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人工知能(AI)(その15)(野口 悠紀雄氏による生成系AIの3考察(生成系AIで「なくなる職業・減る仕事」 マネージメントや高度金融サービスにも波及、生成系AIがもたらす格差拡大 「シンギュラリティ時代」の政府の責任、ChatGPTは働く人の敵か味方か?賃金や雇用へ影響の鍵を握るのは「需要」) [イノベーション]

人工知能(AI)については、本年4月17日に取上げた。今日は、(その15)(野口 悠紀雄氏による生成系AIの3考察(生成系AIで「なくなる職業・減る仕事」 マネージメントや高度金融サービスにも波及、生成系AIがもたらす格差拡大 「シンギュラリティ時代」の政府の責任、ChatGPTは働く人の敵か味方か?賃金や雇用へ影響の鍵を握るのは「需要」)である。

先ずは、6月15日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏による「生成系AIで「なくなる職業・減る仕事」、マネージメントや高度金融サービスにも波及」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/324441
・『AIが変える未来の雇用事情 「バタフライ・エフェクト」で思わぬ変化も  ChatGPTなどの生成系AIによって文章を書くなどの作業が代替され雇用への影響が懸念されている。 生成系AIが人々の仕事や雇用に与える影響を考える際には、まず生成系AIの機能を理解することが重要だ。 多くの人は、生成系AIは創作をしたりデータを集めて提供したりするものだと誤解している。しかし、生成系AIは創作もできず、正しいデータを提供することもできない。生成系AIとは指示に従って文章を生成するための仕組みだ。 そのうえで文章を書く仕事を中心として、ホワイトカラーの仕事にこれからどのような変化が起きるかを考えてみると、業務用の翻訳や形式的な校正などの仕事は生成系AIに代替される可能性が高いが、マネージメントや高度な金融サービスでも仕事は残っても職が減る。 だがその一方、生成系AIで言葉の壁が低くなり国際分業が進むなどでプラスの「バタフライ・エフェクト」が起きる可能性もある』、「業務用の翻訳や形式的な校正などの仕事は生成系AIに代替される可能性が高いが、マネージメントや高度な金融サービスでも仕事は残っても職が減る。 だがその一方、生成系AIで言葉の壁が低くなり国際分業が進むなどでプラスの「バタフライ・エフェクト」が起きる可能性もある」、なるほど。
・『将来は大幅に仕事が減る翻訳や校正、文字起こし  生成系AIの登場によってすでに潜在的には不要になっており、将来は大幅に減る仕事として、次の三つがある。 一つは翻訳、特に業務用の翻訳や資料翻訳の仕事だ。生成系AIが十分実用になる翻訳を作成でき、要旨の作成も可能だ。これらについての生成系AIの仕事ぶりは、ほぼ完全といってよい。 ただし、文学書などの翻訳は例外で、その需要は減少するが、完全になくなることはないだろう。 二つ目は文章の校正・校閲だ。形式的な誤りは、生成系AIによってほぼ完全に検出・修正可能だ。しかし表現法などに関する好みの問題は残るだろう。 事実や統計数字のチェックは、生成系AIにはできないので、これらについての誤りの検出が、校閲の主要な作業となるだろう。 三つ目は、ライターや文字起こしの仕事だ。録音したものを音声認識でテキスト化し、生成系AIがそれを校正することで、ほぼ自動的に文章を作成できる。 したがって、ライターや文字起こしの作業は、不要になるか、内容が大きく変わるだろう。例えば、事実やデータのチェック、資料の収集などを主な業務とする形に変化するだろう』、「翻訳、特に業務用の翻訳や資料翻訳の仕事だ。生成系AIが十分実用になる翻訳を作成でき、要旨の作成も可能だ・・・ただし、文学書などの翻訳は例外で、その需要は減少するが、完全になくなることはないだろう」、「二つ目は文章の校正・校閲だ。形式的な誤りは、生成系AIによってほぼ完全に検出・修正可能だ。しかし表現法などに関する好みの問題は残るだろう」、「三つ目は、ライターや文字起こしの仕事だ。録音したものを音声認識でテキスト化し、生成系AIがそれを校正することで、ほぼ自動的に文章を作成できる。 したがって、ライターや文字起こしの作業は、不要になるか、内容が大きく変わるだろう」、なるほど。
