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イスラエル・パレスチナ(その3)(証拠が薄すぎる「小児病院の地下はハマスの拠点」...国際的支持を失いかねない イスラエルの「苦しい言い訳」の中身とは?、イスラエル軍が戦場支配 対ハマスで技術的優位性 軍の指揮統制センター ドローンや戦車・兵士などから集めた戦場データを活用し戦闘を調整、ガザ戦争でアメリカは信用を失い EUは弱体化 漁夫の利を得るのは「意外なあの国々」「イギリスとフランスが中東紛争の真犯人」は本当か?――悪名高い「サイクス=ピコ協定」の裏に隠された「失敗の本質」) [世界情勢]

イスラエル・パレスチナについては、11月9日に取上げた。今日は、(その3)(証拠が薄すぎる「小児病院の地下はハマスの拠点」...国際的支持を失いかねない イスラエルの「苦しい言い訳」の中身とは?、イスラエル軍が戦場支配 対ハマスで技術的優位性 軍の指揮統制センター ドローンや戦車・兵士などから集めた戦場データを活用し戦闘を調整、ガザ戦争でアメリカは信用を失い EUは弱体化 漁夫の利を得るのは「意外なあの国々」「イギリスとフランスが中東紛争の真犯人」は本当か?――悪名高い「サイクス=ピコ協定」の裏に隠された「失敗の本質」)である。

先ずは、11月14日付けNewsweek日本版「証拠が薄すぎる「小児病院の地下はハマスの拠点」...国際的支持を失いかねない、イスラエルの「苦しい言い訳」の中身とは?」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/11/post-103046_1.php
・『<病院への攻撃を世界や国際機関が非難するなか、イスラエルは「証拠」で「正当性」を誇示するが...。イスラエルを支持するバイデン大統領も苦しい立場に> イスラエル国防軍(IDF)は、ガザ市内にある小児病院の地下にハマス司令部が存在していた証拠を発見したと述べている。そこに人質が拘置されていた証拠も発見したという。 パレスチナのガザ地区における戦闘は、同地区を実効支配しているイスラム武装組織ハマスが10月7日に対イスラエル奇襲攻撃を仕かけて以来、激しさを増している。 またイスラエルは、同地区最大のシファ病院を攻撃したとして、厳しい非難を浴びている。今回の戦闘を巡る厄介な問題は、病院に対する攻撃だ。病院の地下にハマス司令部が本当に存在しているのか否かによって、イスラエルは国際的な支持を失いかねない。 また、イスラエルを支持する米大統領ジョー・バイデンは、難しい立場に置かれる可能性がある。 IDF報道官のダニエル・ハガリ少将は11月13日、X(旧ツイッター)に動画を投稿した。ガザ市西部にあるランティシ小児病院の地下部分などを歩いて撮影したという動画だ。 ハガリ少将は動画のなかで、発見したものを示しながら、同病院がハマス司令部として使われていた証拠だと述べている。そうした証拠には、火器や手榴弾、爆弾が固定された自爆用ベルトといった軍装備品なども含まれている。 ハガリ少将は発見された装備品の横に立ちながら、「わかってほしい。こうした武器や装備品は、大がかりな戦闘のためのものだ」と語っている。そして、ハマスが拘束した人質がランティシ小児病院の地下室に収容されていた可能性がある証拠を指摘。 その証拠とは哺乳瓶やおむつ、シャワーやトイレ、また小さなキッチンなど「即席」で置かれており、ソファと椅子、レンガの壁に掛けられたカーテンを含む部屋である。 人質を撮影して動画撮影する目的がなければ、部屋にカーテンをかける理由はないと述べる。また、別の部屋ではアラビア語で書かれたリストも発見された。そこに「任務遂行中」と書かれていると、ハガリ少将は説明している。) 「これは監視者のリストで、テロリストが自分の名前を書くものだ。テロリストはみなシフトを組んで、ここに拘置されていた人々を監視していた」とハガリ少将は説明している。 動画にはさらに、病院の敷地近くで見つかったというトンネルの入り口も映っている。トンネルの深さはおよそ20メートルで、入り口は防弾ドアで守られている。これは、病院とトンネルがつながっている「動かぬ証拠、明らかな証拠に思える」とハガリ少将は話している。 イスラエルは以前から、ハマスが住居や病院、学校を戦闘員の盾として使っていると訴えてきた。そう主張するひとつの理由は、民間人の命が失われていることで、パレスチナ解放運動への同情と国際的な注目が集まることだ。 今回の動画は、イスラエル軍が、ガザ地区最大の医療機関シファ病院の包囲網を狭める中で投稿された』、「イスラム武装組織ハマスが10月7日に対イスラエル奇襲攻撃を仕かけて以来、激しさを増している」、「イスラエル」は自慢の防諜組織が兆候を全く捉えられなかったこともあって、明らかに過剰な「報復作戦」を展開している。
