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テスラ(その5)(テスラ 営業利益「半減」の衝撃!中国EVの値下げ攻勢だけじゃない“不安材料”の数々、テスラ「利益激減」よりも投資家が懸念すること 決算発表後の電話会議で注目されたポイント、成長の終焉か「5つの数字」で見るテスラの栄枯盛衰 値下げは実らず、超高収益体質も過去のものに) [産業動向]

テスラについては、2022年5月5日に取上げた。今日は、(その5)(テスラ 営業利益「半減」の衝撃!中国EVの値下げ攻勢だけじゃない“不安材料”の数々、テスラ「利益激減」よりも投資家が懸念すること 決算発表後の電話会議で注目されたポイント、成長の終焉か「5つの数字」で見るテスラの栄枯盛衰 値下げは実らず、超高収益体質も過去のものに)である。

先ずは、本年2月6日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した多摩大学特別招聘教授の真壁昭夫氏による「テスラ、営業利益「半減」の衝撃」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/338413
・『中国EVの値下げ攻勢だけじゃない“不安材料”の数々  「イーロン・マスクCEOに8兆円の報酬は巨額すぎる」と、米テスラの株主が訴えている。係争の行方は横に置くとして、電気自動車(EV)市場は厳しい価格競争によりレッドオーシャンと化した。中国勢が低い生産コストを武器とする一方で、テスラはどんな壁にぶつかっているのか』、「厳しい価格競争」に直面していても、堂々と「8兆円の報酬」を求めるとは、さすが「マスク」氏らしい。
・『利益の大幅減でテスラ株が下落  世界の電気自動車(EV)市場は今、厳しい価格競争により新しいステージに突入している。その証左として、米テスラの業績が伸び悩んでいることがある。 1月25日、ニューヨーク株式市場でテスラの株価は前日比12.1%下落した。前日に発表があった、同社の2023年10~12月期決算の内容が嫌気されたからだ。営業利益は、前年同期比47%減の20億6400万ドル(1ドル=148円換算で約3050億円)だった。テスラの先行きに懸念を抱く投資家は増えたようだ。 背景には、比亜迪(BYD)など中国のEVメーカーの台頭がある。BYDはEVの販売価格を積極的に引き下げ、急速に世界シェアを高めている。値下げ競争の激化により、テスラの収益性は悪化している。 今後、テスラを取り巻く事業環境の厳しさは増すことが予想される。中国政府の産業補助政策の追い風もあり、BYDや車載用バッテリー世界大手の寧徳時代新能源科技(CATL)の価格競争力が脅威となる。 一方、テスラはコストの高い米欧で生産能力を強化する必要性に迫られている。車載用バッテリーの製造技術の確立も急務だ。今後さらに業績が悪化すると、テスラは、世界が注目する“マグニフィセント・セブン”(アマゾン・ドットコム、アップル、メタ・プラットフォームズ、アルファベット、マイクロソフト、エヌビディア、テスラの米7社)から脱落する懸念さえある』、もはや「“マグニフィセント・セブン”」からは離脱したとみるべきだろう。
・『過酷な価格競争に巻き込まれるテスラ  23年10~12月期、テスラの「モデル3」や「モデルY」などの生産台数は前年同期比13%増の49万4989台、販売台数は同20%増の48万4507台だった。一方、売上高は前年同期比3%増の251億6700万ドル(約3兆7000億円)で、23年7~9月期の売上高が同9%増だったのに比べると鈍化した。 世界的なEVシフトを背景に、生産と販売台数は伸びたものの、価格下落の影響により売り上げの増加ペースはそれを下回った。 価格下落の背景には、BYDや上海蔚来汽車(NIO)など中国のEVメーカーの値下げ攻勢がある。中国では、不動産バブル崩壊による個人消費の低迷、EV販売補助金の終了(※)などに対応するため、多くの自動車メーカーがEV販売価格を引き下げている。