マイナンバー制度(その8)(マイナポイント「使われすぎ」 セブン銀行の悲鳴 制度の落とし穴にはまり数10億円もの損失発生、利用伸びないマイナ保険証普及へ…医療機関に今度は「最大20万円バラマキ」のトンチンカン、マイナンバーの「肥大化」が止まらない!みずほ銀行どころではない巨大システムへの不安) [経済政策]
マイナンバー制度については、本年1月16日に取上げた。今日は、(その8)(マイナポイント「使われすぎ」 セブン銀行の悲鳴 制度の落とし穴にはまり数10億円もの損失発生、利用伸びないマイナ保険証普及へ…医療機関に今度は「最大20万円バラマキ」のトンチンカン、マイナンバーの「肥大化」が止まらない!みずほ銀行どころではない巨大システムへの不安)である。
先ずは、本年4月2日付け東洋経済オンライン「マイナポイント「使われすぎ」、セブン銀行の悲鳴 制度の落とし穴にはまり数10億円もの損失発生」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/745062
・『国のマイナンバーカード普及促進策「マイナポイント」。マイナンバーカードを取得した人に、各種キャッシュレス決済で利用できるポイントを付与する事業だ。 2020年から第1弾、2022年から第2弾が行われ、事業が終了した2023年9月までに計7556万人の利用者が、マイナポイントを申請した。1兆円規模の国家予算が投じられたこの事業は決済事業者にとっても、会員獲得や決済利用の好機となった。 ところが、この大盤振る舞いの政策には落とし穴があった。ポイントが「使われすぎた」ために、一部の事業者が想定外の損失に直面しているのだ』、「大盤振る舞いの政策には落とし穴」とはどういうことなのだろう。
・『年間利益が吹き飛んだ 「12億円ほどのマイナスを計上した」。2月9日、セブン銀行が行った今2023年4~12月期決算説明会で、清水健執行役員(現常務執行役員)はこう話した。震源地は、セブン銀行の子会社でクレジットカードや電子マネー「ナナコ」を発行するセブン・カードサービス(以下、セブンカード)だ。 多くの決済事業者と同様、セブンカードもマイナポイント事業に参加していた。ところが、事業を通じて付与したナナコポイントが想定以上に使われた結果、当初見込んでいなかった12億円を費用として計上した。 同社は今2024年1~3月期にも別途20億~25億円程度の損失を見込んでおり、セブンカード単体では通期ベースで最終赤字に転落する見通しだ。) 損失のカラクリは、マイナポイント事業の制度設計にある。 マイナンバーカードを取得すると第1弾では5000円、第2弾では1万5000円分のポイントが受け取れ、各種キャッシュレス決済で利用できる。 反面、利用先に指定された決済事業者は、会計処理としてポイント付与額を売上高から控除したり、費用として計上したりする必要がある。このままでは事業者の持ち出しとなるため、国は付与したポイントと同額の補助金を交付することに決めた』、「利用先に指定された決済事業者は、会計処理としてポイント付与額を売上高から控除したり、費用として計上したりする必要がある。このままでは事業者の持ち出しとなるため、国は付与したポイントと同額の補助金を交付することに決めた」、「同額の補助金を交付する」のであれば、問題ないように思えるが・・・。
・『失効率をめぐる誤算 問題は、大抵のポイントに有効期限が存在することだ。期限が到来して失効したポイントは、会計上、事業者の収益になる。つまり、ポイントの全額に補助金を充当すると、失効分だけ事業者が得をする。 税金で事業者が潤う事態を避けようと、マイナポイント事業の事務局は参加を希望する事業者に対して、過去数年の利用実績に基づくポイントの「失効率」を事前に提出させた。失効が見込まれる分をあらかじめ控除し、実際に利用されるであろうポイントにのみ、補助金をあてがおうとしたわけだ。 セブンカードが付与した「ナナコポイント」をめぐる損失は、この失効率をめぐる誤算にあった。 ナナコポイントにも有効期限が存在するため、セブンカードは事業への参加に先立って失効率を算出し、事務局に提出した。) 第1弾では、当初の想定と、実際のポイントの使われ方との差異が小さく、損失はほとんど認識されなかった。 問題は、ポイント付与額が3倍に増えた第2弾だ。マイナポイント事業経由で付与したナナコポイントが想定以上に利用されていった結果、有効期限を迎えて失効するポイントが減り、セブンカードの収益を下押しする事態が表面化したのだ。 また、あるクレジットカード会社は「(失効率を事前に算出するのではなく)ポイントの有効期限が到来した後、利用実績を踏まえた失効率を算出し、補助金を申請する予定」と話した。 実は、事業者の公募要項にはポイントの利用状況が「精緻に計測可能な場合」、例外的に補助金額の事後精算を容認する、との記載がある。事後精算であれば、失効率が想定と異なる事態は生じない。 この点、決済サービスコンサルティングの宮居雅宣代表は、事後精算の規定をこう指摘する。「通常の買い物で付与されたポイントと、マイナポイント事業で付与されたポイントとを別々に管理する必要がある。場合によっては大規模なシステム改修が必要となる」。 別の関係者によれば、セブンカードは両ポイントの切り分けがシステム上困難だとして、事後精算を選択しなかったという』、「期限が到来して失効したポイントは、会計上、事業者の収益になる。