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自動車(一般)(その6)(半導体不足 電力不足......日本の自動車産業は崖っぷち?、高校に行かなくても副社長になれる…トヨタ自動車が学歴や門閥を重んじない会社になったワケ むかしから多様性と自由を重んじているからこそ、「まさか売却とは…」ホンダが蜜月ケイレツ・八千代工業“放出”の衝撃) [産業動向]

自動車(一般)については、2021年7月6日に取上げた。久しぶりの今日は、(その6)(半導体不足 電力不足......日本の自動車産業は崖っぷち?、高校に行かなくても副社長になれる…トヨタ自動車が学歴や門閥を重んじない会社になったワケ むかしから多様性と自由を重んじているからこそ、「まさか売却とは…」ホンダが蜜月ケイレツ・八千代工業“放出”の衝撃)である。

先ずは、昨年3月23日付けNewsweek日本版が掲載した在米作家の冷泉彰彦氏による「半導体不足、電力不足......日本の自動車産業は崖っぷち?」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/reizei/2022/03/post-1265_1.php
・『<日本型の「高付加価値部門の空洞化」に、クリーンエネルギーへの転換の遅れが追い討ちをかければ、自動車産業は風前の灯火に> アメリカの消費者は厳しいインフレに直面していますが、何よりも価格の上昇率が高いのは中古車です。つい先週、11年落ちで19万キロ走った小型SUVを「もらい事故」で廃車にした人の話では、車両保険で1万1000ドル(132万円)の保険金が出たそうです。中古としての市場価値からすると、そんな金額になるのです。 実際に中古車市場を見てみると、5年落ち10万キロ越えの車でも、トヨタの中型SUVで3万3000ドル(396万円)と価格はほとんど新車と変わりません。では、新車を買ったらいいかというと、それは不可能です。市場には在庫がないからです。そうなると売り手市場となって中古が新車と価格が変わらないというクレージーなことになるわけです。 それもこれも、日本の半導体工場が火災になったり、新型コロナの影響で生産が止まったりした影響で、自動車用の汎用半導体が極端な供給不足になっているからです。この種の製品は、日本のシェアが異常に高いので、日本での生産が止まると世界中の自動車メーカーが影響を受け、とりわけ米国では深刻な事態になっています』、「5年落ち10万キロ越えの車でも、トヨタの中型SUVで3万3000ドル(396万円)と価格はほとんど新車と変わりません。では、新車を買ったらいいかというと、それは不可能です。市場には在庫がないからです。そうなると売り手市場となって中古が新車と価格が変わらないというクレージーなことになるわけです。 それもこれも、日本の半導体工場が火災になったり、新型コロナの影響で生産が止まったりした影響で、自動車用の汎用半導体が極端な供給不足になっているからです。この種の製品は、日本のシェアが異常に高いので、日本での生産が止まると世界中の自動車メーカーが影響を受け、とりわけ米国では深刻な事態になっています』、「汎用半導体が極端な供給不足」の影響は想像以上に幅広いようだ。
・『日本の半導体産業が復興?  ここからが本論ですが、「自動車用の半導体」でそんなに日本が強いのなら、そして供給不足で世界中が困っているのなら、強気の価格交渉をして日本の半導体産業を20世紀のように再び強くすることができそうにも思えます。ですが、その可能性はありません。 日本の自動車部品産業は、半導体も含めて多くの場合が「本体」つまり最終組み立てメーカーの資本が入っており、親会社の意向によって価格は低く抑えられています。ですが、ここまで市場占有率が高く、需要と供給のバランスが崩れているのなら、思い切って世界から資金を集めて独立し、価格決定権も奪い返して半導体産業を活性化しても良いはずです。 