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金融政策(その45)(日銀次回利上げは「9月」で25年末政策金利は0.75%か 働き方改革が需給ギャップをタイト化、日銀マイナス金利解除でメガバンクに“うれしい誤算” 中小地銀はジリ貧の分かれる明暗、パウエル議長のインフレ「過剰反応しない」姿勢は続くのか 高まる“タカ派転換ショック”リスク) [金融]

今日は、金融政策(その45)(日銀次回利上げは「9月」で25年末政策金利は0.75%か 働き方改革が需給ギャップをタイト化、日銀マイナス金利解除でメガバンクに“うれしい誤算” 中小地銀はジリ貧の分かれる明暗、パウエル議長のインフレ「過剰反応しない」姿勢は続くのか 高まる“タカ派転換ショック”リスク)である。なお、番号は異次元緩和政策からの続きとした。

先ずは、本年3月27日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したBNPパリバ証券経済調査本部長チーフエコノミストの河野龍太郎氏による「日銀次回利上げは「9月」で25年末政策金利は0.75%か、働き方改革が需給ギャップをタイト化」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/341137
・『マイナス金利解除後の日本銀行の次なる利上げは9月、早ければ7月だろう。人口動態と働き方改革による労働供給の限界が需給ギャップをタイト化させている。共に、2025年以降の賃上げ圧力となり、インフレを上向かせる。25年末には政策金利は0.75%に達するとみている』、「人口動態と働き方改革による労働供給の限界が需給ギャップをタイト化。2025年以降の賃上げ圧力となり、インフレを上向かせる。25年末には政策金利は0.75%に達するとみている」、0.25%ずつとすれば、利上げは3回だ。
・『マイナス金利だけでなくオーバーシュート型コミットメントもYCCも解除  当初から筆者が予想してきた通り、今春闘での2年連続の高い賃上げ率を確認した後、日本銀行は、3月金融政策決定会合でマイナス金利解除を含め、大規模金融緩和の終了を決定した。 筆者は、日銀が2度目のYCC(イールドカーブコントロール、長短金利操作)の上限引き上げを行った直後の昨年7月末から、2024年4月にマイナス金利が解除されると考え、その後、今年1月からは、3月決定会合でのマイナス金利解除をメインシナリオとしていた。 具体的な政策パッケージの内容も、おおむね筆者の予想通りだった。政策金利は無担保コールレート翌日物に戻し、その誘導水準は0~0.1%とされた。マイナス金利政策の下では三層構造とされていた超過準備への付利は一本化され0.1%とした。適用は翌営業日の3月21日からとなった。 年度末を控え金融機関への配慮から、新たな付利の適用は、翌積み期の4月中旬からと筆者は考えていたのだが、直前に市場が政策変更を十分に織り込み、必要なヘッジが完了したと日銀は判断したのだろう。 バランスシートの拡大を約束したオーバーシュート型コミットメント(注)と共に、YCCも完全に解除された。今後の長期国債の買い入れについては、これまでと同程度の買い入れを行うとした上で、長期金利が急騰する場合については、機動的に対応し、指値オペなどで対応するとしている。 筆者自身は、長期金利急騰を回避するため、長期金利の誘導目標の0%程度は撤廃するものの、万が一の保険として何らかの緩いキャップを残し、場合によってはYCCの部分解除にとどめると当初は考えていた。 しかし、今春闘で5%を超える高い賃上げが達成され、2%のインフレ目標の実現が見通せる状況になったとする中で、具体的な数値のキャップを長期金利に残すのは、不自然と日銀は判断したのだろう。 次ページ以降、次なる利上げの時期を予測し、その背景にある要因を検証していく』、「2%のインフレ目標の実現が見通せる状況になったとする中で、具体的な数値のキャップを長期金利に残すのは、不自然と日銀は判断したのだろう」、なるほど。
(注)オーバーシュート型コミットメント:日銀が物価安定の目標とする消費者物価指数(CPI、除く生鮮食品)の前年比上昇率2%を一時的に上回ってもすぐに金融緩和政策をやめるのではなく、同実績値が安定的に2%を超えるまでマネタリーベース(資金供給量)の拡大を継続すること。 物価安定実現を目指し、物価上昇率が目標値を行き過ぎる(オーバーシュートする)まで金融緩和の継続を公約する(コミットメントする)日銀の強い姿勢を示している(野村証券証券用語解説集)。
