金融業界(その11)( みずほ「システム障害」4題:金融庁は異例の措置でガバナンスを問題視 第1回 みずほ「システム障害」が終わらない真因、顧客のセグメント化で「中小企業切り」との批判 第2回「数十年に1度」の営業店改革に顧客の不満爆発、「3メガバンク」の比較だけでは不十分 第3回 12の指標で読み解くみずほの実力と弱点、抜本改革にはトップの外部招聘が必要との声も 第4回 みずほ、システム障害の裏にある根深い「病巣」) [金融]
金融業界については、10月1日に取上げた。今日は、(その11)( みずほ「システム障害」4題:金融庁は異例の措置でガバナンスを問題視 第1回 みずほ「システム障害」が終わらない真因、顧客のセグメント化で「中小企業切り」との批判 第2回「数十年に1度」の営業店改革に顧客の不満爆発、「3メガバンク」の比較だけでは不十分 第3回 12の指標で読み解くみずほの実力と弱点、抜本改革にはトップの外部招聘が必要との声も 第4回 みずほ、システム障害の裏にある根深い「病巣」)である。ただし、第2回以降は後半の有料部分は除いた。
先ずは、10月8日付け東洋経済Plus「金融庁は異例の措置でガバナンスを問題視 第1回 みずほ「システム障害」が終わらない真因」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/28391
・『みずほフィナンシャルグループのシステム障害が止まらない。事態を重く見た金融庁は、検査の途中で業務改善命令を出すという異例の措置に出た。だが、当局が問題視しているのはシステムだけではない。 今のままでは、いつまでたっても障害が収まることはなく、今後、永遠に続くのではないか──。 システムを担当するみずほ銀行の中堅行員は、こんな不吉な“予言”を口にする。 みずほでは、今年2月から9月にかけて、実に8回ものシステム障害が発生。6月には、原因を調査した第三者委員会の報告を受けて抜本的な再発防止策を打ち出したものの、その後も相次いで障害を起こすなど、まさに泥沼の様相を呈している。 中でも影響が大きかったのは、1回目と5回目の障害だ。 1回目の障害では4318台のATMが停止し、カードや通帳が取り込まれる事態が相次いだ。原因となったのは、定期預金のデータ移行作業。2月末という取引集中日にもかかわらず移行作業を行ったため、メモリーが容量不足を起こしてしまったのだ。他行やシステムの関係者は「月末に作業をするなんて考えられない」と呆れ顔で、みずほの甘い考えが招いた障害だった。 8月20日に発生した5回目の障害では、店頭取引が停止した。9時から45分間にわたってすべての店頭取引ができず、融資や外国為替の取引に至っては11時58分まで影響が続くありさまだった。こちらは機器故障が原因だったが、顧客に対する周知の遅さも問題となった。 システムが停止したのが8月19日の午後8時57分。20日未明には、システム担当者に「開店に間に合わない可能性があると連絡がきていた」(システム担当者)にもかかわらず、みずほがホームページにお知らせを掲載したのは午前8時30分と開店のわずか30分前で、あわよくば障害を隠そうとしていたフシがあったからだ。 こうした障害が「永遠に続くのでは」とシステム担当者がみるのにはわけがある。それは、障害の原因を詳細に見ていくとわかる』、「1回目の障害」の原因はソフトウェアや機器ではなく、システム運用の問題だ。「5回目の障害」では「機器故障が原因」だった。「ホームページにお知らせを掲載したのは・・・開店のわずか30分前で、あわよくば障害を隠そうとしていたフシがあった」と非難しているが、故障が回復するのを待っていた可能性があるのではなかろうか。
・『手つかずの古い周辺システム みずほは2019年に新しい勘定系システム「MINORI」を導入。口座や融の残高管理、利息計算などを担う銀行の中核システムで、開発に約8年の歳月と4500億円もの大金を投じた。 だが、実は新しくしたのは勘定系システムのMINORIだけ。ATMや営業店端末などをつなぐ周辺のシステムは、「古い設計のものがいまだに使われている」と前出のシステム担当者は指摘する。 上の図は、複数の関係者への取材を基に、みずほの現行システムの構成と障害が発生した箇所をまとめたものだ。 これを見ると、周辺システムはMINORI開発計画の対象外とされ、手付かずとなっていたことがわかる。MINORIと周辺システムの仕様がマッチしていないことから、MINORI側の停止は防げても、予想に反してATMなど周辺機器やシステムが停止してしまうのだ。 さらに、機器故障の多さも目につく。これは「メーカーの保守期限を超えた機器を、いまだに使用しているから」(前出のシステム担当者)。保守の切れた部品を大量に確保し、壊れたら交換するという方法でしのいでいるといい、中には「保守が切れてから、10年以上使っているものもある」(同)というから、起きるべくして起きた障害と言っても過言ではない』、「周辺システムはMINORI開発計画の対象外とされ・・・MINORIと周辺システムの仕様がマッチしていないことから、MINORI側の停止は防げても、予想に反してATMなど周辺機器やシステムが停止してしまう」、仮に「周辺システム」を残すとしても、「仕様」の「マッチ」には十分に検証すべきだった。「メーカーの保守期限を超えた機器を、いまだに使用している」、には開いた口が塞がらない。