ですが、多くの場合に経営者は「本体」から送り込まれており、「本体」の意向に沿うような経営しかしません。また仮にダイレクトに資金を集めようにも、日本国内にはリスクを許容するマネーは枯渇していますし、海外から借りるとなると専門性が必要な上、将来の円安を考えると怖くて借りられないということもあります。 そんなわけで、多くの部品産業は価格を安く叩かれており、納入先について日系企業だけでなく世界中を相手にするようになっても、そのデフレ体質を世界中から食い物にされているわけです。 しかも、トヨタをはじめ、多くの日本の最終組み立てメーカーは、国内販売比率が10%前後まで低下しています。そして、海外で販売する部分は、そのほとんどが現地生産になっています。さらに言えば、研究開発、デザイン、マーケティングなど主要な高付加価値部門も海外に出している企業が多くなっています。つまり、日本のGDPに寄与しているのは、日本国内の部品や素材メーカーが価格を叩かれて、薄い利幅にあえぎながら生産している部分が中心ということになります。 つまり、人件費の低い国に生産拠点を移したり、市場に近いところで生産するといったクラシックな空洞化、つまり設計や研究開発など知的で高付加価値な部分を「本国に残す」スタイルではないのです。自動車産業をはじめとした日本の多くの製造業の場合は、利幅の薄い部品と素材の一部だけと、生産性の低い事務部門だけが国内に残って、その他の高度な部分はどんどん海外に出す「日本形の空洞化」が進んでいると言えます』、「人件費の低い国に生産拠点を移したり、市場に近いところで生産するといったクラシックな空洞化、つまり設計や研究開発など知的で高付加価値な部分を「本国に残す」スタイルではないのです。自動車産業をはじめとした日本の多くの製造業の場合は、利幅の薄い部品と素材の一部だけと、生産性の低い事務部門だけが国内に残って、その他の高度な部分はどんどん海外に出す「日本形の空洞化」が進んでいる」、恐ろしいことだ。
・『見通せないエネルギー政策  これに追い討ちをかけそうなのが、エネルギー問題です。今回の電力逼迫が示しているように、もう日本の世論は原子力発電については、部分的であれ期限を限ったものであれ本格稼働を許容することはなさそうです。そうなると、トヨタの豊田章男社長が警告しているように、やがて「化石燃料まみれの電源」を使って作ったクルマは世界では売れなくなり、自動車産業は完全に日本から出ていく可能性もあるといいます。エネルギー政策に答えがなければ、やがて製鉄も国内では不可能になるでしょう。 産業自体が、EV(電気自動車)化や、AV(自動運転車)化へと大きな改革を進める中で、日本の自動車産業は本来であればそこで挽回を図らなければならないはずです。その日本の自動車産業が、空洞化とエネルギー問題で、崖っぷちまで追い詰められているというのは、大変に厳しい状況と思います。 日本の賃金が上がらないのも、貧困が広まっているのも、その多くはここに原因があります。より高付加価値な産業へ転換することもなく、製造業をどんどん国外流出させて、国内には利幅の薄い部品と素材産業だけが残っていくようでは、日本経済はさらに一層の衰退を覚悟しなくてはならなくなります』、「日本の賃金が上がらないのも、貧困が広まっているのも、その多くはここに原因があります。より高付加価値な産業へ転換することもなく、製造業をどんどん国外流出させて、国内には利幅の薄い部品と素材産業だけが残っていくようでは、日本経済はさらに一層の衰退を覚悟しなくてはならなくなります」、残念ながらその通りだ。

次に、本年4月12日付けPRESIDENT Onlineが掲載したノンフィクション作家の野地 秩嘉氏による「高校に行かなくても副社長になれる…トヨタ自動車が学歴や門閥を重んじない会社になったワケ むかしから多様性と自由を重んじているからこそ」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/68210