※23年以降、一部の地方政府は独自の販売奨励策を実施  EVは、製造コスト全体の3割程度を車載用バッテリーが占める。BYDやCATLのコスト構造が低いのは、中国政府が工場用地を供与し、産業補助金などで生産能力の増強を支えてきたからだ。中国内では販売補助が終わってEVスタートアップ企業の多くが倒産したこともあり、BYDなど主要メーカーの値下げ余地は大きい。 BYDが値下げ攻勢を強める一方で、テスラは一部機能をアップグレードして値上げ(競合モデルとの差別化)を行い、対抗した時期もあった。しかし、消費者の支持を増やすことは難しく、結局テスラは値下げを余儀なくされた。 こうして、世界的にEVの値下げ競争は激化するばかりだ。最近、BYDはドイツのEV販売補助金の終了に対応するため、値下げを発表した。これに伴いテスラも、ドイツなどで販売するスポーツタイプ多目的車(SUV)の「モデルY」の価格を最大9%引き下げている(1月下旬時点)』、「世界的にEVの値下げ競争は激化するばかり」、環境は極めて厳しいようだ。
・『シェアの低下と新型バッテリー製造の難航  23年10~12月期、値下げ攻勢を強めたBYDは、テスラを抜いて世界シェアトップのEVメーカーに躍り出た。専門家が、「カット・スロート・コンペティション(過酷すぎる競争)が起きている」と危惧するほど、EVの値下げ競争が止まらない。 一方、原価の引き下げは一朝一夕にはいかない。値下げに拍車がかかると、どうしても企業の収益性は低下する。 また、米国ではGMやフォード、韓国の現代自動車などもEV投入を強化している。このことからも23年10~12月期、米国のEV市場でテスラのシェアは前年同期の58%から51%に低下した。EV市場はもはやブルーオーシャンではなく、レッドオーシャンに変化したのだ。 23年11月、テスラは新モデル「サイバートラック」の出荷を開始した。当初、テスラは車載用バッテリーについて、新しい製造技術を用いる方針だった。製造コストを従来の50%未満に抑え、より小型で、脱炭素などにも対応した新型バッテリーを自社で生産する。それをサイバートラックに搭載し、年25万台の供給を目指した。 しかし、テスラはこの新型バッテリーの基幹部品である電極を、中国企業から調達すると報じられている。新型バッテリーの製造技術の実用が、同社の想定通りに進まなかったようだ。中東情勢の緊迫化によってタンカーの運賃が急速に上昇しているため、多くの追加コストが発生している。 売上高の減少、人件費の上昇も含む米国での生産コストの上昇、さらには想定外のバッテリー調達コストの発生により、テスラの収益性は低下した。23年10~12月期、売上高から売上原価を控除した粗利益は、前年同期比23%減の44億3800万ドル(約6600億円)に落ち込んだ。粗利率は6.12ポイント低下し17.6%となった』、「「カット・スロート・コンペティション」により「EV市場はもはやブルーオーシャンではなく、レッドオーシャンに変化」、「テスラの収益性は」「売上高の減少、人件費の上昇も含む米国での生産コストの上昇、さらには想定外のバッテリー調達コストの発生により、低下した」、これだけ悪材料が揃えば、「マグニフィセント・セブンから脱落」も当然だ。
・『マグニフィセント・セブンから脱落の恐れ  期待の新モデルだったはずのサイバートラックの生産台数は、年間2万数千台レベルにとどまりそうだ。中国事業の難しさも増す。米中対立の先鋭化、安全保障への懸念から、中国でテスラの乗り入れが制限される場所が増えている。 一方、米国や欧州諸国の政府は、中国製EVによる過度な価格競争を懸念している。中国からの輸送距離が長いため、脱炭素に逆行するとの批判も出ている。そのためテスラは地産地消体制を強化して、主要先進国のEV需要を確保することが急務となっている。 米欧では労使対立が激化している。また、レアメタル調達を巡る鉱山の権益獲得競争も熱を帯びた。テスラにとって、中国や欧米市場での販売増加ペースが鈍化する一方、コスト増加圧力は高まるばかりだ。 