つまり、ポイントの全額に補助金を充当すると、失効分だけ事業者が得をする。 税金で事業者が潤う事態を避けようと、マイナポイント事業の事務局は参加を希望する事業者に対して、過去数年の利用実績に基づくポイントの「失効率」を事前に提出させた。失効が見込まれる分をあらかじめ控除し、実際に利用されるであろうポイントにのみ、補助金をあてがおうとしたわけだ。 セブンカードが付与した「ナナコポイント」をめぐる損失は、この失効率をめぐる誤算にあった・・・事後精算の規定をこう指摘する。「通常の買い物で付与されたポイントと、マイナポイント事業で付与されたポイントとを別々に管理する必要がある。場合によっては大規模なシステム改修が必要となる」。 別の関係者によれば、セブンカードは両ポイントの切り分けがシステム上困難だとして、事後精算を選択しなかったという」、「失効率をめぐる誤算」であれば、「セブンカード」側の落ち度だ。
・『ポイントを制度に落とし込む難しさ 事業者の一部に損失が発生した事実ついて、国からマイナポイント事業を受託している一般社団法人キャッシュレス推進協議会の担当者は、「決済事業者に対しては、(交付された補助金額以上にポイントが利用される)リスクを事前に開示している。各社はそのリスクを認識したうえで、制度に参画している」との認識を示した。 また、セブンカードが追加の補助金交付を求めた点については「個別事業者とのやり取りは回答を控える。あくまで事前に定めたルールに基づいて判断している」(担当者)と回答した。 マイナポイント事業によって、国の目論見通りマイナンバーカードが加速度的に普及した。反面、消費者が通常のポイント利用とは異なる行動をとったため、一部の事業者が煽りを受けた。宮居氏は「国の政策に参画した事業者が損をすると、今後は国への協力に消極的になる可能性がある」と指摘する。 日本のキャッシュレス比率は4割と、マイナポイント事業が始まる前の2019年の約2・5割からは上昇したが、欧米にはいまだ水をあけられている。今後キャッシュレス決済を推進する際、ポイントという「人参」をどのように制度設計に組み込むべきか、検証が必要であろう』、「セブンカードが追加の補助金交付を求めた」が、「国からマイナポイント事業を受託している一般社団法人キャッシュレス推進協議会の担当者は」、「あくまで事前に定めたルールに基づいて判断している」として、「セブン」の申し出を拒否。しかし、「「国の政策に参画した事業者が損をすると、今後は国への協力に消極的になる可能性がある」と指摘する。 日本のキャッシュレス比率は4割と、マイナポイント事業が始まる前の2019年の約2・5割からは上昇したが、欧米にはいまだ水をあけられている。今後キャッシュレス決済を推進する際、ポイントという「人参」をどのように制度設計に組み込むべきか、検証が必要であろう」、確かに「ポイントという「人参」をどのように制度設計に組み込むべきか」は、極めて難しい問題だ。
次に、4月10日付け日刊ゲンダイ「利用伸びないマイナ保険証普及へ…医療機関に今度は「最大20万円バラマキ」のトンチンカン」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/338723
・『厚生労働省は9日、マイナ保険証普及のため、新たな医療機関向けの支援策を導入することを明らかにした。 マイナ保険証の利用者を増やした分に応じて、診療所・薬局に最大10万円、病院には最大20万円を支給する方針。患者にマイナ保険証の利用を呼びかけることを条件とするが、細かい制度設計については10日、発表される。 マイナ保険証の利用は一向に進んでいない。厚労省によると、利用率は昨年4月の6.3%をピークに下がり続け、昨年12月は4.29%まで落ち込んだ。今年に入ってからは微増傾向ではあるものの、3月は5.4%と依然伸び悩んでいる。 全国保険医団体連合会(保団連)事務局次長の本並省吾氏が言う。 「ほとんどの患者さんがマイナ保険証を持ってこないのが現状です。高齢者からすれば機械の操作が複雑ですし、顔認証のエラーやデータの紐づけミスは現在でも確認されている。トラブルを避けるためにもマイナ保険証の利用を控える人が多い。従来の保険証でも資格確認はスムーズに行えるため、現場ではマイナ保険証のメリットは全くありません」) マイナ保険証普及を狙った医療機関向け支援金制度は、今回が初めてではない。今年1月には、利用1件あたり20~120円を支給する制度を実施。それでも思うように利用率は上がらなかったのだろう』、私も「マイナ保険証」は、従来の「保険証」より多少安くなるようだが、持ち歩くのが面倒なので、まだ使ってない。
・『何のメリットないのに税金バラマキ 厚労省は新たな支援策の導入について「医療機関にとっては受け取る金額が増える」と説明している。もっと大きなニンジンをぶら下げようということらしい。 「1月の支援金で思うような効果がなかったにもかかわらず、新たに支援金を導入するのは問題です。マイナ保険証が不便だから誰も利用しないという根本原因を、国は全く認識していません。何のメリットもないマイナ保険証のために、われわれの税金がこんなふうに使われていいのでしょうか。それに、マイナ保険証関連のトラブル対応にかかった費用は、10万円や20万円で賄えるものではありません」(本並省吾氏) 金をバラまいたところで、問題は解決しない』、利用者にしても、「マイナ保険証」喪失のリスクを考えると、普段から携行する訳にはいかないだろう。
