SSブログ

インド(その3)(「今世紀最悪」の列車事故 インドの鉄道安全事情 近年は件数減少 だが新安全装置整備は進まず、グローバルサウスの盟主インド モディ首相に「拷問」「差別」「弾圧」で批判の声も、ヒンドゥー教寺院でモディが始める宗教戦争) [世界情勢]

インドについては、(その3)(「今世紀最悪」の列車事故 インドの鉄道安全事情 近年は件数減少 だが新安全装置整備は進まず、グローバルサウスの盟主インド モディ首相に「拷問」「差別」「弾圧」で批判の声も、ヒンドゥー教寺院でモディが始める宗教戦争)である。

先ずは、昨年6月7日付け東洋経済オンラインが掲載した在英ジャーナリストのさかい もとみ氏による「「今世紀最悪」の列車事故、インドの鉄道安全事情 近年は件数減少、だが新安全装置整備は進まず」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/677456
・『死者が300人近くに及ぶ今回の事故は、インドで今世紀に入ってから最大の列車事故とされる。これだけの規模の事故が起きれば、誰でもインドの鉄道の安全性に疑問を感じるに違いない。 英国の公共放送BBCは、インドにおける鉄道事故について、過去最悪の例は1981年6月、サイクロンの時に橋を渡っていた列車が川に転落し800人弱が亡くなったものだとしている。その後100人以上の死者を出した事故は3度起きており、直近では2016年11月に「インドール―パトナ・エクスプレス」という優等列車が脱線、150人近くが死亡する悲劇が起きている。 しかし、データによると事故は減少傾向にあり、2016年以降はこのような大事故は起きていなかった。安全性の指標となる100万列車キロ当たりの事故件数は、2013年度の0.10件から2021年度には0.03件に減少。2017年度から5年間の安全基金(総額1兆ルピー=約1兆6990億円)を設けたことが安全指標の改善につながったため、5年間延長のうえさらに4500億ルピー(約7645億円)の資金が投入されている』、「データによると事故は減少傾向にあり、2016年以降はこのような大事故は起きていなかった・・・2017年度から5年間の安全基金(総額1兆ルピー=約1兆6990億円)を設けたことが安全指標の改善につながったため、5年間延長のうえさらに4500億ルピー(約7645億円)の資金が投入されている」、なるほど。
・『路線延長世界4位の「国民の足」  国連人口基金(UNFPA)の推計によると、インドの人口は今年14億2860万人となり、中国を抜いて世界一になる見通しだ。人々の重要な足として鉄道のシェアは大きい。 約6万8000kmに及ぶ路線の総延長はアメリカ・中国・ロシアに次いで世界第4位。そのうち、5万9000km余りが交流25kV・50Hzで電化されている。2020年の旅客輸送実績は80億8600万人。長距離列車と近郊列車を加えた旅客列車は1日当たり1万3000本が運行されている。国内の駅数は7325カ所に及ぶ。 歴史的にみると、インドはアジアで最初に鉄道が導入された国だ。イギリスで旅客輸送が始まった1825年から間もない1830年代には、すでに道路やダムの建設に使う資材運搬用の鉄道が敷設されていた歴史もある。 軌間(線路の幅)は長らく複数が混在していたが、現在はほとんどが1676mmの広軌に統一されている。これは新幹線などの標準軌(1435mm)よりもさらに200mm余り広い。当時、インド総督の任にあったダルハウジー卿が「広いほうが望ましい」と言ったことから広軌で敷かれたという。) 経済発展著しいインドでは、人々の往来需要も年々拡大している。そんな中、主要都市を結ぶ昼行電車特急「バンデバラト(Vande Bharat)・エクスプレス」が2019年に登場した。普通車と1等車からなる16両編成で、車内にはUSB電源やWi-Fiも装備している。これまでに18区間に導入されており、テスト中に最高時速180kmまで出した記録もある。 だが、線路の許容速度と運行上の制約から、デリー―ボパール間のみは時速160kmで走れるものの、その他の区間は時速110~130km運行に制限されている。さらなる高速化が期待されるが、従来型の優等列車(エクスプレスまたはメール)の平均時速は50.6km、近郊電車は同37.5km、普通列車は同33.5kmだという。