薬物(その3)(マッキンゼーが加担した「不正」驚愕の全容 大量の中毒死招いたオピオイド販促を後押し、日本人が知らない「大麻」が違法薬物になった理由 栃木県の大麻農家を訪れる昭和天皇の写真も、日本が「大麻解禁」を検討し始めた深刻な理由とは) [社会]
薬物については、昨年2月12日に取上げた。今日は、(その3)(マッキンゼーが加担した「不正」驚愕の全容 大量の中毒死招いたオピオイド販促を後押し、日本人が知らない「大麻」が違法薬物になった理由 栃木県の大麻農家を訪れる昭和天皇の写真も、日本が「大麻解禁」を検討し始めた深刻な理由とは)である。
先ずは、昨年12月11日付け東洋経済オンラインが転載したThe New York Times「マッキンゼーが加担した「不正」驚愕の全容 大量の中毒死招いたオピオイド販促を後押し」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/395167
・『麻薬入りの医療用鎮痛剤オピオイドの中毒問題に加担したとの批判が強まる中、コンサルティング大手マッキンゼーは製薬企業パーデュー・ファーマに対するコンサルティングは自社の基準を満たしていなかったことを認め、徹底的な内部調査を行うと発表した。証拠文書が削除された可能性も調査するという。同社としては異例の対応といえる。 世界で最も権威あるコンサルティング会社マッキンゼーが強烈な批判にさらされるきっかけとなったのは、ニューヨーク・タイムズによる11月の報道だ。マッキンゼーはパーデューの医療用鎮痛剤「オキシコンチン」の販売を「ターボがかかったように加速させる」方法を検討し、過剰摂取となる量のオキシコンチンを患者に販売した医薬品販売業者にリベートを支払うよう提案していた、とニューヨーク・タイムズは報じた。 これを受けて民主、共和両党の議員からはマッキンゼーに対する調査を求める声があがっている。マッキンゼーに勤務する有力な医師も、実態を把握していた取締役は辞職するべきだと語った』、超一流コンサルティング・ファームとしては、信じ難いような不祥事だ。
・『証拠書類隠滅の疑いも パーデューの破産手続きに関連して最近提出された文書によると、マッキンゼーの2人のシニアパートナーはパーデューに関連した文書を破棄するかどうか話し合っていた。マッキンゼーが自社の過ちを認めることはほとんどなく、オピオイドの販売促進でパーデューを手助けした件でも同社は自らの責任を認めたわけではない。 極めて中毒性の高いオピオイド系鎮痛剤をめぐっては、数十万人規模での乱用が社会問題となっていたにもかかわらず、だ。マッキンゼーはオピオイド事業についてはクライアントへの助言を世界的に停止し、「オピオイド関連の調査」にも協力していると明かした。 マッキンゼーは12月5日、ウェブサイト上で発表した声明にこう記した。「オピオイド危機のさなかに弊社がクライアントに提供していたサービスを顧みれば、私たちの社会で広がる中毒問題の大きさや、アメリカで何百万という家庭に与えるオピオイド乱用の深刻な悪影響を、十分には把握していなかったといわざるをえない」。 同社は声明でこう続けた。「問題の事業については徹底的な調査を進めている。その対象には、文書削除の可能性に触れた2018年の電子メールも含まれる。この問題に関する当局の調査には、今後とも全面的に協力していく」。 パーデューは公共医療制度に対する虚偽請求、医師への違法なキックバック支払いなどで刑事告訴され、少し前に罪状を認めている。マッキンゼーは今のところオピオイド事業と関連した告発、告訴は受けておらず、マッキンゼーが提案したリベートによる販売促進プログラムが実行に移されたことを示す証拠もない。 マッキンゼーの広報担当者は、このリベートは販売促進を意図したものではなかったと主張する。マッキンゼーが過剰摂取や乱用を促したとする説はすべて間違っている、と同社は声明で述べた。 「とはいえ、弊社事業を取り巻くさまざまな背景要素や、弊社事業がもたらす影響を考慮する責任があることは認識している。パーデューに提供したサービスは、そうした基準を満たしてはいなかった」 一方のパーデューは今年秋の声明に、オキシコンチンの不適切な販売促進活動について「深く反省しており、責任を認める」と記している。 アメリカ疾病対策センター(CDC)によると、アメリカではオピオイド関連の過剰摂取で1999〜2019年に45万人近くが死亡している。パーデューのオキシコンチンは発売当時、市場に出回っている処方薬の鎮痛剤の中でも最も中毒性の高い製品の1つだった』、「オピオイド関連の過剰摂取で1999〜2019年に45万人近くが死亡」、「オキシコンチンは発売当時、市場に出回っている処方薬の鎮痛剤の中でも最も中毒性の高い製品の1つだった」、にも拘らず、「オキシコンチンの不適切な販売促進活動」していたとは言い訳の余地もない。
・『身内からも会社を公然と批判する声 こうした問題が明るみに出たことで、マッキンゼーでは身内からも会社を公然と批判する声があがるようになっている。ここには、かつて同社に在籍した人たちだけでなく、現職の従業員も含まれる。 マッキンゼー所属のディナ・マリー・ピタ医師は11月下旬、多数の同僚に向けた電子メールにこう書いた。会社は「単なる軌道修正ではなく、根本から変わらなければならない」ということが、今回の報道で明らかになった——。 ピタ氏はメールをこう結んだ。「同じ過ちを繰り返さないためには、人材ではなく、組織が変わる必要がある。ただ、この件に関与していた幹部は(患者に)害を与える可能性が大きいことを知りながら共謀した。幹部は(不正に)関与した責任を取らなくてはいけない。巨額の退職金を受け取ることなく、辞職すべきだ」。 あるマッキンゼーの元コンサルタントは、ニューヨーク・タイムズの報道でパーデュー案件を監督していたことが明らかになった2人のシニアパートナーに激怒している。マーティン・エリング氏と医師の資格を持つアーナブ・ガタク氏だ。 2人はオピオイド危機のさなかにオキシコンチンの販売促進に協力しただけでなく、マサチューセッツ州からパーデューおよび同社取締役の一部が告訴されると、文書破棄の可能性についてメールで議論を進めた。 「私の見るところ、この人道に対する罪を強力に手助けすることで、これらのシニアコンサルタントはマッキンゼーという偉大な名前に、もう少しで誰もが恐れる致命的な汚点を残すところだった」。2001〜2003年に同社でアソシエイトとして勤務したエラン・ジマーマン氏は、リンクトインで公開した書簡にこうつづった』、「幹部は(不正に)関与した責任を取らなくてはいけない。巨額の退職金を受け取ることなく、辞職すべきだ」、当然だろう。民事裁判で損害賠償を請求される可能性もあるのではなかろうか。
・『高まる政治的プレッシャー マッキンゼーは議会でも批判の的になっている。共和党所属のジョシュ・ホーリー上院議員(ミズーリ州選出)は12月初旬、文書破棄の有無に加えて、パーデュー関連の案件で得た収益の額など追加の情報を問いただす質問状を、マッキンゼーでグローバル・マネージング・パートナーを務めるケビン・スニーダー氏宛てに送付。12月15日までに会社として回答するよう求めた。 「マッキンゼーがオピオイド危機を深刻化させる行為に積極的に手を染めていた可能性を考えると、コンサルティング会社に違法行為を報告する義務を課したり、連邦犯罪に関与したコンサルタントに特別な刑事罰を与えたりすることを議会として検討しなくてはならない」とホーリー氏は記した。 民主党所属のブライアン・シャッツ上院議員(ハワイ州選出)は、11月のニューヨーク・タイムズの報道を受けて、すぐさまこうツイートした。「次期司法長官がこのような犯罪者を1人残らず追及することは極めて重要だ」。 ニュージャージー州のフィル・マーフィー知事(民主党所属)は11月、マッキンゼーがパーデューに行った助言、中でも患者がオキシコンチンを過剰摂取した場合に、CVSのようなドラッグストアなどにリベートを支払うという提案は「常軌を逸している」と報道陣に語った。ただ、その一方で同知事は、同州とマッキンゼーとの多岐にわたるビジネス関係は維持するとした。 ニューヨーク・タイムズはエリング、ガタクの両氏にコメントを求める電子メールを送ったが、返答はなかった。エリング氏はマッキンゼーが多数の製薬企業のために巨大なオフィスを構えるニュージャージー州を何年にもわたって拠点としてきた。 こうした製薬企業の中には、マッキンゼーのクライアントの中でも最大級のものがいくつか含まれる。ところが、同社のウェブサイト上で最近更新されたエリング氏のプロフィールを見ると、バンコクに転勤となったようだ。マッキンゼーの中では、タイの市場規模は比較的小さい。 一方、2000年からマッキンゼーのシニアパートナーを務め、ニュージャージー州での勤務歴もあるガタク氏は、ペンシルベニア大学で医学博士号を取得している。同氏はマッキンゼーで、発展途上国における医療ケア水準向上の必要性について報告書を執筆していた』、「エリング氏のプロフィールを見ると、バンコクに転勤となったようだ」、取り敢えず「バンコック」でほとぼりが冷めるのを待つのも知れない。
