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ソーシャル・ファイナンス(その3)(SBIソーシャルレンディング関連3題:(上)北尾氏はベンチャーの社長を「詐欺師」呼ばわり SBIグループは事件の「最大の被害者」なのか、(中)社内の諫言でも融資は続けられた SBIソーシャルレンディングが放置した問題、(下)真相はまだ明らかになっていない SBIグループとテクノの不可解な関係) [金融]

ソーシャル・ファイナンスについては、6月20日に取上げた。今日は、(その3)(SBIソーシャルレンディング関連3題:(上)北尾氏はベンチャーの社長を「詐欺師」呼ばわり SBIグループは事件の「最大の被害者」なのか、(中)社内の諫言でも融資は続けられた SBIソーシャルレンディングが放置した問題、(下)真相はまだ明らかになっていない SBIグループとテクノの不可解な関係)である。

先ずは、8月29日付け東洋経済Plus「(上)北尾氏はベンチャーの社長を「詐欺師」呼ばわり SBIグループは事件の「最大の被害者」なのか」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/27878#contd
・『「あの詐欺師によってたくさんの被害者が出たが、最大の被害者がわれわれだった」 4月28日の決算説明会で、こう強く言い放ったのは東証1部上場企業、SBIホールディングス(SBI)の北尾吉孝社長だった。 「詐欺師」と呼ばれたのは太陽光発電のベンチャー・テクノシステム(本社・神奈川県横浜市。以下テクノ)の生田尚之社長。 生田氏が東京地検特捜部によって詐欺容疑で逮捕されたのは北尾発言から1カ月後の5月27日のことだった。阿波銀行や富士宮信用金庫から引き出した十数億円の融資を、名目とは別の用途に使っていた疑いで、金融機関から資金をだまし取ったというものだ』、広がりがあって興味深そうだ。なお、同社のURLはまだ閉鎖されておらず、以下の通り
https://www.technosystems.co.jp/
・『会社の整理は遅々として進まず  北尾氏がSBIを「最大の被害者」と表現したのは、前出の金融機関より大きな資金を100%子会社SBIソーシャルレンディング(以下、SBISL)がテクノに貸し付けていたからだ。テクノはSBISLから200億円以上の資金を事業資金として借りていながら、そのうち130億円近い額を融資の名目とは違う用途に充てていた疑いがあがっている。 SBIは4月初め、ソーシャルレンディングの貸付先に重大な懸案事項が生じており、債権が回収できないおそれがあるとして、2021年3月期に多額の損失を計上すると発表している。一方、資金繰りに行き詰まったテクノの負債総額は150億円(うち金融債務が90億円)。事後処理を任された弁護士は5月中旬、6月初旬にも東京地裁に民事再生法の適用を申請するという意向を示していた。 社長の生田氏は司直の手に委ねられ、会社は法的整理へ――。事態は収束に向かうかに思われた。ところが、それから約3カ月、会社の整理が遅々として進んでいない。 東洋経済の取材によると、民事再生は現実的に難しいと判断した弁護士が破産手続きに切り替えようとするも、勾留されている生田氏が破産には強い抵抗を示していることがわかった。テクノ本社のある横浜ランドマークタワー19階の部屋は、8月上旬時点で椅子や机が放置されたままになっている。 ソーシャルレンディングでSBISLから200億円以上の融資を受けながら、SBIグループトップの北尾氏から「詐欺師」呼ばわりされた生田氏は、胸中に何を秘めているのか』、債権者であるSBISLも破綻申し立てが出来る筈だが、してないのも不可解だ。
・『SBIへの信頼感を背景に  ソーシャルレンディングとは投資家と資金を必要とする人をインターネット上で結びつけるフィンテックの1つで、投資家はソーシャルレンディングのファンドに対し数万円から出資ができる。 お金を借りた企業は運営者(本件の場合SBISL)に利子や元本を返済し、運営者はそれを原資に投資家へと分配・償還する。投資家にとっての魅力は利回りが2.5~10%と高い点にあり、資金が集まりやすい構図になっている。 一方で借り手企業にとっては、毎月高い金利を払いながら事業を継続し利益を出すことは容易ではない。借り手企業の負担は重く、返済原資を作るために新たなプロジェクトを立ち上げるといった自転車操業に陥る企業が続出。 