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スタートアップ(その8)(VCが決してやってはいけない3つの致命的ミス 「チームも製品も素晴らしい」だけでは足りない、国税ショックに揺れるスタートアップの報酬制度 ストックオプション課税で予想外の「見解」) [イノベーション]

スタートアップについては、昨年5月1日に取上げた。今日は、(その8)(VCが決してやってはいけない3つの致命的ミス 「チームも製品も素晴らしい」だけでは足りない、国税ショックに揺れるスタートアップの報酬制度 ストックオプション課税で予想外の「見解」)である。

先ずは、本年5月12日付け東洋経済オンラインが掲載したアンドリーセン・ホロウィッツ マネージング・パートナーのスコット・クポール氏による「VCが決してやってはいけない3つの致命的ミス 「チームも製品も素晴らしい」だけでは足りない」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/661596
・『起業家が資金調達を考える際の有力な候補の1つに、ベンチャーキャピタルがある。 シリコンバレーの著名なVC、アンドリーセン・ホロウィッツの最初期のメンバーであり、起業家としての経験も持つスコット・クポール氏の著書『VCの教科書』から、VCがアーリー・ステージの投資先をどのように判断するのかについて、抜粋・編集して3回に分けてお届けしよう。今回は3回目となる』、興味深そうだ。
・『なぜ大規模な市場が好ましいのか?  VCがアーリー・ステージで投資機会の評価に用いる基準として、人、製品、市場がある。 前々回では人について、前回は製品について見た。ここでは、「市場」について解説しよう。 VCにとって最も重要なものは、創業者が追求する市場機会の最終的な規模ということがわかっている。 不動産についての格言が、「1に立地、2にも3にも立地」ならば、VCの場合は、「1に市場規模、2にも3にも市場規模」だ。大規模な市場が好ましく、小規模な市場は好ましくない。 その理由は? 大きな市場のルールは、べき乗則カーブと「本塁打率」の説明から直接導かれる。 VCが正解よりも誤りが多いならば、また、VCとしての成功(または失敗)が投資の20~30%をホームランできるかどうかの結果であるならば、勝者の規模だけが重要になる。 ベンチャー投資の犯す誤りは、カテゴリーを正確に選びながら、正しくない企業を選ぶことだ。それに加えて、あと2つの誤りがある。) ひとつは、正しい企業を選ぶが、誤った市場を選ぶことだ。つまり、優良で利益の大きなビジネスを行い、チームも製品も素晴らしいが、さほど大きくない市場にいる企業に投資することだ。 チームがいかに業務を立派に遂行しても、収益が5000万~1億ドルに達しなければ、その企業の時価総額は伸びない。 もうひとつは、不作為の罪は作為の罪よりも重いということだ。 最終的に失敗に終わった企業にVCが投資することはかまわない。このビジネスではよくあることだ。 やってはいけないことは、次のフェイスブックになる企業に投資しないことだ。このビジネスで成功を収めるためには、リスクを回避してはいけない』、「このビジネスで成功を収めるためには、リスクを回避してはいけない」、なるほど。
・その市場は、必要なリターンをもたらしうるか?  以上の点から、VCは大きな市場機会に投資すべきだという自明の理が導かれる。小さな市場で成功を収めても、ビジネス継続のために必要なリターンを、決してVCにもたらさない。 たとえば、スタートアップの成功の可能性を評価する際、VCは市場規模を「そんなの大した問題じゃない」と考えることがよくある。 だが素晴らしいチームと素晴らしい製品はいいとして、市場規模がビッグビジネスを維持するのに十分でなければ、それは大した問題、ということになる。 ベンチマーク・キャピタルの創業者アンディ・ラクレフはこう言っている。