不動産(その3)(不動産「仲介手数料」自由化はなぜ必要なのか 50年前にできた基準に縛られる合理性はない、人気タワマンでも40年後は廃虚!?恐ろしいマンション劣化の真実、怒れマンション住民!大規模修繕で跋扈する「談合・リベート」の実態) [経済政策]
不動産については、昨年11月19日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その3)(不動産「仲介手数料」自由化はなぜ必要なのか 50年前にできた基準に縛られる合理性はない、人気タワマンでも40年後は廃虚!?恐ろしいマンション劣化の真実、怒れマンション住民!大規模修繕で跋扈する「談合・リベート」の実態)である。
先ずは、不動産コンサルタント(さくら事務所 会長)の長嶋 修氏が3月6日付け東洋経済オンラインに寄稿した「 不動産「仲介手数料」自由化はなぜ必要なのか 50年前にできた基準に縛られる合理性はない」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/210253
・『全国に散らばる空き家・空き地の流通円滑化を目的として、2018年1月1日より不動産仲介手数料の上限が引き上げられた。宅地建物取引業法では、不動産取引における仲介手数料は、売買価格に対応する形で上限が定められている。200万円以下は、価格×5%、200万円から400万円以下は価格×4%+2万円、400万円を超えると、価格×3%+6万円となる。 全国には多数の空き家が存在するが、物件価格が数十万から数百万といった低額なものが多いため、基準通りの手数料ではビジネスが成り立たない。そこで、今回、上限を18万円(税別)としたが、この程度では多くのケースで経費倒れになることは変わらず、不動産仲介業者が積極的に動くモチベーションにはまったくつながらないだろう』、なるほど。
・『現在の手数料規定は約50年前の基準 筆者は、もはや不動産手数料について無意味な規制は撤廃し、自由化すれば良いと考えている。手数料がわずか1%だがほとんど何もしない不動産仲介業者もいれば、10%もの手数料を受け取るが至れり尽くせりの業者もおり、多様な選択肢の中からユーザーが選択できるようにすることが理想だ。 そもそも現在の手数料規定は、48年前(1970年)の建設省(当時)の告示に基づいて決められている。1970年といえば物価はいまの3分の1程度で、名目GDPがわずか73兆円だった頃だ。 不動産仲介手数料は1947年までは自由料率だったが、暴利を貪る業者が跋扈して社会問題となり、1952年に宅建業法が制定された。「手数料は都道府県知事が定める」と規定され、やがて1970年に出された建設省告示によって、現在のような体系となった。 アメリカでは基本的に手数料は自由化されているが、業界団体がガイドラインを示していて、6%が目安となっている。売主が6%払い、売主・買主双方のエージェントで3%ずつ分け合うのが基本だ。4%、10%といったガイドラインを示している業界団体もある。 しかし、日本では、今の基準であっても「不動産仲介手数料は高すぎる」と考えるユーザーも少なくない。筆者が接するクライアントからも、「多額の不動産仲介手数料を支払うのは納得がいかない」という声はよく聞かれる。その理由は簡単で、仲介業者が手数料に見合う仕事をしているとは思えないからだ』、「現在の手数料規定は約50年前の基準」とは驚いた。確かに、不動産が需給逼迫し、暴利を貪る業者が跋扈していた時代とは、大きく変わったを踏まえれば、自由化も1つの考え方だ。
・『仲介業者の対応に不信感 筆者のもとに来られた方の、具体的な事例を紹介しよう。大手メーカーに勤務する藤田直樹さん(38才・仮名)は、インターネットで自分の希望する条件に近い物件を見つけた。6000万円の都心部中古一戸建だ。物件について問い合わせると、すぐに連絡が来た。若い担当者でノリの軽さが気になるものの、いわく「すでにいくつかお話が入っているが、今ならまだ大丈夫」だという。 物件見学では特段の問題も見当たらず、「前向きに検討します」としてその場をあとにしようとしたところ、担当者に「他にもたくさんの引き合いがあり、早く決めないと売れてしまう可能性が高い」と言われた。しかし、その場で決断はできない。どの程度の自己資金を捻出するか、どの金融機関でいくらの住宅ローンを組むか検討しなければならない。 また、築20年を経過しているため、ホームインスペクション(住宅診断)を入れ「建物に欠陥はないか」「買ったあと、いつ頃、どこにいくらくらいの修繕費がかかりそうか」など把握しておきたい。また、事前に親にもひとこと話をしておきたい。藤田さんがそう思ったのは自然なことだろう。 その旨を仲介業者に伝えると、担当者は「早くしないと売れてしまう」とせかす。その後、上司を連れて担当者は自宅までやってくると、その場で決断を促された。「いま複数の引き合いがあります。いまこの場でご決断いただけるなら藤田さんにお譲りします」という』、これは典型的な悪徳営業手法だ。
・『しかし、藤田さんとしては、住宅ローンをどれにするかまだ決めていないし、親にも話ができていない。さらには建物のコンディションも気になる。上司いわく「インスペクションを入れるなどとうるさいことを言っていては売ってくれない可能性が高い」という。藤田さんは、売主に交渉もせずそのようなことを言うこの上司に不信感を抱いたこともあって「それなら仕方ありません。あきらめます」として引き取ってもらった。 しかし、1週間経過してもその物件情報はネット上に載ったままだ。さらに1カ月が経過すると、価格がおよそ500万円下がっていた。仲介業者に買うことを急かされたことに藤田さんは不信感を抱いた。しかし、500万円も価格が下がっているとなると予算内に収まるため、購入を考え直す。 藤田さんは再び仲介業者に連絡し、ホームインスペクションは入れずにこの物件を契約した。物件価格の3%+6万円(税別)といった仲介手数料について値引き交渉をしたものの「規定の手数料です」として一蹴された。しかし、担当者の態度は契約が終わると一変した。急に連絡が来なくなり、折り返しの電話も遅く、メールの返信も思い出したように返ってくるだけ。 不動産仲介手数料は物件価格の3%+6万円(税別)と高額で、6000万円の中古一戸建を買った藤田さんは仲介業者に186万円(税別)の仲介手数料を支払っている。しかし、住宅ローンの手続きはすべて自分で済ませ、仲介業者の対応・サービスはその対価にまったく見合っていないと藤田さんは感じた。 そして、引っ越しが終わるとすぐに建物の不具合が発生した。床下の配管から水漏れが生じているようだった。すぐに担当者に連絡をすると「契約上、売主に責任はない」とこれも一蹴される。築20年を経過しているため、建物について売主の責任を免除する「瑕疵担保免責」を条件として契約していた。 筆者が創業したさくら事務所に、藤田さんから相談が来たのはこの段階だ。建物をひととおり調べ、水漏れの箇所や修繕方法・費用などについてアドバイスしたほか、他に発見された建物の劣化事象や不具合についても説明した。しかし、こうしたアドバイスは契約前に受けてこそ効果を発揮するものだ。 ホームインスペクションは、確かに業者の言うとおり、特に引き合いの多い今回のような場合、それを拒否する売主も中にはいる。しかし藤田さんのケースでは、仲介業者は売主に交渉すらしていない。宅地建物取引業法が改正され、2018年4月には「インスペクションの説明義務化」がスタートする中、仲介業者のこうした対応は非常に不親切で、多額の手数料を支払っている藤田さんの側に立ったサービスを提供しているとはとてもいえない。こうした業者でも、上限の手数料を取ることが当たり前になれば、モラルハザードが起きるだろう』、ホームインスペクションをしてないのだから、築20年を経過していても、「瑕疵担保」条項を入れるべきで、入れないまま契約した買い手もとんだ手落ちをしたものだ。