・『独裁政権も含まれる顧客リスト マッキンゼーについては、独裁政権など物議をかもすクライアントにコンサルティングを提供してきた実態がさまざまな報道で明らかになっている。これを受けて同社は、引き受ける案件の選定基準変更を進めていると明かした。 「コンサルティング業界は調査の対象となる事案をたくさん抱えている。マッキンゼーの名前が取り沙汰されるのが今回で最後だと考えてはならない」。11月、ニューヨーク・タイムズがマッキンゼーの不正を報じた数時間後、北米担当マネージング・パートナー、リズ・ヒルトン・シーゲル氏率いるマッキンゼーの最高経営幹部数名は従業員向けにメモを作成し、そこにこう記した。 「過去を変えることはできないが、過去から学ぶことはできる」』、少なくとも顧客の不正を拡大するようなアドバイスは回避すべきではなかろうか。
次に、6月1日付け東洋経済オンラインが掲載した一般社団法人の大麻博物館による「日本人が知らない「大麻」が違法薬物になった理由 栃木県の大麻農家を訪れる昭和天皇の写真も」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/430218
・『日本人は、稲作より古い1万年以上前から大麻という「農作物」を衣食住に利用してきた。繊維を布や魚網に加工し、茎を屋根材に、種子(麻の実)を食用に、葉を薬に用いるなど、ほんの70年ほど前まで、大麻は日本人にとって非常に身近な存在だったのである。 大麻は、なぜ日本で禁止薬物になったのか? その意外な歴史背景を、書籍『日本人のための大麻の教科書「古くて新しい農作物」の再発見』より一部抜粋・再構成してお届けする。 明治時代以降、海外産の繊維の輸入が増えるに従って、国内産の大麻の生産量は落ち続けていました。しかし、政府は1942年に原麻生産協会を設立し、麻類の増産奨励を行っています。長野県大麻協会が発行した『大麻のあゆみ』には、太平洋戦争当時、全生産量の90%が軍需用だったと記録されています。 敗戦後の1945年、日本はポツダム宣言を受諾し、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の占領下に置かれました。アメリカ軍が主体となったGHQが日本を占領したため、GHQには米軍の印象が強いのですが、本来は11カ国で構成された極東委員会の決定を遂行する機関でした』、「1万年以上前から大麻という「農作物」を衣食住に利用してきた。繊維を布や魚網に加工し、茎を屋根材に、種子(麻の実)を食用に、葉を薬に用いるなど、ほんの70年ほど前まで、大麻は日本人にとって非常に身近な存在だった」、「GHQ」がこれを変えたのだろうか。
・『日本初の「大麻取扱事件の摘発者」とは? 同年10月12日、GHQは「日本に於ける麻薬製品および記録の管理に関する件」という覚書(メモランダム)を発行しました。麻薬の定義は「あへん、コカイン、モルヒネ、ヘロイン、マリファナ(カンナビス・サティバ・エル)、それらの種子と草木、いかなる形であれ、それらから派生したあらゆる薬物、あらゆる化合物あるいは製剤を含む」とされ、当時の厚生省はこの指令に基づき11月24日、厚生省令第四六号「麻薬原料植物の栽培、麻薬の製造、輸入及輸出等禁止に関する件」を交付しました。 しかし、日本人はこの時点でもまだ戦前と同様、「マリファナとはインド大麻(※1930年に制定された麻薬取締規則において、日本の大麻(繊維型)と区別するために、海外の大麻(薬用型)が「インド大麻」として規制された)のことであり、農作物としての大麻は無関係である」と考えていました。そのため1946年春から夏にかけて、例年どおりに大麻の栽培は行われていました。 ところが、1946年にある事件が起こります。GHQの京都軍政部により、京都府で栽培されていた大麻が発見され、農家2名を含む4名の民間人がGHQの命令違反で検挙されたのです。不運にも、彼らが日本の大麻取扱事件の初の摘発者となりました。 京都府は麻薬採取の目的ではなかったことを訴え、京都大学薬学科、刈米・木村両博士の鑑定書を添付し、インド大麻ではないことを証明しようとしました。しかし、関係者の努力は実らず、「その栽培の目的如何にかかわらず、また麻薬含有の多少を問はず、その栽培を禁止し、種子を含めて本植物を絶滅せよ」との命令が下されたのです。 占領期とはいえ、「植物を絶滅せよ」という命令は常軌を逸しているとしか思えません。この状況を放置しておけば、衣料や漁網などの生活用品を生産できなくなります。専業の大麻農家も少なくなかったため、数万人規模で農家の困窮が起きます。さらに、大麻の種子はお盆を越すと発芽率が著しく悪くなるため、一年以上この状況が続いて発芽する種子が激減すれば、大麻農業は壊滅的な打撃を受ける危険がありました。 こうした報告を受け、占領下にあった政府はGHQへの事情説明と折衝を続けました。農林省は1946年11月に農政局長名で、終戦連絡事務局(GHQとの折衝を担当する機関)に大麻の栽培許可を要望しています。全面的な禁止を回避し、「農作物としての大麻」を守ろうとしたのです。 国を挙げての再三にわたる折衝の結果、1947年2月、連合軍総司令官より「繊維の採取を目的とする大麻の栽培に関する件」という覚書が出され、一定の制約条件の下、大麻栽培が許可されました。制約とは、栽培許可面積を全国で5000町歩とし、栽培許可県を青森、岩手、福島、栃木、群馬、新潟、長野、島根、広島、熊本、大分、宮崎県に限るというものです。 このときに初めて、日本の大麻を規制する厚生・農林省令第一号「大麻取締規則」が制定されたのです。法制定に関わった元内閣法制局長官の林修三氏はのちの1965年「時の法令530号」で、「先方は、黒人の兵隊などが大麻から作った麻薬を好むので、ということであったが、私どもは、なにかのまちがいではないかとすら思ったものである」と語っているほどです』、日米間の考え方には大きな開きがあったようだ。
・『昭和天皇と大麻 同年9月、昭和天皇が栃木県国府村(現・栃木市国府町)を訪問されています。「国府村農協組合にて大麻製造御高覧」という説明文がついた写真が残っていますが、ご訪問の真意はわかっていません。国府町で伺った話によると、大麻農業の存続を危惧して動揺する農民たちを、「これからも大麻はつくれるから、安心してください」と励ますためだったとされています。 生物学者であり、植物にも造詣が深かった昭和天皇の有名な言葉に「雑草という草はない。どんな植物でも、みな名前があって、それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる。人間の一方的な考え方でこれを雑草と決めつけてしまうのはいけない」というものがあります。占領下におけるGHQの命令に、心を痛めておられたのではないでしょうか。 その後、大麻の取り締まりを強化するため、前年までの取締規則を法制化するようGHQから要請があり、1948年7月10日に「大麻取締法」が制定されました。同時に「麻薬取締法」が制定されましたが、これは農家が取り扱う従来の農作物としての大麻と、医師などが取り扱う麻薬類を分けるための措置でした。 この法律の最も大きな問題と考えられる点を紹介します。それは、通常の法律は「総則」の冒頭に制定の「目的」が書かれるのですが、なぜか大麻取締法にはこの目的が書かれていないまま70年以上が経過しているという点です。 このため、そもそも農家を保護するための苦肉の策だったものが、いつの間にか大麻事犯を取り締まる法律へと変化しているのです。 また、日本が主権を回復した際には、大麻取締法の廃止が前提条件となっていました。1952年、サンフランシスコ講和条約が発効され、日本の主権が回復し、占領時の法制について再検討が行われます。