そうした状況下でも、テスラの先行きに強気な主要投資家はいる。創業者であるイーロン・マスク氏が生産能力強化のために大胆な行動に出る、と期待しているからだ。 とはいえ全体としては、テスラの今後の業績を慎重に考える投資家が多い。それは、年初来のマグニフィセント・セブンの株価から確認できる(いずれも1月26日まで)。 ・テスラ 26.3%下落 ・グーグル親会社のアルファベット 8.9%上昇 ・アップル 0.1%下落 ・メタ 11.4%上昇 ・アマゾン 4.7%上昇 ・マイクロソフト 7.4%上昇 ・エヌビディア 23.2%上昇 やはり、他社に比べてテスラの下げ幅が目立つ。 投資家が懸念するのは、生産体制の確立や製造技術の向上に、想定以上のコストがかかることだろう。同社はテキサス州で次世代モデルの生産を準備しているが、バッテリー製造の問題を考えると、計画通りに進むか不透明だ。 今後、テスラの株価はますます不安定になる可能性が高い。新モデルの生産が想定通りに進まなければ、マグニフィセント・セブンからの脱落も現実味を帯びる。それは同時に、米国の株式市場全体に変調をきたす可能性もあるはずだ』、一部には「イーロン・マスク氏が生産能力強化のために大胆な行動に出る、と期待している」ようだが、これだけの逆境を跳ね返すのは、いかに「マスク氏」といえども無理だろう。

次に、4月25日付け東洋経済オンラインが転載したThe New York Times「テスラ「利益激減」よりも投資家が懸念すること 決算発表後の電話会議で注目されたポイント」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/750268
・『イーロン・マスク氏率いるテスラは、電気自動車(EV)市場で劣勢に立たされているという投資家の懸念をさらに強めている。 同社が発表した2024年1〜3月期(第1四半期)の最終利益は、前年同期比55%減の11億ドルとなった。売上高は同9%減の213億ドルだった』、なるほど。
・『「業績不振は避けられない」と見られていた  テスラは今月、第1四半期の売上高が前年同期比8.5%減少したと発表し、また全世界の従業員の10%以上、約1万4000人をレイオフする計画を発表したため、業績不振は避けられないと見られていた。 カリフォルニア州フリーモントにある工場で2000人以上、テキサス州オースティンにある工場で2700人近くの従業員を含む人員削減は、テスラが売り上げの落ち込みに見合ったコストを圧縮するのに苦労していることの表れだと解釈された。 2023年1〜3月期、テスラは25億ドルを稼ぎ出し、業界屈指の利益率を記録したと発表した。しかし、先週新たに実施した値下げを含め、テスラは販売する車1台あたりの利益額を下げることを余儀なくされている。この戦略は、しばらくの間同社の販売を強化するのに役立っていたようだが、テスラは現在、価格を下げても買い手を引き付けるのに苦労しているようだ。 前四半期(2023年10〜12月期)のテスラの営業利益率は5.5%と、前年同期の半分であり、他の自動車メーカーの営業利益率と同水準になっている。)テスラの投資家たちは、売り上げと利益の減少がより大きな問題の兆候であることを懸念するようになっている。おそらく、既存の自動車メーカーや中国の新しい自動車メーカーとの競争激化に効果的に対応できないことを指摘しているのだろう。 マスク氏は最近、テスラは自律走行技術と「ロボタクシー」と呼ばれる車両に注力すると示唆しており、EVをより幅広い顧客層や多くの国の人々が購入できるようにする低価格の新モデルを開発するという同社の計画に疑問を投げかけている。 自動運転車はマスク氏にとって長年の夢だった。2019年に同氏は、翌年にはテスラが100万台の自律走行タクシーを走らせると言った』、「全世界の従業員の10%以上、約1万4000人をレイオフする計画を発表したため、業績不振は避けられないと見られていた。 