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金融業界(その15)(地方銀行の合従連衡を妨げる"みずほ"の呪縛 フィデアHDと東北銀 経営統合破談の舞台裏、上司が10億円融資を白紙に…銀行員はつらいよ 現役メガバンク行員の赤裸々日記、半年で3例 地銀の「県内再編ドミノ」は終わらない 地銀最大手の横浜銀が神奈川銀を子会社化へ) [金融]

金融業界については、昨年5月25日に取上げた。今日は、(その15)(地方銀行の合従連衡を妨げる"みずほ"の呪縛 フィデアHDと東北銀 経営統合破談の舞台裏、上司が10億円融資を白紙に…銀行員はつらいよ 現役メガバンク行員の赤裸々日記、半年で3例 地銀の「県内再編ドミノ」は終わらない 地銀最大手の横浜銀が神奈川銀を子会社化へ)である。

先ずは、昨年6月6日付け東洋経済オンライン「地方銀行の合従連衡を妨げる"みずほ"の呪縛 フィデアHDと東北銀、経営統合破談の舞台裏」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/594421
・『本業がじり貧に陥り、年々体力を低下させる「構造不況」が定着している銀行業界。一部の地域銀行では経営統合に踏み切ったものの、多くの地銀は依然として業務提携という名の“不可侵条約”を周囲の銀行と結び、自分たちの営業エリアを守ることに終始している。 6月6日発売の『週刊東洋経済』6月11日号では「瀬戸際の銀行」を特集。金融のデジタル化によって、銀行に求められる役割や存在感が急速に低下する中で、今後のあるべき姿とは何なのか。模索を続ける銀行業界の実情に迫った』、「業務提携」が事実上「“不可侵条約”」として機能しているようだ。
・『フィデアHDに君臨する「最高権力者」  「真摯に協議を進めたものの、互いの戦略を理解し、共有することができなかった」 2022年2月、東北銀行の村上尚登頭取は岩手県盛岡市で記者会見し、フィデアホールディングスとの経営統合の基本合意を解消すると硬い表情で発表した。 その半年余り前、村上氏は「本業利益を拡大させていくには、提携から一歩踏み込んで(フィデアと)合流する必要がある」とまで言い切っていた。にもかかわらず、いったいなぜ“婚約破談”に至ったのか。 その背景を探る中で見えてくるのは、“みずほ”の影だ。 そもそも、荘内銀行(山形県鶴岡市)と北都銀行(秋田市)を傘下に持つフィデアと東北銀は、2018年に包括業務提携を結んで、ATMの利用手数料を相互に無料化するなど、連携を深めてきた。 その一方で、東北地方では2021年5月、青森銀行とみちのく銀行が経営統合で基本合意したと発表し、地方銀行再編の大きなうねりが生まれていた。) その動きに触発されたかのように、2カ月後の21年7月に東北銀は拙速ながらも、フィデアとの経営統合交渉に踏み切ったわけだ。 東北銀の幹部によると、「銀行業に対する価値観がフィデアとはまったく違うので、(統合交渉は)当初から破談への不安が強かった」という。  実際にその予感は的中した。顧客情報などをフルに活用した広域での営業体制を志向するフィデアと、地元の中小企業に密着した金融サービスを貫く東北銀とでは、当初からなかなか話がかみ合わなかったのだ。それでも、東北銀の村上氏はフィデア側に「何とか歩み寄ろうと試行錯誤していた」(前出の幹部)という』、「顧客情報などをフルに活用した広域での営業体制を志向するフィデアと、地元の中小企業に密着した金融サービスを貫く東北銀とでは、当初からなかなか話がかみ合わなかった」、これでは乗り越えるのは、よほどの幸運に恵まれる必要があり、やはり乗り越えられかったようだ。
