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宗教(その7)(友達をカルト宗教から救いだそうとして…心優しい早大生が「坂本一家殺人事件の実行犯」に堕ちたワケ 「自分は大丈夫」という人が一番危ない、日本は世界最悪のカルトの吹き溜まり…統一教会がデタラメな教義で大金を巻き上げられた根本理由 規制の緩い日本は「世界的な穴場」になっている、この世はサタンに毒されている ハルマゲドンが来れば楽園に行ける…「カルト2世」が明かす生きづらさと解けない呪縛) [社会]

宗教については、3月3日に取上げた。今日は、(その7)(友達をカルト宗教から救いだそうとして…心優しい早大生が「坂本一家殺人事件の実行犯」に堕ちたワケ 「自分は大丈夫」という人が一番危ない、日本は世界最悪のカルトの吹き溜まり…統一教会がデタラメな教義で大金を巻き上げられた根本理由 規制の緩い日本は「世界的な穴場」になっている、この世はサタンに毒されている ハルマゲドンが来れば楽園に行ける…「カルト2世」が明かす生きづらさと解けない呪縛)である。

先ずは、7月27日付けPRESIDENT Onlineが掲載したジャーナリストの江川 紹子氏による「友達をカルト宗教から救いだそうとして…心優しい早大生が「坂本一家殺人事件の実行犯」に堕ちたワケ 「自分は大丈夫」という人が一番危ない」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/59835
・『カルト集団はどんな手段で仲間を増やすのか。ジャーナリストの江川紹子さんは「カルトは正体を隠して近づいてくるため、騙されていることに気づくのは難しい。『自分は大丈夫』と考えないほうがいい」という――。 ※本稿は、江川紹子『「カルト」はすぐ隣に オウムに引き寄せられた若者たち』(岩波ジュニア新書)の一部を再編集したものです』、「カルトは正体を隠して近づいてくるため、騙されていることに気づくのは難しい。『自分は大丈夫』と考えないほうがいい」、興味深そうだ。
・『『日本書紀』にもカルト集団が描かれていた  カルトは、どの時代や社会にも現れます。 日本最古の正史『日本書紀』にもカルトらしき集団についての記述があります(現代語訳は筆者による)。 「皇極天皇三年(644年)七月ふみづき、東あずまの国富士川のほとり(今の静岡県)に現れた、大生部多おおうべのおおが、人々に虫を祀まつるよう勧め、「これは常世の神である。この神を祀るものは、富と長寿が得られる」と言った。巫女たちも神のお告げと偽って、「常世の神を祀ると、貧しい人は富を得、老人は若返る」と語った。これはどんどん広まり、人々は家の財宝を投げ出し、酒を並べ、野菜や六種の家畜(馬・牛・羊・豚・犬・鶏)を道ばたに並べ、「新しい富が入ってきたぞ」と連呼した。都でも田舎でも、常世の虫をとって安置し、歌い踊って福さいわいを求め、財宝を投げ出したが、何の益もなく損ばかりが極めて多かった」 民が惑わされているのを見かねて、聖徳太子の側近秦河勝はたのかわかつが大生部多を成敗した、とも書かれています。この虫は、橘や山椒の木につき、体長12センチ強ということなので、アゲハチョウの幼虫と考えられています。 現代でも、オウムのほかに、先祖の因縁や霊の祟たたりを騙って、印鑑や壺を始め色々な商品を高く売りつける霊感商法や、教祖が女性信者に性的奉仕をさせたり、あるいは病気の人に適切な治療を受けさせず死なせてしまったりする宗教団体がたびたび問題になってきました』、「『日本書紀』にもカルト集団が描かれていた」、「人々は家の財宝を投げ出し、酒を並べ、野菜や六種の家畜(馬・牛・羊・豚・犬・鶏)を道ばたに並べ、「新しい富が入ってきたぞ」と連呼した。都でも田舎でも、常世の虫をとって安置し、歌い踊って福さいわいを求め、財宝を投げ出したが、何の益もなく損ばかりが極めて多かった」 民が惑わされているのを見かねて、聖徳太子の側近秦河勝はたのかわかつが大生部多を成敗した」、社会秩序を揺るがせにしたので、「成敗」されたようだ。
・『カルト性の高い宗教以外の集団もある  海外でも、カルトをめぐる多くの事件が報告されています。 1978年には、アメリカの新興宗教「人民寺院」が、南米のガイアナで集団自殺をし、子どもを含む900人を超える人が死亡しました。 1993年には、児童虐待と銃器不法所持の罪に問われたアメリカの新興宗教「ブランチ・ダビディアン」がテキサス州ウェイコの教団本部で捜査当局と銃撃戦となり、双方に死者が出るなどした挙げ句に籠城ろうじょう。その後FBI(連邦捜査局)が突入しましたが、この時に教祖のほか、やはり子どもを含む信者81人が死亡しました。 カルトは、宗教には限りません。過激派など政治的な集団やマルチ商法といった経済的な集団の中にも、カルト性の高いところがあります。 たとえば、1970年代の日本には、連合赤軍という左翼過激派の集団がありました。革命で世界を変革するという理想に燃えた若者たちが、山中で武装訓練をするうちに、リーダーが批判したメンバーを皆でなぶり殺しにするという、壮絶なリンチ殺人を繰り返しました。そこから逃れたメンバーが、宿泊施設を占拠し、人質をとって立て籠もり、銃を発砲して警察官ら3人を射殺する「浅間山荘事件」を起こしました。 これなども、閉鎖的な集団の中で、メンバーが歪んだ価値観に心を支配され、反社会的で命や人権をないがしろにする行動を繰り返したカルト的犯罪と言えます』、「浅間山荘事件」、「も、閉鎖的な集団の中で、メンバーが歪んだ価値観に心を支配され、反社会的で命や人権をないがしろにする行動を繰り返したカルト的犯罪」、言われてみれば、7その通りだ。
・『イスラム国とオウム真理教の共通点  最近では、シリアやイラクで一時期かなり大きな勢力を誇った、自称「イスラム国(IS)」があります。イスラム復古主義を標榜しながら「国家」樹立を宣言し、支配地域での徴税や一部の行政を行うなど、宗教的かつ政治的な組織です。インターネットを利用した巧みなプロパガンダを展開。中東だけでなく、ヨーロッパで生まれ育ったイスラム教徒の若者をも引き寄せました。 移民の二世や三世が、生まれ育った社会の中で“よそ者”として扱われて疎外感を抱いたり、シリアやイラクで空爆などで子どもが殺害されている映像を見て、イスラム同胞を救うための「聖戦」に参加しなければ、という使命感をかき立てられたりして、自ら飛び込んでいった姿には、オウム真理教に身を投じた人たちと重なるものがあります』、「イスラム国とオウム真理教の共通点」、確かにありそうだ。