・『【動画】まったく機能していないシファ病院の現在  2023年11月13日映像)を見る イスラエルは、同病院の地下にもハマス司令部があると主張しているが、イスラエル政府はそれを裏づける証拠をほとんど示していない。 また、シファ病院のモハメド・アブ・セルミア院長はイスラエル側の主張を否定し、病院の地下に司令部はないと述べている。) イスラエルは11月13日の動画投稿に先立ち、地下軍事施設と疑われる位置を示した地図を公開している。 「ハマスのテロリストが病院から攻撃を仕かけていることを確認した場合、私たちはやるべきことをやる」。IDF報道官のリチャード・ヘクト中佐はAP通信に対してそう述べていた。 シファ病院内にいるガザ保健省の報道管理官アシュラフ・アル・キドラがロイターに対して述べたところによれば、同病院では電力が絶たれており、新生児を含む患者が死亡したいう。ニューヨーク・タイムズ紙は、多数の人が週末にシファ病院から避難したと報じている。 また、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は11月13日、いまの状況は同病院の入院患者にとって「悲惨であり、非常に危険である」とXに投稿した。 米大統領バイデンは11月13日、大統領執務室で記者に対し、ガザにある病院は「保護されなければならない」とし、「病院に対する侵入的な行為が減ることを私は望んでいるし、そうなると期待している」と述べた』、「イスラエルは、同病院の地下にもハマス司令部があると主張しているが、イスラエル政府はそれを裏づける証拠をほとんど示していない」、これは大きな問題だ。「イスラエル」を全面支持している「バイデン政権」にとっても、頭が痛い問題だろう。

次に、11月16日付け現代ビジネスが転載したThe Wall Street Journal「イスラエル軍が戦場支配、対ハマスで技術的優位性 軍の指揮統制センター、ドローンや戦車・兵士などから集めた戦場データを活用し戦闘を調整」を紹介しよう。
・『ガザ地区に展開するイスラエル歩兵部隊の主勢力・ギバティ旅団の指揮官らは、小さな教室ほどの大きさの平屋の建物数棟の中で、ガザ内のイスラエル軍とパレスチナ勢力の位置をリアルタイムで表示する複数のスクリーンを確認することができる。 指揮官らはこの情報を使い、部隊や兵器の位置、また偵察機をチェスの駒のように移動させている。) ガザとの境界に近いこの場所は、広範に及ぶ軍の技術中枢部でもカギを握る中心であり、ドローンやジェット戦闘機、海軍艦艇、戦車、兵士らが集めた何千もの戦場データが集約されている。これらデータはイスラエル軍が3週間足らずの間に、兵士の死者数を50人未満に抑えながら、イスラム組織ハマスの拠点であるガザ市の大部分を一挙に占領することを可能にした。 イスラエル軍はハマスの広大な地下トンネル網を破壊し、そこに拠点を置く指導者らを打ち破り、ガザにおけるハマスの軍事力と統治力を壊滅させることに重点を置いている。イスラエル政府が戦闘をさらに精密な段階へ移行しようとする中、軍のこの指揮統制センターは今後数週間にわたってこれまでよりも重要な役割を果たすことになる。 イスラエルは戦闘のあらゆる段階で、ハマスに対する技術面および軍事面の圧倒的な優位性を示してきた。軍は数千回の空爆でハマスの能力をそぎ落とし、イスラエル軍の戦車や部隊が進軍できるよう障害物を取り除き、ガザ市での支配力を徐々に強めてきた。 イスラエル軍の指揮統制センターはドローンやジェット戦闘機・軍艦・戦車・兵士などから集めた戦場のデータを活用し、ガザ地区のハマスとの戦闘における調整を行っている ギバティ旅団のこの指揮統制センターでは11日、指揮官らがガザ市内のアルランティシ病院からの退避の様子を監視。地上部隊や上空のドローン、また病院内の人々とのやり取りや交信内容を分析しながら、病院を出る約1000人の中に戦闘員が含まれていないか確認した。 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に提供された退避の際の動画には、銃を肩から提げた数人の戦闘員らが、市民の群れに混じって病院を出ていく様子が映っていた。現場や指揮統制センターの指揮官らの間では、その場で戦闘員らと交戦するべきか、それを回避して逃がすべきか議論が続いたという。また狙撃手がこれら戦闘員らを排除できるとする意見もあったが、パニックを引き起こす懸念もあり、戦闘員らはそのまま病院を去った。 だがその際に病院から逃げた戦闘員の1人は、学校に潜伏中にドローンの空爆を受けて死亡。退避後もその行動が追跡されていたことが明らかになっている。 ギバティ旅団の指揮官らは指揮統制センターの中で、今後展開される地下での戦闘に注力。地上部隊はこれまでにトンネルへの入り口を160カ所確認しており、そのデータを利用してハマスの地下ネットワークをより詳細に把握しようと試みているという。 壁に設置された中型のテレビスクリーンで、指揮官らは市街地にズームインした高画質画像を見られる。また軍全体や戦闘現場にいる部隊から集めた情報や監視活動がスクリーンに映し出され、それは絶えず更新されている。 パレスチナの軍事目標を見つけると、イスラエル軍将校はそばで待機する武器専門家に指示し、適切な攻撃手段を選択する。恐らくは無人機(ドローン)で即座にピンポイント攻撃を行うか、ジェット戦闘機でビルを丸ごと破壊するかだ。彼らは付近の戦闘ヘリコプターを通じて現場の将校と直接連絡を取ることができる。 もし目標ゾーンの近くで民間人の存在を確認したら、情報担当将校は彼らに接触し、その場を離れるよう警告できる。またパレスチナの戦闘員グループが二つの異なる部隊の間を直進しているような状況では、味方への誤射を避けるため、指揮統制センターは両部隊の動きを誘導できる。地上の指揮官が上空の視点を必要とする場合、指揮統制センターの指揮官が最寄りのドローンを見つけて知らせる。 こうした手段があるとはいえ、イスラエルの空爆でパレスチナの民間人は大勢殺害されている。