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金融業界(その20)(マネックス証券「ドコモ傘下入り」をめぐる皮算用 鼻息荒いドコモと「次の一手」模索のマネックス、ガザ抗争で見えたアメリカ金融界「勢力図」の変貌…もはやゴールドマン・サックスに「金融界の巨人」の面影はない、SBIの「半導体参入」で際立つ北尾氏の深謀遠慮 多額の補助金を前提としつつ堅実な事業モデル) [金融]

金融業界については、本年9月3日に取上げた。今日は、(その20)(マネックス証券「ドコモ傘下入り」をめぐる皮算用 鼻息荒いドコモと「次の一手」模索のマネックス、ガザ抗争で見えたアメリカ金融界「勢力図」の変貌…もはやゴールドマン・サックスに「金融界の巨人」の面影はない、SBIの「半導体参入」で際立つ北尾氏の深謀遠慮 多額の補助金を前提としつつ堅実な事業モデル)である。

先ずは、10月9日付け東洋経済オンライン「マネックス証券「ドコモ傘下入り」をめぐる皮算用 鼻息荒いドコモと「次の一手」模索のマネックス」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/707119
・『「わが国におけるエポックメーキングになる出来事。ドコモという巨人と、起業家精神あふれる個人の集合体であるマネックスが手を組むことは、非常にエキサイティングだ」 ネット証券大手・マネックスグループの会長で創業者でもある松本大氏は、10月4日の記者会見でそう語った。 マネックスグループは同日、NTTドコモと資本業務提携を結び、祖業でグループ中核のマネックス証券がドコモの連結子会社になると発表した。提携は次のようなスキームで行われる』、興味深そうだ。
・『独立系証券の旗を降ろすことに  まず中間持ち株会社を設立し、その新会社にマネックス証券の全株式を取得させる。そのうえで新会社の株式の一部をドコモに売却、同時に新会社がドコモを割当先とした第三者割当増資を行う。 一連の取引は2024年1月に完了する予定だ。新会社の株式は約51%をマネックスグループ、約49%をドコモがそれぞれ所有する。現在マネックスグループの100%子会社であるマネックス証券は、ドコモの子会社になる。 新会社の取締役の過半はドコモが選任する。そのため、実質支配力基準に基づき、新会社とマネックス証券はドコモの連結子会社になり、マネックスグループにとっては持分法適用会社となる。 1999年の設立から四半世紀を転機に、マネックス証券は独立系の旗を降ろすことになった。) マネックスグループの連結から外れるが、マネックス証券の社名は変更しない。社長も現任の清明祐子氏が務めるなど、マネックスのブランドは維持する方向だ。 松本氏は提携に至った理由を、「ネット証券が生き残っていくうえで、プラットフォームとの提携は避けられない」と説明する。 松本大氏は今回の提携について「最高のタイミングと最良の相手」と話した(撮影:尾形文繁)』、「独立系証券」がなくなってしまうのには一抹の寂しさも覚える。
・『競争が激化するネット証券業界  2024年1月から始まる新NISAを初めとして、「貯蓄から投資へ」の流れが加速している。一方、今年10月からはSBI証券と楽天証券が国内株の取引手数料無料化に踏み切るなど、ネット証券業界の競争が激化している。 こういった状況下、マネックスグループはドコモと協業することで顧客基盤を強化する。9600万人の会員を持つ「dポイント」や決済サービス「d払い」、電子マネー「iD」などドコモのサービスと連携、比較的金融リテラシーの高い個人が多かった顧客層の裾野を広げていく。 業績への影響はどうか。マネックスグループの2023年3月期の営業収益793億円(IFRS)に対し、マネックス証券単体の営業収益は310億円だった。 持分法適用会社となることで、マネックス証券の営業収益と営業利益はグループ連結に反映されなくなる。見かけ上、マネックスグループの事業規模は大きく縮む。51%の持分に応じた当期利益への反映はあるものの、マネックス証券の上げた利益の半分はドコモのものになってしまう。 それでも、提携効果によってマネックス証券が大きく成長することで利益規模は早期に回復すると、マネックスグループは見通す。 マネックス証券は2023年9月現在、223万口座、預かり資産残高7兆円を抱える。