そうした状況を見逃したソーシャルレンディングの運営会社の責任も問われ、2017年には「みんなのクレジット」、2018年には「エーアイトラスト」、最大手の「maneoマーケット」が金融庁から行政処分を受けた。 競合の事業者が次々に行政処分を受ける中、優位に立ったのがSBISLだった。 SBISLの親会社は一般事業会社の売上高に相当する営業収益が5000億円を超すSBI。近年、グループでは「第4のメガバンク構想」を掲げて地方銀行との提携戦略を主導している。傘下のSBI証券はネット証券でシェアトップだ。「終わったビジネスモデル」と一部で目されていながらも、投資家がSBISLに出資してきたのはSBIグループへの信頼感があったからだろう。  しかしテクノ事件の発覚で、6月8日、SBISLにも金融庁から経営管理や運営態勢の重大な不備があったとして業務停止命令が下った。行政処分を待たずして、SBIは5月24日付でソーシャルレンディング事業撤退の決定を発表している』、「テクノはSBISLから200億円以上の資金を事業資金として借りていながら、そのうち130億円近い額を融資の名目とは違う用途に充てていた疑い」、深刻な事態だ。「SBISLの廃業と事業からの撤退に当たっては、投資家に損失が生じないよう、SBIが損失補填をするようだ。
・『直筆の「詫び状」は語る  北尾氏から詐欺師呼ばわりされた生田氏の胸中をうかがい知れる資料がある。 生田氏は逮捕前の5月9日、A4ノート4枚分の「詫び状」を直筆でしたため、親しい関係者にのみ渡していた。関係者の間では「生田ノート」と呼ばれ、東洋経済が入手したその資料には、「絶対に詐欺などをしていない」と身の潔白を強調している。 生田ノートは、「この度は、株式会社テクノシステムの取引先、関係者各位の皆様に多大なるご心配をおか(け)して、誠に申し訳ございません 」(原文ママ。丸カッコ内は編集部。以下同じ)という書き出しで始まる。 この中で、自身が2009年にテクノを設立して以降、技術者として水や食、電気にかかわる事業を起こし、仲間や取引先、金融機関と連携しながら売上高を160億円まで伸ばしてきたこと、SBI証券が主幹事証券になる方向で上場準備に入っていたことが記されている。 そして、上場を意識していたゆえに「一気にものづくりを進めた。外からみたら、あせって経営を進めていると見られても仕方のない点はあったこと、社内の内部統制も十分ではなかった」とし、「多くの経営反省点があったことは真摯に受け止め反省をし」と悔恨の念を示している。 一方、生田氏が怒りの矛先を向けたのがSBIだった。 不正が発覚した2021年2月以降、調査のためにSBISLが立ち上げた第三者委員会に対し、弁護士を通じて自身の見解を伝えてきたにもかかわらず、4月に公表された調査報告書は「一方的な決めつけにより責務を負わされる、いわば、テクノだけを悪者にする文章になっております」と批判している。 調査報告書はSBISLのホームページで公開されているが、登場する企業や人物はすべてアルファベットで匿名化されており、生田氏のような当事者や近しい関係者でなければ今回の構図を理解するのは難しい。 東洋経済は取材を通じて調査報告書に登場する企業や人物を特定したうえで、事件の経緯を整理した。浮かびあがったのは、テクノの異変に気づきながら、テクノをつかんで離そうとしなかったSBISLの姿だ』、「調査報告書」は下記の通りだが、「SBISL」の異常な姿も確かだ。
https://www.sbi-sociallending.jp/pages/press210428

次に、この続きを、「(中)社内の諫言でも融資は続けられた SBIソーシャルレンディングが放置した問題」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/28040
