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日本の構造問題(その29)(「このままだと日本経済は沈没するぞ」 海外投資家が三菱UFJのCFOに放った厳しすぎる本音、「誹謗中傷大国ニッポン」ゆがんだ正義を振りかざす日本人がいなくならない理由、世界競争力ランキングで日本は35位と過去最低に 「凋落」に耳をふさぐ本当の深刻さ) [経済政治動向]

日本の構造問題については、本年5月13日に取上げた。今日は、(その29)(「このままだと日本経済は沈没するぞ」 海外投資家が三菱UFJのCFOに放った厳しすぎる本音、「誹謗中傷大国ニッポン」ゆがんだ正義を振りかざす日本人がいなくならない理由、世界競争力ランキングで日本は35位と過去最低に 「凋落」に耳をふさぐ本当の深刻さ)である。

先ずは、本年6月3日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した前三菱UFJのCFOの徳成旨亮氏による「「このままだと日本経済は沈没するぞ」 海外投資家が三菱UFJのCFOに放った厳しすぎる本音」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/323717
・『毎年平均100名近い海外機関投資家と面談しているニコン現CFOの徳成旨亮氏によると、海外機関投資家との面談で、頻繁に「君たち(日本経済・日本企業・日本人)には『アニマルスピリッツ』はないのか?」と問い質されてきた、という。 海外投資家は、日本の社会や企業経営を、血気が衰え、数値的期待値を最重視しリスクに怯えている状態にあると見ている。結果、日経平均は1989年の最高値を未だ更新できておらず、水準を切り上げ続けている欧米株と比べて魅力がないと言われても仕方がない状況だ。 この現状を打破するにはどうしたらいいか? 徳成氏は、「CFO思考」が「鍵」になるという。 朝倉祐介氏(シニフィアン共同代表)や堀内勉氏(元森ビルCFO)が絶賛する6/7発売の新刊『CFO思考』では、日本経済・日本企業・日本人が「血気と活力」を取り戻し、着実に成長への道に回帰する秘策が述べられている。本書から、一部を特別に公開する』、「日経平均は1989年の最高値を未だ更新できておらず」とあるが、6月13日にバブル後最高値を更新した。
・『「君のオフィスの設定温度は何度だ?」  2015年7月、私は三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のCFOとなって初めての海外IRを行いました。海外IRとは、諸外国に点在する投資家を訪ねて面談し、自社の戦略をアピールして最終的に株式を買ってもらう、あるいは既存株主には買い増しまたは保有継続してもらうことを目的とする活動です。 私は過去にも同社の財務企画部長として海外投資家と面談した経験がありました。その延長線上で準備した財務計数や中期経営計画に関する膨大な英文のQ&A(模範回答集)を機中で勉強しながら、最初の訪問地ロサンゼルス(LA)に向かいました。 真夏のLAで最初に訪問したのは、中堅のファンドでした。その対話の第一問がこれでした。 「君のオフィスの設定温度は何度だ?」 一瞬、質問の真意が掴めず返答に困った私に対し、そのファンドマネージャーは続けました。 「どうせ『地球にやさしく』なんていう御託を並べて、28℃設定にしてるんだろう。グーグルやアマゾンのオフィスは何度か知っているか? 21℃だぞ。人間は少し寒いくらいのほうが頭が働くんだ」 唖然としている私に彼はたたみかけます。 「君の会社は、日本の最優秀と言われる大学の卒業生のなかから、さらに優秀と言われる学生を採用しているんだろう。そうした若者のアニマルスピリッツを掻き立て、その能力を最大限に活かすことこそが、経営者の役割ではないのか? 日本は少子高齢化でこれからどんどん人口が減り人口オーナス(注:人口ボーナスの逆)で経済成長は鈍化する。そうしたなかで君の会社のような企業が、優秀な人材の能力を最大限活かさないでどうする。 有能な人材は経営にとっては資源であり資本だ。『地球にやさしく』なんて言って地球の資源を心配している場合か? 地球に負荷をかけてもいいから、最高の職場環境を準備して、自分の会社の人材に最高のパフォーマンスを出させるべきじゃないのか? このままだと、地球が滅びるはるか手前で日本経済は沈没するぞ」 このファンドマネージャーは日本株の運用を数十年も行ってきた業界では名の知れた人物で、妻は日本人、趣味は京都の寺院の庭巡りという日本通の方です。 その彼が日本の将来を憂えて、安易に平等主義やきれいごとに流れるのではなく、有為な人材には最高の職場環境を用意し、必要な教育・研修の機会を与え、同時にとことん負荷をかけて高い成果やアウトプットを求め、アニマルスピリッツを刺激する処遇制度を用意し、企業価値を高めることが企業経営者の責務ではないか? そうした議論をふっかけてきたわけです』、「日本の将来を憂えて、安易に平等主義やきれいごとに流れるのではなく、有為な人材には最高の職場環境を用意し、必要な教育・研修の機会を与え、同時にとことん負荷をかけて高い成果やアウトプットを求め、アニマルスピリッツを刺激する処遇制度を用意し、企業価値を高めることが企業経営者の責務ではないか?」との「ファンドマネージャー」の指摘は的確だ。