・『システム分野のコストカットが仇に なぜこうした状況を放置してきたのか。背景には、みずほが目下、最重要課題として取り組んでいる経費削減がある。 超低金利が長きにわたるなど昨今の金融環境を鑑みれば収益を劇的に向上させるのは無理な話で、コストカットが喫緊の課題。とくにみずほは3メガの中でも経費率が高く、店舗や人員をはじめとするコストカットに邁進してきた。 中でも、コストカットの圧力をかけられていたのがシステム部門だった。「前年対比で10%程度の予算削減を毎年のように迫られていた」と別のシステム担当者は明かす。システムの維持には、どうしても一定のコストがかかるため、さらに減らすとなれば保守費用を削るしかない。結果的に、保守に十分な手が回らない体制ができあがってしまったわけだ。 削減しているのは予算だけではない。MINORI移行期間に大量投入された人員も、移行完了と同時に大幅に削減されている。 例えばシステム管理を担うみずほリサーチ&テクノロジーズでは、2018年3月末に1051人いたMINORIに関わる人員が2021年3月末には345人まで減少、FGや銀行でも、一定役職以上の人員が76人から65人に減っており、「人事部付で出向待ちのような状態になっている人もいる」(みずほ幹部)という。 しかしシステム分野は、ほかのメガバンク幹部が「銀行にとって最も重要な『基盤』であり、コストカットなどありえない」と指摘するように、ヒトとカネを最も割かなくてはいけない分野。つまりみずほは、システムを軽視し続けてきたわけだ。 こうしたシステム軽視は、障害が続いている現在も変わっていない。システム部門からは、「数十人規模のシステム経験者のリストを作り、人員補充をお願いしている」(システム担当)というが、「検討されている形跡はない」(同)という。こうした現状に、「現経営陣は危機をやり過ごすことに必死で、障害の原因を根本的に解決しようという考えはない」と言い切る行員も少なくない』、「システム分野は、ほかのメガバンク幹部が「銀行にとって最も重要な『基盤』であり、コストカットなどありえない」、とあるが、「コストカット」に聖域などないのが常識で、この表現はいささか誇張が過ぎるようだ。
・『当局の怒りは尋常ではない? 金融庁もこうした状況を把握しており、みずほに対し厳しい目を向けている。その怒りの大きさは、金融検査中の今年9月に業務改善命令を出すという「異例」の措置に表れている。 今年2月からシステム障害をめぐる金融検査に入っていた金融庁は、みずほが再発防止策を発表したことを受けて、8月ごろに業務改善命令を出す準備を進めていた。ところがだ。まさに処分を発表しようとしていた8月20日、みずほは5回目の障害を起こしてしまう。 その後も障害が相次ぎ、止まる気配はまったくない。 この期に及んでみずほが「(新規のサービス展開を含む)能動的なアクションを起こそうとしている」(金融庁幹部)といい、金融庁は「少なくとも今はそういう局面ではない」(同)と怒り心頭。「もうみずほ自身に任せておくことはできない」(同)と異例の改善命令に突き進んだというわけだ。 金融庁からの処分は、今回の改善命令にとどまらないと見られている。今回、わざわざ注意書きまでつけて、「全般的な検証は継続する。その結果を踏まえて、改めて必要な行政対応について検討する」とクギを刺しているためだ。 複数の関係者によれば、この言葉には「システムだけを問題にしているわけではない」という意味が隠されているという。金融庁がシステム障害の原因として「3行が合併してから今に至るまで培われてきた組織風土やガバナンスにある」と見ているというのだ。 みずほは当初、みずほ銀行の藤原弘治頭取の首を差し出すことで事態の収拾を図ろうとした。しかし金融庁は、これにストップをかける。「人事は当事者が判断する話。ただ、その判断の理由が世の中に納得のいく形でないといけない」(金融庁幹部)。つまり、根本的な問題解決を図らずに首にすることでお茶を濁すようなことは許さないというわけだ。 金融庁は「一個人の適性には着目していない」(前出の金融庁幹部)という。また、「社外取締役を含めた、組織としてガバナンス体制が機能しているかが重要」としており、それを聞いた他のメガバンク幹部は「組織をゼロから作り直すかのような、再出発を図れとのメッセージなのではないか。金融庁の怒りが尋常でないことの表れだろう」と解説する。 「免許制の銀行にとって、金融庁のいうことはある意味、絶対。しかしみずほは金融庁とのコミュニケーションが取れていなかったことに加え、変に前向きなところがあって『話せばわかってもらえる』とどこか舐めていたフシがある。そうした対応が金融庁の怒りに油を注いでしまったのだろう」(他のメガバンク幹部) 事実、坂井辰史FG社長が事情を説明しようと金融庁の中島淳一長官に面会を申し込んでも拒むほど。最近になってようやく面会できたというが、「金融庁の意図を理解できないみずほに、行動をもってわからせようという意思の表れではないか」(同)とみられている。 まさに窮地に陥るみずほだが、問題はシステムやガバナンス面だけではない。「みずほ 解けない呪縛」の第2回ではビジネス面からみずほが直面する問題について見ていく』、検査の最中に「異例の改善命令に突き進んだ』要因の1つに、「みずほが「(新規のサービス展開を含む)能動的なアクションを起こそうとして」いたとは、初めて知ったが、確かにみずほの正気を疑いたくなるような有様だ。「金融庁の怒りに油を注いでしまった」のも当然だ。
