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倒産・経営破綻(その2)(一目散に逃げ出した社長に怒り…帝国データバンク調査員が見た 衝撃の倒産現場、経済活動が正常化でも増える倒産 飲食業は「過去最多」の可能性 背景に何があるのか、給食が突然ストップ…高校6校 提供業者へ違約金を請求 広島、「世紀の大粉飾」「巨額詐欺事件だ」銀行関係者が憤る倒産企業の実名) [企業経営]

倒産・経営破綻については、昨年5月24日に取上げた。今日は、(その2)(一目散に逃げ出した社長に怒り…帝国データバンク調査員が見た 衝撃の倒産現場、経済活動が正常化でも増える倒産 飲食業は「過去最多」の可能性 背景に何があるのか、給食が突然ストップ…高校6校 提供業者へ違約金を請求 広島、「世紀の大粉飾」「巨額詐欺事件だ」銀行関係者が憤る倒産企業の実名)である。

先ずは、昨年7月12日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した帝国データバンク情報部の藤坂 亘氏による「一目散に逃げ出した社長に怒り…帝国データバンク調査員が見た、衝撃の倒産現場」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/325775
・『2022年度の倒産件数は3年ぶりの増加となった。倒産企業は企業規模もさまざまだが、それぞれに「企業の最期」という非日常のドラマがある。倒産現場ではどのようなことが起きているのか。そのリアルな実態として、2つの事例を紹介する』、興味深そうだ。
・『業界環境が悪化する中でゼロゼロ融資も断られたO社  2022年度は全国で6799件の倒産が発生し、倒産件数は3年ぶりの増加となった。コロナ禍で落ち込んだ業績や、その間に抱えた債務、昨今のエネルギー価格高騰、物価高、円安など、企業を取り巻く環境はめまぐるしく変化しており、今までのビジネスモデルでは対応できない企業も数多く出てきている。 企業倒産の増減は、景気を表す一つの経済指標として捉えられることが多い。そのこと自体は経済全体を見通すために必要なことだろう。しかし、倒産したそれぞれの企業には多くの人が関わり、多くの人生が詰まっていることも忘れてはならない事実だ。 帝国データバンクの情報記者は、企業倒産を取材する過程で、その人間模様を目の当たりにすることがある。1年に6799件発生する倒産のうちの一つでしかなく、負債も決して大きくない企業であっても、そこには「企業の最期」という非日常のドラマがある。 これが倒産現場のリアルだ。 以下、一つ目として紹介するのが、新聞の折り込みチラシを扱っていたO社の事例である。 大阪メトロ中央線の長田駅の改札を抜けると、既に午後7時を回っていた。駅前のショッピングセンターの横を通り過ぎると広がる紙文具団地。人けもなく、だだっ広い上に、トラックの往来でひどくひずんだ道路が続く。「関係先に倒産の通知が届いているようだ」という問い合わせがあったその会社は、そんな企業団地を抜けた先にあった。 受任通知が出ているなら張り紙があるはずと考えていたが、会社に到着するとシャッターが開いていた。前には1台のハイエースが止まっている。予想外の展開に、一度会社の前を通り過ぎ、念のため、問い合わせ元に社名と状況を再確認する。万が一にも間違いは許されない。間違いのないことを確認し、意を決して会社へ向かった。 ガランとした倉庫内には、パイプ椅子に腰掛け、携帯を見つめる男性が一人。取材に来た経緯を説明すると、取締役を名乗るその男性は小さくうなずき、倒産の事実を認めた。そして、倒産に至った経緯を訥々(とつとつ)と話し始めた。 「新聞の発行部数も減ったし、ネット広告が普及したし、折り込みチラシが少なくなったからなぁ。そんなときにコロナ。うちはパチンコ店や不動産関係のチラシが多かったから。