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日産ゴーン不正問題(その8)(ゴーン氏「オマーン・ルート」特別背任に立ちはだかる”経営判断原則”、ゴーン逮捕“国策捜査説”を裏付ける新事実! 経産省の日産・ルノー経営統合問題への介入示すメールを仏紙が報道、ゴーン氏サイドの秘策と噂された「報酬に関する特殊な論理構成」とは 東京地検が真っ青になった…?) [司法]

日産ゴーン不正問題については、3月16日に取上げた。異例の4回目の逮捕を踏まえた今日は、(その8)(ゴーン氏「オマーン・ルート」特別背任に立ちはだかる”経営判断原則”、ゴーン逮捕“国策捜査説”を裏付ける新事実! 経産省の日産・ルノー経営統合問題への介入示すメールを仏紙が報道、ゴーン氏サイドの秘策と噂された「報酬に関する特殊な論理構成」とは 東京地検が真っ青になった…?)である。

先ずは、元東京地検特捜部検事で弁護士の郷原信郎氏が4月3日付け同氏のブログに掲載した「ゴーン氏「オマーン・ルート」特別背任に立ちはだかる”経営判断原則”」を紹介しよう。
https://nobuogohara.com/2019/04/05/%E3%80%8C%E3%82%AA%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%88%E3%80%8D%E7%89%B9%E5%88%A5%E8%83%8C%E4%BB%BB%E3%81%AB%E7%AB%8B%E3%81%A1%E3%81%AF%E3%81%A0%E3%81%8B%E3%82%8B/
・『一昨日(4月3日)午後、産経新聞が、ネットニュースで「カルロス・ゴーン被告を4回目逮捕へ オマーン資金流用の疑い」と報じ、翌日の4日早朝、東京地検特捜部は、ゴーン氏を、保釈の制限住居とされていた自宅で逮捕し、同住居内の捜索で、キャロル夫人の携帯電話、パスポートまで押収した。 これまでも、特捜検察による「暴走捜査」「暴挙」は数限りなく繰り返されてきたが、特に、森本宏特捜部長になってからは、昨年のリニア談合事件で「徹底抗戦」の2社のみを対象に行った捜索の際、法務部に対する捜索で、弁護士が捜査への対応・防禦のために作成していた書類やパソコンまで押収し、さらに検事が社長室に押しかけ「社長の前で嘘をつくのか」「ふざけるな」などと恫喝するなど「権力ヤクザ」の所業に近い数々の「無法捜査」が行われてきた。 今回のゴーン氏の「4回目の逮捕」と捜索押収も、常軌を逸した「無法捜査」であり、ゴーン氏弁護人の弘中惇一郎弁護士が「文明国においてはあってはならない暴挙」と批判するのも当然だ。その手続上の問題は、今後、重大な人権問題として取り上げられることになるだろう』、「リニア談合事件で」、「「権力ヤクザ」の所業に近い数々の「無法捜査」が行われてきた」とは、特捜検察の酷さを改めて知らされた。
・『それとは別の問題として、そもそも、このオマーン・ルートと言われる特別背任の事件が、刑事事件として立証可能なのだろうか、という点は、あまり注目されていない。ゴーン氏逮捕を報じるメディアの多くは、「ゴーン元会長による会社私物化が明らかになった」「口座の資金の流れが解明されたことで確実な立証が可能になった」などと検察リークによると思われる情報を垂れ流している。しかし、これまでの捜査の経緯と、経営者の特別背任罪の立証のハードルの高さから考えると、有罪判決の見込みには重大な疑問がある。 今回の検察のゴーン氏逮捕も、追い込まれた末の「暴発」である可能性が強い』、最近の新聞報道はゴーン元会長を悪者に仕立て上げる検察リーク記事で溢れているが、これを正す郷原氏の見解は貴重だ。
