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自動運転(その5)(2025年「自動運転レベル4」に立ちはだかる壁 自動運転普及のカギは「社会需要性」にある、自動運転バスが“絵にかいた餅"で終わる理由 永平寺町の実用化現場で感じた普及の難しさ、トヨタの自動運転車が選手村でパラ日本人選手と接触事故 豊田章男社長が謝罪、トヨタ自動運転車事故 目の前に叩きつけられた厳しい現実 「自動運転技術で事故撲滅」までの遠い道のり) [イノベーション]

自動運転については、2020年3月5日に取上げた。今日は、(その5)(2025年「自動運転レベル4」に立ちはだかる壁 自動運転普及のカギは「社会需要性」にある、自動運転バスが“絵にかいた餅"で終わる理由 永平寺町の実用化現場で感じた普及の難しさ、トヨタの自動運転車が選手村でパラ日本人選手と接触事故 豊田章男社長が謝罪、トヨタ自動運転車事故 目の前に叩きつけられた厳しい現実 「自動運転技術で事故撲滅」までの遠い道のり)である。

先ずは、3月25日付け東洋経済オンラインが掲載したジャーナリストの桃田 健史氏による「2025年「自動運転レベル4」に立ちはだかる壁 自動運転普及のカギは「社会需要性」にある」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/418070
・『2021年3月4日、ホンダが世界初の自動運転レベル3量産車「レジェンド」を発表した。 このクルマに搭載される「トラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)」では、高速道路の渋滞中に運転者が車載器でDVD視聴等が可能となるため、「ついに本格的な自動運転時代の幕開け」といった切り口でテレビやネットで大きな話題となったので知っている人も多いだろう。 自動運転について政府は、今から4年後の2025年をめどに高速道路を走行する乗用車でレベル3よりさらに高度なレベル4を実現させるとしている。 では2025年、本当に日本の道路で自動運転が登場しているのだろうか』、興味深そうだ。
・『N-BOXにレベル3が搭載される日  自動運転レベルは、アメリカの自動車技術会(SAE)が基準として提案したものがその後に国際的な合意となり、その表示は0から5までの6段階となっている。 レベル1~2は「高度運転支援システム」として運転の主体が運転者だが、レベル3~5になると運転の主体がクルマのシステムに移るため「レベル3以上が自動運転」(ホンダ関係者)という解釈だ。 レベル3では、気象状況などによりシステムが自動運転の継続ができないと判断したり高速道路から一般道に降りたりするなど、レベル3に合致する走行条件から抜けると判断すると、運転者に対して運転の移譲を要請してくる。 車内での表示、音声、またシートベルト等での振動を通じて行うこうした行為を、TOR(テイク・オーバー・リクエスト)という。レジェンドでもメーター表示や音声、インジケーターの色の変化によって、TORを発する。 なお、ホンダが採用したレベル3では、高速道路を走行中にシステムが周囲の状況を判断し自動で追い越しを行う「ハンズオフ機能付き高度車線変更支援機能」も搭載される。 今回、発表されたレジェンドの価格は、レベル3非搭載車よりも375万円も高い1100万円と高額だが、今後は自動運転レベル3に関連する機器や技術の量産効果で自動運転システム全体の価格は下がってくる。 アダプティブ・クルーズ・コントロールが軽自動車の「N-BOX」や「N-ONE」などにも搭載されたように、レベル3が多くのホンダ車に採用される人(注:正しくは「日」)がくるだろう。では、それはいつのことなのか。 レベル3に関するオンライン記者発表会に、筆者は所有車であるN-BOXの車内からリモートで参加した。 質疑応答の際、ホンダの自動運転開発担当者に「このN-BOXがレベル3になるのはいつごろか?」