インドの既存客車列車の速度からすれば、圧倒的に速いと言っていいだろう。 インドでは現在、高速鉄道のプロジェクトも進んでいる。最も先行しているのは、西部の商業都市ムンバイ(旧ボンベイ)とその北にあるアーメダバードとを結ぶ路線で、日本の新幹線システムが導入される予定だ』、2017年度から5年間の安全基金(総額1兆ルピー=約1兆6990億円)を設けたことが安全指標の改善につながったため、5年間延長のうえさらに4500億ルピー(約7645億円)の資金が投入されている』、「主要都市を結ぶ昼行電車特急「バンデバラト・・・エクスプレス」、「デリー―ボパール間のみは時速160kmで走れるものの、その他の区間は時速110~130km運行に制限されている。さらなる高速化が期待されるが、従来型の優等列車・・・の平均時速は50.6km、近郊電車は同37.5km、普通列車は同33.5kmだという。インドの既存客車列車の速度からすれば、圧倒的に速い」、なるほど。
・『保安装置の導入前倒しなるか  そのような発展が進む一方で発生した今回の大惨事を受け、インドでは鉄道の安全対策についての議論が高まっている。 インドの鉄道では、運行本数の多い区間に欧州の信号保安システムETCSレベル2水準とされる「Kavach」と称する安全システムの導入を進めている。これはインド国鉄が産業界と共同で開発した”最先端のシステム”とされ、運転士が速度制限を守らなかった場合、自動的にブレーキをかけたり、列車が接近しすぎた場合に衝突を防止したりするものだ。 ただ整備の進展はこれからで、2022~2023年度にかけての導入目標も2000kmにとどまる。Kavachシステムの整備はモディ政権が掲げた「自立したインド」の一環として行われているが、今回事故が起きた路線には「Kavachシステムはない」(鉄道省広報官)という。大事故を教訓に導入計画が前倒しで進められる可能性も高まっているが、はたしてどうなるだろうか。 安全設備の整備はまだ発展途上にあるようだが、事故件数は減少傾向にあっただけに、1000人を超える死傷者を出す事故が起きてしまったのは残念だ。 ある日本人駐在者は「事故翌日に開催された現地団体の集まりで犠牲者に対して黙祷を捧げた」といい、「事故に関する報道は盛んだが、原因分析に関する報道姿勢は思った以上に慎重。第一報ではコロマンデル・エクスプレスの脱線原因は不明とした上で、考えられる仮説を取り上げており、インドメディアは信頼できるかも、と改めて感じた」と話していた。 モディ首相は事故発生翌日の3日、現場へ急行。直ちに「責任のある者に厳罰を与える」と強く述べた。再発防止のための原因究明は欠かせない。これ以上の悲劇を起こさぬために、最善の対応を望みたいものだ』、「運行本数の多い区間に欧州の信号保安システムETCSレベル2水準とされる「Kavach」と称する安全システムの導入を進めている。これはインド国鉄が産業界と共同で開発した”最先端のシステム”とされ、運転士が速度制限を守らなかった場合、自動的にブレーキをかけたり、列車が接近しすぎた場合に衝突を防止したりするものだ。 ただ整備の進展はこれからで、2022~2023年度にかけての導入目標も2000kmにとどまる。Kavachシステムの整備はモディ政権が掲げた「自立したインド」の一環として行われているが、今回事故が起きた路線には「Kavachシステムはない」(鉄道省広報官)・・・整備の進展はこれからで、2022~2023年度にかけての導入目標も2000kmにとどまる」、安全重視の鉄道整備を期待したい。

次に、昨年8月6日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した著述家/国際公共政策博士の山中俊之氏による「グローバルサウスの盟主インド、モディ首相に「拷問」「差別」「弾圧」で批判の声も」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/327182
・『インドで7月末、半導体関連の国際会議が開かれ、モディ首相がインドへの投資を呼びかけた。米企業が約4億ドルの投資を発表するなど、グローバル企業のインドへの関心の高さは目立つ。経済や外交で豪腕を発揮するモディ首相とは、どんな人物か。政治家として“死角”はないのか』、興味深そうだ。
