまりに無頓着だった」が、ここに登場した「2人とも地元ケンブリッジ選出の下院議員」、なので、こだわっているのだろう。少なくとも「戦略企業の流出危機に青ざめる英政界」はオーバーだ。
・『ロンドンはテクノロジー企業の評価が低い  英紙フィナンシャル・タイムズはこんな懸念を伝えている。ロンドン市場は米ナスダック、ニューヨーク市場に比べテクノロジー企業の評価が低いと広く認識される中、クワシ・クワーテン英ビジネス・エネルギー・産業戦略相はアームをロンドン市場に再上場させるよう求める声に直面している。 ダレン・ジョーンズ英下院ビジネス・エネルギー・産業戦略特別委員会委員長は同紙に「SBGがロンドン以外での上場を決定した場合、資金調達をするテクノロジー企業にとってロンドンを最も魅力的な市場にする財務省の取り組みに重大な疑問を投げかける」と懸念を示している。 ロンドン証券取引所ではIPOを活発にするため議決権種類株発行企業の上場を認めるとともに、浮動株比率の下限を25%から10%に引き下げた。「特別買収目的会社(SPAC)」も活用しやすくしたため、昨年ロンドンで上場した企業は海外送金サービス「ワイズ」、出前サービス「デリバルー」など120社以上、168億ポンド(約2兆6千億円)が調達された。 19年の35社、20年の38社を大きく上回ったことからイギリスの「IPO(新規公開株)元年」と呼ばれる。しかしアメリカのインフレ懸念で米連邦準備理事会(FRB)が利上げだけでなく、早い時期に量的引き締め(QT)に転換する見通しが強まったことから、英IPO企業の株価も惨憺たる状況となった』、「ロンドンはテクノロジー企業の評価が低い」のが事実であれば、「米ナスダック、ニューヨーク市場」を選択するべきだろう。
・『GAFAMやモデルナが生まれにくい環境  短期利益を求める英市場参加者は株価が上昇するとすぐに売ってしまうため、アメリカのアルファベット(グーグル)やアマゾン、アップル、メタ(フェイスブック)、マイクロソフトといったビッグテック(GAFAM)やmRNAワクチンで一躍有名になった米モデルナのようなバイオテック企業はイギリスでは育ちにくい。イギリス最大の強みはワクチン開発や変異株の探知、感染予測モデリングでも証明された科学力だ。英高等教育専門誌THEによる世界大学ランキングには1位オックスフォード大学、5位タイのケンブリッジ大学、12位インペリアル・カレッジ・ロンドン、18位タイのユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)をはじめ28校がトップ200校に名を連ねる。 世界トップクラスの大学に支えられた研究開発力は、ユニコーン(評価額10億ドル以上の未上場スタートアップ)だけでなく、評価額100億ドル以上の「デカコーン(ユニコーンの10倍を意味する造語)」を産み落としている。その中には日本にも上陸を果たしたデジタル銀行「レボリュート」も含まれている。 昨年4月時点でユニコーンの数はアメリカ288社、中国133社、インド32社に次ぐ世界4位の27社。欧州勢ではドイツ15社、フランス8社を引き離す。しかしイギリスではアームだけでなく、AIを開発する非公開企業ディープマインドもグーグルに買収されている。テクノロジー企業を大きく育てるには米シリコンバレーのようなハイテクの集積地と巨大な資本市場が不可欠だ。 IPOが活況を呈してもロンドン市場が敬遠される最大の理由はブレグジットに代表される予測不可能な政治にある。ずさんなコロナ対策で欧州最大の18万人超の犠牲を出しながら首相官邸や官庁街では平然と飲み会が続けられ、ジョンソン首相が下院で謝罪した舌の根も乾かぬうちに野党党首を誹謗中傷して恥じないような国にいったい誰が投資するというのだろう』、「モデルナが生まれにくい環境」とあるが、ワクチンメーカーでは、やや小粒だがアストラゼネカは英国企業だ。「IPOが活況を呈してもロンドン市場が敬遠される最大の理由はブレグジットに代表される予測不可能な政治にある」、その通りだ。
タグ:これまで膨大な含み益を支えてきたアリババやネット企業の米国上場に対する中国政府の姿勢が厳しくなり、環境は様変わりとなった。 「投資会社としての「成績表」であるNAV(ネット・アセット・バリュー、株式など保有資産から負債を除いた評価額)は3カ月で6兆円減った」、見る影もないような大逆風だ。 「モデルナが生まれにくい環境」とあるが、ワクチンメーカーでは、やや小粒だがアストラゼネカは英国企業だ。「IPOが活況を呈してもロンドン市場が敬遠される最大の理由はブレグジットに代表される予測不可能な政治にある」、その通りだ。 「ロンドンはテクノロジー企業の評価が低い」のが事実であれば、「米ナスダック、ニューヨーク市場」を選択するべきだろう。 少なくとも「戦略企業の流出危機に青ざめる英政界」はオーバーだ。 木村正人氏による「孫正義氏が米ナスダック再上場を計画する半導体大手アームは「イギリスの国宝」、戦略企業の流出危機に青ざめる英政界」 一般的に英国の政治家は「戦略的に重要な企業や主要な雇用主の保有は重要で、われわれは歴史的にあまりに無頓着だった」が、ここに登場した「2人とも地元ケンブリッジ選出の下院議員」、なので、こだわっているのだろう。 「アームの再上場先について「アームの取引先は大半が米シリコンバレーの会社。投資家もアームに非常に高い関心を持っている。ハイテクの中心であるアメリカのナスダックが一番適している。他に若干可能性があるのがニューヨーク市場」、それが最も合理的だ。 Newsweek日本版 「バフェット氏と同じように90代までやるんじゃないでしょうか」との見方の方があり得そうだ。 現代ビジネス「ソフトバンク「孫正義」の後継者選び、副社長退任のウラで起こっていた「意外なこと」」 日経ビジネスオンライン「「まだ1合目」 資本家・孫正義の見る未来」 (その16)(「まだ1合目」 資本家・孫正義の見る未来、ソフトバンク「孫正義」の後継者選び 副社長退任のウラで起こっていた「意外なこと」、孫正義氏が米ナスダック再上場を計画する半導体大手アームは「イギリスの国宝」 戦略企業の流出危機に青ざめる英政界) ソフトバンクの経営
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