・『物件選びの前に担当者選びをする流れを作るべき しかし、こうした現実は不動産業界ではそう珍しいことではない。嫌な思いをしないためには、誠実で有能な担当者を探すしかないのだが、そもそも一般的に不動産探しの構造には大きな問題がある。ほとんどの人がまず物件選びから入り、問い合わせをすると事後的に、自動的に担当者から連絡がくる。そのため、顧客は担当者を選べないし、選ぼうという意識も持ちにくいのだ。 しかし筆者は、物件選びの前に担当者選びをする流れを定着させるべきだと考えている。複数の仲介業者に条件を伝え、その後のやり取りの中で対応が誠実か、相性が合うか、求めるスキルがあるかなどを見極める。信頼できる友人・知人などに紹介してもらってもいいだろう。 すでに担当者が決まっている場合でも、変更を申し出ることも可能だ。該当店舗の責任者などに相談するとよい。多くの人にとって、不動産購入は一生に一度と言っていい大きな買い物だ。遠慮、我慢する必要はない。会社としても、担当者と相性が合わないからといって無言で顧客に去られてしまうより、率直に意思を表明してもらったほうが実はありがたい。担当者は後になって上司に怒られるかもしれないが、それも今後の糧として成長してくれればいいだろう。 不動産取引のプロセスは非常に重要だ。ここに不満があると、後に何か問題が発生した際、入居後に後悔することになる。そもそも3%+6万円といった仲介手数料の規定は、それが「上限」と規定されているだけで、必ずしも満額である必要はなく、当事者同士が了承すれば1%でも2%でも構わない。 対応に不満があるなら値引き交渉できるし、そもそも良心的な業者であれば、その業務内容の多寡によって自ら手数料交渉を申し出るところもある。逆に、担当者の力量によって、よりよい条件で購入できたなど、3%+6万円といった上限の手数料を支払うに十分見合うケースもあるし、場合によってはそれを大きく上回ってもよいケースはたくさんある。 不動産仲介は、担当者の誰しもが同じ価値を出せる定型的な仕事ではなく、知識や人間性、交渉力などの総合的なスキルが結果に大きく影響する。受け取る報酬は、その価値に合わせて変動する形が、健全なあり方と言えるのではないだろうか』、「物件選びの前に担当者選びを」というのは確かによさそうだ。
次に、上記と同じ長嶋 修氏が9月28日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「人気タワマンでも40年後は廃虚!?恐ろしいマンション劣化の真実」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/180763
・『新築・中古ともに、「都心」「駅近」などの好条件マンションの価格高止まりが続いている。しかし、湾岸や武蔵小杉など人気エリアの花形タワーマンションであっても、状況次第では数十年後には「廃虚化」が待っている。恐ろしいマンション劣化の真実を解説する』、「廃虚化」とは恐ろしい話だが、主張をみてみよう。
・『新築はもはや「高根の花」 中古価格もいまだに上昇中 マンション価格の高止まりが続いている。不動産経済研究所によれば、2018年7月の首都圏新築マンション発売価格平均は6091万円と2017年度平均を上回り、東京都区部に至っては7270万円と、もはや一般的なサラリーマンには手の届かない価格水準。「都心」「駅直結」「駅前」「駅近」「大規模」「タワー」といったワードに象徴される大多数の新築マンションは、「高根の花」となりつつある。 こうしたことも手伝って人気が集まってきたのが「中古マンション」であり、こちらもやはり「都心」「駅近」などの物件が強い。 REINS(東日本不動産流通機構)によれば、首都圏中古マンション価格は2012年12月の民主党から自民党への政権交代以降一貫して上昇を続けている。例えば東京都心3区(中央・千代田・港区)の中古マンション平均成約価格は、政権交代以降60%アップの6247万円と、1990年代のバブルを上回る価格水準だ。 ただし、「都心」であっても駅からの距離による格差は生じている。東京都心7区(千代田・中央・港・新宿・目黒・品川区)の中古マンション成約価格は、2013年には駅から1分離れるごとに平方メートルあたり8222円の下落を示していたが、2018年5月時点では、駅から1分離れるごとに平方メートルあたり1万8205円もの下落と、ダウン金額が多くなっている』、なるほど。
・『湾岸や武蔵小杉でも条件次第で「都市の墓標」化するマンションも! それでは「都心」や「駅近」であればずっと安泰かというと、答えは「NO」である。タワーマンションが林立する都心湾岸地区や武蔵小杉(神奈川県)といった人気エリアも例外ではない。たとえ一定程度、立地が良くても、都市の墓標になりえる理由があるからだ。そして「駅から遠い」「築年数が古い」といったマンションはさらに不利で、将来は廃虚化が進むものも出てくるだろう。 また、空き家問題といえば、これまでは主に「一戸建て」に焦点が当たってきたが、やがて「マンションの空き家問題」が顕在化するだろう。マンションは一戸建てと異なり、共同住宅であるがゆえに、個人の意思で修繕や解体などの処分はできない。空き家増に加え住民の高齢化や賃貸化も進むことによって、必要な修繕費用も捻出しにくくなることから、修繕も解体もできずに、ただ朽ち果てていくだけの「廃虚マンション」の出現可能性が社会問題として浮かび上がりそうだ』、「マンションの空き家問題」とは、所有者が賃貸に出していた物件で、借り手がつかなくなったものなのだろうか。
・『全国のマンションストック総数は2017年末時点で約644.1万戸。マンションの居住人口は約1590万人と推計される。これは、日本の総人口1億2652万人(2018年6月1日現在の概算値)の12.6%にあたり、国民のおよそ8人に1人がマンションに住んでいることになる。東京都の全人口1382万人(2018年5月現在)より208万人も多い水準だ。 マンションストック総数のうち、築30年以上のマンションは、およそ184.9万戸あるが、うち40%にあたる72.9万戸は築40年以上。これが2022年には128.7万戸、2027年には184.9万戸、2034年には351.9万戸と激増していく。簡単に言えば、マンションの築年数分布は、我が国の人口ピラミッド同様、高齢マンションが極端に多い構図となっているわけだ』、高齢マンションの今後の激増は考えるだけでも、恐ろしい。
・『新築マンションに入居すると、住民が管理組合を結成する。入居から当面の間は、管理組合役員に自ら立候補して管理組合の運営に主体的に関わるなど、住民の意欲も高いことが多いが、年月がたって区分所有者の高齢化、賃貸化、空室化などが進行するにつれて、徐々に管理組合の理事のなり手不足、修繕積立金の収支悪化、大規模修繕や建て替えなどの意思決定ができないなどといった機能不全が見られるようになりがちだ。国はこうした「管理不全マンション」が今後、さらに増加していくことを懸念している』、国は懸念するだけでなく、先を見越した法制面の対策をとって欲しいものだ。
・『住民の高齢化と賃貸化が マンションを廃虚にする 「マンションの再生手法及び合意形成に係る調査」(国土交通省)のアンケートによれば、高経年マンションほど空き家化、賃貸化、高齢化が進み、自己居住率(持ち主自らが住んでいる住戸の割合)が低下するといったマンションの姿が浮かび上がる。 築40年を超えたマンションでは、自己居住しているのは全体の75.6%にすぎず、その居住者のうち21.7%が75歳以上。つまり、築40年になると、持ち主の4人に3人しかそこには居住しておらず、その居住者も4人に1人は75歳以上となっているのだ。75歳未満でそこに居住しているアクティブ層は全体の59.2%と、半分強しかいない。 同アンケートでは、高経年マンションほど管理組合総会決議の投票率が低下し、所有者不明の発生する割合が高くなること、また、所有者不明のケースでは、所有者の相続未完了や連絡が全く取れないなどで本人確認に苦労していることがわかる。賃貸率が20%を超えると、管理組合総会での大規模修繕の可否などを取り決める、総会での普通決議の投票率が極端に低下することも報告されている。 住民の高齢化が進めば、大規模修繕のための修繕積立金の値上げや一時金も徴収が難しくなっていく。多くが定期収入のない年金生活者であることや、高齢であることから長い将来を見通せなくなっているからだ』、高経年マンションは老齢化社会の縮図そのものだ。管理組合が機能不全になっていくというのは深刻だ。
