暗号資産(仮想通貨)(その23)(価格固定のはずが-暗号資産ステーブルコインを暴落させた不安の増幅ブロックチェーンゆえの振幅の大きさ、米検察 経営破綻のFTX創業者を贈賄罪で追起訴 中国当局者へ約52億円を不法に送金) [金融]
暗号資産(仮想通貨)については、昨年6月4日に取上げた。今日は、(その23)(価格固定のはずが-暗号資産ステーブルコインを暴落させた不安の増幅ブロックチェーンゆえの振幅の大きさ、米検察 経営破綻のFTX創業者を贈賄罪で追起訴 中国当局者へ約52億円を不法に送金)である。
先ずは、昨年6月17日付け現代ビジネスが掲載した博士(経済学)で帝京大学経済学部教授の宿輪 純一氏による「価格固定のはずが-暗号資産ステーブルコインを暴落させた不安の増幅ブロックチェーンゆえの振幅の大きさ」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/96328?imp=0
・『株価より高い暗号資産の暴落率 一般的な暗号資産(仮想通貨)の価格が“乱高下”するのは、法定通貨ではなく単なる金融商品であることを考えれば、当たり前といえば当たり前である。暗号資産の代表銘柄、ビットコインは、最高値6万7000ドル超(2021年11月)まで行ったが、6月中旬、“3分の1”の2万2000ドルあたりまで暴落した。 ちなみに、IMFの注意にも関わらず、ビットコインを通貨としたエルサルバドルや中央アフリカはこの急落で「通貨危機」という皮肉な状況になっている。 第2位のイーサリアムもピークから5割下落している。ハイテク株が多いナスダックでも約2割の下落となっており、暗号資産の暴落幅はいかにも大きい。 今回の下落の主因は、株式市場と同じく、米国の中央銀行、連邦準備制度理事会(FRB)のハイペースな利上げである。今回FRBは高いインフレ率に基づいて判断している。そのため、FRBは経済成長率以上にハイペースで利上げを行っている。株式市場はFRBの利上げと先行きの利上げ継続ムードと合わせて不安定化した。 この不安定な暗号資産の市場が、もともとある金融システムに悪影響を与えるのではないかと懸念されている。しかしこれは、新しい金融商品が登場するときには通る道であり、仕方ないステップである。 奇しくも、6月3日、暗号資産の一種であり資産の裏付けなどで価格固定を謳った「ステーブルコイン(StableCoin)」を対象とする「改正資金決済法」が制定され、裏付け資産の国内保管義務が発生するなど、投資家保護の規制も巡らされてきている』、「IMFの注意にも関わらず、ビットコインを通貨としたエルサルバドルや中央アフリカはこの急落で「通貨危機」という皮肉な状況になっている」、@「IMFの「注意」を無視した自己責任だ。「暗号資産の一種であり資産の裏付けなどで価格固定を謳った「ステーブルコイン・・・」を対象とする「改正資金決済法」が制定され、裏付け資産の国内保管義務が発生するなど、投資家保護の規制も巡らされてきている」、なるほど。
・『ステーブルコインは価格が固定的なはずだが 変動する暗号資産に対して、ステーブルコインは価格が固定されている暗号資産である。例えば1ドル=1ステーブルコインと固定されている。 暗号資産を中心に取引する投資家は、変動する暗号資産の取引を一旦止めるときに、暗号資産取引の外に出すよりも、暗号資産取引の中で、固定的なステーブルな暗号資産に移すことがある。外の他の金融資産に移すのはいろいろと手間が掛かるためである。 般的な暗号資産の変動下落は当たり前であるが、ところが最近、価格が固定されているステーブルコインが大幅に暴落するという、暗号資産の仕組み全体を揺るす事件が発生している。 ステーブルコイン「テラ」(テラ:Terraはもともとは「兆」の意味)の取引量は、185億ドルある。ステーブルコインの取引量で、テザー、USDコインに続き第3位であった。それほどの取引量を誇っていた。 ステーブルコインには担保でその価値を保証する「担保型」と「無担保型」がある。今回の「テラ」はその無担保型にあたり、供給量をコントロールすることで価格を安定させる「アルゴリズム型」だった。 しかも、テラは、独自の貸借市場メカニズム「アンカープロトコル」を持ち、運営者はそのメカニズムで年20%の利回りを得ることが出来るとして、資金を集めていた』、「ステーブルコイン「テラ」・・・の取引量は、185億ドルある」、「ステーブルコインには担保でその価値を保証する「担保型」と「無担保型」がある。今回の「テラ」はその無担保型にあたり、供給量をコントロールすることで価格を安定させる「アルゴリズム型」だった。 しかも、テラは、独自の貸借市場メカニズム「アンカープロトコル」を持ち、運営者はそのメカニズムで年20%の利回りを得ることが出来るとして、資金を集めていた」、なるほど。
