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カジノ解禁(その12)(大阪カジノ 維新「セコセコ行政」でも土壌対策費790億円の経緯は不明、【スクープ】大阪カジノの土壌対策 オリックスら「ディズニーランドが理想」と公費負担を要望、大阪カジノ・事業会社撤退条項にはらむ大リスク 国も大阪も取らぬ狸の皮算用にならないか) [国内政治]

カジノ解禁については、昨年10月10日に取上げた。今日は、(その12)(大阪カジノ 維新「セコセコ行政」でも土壌対策費790億円の経緯は不明、【スクープ】大阪カジノの土壌対策 オリックスら「ディズニーランドが理想」と公費負担を要望、大阪カジノ・事業会社撤退条項にはらむ大リスク 国も大阪も取らぬ狸の皮算用にならないか)である。

先ずは、本年2月8日付けダイヤモンド・オンライン「大阪カジノ、維新「セコセコ行政」でも土壌対策費790億円の経緯は不明」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/295555
・『「公費負担はない」と説明されてきた大阪維新の会の看板政策である、カジノを含むIR計画。だが、土壌汚染や液状化対策に大阪市が790億円を投じることが昨年末に公表された。金額決定の経緯が明らかになると期待された議事概要の黒塗り部分がこのほど開示されたが、依然として不明なままだ』、興味深そうだ。
・『松井市長の指示で黒塗りを開示 市幹部が苦しい胸の内を吐露  土壌汚染や液状化への対策に巨額の負担が生じることとなった大阪湾の埋め立て地「夢洲」でのカジノを含むIR(統合型リゾート)計画。大阪市議会議員からの要求により、松井一郎市長や幹部による2021年2月12日の会議の議事概要が提出されたが、肝心の内容がすべて黒塗りだった(『大阪カジノで市負担の土壌対策費790億円が、WTCの二の舞になりそうな理由』参照)。その後、松井市長の指示で2月3日に市ホームページで黒塗り部分が公開された。 議事概要には、新型コロナウイルスの感染拡大で計画の大幅変更を余儀なくされた市幹部の苦しい胸の内が率直に吐露されていた。 IRを運営する民間事業者の募集は19年12月に始まり、米国のカジノ大手MGMリゾーツ・インターナショナルの日本法人とオリックスの2社による企業連合が唯一応募した。 その後に夢洲の土壌汚染への対策が必要だと判明し、市は応募要項を修正して21年3月に再度実施。同9月にMGMオリックス連合に決まった。 21年末には、土壌汚染対策などの費用として約790億円を市が負担すると新たに判明し、計画の収益性が懸念されている。 議事概要によると、大阪市の坂本篤則IR推進局長はこの会議で、コロナ禍の影響をとつとつと語っている。) 「新型コロナウイルス感染症の影響でMICEについては非常に大きな影響を受けている。ビジネスモデルについて今後どうなっていくのか、そのあたりが現在の時点では明確になっていない」 「特に昨年夏以降、徐々にMICEが再開されているが、第2波、第3波が続く中で多くが中止となったり、延期を余儀なくされている状況がある」 MICEとは、Meeting、Incentive Travel、Convention、Exhibition/Eventの頭文字を使った造語で、国際会議を開催できる巨大な会議場や展示施設を指す。 高橋徹副市長はこの会議で「IRの中核施設はMICEである。世界最高水準のオールインワンMICE拠点を形成することで世界から人を呼び寄せて、日本経済の成長につなげていく、そこで大事になるのが、MICEである」と強調した。 ところがIR推進局から会議で示されたのは、MICEのうち展示施設の整備面積を開業時に10万平方メートル以上とするのではなく、開業時は2万平方メートル、開業後15年以内に6万平方メートル、そして35年の事業期間内に10万平方メートル以上の計画を立てるという「段階整備」に変更することであり、その方針自体は会議後すぐに公表された』、「IRの中核施設はMICEである。世界最高水準のオールインワンMICE拠点を形成することで世界から人を呼び寄せて、日本経済の成長につなげていく、そこで大事になるのが、MICEである」、と大きく出た割に、「MICEのうち展示施設の整備面積を開業時に10万平方メートル以上とするのではなく、開業時は2万平方メートル、開業後15年以内に6万平方メートル、そして35年の事業期間内に10万平方メートル以上の計画を立てるという「段階整備」に変更」、これでは「開業時」はなんとも寂しい印象を与えるリスクもあるのではなかろうか。
