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防衛問題(その16)(「行動する時が来た」「靖国の英霊と会話できる」陸自特殊部隊元トップの“危なすぎる世界観”、防衛費の「無駄遣い」が止まらない…アメリカに抵抗できない「日本の悲惨な末路」、日本の自衛隊「最悪の事態」の備えが不可欠な訳 軍事危機にどう使うか コンセンサスが必要だ) [国内政治]

防衛問題については、1月30日に取上げた。今日は、(その16)(「行動する時が来た」「靖国の英霊と会話できる」陸自特殊部隊元トップの“危なすぎる世界観”、防衛費の「無駄遣い」が止まらない…アメリカに抵抗できない「日本の悲惨な末路」、日本の自衛隊「最悪の事態」の備えが不可欠な訳 軍事危機にどう使うか コンセンサスが必要だ)である。

先ずは、2月1日付け文春オンラインが掲載した近現代史研究者の辻田 真佐憲氏による「「行動する時が来た」「靖国の英霊と会話できる」陸自特殊部隊元トップの“危なすぎる世界観”」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/43141
・『「別にコロナ怖くないけど/マスメディアはゴミだと知ってる/そのダルさはプロパガンダから来る/憔悴のせいだよ」 男性がギターを弾きながら満面の笑みで歌う。2019年にリリースされた、瑛人の「香水」の替え歌だ。この不穏な動画をフェイスブックでシェアしたのは、荒谷卓。陸上自衛隊の特殊作戦群(2004年に発足した特殊部隊)の初代群長である。 荒谷は先日、メディアを騒がせた。OBとなった現在も、毎年、現役自衛官や予備自衛官を募って、三重県で私的に戦闘訓練を指導していると報道されたからである。 それに加えて、同人は「作家の故三島由紀夫が唱えた自衛隊を天皇の軍隊にする考え方に同調するなど保守的主張を繰り返しており、隊内への過激な政治思想の浸透を危惧する声も出ている」という(「陸自OBが私的に戦闘訓練『楯の会に酷似』三島信奉」)』、ウルトラ右翼が「特殊部隊の初代群長」、で退任後も活動を主導しているとは・・・。
・『陰謀論者ご用達の「ディープステート」も登場  しかし、実態はより深刻なようだ。荒谷がフェイスブックでときおりシェアする動画の内容は、三島云々どころではない。 いわく、新型コロナウイルスが危険なのではなく、ステイホームとマスク着用こそが人間の免疫力を落としている。いわく、新型コロナウイルスのワクチンは人間の体に未知の遺伝子変化を引き起こす。いわく、メディアはコントロールされており、世界の真実を伝えない――。 果ては、陰謀論者ご用達のワード、「ディープステート」まで出てくる。この世界には、裏から人類を支配しようとする、権力者や資産家たちによる「闇の政府」が存在するらしい。 さきに紹介した「香水」の替え歌も、ここで意味がはっきりする。ようするに、ひとびとが体のダルさを訴えているのは、コロナのせいではなく、むしろ「ディープステート」に支配された、マスメディアの情報操作のせいだと言うわけである。 OBとはいえ、陸自の特殊部隊元トップがこの認識? さすがになにかの間違いでは。そう信じたいところだが、残念ながら、荒谷の著作を読むとその思いは微塵に打ち砕かれる』、「陰謀論者ご用達の「ディープステート」も登場」、現役時代はどうだったのだろう。
・『「社会の破壊と人間の奴隷化」が始まった?  荒谷のデビュー作は『戦う者たちへ』(2010年)だが、昨年その第3版が出た。そこで増補された部分には、コロナ騒動を受けたところがある。そしてこれが、たいへんきな臭い内容なのである。 令和二年、世界では重要な出来事が起こった。いわゆる『コロナ騒動』だ。コロナウイルスそのものは全く問題ないにもかかわらず、コロナを利用して世界中を脅迫し、自分たちの利益獲得と支配体制を目論む極悪非道の連中がメディアを使って、社会の破壊と人間の奴隷化を開始した。 ここでも「ディープステート」的な世界観が明確に出ていて、頭を抱えてしまう。とはいえ、本書の“暴走”はこれで止まらない。 荒谷はさらに、「新しい生活スタイル」を推し進めて、神社の祭りやお盆の帰省などを阻み、日本の歴史・文化・伝統を根本から破壊しようとする者たちを「日本の真の敵」と断定。そして「これと戦うことが、真の国防である」と主張し、「真の日本の戦闘者」にたいして「行動する時が来た」と訴えかけるのである』、妄想たくましいウルトラ右翼だが、現実を重視する必要がある職業軍人にもこんな人物がいるとは、恐ろしいことだ。