カリフォルニア州フリーモントにある工場で2000人以上、テキサス州オースティンにある工場で2700人近くの従業員を含む人員削減は、テスラが売り上げの落ち込みに見合ったコストを圧縮するのに苦労していることの表れだと解釈された・・・テスラは現在、価格を下げても買い手を引き付けるのに苦労しているようだ。 前四半期(2023年10〜12月期)のテスラの営業利益率は5.5%と、前年同期の半分であり、他の自動車メーカーの営業利益率と同水準になっている。)テスラの投資家たちは、売り上げと利益の減少がより大きな問題の兆候であることを懸念するようになっている。おそらく、既存の自動車メーカーや中国の新しい自動車メーカーとの競争激化に効果的に対応できないことを指摘しているのだろう。 マスク氏は最近、テスラは自律走行技術と「ロボタクシー」と呼ばれる車両に注力すると示唆しており、EVをより幅広い顧客層や多くの国の人々が購入できるようにする低価格の新モデルを開発するという同社の計画に疑問を投げかけている」、なるほど。
・『既存車の部品を使って新車を作る  「テスラは、車のかっこよさ、自律走行車を発売するというアイデア、そして不可能に近いことをやってのけるマスク氏の能力に対する投資家の信頼感で生きてきた」と、ミシガン大学ロス・スクール・オブ・ビジネスのエリック・ゴードン助教授は指摘する。「そしてマスク氏への信頼は、失望と謎めいた行動によって打ちのめされている」。 テスラは23日、来年には低価格車の生産を開始する予定だと述べた。しかし、先行投資を減らすための変更として、新たな車は新しい部品と既存車の部品が一部使われる。この戦略により、テスラは新たな工場を建設することなく新モデルを製造することが可能になるという。 「このアップデートにより、コスト削減効果は以前の予想よりも低くなる可能性がある」と同社は投資家向けのプレゼンテーションで述べた。 今年に入り約40%下落していたテスラの株価は、第1四半期発表後、火曜日の後場に急上昇した。投資家たちは、同社がより手頃な価格のモデルの投入計画を維持していることを歓迎したようだ。) マスク氏はテスラの値下げを擁護し、すべての自動車メーカーが価格を調整しているが、通常はディーラー優遇措置など、購入者にはあまり見えない手段を使っていると述べた。テスラはフランチャイズ・ディーラーを通さず、オンラインで直接顧客に車を販売している。 テスラの価格は、生産台数と需要を一致させるために頻繁に変更されなければならない」とマスク氏は述べた。 テスラは販売台数の減少について、世界的なサプライチェーンを混乱させた紅海での紛争、ベルリン近郊の工場で発生した火災による生産停止、フリーモントでモデル3セダンのアップグレード版を増産したことなどが原因だとしている。 テスラはまた、他の自動車メーカーがガソリンエンジンとバッテリーや電気モーターを搭載したハイブリッド車の販売を増やしたことが、完全電気自動車の販売を圧迫していると非難した』、「来年には低価格車の生産を開始する予定だと述べた。しかし、先行投資を減らすための変更として、新たな車は新しい部品と既存車の部品が一部使われる。この戦略により、テスラは新たな工場を建設することなく新モデルを製造することが可能になるという。 「このアップデートにより、コスト削減効果は以前の予想よりも低くなる可能性がある」と同社は投資家向けのプレゼンテーションで述べた。 今年に入り約40%下落していたテスラの株価は、第1四半期発表後、火曜日の後場に急上昇した。投資家たちは、同社がより手頃な価格のモデルの投入計画を維持していることを歓迎したようだ」、なるほど。