これまでは2026年度に300万口座、預かり資産残高10兆円を目標としてきた。この目標をそれぞれ500万口座、15兆円に引き上げる。 「dポイント経済圏とのシナジーにより、非連続的な成長を達成する」と、マネックス証券の清明社長は力を込める。) ドコモにとっても、マネックスグループとの提携への期待は大きい。ドコモの井伊基之社長は、「初めての人でも、手軽で簡単に資産形成できるサービスを提供する」と意気込む。会見では、「家族」という言葉を何度も使い、「身近なサービスを展開する」と強調した。 ドコモのライバルである通信各社が「auカブコム証券」(au)、「PayPay証券」(ソフトバンク)、「楽天証券」(楽天)という証券会社を傘下に抱える中、ドコモにとって証券サービスは是が非でも欲しい事業だった』、「ドコモのライバルである通信各社が・・・という証券会社を傘下に抱える中、ドコモにとって証券サービスは是が非でも欲しい事業だった」、なるほど。
・『SBIの「1強体制」をどう崩すのか  どこと組むのかは、証券業界でも注目を集めていた。「ドコモが組むとしたら、マネックス証券か松井証券だと思っていた」。ある業界関係者はそう話す。 ドコモの江藤俊弘スマートライフカンパニー統括長は会見後の囲み取材で、「ドコモがせっかくやるのであれば、マネックス証券は数百万口座では物足りない。時期は未定だが、1000万口座を目指したい」と鼻息荒く語った。 ただ、ドコモやマネックスグループのもくろみどおり、マネックス証券が成長できるかどうかは疑問符がつく。 ネット証券と通信プラットフォームとの連携では、先述したようにauやソフトバンクが先行するが、成功しているのは900万口座を超える楽天証券くらい。口座数を積み重ねても、取引量が伸びずに収益面で苦戦する例も目立つ。野村ホールディングスと組んだLINE証券に至っては今年6月、サービス終了に追い込まれた。 手数料無料化の荒波にもさらされている。ネット証券最大手のSBI証券が仕掛けた無料化は、マネックス証券の苦境に追い打ちをかけた。楽天証券は収益面でのダメージを覚悟のうえで追随。一方でマネックス証券と松井証券は、追随すらできなかった。 手数料収入に依存しないビジネスモデルを着々と準備したSBI証券の「1強体制」をどう崩すか。対抗策は見当たらない。) マネックス証券の純資産額は2023年3月末で487億円。それに対して今回、中間持ち株会社の株式価値は970億円とした。つまりマネックス証券にはそれだけの企業価値があると、ドコモが認めたわけだ。 ある証券会社幹部はこの金額が「高めだ」と指摘。「マネックスグループは、レッドオーシャン(苛烈な市場)から手を引くだけでなく、高値で売却できたのだとしたら見事」と舌を巻く。 ドコモへの株式売却価額は約466億円で、マネックスグループには売却益182億円が発生する。マネックス証券の2023年3月期の純利益は26億円ななだけに利益インパクトは大きい。「うまくいった取引」(同)というわけだ』、「ネット証券と通信プラットフォームとの連携では、先述したようにauやソフトバンクが先行するが、成功しているのは900万口座を超える楽天証券くらい。口座数を積み重ねても、取引量が伸びずに収益面で苦戦する例も目立つ。野村ホールディングスと組んだLINE証券に至っては今年6月、サービス終了に追い込まれた・・・ネット証券最大手のSBI証券が仕掛けた無料化は、マネックス証券の苦境に追い打ちをかけた。楽天証券は収益面でのダメージを覚悟のうえで追随。一方でマネックス証券と松井証券は、追随すらできなかった・・・「マネックスグループは、レッドオーシャン(苛烈な市場)から手を引くだけでなく、高値で売却できたのだとしたら見事」と舌を巻く。 ドコモへの株式売却価額は約466億円で、マネックスグループには売却益182億円が発生する。マネックス証券の2023年3月期の純利益は26億円ななだけに利益インパクトは大きい。「うまくいった取引」、なるほど。
・『今後は「何業」の会社に?  マネックスグループはさしあたり株売却で入ってくる資金を元手に、成長領域とするアセットマネジメントビジネスを中心に投資を進める。競争が激化する証券ビジネスから距離を置き、事業ポートフォリオの再編成に乗り出すとの見方もある。 気になるのは、グループとしてのマネックスは、今後どこへ向かうのかだ。暗号資産(仮想通貨)交換所の「コインチェック」やアメリカの証券会社「トレードステーション」、資産運用を扱う「マネックス・アセットマネジメント」が残るが、この先は何を中核事業とするかに関心が集まる』、「気になるのは、グループとしてのマネックスは、今後どこへ向かうのかだ」、同感である。
