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イスラエル・パレスチナ(その3)(やり過ぎたイスラエル 守りきれなくなった米バイデン政権が初めて安保理停戦決議の成立許す、攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像、意外と早かったイスラエルの「報復」が意味する事 「暗黙のルール」に基づいた報復の応酬だが…) [世界情勢]

イスラエル・パレスチナについては、本年1月20日に取上げた。今日は、(その3)(やり過ぎたイスラエル 守りきれなくなった米バイデン政権が初めて安保理停戦決議の成立許す、攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像、意外と早かったイスラエルの「報復」が意味する事 「暗黙のルール」に基づいた報復の応酬だが…)である。

先ずは、本年3月26日付けNewsweek日本版「やり過ぎたイスラエル、守りきれなくなった米バイデン政権が初めて安保理停戦決議の成立許す」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2024/03/post-104081_1.php
・『<バイデン米政権は3月25日、「重要な同盟国」イスラエルのネタニヤフ首相が設定した一線をとうとう越えた。すでに3万人以上の民間人が犠牲になったガザへ、さらに地上侵攻を仕掛けようという暴挙は止められるのか> ジョー・バイデン米政権は3月25日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が設定した一線を越えた。 AP通信の報道によれば、国連安全保障理事会(以下安保理)で25日に行われた停戦決議の採択で、アメリカはイスラエルが求めていた「拒否」ではなく棄権を選択した。パレスチナ自治区ガザにおけるイスラエルとハマスの戦闘の停止、および、ハマスが拘束する人質全員の解放を要求するものだ。 米国が拒否ではなく棄権票を投じたため、停戦決議は初めて可決された。バイデンはガザ地区の人道状況を懸念しており、長らく緊密な同盟国と見なされてきた米国とイスラエルの関係は緊張感を増している。 【動画】水や電気を無目的に使い、ケチャップで血を演出...苦しむガザ住民をあざ笑うイスラエルのインフルエンサーたち ネタニヤフは25日、国連決議採択の前に、バイデン政権に最後通達を行い、もし米国が拒否権を行使しなければ、イスラエル代表団の訪米を中止すると警告した、とイスラエル紙タイムズ・オブ・イスラエルは報じている。 タイムズ・オブ・イスラエルによれば、ツァヒ・ハネグビ国家安全保障顧問とロン・デルメル戦略問題担当相はアメリカを訪問し、ガザにおける人道援助の拡大について意見を交わすことになっていた。 しかし停戦決議の採択後、ネタニヤフ政権はイスラエル代表団の訪米を中止した。そして、「開戦以来、アメリカは安保理で一貫した立場をとってきたが、(投票の棄権は)明らかな後退」であり、「国際的な圧力によって、人質を解放することなく停戦できるという希望をハマスに与える」ものだと断じた』、「国連安全保障理事会(以下安保理)で25日に行われた停戦決議の採択で、アメリカはイスラエルが求めていた「拒否」ではなく棄権を選択した・・・米国が拒否ではなく棄権票を投じたため、停戦決議は初めて可決された。バイデンはガザ地区の人道状況を懸念しており、長らく緊密な同盟国と見なされてきた米国とイスラエルの関係は緊張感を増している・・・ネタニヤフ政権はイスラエル代表団の訪米を中止した。そして、「開戦以来、アメリカは安保理で一貫した立場をとってきたが、(投票の棄権は)明らかな後退」であり、「国際的な圧力によって、人質を解放することなく停戦できるという希望をハマスに与える」ものだと断じた」、なるほど。
