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介護(その9)(親の介護で一家離散 2000万円超の負担も…「ビジネスケアラー」の過酷すぎる現実、2040年「要介護人口1000万人」時代 介護費用1.4倍と負担さらに重く、東大卒エリートが泣きじゃくった日…アルツハイマーの母を介護 NGワードだった「生活保護」) [社会]

介護については、昨年12月14日に取上げた。今日は、(その9)(親の介護で一家離散 2000万円超の負担も…「ビジネスケアラー」の過酷すぎる現実、2040年「要介護人口1000万人」時代 介護費用1.4倍と負担さらに重く、東大卒エリートが泣きじゃくった日…アルツハイマーの母を介護 NGワードだった「生活保護」)である。

先ずは、昨年12月14日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した株式会社リクシス創業者・代表取締役副社長 CSOの酒井 穣氏による「親の介護で一家離散、2000万円超の負担も…「ビジネスケアラー」の過酷すぎる現実」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/332342
・『2025年以降の日本では、団塊世代の親の介護に追われるビジネスケアラーが急速に増加すると予測されている。ビジネスケアラーとは、「働きながら介護する人」「仕事と介護を両立している人」のこと。介護にかかる莫大な費用に終わりの見えない介護期間……働き盛りの介護リスクにあなたは備えているだろうか。本稿は、酒井穣『ビジネスケアラー 働きながら親の介護をする人たち』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです』、興味深そうだ。
・『介護で仕事を辞めたら再就職できず できても年収は男性4割、女性5割減少  介護のために仕事を辞めてしまった場合、再就職までにかかる期間はどれくらいだと思いますか? この期間として統計的に最多となっているのは1年以上です(男性の38.5%、女性の52.2%)。1年以上も仕事から離れていて、条件のよい就職先が見つかると思いますか?現実として、運よくあらたな職場を得たとしても、収入は男性で4割減、女性で半減するというデータがあります。 介護を理由に仕事を辞めるなら、まず、1年以上収入が途絶え、再就職できたとしても今の半分程度の年収になっても生きていけるだけの貯金が必要です。貯金が足りないまま辞めてしまえば、親が資産家でもないかぎり、あなたは生活保護を申請することになります。 ご存じのとおり、生活保護は、申請さえすれば簡単に受けられるというものでもありません。仮に住宅ローンや自動車ローンが残っていれば、そうした資産を手放すことになり、一家離散という可能性さえ出てくるのです(脅しではなく、現実です。個人的にも、こうして一家離散したケースを複数聞いています) 介護は、いちど始まると、いつ終わりになるか予想ができません。子育てとは真逆で、介護は、時間とともに負担が増えるという特徴もあります。 介護期間の目安となるのは、平均寿命から健康寿命(心身健康でいられる年数)を引いた年数です。日本でこれは、だいたい10年程度(男性8.7年、女性12.1年/2019年)になります。ですから介護生活は、少なくとも10年は続くことを想定しておく必要があります。) しかも、この期間のうちに、老化をともないながら、親の健康状態は悪化していくのが普通です。はじめは半身不随などの身体的な問題だったところに、認知症(重度化すると意思の疎通ができなくなる)も重なってきたりします。 仕事を辞め年収が半分になって10年も経つと、ビジネスケアラーとして働き続けた場合からは想像もできないほどの貧困になります。 さらに今後の日本は、物価高になっていくと予想されています。いつ終わるともしれない介護に悩まされながら金銭的にも厳しくなると、精神的な余裕がなくなり、虐待にもつながることもあります。 あなたの親は、自分の愛する子どもが、自分の介護のせいで、そうした状態になることを本当に望んでいるでしょうか』、「介護期間の目安となるのは、平均寿命から健康寿命(心身健康でいられる年数)を引いた年数です。日本でこれは、だいたい10年程度(男性8.7年、女性12.1年/2019年)になります。ですから介護生活は、少なくとも10年は続くことを想定しておく必要があります・・・仕事を辞め年収が半分になって10年も経つと、ビジネスケアラーとして働き続けた場合からは想像もできないほどの貧困になります」、なるほど。