・『また、賃貸化が進むことも、管理を難しくする大きな要因である。「平成25年マンション総合調査」(国土交通省)によれば、マンション全体の賃貸割合は13.7%、空室率は2.4%にすぎないが、経年により賃貸割合は高まり、築40年を超えると賃貸率は20%を超え、空室率は26.3%に上る。 賃貸化が進めば、所有者がそこに住まなくなる分、マンション管理への意識は希薄化する。そもそも外部居住者は理事になれないといった管理規約を設けているところも多い。 国土交通省が2016年から2017年にかけて、管理組合に対して行った調査(「マンションの再生手法及び合意形成に係る調査」)によると、「連絡先不通・所有者不明」の部屋があるマンションは全体の13.6%。連絡先不通・所有者不明物件のあるマンションの内訳は、築40年以上が29%、築30年以上40年未満が24%と、高経年マンションが多数を占める。 所有者と連絡が取れない部屋が増えると「管理費・修繕積立金が徴収できない」「管理が行われないことで劣化が早まり周囲に悪影響を及ぼす」「多数決による総会決議が困難になる」など、マンション管理に様々な支障をきたす。同調査では、今後は建て替え決議などの成立が困難になっていくと回答した人の割合は70%に達している』、築40年を超えると空室率は26.3%とは、悲惨だ。
・『横浜市立大学の齊藤広子教授は「マンションの空き家率は10%未満なら管理組合の対応で何とか問題を表面化しないで進められるが、10%を超えると日常的に管理組合運営が困難となり、20%を超えると長期的な展望も、それに向けた取り組みも難しくなり、負のスパイラルに陥りやすくなる。さらに空き家化が大幅に進むとエレベーターが止まり、ガス・電気・水道も止まり、居住が困難となり、自力での再生は難しくなる」と警鐘を鳴らしている』、「負のスパイラル」とは確かにあり得る恐怖シナリオだ。
・『国交省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」によれば、建物の階数や規模などによりばらつきはあるものの、15階建て・5000平方メートル未満のマンションの場合、専有面積平方メートルあたり218円を、修繕積立金の平均的な目安としている。5000~1万平方メートル未満なら202円、1万平方メートル以上なら178円程度が目安となる。ざっと平方メートルあたり200円として計算すると、例えば70平方メートルのマンションなら適正な毎月修繕積立金額は1万4000円。この水準の積立金を入居直後から続けていれば、おおむね問題ないでしょうというわけだ。 しかしこの水準も、消費増税は織り込んでいないほか、昨今高騰している建築費水準も計算には入れていない。大規模修繕費用は金融機関からの借り入れを伴うケースも多いが、やがては現行の金利水準も切り上がるだろう。大半のマンションは、こうした条件を十分に勘案した積み立てができていない。それらは廃虚予備軍と言っていいだろう』、その通りだ。
・『ましてやタワーマンションは、足場を組んで外壁の修繕が行えないため、ゴンドラなどによる高所作業だ。一般的なマンションに比して作業性は落ち、基本的に風速10メートルを超えると作業は中止となる。従って、工期は長めで非常にコスト高なのだ。 加えてタワーマンションは、エレベーターや階段など共用部分の面積比が大きく、コンシェルジュサービスやラウンジ、スポーツジムなどのサービスもあるから、管理費もただでさえ高め。所有者にとっては二重苦である。 とあるタワーマンションの大規模修繕は2年10ヵ月かかり、総額は6億円以上だった。また、設置されている高速エレベーターなどの設備は、世界に1つしかない特注品で非常に高額であることが多く、相見積もりが取れず、修繕や交換には莫大なコストがかかる。そもそもエレベーターや情報通信機器など技術進化の激しい分野では、30年前と同じスペックのエレベーターに交換するとは考えにくく、コストは想定よりアップする可能性が高い。 そうなると建物がどんどん劣化していくのに必要な修繕もままならず、建物が朽ちていくのを見届けるしかないといった「タワーマンションの廃虚化」が進むだろう。 もちろん、そうならないためにきっちり対策をしている優良マンションもある。都心湾岸地区や武蔵小杉に林立するタワーマンション群では、持続可能なマンションと、廃虚となっていくマンションの二極化が始まるのだ』、タワーマンションの税制上のメリットも少なくなった現在でも、いまだに人気があるとは不思議だ。やがて「こんな筈ではなかった」、)との悲鳴が上がる事態も考えられる。
第三に、株式会社シーアイピー代表取締役・一級建築士の須藤桂一氏が10月18日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「怒れマンション住民!大規模修繕で跋扈する「談合・リベート」の実態」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/182483
・『大規模修繕工事にまつわる談合・リベート問題は、テレビや新聞、雑誌で話題になることも増えてきたが、まだまだ業界全体が改革されるには至っていない。依然として「食い物」にされている管理組合が多いのが現状だ。悪徳コンサルタント会社や工事会社に、自分たちの財産が巧妙にかすめ取られている実態を知っていただき、マンションに住むすべての方がこの問題に向き合うようになることを期待し、改めてこの問題を取り上げることにした』、面白そうだ。
・『不自然な価格差の数字が並ぶ? 大規模修繕工事の見積金額の不思議 ・・・たいていのペットボトルのお茶は、自動販売機で買えば150円だ。だが、同じお茶でも、コンビニでは120~130円で買えたり、大型スーパーなら90円台で買えるところもある。反対に、観光地へ行くと200円という値段設定になっていたりする。同じお茶なら当然安いほうがいいので、スーパーで格安のお茶をまとめ買いし、それを持参して飲むようにしていた。 このように、同じ商品でも、買う場所によって90~200円という価格の差が生じる。商品の価格にいろいろな値段があることは常識で、できるだけ安く買おうと、安く買える店を調べたりするのは誰でもやっていることだろう。 しかし、それが大規模修繕工事となると、事情が変わってくる。 次の数字を見ていただきたい。これは、あるマンションの大規模修繕工事で、設計監理者(コンサルタント会社)が作成した設計概算金額と、工事業者募集の公募に応じた工事会社9社による工事費の見積金額である。 設計概算金額 9579万円(100) 工事会社A社 9190万円(96) 工事会社B社 9729万円(102) 工事会社C社 9828万円(103) 工事会社D社 9914万円(104) 工事会社E社 9990万円(104) 工事会社F社 1億24万円(105) 工事会社G社 1億97万円(105) 工事会社H社 1億162万円(106) 工事会社I社 1億692万円(111) 上記の( )内の数字は、設計概算金額を100とした場合の各見積金額の割合だが、この数字を見てどのように感じるだろうか? 実はこの数字から、コンサルタント会社と工事会社との間に談合があることがわかるのだ。設計概算金額100に対して、工事会社各社の見積金額は96~111という範囲に収まっている。見積金額の差は約2割しかない。ここが判断のポイントだ。 その昔、ゼネコンマンとして実際に談合を見ていた私のような人間には、これらの数字を見れば直感的に「おかしい」と思えるのだが、「同じ工事に対する見積もりなのに、1.5倍や2倍などと金額にばらつきが出るほうがおかしい」と思う人が少なくない。 だが、冒頭で例に挙げた既製品であるペットボトルのお茶でさえ、およそ2倍の価格差があるのに対して、さまざまなリスクもある工事の見積もりで、“2~3割”以内に価格差が収まっていることのほうがむしろ不自然なのだ。 普段はペットボトルを買うのにも、5円、10円という価格差を気にするはずなのに、大規模修繕工事という数千万円、数億円単位の大きな“買い物”をするときに、その価格差に疑問を感じないというのは、なんとも不思議なことではないか』、その通りだろう。
