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韓国(朴槿恵大統領スキャンダル)(その2)(韓国人は「一流国ではありえない事件」に怒った、「名誉革命」と韓国紙は自賛、韓国経済は政治と癒着した「縁故資本主義」から脱却できるか) [世界情勢]

韓国(朴槿恵大統領スキャンダル)については、11月9日に取上げたが、今日は、(その2)(韓国人は「一流国ではありえない事件」に怒った、「名誉革命」と韓国紙は自賛、韓国経済は政治と癒着した「縁故資本主義」から脱却できるか) である。

先ずは、日経新聞のソウルや香港の特派員を務め、編集委員の鈴置高史氏が12月10日付け日経ビジネスオンラインにインタビュー形式で掲載した「「美し過ぎた自画像」が呼んだ朴槿恵弾劾 韓国人は「一流国ではありえない事件」に怒った」を紹介しよう(▽は小見出し、――は聞き手の質問、+は鈴置氏の回答の中での段落))。
・韓国人はなぜ、唐突に大統領を弾劾するに至ったのだろうか。
▽怒りに油を注ぎ続けた大統領
鈴置:12月9日、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が国会で弾劾訴追されました。韓国は当分の間、混乱すると思われます(前回を参照)。
――なぜ、弾劾という激しい事態に至ったのか、今ひとつ理解できません。
鈴置:国民の怒りです。大統領に対する怒りが爆発したのです。12月3日の退陣要求デモにはソウルに32万人、全国で43万人が参加しました。警察発表の数字です。主催者側発表では170万と232万でした。 いずれにしても過去最高です。11月20日に検察が崔順実(チェ・スンシル)氏らを起訴した際に「朴大統領も共謀した」と発表したことで怒りがますます燃え上がりました。
+さらに11月29日、大統領が3回目の国民談話を発表したことも参加者を増やしました。道義的な責任は認めても「犯罪」は認めなかったからです。 「任期短縮を含め自らの進退は国会に任せる」と下野を示唆する発言もしましたが、意見を集約できない与野党に責任を押し付けて延命する作戦との疑いを呼びました。  在野勢力や野党など左派は、これに対抗するためにも「即時辞任」を求める大型デモを繰り広げたのです。
▽「いつものこと」では?
――権力者と周辺が思いのままに振る舞う――。韓国では「よくあること」ではないのですか。
鈴置:確かに、韓国では歴代大統領の親戚が必ずと言ってよいほど不正に関与しました。そして、それが理由で弾劾された大統領はいません。だから日本人は「なぜ、朴大統領だけが指弾されるのか」と首を傾げるのでしょう。 ●韓国歴代大統領の末路の表はリンク先参照)
+2004年に盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領も弾劾訴追されましたが、理由は選挙の際に中立を保たなかったことでした。 国会が弾劾訴追した後、憲法裁判所は弾劾するほどの罪ではないと棄却したので盧大統領は職に戻りました。なお、この時に訴追の先頭に立ったのは当時、野党の指導者だった朴槿恵氏でした。
▽後進国を超えたはずだ
――ではなぜ今回、韓国人はそんなに怒ったのでしょうか。
鈴置:韓国人は「今度こそ、そんな不正は起きない」との期待を抱いていた。それを朴大統領によって裏切られたからです。 「朴大統領はすべての近親と絶縁しているから不正は起きようがない」と信じていたのです。結局は親戚の代わりに40年来の友人が不正の温床になったのですけれど。
+注目すべきは「期待の源泉」が朴大統領だけではなかったことです。2010年頃から韓国人は「大韓民国は世界に冠たる立派な国になった」との強烈な自信を持つようになった。その自信が大いに裏切られたのです。 デモに参加した人は口々に「これでも国か」と叫んでいます。10年前だったら「我が国はこの程度の水準だ」と自虐的に眺めた事件でも「一流国家」になった以上、許せないのです。
