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電気自動車(EV)(その9)(ホンダ「脱エンジン」の衝撃3題(① EVに全集中、大胆すぎる「生存戦略」、② 「ホンダの豹変」でサプライヤーも発奮、③ 「電動化100%目標」に3つの焦点)、佐川急便が中国製EV導入の衝撃、日の丸自動車が家電の「二の舞い」になる懸念) [イノベーション]

電気自動車(EV)については、1月9日に取上げた。今日は、(その9)(ホンダ「脱エンジン」の衝撃3題(① EVに全集中、大胆すぎる「生存戦略」、② 「ホンダの豹変」でサプライヤーも発奮、③ 「電動化100%目標」に3つの焦点)、佐川急便が中国製EV導入の衝撃、日の丸自動車が家電の「二の舞い」になる懸念)である。

先ずは、4月30日付け東洋経済Plus「ホンダ「脱エンジン」の衝撃① EVに全集中、大胆すぎる「生存戦略」」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/26878
・『ホンダが新たにブチ上げた電動化戦略。2040年までに新車をEV、FCVにするという思い切った計画だ。異例の決断の背景に何があるのか。 「まさかここまで踏み込んで具体的な時期や数字を出すとは思わなかった」。あるホンダ系部品メーカー幹部は、ホンダが新たにブチ上げた電動化の戦略に驚きを隠さなかった。 ホンダの三部敏宏社長は4月23日の就任会見で、グローバルで売る新車を2040年までに全て電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)にする目標を打ち出した。日本政府が掲げる2050年温室効果ガス排出実質ゼロに歩調を合わせた形で、「自動車メーカーとしてまずTank to Wheel(注)(車の走行時)のカーボンフリーを達成する責務がある」(三部社長)と力を込めた。 ガソリン車だけでなくハイブリッド車(HV)すら販売しない中長期の目標を表明したのは、日本の自動車メーカーで初めてだ。HVも含めたフルラインナップでの電動車戦略を推し進めるトヨタ自動車に対し、ホンダはそれと異なる道を行く決断を下したといえる』、「ガソリン車だけでなくハイブリッド車(HV)すら販売しない中長期の目標を表明」、とは確かに思い切った戦略だ。
(注)Tank to Whee:自動車の燃料タンクからタイヤを駆動するまでなので、充電段階は考慮しない。他方、Well to Wheelは、油田からタイヤを駆動するまでという意味(日本機械学会誌誌2017/11)なので、充電段階から考慮。
・『「エンジンのホンダ」がなぜ?  ホンダはかつて、マクラーレン・ホンダがF1で一世を風靡したように、「エンジンのホンダ」と呼ばれるほどエンジン開発に力を注いできた。 1970年代には新型エンジンを開発してアメリカの環境規制をいち早くクリアするなど、エンジン開発を成長に結びつけてきた。技術畑の三部氏もそんな開発の現場に身を置いてキャリアを築いてきた一人だ。 にもかかわらずEVとFCVに思い切って舵を切る背景には、世界的に加速する「脱エンジン車」への強い危機感がある。 アメリカのゼネラル・モーターズ(GM)は35年までにガソリン車を全廃し、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)は2030年にVWブランドで欧州販売の7割以上をEVにする目標を掲げる。国単位でもイギリスが2030年、フランスは40年までにガソリン車の新車販売を禁止する。アメリカはカリフォルニア州などが2035年までにZEV(ゼロ・エミッション・ビークル、走行時に排ガスを出さない車)以外の販売を禁じる方針だ。 こうした流れの中、ホンダは2016年発売のFCV「クラリティ FUEL CELL」の累計販売台数が約1800台(2020年末)、初の量産型EV「Honda e」は年間販売目標が日欧で1万台強にとどまる。将来的な電動車の本命とされるEV、FCVへ対応が進んでいるとはいい難い状況だった。 