コロナの感染が拡大した当初、『パチンコ店などが感染源』って相当たたかれたましたよね? だからチラシ広告を出すパチンコ店なんてどこもありませんよ」 新聞折り込みチラシを扱っていた同社は、業界環境の悪化とコロナ禍での急激な受注減に苦しめられていた。 「ゼロゼロ融資は受けたんですか?」 「二度、申し込みました。そして二度、断られました。『融資を受けられなければ、うちは倒産します』と言っても駄目でした」 取締役は口惜しそうな様子で続ける。 「でも、政治家による違法な融資仲介がニュースになってましたよね。不正をした企業は生き残っていいんですか。うちだってそうすれば良かったんですかね」 私は言葉に詰まった。「ゾンビ企業を救った」「甘い審査」「金融モラルハザードを生んだ」といった、ゼロゼロ融資に対する世間の追及。だが、どんな企業でも融資を受けられたかのような前提に立った批判も、融資を受けられなかった企業を目の前にすると、あっけなく崩れ落ちるだろう。 「実は弁護士には『絶対にシャッターを開けないように』と念を押されてたんです……。でも、最後の片付けですから(シャッターを開けていました)。これも何かの偶然ですね。世間に現実を伝えてください」 取締役との立ち話は30分以上に及んだ。O社を出たときは既に午後8時を回っていた。 一層寂しさが増した企業団地。開かれたシャッターは、救いの手から零れ落ちてしまったこの企業の「生きた証を遺したい」という取締役の思いを表しているようだった』、「新聞折り込みチラシを扱っていた同社は、業界環境の悪化とコロナ禍での急激な受注減に苦しめられていた・・・ゼロゼロ融資は・・・二度、申し込みました。そして二度、断られました」、「ゼロゼロ融資」を断られるほどなので、余程業況が厳しかったのでろう。
・『債権者が事務所に来るや社長が逃げ出したM社  私は倒産の問い合わせのあった運送会社のM社へ向かった。県道を曲がると異様な光景が目に入った。稼働せず、敷地内に停められたままの多数のトラックと、会社を囲うように停められた多数の乗用車だ。 会社の敷地には背の高い男性が一人。声をかけたが、彼は無言でプレハブの2階を指さした。私は事務所1階の自己破産を告げる張り紙を確認し、急な階段を静かに上った。 「はい」 香水とタバコのにおいが混じった事務所に入るなり、書類一式を渡された。解雇通知書だ。 「従業員じゃないです。帝国データバンクです。社長はいらっしゃいますか?」 10人ほどの視線が一気に集まり、事務所は静まり返る。 「自分ですけど、なんですか?」。奥でしゃがむ男性が答えた。 「張り紙を見ました。少しお話……」 「帝国さんに話すことなんかありません」 社長は私の言葉を遮り、吐き捨てるようにそう言った。 現場で取材を拒否されることはよくあることだ。ただ、会社の前にいるトラックドライバーたちの不満げな表情と、ある一台のトラック(詳しくは後述)に違和感を覚え、現場に残って取材を続けることにした。 しばらくすると、乗用車が二台、目の前に止まった。降りてきたのは、いかにもベテランドライバーという感じのいかつい男性2人。しかし、こういう人たちこそ話が通じるというのが世の常。予想通り、世間話をしているうちに心を開いてくれた。 「社長と何人かの役員待遇の社員は良い生活しているのに、おれらは給料すら払われてないんだよ」 「いつからですか……。トラブルとかありました?」 給与未払いの情報は、既に数カ月前からつかんでいたが、あえて聞かずにはいられなかった。) 「最初は、(取材時の約5カ月前となる)6月に集められて、『数%カット』と言われた。確かあのとき、トラックの事故があった後かな。幹線道路をふさいで大変だった。あそこにあるぐちゃぐちゃの、それ」 そう言って指さす先には、窓ガラスが割れ、左フロントから荷台側面がひしゃげたトラックが、痛々しい姿のまま放置されていた。私が違和感を覚えたトラックだ。 「でも、ずっと前からひどかった。社長が代わってから。大口のお客さんもあきれてた。