・『価格差はあって当たり前! 横並びの見積金額は談合・リベートの証 「なぜ同じ工事範囲で、同じ仕様で見積もっているのに、見積金額に大きな差が出ることが当たり前なのか」と疑問に思う方もいるだろう。それは、見積もりを出す工事業者の立場や状況によるところも大きいといえる。 例えば、その公募に応じる際に、ちょうど仕事が薄い状態にあるような工事会社の場合、社員を遊ばせているよりは、利益があまり見込めなくても仕事を受注するほうがいいと判断し、通常よりも何割か価格を下げてくるということは珍しくない。反対に、受注残が豊富にあって、無理に新しい仕事を取る必要がない場合には、見積金額を何割か高めにして提出することもあるのだ。 さて、前述の9社による見積もりの例では、最終的にA社が工事を受注した。 決め手は9社のうちで最安値の見積金額だったことによる。しかし、実はあらかじめ結果は決まっていた。コンサルタント会社は、工事業者を決めるにあたって公募という形を取ったが、実際には、厳しい見積参加条件をつけて、「談合サークル」とも呼べる工事会社だけが応募できるようにし、最初からA社が受注できるように取りはからっていたのだ。 9社による見積金額の差額の幅が小さかったのも、当然談合の取り決めによるものだ。コンサルタント会社によって、あらかじめA社が今回の工事を受注できる“チャンピオン業者”に決められ、A社以外の会社は、A社の見積金額を元に、それよりも見積金額が上回るように調整しながら、それらしい数字を出してきたのである。 つまり、コンサルタント会社は、管理組合をだましていたのだ。 しかもそれは、管理組合との契約締結時から仕組まれていたものだ。しかし、“素人の集まり”である管理組合では、残念ながら誰もそのことに気づけないのである』、「管理組合との契約締結時から仕組まれていたもの」というのは、同氏が参考に挙げた記事によれば、契約解除が簡単には出来ないような契約条項のことらしい。
・『“泥棒”コンサルタント会社が実践する巧妙なリベート授受の方法 では、具体的に談合の何が悪いのだろうか? 仮に、談合によって工事費が安くなるなら、管理組合にとってはいい話だといえるだろう。だが、当然そんなことがあるわけはない。談合で一番の問題点は、その裏側で多額のリベートが関係者に流れることだ。そして、そのリベートは、すべて管理組合が支払う工事代金から出ている。つまり、談合によって、管理組合は格段に高い大規模修繕工事を買わされてしまうわけだ。 また、そのリベートも、巧妙に隠された形で支払われている。
(1)まずはコンサルタント会社と工事会社との間で基本契約が交わされ、紹介料やコンサルティング料などの名目で、工事を受注した工事会社からコンサルタント会社に工事費の一定額が支払われる。
(2)コンサルタント会社は工事を受注した工事会社に対して、足場業者、塗装業者、防水業者などを紹介し、下請け業者として採用してもらう。そして、コンサルタント会社は採用された下請け業者から、紹介料としてリベートを受け取る。
(3)また、工事の材料についてメーカーを指定したり、特注品を指定したりして、確実にそのメーカーに発注がいくようにし、そのメーカーからもリベートを受け取る。
このように、コンサルタント会社はさまざまな形でリベートを受け取っており、もはや“泥棒”とでもいうべきレベルである。 しかも、そのリベートは紹介料やコンサルティング料などの名目で受け取り、基本契約にもうたうなどして、会社の売り上げとして計上していることから、税法上も問題なく、税務調査が入ってもお咎(とが)めはナシだ。実に憎らしいほどうまくできている仕組みなのである』、コンサルタント会社が悪徳商法の典型もどきをしているとは・・・。
・『談合・リベートは会社ぐるみ! 悪質な担当者が横行する現場の実態 さらに、コンサルタント会社の担当者も悪質だ。 そうした裏事情をよく認識していながら、しれっと「監理業務」にあたっているのだ。監理業務とは、施工会社が仕様書どおりに適正に仕事をしているかをチェックし、品質を検査するもので、大規模修繕工事を無事に終えるために重要な役割を持っている。 本来、監理業務の担当者は、工事が実施されている間は現場を回り、仕様違反や手抜きがないか目を光らせるのが仕事である。しかし、ひどい担当者になると、現場には夕方やってきて、まだ明るいうちに検査の写真をササッと撮影する。検査指摘事項は現場所長に適当に作らせておいて、検査に合格するかどうかは担当者への“接待次第”、という具合だ。 中には、食事は極上の焼き肉、2次会は高級クラブでの接待と内容を指定し、その費用はすべて施工会社持ちの上、領収書はコンサルタント会社名で担当者が受け取る……というひどい話もある。 信じられないかもしれないが、すべて本当のことだ。 しかも、そうした事実を知りながら、会社は見て見ぬふりをするしかできない。その担当者をクビにしたり、懲戒解雇にしたりすると、逆恨みされて、管理組合に対して「おたくの工事を請け負っているコンサルタント会社は、会社ぐるみで工事会社からリベートを受け取っている」と告げ口されてしまうので、担当者を問題視することができないという事情があるのだ』、コンサルタント会社は悪事を告げ口されないように、悪質な担当者に見て見ぬふりをするしかできない、とは皮肉なものだ。
・『時代がようやく動き出した いつか談合・リベートのない健全な業界に かつて私自身も、談合の発注側であるゼネコンと、孫請けやひ孫請け側の工事業者という両方の立場にいた。そして、マンションの工事にかかわる業界のドロドロした姿を見て驚かされ、管理組合が食い物にされている状況に心を痛めて、「なんとか業界改革に乗り出さないといけない」と覚悟を決め、この事業を始めた。 業界にはびこる談合とリベートの問題について、数年前からブログやSNSなどで問題提起し、拙著でも強く訴えかけてきたが、その甲斐あってか、2017年2月4日号の「週刊ダイヤモンド」でも特集として大きく取り上げていただくことになった。 それがきっかけとなったのか、その後NHKの「クローズアップ現代+」でも特集され、各大手新聞社でも1面で取り上げていただけるほど、社会問題として認識されるようになってきた。 そして、国土交通省も「管理組合の利益と相反する立場に立つ設計コンサルタントが発注に関与することのないように十分に意識をしていただく必要がある」と明言するに至っている。 しかし、これほど談合・リベートが社会問題化してきたにもかかわらず、そうした問題に対して、いまだになんのコメントも提案もないコンサルタント会社が何社も存在する。彼らが何もアクションを起こせないのは、彼らの中に談合・リベートの実態があるからではないのか、と疑いの目を向けてしまう。 業界にはびこる談合・リベートの根は、まだまだ深いものがある。私はこの問題が完全に撲滅されるまで、活動を続けていきたいと思う』、大いに頑張ってもらいたいものだ。
先ずは、不動産コンサルタント(さくら事務所 会長)の長嶋 修氏が3月6日付け東洋経済オンラインに寄稿した「 不動産「仲介手数料」自由化はなぜ必要なのか 50年前にできた基準に縛られる合理性はない」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/210253
・『全国に散らばる空き家・空き地の流通円滑化を目的として、2018年1月1日より不動産仲介手数料の上限が引き上げられた。宅地建物取引業法では、不動産取引における仲介手数料は、売買価格に対応する形で上限が定められている。200万円以下は、価格×5%、200万円から400万円以下は価格×4%+2万円、400万円を超えると、価格×3%+6万円となる。 全国には多数の空き家が存在するが、物件価格が数十万から数百万といった低額なものが多いため、基準通りの手数料ではビジネスが成り立たない。そこで、今回、上限を18万円(税別)としたが、この程度では多くのケースで経費倒れになることは変わらず、不動産仲介業者が積極的に動くモチベーションにはまったくつながらないだろう』、なるほど。
・『現在の手数料規定は約50年前の基準 筆者は、もはや不動産手数料について無意味な規制は撤廃し、自由化すれば良いと考えている。手数料がわずか1%だがほとんど何もしない不動産仲介業者もいれば、10%もの手数料を受け取るが至れり尽くせりの業者もおり、多様な選択肢の中からユーザーが選択できるようにすることが理想だ。 そもそも現在の手数料規定は、48年前(1970年)の建設省(当時)の告示に基づいて決められている。1970年といえば物価はいまの3分の1程度で、名目GDPがわずか73兆円だった頃だ。 不動産仲介手数料は1947年までは自由料率だったが、暴利を貪る業者が跋扈して社会問題となり、1952年に宅建業法が制定された。「手数料は都道府県知事が定める」と規定され、やがて1970年に出された建設省告示によって、現在のような体系となった。 アメリカでは基本的に手数料は自由化されているが、業界団体がガイドラインを示していて、6%が目安となっている。売主が6%払い、売主・買主双方のエージェントで3%ずつ分け合うのが基本だ。4%、10%といったガイドラインを示している業界団体もある。 しかし、日本では、今の基準であっても「不動産仲介手数料は高すぎる」と考えるユーザーも少なくない。筆者が接するクライアントからも、「多額の不動産仲介手数料を支払うのは納得がいかない」という声はよく聞かれる。その理由は簡単で、仲介業者が手数料に見合う仕事をしているとは思えないからだ』、「現在の手数料規定は約50年前の基準」とは驚いた。確かに、不動産が需給逼迫し、暴利を貪る業者が跋扈していた時代とは、大きく変わったを踏まえれば、自由化も1つの考え方だ。
