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南アジア(その1)(中国に「借金漬け」にされたスリランカがデフォルト 見えた一帯一路の本性 ウクライナ戦争の隙に中国がインド洋と南極で着々と構築する「2本の首飾り」、国民を「こじき」にした一族支配 行き過ぎた仏教ナショナリズム──スリランカ崩壊は必然だった、中国に借金漬けにされ ロシアに助けを求める…国家破綻したスリランカで起きている"負の連鎖" 悪政が悪政を呼び込む悪循環) [世界情勢]

今日は、南アジア(その1)(中国に「借金漬け」にされたスリランカがデフォルト 見えた一帯一路の本性 ウクライナ戦争の隙に中国がインド洋と南極で着々と構築する「2本の首飾り」、国民を「こじき」にした一族支配 行き過ぎた仏教ナショナリズム──スリランカ崩壊は必然だった、中国に借金漬けにされ ロシアに助けを求める…国家破綻したスリランカで起きている"負の連鎖" 悪政が悪政を呼び込む悪循環)を取上げよう。

先ずは、5月23日付けJBPressが掲載した在英ジャーナリストの木村 正人氏による「中国に「借金漬け」にされたスリランカがデフォルト、見えた一帯一路の本性 ウクライナ戦争の隙に中国がインド洋と南極で着々と構築する「2本の首飾り」」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/70231
・『[ロンドン発]経済危機に揺れるスリランカが1948年の独立以来、初のデフォルト(債務不履行)に陥った。スリランカ中央銀行のナンダラール・ウィーラシンハ総裁は19日、「債務が再編されるまで支払いはできない」と“先制デフォルト”を宣言した。 コロナ危機とエネルギー危機が起きる以前から、スリランカは無謀なインフラ整備で債務を膨らませてきた』、「中央銀行」「総裁」が堂々と「デフォルト」宣言をするとは驚いた。
・『「債務の罠」にハマったスリランカ  ウィーラシンハ総裁は「インフレ率は30%前後。変動が激しい食料品やエネルギー価格を含むヘッドラインインフレ率は今後数カ月で40%程度にハネ上がる」と警戒する。スリランカの主要金利はすでに14.5%に引き上げられている。無償で支給されるパンに人々は殺到し、ガソリンを求める列は何キロメートルも続く。街頭では政府への抗議活動が吹き荒れる。 スリランカはアジアと中東・アフリカを結ぶシーレーン(海上交通路)の要衝だ。南端のハンバントタ港は2017年から99年間にわたり中国国有企業に貸し出された。インフラ整備のため中国から湯水のようにお金を借りたものの結局、思ったような利益は出ずに返済不能に陥り、施設や土地を明け渡さざるを得なくなる「債務の罠」の典型例だ。 ドバイ、シンガポール、香港など金融センターに匹敵する港湾都市を目指す「コロンボ・ポート・シティー」の埋め立て工事のため、スリランカは別の中国国有企業から14億ドルの投資を受けた。見返りにその43%が99年間にわたりリースされた。債権者は中国だけではない。米ウォール街やその他の機関投資家からの借り入れも膨張している』、「南端のハンバントタ港は2017年から99年間にわたり中国国有企業に貸し出された」、「インフラ整備のため中国から湯水のようにお金を借りたものの結局、思ったような利益は出ずに返済不能に陥り、施設や土地を明け渡さざるを得なくなる「債務の罠」の典型例だ」、「債権者は中国だけではない。米ウォール街やその他の機関投資家からの借り入れも膨張」、「債権者は中国だけではない」とのニュースには驚かされた。
・『スリランカのデフォルトで白日の下にさらされた一帯一路の嘘  米政府が運営する海外放送「ボイス・オブ・アメリカ」によると、スリランカの対外債務は510億ドル。中国の習近平国家主席のインフラ経済圏「一帯一路」プロジェクトに費やされた110億ドルも含まれる。スリランカ政府は返済延期と25億ドル相当の緊急支援を中国に求めたが、中国は3100万ドルの「緊急人道支援」や人民元スワップを提供しただけだ。 外国から巨額資金を借りて債務が膨らんだところに、コロナ危機で外貨を稼ぎ出す観光業が大打撃を受けた。コロナ復興による需給逼迫、サプライチェーンの停滞、高騰するエネルギー価格はウクライナ戦争でさらに押し上げられた。燃料・飼料・肥料不足による食料品価格の上昇、インフレ高進が低所得者・貧困層の生活を直撃する。 スリランカがデフォルトに陥れば、黙っていても港湾施設など戦略的な重要インフラが中国の手中に落ちる。地政学的な競争に注目する英シンクタンク「カウンシル・オン・ジオストラテジー」アソシエイト研究員で、英外交官として香港返還に関わったマシュー・ヘンダーソン氏は「スリランカの危機は一帯一路のリスクを浮き彫りにした」と指摘する。 ヘンダーソン氏によると、途上国における一帯一路の共同開発プロジェクトは米ウォール街の強欲で冷徹な資本主義のアプローチよりはるかに温和で、人と人とのつながりを重視しており、全体的に見て良いことだと中国は強調してきた。「しかし、これは真っ赤な嘘だとスリランカのデフォルトで白日の下にさらされた」と言う』、「一帯一路の共同開発プロジェクトは米ウォール街の強欲で冷徹な資本主義のアプローチよりはるかに温和」との「中国」側主張は「真っ赤な嘘」、その通りだ。