・『下位カーストから上り詰めたモディ首相 朝5時起床の「超ハードワーカー」  今、世界で最も注目を集める政治家といえば、インドのモディ首相だろう。インドは2023年、人口が14億2577万人に達し、中国を抜いて世界一の人口になる見込み。大国の指導者として、欧米の西側諸国とも、中国やロシアとも絶妙な距離感を取っている。その手腕は、世界史上においてもまれなことだと注目されている。 モディ首相とはいったい、どんな人物なのだろうか。1950年生まれで今年73歳になるが、朝5時に起床して働き続ける「超ハードワーカー」だという。 モディ首相は、「ガーンチ」という下位カーストの出身といわれる。ガーンチは植物油の圧搾・販売を生業とするカーストだ。ダリット(不可触民)ではないが、差別の対象となることもある。 インドでは、依然としてカーストによる差別が実態としては存在する(憲法では禁止されている)。婚活アプリには、民族・言語の他にカーストを記入する欄もあるくらいだ。モディ氏もこれまで差別や偏見にさらされた経験は、一度や二度ではないだろう。 そのような逆境にもめげず、6歳から家業であるチャイ売りを手伝い始めたモディ氏。若くしてヒンズー至上主義組織に入り、雑用から始めて徐々に頭角を現した。その後、インド人民党に入党すると37歳で出身地であるグジャラート州議会議員、51歳でグジャラート州首相に就任。そして、グジャラート州首相の実績が評価され、総選挙を経て14年に63歳でインド首相に上り詰めた。 こうした出自と経歴もあって、貧民層からの支持は厚い。演説にも定評があり、一般大衆の前に出れば、ロックスター並みの大歓声で迎えられることも。また、ツイッター(現X)のフォロワーは7000万人を超える。 インド国内では絶大な人気を誇るモディ首相。それでは、外交の舞台で各国首脳を翻弄する手腕についてはどうだろうか。また、政治家として“死角”はないのか』、「「ガーンチ」という下位カーストの出身・・・6歳から家業であるチャイ売りを手伝い始めたモディ氏。若くしてヒンズー至上主義組織に入り、雑用から始めて徐々に頭角を現した。その後、インド人民党に入党すると37歳で出身地であるグジャラート州議会議員、51歳でグジャラート州首相に就任。そして、グジャラート州首相の実績が評価され、総選挙を経て14年に63歳でインド首相に上り詰めた」、並外れた実力があったのだろう。
・『世界の舞台で各国首脳を翻弄 「カメレオン外交」の巧妙  貧困層から身を起こし、首相として多様な民族・宗教で構成されるインドを統率してきた豪腕は、外交面でもいかんなく発揮されている。 ロシアのウクライナ侵攻や、米中対立の激化もある中で、モディ首相の国際政治における立ち位置はさらに際立っている。米国など西側諸国とも、ロシアなど反西側諸国とも、したたかに付き合っていく外交姿勢である。 一例として22年9月、ロシアのプーチン大統領と対面で会談したときのこと。インドは、ロシアから大量の武器を購入するなどロシアとの関係は昔から親密だ。ウクライナ侵攻後もロシアから原油を安価で輸入し続けていて、その量は増えるばかり。 しかし、この会談でモディ首相はプーチン大統領に対して、ウクライナ情勢を巡り「今は戦争の時代ではないと思う」などと、率直な懸念を伝えた。プーチン大統領としては、味方だと思っていたモディ首相から厳しい言葉を突き付けられた形だ。 武器と原油の重要供給国の首脳に対して、こうした言動ができるのも、モディ首相ならではといえるだろう。 別の例として23年1月、インド政府はオンライン会合で「グローバルサウスの声サミット」を主催した。グローバルサウスに明確な定義はないが、東南アジアやアフリカ、中南米などの新興国や途上国を指すのが一般的。同会合は最終的に125カ国が参加する規模となった(一部参加も含む。なお、中国は招待されていないとみられている)。まさにインドはグローバルサウスの盟主としての立場を確立しようとしている。 また、5月に広島で開催されたG7サミットにおいては、インドは招待国として参加した。G7サミットは今や、反ロシア・反中国の牙城と化している。