+朝鮮日報の朴正薫(パク・ジョンフン)論説委員――東京特派員の経験もある記者が、象徴的なコラムを書いています。「すべてが大統領だけのせいなのだ」(11月25日、韓国語版)です。記事のポイントを訳します。 ☆私たちは先進国のとば口まで来たと思っていた。経済力はもちろん、国家の風格も文化水準も開発途上国を超えたと信じていた。それが崩れた。
 ☆影の権力者の暗躍、政権の恐喝、特権層のやりたい放題……。すべてが後進国の病だ。この惨憺たる実相を前にしても先進国をうんぬんするのなら、厚かましいことこの上もない。
 ☆先進国にも不正と非理はある。しかし、腐敗が片隅にでも生まれれば、誰かがホイッスルを吹く。我々の場合、崔氏一党がひっかき回している最中、誰も警戒音を鳴らさなかった。
▽異様な高揚期に
――なるほど。韓国人は「先進国になった!」と信じていたのですね。
鈴置:今回の騒ぎを理解するには、まずそれを知る必要があります。2008年の世界同時不況を韓国はうまく切り抜けた。1997年に通貨危機に陥り、IMF(国際通貨基金)に救済された時とは様変わりでした。 GDPも世界で10位近くの規模に膨らみ「統一すれば世界で5位の経済力を持つ」との見方が広がりました。1人当たりGDPでも日本に追いつきそうになりました。
+国際政治の場でも「日本を超えた」と韓国人は確信しました。民主党時代の日本は米国とも中国とも関係を悪化させた。反対に韓国人は、自分は米中双方と極めて良好な関係を築いたと信じたのです。 李明博(イ・ミョンバク)政権時代の話ですが、G20と核セキュリティ・サミットを2010年と2012年に、いずれも日本よりも先に主催しました。
+2010年頃から韓国メディアには「一流国家韓国」「世界で尊敬され称賛される韓国」「日本を超えた韓国」との言説が溢れ返るようになりました。 韓国は精神の高揚期に入ったのです。史上初のことでしょう。朴槿恵政権が「米中を後ろ盾に日本と北朝鮮を叩く」外交を展開したのも、こうした背景があったからです。 韓国の主な「卑日」(表はリンク先参照)
▽「日本は下」を訴える聖戦
――なぜ、日本を叩いたのでしょうか。
鈴置:「日本よりも韓国が上である」ことを自ら実感し、世界にも示すには「日本を叩く」ことが必要だったのです。 韓国では強い者が弱い者を徹底的に叩きます。その姿を周囲に見せてこそ、本当に強い存在となれるのです。だから大統領が世界の指導者と会うたびに、若者は留学先の大学で外国人と話すたびに日本の悪口を言うようになったのです。朴正薫・論説委員のコラムに以下のくだりがあります。
 ☆我々は自らを過大評価してきた。日本と肩を並べたと気炎を吐いた。「地球上で日本を見下す国は韓国だけ」と外国人が驚いた。どれだけ空しい誇大妄想だったのか分かる。
+2010年頃から韓国紙やSNS(交流サイト)で「地球上で日本を見下す国は韓国だけ」という言説が目立つようになりました。 「外国人が驚いた」という部分――。朴正薫・論説委員は「韓国人の傲慢さに外国人が驚いた」との意味で引用しています。 人によっては「韓国は日本の上の存在である。しかるにそれを初めて知って驚く外国人もいる。韓国が上になったことを世界に知らしめねばならぬ」との文脈の中で使います(「これが『卑日』だったのか――」参照)。 その頃から始まったジハード(聖戦)とも言うべき「卑日」運動には、そんな願いが込められているのです。
▽価値観を共有しない国
――「世界に冠たる韓国」という自画像を「他画像」に昇格したいのですね。