・『著者や記者の仕事は重要性増す AIにはできないテーマ設定や真実追及  著者の仕事そのものは残るだろうが、作業内容は大きく変わる可能性がある。音声入力と生成系AIの組み合わせを上手く利用することによって、作業効率が飛躍的に向上する。また外国文献の要約などを生成系AIに依頼することによって、資料が得やすくなる。 しかし、事実の調査やデータの入手が現在より格別に便利になるわけではない。著者の最も重要な仕事はテーマの選択だが、この重要性がさらに増すだろう。 文章を書く前段階でのデータの分析は、一見すると生成系AIによって自動化できる場合が多いように思われるが、実際にはそう簡単にはいかない。適切なデータの選択から始って、それをどう分析するかなど、人間が個別に判断しなければならない仕事が多い。 記者の取材活動を生成系AIで代替することはできない。取材は現場での情報収集だけでなく、人々との対話などを通じて真実を追求する重要なプロセスだ。 信頼性のある情報を提供し、社会的な意義を持つ報道を行なうという記者の役割は重要なものとして残るだろう。) 編集者の仕事への影響は場合によって大きく異なる。形式的な仕事しか行なっていない場合、その役割は生成系AIに置き換えられるだろう。しかし、雑誌の特集企画や書籍の企画、著者とのコミュニケーションなどは生成系AIによっては置き換えられない仕事だ。 生成系AIの進歩は金融業務にも影響を与えるだろうが、分析的作業への影響は比較的少ないだろう。しかし、データサイエンスへの影響は大きいだろう。高度なアルゴリズムや機械学習を利用したデータ分析により、リスク評価の精緻化が可能となるだろう』、「記者の取材活動を生成系AIで代替することはできない。取材は現場での情報収集だけでなく、人々との対話などを通じて真実を追求する重要なプロセスだ。 信頼性のある情報を提供し、社会的な意義を持つ報道を行なうという記者の役割は重要なものとして残るだろう」、「編集者の仕事への影響は場合によって大きく異なる。形式的な仕事しか行なっていない場合、その役割は生成系AIに置き換えられるだろう。しかし、雑誌の特集企画や書籍の企画、著者とのコミュニケーションなどは生成系AIによっては置き換えられない仕事だ」、「金融業務にも影響を与えるだろうが、分析的作業への影響は比較的少ないだろう。しかし、データサイエンスへの影響は大きいだろう。高度なアルゴリズムや機械学習を利用したデータ分析により、リスク評価の精緻化が可能となるだろう」、なるほど。
・『「GPTはGPT(汎用技術)」 労働者の80%が10%の業務で影響  オープンAIとペンシルベニア大学の研究者が2023年3月27日に発表した論文(GPTs are GPTs: An Early Look at the Labor Market Impact,Potential of Large Language Models)は、LLM(大規模言語モデル:ChatGPTなどの対話型生成系AIの基礎技術)がホワイトカラーに与える影響について、次のように予測している。 +アメリカの労働者の約80%が少なくとも10%の業務で影響を受ける。 +約19%の労働者は、少なくとも50%の業務で影響を受ける。 +高学歴で高い賃金を得ているホワイトカラーへの影響が特に大きい。 なお、この論文のタイトルは、なかなか洒落ている。GPTはGenerative Pre-trained Trensformerの略だが、これは同時に、「汎用技術」(General Purpose Technology)という意味でのGPTでもあるというのだ。 したがって、社会に対する影響は極めて大きいことになる。「文章を書く」というのは、知的作業の一部に過ぎないような気がするのだが、実はそうでなく、知的作業全般の中で基本的な地位を占めているのだ。 なお、汎用技術については、次を参照していただきたい。『ジェネラルパーパス・テクノロジー日本の停滞を打破する究極手段』(アスキー新書、2008年7月。筆者と遠藤諭氏との共著)』、「+アメリカの労働者の約80%が少なくとも10%の業務で影響を受ける。 +約19%の労働者は、少なくとも50%の業務で影響を受ける。 +高学歴で高い賃金を得ているホワイトカラーへの影響が特に大きい」、このうち、3番目は衝撃的だ。
・『マネージメントや高度金融サービスは人間と人間との職の奪い合いに  「GPTs are GPTs」の指摘で重要なのは、「作業時間が減少する」ということだ。「ある仕事が残るかどうかと、失業が生じるかどうかは別」なのだ。 だから、ある仕事がChatGPTによって代替されないとしても、それに従事している人々全てが安泰だというわけではない。) それらの人々の中には、ChatGPTを活用することによって生産性を高められる人が現われるだろう。それらの人々は、その分野の他の人々を駆逐するだろう。このような事態が広範囲に発生する可能性がある。 ホワイトカラーについても、このことが言える。ホワイトカラーの仕事の全てがAIによって代替されないとしても、ホワイトカラーの中の誰かがAIを使いこなすことによって生産性を上げ、「これまで2人でやっていた仕事を1人でできるようになる」といった類いのことが起きるだろう。そうなれば、残りの1人は余分になるわけで、職を失うことになるだろう。 このようなことが、高度に知的な活動、例えばマネージメントの仕事や高度な金融サービス等について頻発するだろう。 「AIが職を奪う」としばしば言われる。確かにその危険があるが、それは、人間がいまやっている仕事がAIにとって変わられるというだけのことではない。AIを巧みに使う人が生産性を上げ、そのため他の人が失業するといった場合のほうが多いのではないかと考えられる。 つまり、AIと人間との職の奪い合いではなく、人間と人間との間の職の奪い合いが起こると考えられる』、「AIを巧みに使う人が生産性を上げ、そのため他の人が失業するといった場合のほうが多いのではないかと考えられる。 つまり、AIと人間との職の奪い合いではなく、人間と人間との間の職の奪い合いが起こる」、「AI」を使いこなせる人と、そうでない人との「職の奪い合いが起こる」、というのは納得的だ。 