・『12年間で10億円以上も搾取されたX JAPANのヴォーカル  自己啓発セミナーや疑似科学、スピリチュアル系団体など、ほかにもカルト性の高い集団は存在します。 2010年1月、人気のロックバンドX JAPANのヴォーカルだったTOSHI(同年にToshiトシと改名)が記者会見を開き、自己啓発セミナー主催団体との決別やそこに彼を引き入れた妻との離婚を公表しました。彼は、団体の広告塔として利用され、酷使されたうえ、稼いだ金の多くは搾取されていました。その金額は、12年間で10億円以上に上りました。妻とも長く同居はしておらず、実質的な夫婦ではありませんでした。 会見で彼は「だまされていたことからやっと目が覚めた」と述べ、団体の被害者に対しては「しかるべき誠実な対応をしたい」と語りました。実際、彼はその後、被害者に対して謝罪をし、和解しました。 カルト問題に詳しく、この自己啓発セミナー主催団体の被害救済にも尽力してきた紀藤正樹弁護士は、「カルトに入ってしまうのは、『タイミングと運』が大きいんです。オウムの信者も、たまたま悩んだり迷ったりしている時に出会ったのがオウムだったのが不運だったわけで、それが既成宗教のボランティア団体などだったら、何の問題もなかった。不運という点では、Toshiも同じです」と言います』、「TOSHI」が「稼いだ金の多くは搾取されていました。その金額は、12年間で10億円以上」、かなり多額だ。
・『「自分は大丈夫」が一番危ない  彼は、仕事や家族のことで悩みを抱えていた最中に、妻からの誘いでセミナーに参加し、そこでマインド・コントロールされ、セミナーを主催する男性のところにしか救いはないような気持ちになってしまったのでした。 「いわば、交通事故に遭ったようなもの。誰しもが、カルトに取り込まれてしまう可能性があります。自分は大丈夫、と思っていると、それが一番危ない」と紀藤弁護士。 人間は、生まれてから死ぬまで、ずっと順風満帆というわけにはいきません。人間関係に悩んだり、努力が報われなかったり、選択に迷ったりします。病気をする、事故に遭う、父母や友人が亡くなる、恋人と別れる、友達と深刻な喧嘩をする、受験に失敗する、職を失う……こうした予定外の出来事に見舞われることもあります。 そんな時、人はカルトに巻き込まれやすい、と言います。救いの手がさしのべられ、素晴らしい解決法を示されたように思うと、ついつい信じたくなるからです。 「特に、病気の人が病気治癒を信じて、適切な治療を忌避きひする団体に行った時の悲劇は喩えようもありません。治療して回復できる時期を逃してしまうわけですから。子どもに適切な医療を受けさせずに死なせてしまった親は、カルトから目が覚めてから、本当に自責と後悔の念に苛まれています」』、「人間関係に悩んだり、努力が報われなかったり、選択に迷ったりします。病気をする、事故に遭う、父母や友人が亡くなる、恋人と別れる、友達と深刻な喧嘩をする、受験に失敗する、職を失う……こうした予定外の出来事に見舞われることもあります。 そんな時、人はカルトに巻き込まれやすい」、確かにその通りだろう。
・『悩みを無理やり作り出してでも引き込んでいく  紀藤弁護士によると、特に悩みや迷いの中にいない人に対しても、カルトは悩みを作り出して、引き込んでいくこともあります。 たとえば、進路を決めた人に、「本当に、本当にそれでいいの?」と疑問を投げかけ、「もっと自分に合ったところはないか」と考えさせます。「今が、あなたの人生の分岐点ですよ」と言って、さらに深く悩ませたりもします。そうやって、人を悩みの中に誘い、その答えとして、カルトの価値観を教えていきます。 「だから、人から言われたことを、まじめに受け止めて考える人は、入りやすいんです」と紀藤弁護士。 「しかも、カルトはカルトの顔をして近づいてきたりはしません。たとえば、ボランティア団体を装って、「人の役に立ちたい」と思っている人に接近したりします。なので騙されたことにも気がつかないことが多いのです」』、「カルトはカルトの顔をして近づいてきたりはしません。たとえば、ボランティア団体を装って、「人の役に立ちたい」と思っている人に接近したりします。なので騙されたことにも気がつかないことが多いのです」、なるほど、複雑だ。
・『「お金、ウソ、秘密」3つの注意すべきサイン  そんなカルトから、身を守るにはどうしたらいいでしょうか。 紀藤弁護士は「それでも、よく注意していれば、カルトのサインが見えてくることがあります」と言います。いったい、どんなことに注意すればいいのでしょう。 「第一に、お金の話が出たら要注意です」と紀藤弁護士。途中で会費やセミナー代などを求められたら、これは警戒した方がいい、と言います。その代金が法外なものでなくても、疑ってみましょう。 「第二に、話が最初と違っていたり、何らかの嘘が含まれている場合も注意すべきです」 たとえば、宗教ではないセミナーのはずだったのに、教えている人は、実は宗教団体の教祖や幹部であることが分かった場合。カルトは、宗教であることを隠そうとして、別の形をとって、人を勧誘しようとすることがあります。オウムも、ヨガ教室や様々なサークルを隠れ蓑にして勧誘活動をしていました。 「第三に、『これは誰にも言っちゃいけない』などと秘密を守らせようとしている場合も気をつけてください」 若者に対しては、親や先生など、大人に言わないよう口止めする場合もあります。本当にいい教えなら、秘密にしたりせず、どんどん公表し、大人たちにも堂々と伝えればいいのです。それを秘密にしようとするのは、まだマインド・コントロールが十分完成していない段階で、大人に反対され、考え直して脱会してしまうことを恐れているのです。こういう場合は、むしろ大人に相談してみることにしましょう』、「大人たちにも堂々と伝えればいいのです。それを秘密にしようとするのは、まだマインド・コントロールが十分完成していない段階で、大人に反対され、考え直して脱会してしまうことを恐れているのです」、やはり悪質だ。