鈴置:その美しい自画像をぶち壊したのが朴大統領でした。「先進国ではあり得ない事件」が起きたと考えた韓国人は恥じ入ったのです。 各紙のシニア記者が「外国で朴大統領のために見下された体験」を一斉に書きました。と言っても「大変ですね」と言われたぐらいの話なのですが。メディアには、怒りを煽って大統領を退陣に追い込もうとの計算もあったと思います。
――韓国は「世界の笑い者になった」のでしょうか。
鈴置:自意識過剰だと思います。怪しい政治指導者なら世界中にごまんといます。米国では暴言を吐きまくる人が大統領に選ばれたばかりです。日本だって、意味不明の発言を続ける「宇宙人」を首相にしてしまいました。 そもそも今の韓国を「政権末期のいつもの泥仕合をまた、やっているな」くらいに見ている日本人が多いと思います。韓国を成熟した民主国家――法治国家と見なす人は少ないですしね。
+2014年に産経新聞の支局長が朝鮮日報の記事を引用して記事を書いたら起訴され、出国停止処分になりました。韓国の保守系紙は政府のちょうちんを持って「けしからん日本の記者は起訴されて当然」と合唱しました。 「米国との関係が悪化する」と懸念した新聞はありました。しかし無罪判決が出るまでの間、法の恣意的な適用の観点から起訴を批判した韓国紙は私の見た限り、「ハンギョレ」だけでした。「法を尊重する」意識が日本や西欧と全く異なるのです。
+この起訴以降、日本政府は韓国に関する公式見解から「基本的な価値観を共有する」との文言を落としました。 米国務省も「韓国の言論弾圧への懸念」を表明しました(「北朝鮮にどんどん似てきた韓国」参照)。だから今さら「世界の笑い者になる」心配はないのです。
――高揚感から突然の自信喪失。韓国は大丈夫でしょうか。 鈴置:大丈夫ではないと思います。 (次回に続く=12月11日掲載) 「国政壟断事件」の動き(2016年)の表はリンク先を参照
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226331/112800079/?P=1

次に、上記の続き、12月11日付け日経ビジネスオンライン「「名誉革命」と韓国紙は自賛するのだが」を紹介しよう。
・朴槿恵(パク・クンヘ)大統領を退陣に追い込んだのは毎週土曜日のデモだった。韓国紙は「世界4大革命の1つ」と自画自賛するのだが……。
▽世界が驚く平和デモ
――前回は「朴槿恵弾劾は『美し過ぎた自画像』が呼んだ」という話でした。
鈴置:「日本を超え一流国家になった」と韓国人は高揚感に包まれていた。というのに朴大統領の40年来の友人、崔順実(チェ・スンシル)氏の「国政壟断事件」により、その共同幻想が潰えてしまった。そこで怒りが巻き起こり、弾劾につながったのです。
――高揚感から突然の自信喪失ということですね。
鈴置:指導層は韓国人が自信を失わないかと心配したのでしょう、「政治は3流だが国民は1流だ」キャンペーンに乗り出しました。 各紙は「巨大なデモでも、警察との衝突が起きない。韓国人の成熟を示すものだ」と強調しています。 11月26日の「150万人デモ」を受け、中央日報は社説「世界が驚くろうそく革命の力=韓国」(11月27日、日本語版)を掲載しました。書き出しの一部を引用します。
 ☆世界が驚いている。国家元首の退陣を要求する革命的な波がガラス窓1枚壊すことなくこれほど平和的に進められるということに驚いている。国家的暴力性と市民的成熟さが不思議に共存する韓国社会を世界の人たちは驚きの目で眺めている。
+暴力的なデモが当たり前の韓国で、平和的なデモが実施されれば韓国人が驚くのは当然です。しかし「世界が驚く」かは、疑問です。実際、この社説は「驚いた世界」を示す具体例を一切挙げていないのです。
▽日本メディアに文句
