SSブログ

個人債務問題(その4)(“日の丸ヤミ金”奨学金 若者から収奪する「日本学生支援機構」、若者が陥る不動産投資のワナ 「フラット35」の不正利用が相次ぐ【WBS】、「警察vs新手のヤミ金」仁義なき戦い ギフト券買い取り商法などの狡猾手口) [金融]

個人債務問題については、2021年2月5日に取上げた。今日は、(その4)(“日の丸ヤミ金”奨学金 若者から収奪する「日本学生支援機構」、若者が陥る不動産投資のワナ 「フラット35」の不正利用が相次ぐ【WBS】、「警察vs新手のヤミ金」仁義なき戦い ギフト券買い取り商法などの狡猾手口)である。

先ずは、2022年4月7日付け週刊金曜日「“日の丸ヤミ金”奨学金 若者から収奪する「日本学生支援機構」」を紹介しよう。
https://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/2022/04/07/news-124/
・『日本学生支援機構による〝違法回収〟の実態が明らかになりつつある。利用者への「最終通知」内容が情報公開請求で発覚。そしてついに国会でも取り上げられた。〈重要/必ずお読みください!/今回お送りした「支払督促申立予告」は、あなたへの最終通知です。〉(傍線は原文ママ) 日本学生支援機構が奨学金ローンの利用者らに送付する「最終通知」。 A4判の紙に赤色の大文字をまじえてそんな文句が書かれている。作成者は闇金融でもなければ貸金業者でもない。独立行政法人日本学生支援機構(以下、支援機構)である。特殊詐欺と疑われてもやむを得ないほど威圧感のある取り立て文書を、奨学金ローンの返還困難に陥った利用者や保証人に対して送りつけていたのだ。 「最終通知」は情報公開請求に対して支援機構が開示したものだが、その意味は重大だ。違法性が疑われる繰り上げ一括請求を実行するために作成された「違法回収の証拠」だからだ。 奨学金ローンは20年以内に月賦または年賦などで返還する仕組みだ。それを、返済が滞ると将来払う予定のものまで前倒しで一括弁済をと迫る。200万円であろうが300万円であろうが、耳を揃えて即座に払えというのが繰り上げ一括請求である。根拠は日本学生支援機構法施行令5条5項とされる。 さて、最終通知をさらに読むと、赤色や下線、傍点で強調した大文字でこうある。 予告書の内容をお読みいただき、一括返還が困難なときは、必ず「○月末日までに」日本学生支援機構に連絡し、分割返還や返還期限猶予手続等について相談してください。/連絡がないときは、裁判所に支払督促申立を行います。〉(傍線、傍点は原文ママ) 【差出人は元武富士代理人】 強い調子の文面の中に「予告書」という言葉が出てくる。「返還未済奨学金の一括返還請求(支払督促申立予告)」という文書のことだ。やはり情報公開請求で開示された。最終通知といっしょに送っているらしい。 その予告書(A4判)を見ると、こちらは平凡な事務文書の体裁で赤色や大文字は使われていないものの、やはり内容はおどろおどろしい。 〈あなたは、日本学生支援機構(旧日本育英会)からの貸与を受けた奨学金の返還について、再三の督促を受けながら、長期にわたり返還がなされていません。/ついては、独立行政法人日本学生支援機構法施行令(日本育英会奨学規程)により、下記の返還未済額の全部を、下記の返還期限までに一括して返還されますよう請求します。/もし、この期限までに返還されず、また、然るべき対応もなされないときは、やむなく返還未済額の全部、および内訳記載以後の延滞金について、上記規程に定める返還強制の手続きをとることになりますので、ご承知おきください。(略) 返還未済額○円(内訳は下記のとおり)/返還期限○年○月○日 (略) 1 返還期日が到来し、滞納となっている額 ○円 2 約定返還期日未到来であるが、奨学規程により繰上げ返還すべき額 ○円〉(傍線は原文ママ)  差出人は支援機構の吉岡知哉理事長。その下には「顧問弁護士・熊谷信太郎」の名があり、文面に迫力を与えている。熊谷氏はサラ金最大手・武富士(2010年に経営破綻)元代理人の経歴を持つ支援機構の看板弁護士だ。 「奨学金」の利用者や保証人がこれらの文書を受け取れば、ほとんどの人は「滞納した方が悪い。全額払わなければいけない」と思い、動揺するにちがいない。 だが、本連載でたびたび指摘してきたとおり、支援機構の一括請求には違法性が疑われる。施行令5条5項には「支払能力があるにもかかわらず割賦金の返還を著しく怠ったと認められるとき」にのみ一括請求できるとあるのに、じっさいは利用者の支払能力を調べることすらせず、一括請求を乱発している。