・『「アニマルスピリッツが失われている」と日本は見られている  2020年9月、経済産業省は「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会」の報告書(研究会で座長を務めた一橋大学名誉教授の伊藤邦雄氏にちなみ、通称「人材版伊藤レポート」と呼ばれる)を公表し、「人材」を「資本」ととらえ、人的資本の価値を創造することによって企業価値を創造していく、という概念を打ち出しましたが、その5年以上前に、西海岸の投資家から同様の課題を突き付けられたわけです。 この「オフィスの設定温度論争」をしかけてきた投資家を含め、資本市場の最前線で過去面談したグローバル投資家から、私が繰り返し言われてきた言葉があります。「君たち(日本企業、日本の経営者、日本人)には、『アニマルスピリッツ』はないのか?」というフレーズです。 アニマルスピリッツとは何か? それは、「実現したいことに対する非合理的なまでの期待と熱意」のことです。 英国の経済学者ジョン・メイナード・ケインズの代表的著書である『雇用・利子および貨幣の一般理論』のなかに、不確実な状況下における意思決定に関する次のようなくだりがあります[*1]。 投機による不安定性のほかにも、人間性の特質にもとづく不安定性……(中略)……おのずと湧きあがる楽観に左右されるという事実に起因する不安定がある。……(中略)……その決意のおそらく大部分は、ひとえに血気(アニマルスピリッツ)と呼ばれる、不活動よりは活動に駆り立てる人間本来の衝動の結果として行われるのであって、数量化された利得に数量化された確率を掛けた加重平均の結果として行われるものではない。……(中略)……企業活動が将来利得の正確な計算にもとづくものでないのは、南極探検の場合と大差ない。こうして、もし血気が衰え、人間本来の楽観が萎えしぼんで、数学的期待に頼るほかわれわれに途がないとしたら、企業活動は色あせ、やがて死滅してしまうだろう。……(中略) 将来のはるか先まで見はるかすような期待に依拠する企業活動は、社会全体に利益をもたらすと言ってさしつかえない。だが、個人の企業心が本領を発揮するのは合理的計算が血気によって補完、支援され……(中略)……る場合だけであることは、疑いもなく経験の教えるとおりである。 つまり、企業活動の本質は、利益の見込みやリスクの確率に基づくものでなく、人間が本来持つ将来に対する期待や自然発生的な衝動にある、とケインズは言い、そうした人間の特質を「アニマルスピリッツ」と称しています。ケインズは、「企業活動は、南極探検と大差ない」とまで言っているのです。 日本の現状は、まさに「企業活動は色あせ、やがて死滅してしまう」状況に近づきつつある可能性があります。日銀が各企業の最大の株主となり、企業の新陳代謝がなく、社会全体や企業経営から血気が衰え、数値的期待値を最重視しリスクに怯えている状態、つまり「アニマルスピリッツ」が失われている状態にあると、海外投資家は見ているのです。 もちろん、日本がこうなったことにはやむを得ない事情もあります。人口減少や高齢化というデモグラフィック(人口統計学的)な変化は抗しがたいものがあり、縮小する市場のなかで仮に「アニマルスピリッツ」を無邪気にふるって失敗すると回復が困難であることは事実です。 パイが広がらないなかでは、無理をせず、安全を第一とする考え方には合理性があります。そうして、社会も企業も個人もリスク回避的になり、安全運転を重視して、成長戦略よりもコスト削減を優先してきた結果、今日の低成長と国際的な地位低下を招いたと考えられます。 また、こうした思考方法が数十年の長きにわたり続いたことから、世代を超えて、日本人および社会全体から「アニマルスピリッツ」が失われていったのだと考えることができます。 特に、本来楽観的思考やチャレンジ意欲をより持っているはずの若者世代が、人口減少や高齢化に伴う将来の生活不安、特に年金制度への不信から保守的になり、リスク回避的な行動を取るようになっていったことは、日本社会の活力をさらに失わせています。 ※この記事は、書籍『CFO思考』の一部を抜粋・編集して公開しています (徳成旨亮氏の略歴はリンク先参照)』、「人間性の特質にもとづく不安定性……(中略)……おのずと湧きあがる楽観に左右されるという事実に起因する不安定がある。……(中略)……その決意のおそらく大部分は、ひとえに血気(アニマルスピリッツ)と呼ばれる、不活動よりは活動に駆り立てる人間本来の衝動の結果として行われるのであって、数量化された利得に数量化された確率を掛けた加重平均の結果として行われるものではない」、「社会も企業も個人もリスク回避的になり、安全運転を重視して、成長戦略よりもコスト削減を優先してきた結果、今日の低成長と国際的な地位低下を招いたと考えられます。 また、こうした思考方法が数十年の長きにわたり続いたことから、世代を超えて、日本人および社会全体から「アニマルスピリッツ」が失われていったのだと考えることができます。 特に、本来楽観的思考やチャレンジ意欲をより持っているはずの若者世代が、人口減少や高齢化に伴う将来の生活不安、特に年金制度への不信から保守的になり、リスク回避的な行動を取るようになっていったことは、日本社会の活力をさらに失わせています」、なるほど。
・『【著者からのメッセージ】 私は国内外あわせて毎年平均100名前後の機関投資家の方々と、直接もしくはネット経由で面談し、自社の株式への投資をお願いしてきました。これら多くのグローバル投資家から、私が繰り返し言われてきた言葉があります。それは、「君たち(日本経済・日本企業・日本人)には『アニマルスピリッツ』はないのか?」 というフレーズです。 経済学者のジョン・メイナード・ケインズによれば、アニマルスピリッツとは、「実現したいことに対する非合理的なまでの期待と熱意」を意味します。海外の投資家たちは、日本の社会全体や企業経営から血気と活力が衰えている、つまり「アニマルスピリッツ」が日本経済から失われていると見ているのです。 この現状を覆すにはどうすればよいか? それが本書のテーマです。その答えは「CFO思考」にあると私は考えています。 「CFO(Chief Financial Officer、最高財務責任者)」と聞くと、数字のプロであり経理や資金調達に責任を負っている「経理・財務担当役員」が思い浮かぶ方も多いと思います。 しかし、欧米で「CFO」といえば、CEO(最高経営責任者)、COO(最高執行責任者)とともに3名で経営の意思決定を行う「Cスイート」の一角を占める重要職です。CFOは、投資家をはじめとする社外の多くのステークホルダー(利害関係者)に対しては、会社を代表してエンゲージメント(深いつながりを持った対話)を行い、社内に対しては、ROE(自己資本利益率)に代表される投資家の期待・資本の論理や、ESG投資家や地域社会など、異なるステークホルダーの要望を社員にもわかるように翻訳して伝え、その期待を踏まえた経営戦略を立て、それを実践するよう組織に影響を与え行動を促す、という役割を担っています。 