イスラエル当局者は、民間人の犠牲をできる限り少なくするよう努めているが、ハマスが彼らの軍事インフラをガザ地区の民間人インフラに潜り込ませているため、犠牲は避けられないと話している。 ドローンの戦時利用に反対する英NGO(非政府組織)「ドローン・ウォーズUK」のクリス・コール代表は、たとえイスラエル軍が攻撃ごとに合理的な民間人犠牲者数を設定しようとしていたとしても、1カ月足らずで民間人数千人の死亡は、爆撃作戦全体が不均衡な規模であることを示している、と主張した。 「IDF(イスラエル国防軍)は民間人が本来持つべき価値をはるかに低くする決定を下しているように見える」とコール氏は言う。「彼らのやっていることが違法なことに疑いの余地はない」』、「イスラエル軍の指揮統制センターはドローンやジェット戦闘機・軍艦・戦車・兵士などから集めた戦場のデータを活用し、ガザ地区のハマスとの戦闘における調整を行っている」、なるほど。「「ドローン・ウォーズUK」のクリス・コール代表は、たとえイスラエル軍が攻撃ごとに合理的な民間人犠牲者数を設定しようとしていたとしても、1カ月足らずで民間人数千人の死亡は、爆撃作戦全体が不均衡な規模であることを示している、と主張した」、「1カ月足らずで民間人数千人の死亡」との犠牲は確かに大きいようだ。 

第三に、11月16日付けNewsweek日本版が掲載した国際政治学者・ハーバード大学ケネディ行政大学院教授のスティーブン・ウォルト氏による「ガザ戦争でアメリカは信用を失い、EUは弱体化、漁夫の利を得るのは「意外なあの国々」」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/11/post-103056_1.php
・『<失われたアメリカの情報・判断力への信頼、民主主義国連合の亀裂。居直った中国とロシアがグローバルサウスを取り込み、世界の多極化を狙う> 今回のガザ戦争、その余波はどこまで広がるのだろう? 私見だが、悪しき地政学的展開が起きても、たいていは逆の好ましい力が働いて均衡を取り戻し、世界地図で見れば点のような場所で起きた出来事の余波が遠くまで広がることはない。危機や戦争が起きても、たいていは頭を冷やしたほうが勝つから、その影響は限定される。 だが例外はあり、今回のガザ戦争はそうした不幸な例外の1つかもしれない。 もちろん、第3次大戦の瀬戸際だと言うつもりはない。これが中東全域を巻き込む紛争に拡大するとも思っていない。 その可能性は排除できないものの、今のところ、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラも、イランやロシア、トルコなどの周辺諸国も、直接的に首を突っ込もうとはしていない。 アメリカ政府も、局地的な紛争に抑え込もうと努力している。戦域が拡大すれば損害が大きくなり、危険も増す。だから私たちは、その努力が実ることを願う。 だが、たとえ戦闘がパレスチナ自治区ガザ地区に限定され、遠からず終結するとしても、その余波は世界中に広がる。 その影響はどんなものか。 答えを探るには、イスラム組織ハマスによる奇襲攻撃が始まる10月7日以前の地政学的状況に立ち戻る必要がある。 まずアメリカとNATO諸国はウクライナで、ロシアを相手に代理戦争を繰り広げていた。 目標はウクライナを支援し、ロシアが2022年2月24日以降に占領した土地を取り戻すこと。ロシアを弱体化し、二度と似たようなまねができないようにすることだ。 だが筋書きどおりにはいかなかった。 今夏の反転攻勢は行き詰まり、軍事面ではロシア側が徐々に勢いを取り戻しているようで、ウクライナ側が領土を取り戻す可能性は遠のいていた。 これに加えて、アメリカは中国とも事実上の経済戦争を繰り広げていた。半導体やAI(人工知能)、量子コンピューターなどの先端技術で、中国が覇権を握るのを阻止する戦いだ』、「アメリカ」は「ウクライナ」では「筋書きどおりにはいかなかった」、「アメリカは中国とも事実上の経済戦争を繰り広げていた」、確かに「アメリカ」を取り巻く環境は厳しい。
・『対中政策の行き詰まり  アメリカ政府は中国を、最大の長期的ライバル(米国防用語では「基準となる脅威」)と見なしている。 ただしジョー・バイデン大統領率いる現政権は対中制裁の対象を絞り、「小さな庭に高い壁」を築くだけだとし、それ以外の分野では協力を維持したい意向を示していた。 だが現実には、小さな庭は大きくなるばかり。いくら高い障壁を設けても、一定の先端技術分野で中国が台頭するのを阻止するのは不可能という見方が強まっていた。) 中東政策はどうか。バイデン政権はサウジアラビアが中国に接近するのを防ぐため、イスラエルとの関係正常化を条件に、サウジアラビアに一定の安全保障を約束し、場合によっては核関連技術へのアクセスも認めようとしていた。 だが、そんな離れ業が決まる保証はなかった。 そもそもパレスチナの問題に目をつぶり、占領地でのイスラエル政府の蛮行に見て見ぬふりをしている限り、いずれ火を噴くのは避けられない。そういう批判があったのも事実だ。 そこへ10.7の奇襲があり、戦争が始まった。その地政学的な意味と、アメリカ外交への影響はいかなるものか。 まず、サウジアラビアとイスラエルの関係正常化に向けたアメリカ政府の努力は水泡に帰した(ある意味、ハマスの狙いどおりだ)。 むろん、これを永遠に阻止するのは無理だろう。