次に、この続き「顧客のセグメント化で「中小企業切り」との批判 第2回「数十年に1度」の営業店改革に顧客の不満爆発」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/28392
・『システム障害の終わりが見えない中、みずほは営業店の大改革を始めた。しかしそのタイミングや内容に、顧客からは不満が噴出している。 「久しぶりにみずほの支店に行ったら、『法人の取引はできない』と門前払いされた」 都内で中小企業を営む社長は憤りを隠さない。この社長が通っていたみずほ銀行の支店が突如、個人に特化した店舗に変わってしまったからだ。 社長は「別の支店を案内されたが、3駅も先。しかも予約が必要と言われ、その日は受け付けてもらえなかった」と嘆き、「これからは、みずほに合わせてスケジュールを組まなければならなくなった。急に出入金しなければならないときはどうすればいいんだ」とため息をつく。 この社長のように、支店で対応してもらえればまだいいほう。より小さな企業に対しては、「今後、支店での対応ではなく、リモートで対応するという手紙が届いた」(40代の男性経営者)というのだ。この男性は「みずほは、われわれのような小さくて儲からない客はいらないということだろう」と、取引銀行の変更を検討しているという』、「法人の取引」については、超大企業はみずほコーポレート銀行が、それ以外をみずほ銀行が担当していたのが、ワンミズホで両行が合併した経緯がある。この間、他のメガバンクは、企業取引は各支店の法人営業部
が、個人取引を支店が担当するように営業体制を再編成した。みずほの場合、漸く再編成を始めたが、取引先への根回しなどが不十分で混乱したようだ。
・『拙速な改革に戸惑う現場 このように、最近、みずほ銀行の営業体制に対する批判が相次いでいる。原因は、みずほフィナンシャルグループ自ら「数十年に1度」と評する大規模な営業店改革だ。 改革の詳細は後述するが、みずほは2021年5月から、新しい営業店体制を導入した。一言でいえば、法人・個人双方の取引すべてができるフルバンキング型の店舗から、顧客属性に合わせた店舗の体制に移行したのだ。 だが、その移行はあまりにも拙速だった。当初、移行は4月に予定されていたが、相次ぐシステム障害によって延期。「障害の解決には時間を要するため、改革は早くても来年というのが支店の共通認識だった」(営業担当の20代行員)。 ところが蓋を開けてみれば、延期の期間はわずか1カ月で5月から移行しろとの命が下る。「システム障害に関して不安に思う顧客が多く、お詫びに走り回っていたのに、そんなタイミングで営業店の移行も実行するなんて。大慌てで顧客の元に出向いて説明に回っているが、上は何を考えているのか」(同)と行員たちも困惑している。 混乱のしわ寄せは、当然顧客に向かう。結果、いきなりの店舗改革に顧客の不満が爆発しているというわけだ』、顧客へ十分に説明して、納得を得たかを確認すらしなかったようだ。
・『内部資料が示す改革の全貌 今、手元にみずほがまとめた「新営業店体制業務運営マニュアル」と題した文書(上写真)がある。 これは東洋経済が独自に入手したもので、改革の概要や具体的な現場対応などをまとめた行員用のマニュアルだ。これを見れば現在みずほが進めている改革の全貌がわかる。ここからはマニュアルを通して、改革の詳細を見ていくことにする。(あと有料のため紹介終了)』、「新しい営業店体制を導入」には、取引先や営業現場の混乱を避けるため、周到に用意すべきだが、よりにもよって「システム障害」の真っ最中とは、最悪のタイミングで、愚策を繰り出したものだ。
第三に、この続き「「3メガバンク」の比較だけでは不十分 第3回 12の指標で読み解くみずほの実力と弱点」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/28393
・『業績や財務面からみたみずほの実力はどうなっているのか。各社の決算データなどから12の指標を抽出し、3メガバンクグループ、さらには、りそなグループとの比較も交えて解説する。 システムトラブルの続発で出口の見えないみずほフィナンシャルグループだが、直近の決算数字は決して悪くない。 これまで、3メガバンクグループの中で規模が最下位で、経費率も高止まりしていた。 だが、2021年3月期は手数料収入の拡大で、銀行の収益力を示す業務純益が大幅に改善。 経費率(営業経費÷業務粗利益)では三菱UFJフィナンシャル・グループを抜いて、2位になった。 利益が積み上がった結果、2019年度から始まる5カ年計画で掲げた自己資本比率9%台という目標に到達。比率でみると他の2メガにまだ劣るが、みずほとしては、買収や新規事業など戦略投資に資金を振り向ける余裕が出てきている。 ただ、このほかにさまざまな指標でメガバンク同士を比較すると、必ずしもみずほが順風満帆とは言えないことが分かる。ここからさらに8つの指標を見ていく。(あと有料のため紹介終了)』、「経費率・・・では三菱UFJフィナンシャル・グループを抜いて、2位になった」、「三菱UFJフィナンシャル・グループ」も「経費率」で「みずほ」に抜かれるとは情けない。
