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リニア新幹線(その10)(川勝知事知事6題:川勝知事がリニア問題の解決策などすべて放り投げて辞職…そのヤバすぎる「正体」、川勝知事が残した“最悪の置き土産”…意味のなかった「リニア騒動」の全貌、川勝平太知事が「リニア中央新幹線」反対姿勢を強めた2013年に何があったのか、静岡リニア「開業10年遅れ」JR東海の経営大丈夫? 突然辞任、川勝知事の「置き土産」が及ぼす影響、自民党がさらなる窮地へ…? 川勝知事の後任選挙の「驚きの実態」) [産業動向]

昨日に続いて、リニア新幹線である。今日は、(その10)(川勝知事知事6題:川勝知事がリニア問題の解決策などすべて放り投げて辞職…そのヤバすぎる「正体」、川勝知事が残した“最悪の置き土産”…意味のなかった「リニア騒動」の全貌、川勝平太知事が「リニア中央新幹線」反対姿勢を強めた2013年に何があったのか、静岡リニア「開業10年遅れ」JR東海の経営大丈夫? 突然辞任、川勝知事の「置き土産」が及ぼす影響、自民党がさらなる窮地へ…? 川勝知事の後任選挙の「驚きの実態」)である。

先ずは、本年4月12日付け現代ビジネスが掲載した小林 一哉氏による「静岡・川勝知事がリニア問題の解決策などすべて放り投げて辞職…そのヤバすぎる「正体」」を紹介しよう。
・『無責任すぎる川勝知事  静岡県の静岡県の川勝平太知事は、リニア問題の解決策など示さず、一切合切をすべて放り投げた。 もともと大井川流域の首長たちは、川勝知事にリニア問題を一任することで、リニア問題の決着とともに、東海道新幹線静岡空港新駅の設置など何らかの地域振興をもたらすことを期待していた。 それなのに、リニア南アルプストンネル静岡工区着工への手立ても示さず、また流域の期待にも何らこたえず、混乱だけを巻き起こしたまま、静岡県庁から去ることになった。 あまりに無責任な姿勢だが、これが川勝知事の「正体」である。 「あたかも、水は一部戻してやるから、ともかく工事をさせろという態度に、わたしの堪忍袋の緒が切れました」 2017年10月10日の定例会見が、川勝知事による静岡県の「リニア騒動」の始まりだった。 当時、JR東海と大井川流域の利水者11団体と静岡工区着工に向けた基本協定を結ぶ詰めの交渉が行われている最中だった。 ところが、川勝知事は「堪忍袋の緒が切れた」と怒りを露わにしたあと、「水問題に具体的な対応を示すことなく、静岡県民に誠意を示すといった姿勢がないことを心から憤っている」などとさらにヒートアップした。 そして、「勝手にトンネルを掘りなさんな」と基本協定の交渉にストップを掛ける「ちゃぶ台返し」をしてしまう。 この日の知事会見を皮切りに、川勝知事による無理難題の言いたい放題、やりたい放題が始まり、まさに「リニア騒動」と呼ばれるさまざまな混乱が続くことになった。 2018年夏から、静岡県とJR東海との『対話』が始まったが、現在まで何らの進展も見られない』、「2018年夏から、静岡県とJR東海との『対話』が始まったが、現在まで何らの進展も見られない」、そんなに長く続いているとは、改めて問題の深刻さを再認識した。
・『自分の非を自覚せず  「リニア騒動」の混乱に収拾はつかず、ことし7年目を迎えた矢先だった。 4月1日の新規採用職員の訓示で、「職業差別発言」を行ったと糾弾されると、川勝知事は突然、2日夕方に辞意を表明、3日、辞職にいたる理由などを説明する会見を行った。 当初、6月19日の県議会開会に合わせて、辞職する方向だったが、急きょ10日午前に、静岡県議会議長に辞表を提出した。 このままいけば、川勝知事は5月10日に自動的に退職することになる。 これで、川勝知事本人の引き起こした「リニア騒動」の幕がいったん、引かれるが、静岡県のリニア問題が解決したわけではない。 県議会議長への辞表提出後、川勝知事は10日午後、今後のリニア問題への対応などをテーマとした定例会見にのぞんだ。 辞意表明の翌日、3日の会見で辞職するいちばんの理由を「リニア問題の区切りがついたから」などと述べた。 このため、記者から「リニア沿線の都府県でつくる建設促進期成同盟会会長の愛知県の大村(秀章)知事から、ひと区切りというのは違うのではないかと批判の声があった」と投げ掛けられた。 川勝知事は 「リニア問題に関してこれを放り出すことはできない。どのような道筋が描けるか、これが本県にとって重要課題だ。国のリニア静岡工区モニタリング会議座長の矢野(弘典)さんを信じている。まかせられる。モニタリングは、工事の日程、事業計画と不可分であるというのが矢野さんの意見だ。ここでやっていければいい。矢野さんにバトンタッチできる」 などと何度も矢野座長の名前を挙げた。) 実際には、リニア問題の区切りがついたわけでも、道筋が描かれたのでもなく、昔から懇意の矢野座長に「リニア騒動」の混乱すべてを放り投げたに過ぎない。 誰が考えても、川勝知事が反リニアを貫き、リニア妨害を繰り返していたことを見透かされていた。 これに対して、川勝知事は「わたしどもは早期開業に対して、足を引っ張っているようなことをしたことは一度もない」と大見得を切った。 このような嘘を平気で口にするのが、川勝知事の「正体」である。 川勝知事の「正体」は、2022年夏のリニア南アルプス工事現場の視察と建設促進期成同盟会での発言を振り返れば、いちばんわかりやすい。 後編『川勝知事が残した“最悪の置き土産”…意味のなかった「リニア騒動」の全貌』で詳しく解説する』、「リニア問題に関してこれを放り出すことはできない。どのような道筋が描けるか、これが本県にとって重要課題だ。国のリニア静岡工区モニタリング会議座長の矢野(弘典)さんを信じている。まかせられる。モニタリングは、工事の日程、事業計画と不可分であるというのが矢野さんの意見だ。ここでやっていければいい。矢野さんにバトンタッチできる」 などと何度も矢野座長の名前を挙げた」、「矢野座長」の考え方はどうなのだろう。

次に、4月12日付け現代ビジネスが掲載した小林 一哉氏による「川勝知事が残した“最悪の置き土産”…意味のなかった「リニア騒動」の全貌 『知事失格』のらく印が押されたまま」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/127644
・『静岡県の川勝平太知事は、リニア問題の解決策など示さず、一切合切をすべて放り投げた。あまりに無責任な姿勢を見せた川勝知事だが、彼のこの「正体」は、2022年夏のリニア南アルプス工事現場の視察と建設促進期成同盟会での発言を振り返れば、いちばんわかりやすい。 前編『静岡・川勝知事がリニア問題の解決策などすべて放り投げて辞職…そのヤバすぎる「正体」』、興味深そうだ。
・『川勝知事に寄せる期待は「虚しい」ばかり  静岡県は2022年7月14日、リニアの早期開業を目指す沿線都府県の「建設促進期成同盟会」への加盟を許可された。 同年8月9日に初めて開かれたオンラインの総会で、川勝知事は「2027年品川―名古屋間の開業、2037年大阪までの延伸開業を目指す同盟会の立場を共有する」、「リニア整備の促進を目指してスピード感を持って課題の解決に取り組む」と同盟会加盟に際しての誓約を表明した。 沿線知事らは川勝知事の「正体」を何ら知らずに、「早期全線開業を目指す態勢が整った」と期待を寄せたのだ。 その前日の8日、川勝知事はリニア南アルプストンネル静岡工区で最大規模の残土置き場が計画される燕沢(つばくろさわ)と東京電力RPの田代ダムを視察した。 その際の発言を承知していれば、川勝知事への期待がいかに虚しいかわかったはずだった。 JR東海は同年4月、東電RPの内諾を得た上で、田代ダムの取水抑制案という、川勝知事の求める県境付近での工事中の「全量戻し」に対する解決策を発表した。 このため、大勢のメディアを引き連れての田代ダム視察を行った。 視察には、県地質構造・水資源専門部会の森下祐一部会長(静岡大学客員教授)、塩坂邦雄委員(株式会社サイエンス技師長)が同行した。 まず、大井川流域の大規模崩壊地である赤崩(あかくずれ)を車中から視察した。 塩坂委員が「畑薙山断層帯は非常に弱い地層であり、大量の突発湧水が出る恐れがある」などと警告した。 塩坂委員は、トンネル建設予定地の断層は「背斜構造となっていて力の掛かり具合が複雑であり、地下水枯渇の恐れがある」などの持論を披露して、地下トンネル建設に強い疑問を投げ掛けた。これが県専門部会委員の役割である』、「塩坂委員が「畑薙山断層帯は非常に弱い地層であり、大量の突発湧水が出る恐れがある」などと警告した。 塩坂委員は、トンネル建設予定地の断層は「背斜構造となっていて力の掛かり具合が複雑であり、地下水枯渇の恐れがある」などの持論を披露して、地下トンネル建設に強い疑問を投げ掛けた。これが県専門部会委員の役割」、なるほど。