この期間中、ウクライナのゼレンスキー大統領からモディ首相に要請があり、広島で会談した。ロシアとも対話のチャンネルを持つインドに対して、ウクライナ側から会談の要請をしたこと自体が、今日のインドの国際政治上の影響力を物語っている。  続く6月、モディ首相は米国を訪問。米議会の上下両院合同会議で演説した。このことは、英国のチャーチル元首相や南アフリカのマンデラ元大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領と並び、数少ない外国首脳の一人となった。演説後、米バイデン大統領夫妻は、モディ首相好みのベジタリアン料理で心づくしの歓待ぶりを見せてもいる。 こうしたモディ首相の外交はまるでカメレオンのようで、西側諸国にも、中国・ロシア側にも、時と場合によって顔を変えることで、譲歩を引き出すことに成功している。現状、「二兎を追う者は一兎をも得ず」が当てはまらず、“二兎を追う者は二兎を得る”状態。世界の首脳が、モディ首相に翻弄(ほんろう)されているといっても過言ではない』、「米国など西側諸国とも、ロシアなど反西側諸国とも、したたかに付き合っていく外交姿勢・・・モディ首相はプーチン大統領に対して、ウクライナ情勢を巡り「今は戦争の時代ではないと思う」などと、率直な懸念を伝えた。プーチン大統領としては、味方だと思っていたモディ首相から厳しい言葉を突き付けられた形だ・・・グローバルサウスに明確な定義はないが、東南アジアやアフリカ、中南米などの新興国や途上国を指す・・・同会合は最終的に125カ国が参加する規模となった・・・グローバルサウスの盟主としての立場を確立」、外交は見事だ。
・『イスラム教徒や少数派に「拷問」「差別」「弾圧」で批判の声も  さて、巧みな外交の陰で、モディ首相の強権ぶりやインドの人権問題も取り沙汰されている。 「モディ首相が世界で注目を集めているのは、世界の人々がインドの実態を知らないからだ」――。筆者の友人であるインド人経営者はこう言い放っていた。どうやら、モディ首相に我慢がならないようだ。 例えばインド軍は、イスラム教徒が多いカシミール地方において、過剰な拘束や拷問を行っていると指摘されている(アムネスティ・インターナショナル)。 また、インド政府は、移民への市民権授与に関して、イスラム教徒を除外するなど差別的な対応を取っているとも。加えて、ジャーナリストや人権活動家への弾圧も問題視されている。 先の筆者の友人はヒンズー教徒であるが、モディ首相のイスラム教徒への仕打ちには目に余るものがあると憤っていた。 こうした状況に対して、米国務省は人権と宗教の自由に関する報告書で、インドにおけるイスラム教徒やダリット、キリスト教徒など少数派の待遇について懸念を表明している。 世界最大の民主主義国と言われるインド。モディ首相の動向は、光と陰の両面で見ていくことが重要だ』、「インド軍は、イスラム教徒が多いカシミール地方において、過剰な拘束や拷問を行っていると指摘・・・移民への市民権授与に関して、イスラム教徒を除外するなど差別的な対応を取っているとも。加えて、ジャーナリストや人権活動家への弾圧も問題視されている・・・モディ首相の動向は、光と陰の両面で見ていくことが重要だ」、その通りだ。

第三に、本年1月23日付けNewsweek日本版が掲載した米ウッドロー・ウィルソン国際研究センター南アジア研究所長のマイケル・クーゲルマン氏による「ヒンドゥー教寺院でモディが始める宗教戦争」を紹介しよう。
・『<破壊されたモスクの跡地に建てられたヒンドゥー教徒の新たな聖地が対立をあおる> インド北部の古都アヨディヤ。古代の英雄ラーマ王子の生誕の地として知られる一方で、中世にはイスラム王朝の支配下にあったこの地が、いま再びインドにおける宗教対立の火種となろうとしている。 発端は、1月22日にナレンドラ・モディ首相を迎えて盛大な建立式典が行われるヒンドゥー教寺院だ。このラム寺院が建設された場所には、1992年にヒンドゥー教過激派に破壊されるまで、約500年にわたりモスク(イスラム礼拝所)があった。 【動画】ラム寺院の建立式典を訪れたナレンドラ・モディ首相) 寺院建設の中心となったヒンドゥー至上主義組織「世界ヒンドゥー評議会(VHP)」の広報担当者シャラド・シャルマは、ラム寺院が「世界のヒンドゥー教徒にとって最大の聖地になる。