・『介護の負担額は平均月7、8万円 介護期間の見積もりは平均14年  金銭的な話をすると「うちの親にはそれなりに資産があるから大丈夫」と考える人もいるかもしれません。しかしそれは、本当でしょうか。先回りしておきますが、介護には相当なお金がかかり、仮に資産が十分にあったとしても、大丈夫ではありません。 そもそも、介護にかかるお金(介護保険でカバーされない自己負担部分)がいくらくらいになるのか、誰もが不安に思っているでしょう。 これを実際のデータで見ると、バリアフリー化や介護ベッド、緊急対応の交通費や宿泊費といった初期費用(一時費用/自己負担)としてかかっているのは、平均で80万~90万円程度でした(この数字はバラツキが大きいため注意も必要です)。また、毎月かかっている費用(自己負担)は、平均で7万~8万円程度になります。 脅しではなく、日本の社会保障は、少子高齢化と税収の低迷を受けて、劣化していくでしょう。ですから、このような介護にかかるお金の平均もまた、今後、必ず上がっていきます。そのうえ、おそらくは物価も上がっていくことになるのです。 冷静に考えれば、これからの介護の費用が実質的に上がっていくことは、想定に入れておく必要があることがわかるでしょう。 それでは実際に、介護をしている人々は、どう考えているのでしょう。) まず、実際に想定されている介護期間の平均は、169.4カ月(14年1カ月)でした。先に10年は想定しておくべきであることを述べましたが、多くの人は、それ以上の期間を想定して準備しているのです。なんとなく、子育てと同じ程度の期間が想定されていることは興味深いですね。 もちろん、実際にこれだけの期間がかかるかどうかは、それぞれに事情が異なるため、なんとも言えないところではあります。ただ、平均的には、それだけの期間の見積もりをしているという点に位は意味があります。 客観的に考えると、毎月の実質的な費用(自己負担)となる平均7万~8万円が、169.4カ月間かかり続けることを想定するのが普通ということです。 ここから介護のランニングコストは、合計で約1186万~1355万円となります。初期費用も考えれば、1266万~1445万円の費用です。 かなりの大金ですが、しかもこれは平均であって、運が悪ければもっとかかることも考えておかなくてはなりません。 さらにこの想定では、介護が必要になる人が1人という計算になっていることにも注意してください。両親同時に介護が必要になるケースも多数あり、その場合は、単純に2倍とはならないものの、2000万円以上の準備が必要になると考えられます。 ピンピンコロリと、介護を必要とせずに亡くなる人(急死)は、全体の5%程度に過ぎません。基本的には、誰もが、何らかの介護を受けながら亡くなっていくと想定しておくべきでしょう。 しかも、ここまでの話は、あくまでも介護にかかる費用に関することに限定されています。このほかにも家賃や住宅ローン、生活費や各種税金などのためのお金も必要になることを忘れないでください。長い闘病生活などがある場合もまた、想定しておくべき費用は大きくなります。 ここで、日本の高齢者の貯蓄額は、世帯平均で1268万円です。この数字だけを見ると、意外と貯蓄があるように感じられるかもしれません。これだけの貯蓄があれば、年金と合わせれば、2000万円程度の介護費用はなんとかなりそうにも感じられます。 しかしこの数字は、富裕層が押し上げているにすぎません。実際に、貯蓄額が1000万円以下の世帯は、全体の過半数(57.9%)になっています。生活費のことを考えれば、約6割の高齢者が、介護のための費用が準備できていないと結論づけることができるのです。) ここまでの話を総括すると、・親に2000万円を超える預貯金があって年金もしっかりもらえている ・両親が同時ではなく、どちらか一方の介護だけが必要 という条件が成立するときだけ、ギリギリではあるものの、親の介護のために子どもがお金を持ち出す必要がない可能性もあります。 ただ、この2つの条件が当てはまる人は少数というのが現実です。仮に、この2つの条件に当てはまる場合でも、生活レベルが高く、毎月の出費も平均以上ということであれば、安心はできません。 