ホンダは自前主義で独立路線を貫いてきたが、今後は米国では提携関係にあるGM、中国では電池大手のCATLと組んでEV中心の電動化戦略を推し進める。 自動車メーカーにとってCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)と呼ばれる次世代技術への研究開発投資は重く、提携を生かしてEVやFCVの開発につなげる計画を描く。効率化を図るため、今後は車種の絞り込みに動く可能性も十分ある』、かつてCVCCエンジンを開発するなど「エンジンのホンダ」が、「エンジン」生産から手を引くというのは一抹の寂しさも覚える。
・『急展開に伴うリスクも  ただ、EV化の急速な推進にはリスクもはらむ。1つはGMとの関係だ。提携では、GMがバッテリーなどのEV分野の開発、ホンダはエンジンの開発をそれぞれ担う。EVはコストの3~4割を占めるとされるバッテリー価格をどう引き下げていくかが販売価格を決めるうえでカギを握る。 GMは目下、韓国のLG化学と組んで米国内に電池工場を建設する巨額投資を進めている。EV拡大で腹を決めたホンダにとって、電池の確保という面でGMは心強い存在のはずだ。 だが、バッテリー技術の開発や投資でGMに主導権を握られたままだと、ホンダの新車開発がGMの動向に左右されかねない。それを防ぐためには、アメリカの電池調達で複数の取引先を開拓する必要があるだろう。 また、ホンダがEV、FCVへの集中投資を鮮明にした中、GM向けにエンジン開発を続けることにメリットが見えづらい。 もう1つのリスクはサプライチェーン(部品供給網)の維持だ。「ホンダの戦略はサプライヤーによっては死活問題だ」。あるホンダ系部品メーカーの幹部はそう語る。 将来的にガソリン車を“捨てる”というホンダの決断は、エンジン関連の部品メーカーには経営戦略の大転換を迫るものだからだ。エンジン周りとは別の部品メーカーも「われわれとしても考え方を変える。守備範囲(取り扱う部品)を広げないと生き残れない」(幹部)と危機感を示す。 これまでホンダ系のサプライヤーは再編を繰り返してきた。ホンダが大株主のサプライヤーもあり、今後はメーカー主導の再編が起きる可能性もある。ホンダは単に目標を掲げるだけではなく、電動化時代に対応できる取引関係を構築していくことが不可欠だ。 提携拡大とサプライチェーン維持に潜むリスクをどうコントロールできるか。それはホンダにとっての試練であり、電動化戦略の実現に向けた重要なポイントでもある』、確かに「サプライヤーの「再編」も必至だろう。
・『四輪事業は低収益にあえぐ  ミニバン市場を開拓した「オデッセイ」や「ステップワゴン」、軽自動車で「スーパーハイトワゴン」市場を作り上げた「N-BOX」など、ホンダはこれまで独自性のある商品を投入することで一定の存在感を示してきた。 しかし現在、ホンダの四輪事業は長年にわたるヒット車不足と低収益性にあえぐ状態が定着している。お膝元の日本ですら、登録車の販売台数上位20車種(2020年度)に入るのは3車種(フィット、フリード、ステップワゴン)のみ。営業利益率は1.5%と、トヨタ(8%)やスバル(6%)と比べて大きく水を開けられている。 八郷隆弘前社長時代、ホンダは2010年代前半の拡大戦略で膨れ上がった生産体制や、創業者・故本田宗一郎氏時代から聖域とされてきた本田技術研究所の再編にも踏み切った。こうした構造改革の効果が今後本格的に現れてくるのが2021年度以降となる。 ホンダはグローバルで推し進める新たな電動化戦略のために、研究開発に今後6年間で5兆円を投資する。将来に向けた投資を計画通り推し進めるためにも、現行車種のラインナップでしっかりと収益を上げていくことも欠かせない。 国内外の自動車メーカーがこぞってEVを投入する中、商品性と収益性の高いモデルを投入し、「ホンダらしさ」をどうユーザーに示していくか。「課題はたくさんあるが、同時に取り組んでいくしかない」と覚悟を語る三部新社長の双肩にホンダの将来がかかっている』、「ホンダらしさ」を何とか維持してもらいたいものだ。