第三に、5月8日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した元週刊文春・月刊文芸春秋編集長の木俣正剛氏による「マイナンバーの「肥大化」が止まらない!みずほ銀行どころではない巨大システムへの不安」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/343304
・『国民無視、すべて飲み込んで肥大化するマイナンバー計画 マイナンバーの肥大化が止まりません。もともと私は、国民総背番号制度ともいうべきマイナンバー制度に賛成でした。米国の社会保証ナンバーのように9ケタの数字をデジタル化して一元化しておけば、コロナ禍のときの給付金のように、国民にすぐに金銭的援助ができると思ったからです。 しかし日本の場合、米国のように戸籍などを設けず社会保障ナンバーに一本化する方向ではなく、住民票も戸籍もすべて残して、さらにマイナンバー制度を加えたあげく、銀行口座や年金の受給口座など色々な個人情報にまで紐づけようという、複雑な制度に変化してしまいました。 もっとも、マイナンバーカードの普及は進んでいるとはいえません。国民全体でカードを持っている人は、3月末の時点で74%です。4分の1の国民がまだ持っていないことになります。私はこの状況に対して、国民がマイナンバーになぜ積極的ではないのか、ひとつの仮説を立て、連載記事「デジタル庁より『デジタル監視庁』を創設せよ」でその解決方法を提唱しました。国民が、政府の個人情報保護に対する責任感についてまったく信用していないから、マイナンバーを取得しないのだと。 実際、今まで個人情報が流出しても、政府の要人は誰も責任をとったことがありません。処罰されたのは個人情報の処理を託された無名の業者ばかりです。 役所から預かったCDを初期化せず、そのまま中国に売りさばいていた業者さえいました。この業者は当然ながら罰せられましたが、この業者を選定した役人、おそらく利権絡みで役人にこの業者を推薦した政治家まで捜査が及ぶことはなく、権限を持つ人間がまったく責任をとらないまま、多数の国民の個人情報は中国に流出してしまったのです。 私がデジタル監視庁の創設を訴えたのは、そういう理由からです。個人情報の流出は、時に大変な損害を国民に与えます。こんなずさんな業者選定を許し、関係責任者が罰せられないのであれば、国民は絶対にマイナンバーを信用しません。独立した捜査権を持つ監視庁を設立すれば、今問題になっているSNS型投資詐欺なども技術捜査力のある捜査陣が捜査し、もっと厳しい要求を海外のプラットフォーマー(メタやエックスなど)に要求し、また国内で厳しく立法化することも可能なはずだからです。 現にEUは厳しくプラットフォーマーに対応する罰金や法律を検討しています。日本政府はただでさえ、米国に弱腰で中国にもモノが言えないのに、捜査権のない丸腰のデジタル庁では何の頼りにもなりません。 私だけでなく多くの識者が疑問を持っているにも関わらず、国民を無視して、マイナンバー計画は肥大化し続けています。 まずは健康保険証と紐づけるということが決まりました。しかも、最初は任意としていたはずが、いつのまにか年内までに義務づけることになりました。12月2日から現行の健康保険証を新規発行しないと決め、マイナンバーカードの保険証利用を強力にプッシュするのです。メリットとしては、特定健診や薬の情報をマイナポータルで閲覧できたり、正確なデータに基づく診療・薬の処方が受けられたり、限度額以上の医療費の一時払いが不要になったりするといった甘い言葉が並べられています。) しかし、直近3月のマイナ保険証利用率は5.47%にすぎません。国民の9割超は従来の保険証を利用しているのです。私の通うクリニックでも、マイナ保険証の使用を進めようともしていません。12月に現行の保険証の新規発行が終了するものの、マイナ保険証を持たない人には「資格確認書」が発行されます。そのコストも考えれば、血税の使い方として他に方法やタイミングがなかったのか疑問に感じます。 また、福岡県歯科保険医協会(福岡市)が実施したアンケート調査によれば、マイナ保険証の受付システムを導入した歯科医院の7割が「トラブルがあった」と回答しています。保険者の情報が正しく反映されなかったり、カードが読み取れなかったりするトラブルが相次ぎ、中には他人の情報に「紐付け」されていたといった問題も発覚しました。 それなのに、保険証だけでなく、4月1日から預貯金口座のマイナンバー(個人番号)付番がスタートしました。国が災害発生の際や相続時の利便性をメリットに挙げる制度なのですが、自分の財産が「丸裸」にされると不安視する人は大勢います。マイナンバーとの紐付けは義務ではないものの、金融機関は口座開設などの際に届け出を必ず確認してきます。この制度は、国から十分に周知されないまま開始され、金融機関からのお知らせにドキッとする人も多いことだと思います。しっかりと制度を理解した上で口座との紐付け管理を考えるべきでしょう』、なし崩し的に制度が広げられてきたのは問題だ。
