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東京オリンピック(五輪)(その20)(「五輪で感動」を押し付ける日本のスポーツ界に、外国人が感じる「不思議さ」、【アップデート】開会式前日に演出担当者解任 不祥事相次ぐ東京五輪の歩みを振り返る、無観客でも五輪開催を強行 IOCの「金と欲望の歴史」とは) [国内政治]

東京オリンピック(五輪)については、7月8日に取上げた。競技も開始されて間もない今日は、(その20)(「五輪で感動」を押し付ける日本のスポーツ界に、外国人が感じる「不思議さ」、【アップデート】開会式前日に演出担当者解任 不祥事相次ぐ東京五輪の歩みを振り返る、無観客でも五輪開催を強行 IOCの「金と欲望の歴史」とは)である。

先ずは、7月8日付けNewsweek日本版が掲載したイラン出身。シャでランコンサルティング代表の石野シャハラン氏による「「五輪で感動」を押し付ける日本のスポーツ界に、外国人が感じる「不思議さ」」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/tokyoeye/2021/07/post-74_1.php
・『<日本のスポーツ界は、なぜ純粋にスポーツを楽しむ環境にないのか。イラン人筆者が見る五輪へのうんざり感の正体> 日本は、私の生まれ育ったイランよりスポーツ観戦の楽しい国である。イランで人気があって世界に通用する競技といえば、サッカー、レスリング、柔道、重量挙げ、それにバレーボールくらい。それに比べて日本は、柔道はもちろんのこと、ありとあらゆる競技で国際試合に選手を輩出し、メダルを取っている。イランよりも小さな国なのに、よほど指導者と資金と環境に恵まれているのだろう。素晴らしいことだ。 一方で、日本のスポーツ報道には不思議に思うことが多い。以前から全国高校野球選手権や箱根駅伝では、選手の苦労話や家族のドラマを交えて報道するのが恒例だった。 近年は他のさまざまなスポーツの報道でも、競技自体とは関係ないストーリーが語られる場面が目につく。各国の記者が出そろう会見で「いま一番食べたいものは何ですか」と聞いて選手を居心地悪そうにさせても平気だったり、実況者が歯の浮くような自分のセリフに酔っていたり、試合の前座でアイドルにコンサートをさせたり、応援がうるさ過ぎて耳を塞ぐくらいだったり。 競技自体より、芸能人が中継でしゃべる場面のほうが長いこともあったりして、私はしばしば唖然とさせられる。単にスポーツ報道が成熟していないだけかと思ってきたが、どうやら違う。物語仕立てにしたほうが視聴者を簡単に感動させられて、視聴率や部数を取れるから、が理由のようだ』、「物語仕立てにしたほうが視聴者を簡単に感動させられて、視聴率や部数を取れるから」、というのは事実としても、登場する「芸能人」のつまらないしゃべりには僕もイライラさせられる。
・『CMも「みんなで一緒に感動しよう」ばかり  最近では選手たちも手慣れたもので、「感動を与えたい」とインタビューで答える選手がたくさんいる。菅義偉首相も東京オリンピック・パラリンピックを「夢や感動を伝える機会になる」と言う。新型コロナウイルス感染拡大前の大会オフィシャルスポンサーのテレビCMも「みんなで一緒に感動しよう」という作りのものばかりだった。 日本のスポーツの周辺には「感動」という言葉があふれ過ぎている。そもそも「感動」はメディアが押し売りするようなものではない。何に、どんなふうに「感動」しようが、見る者の勝手である。確かに病気やケガを克服して競技に復帰する姿は美しいし、見る者の胸を打つ。それでも日本のスポーツファン層は、あまりに安易な「感動」話で水増しされているように思えてならない。 コロナ感染が収まらないなかでの東京五輪の開催機運が日本国民の間で全く盛り上がらないのは、この「感動」のイメージ戦略がコロナで水を差されてしまったためではないだろうか。確かに感染拡大が深刻になる不安も大きい。