・『川勝知事の‟置き土産‟が今後もテーマに  燕沢の視察では、森下部会長とともに川勝知事が新たな課題を突きつけた。 JR東海担当者は高さ65メートル、長さ290メートル、奥行き600メートルで、トンネル工事で発生する残土の大半、約360万㎥を盛り土するツバクロ残土置き場の計画を説明した。 この説明に対して、川勝知事は、過去に土石流が起きていることを指摘した上で、「深層崩壊について検討されておらず、残土置き場にふさわしくない。極めて不適切」と強く否定したのだ。 JR東海は、残土置き場として標高約2千メートルに予定した扇沢を山体崩壊の危険性から取りやめた経緯から、燕沢での崩壊対策などを県専門部会で詳しく説明してきた。 過去の論文等を基に燕沢周辺での深層崩壊の可能性は非常に低いことにも触れた。 ところが、川勝知事は燕沢に強い否定意見を述べたのだ。 視察時の知事の否定意見そのままに、県はことし2月5日の会見で、JR東海との新たな「対話項目」に、ツバクロ残土置き場計画について、斜面崩壊のリスク、土石流の緩衝地帯の機能低下など広域的な複合リスクを挙げている。 川勝知事の言うように、本当に「残土置き場にふさわしくない。極めて不適切」だとすれば、いまから代替地を探すのは極めて困難であり、トンネル工事そのものができなくなる。 川勝知事の‟置き土産‟が今後も県専門部会の「対話」のテーマとなるのだ。 また、川勝知事は田代ダム取水抑制案も否定した。 視察に同行した、山梨県早川町の辻一幸町長が「大井川、早川は間ノ岳が源流であり、いうなれば同じ流域だ。南アルプスのリニアトンネル建設を成功させることで地元を活性化させていくことがわたしの使命」などと述べ、田代ダム取水抑制案を強く支持する意向を述べた。 ところが、川勝知事は「濁水ではなく清流の水が戻ってくるのだから、田代ダム取水抑制案の実現に向けて県専門部会でJR東海は説明してほしい。取水抑制による大井川への放流は地域貢献であり、リニア工事中の全量戻しにはならない」と、「全量戻しの解決策ではない」と否定してしまう。) 翌日9日の定例会見で、知事の意向をあらためて確認すると、川勝知事は「全量戻しとはトンネル掘削中に出る水をちゃんと循環させて戻すということで、中間報告の中身とは違う」などあらためて田代ダム取水抑制案は全量戻しにならないと否定した。 静岡県は、いまだに「全量戻し」とは、県外流出した湧水をそのまま戻すことであり、田代ダム取水抑制案は単なる代替策であるという立場を崩していない。 川勝知事は、南アルプスの工事現場視察で、リニア問題の解決へはほど遠い発言を繰り返し、翌日の期成同盟会総会での「スピード感を持った課題解決」とは真逆の発言をしている』、「川勝知事は、南アルプスの工事現場視察で、リニア問題の解決へはほど遠い発言を繰り返し、翌日の期成同盟会総会での「スピード感を持った課題解決」とは真逆の発言をしている」、どちらが本音なのだろう。
・『「リニア騒動」は無駄な時間だった  この2日間だけを見ても、川勝知事がリニアの早期開業の足を引っ張ってきたことは明らかである。 同じ会見で、テレビ静岡の記者が「知事就任以来、13年の間に、中部横断自動車道とか新東名など、鉄道以外でもさまざまな公共工事が行われている。今後、行われる工事に対しても、(県外流出する湧水の)全量戻しを求めていくという理解でよろしいか」とただした。 これに対して、川勝知事は「リニアに関連して、あれが62万人の命の水になっている。しかも、(大井川の水の状況は)カツカツの状態になっているということだから、全量戻しというのは、掘削中に出るすべての水を戻すことだと有識者会議で言っているわけで、全量戻しは(JR東海のリニア工事という)個別具体的な話だ」と答えた。 この発言に対して、記者は「静岡経済新聞の小林氏(筆者)が本(『知事失格 リニアを遅らせた川勝平太静岡県知事「命の水」の嘘』飛鳥新社)を上梓されて、62万人というのは事実ではなくて、実際は26万人ではないかという記載があった。この本の中には、知事が嘘を述べているという記述もある。(同書を)読んだあと、事実でないということであれば知事は法的措置等を取るのか?」と尋ねた。 川勝知事は「いちいち、いちいちですね、すべてのジャーナリストが書かれたことに対処するという、いまのところはそういうスタンスを持っていない」などと否定した。 その後も、筆者はウェブ記事を中心に川勝知事のさまざまな「嘘」を紹介してきたが、川勝知事から何らかの対応を受けたことはない。 川勝知事による「リニア騒動」はいったい、何だったのか、5年余という、あまりにもムダな時間が流れた。 結局、拙著の題名通り『知事失格』のらく印が押されたまま退場することになった』、「その後も、筆者はウェブ記事を中心に川勝知事のさまざまな「嘘」を紹介してきたが、川勝知事から何らかの対応を受けたことはない。 川勝知事による「リニア騒動」はいったい、何だったのか、5年余という、あまりにもムダな時間が流れた。 結局、拙著の題名通り『知事失格』のらく印が押されたまま退場することになった」、その通りだ。

第三に、4月14日付け文春オンライン「川勝平太知事が「リニア中央新幹線」反対姿勢を強めた2013年に何があったのか「JR東海は本当にやってくれるのか」という不信の始まりは…」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/70207
・『リニア中央新幹線の構想は、全国新幹線鉄道整備法に基づき、1973年に「基本計画路線」としてリストアップされたことに始まる。起点は東京都、終点は大阪市で、主な経由地は甲府市、名古屋市、奈良市だ。  JR東海が発足する1987年よりも前のことだから、日本鉄道建設公団が建設し、国鉄が営業主体になる計画だった。しかし国鉄の赤字問題の影響で整備計画が作られないまま、構想は塩漬け状態にあった』、「JR東海が発足する1987年よりも前のことだから、日本鉄道建設公団が建設し、国鉄が営業主体になる計画だった。しかし国鉄の赤字問題の影響で整備計画が作られないまま、構想は塩漬け状態にあった」、なるほど。
