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マイナンバー制度(その7)(大阪万博とマイナカード 「迷走」する2つの事業の共通点...「時代遅れ」な発想と決別せよ、マイナンバーの矛盾を徹底批判「0.01%を切り捨てる“上からのデジタル化”は人権を蔑ろにする) [経済政策]

マイナンバー制度については、昨年8月28日に取上げた。今日は、(その7)(大阪万博とマイナカード 「迷走」する2つの事業の共通点...「時代遅れ」な発想と決別せよ、マイナンバーの矛盾を徹底批判「0.01%を切り捨てる“上からのデジタル化”は人権を蔑ろにする)である。

先ずは、昨年8月30日付けNewsweek日本版が掲載した経済評論家の加谷珪一氏による「大阪万博とマイナカード、「迷走」する2つの事業の共通点...「時代遅れ」な発想と決別せよ」を紹介しよう。
・『<パビリオン建設が遅れる大阪・関西万博と、保険証との強引な統合に批判が集まるマイナカードには、共通する問題点が> パビリオン建設の大幅な遅れによって大阪万博の開催が危ぶまれている。一方、政府のマイナンバー制度は保険証との一体化をめぐって迷走を続けており着地点が見えない。一見すると無関係な大阪万博とマイナカードの問題に共通しているのは、ハコモノ行政という時代遅れの発想である。 大阪万博は2025年春の開催を目指して準備が進められているが、万博の華と呼ばれ、イベントの目玉となる海外パビリオンの建設が進んでいない。海外パビリオンのうち建設事業者が決定したのは6件しかなく、8月14日時点で建設申請が出されたのは2件のみである。 共同館方式など他のパビリオン建設は進んでいるものの、海外勢による独自パビリオンがなければ万博はもはや意味をなさず、一部からはスケジュールの延期を促す声すら上がっている状況だ。 これはプロジェクト管理という方法論の問題だが、大阪万博については当初から開催そのものの意義を問う声も上がっていた。近年、グローバルな企業社会の在り方が大きく変容しており、巨大な展示会を開催し、ハコモノを通じて人やお金を集める手法は完全に時代遅れとなっている。 以前は民間にもたくさんの大型国際展示会があったが、多くが廃止や規模の縮小を余儀なくされており、民間経済においてはもはやメジャーなスタイルではなくなった。今回の万博も、開催について日本と争ったのがロシアとアゼルバイジャンだったことを考えれば、万博の立ち位置がよく理解できるだろう』、「グローバルな企業社会の在り方が大きく変容しており、巨大な展示会を開催し、ハコモノを通じて人やお金を集める手法は完全に時代遅れとなっている。 以前は民間にもたくさんの大型国際展示会があったが、多くが廃止や規模の縮小を余儀なくされており、民間経済においてはもはやメジャーなスタイルではなくなった。今回の万博も、開催について日本と争ったのがロシアとアゼルバイジャンだったことを考えれば、万博の立ち位置がよく理解できるだろう」、なるほど。
・『昭和を彷彿とさせる「ハコモノ行政」の象徴  つまり万博は昭和を彷彿とさせる「ハコモノ行政」の象徴ということになるわけだが、この話は、政治的に大問題となっているマイナンバー制度にも当てはまる。 マイナンバー制度については、政府が保険証との統合を強引に進めたことから批判が殺到している。十分な準備を行わないままシステムの連携を実施したこともあり、あちこちで深刻なトラブルが発生している。 一部からはスケジュールの見直しや制度の抜本的な見直しを求める声が出ているが、政府や推進論者はマイナカードをやめてしまうと「日本のデジタル化が遅れる」として強く反発している』、「ハコモノ行政」については、「万博」は理解できるが、「マイナンバー制度」とは関係ないように思える。
