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マイナンバー制度(その6)(注目の人 直撃インタビュー 保団連会長が警鐘「保険証廃止を強行すれば閉院ラッシュ 地域医療は崩壊します」、だから躍起になってマイナンバーカードを作らせようとする…日本を"デジタル後進国"にした本当の原因 民間ではプラスチックのカードは姿を消しつつあるのに、厚労省が満を持して出した「保険証廃止で最大108億円コスト減」の“怪しい試算) [経済政策]

昨日に続いて、マイナンバー制度(その6)(注目の人 直撃インタビュー 保団連会長が警鐘「保険証廃止を強行すれば閉院ラッシュ 地域医療は崩壊します」、だから躍起になってマイナンバーカードを作らせようとする…日本を"デジタル後進国"にした本当の原因 民間ではプラスチックのカードは姿を消しつつあるのに、厚労省が満を持して出した「保険証廃止で最大108億円コスト減」の“怪しい試算”)を取上げよう。

先ずは、8月7日付け日刊ゲンダイ「注目の人 直撃インタビュー 保団連会長が警鐘「保険証廃止を強行すれば閉院ラッシュ、地域医療は崩壊します」」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/327001
・『住江憲勇(全国保険医団体連合会会長)  マイナンバーカードを巡って次から次へと起こるトラブルに岸田政権は右往左往。国民の不信は募る一方だ。とりわけ、健康保険証廃止への反発は強く、世論調査では来年秋の廃止について「反対」が7割を超える。にもかかわらず、政府はマイナ保険証への一本化方針にいまだに固執。このため全国の医療機関では大混乱が生じている。この間、医療現場の実態を調査し、問題点を明らかにしてきた保団連会長に思う存分、語ってもらった(Qは聞き手の質問、Aは保団連会長の回答)』、興味深そうだ。
・『マイナ保険証「必発3トラブル」は解決しない  Q:医療現場で何が起きていますか。 A:マイナ保険証を使うとまず、受け付け時点で混乱が生じる。オンライン資格確認がうまくいかず、患者が列をつくり、時間も手間もかかる。スタッフに対しクレームも出る。医療情報は古い上に、他人の情報かもしれないと考えると診療では怖くて使えない。マイナ保険証はほとんど活用されていないのが実態です。 Q:マイナ保険証の根本的な問題は何ですか。 A:避けられない、必発のトラブルが3つあります。公金口座や年金などでも発覚しているが、1つはマイナ保険証へのひも付けの誤りによる危険です。重大な医療事故につながりかねません。2つ目は、資格者全員に交付する保険証と違い、マイナ保険証や資格確認書は申請主義なので、どうしても申請漏れや遅れが生じ、保険資格情報の誤りが避けられないことです。3つ目は、オンラインにつきもののシステム障害の発生リスクは当然あります。 Q:実際に3つとも多発しています。 A:これだけの不具合が起きれば運用を全面停止し、万全の改善策を講じるのが常識です。富士通子会社の証明書交付サービスのトラブルの際はシステムを停止しました。ところが政府は、立ち止まることなく、走りながらの対応を続けている。次々生じるトラブルに対し、ほころびを縫うがごとく対策に追われるから、シッチャカメッチャカの状態に陥っている。 Q:受け付けで無保険扱いが続出し、10割請求が問題になった時、加藤厚労相は窓口負担を「3割」とするよう医療機関に求めました。 窓口でいったん3割とするが、後で正しい資格情報を確認する必要がある。それを担うのは社会保険診療報酬支払基金です。無資格扱いとなるトラブルは70万件以上起こるとの推計を発表しましたが、それくらいの規模で資格を確認する作業が毎月、発生するのです。当然、積み残しが起き、支払いの遅延や不能が起きるでしょう』、「オンライン資格確認がうまくいかず、患者が列をつくり、時間も手間もかかる。スタッフに対しクレームも出る。医療情報は古い上に、他人の情報かもしれないと考えると診療では怖くて使えない。マイナ保険証はほとんど活用されていないのが実態です」、「必発のトラブルが3つあります・・・1つはマイナ保険証へのひも付けの誤りによる危険です。重大な医療事故につながりかねません。2つ目は、資格者全員に交付する保険証と違い、マイナ保険証や資格確認書は申請主義なので、どうしても申請漏れや遅れが生じ、保険資格情報の誤りが避けられないことです。3つ目は、オンラインにつきもののシステム障害の発生リスクは当然あります」、なるほど。
・『終戦直後の支払い遅延時代に逆戻り  Q:医療機関の経営に影響も出る。 A:終戦直後、支払い遅延が常態化し、適切な医療提供が難しい事態に直面しました。そこで、1948年に支払基金が設立された経緯があります。このままでは終戦直後の支払い遅延の時代に戻りかねません。これまでは患者から保険証の提示がない場合、窓口では10割の負担を求め、後で資格が確認できれば、差額を返金し、そうでなければそのまま、という運用をしてきた。病院と患者の間でコンセンサスがあったのです。医療従事者と患者の信頼関係まで壊れかねない事態です。 Q:マイナ保険証の登録は6500万人で足踏み状態です。 A:マイナ保険証の普及を前提に、資格確認書の交付はごくわずかと想定し、申請に基づいて毎年交付としていました。ところが、人口の半分近くに送付となると、そうはいかない。