・『JR東海が「自己資金でやります」と手を挙げて動き出した   国鉄が分割民営化され、JRグループが発足したあと、東北新幹線の盛岡~新青森間、北陸新幹線、九州新幹線などの計画は再開されたが、国の財源が足りないため開通まで時間がかかった。  これらの新幹線が開通しないと、次の新幹線に着手できない。だから中央新幹線はずっと待たされていた。それにしびれを切らしたJR東海が「自分でやります。自己資金でやります」と手を挙げたことで計画は動き出した。  JR東海が中央新幹線を急ぐのには2つ切実な理由があった。  1つは東海道新幹線の輸送量がパンクしかけていたこと。東名阪の移動需要が旺盛で、「のぞみ」を増発しても追いつかない。なんとか1時間にのぞみ12本を運行する「のぞみ12本ダイヤ」までたどり着いたけれど、これが増発の限界だ。「ひかり」や「こだま」も増やしたいところだが、「のぞみ」が優先されていた。  もう1つは、東海道新幹線の老朽化だ。開業から半世紀が過ぎて、トンネルや鉄橋などの構造物は抜本的な点検、改修が必要になってきた。国鉄時代にも水曜日などに半日運休を実施して若返り工事を実施していたが、昨年の災害運休の後に起きた大混雑を見れば判るように、もはや半日運休にすることすら許されない輸送量なのだ。  南海トラフ地震を視野に入れた耐震工事も含め、必要によっては鉄橋の架け替えも必要になる。そうなれば半日ではすまない。日本で最も速い鉄道を振替輸送する鉄道は存在しない。だから、新たに作らなくてはいけない』、「これらの新幹線が開通しないと、次の新幹線に着手できない。だから中央新幹線はずっと待たされていた。それにしびれを切らしたJR東海が「自分でやります。自己資金でやります」と手を挙げたことで計画は動き出した・・・2つ切実な理由があった。  1つは東海道新幹線の輸送量がパンクしかけていたこと。東名阪の移動需要が旺盛で、「のぞみ」を増発しても追いつかない。なんとか1時間にのぞみ12本を運行する「のぞみ12本ダイヤ」までたどり着いたけれど、これが増発の限界だ。「ひかり」や「こだま」も増やしたいところだが、「のぞみ」が優先されていた。  もう1つは、東海道新幹線の老朽化だ。開業から半世紀が過ぎて、トンネルや鉄橋などの構造物は抜本的な点検、改修が必要になってきた。国鉄時代にも水曜日などに半日運休を実施して若返り工事を実施していたが、昨年の災害運休の後に起きた大混雑を見れば判るように、もはや半日運休にすることすら許されない輸送量なのだ」、なるほど。
・『最初の不幸は、JR東海が建設まで引き受けたこと   リニア中央新幹線の静岡工区がここまでこじれた原因の1つは、「建設主体がJRTT鉄道・運輸機構(独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構)ではなかったから」だと思う。  中央新幹線は国の基本計画路線であり、国策である。だからJR東海が建設したとしても民間事業ではない。国が、建設主体としてJR東海を指名したという形をとる。  過去の新幹線は建設主体が鉄建公団(現・JRTT鉄道・運輸機構)で、JR各社が営業主体を担っていた。しかし中央新幹線は建設主体もJR東海が担った。じつはこれがボタンの掛け違いの始まりだ。  整備新幹線の建設は、自治体の強い要請を受けて政府が決定し、地方自治体の財源確保や並行在来線分離などの条件を満たし、環境アセスメント手続きを経てRJTT鉄道・運輸機構が着工する。  しかしリニア中央新幹線は、環境アセスメント手続きが終わったらすぐに着工だ。実際には設計を発注し、建設会社が工事に携わる。  JRTT鉄道・運輸機構の役割がJR東海に替わっただけのように見えるが、JRTT鉄道・運輸機構が持っていた新幹線建設のノウハウの中で最も大きな要素は沿線自治体とのコミュニケーションだ。  鉄道建設業界関係者からこんな話を聞いた。 トンネル建設現場から残土が出る。トラックがバンバン通る。それは困るという自治体があるわけです。そんなとき、鉄建公団(当時)は地元とよく話し合って、ダンプのすれ違い場所や警備員の配置など決めた。なるべく予算を抑え、地元も納得する形をとってきた。しかしJR東海は、では道路を拡幅しましょうと言ってすぐ実行する。スピード感があるし、地元としても広い道路が残る。結果としては良いのだけれども、お金で解決して地元を納得させるというやりかたになっている」  地元とのコミュニケーションが希薄なまま工事を進めようとする反動がもっとも大きく出た場所が静岡工区といえる。環境アセスメントが終わってから着工までには、河川や道路などについて地域の自治体から許可をもらう必要がある。鉄建公団には「地域を説得する」という地道な努力とノウハウがあったが、残念ながら新幹線建設が初めてのJR東海にはその知見がなかった。  いままでの整備新幹線が、環境アセスメントが終わればスムーズに着工できたのは、鉄建公団~JRTT鉄道・運輸機構の実績と信頼による。  残土問題や、川や地下水の水涸れ問題は今までもあったが、地元と話し合って、自治体と共同して補償もしてきた。西九州新幹線の時も渇水が起きたが、トンネルからの導水管や新たな井戸を掘って水田に放水している。その実績と信頼があった。  しかしJR東海は地元との対話が少なく、新幹線を作った実績がないので信用度も低い。静岡県の心配は「本当にやってくれるのか」という点だった』、「JR東海は、では道路を拡幅しましょうと言ってすぐ実行する。スピード感があるし、地元としても広い道路が残る。結果としては良いのだけれども、お金で解決して地元を納得させるというやりかたになっている」  地元とのコミュニケーションが希薄なまま工事を進めようとする反動がもっとも大きく出た場所が静岡工区といえる。環境アセスメントが終わってから着工までには、河川や道路などについて地域の自治体から許可をもらう必要がある。鉄建公団には「地域を説得する」という地道な努力とノウハウがあったが、残念ながら新幹線建設が初めてのJR東海にはその知見がなかった。  いままでの整備新幹線が、環境アセスメントが終わればスムーズに着工できたのは、鉄建公団~JRTT鉄道・運輸機構の実績と信頼による。  残土問題や、川や地下水の水涸れ問題は今までもあったが、地元と話し合って、自治体と共同して補償もしてきた。西九州新幹線の時も渇水が起きたが、トンネルからの導水管や新たな井戸を掘って水田に放水している。その実績と信頼があった。  しかしJR東海は地元との対話が少なく、新幹線を作った実績がないので信用度も低い。静岡県の心配は「本当にやってくれるのか」という点だった」、「JR東海」には、「鉄建公団」のような「ノウハウ」がなく、「地元との対話が少なく」、「新幹線を作った実績がないので信用度も低い。静岡県の心配は「本当にやってくれるのか」という点」、なるほど。
・『静岡県の態度が頑なになった決定的なタイミング   静岡県が頑なになったのは、JR東海が2013年の環境影響評価準備書で「トンネルの湧水により、大井川上流域の水は毎秒2立方メートル減少する」と公表してからだ。トンネルによって湧水が発生し、大井川の水が減る。民間企業のJR東海が本当に補償してくれるのか、と不安になったのだ。川勝知事は知事意見として、「静岡県内で発生した水はすべて大井川に戻すこと」と附した。  約2年後、JR東海は解決策として毎秒1.3立方メートルを導水路トンネルで戻し、残りは必要に応じてポンプアップで戻すとした。  JR東海は「水利用に影響が生じた場合にその影響の程度に応じて代替水源の確保などの環境保全措置を実施する予定です」「トンネル内湧水を汲み上げて、非常口から大井川に戻すのも一つの選択肢と考えています」と、減った水量に応じて対応する姿勢だった。  しかし川勝知事は「県民の命の水だ。全量を戻せ」と再度主張した。  しかも「一滴たりとも」と、まるで戯曲「ヴェニスの商人」のようなことを言う。それにJR東海も、売り言葉に買い言葉のように「全量戻す」と約束した。もともと環境影響評価はそうなっている。  しかし静岡県側はこれで収まらない。ポンプの数と位置を説明しろ、本当にそこに置けるのか、など根掘り葉掘り問いただした。その中には「将来、リニア中央新幹線が廃線になったらどのように埋め戻すのか」など、行きすぎた項目もあった。完全に「JR東海の言うことは信用できない」という態度だ。  ただJR東海の回答書も、お世辞にもわかりやすいものとは言えなかった。表計算ソフトのセルにびっしりと文字を並べた書類を非専門家が読み解けるかは不明だ。  もし建設主体がJRTT鉄道・運輸機構ならば、事前に手厚く説明をして、ここまでこじれてはいなかっただろう。  国が東海道新幹線の限界を把握し、もっと早く中央新幹線に着手していれば、JR東海が直接建設することはなかったし、静岡県とこじれることもなかっただろう。その意味では国にも責任がある』、「国が東海道新幹線の限界を把握し、もっと早く中央新幹線に着手していれば、JR東海が直接建設することはなかったし、静岡県とこじれることもなかっただろう。その意味では国にも責任がある」、「国にも責任がある」とは初めて知ったが、正論だ。

