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民間デジタル化(その3)(韓国ソウルで感じた日本のデジタル後進国ぶり 入国システム・3Dディスプレイ…、「コンサルあまり」の時代が始まった…マッキンゼー、アクセンチュアが大規模リストラに追い込まれた理由 IT企業向けのサービス需要が行き詰まっている、27カ国中最下位…日本がIT人材足りない根本理由 このままでは最大80万人が不足する事態に) [技術革新]

民間デジタル化については、2021年6月25日に取上げた。久しぶりの今日は、(その3)(韓国ソウルで感じた日本のデジタル後進国ぶり 入国システム・3Dディスプレイ…、「コンサルあまり」の時代が始まった…マッキンゼー、アクセンチュアが大規模リストラに追い込まれた理由 IT企業向けのサービス需要が行き詰まっている、27カ国中最下位…日本がIT人材足りない根本理由 このままでは最大80万人が不足する事態に)である。なお、タイトルから「促進策」は削除。

先ずは、本年2月24日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したテクノロジーライターの大谷和利氏による「韓国ソウルで感じた日本のデジタル後進国ぶり、入国システム・3Dディスプレイ…」を紹介しよう。ただ、文中の説明にるURLの紹介は省略した。
https://diamond.jp/articles/-/318236
・『筆者は先日、所用と観光を兼ねて約4年ぶりに韓国のソウルを訪れた。欧米に拠点のある企業の取材もリモートでの対応が多くなった昨今、今回の渡韓は、新型コロナウィルス禍に見舞われて以降、初めての海外渡航でもあった。サムスン電子やLGエレクトロニクスのお膝元でもある韓国は、日本よりも社会のIT化が進んでいることが知られている。数日のソウル滞在の間に見聞きしたデジタル事情と比べると、残念ながら日本はかなり遅れていると言わざるを得ない』、「韓国」の先進「デジタル事情」とは興味深そうだ。
・『サムスンは折りたたみスマホのマーケティングに注力 縦開き・横開きの2種類  韓流の刑事ドラマでは、食事をインスタントラーメンで済ませるような新米刑事まで高価な折りたたみスマートフォンのGalaxy Flipを使っていたりして、あからさまなプロダクトプレイスメント(番組内に製品を登場させる間接広告:以下、PPL)に苦笑することがある。 実は、韓国のTVドラマは放送法の規定で途中にCMを入れることが禁じられており、制作側の収益面ではPPLの比重が高い。CMが挟まれない分、ストーリーに集中できそうだが、劇中の役には不釣り合いな製品を使用していたり、登場人物が急に化粧品や炊飯器を褒め始めたりするので、思わずツッコミを入れたくなる。 中には、そういうシーンの小道具にPPLの文字が配されている(たとえば、カフェで座っている3人の客が、それぞれ「P」「P」「L」のレター入りトレーナーを着ているなど)、正直というかある意味開き直った演出を行うドラマまであった。 そんなPPLで見かけることの多いGalaxy Flipだが、メーカーのサムスン電子は、ロシアのウクライナ侵攻などによる消費の冷え込みの影響で2022年に大幅減産を強いられた結果、シェアを拡大するよりも利益率の高いモデルに注力する方針を進めている。そのため、販売面ではたためないGalaxy Sシリーズに及ばなくても、縦開きのGalaxy Flipと横開きのGalaxy Foldのマーケティングに力を入れていくようだ。ただし、中国のOPPOも、Android製品の中で差別化を図るために自らが先行した縦開きのFlipタイプのスマートフォンに力を入れていくと公言しており、もしも価格競争になると苦しい戦いを強いられる可能性もある。 さすがはサムスン電子のお膝元で、たまたま地下鉄に乗ったときに、並びの親子連れの女性と向かい側の青年が、ともにGalaxy Flipを使っているような場面にも遭遇した。それでも、ソウルの某有名大学の副学長さんに話を聞くと、「韓国ではもちろんAndroidユーザーが多いが、学生たちの間ではiPhoneが人気」だという。この方自身も、そして同席された中堅の男性の先生もiPhoneユーザーで、Apple Watchの愛用者でもあり、3月から韓国でサービス開始予定のApple Payを使うことを楽しみにしていた。 韓国では、2019年の時点ですでに国民全体の92%にスマートフォンが普及しており、60代でも9割近くの普及率だった。これに対して、日本は2021年の調査でも88.6%(個人保有全体では74.3%、同じく60代では79.3%)となっている。Android対iPhoneの割合では、韓国がほぼ世界平均と同じ70%強:30%割弱で、日本は逆に35%弱:65%強だが、上記のように韓国の若い世代のiPhoneへの関心が高まっているとすると、今後、iPhoneがよりシェアを伸ばしていく可能性もありそうだ(ちなみに、韓流ドラマのPPLではアップル製品もそれなりに目にする)』、「韓国のTVドラマは放送法の規定で途中にCMを入れることが禁じられており、制作側の収益面ではPPLの比重が高い。CMが挟まれない分、ストーリーに集中できそうだが、劇中の役には不釣り合いな製品を使用していたり、登場人物が急に化粧品や炊飯器を褒め始めたりするので、思わずツッコミを入れたくなる」、「放送法の規定で途中にCMを入れることが禁じられており」、とは初めて知った。「Android対iPhoneの割合では、韓国がほぼ世界平均と同じ70%強:30%割弱」、「韓国の若い世代のiPhoneへの関心が高まっているとすると、今後、iPhoneがよりシェアを伸ばしていく可能性もありそうだ」、なるほど。
