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その他公共交通(その1)(北海道「鉄道・バス」、利用者無視の公共交通政策 鈴木知事の支離滅裂な姿勢が混乱を招いた?、東京メトロが今年度いよいよ株式上場か?政治に翻弄された「民営化20年」) [産業動向]

今日は、その他公共交通(その1)(北海道「鉄道・バス」、利用者無視の公共交通政策 鈴木知事の支離滅裂な姿勢が混乱を招いた?、東京メトロが今年度いよいよ株式上場か?政治に翻弄された「民営化20年」)を取上げよう。

先ずは、本年4月2日付け東洋経済オンラインが掲載した 経済ジャーナリストの櫛田 泉氏による「北海道「鉄道・バス」、利用者無視の公共交通政策 鈴木知事の支離滅裂な姿勢が混乱を招いた?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/743468
・『鈴木直道知事の対応を巡って北海道議会では答弁が用意できないとして2024年2月28日に予定していた北海道議会が開催できず、異例の「延会」となる事態が発生した。北海道議会が「延会」となるのは記録が残る1967年以降、道政史上初の失態だ』、「北海道議会では答弁が用意できないとして2024年2月28日に予定していた北海道議会が開催できず、異例の「延会」となる事態が発生した。北海道議会が「延会」となるのは記録が残る1967年以降、道政史上初の失態」、みっともない事態だ。
・『議会軽視で自民会派と溝  問題となったのは、鈴木知事の北海道の観光振興予算に関する答弁。この答弁を巡り自民会派と事前の調整がつかなかったことが延会の原因だ。発端は、新年度の観光振興予算を巡る動きだった。当初は、「引き続きインバウンドの誘客のための海外への広報活動が必要」として26億円を要望しており道側からも前向きな回答を示されていたというが、実際に道議会の予算審議で提示された金額は14億円と半減されていた。これに対して、道の観光振興予算の大半を執行する北海道観光振興機構は新年度の予算が要求額よりも大幅に削減されたことに対して不満を抱いた。) この後、地元紙が報じたところによると、議会手続き前にもかかわらず鈴木知事は、札幌市内で同機構の小金澤健司会長と面会し、追加予算案などについて説明したという。鈴木知事のこうした行動を知事側の自民会派は問題視。「議会手続き前に特定団体に予算執行を予測させるようなことがあれば、議会軽視で看過できない」と遺憾の意を表明した。 このため、2月28日に予定していた第1回定例道議会では、鈴木知事の観光振興に関する答弁を巡り自民会派と道側の事前の調整がつかなくなったことから議会を開催できない状況となり、異例の「延会」となった。この日、自民会派の安住太伸幹事長は記者団に対し「知事は観光振興に力を入れると言ってきたが、具体的な中身が全く示されていない。知事を支えることが困難になりかねない」と述べている。 翌29日には議会は再開されたが、鈴木知事はこれを受け「外部への追加予算案の説明をしたといった事実はない」と答弁しているが、自民会派の中堅議員は「何も予算の話をしていないなんて誰も信じない」と苦笑した。また、野党側も「審議の根底が崩れることになる」と知事の行動を批判。道議会は荒れ模様となった』、「議会手続き前にもかかわらず鈴木知事は、札幌市内で同機構の小金澤健司会長と面会し、追加予算案などについて説明したという。鈴木知事のこうした行動を知事側の自民会派は問題視。「議会手続き前に特定団体に予算執行を予測させるようなことがあれば、議会軽視で看過できない」と遺憾の意を表明した。 このため、2月28日に予定していた第1回定例道議会では、鈴木知事の観光振興に関する答弁を巡り自民会派と道側の事前の調整がつかなくなったことから議会を開催できない状況となり、異例の「延会」となった」、完全に「鈴木知事」の不手際だ。