・『オマーン・ルートの特別背任での逮捕に至る経緯  報道によると、このオマーン・ルートの特別背任というのは、 ゴーン前会長は2015年12月から18年7月までの間、日産子会社の「中東日産」(アラブ首長国連邦)からオマーンの販売代理店「スヘイル・バウワン・オートモービルズ」(SBA)に計1500万ドル(当時のレートで約16億9800万円)を送金させ、うち計500万ドル(同約5億6300万円)を自らが実質的に保有するペーパーカンパニーに還流させた疑いがある。SBAに送金した資金の原資はCEO(最高経営責任者)直轄の「CEOリザーブ(予備費)」で、「販売促進費」名目で支出された。とのことだ。 「4回目の逮捕」をいち早く報じて捜査報道をリードした産経新聞が、昨日の逮捕後、ネット記事で、ゴーン氏逮捕に至る経緯について【中東「資金工作」解明へ検察慎重派説得 カルロス・ゴーン容疑者再逮捕】と題して詳しく報じている。その中に、検察内部において逮捕が決定された経過について、以下のような内容が含まれている。 (1)検察上層部は、裁判所が特捜部の捜査に厳しい態度をとっていることから、「無理して一部でも無罪が出たら組織が持たない」という理由から、「これ以上の立件は不要」と、オマーン・ルートの立件に「慎重姿勢」だった。 (2)オマーンやレバノンなどに求めた捜査共助では、期待した回答は得られなかった。 (3)特捜部は、中東関係者から事情聴取を重ね、資金支出の決裁文書や資金の送金記録などの関係証拠を積み上げた。 (4)特捜部は、「中東での資金工作の全体像を解明しなければ、サウジアラビア・ルートで無罪が出かねない」と言って検察上層部を説得し、逮捕にこぎつけた。 他社に先駆けて、「逮捕」を報じた産経が、逮捕後いち早く報じたのであるから、検察の現場と上層部との間の動きについて、十分な取材に基づいて書いていると考えてよいであろう』、検察上層部は「オマーン・ルートの立件に「慎重姿勢」だった」が、特捜部が粘ったとはありそうな話だ。
・『検察上層部の「慎重姿勢」と特別背任の「経営判断原則」  この中で、まず重要なのは、検察上層部が、「無理して一部でも無罪が出たら組織が持たない」という理由でオマーン・ルートの立件に「慎重姿勢」だったことである。金商法違反事件、特別背任事件のいずれにも重大な問題があり、無罪判決の可能性が十分にあることは、私が、これまで再三指摘してきたところであり、検察上層部の懸念は正しい。そして、検察上層部が、オマーン・ルートの立件に慎重だったのは、特別背任という犯罪の立証のハードルの高さを認識しているからだと思われる。 会社の経営者は、経営上の意思決定をするうえで、資金の支出について広範な裁量権を持っている。その権限は、取締役会の承認等の手続的な制約があり、その手続に違背すると会社法上の責任の問題が生じる。しかし、経営者の決定による支出が「特別背任罪」に該当するかどうかについては、「経営判断原則」が適用され、その支出が会社にとって「有用性」があるか否か、対価が「相当」かどうかという点から、「任務違背」に当たるかどうかが判断される。 三越の元会長とその愛人が会社を食い物にしたとされて特別背任で起訴された三越事件の東京高裁判決(平成5年11月29日)では、「経営判断原則」に基づいて社長の愛人が経営する会社への支出が「任務違背」に当たるかどうかが判断され、一部無罪とされた。この事件での「経営判断原則」の判断枠組みについては、山口利昭弁護士が、ブログでわかりやすく解説している(【日産前会長特別背任事件-焦点となる三越事件高裁判決の判断基準】)』、特別背任の「経営判断原則」は確かに相当高い壁だろう。
・『ゴーン氏逮捕後の報道は、ほとんどが「SBAに支払われた資金がゴーン氏側に還流した」ことをもって「会社資金の流用」としているが、特別背任罪に問われているのはあくまで「日産からSBAへの支払い」であり、それが「任務違背」に当たらない限り、結果的にその支払がゴーン氏の個人的利益につながったとしても(「利益相反」など経営者の倫理上の問題は別として)、特別背任罪は成立しない。 上記の産経記事で書かれている「検察上層部の慎重姿勢」というのは、まさに、経営判断原則に基づくと、SBAの支払が「任務違背」に当たると言える十分な証拠がないという理由によるものだと考えられる』、「結果的にその支払がゴーン氏の個人的利益につながった」か否かは、特別背任罪とは無関係というのは初めて知った。これでは、壁は本当に高いようだ。