だが「感動」をあおる大会組織委員会やメディアやスポンサーの裏にある、多額のマネーが動く現実に多くの人がうんざりしてしまっている。これでは「感動」できないし、シラケるばかりだ。 だが、本来五輪は見る者の「感動」のためではなく、この日のためにトレーニングを重ねてライバルや記録や自分に勝つために競技に出る選手たちのものである。1年も延期されたのだから、できることならば万全の感染対策をした上で競技ができる環境を整えてあげてほしい、というのは真のスポーツファンに共通する願いであろうし、同時に不自由な日本滞在を強いられる選手たちへの心遣いもあっていいはずだ。 だって日本はおもてなしの国なのだから。 しかし、実際は海外から来る選手」、とはならを、コロナを持ち込む厄介者扱いしているようにも見受けられて、残念だ。コロナ禍でも大会を開催するならば、水も漏らさぬくらいの感染対策をし、参加各国の賛同を取り付け、科学的データに基づいたポジティブなメッセージで世界のマスコミや世論を黙らせる。 そういう日本を見てみたい。そしてこの大会が、お仕着せの「感動」を受け入れない、観戦を楽しむ目の肥えたファンが増えるきっかけになるといい』、「日本のスポーツの周辺には「感動」という言葉があふれ過ぎている。そもそも「感動」はメディアが押し売りするようなものではない」、全く同感である。残念ながら、今回も「お仕着せの「感動」を受け入れない、観戦を楽しむ目の肥えたファンが増えるきっかけになるといい」、とはなっていないようだ。

次に、7月22日付けBuzzFeed「【アップデート】開会式前日に演出担当者解任 不祥事相次ぐ東京五輪の歩みを振り返る」を紹介しよう。
https://www.buzzfeed.com/jp/yutochiba/tokyo-olympics-2013-2021
・『東京五輪開会式が、いよいよ7月23日に行われる。 2020年の五輪開催地が東京に決まってから8年。新国立競技場の設計見直しをはじめ、さまざまな問題が起きた。 開会式前日の7月22日には、開会式と閉幕式の演出を担当する小林賢太郎氏が、かつてユダヤ人の虐殺をコントのネタにしていたとして、解任された。 この8年を振り返る』、これほどケチがつきまくった大会も珍しい。
・『2015年7月:新国立競技場の計画「白紙に」  2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場。 当初、デザインを担当していたのは世界的建築家のザハ・ハティド氏だった。しかし、その特殊な構造が整備費を押し上げる要因になったとされ、2015年7月17日、安倍晋三首相(当時)は「現在の計画を白紙に戻し、ゼロベースで見直すと決断した」と発表した。 この時、ハティド氏のデザイン案は当初予算の1300億円を大きく上回る3000億円以上のコストがかかることが指摘されていた。 ザハ・ハティド氏の事務所はこの決定に反論する声明を発表。 事務所は価格高騰はデザインのせいではなく、東京における建築コストが増大したことなどにあるとし、コストを削減したデザインを日本スポーツ振興センター(JSC)提案していたが、受け入れられなかったとしている。 《設計プロセスをゼロからまた開始しても、新国立競技場の見積り増大の要因となった根本的な問題はいずれも解決されません。むしろ着工の大幅な遅延を招き、さらなる問題となる可能性があります》(声明より) 白紙撤回後、決定したのは1600億円規模のデザイン案だった。しかし、資材の高騰などをうけ、最終的には建設費は2520億円に達している。』、「ザハ・ハティド氏」とどういう打ち合わせが行われたのかも、現在では全く闇の中だ。