・『EV化が進む都市部のタクシー、ロボタクシーもテスト走行中  ソウルのタクシーは、一般のタクシーと、無事故歴10年以上のドライバーが乗り、運転や応対が丁寧な黒塗りの模範タクシーに分かれている。初乗り(1.6キロ)料金が2月1日から値上げされ、一般タクシーで約480円、やや高めの模範タクシーは約700円だが、それでも、東京23区内タクシーの初乗り約1キロ470円~500円よりは(距離も考慮すると)安価といえる。 ソウルでは流しのタクシーも次々にやってくるので困ることはないが、街中で観察していると、特に若い人はカフェなどでお茶している間にアプリで手配し、来たら乗るというようなスタイルが定着しているようだ。特に冬は、そのほうが寒い戸外で待つ必要がなく、支払いも同時に済むので、合理的ということなのだろう。 その一般タクシーで今回目立ったのが、現代自動車(ヒョンデ)のEV、「IONIQ 5」(アイオニックファイブ※)だった。日本でもインポート・カー・オブ・ザ・イヤーに選ばれ、京都のMKタクシーも計50台の導入が進行中。筆者自身も発表時から注目していた車である。 IONIQ 5のエクステリアは、パラメトリックピクセルと呼ばれるデジタル由来のデザイン要素がLEDヘッドランプ、同リアコンビランプ、アルミホイールに採り入れられている。インテリアのデジタルメーターにも、他には見られないホワイト系のベゼル(筆者は、iPodや白いバリエーションが存在した時代のiPhoneやiPadを想起した)を採用するなど、独自のEVイメージを確立しようとする意思に満ちている。 その意思は、テスラにもないヘッドアップディスプレイ(スピードやナビ、死角エリアの車両センサー情報などをフロントウィンドウにAR投影する)や、クラス最長の3メートルのホイールベースと切り詰めた前後のオーバーハングがもたらす全体のプロポーション(そのためにコンパクトに見えるが、実際のサイズはトヨタのRAV4よりも大きい)、全席に位置や背もたれ角度のメモリー機能が付き、センターコンソールを含めて大きく前後に移動できる電動シートアレンジ、停車中にフロントシートを座面ごと傾けて休めるリラックスポジションなど、インテリアの随所にも散りばめられている。 ※2022年6月に、韓国でIONIQ 5が高速道路上の構造物に突っ込む単独事故により、衝突後3秒でリチウムイオンバッテリーが発火し、ドライバーと同乗者が死亡という痛ましい報道があったが、これは時速100キロでノーブレーキの衝突、かつシートベルト未装着で死因は衝撃によるものだったことが明らかとなっている。車両自体はヨーロッパの厳しいNCAPの衝突安全テストにおいて最高評価の5つ星を獲得しており、それでも構造物がリチウムイオンバッテリーを突き抜けたことが発火の原因だった。スマートフォンも同様だが、リチウムイオンバッテリーはそのような危険を内包しており、この点は、全個体電池などが実用化されない限り、避けきれない問題といえる』、「一般タクシーで今回目立ったのが、現代自動車・・・のEV、「IONIQ 5」・・・だった」、「車両自体はヨーロッパの厳しいNCAPの衝突安全テストにおいて最高評価の5つ星を獲得」、大したものだ。
・『ソウルでテスト中のロボタクシーは早期にレベル4の自動運転を実用化を目指す  さらにIONIQ 5は、ヒョンデとアプティブ(アイルランドに本社のある自動車テクノロジー企業)との合弁企業のモーショナルが開発している、自動運転レベル4(決まった走行ルートなどの特定条件下で可能な、人ではなくシステム主体で車を走らせる自動運転)を実現するロボタクシーのベース車両ともなっている。今回の訪韓中には見かけなかったが、このロボタクシーもソウル市内でテスト走行中だ。 折りしも「人工知能(AI)産業の育成と信頼確保に関する法案」が、韓国国会科学技術情報放送通信委員会の情報通信放送法案審査小委員会を通過したとの報道があったが、そこにうたわれていたのは「まず認可・後に規制」という事後規制の原則だ。もちろん、実際の議会での可決までには踏むべき段階が残っているものの、おそらくほぼそのまま成立し、ロボタクシーもこのような原則の下での早期の実用化を目指すものと思われる。 ちなみにヒョンデは、EVではないものの、ビジネス用のリムジンから大型タクシー、幼稚園などの送迎用まで幅広い用途に対応する新世代の世界戦略ワンボックスカー「STARIA」も擁している。予約開始の初日だけで1万台のオーダーを受けたという人気車種だけに、こちらも市内のあちこちで見かけた。IONIQ 5もそうだが、周囲を威嚇するようなフロントマスクを持つ日本のワンボックスとは一線を画すSTARIAの佇まいを見ていると、K-POPや韓国ドラマのように、韓国車が価格ではなくコンセプトや質の面で世界に受け入れられる日が近いことを予感した』、「IONIQ 5は、ヒョンデとアプティブ・・・との合弁企業のモーショナルが開発している、自動運転レベル4・・・を実現するロボタクシーのベース車両ともなっている・・・このロボタクシーもソウル市内でテスト走行中だ」、「ロボタクシー」とは進んでいる。「新世代の世界戦略ワンボックスカー「STARIA」は・・・IONIQ 5もそうだが、周囲を威嚇するようなフロントマスクを持つ日本のワンボックスとは一線を画すSTARIAの佇まいを見ていると・・・韓国車が価格ではなくコンセプトや質の面で世界に受け入れられる日が近いことを予感した」、「周囲を威嚇するようなフロントマスクを持つ日本のワンボックス」、私もあの「フロントマスク」は嫌いだ。「韓国車が価格ではなくコンセプトや質の面で世界に受け入れられる日が近いことを予感した」、大したものだ。
・『新しいデジタルサイネージへの積極的な取り組み  2021年の暮れに新宿駅東口近くに設置されて話題を呼んだ、特定の角度から見ると猫やルンバが飛び出して見える3D街頭ビジョンも、韓国ではそれ以前から導入されていた。実際に機材の開発・製造を行っているのは中国企業だが、本国以外で設置した国は、韓国が最初だったようだ。 というのも、韓国は新しい技術や製品に対する抵抗感が少なく、スマートフォン普及率の例からも分かるように、全年齢層がアーリーアダプター的な消費動向を持っているためだ。それゆえ韓国市場は、国外企業からも新たな技術や製品を試験的に投入して反応を確かめる場として捉えられているところがある。 アパレルやアクセサリー系の問屋やテナントがひしめき合う東大門(トンデモン)のファッションビルの1つにも、新型コロナウィルス禍以前にはなかった新型の街頭ビジョンが設置されていたのだが、それはある意味で擬似的な3D街頭ビジョンを超える、リアルな3Dビジョンといえた。なぜなら、細かくブロック分けされたLEDパネルが、個々に物理的に前後しながら画像を表示する、本物の立体(構造)ディスプレイだったからだ。 「ウェーブスクリーン」と呼ばれるそれがウネウネと動いている様子は、少し離れた位置からはプロジェクションマッピング的な目の錯覚かとも思えた。だが、近づいてみると、実際にパネルが動いていることに驚かされた。これも作っているのは中国企業だが、韓国での反応を見たうえで、他国にも売り込んでいくのだろう。 ただし、正直なところインパクトの点では、擬似的とはいえ立体感に勝り、表示するイメージのバリエーションも豊富な3D街頭ビジョンのほうに軍配が上がるといわざるを得ない。また、可動部が多いのでメンテナンスも大変そうだ。しかし見る側の角度依存が少ないことや、既存のコンテンツもそのまま表示でき、専用コンテンツの制作も3D街頭ビジョンより簡単に行えそうな点ではメリットもある。設置場所の自由度も高く、特に近距離から見たときに迫力を感じるので、それぞれの特徴を生かして使い分けられていきそうだ』、「韓国は新しい技術や製品に対する抵抗感が少なく、スマートフォン普及率の例からも分かるように、全年齢層がアーリーアダプター的な消費動向を持っているためだ。それゆえ韓国市場は、国外企業からも新たな技術や製品を試験的に投入して反応を確かめる場として捉えられているところがある」、羨ましい限りだ。「特定の角度から見ると猫やルンバが飛び出して見える3D街頭ビジョン」、「ウェーブスクリーン」、などなかなか面白そうだ。