と聞いたところ、「10年、いや20年先……」と現時点で将来を予測することは極めて難しいとの表情を見せ、そのうえで販売店やユーザーなど市場でのレベル3に対する「社会受容性を精査していきたい」という姿勢を示した。 筆者は2000年代中盤からこれまで、自動運転について世界各地で自動車メーカーや自動車部品メーカー、IT関連企業、研究機関や大学、そして国や地方自治体への取材や意見交換を定常的に行ってきた。 また、国道交通省と経済産業省による中山間地域でのラストワンマイル自動走行実証試験では、その現場となる福井県永平寺町で2018年から一軒家を借り、街の政策に対して議論する永平寺町エボリューション大使に就任。各方面から永平寺町実証への視察対応なども行ってきた。 そうした中で「社会受容性」という視点が、自動運転の普及に向けた大きな課題であると強く感じている』、「レジェンドの価格は、レベル3非搭載車よりも375万円も高い1100万円と高額」、も「社会受容性」に影響を与える要素だ。それにしても、レベル3の自動運転中に「TOR」が鳴った時に、居眠りなどしていたらどうなるのだろう。
・『「社会受容性」の本質を問う  自動運転の社会受容性に対して、国や自動車メーカーが直近の考え方を示す機会が2021年3月15日にあった。内閣府の戦略的イノベーション創造プログラムにおける自動運転プロジェクト(通称SIP-adus)に関する、オンラインワークショップでのことだ。 国土交通省 自動車局 技術・環境政策課の多田善隆氏が「自動運転車の技術基準策定のポイント」として、道路運送車両法と道路交通法におけるレベル2とレベル3の解釈の違い、国際基準策定の取組などを説明していたのだが、その中で、自動運転車の普及には「技術開発を阻害しないように、技術の進展と普及活動に応じた段階的な施策が重要だ」と指摘していた。 そして、具体的に以下の4つのフェーズにおける施策例を挙げた。 (1)技術開発期:技術ガイドラインや保安基準〔任意規格〕の策定 (2)技術競争期:自動車アセスメント (3)普及拡大期:サポカー補助金や税全優遇措置 (4)標準搭載期:保安基準〔強制規格〕の策定 そして多田氏は、現状での自動運転は(1)の「技術開発期にあると思う」と個人的な見解を述べ、社会受容性については、ユーザーの自動運転機能に対する過信を問題視した。 現状のレベル2(実質的には高度運転支援システム)に関しても、逆光や悪天候などが理由で年間100件ほどの不具合事案が国交省に報告されているという。そのため「レベル2を含めて、レベル3でもユーザーに対する機能への過信を防止するよう、技術の特性をしっかりと伝えることが必要だ」と強調する。 国交省に次いで、一般社団法人 日本自動車工業会の自動運転部会長 横山利夫氏が「自動運転の実用化に向けた日本自動車工業会の取り組み」を発表した。 そこでは「技術基準と標準」「道路交通ルール」への対応という大きく2つの方向で、国内外の関係各部門と連携して基準化と標準化を進めていることを紹介するとともに、自動運転部会傘下のユースケース、ヒューマンファクター、AD安全性評価など6つの分科会の活用内容も示した。 さらに質疑応答では、社会受容性について大きく3つのポイントがあると指摘した。 (1)適切な安全性を社会が需要できるかどうか (2)メーカーやメディアが自動運転に対してミスリードしないような仕組みをつくること (2)(注:正しくは(3))自動運転がメーカーによるプロダクトアウトの商品であること 横山氏は、「自動運転は、メーカーが交通事故の減少などを目指したプロダクトアウト(の商品)である。消費に対する魅力がどういった反響が(社会から)あるのか。(販売)コストを含めて、ステップバイステップで進めていくべき」との考えを示す。 この「プロダクトアウト」という視点こそ、自動運転における社会受容性の議論で重要な点だと筆者は思う。ユーザーや販売店から「できるだけ早く(レベル3以上の本格的な)自動運転のクルマが欲しい」といった、マーケットイン型の要望が強くあるわけではないからだ』、私も渋滞区間はともかく、通常の区間で「自動運転」してもらいたいとは思わない。