・『オマーン・ルートの特別背任罪の成否  そこで、日産からオマーンの販売代理店SBAへの支払に「任務違背」性が認められるか否かであるが、これについて、ゴーン氏側は、「SBAへの支払は、毎年、販売奨励金として行っているもので、問題ない」と主張しているとのことだ。 上記の通り、任務違背かどうかは、「経営判断原則」に基づき、「有用性」と「対価の相当性」が判断されることになるが、まず、オマーンでの日産の自動車の販売の一般的状況について、「自動車ジャーナリスト」の井上久男氏が、ヤフーニュースの記事【日産とオマーンの怪しい関係 役員に高級時計をプレゼントも】で以下のように述べている。 調査会社によると、オマーンの自動車販売は市場全体で2017年が約14万6000台、18年が約12万4000台とそれほど大きくない。市場規模は日本の40分の1程度だ。その中で日産は17年に2万8000台、18年に2万7000台を売り、シェアは19.2%、21.4%。オマーンではシェア1位がトヨタで、2位が日産、3位が韓国の現代自動車だ。 単純計算して車の卸価格を200万円として、日産のオマーン向け出荷売上高は540億円程度、粗利益は27億円程度ではないか。オマーン市場は将来伸びる可能性があるとはいえ、こんな小さな市場の販売代理店に、日本円で39億円もの大金が流れるのか不思議でならない。 井上氏は、「粗利益27億円」と「39億円」とを比較しているが、年間の「粗利益27億円」と、8年間で39億円の支払いを比較するのはおかしい。1年なら5億になる。通常、販売奨励金は、売上高に応じて算定するはずであり、年間売上高540億円の1%弱という5億円の販売奨励金が特別に高額とは言えないだろう』、井上久男氏の指摘は確かに「お粗末」だが、この点については特捜部はちゃんと分かっているのだろう。
・『上記産経記事では、「資金支出の決裁文書や資金の送金記録などの関係証拠を積み上げた」としているが、オマーンでの日産車の販売に関して一定の実績が上がっていれば、販売奨励金の支払いが、日産にとって有用性がないとは言えないし、対価が不当であったともいえない以上、資金の流れや手続に関する証拠だけでは、「有用性」「対価の相当性」を十分に否定することはできない。 検察は、ゴーン氏が、SBAへの支払のうち500万ドル(同約5億6300万円)を自らに還流させたと主張しているようだ。確かに、正規に支払が予定されていた販売奨励金の金額に、ゴーン氏側への還流分を上乗せして支払ったということであれば、その分は、「経営判断原則」の範囲外の個人的流用となる余地もある。しかし、その点の立証のためには、SBA側から、「当初から、日産が支払うべき販売奨励金に上乗せした支払を受け、それをゴーン氏側に還流させた」との供述が得られることが必要だ。SBA側からそのような供述が得られていないことは間違いなさそうだ(4月5日朝日新聞「時時刻刻」)』、ゴーン氏の強い中東人脈からすれば、SBA側がゴーン氏不利となる供述をする可能性は極めて低いだろう。
・『「15億円クルーザー」は本当か  SBAに渡った約35億円のうち、約15億円がゴーン氏のキャロル夫人の会社に還流し、“社長号”なる愛称がつけられたクルーザーの購入代金に充てられているとしきりに報じられているが、この点に関しても、今年2月の時点で、週刊新潮が以下のようにルノー関係者の説明を報じている(【逆襲の「ゴーン」! 中東の販売代理店が日産を訴える理由】)。 クルーザーは、昨年亡くなったレバノンの弁護士から購入しました。ゴーンは以前からその弁護士と親しかったため、“体調が悪く、もう海に出ることもないから、私の船を買わないか?”と持ちかけられていた。でも、あくまでもポケットマネーで、マリーナなどの契約も引き継ぐためにクルーザーの所有会社ごと買い取って、キャロル夫人の名義にしたとのことでした この説明のとおりだとすると、「15億円のクルーザー」に関する報道も怪しくなる。それは、あくまで新艇の価格であり、上記のような経緯で、マリーナなどの契約も引き継いだ譲受の実際の価格は、大幅に下回っていた可能性がある。 もちろん、事実関係、証拠関係の詳細は不明だ。しかし、産経新聞が報じているように検察上層部が「慎重姿勢」であった理由を考えてみると、現時点においてもオマーン・ルートの特別背任について有罪立証の見通しが立っているようには思えない』、「15億円のクルーザー」は新品ではなく、「亡くなったレバノンの弁護士から購入」したのであれば、「譲受の実際の価格は、大幅に下回っていた可能性がある」というのは確かだろう。
