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株式・為替相場(その20)(日本株は誰がなんと言おうと やっぱり暴落する コロナ後の「バブルのおかわり」は3回で終了だ、日経平均「最高値後」のシナリオは?日本株の行方を専門家6人が大展望!、日本株最高値を主導した「物価高・金融緩和・円安」スパイラルの“逆回転”リスク、TOPIXは最高値にまだ8%足りない…算出方法がもたらす日経平均株価の「ゆがみ」とは)

株式・為替相場については、2月10日に取上げたばかりであるが、転換点が近づきつつある気配もあることから、(その20)(日本株は誰がなんと言おうと やっぱり暴落する コロナ後の「バブルのおかわり」は3回で終了だ、日経平均「最高値後」のシナリオは?日本株の行方を専門家6人が大展望!、日本株最高値を主導した「物価高・金融緩和・円安」スパイラルの“逆回転”リスク、TOPIXは最高値にまだ8%足りない…算出方法がもたらす日経平均株価の「ゆがみ」とは)である。

先ずは、2月24日付け東洋経済オンラインが掲載した財務省出身で 慶應義塾大学大学院教授の小幡 績氏による「日本株は誰がなんと言おうと、やっぱり暴落する コロナ後の「バブルのおかわり」は3回で終了だ」を紹介しよう。
・『「小幡の言うことはめちゃくちゃだ」 ほとんどの人はそう思っているようだが、私はまったく違うと思っている。それどころか、私の観察結果はつねに同じで、すべての現象が私の仮説を裏付けるものばかりだ』、いつも通り、自分の見立てには自信満々だ。
・『「株式市場はバブルの真っただ中」にある  この連載は競馬をこよなく愛するエコノミスト3人による持ち回り連載です(最終ページには競馬の予想が載っています【2024年1月5日編集部追記】2024年1月1日、山崎元さんは逝去されました。心から哀悼の意を捧げ、ご冥福をお祈りします)。記事の一覧はこちら 「あのねえ、それを行動経済学では『確証バイアス』(自分の思い込みや願望を肯定する情報に注目し、否定する趣旨の情報を軽視しやすくなる心理)と言うんだよ、小幡くん」と言わそうだが、とんでもない。 客観的には、この数年の株式市場で起きている現象はすべて、ただ1つの事実を指し示している。「現在、株式市場はバブルの真っただ中だ」と。 私は2月17日土曜日の朝に、株価の見通しについて議論するテレビ番組に出席したが、プロフェッショナル2人を差し置いて、私の株価予想が一番高く、「3月8日までに日経平均株価4万円を必ず突破する」「1989年につけた過去の最高値3万8915円は、2月19日の月曜日にでもすぐ突破するか、あるいはその週の22日までには必ず突破する。もし突破すればその勢いで4万円も必ず突破する」などとコメントした。 一方、2月21日水曜日の朝7時過ぎのラジオ番組では、一転して「明日は大暴落するかもしれない」と発言した。 そもそも「明日大暴落する」などと軽々に発言する人は、小幡しかこの世にいないわけで、それだけですでにクレージーであるが、「4万円は必ず行く」と言ったその4日後に「大暴落する」と正反対のことを言い切ってしまうのだから、どうかしている。そして、その断言は見事に外れ、いやそれどころかまさに正反対、22日の日経平均は前日比836円も の大幅上昇となり、日経平均3万8915円の史上最高値をあっさり更新してしまった。 しかし、だからこそ、私は「まごうことなきバブルであり、ほぼ頂点にある」という私の仮説に対するエビデンス(証拠)が次々にそろい続けていると思うのだ。) なぜか』、大胆な正反対の予測が2つとも外れても、強気でいられる理由は何なのだろう。
・『株がバブルであるという「5つの証拠」  第1に、乱高下を繰り返している。バブルの頂点付近であるからこそ、乱高下し、急騰し急落し、それを繰り返しながら最後に大暴騰するのだ。まさにバブルの頂点に典型的な動きを毎日続けている。 第2に、上がり方が急激である。わずか数十分で日経平均が簡単に200円以上も上がることさえある。バブルの頂点では、最後に急激に上がる。そして、崩壊するのである。最後はスピード違反が起きて、暴走し、それで崩壊するのだ。1月からスピード違反を続けているが、今、最後にとことん違反をして暴走し、クラッシュしようとしている。 第3に、取引高が急増している。バブルのピークでは売り買いが交錯し、また乱高下を利用して、トレーダーたちはとにかく売買を繰り返す。乱高下で値幅が大きくなったことを最大限活用し、荒く稼ごうとする。 第4に、先物主導である。さらにTOPIX(東証株価指数)ではなく、日経225先物に偏った動きである。「半導体株が主導している相場だから」と説明されるが、日経225先物が主導で、例えば19日の週は午前中に何度も3万8915円に挑むような動きをつくり、それに誰も乗ってこなくて、その後は失速し下げる、ということを繰り返していた。 2月22日の史上最高値更新も先物主導で上がっていき、午後に最高値付近で現物も張り付いて、高値を続けている。先物主導、日経225主導(TOPIXでなく)というのは、まさに投機的な動きのパターンである。 第5に、史上最高値更新だけが焦点になっている。株価のファンダメンタルズと無関係なことだけが注目されている。そして、実際、先物の動きがすべて従来の最高値3万8915円を中心に動いた。そこがターゲットになり、そこに近づける仕掛けがあり、そこから引き潮があり、翌日、また3万8915円にチャレンジする。 そして、22日にも何度も3万8915円を意識し、最後に突破してからは一気に上げる。つまり、理屈抜きに、史上最高値更新か否かだけが焦点になってせめぎ合いが行われた。これはバブル以外の何物でもない。) 解説を加えると、バブル末期には動きは激しくなる。まともな投資家、長期の投資家は、ここが売りタイミングかどうかは思案するが、売り切っておしまいである。買い戻すことはないし、ポートフォリオの入れ替えすらしない。じっと様子見するか、売る株数をじっくり判断するだけである。 つまり、大量に売買しているのは、短期トレーダーと投機家である。そして、異常に強気な短期投資家である。最後に、浮ついた個人である。すなわち、絶対的な株価水準などまったく気にしない取引者だけが残っているのである。あとは、異常に強気という誤った投資家と、狂った投資家だけである。 