・『友達がカルトに取り込まれてしまったらどうすべきか  紀藤弁護士は、そのほか情報をしっかり集めることが大事だと言います。 「自称『イスラム国(IS)』はインターネットを利用したプロパガンダや友人知人を使った伝道活動で、ヨーロッパからも少なからぬ若者を集めましたが、そのうち、現地で行われているのはISが宣伝しているのとは違う、いったん行ったら戻ってこられない、女性は性奴隷にされる、という実態が情報として伝わるようになると、先細りになりました」 オウムについても、マスコミなどが頻繁に伝えている間は、アレフなどの後継団体に取り込まれる人は少なかったのに、情報が少なくなると信者が少し増えてきた、と紀藤弁護士は心配しています。それでも、今はインターネットで多くの情報が流れ、カルト団体からの脱会者が体験談をブログに掲載していたりします。そういう情報を活用することも大切です。 ただ、その一方で、ネットで事実を無視した陰謀論や差別的な政治思想を拡散する、新しいタイプのカルト的なグループもあるので、注意も必要です。 では、友達がカルトらしき団体に取り込まれてしまった、という場合はどうでしょう。 その時は、まず自分が近づかないこと。友達に誘われても、断りましょう。友達が心配だからといって、一緒についていったりするのは危険です。坂本一家殺人事件の実行犯である端本悟も友達を救い出そうとして早稲田大学在学中にオウムに近づき、「ミイラ取りがミイラになる」結果となってしまいました。 言ってあげるとすれば、カルトから離れて戻ってくれば、また友達になれる、ということです。大事な友達がもしカルトに入ってしまったら、どんなに口止めされても、まずは親や先生など、大人に相談しましょう』、「坂本一家殺人事件の実行犯である端本悟も友達を救い出そうとして早稲田大学在学中にオウムに近づき、「ミイラ取りがミイラになる」結果となってしまいました」、まるでウソのような出来過ぎた話だ。
・『ダライ・ラマが語った「カルトの見分け方」  私は以前、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ法王に、まっとうな宗教といかがわしいカルトの見分け方を聞いたことがあります。オウムは、チベット仏教の知識を取り入れ、麻原がダライ・ラマ法王などと一緒に撮った写真を宣伝に使うなどしていたからです。ダライ・ラマ法王はこう言いました。 「studyとlearnの違いです」 studyには「研究する」という意味もあります。研究するには、疑問を持ち、課題を見つけ、多角的に検証することが必要です。一方のlearnは、単語や表現を教わり、繰り返し練習して記憶する語学学習のように、知識を習い覚えて身につけることを言います。 「studyを許さず、learnばかりをさせるところは、気をつけなさい」 一人ひとりの心に湧いた疑問や異なる価値観を大切にしなければ、studyはできません。それをさせない人や組織からは距離を置いた方がよい、というのが、法王からの忠告です』、「「studyを許さず、learnばかりをさせるところは、気をつけなさい」、さすが「ダライ・ラマ法王」らしく、本質をズバリ突いた含蓄のある言葉だ。

次に、7月29日付けPRESIDENT Onlineが掲載した弁護士の紀藤 正樹氏による「日本は世界最悪のカルトの吹き溜まり…統一教会がデタラメな教義で大金を巻き上げられた根本理由 規制の緩い日本は「世界的な穴場」になっている」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/59842
・『なぜ統一教会は日本で信者を増やせたのか。カルト問題に取り組む弁護士の紀藤正樹さんは「日本はカルトの世界的な吹きだまりになっている。軸となる宗教がなく、信教の自由の幅が大きいために、カルトを規制できず繁栄を許してしまった」という――。 ※本稿は、紀藤正樹『決定版 マインド・コントロール』(アスコム)の一部を加筆・再編集したものです』、「「日本はカルトの世界的な吹きだまりになっている。軸となる宗教がなく、信教の自由の幅が大きいために、カルトを規制できず繁栄を許してしまった」、大変だ。
・『日本にはどのような「カルト」集団があるのか  社会を混乱させ、社会のルールを乱し、社会のモラルを破壊し、最悪のケースでは殺人すら躊躇しないカルトは、多くはありません。 カルトという言葉自体に否定的なニュアンスがあり、しばしば差別的な決めつけに使われることもあって、私がメディアなどで日本の宗教団体をカルトと名指しすることは、めったにありません。 その私が、「カルト」とも評価してよいだろうと思う宗教ないし宗教的集団は、オウム真理教、統一教会などです。 まさに犯罪や反社会的行為という実態をともなっています(した)から、その事実に基づいてカルトと評価してよいと考えます。こうしたカルトが大きくなっていくときは、四つの要素が必要だといわれています。 第1に「教祖」で、霊能者や超能力者と自称することが多いですが、法規範・社会規範を逸脱することをも気にしないし厭わない、世間的に見れば「異常」とも評価できますが、信者から見ると、ある種のカリスマ性を持つタイプの人が一人必要です。 第2に、その人は支離滅裂なデタラメをいいますが、それを教典にうまくまとめる「理論家」が必要です。 第3に、ある程度まとまったおカネをポンと出す「スポンサー」が必要です。おカネは教団を拡大する起爆剤となりますが、この最初の「スポンサー」も被害者であることがしばしばあります。 第4に、信者を勧誘してくる力のある「営業マン」が加われば、四つの要素がそろいます。このとき、ほんの小さな集団にすぎなかった、いわばカルトの種が、爆発的に芽を吹き出し、本格的なカルトへと膨らみはじめます』、「カルトが大きくなっていくときは、四つの要素が必要」、「四つの要素」とも確かに重要そうだ。