・『マネックス松本氏とソニー出井氏  写真は1999年8月、マネックス証券の誕生を支援したのが当時ソニー社長だった出井伸之氏(右)。「出井さんなくしてマネックスは生まれませんでした」と松本氏は述べている・・・「マネックスは『何業』の会社になるのか」。10月4日に行われたアナリスト向け説明会では、このような質問も出た。松本氏は「個人の生涯バランスシートの最適化というビジョンに向かって事業を行っている。何業かと言われると難しい」と答えた。 この答弁に表れているように、マネックスの創業者でカリスマ経営者でもある松本氏は、事業構造改革の方向性を明確に示せていない。 先だって9月4日に開いた事業戦略説明会では、グループ戦略の説明を清明氏に任せ、自身は医療分野の新規事業について説明しただけだった。金融業への興味が薄れたかのようにもみえるが、東洋経済の問いに松本氏は「金融への情熱は失われていない」と断言した。 ドコモとの提携発表翌日の10月5日、マネックスグループの株価はストップ高となる659円を付け、年初来高値を更新した。配当の下限をこれまでの2倍となる30円に引き上げると発表したことも影響しているが、今後の成長への期待の表れでもある。 この先、どういった方向性を打ち出すのか。マネックスグループの「次の一手」が問われる』、「マネックスの創業者でカリスマ経営者でもある松本氏は、事業構造改革の方向性を明確に示せていない・・・マネックスグループの株価はストップ高となる659円を付け、年初来高値を更新・・・マネックスグループの「次の一手」が問われる』」、その通りだ。

次に、10月28日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの歳川 隆雄氏による「ガザ抗争で見えたアメリカ金融界「勢力図」の変貌…もはやゴールドマン・サックスに「金融界の巨人」の面影はない」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/118400?imp=0
・『ガザを巡る抗争(10月24日、第7回未来投資イニシアチブ(Future Investment Initiative=FII) がサウジアラビアの首都リヤドのリッツ・カールトン・ホテルで開幕した。因みに日本経済新聞(25日付朝刊)はFIIを「国際投資会議」と表記するが、「未来投資イニシアチブ」の方が実態に適っている。 同国の実力者ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の肝いりでスタートしたFIIは金融関係者の間で「砂漠のダボス会議」と呼ばれる。同皇太子が推進する石油依存経済からの脱却の中核を担うのが運用資産7780億ドル(約117兆円)のサウジ政府系ファンドのパブリック・インベストメント・ファンド(Public Investment Fund=PIF=ヤセル・ルマイヤン総裁)である。 イスラエルとパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの激烈な戦闘が続くことを念頭にルマイヤン総裁は開幕式冒頭に、「現在の世界は不確かなものに見えるが、我々はより強い社会を構築しなければならない」と述べた。ガザを巡る抗争がエスカレートするリスクを認めたに等しい。 そうした緊迫する中東情勢のなか注目すべきは、このFIIに米ウォール街の金融業界トップが揃い踏みで参加したことである。世界有数の金融大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)、グローバル金融最大手ゴールドマン・サックス(GS)のデービッド・ソロモンCEO、資産運用最大手ブラックロックのラリー・フィンクCEO、大手金融機関シティグループのジェーン・フレーザーCEO、投資大手カーライル・グループのハービー・シュワルツCEO、世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエーツのレイ・ダリオ創業者らが蝟集した。 