毎年でなく、保険証に準じた期間にするとか、職権で全件交付という案も浮上しています。これでは、ほとんど保険証と変わりません。保険証を廃止する意味は薄らいでいる』、「これまでは患者から保険証の提示がない場合、窓口では10割の負担を求め、後で資格が確認できれば、差額を返金し、そうでなければそのまま、という運用をしてきた。病院と患者の間でコンセンサスがあったのです。医従事者と患者の信頼関係まで壊れかねない事態です」、「マイナ保険証の普及を前提に、資格確認書の交付はごくわずかと想定し、申請に基づいて毎年交付としていました。ところが、人口の半分近くに送付となると、そうはいかない。毎年でなく、保険証に準じた期間にするとか、職権で全件交付という案も浮上しています。これでは、ほとんど保険証と変わりません。保険証を廃止する意味は薄らいでいる」、その通りだ。
・『「問題の先送りではなく撤回に追い込むことが重要」  Q:保険証廃止についてはメディアの批判的報道も盛んですが、保団連は以前から警鐘を鳴らしていました。 A:今年4月からのオンライン資格確認義務化の進め方は極めて強引でした。昨年6月に義務化方針を閣議決定し、ろくな審議もせずに3カ月後には省令を発令した。昨年8月の厚労省の説明会で、保険局の水谷忠由医療介護連携政策課長は、義務化に応じない医療機関について「保険医療機関・薬局の指定の取り消し事由となり得る」と恫喝までした。こうして環境を整え、同10月に河野デジタル担当相が保険証の廃止を表明したのです。 Q:オンライン資格確認の義務化について、医療機関はどう受け止めましたか。 A:昨年10月のアンケートによると、セキュリティーへの懸念や経済的負担などの理由で15%が「対応できない」と答え、10%が閉院を検討すると回答しました。資格確認システムの導入という、医療とは無関係な理由から病院を閉じるのは、医療従事者にとって忸怩たる思いだと思います。 Q:4月からの義務化による閉院は起きたのですか。 A:全国の地方厚生局に提出された保険医療機関の廃止数を見ると、今年4月は約1100件に上っています。少なくとも昨年5月以降で最多となっています。4月からのオンライン義務化の影響も考えられます。 Q:閉院が相次ぐのは地域医療の維持を揺るがします。 A:全国には中山間地域があります。限界集落とならず、持ちこたえているケースはかろうじて医療機関が存在しています。例えば、高齢の先生が診療を続けてくれている。そうした地域で唯一の医療機関が閉院してしまったら、住民の医療はどうなるのか。地域医療への影響は今のところ、顕在化していません。しかし、政府が保険証の廃止方針を貫けば、判断を迷っている医療機関が閉院を決めかねない。閉院予定の医療機関はオンライン資格確認を導入せず、来年9月までは続けられるが、その後はない。来年秋に向けてさらなる閉院ラッシュが起きてもおかしくありません。 Q:自民党幹部から来秋の廃止について「延期論」が出ています。 A:与党からそういう声が出るほど事態は深刻だということでしょう。ただ、延期でガス抜きされないように注意が必要です。当面は延期でいいとしても、撤回に追い込むことが重要です。延期したところで問題が先送りされるだけです。この先、マイナ保険証の登録が飛躍的に伸びるとも思えず、数千万人がマイナ保険証を持たない状況は続きます。また、廃止時期を後ろ倒しにしても、先に挙げた3つの必発トラブルがなくなるわけではない。これまで同様、マイナ保険証に一本化するスキームの中で解決しようとすれば、延期した期間にトラブルが続くだけなのです。保険証を存続させれば、一気に解決する話です。 Q:マイナ保険証と健康保険証の併用については? A:かつては併用を主張していました。というのも、ITに強い医師もおり、進めることのメリットも一定分あるからです。だから、マイナ保険証に絶対反対とは言いません。ただ、トラブルがここまで起きている以上、あまりにも危険すぎて、マイナ保険証を使いたい人に「どうぞ使ってください」とも言えなくなった。それほど深刻な事態だと認識しています。 Q:来秋の保険証廃止について反対の世論は7割を超えていますが、政府は鈍感です。 A:例えば、河野デジタル担当相は自主返納について「微々たる数」だと切り捨てました。信頼されていない事態に向き合おうとしていない。保険証廃止を政府は譲らない構えですが、国民の運動に加え、メディアの報道もあり、廃止についての危機意識は共有できていると思います。 Q:「医療のデジタル化」と言えば聞こえはいい。 A:「医療のデジタル化のためには、多少のリスクやデメリットがあっても立ち止まらずに推し進めるべきだ」と言う人がいますが、軽い発言です。マイナ保険証では、機微に富む情報がずさんに扱われ、地域医療の崩壊にもつながりかねない。保険証廃止の撤回に向けて引き続き奮闘します』、「昨年10月のアンケートによると、セキュリティーへの懸念や経済的負担などの理由で15%が「対応できない」と答え、10%が閉院を検討すると回答しました。資格確認システムの導入という、医療とは無関係な理由から病院を閉じるのは、医療従事者にとって忸怩たる思いだと思います。 Q:4月からの義務化による閉院は起きたのですか。 A:全国の地方厚生局に提出された保険医療機関の廃止数を見ると、今年4月は約1100件に上っています。少なくとも昨年5月以降で最多となっています。4月からのオンライン義務化の影響も考えられます。予想以上に大きな影響だ。「マイナ保険証では、機微に富む情報がずさんに扱われ、地域医療の崩壊にもつながりかねない。保険証廃止の撤回に向けて引き続き奮闘します」、その通りだ。