・『中国の「真珠の首飾り」戦略  中国がインド洋諸国で港湾インフラを支援する動きは「真珠の首飾り」戦略と呼ばれる。「インド太平洋地域で中国はガバナンス(統治)やレジリエンス(困難な状況に遭遇してもすぐに立ち直る回復力)、政治的不安定さの面で問題を抱える国々を標的にしてきた。スリランカはそれに当てはまる」(ヘンダーソン氏) 中国のインフラ開発プロジェクトは債務国の経済的な自立性を失わせる。生産能力を多様化できず、資源輸出に依存する国々は中国依存症を深めていく。その一方で、中国は経済だけでなく、政治や軍事面でも影響力を増大させる。「米欧がウクライナ戦争に集中している間に中国が自らのアジェンダを加速させているのはもはや疑いようがない」 「中国は、狙った国が拒むことができないような提案をして、これまでよりはるかに強引な方法で“取引”を迫っている。融資や投資にとどまらず、台湾との関係を断つよう圧力をかけたり、西側からの影響を排除しようとしたりしている」。こう語るヘンダーソン氏はもう一つの「真珠の首飾り」にも懸念を深める。 中国は4月19日、南太平洋の島国ソロモン諸島と最低5年間の安全保障協定を正式に締結した。ソロモン諸島のマナセ・ソガバレ首相はわざわざ「条約」と表現した。 協定の内容はまだ明らかにされていないが、漏洩した協定案には「中国は自らの必要性に応じて、ソロモン諸島の同意を得た上でソロモン諸島に寄港し、兵站補給を行うことができる」と記されていた。社会秩序の維持や災害救助のため、中国から警察や軍人を要請できるとの内容も含まれるとされる』、「中国のインフラ開発プロジェクトは債務国の経済的な自立性を失わせる。生産能力を多様化できず、資源輸出に依存する国々は中国依存症を深めていく。その一方で、中国は経済だけでなく、政治や軍事面でも影響力を増大させる」、「南太平洋の島国ソロモン諸島と最低5年間の安全保障協定を正式に締結」、「漏洩した協定案には「中国は自らの必要性に応じて、ソロモン諸島の同意を得た上でソロモン諸島に寄港し、兵站補給を行うことができる」と記されていた。社会秩序の維持や災害救助のため、中国から警察や軍人を要請できるとの内容も含まれるとされる」、「中国」が「ソロモン諸島」での「兵站補給」まで狙っているとは、本当に目が離せない存在になったようだ。
・『台湾有事で米軍の軍事的支援を阻止できる  ソロモン諸島が中国の軍事拠点になれば大ごとだ。ソロモン諸島は沖縄、台湾、フィリピンを結ぶ第1列島線や伊豆・小笠原諸島からグアム、パプアニューギニアに至る第2列島線の外側にある。中国は、西太平洋で絶大な影響力を誇る米国をこの地域から追い出したいという長期戦略を描いている。 左の赤線が第一列島線、右の赤線が第二列島線(DoD, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で) 英シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)アジア太平洋上級研究員のユアン・グラハム氏は「ソロモン諸島に海軍基地があれば台湾有事の際、米軍の軍事支援を阻止するために利用できる」とIISSサイトへの寄稿で指摘している。中国はその意図を明確に否定している。 グラハム氏によれば、ソロモン諸島が2019年に国家承認を台湾から中国に切り替えてから、中国はソロモン諸島の金権政治に関与してきた。両国の協定案が漏洩した直後、この地域の安全保障提供国を自負するオーストラリアは新しい支援パッケージと漁業保護のため2隻目の巡視船をソロモン諸島南東部テモツ州に配置する計画を明らかにした。 ヘンダーソン氏は「中国は何十年も太平洋の経済的・政治的影響力拡大に関心を示してきた。フィジーやトンガにも注目してきた。中国とソロモン諸島の協定はまさしくそれを狙ったものだ。場合によっては、ソロモン諸島は中国に乗っ取られ、軍事的に利用される懸念がある。米国が動き始めたのは安心材料だが、かなり遅すぎた面は否めない」と語る』、「米国が動き始めたのは安心材料だが、かなり遅すぎた面は否めない」、やはり「遅すぎた」と厳しく見るべきだ。
・『軍事化される南極  日本の上杉謙太郎外務政務官も4月26日、ソロモン諸島を訪れ、ソガバレ首相に「中国とソロモン諸島間の安全保障協力協定について懸念をもって注視している」と伝えた。 ソロモン諸島はエリザベス英女王を君主に頂く英連邦王国15カ国(英国を含む)の一つだ。その英連邦王国に激震が走っている。 カリブ海に浮かぶ島国バルバドスは独立以来、英連邦王国のひとつだったが、21年にエリザベス女王を君主とすることを止め、共和制に移行した。同国は一帯一路への協力文書に署名しており、地元メディアによると、中国は教育機器やノートパソコン、タブレットなどのテクノロジー機器をバルバドスに寄贈するとともに、農業プロジェクトにも投資している。 共和制に移行する動きが強まるジャマイカも一帯一路に参加する10番目のカリブ諸国として名を連ねている。スリランカは英連邦王国ではないものの、英連邦加盟国の一つである。こうした国々はシーレーン上の要衝に位置している。 ヘンダーソン氏は「中国が英連邦をソフトターゲットとみなしているのは明らかだ。いくつかのレベルで動いている。ボリス・ジョンソン英首相が掲げる『グローバル・ブリテン』の基本ラインの一つは南シナ海などにおける英国の継続的な利益を守ることだ。その中には中国の干渉を受けない台湾の安全保障、香港の自治を維持することも含まれる」と言う。 「太平洋地域、特にオセアニアと英国のつながりにはポスト植民地主義の幻想というレッテルを貼られる。