大麻取締法の廃止は優先順位が高く、内閣法制局は少なくとも栽培免許制の廃止を行うよう働きかけました。厚生省も同様に取締法の廃止の必要性を認めていたものの、決定には至らず、見送られることになったのです。 ここまで、大麻取締法が制定されるまでの流れを時系列で追いかけました。強調しておきますが、大麻取締法は本来、「農作物としての大麻」を守り抜こうとした結果でもあるのです。 大麻取締法が制定された1948年、大麻栽培の免許取得者数は2万3902人でした。その数は意外なことに年々増加し、1954年には3万7313人となっています。増加の要因は戦後の復興需要に伴うもので、1950年に発行された『実験麻類栽培新編』によると、当時の大麻繊維の利用先は下駄の芯縄52%、畳経糸32%、漁網12%、荷縄4%でした』、「昭和天皇の有名な言葉に「雑草という草はない。どんな植物でも、みな名前があって、それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる。人間の一方的な考え方でこれを雑草と決めつけてしまうのはいけない」」、味わい深い言葉だ。「大麻取締法は本来、「農作物としての大麻」を守り抜こうとした結果でもあるのです」、なるほど。
・『ターニングポイントは「1961年」の国連条約 しかし、1954年を境に免許取得者は減少に転じ、1964年には7042人、1974年には1378人まで激減。その要因は高度経済成長期の生活スタイルの急激な変化です。化学繊維の普及も進んだことから、それまでは大麻でなければ担えなかった需要が、急速に失われていったのです。 また、この間の国際的な動きに、1961年に国連が採択した「麻薬に関する単一条約」があります。この条約で大麻が指定されたことから、世界的に大麻への規制圧力が高まりました。日本がこれまでに大麻取締法を廃止できなかった大きな理由は、この条約にあります。
農作物としての需要が激減するなか、1960年代には欧米を中心にベトナム戦争への反対運動などを契機としたヒッピー文化が隆盛し、マリファナ喫煙が流行しました。その影響は大麻を喫煙する習慣がなかった日本にも波及しました。 大麻農業の保護を目的として制定された大麻取締法はいつの間にか「違法な薬物」を取り締まるための法律として機能するようになりました。そして、農作物という側面が忘れ去られた大麻は「ダメ。ゼッタイ。」な存在へと変わっていったのです』、「大麻農業の保護を目的として制定された大麻取締法はいつの間にか「違法な薬物」を取り締まるための法律として機能するようになりました」、「なぜか大麻取締法にはこの目的が書かれていないまま70年以上が経過」、こんないい加減な扱いが背景にあるのかも知れない。
第三に、9月9日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したジャーナリストの矢部 武氏による「日本が「大麻解禁」を検討し始めた深刻な理由とは」を紹介しよう。
・『世界的に広がる合法大麻ビジネス 日本では非合法薬物として禁止されている大麻だが、世界はいま、「グリーンラッシュ」と呼ばれる「合法大麻」ビジネスが活況を呈している。 合法大麻は使途によって、病気の治療に使用される「医療用」、繊維や建材、食品などに使われる「産業用」、そして「嗜好(しこう)用」に分かれるが、北米や欧州、アフリカ、中南米、アジアなど世界各国はこれらを続々と解禁・合法化し、経済成長しているのである。 このような海外の状況に影響を受けたのか、厚生労働省は今年1月、有識者検討会を立ち上げ、医療用大麻の解禁と大麻使用罪の創設を含めた大麻取締法の改正を検討し始めた。そして6月にこれらを明記した検討会の報告書を発表し、来年の法改正をめざす考えを示した。 はたして日本も、医療用大麻を合法化するのだろうか。 この質問に答える前にまず、医療用大麻をすでに合法化している世界47カ国の中で、日本と地理的にも文化的にも近いアジアの韓国やタイなどの状況を紹介し、アジアの「合法大麻」市場の将来の可能性を探ってみたい』、「医療用大麻の解禁」を「検討し始めた」、漸く思い腰を上げたようだ。
・『タイでは700以上の診療所が大麻治療を開始 2019年2月に東南アジアで初めて医療用大麻を合法化したタイでは、医師の処方箋があれば患者は大麻由来の医薬品や乾燥大麻を使用することが可能となった。 タイ国内では現在、758の病院・診療所に医療用大麻を処方する許可が与えられ、約700の大麻業者に生産・加工・販売のライセンスが付与されているが、同時に嗜好目的の乱用を防ぐための対策も行われている。 たとえば、医療用大麻を使用できる条件として、がん、てんかん、糖尿病、緑内障、パーキンソン病、リウマチ、統合失調症、高血圧、PTSD、中毒離脱症状など38の病気・症状を持つ患者に限定し、処方は政府の許可を受けた病院、診療所のみが行うことになっている。 これらはインターネットで検索できるので、患者は最寄りの診療所を見つけて予約することが可能だ。 実はタイでは1934年の麻薬取締法によって禁止されるまで大麻は薬として使われ、伝統代替医療でハーブなどと一緒に大麻の葉が使用されていた。そのため、現在も大麻に親しみを持つ人は少なくなく、紅茶や料理に大麻の葉を入れて写真を撮り、SNSに投稿して盛り上がっている患者もいるという。 タイ政府は医療用大麻ビジネスを経済成長にとって重要と位置づけ、将来的には大麻治療を国内のタイ人だけでなく、外国人観光客も利用できるように「医療用大麻ツーリズム」の準備を進めている。 政府の担当閣僚は、「タイは多くの外国人にとって有名な観光地だが、医療用大麻ツーリズムはもう一つの大きな魅力になるだろう」と話している。 開始まであと数年かかるとされるが、実現されれば日本の患者もタイへ行って治療を受け、病気が治ったり、改善したりという人が出てくるかもしれない。 タイではまた、新規の大麻産業を育成するための試みも行われている。 2019年10月、大麻業界専門のコンサルタント会社「エレベーテッド・エステート(EE)」はバンコクのリゾート地で、国内の大麻企業関係者と海外の大麻専門家や投資家などを招き、大麻ビジネス国際会議「カンナビス(大麻)・エキスポ2019:アジアのグリーンラッシュ」を開催した。 国内の大麻企業関係者にビジネスのノウハウを学んでもらい、同時に海外の企業関係者や投資家にタイでのビジネスチャンスを探ってもらうのが主な目的だという。 EEの創業者兼CEOのチョクワン・キティ・チョパカ氏は、タイが医療用大麻を合法化した意義についてこう話す。 「大麻の医療使用と研究を認める決定をしたことは、以前は違法だった薬物に対するタイ社会の受容と世界的地位の向上に向けた変化を表しています。大麻が“エッセンシャルな経済作物”となり、経済成長を促し、同時に研究・医療・娯楽の面で人々に利益をもたらすことは今やリアルの可能性です」 タイの医療用大麻市場は2024年に200億バーツ(約680億円)規模になると推定されている』、「タイの医療用大麻市場は2024年に200億バーツ(約680億円)規模になると推定」、「タイ」であれば、外国人観光客の集客にも寄与しそうだ。
・『東アジアでは韓国が医療用大麻を合法化 タイとほぼ時を同じくして、韓国も医療用大麻を合法化した。 2018年7月、韓国の食品医薬品安全省(MFDS)は「治療の選択肢を広げるため」として、がん、てんかん、エイズ、多発性硬化症などの患者に大麻由来の医薬品の使用を認める決定をした。そして11月に国会が大麻の医療使用を認める麻薬取締法(NCA)の改正案を可決し、翌19年3月に合法化した。 韓国は大麻由来のてんかん治療薬「エピディオレックス」、多発性硬化症治療薬「サティベックス」、抗がん剤治療の吐き気止めやエイズの消耗症候群の治療薬「マリノール」「セサメット」などを海外から輸入し、患者に提供している。 韓国の合法化はタイと異なり、乾燥大麻の使用を認めていない。また、使用できる医薬品も限られているため、患者の支援団体などから、「もっと幅広い使用を認めてほしい」との要望が出ているという。 しかし、厳しい大麻禁止政策を続けてきた韓国が東アジアで初めて医療用大麻を合法化したのは「画期的」として、世界の合法大麻市場からは驚きをもって受け止められている』、「韓国」が「がん、てんかん、エイズ、多発性硬化症などの患者に大麻由来の医薬品の使用を認める決定」、「大麻由来の医薬品」は想像以上に幅広いようだ。