・『空港システムの進化に見る日韓の違い  最後に、韓国入出国と帰国時に感じた日韓の違いを書いておきたい。 現在、渡韓時にはK-ETA(電子渡航認証システム)とQ-CODE(検疫情報事前入力システム)の事前登録が求められる。前者は、ビザが免除されている国籍の渡航者に対して義務化されており、後者は任意だが、7日間の隔離を免除されるワクチン接種歴の確認を渡航前に済ませられるので、入国審査がスムーズになる。 K-ETAは英語のみ、Q-CODEは韓国語と英語のみの対応だが、旅行社などが公開している日本語の解説サイトがあるので、それらを参照すれば、さほど支障なく登録できるはずだ。 問題は、Q-CODE申請は無料だが、K-ETAは約1000円の申請料がかかり、クレジットカードのみでの支払いとなるため、そこを狙った偽サイトも少なからず存在するという点である。被害に遭わないためには、大使館や航空会社、大手旅行社の公式ページからのリンクを使って正しいサイトにアクセスするのが良いだろう。 日本出発時の空港は、平日にもかかわらず訪日外国人で大混雑しており、まだ制限されている中国からの団体客を除けば、ほぼ客足が戻ったかのような印象だった。そのため、ソウルの仁川空港でも入国審査で時間が取られることを覚悟していたのだが、幸いなことに窓口に並ぶ人数も少なく、また、パスポート照合によるK-ETAの確認と、Q-CODEの二次元バーコードの読み取りによって、拍子抜けするほど簡単に、短時間で通ることができた』、なるほど。
・『仁川空港では2014年からセルフバッグドロップシステムの導入が進む  また、航空便のオンラインチェックインはほぼ常識化しているが、機内持ち込みできないスーツケースなどのバッグドロップ(手荷物預け入れ)は、航空会社のカウンターで物理的に行う必要がある。しかし、仁川空港では、大韓航空などを皮切りにセルフバッグドロップシステムの導入が進んでおり、搭乗券とパスポートをスキャンして、荷物を乗せたコンベア台のカバーが閉まるとX線検査がその場で行われ、問題なければカバーが開き、プリントされたタグを自分で荷物に取り付けることで処理が完了する。 同種の機材は、日本でもANAが2015年に羽田空港の国内線カウンターに導入し、2017年に成田空港の国際線での実証実験を行って以来、普及が進んでいる。仁川空港では、オランダのスキポール空港、イギリスのヒースロー空港、オーストラリアのシドニー空港などに続いて、2014年から導入開始していたので、やはり、先に触れた先取精神が発揮されたようだ』、「先取精神」には我々も学ぶべきだ。
・『デジタル庁推進「Visit Japan Web」の使い勝手は……  実は、今回の旅で最も不可解だったのは、関西国際空港帰国時のVisit Japan Web(デジタル庁が推進する入国手続オンラインサービス)の対応だった。事前登録した画面またはプリントアウトを見せることで検疫を通過できるとの触れ込みで、実際にもその通りだったのだが、ターミナル間の移動用シャトルは利用できずに通路を延々と歩く必要があり、要所ごとにやたらと多くの係員が配置されている。 しかも、Webの説明では(ネット接続ができない場合に備えて)「縦に長いページの3つの要素を確実にスクリーンショットで保存するか、プリントアウトして見せること」となっていたものの、実際には、数をこなすためか移動途中で最初の画面をチラッと見る程度で、何の証明にもならず、最悪の場合、偽造も簡単に行える(適当なスクリーンショットを入手するだけ)と思われた。 さらに、帰国後に改めて登録ページを確認すると、先の縦長ページを一度にダウンロードできる機能が追加されていたのだが、リンク先に飛ぶと、スマートフォンのスクリーンに収まらないサイズの画像が縮小もスクロールもできない状態で表示され、ダウンロードボタンも表示されない状態だった。動作検証の有無や、その程度の改修にいくら税金が使われたのか、大いに気になる。 NIA(韓国知能情報社会振興院)の資料によれば、国連やOECDなどの国際機関によるDX、IT関連のランキングで、韓国はICTの国際競争力、ICTインフラ整備、電子的な社会参加、オープンデータ利用、AIの民主的利用の項目で1位を獲得している。もちろん、同時にさまざまな社会問題も抱えているものの、ことデジタル技術の推進やDXに関しては、政府が音頭を取るだけでなく、具体的に利用しやすい形で社会実装が進められなければ意味がないことが、きちんと理解されていると感じられた』、「「Visit Japan Web」の使い勝手は」余り良くないようだ』、「国連やOECDなどの国際機関によるDX、IT関連のランキングで、韓国はICTの国際競争力、ICTインフラ整備、電子的な社会参加、オープンデータ利用、AIの民主的利用の項目で1位を獲得」、「ことデジタル技術の推進やDXに関しては、政府が音頭を取るだけでなく、具体的に利用しやすい形で社会実装が進められなければ意味がないことが、きちんと理解されていると感じられた」、「日本」は「韓国」に残念ながら大きく水をあけられてしまったようだ。

次に、4月3日付けPRESIDENT Onlineが掲載した多摩大学特別招聘教授の真壁 昭夫氏による「「コンサルあまり」の時代が始まった…マッキンゼー、アクセンチュアが大規模リストラに追い込まれた理由 IT企業向けのサービス需要が行き詰まっている」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/68014