かつて西側列強が保持していた地域を中国が奪い取り、新しい国際秩序が出現したと喧伝している。そして中国は南米や南太平洋、南極に長期的な関心を持ってきた」 ヘンダーソン氏はインド洋の『真珠の首飾り』と同じように南太平洋から南極につながる『真珠の首飾り』があるという。中国は一帯一路の中で資源が豊富な「極地の大国」を目指す構想を掲げている。ヘンダーソン氏は南太平洋の『真珠の首飾り』が完成した時、南極は「軍事化」されている恐れがあると示唆した。 (【マシュー・ヘンダーソン氏】の略歴はリンク先参照)』、「「中国が英連邦をソフトターゲットとみなしているのは明らかだ。いくつかのレベルで動いている。ボリス・ジョンソン英首相が掲げる『グローバル・ブリテン』の基本ラインの一つは南シナ海などにおける英国の継続的な利益を守ることだ。その中には中国の干渉を受けない台湾の安全保障、香港の自治を維持することも含まれる」、英国もしっかりしないと、「英連邦」が「中国」の草刈り場となりかねない。「中国は一帯一路の中で資源が豊富な「極地の大国」を目指す構想を掲げている。ヘンダーソン氏は南太平洋の『真珠の首飾り』が完成した時、南極は「軍事化」されている恐れがあると示唆」、「南極」の非軍事化を折に触れて再確認する必要がある。

次に、7月22日付けNewsweek日本版が掲載した米ウェークフォレスト大学政治・国際関係教授のニール・デボッタ氏による「国民を「こじき」にした一族支配、行き過ぎた仏教ナショナリズム──スリランカ崩壊は必然だった」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2022/07/post-99173_1.php
・『怒れる民衆が大統領府・公邸に突入、大統領は国外へ逃亡。未来を窒息させ、歴史的危機を招いた根本要因は偏狭なナショナリズムにある> スリランカの悲しくも無惨な歴史に、また1つの大きな転機が訪れた。去る7月9日の土曜日、怒れる民衆が大統領府に、そして大統領と首相の公邸に詰め掛け厳重なバリケードを突破し、治安部隊の殴打や催涙ガス攻撃にも耐えて果敢に前進し、ついには内部に突入して3つとも占拠してしまった。 大統領のゴタバヤ・ラジャパクサは、もちろんデモ隊が到着する前に逃げ出していた(国外から電子メールで、国会議長に辞表を送ってきたのは5日後のことだ)。ラニル・ウィクラマシンハ首相の私邸にも火が放たれたが、こちらはデモ隊に罪をなすり付けたい親大統領派の仕組んだ工作の可能性がある。 ウィクラマシンハが首相に就任したのは今年5月。デモ隊が首相公邸に乱入し、当時の首相マヒンダ・ラジャパクサ(大統領の兄で、自身も大統領を2期務めた大ベテラン)が逃亡と辞職に追い込まれたので、急きょ起用されたのだった。ウィクラマシンハは過去にも5回、首相に指名されているが、いずれも任期半ばで退陣している。しかも前回の首相在任中には、ラジャパクサ兄弟の腐敗を暴こうとする検察の捜査を妨害した疑いがあり、そのせいで民衆は彼の辞職も要求していた。 もちろん、民衆の蜂起を招いた直接の原因は経済政策の度し難い失敗にある。だがラジャパクサのような男が権力の頂点に立てた背景には、多数派民族シンハラ人の仏教ナショナリズムがある。 建国当時の統治機構は実力主義だったが、やがてゆがんだ仏教ナショナリズムが浸透し、特定の民族(あるいは特定の個人)だけが潤う統治システムが出来上がった。かつて現地の有力紙が嘆いたとおり、それは「密輸業者や詐欺師、殺人犯、牛泥棒など」が支配する政治システムで、これがスリランカの未来を窒息させた。 昨年半ばには、化学肥料や農薬、除草剤の輸入が禁じられた。当然、収穫は減るから農民は困る。だから各地で反政府デモが起きた。しかし当時の政府は既に深刻な外貨不足に悩んでいた。だから輸入をやめて、浮いた資金を農家向けの補助金に回そうと考えていた。 農民の大多数はラジャパクサ兄弟と同じシンハラ人の仏教徒だ。だから、彼らと敵対するつもりはなかった。それに、彼らに対する恐怖心もあった。過去に、ラジャパクサ兄弟を批判したジャーナリストが何人も殺害されていたからだ。 しかし今回は都市部の中産階級にも怒りが広がっていた。3月には反政府派の活動を支持する女性たちが大統領の私邸前で抗議行動を行っていた。4月には大統領府の前にデモ隊が集まり、自分たちの運動は「アラガラヤ(闘争)」だと宣言した。) 抗議行動は国内全土に広がり、5月9日には首相公邸に多数の民衆が集まり、マヒンダ・ラジャパクサ首相を辞任に追い込んだ。そして大統領公邸での抗議行動が92日目に入った7月9日、ついに弟のゴタバヤも大統領の座を追われた。2年半前の大統領選では、この国に「繁栄と輝かしい未来」をもたらすと約束していたのだが。 現在の危機の直接的な原因は深刻な外貨不足にあり、民衆の抗議運動に拍車を掛けたのは貧困と経済の失速だ』、「ゆがんだ仏教ナショナリズムが浸透し、特定の民族(あるいは特定の個人)だけが潤う統治システムが出来上がった。かつて現地の有力紙が嘆いたとおり、それは「密輸業者や詐欺師、殺人犯、牛泥棒など」が支配する政治システムで、これがスリランカの未来を窒息させた」、「現在の危機の直接的な原因は深刻な外貨不足にあり、民衆の抗議運動に拍車を掛けたのは貧困と経済の失速だ」、余りに酷い状況で、失敗国家と言える存在だ。