親の介護費用は、親の年金や預貯金でやりくりするのが基本です。しかし現実には、親の介護のために子どもがお金を持ち出すというのは、程度問題ではあれ、まず避けられません。 そんなとき、自分が介護で仕事を辞めていたらどうなるでしょう。自分の収入が途絶えていたら、持ち出すお金もありません。そうなれば、親の介護は、介護のプロにお願いすることもできず、自分の手でやらなければならなくなるでしょう。 それでも、なんとか自分の手で介護を乗り切れたとしましょう。しかし将来、いざ自分自身に介護が必要になった場合は、どうするのでしょう。誰かに介護をしてもらう必要が出てきたとき、自分のための貯蓄が不十分であれば、一体、誰に自分の介護をお願いするのでしょう。 親の介護に対してお金を持ち出すためだけでなく、将来の自分自身に必要となる介護のお金のためにも、介護離職という選択肢は、非常に厳しい(とても贅沢な)ものになります』、「ピンピンコロリと、介護を必要とせずに亡くなる人(急死)は、全体の5%程度に過ぎません。基本的には、誰もが、何らかの介護を受けながら亡くなっていくと想定しておくべきでしょう」、誰もが理想とする「ピンピンコロリ」は「全体の5%程度に過ぎません・・・実際に、貯蓄額が1000万円以下の世帯は、全体の過半数(57.9%)になっています。生活費のことを考えれば、約6割の高齢者が、介護のための費用が準備できていないと結論づけることができる・・・親の介護に対してお金を持ち出すためだけでなく、将来の自分自身に必要となる介護のお金のためにも、介護離職という選択肢は、非常に厳しい(とても贅沢な)ものになります」、なるほど。

次に、本年1月18日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏による「2040年「要介護人口1000万人」時代、介護費用1.4倍と負担さらに重く」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/337375
・『介護地獄はますます深刻化する 介護のための離職者も10万人に近づく  介護が必要な要支援・介護認定者数は、2021年度末で約690 万人 となった(第1号被保険者だけでは約680万人、注1)。公的介護保険制度がスタートした00年度の認定者数約256万人に比べると、約2.7倍だ。 一方で、厚生労働省の雇用動向調査によると、21年に個人的理由で離職した人のうち「介護・看護」を理由とする人は約9.5万人に上った。いったん要介護状態になると、そこから抜け出せないことが多い。家族に要介護者が出れば、その家族は大きな影響を受けざるをえない。 介護は多くの人が直面する深刻な問題となっているが、40年頃には、要介護認定者数は約988万人に達すると推計されている(注2)。 老々介護や介護離職など「介護地獄」は、今後はますます深刻化する。介護問題への対応は社会全体の最重要課題だ』、「介護は多くの人が直面する深刻な問題となっているが、40年頃には、要介護認定者数は約988万人に達すると推計されている」、なるほど。
・『介護認定、65歳以上では全体の2割だが 85歳以上では6割、介護を受けないのは稀なこと  介護保険制度のもとで、介護サービスの対象になっている65歳以上の第1号被保険者のなかで、何らかの介護認定を受けている人は全体の18.9%、つまり2割弱だ。(図表1) 決して低い比率ではないが、それでも、5人に4人は介護・支援が必要にならないような気がする。 (図表1 第1号被保険者の状況 はリンク先参照) しかし、実はそうではない。このことは、データで確かめられる。要支援・介護になる人の比率を年齢階級別に示すと、図表2のとおりだ。 18.9%という数字は、第1号被保険者の全ての年齢階級についての平均値だが、要支援・介護の必要性は年齢が上がると急上昇するからだ。 (図表2 年齢別要支援要介護比率(男女計、単位 %) はリンク先参照) 図表2に示されているように、要支援・介護の比率は、85歳以上になると58.8%にもなる。夫婦が同年齢と仮定すれば、夫婦のどちらも要支援・介護になる確率が34.6%もある。どちらかが要支援・介護になる確率は48.9%と、半分近くになる。どちらも要支援・介護にならない確率は、17.0%でしかない。 