・『日本のカルト問題の原点  日本の霊感商法被害の最大は統一教会によるものだ、と本書で申し上げました。とくに、オウム真理教が壊滅した95年以降は、霊感商法問題にとどまらず、日本のカルト問題の多くは、やはり統一教会がらみが多かったと考えてよいでしょう。 オウム真理教や統一教会というカルトになってくると、既存宗教の寺や教会にあたる道場や施設にも信者を住まわせます。こうした施設は修行や祈りの場というだけでなくて、労働や生活の場。親が入信したら、何も知らない幼い子どもまで連れていかれるという世界も現出します。 ここで、カルトに引き込まれて深いマインド・コントロール状態にある人を、いかにして教団施設から引き離し、取り戻すかが大問題となります。その始まりは日本では、やはり統一教会でした。 統一教会は、日本と韓国の間に国交がなかった1958年に宣教師を密入国させ、日本で伝道を始めたといわれています。59年に日本統一教会が創立されると、高校生や大学生などの若者を中心に「原理運動」が活発におこなわれました。統一教会の学生向け布教団体が原理研究会(「CARP」という言い方もします)です。 統一教会は、早稲田大学や東京大学をはじめとする大学を舞台に、「聖書に興味はありませんか」とサークル活動を装って勧誘を繰り返し、学生たちを原理研に引きずり込んだのです。研修は合宿生活を通じておこなわれるため、家に帰らない学生が増大し、62年には原理運動対策父母の会ができました。 これが1967年に新聞に取り上げられて社会問題になったのが「親泣かせの『原理運動』」です。これこそが日本のカルト問題の原点といえるでしょう』、「親泣かせの『原理運動』」、僅かに記憶に残っている。
・『統一教会に破壊された親子の関係  統一教会の大学における勧誘は、今日も続いています。統一教会に入信する学生の多くは、このルートで引きずり込まれた若者たちです。 親が子どもを探して連れ戻そうとすると、組織的に行方不明にしてしまうことも統一教会の常套手段です。 たとえば大阪で勧誘された学生の親が猛反対していると、統一教会はその子を東日本にある施設に移し、隠してしまいます。統一教会本部に行って問い合わせると、「知らない」などといいます。信者登録カードがあって信者は管理されていますから、知らないはずはありませんが、居場所はわからないとウソをつくのです。 移した先の「ホーム」と呼ばれる施設でも、バレないように偽名を使わせたり、外に出て勧誘する仕事ではなく「食当」という食事当番を担当させたりします。統一教会のホームは、最盛期には全国に1000カ所はあり、現在でも数百カ所以上あるのではないかと推測されますが、住所は公開されていません。なお、公にしている教会は約290あり、こちらはホームページをつくるなどして住所を公開しています。 このような統一教会の家族破壊にあって、子どもが何年も消息不明で悩んでいる親も数多くいます。これは、その子が親のことを何も考えず、親を見捨てて行方不明になったわけではなく、親が地獄に堕ちて苦しまないように、自ら行方不明になっているのです』、「親が子どもを探して連れ戻そうとすると、組織的に行方不明にしてしまうことも統一教会の常套手段です。 たとえば大阪で勧誘された学生の親が猛反対していると、統一教会はその子を東日本にある施設に移し、隠してしまいます。統一教会本部に行って問い合わせると、「知らない」などといいます」、信じ難い不誠実さだ。「その子が親のことを何も考えず、親を見捨てて行方不明になったわけではなく、親が地獄に堕ちて苦しまないように、自ら行方不明になっているのです」、「子ども」なりに考えて、あえて親不幸をしているようだ。
・『マインド・コントロールの恐ろしさ  どういうことかというと、信者は、統一教会の活動を続けなければ自分は地獄に堕ち、親も死んで地獄に堕ち、先祖もみんな地獄に堕ちて苦しんで二度と這い上がることはできない、と教え込まれているのです。 自分は磔になったイエスの心をもって捨て石となり、「氏族メシア」として親も含めた氏族全員を救わなければならないと信じ込まされている。だから、親に会いたくないとか親を否定するのではなく、親を救うために、親から隠れて活動を継続する。親も子に会えずに苦しむが、子も苦しみながら姿を隠す。なんとも非人道的で不条理な話だと思いますが、これが現実です。 統一教会の例を見ていると、もともとが優しく親思いで、生真面目で、悪いことなど微塵もしそうにない、ようするにとても誉められる人格を持っている子どもほど、統一教会の活動に熱中してしまうことがよくわかります。 つねに心底、人のため親のためにやっているので、弱者からなけなしのおカネをだましとっても平気です。カネを持つこと自体が財の因縁にとらわれているから、それを解いてあげればその人の功徳になり地獄に堕ちないですむという発想だからです。オウム真理教のポアと同じです。 本人は、「自分はこの人をだましておカネを取る」ということはわかっていますが、罪悪感がほとんどありません。罪悪感を持たないようにマインド・コントロールされています。自立した主体的な考えを持たず、教祖と教義に依存するよう仕向けられています。 信仰というのは本来、依存的なものではなく主体的なものです。どの教会でもお寺でも「依存せずに自立しなさい」というはずです。ところがカルトのやっていることは、まったく逆。信者から主体性を奪い、依存しなければ生きていけない多くの人間を、日々組織的に生み出すのがカルトだ、ともいえます』、「信仰というのは本来、依存的なものではなく主体的なものです。どの教会でもお寺でも「依存せずに自立しなさい」というはずです。ところがカルトのやっていることは、まったく逆。信者から主体性を奪い、依存しなければ生きていけない多くの人間を、日々組織的に生み出すのがカルトだ、ともいえます」、不通の宗教とは逆に、「信者から主体性を奪い、依存しなければ生きていけない多くの人間を、日々組織的に生み出すのがカルトだ」、罪作りなことだ。