次に、この続きを、4月30日付け東洋経済Plus「ホンダ「脱エンジン」の衝撃② 「ホンダの豹変」でサプライヤーも発奮」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/26877
・『ホンダが新たにブチ上げた電動化戦略。2040年までに新車をEV、FCVにするという思い切った計画だ。異例の決断の背景に何があるのか。 「豊田章男社長にしてみたら『ばかやろう!』と思っているのではないか」 トヨタ系サプライヤ-の首脳は、4月23日にホンダが発表した新たな電動化戦略について、皮肉交じりにそう話した。 前日の22日、トヨタ自動車の豊田社長は日本自動車工業会の会長として会見を行った。「カーボンニュートラルへの道は1つではない」としたうえで、「日本の自動車産業が持つ高効率エンジンとモーターの複合技術に、水素から作る『e-fuel』やバイオ燃料といった新しい燃料を組み合わせることができれば、大幅なCO2低減というまったく新しい世界が見えてくる」と力説していたからだ』、「ホンダが発表した新たな電動化戦略」、の前日に「トヨタ自動車の豊田社長」が「カーボンニュートラルへの道は1つではない」と講演していたのであれば、「ホンダ」は実に拙い日に発表したものだ。
・『トヨタと同じではらちがあかない  ところが、ホンダが打ち出した電動化戦略は、2040年までにグローバルで販売する新車をすべて電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)にするというもの。新燃料もエンジンも、さらにはハイブリッド車(HV)も自社の電動化の道筋から“排除”し、振り切った戦略を打ち出したのだ。 三部氏自身も4月23日の会見でe-fuel燃料などの新燃料について「一部の特殊車両やドライビングを楽しむ車では残っていく可能性はあるが、私個人的にはマジョリティ(多数派)としてはかなり難しいと考えている」と語り、考え方の違いが際立った。 前出の首脳は「ホンダは昔からドンとブチ上げることが多い。全方位(HV、PHV、FCV、EV)の戦略で電動車の開発を進めるトヨタと同じことをやっていても、らちがあかないということなのだろう」とも話す。 これまでホンダは、2030年に世界で販売する四輪車の3分の2を電動化するという目標しか掲げていなかった。そのホンダが豹変した。新たな数字を突きつけられて面食らったのは、他ならぬホンダ系のサプライヤーだ。 「電動化比率を引き上げる方向性に驚きはないが、このタイミングであの数字を出してきたのは驚いた」「具体的な数字を言うとは思わなかった。というか、ホンダがあそこまで考えていたとは、知らなかった」など、サプライヤー幹部たちは異口同音に驚きの言葉を口にする。 一方、新社長就任のタイミングで飛び出した数字に、ホンダ系部品会社からは「ホンダはEVよりもむしろ、HVやFCVに取り組んできた。いきなり今回のような計画を掲げて、本当にできるのか」と懐疑的な声も聞かれる。ホンダ関係者によれば、目標数字を決める議論は半年前から活発化したという』、サプライヤー幹部の「本当にできるのか」との反応には、希望的観測も混じっていそうだ。
・『新たな歴史をつくれるのか  実際にどこまで達成できるかは未知数だが、「ホンダが新たな戦略を打ち出したことで、電動化の流れの中でやっと世界と伍して戦える」(別のホンダ系サプライヤー幹部)と前向きに考える会社もある。ただ、ホンダ頼みというわけではなく、この幹部は「われわれも考え方を変えて、(取扱い部品を拡大するなど)守備範囲を広げないと生き残れない」と気を引き締める。 4月23日の会見でホンダの三部敏宏新社長は、「つねに本質と独創性にこだわり続ける会社でありたい」と語った。ホンダ系サプライヤーの幹部は「ホンダは優れたエンジンを開発して、市場を開拓してきた。今後、エンジンからモーターへという新たな歴史をつくるかもしれない。死に物狂いで(電動化を)やるだろう。われわれも培ってきた技術を生かして、ホンダと一緒に取り組んでいきたい」と話す。 ホンダの大胆な方針がサプライヤーにとって強烈な刺激になったことは間違いない』、「ホンダ」と「サプライヤー」が荒波を乗り越えることを期待したい。