・『「靖国の英霊と初めて会話ができる」  ずいぶん物騒になってきた。とはいえ、その具体的な戦い方を聞くと、いささか拍子抜けする。 日本中に有り余っている休耕田を起こして田んぼを再生する。お祭りに参加する。世のため人のために働く。家族的経営の会社運営をする。お金やネット情報に依存しない。テレビは観ない。メディアの情報を無視する。コロナ騒動を扇動する悪人のもとでは働かない。奴らが振りまくリスクを無視する等々、日本文化防衛のためにできることはいっぱいある。(前掲書) 農業や祭りなどはともかく、後半は典型的な「ネットで真実を知った」者の考え方だ。ネット情報に依存しないと言いながら、フェイスブックを見るかぎり、ネット情報にはそれなりに影響を受けているのではないか。 ところが、本書を読み進めると、そのような合理性が一刀両断されてしまう。 その上で、奴らが強制力をもって戦いを仕掛けてきたら断固として戦う。有効性など考える必要はない。合理性を一切排するところに日本文化の輝きが生まれる。『敵は幾万ありとても我行かん』の気概で戦う。身体の保全より心の保全を優先する。そうすれば靖国の英霊と初めて会話ができる。(前掲書) それはなにか別のものと会話しているのでは――。しかし、こんなツッコミも荒谷には届かないだろう。「マスメディアはゴミだと知ってる」のだから』、とうてい正気とは思えないような発想だ。
・『もともと保守的な思想の持ち主だったが……  たしかに荒谷は、本人も語るように、自衛隊でもともと保守的な“問題児”だった。 入隊前より三島由紀夫を信奉し、尊敬する合気道の島田和繁武学師範より「自衛隊に行け!」と言われたときは、「三島由紀夫を罵倒して、誰もついていかなかった自衛隊か」と思いながらも、「自分が入るなら自衛隊を全部変えなきゃいかんな」という意気込みで、幹部自衛官の道に進んだという。そのため、歴史観で同意できなければ教官にも反論。調査隊の監視対象になっても、構わず制服姿で憂国忌(三島の追悼集会)に参加し、靖国神社の清掃奉仕に加わったほどだった(荒谷卓『自分を強くする動じない力』)。 そのような人物が、特殊部隊の責任者となり、「国を守るとは」「部下の生命を預かるとは」と突き詰めて考えた結果、スピリチュアル系の保守思想にたどり着くのは、それほど不自然なことではない。 とはいえ、昨今の発言はそれまでの著作の内容にくらべても、明らかに一線を越えている。神武天皇や八紘一宇あたりはともかく、ディープステートはやりすぎだ。 したがってこの問題は、保守思想や自衛隊云々よりも、もっと広く捉えなければならない』、「自衛隊でもともと保守的な“問題児”だった」、辞めた時の階級を書いてないが、「幹部自衛官の道に進んだ」、「調査隊の監視対象」、「自衛隊」としても扱いには頭を痛めたことだろう。
・『5点の陰謀論を防ぐ65点の物語を  現在、ネットでは、コロナ禍やアメリカ大統領をめぐって、以上と大同小異の陰謀論が渦巻いている。 「ネットで真実を知った」者の成れの果てと、かれらを笑うのはたやすい。だが「もっと確かな情報源を」という指摘自体が「マスゴミ批判」で封じられている以上、事態は深刻である。 そもそもかれらは、一般的な知性をもち、それどころかとても勉強熱心で、平均的な日本人よりも本を読み、そして自分の頭でよく考えている。にもかかわらず、このような世界観に陥ってしまう。そこでなお既存の権威を振りかざすのはあまりに虚しい。 では、どうすればよいか。ひとつの提案として、メディア上に(オンライン記事でも、ウェブ動画でも)、考えるヒントになるような、よりまともな物語を流していくことが考えられるのではないだろうか。具体的には、「ディープステート」を「農業を通じて国に貢献」などで上書きしていくということである。 あえてざっくり言えば、5点の陰謀論よりも、65点の愛国の物語のほうがまだマシだということである』、この部分は筆者の主張は分かり難い。