・『仲介業者の対応に不信感 筆者のもとに来られた方の、具体的な事例を紹介しよう。大手メーカーに勤務する藤田直樹さん(38才・仮名)は、インターネットで自分の希望する条件に近い物件を見つけた。6000万円の都心部中古一戸建だ。物件について問い合わせると、すぐに連絡が来た。若い担当者でノリの軽さが気になるものの、いわく「すでにいくつかお話が入っているが、今ならまだ大丈夫」だという。 物件見学では特段の問題も見当たらず、「前向きに検討します」としてその場をあとにしようとしたところ、担当者に「他にもたくさんの引き合いがあり、早く決めないと売れてしまう可能性が高い」と言われた。しかし、その場で決断はできない。どの程度の自己資金を捻出するか、どの金融機関でいくらの住宅ローンを組むか検討しなければならない。 また、築20年を経過しているため、ホームインスペクション(住宅診断)を入れ「建物に欠陥はないか」「買ったあと、いつ頃、どこにいくらくらいの修繕費がかかりそうか」など把握しておきたい。また、事前に親にもひとこと話をしておきたい。藤田さんがそう思ったのは自然なことだろう。 その旨を仲介業者に伝えると、担当者は「早くしないと売れてしまう」とせかす。その後、上司を連れて担当者は自宅までやってくると、その場で決断を促された。「いま複数の引き合いがあります。いまこの場でご決断いただけるなら藤田さんにお譲りします」という』、これは典型的な悪徳営業手法だ。
・『しかし、藤田さんとしては、住宅ローンをどれにするかまだ決めていないし、親にも話ができていない。さらには建物のコンディションも気になる。上司いわく「インスペクションを入れるなどとうるさいことを言っていては売ってくれない可能性が高い」という。藤田さんは、売主に交渉もせずそのようなことを言うこの上司に不信感を抱いたこともあって「それなら仕方ありません。あきらめます」として引き取ってもらった。 しかし、1週間経過してもその物件情報はネット上に載ったままだ。さらに1カ月が経過すると、価格がおよそ500万円下がっていた。仲介業者に買うことを急かされたことに藤田さんは不信感を抱いた。しかし、500万円も価格が下がっているとなると予算内に収まるため、購入を考え直す。 藤田さんは再び仲介業者に連絡し、ホームインスペクションは入れずにこの物件を契約した。物件価格の3%+6万円(税別)といった仲介手数料について値引き交渉をしたものの「規定の手数料です」として一蹴された。しかし、担当者の態度は契約が終わると一変した。急に連絡が来なくなり、折り返しの電話も遅く、メールの返信も思い出したように返ってくるだけ。 不動産仲介手数料は物件価格の3%+6万円(税別)と高額で、6000万円の中古一戸建を買った藤田さんは仲介業者に186万円(税別)の仲介手数料を支払っている。しかし、住宅ローンの手続きはすべて自分で済ませ、仲介業者の対応・サービスはその対価にまったく見合っていないと藤田さんは感じた。 そして、引っ越しが終わるとすぐに建物の不具合が発生した。床下の配管から水漏れが生じているようだった。すぐに担当者に連絡をすると「契約上、売主に責任はない」とこれも一蹴される。築20年を経過しているため、建物について売主の責任を免除する「瑕疵担保免責」を条件として契約していた。 筆者が創業したさくら事務所に、藤田さんから相談が来たのはこの段階だ。建物をひととおり調べ、水漏れの箇所や修繕方法・費用などについてアドバイスしたほか、他に発見された建物の劣化事象や不具合についても説明した。しかし、こうしたアドバイスは契約前に受けてこそ効果を発揮するものだ。 ホームインスペクションは、確かに業者の言うとおり、特に引き合いの多い今回のような場合、それを拒否する売主も中にはいる。しかし藤田さんのケースでは、仲介業者は売主に交渉すらしていない。宅地建物取引業法が改正され、2018年4月には「インスペクションの説明義務化」がスタートする中、仲介業者のこうした対応は非常に不親切で、多額の手数料を支払っている藤田さんの側に立ったサービスを提供しているとはとてもいえない。こうした業者でも、上限の手数料を取ることが当たり前になれば、モラルハザードが起きるだろう』、ホームインスペクションをしてないのだから、築20年を経過していても、「瑕疵担保」条項を入れるべきで、入れないまま契約した買い手もとんだ手落ちをしたものだ。
・『物件選びの前に担当者選びをする流れを作るべき しかし、こうした現実は不動産業界ではそう珍しいことではない。嫌な思いをしないためには、誠実で有能な担当者を探すしかないのだが、そもそも一般的に不動産探しの構造には大きな問題がある。ほとんどの人がまず物件選びから入り、問い合わせをすると事後的に、自動的に担当者から連絡がくる。そのため、顧客は担当者を選べないし、選ぼうという意識も持ちにくいのだ。 しかし筆者は、物件選びの前に担当者選びをする流れを定着させるべきだと考えている。複数の仲介業者に条件を伝え、その後のやり取りの中で対応が誠実か、相性が合うか、求めるスキルがあるかなどを見極める。信頼できる友人・知人などに紹介してもらってもいいだろう。 すでに担当者が決まっている場合でも、変更を申し出ることも可能だ。該当店舗の責任者などに相談するとよい。多くの人にとって、不動産購入は一生に一度と言っていい大きな買い物だ。遠慮、我慢する必要はない。会社としても、担当者と相性が合わないからといって無言で顧客に去られてしまうより、率直に意思を表明してもらったほうが実はありがたい。担当者は後になって上司に怒られるかもしれないが、それも今後の糧として成長してくれればいいだろう。 不動産取引のプロセスは非常に重要だ。ここに不満があると、後に何か問題が発生した際、入居後に後悔することになる。そもそも3%+6万円といった仲介手数料の規定は、それが「上限」と規定されているだけで、必ずしも満額である必要はなく、当事者同士が了承すれば1%でも2%でも構わない。 対応に不満があるなら値引き交渉できるし、そもそも良心的な業者であれば、その業務内容の多寡によって自ら手数料交渉を申し出るところもある。逆に、担当者の力量によって、よりよい条件で購入できたなど、3%+6万円といった上限の手数料を支払うに十分見合うケースもあるし、場合によってはそれを大きく上回ってもよいケースはたくさんある。 不動産仲介は、担当者の誰しもが同じ価値を出せる定型的な仕事ではなく、知識や人間性、交渉力などの総合的なスキルが結果に大きく影響する。受け取る報酬は、その価値に合わせて変動する形が、健全なあり方と言えるのではないだろうか』、「物件選びの前に担当者選びを」というのは確かによさそうだ。
次に、上記と同じ長嶋 修氏が9月28日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「人気タワマンでも40年後は廃虚!?恐ろしいマンション劣化の真実」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/180763
・『新築・中古ともに、「都心」「駅近」などの好条件マンションの価格高止まりが続いている。しかし、湾岸や武蔵小杉など人気エリアの花形タワーマンションであっても、状況次第では数十年後には「廃虚化」が待っている。恐ろしいマンション劣化の真実を解説する』、「廃虚化」とは恐ろしい話だが、主張をみてみよう。