われわれにとってのバチカン(カトリック教会の総本山)だ」と語った。 大論争を巻き起こす過激な措置を打ち出しては、反対意見に耳を貸さずに「公約実現」を貫き、与党・インド人民党(BJP)の支持者を満足させる──。これはモディが首相として過去10年間やってきたアプローチそのものだ。 インド最高裁判所は2019年、アヨディヤで破壊されたバブリ・モスクの跡地を事実上政府の管轄とする判決を下して、ラム寺院建設に道を開いた。同時に裁判所は、目立つ場所にモスク再建の手配をするよう行政に促した。 ところが地元当局が提案した再建場所は、バブリ・モスクがあった場所から約25キロも離れた僻地だった。資金的な支援もないため、建設工事は始まってもいない』、「このラム寺院が建設された場所には、1992年にヒンドゥー教過激派に破壊されるまで、約500年にわたりモスク(イスラム礼拝所)があった・・・寺院建設の中心となったヒンドゥー至上主義組織「世界ヒンドゥー評議会(VHP)」の広報担当者シャラド・シャルマは、ラム寺院が「世界のヒンドゥー教徒にとって最大の聖地になる。われわれにとってのバチカン(カトリック教会の総本山)だ」と語った」、何と思い上がった発言だろう。宗教戦争を回避するためにも、宗教指導者の過激な発言を抑制させるような試みが必要だ。「バブリ・モスク」の「再建」に当たっては、国からの何らかの形での財政支援も必要だし、場所も便利なところにするべきだろう。
・『政教分離の慣例はどこへ  アヨディヤがあるウッタルプラデシュ州は、インドで最も人口が多い州で、モディの盟友ヨギ・アディティアナートが州首相を務める。ラム寺院は「文化、精神、社会の一致」の象徴になるとアディティアナートは言うが、実際には不一致を悪化させそうだ。 モディはこれまでにも現代インドの政教分離の慣例を破り、あからさまなヒンドゥー至上主義的な政策を取ってきた。その第一歩が、19年のカシミールの自治権剝奪だった。さらに同年の改正国籍法では、アフガニスタンやバングラデシュなどからの避難民に市民権を付与するが、「イスラム教徒でないこと」を条件とするなど、イスラム教徒排除を明確にしてきた。) そして今、BJPが長年にわたり推し進めてきたラム寺院が建設された。厳密には完成していないのに建立式典が開かれた背景には、4月の総選挙に向けて熱狂的なヒンドゥー教徒にアピールしたいという意欲が見え隠れする。 その一方で、アヨディヤに来たモディは、インフラ整備計画を発表したり、ラーマ王子伝説と結び付けて貧困層救済を語るなど、「穏健なヒンドゥー至上主義」を示して支持基盤の拡大にも精を出した。 BJPは今度の選挙でも圧勝して、モディが首相として3期目を決めるのは確実とみられている。それでもモディは、「支持者を勢いづけ、批判派を怒らせる」ことで選挙に勝つという、試行錯誤の末に確立した成功戦術を今回も着実に踏襲している』、「モディは、「支持者を勢いづけ、批判派を怒らせる」ことで選挙に勝つという、試行錯誤の末に確立した成功戦術を今回も着実に踏襲している」、これは多民族・多宗教国家のインドにとって、極めて危険な賭けである。現在では弱体化した国民会議派は、政治的には宗教に中立を保っていた筈だ。ただ、モディ氏に「成功戦略」を変えさせ、政治的には宗教に中立を保たせるインセンティブが見当たらないのは、致命的だ。残念ながら、上手い処方箋を思いつかない。 
タグ:インド (その3)(「今世紀最悪」の列車事故 インドの鉄道安全事情 近年は件数減少 だが新安全装置整備は進まず、グローバルサウスの盟主インド モディ首相に「拷問」「差別」「弾圧」で批判の声も、ヒンドゥー教寺院でモディが始める宗教戦争) 東洋経済オンライン さかい もとみ氏による「「今世紀最悪」の列車事故、インドの鉄道安全事情 近年は件数減少、だが新安全装置整備は進まず」 「データによると事故は減少傾向にあり、2016年以降はこのような大事故は起きていなかった・・・2017年度から5年間の安全基金(総額1兆ルピー=約1兆6990億円)を設けたことが安全指標の改善につながったため、5年間延長のうえさらに4500億ルピー(約7645億円)の資金が投入されている」、なるほど。 