・『“100点満点主義者”が壊滅させたもの  SNSには、1点の間違いも許さない、リゴリスティックな100点満点主義者がすっかり多くなってしまった。そこで65点の物語はよく血祭りに挙げられている(「国に貢献」というが、そもそも近代国民国家の枠組みを自明視していることが暴力的であり、思慮が浅く云々)。とはいえ、65点の物語を壊滅させたあとにやってくるのは、100点満点主義者が尊敬される世界ではなく、逆に批判などまったく意に介さない、5点の陰謀論が蔓延する世界ではないだろうか。現状はむしろそうなっているように思えてならない。 われわれは不完全な存在である。100点満点主義者も、自分の得意分野以外ではしばしばデタラメなことを言っている。であれば、65点ぐらいの物語を公共財として鍛えていくことが、5点の陰謀論を防ぐ防波堤になると筆者は考える。 今回のニュースについても、ただ笑い、嘆き、蔑んで消費してしまうよりも、このような代替案を考えたほうが生産的で有益だと思うのだが、いかがだろうか』、「65点の物語を壊滅させたあとにやってくるのは、100点満点主義者が尊敬される世界ではなく、逆に批判などまったく意に介さない、5点の陰謀論が蔓延する世界ではないだろうか」、筆者の単なる思い込みなのではなかろうか。後半部分を除けば、興味深い内容だった。

次に、2月11日付け現代ビジネスが掲載した防衛ジャーナリストの現代ビジネス氏による「防衛費の「無駄遣い」が止まらない…アメリカに抵抗できない「日本の悲惨な末路」」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/80138?imp=0
・『国会で2021年度予算案の審議が始まった。防衛費は過去最大の5兆3422億円となり、新型コロナウイルス感染症対策の予備費5兆円よりも多い。 武器購入や23万人いる自衛隊の人件・糧食費に多額のカネがかかるとされるが、目に余るのはその無駄遣いぶりだ。 イージス・アショア代替策としてのイージス・システム搭載艦2隻の建造、開発した米国と日本以外どの国も買わないオスプレイの導入、米国でも評判の悪い滞空型無人機「グローバルホーク」の輸入は、まさに「無駄遣い3点セット」。 オスプレイとグローバルホークは、米政府への支払いが進み、実際に導入中止を決断できるのは新たに建造するイージス・システム搭載艦だけ、ということになる。 限られた予算を有効活用すべきなのは言うまでもないが、なぜか野党の中にも防衛費は「聖域」と見なす向きがあり、追及の手は緩い』、「野党の中にも防衛費は「聖域」と見なす向きがあり、追及の手は緩い」、困ったことだ。
・『問題が多すぎるイージス・システム搭載艦  まず、イージス・システム搭載艦の導入過程から振り返ろう。 昨年6月、当時の河野太郎防衛相が配備停止を公表した後、国家安全保障会議で正式に導入断念を決定した。ところが、トランプ米大統領にイージス・アショアを含む米国製武器の「爆買い」を約束した安倍晋三首相は収まらず、「イージス・アショア代替策」と「敵基地攻撃能力の保有」の検討を求める安倍談話を出して退陣した。 「安倍政権の継承」を明言する菅義偉首相は昨年12月、イージス・システム搭載艦2隻の建造と敵基地攻撃に転用できる12式地対艦誘導弾能力向上型の開発を閣議決定し、21年度予算案にこれらの関連費用が計上されている。 イージス・システム搭載艦の問題は多い。そのひとつは巨額の費用がかかることだ。 地上配備を前提に設計されたイージス・アショアの大型レーダー「SPY7」を船に載せることにより、イージス護衛艦「まや」型を大型化する必要が生まれ、1隻あたりの建造費は2500億円以上と「まや」型と比べて766億円以上も高騰。この差額だけで汎用護衛艦が1隻建造できるほどだ。 米国で開発中のイージス艦専用レーダー「SPY6」ならそのまま「まや」型に搭載できることから船体の大型化に伴う出費は不要となるうえ、「米政府御用達」の保証も受けられる。 だが、防衛省はイージス・アショアのレーダー転用にこだわった。 