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電力・ガス自由化(その1)(大寒波とLNG不足が直撃、電力逼迫の「異常事態」 市場価格は急騰 発電所トラブルが追い打ち、「電力自由化は失敗だった」節電要請が目前に迫るほど日本の電力網は弱っている 「こうなったら停電させたらいい」、「アマゾンに電力市場を乗っ取られる」国の"電力政策の失敗"がもたらす最悪のシナリオ 肝煎りの「新電力」は次々と破綻へ) [産業動向]

今日は、電力・ガス自由化(その1)(大寒波とLNG不足が直撃、電力逼迫の「異常事態」 市場価格は急騰 発電所トラブルが追い打ち、「電力自由化は失敗だった」節電要請が目前に迫るほど日本の電力網は弱っている 「こうなったら停電させたらいい」、「アマゾンに電力市場を乗っ取られる」国の"電力政策の失敗"がもたらす最悪のシナリオ 肝煎りの「新電力」は次々と破綻へ)を取上げよう。

先ずは、本年1月14日付け東洋経済オンライン「大寒波とLNG不足が直撃、電力逼迫の「異常事態」 市場価格は急騰、発電所トラブルが追い打ち」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/403804
・『10年に1度とも言われる大寒波が襲来し、全国規模で電力の需給が逼迫している。 1月8日の平均気温(沖縄を除く)は2020年1月8日と比べて約8℃も低下。九州では1月7日に冬季として過去最大の電力需要を記録した。 3連休明けの1月12日も電力需給の逼迫は続き、関西電力エリアでは、午前8時台に電力供給に対する総需要の割合を示す電力の使用率が99%に達した。大手電力会社でつくる電気事業連合会や各電力会社は家庭や企業に節電を呼びかけているが、電力の需給は「綱渡りが続いている」(市場関係者)』、興味深そうだ。
・『厳しさ増す発電用LNGの調達  今回、電力需要は2020年12月下旬から急増した。余剰電力を売り買いする日本卸電力市場では取引価格が急騰。年が明けると需給はさらに逼迫し、1月12日午前8時台のスポット市場の取引価格は、1キロワット時当たり200円という史上最高値を記録した。これは需給逼迫以前の40倍近い水準だ。スポット価格はその後も高値更新を続けている。 逼迫の原因として、火力発電所の燃料であるLNG(液化天然ガス)の調達難が指摘されている。LNG火力発電所は日本全体の発電電力量の約4割を占め、電力需要の増減にスピーディーに対応できる強みがある。ところが、LNGはその性質上、長期にわたる備蓄ができないうえに、調達そのものが厳しくなっている。 あるエネルギー業界関係者は、LNGのスポット価格の高騰に驚きを隠さない。「新型コロナウイルスの感染拡大で需要が減っていた2020年4月当時の100万BTU(英国熱量単位)当たり4ドル弱だったものが、最近では約28ドルをつけている。これまで20ドルを大きく超えることはなかった」。 電力会社の輸入代理業務を担う三井物産も「新型コロナの影響でLNGの需要見通しが不透明だった中で、寒波によって電力需要が急増し、在庫繰りが難しくなった」(広報担当者)と説明している。 LNG需給がタイト化している要因について、中国や韓国の需要急増やオーストラリアのLNGプロジェクトでの設備トラブル、パナマ運河の渋滞なども挙がっている。 寒波とともに電力需給を逼迫させたのが、LNG火力と並ぶ主力電源である石炭火力発電所の設備トラブルだ。長崎県にある九州電力の最新鋭の石炭火力発電所(松浦発電所2号機、出力100万キロワット)は2020年12月29日にボイラーの付属設備で不具合が発生し、出力を50%に落として運転を続けざるをえない状況だ。 同じ長崎県にあるJ-POWERの石炭火力発電所(松島火力発電所2号機、50万キロワット)も石炭を細かく砕く装置の故障により、1月7日夜に運転を停止。補助燃料の重油で発電する異例の対応を決め、1月14日の運転再開を目指している』、「LNGはその性質上、長期にわたる備蓄ができない」、扱いがやっかいそうだ。