・『「部分開業」報道を嫌がるも「世界から人呼ぶ」展示場は開業時に不発  ただ、公表前の2月11日に日本経済新聞電子版がこれを「20年代後半に部分開業」と報じたのがよほど気に障ったのか、坂本局長は2万平方メートルの展示場という国の基準を満たして開業することを理由に「いわゆる大阪IRを目指す最終形に向けて、第2期、第3期というような形で成長させていくものと思っている」と強調。高橋副市長からの「部分開業には当たらないということでよいか」との念押しに「その通りである」と答えている。 言い方はどうあれ、国の基準を大幅に上回る10万平方メートル以上の展示施設を設けることで、高橋副市長の言う「世界から人を呼び寄せて、日本経済の成長につなげていく」という構想が、20年代後半の開業時には実現しないことが、この会議ではっきりした。 では、開業後に段階整備を進めていくことにどれだけの合理性があるのだろうか。 そもそも日本にはMICEに相当する大規模展示施設が少なく、11万平方メートルを超える東京ビッグサイトをしのぐ展示場は海外に多い。そのためコロナ前は、インバウンド需要のさらなる取り込みのため、カジノと一体となった巨大なMICE施設の誘致に横浜市や大阪府市などが名乗りを上げた。 たが坂本IR推進局長も認めているように、コロナ禍で展示場ビジネスは大幅な制限を受けた。さらに、フェイスブックを運営する米国のIT大手メタは、仮想空間でのアバター同士による交流を可能にする「メタバース」に注力していくとしている。 仮想空間でも人間の五感が限りなくリアルに近い形で再現されれば、展示や交流といった概念が今後、根本的に覆されることになる。坂本局長もこの会議で「オンラインと現実のリアルをミックスしたようなハイブリッド型といわれているMICEが増加傾向にあると聞いている」と語っており、その兆候は明らかだ。) 見方を変えれば、展示施設の面積を10万平方メートルから2万平方メートルに縮小し、修正後の募集要項には「段階整備」の時期の見直しも書き込んだため、無用の巨大なハコモノ建設を回避できたともいえる。ただし上物がどうあれ、「土壌」には当初公表していなかった莫大な費用が投じられることに変わりはない。 この会議では、昨年末に公表されて批判を浴びた、市による夢洲の土壌対策費790億円の負担についてもやりとりがあるが、当時はその金額の規模は不明だったようだ』、確かに{MICE」の当初の規模縮小で、「土壌対策費790億円」が目立つ形となった。
・『「鉛筆1本無駄にしない」維新の政策で埋め立て地に790億円、リターンは根拠不明  高橋副市長が土壌汚染対策を挙げて「負担の程度は何か想定しているのか」と尋ねたのに対し、坂本IR推進局長は「具体的な内容については事業者の提案になる」とした上で、「提案の内容を見て、残土の量であるとか、時期であるとか、処理の方法をどのようにしていくのかなどを踏まえた上でということになるので、現在のところ想定している負担については、未確定であるが、可能性はあると考えている」と回答した。 要するに、IR推進局はこの時点で、費用は事業者の提案次第と説明していたということだ。高橋副市長はその場で「市の負担が軽微になるようしっかりと調整してもらいたい」と求めた。 そして昨年末になって、土壌汚染対策費が790億円と突然公表された上、今年1月には地下鉄中央線の延伸費用に追加で96億円、さらに2月に入ってからは、IR予定地と隣り合う25年の万博会場跡地の土壌対策費に788億円が必要だと判明した。 大阪府市を率いる大阪維新の会のキャッチフレーズは「身を切る改革」だ。松井市長が16年の街頭演説で「みなさんの税金をお預かりして役所の中で使うときは、セコく、セコく、細かく。鉛筆1本、紙1枚、無駄にしない」「大阪府、大阪市では、両面コピー、鉛筆も短く短くなるまで絶対使う」と「大阪流セコセコ行政運営術」の意義を語ったように、これまで職員給与や事業の削減を成果に誇り、選挙戦で訴えてきた。 その半面、夢洲には、上物の計画を縮小して当初の「成長戦略」の変更を強いられたにもかかわらず、土壌対策には大盤振る舞いで、「軽微」とは到底いえない金額を投じようとしている。松井市長はIRによる財政的なリターンを強調するが、大阪府市が事業者から年間に得るとはじいた1030億円は、コロナ収束を見込んだ楽観的な数字である。 