・『風が吹けば桶屋が儲かる面も 言葉の壁低くなりプラスの変化も  このように、ChatGPTが引き起こす影響は複雑だ。確実に分かるのは、知的活動に関して非常に大きな変化が起きたということだ。それが、人々にどのような影響を与えるかについては、まだ分からない点が多い。 「バタフライ・エフェクト」は、気象学者のエドワード・ローレンツによる「ブラジルでの蝶のはばたきがテキサスに竜巻を引き起こすか?」という問題提起が由来の言葉で、「些細な出来事が、後の大きな出来事のきっかけとなる」という意味だ。「風が吹けば桶屋が儲かる」と同じようなことだ。 生成系AIの影響として一般的に検討の対象とされるのは、直接的な変化だ。ここでの議論も直接的効果を取り上げた。しかし、生成系AIの効果は、直接的なものだけではないだろう。思いもよらぬところに大きな影響が及ぶことは十分あり得る。 生成系AIがある分野で引き起こした変化が、次々に連鎖反応を引き起こし、最初に変化が起きた分野からは想像もできないところで大きな変化を引き起こすこともあるだろう。 生成系AIの登場は「些細な出来事」とは到底言えないので、それが巻き起こす雇用上の変化は、テキサスの竜巻や桶屋どころのものではないだろう。 ここまでは失業とか、仕事がなくなるというようなネガティブな面を中心に取り上げた。もちろん、これとは逆の側面もある。実際、「風が吹けば……」は、桶屋の仕事が増えるというポジティブな変化だ。 生成系AIによる変化は、最初は文章を書く仕事に関して起きるが、それは次々に連鎖反応を引き起こし、さまざまな経済活動を大きく変える可能性がある。生成系AIは汎用技術であるために、こうしたことが起きるのだ。 例えば、生成系AIが翻訳を簡単にやってくれるため、日本人にとって言葉の壁が低くなり、海外との情報交換がより頻繁に行われるようになることが期待される。 これまで、日本は言葉の壁のために国際分業で遅れていたが、この状況が変わるかもしれない。それによって日本と外国とのさまざまな分業関係が促進され、それが日本再生のきっかけになることもあり得るだろう。このようなポジティブな変化が起きることを期待したい』、「これまで、日本は言葉の壁のために国際分業で遅れていたが、この状況が変わるかもしれない。それによって日本と外国とのさまざまな分業関係が促進され、それが日本再生のきっかけになることもあり得るだろう。このようなポジティブな変化が起きることを期待したい」、その通りだ。

次に、7月21日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏による「生成系AIがもたらす格差拡大、「シンギュラリティ時代」の政府の責任」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/326335
・『「シンギュラリティ」はすでに到来? AIの進歩「火や電気より深遠な影響」  「ニューヨーク・タイムズ」(2023年6月11日)に掲載されたデイヴィッド・ストレイトフェルド記者の論考は、「シリコンバレーがシンギュラリティの到来に直面している」とした。 「シンギュラリティ」(技術的特異点)とは、AI(人工知能)の急速な進化によって、人間が理解できないほど高度な能力を持つ機械が出現することを指す。 人と機械の立場が逆転し、人間が理解できるスピードより、AIが発展するスピードの方が早くなる。変化は劇的で、指数関数的、かつ不可逆だ。 多くの人々が、AIの急速な進歩を見て、AIが人間を超える日がいつかは来るかもしれないと不安を覚えつつ、「AIが人の仕事を奪うほど賢くなるのはだいぶ先のこと」と考えていた。 しかし、シンギュラリティは、ChatGPTの出現によってすでに実現してしまったのではないだろうか? これが、ストレイトフェルド氏の論考が指摘するところだ。 GoogleのCEOサンダー・ピチャイ氏は、人工知能を「火や電気よりも深遠な影響を持つ。われわれが過去に行ったどんなことよりも深遠」と述べた。今我々はそんな未知の時代に入ろうとしている』、「シンギュラリティは、ChatGPTの出現によってすでに実現してしまったのではないだろうか? これが、ストレイトフェルド氏の論考が指摘するところだ」、先のことと思っていたら、既に「実現」していたとは・・・。