・『インドへの訪問を「延期」  2024年4〜6月期は「もっとよくなる」と、マスク氏は決算発表後の電話会議で語った。 マスク氏は22日に予定されていたインド訪問を延期した。インドではナレンドラ・モディ首相と会談し、工場建設計画を発表する予定だったが、「テスラの義務が非常に重い」ことを理由に見送った。 今回の延期は、インドが新たな成長源になると期待していた投資家たちを失望させるかもしれないが、マスク氏がテスラの問題に緊急に取り組んでいるという安心感を与える可能性もある。自動車購入者の多くが小型で手頃な価格の車を好むインドでは、同社の車種が大量に売れる可能性は低い。) テスラの最新車両は、昨年生産を開始したピックアップのサイバートラックだ。しかし、先週のリコールで明らかになった情報によると、同社の販売台数はわずか4000台程度にとどまっており、大きな成長源にはならないことが示唆されている』、「インドへの訪問を「延期」・・・マスク氏がテスラの問題に緊急に取り組んでいるという安心感を与える可能性もある・・・ピックアップのサイバートラックだ。しかし、先週のリコールで明らかになった情報によると、同社の販売台数はわずか4000台程度にとどまっており、大きな成長源にはならないことが示唆」、なるほど。
・『自動運転タクシーは望み薄?  自動運転タクシーは望み薄と見られているが、その理由の1つは、現在利用可能な最先端の自律走行システムでさえ、時に目に余るミスを犯すことがあるからだ。 さらに、テスラがこのようなタクシーを走らせるには、連邦政府、および州の規制当局のサインが必要だ。テスラは、ロボタクシーのソフトウェアを開発することが期待されるカリフォルニア州で、運転者のいない車をテストするライセンスをまだ持っていない。 「イーロン・マスクは2016年からロボタクシーをやると言っていた」と、自律走行システムに使われるソフトウェアを提供するApex.AIのヤン・ベッカーCEOは言う。が、「少なくとも短期的には、テスラがロボタクシーを提供するという十分な証拠は見当たらない」。 マスク氏は23日、AIの進歩により技術は急速に向上していると語った。アナリストからの質問に答えた同氏は、テスラを主に自動車会社として見ている人たちに焦りを示した。 「われわれはAIとロボティクスの会社だと考えられるべきだった」とマスク氏は言った。自律走行を完成させるテスラの能力を信じない人は、「この会社の投資家になるべきではない」と同氏は付け加えた。) 最近まで、テスラは電気自動車で利益を上げている数少ない自動車メーカーの1つだったが、既存の自動車メーカーが追い上げてきている。ゼネラル・モーターズ(GM)も23日に決算を発表したが、同社のCFOであるポール・ジェイコブソン氏は、記者団との電話会議で、バッテリーパックの製造における問題を解決し、生産量を増やしていると述べた。 GMは依然としてガソリン車事業に依存しており、そのことが今年1~3月期の利益が24%増の30億ドルに跳ね上がった主な要因となっている。しかし同社は、今年後半にはEVの販売で利益を上げることを期待している、とジェイコブソン氏は語った』、「GMは依然としてガソリン車事業に依存・・・しかし同社は、今年後半にはEVの販売で利益を上げることを期待」、なるほど。
・『決算で注目されていた「ポイント」  23日のテスラの決算発表への注目は、同社の方向性とマスク氏のリーダーシップに疑問を投げかける最近の一連の出来事の後ということもあり、異例なほど高まってい た。 先週、テスラの取締役会は、マスク氏を自動車事業に集中させ、彼の偏向的な発言や右翼的陰謀論との親和性が多くの潜在顧客を遠ざけているXに時間を割かせないよう、もっと努力することを期待していた投資家を失望させた。 取締役会は、デラウェア州の裁判所が無効としたマスク氏の470億ドルの給与パッケージを復活させる措置をとったからだ。取締役会はまた、テスラの本社所在地をテキサスに移すことを承認するよう株主に求めるとした。 この変更は、デラウェア州の裁判所が、2018年に承認された際の給与が過大であり、株主に適切な情報が提供されていなかったという理由で、1月に彼の給与パッケージを無効とした日にマスク氏が要求したものである。 (執筆:Jack Ewing記者)』、「テスラの取締役会は、マスク氏を自動車事業に集中させ、彼の偏向的な発言や右翼的陰謀論との親和性が多くの潜在顧客を遠ざけているXに時間を割かせないよう、もっと努力することを期待していた投資家を失望させた」、「マスク氏」は「テスラ」だけでは満足できず、あちこちに手を広げてしまうクセがあるようだ。

