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シェアリングエコノミー(その4)(元出前館会長が語る「デリバリー大乱戦」の前途 「日本市場は未成熟 プレーヤーはまだ増える」 元出前館会長が語る「デリバリー大乱戦」の前途 「日本市場は未成熟、プレーヤーはまだ増える」、個人請負無法地帯:労災保険料は配達員が「全額自己負担」の是非 ウーバーイーツ「急拡大」で問われる企業責任、ウーバーイーツの「徒歩配達」が日本社会を激変させる、その「意外なメカニズム」 ITの本領が発揮される) [生活]

シェアリングエコノミーについては、5月6日に取上げた。今日は、(その4)(元出前館会長が語る「デリバリー大乱戦」の前途 「日本市場は未成熟 プレーヤーはまだ増える」 元出前館会長が語る「デリバリー大乱戦」の前途 「日本市場は未成熟、プレーヤーはまだ増える」、個人請負無法地帯:労災保険料は配達員が「全額自己負担」の是非 ウーバーイーツ「急拡大」で問われる企業責任、ウーバーイーツの「徒歩配達」が日本社会を激変させる、その「意外なメカニズム」 ITの本領が発揮される)である。

先ずは、7月20日付け東洋経済オンライン「元出前館会長が語る「デリバリー大乱戦」の前途 「日本市場は未成熟、プレーヤーはまだ増える」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/441745
・『コロナ禍で巣ごもりが長期化する中、好況に沸くフードデリバリー業界。市場調査会社のエヌピーディー・ジャパンの調べでは、2020年の外食デリバリーの市場規模は6264億円と、前年比50%増にまで急拡大を遂げた。 成長する日本市場を狙い、2020年以降は多くの海外プレーヤーが参入。「Uber Eats」や「出前館」といった先行プレーヤーとの競争は熾烈化し、各社こぞってクーポンのバラマキを行うなど、終わりなき過当競争を繰り広げているようにも映る。 フードデリバリーの乱戦は今後どんな展開を見せるのか。2020年11月に出前館の会長職を辞し、2021年4月にはM&A仲介大手の「日本M&Aセンター」の専務執行役員に就任した、中村利江氏に聞いた(Qは聞き手の質問、Aは中村氏の回答)。 【2021年7月21日9時27分追記】初出時の表記に一部誤りがありました。お詫びの上、表記のように修正いたします。 Q:約20年間携わってきた、出前館の経営の第一線から昨年退きました。 A:同じ人が長いこと(経営を)やり続けるといろいろなしがらみができてしまうので、5年くらい前から後任を探す必要があると考えていた。 海外の投資家への説明に回っていたときから、(今年6月に上陸した)アメリカのDoorDashなど海外の黒船が必ず日本に進出してくると確信し、資金と組織力を整えてしっかりと戦う準備をする必要があると思っていた。そこで、(2020年3月に)LINEグループに入ることを決めた。こうした準備が整ってきたので、新体制に事業を執行してもらうのがよいと考えた』、中村利江氏の略歴は3頁目にある通り、1988年に関西大学文学部を卒業。リクルートなどを経て、出前館の代表取締役社長や同会長などを歴任。2021年4月、日本M&Aセンターの専務執行役員就任。「リクルート」出身のやり手のようだ。
・『フードデリバリー市場はまだ拡大する  フードデリバリーは体力勝負になっている。各社ふんだんに体力があるわけではないので、資金が続く範囲の中でやっていかざるをえない。 Uber Eatsも海外ではうまくいっていないことが多く、インドなどでは撤退するケースも出ている。(KDDIによるmenuへの出資など)国内の通信事業者が宅配事業者へ出資する事例も出ており、日本で今後もM&Aが起こる可能性はある。 Q:日本のフードデリバリー市場におけるプレーヤーは増え続けています。過当競争に陥っているのではないでしょうか。 A:「どうしてそこまで過激な奪い合いをしているのか」と思われるだろうが、日本は配達件数自体がまだ少なく、潜在的な市場規模は大きい。市場が広がらないのに戦っていたら愚かだが、アイテムや対応店舗数が増え、デリバリーのハードルが下がれば、市場のパイはさらに拡大するはずだ。 Q:配達手数料などがかかるデリバリーサービスを活用するのは、利益率の低い飲食店だと難しいという声もあります。 A:それはやり方次第だ。 例えば吉野家の場合、(出前館導入当初)店舗では380円の牛丼(並)をデリバリーだと570円で売っていた。その差額には「注文者のもとに料理を持って行く付加価値」が含まれている。 導入前は、店舗で働く従業員から「そんな高い値段では売れない」という声もあったようだが、吉野家の店舗に入りづらいという女性客や、外出できない子育て世帯を取り込むことができた。結果としてはよく売れたし、店内飲食よりも利益が出た』、中村氏は「日本M&Aセンター」に移ったとはいえ、「フードデリバリー市場」に身を置いている以上、前向きな姿勢は続けているようだ。