+朝鮮日報も「世界に称賛される一流国民」キャンペーンに加わりました。「『憲政史上最大規模』の第5回ろうそく集会 『平和集会』で終了…外国メディアも感嘆」(11月27日、韓国語版)を載せました。 見出しに「外国メディアも感嘆」とありますが、本文に「感嘆」を支える事実は記されていません。典型的な「空見出し」です。日本の新聞なら許されません。夕刊紙だって「感嘆か」と、小さくても「か」を付けるでしょう。
+東亜日報は「日本人が羨ましがっている」とまで書きました。「韓国が羨ましい理由」(11月28日、韓国語版)です。 「(日本の安保法制反対デモの参加者が12万人だったことに比べ)韓国で100万人のデモが開かれたと聞いて驚いた」などの日本の大学教授の談話を引用しています。
+「日本のメディアがデモ参加者数を警察発表ベースで書くのはけしからん」と言う韓国人も出てきました。主催者発表の数字は警察発表の4-6倍です。 計り方が異なることも、これだけ大きな差が出る原因です。警察は「人出が最大になった時点の人数」で、主催者は「累積人数」で計算します。 日本のメディアも韓国の保守系紙も両方の数字を載せます。ただ、見出しに関しては日本メディアは警察発表、韓国メディアは主催者発表を取ることが多い。
▽世界4大革命の1つに
――なぜ、警察発表の数字を見出しに取ってはいけないのでしょうか。
鈴置:韓国人にとって、このデモは「聖なる行為」になったのです。神聖な行事への参加者数を少なめに書いた日本の新聞は、韓国人が一流国民であることを過小評価したと受け取られたのでしょう。
――「聖なる行為」ですか。
鈴置:大統領を弾劾に追い詰めた韓国のデモは、フランス革命に並ぶもの、と称えられ始めました。 中央日報の李夏慶(イ・ハギョン)論説主幹が書いた「『ろうそく市民』はアンシャン・レジームの解体を求める」(11月22日、韓国語版)に以下のくだりがあります。
  ☆アンシャン・レジーム(旧体制)を解体した18世紀の2つの市民革命、米国の独立革命とフランス大革命が抑えることのできなかったエネルギーが200余年の後に、大韓民国の広場で生まれた市民の「ろうそく革命」として蘇ったのだ。
――世界3大革命の1つになったのですね。
鈴置:英国の名誉革命に例える向きもありますので「世界4大革命の1つ」と言った方が正確かもしれません。先ほど引用した中央日報の社説では以下のように称賛しています。
  ☆英国の名誉革命と米国革命で新たな政治体制が作られ、フランス革命で自然法と人権が普遍的価値として受容されたとするならば、いま韓国のろうそく革命はこの地に真の市民社会が到来したことを告げる祝砲といえるだろう。
▽大統領だけが悪いのか
――なるほど、少なめに出る警察発表の数字を使うと怒られる理由が分かりました。
鈴置:前回に引用した朝鮮日報の「すべてが大統領だけのせいなのだ」(11月25日、韓国語版)。こうした「デモを称賛するムード」に対し、結果的に警鐘を鳴らす記事となっています。 これを書いた朴正薫(パク・ジョンフン)論説委員の主張は「大統領だけが悪者ではない。問題の根は韓国のシステムにある」です。もちろん見出しの「すべて大統領のせい」は強烈な反語です。記事の冒頭の要約部分を訳します。
 ☆そもそも大統領1人の問題なのか。
 ☆崔氏国政壟断を幇助し、沈黙したシステムの後進性がもっと問題だ。
 記事の結論部分は以下です。
 ☆大統領1人を引きずり降ろせば済む問題ではない。国政システムを預かる統治エリートらの後進性を葬らなければ、絶対に変わらない。
 ☆公職者、官僚、政治家、教育者、言論人、企業人の「古朝鮮」意識を根こそぎにせねばならない。
+こうした視点からすれば「デモ称賛」は危ういものを含んでいます。「大統領だけが悪い」と叫ぶデモは「その他の人々」を免罪し、韓国の抱える構造的問題にはメスを入れようとしないからです。
▽悪を叩いて責任回避