・『「テラ」暴落のメカニズム・疑心暗鬼 この20%の利回りというメカニズムは、現在の金融経済情勢で、通常の仕組みでは到底、維持可能とは考えられない。暗号資産の暴落が始まって、このメカニズムをもつテラからも、引き出しが相次ぎ、取り付け騒ぎのようになり、固定価格が耐えられなくなり、暴落したということである。 ステーブルコインであるにも関わらず、一般の暗号資産の暴落に連られ、安定的な価格を維持できなくなり、9割以上暴落した。その売られ方はさながら通貨危機の状況であった。 さらにマズいのは、相場としての取引というよりは、そのステーブルコイン自体の「仕組み」にまで疑念が及んでしまったことである。投資家は「なにか知らされていないリスクがあるのでは」という疑心暗鬼の状況になってしまった。この状態は、新しい金融商品にとって非常にまずい。特に暗号資産全体の評価にも影響を及ぼすことになった。 ブロックチェーン技術を使用した「デジタル金融資産」の範疇には、暗号資産に加えて「NFT」もある。NFTとはNon-Fungible Token(非代替性トークン)のことである。もっとわかりやすい言い方をすれば「デジタル権利書」のことである。筆者は今後、一般化・発展してくるものと考えている。 ところがその、NFTも今回の仮想通貨やステーブルコインの暴落の時期に合わせ、その平均価格が8000ドルから1000ドルまで大幅下落してしまった。つまりは「デジタル金融資産」全体が残念な状況となってしまっている』、「この20%の利回りというメカニズムは、現在の金融経済情勢で、通常の仕組みでは到底、維持可能とは考えられない。暗号資産の暴落が始まって、このメカニズムをもつテラからも、引き出しが相次ぎ、取り付け騒ぎのようになり、固定価格が耐えられなくなり、暴落したということである。 ステーブルコインであるにも関わらず、一般の暗号資産の暴落に連られ、安定的な価格を維持できなくなり、9割以上暴落した。その売られ方はさながら通貨危機の状況であった。 さらにマズいのは、相場としての取引というよりは、そのステーブルコイン自体の「仕組み」にまで疑念が及んでしまったことである。投資家は「なにか知らされていないリスクがあるのでは」という疑心暗鬼の状況になってしまった」、なるほど。
・『不安増幅-ブロックチェーン型プログラムの問題 昨今のデジタル金融商品は、ブロックチェーン技術をベースとしたものが主流であるが、そこで使われる技術がDAO(Decentralized Autonomous Organization)である。日本語訳すると「自律分散型組織」となる。 そもそもデジタルの世界は、発展したIT技術によって、中央集権的に情報を集め、早く確実に判断を下す仕組みとして普及した。 それに対して、DAOは中央管理者が介在せず、当事者だけで判断を下し実現する自立稼働するプログラムである。いわゆる分散型金融(DeFi:Decentralized Finance)であり、今までのデジタル化された中央集権型のシステムと比べると分散していることもあり、サーバー攻撃も相次ぐという問題も発生している。 最近ではDAOは導入が結構進んでいる。一言でいうと、シンプルでコストが安いシステムということもできるかと考えている。さまざまな取引システムにも取り入れられている。 ところが実はそのことが、最近の為替相場の動きのように、相場の波の振れが大きくなるという現象につながっている様である。管理者という冷静な第三者的な視点が存在せず、取引当事者の個別の判断だけで動くので、不安心理などに歯止めがかからない事態も起きやすいと考えられる。 安定した運用のためには、システム自体の役割、そして基本的な目的の確認が必要となる。すべての参加者が善人であるとは限らず、この分野でもガードレールが必要となる』、「管理者という冷静な第三者的な視点が存在せず、取引当事者の個別の判断だけで動くので、不安心理などに歯止めがかからない事態も起きやすいと考えられる。 安定した運用のためには、システム自体の役割、そして基本的な目的の確認が必要となる。すべての参加者が善人であるとは限らず、この分野でもガードレールが必要となる」、確かに「ガードレール」は安定化のためには必要なようだ。