結局、SPY7を搭載するイージス・システム搭載艦は、米政府にとって未知の艦艇となり、防衛省はレーダーの性能を確認する実射試験費や人材育成費を負担することになる。運用開始後も米政府の支援が欠かせず、バカ高い費用を請求される可能性が出てきた。) 「まや」型は乗員310人なので、イージス・システム搭載艦も同数と仮定すれば、2隻で620人の要員が必要だ。人員増が人件費の増加につながるのは言うまでもない。 海上自衛隊は予算不足と人員不足から汎用護衛艦の建造を見合せ、2年前から小型で安い護衛艦の建造を始めている。この小型艦は、多機能護衛艦(FFM)と呼ばれ、1隻495億円、乗員100人とすべてがコンパクトだ。 FFMと比べ、1隻2500億円以上、乗員310人というイージス・システム搭載艦2隻の建造は、組織の実情を無視した「巨大なカネ食い虫」というほかない。 防衛省が天守閣を海に浮かべるのに等しい珍妙なアイデアにこだわるのは、イージス・アショアの配備断念により、米政府から多額の違約金が請求されるのを避けるためだ。 イージス・アショアをめぐり、米政府との間で2018年度6億円、19年度1757億円の契約を締結しており、配備断念となれば、そっくり違約金として没収されるおそれがある。モノが手に入らないにもかかわらず、2000億円近いカネが米政府に取られるのだ。 そうなれば政治問題に発展し、安倍前政権や菅政権が野党に追及されるのは必至。そうした事態を回避するため、防衛省は青天井の支払いになりかねないイージス・システム搭載艦を何食わぬ顔で建造しようとしている。) 振り返れば、安倍前首相がトランプ前大統領の求めるままに購入を約束したことが間違いの元だった。 ミサイル迎撃に対応するイージス護衛艦は4隻から8隻に倍増され、迎撃ミサイルの射程も2倍に延びることが決まった後のイージス・アショアの追加購入は過剰であり、不要だ。ここは米政府に違約金を支払ってでも、イージス・システム搭載艦の建造を見送るべきだろう』、「安倍晋三首相は収まらず、「イージス・アショア代替策」と「敵基地攻撃能力の保有」の検討を求める安倍談話を出して退陣」、とんでもない遺言を残したものだ。「米国で開発中のイージス艦専用レーダー「SPY6」ならそのまま「まや」型に搭載できることから船体の大型化に伴う出費は不要となるうえ、「米政府御用達」の保証も受けられる。 だが、防衛省はイージス・アショアのレーダー転用にこだわった」、「防衛省」がこだわった理由は何なのだろう。「イージス護衛艦は4隻から8隻に倍増され、迎撃ミサイルの射程も2倍に延びることが決まった後のイージス・アショアの追加購入は過剰であり、不要だ。ここは米政府に違約金を支払ってでも、イージス・システム搭載艦の建造を見送るべきだろう」、財務省ももっと厳しく査定すべきだ。
・『値上げされ、それを買わされ…  次にグローバルホークを見てみよう。 グローバルホークは2万メートルの高高度から偵察する無人機だ。米空軍が63機を調達する予定だったが、開発の遅れと価格高騰により、45機に削減、またドイツが導入をキャンセルするなど、売れ行きはよくない。 防衛省は2014年、米政府との間で3機を合計510億円で購入する契約を結んだ。ところが、米側は17年4月になって、追加部品の開発に費用がかかるとして119億円高い合計629億円に値上げすると通告してきた。 一方の防衛省には武器の価格が25%上昇した場合、購入中止を検討するルールがあるが、米側が示した値上げ幅はそれより少ない23%。図ったような「寸止め」に防衛省は中止を検討したが、最後は首相官邸の「予定通り買え」との声に押し切られた』、「イージス護衛艦は4隻から8隻に倍増され、迎撃ミサイルの射程も2倍に延びることが決まった後のイージス・アショアの追加購入は過剰であり、不要だ。ここは米政府に違約金を支払ってでも、イージス・システム搭載艦の建造を見送るべきだろう」、財務省ももっと厳しく査定すべきだ。