関係正常化を促した事情は何も変わっていないからだ。しかし、行く手を阻む障害は増えた。 2点目。最近のアメリカは中東に費やす時間と労力を減らし、アジアに向ける時間とエネルギーを増やそうとしていたが、この戦争でそうはいかなくなった。 なにしろ時間は限られている。バイデン大統領やアントニー・ブリンケン国務長官が毎日のようにイスラエルや中東諸国に飛んでいたら、他の場所に十分な時間と関心を割くことはできない。 アジアの専門家であるカート・キャンベルを国務副長官に起用したことで状況はいくらか改善されるかもしれない。 それでも中東で火の手が上がった以上、アジアに割くことのできる外交的・軍事的能力が中短期的に低下することは間違いない。 しかも国務省内部では、政権の露骨にイスラエル寄りな対応に中堅幹部が反発しており、混乱が生じている。問題の解決は難しくなるばかりだ。 要するに、今回の中東での戦争は台湾や日本、フィリピン、その他中国からの圧力に直面している国々にとって好ましいニュースではない。 今の中国は経済面で苦しい状況にあるが、それでも台湾や南シナ海での軍事的挑発を止める気配はない。最近も南シナ海上空で米軍B52戦略爆撃機に、中国のJ11戦闘機が異常接近する事態があった。 今は米軍の空母2隻が地中海東部に派遣されており、アメリカ政府は中東から目を離せない。だからアジア情勢が一気に暗転した場合、アメリカが効果的に対応できるかどうかは疑わしい。 そして仮にも、ガザでの戦闘がレバノンやイランにまで広がったらどうなるか。アメリカとその同盟国はさらに多くの時間と資源を中東地域に向けざるを得まい』、「今回の中東での戦争は台湾や日本、フィリピン、その他中国からの圧力に直面している国々にとって好ましいニュースではない。 今の中国は経済面で苦しい状況にあるが、それでも台湾や南シナ海での軍事的挑発を止める気配はない。最近も南シナ海上空で米軍B52戦略爆撃機に、中国のJ11戦闘機が異常接近する事態があった・・・仮にも、ガザでの戦闘がレバノンやイランにまで広がったらどうなるか。アメリカとその同盟国はさらに多くの時間と資源を中東地域に向けざるを得まい」、その通りだ。
・『EUトップの深刻な亀裂  3点目。ガザ地区の紛争はウクライナにとって最悪だ。メディアはガザ情勢一色に染まり、ウクライナ支援を支持する世論は後退している。 アメリカでは下院共和党が支援継続に難色を示している。10月4日から16日にかけて行われたギャラップの世論調査でも、アメリカ政府のウクライナ支援は過剰だと考える人が41%に上った(6月時点では29%にすぎなかった)。 もっと面倒な問題もある。ウクライナ戦争は激しい消耗戦となっており、いくら砲弾があっても足りない。 だがアメリカも同盟諸国も、ウクライナのニーズを満たすだけの兵器を生産できない。ウクライナ軍の戦闘能力を維持するため、アメリカは韓国とイスラエルに置いていた武器弾薬を転用せざるを得なかった。 そこへ突然、イスラエルで戦争が始まった。 こうなると、ウクライナに武器弾薬を送る余裕はなくなる。それでウクライナ軍が劣勢に立たされ、万が一ウクライナ軍が崩壊し始めたら、バイデン政権はどうすればいいのか。 EUにとっても頭の痛い問題だ。ロシアのウクライナ侵攻で、多少の軋轢はあったにせよ、欧州の結束は強まった。10月のポーランド総選挙で、極右政党「法と正義」が政権の座を追われたことも好ましい変化だった。 しかしガザ紛争で欧州の亀裂が再び表面化した。今はイスラエルを無条件で支持する国もあれば、パレスチナの大義に共感を示す国もある。 EUの大統領格であるウルズラ・フォンデアライエン欧州委員会委員長と、外相格のジョセップ・ボレル外交安全保障上級代表の間にも深刻な亀裂が生じている。 フォンデアライエンはイスラエル支持に偏りすぎている」と批判する書簡に、約800人のEU職員が署名したとも報じられている。 この戦争が長引けば長引くほど、こうした亀裂は広がっていく。 それはまた欧州外交の弱みを浮き彫りにし、世界の民主主義国を一つの強力な連合体にまとめるという壮大な目標に向かう動きを後退させかねない。 西側諸国にとっては最悪な展開だが、ロシアと中国には願ってもない朗報だ。 アメリカの目がウクライナや東アジアからそれるなら大歓迎。しかも中東なら、自分たちは高みの見物を決め込める。 一方で今回のガザ紛争は、アメリカの一極支配よりも多極的な世界秩序のほうが好ましい、という中ロ両国の長年の主張に一定の論拠を与える。) 1993年のオスロ合意以来、アメリカは一貫して中東情勢に大きな発言力を持ってきた。 だが、結果はどうだ。 イラクでは悲惨な戦争を招き、イランの核開発は止められず、イスラム過激派の台頭も許した。 イエメンでは内戦が激化し、リビアは無政府状態に陥った。そしてもちろん、オスロ合意は反故(ほご)になった──彼らはそう主張できる。 10月7日のハマスの奇襲を見ろ、アメリカは最も親密な同盟国すら守れないではないか、という主張もできる。 そういう主張に反論することは容易だが、くみする国も多いだろう。実際、中ロのメディアは今回のガザ紛争を機にアメリカ批判を強め、国際社会での支持を広げている。 今回の戦争とアメリカの対応がこの先も、アメリカ外交にとっては重い足かせとなるだろう。 既にウクライナ危機をめぐる欧米諸国の見解と、グローバルサウスと呼ばれる新興・途上諸国の姿勢にはかなりの溝が生じている。