・『年金受給者の口座情報までマイナンバーに紐づけされる 5月27日には年金受給者の口座情報とマイナンバーも国に登録されることになりますが、「自分の資産が監視されるのではないか」といった不安を持つ国民も多いでしょう。登録は義務ではないのですが、対象者は日本年金機構からの書留郵便による通知後、一定の期限までに登録の有無を回答しなければ、自動的に「同意」したと扱われます。これでは、あまり事情を知らないお年寄りには、「強制」と変わりません。 政府は「口座残高や取引履歴を把握することは絶対ない」と説明しています。しかし、現にマイナンバー制度のトラブルはスタートしてかなりの月日が経つのに、全然減りません。 マイナンバーカードを使ったコンビニでの証明書の交付システムで、別人の書類が発行されるトラブルが新たに確認されました。マイナンバーカードを使ってコンビニエンスストアで住民票の写しなどを交付するサービスをめぐっては、去年、別人の書類が発行されるトラブルが相次ぎ、システムを運営する富士通の子会社は再発防止策をとったと説明していましたが、今月、新たに高松市でトラブルが確認され、総務省は富士通に行政指導を行いました。) これについて松本総務大臣は、閣議後の記者会見で「再発防止策を着実に実行するとしていたのに、修正プログラムの適用漏れなどによって誤交付が発生した。率直に申し上げてがく然とし、極めて残念だ」と強く批判しました。その上で「信頼回復につながる実効性ある再発防止対策を来月15日までに報告するよう求めているが、不十分な場合には、追加的な対策を求めることもある」と述べました。 さらに「マイナンバーカードを活用することで自治体の業務改革なども進めてきている。我々としても、国民の制度への理解が深まるように取り組んでいきたい」とまで豪語しています。なんだか、すべて富士通のせいにされています。 マイナンバーカードが利便性を向上させるのは間違いないと思います。本人確認が1枚で済む唯一のカードでもあります。証券口座などの開設やコンビニでの住民票、印鑑登録証明書の取得も可能です。 それだけではありません。2023年6月9日に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」によれば、政府は「運転免許証との一体化」「障害者手帳との連携の強化」「資格情報のデジタル化」「引越し手続きのデジタル化推進」「在外選挙人名簿登録申請のオンライン化」まで推進していく計画のようです。将来的には、マイナンバーカードの全機能をスマホに搭載できるようにしていく方針だといいます。 しかし、これほど急速に、計画性もないまま、マイナンバーを肥大化させていいものでしょうか』、「これほど急速に、計画性もないまま、マイナンバーを肥大化させていいものでしょうか」、確かに誰もが抱く疑問だ。
・『みずほどころではない巨大システム 悲惨な結果を生まないか 太平洋戦争で、日本は兵站システムの破綻により餓死者や病死者を大量に出しました。日清、日露の戦争では、餓死者が出るような軍隊ではなかったのに、想定外の勢力範囲となる中国大陸と太平洋の島々という巨大な戦場には、従来の兵站組織では対応し切れなかったのです。失敗は認めずに「勝った勝った」で、あの戦争は突き進みました。 そして、軍の暴走を監視するシステムもなくなってしまいました。みずほ銀行はもう随分前に興銀、富士銀、第一勧銀を統合し、システムを共通化しましたが、いまだにトラブルが続いています。 マイナンバーカードシステムは、みずほ銀行どころではない巨大なシステムであり、いくつものシステムを統合して実行されます。構想時からどんどん肥大化し、さらに工期は限定され、予算が増えるというわけでもないシステム構築が、悲惨な結果を生まないことを祈るばかりです』、「マイナンバー制度」についての厚労省の活動を「監視」する役割を、どこかの行政組織に委ねるのも一案だ。ただ、厚労省に対抗するためには、かなり強力な権限を持たせる必要がある。例えば、公正取引委員会のような行政委員会にし、告発もできるようにする。これは余りに空想的過ぎるとの批判もあるだろうが、少なくとも何らかの「監視」機関が必要であることについては、賛同される方も少なくないと信じる。
先ずは、本年4月2日付け東洋経済オンライン「マイナポイント「使われすぎ」、セブン銀行の悲鳴 制度の落とし穴にはまり数10億円もの損失発生」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/745062
・『国のマイナンバーカード普及促進策「マイナポイント」。マイナンバーカードを取得した人に、各種キャッシュレス決済で利用できるポイントを付与する事業だ。 2020年から第1弾、2022年から第2弾が行われ、事業が終了した2023年9月までに計7556万人の利用者が、マイナポイントを申請した。1兆円規模の国家予算が投じられたこの事業は決済事業者にとっても、会員獲得や決済利用の好機となった。 ところが、この大盤振る舞いの政策には落とし穴があった。ポイントが「使われすぎた」ために、一部の事業者が想定外の損失に直面しているのだ』、「大盤振る舞いの政策には落とし穴」とはどういうことなのだろう。
