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インフラ輸出(その15)(新幹線方式「インド高速鉄道」はどこまで進んだ? 新たな目標決まり土地買収や土木工事が進捗、中国との共同事業のインドネシア高速鉄道 ソフト開業を延期 安全性確保のため) [インフラ輸出]

インフラ輸出については、本年6月11日に取上げた。今日は、(その15)(新幹線方式「インド高速鉄道」はどこまで進んだ? 新たな目標決まり土地買収や土木工事が進捗、中国との共同事業のインドネシア高速鉄道 ソフト開業を延期 安全性確保のため)である。

先ずは、8月7日付け東洋経済オンライン「新幹線方式「インド高速鉄道」はどこまで進んだ? 新たな目標決まり土地買収や土木工事が進捗」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/691992
・『故・安倍晋三元首相とインドのモディ首相がそろって出席し、ムンバイとアーメダバードを結ぶ高速鉄道の起工式が華々しく開催されたのは2017年9月14日だった。それから6年が経とうとしている。 ムンバイ―アーメダバード間の高速鉄道は日本の新幹線方式で建設され、2023年中に全線開業することになっている。だが、2023年も半分が過ぎたというのに、開業に関する声はまったく聞こえてこない。現在の工事の状況はどうなっているのか。関係者に話を聞いてみた』、興味深そうだ。
・『全長約500km、2017年に起工  インドには世界の高速鉄道先進国の技術を用いてデリー、ムンバイ、チェンナイ、ハイデラバードなどの主要都市を高速鉄道で結ぶ構想がある。複数の路線が計画されているが、中でも先行しているのがこのムンバイ―アーメダバード間だ。車両は東北新幹線用のE5系をインド向けにカスタマイズすることが決まっており、まず10両1編成の列車が24編成導入される。 在来線に乗り入れることもあるヨーロッパ式の高速鉄道とは違い、ムンバイ―アーメダバード間は新幹線と同じ専用線方式が採用される。路線延長は東京―新大阪間よりやや短い508kmで、12駅が設置される。そのうち、アーメダバード、サバルマティ、バドーダラの3駅は在来線の駅に併設し、高速鉄道と在来線の乗り継ぎを容易にする。 一方、ムンバイ側の始発・終着駅は在来線のターミナル駅であるチャトラパティ・シヴァージー駅に併設するのではなく、同駅から約10km北に離れたビジネス街のバーンドラ・クルラ・コンプレックスに地下駅を新設する。多くの国際企業がオフィスを構えるエリアであり、高速鉄道の駅を設置することで将来の発展性が期待できるほか、チャトラパティ・シヴァージー駅が世界遺産に登録されており再開発が容易ではない、新線を建設するには立地条件が良くないといった理由も考慮された。 なお、アーメダバード駅は始発・終着駅ではなく、アーメダバードから6km程度北に離れたサバルマティ駅が始発・終着駅となる。にもかかわらず「ムンバイ―アーメダバード間」と呼ばれているのは、サバルマティがアーメダバード都市圏に属しているからだ。つまり、「ムンバイ―アーメダバード間」とは、駅名ではなく都市名を指していることがわかる。 ムンバイ―アーメダバード間の高速鉄道計画は2015年12月の日印首脳会談で新幹線方式の導入に関する覚書が交わされ、2016年11月の首脳会議では年内に高速鉄道の設計業務を開始し、2023年の開業を目指すことが決まった。日本のJICA(国際協力機構)による詳細設計調査も始まった。JICAはJR東日本系の日本コンサルタンツ(JIC)などから構成される共同企業体とコンサルタント契約を12月に発注、建設に向けての動きが本格化した。そして、両国トップが出席した2017年9月の起工式に至る』、「2023年の開業を目指すことが決まった」、その割には完成度に関する報道は少ない。