払えない人から容赦なく貸しはがしている。  この問題意識をもって最終通知や予告書をみれば強い違和感を覚える。一括請求は「支払能力がある」場合にしかできない旨明記した施行令の内容が、文書のどこにも説明されていない。 支援機構は意図的に施行令を歪めているのではないか。そう疑いたくなる』、「支援機構の一括請求には違法性が疑われる。施行令5条5項には「支払能力があるにもかかわらず割賦金の返還を著しく怠ったと認められるとき」にのみ一括請求できるとあるのに、じっさいは利用者の支払能力を調べることすらせず、一括請求を乱発している。払えない人から容赦なく貸しはがしている」、なるほど。
・『【衆院文科委での応酬】  3月2日、衆議院文部科学委員会で宮本岳志議員(共産)が繰り上げ一括請求問題に関する質問で「施行令歪曲疑惑」を取り上げた。答弁者は増子宏・文部科学省高等教育局長だ。 宮本 施行令5条5項ですね。「支払能力があるにもかかわらず」これが一つ。二つめ、「割賦金の返還を著しく怠ったと認められるときは」。(期限の利益喪失は)この二つの条件となっているわけです。(略)。しかしここ(返還開始時に配付する「返還のてびき」)には「督促しても返還しない場合は」という言葉はありますけれども、「支払能力があるにもかかわらず」という肝心の条件は書かれておりません。(略)返還が始まるまでの間に日本学生支援機構はこの施行令5条5項を明記した文書を、貸与を受ける奨学生に対して示しておりますか? 増子 奨学生に採用された際に配付しております「貸与奨学生のしおり」というものがございます。この103ページにおいて明示はしております。 「明示はしております」という増子局長の答弁の意味が、続く宮本議員の質問で明らかになる。 宮本 (「しおり」本文の)79ページを見ますと、法的手続きでは長期にわたって滞納が解消しない場合には触れていますけれども、やっぱり「支払能力があるにもかかわらず」という文言はありません。どこかと思って探したら、資料編、103ページにその施行令5条5項が細かい字でちょちょっと4行書いてあるというのがすべてなんですね。私は、これは本当にひどいなと』、「宮本 (「しおり」本文の)79ページを見ますと、法的手続きでは長期にわたって滞納が解消しない場合には触れていますけれども、やっぱり「支払能力があるにもかかわらず」という文言はありません。どこかと思って探したら、資料編、103ページにその施行令5条5項が細かい字でちょちょっと4行書いてあるというのがすべてなんですね。私は、これは本当にひどいなと」、確かにひどい。
・『【「欺く趣旨ではない」】  何のことはない。増子局長の言う「明示」とは「しおり」の中の資料のことだった。宮本議員はさらに、法的手続きの際に裁判所に対しても「支払能力」を説明していない点を指摘して、是正を要するのではないかと質す。 宮本 (支援機構が起こした債権回収訴訟の訴状においても)施行令5条5項が定める「支払能力があるにもかかわらず」、この文言がありません。まるで施行令が、支払能力の有無とは無関係に、割賦金の返還を著しく怠っただけで一括請求を許しているかのように説明しております。これは裁判所を欺こうということですか? 増子 決して、裁判所を欺くとかそういう趣旨ではございません。この第5条5項においては、返済者に支払能力があるにもかかわらず割賦金の返済を著しく怠ったと認めるときに、返済未済額の全部の返済義務を負うというふうに考えているところでございます。 宮本 支払能力があるかどうかはきわめて重大な条件なんですね。(略)少なくとも日本学生支援機構は、この施行令5条5項に明記された文章、すなわち「支払能力があるにもかかわらず」「割賦金の返還を著しく怠ったと認めるときは」という二つの条件をあらかじめ丁寧に貸与を受ける者に説明しなければならない。またその説明が不十分なまま法的措置に踏み込むのはあまりにも不誠実だと思います。大臣、是非とも改善、せめて検討を。 答弁を求められた末松信介文科大臣は、こう答えた。 「わかりやすい通知文書となるように努めたい。やはりわかってもらうことが一番大事ですので、基本の『き』のところということでございますから、その点よく念頭におきます」 一括請求問題が初めて世に問われたのは2013年。以来10年近くを経てようやく見えた小さな改善の兆しだった。もっとも何をどう改めるのか、具体的にはまだ明らかにされていない。(つづく)』、「一括請求問題が初めて世に問われたのは2013年。以来10年近くを経てようやく見えた小さな改善の兆しだった。もっとも何をどう改めるのか、具体的にはまだ明らかにされていない」、なんと長いこと放置していたものだ。今後の改定の動きを注視したい。