・『”上から目線”の取締役会議長  「理解できない」。2022年に入ると、村上氏はフィデアについて周囲にそう漏らすようになる。 その言葉はフィデアという会社に対してだけでなく、かつてみずほ銀行頭取を務め、現在はフィデアの社外取締役を務める西堀利(さとる)氏に対してのものでもあった。 フィデアの関係者によると、西堀氏は「村上氏に、銀行業のあり方などをかなり“上から目線”で説くようなことがあった。そうした姿勢を含めて、こういう人間がいる銀行とは組めないとなったのではないか」と話す。 とはいえ村上氏としては、口うるさい一人の社外取の発言に、いちいち神経質になっていたわけではないだろう。 フィデアにとって西堀氏は「取締役会議長であり、指名委員会の委員長も務め、旧富士銀行出身の田尾祐一社長の先輩でもある、まさに“最高権力者”」(フィデアの関係者)なのだ。 その最高権力者の考えや方針を理解できなければ、経営統合など当然ありえないわけだ。 その西堀氏は、6月の株主総会を経て社外取から非業務執行の社内取締役に移る見通しだ。まさか指名委員会の委員長として、自らの人事案の決議に参加してはいないだろうが、ガバナンス上はたして問題はないのか。 企業統治に詳しい川北英隆・京都大学名誉教授は、西堀氏が2015年からフィデアの社外取を務めていることから「社内取に移るのであれば、もっと早い段階が適切だった。自らの人事の議論に参加しなかったとしても、影響を及ぼしたとみるのが普通で、透明性のきわめて低い人事だ」としている』、「フィデアにとって西堀氏は「取締役会議長であり、指名委員会の委員長も務め、旧富士銀行出身の田尾祐一社長の先輩でもある、まさに“最高権力者”」(フィデアの関係者)なのだ」、「西堀氏は「村上氏に、銀行業のあり方などをかなり“上から目線”で説くようなことがあった。そうした姿勢を含めて、こういう人間がいる銀行とは組めないとなったのではないか」、これでは、「こういう人間がいる銀行とは組めない」となったのだろう。さらに「西堀氏が2015年からフィデアの社外取を務めていることから「社内取に移るのであれば、もっと早い段階が適切だった。自らの人事の議論に参加しなかったとしても、影響を及ぼしたとみるのが普通で、透明性のきわめて低い人事だ」としている」、「フィデア」側にも問題があるようだ。
・『トラウマの経営統合  みずほ銀出身者によって再編が進まないという事例は、ほかにもある。静岡銀行と名古屋銀行の経営統合を前提としない包括業務提携が、まさにそうだ。 名古屋銀を提携に駆り立てたのは、2021年12月に発表された愛知銀行と中京銀行の経営統合だ。両行が組めば、貸出残高で愛知県トップの座を「愛知+中京」連合に譲り渡すことになる。 両行の最終合意発表が翌月に迫っていた2022年4月27日、名古屋銀は地銀上位行である静岡銀との包括業務提携を発表。製造業が多い静岡と愛知において両行の企業支援の知見・ノウハウを共有し、環境規制など産業構造の変化に対応していく狙いだと説明した。 名古屋銀の藤原一朗頭取は、記者会見で「愛知銀と中京銀の経営統合を意識したのか」と問われると、「ありません」と一蹴し、それ以上言葉を続けなかった。 ただ、経営統合はしないという方針について質問されると、途端に「前職時代に経営統合を経験した。現場にいて大変だったという思いがある」と生々しい記憶を吐露したのだ。 藤原氏の「前職」は日本興業銀行で、「大変だった経営統合」とは、3つの母体銀行による内部抗争とシステム障害を繰り返してきた、みずほ銀のことである。 経営統合や合併が、経営陣や現場の行員にどれだけの苦しみをもたらすのか。藤原氏の20年越しの思いからは、それが垣間見えるようだった』、「前職時代に経営統合を経験した。現場にいて大変だったという思いがある」と記者会見で発言したのは、いささか軽率だが、よほど身に染みているのだろう。