・『実際には「カード」は必須ではない  しかしながら、カードがないと日本のデジタル化が遅れるというのは事実ではなく、むしろその逆である。全国民には既にマイナンバーが振られており、システム連携さえしっかりすれば制度はすぐにスタートできる。本人確認の方法はさまざまなので、カードがなくても何の問題もなくシステムの運用が可能だ。 実際、韓国は日本をはるかに上回るマイナンバー制度を整えているが、韓国人はカードというものは保有していない。自分の名前や住所など必要な情報を窓口で伝え、本人であると確認されれば病院でも区役所でも手続きが自動的に進む。 おそらくだが、制度を設計した日本政府内部の担当者やマイナカード導入を強く主張している論者は、カードという物理的なモノが存在しないと本人確認ができないと考えている可能性が高い。 ハード(ハコモノ)という物理的なものにとらわれ、その上位に来るソフトウエアに思考が及ばないという点では、万博とマイナカードには共通のパターンが見られる。こうしたハコモノ行政の発想から脱却できなければ日本経済の復活は難しいだろう』、「実際には「カード」は必須ではない」はその通りだ。「制度を設計した日本政府内部の担当者やマイナカード導入を強く主張している論者は、カードという物理的なモノが存在しないと本人確認ができないと考えている可能性が高い。 ハード(ハコモノ)という物理的なものにとらわれ、その上位に来るソフトウエアに思考が及ばないという点では、万博とマイナカードには共通のパターンが見られる」、これで、漸く理解できた。

次に、本年1月3日付け日刊ゲンダイが掲載した自治体情報政策研究所代表の黒田充氏による「マイナンバーの矛盾を徹底批判「0.01%を切り捨てる“上からのデジタル化”は人権を蔑ろにする」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/334100
・「国民の不安払拭のための措置を踏まえ、予定通り、現行の健康保険証の発行を来年秋に終了する」──。12月12日のマイナンバー情報総点検本部の会合で岸田首相はそう語った。しかし、総点検後の共同通信の世論調査では、来年秋の健康保険証廃止について、撤回と延期を求める回答が7割を超える。マイナンバーの問題を指摘してきたこの人が、上からの「デジタル化」を徹底的に批判する(Qは聞き手の質問、Aは回答)。 Q:総点検によって、国民の不安は払拭できましたか。 A:政府が措置をしたというだけです。世論調査が示す通り、不安解消にはほど遠い。12月上旬に取りまとめとしていたのに、報告は12月12日にズレ込みました。国会閉幕の前日で、総点検については国会審議にも付されず、問題です。 Q:そもそも不安を払拭できるような点検だったのでしょうか。 A:政府の総点検は情報が間違っていなければ問題ないという立場で行われています。データの間違いを正せばうまくいくと。しかも、誤りが見つかった部分を修正しているだけで、見つかっていない部分はそのままです。政府が不安払拭のための措置をしたと言い張るためのアリバイづくりでしかありません。 Q:トラブルは収まりませんか。 A:保団連(全国保険医団体連合会)はマイナ保険証の医療現場のトラブルについて、顔認証のエラー、負担割合の間違い、資格情報の無効表示などいくつも指摘しています。しかし、そうした指摘に対して、総点検では事実かどうかの調査もしていません。河野デジタル相はうまくいっている現場を視察するだけで、トラブルが多発している多くの現場には足を運ばない。これではトラブルの芽を摘んだことにはなりません。 Q:河野大臣は「世の中ゼロリスクはない」と発言しました。 A:とりあえず走り出し、不具合があれば修正すればよいとするアジャイルガバナンスという考え方でデジタル化を進めています。間違いやトラブルは織り込み済みなのです』、「総点検後の共同通信の世論調査では、来年秋の健康保険証廃止について、撤回と延期を求める回答が7割を超える。マイナンバーの問題を指摘してきたこの人が、上からの「デジタル化」を徹底的に批判する」、その通りなのに、政府が当初の方針通りに強行するのには違和感がある。「とりあえず走り出し、不具合があれば修正すればよいとするアジャイルガバナンスという考え方でデジタル化を進めています。間違いやトラブルは織り込み済みなのです」、なるほど。
・『まるで太平洋戦争のような光景  Q:総点検の対象8208万件のうち、ひも付け誤りが計8351件だったとして、河野大臣は「わずか0.01%」と胸を張りました。 A:政府は「デジタル化で誰一人取り残されない」と散々、強調してきました。デジタル庁のミッションにもそう書いてある。それなのに、0.01%だったら、大したことないと、平気で切り捨てる。大きな矛盾です。政府の存立意義は人権保障ですが、医療を受ける権利など人権はかなぐり捨てられています。 Q:「イデオロギー(政治思想や理念)的に反対する方は、いつまで経っても『不安だ』『不安だ』とおっしゃる」とも言いました。 A:デジタル化を進めないと日本は沈没する。