・『次回利上げは9月 早ければ7月にも  多くの市場参加者は、今後の日銀の国債購入ペースやバランスシートの削減ペースに強い興味を持つが、日銀が最も重視するのは、あくまで長期金利の安定そのものであって、量的な長期の目標を念頭に置いているわけではないと思われる。長期金利が安定する限りにおいては、長期国債の購入を減額し、バランスシートを減少させるというのが日銀のスタンスであろう。 とりわけ、公的債務残高がGDP(国内総生産)比で260%を超え、安定的なプライマリー収支の黒字が全く見通せないわが国の財政事情を考えれば、それもやむを得ないのであろう。 ステートメントの脚注に、月額6兆円の国債購入額の数値を入れたのは、国債購入が「不連続」となることを恐れるマーケットへの配慮だが、今後、グローバル金融市場の動向に応じて、数字は変化していくとみられる。 この他、ETF(上場投資信託)とJ-REIT(不動産投資信託)購入プログラムも予想された通り廃止され、社債購入は段階的に減額され、1年後に終了するとされた。ただし、保有するETFとJ-REITの処分については議論が棚上げされている。 それでは、今後の政策金利の経路はどのようになるのか。まず、植田総裁は、決定会合後の記者会見で、追加利上げについて問われ、「(2%の持続的・安定的達成の確度が)さらに上昇するということになれば、見通しが変わったという言い方になるかと思いますが、また別の言い方をするとすれば、基調的物価上昇率がもう少し上昇すれば、それはまた短期金利の水準の引き上げにつながるということになるかと思います」と述べている。 また、ステートメントでは、金融政策の先行きに関するガイダンスについて、予想された通り、「現時点の経済・物価見通しを前提にすれば、当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている」とされている。 筆者は従来、3月にマイナス金利を解除した後、半年が経過する9月頃にオーバーナイト金利を0.25%まで引き上げ、その後、半年に一度0.25%の利上げを行い(来年3・9月ごろ)、25年末のオーバーナイト金利の水準を0.75%と予想してきた。 一方、市場は24年末の政策金利を0.25%弱、25年末を0.5%弱とみており、民間エコノミストはさらにハト派的で24年末だけでなく、25年末も現状と同じゼロ金利ないし0.25%と予想する向きが多い。 筆者が市場やほかのエコノミストに比べてタカ派的な政策金利の予想を立てているのは、政府・日銀、市場が想定するよりも、日本経済の需給ギャップがタイト化していると考えていることがある。政府・日銀は需給ギャップがゼロ近傍にあるとしているが、筆者の推計では、既に前回の景気サイクルのピークである18年末のレベルまでタイト化している。 だから、誰もが考えていたより、円安インフレが長引いてインフレが高止まりし、今春闘でも高い賃上げとなったのではないか。今春闘は、当初から強気にみていた筆者の想定よりも高い賃上げ率となっており、今後、物価への波及も強まる可能性がある。 政策金利についても、上記に挙げた想定経路より、利上げペースが加速するリスクがあり、その場合、25年末の政策金利は1.0%かそれ以上となるだろう。また、今後の為替レートや4月以降の人件費の価格転嫁次第では、2度目の利上げが7月に前倒しで行われるリスクもあるだろう』、「筆者が市場やほかのエコノミストに比べてタカ派的な政策金利の予想を立てているのは、政府・日銀、市場が想定するよりも、日本経済の需給ギャップがタイト化していると考えていることがある。政府・日銀は需給ギャップがゼロ近傍にあるとしているが、筆者の推計では、既に前回の景気サイクルのピークである18年末のレベルまでタイト化している・・・利上げペースが加速するリスクがあり、その場合、25年末の政策金利は1.0%かそれ以上となるだろう。また、今後の為替レートや4月以降の人件費の価格転嫁次第では、2度目の利上げが7月に前倒しで行われるリスクもあるだろう」、なるほど。