・『相次ぐトラブルや不具合  J-POWERではほかにも、神奈川県の磯子火力発電所2号機(60万キロワット)がコンベアトラブルにより、2020年10月20日に運転を停止。現在、同1号機(60万キロワット)および2号機とも出力を下げた状態での運転を続けている。また、徳島県の橘湾火力発電所1号機(105万キロワット)も2020年12月25日にタービンの損傷により計画外停止に直面。現在、復旧に向けて作業中だ。 関電のエリアでは、同社の原子力発電所4基が設備トラブルや定期検査で稼働を停止しているうえ、石油火力の御坊発電所3号機(60万キロワット)で1月4日の起動時に不具合が発生。LNG火力の姫路第二発電所既設6号機(60万キロワット)でもメインタービンの軸受け温度の上昇により、出力抑制を余儀なくされている。 他のLNG火力発電所でも、燃料であるLNGの確保状況をにらみつつ、低い出力での稼働を余儀なくされている発電所が少なくない。 東北電力は東新潟や仙台などの発電所で、出力を下げた制限運転を続けている。同社は「寒波が継続した場合に、LNGの在庫不足が起こらないように先々を見越しての対応であり、LNGの不足が生じている状況ではない」と説明するが、東京電力と中部電力が折半出資する最大手の発電会社・JERAなど多くの電力会社がLNG火力発電所の制限運転を続けている。 電力会社間での電力融通を取り仕切る電力広域的運営推進機関は1月3日以降、ほぼ毎日のように電力会社から他電力会社へ電力を送るよう指示を出している。特に厳しいのが西日本エリアで、東北電力や東京電力の送配電子会社などに対して、九電や関電、中国電力などに向けて融通の指示が出されている。 電気事業連合会は、日本ガス協会や石油連盟を通じ、都市ガス会社や石油会社に発電用燃料を供給するよう要請している。また、電力会社は海運会社に対し、LNG燃料輸送船の運航速度を上げ、LNG基地への到着を前倒しするよう求めている』、「トラブルや不具合」も一定程度を超すと需給に深刻な影響を与える。「電気事業連合会は、日本ガス協会や石油連盟を通じ、都市ガス会社や石油会社に発電用燃料を供給するよう要請」、ライバルに頭を下げざるを得ないというのは事態の深刻さを示しているようだ。
・『需給逼迫は長期化の可能性も  ただ、電力の需給逼迫は長期化する可能性が高く、「東日本大震災当時よりも厳しい」(市場関係者)との声も聞こえる。大震災当時は地震や津波による火力発電所の被害に加え、福島第一原子力発電所で重大事故が発生。東北や関東にある原発が軒並み稼働を停止した。 それに対し、「今回は、西日本を含めて全国規模での需要急増の継続に燃料の確保が追いつかない点に違いがある。政府は電力会社任せにせず、国民に向けて節電の必要性を広く周知すべきだ。LNG在庫が払底してからでは手遅れになる」(同関係者)という。 「今のような状況が数週間続くと、資金繰りに支障が出て経営が立ちゆかなくなる新電力も出てくる」(新電力幹部)という声もあがる。電力需給の逼迫は、さまざまな悪影響を各方面に及ぼす可能性がある』、「電力の需給逼迫は長期化する可能性が高く、「東日本大震災当時よりも厳しい」、冬場でもこんなに深刻化するようなら、夏場、しかもテレビ観戦が増える東京五輪を乗り切れるのだろうか。

次に、1月24日付けPRESIDENT Onlineが掲載した経済ジャーナリストの坂本 竜一郎氏による「「電力自由化は失敗だった」節電要請が目前に迫るほど日本の電力網は弱っている 「こうなったら停電させたらいい」」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/42629
・『日本の電力小売りの全面自由化から4月で5年。新規参入が相次ぎ、新電力の販売電力量は全体の約2割を占める規模まで拡大している。しかし、この冬の一連の電力不足が日本の電力網の脆弱性と新電力の経営難を浮き彫りにしている――』、「新電力の販売電力量は全体の約2割を占める規模まで拡大」、しかしその基盤は脆弱なようだ。