・『自動運転への需要は本当にあるのか?  自動運転は、あくまでも自動車メーカーやIT企業が「交通事故ゼロを目指す」という社会的な責任を踏まえたうえでの新規事業として開発しているにすぎない。そのため、実現には法整備や安全性の確保など、これまでの自動車開発と比べるとさまざまな点で実用化へのハードルが高く、どうしても研究開発や法務対策が優先される。 そして、そうした対応にある程度のめどがついた状態で“実証試験”として世に出し、社会からどう見られるかを“後付け”で考えている。これを「社会受容性」と呼んでいるというのが実情だ。 そのため、社会からの本質的な需要と、自動車メーカーや研究機関が想定している需要に差異が生じる場合もある。さらにいえば、実質的に社会から自動運転に対する具体的な要求があまりない状態で、需要の創出を仮想しながら社会受容性を議論しているようにも思える。 これは、国や自動車メーカーが自動運転を議論する際に用いる、オーナーカー(乗用車)とサービスカー(公共交通機関に近い存在)のどちらにもいえることだ。今、“オーナーカーのレベル3”がホンダによって世に出たことで、ユーザー、販売店、そして社会全体から自動運転全般に対して、厳しい評価の目が向けられることになる』、「ホンダ」の「レベル3”」はどのような「評価」を受けるのだろうか。

次に、この続きを、4月5日付け東洋経済オンライン「自動運転バスが“絵にかいた餅"で終わる理由 永平寺町の実用化現場で感じた普及の難しさ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/420632
・『自動運転は、乗用車や商用車を中心とした「オーナーカー」と、バスやタクシーなど公共性がある交通機関「サービスカー」という2つの領域で、日本を含めた世界の国や地域で、自動車メーカーや自動車部品メーカー、そしてアップル、グーグル、中国のバイドゥなどといったIT系企業が、継続的な事業化について戦略を練っている段階である。 こうしたオーナーカーとサービスカー、どちらについても本格的な普及に対する課題は、社会受容性とそれに見合うコスト管理にある。社会受容性については、「2025年『自動運転レベル4』に立ちはだかる壁 自動運転普及のカギは『社会受容性』にある」にて紹介した。 今回はコスト管理について、筆者がエボリューション(注)大使として町の政策に参画している、福井県吉田郡永平寺町の事例を軸足として話を進める』、興味深そうだ。
(注)エボリューション:進化(Wikipedia)
・『ゴルフカートベースの実験車両  2021年3月25日、サービスカーとして日本初の1:3(1人が3台を同時監視する)の遠隔型自動走行車両による自動運転レベル3実用化を記念した出発式が行われ、福井県の杉本達治知事や永平寺町の河合永充町長、そして関係省庁と地元の交通事業者や商工関係者らが参加した。 運行管理を町が出資するまちづくり会社ZENコネクトが行い、永平寺町の門前に近い2km区間で、遠隔管理室にいる1人が3台を同時に監視して無人走行させる。運賃は大人100円、子どもが50円。 自動運転車両は、ヤマハが製造開発し、全国各地のゴルフ場や遊興施設などで数多く使われている電磁誘導方式のゴルフカートをベースに、国の産業総合技術研究所が一部を改良したものだ。 地中に埋設した誘導線の磁力線を車両下にある3つのガイドセンサーが検知し、設定されたルートを走るというのが、基本的な走行システム。地中に埋設したマグネットの上を走行すると、車両のマグネットセンサーによる電圧発生で車両位置を検知し、得られた信号をコンピューターが解析して車両の動作を制御する。 