・『2015年9月:エンブレムのデザインも白紙に 佐野研二郎氏と撤回されたエンブレム  2015年8月、アートディレクターの佐野研二郎氏がデザインした東京五輪の公式エンブレムが発表された。 しかし、佐藤氏のデザインに対し、ベルギーのデザイナーが自作を盗作されたと主張。訴訟を起こした。 大会組織委員会は9月1日、ロゴの盗作疑惑は否定しつつも「放置できない問題」であると説明。 公式エンブレムのデザインを撤回し、改めて公募することを決定した』、「デザイン」はいまやネット検索できる時代なのに、こんな初歩的なミスをするとは、信じ難い。裏についている筈の電通も何をしていたのだろう。
・『2017年4月:新国立競技場の現場監督が自殺  新国立競技場のデザイン案の撤回、そして新たなデザイン案の決定により着工が当初予定よりも1年2ヶ月遅延。その影響から、建築現場では業務の負担が増加していた。 2017年4月には、当時、新国立競技場の建設現場で現場監督を務めていた20代の男性が自殺している。 朝日新聞の取材に対し、自殺した男性と同じ現場で働いていた別の現場監督は「新人なのに、通常の2倍以上の仕事を任されていた。いくら何でもさばききれるはずがない」などとコメントしている。 遺体のそばには、次のようなメモが残されていたという。 《身も心も限界な私はこのような結果しか思い浮かびませんでした。家族、友人、会社の方、本当にすみませんでした。このような結果しか思い浮かばなかった私をどうかお許しください》』、ゼネコンの人使いの荒さは、有名だが、ここまで酷いとは・・・。
・『2019年1月:JOC会長の贈賄疑惑  日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長(当時)が贈賄に関与した疑いがあるとして、フランス当局が捜査を開始したと報じられた。 疑惑は2016年春の段階から指摘されており、日本の五輪招致委員会がIOC委員を務めていたラミン・ディアク国際陸上競技連盟(IAAF)前会長の息子に2800万シンガポールドル(約2億2000万円)を支払ったとされるもの。 竹田会長は一連の報道に対し、「招致委員会は、ブラック・タイディング社とのコンサルタント契約に基づき正当な対価を支払ったものであり、贈賄にあたるような不正なことは何も行っていないことを私は説明いたしました」とコメントした。 その後、6月に竹田会長は任期満了をもってJOC会長を退任した』、「フランス当局が捜査」、現在どうなっているのか不明である。
・『2019年4月:当時の五輪相が問題発言で辞任  2019年4月10日、桜田義孝五輪相(当時)が辞任した。 桜田氏は自民党の高橋比奈子衆院議員の政治資金パーティーに出席した際、「復興以上に大事なのは高橋さん」などと発言したことが問題視されていた。 2019年2月にも競泳の池江璃花子選手の白血病公表に、「金メダル候補ですから。日本が本」との当に期待している選手ですから、本当にがっかり」とコメント。不適切との指摘を受けていた』、思い出したがつまらない事件だった。
・『2019年10月:東京五輪のマラソン会場が札幌に  IOCは2019年10月16日、東京五輪のマラソン・競歩の会場を東京から札幌へ移す方針を表明した。 この方針は酷暑を懸念したものであると、説明されている。 小池百合子・東京都知事は「都として札幌開催には同意できないが、IOCの決定は妨げない。あえて申し上げるなら合意なき決定」とコメントしていた。 IOC、国、東京都、大会組織委員会の協議を経て、札幌への会場変更が正式に決定。 IOCのトーマス・バッハ会長はこの決定について記者会見で「日本の方々は少しも心配する必要はない。日本で開催されるのだから、とても喜ぶことができる」と述べた』、「札幌」では、「市民も楽しみにしていた札幌マラソンは2年連続で中止が決まったのに、オリンピックのマラソンだけ強行されるなんて納得がいかない」、との声も。
・『2020年3月:新型コロナで1年延期に  2020年夏の開催が目前に迫った3月24日、政府は新型コロナウイルス感染症の感染拡大を理由に、東京五輪の1年延期を決定したと発表した。 五輪の124年間の歴史の中で、戦時中の1916年、1940年および1944年に大会が中止されたことはあったが、大会そのものが延期されるのは史上初。 安倍首相(当時)はIOCのバッハ会長と「遅くとも2021年夏までに開催する」ことで合意したと説明した』、