次に、2月7日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した現役行員の目黒冬弥氏による「上司が10億円融資を白紙に…銀行員はつらいよ、現役メガバンク行員の赤裸々日記」を紹介しよう。
・『地方転勤は前日に通達。ようやく取り付けた大口融資も上司の好み一つで白紙に。金融庁も厳しく批判する銀行の企業風土はこうして形成された。業界の伝統や上司の機嫌に振り回され続けた苦労の日々を、現役行員が赤裸々に語る。本稿は、目黒冬弥『メガバンク銀行員ぐだぐだ日記』(三五館シンシャ)の一部を抜粋・編集したものです』、興味深そうだ。
・『子どもが生まれるまで1カ月。しかし……『人事異動は突然に』  銀行の人事異動はほぼ毎月のようにある。大きな異動なら、4月、7月、10月。とくに7月は昇格も影響し、人が大きく動く。200~300人が民族大移動する。小さな異動でも月50~60人。銀行員の宿命とはいえ、引っ越しもたいへんだし、家族がいれば、子どもの転校や奥さんのパートの退職もある。同僚の子どもは小学校を3回転校した。家具は傷むし、異動先で使えない家電の買い替えなど負担は大きい。 午前9時、支店長からの内線電話だった。今すぐに課長と一緒に支店長室に来いと言う。 転勤だ。すぐにピンとくる。背広の上着を羽織り、村石課長とともに支店長室に向かう。 「私、もしかして転勤ですか?」 廊下を歩きながら、おそるおそる課長に尋ねる。 「この時間に呼ばれるなら、そうやろな」 支店長室に入る。 「目黒、おめでとう。異動だ。九州の宮崎中央支店だ。今と同じ営業だ。前任者は課長代理で、産業調査部に行くらしい。おまえはその後任だ。相当、期待されるぞ。頑張ってこい」 銀行内で異動は機密情報だ。もし異動の時期や行き先があらかじめわかっていれば、不祥事の隠蔽などがなされる可能性がある。だから人事異動は秘密裡に計画・遂行される。本人への通達も突然だ。 私にとっても九州への異動は唐突な知らせだった。銀行員になったからには覚悟していることではあるが、このときの私にはひとつだけ気がかりがあった。妻がちょうど臨月を迎えていたのだ。 「あと1カ月で子どもが生まれるんですが……」 「そんなことは知らん。おまえが産むわけじゃなかろう。明日の朝から行け」 異動先は都市圏内ではない。しかも一度として訪れたこともない場所だ。身重の妻になんと伝えればいいのか。そんなことを考えて呆然としていた。 「ありがとうございました。お世話になりました」 たとえ思いどおりの異動先でなくても、そう言うのが礼儀だ。 支店長室から出ると、フロアにいる全員の注目が集まる。 「異動やろ? どこ行くん?」 「宮崎中央支店です」 「へー、おめでとう。よかったな」 これも、そう会話するのがお決まりである。人事異動の話は瞬く間に行内に広まる。こういう話に限って、伝達スピードはピカイチな組織だ。) 3時をすぎると、まず行く先の宮崎中央支店の支店長に電話する。 「本日の異動発令でこれからお世話になる目黒です。よろしくお願いします」 「ああ、目黒君だね。期待してるよ」 支店長の後、同じ電話を副支店長に、さらに課長に、総務担当の女性行員の順番に……一度切ってはまたかけるを繰り返す。順番にまわしてもらえばいいと思うが、無駄に思えるこの作業も銀行の恒例行事だ。 次の支店にいつから赴任するのかは副支店長同士が話し合って決める。しかし、今回はもう明日と言い渡されてしまった。 日常業務の引き継ぎもそこそこにまずは飛行機を予約する。 身重の妻に一緒に来てくれなどと言うのは無理だ。私は単身で宮崎に行くことに決めた』、「前任者は課長代理で、産業調査部に行くらしい」、かなり出来のいい人間の後釜とは大変だ。