・『トヨタ自動車の河合満さんは中学卒業後、トヨタ技能者養成所(現トヨタ工業学園)を経て入社し、現場出身者初の副社長になった。なぜ河合さんはそこまで出世できたのか。なぜトヨタは学歴や門閥を重んじない会社になったのか。『図解 トヨタがやらない仕事、やる仕事』(プレジデント社)を上梓した野地秩嘉さんが解説する――』、興味深そうだ。
・『トヨタに学歴や門閥は関係ない  普通の企業では学歴や門閥を重んじる。一流大学を出ていたり、欧米大学のビジネススクールを出てMBAを持っていたりすると確実に得をする。また、企業トップ、医師、弁護士、有名人の子女が入社するとエリート部署に配属される。エリート部署とは経歴に傷がつかないセクションだ。企画室、秘書室、海外との窓口みたいなところだ。炎天下、靴をすり減らして飛び込み営業するような部署にはまず行かない。 ただし、良家の子女であっても「どぶ板営業をやらせてください」という骨のあるビジネスパーソンもいる。そういう人は必ず大成する。 話は戻る。 トヨタは学歴や門閥を重んじない。社内には一流大学を出た人もいればMBAを持っている人もいる。企業トップや有名人の子息もいる。だが、高学歴だからといって得をすることはない。有名人の子どもだからといって特別な配慮があるわけではない。豊田章男新会長はトヨタに入社してから、現場でしごかれた。社長の息子だからといって得をする会社ではない。 一方で、大学や普通高校を出ていなくとも役員になり、会社を引っ張る役職に就くことができるのがトヨタだ。f その典型が「おやじ」兼エグゼクティブフェローの河合満である』、「トヨタは学歴や門閥を重んじない。社内には一流大学を出た人もいればMBAを持っている人もいる。企業トップや有名人の子息もいる。だが、高学歴だからといって得をすることはない。有名人の子どもだからといって特別な配慮があるわけではない・・・大学や普通高校を出ていなくとも役員になり、会社を引っ張る役職に就くことができるのがトヨタだ」、なるほど。
・『ちゃんと叱ってくれ、一緒に謝ってくれる存在  彼は75歳だ。中学を出た1963年、トヨタ技能者養成所(現・トヨタ工業学園)に入所。トヨタに入って60年になる。肩書は「おやじ」。「おやじ」とは居酒屋で酒を飲んで、くだをまく、「オヤジ」のことではない。同社の正式な肩書である。 おやじの仕事は生産現場に目を光らせること。わたしは河合さんが豊田新会長とふたりで本社に隣接している工場にやってきて、若い作業者と話をしていた姿を見たことがある。 おやじについては豊田新会長が、こんな説明をしている。 「トヨタには、かつて、仲間から『おやじ』と呼ばれる人がたくさんいたと思います。 張相談役(富士夫、当時)は、大野耐一さんのことを親しみを込めて『おやじ』と呼ばれていますし、私にとっては張相談役、成瀬(弘、前マスタードライバー)さんらが『おやじ』と呼べる存在です。 もちろん、豊田(章一郎)名誉会長は本当の『おやじ』ですが(笑) 『おやじ』『おふくろ』という言葉に、『包容力』を感じるのは私だけでしょうか。 間違ったことをすれば、ちゃんと叱ってくれる。迷惑をかけた時には、一緒に謝ってくれる。口数は少なくても、いつも見守っていてくれる。職場にも、そんな『おやじ』や『おふくろ』が増えるといいな、と思っています」(トヨタイムズ 2020.6.17)』、「中学を出た1963年、トヨタ技能者養成所・・・に入所。トヨタに入って60年になる。肩書は「おやじ」。「おやじ」とは・・・同社の正式な肩書である。 おやじの仕事は生産現場に目を光らせること。わたしは河合さんが豊田新会長とふたりで本社に隣接している工場にやってきて、若い作業者と話をしていた姿を見たことがある」、なるほど。