・『2021年2月:女性蔑視発言で森喜朗会長が辞任  大会組織委員会の森喜朗会長(当時)は2021年2月、JOC評議員会で「女性がたくさんいる会議は長くなる」と発言し、批判が殺到した。 森氏は2月4日、自身の発言について「オリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切な表現であった」と謝罪し、撤回。 記者会見では記者に「おもしろおかしく書きたいだけだろ」と噛み付く場面もあった。 批判が収まることはなく、2月12日、森氏は大会組織委員会会長を辞任する意向を示した。 しかし、辞意を表明した場で自身の発言について「私はそういう意図でものを言ったわけじゃないんだが」とコメント。「意図的な報道があった」とも語り、反省した様子はなかった』、24日の読売新聞によれば、「森喜朗氏を「名誉最高顧問」に…五輪組織委で浮上、幹部「首相官邸にダメと言われた」、いまだにJOC内ではこうした動きもあるとは恐れ入った。
・『2021年3月:容姿を侮蔑する企画を提案、開閉会式の統括が辞任  東京オリンピック・パラリンピックの開閉会式の演出を統括するクリエイティブ・ディレクター佐々木宏氏(66)が、タレントの渡辺直美さんの容姿を侮辱する不適切な演出案を発案していたと週刊文春が報じたことを受け、辞意を表明した。 演出案は、豚の格好をした渡辺さんを「オリンピッグ」として登場させるというもので、演出チームのメンバーの反対で取り下げられた。文春オンラインは、その際のLINE上のやりとりを公開していた。 佐々木氏は「ご不快な思いをさせてしまった」「自分の意識の低さ、無神経さにあらためて、気づいた」などとする謝罪コメントを組織委員会を通じて発表した。 自身の容姿を侮蔑する演出案が出されていた中、タレントの渡辺直美さんは吉本興業を通じて「正直驚いています」「私自身はこの体型で幸せです」とコメントした』、電通出身の「クリエイティブ・ディレクター」が、「オリンピッグ」とは、貧弱なおやじギャグそのもので、程度の低さに驚かされた。
・『2021年3月:聖火リレーがスタート、辞退続出  東京五輪は開催できるのか、疑問の声も上がる中で3月25日、聖火リレーがスタートした。 しかし、スケジュールの都合などから著名人の参加自体が続出。 加山雄三さん、斎藤工さん、黒木瞳さん、TOKIO、広末涼子さん、香川照之さん、藤井聡太さんらが辞退した また、田村淳さんは組織委員会の森喜朗氏の「オリンピックはコロナがどんな形であっても開催するんだ」という発言を受け、聖火ランナーを辞退したことを発表している』、蜜回避のため応援もできないのであれば、「辞退続出」も当然だ。
・『2021年6月:専門家「開催にともなうリスクかなりある」  26人の感染症対策の専門家らは6月18日、東京五輪を来月から開催した場合の感染拡大リスクに関する独自の提言を、政府と大会組織委員会に提出した。 提言は、「無観客での開催が最もリスクが少ない」とし、もし観客を入れる場合は、現在のイベント開催基準よりも厳しい基準を採用するべきだと説明。 首都圏の人の動きはすでに増加傾向であることや夏は旅行や帰省などで人の動きが活発化することを踏まえ、五輪がなかったとしても、感染が比較的落ち着いている地域においても急な感染拡大のリスクがあると分析した。 今夏の五輪開催をめぐっては、政府分科会の尾身茂会長は国会で「今の状況でやるというのは普通はない」「なら強い覚悟で」と答弁している。 感染拡大に伴い政府は東京都に対し、4度目の緊急事態宣言を発出。7月には首都圏や福島県などで五輪の無観客開催が決定した』、「尾身茂会長」のせめてもの抵抗だったようだ。