・『フィリピンやマレーシアでも合法化への動きが加速 タイや韓国で起きたことは他のアジアの国々にも影響を与え、合法化に向けた動きが活発化している。 フィリピンは2019年1月、議会下院がてんかん、多発性硬化症、関節炎などの患者に大麻使用を認める「思いやりのある医療用大麻法(CMCM)」法案を可決した。上院では否決されたものの、その後再提出され、審議は現在も継続されている。元大統領で下院議長も務めたグロリア・アロヨ氏をはじめ有力議員の多くが法案を強く支持しており、合法化される可能性は高いとみられる。 合法化による経済的なメリットも重要視されている。タガログ語と英語が公用語のフィリピンは、カナダや米国など英語圏のサプライチェーン(製品の調達・流通・販売など)と強いつながりを持つため、医療用大麻を合法化すれば国内だけでなく、海外との取引による収益増加が期待できるというのである。 また、マレーシアはアジアの中でも特に厳しい大麻禁止政策をとってきたことで有名だが、実は最近、閣僚が政策見直しを示唆する発言を行った。 2019年6月、ズルキフリ・アフマド保健大臣(当時)が「過去40年間に及ぶ薬物戦争(厳しい薬物禁止政策)は失敗だった」と認め、「薬物の非犯罪化と、医療用大麻の合法化が必要となるだろう」と述べたのである。 マレーシアは2018年にがん患者など数百人に大麻オイルと乾燥大麻を販売した男性に死刑判決が下され、当時のマハティール・モハマド首相が判決の撤回を求めるなど大きな論争を巻き起こした。 皮肉なことにこれをきっかけに大麻犯罪に対する死刑判決の廃止と危険薬物法(DDA)の改正による医療用大麻の合法化を求める声が一気に高まった。その結果、政府関係者や国会議員、イスラム教徒活動家などが大麻解禁についての議論を積極的に行うようになったのである。 医療用大麻の啓発活動などを行っているNPO団体「大麻に関するマレーシア意識向上協会(MASA)」のハリッシュ・クマール代表は、「医療用大麻の合法化は2~5年くらいの間に実現するだろう」と言う。 この他、インド、スリランカ、ネパールなどでも合法化への動きが活発化している』、「医療用大麻の合法化」の波はずいぶん広がりを見せているようだ。
・『急成長が期待されるアジアの医療用大麻市場 国際的な大麻関連業界向けのコンサルティング会社「プロヒビッション・パートナーズ(PP)」は、「アジアの医療用大麻市場は2024年までに58億ドル(約6380億円)になる」と予測している。 その大きな理由とされているのは、アジアで急速に進行している高齢化による医療費増大の問題である。つまり、高齢者特有のさまざまな病気の治療に効果的とされる医療用大麻を合法化することで、各国は医療費を抑制でき、同時に合法大麻市場の成長を期待できるというわけだ。 米国の経済ニュース専門チャンネルのCNBCは、「アジアで勢いを増す医療用大麻市場」(2019年7月14日)と題するリポートのなかで、世界一高い日本の高齢化率や医療費増大の問題について触れ、「日本は医療用大麻の巨大な消費市場になる可能性が高い」と報じた。 もちろん日本が医療用大麻を解禁した場合の話だが、その可能性が高くなってきたことは冒頭でも述べた。 CNBCはまた、約14億の人口を抱える中国についても今後高齢化が急速に進むことが予想され、将来の医療用大麻の巨大市場になる可能性があることを指摘した。 中国はこれまでアヘン戦争のトラウマもあって、精神活性作用のある成分THC(テトラヒドロカンナビノール)を含む医療用大麻の使用を禁止してきた。 しかし、CNBCの報道によれば、最近、医療用大麻への関心が高まり、政府の支援を受けて研究調査が積極的に行われているという。そして、2018年11月に香港で開催された「カンナビス(大麻)投資家シンポジウム」に中国の投資家が多く参加していたそうだ。 アジアの医療用大麻市場の急成長が期待されるもう一つの理由は、マレーシアのように厳しい大麻禁止政策を進めてきた国がそれを見直し、医療用大麻を合法化するケースが増えると予想されていることである』、「中国はこれまでアヘン戦争のトラウマもあって・・・医療用大麻の使用を禁止してきた」、「しかし・・・最近、医療用大麻への関心が高まり、政府の支援を受けて研究調査が積極的に行われている」、なるほど。
・『日本でも厚労省が医療用大麻の解禁を検討 日本でも厚生労働省が医療用大麻の解禁を含む大麻取締法の改正を検討し始めたことは先述したが、そのきっかけとなったのは2019年4月に行われた参議院の国会質疑である。 そこで、医師でもある秋野公造議員(公明党)が大麻由来のてんかん治療薬「エピディオレックス」の日本での使用の可能性について質問したのに対し、厚労省の担当者が「研究者である医師が厚労大臣の許可を受けて輸入した薬を治験の対象とされる薬物として患者に用いることは可能だ」との見解を示したのである。 イギリスの製薬会社「GWファーマシューティカルズ」によって開発されたエピディオレックスは韓国や米国など世界30カ国以上で承認されている。 日本の大麻取締法は大麻由来の医薬品の使用や輸入、治験を禁止しているため、この治験を行うには法改正が必要となる。このようななかで、せっかく法改正を行うのであれば、医療用大麻の全面的な解禁を検討してほしいという声が患者や医療関係者などから出ている。これまでのところ、厚労省はエピディオレックス以外の医薬品を認めるかどうかについてはっきりさせていない。 先述した韓国ではサティベックスやマリノールなども認めているが、日本はどうするのか。また、医療用大麻を合法化した47カ国の多くが認めている乾燥大麻の使用を認めるのかどうかも焦点となるだろう。 医療用大麻はさまざまな病気の治療に効果的とされているが、患者(あるいは病気)によっては乾燥大麻でないと効果を得られないというケースも少なくない。だから、多くの国で医薬品とともに乾燥大麻も認めているのである。 大麻取締法改正のもう一つの柱は、すでに禁止されている所持や栽培に加え、使用そのものを規制する「使用罪」の創設である。 これについては、「大麻解禁が進む世界の流れに逆行する」「使用罪を加えることで乱用を抑制できるという法的根拠が乏しい」「大麻に対する社会的スティグマを助長する」などの反対意見が多く出ている。 また、仮に使用罪が創設されると、精神活性作用のあるTHC入りの医薬品や乾燥大麻の使用を認めるのが難しくなり、医療用大麻の合法化が限定的になってしまう可能性が高くなる。 厚労省には人々の病気の治療や健康増進に役立つような政策を進めてほしいが、まずは、来年の通常国会に提出される予定の大麻取締法の改正案がどういう中身になるのか、注視していく必要がある』、「使用そのものを規制する「使用罪」の創設」、は「医療用大麻を合法化」とバランスを取るためなのだろうか。「医療用大麻の合法化が限定的になってしまう可能性が高くなる」、のであれば、やるべきではないようだ。
先ずは、昨年12月11日付け東洋経済オンラインが転載したThe New York Times「マッキンゼーが加担した「不正」驚愕の全容 大量の中毒死招いたオピオイド販促を後押し」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/395167
・『麻薬入りの医療用鎮痛剤オピオイドの中毒問題に加担したとの批判が強まる中、コンサルティング大手マッキンゼーは製薬企業パーデュー・ファーマに対するコンサルティングは自社の基準を満たしていなかったことを認め、徹底的な内部調査を行うと発表した。証拠文書が削除された可能性も調査するという。同社としては異例の対応といえる。 世界で最も権威あるコンサルティング会社マッキンゼーが強烈な批判にさらされるきっかけとなったのは、ニューヨーク・タイムズによる11月の報道だ。マッキンゼーはパーデューの医療用鎮痛剤「オキシコンチン」の販売を「ターボがかかったように加速させる」方法を検討し、過剰摂取となる量のオキシコンチンを患者に販売した医薬品販売業者にリベートを支払うよう提案していた、とニューヨーク・タイムズは報じた。 これを受けて民主、共和両党の議員からはマッキンゼーに対する調査を求める声があがっている。マッキンゼーに勤務する有力な医師も、実態を把握していた取締役は辞職するべきだと語った』、超一流コンサルティング・ファームとしては、信じ難いような不祥事だ。