・『関電が大阪ガスに頭を下げてLNGの融通を要請  「節電という言葉は使うな」「停電が起きてもいいんですか」――。 まだおとそ気分の抜けきらない1月の3連休。経済産業省・資源エネルギー庁と電力の業界団体である電気事業連合会(電事連)の幹部たちが休日にもかかわらず電話越しにやりあっていた。 「10年に一度」と言われる寒波の襲来で全国的に気温が低下。北陸地方では豪雪のため、北陸自動車道では車が立ち往生するなど、厳しい寒さが続いた。原子力発電所への依存率が大手電力で最も高い関西電力では、年末から電力不足が懸念され、どうやって年末年始を乗り切るか、幹部たちが連日頭を抱えていた。 福井県にある高浜や美浜などの原発の再稼働が遅れ、それを補う液化天然ガス(LNG)を発電燃料とする火力発電所の燃料タンクが底を突いていたためだ。 「どんなに高い値段で買ってもいい。とにかくLNGをかき集めろ」。関電では社長以下の“指令”のもと、LNGの取り次ぎをする大手商社などに確保を要請した。しかし、すぐに調達できるLNGはない。あとのない関電は最後の手段として、家庭向け電力の販売でしのぎを削る商売敵の大阪ガスに頭を下げ、LNGの融通を要請した』、「関電」は何故「LNG」調達戦略を間違ったのだろう。
・『電事連は「国民への節電要請」を求めたが、経産省らは拒否  電力業界も、それまで手をこまぬいていたわけではない。大手電力会社間で余剰電力を融通しあっていたが、寒波は全国規模で広がったため、大手電力間での融通にも限界がきてしまった。 電力は需要と供給が一致しないと停電してしまう。需要に供給が追いつかない事態が続く中、電事連は「電力消費を極力抑えてもらうよう、広く国民や企業に訴えてもらいたい。場合によっては節電要請を求めたい」と所管の経済産業省や資源エネルギー庁に訴えた。 しかし、新型コロナウイルス感染拡大で各家庭は巣ごもりしている。「暖房を切るなどの節電は、高齢者らが亡くなるリスクを高める」として、どちらも節電要請にはクビを縦に振らない。 それ以上に経産省やエネ庁が恐れていた理由が他にある。首相官邸だ。 「菅政権が最大の産業政策として掲げる脱・炭素(カーボン・ニュートラル)政策に水を差すことになる。新型コロナウイルス感染拡大で支持率が急落している中で『節電要請』となると、看板政策の脱・炭素政策も腰砕けになる」(経産省関係者)と電事連の申し入れをはねつけたのだ。ここで火力発電の燃料不足など思い起こさせたくない思惑というわけだ』、「新型コロナウイルス感染拡大で支持率が急落している中で『節電要請』となると、看板政策の脱・炭素政策も腰砕けになる」・・・と電事連の申し入れをはねつけた」、政府の主張は余りに政治的だ。
・『「電力自由化を進めれば停電が起きるのは、子供でもわかること」  さらに、政府が発する節電要請は10年前の東日本大震災などの非常時に出される類いのものだ。連休中で企業活動が止まり、電力消費量が減っているタイミングで出たとしたら、まさに電力供給の「危機的状態」を露呈することになる。 官邸を恐れる経産省は大手電力会社間の電力融通や、石油・ガス業界からのLNGなど燃料確保の自助努力を押しつけた。電力大手幹部はこう憤る。 「こうなったら停電させたらいい。電力改革と称して自由化を迫っていて、停電の懸念が出てくると、『業界で何とかしろ。電力会社は何をやっているんだ』と頭越しにどなりつけてくる。停電が相次ぐ米カリフォルニアなどで明らかになっているように、電力自由化にかじを切ることは、そういうリスクも抱えるということは子供でもわかるはずだ」 今、日本は世界最大のLNG輸入国だ。世界的にダブつき、長く価格が低迷しているLNGが、なぜ国内で不足しているのか。原発停止以降、石炭や石油より環境負荷が低いLNG火力へのシフトも進み、国内の発電総量の4割を占めるようになった。原発が止まって使用量が増えているにしても、LNGの調達難は即、電力危機につながるだけにその管理は徹底しているはずだ』、「LNG火力へのシフトも進み、国内の発電総量の4割を占めるようになった」、脱原発の頼もしい味方のようだ。