・『「上位中所得国」なのに  外貨不足には複数の要因が関係している。1つは、2019年4月に起きた連続爆弾テロ。追い打ちをかけたのは新型コロナウイルスの流行。これらで観光業が大打撃を受け、海外で働く出稼ぎ労働者からの送金も減った。それでも大統領は公約どおり減税を実施した。当然、国庫は底を突く。510億ドルに上る対外債務の返済(今年だけで約70億ドル)など、もはや不可能だった。 国民は調理用ガスボンベや灯油、ガソリン、砂糖や粉ミルク、医薬品などの生活必需品を手に入れるために行列しなければならなくなった。ガソリンを買うために何日も並んでいるうちに息絶えた人が、今年だけで16人もいる。 この国は、2019年には国際社会で「上位中所得国」に分類されていた。なのに今は、抗議の民衆が大統領一族に「私たちをこじきにした責任を取れ」と叫んでいる。 実際、中産階級の人たちも食うものに困っている。ユニセフ(国連児童基金)によると、現時点で570万人が食事など緊急の人道支援を必要としており、これには約230万の児童が含まれる。しかも資金不足の政府が紙幣を増刷するから、6月の食品価格上昇率は80%を超えた。 実を言えば、この国には1970年代半ばにも人々が食べ物を求めて行列した経験がある。ただし原因は社会主義的な統制経済の失敗と自給自足への過度なこだわりだった。つまり、今とは事情が違う。 当時のスリランカには自動車も少なかった。電気も、ろくに通じていなかった。だが今はオートバイや自動車が普及し、調理にはガスボンベが使われる。小規模農家でも機械化が進んで燃料は必需品だ。 だから外貨不足の政府が6月末に、輸入に頼る燃料の販売先を一部の「必須」部門の労働者に限ると言い出したとき、庶民は激怒した。 そこで反政府の活動家たちは、SNSを通じて7月9日の抗議行動への参加を呼び掛けた。政府は前日に夜間外出禁止令を出し、大人数の治安部隊を配備した。それでも最大都市コロンボには数十万の群衆が押し寄せた』、「この国は、2019年には国際社会で「上位中所得国」に分類されていた。なのに今は、抗議の民衆が大統領一族に「私たちをこじきにした責任を取れ」と叫んでいる。 実際、中産階級の人たちも食うものに困っている」、「中産階級の人たちも食うものに困っている」理由は、「外貨不足」、インフレなどのためだろう。
・『シンハラ人優遇の弊害  政府の中枢機関がこんなふうに乗っ取られるとは、たぶん誰も予想していなかった。しかし一定の前兆はあった。7月5日には国会で大統領は野党議員にやじを飛ばされ、すごすごと議場から退散した。一方で政府の支持率は、3%台に低迷していた。 そもそも、危機の源は忌まわしいエスノクラシー(特定の民族による少数民族の強権的支配)にある。人口の75%を占めるシンハラ人は、この島に定住した最初の民族だと自称している。その伝承によれば、総人口に対して約15%のタミル人や約10%のイスラム教徒など、その他の民族は多数派のお情けでここに暮らしていることになる。 このイデオロギーは神話と組み合わされ、仏教信仰に支えられた民族の物語を紡いできた。スリランカの国旗を見れば一目瞭然だ。勇気の印である剣を持つライオンが中央に位置して多数派民族を表現し、その脇に少数派民族を表す色違いの縦じまが並ぶ。それはスリランカという国がシンハラ人仏教徒の国であることを象徴している。 こうしたエスノクラシーの成立は、1956年当時のバンダラナイケ首相がシンハラ語を唯一の公用語と定めたことに起因する。その後、歴代の政権は少数派タミル人を一貫して冷遇してきた。 しかし英国統治時代から、タミル人は少数派のわりに数多くの公職に就いていた。流れが変わったのは、シンハラ語が公用語になってから。ほぼ15年で形勢は逆転した。1956年には官僚の30%、軍人の40%を占めていたタミル人が、70年には官僚の5%、軍人の1%に減っていた。 またシンハラ人の社会経済的進出を妨げるという理由で英語教育が廃止された影響も大きい。おかげでスリランカ人は、アジアでの英語力による優位性を永遠に失った。 官僚機構も骨抜きにされた。かつての官庁は能力主義で、官僚は職務に私情を挟まず公平だったが、シンハラ民族主義の政府は自民族の利害を最大限に優先させた。 大学では住居を整備しないことでタミル人の受け入れ人数が絞られ、一方で理系学部への入学試験ではタミル人にシンハラ人より高い点数を求めた。知識や技能より、政治と民族が優先された。 実力主義が通らず、専門知識も尊重されない世の中を見限る有能な人材は多かった。高潔で実力主義のシンハラ人は海外へ脱出した。ゆがんだ民族主義が頭脳流出を招き、実務を担う官僚の水準が下がった。一方で、タミル人には選択の余地がなかった。 こんな民族差別に怒ったタミル人は、分離独立を求めて30年近く戦った。この内戦はシンハラ人の勝利で09年に終結。以来、マヒンダ・ラジャパクサ率いる政府は仏教徒の過激派と組んで、イスラム教徒への憎悪をあおってきた。 少数派タミル人の排斥こそ愛国的行為。そんな理屈でラジャパクサ兄弟はシンハラ人の仏教ナショナリズムと人種差別を結合させた。 その後、マヒンダ・ラジャパクサは中国の口車に乗って、役にも立たない無用な開発プロジェクトに手を出した。必要な資金は中国から借り、その返済には「借り換え」の手法を用いるつもりだった。 観光や海外在住者からの送金で得た外貨を利子の返済に充て、足りなければ借り換えればいいと考えていた。最悪だが、実はスリランカの対外債務に占める中国の割合は10%程度にすぎない。