・『「正当防衛」を主張するイスラエル  2023年10月7日、ハマスがイスラエルに攻撃を仕掛けた結果、1200人のイスラエル人が犠牲になり、250人が人質として拘束された。現在も100人以上が拘束されている、とイスラエルは述べている。イスラエルは、ハマスの指導者たちを標的とし、人質を取り戻すという目標を掲げ、ガザ攻撃を開始。これまでに3万人以上のパレスチナ人たちが殺された。 バイデンは、イスラエルの重要な同盟国を自認しており、イスラエルには自国を守りハマスを追い詰める権利があると認める一方、ガザにおける民間人の死者数についても懸念も表明してきた。 世界のほかのリーダーに比べると、バイデンは恒久的な停戦を強く求めるまでには至っていないが、それでも、イスラエルに対しより慎重な対応を促すようになっており、ネタニヤフと食い違いが生じている。11月に大統領選挙を控えた国内でも、パレスチナの人道状況を懸念する民主党支持者からの圧力に直面している。) バイデンとネタニヤフはさらに、ガザ南端の都市ラファへの攻撃を開始すべきか否かでも意見が対立していた。エジプトとの国境に位置するラファには、開戦以来、南に避難するようイスラエルから指示された100万人以上のパレスチナ人が過密状態で暮らしている。 ロイターの報道によれば、ネタニヤフは3月18日のバイデンとの電話会談で「ラファにいるハマス戦闘員を排除すると決意しており、地上侵攻以外に方法はない」ことを「非常に明確に」伝えたという。 米国家安全保障問題担当大統領補佐官のジェイク・サリバンもこの会談後、ラファへの「大規模な地上作戦」は「間違い」とコメントしている』、「これまでに3万人以上のパレスチナ人たちが殺された」、犠牲者数は予想以上に多いようだ。「バイデンは、イスラエルの重要な同盟国を自認しており、イスラエルには自国を守りハマスを追い詰める権利があると認める一方、ガザにおける民間人の死者数についても懸念も表明してきた。 世界のほかのリーダーに比べると、バイデンは恒久的な停戦を強く求めるまでには至っていないが、それでも、イスラエルに対しより慎重な対応を促すようになっており、ネタニヤフと食い違いが生じている。11月に大統領選挙を控えた国内でも、パレスチナの人道状況を懸念する民主党支持者からの圧力に直面している。) バイデンとネタニヤフはさらに、ガザ南端の都市ラファへの攻撃を開始すべきか否かでも意見が対立している』、「ネタニヤフ」にすれば、トランプ大大統領が再登場するまでの我慢なのかも知れない。

次に、4月15日付けNewsweek日本版「攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2024/04/post-104263_1.php
・『<イランが発射した大量の無人機とミサイルを、イスラエルの防空システム「アイアンドーム」が黙らせた> 4月13日にイランはイスラエル領内に大規模攻撃を仕掛けたが、ソーシャルメディア上で共有されているライブ映像や動画は、イランのドローンやミサイルをイスラエルの防空システムが迎撃している模様を伝えている。 【動画】宇宙戦争!? イラン無人機とミサイルの大規模波状攻撃を黙らせたイスラエルの最強の盾「アイアンドーム」 イスラエル国防軍は13日、イランが自国領土内からドローンをイスラエルに向けて発射したことを本誌に対して認めた。 イスラエル国防軍によれば、ミサイル防衛システム「アイアンドーム」を含むイスラエルの防空システムは、イランの無人機による攻撃に備えていた。イランによる今回の無人機攻撃は、4月初めにイラン革命防衛隊の将官2人が殺害されたイスラエルによる空爆に対する報復だ。 CNNが放映したエルサレムからの映像では、イスラエルの防空システムがイランの無人機を迎撃しているように見える。X(旧ツイッター)に投稿された約2分間の映像では、サイレンが鳴り響くなか、イスラエルの都市上空で爆発が起き、明るい閃光が走る様子も見える。 「上空で複数の異なる方向からの迎撃が続いている」と、CNNの国際外交担当編集者ニック・ロバートソンは13日の夜に報告した。「どれが飛来するミサイルで、どれが迎撃ミサイルなのか、区別がつかない」』、「CNNが放映したエルサレムからの映像では、イスラエルの防空システムがイランの無人機を迎撃しているように見える」、やはり「防空システム」は完璧なようだ。