だから、まともな投資家は売るべきものは売りつくしている。売り手は存在せず、狂った買い手だけである。それゆえ株価は異常に高い水準であり、異常なスピードで上がっているときほど、ますます、とことん上がる。バブル崩壊直前の、断末魔ではなく、狂喜の叫びである。 だから、取引量も膨らむ。同じトレーダーがとことん繰り返し仕掛けて、売買し続けているのである。今はプログラムが大半だが、プログラム同士の仕掛け合い、せめぎ合い、だまし合いが行われているのである』、「株がバブルであるという「5つの証拠」」はいずれも説得力がある。「大量に売買しているのは、短期トレーダーと投機家である。そして、異常に強気な短期投資家である。最後に、浮ついた個人である。すなわち、絶対的な株価水準などまったく気にしない取引者だけが残っているのである。あとは、異常に強気という誤った投資家と、狂った投資家だけである。 だから、まともな投資家は売るべきものは売りつくしている。売り手は存在せず、狂った買い手だけである。それゆえ株価は異常に高い水準であり、異常なスピードで上がっているときほど、ますます、とことん上がる。バブル崩壊直前の、断末魔ではなく、狂喜の叫びである。 だから、取引量も膨らむ。同じトレーダーがとことん繰り返し仕掛けて、売買し続けているのである。今はプログラムが大半だが、プログラム同士の仕掛け合い、せめぎ合い、だまし合いが行われているのである」、捉え方は行動経済学者らしく、ダイナミックで、説得力がある。
・『皆が「ゲームの『降り時』」を見計らっている  こういうゲームで重要なのは「降り時」である。いつ、このバブルゲームから撤退するか、というタイミングだけだ。 タイミングの根拠は、ほかのトレーダーの動きだけである。多数派の動きに同調し、その流れに乗って、かつ利用して儲ける。モメンタム(勢い)がついているときはとことんついていく。しかし、モメンタムが失われる前に、逃げ遅れないように、ほかのトレーダーより一瞬先に降りる。そのタイミングを計っている。 そうなると、株価が企業収益対比で割高か否かなどは関係ない。雰囲気に尽きる。 また、同時に、日柄(経過日数)が重要である。どのくらいの期間、熱狂が続いてきたか。これは、ある意味、体力、気力が持続する間の勝負だから、みな疲れてくる。そろそろ手じまいして、利益が熱いうちに降りたいと思い始める。しかし、とことん儲けたくもあるから、最後まで残っていたいことはいたい。しかし、疲れてきたら、そろそろ、ということである。 2月19~21日の3日間はそろそろ疲れが見えてきたのであり、世界中のトレーダーが注視しているアメリカの画像処理半導体最大手エヌビディアの決算発表(日本時間22日午前6時過ぎ)を待って、小休止していたのである。 私が、前出のように暴落すると考えたのは、この決算が予想を下回れば、当然いままで一気に上げてきたために、その反動が必然的に生じるからだ。この場合、決算が悪いということはありえない。期待が高すぎて、予想水準がかなり高く、良い決算だったが、高すぎる期待を上回ることはできなかった、という可能性だけがあった。) 一方、たとえ予想を上回っても、いわゆる好材料出尽くしとなる。つまり、好決算を待ち構えていて、実際に好決算だったら、よし、好決算で暴騰するに違いない今こそ売り時だ、絶好の売りタイミングだ、となって、みんな売ろうとする、というのが典型的なパターンである。 絶好の売りタイミングのはずが、全員が売れば、それは誰もうまく売ることができず、一斉の売り、つまり、暴落となる。私は、このどちらかのシナリオになると予想した。 この予想は、これ以上ないというくらい外れた。それは、エヌビディアの決算が、私のような思考をして、売ろうと待ち構えていた投資家たちの予想をさらに超える好決算だったからだ。 となると、「よっしゃ、もうひとヤマ」ということになる。バブルのピークにさらに、もう1つ最後のヤマ(あるいは山)が加わったのである。せっかく儲かるのに、ここでパーティーをしない理由はない。「一気に盛り上げろ―!」ということになる。 これはエヌビディアバブルのほうの話で、日経平均バブルのほうとして、「待ってました! 最後の3万8915円の突破エンジン、ターボジェット噴射の支援が届いたんだから、一気にイケ―――!」ということになったのである』、「エヌビディアの決算が、私のような思考をして、売ろうと待ち構えていた投資家たちの予想をさらに超える好決算だったからだ。 となると、「よっしゃ、もうひとヤマ」ということになる。バブルのピークにさらに、もう1つ最後のヤマ(あるいは山)が加わったのである。せっかく儲かるのに、ここでパーティーをしない理由はない。「一気に盛り上げろ―!」ということになる」、「日経平均バブルのほうとして、「待ってました! 最後の3万8915円の突破エンジン、ターボジェット噴射の支援が届いたんだから、一気にイケ―――!」ということになった」、なるほど。
・『「3回目のアンコール」後、幕が下りるのはいつなのか  つまり、世界株式市場は、完全にバブル崩壊になったはずのコロナショックから、「おまけバブル」が3回もあった。 すなわち、コロナ支援金バブルという「おまけバブルその1」、アメリカの中央銀行であるFEDの利下げを勝手に期待する、金融政策プットオプションバブルという「おまけバブルその2」、そしてAI(人工知能)、半導体バブル、あるいは「マグニフィセント6」(7と言われているが、テスラを除くので6)バブル、あるいは直接的にはエヌビディアバブルという「おまけバブルその3」である。 つまり「バブルのおかわり」を要求する投資家たちに応えた、バブルのアンコールを3回も繰り返した。コンサートではアンコールは2回まで、例外があるとしても3回までだ。4回目はない。ありえないと思われたこの3回目のアンコールのあと、幕は下りるのである。 私はサブシナリオとして、早ければ週明けの26日の月曜日は材料出尽くしで暴落が来る可能性が若干あるとみているが、メインシナリオはこの勢いで26日以降、早々と4万円台を突破し、その後、乱高下を続け、3月8日のいわゆるメジャーSQ(先物とオプション取引が同時に清算を迎える日)、この日に最後の幕が下りると考える。つまり、大暴落が起きる、ということである。 