次に、7月28日付けYahooニュースが転載したテレ東BIZ「若者が陥る不動産投資のワナ 「フラット35」の不正利用が相次ぐ【WBS】」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4e9688fe31dd637cc3dfb83959edfd967cc71ff3?page=1
・『不動産価格の高騰などを受け、今、数千万円に上るローンを借りて不動産投資を始める若い人が増えています。しかし、このローンをめぐって「ある落とし穴」にはまり、中には自己破産に追い込まれるケースも多発しています。その実態を取材しました。 7月22日、都内で開かれたJKAS主催の「不動産トラブル『救済』セミナー」。100人以上が参加しました。参加者の1人が佐藤さん(仮名・30歳)。5年前、投資用にマンションを購入しました。 佐藤さんが購入した物件は、都心の最寄り駅から徒歩1分の1LDK(約45平方メートル)。築15年(購入時)で4900万円でした。 物件自体に問題はありませんでしたが、「投資用のローンではなく、住宅居住用の『フラット35』を使用してしまった。不動産会社とやり取りをしていて、投資用ローンで購入しているものだと思っていた」(佐藤さん)といいます。 投資物件では利用できない「フラット35」  「フラット35」は、最長35年間、一定の金利で借りられる住宅ローン。 問題は、このローンを利用できるのは、本人や親族が住むための物件を購入する場合に限られていることです。佐藤さんのように、投資用物件で使うと、不正利用にあたります。 購入から1年後、佐藤さんの元に届いたのは、住宅金融支援機構からの居住確認でした。 不動産会社に手紙が来たということを言ったときに、アンケートのようなものだから答えなくていいと言われ、私もそういうものなのかと楽観的に捉えてしまった」(佐藤さん) 最終的に居住実態がないことが確認され、佐藤さんは住宅支援機構から残ったローンの一括返済を求められました。その後、物件を販売した不動産会社とは、連絡が取れなくなったといいます。 「不動産のプロは詐欺のようなことはしないだろうと思っていた。後悔している」(佐藤さん) 実は今、佐藤さんのように、知らずにフラット35の不正利用をしてしまう事例が相次いでいます。住宅金融支援機構の調査によると、その不正利用のうち84%が20代から30代前半の購入者でした。』、「「投資用のローンではなく、住宅居住用の『フラット35』を使用してしまった。不動産会社とやり取りをしていて、投資用ローンで購入しているものだと思っていた」(佐藤さん)といいます・・・購入から1年後、佐藤さんの元に届いたのは、住宅金融支援機構からの居住確認でした・・・販売した不動産会社とは、連絡が取れなくなった」、これでは「投資物件」であることがバレてしまうし、「不動産会社とは、連絡が取れなくなった」のであれば、どうしようもない。
・『壁もボロボロ、資料も改ざん  田中さんが購入した物件には、壁に複数の穴が開いていた 取材を進めると、さらに悪質な不動産会社の存在が見えてきました。 5年前に、不動産投資を始めた田中さん(仮名・29歳)。4400万円で投資用に購入したという川崎市内のマンションは築24年(購入時)で、3LDK(約70平方メートル)です。 「(壁には)穴が複数開けられていて、ガラスの縁のところも割れている」(田中さん) 壁には多数の落書きが描かれていました。「ミストサウナ付き」と書いてあった浴室は、水回りも古いままです。今年1月に入居者が出て行き、初めて物件を確認したといいます。 田中さんが購入のために利用したのも、フラット35のローン。投資用に購入したため、田中さんの元にも一括返済の督促が来ました。 「不動産会社に相談しても、ろくな回答がもらえなかった。先輩に相談したときに、もう自己破産するしかないと言われた」(田中さん) 田中さんが提出した資料と開示された資料を比べると月収が10万円ほど上乗せされている 不動産会社が金融機関に提出していた書類を入手したところ、月収が10万円ほど上乗せされ、年収にすると100万円近く水増しされていました。ローンの審査を通すために源泉徴収票など多くの書類が書き換えられていたのです。 