第四に、この続き「抜本改革にはトップの外部招聘が必要との声も 第4回 みずほ、システム障害の裏にある根深い「病巣」」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/28394
・『今年に入って相次ぐシステム障害は、技術的な問題よりも、みずほに巣くう根深い病巣にこそ原因があるとの声が根強い。 「組織として(リスク管理や危機対応が)本当にワークしているのか、もう一度よく考えるべきだ」 みずほ銀行による7度目のシステム障害を受けて、金融庁が検査期間中の業務改善命令という異例の処分を下した今年9月下旬。金融庁の幹部は、厳しい表情でそう語った。 第1回の「みずほの『システム障害』が終わらない真因」でもお伝えしたが、金融庁は一連のシステム障害の原因について、技術的な問題点よりも、むしろみずほのガバナンス体制に目を向けている。システム障害発生前後の一連の稚拙な対応の裏側に、経営陣と現場をつなぐパイプの目詰まりや断絶があると見ているからだ。 「坂井(辰史みずほフィナンシャルグループ社長)さんは怖い。彼が嫌がりそうな報告は上げるなと言われている」「報告を上げても勝手に忖度して部長が止めてしまい、役員にまで伝わらない」。現場から上がるこうした声が、金融庁の耳にも入っているのだ。 なぜ、そうした目詰まりが起きるのか。背景には、日本興業銀行、富士銀行、第一勧業銀行の3行が合併、みずほフィナンシャルグループ(FG)が誕生してから現在に至るまで、さまざまな“病巣”が組織を蝕み続けているからだ』、「システム障害発生前後の一連の稚拙な対応の裏側に、経営陣と現場をつなぐパイプの目詰まりや断絶があると見ているからだ。 「坂井・・・さんは怖い。彼が嫌がりそうな報告は上げるなと言われている」「報告を上げても勝手に忖度して部長が止めてしまい、役員にまで伝わらない」、合併銀行とはいえ、余りに酷過ぎる。
・『旧行ベースでポストを奪い合い イタリア人、フランス人、ドイツ人――。これは、旧3行の英語表記の頭文字「I」「F」「D」を使った出身行を表す隠語だ。みずほと取引のある企業の社長は宴席の場で、みずほの役員がこの隠語を使い「イタリア人とは話が通じない」などとくだを巻く姿を何度も見ているという。 これこそが、病巣の1つである「旧行意識」だ。旧3行の出身者がそれぞれ出身行の地位と影響力を維持しようと、みずほは誕生以来、内向きな縄張り争いを繰り広げてきた。 事の発端は2000年。旧3行が「対等合併」にこだわって経営統合したことだ。当初、興銀の西村正雄頭取、富士の山本恵朗頭取、一勧の杉田力之頭取の3人が、持ち株会社みずほホールディングスの共同CEO(最高経営責任者)となり、事実上の3トップ体制を敷いた。 だが不良債権問題で業績は悪化、経営体制の刷新を迫られる。そうした状況を受けて2002年にみずほ銀行(BK)とみずほコーポレート銀行(CB)という2バンク体制を軸とする、みずほグループが発足した際にも、持ち株会社の社長に富士出身の前田晃伸氏が就き、BK頭取に一勧出身の工藤正氏、CB頭取に興銀出身の齋藤宏氏が就任、3行でポストを分け合った。 トップだけではなかった。FGと傘下2バンクの役員ポスト数を足して3で割り、1人の誤差も出ないよう、3行出身者を均等に割り振るこだわりよう。それは「まるで芸術作品」(みずほOB)と揶揄されるほど見事なもので、すべては対等合併を円満に進めるためだった。 だが、その内実は決して円満ではなかった。(あと有料のため紹介終了)』、建前としての「対等合併」へのこだわりが、現在の問題の根底にあるような気がする。
先ずは、10月8日付け東洋経済Plus「金融庁は異例の措置でガバナンスを問題視 第1回 みずほ「システム障害」が終わらない真因」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/28391
・『みずほフィナンシャルグループのシステム障害が止まらない。事態を重く見た金融庁は、検査の途中で業務改善命令を出すという異例の措置に出た。だが、当局が問題視しているのはシステムだけではない。 今のままでは、いつまでたっても障害が収まることはなく、今後、永遠に続くのではないか──。 システムを担当するみずほ銀行の中堅行員は、こんな不吉な“予言”を口にする。 みずほでは、今年2月から9月にかけて、実に8回ものシステム障害が発生。6月には、原因を調査した第三者委員会の報告を受けて抜本的な再発防止策を打ち出したものの、その後も相次いで障害を起こすなど、まさに泥沼の様相を呈している。 中でも影響が大きかったのは、1回目と5回目の障害だ。 1回目の障害では4318台のATMが停止し、カードや通帳が取り込まれる事態が相次いだ。原因となったのは、定期預金のデータ移行作業。2月末という取引集中日にもかかわらず移行作業を行ったため、メモリーが容量不足を起こしてしまったのだ。