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ソフトバンクの経営(その3)アーム買収 [企業経営]

これまで、ソフトバンクの問題点として、6月11日にも取上げたが、今日は、タイトルをより中立的に変更し、ソフトバンクの経営(その3)アーム買収 とした。

先ずは、アーム社について、理解を深めるために、7月20日付け東洋経済オンライン「至宝アームが陥落!イギリス国民の複雑胸中 数少ない世界的テック企業だったのに・・・」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・ソフトバンクは、7月18日、英半導体設計大手ARM(アーム)ホールディングスを100%買収すると発表した。日本企業による3.3兆円に上る大型買収は英国のメディアでも大きく取り上げられ、欧州連合(EU)からの離脱決断で経済の先行きに不透明さが増す中で「英国のビジネスへの信任状だ」(政府首脳陣)として歓迎された。 一方、英国を代表するテクノロジー企業が外国資本の傘下に入ることへの残念さや英国のテック業界の将来を案じる声も出ている。
▽英国ではどんな存在なのか
・半導体業界では世界的に著名なアーム社とはどのような会社なのか。 アーム社は英東部ケンブリッジに本社を置く。その起源は1978年創業のエイコーン・コンピュータ社だ。1980年代にイギリス国内のほとんどの学校で導入された「BBCマイクロ」コンピュータを開発したことで知られるコンピュータ会社である。
・移り変わりの激しい業界の荒波にもまれる中で1990年、エイコーン社のスピンオフとして生まれたのが半導体設計を主力とするアーム社だ。アップルのPDAとして知られる「ニュートン」の共同開発プロジェクトがきっかけとなった。資金を出したのはアップル。アップルが150万ポンドを出資し、エイコーン社がエンジニア12人を提供した。
・1999年にはFT100指数の中に入るまでに成長し、2007年には携帯電話の98%にアーム社の技術が入った半導体が搭載されるようになった。現在までに同社設計の半導体が使われているのはテレビ、スマートフォン、タブレット、ドローン、スマート・ホーム(インターネットに接続された室内温度調節器、電力メーター、煙探知機など)、スマート・カー、ウェアラブル機器など実に幅広い。ただし設計開発に特化した企業であり従業員は約4000人と多くない。
・アーム社という名前自体は英国でもあまり馴染みはない。しかし、世界中で誰もが知らず知らずにその技術を使っている、という隠れたエクセレントカンパニーだ。 英国発祥の企業で、これほど世界的に使われる技術を持つ企業は珍しく、英国のビジネスの中でも「戴冠用の宝石」(クラウン・ジュエリー)、つまり重要な資産として位置付けられてきた。 そんなアーム社が外国企業に買われたことで、国内では様々な反応が出た。
▽政府は歓迎したが、危険性指摘も
・ハモンド財務相は買収は英国のビジネスに対する「信任状だ」として、歓迎した。ソフトバンク社が今後5年間で英国内に1500人分の新規雇用を確約したことも好意的に受け止められた。 テリーザ・メイ氏を首相とする新政権が買収を歓迎するのも無理はない。6月23日の国民投票で英国がEUからの離脱(「ブレグジット」)を決めたことで株価が下落し、ポンド安も続いてる。経済の先行きに不透明感が出る中、英国を欧州市場への玄関口として見てきた外国資本が海外に出ていくのではないか、と言う懸念が強くなっているからだ。外国企業が巨額を英国に投資する案件は、「英国経済は大丈夫だ」というPR効果もあって、願ったりかなったり状態に違いない。