+「シンシアリー」のペンネームで日本語のブログを書く韓国人がいます。韓国に対する辛口の評論です。  11月14日の「デモ参加者、3歳児にピケ持たせて『良い教育の場だった』」はデモ参加者、つまりデモそのものに疑問を投げかけました。 この記事は1960年の4月革命、韓国での略称は「4・19」――に関して考察していますが当然、現在の「ろうそくデモ」参加者を念頭に置いて書いています。シンシアリー氏は以下のように嘆きました。
 ☆李承晩(イ・スンマン)を追い出した419参加者たちが、主に若い学生たちを中心に叫んだのは、「北朝鮮へ行こう。北朝鮮は南韓に来い」でした。
 ☆朝鮮戦争が起きたのが、419のわずか10年前。その犠牲の全てを、「李承晩のせい」「強大国のせい」にし、今の自分たちは「正しい」と叫びだしたのです。
 ☆彼らは、問題を「直す」ことには最初から興味がありませんでした。そんなことを認めたら、自分たちにも責任が生じるからです。
 ☆ただ、悪を設定して無慈悲に叩くことで、自分たちが善として、「それらの問題とはなんの関係も無い存在」として君臨したかっただけです。関係は、ある種の責任感でもあります。
+朴槿恵大統領はクーデターで権力を握ったわけではありません。ちゃんとした選挙で過半の票を得て当選しました。集会やデモに参加した人の中にも、朴大統領に投票した人が結構いるはずです。 シンシアリー氏はデモ参加者の動機に「怒り」よりも「責任回避」を見出したのです。しかも「上」の存在になれるというおまけ付きです。
▽今のやり方に同調しない人も
――これを韓国人が読んだら?
鈴置:ほとんどの人が怒り心頭に発するでしょう。「何を言うか。デモは悪に対する憤怒の表明だ」と。もちろん、その部分もあるのでしょうが。
――シンシアリー氏や朴正薫・論説委員の冷静な議論は受け入れられるでしょうか。
鈴置:簡単ではないと思います。下手すると「世界4大革命」の1つを否定すると見なされます。シンシアリー氏のブログの末尾の方にこんなくだりがあります。
 ☆率直に言って、もう疲れました。
 ☆でも、これといって出来ることがあるわけでもなく・・・「朴槿恵を擁護するつもりはないけど、今の韓国のやり方に同調しない韓国人だっている」の一人として存在していることが、それなりの意義なら意義ですが。
 ☆その意義とやらが、韓国では排斥の対象になってしまいますけど(苦笑)  (次回に続く) 国政壟断事件」の動き(2016年)の表はリンク先参照
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226331/120700081/?P=1

第三に、元銀行のマーケット・エコノミストで信州大学教授の真壁昭夫氏が12月13日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「韓国経済は政治と癒着した「縁故資本主義」から脱却できるか」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽朴大統領の弾劾可決 国民が実感した財閥との癒着
・足元で、韓国の政治が混乱を極めている。10月下旬に大統領の長年の友人、崔順実(チェ・スンシル)被告の国政介入などが発覚し、大統領の側近までもが逮捕された。大統領の共謀も取り沙汰される中、一貫して朴槿恵(パク・クネ)大統領は潔白を主張してきた。その態度に世論の怒りは沸騰し、与党議員も弾劾訴追案の採決に自由投票で臨むことが決まった。そして9日には、韓国国会は朴槿恵大統領に対する弾劾訴追案を可決した。 
・12月6日、朴大統領は与党セヌリ党の幹部と会談し、2017年4月の辞任案を受け入れた。朴大統領は、「弾劾訴追案が可決されても憲法裁判所の審理を見守り、国のために淡々と職務に臨む覚悟がある」と述べていた。