・『新築はもはや「高根の花」 中古価格もいまだに上昇中 マンション価格の高止まりが続いている。不動産経済研究所によれば、2018年7月の首都圏新築マンション発売価格平均は6091万円と2017年度平均を上回り、東京都区部に至っては7270万円と、もはや一般的なサラリーマンには手の届かない価格水準。「都心」「駅直結」「駅前」「駅近」「大規模」「タワー」といったワードに象徴される大多数の新築マンションは、「高根の花」となりつつある。 こうしたことも手伝って人気が集まってきたのが「中古マンション」であり、こちらもやはり「都心」「駅近」などの物件が強い。 REINS(東日本不動産流通機構)によれば、首都圏中古マンション価格は2012年12月の民主党から自民党への政権交代以降一貫して上昇を続けている。例えば東京都心3区(中央・千代田・港区)の中古マンション平均成約価格は、政権交代以降60%アップの6247万円と、1990年代のバブルを上回る価格水準だ。 ただし、「都心」であっても駅からの距離による格差は生じている。東京都心7区(千代田・中央・港・新宿・目黒・品川区)の中古マンション成約価格は、2013年には駅から1分離れるごとに平方メートルあたり8222円の下落を示していたが、2018年5月時点では、駅から1分離れるごとに平方メートルあたり1万8205円もの下落と、ダウン金額が多くなっている』、なるほど。
・『湾岸や武蔵小杉でも条件次第で「都市の墓標」化するマンションも! それでは「都心」や「駅近」であればずっと安泰かというと、答えは「NO」である。タワーマンションが林立する都心湾岸地区や武蔵小杉(神奈川県)といった人気エリアも例外ではない。たとえ一定程度、立地が良くても、都市の墓標になりえる理由があるからだ。そして「駅から遠い」「築年数が古い」といったマンションはさらに不利で、将来は廃虚化が進むものも出てくるだろう。 また、空き家問題といえば、これまでは主に「一戸建て」に焦点が当たってきたが、やがて「マンションの空き家問題」が顕在化するだろう。マンションは一戸建てと異なり、共同住宅であるがゆえに、個人の意思で修繕や解体などの処分はできない。空き家増に加え住民の高齢化や賃貸化も進むことによって、必要な修繕費用も捻出しにくくなることから、修繕も解体もできずに、ただ朽ち果てていくだけの「廃虚マンション」の出現可能性が社会問題として浮かび上がりそうだ』、「マンションの空き家問題」とは、所有者が賃貸に出していた物件で、借り手がつかなくなったものなのだろうか。
・『全国のマンションストック総数は2017年末時点で約644.1万戸。マンションの居住人口は約1590万人と推計される。これは、日本の総人口1億2652万人(2018年6月1日現在の概算値)の12.6%にあたり、国民のおよそ8人に1人がマンションに住んでいることになる。東京都の全人口1382万人(2018年5月現在)より208万人も多い水準だ。 マンションストック総数のうち、築30年以上のマンションは、およそ184.9万戸あるが、うち40%にあたる72.9万戸は築40年以上。これが2022年には128.7万戸、2027年には184.9万戸、2034年には351.9万戸と激増していく。簡単に言えば、マンションの築年数分布は、我が国の人口ピラミッド同様、高齢マンションが極端に多い構図となっているわけだ』、高齢マンションの今後の激増は考えるだけでも、恐ろしい。
・『新築マンションに入居すると、住民が管理組合を結成する。入居から当面の間は、管理組合役員に自ら立候補して管理組合の運営に主体的に関わるなど、住民の意欲も高いことが多いが、年月がたって区分所有者の高齢化、賃貸化、空室化などが進行するにつれて、徐々に管理組合の理事のなり手不足、修繕積立金の収支悪化、大規模修繕や建て替えなどの意思決定ができないなどといった機能不全が見られるようになりがちだ。国はこうした「管理不全マンション」が今後、さらに増加していくことを懸念している』、国は懸念するだけでなく、先を見越した法制面の対策をとって欲しいものだ。
・『住民の高齢化と賃貸化が マンションを廃虚にする 「マンションの再生手法及び合意形成に係る調査」(国土交通省)のアンケートによれば、高経年マンションほど空き家化、賃貸化、高齢化が進み、自己居住率(持ち主自らが住んでいる住戸の割合)が低下するといったマンションの姿が浮かび上がる。 築40年を超えたマンションでは、自己居住しているのは全体の75.6%にすぎず、その居住者のうち21.7%が75歳以上。つまり、築40年になると、持ち主の4人に3人しかそこには居住しておらず、その居住者も4人に1人は75歳以上となっているのだ。75歳未満でそこに居住しているアクティブ層は全体の59.2%と、半分強しかいない。 同アンケートでは、高経年マンションほど管理組合総会決議の投票率が低下し、所有者不明の発生する割合が高くなること、また、所有者不明のケースでは、所有者の相続未完了や連絡が全く取れないなどで本人確認に苦労していることがわかる。賃貸率が20%を超えると、管理組合総会での大規模修繕の可否などを取り決める、総会での普通決議の投票率が極端に低下することも報告されている。 住民の高齢化が進めば、大規模修繕のための修繕積立金の値上げや一時金も徴収が難しくなっていく。多くが定期収入のない年金生活者であることや、高齢であることから長い将来を見通せなくなっているからだ』、高経年マンションは老齢化社会の縮図そのものだ。管理組合が機能不全になっていくというのは深刻だ。
・『また、賃貸化が進むことも、管理を難しくする大きな要因である。「平成25年マンション総合調査」(国土交通省)によれば、マンション全体の賃貸割合は13.7%、空室率は2.4%にすぎないが、経年により賃貸割合は高まり、築40年を超えると賃貸率は20%を超え、空室率は26.3%に上る。 賃貸化が進めば、所有者がそこに住まなくなる分、マンション管理への意識は希薄化する。そもそも外部居住者は理事になれないといった管理規約を設けているところも多い。 国土交通省が2016年から2017年にかけて、管理組合に対して行った調査(「マンションの再生手法及び合意形成に係る調査」)によると、「連絡先不通・所有者不明」の部屋があるマンションは全体の13.6%。連絡先不通・所有者不明物件のあるマンションの内訳は、築40年以上が29%、築30年以上40年未満が24%と、高経年マンションが多数を占める。 所有者と連絡が取れない部屋が増えると「管理費・修繕積立金が徴収できない」「管理が行われないことで劣化が早まり周囲に悪影響を及ぼす」「多数決による総会決議が困難になる」など、マンション管理に様々な支障をきたす。同調査では、今後は建て替え決議などの成立が困難になっていくと回答した人の割合は70%に達している』、築40年を超えると空室率は26.3%とは、悲惨だ。
・『横浜市立大学の齊藤広子教授は「マンションの空き家率は10%未満なら管理組合の対応で何とか問題を表面化しないで進められるが、10%を超えると日常的に管理組合運営が困難となり、20%を超えると長期的な展望も、それに向けた取り組みも難しくなり、負のスパイラルに陥りやすくなる。さらに空き家化が大幅に進むとエレベーターが止まり、ガス・電気・水道も止まり、居住が困難となり、自力での再生は難しくなる」と警鐘を鳴らしている』、「負のスパイラル」とは確かにあり得る恐怖シナリオだ。
・『国交省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」によれば、建物の階数や規模などによりばらつきはあるものの、15階建て・5000平方メートル未満のマンションの場合、専有面積平方メートルあたり218円を、修繕積立金の平均的な目安としている。5000~1万平方メートル未満なら202円、1万平方メートル以上なら178円程度が目安となる。ざっと平方メートルあたり200円として計算すると、例えば70平方メートルのマンションなら適正な毎月修繕積立金額は1万4000円。この水準の積立金を入居直後から続けていれば、おおむね問題ないでしょうというわけだ。 しかしこの水準も、消費増税は織り込んでいないほか、昨今高騰している建築費水準も計算には入れていない。大規模修繕費用は金融機関からの借り入れを伴うケースも多いが、やがては現行の金利水準も切り上がるだろう。大半のマンションは、こうした条件を十分に勘案した積み立てができていない。それらは廃虚予備軍と言っていいだろう』、その通りだ。