・『夜空で起きた戦闘  ロバートソンは、20〜30発のミサイルが迎撃されたところを目撃したと語った。 「何度も爆発音が聞こえる。これもまた迎撃ミサイルによる音のようだ」と、彼は言う。「攻撃ミサイルによる衝撃音は聞こえない」 ソーシャルメディア・ユーザーのAcynは、CNNの映像をXに投稿し、こうコメントした。「これはライブ映像だ。見えているものが何か、正確にはわからないが、空にいくつも筋が見える」 タイムズ・オブ・イスラエルの軍事特派員エマニュエル・ファビアンがXに投稿した別の動画には、エルサレム上空での爆発が映っている。 エルサレムにある神殿の丘の上空で起きたイランの攻撃のシュールな映像」と、ファビアンはコメントした。 「イスラエル国防軍は厳戒態勢を敷き、常に作戦状況を監視している」とイスラエル軍は13日、本誌に声明で答えた。「イスラエル空域で防衛任務に就いているイスラエル航空宇宙軍(IAF)戦闘機やイスラエル海軍の艦船とともに、国防軍の空中防衛システムは厳戒態勢にある。イスラエル国防軍はすべての標的を監視している。国民には、民間防衛軍司令部の指示と、この件に関するイスラエル国防軍の公式発表に従うことを求めている」) イランがイスラエルに報復を予告し、13日に実際に攻撃を行ったきっかけは、4月初めにシリアでイランの将官2人と士官5人を殺害したイスラエルの攻撃だった。 2023年10月7日に、パレスチナのイスラム組織ハマスがイスラエルに奇襲をかけ、1200人を殺害して以来、イスラエルとハマスの戦闘が始まった。以来、イスラエルとイランの緊張は高まっている。イスラエルは、ガザ地区に潜むハマスを標的に作戦を開始。地元の保健当局者によれば、パレスチナ人3万3000人以上が殺害された。 アメリカとイスラエルの両政府高官は、イランがハマスやイスラム聖戦機構だけでなく、レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派、イラクやシリアの諸勢力など、海外の民兵組織に政治的、物質的な支援を提供していると非難している』、「アメリカとイスラエルの両政府高官は、イランがハマスやイスラム聖戦機構だけでなく、レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派、イラクやシリアの諸勢力など、海外の民兵組織に政治的、物質的な支援を提供していると非難」、確かに「イラン」は中東で台風の目のような存在のようだ。

第三に、4月19日付け東洋経済オンラインが掲載したジャーナリスト・中東料理研究家の池滝 和秀氏による「意外と早かったイスラエルの「報復」が意味する事 「暗黙のルール」に基づいた報復の応酬だが…」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/749303
・『イスラエルは、イランによる初めての領内を狙った直接攻撃に対して「限定的」な報復攻撃を行った。イランのライシ大統領は、イスラエルから攻撃があれば、「大規模かつ激しい報復を行う」と宣言しており、今度はイランの対応が焦点となる。 イスラエルの攻撃やイランの被害状況の全貌は明らかではないものの、イランはドローン3機を迎撃したとして、報復に値するような攻撃だったとは認識しない可能性がある。 イスラエルの戦時内閣は、国内世論や抑止力確保の観点から報復方針を決定したが、ガザ戦争を進める中で事態をエスカレートさせて二正面作戦を強いられたり、対米関係が悪化したりするのを避けるため、苦肉の策としてメッセージ性を込めた形式的な報復攻撃を選択したもようだ』、「イスラエルの戦時内閣は、国内世論や抑止力確保の観点から報復方針を決定したが、ガザ戦争を進める中で事態をエスカレートさせて二正面作戦を強いられたり、対米関係が悪化したりするのを避けるため、苦肉の策としてメッセージ性を込めた形式的な報復攻撃を選択」、報復合戦は両国間紛争の特徴なのかも知れない。
・『双方とも領内攻撃能力を誇示  4月1日のイスラエルによる在シリア・イラン大使館でイラン精鋭部隊、革命防衛隊司令官ら7人が殺害された空爆に端を発した両国間の衝突は、報復合戦の様相を呈しているが、今のところ、慎重に制御された中で報復作戦が展開されていると見るべきだろう。 両国の対立は今に始まったものではない。イスラエルは昨年10月にイランの支援を受けるパレスチナのイスラム組織ハマスの奇襲攻撃を受け、1200人以上が殺害された。イランはハマスに武器や資金を提供しているほか、レバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラも強力に支援しており、水面下での対立が続いてきた。) 今局面で事態がエスカレートする発端になったのは在シリア・イラン大使館への空爆だった。