・『鈴木知事の支離滅裂な政策姿勢  鈴木知事は「観光振興に力を入れる」方針を示しているものの、2019年の知事就任前に市長を務めていた夕張市は観光振興とはかけ離れた状況に置かれている。 市長在任中だった2017年、夕張市所有の「ホテルマウントレースイ」「マウントレースイスキー場」など観光4施設を中国系企業に格安の2億4000万円で売却する。しかし、2019年にこの中国系企業は約15億円で観光4施設を香港系ファンドに転売し、その後、施設の運営会社は倒産した。このときの負債総額は8億3000万円であったが、一般債権者は全額を踏み倒され夕張市の経済が破壊されたことは2022年11月2日付記事(北の鉄路切り捨て鈴木知事「夕張市長時の問題点」)で詳しく触れている。「北海道の不動産取得を目的とした計画倒産だったのではないか」という疑念の声もいまだ絶えない。 現在は、「マウントレースイスキー場」はかろうじて営業を再開しているものの、スキー場に隣接した「ホテルマウントレースイ」は閉鎖したままだ。スキー場は、夕張市近隣から自家用車で訪れる地元客がまばらな状況で、インバウンドの波は及んでいない。こうした状況の中でも、夕張市は2024年の観光入込客数の目標を60万人としており、目標達成に向けて観光ホームページの更新、観光案内看板整備、市内観光マップの更新作業に取り組んではいる。しかし、2022年の観光入込客数は23万6000人にとどまっており、2023年12月6日に行われた夕張市の定例市議会で厚谷司市長は「目標達成は厳しい状況であることは事実」と答弁している。) なお、市長自らがJR北海道に対して石勝線夕張支線の廃線を提案した「攻めの廃線」前の2015年から2018年までは夕張市の観光入込客数は50万人台で推移していることから、「攻めの廃線」と「中国系企業への観光4施設の売却」がダブルパンチで夕張市の衰退に拍車をかけたといっても過言ではない。 こうした状況に対し、全国各地の地域が抱える問題に精通する日本総合研究所主席研究員の藻谷浩介氏は「多くの国では鉄道に乗ること自体が観光資源として認知されていることからインバウンド来訪の波は鉄道のある地域に波及しやすい傾向がある」と指摘する。 実際に北海道のインバウンド誘致は一定の成果を見せており、この冬の観光シーズンは札幌から函館や帯広、網走方面に向かう特急列車は大混雑となっていたほか、ニセコリゾートエリアの玄関口となる函館本線の倶知安―小樽間でも日中に通常運行される2両編成のH100形では途中の余市駅で乗客の積み残しが発生する事態が生じたことなどから、急きょ3両編成のキハ201系が投入され輸送力の増強が図られた。 さらに藻谷氏は、「北海道ではせっかく存在していた鉄道が廃止されてしまったために、優れた景観を持つにもかかわらずインバウンド来訪の波が及んでいない地域もあるのは残念だ。つい最近の廃止事例である日高本線などについては、維持を北海道だけの判断に任せず、インバウンド振興という国策的な観点から対処を考えるべきだったのではないか」と続けた』、「市長自らがJR北海道に対して石勝線夕張支線の廃線を提案した「攻めの廃線」前の2015年から2018年までは夕張市の観光入込客数は50万人台で推移していることから、「攻めの廃線」と「中国系企業への観光4施設の売却」がダブルパンチで夕張市の衰退に拍車をかけたといっても過言ではない」、「攻めの廃線」など言葉遊びに過ぎない。何故、こんな馬鹿な「廃線を提案」が行われたのだろう。「中国系企業への観光4施設の売却」も不透明だ。それにしても「鈴木知事の支離滅裂な政策姿勢」は大いに問題だ。