・『「あの詐欺師によってたくさんの被害者が出たが、最大の被害者がわれわれだった」。SBIホールディングスの北尾吉孝社長は、太陽光ベンチャー・テクノシステム(テクノ)の生田尚之社長をこう批判する。 第三者委員会による調査報告書からは、テクノのずさんな経営実態だけでなく、異変に気づきながらテクノをつかんで離そうとしなかったSBIソーシャルレンディングの姿も浮かび上がる。 静岡県熱海市。太平洋を望む住宅街の一角に、不自然な空き地がある。 ここに「熱海SDGsホテル」を建設する計画が持ち上がったのは2019年夏のことだった。屋上に太陽光パネルを敷設し、持続可能な社会を意識したホテルを建設するプロジェクトを立ち上げたのはテクノで、そのための資金を投資家から集めたのがSBISLだった。 2019年7月と11 月に組成されたファンドの名称はSBISL不動産ディベロッパーズファンドの16号と18号 。投資家に示されたプロジェクト概要には「借手が静岡県熱海市で行うリゾートホテル開発のための、土地の購入及び建築プロジェクト資金の一部」とある。事業者への貸付金利は9.5%。そのうち1.5% がSBISLの手数料となるため投資家向け利回りは8%だった。 投資家から集まった資金は16号と18号合わせて30.4億円で、2019年7月19日以降、全額がテクノに貸し付けられた。不動産の登記簿謄本によれば、7月19日付で「SDGs熱海合同会社」(テクノが設立した特別目的会社)に土地の所有権が移っている。 つまり、ホテル建設に向け土地の取得までは進んでいた。が、2021年8月上旬、記者が現地に赴くと草木が生い茂り、工事が進められた気配は見られなかった。地元の不動産業者や近隣の住民にホテル建設計画について尋ねても「聞いたことすらない」と一様に首をかしげた。 SBISLの第三者委員会がとりまとめた調査報告書によれば、ホテル建設は下請け業者との契約も結ばれぬまま、貸し出された約30億円のうち約22億5000万円がホテル建設とは関係のない用途に使われていた』、「SBIホールディングスの北尾吉孝社長」は被害者顔だが、真相はどうなのだろう。
・『融資の6割が別の用途に  こうした例は熱海の案件だけではない。2019年11月~12月にかけて組成されたSBISLメガソーラーブリッジローンファンド24号と25号では、福島県内の3カ所でメガソーラー発電所を建設するプロジェクトとして投資家に出資を募り、24号ファンドでは約8.5億円、25号ファンドでは約9億円がテクノへ貸し付けられた。 投資家向け利回りはともに7.0%で、工事は2020年夏にも完了する計画だった。しかしテクノは下請け業者への発注すらしておらず、予定地は現在も工事が着工されていない。 熱海のケースと同様、24号ファンドで集められた約8.5億円のうち約5億2000万円が、25号ファンドで集められた約9億円のうち約6億7000万円がプロジェクトとは別の用途に使われていた。 プロジェクトを立ち上げて資金を集め、その後は中途半端なままという無責任な取引が繰り返された。太陽光発電の案件では2020年10月、熊本県水俣市にメガソーラー発電所を作る名目で40億8000万円がテクノに貸し付けられるまで続いた。この案件でも工事は止まり、約20億円が本来の使途とは違うことに使われた。 報告書によれば、SBISLが太陽光発電案件と不動産案件でテクノに貸し付けた資金の合計額は207億2805万円。そのうち投資家に示した資金使途とは別の使われ方をしていたのは129億2711万円と、融資総額の6割を超える。これは、投資家に対する裏切りとしか言いようがなく、生田氏が詫び状で主張した「絶対に詐欺などしていない」という言い分は説得力に欠ける。 では、多額の資金を貸し付けていたSBISLはテクノの異変に気づかなかったのか』、「テクノに貸し付けた資金の合計額は207億2805万円。そのうち投資家に示した資金使途とは別の使われ方をしていたのは129億2711万円と、融資総額の6割を超える」、銀行が貸す場合、目的通り使われたかを厳格にチェックするのが普通で、こんなに目的外が多いのは考え難い。
・『方針と相反する対応をとっていた  報告書によると、SBISLは2019年末時点でテクノの異常を察知していた。「テクノの工事に遅延が生じている」と最初に気がついたのは2019年12月19日のこと。2018年の秋に約18億円を貸し付けたメガソーラーブリッジローンファンド3本(17号、18号、20号)の開発スケジュールにズレが生じていることがわかったのだ。それを受けてSBISLは2019年末、テクノに説明を求めた。 ところがテクノは十分な説明をしなかった。そして2020年1月24日、SBISLは上記3号の問題が整理されるまでテクノ事案は受けつけないことにした。だが実際は、この方針と相反する対応をしていた。 なぜ、SBISLはテクノを当てにし続けたのか。背景には「上場」という悲願があった。 