・一方、国会では大統領と財閥の癒着問題をはじめ、スキャンダルの全貌を解明する動きが進んでいる。12月6日、サムスンをはじめとする韓国の財閥企業の領袖を集め、長時間にわたって聴聞会が開かれた。聴聞の内容はテレビで生中継され、財閥企業に支配されてきた韓国経済の実態が衆目の目にさらされることになった。その意味は決して小さくはない。
・ライブ放送を見て、国民自身が実際に韓国経済を牛耳る財閥領袖の肉声を聞き、「政府と財閥の癒着」などの実態を感じることができるからだ。つまり、韓国の"クローニー・キャピタリズム(縁故を重視する資本主義)"の実体が白日の下に晒されるからだ。それは、国民が社会低迷の原因、対策を考える重要な機会だ。
・現在、韓国社会の関心は大統領がいつ、どのように辞任するかに向かっている。ただ、今回の朴大統領のスキャンダルは、単に大統領の辞任で終わらせるべきではない。むしろ、なぜ長い間にわたって一部権力者と財閥の癒着が続いたかを洗い出し、より公正な資本主義の基盤形成を進めるべきだ。
・韓国は、今回のスキャンダルをよい教訓として生かすべきだ。韓国政府は、中長期の視点で経済の構造改革を実施していかなければならない。それができないと、今後も同様の問題が発生し、社会全体が不安定な状況に直面する可能性がある。実際、過去にもこのような聴聞会の実績があった。
▽聴聞会に集まった韓国経済の「オールスター」
・6日、韓国の国会は崔順実が関与した国政介入などの解明のために聴聞会を開き、サムスン電子副会長の李在鎔(イ・ジェヨン)、ロッテ会長の辛東彬(シン・ドンビン、重光昭夫)ら8名の財閥トップが証言を求められた。まさに、財閥が支配してきた韓国経済の構図を表すオールスターメンバーが出席し、国民が政治と経済の関係を実感する機会になった。
・公聴会では崔被告が設立した2つの財団に対する合計774億ウォン(約79億円)の資金提供に質問が集まった。経営者らは「資金の提供は寄付であり、一切の見返りは求めていない」との回答に終始した。そこには、自分たちは大統領らに圧力をかけられた被害者だとの思いすら見え隠れする。
・聴聞会では、政府と財閥の癒着の一端も示された。これまで、アジア通貨危機などの教訓から韓国では非公式に大統領と財閥トップが会談を持つことはないといわれてきた。しかし、聴聞会では複数の経営者が朴大統領と単独で面談したことを認めた。韓国の有力経済団体である全国経済人連合会(全経連)の会長は「政府の要請は断れない」と政府の圧力の強さを認め、財閥トップも同調した。また、サムスンの李副会長は、崔被告の娘の乗馬を資金面でサポートしたことは間違いだったと述べ、縁故にもとづいて一部の権力者と財界が強く結びついていた実態が、財閥トップの口から、直接、示された。
・これは、いまだに韓国経済が"クローニー・キャピタリズム"を基盤にしていることを示している。1997年のアジア通貨危機の折、韓国政府はIMFに支援を求め、事実上の国家破綻に陥った。表向き、韓国政府はIMFの要求に従い財閥を解体し、経済再生を進めた。しかし裏では、脈々と政府と財閥の癒着が続き、歴代大統領のスキャンダルが発覚してきた。今回の聴聞会で国民が政財界の実態を垣間見たことは、今後の改革を進めるために重要だ。
▽過去の教訓を生かせない韓国 「疑似資本主義」から脱却できるか
・韓国が真剣に考えるべきことは、今回のスキャンダルを朴大統領の辞任で終わらせてはいけないということだ。スキャンダルの全容を白日の下にさらし、公正な政治、経済体制を整備する足掛かりにしなければならない。1988年にも全斗煥(チョン・ドファン)元大統領の不正集金疑惑の追及のために同じような聴聞会が開かれた。その時も政財界の癒着問題に衆目の関心が集まったのだが、十分な改革、制度刷新にはつながらなかった。この点で、韓国は過去の教訓を生かし切れていない。