第三に、この続きを、4月30日付け東洋経済Plus「ホンダ「脱エンジン」の衝撃③ 「電動化100%目標」に3つの焦点」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/26873
・『ホンダが新たにブチ上げた電動化戦略。2040年までに新車をEV、FCVにするという思い切った計画だ。異例の決断の背景に何があるのか。 2030年に世界で販売する四輪車の3分の2を電動化する――。 2016年にホンダが掲げた方針はずっと変わらずに来た。「具体性がない」とアナリストや投資家から批判されてきた中、今回打ち出した電動化戦略は具体的かつ野心的だ。 主要市場ごとに、2040年100%電動化(EVとFCV)に向けたロードマップも示している。そのポイントを見ていこう。 ホンダの年間販売台数は約500万台で、グローバルでは5位につける大手メーカーの一角だ。販売台数で中国、北米、日本を合計すると全体の販売の8割近くを占める。 今回掲げた電動化戦略ではその3大市場の方向性を示した。 北米は提携関係にあるゼネラル・モーターズ(GM)と共同開発する大型EVを2024年に2車種投入。2030年にEV、FCVの販売比率を40%、2035年に80%、2040年に100%にする計画だ。 大型EVのほかに、ホンダが開発する新たなEVプラットフォームを使ったEVを2020年代後半から順次投入する。現在の量産車種である「アコード」や「シビック」などをそのままEV化するのか、それとも北米での車種を絞り込むのかどうかが今後のポイントだろう。 現在、年間で100万台以上を販売する中国では、今後5年以内にホンダブランドで10車種のEVの発売を計画する。EV、FCVの販売比率の拡大計画は北米と同じだ。 中国ではすでに格安のEVが躍進している。その代表格が上汽通用五菱汽車の小型EV「宏光MINI」だ。航続距離は最安モデルで120km、車両価格は2.88万元(約48万円)で、所得が低い農村部を中心に人気を呼んでいる。 ホンダが中国市場で今後展開するEVはどの価格帯を狙っていくのか。車種展開とともに「価格設定」が1つのポイントになりそうだ。 日本は、2030年にEV・FCVの比率を20%、2035年に80%まで引き上げる。北米や中国との違いは、ハイブリッド車(HV)を含めて2030年に100%電動化を達成するという点だ。 ホンダの三部敏宏社長が4月23日の会見で、「日本はハイブリッド市場なので」と述べたように、現在、HVが新車販売(軽を除く登録車ベース)の約6割近くを占めている。その割合を一段と引き上げていくわけだが、2030年から5年で一気にEV、FCV比率を8割まで引き上げる道筋は明確に示されていない。 日本市場の目先のポイントは電動車モデルが現状ゼロの軽自動車だ。まず、2024年にEVを投入し、HVモデルの開発も進める。 現在、通常よりも背が高い「スーパーハイトワゴン」と呼ばれる車形では、ホンダの「N-BOX」が強く、2020年は全乗用車で販売台数が1位になった。今やホンダの国内販売における約半分を軽自動車が占める。ホンダの軽であるNシリーズはN-BOX、N-ONE、N-VAN、N-WGNの4タイプがある。一番の売れ筋であるN-BOXが2024年のEV投入の最有力候補だ。EVの拡大で効率化を図る上で、軽の車種を絞り込む可能性もあるだろう。グローバルで推し進める電動化戦略のために、研究開発に今後6年間で5兆円を投資するという。目標をブチ上げ、その計画通り各国でEV、FCV比率を急速に高められるのか。大胆に舵を切ったホンダの実行力が問われる』、「現在、HVが新車販売(軽を除く登録車ベース)の約6割近くを占めている」、こんなにHVの比率が高いとは初めて知った。「一番の売れ筋であるN-BOXが2024年のEV投入の最有力候補だ」、「軽自動車」の「EV化」には難しい問題があるのだろうか。