・『現状の金融緩和を続ければインフレ率2%超え、さらなる円安リスクも  ここで需給ギャップがタイト化している背景について簡単に説明しておく。周知の通り、円安でインフレが長引く日本では、経済再開後も欧米のような消費の急回復は起こらなかった。それでもなお人手不足が深刻化しているのは、労働供給の拡大が難しくなっているためである。 まず、少子高齢化が進展する中、日本企業は減り続ける若年・壮年の男性正社員の穴を埋めるべく、高齢者と女性を積極的に採用してきたが、既に10年代終盤には、超短時間・超短期間しか働けない人までかき集める事態に追い込まれていた。 コロナ禍で労働需給の逼迫(ひっぱく)は一時的に緩んだが、さらにコロナ禍後は、団塊世代の完全引退が進み、労働力の最大の供給源であった高齢者の就業拡大も止まってしまった。女性の労働力はまだ増えているが、コロナ禍前より増加ペースが鈍っている。女性も高齢化が進んでいるため、生産年齢人口が減り続けており、就業拡大は限界に近い。 ここまでの話は、大抵の専門家は認識しているが、残業規制が人手不足に拍車をかけている点は見過ごされている。従来、日本企業は、好況期には正社員の残業を増やすことで、増大した労働需要の一部を賄っていた。 しかし、10年代半ば以降は、働き方改革として長時間労働を是正する社会的風潮が広がり、法的にも、残業時間の上限規制が導入された。大企業に残業規制が適用されたのは19年4月、中小企業は20年4月であり、コロナ禍でそのインパクトは当初は現れなかったが、23年にコロナ禍が明け、総需要が持ち直し始めた途端に、その影響があらわになってきたのである。 今年3月末には例外的に認められていた建設・運輸業などの残業規制の猶予も終わる。人手不足が和らぐ兆しは全く見えない。つまり、25年も高めの賃上げが続く可能性が高い。 なお、改めて確認しておきたいのは、今回の金融政策決定会合で、異次元緩和を解除したものの、日銀は2%インフレ目標が安定的・持続的に達成されたという勝利宣言にまで踏み込んではいない点である。25年度以降のインフレについては、まだ相当に不確実性が高く、下振れのリスクがあると判断しているとみられる。 もし、勝利宣言を行うのなら、オーバーナイト金利は、筆者の推計するマイナス0.5%の自然利子率と2%インフレの和である1.5%に早い段階で引き上げなければならない。確信には至っていないから、現在も緩和的な金融環境を維持することが可能だと日銀は判断しているわけである。 とはいえ、一方で、現状の金融緩和を継続すれば、インフレ期待が2%を超えるリスクや円安などの弊害が生じ得ることを、政策判断の上で考慮し始めた可能性がある。 細かな点だが、前述した通り、付利の適用が翌営業日からのスタートになったことや、部分撤廃にとどまると考えていたYCCが完全に撤廃されたことなど、筆者が見通しを外したのは、いずれもタカ派サイドであった。 何より、一部のハト派のボードメンバーに反対者が存在する中で、今回、植田総裁が異次元緩和の解除に踏み切ったのは、円安インフレの個人消費への悪影響など副作用が意識され、利上げを「待つことのコスト」が無視し得なくなっているのだと思われる。 インフレ期待が着実に上がっているのなら、実質金利の一段の低下で金融緩和度が強まることを避けるため、名目金利を引き上げなければならない。金利リスクはアップサイドだと思われる』、「今回、植田総裁が異次元緩和の解除に踏み切ったのは、円安インフレの個人消費への悪影響など副作用が意識され、利上げを「待つことのコスト」が無視し得なくなっているのだと思われる。 インフレ期待が着実に上がっているのなら、実質金利の一段の低下で金融緩和度が強まることを避けるため、名目金利を引き上げなければならない。金利リスクはアップサイドだと思われる」、その通りだ。

次に、3月27日付けダイヤモンド・オンライン「日銀マイナス金利解除でメガバンクに“うれしい誤算”、中小地銀はジリ貧の分かれる明暗」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/341161
・『日本銀行の17年ぶり利上げ決定による恩恵を受け、今後の株価上昇の期待を集めるのが銀行業界だ。金利が復活し、利ざや拡大が見込めるマイナス金利解除は、銀行業界にとって朗報のはず。だがメガバンクや地銀、ネット銀行の状況をつぶさに見ていくと、そうとも言い切れない』、どういうことなのだろう。
・『マイナス金利解除で収益拡大期待 3メガ首脳は日銀の政策変更を歓迎  「ゲームチェンジ」。みずほフィナンシャルグループ(FG)の木原正裕社長は、日本銀行が決めたマイナス金利政策の解除について、そう語って歓迎した。 これまでの「金利のない世界」で銀行が戦ってきた“ゲーム”は、為替業務や投資信託などの金融商品の販売、M&A(企業の合併・買収)アドバイザリー業務などで、ひたすら手数料を稼ぐもので、それが唯一の勝ち筋だった。 だがそれも、マイナス金利解除でゲームセット。金利が復活すれば、企業への貸し出しなどの運用と、預金などの調達の金利差である利ざやの改善が見込め、金利収益の拡大が期待できる。銀行の本業である金利差で稼ぐという、本来のゲームに変わるというわけだ』、「金利が復活すれば、企業への貸し出しなどの運用と、預金などの調達の金利差である利ざやの改善が見込め、金利収益の拡大が期待できる。銀行の本業である金利差で稼ぐという、本来のゲームに変わるというわけだ」、なるほど。