・『シンギュラリティの到来 2045年と予測されていたが  シンギュラリティの概念を最初に提出したのは、アメリカの発明家、思想家、未来学者、実業家であるレイ・カーツワイル氏だ。 彼は2005年の著作の中で、「100兆の極端に遅い結合(シナプス)しかない人間の脳の限界を、人間と機械が統合された文明が超越する瞬間が訪れる」とした。そして、シンギュラリティが起こるのは、2045年頃だろうと予測した。 ストレイトフェルド氏は、この考えは、コンピュータ科学者のジョン・フォン・ノイマンによって、すでに1950年代に語られていたと指摘している。 フォン・ノイマンは、同僚だったスタニスラウ・ウラムとの会話で、「技術の急速に加速する進歩」が「人類の歴史における何か本質的な特異点」をもたらすだろうと語っていた。その後の人間の世は永遠に変わってしまうだろうと、予言めいて話していたというのだ』、「シンギュラリティの到来 2045年と予測されていたが」、なるほど。
・『チューリング・テストにはChatGPTなどは明らかに合格  コンピュータの能力を測るのに、「チューリング・テスト」というものが提唱されている。これは、数学者のアラン・チューリングが提えたものだ。 テストを通して、審査員が人間とコンピュータを判別し間違えたら、そのコンピュータは人間並みの知能を持っているかのように振る舞えるわけであり、「合格」になる(参加者は全員隔離されているので、会話の内容以外からは相手を判断できない)。 ChatGPTは、このテストには明らかに合格しているように思われる。実際、学生がレポートをChatGPTに書かせて提出しても、先生は見抜けない。 現在のChatGPTの能力は不完全だが、人間も不完全だ(ビリー・ワイルダーに指摘されるまでもなく、Nobody's perfectである)。ChatGPTは嘘を言うことがあるが、人間でも知ったかぶりをする人は大勢いる。だから、ChatGPTが間違えるということと、ChatGPTが人間のレベルになっているのは、別のことだ。 ChatGPTは完全ではないし、創造もできないけれども、もはや人間のレベルになっていると考えることができる。そして、幾つかの面では人間をはるかに超えている。例えば、外国語の文献をあっという間に翻訳してしまう。処理スピードの点では、問題なく人間のレベルをはるかに超えている』、「外国語の文献をあっという間に翻訳してしまう。処理スピードの点では、問題なく人間のレベルをはるかに超えている」、限定された分野では、あり得ることだ。
・『約束されてきた“楽園“は富める者はますます豊かに  シンギュラリティは不可逆的なものだと説明されている。そして、政府は急速に進展する技術開発を監督するには遅すぎ、愚かすぎるとシリコンバレーの人々は考えている。 「政府の中には、それを正しく理解できる人はいない。しかし、業界はおおよそ正しく行うことができる」と、Googleの元CEOエリック・シュミット氏は述べた。 AIは技術やビジネス、政治を前例のないように揺さぶっている。長らく約束されてきた仮想的な楽園がついに来たように思える。教育分野でいえば、何でも答えてくれる先生がいつでもそばにいるようなものだ。 しかし、暗い側面もある。これから何が起こるかの予測が難しい。豊かさの時代がもたらされる一方で、人類を滅ぼす可能性もある。) ステレイトフェルド氏は、生成系AIは無限の富を生み出すマシンであるはずなのに、金持ちになっているのは、すでに金持ちである人々だけだと指摘している。 実際、Microsoftの市場価値は、今年に入ってから半兆ドル強増加した(この増加額だけで、トヨタ自動車の時価総額のほぼ2.5倍になる)。AIシステムを動かすチップの製造会社であるNvidiaは、これらのチップの需要が急増したことによって、最も価値のあるアメリカ企業の一つとなった(現在、時価総額の世界ランキングで第6位)。 生成系AIの開発には膨大な資金が必要となることから、これを行える企業は限定的だ。ChatGPTを開発したオープンAIは、Microsoftから130億ドルもの巨額の資金を調達できたために、開発が可能になった。 大企業はこれを利用して生産性を上げる。そして、人員を削減する道具として用いる。一方で小企業はこれを使えずに排除されてしまう。このようにして、格差がますます拡大することは十分にあり得る。富める者はさらに富み、強い者がますます強くなる。そして貧しい者はさらに貧しくなり、弱い者はますます弱くなる。 仮にシンギュラリティがまだ起きてないとしても、このような変化が起きる可能性は大いにある。というより、すでに起きつつあると考えることができる』、「生成系AIの開発には膨大な資金が必要となることから、これを行える企業は限定的だ。ChatGPTを開発したオープンAIは、Microsoftから130億ドルもの巨額の資金を調達できたために、開発が可能になった。 大企業はこれを利用して生産性を上げる。そして、人員を削減する道具として用いる。一方で小企業はこれを使えずに排除されてしまう。このようにして、格差がますます拡大することは十分にあり得る。富める者はさらに富み、強い者がますます強くなる。そして貧しい者はさらに貧しくなり、弱い者はますます弱くなる」、なるほど。