社長に意見できた唯一のベテラン社員も辞めてしまったしな」 帰り際、社長と役員であろう男性が事務所から出てきたので、しばらく様子をうかがっていた。そこに、白色の営業車に乗ったスーツ姿の男性が訪ねてきた。おそらく債権者だ。彼が事務所へ向かうのを見るや、社長らは急いで車に乗り込み、逃げるように会社を去っていった。 その瞬間、私は怒りが込み上げた。 これまで、数多くの倒産現場で経営者を見てきた。全ての取引先に謝罪して回っていた社長、私財をなげうって従業員を守った社長、そこには最後まで責任を全うしようとした経営者の姿があった。その人たちに比べて……。 その後も何人かの従業員が訪ねてきたが、社長がいないことに皆困った様子で会社を後にした。その中には、3カ月前に入社したばかりという20代の男性もいた。 M社の事務所から最寄り駅までの約1.5キロメートル。帰り道、取材に応じてくれた従業員らの顔が浮かぶ。従業員の人生を背負う覚悟のない経営者の下で働くのは不幸だ。そんなことを考えているうちに、大通りに出た。突然解雇通知書を受け取ったドライバーたちは、どんな思いで家路に就くのだろうか。 こうした一つ一つの倒産が積み上がり、年間の倒産件数が算出される。景気動向、技術革新、業界環境の変化、法律の規制といった外部環境と照らし合わせて分析される倒産件数の増減。しかし、倒産する全ての企業が、そんな一般論で語られるようなことだけが原因で倒産するわけではない。 関係者もしくは現場でしかわからないそれぞれの企業の内部環境こそが、本当の倒産要因といっても過言ではないだろう。今まで見届けてきた数々の企業と従業員のためにも、それぞれの倒産を机上の空論で片付けるべきではない。倒産は現場で起きているのだから』、「運送会社のM社・・・社長と何人かの役員待遇の社員は良い生活しているのに、おれらは給料すら払われてないんだよ・・・取材時の約5カ月前となる)6月に集められて、『数%カット』と言われた。確かあのとき、トラックの事故があった後かな。幹線道路をふさいで大変だった。あそこにあるぐちゃぐちゃの、それ・・・でも、ずっと前からひどかった。社長が代わってから。大口のお客さんもあきれてた。社長に意見できた唯一のベテラン社員も辞めてしまったしな」、確かに酷そうだ。

次に、本年8月1日付けAERAdot.が掲載した経済ジャーナリストの大西洋平氏による「経済活動が正常化でも増える倒産、飲食業は「過去最多」の可能性、背景に何があるのか」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/articles/-/197438?page=1
・『ようやくコロナ禍を抜け出し、経済活動も正常化したというムードが強まっている。ところが、足元では経営に行き詰まって力尽きる企業が急増中だ。AERA 2023年8月7日号の記事を紹介する。 東京商工リサーチによれば、今年上半期(1~6月)における全国の企業倒産件数(負債額1千万円以上)は、2年連続で前年同期を超えたという。 上半期の数としては、2020年の同期以来3年ぶりに4千件を突破し、前年同期比で32%の増加となった。 負債総額については、昨年上半期に大手自動車部品メーカーの大型倒産があったため、前年同期比で約45%減に。ただ、負債100億円以上が8件、1億円以上5億円未満が824件、5億円以上10億円未満が115件と、中堅規模の企業倒産が目立った。 東京商工リサーチ情報本部の坂田芳博さんはこう説明する。 「株式を上場する大手企業の間では、好業績のところが増えています。一方、中小・零細企業の業績回復は遅れ気味です。コロナ禍で実施された支援策の効果が時間の経過とともに薄れ、すでに昨春ごろから倒産件数の増勢が強まりつつありました」 同調査では産業別の倒産件数にもスポットを当てているが、10分類のすべてが前年同期を上回っていた。これは1998年上半期以来、25年ぶりのことだという。