何もFIIに参加したのは金融業界の超大物だけではない。米石油メジャーの大物を始め世界各国から石油・ガス業界のトップも馳せ参じた。石油メジャー最大手のエクソン・モービルのダレン・ウッズCEO、フランスの総合エネルギー企業トタル・エナジーズのパトリック・プヤンヌCEOらも会議の合間を縫って、激動の中東情勢に関する意見交換や原油価格についてサウジのアブドルアジズ・ビン・サルマン・エネルギー相や国営石油会社サウジアラムコのアミン・ナセルCEOと協議している』、さすが「砂漠のダボス会議」だけあって、「参加者の顔ぶれ」は超豪華だ。
・『勢力図の変貌  筆者がサウジ主催の未来投資イニシアチブ(FII)年次会議の報道(ロイター通信、米ブルームバーグ及び日経新聞)に接し、その背景を深掘りして得たポイントは唯一つ。 先ず指摘すべきは、この間、米金融機関の勢力図が大きく変貌したということである。際立つのは金融大手のゴールドマン・サックスの業績不振だ。年初の1月17日、GSのソロモンCEOは22年12月期決算を発表したが、純利益が前期比48%減の112億ドル(約1兆4000億円)だった。 今年になっても不振は続き、7~9月期純利益は33%減の20億ドル(約3000憶円)と21年10~12月期から8四半期連続の2桁減益となった。主力の投資銀行ビジネスの不調と得意とするM&A(合併・買収)助言の低調が大きい。GSに「金融界の巨人」という往年の面影はない。 一方、JPモルガンは7~9月期が35%増益の131億ドル(約1兆9500億円)に達し、GSの6倍超である。今年に入ってからの金利上昇で融資などから生じる純金利収入の伸びが著しい。ブラックロックと共にJPモルガンの好調は、米金融界の関心を集めている。 そのJPモルガン・アセット・マネジメントの広告「アメリカ成長株ファンド・アメリカの星」(全面3分の1段)が日本経済新聞(10月26日付朝刊)の最終面(48面)に掲載された。9月25日、10月12日に続く3回目だ(昨年は7月4日を含め4回掲載)。米国株推奨のキャンペーンである。 この彼我の差はどこから来るのか。もちろん、個人向け(リテール)事業の規模の差もある。何よりもそれは一に懸かってJPモルガンのダイモン氏の頭抜けた経営手腕に負うものだ。同氏の複眼は日本を見据えつつ、サウジアラビアにも向けられる。さらに戦後復興を視野にウクライナも俯瞰する。果たして「投資される日本」を目指す岸田文雄首相はその期待に応えられるのか』、「ダイモン氏の頭抜けた」「複眼は日本を見据えつつ、サウジアラビアにも向けられる。さらに戦後復興を視野にウクライナも俯瞰する」、まさに超人的で、「岸田」政権には到底無理だろう。

第三に、11月9日付け東洋経済オンライン「SBIの「半導体参入」で際立つ北尾氏の深謀遠慮 多額の補助金を前提としつつ堅実な事業モデル」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/713549
・『「まるで“政商”といった感じですよね」——。 ある半導体関連企業の関係者がそう評したのは、総合金融業を展開するSBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長だ。理由はここぞとばかりにぶち上げた半導体事業参入でみせる北尾会長の立ち回りのうまさにある。 台湾の半導体製造受託企業(ファウンドリー)であるパワーチップと新会社を設立し、日本でファウンドリー事業を立ち上げるとSBIが公表したのは7月初めのことだった。それから約4カ月。10月31日に行われた会見で、全容が明らかになった。 宮城県大衡村にある工業団地に新工場を建設し、2027年の稼働を目指す。必要となる資金は、この第1期投資だけでも約4200億円、2029年に完了する第2期投資まで見据えると総額では8000億円超となる。 新会社にはSBIとパワーチップの2社で過半を出資する。1000億円規模のファンドを立ち上げるなどして、国内外投資家の出資も促す。融資については、メガバンクや日本政策投資銀行と協議をしているという』、初めのうちは、勝算があるのかと疑問を感じたが、「補助金」狙いとはあり得る話だ。「2029年に完了する第2期投資まで見据えると総額では8000億円超となる。 新会社にはSBIとパワーチップの2社で過半を出資する。1000億円規模のファンドを立ち上げるなどして、国内外投資家の出資も促す。融資については、メガバンクや日本政策投資銀行と協議をしている」、なるほど。