そして、「アニマルスピリッツ」をCEOなどほかの経営陣と共有し、「数値をベースにした冷静な判断力」を持って考え、企業としての夢の実現に向け行動する、いわば企業成長のエンジンの役割を果たしています。 本書では、従来の日本の経理・財務担当役員に多く見られる「CFOは企業価値保全を第一義にすべきだ」という考え方を「金庫番思考」、「CFOは冷徹な計算と非合理的なまでの熱意を併せ持ち、企業成長のエンジンとなるべき」という考え方を「CFO思考」と呼びます。「『CFO思考』こそが、企業のパーパス(存在意義・目的)を実現させる」。これが本書の結論です。 本書でお話する内容には、企業経営に関するテーマが多く含まれています。同時に、現在、各企業において、経理、予算、財務、税務、IR、サステナビリティ・ESG、DX・ITといった分野で働くビジネスパーソン、もしくはそのような分野に興味がある方々も意識して書き下ろしました。皆さんが担当しておられるこれらの業務において、どのように「CFO思考」を発揮すればよいのかをご紹介しています。 こうした実務に携わっておられる皆さんには、グローバルで活躍できる人材として、将来日本企業と日本経済の成長のエンジンになっていただきたいと考えています。 CFOという仕事の魅力と楽しさが、一人でも多くの読者の皆さんに伝われば、それに勝る喜びはありません』、「従来の日本の経理・財務担当役員に多く見られる「CFOは企業価値保全を第一義にすべきだ」という考え方を「金庫番思考」、「CFOは冷徹な計算と非合理的なまでの熱意を併せ持ち、企業成長のエンジンとなるべき」という考え方を「CFO思考」と呼びます」、「CFOは、投資家をはじめとする社外の多くのステークホルダー(利害関係者)に対しては、会社を代表してエンゲージメント・・・を行い、社内に対しては、ROE(自己資本利益率)に代表される投資家の期待・資本の論理や、ESG投資家や地域社会など、異なるステークホルダーの要望を社員にもわかるように翻訳して伝え、その期待を踏まえた経営戦略を立て、それを実践するよう組織に影響を与え行動を促す、という役割を担っています。 そして、「アニマルスピリッツ」をCEOなどほかの経営陣と共有し、「数値をベースにした冷静な判断力」を持って考え、企業としての夢の実現に向け行動する、いわば企業成長のエンジンの役割を果たしています」、こうした真のCFOがもっと増えてほしいものだ。

次に、7月20日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの窪田順生氏による「「誹謗中傷大国ニッポン」ゆがんだ正義を振りかざす日本人がいなくならない理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/326334
・『この先も誹謗中傷はなくならないワケ  「誹謗中傷もうやめよう」「他人をおとしめるのはかっこ悪いよ」――。 そんな呼びかけが、ネットやSNSにあふれている。先日、タレントのryuchellさんが急逝されたことを受けて、生前、本人がネットやSNSで誹謗中傷を受けていたことが原因ではないかという臆測が広がったからだ。 もちろん、死の真相は永遠にわからない。ただ、芸能人や有名人がネットやSNSですさまじい誹謗中傷を受けていることも紛れもない事実であり、実際に過去には女性プロレスラーの方が、心ない誹謗中傷が原因で死に追いやられている。そのため、かねて「日本のSNSは匿名性が高いので誹謗中傷が悪質すぎる」という意見があり、それが今回再注目されている形だ。 ただ、残念ながら、いくらこのような呼びかけしたところで、日本から「誹謗中傷」が消えることはないだろう。誹謗中傷している人は自分が誹謗中傷をしているという自覚はない。むしろ、相手の間違いを指摘して言動を正してやっている、くらいにさえ思っている。 なぜこういう「ゆがんだ正義心」が生まれるのか。いろいろな意見があるだろうが、筆者は日本人が100年以上受けてきた「教育」の弊害だと考えている。 我々は物心ついた時から「ルールやマナーを守れ」「みんなに迷惑をかけるな」ということを骨の髄まで叩き込まれる。教育基本法や学校教育法の中に「規範意識の育成」ということが掲げられているからだ。もちろん、この方針自体は悪くない。 問題は「規範意識」に熱が入りすぎて「過剰」になってしまっていることだ。 ご存じの方も多いだろうが、日本の学校教育は世界的に見るとかなり特殊だ。異常に厳しいブラック校則、同じ制服、同じカバンの強制、軍隊的な部活動、そしてクラス内での「班」行動などなど、他国の子どもと比べて「規範意識の育成」を徹底的に叩き込まれる機会が多い。この「規範意識=絶対正義」という極端な教育方針を改めない限り、「誹謗中傷」は絶対になくならない。 一体なぜか』、「なぜこういう「ゆがんだ正義心」が生まれるのか。いろいろな意見があるだろうが、筆者は日本人が100年以上受けてきた「教育」の弊害だと考えている。 我々は物心ついた時から「ルールやマナーを守れ」「みんなに迷惑をかけるな」ということを骨の髄まで叩き込まれる。教育基本法や学校教育法の中に「規範意識の育成」ということが掲げられているからだ。もちろん、この方針自体は悪くない。 問題は「規範意識」に熱が入りすぎて「過剰」になってしまっていることだ。 ご存じの方も多いだろうが、日本の学校教育は世界的に見るとかなり特殊だ。異常に厳しいブラック校則、同じ制服、同じカバンの強制、軍隊的な部活動、そしてクラス内での「班」行動などなど、他国の子どもと比べて「規範意識の育成」を徹底的に叩き込まれる機会が多い。この「規範意識=絶対正義」という極端な教育方針を改めない限り、「誹謗中傷」は絶対になくならない」、なるほど。