「本当に腹立たしい気持ちでいっぱいです」(田中さん) 田中さんに物件を販売した不動産会社のオフィスを訪ねました。そこにあったのはレンタルオフィス。しかし、この不動産会社がいたことはないということでした。 不動産会社に電話し、「融資を通す上で提出された書類と違うものが、ローン会社に提出されていたというが事実か」 と質問すると、受話器の向こうから返ってきた返事は、「わからない。私はこの場でなにも判断する権限がない」。その後、何度電話をしても、回答は得られませんでした。 不動産トラブルに詳しい銀座第一法律事務所の大谷郁夫弁護士は、「事務所に行っても誰もいないというケースはある。そうすると、もう打つ手がない」といいます。 その上でトラブルに巻き込まれないために注意すべきことについて、大谷弁護士は「言われるがままハンコを押して儲かる不動産はまずない。投資をするならその対象について、それなりに勉強してほしい。それからいろいろな書類にハンコを押すときは必ず読んでほしい」と話しました。 ※ワールドビジネスサテライト』、「4400万円で投資用に購入したという川崎市内のマンションは築24年(購入時)で、3LDK(約70平方メートル)です。 「(壁には)穴が複数開けられていて、ガラスの縁のところも割れている」(田中さん) 壁には多数の落書きが描かれていました。「ミストサウナ付き」と書いてあった浴室は、水回りも古いままです」、物件はひどいようだ。「田中さんに物件を販売した不動産会社のオフィスを訪ねました。そこにあったのはレンタルオフィス。しかし、この不動産会社がいたことはないということでした」、これでは話にならない。「購入のために利用したのも、フラット35のローン。投資用に購入したため、田中さんの元にも一括返済の督促が来ました」、これでは確かに自己破産しか道がなさそうだ。

第三に、11月7日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した東京情報大学 総合情報学部 教授の堂下浩氏による「「警察vs新手のヤミ金」仁義なき戦い、ギフト券買い取り商法などの狡猾手口」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/331819
・『10月25日に神奈川県警が新たなヤミ金を逮捕した。金券買い取りを偽装して資金を提供する「ギフト券買い取り商法」と呼ばれる新種のヤミ金であり、全国で初めての摘発となる。一昔前と違い、近年のヤミ金は単純な金銭貸借の形を取らず、法律の抜け道をくぐるような狡猾な手口を次々と編み出している。邪智深く進歩するヤミ金と、執念を燃やして追いかける警察の戦いが続いている』、興味深そうだ。
・『フリマサイトを装った新種のヤミ金を摘発  「ギフト券買い取り商法」を展開するヤミ金は、金銭を貸す代わりに、ギフト券など金券を媒介しているのが特徴だ。まず、ヤミ金はネット上で金券を買い取るフリーマーケットサイトを装って資金需要のある申込者(実態としては債務者)を誘い込む。たとえば2万円分の金券を申込者が出品するとしよう。しかし、額面通りの金額では売れず、1万5000円などといったディスカウント価格で出品する。そして、ヤミ金がこれを買い取り、1万5000円を申込者に振り込む。 通常の金券売買なら、代金が振り込まれた時点で即座に金券が発送されるところだが、このサイトでは翌月の給与日まで発送を猶予してもらえる。 そして、翌月の給与日には2万円分の金券をヤミ金に郵送しなければならない。つまり、1万5000円を現金で借りて、翌月の給与日に2万円を金券で返済する、という図式になる。差額の5000円が金利だから、1カ月で30%以上ということになる。 金券の買い取り行為に違法性はなく、通常の金券ショップの業態とくくれなくもないため、このスキームを貸金業違反として決めつけて摘発することは難しい。そこで、今回は警察側も相当の警察資源を投入しながら、周到な計画の下で証拠を集め、綿密な法的ロジックを組み立てた上で逮捕に至ったものと思われる。 現在、同様の業者はネット上でも流行りつつあり、警察も時間との戦いに迫られながらの捜査を強いられたものと推察される』、「1万5000円を現金で借りて、翌月の給与日に2万円を金券で返済する、という図式になる。差額の5000円が金利だから、1カ月で30%以上ということになる。 金券の買い取り行為に違法性はなく、通常の金券ショップの業態とくくれなくもないため、このスキームを貸金業違反として決めつけて摘発することは難しい。そこで、今回は警察側も相当の警察資源を投入しながら、周到な計画の下で証拠を集め、綿密な法的ロジックを組み立てた上で逮捕に至ったものと思われる」、なるほど。