・『2021年7月19日:開会式の作曲担当、小山田圭吾さんが辞任  東京オリンピック・パラリンピックの開会式に作曲担当として参加していたミュージシャンの小山田圭吾さんが7月19日、辞任の意向を表明した。 小山田さんは音楽誌「ロッキング・オン・ジャパン」の1994年1月号に掲載されたインタビューで、中学時代に障害のあるクラスメイトなどをいじめていた経験について語っている。 性的な暴行も含む苛烈ないじめを「武勇伝」として披露したかのような内容に改めて注目が集まり、抗議の声が広がった。 小山田さんは7月16日、「学生時代、そしてインタビュー当時の私は、被害者である方々の気持ちを想像することができない非常に未熟な人間であったと思います」などと謝罪。 19日に組織委員会に辞任の申し出をしたことを明かした。 組織委員会は当初、「我々は現在は高い倫理観を持って創作活動するクリエーターと考えている。開会式準備における貢献は大きなもの」とし、留任する方針を示していた。 しかし、本人からの辞任の申し出を受け、この方針を撤回。辞任を受け入れた』、「組織委員会」が当初「留任する方針を示していた」とは情けない。
・『7月20日:関連プログラムに出演予定の絵本作家が出演辞退  東京五輪・パラリンピックの公式文化プログラム「東京2020 NIPPONフェスティバル」の1つに出演を予定していた絵本作家のぶみさんが、出演を辞退した。 中学生の時に教師に腐った牛乳を飲ませたことなどを自伝に記しており、SNSで批判が集まっていた。 『ママがおばけになっちゃった!』『このママにきーめた!』など、絵本の内容についても疑問視する声があがっていた。 公式サイトには「※のぶみさんご本人のご意思により出演は辞退されました」というメッセージが掲載された』、なるほど。
・『7月22日:開閉幕式の演出担当者、ユダヤ人虐殺をネタにしていたとして解任  組織委は開会式前日の7月22日、開会式と閉会式の演出を担当する元お笑い芸人の小林賢太郎氏を解任すると発表した。 小林氏はお笑いコンビ「ラーメンズ」時代の1998年に発売されたビデオ内のコントで「ユダヤ人大量虐殺ごっこ」と発言していた動画がネットで拡散。 米国のユダヤ系人権団体サイモン・ウィーゼンタール・センターは「だれであろうと、どんなにクリエイティブであろうと、ナチスの大量虐殺被害者をあざ笑う権利はない。この人物が東京五輪に関与することは、600万人のユダヤ人の記憶への侮辱であり、パラリンピックを冷酷にあざ笑うことを意味する」との声明を出していた。 組織委の橋本聖子会長は22日の会見で「開会式が目前に迫る中、多くの関係者、国民、都民にご心配をお掛けしたことを深くおわびする」と謝罪した。 組織委の小林賢太郎氏解任発表に合わせ、記事内容をアップデートしました』、この件をサイモンウィーゼンタールセンターに通報したのは、中山泰秀・副防衛相だったようだ。いずれにしても、よくぞこんなに次々に出てくるものだ。

第三に、7月27日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した国際ジャーナリスト・外交政策センター理事の蟹瀬誠一氏による「無観客でも五輪開催を強行、IOCの「金と欲望の歴史」とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/277728
・『コロナに勝った証しという東京オリンピックの誇大広告  新型コロナウイルスの恐怖と灼熱(しゃくねつ)の日差しの中で、1年遅れの2020東京オリンピックが始まってしまった。「始まってしまった」とあえて書いたのは、その開催目的がいまだに釈然としないままだからだ。 当初、安倍前首相や菅首相は復興五輪、コンパクト五輪を訴えていたが、いつのまにか看板が「人類がコロナに打ち勝った証し」や「安心・安全」にすり替えられている。 ならばなぜ無観客なのか。緊急事態宣言下でも選手村で感染者や濃厚接触者が相次いでいるではないか。国立競技場ではスタッフとして働く外国人による性的暴行事件まで起きている。 そもそも東京オリンピック開催がなぜ人類がコロナに勝った証しといえるのか。世界ではまだ感染が拡大している地域も多い。