次に、8月21日付け日刊ゲンダイが掲載した南山大大学院法務研究科教授の實原隆志氏による「マイナひも付けミス「初歩的トラブル続出に驚いた」…情報法の専門家が突きつける数々の課題」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/327680
・『マイナンバーカードのひも付けトラブルをめぐる“狂騒”に終わりが見えない。政府は8日、マイナンバー情報総点検本部を開催。ひも付けミスに関してまとめた中間報告では、新たなミスが発覚した。岸田首相は11月末までに個別データの点検を進めるよう指示し、年内に沈静化を図ろうとしているが、「国民の不安」は一向に解消されない。マイナ制度に詳しい憲法・情報法の専門家は、相次ぐトラブルや政府の対応をどう見ているのか(Qは聞き手の質問、Aは専門家の回答)。 Q:中間報告では、マイナ保険証に誤って他人の情報が登録されていたケースが新たに1069件、公務員などの年金を運営する「共済組合」でもマイナンバーと年金情報のひも付けミスが118件確認されました。政府は今後、ひも付けに関するガイドライン作成や人手を介さないひも付け作業のデジタル化など、再発防止策に着手する予定です。 A:遅きに失したとはいえ、ガイドラインを作成しないよりはましですし、ひも付け作業のデジタル化に取り組む姿勢を示したことは評価できます。ただ、気になるのは、中間報告の中に〈国民の信頼回復に向けた対応〉として、〈カード取得の円滑化〉〈マイナ保険証の利用の促進〉が盛り込まれたことです。ひも付けトラブルが続出した原因の分析と再発防止が総点検に期待される役割のはずですが、マイナカードによる行政側のメリットを広報することが信頼回復につながるとは考えにくい。あくまでも中間報告なので、最終報告ではトラブル原因の分析・総括を期待したいですね。 Q:ひも付けトラブルが後を絶ちません。 A:そもそも、1つの番号や1枚のカードに個人情報をひも付けることによって、個人が想定していなかった機関に情報が共有されたり、情報を提供した意図とは違う文脈で使われたりする恐れがないように、いかに制度や運用をコントロールするかが、憲法や情報法の分野における問題意識でした。足元で起きているトラブルは他人の情報がひも付いてしまうという、従来から懸念されてきた問題とは別次元かつ想定外の問題です。少なくとも技術的には、間違いなくひも付けできるシステムが構築されている認識だったので、どのように個人情報のひも付けを規律するかという、法的な課題以前の初歩的なトラブルが相次いだことには正直、驚きを禁じ得ませんでした』、「法的な課題以前の初歩的なトラブルが相次いだことには正直、驚きを禁じ得ませんでした」、なるほど。
・『ドイツでは違憲主張のコミッショナーが監督しています  Q:先の国会では改正マイナンバー法などの関連法が成立し、利用拡大が進んでいます。 A:法改正をして活用分野を広げていくのは手続き上、問題ありません。もちろん、議論が十分かどうか、マイナ制度を監督する個人情報保護委員会(個情委)がまったく意見を出さないなど、法改正に至るプロセスの問題はあります。今回の改正で〈法律でマイナンバーの利用が認められている事務について、主務省令に規定することで情報連携を可能とする〉と定められたので、省令で情報連携が進んでしまう運用は今後も争点でしょう。 Q:そもそも個人情報の扱いが厳格ではない? (今年3月に最高裁はマイナ制度が合憲だとの判決を出しました。マイナ制度の運用は厳格であるとの判断ですが、個人的には決して厳格とは思いません。例えば、ヨーロッパに目を向けると、ドイツでは納税者番号が15~16年前から使われており、今後、日本の住基ネットのような仕組みが導入される予定です。異なる分野を管轄する行政機関の間で納税者番号を使って情報連携する仕組みが導入されているので、日本のマイナ制度のように、1つの番号にあらゆる情報がひも付く「フラット型」に近づいているとも言えます。ただ、ドイツの場合、納税者番号とどの個人情報がひも付くか、しっかり法律の中で定義されています。一方、日本はマイナンバーとどの個人情報をひも付けるかの定義がなく、ドイツに比べて規律の緩さが目立ちます。ドイツの運用方法が柔軟性に欠くとの批判はあり得ますが、番号制度に対する懸念を払拭する点では参考に値すると思います。) Q:ドイツでは番号に基づく個人情報のネットワーク化は受け入れられている?(ドイツには「連邦データ保護コミッショナー」とも呼ばれる独任制の組織があり、制度を監督しています。日本の個情委に似ていますが、制度への姿勢は異なります。コミッショナーは番号の活用を違憲だと主張しており、学術レベルでも意見が割れています。今後、違憲訴訟になると思います。ドイツでは「これは違憲だ」と主張している機関が制度を監督するので、制度運用に対する厳格さは担保されています。コミッショナーは批判するのが仕事という側面もあり、「違憲だ」との主張はある種、お決まりの反応ともドイツでは捉えられているほどです』、「ドイツの場合、納税者番号とどの個人情報がひも付くか、しっかり法律の中で定義されています。一方、日本はマイナンバーとどの個人情報をひも付けるかの定義がなく、ドイツに比べて規律の緩さが目立ちます。ドイツの運用方法が柔軟性に欠くとの批判はあり得ますが、番号制度に対する懸念を払拭する点では参考に値すると思います」、「ドイツでは「これは違憲だ」と主張している機関が制度を監督するので、制度運用に対する厳格さは担保されています」、なるほど。