他行やシステムの関係者は「月末に作業をするなんて考えられない」と呆れ顔で、みずほの甘い考えが招いた障害だった。 8月20日に発生した5回目の障害では、店頭取引が停止した。9時から45分間にわたってすべての店頭取引ができず、融資や外国為替の取引に至っては11時58分まで影響が続くありさまだった。こちらは機器故障が原因だったが、顧客に対する周知の遅さも問題となった。 システムが停止したのが8月19日の午後8時57分。20日未明には、システム担当者に「開店に間に合わない可能性があると連絡がきていた」(システム担当者)にもかかわらず、みずほがホームページにお知らせを掲載したのは午前8時30分と開店のわずか30分前で、あわよくば障害を隠そうとしていたフシがあったからだ。 こうした障害が「永遠に続くのでは」とシステム担当者がみるのにはわけがある。それは、障害の原因を詳細に見ていくとわかる』、「1回目の障害」の原因はソフトウェアや機器ではなく、システム運用の問題だ。「5回目の障害」では「機器故障が原因」だった。「ホームページにお知らせを掲載したのは・・・開店のわずか30分前で、あわよくば障害を隠そうとしていたフシがあった」と非難しているが、故障が回復するのを待っていた可能性があるのではなかろうか。
・『手つかずの古い周辺システム みずほは2019年に新しい勘定系システム「MINORI」を導入。口座や融の残高管理、利息計算などを担う銀行の中核システムで、開発に約8年の歳月と4500億円もの大金を投じた。 だが、実は新しくしたのは勘定系システムのMINORIだけ。ATMや営業店端末などをつなぐ周辺のシステムは、「古い設計のものがいまだに使われている」と前出のシステム担当者は指摘する。 上の図は、複数の関係者への取材を基に、みずほの現行システムの構成と障害が発生した箇所をまとめたものだ。 これを見ると、周辺システムはMINORI開発計画の対象外とされ、手付かずとなっていたことがわかる。MINORIと周辺システムの仕様がマッチしていないことから、MINORI側の停止は防げても、予想に反してATMなど周辺機器やシステムが停止してしまうのだ。 さらに、機器故障の多さも目につく。これは「メーカーの保守期限を超えた機器を、いまだに使用しているから」(前出のシステム担当者)。保守の切れた部品を大量に確保し、壊れたら交換するという方法でしのいでいるといい、中には「保守が切れてから、10年以上使っているものもある」(同)というから、起きるべくして起きた障害と言っても過言ではない』、「周辺システムはMINORI開発計画の対象外とされ・・・MINORIと周辺システムの仕様がマッチしていないことから、MINORI側の停止は防げても、予想に反してATMなど周辺機器やシステムが停止してしまう」、仮に「周辺システム」を残すとしても、「仕様」の「マッチ」には十分に検証すべきだった。「メーカーの保守期限を超えた機器を、いまだに使用している」、には開いた口が塞がらない。
・『システム分野のコストカットが仇に なぜこうした状況を放置してきたのか。背景には、みずほが目下、最重要課題として取り組んでいる経費削減がある。 超低金利が長きにわたるなど昨今の金融環境を鑑みれば収益を劇的に向上させるのは無理な話で、コストカットが喫緊の課題。とくにみずほは3メガの中でも経費率が高く、店舗や人員をはじめとするコストカットに邁進してきた。 中でも、コストカットの圧力をかけられていたのがシステム部門だった。「前年対比で10%程度の予算削減を毎年のように迫られていた」と別のシステム担当者は明かす。システムの維持には、どうしても一定のコストがかかるため、さらに減らすとなれば保守費用を削るしかない。結果的に、保守に十分な手が回らない体制ができあがってしまったわけだ。 削減しているのは予算だけではない。MINORI移行期間に大量投入された人員も、移行完了と同時に大幅に削減されている。 例えばシステム管理を担うみずほリサーチ&テクノロジーズでは、2018年3月末に1051人いたMINORIに関わる人員が2021年3月末には345人まで減少、FGや銀行でも、一定役職以上の人員が76人から65人に減っており、「人事部付で出向待ちのような状態になっている人もいる」(みずほ幹部)という。 しかしシステム分野は、ほかのメガバンク幹部が「銀行にとって最も重要な『基盤』であり、コストカットなどありえない」と指摘するように、ヒトとカネを最も割かなくてはいけない分野。つまりみずほは、システムを軽視し続けてきたわけだ。 こうしたシステム軽視は、障害が続いている現在も変わっていない。システム部門からは、「数十人規模のシステム経験者のリストを作り、人員補充をお願いしている」(システム担当)というが、「検討されている形跡はない」(同)という。こうした現状に、「現経営陣は危機をやり過ごすことに必死で、障害の原因を根本的に解決しようという考えはない」と言い切る行員も少なくない』、「システム分野は、ほかのメガバンク幹部が「銀行にとって最も重要な『基盤』であり、コストカットなどありえない」、とあるが、「コストカット」に聖域などないのが常識で、この表現はいささか誇張が過ぎるようだ。