「主要都市を結ぶ昼行電車特急「バンデバラト・・・エクスプレス」、「デリー―ボパール間のみは時速160kmで走れるものの、その他の区間は時速110~130km運行に制限されている。さらなる高速化が期待されるが、従来型の優等列車・・・の平均時速は50.6km、近郊電車は同37.5km、普通列車は同33.5kmだという。インドの既存客車列車の速度からすれば、圧倒的に速い」、なるほど。 「運行本数の多い区間に欧州の信号保安システムETCSレベル2水準とされる「Kavach」と称する安全システムの導入を進めている。これはインド国鉄が産業界と共同で開発した”最先端のシステム”とされ、運転士が速度制限を守らなかった場合、自動的にブレーキをかけたり、列車が接近しすぎた場合に衝突を防止したりするものだ。 ただ整備の進展はこれからで、2022~2023年度にかけての導入目標も2000kmにとどまる。Kavachシステムの整備はモディ政権が掲げた「自立したインド」の一環として行われているが、今回事故が起きた路線には「Kavachシステムはない」(鉄道省広報官)・・・整備の進展はこれからで、2022~2023年度にかけての導入目標も2000kmにとどまる」、安全重視の鉄道整備を期待したい。 ダイヤモンド・オンライン 山中俊之氏による「グローバルサウスの盟主インド、モディ首相に「拷問」「差別」「弾圧」で批判の声も」 「「ガーンチ」という下位カーストの出身・・・6歳から家業であるチャイ売りを手伝い始めたモディ氏。若くしてヒンズー至上主義組織に入り、雑用から始めて徐々に頭角を現した。その後、インド人民党に入党すると37歳で出身地であるグジャラート州議会議員、51歳でグジャラート州首相に就任。そして、グジャラート州首相の実績が評価され、総選挙を経て14年に63歳でインド首相に上り詰めた」、並外れた実力があったのだろう。 「米国など西側諸国とも、ロシアなど反西側諸国とも、したたかに付き合っていく外交姿勢・・・モディ首相はプーチン大統領に対して、ウクライナ情勢を巡り「今は戦争の時代ではないと思う」などと、率直な懸念を伝えた。プーチン大統領としては、味方だと思っていたモディ首相から厳しい言葉を突き付けられた形だ・・・グローバルサウスに明確な定義はないが、東南アジアやアフリカ、中南米などの新興国や途上国を指す・・・ 同会合は最終的に125カ国が参加する規模となった・・・グローバルサウスの盟主としての立場を確立」、外交は見事だ。 「インド軍は、イスラム教徒が多いカシミール地方において、過剰な拘束や拷問を行っていると指摘・・・移民への市民権授与に関して、イスラム教徒を除外するなど差別的な対応を取っているとも。加えて、ジャーナリストや人権活動家への弾圧も問題視されている・・・モディ首相の動向は、光と陰の両面で見ていくことが重要だ」、その通りだ。 Newsweek日本版 マイケル・クーゲルマン氏による「ヒンドゥー教寺院でモディが始める宗教戦争」 「このラム寺院が建設された場所には、1992年にヒンドゥー教過激派に破壊されるまで、約500年にわたりモスク(イスラム礼拝所)があった・・・寺院建設の中心となったヒンドゥー至上主義組織「世界ヒンドゥー評議会(VHP)」の広報担当者シャラド・シャルマは、ラム寺院が「世界のヒンドゥー教徒にとって最大の聖地になる。われわれにとってのバチカン(カトリック教会の総本山)だ」と語った」、何と思い上がった発言だろう。宗教戦争を回避するためにも、宗教指導者の過激な発言を抑制させるような試みが必要だ。 「バブリ・モスク」の「再建」に当たっては、国からの何らかの形での財政支援も必要だし、場所も便利なところにするべきだろう。 「モディは、「支持者を勢いづけ、批判派を怒らせる」ことで選挙に勝つという、試行錯誤の末に確立した成功戦術を今回も着実に踏襲している」、これは多民族・多宗教国家のインドにとって、極めて危険な賭けである。現在では弱体化した国民会議派は、政治的には宗教に中立を保っていた筈だ。 ただ、モディ氏に「成功戦略」を変えさせ、政治的には宗教に中立を保たせるインセンティブが見当たらないのは、致命的だ。残念ながら、上手い処方箋を思いつかない。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。