こういうのを誇大広告、あるいは事実誤認というのだろう。 近代オリンピックの始まりは1896年、フランスのクーベルタン男爵が古代ギリシャの平和の祭典を復興させようと提唱したことからだった。その基本精神はアマチュアリズムとフェアプレーである。 しかし時がたつにつれ、ふたつの世界大戦の影響もあり、政治が大きく影を落とすようになる。 例えば、ミュンヘン大会テロ事件やアフガン戦争中の東西の出場ボイコット合戦だ。ヒトラー政権下ではベルリン大会が露骨な国威発揚に利用された。聖火リレーはこの時から始められ、後日そのルートをドイツ国防軍が侵攻のために使ったという逸話さえある』、「そもそも東京オリンピック開催がなぜ人類がコロナに勝った証しといえるのか。世界ではまだ感染が拡大している地域も多い。こういうのを誇大広告、あるいは事実誤認というのだろう」、少なくとも「人類がコロナに勝った証し」は破廉恥過ぎるので、もう使うのは止めてほしい。
・『オリンピックの「黒い輪」を受け継いだバッハ会長  最大のターニングポイントは1984年のロサンゼルス大会だろう。財政がひっ迫したIOCはメジャーリーグ(MLB)コミッショナーで商売上手のピーター・ユベロスを大会組織委員長に抜てきし、企業スポンサーを認め、観客を呼べるプロ参加を解禁、人気競技優先し、テレビ放送権料やスポンサー企業から莫大な協賛金を集めたのだ。聖火ランナーまで有料だった。 これを境に平和の祭典は世界最大のショービジネスと化したのである。 当時、私は開会式を取材していた。抜けるような青空だった。ロナルド・レーガン米大統領による開会宣言、ジェット・パックを背負った宇宙飛行士によるスタジアム内の飛行、数え切れないほどのピアノによるラプソディ・イン・ブルーの同時演奏。ハリウッド顔負けの豪華な演出はメモリアル・スタジアムに集まった10万人の観客を魅了した。 しかし、その華々しいスペクタクルはオリンピックが権力と金とクスリにまみれた商業イベントに堕落した虚飾の祭典だったのだ。 ロス五輪は税金を使わず400億円の黒字で終了した。そのため「オリンピックはもうかる」との思惑から立候補都市が急増。過度な招致合戦によるIOC委員に対する接待や賄賂、より派手なパフォーマンスを狙った選手のドーピングなどの問題が表面化した。 そんなオリンピック・ビジネスの頂点に立ってぜいたくざんまいで我が世の春を謳歌(おうか)していたのが国際スポーツの帝王で、国際オリンピック委員会(IOC)会長として21年間君臨したスペインのファン・アントニオ・サマランチだったのである。 彼のそばで甘い汁を吸っていた黒幕がいた。国際サッカー連盟(FIFA)会長であるブラジルのジョアン・アヴェランジェと、オリンピックの花形である陸上競技の世界を操るボス、イタリアのプリモ・ネビオロ国際陸上競技連盟(IF)会長である。彼らはオリンピック・マフィアとさえ呼ばれた。 そんな「黒い輪」をサマランチから受け継いだのがベルギーのジャック・ロゲ会長であり、現在のドイツのトーマス・バッハ会長なのだ。米ワシントン・ポスト紙記者が彼のことをコラムで「ぼったくり男爵」と呼んだのもうなずける。 そんな商業五輪の醜い裏舞台は2人の英国人ジャーナリストによって出版された『The Lords of the Rings(オリンピックの貴族たち)』(1992年)で余すところなく暴露されているから、興味のある方は一読をお勧めする』、「ロス五輪は税金を使わず400億円の黒字で終了した。そのため「オリンピックはもうかる」との思惑から立候補都市が急増。過度な招致合戦によるIOC委員に対する接待や賄賂、より派手なパフォーマンスを狙った選手のドーピングなどの問題が表面化した」、「権力と金とクスリにまみれた商業イベントに堕落した虚飾の祭典だった」、なるほど。