・『日本は未成熟でおいしい市場  配達件数を増やせば効率も良くなり、コストを抑えられるということは、グローバルですでに実証されている。日本だと1時間あたりの配達件数は2件程度で、まだまだ配達件数が足りない。中国では1時間に5件以上の配達ができており、配達料も(1件当たり)100円程度に抑えられている。 海外で実績を持つ黒船企業からすれば、未成熟な日本はおいしい市場だ。中国の大手プレーヤーもまだ日本には進出していないし、今後さらにプレーヤーが増える可能性だってある。 Q:とはいえ、プレーヤーが増える中で各社がクーポンのバラマキやCMの乱発にコストを多くかけている現状は、消耗戦となっているようにも見えます。 A:そんなことはない。確かに足元では1位、2位を取るためのプレーヤー間の競争が激しくなっている。ただ、おそらく数年ほど経てば、デリバリー市場のトップ2が確定し、競争も落ち着くはずだ。 出前館やUber Eatsもまだ、先行者メリットを享受する段階にはない。出前館の加盟店数は7.4万店(2021年5月末時点)だが、地方の消費者が利用するには10万店を超えないといけない。 外食業界は、グローバルで競争してきた製造業などとは対照的に、ガラパゴス的な成長をしてきた。海外の飲食店はコロナ前から、イートイン、デリバリー、テイクアウトの3本柱で収益を上げるのが普通だったが、日本は違う。おいしさやおもてなしへのこだわりが強いがゆえに、イートイン一辺倒だった』、確かにかつての「イートイン一辺倒」は「ガラパゴス」そのものだった。
・『コロナで飲食店数は正常な状態になる  かつて出前館を飲食店に提案した時も、「店を離れる間の数十分間で食品が劣化するのではないか」などの抵抗があり、思った以上に導入までのハードルが高かった。それがコロナ禍で変わった。20年かけてじわじわと広げてきたものが、たった数カ月でガッと広がった。 店内飲食主体の飲食店が苦戦しているの対し、従来テイクアウトやデリバリーに力を入れていたマクドナルドやケンタッキーはコロナ禍でも増収増益を続けている。イートイン一本足打法ではダメだというのは結果が示している。 Q:コロナ禍を経て、日本の外食業界はどう変わるとお考えですか。 A:コロナ前から日本の飲食店の数は多く、飽和状態にあった。日本の飲食店の適正店舗数は40~50万店程度だと思うが、今は約60万店もある。コロナという厳しい状況下で再編は進まざるをえないだろう。 飲食店の数が多いと、価格競争になり低価格化が進む傾向にある。それは消費者にとってよいことかもしれないが、事業者からすれば儲からない商売ともいえる。飽和状態にある飲食店数がコロナを機に正常な状態になることで、適正な利益を上げられるようになるのではないか。 【情報提供のお願い】東洋経済では、フードデリバリー業界が抱える課題を継続的に取り上げています。こちらのフォームでは配達員や飲食店関係者などからの情報提供をお待ちしております』、「テイクアウトやデリバリーに力を入れていたマクドナルドやケンタッキーはコロナ禍でも増収増益を続けている。イートイン一本足打法ではダメだというのは結果が示している」、その通りだ。「飽和状態にある飲食店数がコロナを機に正常な状態になることで、適正な利益を上げられるようになるのではないか」、これは希望的観測色が強そうだ。

次に、7月27日付け東洋経済Plusが掲載した「個人請負無法地帯:労災保険料は配達員が「全額自己負担」の是非 ウーバーイーツ「急拡大」で問われる企業責任」を紹介しよう。