・『匿名性が大好きな日本人の醜い現実  理由を説明する前に、大前提として日本の状況を振り返っていこう。今、日本は「誹謗中傷大国」と呼んでも差し支えないほど、社会に誹謗中傷があふれている。 もちろん、SNSで他人を心ない言葉で侮辱する行為というのは幅広い国や社会で確認されているが、日本の場合はその「量」と「陰湿さ」が抜きん出ているのだ。 まず、「量」に関しては、日本人はTwitterが世界一好きということが大きい。 22年1月の国別ユーザー数では、首位アメリカ(7690万人)に次いで日本は5895万人で世界第2位なのだが、ヘビーユーザーが圧倒的に多い。イーロン・マスク氏が先日、日本のユーザーの利用時間が世界一だとして「1人当たりの使用量だと米国の約3倍です」と述べたように、朝から晩までTwitterに何かを発信している人が世界一多いのだ。 「量」が世界一ならば当然、誹謗中傷も世界一多くなるだろう。 「なぜそんなことが言える!愛犬や赤ちゃんの写真とか好きな推しについてつぶやいている人が多いだけかもしれないだろ」と反論したくなる人も多いだろうが、その可能性は低い。日本は世界でも有数の「匿名SNS大国」でもあるからだ。 9年前のデータだが、平成26年度の情報通信白書によれば、日本のTwitterの匿名利用の割合は75.1%で、アメリカは35.7%、フランスは45%、韓国は31.5%となっている。日本人が匿名性を好む傾向は今もそれほど変わっていない。 このような「匿名文化」が誹謗中傷の「陰湿さ」に拍車をかけているのは、もはや説明の必要がないだろう。「死ね」「消えろ」「顔を見るのも不快」「気持ち悪い」などという心ない言葉を家族や隣近所、会社の同僚や上司の前で平気で言える人は少ない。しかし、自分の名前も素性も知らない人たちの前で、しかも見ず知らずの他人に対してならば、いくらでも罵詈雑言が吐けるという人はいる。 社会的地位も脅かされない、人間関係も崩れもないという「安全地帯」にいるからこそ、心ゆくまで陰湿な誹謗中傷ができて、相手を自殺に追い込むほどの粘着さも発揮してしまう、という部分は確かに存在しているのだ。 その醜悪な現実がうかがえるのが、「世界一の削除要求・開示請求」だ』、「「量」に関しては、日本人はTwitterが世界一好きということが大きい。 22年1月の国別ユーザー数では、首位アメリカ(7690万人)に次いで日本は5895万人で世界第2位なのだが、ヘビーユーザーが圧倒的に多い。イーロン・マスク氏が先日、日本のユーザーの利用時間が世界一だとして「1人当たりの使用量だと米国の約3倍です」と述べたように、朝から晩までTwitterに何かを発信している人が世界一多いのだ。 「量」が世界一ならば当然、誹謗中傷も世界一多くなるだろう」、「「匿名文化」が誹謗中傷の「陰湿さ」に拍車をかけているのは、もはや説明の必要がないだろう。「死ね」「消えろ」「顔を見るのも不快」「気持ち悪い」などという心ない言葉を家族や隣近所、会社の同僚や上司の前で平気で言える人は少ない。しかし、自分の名前も素性も知らない人たちの前で、しかも見ず知らずの他人に対してならば、いくらでも罵詈雑言が吐けるという人はいる。 社会的地位も脅かされない、人間関係も崩れもないという「安全地帯」にいるからこそ、心ゆくまで陰湿な誹謗中傷ができて、相手を自殺に追い込むほどの粘着さも発揮してしまう、という部分は確かに存在しているのだ。 その醜悪な現実がうかがえるのが、「世界一の削除要求・開示請求」だ」、なるほど。
・『過剰な規範意識によって「逸脱する人」を許せない  Twitter社によれば、2021年上半期(1~6月)に削除要求は世界で4万3387件で、うち日本が1万8518件と4割強を占めて世界最多となった。さらに、政府機関以外から寄せられたアカウントの情報開示請求は全世界で460件で、うち日本が241件と5割強を占めている。 もちろん、「削除要求・開示請求=誹謗中傷」ではない。ただ、誹謗中傷が問題になってからというもの、メディアや弁護士など専門家が対策のひとつとして削除要求や開示請求について言及をしていることを踏まえると、この突出した件数に、日本特有の誹謗中傷カルチャーが大きく影響していると考えるべきではないか。 では、なぜこんなことになってしまったのかというと、冒頭で申し上げた「規範意識の育成」をやりすぎってしまった「副作用」だと筆者は考えている。 繰り返しになるが、この教育方針自体は素晴らしい。社会で生きていくうえでルールやマナーを守るのは当然だ。しかし、日本のようにこの教育があまりに過剰になって、国民の規範意識が高くなりすぎると、社会に「対立と分断」を招いてしまう。 「ルールやマナーを守らない人」「みんなに迷惑をかける人」への激しい怒りや憎悪が芽生えてしまうのだ。わかりやすいケースが戦時中の「非国民」へのすさまじい誹謗中傷とリンチだ。 この手の話になると、「当時の日本人は軍部が怖くてしかたなく戦時体制に従った」みたいな歴史観を語る人がいるが、それは新聞メディアが自分たちの責任を回避するために、戦後にねつ造したストーリーだ。メディアだけではなく大多数の国民は自分の意志で率先して戦争に賛成していた。真珠湾攻撃をした際は、サッカーW杯で優勝したように国民はお祭り騒ぎだった。 もちろん、反戦を訴える人もいたが、かなりマイノリティで、日米開戦を回避しようとした軍人や役人は国民から「弱腰」となじられ、家族が襲撃される恐れもあったほどだ。 では、なぜこんなに当時の日本人は戦争に協力的だったのかというと、軍にマインドコントロールをされていたから…なんて大層な話ではなく、ごくシンプルに「教育」の成果だ』、「「規範意識の育成」をやりすぎってしまった「副作用」だと筆者は考えている。 繰り返しになるが、この教育方針自体は素晴らしい。社会で生きていくうえでルールやマナーを守るのは当然だ。しかし、日本のようにこの教育があまりに過剰になって、国民の規範意識が高くなりすぎると、社会に「対立と分断」を招いてしまう。 「ルールやマナーを守らない人」「みんなに迷惑をかける人」への激しい怒りや憎悪が芽生えてしまうのだ。わかりやすいケースが戦時中の「非国民」へのすさまじい誹謗中傷とリンチだ」、「なぜこんなに当時の日本人は戦争に協力的だったのかというと、軍にマインドコントロールをされていたから…なんて大層な話ではなく、ごくシンプルに「教育」の成果だ」、なるほど。