・『弱い者から切り捨てる…カルトは本当の宗教なのか  統一教会が桜田淳子さんを広告塔として利用できると考えて特別扱いした戦略的、合理的な思考は、まったく逆の方向にも向いています。つまり、カルトは、信者が使い物にならなくなると、情け容赦なくあっさり切り捨ててしまいます。 ある宗派が、本当に人助けのために信仰を広めているのであれば、あまりおカネのない人からおカネをむしり取るようなことはしないでしょう。そのような宗派は、ちゃんとした宗教に育っていくだろうと思います。 ところが統一教会のようなカルトは違います。比較的おカネのない若い人からも、おカネを取ります。もともと持っている額が少なく、ある程度以上は取れませんから、今度は街に送り出しておカネを集めさせます。 比較的おカネのある高齢の人からは、もっとおカネを取ります。どんどんおカネを取ってもう取れないとなると、伝道の対象者からははずし、捨ててしまいます。高齢者は労働力としての価値がないからです。 オウム真理教も、地下鉄サリン事件のあと、高齢の出家信者を追い出していきました。一生面倒を見るからといって、全財産を貢がせて出家させたおじいちゃんおばあちゃんたちを、搾れるだけ搾ったらもう用済みとばかり捨てました。 つまりは、つねにカルトの教祖や教団が第一で、利他ではなく私利私欲で動いているのです。伝統的な一般の宗教と、この点がまったく異なります。) 宗教は普通は弱い人に手を差し伸べるもので、身障者や精神を病んでいる人、判断能力の減退している人などの弱者に対し、健康な人以上に気をかけ、支援するものですし、そう期待されていると思います。 ところが統一教会の伝道の実態は、お金があれば別ですが、そういう社会的弱者を最初から救済の対象にしないのです』、「比較的おカネのある高齢の人からは、もっとおカネを取ります。どんどんおカネを取ってもう取れないとなると、伝道の対象者からははずし、捨ててしまいます。高齢者は労働力としての価値がないからです」、「統一教会の伝道の実態は、お金があれば別ですが、そういう社会的弱者を最初から救済の対象にしないのです」、酷い話だ。
・『日本は「世界的なカルトの吹きだまり」になっている  統一教会は、世界190カ国以上に進出していると豪語しています。全世界の信者の数は、せいぜい数十万人というところでしょう。 このうち日本の信者の数はせいぜい数万人規模ですが、それでも日本は世界でも信者数が多い国と思われます。そして出家信者(統一教会では「献身者」と言っています)の数では、ほとんどが日本人ではないかと思います。というのは、韓国にいる信者のうち関連企業などで働く社員は出家信者ではありませんから。 統一教会というカルトは日本でもっとも繁栄し、霊感商法や献金集めで巨大な収益を上げているわけです。そんな国は、日本以外にはありません。 オウム真理教は、東京の住民を万人単位で無差別殺傷してよいのだと考えて化学テロを実行し、実際に5500人以上を死傷させました。そんなことができた国も、日本以外にはありません。 そのうえ、最近、統一教会の被害者と思われる容疑者が、安倍元首相を銃撃して殺害するという深刻かつ重大な事件がおこってしましました。世界を騒がせるカルトに関する事件が、たった30年程度の間に2回もおこる国も世界で日本だけです。 日本が世界の中でもカルトに対する規制が甘いから、統一教会が多くの被害者を生み出し、オウム真理教が数千人を巻き込む無差別テロを実行できたのです。日本という国はカルトの穴場で、カルトの世界的な吹きだまりになっています。これは、きわめて深刻な問題です』、「世界を騒がせるカルトに関する事件が、たった30年程度の間に2回もおこる国も世界で日本だけです」、本当にみっともないことだ。
・『法的規制も、社会的規制も緩すぎる  日本では多くの家で、キリスト教徒ではないのに、クリスマスにはツリーを飾ってお祝いをします。神道を信仰しているわけではないのに、正月には神社へ初詣にいき「賽銭」という献金をします。 仏教徒ではないのに、その前日の大晦日にはお寺で除夜の鐘をついたりもします。七五三は神社に行き、結婚式は教会で挙げ、葬式はお寺と、考えてみればムチャクチャです。 日本人は、宗教にはきわめて寛容で、悪くいえばだらしない感じすらします。 もちろんこれは、柔軟で融通がきくとか、新しもの好きで好奇心も旺盛だとか、日本人のよいところの表れですから、一概に否定すべき話ではありませんが、それにしても、という印象を受けます。 結局、日本には宗教のオーソドキシー(正統的な信仰)がない、つまり基準となる背骨のような宗教がなく、信教の自由の幅が大きいために、カルトを問題視したり監視したり批判したりすることが少ないのです。だから、カルトが繁栄してしまいます。 別の言葉でいうと、世の中の規制に「法的規制」と「社会的規制」があるなかで、日本にはカルトに対する社会的規制がほとんどなく、機能していないわけです。そのうえ均質社会の日本は、以心伝心という言葉があるように、法律やルールはあまり細かく決めなくてもよいという考え方が根強く、法的規制も緩みがちです。このような考えが背景にあり、統一教会と政治家との癒着を生んだ可能性があります。 欧米は、キリスト教が主流ですから、カルトに対して社会的規制が働きます。そのうえ欧米はルール重視の社会ですから、法的規制も厳しく働きます。 カルトの穴場にも吹きだまりにもなっている現在の日本の状況を、どう変えていけばよいのか。このままでよいとはとても思えません。 安倍元首相の銃撃事件を契機に、きちんと国政の場で、カルトの発生原因を突き詰め、どうすればカルト被害を防止できるのか、カルトをなくすにはどうすればよいのか、どのような対策が必要なのか、などをきちんと検討し、答えを出すときが来ていると思います。もはやカルトを放置できないと思います』、法律家や宗教学者らを中心に、「カルト対策」を幅広く検討する場を設けるべきと思うが、「統一教会」の影響を強く受ける自民党をいかに巻き込むかが難題だ。

第三に、7月24日付けAERAdot.「この世はサタンに毒されている、ハルマゲドンが来れば楽園に行ける…「カルト2世」が明かす生きづらさと解けない呪縛」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/2022072200011.html?page=1