この2つのシナリオ(おそらく26日暴落説はすぐにまた外れることが判明するだろうが)が短期的に実現するかどうかよりも、私にとって重要なのは、これがバブルであり(それは間違いのない事実であるが)、しかもそれがまさに頂点に達しているという仮説が正しいかどうか、である。 バブルの頂点がいつかというのは、見かけ以上に難しく、ほとんど誰も当てることができない。あのアイザック・ニュートン(1642~1727)でさえも、欧州を中心に起きた「南海泡沫バブル」(まさにバブルバブルだ)で失敗した。 簡単に言えば、「もうバブルのピークだ」と自信をもって売って大儲けしたあと、さらにバブルが続き、売ってから約2倍になってしまったので、後悔して買い戻したが、そこが実際のピークで、買い戻した瞬間にバブルが崩壊したのである。これがまさに典型的なバブルである。 ということは、賢明な読者はお気づきと思うが、いちばん可能性の高いシナリオは、小幡が降参して、「バブルは当分崩壊しない」という記事を「東洋経済オンライン」などに書いた直後に暴落する、というものだ。”Stay tuned”.(乞うご期待)。 (本編はここで終了です。この後は競馬好きの筆者が競馬論や週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)』、「これがバブルであり(それは間違いのない事実であるが)、しかもそれがまさに頂点に達しているという仮説が正しいかどうか、である。 バブルの頂点がいつかというのは、見かけ以上に難しく、ほとんど誰も当てることができない・・・いちばん可能性の高いシナリオは、小幡が降参して、「バブルは当分崩壊しない」という記事を「東洋経済オンライン」などに書いた直後に暴落する、というものだ」、「小幡」氏のご託宣は、悲観的なようだ。

次に、2月26日付けダイヤモンド・オンライン「日経平均「最高値後」のシナリオは?日本株の行方を専門家6人が大展望!」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/339343
・『『週刊ダイヤモンド』3月2日号の第1特集は「高成長&高配当 新NISAで狙う強い日本株」です。ついに日経平均株価が「史上最高値」を超え、新次元に突入中です。そこで、日本株相場の行方について専門家6人に緊急アンケートを行い、株高の背景や想定シナリオなどを読み解きました』、興味深そうだ。
・『日経平均がついに最高値更新 専門家が今後のシナリオ大展望!  日本株が、かつてなく動意付いている。年初から上げ相場が続き、日経平均株価は連日のようにバブル後最高値を更新。そして2月22日の東京株式市場では、前日比836円52銭高の3万9098円68銭で取引を終え、ついに1989年末の史上最高値(3万8915円87銭)を超えるに至った。  (図表:過去50年の日経平均株価の推移 はリンク先参照) ダイヤモンド編集部では、日本株の上昇相場が続く中で、2月中旬に専門家6人への緊急アンケートを実施。日本株上昇の背景、今後の見通しなどを回答してもらった。 すると、2024年末時点の日経平均の予想は4万3000~3万3000円となった。回答内で市場関係者の想定するシナリオにほぼ共通するのは、最高値更新があくまでも通過点との見立てだ。 (図表:専門家6人が日本株の行方を大展望 はリンク先参照) 年内の高値想定を4万5000円としたシティグループ証券の阪上亮太株式ストラテジストは、2月15日付のレポートにおいて、従来の予想を上方修正。「日本株の基調は想定以上に強い」として、堅調な米国の経済や株式市場、日本株への資金フローの強さなどを理由に、「強気スタンスの維持が妥当」と指摘した。 そもそもなぜ、これだけ日本株が上がっているのか。複数の専門家から寄せられた回答が、「インフレ」というキーワードだ。 阪上氏と同様、24年末日経平均を4万3000円と予想するマネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストは、「長らく日本経済をむしばんできたデフレが終焉し、マイルドなインフレが定着しつつある」と指摘。これにより「値上げが通りやすくなり、企業が原価を適切に価格に反映し利益を上げやすい構造になってきた。直近で一巡した企業の決算発表を見ても、値上げによる好業績の事例は非常に多い」とみる。 その上で、インフレを含め、七つの要因が日本株を押し上げてきたと分析する。 それは、(1)デフレからインフレへの転換、(2)日本型企業経営の変革(=グローバルスタンダードな資本市場へ)、(3)この点を評価した海外投資家の買い、(4)中国からの資金シフト、(5)米国株の最高値更新、(6)日本の金融緩和の継続観測とそれを背景とした円安、(7)好調な企業業績である。 「これだけ並ぶ要因を眺めれば、日本株の上昇は至極、当然と受け止められるだろう」(広木氏)というわけだ』、「七つの要因が日本株を押し上げてきたと分析」は説得力がある。
・『2024年始動の「新NISA」が日本株への関心を後押し  そして、日本株への関心を大きく高めたのが、今年から大幅に非課税枠が拡充されたNISA(少額投資非課税制度)である。 ところで、「バブル後最高値」更新といったニュースを聞くと、足元の日本株もバブルではないかと気になる向きもあるだろう。この点は、市場関係者が異口同音にそうではないとの見方を示す。 何しろ、89年前後のバブル期は、株価が割安か割高か示す代表的な指標である株価収益率(PER)が上場企業平均で60~70倍にも上り、世界の株式市場でも前例のないほど過大に評価されていた。一方、直近の日経平均は16倍前後で推移する。 確かに「来期の日本株市場(TOPIX)は7%程度の増益予想で、昨年からの株価急上昇は明らかに過大評価」(智剣・Oskarグループの大川智宏主席ストラテジスト)との声はあるが、バブルとまで言い切る市場関係者はほとんど見当たらない。 ただ下期にかけてのリスク要因として、米中の景気下振れや、米利下げに伴う円高などへの警戒感は聞かれる。 日本株を巡っては、著名外資系証券のゴールドマン・サックスも強気の姿勢を示している。同社は今、TOPIXを「オーバーウェイト」とし、米国の代表的な株価指数、S&P500より上振れに期待できるとみている』、「直近の日経平均は16倍前後で推移する。 確かに「来期の日本株市場(TOPIX)は7%程度の増益予想で、昨年からの株価急上昇は明らかに過大評価」(智剣・Oskarグループの大川智宏主席ストラテジスト)との声はあるが、バブルとまで言い切る市場関係者はほとんど見当たらない。ただ下期にかけてのリスク要因として、米中の景気下振れや、米利下げに伴う円高などへの警戒感は聞かれる」、なるほど。