・『現場出身者として初の副社長に  河合さんが副社長、そして、おやじになることができたのは、全体を見ることのできる人だったからだ。そして、彼は誰よりも勉強熱心だった。河合さんの職場は鍛造工場だ。鉄を叩いて成型する、うるさくて、暑くて、危ない職場だ。そこで河合さんは職場のカイゼンに励んだ。 少しでも仕事がしやすいよう鍛造機械を改良した。暑さを防ぐために自らミスト扇風機を設計して配置した。カイゼンすれば職場環境が良くなるし、対番(2交代の時の同僚)が喜んでくれるからだ。 河合さんは対番のこと、職場全体を考える人だった。そうしているうちに上司が河合さんを管理職に引き上げ、工場の責任者にした。そして彼は現場出身者として初めての副社長になり、おやじになった。トヨタ以外の会社ではまずありえない。学歴も門閥もないトヨタだからこその人事だ。 河合さんが副社長、おやじになることができたのはトヨタが多様性を重んじるからだ。意見が違うからといって排斥されることはない。国籍もジェンダーも何も関係ない。 ただし、仕事においては原則がある。それは現地現物を大切にすることだ。つねに現場で考え、現場では複雑な工作機械は使わない。 それはリーマンショックの後、赤字になった反省から来ている』、「河合さんの職場は鍛造工場だ。鉄を叩いて成型する、うるさくて、暑くて、危ない職場だ。そこで河合さんは職場のカイゼンに励んだ。 少しでも仕事がしやすいよう鍛造機械を改良した。暑さを防ぐために自らミスト扇風機を設計して配置した。カイゼンすれば職場環境が良くなるし、対番・・・が喜んでくれるからだ。 河合さんは対番のこと、職場全体を考える人だった。そうしているうちに上司が河合さんを管理職に引き上げ、工場の責任者にした。そして彼は現場出身者として初めての副社長になり、おやじになった」、素晴らしい。
・『トヨタが大切にする言葉はなぜ「幼稚」なのか  河合さんはこんな説明をする。 「リーマン(ショック)前には世界中で毎年50万台ずつ増産していき、ラインをどんどん作っていたが、それが設備余剰になってしまった。知恵や工夫、技術を入れない設備をどんどん並べてしまった。まさしく無駄なラインを作った結果だ」 「設備が複雑となり、コストが高くなった。故障しても現場で直せない。生産性は落ちていった」 「人がとことんこだわって手作業でラインを作り込み、改善の積み上げで作業を簡単にしていく。誰がやっても同じ作業となるようにしたうえで、自働化するのが基本だ。そうすることで、シンプル、スリム、フレキシブルなラインになる」(東洋経済オンライン「工場一筋トヨタ副社長が語る車づくりの真髄」2017.10.13) トヨタの現場は複雑な工作機械を使わない。そして、難解な経営用語もまた使わない。 豊田新会長が使ってきたのは「もっといいクルマ」「町いちばん」「自分以外の誰かのために」という3つの単純な言葉だ。 ただ……。評論家やマスコミからの評判はよくない。 「幼稚だ」「意味がわからない」 さんざんなことを言われてきた。 「選択と集中」とか「パーパス経営」とか言っておけば評論家やマスコミは「さすが」と感心する。それは重々、承知のうえで、豊田新会長や河合さんはユーザーや世間が理解しやすい言葉を使う』、「「リーマン(ショック)前には世界中で毎年50万台ずつ増産していき、ラインをどんどん作っていたが、それが設備余剰になってしまった。知恵や工夫、技術を入れない設備をどんどん並べてしまった。まさしく無駄なラインを作った結果だ」 「設備が複雑となり、コストが高くなった。故障しても現場で直せない。生産性は落ちていった」 「人がとことんこだわって手作業でラインを作り込み、改善の積み上げで作業を簡単にしていく。誰がやっても同じ作業となるようにしたうえで、自働化するのが基本だ。そうすることで、シンプル、スリム、フレキシブルなラインになる・・・豊田新会長や河合さんはユーザーや世間が理解しやすい言葉を使う」、なるほど。