電磁誘導方式は事実上の軌道交通であり、運用の自由度はあまり高くないという見方もある。一方で、走行ルートから外れて暴走しないこと、積雪や落ち葉などの路面環境の変化に強いこと、10年以上とされる耐久性の高さや、月額数千円程度の電気代で済むという経済性が、メリットとして挙げられる。 また、明確な金額は公開されていないが、車両本体はベースとなるヤマハ製ゴルフカートの販売価から数百万円程度と考えられる。 さらに、遠隔管理は運行管理の人件費を抑制するためでもあるが、永平寺町の事例は専用空間を走行するため、遠隔管理者の精神的な負担も比較的少なくできるメリットもある』、いくら電気を「電磁誘導方式」で取り込むとはいっても、たかが「ゴルフカート」に毛が生えた程度なのに、1台「数百万円程度」とはいささか高過ぎる印象だ。
・『“身の丈”を考えた“現実解“として  この地が、「専用空間における自動走行などを活用した端末交通システムの社会実装に向けた実証」として国に認定されたのは、今から4年前の2017年3月だった。 同年4月には、京福電鉄の廃線跡を利用した遊歩道に、自動運転を行うための電磁誘導線などの付帯設備の工事が行われ、同年5月より産業技術総合研究所などによる試験走行が開始された。なお、工事費用には、地方創生拠点整備交付金(国:6000万円、県:3000万円、町:3000万円、合計1億2000万円)が投じられている。 2019年4月から5月の大型連休にかけては、車両10台を使った1カ月実証が実施され、同年6月から12月までは当時、日本で最長期間となる6カ月連続実証が、さらに2020年7月からは車内無人でのレベル3の実証などが行われてきた。 こうした各種実証には、全国各地の自治体、民間企業、大学などの教育機関の担当者が現地視察に訪れ、筆者も参加し、永平寺町の社会実情と自動運転の社会実装に対する可能性について意見交換してきた。 その中で、町側からは「継続的な運用に向けたコスト抑制」が強調された。グーグルカーやアップルカー、またはヨーロッパのベンチャー企業などが実用化を目指す、走行場所の制約をあまり受けずに走行可能な高級な自動運転車両の導入は、町の財政状況を考えると難しく、国や県と連携した永平寺町としての“身の丈”を考えた“現実解”として、自動運転の実用化を考えるというものだ。 永平寺町では、もう1つ“身の丈”交通がある。約1年間の試走を経て2020年10月に実用化した、オンデマンド型交通システムの「近助(きんじょ)タクシー」だ。 福井県内の全トヨタ販売企業が共同で車両のサポートをする体制を敷き、地元住民がミニバンを運転して、高齢者の通院や買い物、小学生の通学などを支援するものだ。 また、経済産業省の支援事業として、近助タクシーのドライバーがゆうパックの配送を行う日本初の貨客混載の実証も2021年2月に行われた。 自家用有償旅客運送は全国各地で実用化されている手法だが、国は2020年2月に地域公共交通の活性化とそのための法改正を行っており、近助タクシーのような新たな事業の実現に向けて国土交通省が後押しする体制が整ってきている。 全国各地から永平寺町への視察では、自動運転と近助タクシーの現場に案内し、それぞれの長所と短所を実感してもらう。その中でよく出る話題は、コミュニティバスから自動運転車両への転換だ。 コミュニティバスは、路線バスより車両がこぶりで、集落の中の比較的細い道まで路線がある地方自治体が運用し、地元のバス会社やタクシー会社に運行管理を委託する公共交通機関として全国各地に広まっている』、なるほど。