・『「最高値更新」は通過点 新NISAで日本株投資に挑む  『週刊ダイヤモンド』3月2日号の第1特集は「高成長&高配当 新NISAで狙う強い日本株」です。日経平均株価が2月22日、ついに史上最高値を更新しました。ただ専門家の間では、これが通過点に過ぎず、日本株にはかつてなく強気論が高まっています。 そこで本特集のPART1では、新次元に突入した日本株の展望を踏まえ、まだまだ間に合う「新NISA」活用術を徹底指南。陥りがちな「8つの落とし穴」、さらにはすご腕投資家たちの鼎談を通じて、あなたが投資に挑む上での虎の巻を伝授します。 PART2では、成長期待の高いよりすぐりの大型成長株ランキングを大公開します。その上で、大注目の半導体、不動産やゲーム、ITベンダーなど、有望各社の「高成長の仕組み」を解剖。トップアナリストの見解などを基に、優良株の強さの秘密を明らかにします。 さらに、PART3では、新NISAで大人気の「高配当株」関連のランキングを充実化。中長期で狙える「骨太テーマ&注目株」から、今は低PBR(株価純資産倍率)ですが伸びしろ抜群の中小型株、成長性が高い一方で還元姿勢もふんだんの「株主還元全振り系」銘柄に至るまで、多彩な視点で「強い株」を炙り出しました。 新NISAで挑む日本株投資の虎の巻として、大いに活用してもらえれば幸いです』、「専門家の間では、これが通過点に過ぎず、日本株にはかつてなく強気論が高まっています」、なんとなく強気ムードの終焉という気もしなでもない。

第三に、2月27日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミストの木内登英誌による「日本株最高値を主導した「物価高・金融緩和・円安」スパイラルの“逆回転”リスク」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/339476
・『日経平均株価がバブル期から約34年ぶりに史上最高値を更新したのは実体経済の反映ではなく「物価高」「金融緩和」「円安」の循環と相乗効果によるものだ。日銀のマイナス金利解除や米国景気減速を機にスパイラルは逆回転するリスクがあり、高値更新に浮かれている場合ではない。緊急特集『日経平均株価「最高値」の虚実』の#5では、野村総研エグゼクティブエコノミストの木内登英氏の寄稿をお届けする』、「日銀のマイナス金利解除や米国景気減速を機にスパイラルは逆回転するリスクがあり、高値更新に浮かれている場合ではない」、さすが元日銀審議委員だけあって慎重な見方だ。
・『22日に続き26日も最高値更新 生活実感から乖離した水膨れの株高  日経平均株価は、2月22日、3万9098円68銭(終値)を付け、1989年12月29日に付けたこれまでの最高値(3万8915円87銭)を上回った。 週明けの26日も続伸して3万9233円71銭(終値)まで上昇し2営業日連続で最高値更新になった。 しかしバブル期と同じ株価水準といっても、多くの個人にはその実感は乏しいのではないか。 足元の経済状況は悪化している。2023年10~12月期の実質GDPは、前期比年率-0.4%と2四半期連続で減少した。マイナス成長は24年に入っても続いている可能性が考えられる。物価高の強い逆風にさらされている個人消費はとりわけ弱い。 こうした経済状況とバブル期の史上最高値を上回った株価の動きとの間には大きなズレがある。個人にとっては、まさに「実感なき株高」だ。 重要なのは、足元の株価上昇は、日本経済や企業の成長力向上、生活水準の向上をもたらす労働生産性上昇、国際競争力向上といった「実質値」の改善を背景にしているとは考えられない点だ。 株高を支えているのは物価高という「名目値」によるものであり、水膨れの株高ともいえる。 さらに、歴史的なインフレ下でも続く異例の金融緩和も、実質金利(名目金利-期待インフレ率)の低下と円安の双方を通じて株高を強く後押ししている。株高現象は、名目値の水膨れとともに金融現象による金融相場の複合の様相だ。 高値更新に浮かれている場合ではないのではないか』、「株高現象は、名目値の水膨れとともに金融現象による金融相場の複合の様相だ。 高値更新に浮かれている場合ではないのではないか」、その通りだ。
・『「株高の第1の構図」は実質賃金の低下と企業収益の拡大  足元の株高は、「物価高」、「金融緩和」、「円安」の3要因間での循環、相乗効果によって成り立っていると考えられる。 それぞれについて、より詳細に見てみよう。 2022年以降、コアCPI(消費者物価、除く生鮮食品)の前年比上昇率は、第2次オイルショック直後の1980年代初頭以来、ほぼ40年ぶりの高い水準で推移してきた。海外での食料やエネルギー価格の上昇と円安による輸入インフレの色彩が強かったが、企業が輸入原材料価格の高騰分を製品価格に転嫁していく中、消費者物価上昇率も高まっていった。 他方で、賃金上昇率は物価上昇率に追い付いていない。厚生労働省が発表している直近23年12月の実質賃金は、前年同月比-1.9%と大幅下落し、実質賃金のマイナスは21カ月続いている。 今年の春闘は昨年を上回る高い賃上げ率が見込まれているが、賃金上昇率が予想以上に上振れても、年内に実質賃金上昇率がプラスに転じる可能性は低い。 日本では、物価が下落しても企業はベースアップ(基本給引き上げ)を引き下げることが難しいことから、一時的に物価上昇率が高まる局面では、ベースアップ率を物価上昇率以下に抑えることで、中長期的に物価上昇率と賃金上昇率のバランスを取る傾向が強い。その結果、実質賃金が下がり続けているのが現状だ。 実質賃金が低下することは、個人の生活水準が悪化を続けることを意味する。そして所得の分配は企業側に偏り、企業の収益は逆に拡大するのだ。その結果、株価は上昇し、個人の生活実感との間でギャップが広がることになる。これが現在の「株高の第1の構図」だ』、「実質賃金が低下することは、個人の生活水準が悪化を続けることを意味する。そして所得の分配は企業側に偏り、企業の収益は逆に拡大するのだ。その結果、株価は上昇し、個人の生活実感との間でギャップが広がることになる。これが現在の「株高の第1の構図」だ」、なるほど。