第四に、4月14日付け文春オンラインが掲載した杉山 淳一氏による「川勝平太知事の辞任で「静岡県vs.JR東海」の対決構図は終わるのか 反リニア新幹線で固めた「専門家会議問題」も…」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/70207
・『リニア新幹線問題を考えるうえで重要なのは、川勝平太知事のJRとの対決姿勢が一定程度静岡県民に支持されていたという事実だろう。  筆者の友人の静岡県出身者によると、静岡県民のJR東海に対する好感度は他県よりも低いようだ。「のぞみを静岡に停めてほしい」「東海道新幹線に静岡空港駅を作ってほしい」という要望をJR東海は却下していたことが理由だという』、「静岡県民のJR東海に対する好感度は他県よりも低いようだ。「のぞみを静岡に停めてほしい」「東海道新幹線に静岡空港駅を作ってほしい」という要望をJR東海は却下していたことが理由」、「川勝知事」の反対の背後には県民の支持があったとは初めて知った。
・『「静岡県vs JR東海」という構図での煽りあいが勃発   のぞみの静岡停車については、「のぞみ通行税」としても話題になった。2002年の静岡県議会で「通過するだけののぞみとひかりの乗車人数に応じて地方税を課したらどうか」という議論があり、当時の石川嘉延静岡県知事が「検討に値する」と答弁したのだ。  静岡空港駅の地下を通る東海道新幹線に駅を設置する運動も県をあげて実施し、調査予算も計上していた。  静岡県内には熱海、三島、新富士、静岡、掛川、浜松と6つの新幹線停車駅があり、沿線都府県でもっとも多い。すでに東海道新幹線に優遇された県ともいえる。しかし需要バランスも均衡しており、どれか1つを主要駅としてまとめられないという事情があり、JR東海はリニア中央新幹線の開通後は東海道新幹線の静岡県駅停車を増やすと説明している。  しかし静岡空港駅はJR東海にとって需要がない。そもそも、運営がうまくいっていない静岡空港駅を活性化するために生まれた案であり、JR東海の責任はない。  川勝知事は、静岡空港を首都圏の第三空港にしたいと発言したことがある。成田、羽田につぐ首都圏の第三空港となれば、国の支援も受けやすくなることを見越してのことだろう。そしてそのためには、東海道新幹線の駅を作って東京へのアクセスを良くしたい、ということだ。  とはいえJR東海から見れば、静岡県が首都圏第三空港になってから新幹線の駅を作るかを検討したいところだろう。そこで話は止まっていた。  静岡県民の中にうっすらとあった「JR東海が言うことを聞いてくれない」という感情を知っているからこそ、地元紙の静岡新聞は“県民の側”に立ち、専用のSNSアカウントまで作ってJR東海批判を繰り広げた。  大井川の水量問題は、静岡県の「命の水」の危機として対立を煽る報道は全国紙やテレビなどに伝播し「静岡県vs JR東海」の構図は鮮明になっていった』、「川勝知事は、静岡空港を首都圏の第三空港にしたいと発言したことがある。成田、羽田につぐ首都圏の第三空港となれば、国の支援も受けやすくなることを見越してのことだろう。そしてそのためには、東海道新幹線の駅を作って東京へのアクセスを良くしたい、ということだ。  とはいえJR東海から見れば、静岡県が首都圏第三空港になってから新幹線の駅を作るかを検討したいところだろう。そこで話は止まっていた・・・大井川の水量問題は、静岡県の「命の水」の危機として対立を煽る報道は全国紙やテレビなどに伝播し「静岡県vs JR東海」の構図は鮮明になっていった」、なるほど。
・『知事の真のゴールはリニア新幹線が「静岡県内を通らないこと」   いま思えば、川勝知事にとっての真のゴールは「静岡県内を通らないこと」だったのだろう。だからこそ「リニア中央新幹線には賛成の立場」なのだ。しかしJR東海から良い返事がなければ国土交通省へ要請し、国土交通省が要求を蹴れば環境省へ赴く。そうやって実際の工事はどんどん遅れていった。  静岡県の働きかけに応じて、国土交通省はリニア中央新幹線の「水問題」「生物環境問題」について「有識者会議」を立ち上げた。当初は国もJR東海に対して「きちんと説明するように」と指示していたが、それでは収まらないという判断だ。  2020年から13回にわたる長い議論の末、水問題に関しては「JR東海の考え方、対処によって中流下流域に影響なし」という「中間報告」を出した。ちなみに中間報告は行政用語で「議論終了」を意味する。 「生物環境問題」も有識者会議によって、22年6月8日から14回にわたり検討された。該当地域の生物環境は地下水ではなく地表から浅いところの表層水で維持されていることがわかった。  ただし、自然環境は「なにがおきるかわからない」不確実性があるため、35の沢のうちトンネルと交差する11の沢を選び、トンネル側に水が流出しないように凝固剤で固めることとした。その上で、定期的に現地調査を行う「順応的管理」を実施する。これは遠隔モニターではなく、実際に登山して調査するという。これも決着である。  最後の「トンネル掘土」の置場について、JR東海は山中の3カ所を選定した。土地所有者とも合意済みで、山奥のためダンプカーが人里を走ることもない。重金属など毒性のある成分を含む「要対策土」は遮水シールドで密封する。また、降雨時は排水をまとめて水質を検査し、基準を満たす水を川へ流す。  この対策について静岡市の難波喬司市長も「JR東海の設置方法で概ね問題ない」と表明した。難波氏は、国土交通省で港湾局災害対策室長を務めた技術官僚出身である。  川勝知事は「その場所は深層崩壊の懸念がある」と反発したが、難波市長は「盛り土はむしろ下流域への崩壊を防ぐ。大規模な土砂崩れの予測と対策は河川管理者の県の責任」でありJR東海は責任を負わないという見解を示した。そもそも鉄道の盛り土は「ただの土砂捨て場」ではない。東海道新幹線だって盛土の部分はたくさんある。盛り土は鉄道技術による「建築物」なのだ。  これで静岡県が懸念する「水問題」「環境問題」「盛り土問題」は解決したことになる』、「国土交通省はリニア中央新幹線の「水問題」「生物環境問題」について「有識者会議」を立ち上げた。当初は国もJR東海に対して「きちんと説明するように」と指示していたが、それでは収まらないという判断だ。  2020年から13回にわたる長い議論の末、水問題に関しては「JR東海の考え方、対処によって中流下流域に影響なし」という「中間報告」を出した。ちなみに中間報告は行政用語で「議論終了」を意味する・・・静岡市の難波喬司市長も「JR東海の設置方法で概ね問題ない」と表明した。難波氏は、国土交通省で港湾局災害対策室長を務めた技術官僚出身である。  川勝知事は「その場所は深層崩壊の懸念がある」と反発したが、難波市長は「盛り土はむしろ下流域への崩壊を防ぐ。大規模な土砂崩れの予測と対策は河川管理者の県の責任」でありJR東海は責任を負わないという見解を示した。そもそも鉄道の盛り土は「ただの土砂捨て場」ではない。東海道新幹線だって盛土の部分はたくさんある。盛り土は鉄道技術による「建築物」なのだ。  これで静岡県が懸念する「水問題」「環境問題」「盛り土問題」は解決したことになる」、なるほど。