・『マッキンゼーは1400人、アクセンチュアは1万9000人  2月下旬以降、米国の大手コンサルティング企業が相次いで人員の削減を進めている。まず、マッキンゼー・アンド・カンパニーは約2000人の削減計画が報じられた。削減規模は同社にとって過去最大規模とみられる。3月23日、アクセンチュアも大規模なリストラ計画を発表した。今のところ削減規模は1万9000人に達する見込みであり、コンサル業界で過去最大級のリストラが進もうとしている。 リーマンショック後、世界の有力コンサルティング企業は、新しい事業の育成、その運営体制の企画、設計などに関する業務をIT先端企業などから受託してきた。そうすることで企業は迅速に、必要な業務運営の体制を整備できた。コロナ禍の発生によって、世界経済のデジタル化は一時的に急加速した。その結果、IT先端分野などで新しい業務運営の確立に必要なコンサルティング・サービスへの需要も押し上げられた。 しかし、競争の激化、世界的なインフレ進行、ウィズコロナへの移行、さらには世界的な金利上昇などを背景に、IT関連企業の成長期待は急速にしぼんでいる。すでに、米メタ(旧フェイスブック)などで、コンサル出身の経営幹部が要職を退いた。IT業界でのリストラは加速している。その成長を取り込んだコンサル業界などにもより強いリストラ圧力がのしかかろうとしている』、「IT業界でのリストラは加速している。その成長を取り込んだコンサル業界などにもより強いリストラ圧力がのしかかろうとしている」、なるほど。
・『過剰投資、過剰採用を抱えたIT企業の退潮  足許、米国を中心に急速にコンサル業界でリストラが進んでいる。それだけ、多くの企業は、高い成長が続くと先行きの展開を楽観し、採用を強化した。しかし、世界経済の減速、特にIT先端分野での業績悪化懸念が急速に高まった。IT有力企業では過剰な投資や採用が顕在化している。それに伴い、IT先端分野での需要を取り込んできたコンサル業界でも、過剰人員などの問題が浮上し、コストカットが急がれている。 リーマンショック後、米国ではアップルの“iPhone”などのヒットをきっかけに、経済のデジタル化が加速した。“21世紀はデータの世紀”と呼ばれるように、ビッグデータの重要性は急速に高まった。データを活用することによって、新しいビジネスが次から次へと生み出された。 メタやツイッターなどはSNSという新しい業態を生み出した。それにデータを用いた広告ビジネスが結合され、収益はおおきく伸びた。物流分野では、アマゾンがネット通販で購入された品物の配達スピードを引き上げるために、物流施設の建設を増やすなどした』、「経済のデジタル化が加速した。“21世紀はデータの世紀”と呼ばれるように、ビッグデータの重要性は急速に高まった。データを活用することによって、新しいビジネスが次から次へと生み出された。 メタやツイッターなどはSNSという新しい業態を生み出した。それにデータを用いた広告ビジネスが結合され、収益はおおきく伸びた」、なるほど。
・『業務効率化でコンサルティング依頼は急増したが…  そうした新しい業務運営の在り方を確立し、実際のマネジメント手法を組織に浸透させるために、マッキンゼーやアクセンチュアへのコンサルティング依頼は急増した。 コンサルティング各社は、顧客企業が新しい分野に進出し、いち早く安定した業務の運営体制を確立するために必要な方法論を提供して対価を得る。具体的にマッキンゼーなどは、経営戦略や財務、管理会計の理論を結合することによって、効率的に業務運営を行う標準的な手法を確立した。 そうしたサービスを利用することによって、IT関連分野の企業は、データの利用など自社の強みがより発揮できる分野に集中しやすくなった。コンサル業界でのリストラ増加は、IT先端分野での企業の成長性が低下していることを意味する。そうした変化を機敏に感じとり、早い段階でIT先端企業を去った人もいる』、「新しい業務運営の在り方を確立し、実際のマネジメント手法を組織に浸透させるために、マッキンゼーやアクセンチュアへのコンサルティング依頼は急増した。 コンサルティング各社は、顧客企業が新しい分野に進出し、いち早く安定した業務の運営体制を確立するために必要な方法論を提供して対価を得る。具体的にマッキンゼーなどは、経営戦略や財務、管理会計の理論を結合することによって、効率的に業務運営を行う標準的な手法を確立した」、なるほど。
・『コンサル出身のサンドバーグ氏はいち早くメタを去った  その一人として、2022年6月、シェリル・サンドバーグ女史はメタの最高執行責任者(COO)を辞すと表明した。それは、メタなどの成長の勢いが弱まり、新たな成長分野を探さなければならないという認識に基づいた意思決定だったように見える。ハーバード・ビジネス・スクールを修了した後、サンドバーグ女史はマッキンゼーでコンサルタントとして働いた。グーグルなどを経て、2008年、COOとしてサンドバーグ女史はフェイスブックに参画した。 メタ創業者のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)にとって、経営コンサルタントとしてのスキル、グーグルでの広告ビジネスの高い成長を支えたサンドバーグ女史の実力は、SNS分野でのビジネスモデルを確立し、高い成長を実現するために喉から手が出るほど欲しかった要素だったはずだ。 このようにして、多くのIT先端企業は、コンサル業界出身の人材採用を強化した。また、アクセンチュアやソフトウエア分野への選択と集中を進めたIBMなどに、ビジネスモデルの確立や、新規事業の業務運営体制の企画、マネジメント手法などのコンサルティングを委託する企業も増えた。 その結果、世界的にコンサルタント人材の求人は急増した。一部では、組織運営などに関する理論に加え、人工知能(AI)やネットワーク・テクノロジーに精通した人材の争奪戦に拍車がかかった』、「多くのIT先端企業は、コンサル業界出身の人材採用を強化した。また、アクセンチュアやソフトウエア分野への選択と集中を進めたIBMなどに、ビジネスモデルの確立や、新規事業の業務運営体制の企画、マネジメント手法などのコンサルティングを委託する企業も増えた。 その結果、世界的にコンサルタント人材の求人は急増した」、なるほど。
・『ビジネスモデルの行き詰まりを鮮明に理解している  しかし、高い成長がいつまでも続くことは考えづらい。2021年の秋ごろから、徐々にメタをはじめとするIT有力企業の成長鈍化懸念は高まった。株価も下落し始めた。 2022年3月に連邦準備制度理事会(FRB)は利上げを開始し、その後は急激に金融が引き締められた。世界全体で企業の資金調達などのコストも増加した。スタートアップ企業とGAFAなどの競争も激化した。SNSやサブスク型のビジネスモデルの優位性は行き詰まり、業績懸念は追加的に高まっている。 2023年2月には、ユーチューブのスーザン・ウォジスキーCEOの退任も発表された。ウォジスキー女史もベイン・アンド・カンパニーで経営コンサルタントとしてキャリアを積み、その上でグーグルに参画した。コンサルタントとして多くの企業を見てきた経験があるだけに、彼女らはビジネスモデルの行き詰まりをより鮮明に理解しているはずだ』、「2021年の秋ごろから、徐々にメタをはじめとするIT有力企業の成長鈍化懸念は高まった。株価も下落し始めた・・・世界全体で企業の資金調達などのコストも増加した。スタートアップ企業とGAFAなどの競争も激化した。SNSやサブスク型のビジネスモデルの優位性は行き詰まり、業績懸念は追加的に高まっている」、ようやく足元の状況に近づいてきた。