・『ましてやタワーマンションは、足場を組んで外壁の修繕が行えないため、ゴンドラなどによる高所作業だ。一般的なマンションに比して作業性は落ち、基本的に風速10メートルを超えると作業は中止となる。従って、工期は長めで非常にコスト高なのだ。 加えてタワーマンションは、エレベーターや階段など共用部分の面積比が大きく、コンシェルジュサービスやラウンジ、スポーツジムなどのサービスもあるから、管理費もただでさえ高め。所有者にとっては二重苦である。 とあるタワーマンションの大規模修繕は2年10ヵ月かかり、総額は6億円以上だった。また、設置されている高速エレベーターなどの設備は、世界に1つしかない特注品で非常に高額であることが多く、相見積もりが取れず、修繕や交換には莫大なコストがかかる。そもそもエレベーターや情報通信機器など技術進化の激しい分野では、30年前と同じスペックのエレベーターに交換するとは考えにくく、コストは想定よりアップする可能性が高い。 そうなると建物がどんどん劣化していくのに必要な修繕もままならず、建物が朽ちていくのを見届けるしかないといった「タワーマンションの廃虚化」が進むだろう。 もちろん、そうならないためにきっちり対策をしている優良マンションもある。都心湾岸地区や武蔵小杉に林立するタワーマンション群では、持続可能なマンションと、廃虚となっていくマンションの二極化が始まるのだ』、タワーマンションの税制上のメリットも少なくなった現在でも、いまだに人気があるとは不思議だ。やがて「こんな筈ではなかった」、)との悲鳴が上がる事態も考えられる。
第三に、株式会社シーアイピー代表取締役・一級建築士の須藤桂一氏が10月18日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「怒れマンション住民!大規模修繕で跋扈する「談合・リベート」の実態」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/182483
・『大規模修繕工事にまつわる談合・リベート問題は、テレビや新聞、雑誌で話題になることも増えてきたが、まだまだ業界全体が改革されるには至っていない。依然として「食い物」にされている管理組合が多いのが現状だ。悪徳コンサルタント会社や工事会社に、自分たちの財産が巧妙にかすめ取られている実態を知っていただき、マンションに住むすべての方がこの問題に向き合うようになることを期待し、改めてこの問題を取り上げることにした』、面白そうだ。
・『不自然な価格差の数字が並ぶ? 大規模修繕工事の見積金額の不思議 ・・・たいていのペットボトルのお茶は、自動販売機で買えば150円だ。だが、同じお茶でも、コンビニでは120~130円で買えたり、大型スーパーなら90円台で買えるところもある。反対に、観光地へ行くと200円という値段設定になっていたりする。同じお茶なら当然安いほうがいいので、スーパーで格安のお茶をまとめ買いし、それを持参して飲むようにしていた。 このように、同じ商品でも、買う場所によって90~200円という価格の差が生じる。商品の価格にいろいろな値段があることは常識で、できるだけ安く買おうと、安く買える店を調べたりするのは誰でもやっていることだろう。 しかし、それが大規模修繕工事となると、事情が変わってくる。 次の数字を見ていただきたい。これは、あるマンションの大規模修繕工事で、設計監理者(コンサルタント会社)が作成した設計概算金額と、工事業者募集の公募に応じた工事会社9社による工事費の見積金額である。 設計概算金額 9579万円(100) 工事会社A社 9190万円(96) 工事会社B社 9729万円(102) 工事会社C社 9828万円(103) 工事会社D社 9914万円(104) 工事会社E社 9990万円(104) 工事会社F社 1億24万円(105) 工事会社G社 1億97万円(105) 工事会社H社 1億162万円(106) 工事会社I社 1億692万円(111) 上記の( )内の数字は、設計概算金額を100とした場合の各見積金額の割合だが、この数字を見てどのように感じるだろうか? 実はこの数字から、コンサルタント会社と工事会社との間に談合があることがわかるのだ。設計概算金額100に対して、工事会社各社の見積金額は96~111という範囲に収まっている。見積金額の差は約2割しかない。ここが判断のポイントだ。 その昔、ゼネコンマンとして実際に談合を見ていた私のような人間には、これらの数字を見れば直感的に「おかしい」と思えるのだが、「同じ工事に対する見積もりなのに、1.5倍や2倍などと金額にばらつきが出るほうがおかしい」と思う人が少なくない。 だが、冒頭で例に挙げた既製品であるペットボトルのお茶でさえ、およそ2倍の価格差があるのに対して、さまざまなリスクもある工事の見積もりで、“2~3割”以内に価格差が収まっていることのほうがむしろ不自然なのだ。 普段はペットボトルを買うのにも、5円、10円という価格差を気にするはずなのに、大規模修繕工事という数千万円、数億円単位の大きな“買い物”をするときに、その価格差に疑問を感じないというのは、なんとも不思議なことではないか』、その通りだろう。
・『価格差はあって当たり前! 横並びの見積金額は談合・リベートの証 「なぜ同じ工事範囲で、同じ仕様で見積もっているのに、見積金額に大きな差が出ることが当たり前なのか」と疑問に思う方もいるだろう。それは、見積もりを出す工事業者の立場や状況によるところも大きいといえる。 例えば、その公募に応じる際に、ちょうど仕事が薄い状態にあるような工事会社の場合、社員を遊ばせているよりは、利益があまり見込めなくても仕事を受注するほうがいいと判断し、通常よりも何割か価格を下げてくるということは珍しくない。反対に、受注残が豊富にあって、無理に新しい仕事を取る必要がない場合には、見積金額を何割か高めにして提出することもあるのだ。 さて、前述の9社による見積もりの例では、最終的にA社が工事を受注した。 決め手は9社のうちで最安値の見積金額だったことによる。しかし、実はあらかじめ結果は決まっていた。コンサルタント会社は、工事業者を決めるにあたって公募という形を取ったが、実際には、厳しい見積参加条件をつけて、「談合サークル」とも呼べる工事会社だけが応募できるようにし、最初からA社が受注できるように取りはからっていたのだ。 9社による見積金額の差額の幅が小さかったのも、当然談合の取り決めによるものだ。コンサルタント会社によって、あらかじめA社が今回の工事を受注できる“チャンピオン業者”に決められ、A社以外の会社は、A社の見積金額を元に、それよりも見積金額が上回るように調整しながら、それらしい数字を出してきたのである。 つまり、コンサルタント会社は、管理組合をだましていたのだ。 しかもそれは、管理組合との契約締結時から仕組まれていたものだ。しかし、“素人の集まり”である管理組合では、残念ながら誰もそのことに気づけないのである』、「管理組合との契約締結時から仕組まれていたもの」というのは、同氏が参考に挙げた記事によれば、契約解除が簡単には出来ないような契約条項のことらしい。
・『“泥棒”コンサルタント会社が実践する巧妙なリベート授受の方法 では、具体的に談合の何が悪いのだろうか? 仮に、談合によって工事費が安くなるなら、管理組合にとってはいい話だといえるだろう。だが、当然そんなことがあるわけはない。談合で一番の問題点は、その裏側で多額のリベートが関係者に流れることだ。そして、そのリベートは、すべて管理組合が支払う工事代金から出ている。つまり、談合によって、管理組合は格段に高い大規模修繕工事を買わされてしまうわけだ。 また、そのリベートも、巧妙に隠された形で支払われている。
(1)まずはコンサルタント会社と工事会社との間で基本契約が交わされ、紹介料やコンサルティング料などの名目で、工事を受注した工事会社からコンサルタント会社に工事費の一定額が支払われる。
(2)コンサルタント会社は工事を受注した工事会社に対して、足場業者、塗装業者、防水業者などを紹介し、下請け業者として採用してもらう。そして、コンサルタント会社は採用された下請け業者から、紹介料としてリベートを受け取る。
(3)また、工事の材料についてメーカーを指定したり、特注品を指定したりして、確実にそのメーカーに発注がいくようにし、そのメーカーからもリベートを受け取る。
このように、コンサルタント会社はさまざまな形でリベートを受け取っており、もはや“泥棒”とでもいうべきレベルである。 しかも、そのリベートは紹介料やコンサルティング料などの名目で受け取り、基本契約にもうたうなどして、会社の売り上げとして計上していることから、税法上も問題なく、税務調査が入ってもお咎(とが)めはナシだ。実に憎らしいほどうまくできている仕組みなのである』、コンサルタント会社が悪徳商法の典型もどきをしているとは・・・。