・『日銀マイナス金利解除でメガバンクに“うれしい誤算”、中小地銀はジリ貧の分かれる明暗  金利上昇により本業が復活すれば、銀行の収益力は格段に増す。日銀の政策転換前から、こうした期待が銀行株の堅調を支えていた。 実際、2022年3月からの米国での金利上昇、さらに23年7月のYCC(イールドカーブ・コントロール、長短金利操作)柔軟化をきっかけとした国内金利の上昇により、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)と三井住友フィナンシャルグループ(FG)、みずほFGの3メガバンクの業績は劇的に改善。中でも三菱UFJFGは、23年度第3四半期の時点で純利益が1兆2979億円に到達し、通期目標の1兆3000億円をわずか9カ月間でほぼ達成してしまうほどの爆発力を見せた。 マイナス金利解除に対する反応を取材していくと、銀行業界の中でも悲喜交々が見えてきた。次ページでは、今回の日銀の政策変更で想定以上の業績上振れが期待できそうな“うれしい誤算”があったメガバンクと、金利復活でジリ貧に陥りそうな地銀の明暗に迫る』、「今回の日銀の政策変更で想定以上の業績上振れが期待できそうな“うれしい誤算”があったメガバンクと、金利復活でジリ貧に陥りそうな地銀の明暗に迫る」、なるほど。
・『日銀の当座預金全体に0.1%の付利 “うれしい誤算”に金融市場も反応  マイナス金利の解除が決まり、3メガの業績がより一層押し上げられることは間違いない。さらに言えば、業績上振れ幅が想定以上になることも考えられる。 銀行各行が日銀に持つ当座預金は、マイナス金利導入で3層(基礎残高、マクロ加算残高、政策金利残高)になっており、3層目の政策金利残高にマイナス0.1%の金利が適用されていた。 三菱UFJ銀行とみずほ銀行は、マイナス金利が解除され、円金利が上昇した際の利益影響を試算していたが、そこでは2層目のマクロ加算残高はこれまで通り付利0%で変わらないという前提を置いていた。 ところが今回の政策変更では、3層構造そのものを1層にした上で、日銀当座預金全体に0.1%の付利を適用する決定がなされた。つまり“うれしい誤算”だったわけだ。 (図表:3カ月TIBORと無担保コールレートの推移 はリンク先参照) これに金融市場は敏感に反応。ゴールドマン・サックス証券の黒田真琴アナリストが「市場でも十分に認識されていなかった」と話すように、無担保コールレート翌日物が急上昇した。さらにそれと連動するTIBOR(タイボー、東京銀行間取引金利)も急騰した(上図参照)。岡三証券の田村晋一アナリストは「日銀当座預金全体へ0.1%の付利が適用されることが、TIBOR上昇を後押しした」と話す。 TIBORは一般的な大企業向け貸し出しの基準金利だ。3メガは金利がTIBORと連動する貸出金の割合が高く、TIBORが上昇したことで利ざやの拡大は確実に期待できる。3メガは今まさに、貸出金利上昇から利ざや拡大へとつながる、好循環の入り口に立っているのだ。 もっとも、全ての銀行が3メガのような好循環に突入できるわけではない。横浜銀行や千葉銀行などの規模の大きな地方銀行を除く中小の地銀は、金利復活をむしろ苦々しく思っているはずだ。 地銀は3メガと違い、金利がTIBORと連動する貸出金の割合が小さい。そのため、足元で金利が上昇し始めていても、その影響は限定的なのだ』、「TIBORは一般的な大企業向け貸し出しの基準金利だ。3メガは金利がTIBORと連動する貸出金の割合が高く、TIBORが上昇したことで利ざやの拡大は確実に期待できる。3メガは今まさに、貸出金利上昇から利ざや拡大へとつながる、好循環の入り口に立っているのだ。 もっとも、全ての銀行が3メガのような好循環に突入できるわけではない。横浜銀行や千葉銀行などの規模の大きな地方銀行を除く中小の地銀は、金利復活をむしろ苦々しく思っているはずだ。 地銀は3メガと違い、金利がTIBORと連動する貸出金の割合が小さい。そのため、足元で金利が上昇し始めていても、その影響は限定的なのだ」、「メガ」は「好循環に突入」できるが、「中小の地銀」は「金利復活をむしろ苦々しく思っている」、なるほど。