・『証拠書類隠滅の疑いも パーデューの破産手続きに関連して最近提出された文書によると、マッキンゼーの2人のシニアパートナーはパーデューに関連した文書を破棄するかどうか話し合っていた。マッキンゼーが自社の過ちを認めることはほとんどなく、オピオイドの販売促進でパーデューを手助けした件でも同社は自らの責任を認めたわけではない。 極めて中毒性の高いオピオイド系鎮痛剤をめぐっては、数十万人規模での乱用が社会問題となっていたにもかかわらず、だ。マッキンゼーはオピオイド事業についてはクライアントへの助言を世界的に停止し、「オピオイド関連の調査」にも協力していると明かした。 マッキンゼーは12月5日、ウェブサイト上で発表した声明にこう記した。「オピオイド危機のさなかに弊社がクライアントに提供していたサービスを顧みれば、私たちの社会で広がる中毒問題の大きさや、アメリカで何百万という家庭に与えるオピオイド乱用の深刻な悪影響を、十分には把握していなかったといわざるをえない」。 同社は声明でこう続けた。「問題の事業については徹底的な調査を進めている。その対象には、文書削除の可能性に触れた2018年の電子メールも含まれる。この問題に関する当局の調査には、今後とも全面的に協力していく」。 パーデューは公共医療制度に対する虚偽請求、医師への違法なキックバック支払いなどで刑事告訴され、少し前に罪状を認めている。マッキンゼーは今のところオピオイド事業と関連した告発、告訴は受けておらず、マッキンゼーが提案したリベートによる販売促進プログラムが実行に移されたことを示す証拠もない。 マッキンゼーの広報担当者は、このリベートは販売促進を意図したものではなかったと主張する。マッキンゼーが過剰摂取や乱用を促したとする説はすべて間違っている、と同社は声明で述べた。 「とはいえ、弊社事業を取り巻くさまざまな背景要素や、弊社事業がもたらす影響を考慮する責任があることは認識している。パーデューに提供したサービスは、そうした基準を満たしてはいなかった」 一方のパーデューは今年秋の声明に、オキシコンチンの不適切な販売促進活動について「深く反省しており、責任を認める」と記している。 アメリカ疾病対策センター(CDC)によると、アメリカではオピオイド関連の過剰摂取で1999〜2019年に45万人近くが死亡している。パーデューのオキシコンチンは発売当時、市場に出回っている処方薬の鎮痛剤の中でも最も中毒性の高い製品の1つだった』、「オピオイド関連の過剰摂取で1999〜2019年に45万人近くが死亡」、「オキシコンチンは発売当時、市場に出回っている処方薬の鎮痛剤の中でも最も中毒性の高い製品の1つだった」、にも拘らず、「オキシコンチンの不適切な販売促進活動」していたとは言い訳の余地もない。
・『身内からも会社を公然と批判する声 こうした問題が明るみに出たことで、マッキンゼーでは身内からも会社を公然と批判する声があがるようになっている。ここには、かつて同社に在籍した人たちだけでなく、現職の従業員も含まれる。 マッキンゼー所属のディナ・マリー・ピタ医師は11月下旬、多数の同僚に向けた電子メールにこう書いた。会社は「単なる軌道修正ではなく、根本から変わらなければならない」ということが、今回の報道で明らかになった——。 ピタ氏はメールをこう結んだ。「同じ過ちを繰り返さないためには、人材ではなく、組織が変わる必要がある。ただ、この件に関与していた幹部は(患者に)害を与える可能性が大きいことを知りながら共謀した。幹部は(不正に)関与した責任を取らなくてはいけない。巨額の退職金を受け取ることなく、辞職すべきだ」。 あるマッキンゼーの元コンサルタントは、ニューヨーク・タイムズの報道でパーデュー案件を監督していたことが明らかになった2人のシニアパートナーに激怒している。マーティン・エリング氏と医師の資格を持つアーナブ・ガタク氏だ。 2人はオピオイド危機のさなかにオキシコンチンの販売促進に協力しただけでなく、マサチューセッツ州からパーデューおよび同社取締役の一部が告訴されると、文書破棄の可能性についてメールで議論を進めた。 「私の見るところ、この人道に対する罪を強力に手助けすることで、これらのシニアコンサルタントはマッキンゼーという偉大な名前に、もう少しで誰もが恐れる致命的な汚点を残すところだった」。2001〜2003年に同社でアソシエイトとして勤務したエラン・ジマーマン氏は、リンクトインで公開した書簡にこうつづった』、「幹部は(不正に)関与した責任を取らなくてはいけない。巨額の退職金を受け取ることなく、辞職すべきだ」、当然だろう。民事裁判で損害賠償を請求される可能性もあるのではなかろうか。
・『高まる政治的プレッシャー マッキンゼーは議会でも批判の的になっている。共和党所属のジョシュ・ホーリー上院議員(ミズーリ州選出)は12月初旬、文書破棄の有無に加えて、パーデュー関連の案件で得た収益の額など追加の情報を問いただす質問状を、マッキンゼーでグローバル・マネージング・パートナーを務めるケビン・スニーダー氏宛てに送付。12月15日までに会社として回答するよう求めた。 「マッキンゼーがオピオイド危機を深刻化させる行為に積極的に手を染めていた可能性を考えると、コンサルティング会社に違法行為を報告する義務を課したり、連邦犯罪に関与したコンサルタントに特別な刑事罰を与えたりすることを議会として検討しなくてはならない」とホーリー氏は記した。 民主党所属のブライアン・シャッツ上院議員(ハワイ州選出)は、11月のニューヨーク・タイムズの報道を受けて、すぐさまこうツイートした。「次期司法長官がこのような犯罪者を1人残らず追及することは極めて重要だ」。 ニュージャージー州のフィル・マーフィー知事(民主党所属)は11月、マッキンゼーがパーデューに行った助言、中でも患者がオキシコンチンを過剰摂取した場合に、CVSのようなドラッグストアなどにリベートを支払うという提案は「常軌を逸している」と報道陣に語った。ただ、その一方で同知事は、同州とマッキンゼーとの多岐にわたるビジネス関係は維持するとした。 ニューヨーク・タイムズはエリング、ガタクの両氏にコメントを求める電子メールを送ったが、返答はなかった。エリング氏はマッキンゼーが多数の製薬企業のために巨大なオフィスを構えるニュージャージー州を何年にもわたって拠点としてきた。 こうした製薬企業の中には、マッキンゼーのクライアントの中でも最大級のものがいくつか含まれる。ところが、同社のウェブサイト上で最近更新されたエリング氏のプロフィールを見ると、バンコクに転勤となったようだ。マッキンゼーの中では、タイの市場規模は比較的小さい。 一方、2000年からマッキンゼーのシニアパートナーを務め、ニュージャージー州での勤務歴もあるガタク氏は、ペンシルベニア大学で医学博士号を取得している。同氏はマッキンゼーで、発展途上国における医療ケア水準向上の必要性について報告書を執筆していた』、「エリング氏のプロフィールを見ると、バンコクに転勤となったようだ」、取り敢えず「バンコック」でほとぼりが冷めるのを待つのも知れない。
・『独裁政権も含まれる顧客リスト マッキンゼーについては、独裁政権など物議をかもすクライアントにコンサルティングを提供してきた実態がさまざまな報道で明らかになっている。これを受けて同社は、引き受ける案件の選定基準変更を進めていると明かした。 「コンサルティング業界は調査の対象となる事案をたくさん抱えている。マッキンゼーの名前が取り沙汰されるのが今回で最後だと考えてはならない」。11月、ニューヨーク・タイムズがマッキンゼーの不正を報じた数時間後、北米担当マネージング・パートナー、リズ・ヒルトン・シーゲル氏率いるマッキンゼーの最高経営幹部数名は従業員向けにメモを作成し、そこにこう記した。 「過去を変えることはできないが、過去から学ぶことはできる」』、少なくとも顧客の不正を拡大するようなアドバイスは回避すべきではなかろうか。
次に、6月1日付け東洋経済オンラインが掲載した一般社団法人の大麻博物館による「日本人が知らない「大麻」が違法薬物になった理由 栃木県の大麻農家を訪れる昭和天皇の写真も」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/430218