・ソフトバンク側は以前から考えていた案件だったには違いないが、新政権の樹立が13日。買収話の発表が18日。「何らかの示し合わせあったのだろうか」とテレビ局「チャンネル4」のニュースで記者が示唆する場面もあった。 英国では1000社を超える日本企業が約14万人を雇用している。英国としては日本に出ていかれては困る。ソフトバンクのように自国に投資してくれる企業を必要としている。
・しかし、アーム社のような重要なテック企業が買収されるとなると、別の反応も出てきた。 与党・保守党が自由民主党と連立政権を敷いていた時(2010-15年)にビジネス担当大臣だったビンス・ケーブル氏は買収が「良いか悪いか、まだ判断は困難だ」という(フィナンシャル・タイムズ紙=FT、18日付)。懸念するのは英国のテック企業の将来だ。「英国には米国のフェイスブックやグーグルほどの大きさのグローバルなテック企業は生まれない。ある程度の大きさになると、買収されてしまうからだ」。 外国企業がゆくゆくは本社を英国外に移してしまう危険性も懸念だという。
▽「残念だ」と創業者
・アーム社の創業に手を貸したハーマン・ハウザー氏はBBCやFTの取材(18日)に対し、「非常に残念だ」と述べた。 同氏は現在、投資会社アマデウス・キャピタルの共同経営者だ。「アーム社は自分の生涯でもっとも誇りにできる事業だった」、「自分にとっても、英国のテック産業にとっても残念だ」。
・アームは昨年1年間で150億のマイクロチップを販売したという。ライバルとなる米インテル社が「これまでに販売したマイクロチップの数を超える」。次世代のマイクロプロセッサーのアーキテクチャーを決定したのがアーム社で、「このアーキテクチャーはすべての次世代の電話に、そしてさらに重要なことには次世代のモノのインターネット化に使われてゆくものだ」。
・ソフトバンクは「妥当な」売却先だが、「こうした買収はブレグジットの予期せぬ帰結だ。ポンド安で買収価格が非常に安くなった。(買収を)長い間考慮していたとは思うが、買う機会が生じたので今行動を起こしたのだろう」。 アーム社は「残念なことに独立性を失った。英国は(世界の)テック産業の中でより小さい存在になる」。
・BBCの著名テクノロジー記者であるローリー・キャスリンジョーンズ氏もアーム社がその独立性を失うことによる衝撃を記している(BBCニュース、18日付)。 アーム社のすごさは「半導体がすべてに組み込まれるなら作る必要はないと考え、設計することが鍵になる点に気付いたことだ」。 5年前、ケンブリッジには3つの英国生まれのテック企業があったという。アーム社に加え、Autonomy(オートノミー)、 ケンブリッジ・シリコン・ラジオ(CSR)だ。2011年、オートノミーは米ヒューレッド・パッカード社に買収され、昨年、半導体メーカーのクアルコムがCSRを買った。「3社の中で最大手で最良のアーム社が日本企業に所有されることになる」。
・キャスリンジョーンズ氏は次のようにもコメントしている。ソフトバンクは「良い親会社と言えるのかもしれないーフランスのロボット工学の企業アルデバラン社を買収し、グローバルに著名にしたからだ」。 しかし、「ケンブリッジや国内全体で悲しみは消えないだろう。グローバルな、テクノロジーの巨人を作るという望みがなくなってしまったように見えるからだ」。
▽英国企業の買い漁りがブームに?