そもそも松井市長や大阪府の吉村洋文知事はこれまで、一連の計画に「公費負担はない」と説明してきたが、土壌対策の負担が明らかになってから「IRの『施設』に公費は使わない」といった主張にすり替えており、朝日新聞は2月5日付社説で「およそ通用しない言い訳だ」と突き放した。 そして重要なのは、夢洲の土壌対策費の規模について、坂本IR推進局長が21年2月の段階で、事業者からの提案によると語ってから、年末に790億円という金額が公表されるまでの間に、市と事業者側との間でどのようなやりとりがあったのか、黒塗りが解除されても、何一つ明らかになっていないことである。 松井市長は1月27日の記者会見で「大勢のお客さんが集まるので、安全で安心して楽しめる土地にしてくださいというのが事業者からの要望。それを受けて判断した」と語った。だが、一般的に湾岸の埋め立て地の地盤に問題が起きやすいことは土木工事の世界では常識であり、巨額の対策コストが「想定外だった」との市側の説明は通らないだろう。 市IR推進局は取材に対し、2月10日開会の市議会定例会に合わせて黒塗りだった文書を開示したとしているが、議論の材料としてはあまりに不十分だ』、「般的に湾岸の埋め立て地の地盤に問題が起きやすいことは土木工事の世界では常識であり、巨額の対策コストが「想定外だった」との市側の説明は通らないだろう」、その通りだ。

次に、3月3日付けダイヤモンド・オンライン「【スクープ】大阪カジノの土壌対策、オリックスら「ディズニーランドが理想」と公費負担を要望」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/297990
・『土壌対策への公費負担790億円をめぐって批判が広がる、大阪府市のカジノを含むIR(統合型リゾート)計画。事業者に唯一応募したオリックスなど2社の企業連合が、東京ディズニーランド、ディズニーシーが自己負担で行ったのと同様の液状化対策を大阪市が公費で行うよう要望していたことが、市への情報公開請求で判明した』、余りにも虫のいい要求には驚かされた。
・『土壌汚染対策の公費負担には応じるも液状化対策費には反発した市の港湾局  カジノを含むIR(統合型リゾート)施設の整備を進める大阪市が、大阪湾内の埋め立て地「夢洲」の土壌汚染や液状化への対策の費用として790億円を負担すると昨年末に表明してから、批判の声が広がっている。 ダイヤモンド編集部が市に情報公開請求して入手したこれまでの市役所内での会議資料によると、事業者に応募した日米の企業連合が「東京ディズニーランドの液状化対策が理想」などと要望していたことが分かった。 IR計画に唯一応募した事業者は、米国のカジノ大手MGMリゾーツ・インターナショナルの日本法人とオリックスの2社による企業連合。2021年1月の市の会議で、港湾地区の管理を担う大阪港湾局が示した資料によると、夢洲の土中で見つかった汚染物質について、事業者側が「風評被害が出ないかが大きな懸念」「(土中の汚染物質の)含有量基準が『みなし不適合』となることで、舗装・覆土等が必須となり工事費用に影響」などと主張した。 「みなし不適合」とは、土壌汚染物質の有無を調査していない土地でも、汚染が見つかった土地と同じ土砂で埋め立てられた場合、同様の汚染があるとみなすということ。今回は地下鉄中央線延伸工事現場で汚染物質が見つかったため、IR予定地にも同様の汚染があると判断した。 市側は「対応案」として、風評被害については説明を尽くすとする半面、「(みなし不適合の)土壌汚染に伴う追加費用については、事業者と協議の上、大阪市が妥当と認める金額を負担する方向で調整する」としていた。大阪港湾局は土壌汚染対策については当初から、財政負担やむなしと考えていた節がうかがえる。 しかし同局は、液状化現象の対策への負担については反発した』、「同局は、液状化現象の対策への負担については反発した』、何か理由があるのだろう。