第三に、5月1日付け東洋経済オンライン「成長の終焉か「5つの数字」で見るテスラの栄枯盛衰 値下げは実らず、超高収益体質も過去のものに」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/750905
・『ここから輝きを取り戻せるのか。テスラが4月23日に発表した2024年度第1四半期(1~3月)の売上高は、前年同期比8.7%減の213億ドルとなった。前年同期比で減収となるのは約4年ぶりのことだ。営業利益は同44%減となる11.7億ドルで、営業利益率は11.4%から5.5%へと大幅に落ち込んだ。(利益率の落ち込みが目立つーテスラの売上高と営業利益率の推移のグラフはリンク先参照)』、興味深そうだ。
・『販売台数が落ち込んだ  業績悪化の最大の要因は、EVの売れ行きが鈍っていること。この3カ月のEV販売台数38万6810台は、前年同期比8.5%減、前四半期比では20.2%減となる。 ベルリンにあるギガファクトリーが、火災によって生産中断に追いこまれたといった一時的な要因はあるものの、世界的なEVシフトの変調によってEV市場の競争が激化する中、テスラの競争力が落ちているといってよさそうだ。(一時的な減少か、右肩上がりの終焉かーテスラの四半期ごとの販売台数のグラフはリンク先参照)) テスラはアメリカや中国でたびたび値下げを実施してきた。四半期の自動車事業の売上高(クレジットやリースは含まない)を販売台数で割った車両単価は、約4万2500ドル。直近でピークだった2022年4~6月から約1万1000ドル低下しており、数字からも値下げが裏付けられる。 (2022年の第2四半期から1万ドル以上下落ーテスラ車の平均単価の推移ー はリンク先参照)』、「車両単価は、約4万2500ドル。直近でピークだった2022年4~6月から約1万1000ドル低下しており、数字からも値下げが裏付けられる」、なるほど。
・『営業利益率でトヨタが逆転、差は広がる  しかし、こうした値下げが販売台数の増加につながらなかったのは見ての通りだ。結果、売上高が減少する一方、研究開発費や販売管理費などは増加傾向が続いている。 一時期、自動車業界で驚異的ともいえる20%近い営業利益率を叩き出していた“超高収益体質”も過去のものとなりつつある。ハイブリッド車(HV)が絶好調で、円安の追い風も受けるトヨタ自動車に営業利益率で逆転されているが、その差は広がりつつある。 (再逆転したトヨタとの差が広がるーテスラとトヨタの営業利益率の推移ー はリンク先参照)) 株式市場からの評価にも表れている。テスラの時価総額は2021年11月に1兆2000億ドルを超えていたが、決算発表直前には5000億ドルを割り込んだ。2024年に入ってからだけでも約3割増加したトヨタが急速に差を詰めてきている。 もっとも、決算発表後にテスラの株価は急騰。トヨタの時価総額の差は、足元で2000億ドル超、日本円にして30兆円以上ある。自己株を除外した、より厳密な時価総額で比べれば、40兆円近くある。なお、テスラに対する株式市場の期待は高い。 (2社の差は急速に縮まっているーテスラとトヨタの時価総額の推移ー はリンク先参照)』、「決算発表後にテスラの株価は急騰。トヨタの時価総額の差は、足元で2000億ドル超、日本円にして30兆円以上ある。自己株を除外した、より厳密な時価総額で比べれば、40兆円近くある。なお、テスラに対する株式市場の期待は高い」、なるほど。