・『宮崎への単身赴任から1年後、『10億円融資』が支店長の一声で…  いつもの独身寮での夕食時だった。 「桜田工業の融資案件、10億円掴めそうなんです」 諏訪君がそう切り出した。 「10億? 本当かよ?」 寮内最年長の課長代理・西山さんが食べているごはん粒を吐き出しながら驚く。 諏訪君によると、桜田工業に足繁く通い、社長の信頼を得ることができ、メインバンクで決まっていた融資案件のうちの半分10億円の貸付をF銀行に分けてもらえることになったというのだ。いつもの暗い夕食の場が一気に活気づいた。 今月、宮崎中央支店では融資残高の目標にあと3億円足りていなかった。 営業マンにとって目標達成はミッションである。各メンバーが自身に課された目標を達成することでチーム(支店)の目標が達成される。支店の業績の良し悪しで賞与の査定はまったく変わるし、自分自身の評価も大きく左右される。宮崎中央支店というチームの中で誰かがコケれば、その穴を誰かが埋めなければならない。自分がコケるわけにはいかない。営業マンはどうやったら目標を達成できるのかばかりを考えている。 「目黒、おまえ、融資残高増強の推進責任者だろ。支店全体の融資残高の目標、あとどのくらいだ?」西山さんがそう問う。 「おおよそ3億円足りないくらいかと」 「そうか、諏訪の案件で一発逆転だな!」西山さんの鼻息が荒くなる。 諏訪君がモジモジしながら口を挟む。 「これから稟議を書くんです。僕、こんな大きな案件の稟議、書いたことなくて自信ないんです」 「大丈夫だ。心配するな。みんなで手分けしよう。いいよな、村上、目黒」 私より2歳上の村上さんと一緒にうなずく。 「よし、2日で仕上げるぞ。村上は業績推移表を作ってくれ。目黒は担保になる不動産の評価を頼む」 「明日の午前中、桜田工業の近くを通りますから、写真を撮って評価報告を作ります」私は即答する。 「よしっ! 俺は稟議書の骨子を書き上げる。諏訪は意見を書け。おまえがどんだけこの案件をやりたいか、気持ちこめて書けよ」 「はい、もちろんです!」 諏訪君の目の色が変わった。独身寮に入寮してから1年弱。寮生4人がこんなにも熱く語り合ったのは初めてだった。同僚とともに大きな仕事に取り組めることに私の心も沸き立っていた。われわれはワンチームだった。 翌日の夕方の報告会、寺川支店長がいつものように罵声を飛ばしたが、まったく耳に残らなかった。そんなことよりも私たち4人には立ち向かう目標があった。 早く仕上げたい。その一心で4人は寮のリビングで徹夜で稟議を仕上げた。一人でやれば1週間はかかる作業が、2日で終わった。完成した稟議書は私の目から見ても完璧なものだった。 その翌朝、矢野課長は机の上の稟議書を見て、目を丸くした。 「これ、この前話してた桜田工業の設備資金だろ? 諏訪、よく書けたな」 課長はあっという間に回覧印を押し、副支店長にまわした。副支店長も同じリアクションですぐに回覧した。その様子を見た西山さんが親指を立てるのを見て、お互いに顔を見合わせて笑った。 10億円くらいの融資金額になると、地方支店の支店長に権限はなく、本部の審査部が決裁する。支店がアクセルを踏むところに、ブレーキをかけるのが審査部の役目だ。われわれはそこがヤマになると踏んでいた。審査部を突破できるかどうか……。 その日の夕方、寺川支店長が矢野課長と諏訪君を呼びつけた。 「この稟議だけどな、10億は貸しすぎじゃないか」 その声がフロアに響いてきて、私は耳を疑った。朝夕の報告会で融資残高を上げろと発破をかけているのは寺川支店長だったからだ。 「桜田工業はメイン行で20億円の支援が決まっていたんですが、なんとか半分食い込めたんです」 諏訪君が必死で状況を報告する。 「そうか、それならメイン行で全部借りたらいい。これはやめよう。断ってこい」 「あの……支店長………」 諏訪君は驚いて言葉を継ぐことができない。横にいる矢野課長はただ黙って立っている。 「俺、ここの社長、気に食わないんだよ。あの生意気な二代目だろ? アイツ、嫌いなんだ」 諏訪君の後ろ姿が耳まで紅潮していた。