・『柔軟な働き方の代表例である個人請負。無権利状態であるがゆえに予期せぬ事態に直面する人たちがいる。 コロナ禍での外出自粛に伴う、デリバリー需要の増加を追い風に、ウーバーイーツの急拡大が続いている。2016年に東京でサービスを開始してから、すでに40都道府県でサービスを提供(7月20日時点)しているが、そのうち23道県は昨年に初進出した。 2021年5月には国内におけるウーバーイーツの加盟店が10万店を突破しており、競合である出前館(同時期の加盟店数は7.4万店)を大きく突き放している。グローバルにおけるウーバーのフードデリバリー事業の売上高は約39億ドル(約4300億円)と、前期比でおよそ2.8倍増となった。 こうしたウーバーイーツの急速なサービスエリア拡大を支えているのが、個人請負である配達員だ。自分の自転車やバイクを使って、好きなときにアプリを立ち上げて好きなように働ける自由さが、配達員から支持されている。北海道で配達する20代男性は「アルバイトだと拘束されているように感じてしまい面倒。独立した個人事業主として自由に働けるのはうれしい」と話す』、事故や病気で働けなくなると、一転、地獄に変わる。
・『活況の一方で配達員の身入りが減る  個人事業主として業務委託契約を結べば、時間や場所を制約されず、自らの裁量で仕事ができる。だが、身分は自営業者なので、労働基準法などの労働法規がいっさい適用されない。最低賃金保障はなく、職を失っても雇用保険が使えないなど、無権利状態にある(詳しくは「あらゆる業種に広がる“無権利状態”の個人請負」)。 ウーバーイーツがサービスを拡大する中、配達員からは報酬に対する不満の声が上がっている。首都圏で配達員をする30代男性は「ウーバーイーツの報酬は緩やかに下降線を描いている」と指摘する。 背景にあるのはウーバーイーツが行った報酬体系の変更だ。 従来の基本報酬は、飲食店から料理を受け取ったときに得られる「受取料金」、注文者に料理を受け渡すときに得られる「受渡料金」、飲食店から配達先までの距離に応じて得られる「距離料金」という3つの合計からサービス手数料を差し引いたものだった。そこにエリアの繁忙状況や配達回数に応じた追加報酬(インセンティブ)が加算され、配達員に報酬が支払われていた。 だが、2021年5月から算定基準が撤廃され、繁忙度合いなどに合わせてウーバーイーツ側で金額を変動させる報酬体系が導入された。 前述の30代の男性配達員は「基準がなくなったことで、報酬体系がブラックボックス化してしまった。一方的に報酬が決められてしまうため、会社側が守ってくれる“最低基準”がわからない。今の報酬水準もいつまで続くのか不安だ」と打ち明ける。 冒頭の北海道の配達員も「今年6月に札幌で働いたときには、2.5㎞の距離を27分かけて配達しても報酬はたった300円。その日は3回連続で300円の案件に当たったが、これではとても割にあわない」とこぼす。2021年4月まで適用されていた料金体系であれば報酬額は486円(受取料金、受渡料金、距離料金の合計からサービス手数料を引いたもの)になるはずだが、それが4割近く減少していることになる。 業界団体である日本フードデリバリーサービス協会からの要望を受け、2021年9月から、厚生労働省は労災保険の特別加入の対象に、ウーバーイーツの配達員のような、自転車で配達する個人事業主を加えることを決めた。 特別加入制度では、個人事業主が事前に3500円から2万5000円の範囲内で「給付基礎日額」(平均賃金相当額)を設定し、これに保険料率を適用することで保険料が決まる。自転車や自動車を使った貨物運送事業の保険料率は1.2%であり、仮に日額を1万円とすると年間保険料は4万3800円になる。 正社員に限らず契約社員やパート社員など「労働者」であれば、労災保険料は会社側が負担する。だが個人事業主の場合、保険料は全額自己負担となる。 実際の報酬が少ないと保険料負担も重くなってしまう。都内でウーバーイーツの配達員として働く40代男性は「朝7時から夜22時か23時まで働いても、その日の収入が1万2000円程度あれば御の字という状況だが、これで保険料を自己負担してまで特別加入の労災に入るかは正直わからない」と打ち明ける。 労働問題に詳しい東京法律事務所の菅俊治弁護士は、「(保険による)配達員保護だけでなく、事業者間の公正な競争のためにも、プラットフォーマーを例外扱いするのではなく、一般の事業者と等しい規制を課す(会社が労災保険料を支払う)必要がある」と指摘する』、「事業者間の公正な競争のためにも、プラットフォーマーを例外扱いするのではなく、一般の事業者と等しい規制を課す・・・必要がある」、その通りだ。