・『重要度増す預金、各行金利引き上げへ ネット銀行が競争をリード  地銀は貸出金利を上げたければ、貸出先の中小企業と直接交渉する必要がある。だが、中小企業の多くは人件費や原材料費の高騰などにさらされており、金利負担増を簡単にのむことはできない。ある中堅規模の地銀幹部は「市場金利が上がったから貸出金利を上げさせてくれと頼んでも、『銀行がもうけたいだけだろう』と門前払いを食い、他行に乗り換えられる」と苦しい胸の内を明かす。 一方、そんな状況とは無縁の3メガは、早速次の一手を打った。他行に先手を取られぬよう、普通預金金利を0.001%から0.02%へ、17年ぶりに引き上げたのだ。金利が復活した世界では、預金は銀行にとって利益を生む原資であり、重要度が増すからだ。 地銀は置かれた状況が苦しくても、3メガに追随せざるを得ない。預金金利の引き上げを見送れば、個人顧客の流出を招いてしまうからだ。前出の田村氏は「預金は金利が0.001%高いだけでも、そこに流れる。他行に預金を奪われないためにも、金利は早めに上げる必要があった」と指摘する。こうしてマイナス金利解除決定から3営業日後の3月25日時点で、普通預金金利の引き上げを決めた地銀は実に43行に上った(下表参照)。 (図表:銀行各行の普通預金金利 はリンク先参照) 地銀にとってさらに頭が痛いのは、インターネット銀行のSBI新生銀行とPayPay銀行が、普通預金金利を3メガや地銀よりも高い0.03%に引き上げたことだろう。 金利差はわずか0.01%だが、その差は数字以上だ。ネット銀行には3メガや地銀が一朝一夕には追い付けない、スマートフォンアプリの使い勝手の良さがある。 あるネット銀行幹部は「金利が少し高いことは、アプリの使いやすさや便利さを知ってもらうためのきっかけにすぎない。今回の金利引き上げで金融に対する意識が高くない人もそれに気付き、多くのユーザーを獲得できるだろう」と自信を見せる。 金利復活にもかかわらず、貸出金利は上げられず、預金金利は引き上げざるを得ない。今後はむしろジリ貧になる──。マイナス金利後に始まる新たなゲームは、地銀にとってこれまでにない過酷なものとなりそうだ』、「金利復活にもかかわらず、貸出金利は上げられず、預金金利は引き上げざるを得ない。今後はむしろジリ貧になる──。マイナス金利後に始まる新たなゲームは、地銀にとってこれまでにない過酷なものとなりそうだ」、「TIBOR連動貸出」が少ないことで、「中小地銀」は苦戦を強いられるようだ。

第三に、3月28日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したみずほリサーチ&テクノロジーズ調査部プリンシパルの小野 亮氏による「パウエル議長のインフレ「過剰反応しない」姿勢は続くのか、高まる“タカ派転換ショック”リスク」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/341204
・『1、2月と続くインフレ率の上振れに「過剰反応はしない」と静観の構えを見せた3月のFOMC(米連邦公開市場委員会)でのパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長に対し、米株式市場は上昇という形で万雷の拍手を送ったようだ。パウエル議長は米景気・雇用の強さを軽視してはいないのか』、興味深そうだ。
・『インフレ見通し上振れもFOMCは年内3回の利下げ予想を維持  3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、最近のCPI(消費者物価指数)統計に見られるインフレ率の上振れに対して顕著な警戒感の強まりを見せることはなかった。 市場参加者の間で最も関心を集めていたとみられる、ドットチャート(FOMC参加者による政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの水準予想)が示す年内の利下げ幅(現状水準と参加者の予想値の中央値との差)は、前回12月と同様の0.75%(通常は1回につき0.25%なので3回の利下げに相当する)となった。 まず、声明文では雇用情勢の強さを強調する最小限の修正が施されただけにとどまり、最近のインフレ率の上振れに関する文言はない。 次に、声明文と同時に発表された物価見通しでは、2024年末のコアインフレ率が前年比2.4%から2.6%へと0.2ポイント上方修正されたが、12月会合から足元までの実績を反映したゲタ(編集部注:直近の水準がそのまま続いたと仮定した場合の上昇・下落幅)に相当する修正幅にとどまった。 FOMC参加者が、最近のようなインフレ率の上振れが今後も続くとは考えていないことの表れである。その結果、「26年末までのインフレ2%達成」という見通しも維持された。 「物価安定への道は外れていない」という物価見通しと整合的なように、米政策金利については前回と同様「24年内は3回相当の0.75%の利下げ」というシナリオもそのままで、米株式市場は歓喜に沸いている。 しかし、ドットチャートやFOMCの経済・物価見通しを子細に見ていくとそのシナリオの危うさが浮かび上がる。次ページ以降、検証していく』、「「物価安定への道は外れていない」という物価見通しと整合的なように、米政策金利については前回と同様「24年内は3回相当の0.75%の利下げ」というシナリオもそのままで、米株式市場は歓喜に沸いている」、マ―ケットが好感するのは当然だが、果たして大丈夫なのだろうか。