課長に肩を叩かれ引き下がると、真っ直ぐに部屋を飛び出していった。西山さんが走ってそのあとを追った。 虚しさと悔しさと腹立たしさと、さまざまな感情が込み上げてきた。 その晩、寮での夕食はいつもの光景に戻っていた。私は諏訪君になんと声をかければいいかわからず、ただNHKのニュースを眺めていた。 ある日、営業まわりから支店に戻ると、諏訪君が満面の笑みを浮かべ、駆け寄ってきた。 「先輩、支店長が異動です!」 支店長の異動は特別だ。まず本店の人事部から支店長へその旨連絡があり、支店長は副支店長へ伝え、そして各課の課長に下りてくる。その後、情報は部下たちに広まっていく。 「本当かよ!?」 諏訪君はそのことを直接、私に伝えたいと駐車場で待っていたという。諏訪君は2年、私は1年を寺川支店長につかえた戦友だ。 支店長の異動は“株式会社みやざきちゅうおう支店”という中小企業の社長交替と同じようなものだ。寵愛を受けていた者は落胆し、虐しいたげられていた者は歓喜する。 「本当なんだよな」と私が念を押すと、諏訪君は「夢ならこのまま覚めないでほしいですよ」と真顔で言った。 このニュースが支店中に伝わった2週間後、寺川支店長は異動していった』、融資案件に消極的な「支店長」が「転勤」とはラッキーだ。転勤まで平均在籍期間を3年とすれば、嫌な上司にも1.5年我慢すればいいことになる。これが、一般企業と比べ銀行のいいところだ。

第三に、2月9日付け東洋経済オンライン「半年で3例、地銀の「県内再編ドミノ」は終わらない 地銀最大手の横浜銀が神奈川銀を子会社化へ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/651298
・『わずか半年で3度続いた同一県内での再編劇。そこから見えた共通点とは。 「環境変化に対応し、神奈川県の発展に寄与するには、両行がグループ一体となるべきだ」 地方銀行最大手の横浜銀行は2月3日、神奈川銀行をTOB(株式公開買い付け)によって今夏をメドに完全子会社化すると発表した。買い付け金額は約82億円で、期間は2月6日から4月4日まで。同日の会見で、横浜銀の片岡達也頭取は買収の意義を強調した。 買収目的については、県内の顧客基盤拡大やソリューション営業の強化、経営資源の集約に伴うコスト削減などを挙げた。神奈川銀の近藤和明頭取も「中長期的な企業価値向上に向けて、最善の選択だ」と歓迎する。買収後も神奈川銀の看板は残し、合併はしないという。 もともと横浜銀が神奈川銀の株式を保有するなど、両行は親密な関係にあった。経営統合へ動き出したのは2022年8月。横浜銀の片岡頭取が神奈川銀の近藤頭取に提携を持ちかけ、協議を重ねるうち、営業基盤強化のためには完全子会社化が最適との結論に至った。 横浜銀は、2016年に経営統合した東日本銀行との協業深化が今も道半ばの状況にある。にもかかわらず今回の買収に踏み込んだのは、なぜなのか』、「もともと横浜銀が神奈川銀の株式を保有するなど、両行は親密な関係にあった」、「神奈川銀行をTOB・・・によって今夏をメドに完全子会社化」、TOBを使うとは異例だ。
・『相次ぐ「県内再編」に2つの共通点  大手行が同一県内の小規模地銀と経営統合を行う事例は、2022年来相次いでいる。2022年9月には長野県首位の八十二銀行が長野銀行と、同年11月にはふくおかフィナンシャルグループ(FFG)が福岡中央銀行と経営統合を行うと発表した。 それぞれの統合事例には、2つの共通点がある。 1つは当事者の業績が好調なことだ。横浜銀の片岡頭取は「統合効果は1、2年では出てこない。両行の業績が堅調な状況で先手を打つ」と話す。長野銀や福岡中央銀も、先行きの不透明感を挙げていた。 コロナ禍からの再建や脱炭素、デジタル化など、取引先企業のニーズが多様化する中、小規模地銀には課題解決ノウハウが限られる。