・『ルールを守れないものは「非国民」、武器はSNSに変わり…  近代化した日本の教育のベースとなった「教育勅語」でも、実は「規範意識の育成」は大きな柱となっている。と言っても、時代背景が違うので当時はこれを「遵法」と呼んだ。「法律や規則を守り社会の秩序に従おう」という意味だ。 戦前・戦中の子どもは「教育勅語」を暗唱させられて、この「遵法」を骨の髄まで叩き込まれた。すると、どういう大人に成長するのかというと、国が定めた法律やルールを守ることが「正義」であり、それができない者は「非国民」として怒りや憎悪を抱く人になってしまう。「規範意識」が膨張して、「社会秩序を乱す悪」を制裁するための誹謗中傷や暴力は許される、という感じで、「正義の暴走」が始まるのだ。 例えば、満州事変直後の1931年9月20日、東京・麻布で2人の男が「若し戦時召集があっても応ずるな」とビラを巻いて演説をした。戦後の映画やテレビではこういう「非国民」を処罰するのは、警察や憲兵として描かれるが、現実は違う。 「付近の住民は時節柄とて憤慨し二三十名が棍棒や薪を持って『非国民を殴り殺せ』と追跡したが何れへか逃走した」(読売新聞1931年9月21日) そういう「正義の私的制裁」が日本中であふれかえった。 規範意識が強くなりすぎた “正義の日本人”は、「ルールに従わない人」「みんなに迷惑をかける人」に対しては、これほど冷酷・残酷になれるものなのだ。 このような「非国民へのリンチ」を生んだ「遵法教育」は戦後GHQの監督下になると「規範意識の育成」という呼び方に変えられて、教育基本法や学校教育法に盛り込まれて現在に至る。見た目は“化粧”されているが、本質的なところでは同じ教育が続いているので当然、「非国民へのリンチ」も健在だ。しかし、さすがに今はこん棒で殴り殺すというわけにはいかない。そこで「武器」をSNSに変えて、「死ね」「消えろ」というナイフのように鋭い言葉で相手の「心」をメッタ刺しするようになった、というのが筆者の考えだ』、「「教育勅語」でも、実は「規範意識の育成」は大きな柱となっている。と言っても、時代背景が違うので当時はこれを「遵法」と呼んだ。「法律や規則を守り社会の秩序に従おう」という意味だ。 戦前・戦中の子どもは「教育勅語」を暗唱させられて、この「遵法」を骨の髄まで叩き込まれた。すると、どういう大人に成長するのかというと、国が定めた法律やルールを守ることが「正義」であり、それができない者は「非国民」として怒りや憎悪を抱く人になってしまう。「規範意識」が膨張して、「社会秩序を乱す悪」を制裁するための誹謗中傷や暴力は許される、という感じで、「正義の暴走」が始まるのだ」、「見た目は“化粧”されているが、本質的なところでは同じ教育が続いているので当然、「非国民へのリンチ」も健在だ。しかし、さすがに今はこん棒で殴り殺すというわけにはいかない。そこで「武器」をSNSに変えて、「死ね」「消えろ」というナイフのように鋭い言葉で相手の「心」をメッタ刺しするようになった、というのが筆者の考えだ」、なるほど。
・『旧統一教会へのバッシングも「誹謗中傷」?  そんな「非国民へのリンチ」の中で、今もっともわかりやすいのが、旧統一教会へのバッシングだ。SNSでは、「旧統一教会を叩きつぶせ!」「旧統一教会はクソ」「寄生虫カルトはとっとと死ね」などの攻撃的な言葉が飛び交っている。投稿している人たちは「非国民」を叩きつぶすことで、「正義」を執行しているつもりだろうが、信者の皆さんからすれば、これは理不尽極まりない「誹謗中傷」以外の何ものでもない。 なぜか。勘違いをしている人も多いが、実はあの教団はまだ「犯罪者集団」でもなんでもないからだ。オウム真理教のように信者や幹部が刑事事件で逮捕されたわけではない。かつて入信していたけれど、信仰がなくなった人や、信者ではない家族が「被害」を訴えて民事訴訟をしているだけだ。 霊感商法での高額献金が問題だというが、神や仏の話を説きつつ高額のお布施を求めない宗教の方が少ない。創価学会でも、幸福の科学でも、高額献金をした信者など山ほどいる。そして、その後にだまされたと被害を訴える人も必ず一定数、存在するものなのだ。 反日教義を掲げて日本から金をむしりとっているから解散させろ、というが、日本で荒稼ぎしている韓流タレントでも、日本人も愛用するサムスンなど韓国メーカーの人々も、韓国にいる時は、同胞たちの前で当たり前のように「岸田を呼んで戦争責任を取らせろ」くらいのことは言うだろう。特に韓鶴子氏くらいの世代の韓国人ならば、あのような反日発言は「平常運転」だ。 教団をかばっているわけではなく、他の新興宗教や韓国人にも確認される現象を、さもこの世で旧統一教会だけしかやっていない異常のことのように語っていることに違和感を覚えるし、それを指摘してはいけないというムードが、不気味だと言っているのだ。 宗教法人としていろいろな問題があることは間違いない。ただ、その問題と、「つぶせ」「死ね」とか誹謗中傷することや、国家権力によって強制的に解散をさせることは、まったく別の話だと言いたいのだ。そのあたりは、弁護士の橋下徹氏の7月14日のツイートが端的に説明しているので、引用させていただく。 <民法上の使用者責任だけではなかなか解散できないというのが文化庁のこれまでの解釈。僕はそれに賛成。この程度で団体が解散させられるなら電通もADKも不祥事を起こした会社は皆解散させられてしまう。組織中枢部の団体活動にまつわる刑法違反に匹敵する違法性が必要。その証拠がないから文化庁は苦労している>  筆者はこの「違法性」がしっかりと立証されていないにもかかわらず、「山上徹也が気の毒」という同情論や、一部のジャーナリストや弁護士の皆さんたちの主張だけで、なんとなく「違法性あり」になっている「正義の暴走」ともいうムードが薄気味悪いと思っている。 旧統一教会の関連組織である「国際勝共連合」に潜入したドキュメンタリー「反日と愛国」を制作したのもそれが理由だ。 規範意識の高い人ほど、旧統一教会が許せないだろう。メディアはこの1年、「反日カルト」だと繰り返し報じてきたので、ピュアな“正義の人”ほど、「この地球上から根絶したい」と激しい憎悪が湧き上がっていることだろう。 だが、筆者のドキュメンタリーを見ていただければわかるように、皆さんが「つぶせ」「死ね」となじっている「非国民」たちは、ごく普通の市民だ。うつろな目でブツブツ教義を唱えているような人でもなければ、日本転覆を狙う悪の組織の人でもない。悩みながら信仰を続けている普通の新興宗教の信者なのだ。 そのような人々を糾弾して、教団を解体して強制的に信仰をやめさせても、新たな「対立と分断」を生むだけだ。むしろ、山上徹也のように「暴力で世界を変えられる」という愚かな勘違いした人を量産していくことにしかならない。 もし「誹謗中傷」を本気で防ぎたいのなら日本の「過剰な規範意識教育」と、それが引き起こす「正義の暴走」についてしっかりと考えるべきではないか』、「もし「誹謗中傷」を本気で防ぎたいのなら日本の「過剰な規範意識教育」と、それが引き起こす「正義の暴走」についてしっかりと考えるべきではないか」、その通りだ。