・『反リニア中央新幹線で固めた専門家会議の行方は…   しかし静岡県は国の有識者会議の結論を受けて「2019年に提出したJR東海との対話を要する事項47項目のうち、30項目が終わっていない」とし、引き続き県が独自に結成した専門家会議で議論すると主張した。これでは甲子園で優勝校が決まったのに、もう一度地方予選をやらないと結果を認めないというようなものだ。あるいは、最高裁で判決が出たのに、もういちど地方裁判所に訴えるというべきか。  しかし、川勝知事の突然の辞任によって静岡県庁はハシゴを外された形になった。こんどは静岡県庁の引っ込みが付かない。反リニア中央新幹線で固めた専門家会議をどうクリアしていくかは今後の課題になる。  国の有識者会議の検討と同時期に、JR東海は大井川流域の人々に説明会を開いて事業への理解を求めていた。もっと早くやっておくべきだったとも言えるが、川勝知事が2018年に「JR東海との交渉を知事戦略室に集約する」として、JR東海と流域の直接対話を禁じていた経緯もある。説明会の後、流域の自治体は少しずつJR東海に理解を示し、「県は情報を伝えてくれなかった」「県の話とは違う」という声が出始めていた。  この頃から、川勝知事の不規則な発言が増えている。「静岡工区だけが遅れているわけではない。他の工区も遅れている」と神奈川県を批判して神奈川県知事に反論されたこともある。確かに他の工区も遅れているが、静岡工区は「着工できていない」状態だ。この差は大きい。  リニア中央新幹線の部分開業について、JR東海などは東京~名古屋間を指しているけれども、川勝氏は東京~甲府間を指し「JR東海も部分開業と言っている」と発言した。国のモニタリング会議は有識者会議の状況を確認する会議であるところ、川勝氏は「JR東海の素行をモニタリングする」ような勘違いと思われる発言もした。もはや報道する側も川勝知事の本意がつかめない様子だった。 長く鉄道取材を続けてきた人間として、静岡県はリニア中央新幹線の着工の可否という段階を終わらせて、補償の形を詰める段階に入るべきだと思う。川勝知事の後を決める選挙で、候補者にはぜひ国の有識者会議の結果を受け入れるか、反発を続けていくかを明確にして県民の意見を問うてほしいものだ。  選挙で静岡県民がどのような判断をするかはともかく、次の静岡県知事は、川勝氏より話が通じる人であってほしいと願わずにはいられない』、「JR東海は大井川流域の人々に説明会を開いて事業への理解を求めていた。もっと早くやっておくべきだったとも言えるが、川勝知事が2018年に「JR東海との交渉を知事戦略室に集約する」として、JR東海と流域の直接対話を禁じていた経緯もある。説明会の後、流域の自治体は少しずつJR東海に理解を示し、「県は情報を伝えてくれなかった」「県の話とは違う」という声が出始めていた・・・川勝知事の後を決める選挙で、候補者にはぜひ国の有識者会議の結果を受け入れるか、反発を続けていくかを明確にして県民の意見を問うてほしいものだ。  選挙で静岡県民がどのような判断をするかはともかく、次の静岡県知事は、川勝氏より話が通じる人であってほしいと願わずにはいられない」、その通りだ。

第五に、4月15日付け東洋経済オンライン「静岡リニア「開業10年遅れ」JR東海の経営大丈夫? 突然辞任、川勝知事の「置き土産」が及ぼす影響」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/747607
・『静岡県の川勝平太知事が4月10日、県議会の中沢公彦議長に辞表を提出した。1日、県庁の新入職員への訓示で職業差別と取られかねない発言をしたことが辞任の引き金となったが、3日の辞任会見や10日の定例記者会見では、「リニア中央新幹線の問題に一区切りついた」ことも辞任の理由の1つに挙げた』、興味深そうだ。
・『リニア問題「一区切り」とは?  「一区切り」とは何を指すのか。川勝知事が静岡工区の着工を認めない根拠の1つとしてきた南アルプスの生物多様性への影響などについて、県は「47項目のうち30項目で対話が終わっていない」としているので、この問題ではない。「一区切り」とは、3月29日に国土交通省で開催されたモニタリング会議でJR東海の澤田尚夫常務執行役員が「静岡工区の着工から開業まで10年程度かかる」と説明したことだ。今すぐ着工しても品川―名古屋間の開業は2034年となる。さらに、矢野弘典座長から静岡工区の工事の進め方について問われると、高速長尺先進ボーリングに3~6カ月、工事ヤードの整備に6カ月、トンネル掘削工事に10年程度、ガイドウェイ設置工事などについて2年程度かかるという見方を示した。 この発言を受け、川勝知事は3日の会見で「2027年というくびきが外れた。JR東海の事業計画は根本的に崩れた。今から工事を始めても13年弱かかり、静岡工区の完了は2037年になる」と話した。どうやら、JR東海が2027年開業という旗印を下ろしたことをもって、一区切りついたと考えているようなのだ。) ただ、本当にそれが目的であれば、JR東海は2020年6月に2027年の開業が間に合わないことを実質的に認めている。そもそもJR東海は2017年11月に静岡工区の工事契約を締結し、この時点で着工から開業まで10年という見方を示していた。その後、2020年6月に「今月中の着工が2027年開業のギリギリのタイミング」として、川勝知事にトンネル工事の前段階としてヤード整備の許可を願い出た。本来なら全体の工事は10年かかるところ、人材や機材をやりくりしてすべての工程が順調に進めば2027年に間に合う可能性があると判断したためだ。しかし、この提案は拒否され、2020年6月の時点で2027年開業は事実上不可能となった。 2023年12月、JR東海は「2027年」とされていた品川―名古屋間の開業時期を「2027年以降」に変更することを国土交通省に申請し認可を得た。開業が遅れることが「事実上」ではなく、正式に決まった。 川勝知事はこの時点で「JR東海は旗印を下ろした」と宣言してもよかった。しかし、JR東海は具体的な開業時期について明示しなかった。静岡工区がいつ着工できるかわからない以上、明示しないのは当たり前なのだが、なぜか川勝知事は「以降」と書いてあるのだから、「2027年開業の旗印を下ろしていない」と受け止めた。今回、「今から始めても10年かかる」という発言で、川勝知事はようやく「一区切りついた」と納得した』、「今回、「今から始めても10年かかる」という発言で、川勝知事はようやく「一区切りついた」と納得した」、なるほど。
・『工事「13年弱」JR東海は否定  以上のことからわかるとおり、3月29日のJR東海の発言は川勝知事が「一区切り」というほど重要なものでもない。JR東海は「今から工事を始めても10年」の根拠について、2017年時点の計画をそのまま適用しているにすぎない。2020年6月の段階では7年に短縮できる可能性があると考えていたが、長野県内や山梨県内の工事の状況から判断すると現在では短縮は難しいとしている。さらに、川勝知事がそれぞれの手順を単純に足して13年弱としていることについては「並行して進めることができる作業もあるため実際には10年程度」としており、川勝知事の13年という発言を否定している。 静岡のせいでリニア開業が遅れるという批判をかわすため、川勝知事は神奈川県駅(仮称)と山梨県駅(仮称)の間を先行開業させる構想を唱えてきた。リニア問題は一区切りついたと主張する川勝知事に対し、「部分開業させることが目的ではなかったのか」という質問が10日の会見で報道陣から出た。 川勝知事は「私が勝手に言っているわけではない」として、2010年5月に開催された国のリニア中央新幹線小委員会でJR東海が「(神奈川県駅と山梨県駅の間にある山梨リニア)実験線の延伸完成から間断なく(品川―名古屋間の工事に)着手することが重要」と説明していることを踏まえ、「延伸完成とは駅と駅がつながって営業できるようになることを指す」と述べ、部分開業はJR東海のアイデアだとした。しかし、実験線の延伸完成とは2008年に工事が始まり2013年に完成した42.8kmへの延伸工事のことである。この点でも川勝知事の発言は正しくない。 それはさておき、南アルプスの生物多様性の議論を道半ばで放り出し、矢野座長に後を任せるという。では、矢野座長が川勝知事の意に沿う形でモニタリング会議を進めるのだろうか。さすがにそれは考えにくい。NEXCO中日本の元会長として実務経験を持つ矢野座長は3月29日のモニタリング会議でも「小異を捨てて大同につくという精神で進めてほしい」と発言している。小異というのが県が協議が必要と主張する30項目であるのは明らかだ。 川勝知事の辞任に合わせるかのように、県の専門部会が12日、昨年10月以来半年ぶりに開催された。後任知事の意向次第では今後の議論の方向が着工容認に傾く可能性もある。 