・『今後の対処法として 筆者は、暗号資産よりも「デジタル権利書」としてのNFTに将来性があると考える。新たな金融市場を形成していくことになろう。 残念なことであるが、暗号資産の業界には、ハッキング(詐欺)の事件が多い。現在、暗号資産やNFTの取引をするのは、暗号資産交換業者である。現在、日本の登録業者は30社ある。 金融機関の決済を始めとしたネットワークは、各金融機関をつなぎ共有されたインフラとなっている。例えば、日本が世界に誇る「全銀システム」は、銀行、信用金庫、信用組合など、現在、937機関を繋いでいる、大きなデジタル化した組織となっている。その最終決済は日本銀行である。今後、仕組みとしてCBDC(Central Bank Digital Currency :中央銀行デジタル通貨)も検討されている。 ハッキング事件の対応として、暗号資産交換業者は“それぞれ”に堅固なシステムを構築した。その全体の状況は、その基本機能である「ブロックチェーン」のような個別の塊がいくつもあるような形状であり、一体化することはない。金融システムのような相互のネットワークを作り上げていくことが大事なことと考える。 新しい金融商品の業界が立ち上がっていくときに、大事なのが「業界の自主規制団体」である。現在、急ピッチで統合が進んでいる。現在では、暗号資産やNFTを決済手段とし、また取引の場となるであろうメタバースの業界は、「日本デジタル空間経済連合」と「メタバース・ジャパン」の2つの団体にまとまりつつある。これは極めて重要なことである。 今後、デジタル金融商品の世界は、犯罪への個々の守りを固め、横のネットワークを繋ぐ段階を迎える。特に社会全体に対するリテラシー(知識)教育を実施することが最も大事と考えている。そうすれば、市場が成熟する前の取引量が薄い市場においても、その暗号資産やNFTを始めとしたメタバースで使用され取引される商品の価格の不安定性への耐久力が付く。 そして、何よりも、詐欺をはじめとした犯罪の発生可能性を低下させるものと信じている。筆者も微力であるが、最大限協力していきたいと思っている』、「今後、デジタル金融商品の世界は、犯罪への個々の守りを固め、横のネットワークを繋ぐ段階を迎える。特に社会全体に対するリテラシー(知識)教育を実施することが最も大事と考えている。そうすれば、市場が成熟する前の取引量が薄い市場においても、その暗号資産やNFTを始めとしたメタバースで使用され取引される商品の価格の不安定性への耐久力が付く。 そして、何よりも、詐欺をはじめとした犯罪の発生可能性を低下させるものと信じている。筆者も微力であるが、最大限協力していきたいと思っている」、決済システムの第一人者の筆者の見解は、現実を踏まえたもので、同感である。
次に、本年3月29日付けNewsweek日本版がロイター記事を転載した「米検察、経営破綻のFTX創業者を贈賄罪で追起訴 中国当局者へ約52億円を不法に送金」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2023/03/ftx52.php#:~:text=%E7%B1%B3%E6%A4%9C%E5%AF%9F%E5%BD%93%E5%B1%80%E3%81%AF28,%E3%81%8C%E6%8C%81%E3%81%9F%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82
・『米検察当局は28日、経営破綻した暗号資産(仮想通貨)交換業者FTXの創業者、サム・バンクマンフリード被告(31)を、中国当局者への贈賄罪で追起訴した。自身のヘッジファンド取引口座の凍結を解除するため、4000万ドル(約52億6,246万円)相当の暗号資産を不法に送金した疑いが持たれている。 バンクマンフリード被告はすでに、FTXの破綻に関連した13件で起訴されている。同被告の広報担当者はコメントを控えた。 同被告は30日、新たな起訴状に関する罪状認否を行う予定。関係筋によると、無罪を主張する方針だ。 起訴状によると、同被告は10億ドル以上の暗号資産を持つヘッジファンド「アラメダ」の口座凍結解除を中国政府当局に依頼するため、アラメダのメイン取引口座からプライベートウォレットに4000万ドルの暗号資産を支払うよう命じたとされる。 検察当局によると、アラメダの口座はある取引先に関する調査の一環で凍結されており、同被告が事前に中国当局者に凍結解除を働きかけたが、失敗に終わっていた。 また、同被告は2021年11月ごろ、賄賂を「完了」させるために数千万ドルの追加暗号資産の送金を許可したという。 ロイターは中国外務省にコメントを求めたが、業務時間外のため回答を得られていない。在ワシントンの中国大使館からも現時点でコメントを得られていない』、「同被告は10億ドル以上の暗号資産を持つヘッジファンド「アラメダ」の口座凍結解除を中国政府当局に依頼するため、アラメダのメイン取引口座からプライベートウォレットに4000万ドルの暗号資産を支払うよう命じたとされる」、全貌が見えないが、かなり危ない橋を渡ろうとしていたようだ。「暗号資産」の取引では、まだこうしたいかがわしい取引も少なくないようだ。