・『米人技術者の生活費「約30億円」も負担  だが、問題は終わらない。 防衛省は、尖閣諸島上空から中国公船の監視に活用する予定だったが、その後「陸上偵察用なので海上偵察には不向き」と判明。巨費を投じて使えない偵察機を買うことになったのである。 さらに追い討ちを掛けたのは、再び米政府だ。 防衛省が負担するのは機体価格だけではない。遠隔操作に必要な地上装置や整備用器材などを含めると導入にかかる初期費用は実に1000億円にもなる。 この負担とは別に維持管理のための費用が毎年約100億円もかかる。驚くべきことに、この費用の中に3機が配備される青森県の三沢基地に滞在することになる米人技術者40人の生活費約30億円が含まれているのだ。 一人あたり、年間7500万円の生活費を負担する計算。どれだけ優雅な暮らしをさせようというのか。「なぜ生活費の負担までするのか」との防衛省側の問いに米側は「彼らは米国での生活を捨てて日本のために働くのだ」と「さも当然」と言わんばかりの回答だったという』、「陸上偵察用なので海上偵察には不向き」なのであれば、周囲を海に囲まれた日本では無用の長物だ。そもそも買う目的は何だったのだろう。
・『オスプレイ問題とは何だったのか  最後はオスプレイだ。 自衛隊のオスプレイ導入は、異例の経過をたどった。本来、武器類はユーザーである自衛隊が選定する。だが、10年先の安全保障環境を見通して策定する「陸上自衛隊長期防衛見積り」にオスプレイの名前はなかったとされる。 陸上自衛隊はオスプレイの2倍以上の人員や物資を空輸できるCH47大型ヘリコプターを55機も保有していたからだ。 導入することになったのは、米軍が沖縄配備を進めた2012年当時、沖縄から上がった配備反対の声に対し、民主党政権の玄葉光一郎外相が「安全性を訴えるため自衛隊も保有すべきだ」と提案、当時の森本敏防衛相が同調して調査費を計上、これを安倍晋三政権が引き継いだことによる。 「沖縄の民意」より「米軍の意向」を優先した政治判断である。 オスプレイは滑走路がいらない、夢の航空機とされるが、開発段階から墜落事故が相次ぎ、米国ではすでに40人以上が墜落事故で亡くなっている。 陸上自衛隊には17機配備される。自衛隊版海兵隊と呼ばれる「水陸機動団」(長崎県佐世保市)が運用することから、防衛省は佐世保に近い佐賀空港への配備を決めたが、地権者の有明海漁協の反対により、実現できず、千葉県の木更津駐屯地に暫定配備されることになった。今後、首都圏の空をオスプレイが飛び回ることになる。 こうして見てくると「無駄遣い3点セット」は、いずれも米国からの武器導入であり、政治家が関与したことがわかる。文民である政治家が「これを使え」と軍事のプロである自衛隊の武器を選んだのだ。その結果の「無駄遣い」である。 2021年度予算に盛り込まれるコロナ対策費は、どれほど多くても困るという話ではない。不要不急な武器なら購入は見送り、その分を国民の安全安心のために使うべきだろう』、「オスプレイの2倍以上の人員や物資を空輸できるCH47大型ヘリコプターを55機も保有」しているのであれば、不要なのに、「民主党政権の玄葉光一郎外相が「安全性を訴えるため自衛隊も保有すべきだ」と提案」、完全に政治的に決定されたようだ。どうも無駄遣いは、やはり「官邸主導」のようだ。

第三に、3月16日付け東洋経済オンラインが掲載した元空将でアジア・パシフィック・イニシアティブ シニアフェローの尾上 定正氏による「日本の自衛隊「最悪の事態」の備えが不可欠な訳 軍事危機にどう使うか、コンセンサスが必要だ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/416209
・『米中貿易戦争により幕を開けた、国家が地政学的な目的のために経済を手段として使う「地経学」の時代。 独立したグローバルなシンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)」の専門家が、コロナウイルス後の国際政治と世界経済の新たな潮流の兆しをいち早く見つけ、その地政学的かつ地経学的重要性を考察し、日本の国益と戦略にとっての意味合いを、順次配信していく』、興味深そうだ。