・『日本人は、稲作より古い1万年以上前から大麻という「農作物」を衣食住に利用してきた。繊維を布や魚網に加工し、茎を屋根材に、種子(麻の実)を食用に、葉を薬に用いるなど、ほんの70年ほど前まで、大麻は日本人にとって非常に身近な存在だったのである。 大麻は、なぜ日本で禁止薬物になったのか? その意外な歴史背景を、書籍『日本人のための大麻の教科書「古くて新しい農作物」の再発見』より一部抜粋・再構成してお届けする。 明治時代以降、海外産の繊維の輸入が増えるに従って、国内産の大麻の生産量は落ち続けていました。しかし、政府は1942年に原麻生産協会を設立し、麻類の増産奨励を行っています。長野県大麻協会が発行した『大麻のあゆみ』には、太平洋戦争当時、全生産量の90%が軍需用だったと記録されています。 敗戦後の1945年、日本はポツダム宣言を受諾し、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の占領下に置かれました。アメリカ軍が主体となったGHQが日本を占領したため、GHQには米軍の印象が強いのですが、本来は11カ国で構成された極東委員会の決定を遂行する機関でした』、「1万年以上前から大麻という「農作物」を衣食住に利用してきた。繊維を布や魚網に加工し、茎を屋根材に、種子(麻の実)を食用に、葉を薬に用いるなど、ほんの70年ほど前まで、大麻は日本人にとって非常に身近な存在だった」、「GHQ」がこれを変えたのだろうか。
・『日本初の「大麻取扱事件の摘発者」とは? 同年10月12日、GHQは「日本に於ける麻薬製品および記録の管理に関する件」という覚書(メモランダム)を発行しました。麻薬の定義は「あへん、コカイン、モルヒネ、ヘロイン、マリファナ(カンナビス・サティバ・エル)、それらの種子と草木、いかなる形であれ、それらから派生したあらゆる薬物、あらゆる化合物あるいは製剤を含む」とされ、当時の厚生省はこの指令に基づき11月24日、厚生省令第四六号「麻薬原料植物の栽培、麻薬の製造、輸入及輸出等禁止に関する件」を交付しました。 しかし、日本人はこの時点でもまだ戦前と同様、「マリファナとはインド大麻(※1930年に制定された麻薬取締規則において、日本の大麻(繊維型)と区別するために、海外の大麻(薬用型)が「インド大麻」として規制された)のことであり、農作物としての大麻は無関係である」と考えていました。そのため1946年春から夏にかけて、例年どおりに大麻の栽培は行われていました。 ところが、1946年にある事件が起こります。GHQの京都軍政部により、京都府で栽培されていた大麻が発見され、農家2名を含む4名の民間人がGHQの命令違反で検挙されたのです。不運にも、彼らが日本の大麻取扱事件の初の摘発者となりました。 京都府は麻薬採取の目的ではなかったことを訴え、京都大学薬学科、刈米・木村両博士の鑑定書を添付し、インド大麻ではないことを証明しようとしました。しかし、関係者の努力は実らず、「その栽培の目的如何にかかわらず、また麻薬含有の多少を問はず、その栽培を禁止し、種子を含めて本植物を絶滅せよ」との命令が下されたのです。 占領期とはいえ、「植物を絶滅せよ」という命令は常軌を逸しているとしか思えません。この状況を放置しておけば、衣料や漁網などの生活用品を生産できなくなります。専業の大麻農家も少なくなかったため、数万人規模で農家の困窮が起きます。さらに、大麻の種子はお盆を越すと発芽率が著しく悪くなるため、一年以上この状況が続いて発芽する種子が激減すれば、大麻農業は壊滅的な打撃を受ける危険がありました。 こうした報告を受け、占領下にあった政府はGHQへの事情説明と折衝を続けました。農林省は1946年11月に農政局長名で、終戦連絡事務局(GHQとの折衝を担当する機関)に大麻の栽培許可を要望しています。全面的な禁止を回避し、「農作物としての大麻」を守ろうとしたのです。 国を挙げての再三にわたる折衝の結果、1947年2月、連合軍総司令官より「繊維の採取を目的とする大麻の栽培に関する件」という覚書が出され、一定の制約条件の下、大麻栽培が許可されました。制約とは、栽培許可面積を全国で5000町歩とし、栽培許可県を青森、岩手、福島、栃木、群馬、新潟、長野、島根、広島、熊本、大分、宮崎県に限るというものです。 このときに初めて、日本の大麻を規制する厚生・農林省令第一号「大麻取締規則」が制定されたのです。法制定に関わった元内閣法制局長官の林修三氏はのちの1965年「時の法令530号」で、「先方は、黒人の兵隊などが大麻から作った麻薬を好むので、ということであったが、私どもは、なにかのまちがいではないかとすら思ったものである」と語っているほどです』、日米間の考え方には大きな開きがあったようだ。
・『昭和天皇と大麻 同年9月、昭和天皇が栃木県国府村(現・栃木市国府町)を訪問されています。「国府村農協組合にて大麻製造御高覧」という説明文がついた写真が残っていますが、ご訪問の真意はわかっていません。国府町で伺った話によると、大麻農業の存続を危惧して動揺する農民たちを、「これからも大麻はつくれるから、安心してください」と励ますためだったとされています。 生物学者であり、植物にも造詣が深かった昭和天皇の有名な言葉に「雑草という草はない。どんな植物でも、みな名前があって、それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる。人間の一方的な考え方でこれを雑草と決めつけてしまうのはいけない」というものがあります。占領下におけるGHQの命令に、心を痛めておられたのではないでしょうか。 その後、大麻の取り締まりを強化するため、前年までの取締規則を法制化するようGHQから要請があり、1948年7月10日に「大麻取締法」が制定されました。同時に「麻薬取締法」が制定されましたが、これは農家が取り扱う従来の農作物としての大麻と、医師などが取り扱う麻薬類を分けるための措置でした。 この法律の最も大きな問題と考えられる点を紹介します。それは、通常の法律は「総則」の冒頭に制定の「目的」が書かれるのですが、なぜか大麻取締法にはこの目的が書かれていないまま70年以上が経過しているという点です。 このため、そもそも農家を保護するための苦肉の策だったものが、いつの間にか大麻事犯を取り締まる法律へと変化しているのです。 また、日本が主権を回復した際には、大麻取締法の廃止が前提条件となっていました。1952年、サンフランシスコ講和条約が発効され、日本の主権が回復し、占領時の法制について再検討が行われます。大麻取締法の廃止は優先順位が高く、内閣法制局は少なくとも栽培免許制の廃止を行うよう働きかけました。厚生省も同様に取締法の廃止の必要性を認めていたものの、決定には至らず、見送られることになったのです。 ここまで、大麻取締法が制定されるまでの流れを時系列で追いかけました。強調しておきますが、大麻取締法は本来、「農作物としての大麻」を守り抜こうとした結果でもあるのです。 大麻取締法が制定された1948年、大麻栽培の免許取得者数は2万3902人でした。その数は意外なことに年々増加し、1954年には3万7313人となっています。増加の要因は戦後の復興需要に伴うもので、1950年に発行された『実験麻類栽培新編』によると、当時の大麻繊維の利用先は下駄の芯縄52%、畳経糸32%、漁網12%、荷縄4%でした』、「昭和天皇の有名な言葉に「雑草という草はない。どんな植物でも、みな名前があって、それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる。人間の一方的な考え方でこれを雑草と決めつけてしまうのはいけない」」、味わい深い言葉だ。「大麻取締法は本来、「農作物としての大麻」を守り抜こうとした結果でもあるのです」、なるほど。
・『ターニングポイントは「1961年」の国連条約 しかし、1954年を境に免許取得者は減少に転じ、1964年には7042人、1974年には1378人まで激減。その要因は高度経済成長期の生活スタイルの急激な変化です。化学繊維の普及も進んだことから、それまでは大麻でなければ担えなかった需要が、急速に失われていったのです。 また、この間の国際的な動きに、1961年に国連が採択した「麻薬に関する単一条約」があります。この条約で大麻が指定されたことから、世界的に大麻への規制圧力が高まりました。日本がこれまでに大麻取締法を廃止できなかった大きな理由は、この条約にあります。