・『東京―名古屋間に匹敵する距離が廃線に  鈴木知事就任以降、道は北海道の鉄道維持のために積極的な財政支出をしようとはせず、北海道の鉄道ネットワークの破壊を続けている。知事就任以降に廃止された鉄道路線は2020年5月の札沼線(学園都市線)北海道医療大学―新十津川間47.6km、2021年4月の日高本線鵡川―様似間116.0km、2023年4月の留萌本線石狩沼田―留萌間35.7km、2024年4月の根室本線富良野―新得間81.7kmで、その総距離は297.1kmに及ぶ。さらに、2026年3月31日限りで留萌本線深川―石狩沼田間14.4kmも廃止となる見込みで、この距離を加えると311.5kmの鉄道路線が廃止となり、この距離は東海道新幹線の東京―名古屋間に匹敵する。 鉄道だけではない。北海道新幹線の並行在来線問題では道が廃止の方針を決めた函館本線の長万部―倶知安―小樽間140.2kmについて、近年深刻化するバスドライバー不足を背景にバス転換協議が中断に追い込まれた。鈴木知事には、北海道が全体的に活気づくような筋の通った政策立案を望みたいが、その思いは届くのだろうか』、「東京―名古屋間に匹敵する距離が廃線」と、「鈴木知事」は「廃線」で何を狙っているのだろうか。

次に、4月2日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した鉄道ジャーナリストの枝久保達也氏による「東京メトロが今年度いよいよ株式上場か?政治に翻弄された「民営化20年」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/339256
・『東京メトロは4月1日、民営化から20年の節目を迎えた。筆者が入社したのは民営化2年目のこと。当時、株式上場・完全民営化は「目前」とされたが、いまだ実現はしていない。前身である帝都高速度交通営団(営団地下鉄)から始まった、完全民営化への取り組みの歴史を振り返る』、興味深そうだ。
・『私鉄・東京地下鉄道から始まる東京の地下鉄史  東京メトロが創立20周年と聞いて、時間の流れの早さをしみじみと感じる。2017年まで同社に勤務していた筆者は、大学3年生だった2004年秋に就職活動を開始して「エントリー」すると、2005年春に試験、面談を行い、民営化2年目の2006年4月に入社した。 一つ上の代は、エントリー時点では帝都高速度交通営団(営団地下鉄)であり、二つ上の世代は、入社のタイミングで東京メトロに改組された「一期生」。そうなると、我々の世代こそが、採用のスタートから全て東京メトロだった「新世代」と言えるかもしれない。 営団地下鉄といってもピンと来ない人が増えているだろうから簡単に説明しておくと、東京の地下鉄史は1927年に開業した私鉄・東京地下鉄道に始まるが、やがて資金的な限界に直面したため、国の主導で特殊法人「帝都高速度交通営団」を設立した。 物々しい名前が示すように、戦時中に誕生した組織だったが、戦後も引き続き営団体制が存続。後に東京都も地下鉄建設に参入し、一つの都市に営団地下鉄と都営地下鉄という二つの地下鉄が存在することになった。 営団の民営化が唱えられるようになったのは1980年代初頭のことだ。オイルショック後の財政悪化を受けて、政府は1981年3月に「臨時行政調査会」を設置し、国鉄や電電公社(現NTT)など三公社五現業と特殊法人の整理、民営化方針を決定した。 その後、「臨時行政改革推進審議会(行革審)」が設置され、破綻状態に陥っていた国鉄を中心に議論を進めていったが、営団についても1986年、国鉄改革を踏まえ「国鉄の新経営形態移行時にあわせ、特殊会社に改組するとともに、できるだけ早く完全民営化すべきだ」との意見が出された。 そして最終答申に「5年以内に可及的速やかに特殊会社に改組し、地下鉄ネットワークがほぼ概成して、路線運営が主たる業務になる時点において、公的資本を含まない完全民営企業とする」との方針が盛り込まれ、営団の民営化が動き出した』、「東京の地下鉄史は1927年に開業した私鉄・東京地下鉄道に始まるが、やがて資金的な限界に直面したため、国の主導で特殊法人「帝都高速度交通営団」を設立した。 物々しい名前が示すように、戦時中に誕生した組織だったが、戦後も引き続き営団体制が存続。後に東京都も地下鉄建設に参入し、一つの都市に営団地下鉄と都営地下鉄という二つの地下鉄が存在することになった・・・「臨時行政改革推進審議会(行革審)」が設置され、破綻状態に陥っていた国鉄を中心に議論を進めていったが、営団についても1986年、国鉄改革を踏まえ「国鉄の新経営形態移行時にあわせ、特殊会社に改組するとともに、できるだけ早く完全民営化すべきだ」との意見が出された。 そして最終答申に「5年以内に可及的速やかに特殊会社に改組し、地下鉄ネットワークがほぼ概成して、路線運営が主たる業務になる時点において、公的資本を含まない完全民営企業とする」との方針が盛り込まれ、営団の民営化が動き出した」、なるほど。