・『貯蔵期間が2カ月しかないLNGは、石炭や石油に比べて扱いづらい  大手証券アナリストは「これも電力自由化の功罪だ」と指摘する。 気化しやすいLNGは2カ月くらいしか貯蔵できない。このため、一般には2~3カ月先の注文を豪州や東南アジア、米国など産ガス国と交わす。しかし、市況低迷に伴いスポット(随時契約)で調達するほうが長期契約するよりも「この1年ほどは4分の1くらいで買えた」(大手電力幹部)ため、電力各社ともスポット調達に傾斜した。 さらに余分に調達した場合には、2カ月しか持たないLNGを「賞味期限」がきれる前に転売するしかない。現に余ったLNGを売却した九州電力は、昨年度約180億円もの売却損を計上するなど、「貯蔵が利く石炭や石油に比べて扱いづらい」(同大手電力幹部)。自由化でコスト削減に必死の中で、LNGの在庫をいかに抑えるかということは大きな経営課題となる。 そこを寒波が突いた。太陽光も豪雨や日照不足で頼りにならない。となればLNG火力に頼るしかない。だが、ぎりぎりに切り詰めていたLNGの在庫が払底する事態を招いたのだ。九州電力ではJパワーの石炭火力発電所に石油を流し込んで急きょ、発電する慌てようだった』、「気化しやすいLNGは2カ月くらいしか貯蔵できない」、「余分に調達した場合には、・・・LNGを「賞味期限」がきれる前に転売するしかない。現に余ったLNGを売却した九州電力は、昨年度約180億円もの売却損を計上」、難しいものだ。
・『自由化で進められた「発送電分離」で情報連携に弊害  電力会社の電力の需要予測を困難にした理由は他にもある。 自由化で電力会社は発送電分離を迫られた。自由化前のように、発電から配送電、小売りまで一社で一貫して手掛けていた体制では、小売り・営業部門から企業や家庭などの電力の消費動向がリアルタイムにあがり、それに応じて発電・送電部門が燃料調達や発電所の稼働を調整できた。 しかし、自由化後は発電、配送電、小売りがそれぞれ別会社になった。「各社間の情報連携がうまくいかず、供給責任をどこが担うのか、責任の押しつけ合いになってしまった面はある」(前出の大手電力幹部)という。 寒波はお隣の中国や韓国も襲った。さらに中国はいち早く経済が回復したためLNGの需要が伸びている。韓国も石炭火力からLNG火力への転換を進めている。また、東アジアの需要が急に跳ね上がったために米国から来るLNG船がパナマ運河で渋滞したり、豪州やマレーシアのLNGプラントが故障したりするなど「不運」も重なった』、「発電、配送電、小売りがそれぞれ別会社になった。「各社間の情報連携がうまくいかず」、今後は学習効果が働いて、「情報連携」を円滑化しようと努力する筈だ。
・『新電力の1月分電気料金が通常時の2倍以上になる恐れ  一連の全国的な電力需給の逼迫は自由化の目玉である新電力各社の経営も直撃している。自前の発電所を持たない新電力が「商材」となる電力を調達する卸売価格が高騰しているためだ。 今年に入り、1月分の電気料金が通常時の2倍以上になる恐れも出てきた。LNG不足で火力の発電量が減ったため、大手電力が卸市場に出すガス火力の電力も減るためだ。寒波の影響で需要が増加し、スポット価格が高騰した。 日本卸電力取引所(JEPX)の指標価格は1月中旬に一時1キロワット時あたり150円台と、12月上旬と比べて約25倍に上がった。一般的に家庭の電気料金は1キロワット時あたり20円台の場合が多い。新電力が販売する電力を全て市場調達に頼る場合、単純計算で電力を1キロワット時売るたびに100円超の赤字となる水準だ。 一部の新電力は市場価格を電気料金に直接反映する販売プランを採用している。ダイレクトパワー(東京・新宿)や自然電力(福岡市)によると、1月分の電気料金は通常時の2倍以上になる可能性があるという』、「市場価格を電気料金に直接反映する販売プランを採用している」「新電力」は市場から淘汰されてしまうだろう。