・『物価高騰下での金融緩和 円安進行による相乗効果  他方、歴史的な物価高騰の下でも、日本銀行は異例の大規模金融緩和を維持してきた。その結果、企業・家計や金融市場の中長期のインフレ期待(予想物価上昇率)は上振れている。 日銀は、中長期のインフレ期待を安定させるという中央銀行の役割を十分に果たせず、ビハインド・ザ・カーブ(後手に回る)の状態に陥ってしまっている。その結果、実質金利(名目金利-インフレ期待)は顕著に低下したとみられる。金融緩和の効果が、事実上、強化されている状況だ。 実質金利の低下は、通常は景気を刺激すると考えられるが、その影響は実際には明確に見られていない。2四半期連続での実質GDPのマイナス成長にも表れているように、足元の経済は低迷している。 他方で実質金利の低下は、資産価格の押し上げには効果を発揮しているように見える。これが「株高の第2の構図」だ。 さらに、この実質金利の低下は、株式以外にも金融市場に大きな影響を与える。それは、円安の流れを強く後押ししていることだ。円安は輸出企業の収益を拡大させることで株価全体を押し上げる。また、円安によって海外投資家にとって日本株が割安となり、それが日本株への投資を促すことでも株高要因となっている。これが「株高の第3の構図」である』、「実質金利の低下は、通常は景気を刺激すると考えられるが、その影響は実際には明確に見られていない。2四半期連続での実質GDPのマイナス成長にも表れているように、足元の経済は低迷している。 他方で実質金利の低下は、資産価格の押し上げには効果を発揮しているように見える。これが「株高の第2の構図」だ・・・この実質金利の低下は、株式以外にも金融市場に大きな影響を与える。それは、円安の流れを強く後押ししていることだ。円安は輸出企業の収益を拡大させることで株価全体を押し上げる。また、円安によって海外投資家にとって日本株が割安となり、それが日本株への投資を促すことでも株高要因となっている。これが「株高の第3の構図」である」、なるほど。
・『株高支える3要因は持続的でない 物価上昇率鈍化でインフレ期待は低下へ  歴史的な物価高騰は金融緩和の実質的な効果を高め、それは円安を促す。そして円安は物価高をもたらす。そうして「物価高」「金融緩和」「円安」の3つが相乗的に進む中、それぞれが株価を大きく押し上げているのだ。 しかし、株高を支えるこれら3つの要因は、持続的なものとはいえないだろう。 コアCPIの上昇率は過去1年間、明確な低下傾向をたどっており、今年の後半には前年比で+1%台が定着することが予想される。日銀が指摘するように、賃金上昇がサービス価格に転嫁されることで、より持続的な物価上昇につながっていくとの見方も後退していくだろう。 そうして中長期のインフレ期待が低下すれば、企業の収益期待は弱まる一方、実質金利は上昇する。それらは、円安の修正を伴う形で株式市場への逆風になるだろう』、「歴史的な物価高騰は金融緩和の実質的な効果を高め、それは円安を促す。そして円安は物価高をもたらす。そうして「物価高」「金融緩和」「円安」の3つが相乗的に進む中、それぞれが株価を大きく押し上げているのだ。 しかし、株高を支えるこれら3つの要因は、持続的なものとはいえないだろう・・・中長期のインフレ期待が低下すれば、企業の収益期待は弱まる一方、実質金利は上昇する。それらは、円安の修正を伴う形で株式市場への逆風になるだろう」、なるほど。
・『マイナス金利政策解除は円高要因に 実質金利上昇させ株式市場に逆風  さらに日本銀行は、早ければ3月にもマイナス金利政策の解除に踏み切ることが考えられる。それは、実質金利を上昇させ、円安・株高の流れに水を差すだろう。 日銀は、マイナス金利政策解除後も、当面は、政策金利はゼロ近傍の低水準が続くとの見通しを示している。しかし、2%の物価目標の達成を前提にマイナス金利政策の解除に踏み切るのであれば、政策金利をゼロ近傍の低水準に据え置くことは論理的におかしい。 2%の物価目標の達成とは、この先、物価上昇率や中長期のインフレ期待が2%程度で安定的に推移することを意味する。そうした経済状況の下で、政策金利をゼロ近傍に据え置くことは、2%の物価目標の達成後に実質-2%程度の「超緩和」政策を続けることになってしまう。 日銀がそうした政策を続けるとの観測が、足元での急速な円安・株高を生じさせている面がある。 日銀がこうした説明をするのには、政策変更が長期金利の大幅上昇など金融市場の過剰な反応を引き起こさないようにする狙いがあるのだろう。しかし、説明の矛盾を突いて、金融市場の一部で、マイナス金利政策解除後に、日銀は比較的早期に金融政策を中立状態に戻していくとの観測が浮上する可能性も考えられる。そうなれば、長期金利の上昇や急速な円の巻き脅しを生じさせ、株式市場に逆風になる』、「2%の物価目標の達成とは、この先、物価上昇率や中長期のインフレ期待が2%程度で安定的に推移することを意味する。そうした経済状況の下で、政策金利をゼロ近傍に据え置くことは、2%の物価目標の達成後に実質-2%程度の「超緩和」政策を続けることになってしまう。 日銀がそうした政策を続けるとの観測が、足元での急速な円安・株高を生じさせている面がある」、なるほど。
・『米国経済のソフトランディング期待は 修正の可能性。景気減速となれば円高に  円安を支える要因は米国にもある。米国でインフレ率が低下する中、FRB(米連邦準備制度理事会)は、小幅な利下げに踏み切るとの観測が金融市場に強い。ただし、これは予防的な措置であり、米国経済の堅調は続くとの見方が市場では多数だ。経済が堅調を維持する中、金利が低下するというのは、米国株にとってまさにベストシナリオではある。それが世界経済・金融市場の楽観論を支え、リスクテイクの円安と日本株高の流れを促している面もある。 しかし、歴史的な高インフレとそれを受けた大幅な利上げの下、米国経済が安定を維持するというのは、過去の事例から考えても起こりにくいことではないか。 いずれ景気減速の兆候が広がれば、米国株が調整し、その影響は日本株にも及ぶ。FRBが予想以上の大幅な利下げに踏み切るのではという観測が強まれば一転して円高ドル安の流れになるだろう』、「いずれ景気減速の兆候が広がれば、米国株が調整し、その影響は日本株にも及ぶ。FRBが予想以上の大幅な利下げに踏み切るのではという観測が強まれば一転して円高ドル安の流れになるだろう」、なるほど。