・『完全民営化へのステップである特殊法人  前述のように営団は、民営企業では負担できない莫大な建設費を公的な信用を背景に調達し、新線建設を促進するために設立された。建設が終了し、「路線運営が主たる業務」になれば民営企業になっても差し支えない、というわけだ。 なおここでいう特殊会社とは、公益上の目的のため法律によって設立された株式会社を指す。特定の政策を遂行するために設置された、完全民営化を前提としない特殊会社もあるが、特殊法人民営化の過程で設置される特殊会社は、完全民営化の第一段階に位置づけられる。) 特殊会社は形式上、民営会社だが、国や自治体が保有株式をすべて売却した時点で「完全民営化」となる。内実の見えない特殊法人がそのまま株を売り出しても投資家は尻込みするだろう。そこで民営形態のもと安定的な利益を継続的に確保できる会社とした上で、株を市場に放出する。特殊会社はそのステップだ。 JR東日本・JR西日本・JR東海・JR九州も、国鉄民営化当初は国が全株式を保有する特殊会社だったが、全株式を売却した。一方、経営再建中のJR北海道・JR四国は特殊会社のままである。そして東京メトロもまた、国と都が全株式を保有する特殊会社である(都営地下鉄がありながら営団にも出資していた経緯はややこしいのでここでは省く)』、「特殊会社は形式上、民営会社だが、国や自治体が保有株式をすべて売却した時点で「完全民営化」となる。内実の見えない特殊法人がそのまま株を売り出しても投資家は尻込みするだろう。そこで民営形態のもと安定的な利益を継続的に確保できる会社とした上で、株を市場に放出する。特殊会社はそのステップだ」、なるほど。
・『新線建設の終了と表裏一体だった営団民営化  こうして動き出した営団民営化だが、すぐに足踏みとなる。当時、着工したばかりの7号線(南北線)に加え、1985年の運輸政策審議会答申第7号に盛り込まれた11号線(半蔵門線)の押上延伸、13号線(副都心線)の計画が浮上し、「地下鉄ネットワークの概成」には時間を要することが見えてきたからだ。 政府は「5年以内」の期限を目前にした1990年12月、「可及的速やかに特殊会社への改組を図るため、その具体的措置等について検討する」と目標を棚上げしたが、1995年に、「帝都高速度交通営団については完全民営化する。その第一段階として現在建設中の7号線、11号線が完成した時点をめどに特殊会社化を図る」と具体的な目標を設定した。 2000年9月に南北線が全通し、2003年春に半蔵門線押上開業のめどが立ったことで、国土交通省と営団は、押上開業からおおむね1年後の特殊会社化を要望。2001年12月の閣議決定「特殊法人等整理合理化計画」に、2004年春の特殊会社化が明記された。 上述のように、営団民営化とは新線建設の終了と表裏一体であったが、営団は1999年になって地下鉄13号線の免許を申請し、さらなる新線建設に乗り出している。13号線の計画自体は1972年から存在したが、東京の地下鉄整備は12号線(都営大江戸線)で建設は終了する予定だった。ところが小渕恵三内閣が1998年に策定した「緊急経済対策」で状況は変わった。補正予算に13号線が盛り込まれ、「最後の新線」が動き出したのである。 ただ7号線、11号線のケースとは異なり、13号線建設は民営化スケジュールとは切り離された。2004年に東京メトロが発足した後も建設工事は続き、2008年6月に副都心線として開業。