先ずは、昨年6月17日付け現代ビジネスが掲載した博士(経済学)で帝京大学経済学部教授の宿輪 純一氏による「価格固定のはずが-暗号資産ステーブルコインを暴落させた不安の増幅ブロックチェーンゆえの振幅の大きさ」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/96328?imp=0
・『株価より高い暗号資産の暴落率 一般的な暗号資産(仮想通貨)の価格が“乱高下”するのは、法定通貨ではなく単なる金融商品であることを考えれば、当たり前といえば当たり前である。暗号資産の代表銘柄、ビットコインは、最高値6万7000ドル超(2021年11月)まで行ったが、6月中旬、“3分の1”の2万2000ドルあたりまで暴落した。 ちなみに、IMFの注意にも関わらず、ビットコインを通貨としたエルサルバドルや中央アフリカはこの急落で「通貨危機」という皮肉な状況になっている。 第2位のイーサリアムもピークから5割下落している。ハイテク株が多いナスダックでも約2割の下落となっており、暗号資産の暴落幅はいかにも大きい。 今回の下落の主因は、株式市場と同じく、米国の中央銀行、連邦準備制度理事会(FRB)のハイペースな利上げである。今回FRBは高いインフレ率に基づいて判断している。そのため、FRBは経済成長率以上にハイペースで利上げを行っている。株式市場はFRBの利上げと先行きの利上げ継続ムードと合わせて不安定化した。 この不安定な暗号資産の市場が、もともとある金融システムに悪影響を与えるのではないかと懸念されている。しかしこれは、新しい金融商品が登場するときには通る道であり、仕方ないステップである。 奇しくも、6月3日、暗号資産の一種であり資産の裏付けなどで価格固定を謳った「ステーブルコイン(StableCoin)」を対象とする「改正資金決済法」が制定され、裏付け資産の国内保管義務が発生するなど、投資家保護の規制も巡らされてきている』、「IMFの注意にも関わらず、ビットコインを通貨としたエルサルバドルや中央アフリカはこの急落で「通貨危機」という皮肉な状況になっている」、@「IMFの「注意」を無視した自己責任だ。「暗号資産の一種であり資産の裏付けなどで価格固定を謳った「ステーブルコイン・・・」を対象とする「改正資金決済法」が制定され、裏付け資産の国内保管義務が発生するなど、投資家保護の規制も巡らされてきている」、なるほど。
・『ステーブルコインは価格が固定的なはずだが 変動する暗号資産に対して、ステーブルコインは価格が固定されている暗号資産である。例えば1ドル=1ステーブルコインと固定されている。 暗号資産を中心に取引する投資家は、変動する暗号資産の取引を一旦止めるときに、暗号資産取引の外に出すよりも、暗号資産取引の中で、固定的なステーブルな暗号資産に移すことがある。外の他の金融資産に移すのはいろいろと手間が掛かるためである。 般的な暗号資産の変動下落は当たり前であるが、ところが最近、価格が固定されているステーブルコインが大幅に暴落するという、暗号資産の仕組み全体を揺るす事件が発生している。 ステーブルコイン「テラ」(テラ:Terraはもともとは「兆」の意味)の取引量は、185億ドルある。ステーブルコインの取引量で、テザー、USDコインに続き第3位であった。それほどの取引量を誇っていた。 ステーブルコインには担保でその価値を保証する「担保型」と「無担保型」がある。今回の「テラ」はその無担保型にあたり、供給量をコントロールすることで価格を安定させる「アルゴリズム型」だった。 しかも、テラは、独自の貸借市場メカニズム「アンカープロトコル」を持ち、運営者はそのメカニズムで年20%の利回りを得ることが出来るとして、資金を集めていた』、「ステーブルコイン「テラ」・・・の取引量は、185億ドルある」、「ステーブルコインには担保でその価値を保証する「担保型」と「無担保型」がある。今回の「テラ」はその無担保型にあたり、供給量をコントロールすることで価格を安定させる「アルゴリズム型」だった。 しかも、テラは、独自の貸借市場メカニズム「アンカープロトコル」を持ち、運営者はそのメカニズムで年20%の利回りを得ることが出来るとして、資金を集めていた」、なるほど。