第三に、7月27日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏による「世界競争力ランキングで日本は35位と過去最低に、「凋落」に耳をふさぐ本当の深刻さ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/326703
・『アジア太平洋地域では11位 日本より低いのは3カ国だけ  スイスのビジネススクール・国際経営開発研究所(IMD)が、世界64カ国を対象にした2023年の「世界競争力ランキング」を6月20日、発表した。日本は、総合指標で昨年より一つ順位を下げ、過去最低の世界第35位になった。 とりわけアジア太平洋地域での日本の競争力の凋落ぶりは驚くばかりだ。ここでの日本の順位は、14カ国・地域中で第11位だ。アジア太平洋地域で日本より下位は、インド、フィリピン、モンゴルだけだ。 ところが、このニュースはあまり話題になっていない。日本の地位がこのように低いことは、もうニュースバリューがなくなってしまったのだろうか? もちろん、これは日本人にとって愉快なニュースではない。知らないで済ませればそうしたいと考える日本人も少なくないかもしれない。しかし、だからと言って、このニュースに耳を塞いではならない。 1990年代の中頃までは世界でトップを争っていた日本が、なぜここまで凋落したのか。それには明確な理由がある』、「1990年代の中頃までは世界でトップを争っていた日本が、なぜここまで凋落したのか。それには明確な理由がある」、どんな理由なのだろう。
・『マレーシアやタイなども日本より競争力は上位  アジア太平洋地域での第1位は、シンガポール(世界第4位)だ。続いて第2位が台湾(世界第6位)、第3位が香港(世界第7位)だ。そして中国は第5位(世界第21位)、韓国は第7位(世界第28位)だ。 日本より上位には、これらのほかに、マレーシア、タイ、インドネシアなどの諸国がある。日本より下位にあるのはインドなど3カ国だけだ。 1989年の第1回目のランキングでは日本は世界第1位だった。その後、低下はしたものの96年までは5位以内を保っていた。しかしそれ以降、順位を下げ、2023年は過去最低の順位となったのだ』、「日本より上位には、これらのほかに、マレーシア、タイ、インドネシアなどの諸国がある。日本より下位にあるのはインドなど3カ国だけだ」、酷い凋落ぶりだ。
・『目立つ「政府の効率性」と「ビジネスの効率性」の低さ  このランキングは、以上で見た総合指標以外に、次の四つの指標で評価が行われている。 「経済状況」(国内経済、雇用動向、物価などのマクロ経済評価)では、日本は世界第26位だ(前年は第20位)。 「政府の効率性」(政府の政策が競争力に寄与している度合い)は、2010年以降、第40位前後で低迷しているが、今年は第42位にまで下がった(同第39位)。 「インフラ」(基礎的、技術的、科学的、人的資源が企業ニーズを満たしている度合い)では、第23位(同第22位)だった。 「ビジネスの効率性」は、昨年の第51位から第47位に上がったが、低い順位であることに変わりはない。 このように、「政府の政策が適切でないためにビジネスの効率性が低下する。その結果、全体としての競争力が低下する」という状況に、日本が落ち込んでしまっていることが分かる』、「「政府の政策が適切でないためにビジネスの効率性が低下する。その結果、全体としての競争力が低下する」という状況に、日本が落ち込んでしまっていることが分かる」、「政府」の責任は重大だ。
・『マイナ問題や防衛費・少子化財源 政府の能力低下浮き彫りに  政府の政策が適切でなく、政府が非効率的であることはさまざまな面について指摘される。ここ数カ月のマイナンバーカードを巡る政府の迷走ぶりを見ていると、いまの日本政府は基本的なことが実行できないことがよく分かる。 今後、マイナ保険証に関してさらに大きな混乱が発しないかと懸念される。 デジタル化が経済の効率化のために必要なことは明らかだ。しかし、それを実現するための基本的な制度を日本政府は整備することができないのだ。 マイナ保険証のような技術的問題だけでなく、政治的な政策判断の問題もある。少子化対策のように効果が疑わしい政策に多額の資金を投入しようとしている。しかも、そのための財源措置を行なっていない。防衛費も増額はするが、安定した財源の手当てがされていない。 日本政府は迷走しているとしか言いようがない。 そして、このような無責任な政府に対して野党が有効なチェック機能を果たしていない。日本の野党勢力は2010年頃に政権を取って政権担当能力がないことを露呈してしまった。その後は批判勢力としてさえも機能していない。民主主義国家で、野党がこれだけ弱いのは世界でも珍しい状況ではないだろうか?』、「デジタル化・・・を実現するための基本的な制度を日本政府は整備することができないのだ。 マイナ保険証のような技術的問題だけでなく、政治的な政策判断の問題もある。少子化対策のように効果が疑わしい政策に多額の資金を投入しようとしている。しかも、そのための財源措置を行なっていない。防衛費も増額はするが、安定した財源の手当てがされていない。 日本政府は迷走しているとしか言いようがない。 そして、このような無責任な政府に対して野党が有効なチェック機能を果たしていない」、「日本政府は迷走」、「野党が有効なチェック機能を果たしていない」、その通りだ。