・ソフトバンクによるアーム社の買収で、ポンド安を背景に英国企業を買い漁ろうとする動きが出てくることを予期するアナリストもいるようだ。FTによれば、上場テック企業の中ではIQE,、Accesso(アクセッソ)、Telit(テリット)、Micro Focus(マイクロ・フォーカス)、 Imagination Technologies(イマジネーション・テクノロジーズ)などが買収対象になる可能性があるという。
・外国資本が英企業を所有するのは珍しくない。テニスのウィンブルドン選手権を例にとった「ウィンブルドン現象」(自由競争によって参入してきた外国企業に国内企業が淘汰されたり買収されたりすること)という言葉が如実に示す。
・しかし、昨年末、日本経済新聞社に買収されたFTの場合もそうであったように、英国には自国生まれであることに国民が誇りを持つブランドや企業がいくつかある。「戴冠用の王冠」と呼ばれるアーム社は英国のテック企業の将来にもかかわるという文脈もあって、特にこだわりを感じさせる企業の1つと言えるだろう。  買収交渉は9月に終了する見込みと言われている。ソフトバンクはアーム社の経営陣を変更する予定は今のところ、ないという。 ソフトバンクがアーム社の強みを生かしながら、さらに大きく発展させることで、「ソフトバンクが売却先でよかった」と思われようになることを期待したいものだ。
http://toyokeizai.net/articles/-/127953

次に、闇株新聞が7月20日付けで掲載した「ソフトバンクのARM買収」を紹介しよう。
・ソフトバンクについては否定的な記事が多い本誌ですが、今回はあまり「突っ込みどころ」がありません。  日本が祝日だった7月18日、ソフトバンクが英国のARMホールディングス(以下ARM)を総額243億ポンド(3.4兆円)で買収すると発表しました。
・先週末(7月15日)終値・1株=11.89ポンドに対し42.9%のプレミアムを加えた1株=17ポンドで全株を取得するようです。ちなみにARMの株価は英国の国民投票前日の6月23日は10.19ポンド、欧米株が揃って安値となった2月11日は8.55ポンドでした。つまり2月安値のちょうど2倍で買収することになります。
・1990年設立のARMは、CPUや半導体チップの設計に関する知的所有権を保有する会社で、製造部門がなく収入の大半がロイヤリティ収入とライセンス収入となります。ARMの強みはスマートフォンで、世界で出荷されるスマートフォンの9割以上にARMの設計した半導体チップが搭載されています。 日本ではほとんど存在しない「世界中で誰が製造して誰が購入しても必ず儲かる会社」となります。
・ソフトバンクが発表した資料では、ARMの2015年の売上高は円換算で1791億円(15億ドル)、純利益が578億円(6.6億ドル)とあり、売上高純利益率は32%をこえています。つまりARMは潤沢なロイヤリティ収入とライセンス収入から研究開発費をふんだんに使って技術の陳腐化を防ぐ「技術と特許の塊のような会社」となります。 ソフトバンクが支払う買収総額は2015年純利益の約60倍ですが、今後の市場の拡大とIoT(あらゆるものがネットでつながる世界)を見据えると、ソフトバンクの過去の買収のように「とんでもなく割高」という感じでもありません。
・本誌がいつも言う、国内の規制された(競争が排除された)携帯電話を中心とする国内通信事業が稼ぎ出す潤沢な営業利益(2016年3月期は6953億円)を国内利用者に還元せず、シナジー効果がよくわからない海外M&Aにつぎ込むことの是非は、今回はアリババやスーパーセルなどの売却代金で大半を賄うため投資ポートフォリオの入れ替えと考えれば「ある程度」納得できます。
・ソフトバンクとARMのシナジー効果はとりあえず「全くありません」が、それはここに始まったことではありません。 つまり冒頭で書いたように、今回はあまり「突っ込みどころ」がありません。
・じゃあ、全く問題がないのか?というと、もちろんそうではありません。素朴な疑問は、そんなARMがなぜ慌ててソフトバンクに身売りするのか?です。 孫社長によると買収交渉はわずか2週間前から始まったそうです。だとすると英国のEU離脱決定直後からだったことになり、やはりARMの経営陣や主要株主は英国EU離脱がARMの将来に大きな影を落としていると理解して売却を急いだと考えられます。