・『事故の危険に直面する配達員たち  自転車での配達は事故に遭う危険とつねに隣り合わせだ。警察庁によれば、都内の交通事故における自転車関与率は40.6%(2020年実績)であり、年々その割合は高まっている。 配達員たちの労働組合「ウーバーイーツユニオン」が2020年1月から3月にかけて行った調査によれば、事故に遭った配達員の過半数は自転車を利用しており、事故の種類としては他の車両との衝突事故が最も多かったという。中には、自動車に衝突されたことで全治3カ月の被害に遭い、1カ月間の休業を余儀なくされた配達員もいる。 ウーバーイーツユニオンの代理人を務める川上資人弁護士は「企業が労働力を利用して利益上げるなら、その活動に伴って生じる危険には企業が負担を負うべきだ、というのが労災保険制度の趣旨だ。配達員を利用して利益を上げているウーバーイーツが、(労災保険の保険料を)配達員に自己負担させるのはおかしい」と指摘する。 また、労働問題に詳しい専門家からは、配達員は労働基準法などの労働法規が適用される労働者に当たるのではないかとの見方も出ている。 前出の菅弁護士は、「配達員に支払う配達料金を決めたり、需給を左右したりしているのはウーバーイーツだ。実際の契約実態をみて判断するならば、ウーバーイーツが運送主にあたり配達員たちは労働基準法が適用される労働者だと認められる可能性は十分にある」と話す』、法的位置づけを明確化する必要がある。
・『海外では規制強化が相次ぐ  すでに海外ではウーバーグループで働く人々を「労働者」と認定する動きが出ている。 2020年3月、最高裁判所に相当するフランスの破毀院は、配車サービスのウーバーのドライバーを従業員として認める判決を出した。2021年3月にはイギリスの最高裁でも同様の判断が示されている。最高裁判決が出された後、イギリスのウーバーは最低賃金や有給休暇などをドライバーに対して保証することを発表している。 法政大学法学部の浜村彰教授(労働法)は「デリバリー事業を遂行するうえで配達員は不可欠な労働力であり、なおかつ配達業務の対価として支払われる報酬はウーバーイーツが決めている。これらを踏まえると、配達員は少なくとも労働組合法における労働者とは認定されるはずだ」と指摘する。 同法で労働者性が認められれば、配達員たちの労組は報酬体系の透明性や契約内容の変更をめぐり、ウーバーイーツと団体交渉することが可能になる。ウーバーイーツは過去にユニオンが申し込んだ団体交渉を拒否している。 「自由な働き方を求めるがゆえに、労働時間の規制を望まないが、労災補償や最低賃金保障は必要とすると配達員もいる。労働基準法等の適用範囲については、そうした立場も考慮しながら柔軟に議論を重ねるのがよいだろう」(浜村教授) 個人請負という形で配達員を集め、サービス拡大を続けるウーバーイーツ。成長を目指すだけであればそれが手っ取り早いかもしれないが、企業としての社会的責任を果たさなければならない局面にさしかかっている』、「フランス」や「イギリス」の「最高裁」が「ウーバーのドライバーを従業員として認める判決を出した」、「イギリスのウーバーは最低賃金や有給休暇などをドライバーに対して保証することを発表」、やはり「日本」も早期に、法的位置づけを明確化する必要がある。

第三に、6月30日付け現代ビジネスが掲載した経済評論家の加谷 珪一氏による「ウーバーイーツの「徒歩配達」が日本社会を激変させる、その「意外なメカニズム」 ITの本領が発揮される」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/84642?imp=0
・『料理宅配大手のウーバーイーツが、日本国内でも徒歩による配達を開始すると発表した。ネットでは「意味不明」といった反応が多いのだが、シェアリング・エコノミーが持つ本質を考えた場合、徒歩配達が拡大する可能性は極めて高く、むしろ徒歩配達が最大のパフォーマンスを発揮する可能性すらある。さらに言えば、長いスパンで見た場合、人口の都市部への集約を加速させる作用すらもたらすかもしれない』、「ウーバーイーツが、日本国内でも徒歩による配達を開始」、「徒歩配達が拡大する可能性は極めて高く、むしろ徒歩配達が最大のパフォーマンスを発揮する可能性すらある」、なるほど。