・『計画変更とコロナ禍で一時停滞  しかし、高速鉄道建設のための土地収用が進まず、起工式直前の土地収用率は、地主である農民たちの反対により全体の4割程度にとどまっていた。さらに、インド側から線路や駅の仕様について変更の要望が次々と出された。 当初は東海道新幹線のような盛り土を想定していた地域もあったが、用地買収が進まない、斜面を動物が通過するリスクがあるといった理由から、盛り土ではなくより狭いスペースで建設が可能な高架を走る区間が増えた。また、一部の駅では当初計画が白紙撤回され、練り直しになったほか、ホームドアも全駅に設置されることになった。そこへ2020年にはコロナ禍が拍車をかけた。インドに駐在していた日本人スタッフは帰国を余儀なくされ、事業は暗礁に乗り上げたかに見えた。 ただ、コロナ禍においてもオンライン会議などを活用して日印スタッフの協議は続いていた。関係者の話を総合すると、コロナ禍が収束に向かい始めた頃から事業が進展し始めたようだ。土地収用も動き出し、路線全体の7割を占めるクジャラート州における土地取得率は2021年に約95%に達した。同3割を占めるマハーラーシュトラ州内の土地取得率は2~3割程度にとどまっていたが、こちらも2022年以降急速に伸び、全体の土地取得率も100%に向かい始めた。) 今年2月9日、マハーラーシュトラ州にあるボンベイ高等裁判所が重要な判断を下した。土地収用を拒んでいた地主の訴えを退けたのである。裁判所によれば、「今回の高速鉄道計画は国家的な重要案件であり、土地取得が進んだ段階でこのような訴えを行うことは公共の利益に反する」という。この判断が残る土地取得に大きなプラス材料となった。4月時点の土地取得率はマハーラーシュトラ州で99.75%、クジャラート州で98.91%に達したとインドのメディアは報じている。 取得に続き、工事面でも大きな前進があった。7月20日、インド高速鉄道公社は、高架、トンネル、橋梁、軌道、駅、研修施設などの建設について請負業者への発注が100%完了したと発表した。もちろん、あくまで契約締結にすぎない。電気関係の工事の契約はまだ終わったわけではなく、車両についてもまだ気候や埃といったインド特有の条件をどこまで仕様に反映させるかを協議している段階だ。とはいえ、工事が始まった区間やすでに工事を終えた区間もあり、「電気や車両を除けば、全体の8割で施工段階に入っている」と、ある関係者は話す。沿線の各所で建設の槌音が聞こえているわけだ。 また508kmの区間のうち、ほぼ中間に当たるビリモラ―スーラット間(約60km)は集中施工区間として早期完成を目指している。本来の計画ではムンバイの隣駅ターネ付近とサバルマティ駅付近に車両基地が建設される予定だったが、ビリモラ―スーラット間を全線開業に先駆けて開業するとなれば、この区間にも車両基地が必要となる。そこで、急遽車両基地を設置して先行開業に備えることになっている。インド側は2026年中の完成を目標に掲げている。2023年開業という計画が事実上困難になり、一部区間だけでもできるだけ早く開業したいというわけだ。はたして間に合うか』、「ビリモラ―スーラット間(約60km)は集中施工区間として早期完成を目指している」、「インド側は2026年中の完成を目標に掲げている」、なるほど。
・『「遅々として進んでいる」計画  以上が、インド高速鉄道計画の現在の状況である。当初の計画と比べれば、現在の状況は明らかに遅れている。一方で、土地取得率が100%に近づいていることからもわかるとおり、コロナ前の状況と比較すれば状況は前進しているといえる。関係者の1人はこうした状況を「遅々として進んでいる」と表現する。遅々として進まないのではなく、ゆっくりではあるが着実に前進しているという意味だ。 心配があるとすれば、安全面と開業後の運営面だ。8月1日には、マハーラーシュトラ州で建設中の高速道路の現場で橋桁が倒壊し、多数の作業員が死傷する事故が起きた。高速鉄道でも完成を急ぐあまり、安全がおろそかになることがあってはならない。 運営面については、もともとの総事業費は約1兆ルピー(約1.8兆円)だが、数々の設計変更により事業費増は避けられそうもない。事業費の大半は円借款で賄われるとしても、当初予想よりも多額の負債を背負っての開業となれば、収益が思うように上がらない場合の経営リスクは大きく膨らむことに留意する必要があるだろう』、「数々の設計変更により事業費増は避けられそうもない。事業費の大半は円借款で賄われるとしても、当初予想よりも多額の負債を背負っての開業となれば、収益が思うように上がらない場合の経営リスクは大きく膨らむことに留意する必要があるだろう」、「「数々の設計変更により事業費増は避けられそうもない」、「収益が思うように上がらない場合の経営リスクは大きく膨らむことに留意する必要」、その通りだ。

次に、8月10日付けNewsweek日本版「中国との共同事業のインドネシア高速鉄道、ソフト開業を延期 安全性確保のため」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/08/post-102398_1.php