・『そのような特別背任の容疑事実で、敢えてゴーン氏を逮捕し、自宅やキャロル夫人に対する捜索押収を行った特捜部には、再度の逮捕でゴーン氏に精神的打撃を与え、自宅の捜索で保釈条件違反に当たる事実を見つけだして保釈取消に追い込むことや、ゴーン氏側の公判準備の資料を押収して弁護活動に打撃を与えること、そして、最終的には、検察に敵対するゴーン氏を自白に追い込み叩き潰すことが目的だったとしか思えない。 上記、週刊新潮の記事では、SBA側の対応に関して、 オマーンに派遣された日産の調査チームは経営者に対し、取引関係の解消までチラつかせてゴーンに不利な証言を求めました。でも、彼はそれを拒絶し、逆に日産に対する訴訟も辞さずと憤慨している。この代理店は売上実績でかなりのシェアを持っており、中東で強い発言力がある。仮に取引解消となれば、他の代理店も追随して離反するかもしれず、日産側も大打撃を被るのは避けられません と報じている。 検察と日産が結託し、数々の「非道」を重ねている「ゴーン氏追放劇」と「権力ヤクザ」のような捜査は、重大な局面を迎えようとしている』、「日産の調査チームは経営者に対し、取引関係の解消までチラつかせてゴーンに不利な証言を求めました」、こんな見え透いた手を使って、「訴訟も辞さずと憤慨」させた日産のやり方には、呆れ果てた。どうも特捜部の立場はますます悪くなっているようだ。

次に、4月16日付けLITERA「ゴーン逮捕“国策捜査説”を裏付ける新事実! 経産省の日産・ルノー経営統合問題への介入示すメールを仏紙が報道」を紹介しよう。
https://lite-ra.com/2019/04/post-4663.html
・『先日も保釈中に異例の再逮捕されるなど日産自動車元会長カルロス・ゴーン氏をめぐり検察の強引な捜査が続くなか、一連のゴーン事件の背景に日本政府が関与している可能性が濃厚になってきた。 仏紙ジュルナル・デュ・ディマンシュ(JDD)が14日、関係者のメールから、経産省が日産とルノーの経営統合案を阻止するため介入していたことを報じたのだ。 同紙が報じたのは、2018年4〜5月に当時の日産幹部とゴーン氏との間で交わされたメール。同年4月23日に日産の専務執行役員であるハリ・ナダ氏からゴーン氏に送られたメールには、仏国家出資庁長官でルノー取締役のマルタン・ビアル氏らとの会合が言及されていた。これはルノーとの経営統合をめぐって日産と仏政府とで行われた協議内容の報告だが、そこにはビアル氏が日本の経産省から書簡を受け取っていたとの内容が含まれていたという。 さらに、5月21日に別の日産幹部がゴーン氏や西川広人社長に送ったメールには、経産省が用意したという「覚書案」が添付されており、「両者の提携強化は日産の経営自主性を尊重することによってなされること」などと示されていたという。ようするに、JDDの報道が事実であれば、安倍政権はゴーン氏逮捕以前から日産とルノーの経営統合を阻止するように直接介入していたということになる。 安倍首相はゴーン氏が逮捕された直後の昨年12月、マクロン仏大統領との会談のなかで、日産と三菱自動車、ルノーの3社連合に関して「民間の当事者で決めるべきで、政府が関与するものではない」と伝えたとされるが、やはりウソ八百だったのか』、仏紙JDDが報じただけで、日本のマスコミは「後追い報道」をしないのは、安部政権への「忖度」なのかも知れないが、情けない話だ。
・『となれば、本サイトでは以前から伝えてきたように、一連のゴーン氏逮捕は「日産と三菱自動車の海外移転を阻止するための国策捜査」であるとの説も、さらに信憑性を増してきたといえるだろう。 念のため振り返っておくが、そもそも日産と三菱自動車、ルノーの間にはずっと経営統合の計画がくすぶっていた。これは、ルノーの筆頭株主である仏政府が3社を全面的に統合し、日産や三菱もフランスに移転させるという計画だ。そんななか、仏政府と対立しながらこれに異を唱えていたのがゴーン氏だったのだが、昨年2月にルノーCEOの続投が決まると一転、メディアに対して「すべての選択肢が考えられる」と公言。同年3月、すぐさま日産とルノーの機能統合の拡大に着手したように、ゴーン氏は経営一体化を進めたいフランス政府の“名代”さながらに振舞い始めた。 この流れに強い危機感を覚えたのが経産省だったというわけだ。