・『全ての人が無料で使える環境が必要 政府は補助金を整理して支援を  こうした事態に対して、技術開発の面で日本が世界のリーダーとなるのは難しいだろう。しかし、国民の全てがこれらのサービスを利用できるような条件を整備することは、十分に可能だ。 ChatGPT3.5やBingやBardは無料で使えるが、ChatGPT4.0はすでに有料になっている。年間240ドル(約3万4000円)という利用料は決してべらぼうな額ではないが、誰もが簡単に払える額でもない。したがって、これを払える人と払えない人との間で、すでに情報処理能力の差が生じてしまっていることになる。 仮にこれを国民の全てが使えるように補助金を出すとすれば、年間で4兆円を超える。マイナンバーカード普及のために、マイナポイントに約2兆円の支出を行ったことを考えれば、日本政府ができないことはない。 今後に登場する生成系AIのサービスには、有料のものも増えるだろう。そうなると、それらを使える人は、ますます能力を高め、使えない人が振り落とされていくことになる。 他方で、政府がこれらのサービスを無料で利用できるようにし、多くの人々が利用できるようになれば、日本再生のための強力な手段とすることも可能だろう。現在支出しているさまざまな補助金を大胆に廃止して、上記のことに集中すれば、これは、決してできないことではない。 シンギュラリティは技術的な問題なので、これを完全にコントロールすることは難しい。しかし、いま指摘した経済的・社会的問題は政府の政策によって変えることが十分に可能だ。 政府がいま起こりつつある事態の重大性を理解し、それに対して適切な対策を行えるかどうかが、これからの日本の進路に対して重大な意味を持っている』、「政府がこれらのサービスを無料で利用できるようにし、多くの人々が利用できるようになれば、日本再生のための強力な手段とすることも可能だろう。現在支出しているさまざまな補助金を大胆に廃止して、上記のことに集中すれば、これは、決してできないことではない。 シンギュラリティは技術的な問題なので、これを完全にコントロールすることは難しい。しかし、いま指摘した経済的・社会的問題は政府の政策によって変えることが十分に可能だ」、その通りだ。

第三に、8月4日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏による「ChatGPTは働く人の敵か味方か?賃金や雇用へ影響の鍵を握るのは「需要」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/327111
・『生成系AIの雇用や賃金への影響 低スキル労働者に有利か?  ChatGPTのような生成系AIは、雇用や賃金にどのような影響を与えるか? 多くの人が、この問題に強い関心を寄せている。 カール・フレイ・オックスフォード大学准教授は、これらの技術は低スキル労働者に有利に働くだろうと、経済紙で解説しているが、そうなる可能性もあるが、そうならない可能性もある。 生成系AIは登場したばかりの技術であり、実際に広く使われているわけではない。したがって、雇用を始めとする経済活動にどのような影響があるかについては、さまざまな可能性があり、見通すことが難しい。 ただ生成系AIが雇用を増やしたり賃金が上がったりするプラスの影響を与えるかは、AIによって生産性が上昇するのに応じて需要が増えるかどうかが大きく左右するだろう』、「生成系AIが雇用を増やしたり賃金が上がったりするプラスの影響を与えるかは、AIによって生産性が上昇するのに応じて需要が増えるかどうかが大きく左右するだろう」、その通りだ。
・『需要が増えなければ失業が発生する  生成系AI(正確には、その中で、文章の生成を行う大規模言語モデル:LLM)は、人間の指示や質問に対応して文章を生成する。したがって、文書に関わるさまざまな仕事の効率を飛躍的に高める。 とりわけ翻訳や要約、校正などでは驚くべき力を発揮する。また定型的な文章を事情の変更に応じて書き直すといったことも自動的に行うことができる。このため、こうした仕事に携わっていた人々の生産性は向上する。それに伴って賃金が上昇するだろうと考えるのは自然なことだ。 しかし、この考えには重要な仮定がある。それは、作成された文書に対する需要が生産性の向上に合わせて増えることだ。 しかし、実際にこうなる保証はない。作成された文書に対する需要は増えないことがあり得る。その場合には、従業員にとっての条件が悪化することがある。 例えば、2人の従業員がいて、各人が1時間働き、合わせて2nの量の文章を作っていたとしよう。そして各人が2anの賃金を得ていたとする。ここで、aは文章量に対する賃金の比率だ。 生成系AIの導入によって能率が2倍になり、1人が1時間働けば2nの文章が作れるようになったとする。もし文章に対する需要の総量が4nに増えるなら、各人とも1時間働いて2nずつの文章を作り、1時間当たりの収入(賃金)は2anに増加する(aの値は不変と仮定。なお、このようになるのは生成系AIが「労働増加的技術進歩」と考えられるからだが、詳細の議論は省略)。 しかし、もし文章の需要総量が2nのままだとすれば、企業は1人の従業員を解雇し、残りの1人の従業員だけで2nの量の文章を作ることができる。