・『テスラの革新性は疑いないが期待先行も事実  一般的にEVは電池の生産コストが重く、利益が出しづらいとされる。ガソリン車を作ってきた従来の大手自動車メーカーだけでなく、雨後の筍のように出てきた新興EVメーカーもほとんどがEV事業の赤字に悩まされている。 落ちたとはいえ、5%台の営業利益率を出すテスラ。大型車体部品を一体成型する「ギガプレス(ギガキャスト)」と呼ぶ鋳造技術を用い、生産工程や部品数を少なくすることなどで合理化を追求する革新性はやはり侮れない。 とはいえ、第1四半期の純利益を4倍にしてベースでPER(株価収益率)を計算すると軽く100倍を超える。依然としてテスラの株価は期待先行といえる。テスラの失速とトヨタの躍進が続けば、時価総額逆転も近いかもしれない。) EVでのライバルも台頭している。中国BYDだ。中国では、政府のEV普及策によって新エネルギー車(NEV、EVとプラグインHV=PHV)シフトが進んでいる。それを追い風に急成長してきたBYDは、2023年10~12月にはBYDがEV販売でテスラを逆転した。 そのBYDも2024年1~3月は前四半期から大きく台数を減らした。中国市場は春節の影響で、1~3月は自動車販売台数が落ちるのが普通だ。が、世界的なEVシフトの変調の影響はBYDも受けている。逆風のEV市場でテスラとBYDの首位争いが激化することは間違いないだろう。 (テスラを一時追い抜いたBYDも失速ーテスラとBYDのEV販売台数の推移 はリンク先参照)』、「世界的なEVシフトの変調の影響はBYDも受けている。逆風のEV市場でテスラとBYDの首位争いが激化することは間違いないだろう」、なるほど。
・『BYDが有利な点と不利な点  EV専業のテスラとは違ってBYDはPHVも生産・販売している。総販売台数ではBYDがテスラを大きく上回る。EV市場が厳しくてもPHVを売ることができるBYDが有利な面がある。反面、中国企業であるBYDには、欧米市場へのアクセスの難しさもある。 EVのパイオニアとして先頭をひた走ってきたテスラだが、競争環境の激化やEVシフトの減速によって、今後も“覇者”として君臨し続けられるかは不透明。そんな中で注目されるのが新型車の導入だ。 決算説明会ではイーロン・マスクCEOが、2025年の早い時期に新モデルを投入すると表明したことで、株価の急反発につながった。テスラが本当に輝きを取り戻せるかは、新モデルを予定通り投入し、期待通りにヒットさせられるかにかかっている。 (PHVを含めるとBYDはテスラを大きく上回るーテスラとBYDの販売台数の推移ー はリンク先参照)【グラフ】売上高、利益率、時価総額の変化など、トヨタやBYDとも比較したグラフを見る)』、「イーロン・マスクCEOが、2025年の早い時期に新モデルを投入すると表明したことで、株価の急反発につながった。テスラが本当に輝きを取り戻せるかは、新モデルを予定通り投入し、期待通りにヒットさせられるかにかかっている」、果たして「新モデル」を「予定通り投入し、期待通りにヒットさせられるか」、大いに注目される。 
タグ:テスラ (その5)(テスラ 営業利益「半減」の衝撃!中国EVの値下げ攻勢だけじゃない“不安材料”の数々、テスラ「利益激減」よりも投資家が懸念すること 決算発表後の電話会議で注目されたポイント、成長の終焉か「5つの数字」で見るテスラの栄枯盛衰 値下げは実らず、超高収益体質も過去のものに) ダイヤモンド・オンライン 真壁昭夫氏による「テスラ、営業利益「半減」の衝撃」 「厳しい価格競争」に直面していても、堂々と「8兆円の報酬」を求めるとは、さすが「マスク」氏らしい。 もはや「“マグニフィセント・セブン”」からは離脱したとみるべきだろう。 「世界的にEVの値下げ競争は激化するばかり」、環境は極めて厳しいようだ。 「「カット・スロート・コンペティション」により「EV市場はもはやブルーオーシャンではなく、レッドオーシャンに変化」、「テスラの収益性は」「売上高の減少、人件費の上昇も含む米国での生産コストの上昇、さらには想定外のバッテリー調達コストの発生により、低下した」、これだけ悪材料が揃えば、「マグニフィセント・セブンから脱落」も当然だ。 一部には「イーロン・マスク氏が生産能力強化のために大胆な行動に出る、と期待している」ようだが、これだけの逆境を跳ね返すのは、いかに「マスク氏」といえども無理だろう。 