・『当局の怒りは尋常ではない? 金融庁もこうした状況を把握しており、みずほに対し厳しい目を向けている。その怒りの大きさは、金融検査中の今年9月に業務改善命令を出すという「異例」の措置に表れている。 今年2月からシステム障害をめぐる金融検査に入っていた金融庁は、みずほが再発防止策を発表したことを受けて、8月ごろに業務改善命令を出す準備を進めていた。ところがだ。まさに処分を発表しようとしていた8月20日、みずほは5回目の障害を起こしてしまう。 その後も障害が相次ぎ、止まる気配はまったくない。 この期に及んでみずほが「(新規のサービス展開を含む)能動的なアクションを起こそうとしている」(金融庁幹部)といい、金融庁は「少なくとも今はそういう局面ではない」(同)と怒り心頭。「もうみずほ自身に任せておくことはできない」(同)と異例の改善命令に突き進んだというわけだ。 金融庁からの処分は、今回の改善命令にとどまらないと見られている。今回、わざわざ注意書きまでつけて、「全般的な検証は継続する。その結果を踏まえて、改めて必要な行政対応について検討する」とクギを刺しているためだ。 複数の関係者によれば、この言葉には「システムだけを問題にしているわけではない」という意味が隠されているという。金融庁がシステム障害の原因として「3行が合併してから今に至るまで培われてきた組織風土やガバナンスにある」と見ているというのだ。 みずほは当初、みずほ銀行の藤原弘治頭取の首を差し出すことで事態の収拾を図ろうとした。しかし金融庁は、これにストップをかける。「人事は当事者が判断する話。ただ、その判断の理由が世の中に納得のいく形でないといけない」(金融庁幹部)。つまり、根本的な問題解決を図らずに首にすることでお茶を濁すようなことは許さないというわけだ。 金融庁は「一個人の適性には着目していない」(前出の金融庁幹部)という。また、「社外取締役を含めた、組織としてガバナンス体制が機能しているかが重要」としており、それを聞いた他のメガバンク幹部は「組織をゼロから作り直すかのような、再出発を図れとのメッセージなのではないか。金融庁の怒りが尋常でないことの表れだろう」と解説する。 「免許制の銀行にとって、金融庁のいうことはある意味、絶対。しかしみずほは金融庁とのコミュニケーションが取れていなかったことに加え、変に前向きなところがあって『話せばわかってもらえる』とどこか舐めていたフシがある。そうした対応が金融庁の怒りに油を注いでしまったのだろう」(他のメガバンク幹部) 事実、坂井辰史FG社長が事情を説明しようと金融庁の中島淳一長官に面会を申し込んでも拒むほど。最近になってようやく面会できたというが、「金融庁の意図を理解できないみずほに、行動をもってわからせようという意思の表れではないか」(同)とみられている。 まさに窮地に陥るみずほだが、問題はシステムやガバナンス面だけではない。「みずほ 解けない呪縛」の第2回ではビジネス面からみずほが直面する問題について見ていく』、検査の最中に「異例の改善命令に突き進んだ』要因の1つに、「みずほが「(新規のサービス展開を含む)能動的なアクションを起こそうとして」いたとは、初めて知ったが、確かにみずほの正気を疑いたくなるような有様だ。「金融庁の怒りに油を注いでしまった」のも当然だ。
次に、この続き「顧客のセグメント化で「中小企業切り」との批判 第2回「数十年に1度」の営業店改革に顧客の不満爆発」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/28392
・『システム障害の終わりが見えない中、みずほは営業店の大改革を始めた。しかしそのタイミングや内容に、顧客からは不満が噴出している。 「久しぶりにみずほの支店に行ったら、『法人の取引はできない』と門前払いされた」 都内で中小企業を営む社長は憤りを隠さない。この社長が通っていたみずほ銀行の支店が突如、個人に特化した店舗に変わってしまったからだ。 社長は「別の支店を案内されたが、3駅も先。しかも予約が必要と言われ、その日は受け付けてもらえなかった」と嘆き、「これからは、みずほに合わせてスケジュールを組まなければならなくなった。急に出入金しなければならないときはどうすればいいんだ」とため息をつく。 この社長のように、支店で対応してもらえればまだいいほう。より小さな企業に対しては、「今後、支店での対応ではなく、リモートで対応するという手紙が届いた」(40代の男性経営者)というのだ。この男性は「みずほは、われわれのような小さくて儲からない客はいらないということだろう」と、取引銀行の変更を検討しているという』、「法人の取引」については、超大企業はみずほコーポレート銀行が、それ以外をみずほ銀行が担当していたのが、ワンミズホで両行が合併した経緯がある。この間、他のメガバンクは、企業取引は各支店の法人営業部
が、個人取引を支店が担当するように営業体制を再編成した。みずほの場合、漸く再編成を始めたが、取引先への根回しなどが不十分で混乱したようだ。