・『本業と関係ないフェイスシールドを作った思い  河合さんはこんなことをしゃべっている。「『自分以外の誰かのために』が社会貢献だ」。対番のためにカイゼンを施した河合さんらしい話だ。 「社会貢献については、アメリカで3D(プリンター)を使って、フェイスシールドをつくり出し、欧州・日本の各所に横展(横展開)をして、昨日までで10万(個)以上を医療の方々に送り届けております。 工場ではマスクも自前で作り、近隣の方々にも提供しようとしています。 ちょうど(トヨタの)運動部が(活動を)自粛している最中なので、選手たちもマスク作りをしてくれています。 そこには当然、トヨタ生産方式があり徹底的にムダを排除して、“1枚でも多く”ということで(やっていますので)(TPSの)良い勉強の場となっております。 休校中の小学校・中学校・幼稚園・保育園に出向いて、草刈りや地域貢献をやったりもしてくれていました」(トヨタイムズ 2020.6.17) マスクを配ること、校庭の草刈りをすること。やらないよりもやったほうがいいに決まっている。小さな貢献かもしれないが、確実に喜ぶ人がいる。 トヨタは人事において多様性を大切にしてきた。そして、佐藤恒治新社長になってからはさらにその原則を推し進めている。以下は佐藤新社長の発言だ』、「『自分以外の誰かのために』が社会貢献だ」。対番のためにカイゼンを施した河合さんらしい話だ。 「社会貢献については、アメリカで3D(プリンター)を使って、フェイスシールドをつくり出し、欧州・日本の各所に横展(横展開)をして、昨日までで10万(個)以上を医療の方々に送り届けております。 工場ではマスクも自前で作り、近隣の方々にも提供しようとしています」、なるほど。
・『河合おやじがその身をもって示している  「『多様性』『成長』『貢献』の3つを柱に、人事制度や仕組みの見直しを進めたいと思います。トヨタで働く一人ひとりが、『多様』な個性を力に変えて、挑戦と失敗を繰り返す中で『成長』を実感できる。(中略) まず『多様性』です。 トヨタで働く皆さんが、自分らしい人生を歩むための多様な選択肢をつくってまいります。 そのひとつとして、年内に、製造現場も含めたあらゆる現場で、誰もが気兼ねなく、パートナー育休を取得できる環境を整えます。また、今年の10月からは、社内公募制を本格導入し、2024年4月からは、社内FA制度を新設いたします」(トヨタイムズ 2023.3.15) 河合さんは今も自分が育った鍛造セクションの仕事部屋にいる。そこから現場までは50メートルも離れていない。何があってもすぐに駆けつけることができる。 河合おやじがいるかぎり、トヨタは多様性と自由を重んじている。そして、偉そうな経営用語ではなく、わかりやすい言葉で経営を語る』、「河合さんは今も自分が育った鍛造セクションの仕事部屋にいる。そこから現場までは50メートルも離れていない。何があってもすぐに駆けつけることができる。 河合おやじがいるかぎり、トヨタは多様性と自由を重んじている。そして、偉そうな経営用語ではなく、わかりやすい言葉で経営を語る」、今後の活躍に期待したい。

第三に、本年7月12日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した佃モビリティ総研代表の佃 義夫氏による「「まさか売却とは…」ホンダが蜜月ケイレツ・八千代工業“放出”の衝撃」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/325910