・『コンサル、会計監査需要は急速にしぼんでいる  コンサル業界だけでなく、米国では大手会計事務所のKPMGも2%程度の従業員(約700人)を削減すると報じられた。3月23日、リクルートホールディングスは2012年に買収した米インディードの従業員の15%を削減すると発表した。 リーマンショック後から2022年3月まで、世界全体で、超低金利環境の長期化観測は高まった。投資(投機)資金は成長期待の高いIT先端分野の株式などに流入した。高い成長は間違いないという過度な期待は一段と膨張した。そうした環境変化を追い風に、IT先端分野での起業は増えた。 コロナ禍の発生後は、カネ余りとデジタル化の加速期待に拍車がかかった。特別買収目的会社(SPAC)による買収を通した株式の公開によって資金を調達し、事業規模の拡大に取り組む企業は急増した。こうして、採用、コンサルティングや会計監査といったサービス需要も押し上げられた。 そうした強気な環境は急速にしぼんでいる。メタなどは追加リストラ策を発表した。IT先端企業などとの取引を強化した米欧金融機関のいくつかは破綻した。IT先端企業の成長を取り込んできたコンサル業界などでも、リストラの強化は避けられないだろう』、「コロナ禍の発生後は、カネ余りとデジタル化の加速期待に拍車がかかった。特別買収目的会社(SPAC)による買収を通した株式の公開によって資金を調達し、事業規模の拡大に取り組む企業は急増した。こうして、採用、コンサルティングや会計監査といったサービス需要も押し上げられた。 そうした強気な環境は急速にしぼんでいる。メタなどは追加リストラ策を発表した。IT先端企業などとの取引を強化した米欧金融機関のいくつかは破綻した。IT先端企業の成長を取り込んできたコンサル業界などでも、リストラの強化は避けられないだろう」、その通りだろう。
・『相次ぐリストラの背景にある「新たな成長機会」  しかし、すべての分野でコンサルティングの需要が減少しているわけではない。米国では、マイクロソフトなどが“チャットGPT”をはじめとする生成型のAIを用いた新しい広告サービスなどのビジネス創出に取り組んでいる。IBMは既存分野でリストラを進めつつAI関連の事業運営体制を強化している。 加えて、台湾問題の緊迫感は高まっている。世界の工場としての中国経済の成長鈍化懸念も上昇している。それらを背景に、世界全体でインドやASEAN地域の新興国、さらには企業の本国に近い場所に生産拠点などを移す動きも激化している。 世界規模で供給網の再編に取り組みつつ貿易管理体制を強化するためにも、企業はコンサルティング企業の助言を必要とする。コンサル業界でのリストラは、世界経済を支えたIT先端企業の成長性が鈍化し、新しい成長の機会が模索されていることの裏返しといえる』、「世界規模で供給網の再編に取り組みつつ貿易管理体制を強化するためにも、企業はコンサルティング企業の助言を必要とする。コンサル業界でのリストラは、世界経済を支えたIT先端企業の成長性が鈍化し、新しい成長の機会が模索されていることの裏返しといえる」、「新しい成長の機会が模索されていることの裏返し」とは興味深い捉え方だ。

第三に、5月2日付け東洋経済オンラインが掲載した東洋経済 特約記者(在ニューヨーク)のリチャード・カッツ氏による「27カ国中最下位…日本がIT人材足りない根本理由 このままでは最大80万人が不足する事態に」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/669331
・『日本はデジタル分野の専門人材不足が深刻化する「2025年デジタルの崖」に直面する。経済産業省によると、2020年には30万人、2030年にはデジタルサービスの需要次第で45万人から80万人にまで不足が拡大するとされている。後者の場合、日本が必要とする190万人の専門人材を4割も下回ることになる。 経産省は、日本がこの崖を乗り越えなければ、2025年以降、日本のGDPは予測よりも毎年12兆円も低くなると警告している。その損失は、2022年のGDPの2%以上に相当する。ところが、政府はDXなどという聞こえのいいスローガンを掲げるだけで、この状況を改善するためにほとんど何もしていない。民間企業では心強い変化も起きているが、それが政府の動きによって増幅されない限り、崖の高さを低くすることしかできないだろう』、「経済産業省によると、2020年には30万人、2030年にはデジタルサービスの需要次第で45万人から80万人にまで不足が拡大」、「日本がこの崖を乗り越えなければ、2025年以降、日本のGDPは予測よりも毎年12兆円も低くなると警告している。その損失は、2022年のGDPの2%以上に相当する。ところが、政府はDXなどという聞こえのいいスローガンを掲げるだけで、この状況を改善するためにほとんど何もしていない」、「政府」の無責任ぶりには腹が立つ。
・『そもそも人材育成ができていない  最大の問題は人材の育成ができていないことだろう。日本は数学と科学の分野で世界トップクラスの成績を収めた高校生の割合で2019年、韓国に次いで2位の成績を収めている。にもかかわらず、日本は27の富裕国の中で、科学や工学の分野でのキャリアを目指す優秀な学生の割合が最下位となっている。日本は、STEM(科学、技術、工学、数学)コースを専攻した大学卒業生の割合が22位である。これに対し、韓国は3位につけている。(出典:OECD、注:STEM=科学、技術、工学、数学) これは単に優れたコンピュータを開発したり、新しいソフトウェアを書いたりする方法を知っている人たちが不足するという問題だけではない。日本は数学と科学の分野で世界トップクラスの成績を収めた高校生の割合で2019年、韓国に次いで2位の成績を収めている。にもかかわらず、日本は27の富裕国の中で、科学や工学の分野でのキャリアを目指す優秀な学生の割合が最下位となっている。日本は、STEM(科学、技術、工学、数学)コースを専攻した大学卒業生の割合が22位である。これに対し、韓国は3位につけている。さらに状況を悪化させているのは、日本の大企業と、日本の労働者の7割を雇用する中小企業との間にある大きな「デジタルデバイド」である。) 