農作物としての需要が激減するなか、1960年代には欧米を中心にベトナム戦争への反対運動などを契機としたヒッピー文化が隆盛し、マリファナ喫煙が流行しました。その影響は大麻を喫煙する習慣がなかった日本にも波及しました。 大麻農業の保護を目的として制定された大麻取締法はいつの間にか「違法な薬物」を取り締まるための法律として機能するようになりました。そして、農作物という側面が忘れ去られた大麻は「ダメ。ゼッタイ。」な存在へと変わっていったのです』、「大麻農業の保護を目的として制定された大麻取締法はいつの間にか「違法な薬物」を取り締まるための法律として機能するようになりました」、「なぜか大麻取締法にはこの目的が書かれていないまま70年以上が経過」、こんないい加減な扱いが背景にあるのかも知れない。
第三に、9月9日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したジャーナリストの矢部 武氏による「日本が「大麻解禁」を検討し始めた深刻な理由とは」を紹介しよう。
・『世界的に広がる合法大麻ビジネス 日本では非合法薬物として禁止されている大麻だが、世界はいま、「グリーンラッシュ」と呼ばれる「合法大麻」ビジネスが活況を呈している。 合法大麻は使途によって、病気の治療に使用される「医療用」、繊維や建材、食品などに使われる「産業用」、そして「嗜好(しこう)用」に分かれるが、北米や欧州、アフリカ、中南米、アジアなど世界各国はこれらを続々と解禁・合法化し、経済成長しているのである。 このような海外の状況に影響を受けたのか、厚生労働省は今年1月、有識者検討会を立ち上げ、医療用大麻の解禁と大麻使用罪の創設を含めた大麻取締法の改正を検討し始めた。そして6月にこれらを明記した検討会の報告書を発表し、来年の法改正をめざす考えを示した。 はたして日本も、医療用大麻を合法化するのだろうか。 この質問に答える前にまず、医療用大麻をすでに合法化している世界47カ国の中で、日本と地理的にも文化的にも近いアジアの韓国やタイなどの状況を紹介し、アジアの「合法大麻」市場の将来の可能性を探ってみたい』、「医療用大麻の解禁」を「検討し始めた」、漸く思い腰を上げたようだ。
・『タイでは700以上の診療所が大麻治療を開始 2019年2月に東南アジアで初めて医療用大麻を合法化したタイでは、医師の処方箋があれば患者は大麻由来の医薬品や乾燥大麻を使用することが可能となった。 タイ国内では現在、758の病院・診療所に医療用大麻を処方する許可が与えられ、約700の大麻業者に生産・加工・販売のライセンスが付与されているが、同時に嗜好目的の乱用を防ぐための対策も行われている。 たとえば、医療用大麻を使用できる条件として、がん、てんかん、糖尿病、緑内障、パーキンソン病、リウマチ、統合失調症、高血圧、PTSD、中毒離脱症状など38の病気・症状を持つ患者に限定し、処方は政府の許可を受けた病院、診療所のみが行うことになっている。 これらはインターネットで検索できるので、患者は最寄りの診療所を見つけて予約することが可能だ。 実はタイでは1934年の麻薬取締法によって禁止されるまで大麻は薬として使われ、伝統代替医療でハーブなどと一緒に大麻の葉が使用されていた。そのため、現在も大麻に親しみを持つ人は少なくなく、紅茶や料理に大麻の葉を入れて写真を撮り、SNSに投稿して盛り上がっている患者もいるという。 タイ政府は医療用大麻ビジネスを経済成長にとって重要と位置づけ、将来的には大麻治療を国内のタイ人だけでなく、外国人観光客も利用できるように「医療用大麻ツーリズム」の準備を進めている。 政府の担当閣僚は、「タイは多くの外国人にとって有名な観光地だが、医療用大麻ツーリズムはもう一つの大きな魅力になるだろう」と話している。 開始まであと数年かかるとされるが、実現されれば日本の患者もタイへ行って治療を受け、病気が治ったり、改善したりという人が出てくるかもしれない。 タイではまた、新規の大麻産業を育成するための試みも行われている。 2019年10月、大麻業界専門のコンサルタント会社「エレベーテッド・エステート(EE)」はバンコクのリゾート地で、国内の大麻企業関係者と海外の大麻専門家や投資家などを招き、大麻ビジネス国際会議「カンナビス(大麻)・エキスポ2019:アジアのグリーンラッシュ」を開催した。 国内の大麻企業関係者にビジネスのノウハウを学んでもらい、同時に海外の企業関係者や投資家にタイでのビジネスチャンスを探ってもらうのが主な目的だという。 EEの創業者兼CEOのチョクワン・キティ・チョパカ氏は、タイが医療用大麻を合法化した意義についてこう話す。 「大麻の医療使用と研究を認める決定をしたことは、以前は違法だった薬物に対するタイ社会の受容と世界的地位の向上に向けた変化を表しています。大麻が“エッセンシャルな経済作物”となり、経済成長を促し、同時に研究・医療・娯楽の面で人々に利益をもたらすことは今やリアルの可能性です」 タイの医療用大麻市場は2024年に200億バーツ(約680億円)規模になると推定されている』、「タイの医療用大麻市場は2024年に200億バーツ(約680億円)規模になると推定」、「タイ」であれば、外国人観光客の集客にも寄与しそうだ。
・『東アジアでは韓国が医療用大麻を合法化 タイとほぼ時を同じくして、韓国も医療用大麻を合法化した。 2018年7月、韓国の食品医薬品安全省(MFDS)は「治療の選択肢を広げるため」として、がん、てんかん、エイズ、多発性硬化症などの患者に大麻由来の医薬品の使用を認める決定をした。そして11月に国会が大麻の医療使用を認める麻薬取締法(NCA)の改正案を可決し、翌19年3月に合法化した。 韓国は大麻由来のてんかん治療薬「エピディオレックス」、多発性硬化症治療薬「サティベックス」、抗がん剤治療の吐き気止めやエイズの消耗症候群の治療薬「マリノール」「セサメット」などを海外から輸入し、患者に提供している。 韓国の合法化はタイと異なり、乾燥大麻の使用を認めていない。また、使用できる医薬品も限られているため、患者の支援団体などから、「もっと幅広い使用を認めてほしい」との要望が出ているという。 しかし、厳しい大麻禁止政策を続けてきた韓国が東アジアで初めて医療用大麻を合法化したのは「画期的」として、世界の合法大麻市場からは驚きをもって受け止められている』、「韓国」が「がん、てんかん、エイズ、多発性硬化症などの患者に大麻由来の医薬品の使用を認める決定」、「大麻由来の医薬品」は想像以上に幅広いようだ。
・『フィリピンやマレーシアでも合法化への動きが加速 タイや韓国で起きたことは他のアジアの国々にも影響を与え、合法化に向けた動きが活発化している。 フィリピンは2019年1月、議会下院がてんかん、多発性硬化症、関節炎などの患者に大麻使用を認める「思いやりのある医療用大麻法(CMCM)」法案を可決した。上院では否決されたものの、その後再提出され、審議は現在も継続されている。元大統領で下院議長も務めたグロリア・アロヨ氏をはじめ有力議員の多くが法案を強く支持しており、合法化される可能性は高いとみられる。 合法化による経済的なメリットも重要視されている。タガログ語と英語が公用語のフィリピンは、カナダや米国など英語圏のサプライチェーン(製品の調達・流通・販売など)と強いつながりを持つため、医療用大麻を合法化すれば国内だけでなく、海外との取引による収益増加が期待できるというのである。 また、マレーシアはアジアの中でも特に厳しい大麻禁止政策をとってきたことで有名だが、実は最近、閣僚が政策見直しを示唆する発言を行った。 2019年6月、ズルキフリ・アフマド保健大臣(当時)が「過去40年間に及ぶ薬物戦争(厳しい薬物禁止政策)は失敗だった」と認め、「薬物の非犯罪化と、医療用大麻の合法化が必要となるだろう」と述べたのである。 マレーシアは2018年にがん患者など数百人に大麻オイルと乾燥大麻を販売した男性に死刑判決が下され、当時のマハティール・モハマド首相が判決の撤回を求めるなど大きな論争を巻き起こした。 皮肉なことにこれをきっかけに大麻犯罪に対する死刑判決の廃止と危険薬物法(DDA)の改正による医療用大麻の合法化を求める声が一気に高まった。その結果、政府関係者や国会議員、イスラム教徒活動家などが大麻解禁についての議論を積極的に行うようになったのである。 医療用大麻の啓発活動などを行っているNPO団体「大麻に関するマレーシア意識向上協会(MASA)」のハリッシュ・クマール代表は、「医療用大麻の合法化は2~5年くらいの間に実現するだろう」と言う。 この他、インド、スリランカ、ネパールなどでも合法化への動きが活発化している』、「医療用大麻の合法化」の波はずいぶん広がりを見せているようだ。