・『経済・物価見通し上振れで米政策金利は「より高く、より長く」維持される方向に  米政策金利は「より高く、より長く」維持される方向に微修正された。 FOMC参加者らの政策金利(現在の水準は5.25~5.5%)見通しの分布(中央値で示される。たとえば5.25~5.5%の場合は5.375%)を見ると、前回ドットチャートが示された23年12月のFOMC時に「24年内に3回を超える利下げが適切」と考えていたハト派のほとんどが「せいぜい3回の利下げ」という考えに変化し、「4.5~4.75%」を底辺とするピラミッド型の分布となった(図表1参照)』、「米政策金利は「より高く、より長く」維持される方向に微修正された・・・23年12月のFOMC時に「24年内に3回を超える利下げが適切」と考えていたハト派のほとんどが「せいぜい3回の利下げ」という考えに変化し、「4.5~4.75%」を底辺とするピラミッド型の分布となった」、なるほど。
・『パウエル議長のインフレ「過剰反応しない」姿勢は続くのか、高まる“タカ派転換ショック”リスク
 また、25年内の利下げ幅(予想値の中央値の24年末と25年末の差)が1.0%(4回の利下げ)から0.75%(3回の利下げ)に縮小し、26年末時点の政策金利の水準(予想値の中央値)は前回より0.25%高い3.0~3.25%となった。長期(Longer run)の政策金利も0.125%上昇している。 小幅ながらも政策金利の分布やパスが上方シフトしたのは、これまで以上に強いペースでの景気拡大と良好な雇用情勢が続きそうだという見通しのためである。成長率見通しは、26年までの3年間にわたって上方修正され、潜在成長率(1%台半ば)を上回るペースの景気拡大が持続する見通しとなった。 失業率に関しても、見通しはほぼ変わらないが、先行きについて「上振れ(悪化)リスク」を挙げる参加者が減り、「リスクは均衡している」と考える参加者が大勢となった。FOMC参加者らが3カ月の間に雇用の先行きに自信を深めた様子がうかがえる』、「25年内の利下げ幅(予想値の中央値の24年末と25年末の差)が1.0%(4回の利下げ)から0.75%(3回の利下げ)に縮小し、26年末時点の政策金利の水準(予想値の中央値)は前回より0.25%高い3.0~3.25%となった。長期(Longer run)の政策金利も0.125%上昇している。 小幅ながらも政策金利の分布やパスが上方シフトしたのは、これまで以上に強いペースでの景気拡大と良好な雇用情勢が続きそうだという見通しのためである・・・FOMC参加者らが3カ月の間に雇用の先行きに自信を深めた様子がうかがえる」、なるほど。
・『景気・雇用の強さを問題視しないパウエル議長 インフレ上振れ時のタカ派転換リスク高まる  印象的だったのは、パウエル議長が足元のインフレ率の上振れに動じない姿勢を見せたことだ。 パウエル議長がインフレ率の推移に関して使うことが多い「6カ月前と比較したインフレ率」で見ると、昨年後半はCPI、PCED(個人消費支出デフレーター)のいずれも落ち着いていた(図表2参照)』、「景気・雇用の強さを問題視しないパウエル議長」、何故なのだろう。
・『パウエル議長のインフレ「過剰反応しない」姿勢は続くのか、高まる“タカ派転換ショック”リスク
  しかし24年に入り、特にCPIが上振れている。米景気が好調な結果、ディスインフレの動きが反転・再加速している恐れがあることを示す動きだ。 ところがパウエル議長は、インフレ率には「年前半に強く、年後半に弱い」という癖があることや、新規契約の賃貸料の動きを踏まえれば、コアインフレ率の中で大きなウエートを占める住宅サービスのインフレ率は今後着実に鈍化すると見込まれることなどを理由に挙げながら、「過剰反応はしない」と述べるにとどまった。 「(1月と2月の)2つの数字を総合してみると、インフレ率が2%に向けて、時には飛び跳ねるような道(bumpy road)を進みながら徐々に低下していくという全体的なストーリーは変わっていない」とパウエル議長は語った。これは「足元の動きは想定の範囲内」という意味である。 パウエル議長のコミュニケーションは、FOMC後の上昇からわかるように米株式市場から万雷の拍手をもって迎えられたようだが、気掛かりなことがある。