欧米のダブルスタンダードに対する反発も強まっている。 この溝を一段と深めたのは、ハマスに対するイスラエル軍の桁違いな報復だ。もともとパレスチナの人々への共感は、欧米以外の国々のほうがはるかに強い。 その共感は紛争が長引けば長引くほど、またイスラエル軍に殺されるパレスチナの民間人が増えれば増えるほど強まるだろう。一方で欧米諸国は、歴史的な経緯もあってイスラエル側の肩を持たざるを得ない。 G7に属する某国の外交官が先頃、英紙フィナンシャル・タイムズで嘆いていた。 「これで私たちはグローバルサウスの獲得競争に敗れた。(ウクライナ支援で協力を取り付けようとした)今までの努力は水泡に帰した。......彼らは二度と、私たちの話に耳を傾けないだろう」』、「ウクライナ軍の戦闘能力を維持するため、アメリカは韓国とイスラエルに置いていた武器弾薬を転用せざるを得なかった。 そこへ突然、イスラエルで戦争が始まった。 こうなると、ウクライナに武器弾薬を送る余裕はなくなる。それでウクライナ軍が劣勢に立たされ、万が一ウクライナ軍が崩壊し始めたら、バイデン政権はどうすればいいのか・・・欧米諸国の見解と、グローバルサウスと呼ばれる新興・途上諸国の姿勢にはかなりの溝が生じている。欧米のダブルスタンダードに対する反発も強まっている。 この溝を一段と深めたのは、ハマスに対するイスラエル軍の桁違いな報復だ」、なるほど。
・『漁夫の利を得る中国  それだけではない。 北大西洋両岸の快適な地域に属さない国々から見れば、欧米の関心はあまりに身勝手で恣意的だ。 中東で新たな戦争が起きた途端に、欧米のメディアはその話で埋め尽くされた。新聞もそうだし、ニュース専門のテレビ局もそうだ。政治家はせっせと自らの見解を述べ、どうすべきかを説く。 だが今回の戦争が始まったのと同じ10月に出た国連の報告書に、コンゴ民主共和国には現時点で約700万の国内避難民がいるとあった事実はほとんど報じられていない。 その数はイスラエルとガザ地区の被害者より桁違いに多いにもかかわらずだ。) もちろん、それでグローバルサウスの国々が一斉に反米に転じるわけではない。欧米の偽善に腹を立てはしても、それぞれの国益を追求するなかではアメリカや欧州諸国との関係は切れない。 だが、今までどおりにいくと思うのは間違いだ。人権だの法の支配だのという私たちの議論に、彼らはますます耳を貸さなくなる。そして中国とアメリカをてんびんにかけて、様子を見る国が今よりも増えることだろう。 付言すれば、今回の不幸な戦争がどう転んでも、アメリカ外交の評判が高まることはない。 10.7の奇襲を防げなかったことで、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の評判は地に落ちただろうが、アメリカ政府も同じく予測できなかったし、その後の対応も(少なくとも今までのところは)お粗末すぎる。 そしてもしも、ウクライナの戦争が不幸な結末を迎えたらどうなるか。 アメリカの信用だけでなく、その判断力も問われることになる。 よその国がアメリカ政府の助言に従うのは、アメリカ政府には確かな情報と判断力と行動力があり、人権にも法の支配にも一定の配慮をしてくれると思えばこそだ。 その前提が崩れたら、誰もアメリカの助言など聞かなくなる』、「今回の戦争が始まったのと同じ10月に出た国連の報告書に、コンゴ民主共和国には現時点で約700万の国内避難民がいるとあった事実はほとんど報じられていない。 その数はイスラエルとガザ地区の被害者より桁違いに多いにもかかわらずだ。) もちろん、それでグローバルサウスの国々が一斉に反米に転じるわけではない。欧米の偽善に腹を立てはしても、それぞれの国益を追求するなかではアメリカや欧州諸国との関係は切れない・・・今回の不幸な戦争がどう転んでも、アメリカ外交の評判が高まることはない。 10.7の奇襲を防げなかったことで、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の評判は地に落ちただろうが、アメリカ政府も同じく予測できなかったし、その後の対応も(少なくとも今までのところは)お粗末すぎる。 そしてもしも、ウクライナの戦争が不幸な結末を迎えたらどうなるか。 アメリカの信用だけでなく、その判断力も問われることになる」、想像するだけで恐ろしいシナリオだ。

第四に、11月17日付けデイリー新潮「「イギリスとフランスが中東紛争の真犯人」は本当か?――悪名高い「サイクス=ピコ協定」の裏に隠された「失敗の本質」」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2023/11170609/?all=1
・『10月7日、イスラム組織ハマースの越境攻撃によって始まったイスラエル・パレスチナ紛争。今回のハマースによる攻撃は、1973年10月にエジプト軍がイスラエル軍の防衛体制の隙をついて奇襲を仕掛けて始まった「第4次中東戦争」を想起させる。 まるで時計の針が巻き戻ってしまったかのような事態だが、中東情勢に詳しい向きには、1916年にイギリスとフランスによって結ばれた「サイクス=ピコ協定」が、今日の混乱の原因として思い出されるのではないだろうか。オスマン帝国の崩壊を受け、西洋列強によって地図の上に勝手に国境線が引かれたという、悪名高い協定である』、世界史にちょっと出てきたので、名前だけは記憶にある。