では、南アルプスの環境などの問題ではなく、JR東海が事業計画を変更したことをなぜ「一区切りついた」というのだろう。その理由として1つ思い当たるのが、富士山静岡空港をめぐる川勝知事とJR東海の確執だ。リニア計画決定前の2010年7月、ルートや経済効果などを検討する国の会議に川勝知事が参加し、東海道新幹線が富士山静岡空港の真下を通っていることを踏まえ、空港に隣接した新駅を設置する提案を行った。2011年5月に同会議がまとめた報告書には東海道新幹線の「新駅設置の可能性」について触れられていた。場所についての記載はないが、川勝知事はリニアが開業すれば空港の真下に新駅ができると信じた』、「南アルプスの生物多様性の議論を道半ばで放り出し、矢野座長に後を任せるという。では、矢野座長が川勝知事の意に沿う形でモニタリング会議を進めるのだろうか。さすがにそれは考えにくい。NEXCO中日本の元会長として実務経験を持つ矢野座長は3月29日のモニタリング会議でも「小異を捨てて大同につくという精神で進めてほしい」と発言している。小異というのが県が協議が必要と主張する30項目であるのは明らかだ・・・リニア計画決定前の2010年7月、ルートや経済効果などを検討する国の会議に川勝知事が参加し、東海道新幹線が富士山静岡空港の真下を通っていることを踏まえ、空港に隣接した新駅を設置する提案を行った。2011年5月に同会議がまとめた報告書には東海道新幹線の「新駅設置の可能性」について触れられていた。場所についての記載はないが、川勝知事はリニアが開業すれば空港の真下に新駅ができると信じた」、なるほど。
・『知事が示した「リニア工事の代償」  川勝知事は空港新駅設置に向け、2015年6月から有識者からなる技術検討委員会をスタートさせた。新駅完成後は県庁の一部機能を空港近くに移転する案まで飛び出した。しかし、JR東海は空港新駅構想には一貫して否定的であり、川勝知事のリニアに対する姿勢も次第に硬化。業を煮やした川勝知事は2016年9月の県議会答弁で、「リニアと既存の新幹線との関係にも念頭を置きながら、JR東海が静岡県のために何ができるか」と発言し、新駅とリニア問題をセットにしてJR東海に働きかけを行っていく意向を示した。それもうまくいかず、その結果が、2017年10月の突然の反対表明である。 2019年6月の定例会見では川勝知事は「リニア工事は静岡県にまったくメリットがなく、工事を受け入れるための“代償”が必要」と発言、具体的な代償の内容について「各県の駅建設費の平均くらいの費用が目安になる」と言い切った。2019年の時点でもまだ新駅にこだわっていたのだ。空港新駅計画をつぶされた腹いせがリニアの事業計画変更という筋書き。このように両者を結びつけるのは、やや強引だろうか。 4月4日、JR東海はリニアに関する今後の発注見通しを発表した。そこには山梨県駅の新設工事の工期が約80カ月、飯田市内に建設される高架橋の工期が約70カ月となっている記載があった。今すぐ契約を締結して工事に着手したとしても工事完了の時期は2030〜2031年ということになる。川勝知事にしてみれば「ほかの工区でも工事が遅れていることが証明された」ということになるが、これも正しい見方とはいえない。静岡工区の完成が遅れることがはっきりした以上、ほかの工区を無理して2027年に完成させる必要はないのだ。) むしろ気になるのは、リニアの開業遅れがJR東海の経営に与える影響だ。 短期的・中期的にはまったく影響ないどころか、財務面ではプラスとなる。東海道新幹線の収益力は高い。コロナ禍前の2018年度におけるJR東海の運輸セグメントの業績は売上高1兆4613億円に対して営業利益は6648億円だった。売上高営業利益率は45.4%である。ここから在来線の収支を差し引いた東海道新幹線の利益率がさらに高いことは、容易に想像できる。 コロナ禍の影響が残る2023年度の業績予想においても運輸セグメントの売上高1兆3670億円、営業利益4980億円。リニア計画を作成した時点の運輸セグメントの収支見通し(2006〜2010年度業績予想の5年平均)は売上高1兆2049円、営業利益3485億円なので、リニア開業前の収支想定を大きく上回っている。今後コロナ禍の影響が減れば収支は2018度の実績に近づいていく。収支が想定を上回っているだけでなく、リニア開業が10年遅れれば、JR東海は東海道新幹線で得た利益を内部留保する期間が10年延びる。2008年度から2018年度の10年間でJR東海の利益剰余金は2兆円以上増えた。今後もそのペースで蓄積できれば、財務面での安定性は増す』、「リニアの開業遅れがJR東海の経営に与える影響だ。 短期的・中期的にはまったく影響ないどころか、財務面ではプラスとなる。東海道新幹線の収益力は高い・・・リニア計画を作成した時点の運輸セグメントの収支見通し・・・は売上高1兆2049円、営業利益3485億円なので、リニア開業前の収支想定を大きく上回っている。今後コロナ禍の影響が減れば収支は2018度の実績に近づいていく。収支が想定を上回っているだけでなく、リニア開業が10年遅れれば、JR東海は東海道新幹線で得た利益を内部留保する期間が10年延びる。2008年度から2018年度の10年間でJR東海の利益剰余金は2兆円以上増えた。今後もそのペースで蓄積できれば、財務面での安定性は増す」、開業の遅れれば、「東海道新幹線で得た利益を内部留保する期間が10年延びる」、「JR東海」にとっては好ましい結果だ。
・『「開業10年遅れ」が生む懸念  しかし、長期的には話が違ってくる。リニアが開業すれば工事費用の減価償却が始まる。品川―名古屋間だけで約7兆円の工事費がかかる。車両や橋梁など固定資産の種類によって償却期間はさまざまだが、仮に全額をトンネルの税務上の耐用年数である60年で定額償却すれば毎年1166億円の減価償却費が発生する。そのため、リニア開業前の利益水準を下回る可能性がある。その後は名古屋開業後に連続して行われる名古屋―新大阪間の工事費用の減価償却が控えている。これらの点はリニアの事業計画に織り込み済みだが、想定外の事態としては開業が10年遅れると、総額3兆円の財政投融資の返済時期と重なってしまう。 返済期限は2055年から2056年にかけて。JR東海は「10年程度かけて返済する」としており、2046年頃から返済を始める計画だ。本来のスケジュールであれば2046年とは大阪開業から9年経ち、経営が安定している時期である。しかし、開業が10年以上遅れた場合、開業直前の資金需要が増える時期と財政投融資の返済時期が重なる可能性がある。この点についてJR東海に問い合わせると、「返済額は金融機関からの借り換えなどで対応し、健全経営と安定配当を堅持する」と回答した。 さらに怖いのは、東京―名古屋―大阪という日本の大動脈輸送の二重系化の完成が遅れることだ。リニアが完成しないことには東海道新幹線は長期間にわたる部分運休を伴う大規模な改修工事は難しいし、リニアの完成前に大規模な大災害が発生して東海道新幹線が寸断されれば、JR東海の収入は激減する。最悪の場合、それが借り換え計画に影響を及ぼす可能性するある。JR東海としては、川勝知事の「手柄」であるリニア開業10年遅れの間に巨大災害が起きないことを祈るばかりであろう』、「さらに怖いのは、東京―名古屋―大阪という日本の大動脈輸送の二重系化の完成が遅れることだ。リニアが完成しないことには東海道新幹線は長期間にわたる部分運休を伴う大規模な改修工事は難しいし、リニアの完成前に大規模な大災害が発生して東海道新幹線が寸断されれば、JR東海の収入は激減する。最悪の場合、それが借り換え計画に影響を及ぼす可能性するある。JR東海としては、川勝知事の「手柄」であるリニア開業10年遅れの間に巨大災害が起きないことを祈るばかりであろう」、その通りだ。

第六に、4月21日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの宮原 健太氏による「自民党がさらなる窮地へ…? 川勝知事の後任選挙の「驚きの実態」 明らかになってきた調査結果」を紹介しよう。