営団時代からの新線建設はようやく完了した。 国鉄の事例に見られるように、民営化の象徴といえるのが関連事業の展開だ。公営鉄道は公的な資金を投入して建設、営業するため、公有資産を用いた金もうけは公営の趣旨に反するとともに、民業圧迫になるとして関連事業は制約されている。 ただ民営鉄道事業者がルーツで、設立当初は民間資本を導入していた営団は、国鉄と比べて規制は緩く、古くから子会社を通じて駅ビルなどの経営を行っていた。 民営化方針が示された1986年には、公益上支障がない限りという条件で業務範囲の大幅な拡大が認められ、東急・京王と共同で開発した「渋谷マークシティ」や、「メトロ・エム後楽園」「ベルビー赤坂」などの駅併設商業施設、高架下店舗、光ファイバー賃貸事業などを展開している。 帝都高速度交通営団法は、国鉄やJR、NTTなど各特殊会社の会社法よりも規制が緩かったが、民営化でさらに緩和され、関連事業の展開や社債の募集、事業計画の策定が認可事項ではなくなった。これがおおむね、民営化直前の流れである』、「民営鉄道事業者がルーツで、設立当初は民間資本を導入していた営団は、国鉄と比べて規制は緩く、古くから子会社を通じて駅ビルなどの経営を行っていた。 民営化方針が示された1986年には、公益上支障がない限りという条件で業務範囲の大幅な拡大が認められ、東急・京王と共同で開発した「渋谷マークシティ」や、「メトロ・エム後楽園」「ベルビー赤坂」などの駅併設商業施設、高架下店舗、光ファイバー賃貸事業などを展開している。帝都高速度交通営団法は、国鉄やJR、NTTなど各特殊会社の会社法よりも規制が緩かったが、民営化でさらに緩和され、関連事業の展開や社債の募集、事業計画の策定が認可事項ではなくなった。これがおおむね、民営化直前の流れである」、なるほど。
・『完全民営化を遠ざけた石原都政の「地下鉄一元化」論  筆者が東京メトロに入社した2006年、社内は「民営化」に高揚していた。国鉄民営化が議論から決定まで数年で駆け抜けたのに対し、営団は20年弱を要した。民営化方針が固まった1980年代後半以降に入団(営団時代は入社ではなく入団といった)した総合職は、既に課長級になっていたのである。 東京地下鉄株式会社法は付則に「できる限り速やかにこの法律の廃止、その保有する株式の売却その他の必要な措置を講ずるものとする」と定めていた。関連事業の積極的な展開で経営基盤を確立し、最後の新線である副都心線が開業すれば、いよいよ株式上場し、完全民営化が達成される。それは間近であると思われた。 ところが副都心線開業の2年後、そろそろ上場というタイミングで石原都政がぶち上げたのが「地下鉄一元化」論だ。この問題はさまざまなプレーヤーが、時期ごとに異なる思惑を持って関与したので、本稿では立ち入らない。重要なのは、目前にあったはずの完全民営化が遠ざかってしまったという事実だ。 しばしば勘違いされるが、株式上場は株主が決めることである。もちろん会社側も上場に備えた準備をしなければならないのだが、最終的に株主が売らないと言えば上場はできない。東京メトロの株式は国が53.4%、都が46.6%という絶妙のバランスで保有しており、かろうじて国が主導権を握っている。国だけ売却すれば、都が東京メトロを支配しかねない。 その後、猪瀬都政、舛添都政、小池都政と変遷する中で「一元化論」は後退したが、都はメトロ株を国に対する交渉カードとして使い、落としどころとして「売却を受け入れる見返り」を模索してきた。 この辺りの経緯は過去記事で取り上げたので詳細は省くが、副都心線で打ち止めだったはずの地下鉄新線建設を東京メトロが引き受ける代わりに、都が株式売却を認め、国と都がひとまず保有株の半分ずつを売却することになった。 都は2024年度予算にメトロ株の売却に関する費用を計上し、売却に向けた準備が本格化している。株式市場は日経平均4万円を超える好況で、条件が良いうちに売却したいだろうから、くしくもメトロが創立20周年を迎える今年度に上場が実現するかもしれない』、「副都心線開業の2年後、そろそろ上場というタイミングで石原都政がぶち上げたのが「地下鉄一元化」論だ。