85歳以上になると、介護という問題から全く逃れられていられるのはむしろ稀な事態になってしまうのだ。何かの拍子に転んで骨折し、介護が必要な状況になるということなどがごく普通に起きてしまう。 このように、18.9%という数字は大いにミスリーディングだ。介護問題の深刻度は、年齢の差を考慮しない平均値では理解できないものなのだ。 しかも介護は高齢者だけの問題ではない。若くて自分自身は介護が必要なくても、両親が要介護状態になるという問題が起きる。 こう考えると、介護問題は全ての日本人にとって最重要の問題の一つということができる』、「18.9%という数字は、第1号被保険者の全ての年齢階級についての平均値だが、要支援・介護の必要性は年齢が上がると急上昇・・・要支援・介護の比率は、85歳以上になると58.8%にもなる。夫婦が同年齢と仮定すれば、夫婦のどちらも要支援・介護になる確率が34.6%もある。どちらかが要支援・介護になる確率は48.9%と、半分近くになる。どちらも要支援・介護にならない確率は、17.0%でしかない・・・介護問題の深刻度は、年齢の差を考慮しない平均値では理解できないものなのだ。 しかも介護は高齢者だけの問題ではない。若くて自分自身は介護が必要なくても、両親が要介護状態になるという問題が起きる」、なるほど。
・『介護費用、単純計算で2040年に1.4倍 労働人口は8割に減少、負担はより重く  公的介護制度が維持されることを誰もが切実に望んでいる。だが、それは決して容易なことではない。 要介護認定者数は2040年頃ピークになり、「要介護人口1000万人」時代になる。現在、約690 万人が988万人になるのだから、単純に考えれば介護に要する費用は現在の1.43倍になる。 財源の面から制度の維持がこのままでは難しくなるだろう。 現在、介護保険からの給付金に要する費用は、保険料50%、公費50%で分担している。公費のうちの負担割合は国が25%、都道府県が12.5%、市町村が12.5%だ。この分担割合を変えないとすれば、公費も保険料総額も1.43倍に引き上げる必要がある。 これ自体が極めて困難な課題だが、負担のかなりの部分を背負わなければならない労働年齢人口(15~64歳の人口)が、20年の 7508万人から40年の6213万人へと約82.7%に減るため、労働人口一人当たりでみれば負担率はもっと上がる。 第1号被保険者の保険料の21年の全国平均は1カ月あたり6014円だ。しかし、所得が多ければ、年間保険料は20万円を超えている』、「「要介護人口1000万人」時代になる。現在、約690 万人が988万人になるのだから、単純に考えれば介護に要する費用は現在の1.43倍になる。 財源の面から制度の維持がこのままでは難しくなるだろう・・・労働年齢人口(15~64歳の人口)が、20年の 7508万人から40年の6213万人へと約82.7%に減るため、労働人口一人当たりでみれば負担率はもっと上がる」、なるほど。
・『高所得者の保険料や自己負担 24年度に引き上げの議論  2023年11月6日の社会保障審議会の介護保険部会で、介護保険料の引き上げ案が示された。部会では65歳以上の高齢者について、給与や年金などの年間所得水準が高い人たちの介護保険料を引き上げる案が了承され、24年度の制度改正での実現を目指すこととされた。 厚生労働省は、24年度から引き上げる方針だ。給与や配当、年金など年間の合計所得420万円以上の人を対象に、それぞれ所得に応じて階層を細分化して負担額を上げる。 介護サービスの負担は保険料だけではない。介護保険制度では、介護サービスを受ける人の自己負担がある。自己負担の仕組みは、サービスの種類や本人の所得などによって決まる極めて複雑なものになっているが、基本は次のとおりだ。 自己負担率は基本1割だが、所得が多くなれば2割・3割負担になる。所得が多く、介護費用が多額であれば、自己負担額もかなり高くなる(ただし、「高額介護サービス費における負担限度額」の制度があるため、無制限に増えるわけではない) ただそれでも所得が高い階層では月額4万4400円だから、かなりの額だ。 政府は、24年度に介護サービス利用費の自己負担についても、2割自己負担の対象を広げる方針を示し、少子化対策の財源確保に向けた社会保障改革の計画「改革工程」の素案に盛り込んだ。 