・『制度支える個情委は欧州並みの働きを  Q:公金受取口座が別人のマイナンバーとひも付けられた問題を巡り、個情委は7月にデジタル庁に立ち入り検査しました。 立ち入り検査にまで踏み込んだのは評価できますが、問題の位置付けが個情委らしい。個情委は今回の問題について、マイナンバーやマイナカードを活用したサービスを利用する国民が不安を抱くキッカケになり得る事案の一部として位置付け、立ち入り検査をしている。つまり、立ち入り検査は、我々の個人情報を守るためではなく、マイナ制度やマイナカードの利用拡大を円滑に行うための調査として位置付けられているように見えます。そもそも個情委は、マイナ制度を運用するために立ち上げられた組織。立ち入り検査にしても、マイナ制度を浸透させるための環境整備との印象は拭えません。マイナ制度を支える前提でつくられた組織である以上、個情委としてマイナ制度を批判することは、自らの存在意義を侵食するという意識があるのではないか。その心理は、理解できなくもありませんが、ヨーロッパ並みの第三者機関として期待される役割を果たして欲しい。 Q:個情委の担当大臣は河野デジタル相です。どこまで踏み込んで検査できるでしょうか。 A:保険金の不正請求問題が明るみに出たビッグモーターと対比して考えると、組織の長から情報収集しないという選択肢は考えられません。マイナンバーのひも付けミスとは問題の質は異なりますが、社長以下、役員や現場スタッフ全体を調査するのが普通でしょう。そう考えると、たとえ形式上であっても、所管大臣が調査の対象になるのが当然ではないか。 Q:マイナ制度の運用に関して、個情委も厳しい姿勢を見せ始めた? A:個情委は従来、マイナンバーやマイナカードの利用範囲の拡大などについて、円滑な制度運用のための監督はしても、意見表明は行っていません。個情委には個人情報保護法上は行政機関に命令する権限がないとはいえ、そうした権限がないからこそ、政府に対してざっくばらんに意見を言えばいい。マイナカード利用拡大の懸念に対応して円滑な運用を目指すのは、個情委ではなくデジタル庁や総務省の仕事のはずです。 Q:政府は「国民の不安払拭」と繰り返しています。 A:政府が推し進めているのは、マイナカードの利便性を高める施策ではなく、カード取得は任意にもかかわらず持たない人が不利益を被るような施策です。政府が想定している「不安」は総点検の目的に照らせば、マイナンバーに他人の情報がひも付いている想定外の事態に対するもの。一方、多くの人が感じている不安は来秋に予定されている健康保険証廃止だと思います。ひも付けミスは原因分析や作業環境の改善を図ることによって解消されることを期待しますが、マイナカードを持たない人が不便な思いをする施策の軌道修正が図られない限り、「国民の不安」は払拭できないでしょう。今後、保険証廃止の時期について柔軟性が示されれば、不安払拭につながると思います』、「個情委は従来、マイナンバーやマイナカードの利用範囲の拡大などについて、円滑な制度運用のための監督はしても、意見表明は行っていません。個情委には個人情報保護法上は行政機関に命令する権限がないとはいえ、そうした権限がないからこそ、政府に対してざっくばらんに意見を言えばいい。マイナカード利用拡大の懸念に対応して円滑な運用を目指すのは、個情委ではなくデジタル庁や総務省の仕事のはずです」、「マイナカードを持たない人が不便な思いをする施策の軌道修正が図られない限り、「国民の不安」は払拭できないでしょう。今後、保険証廃止の時期について柔軟性が示されれば、不安払拭につながると思います」、なるほど。

第三に、8月18日付けPRESIDENT Onlineが掲載した経済ジャーナリストの磯山 友幸氏による「だから躍起になってマイナンバーカードを作らせようとする…日本を"デジタル後進国"にした本当の原因 民間ではプラスチックのカードは姿を消しつつあるのに」を紹介しよう』、興味深そうだ。
https://president.jp/articles/-/72900?page=1
・『「我が国がデジタル後進国だったことにがく然」  健康保険証とマイナンバーカードを紐付けして「マイナ保険証」に一体化する政府の姿勢がぐらついている。来年秋に現行の健康保険証を廃止するという政府方針に、野党のみならず与党内からも批判の声が上がり、岸田文雄首相はいったん「廃止延期」に含みをもたせるような発言をした。ところが8月4日に開いた記者会見では、不安払拭に努力するとしたうえで、廃止の方針は当面維持する姿勢を示した。なぜ、そこまで健康保険証廃止にこだわるのか。政府のデジタル化が遅れているのは健康保険証のせいなのか。 「なぜデジタル化を急いで進めるのか」。会見で岸田首相自身がこう説明した。 「国民への給付金や各種の支援金における給付の遅れ、感染者情報をファクスで集計することなどによる保健所業務のひっ迫、感染者との接触確認アプリ導入やワクチン接種のシステムにおける混乱。欧米諸国や台湾、シンガポール、インドなどで円滑に進む行政サービスが、我が国では実現できないという現実に直面し、我が国がデジタル後進国だったことにがく然といたしました」』、「「なぜデジタル化を急いで進めるのか」。会見で岸田首相自身がこう説明・・・「国民への給付金や各種の支援金における給付の遅れ、感染者情報をファクスで集計することなどによる保健所業務のひっ迫、感染者との接触確認アプリ導入やワクチン接種のシステムにおける混乱。欧米諸国や台湾、シンガポール、インドなどで円滑に進む行政サービスが、我が国では実現できないという現実に直面し、我が国がデジタル後進国だったことにがく然といたしました」、気付くのが遅過ぎる。