・『年間利益が吹き飛んだ 「12億円ほどのマイナスを計上した」。2月9日、セブン銀行が行った今2023年4~12月期決算説明会で、清水健執行役員(現常務執行役員)はこう話した。震源地は、セブン銀行の子会社でクレジットカードや電子マネー「ナナコ」を発行するセブン・カードサービス(以下、セブンカード)だ。 多くの決済事業者と同様、セブンカードもマイナポイント事業に参加していた。ところが、事業を通じて付与したナナコポイントが想定以上に使われた結果、当初見込んでいなかった12億円を費用として計上した。 同社は今2024年1~3月期にも別途20億~25億円程度の損失を見込んでおり、セブンカード単体では通期ベースで最終赤字に転落する見通しだ。) 損失のカラクリは、マイナポイント事業の制度設計にある。 マイナンバーカードを取得すると第1弾では5000円、第2弾では1万5000円分のポイントが受け取れ、各種キャッシュレス決済で利用できる。 反面、利用先に指定された決済事業者は、会計処理としてポイント付与額を売上高から控除したり、費用として計上したりする必要がある。このままでは事業者の持ち出しとなるため、国は付与したポイントと同額の補助金を交付することに決めた』、「利用先に指定された決済事業者は、会計処理としてポイント付与額を売上高から控除したり、費用として計上したりする必要がある。このままでは事業者の持ち出しとなるため、国は付与したポイントと同額の補助金を交付することに決めた」、「同額の補助金を交付する」のであれば、問題ないように思えるが・・・。
・『失効率をめぐる誤算 問題は、大抵のポイントに有効期限が存在することだ。期限が到来して失効したポイントは、会計上、事業者の収益になる。つまり、ポイントの全額に補助金を充当すると、失効分だけ事業者が得をする。 税金で事業者が潤う事態を避けようと、マイナポイント事業の事務局は参加を希望する事業者に対して、過去数年の利用実績に基づくポイントの「失効率」を事前に提出させた。失効が見込まれる分をあらかじめ控除し、実際に利用されるであろうポイントにのみ、補助金をあてがおうとしたわけだ。 セブンカードが付与した「ナナコポイント」をめぐる損失は、この失効率をめぐる誤算にあった。 ナナコポイントにも有効期限が存在するため、セブンカードは事業への参加に先立って失効率を算出し、事務局に提出した。) 第1弾では、当初の想定と、実際のポイントの使われ方との差異が小さく、損失はほとんど認識されなかった。 問題は、ポイント付与額が3倍に増えた第2弾だ。マイナポイント事業経由で付与したナナコポイントが想定以上に利用されていった結果、有効期限を迎えて失効するポイントが減り、セブンカードの収益を下押しする事態が表面化したのだ。 また、あるクレジットカード会社は「(失効率を事前に算出するのではなく)ポイントの有効期限が到来した後、利用実績を踏まえた失効率を算出し、補助金を申請する予定」と話した。 実は、事業者の公募要項にはポイントの利用状況が「精緻に計測可能な場合」、例外的に補助金額の事後精算を容認する、との記載がある。事後精算であれば、失効率が想定と異なる事態は生じない。 この点、決済サービスコンサルティングの宮居雅宣代表は、事後精算の規定をこう指摘する。「通常の買い物で付与されたポイントと、マイナポイント事業で付与されたポイントとを別々に管理する必要がある。場合によっては大規模なシステム改修が必要となる」。 別の関係者によれば、セブンカードは両ポイントの切り分けがシステム上困難だとして、事後精算を選択しなかったという』、「期限が到来して失効したポイントは、会計上、事業者の収益になる。つまり、ポイントの全額に補助金を充当すると、失効分だけ事業者が得をする。 税金で事業者が潤う事態を避けようと、マイナポイント事業の事務局は参加を希望する事業者に対して、過去数年の利用実績に基づくポイントの「失効率」を事前に提出させた。失効が見込まれる分をあらかじめ控除し、実際に利用されるであろうポイントにのみ、補助金をあてがおうとしたわけだ。 セブンカードが付与した「ナナコポイント」をめぐる損失は、この失効率をめぐる誤算にあった・・・事後精算の規定をこう指摘する。「通常の買い物で付与されたポイントと、マイナポイント事業で付与されたポイントとを別々に管理する必要がある。場合によっては大規模なシステム改修が必要となる」。 別の関係者によれば、セブンカードは両ポイントの切り分けがシステム上困難だとして、事後精算を選択しなかったという」、「失効率をめぐる誤算」であれば、「セブンカード」側の落ち度だ。
・『ポイントを制度に落とし込む難しさ 事業者の一部に損失が発生した事実ついて、国からマイナポイント事業を受託している一般社団法人キャッシュレス推進協議会の担当者は、「決済事業者に対しては、(交付された補助金額以上にポイントが利用される)リスクを事前に開示している。各社はそのリスクを認識したうえで、制度に参画している」との認識を示した。 また、セブンカードが追加の補助金交付を求めた点については「個別事業者とのやり取りは回答を控える。あくまで事前に定めたルールに基づいて判断している」(担当者)と回答した。 マイナポイント事業によって、国の目論見通りマイナンバーカードが加速度的に普及した。反面、消費者が通常のポイント利用とは異なる行動をとったため、一部の事業者が煽りを受けた。宮居氏は「国の政策に参画した事業者が損をすると、今後は国への協力に消極的になる可能性がある」と指摘する。 日本のキャッシュレス比率は4割と、マイナポイント事業が始まる前の2019年の約2・5割からは上昇したが、欧米にはいまだ水をあけられている。今後キャッシュレス決済を推進する際、ポイントという「人参」をどのように制度設計に組み込むべきか、検証が必要であろう』、「セブンカードが追加の補助金交付を求めた」が、「国からマイナポイント事業を受託している一般社団法人キャッシュレス推進協議会の担当者は」、「あくまで事前に定めたルールに基づいて判断している」として、「セブン」の申し出を拒否。しかし、「「国の政策に参画した事業者が損をすると、今後は国への協力に消極的になる可能性がある」と指摘する。 日本のキャッシュレス比率は4割と、マイナポイント事業が始まる前の2019年の約2・5割からは上昇したが、欧米にはいまだ水をあけられている。今後キャッシュレス決済を推進する際、ポイントという「人参」をどのように制度設計に組み込むべきか、検証が必要であろう」、確かに「ポイントという「人参」をどのように制度設計に組み込むべきか」は、極めて難しい問題だ。