そして同じ年の6月、日本版の司法取引制度が導入される。ここから経営統合を阻むため、“安倍経産省政権”とも言われる日本政府と、そのグリーンサインを察知した東京地検特捜部、一部の日産幹部とがグルになってゴーン氏だけを狙い撃ちした──これが、永田町周辺で囁かれていた“国策捜査説”のストーリーだった。 言っておくが「陰謀論」ではない。事実、ゴーン氏は昨年11月に3社連合の経営統合案を本格協議する予定だったとされており、結果、来日の瞬間に逮捕されたことによって“ゴーン案”は頓挫したわけだが、本サイトも何度も指摘してきたように、その逮捕劇の裏側には安倍官邸と“経産省人脈”がちらついていた』、日本版司法取引制度導入までが、道具立ての1つだったとは恐れ入るが、“国策捜査説”がますます信憑性を増してきたようだ。
・『日産クーデターのキーマンたちと安倍官邸のただならぬ関係  そのひとつが、日産内部の極秘調査チームの中心人物であると様々なメディアで名指しされている専務執行役員の川口均氏。川口氏は菅義偉官房長官と近い関係にあるといわれており、その間、菅官房長官に逐一報告をあげて相談していたとの見方がある。 さらにもうひとり、安倍政権と「日産のクーデター」を結びつけるキーマンとして取り沙汰されたのが、昨年6月に日産の社外取締役に就任した経産省OBの豊田正和氏だ。もともと、日産は経産省の有力な天下り先だったのだが、ゴーン体制になって以降、長らく同省からの天下りを受け入れてこなかった。そんなか、突如として送り込まれたのが、事務次官に次ぐNo.2である経済産業審議官や内閣官房参与なども歴任した豊田氏。安倍首相の側近中の側近で、やはり経産省出身の今井尚哉首相秘書官とも近い関係にあるといわれる。 そうしたことから、日産を取材する記者たちの間では、この豊田氏こそ「ルノーとの統合や海外移転を阻止するために、経産省が送り込んだ人物」ではないかとの見方が広がったのだ。実際、ゴーン逮捕以降、豊田氏は社外取締役という立場であるにもかかわらず、新聞記者が取材に押しかけており、元朝日新聞編集員の山田厚史氏によれば〈今や「夜の広報担当」といった存在〉(ダイヤモンド・オンライン2018年12月11日)になっていたという』、「経産省OBの豊田正和氏」は確かに大物のようで、「今や「夜の広報担当」といった存在」というのも頷ける。
・『今回、JDDが報じたメールのやりとりは、国策捜査説の背後にある安倍官邸と経産省の策謀を裏づける証拠となるだろう。前述したとおり、経産省の介入を示すメールがあったのは、ゴーン氏が統合機能強化に乗り出した直後の4月から5月。ゴーン氏の“豹変”を目の当たりにした経産省が血相を変え、仏政府と日産へ強引に迫っていたことが想像できる。そして、その後すぐに経産省の大物OB・豊田氏が社外取締役として日産に向かい入れられていたのだ。これが偶然などということがあるのだろうか。 こうした状況を踏まえると、安倍政権はかなり綿密に“ゴーン潰し”の計画を練り、着々と実行に移してきたとしか思えないのである。いずれにしても、ゴーン事件は単なる企業内闘争ではない。安倍政権が直接介入するなど、そこには政治権力が蠢いている。その結果もたらされたのが、強引に繰り返されるゴーン氏の逮捕と拘留だ。巨大な政治的思惑によって、簡単に人間から自由が奪われる様には慄然とせざるを得ない』、「巨大な政治的思惑によって、簡単に人間から自由が奪われる様には慄然とせざるを得ない」というのは言い得て妙だ。何年か経ってゴーン氏無罪が確定したら、安部政権はどうするつもりなのだろう。その前に安部は退陣しているのかも知れないが・・・。

第三に、ジャーナリストの時任 兼作氏が4月17日付け現代ビジネスに寄稿した「ゴーン氏サイドの秘策と噂された「報酬に関する特殊な論理構成」とは 東京地検が真っ青になった…?」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64093