・『東京ディズニーランドは自己負担で液状化対策を行った  液状化現象とは、埋め立て地など水分の多い不安定な土地で地震が起きた場合、土中の水分が地上に噴出する現象だ。11年の東日本大震災の際、千葉県浦安市などの住宅街で、道路が広範囲で陥没したり、建物が傾いたりといった被害が発生した。 だが、同市にある東京ディズニーランドやディズニーシー内の敷地はこうした被害が起きなかった。 ディズニーランドなどでは、施設の建設時に「サンドコンパクション工法」と呼ばれる対策が取られた。水分の多い土の中に柱状に固めた砂を入れ、上から押し固めて地盤の水分などを抜き取るというものだ。 大阪IR計画に話を戻すと、21年6月8日の市の会議資料には、MGMオリックス連合から市に対する「事業者意見」として、「東京ディズニーランドの液状化対策が理想」と記載されていた(下写真)。(大阪市資料1はリンク先参照) しかし東京ディズニーランドでは、埋め立てた土地を分譲した千葉県によると、液状化対策工事は運営会社のオリエンタルランドが自ら費用を負担していた。 しかしMGMオリックス連合は、東京ディズニーランドでは事業者自らの負担で行ったサンドコンパクション工法による工事が「理想」であり、これを市の負担で行うよう主張したのである。 事業者については当初、カジノ運営大手のゲンティン・シンガポール(シンガポール)とギャラクシー・エンターテインメント・グループ(香港)も応募するとみられていたが、実際には応募せず、20年2月に応募したのはMGMオリックス連合の1者だけだった。 その後、土壌汚染については21年1月に市が事業者に説明。液状化対策については20年1月~12月に事業者が行ったボーリング調査でリスクが判明したとして市が対策を求められた。こうした経緯から、市は事業者を再度募集。MGMオリックス連合の1者が応募し、21年9月に決まった。 土壌対策費計790億円の内訳は、土壌汚染対策費が360億円、液状化対策費が410億円、地中埋設物の撤去費が20億円。市はこれまで市有地の売却や賃貸の際、こうした費用を公費負担しないのが原則だった。 だが、松井市長が最高実力者として君臨し、吉村洋文大阪府知事が代表を務める大阪維新の会は、カジノを含むIRを看板政策に掲げている。どうしてもIRを実現したい維新や大阪市側が、事業者に足元を見られ、負担を強いられたとの見方がもっぱらだ。 なお大阪港湾局は21年6月29日の会議で、液状化対策工事について、造成当時の基準に従って埋め立てられた土地であれば、建築基準法上、土地を造成した市の責任は問えないと主張。前述の東京ディズニーランドや、横浜市の湾岸エリアでも、土地所有者が実施した例はないと訴えた。 その上で、「夢洲におけるIR事業の実現という“政策的な観点”から負担するという整理が必要」と、要するに政治判断を求めた。 この会議で松井市長は「土地所有者としての“責任”は免れない」と明言。公費負担の方針が決まった。 オリックスの広報担当者は「東京ディズニーランドと同様の対策を必ずしてくださいということではないが、土地の取引では所有者が対策をすることが一般的だ」と話した。 なおこの費用については、大阪港湾局が所管する特別会計の港営事業会計で負担し、収支が悪化した場合は一般会計からの繰り入れで救済することとなった』、「市はこれまで市有地の売却や賃貸の際、こうした費用(土壌汚染対策費、液状化対策費など)を公費負担しないのが原則だった」、「どうしてもIRを実現したい維新や大阪市側が、事業者に足元を見られ、負担を強いられたとの見方がもっぱらだ」、情けない話だ「オリックスらの」たかり体質も問題だ。
・『夢洲造成事業は2076年度まで資金不足 カジノ粗利の過半は日本人の「賭け損」  21年12月に大阪港湾局が市大規模事業リスク管理会議で示した資料によると、夢洲の土壌対策費を800億円とした場合、夢洲の土地造成事業の累積資金残高は2029年度から減少傾向となり、53年度にマイナス1120億円に落ち込む。プラスに転じるのは76年度と、今から実に55年後だ(下図参照)。 (大阪市資料2:土壌対策費を800億円と見た場合の夢洲土地造成事業の収支の試算 はリンク先参照) 舞洲や咲洲などを合わせた大阪市の港湾埋め立て事業全体で見ればプラスを維持する見通しとはいえ、29年度に543億円に達するが、41年度には89億円に落ち込む。 特別会計とはいえ、市民の財産である公営事業会計の負担は大きいが、松井市長はしばしば、IRには十分なリターンがあると主張してきた。 大阪府市の計画では、カジノによって得られる粗利、すなわち賭け金の総額から顧客に払い戻される金額との差は、年間4900億円。その15%に当たる740億円と入場料収入320億円の合計1060億円を府市で折半する。 粗利4900億円のうち、国内客からは2700億円、外国人客からは2200億円を想定。つまり、日本人客がカジノで賭けて、負けたお金が粗利の55%を占める前提なのである。 