次に、4月10日付け日刊ゲンダイ「利用伸びないマイナ保険証普及へ…医療機関に今度は「最大20万円バラマキ」のトンチンカン」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/338723
・『厚生労働省は9日、マイナ保険証普及のため、新たな医療機関向けの支援策を導入することを明らかにした。 マイナ保険証の利用者を増やした分に応じて、診療所・薬局に最大10万円、病院には最大20万円を支給する方針。患者にマイナ保険証の利用を呼びかけることを条件とするが、細かい制度設計については10日、発表される。 マイナ保険証の利用は一向に進んでいない。厚労省によると、利用率は昨年4月の6.3%をピークに下がり続け、昨年12月は4.29%まで落ち込んだ。今年に入ってからは微増傾向ではあるものの、3月は5.4%と依然伸び悩んでいる。 全国保険医団体連合会(保団連)事務局次長の本並省吾氏が言う。 「ほとんどの患者さんがマイナ保険証を持ってこないのが現状です。高齢者からすれば機械の操作が複雑ですし、顔認証のエラーやデータの紐づけミスは現在でも確認されている。トラブルを避けるためにもマイナ保険証の利用を控える人が多い。従来の保険証でも資格確認はスムーズに行えるため、現場ではマイナ保険証のメリットは全くありません」) マイナ保険証普及を狙った医療機関向け支援金制度は、今回が初めてではない。今年1月には、利用1件あたり20~120円を支給する制度を実施。それでも思うように利用率は上がらなかったのだろう』、私も「マイナ保険証」は、従来の「保険証」より多少安くなるようだが、持ち歩くのが面倒なので、まだ使ってない。
・『何のメリットないのに税金バラマキ 厚労省は新たな支援策の導入について「医療機関にとっては受け取る金額が増える」と説明している。もっと大きなニンジンをぶら下げようということらしい。 「1月の支援金で思うような効果がなかったにもかかわらず、新たに支援金を導入するのは問題です。マイナ保険証が不便だから誰も利用しないという根本原因を、国は全く認識していません。何のメリットもないマイナ保険証のために、われわれの税金がこんなふうに使われていいのでしょうか。それに、マイナ保険証関連のトラブル対応にかかった費用は、10万円や20万円で賄えるものではありません」(本並省吾氏) 金をバラまいたところで、問題は解決しない』、利用者にしても、「マイナ保険証」喪失のリスクを考えると、普段から携行する訳にはいかないだろう。
第三に、5月8日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した元週刊文春・月刊文芸春秋編集長の木俣正剛氏による「マイナンバーの「肥大化」が止まらない!みずほ銀行どころではない巨大システムへの不安」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/343304
・『国民無視、すべて飲み込んで肥大化するマイナンバー計画 マイナンバーの肥大化が止まりません。もともと私は、国民総背番号制度ともいうべきマイナンバー制度に賛成でした。米国の社会保証ナンバーのように9ケタの数字をデジタル化して一元化しておけば、コロナ禍のときの給付金のように、国民にすぐに金銭的援助ができると思ったからです。 しかし日本の場合、米国のように戸籍などを設けず社会保障ナンバーに一本化する方向ではなく、住民票も戸籍もすべて残して、さらにマイナンバー制度を加えたあげく、銀行口座や年金の受給口座など色々な個人情報にまで紐づけようという、複雑な制度に変化してしまいました。 もっとも、マイナンバーカードの普及は進んでいるとはいえません。国民全体でカードを持っている人は、3月末の時点で74%です。4分の1の国民がまだ持っていないことになります。私はこの状況に対して、国民がマイナンバーになぜ積極的ではないのか、ひとつの仮説を立て、連載記事「デジタル庁より『デジタル監視庁』を創設せよ」でその解決方法を提唱しました。国民が、政府の個人情報保護に対する責任感についてまったく信用していないから、マイナンバーを取得しないのだと。 実際、今まで個人情報が流出しても、政府の要人は誰も責任をとったことがありません。処罰されたのは個人情報の処理を託された無名の業者ばかりです。 役所から預かったCDを初期化せず、そのまま中国に売りさばいていた業者さえいました。この業者は当然ながら罰せられましたが、この業者を選定した役人、おそらく利権絡みで役人にこの業者を推薦した政治家まで捜査が及ぶことはなく、権限を持つ人間がまったく責任をとらないまま、多数の国民の個人情報は中国に流出してしまったのです。 私がデジタル監視庁の創設を訴えたのは、そういう理由からです。