・『「4度目の逮捕」異例の背景  4月4日、東京地検特捜部は保釈中のゴーン被告の4度目の逮捕に踏み切った。 容疑は、会社法違反(特別背任)。日産の資金を中東オマーンに不正送金し、同社に損害を与えたというものだ。 「追起訴はあるかもしれないと思っていたが、逮捕になるとは、まったく予想できなかった」 ゴーン被告の弁護人を務める弘中惇一郎弁護士は、逮捕後の会見でそう述べたが、それもうなずけよう。容疑は前回の逮捕容疑と類似しており、通例ならば追起訴で済むはずだった。 報道陣にとっても予想外の事態であったようで、報道各社はゴーン「被告」の肩書を急遽、「容疑者」と改める慌てぶりだった。すでに起訴されている罪状がある以上、被告であることに変わりはないものの、逮捕後は容疑者としての立場にもなるためだ。 ともあれ、ゴーン被告は約1カ月前の3月6日に108日間の勾留を経て保釈されたばかりであったにもかかわらず、再び逮捕・収監されたわけだが、「特捜部の事件で保釈後、余罪で再逮捕されるのは異例中の異例だ」との批判が絶えない。 いったいこの背景には、何があったのか』、「異例中の異例」の再逮捕の背景とは興味深い。
・『なぜか「イチローの情報収集」…?  その10日ほど前のこと――。 筆者の取材に応じた東京地検関係者が、吐き捨てるようにこんなコメントをしたのを耳にした。 保釈後、ゴーンは自由に行動し、公判対策のためにあちこちで関係者と接触している。しかも、ゴーンと接触した関係者が、ゴーンの指示を受けてさらに多くの関係者にコンタクトしている」 ゴーン被告が保釈されたのは、弁護側が提示した条件に裁判所が納得したからだとされる。すなわち、海外への渡航禁止、住居に防犯カメラを設置し記録を定期的に提出すること、携帯電話はネットに接続できないものを使用し通話記録も残すこと、パソコンは弁護士事務所にあるネットに接続していないものを使う――といった制限のことだ。裁判所は、ゴーン被告がこれらの条件を守るならば証拠隠滅は図れないと判断したとみられる。 だが、元検事の弁護士(ヤメ検)をはじめ、多くの法曹関係者から「この条件では証拠隠滅は防げない」と疑問の声が上がっていたという。 具体的な指摘もあった。「外出先で携帯電話やパソコンを借りれば、第三者と接触するのは簡単だ」といったものだが、どうやら実際はそれ以上の状況だったようだ。ゴーン被告の動きは、それほど活発だったとこの知見(正しくは地検?)関係者はいうのである。 もっとも、東京地検特捜部も手をこまねいていたわけではない。捜査員をフルに動員し、24時間体制で監視や通信傍受に当たっていた、という。 その最中、ゴーン被告と彼の陣営が目論む「抜け目ない法廷戦術」の一端を垣間見たのだという。前出の東京地検関係者が語る。 「ゴーン当人および周辺人物の動きを追い、会話の内容などを確認すると、つい先頃引退した大リーグのイチロー選手に注目し、彼の報酬の受け取り方について、情報収集と分析を綿密に行っていることがわかった。 そこで、どこに焦点を当てているか精査してみると、非常にまずいことが判明した。イチロー氏が選手だった時の『出来高報酬』の例を法廷に持ち出されて援用されると、厳しいということだ。下手をすると、役員報酬の虚偽記載容疑が成り立たなくなってしまう」 イチロー氏と言えば、日産との関わりが深い。数多くのCMに出演しており、ゴーン被告が社長を務めている時期にも起用されているため、イチローサイドとのコネクションがあっても不思議ではないが、それにしてもなぜイチロー氏のことを持ち出されると、役員報酬の虚偽記載が成り立たなくなるというのか』、「イチロー選手に注目」とは意外だ。
・『「イチロー式」報酬受け取り法とは?  この話を聞いた当初は、単純に「後払いならOK」という例としてゴーン被告の無罪立証に資するのか、と思いかけた。だが、よくよく考えてみると、腑に落ちない。 というのも、ゴーン被告の罪状のひとつである役員報酬の虚偽記載についての争点は、東京地検側が「確定報酬を隠していた」というのに対し、ゴーン側は「後払いであって確定していなかった」と主張しているというものである。しかしイチロー氏の場合、あくまでも年棒が確定された上での契約だった。 会計法上の規定からしても、報酬が確定しているならば、有価証券報告書に記載しないのはアウトである。東京地検はこの規定を踏まえ、今年2月、日産にゴーン被告の「引退後の報酬」として約92億円を計上させ、有価証券報告書の訂正を行わせてもいる。 とすると、なぜ東京地検は焦っているのか。 