・『なぜ保険証は廃止で免許証は継続なのか  コロナウイルス蔓延下で行政が後手後手に回ったのは間違いない。だが、保険証を廃止してマイナ保険証を普及させれば、こうした問題は解決するのだろうか。様々な個人情報をマイナンバーカードに紐付けて国が一元管理しなければ、そうした行政のデジタル化は進まないのか。 岸田首相はさらにこう語った。 「私たちのふだんの暮らしでは、免許証やパスポートが、身元確認の役目を果たします。では、顔が見えず、成りすましも簡単なオンラインの世界で、身元確認や本人確認をどうするのでしょうか。その役目を担うのが電子証明書を内蔵しているマイナンバーカードです。それゆえに、マイナンバーカードは『デジタル社会のパスポート』と呼ばれています」 ということは、成りすましを防ぐために保険証をマイナ保険証に切り替えようとしているということなのか。マイナンバーカードは「便利だ」から作った方がいい、というのがこれまでの説明ではなかったか。 本人確認というのなら、真っ先に運転免許証やパスポートと一体化すればいい。運転免許証は紐付ける方針だが、免許証は廃止されない方向だ。なぜ保険証は廃止で免許証は存続なのか、岸田首相の説明では分からない。国政選挙の投票所で本人確認に使えば、成りすましは防げる。その方が重要ではないか』、「なぜ保険証は廃止で免許証は存続なのか、岸田首相の説明では分からない」、なるほど。
・『いきなり紐付けようとしたから大混乱が起きている  そもそもマイナンバー、つまり個人番号は日本に在住している人はすでに全員に割り振られている。日本に在住する外国人も番号を持っている。デジタル化の前提である個人番号は全員に行き渡っているのだ。マイナンバーカードを作るかどうかは任意だが、番号は全員が持っているわけだ。 また、銀行口座を開設する際や既存の口座でもマイナンバーの届出が義務付けられている。つまり、マイナンバーと銀行口座は紐付けられている。税務申告でもマイナンバーを提出することになっていて、すでにかなりの個人情報はデジタルでつながっていると考えていい。ではなぜ、健康保険証の紐付けがうまくいかないのか。 問題は、いきなりマイナンバーカードと健康保険証を紐付けようとしたために、大混乱が生じていることだ。もともと健康保険の加入者からマイナンバーの提出を受けて、健康保険組合などがマイナンバーと保険証番号を並列して保有する作業を先行していれば、こんな混乱は起きなかったに違いない』、「もともと健康保険の加入者からマイナンバーの提出を受けて、健康保険組合などがマイナンバーと保険証番号を並列して保有する作業を先行していれば、こんな混乱は起きなかったに違いない」、なるほど。
・『霞が関は「普及率向上」に必死で、本来の目的を見失っている  では、なぜそんなに急いで保険証とカードを紐付ける必要があったのか。岸田首相は会見で「なぜ、マイナカードの早期普及が必要か」と自ら問いを掲げ、こう続けた。「それは、多様な公的サービスをデジタル処理するための公的基盤を欠いていたことが、コロナのときのデジタル敗戦の根本的な原因だったと、政府全体で認識したからです」としている。マイナンバーではなく、カードがないから行政サービスができない、というのだ。 今回の混乱について、岸田首相の側近のひとりは、「マイナンバーカードの普及が目的化してしまったことが、今の混乱につながってしまった」と唇をかむ。霞が関の官僚は「目標」が設定されるとその達成に邁進する傾向がある。美徳ではあるが、一方で本来の目的を履き違えることにつながりかねない。今、総務省やデジタル庁が必死になるのは、マイナンバーカードの「普及率」向上であって、本来の目的であるデジタル化による行政コストの削減ではない。 血税から個人に2万円分のポイントを配ってでもカードを作らせようとした愚策を見てもそれがわかる。クレジットカード会社が入会時にポイントを配るのはカードを作ってもらえばカード会社の利益になるからだ。政府はマイナカードを普及させることで、どうやって2万円を回収しようと考えているのか』、「政府はマイナカードを普及させることで、どうやって2万円を回収しようと考えているのか」、どう考えても合理的な説明は困難だ。