・『安倍晋三元首相が銃撃されて死亡した事件で、殺人容疑で送検された山上徹也容疑者(41)。母親が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に多額献金した結果、家庭が崩壊したことで、教団への恨みが凶行の動機につながったと見られている。山上容疑者は、いわゆる“宗教2世”だ。信仰の種類や教義にかかわらず、親が信じる宗教を自分も信じなければいけないという点は共通しており、親の宗教や信仰によって精神的、経済的に追い詰められたり、現実生活や人生設計が思い通りにいかない「2世」は少なくないとされる。AERA dot.では昨年、「カルト2世に生まれて」として、親の信仰によって苦悩し、生きづらさを抱えた2世たちのインタビューを短期連載した。2世たちの声を改めて再掲する(年齢、肩書などは記事掲載時のもの)。 ※カルトは「宗教的崇拝。転じて、ある集団が示す熱烈な支持」(大辞泉)とあり、本稿でもその意味で使用している。親が子に信仰の選択権を与えないほどに熱狂的な信者であり、そうした家庭環境で育った子どもを「カルト2世」と定義している。本稿は教団の教義や信者の信仰を否定するものではなく、一部の2世が感じている“生きづらさ”に焦点を当てることを目的としている。 「私は両親の宗教がなかったら、ありえなかった命です。だから生まれ育った環境が“普通”で“当たり前”だと、ずっと思って生きてきました。でも、宗教のない家だったらよかったのに、と他の子の家がうらやましかった……」 田代まゆみさん(39・仮名)は、自身の子ども時代をそう語る。 まゆみさんの両親はある教団の信者で、まゆみさんは生まれた時から教団の影響を受けて成長した「カルト2世」だ。 カルト2世として生まれた子どもは教団の教えと、その特有の価値観に基づいて育てられるため自分で環境を選べない。そのため友人関係や恋愛、部活動、学校行事、進学・就職、結婚など人生におけるさまざまな場面で、自分の意思とは異なる選択を強いられたり、葛藤や苦悩を味わったりすることが多い。 こうした違和感や生きづらさは、これまであまり外に向けて語られることはなかったが、SNSの発達により2世同士の交流の場を持てるようになり、当事者同士が本音を漏らせる環境が少しずつできてきた。それに伴い、ここ数年は「カルト2世」たちの内なる叫びをつづった漫画や手記なども出版され、ドキュメンタリー番組などでも扱われるようになったことで世間の認知も広がりつつはある』、「「カルト2世に生まれて」として、親の信仰によって苦悩し、生きづらさを抱えた2世たちのインタビューを短期連載した。2世たちの声を改めて再掲する」、なかなかいい企画だ。「カルト2世として生まれた子どもは教団の教えと、その特有の価値観に基づいて育てられるため自分で環境を選べない。そのため友人関係や恋愛、部活動、学校行事、進学・就職、結婚など人生におけるさまざまな場面で、自分の意思とは異なる選択を強いられたり、葛藤や苦悩を味わったりすることが多い。 こうした違和感や生きづらさは、これまであまり外に向けて語られることはなかったが、SNSの発達により2世同士の交流の場を持てるようになり、当事者同士が本音を漏らせる環境が少しずつできてきた」、「SNS」で繋がりが出来たとはいいことだ。
・『もともと一般的な常識とはかけ離れた価値観で育てられたまゆみさんは、学校へ通うようになると苦痛と恐怖のくり返しに変わり、次第に自分の考え方や日常生活が同級生とは異なる現実に戸惑い、心を悩ませることになる。 「友達と誕生日もお祝いしてはダメ、テレビはなく、漫画などもすべて父と母が検閲して許可されたものだけ。友達になるのも父から許可が下りた人だけで、『サタンの悪影響がある』『頭が悪くなる』という理由でその子の家では遊んではいけない。学校で七夕の飾りをしても、神の教えに反するからと飾れない……。」 まゆみさんは小学校に入学する前から、“この世には善と悪の2種類しか存在しない”という二元的な思考と“愛されるには一定の要求を満たさねばならない”という教えを親からたたき込まれ、その手段の一つとしてゴムホースや皮のベルトでお尻をたたかれていたという。 「たたくことで悪魔を追い出せるといいますが、親からの体罰は屈辱と恐怖以外の何物でもありません。思い出すと手が震えることもありました。でも、屈辱と恐怖と裏腹に、私は自分が異性の前で下半身をさらされて親にたたかれたり、目の前で他の子たちがやられたりしているのを見てつらかったはずが、いつの間にか性的興奮に結び付くようになっていました。そんな記憶を喚起したことで、こんな感情になる自分が気持ち悪くて、こんな自分にした宗教団体と親をどういう気持ちで受け入れていいかわからなくなっていました」 「カルト」は、ある日突然誰かの日常に入り込んでその後の人生を大きく左右する。その親に育てられた2世は、親や教団側からの強い働きかけ、特有の価値観で縛られ、教団の教理と価値観が『絶対』であり、それがすべてだと教え込まれる。しかし、その宗教から離れた後も生きづらさを抱えてしまう。本人からは言い出しづらい過去であるがゆえに、周囲から理解されるのはなかなか難しい。だから、未来にも不安が残る』、「その親に育てられた2世は、親や教団側からの強い働きかけ、特有の価値観で縛られ、教団の教理と価値観が『絶対』であり、それがすべてだと教え込まれる。しかし、その宗教から離れた後も生きづらさを抱えてしまう」、誠に気の毒な境遇だ。
・『山岡美保さん(35・仮名)は、教団から離れて10年以上になる。物心ついた時から20年間も信仰し続けた宗教は、家族全員を巻き込み、そして壊していった。 「10年という長い時間がたった今でも、私たち家族の問題は解決していません」 美保さんの母親は、美保さんの5歳年上の兄を出産後すぐに宗教と聖書の勉強に熱中した。そして、美保さんを妊娠中に洗礼を受けて信者になったという。 「母は早くに自身の兄と姉をがんで亡くしています。それゆえ自分の家族は健康で幸せでいてほしいという願望が人一倍強かったようです。だから病気で苦しむのはサタンのせいで、この世はサタンに毒された人たちばかりだけれども、いずれハルマゲドンで世界が滅びれば信者は楽園へ行ける、という教団の教えにのめり込んでいったのだと思います」 夫を愛し子どもをかわいがっていた母親は、いつしか「神様第一」に変わっていった。その頃から、父親が帰宅する時間になっても家には誰もおらず、母親は子どもたちを連れて教団の集会へ行っていることが多くなった。 そして、家族には亀裂が入り始める。普段は無口で物静かな父親が、いきなり部屋のふすまを何度も殴って、ビリビリに破り捨てたという。 「父の前では宗教はタブーなんだと思い知りました。それから間もなく、父から『お母さんと一緒にいて、このまま宗教を続けるのか、それともお父さんと一緒にいるか、どちらかを選びなさい』と言われました。