だから、俺たちが国を守っているんだ。デジタル化という大義のもと、外野がうるさく言っても進めるんだという姿勢ですね。多くの人が亡くなろうと、太平洋戦争を続けたのと同じです。 Q:デジタル化と言えば、何でも通ってしまう。 A:デジタル化すれば、経費が削減され、不正がなくなると信じ込み、現場を見ることなく上から進める手法です。パソコンが世に出はじめた頃、社長がよくわからないまま買ってきたパソコンを従業員の机に置き、「明日からこれで仕事をせい」と言うようなものです。 Q:総点検を受け、官邸は廃止判断を先送りしようとしたが、河野大臣らが反発し、来秋廃止の方針が堅持されたようです。 A:岸田首相はマイナンバーの政策そのものやトラブルの実態について、よくわかっていない感じです。来秋の保険証廃止を強行することは内閣支持率低下にもつながっている。それでも、延期を決断できず、河野大臣に押し切られている。河野大臣の暴走は岸田首相の責任です』、「岸田首相はマイナンバーの政策そのものやトラブルの実態について、よくわかっていない感じです・・・延期を決断できず、河野大臣に押し切られている。河野大臣の暴走は岸田首相の責任です」、その通りだ。それにしても、「河野大臣」の厚かましい顔を見ると、腹が立つ。
・『「バラマキ=普及」の勘違い  Q:厚労省の中には、河野大臣のやり方に不満もあると聞きます。 A:厚労省はマイナ保険証への一本化は容易でないと考えていたふしがあります。だから、オンラインシステムも健康保険証(被保険者番号)でも資格確認できるようにしていたし、一本化は何年も先の話だと思っていたはずです。ところが、昨年10月に突然、24年秋の保険証廃止方針が示され、うまく乗せられてしまった。 Q:デジタル庁が主導しています。 A:首相直属のデジタル庁が推進することで、現場の声が届かず、暴走につながっている面があります。厚労省主導なら、保団連の指摘も真摯に受け止め、丁寧に進めていたかもしれません。長年、医療行政の実務を担い、現場を知っているからです。 Q:今年度補正予算には「マイナ保険証の利用促進・環境整備」に887億円、マイナカードの取得環境整備等に899億円が盛り込まれています。マイナ保険証の利用率が上がった医療機関に対する支援金や広報に力を入れるようです。 A:お金をバラまけば、利用すると勘違いしている。国民はバカにされています。CMなども大量に流すのでしょうが、そんなことで不安が解消し、利用が進むはずがない。 Q:黒田さんは、構想当初から、マイナンバー制度はうまくいかないと一貫して主張しています。 A:マイナンバー制度の出発点は、行政機関が持っているさまざまな個人情報を名寄せする際、名前や住所だと間違いが起きるからマイナンバーという番号で、という話だったのです。ところが、個人情報とマイナンバーがうまくひも付けられなかった。“はじめの一歩”でつまずいているのです。 Q:なぜ、失敗したのですか。 A:日本は漢字があり、読みがいろいろある。ひらがなもカタカナもある。アルファベットしか使っていない国とは全く違う。それに、行政、健康保険、年金などの管理もさまざまなのに、そういう調査もしっかり行わないままに、住民票に番号を振ってしまえば、何とかなると、スタートしてしまったのです。 Q:国民と番号のひも付けにしくじりながら政府はマイナンバーの利用拡大に躍起です。 A:利用拡大すればするほど新たなひも付け誤りが続出するのは避けられません。 Q:具体的には? A:これから約80の免許や国家資格へのひも付けが始まります。しかし、住所が取得時のままのものや、そもそも住所登録が不要な免許や資格も多々あります。ひも付け誤りが多発するのは目に見えています』、「デジタル庁が主導しています。 A:首相直属のデジタル庁が推進することで、現場の声が届かず、暴走につながっている面があります。厚労省主導なら、保団連の指摘も真摯に受け止め、丁寧に進めていたかもしれません。長年、医療行政の実務を担い、現場を知っているからです」、「デジタル庁が」暴走したようだ。「厚労省主導なら、保団連の指摘も真摯に受け止め、丁寧に進めていたかもしれません。長年、医療行政の実務を担い、現場を知っているからです」、その通りだ