・『「補助金なしにはやらない」と明言  いくら有望産業の半導体とはいえ、8000億円もの巨額資金を調達することは容易ではない。それでもSBIが参入を決めた理由は、無尽蔵とも言える政府支援の存在だ。 「政府からの補助金が前提。補助金が出なければこの事業をやるつもりはない」。北尾会長は会見でそう言いきった。関係者によると、経済産業省との議論が水面下で進んでいるという。会見の場であえて見得を切ったのは、北尾流交渉術なのかもしれない。 半導体産業の強化はいまや国策だ。世界中でサプライチェーンの再構築が行われ、各国が自国域内での製造を強化している。日本政府も兆円単位という空前の予算を計上。半導体関連企業による投資では、投資額全体の3〜5割、数百〜数千億円規模となる補助金の支給が相次いで決まっている。 半導体関連とあらば大盤振る舞いをいとわない政府のこうした姿勢が、異業種であるSBIをも引き寄せた格好だ。「北尾会長は補助金があれば絶対に勝てるビジネスと踏んだのだろう」。金融業界関係者はそう舌を巻く。 そんなSBIに秋波を送ったのが、地域活性化の起爆剤として半導体工場を誘致したい地方だった。 SBIが7月に半導体事業参入を発表して以降、北海道から九州まで31の候補地から誘致があったという。「多くの知事や副知事、地方銀行のトップがみんな(SBI本社に)お見えになった」(北尾会長)。 建設予定地に選ばれたのは宮城県だ。7月の参入表明時から新工場の誘致を行ってきたという村井嘉浩・宮城県知事は会見に駆けつけ、「宮城県が一丸となって支援することを約束する」と喜んだ。 「半導体工場の建設が決まっている千歳と遠くなく、新幹線整備に伴い街が活性化している札幌に比べて、仙台地区はニュースが少なく焦りを感じていた」(地元財界関係者) ファウンドリー世界最大手の台湾TSMCが工場を建設している熊本や、ニッポン半導体復活のため次世代の最先端半導体の量産を目指すラピダスが工場建設をスタートさせた千歳市。ともに地元の期待は高まっている。宮城が歓迎一色ムードなのも理解できる』、「日本政府も兆円単位という空前の予算を計上。半導体関連企業による投資では、投資額全体の3〜5割、数百〜数千億円規模となる補助金の支給が相次いで決まっている。 半導体関連とあらば大盤振る舞いをいとわない政府のこうした姿勢が、異業種であるSBIをも引き寄せた格好だ・・・SBIに秋波を送ったのが、地域活性化の起爆剤として半導体工場を誘致したい地方だった・・・建設予定地に選ばれたのは宮城県だ。7月の参入表明時から新工場の誘致を行ってきたという村井嘉浩・宮城県知事は会見に駆けつけ、「宮城県が一丸となって支援することを約束する」と喜んだ」、なるほど。
・『関係の深い仙台銀行にも恩恵  会見では、北尾会長から興味深い発言も飛び出した。「地元にはわれわれと関係の深い仙台銀行がある。できるだけプラスになるようにしたい」というものだ。 SBIは仙台銀の親会社であるじもとホールディングスに17%を出資する筆頭株主。コロナ禍の際に行った実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の返済が本格化し融資先の経営が悪化するなど、地方銀行は苦しい環境下にある。安定した融資先を確保できる半導体工場建設は渡りに舟だ。 仙台銀は早速プロジェクトチームを発足させる予定だ。仙台銀幹部は「SBIとしては、宮城の足がかりは仙台銀と考えていると思う。できる限りの協力をしたい」と意気込む。) SBIは9月に子会社のSBI新生銀行の非上場化を完了させたばかり。3000億円超の不良債権を返済するためには新生銀をハブにした地銀連携を進化させ、収益力を高める必要がある。そうした面でも半導体事業への進出はシナジーだ。SBIの唐突な半導体進出にはそうした事情がある。 ただ、半導体は多額の設備投資が必要なだけでなく、市況の浮き沈みの激しい産業だ。ビジネスとしての勝算はあるのだろうか。受託製造に特化するファウンドリーは、委託する半導体メーカーがあって初めて成立するビジネス。そこで新会社が狙うのは、日本での車載半導体市場の開拓だ』、「SBIは9月に子会社のSBI新生銀行の非上場化を完了させたばかり。3000億円超の不良債権を返済するためには新生銀をハブにした地銀連携を進化させ、収益力を高める必要がある。そうした面でも半導体事業への進出はシナジーだ。SBIの唐突な半導体進出にはそうした事情がある・・・受託製造に特化するファウンドリーは、委託する半導体メーカーがあって初めて成立するビジネス。そこで新会社が狙うのは、日本での車載半導体市場の開拓だ」、なるほど。