・『巨大化するヤミ金組織と暗号資産化で見えない収益の行方  警察がヤミ金の摘発に「本気」にならざるを得ない背景には、いくつもの理由がある。 まず一つ目が、ヤミ金の規模が大きくなっている点である。近年、暗躍するヤミ金の組織規模が大きくなっている。当然、被害規模も一段と巨額化しているはずだ。しかも、収益の相当額が暗号資産などを通してフィリピンなど海外の銀行口座に流出し、全容解明が困難となってきている。 そして、二つ目の点として挙げられるのが、ヤミ金が考え付くスキームの巧妙さである。背後には悪徳弁護士のネットワークの存在も囁かれている。一昔前のように、単純な高利貸しはなりをひそめ、一見してヤミ金とはわからないようなスキームで、摘発にも時間がかかるようになってきた。 つまり、ヤミ金被害は拡大しているのに、その実態が掴みにくい。こうした構図に業を煮やした警察は、ヤミ金摘発に力を入れるようになってきた。 このような警察とヤミ金の暗闘は、2018年頃から隆盛を誇るようになったヤミ金である「給与ファクタリング商法」の摘発に遡れる。 当時、肥大化した銀行カードローンは、杜撰な審査により数多くの返済困難者を発生させていた。社会でも銀行カードローンへの批判が強まり、慌てた全国銀行協会(全銀協)は2017年にカードローン審査の厳格化に向けた申し合わせを公表した。この自主規制により市場の膨張に急ブレーキがかかり、社会的な批判も沈静化していった。一方で、急な信用収縮は銀行カードローン市場からの借入困難者を発生させる事態を招いた。 こうした借入困難者の新たな受け皿として成長した市場が「給与ファクタリング商法」と呼ばれるヤミ金であった。国民生活センターに寄せられた事例を1つ見てみよう。  ある男性は子どもの医療費のために、自身の給与債権12万円をファクタリング業者に売却。手数料を差し引いた7万円を手にした。そして翌月の給料日に12万円を銀行振り込みするという契約であった。 これを貸金として考えると、7万円を借り入れて、翌月に12万円を返済。たった1カ月で利息は5万円ということになる。ところが、業者側の言い分としては「給与を債権として買い取っているので、金銭貸借ではない。したがって、差額の5万円は手数料であり、利息ではない」ということになる。) 当時、「ファクタリング業を偽装した新種のヤミ金」と批判されつつも、利息制限法を含めた法的適用性を巡る議論に余地が残されていた。このため、警察もその摘発に慎重にならざるを得なかった。いくら実態がヤミ金そのものだからといって、法的根拠なくして逮捕はできないからだ。 こうして野放しで成長していった給与ファクタリング問題が社会でもクローズアップされるようになった頃、ようやく重い腰を上げた金融庁は2020年3月にノンアクションレターを通して、このスキームが貸金業に当たるとの見解を示した。これにより、法的な根拠を得た警察は一斉に給与ファクタリング業者の摘発を進めたのだ。 警察が動き出したことに加えて、コロナショックが始まり、資金需要が大きく落ち込む局面でもあったことから、給与ファクタリング業者の多くは市場からの撤退を進めた。 しかしながら、経済活動の正常化に伴い、今度は給与ファクタリングのスキームを発展させた「後払い現金化商法」というヤミ金が跋扈し始める。 筆者がネット上で新たに出店した後払い現金化業者の屋号や所在地を調べたところ、給与ファクタリング業者時代と同一であった事例をいくつも確認できた』、「借入困難者の新たな受け皿として成長した市場が「給与ファクタリング商法」と呼ばれるヤミ金であった。国民生活センターに寄せられた事例を1つ見てみよう。  ある男性は子どもの医療費のために、自身の給与債権12万円をファクタリング業者に売却。手数料を差し引いた7万円を手にした。そして翌月の給料日に12万円を銀行振り込みするという契約であった。 これを貸金として考えると、7万円を借り入れて、翌月に12万円を返済。たった1カ月で利息は5万円ということになる。ところが、業者側の言い分としては「給与を債権として買い取っているので、金銭貸借ではない。したがって、差額の5万円は手数料であり、利息ではない」ということになる・・・経済活動の正常化に伴い、今度は給与ファクタリングのスキームを発展させた「後払い現金化商法」というヤミ金が跋扈し始める。 筆者がネット上で新たに出店した後払い現金化業者の屋号や所在地を調べたところ、給与ファクタリング業者時代と同一であった事例をいくつも確認できた」、なるほど。