・買収交渉がたった2週間ではとても詳しい資産査定はできません。ARMの資産といっても大半が特許やロイヤリティ、ライセンス契約など無形資産なので、ざっと見ただけでは英国EU離脱によるダメージなどは見極められません。 また孫社長は記者会見で経営陣はそのまま残ると明言していますが、孫社長を含むソフトバンクから役員を派遣するかについては明言を避けているところも気になります。
・本日(7月19日)のソフトバンクの株価は620円安(10.3%安)の5387円となり、たった1日で時価総額を7440億円も吹っ飛ばしてしまいました。大型買収を発表した直後の株価は下落することが一般的で、2012年10月にスプリント買収を発表した直後にも2200円まで下落していましたが、今回はやや意外な下落幅でした。
・そのスプリントの株価も、ソフトバンクのテコ入れが期待されて1月の2.5ドルから先週末には5.0ドルまで上昇していましたが、7月18日には4.75ドルまで5%下落しました。 スプリントは業績の裏付けがないため、株価はもう少し下落するかもしれません。
・ソフトバンクの過去の大型買収に比べると「突っ込みどころ」が少ないARM買収ですが、皮肉なことに(日本の)株式市場は「意外と冷静に」受け止めているようです。久々にソフトバンクの株価を眺めることが増えそうです。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1783.html

第三に、闇株新聞の続きとして、7月21日付け「ソフトバンクのARM買収を仕掛けた「助言会社」という怪物」を紹介しよう。
・昨日の続きですが、本日はもう少し「内幕」の話です。 ソフトバンクのARM買収に限らず、大型買収には必ず売り手・買い手の双方に複数の「助言会社」がつき、膨大な報酬を山分けしています。この「助言会社」には伝統的な投資銀行も含まれますが、最近は新興のブティック型「助言会社」も目につきます。 また買い手が買収資金の調達を必要とすると(つなぎ融資も含めて)、これに「銀行団」が加わります。この「銀行団」も利息のほかにコミットメント・フィーなど融資報酬を受け取り山分けにあずかります。
・ソフトバンクのARM買収には「助言会社」として、売り手のARMにゴールドマン・サックスとラザード・フレール、買い手のソフトバンクにレイン・グループとロビー・ウォーショー、それに「銀行団」としてみずほフィナンシャルグループがつきました。
・今回の報酬は売り手側・買い手側の「助言会社」がそれぞれ6000万ドル(63億円)、「銀行団」が4500万ドル(47億円、利息は別)、合計1億6500万ドル(175億円)のようですが、これは要した時間が2週間だったことも考えると「かなり高い」と感じます。
・「銀行団」から説明しますが、ソフトバンクは以前から日本興業銀行、富士銀行と取引があった関係で、みずほフィナンシャルグループはソフトバンクが2006年に英ボーダフォンを買収したときに1兆4500億円のシンジケート・ローンを、2012年にスプリント・ネクステルを買収したときに1兆6500億円の緊急協調融資をまとめています。 今回のARM買収では、みずほフィナンシャルグループが1兆円のつなぎ融資をコミットしています。期間2年のつなぎ融資というのも珍しいのですが、今回は単独なので利息(未公表ですがたぶんTibor+80bpで1%前後?)のほかに4500万ドル(47億円)の報酬を独り占めします。
・さてソフトバンク側の「助言会社」のうち、レイン・グループはゴールドマン・サックスのパートナーで投資銀行部門のメディア責任者だったジョー・ラビッチ氏と、UBSでメディア・テレコム部門責任者だったジェフ・シネ氏が共同で設立し、のちに米国野村で投資銀行部門責任者だったグレン・シフマン氏(リーマン・ブラザーズ出身)も加わっています。
・また元グーグルCEOのエリック・シュミット氏、元フェイスブック社長のショーン・パーカー氏、元ニューズCOOのピーター・チャーニン氏らも出資者に名を連ねており、それぞれの人脈を生かしたアドバイスを(もちろん有償で)行っているはずです。 さらに今回、孫社長がレイン・グループの取締役であることが「発覚」しました。やや問題がありますが、ソフトバンクの株主が異を唱えなければ大丈夫でしょう。