この問題はさまざまなプレーヤーが、時期ごとに異なる思惑を持って関与したので、本稿では立ち入らない。重要なのは、目前にあったはずの完全民営化が遠ざかってしまったという事実だ。その後、猪瀬都政、舛添都政、小池都政と変遷する中で「一元化論」は後退したが、都はメトロ株を国に対する交渉カードとして使い、落としどころとして「売却を受け入れる見返り」を模索してきた・・・副都心線で打ち止めだったはずの地下鉄新線建設を東京メトロが引き受ける代わりに、都が株式売却を認め、国と都がひとまず保有株の半分ずつを売却することになった。 都は2024年度予算にメトロ株の売却に関する費用を計上し、売却に向けた準備が本格化している。株式市場は日経平均4万円を超える好況で、条件が良いうちに売却したいだろうから、くしくもメトロが創立20周年を迎える今年度に上場が実現するかもしれない」、「今年度に上場が実現するかもしれない」、というのは初めて知った。
・『上場後のビジョンが見えない東京メトロ  ただ外部から見た東京メトロは、あまり変わったように思えない。3月25日発表の「2024年度事業計画」は、安全対策に309億円、旅客サービスに362億円など、計1146億円の設備投資予算を策定。うち約3割(約350億円)を新規不動産取得・開発、自動運転、技術開発などの「成長投資」に使うとしている。 個別の項目には「DX」や「ESG」などはやりのワードは並ぶが、結局はキャッシュフローの多くを鉄道の機能強化に振り向けており、関連事業(都市・生活創造事業)への投資は1割強。物件は変わってもメニュー自体は代わり映えしない。これでは上場しても何かが変わるとは思えない。 だが、それも仕方のない話なのかもしれない。メトロ(営団)にとって、上場とは国策として決まった話であり、上場自体が目的であり目標だった。もちろん社会的な信用が高まるとか、株式市場から資金調達が可能になるとか、それらしい目的を立てることはできるのだが、上場しなければ困る理由はなく、その先の明確なビジョンが見えない。 都心の地下を走る地下鉄はビジネスの可能性が無限と思われがちだ。しかし、莫大な建設費がかかる地下鉄は、なるべく自社用地を持たず、設備は必要最小限で建設するため、自由に使える資産は実は少ない。 変電所など業務用地に施設を一体化したビルの建設は、可能な範囲で終わっている。新規にビルを建てるとなると、新規の土地取得や周辺地権者との連携が不可欠なので、鉄道事業者としてのアドバンテージはほぼない。 「Echika」などの駅構内開発も、都合のいいスペースはほぼ使い切っており、また、地下を掘って新規のスペースを作るなどということは到底、採算が合わない。地上に豊富な土地を保有するJRとは条件が全く異なるのである。 これは筆者が在籍していた頃から感じていたことであり、実際に社内の一部にもそういう空気は漂っていた。上場という「ゴール」が見えてきた今、東京メトロはどのような会社になり、どのような事業を展開したいのか、投資家ならずともビジョンを問う声はますます高まることだろう』、「新規にビルを建てるとなると、新規の土地取得や周辺地権者との連携が不可欠なので、鉄道事業者としてのアドバンテージはほぼない。 「Echika」などの駅構内開発も、都合のいいスペースはほぼ使い切っており、また、地下を掘って新規のスペースを作るなどということは到底、採算が合わない。地上に豊富な土地を保有するJRとは条件が全く異なるのである・・・上場という「ゴール」が見えてきた今、東京メトロはどのような会社になり、どのような事業を展開したいのか、投資家ならずともビジョンを問う声はますます高まることだろう』、どうも、「上場」しても余り変わりばえしなさそうだ。これは、株式の評価額にも影響するだろう。  
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