・『サイクス=ピコ協定によるオスマン帝国の分割案  サイクス=ピコ協定によるオスマン帝国の分割案。画像は『サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』(新潮選書)より (地図製作:アトリエ・プラン)(他の写真を見る) しかし本当に「サイクス=ピコ協定」が問題の本質なのか。そもそも、それはどのような協定だったのか。 中東研究の第一人者である東京大学教授・池内恵氏は著書『サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』で、複雑な事情をわかりやすく解きほぐしている。以下、同書から一部を再編集して紹介しよう。 いまや中東の地は、ヨーロッパへ世界へと難民、テロを拡散する「蓋のないパンドラの箱」と化している。列強によって無理やり引かれた国境線こそが、その混乱を運命づけたとする説が今日では主流だ。しかし、中東の歴史と現実、複雑な国家間の関係を深く知らなければ、決して正解には至れない  1916年5月16日、イギリスとフランスの間でサイクス=ピコ協定が結ばれた。これにロシアも同意して、西洋列強がオスマン帝国の支配領域を第1次世界大戦の後に分割する取り決めが結ばれた。 サイクス=ピコ協定は、現在のトルコ南東部と、シリアやイラク、パレスチナやヨルダンなどにかけての一帯を切り離し、英・仏の直接統治・支配圏に分けた。 サイクス=ピコ協定は、第1次世界大戦(1914-18)後から現在までの、中東の諸国家と国際秩序の礎となった。サイクス=ピコ協定を基礎にした中東諸国の国境線の中で、政治が行われ、国民社会が形成され、国際関係が取り結ばれた』、「サイクス=ピコ協定によるオスマン帝国の分割案・・・イギリスとフランスの間でサイクス=ピコ協定が結ばれた。これにロシアも同意して、西洋列強がオスマン帝国の支配領域を第1次世界大戦の後に分割する取り決めが結ばれた・・・サイクス=ピコ協定は、第1次世界大戦(1914-18)後から現在までの、中東の諸国家と国際秩序の礎となった。サイクス=ピコ協定を基礎にした中東諸国の国境線の中で、政治が行われ、国民社会が形成され、国際関係が取り結ばれた」、なるほど。
・『蘇る密約  (中東及び周辺諸国の地図はリンク先参照) 混乱の続く中東情勢。画像は『サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』(新潮選書)より (地図製作:アトリエ・プラン)(他の写真を見る) 百年の時を経て、中東は大変動の時代を迎えている。アラブ世界では多くの国家が崩壊するか、決定的に揺らいだ。政権が自らの国民に発砲し、樽爆弾で市場を無差別に爆撃する。内戦が果てしなく続き、武装集団が各地を支配する。テロが頻発し、過激主義が横行する。宗教的・民族的少数派が住処(すみか)を追われ、殺害され、奴隷化される。大量の難民が流出して彷徨(さまよ)い、その一部が欧州に達しただけで、EU(欧州連合)の結束は瓦解の縁(ふち)に立たされている。 現在の中東の大混乱は、百年前の、まさにサイクス=ピコ協定が結ばれた頃の状況に、次第に近づいてきている。 戦乱と国家の崩壊、武装集団の角逐(かくちく)、難民の流動、少数派の迫害・虐殺と奴隷化、これらはいずれも第1次世界大戦とその直後の中東に、大規模に生じた出来事だった。 現在の中東に生じている事象は、決して最近になって突然に始まったことではない。第1次世界大戦時に噴出した諸問題が、一時は解決したとも思われていながら、実は解決しきれずに、水面下で残っていた。問題を覆い隠すことを可能にしていた中東諸国家の政権や中東地域の国際関係が、イラク戦争から「アラブの春」にかけて揺らいだ。それによって問題が一気に噴出してきたというのが実情である』、「現在の中東に生じている事象は、決して最近になって突然に始まったことではない。第1次世界大戦時に噴出した諸問題が、一時は解決したとも思われていながら、実は解決しきれずに、水面下で残っていた。問題を覆い隠すことを可能にしていた中東諸国家の政権や中東地域の国際関係が、イラク戦争から「アラブの春」にかけて揺らいだ。それによって問題が一気に噴出してきたというのが実情である」、確かに歴史的にみる必要がありそうだ。
・『「イスラーム国」による批判  2014年に「イスラーム国」がイラクとシリアで支配領域を広げた時、その宣伝映像で「サイクス=ピコ協定の終わり」を喧伝(けんでん)した。「イスラーム国」は、サイクス=ピコ協定の秩序に代わる、より妥当な秩序を示してはいない。しかし「イスラーム国」が、サイクス=ピコ協定に基づく枠組みによって維持されてきた中東の国家や国際秩序に挑戦し、そのほころびに付け込んでいることは確かだろう。サイクス=ピコ協定に始まる一連の協定や条約の枠組みによって、中東の国家と社会と国際関係はどうにか維持されてきた。しかしその秩序は矛盾や脆弱性を孕(はら)んだものだった。 「イスラーム国」によるサイクス=ピコ協定の批判は特に目新しいものではない。シリアやイラク、エジプトなどアラブ諸国の民族主義的な政権は、サイクス=ピコ協定を植民地主義による中東の不当な分割を象徴するものとして非難し、その超克を主張してきた。そう主張しながらも、各国の政権はサイクス=ピコ協定の枠組みに依存し、利用し、権力の源としてきた。 アラブの各国の政権が独立運動以来、かくも長くサイクス=ピコ協定の打破を主張してきたにもかかわらず、統一アラブ国家が生まれなかったのは、各国の政治に内在する原因があったのであり、サイクス=ピコ協定という外交文書や、英・仏の帝国主義・植民地主義だけに、現在の中東諸問題の原因を求め、責を帰すのは妥当ではないだろう』、「アラブの各国の政権が独立運動以来、かくも長くサイクス=ピコ協定の打破を主張してきたにもかかわらず、統一アラブ国家が生まれなかったのは、各国の政治に内在する原因があったのであり、サイクス=ピコ協定という外交文書や、英・仏の帝国主義・植民地主義だけに、現在の中東諸問題の原因を求め、責を帰すのは妥当ではないだろう」、その通りだ。