・『すでに諸外国では徒歩配達が始まっている  これまでウーバーイーツの配達員は主に自転車を使って料理を配送していた。一部の配達員はバイクを使っているが、自転車やバイクで配達するには、事前にウーバーへの車両登録が必要だった。2021年6月21日からは、登録用アプリで徒歩での配達に切り換えることが可能となり、今後、新たに加入する配達員は徒歩のみでも配達が始められる。 自転車による配達の場合、駐輪する手間がかかるほか、階段や細い路地がある場所は通れないため、場所によっては徒歩の方が効率的になるケースがある。すでにニューヨークや香港など海外の大都市では徒歩による配達が導入されている。 このニュースに対してネットなどでは「意味不明」「近距離の注文など仕事として成立しない」など否定的な意見が目立っている。確かに現時点では徒歩圏内だけで配達員が十分に稼げる地域は限定的であり、あくまでお試しの措置であることは明らかである。 だがウーバーに代表されるシェアリング・エコノミーの本質を考えた場合、徒歩による配送というのはもっともポテンシャルが高い手法であり、長いスパンでは、これが驚異的な成果をもたらす可能性がある。 以下では徒歩配達と高度IT化社会の本質について議論していくので、半年や1年といった近いタームでの予想や、ウーバーのようなシェアリング企業に対する好き嫌いといった議論を望む方は本稿を読んでいただく必要はない。ITを駆使した徒歩配達が、中長期的に産業構造をどう変えるのかに興味のある方だけが読んでいただければよい。 一般的にITが普及すると、場所が離れていてもコミュニケーションが取れるので経済圏が広域化すると考える人も多い。実際、コロナ危機でテレワークが普及したことから、郊外の家に転居を希望する人が増えているという。ITツールを使えば、遠隔でコミュニケーションができるので、確かにIT化が進めば場所の制約は少なくなる。 だが、これは通信環境の改善というIT化がもたらした現象の一面を見ているに過ぎない。確かにITと通信は切っても切れない関係にあるが、通信というのは長距離通信だけを意味するわけではない。 社会のIT化が高度に進むと、世の中に存在するあらゆるモノが相互に通信し、情報を共有することで、オペレーションを最適化することが可能となる。実は、相互通信環境の確立によるオペレーションの最適化というのは、ITがもたらすパワーの中でもっとも破壊的な影響力があり、それは都市部や工場など人や設備が集約化されている場所でこそ威力を発揮する』、「自転車による配達の場合、駐輪する手間がかかるほか、階段や細い路地がある場所は通れないため、場所によっては徒歩の方が効率的になるケースがある。すでにニューヨークや香港など海外の大都市では徒歩による配達が導入されている」、確かに大都市では「徒歩」の方が効率が良さそうだ。「徒歩配達と高度IT化社会の本質について議論していくので、半年や1年といった近いタームでの予想や、ウーバーのようなシェアリング企業に対する好き嫌いといった議論を望む方は本稿を読んでいただく必要はない。ITを駆使した徒歩配達が、中長期的に産業構造をどう変えるのかに興味のある方だけが読んでいただければよい」、どちらかといえば、理論的な「思考実験」のようなものらしい。
・『配達員を「面」で配置すると…  今回はあくまでウーバーイーツ単独の話だが、今後、こうしたシェアリングの仕組みを使った配達業務が一般化すれば、アマゾンのようなネット通販とウーバーのような料理の宅配、ヤマトや佐川急便といった一般的な宅配サービスの垣根は限りなく低くなる。 ある地域に一定数以上の徒歩の配達員が存在しており、かつ、すべての情報が共有され、AIが最適な配送パターンを導き出せる環境にあれば、地域内で配達されるすべてのモノについて、究極的なレベルまで最適化が可能となる。 具体的に言えば、A配達員には、1丁目のある地点でウーバーの料理を受け取り、100メートル先の家に届け、その直後に、裏のマンションから宅配の集荷を行って、すぐ先の信号でB配達員にその荷物を渡す。同時に、A配達員はB配達員から今度は別の家に配達する荷物を受け取るといったオペレーションが可能になる。ある荷物は、4~5人の配達員の連続的な手渡しで顧客の家に配送されることもあるし、ある時は1人の配達員がずっとその荷物を持って家まで届けることもあるだろう。 どの配達員がどこにいて、どのような荷物が来ているのかという情報をAIが同時処理することで最適なオペレーションが決まる。 従来のモノの配送はウーバーならウーバーの配達員が、注文があるたびに店から顧客へと移動していた。同じ時刻には、別の事業者の配達員が、荷物を持って顧客の家に向かっている。さらに言えば、郵便局の配達員も同じように目的の家を目指して動いている。つまり従来の配送というのは、事業者ごとに多対多の関係があり、全体としてみれば効率の悪い運用になっている。 ところが徒歩配送のインフラが整い、域内で運ばれる荷物をすべての配達員に最適配分できれば、圧倒的に高い効率でモノを運べる可能性がある。