イスラエルは、ヒズボラやハマスへの支援に関わる革命防衛隊は「テロリスト」だとして大使館攻撃を正当化したが、イランは国際法違反だとして激しく反発した。 イランは13~14日にかけてイスラエル領内に弾道ミサイルやドローンなど300発以上を撃ち込む派手な報復攻撃に出たが、報復を宣言したり周辺国に事前通告したりして、大きな被害が出ないような措置を講じていた。 さらに、イスラエルの軍事基地を狙い、民間人にも犠牲が出ないよう配慮するなど、大使館空爆の報復としてあくまでも軍事的な標的に限定された報復攻撃との姿勢を明確にした。 イスラエルの攻撃も、報復というよりもメッセージ性の強いものだったようだ。イスラエル当局者は米紙ワシントン・ポストに対し、ドローン攻撃はイスラエルがイラン領内を攻撃できるというメッセージを送るものだったと語った』、「イスラエルの攻撃も、報復というよりもメッセージ性の強いものだったようだ。イスラエル当局者は・・・ドローン攻撃はイスラエルがイラン領内を攻撃できるというメッセージを送るものだったと語った」、「イスラエルの攻撃も、報復というよりもメッセージ性の強いものだったようだ」、なるほど。
・『イランが激怒した理由  イランのアハマディネジャド大統領(当時)は「イスラエルを地図上から消し去る」と発言するなどイランはイスラエルを敵視し、両国は厳しく対立してきた。イスラエルはイラン人核技術者などを狙った暗殺作戦をイラン国内で実施したり、サイバー攻撃でイラン核施設や軍事施設などに破壊工作を仕掛けたりしてきた。 イスラエルという軍事強国に対してイランは匿名の攻撃やゲリラ戦術による「非対称戦」で応じ、イスラエル関連船舶や親イラン勢力を使ってイスラエルへ攻撃するなど対立は暗黙のルールに基づいて行われてきた。) しかし、4月1日の在シリア・イラン大使館への攻撃はイランが「国際法違反だ」と強く反発するように、イランはイスラエルがこれまでのルールを逸脱してきたと捉えた。 シリア領内でのイスラエルによるイラン関連の標的を狙った攻撃はこれまでも繰り返されてきたが、イランは無視するか、親イラン勢力による小規模な報復を実施するのにとどめてきた。 だが、在シリア・イラン大使館への攻撃は、大使館にいた革命防衛隊司令官が殺害されるなどイラン側の衝撃は大きく、イランは国内世論的にも看過できず、イスラエルを助長させないためにも報復の必要性に迫られた』、「4月1日の在シリア・イラン大使館への攻撃はイランが「国際法違反だ」と強く反発するように、イランはイスラエルがこれまでのルールを逸脱してきたと捉えた。 シリア領内でのイスラエルによるイラン関連の標的を狙った攻撃はこれまでも繰り返されてきたが、イランは無視するか、親イラン勢力による小規模な報復を実施するのにとどめてきた。 だが、在シリア・イラン大使館への攻撃は、大使館にいた革命防衛隊司令官が殺害されるなどイラン側の衝撃は大きく、イランは国内世論的にも看過できず、イスラエルを助長させないためにも報復の必要性に迫られた」、確かに緊張は質的にも一段高まったようだ。
・『アメリカとイスラエル関係悪化に便乗  イスラエルがルールを破ったと認識したイランは、倍返し的にイスラエルに大規模な攻撃を仕掛けたが、あくまでもイラン大使館空爆への報復であり、民間人に犠牲を出さないなど慎重に計算されたものだった。報復以上の意図はなく事態をエスカレートさせるつもりもないとのメッセージを送っていた。 その上でイスラエルが報復攻撃を行えば、大規模に反撃するとして事態の収拾を図っていた。イランには、イスラエルがガザ戦争でハマス掃討作戦に手こずり、強固な同盟関係にあるアメリカとイスラエルの間がぎくしゃくしてバイデン政権のイスラエルに対する不信感が強まっているとの読みもあった。 実際、バイデン大統領はイスラエルのイラン攻撃に反対する姿勢を示し、イスラエルが攻撃したとしてもアメリカは攻撃に加わらないとの方針を明確にした。) イスラエルのネタニヤフ首相は、バイデン大統領との関係が良好とは言えず、トランプ氏の大統領再選に期待しているとみられるが、バイデン大統領を完全に黙殺して同盟関係を危機に陥らせることもできないだろう。 バイデン大統領が明確にイランへの報復に反対する中、大規模な報復に出れば同盟関係に亀裂を生じかねさせず、報復しなければイランに見くびられてしまうことから、アメリカ・イスラエル関係を損なわず、さらにはイランに対しても、いつでも大規模な攻撃を仕掛けられるというメッセージ性を送るような報復にとどめたようだ』、「バイデン大統領が明確にイランへの報復に反対する中、大規模な報復に出れば同盟関係に亀裂を生じかねさせず、報復しなければイランに見くびられてしまうことから、アメリカ・イスラエル関係を損なわず、さらにはイランに対しても、いつでも大規模な攻撃を仕掛けられるというメッセージ性を送るような報復にとどめたようだ」、「報復」にも微妙な「メッセージ性」が込められているようだ。