大企業が総投資額の10%をソフトウェアに割いているのに対し、従業員数300人以下の企業ではその比率はわずか4%である。2017年に何らかのデジタル機器やソフトウェアに投資した中小企業は、4社に1社にとどまっている。 経産省が中小企業にデジタル技術の利用が進んでいない理由を尋ねたところ、「ITを導入できる人材が不足している」という回答が43%と最も多い結果となった。また、「IT導入の効果が不明確、または十分でない」が40%と僅差で2位だった。日本には、こうした中小企業にITを活用した売り上げの向上や、効率化の方法を示すコンサルタントが数多く必要なのだ』、「日本は数学と科学の分野で世界トップクラスの成績を収めた高校生の割合で2019年、韓国に次いで2位の成績を収めている。にもかかわらず、日本は27の富裕国の中で、科学や工学の分野でのキャリアを目指す優秀な学生の割合が最下位となっている。日本は、STEM(科学、技術、工学、数学)コースを専攻した大学卒業生の割合が22位である。これに対し、韓国は3位」、「大企業が総投資額の10%をソフトウェアに割いているのに対し、従業員数300人以下の企業ではその比率はわずか4%である」、「日本には、こうした中小企業にITを活用した売り上げの向上や、効率化の方法を示すコンサルタントが数多く必要なのだ」、その通りだ。
・『高校教育が遅れている  この問題は高校から始まっており、教師自身のITスキル、こうしたテーマを教える能力、教師を養成するためのリソース、さらには十分な機器やオンライン学習プラットフォームといった重要な分野で、日本はOECDの中で最下位に位置している。 政府の教育改革アドバイザーである鈴木寛氏は、大学入試にデジタルスキルが含まれていないことが大きな理由の1つだと指摘する。そのため、高校の教師は教える必要性をほとんど感じていない。 鈴木氏によれば、2025年からは、入試にIT関連の問題が含まれるようになるとのことで、進んではいる。しかし、誰が教師を指導するのだろうか。そして、それにはどのくらいの時間がかかるのだろうか。 また、優秀な学生がデジタル専門人材になるために必要な時間とお金を費やすインセンティブも、他の富裕国よりはるかに低い。ほとんどの企業では、給料を決めるのに、依然として職業よりも年功序列が重視される。 2021年、日本のデジタル人材の平均年収は、2019年から4%減の438万円にとどまった。これは、日本の給与の中央値から2%下回る水準である。最もスキルの高いデジタル専門人材の給与では、その差はさらに大きくなっている。) ある調査によると、デジタル人材の65%の年収が390万円から540万円であり、615万円以上は5%、1000万円は一握りである。また、他の17カ国では、IT技術者の給与が日本より高いという調査結果も出ている。 残念ながら、DXは空虚な流行語にすぎないように思われる。日本政府は2021年にデジタル庁を創設したが、その使命は、政府内や政府と一般市民とのコミュニケーションのデジタル化に関するものがほとんどである。 文部科学省は、STEM専攻の学生が支払う高い授業料と費用を、社会科学や人文科学専攻の学生が支払う低い水準に引き下げる財政支援策を提案している。成立すれば、年間約20万人の学生が恩恵を受けることになる。これは歓迎すべき一歩だが、デジタルスキルの教え方を知らない教師たちの問題を解決するものではない』、「問題は高校から始まっており、教師自身のITスキル、こうしたテーマを教える能力、教師を養成するためのリソース、さらには十分な機器やオンライン学習プラットフォームといった重要な分野で、日本はOECDの中で最下位に位置している」、「「優秀な学生がデジタル専門人材になるために必要な時間とお金を費やすインセンティブも、他の富裕国よりはるかに低い。ほとんどの企業では、給料を決めるのに、依然として職業よりも年功序列が重視される」、「2021年、日本のデジタル人材の平均年収は、2019年から4%減の438万円にとどまった。これは、日本の給与の中央値から2%下回る水準である。最もスキルの高いデジタル専門人材の給与では、その差はさらに大きくなっている。 ある調査によると、デジタル人材の65%の年収が390万円から540万円であり、615万円以上は5%、1000万円は一握りである。また、他の17カ国では、IT技術者の給与が日本より高いという調査結果も出ている」、「残念ながら、DXは空虚な流行語にすぎないように思われる。日本政府は2021年にデジタル庁を創設したが、その使命は、政府内や政府と一般市民とのコミュニケーションのデジタル化に関するものがほとんどである。 文部科学省は、STEM専攻の学生が支払う高い授業料と費用を、社会科学や人文科学専攻の学生が支払う低い水準に引き下げる財政支援策を提案している。成立すれば、年間約20万人の学生が恩恵を受けることになる。これは歓迎すべき一歩だが、デジタルスキルの教え方を知らない教師たちの問題を解決するものではない」、「文部科学省」の「財政支援策を提案」は初耳で、実際に施行される可能性は殆どないだろう。
・『外国人の高度人材にとっても魅力がない  日本政府は、デジタルなどの分野で優れた技能を持つ移民を増やすため、複数の特別なビザを設けている。しかし、2022年現在、このビザ規則で高度専門職に指定された外国人は3275人にとどまっている。2022年の時点で、ICT分野の外国人就労者はわずか7万6000人ほどである。潜在的な人材が他の地域でもっと多くの給与を得ることができるので、不思議なことではない。 さらに、2019年のOECDの調査では、高学歴人材の魅力度において、日本は35カ国中25位となっている。例えば、日本では外国人の子弟が学校で日本語の授業を受けることが認められているが、教師不足のため、対象者のうち65%しか支援を受けていない。 昨年9月、岸田内閣の「教育未来創造会議」は、2032年までに大学のSTEM専攻者を半数以上にすることを提言したが、その方法はもちろん、そのような高い数値が望ましいかどうかも示さなかった。 政府による措置がない中で、最大の前向きな動きは、世代交代による意識の変化によって、一部の高度な技能を持つ人材が、企業による採用競争によって、より高い給与を得られるようになっていることである。) 20代、30代の働き手は、親よりもずっと、自分が面白いと思えるキャリアを手に入れたいと考えている。また、専門的なスキルを持つ人は、終身雇用の必要性をあまり感じない。そのため、よりやりがいのある仕事、より高い給与を求めて転職を希望する人が増えている。 1970年代から1980年代前半に採用された25歳から29歳の人たちが、最初は1つの会社に10年間勤めたとする。そのうちの70%は、少なくともさらに10年以上勤続している。しかし、15年後に採用された人たちでは、52%しか残らなかった。同様の傾向は、度合いは低いものの、それ以上の年齢層でも見られる』、「「教育未来創造会議」は、2032年までに大学のSTEM専攻者を半数以上にすることを提言したが、その方法はもちろん、そのような高い数値が望ましいかどうかも示さなかった」、無責任で「提言」に値しない。「政府による措置がない中で、最大の前向きな動きは、世代交代による意識の変化によって、一部の高度な技能を持つ人材が、企業による採用競争によって、より高い給与を得られるようになっていることである」、ただ、百年河清を待つようなものだ。