・要するにレイン・グループはIT、メディア、通信業界におけるドリーム・チームであり、2012年にソフトバンクがスプリント・ネクステルの発行済み株数の70%を201億ドルで買収した時もドイツ銀行、みずほ銀行とともに「助言会社」をつとめていました。「助言会社」はソフトバンク側だけで1億ドル近い報酬を得たようです。
・今回のソフトバンクのもう1つの「助言会社」であるロビー・ウォーショーは、ゴールドマン・サックスの投資銀行部門トップだったサイモン・ロビー氏と、UBSの投資銀行部門トップだったサイモン・ウォーショー氏が共同で設立しました。 ロンドンをベースにして欧州では圧倒的な存在感があり、特定分野に限らずすべての業界に強みを持ちます。ソフトバンクとの取引は今回が初めてですが、欧州の案件なので「助言会社」をつとめています。
・ロビー・ウォーショーは2015年以降だけでロイヤル・ダッチ・シェルによるBG(ブリティッシュ・ガス)の総額470億ポンドの買収(報酬総額1億5500万ドル)、ABインベブによるSABミラーの総額710億ポンドの買収(報酬総額不明)、ドイツ取引所によるロンドン証券取引所の買収、破談になったもののファイザーによるアストラゼネカ買収など、欧州の主要買収案件ほとんどに売り手側か買い手側のどちらかで「助言会社」をつとめ巨額報酬を得ています。また破談になってもいくらかの報酬は必ず請求します。
・さてこれら「助言会社」には各国の銀行や証券会社のように管轄機関がなく、守るべきルールも報酬上限も報告義務もありません。また「助言会社」そのものは資本を必要とせず、しかもますます寡占状態となっています。
・要するに「助言会社」とは元手がかからず、誰からも規制されず、文字通り人脈とノウハウだけで巨額報酬を得ている「怪物」のような存在です。また大型買収案件といっても企業側からの要望は少ないはずで、その大半がこれら「助言会社」が集まって談合的に作り上げているのでしょう。 今回のソフトバンクによるARM買収でも、その「一端」が少しだけ見えたようです。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1784.html

第四に、7月23日付け東洋経済オンライン「永守会長「ARMは3300億円でも買わない」 屈指のM&A名手がまさかの「暴露」」の関連した部分を紹介しよう(▽は小見出し)。
・「ここはソフトバンクの決算説明会ではないんですけどね」――。 7月22日に開催された、日本電産の第1四半期(2016年4~6月期)決算説明会。アナリストからはまず、永守重信会長兼社長が社外取締役を務めるソフトバンクグループの超巨額買収に関する質問が飛び出した。
(途中省略)▽「今期は非常にいい買い物ができそう」(いざ質疑応答にうつると、アナリストたちからまず飛び出したのはソフトバンクによる英ARM(半導体設計会社)買収の見方を問う質問だった。
・永守会長が「社外取締役を務めているので、私もARM買収の議論の場にいた。孫さん(孫正義ソフトバンク社長)は30年~50年先を見て、3兆3000億円も出してARMを買収した。ただ、技術革新のスピードは速いので、私にそんな勇気はない。私なら3300億円でも買わないでしょうね」と答えると、会場からは笑いが起こった。
・永守会長も数多くの企業買収を手掛けた名手として知られる。「われわれは50社近く買収してきて1社も失敗していない。『私、失敗しないので』というドラマ(ドクターX~外科医・大門未知子~)があるが、それと同じだ」と今期のM&Aについて自信を見せた。・・・孫社長に負けまいと、永守会長も虎視眈々と買収案件を狙っている。日本電産にとっても、今年度は予想以上の成長を遂げる可能性がありそうだ。
http://toyokeizai.net/articles/-/128588

第一の記事にあるように、EU離脱という大逆風にさらされている英国政府にとっては、大歓迎なのは当然だろう。ただ、創業者が「残念だ」としている理由があと1つ理解できない。日本人と違って、英米人は「手離れが良い」のが普通だが、やはり英米人らしからぬ「思い入れ」があるのだろうか。