経営体力が残されているうちに地元の大手行と手を結び、コンサル機能の育成や経営の効率化につなげる。 もう1つの共通点は、経営統合の機関決定が2023年3月末までに行われることだ。長野銀は3月の臨時株主総会で経営統合を決議する予定。FFGと福岡中央銀も、3月に最終契約を交わす。 背景には日本銀行による再編推進策がある。日銀は経営統合を行う地銀に対し、日銀への当座預金の金利を3年間上乗せする措置(特別付利)を講じている。2023年3月末までに機関決定を済ませることが条件だ。 機関決定の定義は「『原則』株主総会」とされている。ただし、総会決議が4月以降になったからといって、即座に適用対象から外れることはないもようだ。 日銀の措置が業績にもたらす影響は小さくない。横浜銀の2022年9月末時点の現預金は4.8兆円。うち約9割が日銀当座預金とみられ、年間40億円強の利息収入が付与される計算だ。 相次ぐ再編について金融庁幹部は、「特別付利制度が効いている」と評する。片岡頭取は「今年度末が締め切りだと理解している。(神奈川銀の買収に向けて)最後に背中を押す部分はあった」と認める。 このほか、経営統合の過程でシステム統合や店舗統廃合を進めた場合にも、国から最大で30億円が補助される。各種の資金支援が一連の再編を後押しした側面は、大いにあるだろう』、「2つの共通点」、「1つは当事者の業績が好調なこと」、「小規模地銀には課題解決ノウハウが限られる。経営体力が残されているうちに地元の大手行と手を結び、コンサル機能の育成や経営の効率化につなげる」、「あと1つは」、「日銀」の「特別付利制度」で、「横浜銀」の場合、「国から最大で30億円が補助される。各種の資金支援が一連の再編を後押しした側面は、大いにあるだろう」、「特別付利制度」は強いインセンティブだ。
・『金利上昇がさらなる再編の起爆剤に  特別付利制度は3月末で終了する一方、今後は新たな要素が地銀再編の起爆剤となる可能性がある。国内の金利上昇だ。 日銀は2022年末、長期金利の上限を引き上げた。今後、政策金利の引き上げやマイナス金利政策の撤廃が行われれば、銀行にとっては貸出金利の上昇を通じて収益の改善へとつながる。貸出金残高が多いほど収益が増えるため、経営統合による規模拡大を求める動機が生まれる。 実際、横浜銀の片岡頭取は「金融政策変更が(今回の買収の)きっかけではないが、そうした動きも含めながら最終判断に至った」と話す。神奈川銀の近藤頭取も「金利が上がると、規模のメリットはかなりの収益力の差になる」と応じた。 この点、経営統合の効果として、横浜銀が調達した資金を神奈川銀に振り向ける、といった機動的な資金融通も期待できそうだ。 神奈川銀は2021年3月、優先株を発行して横浜銀などから20億円を調達した。コロナ禍の影響を被った取引先への融資を積極化した結果、自己資本比率が低下する懸念が生じたためだ。横浜銀の子会社となれば、財務面で後ろ盾を得られる。「積極的に融資を伸ばしていける」(近藤頭取)。 2行以上の地銀が併存する都道府県はまだ複数ある。コロナ後の生き残りや国内金利上昇を見据えた再編は、さらに続く可能性がある』、「今後は新たな要素が地銀再編の起爆剤となる可能性がある。国内の金利上昇だ。 日銀は2022年末、長期金利の上限を引き上げた。今後、政策金利の引き上げやマイナス金利政策の撤廃が行われれば、銀行にとっては貸出金利の上昇を通じて収益の改善へとつながる。貸出金残高が多いほど収益が増えるため、経営統合による規模拡大を求める動機が生まれる」、「2行以上の地銀が併存する都道府県はまだ複数ある。コロナ後の生き残りや国内金利上昇を見据えた再編は、さらに続く可能性がある」、今後も続く「再編」の行方を注視したい。
