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東芝不正会計問題(その9)今後の経営再建の方向 [企業経営]

昨日に続いて東芝不正会計問題で、(その9)として今後の経営再建の方向を取上げよう。

9月3日付け日経ビジネスオンライン「「半導体事業を分離・上場させれば1兆円」、東芝生き残り策 電機業界の著名アナリスト、若林秀樹氏が示す3つの再生シナリオ」のポイントを紹介したい(▽は小見出し)
・現時点で考えられる再生シナリオは3つある。
・1つ目が、電力と半導体という二本柱の事業を維持するという、現在の事業ポートフォリオを大きく変更しないで再生していくシナリオだ。ただ、電力と半導体はあまりにも事業サイクルが異なるため、バランスを取るには第3の柱が必要になる
・この三つ目の柱を作ることは東芝の長年の悲願でもあったが成功していない。それどころか、この思いがパソコン事業などでの不正会計の背景になったかもしれない。それゆえ、第3の柱は不採算事業であるパソコンやテレビではありえない。また、将来の中核事業として注力しているヘルスケア事業でもないと思う。ヘルスケア事業は独特で半導体とも電力ともシナジーはほとんどないからだ
・ポイントは、システム事業の色が強くなってきた東芝テックではないか。足元は苦戦しているが、米IBMのPOS(販売時点情報管理)事業を買収したことで、東芝テックの売り上げ規模は5000億円以上あり、本来はそこそこ利益も出ていた。短期的な苦境を乗り越えPOS事業をうまく活用してほしい
・東芝グループとしてビッグデータ事業へ真剣に取り組むなら、東芝テックを中核にするのが最適で、第三の柱として遜色ない事業になっていくはずだ。これはいわば、かつて1980年代に取り組んだ戦略の再来である。流通分野のビッグデータ活用はもちろん、これらの分析ノウハウは、スマートシティー向けの電力関係でも生かすことができるだろう
▽「半導体事業の時価総額は2兆円以上」
・第二のシナリオは、半導体事業を東芝本体から分社した上で上場を目指す。半導体分離後の東芝は、電力を中心とした社会インフラ事業が中心の企業となる。日立のように、社会インフラとITはシナジーが見込めるため、同じような路線をたどることになるだろう
・分社する半導体事業は、もちろんNAND型フラッシュメモリーが事業の中心となる。競争力のある事業に育てた、現在の半導体部門の幹部がそのまま分社後の会社を経営する形になるだろうが、本体から離れて意思決定ができるようになる。戦略の自由度は広がり、決断のスピードも速くなるだろう
▽半導体業界は世界で大型再編が始まっている
・ディスクリート半導体やシステムLSIなど、半導体事業の中における不採算部門の整理は早まるだろうし、別の半導体企業との連携なども考えられる
・仮に分社した半導体事業が上場したとすると、現状の収益力から考えると時価総額は2兆円以上になると試算できる。東芝が半導体会社の50%出資を維持しても、約1兆円の上場益を手にすることになる。そうなると東芝は、長年悩まされてきた資金不足を解消でき、減損リスクも吸収可能だ
・半導体事業の分離上場の案は、実は昔から言われていたこと。だが、東芝内部での反対が強く、実現しなかったという経緯がある
・仮に第2のシナリオが実現した場合、国内外の半導体企業を巻き込んで、さらに大きな再編劇につながる可能性が出てくる
・既に、半導体業界は世界的な規模で大型再編が始まっている。ご存じのとおり、米半導体メモリー大手のマイクロン・テクノロジーに対し、中国の半導体大手であるの紫光集団が約3兆円で買収提案をしている。米インテルも5月、同業の米アルテラを167億ドルで買収すると発表した。巨額のカネが飛び交っている状況だ
・ここに、東芝の半導体事業が分離した新会社が出てくると、これまで世界の半導体大手の再編から蚊帳の外にあった日本も、この動きに巻き込まれるはず。様々な半導体企業同士の連携がシミュレーションできるようになるのではないか
・3つ目のシナリオは、逆に利益率が高い半導体事業を残し、ほかの事業を売却していくやり方
▽原発事業の買い手はいるのか
・原発は既に、民間企業が抱え続けるには相当なリスクがある事業になっているのは間違いない。原発大手の仏アレバは政府が主導して救済に動いているような状態だ
・なので一案ではあるが、国の関与が強まっている東京電力と、東芝の原発部門を統合することも考えられる。電力事業者と原発メーカーを垂直統合するアイデアだ。その際に東電との合弁にするか、すべて売却してしまうかは別として、東芝も今後、国の関与が強まる可能性がある。そうなれば、既に実質的に国有化されている東電と東芝の組み合わせは、国家戦略としてもやりやすいのではないか
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/082700031/090200006/?P=1

若林秀樹氏は著名アナリストではあるが、上記の内容の当否は私にはわからない。特に、最後の「東京電力と東芝の原発部門を統合」は乱暴過ぎる感じもする。他の電力会社の原発部門、三菱重工など他の電機メーカーの原発部門はどうするのか、これらもまとめて1つにすれば競争が働かなくなる問題点もある。ただ、影響力のあるアナリストの提案だけに、当局も含めた「原子力村」でもある程度、検討されているのか、或いは、単なる「頭の体操」に過ぎないのかは、それぞれの読者の判断に委ねるしかなさそうだ。

なお、明日13日から16日までは更新を休みとする予定。再開する17日をお楽しみに。
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