・『車載半導体のストライクゾーンを狙う  半導体のプロセスノード(回路線幅)の単位はナノ(ナノは10億分の1)メートル。新会社で製造するのは55ナノ、40ナノ、28ナノの3つの世代となる。 半導体は世代を表すプロセスノードの数字が小さくなるほどに高性能になっていく。現在量産されている最先端品はiPhoneの最新世代に搭載されている3ナノ。28ナノは10年以上前の世代だ。 だが、イギリスの調査会社・オムディアのコンサルティングディレクターである杉山和弘氏によると、「車載マイコン(半導体)の現在のボリュームゾーンは65〜40ナノ。最先端のもので28ナノ世代」。スマホなどに比べると車載半導体の進化は緩やかだ。 新会社が宮城に建てる工場の稼働は2027年以降。それを考えると、55〜28ナノは車載半導体のストライクゾーンといえるだろう。 加えて、現在の日本の半導体工場の状況を見ても、55〜28ナノというのは供給が手薄になっている絶妙なラインナップだ』、「「車載マイコン(半導体)の現在のボリュームゾーンは65〜40ナノ。最先端のもので28ナノ世代」。スマホなどに比べると車載半導体の進化は緩やかだ。 新会社が宮城に建てる工場の稼働は2027年以降。それを考えると、55〜28ナノは車載半導体のストライクゾーンといえるだろう。 加えて、現在の日本の半導体工場の状況を見ても、55〜28ナノというのは供給が手薄になっている絶妙なラインナップだ」、上手くしたものだ。
・『SBIが参入で狙う半導体のプロセスノード  というのも、現在日本で製造できるのはルネサスエレクトロニクスの40ナノ品まで。一方で同社は、最低限の自社工場しか持たない「ファブライト」の方針を掲げており、供給量は十分ではない。2024年の稼働を見込むTSMC熊本工場は28〜12ナノの製造を行うが、こちらは合弁相手のソニーがほぼ全量を自社のイメージセンサー向けに使用するとみられている。 パワーチップは世界シェア2%前後でファウンドリーの中では中堅クラス。最大手のTSMCのように量産体制を整えるために巨額の設備投資費用が必要となる先端品は追い求めず、成熟した世代の準先端品を手がけている。そのようなパワーチップの強みも新会社で生かせる。 唐突にもみえたSBIの半導体事業参入。北尾会長からすると、練りに練った策だったのかもしれない』、「パワーチップは世界シェア2%前後でファウンドリーの中では中堅クラス。最大手のTSMCのように量産体制を整えるために巨額の設備投資費用が必要となる先端品は追い求めず、成熟した世代の準先端品を手がけている。そのようなパワーチップの強みも新会社で生かせる。 唐突にもみえたSBIの半導体事業参入。北尾会長からすると、練りに練った策だったのかもしれない」、これを膨大な補助金付きで手に入れたとは「SBI」も相当したたかな「政商」だ。
タグ:東洋経済オンライン「マネックス証券「ドコモ傘下入り」をめぐる皮算用 鼻息荒いドコモと「次の一手」模索のマネックス」 金融業界 (その20)(マネックス証券「ドコモ傘下入り」をめぐる皮算用 鼻息荒いドコモと「次の一手」模索のマネックス、ガザ抗争で見えたアメリカ金融界「勢力図」の変貌…もはやゴールドマン・サックスに「金融界の巨人」の面影はない、SBIの「半導体参入」で際立つ北尾氏の深謀遠慮 多額の補助金を前提としつつ堅実な事業モデル) 「独立系証券」がなくなってしまうのには一抹の寂しさも覚える。 「ドコモのライバルである通信各社が・・・という証券会社を傘下に抱える中、ドコモにとって証券サービスは是が非でも欲しい事業だった」、なるほど。 「ネット証券と通信プラットフォームとの連携では、先述したようにauやソフトバンクが先行するが、成功しているのは900万口座を超える楽天証券くらい。口座数を積み重ねても、取引量が伸びずに収益面で苦戦する例も目立つ。