・『大きな経済効果という幻想と肥大化の弊害  肥大化の弊害も現れた。ホスト国の政治家はオリンピックが大きな経済効果をもたらすと主張したが、大金を投じて建設した五輪競技会場やホテルなどは大会後に需要が激減し「負の遺産」として開催都市に重くのしかかった。2016年開催されたリオ五輪にいたってはスタジアムや五輪公園もすでに廃虚と化している。五輪開催に手を上げる都市が減っているのは当然だろう。 2004年のアテネ五輪を取材したとき驚かされたのは報道陣の多さだった。世界のトップ・アスリートが集まるのだから当然といえばそれまでだが、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、通信社などの記者や技術者が集まった市内の特設プレスセンターは、少し大げさに言えばデパートのバーゲン会場のようだったのである。 調べてみたら、1912年のストックホルム大会のときのジャーナリストの数はわずか500人ほど。それがアテネでは1万2000人以上に膨れ上がっていた。加えて同じ数ほどのプロデューサーや放送技術者がいたから合計2万人以上。混雑は当たり前だった。 参加選手の数は1万500人だから、選手1人に2人のマスコミがいた勘定になる。テレビメディアと五輪が今や運命共同体となっていることを如実に表す数字だ。 バルセロナ大会で合計2万時間だった放送時間はシドニーで2万9600時間、そして世界から約300のテレビ局が集まったアテネでは3万5000時間に達した。これはもうテレビが五輪を乗っ取ったと言ってもいい。 「オリンピックは世界最大の広告宣伝媒体だ」  バルセロナ大会の開会式などをプロデュースしたルイス・バセット氏は、そう言ってはばからなかった』、「アテネでは」「選手1人に2人のマスコミがいた勘定になる」、「テレビが五輪を乗っ取ったと言ってもいい」、なるほど。
・『IOCにひれ伏し開催に踏み切る日本政府  五輪をテレビで見たという人の数は、ロサンゼルス大会が25億人。それがアトランタでは40億人に膨らんだ。 パルテノン神殿など極めてテレビ的な世界遺産の存在と、ヨーロッパ、米国にとって放送に都合がいい時差のおかげで、アテネ大会の視聴者数はさらに増えただろう。広告主にとってこんな有り難いことはあるまい。 競技スケジュールも、選手のコンディションではなく米国のテレビ放送時間に合わせて組まれるようになった。アスリートファーストなど虚構でしかない。 今やIOCの収入の5割がテレビ放映権、そして3割以上がスポンサー収入。チケット収入の占める割合は1割にすぎない。 アテネのテレビ放送権料はシドニーを上回る14億7000万ドル(1617億円)。このうち51%がIOC、40%がアテネ市に振り分けられたから、チケットなど売れなくてもよかったのだ。 選手のウエアやシューズは企業ロゴだらけ、記者会見場の背景にもスポンサーのロゴ入りボードが必ずといっていいほど置かれている。目に余る商業主義がオリンピック組織の腐敗を引き起こしている。 平和の祭典オリンピックがこれでいいわけがない。金と欲にまみれたメダル競争はいったい誰のためなのか。 ところが、国民の8割近くの反対の声を封殺し、数多くの飲食店を見殺しにした上、東京都も日本政府もIOCという「五輪クラブ」にただひれ伏して多額の税金を賭してまで無観客開催というぶざまな五輪開催に踏み切った。海外からの観光客も期待外れだ。 2020東京五輪の評価はこれからだが、世界中がウイルスと地球規模の闘いを繰り広げているさなかに開催された「コロナ・ゲームズ」として歴史に記されることは間違いない』、「国民の8割近くの反対の声を封殺し、数多くの飲食店を見殺しにした上、東京都も日本政府もIOCという「五輪クラブ」にただひれ伏して多額の税金を賭してまで無観客開催というぶざまな五輪開催に踏み切った。海外からの観光客も期待外れだ。・・・世界中がウイルスと地球規模の闘いを繰り広げているさなかに開催された「コロナ・ゲームズ」として歴史に記されることは間違いない」、最後の部分は嫌味たっぷりだが、全く同感である。
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