実は、カラクリはイチロー選が大リーグに進出した際、最初に結んだ契約にあった。ポイントは、出来高(インセンティブ)報酬だ。その後の契約では出来高が減っていくが、初回の契約だけは、かなりの出来高報酬があった。 そのしくみを詳しく記すと、こうなる。 200打席を超えると40~60万ドルが支給され、その後、50打席増えるごとに40~60万ドルが加算。450打席を超えた時点で200~300万ドルが支払われる。 また、このほかに、球宴に出場した場合やMVPなどを獲得した場合にも報酬が付く。 この出来高報酬で、イチロー選手は1年目ですら基本年棒を超える額である240万ドルを得ている。金額は事後的に確定するので、仮に怪我などで欠場していれば、これほどの大きな額は受け取れなかっただろう。 ゴーン被告サイドは、ここに目を付けたとみられる』、「出来高報酬」に目をつけたとは、さすがだ。
・『真っ青になった東京地検  筆者がイチロー選手の契約内容をチェックしたのち、東京地検関係者に再取材すると、その関係者はこう言って認めた。 「『私の報酬もイチロー選手と同じく、確定していない、業績に応じたインセンティブ報酬であったから、未記載で構わない』という論理構成をゴーン側は模索しているとみられる。悩ましいところだ」 別の検察関係者も言う。 「報酬は確定してから、要するにもらってから公表するのが当たり前で、そんなケースは世界にざらにある。イチロー選手の場合だってそうだし、いま話題になっている前田(健太)選手もそうだ、とゴーンは主張しようとしている。 こうなると、実はけっこう苦しい。今年2月、日産がゴーンの後払い報酬として92億円を計上した時、ゴーンが『これで本当にもらえることになった』と苦笑気味に漏らした際、東京地検は『ヤバい』と青くなって、訴因の変更すら検討し始めた」 日本の誉である国民的野球選手を引き合いに、ゴーン被告が筋の通った無罪答弁を予定しているとすれば、社会的なインパクトも大きい。 それゆえ、東京地検は訴因変更、すなわち別の罪状での起訴を模索し始めたというのである。 それにしても、さすがは傑出した経営者たるゴーン被告というべきか、あるいは「無罪請負人」弘中弁護士の智恵なのか、ともあれ東京地検は窮地に追い込まれたわけである――。 以上が、4度目の逮捕直前の状況であった。そしてその直後、東京地検は上層部たる最高検に泣きついた。 「もう一度、別の容疑で逮捕しないと、ゴーンは無罪になる」 そう言って、最高検を説得したというのだ。もっとも、その裏では、こうも息巻いていた。 「一度じゃない。こうなったら、何度でもやってやる」 今回の逮捕にあたり、東京地検はゴーン被告の日記や電話などのほか、公判対策用に作成された資料まで押収したというが、ほかの罪状への対応にも念を入れるつもりだとされる。 役員報酬以外の罪状である会社法違反について、「会社に損害は与えていない」「社内の承認は得ている」などとゴーン被告が主張していることも侮れない。今回の特別背任の容疑についても、当然反撃を繰り出してくるとの見方もある。 とすると、追い詰められた東京地検は……場合によっては、さらなる逮捕もありうるかもしれない。 両者の攻防は続く』、第一の訴因である「役員報酬の虚偽記載が成り立たなくなる」恐れが強まったので、東京地検特捜部が今回の逮捕劇で、「ほかの罪状への対応にも念を入れるつもり」とは、なりふり構わずの姿勢になったようだ。しかし、これでは、海外からの批判もますます強まることだろう。一体、どう決着させるつもりなのだろうか。見ものだ。
タグ:「ゴーン氏サイドの秘策と噂された「報酬に関する特殊な論理構成」とは 東京地検が真っ青になった…?」 