ちなみに、当時は大手金融機関が次々と経営破綻し、日本は深刻な金融危機に見舞われていた。 地域別の倒産件数に目を向けても、けっして予断を許さない情勢にあると言えそうだ。 同調査では全国を9地区に分類しているが、そのすべてにおいて前年同期を上回っていた。こちらは、ITバブルが崩壊した2000年上半期以来(23年ぶり)の現象とか。無論、突出しているのは企業数自体が多い関東や近畿だが、コロナ感染は全国に広がっただけに、地方企業の多くも苦しい情勢のようだ』、「上半期の数としては、2020年の同期以来3年ぶりに4千件を突破し、前年同期比で32%の増加となった・・・東京商工リサーチ情報本部の坂田芳博さんはこう説明する。 「株式を上場する大手企業の間では、好業績のところが増えています。一方、中小・零細企業の業績回復は遅れ気味です。コロナ禍で実施された支援策の効果が時間の経過とともに薄れ、すでに昨春ごろから倒産件数の増勢が強まりつつありました」、「コロナ禍で実施された支援策の効果が時間の経過とともに薄れた」のが大きな原因のようだ。
・『飲食業が特に深刻  10分類中で最も倒産が多かったのは「サービス業他」の1351件(前年同期比36%増)で、全体の33.4%を占めていた。それに次ぐのが建設業の785件(同36.2%増)で、資材価格の高騰が経営の足を引っ張った一因と見られている。) サービス業の中でも、特に深刻なのは飲食業だ。今年上半期における倒産件数(負債1千万円以上)は424件で、前年同期比78.9%もの大幅増となった。上半期ベースで見ると、過去30年間における最多記録を更新。今後も同じようなペースで推移すると、8月にも昨年年間倒産件数(522件)を突破する可能性が考えられる。 「コロナ禍で飲食業は、休業・時短協力金や各種支援金などの手厚い支援に支えられてきました。しかし、売り上げが十分に戻りきらない状態で支援策が終了したうえ、物価高で光熱費や仕入れコストが急騰して追い打ちをかけました。さらにせっかく客足が戻ってきても十分な人手を確保できず、機会損失が発生しているケースも少なくないものと思われます」(坂田さん)』、「売り上げが十分に戻りきらない状態で支援策が終了したうえ、物価高で光熱費や仕入れコストが急騰して追い打ちをかけました。さらにせっかく客足が戻ってきても十分な人手を確保できず、機会損失が発生しているケースも少なくないものと思われます」、なるほど。
・『ゼロゼロ融資も影響  コロナ禍初年となった2020年、緊急事態宣言などのあおりで飲食業の倒産が急増したことは広く知られている。 東京商工リサーチの調べでは、年間件数が過去最多となる842件に上ったという。2021年以降は様々な支援策によって抑制されてきたが、そういった後ろ盾がなくなって再び悪化している。 坂田さんによれば、今回の調査で皮肉な結果が浮き彫りになったという。コロナ禍における営業自粛に伴い、やむなく人員削減を実施したすべての飲食店が人手不足に陥っていたのだ。慌てて確保しようとする動きが活発化すれば、おのずと人件費には上昇圧力がかかる。 しかも、タイミングが悪いことに「ゼロゼロ融資」の返済も始まった。 「ゼロゼロ融資」とは、コロナ禍で売り上げが激減した企業や個人事業主を対象に行われた実質無利子・無担保の貸し出しだ。今年上半期にコロナ関連で倒産に陥った飲食業は288件で、前年同期比104.2%増まで膨らんでいる。そのうち、「ゼロゼロ融資」を利用後に倒産したのは52件。延々と返済が続くだけに、今後は「ゼロゼロ融資」に起因する倒産がさらに増えていくのは必至だろう。 「コロナ禍以前から融資を受けていたケースも考えられますし、そうなると返済の原資を工面するのは大変でしょう。年間を通じた飲食業の倒産件数は、過去最多記録を更新する可能性があります」(坂田さん)』、「コロナ禍における営業自粛に伴い、やむなく人員削減を実施したすべての飲食店が人手不足に陥っていたのだ。