・『関係の深い八千代工業をホンダが売却方針  ホンダが7月4日に連結子会社の八千代工業をインドの自動車部品大手のサンバルダナ・マザーソン・グループに売却すると発表した。ホンダが165億円を投じてTOB(株式公開買い付け)を実施し、八千代工業株を取得した後にマザーソンのオランダ子会社に190億円で一部株式を売却する。TOBの開始は10月を見込んでいる。 八千代工業(ヤチヨ)といえば、ホンダと最も長く、深い関係を持ってきたサプライヤーだ。現在の主力は燃料タンクとサンルーフだが、かつてはホンダの軽自動車の受託生産を一手に引き受けていた。いわば、トヨタ自動車におけるトヨタ車体、日産自動車における日産車体のような位置付けでもあったのだ。 1947年に「大竹塗装所」として創業し、53年に「八千代塗装」を設立。ホンダ創業者の本田宗一郎氏とヤチヨ創業の大竹家の親交もあり、本田技研工業の指定工場となって以来、ホンダとの関係が続いてきた。2006年にホンダの出資比率が34.5%から50.41%に引き上げられホンダの連結子会社となっていた』、興味深そうだ。
・『ヤチヨとホンダの蜜月は長く、ホンダのバギー車や軽トラック「アクティ」、軽乗用車「ビート」、軽商用車「トゥデイ」の受託生産を手掛け、96年にはホンダ軽自動車生産の全面受託をするなど、ホンダの国内軽自動車生産子会社として大きくクローズアップされた頃もある。当時、筆者もヤチヨ鈴鹿工場のトゥディ生産ラインを取材してホンダとヤチヨとの連携を目の当たりにした体験もある。 過去には、ホンダ鈴鹿製作所に近接するヤチヨの鈴鹿工場敷地に新工場を建設して、ホンダの軽乗用N-BOXを集中生産する計画が打ち出されたこともあったほどだ。しかし、この新工場はリーマンショックで建設中止となり、その代わりに軽自動車はホンダ鈴鹿製作所での生産に変更となった。ヤチヨは、苦杯をなめて社員の早期退職を迫られたほどであった。 ホンダ系サプライヤーの中でもホンダの生産計画の変更に翻弄されてきた経験が多いのがヤチヨといえるが、今回も同様に、ホンダのEV(電気自動車)化に向けたサプライチェーン(部品・資材供給網)の構造転換・再構築の一環として、一気に売却されることになったといえよう』、「ホンダ系サプライヤーの中でもホンダの生産計画の変更に翻弄されてきた経験が多いのがヤチヨといえるが、今回も同様に、ホンダのEV(電気自動車)化に向けたサプライチェーン・・・の構造転換・再構築の一環として、一気に売却されることになった」、同情したくなる。
・『ヤチヨ売却とは反対にサプライヤーを取り込む動きも  そもそもホンダの三部敏宏社長は、40年にグローバル新車販売をEVかFCEV(燃料電池車)とする目標を打ち出しており、これに伴い、サプライチェーンの構造転換、見直しを積極的に進めているところだ。 すでに車載電池では、韓国・LGエナジーソリューションと米国に新工場を建設する計画を打ち出した。また、車載電池の素材調達では韓国・ポスコや阪和興業と提携している。 加えて、ホンダのEV戦略へのキーポイントになるとみられるのが、「日立Astemo(アステモ)」だ。近頃、同社の主導権をホンダが握る動きが目立っている。) 日立アステモは、日立製作所の完全子会社だった旧日立オートモーティブシステムズと、ホンダ系部品メーカーのケーヒン・ショーワ・日信工業の3社が21年1月に統合して誕生した企業だ。今年9月までに日立が株式の一部をホンダとJICキャピタルに売却する予定で、ホンダの出資比率は33.4%から40%となり、日立と同等の出資比率となる。 これは、実質的にホンダがアステモの主導権を握ることになるものだ。 さらに、7月1日には、アステモの新社長に竹内弘平ホンダ前副社長が就任した。アステモは、EV駆動装置のイーアクスルなどを基幹製品として手掛けている。このEVにおける重要製品を軸に、サプライヤーとして大きな期待をかけているということだ。 アステモは、元をただせば日立の自動車部品事業部門であり、日産と日立は同じ芙蓉グループとして歴史的つながりが深い。かつてはトヨタのデンソーに対抗して、取引も多かった日産の系列メガサプライヤーになる方向性を目指す動きもあったほどだ。