・『■「保険証廃止」あきらめはダメ  Q:他にはありますか。 A:固定資産の所有者把握にもマイナンバーを使う計画だが、間違いは必ず起きる。例えば、大阪市内の建物所有者は大阪市民とは限らない。本人からマイナンバーの届け出がなければ、大阪市の職員は氏名・住所をもとに、住基ネットで1億2000万人の中から探し出し、ひも付けなければならない。もちろん死者名義のままのものもある。簡単な作業ではありません。 Q:政府は健康保険証を来年12月2日に廃止し、新規発行を停止することを決めました。最長1年の猶予期間があるとはいえ、どんな事態になりますか。 A:現在はマイナ保険証の利用率は4.3%にとどまっています。使う機会が少なく、トラブルにも出くわさない。保険証が廃止されれば、多くの患者はトラブルを経験することになる。それがいやでマイナ保険証の登録を解除し、資格確認書の発行を求めれば、健保組合や会社の総務などにしわ寄せがいくでしょう。保険証存続を求める声が高まっていくはずです。 Q:保険証廃止は全国民に関係のある身近な問題です。 A:岸田政権の「上からのデジタル化」がうまくいかないのは明らかです。これは世論の力で止めるしかない。そういう流れになっていくと思います。あきらめてはならないのです』、「岸田政権の「上からのデジタル化」がうまくいかないのは明らかです。これは世論の力で止めるしかない」、完全に同意したい。
タグ:マイナンバー制度 (その7)(大阪万博とマイナカード 「迷走」する2つの事業の共通点...「時代遅れ」な発想と決別せよ、マイナンバーの矛盾を徹底批判「0.01%を切り捨てる“上からのデジタル化”は人権を蔑ろにする) Newsweek日本版 加谷珪一氏による「大阪万博とマイナカード、「迷走」する2つの事業の共通点...「時代遅れ」な発想と決別せよ」 「グローバルな企業社会の在り方が大きく変容しており、巨大な展示会を開催し、ハコモノを通じて人やお金を集める手法は完全に時代遅れとなっている。 以前は民間にもたくさんの大型国際展示会があったが、多くが廃止や規模の縮小を余儀なくされており、民間経済においてはもはやメジャーなスタイルではなくなった。今回の万博も、開催について日本と争ったのがロシアとアゼルバイジャンだったことを考えれば、万博の立ち位置がよく理解できるだろう」、なるほど。 「ハコモノ行政」については、「万博」は理解できるが、「マイナンバー制度」とは関係ないように思える。 「実際には「カード」は必須ではない」はその通りだ。「制度を設計した日本政府内部の担当者やマイナカード導入を強く主張している論者は、カードという物理的なモノが存在しないと本人確認ができないと考えている可能性が高い。 ハード(ハコモノ)という物理的なものにとらわれ、その上位に来るソフトウエアに思考が及ばないという点では、万博とマイナカードには共通のパターンが見られる」、これで、漸く理解できた。 日刊ゲンダイ 黒田充氏による「マイナンバーの矛盾を徹底批判「0.01%を切り捨てる“上からのデジタル化”は人権を蔑ろにする」 「総点検後の共同通信の世論調査では、来年秋の健康保険証廃止について、撤回と延期を求める回答が7割を超える。マイナンバーの問題を指摘してきたこの人が、上からの「デジタル化」を徹底的に批判する」、その通りなのに、政府が当初の方針通りに強行するのには違和感がある。「とりあえず走り出し、不具合があれば修正すればよいとするアジャイルガバナンスという考え方でデジタル化を進めています。間違いやトラブルは織り込み済みなのです」、なるほど。 「岸田首相はマイナンバーの政策そのものやトラブルの実態について、よくわかっていない感じです・・・延期を決断できず、河野大臣に押し切られている。河野大臣の暴走は岸田首相の責任です」、その通りだ。それにしても、「河野大臣」の厚かましい顔を見ると、腹が立つ。 「デジタル庁が主導しています。 A:首相直属のデジタル庁が推進することで、現場の声が届かず、暴走につながっている面があります。厚労省主導なら、保団連の指摘も真摯に受け止め、丁寧に進めていたかもしれません。長年、医療行政の実務を担い、現場を知っているからです」、「デジタル庁が」暴走したようだ。「厚労省主導なら、保団連の指摘も真摯に受け止め、丁寧に進めていたかもしれません。長年、医療行政の実務を担い、現場を知っているからです」、その通りだ 「岸田政権の「上からのデジタル化」がうまくいかないのは明らかです。これは世論の力で止めるしかない」、完全に同意したい。
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