さらに大阪市は、カジノと共にIR施設として夢洲に設置されるMICE(会議場や展示施設)について「世界最高水準のオールインワンMICE拠点を形成することで世界から人を呼び寄せて、日本経済の成長につなげていく」(高橋徹副市長)ことを目指していたにもかかわらず、新型コロナウイルスの感染拡大により、その面積は当初計画の10万平方メートルから2万平方メートルに大幅縮小して「部分開業」となる。 「増税よりカジノ。収益の一部は教育、福祉、医療に回す。隣の兵庫県知事が反対しても無視。わい雑なものは全部大阪が引き受ける」――。10年10月、大阪維新の会の“チャーターメンバー”である当時の橋下徹大阪府知事は、大阪にカジノを誘致する意義をこう語った。 だが結局、「世界から人を呼び寄せ」るはずのMICEの面積が大幅減となった上に、カジノの収入の過半を、日本人客が“すった”お金に依存する。松井市長の強調する「リターン」の実態がこれでは、一体何のための790億円の公費負担なのかと疑問を呼ぶのは当然だ。 そして大阪市は2月15日、オリックスら企業連合と基本協定書を締結。その中に、契約の解除条件として「新型コロナウイルス感染症:国内外の観光需要の回復の見込み等」の文言が入った。コロナ禍が収束しなければ、MGMオリックス側が契約解除できるのだ。 コロナ禍だけでなく、ロシアのウクライナ侵攻で多くの航空機がロシア領空を飛べなくなるなど、「国内外の観光需要の回復の見込み等」を期待することは困難だ。もしコロナやウクライナ危機が早期に収束しても、今後中長期的に、絶えず同様のリスクにさらされることは避けられない。 松井市長はウクライナ危機について2月28日、日本の非核三原則を「昭和の価値観」などと表現し「米国の原子力潜水艦をリースしてもらうというような議論もすべきだ」などと持論を語ったが、まずはIR計画への影響について検証し、説明すべきだ』、「オリックスら企業連合と基本協定書を締結」、府・市は足元を見られて、「企業連合」の言い値で、「国内外の観光需要の回復の見込み等」で「MGMオリックス側が契約解除できる」ような不平等な条項を飲まされたようだ。

第三に、3月8日付け東洋経済オンラインが掲載した近畿大学教授の柴田 直治氏による「大阪カジノ・事業会社撤退条項にはらむ大リスク 国も大阪も取らぬ狸の皮算用にならないか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/536805
・『カジノを含む統合型リゾート(IR)整備計画を国に提出する期限(2022年4月28日)を前に、誘致をめざす各自治体で採算や資金繰りへの不安が膨らんでいる。和歌山、長崎両県は3月初旬の段階でなお資金調達について議会や住民に十分な説明ができず、先行きに暗雲が垂れ込める。 そのような中、誘致活動では先頭を走る大阪は、アメリカのカジノ大手MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスが中心となってつくった事業会社と大阪府、大阪市の3者で2月16日、整備計画を発表した』、「和歌山、長崎両県」も名のりだけは挙げていたようだ。
・『事業会社の撤退に関する条項  それによると、初期投資1兆0800億円、経済波及効果1兆5800億円(建設時)、1兆1400億円(運営)で、年間売り上げは5200億円(うちカジノ分4200億円)。大阪府・市は毎年740億円の納付金を受け取るほか、入場料収入320億円も得られ、120億円の税収も入る。構想段階と変わらぬバラ色の夢が完成予想図とともに描かれていたが、同時に発表された3者による基本協定の概要版には、これまで明らかになっていなかった重要な規定が記載されていた。 「基本協定の解除」の項目で、事業者は国から正式に認定を得た30日後に、協定を解除するかどうかを判断することができ、解除の場合、さらにその後の60日以内に通知すればよいとされていた。MGM、オリックスに加え大企業が出資する事業会社が設立され、計画も発表しているのだから、事業は当然完成し実施されるだろうと筆者は考えていたが、どうもそうとは限らないらしい。 解除の是非を検討する条件として、税務上の取り扱い、カジノ管理委員会規則、国際競争力、国際標準の確保 、土地・土壌に関する大阪市における適切な措置の実施等に加えて新型コロナウイルス感染症、国内外の観光需要の回復の見込みなどを挙げている。つまり日本政府が今後決めるルールや大阪府・市の対応に不満だったり、コロナ禍で「鎖国」状況が続いていたり、見込みほど観光客が呼び込めないなどと判断したりすれば、事業会社は「降りる」ことができるという話だ。 