平凡なチームでも巨大な市場にいれば企業は成功できるが、素晴らしいチームでも貧弱な市場にいては必ず失敗する。 市場規模を適切に評価することが、なぜそれほど難しいのか?それは、市場の実際の大きさは、投資する時点ではわからないことが多いからだ。だから、市場を評価する際に、VCはさまざまな形で自らをごまかしている。 新製品が既存製品にそのまま置き換わる場合、市場規模は最も評価しやすい。 例としてデータベースを挙げよう。 オラクルはデータベース市場では巨大企業なので、その市場機会をつかもうとするスタートアップは、大きな市場で勝負することになると難なく推測できる。いとも簡単なことだ。 だが、データベース市場全体が、時間がたつにつれてどう展開するのかはわからない。) データベースの機能に取って代わる新たなテクノロジーが現れて、市場を空洞化することになるのか? それとも、クラウド・コンピューティングがワークフローで主流となるにつれて、データベースを必要とするアプリケーションの数が飛躍的に増加し、結果としてデータベース市場が今以上に大きくなるのか? どちらも良い質問だが、おそらくほとんどのVCは、データベース市場を狙うスタートアップには大企業を築くのに十分な規模の市場があるので、もし成功すれば投資のホームランになると考えるだろう』、「ほとんどのVCは、データベース市場を狙うスタートアップには大企業を築くのに十分な規模の市場があるので、もし成功すれば投資のホームランになると考えるだろう」、なるほど。
・『エアビーアンドビーの市場規模は?  市場規模の見積もりをさらに難しくするのは、現在存在しない市場を狙うスタートアップや、テクノロジー的な制約があるためまだ規模が小さい市場を狙うスタートアップがもたらす影響だ。 たとえばエアビーアンドビーを考えてみよう。同社が最初に資金を集めたとき、使用した事例の大部分は、他人の家のソファで寝る人たちだった。 そのような、ひどくお腹を空かせている大学生がどれくらいいるのか調べればーーハンバーガーやチーズやラーメン、つまり、お腹を空かせた大学生が購入するその他製品の市場規模と同じようにーー論理的に結論を下すこともできただろう。 だが、時間がたつにつれて、サービスがほかの要素にまで拡大したらどうなるだろう?そのときはおそらく、既存のホテル市場が、全体的な市場規模の代わりとなるだろう。 なるほど、だがエアビーアンドビーの予約しやすさや低価格により、それまであまり旅行しなかった人たちが旅行するようになったらどうだろうか? 宿の必要な旅行者の市場が、エアビーアンドビーの登場によってむしろ拡大したとしたら? 今になってみると、エアビーアンドビーの成功は、これまでなかった旅行宿泊施設の新形態のおかげで、市場規模が拡大したことが背景にあると思われる。 幸運をつかむか逃すかは、VCの市場規模を理解する能力、発展途上の新市場でテクノロジーの果たす役割について創造的に考える能力によって決まるのだ』、「幸運をつかむか逃すかは、VCの市場規模を理解する能力、発展途上の新市場でテクノロジーの果たす役割について創造的に考える能力によって決まるのだ」、いずれも、そんなに容易いことではないようだ。

次に、6月12日付け東洋経済オンライン「国税ショックに揺れるスタートアップの報酬制度 ストックオプション課税で予想外の「見解」」を紹介しよう。
・『「われわれの想定とは、まったく違う税務上の解釈となりました」──。6月上旬、都内に本社を置くあるスタートアップ企業の経営陣は、社員にそのような説明を行った。 事の発端は5月29日、あるストックオプション(SO)の税率をめぐって国税庁が示した見解にある。SOはあらかじめ決めた価格で自社株を買える権利で、「株式購入権」ともいう。そのうち「信託型SO」が焦点となった。 スタートアップ関係者らを集めて開かれた説明会の場で国税庁の担当者は、「(SOの)権利行使と株式の交付が行われている場合、給与課税の対象となり、源泉所得税の納付が必要」などと指摘。これにより、約800社に及ぶとされる信託型SOの発行企業には突如、追加の税負担が生じることとなった。冒頭の会社もその一社だ』、「約800社に及ぶとされる信託型SOの発行企業には突如、追加の税負担が生じることとなった」、大変な混乱だ。