・『次々に誕生するヤミ金の新手口 警察がなかなか動けないのはなぜか?  後払い現金化のスキームを説明しよう。まずヤミ金が提供する無価値な商品やサービス(スマホで撮った風景写真、複写のアート画像など)を購入する申し込みを行う。ヤミ金は申込者(債務者)を与信判断した上で、無価値な商品やサービスを提供する。商品やサービスを受領した申込者は、口コミや評価点をネット上で記載することでヤミ金からキャッシュバックという名目で現金(「元本」に相当)を受け取る。 その後、申込者は次の給料日にヤミ金へ、購入した商品やサービスの代金(「元本」+「利息」に相当)を後払いするという仕組みである。 このように、さまざまに手口を変えながら拡大していくのが、ヤミ金の狡猾なところである。そして、この時も金融庁は法解釈の難しさから、後払い現金化商法が貸金業に相当するか否かの見解を示さなかった。その理由は後述する。) 金融庁が沈黙し、警察が動けない中、後払い現金化業者がネット上で堂々と営業を続ける日々が続いたが、2021年9月に北海道警は抜かりない捜査の末、後払い現金化商法でヤミ金を営んだとして、情報商材販売会社「OSGS」(札幌)の代表らを逮捕した。 報道によると、同社はネット上で「ゲーム攻略法」などの情報商材を後払いで販売し、そして購入者に最大5万円をキャッシュバックするという名目で顧客に送金し、後日、情報商材の購入代金として最大8万円を回収していた。さらに2022年9月には、警視庁生活経済課と広島県警の合同捜査本部は規模が一段と大きい別の現金買い取り業者を逮捕した。 ただし、摘発されたスキーム自体を見ると、この商法が貸金業に該当すると単純に見ることはできない。貸金業法第二条第一項三号には「物品の売買(中略)を業とする者がその取引に付随して行う」金銭授受は貸金業に当たらないと規定されている。つまり、摘発された販売業者が行った金銭の授受は情報商材という取引に伴って発生したものであり、貸金業に相当するとは必ずしも言えない。 しかし、これらの業者が扱っていた情報商材は、記事によると「ほぼ価値のない情報」であり、その金額である「最大8万円」という価格に合理性が認められなかった。結果として、そのスキームは貸金業に該当すると論定され、代表らは貸金業法及び出資法違反として逮捕された』、「これらの業者が扱っていた情報商材は、記事によると「ほぼ価値のない情報」であり、その金額である「最大8万円」という価格に合理性が認められなかった。結果として、そのスキームは貸金業に該当すると論定され、代表らは貸金業法及び出資法違反として逮捕された」、なるほど。
・『茨城県警が執念の摘発!「先払い買い取り商法」とは  警察による一連の後払い現金化商法の逮捕が続いた結果、今度は「先払い買い取り商法」と呼ばれる新たな業態が誕生し、瞬く間に広がっていった。後払い現金化商法が出現した時と同様に、先払い買い取り業者の大半は給与ファクタリングや後払い現金化からの転業組であったと容易に推測できる。 そのスキームについて説明する。資金需要者は買主であるヤミ金(多くは古物商として偽装)の指定するスマホやゲーム機器といった中古品や未使用品を売却する申し込みを行う。業者は申込者(売主)を与信判断した上で、その審査が通った申込者とのみ買い取り契約を交わす。) そして業者は商品を受領する前に、売主に代金(「元本」に相当)を支払う。その後、業者は売主に買い取り契約をキャンセルさせた上で、1か月後の給料日を期限に高額なキャンセル料(「元本」+「利息」に相当)をキャンセル申出者(資金需要者)から回収する。先払い買い取り商法のスキームは審査や回収の知識という点で給与ファクタリングと本質的に同一であり、その派生形と捉えられる。 身近な中古商品がネットを介して売買される取引は一般化しつつあり、多様な商品の買い取り業者が社会に存在する。こうした状況下で、金銭交付を目的とした取引と実需を伴う取引を線引きすることは極めて難しい。しかしながら、2023年1月に全国で初めて茨城県警が先払い買い取り業者を摘発した。利用者(被害者)は1万2800人、貸し付け利益は約4億円にのぼる。警察の執念ともいえる捜査の結果であろう。そして、多くのヤミ金は「先払い買い取り商法」から、今回神奈川県警が逮捕した「ギフト券買い取り商法」へ転業していった。 しかし、これらの摘発で一件落着かというと、そう甘くはない。ここまで見てきたように、新種のヤミ金はいずれも法解釈の難しいスキームである。