・『「テラ」暴落のメカニズム・疑心暗鬼 この20%の利回りというメカニズムは、現在の金融経済情勢で、通常の仕組みでは到底、維持可能とは考えられない。暗号資産の暴落が始まって、このメカニズムをもつテラからも、引き出しが相次ぎ、取り付け騒ぎのようになり、固定価格が耐えられなくなり、暴落したということである。 ステーブルコインであるにも関わらず、一般の暗号資産の暴落に連られ、安定的な価格を維持できなくなり、9割以上暴落した。その売られ方はさながら通貨危機の状況であった。 さらにマズいのは、相場としての取引というよりは、そのステーブルコイン自体の「仕組み」にまで疑念が及んでしまったことである。投資家は「なにか知らされていないリスクがあるのでは」という疑心暗鬼の状況になってしまった。この状態は、新しい金融商品にとって非常にまずい。特に暗号資産全体の評価にも影響を及ぼすことになった。 ブロックチェーン技術を使用した「デジタル金融資産」の範疇には、暗号資産に加えて「NFT」もある。NFTとはNon-Fungible Token(非代替性トークン)のことである。もっとわかりやすい言い方をすれば「デジタル権利書」のことである。筆者は今後、一般化・発展してくるものと考えている。 ところがその、NFTも今回の仮想通貨やステーブルコインの暴落の時期に合わせ、その平均価格が8000ドルから1000ドルまで大幅下落してしまった。つまりは「デジタル金融資産」全体が残念な状況となってしまっている』、「この20%の利回りというメカニズムは、現在の金融経済情勢で、通常の仕組みでは到底、維持可能とは考えられない。暗号資産の暴落が始まって、このメカニズムをもつテラからも、引き出しが相次ぎ、取り付け騒ぎのようになり、固定価格が耐えられなくなり、暴落したということである。 ステーブルコインであるにも関わらず、一般の暗号資産の暴落に連られ、安定的な価格を維持できなくなり、9割以上暴落した。その売られ方はさながら通貨危機の状況であった。 さらにマズいのは、相場としての取引というよりは、そのステーブルコイン自体の「仕組み」にまで疑念が及んでしまったことである。投資家は「なにか知らされていないリスクがあるのでは」という疑心暗鬼の状況になってしまった」、なるほど。
・『不安増幅-ブロックチェーン型プログラムの問題 昨今のデジタル金融商品は、ブロックチェーン技術をベースとしたものが主流であるが、そこで使われる技術がDAO(Decentralized Autonomous Organization)である。日本語訳すると「自律分散型組織」となる。 そもそもデジタルの世界は、発展したIT技術によって、中央集権的に情報を集め、早く確実に判断を下す仕組みとして普及した。 それに対して、DAOは中央管理者が介在せず、当事者だけで判断を下し実現する自立稼働するプログラムである。いわゆる分散型金融(DeFi:Decentralized Finance)であり、今までのデジタル化された中央集権型のシステムと比べると分散していることもあり、サーバー攻撃も相次ぐという問題も発生している。 最近ではDAOは導入が結構進んでいる。一言でいうと、シンプルでコストが安いシステムということもできるかと考えている。さまざまな取引システムにも取り入れられている。 ところが実はそのことが、最近の為替相場の動きのように、相場の波の振れが大きくなるという現象につながっている様である。管理者という冷静な第三者的な視点が存在せず、取引当事者の個別の判断だけで動くので、不安心理などに歯止めがかからない事態も起きやすいと考えられる。 安定した運用のためには、システム自体の役割、そして基本的な目的の確認が必要となる。すべての参加者が善人であるとは限らず、この分野でもガードレールが必要となる』、「管理者という冷静な第三者的な視点が存在せず、取引当事者の個別の判断だけで動くので、不安心理などに歯止めがかからない事態も起きやすいと考えられる。 安定した運用のためには、システム自体の役割、そして基本的な目的の確認が必要となる。すべての参加者が善人であるとは限らず、この分野でもガードレールが必要となる」、確かに「ガードレール」は安定化のためには必要なようだ。