・『通院を「不便」にしてカード取得者を増やす狙い  マイナンバーカードの普及率が焦点であることは、官僚が原稿を用意したであろう岸田首相の会見発言にも表れている。「国民の皆様の御協力によって、8904万枚、普及率は70パーセントを超えています」と胸を張ったのだ。実際には死亡した人の取得枚数もカウントする一方で、人口は最新を使っていたという「粉飾まがい」も表面化した。何しろ普及率を高くすることが大事だからだ。 おそらく、保険証廃止は、マイナンバーカードを普及させるための「切り札」なのだろう。住民票がコンビニで取れるのは便利には違いないが、せいぜい年に何回かの話。市役所に行って取るのと大差ない。ところが病気になるたび、あるいは通院している人なら、月が変わるたびに提示しなければならない健康保険証が廃止されるとなれば、マイナンバーカードを作らざるを得なくなる。つまり、「便利だから」ではなく、「不便になるのは困るから」カードを作る人が出る。政府はそれを狙っているのだろう』、「健康保険証が廃止されるとなれば、マイナンバーカードを作らざるを得なくなる」、「「便利だから」ではなく、「不便になるのは困るから」カードを作る人が出る。政府はそれを狙っているのだろう」、なるほど。
・『2016年に登録した人のカードが有効期限を迎える  ではなぜ、2024年秋に廃止なのか。 実は、現在のマイナンバーカードには有効期限がある。カード発行から10回目の誕生日を過ぎると使えなくなる。カードが発行され始めたのは2016年1月なので、早ければ2025年1月以降、有効期限が来るカードが出始めるわけだ。更新手続きをしなければ無効になるので、当然、普及率に影響する。せっかく2万ポイントを配って普及率を上げたのに、期限が切れて失効する人が増えては、普及率は再び低下し、これまでの努力が水泡に帰す。だから、マイナンバーカードを「絶対に必要なもの」にしてしまおうということではないか。 そもそも、デジタル化の目的は何だったのだろうか。菅義偉氏が首相としてデジタル庁の設置を推し進めた時のキャッチフレーズは「縦割りを打破する」だった。 コロナ下の帰国に際してはワクチン接種証明などを事前に登録する「Visit Japan Web」が作られた。ひとつのアプリで全てが終わり、縦割り打破になるはずだった。ところが、羽田空港の「検疫」ではアプリに表示された「QRコード」を機械で読み取るのではなく、正常に登録されたことを示す「緑色」をずらっと並んだ係員が「目視」するというなかなかのデジタル後進国ぶりが繰り広げられていた。数が少ない機械を通すと長蛇の列になるのを避けるための「現場対応」だったのだろう。今は、接種証明が不要になって、「検疫」システムはアプリから削除された』、「せっかく2万ポイントを配って普及率を上げたのに、期限が切れて失効する人が増えては、普及率は再び低下し、これまでの努力が水泡に帰す。だから、マイナンバーカードを「絶対に必要なもの」にしてしまおうということではないか」、なるほど。
・『入国の手続きですら「ワンストップ」にはならなかった  「税関」では、デジタル申告よりも、機内で書いた手書きの申告書を渡す方が早く手続きを終えられる、という状態が今でも続いている。 帰国時の「入国審査」は独自のデジタル化が進み、パスポートを読み取り機に置いて顔認証するだけでゲートが開くようになった。便利になったが、結局、検疫(厚労省)、税関(国税庁)、入国審査(法務省)という縦割り対応は変わっていない。ひとつのQRコードで一度に全てが終わるというワンストップには結局ならなかったのだ。さらに最近は、農林水産省が所管する動物検疫や植物検疫も厳しくなった。もちろん空港自体は国土交通省だ。日本の役所の縦割りの縮図である国際空港の姿はデジタル化でも一向に変わっていない。 本来は行政の縦割りを打破し、手続きが効率化するはずだった国のデジタル化。それがいつの間にかカードを普及させないとデジタル化は進まないという不思議な話になっている。そうこうする間に、民間ではプラスチックのカードはどんどん姿を消しつつある』、「検疫(厚労省)、税関(国税庁)、入国審査(法務省)という縦割り対応は変わっていない。ひとつのQRコードで一度に全てが終わるというワンストップには結局ならなかったのだ」、「本来は行政の縦割りを打破し、手続きが効率化するはずだった国のデジタル化。それがいつの間にかカードを普及させないとデジタル化は進まないという不思議な話になっている。そうこうする間に、民間ではプラスチックのカードはどんどん姿を消しつつある」、同感である。

第四に、8月27日付け日刊ゲンダイ「厚労省が満を持して出した「保険証廃止で最大108億円コスト減」の“怪しい試算”」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/328149
・『集中企画・マイナ狂騒(42)  来秋に予定されている健康保険証の廃止をめぐり、厚労省は24日、廃止がコスト削減につながるとの試算を発表した。試算は社会保障審議会医療保険部会で示されたもので、保険証廃止によって「最大108億円のコスト減になる」との結果を示している。しかし、この試算は「こんなのアリ?」と首をかしげたくなるほど、酷いシロモノだ。 厚労省が出したのは〈保険証の廃止に伴う削減コスト(ごく粗い試算)〉。自営業者らが加入する国民健康保険、会社員とその家族などが加入する被用者保険、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度について、現行の保険証にかかるコストと、保険証廃止後のコストを比較した。 保険証廃止後は、マイナ保険証を持たない被保険者には「資格確認書」が、マイナ保険証の利用者にはマイナ非対応の医療機関で保険診療を受ける際に必要な「資格情報のお知らせ」が配られる。