東洋経済オンライン The New York Times「テスラ「利益激減」よりも投資家が懸念すること 決算発表後の電話会議で注目されたポイント」 「全世界の従業員の10%以上、約1万4000人をレイオフする計画を発表したため、業績不振は避けられないと見られていた。 カリフォルニア州フリーモントにある工場で2000人以上、テキサス州オースティンにある工場で2700人近くの従業員を含む人員削減は、テスラが売り上げの落ち込みに見合ったコストを圧縮するのに苦労していることの表れだと解釈された・・・テスラは現在、価格を下げても買い手を引き付けるのに苦労しているようだ。 前四半期(2023年10〜12月期)のテスラの営業利益率は5.5%と、前年同期の半分であり、他の自動車メーカーの営業利益率と同水準になっている。)テスラの投資家たちは、売り上げと利益の減少がより大きな問題の兆候であることを懸念するようになっている。おそらく、既存の自動車メーカーや中国の新しい自動車メーカーとの競争激化に効果的に対応できないことを指摘しているのだろう。 マスク氏は最近、テスラは自律走行技術と「ロボタクシー」と呼ばれる車両に注力すると示唆しており、EVをより幅広い顧客層や多くの国の人々が購入で きるようにする低価格の新モデルを開発するという同社の計画に疑問を投げかけている」、なるほど。 「来年には低価格車の生産を開始する予定だと述べた。しかし、先行投資を減らすための変更として、新たな車は新しい部品と既存車の部品が一部使われる。この戦略により、テスラは新たな工場を建設することなく新モデルを製造することが可能になるという。 「このアップデートにより、コスト削減効果は以前の予想よりも低くなる可能性がある」と同社は投資家向けのプレゼンテーションで述べた。 今年に入り約40%下落していたテスラの株価は、第1四半期発表後、火曜日の後場に急上昇した。投資家たちは、同社がより手頃な価格のモデルの投入計画 を維持していることを歓迎したようだ」、なるほど。 「インドへの訪問を「延期」・・・マスク氏がテスラの問題に緊急に取り組んでいるという安心感を与える可能性もある・・・ピックアップのサイバートラックだ。しかし、先週のリコールで明らかになった情報によると、同社の販売台数はわずか4000台程度にとどまっており、大きな成長源にはならないことが示唆」、なるほど。 「GMは依然としてガソリン車事業に依存・・・しかし同社は、今年後半にはEVの販売で利益を上げることを期待」、なるほど。 「テスラの取締役会は、マスク氏を自動車事業に集中させ、彼の偏向的な発言や右翼的陰謀論との親和性が多くの潜在顧客を遠ざけているXに時間を割かせないよう、もっと努力することを期待していた投資家を失望させた」、「マスク氏」は「テスラ」だけでは満足できず、あちこちに手を広げてしまうクセがあるようだ。 東洋経済オンライン「成長の終焉か「5つの数字」で見るテスラの栄枯盛衰 値下げは実らず、超高収益体質も過去のものに」 「車両単価は、約4万2500ドル。直近でピークだった2022年4~6月から約1万1000ドル低下しており、数字からも値下げが裏付けられる」、なるほど。 「決算発表後にテスラの株価は急騰。トヨタの時価総額の差は、足元で2000億ドル超、日本円にして30兆円以上ある。自己株を除外した、より厳密な時価総額で比べれば、40兆円近くある。なお、テスラに対する株式市場の期待は高い」、なるほど。 「世界的なEVシフトの変調の影響はBYDも受けている。逆風のEV市場でテスラとBYDの首位争いが激化することは間違いないだろう」、なるほど。 「イーロン・マスクCEOが、2025年の早い時期に新モデルを投入すると表明したことで、株価の急反発につながった。テスラが本当に輝きを取り戻せるかは、新モデルを予定通り投入し、期待通りにヒットさせられるかにかかっている」、果たして「新モデル」を「予定通り投入し、期待通りにヒットさせられるか」、大いに注目される。
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