「ゴーン氏「オマーン・ルート」特別背任に立ちはだかる”経営判断原則”」 これまでも、特捜検察による「暴走捜査」「暴挙」は数限りなく繰り返されてきた 森本宏特捜部長になってからは 「権力ヤクザ」の所業に近い数々の「無法捜査」が行われてきた 今回のゴーン氏の「4回目の逮捕」と捜索押収も、常軌を逸した「無法捜査」 クルーザーは、昨年亡くなったレバノンの弁護士から購入 今や「夜の広報担当」といった存在 経済産業審議官や内閣官房参与なども歴任 日産クーデターのキーマンたちと安倍官邸のただならぬ関係 逮捕劇の裏側には安倍官邸と“経産省人脈”がちらついていた SBA側からそのような供述が得られていないことは間違いなさそうだ 「15億円クルーザー」は本当か 検察と日産が結託し、数々の「非道」を重ねている「ゴーン氏追放劇」と「権力ヤクザ」のような捜査は、重大な局面を迎えようとしている オマーン・ルートと言われる特別背任の事件が、刑事事件として立証可能なのだろうか 検察上層部の「慎重姿勢」と特別背任の「経営判断原則」 オマーン・ルートの立件に「慎重姿勢」だった (その8)(ゴーン氏「オマーン・ルート」特別背任に立ちはだかる”経営判断原則”、ゴーン逮捕“国策捜査説”を裏付ける新事実! 経産省の日産・ルノー経営統合問題への介入示すメールを仏紙が報道、ゴーン氏サイドの秘策と噂された「報酬に関する特殊な論理構成」とは 東京地検が真っ青になった…?) 特別背任罪に問われているのはあくまで「日産からSBAへの支払い」であり、それが「任務違背」に当たらない限り、結果的にその支払がゴーン氏の個人的利益につながったとしても(「利益相反」など経営者の倫理上の問題は別として)、特別背任罪は成立しない 検察上層部は SBA側から、「当初から、日産が支払うべき販売奨励金に上乗せした支払を受け、それをゴーン氏側に還流させた」との供述が得られることが必要 日本版の司法取引制度が導入 「ゴーン逮捕“国策捜査説”を裏付ける新事実! 経産省の日産・ルノー経営統合問題への介入示すメールを仏紙が報道」 オマーン・ルートの特別背任罪の成否 でも、彼はそれを拒絶し、逆に日産に対する訴訟も辞さずと憤慨している 同氏のブログ 安倍首相の側近中の側近 社外取締役に就任した経産省OBの豊田正和氏 日本政府と、そのグリーンサインを察知した東京地検特捜部、一部の日産幹部とがグルになってゴーン氏だけを狙い撃ちした 日産ゴーン不正問題 「経営判断原則」が適用され、その支出が会社にとって「有用性」があるか否か、対価が「相当」かどうかという点から、「任務違背」に当たるかどうかが判断される 巨大な政治的思惑によって、簡単に人間から自由が奪われる様には慄然とせざるを得ない 井上氏は、「粗利益27億円」と「39億円」とを比較しているが、年間の「粗利益27億円」と、8年間で39億円の支払いを比較するのはおかしい 検察リークによると思われる情報を垂れ流している なぜか「イチローの情報収集」 郷原信郎 東京地検は上層部たる最高検に泣きついた。 「もう一度、別の容疑で逮捕しないと、ゴーンは無罪になる」 そう言って、最高検を説得 現代ビジネス ほかの罪状への対応にも念を入れるつもり 東京地検は『ヤバい』と青くなって、訴因の変更すら検討し始めた 一連のゴーン氏逮捕は「日産と三菱自動車の海外移転を阻止するための国策捜査」であるとの説も、さらに信憑性を増してきた 特別背任という犯罪の立証のハードルの高さを認識 真っ青になった東京地検 オマーン・ルートの特別背任での逮捕に至る経緯 経産省が用意したという「覚書案」が添付されており、「両者の提携強化は日産の経営自主性を尊重することによってなされること」などと示されていた 「イチロー式」報酬受け取り法とは? SBA側の対応に関して、 オマーンに派遣された日産の調査チームは経営者に対し、取引関係の解消までチラつかせてゴーンに不利な証言を求めました 譲受の実際の価格は、大幅に下回っていた可能性 安倍政権はかなり綿密に“ゴーン潰し”の計画を練り、着々と実行に移してきたとしか思えない 日産の専務執行役員であるハリ・ナダ氏からゴーン氏に送られたメールには、仏国家出資庁長官でルノー取締役のマルタン・ビアル氏らとの会合が言及されていた。これはルノーとの経営統合をめぐって日産と仏政府とで行われた協議内容の報告だが、そこにはビアル氏が日本の経産省から書簡を受け取っていたとの内容が含まれていたという 井上久男氏 イチロー氏が選手だった時の『出来高報酬』の例を法廷に持ち出されて援用されると、厳しいということだ。下手をすると、役員報酬の虚偽記載容疑が成り立たなくなってしまう ゴーン氏は経営一体化を進めたいフランス政府の“名代”さながらに振舞い始めた 時任 兼作 litera
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