つまり、廃止後のコストとは、「資格確認書」の発行と、「お知らせ」の送付にかかる手間とカネだ。 試算によれば、マイナ保険証の利用登録率が現在の52%で推移した場合、保険証廃止に伴うコスト減は76億~82億円。利用登録が進んで65~70%に達した場合は、100億~108億円が削減される見込みだという。 しかし、25日の立憲民主党の国対ヒアリングでは、試算の“甘さ”を指摘する声が相次いだ。長妻昭政調会長は「(現行の保険証を)廃止すると、問い合わせや管理など、膨大なヒト・モノ・カネがかかるといわれているが、そのコストが(試算に)入っているのか」と疑問を呈した。 厚労省の担当者は「先生方からコスト試算を早く出すようにというご要請もあり、一定の仮定を置いた上で試算した」と説明。問題なのは、この「一定の仮定」だ。 厚労省は試算の前提として、「資格確認書」の印刷製本費を65円、マイナ保険証と一緒に携行して使う「資格情報のお知らせ」を10円と、異常に安く設定している』、「厚労省は試算の前提として、「資格確認書」の印刷製本費を65円、マイナ保険証と一緒に携行して使う「資格情報のお知らせ」を10円と、異常に安く設定している」、なるほど。
・『コスト削減額を大きく見せるためにムリな「仮定」を設定?  さすがに、長妻氏が「『お知らせ』が10円ということは単なる紙ペラ。本当に紙で配るのか」と問うと、厚労省は「資格確認書より簡易なものになる」と明言を避けた。一方、「『お知らせ』がカードになる可能性もある?」との問いには、「可能性はいろいろあると思います」と否定しなかった。 厚労省は、コスト削減額を大きく見せるために、ムリな「仮定」を設定している疑いが強い。 「お知らせ」はマイナ保険証と一緒に持ち歩くことが想定される。紙だと不便だから、カードのような形式がベターなのは言うまでもない。厚労省の試算が前提にしている「1枚10円」よりも割高になる可能性がある。 問題は単価だけじゃない。厚労省は「お知らせ」を被用者保険の加入者には配らないことを前提にしているのだ。 ヒアリングで山井和則衆院議員が「『お知らせ』が被用者保険の加入者には配られないのはなぜ」とただしたところ、厚労省は「送らない前提で試算したが、政策がそうなるわけではない」と釈明。被用者保険の加入者の大半がマイナ保険証に対応した医療機関に来院しているとして、「それを含めて考えなければいけない」と言い繕った。 「お知らせ」をもらえなければ、マイナ非対応の医療機関で保険医療が受けられない可能性がある。厚労省は「切り捨てるつもりはない」と強弁したが、試算の段階で被用者保険の加入者に「『お知らせ』を配らない」と仮定すること自体、おかしな話ではないか。 改めて山井衆院議員がこう言う。 「試算は他にも問題があります。現行の保険証の発行にかかるコストは235億円と推計されていますが、積算根拠は今のところ不明です。また、マイナ保険証と資格確認書の『ダブル持ち』が認められた要介護高齢者や障害者など『要配慮者』については、約200万人に役所窓口へ来てもらい、資格確認書を申請してもらう計算になります。そうした手間やコストを考えれば、現行の保険証を残しつつデジタル化を進めていく方がいい」 健康保険証を人質に取り、マイナ保険証を無理に普及させようとするから、いろんな綻びが出る。やはり、保険証廃止の撤回しかない』、「そうした手間やコストを考えれば、現行の保険証を残しつつデジタル化を進めていく方がいい」 健康保険証を人質に取り、マイナ保険証を無理に普及させようとするから、いろんな綻びが出る。やはり、保険証廃止の撤回しかない」、その通りだ。 
タグ:マイナンバー制度 (その6)(注目の人 直撃インタビュー 保団連会長が警鐘「保険証廃止を強行すれば閉院ラッシュ 地域医療は崩壊します」、だから躍起になってマイナンバーカードを作らせようとする…日本を"デジタル後進国"にした本当の原因 民間ではプラスチックのカードは姿を消しつつあるのに、厚労省が満を持して出した「保険証廃止で最大108億円コスト減」の“怪しい試算) 日刊ゲンダイ「注目の人 直撃インタビュー 保団連会長が警鐘「保険証廃止を強行すれば閉院ラッシュ、地域医療は崩壊します」」 「オンライン資格確認がうまくいかず、患者が列をつくり、時間も手間もかかる。スタッフに対しクレームも出る。医療情報は古い上に、他人の情報かもしれないと考えると診療では怖くて使えない。マイナ保険証はほとんど活用されていないのが実態です」、「必発のトラブルが3つあります・・・1つはマイナ保険証へのひも付けの誤りによる危険です。重大な医療事故につながりかねません。 2つ目は、資格者全員に交付する保険証と違い、マイナ保険証や資格確認書は申請主義なので、どうしても申請漏れや遅れが生じ、保険資格情報の誤りが避けられないことです。3つ目は、オンラインにつきもののシステム障害の発生リスクは当然あります」、なるほど。 「これまでは患者から保険証の提示がない場合、窓口では10割の負担を求め、後で資格が確認できれば、差額を返金し、そうでなければそのまま、という運用をしてきた。病院と患者の間でコンセンサスがあったのです。医従事者と患者の信頼関係まで壊れかねない事態です」、 「マイナ保険証の普及を前提に、資格確認書の交付はごくわずかと想定し、申請に基づいて毎年交付としていました。ところが、人口の半分近くに送付となると、そうはいかない。