・『今できないことは最悪の状況では確実にできない  東日本大震災・福島原発事故から10年が経ち、日本はパンデミックの最中にある。多くの貴重な教訓は活かされているのだろうか。 APIの前身の日本再建イニシアティブは、2013年に「日本最悪のシナリオ9つの死角」で、尖閣衝突、サイバーテロ、北朝鮮崩壊、核テロなど9つの国家危機を想定し、最悪の事態をシミュレーションした。自衛隊は過去の災害派遣活動が評価され、国民から最も信頼される組織となり、これら最悪の事態でも最後の砦となることを期待されている。 だが、自衛隊は危機対処の手段の1つであり、外交・経済・情報などほかの手段を統合する政治指導が、最悪の事態では最も重要となる。最悪のシナリオに沿って危機管理体制を検証し、そのとき自衛隊をどう使うのか。国としてのコンセンサス作りが必要だ。 地震や台風など自然災害が多発する日本は、過酷な実体験に基づき、国の危機管理体制から国民一人ひとりの防災意識に至るまで、逐次強化してきた。一方、未経験の危機については、最悪の事態を想像することを忌避するあまり、危機そのものを否定する罠に陥っているように見える。 最悪の事態に向き合うことは大きなストレスを伴うため、実際に起きるかどうかわからない事態に備え、今ある通常の規範や制度を変えるには大きな抵抗がある。だが、今できないことは、最悪の状況では確実にできない。例えば、「危機に法は沈黙する」と言われる。東日本大震災・福島原発事故で、自衛隊は自衛隊法の任務規定にないご遺体の捜索・収容、ヘリ・地上からの放水などを実施した。 現場では警察・消防などの「指揮」を命じられる場面もあったが、行政法の「運用の幅」で自衛隊に付与できる任務には、限界がある。原発事故が止められなくなったとき、命を懸けて原子炉をコンクリート詰めにする組織はいまだ定められていないが、それを自衛隊に命じることは「運用の幅」でできることではない。また、自衛隊の能力を過信し、いざとなれば自衛隊に命じれば何とかなるという誤った認識が生まれかねない。 職業軍人でない文民が、軍隊に対して最高の指揮権を持つ「シビリアンコントロール」(Civilian Control)の確保のためにも、最悪事態を想像する作業を通じ、憲法の国家緊急事態条項の欠落を含め、有事の視点からすべての法制のあり方を再検討する必要がある』、「未経験の危機については、最悪の事態を想像することを忌避するあまり、危機そのものを否定する罠に陥っているように見える。 最悪の事態に向き合うことは大きなストレスを伴うため、実際に起きるかどうかわからない事態に備え、今ある通常の規範や制度を変えるには大きな抵抗がある。だが、今できないことは、最悪の状況では確実にできない」、「今できないことは、最悪の状況では確実にできない」、とは言い得て妙だ。
・『サイバーテロ、北朝鮮崩壊、核テロの複合事態さえ想定  日本が備えておかなければならないシナリオは深刻化かつ複雑化している。北朝鮮の核弾頭搭載ミサイルは日本を射程に入れ、サイバー攻撃能力も侮れない。場合によっては、サイバーテロ、北朝鮮崩壊、核テロの3つが複合する事態すら想定される。 中国は海軍力や法執行機関の能力を著しく強化し、尖閣諸島に対する侵害を常態化させた。2月1日から施行された海警法は、中国の定義する管轄海域において外国の軍艦や公船に対する武器使用を認めている。明らかな国際法違反だが、尖閣諸島周辺海域における中国の施政権を主張する布石であろう。 尖閣衝突危機は、緩慢だが、確実に進行している。尖閣事態と連動する恐れの強い中国の台湾侵攻の事態にも備えは必要だが、実は、最悪の事態をリアルに想定すること自体、困難な作業なのだ。これらの危機は自然災害やパンデミックと異なり、関係国の意図と行動が相互に影響するため、対応次第で事態を収められることもあれば拡大することもある。 関係国の国益が複雑に交錯する状況において、日本の主権と国民を守るため自衛隊にどのような任務を付与するのか、さらにはその結果としての犠牲をどこまで受容するのか、高度の政治判断と政府全体の対応、そして国としての覚悟が要求される問題である。) 従ってこれらの最悪事態の考証は、対応に当たる主要関係者全員が参加し、公式に実施することが重要となる。その理由は、緩慢に進行する危機の痛みや最悪の状況の怖さを実感し、危機感を共有すると同時に、関係者全体で想像することで、組織間の齟齬や隙間などの具体的な問題点を確認できるからだ。 また、要職者個人の危機管理能力を向上させることで、政府全体の対応の質が高められる。