第四に、5月18日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した法政大学大学院教授の真壁昭夫氏による「佐川急便が中国製EV導入の衝撃、日の丸自動車が家電の「二の舞い」になる懸念」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/271307
・『物流大手の佐川急便が中国製EVの導入を発表した。世界は脱炭素に向けて急速にEV化を進めているが、日本の自動車産業にとって無視できないマイナス面もありそうだ。その一つは、EV化によって日本が得意とする「すり合わせ技術」を生かす余地が減ってしまうこと。中長期的な展開を考えると、わが国経済を支えてきた自動車メーカーが、1990年代以降の家電業界の「二の舞い」になる展開は軽視できない』、「自動車メーカーが、1990年代以降の家電業界の「二の舞い」になる展開は軽視できない」、とは穏やかならざるご託宣だ。
・『「EV化」は日本が得意な「すり合わせ技術」の余地が減る  世界の主要国は環境問題に対応するため、脱炭素政策を推進することを明確にしている。今後、脱炭素政策は、わが国にもさまざまな分野で大きな影響を与えることになるだろう。その中で、自動車の電動化についてはかなり明確な目標が設定され、主要自動車メーカーは「ゲームチェンジ」ともいえる大きな変化への対応が必要だ。その変化にいかに対応するかによって、自動車メーカーの生き残りが決まると言っても過言ではない 2030年までに英国はガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止するなど、電気自動車(EV)を重視する国は増えている。それをビジネスチャンスとみて、既存の自動車メーカーやIT先端企業などがEVの設計・開発、および生産に取り組んでいる。この一連の流れをEV化と呼ぶとすると、EV化は、まさに世界の自動車産業のゲームチェンジといえるだろう。 それは、わが国の自動車産業にとって無視できないマイナス面もありそうだ。その要因の一つは、EV化によって自動車の生産は、日本の自動車メーカーが得意とする「すり合わせ技術」を生かす余地が減ってしまうことだ。EVの場合は、スマートフォンのような「ユニット組み立て型」産業へと移行するとみられるためだ。 また、政府は、2030年度の温室効果ガス削減目標を2013年度比46%減に引き上げた。わが国の再生可能エネルギーの利用は遅れている。その状況下、企業が目標を達成するためには、生産拠点を海外に移さなければならない。いずれも、わが国自動車産業の強みを削ぐ。 気がかりなのは、国内の完成車メーカーがハイブリッド車などを重視し、EV化への対応が遅れていることだ。物流大手の佐川急便が中国製EVの導入を発表したことは、それを確認する機会だ。中長期的な展開を考えると、わが国経済を支えてきた自動車メーカーが、1990年代以降の家電業界の「二の舞い」になる展開は軽視できない』、「「EV化」は日本が得意な「すり合わせ技術」の余地が減る」のは確かで、「わが国経済を支えてきた自動車メーカーが、1990年代以降の家電業界の「二の舞い」になる展開は軽視できない」、も納得した。
・『佐川急便による中国製EV導入のインパクト  4月13日、佐川急便は、配達車両として採用するEVのプロトタイプを公開した。佐川急便が導入するEVは、わが国のEVスタートアップ企業であるASFが企画と開発を担当し、中国の広西汽車集団が生産を行う。ASFは、佐川急便のドライバーのリクエストなどに基づいてEVの開発を進めた。報道によれば、同社が生産の委託を検討する際、対象となったEVメーカーのすべてが中国企業だったようだ。 それは、わが国の自動車業界および経済全体にとって無視できない変化と考えなければならない。重要なことは、脱炭素の推進のために重要性が高まるEVの供給に関して、中国企業をはじめとする新規参入者が、わが国の大手自動車メーカーの先手を取ったことだ。