しかし、結果的には、ホンダがEV戦略上のサプライヤーとして取り込むことになった。 アステモは実質的にホンダが日立から取り込みを見せた動きの例ということになるが、一方で、ホンダはEVとの相乗効果が薄い事業おいて、部品企業のドライな売却も進めている。 それが、まさに今回のヤチヨのケースといえるだろう。 ホンダ関係者からも「まさか売却するとは」との驚きの声が上がっているが、実はヤチヨが初のケースというわけではなく、例えば22年には100%子会社でキーレスシステムドア部品などを手掛ける「ホンダロック」をミネベアミツミに売却している。) 三部ホンダとしては、EV・FCEV戦略においてサプライチェーンの構造改革や見直しを図るべく、退路を断つように「ドライ」な経営を進めているところだ。 これは、「四輪事業の収益力向上」というホンダ内部の課題の影響も大きい。ホンダは23年3月期の決算の訂正で、米国リコール費用計上により四輪事業が166億円の営業赤字に転落したことも発表している。四輪事業が年度ベースで赤字となるのは、実に11年ぶりだ。 一方で、ホンダだけでなく、トヨタや日産などOEM各社も国内サプライチェーンの構造転換を迫られている。 トヨタは、EVの生産改革(一体成型で大型鋳造部品を作る新技術「ギガキャスト」など)で素材・部品の転換促進を進めている。 また、日産はすでに系列部品企業の再編の動きが表面化している。かつての日産系主力サプライヤーだったカルソニックカンセイは現マレリとして事業再生途上にあるが、最近では同じく日産系主力部品企業の河西工業が深刻な経営不振にあり、その動向が注目されている。 つまり、世界的な電動化の大きなうねりだけでなく、コロナ禍や半導体不足などを背景としたOEM各社の生産・供給体制の見直しの動きが活発化しているということだ。 これは、従来のOEMを支えてきたサプライチェーンの構造転換を迫るものであり、部品企業にとっては生き残りに向けた戦国時代に突入しているということだろう』、「世界的な電動化の大きなうねりだけでなく、コロナ禍や半導体不足などを背景としたOEM各社の生産・供給体制の見直しの動きが活発化しているということだ。 これは、従来のOEMを支えてきたサプライチェーンの構造転換を迫るものであり、部品企業にとっては生き残りに向けた戦国時代に突入しているということだろう」、大変な時代に入ったものだ。
タグ:「日本の賃金が上がらないのも、貧困が広まっているのも、その多くはここに原因があります。より高付加価値な産業へ転換することもなく、製造業をどんどん国外流出させて、国内には利幅の薄い部品と素材産業だけが残っていくようでは、日本経済はさらに一層の衰退を覚悟しなくてはならなくなります」、残念ながらその通りだ。 「河合さんは今も自分が育った鍛造セクションの仕事部屋にいる。そこから現場までは50メートルも離れていない。何があってもすぐに駆けつけることができる。 河合おやじがいるかぎり、トヨタは多様性と自由を重んじている。そして、偉そうな経営用語ではなく、わかりやすい言葉で経営を語る」、今後の活躍に期待したい。 ダイヤモンド・オンライン 「世界的な電動化の大きなうねりだけでなく、コロナ禍や半導体不足などを背景としたOEM各社の生産・供給体制の見直しの動きが活発化しているということだ。 これは、従来のOEMを支えてきたサプライチェーンの構造転換を迫るものであり、部品企業にとっては生き残りに向けた戦国時代に突入しているということだろう」、大変な時代に入ったものだ。 「ホンダ系サプライヤーの中でもホンダの生産計画の変更に翻弄されてきた経験が多いのがヤチヨといえるが、今回も同様に、ホンダのEV(電気自動車)化に向けたサプライチェーン・・・の構造転換・再構築の一環として、一気に売却されることになった」、同情したくなる。 「『自分以外の誰かのために』が社会貢献だ」。