改革工程は、23年12月5日の経済財政諮問会議で示され、28年度までに金融所得や資産を考慮した負担の在り方を検討するという。 当初は23年中に自己負担の拡大の具体案をまとめるとされていたが、この問題の検討は24年度以降に引き続き行われることになる。 介護地獄の緩和のためには負担増の問題にきちんと向き合う必要がある。 注1 厚生労働省「令和3年度 介護保険事業状況報告(年報)」。なお、第1号被保険者は65歳以上の人で、第2号保険者は40歳以上65歳未満の医療保険加入者。 注2 経済産業省「将来の介護需給に対する高齢者ケアシステムに関する研究会」(平成30年3月)』、「自己負担率は基本1割だが、所得が多くなれば2割・3割負担になる。所得が多く、介護費用が多額であれば、自己負担額もかなり高くなる(ただし、「高額介護サービス費における負担限度額」の制度があるため、無制限に増えるわけではない) ただそれでも所得が高い階層では月額4万4400円だから、かなりの額だ・・・28年度までに金融所得や資産を考慮した負担の在り方を検討するという・・・介護地獄の緩和のためには負担増の問題にきちんと向き合う必要がある」、その通りだが、高所得層には高負担を受け入れる覚悟が必要なようだ。 

第三に、1月31日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したNPO法人二十四の瞳・社会福祉士の山崎 宏氏による「東大卒エリートが泣きじゃくった日…アルツハイマーの母を介護、NGワードだった「生活保護」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/337898
・『日本では年々、働きながら在宅介護を行う「ビジネスケアラー」が増えています。しかし、子育てと違い、何年で終わるか分からない上にだんだん負担が重くなっていく介護を自宅で行うのは本当に大変です。仕事との両立に悩んだり、妻に離婚されてしまったりと、さらなる不幸に襲われることも珍しくありません。筆者のところにも、たくさんのビジネスケアラーから相談が持ちかけられます。今回は、ある東大卒エリートのケースを紹介します』、興味深そうだ。
・『今年、ビジネスケアラーは300万人を超える  2025年、団塊世代の全員が75歳以上の後期高齢者になり、働きながら在宅介護を行う「ビジネスケアラー」が300万人を超える見込みです。そうなると注目されるのが、介護離職問題です。 「人は誰しも、自分は正しいと思っている。特別だ、人とは違う、と思っている。(本気になれば)まだまだ自分はデキると思っている」 何かの本でそんなフレーズを読んだことがあります。長年いろいろな人の相談に応じていると、この傾向がもっとも顕著だと感じるのが高学歴の人です』、「2025年、団塊世代の全員が75歳以上の後期高齢者になり、働きながら在宅介護を行う「ビジネスケアラー」が300万人を超える見込みです。そうなると注目されるのが、介護離職問題です」、なるほど。
・『東大卒ビジネスエリートからの相談  東京大学を卒業し、ビジネス界で活躍してきた60歳の男性、Aさん。学歴が高いことで自己評価が高い彼は、「自分は人とは違う、まだまだデキる」と思っているタイプです。東大を卒業した後、官僚や政治家ではなく、一部上場企業でのキャリアを歩んできた彼は、出世競争に敗れ、年齢とともに困難な状況に直面していました。 Aさんからの相談は、解決に至るまでにかなりの時間を要しました。半年くらいの間に、面談を5回も行いました。というのは、彼にとって都合が悪い事実を小出しにしてくるのです。最初から全て話してくれればいいのに……とも思いましたが、彼が心を整理するためには、それだけの時間が必要だったということなのでしょう。 Aさんの92歳の母親はアルツハイマー型認知症を患い、第二フェーズに突入していました。第二フェーズとは、初期の認知障害フェーズから、徘徊(はいかい)や暴言、不潔行為といった周辺症状(問題行動)へ移行した状態です。 最初に相談を受けたとき、Aさんは、5年以上介護を続けている64歳の妻から離婚を切り出されたと言っていました。半年ほどたち、最終的に義母の介護に限界を覚えた妻は、実家へ帰ってしまいました。八方塞がりになった彼は、ようやく覚悟を決めることができました。