この場合、解雇されなかった従業員は賃金が2anに増えるが、解雇された従業員の収入は0になる。 2人の生産性が厳密には同一ではなく、少しの差があるとすれば、生産性の低い従業員が解雇されるだろう。つまり低スキル従業員に不利に働くわけだ。こうしたことが起る可能性はかなり高いと考えられる。 生成系AIをうまく使える人々が生産性を上げ、これまでより高い賃金を得るようになる。そして、うまく使えない人々を駆逐して仕事を独占することになるわけだ。) ただ、もちろんこれへの対処は可能だ。2人の従業員を雇いつつ、2人とも30分働いてもらえばよい。その場合には、各人の賃金(1時間あたり収入)は変わらない(ただし、収入は半分になる)。 生産性が上昇すればそれに応じて需要が増え、したがって生産額が増えるということを前提にすれば、恩恵はすべての従業員に及ぶ。 しかし、需要が現実にどうなるかは分からない(フレイ氏も、需要が増大するかどうかが重要な条件だと指摘している)。現在の日本経済の状況では需要が増えないのは、十分にあり得ることだ』、「 生成系AIをうまく使える人々が生産性を上げ、これまでより高い賃金を得るようになる。そして、うまく使えない人々を駆逐して仕事を独占することになるわけだ。) ただ、もちろんこれへの対処は可能だ。2人の従業員を雇いつつ、2人とも30分働いてもらえばよい。その場合には、各人の賃金(1時間あたり収入)は変わらない(ただし、収入は半分になる)。 生産性が上昇すればそれに応じて需要が増え、したがって生産額が増えるということを前提にすれば、恩恵はすべての従業員に及・・・現在の日本経済の状況では需要が増えないのは、十分にあり得ることだ」、なるほど。
・『事務的な仕事は人手が過剰で人手不足の建設や介護には影響少ない  生産性の向上に対して雇用の需要が増えるか増えないかを判断するには、有効求人倍率が参考になる。 最近の数字を見ると、一般事務従事者の有効求人倍率は、0.33だ(厚生労働省、一般職業紹介状況、2023年5月)。 日本経済全体としては、事務的な仕事については人が余っていることになる。生成系AIは、こうした仕事についての生産性を上昇させる。だから上で述べたメカニズムによれば、それにかかわる従業員にとって不利な状況をもたらす可能性が高い。 いまの日本で労働力不足が顕著なのは次の分野だ。 ・建設・採掘従事者(有効求人倍率 4.95) ・介護サービス職業従事者(同 3.54) こうした分野においても、AIが重要な役割を果たすことはある。例えば、介護における介護ロボットは、省力化を進めるために重要な役割を果たす。しかしこれは生成系AIの役割である文書作成とは、あまり関係がない』、「一般事務従事者の有効求人倍率は、0.33だ(厚生労働省、一般職業紹介状況、2023年5月)。 日本経済全体としては、事務的な仕事については人が余っていることになる。生成系AIは、こうした仕事についての生産性を上昇させる。だから上で述べたメカニズムによれば、それにかかわる従業員にとって不利な状況をもたらす可能性が高い」、なるほど。
・『職種間・産業間移動が重要 職に応じたリスキング必要  以上では、従業員が企業間や職種間を移動しないことを前提にして考えた。しかし実際には移動することが可能だ。これによって次のような変化が起こり得る。 労働力不足があまり深刻でない分野(例えば事務職)で生成系AIによって事務能率が向上し、その結果、従業員数が過剰になり、労働力不足が深刻である分野に移動する。これによって、経済全体としての労働力不足が緩和されるはずだ。 ここで重要なのは労働力の職種間・産業間移動だ。『職種間、産業間の労働力の移動は日本でも経済発展や産業の盛衰によってこれまでも行われてきた。 例えば、農業から製造業への転換、あるいは炭鉱の閉鎖などだ。ただしそれは、かなり長い時間をかけて行われた。 ところが、生成系AIによる変化は急激に起こる可能性がある。したがって、社会的に大きな混乱をもたらす可能性がある。さらに、1950年代、60年代に日本で行われた産業間の雇用移動は全体としての経済規模が拡大していく中で行われた。したがって調整に伴うコストが比較的少なかった。 しかし日本はいま、低成長問題に直面している。そうした中で調整を行うのは極めて難しいことだ。いま必要なのは、このような移動を容易にする経済・社会の仕組みを作ることだ。 ところが、実際の政策は、それまでの仕事を続けられるように支援するというものが多い。したがって職種間の移動を妨げる結果になっている。 コロナ禍で採られた雇用調整助成金はその典型的な例だ。こうした政策から脱却する必要がある なお、新しい職種に就くためには新しいスキルが必要であり、そのためにリスキリングが必要だ。このことは最近ではよく言われるが、必要とされるのは、生成系AIという新しい技術を使うためのもの(例えば、プロンプトの作り方)に限らない。これまでとは違う職種に就くとすれば、それに応じたリスキリングが必要になるだろう』、「実際の政策は、それまでの仕事を続けられるように支援するというものが多い。したがって職種間の移動を妨げる結果になっている。 コロナ禍で採られた雇用調整助成金はその典型的な例だ。こうした政策から脱却する必要がある なお、新しい職種に就くためには新しいスキルが必要であり、そのためにリスキリングが必要だ」、その通りだ。