SBISLが上場準備を本格的に開始したのは2018年末ごろからだった。SBISLの融資残高は毎年拡大を続け、2020年3月5日、ソーシャルレンディングの融資残高が400億円を突破して415億円になったと発表。4月6日には登録投資家数が5万人を突破したとリリースした。  勢いよく伸びているように見えるが、内実は「テクノ頼み」だった。2020年3月末時点の融資残高422億円のうち180億円超、割合にして43.8%がテクノで占められていた。 2019年末にテクノの異変に気づく中、2020年3月期は売上高8.4億円(前期比114%)、営業利益2.2億円(同104%)と増収増益で着地している。さらに上場直前期の2021年3月期は、売上高11億円(前期比131%)、営業利益4億円(同164%)というより高い目標を掲げた。 ところが業績は思うように上向かない。第1四半期(2020年4~6月)が終わったところで営業利益実績が約1000万円と、目標を大きく下回った。ここでSBISLの織田貴行社長(当時)は大勝負に出る。第2四半期の営業利益目標を大幅に引き上げ、年間営業利益目標の約半分の2億円を上半期で達成するよう社内に号令をかけたのだ。 報告書によれば、2020年6月29日、SBISLはテクノに福島2案件を7月に、山梨案件は8月に募集する方向で進める旨をメールで送信。翌30日には再びテクノに「弊社も臨戦態勢で案件組成してまいりますので」と伝達。 さらに7月3日には「7、8月は他社の案件ストップし貴社のみ対応いたします」と、“ラブコール”とも言える呼びかけまでしている。報告書は「問題(テクノ案件の工事遅延)を直視せず、A社(テクノ)の工事完成能力への懸念を漫然と放置」と断じている。 テクノに対する懸念は消えていないが、上場に向けて業績を大幅に伸ばしていくうえでは、テクノという大口顧客を捨て置けなかったということだろう』、「SBISL」の「融資残高」の「43.8%がテクノで占められていた。「テクノに「弊社も臨戦態勢で案件組成してまいりますので」と伝達。 さらに7月3日には「7、8月は他社の案件ストップし貴社のみ対応いたします」と、“ラブコール”とも言える呼びかけまでしている」、ここまで癒着していたとは「SBISL」の責任も重大だ。
・『諫言があっても融資は続いた  しかし、異変に気づいた出資者がいた。織田社長が業績拡大に向けて大号令をかける中、2020年7月17日に出資者からSBISLに1通のメールが届いていた。 内容は、横浜市内に建設される予定のビジネスホテル予定地に赴いたが、工事現場が見つからないというもの。このプロジェクトはSBISL不動産ディベロッパーズローンファンド14号で、2019年5月に約16億2600万円がテクノに貸し付けられていた。プロジェクト概要では同年12月にも着工する予定だが、どうなっているのかと説明を求めるものだった。 再び対応を迫られることになったSBISLはテクノに「14号プロジェクトの進捗状況はどうなっているのか」とメールを送信するとともに、横浜市内の建設予定地に赴き、現場が駐車場のままであることを確認した。 テクノは、「業者のオリンピック特需による多忙さやコロナ禍での協議中断等が着工が遅れている原因」と説明し、工事の遅延について「工法を工夫することで工期を短縮することが可能」と釈明した。第三者委員会の調査報告書ではこの件について「SBISLは(中略)、その(テクノによる)説明内容について、客観的な裏付資料の確認等を行わず、疑問点を看過した」と指摘している。 それでも、2020年7月以降、SBISLの社内において、テクノへの新規融資が「他のファンドの貸付金の返済原資に充てられるおそれがある」と織田社長に諫言する者が出始めた。 社内外から懸念の声があったにもかかわらず、2020年10月までに太陽光発電プロジェクトである福島県郡山市案件(約11億円)、茨城県那珂市と桜川市案件(約6億円)、北海道北斗市案件(約28億円)、熊本県水俣市案件(約40億円)の融資が実行されている。 そして、SBISLが「貸付先の事業運営に重大な懸念事項が生じている可能性が認められた」として、調査を行う第三者委員会の設置をホームページで発表したのは、最後の水俣案件の融資実行から4カ月が経過した、2021年2月5日のことだった。>>後編に続く』、「テクノへの新規融資が「他のファンドの貸付金の返済原資に充てられるおそれがある」と織田社長に諫言する者が出始めた」、「テクノ」の資金繰りは自転車操業状態だったようだ。