プライドの高い彼は、「最後まで母の面倒を見ることができない嫌悪感」「母親を施設に預けることへの罪悪感」「親族や近隣住民への負い目」「福祉へのスティグマ(偏見、蔑視)」に苦しみ、これらの感情を消化するのに半年以上の時間を要したということでしょう』、「一部上場企業でのキャリアを歩んできた彼は、出世競争に敗れ、年齢とともに困難な状況に直面していました。 Aさんからの相談は、解決に至るまでにかなりの時間を要しました。半年くらいの間に、面談を5回も行いました。というのは、彼にとって都合が悪い事実を小出しにしてくるのです。最初から全て話してくれればいいのに……とも思いましたが、彼が心を整理するためには、それだけの時間が必要だったということなのでしょう」、プライドが高いのに、「出世競争に敗れ」た現実を受け入れるのは時間がかかる筈だ。
・『「施設より在宅介護のほうが安い」は間違い  ビジネスケアラーの人たちの中は、Aさんと似た感情を持つ人が多くいます。「親を扶養から外し、生活保護を受給すれば施設に入れられますよ」とアドバイスしても、心の整理がつかず、仕事と家庭、そして介護のバランスを取ろうと苦悩しながら、在宅介護を続けています。 一方、親の側も、「施設はお金がかかるから」と考え、娘や息子の家で介護を受け続けます。実際には、子どもたちが買い物や食事、掃除洗濯、見守りといったコスト(お金や時間)を肩代わりしてくれているので、見かけ上、施設に入るよりも安くなっているに過ぎません。家事代行サービスを利用すれば、月額約10万円はかかるでしょう。 しかし、親の介護状況が悪化したり、認知症の症状が進んでいったりすると、子どもたちの感情は徐々にネガティブなものに変わっていきます。介護はいつ終わるかが分からない上、終結に至るまで7~8年かかるのが当たり前。しかも出産・育児と異なり、どんどん負担は重くなっていくのです。その間、老いて壊れていく親と閉じられた空間で時間を共有し続けるのですから、当初は親孝行と思っていた気持ちに変化が生じるのも自然なことです』、「介護はいつ終わるかが分からない上、終結に至るまで7~8年かかるのが当たり前。しかも出産・育児と異なり、どんどん負担は重くなっていくのです。その間、老いて壊れていく親と閉じられた空間で時間を共有し続けるのですから、当初は親孝行と思っていた気持ちに変化が生じるのも自然なことです」、その通りだ。
・『解決策をアドバイスしても、Aさんが納得しなかった理由は……  こうして家族で在宅介護を行った末に、親の死を迎えたビジネスケアラーたちが感じるのは、悲しみよりもむしろ安堵感です。長年の介護生活を経て、彼らは人生をやり直すことの難しさと、長い期間にわたる自己犠牲の日々を振り返り、亡くなった親に対するネガティブな気持ちを抱えながら生きていくことになるのです。これは悲しいことです。親への感謝や報恩の思いから始まった介護が、最終的には「親のせいで……」という恨みに変わることを意味します。お墓参りをしても、墓前で愚痴をこぼすようになってしまっては、天国の親御さんも浮かばれません。 東大卒のAさんのケースは、この問題の典型例です。私はAさんに、最初の面談のときから伝えてきました。 ・親にとって、(自宅で、介護の素人である嫁に介護してもらうより)施設のほうがはるかに安心・安全で快適 ・配偶者(妻)に義母の介護をする義務はない ・「お金がないから施設に入れない」ということはない。方法はある ・親は、自分のことで子どもの仕事や家庭に支障をきたすことを望んでいない ・ご自身の人生を取り戻してほしいし、配偶者にもそうしてあげてほしい 半年以上にわたる全5回の面談で、私が伝えたことは一貫して同じです。さらにAさんの母親の状態から考えると、個室で過ごさせるよりも、スタッフの出入りが頻繁な(特別養護老人ホーム、もしくは介護老人保健施設の)多床室がベターとも伝えていました。 公的施設だけでなく、最近は民間の施設でも生活保護受給者を受け入れるところが増えてきた、という話もしたのですが、今思うと、Aさん本人から経済事情について言及される前に余計なことを言ってしまったと、反省しています。高学歴でプライドが高い彼にしてみれば、「生活保護」はNGワード、禁句だったのです』、「高学歴でプライドが高い彼にしてみれば、「生活保護」はNGワード、禁句だったのです」、扱い難さでは、並外れているようだ。