毎年でなく、保険証に準じた期間にするとか、職権で全件交付という案も浮上しています。これでは、ほとんど保険証と変わりません。保険証を廃止する意味は薄らいでいる」、その通りだ。 「昨年10月のアンケートによると、セキュリティーへの懸念や経済的負担などの理由で15%が「対応できない」と答え、10%が閉院を検討すると回答しました。資格確認システムの導入という、医療とは無関係な理由から病院を閉じるのは、医療従事者にとって忸怩たる思いだと思います。 Q:4月からの義務化による閉院は起きたのですか。 A:全国の地方厚生局に提出された保険医療機関の廃止数を見ると、今年4月は約1100件に上っています。少なくとも昨年5月以降で最多となっています。4月からのオンライン義務化の影響も考えられます。予想以上に大きな影響だ。「マイナ保険証では、機微に富む情報がずさんに扱われ、地域医療の崩壊にもつながりかねない。保険証廃止の撤回に向けて引き続き奮闘します」、その通りだ。 日刊ゲンダイ 實原隆志氏による「マイナひも付けミス「初歩的トラブル続出に驚いた」…情報法の専門家が突きつける数々の課題」 「法的な課題以前の初歩的なトラブルが相次いだことには正直、驚きを禁じ得ませんでした」、なるほど。 「ドイツの場合、納税者番号とどの個人情報がひも付くか、しっかり法律の中で定義されています。一方、日本はマイナンバーとどの個人情報をひも付けるかの定義がなく、ドイツに比べて規律の緩さが目立ちます。ドイツの運用方法が柔軟性に欠くとの批判はあり得ますが、番号制度に対する懸念を払拭する点では参考に値すると思います」、「ドイツでは「これは違憲だ」と主張している機関が制度を監督するので、制度運用に対する厳格さは担保されています」、なるほど。 「個情委は従来、マイナンバーやマイナカードの利用範囲の拡大などについて、円滑な制度運用のための監督はしても、意見表明は行っていません。個情委には個人情報保護法上は行政機関に命令する権限がないとはいえ、そうした権限がないからこそ、政府に対してざっくばらんに意見を言えばいい。マイナカード利用拡大の懸念に対応して円滑な運用を目指すのは、個情委ではなくデジタル庁や総務省の仕事のはずです」、 「マイナカードを持たない人が不便な思いをする施策の軌道修正が図られない限り、「国民の不安」は払拭できないでしょう。今後、保険証廃止の時期について柔軟性が示されれば、不安払拭につながると思います」、なるほど。 PRESIDENT ONLINE 磯山 友幸氏による「だから躍起になってマイナンバーカードを作らせようとする…日本を"デジタル後進国"にした本当の原因 民間ではプラスチックのカードは姿を消しつつあるのに」 「「なぜデジタル化を急いで進めるのか」。会見で岸田首相自身がこう説明・・・「国民への給付金や各種の支援金における給付の遅れ、感染者情報をファクスで集計することなどによる保健所業務のひっ迫、感染者との接触確認アプリ導入やワクチン接種のシステムにおける混乱。 欧米諸国や台湾、シンガポール、インドなどで円滑に進む行政サービスが、我が国では実現できないという現実に直面し、我が国がデジタル後進国だったことにがく然といたしました」、気付くのが遅過ぎる。 「なぜ保険証は廃止で免許証は存続なのか、岸田首相の説明では分からない」、なるほど。 「もともと健康保険の加入者からマイナンバーの提出を受けて、健康保険組合などがマイナンバーと保険証番号を並列して保有する作業を先行していれば、こんな混乱は起きなかったに違いない」、なるほど。 「政府はマイナカードを普及させることで、どうやって2万円を回収しようと考えているのか」、どう考えても合理的な説明は困難だ。 「健康保険証が廃止されるとなれば、マイナンバーカードを作らざるを得なくなる」、「「便利だから」ではなく、「不便になるのは困るから」カードを作る人が出る。政府はそれを狙っているのだろう」、なるほど。 「せっかく2万ポイントを配って普及率を上げたのに、期限が切れて失効する人が増えては、普及率は再び低下し、これまでの努力が水泡に帰す。だから、マイナンバーカードを「絶対に必要なもの」にしてしまおうということではないか」、なるほど。 「検疫(厚労省)、税関(国税庁)、入国審査(法務省)という縦割り対応は変わっていない。ひとつのQRコードで一度に全てが終わるというワンストップには結局ならなかったのだ」、 「本来は行政の縦割りを打破し、手続きが効率化するはずだった国のデジタル化。それがいつの間にかカードを普及させないとデジタル化は進まないという不思議な話になっている。そうこうする間に、民間ではプラスチックのカードはどんどん姿を消しつつある」、同感である。 日刊ゲンダイ「厚労省が満を持して出した「保険証廃止で最大108億円コスト減」の“怪しい試算”」 「厚労省は試算の前提として、「資格確認書」の印刷製本費を65円、マイナ保険証と一緒に携行して使う「資格情報のお知らせ」を10円と、異常に安く設定している」、なるほど。 「そうした手間やコストを考えれば、現行の保険証を残しつつデジタル化を進めていく方がいい」 健康保険証を人質に取り、マイナ保険証を無理に普及させようとするから、いろんな綻びが出る。やはり、保険証廃止の撤回しかない」、その通りだ。
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