だから当座の問題は中国に対する債務残高の額ではなく、中国の融資に潜む隠された意図の解明であり、中国マネーが誰の懐に納まったかの究明だ。 スリランカは現在、IMFや世界銀行からの支援を得ようとしているが、これらの機関は支援や債務再編に同意する前に、中国からの借り入れに関する透明性を要求するだろう。スリランカはまさに、中国の「債務の罠」に落ちた国の典型だからだ。 一方で私腹を肥やしてきた政治家は、責任追及を恐れて権力の座にとどまりたがる。ゴタバヤ・ラジャパクサは大統領選に出馬するに当たって米国籍を放棄しているから逃げ場がなく、ひとたび権力を失えば国内で不正利得を告発される恐れがあった』、「エスノクラシー」、「シンハラ語が公用語になってから。ほぼ15年で形勢は逆転した。1956年には官僚の30%、軍人の40%を占めていたタミル人が、70年には官僚の5%、軍人の1%に減っていた」、「またシンハラ人の社会経済的進出を妨げるという理由で英語教育が廃止された影響も大」、長い間に国家の競争力は弱まったのだろう。
・『民族主義で腹は膨れず  大統領が正式に辞任した後、議会はウィクラマシンハを大統領代行に指名し、7月20日に議員の互選で(ゴタバヤの任期の切れる24年までの)新大統領を決める予定だ。(編集部注:21日、ウィクラマシンハが新大統領に就任)しかし国民の怒りは国会にも向けられているから、場合によっては早期の解散・総選挙を迫られる可能性もある。 いずれにせよ、生活必需品の不足は今後も何カ月か続くだろう。つまりラジャパクサ家がいなくなっても、当面は今の経済的苦難が続くとみていい。支援の先頭に立つのは隣国インドだ。既に40億ドルの資金を提供している。中国も通貨スワップで資金を出しているが、スリランカの債務再編には消極的だ(もしも応じれば「債務の罠」に落ちた他の諸国も同様な要求をしてくるに違いない)。 日本は主要な援助国で債権国でもあるが、やはり追加支援には慎重だ。この腐敗体質では援助金がどこに流れるか分からないからだ。他の支援国も同様で、スリランカ政府の腐敗の根が取り除かれないかぎり、誰も動かない。早急に政治の安定を取り戻すことが、さらなる追加融資や債務再編の第一歩だ。 考えてみれば、スリランカ国民の7月9日の行動は実に革命的だった。5月に元大統領で現職首相のマヒンダを追い落とした勢いで、2カ月後には弟で現職大統領のゴタバヤも倒した。 しかし、それを可能にしたのは未曽有の経済危機であり、この国で圧倒的多数を占めるシンハラ人仏教徒が宗教的な寛容の精神に目覚め、少数派のタミル人やイスラム教徒に対して犯してきた人道上の罪を認めたからではない。 それでも、今回の事態で分かったことがある。いくら民族主義的な感情に訴えても、日常的な飢餓と欠乏感には勝てないという事実だ。ラジャパクサ兄弟も、このことを思い知らされたはずだ。 そして民衆の抗議行動は宗派を超えて多くの宗教者や一般市民を団結させ、この島国の未来をみんなで考え、築いていこうという機運を生んだ。みんなが苦しんできたのだから、多数派民族による強権支配とは縁を切るべきだ。だがこの国の悲しい歴史を顧みると、あいにく明るい未来は描けない。 【映像】大統領公邸になだれ込み、プールを占拠するスリランカ国民)』、「日本は主要な援助国で債権国でもあるが、やはり追加支援には慎重だ。この腐敗体質では援助金がどこに流れるか分からないからだ。他の支援国も同様で、スリランカ政府の腐敗の根が取り除かれないかぎり、誰も動かない。早急に政治の安定を取り戻すことが、さらなる追加融資や債務再編の第一歩だ」、「民衆の抗議行動は宗派を超えて多くの宗教者や一般市民を団結させ、この島国の未来をみんなで考え、築いていこうという機運を生んだ。みんなが苦しんできたのだから、多数派民族による強権支配とは縁を切るべきだ。だがこの国の悲しい歴史を顧みると、あいにく明るい未来は描けない」、その通りだろう。

第三に、7月28日付けPRESIDENT Onlineが掲載したフリーライター・翻訳者の青葉 やまと氏による「中国に借金漬けにされ、ロシアに助けを求める…国家破綻したスリランカで起きている"負の連鎖" 悪政が悪政を呼び込む悪循環」を紹介しよう。
・『中国の手に落ちたスリランカの悲劇  インド半島の先端に浮かぶ島国・スリランカが、経済危機に瀕ひんしている。 ラニル・ウィクラマシンハ首相は7月5日、議会での演説を通じて「国家の破産」を宣言した。美しい景観から「インド洋の真珠」とも呼ばれ、地政学上の要衝でもある人口2200万の国家は、中国の「債務の罠」に陥り破滅へと向かっている。  スリランカは長引く外貨準備不足で物資の輸入に支障をきたしており、国民生活は大混乱に陥っている。子に食糧を与えようと出がらししか口にしていない親たちや、急ごしらえの売春宿で体を売って食べ物を買う女性たち、そしてガソリンを買うために10日も列に並ぶドライバーなど、悲惨な現状が多く報じられるようになった。 その元凶は、一族支配による悪政と中国への経済依存だ。7月14日に辞任したゴタバヤ・ラージャパクサ前大統領は兄弟で大統領と首相を務め、要職を一族の関係者で固めていた。民主主義国家を標榜する同国にありながら、独裁・腐敗政治の蔓延まんえんを招くこととなる。加えて見逃せないのが、中国による籠絡だ』、「元凶は、一族支配による悪政と中国への経済依存」、その通りだ。