第三に、この続き、「(下)真相はまだ明らかになっていない SBIグループとテクノの不可解な関係」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/27879
・『SBIホールディングスの北尾吉孝社長から「詐欺師」呼ばわりされた太陽光ベンチャー・テクノシステムの生田尚之社長。 前編、中編では、テクノのずさんな経営の実態と、そこに資金を貸し込んできたSBIソーシャルレンディングの内情を記した。 後編では第三者委員会の調査報告書が触れなかったテクノとSBIグループの関係とともに、問題の全体像に迫る。 懸念や異論が出ながらもSBISLがテクノへの融資を続けた理由について、調査報告書は「営業優先・過大な収益目標の設定」を挙げ、それは「経営トップの独断による」としている。ここでいう経営トップとはSBISLの社長だった織田貴行氏(2021年2月に交代)のことだ。 報告書は「貸付者と当該債務者はいわば『運命共同体』の関係となりがちである(借りて貰うことを頼みやすく、貸すことを断りにくい状態)」としたうえで、テクノへの融資は「いわば『情実融資』とも評価できる」と厳しく指摘している。 だが、この調査報告書では読み取れないものがある。SBIグループの一子会社の社長である織田氏が、なぜ大きな権限を持っていたのかだ』、「第三者委員会の調査報告書」が「SBISL]に限定して、「SBIグループ」を見ないと忖度しているようでは、説得力を欠く。
・『親会社を護るための報告書  「この報告書は何らかの理由で、あえてSBIソーシャルレンディングスのみに焦点を当てている。『隠れ蓑』調査ではないのかとの疑念が拭えない。SBISLの社長に全ての責任を押しつけている感もあり、親会社を護るための報告書にも思われてくる」 不祥事を起こした企業が公表する調査報告書の格付けを行う「第三者委員会報告書格付け委員会」は2021年6月に記者会見を開き、委員長の久保利英明弁護士がSBISLの調査報告書についてそう指弾した。 副委員長の國廣正弁護士も「(織田社長の)経歴などをあいまいにして北尾氏との関係への言及を避けてきたのは、本件不祥事をSBISLだけの問題に止め、その影響がSBIグループや北尾氏に波及しないように忖度した結果ではないのか」と指摘した。 織田氏は、1977年に野村証券に入社しており、北尾氏の3年後輩に当たる。その後、ソフトバンク、SBIグループと北尾氏と同じ道を歩んだ。そうした2人の関係性は、SBISLの調査報告書から読み取れない。そして現在、織田氏はSBIグループにいないという。 第三者格付け委員会のほとんどすべての委員が、SBISLの親会社であるSBIホールディングス、ひいてはSBIグループ全体を率いる北尾氏の責任が抜け落ちていると批判した』、「第三者格付け委員会」が「北尾氏の責任が抜け落ちていると批判」のは当然だ。これほど手厳しく「批判」を受けるようであれば、「第三者委員会」の設置はむしろ逆効果だったようだ。
・『テクノとSBI証券の「接点」  調査報告書はSBISLのみに焦点を当てたが、実は、SBIグループとテクノの接点はほかにもある。 それを示す物件がJR山手線の鶯谷駅前にある。不動産の登記簿謄本によると、現在の所有権はSBI証券になっているが、紆余曲折があった。 SBISLにおいて、ある会社への融資(2.7億円)が焦げついたのは3年ほど前のこと。債権回収に黄信号が灯っていたとき、SBISLに“助け船”を出したのがほかならぬテクノだった。2019年、前出の会社が所有する鶯谷駅前の土地(従前はSBISLが抵当権を設定)が競売にかけられ、大東京信用組合から融資を受けたテクノが落札しているからだ。2020年2月、テクノはそこに4階建てのビルを建てた。 この建物を社員寮として借りていたのがSBI証券だったとされる。SBIグループは、家賃の支払いを通じてテクノに“恩返し”をしていたともいえるが、2021年2月16日、SBI証券はこの物件をテクノから買い取っている。しかも、SBISLが「貸付先の事業運営に重大な懸念事項」と発表(2月5日)してから間もないタイミングである。 テクノとのSBIグループの接点はこれだけではない。SBIの100%子会社でエネルギー事業を担うSBIエナジーがそうだ。同社の社長は中塚一宏氏だった(2021年4月に辞任)。