つまり、自動車産業において、分業体制(設計・開発と生産の分離)が進み始めている。 別の視点から考えると、わが国の自動車メーカーにとって、ユーザーのニーズに応じた自動車を迅速に提供するという発想はあまり強くないようにみえる。本来、すり合わせ技術を強みに環境性能、安全性、および耐久性を磨いてきたわが国自動車各社にとって、そうした要望に応じることは難しいことではないだろう。 しかし、結果として各社は需要を逃した。その背景要因は冷静に考えなければならない。わが国の自動車メーカーには、低価格の車種を開発することへの抵抗感や、自動車は「完成車メーカーの思想に基づいて造るもの」といった価値観があっただろう。そのほかにも複数の要因が考えられる。いずれにせよ、今回のケースは、完成車メーカーをはじめわが国の自動車産業が世界全体で進むEV化にうまく対応できていない部分があることを確認する機会になった』、「すり合わせ技術を強みに環境性能、安全性、および耐久性を磨いてきた」、いわゆるプロダクト・アウトで、マーケット・インとは対極だ。
・『自動車業界が家電の「二の舞い」になる懸念  その状況が続いた場合、今すぐではないにせよ、自動車業界が、1990年代以降にわが国の家電メーカーが直面したような状況を迎える可能性は軽視できない。 1990年代以降の世界経済では台湾、韓国、中国などアジア地域の新興国の工業化が進んだ。その結果、世界経済におけるモノの生産システムが急速に変化し始めた。それまで、テレビをはじめとする家電分野では、垂直統合のビジネスモデルを基底に、すり合わせ技術に強みを発揮したわが国企業が世界のシェアを獲得した。 しかし、新興国企業の生産技術が向上したことによって、家電の生産は世界各国から優秀なパーツを集め、それを労働コストの低い新興国で組み立てて完成品を生産する「ユニット組み立て型」へ移行した。その結果、新興国企業の価格競争力が高まり、わが国企業からシェアを奪った。 現在、世界の薄型テレビ市場におけるトップ5社を見ると、サムスン電子を筆頭に4位までを韓国、中国企業が占める。わが国からはソニーが5位に踏みとどまっている。家電メーカーではない、生活用品の企画製造・販売大手のアイリスオーヤマがテレビ市場に参入できたのも、こうした国際分業の進展があったからだ。 新興国企業の成長を追い風に、米アップルはiPhoneの設計と開発に取り組み、その生産(組み立て)を台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業に委託して高い成長を遂げた。デジタル家電分野での設計・開発と生産の分離という環境変化への対応が遅れたフィンランドのノキアは、携帯電話メーカーから業態を変え、5G通信基地など通信機器メーカーとして事業体制を立て直した。半導体分野でも台湾積体電路製造(TSMC)がいち早くファウンドリー(受託製造)のビジネスモデルを確立し、米国のファブレス企業の生産ニーズを取り込んで成長を遂げた。その結果、世界の半導体産業の盟主の座は米インテルからTSMCにシフトしている』、なるほど。
・『日本電産がモータシステムの生産を強化 自動車関連企業が迫られる業態転換  世界の自動車業界でも同じような変化が加速度的に進んでいる。5年後も10年後も、今日の世界の大手完成車メーカーが、その地位にあるとは言い難い。わが国自動車メーカーが環境変化に対応するためには、大胆な発想をもって業態を変えなければならない。例えば大手自動車メーカーが燃料電池の外販に取り組んでいることは注目に値する。 米EV企業大手テスラの台頭に加え、アップル、中国のバイドゥなどがEVの設計・開発に取り組んでいる。各社はソフトウエアのアップデートによるEVの性能向上を重視している。つまり、スマートフォンのように、利用開始後もEVの性能が向上する。ソフトウエア開発に関しては既存の自動車メーカーよりもIT先端企業が強い。 その生産ニーズを取り込むために、鴻海精密工業やカナダのマグナ・インターナショナルなどが自動車の受託製造体制の確立に取り組んでいる。