・『高値更新に浮かれる場合ではない 実体経済とのギャップを埋める努力を  「物価高」「金融緩和」「円安」の循環は、今までは強力に日本株を押し上げてきたが、それがひとたび逆回転を始めれば、今度は日本株への強い逆風になる。その転換点を正確に予測するのは難しいが、日本銀行が早ければ3月にもマイナス金利政策を解除すると予想されている中で、その転換点はそれほど先のことではないかもしれない。 これまで述べたように、足元の株高と実体経済との間にはギャップがある。実体経済を改善させることで、両者のギャップを埋めるような努力もすべきではないか。企業が引き続き資本効率の向上などに努めることが求められるのは当然だが、働き手も、リスキリング(学び直し)などを通じて、技能を磨き、労働生産性向上に努めることが必要だ。 政府も、労働市場改革や少子化対策、外国人労働力の活用、インバウンド需要の拡大、大都市一極集中の是正などの成長戦略を推進することで、労働生産性上昇率や潜在成長率を上げる取り組みが求められる。 株価の上昇に浮かれることなく、今こそ、こうした企業、個人、政府の地道な努力を進めるべきだろう』、「「物価高」「金融緩和」「円安」の循環は、今までは強力に日本株を押し上げてきたが、それがひとたび逆回転を始めれば、今度は日本株への強い逆風になる。その転換点を正確に予測するのは難しいが、日本銀行が早ければ3月にもマイナス金利政策を解除すると予想されている中で、その転換点はそれほど先のことではないかもしれない・・・足元の株高と実体経済との間にはギャップがある。実体経済を改善させることで、両者のギャップを埋めるような努力もすべきではないか。企業が引き続き資本効率の向上などに努めることが求められるのは当然だが、働き手も、リスキリング(学び直し)などを通じて、技能を磨き、労働生産性向上に努めることが必要だ。 政府も、労働市場改革や少子化対策、外国人労働力の活用、インバウンド需要の拡大、大都市一極集中の是正などの成長戦略を推進することで、労働生産性上昇率や潜在成長率を上げる取り組みが求められる。 株価の上昇に浮かれることなく、今こそ、こうした企業、個人、政府の地道な努力を進めるべきだろう」、同感である。

第三に、3月2日付けダイヤモンド・オンライン「TOPIXは最高値にまだ8%足りない…算出方法がもたらす日経平均株価の「ゆがみ」とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/339740
・『日経平均株価と並ぶ日本株の代表的指標であるTOPIX(東証株価指数)は、いまだに最高値を更新していない。その原因を探っていくと、指数の算出方法における日経平均の“ゆがみ”が浮かび上がる。緊急特集『日経平均株価「最高値」の虚実』の#9では、そのゆがみの構造を解説する』、興味深そうだ。
・『昨年末からの上昇率も日経平均より低いTOPIX  日経平均株価(以下、日経平均)とTOPIX(東証株価指数)。言うまでもなく両者は日本株を代表する株価指数である。2月22日に日経平均は史上最高値を更新したものの、TOPIXはいまだ最高値を更新していない。 TOPIXの最高値は1989年12月18日に付けた2884.80だ。2月22日の終値は2660.71なので、最高値更新まではあと8%強の上昇が必要である。 2023年末から2月22日までの上昇率を比較しても、日経平均の方が高い。日経平均が16.8%上昇したのに対し、TOPIXの同期間の上昇率は12.4%にとどまる。(図表:日経平均株価とTOPIXの上昇度の推移 はリンク先参照) なぜ、二つの指数の間に格差が生じるのか。 225銘柄しか対象としていない日経平均に対して、旧東京証券取引所1部銘柄、プライム市場銘柄を対象に2000以上の銘柄を対象とするTOPIX。構成銘柄の違いはもちろん、格差の理由の一つだが、実は算出方法に違いが大きく影響している。 これが原因となって日経平均の“ゆがみ”を生んでおり、一部企業の株価動向に影響されやすいという指標の妥当性に疑問符を付けている。 次ページ以降、“ゆがみ”を生む日経平均の構造をTOPIXと比較しながら解説してゆく』、「25銘柄しか対象としていない日経平均に対して、旧東京証券取引所1部銘柄、プライム市場銘柄を対象に2000以上の銘柄を対象とするTOPIX。構成銘柄の違いはもちろん、格差の理由の一つだが、実は算出方法に違いが大きく影響している」、なるほど。
・『ウエイト3割占める日経平均上位4銘柄 TOPXでののウエイトはたった4%  日経平均の算出方法は「単純平均」だ。ざっくり説明すると、対象となる銘柄(225社)の株価を合計し、企業数で割った値だ。実際には旧額面の高低による格差を解消するため、銘柄ごとに決められた係数を掛けて株価合計を算出する。割る数も225と一定ではなく、銘柄入れ替え、株式分割などの影響を調整した除数を使う。 簡単な例で考えてみよう。株価が100円、1000円、400円だったとする。単純平均だから、平均は(100円+1000円+400円=)1500円÷3で500円となる。ここでの銘柄ごとのウエイトはそれぞれの株価を1500円で割って求めた6.7%、66.7%、26.7%となる。 ウエイトの高い銘柄の動きが平均を大きく動かす。100円の株価が10%値上がりして110円になると、平均は値上がり分の10円÷3=3.3円上昇する。1000円の株価が10%値上がりして1100円になると、平均は100円÷3=33.3円値上がりする。 このように企業価値である時価総額に関係なく、株価の高い銘柄の動きが平均に大きく影響する。この算出方法のせいで、株価の額面水準が高い銘柄の、日経平均への影響力が高くなる。時価総額の大きい企業よりも、値がさ株の動向に指数全体が左右されてしまうのだ。 これに対し、TOPIXは浮動株を対象とした時価総額に基づく「加重平均」である。個別銘柄の株価水準の高低が、直接には指数に占めるウエイトに影響しない。 先ほどの例で、100円の株価の会社の株式数が100株、1000円の株価の会社の株式数が10株、400円の株価の会社の株式数が25株だとすると、株価と株式数を掛けて求められる時価総額は全て1万円となる。