慌てて確保しようとする動きが活発化すれば、おのずと人件費には上昇圧力がかかる。 しかも、タイミングが悪いことに「ゼロゼロ融資」の返済も始まった。 「ゼロゼロ融資」とは、コロナ禍で売り上げが激減した企業や個人事業主を対象に行われた実質無利子・無担保の貸し出しだ。今年上半期にコロナ関連で倒産に陥った飲食業は288件で、前年同期比104.2%増まで膨らんでいる。そのうち、「ゼロゼロ融資」を利用後に倒産したのは52件。延々と返済が続くだけに、今後は「ゼロゼロ融資」に起因する倒産がさらに増えていくのは必至だろう』、「飲食業」の業況は厳しそうだ。

第三に、9月8日付けYahooニュースが転載した広島ホームテレビ「給食が突然ストップ…高校6校 提供業者へ違約金を請求 広島」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/44460600ba9ce2e6f6e2a22f59a996c8784688df
・『高校の寮などで食事の提供が止まっている問題で、影響を受けている6つの高校が違約金を請求したことが分かりました。 三次高校など県内7つの高校がホーユーに給食業務を委託しており、その中の6校は2025年3月末までの契約でしたが6日、この契約を解除しています。 県教育委員会によりますと契約書には「履行期間中に業務を完了できない場合、違約金を支払わなければならない」という旨の記載があるため、契約解除にあたり会社側に数百万円の違約金を請求したということです。会社側には再来週までに支払いを求めています。 また県教育委員会などは、早急に寮での食事を再開できるよう随意契約もふくめて調整を進めているということです』、続報がないので、詳細は不明だが、「県内7つの高校がホーユーに給食業務を委託」、するからには、「ホーユー」の事業基盤や財務基盤はそれなりに強固な筈だが、「履行期間中に業務を完了できない」事態に陥った原因は何なのだろう。再発防止のためにも、掘り下げた分析が必要だと思う。

第四に、12月12日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した帝国データバンク情報統括部情報編集課長の阿部成伸氏による「「世紀の大粉飾」「巨額詐欺事件だ」銀行関係者が憤る倒産企業の実名」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/335283
・『帝国データバンクが12月8日に発表した2023年11月の全国企業倒産(負債1000万円以上の法的整理が対象)は773件、負債総額は881億5000万円となった。件数は2022年5月以降19カ月連続で前年同月を上回り、今年1月~11月の累計件数は7691件で前年同期(5784件)を33.0%上回っている。このままのペースで推移すると、2023年(通年)の倒産件数は約8500件となる見通しだ。今回は倒産取材から見えてくる近時の倒産の特徴を解説するとともに、今年下半期で最も印象的だった倒産を一つ選んで振り返る』、興味深そうだ。
・『足元で増えている「三つの倒産」  倒産件数推移の年別推移を見ても分かる通り、コロナ関連融資(ゼロゼロ融資)をはじめとする中小企業支援策によって倒産が抑制されていた2021年、2022年とは大きく状況が変わり、2023年は倒産が急増。その数はコロナ前の水準に戻っていることが分かる。 (図_全国企業倒産の件数推移(2014年~2023年)はリンク先参照) 東京23区の企業倒産の取材を行う帝国データバンク情報統括部には、毎日のようにさまざまな業種の企業から「月末の入金がない」「電話がつながらない」といった取引先の照会が寄せられ、12人の取材記者が現地確認や情報収集で飛び回っている。 そうした取材の報告や金融機関の審査担当者へのヒアリングをまとめると、近時の倒産について大きな特徴が三つ見えてくる』、なるほど。