対番のためにカイゼンを施した河合さんらしい話だ。 「社会貢献については、アメリカで3D(プリンター)を使って、フェイスシールドをつくり出し、欧州・日本の各所に横展(横展開)をして、昨日までで10万(個)以上を医療の方々に送り届けております。 工場ではマスクも自前で作り、近隣の方々にも提供しようとしています」、なるほど。 「人件費の低い国に生産拠点を移したり、市場に近いところで生産するといったクラシックな空洞化、つまり設計や研究開発など知的で高付加価値な部分を「本国に残す」スタイルではないのです。自動車産業をはじめとした日本の多くの製造業の場合は、利幅の薄い部品と素材の一部だけと、生産性の低い事務部門だけが国内に残って、その他の高度な部分はどんどん海外に出す「日本形の空洞化」が進んでいる」、恐ろしいことだ。 「汎用半導体が極端な供給不足」の影響は想像以上に幅広いようだ。 冷泉彰彦氏による「半導体不足、電力不足......日本の自動車産業は崖っぷち?」 Newsweek日本版 佃 義夫氏による「「まさか売却とは…」ホンダが蜜月ケイレツ・八千代工業“放出”の衝撃」 「人がとことんこだわって手作業でラインを作り込み、改善の積み上げで作業を簡単にしていく。誰がやっても同じ作業となるようにしたうえで、自働化するのが基本だ。そうすることで、シンプル、スリム、フレキシブルなラインになる・・・豊田新会長や河合さんはユーザーや世間が理解しやすい言葉を使う」、なるほど。 「「リーマン(ショック)前には世界中で毎年50万台ずつ増産していき、ラインをどんどん作っていたが、それが設備余剰になってしまった。知恵や工夫、技術を入れない設備をどんどん並べてしまった。まさしく無駄なラインを作った結果だ」 「設備が複雑となり、コストが高くなった。故障しても現場で直せない。生産性は落ちていった」 「河合さんの職場は鍛造工場だ。鉄を叩いて成型する、うるさくて、暑くて、危ない職場だ。そこで河合さんは職場のカイゼンに励んだ。 少しでも仕事がしやすいよう鍛造機械を改良した。暑さを防ぐために自らミスト扇風機を設計して配置した。カイゼンすれば職場環境が良くなるし、対番・・・が喜んでくれるからだ。 河合さんは対番のこと、職場全体を考える人だった。そうしているうちに上司が河合さんを管理職に引き上げ、工場の責任者にした。そして彼は現場出身者として初めての副社長になり、おやじになった」、素晴らしい。 「中学を出た1963年、トヨタ技能者養成所・・・に入所。トヨタに入って60年になる。肩書は「おやじ」。「おやじ」とは・・・同社の正式な肩書である。 おやじの仕事は生産現場に目を光らせること。わたしは河合さんが豊田新会長とふたりで本社に隣接している工場にやってきて、若い作業者と話をしていた姿を見たことがある」、なるほど。 「トヨタは学歴や門閥を重んじない。社内には一流大学を出た人もいればMBAを持っている人もいる。企業トップや有名人の子息もいる。だが、高学歴だからといって得をすることはない。有名人の子どもだからといって特別な配慮があるわけではない・・・大学や普通高校を出ていなくとも役員になり、会社を引っ張る役職に就くことができるのがトヨタだ」、なるほど。 野地 秩嘉氏による「高校に行かなくても副社長になれる…トヨタ自動車が学歴や門閥を重んじない会社になったワケ むかしから多様性と自由を重んじているからこそ」 PRESIDENT ONLINE (その6)(半導体不足 電力不足......日本の自動車産業は崖っぷち?、高校に行かなくても副社長になれる…トヨタ自動車が学歴や門閥を重んじない会社になったワケ むかしから多様性と自由を重んじているからこそ、「まさか売却とは…」ホンダが蜜月ケイレツ・八千代工業“放出”の衝撃) 自動車(一般)
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