・『<日本の入札を反故にしたツケが出ている?> インドネシアが首都ジャカルタから西ジャワ州州都バンドンまでの143.2キロを結ぶ高速鉄道の完工を期し、8月17日の独立記念日の翌18日に予定されしていた招待客を乗せたソフト開業の試験走行が延期された。 高速鉄道は中国が受注して中国の技術、資金協力で進められてきた計画で、インドネシアと中国との合弁事業体である「インドネシア中国高速鉄道(KCIC)」がソフト開業の試験走行を9月まで延期すると8月8日に発表した。 KCICは延期の理由を「乗客の安全性と快適性を確実にするためにさらに時間が必要と判断した」と説明しているが、「安全性と快適性」の具体的な内容には一切言及しなかったことから関係者の間には不安が広がる事態となっているという。 インドネシア政府は先に8月17日の独立記念日の翌18日にジョコ・ウィドド大統領や閣僚、国会議員や政財界の要人、駐インドネシア中国大使、さらに一般の招待客を乗せて行う最終的な試運転によるソフト開業を挙行し、10月から運賃を徴収した乗客を対象として本格的な営業運転開始を予定していた。 KCICによるとソフト開業は9月に延期するものの、10月1日の営業運転開始はこれまで通りに実施する方針であることを明らかにしている』、「インドネシア政府は先に8月17日の独立記念日の翌18日にジョコ・ウィドド大統領や閣僚、国会議員や政財界の要人、駐インドネシア中国大使、さらに一般の招待客を乗せて行う最終的な試運転によるソフト開業を挙行し、10月から運賃を徴収した乗客を対象として本格的な営業運転開始を予定していた。 KCICによるとソフト開業は9月に延期するものの、10月1日の営業運転開始はこれまで通りに実施する方針であることを明らかに」、「インドネシア政府」は政治的な催しが好きのようだ。
・『中国が受注したいわくつきのプロジェクト  インドネシア初の高速鉄道を建設するという構想は2015年に入札が行われ、安全性を前面に出した日本と、低価格・早期完工・インドネシア政府に財政負担を求めないなどを打ち出した中国との実質的競争となった。 しかし紆余曲折、不可解なプロセスを経て最終的に中国が受注した経緯がある。中国としては習近平主席が進める独自の経済圏「一帯一路」構想の一環としてなんとしてもインドネシア高速鉄道に関与したいとの強い意向があったとされている。 ところが、実際に建設工事が始まると建設用地買収の遅れやコロナ渦による中断などから当初の2019年の完工予定は度々延期された。 さらに工期の遅れや資材高騰などから建設費用が膨大に膨れ上がり、当初予算を約12億ドル上回る結果となった。最終的にはインドネシア政府は国庫からの支出を余儀なくされ、「中国に裏切られた」との批判も出ていた。 中国の車両、中国の労働者、中国の技術、そしてインドネシアも巻き込んでしまった資金でなんとか完工に漕ぎつけつつある、というのがインドネシアの高速鉄道の現状だろう』、「中国の車両、中国の労働者、中国の技術、そしてインドネシアも巻き込んでしまった資金でなんとか完工に漕ぎつけつつある、というのがインドネシアの高速鉄道の現状だろう」、その通りだ。
・『残る安全性への不安  KCICは6月22日に速度356キロを記録する最高速度試験走行に成功し、走行時の安定性、静粛性が確認されたとしていた。これを契機に独立記念日翌日のソフト開業、10月の営業運転開始という工程が具体的に動き始めた。 このとき、ブディカルヤ・スマディ運輸相は「10月の営業運転開始も8月に前倒しになるかもしれない」と計画が順調に進んでいることを強調、楽観的な見通しを示していた。 ただ一方で通常、営業運転開始前の試験走行には安全性を100%確実とするために繰り返し各種試験を数カ月から1年かけて実施するケースが多い中、6月22日から約2か月でのソフト開業には安全面で不安が払しょくできないとの声も出ていた。 今回、独立記念日に関連したいわば国を挙げてのイベントが、実施約10日前に延期されるという事態に、そうした不安が現実のものになったと見方もある』、「通常、営業運転開始前の試験走行には安全性を100%確実とするために繰り返し各種試験を数カ月から1年かけて実施するケースが多い中、6月22日から約2か月でのソフト開業には安全面で不安が払しょくできないとの声も出ていた」、「延期」は当然のようだ。