中塚氏は民主党政権時代に復興副大臣や金融担当大臣を歴任し、政界引退後にSBIグループに入った。2021年4月には株式会社化した堂島取引所の初代社長にも就任した実力者だ。 その中塚氏はSBIエナジー社長の傍ら、テクノのシニアアドバイザーも務めていた。当時、テクノが建てる太陽光発電の買取先としてSBIエナジーの名が挙がっていたという話もある。 東洋経済はSBIホールディングスに、鶯谷駅前にある物件をSBI証券が取得した経緯や、SBIエナジー社長の中塚氏がテクノシステムのシニアアドバイザーを兼務していたのは利益相反に当たらないのかなど、確認のために北尾氏もしくは中塚氏から話を聞きたいと取材を申し込んだ。 だが、SBIからの回答は「第三者委員会の調査報告にてご報告申し上げている以上のことは当社からはお答えいたしかねます」というものだった』、「SBISLにおいて、ある会社への融資・・・の債権回収に黄信号が灯っていたとき、SBISLに“助け船”を出したのがほかならぬテクノ・・・テクノはそこに4階建てのビルを建てた。 この建物を社員寮として借りていたのがSBI証券」、「テクノ」と「SBI」の間には深い関係があったようだ。
・『お互いがしがみついた?  テクノについては数年前から取引先や調査会社の間で「支払いの遅延が多く、決算内容にも疑いがある」という情報が飛び交っていた。事業拡大のためにあらゆる銀行に声をかけていたようで、信用調査会社によると、テクノが取引していた金融機関は地方銀行から信用組合、信用金庫など30を超す(2020年9月時点)。 今回、警察ではなく東京地検特捜部がテクノ事件を手がけているのは、金融機関との取引に絡む部分を「政治案件」と見なしているからだ。 8月4日、特捜部は衆議院議員会館など公明党の議員、元議員の関係先へ家宅捜索に入った。元議員はコロナ禍での銀座クラブ通いが発覚して議員辞職した遠山清彦氏で、特捜部は、生田氏が日本政策金融公庫に融資を頼む際、財務副大臣経験者の遠山氏や秘書の力を借りていたとみて捜査を進めているもようだ。 複数の銀行取引を経て、生田氏は資金集めをSBISLのソーシャルレンディングに頼った。そもそも銀行から融資を受けられる信用力のある企業なら、金利の高いソーシャルレンディングに頼ったりしない。 当然ながら、そこに依存すればするほど返済負担が増す。結局、テクノは借入金の返済原資を作るために新たなプロジェクトを立ち上げるという自転車操業に陥った。なぜ生田氏はそこまでして成長を急いだのか。 数年前から生田氏にヒアリングをしていた民間調査会社・東京経済の森田龍二情報部副部長によれば、生田氏は「上場」にこだわっていたという。 「金利が高いソーシャルレンディングに頼るのは危ういが、上場さえできれば与信を底上げでき、銀行からの融資に切り替えることができると生田氏は考えていた。当初は『マザーズに上場する』と言っていたが、あるときから『東京プロマーケットに上場することにした』という話に変わり、逮捕される前は『シンガポール市場に上場したい』と言い始めていた」(森田氏) 上場のために危うい手段にもしがみつく――。テクノがはまったこの陥穽は、2018年末から上場準備を始めたSBISLにも当てはまる。上場のために互いが互いにしがみつき、離そうとしなかった結果起きたのがテクノ事件だったと言えるのではないか。 もっとも、生田氏が抵抗を示しているが、テクノの破産は免れない状況だ。破産申請が受理されれば管財人が入り、SBIグループとの取引を含むあらゆる取引の実態が明るみに出る。また、東京地検の捜査がどこまで手が及ぶのかにも注目が集まっている。 いずれ始まる生田氏の刑事裁判で本人が何を語るのか。全容の解明はこれからだ』、「上場のために危うい手段にもしがみつく――。テクノがはまったこの陥穽は、2018年末から上場準備を始めたSBISLにも当てはまる。上場のために互いが互いにしがみつき、離そうとしなかった結果起きたのがテクノ事件だった」、どっちもどっちだ。「破産申請が受理されれば管財人が入り、SBIグループとの取引を含むあらゆる取引の実態が明るみに出る。また、東京地検の捜査がどこまで手が及ぶのかにも注目が集まっている。 いずれ始まる生田氏の刑事裁判で本人が何を語るのか。全容の解明はこれからだ」、今後、徹底的に解明されていくのが楽しみだ。
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