・『今後の対処法として 筆者は、暗号資産よりも「デジタル権利書」としてのNFTに将来性があると考える。新たな金融市場を形成していくことになろう。 残念なことであるが、暗号資産の業界には、ハッキング(詐欺)の事件が多い。現在、暗号資産やNFTの取引をするのは、暗号資産交換業者である。現在、日本の登録業者は30社ある。 金融機関の決済を始めとしたネットワークは、各金融機関をつなぎ共有されたインフラとなっている。例えば、日本が世界に誇る「全銀システム」は、銀行、信用金庫、信用組合など、現在、937機関を繋いでいる、大きなデジタル化した組織となっている。その最終決済は日本銀行である。今後、仕組みとしてCBDC(Central Bank Digital Currency :中央銀行デジタル通貨)も検討されている。 ハッキング事件の対応として、暗号資産交換業者は“それぞれ”に堅固なシステムを構築した。その全体の状況は、その基本機能である「ブロックチェーン」のような個別の塊がいくつもあるような形状であり、一体化することはない。金融システムのような相互のネットワークを作り上げていくことが大事なことと考える。 新しい金融商品の業界が立ち上がっていくときに、大事なのが「業界の自主規制団体」である。現在、急ピッチで統合が進んでいる。現在では、暗号資産やNFTを決済手段とし、また取引の場となるであろうメタバースの業界は、「日本デジタル空間経済連合」と「メタバース・ジャパン」の2つの団体にまとまりつつある。これは極めて重要なことである。 今後、デジタル金融商品の世界は、犯罪への個々の守りを固め、横のネットワークを繋ぐ段階を迎える。特に社会全体に対するリテラシー(知識)教育を実施することが最も大事と考えている。そうすれば、市場が成熟する前の取引量が薄い市場においても、その暗号資産やNFTを始めとしたメタバースで使用され取引される商品の価格の不安定性への耐久力が付く。 そして、何よりも、詐欺をはじめとした犯罪の発生可能性を低下させるものと信じている。筆者も微力であるが、最大限協力していきたいと思っている』、「今後、デジタル金融商品の世界は、犯罪への個々の守りを固め、横のネットワークを繋ぐ段階を迎える。特に社会全体に対するリテラシー(知識)教育を実施することが最も大事と考えている。そうすれば、市場が成熟する前の取引量が薄い市場においても、その暗号資産やNFTを始めとしたメタバースで使用され取引される商品の価格の不安定性への耐久力が付く。 そして、何よりも、詐欺をはじめとした犯罪の発生可能性を低下させるものと信じている。筆者も微力であるが、最大限協力していきたいと思っている」、決済システムの第一人者の筆者の見解は、現実を踏まえたもので、同感である。
次に、本年3月29日付けNewsweek日本版がロイター記事を転載した「米検察、経営破綻のFTX創業者を贈賄罪で追起訴 中国当局者へ約52億円を不法に送金」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2023/03/ftx52.php#:~:text=%E7%B1%B3%E6%A4%9C%E5%AF%9F%E5%BD%93%E5%B1%80%E3%81%AF28,%E3%81%8C%E6%8C%81%E3%81%9F%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82
・『米検察当局は28日、経営破綻した暗号資産(仮想通貨)交換業者FTXの創業者、サム・バンクマンフリード被告(31)を、中国当局者への贈賄罪で追起訴した。自身のヘッジファンド取引口座の凍結を解除するため、4000万ドル(約52億6,246万円)相当の暗号資産を不法に送金した疑いが持たれている。 バンクマンフリード被告はすでに、FTXの破綻に関連した13件で起訴されている。同被告の広報担当者はコメントを控えた。 同被告は30日、新たな起訴状に関する罪状認否を行う予定。関係筋によると、無罪を主張する方針だ。 起訴状によると、同被告は10億ドル以上の暗号資産を持つヘッジファンド「アラメダ」の口座凍結解除を中国政府当局に依頼するため、アラメダのメイン取引口座からプライベートウォレットに4000万ドルの暗号資産を支払うよう命じたとされる。 検察当局によると、アラメダの口座はある取引先に関する調査の一環で凍結されており、同被告が事前に中国当局者に凍結解除を働きかけたが、失敗に終わっていた。 また、同被告は2021年11月ごろ、賄賂を「完了」させるために数千万ドルの追加暗号資産の送金を許可したという。 ロイターは中国外務省にコメントを求めたが、業務時間外のため回答を得られていない。在ワシントンの中国大使館からも現時点でコメントを得られていない』、「同被告は10億ドル以上の暗号資産を持つヘッジファンド「アラメダ」の口座凍結解除を中国政府当局に依頼するため、アラメダのメイン取引口座からプライベートウォレットに4000万ドルの暗号資産を支払うよう命じたとされる」、全貌が見えないが、かなり危ない橋を渡ろうとしていたようだ。「暗号資産」の取引では、まだこうしたいかがわしい取引も少なくないようだ。