・『自動運転車を赤字でも続ける理由  コミュニティバス発祥の地とされる東京都武蔵野市役所にもうかがい、同地における公共交通会議の活発な議論について市職員から話を聞いたが、年間で1億円を超える収入があっても収支は若干の赤字であるという。 一方、永平寺町のコミュニティバスは年間4000万円強の財源を要して、年間収入は数十万円程度である。それでも、コミュニティバスは住民サービスであり、また住民に対するセーフティネットという観点から、赤字体質でも事業を継続することに住民が反対するケースは少ない。永平寺町を含めて、全国各地のコミュニティバス事業を実際に取材すると、そうした声が多い。 一方でバスやタクシーのドライバーの高齢化と、ドライバーのなり手不足という課題も全国共通にある。そこで、「コミュニティバスから自動運転車への転換」という発想が生まれるのだが、多くの場合は“絵にかいた餅”で終わる。 なぜかといえば、自治体の財政状況によらず「どこで」「誰が」「いつ」「どのように利用し」「コスト管理をどうするのか」という出口戦略の詰めが甘いからだ。 実際、自動運転と自家用有償旅客運送の2つをやっと実現した永平寺町の事例についても、筆者の立場として言えば、自動運転事業の継続はサービス事業として数多くの課題があり、解決に向けた議論は今度さらに難しさを増すと感じている。 それでも、「小さな歩みを続けていこう」と地元の皆さんと交流を深める中で、自らの気持ちを整理している。地域交通をよりよい形にするのは、並大抵のことではない』、高齢化が進むなかでは「地域交通をよりよい形にする」のは、喫緊の課題だ。大いに頑張ってほしい。

第三に、8月28日付けNewsweek日本版が転載したロイター「トヨタの自動運転車が選手村でパラ日本人選手と接触事故 豊田章男社長が謝罪」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/08/post-96996.php
・『東京・中央区の東京パラリンピック選手村を巡回する自動運転車に選手が接触した事故を受け、車両を提供・運営するトヨタ自動車の豊田章男社長が27日夜、自社のオンラインサイトで「多くの方々にご心配をおかけし、大変申し訳ない」と謝罪した。事故の原因は調査中とした。 事故は26日午後に発生。右折しようとした自動運転車が、柔道(視覚障害)男子81キロ級日本代表の北薗新光選手(30)に接触した。北薗選手は転倒し、頭などに全治2週間のけがをした。NHKなど国内メディアによると、北薗選手は28日に出場予定だった試合を欠場する。 豊田社長は、車両に搭載された自動運転技術について、「パラリンピックという特殊な環境の中で、目の見えない方もおられれば、いろいろと不自由な方もおられる。そこまでの環境に対応できなかった」と説明。「普通の道を普通に走るのはまだ現実を帯びていない」と語った。 豊田社長によると、事故は車両がT字路を右折する際に起きた。曲がる前の直進は自動運転で走行し、横断歩道前でいったん停止。その後、乗車していたオペレーターのマニュアル操作で再スタートした瞬間に接触したという。「スピードにして(時速)1、2キロ。時間にして1、2秒の間に接触が起こった」と語った。 事故の原因はまだ不明だが、車両は電気自動車(EV)で、ガソリンエンジン車と異なり接近時の音が静かなため、接近を知らせる音量をこれまでの2倍にするなどの対策を講じるとしている。現在、車両は運行を停止している』、「マニュアル操作で再スタートした瞬間に接触」、厳密には「自動運転」中の事故とはいえないのかも知れないが、被害者は「全治2週間のけがをした・・・28日に出場予定だった試合を欠場」、というのはやはり深刻だ。次の記事でもこの問題を取上げる。

第四に、この続きを、9月1日付けJBPressが掲載したジャーナリストの桃田 健史氏による「トヨタ自動運転車事故、目の前に叩きつけられた厳しい現実 「自動運転技術で事故撲滅」までの遠い道のり」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/66744