闇株新聞の初めの記事では、『ソフトバンクとARMのシナジー効果はとりあえず「全くありません」が、それはここに始まったことではありません』、は確かにその通りだ。懸念材料として、『ARMの経営陣や主要株主は英国EU離脱がARMの将来に大きな影を落としていると理解して売却を急いだと考えられます』、との指摘は考え過ぎという印象もしないでもないが、やはり気になるところだ。
闇株新聞の次の記事では、ソフトバンク側の「助言会社」のうち、レイン・グループはゴールドマン・サックス出身者とのことだが、ゴールドマン・サックスはARM側の「助言会社」なので、利益相反が生じる懸念がある。孫社長がレイン・グループの取締役になっていたことは、その旨を開示して行動しているのであれば、問題はないだろう。
第四の記事にある永守会長の見方、『技術革新のスピードは速いので、私にそんな勇気はない。私なら3300億円でも買わないでしょうね』を、ソフトバンクの取締役会で開陳したのかどうかは分からないが、「経営判断」には個性の差も大きいことを示した例ともいえよう。
ARMは業態からみて高度な中立性が要求されると考えられるため、日本企業のM&Aの狙いによくある「囲い込み」などをしようと、コントロールを強めようとすれば、企業価値をむしろ毀損してしまうだろう。孫社長もそんな馬鹿なことはしないと思うが・・・。
タグ:東洋経済オンライン 英半導体設計大手ARM(アーム)ホールディングス (その3)アーム買収 の経営 英国発祥の企業で、これほど世界的に使われる技術を持つ企業は珍しく、英国のビジネスの中でも「戴冠用の宝石」(クラウン・ジュエリー)、つまり重要な資産として位置付けられてきた 至宝アームが陥落!イギリス国民の複雑胸中 数少ない世界的テック企業だったのに・・・ 「残念だ」と創業者 ソフトバンク 「英国には米国のフェイスブックやグーグルほどの大きさのグローバルなテック企業は生まれない。ある程度の大きさになると、買収されてしまうからだ」 設計開発に特化した企業であり従業員は約4000人 EUからの離脱 100%買収 ・ハモンド財務相は買収は英国のビジネスに対する「信任状だ」として、歓迎 ケンブリッジには3つの英国生まれのテック企業 オートノミーは米ヒューレッド・パッカード社に買収され、昨年、半導体メーカーのクアルコムがCSRを買った 3社の中で最大手で最良のアーム社が日本企業に所有されることになる 闇株新聞 ソフトバンクのARM買収 2月安値のちょうど2倍で買収 収入の大半がロイヤリティ収入とライセンス収入 世界で出荷されるスマートフォンの9割以上にARMの設計した半導体チップが搭載 技術と特許の塊のような会社 買収総額は2015年純利益の約60倍 ソフトバンクの過去の買収のように「とんでもなく割高」という感じでもありません アリババやスーパーセルなどの売却代金で大半を賄うため投資ポートフォリオの入れ替えと考えれば「ある程度」納得 ・ソフトバンクとARMのシナジー効果はとりあえず「全くありません」が、それはここに始まったことではありません 今回はあまり「突っ込みどころ」がありません ARMの経営陣や主要株主は英国EU離脱がARMの将来に大きな影を落としていると理解して売却を急いだと考えられます ソフトバンクのARM買収を仕掛けた「助言会社」という怪物 助言会社 投資銀行 新興のブティック型「助言会社」 売り手のARMにゴールドマン・サックスとラザード・フレール い手のソフトバンクにレイン・グループとロビー・ウォーショー 「銀行団」としてみずほフィナンシャルグループ 報酬 売り手側・買い手側の「助言会社」がそれぞれ6000万ドル(63億円 銀行団」が4500万ドル(47億円、利息は別)、合計1億6500万ドル(175億円) かなり高い 孫社長がレイン・グループの取締役であることが「発覚」 「助言会社」とは元手がかからず、誰からも規制されず、文字通り人脈とノウハウだけで巨額報酬を得ている「怪物」のような存在 永守会長「ARMは3300億円でも買わない」 屈指のM&A名手がまさかの「暴露」 ・永守会長が「社外取締役を務めているので、私もARM買収の議論の場にいた 孫さん(孫正義ソフトバンク社長)は30年~50年先を見て、3兆3000億円も出してARMを買収 ただ、技術革新のスピードは速いので、私にそんな勇気はない。私なら3300億円でも買わないでしょうね
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