タグ:暗号資産(仮想通貨) (その23)(価格固定のはずが-暗号資産ステーブルコインを暴落させた不安の増幅ブロックチェーンゆえの振幅の大きさ、米検察 経営破綻のFTX創業者を贈賄罪で追起訴 中国当局者へ約52億円を不法に送金) 現代ビジネス 宿輪 純一氏による「価格固定のはずが-暗号資産ステーブルコインを暴落させた不安の増幅ブロックチェーンゆえの振幅の大きさ」 「IMFの注意にも関わらず、ビットコインを通貨としたエルサルバドルや中央アフリカはこの急落で「通貨危機」という皮肉な状況になっている」、@「IMFの「注意」を無視した自己責任だ。「暗号資産の一種であり資産の裏付けなどで価格固定を謳った「ステーブルコイン・・・」を対象とする「改正資金決済法」が制定され、裏付け資産の国内保管義務が発生するなど、投資家保護の規制も巡らされてきている」、なるほど。 「ステーブルコイン「テラ」・・・の取引量は、185億ドルある」、「ステーブルコインには担保でその価値を保証する「担保型」と「無担保型」がある。今回の「テラ」はその無担保型にあたり、供給量をコントロールすることで価格を安定させる「アルゴリズム型」だった。 しかも、テラは、独自の貸借市場メカニズム「アンカープロトコル」を持ち、運営者はそのメカニズムで年20%の利回りを得ることが出来るとして、資金を集めていた」、なるほど。 「この20%の利回りというメカニズムは、現在の金融経済情勢で、通常の仕組みでは到底、維持可能とは考えられない。暗号資産の暴落が始まって、このメカニズムをもつテラからも、引き出しが相次ぎ、取り付け騒ぎのようになり、固定価格が耐えられなくなり、暴落したということである。 ステーブルコインであるにも関わらず、一般の暗号資産の暴落に連られ、安定的な価格を維持できなくなり、9割以上暴落した。その売られ方はさながら通貨危機の状況であった。 さらにマズいのは、相場としての取引というよりは、そのステーブルコイン自体の「仕組み」にまで疑念が及んでしまったことである。投資家は「なにか知らされていないリスクがあるのでは」という疑心暗鬼の状況になってしまった」、なるほど。 「管理者という冷静な第三者的な視点が存在せず、取引当事者の個別の判断だけで動くので、不安心理などに歯止めがかからない事態も起きやすいと考えられる。 安定した運用のためには、システム自体の役割、そして基本的な目的の確認が必要となる。すべての参加者が善人であるとは限らず、この分野でもガードレールが必要となる」、確かに「ガードレール」は安定化のためには必要なようだ。 「今後、デジタル金融商品の世界は、犯罪への個々の守りを固め、横のネットワークを繋ぐ段階を迎える。特に社会全体に対するリテラシー(知識)教育を実施することが最も大事と考えている。そうすれば、市場が成熟する前の取引量が薄い市場においても、その暗号資産やNFTを始めとしたメタバースで使用され取引される商品の価格の不安定性への耐久力が付く。 そして、何よりも、詐欺をはじめとした犯罪の発生可能性を低下させるものと信じている。筆者も微力であるが、最大限協力していきたいと思っている」、決済システムの第一人者の筆者の見解は、現実を踏まえたもので、同感である。 Newsweek日本版 ロイター 「米検察、経営破綻のFTX創業者を贈賄罪で追起訴 中国当局者へ約52億円を不法に送金」 「同被告は10億ドル以上の暗号資産を持つヘッジファンド「アラメダ」の口座凍結解除を中国政府当局に依頼するため、アラメダのメイン取引口座からプライベートウォレットに4000万ドルの暗号資産を支払うよう命じたとされる」、全貌が見えないが、かなり危ない橋を渡ろうとしていたようだ。「暗号資産」の取引では、まだこうしたいかがわしい取引も少なくないようだ。
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