パウエル議長が、景気や雇用、賃金の強さを無条件に受け入れているように映る点だ。米株式市場が沸くのも当然だろう。 パウエル議長は、最近のインフレ率の上振れが「1回の出っ張り(bump)なのか、それ以上の何かなのかはわからない。それを見極める必要がある」「今後発表されるインフレ率とその内容、そしてそれが何を物語っているのか」を丁寧に見ていく姿勢を強調している。 であれば、インフレ率が再加速する原因となり得る強い景気・雇用・賃金にもっと警戒してもよかったはずだ。ところがパウエル議長は1月会合以降、「これらの強さ自体は問題ではない」と繰り返すようになった。 コロナ禍前のFOMCは、幾度となく、景気・雇用・賃金が強まる度に「予防的利上げ」を行い、結果として、インフレ率が低下し2%のインフレ目標達成を逃してきてしまった。その苦い経験が「景気や雇用の強さ自体は問題ではない」という最近の発言につながっている。 しかし、インフレ率の上振れがこれ以上続けば、パウエル議長はタカ派的姿勢をより鮮明にするはずだ。パウエル議長自身は首尾一貫したコミュニケーションのつもりでも、金融市場参加者にとっては大きなbumpとなり得る。今後はパウエル・ショックへの警戒が必要だろう』、「インフレ率が再加速する原因となり得る強い景気・雇用・賃金にもっと警戒してもよかったはずだ。ところがパウエル議長は1月会合以降、「これらの強さ自体は問題ではない」と繰り返すようになった。 コロナ禍前のFOMCは、幾度となく、景気・雇用・賃金が強まる度に「予防的利上げ」を行い、結果として、インフレ率が低下し2%のインフレ目標達成を逃してきてしまった。その苦い経験が「景気や雇用の強さ自体は問題ではない」という最近の発言につながっている。 しかし、インフレ率の上振れがこれ以上続けば、パウエル議長はタカ派的姿勢をより鮮明にするはずだ。パウエル議長自身は首尾一貫したコミュニケーションのつもりでも、金融市場参加者にとっては大きなbumpとなり得る。今後はパウエル・ショックへの警戒が必要だろう』、「今後はパウエル・ショックへの警戒が必要だろう』、「パウエル議長」が「景気や雇用の強さ自体は問題ではない」との考え方にしがみつく理由は、不明だが、確かに彼の見方が外れた場合の「パウエル・ショックへの警戒が必要だろう」、同感である。
タグ:利上げペースが加速するリスクがあり、その場合、25年末の政策金利は1.0%かそれ以上となるだろう。また、今後の為替レートや4月以降の人件費の価格転嫁次第では、2度目の利上げが7月に前倒しで行われるリスクもあるだろう」、なるほど。 小野 亮氏による「パウエル議長のインフレ「過剰反応しない」姿勢は続くのか、高まる“タカ派転換ショック”リスク」 「金利復活にもかかわらず、貸出金利は上げられず、預金金利は引き上げざるを得ない。今後はむしろジリ貧になる──。マイナス金利後に始まる新たなゲームは、地銀にとってこれまでにない過酷なものとなりそうだ」、「TIBOR連動貸出」が少ないことで、「中小地銀」は苦戦を強いられるようだ。 地銀は3メガと違い、金利がTIBORと連動する貸出金の割合が小さい。そのため、足元で金利が上昇し始めていても、その影響は限定的なのだ」、「メガ」は「好循環に突入」できるが、「中小の地銀」は「金利復活をむしろ苦々しく思っている」、なるほど。 「筆者が市場やほかのエコノミストに比べてタカ派的な政策金利の予想を立てているのは、政府・日銀、市場が想定するよりも、日本経済の需給ギャップがタイト化していると考えていることがある。政府・日銀は需給ギャップがゼロ近傍にあるとしているが、筆者の推計では、既に前回の景気サイクルのピークである18年末のレベルまでタイト化している・・・ (注)オーバーシュート型コミットメント:日銀が物価安定の目標とする消費者物価指数(CPI、除く生鮮食品)の前年比上昇率2%を一時的に上回ってもすぐに金融緩和政策をやめるのではなく、同実績値が安定的に2%を超えるまでマネタリーベース(資金供給量)の拡大を継続すること。 物価安定実現を目指し、物価上昇率が目標値を行き過ぎる(オーバーシュートする)まで金融緩和の継続を公約する(コミットメントする)日銀の強い姿勢を示している(野村証券証券用語解説集)。 「TIBORは一般的な大企業向け貸し出しの基準金利だ。3メガは金利がTIBORと連動する貸出金の割合が高く、TIBORが上昇したことで利ざやの拡大は確実に期待できる。3メガは今まさに、貸出金利上昇から利ざや拡大へとつながる、好循環の入り口に立っているのだ。 もっとも、全ての銀行が3メガのような好循環に突入できるわけではない。