これを読んで、2つの残像が私の脳裏に浮かんだ。1つは、かつて訪れたベトナム南部バリア・ブンタウ省の海岸の風景だ。 商都ホーチミンから車で2時間余り走ると、南シナ海に面した旧漁村に巨大なホテルとゴルフコースが忽然と現れる。同国初の本格的カジノホテル「グランド・ホーチャム・ストリップ」(現インターコンチネンタル・グランド・ホーチャム)。大阪IRの主軸であるMGMが約10年前、カナダの企業と組んでオープンさせる予定だったが、MGMは2013年の開業前にマネジメント契約を解除した。リゾートはそれでもなんとか開業にこぎつけたものの、コロナ禍もあり客足はさほど伸びていないという。 MGMが解除したのは、ベトナム政府が国民のカジノ入場を認めないというルールを変えなかったからだと伝えられている。外国人客だけでは十分な収益が見込めないと判断し、あっさりと手を引いた。 【2022年3月14日12時00分 追記】記事初出時、MGMはベトナムのカジノホテルを投資したとしていましたが、投資ではなくマネジメント契約であったため、上記のように修正しました』、なるほど。
・『よみがえる大阪・りんくうタウンの悪夢  もう1つ、大阪IRの完成予想図を見てよみがえるのは、関西国際空港対岸の埋め立て地「りんくうタウン」のトラウマだ。 空港開港前の1988年に大阪府が商業用地の分譲希望を募ったところ、日本中の大手企業がこぞって超高層ビルの建設計画を打ち上げ、模型や予想図を発表した。競争率は6倍を超え、新聞社で大阪府庁担当記者だった私は、この埋め立て地を「現代の宝島」と書いた。 しかし結末は無残なものだった。大阪府が各企業と契約を交わす前にバブルが崩壊。日参していた企業の担当者は府庁に寄りつかなくなり、ほとんどの企業が撤退した。玄関口に立つりんくうゲートタワービルは、日本で3番目の高さを誇るもののバランスが悪い。ツインタワーでデザインされたのに、テナントが集まらず1棟しか建設されなかったためだ。建設した府の第3セクターは破綻した。 その後、造成地の土地代を大幅に値下げし、定期借地方式を取り入れるなどして30年かけて漸く完売した。しかし収支は1000億円を超える赤字となる見込みだ。 大規模な開発案件に名乗りを上げても、採算が合わないと判断すれば企業は撤退する。自治体や国がこれにからむと、場合によっては地域住民や国民の負担となる。大阪IRはどうか。) 野党や多くの市民団体はこれまで主に、賭博のあがりで経営を支える倫理面やギャンブル依存症などの問題を指摘して反対・慎重論を唱えてきた。ところが2021年12月に大阪市が、建設予定地の土壌対策費として790億円を負担すると発表して以降、財源や資金、経済効果などに以前にも増して注目が集まることになった。 松井一郎市長はこれまで「事業者がお金を払って建ててくれる。市は家賃をもらうだけ」と話していた。大阪市が埋め立て地を取引した際、土壌改良費を負担した例は過去にない。こうした発言や前例との整合性について、市議会でも質問や批判が相次いだ。 IR事業者は市との定期借地契約に基づき毎年25億円の賃料を払う。35年間の契約期間満了まで払い続ければ計875億円となるが、途中撤退なら市の土壌対策費が賃料を上回ることにもなりかねない』、「りんくうタウン」、では「1988年に大阪府が商業用地の分譲希望を募ったところ、日本中の大手企業がこぞって超高層ビルの建設計画を打ち上げ、模型や予想図を発表した。競争率は6倍を超え」た。「しかし結末は無残なものだった。大阪府が各企業と契約を交わす前にバブルが崩壊・・・ほとんどの企業が撤退」「玄関口に立つりんくうゲートタワービルは、日本で3番目の高さを誇るもののバランスが悪い。ツインタワーでデザインされたのに、テナントが集まらず1棟しか建設されなかったためだ。建設した府の第3セクターは破綻」、思い出した。