・『東大卒の相談者が泣き崩れた瞬間  最終的にAさんは、なぜ母親を施設に入れると決心が付いたのか? そのきっかけは意外なものでした。 よくよく話を聞いてみると、彼は月額14万5000円までなら負担できると言うのです。それであれば生活保護を受けなくても余裕で施設に入れる、と伝えたところ、驚いたことに彼は、声を上げて泣きながらその場に崩れ落ちたのです。号泣も号泣、大号泣でした。いつも彼が行きつけにしているビストロの個室で会っていたのですが、本当に個室でよかったです。 それは、彼がはじめて感情をあらわにした瞬間でした。泣きじゃくりながら、繰り返し繰り返し、自分の情けなさを口にしていました。それから30分は話になりませんでした。でも、涙が枯れた後に今後の進め方についてガイダンスすると、すんなりと納得してもらうことができました。 彼には二つの選択肢を提示しました。具体的には、「都内の(特別養護老人ホームか介護老人保健施設の)多床室施設」と、「遠方にある民間施設、サ高住(医療法人が経営する、サービス付き高齢者向け住宅)の個室」です。結局、彼は南九州のサ高住を見学に行くことにし、同時に母親のショートステイの手配をしました』、「彼は月額14万5000円までなら負担できると言うのです。それであれば生活保護を受けなくても余裕で施設に入れる、と伝えたところ、驚いたことに彼は、声を上げて泣きながらその場に崩れ落ちたのです。号泣も号泣、大号泣でした・・・彼は南九州のサ高住を見学に行くことに」、なるほど。
・『「お金がないから在宅介護しかない」は誤解  しこたま涙を流した後、Aさんはつき物が落ちたように、穏やかな表情と口調になりました。人はこんなにも変わるんだ、とちょっと感動したほどです。「東大卒も人の子だな」なんて思ってしまったのは、私の東大コンプレックスでしょうか……。 涙を流すことで、心にたまっていた澱(おり)のような感情が解放され、気持ちが浄化されることを「カタルシス」と呼んだのは、古代ギリシャの哲学者アリストテレスです。東大卒ビジネスエリートの大号泣を目の当たりにして、2000年以上前にこのことを『悲劇論』の中で書き残したアリストテレスは、途方もなく偉大な人物だ……などと考えていたのでした。 冒頭に書いたとおり、ビジネスケアラーはどんどん増えています。ビジネスケアラーの皆さんに伝えたいのは、「自分で介護を行う以外にも選択肢がある」ということです。真の親孝行とは、仕事や家庭に支障をきたしながら、自己犠牲の下で親の介護をすることではありません。仕事を頑張って、幸せな家庭を築いて、毎日を笑顔で過ごしてほしい。心からそう願っています』、「ビジネスケアラーの皆さんに伝えたいのは、「自分で介護を行う以外にも選択肢がある」ということです。真の親孝行とは、仕事や家庭に支障をきたしながら、自己犠牲の下で親の介護をすることではありません。仕事を頑張って、幸せな家庭を築いて、毎日を笑顔で過ごしてほしい。心からそう願っています」、その通りだ。
タグ:酒井 穣氏による「親の介護で一家離散、2000万円超の負担も…「ビジネスケアラー」の過酷すぎる現実」 ダイヤモンド・オンライン 「一部上場企業でのキャリアを歩んできた彼は、出世競争に敗れ、年齢とともに困難な状況に直面していました。 Aさんからの相談は、解決に至るまでにかなりの時間を要しました。半年くらいの間に、面談を5回も行いました。というのは、彼にとって都合が悪い事実を小出しにしてくるのです。最初から全て話してくれればいいのに……とも思いましたが、彼が心を整理するためには、それだけの時間が必要だったということなのでしょう」、プライドが高いのに、「出世競争に敗れ」た現実を受け入れるのは時間がかかる筈だ。 「2025年、団塊世代の全員が75歳以上の後期高齢者になり、働きながら在宅介護を行う「ビジネスケアラー」が300万人を超える見込みです。そうなると注目されるのが、介護離職問題です」、なるほど。 山崎 宏氏による「東大卒エリートが泣きじゃくった日…アルツハイマーの母を介護、NGワードだった「生活保護」」 「自己負担率は基本1割だが、所得が多くなれば2割・3割負担になる。所得が多く、介護費用が多額であれば、自己負担額もかなり高くなる(ただし、「高額介護サービス費における負担限度額」の制度があるため、無制限に増えるわけではない) ただそれでも所得が高い階層では月額4万4400円だから、かなりの額だ・・・28年度までに金融所得や資産を考慮した負担の在り方を検討するという・・・介護地獄の緩和のためには負担増の問題にきちんと向き合う必要がある」、その通りだが、高所得層には高負担を受け入れる覚悟が必要なようだ。 