・『「協定」をなくせばいいのか  サイクス=ピコ協定ほど、批判と罵(ののし)りの対象となった外交文書も珍しいだろう。そもそもここまで一般に名前が知られている外交文書というものも、少ないだろう。 サイクス=ピコ協定は、ロシアにおいて革命で権力を掌握したボリシェビキ政権によってその存在が暴露されたことから、「列強の中東への不当な介入と分割」の象徴とされて批判の的となった。 日本では世界史の教科書や資料集で取り上げられ、さまざまな中東関連本でも必ずと言っていいほど言及される。そこから「サイクス=ピコ協定こそ中東問題の元凶」といった決まり文句が、一般向け解説でも、あるいは中東専門家が政治的な発言を行う時にも、しばしば見られるようになった。 しかしこのような批判が、現在の問題の理解と解決のために役立つかというと、疑問である。それではサイクス=ピコ協定をなくしてしまえば中東問題は解決するのか。もちろんそのようなことはない。サイクス=ピコ協定をなくしてそれ以前の状態に戻れるのか。もちろん戻れない。それ以前の状態にもし戻れたとして、そこに住む人々のどれだけが納得するのか。その多くは納得しないだろう。 サイクス=ピコ協定を無効とするならば、むしろ今と同様あるいはそれをも上回るような内戦や戦争が勃発し、少数派の迫害や奴隷化が国際社会の制約なく横行しかねない。難民の規模はさらに拡大するだろう。 サイクス=ピコ協定は、中東の国家と社会が抱えた「病」への処方箋だった。この「病」が根から完治しない限り、紛争は続く。解決策として提示されるものも、どこかサイクス=ピコ協定に似通ったものになるだろう。 言うまでもなく、サイクス=ピコ協定が提示する「処方箋」は完璧にはほど遠いものであり、矛盾や欺瞞や不十分さを多く抱え込んでいた。しかしそれは、中東が抱えている問題の複雑さを反映したものだった。サイクス=ピコ協定は問題を解消する魔法の杖ではなく、問題の根深さ、解決策の不在を表現したものだった。 当時の超大国である列強という「医師」に、中東の国家と社会の「病」への処方箋を書く、その資格と能力があったかというと、それは疑わしい。しかしその当時の中東に、より適切に国家と社会を形成できる主体があったかというと、なかったと言わざるを得ない。それは現在でもなお残る問題である。 ※池内恵『サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』(新潮選書)から一部を再編集。 いまや中東の地は、ヨーロッパへ世界へと難民、テロを拡散する「蓋のないパンドラの箱」と化している。列強によって無理やり引かれた国境線こそが、その混乱を運命づけたとする説が今日では主流だ。しかし、中東の歴史と現実、複雑な国家間の関係を深く知らなければ、決して正解には至れない』、「サイクス=ピコ協定は、中東の国家と社会が抱えた「病」への処方箋だった。この「病」が根から完治しない限り、紛争は続く。解決策として提示されるものも、どこかサイクス=ピコ協定に似通ったものになるだろう・・・列強によって無理やり引かれた国境線こそが、その混乱を運命づけたとする説が今日では主流だ。しかし、中東の歴史と現実、複雑な国家間の関係を深く知らなければ、決して正解には至れない」、同感である。絶対的な正解がないのが、国際政治の現実だ。 
タグ:「サイクス=ピコ協定によるオスマン帝国の分割案・・・イギリスとフランスの間でサイクス=ピコ協定が結ばれた。これにロシアも同意して、西洋列強がオスマン帝国の支配領域を第1次世界大戦の後に分割する取り決めが結ばれた・・・サイクス=ピコ協定は、第1次世界大戦(1914-18)後から現在までの、中東の諸国家と国際秩序の礎となった。 「サイクス=ピコ協定は、中東の国家と社会が抱えた「病」への処方箋だった。この「病」が根から完治しない限り、紛争は続く。解決策として提示されるものも、どこかサイクス=ピコ協定に似通ったものになるだろう・・・列強によって無理やり引かれた国境線こそが、その混乱を運命づけたとする説が今日では主流だ。 サイクス=ピコ協定を基礎にした中東諸国の国境線の中で、政治が行われ、国民社会が形成され、国際関係が取り結ばれた」、なるほど。 「現在の中東に生じている事象は、決して最近になって突然に始まったことではない。第1次世界大戦時に噴出した諸問題が、一時は解決したとも思われていながら、実は解決しきれずに、水面下で残っていた。問題を覆い隠すことを可能にしていた中東諸国家の政権や中東地域の国際関係が、イラク戦争から「アラブの春」にかけて揺らいだ。それによって問題が一気に噴出してきたというのが実情である」、確かに歴史的にみる必要がありそうだ。 ラエル軍の桁違いな報復だ」、なるほど。 