・『IT人材の給与を上げることは必然  この世代交代に加え、専門的なスキルを持つ社内人材の不足に対応するため、現在では中途採用の人材を確保せざるをえない企業も増えている。1999年当時、中途採用を実施していた企業は、大小問わず37%にすぎなかった。今では70%近くになっている。 さらに、優秀な中途人材を引きつけるために、企業はより高い給与を支払わなければならない。2009年当時、勤務先から別の勤務先に転職した人のうち、10%以上の賃上げを実現した人は13%にすぎなかった。しかし、2017年には、その割合は27%に倍増している。 経験則や各種調査によると、この変化の恩恵を最も受けているのは、熟練したデジタル人材であることがわかっている。 富士通やNTTデータなどの企業は、最もスキルの高いデジタル系社員に年間1000万円以上支払っている。 2019年、NECは優秀な研究開発職の採用者に初任給1000万円を提示したが、これは何年も前に採用した他の社員よりも高い給与を与えることになるケースが多い。パーソルホールディングスは、人材紹介会社として、企業のデジタル人材の確保を支援するとともに、ITに関する研修プログラムも提供している。外資系企業や日本の新興企業は、従来の日本の国内企業よりも大幅に高い給与を支払っている。 これだけですべての問題を解決することはできないが、正しい方向に進んでいることは間違いない。政府は、DXに関するレトリックを、しっかりとした現実的な対策に変えるべき時である』、「優秀な中途人材を引きつけるために、企業はより高い給与を支払わなければならない。2009年当時、勤務先から別の勤務先に転職した人のうち、10%以上の賃上げを実現した人は13%にすぎなかった。しかし、2017年には、その割合は27%に倍増している」、「政府は、DXに関するレトリックを、しっかりとした現実的な対策に変えるべき時である」、民間企業の努力に報いる政策を打ち出すべきだ。 
タグ:(その3)(韓国ソウルで感じた日本のデジタル後進国ぶり 入国システム・3Dディスプレイ…、「コンサルあまり」の時代が始まった…マッキンゼー、アクセンチュアが大規模リストラに追い込まれた理由 IT企業向けのサービス需要が行き詰まっている、27カ国中最下位…日本がIT人材足りない根本理由 このままでは最大80万人が不足する事態に) 民間デジタル化 ダイヤモンド・オンライン 大谷和利氏による「韓国ソウルで感じた日本のデジタル後進国ぶり、入国システム・3Dディスプレイ…」 「韓国」の先進「デジタル事情」とは興味深そうだ。 「韓国のTVドラマは放送法の規定で途中にCMを入れることが禁じられており、制作側の収益面ではPPLの比重が高い。CMが挟まれない分、ストーリーに集中できそうだが、劇中の役には不釣り合いな製品を使用していたり、登場人物が急に化粧品や炊飯器を褒め始めたりするので、思わずツッコミを入れたくなる」、「放送法の規定で途中にCMを入れることが禁じられており」、とは初めて知った。 「Android対iPhoneの割合では、韓国がほぼ世界平均と同じ70%強:30%割弱」、「韓国の若い世代のiPhoneへの関心が高まっているとすると、今後、iPhoneがよりシェアを伸ばしていく可能性もありそうだ」、なるほど。 「一般タクシーで今回目立ったのが、現代自動車・・・のEV、「IONIQ 5」・・・だった」、「車両自体はヨーロッパの厳しいNCAPの衝突安全テストにおいて最高評価の5つ星を獲得」、大したものだ。 「IONIQ 5は、ヒョンデとアプティブ・・・との合弁企業のモーショナルが開発している、自動運転レベル4・・・を実現するロボタクシーのベース車両ともなっている・・・このロボタクシーもソウル市内でテスト走行中だ」、「ロボタクシー」とは進んでいる。 「新世代の世界戦略ワンボックスカー「STARIA」は・・・IONIQ 5もそうだが、周囲を威嚇するようなフロントマスクを持つ日本のワンボックスとは一線を画すSTARIAの佇まいを見ていると・・・韓国車が価格ではなくコンセプトや質の面で世界に受け入れられる日が近いことを予感した」、「周囲を威嚇するようなフロントマスクを持つ日本のワンボックス」、私もあの「フロントマスク」は嫌いだ。「韓国車が価格ではなくコンセプトや質の面で世界に受け入れられる日が近いことを予感した」、大したものだ。 「韓国は新しい技術や製品に対する抵抗感が少なく、スマートフォン普及率の例からも分かるように、全年齢層がアーリーアダプター的な消費動向を持っているためだ。それゆえ韓国市場は、国外企業からも新たな技術や製品を試験的に投入して反応を確かめる場として捉えられているところがある」、羨ましい限りだ。「特定の角度から見ると猫やルンバが飛び出して見える3D街頭ビジョン」、「ウェーブスクリーン」、などなかなか面白そうだ。 「先取精神」には我々も学ぶべきだ。 「「Visit Japan Web」の使い勝手は」余り良くないようだ』、「国連やOECDなどの国際機関によるDX、IT関連のランキングで、韓国はICTの国際競争力、ICTインフラ整備、電子的な社会参加、オープンデータ利用、AIの民主的利用の項目で1位を獲得」、 「ことデジタル技術の推進やDXに関しては、政府が音頭を取るだけでなく、具体的に利用しやすい形で社会実装が進められなければ意味がないことが、きちんと理解されていると感じられた」、「日本」は「韓国」に残念ながら大きく水をあけられてしまったようだ。 PRESIDENT ONLINE 真壁 昭夫氏による「「コンサルあまり」の時代が始まった…マッキンゼー、アクセンチュアが大規模リストラに追い込まれた理由 IT企業向けのサービス需要が行き詰まっている」 「IT業界でのリストラは加速している。その成長を取り込んだコンサル業界などにもより強いリストラ圧力がのしかかろうとしている」、なるほど。 「経済のデジタル化が加速した。“21世紀はデータの世紀”と呼ばれるように、ビッグデータの重要性は急速に高まった。