タグ:金融業界 (その15)(地方銀行の合従連衡を妨げる"みずほ"の呪縛 フィデアHDと東北銀 経営統合破談の舞台裏、上司が10億円融資を白紙に…銀行員はつらいよ 現役メガバンク行員の赤裸々日記、半年で3例 地銀の「県内再編ドミノ」は終わらない 地銀最大手の横浜銀が神奈川銀を子会社化へ) 東洋経済オンライン「地方銀行の合従連衡を妨げる"みずほ"の呪縛 フィデアHDと東北銀、経営統合破談の舞台裏」 「業務提携」が事実上「“不可侵条約”」として機能しているようだ。 「顧客情報などをフルに活用した広域での営業体制を志向するフィデアと、地元の中小企業に密着した金融サービスを貫く東北銀とでは、当初からなかなか話がかみ合わなかった」、これでは乗り越えるのは、よほどの幸運に恵まれる必要があり、やはり乗り越えられかったようだ。 「フィデアにとって西堀氏は「取締役会議長であり、指名委員会の委員長も務め、旧富士銀行出身の田尾祐一社長の先輩でもある、まさに“最高権力者”」(フィデアの関係者)なのだ」、「西堀氏は「村上氏に、銀行業のあり方などをかなり“上から目線”で説くようなことがあった。そうした姿勢を含めて、こういう人間がいる銀行とは組めないとなったのではないか」、これでは、「こういう人間がいる銀行とは組めない」となったのだろう。 さらに「西堀氏が2015年からフィデアの社外取を務めていることから「社内取に移るのであれば、もっと早い段階が適切だった。自らの人事の議論に参加しなかったとしても、影響を及ぼしたとみるのが普通で、透明性のきわめて低い人事だ」としている」、「フィデア」側にも問題があるようだ。 「前職時代に経営統合を経験した。現場にいて大変だったという思いがある」と記者会見で発言したのは、いささか軽率だが、よほど身に染みているのだろう。 ダイヤモンド・オンライン 目黒冬弥氏による「上司が10億円融資を白紙に…銀行員はつらいよ、現役メガバンク行員の赤裸々日記」 目黒冬弥『メガバンク銀行員ぐだぐだ日記』(三五館シンシャ) 「前任者は課長代理で、産業調査部に行くらしい」、かなり出来のいい人間の後釜とは大変だ。 融資案件に消極的な「支店長」が「転勤」とはラッキーだ。転勤まで平均在籍期間を3年とすれば、嫌な上司にも1.5年我慢すればいいことになる。これが、一般企業と比べ銀行のいいところだ。 東洋経済オンライン「半年で3例、地銀の「県内再編ドミノ」は終わらない 地銀最大手の横浜銀が神奈川銀を子会社化へ」 「もともと横浜銀が神奈川銀の株式を保有するなど、両行は親密な関係にあった」、「神奈川銀行をTOB・・・によって今夏をメドに完全子会社化」、TOBを使うとは異例だ。 「2つの共通点」、「1つは当事者の業績が好調なこと」、「小規模地銀には課題解決ノウハウが限られる。経営体力が残されているうちに地元の大手行と手を結び、コンサル機能の育成や経営の効率化につなげる」、「あと1つは」、「日銀」の「特別付利制度」で、「横浜銀」の場合、「国から最大で30億円が補助される。各種の資金支援が一連の再編を後押しした側面は、大いにあるだろう」、「特別付利制度」は強いインセンティブだ。 「今後は新たな要素が地銀再編の起爆剤となる可能性がある。国内の金利上昇だ。 日銀は2022年末、長期金利の上限を引き上げた。今後、政策金利の引き上げやマイナス金利政策の撤廃が行われれば、銀行にとっては貸出金利の上昇を通じて収益の改善へとつながる。貸出金残高が多いほど収益が増えるため、経営統合による規模拡大を求める動機が生まれる」、「2行以上の地銀が併存する都道府県はまだ複数ある。コロナ後の生き残りや国内金利上昇を見据えた再編は、さらに続く可能性がある」、今後も続く「再編」の行方を注視したい。
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