・『KCICは問題点を明らかにする義務  6月22日の最高速度試験走行の「成功」を受けてソフト開業への期待を表明していた閣僚や関係者はこれまでのところ今回の延期に対して反応しておらず、期待を裏切られたとの思いを抱いている可能性もある。 その際に「今後日本製の中古車両の輸入は認めない」との趣旨の発言をして、高速鉄道計画の中国発注に煮え湯を飲まされた形の日本に「当てつける」ような姿勢を示したルフット・パンジャイタン調整相もさぞ「臍を噛んでいる」こととみられる。 ジョコ・ウィドド大統領が実際に試乗してのソフト開業の試験走行で「万が一の不確実性の存在や不具合の発生も許されない」状況の中での延期は、今後の「早急なスケジュール」にも影響を与える可能性がある。 なによりもKCICは今回の延期の理由がどこにあるのか、技術的な問題なのか運行上の問題なのか、それともそれ以外の問題なのかを明らかにする義務があるだろう。 そうした問題点を明らかにすることで安全性に対する不安を払拭することがなにより求められているといえる』、「KCICは今回の延期の理由がどこにあるのか、技術的な問題なのか運行上の問題なのか、それともそれ以外の問題なのかを明らかにする義務があるだろう」、その通りだ。
・『【動画】昨年末には脱線事故も起きていた  インドネシア政府が鳴り物入りで建設中の高速鉄道の工事現場で昨年末に事故が発生。工事を行う中国側は車両にカバーをかけ、証拠隠滅との声も出ていた......実際の「動画」はインドネシア語で6分程度の長さなので、お勧めできない。  
タグ:インフラ輸出 (その15)(新幹線方式「インド高速鉄道」はどこまで進んだ? 新たな目標決まり土地買収や土木工事が進捗、中国との共同事業のインドネシア高速鉄道 ソフト開業を延期 安全性確保のため) 東洋経済オンライン「新幹線方式「インド高速鉄道」はどこまで進んだ? 新たな目標決まり土地買収や土木工事が進捗」 「2023年の開業を目指すことが決まった」、その割には完成度に関する報道は少ない。 「ビリモラ―スーラット間(約60km)は集中施工区間として早期完成を目指している」、「インド側は2026年中の完成を目標に掲げている」、なるほど。 ・『「遅々として進んでいる」計画  以上が、インド高速鉄道計画の現在の状況である。当初の計画と比べれば、現在の状況は明らかに遅れている。一方で、土地取得率が100%に近づいていることからもわかるとおり、コロナ前の状況と比較すれば状況は前進しているといえる。関係者の1人はこうした状況を「遅々として進んでいる」と表現する。遅々として進まないのではなく、ゆっくりでは 「数々の設計変更により事業費増は避けられそうもない。事業費の大半は円借款で賄われるとしても、当初予想よりも多額の負債を背負っての開業となれば、収益が思うように上がらない場合の経営リスクは大きく膨らむことに留意する必要があるだろう」、「「数々の設計変更により事業費増は避けられそうもない」、「収益が思うように上がらない場合の経営リスクは大きく膨らむことに留意する必要」、その通りだ。 Newsweek日本版「中国との共同事業のインドネシア高速鉄道、ソフト開業を延期 安全性確保のため」 「インドネシア政府は先に8月17日の独立記念日の翌18日にジョコ・ウィドド大統領や閣僚、国会議員や政財界の要人、駐インドネシア中国大使、さらに一般の招待客を乗せて行う最終的な試運転によるソフト開業を挙行し、10月から運賃を徴収した乗客を対象として本格的な営業運転開始を予定していた。 KCICによるとソフト開業は9月に延期するものの、10月1日の営業運転開始はこれまで通りに実施する方針であることを明らかに」、「インドネシア政府」は政治的な催しが好きのようだ。 「中国の車両、中国の労働者、中国の技術、そしてインドネシアも巻き込んでしまった資金でなんとか完工に漕ぎつけつつある、というのがインドネシアの高速鉄道の現状だろう」、その通りだ。 「通常、営業運転開始前の試験走行には安全性を100%確実とするために繰り返し各種試験を数カ月から1年かけて実施するケースが多い中、6月22日から約2か月でのソフト開業には安全面で不安が払しょくできないとの声も出ていた」、「延期」は当然のようだ。 「KCICは今回の延期の理由がどこにあるのか、技術的な問題なのか運行上の問題なのか、それともそれ以外の問題なのかを明らかにする義務があるだろう」、その通りだ。 実際の「動画」はインドネシア語で6分程度の長さなので、お勧めできない。
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