・(1)ゼロゼロ融資返済倒産  一つ目はコロナ関連融資(ゼロゼロ融資)の返済開始に伴う倒産の増加だ。2020年に始まったゼロゼロ融資は、同年5月~7月頃に集中的に実行され、1回目の毎月返済を最長で5年後に設定できる「据置期間」が設けられた。この据置期間については、同融資を受けた企業の6割程度が3年未満、2割超が「3年」で設定したとみられる。 「3年」という長い期間で設定した企業が一定数あった背景としては、ゼロゼロ融資が「当初3年間無利息」であったことや当時の業況が極めて厳しい企業が多かったことが挙げられる。 「3年もたてば、今より良くなっているだろう…」。当時、そうした気持ちで融資を申し込んだが、その後の原材料・電気代高騰や為替変動の影響を受けるなどして、結局、業況は変わらないままの企業は少なくなく、「返済が始まれば限界だ…」と返済開始のタイミングで事業継続を断念する経営者が増えている』、「「3年もたてば、今より良くなっているだろう…」。当時、そうした気持ちで融資を申し込んだが、その後の原材料・電気代高騰や為替変動の影響を受けるなどして、結局、業況は変わらないままの企業は少なくなく、「返済が始まれば限界だ…」と返済開始のタイミングで事業継続を断念する経営者が増えている」、なんのことはなくただ3年延長しただけだ。
・『(2)公租公課滞納倒産  二つ目は消費税や固定資産税などの各種税金や厚生年金保険、健康保険などの社会保険料の納付ができない、または滞納が続いたことで会社の資産(預金口座や土地など)を差し押さえられて事業継続が困難となる、公租公課滞納倒産の増加だ。 2023年の公租公課倒産は11月までに111件確認され、2022年(通年で74件)、2021年(同52件)を大きく上回っている。 公租公課のうち、企業にとって特に負担が大きい社会保険料については、コロナ禍で最長3年の納付猶予措置が設けられたが、企業活動が正常化に向かうなかで特例措置は順次縮小される一方、2022年度の年金事務所による厚生年金保険料などの差し押さえ件数は、前年度の4倍となる2万7784事業所にまで増加した。 こうした現状を踏まえると、公租公課滞納倒産は今後さらに増加していく可能性が高い。 各種税金や社会保険料の納付は、社会保障制度を維持・継続させるために企業が公平に負う義務であり、滞納などに伴う差し押さえで倒産が増えていることについて、年金事務所等の責めに帰すことはできない。見方を変えれば、淘汰されるべき企業が淘汰され、健全な経済成長を促すための変化ととらえることもできるだろう』、確かに「淘汰されるべき企業が淘汰され、健全な経済成長を促すための変化」と捉えられる。
・『(3)粉飾倒産  三つ目は粉飾倒産の増加だ。これについては、民間、政府系を問わず金融機関の審査担当者が口をそろえる。 コロナ禍では各金融機関は中小企業向けのゼロゼロ融資の受け付け・実行や既存融資のリスケジュール対応などに追われ、融資先の情報収集や定点管理に手が回らず、粉飾決算が発見されにくい状況が続いていた。しかし、アフターコロナで支援策がなくなり、自主再生フェーズに入ってくると、自力での事業継続が困難となる企業が出始める。その過程で粉飾決算が表面化している。 その現状について都内・民間金融機関の担当者は「倒産前に粉飾が発覚するケースと倒産後に粉飾が発覚するパターンがある。前者の場合、経営悪化に伴う再建計画作成の過程で決算書の矛盾点が指摘され、結果として予定していた計画・支援が実現せず、倒産に至るケースが多い」と話す』、「倒産前に粉飾が発覚するケース」では、「経営悪化に伴う再建計画作成の過程で決算書の矛盾点が指摘され、結果として予定していた計画・支援が実現せず、倒産に至るケースが多い」、結果的には傷がつかずに済むようだ。