・『生成系AIは「第3次産業革命」 経済社会構造を柔軟に変えられるか  第3次産業革命ということがしばしば言われてきた。あるいは、第4次革命、第5次革命とも言われた。しかし、その中身は大したものではなく、人目を引くためのキャッチフレーズに過ぎない場合が多かった。 だが、生成系AI(大規模言語モデル)は、間違いなく第1次産業革命(蒸気機関の導入)や第2次産業革命(電気の導入)に次ぐ、第3次産業革命だ。 この技術の本質は、人間が日常用語によってコンピューターを操れるようになったことだ。これは、経済社会の基本的な構造を変える。これにうまく対応できるように、社会経済の構造を柔軟に変えていけるかどうかが、今後の経済の成長を決めることになる。 日本政府は、ぜひこのような問題意識を持って政策を進めてもらいたい。生成系AIを国会答弁に用いるというようなこととは全く次元の違う対応が必要なのだ。 さらに、教育の仕組み、特に大学教育が改革されなければならない。日本の大学はこれまで、時代の変化や技術の変化に対して柔軟に対応してきたとは言いがたい。 生成系AIがもたらす変化は、これまでのさまざまな技術革新がもたらしたもの以上に大きなものになる可能性が強い。そうした変革を可能にするために、高等教育の内容を変革していくことが重要な課題だ』、「生成系AI(大規模言語モデル)は、間違いなく第1次産業革命(蒸気機関の導入)や第2次産業革命(電気の導入)に次ぐ、第3次産業革命だ。 この技術の本質は、人間が日常用語によってコンピューターを操れるようになったことだ。これは、経済社会の基本的な構造を変える。これにうまく対応できるように、社会経済の構造を柔軟に変えていけるかどうかが、今後の経済の成長を決めることになる。 日本政府は、ぜひこのような問題意識を持って政策を進めてもらいたい。生成系AIを国会答弁に用いるというようなこととは全く次元の違う対応が必要なのだ。 さらに、教育の仕組み、特に大学教育が改革されなければならない。日本の大学はこれまで、時代の変化や技術の変化に対して柔軟に対応してきたとは言いがたい。 生成系AIがもたらす変化は、これまでのさまざまな技術革新がもたらしたもの以上に大きなものになる可能性が強い。そうした変革を可能にするために、高等教育の内容を変革していくことが重要な課題だ」、同感である。
タグ:人工知能(AI) (その15)(野口 悠紀雄氏による生成系AIの3考察(生成系AIで「なくなる職業・減る仕事」 マネージメントや高度金融サービスにも波及、生成系AIがもたらす格差拡大 「シンギュラリティ時代」の政府の責任、ChatGPTは働く人の敵か味方か?賃金や雇用へ影響の鍵を握るのは「需要」) ダイヤモンド・オンライン 野口悠紀雄氏による「生成系AIで「なくなる職業・減る仕事」、マネージメントや高度金融サービスにも波及」 「業務用の翻訳や形式的な校正などの仕事は生成系AIに代替される可能性が高いが、マネージメントや高度な金融サービスでも仕事は残っても職が減る。 だがその一方、生成系AIで言葉の壁が低くなり国際分業が進むなどでプラスの「バタフライ・エフェクト」が起きる可能性もある」、なるほど。 「翻訳、特に業務用の翻訳や資料翻訳の仕事だ。生成系AIが十分実用になる翻訳を作成でき、要旨の作成も可能だ・・・ただし、文学書などの翻訳は例外で、その需要は減少するが、完全になくなることはないだろう」、「二つ目は文章の校正・校閲だ。形式的な誤りは、生成系AIによってほぼ完全に検出・修正可能だ。しかし表現法などに関する好みの問題は残るだろう」、「三つ目は、ライターや文字起こしの仕事だ。録音したものを音声認識でテキスト化し、生成系AIがそれを校正することで、ほぼ自動的に文章を作成できる。 したがって、ライターや 「記者の取材活動を生成系AIで代替することはできない。取材は現場での情報収集だけでなく、人々との対話などを通じて真実を追求する重要なプロセスだ。 信頼性のある情報を提供し、社会的な意義を持つ報道を行なうという記者の役割は重要なものとして残るだろう」、「編集者の仕事への影響は場合によって大きく異なる。形式的な仕事しか行なっていない場合、その役割は生成系AIに置き換えられるだろう。しかし、雑誌の特集企画や書籍の企画、著者とのコミュニケーションなどは生成系AIによっては置き換えられない仕事だ」、 「金融業務にも影響を与えるだろうが、分析的作業への影響は比較的少ないだろう。しかし、データサイエンスへの影響は大きいだろう。高度なアルゴリズムや機械学習を利用したデータ分析により、リスク評価の精緻化が可能となるだろう」、なるほど。 このうち、3番目は衝撃的だ。 「AIを巧みに使う人が生産性を上げ、そのため他の人が失業するといった場合のほうが多いのではないかと考えられる。 