したがって、「違法ではない」と法廷で執拗に争うヤミ金もいるのだ。たとえ敗訴となっても、裁判所が認めなかった要因を分析し、それを克服する新たなスキーム開発に活かすのかもしれない。 たとえば、給与ファクタリングが貸金業に該当すると金融庁が発表してから約1年後の2022年2月に、北海道警が給与ファクタリングを営んでいるとして「日本強運堂」という業者を逮捕した。 しかしながら、逮捕された経営者らは自分たちのスキームが金融庁の示した見解に当てはまらないと主張し、容疑を認めず最高裁まで争う事態に発展した。2023年2月、最終的に最高裁は日本強運堂のスキームが貸し付けに当たると判断を下した。ただし、この裁判ではファクタリング業者による「回収リスクの負担」という観点で金融庁の見解に反駁の余地が残されている可能性を示唆した』、「新種のヤミ金はいずれも法解釈の難しいスキームである。したがって、「違法ではない」と法廷で執拗に争うヤミ金もいるのだ。たとえ敗訴となっても、裁判所が認めなかった要因を分析し、それを克服する新たなスキーム開発に活かすのかもしれない。 たとえば、給与ファクタリングが貸金業に該当すると金融庁が発表してから約1年後の2022年2月に、北海道警が給与ファクタリングを営んでいるとして「日本強運堂」という業者を逮捕した。 しかしながら、逮捕された経営者らは自分たちのスキームが金融庁の示した見解に当てはまらないと主張し、容疑を認めず最高裁まで争う事態に発展した。2023年2月、最終的に最高裁は日本強運堂のスキームが貸し付けに当たると判断を下した」、なるほど。
・『警察がヤミ金摘発に本気になる本当の理由  そして、警察がヤミ金の摘発に「本気」にならざるを得ない三つ目の理由として、ヤミ金の借受人、つまり被害者が往々にして次に詐欺に加担し、今度は加害者となってしまうという傾向が見られる点が挙げられる。近年拡大して問題になっている闇バイトなどを束ねる犯罪集団と一般人との関係形成に、ヤミ金との接触が影響を及ぼしている可能性が事件などで散見されるようになってきた。ただし、その傾向はヤミ金の“業態(=手口)”により異なるのだ。この点については改めて解説する』、「ヤミ金の借受人、つまり被害者が往々にして次に詐欺に加担し、今度は加害者となってしまうという傾向が見られる点が挙げられる。近年拡大して問題になっている闇バイトなどを束ねる犯罪集団と一般人との関係形成に、ヤミ金との接触が影響を及ぼしている可能性が事件などで散見されるようになってきた。ただし、その傾向はヤミ金の“業態(=手口)”により異なるのだ」、「被害者が往々にして次に詐欺に加担し、今度は加害者となってしまうという傾向が見られる」とは奇妙キテレツだ。後日のもっと詳しい解説を待つとしよう。 
タグ:個人債務問題 (その4)(“日の丸ヤミ金”奨学金 若者から収奪する「日本学生支援機構」、若者が陥る不動産投資のワナ 「フラット35」の不正利用が相次ぐ【WBS】、「警察vs新手のヤミ金」仁義なき戦い ギフト券買い取り商法などの狡猾手口) 週刊金曜日「“日の丸ヤミ金”奨学金 若者から収奪する「日本学生支援機構」」 「支援機構の一括請求には違法性が疑われる。施行令5条5項には「支払能力があるにもかかわらず割賦金の返還を著しく怠ったと認められるとき」にのみ一括請求できるとあるのに、じっさいは利用者の支払能力を調べることすらせず、一括請求を乱発している。払えない人から容赦なく貸しはがしている」、なるほど。 「宮本 (「しおり」本文の)79ページを見ますと、法的手続きでは長期にわたって滞納が解消しない場合には触れていますけれども、やっぱり「支払能力があるにもかかわらず」という文言はありません。どこかと思って探したら、資料編、103ページにその施行令5条5項が細かい字でちょちょっと4行書いてあるというのがすべてなんですね。私は、これは本当にひどいなと」、確かにひどい。 「一括請求問題が初めて世に問われたのは2013年。以来10年近くを経てようやく見えた小さな改善の兆しだった。もっとも何をどう改めるのか、具体的にはまだ明らかにされていない」、なんと長いこと放置していたものだ。今後の改定の動きを注視したい。 Yahooニュースが転載 テレ東BIZ「若者が陥る不動産投資のワナ 「フラット35」の不正利用が相次ぐ【WBS】」 「「投資用のローンではなく、住宅居住用の『フラット35』を使用してしまった。