・『今年7月に発生した「世紀の大粉飾」倒産  2023年7月~11月に発生した全国企業倒産は、計3685件。そのなかにはパチンコホール大手の「ガイア」や突如、事業を停止して社会問題にもなった学校給食事業の「ホーユー」なども含まれ、12月に入ると1年4カ月ぶりに上場企業(プロルート丸光・東証スタンダード)の倒産も発生した。そうしたなかでも筆者にとって下半期で最もインパクトが大きかったのは「世紀の大粉飾」の果てに倒産した堀正工業だ。 優良企業とみられてきた昭和8年創業のベアリング商社・堀正工業(株)(東京都品川区)が倒産したのは今年7月。同月24日に東京地裁へ自己破産を申請し、同日破産手続き開始決定を受けた。そして同時に発覚した大粉飾は、銀行や審査業界に極めて大きな衝撃を与えた。 筆者は2000年以降、倒産を取材する記者として、さまざまな粉飾事例を見てきたが、これほどまでに会社の説明(書類)と実態が乖離(かいり)し、数多くの銀行が巻き込まれたケースを見たことがない。それが「世紀の大粉飾」とも言われるゆえんだ。 堀正工業に融資していた各銀行は、融資取引銀行の総数について、自行を含めて5行と説明を受けていたが、実際はその10倍以上の54行から融資を受けていた。 また、銀行借り入れの総額について各銀行は40億~50億円程度(各行で異なる)と認識していたが、実際は約347億円(2022年9月時点)。2022年9月期の年売上高は68億600万円、当期純利益は4億7700万円と公表していたが、実際の年売上高は45億1600万円、当期純利益は3億4200万円の赤字だった。 「単なる粉飾ではなく、巨額詐欺事件だ」(銀行関係者)と憤るのも当然だ。 粉飾決算は遅くとも、現社長の堀雅晴氏が社長に就任した2003年頃からはじまったとされる。かつて利益が出ていないことを理由に銀行から融資を断られた経験から、融資を受けるためには利益が出ていることが必須であると考えたことがきっかけだった。以後、堀社長などによって長年にわたり粉飾決算は続けられ、取引先や銀行をだまし続けた。 破産申立書に添付された会社資産の実態を示す清算貸借対照表に計上された現金・預貯金の合計はわずか6億7500万円。これまで受けてきた数百億円規模の融資金は何に使われどこに消えたのか。 また、申立書には取引金融機関が増大していった理由について「堀雅晴個人への貸付け、堀雅晴が100%株主ないしは大株主である会社への貸付け等のため」などと記載され、怪しさ満載だ。 11月27日に開催された財産状況報告集会では、これまで明かされることのなかった資金の流れの説明もあったとされ、堀社長への責任追及や事件化へ向けた銀行の動きなどが注目されている』、「各銀行は、融資取引銀行の総数について、自行を含めて5行と説明を受けていたが、実際はその10倍以上の54行から融資を受けていた。 また、銀行借り入れの総額について各銀行は40億~50億円程度(各行で異なる)と認識していたが、実際は約347億円(2022年9月時点)。2022年9月期の年売上高は68億600万円、当期純利益は4億7700万円と公表していたが、実際の年売上高は45億1600万円、当期純利益は3億4200万円の赤字だった。 「単なる粉飾ではなく、巨額詐欺事件だ」(銀行関係者)と憤るのも当然だ。 粉飾決算は遅くとも、現社長の堀雅晴氏が社長に就任した2003年頃からはじまったとされる・・・清算貸借対照表に計上された現金・預貯金の合計はわずか6億7500万円。これまで受けてきた数百億円規模の融資金は何に使われどこに消えたのか」、確かに桁外れの「粉飾」だ。こんな巨額の「粉飾」であれば、経理部長の「粉飾」維持のための経理操作は膨大な負担になっていただろう。