・『高齢化は続く、諦めてはいけない IT化でアイルランドは世界2位に  われわれの世代は、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と世界から賞賛された時代を経験した。だから、日本がインドネシアやマレーシアに抜かれてしまったと聞けば、異常事態だと捉える。そして早急に対処が必要だと考える。 しかし、いまの日本では諦めムードが一般化してしまったようだ。「世界競争力ランキング 2023」のニュースは日本ではほとんど話題にならなかった。しかし、実はこれこそが最も危険なことだ。 なぜなら日本経済の今後を考えると、少子化対策を行なっても、そしてそれが仮に効果を発揮して出生率が上昇したとしても、日本の人口高齢化は間違いなく進行するからだ。 それによって経済の効率性は低下せざるをない。その厳しい条件下で人々の雇用と生活を支え、社会保障制度を維持していくためには、生産性を引き上げて日本の競争力を増強することがどうしても必要だ。だから決して諦めてはならない。いまの状況は当たり前のことではなく、何とかして克服しなければならないのだ。 実際、一度は衰退したにもかかわらず、復活した国は、現代世界にも幾らもある。その典型がアイルランドだ。アイルランドは製造業への転換に立ち遅れ、1970年代頃までヨーロッパで最も貧しい国の一つだった。 しかし、IT化に成功して90年代以降、奇跡的な経済成長を実現した。2023年の世界競争ランキングで同国は世界第2位だ』、「アイルランド」は「IT化に成功して90年代以降、奇跡的な経済成長を実現した。2023年の世界競争ランキングで同国は世界第2位だ」、ただ、日本経済ははるかに規模が大きいのが難しいところだ。
・『日本人の基礎学力は世界のトップクラス  競争力ランキングが落ちたとはいえ、日本人の基本的な能力がわずか30年間でこれほど急激に落ちてしまったはずはない。OECDが行なっているPISAという小中学生を対象にした学力テストの結果を見ると、これが分かる。  2018年調査(現時点で結果が公表されている最新の調査)では、数学的リテラシーは世界第6位、科学的リテラシーは第5位だった。読解力が前回から下がったものの、OECD平均得点を大きく上回っている。 このように、日本人の基礎的な能力は依然として世界トップクラスなのである。日本人は、このように高い潜在的能力を持ちながら、それを発揮できない経済・社会環境に置かれてしまっているのだ』、「日本人は、このように高い潜在的能力を持ちながら、それを発揮できない経済・社会環境に置かれてしまっているのだ」、困ったことだ。
・『責任は誤った「円安政策」に 政策如何で状況変えられる  言い換えれば、日本が凋落した原因は1990年代の中頃以降に取られた政策の誤りにある。90年代の中頃以降、政策面で何が起こったかは明らかだ。「円安政策」を進めたのだ。 これによって企業のイノベーション意欲が減退した。企業がイノベーションの努力を怠ったために、日本人が能力を発揮する機会を失ってしまった。これこそが日本経済衰退の基本的なメカニズムだ。 この意味で、いまの日本経済の状態は異常なのだ。そしてこの状況は政策のいかんによって変えられるものだ』、日銀は昨日、イールドカーブ・コントロール(YCC)の運用を柔軟化した。これにより「円安」には歯止めがかかる可能性もある。しばらく、今後の展開には注目したい。
タグ:日本の構造問題 (その29)(「このままだと日本経済は沈没するぞ」 海外投資家が三菱UFJのCFOに放った厳しすぎる本音、「誹謗中傷大国ニッポン」ゆがんだ正義を振りかざす日本人がいなくならない理由、世界競争力ランキングで日本は35位と過去最低に 「凋落」に耳をふさぐ本当の深刻さ) ダイヤモンド・オンライン 徳成旨亮氏による「「このままだと日本経済は沈没するぞ」 海外投資家が三菱UFJのCFOに放った厳しすぎる本音」 「日経平均は1989年の最高値を未だ更新できておらず」とあるが、6月13日にバブル後最高値を更新した。 「日本の将来を憂えて、安易に平等主義やきれいごとに流れるのではなく、有為な人材には最高の職場環境を用意し、必要な教育・研修の機会を与え、同時にとことん負荷をかけて高い成果やアウトプットを求め、アニマルスピリッツを刺激する処遇制度を用意し、企業価値を高めることが企業経営者の責務ではないか?」との「ファンドマネージャー」の指摘は的確だ。 「人間性の特質にもとづく不安定性……(中略)……おのずと湧きあがる楽観に左右されるという事実に起因する不安定がある。……(中略)……その決意のおそらく大部分は、ひとえに血気(アニマルスピリッツ)と呼ばれる、不活動よりは活動に駆り立てる人間本来の衝動の結果として行われるのであって、数量化された利得に数量化された確率を掛けた加重平均の結果として行われるものではない」、 「社会も企業も個人もリスク回避的になり、安全運転を重視して、成長戦略よりもコスト削減を優先してきた結果、今日の低成長と国際的な地位低下を招いたと考えられます。 また、こうした思考方法が数十年の長きにわたり続いたことから、世代を超えて、日本人および社会全体から「アニマルスピリッツ」が失われていったのだと考えることができます。 特に、本来楽観的思考やチャレンジ意欲をより持っているはずの若者世代が、人口減少や高齢化に伴う将来の生活不安、特に年金制度への不信から保守的になり、リスク回避的な行動を取るようになっていったことは、日本社会の活力をさらに失わせています」、なるほど。 「従来の日本の経理・財務担当役員に多く見られる「CFOは企業価値保全を第一義にすべきだ」という考え方を「金庫番思考」、「CFOは冷徹な計算と非合理的なまでの熱意を併せ持ち、企業成長のエンジンとなるべき」という考え方を「CFO思考」と呼びます」、 「CFOは、投資家をはじめとする社外の多くのステークホルダー(利害関係者)に対しては、会社を代表してエンゲージメント・・・を行い、社内に対しては、ROE(自己資本利益率)に代表される投資家の期待・資本の論理や、ESG投資家や地域社会など、異なるステークホルダーの要望を社員にもわかるように翻訳して伝え、その期待を踏まえた経営戦略を立て、それを実践するよう組織に影響を与え行動を促す、という役割を担っています。 そして、「アニマルスピリッツ」をCEOなどほかの経営陣と共有し、「数値をベースにした冷静な判断力」を持って考え、企業としての夢の実現に向け行動する、いわば企業成長のエンジンの役割を果たしています」、こうした真のCFOがもっと増えてほしいものだ。 窪田順生氏による「「誹謗中傷大国ニッポン」ゆがんだ正義を振りかざす日本人がいなくならない理由」 「なぜこういう「ゆがんだ正義心」が生まれるのか。