・『新電力Looopは複数の新電力と事業の譲り受けを協議  新電力の中では経営危機に直面する事業者も出てきている。新電力のLooop(東京・台東)は複数の新電力と事業の譲り受けに向けた協議を始めた。急騰する卸売価格をそのまま電力料金に反映すれば顧客離れは避けられない。 新電力事業の競争環境が厳しさを増す中、ある事業者は「ただでもいいから事業を引き取ってくれる先を探している」と打ち明ける。 事態を重く見た経済産業省は新電力を支援する対策を発表した。 事前の販売計画と実際の販売量にズレが生じた際に支払う「インバランス」料金について、新電力が電力供給を受けた大手電力会社などに支払う金額に上限を設ける。これは1月17日の電力供給分から適用した。 インバランス料金はJEPXと連動している。昨年12月前半は1キロワット時あたり4円台の時もあったが、1月以後は高いときで220円と新電力の経営を圧迫している。経済産業省はインバランス料金に1キロワット時あたり200円の上限価格を設けて影響を軽減する。 それでも「インバランス料金の見直しだけでは効果は限定的だ」(大手証券アナリスト)との声もあり、追加の対策が必要になる可能性もある』、「インバランス料金」での「上限価格」は、リスク管理の基本だが、これまでが設けてなかったとはお粗末極まりない。
・『今冬の電力不足が浮き彫りにした日本の電力網の脆弱性  日本の電力小売りの全面自由化からこの4月で5年を迎える。新規参入が相次ぎ、新電力の販売電力量は全体の約2割を占める規模まで拡大している。しかし、この冬の一連の電力不足が日本の電力網の脆弱ぜいじゃく性を浮き彫りにした。 不完全な電力自由化と、急速な再生エネルギーシフトで混乱に拍車をかける脱・炭素政策。「再エネは安定供給に難があることは誰でもわかる話。そこをどう埋めていくのか。再エネで跳ね上がる電気料金を誰が負担するのかも議論が進んでいない」(前出の大手電力幹部)。 東電福島第1原発の事故から10年が経つ。だが、菅政権は選挙を気にして原発について正面からの議論を避けている。新型コロナウイルス感染が止まらない中、菅政権はまた重い課題を一つ抱え込んだ』、「菅政権」が「原発について正面からの議論を避けている」のは困ったことだ。

第三に、6月11日付けPRESIDENT Online「「アマゾンに電力市場を乗っ取られる」国の"電力政策の失敗"がもたらす最悪のシナリオ 肝煎りの「新電力」は次々と破綻へ」を紹介しよう。
・『欧州に引きずられる形で脱炭素を菅政権が掲げたツケ  5月14日、梶山弘志経済産業相は閣議後の記者会見で「今夏の電力需給が全国的にここ数年で最も厳しくなる」と述べた。これを受けて、新電力各社の間からは「大手電力が巻き返しか」との声が相次いで漏れた。 経産省によると、電力の供給力の余裕度を示す予備率は北海道と沖縄を除くエリアで7月に3.7%、8月は3.8%を見込んでいる。安定供給には最低でも3%が必要なことを考えると、需給面でギリギリの水準となる。 東京電力福島第一原子力発電所の事故直後には全国の原発が止まり、予備率がマイナスになったこともあるが、それを除けば今夏の予備率はここ数年で最も低い。さらに今年の冬は、夏以上に厳しくなる恐れもある。 こうした状況について、大手電力の中からは「年明けの時期にもかなり電力は逼迫ひっぱくした。その混乱を未然に防ぐ意味での大臣の表明かもしれないが、乗り切れるかどうか不安だ」との声が漏れる。その一方、「日本のエネルギーの現状をしっかり見極めないなかで欧州に引きずられる形で脱炭素を菅政権が掲げたツケが回ってきた」と冷めた見方もある』、「日本のエネルギーの現状をしっかり見極めないなかで欧州に引きずられる形で脱炭素を菅政権が掲げたツケが回ってきた」、言い得て妙だ。
・『特に懸念されるのが「LNG不足」の再来  今夏や次の冬の電力不足の原因は大手電力が火力発電所の休廃止が相次いで進み、電力の供給力が落ちているからだ。新電力の中では「電力の供給力を上げるためには『やはり原発が必要だ』という世論を誘導するためではないのか」といぶかしむ向きも多い。 実際、足元の卸電力市場の取引価格は再び上昇してきている。日本卸電力取引所(JEPX)で毎日取引するスポット価格(24時間平均)は5月の平均が1キロワット時7円前後で推移。20年5月の月間平均値である4円台に比べ6割ほど高い。 スポット価格は1月に寒波の襲来と発電燃料の不足で150円超まで急騰した。