・『拙速な改革に戸惑う現場 このように、最近、みずほ銀行の営業体制に対する批判が相次いでいる。原因は、みずほフィナンシャルグループ自ら「数十年に1度」と評する大規模な営業店改革だ。 改革の詳細は後述するが、みずほは2021年5月から、新しい営業店体制を導入した。一言でいえば、法人・個人双方の取引すべてができるフルバンキング型の店舗から、顧客属性に合わせた店舗の体制に移行したのだ。 だが、その移行はあまりにも拙速だった。当初、移行は4月に予定されていたが、相次ぐシステム障害によって延期。「障害の解決には時間を要するため、改革は早くても来年というのが支店の共通認識だった」(営業担当の20代行員)。 ところが蓋を開けてみれば、延期の期間はわずか1カ月で5月から移行しろとの命が下る。「システム障害に関して不安に思う顧客が多く、お詫びに走り回っていたのに、そんなタイミングで営業店の移行も実行するなんて。大慌てで顧客の元に出向いて説明に回っているが、上は何を考えているのか」(同)と行員たちも困惑している。 混乱のしわ寄せは、当然顧客に向かう。結果、いきなりの店舗改革に顧客の不満が爆発しているというわけだ』、顧客へ十分に説明して、納得を得たかを確認すらしなかったようだ。
・『内部資料が示す改革の全貌 今、手元にみずほがまとめた「新営業店体制業務運営マニュアル」と題した文書(上写真)がある。 これは東洋経済が独自に入手したもので、改革の概要や具体的な現場対応などをまとめた行員用のマニュアルだ。これを見れば現在みずほが進めている改革の全貌がわかる。ここからはマニュアルを通して、改革の詳細を見ていくことにする。(あと有料のため紹介終了)』、「新しい営業店体制を導入」には、取引先や営業現場の混乱を避けるため、周到に用意すべきだが、よりにもよって「システム障害」の真っ最中とは、最悪のタイミングで、愚策を繰り出したものだ。
第三に、この続き「「3メガバンク」の比較だけでは不十分 第3回 12の指標で読み解くみずほの実力と弱点」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/28393
・『業績や財務面からみたみずほの実力はどうなっているのか。各社の決算データなどから12の指標を抽出し、3メガバンクグループ、さらには、りそなグループとの比較も交えて解説する。 システムトラブルの続発で出口の見えないみずほフィナンシャルグループだが、直近の決算数字は決して悪くない。 これまで、3メガバンクグループの中で規模が最下位で、経費率も高止まりしていた。 だが、2021年3月期は手数料収入の拡大で、銀行の収益力を示す業務純益が大幅に改善。 経費率(営業経費÷業務粗利益)では三菱UFJフィナンシャル・グループを抜いて、2位になった。 利益が積み上がった結果、2019年度から始まる5カ年計画で掲げた自己資本比率9%台という目標に到達。比率でみると他の2メガにまだ劣るが、みずほとしては、買収や新規事業など戦略投資に資金を振り向ける余裕が出てきている。 ただ、このほかにさまざまな指標でメガバンク同士を比較すると、必ずしもみずほが順風満帆とは言えないことが分かる。ここからさらに8つの指標を見ていく。(あと有料のため紹介終了)』、「経費率・・・では三菱UFJフィナンシャル・グループを抜いて、2位になった」、「三菱UFJフィナンシャル・グループ」も「経費率」で「みずほ」に抜かれるとは情けない。
第四に、この続き「抜本改革にはトップの外部招聘が必要との声も 第4回 みずほ、システム障害の裏にある根深い「病巣」」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/28394
・『今年に入って相次ぐシステム障害は、技術的な問題よりも、みずほに巣くう根深い病巣にこそ原因があるとの声が根強い。 「組織として(リスク管理や危機対応が)本当にワークしているのか、もう一度よく考えるべきだ」 みずほ銀行による7度目のシステム障害を受けて、金融庁が検査期間中の業務改善命令という異例の処分を下した今年9月下旬。金融庁の幹部は、厳しい表情でそう語った。 第1回の「みずほの『システム障害』が終わらない真因」でもお伝えしたが、金融庁は一連のシステム障害の原因について、技術的な問題点よりも、むしろみずほのガバナンス体制に目を向けている。システム障害発生前後の一連の稚拙な対応の裏側に、経営陣と現場をつなぐパイプの目詰まりや断絶があると見ているからだ。 「坂井(辰史みずほフィナンシャルグループ社長)さんは怖い。彼が嫌がりそうな報告は上げるなと言われている」「報告を上げても勝手に忖度して部長が止めてしまい、役員にまで伝わらない」。現場から上がるこうした声が、金融庁の耳にも入っているのだ。 なぜ、そうした目詰まりが起きるのか。背景には、日本興業銀行、富士銀行、第一勧業銀行の3行が合併、みずほフィナンシャルグループ(FG)が誕生してから現在に至るまで、さまざまな“病巣”が組織を蝕み続けているからだ』、「システム障害発生前後の一連の稚拙な対応の裏側に、経営陣と現場をつなぐパイプの目詰まりや断絶があると見ているからだ。 「坂井・・・さんは怖い。彼が嫌がりそうな報告は上げるなと言われている」「報告を上げても勝手に忖度して部長が止めてしまい、役員にまで伝わらない」、合併銀行とはいえ、余りに酷過ぎる。