時価総額の合計は3万円だ。銘柄ごとのウエイトは、3銘柄とも1万円を3万円で割った同じ33.3%となる。 だから、どの銘柄が10%値上がりしても、時価総額の増加額は1000円であり、3万1000円÷3万円=1.03333……となるので、指数の上昇率は3.3%となる。このようにTOPIXのような加重平均の指数では、その値動きは個別の銘柄の株価の水準の違いに影響されない。 上記は説明のために、極端な例を挙げたが、実際に、日経平均とTOPIXでの個別銘柄のウエイトの違いを見てみよう。 日経平均プロフィルに基づいて、現在のウエイト上位10銘柄を挙げたのが下表だ(2月22日時点)。 (図表:日経平均株価ウエイト上位10位銘柄 はリンク先参照) ファーストリテイリング、東京エレクトロン、アドバンテスト、ソフトバンクグループの上位4銘柄のウエイト合計は29.74%と3割近い。 この4銘柄が10%値上がりすれば、それだけで日経平均を3%弱ほど押し上げる計算になる。そして、この4銘柄の23年末からの上昇率は全て2割を超えている。 半導体関連株が買いを集める中で値を上げた東京エレクトロン、アドバンテストに至っては40%以上である。4割弱の上昇率のソフトバンクグループも傘下に英半導体設計の子会社アーム・ホールディングスを保有しており、半導体関連株の一角である。 一方、この4銘柄のTOPIXでのウエイト合計比率は4.29%である。また、日経平均採用銘柄内で、TOPIXと同様に時価総額を考慮してウエイトを算出しても4銘柄の合計は5.63%にすぎない。 逆に、東証で時価総額トップのトヨタ自動車のTOPIXでのウエイトは5.12%なのに対し、日経平均では1.5%しかない。 昨年来、米国の利下げ期待が高まるたびに、半導体関連を中止としたテック株が買われた。そこにAI(人工知能)ブームが拍車を掛けた。日経平均の最高値更新の直接のきっかけとなった、市場予想を上回る決算を発表した米エヌビディアが代表例だ。日本市場でも米国市場に合わせる形で半導体関連株が値を上げてきた。 そして、半導体関連株には日経平均に占めるウエイトの高い値がさ株が多い。それ故、日経平均の上昇率がTOPIXを上回っているのだ。もちろん、日経平均に占めるウエイトの高い銘柄の下落率が大きい場合には、TOPIXより日経平均の方が下落率は高くなる。 このように一部の銘柄の影響が大きく出やすい単純平均である日経平均の算出方法には“ゆがみ”があるといえる。 算出開始が50年9月(指数自体は49年5月の東証再開時にさかのぼって算出)である日経平均に対し、TOPIXの誕生は68年1月と遅い。また、「○万○○○○円」というふうに、なじみやすい通貨単位の円で示される日経平均に対し、ポイント制のTOPIXはとっつきにくさを感じさせる。 それ故、日経平均が日本株の代表的指標の一番手として長年君臨してきた。しかし、市場全体の動きを捉えるには、時価総額ベースの加重平均であるTOPIXの方が適している。 一部の銘柄の影響が大きく出やすい日経平均だけを見ていては、日本経済の実態も“ゆがんで”見えてしまうだろう』、「ファーストリテイリング、東京エレクトロン、アドバンテスト、ソフトバンクグループの上位4銘柄のウエイト合計は29.74%と3割近い・・・この4銘柄のTOPIXでのウエイト合計比率は4.29%である・・・「日経平均」は「株価の額面水準が高い銘柄の影響力が高くなる。時価総額の大きい企業よりも、値がさ株の動向に指数全体が左右されてしまうのだ。 これに対し、TOPIXは浮動株を対象とした時価総額に基づく「加重平均」である。個別銘柄の株価水準の高低が、直接には指数に占めるウエイトに影響しない・・・市場全体の動きを捉えるには、時価総額ベースの加重平均であるTOPIXの方が適している。 一部の銘柄の影響が大きく出やすい日経平均だけを見ていては、日本経済の実態も“ゆがんで”見えてしまうだろう」、大いに参考になった。
タグ:小幡 績氏による「日本株は誰がなんと言おうと、やっぱり暴落する コロナ後の「バブルのおかわり」は3回で終了だ」 東洋経済オンライン (その20)(日本株は誰がなんと言おうと やっぱり暴落する コロナ後の「バブルのおかわり」は3回で終了だ、日経平均「最高値後」のシナリオは?日本株の行方を専門家6人が大展望!、日本株最高値を主導した「物価高・金融緩和・円安」スパイラルの“逆回転”リスク、TOPIXは最高値にまだ8%足りない…算出方法がもたらす日経平均株価の「ゆがみ」とは) 株式・為替相場 いつも通り、自分の見立てには自信満々だ。 大胆な正反対の予測が2つとも外れても、強気でいられる理由は何なのだろう。 「株がバブルであるという「5つの証拠」」はいずれも説得力がある。「大量に売買しているのは、短期トレーダーと投機家である。そして、異常に強気な短期投資家である。最後に、浮ついた個人である。すなわち、絶対的な株価水準などまったく気にしない取引者だけが残っているのである。あとは、異常に強気という誤った投資家と、狂った投資家だけである。 だから、まともな投資家は売るべきものは売りつくしている。売り手は存在せず、狂った買い手だけである。それゆえ株価は異常に高い水準であり、異常なスピードで上がっているときほど、ますま す、とことん上がる。バブル崩壊直前の、断末魔ではなく、狂喜の叫びである。 だから、取引量も膨らむ。同じトレーダーがとことん繰り返し仕掛けて、売買し続けているのである。今はプログラムが大半だが、プログラム同士の仕掛け合い、せめぎ合い、だまし合いが行われているのである」、捉え方は行動経済学者らしく、ダイナミックで、説得力がある。 「エヌビディアの決算が、私のような思考をして、売ろうと待ち構えていた投資家たちの予想をさらに超える好決算だったからだ。 となると、「よっしゃ、もうひとヤマ」ということになる。バブルのピークにさらに、もう1つ最後のヤマ(あるいは山)が加わったのである。せっかく儲かるのに、ここでパーティーをしない理由はない。「一気に盛り上げろ―!」ということになる」、 「日経平均バブルのほうとして、「待ってました! 最後の3万8915円の突破エンジン、ターボジェット噴射の支援が届いたんだから、一気にイケ―――!」ということになった」、なるほど。 