「イスラエル軍の指揮統制センターはドローンやジェット戦闘機・軍艦・戦車・兵士などから集めた戦場のデータを活用し、ガザ地区のハマスとの戦闘における調整を行っている」、なるほど。「「ドローン・ウォーズUK」のクリス・コール代表は、たとえイスラエル軍が攻撃ごとに合理的な民間人犠牲者数を設定しようとしていたとしても、1カ月足らずで民間人数千人の死亡は、爆撃作戦全体が不均衡な規模であることを示している、と主張した」、「1カ月足らずで民間人数千人の死亡」との犠牲は確かに大きいようだ。 ・・・今回の不幸な戦争がどう転んでも、アメリカ外交の評判が高まることはない。 10.7の奇襲を防げなかったことで、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の評判は地に落ちただろうが、アメリカ政府も同じく予測できなかったし、その後の対応も(少なくとも今までのところは)お粗末すぎる。 そしてもしも、ウクライナの戦争が不幸な結末を迎えたらどうなるか。 アメリカの信用だけでなく、その判断力も問われることになる」、想像するだけで恐ろしいシナリオだ。 「アラブの各国の政権が独立運動以来、かくも長くサイクス=ピコ協定の打破を主張してきたにもかかわらず、統一アラブ国家が生まれなかったのは、各国の政治に内在する原因があったのであり、サイクス=ピコ協定という外交文書や、英・仏の帝国主義・植民地主義だけに、現在の中東諸問題の原因を求め、責を帰すのは妥当ではないだろう」、その通りだ。 「ウクライナ軍の戦闘能力を維持するため、アメリカは韓国とイスラエルに置いていた武器弾薬を転用せざるを得なかった。 そこへ突然、イスラエルで戦争が始まった。 こうなると、ウクライナに武器弾薬を送る余裕はなくなる。それでウクライナ軍が劣勢に立たされ、万が一ウクライナ軍が崩壊し始めたら、バイデン政権はどうすればいいのか・・・欧米諸国の見解と、グローバルサウスと呼ばれる新興・途上諸国の姿勢にはかなりの溝が生じている。欧米のダブルスタンダードに対する反発も強まっている。 この溝を一段と深めたのは、ハマスに対するイス 「今回の戦争が始まったのと同じ10月に出た国連の報告書に、コンゴ民主共和国には現時点で約700万の国内避難民がいるとあった事実はほとんど報じられていない。 その数はイスラエルとガザ地区の被害者より桁違いに多いにもかかわらずだ。) もちろん、それでグローバルサウスの国々が一斉に反米に転じるわけではない。欧米の偽善に腹を立てはしても、それぞれの国益を追求するなかではアメリカや欧州諸国との関係は切れない 現代ビジネス Newsweek日本版「証拠が薄すぎる「小児病院の地下はハマスの拠点」...国際的支持を失いかねない、イスラエルの「苦しい言い訳」の中身とは?」 「イスラエルは、同病院の地下にもハマス司令部があると主張しているが、イスラエル政府はそれを裏づける証拠をほとんど示していない」、これは大きな問題だ。「イスラエル」を全面支持している「バイデン政権」にとっても、頭が痛い問題だろう。 しかし、中東の歴史と現実、複雑な国家間の関係を深く知らなければ、決して正解には至れない」、同感である。絶対的な正解がないのが、国際政治の現実だ。 Newsweek日本版 「今回の中東での戦争は台湾や日本、フィリピン、その他中国からの圧力に直面している国々にとって好ましいニュースではない。 今の中国は経済面で苦しい状況にあるが、それでも台湾や南シナ海での軍事的挑発を止める気配はない。最近も南シナ海上空で米軍B52戦略爆撃機に、中国のJ11戦闘機が異常接近する事態があった・・・仮にも、ガザでの戦闘がレバノンやイランにまで広がったらどうなるか。アメリカとその同盟国はさらに多くの時間と資源を中東地域に向けざるを得まい」、その通りだ。 (その3)(証拠が薄すぎる「小児病院の地下はハマスの拠点」...国際的支持を失いかねない イスラエルの「苦しい言い訳」の中身とは?、イスラエル軍が戦場支配 対ハマスで技術的優位性 軍の指揮統制センター ドローンや戦車・兵士などから集めた戦場データを活用し戦闘を調整、ガザ戦争でアメリカは信用を失い EUは弱体化 漁夫の利を得るのは「意外なあの国々」「イギリスとフランスが中東紛争の真犯人」は本当か?――悪名高い「サイクス=ピコ協定」の裏に隠された「失敗の本質」) スティーブン・ウォルト氏による「ガザ戦争でアメリカは信用を失い、EUは弱体化、漁夫の利を得るのは「意外なあの国々」」 、世界史にちょっと出てきたので、名前だけは記憶にある。 The Wall Street Journal「イスラエル軍が戦場支配、対ハマスで技術的優位性 軍の指揮統制センター、ドローンや戦車・兵士などから集めた戦場データを活用し戦闘を調整」 デイリー新潮「「イギリスとフランスが中東紛争の真犯人」は本当か?――悪名高い「サイクス=ピコ協定」の裏に隠された「失敗の本質」」 「アメリカ」は「ウクライナ」では「筋書きどおりにはいかなかった」、「アメリカは中国とも事実上の経済戦争を繰り広げていた」、確かに「アメリカ」を取り巻く環境は厳しい。 「イスラム武装組織ハマスが10月7日に対イスラエル奇襲攻撃を仕かけて以来、激しさを増している」、「イスラエル」は自慢の防諜組織が兆候を全く捉えられなかったこともあって、明らかに過剰な「報復作戦」を展開している。 イスラエル・パレスチナ
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