まだ物心がついたばかりの私は、何を言われているのかもわかりませんでしたが、しばらくすると父は家に帰らなくなりました」 それ以来、父親は家族と別々に暮らすことになったが、最低限の生活費だけはくれたという。週末には父親の実家に行って家族全員で食事をすることが習慣になっていたが、それも10代半ばで途切れた。 教団では、立場が上の信者がいうことは絶対で、少しでも教団の規律に“ふさわしくない”と判断されれば白い目で見られる。常にお互いを監視し合っているような状況だった。自分の考え、自分の感覚、自分の価値観はすべて無意味で持ってはいけないものとされていたので、美保さんは常に“自分を殺している状態”を求められ、徐々に苦痛を感じるようになったという』、「教団では、立場が上の信者がいうことは絶対で、少しでも教団の規律に“ふさわしくない”と判断されれば白い目で見られる。常にお互いを監視し合っているような状況だった。自分の考え、自分の感覚、自分の価値観はすべて無意味で持ってはいけないものとされていたので、美保さんは常に“自分を殺している状態”を求められ、徐々に苦痛を感じるようになったという」、「2世」にこんあ苦しみを与える「カルト」のマイナス面を、マスコミはもっと取上げるべきだ。
・『「そんな状態で教えられたことをただ信じているのが本当に信仰と言えるのだろうか? という疑問が湧いてきました。何度も年配の人や偉い人に疑問をぶつけて相談してみましたが、言われることは『神のお考えは人間にはわからないのだから、学んで布教しなさい』ということだけ。私がどんな疑問を持っても『考えるな。行動しろ』と一蹴されるだけでした」 こうした疑問を持つ信者は教団のコミュニティーからは疎まれる。まるで“不満分子”のような存在となった美保さんは、その後、教団幹部から積極的に布教活動に参加していないことを理由に布教する資格を奪われ、母は子どもたちを洗礼に導けていないことを責められた。 「幸せになるために始めた宗教なのに、ただただ家族が壊れていくことに母は疲弊していました。しかも幹部の言葉でそれまで自分が行ってきたことがすべて否定されたように感じた母は、ついに『もうやめましょう』と言ったんです。でも、今思えば、私も洗脳されていたのでしょう。やめよう、という母に対して私は『これは試練なんだから、ここで負けちゃいけない!』となぜか奮起していたのです。私は20年間も信じてきたものが“うそ”だと認めるのが恐ろしかったんだと思います」 教団にのめり込んでいった母に従っていた娘、という構図は逆転して、教団から距離を置こうという母親を美保さんが説得するという関係になっていた。 「脱会へ傾いた母に対して教団は態度を一変させ、徹底的に冷徹になりました。でも、その異様な豹変ぶりのおかげで、私も冷静さを取り戻すことができました。あれだけ熱心な信者だった母をやすやすと切り捨てようとする教団とは一体何なのか、という不信感がどんどん膨らんでいきました。そこで、心のどこかで教団を“信じ切れていなかった”自分は間違ってなかったんだと気づくことができて、むしろ気が晴れたというかとてもスッキリしました」 こうして、美保さんが22歳の時に家族は全員脱会した。 美保さんは7年前に仕事仲間の紹介で知り合った夫と結婚し、現在は一児のママとなったが、新たな生活にも“過去”が影を落としている。 「子育てをする中で自分でも驚いたのは、自分の子ども時代がフラッシュバックすることです。子どもが言うことを聞かない時やかんしゃくを起こした時など、気持ちに余裕がないと『私たちが子どもの時にこんなことしたら、ムチでたたかれていたのに』と思い出してしまうんです。私は子どもらしいことをしただけでムチをちらつかされて怖かったのに、この子は自由に子どもらしくいられるのを見ると、うらやましい気持ちと同時に、親や宗教に対してやり場のない怒りが込み上げてくるんです。でもそんな時に、ふと母の気持ちが理解できたような、不思議な感覚にもなるんです」』、「教団にのめり込んでいった母に従っていた娘、という構図は逆転して、教団から距離を置こうという母親を美保さんが説得するという関係になっていた。 「脱会へ傾いた母に対して教団は態度を一変させ、徹底的に冷徹になりました。でも、その異様な豹変ぶりのおかげで、私も冷静さを取り戻すことができました。あれだけ熱心な信者だった母をやすやすと切り捨てようとする教団とは一体何なのか、という不信感がどんどん膨らんでいきました。そこで、心のどこかで教団を“信じ切れていなかった”自分は間違ってなかったんだと気づくことができて、むしろ気が晴れたというかとてもスッキリしました」 こうして、美保さんが22歳の時に家族は全員脱会した」、「母」「子」とも無事脱会できたのは喜ばしいが、かれらにこれだけの苦しみを与えた「教団」を放置すれば、犠牲者が再び生まれていまう。前述の通り「カルト」に対する法的・宗教学的観点から考え方を真剣に検討すべきだ。
タグ:(その7)(友達をカルト宗教から救いだそうとして…心優しい早大生が「坂本一家殺人事件の実行犯」に堕ちたワケ 「自分は大丈夫」という人が一番危ない、日本は世界最悪のカルトの吹き溜まり…統一教会がデタラメな教義で大金を巻き上げられた根本理由 規制の緩い日本は「世界的な穴場」になっている、この世はサタンに毒されている ハルマゲドンが来れば楽園に行ける…「カルト2世」が明かす生きづらさと解けない呪縛) 宗教 PRESIDENT ONLINE 江川 紹子氏による「友達をカルト宗教から救いだそうとして…心優しい早大生が「坂本一家殺人事件の実行犯」に堕ちたワケ 「自分は大丈夫」という人が一番危ない」 江川紹子『「カルト」はすぐ隣に オウムに引き寄せられた若者たち』(岩波ジュニア新書) 「カルトは正体を隠して近づいてくるため、騙されていることに気づくのは難しい。『自分は大丈夫』と考えないほうがいい」、興味深そうだ。 「『日本書紀』にもカルト集団が描かれていた」、「人々は家の財宝を投げ出し、酒を並べ、野菜や六種の家畜(馬・牛・羊・豚・犬・鶏)を道ばたに並べ、「新しい富が入ってきたぞ」と連呼した。都でも田舎でも、常世の虫をとって安置し、歌い踊って福さいわいを求め、財宝を投げ出したが、何の益もなく損ばかりが極めて多かった」 民が惑わされているのを見かねて、聖徳太子の側近秦河勝はたのかわかつが大生部多を成敗した」、社会秩序を揺るがせにしたので、「成敗」されたようだ。 