・『2021年8月26日、東京パラリンピック選手村内でトヨタ自動車製の自動運転車「eパレット(e-Pallet)」とパラリンピック出場選手との接触事故が発生した。その影響でトヨタはeパレットの運行を同日から停止していたが、8月31日15時に運行再開することを大会組織委員会が決定した。 トヨタはオウンドメディア「トヨタイムズ放送部」で事故の発生状況と対策内容を示し、豊田章男社長が「この度接触した方の一日も早い回復をお祈りしている。(自動運転の)モビリティの運行停止で選手村の方々にご不便をおかけしたことを申し訳なく思う」と謝意を表明した』、なるほど。
・『事故再発を防ぐトヨタの対策  トヨタの発表内容から事故の発生状況を振り返ってみたい。 歩行者は視覚障害者で、信号機のない交差点を単独で渡ろうとしていたところ、車両が交差点を右折して接近し、車両は歩行者の動きを検知して停止した。その後、車内のオペレータが安全を確認して再度発進したうえで、交差点内の状況を確認して手動で減速を始めたが、道路を横断してきた歩行者を車両のセンサーが検知して自動ブレーキが作動した。それと並行してオペレータが緊急ブレーキを作動させたが、接触事故が発生した。 接触事故の発生時、交差点内に誘導員が2人いたが、パラリンピックのように多様な人がいる状況で、誘導員が複数の方向からの歩行者や車両の動向を確認できる環境ではなかった。誘導員とオペレータとの連携の仕組みが十分ではなかったという認識もあるという。 今後の対策としては、歩行者に対しては組織委員会が選手団長会議などで移動のルールなどを改めて周知し、車両については、自動運転ではなくマニュアルでの加速・減速・停止を行う。さらに、接近通報音の音量を上げ、搭乗員を増員することを決めた。 そのほか、交差点の誘導員を現在の6人から20人に増員し、車両担当と歩行者担当に分離して専業化する。同時に、信号の代わりとなって車両と歩行者を安全に誘導できる体制を構築するとした。 要するに、東京パラリンピック選手村においてeパレットはもはや自動運転車としての運用ではなく、高度な運転支援システムを持った小型電動バスという位置付けになったと言える。 これはあくまでも選手村が閉村するまでの期間、大会関係者が選手村内での移動に困らないような応急措置としており、その中でトヨタがより安全な自動運転車のあり方を検証していくことになる』、「トヨタ」としては、「安全な自動運転車」のPRをする筈だったのが、飛んだハプニングになったものだ。
・『コスト削減と安心・安全の両立が課題  では、トヨタの自動運転モビリティは今後どのような改善が可能なのか? 筆者がサポーター(永平寺町エボリューション大使)として参加している福井県永平寺町での自動運転実証試験(国土交通省、経済産業省、産業総合研究所が共同で実施)での現場の状況、さらに筆者がこれまで現場で取材してきた各種の自動運転車の状況を踏まえて考えてみたい。 国が自動車メーカーなどと協議して決めた自動運転に関する指針では、自家用車や商用車などを「オーナーカー」、公共交通を主体とした乗り物を「サービスカー」と定義している。東京オリンピック・パラリンピック選手村でトヨタが運行するモビリティはサービスカーである。自動運転サービスカーが目指すのは、「運行コスト削減」と「安心・安全」の両立だ。 全国各地で近年、路線バスやタクシーの運転手の高齢化が進み、新たな成り手を見つけることも難しくなってきた。また、自家用車の普及によって路線バス乗車客数が減る中、バス運行会社が運行ダイヤを見直して減便するケースも少なくない。地方自治体の中には、路線バス継続のためにバス運行会社に補助金を交付したり、コミュニティバスの費用を負担しているところもあるが、財政への負担が大きく、コミュニティバスの減便や廃止を検討せざるを得ない状況もある。 こうした状況を打開するため、搭乗員がいない自動運転バスや自動運転タクシーへの期待が高まっている。国と自動車産業界は、永平寺町や東京オリンピック・パラリンピックでの実証実験を国内外に向けたショーケースとして、サービスカーの自動運転化を検討してきた。 だが現状では、今回の選手村での接触事故への対策に見られるように、安心・安全を確保するためには、まだまだ人によるサポートが欠かせないことが分かる。実証試験では、事故が起こらなければ自動運転運行に関わる人の数を段階的に減らしていく。だが、一度でも事故が起こると、そうした流れが一気に逆戻りしてしまう。そんな厳しい現実を目の前に叩きつけられたような思いがする』、安全に関することでは当然だ。