・『これで「幕引き」とはならない可能性も  ただ、イスラエルは過去にサイバー攻撃など水面下の戦いでイランを攻撃してきたことから、今局面がこれにて幕引きとはならないことも想定しておくべきだろう。 イランの攻撃は史上初のイスラエル領内への直接攻撃であり、規模も大きかった。このため、イスラエルの報復としては不十分であり、複数回に分けるか、手法を変えるかしてイランに打撃を与えてくることも考えておく必要がある。 イランのイスラエル攻撃はルールの逸脱を許さないというメッセージであり、報復の標的も軍事関連に限られた。イスラエルも、イランの軍事関連施設を標的にしたと伝えられ、報復の応酬となっている双方の衝突は一定のルールが守られている形だ。 イランの核開発は表向きにはエネルギー開発など非軍事との位置付けで、仮にイスラエルが核関連施設を攻撃したとなると、非軍事かつ国益に関わる標的が狙われたことになり、イランとしても、新たな報復に出ざるを得ない。イランの核施設が報復攻撃の標的になったとの情報はなく、今のところは想定される枠内に対立が収まっていると言えよう。) ただ、暗殺作戦や代理戦争という両国間の「影の戦争」が、直接的に攻撃し合う形で激化していることは間違いなく、想定よりも大きな被害が偶発的に出たり、市民が巻き込まれたりすれば、制御不能な事態に陥る恐れもある。 両国の言辞が過激化の一途を辿っていることも不安材料だ。イランの核開発は核爆弾製造の意図があることがほぼ周知の事実になっているが、イラン政府の公式見解は核爆弾などの大量破壊兵器の保有はイスラム教的に禁止されているというものである。最高指導者のファトワ(宗教令)によれば、いかなる種類の大量破壊兵器の製造や使用もハラーム(禁止されるものや行為)だ。 革命防衛隊の幹部は18日、イスラエルがイランの核施設に脅威を与え続けるなら、国際原子力機関(IAEA)との協力を停止し、従来の方針を転換して核爆弾を製造するとの考えを表明した。イランは、ウラン濃縮の技術を兵器級レベルまで高めており、核爆弾の製造は数カ月で可能な段階にあるとされている。 イスラエルに対する直接攻撃では弾道ミサイルがイスラエル軍基地に着弾しており、こうしたミサイルに核弾頭が搭載されれば、国土が小さいイスラエルは存続が脅かされるほどの被害を受けることになる。 イスラエルは、イランの核兵器保有を許さないとの断固たる姿勢を示しており、過去にはイラクやシリアの原子炉を空爆して核兵器開発を阻止してきた。イランの核関連施設への空爆の危険性はますます高まり、そうした場合は全面的な戦争に発展するだろう。 両国間の対立は依然として暗黙の理解に基づく制御可能な状態にとどまっているが、わずかな計算ミスや誤解、誤算により制御不能に陥ってもおかしくない極めて危険な水準に達している』、「イスラエル」と「イラン」の「間の対立は依然として暗黙の理解に基づく制御可能な状態にとどまっているが、わずかな計算ミスや誤解、誤算により制御不能に陥ってもおかしくない極めて危険な水準に達している」微妙なバランスの上にかろうじて均衡しているようだ。
タグ:「国連安全保障理事会(以下安保理)で25日に行われた停戦決議の採択で、アメリカはイスラエルが求めていた「拒否」ではなく棄権を選択した・・・米国が拒否ではなく棄権票を投じたため、停戦決議は初めて可決された。バイデンはガザ地区の人道状況を懸念しており、長らく緊密な同盟国と見なされてきた米国とイスラエルの関係は緊張感を増している・・・ Newsweek日本版「やり過ぎたイスラエル、守りきれなくなった米バイデン政権が初めて安保理停戦決議の成立許す」 (その3)(やり過ぎたイスラエル 守りきれなくなった米バイデン政権が初めて安保理停戦決議の成立許す、攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像、意外と早かったイスラエルの「報復」が意味する事 「暗黙のルール」に基づいた報復の応酬だが…) イスラエル・パレスチナ ネタニヤフ政権はイスラエル代表団の訪米を中止した。