・『「債務の罠」で重要港湾は植民地に  2000年代にインフラ整備を積極的推進したスリランカは、中国などへの対外債務を膨らませた。巨額の返済に行き詰まり、港湾国家構想の中核であった南部ハンバントタ港の運営権を、中国国営企業に99年間供与する事態まで発展している。 この一件は、中国が仕掛ける「債務の罠」の典型的な事例だとして国際的な注目を集めた。中国が途上国に対して多用する手口に、高額なインフラ整備費を厳しい返済条件で貸し付けるものがある。相手国が返済条件に応じられなくなるのを待って、新設したインフラ施設の運営権の譲渡を受ける手法だ。) こうして中国の手に落ちたスリランカのハンバントタ港をめぐっては、事実上の中国の植民地ではないかとする国際的な批判が相次いでいる。 中国は「真珠の首飾り」と呼ばれる海上輸送ルートの確立を試みていとされる。インド西部のパキスタンからスリランカのハンバントタ港を経て、台湾海峡へと至るルートだ。中国の打算的な戦略は、スリランカへの「債務の罠」の成功で見事に実を結んだともいえよう』、「南部ハンバントタ港の運営権を、中国国営企業に99年間供与する事態まで発展」、「この一件は、中国が仕掛ける「債務の罠」の典型的な事例だとして国際的な注目を集めた。中国が途上国に対して多用する手口に、高額なインフラ整備費を厳しい返済条件で貸し付けるものがある。相手国が返済条件に応じられなくなるのを待って、新設したインフラ施設の運営権の譲渡を受ける手法だ」、「ハンバントタ港をめぐっては、事実上の中国の植民地ではないかとする国際的な批判が相次いでいる」、「中国」にしてみれば、契約を履行したに過ぎないと言い訳できる。
・『一族支配の悪政が限界を迎えた  港湾構想の中核のひとつを失ったスリランカは、経済・政治面で崖っぷちを歩み続けてきた。そこへ新型コロナにより観光産業が打撃を受け、危機はますます高まってきた。 政策も悪手が続く。2021年4月には突如として化学肥料と農薬の全面輸入禁止を打ち出し、有機農業化への急激な舵を切った。ところが有機肥料の供給が追いつかず、セイロン茶葉など農作物の品質と収量が低下。早くも10月には禁輸撤回に追い込まれている。 迷走する政治と経済に、国民の生活は疲弊している。経済危機を受け、スリランカの主要産業のひとつであるアパレル産業で働く女性たちは、食糧を買う資金を得るために売春宿で働くことを余儀なくされている。 英テレグラフ紙は、NIKEやGAPなど大手多国籍企業向けの製品工場で働く女性たちが、物価高のため副業として体を売っていると報じている』、なるほど。
・『生きるために身体を売る女性たち  同紙によると女性たちには、1000スリランカ・ルピー(約380円)ほどの日当が支給される。だが、40%にも達するインフレを前に、こうした賃金は無価値になりつつあるという。 衣料品業界で働く女性の多くは同業界の経験しかもたず、体を売る以外に追加収入を得る術がない。記事が掲載されたのは5月だが、現在ではさらに状況が悪化している。英BBCはスリランカ政府発表のデータをもとに、6月のインフレ率が54.6%に達したと報じている。 薬と食糧を買うため、体を売る女性が目立つようになった。インドの大手コングロマリットが運営するニュースメディア「ファースト・ポスト」は、首都スリジャヤワルダナプラコッテに隣接する旧首都のコロンボで、にわかづくりの売春宿が増加していると報じている。売春宿には研究者からマフィアまで多様な客が集い、彼らを相手にすることで1日で半月分の収入を得ることができるという』、「コロンボで、にわかづくりの売春宿が増加していると報じている。売春宿には研究者からマフィアまで多様な客が集い、彼らを相手にすることで1日で半月分の収入を得ることができるという」、みじめな状況だ。
・『ガソリン不足で働けず、輸送混乱で物価上昇  食糧以外では、ほぼ輸入に依存している燃料の不足も深刻だ。 ガソリンと軽油を求め、給油所には連日長蛇の列ができている。英BBCは、コロンボでミニバス運転手として働く43歳男性の事例として、給油待ちの列に10日間並んだ事例を取り上げている。車中泊をしながら10日目に給油所にたどり着いたが、それでもタンク満タンの給油はかなわなかったという。 英スカイ・ニュースは、トゥクトゥク(三輪タクシー)で稼ぐある運転手の話を伝えている。燃料不足を受け、この男性は2週間に一度しか操業できない状態だという。妻は妊娠中だが、「彼女のおなかにいる子供にごはんをあげることができていない」とこの男性は唇を噛む。 食糧難に喘あえぐのは、一部の国民だけではないようだ。シンガポールの国際ニュースメディアであるチャンネル・ニュース・アジアは、世界食糧計画(WFP)による評価として、スリランカの6世帯に5世帯が食べ物を抜くか減らしていると報じている。ある一家は小さな魚を6人の子供に分け与え、大人は残った汁だけで空腹を紛らわせている模様だ。燃料不足で商品の輸送が停滞しており、食品などの価格上昇に歯止めがかからない』、「世界食糧計画(WFP)による評価として、スリランカの6世帯に5世帯が食べ物を抜くか減らしていると報じている。ある一家は小さな魚を6人の子供に分け与え、大人は残った汁だけで空腹を紛らわせている模様だ」、「6世帯に5世帯」とは本当に深刻だ。