その後、2~3月は前年同期に近い水準に戻ったが、足元で再び上げ足を速めている。企業活動が回復してきたのと、火力発電の燃料となる液化天然ガス(LNG)の在庫も減ってきているからだ。 特に懸念されるのがこの冬に問題になったLNG不足の再来だ。コロナ感染で大手電力はLNGの在庫を絞ってきた。そこに寒波が到来して電力の需要が急騰したために電力不足が生じたわけだが、もう一つ、LNGを巡っては不安材料が持ち上がってきた。東南アジアでのLNG需要の高まりだ』、「東南アジアでのLNG需要の高まり」はやむを得ない。
・『フィリピン、タイ、ベトナムがLNG輸入を拡大中  フィリピンでは同国電力大手のファーストジェンが来年の初輸入に向けて、6月に基幹設備の建設を開始した。同国唯一のマランパヤのガス田は27年にも枯渇すると推定され、発電量の2割を占める天然ガス火力発電が立ち行かなくなる可能性が高まっている。同国の電力需要は40年まで年5%以上増加する見通しだ。 タイやベトナムでもLNGの調達拡大が進む。タイは民間企業へのLNG輸入が20年に解禁された。これまで国営エネルギー会社のタイ石油公社(PTT)が独占してきたが、民間電力大手のガルフ・エナジー・デベロップメントや財閥Bグリム系の企業にもLNGの取引免許が与えられた。タイもフィリピンと同様、国産の天然ガスが枯渇傾向にある。このため、11年から始めたLNG輸入を37年に約320億立方メートルと18年の6倍超に増やす計画だ。 まだ輸入実績がないベトナムでも、国営石油最大手のペトロベトナムグループが南部のバリアブンタウ省で22年にもLNG基地を稼働させるなど、約10カ所で基地プロジェクトが進行中だ』、石炭火力より環境によいので、LNGシフトは当然だ。
・『新電力を経営破綻に追い込んだ「電力不足での料金高騰」  自国でのLNG枯渇に加え、脱炭素の世界的な流れも東南アジア各国がLNGの調達を急がせている。石炭火力に比べて二酸化炭素(CO2)の排出量の低減につながる天然ガスの活用は重みを増している。石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)によると、20年の世界のLNG需要のうち東南アジアは5%程度だったが、30年には13%程度まで伸び、世界の需要を牽引するという。現在、世界需要の約2割を占める日本や、急速に調達を増やす中国にとっても無視できない存在になる。 LNG争奪戦の過熱でスポット価格がまた高騰するようだと、自前の電源を持たない新電力は、経営への打撃が再び深刻化する。通常、暖房不需要期となる5月は余ったLNGを消費する期間だが、「今年は電力余剰が少なく、余ったLNGを使ってつくる安値の電気の入札がかなり減っている」と経産省は警戒する。 新電力は今年に入り、3月に大手の一角を占めるF-Power(エフパワー)が経営破綻した。東京地裁に会社更生法適用を申請、負債総額は464億円(帝国データバンク)で今年最大の倒産案件となった。低料金を武器に18年4月には販売電力量で新電力首位に立ち、売り上げも1000億円を超えた。 しかし、急成長の半面、自前電源だけでは需要に追いつかず、電力卸市場からの調達を拡大していったのがあだとなった。調達できなかった電力分を大手電力に穴埋めしてもらったかわりに支払う200億円にも及ぶインバランス料金が発生。折からの電力不足による料金高騰で通常の10倍を超える支払いを迫られ、破綻に追い込まれた』、「電力卸市場からの調達」に依存している「新電力」の相次ぐ破綻は、やむを得ないだろう。