・『株売却時の課税のみと考えられていた  SOは通常、役員や社員に直接与えられる。それに対して信託型では、信託会社などにオプションプール(SOの交付枠)として割り当て、信託契約期間中や契約終了時に、企業が指定する役員や社員などに同一条件のSOを交付する。 発行時に、誰にどれだけ権利を与えるかを決めておく必要がなく、SOの発行後に入社した人も同一条件でSOを得ることができる公平性などを売りにしていた。従来この信託型SOは、SOの行使時に給与所得課税は行われず、株式売却時の譲渡益課税のみになるとの見方が広がっていた。 ところが国税庁が示した見解に沿えば、役職員が信託型SOを行使した時点で、給与所得として最大55%の課税がなされる。20%の譲渡益課税が生じる前の時点で、キャッシュインなき課税が発生する。 SOの行使と株式の売却でキャピタルゲインを得て20%の納税をすでにしていても、過去5年にさかのぼり、給与所得として追徴課税される。年収4000万円を超えていた場合は、最高税率55%が課せられる。 「所属会社の税解釈を信じてお金を使い切っていた場合、納税のために家などの資産を手放さざるをえない人が出てくるのでは」。スタートアップ関係者からは不安の声が上がる。 信託型SOを導入していた会社やそれを支援していたコンサルティング会社などは行使時点の課税について、一貫して負担は生じないと見ていた。しかし国税庁の説明で、それがひっくり返ることとなった』、「従来この信託型SOは、SOの行使時に給与所得課税は行われず、株式売却時の譲渡益課税のみになるとの見方が広がっていた。 ところが国税庁が示した見解に沿えば、役職員が信託型SOを行使した時点で、給与所得として最大55%の課税がなされる。20%の譲渡益課税が生じる前の時点で、キャッシュインなき課税が発生する。 SOの行使と株式の売却でキャピタルゲインを得て20%の納税をすでにしていても、過去5年にさかのぼり、給与所得として追徴課税される。年収4000万円を超えていた場合は、最高税率55%が課せられる」、「コンサルティング会社など」の見方を勝手に信じていたのが悪いともいえる。
・『信託型ストックオプションでの課税の流れ  源泉所得税を徴収して納付する立場の企業では、会計上の損失計上が必要になる可能性もある。 日本公認会計士協会や企業会計基準委員会(ASBJ)の見解次第では、信託型SOを発行し、すでに役職員による行使が行われていた場合、追加の税負担を会計上で処理しなければならなくなる。上場企業では、人工知能(AI)開発で知られるPKSHA Technologyなどで、その影響が大きいとみられている。 いったいなぜ、このような事態になってしまったのか。あるベンチャーキャピタルの幹部は、「信託型SOはもともと課税関係がグレーだった。今回の件を機に抜け道がふさがれたのはよかった」と指摘する。 一方で投資先が信託型SOを導入している別のベンチャーキャピタルの幹部は、「多くの会社が慎重に調べて信託型SOを導入している。課税関係はクリアだったと信じており、国による後出しじゃんけんは許せない。『税金が安い』と推奨してきたコンサル会社の罪も大きい」と憤る』、「「信託型SOはもともと課税関係がグレーだった。今回の件を機に抜け道がふさがれたのはよかった」と指摘」、「『税金が安い』と推奨してきたコンサル会社の罪も大きい」と憤る」、なるほど。