「「要介護人口1000万人」時代になる。現在、約690 万人が988万人になるのだから、単純に考えれば介護に要する費用は現在の1.43倍になる。 財源の面から制度の維持がこのままでは難しくなるだろう・・・労働年齢人口(15~64歳の人口)が、20年の 7508万人から40年の6213万人へと約82.7%に減るため、労働人口一人当たりでみれば負担率はもっと上がる」、なるほど。 若くて自分自身は介護が必要なくても、両親が要介護状態になるという問題が起きる」、なるほど。 「18.9%という数字は、第1号被保険者の全ての年齢階級についての平均値だが、要支援・介護の必要性は年齢が上がると急上昇・・・要支援・介護の比率は、85歳以上になると58.8%にもなる。夫婦が同年齢と仮定すれば、夫婦のどちらも要支援・介護になる確率が34.6%もある。どちらかが要支援・介護になる確率は48.9%と、半分近くになる。どちらも要支援・介護にならない確率は、17.0%でしかない・・・介護問題の深刻度は、年齢の差を考慮しない平均値では理解できないものなのだ。 しかも介護は高齢者だけの問題ではない。 「介護は多くの人が直面する深刻な問題となっているが、40年頃には、要介護認定者数は約988万人に達すると推計されている」、なるほど。 野口悠紀雄氏による「2040年「要介護人口1000万人」時代、介護費用1.4倍と負担さらに重く」 護のお金のためにも、介護離職という選択肢は、非常に厳しい(とても贅沢な)ものになります」、なるほど。 「ピンピンコロリと、介護を必要とせずに亡くなる人(急死)は、全体の5%程度に過ぎません。基本的には、誰もが、何らかの介護を受けながら亡くなっていくと想定しておくべきでしょう」、誰もが理想とする「ピンピンコロリ」は「全体の5%程度に過ぎません・・・実際に、貯蓄額が1000万円以下の世帯は、全体の過半数(57.9%)になっています。生活費のことを考えれば、約6割の高齢者が、介護のための費用が準備できていないと結論づけることができる・・・親の介護に対してお金を持ち出すためだけでなく、将来の自分自身に必要となる介 「ビジネスケアラーの皆さんに伝えたいのは、「自分で介護を行う以外にも選択肢がある」ということです。真の親孝行とは、仕事や家庭に支障をきたしながら、自己犠牲の下で親の介護をすることではありません。仕事を頑張って、幸せな家庭を築いて、毎日を笑顔で過ごしてほしい。心からそう願っています」、その通りだ。 「彼は月額14万5000円までなら負担できると言うのです。それであれば生活保護を受けなくても余裕で施設に入れる、と伝えたところ、驚いたことに彼は、声を上げて泣きながらその場に崩れ落ちたのです。号泣も号泣、大号泣でした・・・彼は南九州のサ高住を見学に行くことに」、なるほど。 「高学歴でプライドが高い彼にしてみれば、「生活保護」はNGワード、禁句だったのです」、扱い難さでは、並外れているようだ。 「介護はいつ終わるかが分からない上、終結に至るまで7~8年かかるのが当たり前。しかも出産・育児と異なり、どんどん負担は重くなっていくのです。その間、老いて壊れていく親と閉じられた空間で時間を共有し続けるのですから、当初は親孝行と思っていた気持ちに変化が生じるのも自然なことです」、その通りだ。 「介護期間の目安となるのは、平均寿命から健康寿命(心身健康でいられる年数)を引いた年数です。日本でこれは、だいたい10年程度(男性8.7年、女性12.1年/2019年)になります。ですから介護生活は、少なくとも10年は続くことを想定しておく必要があります・・・仕事を辞め年収が半分になって10年も経つと、ビジネスケアラーとして働き続けた場合からは想像もできないほどの貧困になります」、なるほど。 酒井穣『ビジネスケアラー 働きながら親の介護をする人たち』(ディスカヴァー・トゥエンティワン) (その9)(親の介護で一家離散 2000万円超の負担も…「ビジネスケアラー」の過酷すぎる現実、2040年「要介護人口1000万人」時代 介護費用1.4倍と負担さらに重く、東大卒エリートが泣きじゃくった日…アルツハイマーの母を介護 NGワードだった「生活保護」) 介護
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