・『情報公開請求しても黒塗りばかり  それでは経済効果や府市の実入りはどうか。れいわ新選組の大石あきこ衆議院議員が経済効果の元データについて大阪市IR推進局に情報公開請求したところ、ほとんど黒塗りで返ってきた。となればチェックのしようもないのだが、どの数字も相当な大風呂敷と感じる。 そもそも計画が掲げる4200億円の売り上げを達成しているカジノは、世界を見渡してもマカオのベネチアン、ギャラクシーなどごく少数だ。府市がことあるごとに先行例として取り上げるシンガポールのカジノも単体では届いたことのない数字だ。「まず無理」とみる専門家もいる。 カジノで売り上げの大きな部分を占めるのは、大金を常に賭ける「ハイローラー」の法外な支出だ。世界一の賭博の街マカオでは「ジャンケット」と呼ばれる接待業者が主に中国人の大金持ちを連れてきて特別な待遇で遊ばせることで多くの売り上げを稼いできた。客が賭場で使った金の一部をコミッションとして受け取る。客への一時貸し付け、資金回収など一筋縄ではいかない裏方業務を担う。 ところが「共同富裕」をうたう中国・習近平政権の意向で、2021年以降、マカオ政府がジャンケットの規制に乗り出し、マカオのカジノ収益は大きく落ち込んだ。 大阪はどうするのか。府市の当局者に聞いてみようと、2022年2月に予定されていた説明会に参加登録したが、コロナを理由に一方的に中止された。代わりにメールで質問を受け付けるというので聞いてみた。すると以下の答えが返ってきた。 「いわゆるジャンケットが行っている行為について(略)日本においては、免許を受けたカジノ事業者以外がカジノ行為を行うこと、カジノ施設内でカジノ事業者以外が貸し付けを行うこと、カジノ事業者が顧客以外への貸し付けを行うことはすべて禁止されています」 ジャンケットの主な機能を否定しており、排除方針を明確にしている。とすればハイローラーを呼び込む特別な手立てはなく、一般大衆を主な顧客としてするということだろう』、「日本」では、「ジャンケットの主な機能を否定しており、排除方針を明確にしている。とすればハイローラーを呼び込む特別な手立てはなく、一般大衆を主な顧客としてするということだろう」、大丈夫なのだろうか。
・『入場料6000円で通う人がいるか  MGMが撤退したベトナムと違い、日本では邦人もカジノに入ることができる。ただし6000円の入場料が必要だ。単にギャンブルをするなら競輪競馬ボートレースとよりどりみどり、事実上の賭場であるパチンコ屋がどこの駅前にもある日本で、JR大阪駅から15㎞以上離れたカジノにわざわざ入場料を払って足しげく通う人がどれだけいるか。 外国人観光客にしても、京都、奈良、大阪・道頓堀の観光を目当てに来た人がわざわざ足を延ばすか、疑問である。 外国為替法上、100万円以上を海外から持ち込む場合、申告が必要である。カジノに絡む税制や外為法を含めた法改正はこれからだが、そもそも大きな金基本協定では事業者側の都合で撤退した場合、6億5000万円の違約金が定められている。違約金を設定しなかった「りんくうタウン」に比べればマシとはいえ、土壌改良だけで790億円をつぎ込むことを考えれば、スズメの涙である。 府市は、契約解除となった際は「事業継承又は再公募等によりIR事業の継続が図られるよう努力」するとしている。しかし今回、公募に応じたのはMGM・オリックス連合だけだった。競争相手がないから土壌改良費についても業者側の言い分をのまざるを得なかったのではないかとの推測も成り立つ。 筆者は「大阪IR誘致、政府の『ソロバン勘定』」は正しいか」で、IR誘致の収支について疑問を呈した。ソロバンは3つある。1つは業者の、もう1つは地域(自治体)の、そして国全体のソロバンだ』、それぞれの「ソロバン」はどうなのだろう。「入場料6000円で通う人がいるか」には苦笑いを禁じ得なかった。
・『国も大阪も怪しくなるソロバン勘定  業者や立地自治体が儲かったとしても、原資は客が賭博ですった金だ。カジノの入場者の7割は日本人とされ、儲けの多くは海外の業者に流れる。国民財産の海外流出だ。さらに政府はカジノ管理委員会なる組織を新たに立ち上げ、開業もしていないのに2021年度だけで10億円を超す予算を計上している。 国全体としてみれば、とても帳尻があわないのではないかと指摘したが、大阪市が土壌改良に巨費をつぎ込むならば、地域のソロバン勘定も怪しくなる。そのうえ、儲からないと業者がソロバンをはじけば、法律や制度ができてもIRが存在しないという珍妙な事態もあり得る。いったんできたとしても撤退すれば、各地に夢をばらまき、一部で借金を残したリゾート法の二の舞だ。 3つのソロバンすべての帳尻があわそうとするならば、外国人客に莫大な賭け金をつぎ込んでもらわねばならない。外国人といっても過半は中国人を想定しているだろう。その中国政府が今後、賭博への締め付けをさらに強めることはあっても緩めるとは考えづらい。海外やオンラインでギャンブルをする中国人への締め付けも強くなりそうだ。 いずれにしろ中国共産党の出方次第で成否が左右される国策事業は、岸田文雄政権肝いりの「経済安保」の観点からも見直しが必要ではないだろうか』、「3つのソロバンすべての帳尻があわそうとするならば、外国人客に莫大な賭け金をつぎ込んでもらわねばならない。外国人といっても過半は中国人を想定」、「その中国政府が今後、賭博への締め付けをさらに強めることはあっても緩めるとは考えづらい。海外やオンラインでギャンブルをする中国人への締め付けも強くなりそうだ」、「中国共産党の出方次第で成否が左右される国策事業は、岸田文雄政権肝いりの「経済安保」の観点からも見直しが必要」、皮肉っぽいが、同感である。 