データを活用することによって、新しいビジネスが次から次へと生み出された。 メタやツイッターなどはSNSという新しい業態を生み出した。それにデータを用いた広告ビジネスが結合され、収益はおおきく伸びた」、なるほど。 「新しい業務運営の在り方を確立し、実際のマネジメント手法を組織に浸透させるために、マッキンゼーやアクセンチュアへのコンサルティング依頼は急増した。 コンサルティング各社は、顧客企業が新しい分野に進出し、いち早く安定した業務の運営体制を確立するために必要な方法論を提供して対価を得る。具体的にマッキンゼーなどは、経営戦略や財務、管理会計の理論を結合することによって、効率的に業務運営を行う標準的な手法を確立した」、なるほど。 「多くのIT先端企業は、コンサル業界出身の人材採用を強化した。また、アクセンチュアやソフトウエア分野への選択と集中を進めたIBMなどに、ビジネスモデルの確立や、新規事業の業務運営体制の企画、マネジメント手法などのコンサルティングを委託する企業も増えた。 その結果、世界的にコンサルタント人材の求人は急増した」、なるほど。 「2021年の秋ごろから、徐々にメタをはじめとするIT有力企業の成長鈍化懸念は高まった。株価も下落し始めた・・・世界全体で企業の資金調達などのコストも増加した。スタートアップ企業とGAFAなどの競争も激化した。SNSやサブスク型のビジネスモデルの優位性は行き詰まり、業績懸念は追加的に高まっている」、ようやく足元の状況に近づいてきた。 「コロナ禍の発生後は、カネ余りとデジタル化の加速期待に拍車がかかった。特別買収目的会社(SPAC)による買収を通した株式の公開によって資金を調達し、事業規模の拡大に取り組む企業は急増した。こうして、採用、コンサルティングや会計監査といったサービス需要も押し上げられた。 そうした強気な環境は急速にしぼんでいる。メタなどは追加リストラ策を発表した。IT先端企業などとの取引を強化した米欧金融機関のいくつかは破綻した。IT先端企業の成長を取り込んできたコンサル業界などでも、リストラの強化は避けられないだろう」、そ の通りだろう。 「世界規模で供給網の再編に取り組みつつ貿易管理体制を強化するためにも、企業はコンサルティング企業の助言を必要とする。コンサル業界でのリストラは、世界経済を支えたIT先端企業の成長性が鈍化し、新しい成長の機会が模索されていることの裏返しといえる」、「新しい成長の機会が模索されていることの裏返し」とは興味深い捉え方だ。 東洋経済オンライン リチャード・カッツ氏による「27カ国中最下位…日本がIT人材足りない根本理由 このままでは最大80万人が不足する事態に」 「経済産業省によると、2020年には30万人、2030年にはデジタルサービスの需要次第で45万人から80万人にまで不足が拡大」、「日本がこの崖を乗り越えなければ、2025年以降、日本のGDPは予測よりも毎年12兆円も低くなると警告している。その損失は、2022年のGDPの2%以上に相当する。ところが、政府はDXなどという聞こえのいいスローガンを掲げるだけで、この状況を改善するためにほとんど何もしていない」、「政府」の無責任ぶりには腹が立つ。 「日本は数学と科学の分野で世界トップクラスの成績を収めた高校生の割合で2019年、韓国に次いで2位の成績を収めている。にもかかわらず、日本は27の富裕国の中で、科学や工学の分野でのキャリアを目指す優秀な学生の割合が最下位となっている。日本は、STEM(科学、技術、工学、数学)コースを専攻した大学卒業生の割合が22位である。これに対し、韓国は3位」、 「大企業が総投資額の10%をソフトウェアに割いているのに対し、従業員数300人以下の企業ではその比率はわずか4%である」、「日本には、こうした中小企業にITを活用した売り上げの向上や、効率化の方法を示すコンサルタントが数多く必要なのだ」、その通りだ。 「問題は高校から始まっており、教師自身のITスキル、こうしたテーマを教える能力、教師を養成するためのリソース、さらには十分な機器やオンライン学習プラットフォームといった重要な分野で、日本はOECDの中で最下位に位置している」、 「「優秀な学生がデジタル専門人材になるために必要な時間とお金を費やすインセンティブも、他の富裕国よりはるかに低い。ほとんどの企業では、給料を決めるのに、依然として職業よりも年功序列が重視される」、「2021年、日本のデジタル人材の平均年収は、2019年から4%減の438万円にとどまった。これは、日本の給与の中央値から2%下回る水準である。最もスキルの高いデジタル専門人材の給与では、その差はさらに大きくなっている。 ある調査によると、デジタル人材の65%の年収が390万円から540万円であり、615万円以上は5%、1000万円は一握りである。また、他の17カ国では、IT技術者の給与が日本より高いという調査結果も出ている」、「残念ながら、DXは空虚な流行語にすぎないように思われる。日本政府は2021年にデジタル庁を創設したが、その使命は、政府内や政府と一般市民とのコミュニケーションのデジタル化に関するものがほとんどである。 文部科学省は、STEM専攻の学生が支払う高い授業料と費用を、社会科学や人文科学専攻の学生が支払う低い水準に引き下げる財政支援策を提案している。成立すれば、年間約20万人の学生が恩恵を受けることになる。これは歓迎すべき一歩だが、デジタルスキルの教え方を知らない教師たちの問題を解決するものではない」、「文部科学省」の「財政支援策を提案」は初耳で、実際に施行される可能性は殆どないだろう。 「「教育未来創造会議」は、2032年までに大学のSTEM専攻者を半数以上にすることを提言したが、その方法はもちろん、そのような高い数値が望ましいかどうかも示さなかった」、無責任で「提言」に値しない。「政府による措置がない中で、最大の前向きな動きは、世代交代による意識の変化によって、一部の高度な技能を持つ人材が、企業による採用競争によって、より高い給与を得られるようになっていることである」、ただ、百年河清を待つようなものだ。 「優秀な中途人材を引きつけるために、企業はより高い給与を支払わなければならない。2009年当時、勤務先から別の勤務先に転職した人のうち、10%以上の賃上げを実現した人は13%にすぎなかった。しかし、2017年には、その割合は27%に倍増している」、「政府は、DXに関するレトリックを、しっかりとした現実的な対策に変えるべき時である」、民間企業の努力に報いる政策を打ち出すべきだ。
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