例えば、刻々と変化する状況に対し事態をどう認定するのか、究極の決断を限られた時間内に求められるため、有事や危機は普段とまったく違う法則が支配することを肌で経験できる。 千差万別の、あるいは複合的な危機に際し、確保すべき国益や目標の何を優先するのか、どの手段をどう使うのか、首相はどこに位置して指揮するのか。首相に事故があった場合の自衛隊の指揮権は誰が継承するのか、内閣の危機管理関係局室と防衛省・統合幕僚監部はどのように役割分担・連携するのか、通信連絡・情報共有の手段・手続きは機能するのかなど、確認する必要があることは多い』、「これらの最悪事態の考証は、対応に当たる主要関係者全員が参加し、公式に実施することが重要となる」、理屈の上ではその通りだが、実際には難しそうだ。
・『必要なら新たな法制やインフラ整備、国民への説明を  まず、現行体制を検証し、その運用に習熟しなければならない。そして、必要があれば新たな法制やインフラを整備するとともに、考証の結果を適切に国民に説明し、定期的な訓練などにつなげることが必要だ。 東日本大震災で自衛隊とアメリカ軍は初めて日米共同作戦を実施した。災害救助のトモダチ作戦では従来の共同訓練の成果が遺憾なく発揮されたが、原発事故対応では日米の国益の違いに根差す同盟の限界や放射線に関する行動基準の相違を認識させられた。 その後、日米ガイドラインが更新され、平和安全法制も制定されたが、北朝鮮や中国に関わる最悪の事態を想定した日米政府間の検討は未了である。自衛隊とアメリカ軍は、日米共同統合演習(実動または指揮所)を毎年実施し、有事における軍事面での共同対処能力の向上を図っている。だが、原発事故対応で問題となった日米政府間の協議については、「同盟調整グループ」が組織されたものの、全省庁の恒常的な参加と政治家の関与の仕方は決まっていない。) 武力攻撃事態に至る可能性のある危機は、状況に即した事態認定と自衛隊への任務付与という政治と軍事の接際部、また、戦略的メッセージの発信や地経学的な対応など政府全体のアプローチが重要となる。同時に、日米間の利害調整と共通目標の設定が不可欠であり、それによって自衛隊とアメリカ軍の共同作戦は方向づけられなければならない。 アメリカは、核戦争を筆頭にあらゆる最悪の事態が起きるという前提で体制を整えているが、パンデミックによって加速した相対的な国力の低下のため、同盟国に対する役割分担の増加を求めざるをえなくなっている。外交問題評議会の最新報告書「アメリカ・中国・台湾:戦争抑止の戦略」は、アメリカの台湾防衛戦略には日本の参加と同意が不可欠だと明記している。 台湾有事は、日米同盟にとって最も重要かつ困難な試練となろう。実戦で試される前に、そのとき何が起きるかを合理的に問い詰めていくアメリカ式の想像と思考によって、日本の戦略を考えなければならない。バイデン政権は国防省に中国タスク・フォースを設置し、対中戦略を練り直している。日本は今からでもその作業に関与し、最悪シナリオに基づく同盟戦略をすり合わせる必要がある』、確かに「バイデン政権」の「対中戦略」への関与は重要だ。
・『いざというときの実力を高めなければならない  自衛隊は究極の危機である戦争に備える組織である。災害派遣の実績が評価され、自衛隊に期待する役割の1位は「災害派遣」(79.2%)であり、「国の安全の確保」は2位の60.9%にとどまる。実際、自衛隊はさまざまな災害などに駆り出されており、最後の砦が普段から前線で活動する状況になっている。だが、自衛隊が最後の砦となるべき防衛事態は、自衛隊を含め政府も国民もまだ誰も経験していない。 北朝鮮の核ミサイルや中国の圧倒的な軍事力を相手に、自衛隊が必ず国と国民を守れるという保証はないのだ。政府は、武力攻撃事態の危機管理体制の再点検と修正を急がなければならない。自衛隊に必要な資源と時間を与え、いざというときのための実力を高めなければならない。 そして、最悪の事態を想定したリアリティのある訓練によって、政府全体の危機対処能力を向上させるとともに、国民の理解を深めなければならない。未経験の危機で自衛隊をどう使うか、そのコンセンサスが最悪の事態の備えには不可欠である』、「政府は、武力攻撃事態の危機管理体制の再点検と修正を急がなければならない。自衛隊に必要な資源と時間を与え、いざというときのための実力を高めなければならない」、その通りだ。