横浜銀行や千葉銀行などの規模の大きな地方銀行を除く中小の地銀は、金利復活をむしろ苦々しく思っているはずだ。 河野龍太郎氏による「日銀次回利上げは「9月」で25年末政策金利は0.75%か、働き方改革が需給ギャップをタイト化」 ダイヤモンド・オンライン (その45)(日銀次回利上げは「9月」で25年末政策金利は0.75%か 働き方改革が需給ギャップをタイト化、日銀マイナス金利解除でメガバンクに“うれしい誤算” 中小地銀はジリ貧の分かれる明暗、パウエル議長のインフレ「過剰反応しない」姿勢は続くのか 高まる“タカ派転換ショック”リスク) 金融政策 しかし、インフレ率の上振れがこれ以上続けば、パウエル議長はタカ派的姿勢をより鮮明にするはずだ。パウエル議長自身は首尾一貫したコミュニケーションのつもりでも、金融市場参加者にとっては大きなbumpとなり得る。今後はパウエル・ショックへの警戒が必要だろう』、「今後はパウエル・ショックへの警戒が必要だろう』、「パウエル議長」が「景気や雇用の強さ自体は問題ではない」との考え方にしがみつく理由は、不明だが、確かに彼の見方が外れた場合の「パウエル・ショックへの警戒が必要だろう」、同感である。 「インフレ率が再加速する原因となり得る強い景気・雇用・賃金にもっと警戒してもよかったはずだ。ところがパウエル議長は1月会合以降、「これらの強さ自体は問題ではない」と繰り返すようになった。 コロナ禍前のFOMCは、幾度となく、景気・雇用・賃金が強まる度に「予防的利上げ」を行い、結果として、インフレ率が低下し2%のインフレ目標達成を逃してきてしまった。その苦い経験が「景気や雇用の強さ自体は問題ではない」という最近の発言につながっている。 「今回の日銀の政策変更で想定以上の業績上振れが期待できそうな“うれしい誤算”があったメガバンクと、金利復活でジリ貧に陥りそうな地銀の明暗に迫る」、なるほど。 「2%のインフレ目標の実現が見通せる状況になったとする中で、具体的な数値のキャップを長期金利に残すのは、不自然と日銀は判断したのだろう」、なるほど。 「人口動態と働き方改革による労働供給の限界が需給ギャップをタイト化。2025年以降の賃上げ圧力となり、インフレを上向かせる。25年末には政策金利は0.75%に達するとみている」、0.25%ずつとすれば、利上げは3回だ。 ダイヤモンド・オンライン「日銀マイナス金利解除でメガバンクに“うれしい誤算”、中小地銀はジリ貧の分かれる明暗」 「今回、植田総裁が異次元緩和の解除に踏み切ったのは、円安インフレの個人消費への悪影響など副作用が意識され、利上げを「待つことのコスト」が無視し得なくなっているのだと思われる。 インフレ期待が着実に上がっているのなら、実質金利の一段の低下で金融緩和度が強まることを避けるため、名目金利を引き上げなければならない。金利リスクはアップサイドだと思われる」、その通りだ。 「金利が復活すれば、企業への貸し出しなどの運用と、預金などの調達の金利差である利ざやの改善が見込め、金利収益の拡大が期待できる。銀行の本業である金利差で稼ぐという、本来のゲームに変わるというわけだ」、なるほど。 「米政策金利は「より高く、より長く」維持される方向に微修正された・・・23年12月のFOMC時に「24年内に3回を超える利下げが適切」と考えていたハト派のほとんどが「せいぜい3回の利下げ」という考えに変化し、「4.5~4.75%」を底辺とするピラミッド型の分布となった」、なるほど。 「「物価安定への道は外れていない」という物価見通しと整合的なように、米政策金利については前回と同様「24年内は3回相当の0.75%の利下げ」というシナリオもそのままで、米株式市場は歓喜に沸いている」、マ―ケットが好感するのは当然だが、果たして大丈夫なのだろうか。 どういうことなのだろう。 「景気・雇用の強さを問題視しないパウエル議長」、何故なのだろう。 FOMC参加者らが3カ月の間に雇用の先行きに自信を深めた様子がうかがえる」、なるほど。 「25年内の利下げ幅(予想値の中央値の24年末と25年末の差)が1.0%(4回の利下げ)から0.75%(3回の利下げ)に縮小し、26年末時点の政策金利の水準(予想値の中央値)は前回より0.25%高い3.0~3.25%となった。長期(Longer run)の政策金利も0.125%上昇している。 小幅ながらも政策金利の分布やパスが上方シフトしたのは、これまで以上に強いペースでの景気拡大と良好な雇用情勢が続きそうだという見通しのためである・・・
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