・『談合・リベートは会社ぐるみ! 悪質な担当者が横行する現場の実態 さらに、コンサルタント会社の担当者も悪質だ。 そうした裏事情をよく認識していながら、しれっと「監理業務」にあたっているのだ。監理業務とは、施工会社が仕様書どおりに適正に仕事をしているかをチェックし、品質を検査するもので、大規模修繕工事を無事に終えるために重要な役割を持っている。 本来、監理業務の担当者は、工事が実施されている間は現場を回り、仕様違反や手抜きがないか目を光らせるのが仕事である。しかし、ひどい担当者になると、現場には夕方やってきて、まだ明るいうちに検査の写真をササッと撮影する。検査指摘事項は現場所長に適当に作らせておいて、検査に合格するかどうかは担当者への“接待次第”、という具合だ。 中には、食事は極上の焼き肉、2次会は高級クラブでの接待と内容を指定し、その費用はすべて施工会社持ちの上、領収書はコンサルタント会社名で担当者が受け取る……というひどい話もある。 信じられないかもしれないが、すべて本当のことだ。 しかも、そうした事実を知りながら、会社は見て見ぬふりをするしかできない。その担当者をクビにしたり、懲戒解雇にしたりすると、逆恨みされて、管理組合に対して「おたくの工事を請け負っているコンサルタント会社は、会社ぐるみで工事会社からリベートを受け取っている」と告げ口されてしまうので、担当者を問題視することができないという事情があるのだ』、コンサルタント会社は悪事を告げ口されないように、悪質な担当者に見て見ぬふりをするしかできない、とは皮肉なものだ。
・『時代がようやく動き出した いつか談合・リベートのない健全な業界に かつて私自身も、談合の発注側であるゼネコンと、孫請けやひ孫請け側の工事業者という両方の立場にいた。そして、マンションの工事にかかわる業界のドロドロした姿を見て驚かされ、管理組合が食い物にされている状況に心を痛めて、「なんとか業界改革に乗り出さないといけない」と覚悟を決め、この事業を始めた。 業界にはびこる談合とリベートの問題について、数年前からブログやSNSなどで問題提起し、拙著でも強く訴えかけてきたが、その甲斐あってか、2017年2月4日号の「週刊ダイヤモンド」でも特集として大きく取り上げていただくことになった。 それがきっかけとなったのか、その後NHKの「クローズアップ現代+」でも特集され、各大手新聞社でも1面で取り上げていただけるほど、社会問題として認識されるようになってきた。 そして、国土交通省も「管理組合の利益と相反する立場に立つ設計コンサルタントが発注に関与することのないように十分に意識をしていただく必要がある」と明言するに至っている。 しかし、これほど談合・リベートが社会問題化してきたにもかかわらず、そうした問題に対して、いまだになんのコメントも提案もないコンサルタント会社が何社も存在する。彼らが何もアクションを起こせないのは、彼らの中に談合・リベートの実態があるからではないのか、と疑いの目を向けてしまう。 業界にはびこる談合・リベートの根は、まだまだ深いものがある。私はこの問題が完全に撲滅されるまで、活動を続けていきたいと思う』、大いに頑張ってもらいたいものだ。
タグ:不動産 長嶋 修 (その3)(不動産「仲介手数料」自由化はなぜ必要なのか 50年前にできた基準に縛られる合理性はない、人気タワマンでも40年後は廃虚!?恐ろしいマンション劣化の真実、怒れマンション住民!大規模修繕で跋扈する「談合・リベート」の実態) 東洋経済オンライン 「 不動産「仲介手数料」自由化はなぜ必要なのか 50年前にできた基準に縛られる合理性はない」 不動産仲介手数料の上限が引き上げられた 空き家・空き地の流通円滑化を目的 仲介手数料は、売買価格に対応する形で上限 200万円以下は、価格×5%、200万円から400万円以下は価格×4%+2万円、400万円を超えると、価格×3%+6万円となる 空き家 低額なものが多いため、基準通りの手数料ではビジネスが成り立たない 現在の手数料規定は約50年前の基準 1952年に宅建業法が制定 1970年に出された建設省告示によって、現在のような体系 クライアントからも、「多額の不動産仲介手数料を支払うのは納得がいかない」という声はよく聞かれる 仲介業者の対応に不信感 ホームインスペクション 物件選びの前に担当者選びをする流れを作るべき ダイヤモンド・オンライン 「人気タワマンでも40年後は廃虚!?恐ろしいマンション劣化の真実」 新築はもはや「高根の花」 中古価格もいまだに上昇中 湾岸や武蔵小杉でも条件次第で「都市の墓標」化するマンションも! 「マンションの空き家問題」が顕在化 マンションストック総数のうち、築30年以上のマンションは、およそ184.9万戸あるが、うち40%にあたる72.9万戸は築40年以上。これが2022年には128.7万戸、2027年には184.9万戸、2034年には351.9万戸と激増していく 年月がたって区分所有者の高齢化、賃貸化、空室化などが進行するにつれて、徐々に管理組合の理事のなり手不足、修繕積立金の収支悪化、大規模修繕や建て替えなどの意思決定ができないなどといった機能不全が見られるようになりがちだ 住民の高齢化と賃貸化が マンションを廃虚にする 築40年になると、持ち主の4人に3人しかそこには居住しておらず、その居住者も4人に1人は75歳以上となっているのだ 75歳未満でそこに居住しているアクティブ層は全体の59.2%と、半分強しかいない 賃貸率が20%を超えると、管理組合総会での大規模修繕の可否などを取り決める、総会での普通決議の投票率が極端に低下 賃貸化が進むことも、管理を難しくする大きな要因 築40年を超えると賃貸率は20%を超え、空室率は26.3%に上る マンション管理への意識は希薄化 連絡先不通・所有者不明物件のあるマンションの内訳は、築40年以上が29%、築30年以上40年未満が24%と、高経年マンションが多数 空き家率は10%未満なら管理組合の対応で何とか問題を表面化しないで進められるが 10%を超えると日常的に管理組合運営が困難となり 20%を超えると長期的な展望も、それに向けた取り組みも難しくなり、負のスパイラルに陥りやすくなる さらに空き家化が大幅に進むとエレベーターが止まり、ガス・電気・水道も止まり、居住が困難となり、自力での再生は難しくなる マンションの修繕積立金に関するガイドライン 消費増税 高騰している建築費 金利水準も切り上がるだろう 大半のマンションは、こうした条件を十分に勘案した積み立てができていない。それらは廃虚予備軍と言っていいだろう タワーマンション 工期は長めで非常にコスト高 管理費もただでさえ高め 所有者にとっては二重苦 「タワーマンションの廃虚化」 マンションの二極化 須藤桂一 「怒れマンション住民!大規模修繕で跋扈する「談合・リベート」の実態」 大規模修繕工事にまつわる談合・リベート問題 悪徳コンサルタント会社や工事会社 コンサルタント会社と工事会社との間に談合がある 価格差はあって当たり前! 横並びの見積金額は談合・リベートの証 工事業者を決めるにあたって公募という形を取ったが、実際には、厳しい見積参加条件をつけて、「談合サークル」とも呼べる工事会社だけが応募できるようにし、最初からA社が受注できるように取りはからっていたのだ 管理組合との契約締結時から仕組まれていたもの 泥棒”コンサルタント会社が実践する巧妙なリベート授受の方法 談合によって、管理組合は格段に高い大規模修繕工事を買わされてしまうわけだ そのリベートも、巧妙に隠された形で支払われている コンサルタント会社はさまざまな形でリベートを受け取っており もはや“泥棒”とでもいうべきレベルである 談合・リベートは会社ぐるみ! 悪質な担当者が横行する現場の実態 監理業務の担当者 検査に合格するかどうかは担当者への“接待次第”、 会社は見て見ぬふりをするしかできない その担当者をクビにしたり、懲戒解雇にしたりすると、逆恨みされて、管理組合に対して「おたくの工事を請け負っているコンサルタント会社は、会社ぐるみで工事会社からリベートを受け取っている」と告げ口されてしまう 時代がようやく動き出した いつか談合・リベートのない健全な業界に 国土交通省も「管理組合の利益と相反する立場に立つ設計コンサルタントが発注に関与することのないように十分に意識をしていただく必要がある」と明言するに至っている
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