・『自動運転技術は確かに必要だが  トヨタを含めた自動車産業界には、「死亡事故ゼロを実現するためには自動運転技術が欠かせない」という認識が存在する。そこには、死亡事故の多くが運転者の運転判断ミスや運転操作ミスによるものだという大前提がある。 確かに、完全自動運転まで至らなくても、自動運転技術を活用した高度な運転支援システムが事故発生を軽減しているとのエビデンスもある。今回のパラリンピック選手村内での接触事故においても、自動ブレーキが作動したことで接触時の速度が抑制されたことは事実だ。自動ブレーキの作動によって、接触した歩行者の負傷の度合いが抑えられた可能性もある。 これまでの自動運転技術の進化を俯瞰してみると、2010年代中盤以降、AI(人工知能)に関する研究開発が進むのと並行するように、一気に量産化に向けた動きが加速してきた。筆者は公道で一般車両と混流して走る実証試験車にも体験乗車する機会があるが、その技術進化の速さに驚かされることが多い。 その上で今回の接触事故を踏まえて、単なる技術論だけではなく、自動運転の社会との関係があるべき姿について、関係者はいま一度深く考えるべき時期ではないだろうか』、「自動運転の社会との関係があるべき姿について、関係者はいま一度深く考えるべき時期」、同感である。
タグ:自動運転 (その5)(2025年「自動運転レベル4」に立ちはだかる壁 自動運転普及のカギは「社会需要性」にある、自動運転バスが“絵にかいた餅"で終わる理由 永平寺町の実用化現場で感じた普及の難しさ、トヨタの自動運転車が選手村でパラ日本人選手と接触事故 豊田章男社長が謝罪、トヨタ自動運転車事故 目の前に叩きつけられた厳しい現実 「自動運転技術で事故撲滅」までの遠い道のり) 東洋経済オンライン 桃田 健史 「2025年「自動運転レベル4」に立ちはだかる壁 自動運転普及のカギは「社会需要性」にある」 「レジェンドの価格は、レベル3非搭載車よりも375万円も高い1100万円と高額」、も「社会受容性」に影響を与える要素だ。それにしても、レベル3の自動運転中に「TOR」が鳴った時に、居眠りなどしていたらどうなるのだろう。 私も渋滞区間はともかく、通常の区間で「自動運転」してもらいたいとは思わない。 「ホンダ」の「レベル3”」はどのような「評価」を受けるのだろうか。 「自動運転バスが“絵にかいた餅"で終わる理由 永平寺町の実用化現場で感じた普及の難しさ」 いくら電気を「電磁誘導方式」で取り込むとはいっても、たかが「ゴルフカート」に毛が生えた程度なのに、1台「数百万円程度」とはいささか高過ぎる印象だ。 高齢化が進むなかでは「地域交通をよりよい形にする」のは、喫緊の課題だ。大いに頑張ってほしい。 Newsweek日本版 ロイター 「トヨタの自動運転車が選手村でパラ日本人選手と接触事故 豊田章男社長が謝罪」 「マニュアル操作で再スタートした瞬間に接触」、厳密には「自動運転」中の事故とはいえないのかも知れないが、被害者は「全治2週間のけがをした・・・28日に出場予定だった試合を欠場」、というのはやはり深刻だ。次の記事でもこの問題を取上げる。 JBPRESS 「トヨタ自動運転車事故、目の前に叩きつけられた厳しい現実 「自動運転技術で事故撲滅」までの遠い道のり」 「トヨタ」としては、「安全な自動運転車」のPRをする筈だったのが、飛んだハプニングになったものだ。 安全に関することでは当然だ。 「自動運転の社会との関係があるべき姿について、関係者はいま一度深く考えるべき時期」、同感である。
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