・政府と財閥の癒着が続く中、韓国では経済が成長しても国民全体の幸福感が高まらないという状況が続いてきた。資本主義経済では、企業家の成功への野心などがイノベーション=創造的破壊につながり、最適な資源の配分と所得の再分配が達成されてきた。これに対して、韓国の経済は政府と財閥が癒着し双方の利益が重視されてきた。財閥の中に入らない限り成長の恩恵は享受しづらく、公正に、所得を再分配する経済の機能も整備されてこなかった。実際、韓国の所得上位集中度を見ると上位10%に全体の所得の45%程度が集中しており、格差の固定化が懸念される。今回のスキャンダルを受けて、世論が為政者、財閥企業への批判を強めるのは当然の流れといえる。
・韓国経済が正当な資本主義の機能を備えるためには、政府と財閥の癒着の断絶、規制緩和による企業育成などの構造改革が不可欠だ。格差が固定化されてしまうと、社会全体の閉塞感が高まり「何をやってもダメ」という雰囲気が充満しやすい。そうなると、アニマルスピリット=成功や富を求める野心は高まらず、社会全体でイノベーションが進みづらくなる。中小企業の育成など公正な競争環境の整備が進まない限り、韓国が「疑似資本主義」というべき状況から脱却するのは難しそうだ。
▽韓国のスキャンダルは重要な反面教師
・構造改革を進め、成長の基盤を整備・強化するという課題は、韓国に限ったことではない。人口の減少と高齢化が進み、潜在成長率が低下傾向にあるわが国にとっても構造的な変革を進めることは重要だ。反対に、構造改革が進まないと社会全体の停滞感を払しょくし、活力を支えていくことは難しい。その点で、韓国のスキャンダルは重要な反面教師だ。
・公正な競争ルールを定め社会全体の発展を支えるためには、政治の機能が不可欠だ。規制緩和などを進めて競争を促すことが、効率的な労働力や資源の配分を通して潜在成長率の上昇につながる。それが社会全体の所得の増加と、民主主義を支える中産階級の厚みを支える。こうした変革がないと社会構造は一部の権力・富裕層とその他大勢の低所得者層に分かれ、政治は目先の支持獲得、大衆迎合に向かいがちになる。
・韓国の政治には、一貫した政策、中長期的な社会の安定への意思は感じられない。これまで多くの政治家が世論の満足感を高めるために、親中・反日姿勢を取ってきた。本来なら経済界からも要望の強い通貨スワップ協定などを通して日韓の関係を強化することが韓国社会の中長期的な安定につながるはずだ。同時に縁故を重視した財閥依存の経済運営も維持されてきた。輸出が伸び悩みスマートフォンに代わるヒット商品も見当たらない中、財閥主導の経済運営で社会の安定を実現することは難しい。朴大統領が「万事休す」の状態にある中、韓国の与野党は一致団結して原因を究明し、教訓を生かして公正な政治、経済に向けた改革を進めるべきだ。
・韓国の教訓をもとに、わが国も構造改革の重要性をしっかりと考え直すべきだ。労働市場の改革など、内外の経営者や投資家から求められてきた改革は多い。それを果敢に実行するかどうかで、中長期的な経済への見方、期待は大きく変わるだろう。米国、欧州で政治が短期的な民衆の利益を重視しがちになっている時だけに、中長期的な視点で経済基盤を強化する議論の重要性は増している。
http://diamond.jp/articles/-/111064

鈴置氏の連載記事はなかなか読みごたえがある。『盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領も弾劾訴追されましたが・・・この時に訴追の先頭に立ったのは当時、野党の指導者だった朴槿恵氏』、というのは運命のいたずらとしか言いようがない。『2010年頃から韓国メディアには「一流国家韓国」「世界で尊敬され称賛される韓国」「日本を超えた韓国」との言説が溢れ返るようになりました。 韓国は精神の高揚期に入った』、のに朴槿恵大統領が、『「先進国ではあり得ない事件」が起きたと考えた韓国人は恥じ入ったのです』、とは韓国人の感情の起伏の大きさに改めて驚かされた。