個人情報の流出は、時に大変な損害を国民に与えます。こんなずさんな業者選定を許し、関係責任者が罰せられないのであれば、国民は絶対にマイナンバーを信用しません。独立した捜査権を持つ監視庁を設立すれば、今問題になっているSNS型投資詐欺なども技術捜査力のある捜査陣が捜査し、もっと厳しい要求を海外のプラットフォーマー(メタやエックスなど)に要求し、また国内で厳しく立法化することも可能なはずだからです。 現にEUは厳しくプラットフォーマーに対応する罰金や法律を検討しています。日本政府はただでさえ、米国に弱腰で中国にもモノが言えないのに、捜査権のない丸腰のデジタル庁では何の頼りにもなりません。 私だけでなく多くの識者が疑問を持っているにも関わらず、国民を無視して、マイナンバー計画は肥大化し続けています。 まずは健康保険証と紐づけるということが決まりました。しかも、最初は任意としていたはずが、いつのまにか年内までに義務づけることになりました。12月2日から現行の健康保険証を新規発行しないと決め、マイナンバーカードの保険証利用を強力にプッシュするのです。メリットとしては、特定健診や薬の情報をマイナポータルで閲覧できたり、正確なデータに基づく診療・薬の処方が受けられたり、限度額以上の医療費の一時払いが不要になったりするといった甘い言葉が並べられています。) しかし、直近3月のマイナ保険証利用率は5.47%にすぎません。国民の9割超は従来の保険証を利用しているのです。私の通うクリニックでも、マイナ保険証の使用を進めようともしていません。12月に現行の保険証の新規発行が終了するものの、マイナ保険証を持たない人には「資格確認書」が発行されます。そのコストも考えれば、血税の使い方として他に方法やタイミングがなかったのか疑問に感じます。 また、福岡県歯科保険医協会(福岡市)が実施したアンケート調査によれば、マイナ保険証の受付システムを導入した歯科医院の7割が「トラブルがあった」と回答しています。保険者の情報が正しく反映されなかったり、カードが読み取れなかったりするトラブルが相次ぎ、中には他人の情報に「紐付け」されていたといった問題も発覚しました。 それなのに、保険証だけでなく、4月1日から預貯金口座のマイナンバー(個人番号)付番がスタートしました。国が災害発生の際や相続時の利便性をメリットに挙げる制度なのですが、自分の財産が「丸裸」にされると不安視する人は大勢います。マイナンバーとの紐付けは義務ではないものの、金融機関は口座開設などの際に届け出を必ず確認してきます。この制度は、国から十分に周知されないまま開始され、金融機関からのお知らせにドキッとする人も多いことだと思います。しっかりと制度を理解した上で口座との紐付け管理を考えるべきでしょう』、なし崩し的に制度が広げられてきたのは問題だ。
・『年金受給者の口座情報までマイナンバーに紐づけされる 5月27日には年金受給者の口座情報とマイナンバーも国に登録されることになりますが、「自分の資産が監視されるのではないか」といった不安を持つ国民も多いでしょう。登録は義務ではないのですが、対象者は日本年金機構からの書留郵便による通知後、一定の期限までに登録の有無を回答しなければ、自動的に「同意」したと扱われます。これでは、あまり事情を知らないお年寄りには、「強制」と変わりません。 政府は「口座残高や取引履歴を把握することは絶対ない」と説明しています。しかし、現にマイナンバー制度のトラブルはスタートしてかなりの月日が経つのに、全然減りません。 マイナンバーカードを使ったコンビニでの証明書の交付システムで、別人の書類が発行されるトラブルが新たに確認されました。マイナンバーカードを使ってコンビニエンスストアで住民票の写しなどを交付するサービスをめぐっては、去年、別人の書類が発行されるトラブルが相次ぎ、システムを運営する富士通の子会社は再発防止策をとったと説明していましたが、今月、新たに高松市でトラブルが確認され、総務省は富士通に行政指導を行いました。) これについて松本総務大臣は、閣議後の記者会見で「再発防止策を着実に実行するとしていたのに、修正プログラムの適用漏れなどによって誤交付が発生した。率直に申し上げてがく然とし、極めて残念だ」と強く批判しました。その上で「信頼回復につながる実効性ある再発防止対策を来月15日までに報告するよう求めているが、不十分な場合には、追加的な対策を求めることもある」と述べました。 さらに「マイナンバーカードを活用することで自治体の業務改革なども進めてきている。我々としても、国民の制度への理解が深まるように取り組んでいきたい」とまで豪語しています。なんだか、すべて富士通のせいにされています。 マイナンバーカードが利便性を向上させるのは間違いないと思います。本人確認が1枚で済む唯一のカードでもあります。証券口座などの開設やコンビニでの住民票、印鑑登録証明書の取得も可能です。 それだけではありません。2023年6月9日に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」によれば、政府は「運転免許証との一体化」「障害者手帳との連携の強化」「資格情報のデジタル化」「引越し手続きのデジタル化推進」「在外選挙人名簿登録申請のオンライン化」まで推進していく計画のようです。将来的には、マイナンバーカードの全機能をスマホに搭載できるようにしていく方針だといいます。 しかし、これほど急速に、計画性もないまま、マイナンバーを肥大化させていいものでしょうか』、「これほど急速に、計画性もないまま、マイナンバーを肥大化させていいものでしょうか」、確かに誰もが抱く疑問だ。