タグ:ダイヤモンド・オンライン「大阪カジノ、維新「セコセコ行政」でも土壌対策費790億円の経緯は不明」 カジノ解禁 (その12)(大阪カジノ 維新「セコセコ行政」でも土壌対策費790億円の経緯は不明、【スクープ】大阪カジノの土壌対策 オリックスら「ディズニーランドが理想」と公費負担を要望、大阪カジノ・事業会社撤退条項にはらむ大リスク 国も大阪も取らぬ狸の皮算用にならないか) 「IRの中核施設はMICEである。世界最高水準のオールインワンMICE拠点を形成することで世界から人を呼び寄せて、日本経済の成長につなげていく、そこで大事になるのが、MICEである」、と大きく出た割に、「MICEのうち展示施設の整備面積を開業時に10万平方メートル以上とするのではなく、開業時は2万平方メートル、開業後15年以内に6万平方メートル、そして35年の事業期間内に10万平方メートル以上の計画を立てるという「段階整備」に変更」、これでは「開業時」はなんとも寂しい印象を与えるリスクもあるのではなかろう 確かに{MICE」の当初の規模縮小で、「土壌対策費790億円」が目立つ形となった。 「般的に湾岸の埋め立て地の地盤に問題が起きやすいことは土木工事の世界では常識であり、巨額の対策コストが「想定外だった」との市側の説明は通らないだろう」、その通りだ。 ダイヤモンド・オンライン「【スクープ】大阪カジノの土壌対策、オリックスら「ディズニーランドが理想」と公費負担を要望」 余りにも虫のいい要求には驚かされた。 何か理由があるのだろう。 「市はこれまで市有地の売却や賃貸の際、こうした費用(土壌汚染対策費、液状化対策費など)を公費負担しないのが原則だった」、「どうしてもIRを実現したい維新や大阪市側が、事業者に足元を見られ、負担を強いられたとの見方がもっぱらだ」、情けない話だ「オリックスらの」たかり体質も問題だ。 「オリックスら企業連合と基本協定書を締結」、府・市は足元を見られて、「企業連合」の言い値で、「国内外の観光需要の回復の見込み等」で「MGMオリックス側が契約解除できる」ような不平等な条項を飲まされたようだ。 東洋経済オンライン 柴田 直治氏による「大阪カジノ・事業会社撤退条項にはらむ大リスク 国も大阪も取らぬ狸の皮算用にならないか」 「和歌山、長崎両県」も名のりだけは挙げていたようだ。 「りんくうタウン」、では「1988年に大阪府が商業用地の分譲希望を募ったところ、日本中の大手企業がこぞって超高層ビルの建設計画を打ち上げ、模型や予想図を発表した。競争率は6倍を超え」た。「しかし結末は無残なものだった。大阪府が各企業と契約を交わす前にバブルが崩壊・・・ほとんどの企業が撤退」「玄関口に立つりんくうゲートタワービルは、日本で3番目の高さを誇るもののバランスが悪い。ツインタワーでデザインされたのに、テナントが集まらず1棟しか建設されなかったためだ。建設した府の第3セクターは破綻」、思い出した。 「日本」では、「ジャンケットの主な機能を否定しており、排除方針を明確にしている。とすればハイローラーを呼び込む特別な手立てはなく、一般大衆を主な顧客としてするということだろう」、大丈夫なのだろうか。 それぞれの「ソロバン」はどうなのだろう。 「入場料6000円で通う人がいるか」には苦笑いを禁じ得なかった。 「3つのソロバンすべての帳尻があわそうとするならば、外国人客に莫大な賭け金をつぎ込んでもらわねばならない。外国人といっても過半は中国人を想定」、「その中国政府が今後、賭博への締め付けをさらに強めることはあっても緩めるとは考えづらい。海外やオンラインでギャンブルをする中国人への締め付けも強くなりそうだ」、「中国共産党の出方次第で成否が左右される国策事業は、岸田文雄政権肝いりの「経済安保」の観点からも見直しが必要」、皮肉っぽいが、同感である。
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