つまり、AIと人間との職の奪い合いではなく、人間と人間との間の職の奪い合いが起こる」、「AI」を使いこなせる人と、そうでない人との「職の奪い合いが起こる」、というのは納得的だ。 「これまで、日本は言葉の壁のために国際分業で遅れていたが、この状況が変わるかもしれない。それによって日本と外国とのさまざまな分業関係が促進され、それが日本再生のきっかけになることもあり得るだろう。このようなポジティブな変化が起きることを期待したい」、その通りだ。 野口悠紀雄氏による「生成系AIがもたらす格差拡大、「シンギュラリティ時代」の政府の責任」 「シンギュラリティは、ChatGPTの出現によってすでに実現してしまったのではないだろうか? これが、ストレイトフェルド氏の論考が指摘するところだ」、先のことと思っていたら、既に「実現」していたとは・・・。 「シンギュラリティの到来 2045年と予測されていたが」、なるほど。 「外国語の文献をあっという間に翻訳してしまう。処理スピードの点では、問題なく人間のレベルをはるかに超えている」、限定された分野では、あり得ることだ。 「生成系AIの開発には膨大な資金が必要となることから、これを行える企業は限定的だ。ChatGPTを開発したオープンAIは、Microsoftから130億ドルもの巨額の資金を調達できたために、開発が可能になった。 大企業はこれを利用して生産性を上げる。そして、人員を削減する道具として用いる。一方で小企業はこれを使えずに排除されてしまう。このようにして、格差がますます拡大することは十分にあり得る。富める者はさらに富み、強い者がますます強くなる。そして貧しい者はさらに貧しくなり、弱い者はますます弱くなる」、なる ほど。 「政府がこれらのサービスを無料で利用できるようにし、多くの人々が利用できるようになれば、日本再生のための強力な手段とすることも可能だろう。現在支出しているさまざまな補助金を大胆に廃止して、上記のことに集中すれば、これは、決してできないことではない。 シンギュラリティは技術的な問題なので、これを完全にコントロールすることは難しい。しかし、いま指摘した経済的・社会的問題は政府の政策によって変えることが十分に可能だ」、その通りだ。 野口悠紀雄氏による「ChatGPTは働く人の敵か味方か?賃金や雇用へ影響の鍵を握るのは「需要」」 「生成系AIが雇用を増やしたり賃金が上がったりするプラスの影響を与えるかは、AIによって生産性が上昇するのに応じて需要が増えるかどうかが大きく左右するだろう」、その通りだ。 「 生成系AIをうまく使える人々が生産性を上げ、これまでより高い賃金を得るようになる。そして、うまく使えない人々を駆逐して仕事を独占することになるわけだ。) ただ、もちろんこれへの対処は可能だ。2人の従業員を雇いつつ、2人とも30分働いてもらえばよい。その場合には、各人の賃金(1時間あたり収入)は変わらない(ただし、収入は半分になる)。 生産性が上昇すればそれに応じて需要が増え、したがって生産額が増えるということを前提にすれば、恩恵はすべての従業員に及・・・現在の日本経済の状況では需要が増えないのは、十分 にあり得ることだ」、なるほど。 「一般事務従事者の有効求人倍率は、0.33だ(厚生労働省、一般職業紹介状況、2023年5月)。 日本経済全体としては、事務的な仕事については人が余っていることになる。生成系AIは、こうした仕事についての生産性を上昇させる。だから上で述べたメカニズムによれば、それにかかわる従業員にとって不利な状況をもたらす可能性が高い」、なるほど。 「実際の政策は、それまでの仕事を続けられるように支援するというものが多い。したがって職種間の移動を妨げる結果になっている。 コロナ禍で採られた雇用調整助成金はその典型的な例だ。こうした政策から脱却する必要がある なお、新しい職種に就くためには新しいスキルが必要であり、そのためにリスキリングが必要だ」、その通りだ。 「生成系AI(大規模言語モデル)は、間違いなく第1次産業革命(蒸気機関の導入)や第2次産業革命(電気の導入)に次ぐ、第3次産業革命だ。 この技術の本質は、人間が日常用語によってコンピューターを操れるようになったことだ。これは、経済社会の基本的な構造を変える。これにうまく対応できるように、社会経済の構造を柔軟に変えていけるかどうかが、今後の経済の成長を決めることになる。 日本政府は、ぜひこのような問題意識を持って政策を進めてもらいたい。生成系AIを国会答弁に用いるというようなこととは全く次元の違う対応が必要 なのだ。 さらに、教育の仕組み、特に大学教育が改革されなければならない。日本の大学はこれまで、時代の変化や技術の変化に対して柔軟に対応してきたとは言いがたい。 生成系AIがもたらす変化は、これまでのさまざまな技術革新がもたらしたもの以上に大きなものになる可能性が強い。そうした変革を可能にするために、高等教育の内容を変革していくことが重要な課題だ」、同感である。
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