・『みずほどころではない巨大システム 悲惨な結果を生まないか 太平洋戦争で、日本は兵站システムの破綻により餓死者や病死者を大量に出しました。日清、日露の戦争では、餓死者が出るような軍隊ではなかったのに、想定外の勢力範囲となる中国大陸と太平洋の島々という巨大な戦場には、従来の兵站組織では対応し切れなかったのです。失敗は認めずに「勝った勝った」で、あの戦争は突き進みました。 そして、軍の暴走を監視するシステムもなくなってしまいました。みずほ銀行はもう随分前に興銀、富士銀、第一勧銀を統合し、システムを共通化しましたが、いまだにトラブルが続いています。 マイナンバーカードシステムは、みずほ銀行どころではない巨大なシステムであり、いくつものシステムを統合して実行されます。構想時からどんどん肥大化し、さらに工期は限定され、予算が増えるというわけでもないシステム構築が、悲惨な結果を生まないことを祈るばかりです』、「マイナンバー制度」についての厚労省の活動を「監視」する役割を、どこかの行政組織に委ねるのも一案だ。ただ、厚労省に対抗するためには、かなり強力な権限を持たせる必要がある。例えば、公正取引委員会のような行政委員会にし、告発もできるようにする。これは余りに空想的過ぎるとの批判もあるだろうが、少なくとも何らかの「監視」機関が必要であることについては、賛同される方も少なくないと信じる。
タグ:マイナンバー制度 (その8)(マイナポイント「使われすぎ」 セブン銀行の悲鳴 制度の落とし穴にはまり数10億円もの損失発生、利用伸びないマイナ保険証普及へ…医療機関に今度は「最大20万円バラマキ」のトンチンカン、マイナンバーの「肥大化」が止まらない!みずほ銀行どころではない巨大システムへの不安) 東洋経済オンライン「マイナポイント「使われすぎ」、セブン銀行の悲鳴 制度の落とし穴にはまり数10億円もの損失発生」 「大盤振る舞いの政策には落とし穴」とはどういうことなのだろう。 「利用先に指定された決済事業者は、会計処理としてポイント付与額を売上高から控除したり、費用として計上したりする必要がある。このままでは事業者の持ち出しとなるため、国は付与したポイントと同額の補助金を交付することに決めた」、「同額の補助金を交付する」のであれば、問題ないように思えるが・・・。 「期限が到来して失効したポイントは、会計上、事業者の収益になる。つまり、ポイントの全額に補助金を充当すると、失効分だけ事業者が得をする。 税金で事業者が潤う事態を避けようと、マイナポイント事業の事務局は参加を希望する事業者に対して、過去数年の利用実績に基づくポイントの「失効率」を事前に提出させた。失効が見込まれる分をあらかじめ控除し、実際に利用されるであろうポイントにのみ、補助金をあてがおうとしたわけだ。 セブンカードが付与した「ナナコポイント」をめぐる損失は、この失効率をめぐる誤算にあった・・・ 事後精算の規定をこう指摘する。「通常の買い物で付与されたポイントと、マイナポイント事業で付与されたポイントとを別々に管理する必要がある。場合によっては大規模なシステム改修が必要となる」。 別の関係者によれば、セブンカードは両ポイントの切り分けがシステム上困難だとして、事後精算を選択しなかったという」、「失効率をめぐる誤算」であれば、「セブンカード」側の落ち度だ。 「セブンカードが追加の補助金交付を求めた」が、「国からマイナポイント事業を受託している一般社団法人キャッシュレス推進協議会の担当者は」、「あくまで事前に定めたルールに基づいて判断している」として、「セブン」の申し出を拒否。しかし、「「国の政策に参画した事業者が損をすると、今後は国への協力に消極的になる可能性がある」と指摘する。 日本のキャッシュレス比率は4割と、マイナポイント事業が始まる前の2019年の約2・5割からは上昇したが、欧米にはいまだ水をあけられている。 今後キャッシュレス決済を推進する際、ポイントという「人参」をどのように制度設計に組み込むべきか、検証が必要であろう」、確かに「ポイントという「人参」をどのように制度設計に組み込むべきか」は、極めて難しい問題だ。 日刊ゲンダイ「利用伸びないマイナ保険証普及へ…医療機関に今度は「最大20万円バラマキ」のトンチンカン」 私も「マイナ保険証」は、従来の「保険証」より多少安くなるようだが、持ち歩くのが面倒なので、まだ使ってない。 利用者にしても、「マイナ保険証」喪失のリスクを考えると、普段から携行する訳にはいかないだろう。 ダイヤモンド・オンライン 木俣正剛氏による「マイナンバーの「肥大化」が止まらない!みずほ銀行どころではない巨大システムへの不安」 なし崩し的に制度が広げられてきたのは問題だ。 「これほど急速に、計画性もないまま、マイナンバーを肥大化させていいものでしょうか」、確かに誰もが抱く疑問だ。 「マイナンバー制度」についての厚労省の活動を「監視」する役割を、どこかの行政組織に委ねるのも一案だ。ただ、厚労省に対抗するためには、かなり強力な権限を持たせる必要がある。例えば、公正取引委員会のような行政委員会にし、告発もできるようにする。これは余りに空想的過ぎるとの批判もあるだろうが、少なくとも何らかの「監視」機関が必要であることについては、賛同される方も少なくないと信じる。