・『急成長が期待されるアジアの医療用大麻市場 国際的な大麻関連業界向けのコンサルティング会社「プロヒビッション・パートナーズ(PP)」は、「アジアの医療用大麻市場は2024年までに58億ドル(約6380億円)になる」と予測している。 その大きな理由とされているのは、アジアで急速に進行している高齢化による医療費増大の問題である。つまり、高齢者特有のさまざまな病気の治療に効果的とされる医療用大麻を合法化することで、各国は医療費を抑制でき、同時に合法大麻市場の成長を期待できるというわけだ。 米国の経済ニュース専門チャンネルのCNBCは、「アジアで勢いを増す医療用大麻市場」(2019年7月14日)と題するリポートのなかで、世界一高い日本の高齢化率や医療費増大の問題について触れ、「日本は医療用大麻の巨大な消費市場になる可能性が高い」と報じた。 もちろん日本が医療用大麻を解禁した場合の話だが、その可能性が高くなってきたことは冒頭でも述べた。 CNBCはまた、約14億の人口を抱える中国についても今後高齢化が急速に進むことが予想され、将来の医療用大麻の巨大市場になる可能性があることを指摘した。 中国はこれまでアヘン戦争のトラウマもあって、精神活性作用のある成分THC(テトラヒドロカンナビノール)を含む医療用大麻の使用を禁止してきた。 しかし、CNBCの報道によれば、最近、医療用大麻への関心が高まり、政府の支援を受けて研究調査が積極的に行われているという。そして、2018年11月に香港で開催された「カンナビス(大麻)投資家シンポジウム」に中国の投資家が多く参加していたそうだ。 アジアの医療用大麻市場の急成長が期待されるもう一つの理由は、マレーシアのように厳しい大麻禁止政策を進めてきた国がそれを見直し、医療用大麻を合法化するケースが増えると予想されていることである』、「中国はこれまでアヘン戦争のトラウマもあって・・・医療用大麻の使用を禁止してきた」、「しかし・・・最近、医療用大麻への関心が高まり、政府の支援を受けて研究調査が積極的に行われている」、なるほど。
・『日本でも厚労省が医療用大麻の解禁を検討 日本でも厚生労働省が医療用大麻の解禁を含む大麻取締法の改正を検討し始めたことは先述したが、そのきっかけとなったのは2019年4月に行われた参議院の国会質疑である。 そこで、医師でもある秋野公造議員(公明党)が大麻由来のてんかん治療薬「エピディオレックス」の日本での使用の可能性について質問したのに対し、厚労省の担当者が「研究者である医師が厚労大臣の許可を受けて輸入した薬を治験の対象とされる薬物として患者に用いることは可能だ」との見解を示したのである。 イギリスの製薬会社「GWファーマシューティカルズ」によって開発されたエピディオレックスは韓国や米国など世界30カ国以上で承認されている。 日本の大麻取締法は大麻由来の医薬品の使用や輸入、治験を禁止しているため、この治験を行うには法改正が必要となる。このようななかで、せっかく法改正を行うのであれば、医療用大麻の全面的な解禁を検討してほしいという声が患者や医療関係者などから出ている。これまでのところ、厚労省はエピディオレックス以外の医薬品を認めるかどうかについてはっきりさせていない。 先述した韓国ではサティベックスやマリノールなども認めているが、日本はどうするのか。また、医療用大麻を合法化した47カ国の多くが認めている乾燥大麻の使用を認めるのかどうかも焦点となるだろう。 医療用大麻はさまざまな病気の治療に効果的とされているが、患者(あるいは病気)によっては乾燥大麻でないと効果を得られないというケースも少なくない。だから、多くの国で医薬品とともに乾燥大麻も認めているのである。 大麻取締法改正のもう一つの柱は、すでに禁止されている所持や栽培に加え、使用そのものを規制する「使用罪」の創設である。 これについては、「大麻解禁が進む世界の流れに逆行する」「使用罪を加えることで乱用を抑制できるという法的根拠が乏しい」「大麻に対する社会的スティグマを助長する」などの反対意見が多く出ている。 また、仮に使用罪が創設されると、精神活性作用のあるTHC入りの医薬品や乾燥大麻の使用を認めるのが難しくなり、医療用大麻の合法化が限定的になってしまう可能性が高くなる。 厚労省には人々の病気の治療や健康増進に役立つような政策を進めてほしいが、まずは、来年の通常国会に提出される予定の大麻取締法の改正案がどういう中身になるのか、注視していく必要がある』、「使用そのものを規制する「使用罪」の創設」、は「医療用大麻を合法化」とバランスを取るためなのだろうか。「医療用大麻の合法化が限定的になってしまう可能性が高くなる」、のであれば、やるべきではないようだ。
タグ:薬物 (その3)(マッキンゼーが加担した「不正」驚愕の全容 大量の中毒死招いたオピオイド販促を後押し、日本人が知らない「大麻」が違法薬物になった理由 栃木県の大麻農家を訪れる昭和天皇の写真も、日本が「大麻解禁」を検討し始めた深刻な理由とは) 東洋経済オンライン The New York Times 「マッキンゼーが加担した「不正」驚愕の全容 大量の中毒死招いたオピオイド販促を後押し」 超一流コンサルティング・ファームとしては、信じ難いような不祥事だ。 「オピオイド関連の過剰摂取で1999〜2019年に45万人近くが死亡」、「オキシコンチンは発売当時、市場に出回っている処方薬の鎮痛剤の中でも最も中毒性の高い製品の1つだった」、にも拘らず、「オキシコンチンの不適切な販売促進活動」していたとは言い訳の余地もない。 「幹部は(不正に)関与した責任を取らなくてはいけない。巨額の退職金を受け取ることなく、辞職すべきだ」、当然だろう。民事裁判で損害賠償を請求される可能性もあるのではなかろうか。 「エリング氏のプロフィールを見ると、バンコクに転勤となったようだ」、取り敢えず「バンコック」でほとぼりが冷めるのを待つのも知れない。 少なくとも顧客の不正を拡大するようなアドバイスは回避すべきではなかろうか。 大麻博物館 「日本人が知らない「大麻」が違法薬物になった理由 栃木県の大麻農家を訪れる昭和天皇の写真も」 「1万年以上前から大麻という「農作物」を衣食住に利用してきた。繊維を布や魚網に加工し、茎を屋根材に、種子(麻の実)を食用に、葉を薬に用いるなど、ほんの70年ほど前まで、大麻は日本人にとって非常に身近な存在だった」、「GHQ」がこれを変えたのだろうか。 日米間の考え方には大きな開きがあったようだ。 「昭和天皇の有名な言葉に「雑草という草はない。どんな植物でも、みな名前があって、それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる。人間の一方的な考え方でこれを雑草と決めつけてしまうのはいけない」」、味わい深い言葉だ。「大麻取締法は本来、「農作物としての大麻」を守り抜こうとした結果でもあるのです」、なるほど。 「大麻農業の保護を目的として制定された大麻取締法はいつの間にか「違法な薬物」を取り締まるための法律として機能するようになりました」、「なぜか大麻取締法にはこの目的が書かれていないまま70年以上が経過」、こんないい加減な扱いが背景にあるのかも知れない。 ダイヤモンド・オンライン 矢部 武 「日本が「大麻解禁」を検討し始めた深刻な理由とは」 「医療用大麻の解禁」を「検討し始めた」、漸く思い腰を上げたようだ。 「タイの医療用大麻市場は2024年に200億バーツ(約680億円)規模になると推定」、「タイ」であれば、外国人観光客の集客にも寄与しそうだ。 「韓国」が「がん、てんかん、エイズ、多発性硬化症などの患者に大麻由来の医薬品の使用を認める決定」、「大麻由来の医薬品」は想像以上に幅広いようだ。 「医療用大麻の合法化」の波はずいぶん広がりを見せているようだ。 「中国はこれまでアヘン戦争のトラウマもあって・・・医療用大麻の使用を禁止してきた」、「しかし・・・最近、医療用大麻への関心が高まり、政府の支援を受けて研究調査が積極的に行われている」、なるほど。 「使用そのものを規制する「使用罪」の創設」、は「医療用大麻を合法化」とバランスを取るためなのだろうか。「医療用大麻の合法化が限定的になってしまう可能性が高くなる」、のであれば、やるべきではないようだ。
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