・『自前の電源を持たない新電力の破綻は止まらない  さらに、新電力ベンチャーのパネイルも5月に東京地裁に民事再生法の適用を申請した。主力の電力小売事業で安値受注を続け、収益が悪化していた。AIを活用した電力管理システムの開発計画を打ち出し、大企業との提携にも乗り出していたが、実現できずに経営が行き詰まった。 16年の電力小売り全面自由化以降、大手電力以外の異業種から参入した新電力の事業者は約700社に増えた。新電力の販売電力量は全体の約2割まで占めるまでになった。自由化による電気料金引き下げを目指してきた政府だが、今夏や冬の電力が再び逼迫し、卸価格が高騰すれば自前の電源を持たない新電力の破綻は止まらないだろう。 経産省もインバランス料金の上限や分割支払いなどを導入して新電力の経営を支援しているが、「過去の安売り合戦で新電力各社の体力はかなり奪われている」(新電力幹部)との声は多く、予断を許さない。 大手電力の経営も厳しい。この年明けの電力不足への対応のために高騰したLNGの調達を余儀なくされたため、電力大手各社の前期の業績は大幅な減益となった。ライバルの大阪ガスからLNGの「おすそ分け」を受けた関西電力はようやく稼ぎ頭の原発の再稼働にこぎつけたが、多くの大手ではまだ多くが止まったままだ。 特にこれから迎える冬にかけて予備率が3%を切るともいわれている東電は、柏崎刈羽原発での相次ぐ不祥事で、原発再稼働に向けて動きづらい状況が続いている』、「東電」の「柏崎刈羽原発」問題でのお粗末さは、同社のやる気を疑いたくなるほどだ。
・『アマゾンのデータセンター7つで、消費電力は原発1基分  LNGの値上がりによる発電コストの上昇や原発の停止など利益がそがれる中、大手電力が再エネに充てる余裕はなくなってきている。その間隙を縫うように、再生エネルギーの分野では米アマゾン・ドット・コムは大手商社などと組んで、日本国内に独自の発電所を建設することを検討している。 アマゾンは日本にある自社のデータセンター向けに独自に発電所を建設する計画を進めている。太陽光や洋上風力で得た再生エネルギーをアマゾンのデータセンターに供給する。すでに複数の商社に発電所建設を持ち掛け、協議している。 アマゾンの計画ではこの独自発電所の最大発電能力は数十万キロワット。大型データセンターは1カ所で原子力発電所の10分の1にあたる10万キロワットの電力を消費する。アマゾンは国内に7カ所のデータセンターを持つが、すべて再生エネで賄うとすると、原発1基分に相当する規模になる。 東京電力など大手電力にとってみれば、有数の大口需要家であるアマゾン向けの電力供給契約は喉から手が出るほど欲しいところだ。しかし、今、大手電力にアマゾン専用の大規模の再生エネ発電所を建設する余裕はない。 アマゾンは水面下で東電などと交渉していたが、ガス火力や原発の再稼働を見込む中で、東電など大手電力の再エネへの取り組みは遅れている。「東電の煮え切らない態度にしびれを切らしたアマゾンが大手商社に持ち込んで入札となった」(大手投資銀行幹部)という。 仮に大手商社がアマゾンからの受注を獲得すれば、東電など大手電力の取引先はまた一つ減ることになる』、「東電の煮え切らない態度にしびれを切らしたアマゾンが大手商社に持ち込んで入札となった」、「アマゾン」との取引を逃したのは「東電」の身から出た錆だ。
・『洋上風力発電は規模に勝る欧州勢の草刈り場になる恐れ  ここにきてトヨタ自動車が取引先の部品メーカーに対して、再エネ活用による脱炭素の取り組みを要請するなど、大口需要家が再エネへのシフトを急いでいる。この受注合戦に乗り遅れるようだと、大手電力はいよいよ原発の再稼働に頼らざるを得なくなる。 政府はこの夏に中期の電源構成を決めるエネルギー基本計画を打ち出す予定だ。2030年の再生エネの比率を現在の18%(19年度)から30%台後半まで引き上げる見通しだが、自由化で期待した新電力は退潮の一途だ。 再エネで有望視される洋上風力発電も規模に勝る欧州勢の草刈り場になりそうだ。再エネを系統電力網に流す規制が不完全な状態にしたまま進めた自由化の中で、脱炭素政策を掲げたことで電力業界は混迷の度を深めている。 こうした状況下でアマゾンが日本の電力市場に進出すれば、インパクトは強烈だろう。東日本大震災以降、原発を含めたエネルギー問題を放置してきた政治の不作為のツケはあまりにも大きい』、ベースロード電源になり得る「洋上風力発電」はともかく、地熱発電が環境規制などの理由で殆ど実用化されてないのは残念だ。
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