タグ:防衛問題 (その16)(「行動する時が来た」「靖国の英霊と会話できる」陸自特殊部隊元トップの“危なすぎる世界観”、防衛費の「無駄遣い」が止まらない…アメリカに抵抗できない「日本の悲惨な末路」、日本の自衛隊「最悪の事態」の備えが不可欠な訳 軍事危機にどう使うか コンセンサスが必要だ) 文春オンライン 辻田 真佐憲 「「行動する時が来た」「靖国の英霊と会話できる」陸自特殊部隊元トップの“危なすぎる世界観”」 ウルトラ右翼が「特殊部隊の初代群長」、で退任後も活動を主導しているとは・・・。 「陰謀論者ご用達の「ディープステート」も登場」、現役時代はどうだったのだろう。 妄想たくましいウルトラ右翼だが、現実を重視する必要がある職業軍人にもこんな人物がいるとは、恐ろしいことだ。 とうてい正気とは思えないような発想だ。 「自衛隊でもともと保守的な“問題児”だった」、辞めた時の階級を書いてないが、「幹部自衛官の道に進んだ」、「調査隊の監視対象」、「自衛隊」としても扱いには頭を痛めたことだろう。 この部分は筆者の主張は分かり難い。 「65点の物語を壊滅させたあとにやってくるのは、100点満点主義者が尊敬される世界ではなく、逆に批判などまったく意に介さない、5点の陰謀論が蔓延する世界ではないだろうか」、筆者の単なる思い込みなのではなかろうか。後半部分を除けば、興味深い内容だった。 現代ビジネス 「防衛費の「無駄遣い」が止まらない…アメリカに抵抗できない「日本の悲惨な末路」」 「野党の中にも防衛費は「聖域」と見なす向きがあり、追及の手は緩い」、困ったことだ。 「安倍晋三首相は収まらず、「イージス・アショア代替策」と「敵基地攻撃能力の保有」の検討を求める安倍談話を出して退陣」、とんでもない遺言を残したものだ 「米国で開発中のイージス艦専用レーダー「SPY6」ならそのまま「まや」型に搭載できることから船体の大型化に伴う出費は不要となるうえ、「米政府御用達」の保証も受けられる。 だが、防衛省はイージス・アショアのレーダー転用にこだわった」、「防衛省」がこだわった理由は何なのだろう。 「イージス護衛艦は4隻から8隻に倍増され、迎撃ミサイルの射程も2倍に延びることが決まった後のイージス・アショアの追加購入は過剰であり、不要だ。ここは米政府に違約金を支払ってでも、イージス・システム搭載艦の建造を見送るべきだろう」、財務省ももっと厳しく査定すべきだ。 「陸上偵察用なので海上偵察には不向き」なのであれば、周囲を海に囲まれた日本では無用の長物だ。そもそも買う目的は何だったのだろう。 「オスプレイの2倍以上の人員や物資を空輸できるCH47大型ヘリコプターを55機も保有」しているのであれば、不要なのに、「民主党政権の玄葉光一郎外相が「安全性を訴えるため自衛隊も保有すべきだ」と提案」、完全に政治的に決定されたようだ。どうも無駄遣いは、やはり「官邸主導」のようだ。 東洋経済オンライン 尾上 定正 「日本の自衛隊「最悪の事態」の備えが不可欠な訳 軍事危機にどう使うか、コンセンサスが必要だ」 「未経験の危機については、最悪の事態を想像することを忌避するあまり、危機そのものを否定する罠に陥っているように見える。 最悪の事態に向き合うことは大きなストレスを伴うため、実際に起きるかどうかわからない事態に備え、今ある通常の規範や制度を変えるには大きな抵抗がある。だが、今できないことは、最悪の状況では確実にできない」、「今できないことは、最悪の状況では確実にできない」、とは言い得て妙だ 「これらの最悪事態の考証は、対応に当たる主要関係者全員が参加し、公式に実施することが重要となる」、理屈の上ではその通りだが、実際には難しそうだ。 確かに「バイデン政権」の「対中戦略」への関与は重要だ。 「政府は、武力攻撃事態の危機管理体制の再点検と修正を急がなければならない。自衛隊に必要な資源と時間を与え、いざというときのための実力を高めなければならない」、その通りだ。
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