いろいろな意見があるだろうが、筆者は日本人が100年以上受けてきた「教育」の弊害だと考えている。 我々は物心ついた時から「ルールやマナーを守れ」「みんなに迷惑をかけるな」ということを骨の髄まで叩き込まれる。教育基本法や学校教育法の中に「規範意識の育成」ということが掲げられているからだ。もちろん、この方針自体は悪くない。 問題は「規範意識」に熱が入りすぎて「過剰」になってしまっていることだ。 ご存じの方も多いだろうが、日本の学校教育は世界的に見るとかなり特殊だ。異常に厳しいブラック校則、同じ制服、同じカバンの強制、軍隊的な部活動、そしてクラス内での「班」行動などなど、他国の子どもと比べて「規範意識の育成」を徹底的に叩き込まれる機会が多い。この「規範意識=絶対正義」という極端な教育方針を改めない限り、「誹謗中傷」は絶対になくならない」、なるほど。 「「量」に関しては、日本人はTwitterが世界一好きということが大きい。 22年1月の国別ユーザー数では、首位アメリカ(7690万人)に次いで日本は5895万人で世界第2位なのだが、ヘビーユーザーが圧倒的に多い。イーロン・マスク氏が先日、日本のユーザーの利用時間が世界一だとして「1人当たりの使用量だと米国の約3倍です」と述べたように、朝から晩までTwitterに何かを発信している人が世界一多いのだ。 「量」が世界一ならば当然、誹謗中傷も世界一多くなるだろう」、「「匿名文化」が誹謗中傷の「陰湿さ」に拍車をかけているのは、もはや説明の必要がないだろう。「死ね」「消えろ」「顔を見るのも不快」「気持ち悪い」などという心ない言葉を家族や隣近所、会社の同僚や上司の前で平気で言える人は少ない。しかし、自分の名前も素性も知らない人たちの前で、しかも見ず知らずの他人に対してならば、いくらでも罵詈雑言が吐けるという人はいる。 社会的地位も脅かされない、人間関係も崩れもないという「安全地帯」にいるからこそ、心ゆくまで陰湿な誹謗中傷ができて、相手を自殺に追い込むほどの粘着さも発揮してしまう、という部分は確かに存在しているのだ。 その醜悪な現実がうかがえるのが、「世界一の削除要求・開示請求」だ」、なるほど。 「「規範意識の育成」をやりすぎってしまった「副作用」だと筆者は考えている。 繰り返しになるが、この教育方針自体は素晴らしい。社会で生きていくうえでルールやマナーを守るのは当然だ。しかし、日本のようにこの教育があまりに過剰になって、国民の規範意識が高くなりすぎると、社会に「対立と分断」を招いてしまう。 「ルールやマナーを守らない人」「みんなに迷惑をかける人」への激しい怒りや憎悪が芽生えてしまうのだ。わかりやすいケースが戦時中の「非国民」へのすさまじい誹謗中傷とリンチだ」、「なぜこんなに当時の日本人は戦争に協力的だったのかというと、軍にマインドコントロールをされていたから…なんて大層な話ではなく、ごくシンプルに「教育」の成果だ」、なるほど。 「「教育勅語」でも、実は「規範意識の育成」は大きな柱となっている。と言っても、時代背景が違うので当時はこれを「遵法」と呼んだ。「法律や規則を守り社会の秩序に従おう」という意味だ。 戦前・戦中の子どもは「教育勅語」を暗唱させられて、この「遵法」を骨の髄まで叩き込まれた。すると、どういう大人に成長するのかというと、国が定めた法律やルールを守ることが「正義」であり、それができない者は「非国民」として怒りや憎悪を抱く人になってしまう。 「規範意識」が膨張して、「社会秩序を乱す悪」を制裁するための誹謗中傷や暴力は許される、という感じで、「正義の暴走」が始まるのだ」、「見た目は“化粧”されているが、本質的なところでは同じ教育が続いているので当然、「非国民へのリンチ」も健在だ。しかし、さすがに今はこん棒で殴り殺すというわけにはいかない。そこで「武器」をSNSに変えて、「死ね」「消えろ」というナイフのように鋭い言葉で相手の「心」をメッタ刺しするようになった、というのが筆者の考えだ」、なるほど。 「もし「誹謗中傷」を本気で防ぎたいのなら日本の「過剰な規範意識教育」と、それが引き起こす「正義の暴走」についてしっかりと考えるべきではないか」、その通りだ。 野口悠紀雄氏による「世界競争力ランキングで日本は35位と過去最低に、「凋落」に耳をふさぐ本当の深刻さ」 2023年の「世界競争力ランキング」 「1990年代の中頃までは世界でトップを争っていた日本が、なぜここまで凋落したのか。それには明確な理由がある」、どんな理由なのだろう。 「日本より上位には、これらのほかに、マレーシア、タイ、インドネシアなどの諸国がある。日本より下位にあるのはインドなど3カ国だけだ」、酷い凋落ぶりだ。 「「政府の政策が適切でないためにビジネスの効率性が低下する。その結果、全体としての競争力が低下する」という状況に、日本が落ち込んでしまっていることが分かる」、「政府」の責任は重大だ。 「デジタル化・・・を実現するための基本的な制度を日本政府は整備することができないのだ。 マイナ保険証のような技術的問題だけでなく、政治的な政策判断の問題もある。少子化対策のように効果が疑わしい政策に多額の資金を投入しようとしている。しかも、そのための財源措置を行なっていない。防衛費も増額はするが、安定した財源の手当てがされていない。 日本政府は迷走しているとしか言いようがない。 そして、このような無責任な政府に対して野党が有効なチェック機能を果たしていない」、「日本政府は迷走」、「野党が有効なチェック機能を果たしていない」、その通りだ。 「アイルランド」は「IT化に成功して90年代以降、奇跡的な経済成長を実現した。2023年の世界競争ランキングで同国は世界第2位だ」、ただ、日本経済ははるかに規模が大きいのが難しいところだ。 「日本人は、このように高い潜在的能力を持ちながら、それを発揮できない経済・社会環境に置かれてしまっているのだ」、困ったことだ。 日銀は昨日、イールドカーブ・コントロール(YCC)の運用を柔軟化した。これにより「円安」には歯止めがかかる可能性もある。しばらく、今後の展開には注目したい。
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