タグ:倒産・経営破綻 (その2)(一目散に逃げ出した社長に怒り…帝国データバンク調査員が見た 衝撃の倒産現場、経済活動が正常化でも増える倒産 飲食業は「過去最多」の可能性 背景に何があるのか、給食が突然ストップ…高校6校 提供業者へ違約金を請求 広島、「世紀の大粉飾」「巨額詐欺事件だ」銀行関係者が憤る倒産企業の実名) ダイヤモンド・オンライン 藤坂 亘氏による「一目散に逃げ出した社長に怒り…帝国データバンク調査員が見た、衝撃の倒産現場」 「新聞折り込みチラシを扱っていた同社は、業界環境の悪化とコロナ禍での急激な受注減に苦しめられていた・・・ゼロゼロ融資は・・・二度、申し込みました。そして二度、断られました」、「ゼロゼロ融資」を断られるほどなので、余程業況が厳しかったのでろう。 「運送会社のM社・・・社長と何人かの役員待遇の社員は良い生活しているのに、おれらは給料すら払われてないんだよ・・・取材時の約5カ月前となる)6月に集められて、『数%カット』と言われた。確かあのとき、トラックの事故があった後かな。幹線道路をふさいで大変だった。あそこにあるぐちゃぐちゃの、それ・・・でも、ずっと前からひどかった。 社長が代わってから。大口のお客さんもあきれてた。社長に意見できた唯一のベテラン社員も辞めてしまったしな」、確かに酷そうだ。 AERAdot. 大西洋平氏による「経済活動が正常化でも増える倒産、飲食業は「過去最多」の可能性、背景に何があるのか」 「上半期の数としては、2020年の同期以来3年ぶりに4千件を突破し、前年同期比で32%の増加となった・・・東京商工リサーチ情報本部の坂田芳博さんはこう説明する。 「株式を上場する大手企業の間では、好業績のところが増えています。一方、中小・零細企業の業績回復は遅れ気味です。コロナ禍で実施された支援策の効果が時間の経過とともに薄れ、すでに昨春ごろから倒産件数の増勢が強まりつつありました」、 「コロナ禍で実施された支援策の効果が時間の経過とともに薄れた」のが大きな原因のようだ。 「売り上げが十分に戻りきらない状態で支援策が終了したうえ、物価高で光熱費や仕入れコストが急騰して追い打ちをかけました。さらにせっかく客足が戻ってきても十分な人手を確保できず、機会損失が発生しているケースも少なくないものと思われます」、なるほど。 「飲食業」の業況は厳しそうだ。 yahooニュース 広島ホームテレビ「給食が突然ストップ…高校6校 提供業者へ違約金を請求 広島」 続報がないので、詳細は不明だが、「県内7つの高校がホーユーに給食業務を委託」、するからには、「ホーユー」の事業基盤や財務基盤はそれなりに強固な筈だが、「履行期間中に業務を完了できない」事態に陥った原因は何なのだろう。再発防止のためにも、掘り下げた分析が必要だと思う。 阿部成伸氏による「「世紀の大粉飾」「巨額詐欺事件だ」銀行関係者が憤る倒産企業の実名」 (1)ゼロゼロ融資返済倒産 「「3年もたてば、今より良くなっているだろう…」。当時、そうした気持ちで融資を申し込んだが、その後の原材料・電気代高騰や為替変動の影響を受けるなどして、結局、業況は変わらないままの企業は少なくなく、「返済が始まれば限界だ…」と返済開始のタイミングで事業継続を断念する経営者が増えている」、なんのことはなくただ3年延長しただけだ。 (2)公租公課滞納倒産 確かに「淘汰されるべき企業が淘汰され、健全な経済成長を促すための変化」と捉えられる。 (3)粉飾倒産 「倒産前に粉飾が発覚するケース」では、「経営悪化に伴う再建計画作成の過程で決算書の矛盾点が指摘され、結果として予定していた計画・支援が実現せず、倒産に至るケースが多い」、結果的には傷がつかずに済むようだ。 「各銀行は、融資取引銀行の総数について、自行を含めて5行と説明を受けていたが、実際はその10倍以上の54行から融資を受けていた。 また、銀行借り入れの総額について各銀行は40億~50億円程度(各行で異なる)と認識していたが、実際は約347億円(2022年9月時点)。2022年9月期の年売上高は68億600万円、当期純利益は4億7700万円と公表していたが、実際の年売上高は45億1600万円、当期純利益は3億4200万円の赤字だった。
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