・『与野党対決の選挙  「野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノを作ったりとは違って、皆様方は頭脳、知性の高い方たちです」 新年度早々、静岡県庁の新入職員に対する訓示で、とんでもない職業差別的な発言をして電撃辞職することとなった川勝平太知事。 5月9日告示、26日投開票と短期決戦で行われる知事選を巡っては、4月18日に自民党が元副知事の大村慎一氏を、立憲民主党と国民民主党が元浜松市長の鈴木康友氏を推薦する方針を固め、与野党対決の構図が決まった。 永田町では自民と立憲が知事選に向けて実施した情勢調査の内容が出回っている。 自民党が実施した調査によると鈴木氏が39.9ポイントを獲得し、大村氏の29.3ポイントから10ポイント以上リード。 立憲が実施した調査でも鈴木氏が28.2ポイントを獲得し、大村氏の20.9ポイントに対して差をつけている。 調査結果を見て永田町関係者は「もともと衆議院議員や浜松市長を歴任してきた鈴木氏が知名度で優っている分、数字が良く出ているのだろう」と分析した。 一般的に短期決戦で行われる選挙では、すでに地域に浸透している知名度の高い候補が有利となる。 今回の発言があった当初、川勝氏は6月議会冒頭で辞職する意向を示していたが、「県政の空白を短くする」として辞表提出を4月10日に前倒し。 その背景には、知事選の投開票までの期間を短くすることで、鈴木氏が有利になるよう取り計らったという事情もあったという。) こうした舞台作りのために働きかけたとされているのが、浜松市に本社を置くスズキの相談役、鈴木修氏だ。 「鈴木修氏は川勝氏や鈴木康友氏を支援してきており、自身の意中の人物が次の知事となるように調整したのだろう」と永田町関係者は語る。 それに対して自民は大村氏側に付き、非自民として活動してきた川勝氏なきあとの知事の座奪還を目指す。 自民県連の増田享大幹事長は4月18日、大村氏を支援する理由について「全県的な視点で課題を捉えている」と話したが、浜松市の地域色がついている鈴木氏よりも、大村氏のほうが県内全域からの支持が得やすいと踏み、形勢逆転を目指していく戦略のようだ。 もし自民が「全敗」したら… 急転直下の辞任劇から、5月投開票という短期決戦となった静岡県知事選。 与野党対決となったことを受けて、4月28日投開票の衆院3補選に続いて、岸田政権の求心力や、与野党の力関係を測るバロメーターとしても機能することになりそうだ。 もし、自民党が3補選で全敗を喫し、静岡県知事選でも敗れることとなれば、岸田政権にとっては大きな痛手となり、国政運営や解散戦略、今年9月の自民党総裁選にも影響が生じ得るだろう。 奇しくも静岡県は、自民党を揺るがす裏金問題において、安倍派座長として離党勧告を受けた塩谷立衆院議員のお膝元でもある。 地域の課題に加えて、国政の問題も様々問われる中で、静岡県民はどちらの候補を選ぶか判断を迫られることとなる。 さらに【つづき】「自民党がいよいよ窮地へ…ナンバー2・茂木幹事長がついに口にした「驚愕のひと言」」の記事では、自民党がいま迎えている大きな危機について報じている』、「自民党が元副知事の大村慎一氏を、立憲民主党と国民民主党が元浜松市長の鈴木康友氏を推薦する方針を固め、与野党対決の構図が決まった・・・自民党が実施した調査によると鈴木氏が39.9ポイントを獲得し、大村氏の29.3ポイントから10ポイント以上リード。 立憲が実施した調査でも鈴木氏が28.2ポイントを獲得し、大村氏の20.9ポイントに対して差をつけている」、「鈴木康友氏」のリニア問題への姿勢はまだ不明だが、「スズキの相談役、鈴木修氏」がバックにいるようなので、少なくとも中立だろう。「JR東海」としては一安心だろう。
タグ:(その10)(川勝知事知事6題:川勝知事がリニア問題の解決策などすべて放り投げて辞職…そのヤバすぎる「正体」、川勝知事が残した“最悪の置き土産”…意味のなかった「リニア騒動」の全貌、川勝平太知事が「リニア中央新幹線」反対姿勢を強めた2013年に何があったのか、静岡リニア「開業10年遅れ」JR東海の経営大丈夫? 突然辞任、川勝知事の「置き土産」が及ぼす影響、自民党がさらなる窮地へ…? 川勝知事の後任選挙の「驚きの実態」) 小林 一哉氏による「静岡・川勝知事がリニア問題の解決策などすべて放り投げて辞職…そのヤバすぎる「正体」」 リニア新幹線 現代ビジネス 「2018年夏から、静岡県とJR東海との『対話』が始まったが、現在まで何らの進展も見られない」、そんなに長く続いているとは、改めて問題の深刻さを再認識した。 「リニア問題に関してこれを放り出すことはできない。どのような道筋が描けるか、これが本県にとって重要課題だ。国のリニア静岡工区モニタリング会議座長の矢野(弘典)さんを信じている。まかせられる。モニタリングは、工事の日程、事業計画と不可分であるというのが矢野さんの意見だ。ここでやっていければいい。矢野さんにバトンタッチできる」 などと何度も矢野座長の名前を挙げた」、「矢野座長」の考え方はどうなのだろう。 小林 一哉氏による「川勝知事が残した“最悪の置き土産”…意味のなかった「リニア騒動」の全貌 『知事失格』のらく印が押されたまま」 「塩坂委員が「畑薙山断層帯は非常に弱い地層であり、大量の突発湧水が出る恐れがある」などと警告した。 塩坂委員は、トンネル建設予定地の断層は「背斜構造となっていて力の掛かり具合が複雑であり、地下水枯渇の恐れがある」などの持論を披露して、地下トンネル建設に強い疑問を投げ掛けた。これが県専門部会委員の役割」、なるほど。 「川勝知事は、南アルプスの工事現場視察で、リニア問題の解決へはほど遠い発言を繰り返し、翌日の期成同盟会総会での「スピード感を持った課題解決」とは真逆の発言をしている」、どちらが本音なのだろう。 「その後も、筆者はウェブ記事を中心に川勝知事のさまざまな「嘘」を紹介してきたが、川勝知事から何らかの対応を受けたことはない。 川勝知事による「リニア騒動」はいったい、何だったのか、5年余という、あまりにもムダな時間が流れた。 結局、拙著の題名通り『知事失格』のらく印が押されたまま退場することになった」、その通りだ。 文春オンライン「川勝平太知事が「リニア中央新幹線」反対姿勢を強めた2013年に何があったのか「JR東海は本当にやってくれるのか」という不信の始まりは…」 「JR東海が発足する1987年よりも前のことだから、日本鉄道建設公団が建設し、国鉄が営業主体になる計画だった。しかし国鉄の赤字問題の影響で整備計画が作られないまま、構想は塩漬け状態にあった」、なるほど。 「これらの新幹線が開通しないと、次の新幹線に着手できない。だから中央新幹線はずっと待たされていた。それにしびれを切らしたJR東海が「自分でやります。自己資金でやります」と手を挙げたことで計画は動き出した・・・2つ切実な理由があった。  1つは東海道新幹線の輸送量がパンクしかけていたこと。東名阪の移動需要が旺盛で、「のぞみ」を増発しても追いつかない。なんとか1時間にのぞみ12本を運行する「のぞみ12本ダイヤ」までたどり着いたけれど、これが増発の限界だ。「ひかり」や「こだま」も増やしたいところだが、「のぞみ」 を増発しても追いつかない。なんとか1時間にのぞみ12本を運行する「のぞみ12本ダイヤ」までたどり着いたけれど、これが増発の限界だ。「ひかり」や「こだま」も増やしたいところだが、「のぞみ」が優先されていた。  もう1つは、東海道新幹線の老朽化だ。開業から半世紀が過ぎて、トンネルや鉄橋などの構造物は抜本的な点検、改修が必要になってきた。国鉄時代にも水曜日などに半日運休を実施して若返り工事を実施していたが、昨年の災害運休の後に起きた大混雑を見れば判るように、もはや半日運休にすることすら許されない輸送量なのだ」、 なるほど。 「JR東海は、では道路を拡幅しましょうと言ってすぐ実行する。スピード感があるし、地元としても広い道路が残る。