また、わが国では、日本電産がモータシステムなどの生産を強化している。バッテリー分野では、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)が価格競争力を発揮し、韓国のLG化学などもシェア拡大を目指している。家電産業などが経験したように、分業が進むことによってEV開発のスピードは増す。そうした変化に、垂直統合型のビジネスモデルで対応することは難しい。 今後、わが国の自動車メーカーを取り巻く事業環境は厳しさを増し、各社がより強い逆風に直面する可能性は高い。自動車産業が雇用をはじめ、わが国経済を支えてきたことを考えると、今後の日本経済の展開には慎重にならざるを得ない。 逆に言えば、わが国経済が相応の安定と成長を目指すためには、企業が過去の発想にとらわれるのではなく、新しい発想をもって業態を転換させていかなければならない。わが国の自動車メーカーが米中などで需要を獲得している足元の状況は、自動車各社だけでなく、わが国経済全体が新しい発想の実現に取り組み、成長を目指す「最後のチャンス」と言っても過言ではない』、「すり合わせ技術」から「ユニット組み立て型」へ転換するなかでは、「企業が過去の発想にとらわれるのではなく、新しい発想をもって業態を転換させていかなければならない」、大変な時代になったものだ。各社の健闘を期待したい。
タグ:電気自動車 ダイヤモンド・オンライン 真壁昭夫 (EV) 東洋経済Plus (その9)(ホンダ「脱エンジン」の衝撃3題(① EVに全集中、大胆すぎる「生存戦略」、② 「ホンダの豹変」でサプライヤーも発奮、③ 「電動化100%目標」に3つの焦点)、佐川急便が中国製EV導入の衝撃、日の丸自動車が家電の「二の舞い」になる懸念) 「ホンダ「脱エンジン」の衝撃① EVに全集中、大胆すぎる「生存戦略」」 「ガソリン車だけでなくハイブリッド車(HV)すら販売しない中長期の目標を表明」、とは確かに思い切った戦略だ かつてCVCCエンジンを開発するなど「エンジンのホンダ」が、「エンジン」生産から手を引くというのは一抹の寂しさも覚える。 確かに「サプライヤーの「再編」も必至だろう。 「ホンダらしさ」を何とか維持してもらいたいものだ。 「ホンダ「脱エンジン」の衝撃② 「ホンダの豹変」でサプライヤーも発奮」 「ホンダが発表した新たな電動化戦略」、の前日に「トヨタ自動車の豊田社長」が「カーボンニュートラルへの道は1つではない」と講演していたのであれば、「ホンダ」は実に拙い日に発表したものだ。 サプライヤー幹部の「本当にできるのか」との反応には、希望的観測も混じっていそうだ。 「ホンダ」と「サプライヤー」が荒波を乗り越えることを期待したい。 「ホンダ「脱エンジン」の衝撃③ 「電動化100%目標」に3つの焦点」 「現在、HVが新車販売(軽を除く登録車ベース)の約6割近くを占めている」、こんなにHVの比率が高いとは初めて知った。「一番の売れ筋であるN-BOXが2024年のEV投入の最有力候補だ」、「軽自動車」の「EV化」には難しい問題があるのだろうか。 「佐川急便が中国製EV導入の衝撃、日の丸自動車が家電の「二の舞い」になる懸念」 「自動車メーカーが、1990年代以降の家電業界の「二の舞い」になる展開は軽視できない」、とは穏やかならざるご託宣だ。 「「EV化」は日本が得意な「すり合わせ技術」の余地が減る」のは確かで、「わが国経済を支えてきた自動車メーカーが、1990年代以降の家電業界の「二の舞い」になる展開は軽視できない」、も納得した。 「すり合わせ技術を強みに環境性能、安全性、および耐久性を磨いてきた」、いわゆるプロダクト・アウトで、マーケット・インとは対極だ。 「すり合わせ技術」から「ユニット組み立て型」へ転換するなかでは、「企業が過去の発想にとらわれるのではなく、新しい発想をもって業態を転換させていかなければならない」、大変な時代になったものだ。各社の健闘を期待したい。
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