・『中国紙は「借金漬け外交」の批判を意に介さず  こうした生活危機は、長年の悪政と中国による「債務の罠」に端を発するものだ。 米外交コラムニストのイシャーン・タルール氏は、米ワシントン・ポスト紙への寄稿を通じ、「しかしスリランカは、中国批評家たちが中国の『債務の罠』外交と呼ぶものに足を踏み入れてしまったのだ」と指摘している。 2020年の債務返済の際、国際通貨基金(IMF)との対話を通じ、緊縮財政と債務整理を推進するという道が残されていた。しかしスリランカは、既存債務の返済に充てるべく、中国がちらつかせた30億ドルの追加融資枠にいとも簡単に飛びついてしまったのだとタルール氏は論じている。 一方で中国側は、このような国際的批判を意に介さない。中国共産党傘下のグローバル・タイムズ紙(環球時報)は7月18日、スリランカ大使が中国による支援が「大いに役立っている」と発言したと報じ、支援は人道的な援助であると強調した。 記事はスリランカ側が政権交代後も「中国との卓越した関係の維持」を望んでいると述べている。また、スリランカ大使による見解として、「否定派たちが債務を中国プロジェクトのせいにするのは、中国バッシングの口実にすぎない」との意見を取り上げた』、失脚した「大統領一族」を通じて「中国による債務の罠」についても、もっと具体的な事実が明らかになってくるだろう。
・『経済危機で高まるロシア依存  中国とのパイプが深まる一方で、ロシア依存も大きな懸案となりつつある。英BBCは、スリランカのゴタバヤ・ラージャパクサ前大統領が辞任の1週間前、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対して燃料輸入に関して支援を要請したと報じている。 報道と前大統領自身のツイートによると、スリランカ側は輸入代金の支払いに関して信用面での支援をプーチン氏に求めた模様だ。スリランカは燃料不足解消のため過去数カ月間でロシアからの燃料輸入を行っているが、今後さらに輸入量を拡大することが予想される。) 同記事によるとスリランカ側は、かつて観光客のおよそ20%を占めていたロシア人観光客の再来にも期待感を示しているという。ウクライナ侵攻を発端に国際社会がロシアと距離を置くなか、正反対の動きとなった。 スリランカ側はそもそも、ロシアへの経済制裁に反対の立場を示している。小麦や燃料などのロシアからの輸出が滞ることで、途上国の経済が困窮しているとの主張だ。 インドのPTI通信が報じたところによると、ラニル・ウィクラマシンハ首相は西側諸国に対し、「ウクライナ侵攻に関するロシアへの制裁は、モスクワを屈服させることにはならず、代わりに食糧不足と物価高騰で途上国をひどく傷つけることになるだろう」と発言した』、「スリランカ側は、かつて観光客のおよそ20%を占めていたロシア人観光客の再来にも期待感を示しているという」、現在の「ウクライナ」情勢をみる限り、「スリランカ側」の「期待」は期待だけで終わるだろう。
・『悪政が、悪政を招く悪循環  経済危機に陥ったスリランカを、計算高い中国とロシアが虎視眈々たんたんとねらっている。 中国に関しては「債務の罠」による借金漬け外交を太平洋諸国やアフリカ諸国に対しても展開しており、もはや返済猶予の代償としてのインフラの乗っ取りは常套手段だ。経済破綻のスリランカも、むしろ筋書きどおりといったところだろう。 政権交代にかかわらず関係の深化を表明しているが、経済援助を完全な人道支援と受け取ることは難しいだろう。現在のスリランカとしては藁わらにもすがる思いで飛びつきたいところだろうが、すでに実質的な植民地となった南部ハンバントタ港の悲劇が、国内他所で繰り返されないとも限らない。 ロシアに関してはプーチン政権側から積極的なアプローチがあるわけではないが、ロシア産燃料と観光客の受け入れを積極的に推進するスリランカは、国際社会から孤立するロシア経済にとって渡りに船だ。制裁の影響を緩和すべく、スリランカ経済とのパイプを強める展開が予想される。 急速なインフラ開発による発展を夢みたスリランカだが、中国が仕掛ける債務の罠にとらわれる結果となった。実質的な独裁政治と中国への傾倒が国民生活の破綻をまねき、結果としてさらに中露への依存が深まろうとしている』、「スリランカ」が「結果としてさらに中露への依存が深まろうと」する限り、苦境からの脱却は期待できない。これも建国以来、政策運営を致命的に誤ってきた、身から出た錆なのかも知れない。
タグ:南アジア (その1)(中国に「借金漬け」にされたスリランカがデフォルト 見えた一帯一路の本性 ウクライナ戦争の隙に中国がインド洋と南極で着々と構築する「2本の首飾り」、国民を「こじき」にした一族支配 行き過ぎた仏教ナショナリズム──スリランカ崩壊は必然だった、中国に借金漬けにされ ロシアに助けを求める…国家破綻したスリランカで起きている"負の連鎖" 悪政が悪政を呼び込む悪循環) JBPRESS 木村 正人氏による「中国に「借金漬け」にされたスリランカがデフォルト、見えた一帯一路の本性 ウクライナ戦争の隙に中国がインド洋と南極で着々と構築する「2本の首飾り」」 「中央銀行」「総裁」が堂々と「デフォルト」宣言をするとは驚いた。 「南端のハンバントタ港は2017年から99年間にわたり中国国有企業に貸し出された」、「インフラ整備のため中国から湯水のようにお金を借りたものの結局、思ったような利益は出ずに返済不能に陥り、施設や土地を明け渡さざるを得なくなる「債務の罠」の典型例だ」、「債権者は中国だけではない。米ウォール街やその他の機関投資家からの借り入れも膨張」、「債権者は中国だけではない」とのニュースには驚かされた。 「一帯一路の共同開発プロジェクトは米ウォール街の強欲で冷徹な資本主義のアプローチよりはるかに温和」との「中国」側主張は「真っ赤な嘘」、その通りだ。 