結果としては良いのだけれども、お金で解決して地元を納得させるというやりかたになっている」  地元とのコミュニケーションが希薄なまま工事を進めようとする反動がもっとも大きく出た場所が静岡工区といえる。環境アセスメントが終わってから着工までには、河川や道路などについて地域の自治体から許可をもらう必要がある。鉄建公団には「地域を説得する」という地道な努力とノウハウがあったが、残念ながら新幹線建設が初めての JR東海にはその知見がなかった。  いままでの整備新幹線が、環境アセスメントが終わればスムーズに着工できたのは、鉄建公団~JRTT鉄道・運輸機構の実績と信頼による。  残土問題や、川や地下水の水涸れ問題は今までもあったが、地元と話し合って、自治体と共同して補償もしてきた。西九州新幹線の時も渇水が起きたが、トンネルからの導水管や新たな井戸を掘って水田に放水している。その実績と信頼があった。 しかしJR東海は地元との対話が少なく、新幹線を作った実績がないので信用度も低い。静岡県の心配は「本当にやってくれるのか」という点だった」、「JR東海」には、「鉄建公団」のような「ノウハウ」がなく、「地元との対話が少なく」、「新幹線を作った実績がないので信用度も低い。静岡県の心配は「本当にやってくれるのか」という点」、なるほど。 「国が東海道新幹線の限界を把握し、もっと早く中央新幹線に着手していれば、JR東海が直接建設することはなかったし、静岡県とこじれることもなかっただろう。その意味では国にも責任がある」、「国にも責任がある」とは初めて知ったが、正論だ。 文春オンライン 杉山 淳一氏による「川勝平太知事の辞任で「静岡県vs.JR東海」の対決構図は終わるのか 反リニア新幹線で固めた「専門家会議問題」も…」 「静岡県民のJR東海に対する好感度は他県よりも低いようだ。「のぞみを静岡に停めてほしい」「東海道新幹線に静岡空港駅を作ってほしい」という要望をJR東海は却下していたことが理由」、「川勝知事」の反対の背後には県民の支持があったとは初めて知った。 「川勝知事は、静岡空港を首都圏の第三空港にしたいと発言したことがある。成田、羽田につぐ首都圏の第三空港となれば、国の支援も受けやすくなることを見越してのことだろう。そしてそのためには、東海道新幹線の駅を作って東京へのアクセスを良くしたい、ということだ。  とはいえJR東海から見れば、静岡県が首都圏第三空港になってから新幹線の駅を作るかを検討したいところだろう。そこで話は止まっていた・・・大井川の水量問題は、静岡県の「命の水」の危機として対立を煽る報道は全国紙やテレビなどに伝播し「静岡県vs JR東海」の構 図は鮮明になっていった」、なるほど。 「国土交通省はリニア中央新幹線の「水問題」「生物環境問題」について「有識者会議」を立ち上げた。当初は国もJR東海に対して「きちんと説明するように」と指示していたが、それでは収まらないという判断だ。  2020年から13回にわたる長い議論の末、水問題に関しては「JR東海の考え方、対処によって中流下流域に影響なし」という「中間報告」を出した。ちなみに中間報告は行政用語で「議論終了」を意味する・・・ 静岡市の難波喬司市長も「JR東海の設置方法で概ね問題ない」と表明した。難波氏は、国土交通省で港湾局災害対策室長を務めた技術官僚出身である。  川勝知事は「その場所は深層崩壊の懸念がある」と反発したが、難波市長は「盛り土はむしろ下流域への崩壊を防ぐ。大規模な土砂崩れの予測と対策は河川管理者の県の責任」でありJR東海は責任を負わないという見解を示した。そもそも鉄道の盛り土は「ただの土砂捨て場」ではない。東海道新幹線だって盛土の部分はたくさんある。盛り土は鉄道技術による「建築物」なのだ。  これで静岡県が懸念す る「水問題」「環境問題」「盛り土問題」は解決したことになる」、なるほど。 「JR東海は大井川流域の人々に説明会を開いて事業への理解を求めていた。もっと早くやっておくべきだったとも言えるが、川勝知事が2018年に「JR東海との交渉を知事戦略室に集約する」として、JR東海と流域の直接対話を禁じていた経緯もある。説明会の後、流域の自治体は少しずつJR東海に理解を示し、「県は情報を伝えてくれなかった」「県の話とは違う」という声が出始めていた・・・川勝知事の後を決める選挙で、候補者にはぜひ国の有識者会議の結果を受け入れるか、反発を続けていくかを明確にして県民の意見を問うてほしいものだ。 選挙で静岡県民がどのような判断をするかはともかく、次の静岡県知事は、川勝氏より話が通じる人であってほしいと願わずにはいられない」、その通りだ。 東洋経済オンライン「静岡リニア「開業10年遅れ」JR東海の経営大丈夫? 突然辞任、川勝知事の「置き土産」が及ぼす影響」 「今回、「今から始めても10年かかる」という発言で、川勝知事はようやく「一区切りついた」と納得した」、なるほど。 「南アルプスの生物多様性の議論を道半ばで放り出し、矢野座長に後を任せるという。では、矢野座長が川勝知事の意に沿う形でモニタリング会議を進めるのだろうか。さすがにそれは考えにくい。NEXCO中日本の元会長として実務経験を持つ矢野座長は3月29日のモニタリング会議でも「小異を捨てて大同につくという精神で進めてほしい」と発言している。小異というのが県が協議が必要と主張する30項目であるのは明らかだ・・・ リニア計画決定前の2010年7月、ルートや経済効果などを検討する国の会議に川勝知事が参加し、東海道新幹線が富士山静岡空港の真下を通っていることを踏まえ、空港に隣接した新駅を設置する提案を行った。2011年5月に同会議がまとめた報告書には東海道新幹線の「新駅設置の可能性」について触れられていた。場所についての記載はないが、川勝知事はリニアが開業すれば空港の真下に新駅ができると信じた」、なるほど。 「リニアの開業遅れがJR東海の経営に与える影響だ。 短期的・中期的にはまったく影響ないどころか、財務面ではプラスとなる。東海道新幹線の収益力は高い・・・リニア計画を作成した時点の運輸セグメントの収支見通し・・・は売上高1兆2049円、営業利益3485億円なので、リニア開業前の収支想定を大きく上回っている。今後コロナ禍の影響が減れば収支は2018度の実績に近づいていく。収支が想定を上回っているだけでなく、リニア開業が10年遅れれば、JR東海は東海道新幹線で得た利益を内部留保する期間が10年延びる。 2008年度から2018年度の10年間でJR東海の利益剰余金は2兆円以上増えた。今後もそのペースで蓄積できれば、財務面での安定性は増す」、開業の遅れれば、「東海道新幹線で得た利益を内部留保する期間が10年延びる」、「JR東海」にとっては好ましい結果だ。 「さらに怖いのは、東京―名古屋―大阪という日本の大動脈輸送の二重系化の完成が遅れることだ。リニアが完成しないことには東海道新幹線は長期間にわたる部分運休を伴う大規模な改修工事は難しいし、リニアの完成前に大規模な大災害が発生して東海道新幹線が寸断されれば、JR東海の収入は激減する。最悪の場合、それが借り換え計画に影響を及ぼす可能性するある。JR東海としては、川勝知事の「手柄」であるリニア開業10年遅れの間に巨大災害が起きないことを祈るばかりであろう」、その通りだ。 宮原 健太氏による「自民党がさらなる窮地へ…? 川勝知事の後任選挙の「驚きの実態」 明らかになってきた調査結果」 「自民党が元副知事の大村慎一氏を、立憲民主党と国民民主党が元浜松市長の鈴木康友氏を推薦する方針を固め、与野党対決の構図が決まった・・・自民党が実施した調査によると鈴木氏が39.9ポイントを獲得し、大村氏の29.3ポイントから10ポイント以上リード。 立憲が実施した調査でも鈴木氏が28.2ポイントを獲得し、大村氏の20.9ポイントに対して差をつけている」、「鈴木康友氏」のリニア問題への姿勢はまだ不明だが、「スズキの相談役、鈴木修氏」がバックにいるようなので、少なくとも中立だろう。「JR東海」としては一安心だ ろう。
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