『韓国では強い者が弱い者を徹底的に叩きます。その姿を周囲に見せてこそ、本当に強い存在となれるのです』、『「日本よりも韓国が上である」ことを自ら実感し、世界にも示すには「日本を叩く」ことが必要だったのです』、には心底驚いた。日本のにならず、欧米でも、「弱いものイジメは恥ずかしいこと」になっているが、こうした常識と真逆の考え方を持っている民族がいるとは・・・。これで、あの執拗な日本叩きの理由も分かった気がする。
今回の政変を、『世界4大革命の1つに』、というのも、自意識過剰がここまでくると「滑稽」でしかない。
真壁氏が 、『いまだに韓国経済が"クローニー・キャピタリズム"を基盤にしていることを示している。1997年のアジア通貨危機の折、・・・表向き、韓国政府はIMFの要求に従い財閥を解体し、経済再生を進めた。しかし裏では、脈々と政府と財閥の癒着が続き、歴代大統領のスキャンダルが発覚してきた。今回の聴聞会で国民が政財界の実態を垣間見たことは、今後の改革を進めるために重要』、というのは確かで、財閥も11月13日に取上げたように様々な問題を抱えている。『韓国の教訓をもとに、わが国も構造改革の重要性をしっかりと考え直すべきだ』、というのは同感だ。
タグ:国民が実感した財閥との癒着 影の権力者の暗躍、政権の恐喝、特権層のやりたい放題 日本を超えた韓国 自意識過剰 訴追の先頭に立ったのは当時、野党の指導者だった朴槿恵氏 過去の教訓を生かせない韓国 「疑似資本主義」から脱却できるか 「「名誉革命」と韓国紙は自賛するのだが 韓国は「世界の笑い者になった」 世界で尊敬され称賛される韓国 一流国家韓国 その頃から始まったジハード(聖戦)とも言うべき「卑日」運動には、そんな願いが込められているのです 国際政治の場でも「日本を超えた」と韓国人は確信 韓国が上になったことを世界に知らしめねばならぬ」との文脈の中で使います GDPも世界で10位近くの規模に膨らみ「統一すれば世界で5位の経済力を持つ」との見方が広がりました。1人当たりGDPでも日本に追いつきそうになりまし 韓国では強い者が弱い者を徹底的に叩きます。その姿を周囲に見せてこそ、本当に強い存在となれるのです 後進国の病 韓国は精神の高揚期に入ったのです 韓国経済は政治と癒着した「縁故資本主義」から脱却できるか ダイヤモンド・オンライン 真壁昭夫 悪を叩いて責任回避 大統領を弾劾に追い詰めた韓国のデモは、フランス革命に並ぶもの、と称えられ始めました 世界4大革命の1つに 高揚感から突然の自信喪失 国政壟断事件 崔順実 盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領も弾劾訴追 しかし裏では、脈々と政府と財閥の癒着が続き、歴代大統領のスキャンダルが発覚してきた 韓国のスキャンダルは重要な反面教師 退陣要求デモ わが国も構造改革の重要性をしっかりと考え直すべきだ 大統領が国会で弾劾訴追 朴槿恵 「美し過ぎた自画像」が呼んだ朴槿恵弾劾 韓国人は「一流国ではありえない事件」に怒った 日経ビジネスオンライン 鈴置高史 、(その2)(韓国人は「一流国ではありえない事件」に怒った、「名誉革命」と韓国紙は自賛、韓国経済は政治と癒着した「縁故資本主義」から脱却できるか) (朴槿恵大統領スキャンダル) 韓国 1997年のアジア通貨危機の折、韓国政府はIMFに支援を求め、事実上の国家破綻に陥った。表向き、韓国政府はIMFの要求に従い財閥を解体し、経済再生を進めた 、韓国の"クローニー・キャピタリズム(縁故を重視する資本主義)"の実体が白日の下に晒されるからだ
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