不動産会社とやり取りをしていて、投資用ローンで購入しているものだと思っていた」(佐藤さん)といいます・・・購入から1年後、佐藤さんの元に届いたのは、住宅金融支援機構からの居住確認でした・・・販売した不動産会社とは、連絡が取れなくなった」、これでは「投資物件」であることがバレてしまうし、「不動産会社とは、連絡が取れなくなった」のであれば、どうしようもない。 「4400万円で投資用に購入したという川崎市内のマンションは築24年(購入時)で、3LDK(約70平方メートル)です。 「(壁には)穴が複数開けられていて、ガラスの縁のところも割れている」(田中さん) 壁には多数の落書きが描かれていました。「ミストサウナ付き」と書いてあった浴室は、水回りも古いままです」、物件はひどいようだ。 「田中さんに物件を販売した不動産会社のオフィスを訪ねました。そこにあったのはレンタルオフィス。しかし、この不動産会社がいたことはないということでした」、これでは話にならない。「購入のために利用したのも、フラット35のローン。投資用に購入したため、田中さんの元にも一括返済の督促が来ました」、これでは確かに自己破産しか道がなさそうだ。 ダイヤモンド・オンライン 堂下浩氏による「「警察vs新手のヤミ金」仁義なき戦い、ギフト券買い取り商法などの狡猾手口」 「1万5000円を現金で借りて、翌月の給与日に2万円を金券で返済する、という図式になる。差額の5000円が金利だから、1カ月で30%以上ということになる。 金券の買い取り行為に違法性はなく、通常の金券ショップの業態とくくれなくもないため、このスキームを貸金業違反として決めつけて摘発することは難しい。そこで、今回は警察側も相当の警察資源を投入しながら、周到な計画の下で証拠を集め、綿密な法的ロジックを組み立てた上で逮捕に至ったものと思われる」、なるほど。 「借入困難者の新たな受け皿として成長した市場が「給与ファクタリング商法」と呼ばれるヤミ金であった。国民生活センターに寄せられた事例を1つ見てみよう。  ある男性は子どもの医療費のために、自身の給与債権12万円をファクタリング業者に売却。手数料を差し引いた7万円を手にした。そして翌月の給料日に12万円を銀行振り込みするという契約であった。 これを貸金として考えると、7万円を借り入れて、翌月に12万円を返済。たった1カ月で利息は5万円ということになる。ところが、業者側の言い分としては「給与を債権として買い取っているので、金銭貸借ではない。したがって、差額の5万円は手数料であり、利息ではない」ということになる・・・経済活動の正常化に伴い、今度は給与ファクタリングのスキームを発展させた「後払い現金化商法」というヤミ金が跋扈し始める。 筆者がネット上で新たに出店した後払い現金化業者の屋号や所在地を調べたところ、給与ファクタリング業者時代と同一であっ た事例をいくつも確認できた」、なるほど。 「これらの業者が扱っていた情報商材は、記事によると「ほぼ価値のない情報」であり、その金額である「最大8万円」という価格に合理性が認められなかった。結果として、そのスキームは貸金業に該当すると論定され、代表らは貸金業法及び出資法違反として逮捕された」、なるほど。 「新種のヤミ金はいずれも法解釈の難しいスキームである。したがって、「違法ではない」と法廷で執拗に争うヤミ金もいるのだ。たとえ敗訴となっても、裁判所が認めなかった要因を分析し、それを克服する新たなスキーム開発に活かすのかもしれない。 たとえば、給与ファクタリングが貸金業に該当すると金融庁が発表してから約1年後の2022年2月に、北海道警が給与ファクタリングを営んでいるとして「日本強運堂」という業者を逮捕した。 しかしながら、逮捕された経営者らは自分たちのスキームが金融庁の示した見解に当てはまらないと主張し、容疑を認めず最高裁まで争う事態に発展した。2023年2月、最終的に最高裁は日本強運堂のスキームが貸し付けに当たると判断を下した」、なるほど。 「ヤミ金の借受人、つまり被害者が往々にして次に詐欺に加担し、今度は加害者となってしまうという傾向が見られる点が挙げられる。近年拡大して問題になっている闇バイトなどを束ねる犯罪集団と一般人との関係形成に、ヤミ金との接触が影響を及ぼしている可能性が事件などで散見されるようになってきた。ただし、その傾向はヤミ金の“業態(=手口)”により異なるのだ」、「被害者が往々にして次に詐欺に加担し、今度は加害者となってしまうという傾向が見られる」とは奇妙キテレツだ。後日のもっと詳しい解説を待つとしよう。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。