しかも、この仕組みは面での対応ということになるので、機能の一部だけを提供する人でも、条件によっては仕事になり得る。 例えば健康上の都合から、マンションの敷地内だけに限定して配達したいという人がいれば、それも可能だろう。当該マンションへの配達があれば、すべてがその配達員に手渡しされることになるので、仮に1回の配送料が安くても、マンション内限定の配達員にとっては貴重な収入源となり得る。 一方で拠点が広域に分散している社会では、「面」での対応ができないため、従来と同様、点と点の個別対応にならざるを得ない』、「従来の配送というのは、事業者ごとに多対多の関係があり、全体としてみれば効率の悪い運用になっている。 ところが徒歩配送のインフラが整い、域内で運ばれる荷物をすべての配達員に最適配分できれば、圧倒的に高い効率でモノを運べる可能性がある」、独占などの問題を度外視すれば、その通りだ。
・『シェアリング・エコノミーが都市国家の出現を促す  一連の思考実験から、ITツールを駆使した高度なシェアリング社会というのは、広域経済ではなく、地域集約経済においてこそ、その本領を発揮することが分かる。つまり、社会のIT化には都市部への集約を促す作用があり、長期的には人口動態にも影響を及ぼす可能性が否定できないのだ。 社会が都市型経済にシフトしているというのは、実は東南アジアではかなり顕著な現象となっている。 東南アジアでは、配車アプリや料理の宅配が驚異的なレベルで発達しており、ある面では日本よりもはるか先を行っている。だが東南アジア各国の1人あたりのGDPは、もっとも豊かな部類に入るタイでも7815ドルと日本よりもずっと低い。 日本と比べて貧しいアジア各国において、なぜ日本を超える高度なITサービスが発達しているのだろうか。その理由は、アジア各国では都市部の成長が著しく、アジアの大都市はもはや都市国家に近い様相を呈しているからである。 アジアの主要都市における賃金はすでに先進国並みとなっており、日本との決定的な差は消滅している。しかも都市の規模が大きいことから、対外的にも圧倒的な経済力を発揮しつつある。 インドネシア・ジャカルタの都市圏人口は3000万人を超えているし、フィリピン・マニラの都市圏人口は2300万人、タイのバンコクも1500万人となっている。東京圏に匹敵する都市がアジアの各地に林立しているという状況であり、今後も人口増加が予想されていることから、これらの都市圏はさらに巨大化・高密度化していく可能性が高い。高度集約社会とITサービスの相性は高く、これがアジア地域でのITサービスの驚異的な発達につながっている。 ITサービスが高度に集約化された都市において本領を発揮する可能性が高く、しかも今後の成長エンジンがITサービスなのだとすると、高度なサービスを求めて都市部への人口集約が加速するとの仮説が成立することになる。 現時点ではコロナ危機の影響で、拠点分散がクローズアップされているが、イノベーションの本質が示している方向性はむしろ逆なのかもしれない。人口動態は様々な要因で変化するので、今後、具体的にどう推移するのか簡単に結論付けることはできない。説明するまでもないことだが、配達に従事する人たち(いわゆるギグワーカー)の権利保護を社会としてしっかり確立しなければ、下手をすると現代の奴隷制に転落する可能性もある。 だが、徒歩圏を中心としたシェアリング経済は極めて大きな富を生み出す可能性があり、どうすれば消費者や労働者の豊かな生活につなげられるのかもっと積極的な議論が必要だ。少なくとも高度IT化社会(あるいは高度シェアリング経済)というのは、「集約化」された経済圏が「面」の形で整備された時に、突出したパワーを発揮するという特徴について、頭の中に入れておいた方がよいだろう』、「東南アジアでは、配車アプリや料理の宅配が驚異的なレベルで発達しており、ある面では日本よりもはるか先を行っている」、「アジアの主要都市における賃金はすでに先進国並みとなっており、日本との決定的な差は消滅している。しかも都市の規模が大きいことから、対外的にも圧倒的な経済力を発揮しつつある」、「高度IT化社会(あるいは高度シェアリング経済)というのは、「集約化」された経済圏が「面」の形で整備された時に、突出したパワーを発揮するという特徴について、頭の中に入れておいた方がよいだろう」、「高度IT化社会」の発展は確かに大きなポテンシャルを持っているようだ。
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