「中国のインフラ開発プロジェクトは債務国の経済的な自立性を失わせる。生産能力を多様化できず、資源輸出に依存する国々は中国依存症を深めていく。その一方で、中国は経済だけでなく、政治や軍事面でも影響力を増大させる」、「南太平洋の島国ソロモン諸島と最低5年間の安全保障協定を正式に締結」、「漏洩した協定案には「中国は自らの必要性に応じて、ソロモン諸島の同意を得た上でソロモン諸島に寄港し、兵站補給を行うことができる」と記されていた。社会秩序の維持や災害救助のため、中国から警察や軍人を要請できるとの内容も含まれるとさ 「米国が動き始めたのは安心材料だが、かなり遅すぎた面は否めない」、やはり「遅すぎた」と厳しく見るべきだ。 「「中国が英連邦をソフトターゲットとみなしているのは明らかだ。いくつかのレベルで動いている。ボリス・ジョンソン英首相が掲げる『グローバル・ブリテン』の基本ラインの一つは南シナ海などにおける英国の継続的な利益を守ることだ。その中には中国の干渉を受けない台湾の安全保障、香港の自治を維持することも含まれる」、英国もしっかりしないと、「英連邦」が「中国」の草刈り場となりかねない。「中国は一帯一路の中で資源が豊富な「極地の大国」を目指す構想を掲げている。ヘンダーソン氏は南太平洋の『真珠の首飾り』が完成した時、南極は Newsweek日本版 ニール・デボッタ氏による「国民を「こじき」にした一族支配、行き過ぎた仏教ナショナリズム──スリランカ崩壊は必然だった」 「ゆがんだ仏教ナショナリズムが浸透し、特定の民族(あるいは特定の個人)だけが潤う統治システムが出来上がった。かつて現地の有力紙が嘆いたとおり、それは「密輸業者や詐欺師、殺人犯、牛泥棒など」が支配する政治システムで、これがスリランカの未来を窒息させた」、「現在の危機の直接的な原因は深刻な外貨不足にあり、民衆の抗議運動に拍車を掛けたのは貧困と経済の失速だ」、余りに酷い状況で、失敗国家と言える存在だ。 「この国は、2019年には国際社会で「上位中所得国」に分類されていた。なのに今は、抗議の民衆が大統領一族に「私たちをこじきにした責任を取れ」と叫んでいる。 実際、中産階級の人たちも食うものに困っている」、「中産階級の人たちも食うものに困っている」理由は、「外貨不足」、インフレなどのためだろう。 「エスノクラシー」、「シンハラ語が公用語になってから。ほぼ15年で形勢は逆転した。1956年には官僚の30%、軍人の40%を占めていたタミル人が、70年には官僚の5%、軍人の1%に減っていた」、「またシンハラ人の社会経済的進出を妨げるという理由で英語教育が廃止された影響も大」、長い間に国家の競争力は弱まったのだろう。 「日本は主要な援助国で債権国でもあるが、やはり追加支援には慎重だ。この腐敗体質では援助金がどこに流れるか分からないからだ。他の支援国も同様で、スリランカ政府の腐敗の根が取り除かれないかぎり、誰も動かない。早急に政治の安定を取り戻すことが、さらなる追加融資や債務再編の第一歩だ」、「民衆の抗議行動は宗派を超えて多くの宗教者や一般市民を団結させ、この島国の未来をみんなで考え、築いていこうという機運を生んだ。みんなが苦しんできたのだから、多数派民族による強権支配とは縁を切るべきだ。だがこの国の悲しい歴史を顧みると PRESIDENT ONLINE 青葉 やまと氏による「中国に借金漬けにされ、ロシアに助けを求める…国家破綻したスリランカで起きている"負の連鎖" 悪政が悪政を呼び込む悪循環」 「元凶は、一族支配による悪政と中国への経済依存」、その通りだ。 「南部ハンバントタ港の運営権を、中国国営企業に99年間供与する事態まで発展」、「この一件は、中国が仕掛ける「債務の罠」の典型的な事例だとして国際的な注目を集めた。中国が途上国に対して多用する手口に、高額なインフラ整備費を厳しい返済条件で貸し付けるものがある。相手国が返済条件に応じられなくなるのを待って、新設したインフラ施設の運営権の譲渡を受ける手法だ」、「ハンバントタ港をめぐっては、事実上の中国の植民地ではないかとする国際的な批判が相次いでいる」、「中国」にしてみれば、契約を履行したに過ぎないと言い訳でき 「コロンボで、にわかづくりの売春宿が増加していると報じている。売春宿には研究者からマフィアまで多様な客が集い、彼らを相手にすることで1日で半月分の収入を得ることができるという」、みじめな状況だ。 「世界食糧計画(WFP)による評価として、スリランカの6世帯に5世帯が食べ物を抜くか減らしていると報じている。ある一家は小さな魚を6人の子供に分け与え、大人は残った汁だけで空腹を紛らわせている模様だ」、「6世帯に5世帯」とは本当に深刻だ。 失脚した「大統領一族」を通じて「中国による債務の罠」についても、もっと具体的な事実が明らかになってくるだろう。 「スリランカ側は、かつて観光客のおよそ20%を占めていたロシア人観光客の再来にも期待感を示しているという」、現在の「ウクライナ」情勢をみる限り、「スリランカ側」の「期待」は期待だけで終わるだろう。 「スリランカ」が「結果としてさらに中露への依存が深まろうと」する限り、苦境からの脱却は期待できない。これも建国以来、政策運営を致命的に誤ってきた、身から出た錆なのかも知れない。
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