・『SOの環境整備では一歩前進  立場によって見方は分かれるが、国税庁は説明会当日、日本のスタートアップにとって追い風となるSOの環境整備策も公表している。それは一定の要件を満たすことで、税制の優遇措置を受けることができる「税制適格SO」の行使時における新たな株価算定ルールだ。 従来は明確な算定式がなく保守的な運用が行われていたが、新ルールによって、20%の譲渡益課税のみで済む税制適格SOが発行しやすくなる。信託型SOの特長だった低い行使価格で、税制適格SOを発行できるメリットが生まれる。 自社でも信託型SOを発行していたフォースタートアップスの志水雄一郎社長は、「株価算定ルールが新しくなったのは画期的。既存の信託型SOを新しくして、税制適格SOの仕組みにつくり直すところが多くなるだろう」と予測する。 SOの環境整備をめぐっては、政治による後押しも進む。自民党は5月に公表した提言で、株主総会の決議事項であるSOの行使期間や期間に関する承認を取締役会に委任できるよう会社法を改正することなどを求めた。政府の側も、使い勝手のよいSOの制度設計はスタートアップの人材獲得力向上に欠かせないという意識を持っている。 「国税ショック」を機に、日本のスタートアップの活性化に弾みをつけられるか』、「日本のスタートアップにとって追い風となるSOの環境整備策も公表している。それは一定の要件を満たすことで、税制の優遇措置を受けることができる「税制適格SO」の行使時における新たな株価算定ルールだ」、「「株価算定ルールが新しくなったのは画期的。既存の信託型SOを新しくして、税制適格SOの仕組みにつくり直すところが多くなるだろう」と予測する」、こんな「優遇措置」も出していたようだ。
タグ:「約800社に及ぶとされる信託型SOの発行企業には突如、追加の税負担が生じることとなった」、大変な混乱だ。 東洋経済オンライン「国税ショックに揺れるスタートアップの報酬制度 ストックオプション課税で予想外の「見解」」 「幸運をつかむか逃すかは、VCの市場規模を理解する能力、発展途上の新市場でテクノロジーの果たす役割について創造的に考える能力によって決まるのだ」、いずれも、そんなに容易いことではないようだ。 「ほとんどのVCは、データベース市場を狙うスタートアップには大企業を築くのに十分な規模の市場があるので、もし成功すれば投資のホームランになると考えるだろう」、なるほど。 「このビジネスで成功を収めるためには、リスクを回避してはいけない」、なるほど。 スコット・クポール氏の著書『VCの教科書』 スコット・クポール氏による「VCが決してやってはいけない3つの致命的ミス 「チームも製品も素晴らしい」だけでは足りない」 東洋経済オンライン (その8)(VCが決してやってはいけない3つの致命的ミス 「チームも製品も素晴らしい」だけでは足りない、国税ショックに揺れるスタートアップの報酬制度 ストックオプション課税で予想外の「見解」) スタートアップ 「従来この信託型SOは、SOの行使時に給与所得課税は行われず、株式売却時の譲渡益課税のみになるとの見方が広がっていた。 ところが国税庁が示した見解に沿えば、役職員が信託型SOを行使した時点で、給与所得として最大55%の課税がなされる。20%の譲渡益課税が生じる前の時点で、キャッシュインなき課税が発生する。 SOの行使と株式の売却でキャピタルゲインを得て20%の納税をすでにしていても、過去5年にさかのぼり、給与所得として追徴課税される。年収4000万円を超えていた場合は、最高税率55%が課せられる」、 「コンサルティング会社など」の見方を勝手に信じていたのが悪いともいえる。 「「信託型SOはもともと課税関係がグレーだった。今回の件を機に抜け道がふさがれたのはよかった」と指摘」、「『税金が安い』と推奨してきたコンサル会社の罪も大きい」と憤る」、なるほど。 「日本のスタートアップにとって追い風となるSOの環境整備策も公表している。それは一定の要件を満たすことで、税制の優遇措置を受けることができる「税制適格SO」の行使時における新たな株価算定ルールだ」、 「「株価算定ルールが新しくなったのは画期的。既存の信託型SOを新しくして、税制適格SOの仕組みにつくり直すところが多くなるだろう」と予測する」、こんな「優遇措置」も出していたようだ。
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