「浅間山荘事件」、「も、閉鎖的な集団の中で、メンバーが歪んだ価値観に心を支配され、反社会的で命や人権をないがしろにする行動を繰り返したカルト的犯罪」、言われてみれば、7その通りだ。 「イスラム国とオウム真理教の共通点」、確かにありそうだ。 「TOSHI」が「稼いだ金の多くは搾取されていました。その金額は、12年間で10億円以上」、かなり多額だ。 「人間関係に悩んだり、努力が報われなかったり、選択に迷ったりします。病気をする、事故に遭う、父母や友人が亡くなる、恋人と別れる、友達と深刻な喧嘩をする、受験に失敗する、職を失う……こうした予定外の出来事に見舞われることもあります。 そんな時、人はカルトに巻き込まれやすい」、確かにその通りだろう。 「カルトはカルトの顔をして近づいてきたりはしません。たとえば、ボランティア団体を装って、「人の役に立ちたい」と思っている人に接近したりします。なので騙されたことにも気がつかないことが多いのです」、なるほど、複雑だ。 「大人たちにも堂々と伝えればいいのです。それを秘密にしようとするのは、まだマインド・コントロールが十分完成していない段階で、大人に反対され、考え直して脱会してしまうことを恐れているのです」、やはり悪質だ。 「坂本一家殺人事件の実行犯である端本悟も友達を救い出そうとして早稲田大学在学中にオウムに近づき、「ミイラ取りがミイラになる」結果となってしまいました」、まるでウソのような話だ。 まるでウソのような出来過ぎた話だ。 「「studyを許さず、learnばかりをさせるところは、気をつけなさい」、さすが「ダライ・ラマ法王」らしく、本質をズバリ突いた含蓄のある言葉だ。 紀藤 正樹氏による「日本は世界最悪のカルトの吹き溜まり…統一教会がデタラメな教義で大金を巻き上げられた根本理由 規制の緩い日本は「世界的な穴場」になっている」 「「日本はカルトの世界的な吹きだまりになっている。軸となる宗教がなく、信教の自由の幅が大きいために、カルトを規制できず繁栄を許してしまった」、大変だ。 「カルトが大きくなっていくときは、四つの要素が必要」、「四つの要素」とも確かに重要そうだ。 「親泣かせの『原理運動』」、僅かに記憶に残っている。 「親が子どもを探して連れ戻そうとすると、組織的に行方不明にしてしまうことも統一教会の常套手段です。 たとえば大阪で勧誘された学生の親が猛反対していると、統一教会はその子を東日本にある施設に移し、隠してしまいます。統一教会本部に行って問い合わせると、「知らない」などといいます」、信じ難い不誠実さだ。「その子が親のことを何も考えず、親を見捨てて行方不明になったわけではなく、親が地獄に堕ちて苦しまないように、自ら行方不明になっているのです」、「子ども」なりに考えて、あえて親不幸をしているようだ。 「信仰というのは本来、依存的なものではなく主体的なものです。どの教会でもお寺でも「依存せずに自立しなさい」というはずです。ところがカルトのやっていることは、まったく逆。信者から主体性を奪い、依存しなければ生きていけない多くの人間を、日々組織的に生み出すのがカルトだ、ともいえます」、不通の宗教とは逆に、「信者から主体性を奪い、依存しなければ生きていけない多くの人間を、日々組織的に生み出すのがカルトだ」、罪作りなことだ。 「比較的おカネのある高齢の人からは、もっとおカネを取ります。どんどんおカネを取ってもう取れないとなると、伝道の対象者からははずし、捨ててしまいます。高齢者は労働力としての価値がないからです」、「統一教会の伝道の実態は、お金があれば別ですが、そういう社会的弱者を最初から救済の対象にしないのです」、酷い話だ。 「世界を騒がせるカルトに関する事件が、たった30年程度の間に2回もおこる国も世界で日本だけです」、本当にみっともないことだ。 法律家や宗教学者らを中心に、「カルト対策」を幅広く検討する場を設けるべきと思うが、「統一教会」の影響を強く受ける自民党をいかに巻き込むかが難題だ。 AERAdot.「この世はサタンに毒されている、ハルマゲドンが来れば楽園に行ける…「カルト2世」が明かす生きづらさと解けない呪縛」 「「カルト2世に生まれて」として、親の信仰によって苦悩し、生きづらさを抱えた2世たちのインタビューを短期連載した。2世たちの声を改めて再掲する」、なかなかいい企画だ。「カルト2世として生まれた子どもは教団の教えと、その特有の価値観に基づいて育てられるため自分で環境を選べない。そのため友人関係や恋愛、部活動、学校行事、進学・就職、結婚など人生におけるさまざまな場面で、自分の意思とは異なる選択を強いられたり、葛藤や苦悩を味わったりすることが多い。 こうした違和感や生きづらさは、これまであまり外に向けて語られる 「その親に育てられた2世は、親や教団側からの強い働きかけ、特有の価値観で縛られ、教団の教理と価値観が『絶対』であり、それがすべてだと教え込まれる。しかし、その宗教から離れた後も生きづらさを抱えてしまう」、誠に気の毒な境遇だ。 「教団では、立場が上の信者がいうことは絶対で、少しでも教団の規律に“ふさわしくない”と判断されれば白い目で見られる。常にお互いを監視し合っているような状況だった。自分の考え、自分の感覚、自分の価値観はすべて無意味で持ってはいけないものとされていたので、美保さんは常に“自分を殺している状態”を求められ、徐々に苦痛を感じるようになったという」、「2世」にこんあ苦しみを与える「カルト」のマイナス面を、マスコミはもっと取上げるべきだ。 「教団にのめり込んでいった母に従っていた娘、という構図は逆転して、教団から距離を置こうという母親を美保さんが説得するという関係になっていた。 「脱会へ傾いた母に対して教団は態度を一変させ、徹底的に冷徹になりました。でも、その異様な豹変ぶりのおかげで、私も冷静さを取り戻すことができました。あれだけ熱心な信者だった母をやすやすと切り捨てようとする教団とは一体何なのか、という不信感がどんどん膨らんでいきました。そこで、心のどこかで教団を“信じ切れていなかった”自分は間違ってなかったんだと気づくことができて、むし
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