野村ホールディングスと組んだLINE証券に至っては今年6月、サービス終了に追い込まれた ・・・ネット証券最大手のSBI証券が仕掛けた無料化は、マネックス証券の苦境に追い打ちをかけた。楽天証券は収益面でのダメージを覚悟のうえで追随。一方でマネックス証券と松井証券は、追随すらできなかった・・・「マネックスグループは、レッドオーシャン(苛烈な市場)から手を引くだけでなく、高値で売却できたのだとしたら見事」と舌を巻く。 ドコモへの株式売却価額は約466億円で、マネックスグループには売却益182億円が発生する。マネックス証券の2023年3月期の純利益は26億円ななだけに利益インパクトは大きい。「うまく いった取引」、なるほど。 「気になるのは、グループとしてのマネックスは、今後どこへ向かうのかだ」、同感である。 「マネックスの創業者でカリスマ経営者でもある松本氏は、事業構造改革の方向性を明確に示せていない・・・マネックスグループの株価はストップ高となる659円を付け、年初来高値を更新・・・マネックスグループの「次の一手」が問われる』」、その通りだ。 現代ビジネス 歳川 隆雄氏による「ガザ抗争で見えたアメリカ金融界「勢力図」の変貌…もはやゴールドマン・サックスに「金融界の巨人」の面影はない」 さすが「砂漠のダボス会議」だけあって、「参加者の顔ぶれ」は超豪華だ。 「ダイモン氏の頭抜けた」「複眼は日本を見据えつつ、サウジアラビアにも向けられる。さらに戦後復興を視野にウクライナも俯瞰する」、まさに超人的で、「岸田」政権には到底無理だろう。 東洋経済オンライン「SBIの「半導体参入」で際立つ北尾氏の深謀遠慮 多額の補助金を前提としつつ堅実な事業モデル」 初めのうちは、勝算があるのかと疑問を感じたが、「補助金」狙いとはあり得る話だ。「2029年に完了する第2期投資まで見据えると総額では8000億円超となる。 新会社にはSBIとパワーチップの2社で過半を出資する。1000億円規模のファンドを立ち上げるなどして、国内外投資家の出資も促す。融資については、メガバンクや日本政策投資銀行と協議をしている」、なるほど。 「日本政府も兆円単位という空前の予算を計上。半導体関連企業による投資では、投資額全体の3〜5割、数百〜数千億円規模となる補助金の支給が相次いで決まっている。 半導体関連とあらば大盤振る舞いをいとわない政府のこうした姿勢が、異業種であるSBIをも引き寄せた格好だ・・・SBIに秋波を送ったのが、地域活性化の起爆剤として半導体工場を誘致したい地方だった ・・・建設予定地に選ばれたのは宮城県だ。7月の参入表明時から新工場の誘致を行ってきたという村井嘉浩・宮城県知事は会見に駆けつけ、「宮城県が一丸となって支援することを約束する」と喜んだ」、なるほど。 「SBIは9月に子会社のSBI新生銀行の非上場化を完了させたばかり。3000億円超の不良債権を返済するためには新生銀をハブにした地銀連携を進化させ、収益力を高める必要がある。そうした面でも半導体事業への進出はシナジーだ。SBIの唐突な半導体進出にはそうした事情がある・・・受託製造に特化するファウンドリーは、委託する半導体メーカーがあって初めて成立するビジネス。そこで新会社が狙うのは、日本での車載半導体市場の開拓だ」、なるほど。 「「車載マイコン(半導体)の現在のボリュームゾーンは65〜40ナノ。最先端のもので28ナノ世代」。スマホなどに比べると車載半導体の進化は緩やかだ。 新会社が宮城に建てる工場の稼働は2027年以降。それを考えると、55〜28ナノは車載半導体のストライクゾーンといえるだろう。 加えて、現在の日本の半導体工場の状況を見ても、55〜28ナノというのは供給が手薄になっている絶妙なラインナップだ」、上手くしたものだ。 「パワーチップは世界シェア2%前後でファウンドリーの中では中堅クラス。最大手のTSMCのように量産体制を整えるために巨額の設備投資費用が必要となる先端品は追い求めず、成熟した世代の準先端品を手がけている。そのようなパワーチップの強みも新会社で生かせる。 唐突にもみえたSBIの半導体事業参入。北尾会長からすると、練りに練った策だったのかもしれない」、これを膨大な補助金付きで手に入れたとは「SBI」も相当したたかな「政商」だ。
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