「これがバブルであり(それは間違いのない事実であるが)、しかもそれがまさに頂点に達しているという仮説が正しいかどうか、である。 バブルの頂点がいつかというのは、見かけ以上に難しく、ほとんど誰も当てることができない・・・いちばん可能性の高いシナリオは、小幡が降参して、「バブルは当分崩壊しない」という記事を「東洋経済オンライン」などに書いた直後に暴落する、というものだ」、「小幡」氏のご託宣は、悲観的なようだ。 ダイヤモンド・オンライン「日経平均「最高値後」のシナリオは?日本株の行方を専門家6人が大展望!」 「七つの要因が日本株を押し上げてきたと分析」は説得力がある。 「直近の日経平均は16倍前後で推移する。 確かに「来期の日本株市場(TOPIX)は7%程度の増益予想で、昨年からの株価急上昇は明らかに過大評価」(智剣・Oskarグループの大川智宏主席ストラテジスト)との声はあるが、バブルとまで言い切る市場関係者はほとんど見当たらない。ただ下期にかけてのリスク要因として、米中の景気下振れや、米利下げに伴う円高などへの警戒感は聞かれる」、なるほど。 「専門家の間では、これが通過点に過ぎず、日本株にはかつてなく強気論が高まっています」、なんとなく強気ムードの終焉という気もしなでもない。 ダイヤモンド・オンライン 木内登英誌による「日本株最高値を主導した「物価高・金融緩和・円安」スパイラルの“逆回転”リスク」 「日銀のマイナス金利解除や米国景気減速を機にスパイラルは逆回転するリスクがあり、高値更新に浮かれている場合ではない」、さすが元日銀審議委員だけあって慎重な見方だ。 「株高現象は、名目値の水膨れとともに金融現象による金融相場の複合の様相だ。 高値更新に浮かれている場合ではないのではないか」、その通りだ。 「実質賃金が低下することは、個人の生活水準が悪化を続けることを意味する。そして所得の分配は企業側に偏り、企業の収益は逆に拡大するのだ。その結果、株価は上昇し、個人の生活実感との間でギャップが広がることになる。これが現在の「株高の第1の構図」だ」、なるほど。 「実質金利の低下は、通常は景気を刺激すると考えられるが、その影響は実際には明確に見られていない。2四半期連続での実質GDPのマイナス成長にも表れているように、足元の経済は低迷している。 他方で実質金利の低下は、資産価格の押し上げには効果を発揮しているように見える。これが「株高の第2の構図」だ・・・この実質金利の低下は、株式以外にも金融市場に大きな影響を与える。それは、円安の流れを強く後押ししていることだ。 円安は輸出企業の収益を拡大させることで株価全体を押し上げる。また、円安によって海外投資家にとって日本株が割安となり、それが日本株への投資を促すことでも株高要因となっている。これが「株高の第3の構図」である」、なるほど。 「歴史的な物価高騰は金融緩和の実質的な効果を高め、それは円安を促す。そして円安は物価高をもたらす。そうして「物価高」「金融緩和」「円安」の3つが相乗的に進む中、それぞれが株価を大きく押し上げているのだ。 しかし、株高を支えるこれら3つの要因は、持続的なものとはいえないだろう・・・ 中長期のインフレ期待が低下すれば、企業の収益期待は弱まる一方、実質金利は上昇する。それらは、円安の修正を伴う形で株式市場への逆風になるだろう」、なるほど。 「2%の物価目標の達成とは、この先、物価上昇率や中長期のインフレ期待が2%程度で安定的に推移することを意味する。そうした経済状況の下で、政策金利をゼロ近傍に据え置くことは、2%の物価目標の達成後に実質-2%程度の「超緩和」政策を続けることになってしまう。 日銀がそうした政策を続けるとの観測が、足元での急速な円安・株高を生じさせている面がある」、なるほど。 「いずれ景気減速の兆候が広がれば、米国株が調整し、その影響は日本株にも及ぶ。FRBが予想以上の大幅な利下げに踏み切るのではという観測が強まれば一転して円高ドル安の流れになるだろう」、なるほど。 「「物価高」「金融緩和」「円安」の循環は、今までは強力に日本株を押し上げてきたが、それがひとたび逆回転を始めれば、今度は日本株への強い逆風になる。その転換点を正確に予測するのは難しいが、日本銀行が早ければ3月にもマイナス金利政策を解除すると予想されている中で、その転換点はそれほど先のことではないかもしれない・・・ 足元の株高と実体経済との間にはギャップがある。実体経済を改善させることで、両者のギャップを埋めるような努力もすべきではないか。企業が引き続き資本効率の向上などに努めることが求められるのは当然だが、働き手も、リスキリング(学び直し)などを通じて、技能を磨き、労働生産性向上に努めることが必要だ。 政府も、労働市場改革や少子化対策、外国人労働力の活用、インバウンド需要の拡大、大都市一極集中の是正などの成長戦略を推進することで、労働生産性上昇率や潜在成長率を上げる取り組みが求められる。 株価の上昇に浮かれることなく、今こそ、こうした企業、個人、政府の地道な努力を進めるべきだろう」、同感である。 ダイヤモンド・オンライン「TOPIXは最高値にまだ8%足りない…算出方法がもたらす日経平均株価の「ゆがみ」とは」 「25銘柄しか対象としていない日経平均に対して、旧東京証券取引所1部銘柄、プライム市場銘柄を対象に2000以上の銘柄を対象とするTOPIX。構成銘柄の違いはもちろん、格差の理由の一つだが、実は算出方法に違いが大きく影響している」、なるほど。 「ファーストリテイリング、東京エレクトロン、アドバンテスト、ソフトバンクグループの上位4銘柄のウエイト合計は29.74%と3割近い・・・この4銘柄のTOPIXでのウエイト合計比率は4.29%である・・・「日経平均」は「株価の額面水準が高い銘柄の影響力が高くなる 。時価総額の大きい企業よりも、値がさ株の動向に指数全体が左右されてしまうのだ。 これに対し、TOPIXは浮動株を対象とした時価総額に基づく「加重平均」である。個別銘柄の株価水準の高低が、直接には指数に占めるウエイトに影響しない・・・市場全体の動きを捉えるには、時価総額ベースの加重平均であるTOPIXの方が適している。 一部の銘柄の影響が大きく出やすい日経平均だけを見ていては、日本経済の実態も“ゆがんで”見えてしまうだろう」、大いに参考になった。
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