そして、「開戦以来、アメリカは安保理で一貫した立場をとってきたが、(投票の棄権は)明らかな後退」であり、「国際的な圧力によって、人質を解放することなく停戦できるという希望をハマスに与える」ものだと断じた」、なるほど。 「これまでに3万人以上のパレスチナ人たちが殺された」、犠牲者数は予想以上に多いようだ。「バイデンは、イスラエルの重要な同盟国を自認しており、イスラエルには自国を守りハマスを追い詰める権利があると認める一方、ガザにおける民間人の死者数についても懸念も表明してきた。 世界のほかのリーダーに比べると、バイデンは恒久的な停戦を強く求めるまでには至っていないが、それでも、イスラエルに対しより慎重な対応を促すようになっており、ネタニヤフと食い違いが生じている。 11月に大統領選挙を控えた国内でも、パレスチナの人道状況を懸念する民主党支持者からの圧力に直面している。) バイデンとネタニヤフはさらに、ガザ南端の都市ラファへの攻撃を開始すべきか否かでも意見が対立している』、「ネタニヤフ」にすれば、トランプ大大統領が再登場するまでの我慢なのかも知れない。 Newsweek日本版「攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像」 「CNNが放映したエルサレムからの映像では、イスラエルの防空システムがイランの無人機を迎撃しているように見える」、やはり「防空システム」は完璧なようだ。 「アメリカとイスラエルの両政府高官は、イランがハマスやイスラム聖戦機構だけでなく、レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派、イラクやシリアの諸勢力など、海外の民兵組織に政治的、物質的な支援を提供していると非難」、確かに「イラン」は中東で台風の目のような存在のようだ。 東洋経済オンライン 池滝 和秀氏による「意外と早かったイスラエルの「報復」が意味する事 「暗黙のルール」に基づいた報復の応酬だが…」 「イスラエルの戦時内閣は、国内世論や抑止力確保の観点から報復方針を決定したが、ガザ戦争を進める中で事態をエスカレートさせて二正面作戦を強いられたり、対米関係が悪化したりするのを避けるため、苦肉の策としてメッセージ性を込めた形式的な報復攻撃を選択」、報復合戦は両国間紛争の特徴なのかも知れない。 「イスラエルの攻撃も、報復というよりもメッセージ性の強いものだったようだ。イスラエル当局者は・・・ドローン攻撃はイスラエルがイラン領内を攻撃できるというメッセージを送るものだったと語った」、「イスラエルの攻撃も、報復というよりもメッセージ性の強いものだったようだ」、なるほど。 「4月1日の在シリア・イラン大使館への攻撃はイランが「国際法違反だ」と強く反発するように、イランはイスラエルがこれまでのルールを逸脱してきたと捉えた。 シリア領内でのイスラエルによるイラン関連の標的を狙った攻撃はこれまでも繰り返されてきたが、イランは無視するか、親イラン勢力による小規模な報復を実施するのにとどめてきた。 だが、在シリア・イラン大使館への攻撃は、大使館にいた革命防衛隊司令官が殺害されるなどイラン側の衝撃は大きく、イランは国内世論的にも看過できず、イスラエルを助長させないためにも報復の必要性に 「バイデン大統領が明確にイランへの報復に反対する中、大規模な報復に出れば同盟関係に亀裂を生じかねさせず、報復しなければイランに見くびられてしまうことから、アメリカ・イスラエル関係を損なわず、さらにはイランに対しても、いつでも大規模な攻撃を仕掛けられるというメッセージ性を送るような報復にとどめたようだ」、「報復」にも微妙な「メッセージ性」が込められているようだ。 「イスラエル」と「イラン」の「間の対立は依然として暗黙の理解に基づく制御可能な状態にとどまっているが、わずかな計算ミスや誤解、誤算により制御不能に陥ってもおかしくない極めて危険な水準に達している」微妙なバランスの上にかろうじて均衡しているようだ。
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