・『旧行ベースでポストを奪い合い イタリア人、フランス人、ドイツ人――。これは、旧3行の英語表記の頭文字「I」「F」「D」を使った出身行を表す隠語だ。みずほと取引のある企業の社長は宴席の場で、みずほの役員がこの隠語を使い「イタリア人とは話が通じない」などとくだを巻く姿を何度も見ているという。 これこそが、病巣の1つである「旧行意識」だ。旧3行の出身者がそれぞれ出身行の地位と影響力を維持しようと、みずほは誕生以来、内向きな縄張り争いを繰り広げてきた。 事の発端は2000年。旧3行が「対等合併」にこだわって経営統合したことだ。当初、興銀の西村正雄頭取、富士の山本恵朗頭取、一勧の杉田力之頭取の3人が、持ち株会社みずほホールディングスの共同CEO(最高経営責任者)となり、事実上の3トップ体制を敷いた。 だが不良債権問題で業績は悪化、経営体制の刷新を迫られる。そうした状況を受けて2002年にみずほ銀行(BK)とみずほコーポレート銀行(CB)という2バンク体制を軸とする、みずほグループが発足した際にも、持ち株会社の社長に富士出身の前田晃伸氏が就き、BK頭取に一勧出身の工藤正氏、CB頭取に興銀出身の齋藤宏氏が就任、3行でポストを分け合った。 トップだけではなかった。FGと傘下2バンクの役員ポスト数を足して3で割り、1人の誤差も出ないよう、3行出身者を均等に割り振るこだわりよう。それは「まるで芸術作品」(みずほOB)と揶揄されるほど見事なもので、すべては対等合併を円満に進めるためだった。 だが、その内実は決して円満ではなかった。(あと有料のため紹介終了)』、建前としての「対等合併」へのこだわりが、現在の問題の根底にあるような気がする。
タグ:金融業界(その11)( みずほ「システム障害」4題:金融庁は異例の措置でガバナンスを問題視 第1回 みずほ「システム障害」が終わらない真因、顧客のセグメント化で「中小企業切り」との批判 第2回「数十年に1度」の営業店改革に顧客の不満爆発、「3メガバンク」の比較だけでは不十分 第3回 12の指標で読み解くみずほの実力と弱点、抜本改革にはトップの外部招聘が必要との声も 第4回 みずほ、システム障害の裏にある根深い「病巣」) 金融業界 東洋経済Plus 「金融庁は異例の措置でガバナンスを問題視 第1回 みずほ「システム障害」が終わらない真因」 「1回目の障害」の原因はソフトウェアや機器ではなく、システム運用の問題だ。「5回目の障害」では「機器故障が原因」だった。「ホームページにお知らせを掲載したのは・・・開店のわずか30分前で、あわよくば障害を隠そうとしていたフシがあった」と非難しているが、故障が回復するのを待っていた可能性があるのではなかろうか。 「周辺システムはMINORI開発計画の対象外とされ・・・MINORIと周辺システムの仕様がマッチしていないことから、MINORI側の停止は防げても、予想に反してATMなど周辺機器やシステムが停止してしまう」、仮に「周辺システム」を残すとしても、「仕様」の「マッチ」には十分に検証すべきだった。「メーカーの保守期限を超えた機器を、いまだに使用している」、には開いた口が塞がらない。 「システム分野は、ほかのメガバンク幹部が「銀行にとって最も重要な『基盤』であり、コストカットなどありえない」、とあるが、「コストカット」に聖域などないのが常識で、この表現はいささか誇張が過ぎるようだ。 検査の最中に「異例の改善命令に突き進んだ』要因の1つに、「みずほが「(新規のサービス展開を含む)能動的なアクションを起こそうとして」いたとは、初めて知ったが、確かにみずほの正気を疑いたくなるような有様だ。「金融庁の怒りに油を注いでしまった」のも当然だ。 「顧客のセグメント化で「中小企業切り」との批判 第2回「数十年に1度」の営業店改革に顧客の不満爆発」 「法人の取引」については、超大企業はみずほコーポレート銀行が、それ以外をみずほ銀行が担当していたのが、ワンミズホで両行が合併した経緯がある。この間、他のメガバンクは、企業取引は各支店の法人営業部 が、個人取引を支店が担当するように営業体制を再編成した。みずほの場合、漸く再編成を始めたが、取引先への根回しなどが不十分で混乱したようだ。 顧客へ十分に説明して、納得を得たかを確認すらしなかったようだ。 「新しい営業店体制を導入」には、取引先や営業現場の混乱を避けるため、周到に用意すべきだが、よりにもよって「システム障害」の真っ最中とは、最悪のタイミングで、愚策を繰り出したものだ。 「「3メガバンク」の比較だけでは不十分 第3回 12の指標で読み解くみずほの実力と弱点」 「経費率・・・では三菱UFJフィナンシャル・グループを抜いて、2位になった」、「三菱UFJフィナンシャル・グループ」も「経費率」で「みずほ」に抜かれるとは情けない。 「抜本改革にはトップの外部招聘が必要との声も 第4回 みずほ、システム障害の裏にある根深い「病巣」」 「システム障害発生前後の一連の稚拙な対応の裏側に、経営陣と現場をつなぐパイプの目詰まりや断絶があると見ているからだ。 「坂井・・・さんは怖い。彼が嫌がりそうな報告は上げるなと言われている」「報告を上げても勝手に忖度して部長が止めてしまい、役員にまで伝わらない」、合併銀行とはいえ、余りに酷過ぎる。 建前としての「対等合併」へのこだわりが、現在の問題の根底にあるような気がする。
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